(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(54)【発明の名称】建設機械歯車用鋼の製造方法及びその鍛造品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B22D 11/00 20060101AFI20230908BHJP
C22C 38/26 20060101ALI20230908BHJP
C21C 5/28 20060101ALI20230908BHJP
C21C 1/02 20060101ALI20230908BHJP
C21C 7/06 20060101ALI20230908BHJP
C21C 7/10 20060101ALI20230908BHJP
C21D 9/00 20060101ALI20230908BHJP
B22D 11/115 20060101ALI20230908BHJP
B21B 1/16 20060101ALI20230908BHJP
C21D 9/32 20060101ALI20230908BHJP
C21D 8/00 20060101ALI20230908BHJP
C21D 8/06 20060101ALI20230908BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
B22D11/00 A
C22C38/26
C21C5/28 H
C21C1/02 101
C21C7/06
C21C7/10 A
C21D9/00 Z
B22D11/115 A
B21B1/16 B
C21D9/32 A
C21D9/00 101W
C21D8/00 A
C21D8/06 A
C22C38/00 301N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513990
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(85)【翻訳文提出日】2023-02-28
(86)【国際出願番号】 CN2021109988
(87)【国際公開番号】W WO2022083218
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】202011119381.7
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523025469
【氏名又は名称】中天鋼鉄集団有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523025296
【氏名又は名称】常州中天特鋼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100207561
【氏名又は名称】柳元 八大
(72)【発明者】
【氏名】▲トウ▼ 向陽
(72)【発明者】
【氏名】沈 艶
(72)【発明者】
【氏名】林 俊
(72)【発明者】
【氏名】万 文華
【テーマコード(参考)】
4E002
4E004
4K013
4K014
4K032
4K042
4K070
【Fターム(参考)】
4E002AC12
4E002CB01
4E004GB02
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4K070AB04
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4K070AC24
4K070BA12
4K070BD20
4K070EA01
(57)【要約】
本発明によれば、建設機械歯車用鋼の製造方法及びその鍛造品の製造方法が開示され、転炉製錬、LF炉精錬、RH真空処理、連続鋳造及び圧延などの工程の調整と最適化とを組み合わせて、鋼中のC0.38~0.43%、Si0.17~0.37%、Mn0.60~0.80%、Cr1.10~1.20%、Al0.020~0.040%、P≦0.025%、S0.020~0.035%、Mo0.15~0.25%、Cu≦0.20%、N60~150ppm、Nb0.015~0.035%となるように制御することで、溶鋼の純度が向上し、材料の成分及び組織が均一になり、最後に材料の総合的な性能が大きく向上することになる。
【選択図】無し
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械歯車用鋼の製造方法及びその鍛造品の製造方法であって、
