(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(54)【発明の名称】コンピュータ断層撮影用熱管理システム及び前記システムの動作方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20230908BHJP
【FI】
A61B6/03 321B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513286
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-04-20
(86)【国際出願番号】 US2021048517
(87)【国際公開番号】W WO2022047414
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】512120638
【氏名又は名称】プリズマティック、センサーズ、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】PRISMATIC SENSORS AB
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】コンクル,ニコラス・アール
(72)【発明者】
【氏名】アーセン,エリック・シー
(72)【発明者】
【氏名】スラヴィック,スコット・ディ
(72)【発明者】
【氏名】ライザー,カイル・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ボエム,マイケル・デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ヘドベルグ,マッツ
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093EA07
4C093EB28
4C093EC45
4C093FA58
4C093FC12
(57)【要約】
【課題】CTイメージングシステムのCT検出器アセンブリを冷却するための熱管理システム及び熱管理方法を提供する。
【解決手段】
熱管理システムは、CT検出器アセンブリの読出し電子回路部を空冷することと、CT検出器アセンブリのX線センサを液体冷却することとの組合せを使用する。空気および液体のハイブリッド冷却システム及び方法は、CT検出器アセンブリの温度を低くするために、熱管理システム及び熱管理方法と一緒に結合することができる。CT検出器アセンブリの構成要素はCT検出器モジュールを含むことができ、CT検出器モジュールは、X線センサ、読出し電子回路部、及び他の構成要素を含むことができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステム用の熱管理システムであって、該熱管理システムは、
熱交換器および冷却液温度コントローラから、CT検出器アセンブリを通って、前記熱交換器および前記冷却液温度コントローラに戻る閉ループの導管をポンプによって流れる冷却液を含む液体冷却アセンブリであって、前記液体冷却アセンブリは、外部から入口空気を吸い込み、吸い込んだ入口空気が、冷却液を冷却する温度制御で閉ループの液体導管に向かって流れて、前記熱管理システムの外部に空気を排出するように構成された第1の複数のファンを含む、液体冷却アセンブリ、および
前記液体冷却アセンブリに結合された空気冷却アセンブリであって、前記空気冷却アセンブリは、前記熱管理システムの外部から入口空気を吸い込み、吸い込んだ入口空気が、レールラジエータ、前記閉ループの導管、前記CT検出器アセンブリに向かって流れて、前記熱管理システムの外部に空気を排出するように構成された第2の複数のファンを含む、空気冷却アセンブリ
を含む熱管理システム。
【請求項2】
前記液体冷却アセンブリに含まれる冷却液回路をさらに含む、請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項3】
前記冷却液回路に結合されたポンプであって、冷却液を前記閉ループの液体導管に送るポンプをさらに含む、請求項2に記載の熱管理システム。
【請求項4】
前記冷却液回路は、レールの第1の半径方向部分及び第2の半径方向部分を通り、少なくとも1つのCT検出器モジュールが、前記第1の半径方向部分と前記第2の半径方向部分との間に軸方向に配置される、請求項2に記載の熱管理システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのCT検出器モジュールとCT検出器読出し電子回路部との間に配置された熱障壁をさらに含む、請求項4に記載の熱管理システム。
【請求項6】
前記液体冷却アセンブリは、複数のCT検出器モジュールを冷却する、請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項7】
前記液体冷却アセンブリは、前記複数のCT検出器モジュール内の複数のX線センサを冷却する、請求項6に記載の熱管理システム。
【請求項8】
前記空気冷却アセンブリは、前記CT検出器の読出し電子回路部を冷却する、請求項5に記載の熱管理システム。
【請求項9】
前記冷却液が水である、請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項10】
前記冷却液が冷媒である、請求項1記載の熱管理システム。
【請求項11】
CTイメージングシステム用の熱管理システムであって、該熱管理システムは、
液体冷却アセンブリであって、
冷却液が、熱交換器からレールに流れ、前記レールからラジエータに流れて、前記熱交換器に戻るように、冷却液を流す冷却液導管、および
前記冷却液導管に結合され、前記冷却液を前記冷却液導管に送る冷却液ポンプ
を含む液体冷却アセンブリと、
前記レールの第1の側面に結合された複数のCT検出器モジュールと、
前記レールの第2の側面に結合された複数の検出器ハードウェア構成要素であって、気流ダクトに配置され、前記複数のCT検出器モジュールと電子通信する複数の検出器ハードウェア構成要素と、
前記気流ダクトの複数の出口開口部に配置された複数のファンを含む空気冷却アセンブリと、
前記気流ダクトの入口開口部に配置されたレールラジエータと
を含む、熱管理システム。
【請求項12】
CTイメージングシステムの熱管理システムを動作させる方法であって、
冷却液導管を流れる冷却液の流れが生成されるように、液体冷却アセンブリの冷却液ポンプを動作させることであって、前記冷却液ポンプは、冷却液が、前記冷却液導管を通って、熱交換器からレールに流れ、前記レールからレールラジエータに流れるように、冷却液を送り、前記レールラジエータは気流ダクトに配置され、複数のCT検出器モジュールが前記レールの第1の側面に結合される、冷却液ポンプを動作させること、及び
空気冷却アセンブリの複数のファンを動作させることであって、前記複数のファンは、前記空気流ダクトを流れる気流を生成するように、前記気流ダクトの複数の出口開口部に配置され、複数の検出器ハードウェア構成要素は、前記気流ダクト内に配置される、複数のファンを動作させること
を含む方法。
【請求項13】
前記複数のファンを動作させるステップは、第1の温度設定値に基づいて前記複数のファンの出力を調整することを含み、前記第1の温度設定値は、前記複数の検出器ハードウェア構成要素の温度に対応する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記冷却液ポンプを動作させるステップは、第2の温度設定点に基づいて前記ポンプの出力を調整することを含み、前記第2の温度設定点は、前記複数のCT検出器モジュールの温度に対応する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の温度設定値は、前記第2の温度設定値より小さい、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記冷却液ポンプ及び/又は前記複数のファンを動作させるステップは、前記複数のCT検出器モジュールの動作中に、前記冷却液ポンプの出力及び前記複数のファンの出力を離散的なレベルに設定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記液体冷却アセンブリの前記熱交換器に空気を導くように第2の複数のファンを動作させることをさらに含み、前記熱交換器は、前記レールラジエータから分離され、前記レールラジエータから間隔を間隔を置いて配置される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
