(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-14
(54)【発明の名称】アネキシンA1のN末端ペプチド製剤及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/16 20060101AFI20230907BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230907BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230907BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230907BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230907BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230907BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230907BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230907BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20230907BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20230907BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20230907BHJP
【FI】
A61K38/16 ZNA
A61P9/10
A61P29/00
A61K9/08
A61K47/26
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/22
A61K9/19
C07K14/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023512755
(86)(22)【出願日】2021-08-20
(85)【翻訳文提出日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2021073186
(87)【国際公開番号】W WO2022038281
(87)【国際公開日】2022-02-24
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523060507
【氏名又は名称】リゾサー ファーマ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ブクリンスキー,イェンス トルプ
(72)【発明者】
【氏名】トゥエルング,ペルニレ ソンダービー
(72)【発明者】
【氏名】イェンセン,メッテ ハンブルグ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA29
4C076CC04
4C076CC11
4C076DD22Z
4C076DD25Z
4C076DD38D
4C076DD41Z
4C076DD49Z
4C076DD50Z
4C076DD51Z
4C076DD57Z
4C076DD60Z
4C076DD66D
4C076DD67D
4C076EE23D
4C076EE23Z
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA19
4C084BA23
4C084DC50
4C084MA17
4C084MA44
4C084NA10
4C084ZA361
4C084ZB111
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA19
4H045CA42
4H045EA28
(57)【要約】
本発明は、FPR1、FPR2及びFPR3.5を含むホルミルペプチド受容体のうちの1以上においてアゴニスト活性を保持しながら、溶解性及び/又は安定性が改善したアネキシンA1(AnxA1)N末端ペプチドの治療有効量を含む医薬製剤に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
pH>6.0;又は2<pH<3の液体医薬製剤であって、
a.アネキシンA1(AnxA1)N末端ペプチド、例えば、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAA(配列番号4;アネキシンA1 2-50)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV(配列番号5;アネキシンA1 2-48)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSS(配列番号6;アネキシンA1 2-46)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAA(配列番号7;アネキシンA1 2-50 V24L)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV(配列番号8;アネキシンA1 2-48 V24L)、及び
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSS(配列番号9;アネキシンA1 2-46 V24L)、
及び1~6個の個々のアミノ酸置換を含む配列番号4~9のいずれか1つの変異体からなる群から選択される治療有効量のペプチドなどのアネキシンA1(AnxA1)N末端ペプチド;並びに
b.i.超純水などの水;及び
ii.1μM~50mMのイオン強度などの低イオン強度を有する溶液、及び
iii.水である溶液であって、100%(等張)±100%の張度を有する溶液、及び
iv.1μM~50mMのイオン強度などの低イオン強度を有する溶液であって、100%(等張)±100%の張度を有する溶液
からなる群から選択される溶媒
を含む、液体医薬製剤。
【請求項2】
pH≧7.4;又は2<pH<2.6である、請求項1に記載の液体医薬製剤。
【請求項3】
pH≧7.4、例えばpH≧7.5、例えばpH≧7.6、例えばpH≧7.7、例えばpH≧7.8、例えばpH≧7.9、例えばpH≧8.0である、請求項1~2のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項4】
pH≧8;又は2<pH<2.6である、請求項1~3のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項5】
pHが8~8.5である、請求項1~4のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項6】
pHが≧8.3である、請求項1~5のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項7】
本質的にフィブリルを含まず、かつ/又は本質的に≧1μm、例えば≧10μm、例えば≧100μmのタンパク質性粒子を含まない、請求項1~6のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項8】
pH3<pH<6、例えば3<pH<6.5、例えば3<pH<7、例えば3<pH<7.4の液体医薬製剤と比較して;及び/又は
生理食塩水液体医薬製剤と比較して;及び/又は
>50mMのイオン強度を有する溶液と比較して;及び/又は
等張性調整剤を含まない溶液と比較して
a.物理的安定性の改善を有する
b.化学的安定性の改善を有する
c.溶解性の改善及び/又は不溶性の低下を有する、かつ/又は
d.フィブリルを形成する傾向の低下を有する、
請求項1~7のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項9】
前記アネキシンA1のN末端ペプチドが、少なくとも0.1mg/ml、例えば少なくとも0.5mg/ml、例えば少なくとも1.0mg/ml、例えば少なくとも1.5mg/ml、例えば少なくとも2.0mg/ml、例えば少なくとも2.5mg/ml、例えば少なくとも3.0mg/ml、例えば少なくとも3.5mg/ml、例えば少なくとも4.0mg/ml、例えば少なくとも5.5mg/ml、例えば少なくとも5.0mg/ml、例えば少なくとも7.5mg/ml、例えば少なくとも10.0mg/mlの水性溶解度を有する、請求項1~8のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項10】
前記アネキシンA1のN末端ペプチドが、少なくとも0.8mg/ml、例えば少なくとも1mg/ml、例えば少なくとも1.6、例えば少なくとも2、例えば少なくとも2.5、例えば少なくとも3、例えば少なくとも3.3、例えば少なくとも3.5mg/mlの水性溶解度を有する、請求項1~9のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項11】
0.1~10mg/ml、例えば0.1~0.5mg/ml、例えば0.5~1mg/ml、例えば1~2mg/ml、例えば2~3mg/ml、例えば3~4mg/ml、例えば4~5mg/ml、例えば5~6mg/ml、例えば6~7mg/ml、例えば7~8mg/ml、例えば8~9mg/ml、例えば9~10mg/mlの前記アネキシンA1のN末端ペプチドの濃度を有する、請求項1~10のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項12】
少なくとも0.8mg/ml、例えば少なくとも1mg/ml、例えば少なくとも1.6、例えば少なくとも2、例えば少なくとも2.5、例えば少なくとも3、例えば少なくとも3.3、例えば少なくとも3.5mg/mlの前記アネキシンA1のN末端ペプチドの濃度を有する、請求項1~11のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項13】
pH>6であり、前記アネキシンA1のN末端ペプチドが、少なくとも0.8mg/ml、例えば少なくとも1mg/ml、例えば少なくとも1.6、例えば少なくとも2、例えば少なくとも2.5、例えば少なくとも3、例えば少なくとも3.3、例えば少なくとも3.5mg/mlの水性溶解度を有し;かつ/又は前記製剤が、少なくとも0.8mg/ml、例えば少なくとも1mg/ml、例えば少なくとも1.6、例えば少なくとも2、例えば少なくとも2.5、例えば少なくとも3、例えば少なくとも3.3、例えば少なくとも3.5mg/mlの前記アネキシンA1のN末端ペプチドの濃度を有する、請求項1~12のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項14】
前記溶液が、1μM~50mMのイオン強度を有する、請求項1~13のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項15】
前記溶液が、100%(等張)±20%の張度、例えば80%~120%;例えば80~85%、例えば85~90%、例えば90~95%、例えば95~100%、例えば100~105%、例えば105~110%、例えば110~115%の張度、例えば115~120%の張度を有する、請求項1~14のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項16】
a.前記溶液が1μM~50mMのイオン強度を有し、かつ
b.前記溶液が100%(等張)±20%の張度を有する、
請求項1~15のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項17】
a.前記溶液が、pH≧7.4、例えばpH≧7.5、例えばpH≧7.6、例えばpH≧7.7、例えばpH≧7.8、例えばpH≧7.9、例えばpH≧8.0のpHを有し、かつ
b.前記溶液が1μM~50mMのイオン強度を有する、
請求項1~16のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項18】
a.前記溶液が、pH≧8.0のpHを有し、かつ
b.前記溶液が1μM~50mMのイオン強度を有する、
請求項1~17のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項19】
a.前記溶液が、pH≧7.4、例えばpH≧7.5、例えばpH≧7.6、例えばpH≧7.7、例えばpH≧7.8、例えばpH≧7.9、例えばpH≧8.0のpHを有し、かつ
b.前記溶液が1μM~50mMのイオン強度を有し、かつ
c.前記溶液が100%(等張)±20%の張度を有する、
請求項1~18のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項20】
a.前記溶液がpH≧8.0のpHを有し、かつ
b.前記溶液が1μM~50mMのイオン強度を有し、かつ
c.前記溶液が100%(等張)±20%の張度を有する、
請求項1~19のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項21】
a.前記溶液がpH≧8.3のpHを有し、かつ
b.前記溶液が1μM~50mMのイオン強度を有し、かつ
c.前記溶液が100%(等張)±20%の張度を有する、
請求項1~20のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項22】
pH≧7.4、例えばpH≧8.0、例えばpH≧8.3であり、かつ前記アネキシンA1のN末端ペプチドが、少なくとも4.0mg/ml、例えば少なくとも4.5mg/ml、例えば少なくとも5.0mg/ml、例えば少なくとも6.0mg/ml、例えば少なくとも7.0mg/ml、例えば少なくとも8.0mg/ml、例えば少なくとも9.0mg/ml、例えば少なくとも10.0mg/ml、例えば少なくとも15.0mg/mlの水性溶解度を有し;かつ/又は前記製剤が、少なくとも4.0mg/ml、例えば少なくとも4.5mg/ml、例えば少なくとも5.0mg/ml、例えば少なくとも6.0mg/ml、例えば少なくとも7.0mg/ml、例えば少なくとも8.0mg/ml、例えば少なくとも9.0mg/ml、例えば少なくとも10.0mg/ml、例えば少なくとも15.0mg/mlの前記アネキシンA1のN末端ペプチドの濃度を有する、
請求項1~21のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項23】
前記溶媒が、炭水化物及び/又は糖アルコールなどの1以上の等張性調整剤を含む、請求項1~22のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項24】
前記等張性調整剤が、ペントース単糖、ヘキソース単糖、二糖及び三糖からなる群から選択される、請求項1~23のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項25】
前記等張性調整剤が、スクロース、トレハロース、マンノース、リボース、マルトース、グルコース、ラクトース、ガラクトース、アラビノース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、グリセロール、キシリトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレン/エチレングリコール共重合体からなる群から選択される、請求項1~24のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項26】
前記溶液がスクロース及び/又はマンニトールを含む、請求項1~25のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項27】
前記溶液がスクロースを含む、請求項1~26のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項28】
前記溶液が、約4%(w/v)マンニトール及び/又は約1%スクロースを含み、例えば3~5%(w/v)マンニトール及び/又は0.5~2%(w/v)スクロースを含み、例えば0~8%(w/v)マンニトール及び/又は0~5%(w/v)スクロースを含む、請求項1~27のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項29】
a.前記溶液が1μM~50mMのイオン強度を有し、かつ
b.前記溶液が100%(等張)±20%の張度を有し、かつ
c.前記溶液が、スクロース、トレハロース、マンノース、リボース、マルトース、グルコース、ラクトース、ガラクトース、アラビノース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、グリセロール、キシリトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレン/エチレングリコール共重合体からなる群から選択される等張性調整剤を含む、
請求項1~28のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項30】
a.前記溶液が1μM~50mMのイオン強度を有し、かつ
b.前記溶液が100%(等張)±20%の張度を有し、かつ
c.前記溶液がスクロース及び/又はマンニトールを含む、
請求項1~29のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項31】
a.前記溶液が、pH≧7.4、例えばpH≧7.5、例えばpH≧7.6、例えばpH≧7.7、例えばpH≧7.8、例えばpH≧7.9、例えばpH≧8.0のpHを有し、かつ
b.前記溶液が1μM~50mMのイオン強度を有し、かつ
c.前記溶液が100%(等張)±20%の張度を有し、かつ
d.前記溶液が、スクロース、トレハロース、マンノース、リボース、マルトース、グルコース、ラクトース、ガラクトース、アラビノース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、グリセロール、キシリトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレン/エチレングリコール共重合体からなる群から選択される等張性調整剤を含む、
請求項1~30のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項32】
a.前記溶液が、pH≧7.4、例えばpH≧7.5、例えばpH≧7.6、例えばpH≧7.7、例えばpH≧7.8、例えばpH≧7.9、例えばpH≧8.0のpHを有し、かつ
b.前記溶液が1μM~50mMのイオン強度を有し、かつ
c.前記溶液が100%(等張)±20%の張度を有し、かつ
d.前記溶液が、スクロース及び/又はマンニトールを含む、
請求項1~31のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項33】
a.前記溶液がpH≧8.0のpHを有し、かつ
b.前記溶液が1μM~50mMのイオン強度を有し、かつ
c.前記溶液が100%(等張)±20%の張度を有し、かつ
d.前記溶液が、スクロース、トレハロース、マンノース、リボース、マルトース、グルコース、ラクトース、ガラクトース、アラビノース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、グリセロール、キシリトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレン/エチレングリコール共重合体からなる群から選択される等張性調整剤を含む、
請求項1~32のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項34】
a.前記溶液がpH≧8.0のpHを有し、かつ
b.前記溶液が1μM~50mMのイオン強度を有し、かつ
c.前記溶液が100%(等張)±20%の張度を有し、かつ
d.前記溶液が、スクロース及び/又はマンニトールを含む、
請求項1~33のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項35】
1以上の緩衝液をさらに含む、請求項1~34のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項36】
酢酸緩衝液、TRIS、アミン含有緩衝液、リジン、ヒドロキシリジン、ヒスチジン及びグリシル-グリシンなどのアミノ酸ベースの緩衝液、非リン酸緩衝液、重炭酸緩衝液、ポリソルベート80(例えばTween80)、HEPES及びホウ酸塩からなる群から選択される1以上の緩衝液をさらに含む、請求項1~35のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項37】
グリシル-グリシン及び/又はTween20をさらに含む、請求項1~36のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項38】
