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特表2023-539667排出ガス清浄からの有価物質の再循環
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(54)【発明の名称】排出ガス清浄からの有価物質の再循環
(51)【国際特許分類】
   C22B 7/02 20060101AFI20230908BHJP
   C22B 1/16 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
C22B7/02 B
C22B1/16 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023514113
(86)(22)【出願日】2021-08-25
(85)【翻訳文提出日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2021073495
(87)【国際公開番号】W WO2022048965
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】20193922.0
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515153152
【氏名又は名称】プライメタルズ・テクノロジーズ・オーストリア・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・フライシャンダール
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ゲッツ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・ノイホルト
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・プラットナー
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001BA14
4K001CA05
(57)【要約】
本発明は、冶金産業の排ガス洗浄プロセスの固体沈殿物中の有価物を再循環させる方法及び装置であって、固体沈殿物の少なくとも一部が溶解水で洗浄された後、非水溶性物質の広範囲な分離が実施される、方法及び装置に関する。分離の際に得られた水溶性の出発溶液は、処理ステップを通過した後に得られる生成物溶液について、限界仕様が達成されるまで、複数の連続した処理ステップに供される。分離中に得られた非水溶性物質、及び/又は処理ステップ中に得られた固形物、及び/又は1つ以上の処理ステップの1つ以上の生成物から含まれる固形物の少なくとも一部は、冶金工業の一次工程に供給される。有価物を再循環させるための装置は、供給装置のような適切な装置で構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体析出生成物の析出を含む冶金産業の最初の一次工程からの排出ガスに適用される吸着性を利用した重炭素ナトリウムに基づく排出ガス清浄作業による固体析出生成物の有価物質を再循環するための方法であって、固体析出生成物の少なくとも一部分を溶解水と組み合わせることによって、非水溶性物質を実質的に除去することができる、前記方法において、
前記方法では、処理ステップの実行後に得られる生成物溶液について限界諸元が得られるまで、除去で得られた水溶性出発溶液が複数の連続する処理ステップにかけられ、
1つ以上の限界関連パラメータが監視され、処理ステップが監視結果に基づいて制御され、
除去で得られた非水溶性物質の、及び/又は前記処理ステップで得られた固形物の、及び/又は1つ以上の前記処理ステップからの1つ以上の生成物から存在する固形物の少なくとも一部分が、最初の一次工程及び/又は冶金産業の他の一次工程に供給されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記最初の一次工程及び/又は前記他の一次工程が、焼結工程、造粒工程、鋼鉄製品コンバータ、及びEAFのうち一の作業であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
供給には、処理ステップが含まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記処理ステップが、化学的処理、機械的処理、及び物理的処理のうち少なくとも1つの処理であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記生成物溶液が、外部環境に放出されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記溶解水が、湿式排出ガス清浄作業からの排水を備えていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの前記処理ステップにおいて、溶解性重金属イオン又は溶解性重金属含有イオンが低減されることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記生成物溶液が、異なる工程のために原材料源として利用されることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
固体析出生成物の析出を含む冶金産業の最初の一次工程からの排出ガスに適用される吸着性を利用した重炭素ナトリウムに基づく排出ガス清浄作業による固体析出生成物の有価物質を再循環するための装置であって、
固体析出生成物を溶解水と組み合わせるための少なくとも1つの溶解容器であって、少なくとも1つの析出生成物付加導管と少なくとも1つの溶解水供給管とが連通している少なくとも1つの溶解容器と、
前記溶解容器から懸濁液を排出するために、前記溶解容器から進行する少なくとも1つの出口と、
