IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コンレ,ヘニングの特許一覧

<>
  • 特表-弾薬筒を備えた火器 図1
  • 特表-弾薬筒を備えた火器 図2
  • 特表-弾薬筒を備えた火器 図3
  • 特表-弾薬筒を備えた火器 図4
  • 特表-弾薬筒を備えた火器 図5
  • 特表-弾薬筒を備えた火器 図6
  • 特表-弾薬筒を備えた火器 図7
  • 特表-弾薬筒を備えた火器 図8
  • 特表-弾薬筒を備えた火器 図9
  • 特表-弾薬筒を備えた火器 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(54)【発明の名称】弾薬筒を備えた火器
(51)【国際特許分類】
   F41A 21/00 20060101AFI20230908BHJP
【FI】
F41A21/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513675
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-02-24
(86)【国際出願番号】 EP2021055196
(87)【国際公開番号】W WO2022048798
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】A50748/2020
(32)【優先日】2020-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523066222
【氏名又は名称】コンレ,ヘニング
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コンレ,ヘニング
(57)【要約】
【課題】 銃身の壁が薄く、軽量な火器を提供する。
【解決手段】 本発明による弾薬筒(3)を備えた火器(1)は、内面(8)と、薬室(4)から始まって銃口まで測定される銃身長さ(L)と、銃身軸とを有する銃身(2)を有し、その弾薬筒(3)は、サボット不要の、外周面(9)を有する単一の発射体(5)を有する。発射体(5)の外周面(9)と銃身(2)の内周面(8)との間には、銃身軸の方向に端から端まで開口している隙間(10)が、銃身長さ(L)の少なくとも90%に沿って、かつ発射体(5)の外周長の少なくとも90%にわたって存在する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面(8)と、薬室(4)から始まって銃口まで測定される銃身長さ(L)と、銃身軸とを有する銃身(2)を有し、外周面(9)を有する単一でサボット不要の発射体(5)を有する弾薬筒(3)を備えた火器(1)であって、前記発射体(5)の前記外周面(9)と前記銃身(2)の前記内面(8)との間に、前記銃身軸の方向に端から端まで開口している隙間(10)が、前記銃身長さ(L)の少なくとも90%に沿って、かつ前記発射体(5)の外周長の少なくとも90%にわたって存在することを特徴とする、火器(1)。
【請求項2】
前記隙間(10)は、前記銃身(2)の半径方向で測定した、少なくとも0.2mmの、好ましくは少なくとも0.3mmの、最小幅(B)を有し、特に少なくとも0.5mmの最小幅(B)を有することを特徴とする、請求項1に記載の火器。
【請求項3】
前記隙間(10)は、前記銃身(2)の前記半径方向で測定した、最大で2mm、好ましくは最大で1mmの最小幅(B)を有し、特に最大0.6mmの最小幅(B)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の火器。
【請求項4】
前記銃身(2)は、本質的に滑らかな内面(8)を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の火器。
【請求項5】
前記銃身(2)は、前記銃身長さ(L)にわたって本質的に均一な内径(D)を有する内面(8)を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の火器。
【請求項6】
前記銃身(2)は、前記銃身長さ(L)に沿って変化する内径(D)を有する内面(8)を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の火器。
【請求項7】
前記銃身(2)は、前記銃口の前で狭くなる内径(D)を有する内面(8)を有することを特徴とする、請求項6に記載の火器。
【請求項8】
前記銃身(2)は、前記薬室(4)から、好ましくは5~10cmの距離で増加する内径(D)を有する内面(8)を有することを特徴とする、請求項6又は7に記載の火器。
【請求項9】
