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特表2023-539567神経活性ステロイドを含有する医薬組成物及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(54)【発明の名称】神経活性ステロイドを含有する医薬組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/10 20060101AFI20230908BHJP
   A61K 31/57 20060101ALI20230908BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230908BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230908BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20230908BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20230908BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20230908BHJP
   A61P 25/32 20060101ALI20230908BHJP
   A61P 25/34 20060101ALI20230908BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230908BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230908BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230908BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
A61K9/10
A61K31/57
A61P25/00
A61P25/28
A61P25/08
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/32
A61P25/34
A61K47/34
A61K47/12
A61K47/10
A61K47/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023510481
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 US2021046347
(87)【国際公開番号】W WO2022040216
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】63/066,808
(32)【優先日】2020-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/109,847
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.PLURONIC
3.iPhone
4.iPad
5.iWatch
(71)【出願人】
【識別番号】521491174
【氏名又は名称】ブリー バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ジー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】スー,リャンホン
(72)【発明者】
【氏名】ジラルデ,ジーン-ラック
(72)【発明者】
【氏名】マ,ジ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA94
4C076BB11
4C076BB15
4C076CC01
4C076DD38D
4C076DD43Z
4C076DD67D
4C076EE23F
4C076FF04
4C076FF14
4C076FF16
4C076FF32
4C076FF61
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086GA15
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA23
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA10
4C086NA12
4C086ZA02
4C086ZA06
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZC39
(57)【要約】
本明細書には、方法並びに延長放出水性懸濁医薬組成物及びその使用が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレキサノロン並びにその薬学的に許容できる塩及び誘導体からなる群から選択される薬学的に有効な量の神経活性ステロイドを含む水性懸濁医薬組成物であって、前記神経活性ステロイドが、1回以上の注射でそれを必要とする対象に投与される場合、少なくとも約72時間の期間にわたり治療上有効な血漿濃度を提供して、神経学的病態が治療される水性懸濁医薬組成物。
【請求項2】
前記神経活性ステロイドがブレキサノロンを含む、請求項1に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項3】
30mg~1000mgのブレキサノロンを含む、請求項2に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項4】
ブレキサノロンの濃度が約30mg/mL~約500mg/mLである、請求項2に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項5】
前記ブレキサノロンが、約1μm~約5μmのDv50を有する粒径分布(PSD)を有する、請求項2に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項6】
前記ブレキサノロンが約3μmのDv50を有する粒径分布(PSD)を有する、請求項5に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項7】
前記ブレキサノロンが、約4μm~約8μmのDv90を有する粒径分布(PSD)を有する、請求項2に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項8】
前記ブレキサノロンが、約6μmのDv90を有する粒径分布(PSD)を有する、請求項7に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項9】
1種以上の薬学的に許容できる賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項10】
前記1種以上の薬学的に許容できる賦形剤が、界面活性剤、緩衝剤、又は両方を含む、請求項9に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項11】
前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、請求項10に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項12】
前記界面活性剤がポリソルベート80を含む、請求項10に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項13】
前記界面活性剤が前記組成物の約0.2%~約1.0% w/vを構成する、請求項10に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項14】
前記界面活性剤が前記組成物の約0.5%~約0.9% w/vを構成する、請求項13に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項15】
前記界面活性剤が前記組成物の約0.6%~約0.8% w/vを構成する、請求項14に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項16】
前記緩衝剤が前記組成物の約0.1%~約0.5% w/vを構成する、請求項10に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項17】
前記緩衝剤がクエン酸緩衝剤を含む、請求項10に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項18】
前記クエン酸緩衝剤がクエン酸ナトリウム二水和物及びクエン酸一水和物を含む、請求項17に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項19】
前記クエン酸ナトリウム二水和物が前記組成物の約0.15%~約0.2% w/vである、請求項18に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項20】
前記クエン酸一水和物が前記組成物の約0.010%~約0.015% w/vである、請求項18に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項21】
懸濁化剤をさらに含む、請求項1に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項22】
前記懸濁化剤がポリエチレングリコール(PEG)を含む、請求項21に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項23】
前記PEGが高分子量PEGである、請求項22に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項24】
前記高分子量PEGが、PEG 3350、PEG 4000、又はPEG 6000である、請求項23に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項25】
前記高分子量PEGがPEG 3350である、請求項24に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項26】
前記懸濁化剤が前記組成物の約0.2%~約1.0% w/vを構成する、請求項21に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項27】
前記懸濁化剤が前記組成物の約0.5%~約0.9% w/vを構成する、請求項26に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項28】
前記懸濁化剤が前記組成物の約0.6%~約0.8% w/vを構成する、請求項27に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項29】
等張化剤をさらに含む、請求項1に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項30】
前記等張化剤が、デキストロース、マンニトール、及びグリセリンからなる群から選択される、請求項29に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項31】
前記等張化剤がマンニトールである、請求項30に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項32】
前記等張化剤が前記医薬組成物の約2%~約6% w/vを構成する、請求項29に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項33】
前記等張化剤が前記医薬組成物の約3%~約4% w/vを構成する、請求項32に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項34】
前記医薬組成物がシクロデキストリンを実質的に含まない、請求項1に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項35】
スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンを実質的に含まない、請求項34に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項36】
前記医薬組成物がヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)を実質的に含まない、請求項34に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項37】
前記神経活性ステロイドが、粉末X線回折(PXRD)ディフラクトグラムの以下のピーク、7.25、8.88、11.46、14.50、14.78、17.77、18.15、18.32、18.61、及び19.99±0.1 2θ(°)の少なくとも2本を有することを特徴とするブレキサノロン結晶形(多形体A型)を含む、請求項1に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項38】
前記医薬組成物が、1回以上の注射後に、約10ng/mLブレキサノロンより高い最高血漿中濃度(Cmax)を与える、請求項2に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項39】
ブレキサノロンの前記最高血漿中濃度(Cmax)が、1回以上の注射後に約20ng/mL~約80ng/mLの範囲である、請求項38に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項40】
ブレキサノロンの前記最高血漿中濃度(Cmax)が、1回以上の注射後に約50ng/mLである、請求項39に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項41】
1回以上の注射後のブレキサノロンの前記最高血漿中濃度(Cmax)が、実質的に同じ量のブレキサノロンを含有するIV注入により投与された先発品のCmaxの90%未満である、請求項2に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項42】
前記最高血漿中濃度(Cmax)の少なくとも約50%が、1回以上の注射後に約50時間より長い期間維持される、請求項2に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項43】
前記最高血漿中濃度(Cmax)の少なくとも約40%が、1回以上の注射後に約100時間より長い期間維持される、請求項2に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項44】
前記最高血漿中濃度(Cmax)の少なくとも約30%が、1回以上の注射後に約300時間より長い期間維持される、請求項2に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項45】
前記医薬組成物が、1回以上の注射後に、実質的に同じ量のブレキサノロンを含有するIV注入により投与された先発品の平均定常状態曝露の約80%~約125%の範囲内のブレキサノロンの平均定常状態曝露(Css)を与える、請求項2に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項46】
前記医薬組成物が、1回以上の注射後に、52ng/mL~約79ng/mLの約80%~約125%の範囲内のブレキサノロンの平均定常状態曝露を与える、請求項2に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項47】
前記医薬組成物が、1回以上の注射後に、少なくとも約72時間少なくとも約50ng・時/mL/日であるブレキサノロンの平均の1日あたりのAUCを与える、請求項2に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項48】
前記組成物が、1回以上の注射後に約9時間より長いブレキサノロンの平均終末相消失半減期(T1/2)を達成する、請求項2に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項49】
前記組成物が、実質的に同じ量のブレキサノロンを含有するIV注入により投与された先発品のT1/2より長いブレキサノロンの平均終末相消失半減期(T1/2)を達成する、請求項2に記載の水性懸濁医薬組成物。
【請求項50】
それを必要とする対象に、治療上有効な投与量の請求項1~49のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項51】
それを必要とする対象における神経学的病態を治療又は予防する方法であって、前記対象に、治療上有効な投与量の請求項1~49のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項52】
それを必要とする対象における神経学的病態を治療又は予防する方法であって、前記対象に、ブレキサノロン、その薬学的に許容できる塩及び誘導体からなる群から選択される薬学的に有効な量の神経活性ステロイドを含む水性懸濁医薬組成物を投与することを含み、前記神経活性ステロイドが少なくとも約72時間の期間にわたり治療上有効な血漿濃度を与える方法。
【請求項53】
前記医薬組成物が、前記対象の投与前授乳と引き続く投与後授乳の間に前記対象に投与される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記医薬組成物が、前記投与前授乳の完了の1分から約360分後に前記対象に投与される、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記医薬組成物が、前記投与後授乳を開始する約5分から約360分前に前記対象に投与される、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記対象が、子供を出産した1日から12か月後の女性である、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
前記対象が、前記医薬組成物を投与する時点で前記神経学的病態と診断されていなかった、請求項52に記載の方法。
【請求項58】
前記対象が、前記医薬組成物を投与する前の2年以内に前記神経学的病態と診断されている、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
前記対象が、前記医薬組成物を投与する前に、妊娠中に前記神経学的病態と診断されている、請求項52に記載の方法。
【請求項60】
前記対象が、前記医薬組成物を投与する時点で前記神経学的病態の家族歴を有する、請求項52に記載の方法。
【請求項61】
前記神経学的病態が、外傷性脳損傷、アルツハイマー病、軽度認知機能障害(MCI)、てんかん、発作、不安、脆弱X振戦-失調症候群、リソソーム蓄積症(ニーマン・ピック病C型)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、産後うつ病(PPD)、大うつ病性障害(MDD)、月経前不機嫌性障害(PMDD)、持続性抑うつ障害(PDD)、双極性障害、季節性情動障害(SAD)、二次性うつ病、ポストフィナステリド症候群、アルコール渇望、及び禁煙からなる群から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項62】
前記神経学的病態が産後うつ病(PPD)である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記医薬組成物が筋肉内(IM)注射により前記対象に投与される、請求項52に記載の方法。
【請求項64】
前記対象が、最初の投与量の前記医薬組成物を投与してから2か月以内に、総ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)値の少なくとも4ポイント低下又はモンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)値の少なくとも2ポイント低下を特徴とするうつ病の減少を経験する、請求項52に記載の方法。
【請求項65】
前記対象が、最初の投与量の前記医薬組成物を投与してから2か月以内に、HAM-D又はMADRS値の少なくとも40%減少を特徴とするうつ病の減少を経験する、請求項52に記載の方法。
【請求項66】
前記対象が、最初の投与量の前記医薬組成物を投与してから2か月以内に、HAM-D又はMADRS寛解を特徴とするうつ病の減少を経験する、請求項52に記載の方法。
【請求項67】
前記対象が、最初の投与量の前記医薬組成物を投与してから2か月以内に、HAM-D重症度分類の少なくとも2区分変化を特徴とするうつ病の減少を経験する、請求項52に記載の方法。
【請求項68】
前記対象が、最初の投与量の前記医薬組成物を投与してから2か月以内に、最初の投与量の前記医薬組成物を投与してから2か月以内に、疾患重症度サブスケール(CGI-S)又は全般改善サブスケール(CGI-I)から選択される臨床全般印象度(CGI)サブスケールスコアの1つ以上における少なくとも1ポイント低下を特徴とするうつ病の減少を経験する、請求項52に記載の方法。
【請求項69】
前記対象が、最初の投与量の前記医薬組成物を投与してから2か月以内に、抑うつ症状質問票(SDQ)総スケールスコア又はSDQ-1、SDQ-2、SDQ-3、SDQ-4、及びSDQ-5のそれぞれのサブスケールのいずれかにおける少なくとも約10%、20%、又は30%改善を特徴とするうつ病の減少を経験する、請求項52に記載の方法。
【請求項70】
最初の投与量を投与した後、前記対象が、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)全般スコアの少なくとも1ポイント低下を特徴とするうつ病の減少を経験する、請求項52に記載の方法。
【請求項71】
前記投与することが
(a)最初の投与量の請求項1~49のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与すること;及び
(b)任意選択で、第2の投与量又はその後の投与量の請求項1~49のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与すること
を含み、
前記第2の投与量又はその後の投与量が、ブレキサノロンの治療上有効な血漿濃度を維持するのに必要と思われる時点で投与される、請求項52に記載の方法。
【請求項72】
ブレキサノロンの前記最初の投与量とその後の投与量が同じである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
ブレキサノロンの前記最初の投与量とその後の投与量が異なる、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
ブレキサノロンの前記最初の投与量がその後の投与量より多い、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
ブレキサノロンの前記最初の投与量がその後の投与量より少ない、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
それを必要とする対象における産後うつ病(PPD)を予防する方法であって、1)前記対象のうつ病診断データ及び妊娠データを含む前記対象のうつ病評価データを得るか又は得るようにさせること;2)前記うつ病評価データに基づいてリスク予測データを生成させること;並びに3)前記リスク予測データが前記対象におけるPPDの高いリスクを示す場合、PPDの臨床的発症の前に、ブレキサノロン、その薬学的に許容できる塩及び誘導体からなる群から選択される薬学的に有効な量の神経活性ステロイドを含む水性懸濁医薬組成物を前記対象に投与することを含み、前記神経活性ステロイドが、1回以上の注射でそれを必要とする対象に投与される場合、少なくとも約72時間の期間にわたり治療上有効な血漿濃度を提供して、神経学的病態が治療され;且つ、前記うつ病評価データが得られる時点で前記対象がPPDと診断されていない方法。
【請求項77】
前記水性懸濁医薬組成物が、請求項1~49のいずれか一項に記載の水性懸濁医薬組成物である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記うつ病診断データが、前記対象の、もしあれば過去のうつ病診断データ、もしあれば以前の妊娠によるうつ病データ、現在のうつ病診断データ、過去のベックうつ病尺度(BDI)値、現在のBDI値、過去のエジンバラ産後うつ病尺度(EPDS)値、現在のEPDS値、過去の産後うつ病予測尺度(PDPI)、現在のPDPI値、過去のSIGH-ADS29評価値、現在のSIGH-ADS29評価値、過去のDSM-IVのための構造化臨床面接(SCID)評価、現在のSCID評価、過去のうつ症状尺度(IDS)評価、現在のIDS評価、過去の簡易うつ症状尺度(QIDS)評価、現在のQIDS評価、臨床医IDS(IDS-C)、臨床医QIDS(QIDS-C)、患者自己記入IDS(IDS-SR)、患者自己記入QIDS(QIDS-SR)、又はこれらの組合せを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記うつ病評価データが、前記対象の妊娠中、妊娠の完了前10週間~0日の範囲で、妊娠の完了後0日~24週間の範囲で、又はこれらの組合せで得られるか又は得るようにされる、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記神経活性ステロイドが、前記対象の妊娠の完了後0日~24週間の範囲で前記対象に投与される、請求項76に記載の方法。
【請求項81】
神経学的病態を治療又は予防する医薬品を製造するための、請求項1~49のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項82】
前記神経学的病態が、外傷性脳損傷、アルツハイマー病、軽度認知機能障害(MCI)、てんかん、発作、不安、脆弱X振戦-失調症候群、リソソーム蓄積症(ニーマン・ピック病C型)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、産後うつ病(PPD)、大うつ病性障害(MDD)、月経前不機嫌性障害(PMDD)、持続性抑うつ障害(PDD)、双極性障害、季節性情動障害(SAD)、二次性うつ病、ポストフィナステリド症候群、アルコール渇望、及び禁煙からなる群から選択される、請求項81に記載の使用。
【請求項83】
前記神経学的病態が産後うつ病(PPD)である、請求項82に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[001] 本願は、2020年8月17日に出願された米国仮特許出願第63/066,808号及び2020年11月4日に出願された米国仮特許出願第63/109,847号の利益及び優先権を主張し、そのそれぞれを参照により全体として本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
背景
[002] 産後うつ病(PPD)などの神経学的病態は重篤な病気である。例えば、PPDの有病率は、方法論によって10~15%であると推定されており、30%に達し得る。女性のおよそ40%は、産後の期間中にうつ病の彼女らの最初のエピソードを報告することになる。妊娠中又はその後の大うつ病のために紹介された209名の女性の試験において、11.5%は妊娠中のうつ病の開始を報告し、66.5%は出産(childbirth)後6週間以内(産後早期)のうつ病の開始を報告し、22%は出産後6週間(産後後期)での発症を報告した。出産後27週間より後でのうつ病の発症を有し得る者もいる(Cox JL, et al., Br J Psychiatry. p:163:27-31, July 1993)。
【0003】
[003] 出産後のアロプレグナノロンレベルの急速な変化が、傷つきやすい女性におけるPPDの病因に寄与し得ることが一般的に考えられている。アロプレグナノロン(ALLO)は、γアミノ酪酸A型受容体(GABA)に対するGABA作用の正のアロステリック調節因子(PAM)として作用する神経活性ステロイド(NAS)である。ALLOは、GABAクロライドチャネルの開口時間を長くして、抑制性神経伝達を増進する。妊娠は、血液及び脳の両方でのALLOのレベル増加を伴う、プロゲステロンを含む女性ホルモンのレベルの大きな上昇と関連する。出産(giving birth)の直後、プロゲステロンレベル及びALLOレベルの両方は急激に低下し、この突然の低下が傷つきやすい女性におけるPPDを引き起こし得るという仮説が立てられてきた(Schiller, et al., Psychopharmacology (Berl). 231(17): 3557-3567, 2014, doi:10.1007/s00213-014-3599-x; McEvoy, et al., Curr Psychiatry Rep 20:78, 2018, https://doi.org/10.1007/s11920-018-0937-4 2018)。
【0004】
[004] ブレキサノロン静注製品(ブレキサノロンIV、ZULRESSO(商標)はアメリカ食品医薬品局により2019年に産後うつ病(PPD)の治療のために認可された。しかし、ZULRESSO(商標)は使用が不便であり、全体で約60時間(2.5日)続く連続静脈内(IV)注入により患者に投与される。ZULRESSO(商標)使用に関する著しい制限がある:注入プロトコルの複雑さ(病院内で複数回のバッグ交換を伴う60時間にわたる連続注入)、患者の不便さ(注入の間臨床監督を必要とし、長い注入の間拘束される)、並びに意識の喪失及び有害作用(AE)などの著しい安全性の問題。ZULRESSO(商標)の安全性プロファイルは、簡潔に言うと、ZULRESSO(商標)が、投与の間のモニタリングを与える医学的に監督された環境で患者に投与されるべきこと;認定された薬局及び医療環境のみがZULRESSO(商標)を調剤できること;患者が、過度の鎮静状態及び意識の喪失から生じる重篤な害のリスク並びにZULRESSO(商標)が投与されている間のモニタリングの必要性に関して教育されなければならないこと;並びに患者が登録台帳に登録されなければならないことを要求する、煩わしいリスク評価及び軽減戦略(REMS)をもたらした。
【0005】
[005] したがって、既存製品の制限を克服できる、ブレキサノロンの注射剤形などのより良好な治療選択肢のアンメットニーズがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
[006] 神経活性ステロイドを含む新規な医薬組成物及びその使用が本明細書に開示される。一態様において、薬学的に有効な量の神経活性ステロイドを含む水性懸濁医薬組成物であって、神経活性ステロイドが、1回以上の注射でそれを必要とする対象に投与される場合、少なくとも約24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、168時間、192時間、216時間、240時間、又は336時間の期間にわたって治療上有効な血漿濃度を与えて、神経学的病態が治療される水性懸濁医薬組成物が開示される。いくつかの場合において、神経活性ステロイドは、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)、アンドロスタン、アンドロスタン3α-アンドロスタンジオール、コレスタンコレステロール、プレグナン、エルタノロン、ブレキサノロン、ガナキソロン、ズラノロン、又はこれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの場合において、神経活性ステロイドは、ブレキサノロン、その薬学的に許容できる塩及び誘導体からなる群から選択される。いくつかの場合において、神経活性ステロイドはブレキサノロンを含む。いくつかの場合において、少なくとも約24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、168時間、192時間、216時間、240時間、又は336時間が、1回以上の注射の最初の投与後の時間、例えば、1回以上の注射の最初の投与後少なくとも約72時間である。いくつかの場合において、少なくとも約24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、168時間、192時間、216時間、240時間、又は336時間が、神経活性ステロイドが治療上有効な血漿濃度に達した後の時間、例えば、神経活性ステロイドが治療上有効な血漿濃度に達した後少なくとも約72時間である。
【0007】
[007] いくつかの場合において、水性懸濁医薬組成物は30mg~1000mgのブレキサノロンを含む。いくつかの場合において、ブレキサノロンの濃度は約30mg/mL~約500mg/mLである。いくつかの場合において、ブレキサノロンは、Dv50が約1μm~約5μmである粒径分布(PSD)を有する。いくつかの場合において、ブレキサノロンは、Dv50が約3μmである粒径分布(PSD)を有する。いくつかの場合において、ブレキサノロンは、Dv90が約4μm~約8μmである粒径分布(PSD)を有する。いくつかの場合において、ブレキサノロンはDv90が約6μmである粒径分布(PSD)を有する。
【0008】
[008] いくつかの場合において、水性懸濁医薬組成物は1種以上の薬学的に許容できる賦形剤をさらに含む。いくつかの場合において、1種以上の薬学的に許容できる賦形剤は、界面活性剤、緩衝剤、又は両方を含む。いくつかの場合において、界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。いくつかの場合において、界面活性剤はポリソルベート80を含む。いくつかの場合において、界面活性剤は組成物の約0.2%~約1.0% w/vを構成する。いくつかの場合において、界面活性剤は組成物の約0.5%~約0.9% w/vを構成する。いくつかの場合において、界面活性剤は組成物の約0.6%~約0.8% w/vを構成する。いくつかの場合において、緩衝剤は組成物の約0.1%~約0.5% w/vを構成する。いくつかの場合において、緩衝剤はクエン酸緩衝剤を含む。いくつかの場合において、クエン酸緩衝剤はクエン酸ナトリウム二水和物及びクエン酸一水和物を含む。いくつかの場合において、クエン酸ナトリウム二水和物は組成物の約0.15%~約0.2% w/vである。いくつかの場合において、クエン酸一水和物は組成物の約0.010%~約0.015% w/vである。いくつかの場合において、水性懸濁医薬組成物は懸濁化剤をさらに含む。いくつかの場合において、懸濁化剤はポリエチレングリコール(PEG)を含む。いくつかの場合において、PEGは高分子量PEGである。いくつかの場合において、高分子量PEGは、PEG 3350、PEG 4000、又はPEG 6000である。いくつかの場合において、高分子量PEGはPEG 3350である。いくつかの場合において、懸濁化剤は組成物の約0.2%~約1.0% w/vを構成する。いくつかの場合において、懸濁化剤は組成物の約0.5%~約0.9% w/vを構成する。いくつかの場合において、懸濁化剤は組成物の約0.6%~約0.8% w/vを構成する。いくつかの場合において、水性懸濁医薬組成物は、等張化剤(tonicity adjusting agent)をさらに含む。いくつかの場合において、等張化剤は、デキストロース、マンニトール、及びグリセリンからなる群から選択される。いくつかの場合において、等張化剤はマンニトールである。いくつかの場合において、等張化剤は医薬組成物の約2%~約6% w/vを構成する。いくつかの場合において、等張化剤は医薬組成物の約3%~約4% w/vを構成する。