出発溶液を生成するために懸濁液から非水溶性物質を除去するための少なくとも1つの析出装置であって、前記出口が前記析出装置に対して開口している、前記析出装置と、
生成物溶液を製造するための複数の連続した処理ステップを実行するための少なくとも1つの処理装置と、
出発溶液を前記処理装置に導入するための、前記析出装置から進行する少なくとも1つの出発溶液導管と、
前記処理装置から進行する少なくとも1つの生成物溶液出口と、
生成物溶液の少なくとも1つのパラメータを少なくとも検出するための少なくとも1つの監視装置であって、前記監視装置からの結果に基づいて前記処理装置の閉ループ制御に適した少なくとも1つの閉ループ制御装置に接続されている少なくとも1つの前記監視装置と、
固形物を前記最初の一次工程及び/又は他の一次工程に供給するための少なくとも1つの供給装置と、
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項10】
前記処理装置が、溶解性重金属イオン又は溶解性重金属含有イオンを低減するための少なくとも1つの処理ユニットを備えていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記処理装置が、固形物を除去するための少なくとも1つの装置を備えていることを特徴とする請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記供給装置が、固形物を貯蔵するための装置を備えていることを特徴とする請求項9~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記供給装置が、前記処理ステップからの生成物から固定物を得るための装置を備えていることを特徴とする請求項9~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記供給装置が、処理するための装置を備えていることを特徴とする請求項9~13のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冶金産業における、固体析出生成物の凝結を含む最初の一次工程からの排出ガスに適用される、吸着性を利用した重炭素ナトリウムに基づく排出ガス清浄作業からの固体析出生成物中の有価物質を再循環させるための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固体析出生成物の凝結を含む、既知の吸着性を利用した重炭素ナトリウムに基づく排出ガス清浄作業は、有価物質を含む大量の固体析出生成物を発生させる。固体析出生成物は、有害廃棄物として処分される場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、固体析出生成物中の有価物質を再循環させるための方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
当該目的は、固体析出生成物の析出を含む冶金産業の最初の一次工程からの排出ガスに適用される吸着性を利用した重炭素ナトリウムに基づく排出ガス清浄作業による固体析出生成物の有価物質を再循環するための方法であって、固体析出生成物の少なくとも一部分を溶解水と組み合わせることによって、非水溶性物質を実質的に除去することができる、方法において、
方法では、処理ステップの実行後に得られる生成物溶液について限界諸元が得られるまで、除去で得られた水溶性出発溶液が複数の連続する処理ステップにかけられ、
1つ以上の限界関連パラメータが監視され、処理ステップが監視結果に基づいて制御され、
除去で得られた非水溶性物質の、及び/又は処理ステップで得られた固形物の、及び/又は1つ以上の処理ステップからの1つ以上の生成物から存在する固形物の少なくとも一部分が、最初の一次工程及び/又は冶金産業の他の一次工程に供給されることを特徴とする方法によって達成される。
【発明の効果】
【0005】
炭酸水素ナトリウムは、NaHCOと表記され、重曹とも呼称される。
【0006】
本発明の方法は、上述した方法的特徴を備えているが、他の方法的特徴を含んでいても良い。
【0007】
有価物質は、洗浄すべき排出ガス中に存在する物質-例えば塵又は塵を含有する物質-を意味することに留意すべきである。このような塵を含有する物質は、例えば、物理反応-例えば吸着や吸収-又は化学反応を介して、洗浄すべき排出ガス中に存在する物質から形成された物質である。例えば、当該物質は、焼結プラントからの排出ガス中に排出された鉱石粉である。さもなければ、当該物質は、鉱石粉末を含む物質、例えば、排出ガス洗浄のために排出ガスに添加される物質、例えば活性炭に吸着された鉱石粉末である。
【0008】
有価物質とは、一次工程に供給するのに適している、すなわち一次工程の収率を向上させるために若しくは生成物を形成するために一次工程で利用するのに適している物質である。その目的は、例えば洗浄操作に供される排出ガスを生成する一次工程において、より環境に優しく且つより資源集約的でない操作態様を目的とした利用のために、有価物質を供給することである。有価物質は、例えば焼結工程から得られる排出ガスに含まれる鉱石ダスト、すなわち鉄鉱石を焼結する場合における鉄鉱石ダストのような、当該有価物質から生成物を形成することを目的として一次工程に加えられる物質である。排出ガス中の有価物質は、例えば、所望の生成物に変換されないで一次工程を離れるか(例えば、焼結工程からの鉱石ダスト)、又は所望の生成物に変換された後に排出ガスと共に排出される(例えば、焼結工程の焼結ダスト)。一次工程からの排出ガス中の有価物質を廃棄物として扱い、経済価値回路から排出するのではなく、簡単な方法で経済価値回路での利用に供することは、資源を節約し、ひいては環境的且つ経済的に実行可能である。有価物質の再循環は、本願の範囲内では、一次工程への投入とみなされる。
【0009】
