(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】マルチアパーチャ光学系アセンブリを備えたマシンビジョンシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/74 20230101AFI20230906BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20230906BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20230906BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20230906BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20230906BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20230906BHJP
G03B 15/02 20210101ALI20230906BHJP
G03B 15/05 20210101ALI20230906BHJP
【FI】
H04N23/74
H04N23/56
H04N23/55
G03B15/00 T
G02B7/04 Z
G02B7/08 C
G03B15/02 G
G03B15/05
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514433
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(85)【翻訳文提出日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 US2021048903
(87)【国際公開番号】W WO2022051526
(87)【国際公開日】2022-03-10
(32)【優先日】2020-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504382671
【氏名又は名称】コグネックス・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス-ドラド ホセ
(72)【発明者】
【氏名】ヌニンク ローレンス
【テーマコード(参考)】
2H044
2H053
5C122
【Fターム(参考)】
2H044BF00
2H044BF07
2H044BF10
2H044DC10
2H053BA34
5C122DA12
5C122EA01
5C122EA20
5C122FA08
5C122FB07
5C122FB17
5C122FD10
5C122FF01
5C122FF03
5C122FH11
5C122GG03
5C122GG04
5C122GG05
5C122GG17
5C122GG26
5C122HA75
(57)【要約】
ビジョンシステムにおけるリーダの被写界深度を制御するための装置は、内側領域及び外側領域を有する二重アパーチャアセンブリを備えている。第1の光源を用いて、内側領域に対応する光ビームを生成することができ、第2の光源を用いて、外側領域に対応する光ビームを生成することができる。第1の光源及び第2の光源のうち物体の画像を取得するために当該物体を照明するための1つを選択することにより、リーダの被写界深度を制御することができる。第1の光源又は第2の光源の選択は、ビジョンシステムの少なくとも1つのパラメータに基づいて行うことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定マルチアパーチャアセンブリ及び少なくとも1つのレンズを備えた光学系アセンブリと、
画像センサ及び処理装置を備えたセンサアセンブリと、
照明アセンブリと、
を備えたマシンビジョンシステムであって、
前記照明アセンブリは、第1種類の光と第2種類の光とを用いて画像取得を行うために選択的に物体に照明するように構成されており、
前記固定マルチアパーチャアセンブリは、前記第1種類の光及び前記第2種類の光を通過させるように構成された第1の領域と、前記第1種類の光をフィルタリングして前記第2種類の光を通過させるように構成された第2の領域と、を備えることにより、前記第2種類の光による照明の方が前記第1種類の光による照明より大きい光アパーチャを提供し、
前記処理装置は、
前記センサアセンブリによって取得した第1の画像又は当該第1の画像に対する第1の画像取得プロセスのうち少なくとも一方の解析に基づき、前記第1種類の光又は前記第2種類の光のうち少なくとも一方を選択し、
前記第1種類の光又は前記第2種類の光のうち選択した前記少なくとも一方を用いて第2の画像を取得するように前記マシンビジョンシステムを制御し、
前記第2の画像を解析して当該第2の画像中のシンボルを復号化する
ことを特徴とするマシンビジョンシステム。
【請求項2】
前記処理装置は、
前記第1の画像取得プロセスにかかる露光時間がしきい露光時間を超えるか否かの判定、
前記第1の画像の飽和領域の特定、
前記第1の画像中のホットスポット若しくは散乱光のうち少なくとも1つの特定、
前記第1の画像に含まれるターゲット物体までの距離の特定、又は、
前記第1の画像に含まれる物体の寸法の特定
のうち1つ又は複数に基づいて、前記第1種類の光又は前記第2種類の光のうち前記少なくとも1つを選択するように構成されている、
請求項1記載のマシンビジョンシステム。
【請求項3】
ビジョンシステムにおけるリーダの被写界深度を制御するための装置であって、
内側領域及び外側領域を有する二重アパーチャアセンブリと、少なくとも1つのレンズと、を備えた光学系アセンブリと、
画像センサと、
前記二重アパーチャアセンブリの前記内側領域に対応する第1の光ビームを生成するように構成された第1の光源と、
前記二重アパーチャアセンブリの前記外側領域に対応する第2の光ビームを生成するように構成された第2の光源と、
前記光学系アセンブリ、前記第1の光源及び前記第2の光源と通信する処理装置と、
を備えており、
前記処理装置は、前記第1の光源又は前記第2の光源のうち物体の画像を取得するために前記物体を照明するための1つを、前記ビジョンシステムの少なくとも1つのパラメータに基づき選択することにより、前記リーダの被写界深度を制御するように構成されている
ことを特徴とする装置。
【請求項4】
前記内側領域は第1の被写界深度を提供するための第1のアパーチャを形成し、
前記外側領域と前記内側領域とが、前記第1の被写界深度より小さい第2の被写界深度を提供するための、前記第1のアパーチャより大きい第2のアパーチャを形成する、
請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのレンズは液体レンズを含む、
請求項3記載の装置。
【請求項6】
前記処理装置はさらに、前記二重アパーチャアセンブリの前記内側領域又は前記外側領域のうち少なくとも一方を用いて前記リーダにより取得した第1の画像に基づき、前記少なくとも1つのパラメータを特定するように構成されており、
前記少なくとも1つのパラメータは、前記ビジョンシステムの要素のうち1つ若しくは複数に関連し、又は前記物体に関連するものである、
請求項3記載の装置。
【請求項7】
前記第1の光ビームは第1の波長を有し、前記第2の光ビームは、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有し、
前記二重アパーチャアセンブリの前記外側領域は、前記第2の波長を通過させるが前記第1の波長を通過させないように構成されている、
請求項3記載の装置。
【請求項8】
前記第1の光ビームは第1の偏光を有し、前記第2の光ビームは、前記第1の偏光とは異なる第2の偏光を有し、
前記二重アパーチャアセンブリの前記外側領域は、前記第2の偏光を有する光を通過させるが前記第1の偏光を有する光を通過させないように構成されている、
請求項3記載の装置。
【請求項9】
前記物体の高さを特定するために構成された距離センサをさらに備えており、
前記ビジョンシステムの前記少なくとも1つのパラメータは前記物体の高さである、
請求項3記載の装置。
【請求項10】
前記光学系アセンブリと前記物体との間の距離を特定するために構成された距離センサをさらに備えており、
前記ビジョンシステムの前記少なくとも1つのパラメータは前記光学系アセンブリと前記物体との間の距離である、
請求項3記載の装置。
【請求項11】
ビジョンシステムにおけるリーダの被写界深度を制御するための方法であって、
第1種類の光の第1の光ビームと、マルチアパーチャアセンブリにおける当該第1種類の光に対応する第1の領域と、を用いて物体の第1の画像を取得することと、
前記第1の画像に関連する少なくとも1つのパラメータを特定することと、
前記少なくとも1つのパラメータに基づき、第2種類の光の第2の光ビームと、前記マルチアパーチャアセンブリにおける当該第2種類の光に対応する第2の領域と、を用いて、前記第1の画像とは異なる被写界深度を有する前記物体の第2の画像を取得することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのパラメータは、前記第1の画像の取得にかかる露光時間であり、前記露光時間と最大露光時間閾値との比較に基づき前記第2の画像を取得する、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記第1の光ビームは第1の波長を有し、前記マルチアパーチャアセンブリの前記第1の領域は内側領域であり、
前記第2の光ビームは、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有し、前記マルチアパーチャアセンブリの前記第2の領域は外側領域である、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのパラメータは、前記第1の画像中の少なくとも1つの飽和領域に係る飽和値を含む、
請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記第1の光ビームは第1の偏光を有し、前記第2の光ビームは、前記第1の偏光とは異なる第2の偏光を有する、
請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのパラメータは、前記第1の画像中の少なくとも1つのホットスポット又は散乱光に係る画素値を含む、
請求項11記載の方法。
【請求項17】
前記第1の光ビームは第1の偏光又は第1の色値の1つ又は複数を有し、前記マルチアパーチャアセンブリの前記第1の領域は外側領域であり、
前記第2の光ビームは、前記第1の偏光とは異なる第2の偏光又は前記第1の色値とは異なる第2の色値の1つ又は複数を有し、前記マルチアパーチャアセンブリの前記第2の領域は内側領域である、
請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記シンボルはダイレクトパーツマーキングシンボルである、
請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記第1の画像と前記第2の画像とを組み合わせることなく前記第2の画像中の前記物体を解析することをさらに含む、
請求項11記載の方法。
【請求項20】
前記マルチアパーチャアセンブリの前記第1の領域は外側領域であり、前記第2種類の光を通過させるが前記第1種類の光を通過させないように構成されており、
前記マルチアパーチャアセンブリの前記第2の領域は内側領域であり、前記第1種類の光と前記第2種類の光とを通過させるように構成されている、
請求項11記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つのパラメータは前記物体の寸法である、
請求項11記載の方法。
【請求項22】
前記第1の光ビームは第1の波長を有し、前記マルチアパーチャアセンブリの前記第1の領域は外側領域であり、
前記第2の光ビームは、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有し、前記マルチアパーチャアセンブリの前記第2の領域は内側領域である、
請求項21記載の方法。
【請求項23】
ビジョンシステムにおけるリーダの被写界深度を制御するための装置であって、
内側領域及び外側領域を有する二重アパーチャアセンブリと、少なくとも1つのレンズと、を備えた光学系アセンブリと、
画像センサと、
前記二重アパーチャアセンブリの前記内側領域を透過する第1の光ビームを生成するように構成された第1の光源であって、所定の高さ閾値より大きい高さを有する第1の物体に前記第1の光ビームを投影するように構成された第1の光源と、
前記二重アパーチャアセンブリの前記内側領域及び前記外側領域を透過する第2の光ビームを生成するように構成された第2の光源であって、前記所定の高さ閾値より小さい高さを有する第2の物体に前記第2の光ビームを投影するように構成された第2の光源と、
