(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-14
(54)【発明の名称】微粒子フィルター
(51)【国際特許分類】
B01D 53/94 20060101AFI20230907BHJP
B01J 35/04 20060101ALI20230907BHJP
B01J 23/78 20060101ALI20230907BHJP
B01J 23/02 20060101ALI20230907BHJP
B01J 23/34 20060101ALI20230907BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20230907BHJP
F01N 3/022 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B01D53/94 222
B01J35/04 301E
B01J23/78 A ZAB
B01J23/02 A
B01J23/34 A
B01D53/94 228
B01D53/94 245
B01D53/94 280
F01N3/24 E
F01N3/022 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513625
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 US2021044862
(87)【国際公開番号】W WO2022046389
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/111092
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】チヤン,チュン ツォン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,イエ フイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルツ,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】シアニ,アッティリオ
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ,トマス
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シャオ リン
【テーマコード(参考)】
3G091
3G190
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
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4G169EC21X
4G169FC08
(57)【要約】
本発明は、微粒子フィルター、特に内燃機関の排出処理システムに使用するための微粒子フィルターに関する。微粒子フィルターは、高い未使用時のろ過効率を提供し、且つ背圧への影響が最小~無しである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)入口側と出口側とを有するフィルター、
(2)前記フィルターの前記入口側、前記出口側、又は両側にコーティングされた機能性材料層
を備え、
前記機能性材料層がカルシウムアルミネートを含む、内燃機関からの排気ガス処理のための微粒子フィルター。
【請求項2】
前記カルシウムアルミネートが、未使用の状態で10m
2/g以下の比表面積を有する、請求項1に記載の微粒子フィルター。
【請求項3】
前記カルシウムアルミネートが、空気中1000℃で4時間か焼した後で10m
2/g以下の比表面積を有する、請求項1又は2に記載の微粒子フィルター。
【請求項4】
前記カルシウムアルミネートが、6~400μm、好ましくは10~200μmのD
90を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の微粒子フィルター。
【請求項5】
前記カルシウムアルミネートが、0.2~3.0g/cm
3、好ましくは0.3~1.8g/cm
3のかさ密度を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の微粒子フィルター。
【請求項6】
酸化アルミニウムと酸化カルシウムとの質量比が、前記カルシウムアルミネート中1.1~9、好ましくは1.5~5である、請求項1から5のいずれか一項に記載の微粒子フィルター。
【請求項7】
前記カルシウムアルミネートが、その酸化物として計算して、20%質量以下、好ましくは15%質量以下、より好ましくは10%質量以下の無機不純物を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の微粒子フィルター。
【請求項8】
前記無機不純物は、シリコン、チタン、マグネシウム、鉄、銅、ジルコニウム、セリウム、バリウムの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の微粒子フィルター。
【請求項9】
前記機能性材料層が、微粒子の形態でコーティングされる、好ましくは気相担体を介して微粒子の形態でコーティングされる、請求項1から8のいずれか一項に記載の微粒子フィルター。
【請求項10】
前記機能性材料層の装填量が、0.1~100g/Lの間、好ましくは1~75g/Lの間、及びより好ましくは10~50g/Lの間である、請求項1から9のいずれか一項に記載の微粒子フィルター。
【請求項11】
前記微粒子フィルターが、複数の細孔を含む多孔質体、及び前記複数の細孔の少なくとも一部内に触媒ウォッシュコートをさらに含み、前記触媒ウォッシュコートが、選択的接触還元(SCR)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、三元変換(TWC)触媒、AMOx触媒、NOxトラップ、NOx吸収触媒、炭化水素トラップ触媒の1つ以上を含み、該触媒ウォッシュコートが、前記機能性材料層の適用の前に前記微粒子フィルターに適用される、請求項1から10のいずれか一項に記載の微粒子フィルター。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の微粒子フィルターと、選択的接触還元(SCR)触媒、三元変換(TWC)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、アンモニア酸化(AMOx)触媒、NOxトラップ、NOx吸収触媒、炭化水素トラップ触媒の1つ以上とを含む、内燃機関からの排気ガス処理のためのシステム。