【0009】
[009] いくつかの場合において、医薬組成物はシクロデキストリンを実質的に含まない。いくつかの場合において、水性懸濁医薬組成物はスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンを実質的に含まない。いくつかの場合において、医薬組成物はヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)を実質的に含まない。
【0010】
[010] いくつかの場合において、神経活性ステロイドは、粉末X線回折(PXRD)ディフラクトグラムの以下のピーク、7.25、8.88、11.46、14.50、14.78、17.77、18.15、18.32、18.61、及び19.99±0.1 2θ(°)の少なくとも2つを有することを特徴とするブレキサノロン結晶形(多形体A型)を含む。
【0011】
[011] いくつかの場合において、医薬組成物は、1回以上の注射後に約10ng/mLブレキサノロンより高い最高血漿中濃度(Cmax)を与える。いくつかの場合において、ブレキサノロンの最高血漿中濃度(Cmax)は、1回以上の注射後に約20ng/mL~約80ng/mLの範囲である。いくつかの場合において、ブレキサノロンの最高血漿中濃度(Cmax)は1回以上の注射後に約50ng/mLである。いくつかの場合において、1回以上の注射後のブレキサノロンの最高血漿中濃度(Cmax)は、実質的に同じ量のブレキサノロンを含有するIV注入により投与された先発品のCmaxの90%未満である。いくつかの場合において、最高血漿中濃度(Cmax)の少なくとも約50%が、1回以上の注射後に約50時間より長い期間維持される。いくつかの場合において、最高血漿中濃度(Cmax)の少なくとも約40%が、1回以上の注射後に約100時間より長い期間維持される。いくつかの場合において、最高血漿中濃度(Cmax)の少なくとも約30%が、1回以上の注射後に約300時間より長い期間維持される。いくつかの場合において、医薬組成物は、1回以上の注射後に、実質的に同じ量のブレキサノロンを含有するIV注入により投与された先発品の平均定常状態曝露の約80%~約125%の範囲内のブレキサノロンの平均定常状態曝露(Css)を与える。いくつかの場合において、医薬組成物は、1回以上の注射後に、52ng/mL~約79ng/mLの約80%~約125%の範囲内のブレキサノロンの平均定常状態曝露を与える。いくつかの場合において、医薬組成物は、1回以上の注射後に少なくとも約72時間、少なくとも約50ng・時/mL/日であるブレキサノロンの平均の1日あたりのAUCを与える。いくつかの場合において、組成物は、1回以上の注射後に約9時間より長いブレキサノロンの平均終末相消失半減期(T1/2)を達成する。いくつかの場合において、組成物は、実質的に同じ量のブレキサノロンを含有するIV注入により投与された先発品のT1/2より長いブレキサノロンの平均終末相消失半減期(T1/2)を達成する。
【0012】
[012] 別の態様において、それを必要とする対象に、治療上有効な投与量の本明細書に開示される医薬組成物を投与することを含む方法が開示される。別の態様において、それを必要とする対象における神経学的病態を治療又は予防する方法であって、対象に治療上有効な投与量の本明細書に開示される医薬組成物を投与することを含む方法が開示される。別の態様において、それを必要とする対象における神経学的病態を治療又は予防する方法であって、対象に薬学的に有効な量の神経活性ステロイドを含む水性懸濁医薬組成物を投与することを含み、神経活性ステロイドが少なくとも約72時間の期間にわたり治療上有効な血漿濃度を与える方法が開示される。いくつかの場合において、神経活性ステロイドは、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)、アンドロスタン、アンドロスタン3α-アンドロスタンジオール、コレスタンコレステロール、プレグナン、エルタノロン、ブレキサノロン、ガナキソロン、ズラノロン、又はこれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの場合において、神経活性ステロイドは、ブレキサノロン、その薬学的に許容できる塩及び誘導体からなる群から選択される。いくつかの場合において、神経活性ステロイドはブレキサノロンを含む。
【0013】
[013] いくつかの場合において、医薬組成物は、対象の投与前(pre-admin)授乳と引き続く投与後(post-admin)授乳の間に対象に投与される。いくつかの場合において、医薬組成物は、投与前授乳の完了の1分から約360分後に対象に投与される。いくつかの場合において、医薬組成物は、投与後授乳を開始する約5分から約360分前に対象に投与される。いくつかの場合において、対象は、子供を出産した1日から12か月後の女性である。いくつかの場合において、対象は、医薬組成物を投与する時点で神経学的病態と診断されていない。いくつかの場合において、対象は、医薬組成物を投与する前2年以内に神経学的病態と診断されている。いくつかの場合において、対象は、医薬組成物を投与する前に、妊娠中に神経学的病態と診断されている。いくつかの場合において、対象は、医薬組成物を投与する時点で神経学的病態の家族歴を有する。
【0014】
[014] いくつかの場合において、神経学的病態は、外傷性脳損傷、アルツハイマー病、軽度認知機能障害(MCI)、てんかん、発作、不安、脆弱X振戦-失調症候群、リソソーム蓄積症(ニーマン・ピック病C型)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、産後うつ病(PPD)、大うつ病性障害(MDD)、月経前不機嫌性障害(PMDD)、持続性抑うつ障害(PDD)、双極性障害、季節性情動障害(SAD)、二次性うつ病、ポストフィナステリド症候群、アルコール渇望、及び禁煙からなる群から選択される。いくつかの場合において、神経学的病態は産後うつ病(PPD)である。いくつかの場合において、医薬組成物は筋肉内(IM)注射により対象に投与される。
【0015】
[015] いくつかの場合において、対象は、最初の投与量の医薬組成物を投与してから2か月以内に、総ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)値の少なくとも4ポイント低下又はモンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)値の少なくとも2ポイント低下を特徴とするうつ病の減少を経験する。いくつかの場合において、対象は、最初の投与量の医薬組成物を投与してから2か月以内に、HAM-D又はMADRS値の少なくとも40%減少を特徴とするうつ病の減少を経験する。いくつかの場合において、対象は、最初の投与量の医薬組成物を投与してから2か月以内に、HAM-D又はMADRS寛解を特徴とするうつ病の減少を経験する。いくつかの場合において、対象は、最初の投与量の医薬組成物を投与してから2か月以内に、HAM-D重症度分類の少なくとも2区分変化を特徴とするうつ病の減少を経験する。いくつかの場合において、対象は、最初の投与量の医薬組成物を投与してから2か月以内に、最初の投与量の医薬組成物を投与してから2か月以内に、臨床全般印象度(CGI)サブスケールスコアの1つ以上における少なくとも1ポイント低下を特徴とするうつ病の減少を経験する、ここで、CGIサブスケールは、疾患重症度サブスケール(CGI-S)又は全般改善サブスケール(CGI-I)から選択される。いくつかの場合において、対象は、最初の投与量の医薬組成物を投与してから2か月以内に、抑うつ症状質問票(SDQ)総スケールスコア又はSDQ-1、SDQ-2、SDQ-3、SDQ-4、及びSDQ-5のそれぞれのサブスケールのいずれかの少なくとも約10%、20%、又は30%改善を特徴とするうつ病の減少を経験する。いくつかの場合において、最初の投与量を投与した後、対象は、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)全般スコアの少なくとも1ポイント低下を特徴とするうつ病の減少を経験する。
【0016】
[016] いくつかの場合において、投与することは、(a)最初の投与量の本明細書に開示される医薬組成物を投与すること;及び(b)任意選択で、第2の投与量又はその後の投与量の本明細書に開示される医薬組成物を投与することを含み、ここで、第2の投与量又はその後の投与量は、ブレキサノロンの治療上有効な血漿濃度を維持するのに必要であると思われる時点で投与される。
【0017】
[017] いくつかの場合において、ブレキサノロンの最初の投与量とその後の投与量は同じである。いくつかの場合において、ブレキサノロンの最初の投与量とその後の投与量は異なる。いくつかの場合において、ブレキサノロンの最初の投与量はその後の投与量より多い。いくつかの場合において、ブレキサノロンの最初の投与量はその後の投与量より少ない。
【0018】
[018] 別の態様において、1)対象のうつ病評価データを得るか又は得るようにさせること、ここで、うつ病評価データは、対象のうつ病診断データ及び妊娠データを含む;2)うつ病評価データに基づいてリスク予測データを生成させること;並びに3)リスク予測データが対象におけるPPDの高いリスクを示す場合、PPDの臨床的発症の前に、ブレキサノロン、その薬学的に許容できる塩及び誘導体からなる群から選択される薬学的に有効な量の神経活性ステロイドを含む水性懸濁医薬組成物を対象に投与することを含む方法であって、神経活性ステロイドが、1回以上の注射でそれを必要とする対象に投与される場合、治療上有効な血漿濃度を、少なくとも約24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、168時間、192時間、216時間、240時間、又は336時間の期間にわたり与えて、神経学的病態が治療され;且つ、うつ病評価データが得られる時点で、対象がPPDと診断されていない方法が本明細書に開示される。いくつかの場合において、水性懸濁医薬組成物は、本明細書に開示される水性懸濁医薬組成物である。
【0019】
[019] いくつかの場合において、うつ病診断データは、前記対象の、もしあれば過去のうつ病診断データ、もしあれば以前の妊娠によるうつ病データ、現在のうつ病診断データ、過去のベックうつ病尺度(BDI)値、現在のBDI値、過去のエジンバラ産後うつ病尺度(EPDS)値、現在のEPDS値、過去の産後うつ病予測尺度(PDPI)、現在のPDPI値、過去のSIGH-ADS29評価値、現在のSIGH-ADS29評価値、過去のDSM-IVのための構造化面接(SCID)評価、現在のSCID評価、過去のうつ症状尺度(IDS)評価、現在のIDS評価、過去の簡易うつ症状尺度(QIDS)評価、現在のQIDS評価、臨床医IDS(IDS-C)、臨床医QIDS(QIDS-C)、患者自己記入IDS(IDS-SR)、患者自己記入QIDS(QIDS-SR)、又はこれらの組合せを含む。いくつかの場合において、うつ病評価データは、対象の妊娠中、妊娠の完了前10週間~0日の範囲で、妊娠の完了後0日~24週間の範囲で、又はこれらの組合せで得られるか又は得られるようにされる。いくつかの場合において、神経活性ステロイドは、対象の妊娠の完了後0日~24週間の範囲で対象に投与される。
【0020】
[020] 別の態様において、神経学的病態を治療又は予防する医薬品を製造するための、本明細書に開示される医薬組成物の使用が本明細書に開示される。いくつかの場合において、神経学的病態は、外傷性脳損傷、アルツハイマー病、軽度認知機能障害(MCI)、てんかん、発作、不安、脆弱X振戦-失調症候群、リソソーム蓄積症(ニーマン・ピック病C型)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、産後うつ病(PPD)、大うつ病性障害(MDD)、月経前不機嫌性障害(PMDD)、持続性抑うつ障害(PDD)、双極性障害、季節性情動障害(SAD)、二次性うつ病、ポストフィナステリド症候群、アルコール渇望、及び禁煙からなる群から選択される。いくつかの場合において、神経学的病態は産後うつ病(PPD)である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図面の簡単な説明
図1A-D】[021]例示的な粒径分布の略図。図1A:医薬組成物は、1%未満など最小量の小粒子及び主に大粒子を含む。図1B:医薬組成物は、いくらかの小粒子及び主に大粒子を含む。図1C:医薬組成物は、増加する量の小粒子及び大粒子を含む。図1D:医薬組成物は、同等な量の小粒子及び大粒子を含む。D50=質量中央径(MMD)、ここで、粒子の50%が所与の直径未満であり、粒子の50%が所与の直径を超える。大の平均=大粒子の平均粒径。小の平均=小粒子の平均粒径。
図2A-E】[022]ブレキサノロンを含む医薬組成物の例。図2A:ブレキサノロン構造。図2B:小さいブレキサノロン粒径分布。図2C:大きいブレキサノロン粒径分布。図2D~2E:投与後の経時的なラット血漿ブレキサノロン濃度を示す、ラットでの薬物動態(PK)。凡例:白菱形、小粒子のブレキサノロン懸濁剤、25mg/kg;白四角形、大粒子のブレキサノロン懸濁剤、25mg/kg;塗りつぶしの四角形、IV液剤(比較用)1mg/kg;及び塗りつぶしの三角形、IM液剤(比較用)12.5mg/kg。
図3A-E】[023]ガナキソロンを含む医薬組成物の例。図3A:ガナキソロン構造。図3B:4.1μmガナキソロン粒子の分布。図3C:3.6μmガナキソロン粒子の分布。図3D-E:投与後の経時的なラット血漿濃度を示す、ラットでの薬物動態(PK)。凡例:白菱形、1μm粒子のガナキソロン懸濁剤、25mg/kg;白四角形、4μm粒子のガナキソロン懸濁剤、25mg/kg;塗りつぶしの四角形、IV液剤(比較用);及び塗りつぶしの菱形、IM液剤(比較用)。
図4A-B】[024]粉末X線回折(PXRD)ディフラクトグラムの例。図4A:位置18.15 2θの1つの主要なピークを示す事前処理(pre-processing)市販ブレキサノロン。図4B:7.25及び18.15 2θに複数のピークを示す結晶形Aブレキサノロン。
図5】[025]単回I(1.0mg/kg)投与後の雄のスプラーグドーリーラットにおける平均±SDブレキサノロン血漿濃度を示す血漿濃度-時間曲線。
図6】[026]単回IV(2.0mg/kg)投与後の雄のビーグル犬における平均±SDブレキサノロン血漿濃度を示す血漿濃度-時間曲線。
図7】[027]単回IM投与後の雄のスプラーグドーリーラットにおける平均±SDブレキサノロン血漿濃度を示す血漿濃度-時間曲線。
図8】[028]単回IM投与後のビーグル犬における平均±SDブレキサノロン血漿濃度を示す血漿濃度-時間曲線。
図9】[029]ブレキサノロンの延長放出注射用懸濁製剤の単回筋肉内注射の二重経路吸収2コンパートメント線形母集団PKモデルの概略図である。
図10】[030]雄のスプラーグドーリーラット及びビーグル犬において、異なる延長放出注射用懸濁製剤を使用するブレキサノロンの筋肉内投与のPKプロファイルにフィッティングされた母集団PKモデルを示す血漿濃度-時間曲線。
図11】[031]イヌ-様又はラット-様吸収速度プロファイルに基づいた、健康な成人対象へのER(延長放出)ブレキサノロンの単回筋肉内投与後の予測されたヒトPKプロファイルを示す血漿濃度-時間曲線。
図12】[032]第I相非盲検、単回投与量漸増(SAD)拡大試験(escalation study)の試験コホート投与スケジュールを示すスキーム。
図13】[033]ERブレキサノロン-A(IM)の300mg/mL投与量の1.0mLを投与されたコホート4対象の血漿濃度-時間曲線。
図14】[034]ERブレキサノロン-A(IM)の300mg/mL投与量の1.0mLを投与された4名のコホート4対象(2名男性、2名女性)の重ね合わせた血漿濃度-時間曲線。
図15】[035]ERブレキサノロン-Aの300mg/mL投与量の1.0mLを投与されたコホート4対象の経時的なブレキサノロン濃度を、ERブレキサノロン-Aの100mg/mL投与量の3.0mLを投与されたコホート2対象と比較する重ね合わせた血漿濃度-時間曲線。
図16】[036]ERブレキサノロン-B(IM)の300mg/mL投与量の1.0mLを投与されたコホート5対象の血漿濃度-時間曲線。
図17】[037]ERブレキサノロン-Bの100mg/mL投与量の3.0mLを投与された3名のコホート5対象の重ね合わせた血漿濃度-時間曲線。
図18】[038]ERブレキサノロン-Bの100mg/mL投与量の3.0mLを投与されたコホート5対象の経時的なブレキサノロン濃度を、ERブレキサノロン-Aの100mg/mL投与量の1.0mLを投与されたコホート3対象及びERブレキサノロン-Bの100mg/mL投与量の0.3mLを投与されたコホート1対象と比較する重ね合わせた血漿濃度-時間曲線。
図19A-B】[039]図19A:治療スケジュールの一例の代表的な図解。図19B:治療スケジュールの別な例の代表的な図解。
図20】[040]ヒト対象におけるブレキサノロンの60時間IV注入のシミュレートされた血漿濃度-時間曲線。グラフは、それぞれ3つの期で投与された2つの用量(60mg及び90mg)をモデルにする:第1期(24時間漸増期);第2期:28時間極量期;第3期:漸減期。影のついた部分は、1000名の個人のシミュレートされた集団において各時点での95%予測区間及び中央値(実線)を表す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
[041] 下記は、本開示による方法及び装置に関連した種々の概念及びその実施形態のより詳細な説明である。主題が特定の実施方式に限定されないため、上記で導入され、より詳細に以下で議論される主題の種々の態様が、多くの方法のいずれにおいても実施され得ることが認識されるべきである。具体的な実施及び応用の例は、主として説明のために与えられる。
【0023】
[042] 本明細書で使用される通り、用語「γアミノ酪酸A型受容体」、「GABA受容体」、「GABARs」、「GABAR」、「GABAARs」、「GABAAR」、又はその文法的な変形体は、単数形でも複数形でも、神経伝達物質ガンマ-アミノ酪酸(GABA)に反応する種類の受容体であるガンマ-アミノ酪酸A型受容体(GABARs)を指す。GABAは、神経細胞興奮を相殺する抑制状態を維持するために重要である大脳皮質中の主要な抑制性神経伝達物質である。GABA受容体の障害又はGABAと神経興奮の不均衡は、不安レベル、パニック、ストレス応答、発作、睡眠、不眠症、及び記憶など、種々の行動状態にとって中心的であるGABA機能に関連する広範囲の脳の回路及び障害をもたらし得る。いくつかの天然及び合成の神経活性ステロイドはGABARsに結合でき、それらの活性を調節できる。
【0024】
[043] 本明細書で使用される通り、用語「神経活性ステロイド」、「NAS」、「複数の神経活性ステロイド(neuroactive steroids)」、「複数のNAS(NASs)」、又はそれらの変形体は、神経伝達に対して、具体的にはGABA受容体に対して抑制作用を発揮する1種以上の神経ステロイド(NS)を指す。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドは、中枢神経系(CNS)中でγ-アミノ酪酸(GABA)受容体複合体(GRC)の調節物質として作用する。例としては、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)、アンドロスタン、アンドロスタン3α-アンドロスタンジオール、コレスタンコレステロール、プレグナン、プレグナンプレグナノロン(エルタノロン)、アロプレグナノロン、ブレキサノロン、ガナキソロン、及びSAGE-217があるがこれらに限定されない。
【0025】
[044] 本明細書で使用される通り、用語「薬学的に許容できる塩」は、塩基として機能する活性化合物を、無機又は有機酸と反応させて、塩、例えば、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸(L)、アスパラギン酸(L)、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウ酸(+)、カンファー-10-スルホン酸(+)、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸(D)、グルコン酸(D)、グルクロン酸(D)、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イソ酪酸、乳酸(DL)、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(-L)マロン酸、マンデル酸(DL)、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸(-L)、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸(+L)、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(p)、及びウンデシレン酸の塩を形成することにより得られるものを含む。当業者は、酸付加塩が、いくつかの公知の方法のいずれかにより化合物と適切な無機又は有機酸との反応により調製され得ることをさらに認識するだろう。
【0026】
[045] 本明細書で使用される通り、用語「誘導体」又はその文法的な変形体は、単数形でも複数形でも、類似化合物から化学反応により誘導される化合物を指し得る。例えば、ブレキサノロンの誘導体は、ブレキサノロンから化学反応により誘導できる。
【0027】
[046] 本明細書で使用される通り、用語「粒子(particles)」、「粒子(particle)」、又はその文法的な変形体は、単数形でも複数形でも、本明細書に開示される粒子を指し得て、いくつかの例において、0.1~20時間、1~50時間、2~75時間、5~100時間、1~5日、2~7日、3~10日、4~20日、またはそれ以上の範囲の期間などの延長された期間、その物理的又は化学的形態を変えずに生理的条件下で安定である安定化された粒子も指し得る。
【0028】
[047] 本明細書で使用される通り、用語「粒径」は、最小の粒径である一次粒子径又は結晶子サイズを指す。一次サイズの粒子が共に凝集すると、凝集体は、典型的には一次粒子径の倍数である凝集体粒径を有し得る。本明細書で使用される粒径は、一次粒子の最大の寸法、例えば、球状粒子の直径、竿状若しくは棒状粒子の最長の長さ、又は不規則な形状の粒子にわたり測定された最大サイズを指す。
【0029】
[048] 本明細書で使用される通り、用語「平均粒径」は、測定又は選択された粒子の粒径の平均を指す。一例において、平均粒径は、粒径の総和を、測定又は選択された粒子の数で割ることにより計算できる。
【0030】
[049] 本明細書で使用される通り、用語D10(又はDv10)、D50(又はDv50)、及びD90(又はDv90)は、所与の試料の粒径の中点及び範囲を表すように通常使用される。用語「D10」は、粒子の10%が規定された測定値、例えば粒径未満であり、粒子の90%が規定された測定値、例えば粒径を超えることを指す。用語「D50」は、粒子の50%が規定された測定値、例えば粒径未満であり、粒子の50%が規定された測定値、例えば粒径を超える質量中央径(MMD)を指す。用語「D90」は、粒子の90%が規定された測定値、例えば粒径未満であり、粒子の10%が規定された測定値、例えば粒径を超えることを指す。いくつかの実施形態において、D50=1.5μmは、粒子の50%が1.5μm未満であり、粒子の50%が1.5μmを超えることを意味する。いくつかの実施形態において、D90=4.0μmは、90%粒子が直径4.0μm未満であり、粒子の10%が直径4.0μmを超えることを意味する。パーセンテージは、粒子の総体積、粒子の総重量、測定される粒子の総数若しくは総カウント、又は測定される粒子の総面積に基づき得る。いくつかの実施形態において、粒子の試料は、約1×10粒子が測定される光散乱により測定される。D50=0.9μmの測定データは、測定された粒子の約50%が0.9μm未満であり、50%が0.9μmを超えることを意味し、パーセンテージは測定された粒子の総数に基づいている。いくつかの実施形態において、粒径は、顕微鏡法及び画像化技術又は光学的粒度分析技法を使用して測定され、特定の視野の粒子が測定される。これによると、パーセンテージは、測定される粒子の総数又は測定される所与の面積に基づき得る。例えば、句「約0.2~15μmの粒径中央値を有する10%の粒子」は、測定された粒子の総数に基づいて約0.2~15μmの粒径中央値を有する、それらの粒子の1つ以上の試料から測定された粒子の10%を指す。句「約0.2~15μmの平均粒径を有する10%の粒子」は、測定された粒子の総数に基づいて約0.2~15μmの平均粒径を有する、それらの粒子の1つ以上の試料から測定された粒子の10%を指す。特定されない限り、特定のサイズ又はある範囲のサイズを有する粒子のパーセンテージは、それらの粒子の1つ以上の試料から測定された粒子の総数に基づくパーセンテージを指す。非限定的な例が図1A図1Dに示される。
【0031】
[050] 本明細書で使用される通り、用語「Cmax」、「Cmax」、又は「最高血漿濃度」は、薬物が投与された後であって第2の投与量の投与前に、薬物が体の特定されたコンパートメント又は部分において達する最高(又はピーク)血漿濃度を指す。いくつかの場合において、用語「Cmax,1」及び「Cmax,2」は、投与後の薬物の第1及び第2のピーク血漿濃度をそれぞれ指す。いくつかの場合において、Cmaxは、対象からの血液試料又は血清試料など、対象からの検体から測定される。
【0032】
[051] 本明細書で使用される通り、用語「延長放出」又は「ER」は、(即放とは対照的に)長期間にわたり薬物を送達する機構を指す;それは、参照により本明細書に組み込まれる“Applied Biopharmaceutics and Pharmacokinetics”, Sixth Edition; Shargel et al.の17章に記載されるものを含む、即放性剤形又は製剤ではないあらゆる剤形又は製剤を含むものとする。いくつかの場合において、延長放出剤形は、本明細書に開示される通り対象に投与した後に、対象における血漿濃度を、Cmaxの約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、又は70%を超えるレベルで、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14日より長く維持することができる。本明細書の目的には、ER剤形は、「持続放出」又は「SR」剤形も含む。
【0033】
[052] 本明細書で使用される通り、「有効量」は、治療上有効な量又は予防上有効な量を指す。「治療上有効な量」は、必要な用量及び期間で、所望の治療結果を達成するために有効である量を指す。いくつかの場合において、治療上有効な量は、原薬の治療上有効な血漿濃度及び/又は曝露を与える量を指す。化合物の治療上有効な量は、対象の病態、年齢、性別、及び体重、並びに化合物が対象において所望の応答を引き出す能力などの因子により変わり得る。投与計画は、最適な治療応答を与えるように調整できる。治療上有効な量は、化合物のあらゆる毒性又は有害な効果より治療上有益な効果が上回るものでもある。「予防上有効な量」は、必要な用量及び期間で、腫瘍の縮小、寿命の増加、平均余命の増加、又は前立腺癌の去勢抵抗性形態への進行の予防などの所望の予防効果を達成するために有効である量を指す。典型的には、予防的な投与量は、疾患の前又は疾患の早期に対象において使用されるので、予防上有効な量は治療上有効な量未満であり得る。
【0034】
[053] 本明細書で使用される通り、「治療すること」又は「治療」は、着目する疾患又は病態を有する哺乳動物、例えばヒトにおける着目する疾患又は病態の治療を網羅し、1)特に、哺乳動物がその病態になりやすいがそれを有するとまだ診断されていない場合、疾患若しくは病態がそのような哺乳動物に起こることを防ぐこと、;2)疾患若しくは病態を阻害すること、すなわちその発生を停止させること;3)疾患若しくは病態を軽減すること、すなわち疾患若しくは病態の退行を起こすこと(疾患若しくは病態の重症度を減少させることから、病態の疾患を治癒することまでにわたる);又は4)疾患若しくは病態から生じた症状を軽減すること、すなわち、根源的な疾患若しくは病態に対処せずに疼痛を軽減することを含む(がこれらに限定されない)。
【0035】
[054] 本明細書で使用される通り、用語「予防すること」、「予防」、及び「予防的な治療」は、疾患又は障害を得るか又は発症するリスクの減少を指す(すなわち、疾患の臨床症状の少なくとも1つが、疾患発症前に、まだ病原体に曝されていないか、又は疾患になりやすい対象に生じないようにすること)。用語「予防(prophylaxis)」は「予防(prevention)」に関連し、疾患を治療又は治癒するよりも予防することを目的とする措置又は処置を指す。
【0036】
[055] 本明細書で使用される通り、用語「疾患」と「病態」は互換的に使用できるか、又は特定の病気若しくは病態が既知の原因物質を有し得ず(そのため、病因がまだ解明されていない)、したがって、それがまだ疾患として認識されておらず、多少の具体的な症状のセットが臨床医により特定されている望ましくない病態又は症候群として認識されているだけであるという点で異なることもある。
【0037】
[056] 本明細書で使用される通り、「対象」は、ヒト、非ヒト霊長類、哺乳動物、ラット、マウス、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、昆虫などである。対象は、産後うつ病(PPD)などの神経学的病態を有すると疑われるか、又は有するリスクがあり得る。特にPPDの場合、対象は、頻繁に又は日常的に乳児に授乳している乳汁分泌している女性であり得る。用語「授乳」又は文法的な変形体は、女性の母乳を乳児に直接与えること、装置を使用して女性から母乳を絞り、その後に乳児に与えること、装置を使用して女性から母乳を絞り、母乳を短期間保存して、その後に保存された母乳を乳児に与えること、又はこれらの組合せを指す。
【0038】
[057] 本明細書で使用される通り、対象の「家族歴」という用語は、両親、姉妹、兄弟、異父又は異母姉妹、異父又は異母兄弟、子供、祖父母、伯母叔母、伯父叔父、姪、及び甥を含む対象の家族の病気及び健康状態の記録を意味する。
【0039】
[058] 本明細書で使用される通り、値の範囲の列挙は、本明細書に特記されない限り、その範囲内のそれぞれの別な値に個別に言及する簡潔な表現方法として役立つように意図されるのみであり、それぞれの別な値は、個別に本明細書に列挙されるかのように本明細書に組み込まれる。全範囲の終点は範囲内に含まれ、独立に組み合わせることができる。
【0040】
[059] 本願に明示される種々の範囲中の数値の使用は、明らかに別様に特定されない限り、述べられた範囲内の最低及び最高値の両方が「約」という言葉により先行される(proceeded)かのように、近似値として述べられる。このようにして、述べられた範囲の上及び下のわずかな変動を使用して、その範囲内の値と実質的に同じ結果を達成することができる。また、これらの範囲の開示は、最低値と最高値の間の全値を含む連続的な範囲として意図される。
【0041】
[060] 本明細書で使用される通り、本明細書で使用される基準数値及びその文法的な等価物に関連する用語「約」及びその文法的な等価物は、その値からプラス又はマイナス10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%の範囲の値など、その値のプラス又はマイナス10%の範囲の値を含み得る。例えば、「約10」という量は9~11の量を含む。
【0042】
詳細な説明
[061] 神経活性ステロイドを含む新規な医薬組成物及びその使用が本明細書に開示される。いくつかの場合において、神経活性ステロイドはブレキサノロンであり得る。例えば、ブレキサノロンの水性懸濁医薬組成物は、PPD及び他の神経学的病態の治療のために1回以上の注射として使用され得て、及び/又はZULRESSO(商標)の長期に及ぶIV注入に代わり得る。水性懸濁医薬組成物は、約少なくとも約(about at least about)20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、96、120、144、168、192、216、240、又は336時間の最低有効血漿曝露の継続期間を与える筋肉内注射用の延長放出ブレキサノロンであり得る。いくつかの場合において、延長放出ブレキサノロンは、ブレキサノロンIV注入プロトコルと一致する28~48時間の最低有効血漿曝露の継続期間を与える。いくつかの場合において、IMデポから体循環への延長放出ブレキサノロンは、より長い見かけの消失半減期により推進される、段階的且つ徐々に漸減し(slow taper)、したがって比較的より長い血漿曝露の継続期間(ブレキサノロンIVと比較して)をもたらし得る。現在の治療より勝る利点には、投与の容易さ、安全性プロファイルの改善、及び/又は患者の利便があり得る。いくつかの態様において、本明細書に開示される医薬組成物及び方法は以下の利点の1つ以上を提供し得る。
【0043】
[062] 最初に、投与の容易さ。方法は、単一用量を筋肉内注射により数秒で投与でき、いくつかの現在の治療における6~60時間などの長時間にわたる複雑なIV注入をなくすことができる。ZULRESSO(商標)のものなどのそれらのIV注入とは異なり、単回注射延長放出ブレキサノロンは過量摂取のリスクを最低限にでき、計画的に、循環中のブレキサノロンの予期されないほど高いレベル又は突然の変化を回避する予測可能な曝露パターンを与えることができる。このプロファイルは、GABA作動性離脱有害事象のリスクを減少させるはずであり、潜在的に長期有効性を改善し得る。
【0044】
[063] 第2に、患者の利便。1回以上の注射が、直接的な臨床的観察を要する60時間注入のための入院患者(又は注入センター)の代わりに外来患者として、医療提供者により投与できる。延長放出ブレキサノロンにより、患者はより少ない注射及び注射の間のより長い間隔を有することができる。延長放出ブレキサノロンの単回注射は、アドヒアランスを減少させ得る認知機能障害及び無関心のために女性においてPPDが発症するリスクを低減できる、患者アドヒアランス及びコンプライアンスの改善のために多くの女性にとって有益でもあり得る。
【0045】
[064] 第3に、より良好な医療資源利用。延長放出剤形のIM又はSC注射などの単一用量注射は、費用のかかる注入センター及び入院患者のケアの要件、IV配置及び注入装置の必要性、並びに医療提供者による断続的な観察の要件を減少させることができる。
【0046】
[065] 第4に、より良好な乳児安全性。延長放出剤形は出産(birth)の後すぐに投与され、それにより胎児への全身曝露を回避するだろう。さらに、母乳による乳児への曝露は、ブレキサノロンの非常に低い経口バイオアベイラビリティのためごくわずかである。
【0047】
医薬品
[066] 本開示は、神経活性ステロイド(NAS)ガンマ-アミノ酪酸(GABA)受容体の正のアロステリック調節因子(PAM)、ブレキサノロン(合成のアロプレグナノロン)の延長放出注射製剤に関する。ブレキサノロンは、そのIUPAC化学名、1-(3R,5S,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-3-ヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)エタン-1-オンにより、又は合成のアロプレグナノロンとしても知られており、化合物1の化学構造を有する:
【化1】
【0048】