前記光学系アセンブリ、前記第1の光源及び前記第2の光源と通信する処理装置と、
を備えている
ことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、米国特許出願第17/010,332号(出願日:2020年9月2日、発明の名称「マルチアパーチャ光学系アセンブリを備えたマシンビジョンシステム及び方法」)に基づくと共に、その優先権を主張するものであり、同特許出願の記載内容は全て、参照により本願の記載内容に含まれるものとする。
【0002】
本願開示は一般にはマシンビジョンシステムに関するものであり、より具体的には、ビジョンシステムの被写界深度を制御するためのマルチアパーチャを備えた光学系アセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0003】
マシンビジョンシステム(単に「ビジョンシステム」と称することもある)は、画像センサを備えた画像取得装置を使用して、観察対象の被写体に関する情報を提供することができる。その後、システムはこの情報を様々なアルゴリズムに従って解釈し、プログラミングされた意思決定又は識別機能を実行することができる。例えば、システムにとって関心のある特徴を有する物体の画像は、適切な照明下でオンボード画像センサ(単に「撮像装置」又は「センサ」と称することもある)によって可視光域又は可視光域付近で取得することができ、かかる取得は、内部若しくは外部の照明装置により提供される光又は周辺光に基づいて行うことができる。
【0004】
ビジョンシステムの一般的なタスクは、シンボル(例えば一次元又は二次元コード、「ID」とも称される)の読み取り及び復号化であり、かかるタスクは多岐にわたる幅広い用途や業界において用いられ、とりわけIDバーコード、二次元データマトリクスコード(2D DataMatrix Codes)、QRコード(登録商標)、及びドットコードの形態をとることができる。画像センサは被写体又は物体の画像(典型的には、グレースケール又はカラーの一次元、二次元又は三次元画像)を取得し、オンボード又は相互接続されたビジョンシステムプロセッサを用いて、この取得した画像を処理する。このプロセッサは、1つ又は複数のビジョンシステム処理を実行して画像の処理済み情報に基づく所望の出力を生成する処理ハードウェアと非一時的なコンピュータ可読プログラム指令(ソフトウェア)の両方を備えていることが多い。この画像情報は典型的には、それぞれが種々の色又は強度を有する画素のアレイで提供される。IDリーダ(ここでは「リーダ」とも称される)の事例では、ユーザ又は自動プロセスが、1つ又は複数のバーコード、二次元コードその他の形式のIDを含むと考えられる物体の画像を取得する。この画像が処理されることにより、符号化された特徴が識別され、その後、1つ又は複数の復号化処理によってこの符号化された情報を復号化して、コードにより表現された固有の英数字データが得られる。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、マシンビジョンシステムは、固定マルチアパーチャアセンブリ及び少なくとも1つのレンズを備えた光学系アセンブリと、画像センサ及び処理装置を備えたセンサアセンブリと、照明アセンブリと、を備えることができる。前記照明アセンブリは、第1種類の光と第2種類の光とを用いて画像取得を行うために選択的に物体に照明するように構成することができる。前記固定マルチアパーチャアセンブリは、前記第1種類の光及び前記第2種類の光を通過させるように構成された第1の領域と、前記第1種類の光をフィルタリングして前記第2種類の光を通過させるように構成された第2の領域と、を備えることにより、前記第2種類の光による照明の方が前記第1種類の光による照明より大きい光アパーチャを提供することができる。前記処理装置は、前記センサアセンブリによって取得した第1の画像又は当該第1の画像に対する第1の画像取得プロセスのうち少なくとも一方の解析に基づき、前記第1種類の光又は前記第2種類の光のうち少なくとも一方を選択し、前記第1種類の光又は前記第2種類の光のうち選択した前記少なくとも一方を用いて第2の画像を取得するように前記マシンビジョンシステムを制御し、前記第2の画像を解析して当該第2の画像中のシンボルを復号化するように構成することができる。
【0006】
他の一実施形態では、ビジョンシステムにおけるリーダの被写界深度を制御するための装置は、光学系アセンブリと、画像センサと、第1の光源と、第2の光源と、処理装置と、を備えることができる。前記光学系アセンブリは、内側領域及び外側領域を有する二重アパーチャアセンブリと、少なくとも1つのレンズと、を備えることができる。前記第1の光源は、前記二重アパーチャアセンブリの前記内側領域に対応する第1の光ビームを生成するように構成されている。前記第2の光源は、前記二重アパーチャアセンブリの前記外側領域に対応する第2の光ビームを生成するように構成されている。前記処理装置は、前記光学系アセンブリ、前記第1の光源及び前記第2の光源と通信する。前記処理装置は、前記第1の光源又は前記第2の光源のうち物体の画像を取得するために前記物体を照明するための1つを選択することにより、前記リーダの被写界深度を制御するように構成されている。前記選択は、前記ビジョンシステムの少なくとも1つのパラメータに基づき行われる。
【0007】
他の一実施形態では、ビジョンシステムにおけるリーダの被写界深度を制御するための方法は、第1種類の光の第1の光ビームと、マルチアパーチャアセンブリにおける当該第1種類の光に対応する第1の領域と、を用いて物体の第1の画像を取得することを含むことができる。前記第1の画像に関連する少なくとも1つのパラメータを特定することとができる。前記少なくとも1つのパラメータに基づき、第2種類の光の第2の光ビームと、前記マルチアパーチャアセンブリにおける当該第2種類の光に対応する第2の領域と、を用いて、前記物体の第2の画像を取得することができる。前記第2の画像は、前記第1の画像とは異なる被写界深度を有することができる。
【0008】
他の一実施形態では、ビジョンシステムにおけるリーダの被写界深度を制御するための装置は、光学系アセンブリと、画像センサと、第1の光源と、第2の光源と、処理装置と、を備えることができる。前記光学系アセンブリは、内側領域及び外側領域を有する二重アパーチャアセンブリと、少なくとも1つのレンズと、を備えることができる。前記第1の光源は、前記二重アパーチャアセンブリの前記内側領域を透過できる第1の光ビームを生成し、所定の高さ閾値より大きい高さを有する第1の物体に前記第1の光ビームを投影するように構成することができる。前記第2の光源は、前記二重アパーチャアセンブリの前記内側領域及び前記外側領域を透過する第2の光ビームを生成し、前記所定の高さ閾値より小さい高さを有する第2の物体に前記第2の光ビームを投影するように構成することができる。
【0009】
以下、添付図面を参照して本願開示について説明する。同図面中、同様の符号は同様の要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本願技術の一実施形態の二重アパーチャを備えたビジョンシステムの概略的なブロック図である。
【
図2A】本願技術の一実施形態の二重アパーチャアセンブリの正面図である。
【
図2B】本願技術の一実施形態の四重アパーチャアセンブリの正面図である。
【
図2C】本願技術の一実施形態の三重アパーチャアセンブリの正面図である。
【
図3】本願技術の一実施形態の二重アパーチャを備えた光学系アセンブリと照明装置とを示す概略図である。
【
図4】本願技術の一実施形態のマルチアパーチャアセンブリを用いてビジョンシステムの被写界深度を制御するための方法を示す図である。
【
図5】本願技術の一実施形態の、マルチアパーチャアセンブリを用いて例えば物体上のシンボルの画像を取得する際に過剰露光した画像やモーションブラーの回避等をするための方法を示す図である。
【
図6】本願技術の一実施形態の、偏光を使用するマルチアパーチャアセンブリを用いて例えばダイレクトパーツマーキング用途で撮像等を行う方法を示す図である。
【
図7】本願技術の一実施形態の、二重アパーチャアセンブリを用いて、物体上のシンボルの画像を取得する際に輝度を最大限にしつつホットスポットを低減する等を行う方法を示す図である。
【
図8】本願技術の一実施形態の、マルチアパーチャアセンブリを用いて、物体上の小さいコードを撮像するための被写界深度を最大限にする等のための方法を示す図である。
【
図9】本願技術の一実施形態の、マルチアパーチャアセンブリを用いて、ロジスティクスにおける被写界深度及び光量を最大限にする等のための方法を示す図である。
【
図10】本願技術の一実施形態の二重アパーチャを備えたマシンビジョンシステムを示す図である。
【
図11】本願技術の一実施形態の二重アパーチャを備えたマシンビジョンシステムを示す図である。
【
図12】本願技術の一実施形態の二重アパーチャを備えたハンドヘルド式のマシンビジョンシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ID(例えばバーコード等)リーダの一般的な使用は、製造やロジスティクスの作業においてライン(例えばコンベア等)上で物体を追跡及び仕分けすることである。各物体が視野を通過するときに各物体の面上の何らかの期待されるIDコード)を取得するため、IDリーダ、あるいはより典型的には複数のリーダ(コンステレーション)を適切な視角でラインにわたって配置することができる。また、IDリーダをハンドヘルド構成とし、ユーザが例えば検査フロアにおいて物体間を移動したり、リーダと物体表面との間の距離又は相対角度を自由に変えられるようにすることができる。より一般的には、物体に対するIDリーダの焦点距離を、ラインに対するリーダの配置及び当該物体のサイズに応じて変えることができる。
【0012】
一部のIDリーダは、動作時に1つ又は複数のID(例えばバーコード等)を含むシーンを照明する機能を有する。この照明は照準部を含むことができ、この照準部は、撮像対象のシーン内の関心領域上に色付きドットを投影して、ユーザが撮像対象のシーン内のバーコードの中心に合わせてリーダの画像軸を位置合わせできるようにするものである。また、照明は、適度なディテールの画像を取得するための全体照明を含むこともできる。その後、イメージングシステム内の画像センサによって、照明されているシーンを、光学系を介して取得する。センサの画素のアレイを露光して、この露光により各画素ごとに生成された電子的な値をメモリセルのアレイに記憶し、これが、シーンの「画像」と称されるものになる。ID読み取り用途においては、シーンは、適切な寸法及び種類の1つ又は複数のIDを有する関心対象の物体を含むことができる。IDは、上記の記憶された画像の一部である。
【0013】
ビジョンシステムの重要事項の1つに、当該システムで取得される画像の被写界深度(DOF)がある。例えば、ターゲットまでの作動距離が可変である用途では、DOFが設計上重要な事項となり得る。DOFは、リーダから、取得された画像において物体が合焦する(例えば鮮鋭度等)距離の範囲を決定する。DOFはアパーチャのサイズ(例えば口径等)によって制御することができ、このアパーチャのサイズは、画像センサに入射する光量を決定し、その光量はアパーチャサイズと反比例する(一般的にはF値として表される)。よって、アパーチャが小さくなるほど(F値が大きくなるほど)DOFが大きくなり、アパーチャが大きくなるほど(F値が小さくなるほど)DOFが小さくなる。DOFを大きくすることにより、リーダから物体が合焦する距離の範囲も拡大する。
【0014】
最適なDOFは、特定のビジョンシステムによって取得される異なる画像ごとも含めて、ビジョンシステムの異なる用途ごとに変動し得るものである。DOFが適正でなかったり、適切に最適化されていないと、物体の取得された画像にブラーが生じ得る。これと関連して、DOFとアパーチャサイズとは逆の関係にあるので、DOFの最適化が、イメージングシステムに入射する光量に関係することにもなり、またこれに応じて、読み取り可能な画像を得るために必要な露光時間に関係することにもなり得る。DOFが大きいことは多くの用途において有利であるが、アパーチャが小さくなると回折ブラーの原因となることがあり、これにより小さい特徴の撮像や検査が制限される場合がある。また、アパーチャを小さくすると、レンズを通過できる光量が少なくなり、これにより露光時間が長くなり得る。物体が動く用途では、露光時間の延長によりモーションブラーが発生することがある。
【0015】
