(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-14
(54)【発明の名称】2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉
(51)【国際特許分類】
F27B 17/00 20060101AFI20230907BHJP
C03B 5/237 20060101ALI20230907BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
F27B17/00 A
C03B5/237
F27D17/00 104D
F27D17/00 101A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513887
(86)(22)【出願日】2021-08-25
(85)【翻訳文提出日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 CN2021114517
(87)【国際公開番号】W WO2022042595
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】202010918492.8
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523067001
【氏名又は名称】陳 志偉
【氏名又は名称原語表記】CHEN, Zhiwei
【住所又は居所原語表記】Room 102, No. 36 Building, Hengtong Garden, Yuhu New Town, Anyuan District Pingxiang, Jiangxi 337000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 志偉
【テーマコード(参考)】
4G014
4K056
【Fターム(参考)】
4G014AF01
4K056AA05
4K056CA02
4K056CA04
4K056CA10
(57)【要約】
【課題】本発明は、ガラスの製造、錬鉄、非鉄金属の溶錬、固形燃料の気化等に使用される2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉に関するものである。
【解決手段】従来の溶融炉は2つの蓄熱室を具備しかつ2つの蓄熱室により酸素含有気体の事前加熱と高温気体産物の冷却をそれぞれ実施するので、2つの溶融炉に原料をそれぞれ送入する必要がある。その場合、2つの溶融炉の原料供給入口の内壁に溶融物が凝固付着することにより、原料供給入口が詰まり、原料の供給に影響を与え、溶融炉の作業に大きい影響を与えるおそれがある。本発明の2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉は、共用原料供給パイプまたは原料供給パイプ上に吹飛ばし気体注入口を形成し、原料供給入口上に強制原料供給装置を取り付け、原料供給パイプとして移動式原料供給パイプを採用することにより、溶融物が溶融炉の原料供給入口の内壁に凝固付着することを有効的に防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの溶融炉と酸素含有気体事前加熱システムを含み、前記酸素含有気体事前加熱システムは、2つの蓄熱室、2つの入力気体流動方向制御弁、2つの排出気体流動方向制御弁、酸素含有気体入力装置及び気体排出装置を含む2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉であって、
前記2つの蓄熱室において、1つの蓄熱室は酸素含有気体を予め加熱することに使用され、他の1つの蓄熱室は高温気体産物を冷却することに使用され、酸素含有気体を予め加熱する蓄熱室は気体入口と事前加熱気体出口を含み、高温気体産物を冷却する蓄熱室は高温気体入口と冷却気体出口を含み、前記酸素含有気体入力装置は、オープン状態にされている1つの入力気体流動方向制御弁により気体入口に連通状態に連結され、かつオフ状態にされている他の1つの入力気体流動方向制御弁により冷却気体出口に連結され、前記気体排出装置は、オープン状態にされている1つの排出気体流動方向制御弁により冷却気体出口に連通状態に連結され、かつオフ状態にされている他の1つの排出気体流動方向制御弁により気体入口に連結され、
前記溶融炉は、原料供給装置、気体入口、気体出口、原料供給入口及び原料供給パイプを含み、前記溶融炉の原料供給パイプは出口端部と入口端部を含み、出口端部は前記溶融炉の原料供給入口に連通状態に連結され、入口端部は前記溶融炉の原料供給装置に連通状態に連結され、前記事前加熱気体出口は1つの溶融炉の気体入口に連通状態に連結され、前記溶融炉の原料供給装置は原料供給起動状態にされており、前記溶融炉の気体出口は気体流動通路により他の1つの溶融炉の気体入口に連通状態に連結され、他の1つの溶融炉の原料供給装置は原料供給停止状態にされており、他の1つの溶融炉の気体出口は高温気体入口に連通状態に連結され、前記原料供給パイプ上には吹飛ばし気体注入口が形成されていることを特徴とする2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉。
【請求項2】
2つの溶融炉、原料供給装置及び酸素含有気体事前加熱システムを含み、前記酸素含有気体事前加熱システムは、2つの蓄熱室、2つの入力気体流動方向制御弁、2つの排出気体流動方向制御弁、酸素含有気体入力装置及び気体排出装置を含む2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉であって、
前記2つの蓄熱室において、1つの蓄熱室は酸素含有気体を予め加熱することに使用され、他の1つの蓄熱室は高温気体産物を冷却することに使用され、酸素含有気体を予め加熱する蓄熱室は気体入口と事前加熱気体出口を含み、高温気体産物を冷却する蓄熱室は高温気体入口と冷却気体出口を含み、前記酸素含有気体入力装置は、オープン状態にされている1つの入力気体流動方向制御弁により気体入口に連通状態に連結され、かつオフ状態にされている他の1つの入力気体流動方向制御弁により冷却気体出口に連結され、前記気体排出装置は、オープン状態にされている1つの排出気体流動方向制御弁により冷却気体出口に連通状態に連結され、かつオフ状態にされている他の1つの排出気体流動方向制御弁により気体入口に連結され、
前記溶融炉は、原料供給方向制御弁、原料供給パイプ、気体入口、気体出口及び原料供給入口を含み、前記溶融炉の原料供給パイプは出口端部と入口端部を含み、出口端部は前記溶融炉の原料供給入口に連通状態に連結され、入口端部は前記溶融炉の原料供給方向制御弁に連結され、前記2つの溶融炉の原料供給方向制御弁は共用原料供給パイプにより原料供給装置にそれぞれ連結され、前記事前加熱気体出口は1つの溶融炉の気体入口に連通状態に連結され、前記溶融炉の原料供給方向制御弁はオープン状態にされており、前記溶融炉の気体出口は気体流動通路により他の1つの溶融炉の気体入口に連通状態に連結され、他の1つの溶融炉の原料供給方向制御弁はオフ状態にされており、他の1つの溶融炉の気体出口は高温気体入口に連通状態に連結され、前記共用原料供給パイプ上には吹飛ばし気体注入口が形成されていることを特徴とする2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉。
【請求項3】
2つの溶融炉と酸素含有気体事前加熱システムを含み、前記酸素含有気体事前加熱システムは、2つの蓄熱室、2つの入力気体流動方向制御弁、2つの排出気体流動方向制御弁、酸素含有気体入力装置及び気体排出装置を含む2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉であって、
