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  • 特表-SSAO阻害剤の多形 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(54)【発明の名称】SSAO阻害剤の多形
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20230908BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230908BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230908BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
C07D401/04 CSP
A61P1/16
A61P43/00 105
A61K31/506
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513750
(86)(22)【出願日】2021-08-24
(85)【翻訳文提出日】2023-03-01
(86)【国際出願番号】 US2021047363
(87)【国際公開番号】W WO2022046779
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】63/070,147
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(72)【発明者】
【氏名】レミック,デイビッド マイケル
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB02
4C063CC29
4C063DD10
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC42
4C086GA07
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZB21
(57)【要約】
(2E)-3-フルオロ-2-({[2-(4-メトキシピペリジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]オキシ}メチル)プロパ-2-エン-1-アミニウム4-メチルベンゼンスルホナートの多形、その組成物、その調製の方法、およびそれらの使用の方法が本明細書において提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(2E)-3-フルオロ-2-({[2-(4-メトキシピペリジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]オキシ}メチル)プロパ-2-エン-1-アミニウム4-メチルベンゼンスルホナートの多形
【化1】
であって、13.7±0.2度、18.0±0.2度、および25.5±0.2度の角度2シータにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有することを特徴とする、多形。
【請求項2】
8.3±0.2度、13.7±0.2度、18.0±0.2度、18.3±0.2度、および25.5±0.2度の角度2シータにおけるピークを含むXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1に記載の多形。
【請求項3】
図1に実質的に示されるようなXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の多形。
【請求項4】
示差走査熱量測定(DSC)によって決定されるように約123℃での吸熱開始および/または約174℃での吸熱開始を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の多形。
【請求項5】
図2に実質的に示されるものであるDSCグラフを有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の多形。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の多形を調製する方法であって、
溶媒中の(2E)-3-フルオロ-2-({[2-(4-メトキシピペリジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]オキシ}メチル)プロパ-2-エン-1-アミニウム4-メチルベンゼンスルホナートの溶液を蒸発させることであって、前記溶媒がアセトニトリル(ACN)および水を含む、蒸発させること、
(2E)-3-フルオロ-2-({[2-(4-メトキシピペリジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]オキシ}メチル)プロパ-2-エン-1-アミニウム4-メチルベンゼンスルホナートおよび溶媒を含む混合物を攪拌することであって、前記溶媒がACNおよび水を含み、もしくは前記溶媒が酢酸エチルを含む、攪拌すること、または
溶媒中の(2E)-3-フルオロ-2-({[2-(4-メトキシピペリジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]オキシ}メチル)プロパ-2-エン-1-アミニウム4-メチルベンゼンスルホナートの溶液に貧溶媒を加えることであって、前記溶媒がACNおよび水を含み、前記貧溶媒が2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)を含む、加えること、を含む方法。