CTイメージングシステムの動作中に、前記複数のCT検出器モジュールをデューティサイクルすることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される対象の実施形態は、熱管理システムを有するコンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステム、及び前記システムの動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステムを使用して、被検体(例えば、患者)または対象の画像が生成される。例えば、一部のCTイメージングシステムは、目標に向けられたX線ビームを、スキャンされる被検体または対象に向ける回転ガントリを含んでいる。しかし、CTイメージングシステムは、様々な熱管理の課題を抱えている。CTイメージングシステムは、典型的には、回転ガントリ内にCT検出器アセンブリを含んでいる。CT検出器アセンブリは高消費電力の構成要素であり、回転ガントリ内の冷却能力が制限される場合がある。検出器モジュールなどのCT検出器アセンブリの構成要素は、CTスキャナの動作中に熱を発生する、X線センサ、読出し電子回路部、及びその他の構成要素を含んでいる。これらの構成要素は要求される冷却の程度が異なる場合があり、従来のCTイメージングシステムは、CT検出器アセンブリの複数の構成要素の冷却要件を満たすことができない場合がある。したがって、CTイメージングシステムにおいて、特にCT検出器アセンブリを冷却するための、改善された熱管理システム及びその動作方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0279648A1号明細書
【発明の概要】
【0004】
発明の概要では、詳細な説明で更に詳細に記載される態様および特徴の概要を説明する。発明の概要は、請求項に記載された対象の本質的な特徴を特定するために使用されるべきではなく、請求項に記載された対象の範囲を限定するために使用されるべきでもない。
【0005】
一態様では、CTイメージングシステム用の熱管理システムは、熱交換器および冷却液温度コントローラから、CT検出器アセンブリを通って、前記熱交換器および前記冷却液温度コントローラに戻る閉ループの導管をポンプによって流れる冷却液を含む液体冷却アセンブリであって、前記液体冷却アセンブリは、外部から入口空気を吸い込み、吸い込んだ入口空気が、冷却液を冷却する温度制御で閉ループの液体導管に向かって流れて、前記熱管理システムの外部に空気を排出するように構成された第1の複数のファンを含む、液体冷却アセンブリ、および前記液体冷却アセンブリに結合された空気冷却アセンブリであって、前記空気冷却アセンブリは、前記熱管理システムの外部から入口空気を吸い込み、吸い込んだ入口空気が、レールラジエータ、前記閉ループの導管、前記CT検出器アセンブリに向かって流れて、前記熱管理システムの外部に空気を排出するように構成された第2の複数のファンを含む、空気冷却アセンブリを含む。
【0006】
別の態様では、CTイメージングシステム用の熱管理システムは、液体冷却アセンブリであって、冷却液が、熱交換器からレールに流れ、前記レールからラジエータに流れて、前記熱交換器に戻るように、冷却液を流す冷却液導管、および前記冷却液導管に結合され、前記冷却液を前記冷却液導管に送る冷却材ポンプを含む液体冷却アセンブリと、前記レールの第1の側面に結合された複数のCT検出器モジュールと、前記レールの第2の側面に結合された複数の検出器ハードウェア構成要素であって、気流ダクトに配置され、前記複数のCT検出器モジュールと電子通信する複数の検出器ハードウェア構成要素と、前記気流ダクトの複数の出口開口部に配置された複数のファンを含む空気冷却アセンブリと、前記気流ダクトの入口開口部に配置されたレールラジエータと
を含む。
【0007】
更に別の態様では、CTイメージングシステムの熱管理システムを動作させる方法は、冷却液導管を流れる冷却液の流れが生成されるように、液体冷却アセンブリの冷却液ポンプを動作させることであって、前記冷却液ポンプは、冷却液が、前記冷却液導管を通って、熱交換器からレールに流れ、前記レールからレールラジエータに流れるように、冷却液を送り、前記レールラジエータは気流ダクトに配置され、複数のCT検出器モジュールが前記レールの第1の側面に結合される、冷却液ポンプを動作させること、及び空気冷却アセンブリの複数のファンを動作させることであって、前記複数のファンは、前記空気流ダクトを流れる気流を生成するように、前記気流ダクトの複数の出口開口部に配置され、複数の検出器ハードウェア構成要素は、前記気流ダクト内に配置される、複数のファンを動作させることを含む。
【0008】
本明細書の上記の利点、態様、および特徴は、単独で、または添付の図面と関連して取り上げた場合、以下の詳細な説明から容易に明らかになる。発明の概要は、詳細な説明でさらに説明される概念から選択されたものを簡略化した形で説明するために提供されていることを理解すべきである。それは、請求項に記載された対象の重要なまたは必須の特徴を特定することを意図しておらず、請求項に記載された対象の範囲は、詳細な説明の後に続く特許請求の範囲によって一意的に定義される。さらに、請求項に記載された対象は、本開示の上記の部分又は任意の部分で指摘された欠点を解決する実装形態に限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示のこれらの特徴及び他の特徴、態様、並びに利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むことでより理解されるようになる。添付図面において、同じ又は類似の符号は、図面全体にわたって、同じ又は類似の要素を表す。
【
図1】例示的なCTイメージングシステムの斜視図である。
【
図2】例示的なCTイメージングシステムの概略ブロック図である。
【
図3】CTイメージングシステムの例示的な熱管理システムの概略ブロック図である。
【
図4】CTイメージングシステムのCT検出器アセンブリのための例示的な熱管理システムの構成要素の斜視図である。
【
図5】
図4のA-Aラインに沿ってCTイメージングシステム用の熱管理システムとともに例示的なCT検出器アセンブリの一部が切断されたときの断面斜視図である。
【
図6】
図4及び
図5に示された例示的な熱管理システムを有する例示的なCT検出器アセンブリの断面側面図である。
【
図7】CTイメージングシステム用の熱管理システムの動作の例示的な方法のフロー図である。
【
図8】熱管理システムの異なる使用事例での制御技術を示すグラフである。
【
図9】熱管理システムの異なる使用事例での制御技術を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態は、図面の図を参照しながら、例として、説明される。コンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステムの熱管理システム、及びCTの構成要素を更に冷却することを達成するための熱管理システムの動作方法について、本明細書で説明する。熱管理システム及び方法では、いくつかの例示的な実施形態において、熱管理システム又は冷却システムを、以前のCT冷却システムと比較して、構成要素の冷却レベルを更に高めることができる。
【0011】
本開示では、CTイメージングシステムのCT検出器アセンブリを冷却するための熱管理システムを説明し、図示している。熱管理システムは、CT検出器アセンブリを冷却するための空気冷却と液体冷却との組合せを含むことができる。空気冷却システム及び液体冷却システムは、CT検出器アセンブリの構成要素を冷却するために熱管理システム内で結合するようにしてもよい。CT検出器アセンブリは、X線センサ、読出し電子回路部、及び他の構成要素を含む複数の検出器モジュール又は検出器モジュールのアレイを含むことができる。
【0012】
図1は、例示的なCTイメージングシステム100を示す。特に、CTイメージングシステム100は、患者などの被検体112、無生物、1つ以上の工業製品、及び/又は異物(インプラントなど)、及び/又は体内に存在する造影剤などを撮像する。例示的な一実施形態では、CTイメージングシステム100はガントリ102を含み、このガントリは、テーブル115上に横たわる被検体112のイメージングに使用されるX線放射ビーム106(
図2参照)を放射する少なくとも1つのX線源104を更に含むことができる。具体的には、X線源104は、X線源104からガントリ102の反対側に配置されたX線検出器108に向かってX線ビーム106を放射する。
図1には単一のX線源104のみが示されているが、或る例示的な実施形態では、複数のX線源及び複数の検出器を使用して、複数のX線ビームを放射し、患者に対応する異なるエネルギーレベルの投影データを取得してもよい。
【0013】
