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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】ロボット衝突の境界の判定
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/32 20160101AFI20230906BHJP
   B25J 19/06 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
A61B34/32
B25J19/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514425
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 IB2021057962
(87)【国際公開番号】W WO2022049491
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】63/073,860
(32)【優先日】2020-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ハーモニックドライブ
3.ケブラー
(71)【出願人】
【識別番号】518083032
【氏名又は名称】オーリス ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ホ・ミンエン
【テーマコード(参考)】
3C707
4C130
【Fターム(参考)】
3C707AS35
3C707BS26
3C707LU09
3C707MS05
4C130AB01
4C130CA12
4C130CA16
(57)【要約】
技術は、対象物に関連付けられる領域を判定してロボットアームの制御を支援することに関する。たとえば、システムは、ロボットアームが環境内の対象物に隣接して位置付けられていると判定することができる。システムは、ロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいて、対象物に関連付けられている環境内の領域を判定することができる。システムは、領域に少なくとも部分的に基づいて環境内を移動するようにロボットアーム又は別のロボットアームを制御することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
医療機器に結合するように構成された第1のロボットアームを含むロボットシステムと、
前記ロボットシステムに通信可能に結合された制御回路であって、
前記第1のロボットアームが環境内の対象物に隣接して位置付けられていることを示す入力データを受け取ることと、
前記第1のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいて、前記対象物に関連付けられている前記環境内の領域を判定することと、
前記領域内に移動することなく前記環境内を移動するように、前記ロボットシステムの前記第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方を制御することと、を行うように構成された、制御回路と、を備える、システム。
【請求項2】
前記第1のロボットアームは、前記第1のロボットアームのユーザ操作によって前記第1のロボットアームが移動するアドミッタンス制御モードで動作するように構成され、
前記第1のロボットアームが前記アドミッタンス制御モードで動作しているときに前記入力データが受け取られる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記入力データは、前記第1のロボットアームが前記対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていることを示し、前記制御回路は、
前記第2のロボットアームが前記対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていることを示す追加入力データを受け取ることと、
前記第2のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいて前記領域を判定することと、を行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御回路は、前記第1のロボットアームの前記遠位端の前記位置に少なくとも部分的に基づいて前記領域の第1の境界を判定することと、前記第2のロボットアームの前記遠位端の前記位置に少なくとも部分的に基づいて前記領域の第2の境界を判定することと、によって、前記領域を判定するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記入力データは、前記第1のロボットアームが前記対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていることを示し、前記制御回路は、
前記第1のロボットアームが前記対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていることを示す追加入力データを受け取ることと、
前記入力データが受け取られたときの前記第1のロボットアームの前記遠位端の位置と、前記追加入力データが受け取られたときの前記第1のロボットアームの前記遠位端の位置とに少なくとも部分的に基づいて、前記領域を判定することと、を行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御回路は、前記ロボットシステムの位置に少なくとも部分的に基づいて前記領域を判定するように構成され、前記領域は、前記対象物を含み、前記ロボットシステムを除外する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御回路は、
前記領域の視覚的表現を表示することと、
前記視覚的表現に対する調整を含む調整入力データを受け取ることと、
前記視覚的表現に対する前記調整に少なくとも部分的に基づいて前記領域を更新することと、を行うように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御回路は、
前記システムを医療処置を実行する処置モードに設定することと、
前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が衝突を受けたと判定することと、
前記衝突が起きたときの前記第1のロボットアームの前記遠位端の位置又は前記第2のロボットアームの位置のうちの少なくとも一方に基づいて前記領域を更新することと、を行うように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
方法であって、
第1のロボットアームを手作業で移動できるようにすることと、
制御回路が、前記第1のロボットアームが1つ以上の対象物に隣接して位置付けられていることを示す入力データを受け取ることと、
前記制御回路が、前記第1のロボットアームの端部の位置に少なくとも部分的に基づいて衝突領域を判定することと、
前記衝突領域に少なくとも部分的に基づいて、前記制御回路が、医療処置を実行するように前記第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を制御することと、を含む、方法。
【請求項10】
前記入力データは、前記第1のロボットアームが前記1つ以上の対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていることを示し、前記方法は、
前記第2のロボットアームが前記1つ以上の対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていることを示す追加入力データを受け取ることを更に含み、
前記衝突領域を前記判定することは更に、前記第2のロボットアームの端部の位置に少なくとも部分的に基づく、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記衝突領域を前記判定することは、
前記第1のロボットアームの前記端部の前記位置に少なくとも部分的に基づいて第1の平面を画定することと、
前記第2のロボットアームの前記端部の前記位置に少なくとも部分的に基づいて第2の平面を画定することと、
前記第1の平面、前記第2の平面、及び前記第1の平面と前記第2の平面との交点に少なくとも部分的に基づいて、前記領域を判定することと、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記入力データは、前記第1のロボットアームが前記1つ以上の対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていることを示し、前記方法は、
前記第1のロボットアームが前記1つ以上の対象物の別の縁部に隣接して位置付けられていることを示す追加入力データを受け取ることを更に含み、
前記衝突領域を前記判定することは、前記入力データを受け取ったときの前記第1のロボットアームの前記端部の位置と、前記追加入力データを受け取ったときの前記第1のロボットアームの前記端部の位置とに少なくとも部分的に基づいて、前記衝突領域を判定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記衝突領域を前記判定することは、
前記入力データを受け取ったときの前記第1のロボットアームの前記端部の前記位置に少なくとも部分的に基づいて第1の平面を画定することと、
前記追加入力データを受け取ったときの前記第1のロボットアームの前記端部の前記位置に少なくとも部分的に基づいて第2の平面を画定することと、
前記第1の平面、前記第2の平面、及び前記第1の平面と前記第2の平面との交点に少なくとも部分的に基づいて、前記領域を判定することと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方は、医療機器に接続するように構成され、前記方法は、
入力デバイスから、前記医療機器の移動に関する入力制御データを受け取ることと、
前記入力制御データが、前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が前記衝突領域内に移動することに関連付けられていると判定することと、を更に含み、
前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を前記制御することは、前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が前記衝突領域内に移動することを妨げることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記入力制御データが、前記衝突領域内への移動に関連付けられていることを示す通知を表示することと、
前記衝突領域内に進むか否かを示す追加入力データを受け取ることと、を更に含み、
前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を前記制御することは、前記追加入力データに少なくとも部分的に基づく、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のロボットアームはロボットシステムに接続され、前記入力データを前記受け取ることと、前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を前記制御することとは、前記ロボットシステムが同じ待機位置に位置している間に行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のロボットアームの前記端部は、前記第1のロボットアームのエンドエフェクタ端部である、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
制御システムであって、
第1のロボットアームと通信するように構成された通信インターフェースと、
前記通信インターフェースに通信可能に結合された制御回路であって、
前記第1のロボットアームが環境内の1つ以上の対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていると判定することと、
前記第1のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいて、前記環境に対する衝突領域を判定することと、
前記衝突領域に少なくとも部分的に基づいて、前記第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を制御することであって、前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方は医療機器に結合するように構成されている、制御することと、を行うように構成された、制御回路と、を備える、制御システム。
【請求項19】
前記制御回路は、
入力デバイスから、前記医療機器を制御する入力制御データを受け取ることと、
前記入力制御データが、前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が前記衝突領域内に移動することに関連付けられていると判定することと、を行うように更に構成され、
前記制御回路は、前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が前記衝突エリア内に移動することを妨げることによって、前記第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を制御するように構成されている、請求項18に記載の制御システム。
【請求項20】
前記制御回路は、前記第2のロボットアームが前記1つ以上の対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていると判定するように更に構成され、
前記制御回路は、前記第1のロボットアームの前記遠位端の前記位置と、前記第2のロボットアームの遠位端の位置とに少なくとも部分的に基づいて、前記衝突領域を判定するように構成されている、請求項18に記載の制御システム。
【請求項21】
前記制御回路は、前記第1のロボットアームが前記1つ以上の対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていると判定するように更に構成され、
前記制御回路は、前記1つ以上の対象物の前記第1の縁部における前記第1のロボットアームの前記遠位端の前記位置と、前記1つ以上の対象物の前記第2の縁部における前記第1のロボットアームの前記遠位端の位置とに少なくとも部分的に基づいて、前記衝突領域を判定するように構成されている、請求項18に記載の制御システム。
【請求項22】
前記制御回路は、
前記衝突領域の視覚的表現を表示することと、
前記視覚的表現に対する調整を含む調整入力データを受け取ることと、
前記視覚的表現に対する前記調整に少なくとも部分的に基づいて前記衝突領域を更新することと、を行うように更に構成されている、請求項18に記載の制御システム。
【請求項23】
前記制御回路は、
前記制御システムを医療処置を実行する処置モードに設定することと、
前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が衝突を受けたと判定することと、
前記衝突が起きたときの前記第1のロボットアームの前記遠位端の位置又は前記第2のロボットアームの位置のうちの少なくとも一方に基づいて前記衝突領域を更新することと、を行うように更に構成されている、請求項18に記載の制御システム。
【請求項24】
コンピュータ実行可能命令を記憶する1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ実行可能命令は、制御回路によって実行されると、前記制御回路に、
第1のロボットアームが環境内の1つ以上の対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていると判定することと、
前記第1のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいて、前記環境に対する衝突エリアを判定することと、
前記衝突エリアに少なくとも部分的に基づいて、前記第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を制御することであって、前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方は医療機器に結合するように構成されている、制御することと、を含む、動作を実行させる、1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項25】
前記動作は、
前記第2のロボットアームが前記1つ以上の対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていると判定することを更に含み、
前記衝突エリアを前記判定することは更に、前記第2のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づく、請求項24に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項26】
前記衝突エリアを前記判定することは、
前記第1のロボットアームの前記遠位端の前記位置に少なくとも部分的に基づいて第1の平面を画定することと、
前記第2のロボットアームの前記遠位端の前記位置に少なくとも部分的に基づいて第2の平面を画定することと、
前記第1の平面、前記第2の平面、及び前記第1の平面と前記第2の平面との交点に少なくとも部分的に基づいて、前記衝突エリアを判定することと、を含む、請求項25に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項27】
前記動作は、
前記第1のロボットアームが前記1つ以上の対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていると判定することを更に含み、
前記衝突エリアを前記判定することは、前記1つ以上の対象物の前記第1の縁部における前記第1のロボットアームの前記遠位端の前記位置と、前記1つ以上の対象物の前記第2の縁部における前記第1のロボットアームの前記遠位端の位置とに少なくとも部分的に基づく、請求項24に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項28】
前記衝突エリアを前記判定することは、
前記1つ以上の対象物の前記第1の縁部における前記第1のロボットアームの前記遠位端の前記位置に少なくとも部分的に基づいて、第1の平面を画定することと、
前記1つ以上の対象物の前記第2の縁部における前記第1のロボットアームの前記遠位端の前記位置に少なくとも部分的に基づいて、第2の平面を画定することと、
前記第1の平面、前記第2の平面、及び前記第1の平面と前記第2の平面との交点に少なくとも部分的に基づいて、前記衝突エリアを判定することと、を含む、請求項27に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項29】
前記動作は、
入力デバイスから、前記医療機器の移動に関する入力制御データを受け取ることと、
前記入力制御データが、前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が前記衝突エリア内に移動することに関連付けられていると判定することと、を更に含み、
前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を前記制御することは、前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が前記衝突エリア内に移動することを妨げることを含む、請求項24に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項30】
前記第1のロボットアームが前記1つ以上の対象物の前記第1の縁部に隣接して位置付けられていると前記判定することは、前記第1のロボットアームがアドミッタンス制御モードで動作しているときに、前記第1のロボットアームが前記1つ以上の対象物の前記第1の縁部に隣接して位置付けられていることを示す入力データを受け取ることを含む、請求項24に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願第63/073,860号(2020年9月2日に出願)、発明の名称「ROBOTIC COLLISION BOUNDARY DETERMINATION」に対する優先権を主張する。なお、この文献の開示はその全体において参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
(発明の分野)
本開示は医療装置及び医療処置の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
