(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-14
(54)【発明の名称】金属‐セラミック基板を製造するためのプロセスおよびそのような方法を用いて製造された金属‐セラミック基板
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
H01L23/12 D
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023506022
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2023-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2021071428
(87)【国際公開番号】W WO2022023544
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】102020120189.3
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515063390
【氏名又は名称】ロジャーズ ジャーマニー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Rogers Germany GmbH
【住所又は居所原語表記】Am Stadtwald 2, D-92676 Eschenbach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーグル、ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ブリッティング、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルカー、ティロ
(57)【要約】
本発明は、金属‐セラミック基板(1)を製造するためのプロセスであって、セラミック要素(10)、金属片(40)、および少なくとも1つの金属層(30)を用意するステップと、セラミック要素(10)、金属片(40)、および少なくとも1つの金属層(30)の集合体(18)を形成するステップと、セラミック要素(10)を囲む気密容器を形成するステップであって、少なくとも1つの金属層(30)が容器においてセラミック要素(10)と金属片(40)との間に配置されている、ステップと、熱間静水圧プレスによって金属‐セラミック基板(1)を形成するステップと、を含む、プロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属‐セラミック基板(1)を製造するための方法であって、
セラミック要素(10)、金属片(40)、および少なくとも1つの金属層(30)を用意するステップと、
前記セラミック要素(10)、前記金属片(40)、および前記少なくとも1つの金属層(30)の集合体(18)を形成するステップと、
前記セラミック要素(10)を囲む気密な容器を形成するステップであって、前記少なくとも1つの金属層(30)が、前記容器において、前記セラミック要素(10)と前記金属片(40)との間に配置されている、ステップと、
熱間静水圧プレスによって前記金属‐セラミック基板(1)を形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記金属片(40)が、前記少なくとも1つの金属層(30)よりも薄い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属片(40)の第1の厚さ(D1)の、前記少なくとも1つの金属層(30)の第2の厚さ(D2)に対する比(D1/D2)が、0.01~2、好ましくは0.1~2、特に好ましくは0.15~2の値を想定し、その逆もまた同様である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属片(40)が、前記少なくとも1つの金属層(30)よりも厚い、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属‐セラミック基板(1)の形成時に、前記容器内が酸素を含まない雰囲気である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の厚さ(D1)が、10μm~500μm、好ましくは50μm~400μm、特に好ましくは100μm~300μmの値を想定する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の厚さ(D2)が、100μm~10,000μm、好ましくは150μm~6,000μm、特に好ましくは600μm~5,000μmの値を想定する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記金属片(40)および前記少なくとも1つの金属層(30)が、異なる材料により作製される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記金属片(40)および前記少なくとも1つの金属層(30)の両方または一方は、作製される前記金属‐セラミック基板(1)において異なる粒径が規定され、好ましくは、前記金属片(40)で形成されたメタライゼーション(20)の第1の金属領域(21)が前記少なくとも1つの金属層(30)で形成されたメタライゼーション(20)の第2の金属領域(22)よりも小さな粒径を有するように、設計されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の金属領域(21)の粒径の、前記第2の金属領域(22)の粒径に対する比が、0.3未満、好ましくは0.2未満、特に好ましくは0.15未満である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの金属層と前記セラミック要素(10)との間に前記金属‐セラミック基板(1)を形成する場合、少なくともいくつかの部分において、前記少なくとも1つの金属層(30)の前記セラミック要素(10)への接合を補助するように活性金属層(15)、および活性金属を含む接触層、の両方または一方が配置されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記活性金属層(15)、及び又は活性金属を含む前記接触層における活性金属の割合は、15重量%超、好ましくは50重量%超、特に好ましくは75重量%超である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記金属片(40)の折り畳みにより、前記容器の形成、及び又は前記金属片(40)の追加金属片への接合が行われる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記金属層(30)と前記金属片(40)との間に、拡散バリア等の機能層(60)が挿入されている、金属‐セラミック基板(1)を製造するための方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法により製造される金属‐セラミック基板(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属‐セラミック基板を製造するための方法およびこのような方法を用いて製造された金属‐セラミック基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術(たとえば、特許文献1、特許文献2、および特許文献3)により、たとえばプリント配線板または配線板として、金属‐セラミック基板が周知となっている。