前記2つの蓄熱室において、1つの蓄熱室は酸素含有気体を予め加熱することに使用され、他の1つの蓄熱室は高温気体産物を冷却することに使用され、酸素含有気体を予め加熱する蓄熱室は気体入口と事前加熱気体出口を含み、高温気体産物を冷却する蓄熱室は高温気体入口と冷却気体出口を含み、前記酸素含有気体入力装置は、オープン状態にされている1つの入力気体流動方向制御弁により気体入口に連通状態に連結され、かつオフ状態にされている他の1つの入力気体流動方向制御弁により冷却気体出口に連結され、前記気体排出装置は、オープン状態にされている1つの排出気体流動方向制御弁により冷却気体出口に連通状態に連結され、かつオフ状態にされている他の1つの排出気体流動方向制御弁により気体入口に連結され、
前記溶融炉は、原料供給装置、気体入口、気体出口、原料供給入口及び原料供給パイプを含み、前記溶融炉の原料供給パイプは出口端部と入口端部を含み、出口端部は前記溶融炉の原料供給入口に連通状態に連結され、入口端部は前記溶融炉の原料供給装置に連通状態に連結され、前記事前加熱気体出口は1つの溶融炉の気体入口に連通状態に連結され、前記溶融炉の原料供給装置は原料供給起動状態にされており、前記溶融炉の気体出口は気体流動通路により他の1つの溶融炉の気体入口に連通状態に連結され、他の1つの溶融炉の原料供給装置は原料供給停止状態にされており、他の1つの溶融炉の気体出口は高温気体入口に連通状態に連結され、前記原料供給入口上には強制原料供給装置が取り付けられ、前記強制原料供給装置は機械装置の推進力により原料供給パイプ内の粉末状原料を原料供給入口に強制的に送入することを特徴とする2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉。
【請求項4】
前記強制原料供給装置は、プッシュロッドと、シリンダーと、ピストンと、ピストンが往復運動をするように駆動する駆動構造とを含み、前記シリンダーは原料供給パイプの入口端部に連結され、プッシュロッドの外径は原料供給パイプの内径に対応し、プッシュロッドの末端はピストンに連結され、プッシュロッドの上端がピストンの推力により往復運動のトップデッドセンターまで移動するとき、プッシュロッドの上端はシリンダー内に位置し、プッシュロッドの上端が往復運動のボトムデッドセンターまで移動するとき、プッシュロッドの上端は原料供給入口に位置し、プッシュロッドの末端がピストンの推力により往復運動のボトムデッドセンターまで移動するとき、プッシュロッドの末端はシリンダー36内に位置することを特徴とする請求項3に記載の2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉。
【請求項5】
前記強制原料供給装置は螺旋状のヘリカルブレードと駆動装置の駆動により回転する軸を含み、前記ヘリカルブレードは原料供給パイプ内に取り付けられ、前記軸はヘリカルブレードの中心線に位置し、軸はヘリカルブレードに連結されることを特徴とする請求項3に記載の2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉。
【請求項6】
2つの溶融炉と酸素含有気体事前加熱システムを含み、前記酸素含有気体事前加熱システムは、2つの蓄熱室、2つの入力気体流動方向制御弁、2つの排出気体流動方向制御弁、酸素含有気体入力装置及び気体排出装置を含む2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉であって、
前記2つの蓄熱室において、1つの蓄熱室は酸素含有気体を予め加熱することに使用され、他の1つの蓄熱室は高温気体産物を冷却することに使用され、酸素含有気体を予め加熱する蓄熱室は気体入口と事前加熱気体出口を含み、高温気体産物を冷却する蓄熱室は高温気体入口と冷却気体出口を含み、前記酸素含有気体入力装置は、オープン状態にされている1つの入力気体流動方向制御弁により気体入口に連通状態に連結され、かつオフ状態にされている他の1つの入力気体流動方向制御弁により冷却気体出口に連結され、前記気体排出装置は、オープン状態にされている1つの排出気体流動方向制御弁により冷却気体出口に連通状態に連結され、かつオフ状態にされている他の1つの排出気体流動方向制御弁により気体入口に連結され、
前記溶融炉は、原料供給装置、原料供給パイプ、気体入口、気体出口及び原料供給入口を含み、前記溶融炉の原料供給パイプは移動式原料供給パイプであり、前記移動式原料供給パイプの出口端部は原料供給入口に移動可能に連結され、前記事前加熱気体出口は1つの溶融炉の気体入口に連通状態に連結され、前記溶融炉の原料供給入口は移動式原料供給パイプにより原料供給装置に連通状態に連結され、前記溶融炉の気体出口は気体流動通路により他の1つの溶融炉の気体入口に連通状態に連結され、他の1つの溶融炉の気体出口は高温気体入口に連通状態に連結されることを特徴とする2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉。
【請求項7】
前記他の1つの溶融炉の原料供給入口は移動式原料供給パイプの出口端部に不連通状態に連結され、前記原料供給入口にはスルースゲートが取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉。
【請求項8】
前記吹飛ばし気体注入口には吹飛ばし気体輸送パイプが連結され、前記吹飛ばし気体輸送パイプ上にはバルブが取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉。
【請求項9】
前記気体流動通路は付着式セパレーターであることを特徴とする請求項1~7のうちいずれか一項に記載の2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉。
【請求項10】
ガラスの製造、錬鉄、銅の製錬または固形燃料の気化に使用されることを特徴とする請求項1~7のうちいずれか一項に記載の2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化工の技術分野に属し、具体的に、粉末状原料(または粉末状固形燃料含有アッシュ)が飛散の状態において高温溶融をする2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉に関するものであり、前記2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉をガラスの製造、錬鉄、非鉄金属(nonferrous metal)の溶錬、固形燃料の気化等に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
ガラスの製造、錬鉄、非鉄金属の溶錬、固形燃料の気化等を実施するとき、粉末状原料(または粉末状固形燃料)を高温溶融炉に送入して反応させる必要がある。粉末状原料(または粉末状固形燃料)を高温気体に飛散させて高温反応をさせることにより、導熱と物質伝達の効率を向上させ、原料の使用量と製造コストを低減することができる。
【0003】
米国特許番号第US8,747,524B2号には溶融炉が開示されている。前記溶融炉は、ガラス原料、錬鉄原料、非鉄金属製造用原料、固形燃料等の粉末状原料を飛散状態において高温反応をさせ、高温反応により形成される排気熱量を回収する。前記溶融炉に2つの蓄熱室を形成し、2つの蓄熱室により酸素含有気体の事前加熱と高温気体産物の冷却をそれぞれ実施する必要がある。しかしながら、2つの溶融炉に原料をそれぞれ送入するとき、2つの溶融炉の原料供給入口の内壁に溶融物が凝固付着することにより、原料供給入口が詰まり、原料の供給に影響を与えるおそれがある。原料を順調に供給できないことにより、原料の供給量が減少し、製造量が低下し、溶融炉の安定の作業に影響を与えるおそれがある。原料供給入口が完全に詰まることにより原料を供給できない場合、その問題を解決するため溶融炉の作動を停止させる必要があるので、大きい経済損失を招来するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記技術的問題を解決するため、発明者は研究を繰り返すことにより、所定の時間が過ぎると蓄熱室の方向を一回ずつ変換させる方法を提案した。方向を一回ずつ変換させることにより溶融炉と蓄熱室内の気流方向を方向変換前の方向に変換させ、2つの蓄熱室により酸素含有気体の事前加熱と高温気体産物の冷却をそれぞれ実施し、2つの溶融炉に原料をそれぞれ送入する。