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特表2023-539656生物系廃棄物の処理方法と処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(54)【発明の名称】生物系廃棄物の処理方法と処理システム
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/65 20220101AFI20230908BHJP
   B09B 3/30 20220101ALI20230908BHJP
   B09B 3/40 20220101ALI20230908BHJP
   C02F 11/08 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
B09B3/65 ZAB
B09B3/30
B09B3/40
C02F11/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513922
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 EP2021073704
(87)【国際公開番号】W WO2022043478
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】20193386.8
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523067724
【氏名又は名称】スキャンシップ ホールディングス エーエスエー
【氏名又は名称原語表記】SCANSHIP HOLDINGS ASA
(74)【代理人】
【識別番号】110003476
【氏名又は名称】弁理士法人瑛彩知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニルセン, パル ヤーレ
(72)【発明者】
【氏名】スヴェネヴィック, ウーダ キーガラグ
【テーマコード(参考)】
4D004
4D059
【Fターム(参考)】
4D004AA02
4D004AA03
4D004AA04
4D004AA12
4D004BA03
4D004CA10
4D004CA13
4D004CA18
4D004CA24
4D004CA25
4D004CA26
4D004CB04
4D004CB05
4D004CC01
4D004CC03
4D004DA03
4D004DA10
4D059AA03
4D059AA07
4D059BB03
4D059BC01
4D059BD01
4D059BE10
4D059BE15
4D059BE26
4D059BE37
4D059BE49
4D059CA01
4D059CA22
(57)【要約】
本発明は、嫌気性消化により廃棄物を処理する方法とシステムを提供し、この方法は、熱加水分解により第1の生物系廃棄物流を前処理することと、嫌気性消化の前に熱分解により固形部分を処理することとを含む。本発明は、生物系廃棄物源中で利用可能なエネルギの効率的な利用を可能にする。本方法は、生物系廃棄物を処理するためのエネルギ効率的な方法を提供するが、廃棄物材料中に貯えられたエネルギの高い回収率を可能にする。材料の流れは動的に調節可能であって、例えば好適な割合で最終生成物が得られるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物の処理方法であって、
a)15%から35%までの範囲内の乾燥固形分を有する第1の生物系廃棄物流を熱加水分解に供して、加水分解物を生成するステップと、
b)前記加水分解物をデカンタに供して、前記加水分解物を少なくとも第1の部分(1)と第2の部分(2)とに分離し、ここで、前記第1の部分(1)は、前記加水分解物との対比でより低い乾燥固形分を有し、前記第2の部分(2)は、前記加水分解物との対比でより高い乾燥固形分を有し、かつ、前記第2の部分(2)の前記乾燥固形分は、30%から50%までの範囲内にあるステップと、
c)前記第2の部分(2)を閉鎖系乾燥器内で乾燥させて、前記第2の部分(2)を、少なくとも第3の部分(3)と第4の部分(4)とに分離し、ここで、前記第3の部分(3)は、実質的に全て蒸発物質を含み、前記第2の部分(2)との対比でより低い乾燥固形分を有し、前記第4の部分(4)は、前記第2の部分(2)との対比でより高い乾燥固形分を有し、かつ、前記第4の部分(4)の前記乾燥固形分は、50%から95%までの範囲内にあるステップと、
d)前記第4の部分(4)を熱分解に供して、バイオ炭と、合成ガス及び/又はパイローオイルを含む第5の部分(5)とを生成するステップと、
e)前記第1の部分(1)と、前記第5の部分(5)の少なくとも一部とをバイオ反応器内の嫌気性消化に供するステップと、
f)前記第3部分(3)を前記バイオ反応器内で嫌気性消化に供し、又は、前記第3部分(3)を前記生物系廃棄物流及び/又は前記加水分解物まで再循環する、又は、前記第3部分(3)の一部を前記バイオ反応器内で嫌気性消化に供し、前記第3部分(3)の残りの部分を前記生物系廃棄物流及び/又は前記加水分解物まで再循環するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記バイオ炭の少なくとも一部が、前記バイオ反応器まで搬送される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記乾燥器は、過熱蒸気乾燥器(SSD)である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第3部分(3)は、少なくとも1つの熱交換器での加熱媒体として使用される、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の部分(1)の少なくとも一部及び/又は前記第3の部分(3)の少なくとも一部が、1つ又は複数の熱交換器を通って、前記第1の部分(1)及び/又は前記第3の部分(3)の少なくとも一部を冷却させて、この際、交換された熱が、前記熱加水分解用の反応器内の前記内容物の加熱を助けるために使用される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記熱加水分解及び/又は前記デカンタのステップに供されることを回避した処理ガスが、前記バイオ反応器内で嫌気性消化に供される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
第2の廃棄物流が、前記第2の部分(2)又は前記第4の部分(4)内に供給される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記熱分解中に生成された前記合成ガス及び/又はパイローオイルが、前記熱加水分解用の反応器の前記内容物及び/又は前記第2の部分(2)の加熱を助けるために使用され、好ましくは、前記合成ガス及び/又はパイローオイルが、前記内容物の前記熱加水分解用に蒸気を生成するボイラ用の燃料として使用される、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
生物系廃棄物流を処理するためのシステムであって、
a)熱加水分解用の反応器と、
b)デカンタと、
c)実質的に全ての蒸発物質の収集を可能にするための外部バリアを含む閉鎖系乾燥器と、
d)熱分解用の反応器と、
e)嫌気性消化用のバイオ反応器と、
を含み、
前記熱加水分解用の反応器が、前記デカンタと流体接続され、
前記デカンタが、前記嫌気性消化用のバイオ反応器と、前記乾燥器と流体接続され、前記乾燥器はさらに、前記バイオ反応器と流体接続され、及び/又は、前記熱加水分解用の反応器と流体接続される出口を備え、
前記熱分解用の反応器が、さらに前記バイオ反応器と流体接続される、
システム。
【請求項10】
前記熱加水分解用の反応器が、さらに、ガスを搬送するために閉鎖系システムによって前記バイオ反応器と接続されるガス出口を備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記デカンタが、さらに、ガスを搬送するために閉鎖系システムによって前記バイオ反応器と接続されるガス出口を備える、請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
前記乾燥器が、過熱蒸気乾燥器(SSD)である、請求項9から11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記熱分解用の反応器が、電気ヒータによって加熱される、請求項9から12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
さらに、1つ又は複数の熱交換器を備える、請求項9から13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記熱分解用の反応器が、さらに、廃棄物用入口を備える、請求項9から14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記乾燥器が、さらに、廃棄物用入口を備える、請求項9から15のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物の処理と、エネルギ生成用の処理での廃棄物材料の利用可能性とに関し、例えば、処理された廃棄物の少なくとも一部を嫌気性消化に供することと、処理された廃棄物流から隔離され、又は、それに基づく栄養素及び他の成分の利用可能性とに関する。
【背景技術】
【0002】
天然資源についての人々の需要は、基礎栄養素のリサイクルと、再生可能エネルギの利用との双方を求める、拡大し続けている課題である。この進展中の課題は、廃棄物処分の処理に対して大きな影響を及ぼしているが、単純な処分からリサイクル処理へと徐々に焦点を変えている。
【0003】
