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特表2023-539425長方形ダクト構造構成要素と接続するための接続要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-14
(54)【発明の名称】長方形ダクト構造構成要素と接続するための接続要素
(51)【国際特許分類】
   F16L 21/035 20060101AFI20230907BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
F16L21/035
F24F13/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506548
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(85)【翻訳文提出日】2023-03-26
(86)【国際出願番号】 NL2021050480
(87)【国際公開番号】W WO2022025765
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】20188414.5
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523032179
【氏名又は名称】ディーイーシー テクノロジーズ ビー.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】DEC TECHNOLOGIES B.V.
【住所又は居所原語表記】Ir. Hanlostraat 18 - 22 7547 RD ENSCHEDE Netherland
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】シラク グル
(72)【発明者】
【氏名】セオドラス アントニウス デ ゴエイジ
【テーマコード(参考)】
3L080
【Fターム(参考)】
3L080AB02
3L080AB03
3L080AC01
3L080AC02
3L080AD01
(57)【要約】
本発明は、1つまたは複数の長方形ダクト構造構成要素を接続するための接続要素、前記接続要素を備える長方形ダクト構造システム、ならびに前記長方形ダクト構造システムを備える暖房、換気、または空調(HVAC)システムに関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの長方形ダクト構造構成要素と接続するための接続要素であって、
長方形外周を有する端部を有する1つのダクト状片からの本体であって、前記端部が長方形内周を有する当該ダクト構造構成要素の端部内に挿入するように構成される、本体と、
前記本体の前記長方形外周の各パネルの外面上に固定された少なくとも1つの別個のリップ要素であって、前記リップ要素は、前記本体が前記ダクト構造構成要素内に挿入されたときに前記ダクト構造構成要素の端部の外面の上に少なくとも部分的に延び、それによって前記ダクト構造構成要素を前記リップ要素と前記本体の前記長方形外周との間にクランプ締めするように構成される、少なくとも1つの別個のリップ要素と
を備える、
接続要素。
【請求項2】
前記本体が長方形外周を有する端部を備え、前記端部が、長方形内周を有するそれぞれのダクト構造構成要素の端部内に挿入するように構成され、前記接続要素が、前記本体の前記長方形外周の各パネルの前記外面上に固定された少なくとも1つの別個のリップ要素を備え、前記リップ要素は、前記本体が前記ダクト構造構成要素内に挿入されたときに前記それぞれのダクト構造構成要素の端部の外面の上に少なくとも部分的に延び、それによって前記それぞれのダクト構造構成要素を前記リップ要素と前記本体の前記長方形外周との間にクランプ締めするように構成される、
請求項1に記載の接続要素。
【請求項3】
前記本体が長方形ダクトの形状を有する、
請求項1または2に記載の接続要素。
【請求項4】
前記本体の前記端部(当該端部は、複数でもよい。)の前記長方形外周が丸みのあるコーナを有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の接続要素。
【請求項5】
