(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-14
(54)【発明の名称】HVACシステムのための電気筐体アセンブリ
(51)【国際特許分類】
F24F 11/88 20180101AFI20230907BHJP
F24F 1/20 20110101ALI20230907BHJP
F24F 1/24 20110101ALI20230907BHJP
【FI】
F24F11/88
F24F1/20
F24F1/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514474
(86)(22)【出願日】2021-09-01
(85)【翻訳文提出日】2023-03-28
(86)【国際出願番号】 US2021048740
(87)【国際公開番号】W WO2022051417
(87)【国際公開日】2022-03-10
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521301840
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・タイコ・アイピー・ホールディングス・エルエルピー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119426
【氏名又は名称】小見山 泰明
(72)【発明者】
【氏名】トッド,マイケル・スコット
(72)【発明者】
【氏名】スロソワー,スコット・ビクター
(72)【発明者】
【氏名】ケーン,アジット・ワサント
(72)【発明者】
【氏名】クンクル,ジョナサン・ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】デュビー,カニシュク
(72)【発明者】
【氏名】バーリー,カール・リチャード
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB01
3L260BA42
3L260BA71
3L260FB51
3L260JA01
(57)【要約】
暖房、換気、および/または空調(HVAC)システムは、HVACシステムのコンプレッサモータの作動を駆動するように構成された主駆動系可変速駆動部(VSD)を有する第1の電気筐体、および配電コンポーネントを有する第2の電気筐体を含む。その配電コンポーネントは、電源から電力を受電し、その電力を主駆動系VSDに供給するように構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房、換気、および/または空調(HVAC)システムであって;
前記HVACシステムのコンプレッサモータの作動を駆動するように構成された主駆動系可変速駆動部(VSD)を備える第1の電気筐体と;
配電コンポーネントが、電源から電力を受電し、前記主駆動系VSDに前記電力を供給するように構成された前記配電コンポーネントを備える第2の電気筐体と、を備える暖房、換気、および/または空調(HVAC)システム。
【請求項2】
前記配電コンポーネントは、前記電源を前記主駆動系VSDに電気的に連結する電気回路、前記電源から受電した前記電力の形態を変更するように構成された電力変換コンポーネント、のどちらか一方またはその両方を備える、請求項1に記載のHVACシステム。
【請求項3】
前記第2の電気筐体は、前記電力が前記主駆動系VSDに供給されるのを遮断するように構成されたスイッチを備える、請求項1に記載のHVACシステム。
【請求項4】
前記スイッチは、手動スイッチ、ヒューズ、サーキットブレーカ、またはそれらの任意の組み合わせを備える、請求項3に記載のHVACシステム。
【請求項5】
前記第2の電気筐体は、前記主駆動系VSD、前記HVACシステムのコンプレッサ、前記電力、またはそれらの任意の組み合わせに基づいて複数の第2の電気筐体の実施形態から選択され、前記複数の第2の電気筐体の実施形態の各第2の電気筐体の実施形態が互いに異なる、請求項1に記載のHVACシステム。
【請求項6】
前記HVACシステムの作動を容易にするように構成された、前記配電コンポーネントに連結するように構成されたフィルタ、前記配電コンポーネントに連結するように構成された電力変換コンポーネント、制御パネル、またはそれらの任意の組み合わせを含む第3の電気筐体を備える、請求項5に記載のHVACシステム。
【請求項7】
前記第3の電気筐体は、複数の第3の電気筐体の実施形態から選択され、前記複数の第3の電気筐体の実施形態の各第3の電気筐体の実施形態は、互いに異なる、請求項6に記載のHVACシステム。
【請求項8】
前記第1の電気筐体は、前記第1の電気筐体内に配置されて前記主駆動系VSDを冷却するように構成された冷却システムを備える、請求項1に記載のHVACシステム。
【請求項9】
前記冷却システムは、前記主駆動系VSDを冷却するために、前記主駆動系VSDを外気、冷却液、またはその両方と熱交換関係に置くように構成された、請求項8に記載のHVACシステム。
【請求項10】
暖房、換気、および/または空調(HVAC)システムであって:
前記HVACシステム内に配置され、前記HVACシステムのコンプレッサモータを作動させるように構成された主駆動系可変速駆動部(VSD)を備える第1の電気筐体であって、前記HVACシステムの異なる構成で実装するために構成された、第1の電気筐体:と
電力を受電し、前記電力を前記主駆動系VSDに供給して、前記主駆動系VSDの作動を可能にするように構成された配電コンポーネントを備える第2の電気筐体であって、複数の第2の筐体の実施形態から選択される、第2の電気筐体と、を備える暖房、換気、および/または空調(HVAC)システム。
【請求項11】
前記配電コンポーネントは、前記主駆動系VSDに供給するための前記電力を調整するように構成された電力変換コンポーネントを備える、請求項10に記載のHVACシステム。
【請求項12】
前記主駆動系VSDに前記コンプレッサモータを作動させるための制御信号を出力するように構成され、前記主駆動系VSDに対して通信可能に連結された制御パネルを含む第3の電気筐体を備える、請求項10に記載のHVACシステム。
【請求項13】
前記第3の電気筐体は、前記電力を、前記制御パネル、前記HVACシステムのファン、前記HVACシステムのポンプ、またはそれらの任意の組み合わせに供給するために前記電力を調整するように構成された電力変換コンポーネントを備える、請求項12に記載のHVACシステム。
【請求項14】
前記電力変換コンポーネントは、整流器、インバータ、変圧器、電圧レギュレータ、チョッパ、コンバータ、またはそれらの任意の組み合わせを備える、請求項13に記載のHVACシステム。
【請求項15】
前記制御パネルは、ユーザ入力を受け取るように構成され、前記制御パネルが前記ユーザ入力に基づいて前記制御信号を出力するように構成される、請求項12に記載のHVACシステム。
【請求項16】
暖房、換気、および/または空調(HVAC)システムであって;
前記HVACシステムのコンプレッサモータの作動を駆動するように構成された主駆動系可変速駆動部(VSD)を囲うように構成された、第1の電気筐体と;
