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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-14
(54)【発明の名称】吸収分光分析器および使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20230907BHJP
   G01N 21/03 20060101ALI20230907BHJP
   G01J 3/10 20060101ALI20230907BHJP
   G01J 3/427 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
G01N21/27 Z
G01N21/03 Z
G01J3/10
G01J3/427
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507391
(86)(22)【出願日】2021-07-23
(85)【翻訳文提出日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 US2021042945
(87)【国際公開番号】W WO2022031458
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】63/060,284
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・アール・ジャスパース
【テーマコード(参考)】
2G020
2G057
2G059
【Fターム(参考)】
2G020AA03
2G020AA04
2G020AA05
2G020BA02
2G020BA12
2G020BA14
2G020CA02
2G020CB23
2G020CB42
2G020CB43
2G020CC02
2G057AA01
2G057AB01
2G057AB02
2G057AB03
2G057AC01
2G057BA01
2G057DB01
2G057JA02
2G059BB13
2G059CC09
2G059CC16
2G059EE01
2G059EE12
2G059GG02
2G059GG03
2G059HH01
2G059HH02
2G059HH03
2G059JJ05
2G059JJ07
2G059JJ11
2G059JJ13
2G059KK02
2G059MM01
2G059MM14
(57)【要約】
照明ユニットから、流体検体の試料を通過する分析光を受けるように位置する光学素子デバイスを含み、分析光は、第1の光範囲内の第1の光と、第1の光範囲と異なる第2の光範囲内の第2の光とを含み、光学素子デバイスは:内部空間を画成するハウジングアセンブリと;分析光を受けるように位置する内部空間内のダイクロイックミラー反射体であって、第1の光範囲内の分析光の第1の部分が、分光計光としてダイクロイックミラー反射体から反射され、第2の光範囲内の分析光の第2の部分が検出器光としてダイクロイックミラー反射体を通過するように分析光をフィルタリングするように構成される、ダイクロイックミラー反射体とを含む、分光分析器を含む吸収分光法およびシステムが開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分光分析器であって:
照明ユニットから、流体検体の試料を通過する分析光の少なくとも一部分を受けるように位置する光学素子デバイスを含み、分析光は、約450nm~約680nmの第1の光範囲内の第1の光と、第1の光範囲と異なる第2の光範囲内の第2の光とを含み、光学素子デバイスは:
デバイス内部空間を画成するデバイスハウジングアセンブリと;
分析光を受けるように位置する、デバイスハウジングアセンブリのデバイス内部空間内のダイクロイックミラー反射体であって、第1の光範囲内の分析光の第1の部分が、分光計光としてダイクロイックミラー反射体から反射され、第2の光範囲内の分析光の第2の部分が検出器光としてダイクロイックミラー反射体を通過するように分析光をフィルタリングするように構成される、ダイクロイックミラー反射体と、
を含む、前記分光分析器。
【請求項2】
分析光を受け、ダイクロイックミラー反射体に集束させるように位置する、デバイスハウジングアセンブリのデバイス内部空間内の受光レンズをさらに含む、請求項1に記載の分光分析器。
【請求項3】
ダイクロイックミラー反射体から反射された分光計光を受けるように位置する分光計と;
ダイクロイックミラー反射体を通る検出器光を受けるように位置する検出器と、
をさらに含む、請求項1に記載の分光分析器。
【請求項4】
1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサに、検出器からの1つまたはそれ以上の信号を受け、分析し、試料の1つまたはそれ以上の特性を示す検出器光の1つまたはそれ以上の特性を決定するようにさせるソフトウェアコードを実行するように構成された1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサをさらに含む、請求項3に記載の分光分析器。
【請求項5】
試料の1つまたはそれ以上の特性は、試料内の水の存在を含む、請求項4に記載の分光分析器。
【請求項6】
1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサに:
検出器からの1つまたはそれ以上の信号を受け、分析し、試料の1つまたはそれ以上の第1の特性を決定するようにさせ;
分光計からの1つまたはそれ以上の信号を受け、分析し、決定された1つまたはそれ以上の第1の特性に少なくとも一部基づいて試料の1つまたはそれ以上の第2の特性を決定するようにさせる、ソフトウェアコードを実行するように構成された1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサをさらに含む、請求項3に記載の分光分析器。
【請求項7】
ダイクロイックミラーから反射された分光計光を受け、分光計に集束させるように位置する、デバイスハウジングアセンブリのデバイス内部空間内の出力レンズをさらに含む、請求項3に記載の分光分析器。
【請求項8】
照明ユニットをさらに含み、該照明ユニットは:
ユニット内部空間を画成するユニットハウジングアセンブリと;
該ユニットハウジングアセンブリのユニット内部空間内の第1の光源であって、第1の光範囲内の第1の光を発するように構成される、第1の光源と;
ユニットハウジングアセンブリのユニット内部空間内の第2の光源であって、第2の光範囲内の第2の光を発するように構成される、第2の光源と、
を含む、請求項1に記載の分光分析器。
【請求項9】
第1の光源は第1の軸上に位置し、第2の光源は、第1の軸に交差し、第1の軸に対して角度方向にオフセットされた、第2の軸上に位置し、分光分析器は:
ユニットハウジングアセンブリのユニット内部空間内の反射体であって、第1の光がアパーチャを通過するように第1の軸が通って延びるアパーチャと、第2の光が反射体から反射するように第1の軸および第2の軸に対して角度を付けられた反射面とを含む、反射体と;
反射体のアパーチャを通過した第1の光を受け、集束させ、反射体の反射面から反射された第2の光を受け、集束させるように位置する、ユニットハウジングアセンブリのユニット内部空間内の焦点レンズと;
焦点レンズからの第1の光および第2の光を受け、試料上に向けられた検体光に集束させ、分析光を生成するように位置する、ユニットハウジングアセンブリのユニット内部空間内の出射レンズと、
をさらに含む、請求項8に記載の分光分析器。
【請求項10】
流体検体の試料を保持するように構成され、出射レンズから集束された検体光が試料を照明するように位置するマイクロチャネルを有する試料ホルダであって、試料を通って進む検体光は分析光を生成する、試料ホルダをさらに含む、請求項9に記載の分光分析器。
【請求項11】
ユニットハウジングアセンブリのユニット内部空間内の第3の光源であって、第2の軸上に位置し、第3の光が反射体から反射するように第1の光範囲と異なる第3の光範囲内の第3の光を発するように構成される、第3の光源をさらに含む、請求項9に記載の分光分析器。
【請求項12】
分光分析器であって:
照明ユニットを含み、該照明ユニットは:
ユニット内部空間を画成するユニットハウジングアセンブリと;
該ユニットハウジングアセンブリのユニット内部空間内の第1の光源であって、第1の軸上に位置し、約450nm~約680nmの第1の光範囲内の第1の光を発するように構成される、第1の光源と;
ユニットハウジングアセンブリのユニット内部空間内の第2の光源であって、第1の軸に交差し、第1の軸に対して角度的にオフセットされた第2の軸上に位置し、少なくとも、約1050nm~約2500nmの第2の光範囲内の第2の光を発するように構成される、第2の光源と;