いくつかの例示的な実施形態では、X線源104は、高速kVp(peak kilovoltage)スイッチング方式よってデュアルエネルギーのジェムストーンスペクトルイメージング(GSI)を実行することができる。いくつかの例示的な実施形態では、採用されるX線検出器は、互いに異なるエネルギーのX線光子を区別することができるフォトンカウンティング型検出器である。他の例示的な実施形態では、X線源と検出器との2つのセット(一方のセットは低kVp、他方のセットは高kVp)を使用して、デュアルエネルギープロジェクションを生成することができる。しかしながら、適切な多数のX線検出器の構成が考えられている。したがって、本明細書に記載されるシステム及び方法は、デュアルエネルギー取得技術だけでなく、単一エネルギー取得技術にも実装できることが理解されるべきである。
【0014】
特定の例示的な実施形態では、CTイメージングシステム100は、反復画像再構成法又は解析的画像再構成法を用いて被検体112の関心領域又はターゲットボリュームの画像を処理する又は再構成する画像プロセッサユニット110を更に含む。例えば、画像プロセッサユニット110は、フィルタ補正逆投影法(FBP)などの解析的画像再構成手法を使用して、患者のターゲットボリュームの画像を再構成することができる。別の実施例として、画像プロセッサユニット110は、ASIR(advanced statistical iterative reconstruction、CG(conjugate gradient)、MLEM(maximum likelihood expectation maximization)、MBIR(model-based iterative reconstruction)、又は任意の他の反復画像再構成技法などの反復画像再構成手法を使用して、被検体112のターゲットボリュームの画像を再構成してもよい。
【0015】
一部のCTイメージングシステムの構成では、X線源は、一般に「撮像面(imaging plane)」と称される直交座標系のx-y-z平面内に広がるようにコリメートされた円錐形又は扇形のX線ビームを投射する。X線ビームは、撮像される被検体または対象を通過する。X線ビームは、被検体又は対象によって減衰された後、X線検出器モジュールのアレイに衝突する。X線検出器モジュールのアレイで受け取られた減衰X線ビームの強度は、被検体又は対象によるX線の減衰量に依存する。X線検出器アレイの各X線検出器モジュールは、X線検出器モジュール位置におけるX線ビーム減衰の測定値である別個の電気信号を生成する。すべてのX線検出器モジュールからX線減衰測定値が個別に取得され、透過プロファイルが生成される。
【0016】
一部のCTイメージングシステムでは、X線源とX線検出器アレイは、X線ビームが対象と交差する角度が絶えず変化するように、ガントリ内で、撮影される被検体または対象の周囲を回転する。1つのガントリ角度においてX線検出器アレイから得られたX線減衰測定値のグループ(例えば投影データ)は「ビュー」と呼ばれる。被検体又は対象の「スキャン」は、X線源及び検出器が1回転する間に、異なるガントリ角又はビュー角において作成された一組のビューのセットを含む。本明細書に記載された方法の利点は、CT以外の医用画像モダリティに得られると考えられるので、本明細書において、用語「ビュー」は、上記のような1つのガントリ角から得られた投影データに対して使用されることに限定されるものではない。用語「ビュー」は、CT、磁気共鳴(MR)、ポジトロン放出断層撮影(PET)、単一光子放出CT(SPECT)、又はX線取得、及び/又はまだ開発されていないモダリティを含む任意の他のイメージングモダリティ、並びにそれらの組み合わせ(例えば、PET/CT、PET/MR又はSPECT/CTイメージングシステムなどのマルチモダリティ・イメージングシステム)からのデータ取得かどうかに関わらず、異なる角度からの複数のデータ取得があるときはいつでも1つのデータ取得を意味するものとして使用される。
【0017】
投影データは処理され、対象を横切る2次元スライスに対応する画像が再構成され、投影データが複数のビューまたはスキャンを含む一部の実施例では、対象の3次元レンダリングに対応する画像が再構成される。
【0018】
デカルト座標系150の図が、参考のために
図1及び
図3~
図6に示されている。デカルト座標系はx軸、y軸、及びz軸の適切な方向を示しており、これらの軸はCTイメージングシステム100に関連付けられている。x軸は横方向、y軸は鉛直方向、z軸は長手方向(例えば、ガントリの回転軸)とすることができる。しかしながら、これらの軸は、他の実施例では、他の方向を有していてもよい。
【0019】
図2は、
図1のCTイメージングシステム100と同様の例示的なCTイメージングシステム200の概略ブロック図を示す。本開示の態様に従って、CTイメージングシステム200は、被検体204(例えば、
図1の被検体112)を撮像するように構成される。例示的な一実施形態では、CTイメージングシステム200は、X線検出器アレイ108(CT検出器アレイ又はCT検出器アセンブリとしても知られている)を含んでいる。X線検出器アレイ108は、被検体204(
図1の患者112など)を通過するX線ビーム106を感知して対応する投影データを取得する複数のX線検出器モジュール又はCT検出器モジュール202を更に含んでいる。従って、例示的な一実施形態では、CT検出器アレイ108は、CT検出器モジュール202の複数の行(row)を含むマルチスライス構成で製作される。このような構成では、CT検出器モジュール202の1つ以上の追加の行を並列構造に配置して投影データを取得してもよい。
【0020】
特定の例示的な実施形態では、CTイメージングシステム200は、被検体204の周りの異なる角度位置を移動して、所望の投影データを取得するた。従って、ガントリ102とガントリ102に搭載された構成要素は、例えば異なるエネルギーレベルで投影データを取得するために、回転中心206の周りを回転するように構成することができる。あるいは、被検体204に対する投影角度が時間の関数として変化する実施形態では、搭載された構成要素は、円弧に沿うのではなく、一般的な曲線に沿って移動するようにしてもよい。
【0021】
X線源104及びX線検出器アレイ108が回転すると、X線検出器アレイ108は、減衰したX線ビームのデータを収集する。X線検出器アレイ108によって収集されたデータは、前処理及びキャリブレーションされ、スキャンされた被検体204の減衰係数の線積分が表されるようにデータが調整される。処理されたデータは、一般に投影と呼ばれる。
【0022】
いくつかの例では、CT検出器アレイ108の個々のCT検出器モジュール202は、個々の光子の相互作用を1つ以上のエネルギービンに記録するフォトンカウンティング検出器モジュールを含むことができる。本明細書に記載される方法は、エネルギー積算型CT検出器モジュールを用いて実施できることも理解されたい。例示的な実施形態では、CT検出器モジュール202は、フォトンカウンティング検出器モジュールであってもよいし、比較的高いエネルギーを使用する別のタイプの検出器モジュールであってもよい。
【0023】
取得された投影データのセットは、基準物質弁別(BMD)に使用することができる。BMDの間、測定された投影は、物質密度投影のセットに変換される。物質密度投影は再構成され、骨、軟組織などの各基準物質のそれぞれの一対の物質密度マップ若しくは一対の物質密度画像又は物質密度マップのセット若しくは物質密度画像のセット、および/又は造影マップを形成することができる。次に、これらの密度マップ又は密度画像は、関心領域又は撮像された標的体積における基準物質(例えば、骨、軟組織)及び/又は造影剤のボリュームレンダリングを形成するように関連付けることができる。
【0024】
再構成されると、CTイメージングシステム200によって生成された基準物質画像は、2つの基準物質の密度で表される被検体204の内部特徴を明らかにする。密度画像を表示して、これらの特徴を示すことができる。病状などの医学的状態の診断、より一般的には医学的事象の診断に対する従来のアプローチでは、放射線科医又は医師は、密度画像のハードコピー又は表示された密度画像を検討して、関心のある特徴部分を識別すると考えられる。このような特徴部分としては、病変、特定の病変のサイズ及び形状、解剖学的構造又は臓器、並びに個々の専門家の技能及び知識に基づいて画像の中から識別可能な他の特徴部分があると考えられる。
【0025】
ある例示的な実施形態では、CTイメージングシステム200は、X線源104の動作、ガントリ102の回転、及びCT検出器アセンブリ108の熱管理システムの動作など、CTイメージングシステムの様々な構成要素を制御する制御システム208を含んでいる。特定の例示的な実施形態では、制御システム208は、X線源104に電力及びタイミング信号を供給するX線コントローラ210と、撮像要件に基づいてガントリ102の回転速度及び/又は位置を制御するガントリモータコントローラ212と、CT検出器アセンブリ108を冷却するための熱管理システムコントローラ213とを更に含んでいる。
【0026】