前記銃身(2)の前記内面(8)に、前記銃身軸の方向に延び且つ前記内面(8)から半径方向内側に突出するアーム(12)が配置され、前記アーム(12)が、前記発射体(5)の前記外周面(9)に、周方向で測定して最大10%にわたって、特に最大5%にわたって、隣接していることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1つに記載の弾薬筒を備えた火器。
【請求項10】
前記アーム(12)の前記内径(D)は、前記銃身長さ(L)にわたって一定であることを特徴とする、請求項9に記載の弾薬筒を備えた火器。
【請求項11】
前記銃身軸の方向に延び且つ前記外周面(9)から半径方向外側に突出する突起物(14)が、前記発射体(5)の前記外周面(9)に配置され、前記突起物(14)が、前記銃身(2)の前記内面(8)に、前記周方向に測定して、最大10%にわたって、特に最大5%にわたって、隣接していることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の弾薬筒を備えた火器。
【請求項12】
前記弾薬筒(3)は、前記発射体(5)と発射薬として使用される装薬とが少なくとも
部分的に収容されているスリーブ(6)を有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の弾薬筒を備えた火器。
【請求項13】
前記装薬は、攻撃性火薬、特にフレーク状又はスティック状火薬、を有することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の弾薬筒を備える火器。
【請求項14】
前記発射体(5)は、本質的に球形若しくは楕円形の形状、又は円錐形の先端若しくは尖頭アーチ形の先端を有する円筒形の形状を有することを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の弾薬筒を備えた火器。
【請求項15】
前記火器(1)が、特に銃又は拳銃である小火器であるか、又は火砲であることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の弾薬筒を備えた火器。
【請求項16】
弾薬筒(3)の単一でサボット不要の発射体(5)、を発射するための火器(1)の使用であって、前記火器(1)は、内面(8)と、薬室(4)から始まって銃口まで測定される銃身長さ(L)と、銃身軸とを有する銃身(2)を有し、前記発射体(5)は、最大外周長と外周面(9)とを有し、前記発射体(5)が、移動するにつれて、前記銃身長さ(L)の少なくとも90%に沿って、かつ前記発射体(5)の前記外周面(9)と前記銃身(2)の前記内面(8)との間の前記最大外周長の少なくとも90%に存在する、前記銃身軸の方向に端から端まで開口している隙間(10)を通って、前記発射体(5)を加速する発射薬が、前記発射体(5)を通り越して流れることを特徴とする、火器(1)の使用。
【請求項17】
前記火器(1)が、請求項2から15のいずれか一項に記載の、弾薬筒(3)を備えた火器(1)であることを特徴とする、請求項16に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内面と、薬室から銃口までを計測した銃身長さと、銃身軸とを有する銃身を有し、弾薬筒を備えた火器であって、弾薬筒が、外周面を有し単一でサボット不要の発射体を有する火器に関する。
【0002】
さらに、本発明は、このような火器の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
火器用の弾薬筒は、一般的に、例えばペレットのような小さな弾丸を多数持つものと、本発明のように単一の発射体を持つものとがある。
【0004】
発射体を有する弾薬筒の主流となっているものでは、火器の銃身の内径と同値かわずかに大きい外径の(旋条付きの銃身の場合は、内側クリアランスより大きい外径の)発射体が使用され、発射時に、銃身を密封するようになっている。また、発射体として、例えば、いわゆる運動エネルギー弾のように、矢やダーツを用いることもできる。上記の弾の外径は銃身の内径よりかなり小さいので、その発射体は、火器の銃身を密封して、発射体を通り越して発射薬が流れないようにするサボット(減口径弾用装弾筒)を装備している。発射体が銃身から出た後、サボットは発射体から離脱し廃棄される。
【0005】
銃口装填式の武器では、現在でも、銃身の内径より少し小さい玉を発射している。銃身内の構造配置をできるだけ気密なものにするために、ワディング(詰め材)やパッチ(当て材)が使われる。このようなワディングやパッチは、必ずしもサボットという技術用語には相当しない。そうであるにもかかわらず、それらは発射体を銃身に対して密封するものであるから、本発明の枠内ではサボットに分類される。
【0006】