前記建設機械歯車用鋼の重量百分率に従った成分は、C 0.38~0.43%、Si 0.17~0.37%、Mn 0.60~0.80%、Cr 1.10~1.20%、Al 0.020~0.040%、P≦0.025%、S 0.020~0.035%、Mo 0.15~0.25%、Cu≦0.20%、N 60~150ppm、Nb 0.015~0.035%、残りがFe及び不可避的不純物であり、
前記製造方法は、転炉製錬、LF炉精錬、RH真空処理、連続鋳造及び圧延工程を含み、
(1)転炉製錬
鉄鋼材料は、1.05~1.15トン/トン鋼の溶銑、0.10~0.13トン/トン鋼の鋼屑を採用し、終点で鋼C≧0.18%、P≦0.015%が置かれるように転炉を制御し、酸化スラグの流出が禁止されるようにスラグ止めコーンと滑り板とによるダブルスラグ止めにより出鋼し、出鋼プロセスでアルミニウムブロックを添加して溶鋼の前期の前脱酸を行うと同時に、石灰を添加してスラグを作り、
(2)LF炉精錬
1)スラグ作り脱酸において、LF精錬炉の通電直後に蛍石を追加してスラグ化を行い、10±2分間通電した後にスラグ状況に応じて合成スラグを追加してスラグを作り、S 0.022~0.028%まで脱硫し、酸素含有量≦12PPmまで脱酸し、精錬プロセスでアルミニウム粒子 0.40~0.70キログラム/トン鋼、炭化珪素 1.25~1.70キログラム/トン鋼を用いて溶鋼の拡散脱酸作業を行い、LF炉の最終スラグ二元アルカリ度が2.5~3.5、終点硫黄含有量が0.025~0.032%となるように制御し、
2)元素調整:最初のサンプルを採取した後、まず、溶鋼のアルミニウム含有量に応じてアルミ線を補充して溶鋼中のアルミニウム含有量を調整し、完成品のアルミニウム含有量を0.020%~0.030%に制御し、その後、LF精錬中後期に合金元素Mn、Cr、Moを前記建設機械歯車用鋼中のMn、Cr、Mo含有量に調整し、最後にLF精錬末期にNb含有量を0.020~0.025%に、S含有量を0.025~0.032%に調整し、
(3)RH真空処理
真空度≦67MPaとなるように制御して15~20分間保持し、RH底吹きガスは窒素ガスを採用し、RH真空破壊後に溶鋼を20~35分間アルゴンガスをソフトブローし、
(4)連続鋳造
連続鋳造炉数を7~8炉に制御し、溶鋼の過熱度を鋳造開始炉≦35℃、連続鋳造炉≦30℃となるように制御し、連続鋳造引抜き速度0.80~0.85m/minで鋳造し、連続鋳造二次冷却は、弱冷却を採用し、連続鋳造二冷比水量を0.16±0.01L/Kgに制御し、電磁攪拌強度を強めることで、樹枝状結晶を粉砕すると同時に、微細化した等軸晶粒子を獲得し、軽圧下技術により、鋳片を鋳造した後に徐冷のために徐冷ピットに迅速に収集し、温度≧550℃の徐冷ピットに入り、48時間徐冷された後にピットから出し、
(5)圧延
圧延プロセスで高温拡散加熱工程を採用し、具体的なパラメータは、均熱段の加熱温度が1220~1260℃、時間が50~65分間となるように制御し、圧延後に丸鋼圧延材が得られ、その後、圧延材をピットに入らせて蓋をして徐冷し、徐冷ピットに入る温度≧500℃、徐冷ピットから出る温度≦100℃となる、
ことを特徴とする建設機械歯車用鋼の製造方法及びその鍛造品の製造方法。
【請求項2】
前記歯車鋼の重量百分率に従った成分は、C 0.39~0.42%、Si 0.20~0.30%、Mn 0.72~0.80%、Cr 1.12~1.20%、Al 0.025~0.035%、P≦0.020%、S 0.020~0.030%、Mo 0.18~0.21%、Cu≦0.15%、Nb 0.020~0.030%、N 80~140ppm、残りがFe及び不可避的不純物である、
ことを特徴とする請求項1に記載の建設機械歯車用鋼の製造方法及びその鍛造品の製造方法。
【請求項3】
ステップ(1)において、転炉出鋼プロセスでアルミニウムブロックを1.7±0.3キログラム/トン鋼を添加して溶鋼の前期脱酸を行い、スラグ作り材料は、石灰を6.7±0.3キログラム/トン鋼用いる、
ことを特徴とする請求項1に記載の建設機械歯車用鋼の鍛造品の製造方法。
【請求項4】
ステップ(2)において、LF精錬炉の通電直後に蛍石を1.7±0.3キログラム/トン鋼追加してスラグ化を行い、10±2分間通電した後にスラグ状況に応じて合成スラグを1.7~3.4キログラム/トン鋼追加してスラグを作る、
ことを特徴とする請求項1に記載の建設機械歯車用鋼の鍛造品の製造方法。
【請求項5】
ステップ(4)において、結晶器電磁攪拌強度は、電流300±10A、周波数2±0.2Hz、末端電磁攪拌電流200±10A、周波数6±0.2Hzを選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載の建設機械歯車用鋼の鍛造品の製造方法。