各リップ要素が、前記本体の前記長方形外周のパネルの大部分の上に、前記接続要素の軸線に直交する方向に延び、及び/または前記本体の前記長方形外周のパネルの大部分の上に、前記接続要素の軸線の方向に延びる、
請求項1~4のいずれか一項に記載の接続要素。
【請求項6】
前記リップ要素が、前記リップ要素の中央部から前記本体の前記それぞれの端部まで互いに対して反対方向に延びる少なくとも2つのリップを備え、前記中央部が前記本体に固定される、
請求項2~5のいずれか一項に記載の接続要素。
【請求項7】
前記中央部が、前記接続要素の前記軸線の前記方向の複数の位置に、かつ前記接続要素の前記軸線に直交する前記方向の複数の位置に固定される、
請求項6に記載の接続要素。
【請求項8】
前記リップ要素が、前記リップ要素の主方向のある角度で、前記本体から離れる方向を向く端部分を有する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の接続要素。
【請求項9】
前記リップ要素のうちの少なくとも1つが、前記本体が挿入されるべきダクト構造構成要素の継ぎ目を収容するための切欠きを備える、
請求項1~8のいずれか一項に記載の接続要素。
【請求項10】
前記本体および前記リップ要素の材料が亜鉛めっき鋼で構成される、
請求項1~9のいずれか一項に記載の接続要素。
【請求項11】
1つまたは複数の前記端部には、前記本体の外周を取り囲むガスケットが設けられる、
請求項1~10のいずれか一項に記載の接続要素。
【請求項12】
前記ガスケットが合成ゴム、好ましくはエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムである、
請求項11に記載の接続要素。
【請求項13】
長方形内周を有し、請求項1~12のいずれか一項に記載の接続要素に接続される少なくとも1つのダクト構造構成要素を備える長方形ダクト構造システムであって、
前記接続要素の本体の少なくとも1つの端部が前記ダクト構造構成要素の端部内に挿入され、前記接続要素のリップ要素が、前記ダクト構造構成要素の前記端部を前記リップ要素と前記接続要素の前記本体の前記長方形外周との間にクランプ締めする、
長方形ダクト構造システム。
【請求項14】
請求項2~12のいずれか一項に記載の接続要素で互いに接続される、長方形内周を有する少なくとも2つのダクトを備える、請求項13に記載の長方形ダクト構造システムであって、
前記接続要素の本体の端部が、長方形内周を有するそれぞれのダクトの端部内に挿入され、前記接続要素のリップ要素が、前記それぞれのダクトの前記端部を前記リップ要素と前記接続要素の前記本体の長方形外周との間にクランプ締めする、
長方形ダクト構造システム。
【請求項15】
請求項13または14に記載の長方形ダクト構造システムを備える
HVACシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長方形ダクト構造構成要素(rectangular ducting components)と接続するための接続要素(connection element)、前記接続要素を備える長方形ダクト構造システム(rectangular ducting system)、ならびに前記長方形ダクト構造システムを備える暖房、換気、または空調(HVAC)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
長方形ダクト構造構成要素は、暖房、換気、および空調システムに広く使用されている。このようなダクト構造構成要素の使用は、円形ダクト構造構成要素などの他の形状のダクト構造が多くのスペースを占めているので、床や天井などの場所において有利である。
【0003】
長方形断面を有するダクト構造構成要素は、通常は比較的短い長さを有しているので、所望の全長を実現するためにダクト構造構成要素を接続する必要がある。
【0004】
圧力負荷または真空にさらされると、長方形ダクト構造構成要素では、特に長円の断面を有するダクト構造構成要素の場合、力が均等に分散されないため、長方形ダクト構造構成要素は円形ダクト構造構成要素よりもたわみやすい。これは、ダクト構造構成要素パネルのたわみにつながる可能性があり、このたわみは、順に、ダクト構造の疲労、漏れ、さらには圧潰を引き起こし得る。特に、ダクト構造構成要素相互間の接続は、この点に関して課題を引き起こす。