そのため、ガス圧をできるだけ利用するために、銃身全長にわたって、発射薬が発射体を通り越さないようにする工夫が常になされてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ガスの圧力は、銃身の長さにわたって減少していくが、それでもなお、銃口の前の領域でも常に相当な大きさである。そのため、上記のことが意味するのは、銃身は(全長にわたって)ガスの圧力に耐えなければならないので、この武器は、比較的壁が厚い銃身を装備する必要があるということである。このことは銃身、ひいては火器の、全体的な重量と材料費に大きな影響を及ぼす。
【0008】
特に、武力紛争で使用される小火器の場合、兵士が長い距離を運ばなければならないことが多いため、武器の重量が大きな役割を果たす。しかし、特に都市部での銃撃戦は近距離で行われることが多く、この場合には、高い精度よりも、攻撃範囲にできるだけ多くの回数、射撃を行うという意味での最大限の効率性が重要となる。
【0009】
本発明の目的は、上記タイプの弾薬筒を備えたことにより、現在の最先端の技術で取り組まれている問題点が軽減される火器を利用可能にすることである。特に、弾薬筒を備えた火器であって、最先端技術による既知の火器よりも軽い火器を、利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は、本発明によって達成され、具体的には請求項1の特徴を有する、弾薬筒を備えた火器によって達成される。
【0011】
さらに、この目的は、請求項16の特徴を有する、火器の使用によって達成される。
【0012】
本発明の好ましい、有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0013】
本発明によれば、銃身長さの少なくとも90%に沿って、かつ発射体の外周面と銃身内面との間の周長の少なくとも90%にわたって、銃身軸の方向に端から端まで開口した隙間が存在するということが規定されている。
【0014】
発射体が銃身から発射されるとき、銃身軸方向に端から端まで開いた隙間を通って発射薬が発射体を通り越して流れるので、発射体が短い距離移動した後でも、発射体の後方のガス圧は、従来の火器の場合よりも既にかなり低くなっている。したがって、本発明による火器の場合、特に薬室からの距離が短い段階で、又は薬室からの距離が増加するにつれても、従来の火器と比較して壁厚がより薄く、したがってより軽量な銃身を使用することが可能である。
【0015】
本発明による火器の場合、発射体は、それを通り越す発射薬によって銃身内で安定化されるので、驚くほど高い精度を達成することができる。また、銃身内の摩擦の力が最小化又は排除されることに加え、発射体を通り越して流れるガスによる吸引効果によって発射体が加速されることで、発射体の銃口での速度は、予想外に高くなる。
【0016】
銃身の半径方向で測定される隙間の最小幅は、好ましくは0.2mm以上2mm以下である。
【0017】
特に、本発明の場合の隙間は、銃身の半径方向で測定される最小幅が少なくとも0.3mm、特に最小幅が少なくとも0.5mmであり得る。特に、本発明の場合の隙間は、銃身の半径方向で測定される最小幅が、最大で1mm、特に最大で0.6mmであり得る。上に示された隙間の幅の上限と下限とは、任意の組み合わせが可能である。
【0018】
本発明において、隙間幅の好ましい限界は、例えば、発射体の外径が銃身の内径よりも少なくとも2%、好ましくは少なくとも5%、特に少なくとも10%小さくなるように規定することも可能である。口径によっては、発射体の外径は、銃身の内径よりも最大で25%、特に好ましくは最大で10%、特に最大で5%小さくすることも可能である。上に示された上限と下限とは、任意の組み合わせが可能である。
【0019】
隙間の幅及び直径どうしの差について、上に示された限界値はまた、特に小口径及び特に大口径の場合に特に(しかしそれらに限られない)、上回っても下回ってもよいということが理解される。
【0020】
しかし、特に、本発明によれば、銃身の内径と発射体の外径との差は、小口径の場合には大きく、大口径の場合には小さくなるように、隙間の幅は小口径の場合には小さすぎないことが、大口径の場合には大きすぎないことが望ましい。しかし、特に、本発明では、隙間の幅は、小口径の場合はより小さく、大口径の場合はより大きくなっている。
【0021】
また、銃身の内面が本質的に滑らかであることが特に好ましい。本発明の枠組みにおいて、銃身の長手方向断面における内面の最大直径は、平滑な旋条付きの銃身の場合に、その銃身の内径と称される。
【0022】
しかしながら、本発明の枠組み内で、銃身の内面には、少なくとも所々に構造部が設けられているか、又はその内面が粗い面となっている、すなわち、銃身の内面が、少なくとも所々で、例えば高さ又は深さが0.2mm未満の小さな突起物又は凹部で構造化されている平坦な表面であることも可能である。このような、例えば鱗状、のこぎり歯状、又はカップ状の突起物又は凹部の形態となるような構造化によって、発射薬を、狙った方法で旋回させることができ、それにより発生するフローパラメータの利点が利用可能になる。