特定の例示的な実施形態では、制御システム208は、CT検出器モジュール202から受け取ったアナログデータをサンプリングし、アナログデータを、次の処理のためデジタル信号に変換するデータ収集システム(DAS)214を更に含む。DAS214によってサンプリングされデジタル化されたデータは、コンピュータ又はコンピューティング装置216に伝送される。一実施例では、コンピューティング装置216は、データを記憶装置又は大容量記憶装置218に格納する。記憶装置218は、例えば、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、コンパクトディスク読み取り/書き込み(CD-R/W)ドライブ、デジタルバーサタイルディスク(DVD)ドライブ、フラッシュドライブ、及び/又はソリッドステートストレージドライブを含むことができる。DAS214は、検出器信号を取得し処理するための検出器電子回路部217(例えば、読出し電子回路部および他の構成要素)を含んでいてもよい。例えば、検出器電子回路部217は、CT検出器モジュールからの検出器信号を処理するように設計されたアナログ-デジタル変換器、デジタル信号プロセッサ、増幅器などを含むことができる。DAS214は、画像データを、データ処理、長期保存、又は一時保存できるようにDAS内に保存するための1つ以上の記憶装置又は大容量記憶素子を更に含んでいてもよい。
【0027】
さらに、コンピューティング装置216は、DAS214、X線コントローラ210、ガントリモータコントローラ212、及び熱管理システムコントローラ213のうちの1つ以上に命令及びパラメータを提供して、データ取得及び/又はデータ処理などのシステム動作を制御する。特定の例示的な実施形態では、コンピューティング装置216は、オペレータ入力に基づいてシステム動作を制御する。コンピューティング装置216は、例えば、コンピューティング装置216に動作可能に結合されたワークステーション又はオペレータコンソール220によって、コマンド及び/又は走査パラメータを含むオペレータ入力を受け付ける。オペレータコンソール220は、オペレータがコマンド及び/又は走査パラメータを指定できるように、キーボード(図示せず)又はタッチスクリーンを含むことができる。
【0028】
図2はオペレータコンソール220が1つのみ図示されているが、例えば、システムパラメータを入力する又は出力する、検査をリクエストする、データをグラフ化する、及び/又は画像の閲覧するために、2つ以上のオペレータコンソールがCTイメージングシステム200に結合されてもよい。更に、特定の例示的な実施形態では、CTイメージングシステム200は、配置可能な1つ以上の有線ネットワークおよび/又は無線ネットワーク(インターネット及び/又は仮想プライベートネットワーク、無線電話ネットワーク、無線ローカルエリアネットワーク、有線ローカルエリアネットワーク、無線広域ネットワーク、有線広域ネットワークなど)を通じて、複数のディスプレイ、プリンタ、ワークステーション、及び/又は施設若しくは病院内に又は全く異なる場所にローカルに若しくは遠隔に配置されている同様の装置に結合されていてもよい。
【0029】
一実施形態では、例えば、CTイメージングシステム200は、画像保存通信システム(PACS)224を含んでいる又はPACS224に結合されている。例示的な実施形態では、PACS224は、放射線科情報システム(RIS)、病院情報システム(HIS)などの遠隔システムに更に結合され、及び/又は内部又は外部のネットワーク(図示せず)に結合されて、別の場所にいるオペレータが命令及びパラメータを供給する及び/又は画像データへのアクセスを獲得できるようにする。
【0030】
コンピューティング装置216は、オペレータが供給した及び/又はシステムが定義した命令及びパラメータを使用して、テーブルモータコントローラ226を動作させ、その結果、電動テーブルとすることができるテーブル228(例えば、
図1のテーブル115)を制御することができる。具体的には、テーブルモータコントローラ226は、テーブル228を動かして、ガントリ102の開口部内に被検体204を適切にポジショニングし、被検体204のターゲットボリュームに対応する投影データを取得することができる。
【0031】
前述したように、DAS214は、CT検出器モジュール202によって取得された投影データをサンプリングし、デジタル化する。その後、画像再構成器230が、サンプリングされデジタル化されたX線データを用いて高速再構成を行う。
図2は画像再構成器230を独立した実体として図示しているが、特定の例示的な実施形態では、画像再構成器230はコンピューティング装置216の一部を形成していてもよい。あるいは、画像再構成器230はCTイメージングシステム200に存在していなくてもよく、代わりに、コンピューティング装置216が画像再構成器230の1つ以上の機能を実行してもよい。更に、画像再構成装置230は、ローカルに又は遠隔に配置されていてもよく、有線ネットワーク又は無線ネットワークを用いてCTイメージングシステム200に動作可能に接続されていてもよい。特に、1つの例示的な実施形態では、「クラウド」ネットワーククラスタ内のコンピューティングリソースを画像再構成器230のために使用してもよい。
【0032】
一つの例示的な実施形態では、画像再構成器230は、再構成された画像を記憶装置218に格納する。あるいは、画像再構成器230は、診断及び評価のために有用な患者情報を生成するために、再構成された画像をコンピューティング装置216に送信してもよい。ある例示的な実施形態では、コンピューティング装置216は、再構成された画像及び/又は患者情報を、コンピューティング装置216及び/又は画像再構成器230に通信可能に結合されたディスプレイ又はディスプレイ装置232に送信してもよい。一部の例示的な実施形態では、再構成された画像は、コンピューティング装置216又は画像再構成器230から、短期保存又は長期保存のために記憶装置218に送信されてもよい。
【0033】
また、CTイメージングシステム200は、熱管理システム250を含んでいる。熱管理システム250は、CT検出器アセンブリ108などCTイメージングシステムの様々な構成要素(CT検出器アセンブリ108など)を冷却するように設計されている。
図2には、CTイメージングシステムの他の構成要素と共に、熱管理システム250およびその構成要素が概略的に示されているが、熱管理システムは、
図2で表現されているよりも構造的に更に複雑であることが理解される。熱管理システム250の構造的特徴及び機能的特徴は、
図3~
図9に関して本明細書でより詳細されている。
【0034】
熱管理システム250は、制御システム208内の熱管理システムコントローラ213によって制御することができ、このコントローラは、熱管理システムの制御を実施するために1つ以上のプロセッサ、メモリ、および/または他の電子回路部もしくはハードウェアを含むことができる。本明細書でより詳細に説明される様々な方法及びプロセス(
図7~9を参照して以下に説明される方法など)は、熱管理システムコントローラ213又はCTイメージングシステム200の他の適切なコンピューティング装置(CTイメージングシステム200のコンピューティング装置216(又は他のコントローラ/プロセッサ)など)の非一時的メモリに実行可能命令として格納され、CT検出器アセンブリ108の熱管理を適応的に制御することができる。
【0035】
一つの例示的な実施形態では、ディスプレイ232は、オペレータが、CTイメージングシステム200を操作し、撮像プロトコルを選択し、撮像プロトコルパラメータを再検討して修正し、取得スキャンを開始し、撮像データを評価し、測定されたデータ及び/又は推定されたデータ及び/又は曲線を考察し、造影スキャンにおいてトリガを与えることなどを実行できるようにする。また、ディスプレイ232は、オペレータが、例えば、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を通じて、関心領域(ROI)を選択し及び/又は患者情報を要求して、次のスキャン又は次の処理ができるようにする。
【0036】
図3は、CTイメージングシステムで使用するための例示的な熱管理システム300の概略ブロック図である。熱管理システム300は、
図2に示される熱管理システム250の例示的な実施形態である。そのため、本明細書に記載される熱管理システムは、共通の構造的特徴及び/又は機能的特徴を共有することができる。さらに、熱管理システム300における特定の構成要素(例えば、冷却液ポンプ324、第1の複数のファン332、第2の複数のファン326)は、適切なコントローラ(
図2に示す熱管理システムコントローラ213または冷却液温度コントローラ312など)を通じて制御できることが理解される。本明細書で説明する熱管理システムコントローラ213および冷却液温度コントローラ312は、同じシステムであってもよいし、共通の構造的特徴および/または機能的特徴を共有する2つの異なるシステムであってもよい。
【0037】
