(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-14
(54)【発明の名称】三叉神経刺激のためのパルス発生器
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20230907BHJP
A61N 1/08 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023503133
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(85)【翻訳文提出日】2023-03-15
(86)【国際出願番号】 US2021042029
(87)【国際公開番号】W WO2022016086
(87)【国際公開日】2022-01-20
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522146211
【氏名又は名称】ニューロシグマ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,パトリック
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB34
4C053JJ03
4C053JJ14
(57)【要約】
本明細書では、三叉神経刺激のためのパルス発生器デバイスが開示される。1つの実施形態では、パルス発生器デバイスは、患者に対する治療セッションのために電極アセンブリに送達されるパルスを生成し、治療セッションからのデータをログ記録し(データは、パルス発生器に接続された電極アセンブリのインピーダンスと、パルスの電流振幅とを含む)、データから平均電流振幅を決定し、データから平均治療インピーダンスを決定し、後続の治療セッションを開始する前にパルス発生器のバッテリの充電容量を決定し、平均電流振幅及び平均治療インピーダンスを使用することにより、バッテリの充電容量が、指定された持続時間にわたる後続の治療セッションを完了するのに十分であるか否かを判断するように構成されたプロセッサを含む。さらに、パルス発生器デバイスは、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含む画面を表示するように構成されたディスプレイを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三叉神経刺激の方法であって、
パルス発生器の少なくとも1つのプロセッサにより、患者に対する少なくとも1回の治療セッションのために電極アセンブリに送達されるパルスを生成することであって、前記パルスは、定義された特性を有する、生成することと、
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記患者に対する前記少なくとも1回の治療セッションからのデータをログ記録することであって、前記データは、前記少なくとも1回の治療セッション中の前記パルス発生器に接続された前記電極アセンブリのインピーダンスと、前記少なくとも1回の治療セッション中に生成された前記パルスの電流振幅とを含む、ログ記録することと、
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回に関する前記電流振幅を含む前記データを使用することにより、平均電流振幅を決定することと、
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回に関する前記インピーダンスを含む前記データを使用することにより、平均治療インピーダンスを決定することと、
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記患者に対する後続の治療セッションを開始する前に、前記パルス発生器のバッテリの充電容量を決定することと、
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記平均電流振幅及び前記平均治療インピーダンスを使用することにより、前記パルス発生器の前記バッテリの前記充電容量が、指定された持続時間にわたる前記患者に対する前記後続の治療セッションを完了するのに十分であるか否かを判断することと
を含む方法。
【請求項2】
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサが、前記バッテリの前記充電容量が、前記指定された持続時間にわたる前記患者に対する前記後続の治療セッションを完了するのに不十分であると判断する場合、前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記パルス発生器の前記バッテリの前記充電容量が、前記指定された持続時間にわたる前記後続の治療セッションを完了するのに不十分であることを示す、前記患者への警告を発生させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記警告は、視覚警告又は可聴警告の少なくとも一方である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記視覚警告は、テキスト又はアイコンの少なくとも一方を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記パルス発生器のディスプレイにより、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含む画面を表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記画面は、前記患者に対する前記少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回に関する平均治療データを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記画面は、前記患者に対する前記少なくとも1回の治療セッションの履歴を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記画面は、前記患者に対する前記少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回中に生成された前記パルスの前記電流振幅の履歴を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記画面は、前記患者に対する前記少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回中の前記パルス発生器に接続された前記電極アセンブリの前記インピーダンスの履歴を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記パルス発生器に接続された前記電極アセンブリの前記インピーダンスを測定して、測定インピーダンスを発生させること、
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記測定インピーダンスがベース閾値インピーダンス値よりも小さいか否かを判断すること、
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサが、前記測定インピーダンスが前記ベース閾値インピーダンス値よりも小さいと判断する場合、前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記測定インピーダンスが前記ベース閾値インピーダンス値未満であることを示す、前記患者への警告を発生させること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記パルス発生器に接続された前記電極アセンブリの前記インピーダンスを測定して、測定インピーダンスを発生させること、
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記測定インピーダンスが最大閾値インピーダンス値よりも大きいか否かを判断すること、
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサが、前記測定インピーダンスが前記最大閾値インピーダンス値よりも大きいと判断する場合、前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記測定インピーダンスが前記最大閾値インピーダンス値を超えていることを示す、前記患者への警告を発生させること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
三叉神経刺激のためのパルス発生器デバイスであって、
少なくとも1つのプロセッサであって、
患者に対する少なくとも1回の治療セッションのために電極アセンブリに送達されるパルスを生成することであって、前記パルスは、定義された特性を有する、生成することと、
前記患者に対する前記少なくとも1回の治療セッションからのデータをログ記録することであって、前記データは、前記少なくとも1回の治療セッション中の前記パルス発生器に接続された前記電極アセンブリのインピーダンスと、前記少なくとも1回の治療セッション中に生成された前記パルスの電流振幅とを含む、ログ記録することと、
前記少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回に関する前記電流振幅を含む前記データを使用することにより、平均電流振幅を決定することと、
前記少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回に関する前記インピーダンスを含む前記データを使用することにより、平均治療インピーダンスを決定することと、
前記患者に対する後続の治療セッションを開始する前に、前記パルス発生器のバッテリの充電容量を決定することと、
前記平均電流振幅及び前記平均治療インピーダンスを使用することにより、前記パルス発生器の前記バッテリの前記充電容量が、指定された持続時間にわたる前記患者に対する前記後続の治療セッションを完了するのに十分であるか否かを判断することと
を行うように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含む画面を表示するように構成されたディスプレイと
を含むパルス発生器デバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記バッテリの前記充電容量が、前記指定された持続時間にわたる前記患者に対する前記後続の治療セッションを完了するのに不十分であると判断する場合、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記パルス発生器の前記バッテリの前記充電容量が、前記指定された持続時間にわたる前記後続の治療セッションを完了するのに不十分であることを示す、前記患者への警告を発生させるようにさらに構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記警告は、視覚警告又は可聴警告の少なくとも一方である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイの一方である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記指定された持続時間をプログラミングするように構成された少なくとも1つのボタンをさらに含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記パルス発生器がユーザの手の中に収まるような寸法を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
生成される前記パルスの前記電流振幅は、8.0mAの上限を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記患者のためのパスワードを要求することにより、前記パルス発生器の使用を制限するようにさらに構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記患者のための前記パスワードは、プログラム可能である、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
[0001] 本開示は、概して、外部神経刺激デバイス及びそれを使用する方法に関し、より詳細には、三叉神経の浅(皮膚)感覚枝を刺激するように構成された外部神経刺激デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
[0002] てんかん又は他の発作関連障害等、いくつかの医学的障害に対して現在利用可能な外科的治療方法としては、米国(U.S.)食品医薬品局(FDA)によって承認されている、迷走神経刺激(VNS)による神経系の刺激が挙げられ得る。この方法では、刺激電極は、頸部を通る迷走神経に接触するように外科的に埋め込まれる。VNSでの麻酔に関連する合併症、感染の可能性、コスト及び他の有害事象に加えて、VNS治療を受けた対象者の多くは、寛解を達成せず、埋め込まれたVNSデバイスからの良好な転帰の信頼できる予測因子がない。
【0003】
[0003] 神経調節に対する他の手法は、現在進行中の研究の焦点である。例えば、脳の所定の領域の脳深部刺激法(DBS)及び脳の活動をモニタリングするとともに、必要に応じて刺激を送達するデバイスを介した脳の所定の領域の頭蓋内刺激を含む埋め込み型手法も研究されている。しかしながら、DBSのリスクには、感染、出血及び脳深部構造の損傷がある。
【0004】
[0004] いくつかの臨床状況では、神経学的及び精神医学的状態に対して電気痙攣療法(ECT)及び反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS)が使用されている。従来、脳刺激は、薬物療法及び心理療法に代わる一次治療であり、20世紀前半以降、ECTが主要な脳刺激手法となっている。しかしながら、ECTは、記憶及び他の認知に関する副作用のリスク、多額のコスト及び麻酔のリスクを伴う。
【0005】
[0005] 上述の方法の多くは、侵襲的であり、多額のコスト及び副作用を有する可能性がある。さらに、実質的な割合の患者は、医薬又は外科的治療の複数回の試みにも関わらず、状態若しくは障害から回復しないか、又は状態若しくは障害の適切な持続的寛解を得られない。
【0006】
[0006] 本明細書のこの背景セクションに含まれる情報は、本明細書で引用する任意の参照文献及びその任意の説明又は考察を含めて、技術的参照の目的のためにのみ含まれ、本発明の範囲を拘束する主題と見なされるべきではない。
【発明の概要】
【0007】
概要
[0007] 本開示の主題の1つの態様は、低侵襲であるとともに、他の神経調節手法と比較して副作用が低減した、三叉神経を刺激するように構成されたシステム及びデバイスを提供することにより、上述の必要性に対処する。
【0008】