【請求項7】
ACNと水の体積比が約95:5である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載の多形および薬学的に許容可能な担体を含む、医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物が、(2E)-3-フルオロ-2-({[2-(4-メトキシピペリジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]オキシ}メチル)プロパ-2-エン-1-アミンまたはその塩のその他の多形形態を実質的に含まない、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
肝障害を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、治療有効量の請求項1~5のいずれか一項に記載の多形、または請求項8もしくは9に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項11】
前記肝障害が、肝臓炎症、肝線維症、アルコール性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
肝障害を治療するための薬剤の製造における、請求項1~5のいずれか一項に記載の多形の使用。
【請求項13】
前記肝障害が、肝臓炎症、肝線維症、アルコール性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、PSC、PBC、NAFLD、またはNASHである、請求項12に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年8月25日に出願された米国仮特許出願第63/070,147号の利益および優先権を主張するものであり、その開示はこれにより、すべての目的に対してその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(2E)-3-フルオロ-2-({[2-(4-メトキシピペリジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]オキシ}メチル)プロパ-2-エン-1-アミニウム4-メチルベンゼンスルホナートの多形、その組成物、その調製の方法、およびそれらの使用の方法が本明細書において提供される。
【背景技術】
【0003】
セミカルバジド感受性アミノオキシダーゼ/血管接着タンパク質-1(SSAO/VAP-1)は、セミカルバジド感受性アミノオキシダーゼファミリーのメンバーである。SSAO/VAP-1は、別の方法ではVAP-1またはSSAOと呼ばれてきた。SSAO/VAP-1は、膜結合型アイソフォームおよび可溶性アイソフォームの両方として存在する酵素であり、主に、内皮細胞表面、血管平滑筋および脂肪細胞から発現される。SSAO/VAP-1は、グルコース処理、炎症反応、および白血球動員を含む、多くの細胞過程に関与する。この酵素の高い活性レベルは、他の障害の中でもとりわけ、糖尿病、アテローム性動脈硬化、脳卒中、慢性腎臓疾患、およびアルツハイマー病と関連している。最近になって、SSAO/VAP-1は、脂肪肝疾患などの肝障害の病因に関係があることが示された。米国特許第10,287,270号の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれており、(2E)-3-フルオロ-2-({[2-(4-メトキシピペリジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]オキシ}メチル)プロパ-2-エン-1-アミン(本明細書では「化合物I」と称される)および(2E)-3-フルオロ-2-({[2-(4-メトキシピペリジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]オキシ}メチル)プロパ-2-エン-1-アミニウム4-メチルベンゼンスルホナートの多形形態((2E)-3-フルオロ-2-({[2-(4-メトキシピペリジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]オキシ}メチル)プロパ-2-エン-1-アミニウム4-メチルベンゼンスルホナートは、本明細書では「化合物Iトシラート」と称され、当該多形相は、本明細書では「形態I」と称される)を開示し、その構造は以下に提供される。
【化1】
【0004】
化合物Iは、肝障害に対する治療として開発された強力なSSAO阻害剤である。化合物Iなどの薬剤候補を実用的な医薬品へと移行するためには、薬剤候補またはその塩形態が多形形態を有するかどうか、さらには大規模生産、輸送、貯蔵および使用前調製の際に遭遇する可能性が高い条件下でのこれらの形態の相対的な安定性および相互変換を理解することが重要であり得る。堅牢な製造過程により安定した多形を管理および生産する能力が、規制当局による承認および市販における鍵となり得る。高純度の化合物Iの大規模生産過程は、特定の多形形態を使用することによって改善され得る。したがって、異なる化学的安定性や物理的安定性を有する化合物Iまたはその塩形態の様々な新しい多形形態、ならびに同左の組成物および使用に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、化合物Iトシラートの多形が本明細書において提供される。