【請求項13】
内燃機関からの排気ガスを処理するための方法であって、
(1) 請求項1から11のいずれか一項に記載の微粒子フィルターを提供する工程と、
(2) 前記機関からの前記排気ガスを前記微粒子フィルターに通す工程と
を含む、方法。
【請求項14】
前記排気ガスが、未燃焼の炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、及び粒子状物質を含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子フィルター、特に内燃機関の排出処理システムに使用するための微粒子フィルターに関する。微粒子フィルターは、高い未使用時のろ過効率を提供し、且つ背圧への影響が最小~無しである。
【背景技術】
【0002】
大抵の内燃機関の排気ガスの大部分は、比較的無害な窒素(N2)、水蒸気(H2O)、及び二酸化炭素(CO2)を含有するが、排気ガスは、比較的少ないながらも、有害な及び/又は毒性のある物質、例えば不完全燃焼による一酸化炭素(CO)、未燃燃料による炭化水素(HC)、過剰燃焼温度による窒素酸化物(NOx)、及び粒子状物質(PM)も含有する。
【0003】
或る一定の内燃機関、例えば希薄燃焼エンジン、ディーゼルエンジン、天然ガスエンジン、発電所、焼却炉、又はガソリンエンジンは、かなりの量の煤及び他の粒子状物質を伴う排気ガスを生成する傾向がある。粒子状物質の排出は、粒子状物質(PM)を含有する排気ガスを微粒子フィルターに通すことで改善することができる。
【0004】
WO2012030533A1は、少なくとも1つの多孔質壁を有するセラミック支持体上に多孔質識別層を形成する方法に関する。この方法は、(a)粒子凝集体を含有するガス流を、前記少なくとも1つの多孔質壁のガス入口側から前記少なくとも1つの多孔質壁のガス出口側へ前記少なくとも1つの多孔質壁を通すように確立する工程であって、その結果、前記凝集体の少なくとも一部が堆積して、前記少なくとも1つの多孔質壁のガス入口側に凝集体、その構成粒子又はその両方の堆積層を形成され、ここで、(1)前記粒子凝集体を構成する粒子の少なくとも一部がセラミック材料又はセラミック材料への前駆体であり、(2)前記粒子凝集体を構成する粒子が0.01~5ミクロン(μm)のサイズを有し、(3)前記凝集体が10~200ミクロンのサイズを有し、(4)前記堆積層が前記少なくとも1つの多孔質壁の厚さを介して部分的にのみ延びている、工程、及び(b)前記堆積層をか焼して識別層を形成する工程、を含む方法である。
【0005】
WO2018115900A1は、ガソリンエンジンの排出処理システムで使用するための微粒子フィルターに関し、そのフィルターは入口側と出口側とを有し、少なくとも入口側には合成灰が装填されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2012030533A1
【特許文献2】WO2018115900A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
2016年12月23日に、中華人民共和国の環境保護部(MEP)は、軽車両からの排出に対する中国6制限及び測定方法の最終法規(GB18352.6-2016;以下、中国6とも称する)を発表した。これは中国5の排出基準よりもはるかに厳しい。特に中国6bは、粒子状物質(PM)の制限を組み込んでおり、オンボード診断(OBD)要件を採用している。さらに、世界統一試験サイクル(World Harmonized Light-duty Vehicle Test Cycle)(WLTC)で車両の試験を行うことが定められている。WLTCには多くの急加速及び長時間の高速要求が含まれ、これには高出力が要求され、リッチ条件下(ラムダ<1)又は深いリッチ条件下(ラムダ<0.8)で長時間(例えば5秒超)「オープンループ」状態(燃料パドルを最後まで押し込まなければならない)を引き起こす可能性がある。基準はさらに厳しくなってくるが、粒子状物質の排出を満たしながら、規制されているHC、NOx、及びCOの変換を達成できるように、背圧を過度に増加させずに、高い未使用時のろ過効率と向上した耐久性の有利な組み合わせを提供する、さらなる改良された微粒子フィルターの提供が望ましい。
【0008】
本発明は、微粒子フィルター、特に内燃機関の排出処理システムに使用するための微粒子フィルターに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
態様には、内燃機関からの排気ガス処理のための微粒子フィルターであって、入口側と出口側とを有するフィルター、及び該フィルターの入口側、出口側、又は両側にコーティングされた機能性材料層を含む微粒子フィルターが含まれ、該機能性材料層は、カルシウムアルミネートを含む。
【0010】
他の態様には、微粒子フィルターと、選択的接触還元(SCR)触媒、三元変換(TWC)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、アンモニア酸化(AMOx)触媒、NOxトラップ、NOx吸収触媒、炭化水素トラップ触媒の1つ以上とを含む内燃機関からの排気ガス処理のためのシステムが含まれる。
【0011】
他の態様には、微粒子フィルターを提供することと、エンジンからの排気ガスを微粒子フィルターに通すこととを含む、内燃機関からの排気ガスを処理するための方法が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1(a)及び
図1(b)は、ウォールフローフィルターの例を示す。
【
図2】
図2は、本発明の実施態様によるコーティングした微粒子フィルター及び比較例微粒子フィルターの背圧特性のプロットを示す。
【
図3】
図3は、本発明の実施態様によるコーティングしたガソリン微粒子フィルター及び比較例微粒子フィルターの濾過効率のプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の複数の例示的な実施態様を記載する前に、本発明は、以下の記載に示される構造又はプロセス工程の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施態様が可能であり、且つ様々な方法で実施する又は行うことができる。
【0014】
本開示で使用される用語に関して、以下の定義が提供される。
【0015】
特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、「1つを含む」又は「含む」という用語は、特に指定しない限り、「少なくとも1つを含む」という用語と同義であると理解すべきであり、「の間」又は「~(から)」は限界値を含むものと理解すべきである。