ユニットハウジングアセンブリのユニット内部空間内の第3の光源であって、第2の軸上に位置し、第2の光範囲と異なる第3の光範囲内の第3の光を発するように構成される、第3の光源と;
ユニットハウジングアセンブリのユニット内部空間内の反射体であって、第1の光がアパーチャを通過するように第1の軸が通って延びるアパーチャと、第2の光および第3の光が反射体から反射するように第1の軸および第2の軸に対して角度を付けられた反射面とを含む、反射体と;
反射体のアパーチャを通過した第1の光を受け、集束させ、反射体の反射面から反射された第2の光および第3の光を受け、集束させるように位置する、ユニットハウジングアセンブリのユニット内部空間内の焦点レンズと;
焦点レンズからの第1の光、第2の光および第3の光を受け、検体光に集束させるように位置する、ユニットハウジングアセンブリのユニット内部空間内の出射レンズと;
を含み、
該分光分析器はさらに、
流体検体の試料を保持するように構成され、出射レンズから集束された検体光が試料を照明するように位置するマイクロチャネルを有する試料ホルダであって、試料を通って進む検体光は分析光を生成する、試料ホルダと;
試料を通過する分析光の少なくとも一部分を受けるように位置する光学素子デバイスであって:
デバイス内部空間を画成するデバイスハウジングアセンブリと;
分析光を受け、集束させるように位置する、デバイスハウジングアセンブリのデバイス内部空間内の受光レンズと;
受光レンズから集束された分析光を受けるように位置する、デバイスハウジングアセンブリのデバイス内部空間内のダイクロイックミラー反射体であって、第1の光範囲および第3の光範囲内の分析光の第1の部分が、分光計光としてダイクロイックミラー反射体から反射され、第2の光範囲内の分析光の第2の部分が検出器光としてダイクロイックミラー反射体を通過するように分析光をフィルタリングするように構成される、ダイクロイックミラー反射体と;
分光計光を受け、集束させるように位置する、デバイスハウジングアセンブリのデバイス内部空間内の出力レンズと;
を含む、光学素子デバイスと;
出力レンズから、集束された分光計光を受けるように位置する分光計と;
ダイクロイックミラー反射体を通る検出器光を受けるように位置する検出器と、
を含む、前記分光分析器。
【請求項13】
検出器に接続され、検出器光を示す検出器からの1つまたはそれ以上の信号を受け、増幅し、出力するように構成された1つまたはそれ以上の増幅器と;
該増幅器からの増幅信号を受け、該増幅信号をデジタル信号に変換し、該デジタル信号を出力するように構成された1つまたはそれ以上のアナログ/デジタルコンバータと;
1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサに、1つまたはそれ以上のアナログ/デジタルコンバータからのデジタル信号を受け、分析し、試料の1つまたはそれ以上の特性を示す検出器光の1つまたはそれ以上の特性を決定するようにさせるソフトウェアコードを実行するように構成された1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサと、
をさらに含む、請求項12に記載の分光分析器。
【請求項14】
試料の1つまたはそれ以上の特性は、試料内の水の存在を含む、請求項13に記載の分光分析器。
【請求項15】
分光計に接続され、分光計光を示す分光計からの1つまたはそれ以上の信号を受け、増幅し、出力するように構成された1つまたはそれ以上の増幅器と;
該増幅器からの増幅信号を受け、増幅器からの増幅信号をデジタル信号に変換し、該デジタル信号を出力するように構成された1つまたはそれ以上のアナログ/デジタルコンバータと;
1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサに、1つまたはそれ以上のアナログ/デジタルコンバータからのデジタル信号を受け、分析し、試料の1つまたはそれ以上の特性を示す分光計光の1つまたはそれ以上の特性を決定するようにさせるソフトウェアコードを実行するように構成された1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサと、
をさらに含む、請求項12に記載の分光分析器。
【請求項16】
試料の1つまたはそれ以上の特性は、試料内の1つまたはそれ以上の分析物の存在およびタイプを含む、請求項15に記載の分光分析器。
【請求項17】
1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサに:
検出器からの1つまたはそれ以上の信号を受け、分析し、試料の1つまたはそれ以上の第1の特性を決定するようにさせ;
分光計からの1つまたはそれ以上の信号を受け、分析し、試料の1つまたはそれ以上の第2の特性を決定するようにさせる、ソフトウェアコードを実行するように構成された1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサをさらに含む、請求項12に記載の分光分析器。
【請求項18】
試料の1つまたはそれ以上の第1の特性は、試料内の水の存在および/または量を含み、試料の1つまたはそれ以上の第2の特性は、試料内の1つまたはそれ以上の分析物の存在および/または量を含む、請求項17に記載の分光分析器。
【請求項19】
1つまたはそれ以上の第2の特性を決定することは、決定された1つまたはそれ以上の第1の特性に少なくとも一部基づく、請求項17に記載の分光分析器。
【請求項20】
検体光は、試料上に、直径を有する概ね円形の形状に集束される、請求項12に記載の分光分析器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年8月3日に出願された米国特許仮出願第63/060,284号の、米国特許法第119条(e)項の下での利益を主張する。上記で参照した特許出願の内容全体が参照によって本明細書に明示的に組み入れられる。
【0002】
本開示は、一般に、吸光分光分析器および検体分析の方法に関する。より詳細には、本開示は、例えば、光波長を組み合わせ、分割することによって、コンパクト、経済的で、容易に製造可能な設置面積を維持しながら、スペクトルの異なる部分における光波長を利用するように構成された分光分析器に関する。
【背景技術】
【0003】
試料検体は、その検体における物質の濃度を計算するために、検査室の吸光分光分析器において測定され、その一部は、光の減衰を、光が通って進行する物質の特性に関係付けるベール-ランベルトの法則を利用することを含むことができる。大量品の用途では、分析器のサイズおよびコストは重要な要素である。
【0004】
現行では、試料検体における物質および濃度は、通常、広帯域光源と共に用いるように構成された分光計を有する分析器を用いて測定される。通常の試料分析器は、試料検体から読み値を得るために、試験手順中に光学システムを用いる。通常の光学システムは、位置合わせされた光源および分光計を有する。試料ベッセルは試料を含み、場合によっては、試薬を含み、光源の光軸中心線に沿って光源と分光計との間に位置する。光源は、試料ベッセル内で試料(または試料-試薬の組み合わせ)内に広帯域光を発する。試料-試薬の組み合わせの化学反応は、測定されている分析物の濃度に比例した特定の波長における発色団吸収光を生成することができる。照明された試料または試料-試薬の組み合わせから発せられた光は、試料ベッセルを出て、分光計によって検出される。
【0005】
光学分光法は、従来、非常に安定した光出力波長を有する白色光源と、透過または回折格子を有する分光計と、線形フォトダイオードアレイ検出器と、周囲光を排除するための筐体とを含む。従来の分光計は、検体に対して正確な吸光スペクトル測定を行うために、十分な分解能および迷光を提供しなくてはならないため、多くの場合複雑で高価である。
【0006】
分光計は、特定の分光計が、対応する特定の波長範囲について機能するように設計され、ここで、信号情報は、試料検体において決定される物質に関して最も有用である。血液オキシメトリ等の多くの用途において、有用なスペクトルは、約400nm~約700nmである。血液内のいくつかの物質は、この範囲外の信号を生成する。例えば、グルコース、クレアチニンおよび血中尿素窒素は、約1050nm~約2500nmの近赤外線および中赤外線スペクトル内の有用なスペクトルを有する。
【0007】
したがって、従来技術のシステムにおいて、広く発散した波長を必要とする複数の物質が決定されるとき、複数の別個の分光計が用いられた。例えば、過去のシステムは、第1の波長範囲について第1の分光計、第2の波長範囲について第2の分光計を用いた。しかしながら、複数の分光計を用いることにより、サイズおよびコストが増大し、これは望ましくない。スペクトル分析のための実際の光学システムは、コンパクトでなくてはならず、妥当に低いコストで製造するのが容易でなくてはならない。
【0008】