【請求項6】
建設機械歯車用鋼の鍛造品の製造方法であって、
前記建設機械歯車用鋼は、請求項1~5のいずれか1項に記載の建設機械歯車用鋼の製造方法及びその鍛造品の製造方法により製造され、
(1)丸鋼をこぎりで切って材料を下した後、誘導加熱方式により温度1150±20℃で加熱し、その後、歯車半製品に鍛造するステップと、
(2)歯車半製品を熱処理するステップと、を含み、焼入れ時に分割加熱方式を採用し、第1段加熱温度は550~600℃であり、30±2min保温し、第2段加熱温度は850±10℃であり、80±10min保温し、冷却媒体は油冷であり、焼戻し温度580±10℃、保温時間80±10min、冷却媒体は油冷である、
ことを特徴とする建設機械歯車用鋼の鍛造品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冶金分野に属し、建設機械歯車用鋼の製造方法及びその鍛造品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯車は、リムに歯を有し、連続的に噛み合って運動と動力を伝達可能な機械要素である。東漢初年、中国には既に歯車が現れ、晋代に発明された水転連磨は、歯車の役割を利用して水車の動力を石臼に伝達するものである。西洋諸国では、紀元前3世紀に歯車についての論述があった。全体として、人間社会における歯車の研究と利用は、既に存在しており、産業革命以降、産業の発展による歯車の利用の拡大につれて、歯車製造業界は急速に発展した。我が国の改革開放以来、政策による制約の緩和と市場経済システムの確立につれて、中国の現在の歯車産業は長い間発展してきた。歯車は機械伝達において重要な役割を果たしており、農産業機械分野では広く適用されている。現在、中国の歯車製品は、基本的には、車両歯車、産業汎用歯車及び産業専用歯車の三つのカテゴリに分類される。車両歯車は、異なる車両に応じて、自動車歯車、オートバイ歯車、農業用車両歯車、農業機械歯車及び建設機械歯車に分類される。
【0003】
現在、我が国産業化プロセスの加速に伴い、自動車業界と農業・建設機械では、歯車業界の発展により高い要求が課され、歯車製品の耐荷重性、信頼性などの多方面の要求もそれに対応して向上している。歯車は、「六つの高」トレンドに沿って発展し、歯車自身が有する高支持力、高歯面硬度、高精度、高速度、高信頼性、高伝達効率は、歯車が伝達機械要素自体として備える必要がある性能であると同時に、不断に努力して向上させる方向でもある。同時に、産業の近代化の要求下では、生産効率を向上させる必要がある。
【0004】
歯車材料の強度と焼入れ性を向上させるためには、十分なCr、Mn、Moなどの合金強化元素を添加する必要がある。合金元素の増加は、材料の焼入れ処理時にひび割れが発生することを引き起こすため、材料の熱処理工程に厳しい要求が課されると同時に、生産効率を向上させるために、高い温度で歯車を浸炭処理する必要がある。高温浸炭は、材料の結晶粒の粗大化を引き起こすので、如何に材料の強度と焼入れ性を保証し、かつ、熱処理時に焼入れによるひび割れを発生させないと同時に、歯車の浸炭効率を向上させるかは、業界の大きな困難となっている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、建設機械歯車用鋼の生産工程及びその鍛造品である歯車半製品を提供することである。当該工程を採用することで歯車半製品の焼入れによるひび割れの発生を防止すると同時に、高い強度と焼入れ性を獲得することができるほか、高温で歯車の浸炭処理を行うことができ、その生産効率が向上することになる。
【0006】
本発明の目的は、以下の技術的手段により実現される。
【0007】
建設機械歯車用鋼の製造方法及びその鍛造品の製造方法であって、
この歯車用鋼の重量百分率に従った成分は、C0.38~0.43%、Si0.17~0.37%、Mn0.60~0.80%、Cr1.10~1.20%、Al0.020~0.040%、P≦0.025%、S0.020~0.035%、Mo0.15~0.25%、Cu≦0.20%、N60~150ppm、Nb0.015~0.035%、残りがFe及び不可避的不純物である建設機械歯車用鋼の製造方法及びその鍛造品の製造方法。
【0008】