【0016】
「a」、「an」及び「the」という用語は、記事の文法的対象の1つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。
【0017】
「及び/又は」という用語には、「及び」、「又は」、そしてこの用語に関連する要素の他のあらゆる可能な組み合わせの意味が含まれる。
【0018】
すべてのパーセンテージ及び比は、特に明記されない限り、質量で言及される。
【0019】
従って、本発明の一態様によれば、下記の、
(1)入口側と出口側とを有するフィルター、
(2)このフィルターの入口側、出口側、又は両側にコーティングされた機能性材料層
を備える内燃機関からの排気ガス処理のための微粒子フィルターを提供するものであり、
その機能性材料層はカルシウムアルミネートを含む。
【0020】
以下の各節で、本発明の異なる態様をより詳細に定義する。このように定義した各態様は、明確にそれに反する記載がない限り、他の態様と組み合わせて使用できる。特に、好適である又は有利であると示された如何なる特徴も、好適である又は有利であると示された如何なる他の特徴又は複数の特徴とも組み合わせることができる。微粒子フィルターは、典型的には、多孔質基材で形成される。多孔質基材は、セラミック材料、例えば、コージェライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、ムライト、スポジュメン、アルミナ-シリカ-マグネシア、ジルコニウムシリケート、及び/又はアルミニウムチタネート、典型的にはコージェライト又は炭化ケイ素を含んでよい。多孔質基材は、内燃機関の排出処理システムで典型的に使用される種類の多孔質基材でよい。
【0021】
内燃機関は、希薄燃焼エンジン、ディーゼルエンジン、天然ガスエンジン、発電所、焼却炉、又はガソリンエンジンでよい。
【0022】
多孔質基材は、従来のハニカム構造を呈してよい。フィルターは、従来の「スルーフローフィルター」の形態をとることができる。あるいは、従来の「ウォールフローフィルター」(WFF)の形態をとることができる。このようなフィルターは、当技術分野で知られている。
【0023】
微粒子フィルターは、好ましくはウォールフローフィルターである。
図1(a)及び
図1(b)を参照すると、例としてウォールフローフィルターが提供されている。ウォールフローフィルターは、排気ガスの流れ(13)(粒子状物質を含む)を、多孔質材料で形成された壁を強制的に通過させることで機能する。
【0024】
ウォールフローフィルターは、典型的には、第1の面と第2の面を有していて、これらの面が両面の間の長手方向を画定する。使用時には、第1の面及び第2の面のうちの一方が排気ガス(13)の入口面となり、他方が処理後の排気ガス(14)の出口面となる。従来のウォールフローフィルターは、長手方向に延びる第1及び第2の複数の流路(チャネル)を有している。第1の複数の流路(11)は、入口面(01)で開放しており、そして出口面(02)で閉鎖している。第2の複数の流路(12)は、出口面(02)で開放しており、そして入口面(01)で閉鎖している。流路は、好ましくは、流路間の壁厚を一定にするため、互いに平行である。その結果、入口面から複数の流路のうちの1つに入った気体は、モノリスを出るときには必ず、入口側(21)から出口側(22)に流路壁(15)を通って他の複数の流路内に拡散する。流路は、流路の開放端部にシーラント材を導入することで閉じられている。好ましくは、第1の複数の流路の数は、第2の複数の流路の数と等しく、複数個の各々がモノリス全体に均等に分布している。好ましくは、ウォールフローフィルターは、長手方向に直交する平面内で、1平方インチ当たり100~500本、好ましくは200~400本の流路を有する。例えば、入口面(01)では、開放流路と閉鎖流路の密度は、1平方インチ当たり200~400本の流路である。流路は、長方形、正方形、円形、楕円形、三角形、六角形、又は他の多角形の断面を有することができる。
【0025】
1つ以上の実施態様において、微粒子フィルターの多孔質壁の入口側(21)を、機能性材料層でコーティングする。機能性材料層は、フィルターの多孔質壁の出口側(22)、又は両側(21及び22)にコーティングしてもよい。装填は、「オン・ウォール」装填又は「イン・ウォール」装填として特徴づけられる。前者は、多孔質壁(15)の表面上に機能性材料層が形成されることが特徴である。後者は、機能性材料の一部を多孔質壁(15)の厚さ全体に延ばすことが特徴である。
【0026】
1つ以上の実施態様において、カルシウムアルミネートは、未使用の状態で、10m2/g以下(BETモデル、77K窒素吸着測定)、好ましくは5m2/g以下、より好ましくは1m2/g以下の比表面積を有する。
【0027】
1つ以上の実施態様において、カルシウムアルミネートは、空気中1000℃で4時間か焼した後に、10m2/g以下(BETモデル、77K窒素吸着測定)、好ましくは5m2/g以下、より好ましくは1m2/g以下の比表面積を有する。
【0028】
1つ以上の実施態様において、カルシウムアルミネートは、6~400μm、好ましくは10~200μmのD90を有する。
【0029】
1つ以上の実施態様において、カルシウムアルミネートは、1~100μm、好ましくは1.5~50μmのD50を有する。
【0030】
1つ以上の実施態様において、カルシウムアルミネートは、0.1~40μm、好ましくは0.5~20μmのD10を有する。
【0031】
「D90」、「D50」及び「D10」は、これらの通常の意味を有し、累積粒度分布において小粒径側からの累積体積が90%、50%及び10%に達する点を指す。D90は、それぞれ粒度分布を測定して求めた値である。粒度分布の測定は、レーザー回折式粒度分布分析器を用いて行う。
【0032】
1つ以上の実施態様において、カルシウムアルミネートは、0.2~3.0g/cm3、好ましくは0.3~1.8g/cm3のかさ密度を有する。
【0033】
本明細書で使用する「かさ密度」とは、単位体積あたりの材料の質量(mass)又は質量(weight)であり、考慮される体積には、粒子間の空隙が含まれる。
【0034】
1つ以上の実施態様において、酸化アルミニウムと酸化カルシウムとの質量比(mass ratio)は、カルシウムアルミネート中1.1~9、好ましくは1.5~5である。
【0035】
1つ以上の実施態様において、カルシウムアルミネートは、その酸化物として計算して、20%質量以下、好ましくは15%質量以下、より好ましくは10%質量以下の無機不純物を含む。いくつかの実施態様では、無機不純物は、シリコン、チタン、マグネシウム、鉄、銅、ジルコニウム、セリウム、バリウムの少なくとも1つを含む。