加えて、検体上に光源から小さな均一の光スポットを生み出すことが望ましいため、従来、各分光計の波長の範囲を生成するために特定の別個の光源が用いられた。各波長が十分な電力強度を提供する複数の光源を用いるが、依然として、本分野では、コンパクトで低コストの設計を維持しながら検体上に小さな均一の光スポットを生み出すシステムがない。
【0009】
記載した技術的問題に対する技術的解決策を提供することによって、コンパクトで低コストの設計を維持しながら、小さな均一の光スポットを利用して単一の分光分析器を用いて様々な検体を試験するために複数の波長または波長範囲を提供する分光分析器が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
分光分析器および使用方法が開示される。様々な検体を試験するために、複数の波長または波長範囲のスペクトル分析に、複雑で高価で大型の分光光度計が必要とされる問題は、分光光度計構成要素の統合のためのコンパクトなデバイスを通じて対処される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書に記載の分光分析器は、コスト効率がよくコンパクトな完全なシステムにおける独自の設計構成において光学構成要素を統合する。いくつかの実施態様では、分光分析器は、広波長範囲分光光度計によって課されるコストを加えることなく、450nm~680nm範囲の可視分光法を、複数の他の波長、例えば、1050nm~1500nm範囲、350nm紫外、および/または約200nm~約2500nmの範囲と共に組み入れる。本明細書に記載の分光分析器は、特定のスペクトル内の高分解能分光法、および単一の範囲外の複数の波長の双方を提供する。例えば、1050nm~2500nmの範囲内の近赤外線波長は、20nm~400nmの範囲内の紫外に加えて、適切な信号対雑音送信のための十分な信号電力転送を用いて実際に適用することができる。
【0012】
さらに、分光分析器は、小さな検体体積を維持しながら、吸光分光法のために検体を照明するための均一の小さな光スポット(例えば、直径約1mm)を生み出すことができる。加えて、受光光学素子は、極端な出力光信号発散条件(すなわち、光信号が完全にコリメートされておらず、それによって光波が平行でない場合があるとき)であっても、検体信号出力を効果的に収集することができる。さらに、このシステムは、コンパクトであり、低コストでの製造が容易である。
【0013】
本開示の1つの態様において、分光分析器は、照明ユニットから、流体検体の試料を通過する分析光の少なくとも一部分を受けるように位置する光学素子デバイスを含むことができ、分析光は、約450nm~約680nmの第1の光範囲内の第1の光と、第1の光範囲と異なる第2の光範囲内の第2の光とを含む。光学素子デバイスは、デバイス内部空間を画成するデバイスハウジングアセンブリと;分析光を受けるように位置する、デバイスハウジングアセンブリのデバイス内部空間内のダイクロイックミラー反射体とを含むことができる。ダイクロイックミラー反射体は、第1の光範囲内の分析光の第1の部分が、分光計光としてダイクロイックミラー反射体から反射され、第2の光範囲内の分析光の第2の部分が検出器光としてダイクロイックミラー反射体を通過するように分析光をフィルタリングするように構成することができる。
【0014】
本開示の1つの態様において、分光分析器は、ダイクロイックミラー反射体から反射された分光計光を受けるように位置する分光計と;ダイクロイックミラー反射体を通る検出器光を受けるように位置する検出器とを含むことができる。
【0015】
本開示の1つの態様において、分光分析器は、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサに、検出器からの1つまたはそれ以上の信号を受け、分析し、試料の1つまたはそれ以上の第1の特性を示す検出器光の1つまたはそれ以上の特性を決定するようにさせるソフトウェアコードを実行するように構成された1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサを含むことができる。試料の1つまたはそれ以上の特性は、試料内の水の存在を含むことができる。本開示の1つの態様において、分光分析器は、分光計からの1つまたはそれ以上の信号を受け、分析し、決定された1つまたはそれ以上の第1の特性に少なくとも一部基づいて試料の1つまたはそれ以上の第2の特性を決定することができる。
【0016】
本開示の1つの態様において、分光分析器が照明ユニットを含むことができ、照明ユニットは:ユニット内部空間を画成するユニットハウジングアセンブリと;ユニットハウジングアセンブリのユニット内部空間内の第1の光源であって、第1の軸上に位置し、約450nm~約680nmの第1の光範囲内の第1の光を発するように構成される、第1の光源と;ユニットハウジングアセンブリのユニット内部空間内の第2の光源であって、第1の軸に交差し、第1の軸に対して角度的にオフセットされた第2の軸上に位置し、少なくとも、約1050nm~約2500nmの第2の光範囲内の第2の光を発するように構成される、第2の光源と;ユニットハウジングアセンブリのユニット内部空間内の第3の光源であって、第2の軸上に位置し、第2の光範囲と異なる第3の光範囲内の第3の光を発するように構成される、第3の光源とを含むことができる。分光分析器は、ユニットハウジングアセンブリのユニット内部空間内の反射体を含むことができ、反射体は、第1の光がアパーチャを通過するように第1の軸が通って延びるアパーチャと、第2の光および第3の光が反射体から反射するように第1の軸および第2の軸に対して角度を付けられた反射面とを含む。分光分析器は、反射体のアパーチャを通過した第1の光を受け、集束させ、反射体の反射面から反射された第2の光および第3の光を受け、集束させるように位置する、ユニットハウジングアセンブリのユニット内部空間内の焦点レンズと;焦点レンズからの第1の光、第2の光および第3の光を受け、検体光に集束させるように位置する、ユニットハウジングアセンブリのユニット内部空間内の出射レンズ(exit lens)とを含むことができる。
【0017】
本開示の1つの態様において、分光分析器は、流体検体の試料を保持するように構成され、出射レンズから集束された検体光が試料を照明するように位置するマイクロチャネルを有する試料ホルダを含むことができ、試料を通って進む検体光は分析光を生成する。
【0018】
本開示の1つの態様において、分光分析器は、試料を通過する分析光の少なくとも一部分を受けるように位置する光学素子デバイスを含むことができる。光学素子デバイスは、デバイス内部空間を画成するデバイスハウジングアセンブリと;分析光を受け、集束させるように位置する、デバイスハウジングアセンブリのデバイス内部空間内の受光レンズと;受光レンズから集束された分析光を受けるように位置する、デバイスハウジングアセンブリのデバイス内部空間内のダイクロイックミラー反射体であって、第1の光範囲および第3の光範囲内の分析光の第1の部分が、分光計光としてダイクロイックミラー反射体から反射され、第2の光範囲内の分析光の第2の部分が検出器光としてダイクロイックミラー反射体を通過するように分析光をフィルタリングするように構成される、ダイクロイックミラー反射体と;分光計光を受け、集束させるように位置する、デバイスハウジングアセンブリのデバイス内部空間内の出力レンズとを含むことができる。
【0019】
本開示の1つの態様において、分光分析器は、出力レンズから集束した分光計光を受けるように位置する分光計と;ダイクロイックミラー反射体を通る検出器光を受けるように位置する検出器とを含むことができる。本開示の1つの態様において、分光分析器は、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサに、検出器からの1つまたはそれ以上の信号を受け、分析し、試料の1つまたはそれ以上の第1の特性を示す検出器光の1つまたはそれ以上の特性を決定するようにさせるソフトウェアコードを実行するように構成された1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサを含むことができる。試料の1つまたはそれ以上の特性は、試料内の水の存在を含むことができる。本開示の1つの態様において、分光分析器は、分光計からの1つまたはそれ以上の信号を受け、分析し、決定された1つまたはそれ以上の第1の特性に少なくとも一部基づいて試料の1つまたはそれ以上の第2の特性を決定することができる。
【0020】
本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付図面は、本明細書に記載の1つまたはそれ以上の実施態様を示し、記載と併せて、これらの実施態様を説明する。図面は縮尺通りに描かれることを意図しておらず、いくつかの特徴および図面のいくつかの図は、明確性および簡潔性のために、誇張されているか、縮尺通りであるか、または概略形式である場合がある。全ての構成要素が全ての図面においてラベル付けされているわけではない場合がある。図における類似の参照符号は、同じまたは同様の要素または機能を表し、指す場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示による例示的な分光分析器の図である。