一次工程は、一次工程の生成物が生成されるときに洗浄されるべき排出ガスが得られるプロセスを意味すると理解される;一次工程の生成物は、その物理的生成物を意味すると理解され、生成物として熱又は電気は含まれない。一次工程は、冶金産業におけるものであり;それは、例えば、焼結プラントの操業、造粒プラントの操業、例えばLD/BOF法による製鉄所転炉の操業、又はEAF(電気アーク炉)の操業であってもよい。
【0010】
一次工程から得られた排出ガスに適用される炭酸水素ナトリウム基の排出ガスの洗浄操作において、固形物-固形沈着物とも呼称される-が、洗浄された排出ガスから分離される。これは、例えば、一次工程からの塵埃-例えば灰、酸化鉄、消費されていない炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、排出ガスの成分との化学反応によって形成された物質-例えば硫酸ナトリウムや排出ガス洗浄のために排出ガス流に導入された他の物質-、又はその反応生成物と排出ガス流成分を備えている。後者の物質は、例えば、吸着による洗浄に寄与する吸着材料-例えば活性炭-である。
【0011】
固形析出物の少なくとも一部が溶解水と組み合わせられるが、固形析出物のすべてを溶解水と組み合わせても良い。例えば、固形析出物100kgのうち80kgのみ若しくは95kgのみ、又は100kgのすべてが溶解水と組み合わせられる。この部分は、固形沈殿物全体と同じ組成であっても、組成の点で異なっていても良く、特定の粒子の大きさ又は密度に関して、例えば固形沈殿物全体の平均組成と比較して大きくても小さくても良い。
【0012】
溶解水との組み合わせは、バッチ式又は連続式で行うことができる。
【0013】
溶解水と組み合わせることによって、液体と当該液体中に微細に分散した非水溶性物質とから成る不均一な物質混合物-懸濁液が得られる。溶解水との組み合わせによって、非水溶性物質が実質的に除去され、水性の出発溶液が得られる。実質的な除去とは、溶解水と組み合わせた固形析出物の水不溶性成分の少なくとも70質量%、好ましくは少なくとも90質量%が除去されることを意味することに留意すべきである;除去後の水性出発溶液は、例えば懸濁物質の形態であって、僅かながら非水溶性物質を含む場合がある。可能な限り多くの非水溶性物質を除去することは優位である。非水溶性物質が有価物質を含んでいる場合があり、この場合には一次工程への再利用に適しているからである。さもなければ、非水溶性物質が、下流の処理工程の効果及び/又は効率を損なうからである。実質的な除去のために利用可能な方法としては、方法に依存するが、濾過(任意には加圧下で)、沈殿、及び遠心分離が挙げられる。経済的に許容できるレベルの資源を使用して、異なる程度の徹底した非水溶性成分の除去が可能である。
【0014】
除去で得られた水性の出発溶液は、複数の連続した処理工程を受ける。
【0015】
除去で得られた水性の出発溶液は、少なくとも2つの処理ステップを受ける;これら処理ステップの処理モードは同一であっても、異なっても良い。
【0016】
また、一の処理モード又は複数の処理モードにおいて複数の処理ステップを実施することができる。
【0017】
一の実施例の変形では、少なくとも一つの処理ステップ、例えば濾過がバッチ式で実施される。この場合には、上流の処理ステップ及び下流の処理ステップには、例えば緩衝容器を設けることによって、バッファ容量が確保されるべきである。
【0018】
好ましい実施例の変形では、すべての処理工程が連続的に進行している。これにより、より小型で経済的な構成を実現することができる。バッチ式操作のための緩衝容器を省くことができるので、制御が一層容易になるからである。例えば圧濾器のような連続的に運転することができないプラント構成機器であっても連続的な処理工程を実施可能とするために、冗長システムを設ける必要がある場合がある。出発溶液は、限界値に達するまで連続的に処理工程を経ることが好ましい。
【0019】
本発明では、処理工程は、処理工程を経て得られる生成物溶液の規定限界値に到達するまで実施される。
【0020】
本発明では、1つ以上の限界関連パラメータが、測定によって監視され、処理ステップは、監視結果に基づいて制御される。
【0021】
優位には、測定による監視では、測定のスキャンレートは、予想される限界値又は発生した限界値からの変動と制御の関連する要件が余裕をもって認識可能とされるように、1つ又は複数の限界関連パラメータについて選択される。一の変形例では、監視のために、測定が少なくとも一定の時間間隔ですなわち連続的に実施される。適切な制御を実現するために必要とされる測定の時間間隔は、処理ステップそれぞれの慣性に依存する。また、測定を行うべき時間間隔は、評価時間に依存する。また、測定を実施する時間間隔は、評価に必要な時間に依存する。また、測定を実施する時間間隔は、正式に定義された限界値の性質に依存する。例えば、時間平均やスポット測定が要求される。生成物溶液の測定によって、及び/又は出発溶液の測定によって、及び/又は処理工程中の測定若しくは特定の処理工程の前若しくは後の測定によって、限界に関連するパラメータは獲得される。例えば限界値がフッ化物イオンの濃度を規定する場合には、フッ化物イオンの濃度の限界に関連するパラメータの測定は、出発溶液及び生成物溶液について又は出発溶液について、フッ化物イオンの濃度を下げるための処理ステップ-その後に他の処理ステップが続く-を経て実施される。
【0022】
本発明では、除去で得られた非水溶性物質の、及び/又は処理ステップで得られた固形物の、及び/又は1つ以上の処理ステップからの1つ以上の生成物から存在する固形物の少なくとも一部分が、最初の一次工程及び/又は冶金産業の他の一次工程に供給される。
【0023】
また、適切な水分含量を有する非水溶性物質すなわち固形物は、汚泥であっても良い。
【0024】