【0005】
長方形断面を有するダクト構造構成要素を接続することは、時間がかかりかつ費用がかかることが多く、漏れを回避するのは困難である。長方形断面を有するダクト構造構成要素を接続するいくつかの方法が、米国特許出願公開第2008/0134745号明細書に開示されている。そこに記載されている接続は、フランジや別個のコーナ片など、複数のハードウェア構成要素を必要とし、これらの構成要素は、設置およびメンテナンスにおいて問題を引き起こし、漏れに対して脆弱性を課す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、これらの問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、第1の態様では、少なくとも1つの長方形ダクト構造構成要素と接続するための、好ましくは2つ以上の長方形ダクト構造構成要素を接続するための接続要素であって、長方形外周を有する端部を有する本体であって、前記端部が長方形内周を有する当該ダクト構造構成要素の端部内に挿入可能である、本体と、本体の長方形外周の各パネル上に固定された別個のリップ要素であって、リップ要素は、本体がダクト構造構成要素内に挿入されたときに前記ダクト構造構成要素の端部の外面の上に少なくとも部分的に延び、それによって前記ダクト構造構成要素をリップ要素と本体の長方形外周との間にクランプ締めするようにように構成される、別個のリップ要素と、を備える接続要素に関する。
【0008】
第2の態様では、本発明は、長方形内周を有し、第1の態様の接続要素に接続される少なくとも1つのダクト構造構成要素を備える長方形ダクト構造システムであって、接続要素の本体の少なくとも1つの端部が前記ダクト構造構成要素の端部内に挿入され、接続要素のリップ要素が、前記ダクト構造構成要素の前記端部をリップ要素と接続要素の本体の長方形外周との間にクランプ締めする、長方形ダクト構造システムに関する。
【0009】
第3の態様では、本発明は、第2の態様による長方形ダクト構造システムを備えるHVACシステムに関する。
【0010】
本発明による接続要素は、長方形ダクト構造構成要素を接続するための一体型コネクタを提供し、一体型コネクタは、さらなる機器またはハードウェアなしに、長方形ダクト構造構成要素相互間の密封接続を得るために接続要素をメス型ダクト構造構成要素内へ摺動させるだけでよい。本発明による接続要素は、いつでも容易に設置し、取り外すことができる。本発明者らは、このようにして得られた接続部が、漏れることなく内側または外側からの高圧に耐えることができることを見出した。さらに、接続部は、接続部が設置されるダクト構造システムの補強を提供する。これにより、強度、圧力負荷、および空気漏れに関する要件を依然として満たしながら、比較的薄い壁を有するダクト構造構成要素を使用することが可能になる。例えば、本発明者らは、本発明による接続要素をHVACシステム内で使用することにより、EN-12237による漏れクラスノルムDを達成できることを見出した。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による接続要素の好ましい一実施形態の斜視図である。
図2図1の実施形態の正面図である。
図3図1の実施形態の上面図である。
図4図1の実施形態の側面図である。
図5】長方形ダクトの端部内に挿入される端部を有する接続要素を示す図である。
図6】本発明による例示的な接続要素の上面図であり、接続要素の本体は、空気流の方向の変化を強制するターン部を含む。
図7】本発明による別の例示的な接続要素の斜視図であり、この接続要素は、長方形内周を有するダクト構造構成要素の端部内に挿入可能である端部を含み、端部は円形のダクト構造構成要素と接続されるように設計される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、ダクト構造構成要素のメス型端部内に挿入するための少なくとも1つのオス型端部を有し、接続要素の各パネルに、パネルの外面に固定された少なくとも1つの別個のリップ要素を備える、長方形ダクト構造構成要素を接続するための接続要素の有利な設計に基づいている。リップ要素はそれぞれ、接続要素のオス型部分がダクト構造構成要素内に挿入されたときに前記ダクト構造構成要素の前記端部の外面の上に少なくとも部分的に延びるように、かつダクト構造構成要素のメス型端部をリップ要素と接続要素のオス型端部との間にクランプ締めするように構成される。このように、接続要素のオス型端部は、さらなる機器またはハードウェアを必要とせずに、長方形ダクト構造構成要素相互間の密封接続を得るために、単に摺動させることによりメス型ダクト構造構成要素内に挿入することができる。
