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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(54)【発明の名称】光起電力供給型電気分解
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20230908BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20230908BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20230908BHJP
   C25B 1/55 20210101ALI20230908BHJP
   H02S 50/00 20140101ALI20230908BHJP
   H02S 40/36 20140101ALI20230908BHJP
   H02H 3/16 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
H02J1/00 309S
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B1/55
H02S50/00
H02S40/36
H02J1/00 304G
H02H3/16 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509383
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(85)【翻訳文提出日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2021072848
(87)【国際公開番号】W WO2022038146
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】102020121593.2
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】プッツ,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ファルク,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
4K021
5F251
5G004
5G165
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA05
4K021CA06
4K021EA07
5F251JA07
5F251KA02
5F251KA08
5G004AA04
5G004BA01
5G004DA00
5G165BB08
5G165DA01
5G165EA03
5G165EA04
5G165LA02
5G165NA10
5G165PA01
(57)【要約】
本発明は、電解装置(E)とDC/DCコンバータ(12、14)とを有する、光起電力から電気分解を行う装置(10)に関する。DC/DCコンバータは、DCバス(16)を介して電解装置(E)にDC電力を供給するように構成され、ここでDC/DCコンバータ(12、14)に接続された光起電サブ発電機(TG1、TG2、TG3)によってDC電力を生成することができ、サブ発電機(TG1、TG2、TG3)は第1の断路器(TS2、TS6)を介してDC/DCコンバータ(12、14)に接続され、第1の断路器(TS2、TS6)が、サブ発電機(TG1、TG2、TG3)の十分な絶縁が確認できた場合にのみ第1の断路器(TS2、TS6)を閉じるように絶縁監視手段(ISO1、ISO2)に結合されており、サブ発電機(TG1、TG2、TG3)は、メインストリング(HS1、HS2、HS3)を有し、第2の断路器(TS1、TS4、TS5)が、メインストリング(HS1、HS2、HS3)と第1の断路器(TS2、TS6)の間に配置され、この第2の断路器は、故障電流が予め定められた限界値を超えた場合に第2の断路器(TS1、TS4、TS5)が開くようにメインストリング(HS1、HS2、HS3)の故障電流監視手段(RCD1、RCD2、RCD3)に結合されている。また、本発明は、光起電力によるDC電力から電気分解を行う装置(10)の作動方法に関する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光発電されたDC電力から電気分解を行う装置(10)であって、
電解装置(E)と、