グリシル-グリシン及びTween20をさらに含む、例えば1~20mMグリシル-グリシン及び0.001~0.1%のTween20を含む、例えば10mMグリシル-グリシン及び0.01%のTween20を含む、請求項1~37のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項39】
約8.3のpHで、約4%マンニトール、約1%スクロース、約10mMグリシルグリシン、約0.01%ポリソルベート80を含む、請求項1~38のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項40】
ヒスチジンをさらに含む、請求項1~39のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項41】
1~100mMのヒスチジンをさらに含む、請求項1~40のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項42】
配列番号4~9のいずれか1つの前記変異体が、1~6個の個々のアミノ酸置換、例えば1個のアミノ酸置換、例えば2個のアミノ酸置換、例えば3個のアミノ酸置換、例えば4個のアミノ酸置換、例えば5個のアミノ酸置換、例えば6個の個々のアミノ酸置換を含む、請求項1~41のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項43】
前記アネキシンA1のN末端ペプチドが、AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV-NH
2(配列番号8;アネキシンA1 2-48 V24L)、又は1~6個の個々のアミノ酸置換、例えば1個のアミノ酸置換、例えば2個のアミノ酸置換、例えば3個のアミノ酸置換、例えば4個のアミノ酸置換、例えば5個のアミノ酸置換、例えば6個の個々のアミノ酸置換を含むその変異体である、請求項1~42のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項44】
配列番号4~9のいずれか1つの前記変異体が、3個の個々のアミノ酸置換を含む、請求項1~43のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項45】
配列番号4~9のいずれか1つの前記変異体が、2個の個々のアミノ酸置換を含む、請求項1~44のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項46】
配列番号4~9のいずれか1つの前記変異体が、1個のアミノ酸置換を含む、請求項1~45のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項47】
前記アネキシンA1のN末端ペプチドがC末端アミド化されている、請求項1~46のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項48】
前記アネキシンA1のN末端ペプチドが、任意選択でC末端アミド化されているAMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV-NH
2(配列番号8;アネキシンA1 2-48 V24L)である、請求項1~47のいずれかに記載の液体医薬製剤。
【請求項49】
請求項1~48のいずれかに記載の液体医薬製剤を調製するプロセスであって、
a.請求項1~48のいずれかに記載の溶媒とアネキシンA1のN末端ペプチドを混合する工程;
b.任意選択で、工程aの混合物を濾過する工程、及び
c.前記液体医薬製剤のpHを調整する工程
を含むプロセス。
【請求項50】
凍結乾燥医薬製剤を調製するプロセスであって、
a.請求項1~49のいずれかに記載の液体医薬製剤を提供する工程、及び
b.工程aの前記液体を凍結乾燥する工程
を含むプロセス。
【請求項51】
請求項50に記載のプロセスによって得られる凍結乾燥医薬製剤。
【請求項52】
アネキシンA1のN末端ペプチドを含む再構成溶液を作製する方法であって、
a.請求項50~51のいずれか一項に記載の凍結乾燥医薬製剤を提供すること、及び
b.前記凍結乾燥医薬製剤を溶媒に溶解すること
を含む方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法によって得られる再構成溶液。
【請求項54】
医薬として使用するための、請求項1~53のいずれかに記載の液体医薬製剤又は凍結乾燥医薬製剤又は再構成溶液。
【請求項55】
虚血状態及び/又は炎症状態の治療に使用するための、請求項1~54のいずれかに記載の液体医薬製剤又は凍結乾燥医薬製剤又は再構成溶液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、溶解性及び/又は安定性が改善されたアネキシンA1(AnxA1)N末端ペプチドを含む医薬製剤であって、液体製剤;それに由来する凍結乾燥製剤、及び再構成された製剤又は溶液を含む医薬製剤に関する。該液体製剤は、pH>6、又は2<pH<3を有し、治療有効量のアネキシンA1(AnxA1)N末端ペプチド、並びに超純水などの水;並びに本質的に非イオン性又は低イオン性、及び/又は本質的に等張性の溶液であって、任意選択で炭水化物及び/又は糖アルコールなどの等張性調整剤を含む溶液からなる群から選択される溶媒を含む。開示される製剤は、虚血性及び炎症性状態の治療で使用するのに特に有効である。
【背景技術】
【0002】
背景
アネキシンスーパーファミリーは、有意な生物学的及び構造的相同性を有する13種のカルシウム・リン脂質結合タンパク質からなる。アネキシンは、構造的に高度に保存されたコアドメインと可変N末端ドメインに分けられる。アネキシンA1(ANXA1、37kDa-配列番号1)は、血液由来の多形核白血球(PMN)の周辺組織への血管外漏出を阻害する抗炎症性タンパク質である。このタンパク質は、N-ホルミルペプチド受容体(FPR)2又はFPR-L1受容体に結合し、そこで一連のシグナル伝達イベントを開始する。炎症刺激に続いて、血液由来の多形核白血球(PMN)の周囲組織への移行が起こる。PMNの移行又は血管外漏出は、炎症促進性及び抗炎症性プロセスを制御する接着分子、サイトカイン及びプロテアーゼなどのメディエーターによって調節される。PMNの破壊的な能力は高く、潜在的に自己損傷を与える。そのため、PMNの血管外漏出及び炎症反応を制御することが重要である。
【0003】
抗炎症剤としての治療目的のために、完全なアネキシンA1タンパク質は、機能性断片又はその改変バージョンに関して多数の欠点を有する。タンパク質のサイズが大きいと、より小さなポリペプチドを用いて可能になる技術(例えば、経皮又は経粘膜)による送達がより困難になる。眼の炎症を治療するために使用する場合、より小さな分子は角膜上皮をより良好に貫通することができると予想される。また、タンパク質分解に対する感受性は、全てのペプチド医薬品、特に大きなものについて、かつ特に経口送達(多くの患者に好まれる)が企図される場合に、特に懸念される。
【0004】
ポリペプチドのN末端側に顕著な領域を欠くいくつかのアネキシンA1誘導体は、炎症及びメディエーター放出のいくつかのアッセイにおいて顕著な活性を欠くことが示されているが、全長N末端NアセチルアネキシンA1はいくつかの系において生物学的に活性があるとみなされた。主にアネキシンA1タンパク質の特有なN末端部分に由来する多くのペプチドが抗炎症特性を有することが示されている。最も広く研究されているアネキシンA1ペプチドの1つはペプチドAc2-26であり、これは54アミノ酸N末端領域の2番目から26番目のアミノ酸を模倣している。Ac1-188断片(及び天然タンパク質)と同様に、N末端アセチル化を有するため、安定性が高まり、場合によっては半減期が増加する。アネキシンA1及びそのN末端ペプチド(Ac2-26)は、FPR2/リポキシンA4(FPR2/Alx)受容体を介して抗炎症作用の大部分を発揮することが示されている。インビボでは、Ac2-26ペプチドは、心筋虚血再灌流(I/R)、腸間膜I/R、グリコーゲン腹膜炎及びIL1エアポーチのモデルで抗炎症作用を発揮することが示されており、損傷/炎症部位への好中球の動員を大幅に低下させることが報告されている。
【0005】
ペプチドAc2-12及びAc2-6などのAc2-26ペプチドのより短いバージョンも、炎症の急性モデルにおいてある程度の抗炎症作用を誘発することが示されている。プロテアーゼ耐性V24L変異体を含む、アミノ酸残基2~48、2~50及び11~48に対応するポリペプチドなどの抗炎症作用を有するより長いポリペプチドが開示されている(WO 2012/174397)。
【0006】
ペプチド治療薬は自己会合し、凝集及び/又はフィブリル化を引き起こす可能性がある。安定なペプチド製剤を調製するには、天然ペプチドの立体構造を維持する必要がある。安定な製剤及び長期安定性は、生物学的利用能を保持し、ペプチドを機械的ストレスにさらす送達装置(例えば、連続注入システム)において使用することができる効果的な治療組成物の開発において重要である。
【0007】
水溶液中のペプチドの溶解度は、緩衝系の選択、張度プロバイダー並びにペプチドの濃度及び形態(例えば、塩及び他の修飾)を含む多くの要因に大きく依存する。
【0008】
アネキシンA1(AnxA1)N末端ペプチドの治療の可能性を考慮すると、様々な投与経路で投与できる安全で効果的かつ安定な製剤を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
アネキシンA1 2-48 V24L(配列番号8)などのアネキシンA1(AnxA1)N末端ペプチドは、約7.3の中性pHの生理食塩水に溶けにくく、非常に高いフィブリル化傾向を有することが本明細書に示されており、そのため、医薬投与には適していない。溶解性及び安定性に関する問題を克服するために、本発明者らは、フィブリル及び粒子を形成する傾向を低減し、保存中に安定にさせるための任意選択の凍結乾燥中にペプチドを保護するアネキシンA1のN末端ペプチドの安定溶液を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、アネキシンA1のN末端ペプチドが明確なpH依存性フィブリル化プロファイルを示し、試験された任意の溶媒(生理食塩水、超純水及び本質的に非イオン性及び等張の溶液)においてpH6以下では完全に不溶であるという知見に関する。したがって、pHを6以上又は3未満;例えば6.5以上又は2.5未満に維持すること;いくつかの実施形態において、塩の存在を回避することなどによって、生理食塩水を含む本質的に非イオン性又は低イオン強度(例えば1μM~50mM)の溶液を維持すること;かつ任意選択で、本質的に等張な溶液を維持することは、前記アネキシンA1のN末端ペプチドの溶解性及び安定性を著しく、予想外に増加させる。
【0011】
溶解性及び/又は安定性が改善された本明細書に開示される医薬製剤は、治療有効量のアネキシンA1のN末端ペプチド、並びに超純水などの水;並びに本質的に非イオン性又は低イオン性、及び/又は本質的に等張性の溶液であって、任意選択で、炭水化物及び/又は糖アルコールなどの等張性調整剤を含む溶液からなる群から選択される溶媒を含み、前記製剤は、pH>6、又は2<pH<3を維持する。
【0012】
該医薬製剤は、虚血性及び炎症性状態の治療に特に有用である。
【発明の効果】
【0013】
pH>6;又は2<pH<3の液体医薬製剤であって、
a.AMVSEFLKQ AWFIENEEQE YVQTVKSSKG GPGSAVSPYP TFNPSSDVAA LHKA(AnxA1 2-54;配列番号3)、
及びその断片、及びその変異体、及びその断片の変異体からなる群から選択される治療有効量のアネキシンA1(AnxA1)N末端ペプチド;並びに
b.i.超純水などの水;及び
ii.本質的に非イオン性又は低イオン性、及び/又は本質的に等張性の溶液であって、
任意選択で、炭水化物及び/又は糖アルコールなどの等張性調整剤を含む溶液
からなる群から選択される溶媒
を含む液体医薬製剤を提供することが本開示の態様である。
【0014】
一実施形態において、前記アネキシンA1のN末端ペプチドは、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAA(配列番号4;アネキシンA1 2-50)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV(配列番号5;アネキシンA1 2-48)、及び
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSS(配列番号6;アネキシンA1 2-46)
並びに
V24L置換及びC末端アミド化を有する変異体を含む、配列番号4~6のいずれか1つの変異体
からなる群から選択される。
【0015】
本明細書に開示される液体医薬製剤を凍結乾燥することによって得られる凍結乾燥医薬製剤を提供することも本開示の態様である。前記凍結乾燥医薬製剤の再構成溶液も開示される。虚血状態及び/又は炎症状態の治療における使用などの医薬として使用するための、本明細書に開示される液体医薬製剤、及び前記凍結乾燥医薬製剤の再構成溶液も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1:濃度がより低い場合のラグタイムの増加から濃度と安定性の逆の関係を示すThTアッセイの結果。6.4mg/mL、おそらく5.0mg/ml以上では、試料は時間ゼロでフィブリルの形成によってすでに分解されていることが分かる。
【
図2】
図2:pH=8、pH=6、pH=4及びpH=2でのMilli Q(登録商標)水、0.9%NaCl(154mM)中5mg/mLのAnxA1の写真。AI溶液は不透明で、AnxA1の溶解度が限られていることを示す。
【
図3】
図3:3つのペプチド濃度に対するpHの関数としての濃度(A280)。AnxA1の3つの試料を、濃度3.3、1.6及び0.8mg/mLに、pH9で、Milli Q(登録商標)水、0.9%NaCl(154mM)で調製した。pHは0.1MのNaOHの添加により調整し、濃度をUV-VIS分光法を用いて決定した。pH6.0未満では溶解度が非常に低いことがはっきりと分かる。
【
図4】
図4:実施例4の表2に示す結果のグラフ表示。
【
図5】
図5:異なるpH値でのAnxA1を含有する試料の視覚的外観の写真。透明な溶液が7.4以上及び2.6からpH2.0で観察された。
【
図6】
図6:マンニトールを含む場合と含まない場合の、pH2~10のMilli Q(登録商標)水の溶液の視覚的外観の写真。マンニトールを含む場合と含まない場合の両方で、透明な溶液がpH8及び10で観察される。
【
図7】
図7:実施例7の表5に示されているデータのグラフ表示。
【
図8】
図8:0か月(T=0)、1か月(T=1)、2か月(T=2)及び3か月(T=3)の時点で測定を実施した、凍結乾燥製剤を40℃で最大3か月保存した後の再構成溶液中のAnxA1純度。
【
図9】
図9:表9に示す製剤についてThTアッセイを用いて決定したラグタイム(時間)のグラフ表示。張度プロバイダーとは無関係に、分析方法(60時間)でpH8.3ではフィブリル化は観察されなかったが、pH7.5では、35時間後に溶液がフィブリル化する。PBS中の基準溶液及び生理食塩水中の製剤(両方ともpH7.4)と比較すると、張度プロバイダーとして炭水化物を使用することが有利であることも明らかである。
【
図10】
図10:実施例10の実験データの等高線プロット。ThTアッセイにおけるラグタイムに対するpH、AnxA1濃度及びグリシル-グリシン濃度の影響を示す(白いボックスの中に数字で示され、より暗い色はより長いラグタイムを示す)。等高線プロットから、物理的安定性(長いラグタイム)は、すなわち低濃度のグリシル-グリシン、低濃度のAnxA1及び高pHに依存することが分かる。
【
図11】
図11:実施例10の実験データの等高線プロット。ThTアッセイにおけるラグタイムに対するpH、AnxA1濃度及びグリシル-グリシン濃度の影響を示す(白いボックスの中に数字で示され、より暗い色はより長いラグタイムを示す)。等高線プロットから、物理的安定性(長いラグタイム)は、すなわち低濃度のグリシル-グリシン、低濃度のAnxA1及び高pHに依存することが分かる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
単数形の「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「その」には、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象が含まれる。
【0018】
治療の目的のための用語「対象」又は「個体」は、任意の対象を含み、好ましくは虚血性及び炎症性状態の治療を必要としている対象である。対象は典型的には動物であり、より典型的には哺乳動物である。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0019】
「治療有効量」は、無毒であるが、虚血性及び炎症性状態の重症度を治療、予防又は改善するのに十分なアネキシンA1のN末端ペプチドの量を指す。
【0020】
本明細書で使用する場合、「パーセント」、「パーセンテージ」又は記号「%」は、組成物中に存在する担体の量、任意の特定の成分に関して示され、全てが組成物中に存在する担体の量に基づく重量/重量(w/w)、重量/体積(w/v)又は体積/体積(v/v)濃度に基づく、組成物中に示される成分のパーセントを意味する。そのため、異なる種類の担体は、示されるように最大100%の量で存在することができ、これはAPIの存在を排除するものではなく、その量は、%として、又は組成物中に存在する特定のmgの数若しくは存在する特定のmg/mLの数として示すことができ、その%又はmg/mLは、組成物中に存在する全担体の量に基づく。100%の担体を構成するために、特定の種類の担体を組み合わせて存在させることができる。
【0021】
本明細書で使用する「医薬として許容される担体」は、非毒性であるか、又は必要とされる投与量及び濃度でレシピエントに対して治療上の利点を達成することを制限する用量ではない特定の毒性属性を有し、製剤の他の成分と適合性がある。
【0022】
用語「医薬として許容される賦形剤」は、ビヒクル、アジュバント、又は希釈剤又は当技術分野で慣用されているものなどの他の補助物質を含み、これらは、公に容易に利用でき、使用される投薬量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であるか又は許容される毒性を有し、製剤の他の成分と適合性がある。例えば、医薬として許容される補助物質には、pH調整剤や緩衝剤、張度調整剤、安定化剤、抗酸化剤、防腐剤、可溶化剤、湿潤剤などが含まれる。
【0023】
用語「医薬組成物」又は「医薬製剤」は、有効成分(複数可)を含む薬物製品、担体を構成する医薬として許容される賦形剤、及び成分のうちの任意の2以上の組み合わせ、錯化又は凝集から直接的又は間接的に生じる任意の生成物を包含することを意図する。したがって、本開示の医薬組成物は、有効成分、有効成分分散液又は複合物、追加の有効成分(複数可)、及び医薬として許容される賦形剤を混合することによって作製される任意の組成物を包含する。
【0024】
詳細な説明
アネキシンA1 2-48 V24L(配列番号8)などのアネキシンA1のN末端ペプチドは、約7.3の中性pHの生理食塩水に溶けにくいため、医薬品投与には適していない。
【0025】
それに基づいて、様々な投与経路で投与することができる安全で、有効かつ安定な製剤の開発が必要とされている。本開示による製剤は、安定であり、凍結乾燥にも適する液体医薬製剤、及び使用前に十分に長期間保存することができる可能性のある水溶性凍結乾燥医薬製剤の形態で提供される。この水溶性凍結乾燥医薬製剤は、使用前に再構成溶液を取得するための再構成を意図したものである。
【0026】
液体製剤
pH>6;又は2<pH<3の液体医薬製剤などの液体製剤であって、
a.AMVSEFLKQ AWFIENEEQE YVQTVKSSKG GPGSAVSPYP TFNPSSDVAA LHKA(AnxA1 2-54;配列番号3)、及びその断片、及びその変異体、及びその断片の変異体からなる群から選択される治療有効量のアネキシンA1(AnxA1)N末端ペプチドなどのアネキシンA1(AnxA1)N末端ペプチド;並びに
b.i.超純水などの水;及び
ii.本質的に非イオン性又は低イオン性、及び/又は本質的に等張性の溶液であって、任意選択で等張性調整剤を含む溶液
からなる群から選択される溶媒
を含む液体製剤を提供することが態様である。
【0027】
一実施形態において、前記本質的に非イオン性又は低イオン性、及び/又は本質的に等張性の溶液は、炭水化物及び/又は糖アルコールなどの等張性調整剤を含む。
【0028】
「等張性調整剤」は、溶液の張度を調整するために添加される薬剤である。
【0029】
一実施形態において、本開示による液体医薬製剤は、改善された物理的安定性を有する。
【0030】
一実施形態において、本開示によるアネキシンA1のN末端ペプチドを含む液体医薬製剤は、溶解性が改善され、かつ/又は不溶性が低下している。
【0031】
一実施形態において、本開示によるアネキシンA1のN末端ペプチドを含む前記液体医薬製剤は、フィブリルを形成しないなどの、フィブリルを形成する傾向が低下している。
【0032】
一実施形態において、本開示による液体医薬製剤は、本質的にフィブリルを含まない。
【0033】