より安定した性能を保証するために、この建設機械歯車用鋼の重量百分率に従った成分は、鋼で鋼をギアする建設機械 組成を重量%として、C0.39~0.42%、Si0.20~0.30%、Mn0.72~0.80%、Cr1.12~1.20%、Al0.025~0.035%、P≦0.020%、S0.020~0.030%、Mo0.18~0.21%、Cu≦0.15%、Nb0.020~0.030%、N80~140ppm、残りがFe及び不可避的不純物であることが好ましい。
【0009】
前記製造方法は、転炉製錬、LF炉精錬、RH真空処理、連続鋳造及び圧延工程を含み、具体的なステップは、以下のとおりである。
【0010】
(1)転炉製錬
鉄鋼材料は、1.05~1.15トン/トン鋼の溶銑、0.10~0.13トン/トン鋼の鋼屑を採用し、終点で鋼C≧0.18%、P≦0.015%が置かれるように転炉を制御し、酸化スラグの流出が禁止されるようにスラグ止めコーンと滑り板とによるダブルスラグ止めにより出鋼し、出鋼プロセスでアルミニウムブロックを添加して溶鋼の前期の前脱酸を行うと同時に、石灰を添加してスラグを作る。
【0011】
(2)LF炉精錬
1)スラグ作り脱酸において、LF精錬炉の通電直後に蛍石を追加してスラグ化を行い、10±2分間通電した後にスラグ状況に応じて合成スラグを追加してスラグを作り、脱酸脱硫の目的を達成し(S0.022~0.028%まで脱硫し、酸素含有量≦12PPmまで脱酸し)、精錬プロセスでアルミニウム粒子0.40~0.70キログラム/トン鋼、炭化珪素1.25~1.70キログラム/トン鋼を用いて溶鋼の拡散脱酸作業を行い、LF炉の最終スラグ二元アルカリ度が2.5~3.5、終点硫黄含有量が0.025~0.032%となるように制御する。
【0012】
2)元素調整:最初のサンプルを採取した後、まず、溶鋼のアルミニウム含有量に応じてアルミ線を補充して溶鋼中のアルミニウム含有量を調整し、完成品のアルミニウム含有量を0.020%~0.030%に制御し、その後、LF精錬中後期(精錬開始15min後)に合金元素Mn、Cr、Moを前記歯車用鋼中のMn、Cr、Mo含有量に調整し、最後にLF精錬末期(精錬で第2サンプルを取った後、一般的に35min精錬した後)にNb含有量を0.020~0.025%に、S含有量を0.025-0.032%に調整し、RH真空処理後に硫黄鉄線を補充するのを防止する。
【0013】
(3)RH真空処理
限界真空度(真空度≦67MPa)を15~20分間保持するように要求し、RH底吹きガスは窒素ガスを採用し、RH真空破壊後に溶鋼を20~35分間アルゴンガスをソフトブローする。
【0014】
(4)連続鋳造
連続鋳造炉数を7~8炉に制御し、溶鋼の過熱度を鋳造開始炉≦35℃、連続鋳造炉≦30℃となるように制御し、低引抜き速度による鋳造を採用し、連続鋳造引抜き速度を0.80~0.85m/minに制御し、柱状結晶の発達を防止するために、連続鋳造二次冷却は弱冷却を採用し、連続鋳造二冷比水量を0.16±0.01L/Kgに制御し、鋳片の樹枝状結晶を粉砕するために、電磁攪拌強度を強め、ここで、結晶器電磁攪拌強度を強めることで、樹枝状結晶を粉砕すると同時に、微細化した等軸晶粒子を獲得する(電流300±10A、周波数2±0.2Hz、末端電磁攪拌電流200±10A、周波数6±0.2Hzであることが好ましい)と同時に、鋳片の偏析、中心収縮及びポロシティなどの問題を解決することにより、鋳片の緻密さを向上させるために、軽圧下技術を採用する。鋳片を鋳造した後に徐冷のために徐冷ピットに迅速に収集し、温度≧550℃の徐冷ピットに入り、48時間徐冷された後にピットから出るように鋳片に要求する。
【0015】
(5)圧延
圧延プロセスで高温拡散加熱工程を採用し、具体的なパラメータは、均熱段の加熱温度が1220~1260℃、時間が50~65分間となるように制御し、圧延後に丸鋼圧延材(常用される仕様φ90、130、150)が得られ、その後、圧延材をピットに入らせて蓋をして徐冷し、徐冷ピットに入る温度≧500℃、徐冷ピットから出る温度≦100℃となるように要求する。
【0016】
さらに、ステップ(1)において、転炉出鋼プロセスでアルミニウムブロックを1.7±0.3キログラム/トン鋼を添加して溶鋼の前期脱酸を行い、スラグ作り材料は、石灰を6.7±0.3キログラム/トン鋼用いる。
【0017】
さらに、ステップ(2)において、LF精錬炉の通電直後に蛍石を1.7±0.3キログラム/トン鋼追加してスラグ化を行い、10±2分間通電した後にスラグ状況に応じて合成スラグを1.7~3.4キログラム/トン鋼追加してスラグを作る。
【0018】
さらに、ステップ(4)において、結晶器電磁攪拌強度は、電流300±10A、周波数2±0.2Hz、末端電磁攪拌電流200±10A、周波数6±0.2Hzを選択する。