供給作業では、想定される一次工程への投入に先立ち、例えば練炭やペレットを得るために圧縮する工程のような、材料の輸送を一層容易にするための処理工程、又は有価物質を濃縮するための工程が実施される。供給作業では、想定される一次工程への投入が、他の材料との組み合わせに次第で先行され、その後に組み合わせられた量が供給される場合もある。
【0025】
他の一次工程は、例えば鉱石処理、金属製造、鉄製造、鋼製造、例えば焼結プラントの操業、造粒プラントの操業、例えばLD/BOF法による製鋼転炉の操業、又はEAF(電気炉)の操業のような、冶金工業における一次工程である。
【0026】
このようにして、固形析出物中に存在する有価物を利用することができる。このことは、第一に一次工程における原料投入量の削減がかのうであり、第二に廃棄に必要な資源の削減が可能であるので、環境に優しく且つ経済的にも有利である。
【0027】
少なくとも一部はリサイクルされる。例えば、100kgのうちすべてがリサイクルされるか、95%以上がリサイクルされるか、90%以上がリサイクルされるか、若しくは80kgのうち一部のみがリサイクルされるか、又は単に粒度が特定の限度を超える部分のみがリサイクルされるか、又は例えば「活性炭系材料」類の一部のような特定の種類の一部のみがリサイクルされる。
【0028】
1つ以上の処理ステップで得られた生成物が固体生成物ではなく液体生成物である場合には、任意には、当該生成物は、固形物が得られるように、その後処理される。このことは、例えば、化学的処理-例えば沈殿-又は物理的処理-例えば固体粒子への吸着若しくは吸収-によって達成される。
【0029】
好ましくは、処理ステップは、化学的処理、機械的処理、及び物理的処理のうち少なくとも1つの処理である。
【0030】
化学的処理は、例えば酸化や塩の形成のような、新しい物質を形成するために試薬を添加する化学反応に基づくものである。化学的処理ステップは、例えばpHの調整、例えば過酸化水素や次亜塩素酸塩との酸化、イオン交換である。
【0031】
物理的処理は、例えば吸着や蒸発のような物理的プロセスに基づくものである。物理的処理ステップは、例えば沈殿、添加した活性炭や他の吸着剤、例えばゼオライトとの接触による吸着、蒸発や浸透による濃縮である。
【0032】
機械的処理は、同様に物理的処理に基づくが、さらに力の作用又は適用を含んでいる。機械的処理ステップは、例えばチャンバーフィルタープレスに代表される圧力の作用下又は重力の作用下における、例えば圧力若しくは沈降又は例えば遠心分離のような遠心力が作用しない濾過、例えば限外濾過や砂濾過に代表される膜濾過のような濾過である。
【0033】
また、処理ステップは、化学反応及び沈殿による硫化物-例えば有機硫化物-との重金属沈殿、又は化学反応及び沈殿によるイオン交換-例えばアニオン性ポリマー-との重金属沈殿、又は凝集剤を添加した化学反応に基づく他の沈殿、若しくは吸着及び沈殿を伴う凝集剤による沈殿のような、幾つかの処理モードを組み合わせている。
【0034】
好ましい実施形態では、生成物溶液は、処理ステップの結果、その組成が相応に無害化された場合に、外部環境に放出される-例えば水域に導入される。
【0035】
外部環境に問題なく放出可能とするために、他にも理由があるが、出発溶液は、複数の連続した処理ステップにかけられる。その目的は、処理ステップを経た後に結果として得られる生成物溶液について、所定の限界仕様を達成することにある。限界仕様は、例えば、重金属イオンや重金属含有イオンの濃度、フッ化物やフッ化物含有イオンの濃度、リン酸塩やリン酸塩含有イオンの濃度、ハライドやハライド含有イオンの濃度、ダイオキシンの濃度、芳香族の濃度、PCBの濃度に関連する。また、限界仕様は、COD(化学的酸素要求量)、TOC(全有機炭素)、TN(全窒素)、pHなどの品質基準(または複数の品質基準)に関連する場合もある。
【0036】
限界仕様は、例えば法的な要件に基づいて、工程の作業員によって設定される。
【0037】
好ましい実施例では、固体析出生成物と溶解水とから成る溶解水は、湿式排出ガス洗浄操作からの廃水を含んでいる。これは、排出ガスに適用される上流における湿式排出ガス洗浄操作、又は同一の一次工程からの別の排出ガスに適用される湿式排出ガス洗浄操作、又は別の一次工程からの排出ガスに適用される湿式排出ガス洗浄操作である。
【0038】
このように湿式排出ガス洗浄操作からの排水をさらに利用することによって、本発明の方法が、資源を節約し、環境に優しく、且つ経済的な態様で実施可能となる点において優位である。
【0039】
好ましい実施例では、溶存重金属イオン又は溶存重金属含有イオンを低減するために、少なくとも1つの処理ステップが実施される。本明細書では、低減とは、含有量を減らすことを意味することに留意すべきである。
【0040】
好ましい実施例では、少なくとも1つの処理ステップは、CODを低減するために実行される。本明細書では、低減とは、レベルの低減を意味することに留意すべきである。
【0041】
好ましい実施例では、少なくとも1つの処理ステップは、TOCを低減するために実行される。本明細書では、低減とは、レベルの低減を意味することに留意すべきである。
【0042】
好ましい実施例では、少なくとも1つの処理ステップは、所望のpHを確立するために実行される。
【0043】
好ましい実施例では、溶存フッ化物又は溶存フッ化物含有イオンを低減するために、少なくとも1つの処理ステップが実施される。本明細書では、低減とは、含有量を減らすことを意味することに留意すべきである。
【0044】
この処理ステップでは、例えば、塩化アルミニウムの添加によりフッ化物を沈殿させる-これにより、出発溶液に存在するフッ化物の大部分が分離される。
【0045】
好ましい実施例では、少なくとも1つの処理ステップは、イオン交換材料によって実行される。好ましくは、イオン交換材料は再生可能とされる。イオン交換材料によって、例えばフッ化物や硝酸塩の含有量が減少する。選択的イオン交換材料を利用することによって、制御された減少が可能になる。
【0046】