一例を挙げると、嫌気性消化により生物系廃棄物(又は生物学的廃棄物)の処理があるが、この際、バイオ燃料等の生成物が抽出されることがある。
【0004】
しばしば、嫌気性消化中に生物系材料を処理する際の完全性の程度を高めるために、係る生物系材料に対して前処理が適用されることがある。
【0005】
係る前処理として、例えば、生物系材料の機械的な断片化(例えば、超音波パルス処理、高圧均質化、又は研磨等)、生物学的な前処理(例えば、酵素処理等)、又は、熱加水分解又は化学的加水分解のいずれかによる化学的な前処理(例えば、酸加水分解又はアルカリ加水分解等)がある。
【0006】
他の生物系廃棄物の公知な処理方法としては、廃棄物を熱分解(pyrolysis)に供して、その結果、廃棄物の容量又は容積の効果的な削減や、合成ガス、パイローオイル(pyro-oil)(又は熱分解油(pyrolysis oil))、及びバイオ炭(biochar)等の最終生成物を得ることがあるが、後者は様々な目的に利用可能であって、例えば、ボイラーシステム、ディーゼルエンジン内の燃料、又は、石油及び炭素の隔離の代用物として利用可能である。近年、生物系廃棄物の嫌気性消化からの生物系メタン生産を増加させるために、合成ガス及びパイローオイルを消化装置に加えることがある。
【0007】
一例を挙げると、廃水処理に関する国際公開第2013/110186号(特許文献1)の開示例では、供給原料、例えば、都市廃水処理プラントからの原汚泥(又はスラッジ)に対して、嫌気性消化装置が供給されており、消化物(消化されたもの)を生成している。この消化物は、脱水されて、塊状にされている。この塊状は、さらに乾燥されることがあり、例えば、熱乾燥器内で乾燥されている。この塊状は、熱分解システム内で処理されて、合成ガス及びバイオ炭を生成する。このガスは、メタン生成物を増加させるため、同じ消化装置又は別の消化装置へと搬送されている。また、上記炭は、土壌増強剤として利用することができる。
【0008】
別の例を挙げると、都市固形廃棄物等の廃棄物の処理に関する国際公開第2017/156629号(特許文献2)の開示例では、都市固形廃棄物(MSF:municipal solid waste)等の廃棄物が分離されて、湿った部分と、廃棄物燃料(RDF:refuse derived fuel)とに分けられている。例えば、プレス内で廃棄物が分離可能となっている。湿った部分は、嫌気性消化装置内で処理されている。RDFは、さらに、セルロース部分と非セルロース部分とに分離されている。セルロース部分は、熱分解によって処理されて、熱分解液を生成している。熱分解液は、嫌気性消化装置に加えられてい
る。
【0009】
さらに別の例を挙げると、2段階で実施される熱分解に関する国際公開第2017/161445号(特許文献3)の開示例がある。この第1の段階では、有機廃棄物を含む供給原料を処理して、常時ガスと、液体(蒸気から復水されたものでもよい)と、炭とを生成している。第2の段階では、第1の段階で生成された炭を処理している。第1の段階での炭の少なくとも一部(第1の段階での炭の孔にオイルが含まれたものでもよい)は、第2の段階で気体に変えられる。第1の段階の温度は、好ましくは、450℃以下である。第2の段階の温度は、第1の段階の温度よりも高く、例えば、50℃以上でより高い。
【0010】
熱分解は、主に、固体の生物系廃棄物の処理に用いられる。ほとんどの生物系廃棄物源は、熱分解の前に、脱水及び/又は乾燥されて、熱分解処理(又は熱分解プロセス)で必要とされるエネルギ量を減少させている。この脱水処理での残留液体は、処分されるか、又はさらに処理される必要がある。この課題を解決するため、係る脱水処理からの残留液体は、しばしば、一般的なスクラバを用いて洗浄されている。さらに近年では、熱分解用の反応器(又は熱分解用リアクタ)内で使用するために、再生可能エネルギを回収するため、熱分解が、生物系廃棄物流から抽出した液体部分の嫌気的消化と対にされている。これによって、熱分解用の外部エネルギの供給について、全体的な必要量を削減させている。
【0011】
上記対に関する例を挙げると、中国公開特許第108423959号(特許文献4)の開示例では、熱加水分解-熱分解の炭化に基づく原汚泥の資源利用方法が関示されている。この方法は、脱水された原汚泥を、原汚泥用予熱器まで搬送することと;予熱された原汚泥を、原汚泥用の熱加水分解用反応釜まで搬送することと;熱加水分解生成物を、固体-液体の分離作用に供して、熱加水分解ろ液と固形生成物を得ることと;固形生成物に対して、自然の積層状の乾燥、粉砕、活性化、造粒化を順次実施した後、その生成物を螺旋状コンベアによって回転制御可能な熱分解炭化用炉まで搬送して、高温急速熱分解を行って、バイオ炭、タール及び高温廃ガスを生じさせて、その高温廃ガスを原汚泥用予熱器へと導いて、バイオ炭を資源包括的利用に供することと;さらに、熱加水分解ろ液を嫌気性発酵に供して、熱分解炭化用炉の燃料として生成した生物ガス(又はバイオガス)を用いること、の各ステップを含んでいる。
【0012】
さらに別の例を挙げると、国際公開第2017/197508号(特許文献5)の開示例は、嫌気性消化装置の原汚泥(消化物)を処理して、バイオ炭を生成するためのシステムと方法に関する。その消化物には、金属カチオンが投与されて、脱水されて、選択的に乾燥されて、熱分解されている。加えられた金属イオンは、消化物中に、沈殿物、例えば、ストルバイト、ヒドロキシアパタイト、ブルシャイト、又は他の化合物の沈殿物を形成する。それはバイオ炭内に留まって、例えば、バイオ炭のリン含有量を増加させている。
【0013】
廃棄物処理中での熱分解と嫌気性消化との組合せは、嫌気性消化中での生物系メタン生産により、廃棄物材料中での再生可能エネルギの回収を増加させている。バイオ反応器内での合成ガスの処理は、さらに、メタンを生成する合成ガスの化学的処理の必要性を低減させて、廃棄物源からのメタン生成による環境有害性を低減させるだけでなくコストも低減させている。
【0014】
近年の発展にもかかわらず、依然として、課題が残されている。廃棄物材料の性質を考慮すると、多くの公知の処理中では、嫌気性消化用反応器内で、微生物を攪乱するという固有のリスクがあり、このため、効率的な嫌気性消化を維持するために、その監視と、定期的介入とが求められている。さらに、多くの公知の処理からの消化物は、例えば、熱分解によって処理されないまま、処分されたり、さらに利用される場合には、その異物又は汚染に関する健康上のリスクを排除するために滅菌される必要があった。
【0015】
現行の廃棄物の処分とリサイクル処理とでは、全て、実施上コスト高であり、また、例えば、エネルギ生成用にリサイクルされた材料を利用しても、コスト高を部分的にしか補填できていなかった。
【0016】
窒素及びリン等の塩基性の栄養素は、公知の処理では、純粋に回収されているに過ぎなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】国際公開第2013/110186号
【特許文献2】国際公開第2017/156629号
【特許文献3】国際公開第2017/161445号
【特許文献4】中国公開特許第108423959号
【特許文献5】国際公開第2017/197508号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、生物系廃棄物材料から、エネルギと貴重な栄養素とを、より効率的に、かつ完全に利用できるようにした、廃棄物管理システムが依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1の態様では、本発明は、廃棄物の処理方法に関し、これは、
a)第1の生物系廃棄物流を熱加水分解用の反応器内に搬送して、15%から35%までの範囲内の乾燥固形分を有するように、熱加水分解用の反応器の内容物を達成し、この内容物を熱加水分解に供して、加水分解物(又は加水分解産物)を生成させるステップと、
b)上記加水分解物をデカンタ(又はデカント)に供して、上記加水分解物を少なくとも第1の部分(1)と第2の部分(2)とに分離し、ここで、上記第1の部分(1)は、上記加水分解物と対比してより低い乾燥固形分を有することを特徴とし、上記第2の部分(2)は、上記加水分解物と対比してより高い乾燥固形分を有することを特徴とし、かつ、上記第2の部分(2)の上記乾燥固形分は、30%から50%までの範囲内にあるようにしたステップと、
c)上記第2の部分(2)の少なくとも一部を乾燥器(又はドライヤ)まで搬送して、上記第2の部分(2)を、第3の部分(3)と第4の部分(4)とに分離し、ここで、上記第3の部分(3)は、上記第2の部分(2)との対比でより低い乾燥固形分を有し、上記第4の部分(4)は、上記第2の部分(2)との対比でより高い乾燥固形分を有し、かつ、上記第4の部分(4)の上記乾燥固形分は、50%から95%までの範囲内にあるようにしたステップと、
d)上記第4の部分(4)の少なくとも一部を熱分解用の反応器まで搬送して、上記第4の部分(4)の上記少なくとも一部を熱分解処理に供して、バイオ炭と、合成ガス及び/又はパイローオイルを含む第5の部分(5)とを生成するステップと、
e)上記第1の部分(1)の少なくとも一部と上記第5の部分(5)の少なくとも一部とを嫌気性消化用のバイオ反応器まで搬送して、上記第1の部分(1)の上記少なくとも一部と上記第5の部分(5)の上記少なくとも一部とを嫌気性消化に供するステップと、
を含み、
この際、上記バイオ反応器まで搬送される上記第1の部分(1)の割合は調整可能であって、かつ、
上記バイオ反応器まで搬送される上記第5の部分(5)の上記少なくとも一部内の合成ガスの内容とパイローオイルの内容の双方は、調整可能である。
【0020】
第2の態様では、本発明は、生物系廃棄物流を処理するためのシステムに関し、これは、
a)熱加水分解用の反応器と、
b)デカンタと、
c)乾燥器と、
d)熱分解用の反応器と、
e)嫌気性消化用のバイオ反応器と、
を含むシステムであって、
上記熱加水分解用の反応器が、上記デカンタと流体接続(又は、流通可能に接続)され、