【0019】
本発明の上述した建設機械歯車用鋼を利用した歯車半製品鍛造品を製造する方法は、鍛造と熱処理を含み、ステップは、以下のとおりである。
【0020】
(1)丸鋼をこぎりで切って材料を下した後、誘導加熱方式により温度1150±20℃で加熱し、その後、歯車半製品に鍛造する。
【0021】
(2)歯車半製品を熱処理し、焼入れ時に分割加熱方式を採用し、第1段加熱温度は550~600℃であり、30min保温し、第2段加熱温度は850±10℃であり、1h保温し、冷却媒体は油冷であり、焼戻し温度580±10℃、保温時間80±10min、冷却媒体は油冷であり、焼入れ分割加熱方式は、焼入れによるひび割れの発生を防止することができる。
【0022】
本発明の有益な効果は、以下のとおりである。建設機械歯車の仕様が大きいことを考慮して、末端の焼入れ性に高い要求が課され、焼入れ性や材料強度の向上により、焼入れ時にひび割れが発生しやすくなり、この矛盾を解決すると同時に、歯車の浸炭処理時に粗結晶組織が発生することを防止し、浸炭効率を向上させるために、本発明では、次のような作業が行われた。
【0023】
1)、成分の最適化設計を行い、P含有量をなるべく低く制御し、C含有量を向上させ、採用される窒化処理において、Cr、Mo、Mn、Nなどの元素含有量を同時に制御することにより、材料の焼入れ性と強度が向上し、焼入れによるひび割れが回避される。Nbを添加し、高温浸炭プロセスで歯車に結晶粒の粗大化などの異常状況の発生を防止することにより、高温浸炭(940℃)を実現することができ、ユーザの浸炭時間が大幅に短縮され、効率が向上し、エネルギが節約される。
【0024】
2)、転炉製錬において終点Cの制御を強化し、スラグの流出を防止し、十分なAlブロックを用いて溶鋼を前脱酸し、溶鋼の純度を向上させる。
【0025】
3)、精錬プロセスで脱酸を強化し、スラグのアルカリ度を制御すると同時に、Al及びS元素を最適化調整する。
【0026】
4)、連続鋳造プロセスで結晶器及び末端電磁攪拌強度を増加させ、柱状結晶を少なくし、中心偏析を低減させ、それにより、鋳片のマクロ組織を向上させ、緻密な圧延後組織を得るための基礎を築く。
【0027】
5)、圧延プロセスで高温拡散加熱工程を採用し、材料組織の均一性を向上させる。
【0028】
6)、当該鋼種の高焼入れ性を考慮すると同時に、Sなどの脆性元素を含有するため、焼入れ加熱時に分割加熱のモードを採用し、材料が高温に急上昇してひび割れが生じるのを防止する。
【0029】
上記の努力により、十分な強度が保証されると同時に、材料の焼入れによるひび割れが効果的に防止され、同時にNb元素を添加することにより浸炭効率が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(実施例)
建設機械歯車用鋼及びその鍛造品の製造方法について、42CrMoS4の生産を例として説明する。
【0031】
「120t転炉製錬-LF炉精錬-RH真空脱気処理-連続鋳造機プルキャスティング-連続圧延ユニット圧延-鍛造-熱処理」という工程経路を採用して生産を行い、その生産制御方法は次のとおりである。
【0032】
転炉製錬工程
鉄鋼材料は、131~135トンの溶銑及び13~15トンのクリーン鋼屑を採用する。転炉の終点で鋼C≧0.20%、P≦0.013%を置き、スラグ止めコーンと滑り板とによるダブルスラグ止めにより出鋼し、出鋼プロセスでアルミニウムブロックを200キログラム/炉添加して溶鋼の前期脱酸を行い、スラグ作り材料は石灰800キログラム/炉である。
【0033】
LF炉の精錬工程
LF精錬炉の通電後に蛍石を200kg追加してスラグ化を行い、10分間通電した後にスラグ状況に応じて合成スラグを200~400キログラム追加してスラグを作り、精錬プロセスでアルミニウム粒子50~80キログラム、炭化珪素150~200キログラムを用いて溶鋼の拡散脱酸作業を行い、LF炉の最終スラグアルカリ度2.8~3.4となるように制御する。
【0034】
最初のサンプルを採取した後、溶鋼のアルミニウム含有量に応じてアルミ線を補充して溶鋼中のアルミニウム含有量を調整し、完成品のアルミニウム含有量を0.020%~0.030%に制御し、LF精錬中後期に合金元素Mn、Cr、Moを調整し、LF精錬末期にNb及びS元素を調整し、LF硫黄含有量を0.025~0.030%に制御し、RH真空処理後に硫黄鉄線は補充されていない。
【0035】
(3)RH真空処理
限界真空度保持時間は15~20分間であり、RH底吹きガスは窒素ガスを採用し、RH真空破壊後に溶鋼を20~35分間アルゴンガスをソフトブローする。