【0013】
接続要素の本体は一体でできている。言い換えれば、本体はその周囲に連続構造を形成する。このように、長方形ダクト構造構成要素を接続するには、さらなる機器またはハードウェアなしに、長方形ダクト構造構成要素相互間の密封接続を得るために接続要素をメス型ダクト構造構成要素内へ摺動させるだけでよい。さらに、本体はその周囲に連続構造を形成するので、本体のコーナでの漏れの危険性が防止される一方で、接続要素が設置されるダクト構造システムの補強が提供される。
【0014】
接続要素の本体は長方形外周を有する端部を有し、前記端部は、長方形内周を有するダクト構造構成要素の端部内に挿入可能である。1つの好ましい実施形態では、全本体は長方形外周を有し、全本体が挿入される全ダクト構造構成要素は長方形内周を有する。これにより、接続要素を用いて複数の長方形ダクト構造構成要素を接続することが可能になる。
実用設計では、本体の内周は外周と同じ形状を有する、すなわち、端部が長方形外周を有する場合、端部は長方形内周も有することが適切である。
【0015】
本体は、その内側にまっすぐなチャネルを形成することができる、または空気流の方向の変化を強制するターン部を含むことができる。
【0016】
接続要素は対称であってもなくてもよい。この点に関して、接続要素は、長方形内周を有するダクト構造構成要素の端部内に挿入可能である単一端部、または2つなど、複数の対向する端部を含むことができる。後者の実施形態は、2つの長方形ダクトを互いに接続するのに最も適している。
【0017】
この点に関して、非対称の実施形態では、接続要素は、長方形内周を有するダクト構造構成要素の端部内に挿入可能である端部を含み、他方の端部は、円形断面や楕円形断面などの異なる断面を有するダクト構造構成要素と接続されるように設計される。これにより、長方形ダクト構造システムを異なる形状のダクト構造システムと接続することが可能になる。これは、新しいダクト構造システムが既存のダクト構造システムに接続されなければならない場合に特に実用的である。
【0018】
密封接続を実現するために、ダクト構造構成要素の端部の内周および接続要素の端部の外周は、接続要素の端部をダクト構造構成要素の端部内にぴったりとまたは実質的にぴったりと挿入することができるように設計されることが好ましい。
【0019】
接続要素は、ダクトの形状、例えば短い長方形ダクトの形状をしている。接続要素の細長い形状により、接続要素の端部は、それぞれのダクト構造構成要素の端部内に相当の深さまで挿入することができる。これは接続に強度を与えて、(またリップ要素と組み合わせて)圧力差によるダクト構造壁の変形を防止する。このようにして得られた接続は、漏れることなくダクト構造システムの、内側または外側からの高圧に対する耐性を向上させ、ダクト構造システムが設置されているダクト構造システムを補強する。
【0020】
しかしながら、好ましい一実施形態では、接続要素は、各端部のパネルをそれぞれのダクト構造構成要素内に挿入することができるオス-オスコネクタとして設計される。この場合、本体は長方形外周を有する対向する端部を備え、前記対向する端部は、長方形内周を有するそれぞれのダクト構造構成要素の端部内に挿入可能であり、前記接続要素は、本体の長方形外周の各パネル上に固定された別個のリップ要素を備え、リップ要素は、本体がダクト構造構成要素内に挿入されたときに前記それぞれのダクト構造構成要素の端部の外面の上に少なくとも部分的に延び、それによって前記それぞれのダクト構造構成要素をリップ要素と本体の長方形外周との間にクランプ締めするように構成される。
【0021】
端部は、まっすぐな接続要素の場合には一直線に互いに対向して、または接続要素が屈曲部もしくはターン部を含む場合にはある角度で互いに対向して配置され得る。この点に関して、本出願の文脈における「対向する(opposite)」という用語は、向こう側が一直線であるか否かにかかわらず、「反対側に(on the other side)」として理解されるべきである。この点に関して、対向する端部は、入口端部および出口端部と呼ぶこともでき、ダクト構造システムにおいて、接続要素を通って流れる媒体は、入口端部の側に入り、出口端部の側から出る。