種々の医療処置は、患者を調べ、かつ/又は処置するための1つ以上の医療機器の使用を伴う。場合によっては、医療機器を制御して、患者に対して処置を行うために複数のシステム/デバイスが実装されている。このようなシステム、デバイス、及び/又は医療機器の使い方が不適切だと、患者の健康状態及び/又は処置の有効性に悪影響を与える可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施態様では、本開示は、医療機器に結合するように構成された第1のロボットアームを含むロボットシステムと、ロボットシステムに通信可能に結合された制御回路と、を備える、システムに関する。制御回路は、第1のロボットアームが環境内の対象物に隣接して位置付けられていることを示す入力データを受け取ることと、第1のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいて、対象物に関連付けられている環境内の領域を判定することと、領域内に移動することなく環境内を移動するように、ロボットシステムの第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方を制御することと、を行うように構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、第1のロボットアームは、第1のロボットアームのユーザ操作によって第1のロボットアームが移動するアドミッタンス制御モードで動作するように構成されてもよい。第1のロボットアームがアドミッタンス制御モードで動作しているときに入力データを受け取ってもよい。更に、いくつかの実施形態では、制御回路は、ロボットシステムの位置に少なくとも部分的に基づいて領域を判定するように構成されてもよい。領域は対象物を含み、ロボットシステムを除外してもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、入力データは、第1のロボットアームが対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていることを示す。制御回路は、第2のロボットアームが対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていることを示す追加入力データを受け取ることと、第2のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいて領域を判定することと、を行うように構成されてもよい。制御回路は、第1のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいて領域の第1の境界を判定することと、第2のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいて領域の第2の境界を判定することとによって、領域を判定するように構成されてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、入力データは、第1のロボットアームが対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていることを示す。制御回路は、第1のロボットアームが対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていることを示す追加入力データを受け取ることと、入力データを受け取ったときの第1のロボットアームの遠位端の位置と、追加入力データを受け取ったときの第1のロボットアームの遠位端の位置とに少なくとも部分的に基づいて領域を判定することと、を行うように構成されてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、制御回路は、領域の視覚的表現を表示することと、視覚的表現に対する調整を含む調整入力データを受け取ることと、視覚的表現に対する調整に少なくとも部分的に基づいて領域を更新することと、を行うように更に構成されている。更に、いくつかの実施形態では、制御回路は、システムを医療処置を実行するための処置モードに設定することと、第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が衝突を経験したと判定することと、衝突が起きたときの第1のロボットアームの遠位端の位置又は第2のロボットアームの位置のうちの少なくとも一方に基づいて領域を更新することと、を行うように更に構成されている。
【0009】
いくつかの実施態様では、本開示は、方法であって、第1のロボットアームを手作業で移動できるようにすることと、制御回路が、第1のロボットアームが1つ以上の対象物に隣接して位置付けられていることを示す入力データを受け取ることと、制御回路が、第1のロボットアームの端部の位置に少なくとも部分的に基づいて衝突領域を判定することと、衝突領域に少なくとも部分的に基づいて、制御回路が、医療処置を実行するように第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を制御することと、を含む、方法に関する。
【0010】
いくつかの実施形態では、入力データは、第1のロボットアームが1つ以上の対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていることを示す。本方法は、第2のロボットアームが1つ以上の対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていることを示す追加入力データを受け取ることを更に含んでもよい。衝突領域を判定することは更に、第2のロボットアームの端部の位置に少なくとも部分的に基づいてもよい。衝突領域を判定することは、第1のロボットアームの端部の位置に少なくとも部分的に基づいて第1の平面を画定することと、第2のロボットアームの端部の位置に少なくとも部分的に基づいて第2の平面を画定することと、第1の平面、第2の平面、及び第1の平面と第2の平面との交点に少なくとも部分的に基づいて領域を判定することと、を含んでもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、入力データは、第1のロボットアームが1つ以上の対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていることを示す。本方法は、第1のロボットアームが1つ以上の対象物の別の縁部に隣接して位置付けられていることを示す追加入力データを受け取ることを更に含んでもよい。衝突領域を判定することは、入力データを受け取ったときの第1のロボットアームの端部の位置と、追加入力データを受け取ったときの第1のロボットアームの端部の位置とに少なくとも部分的に基づいて、衝突領域を判定することを含んでもよい。衝突領域を判定することは、入力データを受け取ったときの第1のロボットアームの端部の位置に少なくとも部分的に基づいて第1の平面を画定することと、追加入力データを受け取ったときの第1のロボットアームの端部の位置に少なくとも部分的に基づいて第2の平面を画定することと、第1の平面、第2の平面、及び第1の平面と第2の平面との交点に少なくとも部分的に基づいて領域を判定することと、を含んでもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が医療機器に接続するように構成されている。本方法は、入力デバイスから、医療機器の移動に関する入力制御データを受け取ることと、入力制御データが、第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が衝突領域内に移動することに関連付けられていると判定することと、を更に含んでもよい。第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を制御することは、第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が衝突領域内に移動することを妨げることを含んでもよい。本方法は、入力制御データが衝突領域内への移動に関連付けられていることを示す通知を表示することと、衝突領域内に進むか否かを示す追加入力データを受け取ることと、を更に含んでもよい。第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を制御することは、追加入力データに少なくとも部分的に基づいてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1のロボットアームはロボットシステムに接続されている。入力データを受け取ることと、第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を制御することとは、ロボットシステムが同じ待機位置に位置している間に行ってもよい。更に、いくつかの実施形態では、第1のロボットアームの端部は第1のロボットアームのエンドエフェクタ端部であってもよい。
【0014】
いくつかの実施態様では、本開示は、第1のロボットアームと通信するように構成された通信インターフェースと、通信インターフェースに通信可能に結合された制御回路と、を備える、制御システムに関する。制御回路は、第1のロボットアームが環境内の1つ以上の対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていると判定することと、第1のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいて、環境に対する衝突領域を判定することと、衝突領域に少なくとも部分的に基づいて、第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を制御することと、を行うように構成されてもよい。第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方は、医療機器に結合するように構成されてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、制御回路は、入力デバイスから、医療機器を制御する入力制御データを受け取ることと、入力制御データが、第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が衝突領域内に移動することに関連付けられていると判定することと、を行うように更に構成され得る。制御回路は、第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動が衝突エリア内に移動することを妨げることによって、第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を制御するように構成されてもよい。更に、いくつかの実施形態では、制御回路は、第2のロボットアームが1つ以上の対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていると判定するように更に構成され、制御回路は、第1のロボットアームの遠位端の位置と、第2のロボットアームの遠位端の位置とに少なくとも部分的に基づいて、衝突領域を判定するように構成されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、制御回路は、第1のロボットアームが1つ以上の対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていると判定するように更に構成されている。制御回路は、1つ以上の対象物の第1の縁部における第1のロボットアームの遠位端の位置と、1つ以上の対象物の第2の縁部における第1のロボットアームの遠位端の位置とに少なくとも部分的に基づいて、衝突領域を判定するように構成されてもよい。更に、いくつかの実施形態では、制御回路は、衝突領域の視覚的表現を表示することと、視覚的表現に対する調整を含む調整入力データを受け取ることと、視覚的表現に対する調整に少なくとも部分的に基づいて衝突領域を更新することと、を行うように更に構成されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、制御回路は、制御システムを医療処置を実行するための処置モードに設定することと、第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が衝突を経験したと判定することと、衝突が起きたときの第1のロボットアームの遠位端の位置又は第2のロボットアームの位置のうちの少なくとも一方に基づいて衝突領域を更新することと、を行うように更に構成されている。
【0018】
いくつかの実施態様では、本開示は、コンピュータ実行可能命令を記憶する1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、コンピュータ実行可能命令は、制御回路によって実行されると、制御回路に、第1のロボットアームが環境内の1つ以上の対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていると判定することと、第1のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいて、環境に対する衝突エリアを判定することと、衝突エリアに少なくとも部分的に基づいて、第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を制御することと、を含む動作を実行させる、1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方は、医療機器に結合するように構成されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、動作は、第2のロボットアームが1つ以上の対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていると判定することを更に含んでもよい。衝突エリアを判定することは更に、第2のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいてもよい。衝突エリアを判定することは、第1のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいて第1の平面を画定することと、第2のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいて第2の平面を画定することと、第1の平面、第2の平面、及び第1の平面と第2の平面との交点に少なくとも部分的に基づいて衝突エリアを判定することと、を含んでもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、動作は、第1のロボットアームが1つ以上の対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていると判定することを更に含む。衝突エリアを判定することは、1つ以上の対象物の第1の縁部における第1のロボットアームの遠位端の位置と、1つ以上の対象物の第2の縁部における第1のロボットアームの遠位端の位置とに少なくとも部分的に基づいてもよい。衝突エリアを判定することは、1つ以上の対象物の第1の縁部における第1のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいて第1の平面を画定することと、1つ以上の対象物の第2の縁部における第1のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいて第2の平面を画定することと、第1の平面、第2の平面、及び第1の平面と第2の平面との交点に少なくとも部分的に基づいて衝突エリアを判定することと、を含んでもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、動作は、入力デバイスから、医療機器の移動に関する入力制御データを受け取ることと、入力制御データが、第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動が衝突エリア内に移動することに関連付けられていると判定することと、を更に含む。第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を制御することは、第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動が衝突エリア内に移動することを妨げることを含んでもよい。更に、いくつかの実施形態では、第1のロボットアームが1つ以上の対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていると判定することは、第1のロボットアームがアドミッタンス制御モードで動作しているときに受け取ることを含む。入力データは、第1のロボットアームが1つ以上の対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていることを示してもよい。
【0022】
本開示をまとめる目的で、特定の態様、利点、及び特徴について説明してきた。必ずしもこのような利点がすべて、何らかの特定の実施形態により実現され得るわけではないことを理解されたい。したがって、開示した実施形態は、本明細書で教示される1つの利点又は利点の群の実現又は最適化を、本明細書で教示又は示唆され得るような他の利点を必ずしも実現することなく行う方法で実行し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
種々の実施形態を説明を目的として添付図面に示すが、決して本開示の範囲を限定するものと解釈するべきではない。加えて、異なる開示した実施形態の種々の特徴を組み合わせて、本開示の一部である更なる実施形態を形成することができる。図面の全体を通して、参照番号を、参照要素間の対応関係を示すために再使用する場合がある。
図1】1つ以上の実施形態による種々の医療処置を行うための医療システム例を例示する図である。
図2】1つ以上の実施形態による図1の医療システムの衝突領域及び他の態様の斜視図である。
図3】1つ以上の実施形態による図1の制御システム及びロボットシステムの詳細例を例示する図である。
図4】1つ以上の実施形態による図1のロボットシステムの詳細例を例示する図である。
図5】1つ以上の実施形態による、医師がロボットシステムを移動させるときの医療システムの平面図である。
図6】1つ以上の実施形態による、医師がロボットアームを対象物に隣接して位置付けるときの図5の医療システムの平面図である。
図7】1つ以上の実施形態による、医師が別のロボットアームを対象物に隣接して位置付けるときの図5の医療システムの平面図である。
図8】1つ以上の実施形態による、医師がロボットアームを対象物に隣接して更なる位置に位置付ける代替的な例における図5の医療システムの平面図である。
図9】1つ以上の実施形態による、衝突領域を伴う図5の医療システムの平面図である。
図10】1つ以上の実施形態による、衝突領域を視覚化及び/又は構成するインターフェース例を例示する図である。
図11】1つ以上の実施形態による、対象物に関連付けられる領域を判定するためのプロセスのフロー図例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書で提供する見出しは、単に便宜的なものであり、必ずしも開示の範囲又は意味に影響を及ぼすものではない。特定の実施形態及び例を以下に開示するが、主題は、具体的に開示した実施形態を越えて他の代替的な実施形態及び/又は使用まで、並びに変更及びその均等物にまで及ぶ。したがって、本明細書から生じ得る特許請求の範囲は、以下に説明する特定の実施形態のいずれによっても限定されない。たとえば、本明細書で開示した任意の方法又はプロセスにおいて、方法又はプロセスの行為又は動作は、任意の好適な順序で行ってもよく、必ずしも何らかの特定の開示した順序に限定されない。種々の動作を、特定の実施形態を理解することに役立ち得る方法で、複数の別個の動作として順々に説明する場合がある。しかし、説明の順序は、これらの動作が順序に依存することを意味すると解釈してはならない。更に、本明細書に記載の構造、システム、及び/又はデバイスは、統合されたコンポーネント又は別個のコンポーネントとして具体化され得る。種々の実施形態を比較する目的で、これらの実施形態の特定の態様及び利点について説明する。必ずしもこのような態様又は利点がすべて、何らかの特定の実施形態によって実現されるわけではない。したがって、たとえば、種々の実施形態を、本明細書で教示されるような1つの利点又は利点の群の実現又は最適化を、やはり本明細書で教示又は示唆され得る他の態様又は利点を必ずしも実現することなく行う方法で実行し得る。
【0025】
場所の特定の標準的な解剖学用語を、本明細書では、好ましい実施形態に関して、動物(すなわち、ヒト)の解剖学的構造を指すために用いることができる。特定の空間的に相対的な語、たとえば「外側」、「内側」、「上側」、「下側」、「下方」、「上方」、「垂直」、「水平」、「頂部」「底部」、及び同様の用語は、本明細書では、あるデバイス/要素又は解剖学的構造の別のデバイス/要素又は解剖学的構造に対する空間的関係を説明するために用いられるが、これらの用語は、本明細書では、図面に例示するように、要素/構造間の位置関係を説明するために説明を簡単にするために用いられることを理解されたい。空間的に相対的な語は、図面に示す向きに加えて、使用又は動作時に、要素/構造の異なる向きを包含することが意図されていることを理解されたい。たとえば、要素/構造が別の要素/構造の「上方」にあると説明される場合、対象患者又は要素/構造の代替的な向きに対してそのような他の要素/構造の下方又は脇にある位置を表すことがあり、逆もまた同様である。
【0026】
概説
医療処置は、複数の対象物、たとえば、病院用ベッド、医療機器、カート、手術システムなどを含む環境において患者に対して行われることが多い。いくつかの実施態様では、このような環境ではロボット支援の医療処置を行うことができ、ロボットツールによって、医師が内視鏡及び/又は経皮的処置を行うことを可能にすることができる。たとえば、ロボットツールは、患者内の標的部位にアクセスし、かつ/又は標的部位において処置を行うために、1つ以上の医療機器と係合し、かつ/又はそれを制御することができる。しかし、ロボットツールは、環境内の対象物の場所を認識していない場合があるため、ロボットツールは対象物との衝突を受けやすい場合がある。たとえば、ロボットツールは、医療処置を行う間に、環境内の病院用ベッド、病院用ベッド上の患者、医療機器、及び/又は他の対象物と衝突する可能性がある。これは、患者に害をもたらし、かつ/又は処置の有効性を低下させる可能性がある。
【0027】
本開示は、医療処置の実行を支援するために環境内の対象物との衝突を回避するためのシステム、デバイス、及び方法に関する。たとえば、ロボットシステムは、処置を実行するために1つ以上の医療機器に結合するように構成された1つ以上のロボットアームを含むことができる。ロボットシステムの構成中又は他のときに、1つ以上のロボットアームを、環境内の1つ以上の対象物に隣接して位置付けることができる。たとえば、ユーザは、1つ以上のロボットアームを手作業で移動させて1つ以上の対象物の1つ以上の縁部に接触させることができる。そして、1つ以上の対象物に関連付けられる衝突領域を、1つ以上のロボットアームの位置、たとえばロボットアームの遠位端に基づいて判定することができる。1つ以上のロボットアーム及び/又は関連付けられる医療機器を、たとえば、衝突領域内に移動することなく環境内を移動すること、ユーザにより確認されたら衝突領域内に移動することなどにより、衝突領域に基づいて制御することができる。そうすることによって、ロボットシステムは、環境/作業空間内の対象物との衝突(ロボットアーム/医療機器の望ましくない移動に起因する)を回避することができ、最終的に、患者への害の防止、処置の有効性の向上などが得られる。