DCバス(16)を介して前記電解装置(E)にDC電力を供給するように構成されたDC/DCコンバータ(12、14)とを具え、DC電力は、前記DC/DCコンバータ(12、14)に接続された光起電サブ発電機(TG1、TG2、TG3)により生成可能であり、
前記サブ発電機(TG1、TG2、TG3)は、第1の断路器(TS2、TS6)を介して前記DC/DCコンバータ(12、14)に接続されており、前記第1の断路器(TS2、TS6)は、前記サブ発電機(TG1、TG2、TG3)が十分に絶縁されているかを成功裏に確認できた場合に第1の断路器(TS2、TS6)を閉じるように絶縁監視手段(ISO1、ISO2)に結合されており、
前記サブ発電機(TG1、TG2、TG3)はメインストリング(HS1、HS2、HG3)を有し、第2の断路器(TS1、TS4、TS5)が前記メインストリング(HS1、HS2、HS3)と前記第1の断路器(TS2、TS6)の間に配置されており、前記第2の断路器は、故障電流が予め定められた限界値を超えた場合に前記第2の断路器(TS1、TS4、TS5)が開くように、メインストリング(HS1、HS2、HS3)の故障電流を監視する手段(RCD1、RCD3)に結合されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記DC/DCコンバータ(12、14)は、降圧型コンバータであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記サブ発電機(TG1、TG2、TG3)の1つの極がDCバス(16)の1つの極に電気的に接続可能であり、特に前記サブ発電機(TG1、TG2、TG3)の動作中に、前記サブ発電機(TG1、TG2、TG3)の1つの極が前記DCバス(16)の極に電気的に接続される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記DC/DCコンバータ(12、14)は、前記サブ発電機(TG1、TG2、TG3)の電気的に接続される極を選択するための切換スイッチを有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記DC/DCコンバータ(12、14)は、故障電流を監視するための手段(RCD1、RCD2、RCD3)を用いて、接続される極の選択を行うように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記故障電流を監視する手段(RCD1、RCD2、RCD3)は、監視するラインに対して同軸の導体を有することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記故障電流を監視する手段(RCD1、RCD2、RCD3)は、監視するラインのための積層交番層スタックを有する、請求項1乃至5のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記メインストリング(HS1、HS2、HS3)は複数の並列ストリング(STR1、STR2、STR3、STR4、STR5、STR6)を有し、前記メインストリング(HS1、HS2、HS3)および/またはそれぞれのストリング(STR1、STR2、STR3、STR4、STR5、STR6)について障害電流の監視(RCD1、RCD2、RCD3)が行われる、請求項1乃至7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記サブ発電機(TG1、TG2、TG3)は、複数の並列のメインストリング(HS1、HS2、HS3)を具え、前記第2の断路器(TS1、TS4、TS5)は、メインストリング(HS1、HS2、HS3)と前記第1の断路器(TS2、TS6)の間にそれぞれ配置されている、請求項1乃至8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記装置が、1のサブ発電機(TG1、TG2、TG3)または複数のサブ発電機(TG1、TG2、TG3)を有するPV発電機(PV-G1、PV-G2)を具え、前記PV発電機(PV-G1、PV-G2)は前記DC/DCコンバータ(12、14)に前記第1の断路器(TS2、TS6)を介して接続され、前記第1の断路器(TS2、TS6)は、前記PV発電機(PV-G1、PV-G2)の十分な絶縁が成功裏に確認された場合にのみ前記第1の断路器(TS2、TS6)が閉じるように、絶縁監視手段(ISO1、ISO2)に結合されている、請求項1乃至9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記装置が複数のPV発電機(PV-G1、PV-G2)を具え、1のPV