熱管理システム300は、CTイメージングシステムの選択された構成要素(複数のCT検出器モジュールなど)を液体冷却するように設計された液体冷却アセンブリ302を含んでいる。液体冷却アセンブリ302の作動流体又は冷却液は、例示的な一実施形態では、水とすることができる。別の例示的な実施形態では、作動流体は、伝熱流体(水グリコール混合液、誘電性流体、冷媒、又は別の既知の伝熱流体など)とすることができる。液体冷却アセンブリ302は、CT検出器アセンブリ308の全体に冷却液を流す冷却液導管306を有する冷却液回路304を含んでいる。冷却液をCT検出器モジュールに流すために使用される様々なフローパターンが考えらえており、例えば、直列のフローパターン、並列のフローパターン、蛇行フローパターン、又は直列、並列若しくは蛇行のフローパターンの組合せ等が挙げられる。
【0038】
液体冷却アセンブリ302は、複数のCT検出器モジュールに温度制御された冷却液を供給するために、熱交換器310、冷却液温度コントローラ312、冷却液ポンプ324、及び第1の複数のファン332を更に含んでいる。液体冷却アセンブリ302は、閉ループ液体冷却システムである。冷却液は、第1の複数のファン332が液体冷却アセンブリ302の冷却液導管306に対して空気を吸い込む又は吐き出すことによって冷却され、冷却液は、CT検出器アセンブリ308の全体に渡ってポンプで送られ、複数のCT検出器モジュールを冷却する。
【0039】
冷却液導管306を含む冷却液回路304は、閉ループ液体冷却システムにおいて、熱交換器310及びCT検出器アセンブリ308に冷却液を送る。熱交換器310は、冷却液の熱を外気に移動させ、これによって冷却液を冷却し、その結果、冷却液はCT検出器アセンブリを冷却する。熱交換器310は、液体-空気熱交換器とすることができ、熱伝達機能を達成するための適切な構成要素(熱交換フィン、内部冷却液導管、ハウジングなど)を含むことができる。熱交換器310のデザインを選択する場合、システム効率と、構成要素の冷却目標が異なることを考慮することができる。熱交換器310は、冷却液温度コントローラ312に結合されてもよいし、冷却液温度コントローラ312内に統合されていてもよい。冷却液温度コントローラ312は、液体冷却アセンブリ302の異なる構成要素(冷却液ポンプ324、第1の複数のファン332、及び/又は1つ以上のバルブなど)に命令をすることによって、冷却液回路304を流れる冷却液の流量及び/又は温度の調整のためのトリガを行い流量及び/又は温度を調整するように設計してもよい。このように、冷却液温度コントローラ312は、流量及び温度の調整のためのトリガを行う適切なハードウェア(プロセッサ、メモリなど)を含んでいてもよい。
【0040】
第1の複数のファン332は、冷却液導管306及び熱交換器310に対して空気を吸い込む又は吐き出す。矢印334で示される入口空気は、液体冷却アセンブリ302に入り、第1の複数のファン332によって冷却液導管306及び熱交換器310に対して吸い込まれ又は吐き出され、矢印336で示される排気は、液体冷却アセンブリ302から出る。本明細書に記載された複数のファンは、空気流の発生及び空気流の調整ができるように構成要素(ブレード、回転出力を発生するモータなど)を含んでいてもよい。
【0041】
前述したように、冷却液ポンプ324は液体冷却アセンブリ302に含まれてもよい。冷却液ポンプ324は、冷却液回路304を流れる冷却流のレベルを調整するように設計されている。流量調整機能を達成するために、冷却液ポンプ324は、ピストン、ポンピングチャンバ、インペラ、ベーン、ハウジングなどの従来の構成要素を有することができる。冷却液ポンプ324は、CT検出器アセンブリ308と熱交換器310との間の導管306に位置している様子が示されている。しかしながら、冷却液ポンプ324は、冷却液回路304に沿った多数の適切な位置(例えば、冷却液温度コントローラ312内の位置、又は冷却液温度コントローラ312に隣接する位置など)に配置されてもよい。冷却液温度コントローラ312は、ポンプ324、バルブなどを調整することによって、冷却液回路304を流れる冷却流を調整するためのトリガを与えるように設計することができる。一つの例示的な実施形態では、冷却液温度コントローラ312は、冷却液から更に熱を除去するように設計された冷凍アセンブリを含むことができる。このようにして、熱管理システムによって追加の冷却を利用することができる。
【0042】
冷却液回路304内の冷却液は、熱交換器310から、CT検出器モジュール及び読出し電子回路部を含むCT検出器アセンブリ308を流れる。1つ以上の冷却液導管を使用して、冷却液を、熱交換器310からCT検出器アセンブリ308に流れるようにしてもよいことが理解される。
【0043】
また、冷却液回路304は、矢印318で示されるように、冷却液が、CT検出器アセンブリ308およびレールラジエータ316(例えば、熱交換器)を流れるようにする。他の例示的な実施形態では、レールラジエータ316は、熱交換器と呼ばれることがある。レールラジエータ316は、液体-空気熱交換器であり、熱伝達機能を実現するための適切な構成要素(熱交換フィン、内部冷却液導管、ハウジングなど)を含むことができる。しかしながら、熱交換器310は、レールラジエータ316とは異なる構成を有していてもよいことが理解される。例えば、大きさ、プロファイル、冷却液導管の流路、熱交換フィンの構造などは、複数の熱交換器が異なる熱伝達度を達成できるように、熱交換器間で異なっていてもよい。しかしながら、他の実施例では、熱交換器は実質的に同等の形式とすることができ、これによって、一部の例では製造コストを低減することができる。また、レールラジエータ316は、検出器ハードウェア(例えば、読出し電子回路部)に空気を排出してもよいことが理解される。
【0044】
他の例では、冷却液は、追加の熱交換器及び/又は他の構成要素を流れて、その後で、熱交換器310に戻ってもよい。冷却液が複数の熱交換器を流れることにより、冷却液を多段式で冷却することができる。その結果、特定の例示的な実施形態では、熱交換器は、単一の熱交換器を有するシステムと同等の冷却を達成しながら、小型化することができる。しかしながら、他の例示的な実施形態では、熱交換器は、CTイメージングシステム内の構成要素がもっと冷却されるようにしてもよい。更に、空気冷却アセンブリ322は、本明細書でより詳細に説明されているように、液体冷却アセンブリ302において冷却が段階的に行われることを利用して、レールラジエータ316を流れる空気を相乗的に使用して検出器ハードウェア(例えば、読出し電子回路部)を冷却することもできる。
【0045】
熱管理システム300は空気冷却アセンブリ322を更に含んでいる。空気冷却アセンブリ322は、CT検出器アセンブリ308内に統合されており、液体冷却アセンブリ302に結合されている。空気冷却アセンブリ322は、CT検出器の構成要素、読出し電子回路部、又は他の検出器ハードウェア構成要素を含むCT検出器アセンブリ308に結合された熱交換器などのレールラジエータ316に対して空気を吸い込む又は吐き出すように設計された第2の複数のファン326を含んでいる。
【0046】
第2の複数のファン326は、レールラジエータ316、冷却液導管306、及びCT検出器アセンブリ308に対して、空気を吸い込む又は吐き出す。矢印328で示される入口空気は、空気冷却アセンブリ322に入り、第2の複数のファン326によって、レールラジエータ316、冷却液導管306、及びCT検出器アセンブリ308に対して吸い込まれ又は吐き出され、矢印330で示される排気は空気冷却アセンブリ322を出る。本明細書に記載された複数のファンの各々は、空気流の発生及び空気流の調整ができるように構成要素(ブレード、回転出力を発生するモータなど)を含んでいてもよい。
【0047】
一部の実施例では、空気冷却アセンブリ322は、CT検出器アセンブリ308の筐体340内に統合することができる。一実施例では、空気は、入口空気の矢印328で示される選択位置で筐体に導入されてもよい。更に、別の実施例では、筐体に供給される入口空気は、予め調整されていてもよい。すなわち、入口空気は、冷却装置によって冷却させた後に筐体に流入するようにしてもよい。
【0048】
一実施例では、液体冷却アセンブリ302の第1の複数のファン332からの排気空気336が、空気冷却アセンブリ322の入口空気328の経路に流れるようにしてもよい。しかしながら、他の実施例では、空気冷却アセンブリ322の入口空気328及び排気空気330と、液体冷却アセンブリ302の入口空気334及び排気空気336は、流体的に切り離されていてもよい。
【0049】
温度センサ344は、CT検出器アセンブリ308及び冷却液導管306の特定の構成要素に結合することができる。しかしながら、温度センサの位置を追加してもよいし、温度センサの位置を他の位置にしてもよい。
【0050】
一つの例示的な実施形態では、冷却液は、CTイメージングシステムのCT検出器アセンブリの複数CT検出器モジュール用の又はCT検出器モジュールのアレイ用の取付け構造体として機能するレール(例えば、取付け構造体)を流れるようにすることができる。しかしながら、冷却液は、他の実施形態において、追加的に又は代替的に、CT検出器アセンブリ内に統合された導管を流れるようにしてもよい。