【0028】
本明細書では、本開示の特定の態様を、腎臓、泌尿器、及び/又は腎臓学的処置、たとえば腎臓結石除去/治療処置の文脈で説明しているが、このような文脈は便宜上提供されており、本明細書で開示する考え方は任意の好適な医療処置に適用できることを理解されたい。たとえば、以下の説明は、経皮的に、かつ/又は内視鏡的アクセスを介して治療部位又は患者の体腔(たとえば、食道、尿管、腸、眼など)から除去することができる任意の対象物を含む、患者からの対象物の除去に関する他の外科/医療手術又は医療処置、たとえば、胆嚢結石除去、肺臓(肺/経胸腔)腫瘍生検、又は白内障除去などにも適用できる。しかし、前述したように、腎臓/泌尿器の解剖学的構造並びに関連する医学的な問題及び処置の説明を、本明細書で開示する考え方の説明を助けるために以下に提示する。
【0029】
医療システム例
図1に、本開示の態様による種々の医療処置を行うための医療システム例100を例示する。医療システム100は、患者120に対する処置を行うために1つ以上の医療機器(例示せず)と係合し、かつ/又はそれを制御するように構成されたロボットシステム110を含む。医療システム100はまた、ロボットシステム110とのインターフェースとなり、処置に関する情報を提供し、かつ/又は種々の他の動作を実行するように構成された制御システム130を含む。たとえば、制御システム130は、医師140を支援するための特定の情報を示す(複数の)ディスプレイ132を含むことができる。医療システム100は、患者120を保持するように構成されたテーブル150(たとえば、ベッド)を含むことができる。種々の行為を医師140が行うと本明細書では記載されている。これらの行為は、医師140、医師140の指示の下でユーザ、別のユーザ(たとえば、技師)、それらの組み合わせ、及び/又は任意の他のユーザによって直接行うことができる。
【0030】
制御システム130は、ロボットシステム110に結合することができ、ロボットシステム110と協同して動作して患者120に対して医療処置を行うことができる。たとえば、制御システム130は、無線又は有線接続を介してロボットシステム110と通信して、ロボットシステム110に接続された医療機器を制御すること、医療機器(たとえば、スコープ)が取り込んだ(複数の)画像を受け取ること等ができる。それに加えて又はその代わりに、制御システム130は、1つ以上の流体通路を介してロボットシステム110に流体を提供すること、1つ以上の電気接続部を介してロボットシステム110に電力を提供すること、1つ以上の光ファイバ又は他のコンポーネントを介してロボットシステム110に光学系を提供すること等ができる。いくつかの実施形態では、制御システム130は医療機器と通信して、(ロボットシステム110を介して、かつ/又は医療機器から直接)センサデータを受け取ることができる。センサデータは、医療機器の位置及び/又は向きを示すことができるか、あるいはそれを判定するために用いることができる。更に、いくつかの実施形態では、制御システム130はテーブル150と通信して、テーブル150を特定の向きに位置付けるか、又は他の方法でテーブル150を制御することができる。また、いくつかの実施形態では、制御システム130はEM場発生器(例示せず)と通信して、患者120の周りのEM場の発生を制御することができる。
【0031】
ロボットシステム110は、処置を実行するために医療機器と係合し、かつ/又はそれを制御するように構成された1つ以上のロボットアーム112を含むことができる。たとえば、ロボットアーム112の遠位端(たとえば、エンドエフェクタ)は、標的部位を調査及び/又は処置するために患者内に挿入及び/又はナビゲートすることができる医療機器に物理的に接続することができる。図1の例では、ロボットアーム112は、医療機器が取り付けられていない状態で例示している。3つのロボットアームが例示されているが、ロボットシステム110は任意の数のロボットアームを含むことができる。各ロボットアーム112は、関節に結合された複数のアームセグメントを含み、これにより、複数の移動の度合いを提供することができる。ロボットシステム110はまた、医療機器上のセンサによって検出されるEM場を発生させるように構成し得る電磁(EM)場発生器などの他のタイプの器具/デバイスに結合するように構成することができる。EM場発生器は、処置の段階中に治療部位の付近に位置付けられてもよい。ロボットシステム110は、特定の処置に応じて種々の方法で配置することができる。図1の例では、ロボットシステム110はまた、情報を表示し、かつ/又は入力を受け取るように構成された(複数の)ディスプレイ116を含む。
【0032】
ロボットシステム110は、医療システム100の任意のコンポーネントに結合することができる。一例では、ロボットシステム110は、制御システム130に通信可能に結合されて制御システム130から制御信号を受け取り、ロボットアーム112を特定の方法で制御する、医療機器を操作するなどの動作を実行する。別の例では、ロボットシステム110は、患者120の内部の解剖学的構造を描写する画像(画像データとも言う)をスコープから受け取り、かつ/又は画像を制御システム130に送るように構成され、その後、画像はディスプレイ132上に表示することができる。更に、いくつかの実施形態では、ロボットシステム110は、制御システム130などの医療システム100のコンポーネントに、流体、光学系、電力などをコンポーネントから受け取ることができるような方法で結合されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、ロボットシステム110を用いて、対象物に関連付けられている環境内の領域(「衝突領域」又は「対象物ゾーン」と言われる場合がある)を判定することができる。たとえば、ロボットアーム112(A)をテーブル150の左縁部に移動させることができ、医師140は、図1に示すように、ロボットアーム112(A)が環境内の対象物に隣接して位置付けられていることを示す入力を与えることができる。そして、制御システム130及び/又はロボットシステム110は、ロボットアーム112(A)の遠位端の位置を判定することができる。同様に、ロボットアーム112(B)をテーブル150の底部縁部に移動させることができ、医師140は、ロボットアーム112(B)が対象物に隣接して位置付けられていることを示す入力を与えることができる。そして、制御システム130及び/又はロボットシステム110は、ロボットアーム112(B)の遠位端の位置を判定することができる。
【0034】
ロボットアーム112(A)の遠位端の位置及び/又はロボットアーム112(B)の遠位端の位置に基づいて、制御システム130及び/又はロボットシステム110は、衝突領域160を判定することができる。たとえば、衝突領域160の第1の境界162は、ロボットアーム112(A)の遠位端の位置と、第1の境界162と第2の境界164との交点とに基づくことができる。更に、第2の境界164は、ロボットアーム112(B)の遠位端の位置と、第1の境界162と第2の境界164との交点とに基づくことができる。衝突領域160は、ロボットシステム110(たとえば、ロボットアーム112(A)及び112(B)の遠位端)を除外したエリアを含むことができる。説明を簡単にするために、境界162及び164を、境界162及び164の交点から図1の縁部まで延びると例示している。しかし、境界162及び164は任意の長さとすることができる。
【0035】
ロボットアーム112(A)及び112(B)は、種々の方法でテーブル150に隣接して位置付けることができる。たとえば、以下で更に詳細に述べるように、医師140は、手動の移動に関連付けられたアドミッタンス制御モードを有効にするためにロボットアーム上のボタンを選択することなどによって、ロボットアーム112(A)及び112(B)を手作業で移動させることができる。その代わりに、又はそれに加えて、医師140は、制御システム130/ロボットシステム110に関連付けられたI/Oデバイス(たとえば、コントローラ、マウスなど)を用いて、ロボットアーム112(A)及び112(B)の移動を引き起こす入力を与えることができる。多くの例を、第1のロボットアームを位置付けて、第1のロボットアームの位置を判定し、そして、第2のロボットアームを位置付けて、第2のロボットアームの位置を判定する文脈で説明しているが、第1/第2のロボットアームの位置は、両アームを位置付けた後などの任意の時点で判定することができる。
【0036】
制御システム130及び/又はロボットシステム110は、衝突領域160を用いて、1つ以上のロボットアーム112及び/又は1つ以上のロボットアーム112に結合された器具の移動を制御することができる。衝突領域160に基づいて、1つ以上のロボットアーム112及び/又は1つ以上のロボットアーム112に結合された器具の移動を制御することによって、衝突領域160内のテーブル150及び/又は他の対象物との衝突を回避することができる。ロボットアーム112は全般的に、ロボットアーム112のユーザ操作なしでロボットシステム110がロボットアーム112を移動させるロボット制御モード、又はユーザがロボットアーム112を操作する(たとえば、ロボットアーム112を手作業で移動させる)アドミッタンス制御モードで動作することができる。いずれの動作モードでも、ロボットアーム112は、衝突領域160に基づいて環境内を移動するように制御することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、制御システム130及び/又はロボットシステム110は、医師140からのオーバーライド入力に基づいて、ロボットアーム112を衝突領域160内に移動させることができる。一例では、医師140が、通常はロボットアーム112を衝突領域160内に移動させる入力を与えた場合、制御システム130は、入力が衝突領域160内へのそのような移動を引き起こすことを判定して、医師140に通知/警報を出すことができる(たとえば、医師140に、本人が構成を無効にして衝突領域160内に移動したいか否かを尋ねる)。通知/警報は、医師140が、ロボットアーム112との衝突を潜在的に引き起こし得る移動を要求していることを示すことができる。そして、医師140は、本人が衝突領域160内への移動を続けたいことを確認する(たとえば、衝突領域160の回避を無効にする)か、又はそのような移動は行わないことを要求する(たとえば、衝突領域160内への移動を回避する)ことができる。別の例では、医師140がロボットアーム112を衝突領域160内に手作業で移動させることを試みる場合(たとえば、アドミッタンス制御モードで動作している間)、同様の通知/警報を医師140に出すことができ、ロボットアーム112を医師140からの応答に基づいて制御することができる。
【0038】
また、いくつかの実施形態では、制御システム130及び/又はロボットシステム110は、衝突領域160内に移動することなく環境内を移動するように、ロボットアーム112を制御することができる。一例では、医師140が、通常はロボットアーム112を衝突領域160内に移動させる入力を与えた場合、制御システム130は、入力が衝突領域160内へのそのような移動を引き起こすことを判定して、衝突領域160内への移動を妨げることができる。別の例では、医師140がロボットアーム112を衝突領域160内に手作業で移動させることを試みた場合(たとえば、アドミッタンス制御モードで動作している間)、ロボットシステム110は、衝突領域160の境界においてロボットアーム112の移動を停止することなどによって、そのような移動を防ぐことができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、制御システム130及び/又はロボットシステム110は、衝突領域160の外側を移動するときとは異なるアルゴリズムを用いて、(たとえば、ロボット制御モード又はアドミッタンス制御モードのいずれかで)衝突領域160内を移動するようにロボットアーム112を制御することができる。たとえば、ロボットアーム112を制御して、衝突領域160の外側よりも遅く衝突領域160内を移動するように、衝突領域160の外側よりも小さい力で衝突領域160内を移動するように、衝突領域160を設定するようにロボットアームが位置付けられた最初の場所までの所定の距離内にそのような移動がない限り衝突領域160内に移動するように、衝突領域106の外側を移動するときとは異なる抵抗量で衝突領域160内を移動するように(たとえば、アドミッタンス制御モードで動作するときに、ロボットアーム112が衝突領域106において、衝突領域106の外側よりも重く感じるように)すること等ができる。
【0040】
衝突領域は、ロボットアーム/医療機器との衝突が起こり得るエリア/空間など、対象物を含む環境内のエリア/空間を表すことができる。衝突領域の境界は仮想表面/平面を用いて表現/画定することができる。テーブルに対する衝突領域を判定する文脈で多くの例を説明しているが、本技法は他のタイプの対象物に適用することができる。たとえば、本技法を用いて、環境内の他の医療機器に対する衝突領域、患者に対する衝突領域などを判定することができる。いくつかの実施形態では、複数の衝突領域が、環境内の複数の対象物に対してそれぞれ判定される。また、多くの衝突領域を2つの境界/表面を含むとして説明しているが、衝突領域は任意の数の境界/表面を含むことができる。たとえば、テーブル150に対する衝突領域160はまた、テーブル150の高さに基づく境界を含むことができるため、ロボットアーム112がテーブル150の上方に移動できるようにすることができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、ユーザがロボットアーム112を対象物に隣接して手作業で位置付けられるようにし、ロボットアーム112の位置に基づいて衝突領域を判定することによって、本技法は、他のセンサ/デバイスに依拠することなく衝突領域を理性的に/効果的に判定することができる。たとえば、本技法は、医療システム100内に含まれるもの以外の更なるコンポーネント/センサを用いる必要を回避することができる。更に、いくつかの実施形態では、ユーザは、タッチスクリーン、マウス、キーボード、又は他のタイプの入力デバイスを介して入力を与えることなく衝突領域を構成することができ、時間がかかり、かつ/又は衝突領域を不正確に画定することになる可能性がある。
【0042】
医療機器は種々のタイプの器具を含むことができる。たとえば、(「内視鏡」と言われる場合がある)スコープ、カテーテル、針、ガイドワイヤ、砕石器、バスケット回収デバイス、鉗子、バキューム、針、外科用メス、撮像プローブ、掴み具、ハサミ、捕捉器具、針ホルダ、マイクロ解剖器具、ステープルアプライヤ、タッカ、吸引/灌注ツール、クリップアプライヤなどである。医療機器には、直接侵入器具、経皮侵入器具、及び/又は別のタイプの器具を含むことができる。いくつかの実施形態では、医療機器は操縦可能デバイスであり、一方で、他の実施形態では、医療機器は操縦不可能デバイスである。いくつかの実施形態では、手術ツールは、針、外科用メス、ガイドワイヤなどの、人体構造を穿刺するか又は人体構造を通って挿入されるように構成されたデバイスを指す。しかし、手術ツールは他のタイプの医療機器を指すこともできる。
【0043】
用語「スコープ」又は「内視鏡」は、本明細書では、それらの広義及び通常の意味に従って使用され、また任意のタイプの細長い医療機器であって、画像生成、視認、及び/又は取り込み機能を有し、身体の任意のタイプの臓器、体腔、管腔、室、及び/又は空間内に導入されるように構成された医療機器を指すことができる。たとえば、スコープ又は内視鏡は、(たとえば、尿路にアクセスするための)尿管鏡、腹腔鏡、(たとえば、腎臓にアクセスするための)腎臓鏡、(たとえば、気管支などの気道にアクセスするための)気管支鏡、(たとえば、結腸にアクセスするための)結腸鏡、(たとえば、関節にアクセスするための)関節鏡、(たとえば、膀胱にアクセスするための)膀胱鏡、ボアスコープなどを指すことができる。スコープ/内視鏡は、場合によっては、剛性又は可撓性チューブを含んでもよく、また外部シース、カテーテル、導入器、又は他の管腔型デバイス内を通るように寸法取りしてもよく、あるいはそのようなデバイスを用いることなく使用してもよい。いくつかの実施形態では、スコープは1つ以上の作業チャネルを含み、この作業チャネルを通って、砕石器、バスケットデバイス、鉗子などの更なるツールを治療部位内に導入することができる。
【0044】
用語「直接侵入」又は「直接アクセス」は、本明細書では、それらの広義及び通常の意味に従って使用され、患者の身体内の自然又は人工の開口部を通る器具類の任意の侵入を指すことができる。たとえば、スコープは、尿道を介して患者の尿路内に侵入するため、直接アクセス器具と言うことができる。
【0045】
用語「経皮侵入」又は「経皮的アクセス」は、本明細書では、それらの広義及び通常の意味に従って使用され、また患者の皮膚、及び処置に関連付けられる標的解剖学的場所(たとえば、腎臓の腎杯網)に到達するために必要な任意の他の身体層を通した、器具類の穿刺及び/又は小切開などによる侵入を指すことができる。したがって、経皮的アクセス器具は、針、外科用メス、ガイドワイヤ、シース、シャフト、スコープ、カテーテルなど、皮膚及び/又は他の組織/解剖学的構造を通って穿刺するか又はそれを通って挿入されるように構成された医療機器、デバイス、又はアセンブリを指すことができる。しかし、経皮的アクセス器具は、本開示の文脈において他のタイプの医療機器を指すことができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、経皮的アクセス器具は、患者の皮膚を通った穿刺及び/又は小切開を容易にするデバイスによって挿入又は実装される器具/デバイスを指す。たとえば、カテーテルは、患者の皮膚を穿刺したシース/シャフトを通って挿入されるときに、経皮的アクセス器具と称され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、医療機器は、センサデータを生成するように構成された(位置センサと言われる場合がある)センサを含む。例では、センサデータは、医療機器の位置及び/若しくは向きを示すことができ、かつ/又は医療機器の位置及び/若しくは向きを判定するために用いることができる。たとえば、センサデータは、スコープの位置及び/又は向きを示すことができ、これはスコープの遠位端のロールを含むことができる。医療機器の位置及び向きは、医療機器の姿勢と称され得る。センサは、医療機器の遠位端及び/又は任意の他の場所に位置付けることができる。いくつかの実施形態では、センサは、センサデータを制御システム130、ロボットシステム110、及び/又は別のシステム/デバイスに与えて、医療機器の位置及び/又は向きを判定/追跡するための1つ以上の位置特定技法を実行することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、センサは、伝導性材料のコイルを伴う電磁気(EM)センサを含むことができる。ここで、EM場発生器は、医療機器上のセンサEMによって検出されるEM場を与えることができる。磁界は、EMセンサのコイル内に小電流を誘導することができ、小電流を分析して、EMセンサとEM場発生器との間の距離及び/又は角度/向きを判定することができる。更に、センサは、カメラ、距離センサ、レーダデバイス、形状検知ファイバ、加速度計、ジャイロスコープ、加速度計、衛星ベースの測位センサ(たとえば、全地球測位システム(global positioning system、GPS))、無線周波数送受信装置などの別のタイプのセンサを含むことができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、医療システム100はまた、C型アームに一体化され、かつ/又は蛍光透視術タイプの処置の場合などの処置中に撮像するように構成することができる撮像デバイス(図1に例示せず)を含むことができる。撮像デバイスは、1つ以上のX線又はCT画像など、処置中に患者120の1つ以上の画像を取り込む/生成するように構成することができる。例では、撮像デバイスからの画像を、医師140が処置を行うのを支援するために患者120内の解剖学的構造及び/又は医療機器を視認するように、リアルタイムで提供することができる。撮像デバイスを使用して、(たとえば、患者120内で造影剤を用いた)蛍光透視法又は別のタイプの撮像技法を実行し得る。
【0049】
医療システム100の種々のコンポーネントを、無線及び/又は有線ネットワークを含むことができるネットワークを介して互いに通信可能に結合することができる。例示的なネットワークとしては、1つ以上のパーソナルエリアネットワーク(personal area network、PAN)、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)、ワイドエリアネットワーク(wide area network、WAN)、インターネットエリアネットワーク(Internet area network、IAN)、セルラーネットワーク、インターネットなどが挙げられる。更に、いくつかの実施形態では、医療システム100の構成要素は、1つ以上の支持ケーブル、チューブなどを介して、データ通信、流体/ガス交換、電力交換などのために接続されている。
【0050】
いくつかの実施形態では、医療システム100を腎臓結石を処置するために用いることができる。腎臓結石疾患は、尿路結石症としても知られているが、尿路において、「腎臓結石」、「尿路結石」、「腎結石」、「腎臓結石症」、又は「腎結石症」と言われる物質の固体片が形成されることを含む医学的状態である。尿路結石は、腎臓、尿管、及び膀胱内で形成及び/又は見出される場合がある(「膀胱結石」と言われる)。このような尿路結石は、尿中のミネラルが濃縮した結果として形成される可能性があり、このような結石が、尿管又は尿道を通る尿流を妨げるのに十分なサイズに達すると、著しい腹痛を引き起こす可能性がある。尿路結石は、カルシウム、マグネシウム、アンモニア、尿酸、システイン、及び/若しくは他の化合物、又はそれらの組み合わせから形成される場合がある。