[067] ブレキサノロンは、現在、60時間にわたり投与される連続静脈内注入であるZULRESSO(商標)として販売されている。ZULRESSO(商標)はFDAにより産後うつ病(PPD)の治療のために認可されたが、薬物投与は複雑な注入プロトコルを要し、それには過度の鎮静状態及び突然の意識の喪失の警告が記載されている。そのため、ZULRESSO(商標)は、限定されたアクセスプログラムによってのみ利用可能であり、患者は注意深くモニタリングされなければならない。図20は、ヒト対象でのZulresso(商標)の60時間IV注入のシミュレートされた血漿濃度-時間曲線を示す(US Food and Drug Administration, Center for Drug Evaluation and Research 2018. Multi-disciplinary review and evaluation, NDA 211371, ZulressoTM[brexanolone])。
【0049】
医薬組成物及び製剤
[068] 薬学的に有効な量の神経活性ステロイド、又はその薬学的に許容できる塩若しくは誘導体を含む水性懸濁医薬組成物が本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドは、1回以上の注射でそれを必要とする対象に投与される場合、少なくとも約72時間の期間にわたり治療上有効な血漿濃度を与えて、神経学的病態が治療される。
【0050】
[069] いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドは、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)、アンドロスタン、アンドロスタン3α-アンドロスタンジオール、コレスタンコレステロール、プレグナン、エルタノロン、ブレキサノロン、ガナキソロン、ズラノロン、又はこれらの組合せから選択される、γアミノ酪酸A型受容体(GABA)の1種以上の正のアロステリック調節因子を含む。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドは、ブレキサノロン、その薬学的に許容できる塩及び誘導体からなる群から選択される。
【0051】
[070] 好都合には、いくつかの実施形態において、本医薬組成物は、IMデポから体循環へのブレキサノロンの制御された緩徐な放出を与えることにより、等価な治療効能を達成する。これは、より長い見かけの終末相消失半減期により推進される、段階的且つ徐々に漸減し、その結果比較的より長い血漿曝露の継続期間(ブレキサノロンIVと比較して)をもたらす。特定の理論には拘束されないが、より長い終末相消失は、一部分PPDの開始の原因であると仮説が立てられている生理学的アロプレグナノロンレベルの急速な低下を回避し得る。
【0052】
神経活性ステロイド
[071] いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)を約10mg~約1,500mgの範囲の量で含む。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の量は少なくとも約10mgである。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の量は多くても約1,500mgである。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の量は、約10mg~約30mg、約10mg~約50mg、約10mg~約100mg、約10mg~約200mg、約10mg~約300mg、約10mg~約400mg、約10mg~約500mg、約10mg~約600mg、約10mg~約800mg、約10mg~約1,000mg、約10mg~約1,500mg、約30mg~約50mg、約30mg~約100mg、約30mg~約200mg、約30mg~約300mg、約30mg~約400mg、約30mg~約500mg、約30mg~約600mg、約30mg~約800mg、約30mg~約1,000mg、約30mg~約1,500mg、約50mg~約100mg、約50mg~約200mg、約50mg~約300mg、約50mg~約400mg、約50mg~約500mg、約50mg~約600mg、約50mg~約800mg、約50mg~約1,000mg、約50mg~約1,500mg、約100mg~約200mg、約100mg~約300mg、約100mg~約400mg、約100mg~約500mg、約100mg~約600mg、約100mg~約800mg、約100mg~約1,000mg、約100mg~約1,500mg、約200mg~約300mg、約200mg~約400mg、約200mg~約500mg、約200mg~約600mg、約200mg~約800mg、約200mg~約1,000mg、約200mg~約1,500mg、約300mg~約400mg、約300mg~約500mg、約300mg~約600mg、約300mg~約800mg、約300mg~約1,000mg、約300mg~約1,500mg、約400mg~約500mg、約400mg~約600mg、約400mg~約800mg、約400mg~約1,000mg、約400mg~約1,500mg、約500mg~約600mg、約500mg~約800mg、約500mg~約1,000mg、約500mg~約1,500mg、約600mg~約800mg、約600mg~約1,000mg、約600mg~約1,500mg、約800mg~約1,000mg、約800mg~約1,500mg、又は約1,000mg~約1,500mgである。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の量は、全範囲及びそれらの間の値を含み、約10mg、約30mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約800mg、約1,000mg、又は約1,500mgである。
【0053】
[072] いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)を、約5mg/mL~約800mg/mLの範囲の濃度で含む。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の濃度は少なくとも約5mg/mLである。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の濃度は高くても約800mg/mLである。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の濃度は、約5mg/mL~約10mg/mL、約5mg/mL~約30mg/mL、約5mg/mL~約50mg/mL、約5mg/mL~約100mg/mL、約5mg/mL~約150mg/mL、約5mg/mL~約200mg/mL、約5mg/mL~約250mg/mL、約5mg/mL~約300mg/mL、約5mg/mL~約400mg/mL、約5mg/mL~約500mg/mL、約5mg/mL~約800mg/mL、約10mg/mL~約30mg/mL、約10mg/mL~約50mg/mL、約10mg/mL~約100mg/mL、約10mg/mL~約150mg/mL、約10mg/mL~約200mg/mL、約10mg/mL~約250mg/mL、約10mg/mL~約300mg/mL、約10mg/mL~約400mg/mL、約10mg/mL~約500mg/mL、約10mg/mL~約800mg/mL、約30mg/mL~約50mg/mL、約30mg/mL~約100mg/mL、約30mg/mL~約150mg/mL、約30mg/mL~約200mg/mL、約30mg/mL~約250mg/mL、約30mg/mL~約300mg/mL、約30mg/mL~約400mg/mL、約30mg/mL~約500mg/mL、約30mg/mL~約800mg/mL、約50mg/mL~約100mg/mL、約50mg/mL~約150mg/mL、約50mg/mL~約200mg/mL、約50mg/mL~約250mg/mL、約50mg/mL~約300mg/mL、約50mg/mL~約400mg/mL、約50mg/mL~約500mg/mL、約50mg/mL~約800mg/mL、約100mg/mL~約150mg/mL、約100mg/mL~約200mg/mL、約100mg/mL~約250mg/mL、約100mg/mL~約300mg/mL、約100mg/mL~約400mg/mL、約100mg/mL~約500mg/mL、約100mg/mL~約800mg/mL、約150mg/mL~約200mg/mL、約150mg/mL~約250mg/mL、約150mg/mL~約300mg/mL、約150mg/mL~約400mg/mL、約150mg/mL~約500mg/mL、約150mg/mL~約800mg/mL、約200mg/mL~約250mg/mL、約200mg/mL~約300mg/mL、約200mg/mL~約400mg/mL、約200mg/mL~約500mg/mL、約200mg/mL~約800mg/mL、約250mg/mL~約300mg/mL、約250mg/mL~約400mg/mL、約250mg/mL~約500mg/mL、約250mg/mL~約800mg/mL、約300mg/mL~約400mg/mL、約300mg/mL~約500mg/mL、約300mg/mL~約800mg/mL、約400mg/mL~約500mg/mL、約400mg/mL~約800mg/mL、又は約500mg/mL~約800mg/mLである。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の濃度は、全範囲及びそれらの間の値を含み、約5mg/mL、約10mg/mL、約30mg/mL、約50mg/mL、約100mg/mL、約150mg/mL、約200mg/mL、約250mg/mL、約300mg/mL、約400mg/mL、約500mg/mL、又は約800mg/mLである。
【0054】
[073] いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の量は、水性懸濁医薬組成物の約0.01%~約99%(w/w)、例えば、医薬組成物の約0.1%~1%、約0.1%~5%、約0.1~10%、約0.1%~20%、約0.5%~1%、約0.5%~5%、約0.5%~10%、約0.5%~20%、約1%~5%、約1%~10%、約1%~20%、約5%~10%、約5%~20%、約10%~20%、約10%~30%、約20%~30%、約20%~40%、約30%~40%、約30%~50%、約40%~50%、約40%~60%、約50%~60%、約50%~70%、約60%~70%、約60%~80%、約70%~80%、約70%~90%、約80%~90%、約80%~95%、又は95%~99%である。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドの量は、医薬組成物の約0.1%~約70%、又は約1%~約30%である。
【0055】
[074] いくつかの実施形態において、開示される医薬組成物中の神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の単回投与量は体重のキログラム(kg)あたり約0.5mg~約50mgであり得る。いくつかの実施形態において、単回投与量は体重のkgあたり少なくとも約0.5mgであり得る。いくつかの実施形態において、単回投与量は体重のkgあたり多くても約50mgであり得る。いくつかの実施形態において、単回投与量は、体重のkgあたり約0.5mg~約2mg、体重のkgあたり約0.5mg~約4mg、体重のkgあたり約0.5mg~約6mg、体重のkgあたり約0.5mg~約8mg、体重のkgあたり約0.5mg~約10mg、体重のkgあたり約0.5mg~約20mg、体重のkgあたり約0.5mg~約50mg、体重のkgあたり約2mg~約4mg、体重のkgあたり約2mg~約6mg、体重のkgあたり約2mg~約8mg、体重のkgあたり約2mg~約10mg、体重のkgあたり約2mg~約20mg、体重のkgあたり約2mg~約50mg、体重のkgあたり約4mg~約6mg、体重のkgあたり約4mg~約8mg、体重のkgあたり約4mg~約10mg、体重のkgあたり約4mg~約20mg、体重のkgあたり約4mg~約50mg、体重のkgあたり約6mg~約8mg、体重のkgあたり約6mg~約10mg、体重のkgあたり約6mg~約20mg、体重のkgあたり約6mg~約50mg、体重のkgあたり約8mg~約10mg、体重のkgあたり約8mg~約20mg、体重のkgあたり約8mg~約50mg、体重のkgあたり約10mg~約20mg、体重のkgあたり約10mg~約50mg、又は体重のkgあたり約20mg~約50mgであり得る。いくつかの実施形態において、単回投与量は、体重のkgあたり約0.5mg、体重のkgあたり約2mg、体重のkgあたり約4mg、体重のkgあたり約6mg、体重のkgあたり約8mg、体重のkgあたり約10mg、体重のkgあたり約20mg、又は体重のkgあたり約50mgであり得る。特定の例において、単回投与量は体重のkgあたり約3.5mg~5mgであり得る。体重は、ヒト患者又は動物対象などの対象の体重を指す。
【0056】
[075] いくつかの実施形態において、開示される医薬組成物中の神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の単位投与量は約50mg~約800mgであり得る。いくつかの実施形態において、単一単位投与量は少なくとも約50mgであり得る。いくつかの実施形態において、単一単位投与量は多くても約800mgであり得る。いくつかの実施形態において、単一単位投与量は、約50mg~約100mg、約50mg~約200mg、約50mg~約300mg、約50mg~約400mg、約50mg~約600mg、約50mg~約800mg、約100mg~約200mg、約100mg~約300mg、約100mg~約400mg、約100mg~約600mg、約100mg~約800mg、約200mg~約300mg、約200mg~約400mg、約200mg~約600mg、約200mg~約800mg、約300mg~約400mg、約300mg~約600mg、約300mg~約800mg、約400mg~約600mg、約400mg~約800mg、又は約600mg~約800mgであり得る。いくつかの実施形態において、単一単位投与量は、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約600mg、又は約800mgであり得る。単位投与量は、対象に単回投与量で投与できる医薬組成物の包装の一形態である。例えば、300mg単位投与量の医薬組成物は、対象に1回以上の注射で注射できる注射用形態で、1ミリリットル体積など特定の体積で包装され得る。さらに他の例において、300mg単位投与量の医薬組成物は、対象に単回の皮下注射で注射できる注射用形態で、0.5ミリリットル体積又は1ミリリットル体積などの特定の体積で包装され得る。
【0057】
[076] いくつかの実施形態において、開示される医薬組成物中の神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の単回投与量は約50mg~約800mgであり得る。いくつかの実施形態において、単回投与量は少なくとも約50mgであり得る。いくつかの実施形態において、単回投与量は多くても約800mgであり得る。いくつかの実施形態において、単回投与量は、約50mg~約100mg、約50mg~約200mg、約50mg~約300mg、約50mg~約400mg、約50mg~約600mg、約50mg~約800mg、約100mg~約200mg、約100mg~約300mg、約100mg~約400mg、約100mg~約600mg、約100mg~約800mg、約200mg~約300mg、約200mg~約400mg、約200mg~約600mg、約200mg~約800mg、約300mg~約400mg、約300mg~約600mg、約300mg~約800mg、約400mg~約600mg、約400mg~約800mg、又は約600mg~約800mgであり得る。いくつかの実施形態において、単回投与量は、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約600mg、又は約800mgであり得る。
【0058】
[077] 単回投与量は、単位投与量を使用して医薬組成物を対象に投与する場合、対象の体重に基づいて調整できる。一例において、1mL注射液中の300mgの単位投与量は、60kg~70kgの範囲の体重の対象への単回投与注射のために設計される。60kg未満の体重を有する対象には、300mg単位投与量の0.5mLなどの調整された投与量が、1回の注射で対象に注射され得る。70kgを超える体重を有する対象には、300mg単位投与量の1.5mLなどの調整された投与量が、1回の注射で対象に注射され得る。単回投与量は、本明細書に開示される通り、体重のキログラム(kg)あたり要求されるmgの医薬組成物を有するように調整できる。
【0059】
[078] 開示される医薬組成物の単回投与量は体重のキログラム(kg)あたり約0.5~50mgの範囲であり得て、1つ以上の単位投与量又はその一部を組み合わせて製造することができるが、単位投与量のそれぞれは、単位投与量あたり50mg~800mgの範囲であり得る。上記及び下記で開示される単回投与量、単位投与量、又はこれらの組合せの範囲は好適であり、例として組み込まれる。
【0060】
[079] いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)は、D10が約0.5μm~約3μmの範囲である粒径分布(PSD)を有する。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)のD10は少なくとも約0.5μmである。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)のD10は高くても約3μmである。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)のD10は、約0.5μm~約1μm、約0.5μm~約1.2μm、約0.5μm~約1.4μm、約0.5μm~約1.6μm、約0.5μm~約1.8μm、約0.5μm~約2μm、約0.5μm~約2.2μm、約0.5μm~約2.4μm、約0.5μm~約2.6μm、約0.5μm~約2.8μm、約0.5μm~約3μm、約1μm~約1.2μm、約1μm~約1.4μm、約1μm~約1.6μm、約1μm~約1.8μm、約1μm~約2μm、約1μm~約2.2μm、約1μm~約2.4μm、約1μm~約2.6μm、約1μm~約2.8μm、約1μm~約3μm、約1.2μm~約1.4μm、約1.2μm~約1.6μm、約1.2μm~約1.8μm、約1.2μm~約2μm、約1.2μm~約2.2μm、約1.2μm~約2.4μm、約1.2μm~約2.6μm、約1.2μm~約2.8μm、約1.2μm~約3μm、約1.4μm~約1.6μm、約1.4μm~約1.8μm、約1.4μm~約2μm、約1.4μm~約2.2μm、約1.4μm~約2.4μm、約1.4μm~約2.6μm、約1.4μm~約2.8μm、約1.4μm~約3μm、約1.6μm~約1.8μm、約1.6μm~約2μm、約1.6μm~約2.2μm、約1.6μm~約2.4μm、約1.6μm~約2.6μm、約1.6μm~約2.8μm、約1.6μm~約3μm、約1.8μm~約2μm、約1.8μm~約2.2μm、約1.8μm~約2.4μm、約1.8μm~約2.6μm、約1.8μm~約2.8μm、約1.8μm~約3μm、約2μm~約2.2μm、約2μm~約2.4μm、約2μm~約2.6μm、約2μm~約2.8μm、約2μm~約3μm、約2.2μm~約2.4μm、約2.2μm~約2.6μm、約2.2μm~約2.8μm、約2.2μm~約3μm、約2.4μm~約2.6μm、約2.4μm~約2.8μm、約2.4μm~約3μm、約2.6μm~約2.8μm、約2.6μm~約3μm、又は約2.8μm~約3μmである。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)のD10は、全範囲及びその間の値を含み、約0.5μm、約1μm、約1.2μm、約1.4μm、約1.6μm、約1.8μm、約2μm、約2.2μm、約2.4μm、約2.6μm、約2.8μm、又は約3μmである。
【0061】
[080] いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)は、D50が約1μm~約10μmの範囲である粒径分布(PSD)を有する。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)のD50は少なくとも約1μmである。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)のD50は高くても約10μmである。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)のD50は、約1μm~約2μm、約1μm~約3μm、約1μm~約4μm、約1μm~約5μm、約1μm~約6μm、約1μm~約7μm、約1μm~約8μm、約1μm~約9μm、約1μm~約10μm、約2μm~約3μm、約2μm~約4μm、約2μm~約5μm、約2μm~約6μm、約2μm~約7μm、約2μm~約8μm、約2μm~約9μm、約2μm~約10μm、約3μm~約4μm、約3μm~約5μm、約3μm~約6μm、約3μm~約7μm、約3μm~約8μm、約3μm~約9μm、約3μm~約10μm、約4μm~約5μm、約4μm~約6μm、約4μm~約7μm、約4μm~約8μm、約4μm~約9μm、約4μm~約10μm、約5μm~約6μm、約5μm~約7μm、約5μm~約8μm、約5μm~約9μm、約5μm~約10μm、約6μm~約7μm、約6μm~約8μm、約6μm~約9μm、約6μm~約10μm、約7μm~約8μm、約7μm~約9μm、約7μm~約10μm、約8μm~約9μm、約8μm~約10μm、又は約9μm~約10μmである。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)のD50は、全範囲及びその間の値を含み、約1μm、約2μm、約3μm、約4μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、又は約10μmである。いくつかの実施形態において、ブレキサノロンのD50は、約3μm、例えば、その間の全値を含み、約3μm、3.05μm、3.1μm、3.2μm、3.3μm、又は3.4μmである。
【0062】
[081] いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)は、D90が約4μm~約15μmの範囲である粒径分布(PSD)を有する。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)のD90は少なくとも約4μmである。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)のD90は高くても約15μmである。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)のD90は、約4μm~約5μm、約4μm~約6μm、約4μm~約7μm、約4μm~約8μm、約4μm~約9μm、約4μm~約10μm、約4μm~約11μm、約4μm~約12μm、約4μm~約13μm、約4μm~約14μm、約4μm~約15μm、約5μm~約6μm、約5μm~約7μm、約5μm~約8μm、約5μm~約9μm、約5μm~約10μm、約5μm~約11μm、約5μm~約12μm、約5μm~約13μm、約5μm~約14μm、約5μm~約15μm、約6μm~約7μm、約6μm~約8μm、約6μm~約9μm、約6μm~約10μm、約6μm~約11μm、約6μm~約12μm、約6μm~約13μm、約6μm~約14μm、約6μm~約15μm、約7μm~約8μm、約7μm~約9μm、約7μm~約10μm、約7μm~約11μm、約7μm~約12μm、約7μm~約13μm、約7μm~約14μm、約7μm~約15μm、約8μm~約9μm、約8μm~約10μm、約8μm~約11μm、約8μm~約12μm、約8μm~約13μm、約8μm~約14μm、約8μm~約15μm、約9μm~約10μm、約9μm~約11μm、約9μm~約12μm、約9μm~約13μm、約9μm~約14μm、約9μm~約15μm、約10μm~約11μm、約10μm~約12μm、約10μm~約13μm、約10μm~約14μm、約10μm~約15μm、約11μm~約12μm、約11μm~約13μm、約11μm~約14μm、約11μm~約15μm、約12μm~約13μm、約12μm~約14μm、約12μm~約15μm、約13μm~約14μm、約13μm~約15μm、又は約14μm~約15μmである。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)のD90は、全範囲及びその間の値を含み、約4μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、約11μm、約12μm、約13μm、約14μm、又は約15μmである。いくつかの実施形態において、ブレキサノロンのD90は、約6μm、例えば、その間の全値を含み、約6μm、6.05μm、6.1μm、6.2μm、6.3μm、又は6.4μmである。
【0063】
[082] いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の粒径分布は単峰性である。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の粒径は、平均(D50)粒径からの5%、10%、15%、20%、25%、又は30%以下の標準偏差を有する。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の粒径は、平均(D50)粒径からの10%以下の標準偏差を有する。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の粒径は、平均(D50)粒径からの20%以下の標準偏差を有する。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の粒径は、平均(D50)粒径からの30%以下の標準偏差を有する。
【0064】
[083] 神経ステロイド(例えばブレキサノロン)を含む本明細書に開示される医薬組成物は、約0.01%~約50%の小粒子及び約50%~約99.99%の大粒子を含み得て、パーセンテージは測定された粒子の総カウントに基づいている。神経ステロイドを含むそのような医薬組成物は、一実施形態において0.01%~50%、別の実施形態において0.1%~50%、さらに別の実施形態において1.0%~50%、さらに別の実施形態において2.0%~50%、さらに別の実施形態において4.0%~50%、さらに別の実施形態において6.0%~50%、さらに別の実施形態において8.0%~50%、一実施形態において10%~50%、別の実施形態において15%~50%、さらに別の実施形態において20%~50%、さらに別の実施形態において25%~50%、さらに別の実施形態において30%~50%、さらに別の実施形態において40%~50%、及びさらに別の実施形態において45%~50%の範囲の小粒子;並びに一実施形態において50%~99.99%、別の実施形態において55%~99.99%、さらに別の実施形態において60%~99.99%、さらに別の実施形態において65%~99.99%、さらに別の実施形態において70%~99.99%、さらに別の実施形態において75%~99.99%、さらに別の実施形態において80%~99.99%、及びさらに別の実施形態において85%~99.99%の範囲の大粒子の粒子を含み得る。特定の実施形態において、医薬組成物は、約0.01%~約10%の小粒子及び約90%~約99.99%の大粒子を含み得て、パーセンテージは測定された粒子の総カウントに基づいている。
【0065】
[084] 医薬組成物は粒子(例えばブレキサノロンの粒子)の集団を含み得て、粒子は約0.1~50μmの平均粒径を有する。いくつかの実施形態において、粒子は約0.1μm~約50μmの平均粒径を有する。いくつかの実施形態において、粒子は少なくとも約0.1μmの平均粒径を有する。いくつかの実施形態において、粒子は高くても約50μmの平均粒径を有する。いくつかの実施形態において、粒子は、約0.1μm~約0.2μm、約0.1μm~約0.5μm、約0.1μm~約1μm、約0.1μm~約2μm、約0.1μm~約5μm、約0.1μm~約10μm、約0.1μm~約20μm、約0.1μm~約30μm、約0.1μm~約40μm、約0.1μm~約50μm、約0.2μm~約0.5μm、約0.2μm~約1μm、約0.2μm~約2μm、約0.2μm~約5μm、約0.2μm~約10μm、約0.2μm~約20μm、約0.2μm~約30μm、約0.2μm~約40μm、約0.2μm~約50μm、約0.5μm~約1μm、約0.5μm~約2μm、約0.5μm~約5μm、約0.5μm~約10μm、約0.5μm~約20μm、約0.5μm~約30μm、約0.5μm~約40μm、約0.5μm~約50μm、約1μm~約2μm、約1μm~約5μm、約1μm~約10μm、約1μm~約20μm、約1μm~約30μm、約1μm~約40μm、約1μm~約50μm、約2μm~約5μm、約2μm~約10μm、約2μm~約20μm、約2μm~約30μm、約2μm~約40μm、約2μm~約50μm、約5μm~約10μm、約5μm~約20μm、約5μm~約30μm、約5μm~約40μm、約5μm~約50μm、約10μm~約20μm、約10μm~約30μm、約10μm~約40μm、約10μm~約50μm、約20μm~約30μm、約20μm~約40μm、約20μm~約50μm、約30μm~約40μm、約30μm~約50μm、又は約40μm~約50μmの平均粒径を有する。いくつかの実施形態において、粒子は、約0.1μm、約0.2μm、約0.5μm、約1μm、約2μm、約5μm、約10μm、約20μm、約30μm、約40μm、又は約50μmの平均粒径を有する。粒子は、一例において約1.5~15μm、別の例において約3~5μm、さらに別の例において約0.2~1.5μm、及びさらに別の例において約0.5~0.9μmの平均粒径を有する。
【0066】
[085] 医薬組成物は、約0.2~15μmの粒径を有する、少なくとも50%、60%、70%、80%、又は90%の粒子を含み得る。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約0.2~1.5μmの平均粒径を有する約0.01%~50%の粒子及び約1.5~15μmの平均粒径を有する約50%~99.99%の粒子を含む。粒子の集団の平均粒径は、測定される粒子の総数(カウント)に基づいて、粒子の1つ以上の試料から測定できる。
【0067】
[086] 開示される医薬組成物の粒径は、本開示の医薬組成物中の薬物の放出プロファイル特性を変化させるように(例えば、微粉砕又は当技術分野に公知である他の技法により)調整できる。いくつかの実施形態において、粒子は、粉砕/微粉砕により調製され得る。粉砕は、あらゆる好適な粉砕機で実施できる。粉砕/微粉砕用の好適なミルとしては、エアジェットミル、ローラーミル、ボールミル、アトライタミル、振動ミル、プラネタリーミル、サンドミル、及びビーズミルがある。小粒子が望まれる場合、高エネルギー媒体ミルが好ましい。ミルは回転シャフトを含み得る。粒子は湿式微粉砕によっても調製できる。
【0068】
[087] いくつかの実施形態において、開示される水性懸濁医薬組成物のブレキサノロンは、粉末X線回折(PXRD)ディフラクトグラムにおける以下のピーク、7.25、8.88、11.46、14.50、14.78、17.77、18.15、18.32、18.61、及び19.99±0.1 2θ(°)の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、又は10を有することを特徴とする、結晶形(多形体A型)である。いくつかの実施形態において、ブレキサノロン結晶形は、50%以上の相対強度を有する上述のピークの少なくとも2つを有し得る。いくつかの実施形態において、ブレキサノロン結晶形は、一例において50%以上、別の例において60%以上、さらに別の例において70%以上、さらに別の例において80%以上、又はさらに別の例において90%以上の相対強度を有する7.25及び18.15の上述のピークの少なくとも2つを有し得る。ブレキサノロン多形体A型は、異なる製剤に使用できる1μm~100μmの範囲の粒径を有し得る。いくつかの実施形態において、医薬組成物の注射製剤は、1μm~15μm、1μm~14μm、1μm~13μm、1μm~12μm、1μm~11μm、1μm~10μm、1μm~9μm、1μm~8μm、1μm~7μm、1μm~6μm、1μm~5μm、1μm~4μm、1μm~3μm、1μm~2μm、又は1μm~1.5μmの範囲の粒径を有するブレキサノロン多形体A型を有し得る。いくつかの実施形態において、本開示の水性懸濁医薬組成物は本明細書で特性化されるブレキサノロン結晶形(多形体A型)を含む。
【0069】
[088] いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、98%、又は99%を超える化学純度を有し得るブレキサノロン多形体A型を含み、パーセンテージはブレキサノロンの重量に基づいている(w/w)。いくつかの実施形態において、ブレキサノロン多形体A型はHPLCにより定量化できる。いくつかの実施形態において、ブレキサノロン多形体A型は約170~180℃の融点を有し得る。いくつかの実施形態において、ブレキサノロン多形体A型は約174℃の融点を有し得る。
【0070】
[089] ブレキサノロン結晶形は、ジクロロメタン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル(EtOAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トルエン、2-プロパノール:水(9:1)(v/v)、メタノール(MeOH)、2-プロパノール(IPA)、メチルt-ブチルエーテル(MTBE)、イソプロピルエーテル(IPE)、アセトニトリル(MeCN)、n-ヘプタン、エタノール、水、及びこれらの混和性組合せからなる群から選択される1種以上の溶媒から結晶化できる。本開示全体にわたり本明細書で使用される用語「混和性組合せ」は、共に混合して沈殿又は相分離なしに溶液を形成できる2種以上の溶媒を意味する。いくつかの実施形態において、1種以上の溶媒はアセトニトリル不含であり得る。
【0071】
薬学的に許容できる賦形剤
[090] いくつかの実施形態において、本開示は、薬学的に有効な量の神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)又はその薬学的に許容できる塩若しくは誘導体及び1種以上の薬学的に許容できる賦形剤を含む水性懸濁医薬組成物を提供する。
【0072】
[091] いくつかの実施形態において、1種以上の薬学的に許容できる賦形剤は、1種以上の界面活性剤、乳化剤、充填剤、担体、等張化剤、分散剤、粘度調整剤、懸濁化剤、緩衝剤、又はこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、1種以上の薬学的に許容できる賦形剤は、1種以上の界面活性剤、1種以上の懸濁化剤、1種以上の等張化剤、1種以上の緩衝剤、又はこれらの組合せを含む。
【0073】