一実施形態において、本開示による液体医薬製剤は、フィブリル化傾向が低い。一実施形態において、本開示による液体医薬製剤は、フィブリルを形成する可能性が低い。一実施形態において、本開示による液体医薬製剤は、保存の際にフィブリルを形成する可能性が低い。
【0034】
一実施形態において、本開示による液体医薬製剤は、本質的に目に見える粒子を含まない。
【0035】
一実施形態において、本開示による液体医薬製剤は、本質的に目に見える及び/又は顕微鏡でないと見えない粒子を含まない。
【0036】
一実施形態において、本開示による液体医薬製剤は、本質的に目に見える及び/又は顕微鏡でないと見えないタンパク質性粒子を含まない。
【0037】
顕微鏡でないと見えない粒子は、通常、0.1μm~100μmのサイズ範囲にあると定義され、サイズ排除クロマトグラフィーによる測定の上限サイズを超えることがよくあるが、目で容易に検出できるほど十分に大きくはない。そのような粒子は、タンパク質性(凝集体又は他の混入物に吸着したタンパク質)であり得る。
【0038】
一実施形態において、本開示による液体医薬製剤は、本質的に0.1μm以上のタンパク質性粒子を含まない。一実施形態において、本開示による液体医薬製剤は、1μm以上のタンパク質性粒子を本質的に含まない。一実施形態において、本開示による液体医薬製剤は、10μm以上のタンパク質性粒子を本質的に含まない。一実施形態において、本開示による液体医薬製剤は、本質的に100μm以上のタンパク質性粒子を含まない。
【0039】
一実施形態において、本開示による凍結乾燥医薬製剤は、化学的安定性が改善されている。一実施形態において、本開示による凍結乾燥医薬製剤は、不純物の低下、含有量の改善など、純度が改善されている。
【0040】
一実施形態において、本開示によるアネキシンA1のN末端ペプチドを含む液体医薬製剤は、3<pH<6、例えば3<pH<6.5、例えば3<pH<7、例えば3<pH<7.4のpHの液体医薬製剤と比較して;及び/又は
生理食塩水液体医薬製剤と比較して;及び/又は
>50mMのイオン強度を有する溶液と比較して;及び/又は
等張性調整剤を含まない溶液と比較して
a.物理的安定性の改善、
b.溶解性の改善及び/又は不溶性の低下、
c.フィブリルを形成する傾向の低下、
d.化学的安定性の改善、及び/又は
e.純度の改善、及び/又は不純物の低減、及び/又は含有量の改善
を有する。
【0041】
溶液は、2以上の物質で構成される均質な混合物である。そのような混合物において、溶質は、溶媒として知られている別の物質に溶解した物質(ペプチドなど)である。
【0042】
pHは、溶液中の水素イオン活性H+の逆数の10進対数として定義される。典型的には、溶液のpHは温度が変化するにつれて変化する。したがって、一実施形態において、本明細書での特定のpH値への言及は、室温及び/又は周囲温度におけるpH値を示すことを意味する。周囲温度は、温度計によって測定された場合、任意の特定の場所の空気(又は他の媒体及び環境)の実際の温度、又は物体を囲む温度を指す用語である。特定の実施形態において、pHはおおよそ摂氏25度で測定される。
【0043】
pHを規定レベルに維持することは、溶液中のアネキシンA1のN末端ペプチドの安定性に重要な役割を果たす。具体的には、pHを6以上;又は2<pH<3で維持することは、フィブリル化(物理的安定性の低下)を回避するのに不可欠であり、いくつかの実施形態において、本発明者らは、医薬製剤のpHを8~8.5などの約7~9、例えば、約8.3に維持することが有利であることを見出した。典型的なペプチド製剤は、約7~7.8のより中性のpH、又はさらに酸性pHを有する。
【0044】
pH
一実施形態において、本開示の液体医薬製剤は、室温でpH>6;又は2<pH<3を有する。一実施形態において、前記液体医薬製剤は、周囲温度でpH>6;又は2<pH<3を有する。一実施形態において、前記液体医薬製剤は、約25℃でpH>6;又は2<pH<3を有する。
【0045】
一実施形態において、該液体医薬製剤のpHはpH≧6.5である。
【0046】
一実施形態において、該液体医薬製剤のpHは、pH≧6.5、例えばpH≧7.0、例えばpH≧7.5、例えばpH≧8.0である。一実施形態において、該液体医薬製剤のpHはpH≧7.4である。
【0047】
一実施形態において、該液体医薬製剤のpHは、pH≧7.4、例えばpH≧7.5、例えばpH≧7.6、例えばpH≧7.7、例えばpH≧7.8、例えばpH≧7.9、例えばpH≧8.0である。
【0048】
一実施形態において、該液体医薬製剤のpHは、pH≦12、例えばpH≦11.5、例えばpH≦11、pH≦10.5、例えばpH≦10、例えばpH≦9.5、例えばpH≦9、例えばpH≦8.5である。
【0049】
一実施形態において、該液体医薬製剤のpHは、6>pH≦6.5、例えば6.5≧pH≦7、例えば7≧pH≦7.5、例えば7.5≧pH≦8、例えば8≧pH≦8.5、例えば8.5≧pH≦9、例えば9≧pH≦9.5、例えば9.5≧pH≦10、例えば10≧pH≦10.5、例えば10.5≧pH≦11、例えば11≧pH≦11.5、例えば11.5≧pH≦12である。
【0050】
一実施形態において、該液体医薬製剤のpHは、7.0≧pH≦7.5、例えば7.5≧pH≦8、例えば8≧pH≦8.5、例えば8.5≧pH≦9、例えば9≧pH≦9.5、例えば9.5≧pH≦10、例えば10≧pH≦10.5である。
【0051】
一実施形態において、該液体医薬製剤のpHは、7.0≧pH≦7.5、例えば7.5≧pH≦8、例えば8≧pH≦8.5、例えば8.5≧pH≦9、例えば9≧pH≦9.5である。
【0052】
一実施形態において、該液体医薬製剤のpHは、例えば7.5≧pH≦8、例えば8≧pH≦8.5、例えば8.5≧pH≦9である。
【0053】
一実施形態において、該液体医薬製剤のpHは、8≧pH≦8.5、例えば8.5≧pH≦9である。一実施形態において、該液体医薬製剤のpHは8≧pH≦8.5である。
【0054】
一実施形態において、該液体医薬製剤のpHは、(約)7.4、例えば7.5、例えば7.6、例えば7.7、例えば7.8、例えば7.9、例えば8.0、例えば8.1、例えば8.2、例えば8.3、例えば8.3、例えば8.4、例えば8.5、例えば8.6、例えば8.7、例えば8.8、例えば8.9、例えば9.0である。
【0055】
一実施形態において、該液体医薬製剤のpHは8≧pH≦8.5である。
【0056】
一実施形態において、該液体医薬製剤のpHは、約8.3である。
【0057】
一実施形態において、該液体医薬製剤のpHは、2<pH<3である。
【0058】
一実施形態において、該液体医薬製剤のpHは、2<pH<2.6である。
【0059】
一実施形態において、該液体医薬製剤のpHは、pH≦3.0、例えばpH≦2.5、例えば約2.5のpHである。
【0060】
一実施形態において、該液体医薬製剤のpHはpH≧8;又は2<pH<2.6である。
【0061】
溶解度/濃度
一実施形態において、アネキシンA1のN末端ペプチドは、pH>6、例えばpH≧6.5、例えば6>pH≦6.5、例えば6.5≧pH≦7、例えば7≧pH≦7.5、例えば7.5≧pH≦8、例えば8≧pH≦8.5、例えば8.5≧pH≦9、例えば9≧pH≦9.5、例えば9.5≧pH≦10で、少なくとも1.0mg/ml、例えば少なくとも1.5mg/mlなど、例えば少なくとも2.0mg/ml、例えば少なくとも2.5mg/ml、例えば少なくとも3.0mg/ml、例えば少なくとも3.5mg/ml、例えば少なくとも4.0mg/ml、例えば少なくとも5.5mg/ml、例えば少なくとも5.0mg/ml、例えば少なくとも7.5mg/ml、例えば少なくとも10.0mg/mlの水性溶解度を有する。
【0062】
一実施形態において、アネキシンA1のN末端ペプチドは、少なくとも0.1mg/ml、例えば少なくとも0.5mg/ml、1.0mg/ml、例えば少なくとも1.5mg/ml、例えば少なくとも2.0mg/ml、例えば少なくとも2.5mg/ml、例えば少なくとも3.0mg/ml、例えば少なくとも3.5mg/ml、例えば少なくとも4.0mg/ml、例えば少なくとも5.5mg/ml、例えば少なくとも5.0mg/ml、例えば少なくとも7.5mg/ml、例えば少なくとも10.0mg/mlの水性溶解度を有する。
【0063】
一実施形態において、アネキシンA1のN末端ペプチドは、少なくとも0.8mg/ml、例えば少なくとも1mg/ml、例えば少なくとも1.6、例えば少なくとも2、例えば少なくとも2.5、例えば少なくとも3、例えば少なくとも3.3、例えば少なくとも3.5mg/mlの水性溶解度を有する。
【0064】
一実施形態において、該液体医薬製剤は、0.1~50mg/mlの濃度、例えば0.1~0.5mg/ml、例えば0.5~1、例えば1~2、例えば2~3、例えば3~4、例えば4~5、例えば5~6、例えば6~7、例えば7~8、例えば8~9、例えば9~10、例えば10~11、例えば11~12、例えば12~13、例えば13~14、例えば14~15、例えば15~16、例えば16~17、例えば17~18、例えば18~19、例えば19~20mg/ml、例えば20~21、例えば21~22、例えば22~23、例えば23~24、例えば24~25、例えば25~26、例えば26~27、例えば27~28、例えば28~29、例えば29~30mg/ml、例えば30~31、例えば31~32、例えば32~33、例えば33~34、例えば34~35、例えば35~36、例えば36~37、例えば37~38、例えば38~39、例えば39~40mg/ml、例えば40~41、例えば41~42、例えば42~43、例えば43~44、例えば44~45、例えば45~46、例えば46~47、例えば47~48、例えば48~49、例えば49~50mg/mlの濃度で前記アネキシンA1のN末端ペプチドを含む。
【0065】
一実施形態において、該液体医薬製剤は、少なくとも0.1mg/ml、例えば少なくとも0.5mg/ml、例えば1.0mg/ml、例えば少なくとも1.5mg/ml、例えば少なくとも2.0mg/ml、例えば少なくとも2.2mg/ml、例えば少なくとも2.5mg/ml、例えば少なくとも3.0mg/ml、例えば少なくとも3.5mg/ml、例えば少なくとも4.0mg/ml、例えば少なくとも4.5mg/ml、例えば少なくとも5.0mg/mlの濃度で前記アネキシンA1のN末端ペプチドを含む。
【0066】
一実施形態において、該液体医薬製剤は、少なくとも0.8mg/ml、例えば少なくとも1mg/ml、例えば少なくとも1.6、例えば少なくとも2、例えば少なくとも2.5、例えば少なくとも3、例えば少なくとも3.3、例えば少なくとも3.5mg/mlの濃度で前記アネキシンA1のN末端ペプチドを含む。
【0067】
一実施形態において、該液体医薬製剤は、pH>6を有し、アネキシンA1のN末端ペプチドは、少なくとも0.8mg/ml、例えば少なくとも1mg/ml、例えば少なくとも1.6、例えば少なくとも2、例えば少なくとも2.5、例えば少なくとも3、例えば少なくとも3.3、例えば少なくとも3.5mg/mlの水性溶解度を有し、かつ/又は前記製剤は、少なくとも0.8mg/ml、例えば少なくとも1mg/ml、例えば少なくとも1.6、例えば少なくとも2、例えば少なくとも2.5、例えば少なくとも3、例えば少なくとも3.3、例えば少なくとも3.5mg/mlの前記アネキシンA1のN末端ペプチドの濃度を有する。
【0068】
一実施形態において、該液体医薬製剤は、pH≧7.4、例えばpH≧8.0、例えば≧8.3を有し、アネキシンA1のN末端ペプチドは、少なくとも4.0mg/ml、例えば少なくとも4.5mg/ml、例えば少なくとも5.0mg/ml、例えば少なくとも6.0mg/ml、例えば少なくとも7.0mg/ml、例えば少なくとも8.0mg/ml、例えば少なくとも9.0mg/ml、例えば少なくとも10.0mg/ml、例えば少なくとも15.0mg/mlの水性溶解度を有し、かつ/又は前記製剤は、少なくとも4.0mg/ml、例えば少なくとも4.5mg/ml、例えば少なくとも5.0mg/ml、例えば少なくとも6.0mg/ml、例えば少なくとも7.0mg/ml、例えば少なくとも8.0mg/ml、例えば少なくとも9.0mg/ml、例えば少なくとも10.0mg/ml、例えば少なくとも15.0mg/mlの前記アネキシンA1のN末端ペプチドの濃度を有する。
【0069】
溶媒
該液体医薬製剤は溶媒を含む。一実施形態において、前記溶媒は、超純水などの水である。
【0070】
超純水(UPW)、高純度水又は高純度水(HPW)は、厳しい仕様まで精製された水であり、有機及び無機化合物;溶解した粒状物質;揮発性及び不揮発性、反応性及び不活性;親水性及び疎水性;並びに溶解した気体を含む全ての混入物の種類について最高レベルの純度を有する。
【0071】
液体医薬製剤は溶媒を含み、その溶媒は生理食塩水ではないことが好ましい。一実施形態において、該液体医薬製剤は、非生理食塩水溶媒を含む。
【0072】
好ましい実施形態において、溶媒は塩をほとんど又は基本的に含まない。
【0073】
一実施形態において、前記溶媒は、本質的に非イオン性、又は低イオン性である。一実施形態において、前記溶媒は低いイオン強度を有する。一実施形態において、本明細書での「本質的に非イオン性」及び「低イオン性」への言及は、低いイオン強度を有する溶媒を指すことを意味する。
【0074】
溶液のイオン強度は、その溶液中のイオン濃度の尺度である。イオン性化合物は、水に溶解するとイオンに解離する。溶存イオンを有する溶液の主な特徴の1つは、イオン強度である。イオン強度は、モル濃度(mol/L溶液)又は重量モル濃度(mol/kg溶媒)であり得る。溶液のモルイオン強度Iは、その溶液中に存在する全てのイオンの濃度の関数である。
【0075】
一実施形態において、溶媒は、1μM~50mMのイオン強度を有する。
【0076】
一実施形態において、溶媒は、1μM~50mM、例えば1μM~5μM、例えば5~10μM、例えば10~25μM、例えば25~50μM、例えば50~75μM、例えば75~100μM、例えば100~200μM、例えば200~300μM、例えば300~400μM、例えば400~500μM、例えば500~750μM、例えば750~1000μM(1mM)、例えば1mM~2mM、例えば2~3mM、例えば3~4mM、例えば4~5mM、例えば5~10mM、例えば10~20mM、例えば20~30mM、例えば30~40mM、例えば40~50mMのイオン強度を有する。
【0077】
一実施形態において、前記溶媒は本質的に等張液である。一実施形態において、前記溶液は、100%±100%の張度を有する。一実施形態において、前記溶媒は、100%±100%の張度を有する溶液である。
【0078】
等張性とは、等しい張力を有すること;同じ浸透圧又は張度を保有する溶液を示すこと;より具体的には、真核細胞が膨張も収縮もしない(半透性細胞膜を横切る正味の水の流れがない)溶液に限定されることを意味する。そのため、細胞内液と等張性である溶液は、細胞膜を自由に透過する尿素などの溶質を含む場合には、等張性ではない。
【0079】
等張液は、100%、又は約300mOsmの張度を有するものとして定義することができる。
【0080】
一実施形態において、前記溶液は、約100%の張度、例えば100%±100%の張度、例えば0.1%~200%の張度;例えば80~85%、例えば85~90%、例えば90~95%、例えば95~100%、例えば100~105%、例えば105~110%、例えば110~115%、例えば115~120%の張度を有する。
【0081】
一実施形態において、前記溶液は、100%±20%の張度、例えば80%~120%の張度;例えば80~85%、例えば85~90%、例えば90~95%、例えば95~100%、例えば100~105%、例えば105~110%、例えば110~115%、例えば115~120%の張度を有する。
【0082】
100%±20%の張度は規制目的に許容されるが、100%±100%の張度は正当化されて許容される。
【0083】
一実施形態において、前記溶液は、0~20%高張性、例えば0~5%、例えば5~10%、例えば10~15%、例えば15~20%高張性である。
【0084】
一実施形態において、前記溶液は、0~20%低張性、例えば0~5%、例えば5~10%、例えば10~15%、例えば15~20%低張性である。
【0085】
一実施形態において、前記溶媒は等張性調整剤を含む。一実施形態において、前記溶媒は、等張性調整剤を含む本質的に等張の溶液である。
【0086】
一実施形態において、前記等張性調整剤は、炭水化物及び糖アルコールからなる群から選択される。
【0087】
糖アルコールと炭水化物は、その骨格において同じ特徴、すなわち、-CHOH-CHOH-を共有している。糖アルコールには、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、及びポリエチレングリコール(PEG)などの化合物が含まれる。これらの化合物は直鎖分子である。一方で、スクロース、マンノース、リボース、トレハロース、マルトース、グリセロール、イノシトール、グルコース及びラクトースなどの炭水化物は、ケト又はアルデヒド基を含み得る環状分子である。これらの2つのクラスの化合物は、高温及び凍結融解又は凍結乾燥プロセスによって引き起こされる変性に対してタンパク質を安定化させるのに効果的である。
【0088】
一実施形態において、前記等張性調整剤は、炭水化物、糖アルコール、及び炭水化物と糖アルコールの組み合わせからなる群から選択される。
【0089】
一実施形態において、前記溶媒は炭水化物等張性調整剤を含む。
【0090】
一実施形態において、前記溶媒は、糖アルコール等張性調整剤を含む。
【0091】
一実施形態において、前記溶媒は、炭水化物及び糖アルコールの等張性調整剤を含む。
【0092】
一実施形態において、前記糖アルコールは、凍結乾燥にそれほど有用ではないため、液体糖アルコールではない。一実施形態において、前記糖アルコールは、凍結乾燥に必要な条件で固体である糖アルコールなどの固体糖アルコールである。
【0093】
一実施形態において、前記等張性調整剤は、ペントース単糖、ヘキソース単糖、二糖及び三糖からなる群から選択される。
【0094】
一実施形態において、前記溶液は、1以上のペントース単糖(MW150,13)を含む。
【0095】
一実施形態において、前記溶液は、約4.5%(等張)の総重量百分率(w/v)を有する1以上のペントース単糖を含む。
【0096】
一実施形態において、前記溶液は、0.1~9%、例えば0.1~0.5、例えば0.5~1.0、例えば1.5~2.0、例えば1.5~2.0、例えば2.0~2.5、例えば2.5~3.0、例えば3.0~3.5、例えば3.5~4.0、例えば4.0~4.5、例えば4.5~5.0、例えば5.0~5.5、例えば5.5~6.0、例えば6.0~6.5、例えば7.0~7.5、例えば7.5~8.0、例えば8.0~8.5、例えば8.5~9.0%(w/v)の総重量百分率(w/v)を有する1以上のペントース単糖を含む。
【0097】
一実施形態において、前記溶液は、3.6~5.4%;例えば3.6~3.8、例えば3.8~4.0、例えば4.0~4.2、例えば4.2~4.4、例えば4.4~4.6、例えば4.6~4.8、例えば4.8~5.0、例えば5.0~5.2%(w/v)の総重量百分率(w/v)を有する1以上のペントース単糖を含む。
【0098】
一実施形態において、前記溶液は、1以上のヘキソース単糖(MW182,17)を含む。
【0099】
一実施形態において、前記溶液は、約5.5%(等張)の総重量百分率(w/v)を有する1以上のヘキソース単糖を含む。
【0100】
一実施形態において、前記溶液は、0.1~10.9%、例えば0.1~0.5、例えば0.5~1.0、例えば1.5~2.0、例えば1.5~2.0、例えば2.0~2.5、例えば2.5~3.0、例えば3.0~3.5、例えば3.5~4.0、例えば4.0~4.5、例えば4.5~5.0、例えば5.0~5.5、例えば5.5~6.0、例えば6.0~6.5、例えば7.0~7.5、例えば7.5~8.0、例えば8.0~8.5、例えば8.5~9.0%、例えば9.0~9.5、例えば9.5~10.0%、例えば10.0~10.5、例えば10.5~10.9%(w/v)の総重量百分率(w/v)を有する1以上のヘキソース単糖を含む。
【0101】
一実施形態において、前記溶液は、4.4~6.6%、例えば4.4~4.6%、例えば4.6~4.8、例えば4.8~5.0、例えば5.0~5.2、例えば5.2~5.4、例えば5.4~5.6、例えば5.6~5.8、例えば5.8~6.0、例えば6.0~6.2%、例えば6.2~6.4%、例えば6.4~6.6%(w/v)の総重量百分率(w/v)を有する1以上のヘキソース単糖を含む。
【0102】
一実施形態において、前記溶液は、1以上の二糖類(342,3)を含む。
【0103】
一実施形態において、前記溶液は、約10.3%(等張)の総重量百分率(w/v)を有する1以上の二糖を含む。
【0104】
一実施形態において、前記溶液は、0.1~20.5%、例えば0.1~1、例えば1~2、例えば2~3、例えば3~4、例えば4~5、例えば5~6、例えば6~7、例えば7~8、例えば8~9、例えば9~10、例えば10~11、例えば11~12、例えば12~13、例えば13~14、例えば14~15、例えば15~16、例えば16~17、例えば17~18、例えば18~19、例えば19~20、例えば20~20.5%(w/v)の総重量百分率(w/v)を有する1以上の二糖を含む。