発電機(PV-G1、PV-G2)が1のDC/DCコンバータ(12、14)に接続され、前記DC/DCコンバータ(12、14)は前記DCバス(16)を介して前記電解装置(E)にDC電力を供給するように設計されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記メインストリング(HS1、HS2、HS3)は、500kWを超える定格電力を有する、請求項1乃至11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記DC/DCコンバータ(12、14)は、2MW以上の定格電力を有する、請求項1乃至12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
光起電DC電力から電気分解するための装置(10)の作動方法であって、前記装置は電解装置(E)と、DCバスを介して前記電解装置にDC電力を供給するDC/DCコンバータ(12、14)とを具え、このDC電力はDC/DCコンバータ(12、14)に接続された光起電サブ発電機(TG1、TG2、TG3)によって生成され、前記サブ発電機(TG1、TG2、TG3)は前記DC/DCコンバータ(12、14)にスイッチング可能に接続され、前記サブ発電機(TG1、TG2、TG3)はメインストリング(HS1、HS2、HS3)を具え、当該メインストリング(HS1、HS2、HS3)は障害電流を監視する手段(RCD1、RCD2、RCD3)を有し、前記メインストリング(HS1、HS2、HS3)は前記DC/DCコンバータ(12、14)にスイッチング可能に接続されており、前記方法が、
前記サブ発電機(TG1、TG2、TG3)が前記接続されたDC/DCコンバータ(12、14)へとスイッチオンされる前に、絶縁監視手段(ISO1、ISO2)を用いて前記サブ発電機の絶縁をチェックするステップであって、最小限の絶縁を超えている場合にのみスイッチオンが行われる、ステップと、
前記サブ発電機(TG1、TG2、TG3)がスイッチオンされた後に、前記故障電流を監視する手段(RCD1、RCD2、RCD3)によって前記メインストリング(HS1、HS2、HS3)を監視し、監視した故障電流が予め定められた限界値を超えた場合に前記メインストリング(HS1、HS2、HS3)がDC/DCコンバータ(12、14)から切り離されるステップと、を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電によるDC電力を用いて電気分解を行う装置およびその作動方法に関する。
【0002】
電解装置は、電流を利用して化学反応(すなわち物質変換)を生じさせる装置である。電気分解が発生する。水の電気分解の場合、水が水素と酸素に分解される。太陽光発電機(PV発電機)と電解装置をDC/DCコンバータで接続することが提案されている。
【0003】
「DC/DCコンバータ」とは、入力されたDC電圧を、電圧レベルの高い、低い、または反転したDC電圧に変換する電気回路をいう。この変換は、周期的に動作する電子スイッチと1以上のエネルギー貯蔵装置によって行われる。DC/DCコンバータは、自己整流型の電力コンバータであり、DCチョッパとも呼ばれる。
【0004】
太陽光発電設備(PV設備)は、多数の電気部品、特に広い面積に分散配置されたPVモジュールを含み得る。太陽電池モジュールをストリングとしてまとめたもの、すなわち直列回路を構成したものをPVストリングという。互いに並列に接続された複数のPVストリングをPVメインストリングという。互いに並列に接続された複数のPVメインストリングをPVサブ発電機という。PVシステムのPV発電機は、互いに並列に接続された1以上のPVサブ発電機を有し得る。
【0005】
500kWを超える大規模システムでは、PV発電機はGFDI(地絡検出遮断器)を介して接地されているか、PV発電機が接地されていない状態で運用されることが多い。そのため、システム設計に制約がある。特に、UL62109規格を遵守する必要がある。
【0006】
電解槽に供給する電力は、電解槽の消費電力に適合させる必要がある。電解槽の消費電力は、通常1~20MWである。供給される電力は、それに応じた設計が必要である。
【0007】
本発明の目的は、必要に応じて拡張可能な光電池(PV)から、可能な限り高い電力を電解装置に供給することである。
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有する装置と、請求項14の特徴を有する方法によって達成される。好ましい実施形態が、従属請求項に記載されている。
【0009】