酸素含有気体を予め加熱する蓄熱室に連結される溶融炉は原料供給状態にされており、前記溶融炉の炉内キャビティ内の燃料(固形燃料の気化を実施するとき、前記燃料は原料供給入口から炉内キャビティ内に入力される燃料である。下記内容において、括弧が付いている内容はいずれも、固形燃料の気化を実施する場合を示す)と予め加熱した酸素含有気体は迅速に混合するとともに燃焼することにより、その温度は粉末状原料(または粉末状固形燃料含有アッシュ)の溶融温度以上に上昇することができる。ガラスの製造、錬鉄、固形燃料の気化を実施するとき、その温度を1450℃以上に上昇させ、銅精鉱を迅速に製錬するとき、その温度を1350℃以上に上昇させる必要がある。粉末状原料(または粉末状固形燃料)が高温気体に混入して飛散状態にされることによりその導熱と物質伝達の効率は非常に高くなり、粉末状原料(または粉末状固形燃料含有アッシュ)は迅速に溶融することにより液状モルテンダストにされる。炉内キャビティ内の液状モルテンダストは高温気体の流動により炉体壁部に沿って流動し、大部分の液状モルテンダストは炉体壁部に付着する。炉体壁部に付着している液状モルテンダストは重力により炉内キャビティの底部に流動するとともに底部付近の液体排出口から排出される。前記溶融炉の気体排出口から出力される高温気体には少量のモルテンダストが含まれているが、その高温気体が2つ目の溶融炉に入るとき、2つ目の溶融炉は原料供給停止状態にされており、高温気体には含まれている少量のモルテンダストは2つ目の溶融炉の炉体壁部により浄化され、浄化後の高温気体は高温気体産物を冷却する蓄熱室に入力されることにより熱量を回収することができる。粉末状原料(または粉末状固形燃料)が酸素含有気体を予め加熱する蓄熱室に連結される溶融炉に送入されるとき、少量の粉末状原料(または粉末状固形燃料)は前記溶融炉の原料供給入口の内壁に付着する。方向変換を実施すると、前記溶融炉の原料供給入口は原料供給停止状態にされ、他の1つの溶融炉から溶融炉に送入される高温気体はその溶融炉の原料供給入口の内壁を加熱することにより、前記原料供給入口の内壁に付着している粉末状原料(または粉末状固形燃料含有アッシュ)は溶融するように加熱されかつ原料供給入口の内壁に付着することができる。方向変換を再び実施すると、前記原料供給入口は再び原料供給状態にされ、新たに送入される粉末状原料(または粉末状固形燃料)は前記原料供給入口の内壁に付着している溶融物上に付着しかつ前記原料供給入口の内壁の温度を下げることができる。それにより原料供給入口の内壁に付着している溶融物は冷却されるとともに凝固することができる。方向変換を複数回実施すると、溶融物の付着と凝固が複数回実施されかつ付着物が堆積することにより詰りが生ずるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記問題を解決するため、発明者は研究と実験を繰り返すことにより本発明の第一実施形態に係る2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉を提案した。前記2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉は、2つの溶融炉、原料供給装置及び酸素含有気体事前加熱システムを含む。前記酸素含有気体事前加熱システムは、2つの蓄熱室、2つの入力気体流動方向制御弁、2つの排出気体流動方向制御弁、酸素含有気体入力装置及び気体排出装置を含む。前記2つの蓄熱室において、1つの蓄熱室は酸素含有気体を予め加熱することに使用され、他の1つの蓄熱室は高温気体産物を冷却することに使用される。酸素含有気体を予め加熱する蓄熱室は気体入口と事前加熱気体出口を含み、高温気体産物を冷却する蓄熱室は高温気体入口と冷却気体出口を含む。
【0006】
好ましくは、前記酸素含有気体事前加熱システムの各部品を接続させる方法において、前記酸素含有気体入力装置は、オープン状態にされている1つの入力気体流動方向制御弁により気体入口に連通状態に連結され、かつオフ状態にされている他の1つの入力気体流動方向制御弁により冷却気体出口に連結される。前記気体排出装置は、オープン状態にされている1つの排出気体流動方向制御弁により冷却気体出口に連通状態に連結され、かつオフ状態にされている他の1つの排出気体流動方向制御弁により気体入口に連結される。
【0007】
好ましくは、前記溶融炉は、原料供給方向制御弁、原料供給パイプ、気体入口、気体出口及び原料供給入口を含む。前記溶融炉の原料供給パイプは出口端部と入口端部を含み、出口端部は前記溶融炉の原料供給入口に連通状態に連結され、入口端部は前記溶融炉の原料供給方向制御弁に連結される。前記2つの溶融炉の原料供給方向制御弁は共用原料供給パイプにより原料供給装置にそれぞれ連結される。前記事前加熱気体出口は1つの溶融炉の気体入口に連通状態に連結され、前記溶融炉の原料供給方向制御弁はオープン状態にされており、前記溶融炉の気体出口は気体流動通路により他の1つの溶融炉の気体入口に連通状態に連結され、他の1つの溶融炉の原料供給方向制御弁はオフ状態にされており、他の1つの溶融炉の気体出口は高温気体入口に連通状態に連結される。前記共用原料供給パイプ上には吹飛ばし気体注入口が形成されている。
【0008】
従来の技術と比較してみると、本発明は、吹飛ばし気体を原料供給入口の内壁に吹くことにより、粉末状原料が原料供給入口の内壁上に付着することを防止し、かつ溶融物の堆積と原料供給入口の詰まりを避けることができる。
【0009】
発明者の研究によると、理想的状態において、高温気体に含まれているモルテンダストは2つの溶融炉の炉内キャビティにより浄化され、高温気体は非常に清潔な高温気体にされかつ高温気体産物を冷却する蓄熱室に入力されることにより熱量を回収することができる。理想的状態において、前記方法により原料供給入口が詰まることを有効的に解決することができる。しかしながら、理想的状態でない場合、モルテンダストを100%浄化することができず、高温気体には完全に浄化されないモルテンダストが含まれている。その場合、モルテンダストは原料供給停止状態にされている2つ目の溶融炉の原料供給入口に飛び込みかつ原料供給入口の内壁に付着し、長時間が過ぎると、原料供給入口が詰まるおそれがある。
【0010】
前記問題を解決するため、発明者は研究と実験を繰り返すことにより本発明の第二実施形態に係る2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉を提案した。前記2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉は2つの溶融炉と酸素含有気体事前加熱システムを含み、前記酸素含有気体事前加熱システムの各部品と各部品の接続方法は第一実施形態に類似しており、相違点はつぎのとおりである。
前記溶融炉は、原料供給装置、気体入口、気体出口、原料供給入口及び原料供給パイプを含む。前記溶融炉の原料供給パイプは出口端部と入口端部を含み、出口端部は前記溶融炉の原料供給入口に連通状態に連結され、入口端部は前記溶融炉の原料供給装置に連通状態に連結される。前記事前加熱気体出口は1つの溶融炉の気体入口に連通状態に連結され、前記溶融炉の原料供給装置は原料供給起動状態にされており、前記溶融炉の気体出口は気体流動通路により他の1つの溶融炉の気体入口に連通状態に連結され、他の1つの溶融炉の原料供給装置は原料供給停止状態にされており、他の1つの溶融炉の気体出口は高温気体入口に連通状態に連結される。前記原料供給パイプ上には吹飛ばし気体注入口が形成されている。
【0011】
2つの溶融炉の原料供給パイプには吹飛ばし気体注入口がそれぞれ形成されているので、1つの溶融炉の原料供給装置が原料供給停止状態にされているとき、吹飛ばし気体は前記溶融炉の原料供給入口から炉内キャビティ内に送入されることができ、炉内キャビティにより完全に浄化されない高温モルテンダストが原料供給入口内に飛び込むことを防止し、かつ高温モルテンダストが前記原料供給入口の内壁に付着することによる詰りを避けることができる。また、原料供給入口の内壁を冷却することにより原料供給入口の内壁の温度が粉末状原料(または粉末状固形燃料含有アッシュ)の溶融温度以上に上昇することを避けることができる。