従来の多くのビジョンシステムでは、固定のアパーチャが1つ使用される。ビジョンシステムのアパーチャは典型的には、当該ビジョンシステムの特定の用途において想定される作動距離の範囲に基づいて選択される。例えば撮像装置は、最大の作動距離でDOFが最大となる固定アパーチャを備えるように構成することができる。また、アパーチャは典型的には、レンズアセンブリにおいて各種ガラス部材間に配置され、このことによりアパーチャに接近することが困難になる。従来のシステムの多くは、アパーチャ(及びDOF)を変えるためにはシステムのレンズを変えるしかなく、これは高コストかつ複雑となることがある。これは特に、当該分野において既に使用されてきたビジョンシステムについて当てはまる。他の従来のシステムでは、アパーチャを機械的に変えるものもあるが、このようなアパーチャの変更は典型的には低速であり、また部品を動かすので信頼性上の懸念が存在する。
【0016】
本願開示は特に、DOFを制御するために使用可能なマルチアパーチャアセンブリを備えたビジョンシステム(及び対応する方法)を記載している。一部の実施形態では、マルチアパーチャアセンブリは2つの領域を有する二重アパーチャアセンブリとすることができ、各領域をサンプリングしてそれぞれ異なるアパーチャ値及びDOFを求めることができる。アパーチャ平面上の上述の2つの異なる領域によって、ビジョンシステムは例えば複数の異なる作動距離等に対して小さいアパーチャ又は大きいアパーチャを提供することができる。例えば二重アパーチャは、小さいアパーチャ(と大きいDOF)を提供するように構成された内側領域と、大きいアパーチャ(と小さいDOF)を提供するように構成された外側領域と、を有することができる。このようにして、二重アパーチャ(あるいは他のマルチアパーチャ)システムのどの領域を用いるかに応じて、異なるDOFの画像を容易に得ることができる。
【0017】
一部の実施形態では、マルチアパーチャアセンブリは固定アパーチャアセンブリとすることができる。すなわち、機械的又は他の態様で動かして、特定のアパーチャの物理的サイズを変えることができないものとすることができる。このように物理的サイズを変えることができない代わりに、例えば、特定の種類の光(例えば特定の波長、偏光方向等)を通過させ又はフィルタリングする複数の異なるアパーチャ領域を構成することにより、使用される光の種類に応じて総有効口径を変えられるようにすることができる。例えば種々の実施形態において、マルチアパーチャアセンブリは、通過させる光の波長又は偏光が異なる内側領域と外側領域とを備えることができる。このようにして、画像取得のために物体を照明するために使用される光ビームの波長(若しくは波長範囲)又は偏光を変えて、アパーチャの内側領域又は外側領域(又はその両方)を使用することができる。例えば一部の実施形態では、固定マルチアパーチャアセンブリは、(例えば波長又は偏光に基づく)第1種類の光と(例えば波長又は偏光に基づく)第2種類の光とを通過させる内側領域と、当該第1種類の光をフィルタリングして当該第2種類の光を通過させる外側領域と、を有することにより、第2種類の光による照明の方が第1種類の光による照明より大きいアパーチャを提供するよう構成することができる。このような配置構成により、例えば物体上のシンボル等の画像を取得するためのDOF及び露光時間を選択的に変えることができる。
【0018】
一部の実施形態では、マルチアパーチャアセンブリの複数の領域を同心配置その他これに類する配置とし、当該複数の領域のうち内側(又は外側)の領域は外側(又は内側)の領域と同じ(1つ又は複数の)種類の光を通過させ、これに対して上記の外側(又は内側)の領域は、内側(又は外側)の領域を通過する光と同一の少なくとも1つの種類をフィルタリングするように構成することができる。このようにして例えば、一部の種類の光によって、内側領域と外側領域の両方を兼ね備えた画像取得用のアパーチャが得られると共に、他の種類の光によって、内側領域のみを有する画像取得用のアパーチャが得られる。
【0019】
一部の実施形態では、マルチアパーチャアセンブリの特定の領域のサイズを固定とし、特定の画像取得におけるマルチアパーチャアセンブリの有効アパーチャサイズを変えるために当該アセンブリ全体においてアパーチャのサイズを物理的に変えることを不要にすることができる。例えば下記でも説明するように、一部のマルチアパーチャアセンブリは、その異なる領域ごとに異なる種類の光のフィルタリング又は通過に基づいて複数の異なる有効アパーチャサイズを提供するよう構成することができ、これにより、画像取得を行う特定の開口のサイズを機械的に(又は他の態様で)変えるのではなく、画像のターゲットを照明するために使用される光の種類を変えることにより、異なるDOFの画像を取得することができる。
【0020】
一部の実施形態ではビジョンシステムは、前回の取得画像、画像取得プロセスその他のシステムパラメータの解析に基づいて、画像取得に用いられる光の特定の種類を選択する(例えば自動選択する)ように構成することができる。例えば、二重アパーチャアセンブリにおける一領域を用いて第1の画像を取得し、第1の画像に関連するシステムの1つ又は複数のパラメータ(例えばシステムの1つ若しくは複数の構成要素のパラメータ、システムにより生成される画像のパラメータ、又は撮像対象の物体のパラメータ)を用いて次の画像取得に最適なアパーチャを特定することができる。その後、二重アパーチャアセンブリの他の一領域を用いて第2の画像を適切に取得することができ、これにより、第1の画像に用いたものとは異なるアパーチャサイズを有効に提供することができる。
【0021】
有利には、一部の実施形態のマルチアパーチャアセンブリは、特定の用途又は画像取得のためにアパーチャを最適化可能な構成とすることができる。例えば、高解像画像には大きいアパーチャを使用し、又は、長い作動距離でID(例えばバーコード等)を読み取るために小さいアパーチャを用いることができ、その際にはアパーチャを機械的に調整するためにアパーチャ(又はレンズ)要素を変える必要はない。さらに、被写界深度を変えて1つの特定のIDの複数の画像を取得することにより、当該特定のIDの解析を改善することもできる。よって、一部の実施形態ではマルチアパーチャアセンブリ(例えば二重アパーチャアセンブリ等)は、リーダの読み取り範囲を大きいIDと小さいIDとに対して拡張することができる。
【0022】
図1は、本願技術の一実施形態の二重アパーチャを備えたビジョンシステム100の概略的なブロック図である。ビジョンシステム100は二重アパーチャ構成として図示されているが、他の例では2より多いアパーチャを有することもでき、これは本願開示の一般原理の構成及び動作と同様である。
【0023】
具体的には、ビジョンシステム100は光学系アセンブリ102と、画像センサ112と、プロセッサ114と、第1の光源116と、第2の光源118とを備えており、かかるビジョンシステム100を用いて物体120表面のID(例えばバーコード等)122の画像を取得することができる。図中の実施形態では、光学系アセンブリ102はレンズ配置体104と二重アパーチャアセンブリ106とを備えている。本願にて記載されている各実施形態は、ハンドヘルド式その他の可動又は固定取付のIDリーダを備えた種々の種類のビジョンシステムで実装することができるが、これらに限定されない。なお、図中に示した構成要素の配置は、幅広い範囲に及ぶレイアウトや構成要素の種類の例示であることに留意すべきである。よって、図中の実施形態は、当該例示の実施形態の機能を果たす構成要素の可能な配置を教示するために提示したものであり、他の実施形態では他の配置構成となり得る。例えばアパーチャアセンブリは、下記にて詳細に説明するように四重アパーチャアセンブリ等のマルチアパーチャアセンブリとすることができる。
【0024】
既に言及したようにビジョンシステム100は、物体120表面の例えばバーコードの形態等の一例のID122の画像を取得するために用いることができる。よって、光学系アセンブリ102は画像センサ112の前に配置される。光学系アセンブリ102のレンズ配置体104は、センサ112の領域に画像光を投影するレンズ列を含む。一部の実施形態では、レンズ配置体104は少なくとも1つの液体レンズを含み、これにより作動距離の変更時に画像の焦点の迅速な自動調整を行うことができる。
【0025】
一般にマルチアパーチャアセンブリは複数の領域を有し、それぞれ異なる領域(又はこれらの組み合わせ)に対応する複数の異なる種類の光による照明を選択的に用いることにより、異なるDOFの複数の画像を取得するために上述の複数の領域を選択的に使用することができる。図中の実施形態では、二重アパーチャアセンブリ106は内側領域(又は小さいアパーチャ)108と外側領域(又は大きいアパーチャ)110とを有する。二重アパーチャアセンブリ106は、下記にて
図2を参照して詳細に説明するように、円形(例えば円盤形又は環状)に形成することができる。一部の実施形態では、二重アパーチャアセンブリ106をレンズ配置体104の前に配置することができる。光学系アセンブリ102及び二重アパーチャアセンブリ106については図示の配置構成が有利となり得るが、他の配置構成も可能である。例えば、二重アパーチャアセンブリ106を破線で示すようにレンズ配置体104の後ろに配置することができる。他の一例では、二重アパーチャアセンブリ106をレンズアセンブリ102内に配置又は埋め込むことができる。
【0026】
別の実施形態において、複数の異なる種類の光(例えば、可視スペクトルの特定の色を中心周波数とする波長帯域の光、異なる偏光方向の光等)による照明を選択的に提供するために複数の異なる照明アセンブリを使用することができる。図中の例では、第1の光源116及び第2の光源118はそれぞれ、特定の種類の照明光を提供するためにLED又はレーザダイオードを備えることができる。例えば、第1の光源116から放射される光は、第2の光源118から放射される光とは異なる波長(又は波長範囲)を有することができる。よって、第2の光源118から放射される光は、第1の光源116から放射される光とは異なる波長(又は波長範囲)を有することができる。例えば第1の光源116は、高画質の画像取得に役立ち得る青色の波長領域(例えば450~490nm)を投影し、第2の光源118は、高画質の画像取得に役立ち得る赤色の波長領域(例えば610~640nm等)を投影することができる。他の例では、緑色、黄色、白色又は他の波長範囲を投影する光源を用いることができる。他の例では、第1の光源116又は第2の光源118は近赤外域又は紫外域の光を投影することができる。他の例では、第1の光源116から放射される光は、第2の光源118から放射される光とは異なる偏光(例えば偏光方向が45度差又は90度差等)を有することができる。よって、第2の光源118から放射される光は、第1の光源116から放射される光とは異なる偏光を有することができる。
【0027】
第1の光源116は、画像を取得するために物体120及びバーコード122に光ビームを投影するように構成されている。第2の光源118は、画像を取得するために物体120及びバーコード122に光ビームを投影するように構成されており、プロセッサ114によって第1の光源116に依存せずに制御されることができる。以下に説明するように、種々の実施形態では複数の異なる個別画像を得るため、第1の光源116及び第2の光源118を用いて複数の異なる時点で光ビームを投影する。
【0028】
一部の実施形態では、二重アパーチャアセンブリ106の内側領域108は、物体120によって反射された第1の光源116からの光を通過させ、二重アパーチャアセンブリ106の外側領域110は、物体120によって反射された第1の光源116からの光が通過するのを阻止(又はブロック)するように構成されている(例えば、第1の光源116からの光の85%以上をフィルタリングする)。二重アパーチャアセンブリ106の外側領域110は、物体120によって反射された第2の光源118からの光を通過させ、内側領域108は、物体120によって反射された第2の光源118からの光を通過させるように構成することができる。よって、物体120によって反射された第2の光源118からの光はアパーチャアセンブリ106の全径(すなわち内側領域108と外側領域110とを合わせた径)を通過し、それに対して物体120によって反射された第1の光源116からの光は内側領域108のみの径を通過する。よって、第1の光源116と二重アパーチャアセンブリ106の内側領域108とを使用して、小さいアパーチャと大きいDOFと長い露光時間とで画像を取得することができる。対照的に、第2の光源118と二重アパーチャアセンブリ106の内側領域108及び外側領域110とを使用して、大きいアパーチャと小さいDOFと短い露光時間とで画像を取得することができる。
【0029】