好ましい実施例では、少なくとも1つの処理ステップが、全窒素TNを低減することができる。本明細書では、低減とは、レベルを下げることを意味することに留意すべきである。
【0047】
このことは、例えば次亜塩素酸ナトリウムの添加及びその後の活性炭フィルタによる濾過によって実現される。
【0048】
好ましい実施例では、生成物溶液は、特に生成物溶液の組成がそれぞれの方法にとって好ましい場合には、別の方法のために-すなわち洗浄すべき排出ガスを生成する一次工程ではなく-原料源として利用される。例えば、例えば蒸発による熱処理によって、生成物溶液を濃縮した上で異なる物質を分別結晶化させて利用にすることができる。
【0049】
例えば、このようにして生成物溶液から重曹すなわち炭酸水素ナトリウムを得ることができる。重曹すなわち炭酸水素ナトリウムは、例えば、炭酸水素ナトリウムに基づく排出ガス洗浄に利用することができる。
【0050】
さらに、本発明は、機械読み取り可能なプログラムコードを具備する信号処理装置であって、本発明における方法を実行するための制御指令を含んでいる信号処理装置コマンドを提供する。
【0051】
さらに、本発明は、信号処理装置のための機械読み取り可能なプログラムコードであって、信号処理装置に本発明における方法を実行させるための制御指令を含んでいるプログラムコードを提供する。
【0052】
さらに、本発明は、本発明における機械読み取り可能なプログラムコードを格納した記憶媒体を提供する。
【0053】
さらに、本発明は、本発明における方法を実施するための装置を提供する。当該装置は、固体析出生成物の析出を含む冶金産業の最初の一次工程からの排出ガスに適用される吸着性を利用した重炭素ナトリウムに基づく排出ガス清浄作業による固体析出生成物の有価物質を再循環するための装置であって、
固体析出生成物を溶解水と組み合わせるための少なくとも1つの溶解容器であって、少なくとも1つの析出生成物付加導管と少なくとも1つの溶解水供給管とが連通している少なくとも1つの溶解容器と、
溶解容器から懸濁液を排出するために、溶解容器から進行する少なくとも1つの出口と、
出発溶液を生成するために懸濁液から非水溶性物質を除去するための少なくとも1つの析出装置であって、出口が析出装置に対して開口している、析出装置と、
生成物溶液を製造するための複数の連続した処理ステップを実行するための少なくとも1つの処理装置と、
出発溶液を処理装置に導入するための、析出装置から進行する少なくとも1つの出発溶液導管と、
処理装置から進行する少なくとも1つの生成物溶液出口と、
生成物溶液の少なくとも1つのパラメータを少なくとも検出するための少なくとも1つの監視装置であって、監視装置からの結果に基づいて処理装置の閉ループ制御に適した少なくとも1つの閉ループ制御装置に接続されている少なくとも1つの監視装置と、
固形物を最初の一次工程及び/又は他の一次工程に供給するための少なくとも1つの供給装置と、
を備えていることを特徴とする装置である。
【0054】
任意には、溶解水のための又は固体析出生成物のための1つ以上の緩衝容器が、溶解容器の上流に、すなわち実質的には溶解水供給管又は析出生成物付加導管に存在する。
【0055】
任意には、懸濁液のための1つ以上の緩衝容器が、溶解容器の下流に、すなわち実質的には出口に存在する。
【0056】
任意には、1つ以上の緩衝容器が、析出装置の下流に、すなわち実質的には出発液導管に存在する。
【0057】
任意には、1つ以上の緩衝容器が、処理装置の下流に、すなわち実質的には生成物溶液出口に存在する。
【0058】
また、緩衝容器は、処理装置に設けられている場合もある。
【0059】
緩衝容器によって、異なる速度で実行される方法手順の一部を相互に接続可能となるので、連続的な方法を実現することができる。
【0060】
処理装置は、生成物溶液の性能のための複数の連続する処理ステップを実行するための複数の処理ユニットを含んでいる。
【0061】
好ましくは、化学的処理、機械的処理、及び物理的処理のうち少なくとも1つの処理から成る複数の連続する処理ステップを実施することが適している。
【0062】
処理ステップそれぞれに対して、直列又は並列に配置されている1つ以上の処理ユニットが準備されている。
【0063】
例えば、CODを低減するための処理ステップでは、CODを低減するための異なるステップを連続実行するための2つの処理ユニットが利用される場合がある。例えば、溶解性重金属イオン又は溶解性重金属含有イオンの含有量を低減するための処理ステップでは、3つの処理ユニット、例えば所望のpHを確立するための一の処理ユニット、沈殿のための一の処理ユニット、及び沈殿した物質を取り除くための一の処理ユニット)が利用される場合がある。沈殿した材料は、例えば、任意には後の脱水処理の後にすなわち乾燥状態で、一次工程に再循環されるか、又は廃棄場に送られる。従って、沈殿物を取り除くための処理ユニットが供給装置の一部を成す場合がある。
【0064】
また、例えばpHを調整するために、処理対象の液体を共通の導管を介して供給する並列装置に2つ以上の処理ユニットを設け、下流の処理ステップすなわち処理ユニットに供給するために生成物を共通の導管に放出することができる。他の処理ユニットすなわち処理ステップのために、対応する並列配置又は直列配置とすることができる。
【0065】
生成物溶液は、溶解容器から生成物溶液出口に至る流れ方向で見ると、第1の処理ユニットに入り、その前の処理ユニットからの液体生成物はそれぞれ、下流の処理ユニットに入る。生成物溶液は、溶解容器から生成物溶液排出口に至る流れ方向で見ると、最後の処理装置から排出される。
【0066】
試薬供給口は、任意には処理ユニットそれぞれに向けて開口しており、処理それぞれに必要とされる試薬を対応する試薬貯蔵容器から制御可能に供給するように機能する。
【0067】
処理装置は、好ましくは、溶解性重金属イオン又は溶解性重金属含有イオンを低減するための少なくとも1つの処理ユニットを備えている。
【0068】