[092] アメリカ食品医薬品局から利用可能な不活性成分データベース(https://www.fda.gov/drugs/drug-approvals-and-databases/inactive-ingredients-database-download)からの薬学的な許容できる(Pharmaceutical acceptable)担体、賦形剤、又は不活性成分は好適であり得る。アメリカ食品医薬品局のGRAS物質(SCOGS)データベース(https://www.fda.gov/food/generally-recognized-safe-gras/gras-substances-scogs-database)から利用可能な一般に安全と認められる(GRAS)食品の一部も好適であり得る。
【0074】
[093] いくつかの実施形態において、薬学的に許容できる賦形剤は薬学的に許容できる担体である。本開示の実施形態において、薬学的な許容できる賦形剤/担体は、アラビアゴム、動物油、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ステアリン酸カルシウム、カルボマー、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、コレステロール、シクロデキストリン、デキストロース、ジエタノールアミン、乳化蝋、エチレングリコールパルミトステアレート、グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、ステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、含水(hydrous)、ヒスチジン、塩化水素酸、ヒドロクスプロピル(hydroxpropyl)セルロース、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))、ラノリン、ラノリンアルコール、レシチン、中鎖トリグリセリド、金属石鹸、メチルセルロース、鉱油、リン酸二水素ナトリウム、モノエタノールアミン、オレイン酸、ポリイエチレン(polyyethylene)グリコール(PEG 3350、PEG 4000、PEG 6000)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー(ポロキサマー)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステアレート、ポリソルベート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween 20、Polysorbate 20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween 80、Polysorbate 80)、ポビドン、アルギン酸プロピレングリコール、塩水、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、水酸化ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、ソルビタンエステル、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ヒマワリ油、トラガカント、トリエタノールアミン、植物油、水、キサンタンガム、又はこれらの組合せを含み得る。
【0075】
[094] いくつかの実施形態において、薬学的な許容できる担体は、デキストロース、グリセリン、ヒスチジン、塩化水素酸、ヒドロクスプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween 20、Polysorbate 20)、ポリイエチレングリコール(PEG 3350、PEG 4000、PEG 6000)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー(Poloxamer 188、Poloxamer 407)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween 80、Polysorbate 80)、塩水、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、ラウリル硫酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0076】
[095] いくつかの実施形態において、本開示の水性懸濁医薬組成物は1種以上の界面活性剤を含む。界面活性剤は、本明細書で使用される通り、製剤への薬物溶解度を増加させる可溶化剤として、開示される組成物に使用できる。好適な界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性、又は非イオン性界面活性剤であり得る。好適なアニオン性界面活性剤には、カルボキシレート、スルホネート、及びスルフェートイオンを含有又は含むものがあるがこれらに限定されない。アニオン性界面活性剤の例には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなど、長鎖アルキルスルホネート及びアルキルアリールスルホネートのナトリウム、カリウム、アンモニウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのジアルキルナトリウムスルホスクシネート;ナトリウムビス-(2-エチルチオキシル)-スルホスクシネートなどのジアルキルナトリウムスルホスクシネート;並びにラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩がある。カチオン性界面活性剤には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、セトリモニウムブロミド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリドなどの四級アンモニウム化合物、ポリオキシエチレン及びココナッツアミンがあるがこれらに限定されない。非イオン性界面活性剤の例としては、エチレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールミリステート、グリセリルモノステアレート、グリセリルステアレート、オレイン酸ポリグリセリル-4、ソルビタンアシレート(sorbitan acylate)、スクロースアシレート(sucrose acylate)、PEG-150ラウレート、PEG-400モノラウレート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリソルベート、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、PEG-1000セチルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリプロピレングリコールブチルエーテル、Poloxamer(登録商標)401、ステアロイルモノイソプロパノールアミド、及びポリオキシエチレン水素化牛脂アミドがある。両性界面活性剤の例には、N-ドデシル-β-アラニンナトリウム、N-ラウリル-β-イミノジプロピオネートナトリウム、ミリストアンホアセテート、ラウリルベタイン、及びラウリルスルホベタインがある。界面活性剤は、レシチン(ホスファチド);トリオレイン酸ソルビタン及び他のソルビタンエステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(TWEEN 20、別名Polysorbate 20、CAS登録番号9005-64-5)及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TWEEN 80、別名Polysorbate 80(CAS登録番号9005-65-6)などの市販のTWEEN);ポロキサマー(例えば、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーであるポロキサマー188(PLURONIC F68)及びポロキサマー338(PLURONIC F108)並びにプロピレングリコールと2ブロックのポリエチレングリコールのトリブロックコポリマーであるポロキサマー407);コレステロール硫酸ナトリウム又は他のコレステロール塩;及びデオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、グリコール酸(glycholate)ナトリウム、デオキシコール酸の塩、グリコール酸(glycholic acid)の塩、ケノデオキシコール酸の塩、及びリトコール酸の塩などの胆汁酸塩などの化合物も含む。いくつかの実施形態において、界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態において、非イオン性界面活性剤はポリソルベートを含む。いくつかの実施形態において、非イオン性界面活性剤はポリソルベート80を含む。
【0077】
[096] いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.2%~約1.5%の界面活性剤、例えば、全範囲及びその間の値を含み、組成物の体積あたり重量で約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、又は約1.5%の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.2%~約1.0%の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.5%~約0.9%の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.6%~約0.8%の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.6%~約0.7%の界面活性剤を含む。
【0078】
[097] いくつかの実施形態において、本開示の水性懸濁医薬組成物は、1種以上の懸濁化(すなわち粘度調整)剤を含む。好適な懸濁化剤には、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及びポリエチレングリコール、例えば高分子量PEGがあるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本開示の水性懸濁医薬組成物に含まれる懸濁化剤はポリエチレングリコール(PEG)を含む。いくつかの実施形態において、PEGは高分子量PEGである。いくつかの実施形態において、高分子量PEGは、PEG 3350、PEG 4000、又はPEG 6000である。いくつかの実施形態において、高分子量PEGはPEG 3350である。
【0079】
[098] いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.2%~約1.5%の懸濁化剤、例えば、全範囲及びその間の値を含み、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、又は約1.5%の懸濁化剤を含む。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.2%~約1.0%の懸濁化剤を含む。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.5%~約0.9%の懸濁化剤を含む。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.6%~約0.8%の懸濁化剤を含む。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.6%~約0.7%の懸濁化剤を含む。
【0080】
[099] いくつかの実施形態において、本開示の水性懸濁医薬組成物は等張化剤を含む。いくつかの実施形態において、等張化剤は、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、及びグリセリンからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、等張化剤は、デキストロース又はマンニトールである。いくつかの実施形態において、等張化剤はマンニトールである。
【0081】
[100] いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約2%~約10%の等張化剤、例えば、全範囲及びその間の値を含み、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、又は約10%の等張化剤を含む。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約2%~約6%の等張化剤を含む。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約3%~約4%の等張化剤を含む。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約3.4%の等張化剤を含む。
【0082】
[101] いくつかの実施形態において、本開示の水性懸濁医薬組成物は、非経口(例えばIM)調合物のpHを調整及び安定化するために使用され得る緩衝剤を含む。酸緩衝剤の例としては、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、酢酸、メタンスルホン酸、ヒスチジン、コハク酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、エタンスルホン酸などがある。いくつかの実施形態において、本開示の緩衝剤は、クエン酸、リン酸、又は酢酸緩衝剤である。いくつかの実施形態において、緩衝剤はクエン酸緩衝剤である。いくつかの実施形態において、クエン酸緩衝剤はクエン酸ナトリウム二水和物及びクエン酸一水和物を含む。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物のpHは約5~約9の範囲である。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物のpHは約6~約7の範囲である。いくつかの実施形態において、pHは約6である。いくつかの実施形態において、pHは約7である。
【0083】
[102] いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.1%~約1%の緩衝剤、例えば、全範囲及びその間の値を含み、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.55%、約0.6%、約0.65%、約0.7%、約0.75%、約0.8%、約0.85%、約0.9%、約0.95%、又は約1%の緩衝剤を含む。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.1%~約0.5%の緩衝剤を含む。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.1%~約0.3%の緩衝剤を含む。
【0084】
[103] いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.1%~約1%のクエン酸ナトリウム二水和物、例えば、全範囲及びその間の値を含み、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.55%、約0.6%、約0.65%、約0.7%、約0.75%、約0.8%、約0.85%、約0.9%、約0.95%、又は約1%のクエン酸ナトリウム二水和物を含む。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.1%~約0.5%のクエン酸ナトリウム二水和物を含む。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.1%~約0.3%のクエン酸ナトリウム二水和物を含む。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.17%のクエン酸ナトリウム二水和物を含む。
【0085】
[104] いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.005%~約0.02%のクエン酸一水和物、例えば、全範囲及びその間の値を含み、約0.005%、約0.006%、約0.008%、約0.010%、約0.012%、約0.014%、約0.016%、約0.018%、又は約0.02%のクエン酸一水和物を含む。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.005%~約0.015%のクエン酸一水和物を含む。いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、組成物の体積あたり重量で約0.010%のクエン酸一水和物を含む。
【0086】
[105] いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、ブレキサノロン、並びに界面活性剤、懸濁化剤、等張化剤、及び緩衝剤からなる群から選択される1種以上の薬学的に許容できる賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、組成物は単回筋肉内注射として投与される。
【0087】
[106] いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、ブレキサノロン、1種以上の界面活性剤、1種以上の懸濁化剤、等張化剤、及び緩衝剤を含む。いくつかの実施形態において、組成物は単回筋肉内注射として投与される。
【0088】
[107] 本開示のいくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、ERブレキサノロン-Bの以下の単位処方を含む。
【0089】
【表1】
【0090】
[108] 本開示のいくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物は、ERブレキサノロン-Aの以下の単位処方を含む:
【0091】
【表2】
【0092】
[109] いくつかの実施形態において、開示される組成物は保存剤をさらに含む。保存剤は、細菌成長を阻害し、又は活性薬剤の劣化を防ぐために使用され得る。非経口製剤に好適な保存剤には、アスコルビン酸、アセチルシステイン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、クロルブタノール(chlorbutanol)、クロルヘキシデン(chlorhexidene)、m-クレゾール、2-エトキシエタノール、ヒト血清アルブミン、モノチオグリセロール、パラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチル、及び組合せ)、フェノール、フェニル水銀塩(酢酸塩、ホウ酸塩、硝酸塩)、ソルビン酸、亜硫酸塩(亜硫酸水素塩及びメタ重亜硫酸塩)、及びチメロサールがある。いくつかの実施形態において、保存剤は、アスコルビン酸、グルタチオン、又はアミノ酸などの酸化防止剤である。酸化防止剤として有用なアミノ酸には、メチオニン、システイン、及びL-アルギニンがある。
【0093】
[110] いくつかの実施形態において、医薬組成物はシクロデキストリンを実質的に含まない。いくつかの実施形態において、医薬組成物はスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンを実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、医薬組成物が検出可能な量シクロデキストリン若しくはスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンを含まないか、又は一例において0.1%未満、別の例において0.05%未満、さらに別の例において0.01%未満、さらに別の例において0.005%未満、さらに別の例において0.001%未満などの0.1%未満のシクロデキストリン又はスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンを含むことを意味し、パーセントは医薬組成物の総重量に基づいている。
【0094】
[111] いくつかの実施形態において、開示される医薬組成物は、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)及び1種以上の薬学的な許容できる賦形剤を含む粒子を含み、神経活性ステロイドはγアミノ酪酸A型(GABA)受容体の正の調節因子であり;粒子は、約1.5μm~約15μmの範囲の粒径を有する大粒子及び約0.2μm~約1.5μmの範囲の粒径を有する小粒子を含み;且つ、粒子の約0.01%~約50%は小粒子であり、粒子の約50%~99.99%は大粒子であり、パーセンテージは測定される粒子の総カウントに基づいている。いくつかの実施形態において、大粒子は、一例において2.0~6.0μmの範囲の平均粒径、別の例において3.0~5.0μmの範囲の平均粒径、さらに別の例において0.4~1.3μmの範囲の平均粒径、及びさらなる例において0.5~0.9μmの範囲の粒径を有する。医薬組成物のいくつかの実施形態又は例において、粒子は本明細書に開示される安定化された粒子であり得る。
【0095】
薬物動態
[112] いくつかの実施形態において、約30mgのブレキサノロン(100mg/mL)の単回筋肉内注射時に、本開示の医薬組成物は、投与後少なくとも約168時間から約336時間の間(例えば、全範囲及びその間の値を含んで、約168時間、約192時間、約216時間、約240時間、約264時間、約288時間、約312時間、又は約336時間)、少なくとも約10ng・時/mL/日以上であるブレキサノロンの平均の1日あたりのAUCを与えるように製剤される。いくつかの実施形態において、ブレキサノロンの平均の1日あたりのAUCは、約168時間から約336時間の間、全範囲及びその間の値を含み、少なくとも10ng・時/mL/日、約11ng・時/mL/日、約12ng・時/mL/日、約13ng・時/mL/日、約14ng・時/mL/日、約15ng・時/mL/日、約16ng・時/mL/日、約17ng・時/mL/日、約18ng・時/mL/日、約19ng・時/mL/日、約20ng・時/mL/日、約21ng・時/mL/日、約22ng・時/mL/日、約23ng・時/mL/日、約24ng・時/mL/日、約25ng・時/mL/日、約26ng・時/mL/日、約27ng・時/mL/日、約28ng・時/mL/日、約29ng・時/mL/日、約30ng・時/mL/日、約31ng・時/mL/日、約32ng・時/mL/日、約33ng・時/mL/日、約34ng・時/mL/日、又は約35ng・時/mL/日である。いくつかの実施形態において、ブレキサノロンは約3μmの粒径を有する。
【0096】
[113] いくつかの実施形態において、約100mgのブレキサノロン(100mg/mL又は300mg/mL)の単回筋肉内注射時に、本開示の医薬組成物は、投与後少なくとも約168時間から約336時間の間(例えば、全範囲及びその間の値を含んで、約168時間、約192時間、約216時間、約240時間、約264時間、約288時間、約312時間、又は約336時間)、少なくとも約50ng・時/mL/日以上であるブレキサノロンの平均の1日あたりのAUCを与えるように製剤される。いくつかの実施形態において、ブレキサノロンの平均の1日あたりのAUCは、約168時間から約336時間の間、全範囲及びその間の値を含み、少なくとも50ng・時/mL/日、約51ng・時/mL/日、約52ng・時/mL/日、約53ng・時/mL/日、約54ng・時/mL/日、約55ng・時/mL/日、約56ng・時/mL/日、約57ng・時/mL/日、約58ng・時/mL/日、約59ng・時/mL/日、約60ng・時/mL/日、約61ng・時/mL/日、約62ng・時/mL/日、約63ng・時/mL/日、約64ng・時/mL/日、約65ng・時/mL/日、約66ng・時/mL/日、約67ng・時/mL/日、約68ng・時/mL/日、約69ng・時/mL/日、約70ng・時/mL/日、約71ng・時/mL/日、約72ng・時/mL/日、約73ng・時/mL/日、約74ng・時/mL/日、約75ng・時/mL/日、約76ng・時/mL/日、約77ng・時/mL/日、約78ng・時/mL/日、約79ng・時/mL/日、約80ng・時/mL/日、約81ng・時/mL/日、又は約82ng・時/mL/日である。いくつかの実施形態において、ブレキサノロンは約3μmの粒径を有する。
【0097】
[114] いくつかの実施形態において、約300mgのブレキサノロン(100mg/mL又は300mg/mL)の単回筋肉内注射時に、本開示の組成物は、投与後少なくとも約168時間から約336時間の間(例えば、全範囲及びその間の値を含んで、約168時間、約192時間、約216時間、約240時間、約264時間、約288時間、約312時間、又は約336時間)、少なくとも約200ng・時/mL/日以上であるブレキサノロンの平均の1日あたりのAUCを与えるように製剤される。いくつかの実施形態において、ブレキサノロンの平均の1日あたりのAUCは、全範囲及びその間の値を含み、約195ng・時/mL/日、約196ng・時/mL/日、約197ng・時/mL/日、約198ng・時/mL/日、約199ng・時/mL/日、200ng・時/mL/日、約201ng・時/mL/日、約202ng・時/mL/日、約203ng・時/mL/日、約204ng・時/mL/日、約205ng・時/mL/日、約206ng・時/mL/日、約207ng・時/mL/日、約208ng・時/mL/日、約209ng・時/mL/日、約210ng・時/mL/日、約211ng・時/mL/日、約212ng・時/mL/日、約213ng・時/mL/日、約214ng・時/mL/日、約215ng・時/mL/日、約216ng・時/mL/日、約217ng・時/mL/日、約218ng・時/mL/日、約219ng・時/mL/日、約220ng・時/mL/日、約221ng・時/mL/日、約222ng・時/mL/日、約223ng・時/mL/日、約224ng・時/mL/日、約225ng・時/mL/日、約226ng・時/mL/日、約227ng・時/mL/日、約228ng・時/mL/日、約229ng・時/mL/日、約230ng・時/mL/日、約231ng・時/mL/日、約232ng・時/mL/日、約233ng・時/mL/日、約234ng・時/mL/日、約235ng・時/mL/日、約236ng・時/mL/日、約237ng・時/mL/日、約238ng・時/mL/日、約239ng・時/mL/日、約240ng・時/mL/日、約241ng・時/mL/日、約242ng・時/mL/日、約243ng・時/mL/日、約244ng・時/mL/日、約245ng・時/mL/日、約246ng・時/mL/日、約247ng・時/mL/日、約248ng・時/mL/日、約249ng・時/mL/日、又は約250ng・時/mL/日である。いくつかの実施形態において、ブレキサノロンの平均の1日あたりのAUCは約168時間から約336時間の間維持される。いくつかの実施形態において、ブレキサノロンは約3μmの粒径を有する。
【0098】
[115] いくつかの実施形態において、約30mg~約300mgのブレキサノロン(100mg/mL又は300mg/mL)の筋肉内注射時に、本開示の組成物は、約1ng/mL~約50ng/mL、例えば、全範囲及びその間の値を含み、約1ng/mL、約2ng/mL、約3ng/mL、約4ng/mL、約5ng/mL、約6ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約16ng/mL、約17ng/mL、約18ng/mL、約19ng/mL、約20ng/mL、約21ng/mL、約22ng/mL、約23ng/mL、約24ng/mL、約25ng/mL、約26ng/mL、約27ng/mL、約28ng/mL、約29ng/mL、約30ng/mL、約31ng/mL、約32ng/mL、約33ng/mL、約34ng/mL、約35ng/mL、約36ng/mL、約37ng/mL、約38ng/mL、約39ng/mL、約40ng/mL、約41ng/mL、約42ng/mL、約43ng/mL、約44ng/mL、約45ng/mL、約46ng/mL、約47ng/mL、約48ng/mL、約49ng/mL、又は約50ng/mLのブレキサノロンのCmax,1を与えるように製剤される。いくつかの実施形態において、ブレキサノロンは約3μmの粒径を有する。
【0099】
[116] いくつかの実施形態において、約30mg~約300mgのブレキサノロン(100mg/mL又は300mg/mL)の筋肉内注射時に、本開示の組成物は、約1ng/mL~約15ng/mL、例えば、全範囲及びその間の値を含み、約1ng/mL、約2ng/mL、約3ng/mL、約4ng/mL、約5ng/mL、約6ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、又は約15ng/mLのブレキサノロンのCmax,2を与えるように製剤される。いくつかの実施形態において、ブレキサノロンは約3μmの粒径を有する。
【0100】
[117] いくつかの実施形態において、約30mg~約300mgのブレキサノロン(100mg/mL又は300mg/mL)の筋肉内注射時に、本開示の組成物は、約1ng/mL~約15ng/mL、例えば、全範囲及びその間の値を含み、約1ng/mL、約2ng/mL、約3ng/mL、約4ng/mL、約5ng/mL、約6ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、又は約15ng/mLの2週間にわたるブレキサノロンのCavgを与えるように製剤される。いくつかの実施形態において、ブレキサノロンは約3μmの粒径を有する。
【0101】
[118] いくつかの実施形態において、本開示の水性懸濁医薬組成物は、筋肉内投与後に、参照リスト製品(reference listed product)(例えば、ZULRESSO(商標))の平均定常状態曝露の約80%~約125%の範囲内のブレキサノロンの平均定常状態曝露(Css)を達成する。いくつかの実施形態において、組成物は、筋肉内投与後52ng/mL~約79ng/mLの約80%~約125%の範囲内のブレキサノロンの平均定常状態曝露を達成する。
【0102】
[119] いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物が約100mgのブレキサノロンを含む場合、組成物は、筋肉内投与後52ng/mL~約79ng/mLの約80%~約125%の範囲内のブレキサノロンの平均定常状態曝露を達成する。
【0103】
[120] いくつかの実施形態において、水性懸濁医薬組成物が約300mgのブレキサノロンを含む場合、組成物は、筋肉内投与後52ng/mL~約79ng/mLの約80%~約125%の範囲内のブレキサノロンの平均定常状態曝露を達成する。
【0104】
[121] いくつかの実施形態において、本開示の水性懸濁医薬組成物は、筋肉内投与後約20ng/mL~約80ng/mLのブレキサノロンの有効血漿濃度を達成する。いくつかの実施形態において、組成物は、筋肉内投与後約45ng/mL~約65ng/mLのブレキサノロンの有効血漿濃度を達成する。いくつかの実施形態において、組成物は、筋肉内投与後約30ng/mL~約60ng/mLのブレキサノロンの有効血漿濃度を達成する。いくつかの実施形態において、組成物は、筋肉内投与後約20ng/mL~約50ng/mLのブレキサノロンの有効血漿濃度を達成する。いくつかの実施形態において、組成物は、筋肉内投与後約50ng/mLのブレキサノロンの有効血漿濃度を達成する。
【0105】
[122] いくつかの実施形態において、ブレキサノロンの有効血漿濃度の少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%が、単回投与量の本明細書に開示される水性懸濁医薬組成物の筋肉内投与後約50時間を超える期間の間維持される。いくつかの実施形態において、ブレキサノロンの有効血漿濃度の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、又は75%が、単回投与量の本明細書に開示される水性懸濁医薬組成物の筋肉内投与後約100時間を超える期間の間維持される。いくつかの実施形態において、ブレキサノロンの有効血漿濃度の少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、又は65%が、単回投与量の本明細書に開示される水性懸濁医薬組成物の筋肉内投与後約300時間を超える期間の間維持される。
【0106】
[123] いくつかの実施形態において、本明細書に開示される水性懸濁医薬組成物は、筋肉内投与後約9時間を超えるブレキサノロンの平均終末相消失半減期(T1/2)を達成する。いくつかの実施形態において、組成物は、筋肉内投与後約10時間を超えるブレキサノロンの平均終末相消失半減期を達成する。
【0107】
[124] いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)は、少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は60日間、Cmaxの約10%、15%、20%、25%、又は30%を超える血漿濃度を維持する。神経活性ステロイドは、一例において少なくとも約10日間Cmaxの約10%超、別の例において少なくとも約10日間Cmaxの15%、さらに別の例において少なくとも約10日間Cmaxの20%、さらに別の例において少なくとも約10日間Cmaxの25%、さらに別の例において少なくとも約10日間Cmaxの35%、別の例において少なくとも約20日間Cmaxの10%、別の例において少なくとも約20日間Cmaxの15%、さらに別の例において少なくとも約20日間Cmaxの25%、さらに別の例において少なくとも約20日間Cmaxの35%、別の例において少なくとも約30日間Cmaxの10%、別の例において少なくとも約30日間Cmaxの15%、さらに別の例において少なくとも約30日間Cmaxの25%、さらに別の例において少なくとも約30日間Cmaxの35%、別の例において少なくとも約40日間Cmaxの10%、別の例において少なくとも約40日間Cmaxの15%、さらに別の例において少なくとも約40日間Cmaxの25%、さらに別の例において少なくとも約40日間Cmaxの35%、別の例において少なくとも約50日間Cmaxの10%、別の例において少なくとも約50日間Cmaxの15%、さらに別の例において少なくとも約50日間Cmaxの25%、さらに別の例において少なくとも約50日間Cmaxの35%、別の例において少なくとも約60日間Cmaxの10%、別の例において少なくとも約60日間Cmaxの15%、さらに別の例において少なくとも約60日間Cmaxの25%、さらに別の例において少なくとも約60日間Cmaxの35%、別の例において少なくとも約60日以上Cmaxの10%、別の例において少なくとも約60日以上Cmaxの15%、さらに別の例において少なくとも約60日以上Cmaxの25%、又はさらに別の例において少なくとも約60日以上Cmaxの35%の血漿濃度を維持できる。ある特定の例において、神経活性ステロイドは、少なくとも約30日間Cmaxの約15%を超える血漿濃度を維持できる。いくつかの実施形態において、血漿濃度は、本明細書に開示される水性懸濁医薬組成物の単回投与の後に維持される。いくつかの実施形態において、単回投与量は筋肉内注射により投与される。
【0108】
[125] いくつかの実施形態において、医薬組成物は対象に1回以上投与されて、対象における1ng/mL~約100ng/mLの範囲の神経活性ステロイドの血漿濃度に達することができる。一実施形態において、神経活性ステロイドは1回以上投与されて、血漿濃度が約10ng/mL~約100ng/mLの範囲に維持され得る。別の実施形態において、神経活性ステロイドは1回以上投与されて、血漿濃度が約10ng/mL~約80ng/mLの範囲に維持され得る。さらに別の実施形態において、神経活性ステロイドは1回以上投与されて、血漿濃度が約10ng/mL~約50ng/mLの範囲に維持され得る。さらに別の実施形態において、神経活性ステロイドは1回以上投与されて、血漿濃度が約10ng/mL~約40ng/mLの範囲に維持され得る。