上記デカンタが、上記嫌気性消化用の上記バイオ反応器と、上記乾燥器と流体接続され、この際、上記乾燥器は、第1の部分(1)を嫌気性消化用の上記バイオ反応器まで搬送するように構成され、上記熱加水分解用の反応器から受け入れた入力材料との対比でより低い乾燥固形分を有するようにし、さらに上記デカンタは、第2の部分(2)を上記乾燥器まで搬送するように構成され、上記熱加水分解用の反応器から受け入れた入力材料との対比でより高い乾燥固形分を有するようにし、この際、上記第2の部分(2)の上記乾燥固形分は、30%から50%までの範囲内にあるようにし、
さらに、上記乾燥器は、上記熱分解用の反応器と流体接続され、さらに、上記乾燥器は、上記バイオ反応器と流体接続されるか、及び/又は、上記熱加水分解用の反応器と流体接続され、この際、上記乾燥器は、第4の部分(4)を上記熱分解用の反応器まで搬送するように構成され、上記第2の部分(2)との対比でより高い乾燥固形分を有するようにし、この際、上記第4の部分(4)の上記乾燥固形分は、50%から95%までの範囲内にあるようにし、さらに、上記乾燥器は、上記第2の部分(2)との対比でより低い乾燥固形分を有する第3の部分(3)を得るように構成されており、
さらに、上記熱分解用の反応器は、上記バイオ反応器と流体接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明に従う廃棄物処理方法について概略的に示した図である。
図2図2は、本発明に従う廃棄物処理方法の概略図であって、さらに熱交換器を含み、第3の部分(3)が上記熱加水分解(TH:thermal hydrolysis)用の反応器まで搬送されて、上記熱加水分解(TH)用の反応器内の上記内容物を予熱させるようにした図である。
図3図3は、本発明に従う廃棄物処理方法の概略図であって、嫌気性消化を助けるようにバイオ炭の一部をバイオ反応器まで搬送するとともに、肥料としての栄養素と共に、病原体を含まない排出物の品質を高めるようにした図である。
図4図4は、本発明に従う廃棄物処理方法の概略図であって、上記第1の部分(1)と上記第3の部分(3)とが熱交換器を通過するようにし、この熱交換は、熱加水分解で利用する蒸気(7)の生成用に水を予熱するようにした図である。
図5図5は、本発明に従う好適な乾燥方法(SSD)の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、生物系材料(又は生物学的材料)の処理方法に関し、以下の各ステップを含む。即ち、
a)第1の生物系廃棄物流を熱加水分解用の反応器(又はリアクタ)内まで搬送し、15%から35%までの範囲内で乾燥固形分を有するように熱加水分解物用の反応器の内容物を達成して、この内容物を熱加水分解に供して、加水分解物を生成するステップと、
b)上記加水分解物をデカンタまで搬送して、上記加水分解物を少なくとも第1の部分(1)と第2の部分(2)とに分離し、ここで、上記第1の部分(1)は、上記加水分解物との対比でより低い乾燥固形分を有することを特徴とし、上記第2の部分(2)は、上記加水分解物との対比でより高い乾燥固形分を有することを特徴とし、かつ、上記第2の部分(2)の上記乾燥固形分は、30%から50%までの範囲内にあるようにしたステップと、
c)上記第2の部分(2)の少なくとも一部を乾燥器へ搬送して、上記第2の部分(2)を、第3の部分(3)と第4の部分(4)とに分離し、ここで、上記第3の部分(3)は、上記第2の部分(2)との対比でより低い乾燥固形分を有し、上記第4の部分(4)は、上記第2の部分(2)との対比でより高い乾燥固形分を有し、かつ、上記第4の部分(4)の上記乾燥固形分は、50%から95%までの範囲内にあるようにしたステップと、
d)上記第4の部分(4)の少なくとも一部を熱分解用の反応器まで搬送して、上記第4の部分(4)の上記少なくとも一部を熱分解処理に供して、バイオ炭を生成し、かつ合成ガス及び/又はパイローオイルを含む第5の部分(5)を生成するステップと、
e)上記第1の部分(1)の少なくとも一部と上記第5の部分(5)の少なくとも一部とを嫌気性消化用のバイオ反応器まで搬送して、上記第1の部分(1)の上記少なくとも一部と上記第5の部分(5)の上記少なくとも一部とを嫌気性消化に供するステップと、
を含む。
この際、上記バイオ反応器まで搬送される上記第1の部分(1)の割合は、調整可能である。
この際、上記バイオ反応器まで搬送される上記第5の部分(5)の上記少なくとも一部内の合成ガスの内容とパイローオイルの内容の双方は、調整可能である。
【0023】
本発明の一実施形態は、廃棄物の処理方法に関するが、これは以下のステップを含む。即ち、
a)15%から35%までの範囲内で乾燥固形分を有する第1の生物系廃棄物流を熱加水分解に供して、加水分解物を生成させ、
b)上記加水分解物をデカンタ(又はデカントすること又は分離すること)に供して、上記加水分解物を少なくとも第1の部分(1)と第2の部分(2)とに分離し、ここで、上記第1の部分(1)は、上記加水分解物との対比でより低い乾燥固形分を有することを特徴とし、上記第2の部分(2)は、上記加水分解物との対比でより高い乾燥固形分を有することを特徴とし、かつ、上記第2の部分(2)の上記乾燥固形分は、30%から50%までの範囲内にあるようにしたステップと、
c)上記第2の部分(2)を閉鎖系の乾燥器内での乾燥に供して、上記第2の部分(2)を、少なくとも第3の部分(3)と第4の部分(4)とに分離し、ここで、上記第3の部分(3)は、実質的にすべて蒸発物質を含み、上記第2の部分(2)との対比でより低い乾燥固形分を有し、上記第4の部分(4)は、上記第2の部分(2)との対比でより高い乾燥固形分を有し、かつ、上記第4の部分(4)の上記乾燥固形分は、50%から95%までの範囲内にあるようにしたステップと、
d)上記第4の部分(4)を熱分解に供して、バイオ炭と、合成ガス及び/又はパイローオイルを含む第5の部分(5)とを生成するステップと、
e)上記第1の部分(1)と上記第5の部分(5)の少なくとも一部とをバイオ反応器内で嫌気性消化に供するステップと、
f)上記第3部分(3)を上記バイオ反応器内で嫌気性消化に供し、又は、上記第3部分(3)を上記生物系廃棄物流及び/又は上記加水分解物まで再循環(又はリサイクル)する、又は、上記第3部分(3)の少なくとも一部を上記バイオ反応器内で嫌気性消化に供し、上記第3部分(3)の残りの部分を上記生物系廃棄物流及び/又は上記加水分解物まで再循環するステップと、
を含む。
【0024】
本発明は、生物系廃棄物源で利用可能なエネルギの効率的な利用を可能にする。本方法は、生物系廃棄物を処理するためのエネルギ効率的な方法を提供して、廃棄物材料中に蓄えられたエネルギの高い回収率を得られるようにする。この際、材料の流れを動的に調整することができ、例えば、好適な割合で最終生成物が得られるようにしてもよい。
【0025】
廃棄物流中に存在する生物系材料等の、炭素系材料中に蓄えられているエネルギは、化学的酸素要求量(COD:chemical oxygen demand)を測定することで、評価することができる。バイオ反応器内での嫌気性消化中、嫌気性消化に利用可能となるCOD寄与化合物(CODで利用可能な物質)は、メタンやアルコール等の生成物に変換することができる。廃棄物の処理中、廃棄物流の所与の一部のCODを測定することで、上記一部の中に含まれているCOD寄与化合物の量の測定が可能となる。CODの測定は、ほとんどの有機化合物が、酸性条件下で、強力な酸化剤にさらされると、完全に酸化されて二酸化炭素になるという事実に基づく。適当な酸化剤は、当業者には公知であり、それには、例えば、CODの測定に一般的に使用されている重クロム酸カリウムが含まれる。重クロム酸カリウム等の幾つかの酸化剤は、アンモニアを硝酸(又は硝酸塩)へと酸化せず、係る酸化剤に基づくCOD測定は、この硝化に起因する酸素要求量を含まない。従って、測定されたCOD値は、用いられた特定の方法に依存し得る。本発明の内容に関して、CODは、ISO規格15705:2002に記載の密封チューブ法によって測定することができる。
【0026】
本発明の内容に関して、前処理として、熱加水分解が用いられている。熱加水分解は、複雑な構造(例えば、植物繊維等)と、複雑な炭水化物(例えば、セルロース、デンプン、タンパク質等)との断片化(又はフラグメーション化)を可能にする。複雑な炭水化物は、炭水化物の短鎖へと断片化されるが、その短鎖には、容易に水に溶けやすい又は少なくとも水に溶けやすい単糖と二糖類とが含まれる。係る断片化は、例えば、嫌気性消化用の糖類の利用可能性を増加させて、従って、嫌気性消化ステップの効率を増加させる。このため、消化の完全性を増加させるとともに、バイオ反応器内での保持時間の短縮化を可能にする。
【0027】
熱加水分解は、一般に、加水分解物を生成する周知の処理(又はプロセス)であって、入力材料の液体部分の少なくとも飽和圧で、60℃から275℃までの範囲内の目標温度まで、入力材料を加熱することと、10分から180分までの間で、目標温度と対応する圧力とを維持することとを含み、続いて、急激な圧力の低下が生じる。本発明の範囲内では、好ましい目標温度は、少なくとも140℃であり、より好ましくは140℃から250℃までの範囲内であり、さらにより好ましくは160℃から180℃までの範囲内であり、そして最も好ましくは170℃である。本発明の範囲内で、熱加水分解に用いられる好ましい時間間隔は、2時間までであり、例えば、1.5時間までであり、例えば1時間までであり、例えば、15分から30分までの間である。
【0028】
本発明に従う生物系材料の処理方法では、第1の生物系廃棄物流が、熱加水分解用の反応器まで搬送される。
【0029】