[0008] 本明細書では、三叉神経刺激のためのシステムを開示する。1つの実施形態では、本システムは、記憶媒体と、記憶媒体に通信可能に結合されたパルス発生器と、パルス発生器に結合された電源と、パルス発生器に通信可能に結合された少なくとも1つの電極とを含む。パルス発生器は、記憶媒体からの命令を実行するマイクロコントローラを含み、マイクロコントローラは、以下の動作:定義された特性を有する電気パルスを生成することと、使用及び異常事象のログを記録することと、使用を指定された個人に制限することと、電極とインタフェースすることと、動作状態及び障害状態を示す信号を指定された個人に提供することと、治療期間の終了を示す信号を指定された個人に提供することとの少なくとも1つを実施するように構成される。いくつかの実施形態では、システムは、電源又は充電ステーションをさらに含み得る。電源は、充電式バッテリ等のバッテリであり得る。
【0009】
[0009] 本明細書では、三叉神経刺激のためのパルス発生器を開示する。1つの実施形態では、発生器は、前面部分及び背面部分を有する本体を含み、少なくとも1つの電極チャネルを含む。パルス発生器は、電源も含む。パルス発生器は、記憶媒体からの命令を実行する少なくとも1つのマイクロコントローラも含み、マイクロコントローラは、以下の動作:定義された特性を有する電気パルスを生成することと、使用及び異常事象のログを記録することと、使用を指定された個人に制限することと、電極とインタフェースすることと、動作状態及び障害状態を示す信号を指定された個人に提供することと、治療期間の終了を示す信号を指定された個人に提供することとの少なくとも1つを実施するように構成される。パルス発生器は、グラフィカルユーザインタフェースを提供するように構成されたディスプレイと、ユーザがパルス発生器の少なくとも1つの動作を制御することを可能にするように構成された少なくとも1つのユーザ制御機能とをさらに含む。パルス発生器は、本体に画定された電源インレットポートをさらに含み得る。1つの実施形態では、本体は、およそ115ミリメートル(mm)(4.5インチ(in))高さ×69mm(2.7in)幅×27mm(1.1in)奥行の寸法と、バッテリなしで145グラム(g)(5.1オンス(oz))の重量とを有する。いくつかの実施形態では、電源は、バッテリであり得、本体は、バッテリを受容するように構成される本体の背面部分に画定された少なくとも1つのバッテリキャビティを含み得る。1つの実施形態では、本体は、プラスチック、金属合金又は複合材料である。1つの態様では、マイクロコントローラは、出力電流を制限し、電流は、およそ35ミリアンペア(mA)未満に制限される。様々な実施形態において、電流出力は、およそ10mA、7mA又は5mAの上限を有する。いくつかの実施形態では、電流出力は、およそ2.5mAの下限を有する。いくつかの実施形態では、電流出力は、およそ5mAに固定される。1つの実施形態では、マイクロコントローラは、真の方形波の電荷平衡出力信号又は非矩形出力信号を送達するように構成される(又は送達する)。1つの態様では、マイクロコントローラは、以下の特性:周波数1~300ヘルツ(Hz)、パルス持続時間50~500マイクロ秒(μsec)、デューティサイクル1~100パーセント(%)を有する電気パルスを生成する。1つの態様では、電極チャネルは、電極アセンブリのリード線の端部に位置する少なくとも1つの突起を受容するように構成された少なくとも1つの溝を含み、ロック及びキー構成を形成する。1つの態様では、電極チャネルは、所定の電極アセンブリのためにキーが付けられている。
【0010】
[0010] 本明細書では、処理デバイスを有するパルス発生器を、パルス発生器を使用して少なくとも1つの皮膚三叉神経枝を刺激するように動作させる方法を開示する。1つの実施形態では、本方法は、記憶媒体から命令を受け取ることと、以下の動作:定義された特性を有する電気パルスを生成すること、使用及び異常事象のログを記録すること、使用を指定された個人に制限すること、専用の電極とインタフェースすること、動作状態及び障害状態を示す信号を指定された個人に提供すること及び治療期間の終了を示す信号を指定された個人に提供することの少なくとも1つを実施することとを含む。1つの態様では、使用を指定された個人に制限する動作は、患者ユーザに対して、パルス発生器を動作させるために個人識別番号(PIN)又は生体認証IDを提供することを要求することを含む。1つの態様では、PINは、5桁の数字であり、生体認証IDは、指紋である。1つの態様では、定義された特性を有する電気パルスを生成する動作は、マイクロコントローラによって実施され、特性は、周波数1~300Hz、パルス持続時間50~500μsec、デューティサイクル1~100%である。1つの態様では、電極とインタフェースする動作は、電極に対してキーが付けられている、パルス発生器に画定された少なくとも1つの電極チャネルによって実施される。
【0011】
[0011] 本明細書では、三叉神経の枝を刺激するプロセスを実施するコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ読取可能媒体を開示する。1つの実施形態では、命令は、プロセッサデバイスに、定義された特性を有する電気パルスを生成させ、使用及び異常事象のログを記録させ、使用を指定された個人に制限させ、指定された電極とインタフェースさせ、動作状態及び障害状態を示す信号を指定された個人に提供させ、治療期間の終了を示す信号を指定された個人に提供させることを含む。
【0012】
[0012] 1つ又は複数の実施形態では、三叉神経刺激の方法は、パルス発生器の少なくとも1つのプロセッサにより、患者に対する少なくとも1回の治療セッションのために電極アセンブリに送達されるパルスを生成することを含み、パルスは、定義された特性を有する。本方法は、パルス発生器の少なくとも1つのプロセッサにより、患者に対する少なくとも1回の治療セッションからのデータをログ記録することをさらに含み、データは、少なくとも1回の治療セッション中のパルス発生器に接続された電極アセンブリのインピーダンスと、少なくとも1回の治療セッション中に生成されたパルスの電流振幅とを含む。本方法は、パルス発生器の少なくとも1つのプロセッサにより、少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回に関する電流振幅を含むデータを使用することにより、平均電流振幅を決定することをさらに含む。本方法は、パルス発生器の少なくとも1つのプロセッサにより、少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回に関するインピーダンスを含むデータを使用することにより、平均治療インピーダンスを決定することも含む。また、本方法は、パルス発生器の少なくとも1つのプロセッサにより、患者に対する後続の治療セッションを開始する前に、パルス発生器のバッテリの充電容量を決定することを含む。さらに、本方法は、パルス発生器の少なくとも1つのプロセッサにより、平均電流振幅及び平均治療インピーダンスを使用することにより、パルス発生器のバッテリの充電容量が、指定された持続時間にわたる患者に対する後続の治療セッションを完了するのに十分であるか否かを判断することを含む。
【0013】
[0013] 1つ又は複数の実施形態では、本方法は、パルス発生器の少なくとも1つのプロセッサが、バッテリの充電容量が、指定された持続時間にわたる患者に対する後続の治療セッションを完了するのに不十分であると判断する場合、パルス発生器の少なくとも1つのプロセッサにより、パルス発生器のバッテリの充電容量が、指定された持続時間にわたる後続の治療セッションを完了するのに不十分であることを示す、患者への警告を発生させることをさらに含む。少なくとも1つの実施形態では、警告は、視覚警告及び/又は可聴警告である。いくつかの実施形態では、視覚警告は、テキスト及び/又はアイコンを含む。
【0014】
[0014] 1つ又は複数の実施形態では、本方法は、パルス発生器のディスプレイにより、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含む画面を表示することをさらに含む。少なくとも1つの実施形態では、画面は、患者に対する少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回に関する平均治療データを含む。いくつかの実施形態では、画面は、患者に対する少なくとも1回の治療セッションの履歴を含む。1つ又は複数の実施形態では、画面は、患者に対する少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回中に生成されたパルスの電流振幅の履歴を含む。少なくとも1つの実施形態では、画面は、患者に対する少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回中のパルス発生器に接続された電極アセンブリのインピーダンスの履歴を含む。
【0015】
[0015] 少なくとも1つの実施形態では、本方法は、パルス発生器の少なくとも1つのプロセッサにより、パルス発生器に接続された電極アセンブリのインピーダンスを測定して、測定インピーダンスを発生させることをさらに含む。本方法は、パルス発生器の少なくとも1つのプロセッサにより、測定インピーダンスがベース閾値インピーダンス値よりも小さいか否かを判断することをさらに含む。さらに、本方法は、パルス発生器の少なくとも1つのプロセッサが、測定インピーダンスがベース閾値インピーダンス値よりも小さいと判断する場合、パルス発生器の少なくとも1つのプロセッサにより、測定インピーダンスがベース閾値インピーダンス値未満であることを示す、患者への警告を発生させることをさらに含む。
【0016】
[0016] 1つ又は複数の実施形態では、本方法は、パルス発生器の少なくとも1つのプロセッサにより、パルス発生器に接続された電極アセンブリのインピーダンスを測定して、測定インピーダンスを発生させることをさらに含む。また、本方法は、パルス発生器の少なくとも1つのプロセッサにより、測定インピーダンスが最大閾値インピーダンス値よりも大きいか否かを判断することを含む。加えて、本方法は、パルス発生器の少なくとも1つのプロセッサが、測定インピーダンスが最大閾値インピーダンス値よりも大きいと判断する場合、パルス発生器の少なくとも1つのプロセッサにより、測定インピーダンスが最大閾値インピーダンス値を超えていることを示す、患者への警告を発生させることを含む。
【0017】
[0017] 1つ又は複数の実施形態では、三叉神経刺激のためのパルス発生器デバイスは、患者に対する少なくとも1回の治療セッションのために電極アセンブリに送達されるパルスを生成することであって、パルスは、定義された特性を有する、生成することと、患者に対する少なくとも1回の治療セッションからのデータをログ記録することであって、データは、少なくとも1回の治療セッション中のパルス発生器に接続された電極アセンブリのインピーダンスと、少なくとも1回の治療セッション中に生成されたパルスの電流振幅とを含む、ログ記録することと、少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回に関する電流振幅を含むデータを使用することにより、平均電流振幅を決定することと、少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回に関するインピーダンスを含むデータを使用することにより、平均治療インピーダンスを決定することと、患者に対する後続の治療セッションを開始する前に、パルス発生器のバッテリの充電容量を決定することと、平均電流振幅及び平均治療インピーダンスを使用することにより、パルス発生器のバッテリの充電容量が、指定された持続時間にわたる患者に対する後続の治療セッションを完了するのに十分であるか否かを判断することとを行うように構成された少なくとも1つのプロセッサを含む。さらに、パルス発生器デバイスは、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含む画面を表示するように構成されたディスプレイを含む。
【0018】
[0018] 少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサが、バッテリの充電容量が、指定された持続時間にわたる患者に対する後続の治療セッションを完了するのに不十分であると判断する場合、少なくとも1つのプロセッサは、パルス発生器のバッテリの充電容量が、指定された持続時間にわたる後続の治療セッションを完了するのに不十分であることを示す、患者への警告を発生させるようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、警告は、視覚警告及び/又は可聴警告である。
【0019】
[0019] 1つ又は複数の実施形態では、ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイである。少なくとも1つの実施形態では、パルス発生器デバイスは、治療セッションに対する指定された持続時間をプログラミングするように構成された少なくとも1つのボタンをさらに含む。1つ又は複数の実施形態では、パルス発生器は、パルス発生器がユーザの手の中に収まるような寸法を有する。少なくとも1つの実施形態では、生成されるパルスの電流振幅は、8.0mAの上限を有する。
【0020】
[0020] 少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、患者のためのパスワードを要求することにより、パルス発生器の使用を制限するようにさらに構成される。1つ又は複数の実施形態では、患者のためのパスワードは、プログラム可能である。
【0021】
[0021] この概要は、詳細な説明においてさらに後述する概念の選択を簡略化した形態で導入するために提供されている。この概要は、請求項に記載の主題の重要な特徴も本質的な特徴も特定するように意図されず、請求項に記載の主題の範囲を限定するために使用されるようにも意図されない。本発明の特徴、詳細、有用性及び利点のより広範な提示は、添付の図面に図示し、添付の特許請求の範囲において定義する本発明の様々な実施形態の以下の記載する説明において提供される。
【0022】
図面の簡単な説明
[0022] 本開示は、その機構及び動作方法の両方に関して、添付の図面に関連して以下の説明を参照することにより理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】[0023]三叉神経のいくつかの枝(神経)の位置及び三叉神経の浅枝の主要な孔の位置を図示する。
【
図1B】[0023]三叉神経のいくつかの枝(神経)の位置及び三叉神経の浅枝の主要な孔の位置を図示する。
【
図2A】[0024]対象者が本開示の態様による電極アセンブリ及びパルス発生器の1つの実施形態を装着している一例を描写する。
【
図2B】[0025]対象者が本開示の態様による電極アセンブリ及びパルス発生器の別の実施形態を装着している一例を描写する。
【
図3A】[0026]本開示の態様によるパルス発生器の別の実施形態の正面斜視図である。
【
図3C】[0028]
図3Aのパルス発生器の左側面図である。
【
図3D】[0029]
図3Aのパルス発生器の右側面図である。
【
図3E-1】[0030]
図3Aのパルス発生器の上面斜視図である。
【
図3E-2】[0031]
図3Aのパルス発生器の上面図である。
【
図3F-1】[0032]
図3Aのパルス発生器のハウジングの前面部分内側の上面図を示す。
【
図3F-2】[0032]
図3Aのパルス発生器のハウジングの背面部分内側の上面図を示す。
【
図3G】[0033]
図3Aのパルス発生器の背面部分内側の上面図であり、いくつかの電気部品及びディスプレイが示されている。