【0012】
前記問題を解決するため、発明者は研究と実験を繰り返すことにより本発明の第三実施形態に係る2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉を提案した。前記2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉は2つの溶融炉と酸素含有気体事前加熱システムを含み、前記酸素含有気体事前加熱システムの各部品と各部品の接続方法は第一実施形態に類似しており、相違点はつぎのとおりである。
前記溶融炉は、原料供給装置、気体入口、気体出口、原料供給入口及び原料供給パイプを含む。前記溶融炉の原料供給パイプは出口端部と入口端部を含み、出口端部は前記溶融炉の原料供給入口に連通状態に連結され、入口端部は前記溶融炉の原料供給装置に連通状態に連結される。前記事前加熱気体出口は1つの溶融炉の気体入口に連通状態に連結され、前記溶融炉の原料供給装置は原料供給起動状態にされており、前記溶融炉の気体出口は気体流動通路により他の1つの溶融炉の気体入口に連通状態に連結され、他の1つの溶融炉の原料供給装置は原料供給停止状態にされており、他の1つの溶融炉の気体出口は高温気体入口に連通状態に連結される。前記原料供給入口上には強制原料供給装置が取り付けられている。前記強制原料供給装置は機械装置の推進力により原料供給パイプ内の粉末状原料を原料供給入口に強制的に送入する。
【0013】
前記問題を解決するため、発明者は研究と実験を繰り返すことにより本発明の第四実施形態に係る2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉を提案した。前記2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉は2つの溶融炉と酸素含有気体事前加熱システムを含み、前記酸素含有気体事前加熱システムの各部品と各部品の接続方法は第一実施形態に類似しており、相違点はつぎのとおりである。
前記溶融炉は、原料供給装置、原料供給パイプ、気体入口、気体出口及び原料供給入口を含む。前記溶融炉の原料供給パイプは移動式原料供給パイプであり、前記移動式原料供給パイプの出口端部は原料供給入口に移動可能に連結される。前記事前加熱気体出口は1つの溶融炉の気体入口に連通状態に連結され、前記溶融炉の原料供給入口は移動式原料供給パイプにより原料供給装置に連通状態に連結され、前記溶融炉の気体出口は気体流動通路により他の1つの溶融炉の気体入口に連通状態に連結され、他の1つの溶融炉の気体出口は高温気体入口に連通状態に連結される。前記他の1つの溶融炉の原料供給入口は移動式原料供給パイプの出口端部に不連通状態に連結される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下、図面と具体的な実施形態により本発明の2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉とそれによる発明の効果を詳細に説明する。
【
図1】本発明の第一実施形態に係る2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉の構造を示す図である。
【
図2】
図1中の点線円形24に画定されている部分を示す拡大図である。
【
図3】
図1中の点線円形25に画定されている部分を示す拡大図である。
【
図4】本発明の第二実施形態に係る2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉の局部の構造を示す図である。
【
図5】本発明の第三実施形態に係る2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉の構造を示す図である。
【
図6】
図5中の点線円形30に画定されている部分を示す拡大図である。
【
図7】本発明の第四実施形態に係る2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉の一部の構造を示す図である。
【
図8】本発明の第五実施形態に係る2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉の構造を示す図である。
【
図9】
図8中の点線円形41に画定されている部分を示す拡大図である。
【
図10】
図8中の点線円形42に画定されている部分を示す拡大図である。
【
図11】本発明の第六実施形態に係る2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉の局部の構造を示す図である。
【
図12】本発明の第七実施形態に係る2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉の局部の構造を示す図である。
【
図13】本発明の第七実施形態に係る2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉の局部の構造を示す図である。
【
図14】本発明の第八実施形態に係る2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉の局部の構造を示す図である。
【
図15】本発明の第八実施形態に係る2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉の局部の構造を示す図である。
【
図16】本発明の第九実施形態に係る2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第一実施形態
図1~
図3を参照すると、本発明の2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉(fusion furnace)は、2つの溶融炉、原料供給装置1及び酸素含有気体事前加熱システムを含む。酸素含有気体事前加熱システムは、2つの蓄熱室3、2つの入力気体流動方向制御弁(directional control valve)4、2つの排出気体流動方向制御弁5、酸素含有気体入力装置6及び気体排出装置7を含む。2つの蓄熱室3において、1つの蓄熱室3は酸素含有気体を予め加熱することに使用され、他の1つの蓄熱室3は高温気体産物を冷却することに使用される。酸素含有気体を予め加熱する蓄熱室3は気体入口18と事前加熱気体出口19を含み、高温気体産物を冷却する蓄熱室3は高温気体入口20と冷却気体出口21を含む。
【0016】
前記酸素含有気体事前加熱システムの各部品を接続させる方法は下記特徴を有している。酸素含有気体入力装置6は、オープン状態(open state)にされている1つの入力気体流動方向制御弁4(
図1の右側に示されている入力気体流動方向制御弁4)により気体入口18に連通状態に連結され、かつオフ状態(off state)にされている他の1つの入力気体流動方向制御弁4(
図1の左側に示されている入力気体流動方向制御弁4)により冷却気体出口21に連結される。気体排出装置7は、オープン状態にされている1つの排出気体流動方向制御弁5(
図1の左側に示されている排出気体流動方向制御弁5)により冷却気体出口21に連通状態に連結され、かつオフ状態にされている他の1つの排出気体流動方向制御弁5(
図1の右側に示されている排出気体流動方向制御弁5)により気体入口18に連結される。
【0017】
図2~
図3を参照すると、溶融炉は、原料供給方向制御弁8、原料供給パイプ9、気体入口10、気体出口12及び原料供給入口13を含む。溶融炉の原料供給パイプ9は出口端部15と入口端部16を含み、出口端部15は溶融炉の原料供給入口13に連通状態に連結され、入口端部16は溶融炉の原料供給方向制御弁8に連結される。2つの溶融炉の原料供給方向制御弁8は共用原料供給パイプ17により原料供給装置1にそれぞれ連結される。事前加熱気体出口19は1つの溶融炉の気体入口10に連通状態に連結され、溶融炉の原料供給方向制御弁8(
図2の右側に示されている原料供給方向制御弁8)はオープン状態にされており、溶融炉の気体出口12は気体流動通路22により他の1つの溶融炉の気体入口10に連通状態に連結され、他の1つの溶融炉の原料供給方向制御弁8(