【0051】
全般的に、腎臓結石を伴う患者を処置するためのいくつかの方法がある。たとえば、観察、医学的処置(追放治療など)、非侵襲的処置(体外衝撃波砕石術(extracorporeal shock wave lithotripsy、ESWL)など)、及び外科治療(尿管鏡検査及び経皮的腎切石術(ureteroscopy and percutaneous nephrolithotomy、PCNL)など)である。外科的アプローチ(たとえば、尿管鏡検査及びPCNL)では、医師は、病変(すなわち、除去すべき対象物、たとえば、結石)にアクセスし、結石を、より小さい小片又は断片に破砕して、比較的小さい結石断片/微粒子を、腎臓から機械的に取り出す。
【0052】
膀胱及び尿管から尿結石を除去するために、外科医は、尿道を通って尿路に尿管鏡を挿入し得る。通常、尿管鏡はその遠位端に、尿路の視覚化を可能にするように構成された内視鏡を含む。尿管鏡はまた、尿路結石捕捉又は破砕するための砕石デバイスを含むことができる。尿管鏡処置中に、1人の医師/技師が、尿管鏡の位置を制御し得る一方で、別の医師/技師は、砕石デバイスを制御し得る。腎臓から比較的大きな石(すなわち、「腎臓結石」)を除去するために、医師は、経皮的腎切石術(「PCNL」)技法を用いることができる。これは、皮膚(すなわち、経皮的に)及び介在する組織を通って腎臓鏡を挿入して、石を粉砕及び/又は除去するために治療部位へのアクセスを提供することを伴う。
【0053】
本明細書に記載の例のいくつかにおいて、ロボット支援型経皮的処置を、腎臓結石除去処置などの種々の医療処置と関連して実施することができ、ロボットツール(たとえば、医療システム100の1つ以上のコンポーネント)によって、医師/泌尿器科医が内視鏡(たとえば、尿管鏡検査)標的アクセス並びに経皮的アクセス/処置を行うことを可能にすることができる。しかし、本開示は腎臓結石除去及び/又はロボット支援型処置に限定されない。いくつかの実施態様では、ロボット医療ソリューションによって、厳密に手動の処置と比較して、特定の器具に対して比較的高い精度、優れた制御、及び/又は優れた眼と手の協調を得ることができる。たとえば、いくつかの処置による腎臓へのロボット支援型経皮的アクセスによって、泌尿器科医が直接侵入の内視鏡腎臓アクセスと経皮的腎臓アクセスとの両方を行うことを有利に可能にすることができる。本開示のいくつかの実施形態を、カテーテル、腎臓鏡、尿管鏡、及び/又はヒトの腎臓の解剖学的構造の文脈で提示しているが、本明細書で開示した原理は、任意のタイプの内視鏡/経皮的処置又は別のタイプの処置において実施し得ることを理解されたい。
【0054】
1つの例示的な処置では、医療システム100を、患者120から腎臓結石を除去するために用いることができる。処置に対するセットアップ中に、医師140は、ロボットシステム110を用いて、本明細書で説明した方法で衝突領域160を判定することができる。そして、1つ以上のロボットアーム112を、患者120の脚部の間に到達する(たとえば、患者120の尿道と位置が合う)ように外側に延伸される、患者120の腹部の付近に位置付けられるなど、処置を容易にするように、患者120の周りに種々の構成/位置で配列することができる。医師140は、スコープ及び/又は他の医療機器をロボットアーム112に接続することができる。医師140は、制御システム130と(たとえば、(複数の)I/Oデバイスを介して)対話して、ロボットシステム110に、スコープを尿道から、膀胱を通って、尿管の上方に、結石が位置する腎臓内に前進させ、かつ/又はナビゲートさせることができる。制御システム130は、スコープを用いて取得されたリアルタイム画像など、スコープに関する情報を(複数の)ディスプレイ132を介して提供して、医師140がスコープをナビゲートするのを支援することができる。腎臓結石の部位(たとえば、腎臓の腎杯内の)に達すると、スコープを用いて、腎臓に経皮的にアクセスするために、カテーテルに対する標的場所を指定/タグ付することができる(別のロボットアーム112に接続することができる)。腎臓及び/又は周囲の解剖学的構造に対する損傷を最小限にするために、医師140は、カテーテルを用いて腎臓内に経皮的に侵入するための標的場所として乳頭を指定することができる。しかし、他の標的場所を指定又は判定することができる。
【0055】
医師140はまた、制御システム130と対話して、ロボットシステム110に、カテーテルを、スコープによって指定した標的場所まで経皮的アクセス経路を通って前進及び/又はナビゲートさせることができる。いくつかの実施形態では、針又は別の医療機器を患者120内に挿入して、経皮的アクセス経路を形成する。制御システム130は、カテーテルに関する情報を(複数の)ディスプレイ132を介して提供して、医師140がカテーテルをナビゲートするのを支援することができる。たとえば、(複数の)インターフェースは、スコープの視野からの画像データを提供することができる。画像データは(たとえば、スコープの撮像デバイスの視野内にあるとき)カテーテルを描写し得る。
【0056】
スコープ及び/又はカテーテルが標的場所に位置すると、医師140は、スコープを用いて腎臓結石を粉砕し、かつ/又はカテーテルを用いて患者120から腎臓結石の小片を取り出すことができる。たとえば、スコープは、ツール(たとえば、レーザ、切除器など)を配置して腎臓結石を小片に断片化することができ、カテーテルは、経皮的アクセス経路を通って腎臓から小片を吸い出すことができる。例では、カテーテル及び/又はスコープは、腎臓結石の除去を容易にするための灌注及び/又は吸引を提供することができる。たとえば、カテーテルを灌注及び/又は吸引システムに結合することができる。
【0057】
腎臓結石を除去する処置の間、制御システム130及び/又はロボットシステム110は、衝突領域160に基づいて1つ以上のロボットアーム112を制御することができる。たとえば、医師140が、通常はロボットアーム112を衝突領域160内に移動させる入力を与えた場合、制御システム130は、そのような入力がロボットアーム112を衝突領域160内に移動させると判定し、入力が衝突領域160内への移動を引き起こすことを示す通知/警報を医師140に出すことができる。医師140は、移動を進めるか否かを指示することができる。
【0058】
医療システム100によって、たとえば、医師が処置(たとえば、器具追跡、器具ナビゲーション、器具較正など)を行うことを支援する誘導が得られる、医師が、熟練を要するアームの動き及び/又は位置を必要とせずに人間工学的位置から処置を行うことができる、1人の医師が1つ以上の医療機器を用いて処置を行うことができる、放射線被曝(たとえば、蛍光透視法技法に関連付けられた)が回避される、処置を単一の手術設定で行うことができる、連続吸引が得られて対象物がより効率的に除去される(たとえば、腎臓結石を除去する)など種々の利益が得られる。たとえば、医療システム100によって、出血及び/又は解剖学的構造(たとえば、判定器官、血管など)への損傷を最小限にしながら、医師が種々の医療機器を用いて標的解剖学的特徴にアクセスするのを支援するための誘導情報が得られる。更に、医療システム100は、医師及び患者の放射線への曝露を低減し、かつ/又は手術室内の機器の量を低減するための非放射線ベースのナビゲーション及び/若しくは位置特定技法を提供することができる。更に、医療システム100は、少なくとも制御システム130とロボットシステム110との間に分散された機能性を提供することができ、これにより、独立して移動可能になり得る。機能性及び/又は移動性のかかる分散は、制御システム130及び/又はロボットシステム110が、特定の医療処置に対して最適である場所に配置されることを可能にすることができ、これにより、患者の周囲の作業エリアを最大化し、かつ/又は医師が手技を実行するための最適化された場所を提供することが可能になる。
【0059】
様々な技法及びシステムがロボット支援手技(たとえば、医療システム100を少なくとも部分的に使用する手技)として実装されるものとして考察されているが、これらの技法及びシステムは、完全ロボット医療手技、人間のみの手技(たとえば、ロボットシステムを含まない)などの他の手技で実装され得る。たとえば、医療システム100を用いて、医師が医療機器を保持/操作することなく、かつ/又は医療機器を直接ナビゲートするための入力を与えることなく、処置を行うことができる(たとえば、完全ロボットの処置)。すなわち、処置の間に用いる医療機器はそれぞれ、ロボットシステム110の(複数の)ロボットアーム112などの医療システム100のコンポーネントによって保持/制御することができる。
【0060】
図2に、1つ以上の実施形態による図1の医療システム100の衝突領域160及び他の態様の斜視図を例示する。図示するように、衝突領域160は、テーブル150の第1の縁部に関連付けられる第1の境界162と、テーブル150の第2の縁部(たとえば、テーブル150の足)に関連付けられる第2の境界164とを含む。ここで、境界162及び164はそれぞれ、X、Y、及び/又はZ方向に任意の距離だけ広がることができる実質的に平坦な表面を含む/表す。図1及び図2の例では、衝突領域160は三次元(3D)空間を包含する。すなわち、衝突領域160は3D衝突領域である。ここで、衝突領域160は、ロボットシステム110を含む空間を除きながら、テーブル150及び患者120の大部分(患者120の脚の一部を除く)を含む空間を包含する。図1からの制御システム130は図2には示していない。特定の形態(たとえば、平坦表面を伴う3Dの立方体形状の領域)により例示しているが、衝突領域160は、2D衝突領域、非平面、他の形状などの他の形態を取ることができる。更に、ロボットアーム112を図の種々の位置で示しているが、このような構成は便宜上かつ説明のために示しており、このようなロボットアーム112は異なる構成を有することができることを理解されたい。
【0061】
本明細書の多くの例示において、衝突領域は、テーブル及びテーブル上に位置付けられた患者に対して画定されている。たとえば、制御システム130は、前述したように、医師140がロボットアーム112をテーブル150に隣接して位置付けることと、患者120がテーブル150上に位置付けられるという仮定とに基づいて、衝突領域160を確立することができる。しかし、衝突領域は任意の数の対象物に対して画定することができる。場合によっては、医師140は、ロボットアーム112が隣接して配置される対象物のタイプなど、衝突領域に関連付けられる対象物のタイプを示す入力を与えることができる。たとえば、医師140は、ロボットアーム112のうちの1つ以上をテーブル150に隣接して位置付けて、1つ以上のロボットアーム112がテーブル150に隣接して位置付けられていることを示す入力を与えることができる。そして、医師140は、ロボットアーム112のうちの1つ以上を患者120に隣接して位置付けて(ロボットアーム112を、テーブル150を越えて延びる患者120の脚の一部に隣接して位置付けることを含むことができる)、対象物のタイプが患者/ユーザであることを示す入力を与えることができる。制御システム130は、テーブル150及び患者120に対して別個の衝突領域を画定するか、又はテーブル150及び患者120の両方を包含する衝突領域を判定することができる。
【0062】
制御システム及びロボットシステム例
図3に、図1の制御システム130及びロボットシステム110の詳細例を示し、図4に、1つ以上の実施形態によるロボットシステム110の詳細例を示す。制御システム130及び/又はロボットシステム110の特定のコンポーネントを図3及び/又は図4に例示しているが、図示していない追加コンポーネントを本開示による実施形態に含められ得ることを理解されたい。更に、例示したコンポーネントのうちのいずれも、省略し、交換し、かつ/又はテーブル150、医療機器などの他のデバイス/システムに一体化することができる。
【0063】
図3に関して、制御システム130は、以下のコンポーネント、デバイス、モジュール、及び/又はユニット(本明細書では「コンポーネント」と言う)のうちの1つ以上、すなわち、1つ以上のI/Oコンポーネント302、1つ以上の通信インターフェース304、1つ以上の電源ユニット306、及び/又は1つ以上の可動化コンポーネント308(たとえば、キャスター又は他のタイプの車輪)を、別個に/個別に、かつ/又は組み合わせ/まとめてのいずれかで含むことができる。いくつかの実施形態では、制御システム130は、制御システム130のコンポーネントのうちの1つ以上の少なくとも一部を収納若しくは収容するように構成され、かつ/又は寸法取りされたハウジング/エンクロージャを含むことができる。この例では、制御システム130は、1つ以上の可動化コンポーネント308を用いて移動可能なカートベースのシステムとして例示されている。場合によっては、適切な位置に到達した後に、1つ以上の可動化コンポーネント308を車輪ロックを用いて固定して、制御システム130を所定の位置に保持することができる。しかし、制御システム130を固定システムとして実装して、別のシステム/デバイスなどに一体化することができる。
【0064】
制御システム130の種々のコンポーネントを、制御回路の一部でないとすることができるか又は一部でなくてもよい特定の接続回路/デバイス/機能部を用いて、電気的に、かつ/又は通信可能に結合することができる。たとえば、(複数の)接続機能部は、制御システム130の種々のコンポーネント/回路のうちの少なくとも一部の取り付け及び/又は相互接続を容易にするように構成された1つ以上のプリント回路基板を含むことができる。いくつかの実施形態では、制御システム130のコンポーネントのうちの2つ以上を、互いに電気的に、かつ/又は通信可能に結合することができる。
【0065】
1つ以上のI/Oコンポーネント/デバイス302は、医療処置を行うことを支援するためにユーザとのインターフェースになる等のために、入力を受け取り、かつ/又は出力を与えるための種々のコンポーネントを含むことができる。1つ以上のI/Oコンポーネント302を、タッチ、発話、ジェスチャ、又は任意の他のタイプの入力を受け取るように構成することができる。例では、1つ以上のI/Oコンポーネント302を用いて、ロボットシステム110を制御すること、ロボットシステム110に取り付けられたスコープ又は他の医療機器をナビゲートすること、テーブル150を制御すること、蛍光透視デバイスを制御することなどのために、デバイス/システムの制御に関する入力を与えることができる。たとえば、医師140は、I/Oコンポーネント302を介して入力を与えることができ、それに応じて、制御システム130は、制御信号をロボットシステム110に送って医療機器を操作することができる。例では、医師140は同じI/Oデバイスを用いて、複数の医療機器を制御する(たとえば、器具間の制御を切り替える)ことができる。
【0066】
図示するように、1つ以上のI/Oコンポーネント302は、データを表示するように構成された1つ以上のディスプレイ132(「1つ以上のディスプレイデバイス132」と言われる場合がある)を含むことができる。1つ以上のディスプレイ132としては、1つ以上の液晶ディスプレイ(liquid-crystal display、LCD)、発光ダイオード(light-emitting diode、LED)ディスプレイ、有機LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、電子ペーパーディスプレイ、及び/又は任意の他のタイプの技術を挙げることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のディスプレイ132は、入力を受け取り、かつ/又はデータを表示するように構成された1つ以上のタッチスクリーンを含む。更に、1つ以上のI/Oコンポーネント302は、タッチパッド、コントローラ(たとえば、ハンドヘルドコントローラ、ビデオゲームタイプコントローラなど)、マウス、キーボード、ウェアラブルデバイス(たとえば、光学ヘッドマウントディスプレイ)、仮想又は拡張現実デバイス(たとえば、ヘッドマウントディスプレイ)などを挙げることができる1つ以上のI/Oデバイス/制御装置310を含むことができる。更に、1つ以上のI/Oコンポーネント302は、オーディオ信号に基づいて音を出力するように構成された1つ以上のスピーカ、及び/又は音を受け取ってオーディオ信号を生成するように構成された1つ以上のマイクロフォンを含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のI/Oコンポーネント302は、コンソールを含むか又はコンソールとして実装される。
【0067】
いくつかの実施形態では、1つ以上のI/Oコンポーネント302は、処置に関連した情報を出力することができる。たとえば、制御システム130は、スコープによって取得されたリアルタイム画像を受け取って、リアルタイム画像及び/又はリアルタイム画像の視覚的表現を(複数の)ディスプレイ132を介して表示することができる。(複数の)ディスプレイ132は、スコープ及び/又は別の医療機器からの画像データを含むことができる、本明細書で説明したインターフェースのいずれかなどの(複数の)インターフェースを示すことができる。それに加えて又はその代わりに、制御システム130は、患者に関連付けられた医療用モニタ及び/又はセンサから信号(たとえば、アナログ、デジタル、電気、音響/音波、空気圧、触覚、油圧など)を受け取ることができ、(複数の)ディスプレイ132は、患者の健康又は環境に関する情報を示すことができる。このような情報には、医療用モニタを介して表示される、たとえば、心拍数(たとえば、ECG、HRVなど)、血圧/血流速度、筋肉生体信号(たとえば、EMG)、体温、血液酸素飽和度(たとえば、SpO)、CO、脳波(たとえば、EEG)、環境温度及び/又は局部温度若しくは中核体温などの情報を含めることができる。
【0068】
1つ以上の通信インターフェース304を、1つ以上のデバイス/センサ/システムと通信するように構成することができる。たとえば、1つ以上の通信インターフェース304は、ネットワーク上で無線及び/又は有線の方式でデータを送り/受け取ることができる。本開示の実施形態によるネットワークとしては、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)(たとえば、インターネット)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、ボディエリアネットワーク(body area network、BAN)などを挙げることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の通信インターフェース304は、Bluetooth、Wi-Fi、近距離無線通信(near field communication、NFC)などの無線技術を実装することができる。
【0069】
1つ以上の電源ユニット306は、制御システム130(及び/又は、場合によってはロボットシステム110)に対する電力を管理及び/又は提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の電源ユニット306には、リチウム系電池、鉛酸電池、アルカリ電池、及び/又は別のタイプの電池などの1つ以上の電池が含まれる。すなわち、1つ以上の電源ユニット306は、電力源をもたらし、かつ/又は電力管理機能をもたらすように構成された1つ以上のデバイス及び/又は回路を含むことができる。また、いくつかの実施形態では、1つ以上の電源ユニット306は、交流(alternating current、AC)又は直流(direct current、DC)主電源に結合するように構成された主電源コネクタを含む。
【0070】
図3には図示しないが、制御システム130は、制御された灌注及び/若しくは吸引能力を医療機器(たとえば、スコープ)、医療機器を通して配置できるデバイスなどに提供するために、1つ以上のポンプ、流量計、バルブ制御装置、及び/若しくは流体アクセスコンポーネントなどの他のコンポーネントを含み、かつ/又は制御することができる。いくつかの実施形態では、灌注及び吸引能力を、別個のケーブルを介して医療機器に直接届けることができる。更に、制御システム130は、フィルタリングされ、かつ/又は保護された電力をロボットシステム110などの別のデバイスに提供するように設計された電圧及び/又はサージプロテクターを含むことができ、その結果、ロボットシステム110内に電力変圧器及び他の補助電力コンポーネントを配置することが回避されるため、ロボットシステム110はより小さくて、より移動可能になる。
【0071】
いくつかの実施形態では、制御システム130は、医療システム100の全体にわたって配置されたセンサのための支援機器を含むことができる。たとえば、制御システム130は、光学センサ及び/又はカメラから受け取ったデータを検出し、受け取り、かつ/又は処理するための光電子機器を含むことができる。このような光電子機器を用いて、制御システム130内に含まれる任意の数のデバイス/システムにおいて表示するためのリアルタイム画像を生成することができる。同様に、制御システム130は、配置された電磁気(EM)センサから受け取った信号を受け取り、かつ/又は処理するための電子サブシステムを含むことができる。いくつかの実施形態では、制御システム130を用いて、医療機器内若しくは医療機器上のEMセンサが検出するためのEM場発生器を収容し、かつ/又は位置付けることができる。
【0072】
更に、いくつかの実施形態では、制御システム130を、1つ以上のケーブル又は接続部(図示せず)を介して、ロボットシステム110、テーブル150、及び/又は医療機器に結合することができる。いくつかの実施態様では、制御システム130からの支援機能を単一のケーブルを介して提供することができ、手術室を単純にして片付けることができる。他の実施態様では、特定の機能を別個のケーブル線及び接続部において結合することができる。たとえば、電力は単一の電源ケーブルを介して提供することができるが、制御、光学系、流体工学、及び/又はナビゲーションに対する支援は、別個のケーブルを介して提供することができる。
【0073】