【
図3H】[0034]
図3Gのパルス発生器であり、ディスプレイの下の電気部品が示されている。
【
図3I】[0035]
図3Hに示す電気部品の拡大図を描写する。
【
図3J】[0035]
図3Hに示す電気部品の拡大図を描写する。
【
図3L】[0037]
図3Hのディスプレイ及び関連する電気部品の背面図である。
【
図4】[0038]
図3のシステムのブロック図である。
【
図5】[0039]パルス発生器の動作の方法の1つの実施形態を示すフローチャートである。
【
図6-26】[0040]開示するパルス発生器の別の実施形態を対象とする。
【
図6】[0041]2つの開示するパルス発生器の正面斜視図である。
【
図7】[0042]
図6の2つのパルス発生器の別の正面斜視図である。
【
図8】[0043]
図6の一方のパルス発生器の正面斜視図及び
図6の他方のパルス発生器の背面斜視図である。
【
図9】[0044]
図6の一方のパルス発生器の正面斜視図及び
図6の他方のパルス発生器の背面斜視図である。
【
図10】[0045]
図6のパルス発生器が電極アセンブリ1060に接続されている状態を示す斜視図である。
【
図11A】[0046]ユーザが
図6のパルス発生器を保持している状態を描写する。
【
図11B】[0047]ユーザが
図6のパルス発生器をプログラミングしている状態を描写する。
【
図12】[0048]
図6のパルス発生器がコンピューティングデバイスに接続されている状態を示す図である。
【
図13】[0049]
図6のパルス発生器の上面図である。
【
図14】[0050]
図6のパルス発生器の底面図である。
【
図15】[0051]定規に隣接する
図6のパルス発生器の正面図である。
【
図16】[0052]定規に隣接する
図6のパルス発生器の左側面図である。
【
図17-24】[0053]ユーザが患者のログ記録された治療データを取得するために使用する、
図6のパルス発生器のディスプレイに表示することができる複数の例示的な画面を示す。
【
図17】[0054]患者の治療データログにアクセスするためのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)画面であり、ここでは平均治療データ選択項目が選択されている。
【
図18】[0055]患者の例示的な平均治療データを示すGUI画面である。
【
図19】[0056]患者の治療データログにアクセスするためのGUI画面であり、ここでは治療セッションデータ選択項目が選択されている。
【
図20】[0057]患者の治療セッションの例示的な履歴リストを示すGUI画面であり、ここでは治療セッション2:2020年1月2日が選択されている。
【
図21】[0058]患者の2020年1月2日の治療セッション2の例示的な治療データを示すGUI画面であり、ここでは治療振幅選択項目が選択されている。
【
図22】[0059]患者の2020年1月2日の治療セッション2中の治療振幅の例示的な履歴リストを示すGUI画面である。
【
図23】[0060]患者の2020年1月2日の治療セッション2の例示的な治療データを示すGUI画面であり、治療インピーダンス選択項目が選択されている。
【
図24】[0061]患者の2020年1月2日の治療セッション2中の治療インピーダンスの例示的な履歴リストを示すGUI画面である。
【
図25】[0062]システムのインピーダンスが範囲外であるか否かを判断する方法を示すフローチャートである。
【
図26】[0063]
図6のパルス発生器のバッテリ容量が、指定された持続時間で治療セッションを完了するのに十分であるか否かを判断する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
[0064] 本開示は、顔面及び前頭部における三叉神経の感覚枝の刺激(三叉神経刺激、すなわちTNS)のために構成されたデバイスに関する。より具体的には、本明細書では、眼神経及びその枝、眼窩下神経及びその枝並びにオトガイ神経又はその枝の、眼窩上神経、滑車上神経、眼窩下神経、耳介側頭神経、頬骨側頭神経、頬骨眼窩神経、頬骨顔面神経、鼻神経及び滑車下神経を含む感覚要素を刺激するように構成された外部パルス発生器又は神経刺激器について開示する。パルス発生器を使用して、例えば「Systems, Devices and Methods for the Treatment of Neurological Disorders and Conditions」という名称の米国特許出願公開第12/898,675号に開示されているような神経学的障害及び例えば「Devices, Systems and Methods for Treatment of Neuropsychiatric Disorders」という名称の米国特許出願公開第12/898,686号に開示されているような精神障害等、様々な障害を治療することができ、上記の出願の両方は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0025】
[0065] 以前の研究では、市販のTENSユニットであるEMS7500が使用されてきた。このTENSユニットは、外部TNSに必要なレベルをはるかに超える最大100mAの電流を送達するように設計されている。例えば、てんかんに対するTNSの臨床的な使用の場合、高電流は、皮膚への損傷と、頭蓋を通して脳実質を損傷する電流の通過との両方に関して、患者に対して潜在的な安全上の危険をもたらす。本明細書に開示するパルス発生器又は神経刺激器は、送達される電流を制限するように構成され、本明細書に開示する特徴を実装するプログラム可能なマイクロコントローラを含み、それにより患者の損傷の可能性が低減するとともに、使い易さ(利便性)が最適化される。
【0026】
[0066] 本明細書に開示するパルス発生器は、様々な実施形態において、以下の特徴:所定のプログラム可能な特性の電気パルスを生成すること、使用及び異常事象のログを記録すること、指定された個人に使用を制限すること、両方とも参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第12/898,685号及び同第12/898,696号に記載されているもの等の皮下埋め込み型電極設計と、米国特許出願公開第12/898,685号及び同第12/898,696号に記載されているもの等の皮膚電極設計との両方を含む様々な電極設計とインタフェースすること、患者-ユーザ(又は医師若しくは他の介護提供者)に動作状態及び障害状態に関する信号を発すること、医師が、毎週の警報信号での医師による再プログラミングのための診察及び指定された日に再プログラミングされるまで動作を一時停止する必要を示す信号を発することの一部又はすべてを実装することができるプログラム可能なマイクロコントローラを含み、充電式であり、例えばパルス発生器の内部構造への液体の侵入を防ぐように密閉される。いくつかの実施形態では、パルス発生器は、インターネット又は携帯電話を介して医師又は他の介護提供者に信号を発することができ、通信は、リアルタイムであり得る。いくつかの実施形態では、パルス発生器は、(埋め込まれた若しくは外部EEGのデータ又は自律神経系指標(例えば、心拍変動)等の他の生理学的データの処理に基づいて)患者が発作を起こしている可能性があること又は(パルス発生器に組み込まれているか若しくは患者に埋め込まれている加速度計からのデータの処理に基づいて)患者が倒れたことを医師又は他の介護提供者に知らせることができる。
【0027】
[0067] 三叉神経の一意の解剖学的構造と、感覚処理、注意及び自律神経機能に関与する脳幹、視床及び皮質の重要な領域へのその直接及び間接的な投射とにより、刺激が望ましい可能性がある種々の神経学的状態、精神医学的状態及び他の状態に対して、本明細書に開示するパルス発生器による刺激を使用することを可能にし得る。
【0028】
[0068] 三叉神経に関連する考察のために、ここで、三叉神経のいくつかの枝の位置と、三叉神経の浅枝のための主要な孔の位置とを図示する
図1A及び
図1Bを参照する。三叉神経は、最大の脳神経であり、脳幹及び他の脳構造と広範囲な連絡を有する。三叉神経は、12本の脳神経の5番目であるため、CN Vとしても同義に知られている。三叉神経は、顔面にわたり、3つの主要な感覚枝を有し、それらのすべてが両側性であり、極めて接近しやすい。眼窩上神経又は眼神経は、V
1分枝と称されることが多い。眼窩下枝又は上顎神経は、一般に、V
2分枝と称される。浅枝又は(オトガイ枝としても知られる)下顎神経は、V
3分枝と称される。眼窩上神経は、前頭部の皮膚、上眼瞼、鼻の前側部分及び眼の痛み、温度及び軽触覚に関する感覚情報を供給する。眼窩下枝は、下眼瞼、頬及び上唇の痛み、温度及び軽触覚感覚に関する感覚情報を供給する。オトガイ枝は、顎、舌及び下唇に同様の感覚モダリティを供給する。
【0029】
[0069]
図1A及び1Bから理解することができるように、これらの枝は、3つの孔を通して頭蓋から出る。眼窩上神経又は眼神経は、鼻正中線からおよそ2.1~2.6cm(成人の場合)の孔1(眼窩上孔又は切痕)から出て、眉毛の近くにある眼窩隆起の直上に位置する。鼻神経は、眼神経の一分枝である。眼窩下枝又は上顎神経は、鼻正中線からおよそ2.4~3.0cm(成人の場合)の孔2(眼窩下孔)から出、オトガイ神経は、鼻正中線からおよそ2.0~2.3cm(成人の場合)の孔3(オトガイ孔)から出る。頬骨顔面枝、頬骨眼窩枝、頬骨側頭枝及び耳介側頭枝を含む他の感覚枝は、他の孔から現れる。
【0030】
[0070] 3つの主要な枝からの線維が一緒になって三叉神経節を形成する。線維は、そこから脳幹に入って橋の高さまで上行し、橋の主要な感覚核、脳神経Vの中脳核並びにVの脊髄核及び神経路とともにシナプス結合する。痛覚線維は、Vの脊髄核及び神経路に下行し、次いで視床の後内側腹側核(VPM)まで上行し、大脳皮質に投射する。軽触覚の感覚線維は、視床の後外側腹側(VPL)核まで上行する大きい有髄線維である。求心性感覚線維は、三叉神経核から視床及び大脳皮質に投射する。
【0031】
[0071] 三叉神経核は、孤束核(NTS)、青斑核、大脳皮質及び迷走神経への投射を有する。NTSは、迷走神経及び三叉神経からの求心性神経を受ける。NTSは、複数の供給源からの入力を統合し、青斑核を含む脳幹及び前脳の構造に投射する。
【0032】
[0072] 青斑核は、橋の背側で対をなす核構造であり、第四脳室の床の真下に位置する。青斑核は、多数の脳幹、皮質下及び皮質構造への広汎な軸索投射を有し、網様体賦活系の重要な部分である。青斑核は、脳幹のノルアドレナリン作動性経路の中核部分であり、神経伝達物質ノルエピネフリンを産生する。ノルエピネフリンは、注意、覚醒度、血圧及び心拍数調節、不安並びに気分において重要な役割を果たす。
【0033】
[0073] いかなる特定の理論による拘束も望まないが、いくつかの実施形態において、三叉神経と、青斑核、孤束核、視床及び大脳皮質との間の連絡は、多数の障害及び状態における三叉神経の潜在的役割に関連する可能性がある。したがって、本明細書に開示するパルス発生器又はそのパルス発生器を含むシステムを介した三叉神経の皮膚刺激は、三叉神経刺激を介した治療が指示される複数の障害及び状態の治療に有効である可能性がある。
【0034】
[0074] したがって、三叉神経の浅枝又は皮膚枝の刺激は、非侵襲的な神経調節のための方法を提供する。さらに、刺激パラメータは、個々の状態に関与する脳幹、視床又は皮質構造を、治療されている状態の病態生理に応じて活性化又は抑制することができるように個々の状態に対して調整することができる。
【0035】
[0075] 1つの実施形態では、
図2A及び2Bから理解することができるように、三叉神経又はその枝の刺激のためのシステム100は、電極アセンブリ10と、神経刺激器又はパルス発生器15と、電気ケーブル又は電線20とを含む。電極アセンブリ10は、眼神経の両側同時及び非同期刺激を行うように構成することができる。他の実施形態では、電極アセンブリは、本明細書の他の箇所で開示するように、三叉神経の1つ又は複数の枝の片側又は両側刺激を行うように構成することができる。電極アセンブリ10は、患者の顔面の一領域上に配置される電極の対を含み得る。単一の電極又は複数の電極を使用し得ることが理解され得る。本開示で使用することができる電極アセンブリは、同時係属中の米国特許出願公開第12/898,675号及び同第12/898,686号にも記載されており、それらの出願は、両方とも参照により本明細書に援用される。1つの実施形態では、電気ケーブル又は電線20は、リード線を介して発生器15と電極アセンブリ10との間に物理的及び電気的リンクを提供するように構成される。他の実施形態では、発生器15及び電極アセンブリ10は、無線で通信する(すなわち電線20及びリード線が使用されない)。1つの実施形態では、発生器15は、携帯型であり、患者5のベルトに取り付けられる。他の実施形態では、発生器15は、非携帯型である。いくつかの実施形態では、システム100は、充電ステーションを含み得る。
【0036】
[0076] 1つの実施形態では、電極アセンブリ10は、前頭部の上で眉毛の上方に位置する三叉神経(V1)の右眼窩上枝及び左眼窩上枝の両方の両側刺激を行うように構成される。電極アセンブリは、2接点電極及び4接点電極の両方を含み得る。電気刺激がパルス発生器から患者に伝わる接触領域は、前頭部の上で三叉神経のV1枝にわたって両側に配置される。接触の領域は、2つの導電性領域間でV1枝の2つの枝に垂直に電流が伝わるように(2接点)又はV1枝の2つの経路に平行に電流が伝わるように(4接点)配置される。
【0037】
[0077] 1つの実施形態では、電極アセンブリ10は、対称的な二相パルスを送達するように構成することができる。他の実施形態では、パルス波形は、非対称及び/又は多相であり得る。
【0038】
[0078] 電極は、DermaFlowTMハイドロゲル(Axelgaard Manufacturing Co, Ltd, Fallbrook, CA, USA)等、低刺激性生体適合性ハイドロゲルによって前頭部に固定することができる。こうしたゲルは、皮膚刺激を最小限にするために、皮膚及び前頭部上で使用されるように特別に開発され、動物におけるISO皮膚感作性試験及び組織適合性試験を受けている。
【0039】
[0079] リード線40は、パルス発生器からの電気インパルスを導電性の接触の領域に搬送し、それにより処方された刺激を送達することができる。1つの態様では、リード線は、パルス発生器から導電性の接触の領域まで電気インパルスを搬送する13.5インチのリード線である。リード線は、パルス発生器の片側から出て、一緒に束ねられる。リード線は、パルス発生器のソケットに接続する専用のプラグで終端し、患者-ユーザが電極を他の潜在的に危険な電流源に接続することを防止するように構成される。
【0040】
[0080] いくつかの実施形態では、