図2の左側に示されている原料供給方向制御弁8)はオフ状態にされており、他の1つの溶融炉の気体出口12は高温気体入口20に連通状態に連結される。共用原料供給パイプ17上には吹飛ばし気体注入口23が形成されている。
【0018】
入力気体流動方向制御弁4と排出気体流動方向制御弁5は気体流動方向の切換えに使用される。1つの入力気体流動方向制御弁4と1つの排出気体流動方向制御弁5がオープン状態にされているとき、他の1つの入力気体流動方向制御弁4と他の1つの排出気体流動方向制御弁5はオフ状態にされる。所定の時間が過ぎると、入力気体流動方向制御弁4と排出気体流動方向制御弁5は気体流動方向の切換えを実施する。すなわち、気体流動方向の切換えを実施する前にオープン状態にされている入力気体流動方向制御弁4と排出気体流動方向制御弁5は気体流動方向の切換えによりオフ状態にされ、気体流動方向の切換えを実施する前にオフ状態にされている入力気体流動方向制御弁4と排出気体流動方向制御弁5は気体流動方向の切換えによりオープン状態にされる。気体流動方向の切換えを実施する前にオープン状態にされている原料供給方向制御弁8は気体流動方向の切換えによりオフ状態にされ、気体流動方向の切換えを実施する前にオフ状態にされている原料供給方向制御弁8は気体流動方向の切換えによりオープン状態にされる。10分~60分が過ぎるたびに気体流動方向の切換えを一回ずつ実施することができる。
【0019】
従来の技術と比較してみると、本発明の第一実施形態において、共用原料供給パイプ17上に吹飛ばし気体注入口23が形成されていることにより、吹飛ばし気体と原料供給装置1が入力する粉末状原料は、混合され、かつオープン状態にされている原料供給方向制御弁8、原料供給方向制御弁8に連通状態に連結されている原料供給パイプ9及び原料供給入口13により炉内キャビティ11内に送入されることができる。吹飛ばし気体が原料供給入口13の内壁29に注入されることにより、粉末状原料が原料供給入口13の内壁29に付着することを防止することができる。原料供給パイプ9に連通状態に連結されている原料供給方向制御弁8をオフ状態にするとき、原料供給パイプ9には炉内キャビティ11内に送入される原料と吹飛ばし気体が存在しない(
図3に示すとおり)。炉内キャビティ11内の高温気体により前記原料供給入口13の内壁29の温度を粉末状原料(または粉末状固形燃料含有アッシュ)の溶融温度以上に加熱することができる。吹飛ばし気体が注入されることにより、粉末状原料が原料供給入口13の内壁29に付着することを避け、溶融物の付着により溶融物の詰まりが生ずることを避けることができる。
【0020】
第二実施形態
図1と
図4を参照すると、本発明の第二実施形態において、
図1の点線円形24に画定される区域の代わりに
図4の点線円形26に画定される区域を用いることにより2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉を構成する。第二実施形態の構造と第一実施形態の構造は類似しており、相違点は、第二実施形態の共用原料供給パイプ17上に形成されている吹飛ばし気体注入口23には吹飛ばし気体輸送パイプ27が連結され、吹飛ばし気体輸送パイプ27上にはバルブ28が取り付けられていることにある。
【0021】
第三実施形態
図5と
図6を参照すると、本発明の第三実施形態に係る2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉は2つの溶融炉と第一実施形態に記載されている酸素含有気体事前加熱システムを含み、第一実施形態と比較してみると、第三実施形態は下記相違点を有している。
【0022】
本発明の第三実施形態に係る溶融炉は、原料供給装置1、気体入口10、気体出口12、原料供給入口13及び原料供給パイプ9を含む。前記溶融炉の原料供給パイプ9は出口端部15と入口端部16を含み、出口端部15は溶融炉の原料供給入口13に連結され、入口端部16は溶融炉の原料供給装置1に連通状態に連結される。事前加熱気体出口19は1つの溶融炉の気体入口10に連通状態に連結され、溶融炉の原料供給装置1は原料供給起動状態にされており、溶融炉の気体出口12は気体流動通路22により他の1つの溶融炉の気体入口10に連通状態に連結され、他の1つの溶融炉の原料供給装置1は原料供給停止状態にされており、他の1つの溶融炉の気体出口12は高温気体入口20に連通状態に連結される。前記原料供給パイプ9上には吹飛ばし気体注入口23が形成されている。
【0023】
第四実施形態
図5と
図7を参照すると、本発明の第四実施形態において、
図5の点線円形30に画定される区域の代わりに
図7の点線円形31に画定される区域を用いることにより2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉を構成する。第四実施形態の構造と第三実施形態の構造は類似しており、相違点は、第四実施形態の原料供給パイプ9上に形成されている吹飛ばし気体注入口23には吹飛ばし気体輸送パイプ27が連結され、吹飛ばし気体輸送パイプ27上にはバルブ28が取り付けられていることにある。
【0024】
吹飛ばし気体輸送パイプ27上に取り付けられるバルブ28は吹飛ばし気体の注入の開閉と吹飛ばし気体の注入量を調節することができる。吹飛ばし気体の注入量を適合に調節することにより、吹飛ばし気体の注入量が少なすぎるとき原料供給入口13の内壁29の原料を徹底的に除去できないことを避け、かつ吹飛ばし気体の注入量が多すぎるとき吹飛ばし気体の浪費が生ずることを避けることができる。吹飛ばし気体を予め加熱しないことにより吹飛ばし気体の温度が低いとき、吹飛ばし気体の注入量が多すぎると、炉内キャビティ11内の温度が過度に低下するおそれがある。
【0025】
原料供給停止状態にされている原料供給入口13に少量の吹飛ばし気体を注入することにより、モルテンダスト(Molten dust)が飛び込むことを防止することができる。その場合、バルブ28で吹飛ばし気体の注入量を低減することができる。原料供給中の原料供給入口13に吹飛ばし気体を注入し続ける必要がなく、方向変換をする前にバルブ28をオープン状態にすることにより原料供給入口13の内壁29に付着している粉末原料を吹き飛ばすことができる。その作業が3~5秒程度実施されると、バルブ28をオフ状態にすることができる。第二実施形態において、方向変換を実施した後バルブ28をオフ状態にする必要がある。吹飛ばし気体を原料供給が始まった原料供給入口13に注入することにより、原料供給入口13の内壁29の温度を粉末状原料(または粉末状固形燃料含有アッシュ)の溶融温度以下に冷却し、原料供給装置1が原料供給作業が再び起動させるとき、新たに送入される粉末原料が溶融することにより高温状態の内壁29に付着することを避けることができる。その作業が5~10秒程度実施されると、バルブ28をオフ状態にすることができる。前記方法をガラスの製造に用いるとき、吹飛ばし気体の使用量を低減するため、作業者は通常、吹飛ばし気体を原料供給中の原料供給入口13に常に注入しない作業方法を採用する。しかしながら、故障によりバルブ28をオフ状態にすることができない場合、原料供給中の原料供給入口13に吹飛ばし気体を注入し続けることができる。その状況においてガラスの製造を2日間続けた後、ガラスの品質を製造統計表に記録する。製造統計表によると、2日間の製造作業においてガラスの合格率が2.7%向上することをわかった。2か月の実験によると、原料供給中の原料供給パイプ9に吹飛ばし気体を注入し続ける方法によりガラスの合格率が3.6%向上することをわかった。
【0026】
実験によると、前記実施形態の蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉により錬鉄(iron smelting)、銅の製錬(以下、錬銅と略称)または固形燃料の気化を実施するとき、前記操作方法と比較してみると、原料供給入口13に吹飛ばし気体を注入することにより原料の使用量を低減することができる。具体的に、
錬鉄をするとき、1トンの鉄を製造するとき、錬鉄に用いられる原料の使用量を3.2%低減することができ、