【0105】
一実施形態において、前記溶液は、8.2~12.3%、例えば8.2~8.5、例えば8.5~9、例えば9~9.5、例えば9.5~10、例えば10~10.5、例えば10.5~11、例えば11~11.5、例えば11.5~12、例えば12~12.3%(w/v)の総重量百分率(w/v)を有する1以上の二糖を含む。
【0106】
一実施形態において、前記溶液は、1以上の三糖(MW504,42)を含む。
【0107】
一実施形態において、前記溶液は、約15.1%(等張)の総重量百分率(w/v)を有する1以上の三糖を含む。
【0108】
一実施形態において、前記溶液は、0.1~30.3%、例えば0.1~1、例えば1~2、例えば2~3、例えば3~4、例えば4~5、例えば5~6、例えば6~7、例えば7~8、例えば8~9、例えば9~10、例えば10~11、例えば11~12、例えば12~13、例えば13~14、例えば14~15、例えば15~16、例えば16~17、例えば17~18、例えば18~19、例えば19~20、例えば20~21、例えば21~22、例えば22~23、例えば23~24、例えば24~25、例えば25~26、例えば26~27、例えば27~28、例えば28~29、例えば29~30、例えば30~30.3%(w/v)の総重量百分率(w/v)を有する1以上の三糖を含む。
【0109】
一実施形態において、前記溶液は、12.1~18.2%、例えば12.1~12.5、例えば12.5~13、例えば13~13.5、例えば13.5~14、例えば14~14.5、例えば14.5~15、例えば15~15.5、例えば15.5~16、例えば16~16.5、例えば16.5~17、例えば17.5~18、例えば18~18.2%(w/v)の総重量百分率(w/v)を有する1以上の三糖を含む。
【0110】
一実施形態において、前記炭水化物等張性調整剤は、スクロース、トレハロース、マンノース、リボース、マルトース、グルコース、ラクトース、ガラクトース及びアラビノースからなる群から選択される。
【0111】
一実施形態において、前記糖アルコール等張性調整剤は、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、グリセロール、キシリトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレン/エチレングリコール共重合体からなる群から選択される。
【0112】
特定の実施形態において、前記溶液はスクロース又はトレハロースを含む。
【0113】
特定の実施形態において、前記溶液はスクロースを含む。スクロースは、化学的安定性を提供するのに効率的であることが本明細書に示される。一実施形態において、該溶液は約10%(w/v)スクロースを含む。一実施形態において、該溶液は、8~12%(w/v)スクロース、例えば8~9、例えば9~10、例えば10~11、例えば11~12%(w/v)スクロースを含む。一実施形態において、該溶液は約1%(w/v)スクロースを含む。一実施形態において、該溶液は、1~5%(w/v)スクロース、例えば1~2、例えば2~3、例えば3~4、例えば4~5(w/v)スクロースを含む。
【0114】
一実施形態において、該溶液は、0~20%(w/v)スクロース、例えば0.1~1、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、8~9、9~10、10~11、11~12、12~13、13~14、14~15、15~16、16~17、17~18、18~19、19~20%(w/v)スクロースを含む。
【0115】
特定の実施形態において、前記溶液はマンニトールを含む。一実施形態において、該溶媒は約5%(w/v)マンニトールを含む。一実施形態において、該溶液は、4~6%(w/v)マンニトール、例えば4~6%(w/v)マンニトール、例えば4~4.5、例えば4.5~5、例えば5~5.5、例えば5.5~6%のマンニトールを含む。一実施形態において、該溶媒は約4%(w/v)マンニトールを含む。一実施形態において、該溶液は、3~5%(w/v)マンニトール、例えば3~5%(w/v)マンニトール、例えば3~3.5、例えば3.5~4、例えば4~4.5、例えば4.5~4%のマンニトールを含む。
【0116】
一実施形態において、該溶液は、0~10%(w/v)マンニトール、例えば0.1~1、例えば1~2、例えば2~3、例えば3~4、例えば4~5、例えば5~6、例えば6~7、例えば7~8、例えば8~9、例えば9~10%(w/v)マンニトールを含む。
【0117】
一実施形態において、前記溶液は、マンニトール、及びスクロース又はトレハロースを含む。
【0118】
一実施形態において、前記溶液は、マンニトール及びスクロースを含む。
【0119】
一実施形態において、該溶液は、0~20%(w/v)スクロース、例えば0.1~1、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、8~9、9~10、10~11、11~12、12~13、13~14、14~15、15~16、16~17、17~18、18~19、19~20%(w/v)スクロースを含み、0~10%(w/v)マンニトール、例えば0.1~1、例えば1~2、例えば2~3、例えば3~4、例えば4~5、例えば5~6、例えば6~7、例えば7~8、例えば8~9、例えば9~10%(w/v)マンニトールを含む。
【0120】
一実施形態において、前記溶液は約4%(w/v)マンニトール及び約2.5%スクロースを含む。
【0121】
一実施形態において、前記溶液は、3~5%(w/v)マンニトール及び2~3%(w/v)スクロースを含む。
【0122】
一実施形態において、前記溶液は約4%(w/v)マンニトール及び約1%スクロースを含む。
【0123】
一実施形態において、前記溶液は、3~5%(w/v)マンニトール及び0.5~2%スクロースを含む。
【0124】
一実施形態において、前記溶液は、0~8%(w/v)マンニトール及び0~5%(w/v)スクロースを含む。一実施形態において、前記溶液は、0~8%(w/v)マンニトール、例えば0~1、例えば1~2、例えば2~3、例えば3~4、例えば4~5、例えば5~6、例えば6~7、例えば7~8%(w/v)マンニトール;及び0~5%(w/v)スクロース、例えば0~1、例えば1~2、例えば2~3、例えば3~4、例えば4~5(w/v)スクロースを含む。
【0125】
特定の実施形態において、前記等張性調整剤は、凍結乾燥中の化学的分解に対してペプチドを保護する。炭水化物はこの目的に非常に適していることが観察される。一実施形態において、該液体医薬製剤は、例えば、凍結乾燥中にペプチドを保護する1以上の炭水化物、例えば化学的安定性を改善する1以上の炭水化物を含む。
【0126】
一実施形態において、該液体医薬製剤は、スクロース及びトレハロースからなる群から選択される1以上の炭水化物を含む。一実施形態において、該液体医薬製剤はスクロースを含む。
【0127】
pH>6、又は2<pH<3の液体医薬製剤であって、
a.AMVSEFLKQ AWFIENEEQE YVQTVKSSKG GPGSAVSPYP TFNPSSDVAA LHKA(AnxA1 2-54;配列番号3)、及びその断片、及びその変異体、及びその断片の変異体からなる群から選択される治療有効量のアネキシンA1(AnxA1)N末端ペプチド;並びに
b.i.超純水などの水;及び
ii.本質的に非イオン性又は低イオン性、及び/又は本質的に等張性の溶液であって、
任意選択で、炭水化物及び/又は糖アルコールなどの等張性調整剤を含む溶液;
及び緩衝液
からなる群から選択される溶媒
を含む製剤も開示される。
【0128】
一実施形態において、該液体医薬製剤は、緩衝液などの1以上の緩衝液を含む。
【0129】
緩衝液の選択は、pHに影響を与えるため、ペプチド製剤の安定性にも部分的に影響を与え得る。本開示で使用される緩衝液は、好ましくは、6を超える、例えば7を超える、例えば8を超える緩衝能を提供する。アルカリ範囲の医薬として許容される緩衝液はほとんどなく、ペプチド製剤に通常使用されるリン酸緩衝液はpHを8以上に維持できない。
【0130】
一実施形態において、前記緩衝液は、液体製剤のpHを安定化させるのに役立つ。pHは、AnxA1のN末端ペプチドの物理的安定性にとって重要である。
【0131】
一実施形態において、該液体医薬製剤は、酢酸緩衝液、TRIS、アミン含有緩衝液、リジン、ヒドロキシリジン、ヒスチジン及びグリシル-グリシンなどのアミノ酸ベースの緩衝液、非リン酸緩衝液、重炭酸緩衝液、ポリソルベート80(例えば、Tween80)、HEPES及びホウ酸塩からなる群から選択される1以上の緩衝液を含む。
【0132】
一実施形態において、該液体医薬製剤には、グリシル-グリシンを含む。一実施形態において、該液体医薬製剤はTween20を含む。一実施形態において、該液体医薬製剤はグリシル-グリシン及びTween20を含む。一実施形態において、該液体医薬製剤は、1~20mMグリシル-グリシン及び0.001~0.1%のTween20を含む。一実施形態において、該液体医薬製剤は、10mMグリシル-グリシン及び0.01%のTween20を含む。一実施形態において、該液体医薬製剤はヒスチジンを含む。
【0133】
一実施形態において、該液体医薬製剤は、保存剤をさらに含む。一実施形態において、前記保存剤は、mクレゾール、ベンジルアルコール、メチル、エチル、プロピルパラベン、ブチルパラベン、メチルパラベン、及びフェノールからなる群から選択される。
【0134】
液体製剤の調製
本明細書上記で定義した液体医薬製剤を調製するプロセスであって、
a.i.超純水などの水;及び
ii.本質的に非イオン性又は低イオン性、及び/又は本質的に等張性の溶液であって、
任意選択で、炭水化物及び/又は糖アルコールなどの等張性調整剤を含む溶液
からなる群から選択される溶媒と、本明細書上記で定義したアネキシンA1のN末端ペプチドとを混合する工程;
b.任意選択で、工程aの混合物を濾過する工程、並びに
c.前記液体医薬製剤のpHをpH<6;又は2<pH<3に調整する工程
を含むプロセスを提供することも本開示の態様である。
【0135】
一実施形態において、前記液体医薬製剤のpHは、6>pH≦6.5、例えば6.5≧pH≦7、例えば7≧pH≦7.5、例えば7.5≧pH≦8、例えば8≧pH≦8.5、例えば8.5≧pH≦9、例えば9≧pH≦9.5、例えば9.5≧pH≦10、例えば10≧pH≦10.5、例えば10.5≧pH≦11、例えば11≧pH≦11.5、例えば11.5≧pH≦12に調整される。
【0136】
一実施形態において、前記液体医薬製剤のpHは、≧7.4に調整される。一実施形態において、前記液体医薬製剤のpHは、≧7.5、例えば≧8、例えば≧8.5、例えば≧9に調整される。
【0137】
一実施形態において、前記液体医薬製剤のpHは、2<pH<3、例えばpH≦3.0、例えばpH≦2.5、例えば約2.5のpHに調整される。
【0138】
一実施形態において、該プロセスは、前記アネキシンA1のN末端ペプチドを少なくとも0.1mg/ml、例えば少なくとも0.5mg/ml、例えば少なくとも1.0mg/ml、例えば少なくとも1.5mg/ml、例えば少なくとも2.0mg/ml、例えば少なくとも2.5mg/ml、例えば少なくとも3.0mg/ml、例えば少なくとも3.5mg/ml、例えば少なくとも4.0mg/ml、例えば少なくとも5.5mg/ml、例えば少なくとも5.0mg/ml、例えば少なくとも7.5mg/ml、例えば少なくとも10.0mg/mlの濃度で混合することを含む。
【0139】
一実施形態において、該プロセスは、前記アネキシンA1のN末端ペプチドを0.1~50mg/mlの濃度;例えば0.1~0.5mg/ml、例えば0.5~1mg/ml、例えば1~2mg/ml、例えば2~3、例えば3~4、例えば4~5、例えば5~6、例えば6~7、例えば7~8、例えば8~9、例えば9~10、例えば10~11、例えば11~12、例えば12~13、例えば13~14、例えば14~15、例えば15~16、例えば16~17、例えば17~18、例えば18~19、例えば19~20mg/ml、例えば20~21、例えば21~22、例えば22~23、例えば23~24、例えば24~25、例えば25~26、例えば26~27、例えば27~28、例えば28~29、例えば29~30mg/ml、例えば30~31、例えば31~32、例えば32~33、例えば33~34、例えば34~35、例えば35~36、例えば36~37、例えば37~38、例えば38~39、例えば39~40mg/ml、例えば40~41、例えば41~42、例えば42~43、例えば43~44、例えば44~45、例えば45~46、例えば46~47、例えば47~48、例えば48~49、例えば49~50mg/mlの濃度で混合することを含む。
【0140】
凍結乾燥製剤
一実施形態において、本開示による液体医薬製剤は、凍結乾燥(lyophilise)、又は凍結乾燥(freeze-dry)される。凍結乾燥は、材料を保護し、貯蔵寿命を延長し、かつ/又は材料の輸送をより便利にするために通常使用される水分除去プロセスである。凍結乾燥は、高真空(低圧)下での凍結製品の急速凍結及び脱水によって機能する。
【0141】
一実施形態において、本開示による液体医薬製剤は凍結乾燥される。
【0142】
一実施形態において、本明細書に開示されるような、安定、例えば貯蔵安定である凍結乾燥医薬製剤が提供される。
【0143】
一実施形態において、該ペプチドは、安定、例えば貯蔵安定である凍結乾燥医薬製剤を取得するために凍結乾燥中の化学的分解から保護される。
【0144】
凍結乾燥医薬製剤を調製するプロセスを提供することが本開示の一態様であり、前記方法は、
a.pH>6;又は2<pH<3の液体医薬製剤であって、AMVSEFLKQ AWFIENEEQE YVQTVKSSKG GPGSAVSPYP TFNPSSDVAA LHKA(AnxA1 2-54;配列番号3)、
及びその断片、及びその変異体、及びその断片の変異体からなる群から選択される治療有効量のアネキシンA1のN末端ペプチド;並びに
i.超純水などの水;及び
ii.本質的に非イオン性又は低イオン性、及び/又は本質的に等張性の溶液であって、
任意選択で炭水化物及び/又は糖アルコールなどの等張性調整剤を含む溶液;
からなる群から選択される溶媒;
並びに任意選択で緩衝液
を含む液体医薬製剤を提供する工程;並びに
b.工程aの前記液体医薬製剤を凍結乾燥する工程
を含む。
【0145】
一実施形態において、凍結乾燥医薬製剤を調製するプロセスが提供され、前記方法は、
a.本明細書上記で定義した液体医薬製剤の凍結の工程、
b.減圧及び加熱を含む一次乾燥(昇華段階)の工程、並びに
c.二次乾燥(脱離段階)の工程
を含む。
【0146】
本開示による液体医薬製剤を提供し、前記液体医薬製剤を凍結乾燥するプロセスによって得られる凍結乾燥医薬製剤を提供することも本開示の一態様である。
【0147】
一実施形態において、凍結乾燥医薬製剤であって、
a.pH>6;又は2<pH<3の液体医薬製剤であって、AMVSEFLKQ AWFIENEEQE YVQTVKSSKG GPGSAVSPYP TFNPSSDVAA LHKA(AnxA1 2-54;配列番号3)、
及びその断片、及びその変異体、及びその断片の変異体からなる群から選択される治療有効量のアネキシンA1のN末端ペプチド;並びに
i.超純水などの水;及び
ii.本質的に非イオン性又は低イオン性、及び/又は本質的に等張性の溶液であって、任意選択で炭水化物及び/又は糖アルコールなどの等張性調整剤からなる群から選択される溶媒;並びに任意選択で緩衝液を含む溶液
を含む液体医薬製剤を提供するプロセス;並びに
b.工程aの前記液体医薬製剤を凍結乾燥するプロセス
によって得られる凍結乾燥医薬製剤が提供される。
【0148】
一実施形態において、前記凍結乾燥医薬製剤は、保存中に安定、例えば貯蔵安定である。
【0149】
再構成液体製剤/溶液
アネキシンA1のN末端ペプチドを含む再構成溶液を作製する方法であって、
a.本開示による凍結乾燥医薬製剤を提供すること、及び
b.前記凍結乾燥医薬製剤を溶媒に溶解すること
を含む方法を提供することが本開示のさらなる態様である。
【0150】
一実施態様において、得られる溶液は、pH>6;又は2<pH<3を有する。一実施形態において、前記溶液は、6>pH≦6.5、例えば6.5≧pH≦7、例えば7≧pH≦7.5、例えば7.5≧pH≦8、例えば8≧pH≦8.5、例えば8.5≧pH≦9、例えば9≧pH≦9.5、例えば9.5≧pH≦10、例えば10≧pH≦10.5、例えば10.5≧pH≦11、例えば11≧pH≦11.5、例えば11.5≧pH≦12のpHを有する。一実施形態において、前記溶液は、2<pH<3、例えばpH≦3.0、例えばpH≦2.5、例えば約2.5のpHを有する。
【0151】
一実施形態において、前記溶媒は、
a.超純水などの水;及び
b.本質的に非イオン性又は低イオン性、及び/又は本質的に等張性の溶液であって、任意選択で炭水化物及び/又は糖アルコールなどの等張性調整剤を含む溶液
からなる群から選択される。
【0152】
特定の実施形態において、前記溶媒は、超純水などの水である。
【0153】
一実施形態において、該溶媒は、pH>6;又は2<pH<3を有する。一実施形態において、前記溶媒は、6>pH≦6.5、例えば6.5≧pH≦7、例えば7≧pH≦7.5、例えば7.5≧pH≦8、例えば8≧pH≦8.5、例えば8.5≧pH≦9、例えば9≧pH≦9.5、例えば9.5≧pH≦10、例えば10≧pH≦10.5、例えば10.5≧pH≦11、例えば11≧pH≦11.5、例えば11.5≧pH≦12のpHを有する。一実施形態において、前記溶液は、2<pH<3、例えばpH≦3.0、例えばpH≦2.5、例えば約2.5のpHを有する。
【0154】
本明細書に開示されるアネキシンA1のN末端ペプチドを含む再構成溶液を作製する方法によって得られる再構成溶液も開示する。
【0155】
アネキシンA1のN末端ペプチド
細胞表面では、アネキシンA1(AnxA1)タンパク質が細胞外液にさらされ、カルシウムの存在下で構造再編成が行われ、その結果、タンパク質のコア領域(約280アミノ酸長)を介してリン脂質と相互作用し、N末端領域(約50アミノ酸長)が露出する。この立体構造の変化は、AnxA1のN末端と特異的受容体との相互作用をもたらすと考えられている。AnxA1のN末端は、アミノ酸1~54(配列番号2)を含む。
【0156】
カウンターリガンドとの相互作用をもたらすタンパク質のファルマコフォアを表すことに加えて、N末端は高度に調節された領域でもある。特定の細胞型での分泌の前提条件である特異的チロシン又はセリン部位でリン酸化を受けるか、又はセリンプロテアーゼによって切断することができる。多くのプロテアーゼがAnxA1のN末端領域内の特異的部位で切断することが示されており、このプロセスはインビトロのアーティファクトではないが、生物学的に重要であると考えられる。
【0157】
ヒト組換えAnxA1とN末端ペプチドAc2-26はいずれも、様々な実験モデルにおいて抗炎症作用及び分解促進作用を発揮する。
【0158】
主にアネキシンA1タンパク質の特有のN末端部分に由来する多くのペプチドが、抗炎症特性を保有することが示されている。
【0159】
本明細書で定義されるアネキシンA1のN末端ペプチドは、その任意の短い断片、その任意の変異体、並びに前記短い断片の任意の変異体を含むアミノ酸配列AMVSEFLKQ AWFIENEEQE YVQTVKSSKG GPGSAVSPYP TFNPSSDVAA LHKA(AnxA1 2-54;配列番号3)を含むか又はそれからなるペプチドである。
【0160】
本開示は、AMVSEFLKQ AWFIENEEQE YVQTVKSSKG GPGSAVSPYP TFNPSSDVAA LHKA(AnxA1 2-54;配列番号3)、及びその断片、及びその変異体、及びその断片の変異体からなる群から選択される治療有効量のアネキシンA1のN末端ペプチド;並びに溶媒を含む液体医薬製剤を提供する。
【0161】
一実施形態において、前記アネキシンA1のN末端ペプチドは、AMVSEFLKQ AWFIENEEQE YVQTVKSSKG GPGSAVSPYP TFNPSSDVAA LHKA(AnxA1 2-54;配列番号3)、及び配列番号3の5~52個の連続するアミノ酸、例えば配列番号3の5~10、例えば10~15、例えば15~20、例えば20~25、例えば25~30、例えば30~35、例えば35~40、例えば40~45、例えば45~50、例えば50~53個の連続するアミノ酸を含む配列番号3の断片、
及び1~6個の個々のアミノ酸置換、例えば1個のアミノ酸置換、例えば2個のアミノ酸置換、例えば3個のアミノ酸置換、例えば4個のアミノ酸置換、例えば5個のアミノ酸置換、例えば6個の個々のアミノ酸置換を含む配列番号3の変異体
からなる群から選択される。
【0162】
一実施形態において、配列番号3の前記断片は、配列番号3の5個以上の連続するアミノ酸を含むか又はそれからなり、例えば配列番号3の6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、又は52の連続するアミノ酸を含むか又はそれからなる。
【0163】