図4を参照して理解することができるように、パルス発生器15は、医師ドッキング/プログラミングコンソールとともに使用することもできる。他の実施形態では、本明細書に記載する「プログラミング」機能は、本明細書の他の箇所に記載するユーザインタフェースを介して直接実施され得る。プログラミングドッキングコンソールは、処方医師がユーザ/患者に対するパラメータを設定し、最後のドッキング事象以降の患者の使用を(例えば、ログファイルのアップロードにより)モニタリングすることができるようにする。患者-ユーザが処方医師の診察を受けるとき、パルス発生器15は、パルス周波数等、医師がコンソールを使用することにより処方した所定の刺激パラメータを施すようにプログラムすることができる。これらのパラメータは、個別に設定され得るか、又は予め確立された組合せ(例えば、繰返し周波数、パルス幅、オン期間/オフ期間)から医師によって選択され得る。ドッキング/プログラミングステーションは、メニューからのこれらのパラメータの選択を可能にし得るか、又はパルス発生器15によって許容される範囲及び段階内でパラメータの段階的な設定を提供し得る。再診時、この情報が治療計画に有用であり得るため、ログファイルを検査してデバイス使用の実際のパターンを確認することができる。これらのデータは、テキストとして表示され得るか、又は例えば毎日の使用の量を示すグラフとしてグラフィカルに提示され得る。これらのデータは、医師が個々の患者の医療記録に組み込むために格納することができる。
【0041】
[0081] パルス発生器のより詳細な考察のために、ここで、パルス発生器の1つの例示的な実施形態の様々な図を図示する
図3A~3Lと、パルス発生器15の1つの実施形態を描写するブロック図である
図4と、パルス発生器15の動作の方法の1つの実施形態を図示するフローチャートである
図5とを参照する。
【0042】
[0082]
図3A~3Lから理解することができるように、また
図4及び5を参照すると、パルス発生器15は、後に考察するマイクロコントローラ及びバッテリ等の内部構成要素と、他の配線及び電子部品とを封入又は収容する密閉本体又はケース25を含む。パルス発生器は、日本の伊藤超短波株式会社又は他の好適な製造業者によって製造することができる。
【0043】
[0083] 密閉本体25は、内部構成要素を保護し、液体等が本体に浸透して内部構成要素を損傷することを防止する。1つの実施形態では、パルス発生器15は、およそ115mm(4.5in)高さ×69mm(2.7in)幅×27mm(1.1in)奥行の寸法と、バッテリなしで145グラム(5.1oz)の重量とを有する矩形の硬質プラスチックケース25内に収容される。他の実施形態では、本体又はケースは、金属合金又は複合材料から作製され得る。
図3C等に示すように、本体25は、前面部分26及び背面部分27を含む。前面部分及び背面部分は、液体等が本体内に侵入し、本体内に収容された内部構成要素及び電気部品に干渉しないように封止係合する。
図3D及び
図3F-1に示すように、本体25は、ユーザ、医師等が、例えば、バッテリ又は他の電気部品を交換するためにパルス発生器を開放することができる把持面を提供するように構成された隆起機構28を含み得る。
図3A及び3B等に見ることができるように、パルス発生器15は、ユーザが電源をオン及びオフすることを可能にするか、又は一時的なロックを提供するユーザ制御機構30、例えばボタンも含み得る。いくつかの実施形態では、ユーザ制御機構30は、患者-ユーザが刺激振幅を調整することを可能にする上下の矢印ボタンであり得る。いくつかの実施形態では、これは、ユーザが調整可能である唯一のパラメータである(他のすべては、医師のプログラミングを介して制御される)。
【0044】
[0084]
図3E-1、
図3E-2、
図3I~3K等に示すように、パルス発生器15は、電極のリード線を接続するための少なくとも1つの専用ソケット又はチャネル35も含み得る。チャネル35は、電極アセンブリのリード線の端部を受容するように構成された溝又は開口部39を含む。すなわち、チャネル39は、電極又は電極アセンブリの端部のために「キーが付けられている」。リード線12の端部は、対応する突起39aを含み、突起39aがロック及びキー型構成で溝39に受け入れられるようになっている。このロック及びキー構成により、患者-ユーザが電極を他の潜在的に危険な電流源に接続すること及び他の互換性のない電極アセンブリがパルス発生器で使用されることが防止される。使用時、2接点電極が使用される場合、1つのチャネル35が利用される。4接点電極が使用される場合、2つのチャネル35が利用される。
【0045】
[0085] 少なくとも
図3E-1及び
図3E-2に見ることができるように、パルス発生器15は、電源インレットポート36も含み得る。電源インレットポート36は、DC電源等の電力供給源からのコネクタを受容するように構成される。使用時、パルス発生器は、バッテリ及び/又は電力供給源(図示せず)によって電力が供給される。
【0046】
[0086] いくつかの実施形態では、パルス発生器15は、少なくとも
図3F-2、
図3G及び
図3Iに示すように、本体25のバッテリキャビティ29に受け入れられる充電式リチウムイオン9Vバッテリによって電力が供給される。いくつかの実施形態では、発生器15は、リチウムポリマーバッテリによって電力が供給される。
【0047】
[0087]
図3G、
図3H、
図3I、
図3K、
図3L等から理解することができるように、パルス発生器15は、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を表示するLED又はLCD画面等のディスプレイ40も含む。ディスプレイは、マイクロコントローラ126によってディスプレイPCB128上で制御することができる。ディスプレイPCB128は、リボン127を介してマイクロコントローラPCB129上のパルス発生器マイクロコントローラ125に結合される。ディスプレイ40は、医師及び患者が所定のグラフィカルメニューを選択することを可能にするユーザ制御機構30によって操作することができる。ユーザ制御機構30は、GUI上に生成され得、ケース25の機構であり得るか若しくはケース25と一体化され得る。GUIは、タッチスクリーンインタフェースを含み得、それにより、ユーザ-患者は、画面に触れることにより選択を行うことができる。
【0048】
[0088] GUIは、電気刺激パラメータを制御するために使用され、いくつかの実施形態では、パスワード保護を提供することができる。1つの実施形態では、2つのレベルのパスワード保護が提供される。第1レベルの保護は、患者が、電流振幅に制限することができる、資格のある医療従事者によって予め決定された範囲内で患者の刺激パラメータを変更することができるようにする。第2レベルのパスワード保護は、資格のある医療従事者が、患者に利用可能な刺激パラメータの範囲を制限することができるようにする。これらのパラメータに加えて、資格のある医療従事者は、連続刺激モードに加えて、1~16時間の時限治療レジメンを選択することができる。
【0049】
[0089]
図4から理解することができるように、パルス発生器は、電源100に結合される。
図3A~3Lを参照すると、1つの実施形態では、パルス発生器15は、バッテリ100に動作可能に結合される。他の実施形態では、電源は、燃料電池等の任意の好適な電源であり得る。いくつかの実施形態では、バッテリ100は、患者のホームベースステーションへの誘導結合を使用して再充電可能である。いくつかの実施形態では、充電式バッテリは、5年の寿命を有する。バッテリ100及び/又はパルス発生器25は、患者のホームベースステーション等、(追加の)電源又は充電ステーション115に動作可能に結合され得る。バッテリは、内蔵リチウム充電式バッテリであり得る。1つの実施形態では、バッテリは、充電間で最低36~48時間持続するために、最大1000mA時の容量を有する。いくつかの実施形態では、パルス発生器は、患者再充電ステーションとともに使用され得る。1つの実施形態では、患者再充電ステーションは、使用されていないときにデバイスを保管するベッドサイドスタンド及び再充電設備である。パルス発生器15は、(電極アセンブリ10の一部であり得る)電極105にも動作可能に結合される。いくつかの実施形態では、パルス発生器15は、電線20を介して電極105に結合され得るか、又は発生器15及び電極105は、無線で結合され得る。いくつかの実施形態では、電極105及び発生器15は、単一のユニットであり得、例えば、発生器15は、電極に直接接続され、概して電極上に位置決めされる。電極105は、毎日(又は別の適切な時点で)交換することができるが、発生器15は、再使用可能である。他の実施形態では、発生器は、単回使用(再使用不可)であるように意図され得る。電極105は、パルス発生器15にデータを提供することができ、発生器15は、それにより、患者に対する、電極が切断されたという通知又は電極を再配置する必要があるという通知等、出力120を生成することができる。いくつかの実施形態では、パルス発生器15は、出力電流及び皮膚インピーダンスを含むいくつか又はすべてのパラメータのデジタル表示をさらに含み得る。
図4に指示するように、パルス発生器15は、記憶媒体110と通信する。いくつかの実施形態では、記憶媒体は、パルス発生器と一体化される。いくつかの実施形態では、記憶媒体は、システムの別個の構成要素である。パルス発生器15は、不揮発性記憶媒体、磁気記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリ、他のコンピュータ可読媒体又は好適なメモリデバイス等の記憶媒体110から命令を受け取って実行するマイクロコントローラ125又は他の好適なプロセッサを含む。マイクロコントローラ125等のプロセッサは、パルス発生器15の動作を制御することができる。プロセッサ125は、命令を処理し、受け取り、及び/又は送出することができる任意の電子デバイスであり得る。例えば、プロセッサ125は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ等であり得る。パルス発生器15のプログラム可能なマイクロコントローラ125によって実装される様々な機能については、
図5を参照してより詳細に考察される。
【0050】
[0090]
図5は、本開示によるパルス発生器を動作させる方法200の1つの実施形態を示すフローチャートである。方法200は、マイクロコントローラ125又はコンピュータ可読媒体からの命令を実行する他の好適なプロセッサによって実施することができる。方法200の動作は、図示する順序で実施され得、別の好適な順序で実施され得、及び/又は1つ又は複数の動作を同時に実施し得ることが認識されるべきである。さらに、いくつかの実施形態では、方法200は、図示するものよりも多い又は少ない動作を含み得る。
【0051】
[0091] 動作205において、パルス発生器をオンにするか又は他の方法で起動することができる。この動作の一部として、意図された治療を受ける人の身元を確認する場合がある。すなわち、パルス発生器の使用は、TNS治療が処方された所定の個々の患者に制限することができ、他の許可されていない個人によって使用されてはならない。いくつかの実施形態では、患者が選択し、医師が設定することができる複数桁の個人コード(PIN)である。いくつかの実施形態では、PINは、5桁のコードであり得る。患者は、治療が開始する前にPINを入力する。PINの不正確な推測が所定回数(例えば、5回)を超えた場合、発生器は、1時間(又は他の適切な時間)動作を停止し(例えば、「ロックアップし」)、その事象をログ記録する。いくつかの実施形態では、1日当たり1回の治療セッションのみが許可される。他の実施形態では、PINの代わりに生体認証システム(例えば、親指の指紋)を使用し得る。PIN又は生体認証IDは、デバイスの共有を防止し、他の個人による臨床的に不適切な使用のリスクを低減させることができる。
【0052】
[0092] 動作210では、電極検査が行われる。電極検査は、セッションの開始時に実施することができ、動作上の異常について電極アセンブリをモニタリングすることができる。1つの実施形態では、パルス発生器は、電極上の又は電極に関連するチップ又は回路との「ハンドシェイク」を含み得、それは、通し番号をダウンロードし、電極のモデル(例えば、単一の対の接点又は別個のR/L対の接点)を検出する。動作時、パルス発生器は、それが電極に接続され、電極が適切に位置決めされているか等を判断するように検査する。いくつかの実施形態では、パルス発生器は、この動作において、電極アセンブリ内の電極接点に刺激信号をさらに送達し得、単回使用を強制するために、治療の終了時に電極アセンブリの「使用済み」ビットを設定し得る。これにより、接点上のゲルが汚染されていないことが確実になり、それは、損傷したゲルが電流の流れの不規則性(「ホットスポット」)をもたらし、過剰な局所電流の流れから皮膚が損傷することになる可能性があるためである。電極検査に問題がない場合(例えば、電極が接続され、適切に位置決めされている等)、方法は、動作215のパルス発生に進むことができる。
【0053】
[0093] 電極検査に問題がある場合、方法は、動作212に進む。例えば、インピーダンスが急に高くなった場合、電極が切断されたことを示す信号が送信される(「無限」インピーダンス)。インピーダンスが低いか又は過度に低い場合、ユーザは、電極を再配置するように促される(例えば、皮膚の安全性を確保するために電極の位置を変える必要がある)。いくつかの実施形態では、信号は、医師若しくは他の介護提供者及び/又は指定された家族にも送信され得るか、又は代わりに送信され得る。パルス発生器は、こうした障害状態を示す信号を発することができる。治療を終了し得るか、又は患者は、指示されるように電極を調整し、治療を再開し得る(例えば、パルス発生器をオフにした後にオンに戻すか、又はパルス発生器が別の電極検査を実施し得る)。
【0054】
[0094] 方法200は、次に、動作215に進むことができる。この動作において、パルスを発生させることができる。パルス特性は、(1)1つ又は複数のチャネルに対する、以下の特性:(a)30mA/チャネルの(又は本開示の他の箇所で定義するような)最大送達可能電流、(b)医師が各患者に対して0.3~30mAの範囲で上限及び下限を設定することができること(例えば、1mAの下限、20mAの上限のデフォルトの設定)、(c)その範囲内で快適さのための設定を可能にする実際の電流送達のユーザ調整、(d)ユーザが極性を交換する(例えば、「右側=プラス/左側=マイナス」から反対にシフトする)ことができる、単一の両極性チャネルの提供、及び(e)ユーザが極性を交換することができる(例えば、右及び左チャネルは、それぞれ下部電極接点及び上部電極接点がある別個の対であり、選択肢は、「上部プラス/下部マイナス」及び「下部プラス/上部マイナス」配置である)両極性チャネルの対の提供の1つ又は複数を有する、制御された電流の矩形パルスと、(2)医師が設定することができる10~3000μsのパルス幅(持続時間)(例えば、デフォルト250μs)と、(3)医師が設定することができる10~300Hzの範囲の繰返し率周波数と、(4)それぞれ5s~60sで例えば5s段階で可変である秒オン及び秒オフ期間を設定する、医師が調整可能なデューティサイクルと、(5)1~23時間のセッション長さ(例えば、デフォルト8時間)とを含み得る。様々な実施形態により、前述のうちの任意のもの又はすべての調整又はプログラミングを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、動作は、2チャネルを含み、以下のパラメータ:周波数1~300Hz、パルス持続時間50~500μs、デューティサイクル1~100%で動作する。2つのチャネルは、同期又は非同期刺激のいずれかを提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、この動作で発生したパルスは、2つの別個のチャネルにわたって伝送され得るか、又は複数の固有のパルスを発生させて別個のチャネルにわたって搬送され得る。いくつかの実施形態では、パルス波形は、パルス持続時間、周波数及びデューティサイクル等に関するプログラム可能な設定を通して成形することができる。これらのプログラム可能な設定は、いくつかの実施形態では、医師又は他の許可された介護者によってのみ調整することができる。概して、本明細書で考察する動作パラメータの再プログラミングは、適切なパスワード又は生体認証インジケータ等の他のクレデンシャルを供給する当事者に制限することができる。この機能により、患者が医療処方に反する設定又はFDAのラベル付け外の設定で発生器を使用することを防止することができる。