【0022】
この点に関して、接続要素の本体は長方形外周を有する端部を備え、前記端部は、長方形内周を有するそれぞれのダクト構造構成要素の端部内に挿入可能であり、前記接続要素は、本体の長方形外周の各パネル上に固定された別個のリップ要素を備え、リップ要素は、本体がダクト構造構成要素内に挿入されたときに前記それぞれのダクト構造構成要素の端部の外面の上に少なくとも部分的に延び、それによって前記それぞれのダクト構造構成要素をリップ要素と本体の長方形外周との間にクランプ締めするように構成されることが好ましい。この実施形態は、このようにして他の特徴または追加の構成要素のない基本的長方形ダクト、すなわち、コーナ部を介して連結された4つのパネルからなる中空プロファイルを接続することができるので、好ましい。このような基本的長方形ダクトは、任意のサイズに容易にサイズ設定することができる。基本的長方形ダクトをこの実施形態の接続要素と組み合わせて使用すると、HVACシステムを含む長方形ダクト構造システムの設計に大きな自由度をもたらす。さらに、これにより、サイズ設定によるダクト構造材料の損失が最小限に保たれるので、ダクト構造材料の非常に効率的な使用も可能になる。したがって、接続要素は、好ましくは、2つのダクト構造構成要素間の接続を形成するように設計される。上記を考慮して、本発明の文脈でのダクト構造構成要素は、好ましくは長方形ダクトである。
【0023】
本発明の文脈では、「長方形(rectangular)」という用語は、正方形形状および長円形状を包含することを意味する。これらの形状のコーナは、所望であれば平らになっていても丸くなっていてもよい。
【0024】
一般に、長方形ダクト構造構成要素は、少なくともその内周において、丸みのあるコーナを有することが好ましい。これはダクト構造構成要素の強度を高め、このことは、ダクト構造構成要素が長い長方形ダクトである場合に特に重要である。丸みのあるコーナはまた、ダクトを通る効率的な空気流をもたらす。これに沿って、またダクト構造構成要素のメス型端に嵌合するために、接続要素の本体の1つまたは複数の端部の長方形外周が丸みのあるコーナを有することも好ましい。
【0025】
本発明の接続要素は、本体の長方形外周の各パネル上に固定された別個のリップ要素を備える。これは、本体の各パネル、すなわち上部パネル、下部パネル、第1の側面パネル、および第2の側面パネルが、そのパネルに取り付けて設けられた少なくとも1つの別個のリップ要素を有することを意味する。別個のリップ要素の利点は、別個のリップ要素が設置時にある程度の緩みおよび自由度を提供するので、このリップ要素が接続要素を、接続要素に接続されるべきダクト構造構成要素(複数可)に適合させるのを容易にすることである。
【0026】
各パネルは、それに取り付けられた単一のリップ要素を有することができるが、複数のリップ要素が各パネル上に設けられること、または、パネルの一部(例えば上部パネルおよび下部パネル)に複数のリップ要素が設けられ、パネルの一部(例えば側面パネル)に単一のリップ要素が設けられることも可能である。例えば、長円形状の外周を有する接続要素の場合、幅広のパネルは、好ましくは、追加の強度を与えるためにパネルの大部分の上に延びる単一の幅広リップを含むことができるが、短いパネルは複数のリップ要素を備える。
【0027】
リップ要素は、本体がダクト構造構成要素内に挿入されたときにダクト構造構成要素の端部の外面の上に少なくとも部分的に延び、それによって前記ダクト構造構成要素をリップ要素と本体の長方形外周との間にクランプ締めするように構成される。
【0028】
リップ要素のクランプとしての機能を可能な限り効果的に発揮するためには、リップは、本体の端部によって挿入されたダクト構造構成要素の外面のかなりの部分を覆うべきである。この目的のために、各リップ要素は、本体の長方形外周のパネルの大部分の上に、接続要素の軸線に直交する方向に延びることが好ましい。接続要素の軸線とは、長手方向軸、すなわち内周の平面に直交する方向を意味する。言い換えると、リップは、本体のパネルの大部分を周囲の方向に覆うことが好ましい。このことは、接続の強度にも有利である。代替的にまたは加えて、各リップ要素は、本体の長方形外周のパネルの大部分の上に、接続要素の軸線の方向に延びることも好ましい。これにより、接続要素によるダクト構造構成要素(複数可)の最大挿入および全挿入領域にわたる最大クランプ締めが可能になる。これは、密封接続の提供に特に有益であり、長方形ダクト構造システムの強度を高める。