図3及び図4を参照して、ロボットシステム110は全般的に、細長い支持構造310(「カラム」とも言う)、ロボットシステム基部312、及びカラム310の頂部にあるコンソール314を含む。カラム310は、1つ以上のロボットアーム112の配置を支持するための1つ以上のキャリッジ316(「アーム支持部材316」とも言う)を含むことができる。キャリッジ316は、患者に対して位置付けるために、垂直軸に沿って回転してロボットアーム112の基部を調整する個別に構成可能なアームマウントを含むことができる。キャリッジ316はまた、キャリッジ316がカラム310に沿って垂直方向に並進できるようにするキャリッジインターフェース318を含む。キャリッジインターフェース318は、キャリッジ316の垂直並進を案内するためにカラム310の両側に位置付けられたスロット320などのスロットを通して、カラム310に接続することができる。スロット320は、キャリッジ316を基部312に対して種々の垂直高さに位置付け、かつ/又は保持するための垂直並進インターフェースを含むことができる。キャリッジ316が垂直並進すると、ロボットシステム110は、ロボットアーム112の到達範囲を調整して、種々のテーブル高さ、患者サイズ、医師の選好などを満たすことができる。同様に、キャリッジ316上の個別に構成可能なアームマウントによって、ロボットアーム112のロボットアーム基部322を、種々の構成で角度付けすることができる。カラム310は、ギア及び/又はモータなどのメカニズムであって、I/Oデバイスからの入力などのユーザ入力を受けて生成された制御信号に応答して、キャリッジ316を機械化された方式で並進させるように、垂直方向に位置合わせされた親ネジを用いるように設計されたメカニズムを内部に含むことができる。
【0074】
基部312は、床などの表面上で、カラム310、キャリッジ316、及び/又はロボットアーム112の重量のバランスを取ることができる。したがって、基部312は、1つ以上のエレクトロニクス、モータ、電源などのより重いコンポーネント、並びにロボットシステム110の移動を可能にし、かつ/又は固定するコンポーネントを収容することができる。たとえば、基部312は、ロボットシステム110が処置のために部屋を動き回られるようにする巻回可能な車輪324(「キャスター324」又は「可動化コンポーネント324」とも言われる)を含むことができる。適切な位置に到達した後に、キャスター324を車輪ロックを用いて固定化して、処置の間にロボットシステム110を所定の位置に保持することができる。図示したように、ロボットシステム110はまた、ロボットシステム110を操縦すること及び/又は安定させることを支援するためのハンドル326を含む。この例では、ロボットシステム110は、移動可能であるカートベースのロボットで可能なシステムとして例示している。しかし、ロボットシステム110は、固定システムとして実装されるか、テーブルに一体化されるなどが可能である。
【0075】
ロボットアーム112は全般的に、一連のジョイント332によって接続された一連のリンク機構330によって分離された、ロボットアーム基部322及びエンドエフェクタ328を含むことができる。各ジョイント332は、独立したアクチュエータを含むことができ、各アクチュエータは独立に制御可能なモータを含むことができる。各独立に制御可能なジョイント332は、ロボットアーム112が利用できる独立した自由度を表す。たとえば、アーム112はそれぞれ、7つのジョイントを有することができ、したがって7つの自由度を得ることができる。しかし、任意の数のジョイントを任意の自由度を伴って実装することができる。例では、多数のジョイントによって多数の自由度を得ることができ、「冗長」自由度が可能になる。冗長自由度によって、ロボットアーム112は、その個々のエンドエフェクタ328を、異なるリンク機構位置及び/又はジョイント角度を用いて、空間内の特定の位置、向き、及び/又は軌跡に位置付けることができる。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ328を、医療機器、デバイス、対象物などと係合し、かつ/又はそれらを制御するように構成することができる。アーム112の運動の自由度により、ロボットシステム110が、空間内の所望の点から医療機器を位置付け、かつ/若しくは方向付けることができ、かつ/又は医師が、アーム112を患者から離れた臨床的に好都合な位置に移動させて、アームの衝突を回避しながらアクセスすることができる。
【0076】
ロボットアーム112のそれぞれのエンドエフェクタ328は、メカニズム交換器インターフェース(mechanism changer interface、MCI)を用いて取り付け得る器具デバイスマニピュレータ(instrument device manipulator、IDM)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、IDMを取り外して、異なるタイプのIDMと交換することができる。たとえば、第1のタイプのIDMは内視鏡を操作することができ、一方で、第2のタイプのIDMはカテーテルを操作することができる。別のタイプのIDMを、電磁界発生器を保持するように構成してもよい。MCIは、空気圧、電力、電気信号、及び/又は光信号をロボットアーム112からIDMに伝達するためのコネクタを含むことができる。IDM328は、たとえば、ダイレクトドライブ、ハーモニックドライブ、ギア駆動、ベルト及びプーリ、磁気駆動などを含む技法を用いて、医療機器(たとえば、手術ツール/器具)を操作するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、IDM328をロボットアーム112の個々の1つに取り付けることができる。ロボットアーム112は、個々の結合された医療機器を治療部位内に挿入するか又はそこから後退させるように構成されている。
【0077】
いくつかの実施形態では、ロボットアーム112は、医療機器(たとえば、スコープのシース及び/又はリーダ)の位置、向き、及び/又は先端関節運動を制御するように構成することができる。たとえば、ロボットアーム112は、細長い移動部材を用いてスコープを操作するように構成することができ/構成可能である。細長い移動部材としては、1つ以上のプルワイヤ(たとえば、プル又はプッシュワイヤ)、ケーブル、ファイバ、及び/又は可撓性シャフトを挙げることができる。たとえば、ロボットアーム112は、スコープに結合された複数のプルワイヤを駆動させて、スコープの先端をそらすように構成することができる。プルワイヤは、ステンレス鋼、ケブラー、タングステン、カーボンファイバなどの金属材料及び/又は非金属材料などの任意の好適な又は望ましい材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、スコープは、細長い移動部材が印加した力を受けて非線形挙動を示すように構成されている。非線形挙動は、スコープの剛性及び圧縮性、並びに異なる細長い移動部材間のたるみ又は剛性の変動性に基づくことができる。
【0078】
図示したように、コンソール314は、ロボットシステム110のカラム310の上端に位置付けられている。コンソール314は、医師/ユーザに術前及び/又は術中データを提供するために、ユーザ入力を受け取り、かつ/又は出力を与えるためのユーザインターフェース(たとえば、タッチスクリーンなどの二重目的デバイス)を提供するための(複数の)ディスプレイ334を含むことができる。コンソール/ディスプレイ334上の潜在的な術前データは、術前計画、術前コンピュータ断層撮影(computerized tomography、CT)スキャンから導出されたナビゲーション及びマッピングデータ、並びに/又は術前の患者への問診からのメモを含むことができる。術中データは、ツールから提供される光学情報、センサからのセンサ及び座標情報、並びに呼吸、心拍数、及び/又は脈拍などの不可欠な患者統計を含むことができる。コンソール314は、医師がカラム314のアーム支持部材316とは反対側からコンソール314にアクセスできるように位置付けて傾けることができる。この位置から、医師は、コンソール314をロボットシステム110の背後から操作しながら、コンソール314、ロボットアーム112、及び患者を見てもよい。
【0079】
ロボットシステム110は、たとえば、ユーザとのインターフェースとなるために入力を受け取り、かつ/又は出力を与える1つ以上のI/Oコンポーネント/デバイス336を含むことができる。1つ以上のI/Oコンポーネント336は、タッチ、発話、ジェスチャ、又は任意の他のタイプの入力を受け取るように構成することができる。例では、1つ以上のI/Oコンポーネント336を用いて、たとえば、ロボットシステム110を制御/構成するために、デバイス/システムの制御に関する入力を与えることができる。図示するように、1つ以上のI/Oコンポーネント334は、データを表示するように構成された1つ以上のディスプレイ334を含むことができる。1つ以上のディスプレイ334としては、1つ以上の液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、電子ペーパーディスプレイ、及び/又は任意の他のタイプの技術を挙げることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のディスプレイ334は、入力を受け取り、かつ/又はデータを表示するように構成された1つ以上のタッチスクリーンを含むことができる。更に、1つ以上のI/Oコンポーネント336は、タッチパッド、コントローラ、マウス、キーボード、ウェアラブルデバイス(たとえば、光学ヘッドマウントディスプレイ)、仮想又は拡張現実デバイス(たとえば、ヘッドマウントディスプレイ)などを挙げることができる1つ以上のI/Oデバイス/制御装置338を含むことができる。更に、1つ以上のI/Oコンポーネント336は、オーディオ信号に基づいて音を出力するように構成された1つ以上のスピーカ、及び/又は音を受け取ってオーディオ信号を生成するように構成された1つ以上のマイクロフォンを含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のI/Oコンポーネント336は、コンソール314を含むか又はコンソール314として実装される。更に、1つ以上のI/Oコンポーネント336は、ロボットアームの遠位端上のボタン(アドミッタンス制御モードを有効にすることができる)などの、物理的に押すことができる1つ以上のボタンを含むことができる。これについては、図6を参照してより詳細に例示する。
【0080】
ロボットシステム110の種々のコンポーネントを、制御回路の一部でないとすることができるか又は一部でなくてもよい特定の接続回路/デバイス/機能部を用いて、電気的に、かつ/又は通信可能に結合することができる。たとえば、(複数の)接続機能部は、ロボットシステム110の種々のコンポーネント/回路のうちの少なくとも一部の取り付け及び/又は相互接続を容易にするように構成された1つ以上のプリント回路基板を含むことができる。いくつかの実施形態では、ロボットシステム110のコンポーネントのうちの2つ以上を、互いに電気的に、かつ/又は通信可能に結合することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、ロボットアーム112及び/又はロボットシステム110のうちの1つ以上を、アドミッタンス制御モードで動作するように構成することができる。本明細書で用いる場合、用語「アドミッタンス制御モード」(又は単純に「アドミッタンスモード」)は、ユーザが力を印加することによってロボットアーム112の移動を制御するロボットアーム112/ロボットシステム110の制御モードを指すことができる。たとえば、アドミッタンス制御モードで動作するとき、ロボットアーム112は、ロボットアーム112を掴んでそれに力を印加することなどにより、電子ユーザ制御を用いることなくユーザが手作業で移動させることができる。したがって、ユーザはロボットアームの位置を直接制御することができ得る。ロボットアーム112は、ロボットアーム112の現在の姿勢(たとえば、向き及び位置)を再位置付けし、かつ/又は維持するように構成された駆動コンポーネント(たとえば、ロボットアーム112の移動を制御するモータ/アクチュエータ)を含むことができる。したがって、アドミッタンス制御機能を提供するために、ロボットシステム110/制御システム130は、ユーザによってロボットアーム112に付与された力を測定し、測定した力を入力値として用いて、駆動コンポーネントのうちの1つ以上を作動させることができる。
【0082】
たとえば、アドミッタンス制御モードが有効にされているとき、ロボットアーム112は、ロボットアームに印加した力に基づいてロボットアーム112を手動操作することで、ユーザが自由に移動させることができる。たとえば、ユーザは、ロボットアーム112の遠位端を掴み、力を印加してロボットアーム112の遠位端(及び/又はロボットアーム112の他の部分)を所望の位置に位置付けることができる。アドミッタンス制御モードが無効にされているとき、かつ/又はロボットアーム112に印加された力が閾値を下回るときは、ロボットアーム112は、ある位置に固定されたままである可能性がある(たとえば、ロボットアーム112の手動の移動を妨げる)。ロボットアーム112を境界に位置付けて衝突領域を判定するときなど、アドミッタンス制御モードのいくつかの場合では、ロボットアーム112は、ロボットアーム112のエンドエフェクタの向きを変えることなく(たとえば、ユーザがロボットアーム112を傾けることができない)、X、Y、Z方式で移動することができる。しかし、他の実施形態では、ロボットアーム112の向きは、アドミッタンス制御モードにおいて変えることができる。したがって、ロボットシステム110は、アドミッタンス制御モードにある間に、ユーザによってロボットアーム112に直接印加される力の形態でユーザ入力を受け取るように構成することができる。
【0083】
ロボットアーム112/ロボットシステム110は、種々の方法でアドミッタンス制御モードに出入りすることができる。たとえば、ユーザは、ロボットシステム110/制御システム130(たとえば、インターフェース、コントローラなど)を介して入力を与えるか、ロボットアーム112上のボタンを介して入力を与えるか、又は他の方法で入力を与えて、アドミッタンス制御モードを有効/無効にすることができる。アドミッタンス制御モードを、多くの例において、ロボットアーム112上のボタンを押すことに関連して有効/無効にされるものと説明しているが、アドミッタンス制御モードは、任意のタイプのI/Oデバイスを介するなど、種々の方法で有効/無効にすることができる。
【0084】
ロボットアーム112は全般的に、アドミッタンス制御モードで動作しているときにある量の抵抗を示すことができる。抵抗の量は、ロボットアーム112を移動させる、ロボットアーム112を特定のスピードで移動させる、ロボットアーム112を特定の距離だけ移動させる等に必要な力の量に影響する可能性がある。したがって、ロボットアーム112の手動の移動に関連付けられる抵抗の量は、ロボットアーム112を手作業で移動させるときにユーザに戻される(たとえば、ユーザが感じる)力を示すことができる。いくつかの実施形態では、ロボットアーム112の1つ以上のアクチュエータ/ハードウェアは、ロボットアーム112の手動の移動に対する抵抗の量を構成するように制御することができる。たとえば、ロボットアーム112のジョイント内のモータは、ロボットアーム112をユーザが移動させたときにロボットアーム112が特定の量の抵抗を示すように、抵抗パラメータ/値に基づいて制御することができる。いくつかの実施形態では、アドミッタンス制御モードで動作しているときに、ユーザがロボットアーム112に印加する力、ロボットアーム112の仮想質量、及び/又は仮想減衰などの1つ以上のパラメータを用いて、ロボットアーム112を移動させるスピードを判定することができる。仮想質量は、ロボットアーム112がユーザにどのくらい重く感じるか(たとえば、ロボット移動の加速度)を示すことができ、一方で、仮想減衰は、ユーザに抵抗感(たとえば、どのくらい速くロボットアーム112が動くか)を与えることができる。
【0085】
1つ以上の通信インターフェース340は、1つ以上のデバイス/センサ/システムと通信するように構成することができる。たとえば、1つ以上の通信インターフェース340は、ネットワーク上で無線及び/又は有線の方式でデータを送り/受け取ることができる。本開示の実施形態によるネットワークとしては、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)(たとえば、インターネット)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、ボディエリアネットワーク(BAN)などを挙げることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の通信インターフェース340は、Bluetooth、Wi-Fi、近距離無線通信(NFC)などの無線技術を実装することができる。
【0086】
1つ以上の電源ユニット342は、ロボットシステム110に対する電力を管理及び/又は提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の電源ユニット342には、リチウム系電池、鉛酸電池、アルカリ電池、及び/又は別のタイプの電池などの1つ以上の電池が含まれる。すなわち、1つ以上の電源ユニット342は、電力源をもたらし、かつ/又は電力管理機能をもたらすように構成された1つ以上のデバイス及び/又は回路を含むことができる。また、いくつかの実施形態では、1つ以上の電源ユニット342は、交流(AC)又は直流(DC)主電源に結合するように構成された主電源コネクタを含む。
【0087】
ロボットシステム110はまた、ロボットアーム112の移動を容易にするための1つ以上のアクチュエータ/ハードウェア344を含むことができる。各アクチュエータ344はモータを含むことができ、モータは、ジョイント及び/又は接続されたアームセグメント/リンク機構の移動を容易にするために、ロボットアーム112内のジョイント又は他の場所に実装することができる。更に、ロボットシステム110は、空気圧、光源などの種々の他のコンポーネントを含むことができる。
【0088】
図3に関して、制御システム130及び/又はロボットシステム110は、本明細書に記載の機能を実行するように構成された制御回路346及び/又はデータ記憶装置/メモリ348を含むことができる。説明及び例示を簡単にするために、制御回路346及びデータ記憶装置348は、制御システム130とロボットシステム110との間のブロックにおいて示されている。多くの実施形態において、制御システム130及びロボットシステム110は、制御回路346及びデータ記憶装置348の別個のインスタンスを含むことができることを理解されたい。すなわち、制御システム130は、(たとえば、制御システム130上で処理を実施するために)それ自体の制御回路及びデータ記憶装置を含むことができ、一方でロボットシステム110は、(たとえば、ロボットシステム110上で処理を実施するために)それ自体の制御回路及びデータ記憶装置を含むことができる。多くの実施形態において、本明細書での制御回路へのいかなる言及も、ロボットシステム、制御システム、又は図1に示す医療システム100の任意のコンポーネントなどの医療システムの任意の他のコンポーネントにおいて具体化された回路を指す場合がある。
【0089】
制御回路346は、制御システム130/ロボットシステム110の他のコンポーネントとは別個のコンポーネントとして例示しているが、制御システム130及び/又はロボットシステム110の残りのコンポーネントのいずれか又はすべてが、制御回路346において少なくとも部分的に具体化できることを理解されたい。たとえば、制御回路346は、種々のデバイス(能動及び/又は受動)、半導体材料及び/又はエリア、層、領域、及び/又はそれらの一部、伝導体、リード、ビア、接続部などを含むことができる。制御システム130/ロボットシステム110の残りのコンポーネントのうちの1つ以上及び/又はその一部は、そのような回路コンポーネント/デバイスにおいて/によって少なくとも部分的に形成及び/又は具体化することができる。
【0090】
例示したように、データ記憶装置348は、本明細書で説明した種々の機能を容易にするように構成された衝突コンポーネント350を含むことができる。いくつかの実施形態では、衝突コンポーネント350は、1つ以上の動作を行うように制御回路346によって実行可能な1つ以上の命令を含むことができる。多くの実施形態を、制御回路346によって実行可能な1つ以上の命令を含む衝突コンポーネント350の文脈で説明しているが、衝突コンポーネント350(及び/又は位置特定コンポーネントなどの他のコンポーネント)を、1つ以上のハードウェアロジックコンポーネント、たとえば、1つ以上の特定用途向け集積回路(specific integrated circuit、ASIC)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)、1つ以上のプログラム特定標準製品(program-specific standard product、ASSP)、1つ以上の結合プログラム可能論理回路(complex programmable logic device、CPLD)などとして、少なくとも部分的に実装することができる。
【0091】
衝突コンポーネント350を、環境に対する衝突領域を判定するように構成することができる。たとえば、衝突コンポーネント350は、対象物に隣接するロボットアーム112の位置に基づいて対象物に関連付けられる衝突領域を確立することに関連して本明細書で説明した動作のいずれかを行うことができる。衝突コンポーネント350はまた、衝突領域を用いて、ロボットシステム110及び/又はロボットシステム110に接続された医療機器の移動を制御することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、衝突コンポーネント350は処置の間に衝突領域を調整することができる。たとえば、衝突領域を処置のセットアップ中に対象物に対して判定して、ロボットアームが処置中に更なる対象物及び/又は対象物の更なる縁部に接触した場合、衝突コンポーネント350は、衝突領域に更なる境界を加えること、衝突領域の既存の境界を更新することなどによって、更なる衝突ポイントが位置する場所を知り、以前に判定した衝突領域を更新して更なる対象物/縁部を反映させることができる。