【0055】
[0095] 先のセクションから理解することができるように、プログラム可能なマイクロコントローラ125は、出力電流を制限する。すなわち、患者が調整可能な電流は、許容差を最大化し、電流及び電荷密度を最小化し、頭蓋を通る電流浸透のいかなる可能性も最小化するために、およそ35mA未満に制限される。コントローラ125は、真の方形波の電荷平衡出力を送達することができる。これは、既存の市販のTENSユニットが、不規則な刺激及び皮膚の刺激又は損傷の一因となる可能性があるホットスポットの形成のリスクをもたらす非対称の出力を有するため、有利であり得る。いくつかの実施形態では、所定の信号が安全であることを条件として、非対称波形を採用し得る。
【0056】
[0096] マイクロコントローラは、広範囲の出力に設定することができる。1つの実施形態では、その範囲は、およそ約2.5mA~およそ約7mAに設定することができる。1つの実施形態では、マイクロコントローラは、出力電流を約7mAに制限し、患者は、電流を7mA未満の範囲内に調整することができる。別の実施形態では、マイクロコントローラは、外部電極、2又は4接点電極を使用して、出力電流をおよそ2.5mA~およそ5mAの狭い範囲に(例えば、安全性及びコンプライアンスを確保するために)制限することができる。このように、患者は、高すぎるか又は低すぎる出力で電流を送達することが防止される。さらに別の実施形態では、電極のサイズ、抵抗又はインピーダンスに応じて、出力電流を7mAの固定電流の最大値まで正確な電流、例えば5mAに制限することができる。別の実施形態では、出力電流は、10mA、7mA又は5mAを超えない範囲に制限される。いかなる特定の理論による限定も望まないが、より高い電流は、電極のサイズ及びインピーダンスに応じて、患者に痛み、不快感及び/又は皮膚刺激を引き起こす可能性があると考えられる。
【0057】
[0097] 方法200は、パルス発生器の活動がログ記録される動作220をさらに含み得る。使用のログ記録動作220は、(1)各セッションに対し、(a)セッション開始日時、(b)セッション停止日時(治療が終了した実際の時刻)、(c)ユーザ調整可能設定(例えば、送達された実際の電流)、及び(d)セッション特有のデータ(例えば、最大及び最小のインピーダンス、電極及び構成)等のデータを記録することを含み得る。動作220は、動作上の異常(例えば、電極の切断、低インピーダンス、不正使用の試みに対するロックアウト等)をログ記録すること、医師のプログラミングコンソールにデータを転送することも含み得、6ヶ月の治療データを格納する能力を含み得る。他の実施形態では、6ヶ月未満又は6ヶ月超のデータを格納し得る。患者のコンプライアンス(アドヒアランス)及び使用状況は、例えば、ログファイルを介してモニタリングされる。こうしたモニタリングは、治療に対する患者の反応を評価する際に使用パターンをモニタリングするのに役立つように使用することができる(例えば、不十分な臨床反応は、処方よりも低い頻度でデバイスを使用することと関連付けられる可能性がある)。
【0058】
[0098] いくつかの実施形態では、パルス発生器は、患者に動作パラメータを示す信号を発することもできる。これは、使用のログ記録動作220の一部であり得るか、又は異なる若しくは別個の動作の一部であり得る。例えば、ユーザがPIN推測のためにロックアウトされた場合、信号を送信し得、信号は、発生器がロック解除されるまでの(時間の)分を示し得る。別の例では、医師による追跡再プログラミングの必要性が迫っている場合に信号を送信し得、この信号は、「補充」日に達するまでにあと何日治療が残っているかを示す。パルス発生器は、プログラムされたタイムゾーンで現在時刻及び日付を表示し、現セッションの残り時間(時:分)を表示し、及び/又は次のセッションの準備のために充電器に必要な時間(時:分)を表示することもできる。
【0059】
[0099] 方法200は、許可された治療期間の終了を示す信号が発せられる動作225をさらに含み得る。1つの実施形態では、治療期間(例えば、デフォルトは、3か月間である)の終了の数週間(例えば、デフォルトは、3週間である)前に、動作230は、治療期間がその終了に近づいており、臨床評価及び再プログラミングのための処方医師の再診を予定する必要があることをユーザに通知する。1つの実施形態では、通知は、セッションの開始時に行われる。後続の週では、患者に、再診を予定するのに残っているのが1週間未満であることが通知される。最終週には、残りの日数の日毎のカウントダウンが提供される。許可された期間内の最後の治療では、ユーザに、これが最後の治療であることが通知される。
【0060】
[00100] 動作230において、治療が終了する。発生器の使用は、医師又は医師プログラミングコンソールによって再プログラムされるまで一時停止され得る(例えば、ユーザがロックアウトされる)か、又は発生器の使用を終了させ得る。
【0061】
[00101]
図6~
図26は、開示するパルス発生器の別の実施形態を対象とする。特に、
図6は、2つの開示するパルス発生器610a、610bの正面斜視図である。パルス発生器610a、610bは正確な複製ユニットであり、これらの図の参照番号における「a」及び「b」は、図に示す2つのパルス発生器610a、610bの所定のパルス発生器を表示するために単に使用されることに留意されたい。加えて、パルス発生器610a、610bは、それぞれ
図2A~
図4のパルス発生器15の特徴及び/又は機能性の少なくとも一部をさらに含み得ることに留意されたい。
【0062】
[00102]
図6において、パルス発生器610a、610bは、それぞれディスプレイ625を含むように示されている。1つ又は複数の実施形態において、ディスプレイ625は、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイであり得る。また、この図では、パルス発生器610a、610bは、それぞれ(例えば、プラスチックから製造される)ハードシェルハウジングであり得るハウジング615を含むように示されている。
【0063】
[00103] 加えて、パルス発生器610a、610bは、それらのそれぞれの底面にそれぞれポート620を含むように示されている。1つ又は複数の実施形態において、ポート620は、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポートである。パルス発生器610a、610bの動作中、ケーブル(例えば、
図12の1230を参照されたい)(例えば、USBケーブル)の一端がポート620に接続され、ケーブル(例えば、
図12の1230を参照されたい)の他端は、コンピューティングデバイス(例えば、
図12の1200を参照されたい)に接続される。
【0064】
[00104] さらに、
図6において、パルス発生器610a、610bは、それぞれ複数のボタン630、635、640を含むように示されている。具体的には、ボタン630は、上矢印ボタンであり、ボタン640は、下矢印ボタンであり、ボタン635は、ロック及び設定キーボタンである。パルス発生器610a、610bの動作中、ユーザ(例えば、患者、介護者(親等)及び/又は医療従事者(医師等))がボタン630、640を押下して、パルス発生器610a、610bのディスプレイ625に表示されるテキスト、字、数字、文字、アイコン及び/又は画面を通してそれぞれ上に及び下にスクロールさせる。加えて、パルス発生器610a、610bの動作中、ユーザがボタン630、640を押下して、パルス発生器610a、610bによって発生するパルスの電流振幅を(上下に)調整する。また、ユーザ(例えば、患者、介護者及び/又は医療従事者)がボタン635を押下して、ディスプレイ625の画面上に表示される強調表示項目(例えば、テキスト、表音文字、数字、文字又はアイコン)を選択する。加えて、ユーザがボタン635を押下して、ボタン630、635、640をロック及びロック解除して、それらが治療セッション中に無効であるようにすることができる。患者が治療セッション中に不注意に(例えば、睡眠中に)ボタン630、635、640のいずれかを押す可能性がないように、ボタン630、635、640は、治療セッション中に無効であるように(例えば、ボタン635を介して)ロックされ得ることに留意されたい。
【0065】
[00105]
図6において、パルス発生器610a、610bの各々のディスプレイ625は、異なる画面を表示するように示されている。特に、パルス発生器610aのディスプレイ625は、ユーザ(例えば、患者、介護者及び/又は医療従事者)が治療セッションを行うためにパルス発生器610aにログインするために使用する、ログイン画面を表示するように示されている。ログイン画面では、複数のアイコンが示される。これらのアイコンは、ロック解除アイコン650、高インピーダンス信号アイコン660及びバッテリ容量アイコン645aを含む。ロック解除アイコン650は、ディスプレイ625に表示されると、パルス発生器610aのボタン630、635、640がロック解除され(すなわちロックされておらず)、有効であり、ユーザが使用可能であることを示す。高インピーダンス信号アイコン660は、ディスプレイ625に表示されると、システムが高インピーダンス(例えば、最大インピーダンス閾値よりも高いインピーダンス)を呈していることを示す。システムの高インピーダンスの決定に関する詳細については、
図25の考察を参照されたい。バッテリ容量アイコン645aは、パルス発生器610aのバッテリにおけるバッテリ充電残量を示す。特に
図6では、バッテリ容量アイコン645aは、バッテリがおよそ50パーセント(%)の充電残量を有することを示している。1つ又は複数の実施形態において、パルス発生器610aは、プラス又はマイナス(+/-)5%の精度までバッテリ残容量を測定することができる。1つ又は複数の実施形態において、パルス発生器610aは、バッテリ容量が所定の低バッテリ容量閾値(例えば、10%のバッテリ容量)を下回ったとき及び/又はエラー(例えば、高インピーダンス)が検出されたとき、(例えば、バッテリ容量を節約して使用する)低電力モードに切り替わることに留意されたい。
【0066】
[00106] また、パルス発生器610aのディスプレイには、ユーザ(例えば、患者、介護者又は医療従事者)によってパルス発生器610に入力されている患者のためのパスワード(又は個人識別番号(PIN))も示されている。具体的には、この図では、患者のためのパスワード(又はPIN)は、「820」で始まる4つの数字を含む。患者のためのパスワード(又はPIN)は、その患者のためのパルス発生器610aによって(例えば、乱数発生器を使用することにより)生成され得るか、又は患者のためにユーザ(例えば、患者、介護者又は医療従事者)によってプログラム可能(例えば、選択され、カスタマイズ可能)であり得る。
【0067】
[00107] 1つ又は複数の実施形態において、患者のためのパスワードは、
図6に示すように、4よりも多いか又は少ない桁を含み得る(含むようにユーザによってカスタマイズ可能であり得る)ことに留意されたい。また、1つ又は複数の実施形態において、患者のためのパスワードは、数字のみ、(大文字と小文字を区別することができる)字のみ、文字のみ、アイコンのみ又は数字、字、文字及び/又はアイコンの組合せを含むようにプログラム可能であり得る。
【0068】
[00108] 1つ又は複数の実施形態において、ユーザが患者のためのパルス発生器610aにログインした後、ユーザの非活動の時間が所定の持続時間(例えば、5分間)が経過すると、パルス発生器610aは、デバイスのボタンを自動的にロックする。
【0069】
[00109]
図6において、パルス発生器610bのディスプレイは、ユーザ(例えば、患者、介護者及び/又は医療従事者)が患者のための治療セッションのパラメータをプログラムするために使用する治療セッション画面を表示するように示されている。治療セッション画面では、複数のアイコンが示される。これらのアイコンは、ロックアイコン655、確実接続シンボルアイコン665及びバッテリ容量アイコン645bを含む。ロックアイコン655は、ディスプレイ625に表示されると、ボタン630、635、640がロック解除され、ユーザが使用するのに有効であることを示す。確実接続シンボルアイコン665は、ディスプレイ625に表示されると、システムが治療セッションのために適切に電気的に接続される(例えば、システムのインピーダンスが最大インピーダンス閾値とベースインピーダンス閾値との間にある)ことを示す。バッテリ容量アイコン645bは、パルス発生器610bのバッテリのバッテリ充電残量を示す。特に
図6において、バッテリ容量アイコン645bは、バッテリがおよそ75%の充電残量を有することを示している。1つ又は複数の実施形態において、パルス発生器610bは、±5%の精度までバッテリ残容量を測定することができる。1つ又は複数の実施形態において、パルス発生器610bは、バッテリ容量が所定の低バッテリ容量閾値(例えば、10%のバッテリ容量)を下回ると、(例えば、バッテリ容量を節約して使用する)低電力モードに切り替わることに留意されたい。いくつかの実施形態において、パルス発生器610bは、バッテリ容量が低バッテリ容量閾値未満であるときにユーザが患者に対する治療セッションを開始することを防止する。
【0070】
[00110] パルス発生器610bのディスプレイ625上の治療セッション画面には、治療セッション持続時間も示される。特に
図6では、パルス発生器610bのディスプレイ625上の治療セッション画面は、治療セッション持続時間675がユーザ(例えば、患者又は医療提供者)によって8.0時間に設定されていることを示している。さらに、パルス発生器610bのディスプレイ625上の治療セッション画面では、治療進行状況(残り時間)680が15分であるように示されている。
【0071】
[00111] 加えて、1つ又は複数の実施形態において、パルス発生器610bのディスプレイ625上の治療セッション画面は、電極アセンブリ(例えば、
図10の1060を参照されたい)上の電極のインピーダンスを表示するインピーダンスインジケータ(図示せず)を示し得る。また、1つ又は複数の実施形態において、パルス発生器610bのディスプレイ625上の治療セッション画面は、治療セッションが完了したことを表示する治療完了インジケータ(図示せず)を示し得る。
【0072】
[00112] さらに、1つ又は複数の実施形態において、パルス発生器610bのディスプレイ625上の治療セッション画面は、ユーザによるプログラミングを容易にするために、複数の予めプログラムされた時限治療プログラム(すなわち既に治療持続期間が選択されている治療セッションプログラム)を示し得、そこから、ユーザは、患者のための治療セッションで使用することを選択するために選択することができる。