このようにして、下記にて詳細に説明するように、第1の光源116(内側領域108に対応する)又は第2の光源118(外側領域110に対応する)のうち物体を照明するための1つを選択することによって、画像を取得するために使用されるDOFを制御することができる。一部の実施形態では、二重アパーチャアセンブリ106の領域108,110のうち1つを用いて第1の画像を取得し、システムの1つ又は複数のパラメータ(例えばシステムの1つ若しくは複数の構成要素のパラメータ、システムにより生成される画像のパラメータ、又は撮像対象の物体のパラメータ等)を用いて、その後に第2の画像を取得するために使用できる最適なアパーチャを特定することができる。例えば、DOFが比較的大きくなり得るデフォルト設定として、第1の光源116のみを用いて第1の画像を取得することができる。その後、画像取得の結果(又は他のファクタ)に応じて、DOFが比較的小さくなるように(なおかつ、例えば所望の画像強度が得られるように露光時間を短くして)第1の光源116のみを再度用いて、又は第2の光源118を用いて第2の画像を取得することができる。
【0030】
一部の実施形態では、システム100は照準器124も備えることができる。バーコード122が適切に撮像されることを保証するため、システム100に対するバーコード122の相対的向きを適正にするよう要求することができる(例えば、システム100の視野内にセンタリングして完全に収めるよう要求する)。照準器124を用いて照準器パターンを投影することができ、この照準器パターンは、システム100のユーザによってバーコード122に向けることができる。これは、画像取得のためにバーコード122が視野内に完全に収まることを保証することの助けになり得る。一部の実施形態では、照準器パターンを生成するために照準器124から投影される光ビームは、リーダ光軸と実質的に同軸(リーダ光軸上)とすることができる。一部の実施形態では、他の構成要素も使用することができる。例えば、一部の実施形態はレンジファインダ又は寸法測定器を備えることができ、レンジファインダ又は寸法測定器は照準器124の一部又は別体のサブアセンブリの一部とすることができる。一部の事例では、光源116,118のうち1つの選択に影響し得る所望のDOFの選択は、下記でも説明するように、特定の物体までの距離又は特定の物体の寸法の解析に基づいて行うことができる。
【0031】
上述したように、システム100は画像センサ112及び関連するプロセッサ114も備えている。被写体(例えば物体120表面のバーコード122)から反射されてビジョンシステム100に戻った第1の光源116又は第2の光源118の光は、リーダ光軸に沿って二重アパーチャアセンブリ106の対応する領域(108,110)とレンズ配置体104とを通って画像センサ112に戻される。画像センサ112は光の複数の異なる波長を検出する構成とすることができ、又は、光の複数の異なる偏光を検出する構成とすることもできる。反射した光は画像センサ112によって受光されて(例えばプロセッサ114等によって)処理されることにより、例えば被写体の画像を生成し、生成した画像の解析を行う。これについては、下記にてさらに説明する。シーンの画像を生成してその画像中のデータを復号化するため、公知の手法を用いることができる。
【0032】
一部の実施形態では、プロセッサ114は1つ又は複数の処理装置を備えることができ、この処理装置は1つ又は複数の回路基板上に設けられて、適切なリボンケーブルその他の通信路(不図示)によって動作可能に相互接続されることができる。プロセッサ114は、ビジョンシステム解析処理(例えばID読み取り及び復号化処理等)と他の機能とを制御するように構成することができ、この他の機能は、例えば照準器ビームの投影、画像取得のための照明(例えば照明のタイミング)、自動フォーカス調整s、照明のための光源の選択(及びこれに対応するアパーチャ領域の選択)等である。システム100はまた、復号化したデータを、例えば在庫追跡コンピュータ又はロジスティクスアプリケーション等のデータ処理装置に無線で(不図示の無線リンクを介して)転送するように構成することもできる。これに代えて、システム100をデータ処理装置/ネットワークに有線接続することもでき、又は、システム100は収集した情報を格納し、その後、ベースユニットに接続されたときにこの情報を転送することもできる。プロセッサ114は画像センサ112、第1の光源116及び第2の光源118と通信することができ、特定の実施形態では、照準器124及び種々の他の構成要素(不図示)と通信することもできる。この他の構成要素は例えば、システムの向きを調整するためのモータ又は他の種々のアクチュエータ等である。
【0033】
実施形態が異なるごとに、マルチアパーチャアセンブリの異なる領域を異なる態様で形成することができる。一部の実施形態では、上記でも述べたように複数の領域を重ね合わせることができ、又は同心に配置することができる。さらに、特定の種類の光の選択的なブロック(例えばフィルタリング等)又は通過は、種々の態様で実現することができる。一例として
図2Aに、本願技術の一実施形態の二重アパーチャアセンブリの正面図が示されている。図中の実施形態では、二重アパーチャアセンブリ206は円形の形状(例えば円盤形又は環状等)を有すると共に、内側領域208(又は小さいアパーチャ)と外側領域210(又は大きいアパーチャ)とを有する。一部の実施形態では、二重アパーチャアセンブリ206はフィルタ材料から形成することができる。フィルタ材料の中心に孔を開け、孔又は円形の領域を形成して内側領域又は小さいアパーチャ208を形成し、外側領域(又は大きいアパーチャ)210はこのフィルタ材料の環状部分とすることができる。他の実施形態では、二重アパーチャアセンブリ206を円盤形とし、透明な材料から形成することができる。外側領域(又は大きいアパーチャ)208は、上記の透明な円盤の外縁部にフィルタ材料(例えばフィルム等)を貼り付けることによって形成することができる。二重アパーチャアセンブリ206の種々の実施形態では、フィルタ材料は例えば、特定の波長(又は波長範囲)の光を通過させて他の波長をブロックする材料とすることができる。他の一例ではフィルタ材料は、特定の偏光の光波を通過させ、他の偏光の光波をブロックする材料(例えば偏光材料等)とすることができる。上記にて説明したように、第1種類の光(波長又は偏光)は二重アパーチャアセンブリ206の全径(すなわち内側領域208と外側領域210とを合わせた径)を通過し、第2種類の光(波長又は偏光)は内側領域208のみ(又は小さいアパーチャ)を通過する。
図2に示した一例の実施形態では、内側領域208及び外側領域210は円形の形状となっているが、他の形状で二重アパーチャアセンブリ206を実現することも可能であると解すべきである。また、領域の数を2より多くして、それ以外は同様の原理に従って他のマルチアパーチャアセンブリを形成することもできる。
【0034】
他の一例として
図2Bに、本願技術の一実施形態の四重アパーチャアセンブリの正面図が示されている。図中の実施形態では、四重アパーチャアセンブリ212は円形の形状(例えば円盤形又は環状等)を有すると共に複数の同心領域を有し、これは特に、第1の(又は内側)領域214(アセンブリ212の中で最小のアパーチャ)、第2の領域216、第3の領域218、及び第4の(又は外側)領域220(又はアセンブリ212の中で最大のアパーチャ)である。上記で述べたように、一部の実施形態では四重アパーチャアセンブリ212はフィルタ材料から形成することができる。フィルタ材料の中心に孔を開け、孔又は円形の領域を形成して内側領域又は小さいアパーチャ214を形成し、外側領域216,218,220(大きいアパーチャを提供することができる)はこのフィルタ材料の環状部分とすることができる。一部の事例では、フィルタ材料の複数の異なる層を貫通する複数の孔が順に小さくなるように設けることにより、
図2Bに示された幾何学的形態と同様の形態を提供することができる。一部の実施形態では、四重アパーチャアセンブリ212を円盤形とし、透明な材料から形成することができる。内側領域の外縁部から透明円盤の外縁部に向かって複数の同心領域にフィルタ材料(例えばフィルム等)を貼り付けることにより、外側領域216,218及び220を形成することができる。四重アパーチャアセンブリ212の種々の実施形態では、各外側領域216,218,220に用いられるフィルタ材料は例えば、特定の波長(又は波長範囲)の光を通過させて他の波長をブロックする材料とすることができる。
【0035】
一例では、四重アパーチャアセンブリ212の内側領域214は、当該内側領域214が形成するアパーチャに異なる波長(例えば赤色、黄色、緑色、青色等)の4つの異なる種類の光を通過させるように構成することができる。本例では、第2の領域216が上記4つの異なる種類の光のうち第1種類の光(例えば赤色等)をフィルタリングし、第3の領域218が上記4つの異なる種類の光のうち第1種類の光及び第2種類の光(例えば赤色及び黄色等)をフィルタリングし、第4の領域220が上記4つの異なる種類の光のうち第1種類の光と、第2種類の光と、第3種類の光と(例えば赤色、黄色及び緑色等)をフィルタリングするように構成することができる。よって、第1の領域214と第2の領域216とは、第1の領域214によって形成されるアパーチャより大きいアパーチャを形成し、第1の領域214と第2の領域216と第3の領域218とは、第1の領域214によって形成されるアパーチャより大きく第1及び第2の領域214及び216によって形成されるアパーチャよりも大きいアパーチャを形成し、第1の領域214と第2の領域216と第3の領域218と第4の領域220とは、第1の領域214によって形成されるアパーチャより大きく、第1及び第2の領域214及び216によって形成されるアパーチャよりも大きく、また第1の領域214と第2の領域216と第3の領域218とによって形成されるアパーチャよりも大きいアパーチャを形成する。上述のように、四重アパーチャアセンブリ212で使用されるアパーチャのサイズは、照明のために使用される光の種類に基づいて選択することができる。
【0036】
さらに他の一例として
図2Cに、本願技術の一実施形態の三重アパーチャアセンブリの正面図が示されている。図中の実施形態では、三重アパーチャアセンブリ230は円形の形状(例えば円盤形又は環状等)を有すると共に複数の同心領域を有し、これは特に、第1の(又は内側)領域232(アセンブリ230の中で最小のアパーチャ)、第2の領域234、及び第3の領域236(又はアセンブリ230の中で最大のアパーチャ)である。上記で述べたように、一部の実施形態では三重アパーチャアセンブリ230はフィルタ材料から形成することができる。フィルタ材料の中心に孔を開け、孔又は円形の領域を形成して内側領域又は小さいアパーチャ232を形成し、外側領域234,236(大きいアパーチャを提供することができる)はこのフィルタ材料の環状部分とすることができる。一部の事例では、フィルタ材料の複数の異なる層を貫通する複数の孔が順に小さくなるように設けることにより、
図2Cに示された幾何学的形態と同様の形態を提供することができる。一部の実施形態では、三重アパーチャアセンブリ230を円盤形とし、透明な材料から形成することができる。内側領域の外縁部から透明円盤の外縁部に向かって複数の同心領域にフィルタ材料(例えばフィルム等)を貼り付けることにより、外側領域234,236を形成することができる。三重アパーチャアセンブリ230の種々の実施形態では、各外側領域234,236に用いられるフィルタ材料は例えば、特定の偏光(又は複数の偏光)の光を通過させて他の偏光をブロックする材料とすることができる。
【0037】
一例では、三重アパーチャアセンブリ230の内側領域232は、当該内側領域232が形成するアパーチャ(例えば内側領域232は透明材料又は孔とすることができる)に複数の偏光方向の光を通過させるように構成することができる。本例では、第2の領域234が第1の偏光方向238の光と第2の偏光方向の光240とをフィルタリングし、第3の領域236が第2の偏光方向240の光をフィルタリングするように構成することができる。よって、第1の領域232と第2の領域234とは、第1の領域232によって形成されるアパーチャより大きいアパーチャを形成し、第1の領域232と第2の領域234と第3の領域236とは、第1の領域232によって形成されるアパーチャより大きく第1及び第2の領域232及び234によって形成されるアパーチャよりも大きいアパーチャを形成する。上述のように、三重アパーチャアセンブリ230で使用されるアパーチャのサイズは、照明のために使用される光の種類に基づいて選択することができる。
【0038】
上記の通り、二重アパーチャアセンブリの複数の異なる領域と、これらに対応する光源と用いて、複数の異なるDOFの画像を取得することができる。