【0036】
1つ以上の実施態様において、機能性材料層は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)及びロジウム(Rh)、及びそれらの混合物からなる群より選択される第1の白金族金属(PGM)をさらに含む。PGMは、排気ガス中のNOx、CO、及び炭化水素をN2、CO2及びH2Oに変換し、微粒子フィルターで捕捉された粒子状物質の酸化を引き起こすのに触媒的に有効な量で存在する。
【0037】
1つ以上の実施態様において、機能性材料層は、アルミナ、ジルコニア、セリア、シリカ、チタニア、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化鉄、シリケートゼオライト、アルミノシリケートゼオライト、シリコアルミノホスフェート(SAPO)ゼオライトの1つ以上をさらに含む。
【0038】
1つ以上の実施態様において、機能性材料層は、少なくとも1つの有機材料、例えば酢酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、デンプン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(オキシエチレン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、又はポリウレタンを、さらに含む。
【0039】
1つ以上の実施態様において、機能性材料は微粒子の形態でコーティングしてよい。好ましい実施態様において、機能性材料は、気相担体を介して微粒子の形態でコーティングする、すなわち、いかなる液体担体も使用せずに「ドライコーティングする」。他の実施態様において、機能性材料は、液体懸濁物の形態でコーティングしてよい。
【0040】
機能性材料は、コーティングすると、充填床の形態をとる。例えば、微粒子フィルターがウォールフローフィルターである場合、機能性材料は、入口側で開放している複数の流路の壁に対して充填床の形態をとる。充填床は、入口側で開放している流路内に、流路を閉じているシーラント材に対して、すなわち入口流路の出口端に向かって、形成される。充填床は、典型的には多孔質であり、そして典型的にはガス透過性であり、その細孔サイズは、内燃排気中の粒子状物質、例えば煤を捕捉する大きさである。充填床の細孔は、典型的には、微粒子フィルターの多孔質基材の細孔よりも小さい。代替的に、又は追加的に、充填床は多孔質基材の壁よりも多孔質であってよい(すなわち、長い経路長を提供することによって高レベルの濾過をもたらす)。充填床は、入口側で開放している複数の流路の壁に沿って延びてよい。充填床は、層又は膜、例えば連続した層又は膜の形態をとることができる。充填床は、複数の流路の壁の全長に沿って、又は壁の長さの一部のみに沿って延びてよい。機能性材料は、充填床である代わりに、多孔質コーティング、例えば、ウォッシュコートスラリーとして適用される(すなわち、ウォッシュコートスラリーに由来する)コーティングの形態であってよい。その多孔質コーティングは、上述した充填床と同様の方法でウォールフローフィルターに配置できる。
【0041】
1つ以上の実施態様において、機能性材料層の装填量は、0.1~100g/Lの間、好ましくは1~75g/Lの間、及びより好ましくは10~50g/Lの間である。
【0042】
1つ以上の実施態様において、フィルターは、複数の細孔を含む多孔質体をさらに含み、そして複数の細孔の少なくとも一部内に触媒ウォッシュコートをさらに含む。触媒ウォッシュコートの使用は、内燃排気ガスの成分、例えば、未燃焼炭化水素、一酸化炭素及び/又は窒素酸化物を処理するのに役立つ。触媒ウォッシュコートは、選択的接触還元(SCR)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、三元変換触媒(TWC)、AMOx触媒、NOxトラップ、NOx吸収触媒、炭化水素トラップ触媒の1つ以上を含む。触媒ウォッシュコートは、典型的には、複数の細孔の全体にわたって実質的に分布している。触媒ウォッシュコートは、機能性材料層を適用する前に微粒子フィルターに適用する。触媒ウォッシュコートは、微粒子フィルター上に別個のコーティングとして存在することができ、又は触媒ウォッシュコートは、微粒子フィルターと一体とすることができる。例えば、触媒ウォッシュコートは、溶液又はスラリーとして、未使用である微粒子フィルターの材料内に含浸させることができ、又は、触媒ウォッシュコートは、基材モノリスの構造を形成する成分と組み合わせることができる。その基材モノリスは、次にフロースルーモノリス内に押し出され、乾燥及びか焼後、基材モノリスの一端では流路の端部が交互に、チェッカーボード状の配列で封鎖され、封鎖されていない流路は、交互に、その反対端で、同様の配列で封鎖される。この後者の配置では、乾燥及びか焼後の押出物の多孔度が、ウォールフローフィルターとして機能するのに十分であること、すなわち基材モノリスの多孔率が少なくとも40%、例えば少なくとも45%、例えば50%又は少なくとも55%又は75%以下であることが要求される。
【0043】
本明細書で使用する「選択的接触還元」及び「SCR」という用語は、窒素系還元剤を用いて窒素の酸化物を二窒素(N2)に還元する触媒プロセスを指す。SCR触媒には、MOR;USY;ZSM-5;ZSM-20;ベータ-ゼオライト;CHA;LEV;AEI;AFX;FER;SAPO;ALPO;バナジウム;酸化バナジウム;酸化チタン;酸化タングステン;酸化モリブデン;酸化セリウム;酸化ジルコニウム;酸化ニオブ;鉄;酸化鉄;酸化マンガン;銅;モリブデン;タングステン;及びそれらの混合物より選択される少なくとも1つの材料が含まれる。SCR触媒の活性成分の支持体構造物には、任意の好適なゼオライト、ゼオタイプ、又は非ゼオライト系化合物が含まれる。あるいは、SCR触媒には、活性成分として、金属、金属酸化物、又は混合酸化物が含まれてもよい。遷移金属を装填したゼオライト(例えば、銅-チャバザイト、又はCu-CHA、及び銅-レビン、又はCu-LEV、及びFe-ベータ)及びゼオタイプ(例えば銅-SAPO、又はCu-SAPO)が好ましい。
【0044】
本明細書で使用する「三元変換」及び「TWC」という用語は、ガソリンエンジンの排気ガスからHC、CO及びNOxを実質的に除去することができる触媒プロセスを指す。典型的には、TWC触媒は主に、白金族金属(PGM)、酸素貯蔵成分(OSC)、及び耐熱性金属酸化物支持体を含む。
【0045】