太陽光発電によるDC電力から電気分解を行う装置は、電解装置とDC/DCコンバータと少なくとも1つのPVサブ発電機とを具える。電解装置は、例えば、水を水素と酸素に分解する水電解装置である。DC/DCコンバータは、DCバスを介して電解装置にDC電力を供給するように設計され、このDC電力はDC/DCコンバータに接続された光起電サブ発電機で生成することができる。サブ発電機は第1の断路器を介してDC/DCコンバータに接続されており、第1の断路器は絶縁監視手段に結合され、第1の断路器を閉じるにはサブ発電機の十分な絶縁チェックが成功する必要がある。サブ発電機はメインストリングを有し、このメインストリングと第1の断路器の間に第2の断路器が配置され、この第2の断路器はメインストリングの故障電流監視手段に結合され、故障電流が予め定められた限界値を超えた場合に第2の断路器が開放されるようになっている。
【0010】
この装置により、例えば電解液を介して電解装置にソフトアースを施し、可能な限り高いPV電力を供給することが可能となり、必要に応じて拡張することができる。電解装置は、その電解液を介して、例えば、負極または中心点で接地することができる。接地は1~100Ωのオーミック抵抗で行うことができる。いずれの場合も、少なくとも1つのPVサブ発電機がDC/DCコンバータを介して結合される。
【0011】
この装置は、PVサブ発電機によって電解装置に電力を供給するために使用することができ、PVサブ発電機の地絡は、PVサブ発電機のメインストリングの故障電流を監視することによって確実に検知し、影響を受けたPVサブ発電機を切り離すことができる。この切り離しは、第2の断路器によって実現される。DC/DCコンバータにさらなるPVサブ発電機が接続される場合、さらなる第2の断路器に関連する故障電流を監視するためのさらなる手段を有するさらなる第2の断路器を有する。この故障電流を監視するさらなる手段は、次に、さらなるPVサブ発電機に割り当てられたメインストリングの故障電流を監視する。これらの故障電流監視手段は、例えば漏電遮断器(RCD)などとして設計される。サブ発電機で地絡が発生した場合、故障電流が流れ、例えばRCDである故障電流監視手段によって検出される。その後、影響を受けたサブ発電機が、例えば2極スイッチとして設計された第2の断路器を介してスイッチが切られる。
【0012】
電解装置に並列に給電するPVサブ発電機とDC/DCコンバータの柔軟で拡張可能な組み合わせが可能になる。また、DC/DCコンバータに複数のPVサブ発電機を接続することも可能である。そして、DC/DCコンバータに接続されたPVサブ発電機がPV発電機を構成する。装置が複数のDC/DCコンバータを有する場合、PV発電機はそれぞれのDC/DCコンバータにそれぞれ接続され、DC/DCコンバータはDCバスを介して電解装置にDC電力を供給するよう構成される。PV発電機は、それぞれ1以上のPVサブ発電機を有し得る。これにより、機器の拡張性および柔軟性が向上する。
【0013】
このDC/DCコンバータに加えて、装置はさらなるDC/DCコンバータを有することができ、各DC/DCコンバータに1以上のサブ発電機を接続することができる。各サブ発電機は1以上のメインストリングを有することができ、それぞれのケースで、第2の断路器がそれぞれのメインストリングと第1の断路器の間に配置される。また、各サブ発電機と第1の断路器の間に第2の断路器を配置することも可能である。
【0014】
DC/DCコンバータの各サブ発電機は、通常時のリーク電流が十分に小さく火災の原因とならないように寸法形成されている。
【0015】
特に、負荷側で接地するDCカップリングの実装が可能である。負荷である電解装置を接地することが可能である。電解装置の中心点または極(負極または正極)を接地することが可能である。また、接地は任意の中間電位で行うことができる。直接低抵抗の接地、またはインピーダンスを介した接地が可能である。電解装置の非対称性により、運転中に接地がシフトし得る。電解装置は、複数の電解槽を直列接続して構成されている。また、任意選択で、電解液の寄生抵抗を介して間接的に接地することも可能である。
【0016】
一実施形態では、DC/DCコンバータは降圧型コンバータである。降圧型コンバータは、入力に供給されるDC電圧を電圧値の低いDC電圧に変換する。
【0017】
PV発電機は絶縁して運用される。すなわち、PV発電機には独立したアース接続がない。これが絶縁監視手段によって確認され、PV発電機の絶縁が確保された場合にのみ、第1の断路器が閉じられる。第1の断路器を介した各接続の前に、各PV発電機の絶縁抵抗が、例えば絶縁測定装置として設計された絶縁監視手段によって判定される。さらに、絶縁抵抗が最小抵抗より高い場合にのみ、第1の断路器が閉じられる。