本発明の範囲内で、第1の生物系廃棄物流は、炭素系化合物を含む有機材料として解釈することができ、その例として、台所廃棄物、台所及び衛生(又は清掃)での廃水(例えば、下水スラッジ、バイオ廃棄物、及びリグノセルロース材料)等が含まれる。上記第1の生物系廃棄物流は、さらに、微生物によって容易に消化可能な要素を含むことを特徴とするが、例として、糖類(又はサッカライド)、具体例として、炭水化物の形での糖類と、アミノ酸、具体例として、タンパク質の形でのアミノ酸等が含まれる。本発明の範囲内で、第1の生物系廃棄物流は、上記のような廃棄物である必要はない。特定の生成物を生産する目的で抽出された生物系材料についても、第1の生物系廃棄物流として解釈することができ、例えば、バイオ燃料、具体例として、メタンやアルコール、又はバイオ炭の生産用のもの等が含まれる。
【0030】
15%から35%までの範囲内の乾燥固形分の、上記熱加水分解用の反応器の内容物を得ることが求められる場合、上記第1の生物系廃棄物流の乾燥固形分を調整することができる。従って、上記第1の生物系廃棄物流を上記熱加水分解用の反応器まで搬送する前に、上記第1の生物系廃棄物流を希釈又は脱水してもよい。あるいは、15%から35%までの範囲の乾燥固形分を有するように、上記熱加水分解用の反応器の内容物を得るために、上記第1の生物系廃棄物流を上記熱加水分解用の反応器の内部で希釈してもよい。
【0031】
乾燥固形分(又は乾燥固体分)とは、廃棄物処理に関して、一般的に使用されるパラメータである。乾燥固形分とは、水分が除去された廃棄物材料の重量の、水分が除去される前の上記材料の重量との対比における、パーセントとして表される。
【0032】
入力材料の液体部分の飽和圧力に相当する圧力又はそれよりも高い圧力での熱処理に続いて、その材料は、圧力の急激な降下を受けるが、その際、圧力を解放することで、目標温度での飽和圧力から、大気圧力まで、圧力の低下を生じさせ、つまり、蒸気爆発を生じさせる。蒸気爆発の間、圧力低下によって、加圧された温かい液体を蒸気へと変え、その結果、膨張させて、蒸気爆発が起こされる。このため、植物繊維や複雑な炭水化物等の比較的に大きな構造が機械的に破壊され得る。蒸気爆発は、熱加水分解用の反応器内の加圧された物質を、圧力解放タンクまで放出することで行われてもよい。得られた加水分解物は、可溶化炭素系化合物の量の増大を伴い得るが、これはセルロース及びデンプン等の不溶性の複雑な化合物に由来する。熱加水分解を行う結果、その加水分解物は、入ってくる生物系廃棄物材料と対比して、少なくともはるかにより低い病原菌数を含むこととなり、多くの場合、殺菌加水分解物となる。入ってくる生物系廃棄物材料と対比して、より低い病原菌数を含む加水分解物、又は殺菌加水分解物には利点がある。何故なら、これによって、望ましくない微生物を伴う下流側の汚染のリスクを低減させて、その結果、バイオ反応器内の微生物環境の成分の制御をより容易にできるからである。さらに、バイオ反応器の排水は、予測可能な微生物系成分を有し得るので、土壌肥沃化等に使用可能な排水の価値を高めることができる。
【0033】
一実施形態では、上記熱加水分解の結果の処理ガス(又はプロセスガス)は、上記バイオ反応器まで搬送されて、嫌気性消化に供せられる。上記処理ガスは、生物系廃棄物材料のうちCOD寄与化合物の部分を含んでおり、上記処理ガスを上記バイオ反応器まで搬送することにより、生物系廃棄物材料のより完全な利用に寄与し得る。さらに、上記処理ガスは、硫黄化合物等の悪臭化合物を含むが、上記処理ガスを上記バイオ反応器まで搬送することにより、バイオ反応器内で分解されることで、係る悪臭化合物を効率的に除去することができる。
【0034】
第1の生物系廃棄物流の加水分解物はデカンタまで搬送され、そこでは、廃棄物流は、少なくとも第1の部分と第2の部分とに分離される。上記第1の部分は、上記加水分解物との対比でより低い乾燥固形分を有することを特徴とし、好ましくは、上記第1の部分は、10%以下の乾燥固形分を有し、より好ましくは、上記第1の部分は、1%から8%までの範囲内の乾燥固形分を有し、最も好ましくは、上記第1の部分は、1%から5%までの範囲内の乾燥固形分を有する。上記第2の部分は、上記加水分解物との対比でより高い乾燥固形分を有することを特徴とし、さらに、30%から50%までの範囲内の乾燥固形分を有することを特徴とする。
【0035】
比較的乾燥した固形分によって特徴付けられる、少なくとも2つの部分へと廃棄物流を分離するために、任意の適当なデカンタを使用することができる。係るデカンタの例として、デカンタ遠心分離器、フィルタ・ベースのデカンタ、スクリュー・プレス・デカンタ又はベルト・プレス・デカンタ等があるが、これらは廃棄物管理分野では公知である。
【0036】
単糖及び二糖を含む可溶化炭素系化合物を含む上記第1の部分の少なくとも一部は、バイオ反応器まで搬送され、そこでは、微生物は、炭素系化合物をバイオ燃料へと変え、好ましくは嫌気性消化によりメタンへと変える。好ましくは、単糖及び二糖を含む可溶化炭素系化合物を含む上記第1の部分は、バイオ反応器まで搬送され、そこでは、微生物が炭素系化合物をバイオ燃料へと変え、好ましくは嫌気性消化によってメタンへと変える。
【0037】
本発明の好適な実施形態では、上記第1の部分の少なくとも一部は、上記バイオ反応器に到達する前に、熱交換器を通る。本発明の最も好適な実施形態では、上記第1の部分は、上記バイオ反応器に到達する前に、熱交換器を通る。上記双方の実施形態では、熱交換によって、上記第1の部分の少なくとも一部の温度を20℃から40℃までの範囲内の温度まで低下させるので、その結果、バイオ反応器内の微生物が熱的にショックを受けないようにし、同時に、熱を再利用する手段を提供する。再利用可能な熱は、任意の目的に用いることができる。好ましくは、再利用可能な熱は、上記第1の生物系廃棄物流の加熱を助けるように用いられ、例えば、熱加水分解中に用いられるように、蒸気を生成するボイラ内での水の加熱を助けるのに用いられる。熱を再利用することで、外部からのエネルギ供給の必要性を低減できる。熱加水分解を助けるために熱が再利用される場合、熱加水分解ステップのために外部からのエネルギ供給の必要量を低減できる。
【0038】
上記第2の部分は、上記バイオ反応器内で容易に消化されない不溶性要素を含むが、これは、乾燥器まで搬送されて、さらにその部分の液体含有量を減少させ、その結果、上記第2の部分と対比してより高い乾燥固形分を有する第4の部分が得られるようにする。上記第4の部分の乾燥固形分は、好ましくは、50%から95%までの範囲内であり、より好ましくは、60%から95%までの範囲内であり、最も好ましくは、75%から95%までの範囲内である。
【0039】
好ましくは、乾燥器は、閉鎖されたシステムを成す閉鎖系乾燥器であり、その場合、実質的に全ての蒸発材料が第3の部分へと回収され得る。さらに、乾燥器の閉鎖系によって、周囲の空気からの保護を提供し、そのため、汚染のリスクを最小化することができる。
【0040】
一実施形態では、上記第3の部分の少なくとも一部は、凝縮器(又はコンデンサ)内で凝縮されて、上記バイオ反応器まで搬送されて、嫌気的消化に供せられる。好適な実施態様では、上記第3の部分は、凝縮器内で凝縮されて、上記バイオ反応器まで搬送されて、嫌気性消化に供せられる。上記双方の実施形態で、上記凝縮器は、好ましくは、任意の過剰な熱の再利用を可能にする熱交換器として機能する。その再利用可能な熱は、任意の目的に用いることができる。好ましくは、再利用可能な熱は、上記第1の生物系廃棄物流の加熱を助けるために使用され、例えば、熱加水分解に使用するために蒸気を生成するボイラ内での水の加熱を助けるようにしてもよい。熱を再利用することで、外部からのエネルギ供給の必要量を低減することができる。熱加水分解を助けるために熱が再利用されると、熱加水分解ステップのために外部からのエネルギ供給の必要性量を低減することができる。
【0041】
上記第3の部分は、揮発性有機化合物を含むが、これは、バイオ反応器内で変化(又は新陳代謝)され得る。上記第3の部分の少なくとも一部をバイオ反応器まで搬送することで、バイオ反応器まで搬送される生物系廃棄物材料のうちのCOD寄与化合物の部分を増加させることができる。従って、バイオ反応器中でのメタンの生産のための生物系廃棄物材料のより完全な利用に寄与することができ、その結果、バイオ反応器中のメタン生産の収率を増加させることができる。
【0042】
一実施形態では、上記第3の部分の少なくとも一部は、再循環(又はリサイクル)されて、上記第1の生物系廃棄物流と混合される。好適な実施形態では、上記第3の部分は、再循環されて、上記第1の生物系廃棄物流と混合される。上記第3の部分の少なくとも一部を上記熱加水分解用の反応器まで再循環させることで、上記第1の生物系廃棄物流が35%を超える乾燥固形含有量を有する場合には、上記第1生物系廃棄物流を希釈するために、外部からの水の供給の必要量を低減することができる。加えて、上記第3の部分の少なくとも一部を熱加水分解用の反応器まで再循環することは、上記第3の部分が上記第1の生物系廃棄物流よりも高い温度を有する場合には、上記第1の生物系廃棄物流を予熱(又は予め加熱)することを可能にする。別の実施形態では、上記第3の部分の少なくとも一部が熱交換器を通るように導かれる。好適な実施形態では、上記第3の部分が熱交換器を通るように導かれる。上記第3部分の少なくとも一部が熱交換器を通るように導かれることで、例えば、ボイラ内の給水を予め加熱することを可能にし、それは、熱加水分解中に使用するための蒸気を生成させ、この後に再循環されて、例えば、上記加水分解物と混合されることにより、上記加水分解物の粘度を低下させることができ、それによって、後続のデカンタ工程(又は分離工程)をより容易に行えるようにし、即ち、そのエネルギ要求量がより少なくすることを可能にする。これら全ての実施形態で、上記第1の生物系廃棄物流を予熱することで、熱を生じさせるために外部からのエネルギ供給量を低減させて、従って、本方法全体でエネルギ効率を増加させることができる。さらに、上記第1の生物系廃棄物流を水で希釈する代わりに、上記第3の部分の少なくとも一部を熱加水分解用の反応器まで再循環することで、得られる加水分解物の液体部分中のCOD寄与化合物の濃度を増加させて、それによって、上記COD寄与化合物を嫌気性消化用とメタン産生用のバイオ反応器まで搬送するのに必要とされる液体の全体積(又は全容量)を減少させることができる。
【0043】