【0051】
一部の例では、液体冷却システムを使用して、冷却の要求が高い構成要素(CT検出器モジュールなど)を選択的に冷却することができ、一方、空気冷却システムを使用して、冷却の要求が低い構成要素(CT検出器モジュールに結合された読出し電子回路部など)を冷却することができる。その結果、CT検出器アセンブリは、異なる構成要素の様々な冷却要件を達成しながら効率的に冷却され、それにより、熱過負荷によって引き起こされる構成要素の劣化の可能性を低減することができる。
【0052】
図4は、CTイメージングシステムのCT検出器アセンブリ408用の例示的な熱管理システム400の特定の構成要素を示している。CTイメージングシステムは、動作中に撮像される対象(例えば、患者)の周りを回転するように設計されたガントリを含んでいる。熱管理システム400の基礎的な構成要素を明らかにするために、
図4ではガントリの別の構成要素は取り除かれている。
【0053】
熱管理システム400は、液体冷却アセンブリ402と空気冷却アセンブリ422との組み合わせを含む、CT検出器アセンブリ408用のハイブリッド冷却システムである。これらの異なる2つの冷却アセンブリ402および422を結合して、CT検出器アセンブリ408の冷却温度を低くすることができる。液体冷却アセンブリ402は、複数の冷却液導管406で空気冷却アセンブリ422に結合される。
【0054】
熱管理システム400は、第1の複数のファン432を有する液体冷却アセンブリ402と、第2の複数のファン426を有する空気冷却アセンブリ422とを含んでいる。
【0055】
第1の複数のファン432の各ファンは、筐体418の開口部414に配置される。筐体418は、熱交換器、冷却液温度コントローラ、冷却液導管、冷却液ポンプ、温度センサなどを収容することができる。第2の複数のファン426の各ファンは、筐体419の開口部415に配置される。筐体419は、CT検出器アセンブリ(例えば、X線センサおよび読出し電子回路部などを含むことができるCT検出器モジュール)、冷却液導管、温度センサ、及び他のCT検出器アセンブリの構成要素を収容することができる。第2の複数のファン426は、第1の複数のファン432から離れて配置されている。
【0056】
図5は、CTイメージングシステム用の熱管理システム400の例示的な一実施形態を示す例示的なCT検出器アセンブリ408の、
図4のA-A線に沿って切断された部分の断面斜視図である。
【0057】
熱管理システム400は、複数のファン526を含む空気冷却アセンブリ522を含んでいる。複数のファン526のうちの少なくとも1つのファン550は、CT検出器アセンブリ408の底部552に配置されており、CT検出器アセンブリ408の第1の側壁558の出力開口部556に取り付けられている。少なくとも1つのファン550は、気流ダクト560の入力開口部554又は出力開口部556に配置してもよい。気流ダクト560は、入力開口部554から出力開口部556にまで延在する様子が示されている。一部の実施形態では、気流ダクト560は、複数のファンの中の他のファンと共通のダクトを形成するように外形が構成されてもよいことが理解される。しかしながら、他の実施例では、気流ダクトは他の適切な外形を有していてもよい。
【0058】
複数のファン526は、気流ダクト560を通過する空気の量を変更するように調整することができる。気流ダクト560は、複数のCT検出器モジュール562又はCT検出器モジュール562のアレイに隣接するように配置される。具体的には、図示の実施形態では、気流ダクト560は、CT検出器モジュール562に対して半径方向外側に配置されるように示されている。しかしながら、CT検出器モジュールと気流通路との間において相対的に別の位置が考えられる。更に、気流ダクト560は、CTイメージングシステムを、ガントリの回転軸に平行な方向に横切ってもよい。しかしながら、他の適切な気流ダクトの配置が考えられる。
【0059】
熱管理システム400は、気流ダクト560の入力開口部554に配置されるレールラジエータ516(例えば、熱交換器)を含んでいる。
図5に示されるレールラジエータ516は、
図3に示されるレールラジエータ316と同様のものとすることができる。レールラジエータ516は、冷却液回路から大きな熱エネルギーを除去することができる。このように、冷却液回路にレールラジエータを含むことによって、液体冷却アセンブリの能力を拡大することができ、必要に応じて、CT検出器モジュールを更に冷却することができる。さらに、冷却液回路に2つの熱交換器を配置することによって、
図3に示す冷却液温度コントローラ312の熱負荷を小さくすることができる。
【0060】
レールラジエータ516は、空気が流れるように設計されており、したがって、冷却液導管、隙間または開口部などを含んでもよいことが理解される。しかしながら、レールラジエータ516は、他の実施形態では、気流ダクト560の中間位置に配置することができる。
【0061】
読出し電子回路部522などの検出器ハードウェア構成要素は、気流ダクト560に配置することができる。検出器ハードウェア構成要素522は、CT検出器モジュール562に電子的に結合される。レールラジエータ516は、伝導伝熱を低減するために、検出器ハードウェア構成要素522とCT検出器モジュール562との間に配置することができる。
【0062】
CT検出器モジュール562と検出器ハードウェア構成要素522(読出し電子回路部など)との間には、熱障壁580が存在する。
【0063】
熱管理システム400は、複数のCT検出器モジュール562又はCT検出器モジュールのアレイの取付け構造として機能するレール570(例えば、取付け構造)を含む液体冷却アセンブリ502を更に含んでいる。レール570は、冷却液が流れるように、レールを貫通する複数の冷却液導管506を含んでいる。
【0064】
一実施形態では、レール570は、CT検出器モジュール562とレール570との間の伝導伝熱を増加させるために金属(例えば、アルミニウム、鋼など)で構成することができる。しかしながら、レール570は、他の実施形態において、他の適切な材料(高分子材料など)から構成してもよい。
【0065】
レール570は、CT検出器モジュール562が取り付けられるように設計されている。したがって、レール570は、CT検出器モジュール562用の取付構造として機能する。図示されているレール570は、第1の半径方向部分574及び第2の半径方向部分576を含んでおり、第1の半径方向部分574と第2の半径方向部分576との間にCT検出器モジュール562が配置されている。したがって、CT検出器モジュール562は、第1及び第2の半径方向部分574,576の間に軸方向に配置することができる。更に、半径方向部分574および576は、CT検出器モジュール562の対向する側に別々に配置することができる。しかしながら、他の実施例では、基部578が2つの半径方向部分574および576の間に延在し、それによって連続的な構造を形成してもよい。
【0066】
レール570の2つの半径方向部分574および576を貫通する複数の冷却液導管506を冷媒が流れ、CT検出器モジュール562が2つの半径方向部分に結合されているので、CT検出器モジュールを空冷する場合と比較して、CT検出器モジュール562をさらに冷却することができる。その結果、CT検出器モジュールを。検出器の熱劣化の恐れが低下するように、目標の温度範囲内で動作させることができる。
【0067】
冷却液導管506は、レール570の第1の半径方向部分574及び第2の半径方向部分576の両方を通り抜ける。詳しく説明すると、第1の半径方向部分574の冷却液導管は、反対方向を流れる構造の複数の導管を有することができる。第2の半径方向部分576の冷却液導管は、同様のフローパターンで流れることができる。その結果、レールセクションの温度は、対向するレール部分の熱変形がばらつく恐れが低減されるように、バランスを取ることができる。
【0068】
ハイブリッド形式の熱管理システムを配置することにより、CTイメージングシステムは、CTイメージングシステムの選択された構成要素を細かく(granular)非対称に(asymmetric)冷却する性能を得ることができ、構成要素がより効果的及び効率的に動作することができる。したがって、一実施例では、CT検出器モジュールは、X線センサを含むが、読出し電子回路部よりも冷却されることがある。X線センサと読出し電子回路部では冷却目標が異なるからである。
【0069】
図6は、
図5に示す熱管理システム500と同様の例示的な熱管理システム600を有する例示的なCT検出器アセンブリ608の側面断面図である。
【0070】