【0018】
また、このような設置では、接地接続を介して故障電流が超えた場合に切り離すことができる接地が実現される。これにより、機器の安全性が高まる。
【0019】
一実施形態では、サブ発電機の1つの極は、DCバスの1つの極に電気的に接続され、特にサブ発電機の運転中、サブ発電機の1つの極は、サブ発電機の運転中にDCバスの極に電気的に接続される。DC/DCコンバータは、好ましくは、サブ発電機の電気的に接続される極を選択するための切換スイッチを有する。また、一実施形態では、DC/DCコンバータは、故障電流監視手段によって、接続する極の選択を行うように設計されている。
【0020】
一実施形態では、故障電流監視手段は、監視されるライン用の同軸導体を有する。これは、定格電流が大きくなって例えば250Aを超えても、監視手段、例えばRCDの磁石コア、例えばリングコアの浮遊磁界が小さい範囲でしか発生しないという利点を有する。代替実施形態では、故障電流監視手段は、監視されるライン用の積層交番層スタックを有する。
【0021】
一実施形態では、メインストリングは複数の並列ストリングを有し、メインストリングおよび/またはそれぞれのストリングの故障電流が監視される。任意選択で、サブ発電機の各ストリング、各メインストリング、または複数のメインストリングにRCDを配置することができる。各サブ発電機は複数のメインストリングで構成され、さらに各極にメインストリングヒューズとして知られるものが備えられている。
【0022】
一実施形態では、装置はサブ発電機または複数のサブ発電機を有するPV発電機を有し、このPV発電機は第1の断路器を介してDC/DCコンバータに接続されており、第1の断路器は絶縁監視手段に結合され、第1の断路器を閉じるにはPV発電機の十分な絶縁チェックが成功する必要がある。本実施形態では、装置の拡張性をさらに向上させることができる。
【0023】
好ましい実施形態では、メインストリングは500kW以上の定格電力を有し、および/または、DC/DCコンバータは2MW以上の定格電力を有する。特にピーク時8MW以上の大きくフレキシブルな合計出力の太陽光発電を実現することが可能である。これは特に、拡張、第1の断路器による絶縁検出、第2の断路器によるPVサブ発電機の個別保護によって実現される。
【0024】
各並列型PV発電機はDC/DCコンバータに接続され、その寄生リーク電流は、最悪の場合、例えば湿気や高電圧の場合でも、例えば1.66Aの一定の限度を超えないように設計されている。いくつかの実施形態では、並列型PV発電機の1つが短絡した場合、他のDC/DCコンバータの半導体スイッチを作動させることによって、他の発電機からの電流を検出し、遮断することができる。いくつかの実施形態では、サブ発電機をヒューズで保護し、影響を受けたサブ発電機で短絡が発生した場合、短絡によって影響を受けたPV発電機の部分のヒューズが飛ぶように他のDC/DCコンバータが電流を印加するようにすることができる。
【0025】
サブ発電機の第2の断路器と第1の断路器に加えて、さらにDCスイッチをPV発電機に設けることができる。これにより、安全性がさらに高まる。
【0026】
電解装置と、DCバスを介して電解装置にDC電力を供給するDC/DCコンバータとを用いて、光発電されたDC電力から電気分解を行う装置の作動方法において、そのDC電力はDC/DCコンバータに接続された光起電サブ発電機によって生成され、このサブ発電機はDC/DCコンバータに切替可能に接続されている。サブ発電機はメインストリングを含み、メインストリングには故障電流監視手段を含み、メインストリングはDC/DCコンバータに切替可能に接続されている。この方法は、
-サブ発電機が接続されたDC/DCコンバータへとスイッチオンされる前に、絶縁監視手段を用いてサブ発電機の絶縁をチェックし、最小絶縁を超える場合にのみスイッチオンするステップと、
-サブ発電機がスイッチオンされた後に、故障電流監視手段によりメインストリングを監視し、監視された故障電流が予め定められた限界値を超えた場合に、メインストリングをDC/DCコンバータから切り離すステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下に、本発明を図面を参照しながら説明する。
図1図1は、光起電力によるDC電力から電気分解を行う装置を示す。
図2図2は、光起電力によるDC電力から電気分解を行うための例示的な装置を示す。