【0093】
更に、いくつかの実施形態では、衝突コンポーネント350は、別の方法で衝突領域を判定することができる。一例では、ユーザは、環境を表す情報を表示しているユーザインターフェース上に境界ボックスを描くように求められる可能性があり、衝突コンポーネント350は、ユーザが描画した線によって画定される衝突領域を定式化することができる。別の例では、ユーザはユーザインターフェースと対話して、環境を表すインターフェース内に表示される情報上にボックス又は他の形状を配置することができる。同様に、衝突コンポーネント350は、ボックス/形状に対する衝突領域を定式化することができる。更に別の例では、撮像デバイス/深度センサをロボットアームの遠位端に配置して、環境の1つ以上の画像を取得することができ、衝突コンポーネント350は、1つ以上の画像を(たとえば、画像/視覚処理技法を用いて)処理して、環境内の1つ以上の対象物及び/又は1つ以上の対象物に対する衝突領域を特定することができる。
【0094】
図3には例示していないが、いくつかの実施形態では、データ記憶装置348は、ロボットシステム110に接続された医療機器などの対象物の位置及び/又は向きを判定及び/又は追跡するために、1つ以上の位置特定技法を実行するように構成された位置特定コンポーネントを含む。たとえば、位置特定コンポーネントは、入力データ、たとえば、医療機器からのセンサデータ(たとえば、EM場センサデータ、医療機器上の撮像デバイス/深度センサによって取得された視覚データ、医療機器上の加速度計からの加速度計データ、医療機器上のジャイロスコープからのジャイロスコープデータ、衛星ベースのセンサ(たとえば、全地球測位システム(GPS))からの衛星ベースの測位データなど)、ロボットアーム112に対するロボットコマンド及び/又は運動学データ、(たとえば、医療機器の場所/形状に関する形状データを提供することができる)形状検知ファイバからのセンサデータ、患者の解剖学的構造に関するモデルデータ、患者の位置データ、手術前データなどを処理することができる。このような処理に基づいて、位置特定コンポーネントは、医療機器に対する位置/向きデータを生成することができる。位置/向きデータは、基準枠に対する医療機器の場所及び/又は向きを示すことができる。基準枠は、患者の解剖学的構造、既知の対象物(たとえば、EM場発生器)、座標系/空間などに対する基準枠とすることができる。いくつかの実施態様では、位置/向きデータは、医療機器の遠位端(及び/又は、場合によっては近位端)の場所及び/又は向きを示すことができる。対象物の位置及び向きは、対象物の姿勢と言うことができる。
【0095】
いくつかの実施態様では、位置特定コンポーネントは、電磁追跡を用いて対象物の位置及び/又は向きを判定することができる。たとえば、位置特定コンポーネントは、リアルタイムEM追跡を用いて、患者の解剖学的構造に記録することができる、座標系/空間における医療機器のリアルタイムの場所を判定することができる。この場所は、術前モデル又は他のモデルによって表すことができる。EM追跡では、1つ以上のセンサコイルを含むEMセンサ(又はトラッカー)を、医療機器(たとえば、スコープ、針など)内の1つ以上の場所及び/又は向きに埋め込むことができる。EMセンサは、既知の場所に位置付けられた1つ以上の静的なEM場発生器によって形成されるEM場の変動を測定することができる。EMセンサが検出した場所情報を、EMデータとして記憶することができる。位置特定コンポーネントは、EMデータを処理して、医療機器などの対象物の位置及び/又は向きを判定することができる。EM場発生器(又は送信器)を、患者の近くに(たとえば、所定の距離内に)配置して、EMセンサが検出することができる低強度磁界を形成することができる。磁界は、EMセンサのセンサコイル内に小電流を誘導することができ、これを分析して、EMセンサとEM場発生器との間の距離及び/又は角度を判定することができる。これらの距離及び/又は向きを、座標系内の単一の場所を患者の解剖学的構造の術前モデルにおける位置と位置合わせする幾何学的変換を判定するために、患者の解剖学的構造(たとえば、術前モデル)に術中に「記録」することができる。記録されると、医療機器の1つ以上の位置(たとえば、内視鏡の遠位先縁部、針など)におけるEMセンサ(たとえば、埋め込まれたEMトラッカー)は、患者の解剖学的構造を通る医療機器の位置及び/又は向きをリアルタイムで表示することができる。
【0096】
用語「制御回路」は、本明細書では、その広義及び通常の意味に従って使用され、以下のものの任意の集合を指すことができる。1つ以上のプロセッサ、処理回路、処理モジュール/ユニット、チップ、ダイ(たとえば、1つ以上の能動デバイス及び/若しくは受動デバイス及び/若しくは接続回路を含む半導体ダイ)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、中央処理ユニット、グラフィックス処理ユニット、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブル論理回路、ステートマシン(たとえば、ハードウェアステートマシン)、論理回路、アナログ回路、デジタル回路、並びに/又は回路及び/若しくは動作命令のハードコーディングに基づいて信号(アナログ及び/又はデジタル)を操作する任意のデバイス。制御回路は更に、1つ以上の記憶デバイスを含むことができ、これは、単一のメモリデバイス、複数のメモリデバイス、及び/又はデバイスの埋め込み回路において具体化することができる。このようなデータ記憶装置としては、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、スタティックメモリ、ダイナミックメモリ、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、データ記憶装置レジスタ、及び/又はデジタル情報を記憶する任意のデバイスを挙げることができる。制御回路がハードウェアステートマシンを含み(及び/又はソフトウェアステートマシンを実装し)、アナログ回路、デジタル回路、及び/又は論理回路を含む実施形態では、任意の関連付けられた動作命令を記憶するデータ記憶装置/レジスタは、ステートマシン、アナログ回路、デジタル回路、及び/又は論理回路を含む回路の内部に又はその外部に埋め込めることに注意されたい。
【0097】
用語「メモリ」は、本明細書では、その広義及び通常の意味に従って使用され、任意の好適な又は望ましいタイプのコンピュータ可読媒体を指すことができる。たとえば、コンピュータ可読媒体としては、1つ以上の揮発性データ記憶装置、不揮発性データ記憶装置、取り外し可能なデータ記憶装置、及び/又は取り外し不可能なデータ記憶装置であって、任意の技術、レイアウト、及び/又はデータ構造/プロトコルを用いて実装されるものを挙げることができ、これらは、任意の好適な又は望ましいコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のタイプのデータを含む。
【0098】
本開示の実施形態により実装することができるコンピュータ可読媒体としては、限定することなく、以下を挙げることができる。相変化メモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(static random-access memory、SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(dynamic random-access memory、DRAM)、他のタイプのランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(electrically erasable programmable read-only memory、EEPROM)、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(compact disk read-only memory、CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(digital versatile disk、DVD)若しくは他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶装置、又は任意の他の非一時的媒体であって、コンピューティングデバイスによるアクセスのための情報を記憶するために使用できるもの。本明細書において特定の文脈で用いる場合、コンピュータ可読媒体は全般的に、変調データ信号及び搬送波などの通信媒体を含まない場合がある。したがって、コンピュータ可読媒体は全般的に、非一時的媒体を指すと理解しなければならない。
【0099】
衝突領域判定例
図5図9に、1つ以上の実施形態により、衝突領域を判定するためにいくつかの構成で配列された図1の医療システム100の平面図を例示する。これらの例では、医療システム100は、患者120から腎臓結石を除去するために手術室内に配置される。多くの実施形態において、患者120は、例示したような患者120の背面又は側面にアクセスするために、患者120が側面にわずかに傾けられた修正された仰臥位で位置付けされる。しかし、患者120は、仰臥位、腹臥位などの他の方法で位置付けることができる。図5図9には、患者120から腎臓結石を除去するための経皮的処置を実行するために医療システム100を用いることを例示しているが、前述したように、医療システム100は、他の方法で腎臓結石を除去し、かつ/又は他の処置を実行するために用いることができる。種々の行為を、図5図9において、また本開示の全体を通して、医師140が行うとして説明している。これらの行為は、医師140、医師140の指示の下でのユーザ、別のユーザ(たとえば、技師)、それらの組み合わせ、及び/又は任意の他のユーザによって直接行えることを理解されたい。
【0100】
腎臓の解剖学的構造は、図5図9に少なくとも部分的に例示したように、本概念の態様に関係する特定の医療処置に関して参照するために、ここでは説明している。腎臓は一般的に、腹膜後腔内の左右に位置する2つの豆形状の臓器を含む。成人では、腎臓は一般的に約11cmの長さである。腎臓は、対になった腎動脈から血液を受け取り、血液は、対になった腎静脈内に出る。各腎臓は尿管に付いている。尿管は、排泄された尿を腎臓から膀胱へ運ぶチューブである。膀胱は尿道に付いている。
【0101】
腎臓は通常、腹腔内で比較的高い位置にあり、わずかに斜めの角度で後腹膜位置にある。肝臓の位置によって生じる腹腔内の非対称は、通常、右腎が左腎よりもわずかに低くて小さく、左腎よりもわずかに中央に配置される。各腎臓の上に副腎がある。腎臓の上部は、第11肋骨及び第12肋骨によって部分的に保護される。その副腎を伴う各腎臓は、脂肪の2つの層、すなわち、腎筋膜と腎被膜との間に存在する腎周囲脂肪と腎筋膜の上方の腎傍脂肪とによって、囲まれている。
【0102】
腎臓は、種々の体液区画の体積、流体浸透圧、酸塩基平衡、種々の電解質濃度、及び毒素の除去の制御に関与する。腎臓は、特定の物質を分泌して他の物質を再吸収することによって、濾過機能をもたらす。尿中に分泌される物質の例は、水素、アンモニウム、カリウム、及び尿酸である。加えて、腎臓はまた、ホルモン合成などの他の種々の機能を行う。
【0103】
腎臓の凹状境界上の凹領域は腎門である。腎門では、腎動脈が腎臓に入り、腎静脈及び尿管が出ている。腎臓は、丈夫な繊維組織である腎被膜によって囲まれている。腎被膜自体は、腎周囲脂肪、腎筋膜、及び腎傍脂肪によって囲まれている。これらの組織の前(正)面は腹膜であり、一方で後(裏)面は横筋筋膜である。
【0104】
腎臓の機能物質又は実質は、2つの主要構造、すなわち、外側腎皮質及び内側腎髄質に分割される。これらの構造は、複数の円錐形の腎葉の形状を取り、それぞれが、腎錐体と言われる髄質の一部を囲む腎皮質を含んでいる。腎錐体間には、腎柱と言われる皮質の突起がある。ネフロン、すなわち腎臓の尿産生機能構造体は、皮質及び髄質に及ぶ。ネフロンの初期濾過部分は腎小体であり、皮質内に位置する。これに続いて、皮質から延髄錐体の内部まで深く通る尿細管がある。腎皮質の一部である髄線は、単一の集合管の中に排出する尿細管の集合である。
【0105】
各錐体の先端又は乳頭は、尿を個々の小腎杯内に出し、小腎杯は大腎杯内に出し、大腎杯は腎盤内に出し、そして尿管に遷移する。門部では、尿管及び腎静脈が腎臓から出て、腎動脈が入る。腎門部脂肪及びリンパ節を伴うリンパ組織は、これらの構造を囲んでいる。腎門部脂肪は、腎洞と言われる脂肪で充填された体腔に隣接する。腎洞は、腎盤及び腎杯をまとめて収容し、これらの構造を腎髄質組織から分離する。
【0106】
図5図9に、患者120の解剖学的構造の種々の特徴を示す。たとえば、患者120は、尿管506を介して膀胱504に流体的に接続された腎臓502と、膀胱504に流体的に接続された尿道508とを含む。腎臓502(A)の拡大描写に示すように、腎臓502(A)は、腎杯(腎杯510を含む)、腎乳頭(腎乳頭512を含む)、及び腎錐体(腎錐体514を含む)を含む。これらの例では、腎臓結石516は乳頭512に近接して位置する。しかし、腎臓結石516は、腎臓1502(A)内の他の場所などに位置する可能性がある。説明を簡単にするために、腎臓502(A)の拡大描写は図6図9には示していない。
【0107】
図5及び図6に示すように、経皮的処置例において腎臓結石516を除去するために、医師140は、ロボットシステム110をテーブル150の側部/足部に移動させて、ロボットシステム110をセットアップ/設定することができる。詳細には、図6に例示するように、ロボットシステム110を、患者120の足に近接してテーブル150の側部に位置付けることができる。これにより、ロボットシステム110を、患者120の尿道508にアクセスするために位置付けることを可能にすることができる。例では、患者120の股関節を、ロボットシステム110を位置付けるための基準点として用いる。ロボットシステム110を移動させる間、ロボットアーム112を、図5に示したものと同様に、ドッキング様式で位置付けることができる。しかし、ロボットアームは、ロボットシステム110を移動させる間、任意の方法で位置付けることができる。
【0108】
テーブル150の足部に位置付けたら、図6に示すように、ロボットシステム110を、車輪ロックを用いて固定化して、制御システム130を所定の位置に保持することができる。例では、環境内のロボットシステム110の場所は、処置の全体を通して維持される(たとえば、手術室の床上のロボットシステム110の位置)。すなわち、環境内のテーブル150及び/又は他のデバイス/医療機器に対するロボットシステム100の位置を、処置の全体を通して維持することができる。ロボットシステム110を、特定の場所に位置付けていると例示しているが、ロボットシステム110は、セットアップ中に、かつ/又は処置中の他のときに他の場所に位置付けることができる。
【0109】
図6に関して、医師140は、ロボットアーム112(A)をテーブル150の第1の縁部に手作業で移動させることができる。この例では、医師140は、ロボットアーム112(A)の遠位端に位置するボタン602を押して、ロボットアーム112(A)をテーブル150に隣接して手作業で移動させる。たとえば、医師140は、ボタン602を押して、ロボットアーム112(A)を手作業で移動させることができるアドミッタンス制御モードを有効にすることができる。例では、医師140は、ボタン602が押されている限り、ロボットアーム112(A)を移動させることができる(たとえば、アドミッタンス制御モードが有効にされる)。しかし、アドミッタンス制御モードを、他のタイプの入力によって有効にすることができる。更に、ロボットアーム112(A)は、アドミッタンス制御モードを有効/無効にすることなく移動させることができる(たとえば、ロボットアーム112(A)を常に、手動で移動するように構成することができる)。いくつかの実施形態では、医師140は、制御システム130及び/又はロボットシステム110上のセットアップインターフェースにナビゲートすることができ、インターフェースは、医師140に、ロボットシステム110の周囲を検出するために、ロボットアーム112のうちの1つ以上を環境内の対象物に隣接して位置付けるように指示を出すことができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、ロボットアーム112(A)がテーブル150の第1の縁部に位置付けられると、医師140は、ロボットアーム112(A)が環境内の対象物に隣接して位置付けられていることを示す入力を与えることができる。ここで、制御システム130は、ロボットアーム112(A)の位置を示す位置情報をロボットシステム110から受け取ることができる。その代わりに、又はそれに加えて、いくつかの実施形態では、ロボットシステム110は、医師140がボタン602を解放したとき(かつ/又は、ボタン602を解放してから所定の時間が経過した後)に、制御システム130に、ロボットアーム112(A)が対象物に隣接して位置付けられていることを通知する(かつロボットアーム112(A)に関する位置情報を送る)ことができる。いずれにしても、制御システム130は、ロボットアーム112(A)に関する位置情報を用いて、環境内のロボットアーム112(A)の遠位端の位置、ロボットシステム110の残りに対するロボットアーム112(A)の遠位端の位置、制御システム130に対するロボットアーム112(A)の遠位端の位置などの、ロボットアーム112(A)の遠位端の位置を判定することができる。
【0111】
ロボットアーム112(A)の遠位端の位置に基づいて、制御システム130は、ロボットアーム112(A)の遠位端に接する平面などの平面/境界604(「第1の平面604」とも言う)を画定することができる。いくつかの実施形態では、ロボットアーム112(A)のエンドエフェクタ/IDM606上のコンポーネント/マーキングは、平面(たとえば、ロボットアーム112(A)上のコンポーネント/マーキング、エンドエフェクタ606の特定の面(たとえば、前面)など)に対する位置合わせ/基準点として用いることができる。たとえば、ロボットアーム112(A)の遠位端の拡大像に示すように、ロボットアーム112(A)のエンドエフェクタ606は、医療機器を制御する/関節運動させるための複数のギア608、医療機器からデータを読み取るためのリーダ610(たとえば、医療機器からシリアル番号を読み取るための無線周波数識別(radio-frequency identification、RFID)リーダ)、医療機器をIDM606に取り付けるための留め具612(たとえば、医療機器を固定するためのラッチ)、患者に手作業で取り付けた器具(たとえば、アクセスシース)と位置合わせするための、かつ/又はIDM606の前面を画定するためのマーカー614を含むことができる。図6の例では、留め具612(A)を用いて、ロボットアーム112(A)のエンドエフェクタ606に接する平面を画定する。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ606の部分606(A)を、ロボットアーム112(A)がアドミッタンス制御モードで動作しているときに、ユーザなどによって、回転/スピンするように構成することができる。たとえば、医師140は、ロボットアーム112(A)を所望の位置に移動させた後に、IDM606の上部プレート606(A)を図6に示す向きに回転させて、平面604の向きを判定することができる。したがって、医師140に、留め具612(A)(又は留め具612のうちの1つ)をテーブル150の縁部と位置合わせする(たとえば、部分606(A)を回転させる)ように、指示を出すことができる。しかし、エンドエフェクタ606上の任意のコンポーネント/マーキングを基準点として用いることができる。更に、いくつかの実施形態では、平面を、ロボットアーム112(A)の最も遠位のリンケージセグメント616に垂直である(かつ/又はエンドエフェクタ606に接する)など、ロボットアーム112(A)のリンケージセグメントに対して画定することができる。例では、制御システム130は、ロボットアーム112(A)及び/又はエンドエフェクタ606の1つ以上の寸法を示す情報に基づいて、衝突領域に対する平面/境界を画定することができる。この情報は、制御システム130によって維持し/受け取ることができる。
【0112】
図7に、ロボットアーム112(B)(「第2のロボットアーム112(B)」とも言う)を、テーブル150の第2の縁部に隣接して位置付けて、平面/境界702(「第2の平面702」とも言う)を判定する例を例示する。ロボットアーム112(A)(「第1のロボットアーム112(A)」とも言う)に関して前述したものと同様に、医師140は、第2のロボットアーム112(B)の遠位端を、テーブル150の第2の縁部(たとえば、テーブル150の足部)に隣接して手作業で移動させることができる。例示したように、第2のロボットアーム112(B)のエンドエフェクタ704を、テーブル150の第2の縁部に隣接して位置付けることができ、制御システム130は、第2のロボットアーム112(B)のエンドエフェクタ704の位置に基づいて、第2の平面702を画定することができる。この例では、第2の平面702は、接続要素706においてエンドエフェクタ704に接するように確立される。医師140に、接続要素706に対して第2のロボットアーム112(B)を位置付けるように指示を出してもよい。しかし、第2のロボットアーム112(B)の他のコンポーネント/マーキングを用いることができる。
【0113】
図8に、第1のロボットアーム112(A)をテーブル150の第2の縁部に隣接して位置付けて第2の平面/境界702を判定する代替的な例を例示する。図6に関して前述したものと同様に、医師140は、第1のロボットアーム112(A)の遠位端をテーブル150の第2の縁部に隣接して手作業で移動させることができる。例示したように、第1のロボットアーム112(A)のエンドエフェクタ604を、テーブル150の第2の縁部に隣接して位置付けることができ、制御システム130は、第1のロボットアーム112(A)のエンドエフェクタ604の位置に基づいて第2の平面702を画定することができる。この例では、第2の平面702は、リーダ610においてエンドエフェクタ604に接するように形成される。しかし、第1のロボットアーム112(A)の他のコンポーネント/マーキングを用いることができる。いくつかの実施形態では、第1のロボットアーム112(A)は、第1のロボットアーム112(A)をテーブル150の第1の縁部に隣接して位置付けた後に、テーブル150の第2の縁部に隣接して位置付ける。