本明細書で使用する「白金族金属」及び「PGM」という用語は、白金、パラジウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、及びルテニウム、及びそれらの混合物を含む、元素周期表で定義される1つ以上の化学元素を指す。
【0046】
いくつかの実施態様では、TWC触媒の白金族金属成分は、白金、パラジウム、ロジウム、又はそれらの混合物より選択される。具体的な実施態様では、TWC触媒の白金族金属成分は、パラジウムを含む。
【0047】
いくつかの実施態様においては、TWC触媒は、追加の白金族金属を含まない(すなわち、TWCは1つの白金族金属のみを含む)。他の実施態様では、TWC触媒は、追加の白金族金属を含む。1つ以上の実施態様において、追加の白金族金属は、存在する場合、白金、ロジウム、及びそれらの混合物より選択される。具体的な実施態様では、追加の白金族金属成分は、ロジウムを含む。1つ以上の具体的な実施態様では、TWC触媒は、パラジウムとロジウムの混合物を含む。他の実施態様では、TWC触媒は、白金、パラジウム、及びロジウムの混合物を含む。
【0048】
本明細書で使用する「酸素貯蔵成分」及び「OSC」という用語は、多価の状態を有し、還元条件下でCO又は水素などの還元剤と活発に反応し、それから酸化条件下で酸素又は窒素酸化物などの酸化剤と反応することができる実体を指す。酸素貯蔵成分の例には、希土類酸化物、特にセリア、ランタナ、プラセオジミア、ネオジミア、ニオビア、ユーロピア、サマリア、イッテルビア、イットリア、ジルコニア、及びそれらの混合物が、セリアに加え、含まれる。希土類酸化物は、バルク(例えば、微粒子)の形態であってよい。酸素貯蔵成分には、酸素貯蔵特性を呈する形態のセリアが含まれるとすることができる。セリアの格子酸素は、リッチA/F条件下で一酸化炭素、水素、又は炭化水素と反応することができる。1つ以上の実施態様において、TWC触媒のための酸素貯蔵成分は、セリア-ジルコニア複合体又は希土類安定化セリア-ジルコニアを含む。
【0049】
本明細書で使用する「耐熱性金属酸化物支持体」及び「支持体」という用語は、下にある高表面積の材料を指し、その上に追加の化学的化合物又は元素が担持される。その支持体粒子は、20Aよりも大きな細孔を有し、細孔分布が広い。本明細書で定義するように、そのような支持体、例えば、金属酸化物支持体は、モレキュラーシーブ、具体的には、ゼオライトを除く。ある特定の実施態様では、高表面積耐熱性金属酸化物支持体、例えば、「ガンマアルミナ」又は「活性化アルミナ」とも呼ばれるアルミナ支持体材料を利用することができ、かかる材料は、典型的には60平方メートル/グラム(「m2/g」)を超える、しばしば約200m2/g以下、又はそれより高いBET表面積を呈する。このような活性化アルミナは、通常、アルミナのガンマ相とデルタ相の混合物であるが、エータ、カッパ、及びシータアルミナ相の実質的な量も含有する。活性化アルミナ以外の耐熱性金属酸化物は、所与の触媒における触媒成分の少なくとも一部の支持体として使用することができる。例えば、バルクセリア、ジルコニア、アルファアルミナ、シリカ、チタニア、及び他の材料が、このような使用に知られている。
【0050】
いくつかの実施態様では、TWC触媒のための耐熱性金属酸化物支持体は、独立して、アルミナ、ジルコニア、アルミナ-ジルコニア、ランタナ-アルミナ、ランタナ-ジルコニア-アルミナ、アルミナ-クロミア、セリア、アルミナ-セリア、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、活性化した、安定化した、又はその両方の性質を有する化合物を含む。
【0051】
本明細書で使用する「ディーゼル酸化触媒」及び「DOC」という用語は、当技術分野で周知のディーゼル酸化触媒を指す。ディーゼル酸化触媒は、COをCO2と気相HCとに、及びディーゼル微粒子の有機画分(可溶性有機画分)をCO2とH2Oとに酸化するように設計されている。典型的なディーゼル酸化触媒には、アルミナ、シリカ-アルミナ、チタニア、シリカ-チタニア、及びゼオライトなどの高表面積の無機酸化物支持体上の白金及び任意のパラジウムが含まれる。本明細書で使用する当該用語には、発熱を生じさせるDEC(Diesel Exotherm Catalyst(ディーゼル発熱触媒))が含まれる。
【0052】
本明細書で使用する「アンモニア酸化触媒」及び「AMOx」という用語は、1つ以上の白金族金属(PGM)などの、少なくとも1つの支持された貴金属成分を含む触媒を指し、これは排気ガス流からアンモニアを除去するのに有効である。具体的な実施態様では、貴金属には、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、銀又は金が含まれる。具体的な実施態様では、貴金属成分には、貴金属の物理的混合物、又は化学的組み合わせ又は原子でドープされた組み合わせが含まれる。
【0053】
貴金属成分は、典型的には、高表面積の耐熱性金属酸化物支持体上に堆積される。好適な高表面積の耐熱性金属酸化物の例には、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、及びジルコニア、マグネシア、酸化バリウム、酸化マンガン、酸化タングステン、及び希土類金属酸化物、卑金属酸化物、及びそれらの物理的混合物、化学的組み合わせ及び/又は原子でドープされた組み合わせが含まれる。
【0054】
本明細書で使用する「NOx吸着触媒」及び「NOxトラップ(リーンNOxトラップ、略称LNTともいう)」という用語は、希薄燃焼内燃機関からの窒素の酸化物(NO及びNO2)排出物を吸着により低減するための触媒を指す。典型的なNOxトラップには、Mg、Ca、Sr及びBaの酸化物などのアルカリ土類金属酸化物、Li、Na、K、Rb及びCsの酸化物などのアルカリ金属酸化物、及び、Ce、La、Pr及びNdの酸化物などの希土類金属酸化物が含まれ、アルミナ支持体に分散した白金などの貴金属触媒と組み合わせて、内燃機関の排気ガス浄化に使用されている。NOxの貯蔵には、バリアが通常は好ましい。バリアは、希薄エンジン運転時にニトレートを形成し、リッチ条件下では比較的容易にそのニトレートを放出するからである。
【0055】