【0109】
[126] いくつかの実施形態において、(例えばブレキサノロンの)Cmaxは約1ng/mL~約100ng/mLである。いくつかの実施形態において、Cmaxは少なくとも約1ng/mLである。いくつかの実施形態において、Cmaxは高くても約100ng/mLである。いくつかの実施形態において、Cmaxは、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約40ng/mL、約1ng/mL~約60ng/mL、約1ng/mL~約80ng/mL、約1ng/mL~約100ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約10ng/mL~約40ng/mL、約10ng/mL~約60ng/mL、約10ng/mL~約80ng/mL、約10ng/mL~約100ng/mL、約20ng/mL~約40ng/mL、約20ng/mL~約60ng/mL、約20ng/mL~約80ng/mL、約20ng/mL~約100ng/mL、約40ng/mL~約60ng/mL、約40ng/mL~約80ng/mL、約40ng/mL~約100ng/mL、約60ng/mL~約80ng/mL、約60ng/mL~約100ng/mL、又は約80ng/mL~約100ng/mLである。いくつかの実施形態において、Cmaxは、約1ng/mL、約10ng/mL、約20ng/mL、約40ng/mL、約60ng/mL、約80ng/mL、又は約100ng/mLである。特定の例において、Cmaxは20~90ng/mLの範囲である。いくつかの実施形態において、上述のCmax値は、本明細書に開示される水性懸濁医薬組成物の単回投与の後に達成される。いくつかの実施形態において、単回投与量は筋肉内注射により投与される。
【0110】
[127] いくつかの実施形態において、単回投与量は体重のキログラムあたり3mg~約5mgの範囲であり、及び/又は神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)は少なくとも約5日間約10ng/mLを超える血漿濃度を維持する。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドは、少なくとも約10、20、30、40、50、又は60日間、10、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100ng/mLを超える血漿濃度を維持する。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドは、一実施形態において少なくとも約10日間10ng/mL超、別の実施形態において少なくとも約10日間20ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約10日間30ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約10日間40ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約10日間50ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約10日間60ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約10日間70ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約10日間80ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約10日間90ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約10日間100ng/mL超、一実施形態において少なくとも約20日間10ng/mL超、別の実施形態において少なくとも約20日間20ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約20日間30ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約20日間40ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約20日間50ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約20日間60ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約20日間70ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約20日間80ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約20日間90ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約20日間100ng/mL超、一実施形態において少なくとも約30日間10ng/mL超、別の実施形態において少なくとも約30日間20ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約30日間30ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約30日間40ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約30日間50ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約30日間60ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約30日間70ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約30日間80ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約30日間90ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約30日間100ng/mL超、一実施形態において少なくとも約40日間10ng/mL超、別の実施形態において少なくとも約40日間20ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約40日間30ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約40日間40ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約40日間50ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約40日間60ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約40日間70ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約40日間80ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約40日間90ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約40日間100ng/mL超、一実施形態において少なくとも約50日間10ng/mL超、別の実施形態において少なくとも約50日間20ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約50日間30ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約50日間40ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約50日間50ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約50日間60ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約50日間70ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約50日間80ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約50日間90ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約50日間100ng/mL超、一実施形態において少なくとも約60日間10ng/mL超、別の実施形態において少なくとも約60日間20ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約60日間30ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約60日間40ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約60日間50ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約60日間60ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約60日間70ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約60日間80ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約60日間90ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約60日間100ng/mL超、一実施形態において少なくとも約60日以上10ng/mL超、別の実施形態において少なくとも約60日以上20ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約60日以上30ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約60日以上40ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約60日以上50ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約60日以上60ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約60日以上70ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約60日以上80ng/mL超、さらに別の実施形態において少なくとも約60日以上90ng/mL超、及びさらに別の実施形態において少なくとも約60日以上100ng/mL超の血漿濃度を維持する。さらなる一実施形態において、神経活性ステロイドは、少なくとも約30日間20ng/mL超の血漿濃度を維持する。いくつかの実施形態において、上述の血漿濃度は、本明細書に開示される水性懸濁医薬組成物の単回投与後に維持される。いくつかの実施形態において、単回投与量は筋肉内注射により投与される。
【0111】
[128] いくつかの実施形態において、医薬組成物は、筋肉内又は皮下注射による医薬組成物の単回投与の約1時間以内に、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%未満を放出する。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、筋肉内又は皮下注射により対象に投与される医薬組成物の単回投与の約1時間以内に、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の約0.1%から約50%を放出する。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、筋肉内又は皮下注射により対象に投与される医薬組成物の単回投与の約1時間以内に、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の約0.1%~約50%を放出する。いくつかの実施形態において、医薬組成物は神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の多くても約50%を放出する。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、筋肉内又は皮下注射により対象に投与される医薬組成物の単回投与の約1時間以内に、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の約0.1%~約0.5%、約0.1%~約1%、約0.1%~約5%、約0.1%~約10%、約0.1%~約20%、約0.1%~約50%、約0.5%~約1%、約0.5%~約5%、約0.5%~約10%、約0.5%~約20%、約0.5%~約50%、約1%~約5%、約1%~約10%、約1%~約20%、約1%~約50%、約5%~約10%、約5%~約20%、約5%~約50%、約10%~約20%、約10%~約50%、又は約20%~約50%を放出する。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、筋肉内又は皮下注射により対象に投与される医薬組成物の単回投与の約1時間以内に、神経活性ステロイド(例えばブレキサノロン)の約0.1%、約0.5%、約1%、約5%、約10%、約20%、又は約50%を放出する。放出のパーセンテージは、神経活性ステロイドの測定された血漿濃度及び対象に投与される医薬組成物の単回投与量中の神経活性ステロイドの総量に基づいている。
【0112】
[129] いくつかの実施形態において、医薬組成物は、筋肉内又は皮下注射による単回投与後24時間で、静脈内投与による同じ投与と比較して約2%~50%の相対的バイオアベイラビリティ(バイオアベイラビリティ(IM/SC)/バイオアベイラビリティIV)を有する。いくつかの実施形態において、相対的バイオアベイラビリティは約2%~約50%である。いくつかの実施形態において、相対的バイオアベイラビリティは少なくとも約2%である。いくつかの実施形態において、相対的バイオアベイラビリティは高くても約50%である。いくつかの実施形態において、相対的バイオアベイラビリティは、約2%~約5%、約2%~約10%、約2%~約20%、約2%~約30%、約2%~約40%、約2%~約50%、約5%~約10%、約5%~約20%、約5%~約30%、約5%~約40%、約5%~約50%、約10%~約20%、約10%~約30%、約10%~約40%、約10%~約50%、約20%~約30%、約20%~約40%、約20%~約50%、約30%~約40%、約30%~約50%、又は約40%~約50%である。いくつかの実施形態において、相対的バイオアベイラビリティは、約2%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、又は約50%である。
【0113】
[130] いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドは、対象における血漿濃度を、約1日~約100日間、Cmaxの約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、又は60%を超えるレベルで維持できる。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドは、対象における血漿濃度を、少なくとも約1日間、Cmaxの約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、又は60%を超えるレベルで維持できる。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドは、対象における血漿濃度を、長くても約100日間、Cmaxの約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、又は60%を超えるレベルで維持できる。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドは、対象における血漿濃度を、約1日~約5日間、約1日~約10日間、約1日~約20日間、約1日~約30日間、約1日~約50日間、約1日~約100日間、約5日~約10日間、約5日~約20日間、約5日~約30日間、約5日~約50日間、約5日~約100日間、約10日~約20日間、約10日~約30日間、約10日~約50日間、約10日~約100日間、約20日~約30日間、約20日~約50日間、約20日~約100日間、約30日~約50日間、約30日~約100日間、又は約50日~約100日間、Cmaxの約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、又は60%を超えるレベルで維持できる。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドは、対象における血漿濃度を、約1日、約5日、約10日、約20日、約30日、約50日、又は約100日間、Cmaxの約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、又は60%を超えるレベルで維持できる。
【0114】
投与
[131] いくつかの実施形態において、医薬組成物は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄、又は表皮投与(例えば、注射又は注入による)に好適である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は筋肉内投与に好適である。投与経路によっては、有効成分を、酸の作用及びそれを不活性にし得る他の天然の条件からそれを保護する材料中に被覆され得る。本明細書で使用される句「非経口投与」は、腸内及び外用投与以外の、通常注射による投与様式を意味し、非限定的に、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、硬膜外、及び胸骨内注射及び注入がある。医薬組成物は、滅菌された水溶液又は分散液の形態であり得る。医薬組成物は、マイクロエマルション、リポソーム、又は高い薬物濃度に好適な他の秩序だった構造中に製剤することもできる。
【0115】
[132] いくつかの実施形態において、医薬組成物は、対象に、ボーラス注入、連続単回注射、又はこれらの組合せなどの単回投与筋肉内(IM)注射、皮下(SC)注射、又はこれらの組合せで投与される。医薬組成物は、対象に、1秒~約180分の範囲の期間内で投与できる。医薬組成物は、対象に、一例において約1秒~約180分、別の例において1分~約180分、さらに別の例において5分~約180分、さらに別の例において10分~約180分、さらに別の例において20分~約180分、さらに別の例において40分~約180分、さらに別の例において50分~約180分、さらに別の例において60分~約180分の範囲の期間内、又は範囲内の任意の時間の1つの値(any time one value)で投与できる。さらなる例において、医薬組成物は、対象に、1秒~約150分、1秒~約100分、1秒~約80分、1秒~約60分、1秒~約30分、1秒~約10分、1秒~約5分、及びさらに別の例において1秒~約1分の範囲の期間内に投与できる。特定の例において、医薬組成物は、対象にワンショット単回注射で投与できる。
【0116】
[133] いくつかの場合において、薬学的に有効な量の神経活性ステロイドを含む医薬組成物は、対象に、筋肉内(IM)注射、皮下(SC)注射、又はこれらの組合せによる、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10回の単回投与注射など、1回以上の注射で投与できる。1回以上の注射は、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、3日、4日、5日、6日、7日、2週間、3週間、4週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、又は6か月ごとに1回の注射など、特定される時間間隔で投与できる。いくつかの場合において、医薬組成物は、対象に、6か月ごとに1つの単回投与IM又はSC注射で投与できる。いくつかの場合において、医薬組成物は、対象に、60日ごとに1つの単回投与IM又はSC注射で投与できる。
【0117】
治療及び予防の方法
[134] 本開示は、それを必要とする対象における神経学的病態を治療又は予防する方法であって、対象に、治療上有効な投与量の本明細書に開示される医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0118】
[135] いくつかの実施形態において、神経学的病態は、外傷性脳損傷、アルツハイマー病、パーキンソン病、軽度認知機能障害(MCI)、てんかん、発作、焦点起始発作、PCDH19小児てんかん、小児遺伝性てんかん、CDKL5欠損症(CDD)、月経関連性てんかん、乳児けいれん、不安、脆弱X振戦-失調症候群、リソソーム蓄積症(ニーマン・ピック病C型)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、産後うつ病(PPD)、大うつ病性障害(MDD)、月経前不機嫌性障害(PMDD)、持続性抑うつ障害(PDD)、双極性障害、季節性情動障害(SAD)、二次性うつ病、ポストフィナステリド症候群、アルコール渇望、禁煙、気分障害、統合失調症、及び他の神経性、精神性、又は神経筋疾患からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、神経学的病態は産後うつ病(PPD)である。
【0119】
[136] いくつかの実施形態において、本開示は、それを必要とする対象における産後うつ病を治療又は予防する方法であって、対象に、治療上有効な投与量の本明細書に開示される医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0120】
[137] いくつかの実施形態において、医薬組成物は、前記対象に筋肉内(IM)注射により投与される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約30mg~約1000mg、例えば、全範囲及びその間の値を含み、約30mg;約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、又は約1000mgのブレキサノロンを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は約30mg~約500mgのブレキサノロンを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は約30mg~約300mgのブレキサノロンを含む。いくつかの実施形態において、30mgのブレキサノロンが筋肉内注射により2週ごとに1回投与される。いくつかの実施形態において、30mgのブレキサノロンが筋肉内注射により4週ごとに1回投与される。いくつかの実施形態において、30mgのブレキサノロンが筋肉内注射により6週ごとに1回投与される。いくつかの実施形態において、100mgのブレキサノロンが筋肉内注射により2週ごとに1回投与される。いくつかの実施形態において、100mgのブレキサノロンが筋肉内注射により4週ごとに1回投与される。いくつかの実施形態において、100mgのブレキサノロンが筋肉内注射により6週ごとに1回投与される。いくつかの実施形態において、300mgのブレキサノロンが筋肉内注射により2週ごとに1回投与される。いくつかの実施形態において、300mgのブレキサノロンが筋肉内注射により4週ごとに1回投与される。いくつかの実施形態において、300mgのブレキサノロンが筋肉内注射により6週ごとに1回投与される。
【0121】
[138] 本方法のいくつかの実施形態において、投与することは、(a)最初の投与量の本開示の医薬組成物を対象に投与すること;及び(b)任意選択で、第2の投与量又はその後の投与量の本開示の医薬組成物を投与することを含み、第2の投与量又はその後の投与量は、ブレキサノロンの治療上有効な血漿濃度を維持するのに必要と思われる時点で投与される。
【0122】
[139] いくつかの実施形態において、ブレキサノロンの最初の投与量とその後の投与量は同じである。いくつかの実施形態において、投与量は、約30mg~約500mg、例えば、全範囲及びその間の値を含んで、約30mg;約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約400mg、約500mgのブレキサノロンを含む。いくつかの実施形態において、投与量は30mgのブレキサノロンを含む。いくつかの実施形態において、投与量は100mgのブレキサノロンを含む。いくつかの実施形態において、投与量は300mgのブレキサノロンを含む。
【0123】
[140] いくつかの実施形態において、ブレキサノロンの最初の投与量とその後の投与量は異なる。いくつかの実施形態において、ブレキサノロンの最初の投与量はその後の投与量より多い。いくつかの実施形態において、最初の投与量は、約30mg~約500mg、例えば、全範囲及びその間の値を含んで、約30mg;約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約400mg、約500mgのブレキサノロンを含む。いくつかの実施形態において、最初の投与量は30mgのブレキサノロンを含む。いくつかの実施形態において、最初の投与量は100mgのブレキサノロンを含む。いくつかの実施形態において、最初の投与量は300mgのブレキサノロンを含む。
【0124】
[141] 本開示の対象は乳汁分泌中であり得て、例えば、乳汁分泌し、哺乳し、又は授乳している女性である。対象は、妊娠後の乳汁分泌中の女性であり得る。対象は乳汁分泌誘発中の女性でもあり得る。CDCガイドライン(https://www.cdc.gov/breastfeeding/breastfeeding-special-circumstances/maternal-or-infant-illnesses/postpartum-depression.html)及び最近の研究に基づくと、乳汁及び血漿中のアロプレグナノロン(ALLO)濃度は低く、BRXは母乳で育てられている乳児への低リスクと関連する(Hoffmann, et al., Obstetrics & Gynecology, Volume 133, p 115S, May 2019及びHoffmann, et al., American Journal of Obstetrics & Gynecology, S554 Supplement to JANUARY 2019)。
【0125】
[142] いくつかの実施形態において、対象は産後1日~24か月の範囲であり得る。いくつかの実施形態において、対象は子供を出産した1日から12か月後の女性であり得る。いくつかの実施形態において、対象は、1~6時間ごと、1~5時間ごと、1~4時間ごと、1~3時間ごと、又は1~2時間ごとに乳児に授乳し得る。
【0126】
[143] いくつかの実施形態において、単回投与量のそれぞれは、対象の投与前授乳と引き続く投与後授乳の間に対象に投与され、ここで、引き続く投与後授乳は、投与前授乳の完了後約30分~約360分の範囲である。引き続く投与後授乳は、投与前授乳の完了後、約30分~約360分、30分~約300分、30分~約240分、30分~約180分、又は30分~約120分、又は30分~約60分の範囲であり得る。
【0127】
[144] 治療スケジュールの例の代表的な図解は図19Aに示される。いくつかの場合において、女性は投与前授乳を彼女の乳児に自宅で与えることができる。投与前授乳後、女性は施設に行き、筋肉内(IM)注射又は皮下(SC)注射により単回投与量の医薬組成物の投与を受けることができる。注射は、数秒から2~5分の範囲など、数分で完了し得る。いくつかの場合において、単回投与量は、女性に、1秒から1分で、1分で、2分で、3分で、4分で、又は5分で投与できる。注射後に、女性は、自宅又は乳児が位置する場所に戻ることができる。女性は、投与前授乳の終了から6時間未満など、投与後授乳を乳児に与えることができる(図19B)。
【0128】
[145] いくつかの場合において、疾患を治療する医薬品を製造するための、少なくとも1種の神経活性ステロイド及び1種以上の薬学的な許容できる賦形剤を含む粒子の使用が本明細書に開示され、ここで、前記疾患は、乳汁分泌している対象における産後うつ病(PPD)を含み;医薬品は、筋肉内(IM)注射、皮下(SC)注射、又はこれらの組合せによる1つ以上の単回投与量で対象に投与され、単回投与量のそれぞれは、数秒から約30分の範囲の期間で対象に投与され;神経活性ステロイドはガンマ-アミノ酪酸(GABA)A受容体の正の調節因子であり;単回投与量のそれぞれは、対象の投与前授乳と引き続く投与後授乳の間に対象に投与され;単回投与量のそれぞれは、投与前授乳の完了後1分~約360分及び投与後授乳を開始する約5分から約360分前の範囲で対象に投与される。
【0129】
[146] 出産直後、プロゲステロンレベル及びALLOレベルは両方とも急激に低下する。この突然の低下が傷つきやすい女性においてPPDを引き起こし得ることが仮説とされてきた。出産でのALLOの急速な減少が、少なくとも一部分、傷つきやすい女性におけるPPDのリスクを増加し得るという仮説により、PPDの治療のための短期ALLO補充療法の開発に至った。特定の理論には拘束されないが、本明細書に開示される延長放出水性懸濁医薬組成物を投与することは、少なくともPPDの発症に寄与すると考えられている生理学的アロプレグナノロンレベルの急速な低下を回避し得る有効量のブレキサノロンの長い継続期間を与える。
【0130】
[147] いくつかの実施形態において、本開示は、それを必要とする対象における産後うつ病(PPD)を予防する方法であって、対象のうつ病診断データ及び妊娠データを含む対象のうつ病評価データを得るか又は得るようにさせること;うつ病評価データに基づいてリスク予測データを生成させること;リスク予測データが対象におけるPPDの高いリスクを示す場合、PPDの臨床的発症の前に、薬学的に有効な量の神経活性ステロイドを含む医薬組成物(例えば本明細書に開示される水性懸濁医薬組成物)を対象に投与することを含み、神経活性ステロイドがガンマ-アミノ酪酸(GABA)A受容体の正の調節因子であり;且つ、うつ病評価データが得られる時点で対象がPPDと診断されていない方法を対象とする。
【0131】
[148] 患者などの対象のうつ病評価データは、医師、看護師、診療看護師、又は他の資格のある医療専門家などの医療専門家により得ることができる。うつ病評価データの一部は、医療専門家の指導の下に患者又は別の人物によっても得ることができる。妊娠データは、対象の尿検査結果、ホルモン検査結果、血液検査結果、超音波検査結果、妊娠のステージ、予測される分娩日(delivery time)、並びに健康及びバイタルデータなどの妊娠の徴候又は健康診断結果を含み得る。うつ病診断データは、過去及び現在のうつ病診断及び検査結果及びデータを含み得る。
【0132】
[149] いくつかの実施形態において、うつ病診断データは、対象の、もしあれば過去のうつ病診断データ、もしあれば以前の妊娠によるうつ病データ、現在のうつ病診断データ、過去のベックうつ病尺度(BDI)値、現在のBDI値、過去のエジンバラ産後うつ病尺度(EPDS)値、現在のEPDS値、過去の産後うつ病予測尺度(PDPI)、現在のPDPI値、過去のSIGH-ADS29評価値、現在のSIGH-ADS29評価値、過去のDSM-IVのための構造化臨床面接(SCID)評価、現在のSCID評価、過去のうつ症状尺度(IDS)評価、現在のIDS評価、過去の簡易うつ症状尺度(QIDS)評価、現在のQIDS評価、臨床医IDS(IDS-C)、臨床医QIDS(QIDS-C)、患者自己記入IDS(IDS-SR)、患者自己記入QIDS(QIDS-SR)、又はこれらの組合せを含み得る。
【0133】
[150] うつ病評価データが得られる時点で対象が産後うつ病(PPD)と診断される場合、対象が、資格のある医療専門家により手当てを受け、そのような資格のある医療専門家により必要であると特定される適切な治療を受けるべきであることが理解される。
【0134】
[151] いくつかの実施形態において、対象は、うつ病評価データが得られる時点でPPDと診断されておらず、リスク予測データはうつ病評価データに基づいて生成され得る。
【0135】
[152] いくつかの実施形態において、PPDを発症する高いリスクがある妊娠中の女性を特定できる。PPDを発症する危険因子の例は、とりわけ、社会階層、妊娠中の日常生活のストレス要因、複雑な妊娠/出産、家族又はパートナーとの難しい関係、家族又は友人からの支援の欠如、精神病理(うつ病、不安)の以前の病歴、産後の慢性ストレス要因(これは、子育て及び難しい乳児の気質の問題を含み得る)、失業又は不安定性、計画外妊娠、妊婦になることへのためらい、自身の母との乏しい関係、性的虐待の履歴、親友がいないこと、人工栄養法、妊娠中のうつ病(これは、PPDの最も強い予測因子である)を含み得る。Osbourneらにより記載される危険因子(Osbourne, et al., Arch Womens Ment Health, 18(1):41-60, 2015 (ePub 2014), doi: 10.1007/s00737-014-0475-y 2014)は好適であり得る。あるデータによれば、以前のPPDの既往歴は、その後の出産の26~57%に起こる、その後の妊娠における再発性PPDの強い指標であり得ることが示される(Munk-Olsen, JAMA Psychiatry. 7(2):213-214, 2020 (2019 online), doi:10.1001/jamapsychiatry.2019.3208)。
【0136】
[153] いくつかの方法及びスケールが、PPDのリスクがある女性を特定するために開発されてきた(Fisher SD, et al., Depress Anxiety. 2019;36:375-383. https://doi.org/10.1002/da.22879; Moreira MWL, et al., Information Fusion, 47:23-31, May 2019, https://doi.org/10.1016/j.inffus.2018.07.001)。産後うつ病予測尺度(PDPI)は、他の方法よりもより多いリスク分野を網羅して包括的であり得る(Beck, J Obstet Gynecol Neonatal Nurs., 31(4):394-402, 2002, doi: 10.1111/j.1552-6909.2002.tb00061.x)。抑うつ症状の重症度を評価するように設計された30項目IDS及び16項目QIDSなどのうつ症状尺度(IDS)及び簡易うつ症状尺度(QIDS)が使用できる。IDS及びQIDSはどちらも、臨床医版(IDS-C及びQIDS-C)及び自己記入版(IDS-SR及びQIDS-SR)で利用できる。
【0137】