図3図3は、光起電力によるDC電力から電気分解を行う装置の作動方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、光起電力によるDC電力から電気分解を行う装置10を示す。電解装置Eは、DCバスを介してDC/DCコンバータ12、14に接続されている。DC/DCコンバータ12、14は、それぞれ断路器TS3、TS7を介してDCバス16から切り離すことができる。DCバス16は、電解装置EにDC電力を供給するように設計され、これにより電解装置Eにおいて、例えば水を水素と酸素へ分解するなどの電気分解が電解装置Eで行われる。この電解装置は、オーミック抵抗器18を介して接地されている。
【0029】
図1には、2つのDC/DCコンバータ12、14を示す。この装置10は拡張可能であり、1つのDC/DCコンバータ12、14のみを有することも、3以上のDC/DCコンバータ12、14を有することも可能である。各DC/DCコンバータ12、14には、PV発電機PV-G1、PV-G2が接続されている。PV発電機PV-G1、PV-G2で発電した電力は、DC/DCコンバータ12、14によって変換され、DCバス16を介して電解装置Eに供給される。PV発電機PV-G1、PV-G2はそれぞれ、第1の断路器TS2、TS6によって関連するDC/DCコンバータ12、14から切り離すことが可能である。
【0030】
PV発電機PV-G1は、DC/DCコンバータ12の第1の側に接続されている。DC/DCコンバータ12の第2の側では、DCバス16が断路器TS3およびコンバータヒューズを介してDC/DCコンバータ12に接続されている。DC/DCコンバータ12は、断路器TS3によってDCバス16から切り離すことができる。PV発電機PV-G1は、第1の断路器TS2を介してDC/DCコンバータ12から切り離すことができる。第1の断路器TS2は、絶縁監視手段ISO1に接続されている。装置10を稼働させると、PV発電機PV-G1が電気的に絶縁されているかどうかを絶縁監視手段ISO1が確認する。その場合にのみ、第1の断路器TS2が閉じられ、PV発電機PV-G1がDC/DCコンバータ12に電気的に接続される。
【0031】
PV発電機PV-G1は、2つのサブ発電機TG1、TG2を含む。また、PV発電機PV-G1は、1つのサブ発電機TG1、TG2のみを有してもよいし、3以上のサブ発電機TG1、TG2を有してもよい。各サブ発電機TG1、TG2は、例えば残留電流装置の形態の故障電流監視手段RCD1、RCD2を含む。故障電流監視手段RCD1は、サブ発電機TG1の故障電流を監視し、検出された故障電流が予め定められた一定の制限値を超えた場合に、第2の断路器TS1を介して当該サブ発電機をDC/DCコンバータ12から切り離す。故障電流監視手段RCD2は、サブ発電機TG2の故障電流を監視し、検出された故障電流が予め定められた一定の制限値を超えた場合に、第2の断路器TS4を介して当該サブ発電機をDC/DCコンバータ12から切り離す。
【0032】
図示する実施例では、サブ発電機TG1はメインストリングHS1を有し、これは2つのストリングST1、ST2を有する。また、サブ発電機TG1は、複数のメインストリングHS1を有することができる。また、メインストリングHS1は、1のストリングST1、ST2のみを有してもよいし、3以上のストリングST1、ST2を有してもよい。
【0033】
図示する実施例では、サブ発電機TG2はメインストリングHS2を有し、これは2つのストリングSTR3、STR4を有する。また、サブ発電機TG2は、複数のメインストリングHS2を有することができる。また、メインストリングHS2は、1のストリングST3、ST4のみを有してもよいし、3以上のストリングSTR3、STR4を有してもよい。
【0034】
PV発電機PV-G2は、DC/DCコンバータ14の第1の側に接続されている。DC/DCコンバータ14の第2の側では、DCバス16が断路器TS7およびオーミック抵抗を介してDC/DCコンバータ14に接続されている。DC/DCコンバータ14は、断路器TS7によりDCバス16から切り離すことができる。PV発電機PV-G2は、第1の断路器TS6を介してDC/DCコンバータ14から切り離すことができる。第1の断路器TS6は、絶縁監視手段ISO2に接続されている。装置10を稼働させると、絶縁監視手段ISO2は、PV発電機PV-G2が電気的に絶縁されているか否かを確認する。確認できた場合にのみ、第1の断路器TS6が閉じられ、PV発電機PV-G2がDC/DCコンバータ14に電気的に接続される。
【0035】