本明細書で使用する「炭化水素トラップ」という用語は、低温運転期間中に炭化水素を捕捉し、より高温の運転期間中に炭化水素を放出して酸化させるための触媒を指す。炭化水素トラップは、種々の炭化水素(HC)を吸着するための1つ以上の炭化水素(HC)貯蔵成分によってもたらされてもよい。典型的には、貴金属との相互作用が最小である炭化水素貯蔵材料が使用でき、例えば、ゼオライト又はゼオライト様材料などの微多孔質材料が使用できる。好ましくは、炭化水素貯蔵材料はゼオライトである。ベータゼオライトが特に好ましい。ベータゼオライトの細孔の開口が大きく、ディーゼル由来の種の炭化水素分子を効果的に捕捉することが可能だからである。冷間始動運転でのHC貯蔵量を向上させるため、ベータゼオライトに加えて、フォージャサイト、チャバザイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、ゼオライトX、ゼオライトY、ウルトラステーブルゼオライトY、ZSM-5ゼオライト、オフレタイト等の他のゼオライトを使用することが可能である。
【0056】
他の態様には、微粒子フィルターと、選択的接触還元(SCR)触媒、三元変換(TWC)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、アンモニア酸化(AMOx)触媒、NOxトラップ、NOx吸収触媒、炭化水素トラップ触媒の1つ以上とを含む内燃機関からの排気ガス処理のためのシステムが含まれる。
【0057】
他の態様には、微粒子フィルターを提供することと、エンジンからの排気ガスを微粒子フィルターに通すこととを含む、内燃機関からの排気ガスを処理するための方法が含まれる。典型的には、排気ガスは、未燃焼の炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、及び粒子状物質を含む。
【0058】
1つ以上の実施態様において、微粒子フィルターは缶詰されている。別の実施態様では、フィルターは缶詰されていない。「缶詰されている」とは、排出処理システムに組み込むために、微粒子フィルターが筐体内に組み込まれていることを意味する。
【0059】
「缶詰されていない」とは、排出処理システムに組み込むために、微粒子フィルターが筐体内にまだ組み込まれておらず、依然として機能性材料層でコーティングされていることを意味する。典型的な缶詰にするプロセスでは、微粒子フィルターは、典型的にはセラミック繊維又はアルミナ繊維で形成された支持マットにスリーブされて、その後金属筐体内に組み込まれる。金属筐体に微粒子フィルターを組み込む方法には、例えば、「クラムシェル」、「スタッフィング」及び「ターニケット」技術が含まれる。このような技術は、当技術分野で知られている。
【0060】
微粒子フィルターは、内燃機関の排出処理システムに組み込む時に、未使用時の(fresh)濾過効率が高く、且つ、背圧増加が抑制されるという組み合わせを示すことが分かった。これは驚くべきことである。
【実施例】
【0061】
本発明を、以下の実施例によってより完全に説明するが、これは本発明を説明するために記載されるものであり、その限定として解釈されるものではない。特に明記されない限り、あらゆる部及びパーセンテージは質量によるものであり、特に明記されない限り、あらゆる質量パーセンテージは、水含有量を除くことを意味する乾燥ベースで表す。各実施例において、担体はコージエライトであった。
【0062】
実施例1-比較例
触媒層を有するガソリン微粒子フィルターを、Corning(登録商標)から購入したフィルター基材の入口側から単一被覆を用いて調製した。フィルター基材は、寸法が143.8mm(D)×152.4mm(L)、体積が2.47L、セル密度が1平方インチ当たり300セル、壁厚が約200μm、水銀圧入測定による多孔度が65%及び平均細孔径が18μmであった。
【0063】
基材上の触媒層は、先行技術の三元変換触媒(TWC)複合体を含有し、この複合体は、パラジウム及びロジウムを、7g/ft3の合計貴金属装填量及び0/2/5のPt/Pd/Rh比率で含有していた。被覆は以下のように調製した。
【0064】
入口側から適用した成分は、高表面積のガンマアルミナ、酸素貯蔵成分として、セリア40質量%のセリア-ジルコニア複合体、パラジウム、ロジウム、酸化バリウム及び酸化ジルコニアであり、濃度は触媒のか焼質量に基づいて、それぞれ約24.8質量%、68.7質量%、0.1質量%、0.2質量%、5.0質量%及び1.3質量%であった。酸化バリウムは水酸化物溶液として導入した。酸化ジルコニウムはニトレート溶液として導入した。被覆の合計装填量は1.23g/in3であった。
【0065】
ロジウムニトレート溶液の形態のロジウムを、プラネタリーミキサー(P-mixer)によって高表面積のガンマアルミナ及びセリアジルコニア複合体に含浸させ、湿潤粉末を形成する一方で初期湿潤を達成した。パラジウムニトレート溶液の形態のパラジウムを、プラネタリーミキサー(P-mixer)によって高表面積のガンマアルミナ及びセリアジルコニア複合体に含浸させ、湿潤粉体を形成する一方で初期湿潤を達成した。水性スラリーが形成された。バリウム溶液及びジルコニウム溶液を加えた。このスラリーを、粒子径の90%が5ミクロンになるまで粉砕した。次にこのスラリーを、当技術分野で知られている堆積法を用いて、ウォールフローコーディエライトフィルターの入口側に被覆した。コーティング後、フィルターと入口被覆とを乾燥させてから、550℃の温度で約1時間か焼した。得られた触媒化ガソリン微粒子フィルターを、比較実施例として使用した。
【0066】
実施例2-比較例
実施例1による触媒化したガソリン微粒子フィルターであり、その上に機能性層がフィルターの入口側内へ適用されていた。
【0067】
適用された機能性材料層は、高表面積のガンマアルミナであった。アルミナは、90%が5ミクロン、50%が2.5ミクロン、及び10%が1ミクロンの粒径となるまで乾燥粉砕し、その比表面積(BETモデル、77K窒素吸着測定)は、未使用の状態で147m2・g-1、及び空気中1000℃で4時間か焼した後で70m2・g-1であった。高表面積のガンマアルミナを、粉末形態で気体担体と混合し、室温で部品に吹き込んだ。気体担体の流量は750kg/hrであった。機能性材料層の装填量は0.049g/in3であった。
【0068】
コーティング後、フィルターと入口の機能性材料層とを乾燥させてから、450℃の温度で約30分か焼した。
【0069】
実施例3-比較例
実施例1による触媒化したガソリン微粒子フィルターであり、その上に機能性層がフィルターの入口側内へ適用されていた。
【0070】
適用された機能性材料層は、高表面積の5質量%シリカドープされたガンマアルミナであった。アルミナは、90%が5.5ミクロン、50%が2.4ミクロン、及び10%が0.9ミクロンの粒径となるまで乾燥粉砕し、その比表面積(BETモデル、77K窒素吸着測定)は、未使用の状態で155m2・g-1、及び空気中1000℃で4時間か焼した後で95m2・g-1であった。高表面積のガンマアルミナを、粉末形態で気体担体と混合し、室温で部品に吹き込んだ。気体担体の流量は750kg/hrであった。機能性材料層の装填量は0.049g/in3であった。