図2】本開示による例示的なスペクトル形状である。
図3】本開示による別の例示的なスペクトル形状である。
図4】本開示による分光分析器の使用と併せた例示的な吸収アルゴリズムを記載する図および表である。
図5】本開示による別の例示的な分光分析器の図である。
図6】本開示による、使用時の図1の例示的な分光分析器の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面における同じ参照符号は、同じまたは類似の要素を表すことができる。
【0023】
本開示において提案されるメカニズムは、上記の問題を回避する。本開示は、分光分析器および分光分析器を用いるための方法を記載する。
【0024】
本明細書において用いられるとき、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、またはそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を網羅することが意図される。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明記されない、またはそのようなプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有の、他の要素を含む場合がある。さらに、反対に明言されない限り、「または」は包含的論理和を指し、排他的論理和を指さない。例えば、条件AまたはBは、以下のうちの任意のものによって満たされる:Aは真であり(または存在する)かつBは偽である(または存在しない)、Aは偽であり(または存在しない)かつBは真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)。
【0025】
加えて、本発明の要素および構成要素を記載するために「a」または「an」の使用が利用される。これは、便宜上および本発明の概念の一般的な意味を与えるためにのみ行われる。この記載は、1つまたはそれ以上を含むものと読まれるべきであり、そうではないことを意味することが明白でない限り、単数は複数も含む。
【0026】
さらに、用語「複数」は、別段の明言がない限り、「2つ以上」を表すように意図される。
【0027】
本明細書において用いられるとき、「実質的に」、「約」、「概ね」のような修飾語ならびにそれらの組み合わせおよび変形は、適格な厳密な量または値のみでなく、例えば、製造許容誤差、測定誤差、摩損、様々な部品に加わる応力、計算誤差、丸め誤差および/またはそれらの組み合わせに起因し得るそこからのいくらかの僅かな逸脱も含み、後述のパラメータ、イベントもしくは状況が完全に生じること、または後述のパラメータ、イベントもしくは状況が大きな程度もしくは範囲で生じることも含むように意図される。例えば、用語「実質的に」、「約」および/または「概ね」は、後述のパラメータ、イベント、または状況が、少なくとも90%の時間、または、少なくとも91%、もしくは少なくとも92%、もしくは少なくとも93%、もしくは少なくとも94%、もしくは少なくとも95%、もしくは少なくとも96%、もしくは少なくとも97%、もしくは少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の時間生じることを意味するか、または寸法および測定値が、言及した寸法または測定値の少なくとも90%、もしくは少なくとも91%、もしくは少なくとも92%、もしくは少なくとも93%、もしくは少なくとも94%、もしくは少なくとも95%、もしくは少なくとも96%、もしくは少なくとも97%、もしくは少なくとも98%、もしくは少なくとも99%以内であることを意味する。
【0028】
用語「少なくとも1つの」または「1つまたはそれ以上」の使用は、1つ、ならびに、限定ではないが、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100のそれぞれ、およびそれらの間の全ての整数を含む、2以上の任意の数量を含むように理解される。用語「少なくとも1つの」は、何に付けられているかに依拠して、最大100または1000以上まで延びる場合がある;加えて、より高い制限も満足の行く結果を生み出す場合があるため、100/1000の数量は、限定とみなされない。別段の指示がない限り、単数形の語は、複数も含み、複数形の語は、単数も含む。加えて、「X、VおよびZのうちの少なくとも1つ」という語句の使用は、X単独、V単独およびZ単独、ならびにX、VおよびZの任意の組み合わせを含むように理解される。
【0029】
用語「またはそれらの組み合わせ」は、本明細書において用いられるとき、用語に先行する列挙された項目の全ての順列および/または組み合わせを指す。例えば、「A、B、Cまたはそれらの組み合わせ」は:A、B、C、AB、AC、BCまたはABCのうちの少なくとも1つを含むように意図され、特定の文脈において順序が重要である場合、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BACまたはCABも含むように意図される。この例を続けると、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等のような1つもしくはそれ以上の項目または用語の繰り返しを含む組み合わせが明示的に含まれる。当業者であれば、通常、文脈からそうでないことが明らかでない限り、任意の組み合わせの項目または用語の数に対して制限がないことを理解するであろう。
【0030】
序数用語(すなわち、「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」等)の使用は、2つ以上の項目間の差別化の目的のみであり、別段の明言がない限り、任意のシーケンスもしくは順序、または互いに対する項目の重要度、または任意の追加順序を暗示することを意味していない。
【0031】
最後に、本明細書において用いられるとき、「1つの実施形態」または「一実施形態」に対する任意の参照は、その実施形態に関連して記載される特定の要素、構成、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本細書における様々な箇所に「1つの実施形態では」という語句が現れることは、必ずしも全て同じ実施形態を指すもののではないが、本明細書に開示される本発明の概念は、説明される実施形態の1つまたはそれ以上の構成を含む全ての組み合わせおよび順列を包含するように意図される。
【0032】
本開示によれば、分光分析器および使用方法が開示される。上記で論考されたように、従来技術のシステムは、限られた光波長範囲を用いるか、または複数の専用分光計を必要とした。本開示は、コンパクトな設置面積を有しながら複数の光波長範囲を分析することが可能な分光分析器を用いてこれらの欠点に対処する。
【0033】
ここで図面、特に図1を参照すると、例示的な分光分析器10が示されている。通常、例示的な分光分析器10は、検体の試料32を通過した分析光を受け、分析光を、分光計50に向けられた分光計光と、検出器60に向けられた検出器光とに分離するように構成された光学素子デバイス40を含むことができる。例示的な分光分析器10は、第1の光源22および第2の光源26を有する照明ユニット20と;分析光を生成するために、照明ユニット20から検体光によって照明されるように位置する検体の試料32を保持するように構成された試料ホルダ30とをさらに含むことができる。場合により、分光分析器10は第3の光源24を含むことができる。
【0034】
照明ユニット20は、ユニット内部空間72を画成するユニットハウジングアセンブリ70を含むことができる。照明ユニット20は、反射体74と、焦点レンズ76と、出射レンズ78とをさらに含むことができる。第1の光源22、第3の光源24、第2の光源26、反射体74、焦点レンズ76および/または出射レンズ78は、ユニットハウジングアセンブリ70のユニット内部空間72内に位置することができる。
【0035】
より詳細には、第1の光源22は、ユニットハウジングアセンブリ70のユニット内部空間72内の第1の軸A1上に位置することができる。第1の光源22は、第1の光範囲内の第1の光を発するように構成することができる。第1の光範囲は、可視光スペクトル内にあることができる。いくつかの実施態様では、第1の光範囲は、約450nm~約680nmとすることができる。第1の光源22は、第1の光範囲の一点、一部分または全てをカバーする光を発することができる。第1の光源22は、第1の光を発するように構成された1つまたはそれ以上の発光ダイオード90…90(本明細書において単数または複数で参照する場合がある)を含むことができる。いくつかの実施態様では、1つまたはそれ以上の発光ダイオード90は、分光計50における所定の測定信号対雑音比を提供する、大型で高出力の発光ダイオード90とすることができる。