電力を受電し、前記主駆動系VSDに前記電力を供給して前記コンプレッサモータを作動させるように構成された前記配電コンポーネントを囲うように構成された、第2の電気筐体と;
前記電力が前記主駆動系VSDに供給される前に、前記電力をフィルタリングし、前記電力の高調波を軽減するように構成されたフィルタを囲うように構成された、第3の電気筐体と、を備える 暖房、換気、および/または空調(HVAC)システム。
【請求項17】
前記第3の電気筐体内に配置された前記フィルタであって、前記電力を受電し、前記電力をフィルタリングし、前記主駆動系VSDに供給するために前記配電コンポーネントにフィルタリングされた電力を供給するように構成された前記フィルタを備える、請求項16に記載のHVACシステム。
【請求項18】
前記第2の(電気)筐体内に配置された前記配電コンポーネントであって、前記第1の電気筐体は、第1のコネクタを通じて前記第2の電気筐体に連結され、電源を前記主駆動系VSDに電気的に連結して、前記電源からの前記電力を前記第1のコネクタを通じて前記主駆動系VSDに供給するように構成された電気回路を含む前記配電コンポーネントを備える、請求項16に記載のHVACシステム。
【請求項19】
前記第2の電気筐体は、第2のコネクタを通じて前記第3の電気筐体に連結され、前記電気回路は、前記第2のコネクタを通じて前記フィルタを前記主駆動系VSDに電気的に連結するように構成される、請求項18に記載のHVACシステム。
【請求項20】
前記第2の電気筐体は、複数の第3の電気筐体の実施形態のいずれかに連結するように構成される、請求項16に記載のHVACシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2020年9月1日に出願された「HVACシステムのための電気筐体アセンブリ」名の米国仮特許出願第63/073,303号の優先権および利益を請求し、その全体がすべての目的に対して参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本項は、以下に記載される本開示の様々な態様に関連し得る、当該技術の様々な態様を読者に紹介することを意図する。本考察は、本開示の様々な態様のより良い理解を容易にするために、読者に背景情報を提供するのに役立つと考えられる。したがって、これらの記載は、この観点から読むべきものであって、先行技術を承認するものとして読むべきものではないことに留意されたい。
【0003】
チラーシステム、または蒸気圧縮システムは、チラーシステムのコンポーネント内で異なる温度と圧力にさらされることに応じて、蒸気、液体、およびそれらの混合体の間で相を変化させる作動流体(例えば、冷媒など)を利用する。チラーシステムは、作動流体を調整流体(例えば、水)と熱交換関係に置くことができ、調整流体をチラーシステムによって提供される調整機器および/または調整される環境に送達することができる。当該の用途では、調整流体は、建物内の空気などの他の流体を調整するために、空調機などの下流の機器を通過する場合がある。チラーシステムはさらに、電気コンポーネント(例えば、配線、モータドライブ)などの様々なコンポーネントが配置される筐体(例えば、電気筐体)を含む場合がある。残念なことに、異なるチラーシステム用の筐体を製造することは困難であるか、および/または費用がかかる場合がある。例えば、異なるチラーシステムは、筐体によって収納される異なるコンポーネントのセットを含む場合がある。異なるチラーシステム内にコンポーネントを収容できるように、まったく異なる筐体が製造される場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示される特定の実施形態の概要が、以下に記載されている。これらの態様は、これらの特定の実施形態の簡潔な概要を読者に提供するために提示されているだけであり、これらの態様は、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことに留意されたい。実際、本開示は、以下に記載されない可能性のある様々な態様を包含し得る。
【0005】
一実施形態では、暖房、換気、および/または空調(HVAC)システムは、HVACシステムのコンプレッサモータの作動を駆動するように構成された主駆動系可変速駆動部(VSD)を有する第1の電気筐体、および配電コンポーネントを有する第2の電気筐体を含む。配電コンポーネントは、電源から電力を受電し、主駆動系VSDに電力を供給するように構成される。
【0006】
一実施形態では、暖房、換気、および/または空調(HVAC)システムは、前記システムの中に配置され、前記HVACシステムのコンプレッサモータを作動させるように構成された主駆動系可変速駆動部(VSD)を有する第1の電気筐体を含む。前記第1の電気筐体は、前記HVACシステムの異なる構成を実装するために構成される。前記HVACシステムはさらに、電力を受電し、前記電力を前記主駆動系VSDに供給して、前記主駆動系VSDの作動を可能にするように構成された配電コンポーネントを有する第2の電気筐体を含む。前記第2の電気筐体は、複数の第2の筐体の実施形態から選択される。
【0007】
一実施形態では、暖房、換気、および/または空調(HVAC)システムは、前記HVACシステムのコンプレッサモータの作動を駆動するように構成された主駆動系可変速駆動部(VSD)を囲うように構成される第1の電気筐体、電力を受電し、前記主駆動系VSDに前記電力を供給して前記コンプレッサモータを作動させるように構成された配電コンポーネントを囲うように構成される第2の電気筐体、および、前記電力が前記主駆動系VSDに供給される前に、前記電力をフィルタリングし、前記電力の高調波を軽減するように構成されたフィルタを囲うように構成される第3の電気筐体を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の様々な態様は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照することによってより良く理解され得る。
【0009】
【
図1】本開示の一態様による、商業的環境において暖房、換気、および/または空調(HVAC)システムを利用し得る建物の一実施形態の斜視図である。
【
図2】本開示の一態様による、蒸気圧縮システムの一実施形態の模式図である。
【
図3】本開示の一態様による、複数の電気筐体を有する電気筐体アセンブリを有するHVACシステムの一実施形態の模式図である。
【
図4】本開示の一態様による、複数の電気筐体を有する電気筐体アセンブリを有するHVACシステムの一実施形態の正面図である。
【
図5】本開示の一態様による、複数の電気筐体を有する電気筐体アセンブリを有するHVACシステムの一実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1つ以上の具体的な実施形態が、以下に記載される。これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実装例のすべての特徴が、本明細書に記載されているわけではない。任意のそのような実際の実装例の開発においては、あらゆる任意の工学または設計プロジェクトと同様に、開発者固有の目標を達成するためには、システム関連および業界関連の制約への準拠など、実装例ごとに異なる可能性がある多くの実装例固有の決定を行う必要があることに留意されたい。更に、そのような開発努力は、複雑かつ時間がかかるものであり得るが、それにもかかわらず、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては、設計、製作、および製造の決まりきった仕事であることに留意されたい。