【0071】
コーティング後、フィルターと入口の機能性材料層とを乾燥させてから、450℃の温度で約30分か焼した。
【0072】
実施例4-比較例
実施例1による触媒化したガソリン微粒子フィルターであり、その上に機能性層がフィルターの入口側内へ適用されていた。
【0073】
適用された機能性材料層は、高表面積の5質量%シリカドープされたガンマアルミナであった。アルミナは、90%が5.5ミクロン、50%が2.4ミクロン、及び10%が0.9ミクロンの粒径となるまで乾燥粉砕し、その比表面積(BETモデル、77K窒素吸着測定)は、未使用の状態で155m2・g-1、及び空気中1000℃で4時間か焼した後で95m2・g-1であった。高表面積のガンマアルミナを、粉末形態で気体担体と混合し、室温で部品に吹き込んだ。気体担体の流量は750kg/hrであった。機能性材料層の装填量は0.245g/in3であった。
【0074】
コーティング後、フィルターと入口の機能性材料層とを乾燥させてから、450℃の温度で約30分か焼した。
【0075】
実施例5-比較例
実施例1によるガソリン微粒子フィルターであり、その上に機能性層がフィルターの入口側内へ適用されていた。
【0076】
適用された機能性材料層は、高表面積のガンマアルミナ及び酸化カルシウムの混合物であった。混合物は、63質量%のアルミナ及び37質量%の酸化カルシウムそれぞれで作られていた。混合物中のアルミナは、90%が5ミクロン、50%が2.5ミクロン、及び10%が1ミクロンの粒径となるまで乾燥粉砕し、その比表面積(BETモデル、77K窒素吸着測定)は、未使用の状態で147m2・g-1、及び空気中1000℃で4時間か焼した後で70m2・g-1であった。そして混合物中の酸化カルシウムは、90%が90ミクロン、50%が32ミクロン、及び10%が1.5ミクロンの粒径となるまで乾燥粉砕し、その比表面積(BETモデル、77K窒素吸着測定)は、未使用の状態及び空気中1000℃で4時間か焼した後の両方で<1m2・g-1であった。混合物材料を粉末形態で気体担体と混合し、室温で部品に吹き込んだ。気体担体の流量は750kg/hrであった。機能性材料層の装填量は0.294g/in3であった。
【0077】
コーティング後、フィルターと入口の機能性材料層とを高湿度条件下で処理し、乾燥させてから、450℃の温度で約30分か焼した。
【0078】
実施例6
実施例1によるガソリン微粒子フィルターであり、その上に機能性層がフィルターの入口側内へ適用されていた。
【0079】
適用された機能性材料層は、カルシウムアルミネート複合体材料であり、56質量%のアルミナ、33質量%の酸化カルシウム、5.0質量%のシリカ、3.0質量%のチタニア、1.7質量%の酸化マグネシウム及び1.4質量%の酸化鉄を有していた。このカルシウムアルミネート複合体材料は、90%が103ミクロン、50%が28ミクロン、及び10%が3.0ミクロンの粒径となるまで乾燥粉砕し、その比表面積(BETモデル、77K窒素吸着測定)は、未使用の状態及び空気中1000℃で4時間か焼した後の両方で<1m2・g-1であった。カルシウムアルミネート複合体材料を粉末形態で気体担体と混合し、室温で部品に吹き込んだ。気体担体の流量は750kg/hrであった。機能性材料層の装填量は0.245g/in3であった。
【0080】
コーティング後、フィルターと入口の機能性材料層とを高湿度条件下で処理し、乾燥させてから、450℃の温度で約30分か焼した。
【0081】
実施例7
実施例1によるガソリン微粒子フィルターであり、その上に機能性層がフィルターの入口側内へ適用されていた。
【0082】
適用された機能性材料層は、高表面積のガンマアルミナ及びカルシウムアルミネート複合体材料の混合物であった。混合物は、16.7質量%のアルミナ及び83.3質量%のカルシウムアルミネート複合体材料それぞれで作られていた。カルシウムアルミネート複合体材料は、56質量%のアルミナ、33質量%の酸化カルシウム、5.0質量%のシリカ、3.0質量%のチタニア、1.7質量%の酸化マグネシウム、及び1.4質量%の酸化鉄で構成されていた。混合物中のアルミナは、90%が5ミクロン、50%が2.5ミクロン、及び10%が1ミクロンの粒径となるまで乾燥粉砕し、その比表面積(BETモデル、77K窒素吸着測定)は、未使用の状態で147m2・g-1、及び空気中1000℃で4時間か焼した後で70m2・g-1であった。そしてカルシウムアルミネート複合体材料は、90%が103ミクロン、50%が28ミクロン、及び10%が3.0ミクロンの粒径となるまで乾燥粉砕し、その比表面積(BETモデル、77K窒素吸着測定)は、未使用の状態及び空気中1000℃で4時間か焼した後の両方で<1m2・g-1であった。混合物材料を粉末形態で気体担体と混合し、室温で部品に吹き込んだ。気体担体の流量は750kg/hrであった。機能性材料層の装填量は0.294g/in3であった。
【0083】
実施例8
実施例6によるガソリン微粒子フィルターであり、その上に第2の機能性層がフィルターの出口側から適用されていた。
【0084】
この適用された第2の機能性材料層は、カルシウムアルミネート複合体材料であり、56質量%のアルミナ、33質量%の酸化カルシウム、5.0質量%のシリカ、3.0質量%のチタニア、1.7質量%の酸化マグネシウム及び1.4質量%の酸化鉄を有していた。このカルシウムアルミネート複合体材料は、90%が103ミクロン、50%が28ミクロン、及び10%が3.0ミクロンの粒径となるまで乾燥粉砕し、その比表面積(BETモデル、77K窒素吸着測定)は、未使用の状態及び空気中1000℃で4時間か焼した後の両方で<1m2・g-1であった。カルシウムアルミネート複合体材料を粉末形態で気体担体と混合し、室温で部品に吹き込んだ。気体担体の流量は750kg/hrであった。第2の機能性材料層の装填量は0.245g/in3であった。
第1及び第2の機能性材料層の合計装填量は0.49g/in3であった。
【0085】
コーティング後、フィルターと出口の機能性材料層とを高湿度条件下で処理し、乾燥させてから、450℃の温度で約30分か焼した。
【0086】
実施例9
実施例1によるガソリン微粒子フィルターであり、その上に機能性層がフィルターの入口側内へ適用されていた。
【0087】