【0036】
第2の光源26は、第1の軸A1に交差し、第1の軸A1に対して角度方向にオフセットされた第2の軸A2上のユニットハウジングアセンブリ70のユニット内部空間72内に位置することができる。第1の軸A1および第2の軸A2は、角度を画成するように交差する。いくつかの実施態様では、角度は、約45°~約135°の範囲内にあることができる。いくつかの実施態様では、角度は、約75°~約105°の範囲内にあることができる。いくつかの実施態様では、角度は、約90°とすることができる。
【0037】
第2の光源26は、第2の光範囲内および/または第2の波長の第2の光を発するように構成することができる。第2の光範囲および/または第2の波長は第1の光範囲と異なる場合がある。いくつかの実施態様では、第2の光範囲は、約1050nm~約2500nmとすることができる。いくつかの実施態様では、第2の光は、約1050nmの波長を有することができる。第2の光源26は、第2の光範囲の一点、一部分または全てをカバーする光を発することができる。いくつかの実施態様では、第2の光範囲は、第1の光範囲および/または第3の光範囲に部分的に重複することができる。
【0038】
いくつかの実施態様では、第2の光源26は、1つまたはそれ以上の発光ダイオード96…96(本明細書において単数または複数で参照する場合がある)を含むことができる。1つまたはそれ以上の発光ダイオード96は、検出器における所定の測定信号対雑音比を提供する、大型で高出力の発光ダイオード96とすることができる。第2の光源26は、1つまたはそれ以上の単色発光ダイオードを含むことができ、各単色発光ダイオードは、対応する所定の光波長で光を発するように構成される。いくつかの実施態様では、第2の光源26は、1つまたはそれ以上のハロゲンライトを含むことができる。
【0039】
いくつかの実施態様では、第2の光源26は2つ以上の発光ダイオード96、96、…96を含むことができる。いくつかの実施態様では、第2の光源26は、第2の光範囲が不連続であるように構成することができる。例えば、第2の光範囲は、約200nm~約400nmの波長、および約1050nm~約2500nmの波長も有する第2の光を含むことができる。第2の光源26は、第2の光範囲の第1の部分において光を発するように構成された第1の発光ダイオード96と、第2の光範囲の第2の部分において光を発するように構成された第2の発光ダイオード96とを有することができる。
【0040】
いくつかの実施態様では、第3の光源24は、第2の光源26と反射体74との間に位置することができる。第2の光の少なくとも一部分が第3の光源24を通過し、反射体74に達することができる。
【0041】
いくつかの実施態様では、第3の光源24は、第1の軸A1に交差し、第1の軸A1に対して角度方向にオフセットされた第2の軸A2上のユニットハウジングアセンブリ70のユニット内部空間72内に位置することができる。第3の光源24は、第3の光範囲内、および/または第1の光範囲と異なる第2の光波長の第3の光を発するように構成することができる。第3の光範囲は、第1の光範囲および/または第2の光範囲に部分的に重複することができる。第3の光範囲は、約550nm~約650nmとすることができる。第3の光源24は、第3の光範囲の一点、一部分または全てをカバーする光を発することができる。第3の光源24は、1つまたはそれ以上のネオン灯92を含むことができる。1つまたはそれ以上のネオン灯は、1つまたはそれ以上の電極94を含むことができる。1つまたはそれ以上のネオン灯は、1つまたはそれ以上のピンク電極を含むことができる。第3の光範囲は、約585.249nmとすることができ、分光計較正のために用いることができる。
【0042】
図2は、第1の光および第2の光および第3の光のいくつかの実施態様のスペクトル形状を示し、試料32において見られるように、第1の光源22は、約450nm~約680nmの可視光範囲内の第1の光を発するように構成された白色発光ダイオード90であり、第2の光源26は、赤外光範囲内、例えば、約1050nmおよび約1400nmの第2の光を発するように構成された複数の単色発光ダイオード96…96を含み、第3の光源24は、約585nmの第3の光を発するように構成されたネオン灯を含む。加えて、図2に示すように、いくつかの実施態様では、試料32において見られるように、第2の光源26は、約200nm~約400nmの(または例えば200nmおよび350nm等の特定の波長における)紫外光範囲内の第2の光の少なくとも一部分を発するように構成された1つまたはそれ以上の発光ダイオード96…96を含むことができる。
【0043】
図3は、第1の光および第2の光および第3の光のいくつかの実施態様のスペクトル形状を示し、試料32において見られるように、第1の光源22は、約450nm~約680nmの可視光範囲内の第1の光を発するように構成された1つまたはそれ以上の白色発光ダイオード90…90であり、第2の光源26は、約450nm~約2800nmの範囲内の、可視光範囲および赤外光範囲を含む第2の光を発するように構成された1つまたはそれ以上のライト(ハロゲンライト等)を含む。加えて、図3に示すように、いくつかの実施態様では、試料32において見られるように、第2の光源26は、約200nm~約400nmの(または例えば200nmおよび350nm等の特定の波長における)紫外光範囲内の第2の光の少なくとも一部分を発するように構成された1つまたはそれ以上の発光ダイオード96…96をさらに含むことができる。さらに、この例において、第3の光源24は、約585nmにおいて第3の光を発するように構成されたネオン灯を含む。
【0044】
ここで図1に戻ると、いくつかの実施態様では、反射体74は、第1の光がアパーチャ80を通過するように第1の軸A1が通って延びるアパーチャ80を有することができる。反射体74は、第2の光および/または第3の光が反射体74から反射するように第1の軸A1および第2の軸A2に対して角度を付けられた反射面82を有することができる。反射体74のアパーチャ80は、第1の光に、反射体74におけるアパーチャ80を通って方向付けられたときに円形スポットを形成させることができるのに対して、アパーチャ80の周りの反射面82は、第2の光および/または第3の光を反射させ、それによって、第1の光の円形スポットの周りのドーナツ形状の光スポットを生成することができる。
【0045】
いくつかの実施態様では、第1の光範囲、第2の光範囲および第3の光範囲が重複しない場合、反射体74は、第1の軸A1に沿って第1の光を通過させるように構成され、第1の軸A1および第2の軸A2に対して角度を付けられた反射面82からの第2の光および/または第3の光を反射するように構成された通過帯域フィルタとすることができる。
【0046】
焦点レンズ76は、第1の光が反射体74のアパーチャ80を通過した(または通過帯域フィルタを通過した)後に第1の光を受け、集束させ、反射体74の反射面82から反射された第2の光および/または第3の光を受け、集束させるように位置することができる。
【0047】
出射レンズ78は、焦点レンズ76からの第1の光、第2の光および/または第3の光を受け、集束させ、検体光を形成するように位置することができる。結果として得られる検体光は、試料ホルダ30内の検体の試料32上に集束させることができる。検体光は、試料32上への小さな直径の均一な円形形状として集束させることができる。いくつかの実施態様では、検体光は、約1ミリメートルの直径を有する円形形状に集束させることができる。
【0048】
試料ホルダは、第1の軸A1上に位置することができる。試料ホルダ30は、検体の試料32を保持するように構成され、出射レンズ78から集束された検体光が試料32を照明するように位置するマイクロチャネル34を有することができる。検体は流体検体とすることができる。試料32を保持するように構成された試料ホルダ30の少なくとも一部分は、検体光が試料32に達し、および/または試料32と相互作用するように透明である。
【0049】
いくつかの実施態様では、マイクロチャネル34(およびこのため、試料32を通る検体光の経路長)は、約100ミクロン~約10ミリメートルの深さ(d)を有することができる。マイクロチャネル34は、約2ミリメートルの長さを有することができる。いくつかの実施態様では、試料ホルダ30は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2020年4月28日に出願された「Acoustophoretic Lysis Devices and Methods」と題する特許仮出願第63/016,537号に記載されているように構築することができる。
【0050】