【0011】
本開示の様々な実施形態の要素を導入するとき、冠詞「a」、「an」、および「the」は、要素のうちの1つ以上が存在することを意味することが意図される。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、包括的であることが意図され、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。さらに、本開示の「一実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」への言及は、列挙された特徴を同様に内蔵する追加の実施形態の存在を排除するものとして解釈されることを意図するものではないことに留意されたい。
【0012】
本開示の実施形態は、チラーシステムなどの暖房、換気、および/または空調(HVAC)システムに関連する。HVACシステムは、調整流体を加熱および/または冷却するために、冷媒が導かれる蒸気圧縮システムを含み得る。一例として、蒸気圧縮システムは、冷媒を加圧し、加圧された冷媒を冷却するように構成されたコンデンサに導くように構成されたコンプレッサを含み得る。蒸気圧縮システムのエバポレータは、冷却された冷媒を受け取り得ると共に、冷却された冷媒を調整流体と熱交換関係に置き得ることで、調整流体から熱エネルギーまたは熱を吸収し、それによって調整流体を冷却し得る。HVACシステムはさらに、蒸気圧縮システムの電気コンポーネントなどの様々なコンポーネントを収納し得、それらのコンポーネントを周囲環境から遮蔽するための電気筐体を含み得る。本明細書で用いられる場合、電気筐体は、周囲環境との熱の量的伝達などができる特定のタイプまたはクラスの材料から製造され、特定の耐湿性定格を有する物理的な収納など、電気コンポーネントを囲うのに適した(例えば、構成された、設計された)物理的な収納を指す。例えば、電気コンポーネントを収納する電気筐体は、電源からパワー(例えば、電力)を受電し、そのパワーを利用してモータの作動を制御し、コンプレッサを作動させ、調整流体を冷却するコンポーネントを含み得る。電気筐体内に配置される追加の電気コンポーネントは、配電コンポーネント、制御パネル、冷却システムなどを含み得る。
【0013】
異なるHVACシステムは、それぞれの電気筐体内に配置され得る異なるコンポーネントを含み得る。例えば、各HVACシステムは、コンプレッサモータなどの、HVACシステムのサブシステムに供給する電力を変換するために、異なるまたは特定のコンポーネントのセットを含み得る。実際、そのようなコンポーネントは、異なるサイズ、構成、レイアウト、連結などを有する場合があり、それ故に、異なるサイズの空間および/または設置面積を占有し得る。そのため、各HVACシステムのそれぞれの電気筐体は、HVACシステムの特定のコンポーネントを収納するために、特別に形成、配置、または他の方法で製造され得る。例として、電気筐体は、コンポーネントの量、サイズ、および/またはタイプに基づいて、コンポーネントを電気筐体内で互いに対して具体的に配置できるように製造され得るので、それによって、各HVACシステムの製造の複雑さが増大する。
【0014】
結果として、現在、異なるHVACシステム用の電気筐体の製造を改善する必要があることが認識されている。したがって、本開示の実施形態は複数の電気筐体を有するHVACシステムを対象としており、各電気筐体は、異なるコンポーネントのセットを収納し得る。例えば、各HVACシステムは、一組の一般的なコンポーネント、または他のHVACシステムの実施形態で一般的に用いられ得るコンポーネントを含み得る、および主電気筐体は、そのような一般的なコンポーネントを収納するために製造または組み立てられ得る。換言すれば、主電気筐体の同一または実質的に同一の実施形態が、異なるHVACシステムの実施形態に用いられ得る。
【0015】
さらに、分離した、追加の電気筐体は、他のHVACシステムには一般的には用いられない可能性のあるコンポーネント(任意のコンポーネント、用途固有のコンポーネントなど)を収納するために、製造または組み立てられ得る。すなわち、追加の電気筐体は、追加の電気筐体が実装されるHVACシステムに固有であるコンポーネントに基づいて、形成するか、または他の方法で製造され得る。そのため、単一の電気筐体全体が他のHVACシステムの実施形態における電気筐体とは異なる可能性がある、一般的なコンポーネントと特定のコンポーネントの両方を収納する単一の(例えば、より大きい)電気筐体を用いる代わりに、HVACシステムの異なる実施形態では、それぞれ、一般的なコンポーネントを収納するための一般的な主電気筐体(例えば、標準サイズを有する主電気筐体)を含むことができ、さらに、または任意に、特定のHVACシステムに実装される特定のコンポーネントを収納するための追加の電気筐体を含み得る。換言すれば、追加の電気筐体は、HVACシステムごとに(例えば、HVACシステムに実装される追加のまたは特定のコンポーネントに基づいて)個別に選択することができ、一般的な主電気筐体は、さまざまなHVACシステムで利用し得る。実際、一般的なコンポーネントまたは標準コンポーネントを収納するための一般的な主電気筐体は、HVACシステムで従来から用いられている(例えば、一般的なコンポーネントと特定のコンポーネントの両方を収納するための)電気筐体よりも小さい可能性があるとともに、大量に製造されている可能性があり、オプションのコンポーネントまたは、非標準コンポーネントを収納するための追加の電気筐体は、それが利用される特定のコンポーネントおよび/またはHVACシステムの実施形態に合わせて調整し得る。このようにして、製造コストを削減することができ、さまざまなHVACシステムの実施形態の構成可能性を改善し得る。
【0016】
ここで図面に目を向けると、
図1は、暖房、換気、および空調(HVAC)システムへの適用の一実施形態の斜視図である。このようなシステムは、一般に、HVAC分野内およびその分野外の両方において、さまざまな環境で適用し得る。HVACシステムは、蒸気圧縮冷凍、吸収冷凍、または熱電冷却を通して、データセンター、電気装置、フリーザー、クーラー、または他の環境に冷却を供給し得る。しかしながら、現在熟慮される用途の中で、HVACシステムは、住宅、商業、軽工業、産業に用いられる場合があり、また住宅、建物、構造物などの容積または筐体を加熱または冷却するために、その他の用途に用いられる場合がある。さらに、HVACシステムは、産業用途で、必要に応じて、さまざまな流体の基本的な冷却および加熱に用いられる場合がある。
【0017】