通常、金属‐セラミック基板の一方の部品面には、電気部品および導電体トラック用の導電体接合エリアが配置されており、電気部品と導電体トラックとの相互接続によって電気回路が形成される。金属‐セラミック基板の必須構成要素は、絶縁層(セラミックで構成されるのが好ましい)および当該絶縁層に接合された少なくとも1つの金属層である。セラミックで構成された絶縁層は、比較的高い絶縁強度を有することから、パワーエレクトロニクスにおいて特に有利であることが分かっている。金属層をパターニングすることによって、電気部品用の導電体トラックおよび導電体接合エリアまたは電気部品用の導電体トラックもしくは導電体接合エリアが実現され得る。
【0003】
このような金属‐セラミック基板を提供するための要件は、金属層とセラミック層との間の永久的な接合である。従来技術によれば、いわゆる直接金属接合法すなわちDCBまたはDAB法のほか、はんだ材料を用いて金属層をセラミック層に接合することが知られている。
【0004】
たとえば金属層または金属箔(特に銅層または銅箔も)をセラミック材料に接合するための活性はんだ付け法が、金属‐セラミック基板を製造するために特に使用される方法となる。この方法では、銅、銀、および/または金等の主成分のほかに活性金属も含む硬質はんだを用いて、金属箔(たとえば、銅箔)とセラミック基板(たとえば、窒化アルミニウムセラミック)との間の接合がおよそ650~1000℃の温度で生成される。この活性金属は、たとえばHf、Ti、Zr、Nb、Ceから成る群から選択される少なくとも1つの元素であり、化学反応によってはんだとセラミックとの間に接合を確立する一方、はんだと金属との間の接合は、硬質はんだ金属接合である。
【0005】
さらに、たとえば特許文献4および特許文献5によれば、金属‐セラミック基板の形成を目的とした金属層のセラミック層への接合に熱間静水圧プレスが用いられる方法が知られている。熱間静水圧プレスは、はんだ付け法または直接金属接合法を用いた場合の接合時に形成される多くのボイドを削減するための後処理にも使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102013104739号明細書
【特許文献2】独国特許発明第19927046号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102009033029号明細書
【特許文献4】独国特許発明第102013113734号明細書
【特許文献5】特許第4325470号明細書
【発明の概要】
【0007】
従来技術を起点として、本発明の目的は、特に、好ましくはボイドフリー、省エネ、かつプロセスセーフなセラミックに対する金属の良好な接合に関して、既知の方法よりもさらに改善された金属‐セラミック基板を製造するための方法を提供することである。
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この目的は、請求項1に係る金属‐セラミック基板を製造するための方法および請求項15に係る金属‐セラミック基板を提供することによって達成される。他の実施形態については、従属請求項および本明細書から明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、金属‐セラミック基板を製造するための方法であって、
セラミック要素、金属片、および少なくとも1つの金属層を用意するステップと、
セラミック要素、金属片、および少なくとも1つの金属層の集合体を形成するステップと、
セラミック要素を囲む気密容器を形成するステップであって、少なくとも1つの金属層が容器においてセラミック要素と金属片との間に配置されている、ステップと、
熱間静水圧プレスによって金属‐セラミック基板を形成するステップと、
を含む、方法が提供される。
【0010】
従来技術により知られる方法と比較して、本発明によれば、金属片のほかに、少なくとも1つの金属層が金属片とセラミック要素との間に配置され、その後、金属片、少なくとも1つの金属層、およびセラミック要素が一体的に接合される。言い換えると、追加金属層が容器中に導入され、金属片とともに、熱間静水圧プレスプロセスにおいて作製される金属‐セラミック基板上に形成されるメタライゼーションの一部となる。このような構成によれば、追加金属層が金属片とセラミック要素との間に導入されるため、特に、容器の製造の自由度が高くなり得るとともに、この自由度により、必要に応じて、製造される金属‐セラミック基板上の後続のメタライゼーションの特性を調整可能となり得る。
【0011】
熱間静水圧プレスにおいて、容器、特に金属容器は、加熱・加圧装置において、100~2000bar(10000~200000kPa)、好ましくは150bar~1200bar(15000~120000kPa)、特に好ましくは300~1000bar(30000~100000kPa)のガス圧と、金属片および追加金属片の両方または一方の溶融温度、特に、金属片および追加金属片の両方または一方の溶融温度を下回る温度までの300℃のプロセス温度と、に曝されるのが好ましい。このように、直接金属接合プロセス(たとえば、DCBプロセスまたはDABプロセス)に必要な温度への到達および活性はんだ付けに用いられるはんだ基材の使用なしに、または直接金属接合プロセス(たとえば、DCBプロセスまたはDABプロセス)に必要な温度への到達もしくは活性はんだ付けに用いられるはんだ基材の使用なしに、金属層すなわち少なくとも1つの金属層および/または金属容器の金属片および/もしくは追加金属片をセラミック要素に接合可能であることが分かっているため都合が良い。また、適切なガス圧の利用または使用により、可能な限りボイドのない、すなわち、金属層とセラミック要素との間に気体を含まない金属‐セラミック基板を製造できる可能性がある。特に、熱間静水圧プレスに関して本明細書で明示的に参照される特許文献4に記載のプロセスパラメータが使用される。
【0012】