【0114】
いずれの例でも、制御システム130は、図9に例示するように、第1の平面604及び第2の平面702に基づいて衝突領域902を判定することができる。たとえば、制御システム130は、第1の平面604及び第1の平面604と第2の平面702との交点906に基づいて、衝突領域902に対する第1の境界904を画定することができる。第1の境界904は、交点906から図9に関して上向きに延びることができる。更に、制御システム130は、第2の平面702及び第1の平面604と第2の平面702との交点906に基づいて、衝突領域902に対する第2の境界908を画定することができる。第2の境界908は、交点906から図9に関しては右に延びることができる。境界904及び908は、交点906から任意の距離だけ延びることができる(たとえば、テーブル150及び/又は患者120よりも実質的に大きいエリアを取り囲む、テーブル150のみを取り囲むなど)。たとえば、境界904及び/又は908は、テーブル150(又は別の対象物)の既知の長さ、高さ、及び/又は深さ、テーブル(又は別の対象物)の平均長さ、高さ、及び/又は深さなど、テーブル150の寸法に関連付けられた距離だけ延びることができる。制御システム130は、テーブル150に隣接して位置付けられたロボットアーム112(A)及び112(B)などのロボットアーム112を除外するように、衝突領域902を画定することができる。例では、衝突領域902は、図2に例示したような三次元(3D)形状を含むことができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、衝突領域902を判定したら、制御システム130は、衝突領域902を表す情報を出力することができる。たとえば、(複数の)ディスプレイ132は、図10に例示するインターフェースなどのインターフェースを介して、衝突領域902の視覚化を提示することができる。インターフェースによって、以下で更に詳細に述べるように、医師140が、衝突領域902を受け入れること及び/又は衝突領域902を調整/再構成することができるようにすることができる。医師140は、ハンドヘルドコントローラ910、(複数の)ディスプレイ132(たとえば、タッチスクリーン)、又は任意の他のI/OデバイスなどのI/Oデバイスを介して、インターフェースと対話することができる。衝突領域902を受け入れたら、制御システム130は、衝突領域902を、衝突を引き起こす可能性がある1つ以上の対象物に関連するものとして指定することなどによって、衝突領域902に基づいて処置を行うようにロボットシステム110を設定することができる。
【0116】
衝突領域902を用いて、一般に環境内の対象物との衝突を回避をしようとする方法で処置を行うことができる。たとえば、1つ以上の医療機器を、ロボットシステム110のロボットアーム112のうちの1つ以上に接続することができ、1つ以上のロボットアーム112を、処置に適した方法で位置付けることができる。医師140は、制御システム130の利便性から(たとえば、図9に示すように医師140が位置付けられた状態で)、処置を容易にし/管理し/制御することができる。たとえば、医師140は、ハンドヘルドコントローラ910などの制御システム130のI/Oデバイスと対話して、ロボットシステム110に取り付けられた1つ以上の医療機器を制御するためのユーザ入力を与えることができる。ロボットシステム110の基部は、処置中に静止したままとすることができ、一方で、ロボットアーム112は1つ以上の医療機器を制御するために異なる方法で移動させる。
【0117】
処置中、制御システム130は、医師140からのユーザ入力を処理してロボットアーム112の移動を制御することができ、その結果、ロボットアーム112及び/又は取り付けられた医療機器は全般的に、衝突領域902の外側の環境内を移動する。たとえば、ロボットアーム112(A)は、ロボットアーム112(A)及び/又は取り付けられた医療機器が、第1の境界904及び/又は第2の境界908を横切ることなく環境内を移動するように制御することができる。例では、制御システム130は、医療機器の1つ以上の寸法/形状及び/又はロボットアーム112(A)上の医療機器の向きを考慮することができる。いくつかの実施形態では、制御システム130及び/又はロボットシステム110は、ユーザ入力が衝突領域902内への移動を引き起こす場合、(複数の)ディスプレイ132などを介して医師140に警報を出すことができる。医師140は、所望に応じて、ロボットシステム110/制御システム130の設定を無効にして、ロボットアーム112を衝突領域902内に移動させることができる。更に、いくつかの実施形態では、ロボットアーム112の移動を、衝突領域902に基づいて他の方法で制御することができる。例では、医師140は、アドミッタンス制御モードを有効にすることによって、ロボットアーム112のうちの1つ以上を、衝突領域902又は環境内の他の場所の中に手作業で移動させることができる。
【0118】
図5図9の例では、ロボットアーム112は、医療機器が結合されていないテーブル150に隣接して位置付けられている。しかし、いくつかの実施形態では、ロボットアーム112を、1つ以上の医療機器が取り付けられた対象物に隣接して位置付けることができる。このような実施形態では、制御システム130は、医療機器上の基準点及び/又は医療機器の1つ以上の寸法に関する情報を用いて、衝突領域に対する平面/境界を画定することができる。
【0119】
更に、図5図9の例では、ロボットアーム112のうちの1つ又は2つを、テーブル150に隣接する2つの位置に位置付けることによって判定された衝突領域を例示している。ロボットアーム112のうちの1つ以上を、テーブル150及び/又は環境内の他の対象物に隣接する2つを超える位置(又は1つの位置のみ)に位置付けできることを理解されたい。したがって、衝突領域は、任意の数の表面/平面/点を有することができる。1つの例示では、ロボットアーム112(C)(「第3のロボットアーム112(C)」とも言う)を、図9に例示した第2のロボットアーム112(B)と同様に、テーブル150の足部に隣接して位置付けることができる。ここで、第3のロボットアーム112(C)は、衝突領域902の第2の境界908(たとえば、ロボットアーム112(B)及び112(C)の両方に接する平面/表面)を正確に画定することを支援することができる。別の例示では、第3のロボットアーム112(C)(及び/又は任意の他のロボットアーム112)は、テーブル150の高さ、患者120の位置(たとえば、ベッドを越えて延びる患者120の脚)などを確立することができる。更に別の例示では、衝突領域は、図6に例示するように、テーブル150を含み平面604のみによって画定される領域などの単一の境界/平面を含むことができる。
【0120】
いくつかの実施形態では、本技法によって、ロボットシステム110を環境内の好都合な/所望の場所で用いることが可能になり、その場所におけるロボットシステム110の作業空間内の対象物との衝突を回避することができる。たとえば、ロボットシステム110を、環境内の任意の場所に位置付けて、そして環境内の対象物の場所を検出するために用いることができる。説明を簡単にするために、ロボットアームの位置を判定する、衝突領域を判定するなどの多くの動作を、制御システム130によって行うという文脈で説明しているが、そのような動作は、その代わりに、又はそれに加えて、ロボットシステム110及び/又は別のデバイス/システムによって行うことができる。
【0121】
インターフェース例
図10に、1つ以上の実施形態による、衝突領域を視覚化及び/又は設定するためのインターフェース例1002を例示する。例では、インターフェース1002を、医療システム100の制御システム130、ロボットシステム110、及び/又は任意の他のデバイスを介して表示することができる。たとえば、インターフェース1002を、制御システム130を介して表示して、医師140が、ロボットシステム110が位置する環境に対して判定された衝突領域を見ること、並びに/又は環境内の衝突領域及び/若しくは他の要素を再構成するための調整入力データを与えることを、可能にすることができる。
【0122】
図示したように、インターフェース1002は、ロボットシステム110が位置する環境に関する視覚化1004を提示することができる。視覚化1004は、は、ロボットシステム110の視覚的表現1006(たとえば、アイコン又は他のユーザインターフェース要素)、環境に対して判定された衝突領域の視覚的表現1008、及び環境内に位置するテーブル150の視覚的表現1010を含むことができる。視覚化1004は、ロボットシステム110の位置/向き情報、衝突領域1008の位置/向きに関する情報、テーブル150に関する情報(たとえば、テーブル150の推定寸法/実際の寸法)、及び/又は環境に関する任意の他の情報に基づくことができる。
【0123】
インターフェース1002によって、ユーザは衝突領域を受け入れ、かつ/又は設定することができる。たとえば、ユーザは、衝突領域1008の第1の境界1014を調整するためにユーザインターフェース要素1012を選択すること、及び/又は衝突領域1008の第2の境界1018を調整するためにユーザインターフェース要素1016を選択することができる。たとえば、ユーザは、インターフェース要素1012/1016を選択して所望の場所にドラッグして、境界1014/1018の位置/向きを変えることができ、これにより、衝突領域1008(及び環境に対する関連する衝突領域)のサイズを増加/減少させ、衝突領域1008(及び環境に対する関連する衝突領域)の形状を変えることなどができる。たとえば、ユーザは、第2の境界1018を、テーブル1010の底部縁部を越えて延びるように移動させて、衝突領域1008が、テーブル150の底部縁部を越えて延びる患者(例示せず)の一部を包含するようにすることができる。更に、いくつかの例では、ユーザは衝突領域1008を選択して別の場所にドラッグすることができる。例では、ユーザは、衝突領域1008、ロボットシステム110の視覚的表現1006、及び/又はテーブル150の視覚的表現1010を操作して、境界を除去する、視覚的表現1006/1008/1010を再位置付け/再配向きする(これにより、制御システム130/ロボットシステム110が、環境に対する関連する位置/向き情報を更新することができる)などの任意の特性を変えることができる。衝突領域1008(及び/又は視覚化1004の他の要素)がユーザにとって許容できる場合、ユーザはボタン1020を選択して、設定を受け入れ、制御システム130/ロボットシステム110に医療システム100を、設定(たとえば、関連付けられる衝突領域)に基づいて動作するように設定することができる。
【0124】
フロー図例
図11に、1つ以上の実施形態による、対象物に関連付けられる領域を判定するためのプロセス1100のフロー図例を例示する。プロセス1100に関連付けられた種々の動作/行為は、制御システム130、ロボットシステム110、テーブル150、医療機器、及び/又は別のデバイスなどの本明細書で説明したデバイス/システムのいずれか、又はそれらの組み合わせに実装された制御回路によって行うことができる。プロセス1100は、処置ための医療システム100のセットアップ/設定中、処置中、処置後、かつ/又は他のときに行うことができる。1つの例示では、プロセス1100は、処置のためにロボットシステム110を設定するために行われる。種々のブロックをプロセス1100の一部であると例示しているが、そのようなブロックのいずれも削除することができる。更に、更なるブロックをプロセス1100の一部として実装することができる。ブロックを例示した順番は、単に説明を目的として示しており、ブロックは任意の順番で実装することができる。いくつかの実施形態では、プロセス1100のブロックのうちの1つ以上は、実行可能命令であって、制御回路によって実行されると、説明した機能性/動作を制御回路に行わせる実行可能命令として実装される。しかし、プロセス1100のブロックのうちの1つ以上を、他のデバイス/システム、ユーザ等によるなどの他の方法で実装することができる。
【0125】
ブロック1102において、プロセス1100は、ロボットアームを手作業で移動させられるようにすることを含むことができる。たとえば、ユーザは、ロボットアームのユーザ操作によってロボットアームが移動するアドミッタンス制御モードにロボットアームを設定するための入力を与えることができる。入力は、ロボットアーム上のボタンを選択すること、インターフェース/コントローラを介して入力を与えること等によるなどの種々の方法で与えることができる。いくつかの実施形態では、ロボットアームは、ロボットアームに関連付けられたロボットシステム、制御システム、及び/又は別のデバイス/システム上でセットアップモードに入ると、手動の移動に対して有効にすることができる。動作1102をプロセス1100において例示しているが、いくつかの実施形態では、ロボットアームは、ロボットアームの手動の移動を可能にするデフォルト/永久状態を含むことができる(たとえば、ブロック1102を実装しない)。
【0126】
ブロック1104において、プロセス1100は、ロボットアームが環境内の対象物に隣接して位置付けられていることを判定することを含むことができる。たとえば、ロボットアームは、ロボットアームが対象物に隣接して位置付けられていることを示す入力データを(I/Oデバイスから)受け取ったとき、ユーザがロボットアーム上のボタンを解放してアドミッタンス制御モードを無効にしたとき、ロボットアームが、移動された後(及び/又はユーザロボットアーム上のボタンを開放した後)にある時間、静止したままでいるとき、それらの組み合わせ、及び/又は他の事象のときに、対象物に隣接していると判定することができる。いくつかの実施形態では、ロボットアームは、ロボットアームが対象物に接触しているか、そうでなければ対象物に近接して位置付けられている(たとえば、対象物に対して所定の距離内にある)ときに、対象物に隣接して位置付けられていると言うことができる。
【0127】
ブロック1106において、プロセス1100は、ロボットアームの位置を判定することを含むことができる。たとえば、制御システム/ロボットシステムは、ロボットアームに対する位置データを用いて、ロボットアームの遠位端などのロボットアームの端部の位置を判定することができる。位置情報は、医療機器に結合するように構成されている端部などの、ロボットアームのエンドエフェクタ端部の位置を示すことができる。
【0128】
ブロック1108において、プロセス1100は、ロボットアームが別の位置に移動したか否かを判定すること、又は更なるロボットアームが移動したか否かを判定することを含むことができる。ロボットアームが別の位置に移動したか、又は更なるロボットアームがある位置に移動した場合、プロセス1100はブロック1104に戻ることができる。たとえば、ロボットアームが別の位置に移動した場合、プロセス1100はブロック1104に戻って、ロボットアームが対象物の別の縁部に隣接して位置付けられていると判定し、ブロック1106において、対象物の他の縁部にあるロボットアームの位置を判定することができる。更に、更なるロボットアームがある位置に移動した場合、プロセス1100はブロック1104に戻って、更なるロボットアームが対象物に隣接して位置付けられていると判定し、ブロック1106において、対象物に隣接する位置にある更なるロボットアームの位置を判定することができる。プロセス1100は、ブロック1104~1108を任意の回数ループして、対象物に対する任意の数の基準点に関連付けられた位置情報を判定することができる。
【0129】
ブロック1110において、プロセス1100は、対象物に関連付けられた環境内の領域/エリアを判定することを含むことができる。たとえば、領域(「衝突領域」又は「対象物領域」とも言う)を、第1の基準点における(たとえば、1回目における)第1のロボットアームの遠位端の位置、第2の基準点における(たとえば、2回目における)第1のロボットアームの遠位端の位置、第3の基準点における第2のロボットアームの遠位端の位置、第4の基準点における第2のロボットアームの遠位端の位置などに基づいて判定することができる。領域は、対象物に対する任意の数の基準点における任意の数のロボットアームに対する位置情報に基づくことができる。いくつかの実施形態では、領域の境界は、ロボットアームの遠位端の位置に基づいて判定することができる。1つの例示では、領域は、第1のロボットアームの端部の位置に基づいて第1の平面を画定し、第2のロボットアームの端部の位置及び/又は2回目における第1のロボットアームの端部の位置に基づいて第2の平面を画定することによって、判定することができる。ここで、領域は、第1の平面、第2の平面、第1の平面と第2の平面との交点に基づくことができる。領域は、対象物を含み、かつ/又はロボットシステムを除外することができる。
【0130】
ブロック1112において、プロセス1100は、領域に関する視覚化を表示させること、及び/又はユーザが領域を更新できるようにすることを含むことができる。たとえば、視覚化を表すインターフェースデータを表示のために送ることができ、かつ/又はインターフェースデータを、制御システム/ロボットシステムに関連付けられる(複数の)ディスプレイを介して表示することができる。視覚的表現に対する調整を含む調整入力データを受け取ることができ、かつ/又は視覚的表現に対する調整(たとえば、調整データ)に基づいて領域を更新することができる。
【0131】
ブロック1114において、プロセス1100は、領域に少なくとも部分的に基づいて移動するように1つ以上のロボットアームを制御することを含むことができる。たとえば、ロボットシステムのロボットアームを、領域内に移動することなく環境内を移動すること、ユーザから確認を受け取ったら領域内に移動することなどを行うように、制御することができる。たとえば、制御システム/ロボットシステムは、入力デバイスから、ロボットアームに取り付けられた医療機器の移動に関する入力制御データを受け取ることができる。制御システム/ロボットシステムは、入力制御データが衝突領域内への/内でのロボットアームの移動に関連付けられていると判定することができる。制御システム/ロボットシステムは、入力制御データが衝突領域内への移動に関連付けられていることを示す通知/警報を表示させることができる。そして、制御システム/ロボットシステムは、衝突領域内に進むべきか否か示す入力データ(たとえば、ユーザからのユーザ入力に基づく)を受け取ることができる。制御システム/ロボットシステムは、入力データに基づいて、衝突領域内にロボットアームを移動させるか又は移動をやめることができる。代替的に、場合によっては、制御システム/ロボットシステムは、ユーザに通知/警報を出すことなく衝突領域内への移動を妨げること、及び/又はユーザに通知/警報を出すことなく他の処理を行うことができる。
【0132】
ブロック1116において、プロセス1100は、領域を更新することを含むことができる。たとえば、制御システム/ロボットシステムは、医療処置を実行するための処置モードに設定することができる。処置中に、制御システム/ロボットシステムが、ロボットアームが衝突を経験したと判定した場合、制御システム/ロボットシステムは、衝突が起きたときのロボットアームの遠位端の位置に基づいて領域を更新することができる。例では、ブロック1112に対して説明したものと同様に、領域が更新される前に、処置中に領域の視覚化を表示することができる。
【0133】
いくつかの実施形態では、領域を、処置前、処置中、又は処置後の任意の時点に更新することができ、これには、領域の視覚化をユーザに表示することが含まれていてもよいしそうでなくてもよい。たとえば、ブロック1112及び/又は1116を、処置前、処置中、及び/又は処置後の任意の時点に行うことができる。1つの例示では、更なる対象物を環境内に持ち込むことができ(たとえば、処置中に、更なる医療機器をロボットシステムの近接内に移動させることができ)、更なる対象物との衝突を回避するために領域を更新することができる。
【0134】
更に、いくつかの実施形態では、プロセス1100のブロックのうちの1つ以上を、ロボットシステムが、ロボットシステムのための1つ以上の車輪が固定化される静止位置などの同じ待機位置に位置する間に行うことができる。
【0135】
更なる実施形態
実施形態に応じて、本明細書に記載のアルゴリズム又はプロセスのうちのいずれかの特定の行為、事象、又は機能は、異なる順序で行うことができ、追加し、マージし、又は完全に除外してもよい。したがって、ある実施形態では、説明した行為又は事象のすべてがプロセスの実行にとって必要なわけではない。
【0136】
とりわけ、「することができる(can)」、「することができる(could)」、「し得る(might)」、「し得る(may)」、「たとえば(e.g.)」、及び同等物などの本明細書で使用される条件的文言は、別途具体的に記述されない限り、又は使用される文脈内で別途理解されない限り、その通常の意味で意図され、全般的に、ある特定の実施形態が、ある特定の特徴、要素、及び/又はステップを含むが、他の実施形態が含まないことを伝達することを意図している。したがって、そのような条件的文言は、全般的に、特徴、要素、及び/又はステップが、1つ若しくは2つ以上の実施形態のために任意の方法で必要とされること、又は1つ若しくは2つ以上の実施形態が、入力若しくはプロンプティングの有無を問わず、これらの特徴、要素、及び/若しくはステップが任意の特定の実施形態に含まれるか、又は実施されるかどうかを判定するための論理を必ず含むことを示唆することを意図しない。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」、及び同等物などの用語は、それらの通常の意味で使用され、非限定的な様式で包括的に使用され、更なる要素、特徴、行為、動作などを除外しない。また、「又は」という用語は、使用される場合、たとえば、要素の列挙を接続するために、「又は」という用語は、列挙された要素のうちの1つ、いくつか、又はすべてを意味するように、その包含的な意味で(かつその排他的な意味ではなく)使用される。別途具体的に記述されない限り、「X、Y及びZのうちの少なくとも1つ」という語句などの接続言語は、項目、用語、要素などがX、Y、又はZのいずれかであり得ることを伝えるために、一般的に使用されるような文脈で理解される。したがって、そのような接続言語は、全般的に、特定の実施形態が、Xのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、及びZのうちの少なくとも1つが、それぞれ存在することを要求することを暗示することを意図しない。