一実施形態において、前記アネキシンA1のN末端ペプチドは、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVK(配列番号10;アネキシンA1 2-26)、
及び1~6個の個々のアミノ酸置換、例えば1個のアミノ酸置換、例えば2個のアミノ酸置換、例えば3個のアミノ酸置換、例えば4個のアミノ酸置換、例えば5個のアミノ酸置換、例えば6個の個々のアミノ酸置換を含む配列番号10の変異体
からなる群から選択される。
【0164】
一実施形態において、前記アネキシンA1のN末端ペプチドは、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAA(配列番号4;アネキシンA1 2-50)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV(配列番号5;アネキシンA1 2-48)、及び
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSS(配列番号6;アネキシンA1 2-46)、
及び配列番号4~6のいずれか1つの変異体であって、1~6個の個々のアミノ酸置換、例えば1個のアミノ酸置換、例えば2個のアミノ酸置換、例えば3個のアミノ酸置換、例えば4個のアミノ酸置換、例えば5個のアミノ酸置換、例えば6個の個々のアミノ酸置換を含む変異体
からなる群から選択される。
【0165】
一実施形態において、前記変異体は、1~6個の個々のアミノ酸置換、例えば1~2個のアミノ酸置換、例えば2~3個のアミノ酸置換、例えば3~4個のアミノ酸置換、例えば4~5個のアミノ酸置換、例えば5~6個の個々のアミノ酸置換を含む。
【0166】
一実施形態において、前記1以上のアミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。一実施形態において、前記1以上のアミノ酸置換は、非保存的アミノ酸置換である。
【0167】
本明細書で定義されるペプチドの変異体は、原則として、1以上の位置で1以上の置換を有することができる。開示される配列中の個々のアミノ酸残基は、任意の所与のタンパク質原性又は非タンパク質原性アミノ酸と置換され得る。
【0168】
遺伝暗号は、ポリペプチド(タンパク質原性)に自然に組み込まれる20個の標準アミノ酸を指定する:Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Tyr、Thr、Trp、Val、及び特有の合成メカニズムによってタンパク質に組み込まれる2つ:Sec(セレノシステイン、又はU)及びPyl(ピロリジン、O)。これらは全てL-立体異性体である。
【0169】
22個の標準アミノ酸又は天然アミノ酸の他に、他の多くの非天然アミノ酸(非タンパク質原性又は非標準)がある。それらは、タンパク質中に見出されないか、又は標準的な細胞機構によって直接及び単離されて産生されない。非標準アミノ酸は通常、翻訳後修飾などの標準アミノ酸への修飾によって形成される。非天然アミノ酸残基の例は、Abu、Aib、Nle(ノルロイシン)、DOrn(D-オルニチン、デグアニル化(deguanylated)アルギニン)、Nal(β-2-ナフチルアラニン)、D-Nal(β-2-ナフチル-D-アラニン)、DArg、DTrp、DPhe及びDValである。
【0170】
本開示による任意のアミノ酸は、L-又はD-立体配置であり得る。特に指定されない場合、好ましくはL異性体形態への言及が意図される。
【0171】
ポリペプチドという用語はまた、当技術分野で知られているように、化学反応又は酵素触媒反応によって導入される翻訳後修飾も包含する。そのような翻訳後修飾は、必要に応じてパーティショニングの前に導入することができる。また、機能的等価物は、ユビキチン化、標識(例えば、放射性核種、様々な酵素などによる)、ペグ化(ポリエチレングリコールによる誘導体化)、又はヒトタンパク質(例えば、オルニチン)では通常起こらないアミノ酸の挿入(又は化学合成による置換)などによる化学修飾を含み得る。
【0172】
N末端アルキル化及びC末端エステル化を有する本明細書で定義されるポリペプチドも、本開示に包含される。機能的等価物はまた、二量体又は無関係の化学的部分を含む、同じ分子で形成されたグリコシル化及び共有結合又は凝集によるコンジュゲートを含む。そのような機能的等価物は、当技術分野で公知の手段によってN末端及びC末端のいずれか一方又は両方を含む断片中に見出される基に機能を結びつけることによって調製される。
【0173】
一実施形態において、前記アネキシンA1のN末端ペプチドは、少なくとも1個のアミノ酸置換を含み、配列番号3~6及び10のいずれか1つの24位のバリン(V)が、任意の他の標準又は非標準アミノ酸で置換されている。
【0174】
一実施形態において、前記アネキシンA1のN末端ペプチドは、少なくとも1個のアミノ酸置換を含み、配列番号3~6及び10のいずれか1つの24位のバリン(V)が、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、システイン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リジン及びアルギニンからなる群から独立して選択されるアミノ酸残基で置換されている。
【0175】
一実施形態において、前記アネキシンA1のN末端ペプチドは、少なくとも1個のアミノ酸置換を含み、配列番号3~6及び10のいずれか1つの24位のバリン(V)がロイシン(L)(Val24Leu又はV24L)で置換されている。いくつかの実施形態において、Val24Leu変異はプロテアーゼ安定性を増加させる。
【0176】
一実施形態において、前記アネキシンA1のN末端ペプチドは、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLK(配列番号11;アネキシン A1 2-26 V24L)、
及び1~6個の個々のアミノ酸置換、例えば1個のアミノ酸置換、例えば2個のアミノ酸置換、例えば3個のアミノ酸置換、例えば4個のアミノ酸置換、例えば5個のアミノ酸置換、例えば6個の個々のアミノ酸置換を含む配列番号11の変異体であって、例えば、V24Lを含む変異体
からなる群から選択される。
【0177】
一実施形態において、前記アネキシンA1のN末端ペプチドは、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAA(配列番号7;アネキシンA1 2-50 V24L)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV(配列番号8;アネキシンA1 2-48 V24L)、及び
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSS(配列番号9;アネキシンA1 2-46 V24L)、
及び配列番号7~9のいずれか1つの変異体であって、1~6個の個々のアミノ酸置換、例えば1個のアミノ酸置換、例えば2個のアミノ酸置換、例えば3個のアミノ酸置換、例えば4個のアミノ酸置換、例えば5個のアミノ酸置換、例えば6個の個々のアミノ酸置換を含む変異体;
例えば、V24Lを含む変異体
からなる群から選択される。
【0178】
一実施形態において、前記1以上のアミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。
【0179】
一実施形態において、配列番号3~11のいずれか1つの10位のアラニン残基は、任意の他の標準又は非標準アミノ酸で置換されている。
【0180】
一実施形態において、配列番号3~11のいずれか1つの10位のアラニン残基は、ロイシン、アスパラギン酸、メチオニン、グルタミン酸、イソロイシン及びアルギニンからなる群から独立して選択されるアミノ酸残基で置換されている。
【0181】
一実施形態において、配列番号3~11のいずれか1つの10位のアミノ酸残基はアラニンではなく;すなわち、アラニンを除く任意のアミノ酸である。
【0182】
一実施形態において、配列番号3~11のいずれか1つの21位のバリン残基は、任意の他の標準又は非標準アミノ酸で置換されている。
【0183】
一実施形態において、配列番号3~11のいずれか1つの21位のバリン残基は、ロイシン、アスパラギン酸、メチオニン、グルタミン酸、イソロイシン及びリジンからなる群から独立して選択されるアミノ酸残基で置換されている。
【0184】
一実施形態において、配列番号3~11のいずれか1つの21位の残基は、バリンではなく;すなわち、バリンを除く任意のアミノ酸である。
【0185】
一実施形態において、配列番号3~11のいずれか1つの10位のアラニン残基と21位のバリン残基はいずれも、ロイシン、アスパラギン酸、メチオニン、グルタミン酸、イソロイシン、アルギニン及びリジンからなる群;例えば、ロイシン、アスパラギン酸及びメチオニンからなる群から独立して選択されるアミノ酸残基;例えばロイシンで置換されている。一実施形態において、配列番号3~11のいずれか1つの残基10と残基21は同一である。
【0186】
一実施形態において、配列番号3~9のいずれか1つの35位のバリン残基は、任意の他の標準又は非標準アミノ酸で置換されている。
【0187】
一実施形態において、配列番号3~9のいずれか1つの35位のバリン残基は、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、システイン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リジン及びアルギニンからなる群から独立して選択されるアミノ酸残基で置換されている。
【0188】
一実施形態において、配列番号3~9のいずれか1つの35位の残基はリジンである。
【0189】
一実施形態において、配列番号3~9のいずれか1つの35位の残基は、バリンではなく;すなわち、バリンを除く任意のアミノ酸である。
【0190】
一実施形態において、前記アネキシンA1のN末端ペプチドは、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAA(配列番号4;アネキシンA1 2-50)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV(配列番号5;アネキシンA1 2-48)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAA(配列番号7;アネキシンA1 2-50 V24L)、及び
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV(配列番号8;アネキシンA1 2-48 V24L)、
及び配列番号7~9のいずれか1つの変異体であって、1~6個の個々のアミノ酸置換、例えば1個のアミノ酸置換、例えば2個のアミノ酸置換、例えば3個のアミノ酸置換、例えば4個のアミノ酸置換、例えば5個のアミノ酸置換、例えば6個の個々のアミノ酸置換を含む変異体;
例えば、V24Lを含む変異体
からなる群から選択される。
【0191】
一実施形態において、前記アネキシンA1のN末端ペプチドは、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAA(配列番号4;アネキシンA1 2-50)及び
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV(配列番号5;アネキシンA1 2-48)
からなる群から選択される。
【0192】
一実施形態において、前記アネキシンA1のN末端ペプチドは、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAA(配列番号7;アネキシンA1 2-50 V24L)、及び
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV(配列番号8;アネキシンA1 2-48 V24L)
からなる群から選択される。
【0193】
一実施形態において、前記アネキシンA1のN末端ペプチドは、AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV(配列番号8;アネキシンA1 2-48 V24L)である。
【0194】
本明細書に開示されるアネキシンA1のN末端ペプチドの断片及び変異体は、一実施形態において、前記アネキシンA1のN末端ペプチドの機能性断片及び/又は機能性変異体と同等である。
【0195】
機能性変異体又は機能性断片は、変異体又は断片が、それが由来するペプチドの機能を本質的に保持していることを意味する。
【0196】
本開示によるアネキシンA1のN末端ペプチド、又はその機能性変異体を含む本明細書で定義されるその変異体若しくは断片は、一実施形態において、ホルミルペプチド受容体1(FPR1)、ホルミルペプチド受容体2(FPR2)及びホルミルペプチド受容体3(FPR3)のうちの1以上を活性化及び/又は刺激する。
【0197】
アネキシンA1のN末端ペプチド、又は本明細書で定義されるその変異体若しくは断片は、一実施形態において、ホルミルペプチド受容体1(FPR1)、ホルミルペプチド受容体2(FPR2)及びホルミルペプチド受容体3(FPR3)のうちの1以上のリガンド及び/又はアゴニストである。
【0198】
本文脈における用語「アゴニスト」は、受容体に結合することができるか、又はいくつかの実施形態において、受容体と少なくともある程度結合及び/若しくは活性化することができるか、又はいくつかの実施形態において、受容体を少なくともある程度活性化することができる本明細書で定義されるペプチドを指す。例えば、FPR2アゴニストは、そのため、FPR2に結合及び/又は活性化することができる。
【0199】
アゴニストは、いくつかの異なる種類の受容体のアゴニストであり、そのため、いくつかの異なる種類の受容体に結合及び/又は活性化することが可能であり得る。前記アゴニストはまた、1つの種類の受容体にのみ結合して活性化する選択的アゴニストであり得る。本文脈における用語「アンタゴニスト」は、受容体アゴニストの効果を阻害することができる物質を指す。
【0200】
完全アゴニストは受容体に結合し(親和性を有し)、受容体を活性化し、その受容体で完全な効力を示す。本文脈における「部分アゴニスト」は、所与の受容体に結合して活性化することができるが、完全アゴニストと比較して受容体において部分的な効力しか有していないペプチドである。部分アゴニストは、受容体占有率について完全アゴニストと競合し、完全アゴニスト単独で観察される効果又は活性化と比較して受容体活性化に正味の減少を生じさせる場合にアンタゴニストとして作用することができる。
【0201】
本文脈における「選択的アゴニスト」は、選択的であり、したがって主に1つの種類の受容体に結合して活性化する化合物である。そのため、選択的FPR2アゴニストはFPR2に対して選択的である。
【0202】
本開示によるポリペプチドは、1つの実施形態において、1つ又はいくつかのホルミルペプチド受容体にある程度結合及び活性化することができ、異なる受容体に対して異なる結合親和性及び/又は異なる受容体活性化効力を有することができる。親和性は、ペプチドリガンドとその受容体との間の分子間力の数と大きさ、及びその受容体結合部位でのリガンドの滞留時間を指し、受容体活性化効力は、標的受容体に結合した際に生物学的応答を生じるペプチドリガンドの能力及びこの応答の量的大きさを指す。いくつかの実施形態において、親和性及び受容体活性化効力におけるそのような差異は、当技術分野で慣用されている受容体結合/活性化研究によって、例えば、本明細書で言及されるような1つの又はいくつかの種類の受容体を発現する細胞において、又は異なる種類の受容体を発現する組織上でのリガンド結合の刺激についてのEC50及びEmax値を生成することによる決定される。高い親和性は、より低い親和性を有するリガンドペプチドと比較して、受容体の50%の結合を得るためにより低い濃度のリガンドが必要であることを意味し、高い受容体活性化効力は、親和性及び/又は受容体活性効力が低いペプチド(より高いEC50値)と比較して、50%の受容体活性化応答を得るためにより低い濃度のペプチド(低いEC50値)が必要であることを意味する。
【0203】
一実施形態において、該ペプチドは、FPR1、FPR2及びFPR3から選択される2以上の受容体に対して異なる親和性及び/又は受容体活性化効力を有することができる。
【0204】
ペプチドアゴニストの受容体活性化能力は、アゴニストの受容体活性化効力を決定するための従来の方法であるp(A50)値で測定することもできる。
【0205】
特定の実施形態において、本開示によるペプチドは、ホルミルペプチド受容体2(FPR2)に対する結合親和性及び/又は受容体効力を有する。
【0206】
1つの特定の実施形態において、本開示によるペプチドは、FPR2に結合して活性化することができる。さらなる実施形態において、前記ペプチドはFPR2の完全なアゴニストである。
【0207】
一実施形態において、AMVSEFLKQ AWFIENEEQE YVQTVKSSKG GPGSAVSPYP TFNPSSDVAA LHKA(AnxA1 2-54;配列番号3)、
及び本開示によるその断片、及びその変異体、及びその断片の変異体からなる群から選択されるアネキシンA1のN末端ペプチドは、
a.FPR1、FPR2及びFPR3を含む1以上のホルミルペプチド受容体に結合する、
b.FPR1、FPR2及びFPR3を含む1以上のホルミルペプチド受容体を活性化及び/又は刺激する、
c.FPR2に結合及び/又は活性化する、
d.免疫細胞を活性化する、
e.食作用白血球などの白血球を活性化する、
f.好中球及び/又は単球を活性化する、
g.好中球走化性の誘導、好中球補体受容体3(CR3)の動員、及び好中球NADPHオキシダーゼの活性化などの食細胞白血球のエフェクター機能を活性化する、かつ/又は
h.食細胞白血球の走化性を誘導する。
【0208】
一実施形態において、本開示のアネキシンA1のN末端ペプチドは、N末端アセチル化される(COCH3又はAc-)。
【0209】
一実施形態において、本開示のアネキシンA1のN末端ペプチドは、C末端アミド化される(-NH2)。
【0210】
pH>6.0;又は2<pH<3の液体医薬製剤であって、
a.アネキシンA1(AnxA1)N末端ペプチド、例えば、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAA(配列番号4;アネキシンA1 2-50)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV(配列番号5;アネキシンA1 2-48)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSS(配列番号6;アネキシンA1 2-46)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAA(配列番号7;アネキシンA1 2-50 V24L)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV(配列番号8;アネキシンA1 2-48 V24L)、及び
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSS(配列番号9;アネキシンA1 2-46 V24L)、
及び1~6個の個々のアミノ酸置換を含む配列番号4~9のいずれか1つの変異体からなる群から選択される治療有効量のアネキシンA1(AnxA1)N末端ペプチド;並びに
b.i.超純水などの水;及び
ii.本質的に非イオン性又は低イオン性、及び/又は本質的に等張性の溶液であって、
任意選択で、炭水化物及び/又は糖アルコールなどの等張性調整剤を含む溶液
からなる群から選択される溶媒
を含む液体医薬製剤を提供することが本開示の一態様である。
【0211】
pH>6.0;又は2<pH<3の液体医薬製剤であって、
a.アネキシンA1(AnxA1)N末端ペプチド、例えば、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAA(配列番号4;アネキシンA1 2-50)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV(配列番号5;アネキシンA1 2-48)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSS(配列番号6;アネキシンA1 2-46)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAA(配列番号7;アネキシンA1 2-50 V24L)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV(配列番号8;アネキシンA1 2-48 V24L)、及び
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSS(配列番号9;アネキシンA1 2-46 V24L)、
及び1~6個の個々のアミノ酸置換を含む配列番号4~9のいずれか1つの変異体からなる群から選択される治療有効量のアネキシンA1(AnxA1)N末端ペプチド;並びに
b.i.超純水などの水;及び
ii.1μM~50mMのイオン強度などの低イオン強度を有する溶液、及び
iii.水である溶液であって、100%(等張)±100%の張度を有する溶液、及び