特に、熱間静水圧プレスにおいては、加熱が実行され、特に、焼結およびアニーリングの両方または一方が実行されるため、金属容器の金属片および/もしくは追加金属片および/または少なくとも1つの金属層、特に、金属‐セラミック基板の後続のメタライゼーションが溶融相に移行しない。したがって、熱間静水圧プレスの場合は、直接金属接合プロセス、特にDCBプロセスの場合よりも低い温度が必要となる。また、熱間静水圧プレスにおける圧力の使用または利用は、一方で金属片と追加金属片との両方もしくはいずれかまたは少なくとも1つの金属層と、他方でセラミック要素と、の間の空気包有物または細孔を結果として減少することが可能であることにより、形成または作製される金属‐セラミック基板における気泡の形成の頻度が低減または完全に抑制され得るため、好都合であることが分かっている。このことは、少なくとも1つの金属層または金属容器の金属片および/もしくは追加金属片とセラミック要素との間の接合の品質に有利な影響を及ぼす。特に、これによって、「固相拡散接合」(SDB)プロセスが実現されることになる。
【0013】
金属‐セラミック基板は、作製状態において、セラミック要素に接合されたメタライゼーションがパターニングされたプリント配線板として提供されるのが好ましい。たとえば、金属‐セラミック基板の形成には、熱間静水圧プレスのほか、たとえばレーザ、エッチング、および/または機械加工によるパターニングもこの目的で実行され、電気もしくは電子部品の導電体トラックおよび導電体接合または電気もしくは電子部品の導電体トラックもしくは導電体接合の実現に用いられる。セラミック要素上に作製される金属‐セラミック基板上には、メタライゼーションまたは成分メタライゼーションの反対側に裏面メタライゼーションおよび冷却要素の両方または一方が設けられているのが好ましい。裏面メタライゼーションは撓みに対処するように機能し、冷却要素は、プリント配線板または金属‐セラミック基板に接合された電気または電子部品が動作中に発する熱を効果的に放熱するように機能するのが好ましい。
【0014】
金属片、追加金属片、および/または少なくとも1つの金属層に好適な材料は、銅、アルミニウム、モリブデン、タングステン、および/またはそれらの合金(CuZr、AlSi、またはAlMgSi等)のほか、CuW、CuMo、CuAl、および/もしくはAlCu等の積層体、またはCuW、CuMo、もしくはAlSiC等のMMC(金属マトリクス複合材)である。さらに、製造される金属‐セラミック基板上の金属片、追加金属片、および/または少なくとも1つの金属層は、特に成分メタライゼーションとして表面改質されているのが好ましい。表面改質としては、たとえば、メタライゼーション上の貴金属、特に銀および金の両方または一方、または(無電解)ニッケルもしくはENIG(electroless nickel immersion gold)(「無電解ニッケル浸漬金」)、または、エッジグラウトでの封止による、クラックの形成または拡大の抑制が考えられる。たとえば、金属片が追加金属片とは異なっていてもよい。
【0015】
セラミック要素は、セラミックの材料として、Al2O3、SiN4、AlN、HPSXセラミック(すなわち、xパーセントのZrO2を含むAl2O3マトリックスを有するセラミックであり、たとえば、9%のZrO2を含むAI2O3=HPS9、または25%のZrO2を含むAl2O3=HPS25)、SiC、BeO、MgO、高密度MgO(理論密度の90%超)、TSZ(テトラゴン安定化酸化ジルコニウム(tetragonally stabilized zirconium oxide))を含むのが好ましい。この背景において、セラミック要素は、複合または混成セラミックとして設計され、さまざまな所望の特性を組み合わせるために、材料組成がそれぞれ異なる複数のセラミック層が重なり合って配置され、一体的な結合によってセラミック要素を形成することが考えられる。
【0016】
金属片は、少なくとも1つの金属層よりも厚いか、または薄く、実質的には、少なくとも1つの金属層と同じ厚さであるのが好ましい。金属片の第1の厚さの、少なくとも1つの金属層の第2の厚さに対する比は、0.01~2、好ましくは0.1~2、より好ましくは0.15~0.5または2の値を想定するのが好ましい。さらに、第1の厚さが0.2~0.3mmの場合、特に、金属片の第1の厚さの、少なくとも1つの金属層の第2の厚さに対する比が0.01~0.5、好ましくは0.1~0.5、特に好ましくは0.15~0.5の値を想定する場合に、特に良好な結果が得られることが分かっている。相対的に薄い金属片の使用によって、製造プロセス、特に、熱間静水圧プレスの使用または有効化に必要となる容器の気密封止が簡素化されることが分かっている。このことは、容器を形成するために適切なシート金属を曲げ、その後それぞれの自由端で互いに溶接される上記のような従来技術のプロセスとは特に異なる。
【0017】
特に、金属‐セラミック基板の形成時には、容器内が酸素を含まない雰囲気である。これは、容器の封止に先立って容器から酸素を抜き出すことにより実現されるのが好ましい。たとえば、金属層、金属片、およびセラミック要素の構成体における接合時に、容器から空気を抜き、真空を維持する。特に、容器内の圧力は、150mbar(15kPa)未満、好ましくは50mbar(5kPa)未満、特に好ましくは20mbar(2kPa)未満である。
【0018】
第1の厚さ(D1)は、10μm~500μm、好ましくは50μm~400μm、特に好ましくは100μm~300μmの値を想定するのが好ましい。このように小さな第1の厚さであれば、容器をより容易に閉じることができるため特に好都合であることが分かっている。最後に、たとえば容器の製造に際して曲げることもより容易である。第1の厚さは、100μm未満、好ましくは80μm未満、特に好ましくは50μm未満であるのが好ましい。
【0019】
第2の厚さは、100μm~10,000μm、好ましくは150μm~6,000μm、特に好ましくは600μm~5,000μmの値を想定するように与えられるのが好ましい。したがって、作製される金属‐セラミック基板において適切な厚さのメタライゼーションを形成するには、相対的に厚い少なくとも1つの金属層が用いられる。このように厚いメタライゼーションは、電気または電子部品が接合されるメタライゼーション内での熱拡散を促進する点において好都合であることが分かっている。結果として、放熱がより一様に分散し得るため、より効率的に熱が抜かれ得る。この背景において、金属片で形成された容器に少なくとも1つの金属層が導入されるプロセスは、結果として厚さの比を特に容易に調整可能となることから、特に好都合であることが分かっている。
【0020】
金属片および少なくとも1つの金属層は、異なる金属または材料で構成されるのが好ましい。たとえば、接合プロセスにおいて後続のメタライゼーションの表面シールを生成するニッケルで金属片を構成することも考えられる。また、2つの異なる材料を使用すると、メタライゼーションの新たな全体特性がもたらされる。これにより、このように形成された金属‐セラミック基板の新たな適用可能性への道が開かれ得る。
【0021】