【0023】
銃身が本質的に均一な内径を有する実施形態が好ましい。このような銃身は、より容易に製造することができる。
【0024】
しかし、代替的一実施形態では、銃身は、銃身の長さに沿って変化する内径を有することもできる。特に、銃身は銃口の前で狭くなる内径を有することができる。したがって、銃口の前の領域で狭くなる隙間、任意選択的に0mmの隙間の幅にまで縮小される隙間によって、圧力損失を減少させることができ、既存の残圧をより有効に使用することができる。また、上記の結果として、発射体の銃身への誘導、ひいては武器の精度を、向上させることができる。追加的に又は代替的に、銃身が、薬室から例えば5~10cmの距離においてのみ増加する内径を有することが可能であり、このとき、ガス圧は、薬室の直後で最適に使用され、その場合に、本発明による隙間に起因して生じる利点が、初めてその効果を発揮する。
【0025】
本発明によれば、銃身の内面から半径方向内側に突出するアームが、銃身の内面に配置されることが可能であり、また、そのアームが、周方向で測定して、最大10%、特に最大5%にわたって外周面に隣接していることも可能である。
【0026】
この場合、銃身の長手方向断面において最も直径が大きい領域を、銃身の内面と称する。
【0027】
アームが、好ましくは、銃身長さにわたって直線的に、又は銃身の長手方向軸線に平行に、すなわち銃身軸の方向に延びている。このような銃身の場合、発射体の最大外径の値は、アームの内径の値よりわずかに小さいか又はその値と等しい。したがって、発射薬は、アーム間に形成されるオフセットされた隙間を通って、発射体を通り越して流れることができ、同時に、発射体が、アームの間を通って銃身内に導かれる。
【0028】
発射体がアームの比較的狭い前面のみに隣接する場合、発射体が銃身から発射される際に克服する必要がある摩擦抵抗は、非常に小さいものに過ぎず、しかも、発射体の銃身への案内が改善されて、その結果精度が改善されることとなる。
【0029】
あるいは、発射体の外周面上に、外周面から半径方向外側に突出し、銃身軸の方向に延びる突起物が配置され、突起物が銃身の内面に、周方向で測定して最大10%、特に最大5%にわたって隣接していることも可能である。このようにして、内側に突出したアームを有する銃身の利点と同様の利点が生じる。
【0030】
本発明では、原理的に、発射薬として使用される装薬と発射体とが、少なくとも部分的に収容されるスリーブを有する、公知の弾薬筒を使用するのが好ましい。装薬を点火することにより、発射体を銃身から発射するための発射薬が確実に供給される。
【0031】
しかしながら、空気圧式武器の形での実施形態も可能である。その場合には、発射薬が弾薬筒の発射薬によってではなく、例えば、ガスタンク(例えば、カプセル又はガスカートリッジ)から供給される。このような火器の場合、本発明の観点からは、発射体が収容される薬室が薬室として分類され、発射体は弾薬筒として分類される。
【0032】
弾薬筒の装薬に、攻撃性火薬、特にフレーク状又はスティック状火薬が使用されていると、特に好ましい。攻撃性火薬は特に早く燃焼するので、燃焼の初期段階でも非常に高いガス圧が発生し、その後、そのガス圧は、攻撃性の低い火薬と比較して早く減少する。特に、鹿玉にも使用される火薬が、本発明におけるこの目的には適している。
【0033】
好ましいのは、発射体が本質的に球形若しくは楕円形の形状、又は円錐形の先端若しくは尖頭アーチ形の先端を有する円筒形の形状を有する実施形態である。
【0034】
特に、本発明の枠組み内の、弾薬筒を有する火器は、小火器である。例えば、火器は、ライフル銃や散弾銃などの銃、又は、例えばピストルなどの拳銃であり得る。しかしながら、火器が、火砲、擲弾発射器、大砲、又は迫撃砲であることも考えられる。
【0035】
本発明の追加の詳細、特徴、及び利点は、本発明の好ましい実施形態が描かれている添付の図面を参照して、以下の説明から理解されるであろう。以下、各図を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】現在の最先端の技術水準から既知である、弾薬筒を備えた火器の側面線図であり、銃身が破断状態で描かれている図である。
図2】本発明による、弾薬筒を備えた火器の側面線図であり、銃身が、破断状態で描かれている図である。
図3】本発明の第1実施形態による、弾薬筒を備えた火器の、銃身を通る長手方向断面を示す、簡略化された描図である。
図4】本発明による、図3の、弾薬筒を備えた火器の、銃身を通る横断面を示す図である。
図5-6】本発明による第2実施形態の銃身の、長手方向断面及び横断面を示す、簡略化された描図である。
図7-8】本発明による第3実施形態の、アームを備えた銃身の、長手方向断面及び横断面を示す、簡略化された描図である。
図9-10】本発明による第4実施形態の、アームを備えた銃身の、長手方向断面及び横断面を示す、簡略化された描図である。