一実施形態では、上記第1の生物系廃棄物流が35%以下の乾燥固形分を有する場合、上記第3の部分の少なくとも一部が熱交換器を通り、その後、再循環されて、例えば、上記加水分解物と混合されるか、又はバイオ反応器まで搬送されるようにしてもよい。好適な実施形態では、上記第1の生物系廃棄物流が35%以下の乾燥固形分を有する場合、上記第3の部分が熱交換器を通り、その後、再循環されて、例えば、上記加水分解物と混合されるか、又はバイオ反応器まで搬送されるようにしてもよい。上記第3の部分は、生物系廃棄物材料のCOD寄与化合物の一部を含み、上記第3の部分の少なくとも一部を上記バイオ反応器まで搬送することにより、生物系廃棄物材料のより完全な利用に寄与し得る。上記第3の部分の少なくとも一部を再循環させて、上記加水分解物と混合させることで、上記加水分解物を希釈させて、上記加水分解物の粘度が低下するようにし、それによって、後続のデカンタ処理をより容易にし、即ち、そのエネルギ要求量をより少なくすることができる。さらに、上記加水分解物を希釈することは、洗浄効果をもたらし得るが、つまり、上記加水分解物中の生物系廃棄物材料のCOD寄与化合物の可溶性部分のより多くがデカンタ内へと抽出可能になるという意味で、洗浄効果をもたらし得る。
【0044】
上記全ての実施形態で、上記熱交換器は、上記第3の部分の少なくとも一部から任意の余剰の熱を取り出して、上記第3の部分の少なくとも一部の温度を20℃から40℃までの範囲内とし、その結果、バイオ反応器内の微生物が熱的にショックを受けないようにし、同時に、熱を再利用する手段を提供する。再利用可能な熱は、任意の目的に用いることができる。好ましくは、再利用可能な熱は、上記第1の生物系廃棄物流の加熱を助けるために用いられ、例えば、熱加水分解に用いるために蒸気を生成するボイラ内での水の加熱を助けることができる。熱を再利用することで、必要とされる外部からのエネルギ供給量を低減することができる。熱加水分解を助けるために熱が再利用される場合には、熱加水分解ステップ用に必要とされる外部からのエネルギ供給量を低減することができる。
【0045】
廃棄物流を乾燥させるために、任意の従来の閉鎖系の乾燥器を用いることができ、それによって、実質的に全ての蒸発材料の収集を可能にするが、例えば、実質的に全ての蒸発材料の収集を可能にするように構成されたパドル型乾燥器(又はパドル・ドライヤ)を用いることができる。
【0046】
使用される特定の乾燥処理が何であれ、その目的は、その材料からさらなる水分を取り出すことである。この目的のために、その材料にはエネルギが与えられる必要がある。一般的に、このエネルギ入力は、以下により行うことができる。
・対流(convection):キャリヤ・ガスを用いる。
・伝導(conduction):加熱面を用いる。
・放射線(radiation):マイクロ波、赤外線、太陽光を用いる。
本発明の内容では、過熱蒸気を用いた対流又は伝導による乾燥が好ましい。
【0047】
本発明の内容では、過熱蒸気とは、関連圧力での沸点を超えた温度での蒸気として理解することができる。従って、蒸気の温度が、関連圧力での飽和温度(即ち、沸点)より高く保たれている限り、温度の低下によって凝縮が引き起こされることはない。空気と対比して、過熱蒸気の熱伝導特性が優れているため(同じ温度では、熱伝導率と熱容量がより高い)、過熱蒸気によって速い乾燥化速度(又は高い乾燥化率)を達成できる。
【0048】
本発明の内容では、対流による過熱蒸気乾燥(SSD:superheated steam drying)とは、閉鎖系の乾燥方法として理解することができる。これは、所与の一かたまりの材料に関して、次の3つの期間を含み得る。
1:最初の期間であって、この間、蒸気凝縮を介して熱が最初に伝達されるため、材料の水分量が増加され得る。
2:一定速度の期間であって、この間、材料からの水が、かたまり状に、生産物から流れて、この際、境界層では拡散抵抗が生じない。適当な過熱の度合では、過熱蒸気の熱伝達率は、高温乾燥空気のものよりも高くなり得る。従って、同じ乾燥媒体温度では、生産物は、熱風(即ち湿球温度)中よりも飽和蒸気(即ち飽和温度)中でより高い温度に達する。換言すると、逆転温度(又は反転温度)以上では、過熱蒸気は、湿気よりも、さらには乾燥空気よりも、より効果的な乾燥剤となる。
3:速度が低下する期間であって、この間、材料の表面に乾燥層が形成されるため、乾燥速度が低下する。この期間中、生産物の温度は過熱蒸気の温度まで上昇する。この期間中、乾燥速度も、熱気乾燥の場合よりも高くなり得る。
【0049】
上記から明らかなように、対流によるSSDを適用することによって、処理時間に良い影響を与えるだけでなく、関与する材料についてより均質な乾燥を行うことが可能になる。また、対流によるSSDを利用することで、本発明の方法では、他の目的のために過剰蒸気のエネルギの再利用が可能になる。係る場合、プロセス全体で、より高い総合的なエネルギ効率を達成することが可能になる。
【0050】
さらに、熱気と対比して、過熱蒸気の熱伝導率と熱容量とがより高いことにより、乾燥対象の材料だけでなく、汚染する微生物に対しても相当に高められた熱伝達が可能となる。この作用により、微生物を不活化することができ、場合によっては、乾燥された材料と、その結果生じる過剰/パージされた流れ又は凝縮物の双方の衛生化が可能になる。
【0051】
対流により乾燥用の過熱蒸気を適用することで、乾燥対象の材料は過熱蒸気環境内へと導かれて、そこで対流により加熱され(上記の期間1)、その後、その水分は蒸発する(上記の期間2)。過熱蒸気の低い粘度のため、本発明の方法により処理されたバイオマス材料内への速い浸透が促進される。従って、過熱蒸気の乾燥は、本発明のバイオマス材料のような多孔質構造を有する材料に対して特に効果的であり、乾燥処理中の保持時間の短縮化をもたらし得る。過熱蒸気から材料まで蒸発熱が供給されると、蒸気環境は冷却される。取り出された水分は気化して、過剰蒸気となるが、これは、成層を調節するために、乾燥室から排出される。過熱蒸気は再循環されて、閉鎖系内で再加熱される。このようにして、温度を一定に保つことができ、そして、蒸気は過熱されたままにされる(図5参照)。
【0052】
空気と蒸気との間で、密度の実質的な差を利用するとともに、乾燥対象の材料を適当に取り扱うことで、本発明に従う対流による過熱蒸気での乾燥化のために、任意の搬送技術を用いることができる。
【0053】
本発明の特に好適な実施態様では、上記の対流による加熱と共に、乾燥器の内部では、過熱蒸気が、加熱媒体として、例えば空気の代わりに用いられる。上記の利点とは別に、対流に基づく方法では、空気の替わりに、過熱蒸気乾燥(SSD)を用いることにより、本発明に従うバイオマス材料の揮発性炭素系化合物を酸化するリスクを低減させ、そのため、処理全体でのエネルギ効率の増加に寄与し得る。そうでなければ、揮発性炭素系化合物の酸化によって、バイオ反応器内での回収率の低下をもたらし得、例えば、嫌気性消化からのメタン等の排出量を減少させ、そのため、処理全体でのエネルギ効率を低下させ得る。さらに、過熱蒸気乾燥を用いることで、乾燥器用の反応器の内部での塵埃の飛散のリスクを低減させる。従って、廃棄物流を乾燥するための、より安定して、より安全なシステムを提供することができる。従って、本発明の方法の内容では、SSD処理によって、他の乾燥化処理と対比して、複数の利点を提供できる。
【0054】
さらに好適な実施形態では、過熱蒸気も加熱媒体として使用されて、乾燥器用の反応器の外装体(又は外側ジャケット)にまで熱を伝えて、過熱蒸気により乾燥器内で処理される廃棄物流の効果的な加熱を達成し、その際、外装体の内面からの伝導による間接的な加熱と、加熱媒体として、乾燥器用の反応器室(又は反応器チャンバ)を通って流れる過熱蒸気からの対流による直接的な加熱との両方による。
【0055】
いずれの実施形態でも、過熱蒸気が加熱媒体として用いられる場合、天然ガスバーナ又は熱交換器等の任意の適当な加熱手段によって、上記過熱蒸気を再加熱することができる。
【0056】
最も好適な実施態様では、本発明に従う方法で使用されるSSDベースの乾燥器は、生物系材料を乾燥させるための反応器と、蒸気の循環用のループシステムと、循環手段と、少なくとも1つの圧縮器(又はコンプレッサ)と、加熱手段とを含む(図5参照)。
【0057】
好ましくは、上記乾燥用の反応器はさらに撹拌手段を含み、例えば、上記乾燥用の反応器の中心の回転軸に固定されたパドルや、上記乾燥用の反応器の内壁上の突出部等を含み、乾燥処理中に上記生物系材料を撹拌させて、上記乾燥用の反応器の内容物の緊密化(又はコンパクション)を低減させて、上記乾燥用の反応器の上記内容物の均一な加熱を達成できるようにする。
【0058】
上記乾燥用の反応器チャンバは、その中で蒸気が循環又は循環可能なループ系と流体接続されている。ループ系と上記乾燥用の反応器とを通る蒸気の一定かつ制御可能な流れを確保できるように、送風機(又はファン)等の任意の適当な循環手段を用いてもよい。上記ループ系は、上記過熱処理蒸気(又は過熱されたプロセス・スチーム)を再加熱させるために、天然ガスのバーナや熱交換器等の加熱手段を含むが、好ましくは、上記加熱手段は熱交換器である。
【0059】
過熱処理蒸気はループ系内を循環する。過熱蒸気は、所与の圧力で飽和温度を上回る温度を有する蒸気である。従って、過熱蒸気を用いて、乾燥用の反応器チャンバ内の生物系廃棄物材料を加熱することで、反応器チャンバ内に供給される蒸気の凝縮を伴うことなく、過剰な過熱蒸気として上記材料に含まれる水の蒸発を可能にする。ループ系内の過熱処理蒸気の流れは十分に速くなければならず、それによって、反応器チャンバの内部の蒸気が、乾燥用の反応器内部の圧力で、飽和温度以下に達することがないようにする。何故なら、そのような条件を下回る蒸気は、凝縮して、生物系物質を再湿潤させ得るからである。
【0060】
過剰な過熱蒸気の生成は、ループ系内の圧力を増加させ得る。過剰な圧力と、その結果としての過剰な過熱蒸気は、上記ループ系及び上記少なくとも1つの圧縮器と流体接続する出口を介して解放又はパージされる。好ましくは、上記ループ系及び上記少なくとも1つの圧縮器と流体接続する上記出口は、上記循環手段の下流側で、かつ上記過熱処理蒸気の再加熱の上流側に配置される(図5参照)。