好ましくは容器の形成または提供に先立って、少なくとも1つの金属層と金属片との間に機能層、特に、拡散バリアとして機能する機能層が配置されるのが好ましい。この場合、追加金属機能層が追加金属機能層として適用されることになるが、これは、金属層と金属片との間の拡散バリアとして機能するのが好ましい。これは、たとえば、少なくとも1つの金属層および金属片または少なくとも1つの金属層もしくは金属片と熱機械膨張率が異なる金属箔である。また、たとえば物理的気相成長プロセスによって、たとえば炭化物、窒化物の形態、および/または金属としての機能層を金属片および少なくとも1つの金属層または金属片もしくは少なくとも1つの金属層に適用し、容器の形成後に金属片と少なくとも1つの金属層との間に配置することも考えられる。さらには、金属およびセラミックの両者を含む混合層が機能層として機能することも考えられる。たとえば、金属粉末、セラミック粉末、および/または金属酸化物粉末を含む粉末混合物であってもよい。粉末混合物は、たとえば、メカノフュージョンプロセスを用いて形成された複合粉末で形成され、金属およびセラミックが一体化した粉末粒子を含むのが好ましい。言い換えると、金属およびセラミックが融合されて共通の粉末粒子となる。あるいは、機能層として用いられる多孔性金属‐セラミック複合層を有することも考えられる。
【0022】
機能層を利用することは、ある層の特徴的な粒成長すなわち金属片または少なくとも1つの金属片の粒成長を当該層に制限することから、特に好都合であることが分かっている。粒子は、拡散バリアとして機能する機能層を通って成長することができないためである。たとえば、少なくとも1つの金属層および金属片の金属が異なる場合は、両者間の相互拡散が阻止されるため、各層の特定の材料特性、特に、熱伝導性および電気伝導性に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、各層が特定の異なる金属(たとえば、CuおよびTi)で形成されていると、少なくとも1つの金属層と金属片との間の金属間相の形成が抑制される可能性もある。拡散バリアに好適な材料は、金属層のほか、炭化物または窒化物ボンドである。機能層の厚さは、100μm未満、好ましくは20μm未満、特に好ましくは10μm未満であるものとする。
【0023】
さらに、金属片とセラミック要素との間に配置された複数の金属層を設け、金属片と金属層との間の機能層の補助または代替として、複数の金属層の個々の金属層間に機能層を配置することも考えられる。
【0024】
金属片および少なくとも1つの金属層の両方または一方は、作製される金属‐セラミック基板に異なる粒径が存在するように構成されるのが好ましく、金属片で形成された第1の金属領域は、少なくとも1つの金属層で形成された第2の金属領域よりも小さな粒径を有するのが好ましい。言い換えると、作製される金属‐セラミック基板においては、セラミック要素に隣り合う金属領域よりも外側のメタライゼーションにおいてより小さな粒径が存在し、これは、少なくとも1つの金属層の接合の結果である。このような粒径への影響は、金属片および少なくとも1つの金属層を設ける前に実行される温度処理によって実現され得る。すなわち、少なくとも1つの金属層および金属片は、異なる温度処理を受ける。この代替または追加として、温度および圧力の作用下で実行される接合プロセスにおいて特定の粒径が規定されるように、金属層および金属片内のまたは金属層もしくは金属片内の異物または不純物の割合を調整することも考えられる。このように、粒径は、少なくとも互いの相対的な関係において、適切に調整されてもよい。このことは、粒径が粗いと、セラミック要素に隣接する第2の金属領域に形成された場合に、耐熱衝撃性に有利に働くため、特に好都合であることが分かっている。同時に、粒子の細かい金属領域を外側に使用すると、たとえばワイヤボンディングの簡素化および自動光学検査の容易化の両方または一方がもたらされるため、好都合であることが分かっている。
【0025】
第1の金属領域の粒径の、第2の金属領域の粒径に対する比は、0.3未満、好ましくは0.2未満、特に好ましくは0.15未満であるのが好ましい。たとえば、粒径としては、600μm未満、好ましくは300μm未満、特に好ましくは200μm未満の値を想定する。粒径を比較する場合は、第1の金属領域および第2の金属領域のそれぞれについて、たとえば少なくとも50個の粒子の平均値を使用するのが好ましく、上記比は、これらの平均値の後に得られる。粒径は、接線交差法により決定されるのが好ましく、所定の線に沿った異なる粒径の延長線がそれぞれ決定されることになる。容器とセラミック要素との間、好ましくは、少なくとも1つの金属層とセラミック要素との間および少なくとも1つの金属層と金属片との間の両方または一方に金属‐セラミック基板を形成するために、活性金属層および活性金属含有接触層の両方または一方が、少なくともいくつかの部分に配置されるのが好ましい。このように、少なくとも1つの金属層のセラミック要素への接合を促進可能であるため都合が良い。特に、このようにして、ある平面、特に、均質分布接着促進層が、少なくとも1つの金属層とセラミック要素との間に実現され得ることが分かっている。さらには、金属片と少なくとも1つの金属層との間への追加接着促進層(たとえば、活性金属層またははんだ材料)の導入により、はんだ付けプロセスの一部として、金属片の少なくとも1つの金属層への接合を補助することも考えられる。また、熱間静水圧プレスにおいて使用されるものよりもプロセス温度が低いはんだ材料を使用することも考えられる。これにより、熱間静水圧プレスにおいては、容器の金属片も同様に、少なくとも1つの金属層に接合されることになる。
【0026】
活性金属層および活性金属含有層の両方または一方は、接合時に、集合体の一部になること、または、集合体の一部であることが好ましい。言い換えると、活性金属層によって集合体が完成となる。
【0027】
特に、活性金属層、および活性金属を含む接触層、の両方または一方は、活性金属の割合が15重量%超、好ましくは50重量%超、特に好ましくは75重量%超であるのが好ましい。これにより、上記層は、活性金属の含有量が通常で最大10重量%の活性金属含有はんだ材料から区別される。
【0028】
金属片とセラミック要素との間には、活性金属層または活性金属が1つだけ設けられているのが好ましい。特に、接合は、はんだ基材なし、すなわち、はんだ基材を省略して実行される。はんだ材料を用いた金属層のセラミック層への接合では、通例は金属層の溶融温度を下回る温度が使用されるが、これと比較して本方法では、活性金属さえあればはんだ基材を省略し得るため都合が良い。
【0029】
また、はんだ付け法による製造と比較して、たとえばDCB法により製造された基板で実現可能な分離溝の幅に対応する程度の狭い分離溝が実現され得る。特に、分離溝は、およそ200μmだけサイズを縮小可能である。活性はんだ付け法の使用時に通常最大およそ200μmだけ分離溝中に突出するはんだ残留物が、この場合は生じないと考えられるためである。このはんだ残留物は、エッチング側面の端部を起点として、分離溝の方向に測定される。はんだ残留物は、主延伸面と平行な方向に分離溝の範囲を定める互いに反対の金属部の合計として測定される。
【0030】