図示された実施形態は、熱交換器を利用し得る環境管理のためのHVACシステムを示している。建物10は、チラー12およびボイラー14を含むシステムによって冷却される。図に示すように、チラー12は建物10の屋根に配置され、ボイラー14は地階に配置される;しかしながら、チラー12およびボイラー14は、建物10に隣接する他の設備室または領域に配置される場合がある。チラー12は、水または他の調整流体を冷却するための冷凍サイクルを実行する空冷または水冷装置であり得る。チラー12は、冷却回路、フリークーリングシステム、および、ポンプ、弁、および配管などの関連機材を含む構造内に収納される。例えば、チラー12は、フリークーリングシステムを組み込んだ単一パッケージの屋上ユニットであり得る。ボイラー14は、水が加熱される密閉容器である。チラー12およびボイラー14からの水は、導水管16によって建物10を通って循環される。導水管16は、建物10の個々の階および区画内に配置された空調機18に配管される。
【0018】
空調機18は、空調機18の間で空気を分配するように適応する、および外部吸気口(図示なし)から空気を受け得る、ダクト20に連結される。空調機18は、チラー12からの冷水およびボイラー14からの温水を循環させて、建物10内の調整される空間に加熱または冷却された空気を供給する熱交換器を含む。空調機18内のファンは、熱交換器を通して空気を引き込み、部屋、アパート、またはオフィスなどの建物10内の環境に調整された空気を導き、環境を指定された温度に維持する。ここではサーモスタットを含むとして図に示された制御装置22は、調節された空気の温度を指定することに用いられ得る。制御装置22はさらに、空調機18から、および空調機18を通過する空気の流れを制御するために用いられ得る。水の流れおよび圧力を調節する制御弁、および/または水や空気などの温度および圧力を感知する温度変換器またはスイッチなどの、他の装置がシステムに含まれ得る。さらに、制御装置22は、他の建物の制御または監視システムと統合されているか、またはそれらから分離されたコンピュータシステム、さらには建物10から遠く離れたシステムを含み得る。
【0019】
図2は、フラッシュタンク32(例えばエコノマイザタンク)を有する蒸気圧縮システム30の一実施形態の模式図である。例えば、蒸気圧縮システム30は、空冷チラーの一部である場合がある。しかしながら、開示された技術は、様々な他のタイプのチラーに組み込まれ得ることに留意されたい。蒸気圧縮システム30は、冷媒などの作動流体を冷媒回路34に沿って配置されたコンプレッサ36(例えば、スクリューコンプレッサ)を循環させるように構成された冷媒回路34を含む。冷媒回路34はさらに、フラッシュタンク32、コンデンサ38、膨張弁または膨張装置40、および液体チラーまたはエバポレータ42を含む。冷媒回路34のコンポーネントは、建物10の内部などの環境に冷却を供給するために、作動流体と他の流体(例えば、調整流体、空気、水など)との間の熱伝達を可能にする。
【0020】
蒸気圧縮システム30内で冷媒として用いられ得る作動流体のいくつかの例は、R-410A、R-407、R-134aなどのハイドロフルオロカーボン(HFC)系冷媒、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、アンモニア(NH3)、R-717、二酸化炭素(CO2)、R-744、または炭化水素ベースの冷媒、水蒸気、地球温暖化係数(GWP)の低い冷媒などの「天然」冷媒、またはその他の適切な冷媒などの冷媒である。いくつかの実施形態では、蒸気圧縮システム30は、R-134aなどの中圧冷媒に対して、低圧冷媒とも称される、1大気圧で摂氏約19度(華氏66度またはそれ以下)の標準沸点を有する、冷媒を効率的に利用するように構成され得る。本明細書で使用される場合、「標準沸点」は、1大気圧で測定される沸点温度を指し得る。
【0021】
蒸気圧縮システム30は、アナログ-デジタル(A/D)コンバータ46、マイクロプロセッサ48、不揮発性メモリ50、および/またはインターフェースボード52を有する制御パネル44(例えばコントローラ)をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、蒸気圧縮システム30は、1つ以上の可変速駆動部(VSD)54およびモータ56を用い得る。モータ56は、コンプレッサ36を駆動し得、VSD54によって電力を供給され得る。VSD54は、特定の固定回線電圧および固定回線周波数を有する交流(AC)電力をAC電源から受電し、可変電圧および可変周波数を有する電力をモータ56に供給する。他の実施形態では、モータ56は、AC電源または直流(DC)電源から直接電力を供給され得る。モータ56は、VSD54によって電力供給され得るか、または、スイッチドリラクタンスモータ、誘導モータ、電子整流永久磁石モータ、または別の適切なモータなど、ACまたはDC電源から直接、電力供給され得る任意のタイプの電気モータを含み得る。
【0022】
コンプレッサ36は、冷媒蒸気を圧縮し、冷媒蒸気からオイルを分離するオイルセパレータ58に蒸気を送達し得る。冷媒蒸気は次に、コンデンサ38に導かれ、オイルはコンプレッサ36に戻される。コンデンサ38に送達された冷媒蒸気は、コンデンサ38で冷却流体に熱を伝達し得る。例えば、冷却流体は、コンデンサファン62によってコンデンサ38の熱交換器コイルを横切って強制される外気60であり得る。冷媒蒸気は、冷却流体(例えば、外気60)との熱伝達の結果として、コンデンサ38内で冷媒液体に凝縮し得る。
【0023】
液体冷媒はコンデンサ38を出て、次に第1の膨張装置64(例えば、膨張装置40、電子膨張弁など)を通って流れる。第1の膨張装置64は、フラッシュタンク32への液体冷媒の流れを制御するように構成されたフラッシュタンク供給弁であり得る。第1の膨張装置64はさらに、コンデンサ38から受け取った液体冷媒の圧力を下げる(例えば、膨張させる)ように構成される。膨張プロセス中、液体の一部が気化し得る、そしてそれ故にフラッシュタンク32を用いて、第1の膨張装置64から受け取った液体から蒸気を分離し得る。さらに、フラッシュタンク32は、液体冷媒がフラッシュタンク32に入るときに経る(例えば、フラッシュタンク32に入るときに経る体積の急激な増加による)圧力降下のために、液体冷媒のさらなる膨張をもたらし得る。
【0024】
フラッシュタンク32内の蒸気は、流出してコンプレッサ36に流れ得る。例えば、蒸気は、コンプレッサ36の中間段階または排出段階(例えば、吸引段階ではない)に引き込まれ得る。弁66(例えば、エコノマイザ弁、ソレノイド弁など)は、フラッシュタンク32からコンプレッサ36への蒸気冷媒の流れを制御するために、冷媒回路34内に含められ得る。いくつかの実施形態では、弁66が開いている(例えば、完全に開いている)時、フラッシュタンク32内の追加の液体冷媒が蒸発し、フラッシュタンク32内の液体冷媒の追加の過冷却をもたらし得る。フラッシュタンク32内に集まる液体冷媒は、第1の膨張装置64および/またはフラッシュタンク32内での膨張のために、コンデンサ38を出る液体冷媒よりも低いエンタルピーであり得る。液体冷媒は、フラッシュタンク32から第2の膨張装置68(例えば、膨張装置40、オリフィスなど)を通ってエバポレータ42に流れ得る。いくつかの実施形態では、冷媒回路34はさらに、フラッシュタンク32からエバポレータ42への液体冷媒の流れを調節するように構成された弁70(例えば、ドレン弁)を含み得る。例えば、弁70は、冷媒の吸引過熱量に基づいて(例えば、制御パネル44を通じて)制御され得る。