処理装置は、好ましくは、CODを低減するための少なくとも1つの処理ユニットを備えている。
【0069】
処理装置は、好ましくは、TOCを低減するための少なくとも1つの処理ユニットを備えている。
【0070】
処理装置は、好ましくは、所望のpHを確立するための少なくとも1つの処理ユニットを備えている。
【0071】
処理装置は、好ましくは、溶存フッ化物又は溶存フッ化物を含有するイオンを低減するための少なくとも1つの処理ユニットを備えている。
【0072】
処理装置は、好ましくは、イオン交換材料を具備する少なくとも1つの処理ユニットを備えている。また、本発明における装置は、好ましくは、イオン交換材料を再生するための装置を備えている。
【0073】
処理装置は、好ましくは、全窒素(TN)を低減するための少なくとも1つの処理ユニットを備えている。
【0074】
処理装置は、好ましくは、固形物を除去するための少なくとも1つの装置、例えばフィルタを備えている。
【0075】
監視装置は、少なくとも生成物溶液中の少なくとも1つのパラメータを検出するのに適している。また、生成物溶液中の複数のパラメータ、及び/又は、1つ以上の処理ステップにおける1つ以上のパラメータを検出することができる。制御装置は、監視装置からの結果に基づいて処理装置を制御するのに適しており、本発明における制御方法は、例えば処理ユニットそれぞれを制御することである。制御装置は、結果を伝送するために、監視装置に対応して接続されている。
【0076】
また、複数の監視装置を配設し、監視装置それぞれが、単一のパラメータ又は複数のパラメータを監視する場合がある。また、複数の制御装置を配設し、制御装置それぞれが、単一のパラメータ又は複数のパラメータを制御する場合がある。
【0077】
また、監視装置と制御装置とを一の装置に集約して統合することもできる。
【0078】
供給装置は、固形物を最初の一次工程及び/又は他の一次工程に供給するのに適している。当該供給装置は、除去により得られた非水溶性物質の少なくとも一部、及び/又は処理ステップで得られた固形物の少なくとも一部、及び/又は1つ以上の処理ステップから得られた1つ以上の生成物から存在する固形物の少なくとも一部を供給するのに適している。
【0079】
この目的を達成するために、当該供給装置は、例えば搬送装置及び/又は導管を備えている。導管は、例えば固形物又は非水溶性物質の形成に関連する部位(除去の過程で得られた非水溶性物質の場合;形成部位が除去部位を意味すると理解される)から進行し、(最初の)一次工程及び/又は他の一次工程を実行するための装置に至る。搬送装置は、例えば導管の内部において固形物を移動させるために設けられている。また、搬送装置は、コンベアベルトを備えているか、又は固形物の当該形成部位で固形物を受容し、-任意には、例えば貯蔵部位すなわち容器、コンテナ又はサイロの内部に中間貯蔵した後に、-最初の一次工程及び/又は他の一次工程を実行するための装置に当該固形物を導く移動式容器を備えている。
【0080】
供給装置は、例えば、固形物を貯蔵するための装置を備えている。
【0081】
供給装置は、例えば、処理ステップからの生成物を貯蔵するための装置を備えている。
【0082】
供給装置は、例えば、処理ステップからの生成物から固形物を得るための装置を備えている。
【0083】
例えば、固形物が最初の一次工程及び/又は他の一次工程に連続式ではなくバッチ式で供給され、得られた量の緩衝が必要とされる場合に、貯蔵が行われる。
供給装置は、例えば、有価物質を勝利するための装置、例えば、有価物質を濃縮するための装置を備えている。
【0084】
処理装置及び/又は析出装置と一次工程との直接的接続を介して、供給が行われるが、例えば、得られた量を緩衝するための貯蔵装置が設けられている場合、又はリサイクル対象の材料をさらに処理、例えば濃縮するための処理装置が設けられている場合には、処理装置及び/又は析出装置と一次工程との間接的接続を介して、供給が行われる。
【0085】
このような装置は、本発明の方法を実行するために利用される。
【0086】
本発明について、実施例の概略図を参照しつつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1】本発明における装置で本発明における方法を実施するための概略的な手順について、一の実施例の概略を利用して示す。
図2図1に表わす処理装置の詳細を示す。
図3】最初の一次工程と関連して、本発明における方法を実施するための装置の概略を示す。
【発明を実施するための形態】
【0088】
[実施例]
図1は、本発明に係る装置における本発明に係る方法の手順について、一の実施例を参照しつつ、概略的な形態で表わす。
【0089】
吸着性を利用した重炭素ナトリウムに基づく排出ガス清浄作業から得た固体析出生成物1は、析出生成物付加導管2を介して溶解容器3に方向づけられる。溶解容器3では、当該固体析出生成物が、溶解水供給管4からの溶解水と組み合わせられる。溶解容器3に形成された懸濁液は、排出路5を介して、当該実施例ではフィルタとして概略的に表される析出装置6から供給される。懸濁液のための、任意に排出路5に配設された緩衝容器20は、破線で囲まれている。析出装置6によって、非水溶性物質の大部分が除去される。フィルタを具備する場合には、非水溶性物質の少なくとも90%の質量が除去される。除去の際に得た水性の出発液は、出発液導管7aを介して、処理装置8に導入される。特に明確には図示しないが、緩衝容器20は、フィルタと処理装置との間において出発液導管7aに配置されている。
【0090】
析出装置6から進行する材料出口7b、すなわち本発明の目的のための非水溶性物質を形成するための場所が図示されている。材料出口7bは、供給装置の一部である。より明確にするために、供給先は明示していない。図3に概略的に表すように、供給装置は、非水溶性物質を、例えば洗浄すべき排出ガスを発生させるための一次工程に再循環させることができる。