図3は、本願技術の一実施形態のビジョンシステム300に含まれる二重アパーチャを備えた光学系アセンブリと照明装置とを示す概略図である。一部の事例では、ビジョンシステム300はビジョンシステム200の特定の実施態様とすることができるが、他の構成も可能である。二重アパーチャアセンブリ306の内側領域308(小さいアパーチャ)と大きなDOF334とを用いて画像を取得するためには、第1の光源316が特定の波長(又は波長範囲)又は偏光を有する光ビーム330をターゲット322(例えばバーコード等)に投影する。第1の光ビームの反射光338は二重アパーチャアセンブリ306の内側領域308を通過し、外側領域310ではブロックされる。その後、反射光338はレンズ配置体304の1つ又は複数のレンズによって画像センサ312に送られる。二重アパーチャアセンブリ306の外側領域310(大きいアパーチャ)と小さいDOF336とを用いて画像を取得するためには、第2の光源318が特定の波長(又は波長範囲)又は偏光を有する光ビーム332をターゲット322(例えばバーコード等)に投影する。第2の光ビームの反射光340は二重アパーチャアセンブリ306の全径(すなわち、内側領域308と外側領域310とを合わせた径)を通過し、レンズ配置体304の1つ又は複数のレンズによって画像センサ312に送られる。図中の実施形態では、二重アパーチャアセンブリ306の第1の領域308と第2の領域310とは、第1の光ビーム330と第2の光ビーム332とに対し同じ焦点を有する。画像センサ312は、感光部(画素)の行及び列を有することができ、これらは画素アレイを構成する。レンズ配置体304によって反射光(338又は340)が画像センサ312に投影されると、各画素が、当該画素に入射した光に比例する信号を生成する。一部の実施形態では、センサ312はモノクロセンサである。二重アパーチャアセンブリは例えば、上記の複数の異なる領域と、これらに対応する光源とを用いて、複数の異なる時点で個別画像を取得するために使用することができる。よって、ターゲット332を照明するために使用される波長又は偏光に応じてリーダのアパーチャ開口値が変わり、これにより、画像を取得する際のDOF及び露光時間が変わる。
【0039】
上記の通り、一部の実施形態では、二重アパーチャアセンブリの1つの領域を用いて第1の画像を取得し、システムの1つ又は複数のパラメータ(例えばシステムの1つ若しくは複数の構成要素のパラメータ、システムにより生成される画像のパラメータ、又は撮像対象の物体のパラメータ等)を用いて、その後に第2の画像を取得するために使用できる最適なアパーチャを特定することができる。
図4は、本願技術の一実施形態の二重アパーチャを用いてビジョンシステムの視野を制御するための方法を示す図である。ブロック402において、第1の光源から第1の照明光ビームが物体表面のシンボル(例えばバーコード等)に投影される。ブロック404において、第1の照明光ビームに基づき物体から反射された光がビジョンシステムで受光され、二重アパーチャアセンブリの第1の領域を通過する。一部の実施形態では、第1の領域は小さいアパーチャを提供する内側領域であり、他の実施形態では、第1の領域は大きいアパーチャを提供する外側領域である。ブロック406において、ビジョンシステムを使用して物体表面のシンボルの第1の画像が生成される。その際には、例えば上記にて説明したように、二重アパーチャの第1の領域を通過する反射光をレンズアセンブリによって画像センサに送ることができる。次に、プロセッサを使用してシンボルの第1の画像を生成し、生成した画像の解析を実行することができる。シンボルの画像を生成してその画像中のデータを復号化するため、公知の手法を用いることができる。
【0040】
ブロック408において、システムの少なくとも1つのパラメータを特定する。この少なくとも1つのパラメータは、システムの1つ又は複数の構成要素のパラメータ、例えば露光時間、DOF等とすることができる。少なくとも1つのパラメータはまた、システムによって生成された第1の画像のパラメータ、例えば飽和領域、ホットスポット、散乱光に関連する画素値等とすることができる。光学的信号を処理するための当該分野において公知の手法を用いて、第1の画像を解析することができる。さらに、少なくとも1つのパラメータは、撮像対象の物体のパラメータ、例えば物体の高さその他の寸法、又は物体から撮像装置までの距離等とすることもできる。
【0041】
一般に、少なくとも1つのパラメータを解析することにより第2の画像の適切なDOF(例えば最適なDOF等)を特定し、その後、これに従って第2の画像の照明を制御することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つのパラメータの解析には、当該少なくとも1つのパラメータと閾値(例えば最大露光時間閾値等)との比較が含まれ得る。例えば、ブロック410において少なくとも1つのパラメータと閾値とを比較することにより、二重アパーチャアセンブリにおける第1の画像の取得に用いたものとは領域とは異なる領域を用いて第2の画像を取得すべきか否かを判断する。これに応じて、第2の画像の取得に際してアパーチャ開口値やDOFを変えることができる。ブロック412において、比較その他の関連の解析に基づき、第2の光源から第2の照明光ビームが物体表面のシンボル(例えばバーコード等)に投影される。ブロック414において、第2の照明光ビームに基づき物体から反射された光がビジョンシステムで受光され、二重アパーチャアセンブリの第2の領域を通過する。一部の実施形態では、第2の領域は小さいアパーチャを提供する内側領域であり、他の実施形態では、第2の領域は大きいアパーチャを提供する外側領域である。ブロック416において、ビジョンシステムを使用して物体表面のシンボルの第2の画像が生成される。その際には、例えば上記にて説明したように、二重アパーチャの第2の領域を通過する反射光をレンズアセンブリによって画像センサに送ることができる。次に、プロセッサを使用してシンボルの第2の画像を生成し、生成した画像の解析を実行することができる。シンボルの画像を生成してその画像中のデータを復号化するため、公知の手法を用いることができる。
【0042】
一部の実施形態では、ブロック416で生成した第2の画像を個別に解析して関連情報を識別する(例えば画像中のIDを復号化する)。例えば、特定の用途に対して第1の画像のDOFよりも第2の画像のDOFの方がより最適であると判断された場合、第2の画像と第1の画像とを組み合わせることなく第2の画像を解析して、第2の画像から関連情報を抽出することができる。
【0043】
一実施形態では、
図5に示されているように物体表面のシンボル(例えばバーコード等)の画像を取得する際に、マルチアパーチャアセンブリをビジョンシステムに用いて、過剰露光画像とモーションブラーとを回避することができる。この用途では、ブロック502においてハンドヘルド式又は固定取付リーダ等のリーダの手前にバーコードを配置することができる。ブロック504において、取得画像のDOFを最大限にするため、第1の光源と、二重アパーチャ(又は他のマルチアパーチャ)アセンブリの対応する内側領域と、を用いてバーコードの第1の画像を撮影するようにリーダを動作させることができる。例えば、リーダに組み込まれた自動輝度機能に基づき第1の画像を取得するために内側領域を用いることができ、この自動輝度機能は、画像取得のために内側領域を自動選択する。
【0044】
第1の画像が取得された後、ブロック506において第1の画像に関する1つ又は複数のパラメータを解析することにより、第2の(次の)画像に対して別のDOFが適切となり得るか否かを判断することができる。例えば、ビジョンシステムは所定の最大露光時間閾値を有することができる。最大露光時間閾値は複数の異なるパラメータに基づいて予め定めることができ、このパラメータは例えば、ビジョンシステムの複数の異なる構成要素の電気的デューティサイクル、適用のタイミング、又はモーションブラー等である。第1の画像に対する内側領域(小さいアパーチャ)の露光時間を、所定の最大露光時間閾値と比較することができる。ブロック508において内側領域の露光時間が最大露光時間閾値に達した場合(又はこれを超える場合)、システムはブロック510において、小さいDOFかつ短い露光時間で物体表面のシンボルの第2の画像を取得するため、二重アパーチャアセンブリの外側領域(大きいアパーチャ)に対応する第2の光源に切り替えることができる。ブロック508において内側領域の最大露光時間閾値に達しない場合、システムはブロック512において、第1の領域(小さいアパーチャ)を用いて画像の取得を継続することができる。小さいアパーチャに係る最大露光閾値に達しない限り、小さいアパーチャは十分な光を提供し、DOFを最適化し、モーションブラーのリスクを最小化することができる。
【0045】
一実施形態では、
図6に示されているようにダイレクトパーツマーキング(DPM)用途においてイメージングを行うため、偏光を用いるマルチアパーチャアセンブリをビジョンシステムにおいて使用することができる。ダイレクトパーツマーキングリーダは、例えばプラスチックや金属等の材料の表面に直接エッチング又はインプリントされたバーコードを読み取ることができるものである。典型的にはDPM部分は、幅広い様々な幾何学的形態及び表面にコードを表現したものである。しかし、例えば光沢部分や丸み部分等に付された二次元(2D)コードを撮像することは、リーダにとって困難となり得る。この問題(又は他の問題)に対処するため、例えばハンドヘルド式又は固定取付リーダ等のリーダは、偏光フィルタベースの内側領域及び外側領域と、偏光センサである画像センサとを備えた二重アパーチャ(又はアパーチャ)アセンブリを備えることができる。一部の実施形態では、偏光センサは4つの異なる偏光方向(例えば0°、45°、90°及び135°等)に対応して公称解像度の4分の1(1/4)を有することができる。しかし、DPM用途では典型的には、作動距離は上述のように公称解像度を低減した場合でも十分な倍率で画像を取得可能であるために十分に小さい。また倍率は、偏光センサにおいて偏光フィルタを用いる結果として偏光センサの到達可能な画素数が減少することに対応するためにも使用することができる。
【0046】
一例の用途では、ブロック602において、二次元DPMコードが付された部品をリーダの手前に配置することができる。ブロック604において、第1の偏光を有する第1の光源と、二重アパーチャアセンブリの対応する領域と、を用いて、バーコードの第1の画像を取得するようにリーダを動作させることができる。この領域は例えば、内側領域あるいは小さいアパーチャ、又は外側領域あるいは大きいアパーチャとすることができる。この実施形態では、例えば第1の画像を最良のコントラストで取得するように、第1の画像を取得するために使用される二重アパーチャアセンブリの領域を、リーダに組み込まれた自動輝度機能に基づいて選択することができる。その後、ブロック606において第1の画像を解析することにより、当該画像が何らかの飽和領域を生じているか否かを判断することができる。光学的信号を処理するための当該分野において公知の手法を用いて、第1の画像の画素値を解析していかなる飽和領域も識別することができる。第1の画像が飽和領域を含む場合、ブロック608において、第1の光源とは異なる偏光を有する第2の光源を使用して二次元コードを照明し、第2の画像を取得することができる。第2の光源は、二重アパーチャアセンブリにおける第1の光源に対応する領域とは異なる領域に対応する。よって、二次元コードの第2の画像を取得するために、二重アパーチャアセンブリの上述の異なる領域を使用することができる。
【0047】
一部の実施形態では、リーダは画像センサの画素アーキテクチャをさらに有効活用するように構成することができる。例えば、上記の4つの異なる偏光方向に基づき、アパーチャを4倍にアップサンプリングすることができる。
【0048】
一実施形態では、
図7に示されているように物体表面のシンボル(例えばバーコード等)の画像を取得する際に、二重アパーチャアセンブリをビジョンシステムに用いて、輝度を最大限にしてホットスポットを低減することができる。上記にて述べたように、ビジョンシステムの二重アパーチャ(又は他のマルチアパーチャ)アセンブリ、画像センサ及び光源は、偏光に対応して構成することができる。また、偏光画像センサは4つの異なる偏光方向(例えば0°、45°、90°及び135°等)に対応して公称解像度の4分の1(1/4)で構成することができる。一部の実施形態では偏光画像センサは、複数の(例えば4つの)異なる偏光方向を検知するように構成された当該画像センサの(例えば4つの)画素の一群の上部に配置された典型的なベイヤーパターン(すなわちRGBベイヤーフィルタ等)を有することもできる。RGBバイヤーフィルタによって出力される色情報は、ビジョンシステムが使用することができる。
【0049】