【0061】
上記ループ系及び上記少なくとも1つの圧縮器と流体接続する上記出口を通る、過剰/パージされた過熱蒸気の流れは、上記少なくとも1つの圧縮器内への過剰な過熱蒸気の取り込みによって制御することができるが、その際、上記少なくとも1つの圧縮器に向かう過剰な過熱蒸気の流れを引き起こす圧力勾配を生じさせる。
【0062】
上記過剰/パージされた過熱蒸気は、少なくとも1つの圧縮器内で加圧されて、上記過剰過熱蒸気の再加熱を達成する。上記1つ又は複数の圧縮器の非効率性のため、加圧中の上記過剰過熱蒸気の熱増加は、圧力増加のみに基づいて期待される理論的な熱増加を上回り、そのため、上記過剰過熱蒸気のエネルギ含有分を増加させる。好ましくは、上記過剰過熱蒸気を少なくとも110℃の温度まで再加熱し、より好ましくは、上記過剰過熱蒸気を110℃から300℃までの範囲内の温度まで再加熱し、さらにより好ましくは、上記過剰過熱蒸気を110℃から200℃までの範囲内の温度まで再加熱し、最も好ましくは、上記過剰過熱蒸気を120℃から150℃までの範囲内の温度まで再加熱する。好ましくは、過剰過熱蒸気は、3barから15barまでの範囲内の圧力まで加圧され、より好ましくは、4barから10barまでの範囲内の圧力まで加圧され、最も好ましくは、5barの圧力まで加圧される。
【0063】
加圧された過剰過熱蒸気は、少なくとも2つの加圧された過剰過熱蒸気流に分離され、即ち、第1の加圧された過剰過熱蒸気流と第2の加圧された過剰過熱蒸気流とに分離される。上記第1の加圧された過剰過熱蒸気は、熱交換器を通って搬送されるが、好ましくは、プレート熱交換器を通り、具体的には、機械的蒸気再圧縮(MVR:mechanical vapor recompression)熱交換器を通るが、これは、処理蒸気からある程度の汚れが予期されるため、メンテナンス時に熱交換器の開放とプレートの外壁の洗浄とを可能にする。上記熱交換器は、上記乾燥用の反応器を通ってループ系内を循環する処理蒸気を再加熱する。加圧された過剰過熱蒸気を使用して処理蒸気を再加熱することで、天然ガスバーナの代用が可能になるが、そうでなければ、ほとんどの通例の蒸気乾燥器内で天然ガスバーナが使用されることになるだろう。上記第1の加圧された過剰過熱蒸気流は、上記熱交換のため、少なくとも部分的に、上記熱交換器内の凝縮物となり、この凝縮物は、上記熱交換器の出口を通って搬送され得る(図5参照)。
【0064】
上記第2の加圧された過剰過熱蒸気流は、上記乾燥用の反応器の外装体を通って搬送される。上記第2の加圧された過剰過熱蒸気流は、上記乾燥用の反応器の内部の上記第2の部分と熱交換し、それによって、上記加圧された過剰過熱蒸気の一部が凝縮する。好ましくは、上記乾燥用の反応器の上記外装体は、過剰な凝縮液の回収を可能にするための出口をさらに備えるが、その過剰な凝縮液はさらに下流側で使用することができ、例えば、上記過剰な凝縮液を嫌気性消化用のバイオ反応器まで搬送してもよい。
【0065】
好ましくは、上記乾燥用の反応器チャンバを含むループ系内で、上記SSDベースの乾燥器は大気圧で操作され、その反応器チャンバの内部の温度は、少なくとも100℃であり、好ましくは、105℃から200℃までの範囲内の温度であり、より好ましくは、110℃から150℃までの範囲内の温度である。
【0066】
様々な蒸気の流れが、周囲の空気と触れ合うことがないように保護されているという意味で、ループ及びSSDベースの乾燥器は、閉鎖系(又は密閉系)の内部に配置される。閉鎖系では、周囲の空気からの汚染のリスクが制限される。
【0067】
上記熱交換器内の出口を通って搬送される凝縮液と、上記乾燥用の反応器の外装体から集められた過剰な凝縮液とは、上記第3の部分内に集められる。
【0068】
一実施形態では、上記過剰過熱蒸気は、蒸気フィルタを通過することで、少なくとも1つの圧縮器へ粒子が入り込むことを防止する。上記蒸気フィルタは、上記過剰蒸気中に存在する水溶性で不揮発性のCOD寄与化合物の通過を可能にする。本実施形態の内容では、特に好ましくは、上記閉鎖系及び上記少なくとも1つの圧縮器と流体接続する上記出口は、上記循環手段の下流側で、かつ上記過熱された処理蒸気の再加熱の上流側に位置する。送風機(又はファン)等の上記循環手段の非効率性のため、上記過剰過熱蒸気の温度を上昇させ得るが、これによって、上記蒸気フィルタ中の過剰過熱蒸気の凝縮のリスクを減少させることができる。さらに、上記循環手段は、上記フィルタを通過する上記過剰過熱蒸気のより高い流量を提供可能にする。
【0069】
乾燥処理から得られる固形部分(又は固体部分)は、上記第4の部分内に集められる。上記第4の部分は、不溶性要素を含むが、これはバイオ反応器内で容易に消化されない。上記第4の部分は、熱分解用の反応器まで搬送され、熱分解処理に供せられ、即ち、酸素欠乏環境下で加熱されて、その結果、バイオ炭を生じさせるとともに、合成ガス及び/又はパイローオイルの熱分解生成物を含む第5の部分を生じさせる。熱分解の最終生成物の相対的な割合は、熱分解に供せられる入力材料と熱分解パラメータ(即ち、温度、加熱速度及び保持時間)の双方に依存する。
【0070】
一実施形態では、メタン収率を最適化することが好ましく、上記熱分解パラメータが調整されて、上記バイオ反応器内でメタンに容易に変換可能な合成ガス成分H2及びCOを高レベルで生じさせるようにし、かつ、しばしばアンモニア等の嫌気性消化に対する阻害要因を含むパイローオイルを小量にする。
【0071】
好適な実施形態では、上記第4の部分は、少なくとも400℃の目標温度で熱分解され、好ましくは、上記第4部分は400℃から1000℃までの範囲内の目標温度で熱分解され、例えば500℃から900℃までの目標温度で熱分解され、より好ましくは、上記第4部分は600℃から800℃までの範囲内の目標温度で熱分解される。上記第4の部分の熱分解のための上記好ましい目標温度は、上記バイオ反応器内でメタンに容易に変換され得る合成ガス成分H2及びCOを高いレベルで増加させ、かつ、しばしばアンモニア等の嫌気性消化に対する阻害要因を含むパイローオイルを低いレベルで減少させる。
【0072】
好適な実施形態では、上記熱分解用の反応器は、プロセスパラメータ、特に加熱速度及び目標温度の正確な制御を可能にするために、電気ヒータ(又は電気加熱器)によって加熱される。
【0073】
好適な実施形態では、本発明の方法は、乾燥器及び/又は熱分解用の反応器内への第2の廃棄物流の入力と、上記第2の廃棄物流を乾燥及び/又は熱分解の処理に供せることを含む。
【0074】
本発明の範囲内で、第2の廃棄物流は、炭素系化合物を含む材料として解釈されるべきであり、この際、上記炭素系化合物とは、さらに、微生物によって容易に消化できない要素を主に含むことで特徴付けられる。このような炭素系化合物の例として、プラスチックとリグニンが挙げられる。
【0075】
選択的に、上記第2の部分又は上記第4の部分と、上記第2の廃棄物流とは、乾燥又は熱分解の前に混合され、その混合は、上記乾燥器又は熱分解用の反応器に入る前に成されてもよく、あるいは、双方の流れを同じ乾燥器及び/又は熱分解用の反応器内へと搬送することで成されてもよい。あるいは、上記第2の部分又は上記第4の部分と、上記第2の廃棄物流とは、乾燥及び/又は熱分解に対して別々に供せられて、乾燥及び/又は熱分解のパラメータが、入力材料と好ましい出力生産物について最適化されるようにしてもよい。
【0076】
上記第5部分の少なくとも一部は、上記嫌気性消化用のバイオ反応器まで搬送され、上記バイオ反応器も、上記第1の部分の少なくとも一部を受け入れ、この際、上記第1の部分の少なくとも一部と上記第5の部分の少なくとも一部とが嫌気性消化に供せられる。ほとんどの実施形態では、上記第5の部分の少なくとも一部を上記バイオ反応器まで搬送することは、上記バイオ反応器内で生成されるメタンの全体的な収率を増加させる。選択的に、上記第5の部分(5)内に含まれる上記合成ガス及び/又はパイローオイルの残りを他の目的に使用することができ、例えば、熱加水分解中に使用される蒸気(7)を生成するために水を加熱するボイラ内で使用可能な燃料として使用してもよい。
【0077】
好適な実施形態では、上記熱分解に起因する上記バイオ炭の少なくとも一部は、上記バイオ反応器まで搬送される。バイオ反応器にバイオ炭を加えることで、嫌気性消化処理に関して複数の利点が得られるとともに、最終生産物としての消化物の品質が高められる。即ち、バイオ炭は、微生物学的なアンモニア阻害を軽減し、それによって効率的な嫌気性消化に寄与する。さらに、バイオ炭は、塩基性栄養素、例えば、リン種、窒素種と、さらに、カリウムとカルシウムを固定し、それによって、消化物が肥料として使用される場合に土壌中へ浸出する栄養素を減少させて、植物用の栄養素の利用可能性を高める。上記バイオ炭の残りは、様々な目的に使用することができ、例えば、土壌中の炭素隔離等の目的に使用してもよい。
【0078】
好適な実施態様では、上記第3の部分(3)は、過熱蒸気(SSD)を用いる乾燥プロセスに対して上記第2の部分(2)を供せることで生じる凝縮物であり、従って病原体が無い。
【0079】
さらに、本発明はシステムにも関するが。これは、本発明に従う方法について記載したものと同じ利点を達成する。
【0080】
本発明の第2の態様は、生物系廃棄物を処理するためのシステムに関し、当該システムは、
a)熱加水分解用の反応器と、
b)デカンタと、
c)乾燥器と、
d)熱分解用の反応器と、
e)嫌気性消化用のバイオ反応器と、
を含む。
上記熱加水分解用の反応器は、上記デカンタに対して流体接続されている。