【0006】
別の態様では、化合物Iトシラートの多形を調製する方法が本明細書において提供される。
【0007】
別の態様では、化合物Iトシラートの多形を含む組成物が本明細書において提供される。
【0008】
別の態様では、化合物Iトシラートの多形を使用して、肝障害の治療を必要とする対象を治療する方法が本明細書において提供される。肝障害を治療するための薬剤の製造における化合物Iトシラートの多形の使用も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、化合物Iトシラートの多形形態II(形態II)のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
図2図2は、形態IIの示差走査熱量測定(DSC)グラフおよび熱重量分析(TGA)グラフを示す。
図3図3は、25℃および50℃で行われた競合スラリー実験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈により別途明確に指示されない限り、複数形を含む。
【0011】
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、組成物または剤形の成分の用量、量、または重量パーセントに関連して使用される場合、「約」および「およそ」という用語は、指定された用量、量、または重量パーセントから得られるものと同等の薬理効果を提供すると当業者によって認識される用量、量、または重量パーセントを意味する。具体的には、値に関連して使用される場合、「約」および「およそ」という用語は、指定された値の±15%以内、±10%以内、±5%以内、±4%以内、±3%以内、±2%以内、±1%以内、または±0.5%以内のばらつきを企図する。「約」値またはパラメータへの言及は、本明細書では、その値またはパラメータ自体に向けられた実施形態を含む(および記述する)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。
【0012】
本明細書で使用される場合、「多形」または「多形形態」という用語は、化合物の結晶性形態を指す。異なる多形は、結晶格子の分子またはイオンの配置または配座の結果として、例えば、融解温度、融解熱、溶解性、溶解速度、および/または振動スペクトルなどの、異なる物理的特性を有し得る。多形によって示される物理的特性の差異は、貯蔵安定性、圧縮性、密度(調合および製品製造において重要)、および溶解速度(生物学的利用能における重要な要素)などの、薬学的パラメータに影響を及ぼし得る。
【0013】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な担体」という用語およびその同種のものは、個体(例えば、哺乳動物または非哺乳動物)への投与に好適な、当業者に既知の補助剤、結合剤、希釈剤などを指す。二つ以上の担体の組み合わせも企図される。本明細書に記載の、薬学的に許容可能な担体およびあらゆる追加の構成要素は、当業者によって認識されるであろう特定の剤形について意図された投与経路(例えば、経口または非経口)での使用に適合すべきである。
【0014】
本明細書で使用される場合、「治療」または「治療する」とは、臨床結果を含む有益または望ましい結果を得るためのアプローチである。本開示の目的上、有益または望ましい結果には、疾患または障害から生じる一つ以上の症状を減少させること、疾患または障害の程度を減少させること、疾患または障害を安定させること(例えば、疾患または障害の悪化を防止するかまたは遅延させること)、疾患または障害の発生または再発を遅延させること、疾患または障害の進行を遅延させまたは遅くすること、疾患または障害状態を改善すること、疾患または障害の(部分的または完全いずれにしても)寛解を提供すること、疾患または障害を治療するために必要な一つ以上の他の薬剤の用量を減量すること、疾患または障害を治療するために使用される別の薬剤の効果を強化すること、疾患または障害の進行を遅延させること、生活の質を向上させること、および/または患者の生存を延長させることのうちの一つ以上を含むが、これらに限定されない。また、疾患または障害の病理的帰結の減少も「治療」に包含される。本開示の方法は、治療のこれらの態様のうちのいずれか一つ以上を企図する。
【0015】
「対象」という用語は、霊長類(例えば、ヒト)、サル、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、またはマウスを含むがこれらに限定されない、動物を指す。「対象」および「患者」という用語は、本明細書で例えばヒトなどの哺乳動物の対象に関して互換可能に使用される。
【0016】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、指定された障害、状態、または疾患を治療するため、例えばその症状の一つ以上を改善し、和らげ、減少させ、および/または遅延させるために十分な化合物または組成物の量を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、「に実質的に示されるような」という用語は、例えばXRPDパターン、DSCグラフ、またはTGAグラフを指す場合、本明細書に描写したものと必ずしも同一ではないが、当業者によって考慮される時に実験誤差または偏差の範囲内にあるパターンまたはグラフを含む。