iv.1μM~50mMのイオン強度などの低イオン強度を有する溶液であって、100%(等張)±100%の張度を有する溶液
からなる群から選択される溶媒
を含む液体医薬製剤も開示される。
【0212】
一実施形態において、前記液体医薬製剤は、pH≧7.4、例えばpH≧7.5、例えばpH≧7.6、例えばpH≧7.7、例えばpH≧7.8、例えばpH≧7.9、例えばpH≧8.0のpHを有する。
【0213】
一実施形態において、前記液体医薬製剤はpH≧8のpHを有する。
【0214】
一実施形態において、前記液体医薬製剤は、pH≧8のpH;又は2<pH<2.6を有する。
【0215】
一実施形態において、前記液体医薬製剤は、8~8.5のpHを有する。
【0216】
一実施形態において、前記液体医薬製剤は、約8.3のpHを有する。
【0217】
一実施形態において、前記液体医薬製剤は、本質的にフィブリルを含まず、かつ/又は≧1μm、例えば≧10μm、例えば≧100μmのタンパク質性粒子を本質的に含まない。
【0218】
一実施形態において、前記アネキシンA1のN末端ペプチドは、少なくとも0.1mg/ml、例えば少なくとも0.5mg/ml、例えば少なくとも1.0mg/ml、例えば少なくとも1.5mg/ml、例えば少なくとも2.0mg/ml、例えば少なくとも2.5mg/ml、例えば少なくとも3.0mg/ml、例えば少なくとも3.5mg/ml、例えば少なくとも4.0mg/ml、例えば少なくとも5.5mg/ml、例えば少なくとも5.0mg/ml、例えば少なくとも7.5mg/ml、例えば少なくとも10.0mg/mlの液体医薬製剤の水性溶解度を有する。
【0219】
一実施形態において、前記液体医薬製剤は、100%±20%の張度、例えば80%~120%;例えば80~85%、例えば85~90%、例えば90~95%、例えば95~100%、例えば100~105%、例えば105~110%、例えば110~115%の張度、例えば115~120%の張度を有する。
【0220】
一実施形態において、液体医薬製剤であって、
a.該溶液がpH≧7.4、例えばpH≧7.5、例えばpH≧7.6、例えばpH≧7.7、例えばpH≧7.8、例えばpH≧7.9、例えばpH≧8.0、例えばpH≧8.3のpHを有し、かつ/又は
b.該溶液が1μM~50mMのイオン強度を有し、かつ/又は
c.該溶液が100%(等張)±20%の張度を有し、かつ/又は
d.アネキシンA1のN末端ペプチドが、少なくとも0.1mg/ml、例えば少なくとも0.5mg/ml、例えば少なくとも1.0mg/ml、例えば少なくとも1.5mg/ml、例えば少なくとも2.0mg/ml、例えば少なくとも2.5mg/ml、例えば少なくとも3.0mg/ml、例えば少なくとも3.5mg/ml、例えば少なくとも4.0mg/ml、例えば少なくとも5.5mg/ml、例えば少なくとも5.0mg/ml、例えば少なくとも7.5mg/ml、例えば少なくとも10.0mg/mlの水性溶解度を有し、かつ/又は
e.該製剤が、0.1~10mg/ml、例えば0.1~0.5mg/ml、例えば0.5~1mg/ml、例えば1~2mg/ml、例えば2~3mg/ml、例えば3~4mg/ml、例えば4~5mg/ml、例えば5~6mg/ml、例えば6~7mg/ml、例えば7~8mg/ml、例えば8~9mg/ml、例えば9~10mg/mlの前記アネキシンA1のN末端ペプチドの濃度を有する
液体医薬製剤が提供される。
【0221】
一実施形態において、前記液体医薬製剤は、1以上の等張性調整剤を含む。
【0222】
一実施形態において、前記液体医薬製剤は、スクロース、トレハロース、マンノース、リボース、マルトース、グルコース、ラクトース、ガラクトース、アラビノース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、グリセロール、キシリトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレン/エチレングリコール共重合体からなる群から選択される1以上の等張性調整剤を含み;例えば、スクロース及び/又はマンニトールを含む。
【0223】
一実施形態において、前記液体医薬製剤は、スクロース及びマンニトールからなる群から選択される1以上の等張性調整剤を含む。
【0224】
一実施形態において、前記液体医薬製剤は、1以上の緩衝液を含む。
【0225】
一実施形態において、前記液体医薬製剤は、酢酸緩衝液、TRIS、アミン含有緩衝液、リジン、ヒドロキシリジン、ヒスチジン及びグリシル-グリシンなどのアミノ酸ベースの緩衝液、非リン酸緩衝液、重炭酸緩衝液、ポリソルベート80(例えばTween80)、HEPES及びホウ酸塩からなる群から選択される1以上の緩衝液を含む。
【0226】
一実施形態において、前記液体医薬製剤は、約8.3のpHで約4%マンニトール、約1%スクロース、約10mMグリシル-グリシン、約0.01%ポリソルベート80を含む。
【0227】
一実施形態において、配列番号4~9のいずれか1つの前記変異体は、3個の個々のアミノ酸置換を含む。
【0228】
一実施形態において、配列番号4~9のいずれか1つの前記変異体は、2つの個々のアミノ酸置換を含む。
【0229】
一実施形態において、配列番号4~9のいずれか1つの前記変異体は、1個のアミノ酸置換を含む。
【0230】
一実施形態において、前記アネキシンA1(AnxA1)N末端ペプチドはC末端アミド化されている。
【0231】
治療の方法
本明細書に開示される医薬製剤は、虚血性及び炎症性状態の治療における使用に特に有効である。
【0232】
一実施形態において、医薬として使用するための、本明細書に開示される液体医薬製剤、凍結乾燥医薬製剤、又は再構成された液体医薬製剤(又は溶液)が提供される。
【0233】
一実施形態において、虚血状態及び/又は炎症状態の治療に使用するための、本明細書に開示される液体医薬製剤、凍結乾燥医薬製剤、又は再構成溶液が提供される。
【0234】
一実施形態において、虚血状態及び/又は炎症状態の治療に使用するための医薬の製造のための、本明細書に開示される液体医薬製剤、凍結乾燥医薬製剤、又は再構成溶液の使用が提供される。
【0235】
一実施形態において、虚血状態及び/又は炎症状態の治療方法であって、本明細書に開示される液体医薬製剤、凍結乾燥医薬製剤、又は再構成溶液を投与する1以上の工程を含む方法が提供される。
【0236】
一実施形態において、虚血状態及び/又は炎症状態の治療に使用するためのpH>6の液体医薬製剤であって、
a.AMVSEFLKQ AWFIENEEQE YVQTVKSSKG GPGSAVSPYP TFNPSSDVAA LHKA(AnxA1 2-54;配列番号3)、
及びその断片、及びその変異体、及びその断片の変異体
からなる群から選択される治療有効量のアネキシンA1(AnxA1)N末端ペプチド;並びに
b.i.超純水などの水;及び
ii.本質的に非イオン性又は低イオン性、及び/又は本質的に等張性の溶液であって、
任意選択で、炭水化物及び/又は糖アルコールなどの等張性調整剤を含む溶液、
からなる群から選択される溶媒、
及び任意選択で緩衝液
を含む液体医薬製剤が提供される。
【0237】
一実施形態において、虚血状態及び/又は炎症状態の治療に使用するためのアネキシンA1のN末端ペプチドを含む再構成溶液であって、
a.本開示による凍結乾燥医薬製剤を提供すること、及び
b.前記凍結乾燥医薬製剤を溶媒に溶解すること
によって取得される再構成溶液が提供される。
【0238】
本開示のいくつかの実施形態において、前記治療は、予防的、改善的又は治癒的である。
【0239】
本開示のいくつかの実施形態において、前記虚血状態及び/又は炎症状態は、急性、亜急性又は慢性である。
【0240】
投与経路
好ましい投与経路は、治療される対象の全身状態及び年齢、治療される状態の性質、体内の治療される組織の位置及び選択された有効成分に依存することが理解されよう。
【0241】
本開示の一実施形態において、投与経路は、アネキシンA1(AnxA1)N末端ペプチドを含む医薬製剤を血流中に導入して、最終的に所望の作用部位を標的化することができる。
【0242】
本開示の一実施形態において、投与経路は、任意の適切な経路、例えば経腸経路(経口、直腸、鼻、肺、頬側、舌下、経皮、槽内及び腹腔内投与を含む)、及び/又は非経口経路(皮下、筋肉内、髄腔内、静脈内及び皮内投与を含む)である。適切な剤形は、通常の技術によって調製され得る。
【0243】
非経口投与は、薬剤が肝臓での初回通過分解を回避する経口/経腸経路ではない任意の投与経路である。したがって、非経口投与は、任意の注射及び注入、例えば、静脈内投与、筋肉内投与又は皮下投与などのボーラス注射又は連続注入を含む。さらに、非経口投与には、吸入及び局所投与が含まれる。
【0244】
したがって、本開示による医薬製剤は、一実施形態において、製剤が与えられる動物の、例えば鼻、膣、眼、口、生殖管、肺、胃腸管、又は直腸内の任意の粘膜、例えば鼻又は口の粘膜を通過するように局所的に投与され、したがって、非経口投与はまた、頬側、舌下、鼻、直腸、膣及び腹腔内投与並びに吸入又は装置による肺及び気管支投与を含み得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される製剤は、皮膚を通過するように局所投与される。
【0245】
本開示の一実施形態において、非経口投与の静脈内、皮下及び筋肉内形態が採用される。
【0246】
本開示の一実施形態において、本明細書に開示される医薬製剤は、局所治療として使用され、すなわち作用部位(複数可)に直接導入される。したがって、該医薬製剤は、皮膚又は粘膜に直接適用され得るか、又は作用部位、例えば疾患組織に、又は疾患組織に直接つながる末端動脈に注入され得る。
【0247】
好ましい実施形態において、本明細書に開示される医薬製剤は、非経口経路を介して投与される。本開示の医薬製剤の投与のための好ましい非経口経路には、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、動脈内、経鼻、肺及び頬側経路が含まれる。最も好ましい経路には、静脈内、腹腔内、筋肉内及び皮下の投与経路が含まれる。
【0248】
投与及び投与量
本開示によれば、本明細書中で提供されるアネキシンA1のN末端ペプチドを含む医薬製剤は、一実施形態において、医薬として有効な用量又は治療有効量でそれを必要とする個体に投与される。
【0249】
本開示によるアネキシンA1のN末端ペプチドの治療有効量は、一実施形態において、所与の疾患又は障害及びその合併症の臨床症状を治癒する、予防する、そのリスクを低減する、緩和する又は部分的に停止するのに十分な量である。特定の治療目的に有効な量は、障害の重症度及び種類並びに対象の体重及び全身状態に依存する。これを達成するのに十分な量は、「治療有効量」として定義される。
【0250】
一実施形態において、本開示の医薬製剤は、1μg/日~100mg/日;例えば1μg/日~10μg/日、例えば10μg/日~100μg/日、例えば100μg/日~250μg/日、例えば250μg/日~500μg/日、例えば500μg/日~750μg/日、例えば750μg/日~1mg/日、例えば1mg/日~2mg/日、例えば2mg/日~5mg/日、又は例えば5mg/日~10mg/日、例えば10mg/日~20mg/日、例えば20mg/日~30mg/日、例えば30mg/日~40mg/日、例えば40mg/日~50mg/日、例えば50mg/日~75mg/日、又は例えば75mg/日~100mg/日の用量で投与される。
【0251】
本開示の一実施形態において、本開示の医薬製剤の1回の単回用量が投与され、1μg/kg体重~100mg/kg体重;例えば1~10μg/kg体重、例えば10~100μg/kg、例えば100~250μg/kg体重、例えば250~500μg/kg体重、例えば500~750μg/kg体重、例えば750μg/kg体重~1mg/kg体重、例えば1mg/kg体重~2mg/kg体重、例えば2~5mg/kg体重、例えば5~10mg/kg体重、例えば10~20mg/kg体重、例えば20~30mg/kg体重、例えば30~40mg/kg体重、例えば40~50mg/kg体重、例えば50~75mg/kg体重、又は例えば75~100mg/kg体重を含み得る。
【0252】
一実施形態において、本開示による用量は、1日当たり1回又は数回、例えば1日当たり1~6回、例えば1日当たり1~5回、例えば1日当たり1~4回、例えば1日当たり1~3回、例えば1日当たり1~2回、例えば1日当たり2~4回、例えば1日当たり2~3回投与される。
【0253】
配列
全長アネキシンA1(ホモサピエンス)は以下の配列を有する:
>sp|P04083|ANXA1_ヒトアネキシンA1 OS=ホモサピエンスGN=ANXA1 PE=1 SV=2
MAMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAALHKAIMVKGVDEATIIDILTKRNNAQRQQIKAAYLQETGKPLDETLKKALTGHLEEVVLALLKTPAQFDADELRAAMKGLGTDEDTLIEILASRTNKEIRDINRVYREELKRDLAKDITSDTSGDFRNALLSLAKGDRSEDFGVNEDLADSDARALYEAGERRKGTDVNVFNTILTTRSYPQLRRVFQKYTKYSKHDMNKVLDLELKGDIEKCLTAIVKCATSKPAFFAEKLHQAMKGVGTRHKALIRIMVSRSEIDMNDIKAFYQKMYGISLCQAILDETKGDYEKILVALCGGN (配列番号1)。
MAMVSEFLKQ AWFIENEEQE YVQTVKSSKG GPGSAVSPYP TFNPSSDVAA LHKA (AnxA1 1-54;配列番号2)
AMVSEFLKQ AWFIENEEQE YVQTVKSSKG GPGSAVSPYP TFNPSSDVAA LHKA (AnxA1 2-54;配列番号3)
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAA (配列番号4;アネキシンA1 2-50)
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV (配列番号5;アネキシンA1 2-48)
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSS (配列番号6;アネキシンA1 2-46)
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAA (配列番号7;アネキシンA1 2-50 V24L)
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV (配列番号8;アネキシンA1 2-48 V24L)
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSS (配列番号9;アネキシンA1 2-46 V24L)
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVK (配列番号10;アネキシンA1 2-26)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLK (配列番号11;アネキシンA1 2-26 V24L)
全てのペプチドは、好ましい実施形態においてC末端アミド化される(-NH2)。
【0254】
実施例
一般的な材料と方法
以下の実施例において、「AnxA1」及び「試験ペプチド」への言及は、本明細書において、C末端アミド化された配列番号8(アネキシンA1 2-48 V24L)、AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVとして同定される。
【0255】
チオフラビンT、「ThT」
本明細書以下でThT(分子)及びThTアッセイ(アッセイ)として知られるチオフラビンT(IUPAC:4-(3,6-ジメチル-1,3-ベンゾチアゾール-3-イウム-2-イル)-N,N-ジメチルアニリンクロリド;CAS番号:2390-54-7)。
【0256】
ThTは、アミロイド又はフィブリルと呼ばれる誤って折り畳まれたペプチド及びタンパク質凝集体の存在を視覚化及び定量するために広く使用されている。ThTは、ペプチド及びタンパク質中の分子間ベータシートに結合する蛍光分子である(本明細書ではAnxA1)。450nm付近で励起されると、ThTはアミロイド及びフィブリルに結合したときにより強い蛍光強度を示す。蛍光の増加は、より多くのThT分子がペプチドに結合していることを示し、これもまた、より多くのペプチドがアミロイド又はフィブリルとして誤って折り畳まれることを示す。弱い蛍光強度は、ThTが結合できる分子間ベータシートが少ないアミロイド又はフィブリルが少ないことを示している。
【0257】
チオフラビンTアッセイ、「ThTアッセイ」
一部のペプチドはフィブリル及びアミロイドを形成する傾向があり、その傾向は予測不可能に製剤条件に依存する。フィブリル化は確率過程であり、長い分析時間及び偽陰性と陽性結果の両方を回避するために、約486nmの蛍光発光を継続的に監視しながら、マイクロタイタープレート内の厳密な回転によって試料にせん断応力を導入する。蛍光の増加は、アミロイド又はフィブリルの形成の指標であり、蛍光が増加し始めるのにかかる時間はラグタイムとして知られている。より速い(短い)ラグタイムは、フィブリル又はアミロイドの形成によってペプチドが分解する傾向が高いことを示している。
【0258】
t=0で50AUのThT蛍光をノイズ又はバックグラウンドと見なす。ラグタイムを、信号強度が50AUを超えるのにかかる時間として報告する。
【0259】
ThTアッセイのための全ての試料をセルロースアセテートフィルター(22μmカットオフ、直径13mm、濾過前にMilli Q(登録商標)水ですすいだ)で濾過した。各試料について、1mM溶液のThT20μLをペプチド溶液1mLに添加した。この試料混合物から、200μLを96ウェルマイクロタイタープレート中のn(n=3~6)ウェルに移した。96ウェルNUNCプレートボトムオプティクス及びシーリングテープのThermo Scientific(商標)Nunc(商標)シーリングテープを使用した。ラグタイムをn試料の平均として報告する。
【0260】
蛍光プレートリーダー(CLARIOstar(登録商標)Plus,BMG Labtech)を以下の設定で実験に使用した:励起波長450nm;ダイクロイックフィルター465nm;発光波長486nm;焦点高さ3.5mm;ゲイン1000;サイクル数960;サイクルタイム360秒;ウェルあたりの点滅回数20;温度25℃;振盪モードオービタル、回転速度300rmp、200秒、及び各サイクル後に振盪する。
【0261】
ThTアッセイ-ラグタイム
可能であれば、全ThTデータの反復の平均をThTラグタイムの決定に使用する。非常に確率的なデータの場合、ワーストケースのデータをラグタイム評価に使用する。ThTラグタイムは、1ステップ又は2ステップのシグモイド曲線のいずれかを用いて決定した。フィブリル化がシグモイド曲線をたどらない場合及び実験時間内にプラトーに達しなかった場合には、シグナルが50AUを超えるのにかかる時間としてラグタイムを評価した。
【0262】
UV-VISを用いた濃度の決定
AnxA1の濃度を、Thermo scientific社のNanodrop 2000cを用いるUV-VIS分光法及び
【数1】
の吸光係数を用いて決定した。
【0263】
溶解時間
ペプチドを最初に少量の溶媒で湿潤させ、5分間放置し、続いて溶媒を全量加えた。溶液を手で旋回させ、最終溶解時間の観察を記録した。
【0264】
凍結乾燥を意図した溶液を湿潤させて溶解し、続いて残りの溶液を添加した。容量が大きいため、溶解のために5つの製剤を低速振盪器上に置いた。
【0265】
凍結乾燥
試料を凍結乾燥前に調製し、80℃で一晩保存した。試料を、ストッパー(20mm Lyo NovaPure,West Pharma)付きの6Rバイアル(clear Fiolax,Buch&Holm)中の2mLのAnxA1溶液で調製した。試料を、-55℃に予冷した凍結乾燥機(Telstar LyoQuest,Azbil Telstar Technologies S.L.U.)に入れた。コンデンサーの温度を-55℃に、圧力を0.2mbarに48時間維持した。製剤1~5のバイアル1~5をタワー内の中央棚に置き、製剤1~5のバイアル6~10を下棚に置いた。タワーチューブ(直径22、高さ25cm)を周囲温度でコンデンサーの外側に配置し、下部の棚がコンデンサーに最も近い状態である。
【0266】
実施例1
全ての試料は、7.1~7.4のpH範囲で二重脱イオン(Milli Q(登録商標))水中に0.9%のNaCl(154mM)を含んでいた。AnxA1の濃度は、表1によると1.6mg/mLから20mg/mLであった。
【0267】
図1及び表1のデータは、Milli Q(登録商標)水中0.9%のNaClを用いた異なる濃度のAnxA1についてのThTアッセイの結果を示す。データは、中性pH付近で、濃度依存的にアミロイド又はフィブリルの形成によってペプチドが分解することを明確に示している。5mg/mL以上の濃度では、分析を開始する前にAnxA1はすでに分解(フィブリル化)を開始しており、非常に高いフィブリル化傾向を示している。
【0268】