適用された機能性材料層は、カルシウムアルミネート複合体材料であり、56質量%のアルミナ、33質量%の酸化カルシウム、5.0質量%のシリカ、3.0質量%のチタニア、1.7質量%の酸化マグネシウム及び1.4質量%の酸化鉄を有していた。このカルシウムアルミネート複合体材料は、90%が35ミクロン、50%が3.4ミクロン、及び10%が0.87ミクロンの粒径となるまで乾燥粉砕し、その比表面積(BETモデル、77K窒素吸着測定)は、未使用の状態及び空気中1000℃で4時間か焼した後の両方で<1m2・g-1であった。カルシウムアルミネート複合体材料を粉末形態で気体担体と混合し、室温で部品に吹き込んだ。気体担体の流量は750kg/hrであった。機能性材料層の装填量は0.245g/in3であった。
【0088】
コーティング後、フィルターと入口の機能性材料層とを高湿度条件下で処理し、乾燥させてから、450℃の温度で約30分か焼した。
【0089】
実施例10
実施例1によるガソリン微粒子フィルターであり、その上に機能性層がフィルターの入口側内へ適用されていた。
【0090】
適用された機能性材料層は、カルシウムアルミネート複合体材料であり、81質量%のアルミナ、17質量%の酸化カルシウム、0.7質量%のシリカ、0.6質量%の酸化マグネシウム及び0.7質量%のジルコニアを有していた。このカルシウムアルミネート複合体材料は、90%が29ミクロン、50%が8.8ミクロン、及び10%が2.0ミクロンの粒径となるまで乾燥粉砕し、その比表面積(BETモデル、77K窒素吸着測定)は、未使用の状態及び空気中1000℃で4時間か焼した後の両方で<1m2・g-1であった。カルシウムアルミネート複合体材料を粉末形態で気体担体と混合し、室温で部品に吹き込んだ。気体担体の流量は750kg/hrであった。機能性材料層の装填量は0.245g/in3であった。
【0091】
コーティング後、フィルターと入口の機能性材料層とを高湿度条件下で処理し、乾燥させてから、450℃の温度で約30分か焼した。
【0092】
実施例11
実施例1によるガソリン微粒子フィルターであり、その上に機能性層がフィルターの入口側内へ適用されていた。
【0093】
適用された機能性材料層は、カルシウムアルミネート複合体材料及び高表面積のガンマアルミナの混合物であった。混合物は、83質量%のカルシウムアルミネート複合体材料及び17質量%の高表面積のガンマアルミナそれぞれで作られていた。カルシウムアルミネート複合体材料は、81質量%のアルミナ、17質量%の酸化カルシウム、0.7質量%のシリカ、0.6質量%の酸化マグネシウム及び0.7質量%のジルコニアからなっていた。このカルシウムアルミネート複合体材料は、90%が29ミクロン、50%が8.8ミクロン、及び10%が2.0ミクロンの粒径となるまで乾燥粉砕し、その比表面積(BETモデル、77K窒素吸着測定)は、未使用の状態及び空気中1000℃で4時間か焼した後の両方で<1m2・g-1であった。高表面積のガンマアルミナは、90%が5ミクロン、50%が2.5ミクロン、及び10%が1ミクロンの粒径となるまで乾燥粉砕し、その比表面積(BETモデル、77K窒素吸着測定)は、未使用の状態で147m2・g-1、及び空気中1000℃で4時間か焼した後で70m2・g-1であった。混合物材料を粉末形態で気体担体と混合し、室温で部品に吹き込んだ。気体担体の流量は750kg/hrであった。機能性材料層の装填量は0.294g/in3であった。
【0094】
コーティング後、フィルターと入口の機能性材料層とを高湿度条件下で処理し、乾燥させてから、450℃の温度で約30分か焼した。
【0095】
実施例12
実施例1によるガソリン微粒子フィルターであり、その上に機能性層がフィルターの入口側内へ適用されていた。
【0096】
適用された機能性材料層は、カルシウムアルミネート複合体材料及び高表面積の酸化マンガンドープされたガンマアルミナの混合物であった。混合物は、83質量%のカルシウムアルミネート複合体及び17質量%の高表面積の酸化マンガンドープされたガンマアルミナそれぞれで作られていた。カルシウムアルミネート複合体材料は、81質量%のアルミナ、17質量%の酸化カルシウム、0.7質量%のシリカ、0.6質量%の酸化マグネシウム及び0.7質量%のジルコニアからなっていた。このカルシウムアルミネート複合体材料は、90%が29ミクロン、50%が8.8ミクロン、及び10%が2.0ミクロンの粒径となるまで乾燥粉砕し、その比表面積(BETモデル、77K窒素吸着測定)は、未使用の状態及び空気中1000℃で4時間か焼した後の両方で<1m2・g-1であった。高表面積の酸化マンガンドープされたガンマアルミナは、50質量%のガンマアルミナ、50質量%の酸化マンガンからなっていた。このマンガンドープされたアルミナ材料は、90%が8ミクロン、50%が2.8ミクロン、及び10%が1.2ミクロンの粒径となるまで乾燥粉砕し、その比表面積(BETモデル、77K窒素吸着測定)は、未使用の状態で121m2・g-1、及び空気中1000℃で4時間か焼した後で52m2・g-1であった。混合物材料を粉末形態で気体担体と混合し、室温で部品に吹き込んだ。気体担体の流量は750kg/hrであった。機能性材料層の装填量は0.294g/in3であった。
【0097】
コーティング後、フィルターと入口の機能性材料層とを高湿度条件下で処理し、乾燥させてから、450℃の温度で約30分か焼した。
【0098】
実施例13-水処理
上記のコーティングされたガソリン微粒子フィルターの実施例(実施例1~例12)の水処理は、次のように行った:フィルターを横に寝かせて1時間水に浸し、その間、水深を40~50mmの間に保った。次いでフィルター部分を入口側を上にして立て、吸収された水の過剰量を排出し、フィルターを通して入口側から出口側へ熱風を強制的に流して(入口温度180℃及び流量50kg/h)乾燥させ、温度450℃で約30分間か焼した。
【0099】
実施例14-試験
上記コーティングしたガソリン微粒子フィルター実施例(実施例1~12)の背圧特性を、冷気流下600立方メートル/時(cmh)で調査した。結果を
図2に示す。機能性材料層が適用されたフィルター(実施例2~12)は、水処理後、先行技術の触媒化ガソリン微粒子フィルター(実施例1)と比較すると、背圧に大きな差異はないか、又は背圧のわずかな上昇があった。
【0100】
上記のコーティングしたガソリン微粒子フィルター実施例の濾過効率を、未使用の状態(0km、又はボックス外(out-of-box)状態)で、第1番目の近位連結位置(SGE1.5Lターボガソリン直噴エンジン;WLTC試験;PNエンジン出力=4.0×10
12#/km)で測定した。その結果を
図3に示す。目に見えて、水処理後、機能性材料としてカルシウムアルミネートを有する実施例(実施例6~12)のみが、先行技術の触媒化ガソリン微粒子フィルター(実施例1)と比較すると、濾過効率のより高い増加を示した。
【国際調査報告】