[154] いくつかの実施形態において、リスク予測データは、対象のもしあれば過去のうつ病診断データ、もしあれば以前の妊娠によるうつ病データ、現在のうつ病診断データ、過去のベックうつ病尺度(BDI)値、現在のBDI値、過去のエジンバラ産後うつ病尺度(EPDS)値、現在のEPDS値、過去の産後うつ病予測尺度(PDPI)、現在のPDPI値、過去のSIGH-ADS29評価値、現在のSIGH-ADS29評価値、過去のDSM-IVのための構造化臨床面接(SCID)評価、現在のSCID評価、過去のうつ症状尺度(IDS)評価、現在のIDS評価、過去の簡易うつ症状尺度(QIDS)評価、現在のQIDS評価、臨床医IDS(IDS-C)、臨床医QIDS(QIDS-C)、患者自己記入IDS(IDS-SR)、患者自己記入QIDS(QIDS-SR)、診断若しくはリスク予測のための臨床診断(clinician-administered)若しくは患者記入式尺度若しくは報告によりうつ病を評価するために使用される他の尺度若しくは方法又はこれらの組合せを含むうつ病診断データに基づいて生成され得る。
【0138】
[155] うつ病評価データは、対象の妊娠中、妊娠の完了前10週間~0日の範囲、妊娠の完了後0日~24週間の範囲、又はこれらの組合せで得られるか又は得るようにさせることができる。妊娠の完了は、出産又は対象の妊娠のあらゆる他の方法の完了であり得る。
【0139】
[156] いくつかの実施形態において、うつ病評価データは、最初に妊娠中に(本明細書で「第1うつ病評価データ」と称される)、次いで分娩後に(本明細書で「第2うつ病評価データ」と称される)得ることができる。第1うつ病評価データは、一例において第1三半期の間、別の例において第2三半期の間、及びさらに別の例において第3三半期の間など、妊娠中のあらゆる時に得ることができる。第2うつ病評価データは、一例において分娩後1週間、別の例において分娩後2~4週間、さらに別の例において分娩後4~8週間、さらに別の例において分娩後8~12週間、さらに別の例において分娩後12~16週間、さらに別の例において分娩後16~24週間、さらに別の例において分娩後20~24週間、分娩後24週間で、さらに別の例において分娩後24~28週間、又はさらに別の例において分娩後28~48週間など、分娩後のあらゆる時であり得る。
【0140】
[157] いくつかの実施形態において、リスク予測データは、同じ又は異なる方法に基づいて生成させることができる。一例において、BDI値は妊娠中の産前うつ病評価に使用でき、EPDS値は産後うつ病評価に使用できる。いくつかの実施形態において、妊娠中の6を超えるBDI値は、PPDを発症する高いリスクの兆候として選択できる。いくつかの実施形態において、以前の妊娠による過去のうつ病は、PPDを発症する高いリスクの兆候であり得る。
【0141】
[158] いくつかの実施形態において、対象のリアルタイム行動モニタリングを実施して、リアルタイムうつ病評価データを得ることができる。データは気分障害データベースと比較されて、妊娠中、妊娠後、又はこれらの組合せのリアルタイムの対象のリスク予測データが生成され得る。生理学的データ及びパターン認識のための身体姿勢情報を得ることが可能な電極及びセンサーが一体化されたウェアラブルシステムを、リアルタイムうつ病評価データを得るために使用できる。Moreira,MWL.らにより記載される装置及びプロセス(Information Fusion, 2018, doi: 10.1016/j.inffus.2018.07.001)は好適であり得る。いくつかの実施形態において、次第に増加する気分障害不安定性は、PPDを発症する高いリスクの兆候であり得る。いくつかの実施形態において、ウェアラブルシステムは、スマートフォン、スマートフォンで操作できるアプリ、iPhone、iWatch、iPad、ラップトップ、コンピューター、ウェアラブルデジタルデバイス、又はこれらの組合せを含み得る。
【0142】
[159] いくつかの実施形態において、DSM-IVのための構造化臨床面接(SCID)を実施してうつ病評価データを得ることができ、「非定型うつ病の付録つきハミルトンうつ病評価尺度のための構造化面接ガイド」(SIGH-ADS)として知られる症状重症度を評価するために使用できる、SIGH-ADS29、29項目の臨床診断うつ病評価を利用できる。Williams及びTerman(New York: New York State Psychiatric Institute, 2003)及びWisnerら(Journal of Clinical Psychiatry, 78:1369-1375, 2017)により記載される方法は好適であり得る。いくつかの実施形態において、SIGH-ADS29評価の次第に増加する重症度は、PPDを発症する高いリスクの兆候であり得る。
【0143】
[160] いくつかの実施形態において、本開示の方法は、対象のその後のうつ病評価データを得るか又は得るようにさせること、うつ病評価データ及びその後のうつ病評価データに基づいてその後のリスク予測データを生成させること、並びにその後の有効量の神経活性ステロイドを対象に投与するために医薬組成物の用量を調整することを含む。対象のその後のうつ病評価データは、うつ病評価データが得られた後1~24週間の範囲で得ることができる。その後のうつ病評価データは、対象のその後のうつ病診断データ及びその後の妊娠データを含み得る。対象がその後のうつ病評価データに基づいてPPDの臨床的発症と診断される場合、医薬組成物の用量は、PPDの治療に好適に調整されるものとする。その後のうつ病評価データがPPDの発症の進行を示す場合、医薬組成物の用量は、資格のある医療専門家により決定される通り増加するように調整され得る。その後のうつ病評価データがPPDの発症の進行を示さない場合、医薬組成物の用量は、資格のある医療専門家により決定される通り、維持されることも、減少するように調整されることもある。
【0144】
[161] いくつかの実施形態において、本方法は、治療効果(例えば、ハミルトンうつ病スコア(HAM-D)の減少により測定される)を、4、3、2、1日;96、84、72、60、48、24、20、16、12、10、8時間以下以内に与える。
【0145】
[162] いくつかの実施形態において、治療効果は、治療期間の最後の(例えば、投与後12、24、48時間;24、48、72時間以上)HAM-Dスコアのベースラインからの減少により測定される。いくつかの実施形態において、HAM-Dスコアのベースラインからの減少は、重度(例えば、24以上のHAM-Dスコア)から症状なし(例えば、7以下のHAM-Dスコア;寛解)である。いくつかの実施形態において、ベースラインスコアは約10~52(例えば、10、15、又は20超;10~52、12~52、15~52、17~52、20~52、22~52)である。いくつかの実施形態において、ベースラインスコアは、少なくとも10、15、又は20である。いくつかの実施形態において、治療期間の最後のHAM-Dスコアは約0~10(例えば、10未満;0~10、0~6、0~4、0~3、0~2、1.8)である。いくつかの実施形態において、治療期間の最後のHAM-Dスコアは、10、7、5、又は3未満である。いくつかの実施形態において、HAM-Dスコアの減少は、約20~30(例えば、22~28、23~27、24~27、25~27、26~27)のベースラインスコアから、約0~10(例えば、10未満;0~10、0~6、0~4、0~3、0~2、1.8)である治療期間の最後のHAM-Dスコアである。いくつかの実施形態において、治療期間の最後のHAM-Dスコアに対するベースラインHAM-Dスコアの減少は、少なくとも1、2、3、4、5、7、10、25、40、50、又は100倍)である。いくつかの実施形態において、治療期間の最後のHAM-Dスコアに対するベースラインHAM-Dスコアの減少パーセントは少なくとも50%(例えば、60%、70%、80%、90%)である。いくつかの実施形態において、治療効果は、治療期間の最後の(例えば、投与後12、24、48時間;24、48、72時間以上)HAM-Dスコアのベースラインからの少なくとも10、15、又は20ポイントの減少である。いくつかの実施形態において、治療効果は、プラセボ治療により与えられる治療効果に対する、治療期間の最後の(例えば、投与後12、24、48時間;24、48、72時間以上)HAM-Dスコアのベースラインからの少なくとも5、7、又は10ポイント以上の減少である。
【0146】
[163] いくつかの実施形態において、最初の又は単回投与量の投与後に、患者は、総ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)値の少なくとも4ポイント低下を特徴とするうつ病の減少を経験する。いくつかの実施形態において、最初の又は単回投与量の投与後に、患者は、HAM-D値の少なくとも40%減少を特徴とするうつ病の減少を経験する。いくつかの実施形態において、最初の又は単回投与量の投与後に、患者は、HAM-D寛解を特徴とするうつ病の減少を経験する。いくつかの実施形態において、最初の又は単回投与の後に、患者は、HAM-D重症度分類の少なくとも2区分変化を特徴とするうつ病の減少を経験する。
【0147】
[164] いくつかの実施形態において、本方法は、治療効果(例えば、モンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)の減少により測定される)を、4、3、2、1日;96、84、72、60、48、24、20、16、12、10、8時間以下以内に与える。モンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)は、気分障害を有する患者の抑うつエピソードの重症度を測定するために精神科医が使用する10項目の診断質問票(見てわかる悲しみ、報告された悲しみ、内的緊張、睡眠減少、食欲減退、集中困難、倦怠感、感情を持てないこと、悲観的思考、及び自殺思考に関する)である。0~6は正常/症状が無いことを示し;7~19は軽度うつ病を示し;20~34は中程度うつ病を示し;及び34超は重度うつ病を示す。いくつかの実施形態において、治療効果は、治療期間の最後の(例えば、投与後12、24、48時間;24、48、60、72、96時間以上)ベースラインからのMADRSスコアの減少である。いくつかの実施形態において、ベースラインからのMADRSスコアの減少は、重度(例えば、30以上のMADRSスコア)から症状無し(例えば、20以下のMADRSスコア)である。例えば、本明細書に記載される化合物による治療由来の、ベースラインからのMADRS総スコアの平均変化が、約-15、-20、-25、-30である一方で、プラセボによる治療由来の、ベースラインからのMADRS総スコアの平均変化は、約-15、-10、-5である。
【0148】
[165] いくつかの実施形態において、最初の又は単回投与量の投与後に、患者は、モンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)値の少なくとも2ポイント低下を特徴とするうつ病の減少を経験する。いくつかの実施形態において、最初の又は単回投与量の投与後に、患者は、MADRS値の少なくとも40%減少を特徴とするうつ病の減少を経験する。いくつかの実施形態において、最初の又は単回投与量の投与後に、患者は、MADRS寛解を特徴とするうつ病の減少を経験する。
【0149】
[166] いくつかの実施形態において、本方法は、治療効果(例えば、エジンバラ産後うつ病尺度(EPDS)の減少により測定される)を、4、3、2、又は1日;又は24、20、16、12、10、又は8時間以下以内で与える。いくつかの実施形態において、治療効果は、EPDSにより測定される改善である。
【0150】
[167] いくつかの実施形態において、対象は、スクリーニング方法によりリスクがあると特定される(例えば、エジンバラ産後うつ病尺度(EPDS)、例えば、EPDSで10以上のスコア、EPDSで13以上のスコア)。
【0151】
[168] いくつかの実施形態において、対象は、種々の形態の患者健康質問票(PHQ)又は病院不安抑うつ尺度又は高齢者用抑うつ尺度などのスクリーニング手段によりリスクがあると特定される。
【0152】
[169] いくつかの実施形態において、方法は、治療効果(例えば、臨床全般印象度-改善スケール(CGI)の減少により測定される)を、4、3、2、1日;24、20、16、12、10、8時間以内に与える。いくつかの実施形態において、治療効果は、2以下のCGIスコアである。
【0153】
[170] いくつかの実施形態において、最初の又は単回投与量の投与後に、患者は、臨床全般印象度(CGI)サブスケールスコアの1つ以上の少なくとも1ポイント低下、2ポイント低下、又は3ポイント低下を特徴とするうつ病の減少を経験するが、CGIサブスケールは、疾患重症度サブスケール(CGI-S)又は全般改善サブスケール(CGI-I)から選択される。
【0154】
[171] いくつかの実施形態において、最初の又は単回投与量の投与後に、患者は、抑うつ症状質問票(SDQ)総スケールスコア又はSDQ-1、SDQ-2、SDQ-3、SDQ-4、及びSDQ-5のそれぞれのサブスケールのいずれかの少なくとも約10%、20%、30%、40%又は50%の改善を特徴とするうつ病の減少を経験する。
【0155】
[172] いくつかの実施形態において、最初の又は単回投与量の投与後に、患者は、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)全般スコアの少なくとも1ポイント低下、2ポイント低下、又は3ポイント低下を特徴とするうつ病の減少を経験する。
【0156】
製造の方法
[173] 本明細書に開示される医薬組成物は、a)神経活性ステロイドを含む組成物を1種以上の薬学的に許容できる賦形剤と混合すること;及びb)組成物を微粉砕して、粒子の集団を製造し、医薬組成物を製造することを含むプロセスにより製造できる。いくつかの場合において、プロセスは、a)神経活性ステロイドを含む組成物を微粉砕して、粒子の集団を製造すること;及びb)組成物を1種以上の薬学的に許容できる賦形剤と混合して、医薬組成物を製造することを含み得る。
【0157】
[174] いくつかの場合において、粒子を含む医薬組成物は、少なくとも1種の神経活性ステロイド及び1種以上の薬学的な許容できる賦形剤を含む粒子混合物を製造すること;粒子混合物の第1部分を微粉砕して、大粒子混合物を製造することであって、大粒子混合物の少なくとも50%が、約1.5μm~約15μmの範囲の粒径を有する大粒子であり、パーセンテージが粒子混合物の総重量に基づいている製造;及び約50%~99.99%の大粒子を含む粒子を含む医薬組成物を製造することであって、パーセンテージが測定される粒子の総重量に基づいている製造を含むプロセスにより製造できる。粒子のサイズは、光散乱など、当産業に公知である方法を使用しても測定でき、パーセンテージは測定された粒子の総カウントに基づき得る。
【0158】
[175] 市販又は独自の神経活性ステロイドAPIは、粒子混合物を製造する出発物質として好適であり得る。典型的には、市販の神経活性ステロイドAPIは大きい粒径を有し得る。例えば、市販のブレキサノロンは、直径で約7~10μmの粒径を有し得る。別の例において、市販のガナキソロンは約40~50μmの粒径を有し得る。微粉砕プロセスは、粒子を様々な好適なサイズに小さくし得る。
【0159】
[176] 微粉砕ビーズなどの典型的な微粉砕媒体が粒子の微粉砕に使用できる。微粉砕ビーズは、0.1mm~約1mmの直径を有し得る。例において、300~600rpmの回転速度の回転微粉砕プロセスが好適であり得る。粒子は、10~40分間、10~40サイクル、又は所望のサイズ範囲の粒子を製造するのに充分な時間及びサイクルで微粉砕できる。微粉砕は、本明細書に開示される1種以上の賦形剤の存在下で実施できる。
【0160】
[177] 大粒子は、一例において1.5μm~約15μm、別の例において1.5μm~10μm、さらに別の例において1.5μm~8,000μm、さらに別の例において1.5μm~6.0μm、及びさらに別の例において1.5μm~4.5μmの範囲の平均粒径を有し得る。追加の例において、大粒子は、2.0~6.0μmの範囲の平均粒径を有し得る。さらなる実施形態において、大粒子は、2.0~5.0μmの範囲の平均粒径を有し得る。さらなる例において、大粒子は、約2.0μm~約4.5μmの粒径を有し得る。
【0161】
[178] プロセス又は方法は、粒子混合物の第2部分を微粉砕して、小粒子混合物を製造することであって、小粒子混合物が約0.2μm~約1.5μmの範囲の粒径を有する小粒子を含む製造をさらに含み得る。いくつかの場合において、医薬組成物は、大粒子混合物と小粒子混合物を混合して、約50%~99.99%の大粒子及び0.01%~50%の小粒子を含む粒子を形成することにより製造され、パーセンテージは測定された粒子の総カウントに基づいている。
【0162】
[179] 第1部分と第2部分は、同じなことも、異なることもある。いくつかの例において、第1部分と第2部分は同じであり、粒子混合物は、大粒子及び小粒子を含むように微粉砕されるように構成される。いくつかのさらなる例において、第2部分は第1部分の一部であり、さらに微粉砕されて小粒子が製造され得る。さらなるいくつかの例において、第1部分及び第2部分は元の粒子混合物から分割され、別々に微粉砕されて、それぞれ大粒子及び小粒子が製造される。
【0163】
[180] 小粒子は、一例において0.2μm~約1.5μm、別の例において0.2μm~1.2μm、さらに別の例において0.2μm~1.0μm、さらに別の例において0.2μm~0.8μm、及びさらに別の例において0.2μm~0.7μmの範囲の平均粒径を有し得る。さらなる例において、小粒子は0.4~1.3μmの範囲の平均粒径を有し得る。追加の例において、小粒子は0.5~0.9μmの範囲の平均粒径を有し得る。なおさらなる例において、小粒子は約0.7μmの平均粒径を有し得る。
【0164】
参照による組込み
[181] 本明細書に引用された全参考文献、論文、刊行物、特許、特許公報、及び特許出願は、全目的のためにそれらの全体として組み込まれる。しかし、本明細書に引用されたあらゆる参考文献、論文、刊行物、特許、特許公報、及び特許出願の言及は、それらが正当な従来技術を構成するか、又は世界中のいずれかの国での共通一般知識の一部を形成するという承認又はあらゆる形態の示唆ではなく、そのように解釈されるべきではない。
【実施例
【0165】
実施例
[182] 本発明は以下の実施例においてさらに定義される。これらの実施例が、本発明の好ましい実施形態を示すが、実例として与えられるのみであることが理解されるべきである。上記の議論及びこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特性を解明でき、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の種々の変更及び改変をなして、それを種々の使用及び条件に適合させることができる。
【0166】
実施例1:水性懸濁医薬組成物の製造
早期PK試験のためのブレキサノロン懸濁剤製造
[183] ブレキサノロンを商業的供給者から医薬品有効成分(API)として購入した(図2A)。市販のブレキサノロンの粒径は約7~8μmである。
【0167】
[184] 市販のブレキサノロンを、水、塩水、デキストロース、HPMC、TWEEN 80、Poloxamer 407、及びグリセリンの存在下で、回転速度約300~500rpmで約20~30分間微粉砕した。微粉砕を、所望の粒径に応じて1~5サイクル実施した。使用した微粉砕媒体は、0.1~1.0mmの直径を有するビーズであった。
【0168】
[185] 微粉砕パラメーターを制御することにより、2セットの粒子サイズを選択した。1つは約0.7μmの平均粒径を有する小粒子であり(図2B)、もう1つは約4.0μmの平均粒径を有する大粒子であった(図2C)。
【0169】
ERブレキサノロン製剤製造
[186] 表1の単位投与量を、以下の製造プロセスに従って調製した:
【0170】
[187] 注射用のERブレキサノロン懸濁剤の製造プロセスは、最初に製剤ビヒクルを調製することからなる。製剤ビヒクルを、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール3350、マンニトール、クエン酸一水和物、及びクエン酸ナトリウム二水和物を注射用水に溶解させることにより調製した。溶液を、最初の200mLの濾液を廃棄しながら、1つの滅菌された0.22ミクロンPVDFフィルターに通して濾過した。製剤ビヒクルのpHを確認して(目標pH範囲は6.0~7.0である)、記録した。必要な量のブレキサノロン原薬を秤量し、必要な量の製剤ビヒクルを有する容器にゆっくりと加えながら、ゆっくりと混合して原薬を完全に湿らせた。次いで、それを最低で10分間3000RPMで均質化して、凝集体が全く存在しない均一な懸濁液を得た。予備混合懸濁液を、高い密度及び硬さの清潔な脱パイロジェン1mmイットリウム安定化酸化ジルコニウム粉砕ビーズを含むステンレススチル(stainless still)粉砕チャンバーに移し、目標粒径が達成されるまで微粉砕した。非限定的な例において、約560gの1mmビーズを250mL微粉砕チャンバーに入れて、それに約120gの事前混合懸濁液を加えた。微粉砕を、粒径を定期的に確認しながら(レーザー光回折)250RPMで約8~10分間実施した。スクリーンを使用してビーズを除去した後、微粉砕された懸濁液を充填容器に移した。懸濁液をゆっくりと混合して均質性を維持しながら、微粉砕された懸濁液を事前滅菌されたガラスバイアルに充填し、それに続いて栓をし、オーバーシールを圧着して、ストッパーを締め付けた。充填の間、充填重量を工程内チェックとして定期的に確認した。
【0171】
[188] 充填されたバイアルを、26~53kGyの内部線量範囲に相当する38~42kGyの外部線量範囲の電子線照射を使用して最後に滅菌した。
【0172】
[189] 全ての滅菌されたバイアルを、欠陥及び異物粒子に関して検査した。
【0173】
【表3】
【0174】
実施例2:ラットでの異なる粒径のブレキサノロン組成物の薬物動態(PK)試験
[190] 0.7μm粒子及び4.0μm粒子の懸濁剤を、筋肉内(IM)注射により、25mg/kgのブレキサノロンの用量で、ラットに別々に注射した。比較のため、比較用のブレキサノロン液剤を、筋肉内(IM)注射により12.5mg/kgの用量で、又は静脈内(IV)注射により1mg/kgで注射した。血漿ブレキサノロン濃度を示された時点で測定した。データを図2D図2Eに示す。液剤のPKを、比例した投与量を有するように調整した。
【0175】
実施例3:ガナキソロン懸濁剤の製造
[191] ガナキソロンを、商業的供給業者から医薬品有効成分(API)として購入した(図3A)。市販のブレキサノロンの物品サイズ(article size)は約47μmである。
【0176】
[192] 市販のガナキソロンを、水、塩水、1mg/mL TWEEN 80及び5mg/mL HPMCの存在下で、約200rpmの回転速度で約20分間微粉砕した。粉砕を3サイクル実施した。使用した微粉砕媒体は、1.0mmの直径を有するビーズであった。
【0177】
[193] 微粉砕された粒子は、1.5μm未満のサイズを有する1未満%の粒子を有し、2つのバッチで、平均サイズが約4.1μm(図3B)約3.6μmであった(図3C)。約1.0μmの平均粒径を有する粒子も製造した。
【0178】
実施例4:ラットでの異なる粒径のガナキソロン組成物の薬物動態(PK)試験
[194] 1μm及び4.1μmを有する粒子の懸濁剤を、筋肉内(IM)注射により、25mg/kgのガナキソロンの用量で、ラットに別々に注射した。比較のため、比較用のガナキソロン液剤を、筋肉内(IM)注射により12.5mg/kgの用量で、又は静脈内(IV)注射により1mg/kgで注射した。血漿ブレキサノロン濃度を示された時点で測定した。データを図3D及び図3Eに示す。液剤のPKを、比例した投与量を有するように調製した。
【0179】
実施例5:ブレキサノロン結晶形の調製
[195] ブレキサノロンを商業的供給業者から購入し、穏やかに粉砕してスラリーを形成した。ブレキサノロン試料を以下の分析技法(tecniques)により分散した:FT-ラマン分光法、FT-IR分光法、走査型熱量計(DSC)、熱重量分析(TGA-IR)、偏光顕微鏡法(PLM)、及び粉末X線回折(PXRD)。試料を、大きな脆い塊を含む広範囲のサイズを有する不規則粒子からなる白色結晶性粉末であると決定した。DSC分析は、174℃の融解吸熱を示した(ΔH=101J/g)。TGA分析は、25~174℃でごくわずかな(<0.1%)重量減少を示し、ブレキサノロン材料が溶媒和されていないことを示した。
【0180】
[196] 結晶化を3つの方式で実施した:(1)40℃と45℃の間での2日間のブレキサノロンスラリーの温度サイクル熟成(TC)(n=48);(2)スラリーを40℃に加熱し、それに続いて熱濾過、次いでブレキサノロン溶液を4℃で2日間まで保存する(RC)(n=48);(3)ブレキサノロン溶液の周囲条件での7日間までの蒸発(EV)(n=48)。合計で48種の溶媒系を結晶形成のためにスクリーニングした。
【0181】
[197] ブレキサノロンを、ジクロロメタン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル(EtOAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トルエン、2-プロパノール:水(9:1)(v/v)、メタノール(MeOH)、2-プロパノール(IPA)、メチルt-ブチルエーテル(MTBE)、イソプロピルエーテル(IPE)、アセトニトリル(MeCN)、n-ヘプタン、エタノール、水、及びこれらの混和性組合せからなる群から選択される溶媒のそれぞれから結晶化させた。全結晶形を、PXRD、DSC、TGA、及びPLMを含む分析方法の1つ以上を使用して分析した。
【0182】
[198] ブレキサノロン結晶形は、粉末X線回折(PXRD)ディフラクトグラムにおける以下のピーク、7.25、8.88、11.46、14.50、14.78、17.77、18.15、18.32、18.61、及び19.99±0.1 2θ(°)の10本を特徴とした。比較用の市販ブレキサノロンは、18.15の単一のピークを示した(図4A)。本明細書で「多形体A型」と称される1つのブレキサノロン結晶形は、それぞれ91及び100の相対強度を有する7.25及び18.15 2θ(°)の特徴的な2本のピークを示し(図4B)、本開示の医薬組成物における使用のために選択した。18.32、18.61、17.77、14.78、19.99、14.50、11.46、及び8.88のピークの相対強度は、それぞれ、40%、31%、19%、18%、18%、16%、16%、及び14%であった。多形体A型ブレキサノロンは、様々な製剤に好適であり得る1μm~100μmの範囲の粒径を有した。多形体A型は、174℃のオンセット融点を示していた(ΔH=127J/g)。TGA分析は、融解事象の前にごくわずかな(<0.1%)重量減少を示し、A型が溶媒和されていない形態であることを示した。
【0183】
実施例6:動物モデルでの単回投与筋肉内薬物動態評価
[199] ERブレキサノロンの筋肉内(IM)バイオアベイラビリティを評価するために、単回IV投与後のブレキサノロンのPKを複数の動物モデルで評価した。30分にわたるラット(1.0mg/kg)及びイヌ(2.0mg/kg)への単回IV注入の後、表2のPKパラメーターを得た。
【0184】
【表4】
【0185】
[200] 結果:IV投与の血漿濃度-時間曲線を図5及び図6に示す。表2に示される通り、単回IV注入投与の後、ブレキサノロンCLは、ラット及びイヌでそれぞれ5.68及び7.22L/時/kgであり;それは、これらの2種で対応する肝臓血流に対して高かった。Vssは、ラット及びイヌでそれぞれおよそ2.06及び2.99L/kgであり、体内でのブレキサノロンの中程度分布を示唆した。ラット及びイヌでの平均終末相消失半減期(T1/2)はそれぞれ約0.266及び1.69時間であった。
【0186】
ERブレキサノロンのIM投与
[201] ERブレキサノロンを、単回投与量で、ラット及びイヌに、IM注射により、注射用水中0.6%PS80、0.6%PEG3350、3%マンニトール、並びに0.2%クエン酸ナトリウム二水和物、及び0.01%クエン酸一水和物のpH 6.0~7.0の製剤で投与した。
【0187】
【表5】
【0188】
[202] 結果:ラット及びイヌでの筋肉内投与PK試験において、ERブレキサノロンの単回IM注射後に、用量依存的AUC0-inf及びCmax増加が両方の種で観察された。低投与量30分IV注入試験の曝露と比較すると、ブレキサノロンの完全な吸収が、ラット及びイヌの両方で、試験された投与量で観察された。Tmaxの高い標準偏差により証明される通り(表3)、2段階(高速及び緩徐)吸収プロファイルが両方の種で観察されたが、パターンはラットにおいてより著しく、恐らくは比較的緩徐な全身クリアランスにより推進されている(図7及び図8)。
【0189】
分析方法及び妥当性確認
[203] ブレキサノロンIV注入及びIM投与を含むラット及びイヌPK試験において、ブレキサノロンを、感度がよく特異的な分析手順を使用してラット及びイヌ血漿中で定量化した。分析物を液体クロマトグラフィー(LC)により分離し、ブレキサノロンを、ポジティブモードエレクトロスプレータンデム質量分析法(MS/MS)により検出した。定量化の下限(LLOQ)は1.0~3.0ng/mLであった。GLP試験において、LLOQは、ラットで1.0ng/mLであった。
【0190】
実施例7:二重経路吸収2コンパートメント線形母集団PKモデル
概要
[204] ラット及びイヌでの、異なる粒径及び濃度を含むブレキサノロンの種々の延長放出注射用懸濁製剤の単回IM注射後のブレキサノロンのPKプロファイルを特性化するために母集団PKモデルが開発された(図9;ER Brexanolone-NC-203)。PKモデルにおいて、ラット及びイヌIM PK試験における観察された2相吸収プロセスは、2つの別個の経路により特性化された。PKモデルにおいて経路-1と記載される、ブレキサノロン懸濁製剤のIM注射時の第1吸収期はKA1及びF1により特性化された。より緩徐でより持続した第2吸収期は、トランジットコンパートメントモデルを使用してPKモデルにおいて経路-2と記載された。現在のモデルにおいて、第2インビボ吸収プロファイルは、6までのトランジットコンパートメントにより特性化された。図10に示されるように、ラット及びイヌでの延長放出注射用懸濁製剤の単回IM注射後に観察されるPKプロファイル(実施例1参照)は、確立された母集団PKモデルにより詳細に特徴づけられた。
【0191】
非臨床試験データ
[205] ブレキサノロンの静脈内投与を、30分注入により、ラットでは頸静脈カニューレ(JVC)又は外側尾静脈内に配置された一時的な経皮的カテーテルにより、イヌでは橈側皮静脈により実施した。異なる懸濁製剤を、試験施設標準操作手順書に従って、ラット及びイヌの筋肉内にも投与した。指定された時点で、ラットでは橈側皮静脈又は頸静脈の直接静脈穿刺により、イヌでは橈側皮静脈又は伏在静脈により血液を収集した。血液を、K2EDTA抗凝固剤を含む収集チューブに移し、処理まで氷上で保存した。血液を、遠心分離により血漿に関して処理した。次いで、血漿を96ウェル容器に移し、およそ-70℃に維持されたフリーザー中で保存した。生じた血漿試料の定量的な分析は、適格なLC-MS/MS方法を使用して実施した。
【0192】
モデリング及びシミュレーション分析
[206] 本明細書での分析は、the United States (US) Guidance for Industry: Population Pharmacokinetics, US Guidance for Industry: Exposure Response及びthe European Union (EU) Guidance on Reporting the Results of Population Pharmacokinetic Analysesに従って実施した。
【0193】
[207] Rソフトウェア(バージョン4.0)を使用して、溶出データをモデル化した。ラット及びイヌPKデータを、NONMEM(バージョン7.3以降)を使用してモデル化した。特に、一般動的モデル、及び薬物動態(PK)モデル、及び薬物動態-薬力学(PK-PD)モデルをシミュレートするためのRパッケージであるRxODEパッケージを、曝露指標を誘導するためのシミュレーションに使用した。Rを、データの全グラフィカル分析及びモデルアウトプットに使用した。
【0194】
PKモデル
[208] 全体的な戦略は下記であった:1)ヒトでのブレキサノロンIVの既知の2-コンパートメント線形PKモデルで始めること。IVモデルをアロメトリー的にラット及びイヌ用に拡大し、次いで、モデルをIVラット及びイヌデータにフィッティングして、必要に応じて、それぞれの種のIV PKを補正すること;2)分散パラメーター(CL、Q、VC、VP)をIVモデルから固定した状態で、ERブレキサノロンとしてラット及びイヌに投与された場合のブレキサノロンのIM吸収のモデルを、種々の粒径Dv50及び製剤濃度を有する、ある範囲のIM投与量(12~60mg/kg)にフィッティングすることにより作製する。モデルの吸収成分をもたらす(effecting)共変量をこのモデリング工程で考察した。これらは、種(ラット、イヌ)、製剤粒径Dv50(0.7~3.1μmの範囲)及び製剤濃度(100~360mg/mLの範囲)であった;並びに3)既知の全身PKパラメーターを、ブレキサノロンIVモデルから保持し、ヒトIM吸収が、イヌ様かラット様のいずれかであると仮定することによりブレキサノロンヒトPKプロファイルを予測すること。
【0195】
吸収モデル
[209] 種々の水性懸濁製剤をイヌ及びラットで使用してブレキサノロンのIM投与から得られた早期のPKデータに基づいて、2ピークPKプロファイルが期待された。この2ピークプロファイルを特性化できたモデルは、典型的には二重経路(高速及び緩徐)吸収に基づいており、緩徐経路は、モデル中で複数のトランジットコンパートメントとして公式化し、高速経路は1次として、血管外吸収プロセスに典型的として公式化した。0次と1次吸収の組合せを含む他の二重経路選択肢も考察した。
【0196】
ヒトPKモデル
[210] NDA-211317 ZULRESSO(商標)(静脈内使用のためのブレキサノロン注射、CIV)の多分野検討から得た、産後うつ病を有するヒト対象でのブレキサノロンIVの、対象間変動性を含むPKモデルパラメーターを分析した。SAGE-547注射の投与後の乳汁分泌している成人女性の母乳中のブレキサノロンの濃度を評価する非盲検試験(Study 547-CLP-108)から得られたデータに基づく母集団PKモデル分析は、健康な成人女性とPPD患者の間の有意差を明らかにしなかった。追加の臨床薬理学試験も、ブレキサノロン血漿PKプロファイルの軽微な性差を示した。したがって、このモデル及びパラメーターを、ラットかイヌのいずれかに関して仮定された吸収関連パラメーターを加えて、ERブレキサノロンとして投与された場合の健康な成人対象におけるブレキサノロンヒトIM PKの予測に使用した。
【0197】
シミュレーション
[211] ブレキサノロンヒトPKのモンテカルロシミュレーションを、健康な成人対象での種々のERブレキサノロン製剤の単回IM注射後に実施した。予測された中央値及び5~95パーセンタイルブレキサノロン血漿濃度-時間プロファイルを、ERブレキサノロン-A及びERブレキサノロン-Bの選択された用量段階で予測した。
【0198】
[212] 30、100、及び300mgの用量段階でのERブレキサノロン-A及びERブレキサノロン-Bの単回IM注射後のヒトでのブレキサノロン血漿曝露の時間推移を評価するためにシミュレーションを実施した。予測されたブレキサノロン曝露は、非臨床毒性データと組み合わせて、第1相臨床試験における提案される用量段階の安全域を推定するために適用されるだろう。
【0199】
[213] 400名の対象を、それぞれの提案された投与シナリオでシミュレートした。対象間変動性のモデル推定は、シミュレーション対象の変動性を与えた。予測されたブレキサノロン濃度時間推移の中央値及び5~95パーセンタイルをコンピューターにより計算し、時間に対してプロットした。