表1:濃度が低い場合のラグタイムの増加から濃度と安定性の逆の関係を示すThTアッセイ用の試料組成とラグタイム。
【表1】
【0269】
実施例2
中性pHでMilli Q(登録商標)中の0.9%NaCl(154mM)1mLあたり20mgの凍結乾燥AnxA1を添加したところ、ペプチドは容易に溶解しなかった。ペプチド懸濁液を室温で、回転しながら一晩放置し、翌朝、エマルジョンは不透明なゲル状物質に変わった。アリコートをエッペンドルフチューブに移し、スピンダウンし、UV-VISによって上清の濃度を約0.17mg/mLと決定した。
【0270】
残りのペプチド懸濁液を想定濃度5mg/mLまで希釈し、4つの1mL試料をpH2、4、6、及び8に調整した(
図2参照)。4つのバイアルは全て不透明であり続け、溶解度が限られていることを示す。
【0271】
実施例3
AnxA1の3つの試料を、pH9のMilli Q(登録商標)水、0.9%NaCl(154mM)中で、それぞれ濃度3.3、1.6及び0.8mg/mLで調製した。pHを、各試料に0.1MのNaOHを添加して調整し、遠心分離後にUV-VIS分光法を用いて濃度を決定した。pH6.0で試料は不透明になり、pH6.0未満ですぐに沈殿した(
図3参照)。
【0272】
実施例4
表2によると、異なる塩(NaCl、CaCl2、ZnCl2又はHCl)を含有する中性付近のpHで1.6又は3.2mgのAnxA1をMilli Q(登録商標)水に添加した。溶解時間を観察し、得られた溶液を、ThTアッセイを用いて分析した。
【0273】
溶解時間は低塩濃度ではるかに速く、同時に、ThTアッセイのラグタイムが長く、アミロイド又はフィブリル形成を介した分解の傾向が低いことを示すことがはっきりと分かる。溶解が5分未満で、ラグタイムが50時間超の場合に、塩を添加しないと最高の安定性が観察される。NaCl、CaCl
2、ZnCl
2のいずれも、AnxA1がアミロイド又はフィブリル形成を介して分解する傾向を減少させなかった(
図4参照)。
【0274】
表2:異なる塩(NaCl、CaCl
2、ZnCl
2又はHCl)を含有する中性付近のpHのMilli Q(登録商標)水中のAnxA1の7つの試料。低塩濃度では溶解時間がはるかに速く、同時にThTアッセイのラグタイムが長くなることがはっきりと分かる。溶解が5分未満、ラグタイムが50時間超の場合に、塩を添加しないと最高の安定性が観察される(最大アッセイ時間内にフィブリル化は観察されない)。
【表2】
【0275】
実施例5
約16mg/mLのAnxA1をMilli Q(登録商標)水に添加した。その結果得られたpHは7.5であった。表3によると、1つの試料で0.1MのNaOHを用いてpH10に、別の試料で0.1MのHClを用いてpH2にpHを調整した。溶液の外観に注目した。pH≧7.4では、溶液は透明であった。pH≦7.1、pH>2.6では、溶液は不明瞭である。pH≦2.6では、溶液は再び透明であった。データを表3にまとめる。
図5も参照されたい。
【0276】
表3:異なるpH値でAnxA1を含有する試料の視覚的外観。透明な溶液が、pH7.4以上と2.6から2.0で観察された。
【表3】
【0277】
実施例6
AnxA1試料をMilli Q(登録商標)水又はMilli Q(登録商標)水中の5%マンニトールに約18mg/mLまで溶解し、1.0MのHCl及びNaOHを用いてpHを調整した。溶解後、視覚的外観を記録し、写真撮影した。
図6及び表4を参照されたい。遠心分離により試料を透明化し、UV-VIS分光法を用いて上清中の濃度を決定した。透明な溶液は、Milli Q(登録商標)水中に5%マンニトールを含む場合と含まない場合で、pH8と10の両方で観察された。表4及び
図6によると、pH2、4及び6では、不明瞭な及び又は粘性のある溶液が観察された。
【0278】
表4:AnxA1の濃度と、pH2~10までの、マンニトールを含む場合と含まない場合のMilli Q(登録商標)水中の溶液の視覚的外観。透明な溶液がpH8及び10で観察される。
【表4】
【0279】
実施例7
1.5~1.6mg/mLのAnxA1及び張度プロバイダー(等張性調整剤)を含む等張試料を、表5の仕様に従って中性付近のpHで調製した。全ての試料は透明な溶液として観察された。試料を前述のThTアッセイに供し、張度プロバイダーとしてスクロースとマンニトールを使用すると、トレハロースとグルコースを使用した場合と比較して、より長いラグタイムが観察された。表5に示すデータを
図7にグラフで示す。
【0280】
表5:1.5~1.6mg/mLのAnxA1を含む等張試料を、本明細書に提示した仕様に従って中性付近のpHで調製した。
【表5】
【0281】
実施例8
異なる濃度のAnxA1を含有する試料を、表6に従ってMilli Q(登録商標)水中で調製した。参照試料を生理食塩水、0.9%NaCl(154mMのNaCl)で調製した。ラグタイムを前述のThTアッセイを用いて決定した。Milli Q(登録商標)水では、AnxA1の濃度が高いほど、アミロイド又はフィブリル形成を介したより高い分解傾向が観察されることが明らかである。さらに、Milli Q水中のAnxA1の全ての溶液は、生理食塩水(154mMのNaCl)中の基準試料よりも安定であることが観察される。
【0282】
表6.0.9%(154mM)のNaCl中のAxn01試料と比較した、異なる濃度のMilli Q(登録商標)水中のAnxA1試料のThTアッセイを用いて決定したラグタイムデータ。全ての試料のpHは7.4であった。
【表6】
【0283】
実施例9
ThTアッセイを、AnxA1の物理的安定性(フィブリル化傾向)を評価するために使用した。等張性溶液を提供するために、等張性調整剤としてスクロース、マンニトール又はソルビトールのいずれかを有するグリシル-グリシン緩衝液pH8.0及びトリス緩衝液pH7.4で物理的安定性を試験し、AnxA1の濃度は1.5mg/mL~4.8mg/mLであった。ラグタイムは、AnxA1及び等張性調整剤の濃度とは無関係に、pH8の10mMグリシル-グリシンを含有する全ての試料で65時間を超える(ThTアッセイは実行されている)。
【0284】
10mMトリス、pH7.5では、より高い濃度(4.7mg/mL)の全ての試料で10.7~11.1時間後にフィブリル化が観察される。10%スクロース中のより低い濃度の1.5mg/mLでは、ラグタイムは42.8時間であり、5%マンニトール又はソルビトールを含有する1.7mg/mLではラグタイムは65時間を超える。
【0285】
【0286】
実施例10
ThTアッセイを用いて、AnxA1の物理的安定性及びフィブリル化傾向を評価した。実験計画を、1.5~8.4mg/mLのAnxA1濃度で、スクロース、マンニトール又はマンニトール/スクロースを有するpH7.4~8.5の10~50mMグリシル-グリシン緩衝液中で表8に従って実行した。
【0287】
pHが7.4から8.5に上昇するにつれて、AnxA1の物理的安定性が増加する(ラグタイムは長くなる)。グリシル-グリシン緩衝液の濃度が10mMから50mMに増加すると、物理的安定性が低下する(ラグタイムは短くなる)。使用した等張性調整剤(マンニトール、スクロース及びマンニトール/スクロース)の影響は、物理的安定性(ラグタイム)に対して無視できるほどの影響しかなかった。
【0288】
DoEからの実験データに基づいて、ラグタイムに対する緩衝液濃度、AnxA1濃度及びpHの影響をモデル化し、
図10及び
図11の3次元等高線プロットにプロットした。
【0289】
【0290】
実施例11
加速安定性試験
AnxA1の5つの製剤(形態1~5)を表9に提示するように調製した。試料を、前述の手順に従って凍結乾燥した。試料の化学的安定性を表10に従って5℃及び40℃での6か月の安定性試験で、RP-HPLC(逆相HPLC)によるAnxA1の純度として決定した。
【0291】
AnxA1は、pH8.3で全ての組成物の試料(製剤1、2、3及び5)において物理的に安定であることが観察される(ラグタイム>60時間)。pH7.5では、34.7時間のより短いラグタイムによって観察されるように、物理的安定性は低い。生理食塩水(0.9wt%のNaCl)及びPbs緩衝液では、それぞれ8.8時間及び5.6時間の短いラグタイムから観察されるように、物理的安定性はより低い。
【0292】
AnxA1は、等張性調整剤としてマンニトールのみを有する試料(形態1)と比較して、等張性調整剤としてマンニトールとスクロースを組み合わせた試料(形態2、形態3、形態4及び形態5)において、より化学的に安定(より高い純度)であることが観察される。そのため、スクロースは凍結乾燥ケーキ中のAnxA1の化学的安定性を高める。
【0293】
【0294】
【0295】
実施例12
高張及び低張溶液での安定性
AnxA1の9つの製剤を、ThTアッセイ用の陽性対照を含む、以下の表11に提示するように調製した。試料を、NaHCO3を含有する試料についてはn=3及びグリシル-グリシンを含有する試料についてはn=4で、前述の手順を用いて、ThTアッセイを用いて分析した。
【0296】
フィブリル化は、0.9%生理食塩水中の陽性対照試料においてのみ観察される。NaHCO3でもグリシル-グリシン緩衝液でも、20%低張、及び20%と100%高張では、フィブリル化は観察されなかった。
【0297】
【0298】
項目
1.pH>6;又は2<pH<3の液体医薬製剤であって、
a.AMVSEFLKQ AWFIENEEQE YVQTVKSSKG GPGSAVSPYP TFNPSSDVAA LHKA(AnxA1 2-54;配列番号3)、
及びその断片、及びその変異体、及びその断片の変異体からなる群から選択される治療有効量のAnxA1ペプチドなどのアネキシンA1(AnxA1)N末端ペプチド;並びに
b.i.超純水などの水;及び
ii.本質的に非イオン性又は低イオン性、及び/又は本質的に等張性の溶液であって、
任意選択で、炭水化物及び/又は糖アルコールなどの等張性調整剤を含む溶液
からなる群から選択される溶媒
を含む液体医薬製剤。
2.pH≧6.5である、項目1に記載の液体医薬製剤。
3.pH≧6.5、例えばpH≧7.0、例えばpH≧7.5、例えばpH≧8.0である、項目1~2のいずれかに記載の液体医薬製剤。
4.pH>7である、項目1~3のいずれかに記載の液体医薬製剤。
5.pH>7.4である、項目1~4のいずれかに記載の液体医薬製剤。
6.pH>7.5である、項目1~5のいずれかに記載の液体医薬製剤。
7.pH>8である、項目1~6のいずれかに記載の液体医薬製剤。
8.pH≦12、例えばpH≦11.5、例えばpH≦11、pH≦10.5、例えばpH≦10、例えばpH≦9.5、例えばpH≦9、例えばpH≦8.5である、項目1~7のいずれかに記載の液体医薬製剤。
9.6>pH≦6.5、例えば6.5≧pH≦7、例えば7≧pH≦7.5、例えば7.5≧pH≦8、例えば8≧pH≦8.5、例えば8.5≧pH≦9、例えば9≧pH≦9.5、例えば9.5≧pH≦10、例えば10≧pH≦10.5、例えば10.5≧pH≦11、例えば11≧pH≦11.5、例えば11.5≧pH≦12である、項目1~8のいずれかに記載の液体医薬製剤。
10.7.0≧pH≦7.5、例えば7.5≧pH≦8、例えば8≧pH≦8.5、例えば8.5≧pH≦9、例えば9≧pH≦9.5、例えば9.5≧pH≦10、例えば10≧pH≦10.5;例えば、7.0≧pH≦7.5、例えば7.5≧pH≦8、例えば8≧pH≦8.5、例えば8.5≧pH≦9である;
例えば、pH≧7.4である、
例えば、例えば8≧pH≦8.5、例えば8.5≧pH≦9である;
例えば、例えば8≧pH≦8.5である、
項目1~9のいずれかに記載の液体医薬製剤。
11.pHが、7.5、例えば7.6、例えば7.7、例えば7.8、例えば7.9、例えば8.0、例えば8.1、例えば8.2、例えば8.3、例えば8.3、例えば8.4、例えば8.5、例えば8.6、例えば8.7、例えば8.8、例えば8.9、例えば9.0である、項目1~10のいずれかに記載の液体医薬製剤。
12.pH≧7.4、例えば、pH≧7.5、例えば、pH≧7.6、例えば、pH≧7.7、例えば、pH≧7.8、例えば、pH≧7.9、例えば、pH≧8.0である、項目1~11のいずれかに記載の液体医薬製剤。
13.pHが約8.3である、項目1~12のいずれかに記載の液体医薬製剤。
14.pHが、2<pH<3、pH≦3.0、例えばpH≦2.5、例えば約2.5のpHである、項目1~13のいずれかに記載の液体医薬製剤。
15.2<pH<2.6である、項目1~14のいずれかに記載の液体医薬製剤。
16.pH≧8;又は2<pH<2.6である、項目1~15のいずれかに記載の液体医薬製剤。
17.前記製剤が本質的にフィブリルを含まない、項目1~16のいずれかに記載の液体医薬製剤。
18.前記製剤が、本質的にタンパク質性粒子などの目に見える及び/又は顕微鏡でないと見えない粒子を含まない、項目1~17のいずれかに記載の液体医薬製剤。
19.前記製剤が、本質的に、≧0.1μm、例えば≧1μm、例えば≧1μm、例えば≧10μm、例えば≧1μmのタンパク質性粒子などの目に見える及び/又は顕微鏡でないと見えない粒子を含まない、項目1~18のいずれかに記載の液体医薬製剤。
20.前記製剤が、3<pH<6、例えば3<pH<6.5、例えば3<pH<7、例えば3<pH<7.4の液体医薬製剤と比較して;及び/又は
生理食塩水液体医薬製剤と比較して;及び/又は
>50mMのイオン強度を有する溶液と比較して;及び/又は
等張性調整剤を含まない溶液と比較して
a.物理的安定性の改善を有する、
b.溶解性の改善及び/又は不溶性の低下を有する、かつ/又は
c.フィブリルを形成する傾向の低下を有する、
項目1~19のいずれかに記載の液体医薬製剤。
21.前記製剤が、pH3<pH<6、例えば3<pH<6.5、例えば3<pH<7、例えば3<pH<7.4の液体医薬製剤と比較して;及び/又は
生理食塩水液体医薬製剤と比較して;及び/又は
>50mMのイオン強度を有する溶液と比較して;及び/又は
等張性調整剤を含まない溶液と比較して
a.化学的安定性の改善を有する、
b.凍結乾燥中にペプチドを保存する、かつ/又は
c.凍結乾燥中のペプチド分解を低減する、
項目1~20のいずれかに記載の液体医薬製剤。
22.前記アネキシンA1のN末端ペプチドが、少なくとも0.1mg/ml、例えば少なくとも0.5mg/ml、例えば少なくとも1.0mg/ml、例えば少なくとも1.5mg/ml、例えば少なくとも2.0mg/ml、例えば少なくとも2.5mg/ml、例えば少なくとも3.0mg/ml、例えば少なくとも3.5mg/ml、例えば少なくとも4.0mg/ml、例えば少なくとも5.5mg/ml、例えば少なくとも5.0mg/ml、例えば少なくとも7.5mg/ml、例えば少なくとも10.0mg/mlの水性溶解度を有する、項目1~21のいずれかに記載の液体医薬製剤。
23.0.1~50mg/mlの濃度で前記アネキシンA1のN末端ペプチドを含む、項目1~22のいずれかに記載の液体医薬製剤。
24.0.1~0.5mg/ml、例えば0.5~1、例えば1~2、例えば2~3、例えば3~4、例えば4~5、例えば5~6、例えば6~7、例えば7~8、例えば8~9、例えば9~10、例えば10~11、例えば11~12、例えば12~13、例えば13~14、例えば14~15、例えば15~16、例えば16~17、例えば17~18、例えば18~19、例えば19~20mg/ml、例えば20~21、例えば21~22、例えば22~23、例えば23~24、例えば24~25、例えば25~26、例えば26~27、例えば27~28、例えば28~29、例えば29~30mg/ml、例えば30~31、例えば31~32、例えば32~33、例えば33~34、例えば34~35、例えば35~36、例えば36~37、例えば37~38、例えば38~39、例えば39~40mg/ml、例えば40~41、例えば41~42、例えば42~43、例えば43~44、例えば44~45、例えば45~46、例えば46~47、例えば47~48、例えば48~49、例えば49~50mg/mlの濃度で前記アネキシンA1のN末端ペプチドを含む、項目1~23のいずれかに記載の液体医薬製剤。
25.少なくとも2.2mg/ml、例えば少なくとも2.5mg/ml、例えば少なくとも3.0mg/ml、例えば少なくとも3.5mg/ml、例えば少なくとも4.0mg/ml、例えば少なくとも4.5mg/ml、例えば少なくとも5.0mg/mlの濃度で前記アネキシンA1のN末端ペプチドを含む、項目1~24のいずれかに記載の液体医薬製剤。
26.前記溶媒が水である、項目1~25のいずれかに記載の液体医薬製剤。
27.前記溶媒が超純水である、項目1~26のいずれかに記載の液体医薬製剤。
28.前記溶媒が、本質的に非イオン性溶液又は低イオン強度を有する低イオン性溶液である、項目1~27のいずれかに記載の液体医薬製剤。
29.前記溶媒が、1μM~50mMのイオン強度などの低イオン強度を有する、項目1~28のいずれかに記載の液体医薬製剤。
30.前記溶媒が、1μM~50mM、例えば1μM~5μM、例えば5~10μM、例えば10~25μM、例えば25~50μM、例えば50~75μM、例えば75~100μM、例えば100~200μM、例えば200~300μM、例えば300~400μM、例えば400~500μM、例えば500~750μM、例えば750~1000μM(1mM)、例えば1mM~2mM、例えば2~3mM、例えば3~4mM、例えば4~5mM、例えば5~10mM、例えば10~20mM、例えば20~30mM、例えば30~40mM、例えば40~50mMのイオン強度を有する、項目1~29のいずれかに記載の液体医薬製剤。
31.前記溶媒が非生理食塩水である、項目1~30のいずれかに記載の液体医薬製剤。
32.前記溶媒が本質的に等張液である、項目1~31のいずれかに記載の液体医薬製剤。
33.前記溶媒が約100%の張度を有する、項目1~32のいずれかに記載の液体医薬製剤。
34.前記溶媒が、100%±100%の張度、例えば0.1%~200%の張度を有する、項目1~33のいずれかに記載の液体医薬製剤。
35.前記溶媒が、100%±100%の張度、例えば0.1%~1%の張度、例えば1~5%、例えば5~10%、例えば10~15%、例えば15~20%、例えば20~25%、例えば25~30%、例えば30~35%、例えば35~40%、例えば40~45%、例えば45~50%、例えば50~55%、例えば55~60%、例えば60~65%、例えば65~70%、例えば70~75%、例えば75~80%、例えば80~85%、例えば85~90%、例えば90~95%、例えば95~100%、例えば100~105%、例えば105~110%、例えば110~115%、例えば115~120%、例えば120~125%、例えば125~130%、例えば130~135%、例えば135~140%、例えば140~145%、例えば145~150%、例えば150~155%、例えば155~160%、例えば160~165%、例えば165~170%、例えば170~175%、例えば175~180%、例えば180~185%、例えば185~190%、例えば190~195%、例えば195~200%の張度を有する、項目1~34のいずれかに記載の液体医薬製剤。
36.前記溶媒が、100%±20%の張度、例えば80%~120%の張度を有する、項目1~35のいずれかに記載の液体医薬製剤。
37.前記溶媒が、80~85%の張度、例えば85~90%、例えば90~95%、例えば95~100%、例えば100~105%、例えば105~110%、例えば110~115%、例えば115~120%の張度を有する、項目1~36のいずれかに記載の液体医薬製剤。
38.前記溶媒が0~20%高張、例えば0~5%、例えば5~10%、例えば10~15%、例えば15~20%高張である、項目1~37のいずれかに記載の液体医薬製剤。
39.前記溶媒が、0~20%低張、例えば0~5%、例えば5~10%、例えば10~15%、例えば15~20%低張である、項目1~38のいずれかに記載の液体医薬製剤。
40.前記溶媒が、
i.超純水などの水;及び
ii.1μM~50mMのイオン強度などの低イオン強度を有する溶液、及び
iii.水である溶液であって、100%(等張)±100%の張度を有する溶液、及び
iv.1μM~50mMのイオン強度などの低イオン強度を有する溶液であって、100%(等張)±100%の張度を有する溶液
からなる群から選択される、項目1~39のいずれかに記載の液体医薬製剤。
41.等張性調整剤を含む、項目1~40のいずれかに記載の液体医薬製剤。
42.炭水化物及び/又は糖アルコールである等張性調整剤を含む、項目1~41のいずれかに記載の液体医薬製剤。
43.炭水化物等張性調整剤を含む、項目1~42のいずれかに記載の液体医薬製剤。
44.糖アルコール等張性調整剤を含む、項目1~43のいずれかに記載の液体医薬製剤。
45.炭水化物等張性調整剤及び糖アルコール等張性調整剤を含む、項目1~44のいずれかに記載の液体医薬製剤。
46.前記等張性調整剤が、ペントース単糖、ヘキソース単糖、二糖及び三糖からなる群から選択される、項目1~45のいずれかに記載の液体医薬製剤。
47.炭水化物等張性調整剤が、スクロース、トレハロース、マンノース、リボース、マルトース、グルコース、ラクトース、ガラクトース及びアラビノースからなる群から選択される、項目1~46のいずれかに記載の液体医薬製剤。