さらに、上記デカンタは、上記嫌気性消化用のバイオ反応器と上記乾燥器とに対して流体接続されている。この際、上記デカンタは、上記嫌気性消化用のバイオ反応器まで第1の部分(1)を搬送するように構成されており、上記熱加水分解用の反応器から受け取った入力材料と対比してより低い乾燥固形分を有するようにしている。また、上記デカンタは、上記乾燥器まで第2の部分(2)を搬送するように構成されており、上記熱加水分解用の反応器から受け取った入力材料と対比してより高い乾燥固形分を有するようにしている。この際、上記第2の部分(2)の上記乾燥固形分は、30%から50%までの範囲内にある。
さらに、上記乾燥器は、上記熱分解用の反応器と流体接続されており、この際、上記乾燥器は、さらに、上記バイオ反応器と流体接続され、及び/又は、上記熱加水分解用の反応器と流体接続されている。この際、上記乾燥器は、上記熱分解用の反応器まで第4の部分(4)を搬送するように構成され、上記第2の部分(2)と対比してより高い乾燥固形分を有するようにしている。この際、上記第4の部分(4)の上記乾燥固形分は、50%から95%までの範囲内にある。さらに、この際、上記乾燥器は、上記第2の部分(2)と対比してより低い乾燥固形分を有している第3の部分(3)を得るように構成されている。
さらに、上記熱分解用の反応器は、上記バイオ反応器と流体接続されている。
【0081】
本発明の一実施形態では、上記生物系廃棄物流を処理するためのシステムは、
a)熱加水分解用の反応器と、
b)デカンタと、
c)実質的に全ての蒸発物質の収集を可能にするように外部バリアを含む閉鎖系乾燥器と、
d)熱分解用の反応器と、
e)嫌気性消化用のバイオ反応器と、
を含む。
上記熱加水分解用の反応器は、上記デカンタと流体接続されている。
さらに、上記デカンタが上記嫌気性消化用のバイオ反応器と、上記乾燥器とに流体接続されている。さらに、上記乾燥器が、上記バイオ反応器と流体接続され、及び/又は、上記熱加水分解用の反応器と流体接続される出口を有している。
さらに、上記熱分解用の反応器は、上記バイオ反応器と流体接続されている。
【0082】
一実施形態では、上記熱加水分解用の反応器は、ガスを搬送するために、閉鎖系によって、上記バイオ反応器と流体接続されるガス出口を含む。好適な実施形態では、さらに、上記熱加水分解用の反応器は、ガスを搬送するために、閉鎖系によって、上記バイオ反応器と流体接続されるガス出口を含み、かつ、上記デカンタは、ガスを搬送するために、閉鎖系によって、上記バイオ反応器と流体接続されるガス出口を含む。
【0083】
上記双方の実施形態では、好ましくは、上記閉鎖系は、ガスをなだらかに搬送するために、上記熱加水分解用の反応器から上記ガス出口、及び/又は、上記デカンタから上記ガス出口を、上記バイオ反応器に接続し、さらに、処理ガスを冷却するための熱交換機を含む。上記処理ガスを冷却することは、上記バイオ反応器の内容物を加熱することのリスクを低減し、従って、上記バイオ反応器内の安定した温度に寄与し、そのため、効率的な嫌気性消化に寄与する。上記処理ガスは、生物系廃棄物材料のCOD寄与化合物の一部を含み、上記処理ガスを上記バイオ反応器まで搬送することにより、生物系廃棄物材料のより完全な利用に寄与する。さらに、上記処理ガスは、硫黄化合物等の悪臭化合物を含み得るが、上記処理ガスを上記バイオ反応器まで搬送することで、悪臭化合物がバイオ反応器内で分解されることで悪臭化合物を効率的に除去することができる。
【0084】
一実施形態では、上記乾燥器は、蒸気を含むガス種を保持するための外部バリアを有する閉鎖系乾燥器である。従って、実質的に全ての蒸発物質を、上記第3の部分内に集めることができる。
【0085】
好適な実施形態では、蒸気を含むガス種を保持するための外部バリアを有する上記乾燥器は、熱アシスト型乾燥器である。
【0086】
さらに好適な実施形態では、上記乾燥器は、過熱蒸気乾燥器である。
【0087】
さらに好適な実施形態では、蒸気を含むガス種を保持するための外部バリアを有する上記過熱蒸気乾燥器は、さらに、過熱処理蒸気を再加熱するための加熱手段を含み、例えば、天然ガスバーナ又は熱交換器を含む。好ましくは、上記過熱処理蒸気を再加熱するための加熱手段は、熱交換器である。
【0088】
最も好適な実施形態では、上記乾燥器は、SSDベースの乾燥器であって、生物系材料を乾燥させるための反応器と、過熱蒸気を循環させるためのループ系と、ファン等の蒸気循環手段と、少なくとも1つの圧縮器と、熱交換器とを備える。好ましくは、上記循環手段は、上記乾燥用の反応器となだらかに接続された上記ループ系内で過熱蒸気の流れを制御するように構成され、そして、管(又はチューブ)等の搬送手段が、上記反応器の内容物の加熱から生じる過剰過熱蒸気を1つ又は複数の圧縮器まで搬送するように配置されている。好ましくは、上記を1つ又は複数の圧縮器は、3barから15barまでの範囲内の圧力を得るように上記過剰過熱蒸気を圧縮するように構成され、より好ましくは4barから10barまでの範囲内の圧力を得るようにし、最も好ましくは5barの範囲の圧力を得るようにする。好ましくは、上記管等の搬送手段が配置されることで、上記過剰過熱蒸気の第1の部分を、MVR熱交換器等の熱交換器まで搬送し、上記過剰過熱蒸気の第2の部分を、上記乾燥用の反応器の上記外装体まで搬送し、上記乾燥用の反応器の上記外装体から上記1つ又は複数の圧縮器まで戻すようにしている。好ましくは、上記MVR熱交換器等の熱交換器は、上記過剰過熱蒸気からの熱を上記閉鎖系内で上記過熱処理蒸気まで熱交換するように構成され、さらに、上記MVR熱交換器等の熱交換器は、出口を通って凝縮物を搬送するように構成されている。
【0089】
一実施形態では、上記SSDベースの乾燥器は、1つ又は複数の圧縮器に入る前に、上記過剰過熱蒸気を濾過するように構成された粒子フィルタを含む。本実施形態の内容では、特に好ましくは、上記ループ系と上記少なくとも1つの圧縮器をなだらかに接続する上記出口は、上記循環手段の下流側で、かつ上記過熱処理蒸気の再加熱の上流側に位置する。
【0090】
さらに好適な実施形態では、上記SSDベースの乾燥器は、さらに、上記乾燥用の反応器の上記外装体内に凝縮物用の出口を備える。
【0091】
好適な実施形態では、上記熱分解用の反応器は、電気ヒータによって加熱される。上記電気ヒータは、好ましくは、マイクロ波アシスト型ヒータである。
【0092】
一実施形態では、上記熱分解用の反応器は、さらに廃棄物用の入口を含む。
【0093】
一実施形態では、本発明に従うシステムは、さらに、上記第2の廃棄物流を受け入れるように構成された第2の熱分解用の反応器を含み、上記第4の部分と上記第2の廃棄物流とを、並行で、別々の熱分解用の反応器内で、熱分解に供させる。上記第4の部分と上記第2の廃棄物流を並行して処理することは、上記熱分解用の反応器内に供給される材料の特定の種類に合わせて熱分解パラメータを調節することを可能にし、従って、出力生産物の所望の割合を得ることを可能にする。
【0094】
一実施形態では、本発明に従うシステムは、さらに、1つ又は複数の熱交換器を含む。好ましくは、上記1つ又は複数の熱交換器は、上記第1の部分及び/又は上記第3の部分からの熱を、熱加水分解に使用する蒸気を生成するボイラ用の給水の蒸気へと熱交換するように構成される。
【0095】
本発明に従うシステムは、コンパクトな設計を可能にし、限定的な空間内で設置可能なように構成され得るが、例えば、クルーズ船等の船、又はアパート等の集合建屋の内部に設置可能なように構成され得る。さらに、本発明に従うシステムは、過熱蒸気乾燥器、好ましくはSSDベースの乾燥器を備える場合には、粉塵の飛散のリスクを低減した安全なシステムを提供可能にし、特に人間が収容されるクルーズ船やアパート等で効果的となる。さらに、上記1つ又は複数の熱交換器は、上記のような船上や集合建屋内で様々な処理又はプロセスで加熱するように構成され得、例えば、台所用及び/又は浴槽用の水、又は室温制御等で利用可能なように構成され得る。
【0096】
「例示した図の詳細な説明」
図1は、本発明に従う廃棄物処理方法の概略図である。原汚泥の形態での第1の生物系廃棄物流が、熱加水分解(TH)用の反応器内へと搬送される。上記第1の生物系廃棄物流の乾燥固形分は調整されていて、15%から35%までの範囲内の乾燥固形分としている。上記第1の生物系廃棄物流は熱加水分解に供せられる。熱加水分解に続いて、得られた加水分解物はデカンタまで搬送される。デカンタ内で、加水分解物は2つの部分に分離される。即ち、殺菌されて排出される、加水分解物との対比でより低い乾燥固形分を有する第1の部分(1)と、加水分解物との対比でより高い乾燥固形分を有する残りの乾燥固形分を含む第2の部分(2)とに分離される。上記第2の部分(2)はSSDベースの乾燥器まで搬送され、そこで第2の部分(2)は過熱蒸気によって乾燥される。実質的に全ての蒸発物質は凝縮されて、第3の部分(3)内で集められる。乾燥処理からの残りの部分であって、上記第2の部分(2)との対比でより高い乾燥固形分を有する部分は、第4の部分(4)内に集められる。上記第4の部分(4)は、熱分解用の反応器まで搬送されて、熱分解処理に供せられて、その結果、バイオ炭、合成ガス及び/又はパイローオイルを含む熱分解生成物を生成する。バイオ炭は、土壌中の炭素隔離等の様々な目的に使用することができる。
【0097】
上記第1の部分(1)と、上記第3の部分(3)と、上記第5の部分(5)の少なくとも一部とが全てバイオ反応器まで供給されて、嫌気性消化に供されて、その結果、生物ガス(又はバイオガス)、メタン、及び消化物(digestate)を生じさせ、栄養物を伴う無病原体の排出物を形成するが、これは、例えば肥料としてさらに使用することができる。選択的に、上記第5部分(5)内に含まれる上記合成ガス及び/又はパイローオイルの一部は、燃料等の他の目的に使用することができる。
【0098】