【0025】
エバポレータ42に送達された液体冷媒は、調整流体から熱を吸収することができ、その調整流体は、コンデンサ38で用いられる冷却流体と同一の冷却流体である場合、または同一ではない場合がある。エバポレータ42内の液体冷媒は、相変化を受けて蒸気冷媒になり得る。例えば、エバポレータ42は、冷却負荷に接続された供給ライン72および戻りライン74に流体的に連結した管束を含み得る。エバポレータ42の調整流体(例えば、水、オイル、塩化カルシウムブライン、塩化ナトリウムブライン、または任意の他の適切な流体)は、戻りライン74を通じてエバポレータ42に入り、供給ライン72を通じてエバポレータ42を出る。エバポレータ42は、調整流体が利用されて、調整される環境に冷却をもたらされ得るように、冷媒との熱伝達を通じて管束内の調整流体の温度を下げ得る。エバポレータ42内の管束は、複数の管および/または複数の管束を含み得る。いずれにせよ、冷媒蒸気はエバポレータ42を出て、吸入ラインによってコンプレッサ36に戻り、冷媒サイクルを完了する。
【0026】
状況によっては、HVACシステムは、さまざまな電気コンポーネントを収納し、そのようなコンポーネントが周囲環境にさらされるのを防ぐように構成された1つ以上の電気筐体を有し得る。例えば、HVACシステムは、他のHVACシステム(例えば、HVACシステムの異なる実施形態)で用いられる他の電気コンポーネントと類似の特定の電気コンポーネントを収納するように構成された主電気筐体を含み得る。それ故に、主電気筐体の同一実施形態は、そのようなコンポーネントを異なるHVACシステムに収納するために用い得る。HVACシステムはさらに、他のHVACシステムで用いられるコンポーネントとは異なる追加の電気コンポーネントを収納するように構成された追加の(例えば、二次の)電気筐体を含み得る。すなわち、追加の電気筐体は、追加の電気筐体が実装されるHVACシステムに固有のコンポーネントを収納し得、その結果として、追加の電気筐体は特定の実施形態であり得る。このように、異なるコンポーネントを有する(例えば、類似コンポーネントのセットと異なるコンポーネントの別のセットを有する)HVACシステムの場合、主電気筐体の同一実施形態および追加の電気筐体の異なる実施形態とを用い得る。
【0027】
この点を考慮して、
図3は、HVACシステム151(例えば、チラーシステム)に実装され得る電気筐体アセンブリ150の一実施形態の模式図である。例えば、HVACシステム151は、主収納または支持構造148を含み得、主収納または支持構造148は、蒸気圧縮システム30の複数のコンポーネントを囲う、または支持するように構成され得る。例えば、主収納148は、コンプレッサ36、コンデンサ38、エバポレータ42、モータ56などを囲うおよび/または支持し得る。主収納148はさらに、電気筐体アセンブリ150などの複数の筐体を囲うまたは支持し得る。例えば、電気筐体アセンブリ150は、主収納148に取り付けまたは固定され得たり、主収納148によって囲われ得たり、または他の方法で主収納148に関連され得る。
【0028】
図に示されたHVACシステム151は、電気筐体アセンブリ150が蒸気圧縮システム30の様々なコンポーネントを収納する空冷チラーシステムであり得るとはいえ、電気筐体アセンブリ150は、HVACシステム151の任意の適切なコンポーネントを収納するために、液冷チラーシステム、直接膨張HVACシステムなどの任意の適切なHVACシステム151の中に実装され得る。電気筐体アセンブリ150は、主収納148内に配置および/または支持された主駆動系筐体152(例えば、一電気筐体、第1の電気筐体)を含み得、および主駆動系VSD154(例えば、VSD52)は、電気筐体アセンブリ150内に配置され得る。HVACシステム151(例えば、蒸気圧縮システム30)の作動中、主駆動系VSD154は、コンプレッサ36を駆動させて、蒸気圧縮システム30の冷媒を加圧するために、モータ56を作動させるように構成され得る。例えば、主駆動系VSD154の作動は、モータ56に、特定の作動パラメータ(例えば、容量、周波数)に従ってコンプレッサ36を作動させ得る。図に示された実施形態では、コンプレッサ36およびモータ56は、主収納148の内部にあり、主駆動系筐体152の外部にある。実際、蒸気圧縮システム30の特定のコンポーネントは、(例えば、主駆動系筐体152の外側で冷媒を循環させるために)主駆動系筐体152の外側に配置され得、および(例えば、コンプレッサ36およびモータ56を破片などの外部要素から遮蔽するために)主収納148によって囲い得る。例えば、電気コネクタ155(例えば、ワイヤ、ケーブル)は、モータ56と主駆動系VSD154とを相互に電気的および/または通信可能に連結するために、主駆動系筐体152の外部153および内部157の間(例えば、主収納148内)に引き伸ばし得る。
【0029】
主駆動系筐体152はさらに、主駆動系VSD154を冷却するように構成された冷却システム156を含み得、それによって主駆動系VSD154を過熱から防ぎ得る、および主駆動系VSD154の作動を改善し得る。この目的のために、冷却システム156は、主駆動系VSD154を冷却させるように、主駆動系VSD154から熱を吸収する冷却流体と熱交換関係の中に主駆動系VSD154を配置し得る。例えば、冷却システム156は、主駆動系VSD154を横切って空気(例えば、外気)を吸入または吐出させて、対流によって主駆動系VSD154を冷却するように、構成されたファンを含み得る。追加的または代替的に、冷却システム156は、冷却された液体(例えば、水、グリコール)を回路または他の導水管を通して導き、主駆動系VSD154から熱を吸収および主駆動系VSD154を冷却し得る。
【0030】
それ以上にさらに、制御パネル44は、主駆動系筐体152内に含み得るか、連結し得るか、または他の方法で関連し得る。制御パネル44は、HVACシステム151のコンポーネント(例えば、主駆動系VSD154)に通信可能に連結され得る、および制御パネル44は、コンポーネントに制御信号を出力して、コンポーネントを作動させるように構成され得る。例えば、制御パネル44は、ユーザ(例えば、オペレータ、技術者、居住者)によってアクセス可能であり得る、およびユーザは、制御パネル44のインターフェースボード52を操作して、ユーザ入力を送信し得、制御パネル44は、ユーザ入力に基づいてHVACシステム151の様々なコンポーネントを作動させるための制御信号を送信し得る。それ故に、インターフェースボード52は、ユーザが対話し得る機能(例えば、タッチスクリーン、ボタン、スイッチ、ダイヤル、トラックパッド)を含み得る、および制御パネル44は、ユーザが制御パネル44にアクセスできるように配置され得る。例えば、制御パネル44は、主駆動系筐体152の外部パネルに連結され得る、主駆動系筐体152は、インターフェースボード52をユーザが触れられるように、移動し得る構成の可動コンポーネント(例えば、ドア、カバー、アクセスパネル)を有し得る、および/または、制御パネル44および/もしくは主駆動系筐体152は、制御パネル44へのユーザアクセスを容易にするために別の適切な方法で配置され得る。
【0031】