PV発電機PV-G2は、1つのサブ発電機TG3を有する。また、PV発電機PV-G2は、複数のサブ発電機TG3を有してもよい。サブ発電機TG3は、例えば残留電流装置の形態の故障電流監視手段RCD3を含む。故障電流監視手段RCD3は、サブ発電機TG3の故障電流を監視し、検出された故障電流が予め定められた一定の制限値を超えた場合に、第2の断路器TS5を介して当該サブ発電機をDC/DCコンバータ14から切り離す。
【0036】
図示する実施例では、サブ発電機TG3はメインストリングHS3を有し、これは2つのストリングSTR5、STR6を有する。また、サブ発電機TG3は、複数のメインストリングHS3を有することができる。また、メインストリングHS3は、1のストリングST5、ST6のみを有してもよいし、3以上のストリングSTR5、STR6を有してもよい。
【0037】
図2に示す装置10の一実施形態では、装置10は、オーミック抵抗器18を介して接地された電解装置Eを具える。電解装置Eには、DCバス16を介してDC電力が供給される。DC電力は、2つのPV発電機PV-G1、PV-G2で発電され、DC/DCコンバータ12、14で変換されてDCバス16に供給される。
【0038】
DC/DCコンバータ12は、断路器TS3およびオーミック抵抗を介してDCバス16に接続されており、断路器TS3を介して前記DCバスから切り離すことができる。DC/DCコンバータ14は、断路器TS7およびオーミック抵抗を介してDCバス16に接続されており、断路器TS7を介して前記DCバスから切り離すことができる。
【0039】
PV発電機PV-G1は、第1の断路器TS2に接続された絶縁監視手段ISO1を有する。絶縁監視手段ISO1によりPV発電機PV-G1の絶縁が十分であることが検出された場合にのみ、第1の断路器TS2が閉じられ、PV発電機PV-G1がDC/DCコンバータ12に接続される。
【0040】
PV発電機PV-G1は、関連する第2の断路器TS1を有する故障電流監視手段RCD1によって保護されるサブ発電機TG1を有する。監視手段RCD1によって過大な故障電流が検出されると、第2の断路器TS1によってサブ発電機TG1がDC/DCコンバータ12から切り離される。サブ発電機TG1は、ストリングSTR1を有するメインストリングHS1を具える。
【0041】
PV発電機PV-G2は、第1の断路器TS6に接続された絶縁監視手段ISO2を有する。絶縁監視手段ISO2によりPV発電機PV-G2の絶縁が十分であることが検出された場合にのみ、第1の断路器TS6が閉じられ、PV発電機PV-G2がDC/DCコンバータ14に接続される。
【0042】
PV発電機PV-G2は、関連する第2の断路器TS5を有する故障電流監視手段RCD3によって保護されたサブ発電機TG3を有する。監視手段RCD3によって過大な故障電流が検出されると、第2の断路器TS5によってサブ発電機TG3がDC/DCコンバータ14から切り離される。サブ発電機TG3は、ストリングSTR5を有するメインストリングHS3を具える。
【0043】
図3は、装置10の動作方法のフローチャートを模式的に示す図である。
【0044】
ステップS1は、装置10を稼働させる際に実行される。ステップS1において、絶縁監視手段ISO1、ISO2、ISO3が、割り当てられたPV発電機PV-G1、PV-G2(図1図2参照)が十分に絶縁されていることを検出すると、ステップS2で割り当てられた第1の断路器TS2、TS6(図1図2参照)が閉じられ、PV発電機PV-G1、PV-G2が関連するDC/DCコンバータ12、14(図1図2参照)に電気的に接続される。
【0045】
ステップS3は、装置10の動作中に実行される。ステップS3では、監視手段RCD1、RCD2、RCD3が、それぞれ割り当てられたサブ発電機TG1、TG2、TG3(図1図2参照)の故障電流が予め定められた閾値を超えたかどうかを監視する。超えた場合、ステップS4において、閾値を超える故障電流が検出されたサブ発電機TG1、TG2、TG3は、関連する第2の断路器TS1、TS4、TS5(図1図2参照)によって関連するDC/DCコンバータ12、14(図1図2参照)から切り離される。
【符号の説明】
【0046】
10 電解装置
12、14 DC/DCコンバータ
16 DCバス
18 オーミック抵抗
E 電解装置
PV-G1、PV-G2 PV発電機
TG1、TG2、TG3 サブ発電機
HS1、HS2、HS3 メインストリング
STR1、STR2、STR3、STR4、STR5、STR6 ストリング
TS1、TS4、TS5 第2の断路器
TS2、TS6 第1の断路器
TS3、TS7 第3の断路器
rcd1、rcd2、rcd3 監視手段
ISO1、ISO2 絶縁監視手段
S1、S2、S3、S4 方法ステップ
図1
図2
図3
【国際調査報告】