【0091】
処理装置8は、
- 化学的処理、
- 機械的処理、及び
- 物理的処理
から成る処理法群のうち少なくとも1つの処理から、複数の連続した処理ステップを実行するように機能する。
【0092】
処理ステップは、生成物溶液9を生成し、生成物溶液9は、生成物溶液出口10aを介して処理装置8から排出される。
【0093】
材料出口10bは、処理ステップの過程で固形物の形成部位から進む1つ以上の導管を象徴する。それは/それらは、供給装置の部分である。より明確にするために、供給がどこにつながるかは特に示されていない;供給装置は、固形物を、例えば、洗浄されるべき排出ガスが由来する一次工程に再循環させることができる;これは、図3に概略的に示されている。
【0094】
生成物溶液9の特性は、所定の限界に到達することであり、例えば、複数のパラメータを獲得することできる。直線状の監視導管によって概略的に表された監視装置11は、所定の限界に関連する生成物溶液9のパラメータを監視する。処理装置8で行われる処理ステップは、制御装置12による監視の結果に基づいて制御される。このことは、制御装置12から進行する処理装置に波状に接続した状態で概略的に表されている。制御装置12の監視結果の伝送は、制御装置12と監視装置11との接続によって概略的に示されている。
【0095】
生成物溶液は、例えば、矢印Aで模式的に示す外部環境に放出され、及び/又は矢印Bで模式的に示す原料源として利用される。
【0096】
図2は、処理装置8における手順の変化例の概略を表わす。
【0097】
処理装置8は、生成物溶液9を製造するための複数の連続した処理ステップを実行するための複数の処理ユニットを備えている。CODを低減する処理ステップUのために、2つの処理ユニット13,14が連鎖的に配置されている。より明確にするために、対応する試薬貯蔵容器から試薬供給路を介した硫酸鉄(II)(FeSO)、硫酸(HSO)及び過酸化水素(H)を含む試薬は図示されていない。出発溶液は、流れ方向で見ると、溶解容器3から生成物溶液出口10に向かって第1処理ユニット13に流入する。上流処理ユニット13からの液体生成物は、下流処理ユニット14に流入する。
【0098】
処理ユニット15における処理ステップUに続く処理ステップVは、任意のフッ素沈殿として点線の輪郭で示されている。より明確にするために、対応する試薬貯蔵容器から試薬供給を介した塩化アルミニウム(AlCl)を含む試薬の供給は図示されていない。
【0099】
処理ステップVに続く処理ステップWでは、溶解性重金属イオン又は溶解性重金属含有イオンの含有量が低減される。この目的のために、処理ユニット16におけるマイナーな処理ステップとして、水酸化ナトリウム溶液(NaOH)の添加によってpHが調整され、有機硫化物の添加によって沈殿が誘発され、このような処理が、処理ユニット17においてアニオン性ポリマーの添加によって継続される。処理ユニット18aにおいて、例えば処理ユニット16及び/又は17において、沈殿によって形成された懸濁固体物質及び沈殿物質が大幅に除去される。より明確にするために、対応する試薬貯蔵容器から試薬供給を介した試薬の供給は図示されていない。
【0100】
固形物は、処理ユニット18aから進む材料出口18bであって、供給装置の一部である材料出口18bを介して目的地に送られる。より明確にするために、供給先は図示されていない。供給装置は、非水溶性物質を、例えば、洗浄すべき排出ガスに由来する一次工程に再循環させる。このことは、図3に概略的に図示されている。材料出口18bが、材料出口10bに対応するからである。
【0101】
処理ユニット18aからの液体生成物は、全窒素(TN)を低減する処理ステップXが実施される処理ユニット19に流入する。より明確にするために、試薬供給を介した対応する試薬貯蔵容器からの次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)を含む試薬の供給は図示されていない。
【0102】
濾過は、活性炭フィルタを利用して、後続の処理ステップYで行われる。
【0103】
続く処理ステップZでは、イオン交換によって、処理ステップYからの濾液されるフッ素の含有量が低減される。
【0104】
これにより、生成物溶液9が得られる。
【0105】
処理ステップX,Zは、任意であるので、点線の外形を有している。
【0106】
図3は、第1の一次工程21、例えば焼結工程を概略的に表わす。焼結工程からの排出ガスは、排出ガス導管22において、吸着性を利用した重炭素ナトリウムに基づく排出ガス清浄作業を受ける。洗浄された排出ガスの排出は、導管22から分岐する波状の矢印によって示されている。このような排出ガス洗浄作業からの固体析出生成物は、図1に表わすように処理される。このことは、排出ガス導管22が長方形23に通じていることを表わす図3に示されている。長方形23は、図1の内容を示している。供給装置24は、図1の導管に対応する材料出口7b及び10bによって示されている。任意に供給装置のこれら導管に存在する貯蔵装置25及び処理装置26は、点線で示されている。
【0107】
上述の本発明の優位な構成の説明は、従属請求項それぞれに反映された多数の特徴を含んでおり、場合によっては、幾つかの特徴の組み合わせで反映されている。しかしながら、これら特徴は、実行可能なさらなる組合せを付与するために、適切且つ個々に考慮され、組み合わせ可能とされる。特に、本発明の方法において、これら特徴はそれぞれ、個別に組み合わせ可能であり、任意の適切な組み合わせとすることができる。
【0108】
本明細書及び特許請求の範囲において、幾つかの用語がそれぞれ単数形又は所定の数字に関連して使用されたとしても、本発明の技術的範囲は、これら用語について単数形又は所定の数字に限定される訳ではない。さらに、“a”との用語は、数字の1を意味するのではなく、不定冠詞を意味するものとみなされる。
【0109】