【0073】
[00113]
図7は、
図6の2つのパルス発生器610a、610bの別の正面斜視図である。この図では、パルス発生器610bは、パルス発生器610bの上面が示されるように上下逆にされている。パルス発生器610bの上面は、レセプタクル710を含むように示されている。パルス発生器610bの動作中、リード線(例えば、
図10の1010を参照されたい)の端部がレセプタクル710に接続される。リード線(例えば、
図10の1010を参照されたい)は、2つの残りの端部を有する2つの線に分岐する。リード線(例えば、
図10の1010を参照されたい)の2つの残りの端部は、電極パッド(例えば、
図10の1060を参照されたい)も含む電極アセンブリ(例えば、
図10を参照されたい)の第1リード(例えば、
図10の1040を参照されたい)(例えば、プラスのリード)及び第2リード(例えば、
図10の1050を参照されたい)(例えば、マイナスのリード)にそれぞれ接続される。
【0074】
[00114] 加えて、パルス発生器610bの左側面は、電源スイッチ720を含むように示されている。電源スイッチ720は、パルス発生器610bをオンにするように「オン」位置に切り替え、パルス発生器をオフにするように「オフ」位置に切り替えることができる。この図では、電源スイッチ720は、スライドスイッチであることが示されている。しかしながら、1つ又は複数の実施形態において、電源スイッチ720には、限定されないが、ボタンスイッチ又はトグルスイッチを含む、スライドスイッチ以外の様々な異なるタイプのスイッチを採用し得る。
【0075】
[00115] 1つ又は複数の実施形態において、電源スイッチ720が「オフ」位置に切り替えられると、パルス発生器610bは、オフモードになる。オフモードでは、パルス発生器610bによって治療が送達されず、パルス発生器610bによって診断が得られず、パルス発生器610bは、コンピューティングデバイス(例えば、
図12の1200)と通信することができない。加えて、オフモードでは、パルス発生器610bのバッテリは、パルス発生器610bの電子機器にいかなる電力も提供しない。
【0076】
[00116] 1つ又は複数の実施形態において、電源スイッチ720が「オン」位置に切り替えられると、パルス発生器610bは、低電力モードで動作することができる。パルス発生器610bが低電力モードで動作しているとき、パルス発生器610bによって治療が送達されず、パルス発生器610bによって診断が得られず、パルス発生器610bは、コンピューティングデバイス(例えば、
図12の1200)と通信することができない。このモードでは、パルス発生器610のバッテリは、パルス発生器610bの電子機器に電力を提供する。
【0077】
[00117]
図8は、
図6の一方のパルス発生器610aの正面斜視図及び
図6の他方のパルス発生器610bの背面斜視図である。この図では、パルス発生器610a、610bの各々の下面は、ポート620a、620b(例えば、USBポート)を含むように示されている。動作中、ポート620a、620bの各々にケーブル(例えば、
図12の1230を参照されたい)(例えば、USBケーブル)の一端が接続され、ケーブル(例えば、
図12の1230を参照されたい)の各々の他端は、コンピューティングデバイス(例えば、
図12の1200を参照されたい)に接続される。
【0078】
[00118] この図では、パルス発生器610bの裏面は、形状が丸みを帯びているようにも示されている。パルス発生器610bの裏面の丸みを帯びた形状により、ユーザ(例えば、患者又は医療提供者)がパルス発生器610bを自らの手で保持しているいるとき(例えば、
図11A及び11Bを参照されたい)、ユーザに対して快適さが可能になる。このように、パルス発生器610bの形状は、パルス発生器610bが、ユーザが片手のみを用いて操作することが容易であるとともに快適であるように人間工学的に設計される。さらに、パルス発生器610bの裏面は、2つの突起を含むように示されている。パルス発生器610bの裏面の突起により、パルス発生器610bが表面(例えば、テーブルの上面)に配置されたとき、パルス発生器610bが安定する(例えば、転がらない)ようにすることができる。1つ又は複数の実施形態において、パルス発生器610bの裏面は、
図9のパルス発生器610bに示すように、2つよりも多いか又は少ない突起を有するように製造され得ることに留意されたい。加えて、突起は、
図9に示すようなパルス発生器610bの突起と異なるサイズ及び/又は形状であるように形成され得る。
【0079】
[00119]
図9は、
図6の一方のパルス発生器610aの正面斜視図及び
図6の他方のパルス発生器610bの背面斜視図である。この図では、パルス発生器610a、610bの各々の上面は、レセプタクル710a、710bを含むように示されている。動作中、リード線(例えば、
図10の1010を参照されたい)は、レセプタクル710a、710bの各々に接続される。
【0080】
[00120]
図10は、
図6のパルス発生器610が電極アセンブリに接続された状態を示す斜視図である。この図では、リード線ケーブル1010がパルス発生器610のレセプタクル710に接続されるように示されている。リード線1010は、2つの残りの端部を有する2本の線に分岐している。リード線1010の2つの残りの端部は、電極アセンブリの第1リード(例えば、プラスのリード)1040及び第2リード(例えば、マイナスのリード)1050にそれぞれ接続される。電極アセンブリは、第1リード1040と、第2リード1050と、複数の電極を含む電極パッド1060とを含む。動作中、電極パッド1060は、患者の頭部に接続され(例えば、
図2Bの患者5の前頭部に接続された項目10を参照されたい)、電極パッド1060の電極は、患者にパルスを送達する。
【0081】
[00121]
図11Aは、ユーザ(例えば、患者、介護者又は医療提供者)1110が
図6のパルス発生器610を保持している状態を描写する。この図に示すように、パルス発生器610は、ユーザ1110による片手使用のために、及び使用のためにユーザ1110の手に快適にフィットするように、人間工学的に設計される(例えば、サイズ及び形状が設計される)。1つ又は複数の実施形態において、パルス発生器610は、2立方インチ(in
3)~5in
3の体積を有するように設計することができる。いくつかの実施形態では、パルス発生器610は、およそ3.7in
3の体積を有するように設計することができる。
【0082】
[00122]
図11Bは、ユーザ(例えば、患者又は医療提供者)1110が
図6のパルス発生器610をプログラミングしている状態を描写する。この図では、ユーザ1110は、パルス発生器610のボタン635を押下しているように示されている。
【0083】
[00123] 前述のように、パルス発生器610は、上矢印ボタン630(
図6を参照されたい)、下矢印ボタン640(
図6を参照されたい)並びにロック及び設定キーボタン635である複数のボタンを含む。上矢印ボタン630(
図6を参照されたい)及び下矢印ボタン640(
図6を参照されたい)により、ユーザ1110は、パルス発生器610のディスプレイ625(
図6を参照されたい)上に表示されるテキスト、表音文字、数字、文字、アイコン及び/又は画面を通してそれぞれ上下にスクロールすることができる。加えて、ユーザは、ボタン630、640を押下して、パルス発生器610によって生成されるパルスの電流振幅を(それぞれ上下に)調整することができる。また、ロック及び設定キーボタン635により、ユーザ1110は、パルス発生器610のディスプレイ625の画面上に表示される強調表示された項目(例えば、テキスト、字、数字、文字又はアイコン)を選択することができる。
【0084】
[00124] パルス発生器610の動作中、患者の治療セッションを開始する前に、ユーザ1110は、上矢印ボタン630(
図6を参照されたい)、下矢印ボタン640(
図6を参照されたい)及び/又はロック及び設定キーボタン635を使用して、患者のパスワード(又はPIN)(
図6の670を参照されたい)をパルス発生器610に入力して患者のためのパルス発生器にログインすることができる。ユーザ1110は、患者のためのパルス発生器610にログインした後、患者のための治療セッションの持続時間を入力することができる。ユーザは、上矢印ボタン630(
図6を参照されたい)、下矢印ボタン640(
図6を参照されたい)及び/又はロック及び設定キーボタン635を使用して(すなわち押下して)、治療セッションの持続時間を指定することができる。
【0085】
[00125] 治療セッションが開始すると、ユーザ1110は、上矢印ボタン630(
図6を参照されたい)、下矢印ボタン640(
図6を参照されたい)及び/又はロック及び設定キーボタン635を使用して(すなわち押下して)、患者のためのパルスの快適な電流振幅レベルを選択することができる。例えば、ユーザ1110は、治療セッションの開始時、5.2mAの快適な電流振幅レベルを選択することができる。
【0086】
[00126] 1つ又は複数の実施形態において、上矢印ボタン630(
図6を参照されたい)及び/又は下矢印ボタン640(
図6を参照されたい)の押下により、パルスの電流振幅レベルを所定のステップサイズで調整することができる(すなわちボタン630、640を押下するごとに電流振幅が0.1mAだけ変化する)ことに留意されたい。1つ又は複数の実施形態において、電流振幅レベルを調整するためのステップサイズは、0.1mAであり得、電流振幅レベルは、0mA~8mAの範囲で調整され得る。1つ又は複数の実施形態において、調整のためのステップサイズは、0.1mAよりも大きくても又は小さくてもよく、及び/又は調整の範囲は、0mA~8mAの範囲から変動し得る。
【0087】
[00127] 治療セッションの開始から幾分かの時間が経過した後、患者は、(例えば、5.2mAの)最初の電流振幅レベル設定が不十分である(例えば、患者にいかなる感覚も与えなくなる)か又は耐えられないと判断する場合があり、そのため、患者は、パルスに対して電流振幅レベルをより高レベルに上昇させるか又は低レベルに低下させると判断する場合がある。その後、ユーザ1110(例えば、患者又は医療提供者)は、上矢印ボタン630(
図6を参照されたい)、下矢印ボタン640(
図6を参照されたい)及び/又はロック及び設定キーボタン635を再度使用して(すなわち押下して)、患者のためのパルスの新たな快適な電流振幅レベルを選択することができる。
【0088】
[00128] 治療セッションの持続時間にわたり、パルス発生器610は、治療セッションからのデータの少なくとも一部の履歴をログ記録する(例えば、
図5の220を参照されたい)。1つ又は複数の実施形態において、治療セッションの持続時間にわたり、パルス発生器610は、治療電流振幅の履歴をログ記録し(例えば、
図22の画面2200を参照されたい)、治療インピーダンスの履歴をログ記録する(例えば、
図24の画面2400を参照されたい)。加えて、1つ又は複数の実施形態では、パルス発生器610は、治療セッション675の持続時間(例えば、8.0時間)、治療セッションの平均治療電流振幅及び/又は治療セッションの平均治療インピーダンスをログ記録する。1つ又は複数の実施形態において、パルス発生器610は、内部リアルタイムクロック(RTC)を含み、それは、ログ記録されたデータのすべてにタイムスタンプを付すために使用される。
【0089】
[00129] 1つ又は複数の実施形態において、治療セッションの持続期間にわたってパルス発生器によって収集され、ログ記録されたデータのすべては、パルス発生器610内に格納される。ユーザ(例えば、患者又は医療提供者)は、患者のためのパスワード(又はPIN)610を使用することによってパルス発生器610にログインすることにより、パルス発生器610内の患者のログ記録されたデータにアクセスすることができる。
【0090】
[00130]
図12は、
図6のパルス発生器610がコンピューティングデバイス1200に接続された状態を示す図である。この図では、パルス発生器610は、ケーブル1230を介してコンピューティングデバイス1200に接続される。特に、ケーブル(例えば、USBケーブル)1230の一端がパルス発生器610のポート(例えば、USBポート)620に接続される。また、ケーブル1230の別の端部は、コンピューティングデバイス1200のポート(例えば、USBポート)に接続される。この図では、コンピューティングデバイス1200は、ディスプレイ1210を含むラップトップコンピュータであるように描写されている。しかしながら、他の実施形態では、コンピューティングデバイス1200は、限定されないが、デスクトップコンピュータ、サーバ、スマートフォン及びタブレットデバイスを含む、ラップトップコンピュータ以外の様々な異なるタイプのコンピューティングデバイスであり得る。
【0091】
[00131] 1つ又は複数の実施形態において、動作中、コンピューティングデバイス1200は、ケーブル1230を介してパルス発生器610に電力を供給して、パルス発生器610のバッテリを充電することができる。1つ又は複数の実施形態において、バッテリは、4時間の期間内に25%の容量から満充電まで充電するものとする。いくつかの実施形態では、パルス発生器610は、バッテリ充電が発生していることをユーザに表示する発光ダイオード(LED)(図示せず)を含み得る。
【0092】
[00132] 加えて、1つ又は複数の実施形態において、ユーザは、ケーブル(例えば、USBケーブル)1230を介してパルス発生器610からコンピューティングデバイス1200に患者のログ記録された治療データをダウンロードすることができる。いくつかの実施形態では、パルス発生器610は、USB接続を介してデータ転送のためにコンピューティングデバイス1200との接続を可能にする。少なくとも1つの実施形態では、パルス発生器610は、USBプロトコルを使用することによりコンピューティングデバイス1200と通信する(これは、ログ記録されたデータの送信を含む)。
【0093】
[00133] いくつかの実施形態では、ユーザは、コンピューティングデバイス1200上でアプリケーション(例えば、データダウンロードアプリケーション)(例えば、パーソナルコンピュータ(PC)アプリケーション)を実行して、患者のログ記録されたデータをパルス発生器610からコンピューティングデバイス1200にダウンロードすることができる。
【0094】
[00134] 少なくとも1つの実施形態では、パルス発生器610の治療セッションパラメータ(例えば、周波数、パルス幅、保持時間、休止時間及び/又はランプ時間)は、医療提供者がコンピューティングデバイス1200を使用して(例えば、コンピューティングデバイス1200上で実行しているアプリケーションを用いて)プログラムすることができる。
【0095】
[00135] 1つ又は複数の実施形態において、パルス発生器610は、他のデバイスからのサイバーセキュリティ攻撃を防止するためのセキュリティ手段(例えば、パスワード保護、パスワードロックアウト、ファイアウォール及び/又はデータ暗号化)を含む。加えて、いくつかの実施形態では、パルス発生器610は、患者のプライバシー及びデータを保護するために、データ暗号化を利用する。
【0096】
[00136]
図13は、