一例の用途では、ブロック702においてバーコードを、ハンドヘルド式又は固定取付リーダ等のリーダの手前に配置することができる。ブロック704において、第1の波長及び偏光を有する第1の光源と、二重アパーチャアセンブリの対応する領域と、を用いて、バーコードの第1の画像を撮影するようにリーダを動作させることができる。一実施形態では、上記領域は外側領域あるいは大きいアパーチャであり、これにより、輝度を最大限にすると共に露光時間を最小限にするため最大のアパーチャで第1の画像を取得するようにされる。第1の光源は例えば、偏光の方向が0°の赤色の波長を投影する構成とすることができる。その後、ブロック706において第1の画像を解析することにより、当該画像がホットスポット又は散乱光を含むか否かを判断することができる。光学的信号を処理するための当該分野において公知の手法を用いて、第1の画像の画素値を解析していかなるホットスポットや散乱光も識別することができる。第1の画像がホットスポット又は散乱光を含む場合、ブロック708において、第1の光源とは別の波長及び偏光を有する第2の光源を使用してバーコードを照射し、第2の画像を取得する。第2の光源は、二重アパーチャアセンブリにおける第1の光源に対応する領域とは異なる領域に対応する。よって、バーコードの第2の画像を取得するために、二重アパーチャアセンブリの上述の異なる領域を使用することができる。第2の光源はまた、より高コントラストになるより短い波長を提供するものを選定することができる。例えば第2の光源は、偏光方向が90°の青色波長を投影する構成とすることができる。この場合、変調伝達関数(modular transfer function, MTF)のカットオフは大きくなる。よって、第2の画像を解析することにより、散乱光問題に加えて周波数その他の詳細を特定することができる。
【0050】
他の一例では、第2の光源は、偏光方向が0°~90°の緑色波長を投影する構成とすることができる。この場合、二重アパーチャアセンブリにおける第2の光源に対応する領域であって第2の画像を取得するために用いられる領域は、45°~135°の偏光方向に対応する領域とすることができる。
【0051】
他の一実施形態では、
図8に示されているように撮像対象のバーコードが小さいコードであるハンドヘルド用途においてDOFを最大限にするために、ビジョンシステムにおいて二重アパーチャ(又はマルチアパーチャ)アセンブリを用いることができる。この用途では、ブロック802においてバーコードをハンドヘルド式リーダの手前に配置することができる。ブロック804において、ビジョンシステムは、バーコードに合焦するために使用できる液体レンズを備えることができる。その後、第1の光源と、二重アパーチャアセンブリの対応する領域と、を用いて、バーコードの第1の画像を撮影するようにリーダを動作させることができる。一実施形態では、上記領域は外側領域あるいは大きいアパーチャであり、これにより、光量の使用を最大限にするため可能な限り最大のアパーチャで第1の画像を取得するようにされる。その後、第1の画像をブロック806で解析し、DOFが十分な画像を生成するのに十分な大きさであるかどうかを判断することができる。DOFが十分に大きくない場合には、ブロック808において、第1の光源とは二重アパーチャアセンブリの異なった部位に関連付けられた第2の光源が、バーコードを照射し、第2の画像を取得するために使用される。例えば、DOFを増加するため、二重アパーチャアセンブリにおける第2の光源に対応する領域は内側領域(あるいは小さいアパーチャ)とされる。
【0052】
さらに他の一実施形態では、
図9に示されているようにロジスティクス用途においてDOF及び光量を最大限にするために、ビジョンシステムにおいて二重アパーチャ(又はマルチアパーチャ)アセンブリを用いることができる。ロジスティクス用途では速い速度が関係するので(例えば物体がコンベアによってビジョンシステムを通過するときの速度等)、DOFの最大化と光量の最大化の両方が重要となる。この実施形態では、画像取得に係るDOF及び光量のバランスをとることにより、ビジョンシステムはモーションブラーの無い鮮鋭な画像を提供することができる。例えばビジョンシステムは、当該ビジョンシステムのリーダが想定される(例えば予め定められた)最大作動距離をカバーできる距離に合焦される固定取付システムとすることができる。システムはさらに、解像度限界(すなわち想定される最小コードサイズ)が二重アパーチャシステムの外側領域あるいは大きいアパーチャに対応するように構成することができる。この用途では、ブロック902においてバーコードをハンドヘルド式リーダの手前に配置することができる。ブロック904において、第1の光源と、二重アパーチャアセンブリの対応する領域と、を用いて、バーコードの第1の画像を撮影するようにリーダを動作させることができる。一実施形態では、上記の領域は外側領域あるいは大きいアパーチャとされ、これにより、リーダがコントラストの面でより鮮鋭な画像を取得することができる。よって、光学系アセンブリと画像センサの両方によって特定できる細かいディテールが増加する。
【0053】
しかし、1つのアパーチャサイズでは、イメージングシステムで実現可能なDOF全体にわたって最適なイメージングを行うために十分でない場合が多い。DOF全部をカバーすることを保証するためには、ターゲットと撮像装置との間の距離に依存してマルチアパーチャアセンブリのそれぞれ異なる領域を用いることができ、マルチアパーチャアセンブリが受光する光量が比較的クリティカルでない程度に距離が十分に小さい場合のみ、選択的に小さいアパーチャ領域を使用することができる。この点について一部の実施形態では、撮像対象の物体の寸法をランタイムで特定することができる。例えば、ブロック906において物体の高さを特定することができ、その際には例えば、物体付近に配置されリーダと通信するタイム・オブ・フライト(TOF)カメラ等が用いられる。その後、物体の測定された高さと所定の高さ閾値とを比較することができる。高さが閾値を上回る場合、ブロック908において二重アパーチャアセンブリにおける第1の光源とは異なる領域に対応する第2の光源を使用してバーコードを照明し、第2の画像を取得することができる。例えば、二重アパーチャアセンブリにおける第2の光源に対応する領域は、内側領域(あるいは小さいアパーチャ)とすることができる。物体高さが高さ閾値を上回る場合、近距離におけるDOFをカバーするため、ビジョンシステムは照明のための光源を変更して大きいアパーチャから小さいアパーチャに交代することができる。かかる近距離ではバーコードがリーダにより近くで通過するので、光量の重要性は低くなる。換言すると、作動距離が大きい際には外側領域あるいは大きいアパーチャを使用してバーコードの画像を取得し、作動距離が近い際には内側領域あるいは小さいアパーチャを使用してバーコードの画像を取得するように光源及び二重アパーチャアセンブリを制御するため、物体の上述の高さ閾値を使用することができる。
【0054】
上記にて説明したように、一部の実施形態ではID(例えばバーコード等)リーダを使用して、製造やロジスティクスの作業においてライン(例えばコンベア等)上で物体を追跡及び仕分けすることができる。
図10は、本願技術の一実施形態の二重アパーチャを備えたマシンビジョンシステムを示す図である。図中の実施形態では、ライン(例えばコンベア等)1005上にマシンビジョンシステム1000(例えば固定取付IDリーダ)が配置され、これは、矢印1007で示されているように物体1006が視野を通過する際に当該物体1006の(1つ又は複数の)面に設けられた任意の想定されるIDコード(例えばバーコード等)を取得するために用いられる。物体1006とマシンビジョンシステム1000との間の距離は、物体1006のサイズ(例えば高さ等)に応じて変化し得る。例えば、物体の高さが大きいと、光学系アセンブリ(例えば1つ又は複数のレンズ等)と物体との間の作動距離は小さくなることがあり、物体の高さが小さいと、光学系アセンブリ(例えば1つ又は複数のレンズ等)と物体との間の作動距離は大きくなることがある。
【0055】
一部の実施形態では、マシンビジョンシステム1000はカメラ1002と、カメラ1002の前に配置された光学系アセンブリ1004とを備えることができる。上記にて
図1及び
図3を参照して説明したように、カメラ1002は、例えば画像センサ及びプロセッサ等を含む種々の要素を備えることができ、光学系アセンブリ1004は(例えば上記にて述べたような)レンズ配置体と二重アパーチャアセンブリとを備えることができる。一部の実施形態では、二重アパーチャアセンブリはマシンビジョンシステム1000(例えばIDリーダ等)のDOFを制御するように構成することができる。一部の実施形態では、二重アパーチャアセンブリは2つの領域を有することができ、各領域をサンプリングしてそれぞれ異なるアパーチャ値及びDOFを求めることができる。例えば二重アパーチャアセンブリは、小さいアパーチャ(と大きいDOF)を提供するように構成された内側領域と、大きいアパーチャ(と小さいDOF)を提供するように構成された外側領域と、を有することができる。このようにして、アパーチャシステムのどの領域を用いるかに応じて、異なるDOFの画像を容易に得ることができる。なお、図中に示した構成要素の配置は、幅広い範囲に及ぶレイアウトや構成要素の種類の例示であることに留意すべきである。よって、図中の実施形態は、当該例示の実施形態の機能を果たす構成要素の可能な配置を教示するために提示したものであり、他の実施形態では他の配置構成となり得る。例えばアパーチャアセンブリは、上記にて説明したように四重アパーチャアセンブリ等のマルチアパーチャアセンブリとすることができる。
【0056】
図中の実施形態では、二重アパーチャアセンブリの第1の領域は、所定の高さ閾値H以上の高さを有する物体表面の画像(例えば、バーコード等のID等の画像等)を取得するために用いることができ、また、第1の領域と第2の領域とを共に使用して、上記の所定の高さ閾値H未満の高さを有する物体表面の画像(例えば、バーコード等のID等の画像等)を取得するために用いることができる。一部の実施形態では、高さ閾値との比較における物体の高さ如何にかかわらず、マシンビジョンシステム1000によって露光が行われている間は第1の照明光1008と第2の照明光1010の両方がオンにされる。よって、図中の実施形態ではマシンビジョンシステム1000は、複数の異なる高さの物体がコンベア1005上の視野内を通過する際に第1の照明光1008及び/又は第2の照明光1010をオンオフ切替することなく、これら複数の物体の画像を取得するように構成されている。一部の実施形態では、第1の照明光1008と二重アパーチャアセンブリの内側領域とを用いて、小さいアパーチャと大きいDOFとにより画像を取得することができる。一部の実施形態では、第2の照明光1010と二重アパーチャアセンブリの内側領域及び外側領域とを用いて、大きいアパーチャと小さいDOFとで画像を取得することができる。
【0057】
一部の実施形態では、第1の照明光1008は第1の波長(若しくは波長範囲)又は偏光を有し、光源を使用して、所定の高さ閾値H以上の高さを有する物体の画像(例えば物体の表面上の想定されるあらゆるIDの画像)を取得するために適切な角度で第1の照明光1008を投影することができる。例えば、第1の照明光1008を投影するために使用される光源は、第1の照明光1008を所望の角度で投影するように配置することができる。一部の実施形態では、第1の照明光1008は例えば、所定の閾値H以上の高さを有する物体の上面及び側面を照明する角度に位置決めされる。第1の照明光1008は、二重アパーチャアセンブリの内側領域(小さいアパーチャ)に対応するように設けることができる。二重アパーチャアセンブリの内側領域は、所定の高さ閾値を超える高さの物体によって反射された第1の照明光1008を通過させるように構成することができ、また二重アパーチャアセンブリの外側領域は、上記の所定の高さ閾値を超える高さの物体によって反射された第1の照明光1008が通過するのをブロックするように構成することができる。第1の照明光1008は、所定の高さ閾値H未満の高さを有する物体を照明することもできる角度で投影することができるが、上記の通り外側領域が第1の照明光1008をブロックするように構成することができる。上記にて述べたように、所定の高さ閾値を超える高さの物体は作動距離が小さいので、かかる物体表面のバーコードがマシンビジョンシステム1000付近を通過する場合、二重アパーチャアセンブリによって受光される光量は比較的クリティカルではない。
【0058】
一部の実施形態では、第2の照明光1010は、第1の照明光1008の第1の波長(若しくは波長範囲)又は偏光とは異なる第2の波長(若しくは波長範囲)又は偏光を有し、光源を使用して、所定の高さ閾値H未満の高さを有する物体の画像(例えば物体の表面上の想定されるあらゆるIDの画像)を取得するために適切な角度で第2の照明光1010を投影することができる。例えば、第2の照明光1010を投影するために使用される光源は、第2の照明光1010を所望の角度で投影するように配置することができる。一部の実施形態では、第2の照明光1010は例えば、所定の閾値H未満の高さを有する物体の上面及び側面を照明する角度であって所定の高さ閾値Hを超える高さの物体を照明しない角度に位置決めされる。第2の照明光1010は、二重アパーチャアセンブリの外側領域(大きいアパーチャ)に対応するように設けることができる。二重アパーチャアセンブリの外側領域は、所定の高さ閾値H未満の物体によって第2の照明光1010を反射した光を通過させるように構成することができる。また、二重アパーチャアセンブリの内側領域は、上記の所定の高さ閾値H未満の物体によって第2の照明光1010を反射した光を通過させるように構成することができる。これにより、第2の照明光1010は二重アパーチャアセンブリの全径(内側及び外側領域)を通過する。上記の通り、所定の高さ閾値H未満の物体は作動距離が大きくなる。外側領域の大きいアパーチャによって、例えば、二重アパーチャアセンブリによって受光される光量を増加させることができる。