活性金属の例としては、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、セリウム(Ce)、タンタル(Ta)、マグネシウム(Mg)、ランタン(La)、およびバナジウム(V)が挙げられる。本明細書においては、金属La、Ce、Ca、およびMgが容易に酸化され得ることに留意するものとする。さらに、元素Cr、Mo、およびWは通常、活性金属ではないが、少なくとも1つの金属層(たとえば、銅)と金属間相を形成せず、端部溶解性がないことから、SiN4と少なくとも1つの金属層、はんだシステム、またははんだ材料との間の接触層として適していることに留意するものとする。特に、このプロセスで省略されるはんだ基材は、金属ベースの基材、好ましくは、銀ベースまたは銅ベースの基材である。銀ベースの基材においては、銀が主成分(すなわち、重量の割合が最も高い成分)である一方、銅ベースの基材においては、銅が主成分である。銀ベースの基材の例としては、AgCu、特に、AgCu28、AgCuIn、AgCuSn、およびAgCuGaが挙げられる。銅ベースの基材の例としては、CuSn、CuAg、CuIn、CuGa、CuInSn、CuInMb、CuGaSnが挙げられる。NiCrMnまたはSnCuに基づくはんだ基材を省略することも考えられる。
【0031】
さらに、活性金属を含む接触層は、たとえば、特に酸化状態または化学量論的および非化学量論的組成が異なるTiN、TiC、TiO等の活性金属を含む化合物、を含む層として了解されるものとする。また、1つまたは複数の活性金属を含む合金も考えられる。
【0032】
また、はんだ基材を使用しない接合の代替として、活性金属層、接触層、またはセラミック要素と金属層との間と金属層と金属片との間との両方または一方に、はんだ基材または活性金属を含むはんだ材料を配置することも考えられる。これによって、接合の追加または補強がなされる。この場合、はんだ材料またははんだ基材のプロセス温度を下回る温度または上回る温度で接合を実行することが考えられる。さらに、銀を含まないはんだ材料またははんだ基材を使用するのが好都合である。
【0033】
はんだ材料のプロセス温度は、使用するはんだ材料によって決まり、通常は1100℃を下回る。この温度は、融点を下げる材料を追加することにより、600℃まで下げることができる。はんだ材料は、この温度で溶融する。この場合、はんだ材料は、プロセス温度で溶融する。本発明においては、プロセス温度に達していなくても、セラミック要素と金属層との間の接合が実行されてもよい。
【0034】
金属片は、折り畳みによる容器の形成および別の金属片への接合または折り畳みによる容器の形成もしくは別の金属片への接合がなされるのが好ましい。たとえば、金属片は、少なくとも1つの金属層およびセラミック要素を含む構成体に巻き付けられる。特に、この折り畳みは、金属片の第1の端部および第2の端部が一方側へと一体的に突出し、同一の金属片の第1の端部および第2の端部が一体的に接合されることによって容器が形成されるように実行される。あるいは、金属片および追加金属片が両側に配置され、構成体に関して主延伸面の方向に突出した自由端が一体的に接合することによって、気密容器が形成される。接合される金属片および追加金属片の両方または一方の縁部領域は、特に規定の接合領域において、レーザ溶接および電子ビーム溶接の両方または一方により互いに接合されるのが好ましい。生成メタライゼーションの構成要素となる容器が製造される金属片は、ニッケル、銀、ステンレス鋼、および/またはチタンを含み、特に、第1の厚さが0.01~1mmの箔として設けられるのが特に好ましい。このような薄い金属片は、折り畳みおよび接合が特に容易となる。
【0035】
本発明の好適な一実施形態によれば、容器は、金属片および追加金属片の両方または一方により形成される。あるいは、たとえばセラミック要素、少なくとも1つの金属層、および金属片の集合体が配置されている容器も可能である。たとえば、容器は、ガラス容器である。
【0036】
本発明の別の目的は、本発明に係る方法により製造された金属‐セラミック基板である。金属‐セラミック基板を製造するための方法に関して記載されている特性および利点はすべて、金属‐セラミック基板にも同様に適用可能であり、その逆もまた同様である。
【0037】
特に、提案の方法によれば、支配的な圧力条件により、AMB法またはDCB法により製造された金属‐セラミック基板と比較して、ボイドがほとんど発生していない金属‐セラミック基板またはボイドもしくは細孔の数が少ない金属‐セラミック基板が提供される。また、メタライゼーションの金属層厚は、セラミック表面のプロファイルに従って、プロファイルが一定である。さらに、金属‐セラミック基板を製造するための方法によれば、銀含有はんだ基材を省略可能であるため、第2のエッチングが簡素化される。その結果、たとえばDCB法により製造された基板で実現可能な分離溝の幅に対応する寸法において、より狭い分離溝が実現され得る。特に、分離溝は、およそ200μmだけサイズを縮小可能である。通例、一辺当たり最大100μmだけ分離溝中に突出するはんだ残留物が、この場合は生じないと考えられるためである。このはんだ残留物は、エッチング側面の端部を起点として、分離溝の方向に測定される。はんだ残留物は、主延伸面と平行な方向に分離溝の範囲を定める対向金属部の合計として測定される。また、メタライゼーションとセラミック要素との間の境界におけるフリンジ形成を抑えることができる。はんだ材料中に銀成分があると、エッチングの制御が困難となり、主延伸面と平行な方向のフリンジ状のコースとして明らかに現れるためである。さらに、メタライゼーションの厚さが金属‐セラミック基板全体で変化せず一定であることから、メタライゼーションの厚さ調節の必要なく、金属‐セラミック基板の全エリアについて、エッチングプロセスを同様に実行可能となる。熱間静水圧プレスにおいて使用される圧力により、セラミック要素のプロファイルに対してメタライゼーションが均質に押圧されることから、一定の厚さが実現される。また、メタライゼーション中の均質な材料分布により、金属‐セラミック基板全体で均一なエッチング側面形状を実現可能であるため都合が良い。
【0038】
特に、メタライゼーションおよびセラミック要素は、主延伸面に沿って延び、主延伸面と垂直に延びる積層方向に沿って、重なり合って配置され、接合層が、メタライゼーションとセラミック要素との間で、製造されるキャリア基板中に形成され、接合層の接着促進層が、5Ω/sq超、好ましくは10Ω/sq超、特に好ましくは20Ω/sq超のシート抵抗を有する。
【0039】
従来技術により知られるキャリア基板と比較して、接合層の接着促進層のシート抵抗は、5Ω/sq超、好ましくは10Ω/sq超、特に好ましくは20Ω/sq超である。決定されたシート抵抗は、接着促進層中の活性金属の割合、または、メタライゼーションのセラミック要素への接合にとって重要な、接着促進層の層厚と直接関連する。シート抵抗は、接合層中の活性金属含有量の減少とともに高くなる。これに対応して、シート抵抗が高いことは、接合層中の活性金属含有量が少ないことに対応する。活性金属の含有量が増大すると、脆弱な金属間相の形成が支配的となって、セラミック要素上のメタライゼーションの剥離強度を損なうことが分かっている。言い換えると、特許請求の範囲に規定されるシート抵抗は、脆弱な金属間相の形成の抑制による接合層の剥離強度の改善すなわち増大をもたらす。このように、特許請求の範囲に規定されるシート抵抗を選択的に調整することにより、メタライゼーションをセラミック要素に対して特に強力に接合可能となる。