【0029】
同様に、特に、接続要素が、2つの対向するダクト構造構成要素内に挿入されるために、対向する端部を有して設計される場合、端部は、本体の軸線の方向に接続要素の本体の大部分を形成することが好ましい場合がある。この場合、ダクト構造構成要素は共に、接続要素の本体の大部分の上に、リップ要素が本体に固定される位置まで延びることができる。これを考慮して、リップ要素が、リップ要素の中央部から接続要素の本体のそれぞれの端部まで互いに対して反対方向に延びる少なくとも2つのリップを備え、前記中央部は本体に固定される。このようにして、ダクト構造構成要素は、本体の端部によって中央部の位置まで挿入することができるので、対称的なかつ深い挿入が可能になる。また、これは、密封接続の提供に寄与し、長方形ダクト構造システムの強度を高める。
【0030】
リップ要素は、溶接、接着、またはリベット、ポップネイル(pop nails)、ねじなどのハードウェアを含む任意の適切な方法で本体に固定することができる。
【0031】
リップ要素の中央部から接続要素の本体のそれぞれの端部まで互いに対して反対方向に延びるリップを有するリップ要素が使用されるとき、前記中央部は、接続要素の軸線の方向の複数の位置に、かつ接続要素の軸線に直交する方向の複数の位置に固定されることが好ましい。これは、リップが傾くのを回避し、リップ要素の取付け強度を高め、その結果、接続の強度および密封特性にも寄与する。
【0032】
接続部の設置および取外しを容易にするために、前記リップ要素は、リップ要素の主方向のある角度で、本体から離れる方向を向く端部分を有することが好ましい。このようにして、リップ要素の端部分は、ユーザがリップを持ち上げてリップのクランプ締め作用を緩めることを可能にするタブ部分として機能する。これは、このように接続要素の本体の端部をダクト構造構成要素内へ摺動させることがより容易になるので、設置を容易にし、また、接続要素の端部を接続要素に接続されたダクト構造構成要素の端部から外へ摺動させることが可能になるので、接続部の取外しも容易にする。
【0033】
剛性の長方形ダクトは、このダクトの製造プロセスの結果として、長手方向に1つまたは複数の継ぎ目を有することが多い。したがって、接続要素が継ぎ目を有する長方形ダクトを接続する働きをする場合、前記リップ要素のうちの少なくとも1つは、前記本体が挿入されるべきダクト構造構成要素の継ぎ目を収容するための切欠きを備えることが好ましい。あるいは、接続要素は、ダクト構造構成要素の継ぎ目を収容するための空間で分離された複数のリップまたはリップ要素を有することができる。
【0034】
適切な実施形態では、接続要素の本体の1つまたは複数の端部には、本体の外周を取り囲むガスケットが設けられる。これは、さらに接続部を密封し、漏れを回避するためである。そのようなシールは、端部(複数可)の周囲の溝内に配置しかつ/または接着剤によって本体に固定することができる。適切な一実施形態では、前記ガスケットは合成ゴム、好ましくはエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムである。
【0035】
HVACシステムなどの長方形ダクト構造システムは、可能な限り耐火性材料で構成されることが好ましい。
【0036】
この種の材料は、金属をベースとすることが好ましい。完全に金属構成要素からなるHVACシステムは、EN13501-01に従ってA1に分類することができる。このことは、基本的に、そのようなHVACシステムが不燃性であることを意味する。
この点に関して金属材料には、制限なく亜鉛めっき鋼が含まれる。したがって、本体およびリップ要素の材料は亜鉛めっき鋼で構成されることが好ましい。同様に、本発明の接続要素を用いて接続されるべきダクト構造構成要素は、好ましくは同じ材料で構成される。したがって、本発明の接続要素は、火災リスクに関して使用中に安全である長方形ダクト構造システムを構築することを可能にする、というのは、火災感知構成要素だけは、接続要素の端部(複数可)と接続された長方形ダクト構造構成要素(複数可)の端部(複数可)との間の裂け目の中に深く隠される随意のガスケットであるからである。ガスケットは深く隠されており、本発明は最小限の量の有機ガスケット材料の使用を可能にするので、火災リスクは完全に回避される。