【0200】
[214] 2種の製剤(ERブレキサノロン-A及びERブレキサノロン-B)の30、100、及び300mgの合計で3つの用量段階が、健康な成人対象での第1相臨床試験で提案された:1)30mg:ERブレキサノロン-B;2)100mg:ERブレキサノロン-A及びERブレキサノロン-B;及び3)300mg:ERブレキサノロン-A及びERブレキサノロン-B。両水性懸濁製剤は3μmの粒径Dv50を有する。ブレキサノロン濃度は、ERブレキサノロン-A及びERブレキサノロン-Bで、それぞれ300及び100mg/mLである。ブレキサノロン血漿濃度を、計画された用量段階でのERブレキサノロン-A及びERブレキサノロン-Bの単回IM注射後2週間にわたりシミュレートした。
【0201】
結果
[215] 非臨床PKデータの非線形混合効果モデリングを、NONMEM(バージョン7.4)を使用して実施した。他のモデリング、シミュレーション、及びプロッティングは全てRバージョン4.0を使用して実施した。
【0202】
[216] PKモデリングから利用可能な非臨床データは、ブレキサノロンを静脈内投与により投与された3匹のラット及び3匹のイヌ、並びにある範囲の投与量の種々の延長放出水性懸濁製剤の単回IM注射によりブレキサノロンを投与された36匹のラット及び19匹のイヌからなっていた。懸濁製剤は、粒径Dv50及び製剤濃度が様々であった。
【0203】
ラット及びイヌでのIV PKモデル
[217] ブレキサノロン延長放出水性懸濁製剤のPKモデルを決定する第1工程は、個別の動物の体重によりラット及びイヌに調整した、ヒトでのIVブレキサノロンの現在利用可能な2-コンパートメント線形PKモデルで始めることであった。次の工程は、必要に応じて補正因子を試験してIV PKをそれぞれの種に関して補正しながら、モデルをラット及びイヌIVデータにフィッティングすることであった。
【0204】
[218] ラットIVモデルパラメーターは、体重を考慮した後、ヒトPKパラメーターと著しくは異ならなかった。イヌのCL及びQパラメーターは、データに最適にフィットするために、それぞれ4倍及び2.7倍の補正を必要とした。これは、イヌでのPKデータのノンコンパートメント解析から報告された高い全身クリアランス及び分布容積と一致する。生じたモデルは、限定されたラット及びイヌIVデータと良好にフィットする。
【0205】
ラット及びイヌでのIM PKモデル
[219] 種々の延長放出水性懸濁製剤の単回IM注射後のラット及びイヌでのブレキサノロンPKプロファイルを特性化する好適なPKモデルを決定するために、体内動態パラメーターを、IV PKモデルで確立されたものに固定した。これにより、種々の粒径Dv50及び製剤濃度を有するある範囲のIM投与量(12~60mg/kg)からの利用可能なデータにフィッティングすることにより、モデリングがラット及びイヌでのブレキサノロン水性懸濁製剤のIM注射後の吸収速度プロファイルの特性化に集中することが可能であった。このモデリング工程において吸収プロセスに対するその効果に関して考察される共変量は、種(ラット、イヌ)、製剤粒径Dv50、製剤濃度、及び投与量(mg/kg)であった。
【0206】
[220] 最終バージョンのモデルは、薬物が「高速経路」に入るフラクションF1及び「緩徐経路」に入るF1-1であるフラクションF2を有する二重経路吸収を有し、それは一連の6つのトランジットコンパートメントにより最適に表された。吸収モデルは、3つのパラメーターを加えて表された:F1、KA1、高速経路吸収速度定数、及びMTT、緩徐経路の平均通過時間(ここで、Ktr=6/MTTであり、Ktrは全トランジットコンパートメントの通過速度定数である)。
【0207】
[221] 最終モデルは、ラット及びイヌでの全ての利用可能なIM PKデータへのモデルのフィットを表し、吸収速度プロファイルに対する粒径Dv50及び製剤ブレキサノロン濃度の効果並びにラットとイヌの間の吸収プロファイルの差異を強調した。
【0208】
[222] 二重経路吸収モデリングからの所見には下記がある:
・高速経路フラクションF1は
〇ラットで観察されたものと比べてイヌで高かった
〇投与量(mg/kgとして特定される)の増加と共に減少した
〇粒径Dv50の増加と共に減少した
・高速経路吸収速度定数KA1は
〇ラットで観察されたものと比べてイヌで緩徐だった
〇ブレキサノロン水性懸濁製剤濃度の増加と共に減少した
・平均通過時間(MTT)により記載される緩徐経路吸収は
〇ラットで観察されたものと比べてイヌで速かった
〇MTTに対して粒径Dv50又は製剤濃度の効果はなかった。
【0209】
[223] モデルが、信頼できるラット及びイヌIM PK試験からのPKデータを特性化する能力をさらに評価するために、視覚的事後予測性能評価を使用して、観察されたデータを、3.0μmの粒径Dv50及び200mg/mLのブレキサノロン製剤濃度を有する、イヌにおける12及び36mg/kg並びにラットにおける30及び60mg/kg;並びに3.0μmの粒径Dv50及び100mg/mLのブレキサノロン製剤濃度を有する、ラットにおける50mg/kgの濃度に関する予測された中央値及び5~95パーセンタイルと比較した。全体として、予測性能評価は、モデルが、ラット及びイヌでの種々の水性懸濁製剤の単回IM注射後のブレキサノロン血漿濃度-時間推移及び変動性を、ある範囲の用量段階及び粒径Dv50にわたって特性化できることを示す。
【0210】
実施例8:健康な成人対象でのブレキサノロンPKプロファイルの予測
[224] IM吸収プロファイルは、特に粒径及び懸濁剤濃度の点で、ブレキサノロンの種々の延長放出注射用水性懸濁製剤を使用して、ラットとイヌの間で異なる(図11)。ラットとイヌでのブレキサノロンの全身クリアランスの差異に加えて、IM注射部位での種に依存する生理学的差異も、インビボの吸収プロファイルに影響を及ぼし得る。したがって、KA1、KA2(Ktr)、F1及びF2を含む、ラット及びイヌでの異なる製剤の吸収速度プロファイルのモデルパラメーターは著しく異なる。ZULRESSO(商標)母集団PKモデル(FDA multi-discipline review for NDA-211317, (ZULRESSOTM [brexanolone injection for intravenous use, CIV]; US Food and Drug Administration 2018)参照)と組み合わせて、ラット及びイヌモデルからのIM吸収速度パラメーターを、カスタマイズされたERブレキサノロンヒト母集団PKモデルに組み込み、その後に健康な成人対象での第1相臨床試験を支持するために適用した。
【0211】
[225] 選択されたERブレキサノロン臨床製剤は、健康な成人対象での第1相臨床試験のために、100(ERブレキサノロン-B)及び300mg/mL(ERブレキサノロン-A)のブレキサノロン濃度で、およそ3μmのDv50の粒径分布を有した。確立されたヒト母集団PKモデルを使用して、モンテカルロシミュレーションを、各シミュレーションにおいて1000名までの仮想対象を使用して、ERブレキサノロン-A及びERブレキサノロン-Bにより投与された30、100、及び300mgのブレキサノロンの計画された臨床用量段階に関して実施した(図11)。
【0212】
[226] ラット及びイヌでの非臨床PK試験における観察結果と一致して、30、100、又は300mgの同じ用量段階で、ERブレキサノロンは、イヌデータの代わりにラットIM吸収速度パラメーターが使用された場合、より速くより早い吸収を有することが予測される。同様に、100又は300mgの同じ用量段階で、ERブレキサノロン-Bのより低い製剤濃度が、より高いCmax,1及びより早いTmax,1を有することが予測される(表4)。
【0213】
【表6】
【0214】
実施例9:毒物学試験
[227] 単回投与(single does)IM注射の毒物学を試験するために、ERブレキサノロンを、注射用水中0.6%PS80、0.6%PEG3350、3%マンニトール、並びに0.2%クエン酸ナトリウム二水和物及び0.01%クエン酸一水和物のpH 6.0~7.0の製剤でラットに投与した(表4)。
【0215】
[228] 比較のため、ブレキサノロンを、IV注入により、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(SBECD;Captisol(登録商標))の製剤でラット及びイヌに投与した。SBECDは、ラット及びイヌの腎尿細管空胞化並びに肝臓及び肺中の泡沫状マクロファージを含む既知の動物毒物学所見を有する賦形剤である(表5)。
【0216】
【表7】
【0217】
ブレキサノロンIM試験
[229] ラットでの単回投与IM試験:ERブレキサノロンを、13日評価期間を有する、スプラーグドーリーラットでの28日GLP単回投与毒性試験で評価した(Study ER Brexanolone-NC-301[3174-013])。10の匹ラット/性の群に、ビヒクル又はERブレキサノロンを30mg/kg(0.083mL/kg又は0.256mL/kg)若しくは60mg/kg(0.166mL/kg)で単回IM注射として投与した。ラットの別なコホート(3匹/VC及びERブレキサノロン処置群で9匹/性)をTK評価に使用し、主要な試験動物と同じ処置を与えた。5匹のラット/性の群を28日目の最終評価のために加えた。TK評価のための血液を、1日目の単回IM注射後0.25、0.5、1、3、8、24、36、48、72、96、120、144、168、192、240、288、及び336時間で収集した。
【0218】
[230] この毒性試験に使用したERブレキサノロン-A及びERブレキサノロン-B GLP製剤を表6に与える。
【0219】
【表8】
【0220】
[231] 観察結果:
[232] 右後肢の小結節及び/又は赤色皮膚変色のERブレキサノロン関連観察結果が、1日目の投与後早くも90分から14日目にわたり、30mg/kg(362.25mg/mL)の1匹の雄及び1匹の雌に、60mg/kg(362.25mg/mL)の5匹の雄及び5匹の雌に、並びに30mg/kg(117mg/mL)の3匹の雄に認められた。
【0221】
[233] 14日目の最終剖検(terminal necropsy)でのERブレキサノロン関連所見は、30mg/kg以上(362.25mg/mL及び117mg/mL投与群の両方を含む)の雄雌の注射部位で起こり、単核細胞浸潤を伴う異物の中心コアを有する限局性肉芽腫性炎症及び線維症からなっていた。これらの顕微鏡的所見は、60mg/kg(362.25mg/mL)で、終末剖検時に10匹の雄のうち4匹及び10匹の雌のうち1匹の、並びに回復剖検(recovery necropsy)時に5匹の雄のうち1匹及び5匹の雌のうち1匹の右後肢の小結節及び/又は赤色皮膚変色の臨床的観察と相関していた。これらの変化は、より低い発生率及び/又は重症度で29日目回復間隔(recovery interval)に雄雌両方に起こったため、60mg/kg(362.25mg/mL)用量段階で部分的に回復したと考えられた。変化は、両30mg/kg投与群で、29日目回復で完全に回復した。注射部位での全被験物質関連効果は、組織変性又は壊死がないこと、変化の局所的性質、及び筋への機能的変化がないことのため忍容性が良好であると考えられた。
【0222】
[234] 結論:362.25mg/mL製剤による30mg/kg及び60mg/kg並びに117mg/mL製剤による30mg/kgの用量段階での雄雌のラットへのERブレキサノロンの単回筋肉内投与は、忍容性が良好であった。ERブレキサノロン関連所見は、全用量段階での小結節及び/又は赤色皮膚変色の限定された観察結果であり、場合によって、最終剖検時の単核細胞浸潤を伴う異物の中心コア及び線維症の局所的な注射部位所見と相関した。これらの顕微鏡的観察結果は、関連する組織変性/壊死又は筋への機能的変化なしに起こり、362.25及び117mg/mL濃度を有する30mg/kgで投与された群の間で類似であり、回復間隔の最後までに、60mg/kg投与群で部分的に、30mg/kg投与群で完全に回復した。これらの所見に基づくと、評価されたあらゆる用量段階/濃度で、局所注射部位での有害作用は全くなかった。雄雌合わせた30mg/kg(362.25mg/mL)でのERブレキサノロンの平均Cmax及びAUC0-336hr値は、それぞれ63.5ng/mL及び2910時・ng/mLであった。雄雌合わせた60mg/kg(362.25mg/mL)でのERブレキサノロンの平均Cmax及びAUC0-336hr値は、それぞれ58.3ng/mL及び5820時・ng/mLであった。雄雌合わせた30mg/kg(117mg/mL)でのERブレキサノロンの平均Cmax及びAUC0-336hr値は、それぞれ82.2ng/mL及び4510時・ng/mLであった(表7)。
【0223】
【表9】
【0224】
ブレキサノロンIV試験(比較データ)
[235] ラットでの単回投与IV試験:投与量が50mg/kg以下の単回投与IV試験(緩徐ボーラス)を実施した。10mg/kg以上の単回ボーラス投与で急速麻酔(1分以内)が観察され、緩徐ボーラス投与の最大耐用量(MTD)は、ボーラス投与の5分以内の50mg/kgで投与された1匹の雄の浅い呼吸及び死亡のため、30mg/kgであると考えられた。
【0225】
[236] イヌでの単回投与IV試験:投与量が30mg/kg以下の単回投与IV試験(緩徐ボーラス)を実施した。7.5mg/kg以上の単回ボーラス投与で急速麻酔(1分以内)が観察され、緩徐ボーラス投与のMTDは、30mg/kgでの4匹のイヌのうち1匹の不規則な呼吸のため、20mg/kgであると考えられた。
【0226】
[237] ラットでの反復投与IV試験:20mg/kgでの単回緩徐ボーラスIV試験、それに続いて、8~12mg/kg/時の投与量で1日あたり6~12時間、3日間の連続IV注入、240mg/kg/日以下の投与量の5日間連続IV注入試験、及び96mg/kg/日以下の投与量の14日間連続IV注入試験をラットで実施した。麻酔緩徐ボーラス投与(20mg/kg)後の8~12mg/kg/時の連続注入への反応は可変的で予測不可能であり、MTDは決定できなかった;ラットの一部は覚醒を示した一方で、他のラットは、嗜眠/活動性低下、不安定歩行、異常呼吸、及び呼吸促迫の徴候を示し、数匹には注入の間酸素補給が必要であった。5日間連続IV注入試験のMTDは、180mg/kg/日以上の投与量での死亡をもたらす鎮静状態の徴候又は臨床状態不良による早期の安楽死のため120mg/kg/日であった。振戦及びけいれんもこの投与量で観察された。14日間試験において、臨床状態不良(恐らくは鎮静状態のためであり、努力性呼吸/浅い呼吸、わずかな協同運動失調、活動性低下、下垂、全身の蒼白、及び衰弱を含む)が、96mg/kg/日で1匹の雄及び1匹の雌に観察され、11日目でのこの投与群の、及び48mg/kg/日の1匹の雄の早期の安楽死をもたらした。早期の安楽死をもたらす臨床状態不良(恐らくは鎮静状態による)の無毒性量(NOAEL)は18mg/kg/日であった(雄でAUC0 24h=2910ng・時/mL及び雌で1790ng・時/mL;雄でCmax=196ng/mL及び雌で111ng/mL)。
【0227】
イヌでの反復投与IV試験
[238] 20mg/kgでの単回緩徐ボーラスIV試験と、それに続く8~48mg/kg/時の投与量で8~10時間の連続IV注入、及び240mg/kg/日以下の投与量の5日間連続IV注入試験をイヌで実施した。麻酔緩徐ボーラス投与(20mg/kg)後の8~48mg/kg/時の連続注入に対する反応は可変的で予測不可能であった(イヌの一部は浮腫に至った投与量で軽く麻酔がかかったままである一方、他のイヌは麻酔から回復できず、安楽死させた;1匹のイヌは、注入終了後5時間より長く深い鎮静状態のままであった)。5日間連続IV注入試験のMTDは、120mg/kg/日以上の投与量での早期の安楽死をもたらす鎮静状態の徴候のため、60mg/kg/日であった。振戦及び震えが240mg/kg/日で観察され、振戦及び震えを有する1匹のイヌは5日間注入が完了した2日後に痙攣した。14日間連続IV注入試験のNOAELは、72mg/kg/日で投与された1匹の雌に、15日目に投与が停止したおよそ7時間後に起こった痙攣のため36mg/kg/日であった(雄でAUC0-24h=3560ng・時/mL及び雌で3840ng・時/mL;雄でCmax=201ng/mL及び雌で210ng/mL)。
【0228】
ラットでの28日間連続IV注入試験
[239] ブレキサノロンを、28日の回復期間を有するスプラーグドーリーラットでの28日間GLP反復投与毒性試験で評価した(Study SSN-01272)。10匹のラット/性の群に、ビヒクル(3000mg/kg/日 VC高投与量;500mg/kg/日 低投与量;及び1500mg/kg/日 中投与量の0.9%塩水に希釈したSBECD[塩水対照、(SC)])又は10、30、若しくは60mg/kg/日のブレキサノロンを、24時間/日のIV連続注入として、2mL/kg/時の速度で投与した。6匹のラット/性の群を、回復動物として、500mg/kg/日のVCを除く全投与群に加えた。ラットの別なコホート(3匹/性/SC及びVC並びにブレキサノロン処置群に6匹/性)をTK評価に使用し、主要な試験動物と同じ処置を与えた。TK評価(表8)用の血液を、1日目の注入開始後24、96、240、384、528、及び672時間並びに29日目の注入の終了後2及び24時間で収集した。
【0229】
結果:
[240] 試験の間、被験物質関連又はビヒクル関連の死亡はなかった。被験物質関連の臨床観察は認められなかった。ビヒクル関連の活動性低下が、4日目に始まり、回復期の7日間続いて認められた。ビヒクル関連又は処置関連の後肢の限定的使用及び/又は円背姿勢は、注入部位で観察された腫瘤及び/又は他の処置関連病変(炎症及び/又は細菌敗血症)の存在と関連していた。
【0230】
[241] 体重増加の増加(Increased body weight gain)は、ビヒクル対照と比較して、試験の最初の7日間10mg/kg/日以上の投与量で雄に(10、30、及び60mg/kg/日で、それぞれ126%、126%、及び132%)、及び試験全体にわたり、30mg/kg/日以上の投与量で雌に(30及び60mg/kg/日で、それぞれ160%及び193%、-1日目~7日目;30及び60mg/kg/日で、それぞれ138%及び123%、7日目~28日目)観察された。体重増加の減少は、投与の残りの期間にわたり60mg/kg/日で雄に(60mg/kg/日で71%、7日目~28日目)、及び回復期の最初の7日間、10mg/kg/日以上の投与量で雌に観察された。全身曝露はほぼ用量比例的であり、雄と比べて雌では曝露がわずかに少なかった(表6)。
【0231】
[242] NOAELは60mg/kg/日であると考えられ、雄及び雌でそれぞれ、Cssは415ng/mL及び338ng/mL、AUC0-24hは9960ng・時/mL及び8110ng・時/mLであり、それは、90μg/kg/時のブレキサノロンIVのMRHDでのヒト曝露(1800ng・時/mLのAUC0-24h;74.3ng/mLのCss)の5倍であった(表8)。
【0232】
【表10】
【0233】
イヌでの28日間連続IV注入試験
[243] ブレキサノロンを、28日の回復期間を有する、ビーグル犬での28日間GLP反復投与毒性試験で評価した(Study SSN-01273)。4匹/性の群に、ビヒクル(3600mg/kg/日 VC高投与量;600mg/kg/日 低投与量;1800mg/kg/日 中投与量の0.9%SCに希釈されたSBECD)又は12、36、若しくは72mg/kg/日のブレキサノロンを、24時間/日のIV連続注入として2mL/kg/時の速度で投与した。2匹のイヌ/性の群を、回復動物として、600mg/kg/日のVC以外の全投与群に加えた。TK評価(表9)用の血液を、1日目の注入開始後24、168、336、504、及び672時間で収集した。
【0234】
結果:
[244] 試験の間、被験物質関連又はビヒクル関連の死亡はなかった。被験物質関連の臨床徴候は、28日間注入完了の4日後に痙攣を起こした、36mg/kgで投与された1匹の雄に限定された。速度2mL/kg/時の28日間の連続IV注入の最後に、注入速度を、8時間1.5mL/kg/時に低下させ、次いで8時間1mL/kg/時に低下させ、次いで8時間0.5mL/kg/時に低下させてから投与を停止した。SBECD(ビヒクル)関連の腎尿細管空胞化の重症度の増加が、36mg/kg以上の雄及び72mg/kgの雌に観察された。被験物質関連の効果はなく、SBECD(ビヒクル)関連の所見の発生率及び重症度は回復期間の後に減少した。さらに、SBECD(ビヒクル)関連の所見には、臨床徴候、血液及び臨床化学パラメーターの変化、腎臓、肝臓、及び脾臓の重量増加があり、シクロデキストリンの既知の知見と一致した。
【0235】
[245] NOAELは、1匹の36mg/kgイヌにおける投与完了後の痙攣及び36mg/kg以上でのSBECD関連の腎尿細管空胞化の重症度の増加に基づいて12mg/kg/日と考えられ、Cssは、雄及び雌でそれぞれ69.9ng/mL及び75.9ng/mL、AUC0-24hは1680ng・時/mL及び1820ng・時/mLであり、90μg/kg/時のMRHDでのヒト曝露(Css 74.3ng/mL、AUC0-24h 1800ng・時/mL)に等しかった(表9)。
【0236】
【表11】
【0237】
[246] 結論:IVブレキサノロン投与と比べて、ERブレキサノロンの筋肉内投与は、反復投与での動物モデルで忍容性が良好であり、望ましいPKプロファイルを示した。
【0238】
実施例10:健康な対象でのERブレキサノロンの安全性、忍容性、及び薬物動態を評価する第I相試験
概要
[247] ERブレキサノロン(ブレキサノロン、合成のアロプレグナノロン)のこの第1相非盲検、安全性、忍容性、及び薬物動態的(PK)試験は、ERブレキサノロンの単回筋肉内(IM)注射が、静脈内(IV)使用のためのZulresso(商標)(ブレキサノロン)(ZULRESSOTMPrescribing Information, 2019)の曝露プロファイルに基づいたPPDにおける有効性と関連するブレキサノロン曝露プロファイルを達成できるかを評価する概念実証として役立った。試験において、最適な濃度及び見込みのある治療量がPPDを有する女性でのその後の試験で評価され得るように、ERブレキサノロン延長放出水性懸濁製剤を、3つの用量段階(30mg、100mg、及び300mgまでのブレキサノロン)で、3種までの異なるブレキサノロン濃度、すなわちERブレキサノロン-A(300mg/mL)、ERブレキサノロン-B(ERブレキサノロン-Aの3倍希釈体、100mg/mL)及びERブレキサノロン-C(任意選択の中間濃度)を使用して特性化した。
【0239】
試験設計
[248] この試験は、IM注射により健康な成人対象に投与される場合のERブレキサノロンの安全性、忍容性、及びPKを評価する第I相非盲検、単回投与量漸増(SAD)拡大試験であった。3種の用量段階(30mg、100mg、及び300mgまで)を、2種の計画されたブレキサノロン濃度(ERブレキサノロン-A)[より高い濃度のブレキサノロン、300mg/mL]及びERブレキサノロン-B[より低い濃度のブレキサノロン、100mg/mL])と共に含めた。追加の任意選択の中間濃度(ERブレキサノロン-C)も試験に含めた。用量段階をスキーム(図12)に示される通り投与コホートで評価した。投与量は、コホート安全性/忍容性データの安全性審査委員会(SRC)検討に基づいて調整され得る。合計で5つの計画されたコホート及び2つの任意選択のコホート群を試験に含めた。
【0240】
[249] 最高血漿濃度(Cmax)、最高血漿濃度到達時間(Tmax)、及び見かけの消失半減期などの典型的なPKパラメーター、並びに初期の薬物吸収速度、治療上効能のある血漿濃度の継続期間、及び終末相薬物消失プロファイルなどの重要な薬物曝露特性を評価した。ブレキサノロンの目標血漿濃度を、妊娠後期のアロプレグナノロンレベルの観察結果に基づいて選択し(およそ50ng/mL[Sage Therapeutics, Inc 2018; Kanes 2017a])、これらの目標レベルを、さらなる試験で(Kanes 2017b; Meltzer-Brody 2018; Sage Therapeutics, Inc 2018)、プラセボと比較してPPDにおける有効性と関連すると確認した。
【0241】
主要な目的
・健康な成人対象での単回投与のERブレキサノロン濃度の安全性及び忍容性を評価すること
・健康な成人対象でのERブレキサノロンの単回投与後のブレキサノロンのPKプロファイルを特性化すること
【0242】
エンドポイント
・有害事象(AE)の発生率及び重症度
・バイタルサイン、心電図(ECG)読取り、臨床検査結果、シーハン自殺傾向追跡尺度(S-STS)(自己報告)を含む臨床評価
・ERブレキサノロンの単回投与後のブレキサノロンのPKパラメーターには、Cmax、Tmax、0から最終濃度測定可能時間までの曲線下面積(AUClast)、0から無限時間までの曲線下面積(AUC0-inf)、IM注射後の吸収速度(Ka)、見かけの終末相消失半減期(T1/2)、クリアランス(CL)、及び分布容積(Vd)がある。
・安全性及び忍容性は、AE及び臨床検査による評価を含む関連する全パラメーターの臨床的検討により見積もられるだろう。全AEは、適切なバージョンの医薬規制用語集(MedDRA)によりコード化され、下記に従って表にされるだろう:
〇器官別大分類(SOC)及び好ましい用語(PT)
〇重症度及び重篤度
〇治験薬との関連
【0243】
対象
[250] 適格な対象を各コホート群に割り付け、各コホートはコホートあたり少なくとも30%の女性対象を含む10名までの対象で構成された。
【0244】
継続期間
[251] 5つの投与コホートを計画し、2つの投与コホートは任意選択であった(図12)。各対象の推定された総試験参加期間は、スクリーニング期間(4週間まで)、投与期間(1日目)、及び投与後経過観察期間(2週間)を含む6週間までであった。可能性がある延長経過観察期間(14日目の後に実施される1回のリモート来院)を、ERブレキサノロンの見かけの終末相消失半減期に基づいて、必要な場合含めた。
【0245】
投与レベル及び濃度
[252] 3種の用量段階(30mg、100mg、及び300mgまで)コホートを、2つの計画された濃度(ERブレキサノロン-A[より高い濃度のブレキサノロン、300mg/mL]及びERブレキサノロン-B[より低い濃度のブレキサノロン、100mg/mL])で含めた。より低い濃度(ERブレキサノロン-B)を、賦形剤を含むがブレキサノロンを含まない提供された透明な滅菌溶液による3倍希釈を使用して300mg/mL濃度の現場での希釈により調製した(希釈の詳細な指示は調剤マニュアル[PM]に含まれている)。追加の任意選択の中間濃度(ERブレキサノロン-C)を、必要な場合試験に含めた(図12参照:試験コホート投与スケジュール)。
・コホート1:ERブレキサノロン-B 30mg、1日目の単回IM注射(100mg/mL投与量の0.3mL注射)
・コホート2:ERブレキサノロン-A 100mg、1日目の単回IM注射(300mg/mL投与量の0.34mL注射)
・コホート3:ERブレキサノロン-B 100mg、1日目の単回IM注射(100mg/mL投与量の1mL注射)
・コホート4:ERブレキサノロン-A 300mgまで、1日目の単回IM注射(300mg/mL投与量の1mL注射)
・コホート5:ERブレキサノロン-B 300mgまで、1日目の単回IM注射(100mg/mL投与量の3mL注射)
・コホート6:ERブレキサノロン-C 100mg、1日目の単回IM注射(任意選択)
・コホート7:ERブレキサノロン-C 300mgまで、1日目の単回IM注射(任意選択)
【0246】
[253] この第1相試験の30mgの開始投与量の選択は、主として、動物毒物学データ並びにヒト最大推奨用量(MRHD)、安全性、及びPKを含むZULRESSO(商標)の現在利用可能な臨床結果に基づいていた。ヒト等価用量(HED)に基づく安全域を、優良試験所基準(GLP)ラット単回IM投与試験から得た無毒性量(NOAEL)、並びにZULRESSO(商標)プログラム結果(US Food and Drug Administration, Center for Drug Evaluation and Research 2018. Multi-disciplinary review and evaluation, NDA 211371, ZULRESSOTM[brexanolone])から要約された他の毒性試験を使用して計算した。現在の試験に登録された健康な成人対象での30mgの臨床の開始投与量で、安全域は、ERブレキサノロンGLPラット毒性試験に基づいて24倍であり、安全域は、IV投与によるGLP毒性試験に基づいて6~24倍の範囲である。ERブレキサノロンラット毒性試験に基づいた安全域は、300mgの計画された最高の投与量で2.4倍であった。安全域を、毒性試験からのブレキサノロン血漿曝露(Cmax及びAUC)に基づいても見積もった。さらに、開始投与量は、ZULRESSO(商標)MRHDの300mg累積投与量のおよそ10分の1であった。300mg/mL及び100mg/mLへの3倍希釈のERブレキサノロン製剤は、ZULRESSO(商標)の同じ用量段階で、より低いCmax及びより低い又は同等なAUCを有するとも予測された。したがって、安全域評価は、妊婦における既知の内因性レベル(Sage Therapeutics, Inc 2018; Kanes 2017a; Kanes 2017b; Meltzer-Brody 2018)及び現在利用可能な臨床安全性情報と共に、健康な成人対象での計画された投与量でのERブレキサノロンの臨床試験を支持した。
【0247】
[254] 投与期間(1日目):投与は、安全性、忍容性、及びPK評価を可能にするために入院患者に対するものであった。適格な対象が登録されて、投与スケジュールに従ってERブレキサノロン-A(100mg又は300mgまで)、ERブレキサノロン-B(30mg、100mg、又は300mgまで)、又はERブレキサノロン-C(任意選択)(100mg又は300mgまで)を服用した。1日目に実施した安全性評価には、バイタルサイン、パルスオキシメトリー、並びにAE及び併用薬の見直しがあった。PK血液試料を収集し、S-STS(自己報告)評価を投与前に実施した。
【0248】
[255] 投与後経過観察期間(2日目~14日目):対象は、臨床研究施設に、対面評価のために14日間とどまった。以下の評価をこの期間の間に実施した:簡単な/完全な身体診察(バイタルを含む)、パルスオキシメトリー、12誘導心電図、臨床検査、尿検査、妊娠可能な女性の妊娠検査、AE及び併用薬の見直し、並びにPK血液試料収集。S-STS(自己報告)をこの期間の間に実施した。対象を、入院患者期間の最後に解放した。
【0249】
[256] 延長経過観察期間(14日目の後に実施される1回のリモート来院):可能性のある延長経過観察リモート来院を、ERブレキサノロンの見かけの終末相消失半減期に基づいて、必要な場合14日目の後に実施した。AE評価をこのリモート来院の間に実施した。
【0250】
組入れ基準
[257] 対象は、以下の基準の全てが当てはまる場合のみ試験への組入れに適格であった:
・年齢-インフォームドコンセントに署名する時点で18歳(18歳を含む)(又は法的同意の年齢、いずれか遅い方)から50歳(50歳を含む)まででなくてはならない
・対象の種類及び疾患特性
a.病歴、身体診察、臨床検査、及び12誘導心電図を使用する心臓モニタリングを含む医学的評価により決定されて健康である
b.プロトコルに従って血液サンプリングを可能にするのに充分な静脈アクセスを有する
・体重-18.0~35kg/m2(両端含む)の範囲内のボディマス指数(BMI)として、及び、治験担当医師の意見により、対象の体形は、注射部位で筋肉内に正確に注射する能力を阻まないだろう。
・性別-男性及び女性
・男性又は女性による避妊薬使用は、臨床試験に参加する人々にとって、避妊の方法に関する施設の規制と一貫しているべきである。
・男性対象:妊娠の可能性がある女性パートナーがいる男性対象は、治験薬投与の時から試験の最後まで、以下の避妊要件のうち1つを満たすことに同意した:
a.全禁欲、又は
b.無精子の書類(対象の自己報告)がある精管切除術又は
c.殺精子剤を伴うバリア形態の避妊(コンドーム)又は
d.男性が説明同意文書(ICF)に署名する前12週間以内の、子宮内避妊器具又は経口、埋込式、注射可能、若しくは経皮避妊薬を含むホルモン避妊薬の女性パートナー使用者。
・男性対象は、投与後90日まで精子提供しないことにも同意した。
・女性対象:女性対象は、下記の場合参加するのに適格であった
a.初経前、又は書類がある(対象の自己報告)子宮摘出術、若しくは両側卵管結紮術若しくは卵巣摘出術を有する閉経期前として定義される通り、妊娠の可能性がない、
b.妊娠の可能性があり、授乳しておらず、試験の終了まで以下の許容できる避妊方法の1つを使用することに同意した:
〇全禁欲、又は
〇殺精子剤を伴うコンドーム若しくは閉塞キャップなどのバリア形態の避妊又は
〇ICFに署名する少なくとも12週間前に開始する子宮内避妊器具、又は経口、埋込式、注射可能、若しくは経皮避妊薬を含むホルモン避妊薬。妊娠の可能性がある女性(WOCBP)は、スクリーニング時に陰性の血清妊娠検査及び治験薬投与の前-1日目に陰性の尿妊娠検査を有さなければならない。
・インフォームドコンセント-ICF及びプロトコルに列記された要件及び制限の順守を含む署名済みインフォームドコンセントを与えることが可能である。
・他の組入れ基準
a.試験の継続期間の間に献血をしないことに同意した
b.治験薬投与後2週間身体的活動を増加させないことに同意した。
【0251】
[258] 除外基準
[259] 以下の基準のいずれかが当てはまる場合、対象を試験から除外した:
・医学的状態
a.薬物の吸収を著しく変更しかねない;試験医薬品を服用する場合リスクを構成しかねない;又はデータの解釈を妨害しかねない、あらゆる代謝、アレルギー性、皮膚科、肝臓、腎臓、血液、肺、感染性、心血管、胃腸、新生物(基底又は扁平上皮癌を除く)、神経学的、又は精神障害(治験担当医師により決定される)の著しい既往歴又は臨床徴候
b.試験の1日目の前6か月以内又は試験の間のあらゆる外科大手術又は入院、但し治験担当医師により臨床的に重要でないと考えられる場合を除く。
c.あらゆる薬物化合物、食品、又は他の物質に対する著しい過敏症、不耐性、又はアレルギーの既往歴、但し、治験担当医師により承認される場合は除く。
d.治験担当医師の意見において臨床的に重要である異常な心電図の既往歴又は存在。少なくとも10分間の安静後の三連のスクリーニング心電図からの平均として得られた450msを超えるQTc間隔期間(バゼットかフリデリシアのいずれか)。
e.スクリーニングの前1年以内の、アメリカ精神医学会精神障害の診断と統計マニュアル(第5版)基準に従ったアルコール若しくは他の物質の使用障害の既往歴又は薬物の乱用の最近の使用若しくはスクリーニング時の薬物乱用の陽性尿スクリーン。
f.スクリーニングの前1年以内のうつ病又は自殺思考及び/又は行動の既往歴。
g.IM注射に対する不耐性の既往歴。
h.腹水、肝性脳症及び/又は食道若しくは胃の静脈瘤を含む肝代償不全の既往歴。
i.SARS-CoV-2曝露歴又は-1日目(検査は-2日目に投与される)の陽性COVID-19 RNA検査結果を含むCOVID-19の病歴。
j.1日目の前14日以内にワクチンを受けたか、又は試験の間の任意の時にワクチンを受ける予定である。
・以前の/付随する療法
k.1日目の前14日以内又は試験全体にわたる処方薬の使用、但し、安定な投与量の1)胃腸逆流、喘息、アレルギー、高コレステロール血症、及び高血圧などの既存の病状を治療するための処方薬は除く。高血圧は、1種の医薬品で6か月より長くコントロール良好でなくてはならない。喘息は、平均で週に2回以下のレスキュー気管支拡張剤の使用を要し、コントロール良好でなくてはならない。ホルモン補充療法及び経口、注射可能、皮下、膣内、又は埋込み式避妊薬、並びに子宮内避妊器具、及び子宮内ホルモン放出システムは避妊のために許可される。吸入及び外用ステロイドは許可される。