【0040】
シート抵抗を決定するには、たとえばエッチングによって、金属層と、任意選択としてはんだ基層とを最初に、作製されるキャリア基板から除去する。その後、少なくとも1つの金属層とはんだ基層とが除去されたキャリア基板の上面または下面の4点測定によって、シート抵抗を測定する。
【0041】
特に、材料サンプルのシート抵抗は、表面積に対する抵抗として了解されるものとする。表面抵抗は、Ω/sqという単位で表すのが一般的である。シート抵抗の物理単位は、Ωである。
【0042】
好ましくは、積層方向に測定され、主延伸面と平行に延びる1つまたは複数の所定のエリア内の複数の測定点にわたって平均化された接合層の厚さは、1μm未満、好ましくは0.7μm未満、特に好ましくは0.5μm未満の値を想定する。複数のエリアを参照する場合は、特に、メタライゼーションが可能な限り等しいサイズのエリアに細分化され、少なくとも1つの金属層を細分化するこれらのエリアそれぞれにおいて、厚さに関する少なくとも1つの値、好ましくは複数の測定値が記録されることになる。そして、異なる点でこのように決定された厚さが算術平均される。
【0043】
このように、メタライゼーションとセラミック要素との間には、従来技術により知られるキャリア基板と比較して、相対的に薄い接合層が形成される。接合層の関連する厚さを決定するため、所定または規定のエリア内の多数の測定点にわたって測定厚さが平均化されることになる。これは、セラミック要素が一般的に起伏しているという事実、すなわち、セラミック要素が波形であると言える事実を考慮に入れているため都合が良い。特に、当業者であれば、主延伸面と平行に延びる方向に沿う数ミリメートルまたは数センチメートルにわたって見られるように、波形がセラミック要素の大略平坦なコースの変調を意味することが了解される。したがって、このような起伏は、セラミック要素上に通常付加的に存在するセラミック要素の表面粗さとは異なる。このような一般的に避けられないセラミック要素の起伏を厚さ決定に取り入れることで、起伏によって接合層が変動し得ること、特に、セラミック要素の頂部領域よりもセラミック要素の谷部領域において変動が大きくなり得ることが確かとなる。
【0044】
この起伏にも関わらず、平均厚さは、従来技術のキャリア基板により知られている値よりも著しく低い値である。これは特に、または一例として、セラミック要素とメタライゼーションとの間に、たとえばはんだ基材のほかに、個別すなわち別々に必要な活性金属層を配置することによって実現されることになる。化学的および物理的蒸着または化学的もしくは物理的蒸着(たとえば、スパッタリング)によるはんだ基材、および/または少なくとも1つの金属層、および/またはセラミック要素への活性金属の適用によって、相対的に薄い活性金属層が実現されることが好ましく、これにより相対的に薄い接合層、特に、均質で薄い接着促進層が得られる。また、真空プラズマおよび真空蒸着の両方または一方によって、はんだ基材、セラミック要素、および/または少なくとも1つの金属層上に活性金属層を設けることも考えられる。また、電気めっきによって活性金属層を実現することも考えられる。活性金属層が箔として設けられるのが特に好ましい。
【0045】
相対的に薄い接合層の形成によって特に、たとえば、キャリア基板、特に、そのメタライゼーションおよび接合層のパターニングのための少なくとも特定のエリアにおける「第2のエッチング」において、接合層を再び除去するのに要する手間が少なくなる。少なくとも1つの金属層の複数の金属部を互いに電気的に隔離するために使用されるこのパターニングは、エッチング、および/または機械的処理ステップ、および/またはレーザ光によって実行されるのが好ましい。また、層厚を小さくすることにより、たとえばはんだ材料中の材料欠陥を原因とする接合層中の考え得る欠陥の数を減らせるため都合が良いことが分かっている。たとえば、接合層中の欠陥またははんだ材料中の材料欠陥は、接合層に巨大な粒子を形成する可能性がありかつ完全に融解しないためスペーサとしてはんだ間隔の最小化の妨げとなる、または、接合層に巨大な粒子を形成する可能性があるかもしくは完全に融解しないためスペーサとしてはんだ間隔の最小化の妨げとなる、たとえば活性金属粒子等のはんだ材料中の大きな粒子(たとえば、ペースト)として了解されるものとする。相対的に大きな粒子が活性金属層、特に、後続の接合層の一部となることがないようにする簡単な方法として、特にスパッタリングによる適用がある。最後に、製造されるキャリア基板上に薄い接合層が均質に形成されるため都合が良い。
【0046】
決定に寄与する測定範囲を、キャリア基板のサイズに関わらず決定および選択するために以下の方法を使用することが特に好ましい。
第1のステップにおいて、キャリア基板の少なくとも1つの金属層は、等サイズの9つの矩形、特に、正方形に分割される(すなわち、複数のエリアに分割される)。このように規定された測定範囲それぞれにおいて、2つまたは3つの断面像が生成され、これらの断面像それぞれにおけるメタライゼーションの平均厚さの決定に使用される。断面像は、SEMプロセスにより、たとえばSEM機器に設定される5000倍の倍率で生成されるのが好ましい。その後、第2のステップにおいて、9つのすべての矩形測定エリアに分布した断面像に記録された合計18個または27個の厚さの平均が取得される。このようにして、平均厚さは、確実に、メタライゼーションとセラミック要素との間の接合層の代表値となるため都合が良い。言い換えると、本項に記載の手順は、均一に分布した測定範囲において、メタライゼーションに対して決定された平均厚さを提供する。厚さの平均値の決定に寄与する測定範囲を選択するための本明細書に記載の手順は、シート抵抗の決定にも同様に用いられるものとする。
【0047】
好ましくは、接合層および別の接合層の両方または一方が、活性金属を含む接着促進層である。特に、接合層は、活性金属を含む接着促進層によってのみ形成されるものとする。この場合、接合層中の接着促進層は、窒素、酸素、または炭素等のセラミック要素の構成物質と、セラミックのその他の構成物質と、を接合に含む。これに対応して、接着促進層は、たとえば窒化チタン、酸化チタン、および/または炭化チタンを含む。この場合、積層方向に測定され、主延伸面と平行な表面または複数の表面内の測定点にわたって平均化された接合層の厚さは、0.003mm未満、好ましくは0.001mm未満、特に好ましくは0.0005mm未満、または0.0004mm未満の値を想定する。特に、はんだ基材および銀成分の両方または一方が省略されているこれらの接合層の場合は、これに対応して、さらに薄い接合層が形成され得る。
【0048】
添付の図面を参照した本発明に係る目的の好適な実施形態に関する以下の説明から、他の利点および特徴が明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1a】本発明の第1の例示的な実施形態に係る金属‐セラミック基板を製造するための方法を示している。
【
図1b】本発明の第1の例示的な実施形態に係る金属‐セラミック基板を製造するための方法を示している。