【0037】
図1には、破断状態で描かれた銃身2を備えた従来の火器1が図示されている。銃身2は、内径Dを有する。銃身2の薬室4には、弾薬筒3が配置されている。薬室4の前端から銃身2の銃口7まで、銃身軸方向に測定される銃身2の長さを、銃身長さLという。
【0038】
弾薬筒3は、最大外径Dの発射体5を有し、その発射体5は、その後部を、弾薬筒3のスリーブ6内に入れた状態で収容されている。また、スリーブ6内には、火器1の、図示されていない点火機構によって点火可能な装薬が充填されている。装薬に点火すると、発射薬が生成され、これにより、発射薬によって印加されるガス圧によって、発射体5が銃身2の外に打ち出される。
【0039】
図1に描かれたような従来の火器1の場合、発射体5は、銃身2の内径Dの値と本質的に等しい又はそれよりわずかに大きい最大外径D値を有する。
【0040】
図2は、本発明による弾薬筒3を備えた火器1を示し、この銃身2もまた、破断状態で描かれている。
【0041】
図2に描かれている本発明による火器1の滑らかな銃身2の内径Dは、発射体5の最大外径Dより大きい。そのため、銃身の内面8と発射体5の外周面9との間には、銃身
軸の方向に端から端まで開口された隙間10が存在し、この隙間は発射体5の全周に渡って広がっている。したがって、発射体5が銃身2から発射されるとき、発射薬は、銃身2の内面8と発射体5の外周面9との間の隙間10を通って、その隙間10を通り越して流れることができる。
【0042】
図2では、より良く図示するために、発射体5の最大外径Dは、銃身2の内径Dよりも、はるかに小さく描かれている。しかし、実際には、発射体5の最大外径Dが、銃身2の内径Dよりも2%~25%、特に5%~10%だけ小さくなっている実施形態が好ましい。
【0043】
図3から図10は、本発明の様々な実施形態による火器1の銃身2を示し、それぞれの実施形態のケースについて、一方の図(図3、5、7、9)は長手方向断面図であり、及びもう一方の図(図4、6、8、10)は横断面図である。
【0044】
図3から図10には、スリーブ6に収容される装薬の点火後の発射体5、すなわち銃身2から発射されるときの発射体5が描かれている。発射薬は、矢印11で描かれているように、銃身2の内面8と発射体5の外周面9との間に形成される隙間10を通って、発射体5を通り越して流れる。
【0045】
図3及び図4に示す実施形態では、銃身2は、その長さLにわたって本質的に均一な内径Dを有する。銃身2の内面8と発射体5の外周面9との間に、端から端まで形成される隙間10の幅Bは、銃身2の全長Lに亘って同じである。
【0046】
図5及び図6に描かれた実施形態では、銃身2の内径Dが、銃口7に向かうにつれて連続的に大きくなっているので、薬室4から銃口7にかけて、銃身2の内面8と発射体5の外周面9との間の隙間10の幅Bも、次第に大きくなる。
【0047】
図7及び図8は、本発明による火器1の一実施形態を示し、銃身2の長手方向、即ち銃身軸の方向に延びるアーム12が、銃身2の内面8に配置されている。したがって、隙間10は、発射体5の全周に亘って延びるのではなく、少なくとも周長の90%以上に亘ってのみ延びている。したがって、アーム12の幅による隙間10の中断部分は、発射体5の周長の最大10%、好ましくはそれより小さく、例えば周長の5%未満であり、アーム12の前面と発射体5の外周面9との間の摩擦が、できるだけ低くなるようにしている。図7及び図8の実施形態では、隙間幅Bは、アーム12の高さによって決定される。
【0048】
半径方向内側に向いたアーム12の前側面は、直径Dを有するガイドチャネル13を形成する。ガイドチャネル13の直径Dの値は、発射体5の最大外径Dの値よりわずかに大きいか、又はそれと等しくなっている。このように、発射体5は、ガイドチャネル13に導かれるが、発射薬は、銃身軸の方向に端から端まで開口している隙間10を通って、アーム12どうしの間の発射体5を通り越して流れることができる。
【0049】
図9及び図10に描かれている本発明による火器1の実施形態は、球状の発射体5ではなく楕円形のそれが使用されることを除いて、図7及び図8に描かれている実施形態と同じである。楕円形の発射体5は、飛翔中の発射体5を安定させるフィン14を有する。
【0050】
上に描かれた実施形態は、本発明による、弾薬筒3を備えた火器1の、好ましい実施形態のみを表している。上記の実施形態から生じる組み合わせも、本発明の枠内にあると考えられる。
【符号の説明】
【0051】
1 火器
2 銃身
3 弾薬筒
4 薬室
5 発射体
6 スリーブ
7 銃口
8 銃身の内面
9 発射体の外周面
10 隙間
11 矢印
12 アーム
13 ガイドチャンネル
14 突起物
B 隙間の幅
L 銃身の長さ
発射体の外径
銃身の内径
ガイドチャネルの直径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】