【0059】
一部の実施形態では、第1の照明光1008及び第2の照明光1010を投影するために使用される光源はそれぞれ、特定の種類(波長又は偏光)の照明光を提供するためにLED又はレーザダイオードを備えることができる。一部の実施形態では、第1の照明光1008及び第2の照明光1010の両方を提供するためにマルチスペクトル光源を使用することができる。本願でいうマルチスペクトル光源とは、複数の異なる波長の光を別々に生成できる光源である(例えば、それぞれ異なる波長ピーク又は波長帯域を生成できる複数の異なる光サブアセンブリを備えた光源アセンブリ等)。一部の実施形態ではマルチスペクトル光源は、複数の異なる色のLEDダイを1つのパッケージにまとめたものを備えることができる。例えば、マルチスペクトル光源はRGB-LED、RGBW-LED、RGB(IR)-LED、RGBY-LED、若しくはその他の種類のRGB-LED、又はその他の種類の多波長LEDとすることができる。
【0060】
上記にて詳細に述べたように、一部の実施形態ではマシンビジョンシステムは、複数の異なるDOFの画像を取得するために二重アパーチャアセンブリの1つ又は複数の領域を選択的に用いるため、システムパラメータに基づいて第1の照明光及び第2の照明光のうち1つを選択するように構成することができる。
図11は、本願技術の一実施形態の二重アパーチャを備えたマシンビジョンシステムを示す図である。図中の実施形態では、ライン(例えばコンベア等)1105上にマシンビジョンシステム1100(例えば固定取付IDリーダ)が配置され、これは、矢印1107で示されているように物体1106が視野を通過する際に当該物体1106の(1つ又は複数の)面に設けられた任意の想定されるIDコード(例えばバーコード等)を取得するために用いられる。上記にて述べたように、物体1106とマシンビジョンシステム1100との間の距離は、物体1106のサイズ(例えば高さ等)に応じて変化し得る。例えば、高さがより大きい物体は、光学系アセンブリ(例えば、レンズ又はレンズ)と物体との間の作動距離がより小さくなり、高さがより小さい物体は、光学系アセンブリ(例えば、レンズ又はレンズ)と物体との間の作動距離がより大きくなる。
【0061】
一部の実施形態では、マシンビジョンシステム1100はカメラ1102と、カメラ1102の前に配置された光学系アセンブリ1104と、コンベア1105及び物体1106の付近(例えばコンベア1105の上方等)に配置された距離センサ1112と、を備えることができる。上記にて
図1及び
図3を参照して説明したように、カメラ1102は、例えば画像センサ及びプロセッサ等を含む種々の要素を備えることができ、光学系アセンブリ1104は(例えば上記にて述べたような)レンズ配置体と二重アパーチャアセンブリとを備えることができる。一部の実施形態では、二重アパーチャアセンブリはマシンビジョンシステム1100(例えばIDリーダ等)のDOFを制御するように構成することができる。一部の実施形態では、二重アパーチャアセンブリは2つの領域を有することができ、各領域をサンプリングしてそれぞれ異なるアパーチャ値及びDOFを求めることができる。例えば二重アパーチャアセンブリは、小さいアパーチャ(と大きいDOF)を提供するように構成された内側領域と、大きいアパーチャ(と小さいDOF)を提供するように構成された外側領域と、を有することができる。このようにして、二重アパーチャアセンブリのどの(1つ又は複数の)領域を用いるかに応じて、異なるDOFの画像を容易に得ることができる。なお、図中に示した構成要素の配置は、幅広い範囲に及ぶレイアウトや構成要素の種類の例示であることに留意すべきである。よって、図中の実施形態は、当該例示の実施形態の機能を果たす構成要素の可能な配置を教示するために提示したものであり、他の実施形態では他の配置構成となり得る。例えばアパーチャアセンブリは、上記にて説明したように四重アパーチャアセンブリ等のマルチアパーチャアセンブリとすることができる。
【0062】
図中の実施形態では、二重アパーチャアセンブリの第1の領域は、所定の高さ閾値H以上の高さを有する物体表面の画像(例えば、バーコード等のID等の画像等)を取得するために用いることができ、また、第1の領域と第2の領域とを共に使用して、上記の所定の高さ閾値H未満の高さを有する物体表面の画像(例えば、バーコード等のID等の画像等)を取得するために用いることができる。一部の実施形態では、例えばカメラ1102のプロセッサを用いて、第1の照明光1108及び第2の照明光1110を選択的に作動させて、画像取得のための二重アパーチャアセンブリの(1つ又は複数の)領域とアパーチャサイズとを選択することができる。よって、第1の照明光1108及び第2の照明光1110を用いて複数の異なる時点で光ビームを投射することができる。図中の実施形態ではマシンビジョンシステム1100は、距離センサ1112によって測定された物体と距離センサ1112との間の距離(ひいては物体とマシンビジョンシステム1100との間の距離1114)で示されているような物体1106の高さに基づいて、第1の照明光1108及び第2の照明光のうち1つを選択するように構成することができる。このようにしてマシンビジョンシステム1100は、複数の異なる高さの物体がコンベア1105上において視野を通過する際に第1の照明光1108又は第2の照明光1110を選択的に供給することによって、当該複数の物体の画像を取得するように構成されている。一部の実施形態では、距離センサ1112は例えばタイム・オブ・フライト(TOF)カメラ、レンジファインダ又は寸法測定器等とすることができる。一部の実施形態では、第1の照明光1108と二重アパーチャアセンブリの内側領域とを用いて、小さいアパーチャと大きいDOFとにより画像を取得することができる。一部の実施形態では、第2の照明光1110と二重アパーチャアセンブリの内側領域及び外側領域とを用いて、大きいアパーチャと小さいDOFとで画像を取得することができる。
【0063】
距離センサ1112によって測定された距離は、(例えばカメラ1102のプロセッサ等を用いて)所定の高さ閾値Hと比較することができる。物体1106の高さが所定の高さ閾値H以上である場合、光源を用いて、物体の画像(例えばコンベア1105上の物体の表面のあらゆる想定されたIDの画像等)を取得するために適切な角度で第1の照明光1108を投影することができる。例えば、第1の照明光1108を投影するために使用される光源を、第1の照明光1108を所望の角度で投影するように配置することができる。一部の実施形態では、第1の照明光1008は例えば、コンベア1005上の物体の上面及び側面を照明する角度に位置決めされる。既に述べた通り、第1の照明光1108は二重アパーチャアセンブリの内側領域(小さいアパーチャ)に対応して設けることができる。一部の実施形態では、第1の照明光1108は第1の波長(若しくは波長範囲)又は偏光を有する。二重アパーチャアセンブリの内側領域は、所定の高さ閾値を超える高さの物体によって反射された第1の照明光1108を通過させるように構成することができ、また二重アパーチャアセンブリの外側領域は、上記の所定の高さ閾値を超える高さの物体によって反射された第1の照明光1108が通過するのをブロックするように構成することができる。上記にて述べたように、所定の高さ閾値を超える高さの物体は作動距離が小さいので、かかる物体表面のバーコードがマシンビジョンシステム1100付近を通過する場合、二重アパーチャアセンブリによって受光される光量は比較的クリティカルではない。
【0064】
物体1106の高さが所定の高さ閾値H未満である場合、光源を用いて、物体の画像(例えばコンベア1105上の物体の表面のあらゆる想定されたIDの画像等)を取得するために適切な角度で第2の照明光1110を投影することができる。例えば、第2の照明光1110を投影するために使用される光源を、第2の照明光1110を所望の角度で投影するように配置することができる。一部の実施形態では、第2の照明光1010は例えば、コンベア1105上の物体の上面及び側面を照明する角度に位置決めされる。第2の照明光1110は、二重アパーチャアセンブリの外側領域(大きなアパーチャ)に対応して設けることができる。一部の実施形態では第2の照明光1110は、第1の照明光1108の第1の波長(若しくは波長範囲)又は偏光とは異なる第2の波長(若しくは波長範囲)又は偏光を有することができる。二重アパーチャアセンブリの外側領域は、所定の高さ閾値H未満の物体によって第2の照明光1110を反射した光を通過させるように構成することができる。また、二重アパーチャアセンブリの内側領域は、上記の所定の高さ閾値H未満の物体によって第2の照明光1110を反射した光を通過させるように構成することができる。これにより、第2の照明光1110は二重アパーチャアセンブリの全径(内側及び外側領域)を通過する。上記の通り、所定の高さ閾値H未満の物体は作動距離が大きくなる。外側領域の大きいアパーチャによって、例えば、二重アパーチャアセンブリによって受光される光量を増加させることができる。
【0065】
一部の実施形態では、第1の照明光1108及び第2の照明光1110を投影するために使用される光源はそれぞれ、特定の種類(波長又は偏光)の照明光を提供するためにLED又はレーザダイオードを備えることができる。一部の実施形態では、第1の照明光1108及び第2の照明光1110の両方を提供するためにマルチスペクトル光源を使用することができる。本願でいうマルチスペクトル光源とは、複数の異なる波長の光を別々に生成できる光源である(例えば、それぞれ異なる波長ピーク又は波長帯域を生成できる複数の異なる光サブアセンブリを備えた光源アセンブリ等)。一部の実施形態ではマルチスペクトル光源は、複数の異なる色のLEDダイを1つのパッケージにまとめたものを備えることができる。例えば、マルチスペクトル光源はRGB-LED、RGBW-LED、RGB(IR)-LED、RGBY-LED、若しくはその他の種類のRGB-LED、又はその他の種類の多波長LEDとすることができる。
【0066】
上記にて説明したように、一部の実施形態ではIDリーダ(例えばバーコード等)をハンドヘルド構成とし、ユーザが例えば検査フロアにおいて物体間を移動したり、リーダと物体表面との間の距離又は相対角度を自由に変えられるようにすることができる。
図12は、本願技術の一実施形態の二重アパーチャを備えたハンドヘルド式のマシンビジョンシステムを示す図である。図中の実施形態では、マシンビジョンシステム1200はハウジング1222を備えたハンドヘルド式システム1220として構成されている。上記にて述べた通り、物体1206とハンドヘルド式システム1200との間の距離は、ユーザがハンドヘルド式システム1220を何処に配するかに応じて変わり得る。
【0067】
一部の実施形態ではハンドヘルド式システム1220は、ハウジング1222内に配置されたカメラ1202と、光学系アセンブリ1204と、同軸(on-axis)照準器及び距離測定アセンブリ1216と、を備えることができる。図中の実施形態では、光学系アセンブリ1204はカメラ1202の手前に配置される。上記にて
図1及び
図3を参照して説明したように、カメラ1202は、例えば画像センサ及びプロセッサ等を含む種々の要素を備えることができ、光学系アセンブリ1204は(例えば上記にて述べたような)レンズ配置体と二重アパーチャアセンブリとを備えることができる。一部の実施形態では、二重アパーチャアセンブリはハンドヘルド式システム1220(例えばIDリーダ等)のDOFを制御するように構成することができる。一部の実施形態では、二重アパーチャアセンブリは2つの領域を有することができ、各領域をサンプリングしてそれぞれ異なるアパーチャ値及びDOFを求めることができる。例えば二重アパーチャアセンブリは、小さいアパーチャ(と大きいDOF)を提供するように構成された内側領域と、大きいアパーチャ(と小さいDOF)を提供するように構成された外側領域と、を有することができる。このようにして、アパーチャシステムのどの(1つ又は複数の)領域を用いるかに応じて、異なるDOFの画像を容易に得ることができる。なお、図中に示した構成要素の配置は、幅広い範囲に及ぶレイアウトや構成要素の種類の例示であることに留意すべきである。よって、図中の実施形態は、当該例示の実施形態の機能を果たす構成要素の可能な配置を教示するために提示したものであり、他の実施形態では他の配置構成となり得る。例えばアパーチャアセンブリは、上記にて説明したように四重アパーチャアセンブリ等のマルチアパーチャアセンブリとすることができる。