【0037】
上述したように、本発明はまた、長方形内周を有し、本発明による接続要素に接続される少なくとも1つのダクト構造構成要素を備える長方形ダクト構造システムであって、接続要素の本体の端部が前記ダクト構造構成要素の端部内に挿入され、接続要素のリップ要素が、前記ダクト構造構成要素の前記端部をリップ要素と接続要素の本体の長方形外周との間にクランプ締めする、長方形ダクト構造システムに関する。このような長方形ダクト構造システムは、接続要素の端部を、同様の形状のダクト構造構成要素の受入端部(メス型端部)内へ単純に摺動させて、リップ要素のリップがこのダクト構造構成要素の外面の上に少なくとも部分的に延びることにより、容易に設置することができる。あるいは、接続は、ダクト構造構成要素のメス型部分を端部表面と接続要素のリップ要素との間で摺動させることにより確立することができる。
【0038】
好ましい一実施形態では、接続要素は、2つの対向するダクト構造構成要素、例えば長い長方形ダクトなどを接続するために使用される。この場合、長方形ダクト構造システムは、上述のように2つの対向するダクト構造構成要素内に挿入されるために、対向する端部を有して設計された接続要素を用いて互いに接続された長方形内周を有する少なくとも2つのダクトを備えることが好ましい。このようなシステムでは、接続要素の本体の対向する端部は、長方形内周を有するそれぞれのダクトの端部内に挿入される。接続要素の各リップ要素が、前記それぞれのダクトの端部をリップ要素と接続要素の本体の長方形外周との間でクランプ締めする。
【0039】
本発明は、特に、暖房、換気、および/または空調の分野に適用可能である。この点に関して、本発明はまた、本発明の長方形ダクト構造システムを備えるHVACシステムにも関する。
【0040】
この点で、本発明によるコネクタ要素には、本体の内側に構造構成要素および/または調整構成要素を設けることができ、これらの構成要素は、空気流を調整および制御するのに役立つ。そのような構成要素は、制限なく、ターニングベーン(turning vanes)を含むことができる。この種のベーンは、乱流および空気流に対する抵抗を最小限に抑える働きをする。このようなベーンは、本体が空気流の方向の変化を強制するターン部を含む場合に特に適している。
図面の詳細な説明
【0041】
次に、本発明を添付の図面においてさらに説明する。以下の説明は、本発明を例示し説明するためのものであり、特許請求の範囲を限定するためのものではない。
【0042】
図1図4は接続要素1を示し、図1は斜視図を示し、図2は正面図を示し、図3は上面図を示し、図4は側面図を示す。図5は、接続要素1の上面図を示すとともに、接続要素が2つの対向する長方形ダクト構造構成要素内にどのように挿入されるかを示す。異なる図面における対応する参照番号は、同じ特徴に対応する。
【0043】
接続要素1は、ダクト状本体2を有する。本体2は、長方形外周を有する対向する端部31、32を備える。本体2の端部の長方形外周は、ダクトを通る効率的な空気流を提供するとともに、設置を容易にするために、丸みのあるコーナ21、22、23、24を有する。端部には、本体の外周を取り囲む周囲溝(図示せず)内に接着された(EPDM)ゴムのガスケット71、72が設けられる。これらのガスケットはさらに接続を密封し、漏れのリスクを最小限に抑える。対向する端部31、32は、図5A図5Cに示すように、それぞれのダクト構造構成要素91、92の端部内に挿入することができる。接続要素1は、本体の長方形外周の各パネル上に固定された別個のリップ要素41、42、43、44を備える。リップ要素41および43は、それぞれ本体2の上部パネルおよび下部パネル上に固定され、リップ要素42および44は、それぞれ本体2の側面パネルに固定される。リップ要素41、42、43、44は、本体がダクト構造構成要素内に挿入されたときにダクト構造構成要素91、92の端部の外面の上に延び、それによって前記それぞれのダクト構造構成要素91、92をリップ要素41、42、43、44と本体2の端部31、32の長方形外周との間でクランプ締めするように構成される。