錬銅をするとき、1トンの銅を製造するとき、錬銅に用いられる原料の使用量を2.7%低減することができ、
固形燃料の気化を実施するとき、1立方メートルのガス燃料(gaseous fuel)の製造に用いられる固形燃料の使用量を2.6%低減することができる。
【0027】
研究によると、粉末状原料は粘性を有している。原料供給入口13に吹飛ばし気体を注入しないと、原料供給入口13から炉室キャビティ11内に入力される粉末状原料にアグロメレート(Agglomerate)が形成されるおそれがある。炉室キャビティ11内に入力される粉末状原料のアグロメレートが炉内の高温気流に吹き飛ばされない場合、粉末アグロメレートの表面は迅速に溶融し、溶融状液体に包まれる粉末アグロメレートが形成されるおそれがある。溶融状液体に包まれる粉末アグロメレートを炉室キャビティ内の高温気流で吹き飛しにくいので、その粉末アグロメレートの内部の粉末原料と外部の高温気体の物質と導熱反応の速度は遅くなり、かつ下記問題を招来するおそれがある。
【0028】
ガラスを製造するとき、前記粉末状原料は粉末状のガラス原料である。溶融状液体に包まれているガラス原料の粉末アグロメレート内部の粉末状原料は充分に溶融することができず、充分に溶融しない粉末状原料の粒子は溶融炉の外部に排出される。それにより、成型された平板状ガラスまたはガラス瓶等のガラス製品に異物が侵入し、不適合品にされるおそれがある。
【0029】
錬鉄をするとき、前記粉末状原料は、鉄鉱石(ironstone)粉末と粉末状の溶剤用鉱石(fluxing ore)を含む。粉末状の溶剤用鉱石は通常、ライムストーン(limestone)を指す。炉内キャビティ11内の高温気体は、CO、H2が含まれている高温還元ガス(Reducing gas)である。粉末状原料が高温還元ガスに充分に分散していることにより、粉末状原料の導熱と物質伝達(Mass transfer)の効率は非常に高く、粉末状原料は液体に迅速に溶融し、液体状態の鉄を迅速に抽出し、溶融状態のシンダーを液体排出口2から排出することができる。溶融状液体に包まれている粉末アグロメレート内部の鉄鉱石粉末と外部の高温還元ガスの導熱と物質伝達の効率が非常に遅いことにより、鉄鉱石粉末に含まれている鉄を充分に還元し抽出することができず、完全に抽出されない鉄鉱石粉末はシンダーにされるとともに溶融炉の外部に排出される。
【0030】
錬銅をするとき、前記粉末状原料は硫化銅(Copper sulfide)精鉱(concentrate)粉末と粉末状溶剤を含む。粉末状原料が炉室内の高温還元ガスに充分に分散していることにより、2秒~3秒のみが過ぎると、酸化脱硫、溶融、スラグの製作(slag-making)等を実施し、銅マット(copper matte)とシンダーを形成することができる。形成される銅マットとシンダーは液体排出口2から排出される。溶融状液体に包まれている粉末アグロメレート内部の硫化銅精鉱と外部の高温気体の導熱と物質伝達の効率が非常に遅いことにより、溶融状液体に包まれている粉末アグロメレート内部の硫化銅精鉱と外部の高温気体は充分に反応することができず、銅マットが充分に形成されることができない。それらはシンダーにされ、形成されたシンダーは液体排出口2から排出される。
【0031】
固形燃料の気化を実施するとき、前記粉末状原料(または粉末状固形燃料)は通常、微粉炭(Pulverized coal)と粉末状バイオマス燃料(Biomass fuel)を含む。吹き飛ばされない固形燃料の粉末アグロメレートの表面に含まれているアッシュは高温の炉室において迅速に溶融し、溶融状液体に包まれている粉末アグロメレートが形成され、粉末アグロメレート内部の固形燃料は充分に気化できないことにより高温のガス燃料にされ、ガス燃料は溶融のアッシュとともに溶融炉の外部に排出される。
【0032】
原料供給中の原料供給入口13に吹飛ばし気体を注入し続けることにより吹飛ばし気体を原料供給パイプ9内に送入することができる。原料供給パイプ9内に送入される吹飛ばし気体は粉末アグロメレートにぶつかることにより、粉末アグロメレートを分散させ、かつ粉末状原料を炉内キャビティ内の高温気流に充分に分散させることができる。その場合、粉末状原料の微細粒子と高温気流が充分に接触することにより導熱と物質の速度を向上させ、ガラスの製造、錬鉄、錬銅、固形燃料の気化等を実施するとき反応を充分にさせることができる。
【0033】
ガラスを製造するとき、ガラス原料の微細粉末粒子と高温気体が充分に接触することにより、溶融反応を充分に実施し、合格のガラス液体を形成し、粉末原料のアグロメレートによる異物の侵入を防止し、製品の合格率を向上させることができる。
【0034】
錬鉄をするとき、製錬原料の微細粒子と高温気体が充分に接触することにより、反応の速度を向上させ、原料中の鉄を充分に還元して抽出し、粉末原料のアグロメレートによる原料の浪費を避けることができる。
【0035】
錬銅をするとき、製錬原料の微細粒子と高温気体が充分に接触することにより、反応の速度を向上させ、硫化銅精鉱の酸化脱硫、溶融、スラグの製作(slag-making)等を充分に実施し、硫化銅精鉱に含まれている銅を銅マットに充分に変換することができる。それにより硫化銅精鉱に含まれている銅がシンダーになることと原料の浪費を避けることができる。
【0036】
固形燃料の気化を実施するとき、微細粉末状固形燃料の粒子と高温の酸素含有気体が充分に接触することにより、反応の速度を向上させ、CO、H2が含まれている高温ガス燃料の気化を充分に実施し、粉末状固形燃料のアグロメレートによる燃料の浪費を避けることができる。
【0037】
原料供給中の原料供給入口13に吹飛ばし気体を注入し続けることにより、粉末状原料を炉内キャビティ内の高温気流に充分に分散させ、反応を充分にさせ、想像外の技術的効果を獲得することができる。したがって、本発明は原料供給入口に吹飛ばし気体を注入し続ける方法を採用する。
【0038】
前記実施形態において、吹飛ばし気体注入口23に連結される吹飛ばし気体入力装置により吹飛ばし気体を吹飛ばし気体注入口23に入力することができる。吹飛ばし気体として酸素含有気体または窒素を使用することができる。前記酸素含有気体は空気または酸素充足空気(Oxygen enriched air)であることができる。
【0039】
吹飛ばし気体として空気を使用するとき、その吹飛ばし気体を容易に獲得することができる。その場合、吹飛ばし気体注入口23にブローアー(blower)を連結させることにより吹飛ばし気体を入力することができる。圧縮気体入力装置により吹飛ばし気体を入力することもできる。炉内キャビティ11内の圧力を所定の負圧に調節し(炉室キャビティ11内の圧力が外部の圧力より小さくなるように炉室キャビティ11内の圧力を所定の負圧に調節する)、原料供給パイプ9または共用原料供給パイプ17に開口を形成することにより、吹飛ばし気体入力装置を構成し、外部の空気を吸入して所定の部位に気体を吹くことができるので、使用上の利便性がよいとの利点を有している。
【0040】
本発明の第三実施形態と第四実施形態に係る2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉により鉄製錬をするとき、酸素含有気体を吹飛ばし気体として使用するか或いは高温還元性廃ガスを高温気体産物を冷却する蓄熱室3に入力する前に高温還元性廃ガスと吹飛ばし気体を混合さて燃焼させることができる。第四実施形態において、吹飛ばし気体輸送パイプ27上のバルブ28を調節することにより酸素含有気体の入力量を適合に調節することができる。それにより、高温還元性廃ガスを充分に燃焼させ、高温還元性廃ガスの化学性能を充分に利用することができる。
【0041】
第五実施形態
図8~
図10を参照すると、本発明の第五実施形態に係る2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉は2つの溶融炉と第一実施形態に記載されている酸素含有気体事前加熱システムを含み、第一実施形態と比較してみると、第五実施形態は下記相違点を有している。
【0042】