特定の実施形態では、主駆動系VSD154および/または冷却システム156の同一もしくは実質的に同一の実施形態は、類似のサイズのHVACシステム151、類似の仕様またはタイプのコンポーネント(例えば、コンプレッサ36)を用いるHVACシステム151、類似の用途のために設置されたHVACシステム151などの、類似のHVACシステム151に用い得る。実際、類似のHVACシステム151のそれぞれの主駆動系VSD154および/または冷却システム156は、実質的に同一タイプ(例えば、同じ仕様を有する)であり得る、実質的に同じ空間容積または設置面積を占め得る、配置し得る、または実質的に同じ配置で(例えば、互いに関連する)設置、もしくは向かせ得る、および/または他の類似性または一般的属性を持たせ得る。そのため、主駆動系筐体152は、主駆動系筐体152の同一の実施形態が、互いに特定の類似の特性または属性を有しつつ、けれども、異なる任意の電気設備などの、互いに比較して異なるものを有する、HVACシステム151に実装し得るという点で、一般、標準、または普遍的な実施形態であり得る。異なるHVACシステム151で利用し得る主駆動系筐体152の単一の実施形態(例えば、大量)の製造は、異なるHVACシステム151の製造に関連するコストおよび/または複雑さを低減する。
【0032】
HVACシステム151はさらに、主収納148内に配置および/または主収納148によって支持され、主駆動系VSD154の作動を可能にするために主駆動系VSD154に電力を供給する様々なコンポーネントを収納するように構成された、配電筐体158(例えば、一電気筐体、第2の電気筐体)を含み得る。図に示された実施形態では、配電筐体158は、電力網、バッテリ、ソーラーパネル、発電機、ガスエンジン、電力を提供する別の適切な電源、またはそれらの任意の組み合わせなどの、電源162から電力を受電するように構成された電気回路160(例えば、配線、回路など)などの配電コンポーネントを含む。図に示された配電筐体158は、電源162を含まないか、または囲わないが、追加のまたは代替の配電筐体158は、電源162の少なくとも一部を収納し得る。電気回路160は、電源162を主駆動系VSD154および/または冷却システム156に電気的に連結し得る。いくつかの実施形態では、電気回路160および主駆動系VSD154との電気的な連結を可能にするために、主駆動系筐体152は配電筐体158に物理的に連結され得る。例えば、チャネルまたは導水管を有し得る第1のコネクタ161は、主駆動系筐体152と配電筐体158とを互いに物理的に連結し得、および電気コネクタ163は、電気回路160を通じて主駆動系VSD154を電源162に電気的に連結するために、チャネルまたは導水管を通して引き伸ばし得る。
【0033】
配電筐体158は、主駆動系VSD154への電力の供給を容易にするように構成された追加のコンポーネントをさらに収納し得る。そのような追加のコンポーネントは、電源162から受電した電力を、主駆動系VSD154および/または冷却システム156によって使用可能な形態に調整する、および/または変更するように構成された電力変換コンポーネント164(例えばA/Dコンバータ46)を含み得る。例えば、電力変換コンポーネント164は、整流器、インバータ、変圧器、電圧レギュレータ、チョッパ、コンバータ、別の適切なコンポーネント、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。実際、電力変換コンポーネント164は、電源162から受電した電力の電圧タイプ(例えば、AC電力とDC電力との間)、電圧値、電流タイプ、電流値、波形、位相などを調整して、主駆動系VSD154および/または冷却システム156に適切なレベルの電力を供給し得る。
【0034】
配電筐体158はさらに、データを送信および/または受信するために用いられ得る入力/出力(I/O)ポート165を含み得る。例えば、コンピューティングデバイス(例えば、携帯電話、タブレット、コンピュータ)は、HVACシステム151のコンポーネントの1つに通信可能に連結して、例えばユーザ入力に基づく(例えば、HVACシステム151のコンポーネントの作動を制御する)データを送信し得る。配電筐体158は、主駆動系VSD154に供給される電力を遮断するように構成されたスイッチ166をさらに含み得る。例えば、スイッチ166は、手動スイッチ(例えば、ユーザ入力および/または物理的な配置を通じて操作可能)、ヒューズ、サーキットブレーカ、別の適切なコンポーネント、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。スイッチ166は、主駆動系VSD154から電源162を電気的に分断することによって、主駆動系VSD154への電力供給を遮断し得る。一つの例として、主駆動系VSD154および/またはHVACシステム151の作動を一時停止または終了する要求であり得る(例えば、I/Oポート165を通じて連結されたコンピューティングデバイスを通じて送信された)ユーザ入力に基づいて、スイッチ166は、主駆動系VSD154への電力供給を一時的に遮断し得る。もう一つの例として、スイッチ166は、電源162から受電した電流の急激な増加などの電力サージに応答して、主駆動系VSD154への電力供給を(例えば、ユーザ入力なしで)自動的に遮断し得る、それによって、電源サージから主駆動系VSD154を保護し得る。
【0035】
電気回路160、電力変換コンポーネント164、I/Oデバイス165、および/またはスイッチ166の特定の組み合わせは、電源162、主駆動系VSD154、コンプレッサ36、HVACシステム151のための入力供給電圧仕様、別の要因、またはそれらの任意の組み合わせに基づいて採用され得る。例えば、電気回路160、電力変換コンポーネント164、I/Oデバイス165、および/またはスイッチ166の異なる実施形態は、HVACシステム151の様々なパラメータおよび/または特性に応じて利用され得る。そのようなコンポーネントの異なる組み合わせおよび/または配置は、配電筐体158の異なる実施形態が利用され得る、異なる設置面積および/または構成を有し得る。この目的のために、配電筐体158の異なる実施形態は、HVACシステム151を作動するために配電筐体158内に含まれるコンポーネントのタイプ、数、配置など、および/または主収納148のサイズまたは構成に基づいて、特定のHVACシステム151内に実装するために製造および選択され得る。
【0036】
しかしながら、いくつかの実施形態では、第1のHVACシステム151のための第1の配電筐体158は、第2のHVACシステム151のための第2の配電筐体158と類似のコンポーネントの実施形態を含み得る。例えば、第1および第2のHVACシステム151は、同じタイプ、仕様、または構成のそれぞれの主駆動系VSD154を用い得る、およびそれ故に、それぞれの配電筐体158内に類似のコンポーネントを利用して、主駆動系VSD154に電力を供給し得る。結果として、配電筐体158の複数のプリセットまたは所定の実施形態は製造され得るが、プリセットの実施形態のひとつは、HVACシステム151の特定の構成(例えば、主収納148のサイズまたは構成)および/または電源162によってHVACシステム151に供給される特定の電力(例えば、特定の入力電圧を有する)に基づく複数のHVACシステム151に実装するために選択され得る。このように、配電筐体158は一般的な実施形態でもあり得る。