図2は、本発明に従う廃棄物処理方法の概略図である。原汚泥の形態での第1の生物系廃棄物流が、熱加水分解(TH)用の反応器内へと搬送される。上記第1の生物系廃棄物流の乾燥固形分は調整されていて、15%から35%までの範囲内の乾燥固形分としている。上記第1の生物系廃棄物流は熱加水分解に供せられる。熱加水分解中に形成される処理ガスは、第6の部分(6)内に集められて、上記バイオ反応器まで搬送される。熱加水分解に続いて、得られた加水分解物はデカンタまで搬送される。デカンタ内で、加水分解物は2つの部分に分離される。即ち、殺菌されて排出される、加水分解物との対比でより低い乾燥固形分を有する第1の部分(1)と、加水分解物との対比でより高い乾燥固形分を有する残りの乾燥固形分を含む第2の部分(2)とに分離される。上記第2の部分(2)はSSDベースの乾燥器まで搬送され、そこで第2の部分(2)は過熱蒸気によって乾燥される。実質的に全ての蒸発物質は凝縮されて、第3の部分(3)内で集められる。乾燥処理からの残りの部分であって、上記第2の部分(2)との対比でより高い乾燥固形分を有する部分は、第4の部分(4)内に集められる。上記第4の部分(4)は、熱分解用の反応器まで搬送されて、熱分解処理に供せられて、その結果、バイオ炭、合成ガス及び/又はパイローオイルを含む熱分解生成物を生成する。バイオ炭は、土壌中の炭素隔離等の様々な目的に使用することができる。
【0099】
上記第5部分の少なくとも一部(5)は、上記バイオ反応器まで搬送されて、選択的に、上記第5部分(5)に含まれる上記合成ガス及び/又はパイローオイル(8)の一部が、熱加水分解の使用用に蒸気(7)を生じさせるために水を加熱するボイラ内の燃料として使用される。
【0100】
上記第1の部分(1)は、熱交換器を通って、上記第1の部分(1)を冷却させ、さらにバイオ反応器まで搬送される。上記熱交換は、熱加水分解(TH)用の上記反応器内の上記内容物の加熱を助けるために使用される。
【0101】
上記第3の部分(3)は、上記熱加水分解(TH)用の反応器まで搬送され、従って、上記熱加水分解(TH)用の反応器内の上記内容物を予熱する。
【0102】
図3は、本発明に従う廃棄物処理方法の概略図である。原汚泥の形態での第1の生物系廃棄物流が、熱加水分解(TH)用の反応器内へと搬送される。上記第1の生物系廃棄物流の乾燥固形分は調整されていて、15%から35%までの範囲内の乾燥固形分としている。上記第1の生物系廃棄物流は熱加水分解に供せられる。熱加水分解中に形成される処理ガスは、第6の部分(6)内に集められて、上記バイオ反応器まで搬送される。熱加水分解に続いて、得られた加水分解物はデカンタまで搬送される。デカンタ内で、加水分解物は2つの部分に分離される。即ち、殺菌されて排出される、加水分解物との対比でより低い乾燥固形分を有する第1の部分(1)と、加水分解物との対比でより高い乾燥固形分を有する残りの乾燥固形分を含む第2の部分(2)とに分離される。上記第2の部分(2)はSSDベースの乾燥器まで搬送され、そこで第2の部分(2)は過熱蒸気によって乾燥される。実質的に全ての蒸発物質は凝縮されて、第3の部分(3)内で集められる。乾燥処理からの残りの部分であって、上記第2の部分(2)との対比でより高い乾燥固形分を有する部分は、第4の部分(4)内に集められる。上記第4の部分(4)は、熱分解用の反応器まで搬送されて、熱分解処理に供せられて、その結果、バイオ炭、合成ガス及び/又はパイローオイルを含む熱分解生成物を生成する。バイオ炭は、土壌中の炭素隔離等の様々な目的に使用することができる。選択的に、バイオ炭の一部は、バイオ反応器まで搬送されて、嫌気性消化を助け、肥料として栄養物を伴う殺菌された排出物の品質を高めてもよい。
【0103】
上記第5部分の少なくとも一部(5)は、上記バイオ反応器まで搬送されて、選択的に、上記第5部分(5)に含まれる上記合成ガス及び/又はパイローオイル(8)の一部が、熱加水分解の使用用に蒸気(7)を生じさせるために水を加熱するボイラ内の燃料として使用される。
【0104】
上記第1の部分(1)は、熱交換器を通って、上記第1の部分(1)を冷却させ、さらにバイオ反応器まで搬送される。上記熱交換は、熱加水分解(TH)用に上記反応器内の上記内容物の加熱を助けるために使用される。
【0105】
上記第3の部分(3)は、熱加水分解(TH)用の上記反応器内まで搬送され、従って、熱加水分解(TH)用の上記反応器内の上記内容物を予熱する。
【0106】
図4は、本発明に従う廃棄物処理方法の概略図である。原汚泥の形態での第1の生物系廃棄物流が、熱加水分解(TH)用の反応器内へと搬送される。上記第1の生物系廃棄物流の乾燥固形分は調整されていて、15%から35%までの範囲内の乾燥固形分としている。上記第1の生物系廃棄物流は熱加水分解に供せられる。熱加水分解中に形成される処理ガスは、第6の部分(6)内に集められて、上記バイオ反応器まで搬送される。熱加水分解に続いて、得られた加水分解物はデカンタまで搬送される。デカンタ内で、加水分解物は2つの部分に分離される。即ち、殺菌されて排出される、加水分解物との対比でより低い乾燥固形分を有する第1の部分(1)と、加水分解物との対比でより高い乾燥固形分を有する残りの乾燥固形分を含む第2の部分(2)とに分離される。上記第2の部分(2)はSSDベースの乾燥器まで搬送され、そこで第2の部分(2)は過熱蒸気によって乾燥される。実質的に全ての蒸発物質は凝縮されて、第3の部分(3)内で集められる。乾燥処理からの残りの部分であって、上記第2の部分との対比でより高い乾燥固形分を有する部分は、第4の部分(4)内に集められる。上記第4の部分(4)は、熱分解用の反応器まで搬送されて、熱分解処理に供せられて、その結果、バイオ炭、合成ガス及び/又はパイローオイルを含む熱分解生成物を生成する。バイオ炭は、土壌中の炭素隔離等の様々な目的に使用することができる。
【0107】
上記第5部分の少なくとも一部(5)は、上記バイオ反応器まで搬送されて、選択的に上記第5部分(5)に含まれる上記合成ガス及び/又はパイローオイル(8)の一部が、熱加水分解の使用用に蒸気(7)を生じさせるために水を加熱するボイラ内の燃料として使用される。
【0108】
上記第1の部分(1)は、熱交換器を通って、上記第1の部分(1)を冷却させ、さらにバイオ反応器まで搬送される。上記交換された熱は、熱加水分解での使用用に蒸気(7)を生成するために水を予熱するために用いられる。
【0109】
また、上記第3の部分(3)は、熱交換器を通されて、さらに搬送されて、上記加水分解物と混合される。また、上記交換された熱は、熱加水分解での使用用に蒸気(7)を生成するために水を予熱するために用いられる。
【0110】
図5は、本発明に従う好適な乾燥方法の概略図である。加水分解物と対比してより高い乾燥固形分を有する残りの乾燥固形分(2)がSSDベースの乾燥器まで搬送されて、そこで上記第2の部分(2)が過熱蒸気によって乾燥される。実質的に全ての蒸発物質は凝縮されて、凝縮物の形態で第3の部分(3)内で集められる。乾燥処理からの残りの部分であって、上記第2の部分(2)との対比でより高い乾燥固形分を有する部分は、上記第4の部分(4)内に集められる。
【0111】
「例」
例1:本発明に従う方法でのエネルギ回収。
19%の乾燥固形分を有する生物系廃棄物流を、目的に適している反応器内で、150℃から170℃までの範囲内の温度で熱加水分解に供するが、その結果、加水分解物が生成される。
【0112】
デカンタ遠心分離器によって、加水分解物の液体部分(1)を固形部分(2)から分離させて、その結果、固形部分(2)が40%から50%までの範囲内の乾燥固形分を有するようにする。
【0113】
液体部分(1)は、生物系廃棄物流中に含まれるCODの約31%を含有し、嫌気性消化用にバイオ反応器まで搬送される。
【0114】
固形部分(2)は、生物系廃棄物流中に含まれるCODの約69%を含有し、過熱蒸気乾燥(SSD)ベースの乾燥器まで搬送されて、乾燥に供せられて、その結果、90%を上回る乾燥固形分となる。SSD乾燥器は、乾燥ステップから、実質的に全ての蒸発物質(3)の回収を可能にするように、外部バリア(又は外部隔壁)を有する。
【0115】
乾燥ステップからの蒸発物質(3)は、生物系廃棄物流中に含まれるCODを約1%から2%までで含有し、熱加水分解用の反応器まで再循環される。特に、SSDを使用した結果、蒸発物質(3)の凝縮液は、典型的には、4barで、140℃となる。さらに、乾燥ステップからの蒸発物質(3)からの凝縮物中に含有されるCODは、全処理中で維持されて、デカンタ遠心分離器からの液体部分(1)のCOD含有分に加わる。
【0116】
乾燥ステップからの固形部分(4)は、生物系廃棄物流中に含まれるCODを約68%で含有し、熱分解用の反応器まで搬送されて、550℃から600℃までの範囲内の温度で熱分解に供され、その結果、バイオ炭、合成ガス及びパイローオイルを生成する。
【0117】
バイオ炭は、生物系廃棄物流中に含まれるCODを約15%で含有し、収集可能であって、熱分解生成物の残りの部分は、CODを約53%(水性熱分解液の4%と、合成ガスの49%)で含有し、バイオ反応器まで搬送される。
【0118】
バイオ反応器内に収集された部分の嫌気性消化は、生物系廃棄物流中に含まれるCODを約59%で含有する生物ガスを生成し、生物系廃棄物流中に含まれるCODの約26%は、消化物中に残存し、生物系廃棄物流中に含まれるCODの約15%は、さらなるエネルギ生産に利用可能なバイオ炭中に含有される。
【0119】
所定のサンプルのCOD含有量は、必要に応じて、ISO規格15705:2002(DIN ISO 15705-H45)、EPA 410.4、APHA 5220D、又はDIN 38409-H41-1に記載の密封チューブ法によって測定することができ、又は、ISO規格16634-1:2008に記載の元素分析法(CHNSO)によって測定することができる。
【0120】
典型的に、従来の嫌気性消化では、メタンの形態で、CODの50%を回収することが可能である。この処理では、COD含有量によって測定された廃棄物材料中に蓄えられたエネルギを高い度合いで回収することができる。特に、全処理中で蒸発材料(3)のCOD含有量を保つことは、生物系廃棄物材料中に含まれるエネルギのより完全な利用に寄与する。さらに、全処理中で熱を再利用することにより、外部エネルギの需要を削減し、その結果、処理に関連して全体的なコストを削減できる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】