【0036】
(4)連続鋳造
溶鋼過熱度を鋳造開始炉≦35℃、連続鋳造炉≦30℃となるように制御し、鋳造引抜き速度0.81~0.83m/minであり、二次冷却比水0.16L/Kgであり、結晶器電磁攪拌強度は、電流300±10A、周波数2±0.2Hz、末端電磁攪拌電流200±10A、周波数6±0.2Hzを選択し、連続鋳造は、軽圧下装置を採用する。鋳片は移行低温炉を経て出鋼した後に徐冷のために徐冷ピットに迅速に収集し、温度580~600℃の徐冷ピットに入り、48~50時間徐冷された後にピットから出る。
【0037】
(5)圧延
鋳片の加熱時に均熱段の加熱温度1220~1260℃であり、圧延後に90mm仕様の丸鋼が得られ、その後、圧延材をピットに入らせて蓋をして徐冷し、徐冷ピットに入る温度≧500℃、徐冷ピットから出る温度60~100℃である。
【0038】
(6)鍛造
φ90mm仕様の丸鋼をこぎりで切って材料を下した後、誘導加熱方式により温度1150℃で加熱し、その後、歯車半製品に鍛造する。
【0039】
(7)熱処理
ここで、焼入れ時に分割加熱方式を採用し、第1段加熱温度は550~600℃であり、30min保温し、第2段加熱温度は850±10℃であり、1h保温し、冷却媒体は油冷であり、焼戻し温度580±10℃、保温時間80±10min、冷却媒体は油冷である。
【0040】
上記の工程に従って5炉の鋼を製錬し、対応して5ロットのφ90mm仕様の丸鋼に圧延し、5ロットは、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4及び実施例5で製造されたサンプルにそれぞれ対応する。
(比較例1)
【0041】
比較例1は、実施例と比較して、主な違いは、Moが0.18~0.21%から0.15~0.18%に低下するようにMo元素の含有量を低下させる点であり、その他の操作は実施例と同様である。
(比較例2)
【0042】
比較例2は、実施例と比較して、主な違いは、Nb元素を添加しない点であり、その他の操作は実際例と同様である。
(比較例3)
【0043】
比較例3は、実施例と比較して、主な違いは、Crが1.12~1.20%から1.00~1.08%に低下するようにCr元素の含有量を低下させる点であり、その他の操作は実施例と同様である。
(比較例4)
【0044】
比較例4は、実施例と比較して、主な違いは、Cが0.39~0.42%から0.19~0.22%に低下するようにC元素の含有量を低下させる点であり、その他の操作は実施例と同様である。
(比較例5)
【0045】
比較例5は、実施例と比較して、主な違いは、LF精錬炉の最終スラグアルカリ度を3.5~4.5に制御する点であり、その他の操作は実施例と同様である。
(比較例6)
【0046】
比較例6は、実施例と比較して、主な違いは、連続鋳造工程パラメータが異なり、結晶器電磁攪拌電流を200Aに低下させ、末端攪拌電流を120Aに低下させる点であり、その他の操作は実施例と同様である。
(比較例7)
【0047】
比較例7は、実施例と比較して、主な違いは、熱処理工程が異なり、焼入れ時の分割加熱工程を取り消して850℃まで直接加熱する点であり、その他の操作は実施例と同様である。
【0048】
(1)化学成分は下記表1(wt%)のとおりである。
【0049】
【0050】
(2)末端焼入れ性は下記表2(圧延後の丸鋼φ90mm)のとおりである。
【0051】
【0052】
(3)熱処理後の力学的性能及び浸炭に要する時間は、下記表3のとおりである。
【0053】
【0054】
結果では、化学成分を最適化設計し、特にC、Mo、Cr元素含有量を適切に向上させると同時に、高温微細結晶元素Nbを添加し、精錬、連続鋳造、圧延、熱処理などの工程パラメータを合理的に最適化することにより、材料の強度指標、焼入れ性指標が大幅に向上し、焼入れプロセスにおけるひび割れの発生が効果的に防止され、ひび割れ率が20%から0.5%に低下すると同時に、ユーザ歯車の浸炭時間が半分に短縮され、生産効率が大幅に向上することを明らかにしている。
【0055】
この発明で用いられる原料、装置は、特に断りがない限り、いずれも本分野の常用される原料、装置であり、本発明で用いられる方法は、特に断りがない限り、いずれも本分野の常規的方法である。上記は、本発明の好適実施形態に過ぎず、本発明を制限するためのものではなく、本発明の技術的本質に基づいて上記実施例に行った修正は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【国際調査報告】