l.1日目の前30日以内及び試験全体にわたる抗血小板剤、抗凝固剤、又は抗てんかん医薬の使用。
m.1日目の前14日以内及び試験全体にわたるベンゾジアゼピンなどの抗うつ剤、オピオイド、又は中枢神経系作用薬の使用。
n.1日目の前14日以内及び試験全体にわたる処方箋不要の(OTC)医薬品又は生薬、例えば中薬の使用、但し、許可されたOTC医薬を以下の通り除く:パラセタモール(アセトアミノフェン)≦2g/日、アスピリン≦3g/日、又はイブプロフェン<1.2g/日;又は局所薬。
o.1日目の前72時間以内及び試験全体にわたるクランベリー、パイナップル、セビリアオレンジ、グレープフルーツ、又はカフェイン(キサンチン含有製品)を含む食品又はジュースの摂取、但し、治験担当医師により許容されると考えられる場合を除く。
p.1日目の前14日以内及び試験全体にわたるハーブティー、エナジードリンク、ハーブ製品(例えば、セントジョーンズワート、オオアザミ)、又は補完的な超治療量のビタミン類の摂取、但し、治験担当医師、メディカルモニター、及び/又は治験依頼者により承認されるものを除く。
・以前の/同時の臨床試験経験
q.治験薬投与の前90日以内に治験のモノクローナル抗体、若しくは90日若しくは5半減期以内(どちらか長い方)の他の治験薬を服用したか、又は介入性治療を含む別の臨床試験の経過観察期中で活動中(active)である。対象は、経過観察期間を含みこの試験への参加の間いつでも、他の試験に参加しないことにも同意した。
・診断評価
r.スクリーニング時におよそ10分間の安静の後で、140mmHgを超える収縮期血圧又は90mmHgを超える拡張期血圧。
s.標準化された施設の臨床方法を使用して、推算糸球体濾過量(eGFR)による60mL/分/1.73m2未満の糸球体濾過量計算値。
・他の除外基準
t.スクリーニング前30日以内に、週あたり21単位のアルコール(50歳までの男性)又は週あたり14単位(50歳を超える男性及び女性)を超える平均の週あたりのアルコール摂取を有した。1単位:5オンス又は150mLの1杯のワイン;12オンス又は360mLのビール;1.5オンス又は45mLの蒸留酒。
u.1日目の前72時間以内及び試験の継続期間の間にアルコール摂取をやめる意欲がない(アルコール呼気スクリーンにより確認)。
v.1日目の前6か月以内及び試験の間のタバコ、電子タバコ(あらゆる種類)、パイプ、葉巻、噛みタバコ、ニコチンパッチ、ニコチンロゼンジ、又はニコチンガムを含むがこれらに限定されないあらゆるタバコ含有又はニコチン含有製品の使用。
w.特別な食事制限が必要である、但し、制限が、治験担当医師、メディカルモニター、及び/又は治験依頼者により承認される場合を除く。
x.治験担当医師の意見により、対象を登録に不適にするか、又は対象の試験への参加若しくは試験の完了を妨げ得るあらゆる状態。
y.治験薬投与の前90日以内に500mLを超える献血をした。
【0252】
治験薬
[260] ERブレキサノロンは、300mg/mLの最終濃度のIM注射用の滅菌された水性懸濁製剤として供給された(表10)。それは、2~8℃で施設に輸送された単回使用バイアル中で供給され、施設で、2~8℃で保存された。ERブレキサノロンバイアルは、バイアルを光から保護するため元の箱内で保存された。各バイアルは、2mLの透明な茶色ガラスバイアル中に1.3mLの懸濁剤(ブレキサノロン300mg/mL)を含んでいた。賦形剤を含有するがブレキサノロンを含有しない透明な滅菌溶液が、透明な茶色ガラスバイアル中で希釈のために提供された(バイアルあたり2.2mL)。
【0253】
【表12】
【0254】
安全性評価
[261] 安全性関連評価には、身体診察、12誘導心電図、バイタルサイン、AE、パルスオキシメトリー、臨床検査(表11)、及びS-STS(自己報告)があった。これらの評価は、スクリーニング時、及び試験の間の特定の時に(入院患者観察期間の間)実施された。AE評価は、延長経過観察期間リモート来院が必要であった場合、その間に実施された。試験のどの期間の間でも、過度の鎮静状態/傾眠、LOC、又は失神/失神寸前状態を含む特に注目すべき有害事象(AESI)が報告された場合、詳細な臨床観察データが収集され、予定されていないPKサンプリングが実施された。注射部位反応(ISR)もこの試験においてAESIであると特定された。
・身体診察-心血管、呼吸器、胃腸、及び神経系。身長、体重、及びBMIも、スクリーニング来院に測定され、記録されるだろう。
・バイタルサイン-血圧、脈拍数、呼吸数、及び体温は、スクリーニング来院時、並びに-1日目から8日目、10日目、12日目、14日目、及び早期中止時に評価された。
・パルスオキシメトリー-パルスオキシメトリーは、1日目に連続的に実施された。
・心電図-三連の12誘導心電図が、心拍数を自動的に計算し、PR、QRS、QT、及びQTc間隔を測定する心電図装置を使用して得られた(1日目、14日目)。
・臨床安全性の臨床検査による評価(表11参照)。
【0255】
【表13】
【0256】
【表14】
【0257】
有害事象
[262] 有害事象(AE)が対象により報告された。
【0258】
[263] 治験担当医師及び資格のある被指名人は、AE又はSAEの定義を満たす事象を検出し、文書化し、記録する責任があり、重篤であり、治験薬若しくは試験処置に関連すると考えられ、又は対象に試験を中止させたAEの経過観察に責任を持ち続ける。
【0259】
薬物動態
・全血試料を、ERブレキサノロンの血漿濃度の測定のために収集した。
・治験担当医師と治験依頼者の間で認可され合意された場合、追加の試料を試験の間の他の時点で収集した。試料収集のタイミングを、新たに利用可能なデータに基づいて試験の過程の間で変更して(例えば、ピーク血漿濃度の時間のより近くでデータを得るために)、適切なモニタリングを確実にした。
・生体試料の収集及び取扱いの指示は治験依頼者により与えられた。各試料の実際の日付及び時間(24時制の時間)を記録した。
・試料を使用してERブレキサノロンのPKを評価した(表12)。試料の処理、輸送、及び分析に関する詳細は、薬物動態マニュアルに与えられていた。ERブレキサノロン血漿濃度の分析のために収集された試料は、試験中又はその後に生じる懸念に関する安全性側面を評価するためにも使用した。
・ERブレキサノロンの複数の側面、例えば臨床検査及びPKの決定のための全血試料が採取される来院では、充分な体積の1つの試料を使用した。
【0260】
【表15】
【0261】
結果
[264] PK分析-コホート4:
[265] コホート4の対象に、1mLの300mg/mL投与量のERブレキサノロンを筋肉内注射により投与した。コホート4の対象のうち4名(2名の女性及び2名の男性対象)のPK分析を表13に与える。
【0262】
【表16】
【0263】
[266] 図13によると、ブレキサノロンの血漿濃度は216時間までわずかに増加し、次いで試験の継続期間の間一定レベルで維持された。
【0264】
[267] 図14の重ねられたデータにより示される通り、Cmax及びAUC0-312hの観察値に基づくと、対象間変動性は低かった(CV<30%)。3つの漸増する投与量の図15中の結果は、30~300mgの範囲におよそ線形の曝露増加(AUC0-312h)があったため比例性を示す。14日目に、平均血漿濃度は、平均投与前ベースラインレベルの約14倍であった。さらに、どの対象にも薬物ダンピング(drug-dumping)が観察されなかった。
【0265】
[268] PK分析-コホート5:
[269] コホート5の対象(2名の女性及び2名の男性対象)に、3mLの100mg/mL(全体で300mg)投与量のERブレキサノロンを筋肉内注射により投与した。コホート5の対象のうち3名のPK分析を表14に与える。
【0266】
【表17】
【0267】
[270] 図16によると、ブレキサノロンの血漿濃度は、約264時間一定レベルに維持された後にわずかに減少した。
【0268】
[271] 図17の重ねられたデータにより示される通り、対象間変動性は、Cmax及びAUC0-312hの観察値に基づくと低かった(CV<30%)。3つの漸増する投与量の図18中の結果は、30~300mgの範囲でおよそ線形の曝露増加(AUC0-312h)があったので比例性を示す。14日目に、平均血漿濃度は平均投与前ベースラインレベルの約9倍であった。さらに、どの対象にも薬物ダンピングが観察されなかった。
【0269】
実施例11:女性参加者における産後うつ病の予防のためのERブレキサノロンを評価する第2相臨床試験
[272] PPDを発症するリスクがある成人女性での産後うつ病(PPD)の予防におけるERブレキサノロンの安全性、忍容性、及び有効性を評価するための第2相ランダム化、二重盲検、プラセボ対照試験。
【0270】
試験設計
[273] これは、PPDのリスクがある成人女性にIM注射により投与されたERブレキサノロンの第2相ランダム化、二重盲検、プラセボ対照治験である。試験は、単回投与量のERブレキサノロンの安全性、忍容性、及び有効性を評価するように設計されている。
【0271】
[274] 適格な対象は産後すぐに臨床試験相においてランダム化され、ERブレキサノロン又はプラセボを単回投与として分娩後24~48時間に投与されるだろう。
【0272】
[275] PPDのエピソードがある対象は下記の通り定義されるだろう:
1週空けた2回の機会に15以上のハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)17総スコアを有する対象は盲検化された精神科医により評価されて、DSM-5基準大うつ病(PPD)の存在が確認されるだろう。
【0273】
[276] 治療群:ERブレキサノロン又はプラセボ
【0274】
目的
[277] PPDを発症するリスクがある成人女性に筋肉内注射(IM)により投与された単回投与量のERブレキサノロンの安全性及び忍容性を評価すること。
【0275】
[278] PPDを発症するリスクがある成人女性にIM投与された単回投与量のERブレキサノロンの有効性を評価すること。
【0276】
患者集団
[279] この治験は、PPDを発症するリスクがあるうつ病でない妊娠中の成人女性を登録するだろう。
【0277】
[280] 参加者の数:臨床試験は、合計で50名までの対象を含むように計画されている;アームあたりn=25、ERブレキサノロン対プラセボに1:1でランダム化。
【0278】
[281] 組入れ基準:女性対象は、この臨床試験への参加に適格であるために以下の基準を満たさなければならない:
・インフォームドコンセントに署名する時点で、18歳(18歳を含む)(又は法的同意の年齢、いずれか遅い方)から45歳(45歳を含む)でなくてはならない。
・インフォームドコンセント及びプロトコルに列記された要件及び制限の順守を含む、プロトコルに記載された署名済みインフォームドコンセントを与えることが可能である。
・スクリーニングの前5年以内に医療介入を要する産後発症大うつ病の少なくとも1つの過去のエピソードを有する、うつ病でない(HAM-D17≦7)妊娠中の女性(35週間以下の妊娠期間)。
・病歴、身体診察、12誘導心電図を使用する心臓モニタリング、及び臨床検査を含む医学的評価により決定して健康である。
・プロトコルに従った血液サンプリングを可能にするのに充分な静脈アクセスを有する。
・試験の継続期間の間献血しないことに同意する。
・18.0kg/m以上で35kg/m以下の範囲内のボディマス指数(BMI)を有し、治験担当医師の意見により、対象の体形は、注射部位で筋肉内に正確に注射する能力を阻まないだろう。
【0279】
[282] 除外基準:下記の基準のいずれかを満たす女性対象(特定されない限り)はこの臨床試験から除外されるだろう:
・薬物の吸収を著しく変更しかねない;試験医薬品を服用する場合リスクを構成しかねない;又はデータの解釈を妨害しかねない、あらゆる代謝、アレルギー性、皮膚科、肝臓、腎臓、血液、肺、感染性、心血管、胃腸、新生物(基底又は扁平上皮癌を除く)、神経学的、又は精神障害(治験担当医師により決定される)の著しい既往歴又は臨床徴候
・他の第I軸診断(全般性不安又はパニック障害を除く)又は反社会性若しくは境界性パーソナリティ障害のDSM-5基準を満たし、精神病又は双極性障害を有する者。
・試験の1日目の前6か月以内又は試験の間のあらゆる外科大手術又は入院、但し治験担当医師により臨床的に重要でないと考えられる場合を除く。
・あらゆる薬物化合物、食品、又は他の物質に対する著しい過敏症、不耐性、又はアレルギーの既往歴、但し、治験担当医師により承認される場合は除く。
・治験担当医師の意見において臨床的に重要である異常な心電図の既往歴又は存在。スクリーニング時に少なくとも10分間の安静後の三連のスクリーニング心電図からの平均として得られた450msを超えるQTc間隔期間(バゼットかフリデリシアのいずれか)。
・スクリーニング時に、およそ10分の安静後に、140mmHgを超える収縮期血圧又は90mmHgを超える拡張期血圧。
・標準化された施設の臨床方法を使用して、推算糸球体濾過量(eGFR)による60mL/分/1.73m未満の糸球体濾過量計算値。
・スクリーニングの前1年以内の、アメリカ精神医学会精神障害の診断と統計マニュアル第5版基準に従ったアルコール若しくは他の物質の使用障害の既往歴又は薬物乱用の最近の使用若しくはスクリーニング時の薬物乱用の陽性尿スクリーン。
・スクリーニングの前1年以内のうつ病又は自殺思考及び/又は行動の既往歴。
・治験薬投与の前90日以内に治験のモノクローナル抗体、若しくは90日若しくは5半減期以内(どちらか長い方)の他の治験薬を服用したか、又は介入性治療を含む別の臨床試験の経過観察期中で活動中である。対象は、経過観察期間を含みこの試験への参加の間いつでも、他の試験に参加しないことにも同意しなければならない。
・IM注射に対する不耐性の既往歴。
・治験担当医師の意見により、対象を登録に不適にするか、又は対象の試験への参加若しくは試験の完了を妨げ得るあらゆる状態。
・あらゆる原因、B型肝炎表面抗原、C型肝炎ウイルス抗体、又はヒト免疫不全ウイルス抗体の存在による臨床的に重要な慢性肝臓疾患の既往歴。
【0280】
[283] 除外される医薬品及び食品
・1日目の前14日以内又は試験全体にわたる処方薬の使用、但し、安定な投与量の1)胃腸逆流、喘息、アレルギー、高コレステロール血症、及び高血圧などの既存の病状を治療するための処方薬は除く。高血圧は、1種の医薬品で6か月より長くコントロール良好でなければならない。喘息は、平均で週に2回以下のレスキュー気管支拡張剤の使用を要し、コントロール良好でなければならない。ホルモン補充療法及び経口、注射可能、皮下、膣内、又は埋込み式避妊薬、並びに子宮内避妊器具、及び子宮内ホルモン放出システムは避妊のために許可される。吸入及び外用ステロイドは許可される。
・1日目の前30日以内及び試験全体にわたる抗血小板剤、抗凝固剤、又は抗てんかん医薬の使用。
・妊娠の第1三半期後のあらゆる心理療法又は抗精神性医薬品の使用。
【0281】
[284] 治験薬:ERブレキサノロン(ブレキサノロン、合成のアロプレグナノロン)は、天然の神経活性ステロイド(NAS)ガンマ-アミノ酪酸(GABA)A受容体の正の調節因子である。ERブレキサノロンは、IM使用のために延長放出水性懸濁剤として製剤される。
【0282】
[285] この臨床試験に使用されるERブレキサノロン製剤は表15に与えられる。
【0283】
【表18】
【0284】
[286] 対照製品:プラセボ(ERブレキサノロン製品を含まず賦形剤を含有する水溶液)
【0285】
試験手順
[287] 試験の継続期間:
[288] 各対象の推定された総継続期間は、スクリーニング期間(4週間)、投与期間(1日)、投与後PPD予防的治療期間(16週間)を含み20週間までである。
【0286】
[289] スクリーニング期間(4週間まで):
[290] スクリーニングは、投与(1日目)前に4週間以内で実施され、書面によるインフォームドコンセント、適格性の決定、人口統計及び病歴の収集、完全な身体診察(バイタルを含む)、臨床検査、ウイルス血清検査のスクリーニング、尿検査、12誘導心電図、シーハン自殺傾向追跡尺度(S-STS;自己報告)、及びプロトコルに従った他の評価を含むだろう。スクリーニング活動に関連した有害事象を、同意の時点以降収集しなければならない;スクリーニング期間の間に起こるあらゆる他の事象を、病歴として報告すべきである。全SAEを、同意の時点以降収集しなければならない。
【0287】
[291] 投与期間(1日;1日目):
[292] 投与は、安全性及び忍容性評価を可能にするために入院患者に対するものだろう。適格な対象は、投与スケジュールに従って単回投与量のERブレキサノロン又はプラセボを服用するようにランダム化されるだろう。1日目に実施される安全性評価には、バイタルサイン、連続的なパルスオキシメトリー、並びにAE及び併用薬の見直しがある。安全性及び有効性の評価並びに時点の完全な列挙に関しては、完全なプロトコルを参照されたい。
【0288】
[293] 投与後PPD予防的治療期間(16週間):
【0289】
主要評価項目
[294] 16週間PPD予防的治療期間の間にPPDエピソードが発生する対象のパーセンテージ(PPDエピソード基準に関しては試験設計セクションを参照されたい)。
【0290】
統計分析
[295] 各治療群に関して、16週間PPD予防的治療期間の間にPPDエピソードが発生する対象のパーセンテージが報告されるだろう。
【0291】
[296] 記述統計学が連続変数に関して表され、頻度及びパーセンテージがカテゴリー変数及び順序変数に関して表されるだろう。パーセンテージは、治療群中の非欠損値の数に基づくだろう。詳細は統計解析計画書に与えられるだろう。
【0292】
追加の実施形態
1.ブレキサノロン、その薬学的に許容できる塩及び誘導体からなる群から選択される薬学的に有効な量の神経活性ステロイドを含む水性懸濁医薬組成物であって、神経活性ステロイドが、1回以上の注射でそれを必要とする対象に投与される場合、少なくとも約72時間の期間にわたり治療上有効な血漿濃度を与えて、神経学的病態が治療される、水性懸濁医薬組成物。
2.神経活性ステロイドがブレキサノロンを含む、実施形態1の水性懸濁医薬組成物。
3.30mg~1000mgのブレキサノロンを含む、実施形態1又は2の水性懸濁医薬組成物。
4.ブレキサノロンの濃度が約30mg/mL~約500mg/mLである、実施形態1~3のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
5.ブレキサノロンが、約1μm~約5μmのDv50を有する粒径分布(PSD)を有する、実施形態1~4のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
6.ブレキサノロンが、約3μmのDv50を有する粒径分布(PSD)を有する、実施形態5の水性懸濁医薬組成物。
7.ブレキサノロンが、約4μm~約8μmのDv90を有する粒径分布(PSD)を有する、実施形態1~6のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
8.ブレキサノロンが、約6μmのDv90を有する粒径分布(PSD)を有する、実施形態7の水性懸濁医薬組成物。
9.1種以上の薬学的に許容できる賦形剤をさらに含む、実施形態1~8のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
10.1種以上の薬学的に許容できる賦形剤が、界面活性剤、緩衝剤、又は両方を含む、実施形態9の水性懸濁医薬組成物。
11.界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、実施形態10の水性懸濁医薬組成物。
12.界面活性剤がポリソルベート80を含む、実施形態10又は11の水性懸濁医薬組成物。
13.界面活性剤が組成物の約0.2%~約1.0% w/vを構成する、実施形態10~12のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
14.界面活性剤が組成物の約0.5%~約0.9% w/vを構成する、実施形態13の水性懸濁医薬組成物。
15.界面活性剤が組成物の約0.6%~約0.8% w/vを構成する、実施形態14の水性懸濁医薬組成物。
16.緩衝剤が組成物の約0.1%~約0.5% w/vを構成する、実施形態10~15のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
17.緩衝剤がクエン酸緩衝剤を含む、実施形態10~16のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
18.クエン酸緩衝剤がクエン酸ナトリウム二水和物及びクエン酸一水和物を含む、実施形態17の水性懸濁医薬組成物。
19.クエン酸ナトリウム二水和物が組成物の約0.15%~約0.2% w/vである、実施形態18の水性懸濁医薬組成物。
20.クエン酸一水和物が組成物の約0.010%~約0.015% w/vである、実施形態18の水性懸濁医薬組成物。
21.懸濁化剤をさらに含む、実施形態1~20のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
22.懸濁化剤がポリエチレングリコール(PEG)を含む、実施形態21の水性懸濁医薬組成物。
23.PEGが高分子量PEGである、実施形態22の水性懸濁医薬組成物。
24.高分子量PEGが、PEG 3350、PEG 4000、又はPEG 6000である、実施形態23の水性懸濁医薬組成物。
25.高分子量PEGがPEG 3350である、実施形態24の水性懸濁医薬組成物。
26.懸濁化剤が組成物の約0.2%~約1.0% w/vを構成する、実施形態21~25のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
27.懸濁化剤が組成物の約0.5%~約0.9% w/vを構成する、実施形態26の水性懸濁医薬組成物。
28.懸濁化剤が組成物の約0.6%~約0.8% w/vを構成する、実施形態27の水性懸濁医薬組成物。
29.等張化剤をさらに含む、実施形態1~28のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
30.等張化剤が、デキストロース、マンニトール、及びグリセリンからなる群から選択される、実施形態29の水性懸濁医薬組成物。
31.等張化剤がマンニトールである、実施形態30の水性懸濁医薬組成物。
32.等張化剤が医薬組成物の約2%~約6% w/vを構成する、実施形態29~31のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
33.等張化剤が医薬組成物の約3%~約4% w/vを構成する、実施形態32の水性懸濁医薬組成物。
34.医薬組成物がシクロデキストリンを実質的に含まない、実施形態1~33のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
35.スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンを実質的に含まない、実施形態34の水性懸濁医薬組成物。
36.医薬組成物がヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)を実質的に含まない、実施形態34又は35の水性懸濁医薬組成物。
37.神経活性ステロイドが、粉末X線回折(PXRD)ディフラクトグラムの以下のピーク、7.25、8.88、11.46、14.50、14.78、17.77、18.15、18.32、18.61、及び19.99±0.1 2θ(°)の少なくとも2本を有することを特徴とするブレキサノロン結晶形(多形体A型)を含む、実施形態1~36のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
38.医薬組成物が、1回以上の注射後に約10ng/mLブレキサノロンより高い最高血漿中濃度(Cmax)を与える、実施形態1~37のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
39.ブレキサノロンの最高血漿中濃度(Cmax)が、1回以上の注射後に約20ng/mL~約80ng/mLの範囲である、実施形態38の水性懸濁医薬組成物。
40.ブレキサノロンの最高血漿中濃度(Cmax)が、1回以上の注射後に約50ng/mLである、実施形態39の水性懸濁医薬組成物。
41.1回以上の注射後のブレキサノロンの最高血漿中濃度(Cmax)が、実質的に同じ量のブレキサノロンを含有するIV注入により投与された先発品のCmaxの90%未満である、実施形態1~40のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
42.最高血漿中濃度(Cmax)の少なくとも約50%が、1回以上の注射後に約50時間より長い期間維持される、実施形態1~41のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
43.最高血漿中濃度(Cmax)の少なくとも約40%が、1回以上の注射後に約100時間より長い期間維持される、実施形態1~41のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
44.最高血漿中濃度(Cmax)の少なくとも約30%が、1回以上の注射後に約300時間より長い期間維持される、実施形態1~41のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
45.医薬組成物が、1回以上の注射後に、実質的に同じ量のブレキサノロンを含有するIV注入により投与された先発品の平均定常状態曝露の約80%~約125%の範囲内のブレキサノロンの平均定常状態曝露(Css)を与える、実施形態1~44のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
46.医薬組成物が、1回以上の注射後に、52ng/mL~約79ng/mLの約80%~約125%の範囲内のブレキサノロンの平均定常状態曝露を与える、実施形態1~45のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
47.医薬組成物が、1回以上の注射後に、少なくとも約72時間少なくとも約50ng・時/mL/日であるブレキサノロンの平均の1日あたりのAUCを与える、実施形態1~46のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
48.組成物が、1回以上の注射後に約9時間より長いブレキサノロンの平均終末相消失半減期(T1/2)を達成する、実施形態1~47のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
49.組成物が、実質的に同じ量のブレキサノロンを含有するIV注入により投与された先発品のT1/2より長いブレキサノロンの平均終末相消失半減期(T1/2)を達成する、実施形態1~48のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物。
50.それを必要とする対象に、治療上有効な投与量の実施形態1~49のいずれか1つの医薬組成物を投与することを含む方法。
51.それを必要とする対象における神経学的病態を治療又は予防する方法であって、対象に、治療上有効な投与量の実施形態1~49のいずれか1つの医薬組成物を投与することを含む方法。
52.医薬組成物が、対象の投与前授乳と引き続く投与後授乳の間に対象に投与される、実施形態50又は51の方法。
53.医薬組成物が、投与前授乳の完了の1分から約360分後に対象に投与される、実施形態50~52のいずれか1つの方法。
54.医薬組成物が、投与後授乳を開始する約5分から約360分前に対象に投与される、実施形態50~53のいずれか1つの方法。
55.対象が、子供を出産した1日から12か月後の女性である、実施形態50~54のいずれか1つの方法。
56.対象が、医薬組成物を投与する時点で神経学的病態と診断されていなかった、実施形態50~55のいずれか1つの方法。
57.対象が、医薬組成物を投与する前2年以内に神経学的病態と診断されている、実施形態50~56のいずれか1つの方法。
58.対象が、医薬組成物を投与する前に、妊娠中に神経学的病態と診断されている、実施形態50~57のいずれか1つの方法。
59.対象が、医薬組成物を投与する時点で神経学的病態の家族歴を有する、実施形態50~58のいずれか1つの方法。
60.神経学的病態が、外傷性脳損傷、アルツハイマー病、軽度認知機能障害(MCI)、てんかん、発作、不安、脆弱X振戦-失調症候群、リソソーム蓄積症(ニーマン・ピック病C型)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、産後うつ病(PPD)、大うつ病性障害(MDD)、月経前不機嫌性障害(PMDD)、持続性抑うつ障害(PDD)、双極性障害、季節性情動障害(SAD)、二次性うつ病、ポストフィナステリド症候群、アルコール渇望、及び禁煙からなる群から選択される、実施形態50~59のいずれか1つの方法。
61.神経学的病態が産後うつ病(PPD)である、実施形態60の方法。
62.医薬組成物が筋肉内(IM)注射により対象に投与される、実施形態50~61のいずれか1つの方法。
63.対象が、最初の投与量の医薬組成物を投与してから2か月以内に、総ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)値の少なくとも4ポイント低下又はモンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)値の少なくとも2ポイント低下を特徴とするうつ病の減少を経験する、実施形態50~62のいずれか1つの方法。
64.対象が、最初の投与量の医薬組成物を投与してから2か月以内に、HAM-D又はMADRS値の少なくとも40%減少を特徴とするうつ病の減少を経験する、実施形態50~63のいずれか1つの方法。
65.対象が、最初の投与量の医薬組成物を投与してから2か月以内に、HAM-D又はMADRS寛解を特徴とするうつ病の減少を経験する、実施形態50~64のいずれか1つの方法。
66.対象が、最初の投与量の医薬組成物を投与してから2か月以内に、HAM-D重症度分類の少なくとも2区分変化を特徴とするうつ病の減少を経験する、実施形態50~65のいずれか1つの方法。
67.対象が、最初の投与量の医薬組成物を投与してから2か月以内に、最初の投与量の医薬組成物を投与してから2か月以内に、疾患重症度サブスケール(CGI-S)又は全般改善サブスケール(CGI-I)から選択される臨床全般印象度(CGI)サブスケールスコアの1つ以上における少なくとも1ポイント低下を特徴とするうつ病の減少を経験する、実施形態50~66のいずれか1つの方法。
68.対象が、最初の投与量の医薬組成物を投与してから2か月以内に、抑うつ症状質問票(SDQ)総スケールスコア又はSDQ-1、SDQ-2、SDQ-3、SDQ-4、及びSDQ-5のそれぞれのサブスケールのいずれかの少なくとも約10%、20%、又は30%改善を特徴とするうつ病の減少を経験する、実施形態50~67のいずれか1つの方法。
69.最初の投与量を投与した後、対象が、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)全般スコアの少なくとも1ポイント低下を特徴とするうつ病の減少を経験する、実施形態50~68のいずれか1つの方法。
70.投与することが、
(a)最初の投与量の実施形態1~49のいずれか1つの医薬組成物を投与すること;及び
(b)任意選択で、第2の投与量又はその後の投与量の実施形態1~49のいずれか1つの医薬組成物を投与すること
を含み、
第2の投与量又はその後の投与量が、ブレキサノロンの治療上有効な血漿濃度を維持するのに必要と思われる時点で投与される、実施形態50~69のいずれか1つの方法。
71.ブレキサノロンの最初の投与量とその後の投与量が同じである、実施形態70の方法。
72.ブレキサノロンの最初の投与量とその後の投与量が異なる、実施形態70の方法。
73.ブレキサノロンの最初の投与量がその後の投与量より多い、実施形態72の方法。
74.ブレキサノロンの最初の投与量がその後の投与量より少ない、実施形態72の方法。
75.それを必要とする対象における産後うつ病(PPD)を予防する方法であって、1)対象のうつ病診断データ及び妊娠データを含む対象のうつ病評価データを得るか又は得るようにさせること;2)うつ病評価データに基づいて、リスク予測データを生成させること;並びに3)リスク予測データが対象におけるPPDの高いリスクを示す場合、PPDの臨床的発症の前に、ブレキサノロン、その薬学的に許容できる塩及び誘導体からなる群から選択される薬学的に有効な量の神経活性ステロイドを含む水性懸濁医薬組成物を対象に投与することを含み、神経活性ステロイドが、1回以上の注射でそれを必要とする対象に投与される場合、少なくとも約72時間の期間にわたり治療上有効な血漿濃度を提供して、神経学的病態が治療され;且つ、うつ病評価データが得られる時点で対象がPPDと診断されていない方法。
76.水性懸濁医薬組成物が実施形態1~49のいずれか1つの水性懸濁医薬組成物である、実施形態75の方法。
77.うつ病診断データが、前記対象の、もしあれば過去のうつ病診断データ、もしあれば以前の妊娠によるうつ病データ、現在のうつ病診断データ、過去のベックうつ病尺度(BDI)値、現在のBDI値、過去のエジンバラ産後うつ病尺度(EPDS)値、現在のEPDS値、過去の産後うつ病予測尺度(PDPI)、現在のPDPI値、過去のSIGH-ADS29評価値、現在のSIGH-ADS29評価値、過去のDSM-IVのための構造化臨床面接(SCID)評価、現在のSCID評価、過去のうつ症状尺度(IDS)評価、現在のIDS評価、過去の簡易うつ症状尺度(QIDS)評価、現在のQIDS評価、臨床医IDS(IDS-C)、臨床医QIDS(QIDS-C)、患者自己記入IDS(IDS-SR)、患者自己記入QIDS(QIDS-SR)、又はこれらの組合せを含む、実施形態75又は76の方法。
78.うつ病評価データが、対象の妊娠中、妊娠の完了前10週間~0日の範囲で、妊娠の完了後0日~24週間の範囲で、又はこれらの組合せで得られるか又は得るようにされる、実施形態75~77のいずれか1つの方法。
79.神経活性ステロイドが、対象の妊娠の完了後0日~24週間の範囲で対象に投与される、実施形態75~78のいずれか1つの方法。
80.神経学的病態を治療又は予防する医薬品を製造するための、実施形態1~49のいずれか1つの医薬組成物の使用。
81.神経学的病態が、外傷性脳損傷、アルツハイマー病、軽度認知機能障害(MCI)、てんかん、発作、不安、脆弱X振戦-失調症候群、リソソーム蓄積症(ニーマン・ピック病C型)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、産後うつ病(PPD)、大うつ病性障害(MDD)、月経前不機嫌性障害(PMDD)、持続性抑うつ障害(PDD)、双極性障害、季節性情動障害(SAD)、二次性うつ病、ポストフィナステリド症候群、アルコール渇望、及び禁煙からなる群から選択される、実施形態80の使用。
82.神経学的病態が産後うつ病(PPD)である、実施形態81の使用。
【0293】
[297] 上述の種々の実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供できる。本明細書に言及された、及び/又は出願データシートに列記された米国特許、米国特許出願公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、及び非特許刊行物は全て参照により全体として本明細書に組み込まれている。実施形態の態様は、必要な場合改変されて、種々の特許、出願、及び刊行物の概念が利用されて、なおさらなる実施形態を提供できる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20
【国際調査報告】