【
図1c】本発明の第1の例示的な実施形態に係る金属‐セラミック基板を製造するための方法を示している。
【
図1d】本発明の第1の例示的な実施形態に係る金属‐セラミック基板を製造するための方法を示している。
【
図1e】本発明の第1の例示的な実施形態に係る金属‐セラミック基板を製造するための方法を示している。
【
図2】本発明の第3の例示的な実施形態に係るプロセス用の容器の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1a~
図1eは、本発明の第1の例示的な実施形態に係る金属‐セラミック基板1を製造するための方法を示しており、
図1eは、作製された金属‐セラミック基板1を示している。このような金属‐セラミック基板1は、当該金属‐セラミック基板1のメタライゼーション20に接合可能な電子または電気部品用のキャリアまたはプリント配線板として機能するのが好ましい。メタライゼーション20は、適切な導電体トラックおよび導電体接合エリアまたは導電体トラックもしくは導電体接合エリアを形成するようにパターニングされていることが好ましい。したがって、実質的に主延伸面HSEに沿って延びるメタライゼーション20、およびセラミック要素10は、主延伸面HSEと垂直に延びる積層方向Sに沿って、互いに重なり合って配置されるとともに、互いに接合または結合されているのが好ましい。金属‐セラミック基板1は、メタライゼーション20のほかに、積層方向Sに見てセラミック要素10のメタライゼーション20と反対側に配置および接合された裏面メタライゼーションまたは追加メタライゼーション20’を含むのが好ましい。たとえば、追加メタライゼーション20’および追加冷却要素の両方または一方は、特に、金属‐セラミック基板1の曲げを打ち消すためかつ金属‐セラミック基板1上の電気もしくは電子部品によって生じる熱入力の放散のために、またはそのいずれかのために、使用される。メタライゼーション20がパターニングされて作製された金属‐セラミック基板1の一例を
図1eに示す。
【0051】
図1a~
図1eに模式的に示すこのような金属‐セラミック基板1を製造するための方法においては、セラミック要素10、金属片40、および少なくとも1つの金属層30が最初に用意されることになる。この背景においては、セラミック要素10と少なくとも1つの金属層30との間に活性金属層15が配置されているのが好ましい。特に、活性金属層15は、積層方向Sに見て、セラミック要素10と少なくとも1つの金属層30との間に配置されている。さらに、少なくとも1つの追加金属層30’および1つの追加活性金属層15’が設けられ、積層方向Sに見て、追加活性金属層15’が少なくとも1つの追加金属層30’とセラミック要素10との間に配置されているのが好ましい。この背景においては、金属片40が第1の厚さD1を有し、少なくとも1つの金属層30が第2の厚さD2を有し、少なくとも1つの追加金属層30’が第3の厚さD3を有するのが好ましい。第2の厚さD2および第3の厚さD3が互いに略等しいのが特に好ましい。また、第3の厚さD3が第2の厚さD2より大きいことも考えられ、その逆もまた同様である。第3の厚さD3が相応に大きいため、適切に形成された追加メタライゼーション20’を設けることにより作製された金属‐セラミック基板1において、過負荷状況で放熱のためのバッファとして機能する十分に大きな熱容量が与えられ得る。
【0052】
図1aに示す例においては、少なくとも1つの金属層30、活性金属層15、セラミック要素10、追加活性金属層15’、および少なくとも1つの追加金属シート30’を含む構成体50が金属片40上に配置されている。
【0053】
後続のプロセスステップにおいて、金属片40は、金属層30、追加金属層30’、活性金属層15、追加活性金属層15’、およびセラミック要素10から成る構成体50を包含または囲繞するように折り畳まれる。特に、
図1bの実施形態は、構成体50から見て金属片40の第1の端部および第2の端部が同じ側に突出するように、金属片40が折り畳まれるかまたは構成体50を覆っている様子を示している。言い換えると、金属片40は、構成体50を覆っている場合に、金属片40の第1の端部および第2の端部が同じ側、特に、折った部分と反対側に突出するように寸法規定されている。金属片40は、折り畳まれた場合、特に三方に開いた(好ましくは、突出する)第1および第2の端部を有する。特に、金属片40の第1の端部および第2の端部は、金属片40の第1の端部および第2の端部を一体的に接合できるように、構成体50から突出している。これを例示する
図1cにおいて、少なくとも1つの金属層30、活性要素15、セラミック要素10、追加活性金属層15’、および少なくとも1つの追加金属層30’から成る構成体50が金属片40の容器により包み込まれた集合体18が形成されている。電子ビーム溶接またはレーザビーム溶接によって、金属片40の第1および第2の端部が互いに結合または接合されることにより、特に、金属片40が構成体50を囲繞または包含する気密容器が形成され、特に、金属片40と容器内に配置されている構成体50の個々の構成物質および構成要素との間に連続的な平面状接触が形成される。
【0054】
気密容器は、真空にするのが好ましい。あるいは、空気が気密容器中に残留すること、または、規定のガス雰囲気(たとえば、窒素)が存在することも考えられる。そして、この構成体50が気密容器内に配置されている集合体18は、熱間静水圧プレスによって、セラミック要素10上での金属片40および少なくとも1つの金属層30の接合を実現する。特に、熱間静水圧プレスにおいては、少なくとも1つの金属層30のセラミック要素10への接合と、さらには金属片40の少なくとも1つの金属片30への接合との両者が実現されることが分かっている。このようにして、容器の金属片40は、金属‐セラミック基板1上の後続のメタライゼーション20の一部となる。少なくとも1つの金属層30のほかに追加金属片40を使用する手順は、特に、比較的薄い第1の厚さD1の金属片40を使用することができるようになるため好都合であることが分かっている。これにより、気密容器の形成が大幅に簡素化される。さらに、少なくとも1つの金属層30のほか、異なる金属片40を使用することによって、メタライゼーション20を2つの異なる金属および金属構成体または金属もしくは金属構成体で形成可能となる。
【0055】
特に、第1の金属領域21および第2の金属領域22が接合後に形成されるが、第1の金属領域は金属片40に由来し、第2の金属領域22は少なくとも1つの金属層30に由来する。好ましくは、金属片40の第1の厚さD1の、少なくとも1つの金属層30の第2の厚さD2に対する比は、0.01~2、好ましくは0.1~2、より好ましくは0.15~0.5または2の値である。また、第1の厚さD1が0.2~0.3mmの場合、特に、金属片40の第1の厚さD1の、少なくとも1つの金属層30の第2の厚さD2に対する比が0.01~0.5、好ましくは0.1~0.5、特に好ましくは0.15~0.5または0.5の値を想定する場合に、特に良好な結果が得られることが分かっている。特に熱間静水圧プレスプロセスの一部として実行された接合の後は、レーザ光、エッチング、および/または機械加工によるパターニングによって、セラミック要素10に接合された金属片40および少なくとも1つの金属層30を提供するのが好ましい。結果として、互いに分離された金属部がメタライゼーション20に形成される。たとえば