分析光は、試料を通って進む検体光の出力である。試料を通る検体光の相互作用により、検体光を変更して分析光を生成することができる。検体光からの分析光の差は、試料の構成要素および/または特性に基づく。分析光は発散光とすることができる(すなわち、分析光は完全にコリメートされていない場合があり、それによって光波が平行でない場合がある)。
【0051】
光学素子デバイス40は、試料32を通じて方向付けられた分析光出力の少なくとも一部分を受けるように位置することができる。光学素子デバイス40は、デバイス内部空間112を画成するデバイスハウジングアセンブリ110を含むことができる。照明ユニット20および光学素子デバイス40は、デバイスハウジングアセンブリ110と別個のユニットハウジングアセンブリ70を有して示されているが、分光分析器10の構成要素のうちの1つもしくはそれ以上がユニットハウジングアセンブリ70および/もしくはデバイスハウジングアセンブリ110に代わる単一のハウジングアセンブリを共有する場合があり、ならびに/または、追加のハウジングアセンブリが、ユニットハウジングアセンブリ70およびデバイスハウジングアセンブリ110および/もしくは分光分析器10の他の構成要素のうちの1つまたはそれ以上を包含する場合がある。
【0052】
光学素子デバイス40は、受光レンズ120と、ダイクロイックミラー反射体122と、出力レンズ124とをさらに含むことができる。受光レンズ120、ダイクロイックミラー反射体122および出力レンズ124は、デバイスハウジングアセンブリ110のデバイス内部空間112内に位置することができる。
【0053】
受光レンズ120は、発散分析光を受け、集束させるように位置することができる。受光レンズ120は、第1の軸A1上に位置することができる。受光レンズ120は、約6ミリメートルの直径を有することができる。受光レンズ120は、分析光をダイクロイックミラー反射体122上に集束させることによって、製造許容誤差のずれを補うことができる。
【0054】
ダイクロイックミラー反射体122は、受光レンズ120から集束した分析光を受けるように位置することができる。いくつかの実施態様では、ダイクロイックミラー反射体122は、第1の軸A1上に位置することができる。ダイクロイックミラー反射体122は、第1の光範囲内および/または第3の光範囲内にある分析光の第1の部分が、分光計光としてダイクロイックミラー反射体122から反射され、第2の光範囲内にある分析光の第2の部分が検出器光としてダイクロイックミラー反射体122を通過するように分析光をフィルタリングするように構成することができる。ダイクロイックミラー反射体122は、通過帯域フィルタとして動作することができ、したがって、所定の範囲の光波長にダイクロイックミラー反射体122を通過させる一方で、他の範囲の光波長を反射することを可能にすることができる。例えば、いくつかの実施態様では、ダイクロイックミラー反射体122は、約700nm以上の波長が通過して検出器60まで進むことを可能にすることができる一方で、約450nm~約680nmの波長光は、通過を可能にされず、出力レンズ124に、そして分光計50上に反射される。いくつかの実施態様では、ダイクロイックミラー反射体122は、約400nm未満の波長を有する光が通過して検出器60まで進むことを可能にすることができる。
【0055】
いくつかの実施態様では、ダイクロイックミラー反射体122は、第2の光源26から発せられた約1050nmの波長を有する光がダイクロイックミラー反射体122を通過して検出器60まで進むことを可能にすることができる。約1050nmの波長を有する光は、試料ホルダ30および/または試料32を通る光信号を提供し、試料ホルダ30および/または試料32内に水が存在するか否かを判断するのに有益である。すなわち、水は、スペクトル分析においてピークとして分析およびグラフ化することができる約1050nmの波長を有する光に対して、水のスペクトル応答を有する。
【0056】
ダイクロイックミラー反射体122は、分光計光がダイクロイックミラー反射体122から反射するように、第1の軸A1および第3の軸A3に対して角度を付けることができる。第1の軸A1および第3の軸A3は、角度を画成するように交差する。いくつかの実施態様では、角度は、約45°~約135°の範囲内にあることができる。いくつかの実施態様では、角度は、約75°~約105°の範囲内にあることができる。いくつかの実施態様では、角度は、約90°とすることができる。
【0057】
出力レンズ124は、ダイクロイックミラー反射体122から反射された分光計光を受け、集束させるように位置することができる。出力レンズ124は、第3の軸A3上に位置することができる。出力レンズ124は、分光計50において用いるために分光計光を集束させることによって、製造許容誤差のずれを補うことができる。
【0058】
出力レンズ124は、分光計光を、分光計50に直接、または出力レンズ124と分光計50との間に位置する第1の光ファイバケーブル130に集束させることができる。出力レンズ124は、第1の光ファイバケーブル130の直径よりも大きい直径を有する円形スポットに分光計光を集束させることができる。光ファイバケーブルは、600ミクロンの直径を有することができる。いくつかの実施態様では、照明ユニット20の反射体74におけるアパーチャ80は、600ミクロンの直径を有する分光計光を結果として生じるように構成された直径を有することができる。
【0059】
分光計50は、出力レンズ124から集束した分光計光を受けるように位置することができる。いくつかの実施態様では、分光計50は、第1の光ファイバケーブル130を通じて分光計光を受けることができる。
【0060】
検出器60は、ダイクロイックミラー反射体122を通過した検出器光を受けるように位置することができる。検出器60は、光の1つもしくはそれ以上の波長または波長範囲を検出するように構成することができる。いくつかの実施態様では、検出器60は、赤外光(約1050nm超の波長を有する光等)および/または紫外光(約400nm未満の波長を有する光等)を検出するように構成することができる。いくつかの実施態様では、検出器60はフォトダイオードとすることができる。検出器60はシリコンフォトダイオードとすることができる。いくつかの実施態様では、検出器60は、第2の光を検出するように構成された1つまたはそれ以上の第2の分光計とすることができる。
【0061】
いくつかの実施態様では、検出器60は、第1の軸A1上に位置することができる。いくつかの実施態様では、検出器60は、ダイクロイックミラー反射体122と検出器60との間に位置する第2の光ファイバケーブル140を通る検出器光を受けることができ、この場合、検出器60は第1の軸A1上に位置する場合も位置しない場合もある。
【0062】
いくつかの実施態様では、分光分析器10は、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150をさらに含む(またはこれに接続する)ことができる。1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150は、ソフトウェアコードを実行するように構成することができる。分光分析器10は、1つまたはそれ以上の非一時的コンピュータメモリ152をさらに含むことができる。ソフトウェアコードは、1つまたはそれ以上の非一時的コンピュータメモリ152上に記憶することができる。
【0063】
ソフトウェアコードは、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150によって実行されると、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150に、分光分析器10の1つまたはそれ以上の他の構成要素を制御させることができる。例えば、ソフトウェアコードは、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150によって実行されると、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150に、第1の光源22、第2の光源26および第3の光源24のうちの1つまたはそれ以上を制御させることができる。
【0064】
場合により、いくつかの実施態様では、分光分析器10は、第1の光源22、第3の光源24および/または第2の光源26を駆動するように構成された1つまたはそれ以上のドライバ160をさらに含むことができる。ソフトウェアコードは、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150によって実行されると、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150に、1つまたはそれ以上のドライバ160を制御させることができる。
【0065】