【0018】
本明細書で使用される場合、「を実質的に含まない」という用語は、約25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、または約1重量%未満の量で示される物質を組成物が含有することを意味する。
【0019】
多形
一態様では、以下に示す構造を有する、化合物Iトシラートの多形が本明細書において提供される。
【化2】
【0020】
化合物Iまたはその塩の多形は、生物学的利用能および安定性の利点を提供してもよく、医薬組成物中の活性剤としての使用に適し得る。調合薬物質の結晶構造のバリエーションは、医薬製剤の溶解速度(生物学的利用能などに影響を及ぼし得る)、製造可能性(例えば、取り扱いの容易さ、精製の容易さ、既知の強度の用量をむらなく調製できることなど)、および安定性(例えば、熱安定性、貯蔵寿命(分解に対する耐性を含む)など)に影響を及ぼし得る。こうしたバリエーションは、錠剤およびカプセルを含む固形経口剤形などの異なる剤形または送達形態における、医薬組成物の調製または調合の方法に影響を及ぼし得る。非結晶性形態またはアモルファス形態などの他の形態と比較して、多形は、望ましいかまたは適切な吸湿性、粒子サイズ制御、溶解速度、溶解性、純度、物理的および化学的安定性、製造可能性、収量、再現性、および/またはプロセス制御を提供し得る。したがって、化合物Iの多形は、活性剤の製造過程、もしくは活性剤の製剤形態の安定性もしくは貯蔵可能性を改善する利点、または活性剤としての適切な生物学的利用能および/または安定性を有する利点を提供し得る。
【0021】
異なる溶媒および/または温度の使用などの特定の条件の使用は、本明細書に記載される多形形態IIを含む、化合物Iまたはその塩の異なる多形を生成することが見出されており、これは、本明細書に記載される一つ以上の好ましい特徴を示し得る。
【0022】
形態II
一部の実施形態では、化合物Iトシラートの多形形態IIが本明細書において提供される。
【0023】
一部の実施形態では、形態IIは、図1に実質的に示されるようなXRPDパターンを有する。XRPDを使用して形態IIについて観察され得る、角度2シータおよび相対的なピーク強度を表1に示す。
【表1】
【0024】
一部の実施形態では、形態IIは、図1に示すように、または表1に提供するように、XRPDパターンにおける最大強度を有する角度2シータにおけるピークの少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、または少なくとも20個を表示する、XRPDパターンを有する。相対強度は、試料調製、取り付け、ならびにスペクトルを得るために使用される器械ならびに分析手順およびセッティングを含む、いくつかの要素に応じて変化し得ることが理解されるべきである。相対的なピーク強度およびピーク配置は、実験誤差内で変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、±0.6度、±0.4度、±0.2度、または±0.1度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、形態IIについて含む本明細書に列記されたピーク配置は、±0.6度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、±0.4度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、±0.2度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、±0.1度2シータだけ変化し得る。
【0025】
一部の実施形態では、形態IIは、13.7±0.2度、18.0±0.2度、および25.5±0.2度の角度2シータにおけるピークを含む、XRPDパターンを有する。一部の実施形態では、形態IIは、8.3±0.2度、13.7±0.2度、18.0±0.2度、18.3±0.2度、および25.5±0.2度の角度2シータにおけるピークを含む、XRPDパターンを有する。一部の実施形態では、形態IIは、8.3±0.2度、13.7±0.2度、18.0±0.2度、18.3±0.2度、19.6±0.2度、20.6±0.2度、および25.5±0.2度の角度2シータにおけるピークを含む、XRPDパターンを有する。一部の実施形態では、形態IIは、8.3±0.2度、13.7±0.2度、18.0±0.2度、18.3±0.2度、19.6±0.2度、19.9±0.2度、20.6±0.2度、21.4±0.2度、25.5±0.2度、および27.0±0.2度の角度2シータにおけるピークを含む、XRPDパターンを有する。
【0026】
一部の実施形態では、形態IIは、図2に実質的に示されるようなDSCグラフを有する。一部の実施形態では、形態IIは、DSCによって決定されるように約123℃での吸熱開始および/または約174℃での吸熱開始を有することを特徴とする。一部の実施形態では、形態IIは、DSCによって決定されるように123±5℃、123±4℃、123±3℃、123±2℃、または123±1℃での吸熱開始を有することを特徴とする。一部の実施形態では、形態IIは、174±5℃、174±4℃、174±3℃、174±2℃、または174±1℃での吸熱開始を有することを特徴とする。
【0027】