本発明の第五実施形態に係る溶融炉は、原料供給装置1、気体入口10、気体出口12、原料供給入口13及び原料供給パイプ9を含む。前記溶融炉の原料供給パイプ9は出口端部15と入口端部16を含み、出口端部15は溶融炉の原料供給入口13に連結され、入口端部16は溶融炉の原料供給装置1に連通状態に連結される。事前加熱気体出口19は1つの溶融炉の気体入口10に連通状態に連結され、溶融炉の原料供給装置1は原料供給起動状態にされており、溶融炉の気体出口12は気体流動通路22により他の1つの溶融炉の気体入口10に連通状態に連結され、他の1つの溶融炉の原料供給装置1は原料供給停止状態にされており、他の1つの溶融炉の気体出口12は高温気体入口20に連通状態に連結される。前記原料供給入口13上には強制原料供給装置が取り付けられている。
【0043】
前記強制原料供給装置は、プッシュロッド(push rod)35と、シリンダー36と、ピストン37と、ピストン37が往復運動をするように駆動する駆動構造38とを含む。前記シリンダー36は原料供給パイプ9の入口端部16に連結され、プッシュロッド35の外径は原料供給パイプ9の内径に対応する。前記プッシュロッド35は末端39と上端40を含み、プッシュロッド35の末端39はピストン37に連結される。プッシュロッド35の上端40がピストン37の推力により往復運動のトップデッドセンター(top dead center)まで移動するとき、プッシュロッド35の上端40はシリンダー36内に位置し(
図10に示すとおり)、プッシュロッド35の上端40が往復運動のボトムデッドセンター(bottom dead centre)まで移動するとき、プッシュロッド35の上端40は原料供給入口13に位置する(
図9に示すとおり)。プッシュロッド35の末端39がピストン37の推力により往復運動のボトムデッドセンターまで移動するとき、プッシュロッド35の末端39はシリンダー36内に位置する。
【0044】
前記強制原料供給装置は機械装置の推進力により原料供給パイプ9内の粉末状原料を原料供給入口13に強制的に送入する装置である。プッシュロッド35は往復運動をすることにより、入口端部16から原料供給パイプ9内に送入された粉末状原料を原料供給入口13に強制的に送入することができる。
【0045】
原料供給入口13の内壁29上の溶融物は内壁29に凝固付着するおそれがある。凝固付着する溶融物の付着力が強いので、その溶融物を容易に除去することができず、溶融物が重畳することにより原料送入通路の詰まりが生ずるおそれがある。前記プッシュロッド35は粉末状原料と溶融物を原料供給入口13から炉内キャビティ11に強制的に送入することにより、原料供給入口13の内壁29に付着している少量の溶融物を除去し、溶融物が凝固付着することにより原料送入通路の詰まりを招来することを避けることができる。
【0046】
第六実施形態
図5と
図11を参照すると、本発明の第六実施形態において、
図5の点線円形30に画定される区域の代わりに
図11の点線円形70に画定される区域を用いることにより2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉を構成する。第六実施形態と第五実施形態は類似しており、相違点は、第六実施形態の強制原料供給装置と第五実施形態の強制原料供給装置は異なっており、第六実施形態の強制原料供給装置は螺旋状のヘリカルブレード67と駆動装置の駆動により回転する軸68を含むことにある。ヘリカルブレード67は原料供給パイプ9内に取り付けられ、軸68はヘリカルブレード67の中心線に位置し、軸68とヘリカルブレード67は一体に連結される。
【0047】
前記軸68が回転するように駆動する機械は電機69であり、軸68は電機69に連結される。
【0048】
前記強制原料供給装置は機械的推進力により原料供給パイプ9内の粉末状原料を原料供給入口13に強制的に送入する装置である。軸68はヘリカルブレード67が回転するように駆動し、回転中のヘリカルブレード67は粉末状原料を原料供給入口13側に送入することができる。原料供給入口13の内壁29上に溶融物が付着していても、ヘリカルブレード67は粉末状原料と溶融物を炉内キャビティ11に強制的に送入することができるので、原料送入通路の詰まりを避けることができる。
【0049】
第七実施形態
図8、
図12及び
図13を参照すると、本発明の第七実施形態において、
図8の点線円形41、42に画定される区域の代わりに
図12、13の点線円形53、54に画定される区域を用いることにより2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉を構成する。第七実施形態に係る2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉は2つの溶融炉と第一実施形態に記載されている酸素含有気体事前加熱システムを含み、第一実施形態と比較してみると、第七実施形態は下記相違点を有している。
【0050】
本発明の第七実施形態に係る溶融炉は、原料供給装置1、原料供給パイプ、気体入口10、気体出口12及び原料供給入口13を含む。前記溶融炉の原料供給パイプは移動式原料供給パイプ43であり、前記移動式原料供給パイプ43の出口端部44は原料供給入口13に移動可能に連結される。事前加熱気体出口19は1つの溶融炉の気体入口10に連通状態に連結され、前記溶融炉の原料供給入口13は移動式原料供給パイプ43により原料供給装置1に連通状態に連結され、前記溶融炉の気体出口12は気体流動通路22により他の1つの溶融炉の気体入口10に連通状態に連結され、他の1つの溶融炉の気体出口12は高温気体入口20に連通状態に連結される。前記他の1つの溶融炉の原料供給入口13は移動式原料供給パイプ43の出口端部44に不連通状態に連結される。
【0051】
前記移動式原料供給パイプ43は、固定パイプ47と、移動パイプ46と、フラッシュボード(flashboard)48と、ピストン49と、ピストン49が往復運動をするように駆動する駆動構造50とを含む。前記固定パイプ47は入口端部45と出口52を含み、前記入口端部45は原料供給装置1に連通状態に連結され、前記移動パイプ46は入口51と出口端部44を含む。前記フラッシュボード48は移動パイプ46の入口51の端部に取り付けられ、前記ピストン49は移動パイプ46に連結される。前記移動パイプ46がピストン49の推力により往復運動のボトムデッドセンターまで移動するとき、出口端部44は原料供給入口13に連通状態に連結され(
図13に示すとおり)、入口51と出口52は連通状態に連結される。前記移動パイプ46がピストン49の推力により往復運動のトップデッドセンターまで移動するとき、出口端部44と原料供給入口13は不連通状態に連結され(
図12に示すとおり)、入口51と出口52は不連通状態に連結され、フラッシュボード48は出口52を塞ぐ。
【0052】
原料供給入口13と原料供給パイプ9の連結状態を取り外さないと、その内部の詰りの程度を把握することができない。本実施形態において、作業人は原料供給停止状態にされている原料供給入口13を移動式原料供給パイプ43から取り外すことにより原料供給入口13の内壁29上に溶融物が付着しているかを把握することができる。溶融物が付着しているとき、電気ドリル、アイアンブラシ(Iron brush)または丸砥石機(grinding wheel)等の道具で内壁29上の溶融物を除去し、溶融物の体積による原料供給入口の詰りを避けることができる。しかしながら、原料供給入口13を移動式原料供給パイプ43から取り外すとき、原料供給入口13と外部が連通状態にされることにより炉内キャビティ11内の熱量は外部に放熱する。また、炉内の圧力が外部の圧力より大きいとき、炉内の高温気体漏出するおそれがある。したがって、原料供給入口13を移動式原料供給パイプ43から取り外すため、炉内の圧力を外部の圧力より小さくする必要がある。
【0053】
第八実施形態
図14、
図15には本発明の実施形態に係る移動式原料供給パイプとスルースゲート(sluice gate)の概要が示されている。
図8の点線円形41、42に画定される区域の代わりに