図6のパルス発生器610の上面図である。この図では、パルス発生器610の上面は、レセプタクル710を含むように示されている。
【0097】
[00137]
図14は、
図6のパルス発生器610の底面図である。この図では、パルス発生器610の底面は、ポート620を含むように示されている。
【0098】
[00138]
図15は、定規に隣接する
図6のパルス発生器610の正面図である。この図では、パルス発生器610は、3.5インチのおよその高さと、1.5インチのおよその幅とを有するように示されている。他の実施形態では、パルス発生器610は、
図15に示すようなものと異なる様々な高さ及び/又は幅の寸法であるように製造され得ることに留意されたい。
【0099】
[00139]
図16は、定規に隣接する
図6のパルス発生器610の左側面図である。この図では、パルス発生器610は、0.75インチのおよその深さを有するように示されている。他の実施形態では、パルス発生器610は、
図16に示すようなものと異なる様々な深さを有するように製造され得ることに留意されたい。
【0100】
[00140]
図17~
図24は、患者のログ記録された治療データを取得するために医療提供者によって使用される、
図6のパルス発生器610のディスプレイ上に表示することができる複数の例示的な画面を示す。
図17~
図24に示す画面は、開示するシステムによって採用することができる単なる画面例であり、開示するシステムは、これらの例示的な画面の様々な異なる変形形態を採用し得、及び/又は本明細書に開示するものよりも多いか又は少ない画面を採用し得ることに留意されたい。
【0101】
[00141] また、1つ又は複数の実施形態において、
図17~
図24の画面は、医療提供者が患者のログ記録された治療データを取得する(ダウンロードする)ために使用するコンピューティングデバイス1200(例えば、
図12を参照されたい)のディスプレイ1210(例えば、
図12を参照されたい)に表示され得ることに留意されたい。いくつかの実施形態では、医療提供者は、ポータブルドキュメントフォーマット(PDF)ファイルを介して
図17~
図24の画面をダウンロードすることができる。
【0102】
[00142]
図17は、患者の治療データログにアクセスするためのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)画面1700であり、ここでは「平均治療データ」選択項目が選択されている。この図では、画面1700は、ユーザが選択する2つの選択項目を表示している。特に、この図では、「平均治療データ」選択項目がユーザによって選択されているように示されている。「平均治療データ」選択項目がユーザによって選択された後、ディスプレイ625は、画面1800(
図18を参照されたい)を表示する。
【0103】
[00143]
図18は、患者の例示的な平均治療データを示すGUI画面1800である。この図では、画面1800は、患者の平均治療データを示す。特に、平均治療データは、平均治療振幅、平均治療インピーダンス及び平均治療持続時間を含む。1つ又は複数の実施形態において、平均治療データは、患者の以前の治療セッションのすべてについてログ記録されたデータの平均である。いくつかの実施形態では、ユーザは、平均治療データを計算することができる患者の以前の治療セッションのすべてのうちのいずれかを指定することができる(すなわち患者の選択された数の治療セッションのみからのデータが平均治療データの計算に使用される)。
【0104】
[00144] 1つ又は複数の実施形態において、画面1800は、「戻る」ボタンを含み、このボタンが選択されると、ディスプレイ625は、以前の画面(例えば、治療データログ画面)を表示する。ユーザが「戻る」ボタンを選択した後、ディスプレイは、画面1900を表示する(
図19を参照されたい)。
【0105】
[00145]
図19は、患者の治療データログにアクセスするためのGUI画面1900であり、ここでは「治療セッションデータ」選択項目が選択されている。この図では、画面1900は、ユーザが選択する2つの選択項目を表示している。特に、この図では、「治療セッションデータ」選択項目がユーザによって選択されているように示されている。「治療セッションデータ」選択項目がユーザによって選択された後、ディスプレイ625は、画面2000(
図20を参照されたい)を表示する。
【0106】
[00146]
図20は、患者の治療セッションの例示的な履歴リストを示すGUI画面2000であり、ここでは治療セッション2:2020年1月2日が選択されている。この図では、画面2000は、患者の過去の治療セッションのすべてのリストを示している。特に、この図では、「セッション2:2020年1月2日」選択項目が、ユーザによって選択されているように示されている。「セッション2:2020年1月2日」選択項目がユーザによって選択された後、ディスプレイ625は、画面2100(
図21を参照されたい)を表示する。
【0107】
[00147]
図21は、患者の2020年1月2日の治療セッション2の例示的な治療データを示すGUI画面2100であり、ここでは「治療振幅」選択項目が選択されている。この図にでは、画面2100は、治療セッション持続時間、治療セッション開始時刻、治療セッション停止時刻、平均治療振幅及び平均治療インピーダンスを示している。加えて、画面2100は、ユーザが選択する2つの選択項目を示している。特に、画面2100は、ユーザが「治療振幅」選択項目を選択したことを示している。「治療振幅」選択項目がユーザによって選択された後、ディスプレイ625は、画面2200(
図22を参照されたい)を表示する。
【0108】
[00148]
図22は、患者の2020年1月2日の治療セッション2中の治療振幅の例示的な履歴リストを示すGUI画面2200である。この図では、画面2200は、この特定の治療セッションに対する患者の(タイムスタンプを含む)治療振幅のすべてのリストを示している。
【0109】
[00149] 1つ又は複数の実施形態において、画面2200は「戻る」ボタンを含み、これが選択されると、ディスプレイ625は、以前の画面(例えば、セッション2:2020年1月2日画面)を表示する。ユーザが「戻る」ボタンを選択した後、ディスプレイは、画面2300(
図23を参照されたい)を表示する。
【0110】
[00150]
図23は、患者の2020年1月2日の治療セッション2の例示的な治療データを示すGUI画面2300であり、ここでは「治療インピーダンス」選択項目が選択されている。この図では、画面2300は、ユーザが選択する2つの選択項目を示している。特に、画面2100は、ユーザが「治療インピーダンス」選択項目を選択したことを示している。「治療インピーダンス」選択項目がユーザによって選択された後、ディスプレイ625は、画面2400(
図24を参照されたい)を表示する。
【0111】
[00151]
図24は、患者の2020年1月2日の治療セッション2中の治療インピーダンスの例示的な履歴リストを示すGUI画面2400である。この図では、画面2300は、この特定の治療セッションに対する患者の(タイムスタンプを含む)治療インピーダンスのすべてのリストを示している。
【0112】
[00152]
図25は、(電極アセンブリに接続されたパルス発生器を含む)システムのインピーダンスが範囲外であるか否かを判断する方法を示すフローチャートである。本方法が開始すると(2500)、治療セッションの開始時、パルス発生器610の少なくとも1つのプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ125)は、電極アセンブリ2510に接続されたパルス発生器を含むシステムのインピーダンスを測定する。次いで、パルス発生器610の少なくとも1つのプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ125)は、測定されたインピーダンスがベース閾値(例えば、200Ω)よりも小さい(短絡の可能性が高いことを示す)か否かを判断する(2520)。パルス発生器610の少なくとも1つのプロセッサが、インピーダンスがベース閾値よりも小さいと判断する場合、パルス発生器は治療を中止し、及び/又はインピーダンスがベース閾値未満であることを患者に(例えば、視覚(テキスト(例えば、ERR)若しくはアイコン警告)及び/又は可聴警告によって)警告する(2530)。
【0113】
[00153] しかしながら、パルス発生器610の少なくとも1つのプロセッサが、インピーダンスがベース閾値よりも小さくないと判断する場合、パルス発生器610の少なくとも1つのプロセッサは、次いで、測定されたインピーダンスが、最大閾値(例えば、15,000Ω)よりも大きい(開回路の可能性が高いことを示す)か否かを判断する(2540)。パルス発生器610の少なくとも1つのプロセッサが、インピーダンスが最大閾値よりも大きいと判断する場合、パルス発生器は治療を中止し、及び/又はインピーダンスが最大閾値を超えていることを患者に(例えば、視覚(テキスト若しくはアイコン(例えば、高インピーダンス信号アイコン660(
図6を参照されたい))警告及び/又は可聴警告によって)警告する(2550)。
【0114】
[00154] しかしながら、パルス発生器610の少なくとも1つのプロセッサが、インピーダンスが最大閾値より大きくないと判断する場合、方法は、ステップ2510に戻る。また、方法は、治療の持続時間にわたって継続する。
【0115】
[00155] 1つ又は複数の実施形態において、パルス発生器610は、エラー(例えば、インピーダンスがベース閾値未満であるか、又はインピーダンスが最大閾値を超える)が検出されるときには常に(例えば、バッテリ容量を節約して使用する)低電力モードに切り替わることに留意されたい。
【0116】
[00156]
図26は、
図6のパルス発生器610のバッテリ容量が、指定された持続時間で治療セッションを完了するのに十分であるか否かを判断する方法を示すフローチャートである。本方法が開始すると(2600)、パルス発生器610の少なくとも1つのプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ125)は、現バッテリ容量(例えば、80%の容量)を決定する(読み取る)(2610)。次いで、パルス発生器610の少なくとも1つのプロセッサは、治療セッションのための持続時間(例えば、8.0時間)を決定する(読み取る)(2620)。次いで、パルス発生器610の少なくとも1つのプロセッサは、患者の過去の治療セッションの平均電流振幅を(患者のログ記録されたデータを検討することにより)決定する(2630)。次いで、パルス発生器610の少なくとも1つのプロセッサは、患者の過去の治療セッションの平均治療インピーダンスを(患者のログ記録されたデータを検討することにより)決定する(2640)。
【0117】
[00157] 次いで、パルス発生器610の少なくとも1つのプロセッサは、平均電流振幅及び平均治療インピーダンスを使用することにより、バッテリ容量(例えば、80%容量)が、患者の指定持続期間(例えば、8.0時間)で治療セッションを完了するのに十分であるか否かを判断する(2660)。
【0118】
[00158] 次いで、パルス発生器610の少なくとも1つのプロセッサは、バッテリ容量が治療セッションの持続時間に対して十分であるか否かを判断する(2670)。パルス発生器610の少なくとも1つのプロセッサが、バッテリ容量が治療セッションの持続時間に対して十分ではないと判断する場合、パルス発生器610の少なくとも1つのプロセッサは、バッテリ容量が持続時間で治療セッションを完了するのに不十分であることを患者に(例えば、視覚(テキスト又はアイコン)警告及び/又は可聴警告によって)警告する(2680)。1つ又は複数の実施形態では、次いで、パルス発生器610の少なくとも1つのプロセッサが、バッテリ容量が治療セッションの持続時間に対して十分ではないと判断する場合、パルス発生器610の少なくとも1つのプロセッサは、その時点でユーザが治療セッションを開始することを防止する。その後、方法は、終了する(2690)。
【0119】
[00159] しかしながら、パルス発生器610の少なくとも1つのプロセッサが、バッテリ容量が治療セッションの持続時間に対して十分であると判断する場合、方法は、終了する(2690)。
【0120】
[00160] 使用時、1つの実施形態では、電極アセンブリ10、1060は、患者5の前頭部の上に位置決めされる。いくつかの実施形態では、電極アセンブリ10、1060は、アセンブリ10、1060を患者5の鼻の正中線と一列に並べるのに役立つ絶縁性接続領域を含み得る。いくつかの実施形態では、電極アセンブリ10、1060は、鼻正中線に対しておよそ2.1~2.6cm外側で眼窩隆起の上に位置する眼窩上孔の上に配置される。1つの実施形態では、電極アセンブリ10、1060は、次いで、電気ケーブル20、1010を介してパルス発生器15、610に接続される。他の実施形態では、電極アセンブリ10、1060は、無線接続を介してパルス発生器15、610に接続される。いくつかの実施形態では、電極アセンブリは、皮下又は経皮埋め込み型電極アセンブリであり得る。「経皮」形態では、電極は皮膚を通して挿入されるが、パルス発生器15、610は、外部にあり続け、皮膚を貫通して出るリード線があり得るか、又は電極は、完全に皮膚組織内にあり得、それらは、例えば、誘導結合を通して非埋め込み型パルス発生器15、610に結合される。次いで、パルス発生器15、610は、本明細書に記載するような方法に従って刺激を提供する。
【0121】
[00161] 上述のように、本明細書に開示するパルス発生器15、610を使用して、三叉神経刺激(TNS)を用いて患者の障害又は状態を治療することができる。大まかに言えば、治療の方法は、三叉神経の孔又は枝の少なくとも1つの上又は近くに外部電極を位置決めすること(
図1A及び
図1B)と、本明細書に開示するような刺激器又はパルス発生器15、610を使用して電極を指定された動作パラメータで一定時間にわたって刺激することとを含む。1つの実施形態では、外部電極は、眼窩上神経又は眼神経の孔(
図1A、孔1)の上に位置決めされる。代替実施形態では、電極アセンブリ10、1060は、上顎神経の孔(
図1A、孔2)又は下顎神経の孔(
図1B、孔3)の上に位置決めすることができる。さらに他の実施形態では、刺激は、三叉神経の1つの孔に片側のみ印加することができる。他の実施形態では、電極は、滑車上神経、滑車下神経、頬骨側頭神経、頬骨顔面神経、頬骨眼窩神経、オトガイ神経、鼻神経及び/又は耳介側頭神経及び/又はそれらのそれぞれの孔に対応する患者の顔面の領域に(右側及び/又は左側において)位置決めすることができる。他の実施形態では、本明細書に開示するようなパルス発生器15、610で皮下埋め込み型電極を使用し得る。パルス発生器15、610の少なくとも1つのプロセッサ(例えば、
図4のプログラム可能なマイクロコントローラ125)は、以下のパラメータの1つ又は複数で動作するようにプログラムすることができる。
【0122】
[00162] 様々な実施形態において、刺激は、所定のパルス幅又はパルス幅の範囲(又はパルス持続時間)で送達される。刺激は、50μs、60μs、70μs、80μs、90μs、100μs、125μs、150μs、175μs、200μs、225μs、250μs、最大で500μsの1つ又は複数よりも大きい及び/又は小さい範囲のパルス幅を送達するように設定することができる。当業者であれば、上記の時間の1つ又は複数をパルス幅の範囲の境界として使用し得ることを理解するであろう。