いくつかの実施態様では、分光分析器10は、検出器60に接続され、検出器光を示す検出器60からの1つまたはそれ以上の信号を受け、増幅し、出力するように構成された1つまたはそれ以上の第1の増幅器170をさらに含むことができる。いくつかの実施態様では、分光分析器10は、第1の増幅器170からの増幅された検出器光を受け、検出器光をデジタル信号に変換し、デジタル信号を出力するように構成された1つまたはそれ以上の第1のアナログ/デジタルコンバータ172をさらに含むことができる。1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150は、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150に、1つまたはそれ以上の第1のアナログ/デジタルコンバータ172からのデジタル信号を受け、分析し、試料32の1つまたはそれ以上の特性を示す検出器光の1つまたはそれ以上の特性を決定するようにさせるソフトウェアを実行するように構成することができる。検出器光に基づいて決定された試料32の1つまたはそれ以上の特性は、試料32における水の存在および/または量を含むことができる。
【0066】
いくつかの実施態様では、分光分析器10は、分光計50に接続され、分光計光を示す分光計50からの1つまたはそれ以上の信号を受け、増幅し、出力するように構成された1つまたはそれ以上の第2の増幅器180をさらに含むことができる。いくつかの実施態様では、分光分析器10は、第2の増幅器180からの増幅された分光計光を受け、第2の増幅器180からの増幅された分光計光をデジタル信号に変換し、デジタル信号を出力するように構成された1つまたはそれ以上の第2のアナログ/デジタルコンバータ182をさらに含むことができる。1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150は、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150に、1つまたはそれ以上の第2のアナログ/デジタルコンバータ182からのデジタル信号を受け、分析し、試料32の1つまたはそれ以上の特性を示す分光計光の1つまたはそれ以上の特性を決定するようにさせるソフトウェアコードを実行するように構成することができる。分光計光に基づいて決定された試料32の1つまたはそれ以上の特性は、試料32における1つまたはそれ以上の分析物の存在およびタイプを含むことができる。分光計光に基づいて決定された試料32の1つまたはそれ以上の特性は、血液ガスCOオキシメトリ(co-oximetry)(オキシメトリとしても知られる)情報を含むことができる。
【0067】
いくつかの実施態様では、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150は、分光計50からの1つまたはそれ以上の信号を分析して、検出器光に基づいて以前に決定された試料32の1つまたはそれ以上の特性に少なくとも一部基づいて、試料32の1つまたはそれ以上の特性を決定することができる。いくつかの実施態様では、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150は、検出器光に基づいて以前に決定された試料32の1つまたはそれ以上の特性に少なくとも一部基づいて、分光計50を較正することができる。
【0068】
試料32の1つまたはそれ以上の特性は、図4に詳述し、以下に示すように、ベール-ランベルトの法則の適用に少なくとも一部基づいて決定することができ、ここで、以下の式が成り立つ:
T(λ)=T(λ)e-c∈(λ)d
【数1】
ここで、T(l)は透過パワーであり、T(l)は、試料の前の入射であり、e(l)は吸光係数であり、dは特定の波長で試料を通る経路長(例えば、マイクロチャネルの深さ)である。
【0069】
そしてここで、以下となる:
【表1】
【0070】
図5に示すように、加えてまたは代替的に、いくつかの実施態様では、上述したことを除き分光分析器10に実質的に類似した分光分析器10aは、アパーチャ280および反射面282を有し、光学素子デバイス40aのデバイスハウジングアセンブリ110のデバイス内部空間112内に位置する、第2の反射体274をさらに含むことができるか、またはダイクロイックミラー-反射体122がこれに置き換わることができる。第2の反射体274は、第3の光(例えば、黄色および赤外光)を、アパーチャ280を通じて検出器60に通し、残りの光(すなわち、アパーチャを通過しない光)を反射面282から出力レンズ124を介して分光計50に反射させる角度に位置することができる。
【0071】
図6を参照すると、ここで、分光分析器10の使用の例示的な方法が説明される。しかしながら、分光分析器10は、他の方式でおよび他の構成で使用することができることが理解されよう。
【0072】
通常、分光分析器10は、分析光を受け、第2の範囲の光を検出器光としてダイクロイックミラー反射体122を通じて検出器60に通過させ、第1の範囲および/または第3の範囲の光を分光計光として分光計50に反射するダイクロイックミラー反射体122を利用することができる。分光分析器10は、それぞれ検出器60および分光計50によって受けられた検出器光および分光計光の特性に基づいて、試料32の1つまたはそれ以上の特性を分析することができる。
【0073】
さらに、いくつかの実施態様では、分光分析器10は、(通常、オキシメトリに用いられる広帯域エリアの内側および外側双方の光を含むことができる)複数の異なる波長範囲の光を発し、複数の異なる波長範囲の光を結合し、光波を試料32上への検体光に集束させることができ、これが試料32を通過し、結果として分析光が得られ、分光分析器10は、分析光をダイクロイックミラー反射体122に集光および集束させることができ、ダイクロイックミラー反射体122は、検出器光として第2の範囲の光にダイクロイックミラー反射体122を通過させて検出器60に進ませ、第1の範囲および/または第3の範囲の光を分光計光として分光計50に反射し、分光分析器10は、それぞれ検出器60および分光計50によって受けられた検出器光および分光計光の特性に基づいて、試料32の1つまたはそれ以上の特性を分析することができる。
【0074】
いくつかの実施態様では、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150は、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150に、1つまたはそれ以上のドライバ160等を通じて照明ユニット20の第1の光源22、第3の光源24および/または第2の光源26を制御させ、第1の光源22、第3の光源24および/または第2の光源26に光を発することを停止または開始させるソフトウェアコードを実行するように構成することができる。第1の光源22は、約450nm~約680nmの可視光範囲等にある第1の光範囲内の第1の光を発することができる。第2の光源26は、非連続範囲、および/または例えば紫外光範囲および赤外光範囲内の波長および/または範囲等の特定の波長とすることができる第2の光範囲内の第2の光を発することができる。第3の光源24は、第3の光範囲内、または例えば約585nm等の第3の波長にある第3の光を発することができる。
【0075】
第1の光は、反射体74のアパーチャ80を通過して焦点レンズ76に進むことができる。第3の光は、反射体74の反射面82から反射して焦点レンズ76に進むことができる。第2の光は、反射体74の反射面82から反射して焦点レンズ76に進むことができる。
【0076】
焦点レンズ76は、第1の光、第2の光および/または第3の光を集束させ、第1の光、第2の光および/または第3の光を通過させて出射レンズ78に進ませることができる。出射レンズ78は、第1の光、第2の光および/または第3の光を、試料ホルダ30のマイクロチャネル34内の試料32上への検体光に集束させることができる。集束した検体光は、マイクロチャネル34の長さよりも小さい直径を有することができる。
【0077】
マイクロチャネル34は、試料32を希釈させる場合がある洗浄持ち越し(wash carryover)として知られるマイクロチャネル34の洗浄からの残留水を含む場合がある。試料32は血液試料とすることができる。
【0078】
検体光は、試料ホルダ30のマイクロチャネル34内の試料32を通過し、結果として、光学素子デバイス40の受光レンズ120への分析光の出力を得ることができる。
【0079】
受光レンズ120は、分析光をダイクロイックミラー反射体122上に集束させることができる。
【0080】