【0068】
図中の実施形態では、二重アパーチャアセンブリの第1の領域は、ハンドヘルド式システム1220からの距離が所定の距離閾値未満である物体表面の画像(例えば、バーコード等のID等の画像等)を取得するために用いることができ、また、第1の領域と第2の領域とを共に使用して、ハンドヘルド式システム1220からの距離が上記の所定の距離閾値を超える物体表面の画像(例えば、バーコード等のID等の画像等)を取得するために用いることができる。一部の実施形態では、例えばカメラ1202のプロセッサを用いて、第1の照明光1208及び第2の照明光1210を選択的に作動させて、画像取得のための二重アパーチャアセンブリの(1つ又は複数の)領域とアパーチャサイズとを選択することができる。よって、第1の照明光1208及び第2の照明光1210を用いて複数の異なる時点で光ビームを投射することができる。図中の実施形態ではハンドヘルド式システム1220は、同軸照準器及び距離測定システム1216によって測定された物体1206とハンドヘルド式システム1220(例えば光学系アセンブリ1204の1つ又は複数のレンズ等)との間の距離に基づいて、第1の照明光1208及び第2の照明光のうち1つを選択するように構成することができる。このようにしてハンドヘルド式システム1220は、第1の照明光1208又は第2の照明光1210を選択的に供給することによって、ハンドヘルド式システム1220からの距離が異なる複数の物体の画像を取得するように構成されている。一部の実施形態では、第1の照明光1208と二重アパーチャアセンブリの内側領域とを用いて、小さいアパーチャと大きいDOFとにより画像を取得することができる。一部の実施形態では、第2の照明光1210と二重アパーチャアセンブリの内側領域及び外側領域とを用いて、大きいアパーチャと小さいDOFとで画像を取得することができる。
【0069】
一部の実施形態では、同軸照準器及び距離測定アセンブリ1216は照準器パターンを投影するように構成することができ、この照準器パターンはハンドヘルド式システム1220のユーザによって物体1206(例えば物体1206表面のバーコード等)に送られることができ、これによって例えば、ハンドヘルド式システム1220に対する物体1206表面のバーコードの相対的な方向調整を適正に行うことができる。一部の実施形態では、照準器パターンを生成するために同軸照準器及び距離測定システム1216によって投影される光ビームは、リーダ光軸OAと実質的に同軸(on-axis)とすることができる。例えば、反射アセンブリ1218を使用して、同軸照準器及び距離測定アセンブリ1216の光源からの光をリーダ光軸OAと同軸の光路に導くことができる。一部の実施形態では、同軸照準器及び距離測定アセンブリ1216によって投影される光ビームは、ハンドヘルド式システム1220(例えば光学系アセンブリ1204の1つ又は複数のレンズ等)と物体1206との間の距離を特定するために用いられると共に、照準器ビームとしても用いられるように構成することができる。例えば、ハンドヘルド式システム1220と物体1206との間の距離は、投影された照準パターンが反射した光に基づき特定することができる。一部の実施形態ではハンドヘルド式システム1220は、照準器と、これとは別体の距離センサと、を備えることができる。
【0070】
同軸照準器及び距離測定アセンブリ1216によって測定された距離は、(例えばカメラ1202のプロセッサ等を用いて)所定の距離閾値と比較することができる。物体1206とハンドヘルド式システム1220との間の距離が所定の距離閾値未満である場合、光源を用いて、物体1206の画像(例えば物体1206の表面のあらゆる想定されたIDの画像等)を取得するために適切な角度で第1の照明光1208を投影することができる。例えば、第1の照明光1208を投影するために使用される光源を、第1の照明光1208を所望の角度で投影するように配置することができる。既に述べた通り、第1の照明光1208は二重アパーチャアセンブリの内側領域(小さいアパーチャ)に対応して設けることができる。一部の実施形態では、第1の照明光1208は第1の波長(若しくは波長範囲)又は偏光を有する。二重アパーチャアセンブリの内側領域は、所定の距離閾値未満の物体によって反射された第1の照明光1208を通過させるように構成することができ、また二重アパーチャアセンブリの外側領域は、上記の所定の距離閾値未満の物体によって反射された第1の照明光1208が通過するのをブロックするように構成することができる。上記にて述べたように、物体表面のバーコードがハンドヘルド式システム1220に接近した場合、二重アパーチャアセンブリによって受光される光量は比較的クリティカルではない。
【0071】
物体1206とハンドヘルド式システム1220との間の距離が所定の距離閾値を超える場合、光源を用いて、物体1206の画像(例えば物体1206の表面のあらゆる想定されたIDの画像等)を取得するために適切な角度で第2の照明光1210を投影することができる。例えば、第2の照明光1210を投影するために使用される光源を、第2の照明光1210を所望の角度で投影するように配置することができる。第2の照明光1210は、二重アパーチャアセンブリの外側領域(大きなアパーチャ)に対応して設けることができる。一部の実施形態では第2の照明光1210は、第1の照明光1208の第1の波長(若しくは波長範囲)又は偏光とは異なる第2の波長(若しくは波長範囲)又は偏光を有することができる。二重アパーチャアセンブリの外側領域は、所定の距離閾値を超える高さの物体によって第2の照明光1210を反射した光を通過させるように構成することができる。また、二重アパーチャアセンブリの内側領域は、上記の所定の距離閾値を超える距離の物体によって第2の照明光1210を反射した光を通過させるように構成することができる。これにより、第2の照明光1210は二重アパーチャアセンブリの全径(内側及び外側領域)を通過する。上記のように、外側領域の大きいアパーチャによって、例えば、二重アパーチャアセンブリによって受光される光量を増加させることができる。
【0072】
一部の実施形態では、第1の照明光1208及び第2の照明光1210を投影するために使用される光源はそれぞれ、特定の種類(波長又は偏光)の照明光を提供するためにLED又はレーザダイオードを備えることができる。一部の実施形態では、第1の照明光1208及び第2の照明光1210の両方を提供するためにマルチスペクトル光源を使用することができる。本願でいうマルチスペクトル光源とは、複数の異なる波長の光を別々に生成できる光源である(例えば、それぞれ異なる波長ピーク又は波長帯域を生成できる複数の異なる光サブアセンブリを備えた光源アセンブリ等)。一部の実施形態ではマルチスペクトル光源は、複数の異なる色のLEDダイを1つのパッケージにまとめたものを備えることができる。例えば、マルチスペクトル光源はRGB-LED、RGBW-LED、RGB(IR)-LED、RGBY-LED、若しくはその他の種類のRGB-LED、又はその他の種類の多波長LEDとすることができる。
【0073】
上記の記載は、本願技術の実施形態例を詳細に説明するものであったが、本願開示の思想や範囲から逸脱することなく、種々の改良や追加を行うことができる。上記にて説明した種々の各実施形態の構成は適宜、ここで記載されている他の実施形態の各構成と組み合わせて、関連する新規の実施形態を実現する構成の組み合わせの多様性を提供することができる。また、上記では本願開示の装置及び方法の数多くの別個の実施形態について説明したが、本願にて記載されている事項は、あくまで本願開示の原理の応用の例示である。さらに、本願で使用されている「垂直方向」、「水平方向」、「上」、「下」、「底部」、「頂部」、「側部」、「前」、「後」、「左」、「右」等の方向や向きを表す用語は、あくまで相対的な用語であり、例えば重力等の固定的な座標系を基準とする絶対的な方向ではない。よって、本願明細書はあくまで例示として解されるものであり、本願開示の範囲を別段限定するものと解されるものではない。
【0074】
一部の実施形態では、本願技術の方法のコンピュータ実装も含めた本願技術の各側面は、処理装置(例えばシリアル若しくはパラレル汎用若しくは特殊プロセッサチップ、シングルコアチップ、マルチコアチップ、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、制御ユニット、算術論理演算装置及びプロセッサレジスタの任意の種々の組み合わせ、等)コンピュータ(例えばメモリに動作可能に結合された処理装置等)その他本願に詳細に記載されている各側面を実装するための電子的に動作するコントローラを制御するためのソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア又はこれらの任意の組み合わせを製造するための標準的プログラミング技術又はエンジニアリング技術を用いた製造の物品、システム、方法又は装置として実施することができる。よって例えば、本願技術の各実施形態は、処理装置が非一時的なコンピュータ可読媒体からの命令の読み出しに基づき当該命令を実行できるように当該非一時的なコンピュータ可読媒体に有形に具現化された命令のセットとして実施することができる。本願技術の一部の実施形態は、本願の記載と一致する種々のコンピュータハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア等を含めた例えばオートメーション装置、特殊用途又は汎用コンピュータ等の制御装置を備える(又は使用する)ことができる。制御装置は具体例として、プロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルロジックコントローラ、論理ゲート等、及び適切な機能を実装するための当該分野において公知の他の典型的な構成要素(例えばメモリ、通信システム、電源、ユーザインタフェースその他入力部等)を含み得る。
【0075】
本願でいう「製造の物品」とは、任意のコンピュータ可読装置、キャリア(例えば非一時的な信号等)又は媒体(例えば非一時的な媒体等)がアクセス可能なコンピュータプログラムを含むことを意図したものである。例えばコンピュータ可読媒体には、磁気記憶装置(例えばハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープ等)、光学ディスク(例えばコンパクトディスク(CD)、デジタル多目的ディスク(DVD)等)、スマートカード、及びフラッシュメモリデバイス(例えばカード、スティック等)が含まれ得るが、これらは限定列挙ではない。さらに、例えば電子メールの送受信又はインターネット若しくはローカルエリアネットワーク(LAN)等のネットワークへのアクセス等において用いられるような、コンピュータ可読電子データを搬送するために搬送波を使用できると解すべきである。当業者であれば、特許請求の範囲に記載の発明の範囲又は思想から逸脱することなく、上記の構成に多くの改良を施すことが可能であることを認識することができる。
【0076】
本願技術の方法の特定の動作、又は当該方法を実行するシステムの特定の動作は、各図において概略的に示され、又はその他の態様で記載されている場合がある。別段の指定又は限定が無い限り、特定の空間的順序での特定の動作の各図の記載は必ずしも、当該動作を当該特定の空間的順序に相当する特定の順序で実行しなければならない訳ではない。従って、各図に示され又は他の態様で本願に開示されている特定の動作は、本願技術の特定の実施形態に適切である場合、明示的に図示又は記載された順序とは異なる順序で実行することができる。また一部の実施形態では、特定の動作は、大きなシステムの一部として相互動作するように構成された別体の計算機、又は専用の並列処理装置による実行も含めて、並列実行することもできる。
【0077】
本願においてコンピュータ実装に関して別段の指定又は限定が無い限り、「構成要素」、「システム」、「モジュール」等の用語は、ハードウェア、ソフトウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、又は実行時ソフトウェアを含めたコンピュータ関連システムの一部又は全部を含むことを意図したものである。例えば構成要素は、処理装置、処理装置によって実行される(又は実行可能な)処理、オブジェクト、実行プログラム、実行のスレッド、コンピュータプログラム、又はコンピュータとすることができるが、これらは限定列挙ではない。例えば、コンピュータ上で実行されるアプリケーション及びそのコンピュータの両方が構成要素となり得る。構成要素(若しくはシステム、モジュール等)は処理若しくは実行スレッドの中に存在することができ、1つのコンピュータ上にローカルに実装することができ、2つ以上のコンピュータその他処理装置に分散することができ、又は、他の構成要素(若しくはシステム、モジュール等)の中に含めることができる。
【国際調査報告】