【0037】
追加的または代替的に、配電筐体158に含まれる特定のコンポーネントは、HVACシステム151の特定の用途、ならびに/または、配電筐体158および/もしくはHVACシステム151内に実装される特定のコンポーネントに対するユーザまたは顧客の要求に基づくなど、特定のHVACシステム151のために特別に選択され得る。すなわち、配電コンポーネントの特定のまたは独自のセットがHVACシステム151に実装され得る、および配電コンポーネントの特定のセットは、他のHVACシステム151の配電コンポーネントとは異なる場合がある。このため、配電筐体158は、配電筐体158の構成がHVACシステム151の実施形態で実装される特定の(例えば、オプションの)コンポーネントに基づいて選択され得るという点で、追加的または代替的に可変できる実施形態であり得る。実際、特定のHVACシステム151は、そのようなHVACシステム151が電源162によって供給される同じ量の電力を用い得るとしても、配電筐体158の異なる実施形態を有し得る。この目的のために、主駆動系筐体152の同一の実施形態は、配電筐体158の複数の実施形態のいずれかに連結するように構成され得る。
【0038】
図に示された電気筐体アセンブリ150は、主収納148内に配置および/または主収納148によって支持され、HVACシステム151の様々な他のコンポーネントを収納するように構成された二次筐体168(例えば、一電気筐体、第3の電気筐体)をさらに含む。そのようなコンポーネントはさらに、主駆動系VSD154の作動を容易にし得、および、例えば、追加の電気回路169(例えば、配電筐体158の電気回路160の一部または拡張)、フィルタ170(例えば、高調波フィルタ)、追加の電力変換コンポーネント172、追加の制御パネル173、別の適切なコンポーネント、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。フィルタ170は、(例えば、電気回路160および/または追加の電気回路169を通じて)配電筐体158のコンポーネントに電気的に連結され得る、および電源162によって主駆動系VSD154に供給される電力の高調波または変動(例えば、電圧変動)を緩和し得る、それによって主駆動系VSD154の作動を改善し得る。例えば、フィルタ170は、追加の電気回路169を通じて電源162から電力を受電し、その電力をフィルタリングし、そのフィルタリングされた電力を、主駆動系VSD154への供給のために、電気回路160に(例えば、電力変換コンポーネント164に)供給し得る。この目的のために、第2の筐体168は、第2のコネクタ174を通じて物理的に配電筐体158に連結され得、第2のコネクタ174は、フィルタ170および主駆動系VSD154を相互電気的に連結するために、電気回路160が、フィルタ170に電気的に連結される、チャネルまたは導管を有し得る。第2の筐体168は、図に示された電気筐体アセンブリ150内の配電筐体158に物理的に連結されているが、第2の筐体168は、追加的または代替的に、主駆動系筐体152に物理的に連結され得る、または主駆動系筐体152、配電筐体158のいずれにも物理的に連結され得ない。
【0039】
電力変換コンポーネント164に関して説明したコンポーネントのいずれかを含み得る、追加の電力変換コンポーネント172は、HVACシステム151の他のコンポーネントによる使用のために電力(例えば、電源162から受電した電力)を変換または調整するように構成される。一つの例として、追加の電力変換コンポーネント172は、制御パネル44、追加の制御パネル173、別のコンポーネント(例えば、コンデンサファン62、オイルポンプ、冷媒ポンプ、冷却流体ポンプ、調整流体ポンプ)のためのVSD、HVACシステム151の別の適切なコンポーネント、またはそれらの任意の組み合わせに対して、供給する電力を調整し得る。
【0040】
追加の制御パネル173は、HVACシステム151のコンポーネントを作動するためにユーザによってアクセス可能であり得る。例えば、追加の制御パネル173は、ユーザが制御パネル44の場所とは異なる場所からHVACシステム151の作動を制御することを可能にし得、それによってHVACシステム151を作動する際のユーザにとってのアクセス可能性および/または柔軟性が高まる。いくつかの実施形態では、追加の制御パネル173は、電力変換コンポーネント172などの第2の筐体168の別のコンポーネントを作動するために用いられ得る。追加的または代替的に、追加の制御パネル173は、主駆動系筐体152および/または配電筐体158のコンポーネントを作動するために構成され得る。例えば、制御パネル173は、主駆動系VSD154に通信可能に連結され得る、およびモータ56を作動させるように主駆動系VSDに制御信号を出力するように構成され得る。さらなる実施形態では、電気筐体アセンブリ150は、制御パネル44または追加の制御パネル173のどちらか一方を含み得、制御パネル44または追加の制御パネル173のどちらか一方を含み得ない。
【0041】
特定の実施形態では、異なるHVACシステム151は、第2の筐体168に実装されるコンポーネントの異なるセットを有し得る。実際、第2の筐体168は、HVACシステム151の特性(例えば、HVACシステム151のコンポーネントの作動パラメータ)および/またはユーザまたは顧客からの要求などに基づいて、任意の適切な量またはタイプのフィルタ170、追加の電力変換コンポーネント172、追加の制御パネル173、または他の電気コンポーネントを含み得る。したがって、第2の筐体168は可変の実施形態であり得る、および、HVACシステム151が類似のサイズ、類似の入力電圧、または別の共有特性を有し得るとしても、HVACシステム151が第2の筐体168の異なる実施形態を有し得るように、特別に製造または組み立てされ得る。実際、主駆動系筐体152および/または配電筐体158は、第2の筐体168の複数の実施形態のいずれかに連結するように構成され得る。さらに、第2の筐体168のそれぞれは、対応する第2の筐体168の特定のコンポーネントを制御するように構成された、特別に製造された追加の制御パネル173を含み得る。結果として、追加の制御パネル173は、第2の筐体168のコンポーネントを制御するために、制御パネル44をプログラミングしたり、構成したり、またはその他の方法で配置したりする必要なく、第2の筐体168のコンポーネントの制御を可能する。このようにして、追加の制御パネル173は、電気筐体アセンブリ150の製造に関連する複雑さを軽減し得る。
【0042】