いくつかの実施態様では、焦点レンズ76、出射レンズ78および/または受光レンズ120は、試料32を通る経路長が比較的小さい(例えば、100ミクロン)であるとき、光をコリメートする必要がない場合があるため、必ずしも光をコリメートしない。加えて、出力レンズ124は、光を光ファイバケーブル130および/または分光計50に集束させるため、出力レンズ124には選択性がある。このコリメートの欠如は、コリメートが複数のレンズでは機能しないため有利である。加えて、コリメート管、ならびに第1および第2の光源22、26の出力における対応する増大は望ましくない。なぜなら、出力の増大により、第1の光および第3の光の振幅および波長がドリフトし、これは、光信号の分光計による分析が0.01nmの感度である場合があり、分光計50が予測波長から予測波長範囲を超えた波長のシフトをサポートしない場合があるため、問題である。加えて、試料32は検体光を散乱させ、それによって、検体光が試料内に入ったときにコリメートされていた場合であっても、結果として得られる分析光がコリメートされていない。
【0081】
ダイクロイックミラー反射体122は、受光レンズ120から集束した分析光を受け、分光計光(第1の光範囲および/または第3の光範囲における分析光の第1の部分を含む)がダイクロイックミラー反射体122から出力レンズ124に反射され、検出器光(第2の光源26から元々発せられた第2の光範囲内の分析光の第2の部分を含む)がダイクロイックミラー反射体122を通過して検出器60にまたは第2の光ファイバケーブル140に、そして検出器60に進むように分析光を反射およびフィルタリングすることができる。
【0082】
出力レンズ124は、ダイクロイックミラー反射体122から反射された分光計光を受け、分光計50に直接、または出力レンズ124と分光計50との間に位置する第1の光ファイバケーブル130に集束させることができる。出力レンズ124は、第1の光ファイバケーブル130の直径よりも大きい直径を有する円形スポットに分光計光を集束させることができる。
【0083】
分光計50は、出力レンズ124から、いくつかの実施態様では第1の光ファイバケーブル130を通じて分光計光を受けることができる。
【0084】
検出器60は、ダイクロイックミラー反射体122、いくつかの実施態様では第2の光ファイバケーブル140を通過した検出器光を受けることができる。いくつかの実施態様では、検出器60は、検出器光の検出を示す1つまたはそれ以上の信号を1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150に出力することができる。1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150は、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150に、検出器60からの検出器光の検出を示す1つまたはそれ以上の信号を受け、分析し、試料32の1つまたはそれ以上の特性を示す検出器光の1つまたはそれ以上の特性を決定するようにさせるソフトウェアを実行することができる。
【0085】
いくつかの実施態様では、検出器60は、検出器光の検出を示す1つまたはそれ以上の信号を第1の増幅器170に出力することができ、第1の増幅器170は、検出器光を示す検出器60からの1つまたはそれ以上の信号を受け、増幅し、1つまたはそれ以上の第1のアナログ/デジタルコンバータ172に出力することができる。1つまたはそれ以上の第1のアナログ/デジタルコンバータ172は、第1の増幅器170からの増幅された検出器光を受け、検出器光をデジタル信号に変換し、デジタル信号を出力することができる。1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150は、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150に、1つまたはそれ以上の第1のアナログ/デジタルコンバータ172からのデジタル信号を受け、分析し、試料32の1つまたはそれ以上の特性を示す検出器光の1つまたはそれ以上の特性を決定するようにさせるソフトウェアを実行するように構成することができる。
【0086】
検出器光に基づいて決定された試料32の1つまたはそれ以上の特性は、試料32における水の存在および/または量を含むことができる。検出器60は、マイクロチャネル34内の残留水等の試料ホルダ30の洗浄サイクルからの残留水(洗浄持ち越しとして知られる)の存在および/または量を示す信号を提供することができる。試料32における残留水の検出は、水が試料32を希釈させ、試料32のスペクトル特性を変化させる場合があり、これによって分光計50からの信号の分析に影響を及ぼす場合があるという点で重要である。
【0087】
いくつかの実施態様では、分光計50は、分光計光を示す1つまたはそれ以上の信号を1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150に出力することができる。1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150は、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150に、分光計光を示す1つまたはそれ以上の信号を受け、分析し、試料32の1つまたはそれ以上の特性を示す分光計光の1つまたはそれ以上の特性を決定するようにさせるソフトウェアを実行することができる。
【0088】
いくつかの実施態様では、分光計50は、分光計光を示す1つまたはそれ以上の信号を1つまたはそれ以上の第2の増幅器180に出力することができ、1つまたはそれ以上の第2の増幅器180は、分光計50からの信号を示す1つまたはそれ以上の信号を受け、増幅し、1つまたはそれ以上の第2のアナログ/デジタルコンバータ182に出力することができる。1つまたはそれ以上の第2のアナログ/デジタルコンバータ182は、第2の増幅器180からの増幅された分光計光を受け、第2の増幅器180からの増幅された分光計光をデジタル信号に変換し、デジタル信号を出力することができる。1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150は、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150に、1つまたはそれ以上の第2のアナログ/デジタルコンバータ182からのデジタル信号を受け、分析し、試料32内の1つもしくはそれ以上の分析物の存在および/もしくはタイプ、ならびに/または血液ガスCOオキシメトリ情報等の、試料32の1つまたはそれ以上の特性を示す分光計光の1つまたはそれ以上の特性を決定するようにさせるソフトウェアコードを実行することができる。
【0089】
いくつかの実施態様では、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150は、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150に、分光計50からの試料32の分析を補正および/もしくは調整させるか、または検出器60からの試料32の分析からの情報を用いて、分光計50からの試料32の分析を行わせるソフトウェアを実行することができる。例えば、分光計50からの試料32の分析は、検出器光の分析によって決定される、試料における水の存在について調整することができる。
【0090】
いくつかの実施態様では、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150は、1つまたはそれ以上のコンピュータプロセッサ150に検出器60からの情報に基づいて分光計50を較正させるソフトウェアを実行することができる。
【0091】
終わりに
従来、分光光度計は、単一の光波長範囲を利用し、または複数の波長が含まれる場合、分光光度計は嵩張り、複数の分光計を必要とする。本開示によれば、複数の光波長範囲を利用するが、コンパクトで効率的な設置面積を有する分光分析器が開示される。
【0092】
上記の説明は、例示および説明を提供するが、包括的であることも、本発明の概念を開示された厳密な形態に限定することも意図していない。上記の教示に鑑みて変更および変形が可能であるか、または本開示に示した方法の実践から取得することができる。
【0093】
構成の特定の組み合わせが特許請求の範囲に列挙され、および/または明細書に開示されているが、これらの組み合わせは本開示の限定を意図していない。実際、これらの構成の多くは、特に特許請求に列挙および/または明細書に開示されていない方式で組み合わせることができる。以下に挙げる各従属請求項は、1つのみの他の請求項に直接従属することができるが、本開示は、請求項集合内の全ての他の請求項と組み合わせた各従属請求項を含む。
【0094】
本出願において用いられるいずれの要素、動作または命令も、そのような好ましい実施形態の範囲外にあると明示的に記載されない限り、本発明に必須または不可欠と解釈されるべきでない。さらに、「基づく」という語句は、別段の明言がない限り、「少なくとも一部基づく」を意味するように意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】