【0137】
実施形態の上記の説明では、様々な特徴が、時として、本開示を合理化し、様々な発明の態様のうちの1つ以上の理解を補助する目的で、単一の実施形態、図、又はその説明においてともにグループ化されることを理解されたい。しかしながら、本開示の方法は、任意の請求項がその請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映すると解釈されるべきではない。更に、本明細書の特定の実施形態に例解及び/又は記載される任意のコンポーネント、特徴、又はステップは、任意の他の実施形態に適用されるか、又はそれとともに使用することができる。更に、いずれのコンポーネント、特徴、ステップ、又はコンポーネント、特徴、若しくはステップの群も、各実施形態のために必要又は不可欠ではない。したがって、本明細書において開示され、以下で特許請求される本開示の範囲は、上記の特定の実施形態によって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲を公正に読むことによって判定されるべきであることが意図される。
【0138】
特定の序数用語(たとえば、「第1」又は「第2」)が参照を容易にするために提供される場合があり、必ずしも物理的特性又は順序付けを示唆するわけではないことを理解されたい。したがって、本明細書で使用される場合、構造、コンポーネント、動作などの要素を修正するために使用される序数用語(たとえば、「第1」、「第2」、「第3」など)は、必ずしも任意の他の要素に対する要素の優先順位又は順序を示すわけではなく、むしろ、全般的に、要素を(序数用語の使用を別として)同様又は同一の名称を有する別の要素と区別し得る。更に、本明細書で使用される場合、不定冠詞(「a」及び「an」)は、「1つ」ではなく「1つ以上」を示し得る。更に、条件又は事象に「基づいて」実施される動作はまた、明示的に列挙されていない1つ以上の他の条件又は事象に基づいて実施され得る。
【0139】
別途定義されない限り、本明細書で使用されているすべての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、実施形態例が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有している。一般的に使用される辞書で定義されているものなどの用語は、関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように定義されない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことを更に理解されたい。
【0140】
「外側」、「内側」、「上側」、「下側」、「下方」、「上方」、「垂直」、「水平」という空間的に相対的な用語、及び同様の用語は、図面に例解されるような1つの要素又はコンポーネントと別の要素又はコンポーネントとの間の関係を説明するための説明を容易にするために、本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図面に描写される向きに加えて、使用又は動作時のデバイスの異なる向きを包含することを意図していると理解されたい。たとえば、図面に示されるデバイスが反転される場合、別のデバイスの「下方」又は「下に」位置決めされたデバイスは、別のデバイスに「上方」に配置され得る。したがって、「下方」という例解的用語は、下側及び上側位置の両方を含み得る。デバイスはまた、他の方向に配向される場合があり、したがって、空間的に相対的な用語は、向きに応じて異なって解釈され得る。
【0141】
別途明記されない限り、「より少ない」、「より多い」、「より大きい」などの比較及び/又は定量的用語は、平等の概念を包含することを意図している。たとえば、「より少ない」は、厳密な数学的意味での「より少ない」だけでなく、「以下」も意味することができる。
【0142】
〔実施の態様〕
(1) システムであって、
医療機器に結合するように構成された第1のロボットアームを含むロボットシステムと、
前記ロボットシステムに通信可能に結合された制御回路であって、
前記第1のロボットアームが環境内の対象物に隣接して位置付けられていることを示す入力データを受け取ることと、
前記第1のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいて、前記対象物に関連付けられている前記環境内の領域を判定することと、
前記領域内に移動することなく前記環境内を移動するように、前記ロボットシステムの前記第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方を制御することと、を行うように構成された、制御回路と、を備える、システム。
(2) 前記第1のロボットアームは、前記第1のロボットアームのユーザ操作によって前記第1のロボットアームが移動するアドミッタンス制御モードで動作するように構成され、
前記第1のロボットアームが前記アドミッタンス制御モードで動作しているときに前記入力データが受け取られる、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記入力データは、前記第1のロボットアームが前記対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていることを示し、前記制御回路は、
前記第2のロボットアームが前記対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていることを示す追加入力データを受け取ることと、
前記第2のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいて前記領域を判定することと、を行うように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記制御回路は、前記第1のロボットアームの前記遠位端の前記位置に少なくとも部分的に基づいて前記領域の第1の境界を判定することと、前記第2のロボットアームの前記遠位端の前記位置に少なくとも部分的に基づいて前記領域の第2の境界を判定することと、によって、前記領域を判定するように構成されている、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記入力データは、前記第1のロボットアームが前記対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていることを示し、前記制御回路は、
前記第1のロボットアームが前記対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていることを示す追加入力データを受け取ることと、
前記入力データが受け取られたときの前記第1のロボットアームの前記遠位端の位置と、前記追加入力データが受け取られたときの前記第1のロボットアームの前記遠位端の位置とに少なくとも部分的に基づいて、前記領域を判定することと、を行うように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0143】
(6) 前記制御回路は、前記ロボットシステムの位置に少なくとも部分的に基づいて前記領域を判定するように構成され、前記領域は、前記対象物を含み、前記ロボットシステムを除外する、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記制御回路は、
前記領域の視覚的表現を表示することと、
前記視覚的表現に対する調整を含む調整入力データを受け取ることと、
前記視覚的表現に対する前記調整に少なくとも部分的に基づいて前記領域を更新することと、を行うように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記制御回路は、
前記システムを医療処置を実行する処置モードに設定することと、
前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が衝突を受けたと判定することと、
前記衝突が起きたときの前記第1のロボットアームの前記遠位端の位置又は前記第2のロボットアームの位置のうちの少なくとも一方に基づいて前記領域を更新することと、を行うように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(9) 方法であって、
第1のロボットアームを手作業で移動できるようにすることと、
制御回路が、前記第1のロボットアームが1つ以上の対象物に隣接して位置付けられていることを示す入力データを受け取ることと、
前記制御回路が、前記第1のロボットアームの端部の位置に少なくとも部分的に基づいて衝突領域を判定することと、
前記衝突領域に少なくとも部分的に基づいて、前記制御回路が、医療処置を実行するように前記第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を制御することと、を含む、方法。
(10) 前記入力データは、前記第1のロボットアームが前記1つ以上の対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていることを示し、前記方法は、
前記第2のロボットアームが前記1つ以上の対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていることを示す追加入力データを受け取ることを更に含み、
前記衝突領域を前記判定することは更に、前記第2のロボットアームの端部の位置に少なくとも部分的に基づく、実施態様9に記載の方法。
【0144】
(11) 前記衝突領域を前記判定することは、
前記第1のロボットアームの前記端部の前記位置に少なくとも部分的に基づいて第1の平面を画定することと、
前記第2のロボットアームの前記端部の前記位置に少なくとも部分的に基づいて第2の平面を画定することと、
前記第1の平面、前記第2の平面、及び前記第1の平面と前記第2の平面との交点に少なくとも部分的に基づいて、前記領域を判定することと、を含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記入力データは、前記第1のロボットアームが前記1つ以上の対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていることを示し、前記方法は、
前記第1のロボットアームが前記1つ以上の対象物の別の縁部に隣接して位置付けられていることを示す追加入力データを受け取ることを更に含み、
前記衝突領域を前記判定することは、前記入力データを受け取ったときの前記第1のロボットアームの前記端部の位置と、前記追加入力データを受け取ったときの前記第1のロボットアームの前記端部の位置とに少なくとも部分的に基づいて、前記衝突領域を判定することを含む、実施態様9に記載の方法。
(13) 前記衝突領域を前記判定することは、
前記入力データを受け取ったときの前記第1のロボットアームの前記端部の前記位置に少なくとも部分的に基づいて第1の平面を画定することと、
前記追加入力データを受け取ったときの前記第1のロボットアームの前記端部の前記位置に少なくとも部分的に基づいて第2の平面を画定することと、
前記第1の平面、前記第2の平面、及び前記第1の平面と前記第2の平面との交点に少なくとも部分的に基づいて、前記領域を判定することと、を含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方は、医療機器に接続するように構成され、前記方法は、
入力デバイスから、前記医療機器の移動に関する入力制御データを受け取ることと、
前記入力制御データが、前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が前記衝突領域内に移動することに関連付けられていると判定することと、を更に含み、
前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を前記制御することは、前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が前記衝突領域内に移動することを妨げることを含む、実施態様9に記載の方法。
(15) 前記入力制御データが、前記衝突領域内への移動に関連付けられていることを示す通知を表示することと、
前記衝突領域内に進むか否かを示す追加入力データを受け取ることと、を更に含み、
前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を前記制御することは、前記追加入力データに少なくとも部分的に基づく、実施態様14に記載の方法。
【0145】
(16) 前記第1のロボットアームはロボットシステムに接続され、前記入力データを前記受け取ることと、前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を前記制御することとは、前記ロボットシステムが同じ待機位置に位置している間に行われる、実施態様9に記載の方法。
(17) 前記第1のロボットアームの前記端部は、前記第1のロボットアームのエンドエフェクタ端部である、実施態様9に記載の方法。
(18) 制御システムであって、
第1のロボットアームと通信するように構成された通信インターフェースと、
前記通信インターフェースに通信可能に結合された制御回路であって、
前記第1のロボットアームが環境内の1つ以上の対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていると判定することと、
前記第1のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいて、前記環境に対する衝突領域を判定することと、
前記衝突領域に少なくとも部分的に基づいて、前記第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を制御することであって、前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方は医療機器に結合するように構成されている、制御することと、を行うように構成された、制御回路と、を備える、制御システム。
(19) 前記制御回路は、
入力デバイスから、前記医療機器を制御する入力制御データを受け取ることと、
前記入力制御データが、前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が前記衝突領域内に移動することに関連付けられていると判定することと、を行うように更に構成され、
前記制御回路は、前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が前記衝突エリア内に移動することを妨げることによって、前記第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を制御するように構成されている、実施態様18に記載の制御システム。
(20) 前記制御回路は、前記第2のロボットアームが前記1つ以上の対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていると判定するように更に構成され、
前記制御回路は、前記第1のロボットアームの前記遠位端の前記位置と、前記第2のロボットアームの遠位端の位置とに少なくとも部分的に基づいて、前記衝突領域を判定するように構成されている、実施態様18に記載の制御システム。
【0146】
(21) 前記制御回路は、前記第1のロボットアームが前記1つ以上の対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていると判定するように更に構成され、
前記制御回路は、前記1つ以上の対象物の前記第1の縁部における前記第1のロボットアームの前記遠位端の前記位置と、前記1つ以上の対象物の前記第2の縁部における前記第1のロボットアームの前記遠位端の位置とに少なくとも部分的に基づいて、前記衝突領域を判定するように構成されている、実施態様18に記載の制御システム。
(22) 前記制御回路は、
前記衝突領域の視覚的表現を表示することと、
前記視覚的表現に対する調整を含む調整入力データを受け取ることと、
前記視覚的表現に対する前記調整に少なくとも部分的に基づいて前記衝突領域を更新することと、を行うように更に構成されている、実施態様18に記載の制御システム。
(23) 前記制御回路は、
前記制御システムを医療処置を実行する処置モードに設定することと、
前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が衝突を受けたと判定することと、
前記衝突が起きたときの前記第1のロボットアームの前記遠位端の位置又は前記第2のロボットアームの位置のうちの少なくとも一方に基づいて前記衝突領域を更新することと、を行うように更に構成されている、実施態様18に記載の制御システム。
(24) コンピュータ実行可能命令を記憶する1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ実行可能命令は、制御回路によって実行されると、前記制御回路に、
第1のロボットアームが環境内の1つ以上の対象物の第1の縁部に隣接して位置付けられていると判定することと、
前記第1のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づいて、前記環境に対する衝突エリアを判定することと、
前記衝突エリアに少なくとも部分的に基づいて、前記第1のロボットアーム又は第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を制御することであって、前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方は医療機器に結合するように構成されている、制御することと、を含む、動作を実行させる、1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体。
(25) 前記動作は、
前記第2のロボットアームが前記1つ以上の対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていると判定することを更に含み、
前記衝突エリアを前記判定することは更に、前記第2のロボットアームの遠位端の位置に少なくとも部分的に基づく、実施態様24に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0147】
(26) 前記衝突エリアを前記判定することは、
前記第1のロボットアームの前記遠位端の前記位置に少なくとも部分的に基づいて第1の平面を画定することと、
前記第2のロボットアームの前記遠位端の前記位置に少なくとも部分的に基づいて第2の平面を画定することと、
前記第1の平面、前記第2の平面、及び前記第1の平面と前記第2の平面との交点に少なくとも部分的に基づいて、前記衝突エリアを判定することと、を含む、実施態様25に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体。
(27) 前記動作は、
前記第1のロボットアームが前記1つ以上の対象物の第2の縁部に隣接して位置付けられていると判定することを更に含み、
前記衝突エリアを前記判定することは、前記1つ以上の対象物の前記第1の縁部における前記第1のロボットアームの前記遠位端の前記位置と、前記1つ以上の対象物の前記第2の縁部における前記第1のロボットアームの前記遠位端の位置とに少なくとも部分的に基づく、実施態様24に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体。
(28) 前記衝突エリアを前記判定することは、
前記1つ以上の対象物の前記第1の縁部における前記第1のロボットアームの前記遠位端の前記位置に少なくとも部分的に基づいて、第1の平面を画定することと、
前記1つ以上の対象物の前記第2の縁部における前記第1のロボットアームの前記遠位端の前記位置に少なくとも部分的に基づいて、第2の平面を画定することと、
前記第1の平面、前記第2の平面、及び前記第1の平面と前記第2の平面との交点に少なくとも部分的に基づいて、前記衝突エリアを判定することと、を含む、実施態様27に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体。
(29) 前記動作は、
入力デバイスから、前記医療機器の移動に関する入力制御データを受け取ることと、
前記入力制御データが、前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が前記衝突エリア内に移動することに関連付けられていると判定することと、を更に含み、
前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方の移動を前記制御することは、前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームのうちの少なくとも一方が前記衝突エリア内に移動することを妨げることを含む、実施態様24に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体。
(30) 前記第1のロボットアームが前記1つ以上の対象物の前記第1の縁部に隣接して位置付けられていると前記判定することは、前記第1のロボットアームがアドミッタンス制御モードで動作しているときに、前記第1のロボットアームが前記1つ以上の対象物の前記第1の縁部に隣接して位置付けられていることを示す入力データを受け取ることを含む、実施態様24に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読媒体。
図1
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【国際調査報告】