これに関して図5を参照すると、図5Aは、対向するダクト構造構成要素91、92を有する接続要素1を示し、図5Bは、端部32によって挿入されたダクト構造構成要素91を示し、図5Cは、ダクト構造構成要素92もまた接続要素1の端部31によってどのように挿入されるかを示す。図5Cに見られるように、本体2の大部分は、ダクト構造構成要素91および92内に挿入される。リップ要素41、42、43、44は、ダクト構造構成要素91および92を接続要素にしっかりとクランプ締めする。各リップ要素41、42、43、44は、接続要素1が2つの対向するダクト構造構成要素91、92を接続することを可能にするために、互いに対して反対方向に延びる少なくとも2つのリップを備える。これは、上部パネル上のリップ要素41および側面パネル上のリップ要素42について詳細に示されている。リップ要素41は、中央部413から互いに対して反対方向に延びる2つのリップ411、412を有する。リップ要素42は2対のリップを有し、421、422と呼ばれる第1の対は、中央部425から423、424と呼ばれる他方の対に対して反対方向に延びる。この点に関してリップ要素41の構成はリップ要素43の構成に対応し、リップ要素42の構成はリップ要素44の構成に対応する。中央部は、溶接点5によって本体2に固定される。溶接点5は、接続要素の軸線の方向の複数の位置に分散され、かつ接続要素の軸線に直交する方向の複数の位置に分散される。これは、リップが傾くのを回避し、リップ要素41、42、43、44の取付け強度を高め、その結果、ダクト構造構成要素91、92の間の接続の強度および密封特性にも寄与する。リップ要素42および44の各平行リップ対は、ダクト構造構成要素の継ぎ目を収容するための切欠きによって分離され、前記本体は、必要に応じて挿入されることになる。リップ421と422との間の切欠き、およびリップ423と424との間の切欠き10を参照されたい。各リップは、リップ要素の主方向のある角度で、本体から離れる方向を向くエンドタブ8を有する。このようにして、リップ要素の端部分8は、ユーザがリップを持ち上げてリップのクランプ締め作用を緩めることを可能にするタブ部分として機能する。これは、このように接続要素1の本体2の端部31、32をダクト構造構成要素91、92内へ摺動させることがより容易になるので、設置を容易にし、また、接続要素1の端部31、32を接続要素に接続されたダクト構造構成要素91、92の端部から外へ摺動させることが可能になるので、接続部の取外しも容易にする。
【0044】
図6は、本発明による例示的な接続要素11の上面図であり、接続要素の本体は、空気流の方向に変化を強制するターン部を含む。この要素の第1の端部には、本体の長方形外周の各パネル上に固定されたリップ要素401、402、403を見ることができる。下部パネル上のリップ部は存在するが、図6には示されていない。第1の端部に対して直角の第2の端部には、リップ要素404、405、406を見ることができる。端部には、本体の外周を取り囲む周囲溝(図示せず)内に接着された(EPDM)ゴムのガスケット701、702が設けられる。リップ要素401および402は、それぞれ固定部407および408から延びており、固定部でリップ要素は溶接部501、502によって固定される。他のリップ要素も同様に本体(図示せず)に取り付けられる。
【0045】
図7は、本発明による別の例示的な接続要素111の斜視図であり、この接続要素は、長方形内周を有するダクト構造構成要素の端部内へ挿入可能な端部を含み、端部は円形ダクト構造構成要素に接続されるように設計される。この要素の長方形端部には、本体の長方形外周の各パネル上に固定されたリップ要素4001、4002、4003、4004を見ることができる。長方形端部には、本体の外周を取り囲む周囲溝(図示せず)内に接着された(EPDM)ゴムのガスケット7001が設けられる。リップ要素は固定部から延びており、固定部でリップ要素は溶接部5001によって固定される。他方の端部は、円形ダクト構造構成要素との接続を可能にするために円形断面を有する。

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
【国際調査報告】