【0123】
[00163] いくつかの実施形態では、刺激振幅は、電圧又は電流制御刺激として送達される。他の実施形態では、刺激振幅は、容量性放電として送達することができる。様々な実施形態において、電流振幅は、電極の表面積、電極間距離、刺激される枝及び上述のようなモデリングデータに応じて、約300μAの下限及び約30mA~35mAの上限内の任意の範囲にあり得る。様々な実施形態において、振幅は、50マイクロアンペア(μA)、75μA、100μA、125μA、150μA、175μA、200μA、225μA、250μA、275μA、300μA、325μA、350μA、375μA、400μA、425μA、450μA、475μA、500μA、525μA、550μA、575μA、600μA、625μA、650μA、675μA、700μA、725μA、850μA、875μA、900μA、925μA、950μA、975μA、1mA、2mA、3mA、4mA、5mA、6mA、7mA、8mA、9mA、10mA、11mA、12mA、13mA、14mA、15mA、16mA、17mA、18mA、19mA及び20mAの1つ又は複数より大きい及び/又は小さい範囲にあり得る。いくつかの実施形態では、電流振幅は、電極のサイズ、インピーダンス、抵抗又は構成に応じて、7mA未満又は6mA未満である。いくつかの実施形態では、電流振幅は、約2.5mA~約5mAである。当業者であれば、上記振幅の1つ又は複数を振幅の範囲の境界として使用し得ることを理解するであろう。
【0124】
[00164] 様々な実施形態において、刺激は、1つ若しくは複数の周波数又は周波数の範囲内で送達することができる。刺激は、50Hz、45Hz、40Hz、35Hz、30Hz、25Hz、20Hz、15Hz又は10Hzの1つ又は複数よりも小さい及び/又は大きい周波数で送達されるように設定することができる。様々な実施形態において、刺激は、20Hz、30Hz、40Hz、50Hz、60Hz、70Hz、80Hz、90Hz、100Hz、120Hz、125Hz、150Hz、最大300Hzの1つ又は複数よりも大きい及び/又は小さい周波数で送達されるよう設定することできる。当業者であれば、上記周波数の1つ又は複数を周波数の範囲の境界として使用し得ることを理解するであろう。
【0125】
[00165] 様々な実施形態において、刺激は、所定のデューティサイクル又はデューティサイクルの範囲において送達される。刺激は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%の1つ又は複数よりも大きい及び/又は小さい範囲内のデューティサイクルで送達されるように設定することができる。いくつかの実施形態では、神経の保存を確実にするために、10%~50%のデューティサイクルが好ましい場合がある。いくつかの実施形態では、特定の状況において最大100%のデューティサイクルが有用である場合がある。当業者であれば、上記パーセンテージの1つ又は複数をデューティサイクルの範囲の境界として使用し得ることを理解するであろう。
【0126】
[00166] 方向に関するすべての言及(例えば、近位、遠位、上側、下側、上方、下方、左、右、横方向、前、後、頂部、底部、上、下、垂直、水平、時計回り及び反時計回り)は、読者による本発明の理解に役立つように識別の目的にのみ使用し、特に本発明の位置、向き又は使用に関して、限定をもたらすものではない。接続に関する言及(例えば、取り付けられた、結合された、接続された及び接合された)は、広義に解釈されるべきであり、別段の指示がない限り、要素の集合間の中間部材及び要素間の相対的な移動を含み得る。このように、接続に関する言及は、2つの要素が直接接続され、互いに固定された関係にあることを必ずしも意味するものではない。例示的な図面は、単に説明を目的とするものであり、添付の図面に反映されている寸法、位置、順序及び相対的なサイズは、異なり得る。
【0127】
[00167] 上述の方法が、一定の順序で発生するいくつかの事象を示す場合、本開示の利益を有する当業者であれば、順序を変更することができ、そうした変更が本開示の変形形態に従うことを理解するであろう。さらに、方法の一部は、逐次実施するだけでなく、可能な場合には並列プロセスで同時に実施され得る。加えて、方法のより多くのステップ又はより少ないステップが実施され得る。
【0128】
[00168] したがって、実施形態は、請求項の範囲にあり得る代替形態、変更形態及び均等物を例示するように意図されている。
【0129】
[00169] 上記の本明細書及び例は、本発明の例示的な実施形態の構造及び使用についての詳細な説明を提供するものである。本発明の様々な実施形態について、ある程度の特殊性をもって又は1つ若しくは複数の個々の実施形態を参照して上述したが、当業者は、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、開示した実施形態に対する多数の改変形態をなし得る。したがって、他の実施形態が企図される。上記の説明に含まれるとともに添付図面に示されているすべての事項は、特定の実施形態の単なる例示として解釈され、限定として解釈されるべきではないことが意図される。以下の特許請求の範囲に定義する本発明の基本的要素から逸脱することなく、細部又は構造の変更形態がなされ得る。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三叉神経刺激の方法であって、
パルス発生器の少なくとも1つのプロセッサにより、患者に対する少なくとも1回の治療セッションのために
皮膚電極アセンブリに送達されるパルスを生成することであって、前記パルスは、定義された特性を有する、生成することと、
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記患者に対する前記少なくとも1回の治療セッションからのデータをログ記録することであって、前記データは、前記少なくとも1回の治療セッション中の前記パルス発生器に接続された前記
皮膚電極アセンブリのインピーダンスと、前記少なくとも1回の治療セッション中に生成された前記パルスの電流振幅とを含む、ログ記録することと、
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回に関する前記電流振幅を含む前記データを使用することにより、平均電流振幅を決定することと、
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回に関する前記インピーダンスを含む前記データを使用することにより、平均治療インピーダンスを決定することと、
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記患者に対する後続の治療セッションを開始する前に、前記パルス発生器のバッテリの充電容量を決定することと、
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記平均電流振幅及び前記平均治療インピーダンスを使用することにより、前記パルス発生器の前記バッテリの前記充電容量が、指定された持続時間にわたる前記患者に対する前記後続の治療セッションを完了するのに十分であるか否かを判断することと
を含む方法。
【請求項2】
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサが、前記バッテリの前記充電容量が、前記指定された持続時間にわたる前記患者に対する前記後続の治療セッションを完了するのに不十分であると判断する場合、前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記パルス発生器の前記バッテリの前記充電容量が、前記指定された持続時間にわたる前記後続の治療セッションを完了するのに不十分であることを示す、前記患者への警告を発生させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記警告は、視覚警告又は可聴警告の少なくとも一方である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記視覚警告は、テキスト又はアイコンの少なくとも一方を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記パルス発生器のディスプレイにより、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含む画面を表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記画面は、前記患者に対する前記少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回に関する平均治療データを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記画面は、前記患者に対する前記少なくとも1回の治療セッションの履歴を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記画面は、前記患者に対する前記少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回中に生成された前記パルスの前記電流振幅の履歴を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記画面は、前記患者に対する前記少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回中の前記パルス発生器に接続された前記
皮膚電極アセンブリの前記インピーダンスの履歴を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記パルス発生器に接続された前記
皮膚電極アセンブリの前記インピーダンスを測定して、測定インピーダンスを発生させること、
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記測定インピーダンスがベース閾値インピーダンス値よりも小さいか否かを判断すること、
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサが、前記測定インピーダンスが前記ベース閾値インピーダンス値よりも小さいと判断する場合、前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記測定インピーダンスが前記ベース閾値インピーダンス値未満であることを示す、前記患者への警告を発生させること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記パルス発生器に接続された前記
皮膚電極アセンブリの前記インピーダンスを測定して、測定インピーダンスを発生させること、
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記測定インピーダンスが最大閾値インピーダンス値よりも大きいか否かを判断すること、
前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサが、前記測定インピーダンスが前記最大閾値インピーダンス値よりも大きいと判断する場合、前記パルス発生器の前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記測定インピーダンスが前記最大閾値インピーダンス値を超えていることを示す、前記患者への警告を発生させること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
三叉神経刺激のためのパルス発生器デバイスであって、
少なくとも1つのプロセッサであって、
患者に対する少なくとも1回の治療セッションのために
皮膚電極アセンブリに送達されるパルスを生成することであって、前記パルスは、定義された特性を有する、生成することと、
前記患者に対する前記少なくとも1回の治療セッションからのデータをログ記録することであって、前記データは、前記少なくとも1回の治療セッション中の前記パルス発生器に接続された前記
皮膚電極アセンブリのインピーダンスと、前記少なくとも1回の治療セッション中に生成された前記パルスの電流振幅とを含む、ログ記録することと、
前記少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回に関する前記電流振幅を含む前記データを使用することにより、平均電流振幅を決定することと、
前記少なくとも1回の治療セッションの少なくとも1回に関する前記インピーダンスを含む前記データを使用することにより、平均治療インピーダンスを決定することと、
前記患者に対する後続の治療セッションを開始する前に、前記パルス発生器のバッテリの充電容量を決定することと、
前記平均電流振幅及び前記平均治療インピーダンスを使用することにより、前記パルス発生器の前記バッテリの前記充電容量が、指定された持続時間にわたる前記患者に対する前記後続の治療セッションを完了するのに十分であるか否かを判断することと
を行うように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含む画面を表示するように構成されたディスプレイと
を含むパルス発生器デバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記バッテリの前記充電容量が、前記指定された持続時間にわたる前記患者に対する前記後続の治療セッションを完了するのに不十分であると判断する場合、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記パルス発生器の前記バッテリの前記充電容量が、前記指定された持続時間にわたる前記後続の治療セッションを完了するのに不十分であることを示す、前記患者への警告を発生させるようにさらに構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記警告は、視覚警告又は可聴警告の少なくとも一方である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイの一方である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記指定された持続時間をプログラミングするように構成された少なくとも1つのボタンをさらに含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記パルス発生器がユーザの手の中に収まるような寸法を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
生成される前記パルスの前記電流振幅は、8.0mAの上限を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記患者のためのパスワードを要求することにより、前記パルス発生器の使用を制限するようにさらに構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記患者のための前記パスワードは、プログラム可能である、請求項19に記載のシステム。
【国際調査報告】