さらに、主駆動系筐体152、配電筐体158、および第2の筐体168は、本明細書で説明されているものとは異なるコンポーネントを含み得る。例えば、追加のコンポーネントは、主駆動系筐体152、配電筐体158、および第2の筐体168のいずれかの中に含まれる場合がある、および/または特定の図に示されたコンポーネントは、図に示されたものとは異なる筐体の中にある場合がある、および/またはHVACシステム151によって用いられない場合がある。実際、追加または代替のHVACシステム151は、配電筐体158または第2の筐体168のうちの1つを有しない場合がある。例えば、HVACシステム151は、フィルタ170、追加の電力変換コンポーネント172、または追加の制御パネル173を有しない場合があり、および/またはそのようなコンポーネントは、その代わりに、HVACシステム151が主駆動系筐体152および1つの追加の筐体を有し得るように、電気回路160、電力変換コンポーネント164、および/またはスイッチ166と共に同一の筐体内に配置され得る。実際、HVACシステム151は、少なくとも、一般的な実施形態であり得る主駆動系筐体152、および可変の実施形態であり得る追加の筐体を有し得る。
【0043】
図4は、HVACシステム151の電気筐体アセンブリ150の一実施形態の正面図である。主駆動系筐体152は、配電筐体158に対して、第1の軸200(例えば、垂直軸)に沿ってオフセットして配置され得る。さらに、第2の筐体168(図示なし)は、主駆動系筐体152および/または配電筐体158に対して、第2の軸202(例えば、縦軸)に沿ってオフセットして配置され得る。しかしながら、追加または代替の実施形態では、主駆動系筐体152、配電筐体158、および/または第2の筐体168は、任意の適切な方法で(例えば、第3の軸204に沿って)相互にオフセットして配置され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、主駆動系筐体152は、その中に収納されたコンポーネント(例えば、主駆動系VSD154、冷却システム156)への接触および/またはアクセスを可能にするように調整可能であり得る。例えば、主駆動系筐体152は、主駆動系筐体152内に収納されたコンポーネントに触れるために、可動(例えば、回転可能、スライド可能)および/または取り外しが可能な第1のパネル206を含み得る。同様に、配電筐体158は、例えば、配電筐体158の残りの部分に対して調整可能であり得る第2のパネル208を通じてなど、配電筐体内部に収納されたコンポーネント(例えば、電気回路160、電力変換コンポーネント164、I/Oポート165、スイッチ166)へのアクセスおよび/または接触を可能にするようにさらに調整可能であり得る。このようにして、第1のパネル206および/または第2のパネル208は、例えば、HVACシステム151のメンテナンス、組み立て、設置、調整、作動などのために、主駆動系筐体152および/または配電筐体158内に収納された特定のコンポーネントへのアクセス可能性を高め得る。
【0045】
図5は、HVACシステム151の電気筐体アセンブリ150の一実施形態の側面図である。第2の筐体168は、図に示された実施形態では、第2の軸202に沿って主駆動系筐体152および配電筐体158に対してオフセットして配置されている。特定の実施形態では、第2の筐体168は、第2の筐体168内に収納されたコンポーネント(例えば、電気回路169、フィルタ170、電力変換コンポーネント172)への接触および/またはアクセスを可能にするように、調整可能にし得る第3のパネル220を含み得、それによってそのようなコンポーネントへのアクセス可能性を高め得る。
【0046】
図に示された実施形態では、配電筐体158の第1の表面222は、第2の筐体168の第2の表面224と平行、平面、または同一平面であり得る。そのため、電気筐体アセンブリ150の設置構成において、主駆動系筐体152を含む電気筐体アセンブリ150を支持するために、配電筐体158および第2の筐体168はそれぞれベース(例えば、地面)と接触した状態であり得る。しかしながら、追加または代替の実施形態では、筐体152、158、168の任意の組み合わせは、電気筐体アセンブリ150を支持し得る。さらなる実施形態では、筐体152、158、168のいずれも、壁またはパネルなどの別の表面に取り付けられ得る。例えば、筐体152、158、168のうちの1つを別の支持構造に取り付けることは、設置構成における電気筐体アセンブリ150の固定および/または安定性を高め得る。
【0047】
さらに、特定の実施形態では、筐体152、158、168を相互に取り外し可能な連結にし得る。例として、主駆動系筐体152と配電筐体158を互いに連結する第1のコネクタ161および/または配電筐体158と第2の筐体168を互いに連結する第2のコネクタ174は、容易に、または直ちに取り外し可能にし得る。そのため、第1のコネクタ161および/または第2のコネクタ174は、電気筐体アセンブリ150の組立および/または分解を容易にし得る。例えば、HVACシステム151に組み込まれた、HVACシステム151の異なる実施形態の間で変更し得るコンポーネントなど、1つ以上のコンポーネントを変更、除去、交換、または他の方法で修正することが望まれ得る。結果として、現在の筐体のひとつ(例えば、第2の筐体168)が(例えば、配電筐体158から第2の筐体168を分離することによって)取り外され得、および、筐体の異なる実施形態(例えば、第2の筐体168の異なる実施形態)が、電気筐体アセンブリ150内に含まれるコンポーネントの変更を適応させて組み込まれ得る。実際、筐体152、158、168のそれぞれは、異なる筐体(例えば、筐体152、158、168のうちの1つの、異なる実施形態)の組み込みを適応させるために、HVACシステム151から個別に取り外し可能であり得る。このように、主駆動系筐体152、配電筐体158、および第2の筐体168の間の接続は、電気筐体アセンブリ150およびHVACシステム151の変更を容易にし得る。
【0048】
主駆動系筐体152、配電筐体158、および第2の筐体168は、図に示された実施形態では、通常は長方形の断面形状を有するが、追加または代替の実施形態では、筐体152、158、168のいずれかが、楕円形の断面形状、三角形の断面形状、不規則な多角形、および/または任意の他の適切な形状などの、任意の適切な形状を有し得る。実際、筐体152、158、168のいずれか(例えば、第2の筐体168)の断面形状は、HVACシステム151に含まれる特定のコンポーネントに基づくHVACシステム151の異なる実施形態では、異なる場合がある。
【0049】
本実施形態の特定の特徴のみが本明細書の図に示されたり、説明されたりしたが、当業者には多くの修正および変更が起こり得る。それ故に、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨に含まれるそれら全ての修正および変更を包含することが意図されていることを理解すべきである。さらに、開示された実施形態の特定の要素は、互いに結びつけるか交換し得ることに留意されたい。
【0050】
本明細書で提示および請求している技術は、現在の技術分野を明らかに改善する実用的な性質の物質および具体的な例に参照および適用している、そのため、抽象的、無形的、または純粋に理論的なものではない。さらに、本明細書の最後に添付されたいずれかの請求項が、「[機能]を[実行]するための手段...」、または「[機能]を[実行]するためのステップ...」として指定された1つ以上の要素を含む場合、そのような要素は、米国特許法第112条(f)の下で解釈されることを意図している。但し、他の方法で指定された要素を含む請求項については、そのような要素が米国特許法第112条(f)の下で解釈されないことが意図している。
【国際調査報告】