矢印690は、少なくとも1つのファン650によって、気流ダクト660に流入し、気流ダクト660内を流れ、気流ダクト660から流出する空気流の一般的な方向を示している。詳しく説明すると、最初、空気は、位置692において気流ダクト660に引き込まれる。位置692から空気を引き込むことによって、空気溜めになり得る可能性がある他の位置と比較して、より冷たい空気を気流ダクト660に流入させることができる。空気はレールラジエータ616を通過し、次に、気流ダクト660に配置された検出器のハードウェア構成要素622(読出し電子回路部など)を通過する、又はハードウェア構成要素622の周りを流れる。空気は、その後、少なくとも1つのファン650によって気流ダクト660から流出する。レールラジエータ616からの流出を検出器のハードウェア構成要素622に送ることにより、冷却液回路から更に熱を取り出すことができる。このようにして、少なくとも1つのファンによって生成された空気流は、読出し電子回路部と冷却液回路との両方を冷却し、必要に応じて、CTイメージングシステムの動作効率及びスペース効率を高めることができる。しかしながら、他の実施例では、レールラジエータ616は、気流ダクト660から離れていてもよい。
【0071】
レールラジエータ616は、CT検出器モジュール662と検出器のハードウェア構成要素622との間に配置されていてもよい。さらに又は代替的に、熱電冷却機が、CT検出器モジュール662と検出器のハードウェア構成要素622との間に配置されていてもよい。このようにして、CT検出器モジュール662及び/又は対応するハードウェア構成要素622を更に冷却することが達成できる。追加の構成要素の冷却を促進するために、追加の又は代替の熱電冷却機を、熱管理システム600(レール670内など)、検出器のハードウェア構成要素622、CTイメージングシステムのデジタルトモグラフィ機器などに備えてもよい。特定の例示的な実施形態では、レール670とCT検出器モジュールとX線センサから更に多くの熱を遠ざけるために、ヒートシンクをレール670に結合してもよい。レール670は、レールを貫通し冷却液を流す複数の冷却液導管606を含む。さらに、CT検出器モジュール662と検出器ハードウェア構成要素622(読出し電子回路部など)との間には、熱障壁680が設けられている。
【0072】
熱管理システムによって提供される冷却効果が向上することにより、必要に応じて、十分な冷却が必要なX線センサをCTイメージングシステムに備えることができる。例えば、フォトンカウンティングX線センサをCTイメージングシステムで使用して、センシング能力を向上させることができる。さらに、特定の例示的な実施形態では、CT検出器モジュールは、モジュールの電力消費が低減されるように、デューティサイクルさせてもよい。このような実施形態では、CT検出器に隣接するレールを流れる冷却液によって提供される冷却効果が向上することによって、デューティサイクルにより引き起こされる恐れのある熱不安定性を抑制すことが可能になる。
【0073】
熱管理システムの様々な制御手法は、特定の例示的な実施形態ではフィードバックタイプの制御手法が考えられ、他の実施形態では開ループ制御手法が考えられている。本明細書では、様々な制御手法の変形例を、
図7~
図9で説明する。
【0074】
図7は、CTイメージングシステム用の熱管理システムを動作させるための例示的な方法700のフロー図である。本明細書において、方法700および他の制御手法は、
図1~
図6に関して上述した、システム、機械、構成要素、装置等などのいずれかによって実行することができる。しかしながら、他の実施例では、方法700は、他の適切なシステム、機械、構成要素、装置等によって実施してもよい。方法700及び/又は本明細書に記載された他の方法を実行するための命令は、メモリ(例えば、非一時的メモリ)に格納された命令に基づいて、プロセッサによって少なくとも部分的に実行することができる。
【0075】
ステップ702において、本方法は、CT検出器モジュール及びCT検出器ハードウェアの温度設定値を決定することを含むことができる。一実施例では、温度設定値は、メモリに格納された所定値とすることができる。そのような例では、設定値を決定することは、データ構造から設定値を検索することを含むことができる。しかしながら、例えば、周囲条件、CTイメージングシステムの動作条件などに基づいて制御設定値を動的に生成することが考えられる。温度設定値は、構成要素の材料構造、回路レイアウト、構成要素の電力消費、温度に依存する期待される動作効率等に基づいて計算することができる。設定値は、ゼロ以外の値に設定できることが理解される。具体的には、一実施例では、検出器ハードウェアの温度設定値は、CT検出器モジュールの温度設定値より大きい値にすることができる。一使用例では、検出器の設定値は45℃~55℃の間にすることができ、ハードウェアの設定値は65℃~75℃の間にすることができる。
【0076】
ステップ704において、本方法は、CTイメージングシステムの動作条件(例えば、CT検出器モジュール温度、冷媒温度、CT検出器ハードウェア温度、周囲温度、CTイメージングシステムの電力消費など)を決定することを含む。
【0077】
ステップ706において、本方法は、CT検出器モジュールの温度が、その対応する温度設定値を超えているか、又は所定の温度範囲外であるかを判断することを含む。例えば、対応する構成要素に結合されたX線センサ又は対応する構成要素に隣接するX線センサから信号を収集することができる。加えて又は代替的に、異なる熱管理システムの構成要素の温度をモデル化してもよい。
【0078】
CT検出器モジュールの温度が設定値より大きい場合(ステップ706でYES)、方法はステップ708に進む。ステップ708では、本方法は、冷却液ポンプの出力を増加させることを含むことができる。一部の実施例では、冷却液ポンプの速度の増加度は、温度設定点とCT検出器モジュール温度との間の差に基づいて選択することができる。しかしながら、他の例では、冷却液ポンプは、単に、その最大出力値又はその近くの値に設定されてもよい。
【0079】
逆に、CT検出器モジュールの温度が設定値を超えていないことが確認された場合(ステップ706でNO)、本方法はステップ710に移行する。ステップ710では、本方法は冷却液ポンプの出力を低減することを含むことができる。ここでも、冷却液ポンプの速度の減少量は、設定値とCT検出器温度との間の差に依存していてもよく、冷却液ポンプは、いくつかの実施態様では、オフになっていてもよい。ステップ712において、本方法は、CT検出器ハードウェアの温度が対応する温度設定値を超えているかどうかを判断することを含むことができる。
【0080】
CT検出器ハードウェアが温度設定値を超えている場合(ステップ712でYES)、本方法はステップ714に進む。ステップ714では、本方法は、第1の複数のファン又は1つのファンの出力を増加させることを含むことができる。このようにして、CT検出器ハードウェア及びレールラジエータを含む気流ダクトを流れる気流が増加し、ハードウェアの冷却効果を向上させると同時に、冷却液回路から除去される熱の量を増加させることができる。CT検出器ハードウェアが温度設定値を超えていない場合(ステップ712でNO)、本方法はステップ716に移行する。ステップ716で、本方法は、第1の複数のファン又は1つのファンの出力を減少させることを含むことができる。ここでも、ファン速度の増加/減少の量は、ハードウェア温度と関連する設定値との間の差に基づいて選択することができる。
【0081】
方法700は、高レベルのフィードバック制御手法を含むことができる。しかしながら、フィードバック制御として、例えば、設定値とプロセス変数との差を表す誤差値が計算される比例-積分-微分(PID)制御方式など、より複雑な手法を使用してもよい。
【0082】
図8および
図9は、熱管理システム用の異なる2つの使用事例の制御技術における異なる2つのグラフ
図800および900を示す図である。各グラフにおいて、時間は、横軸に示されている。特定の時間の数値は横軸に示されていないが、互いに異なる工程やイベントなどにおける相対的なタイミングがグラフから確認できることが理解される。
図8は、熱管理システム用のフィードバック制御技術を示し、
図9は、微妙な差異を小さくした制御技術でって、比較的高レベルの部品冷却が望まれる制御技術を示す。
【0083】
図8を具体的に参照すると、グラフ802は、冷却液ポンプの出力を示しており、冷却液ポンプの出力値は縦軸に示されている。特に、冷却液ポンプの「最大」出力値および「最小」出力値が縦軸上に示されている。さらに、グラフ804は、第1の複数のファンまたは1つのファンの出力を示し、ここで、ファンの出力値は縦軸上に示されている。特に、ファンの「最大」出力値及び「最小」出力値が縦軸上に示されている。冷却液ポンプ及び/又はファンの最大出力値は、冷却液ポンプ/ファンの劣化を回避し、電力消費が望ましいレベル内に留まるように、熱管理システムにおいて確立された現実的な最大出力に対応させることができる。
【0084】