図14、15の点線円形65、66に画定される区域を用いることにより2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉を構成する。第八実施形態の構造と第七実施形態の構造は類似しており、相違点は、第八実施形態の原料供給入口13にはスルースゲート32が取り付けられ、かつ第七実施形態の移動式原料供給パイプ43と異なっている移動式原料供給パイプ43を含むことにある。
【0054】
図14、
図15を参照すると、移動式原料供給パイプ43は、内部パイプ55と、外部パイプ56と、出口端部44と、入口端部45と、クロスバー(crossbar)57と、ピストン58と、ピストン58が往復運動をするように駆動する駆動構造59とを含む。前記入口端部45は原料供給装置1に連通状態に連結され、前記クロスバー57の一端は外部パイプ56に連結され、他端はピストン58に連結される。外部パイプ56は内部パイプ55上に取り付けられ、外部パイプ56と内部パイプ55との間にはオイルシール(oil seal)60が取り付けられている。外部パイプ56がピストン58とクロスバー57の推力により往復運動のボトムデッドセンターまで移動するとき、出口端部44と原料供給入口13は不連通状態に連結され、かつ出口端部44は原料供給入口13から離れる方向に移動する(
図14に示すとおり)。外部パイプ56がピストン58とクロスバー57の推力により往復運動のトップデッドセンターまで移動するとき、出口端部44と原料供給入口13は連通状態に連結される(
図15に示すとおり)。前記スルースゲート32は、フラッシュボード61と、クロスバー62と、ピストン63と、ピストン63が往復運動をするように駆動する駆動構造64とを含む。クロスバー62の一端はフラッシュボード61に連結され、他端はピストン63に連結される。フラッシュボード61がピストン63とクロスバー62の推力により往復運動のボトムデッドセンターまで移動するとき、フラッシュボード61は原料供給入口13を覆う。フラッシュボード61がピストン63とクロスバー62の推力により往復運動のトップデッドセンターまで移動するとき、フラッシュボード61は原料供給入口13から離れる方向に移動する。
【0055】
移動式原料供給パイプ43に連通状態に連結されている原料供給入口13上のスルースゲート32がオープン状態にされている(
図15に示すとおり)ことにより、原料を炉内に送入することができる。移動式原料供給パイプ43の出口端部44に不連通状態に連結されている原料供給入口13上のスルースゲート32がオフ状態にされている(
図14に示すとおり)ことにより、炉内の高温気体の漏出を防止し、作業者はスルースゲート32を開けて、原料供給入口13の内壁29に付着している付着物を検査するか或いは除去した後スルースゲート32を閉めることができる。
【0056】
前記実施形態において、気体流動通路22の代わりに米国特許第US8747524B2号に記載されている付着式セパレーターを採用することができる。前記付着式セパレーターは気体入口と気体出口を含み、気体入口からモルテンダスト含有高温気体を注入し、気体出口から浄化後の高温気体を排出することができる。前記付着式セパレーターは高温気体の通過を許可する気体流動通路22であり、1つの気体流動通路である。前記付着式セパレーターの使用上の利便性がよく、その使用方法は第九実施形態を参照することができる。
【0057】
第九実施形態
図16と
図6(
図5中の点線円形30に画定される拡大区域と
図6中の点線円形30に画定される拡大区域は同様であり、いずれも
図6に示すとおりである)を参照すると、本発明の第九実施形態に係る蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉の構造と本発明の第三実施形態に係る蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉の構造は類似しており、第九実施形態の相違点は、第三実施形態の気体流動通路22の代わりに点線枠71に画定される付着式セパレーターを採用することにある。
図16の付着式セパレーター71は気体入口72と気体出口73を含み、気体入口72は1つの溶融炉の気体出口12に連通状態に連結され、気体出口73は他の1つの溶融炉の気体入口10に連通状態に連結される。
【0058】
図16において、付着式セパレーター71と2つの溶融炉は直列接続状態に構成されることにより、高温気体中のモルテンダストを徹底的に浄化し、モルテンダストが原料供給停止状態にされている原料供給入口13に入ることを避けることができる。それにより原料供給入口13の詰まりを避けるか或いは低減することができる。
【0059】
前記実施形態において、気体排出装置7として誘引通風機(Induced draft fan)またはチムニー(固形燃料が気化するときチムニーを使用できない)を採用し、酸素含有気体入力装置6としてブローアーを採用することができる。気体排出装置7の吸引力と酸素含有気体入力装置6の入力圧力との間の差異値を調節することにより炉内の圧力を負圧または正圧に制御することができる。気体排出装置7が誘引通風機またはチムニーであるとき、1つの空気入口を形成することにより酸素含有気体入力装置6を構成し、酸素含有気体入力装置6により外部の空気を入力することができる。酸素含有気体入力装置6としてブローアーを採用するとき、1つの気体排出口(固形燃料の気化の場合、前記気体排出口の代わりに気体排出パイプを採用することができる)を形成することにより気体排出装置7を構成し、気体排出装置7により気体を排出することができる(燃料気化の場合排出されることはガス燃料であり、気体排出パイプによりガス燃料を所定の場所に輸送することができる)。
【0060】
前記溶融炉は炉内キャビティ11と炉体壁部14を更に含み、前記原料供給入口13、気体入口10及び気体出口12は炉体壁部14上にそれぞれ形成されている。原料供給装置1は粉末状原料を原料供給入口13から炉内キャビティ11内に送入する。原料供給装置1として粉末状原料を送入するインペラフィーダー(Impeller feeder)、スクリューフィーダー(Screw feeder)等を採用するか或いは他の装置を採用することができる。粉末状原料を共用原料供給パイプ17または原料供給パイプ9の入口端部16に送入することができる原料供給装置であればいずれでもよい。前記2つの蓄熱室付き粉末飛散型溶融炉は液体排出口2を更に含む。液体排出口2は炉内キャビティ11の底部または底部の付近に形成され、炉体壁部14に付着しているモルテンダストは重力により液体排出口2から排出されることができる。前記炉内キャビティ11の形状は多数が円柱形である。気体入口10と気体出口12は、円柱形の炉内キャビティ11の両端の付近に形成され、かつ炉内キャビティ11の両端と接するように形成される。前記原料供給入口13は通常、円柱形の炉内キャビティ11の上端の中心に形成される。
【0061】
前記実施形態をガラスの製造、錬鉄、錬銅に採用するとき、前記酸素含有気体として空気または酸素充足空気を採用し、燃料として粉末状固形燃料、気体燃料または液体燃料を採用することができる。粉末状固形燃料または気体燃料を採用するとき、粉末状固形燃料を粉末状原料に混合した後、原料供給パイプによりその混合物を炉内キャビティ内に入力することができる。原料供給パイプに1つの気体燃料入力口を形成することにより気体燃料を入力することができるので、使用上の利便性がよい。前記実施形態を錬鉄に用いるとき、前記粉末状固形燃料は通常粉末状石炭である。
【0062】
前記実施形態を固形燃料の気化に使用するとき、前記酸素含有気体に常に水蒸気が含まれているので、ガス燃料の発熱量(calorific value)を向上させるため、酸素と水蒸気の混合気体を採用することができる。
【0063】
本発明は前記具体的な実施形態にのみ限定されるものでない。この技術分野の技術者は、前記実施形態により本発明を容易に実施することができ、かつ本発明の要旨を逸脱しない範囲内において設計の変更、改良等をすることができ、それらがあっても本発明に含まれることは勿論である。この明細書において本発明の事項を詳細に説明するため、特定の用語を用いてきたが、それらにより本発明を限定する意図はない。
【国際調査報告】