一部の実施形態では、形態IIは、図2に実質的に示されるようなTGAグラフを有する。
【0028】
形態IIの一部の実施形態では、以下の(a)~(e)のうちの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、またはすべてが適用される。
(a)形態IIは、13.7±0.2度、18.0±0.2度、および25.5±0.2度の角度2シータにおけるピークを含むXRPDパターン、8.3±0.2度、13.7±0.2度、18.0±0.2度、18.3±0.2度、および25.5±0.2度の角度2シータにおけるピークを含むXRPDパターン、8.3±0.2度、13.7±0.2度、18.0±0.2度、18.3±0.2度、19.6±0.2度、20.6±0.2度、および25.5±0.2度の角度2シータにおけるピークを含むXRPDパターン、または、8.3±0.2度、13.7±0.2度、18.0±0.2度、18.3±0.2度、19.6±0.2度、19.9±0.2度、20.6±0.2度、21.4±0.2度、25.5±0.2度、および27.0±0.2度の角度2-シータにおけるピークを含むXRPDパターンを有し、
(b)形態IIは、図1に実質的に示されるようなXRPDパターンを有し、
(c)形態IIは、DSCによって決定されるように約123℃での吸熱開始および/または約174℃での吸熱開始を有することを特徴とし、
(d)形態IIは、図2に実質的に示されるようなDSCグラフを有し、ならびに、
(e)形態IIは、図2に実質的に示されるようなTGAグラフを有する。
【0029】
組成物
別の態様では、本明細書に開示される多形形態を含む組成物が本明細書において提供される。一部の実施形態では、組成物は、形態IIを含む。一部の実施形態では、組成物は、医薬組成物である。一部の実施形態では、組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含む。一部の実施形態では、形態IIを含む組成物は、形態Iを実質的に含まない。一部の実施形態では、組成物は、化合物Iのアモルファス形態または非結晶性形態を実質的に含まない。
【0030】
形態IIを含む組成物の一部の実施形態では、総組成物の少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約5.0重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも99.9重量%が、形態IIである。形態IIを含む組成物の一部の実施形態では、化合物Iの少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約5.0重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも99.9重量%が、形態IIで存在する。
【0031】
一部の実施形態では、実質的に純粋な形態IIを含む錠剤またはカプセル、および薬学的に許容可能な担体が提供される。
【0032】
調製方法
形態II
一部の実施形態では、溶媒中の化合物Iトシラートの溶液を蒸発させることを含む、形態IIを調製する方法が提供され、溶媒はアセトニトリル(ACN)および水を含む。一部の実施形態では、ACNと水の体積比は、約95:5~約5:95である。一部の実施形態では、ACNと水の体積比は、約95:5、約90:10、約80:20、約70:30、約60:40、約50:50、約40:60、約30:70、約20:80、約10:90、または約5:95である。一部の実施形態では、ACNと水の体積比は、約95:5である。
【0033】
一部の実施形態では、化合物Iトシラートおよび溶媒を含む混合物を攪拌することを含む、形態IIを調製する方法が提供され、溶媒はACNおよび水を含み、または溶媒は酢酸エチルを含む。一部の実施形態では、溶媒は酢酸エチルを含む。一部の実施形態では、溶媒はACNおよび水を含む。一部の実施形態では、ACNと水の体積比は、約95:5~約5:95である。一部の実施形態では、ACNと水の体積比は、約95:5、約90:10、約80:20、約70:30、約60:40、約50:50、約40:60、約30:70、約20:80、約10:90、または約5:95である。一部の実施形態では、ACNと水の体積比は、約95:5である。
【0034】
一部の実施形態では、溶媒中の化合物Iトシラートの溶液に貧溶媒を加えることを含む、形態IIを調製する方法が提供され、溶媒はACNおよび水を含み、貧溶媒は2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)を含む。
【0035】
使用方法
別の態様では、治療有効量の形態IIを投与することを含む、肝障害を治療することを、それを必要とする患者(例えば、ヒト患者)において行う方法が本明細書において提供される。一部の実施形態では、肝障害は、肝臓炎症、肝線維症、アルコール性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から選択される。一部の実施形態では、肝障害はNAFLDまたはNASHである。一部の実施形態では、肝障害はNAFLDである。一部の実施形態では、肝障害はNASHである。一部の実施形態では、患者は肝生検を受けている。一部の実施形態では、方法は、肝生検の結果を得ることをさらに含む。
【0036】
一部の実施形態では、治療有効量の形態IIを投与することを含む、NAFLDのNASHへの進行を妨げるかまたは遅らせることを、それを必要とする患者(例えば、ヒト患者)において行う方法が提供される。