48.前記糖アルコール等張性調整剤が、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、グリセロール、キシリトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレン/エチレングリコール共重合体からなる群から選択される、項目1~47のいずれかに記載の液体医薬製剤。
49.前記溶液が、約4.5%(100%等張)の総重量百分率(w/v)、例えば、0.1~9%、例えば0.1~0.5、例えば0.5~1.0、例えば1.5~2.0、例えば1.5~2.0、例えば2.0~2.5、例えば2.5~3.0、例えば3.0~3.5、例えば3.5~4.0、例えば4.0~4.5、例えば4.5~5.0、例えば5.0~5.5、例えば5.5~6.0、例えば6.0~6.5、例えば7.0~7.5、例えば7.5~8.0、例えば8.0~8.5、例えば8.5~9.0%(w/v)の総重量百分率(w/v)を有する、例えば3.6~5.4%;例えば3.6~3.8、例えば3.8~4.0、例えば4.0~4.2、例えば4.2~4.4、例えば4.4~4.6、例えば4.6~4.8、例えば4.8~5.0、例えば5.0~5.2%(w/v)の総重量百分率(w/v)を有する1以上のペントース単糖を含む、項目1~48のいずれかに記載の液体医薬製剤。
50.前記溶液が、約5.5%(等張)の総重量百分率(w/v)を有する、例えば0.1~10.9%、例えば0.1~0.5、例えば0.5~1.0、例えば1.5~2.0、例えば1.5~2.0、例えば2.0~2.5、例えば2.5~3.0、例えば3.0~3.5、例えば3.5~4.0、例えば4.0~4.5、例えば4.5~5.0、例えば5.0~5.5、例えば5.5~6.0、例えば6.0~6.5、例えば7.0~7.5、例えば7.5~8.0、例えば8.0~8.5、例えば8.5~9.0%、例えば9.0~9.5、例えば9.5~10.0%、例えば10.0~10.5、例えば10.5~10.9%(w/v)の総重量百分率(w/v)を有する、例えば、4.4~6.6%、例えば4.4~4.6%、例えば4.6~4.8、例えば4.8~5.0、例えば5.0~5.2、例えば5.2~5.4、例えば5.4~5.6、例えば5.6~5.8、例えば5.8~6.0、例えば6.0~6.2%、例えば6.2~6.4%、例えば6.4~6.6%(w/v)の総重量百分率(w/v)を有する1以上のヘキソース単糖を含む、項目1~49のいずれかに記載の液体医薬製剤。
51.前記溶液が、約10.3%(等張)の総重量百分率(w/v)を有する、例えば0.1~20.5%、例えば0.1~1、例えば1~2、例えば2~3、例えば3~4、例えば4~5、例えば5~6、例えば6~7、例えば7~8、例えば8~9、例えば9~10、例えば10~11、例えば11~12、例えば12~13、例えば13~14、例えば14~15、例えば15~16、例えば16~17、例えば17~18、例えば18~19、例えば19~20、例えば20~20.5%(w/v)の総重量百分率(w/v)を有する、例えば8.2~12.3%、例えば8.2~8.5、例えば8.5~9、例えば9~9.5、例えば9.5~10、例えば10~10.5、例えば10.5~11、例えば11~11.5、例えば11.5~12、例えば12~12.3%(w/v)の総重量百分率(w/v)を有する1以上の二糖を含む、項目1~50のいずれかに記載の液体医薬製剤。
52.前記溶液が、約15.1%(等張)の総重量百分率(w/v)を有する、例えば0.1~30.3%、例えば0.1~1、例えば1~2、例えば2~3、例えば3~4、例えば4~5、例えば5~6、例えば6~7、例えば7~8、例えば8~9、例えば9~10、例えば10~11、例えば11~12、例えば12~13、例えば13~14、例えば14~15、例えば15~16、例えば16~17、例えば17~18、例えば18~19、例えば19~20、例えば20~21、例えば21~22、例えば22~23、例えば23~24、例えば24~25、例えば25~26、例えば26~27、例えば27~28、例えば28~29、例えば29~30、例えば30~30.3%(w/v)の総重量百分率(w/v)を有する、例えば12.1~18.2%、例えば12.1~12.5、例えば12.5~13、例えば13~13.5、例えば13.5~14、例えば14~14.5、例えば14.5~15、例えば15~15.5、例えば15.5~16、例えば16~16.5、例えば16.5~17、例えば17.5~18、例えば18~18.2%(w/v)の総重量百分率(w/v)を有する1以上の三糖を含む、項目1~51のいずれかに記載の液体医薬製剤。
53.前記溶液がトレハロース及び/スクロースを含む、項目1~52のいずれかに記載の液体医薬製剤。
54.前記溶液がスクロースを含む、項目1~53のいずれかに記載の液体医薬製剤。
55.前記溶液が約10%(w/v)スクロースを含む;例えば、8~12%(w/v)スクロース、例えば8~9、例えば9~10、例えば10~11、例えば11~12%(w/v)スクロースを含む、
例えば約1%(w/v)スクロースを含む、
例えば1~5%(w/v)スクロース、例えば1~2、例えば2~3、例えば3~4、例えば4~5(w/v)スクロースを含む、
例えば0~20%(w/v)スクロース、例えば0.1~1、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、8~9、9~10、10~11、11~12、12~13、13~14、14~15、15~16、16~17、17~18、18~19、19~20%(w/v)スクロースを含む、
項目1~54のいずれかに記載の液体医薬製剤。
56.前記溶液がマンニトールを含む、項目1~55のいずれかに記載の液体医薬製剤。
57.前記溶液が約5%(w/v)マンニトールを含む、例えば4~6%(w/v)マンニトール、例えば4~4.5、例えば4.5~5、例えば5~5.5、例えば、5.5~6%マンニトールを含む、
例えば約4%(w/v)マンニトール、例えば3~5%(w/v)マンニトール、例えば3~5%(w/v)マンニトール、例えば3~3.5、例えば3.5~4、例えば4~4.5、例えば4.5~4%マンニトールを含む、
例えば0~10%(w/v)マンニトール、例えば0.1~1、例えば1~2、例えば2~3、例えば3~4、例えば4~5、例えば5~6、例えば6~7、例えば7~8、例えば8~9、例えば9~10%(w/v)マンニトールを含む、
項目1~56のいずれかに記載の液体医薬製剤。
58.前記溶液がマンニトール及びスクロースを含む、項目1~57のいずれかに記載の液体医薬製剤。
59.前記溶液が、4%(w/v)マンニトール及び約2.5%スクロースを含む、
例えば3~5%(w/v)マンニトール及び2~3%(w/v)スクロースを含む、
例えば0~8%(w/v)マンニトール及び0~5%(w/v)スクロースを含む、
項目1~58のいずれかに記載の液体医薬製剤。
60.a.前記溶液がpH≧7.4のpHを有し、かつ/又は
b.前記溶液が、pH≧7.5、例えばpH≧7.6、例えばpH≧7.7、例えばpH≧7.8、例えばpH≧7.9、例えばpH≧8.0、例えばpH≧8.1、例えばpH≧8.2、例えばpH≧8.3、例えばpH≧8.5、例えばpH≧8.6、例えばpH≧8.7、例えばpH≧8.8、例えばpH≧8.9、例えばpH≧9.0のpHを有し、かつ/又は
c.前記溶液が1μM~50mMのイオン強度を有し、かつ/又は
d.前記溶液が100%(等張)±20%の張度を有し、かつ/又は
e.前記溶液が、スクロース、トレハロース、マンノース、リボース、マルトース、グルコース、ラクトース、ガラクトース、アラビノース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、グリセロール、キシリトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレン/エチレングリコール共重合体からなる群から選択される等張性調整剤を含み、かつ/又は
f.前記溶液がスクロース及び/又はマンニトールを含み、かつ/又は
g.前記アネキシンA1のN末端ペプチドが、少なくとも0.1mg/ml、例えば少なくとも0.5mg/ml、例えば少なくとも1.0mg/ml、例えば少なくとも1.5mg/ml、例えば少なくとも2.0mg/ml、例えば少なくとも2.5mg/ml、例えば少なくとも3.0mg/ml、例えば少なくとも3.5mg/ml、例えば少なくとも4.0mg/ml、例えば少なくとも5.5mg/ml、例えば少なくとも5.0mg/ml、例えば少なくとも7.5mg/ml、例えば少なくとも10.0mg/mlの水性溶解度を有し、かつ/又は
h.前記溶液が、0.1~50mg/mlの濃度で前記アネキシンA1のN末端ペプチドを含む、
項目1~59のいずれかに記載の液体医薬製剤。
61.1以上の緩衝液などの緩衝液をさらに含む、項目1~60のいずれかに記載の液体医薬製剤。
62.前記緩衝液が、酢酸緩衝液、TRIS、アミン含有緩衝液、リジン、ヒドロキシリジン、ヒスチジン及びグリシル-グリシンなどのアミノ酸ベースの緩衝液、非リン酸緩衝液、重炭酸緩衝液、ポリソルベート80(例えばTween80)、HEPES及びホウ酸塩からなる群から選択される、項目1~61のいずれかに記載の液体医薬製剤。
63.グリシル-グリシン及び/又はポリソルベート80をさらに含む、項目1~62のいずれかに記載の液体医薬製剤。
64.保存剤をさらに含む、項目1~63のいずれかに記載の液体医薬製剤。
65.mクレゾール、ベンジルアルコール、メチル、エチル、プロピルパラベン、ブチルパラベン、メチルパラベン、及びフェノールからなる群から選択される保存剤をさらに含む、項目1~64のいずれかに記載の液体医薬製剤。
66.前記アネキシンA1のN末端ペプチドが、AMVSEFLKQ AWFIENEEQE YVQTVKSSKG GPGSAVSPYP TFNPSSDVAA LHKA(AnxA1 2-54;配列番号3)、
及び配列番号3の5~52個の連続するアミノ酸、例えば配列番号3の5~10、例えば10~15、例えば15~20、例えば20~25、例えば25~30、例えば30~35、例えば35~40、例えば40~45、例えば45~50、例えば50~52個の連続するアミノ酸を含む配列番号3の断片、
及び1~6個の個々のアミノ酸置換、例えば1個のアミノ酸置換、例えば2個のアミノ酸置換、例えば3個のアミノ酸置換、例えば4個のアミノ酸置換、例えば5個のアミノ酸置換、例えば6個の個々のアミノ酸置換を含む配列番号3の変異体
からなる群から選択される、項目1~65のいずれかに記載の液体医薬製剤。
67.配列番号3の前記断片が、配列番号3の5個以上の連続するアミノ酸を含むか又はそれからなり、例えば配列番号3の6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、又は52の連続するアミノ酸を含むか又はそれからなる、項目1~66のいずれかに記載の液体医薬製剤。
68.前記アネキシンA1のN末端ペプチドが、AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVK(配列番号10;アネキシンA1 2-26)、
及び1~6個の個々のアミノ酸置換、例えば1個のアミノ酸置換、例えば2個のアミノ酸置換、例えば3個のアミノ酸置換、例えば4個のアミノ酸置換、例えば5個のアミノ酸置換、例えば6個の個々のアミノ酸置換を含む配列番号10の変異体
からなる群から選択される、項目1~67のいずれかに記載の液体医薬製剤。
69.前記アネキシンA1のN末端ペプチドが、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAA(配列番号4;アネキシンA1 2-50)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV(配列番号5;アネキシンA1 2-48)、及び
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSS(配列番号6;アネキシンA1 2-46)、
及び1~6個の個々のアミノ酸置換、例えば1個のアミノ酸置換、例えば2個のアミノ酸置換、例えば3個のアミノ酸置換、例えば4個のアミノ酸置換、例えば5個のアミノ酸置換、例えば6個の個々のアミノ酸置換を含む配列番号4~6のいずれか1つの変異体
からなる群から選択される、項目1~68のいずれかに記載の液体医薬製剤。
70.配列番号3~6及び10のいずれか1つの24位のバリン(V)が、任意の他の標準又は非標準アミノ酸で置換されている、項目1~69のいずれかに記載の液体医薬製剤。
71.配列番号3~6及び10のいずれか1つの24位のバリン(V)がロイシン(L)で置換されている、項目1~70のいずれかに記載の液体医薬製剤。
72.前記アネキシンA1のN末端ペプチドが、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLK(配列番号11;アネキシン A1 2-26 V24L)、
及び1~6個の個々のアミノ酸置換、例えば1個のアミノ酸置換、例えば2個のアミノ酸置換、例えば3個のアミノ酸置換、例えば4個のアミノ酸置換、例えば5個のアミノ酸置換、例えば6個の個々のアミノ酸置換を含む配列番号11の変異体
からなる群から選択される、項目1~71のいずれかに記載の液体医薬製剤。
73.前記アネキシンA1のN末端ペプチドが、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAA(配列番号7;アネキシンA1 2-50 V24L)、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV(配列番号8;アネキシンA1 2-48 V24L)、及び
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSS(配列番号9;アネキシンA1 2-46 V24L)、
及び1~6個のアミノ酸置換、例えば1個のアミノ酸置換、例えば2個のアミノ酸置換、例えば3個のアミノ酸置換、例えば4個のアミノ酸置換、例えば5個のアミノ酸置換、例えば6個の個々のアミノ酸置換を含む配列番号7~9のいずれか1つの変異体
からなる群から選択される、項目1~72のいずれかに記載の液体医薬製剤。
74.配列番号3~11のいずれか1つの10位のアラニン残基が、任意の他の標準又は非標準アミノ酸;例えば、ロイシン、アスパラギン酸、メチオニン、グルタミン酸、イソロイシン及びアルギニンからなる群から独立して選択されるアミノ酸残基で置換されている、項目1~73のいずれかに記載の液体医薬製剤。
75.配列番号3~11のいずれか1つの21位のバリン残基が、任意の他の標準又は非標準アミノ酸;例えば、ロイシン、アスパラギン酸、メチオニン、グルタミン酸、イソロイシン及びリジンからなる群から独立して選択されるアミノ酸残基で置換されている、項目1~74のいずれかに記載の液体医薬製剤。
76.配列番号3~9のいずれか1つの35位のバリン残基が、任意の他の標準又は非標準アミノ酸;例えば、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、システイン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リジン及びアルギニンからなる群から独立して選択されるアミノ酸残基;好ましくはリジンで置換されている、項目1~75のいずれかに記載の液体医薬製剤。
77.前記アミノ酸置換が保存的アミノ酸置換である、項目1~76のいずれかに記載の液体医薬製剤。
78.配列番号4~9のいずれか1つの前記変異体が、1、2又は3個のアミノ酸置換、例えば1又は2個のアミノ酸置換、例えば1個のアミノ酸置換を含む、項目1~77のいずれかに記載の液体医薬製剤。
79.前記アネキシンA1のN末端ペプチドが、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAA(配列番号4;アネキシンA1 2-50)及び
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTVKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV(配列番号5;アネキシンA1 2-48)
からなる群から選択される、項目1~78のいずれかに記載の液体医薬製剤。
80.前記アネキシンA1のN末端ペプチドが、
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDVAA(配列番号7;アネキシンA1 2-50 V24L)、及び
AMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV(配列番号8;アネキシンA1 2-48 V24L)
からなる群から選択される、項目1~79のいずれかに記載の液体医薬製剤。
81.前記アネキシンA1のN末端ペプチドが、C末端アミド化されたAMVSEFLKQAWFIENEEQEYVQTLKSSKGGPGSAVSPYPTFNPSSDV(配列番号8;アネキシンA1 2-48 V24L)である、項目1~80のいずれかに記載の液体医薬製剤。
82.アネキシンA1のN末端ペプチドの前記断片及び前記変異体が、アネキシンA1のN末端ペプチドの機能性断片及び/又は機能性変異体である、項目1~81のいずれかに記載の液体医薬製剤。
83.前記アネキシンA1のN末端ペプチド、又はその変異体若しくは断片が、
a.FPR1、FPR2及びFPR3を含む1以上のホルミルペプチド受容体に結合する、
b.FPR1、FPR2及びFPR3を含む1以上のホルミルペプチド受容体を活性化及び/又は刺激する、
c.FPR2と結合及び/又は活性化する、
d.免疫細胞を活性化する、
e.食作用白血球などの白血球を活性化する、
f.好中球及び/又は単球を活性化する、
g.好中球走化性の誘導、好中球補体受容体3(CR3)の動員、及び好中球NADPHオキシダーゼの活性化などの食細胞白血球のエフェクター機能を活性化する、かつ/又は
h.食細胞白血球の走化性を誘導する、
項目1~82のいずれかに記載の液体医薬製剤。
84.前記アネキシンA1のN末端ペプチドが、N末端アセチル化される(COCH3又はAc-)、項目1~83のいずれかに記載の液体医薬製剤。
85.前記アネキシンA1のN末端ペプチドが、C末端アミド化される(-NH2)、項目1~84のいずれかに記載の液体医薬製剤。
86.項目1~85のいずれかに記載の液体医薬製剤を調製するプロセスであって、
a.項目1~85のいずれかに記載の溶媒とアネキシンA1のN末端ペプチドを混合する工程;
b.任意選択で、工程aの混合物を濾過する工程、及び
c.前記液体医薬製剤のpHをpH<6;又は2<pH<3に調整する工程
を含むプロセス。
87.前記pHが、6>pH≦6.5、例えば6.5≧pH≦7、例えば7≧pH≦7.5、例えば7.5≧pH≦8、例えば8≧pH≦8.5、例えば8.5≧pH≦9、例えば9≧pH≦9.5、例えば9.5≧pH≦10、例えば10≧pH≦10.5、例えば10.5≧pH≦11、例えば11≧pH≦11.5、例えば11.5≧pH≦12に調整される、項目84に記載のプロセス。
88.前記pHが、2<pH<3、例えばpH≦3.0、例えばpH≦2.5、例えば約2.5のpHに調整される、項目84に記載のプロセス。
89.凍結乾燥医薬製剤を調製するプロセスであって、
a.項目1~88のいずれかに記載の液体医薬製剤を提供する工程、
b.工程aの前記液体を凍結乾燥する工程
を含むプロセス。
90.前記凍結乾燥が、
a.本明細書上記で定義した液体医薬製剤の凍結、
b.減圧及び加熱を含む一次乾燥(昇華段階)、及び
c.二次乾燥(脱離段階)
の1以上の工程を含む、項目87に記載のプロセス。
91.項目87~88のいずれか一項に記載のプロセスによって得られる凍結乾燥医薬製剤。
92.安定、例えば貯蔵安定である、項目1~91のいずれかに記載の凍結乾燥医薬製剤。
93.アネキシンA1のN末端ペプチドを含む再構成溶液を作製する方法であって、
a.項目87~90のいずれか一項に記載の凍結乾燥医薬製剤を提供すること、及び
b.前記凍結乾燥医薬製剤を溶媒に溶解すること
を含む方法。
94.前記溶媒がpH>6を有し、かつ/又は前記溶液がpH>6;若しくは2<pH<3を有する、項目91に記載の方法。
95.前記溶媒及び/又は前記溶液が、6>pH≦6.5、例えば6.5≧pH≦7、例えば7≧pH≦7.5、例えば7.5≧pH≦8、例えば8≧pH≦8.5、例えば8.5≧pH≦9、例えば9≧pH≦9.5、例えば9.5≧pH≦10、例えば10≧pH≦10.5、例えば10.5≧pH≦11、例えば11≧pH≦11.5、例えば11.5≧pH≦12;又は2<pH<3、例えばpH≦3.0、例えばpH≦2.5、例えば約2.5のpHを有する、項目92に記載の方法。
96.前記溶媒が、
a.超純水などの水;及び
b.本質的に非イオン性又は低イオン性、及び/又は本質的に等張性の溶液であって、任意選択で炭水化物及び/又は糖アルコールなどの等張性調整剤を含む溶液
からなる群から選択される、項目91~93のいずれか一項に記載の方法。
97.前記溶媒が超純水などの水である、項目91~94のいずれか一項に記載の方法。
98.医薬として使用するための、項目1~97のいずれかに記載の液体医薬製剤又は凍結乾燥医薬製剤。
99.虚血状態及び/又は炎症状態の治療に使用するための、項目1~98のいずれかに記載の液体医薬製剤又は凍結乾燥医薬製剤。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】