図1eにおいては、湾曲または屈曲したエッチング縁部プロファイルが見られるが、これは、メタライゼーション20および裏面メタライゼーション20’の両者に形成されるものである。パターニングにより実現されるいわゆる分離溝は、セラミック要素10に結合された金属部に対して、導電路および導電体接合エリアまたは導電路もしくは導電体接合エリアとしての好適な機能を付与するように機能する。
【0056】
図2は、本発明の第3の例示的な実施形態に係るプロセス用の容器の模式図である。本明細書において、
図2は、熱間静水圧プレス前または熱間静水圧プレス中(
図1c等)の金属片40、少なくとも1つの金属層30、およびセラミック要素10の構成体を示している。本明細書において、
図2の例示的な実施形態は、金属片40と少なくとも1つの金属層30との間に機能層60が配置されている点で
図1a~
図1eの集合体と異なるが、これは、少なくとも1つの金属層30と金属片40との間の拡散バリアとして機能するのが好ましい。この効果として、たとえば、熱間静水圧プレスの接合時に、金属片40および少なくとも1つの金属層30が互いに分離されたままとなる。この場合、機能層60は、表面全体すなわち少なくとも1つの金属層30と金属片40との間に完全に延びている。
【符号の説明】
【0057】
1 金属セラミック基板
10 セラミック要素
15 活性金属層
15’ 追加活性金属層
18 集合体
20 メタライゼーション
20’ 追加メタライゼーション
21 第1の金属領域
22 第2の金属領域
30 金属層
30’ 追加金属層
40 金属片
50 構成体
60 機能層
D1 第1の厚さ
D2 第2の厚さ
D3 第3の厚さ
S 積層方向
HSE 主延伸面
【手続補正書】
【提出日】2022-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属‐セラミック基板(1)を製造するための方法であって、
セラミック要素(10)、金属片(40)、および少なくとも1つの金属層(30)を用意するステップ
であって、前記金属片(40)および前記少なくとも1つの金属層(30)が銅で構成されている、ステップと、
前記セラミック要素(10)、前記金属片(40)、および前記少なくとも1つの金属層(30)の集合体(18)を形成するステップと、
前記セラミック要素(10)を囲む気密な容器を形成するステップであって、前記少なくとも1つの金属層(30)が、前記容器において、前記セラミック要素(10)と前記金属片(40)との間に配置されている、ステップと、
熱間静水圧プレスによって前記金属‐セラミック基板(1)を形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記金属片(40)が、前記少なくとも1つの金属層(30)よりも薄い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属片(40)の第1の厚さ(D1)の、前記少なくとも1つの金属層(30)の第2の厚さ(D2)に対する比(D1/D2)が、0.01~2、好ましくは0.1~2、特に好ましくは0.15~2の値を想定し、その逆もまた同様である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属片(40)が、前記少なくとも1つの金属層(30)よりも厚い、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属‐セラミック基板(1)の形成時に、前記容器内が酸素を含まない雰囲気である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の厚さ(D1)が、10μm~500μm、好ましくは50μm~400μm、特に好ましくは100μm~300μmの値を想定する、請求項
3に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の厚さ(D2)が、100μm~10,000μm、好ましくは150μm~6,000μm、特に好ましくは600μm~5,000μmの値を想定する、請求項
3に記載の方法。
【請求項8】
前記金属片(40)および前記少なくとも1つの金属層(30)の両方または一方は、作製される前記金属‐セラミック基板(1)において異なる粒径が規定され、好ましくは、前記金属片(40)で形成されたメタライゼーション(20)の第1の金属領域(21)が前記少なくとも1つの金属層(30)で形成されたメタライゼーション(20)の第2の金属領域(22)よりも小さな粒径を有するように、設計されている、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の金属領域(21)の粒径の、前記第2の金属領域(22)の粒径に対する比が、0.3未満、好ましくは0.2未満、特に好ましくは0.15未満である、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの金属層と前記セラミック要素(10)との間に前記金属‐セラミック基板(1)を形成する場合、少なくともいくつかの部分において、前記少なくとも1つの金属層(30)の前記セラミック要素(10)への接合を補助するように活性金属層(15)、および活性金属を含む接触層、の両方または一方が配置されている、請求項1~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記活性金属層(15)、及び又は活性金属を含む前記接触層における活性金属の割合は、15重量%超、好ましくは50重量%超、特に好ましくは75重量%超である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記金属片(40)の折り畳みにより、前記容器の形成、及び又は前記金属片(40)の追加金属片への接合が行われる、請求項1~
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
金属層(30)と金属片(40)との間に、拡散バリア等の機能層(60)が挿入されている、金属‐セラミック基板(1)を製造するための方法。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれか一項に記載の方法により製造される金属‐セラミック基板(1)
であって、
前記金属片(40)及び又は前記少なくとも1つの金属層(30)は、作製される金属‐セラミック基板(1)に異なる粒径が存在するように構成され、前記金属片(40)で形成された第1の金属領域(21)は、前記少なくとも1つの金属層(30)で形成された第2の金属領域(22)よりも小さな粒径を有している、金属‐セラミック基板(1)。
【国際調査報告】