【0037】
薬剤の製造方法
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法で使用するための薬剤の製造における形態IIの使用が提供される。
【0038】
キット
本明細書において提供される多形形態または組成物のいずれかを含む、製造物品およびキットも提供される。製造物品は、ラベルを有する容器を含んでもよい。適切な容器は、ボトル、バイアル、および試験管を含むが、これらに限定されない。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成されてもよい。容器は、本明細書において提供される医薬組成物を保持してもよい。容器上のラベルは、医薬組成物が本明細書に記載される状態を治療するために使用されることを示してもよく、インビボまたはインビトロ使用のいずれかのための指示も示してもよい。
【0039】
一態様では、本明細書に記載される多形形態または組成物、および使用のための指図を含むキットが本明細書において提供される。キットには、バイアル、シリンジ、またはIVバッグなどの、多形形態または組成物の投与において使用され得る任意の材料または機器を追加的に含んでもよい。キットはまた、滅菌包装を含んでもよい。
【実施例
【0040】
以下の実施例は、本出願に開示された実施形態の理解をさらに助けるために提供され、実施例が属する分野の当業者に周知の従来の方法の理解を前提とする。下記に記載される特定の材料および条件は、本明細書に開示される実施形態の特定の態様を例示することを意図するものであり、その合理的な範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0041】
本明細書では、以下の略語が使用され得る。
【表2】
【0042】
化合物Iトシラートの多形形態は、以下に記載される手順を使用して、XRPD、DSC、およびTGAを含む様々な分析技術によって特徴付けられた。
【0043】
XRPD
XRPD分析は、Cu K-アルファ線放射を用いて当該分野で既知の技術および機器を用いて行われた。
【0044】
DSC
DSC分析は、当該分野で既知の技術および機器を用いて行われた。各試料を、30℃から300℃に10℃/分の速度で加熱した。
【0045】
TGA
TGA実験は、当該分野で既知の技術および機器を用いて行われた。各試料を、RTから300℃に10℃/分の速度で加熱した。
【0046】
実施例1.形態IIの調製
異なる溶媒中の化合物Iトシラートの溶液を、室温で調製し、清潔な容器へ0.45μmのナイロンシリンジフィルターを通して濾過した。溶媒をヒュームフード内で3日間蒸発させた。すべての固体をXRPDによって特徴付けた。結果を表2に提供する。
【表3】
【0047】
異なる溶媒中の化合物Iトシラートの溶液を、室温(アセトンについては50℃)で調製し、清潔な容器へ0.45μmのナイロンシリンジフィルターを通して濾過した。異なる貧溶媒を加えて、固体を析出させた。混合物を、ヒュームフード内に3日間置いた。試料を遠心分離し、上澄みを除去した。すべての固体をXRPDによって特徴付けた。結果を表3に提供する。
【表4】
【0048】
形態IIを、XRPD、DSC、およびTGAによって分析した。図1は、形態IIのXRPDパターンを示す。図2は、形態IIのDSCグラフを示す。DSCグラフに示されるように、約123℃での吸熱開始および約174℃での吸熱開始が観察された。図2は、形態IIのTGAグラフも示す。
【0049】
実施例2.形態IIの大規模調製
EA中の化合物I溶液(20.70kg、10.7%w/w)を、1000Lのガラスライニングされた反応器に充填した。(13.60kgのTsOH・HOおよび75kgのEAを500Lのガラスライニングされた反応器に充填することによって調製され、35~40℃で30~60分間攪拌された)EA中のTsOH溶液を、20~25℃で2~4時間でゆっくりと充填した。混合物を、20~25℃で5~8時間攪拌し、次いで250Lのハステロイ合金乾燥機を介して濾過した。ウェットケーキをEAでリンスし、乾燥させた。得られる固体をXRPDによって特徴付け、形態IIであることを確認した。
【0050】
実施例3.競合スラリー研究
競合スラリー実験を、25℃および50℃で行った。25℃および50℃のACNおよびアセトン中の形態Iの飽和溶液を調製した。それぞれ溶液内へ約15mgの形態Iおよび形態IIの重さを計り、懸濁液を800rpmで1日間または3日間スラリー化した。XRPDによって決定されるように、形態Iおよび形態IIの混合物は、両方の温度で形態IIに完全に変換することができ、50℃以下の温度において形態IIがより熱力学的に安定していたことを示した。結果を表4に要約する。
【表5】
【0051】
本明細書において引用される特許、特許出願および刊行物を含む、すべての文書は、その中において引用されるすべての文書、表、および図面を含め、本明細書により、すべての目的に対してその全体が参照により明示的に組み込まれる。
【0052】
本明細書に記載された多形形態、使用、および方法の、前述の記載された説明は、本明細書に記載された多形形態、使用、および方法を当業者が作製および使用することを可能にするが、当業者は、本明細書の特定の実施形態、方法、および実施例の、変形、組み合わせ、および同等なものの存在を理解および認識するであろう。
図1
図2
図3
【国際調査報告】