グラフ806は、CT検出器の温度が縦軸に示されたCT検出器温度を示しており、グラフ808は、検出器のハードウェアの温度(例えば、読出し電子回路部の温度)が縦軸に示されている。また、
図8には、CT検出器の温度の設定値810と、検出器のハードウェアの温度の設定値812とが図示されている。CT検出器の設定値は、図示された使用例では、ハードウェアの設定値よりも大きい。例えば、検出器の設定値は70℃とすることができ、一方、ハードウェアの設定値は50℃とすることができる。しかしながら、多数の適切な設定値が想定されており、CTイメージングシステムで使用される検出器及びハードウェア構成要素の種類、CTイメージングシステムのレイアウト、周囲温度等に依存することがある。このように、構成要素は様々な冷却ニーズがある。ファン及び冷却液ポンプの制御は、熱管理システムが検出器及び検出器ハードウェアの非対称の冷却ニーズを満たすように調整される。図示されているように、冷却液ポンプ速度は、検出器の温度が設定値より高い場合には冷却液ポンプ速度が増加し、設定値より低い場合には冷却液ポンプ速度が減少するフィードバック制御手法を用いて調整される。第1の複数のファンまたは1つのファンも同様の手法で調整される。
図8に示されるように、冷却液ポンプとファンは連続的に動作される。しかしながら、冷却液ポンプ及び/又はファンを離散的に調整する制御技術が考えらえれる。例えば、冷却液ポンプ又はファンは、関連する構成要素が設定点温度を超えている場合、最大出力又はその近くの値に設定することができ、関連する構成要素が設定点温度より低い場合、低い出力レベル(例えば、ベースライン出力)に設定することができる。
【0085】
図9を具体的に参照すると、グラフ902は冷却液ポンプの出力を示しており、冷却液ポンプの出力値は縦軸に示されている。特に、ポンプの「最大」出力値及び「最小」出力値が縦軸上に示されている。さらに、グラフ904は、第1の複数のファン又は1つのファンの出力を示し、ファン出力値は縦軸上に示されている。特に、ファンの「最大」出力値及び「最小」出力値が縦軸上に示されている。ポンプ及びファンの最大出力値は、冷却液ポンプ/ファンの劣化を回避し、電力消費が望ましいレベル内に収まるように、熱管理システムにおいて確立された実用的な最大出力に対応するようにしてもよい。グラフ906は、「オン」及び「オフ」の動作値が縦軸に示されているCTイメージングシステムの動作状態を示す。
図9に示されているように、冷却液ポンプ及びファンは、動作中にその最大出力値に設定され、検出器及び読出しハードウェアの冷却を比較的高い水準で達成することができる。
【0086】
CTハードウェアおよび冷却液回路の冷却材から熱を除去する空冷を使用するCTイメージングシステムに熱管理システムを提供する技術的効果は、システムの動作効率を高め、必要に応じて異なる構成要素の非対称冷却を実現することである。
【0087】
別の表現では、CTイメージングシステムのCT検出器アセンブリを冷却するための熱管理システムである。熱管理システムは、CT検出器アセンブリの読出し電子回路部を空冷するように設計された空気冷却サブシステムと、CT検出器アセンブリのX線センサを含む複数のCT検出器モジュールを収容するCT検出器アセンブリを冷却液が循環する冷却液ループを含む液体冷却サブシステムとを含む。空気冷却サブシステム及び液体冷却サブシステムは、CT検出器アセンブリの構成要素を冷却するために、熱管理システムにおいて一緒に結合することができる。
【0088】
本開示の様々な実施形態の要素を導入する場合、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「この(the)」は、その要素が1つ以上存在することを意味することが意図される。用語「第1」、「第2」などは、順序、量、又は重要性を示すものではなく、ある要素を他の要素から区別するために使用されるものである。用語「含む」、「備える」、「有する」は、包括的であることを意図しており、記載された要素以外の追加の要素が存在してもよいことを意味する。本明細書において、用語「に接続される」、「に結合される」などが使用される場合、1つの対象(例えば、材料、要素、構造、部材等)は、1つの対象が他の対象に直接に接続されている又は直接に結合されているかどうか、又は1つの対象と他の対象との間に1つ以上の介在物が存在しているかどうかにかかわらず、他の対象に接続する又は結合することができる。加えて、本開示の「1つの例示的な実施形態」又は「例示的な実施形態」に言及することは、言及された特徴も組み込んだ追加の実施形態の存在を排除するように解釈されることを意図するものではないことが理解されるべきである。本明細書において、「約」及び「実質的に」は、特に断らない限り、プラス又はマイナス5%以内の値を表す。
【0089】
先に示された変更に加えて、本記載の趣旨および範囲を逸脱することなく、当業者によって多くの他の変更構造および代替構造が考えられ、特許請求の範囲は、このような変更および構造を含むことが意図される。したがって、上記の情報は、現在最も実用的で好ましい態様であると考えられるものに関して特に詳細に記載されているが、当業者には、本明細書に記載された原則および概念から逸脱することなく、形態、機能、操作方法、および使用方法(これらに限定されることはない)などについて、多くの変更が可能であることが明らかである。また、本明細書において、実施例および実施形態は、あらゆる点において単なる例示であることを意味しており、いかなる方法においても限定的に解釈されるべきではない。
【0090】
図示され上述された本開示の実施形態は、例示的な実施形態に過ぎず、特許請求の範囲を限定することを意図するものではなく、特許請求の範囲内の任意の均等物を含む。様々な変更が可能であり、当業者にとって様々な変更は容易に明らかである。本明細書に記載された互いに排他的でない特徴の任意の組み合わせは、本発明の範囲内にあることが意図される。すなわち、記載された実施形態の特徴は、上記の任意の適切な態様と組み合わせることができ、任意の1つの態様の任意の特徴は、任意の他の適切な態様と組み合わせることができる。同様に、従属項に言及される特徴は、特に従属項が同一の独立項に従属している場合、他の従属項の相互に排他的でない特徴と組み合わせることができる。一部の法域の実務が要求するように、単一の請求項に従属するように記載される場合があるが、これは、従属項の特徴が相互に排他的であることを意味するものと解釈されるべきではない。
【0091】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年8月31日に出願された米国仮出願第63/072,622号の利益および同出願に対する優先権を主張するものであり、その開示の全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0092】
100、200 CTイメージングシステム
102 ガントリ
104 X線源
106 X線放射ビーム
108 X線検出器
110 画像プロセッサユニット
112 被検体
115 テーブル
150 デカルト座標系
202 CT検出器モジュール
204 被検体
206 回転中心
208 制御システム
210 X線コントローラ
212 ガントリモータコントローラ
213 熱管理システムコントローラ
214 データ収集システム
216 コンピューティング装置
217 検出器電子回路部
218 容量記憶装置
220 オペレータコンソール
226 テーブルモータコントローラ
228 テーブル
230 画像再構成器
250、300 熱管理システム
302 液体冷却アセンブリ
304 冷却液回路
306 冷却液導管
308 CT検出器アセンブリ
310 熱交換器
312 冷却液温度コントローラ
316 レールラジエータ
322 空気冷却アセンブリ
324 冷却液ポンプ
326、332 ファン
328、334 入口空気
330、336 排気空気
340 筐体
344 温度センサ
400 熱管理システム
402 液体冷却アセンブリ
406 冷却液導管
408 CT検出器アセンブリ
414、415 開口部
418、419 筐体
422 空気冷却アセンブリ
426、432 ファン
500 熱管理システム
502 液体冷却アセンブリ
506 冷却液導管
516 レールラジエータ
526、550 ファン
552 底部
554 入力開口部
556 出力開口部
558 第1の側壁
560 気流ダクト
562 CT検出器モジュール
570 レール
574 第1の半径方向部分
576 第2の半径方向部分
578 基部
580 熱障壁
600 熱管理システム
606 冷却液導管
608 CT検出器アセンブリ
616 レールラジエータ
622 ハードウェア構成要素
650 ファン
660 気流ダクト
662 CT検出器モジュール
670 レール
680 熱障壁
692 位置
700 方法
802、804、806、808、902、904、906 グラフ
810、812 設定値
【国際調査報告】