上述の本発明の特性、特徴及び利点、並びに当該特性及び利点が実現される態様は、図面に関連して詳述した本発明の実施例の説明に関連付けて、より明確且つ明瞭に理解可能となる。実施例は、本発明を解明するために利用され、機能的な特徴に関連しない場合であっても、本明細書に特定される特徴の組み合わせに本発明を限定する訳ではない。さらに、実施例それぞれの好適な特徴は、当該実施例から分離して明確に考慮可能であり、他の実施例を捕捉するために当該他の実施例に導入可能であり、任意の請求項と組み合わせることもできる。
【0110】
本発明は、好ましい実施例によって詳細に図示及び説明されたとしても、開示された実施例によって限定されるものではなく、他の変形例であっても、特許請求の範囲に記載の発明の保護範囲から逸脱することなく可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 固体析出生成物
2 析出生成物付加導管
3 溶解容器
4 溶解水供給管
5 排出路
6 析出装置
7a 出発液導管
7b 材料出口
8 処理装置
9 生成物溶液
10a 生成物溶液出口
10b 材料出口
11 監視装置
12 制御装置
13 第1の処理ユニット(上流処理ユニット)
14 下流処理ユニット
15 処理ユニット
16 処理ユニット
17 処理ユニット
18a 処理ユニット
18b 材料出口
19 処理ユニット
20 緩衝容器
21 第1の一次工程
22 排出ガス導管
23 長方形
24 供給装置
25 貯蔵装置
26 処理装置
U 処理ステップ
V 処理ステップ
W 処理ステップ
X 処理ステップ
Y 処理ステップ
Z 処理ステップ
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体析出生成物の析出を含む冶金産業の最初の一次工程からの排出ガスに適用される吸着性を利用した重炭素ナトリウムに基づく排出ガス清浄作業による固体析出生成物の有価物質を再循環するための方法であって、固体析出生成物の少なくとも一部分を溶解水と組み合わせることによって、非水溶性物質を実質的に除去することができる、前記方法において、
前記最初の一次工程が、焼結プラントの操業又は造粒プラントの操業とされ、
前記有価物質が、鉱石粉末及び/又は鉱石粉末を含む材料とされ、
前記方法では、処理ステップの実行後に得られる生成物溶液について限界諸元が得られるまで、除去で得られた水溶性出発溶液が複数の連続する処理ステップにかけられ、
1つ以上の限界関連パラメータが監視され、処理ステップが監視結果に基づいて制御され、
除去で得られた非水溶性物質の、及び/又は前記処理ステップで得られた固形物の、及び/又は1つ以上の前記処理ステップからの1つ以上の生成物から存在する固形物の少なくとも一部分が、最初の一次工程に供給されることを特徴とする方法。
【請求項2】
供給には、処理ステップが含まれていることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記処理ステップが、化学的処理、機械的処理、及び物理的処理のうち少なくとも1つの処理であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記生成物溶液が、外部環境に放出されることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記溶解水が、湿式排出ガス清浄作業からの排水を備えていることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの前記処理ステップにおいて、溶解性重金属イオン又は溶解性重金属含有イオンが低減されることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記生成物溶液が、異なる工程のために原材料源として利用されることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
固体析出生成物の析出を含む冶金産業の最初の一次工程からの排出ガスに適用される吸着性を利用した重炭素ナトリウムに基づく排出ガス清浄作業による固体析出生成物の有価物質を再循環するための装置であって、前記最初の一次工程が、焼結プラントの操業又は造粒プラントの操業とされ、前記有価物質が、鉱石粉末及び/又は鉱石粉末を含む材料とされる、前記装置において、
固体析出生成物を溶解水と組み合わせるための少なくとも1つの溶解容器であって、少なくとも1つの析出生成物付加導管と少なくとも1つの溶解水供給管とが連通している少なくとも1つの溶解容器と、
前記溶解容器から懸濁液を排出するために、前記溶解容器から進行する少なくとも1つの出口と、
出発溶液を生成するために懸濁液から非水溶性物質を除去するための少なくとも1つの析出装置であって、前記出口が前記析出装置に対して開口している、前記析出装置と、
生成物溶液を製造するための複数の連続した処理ステップを実行するための少なくとも1つの処理装置と、
出発溶液を前記処理装置に導入するための、前記析出装置から進行する少なくとも1つの出発溶液導管と、
前記処理装置から進行する少なくとも1つの生成物溶液出口と、
生成物溶液の少なくとも1つのパラメータを少なくとも検出するための少なくとも1つの監視装置であって、前記監視装置からの結果に基づいて前記処理装置の閉ループ制御に適した少なくとも1つの閉ループ制御装置に接続されている少なくとも1つの前記監視装置と、
固形物を前記最初の一次工程及び/又は他の一次工程に供給するための少なくとも1つの供給装置と、
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項9】
前記処理装置が、溶解性重金属イオン又は溶解性重金属含有イオンを低減するための少なくとも1つの処理ユニットを備えていることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記処理装置が、固形物を除去するための少なくとも1つの装置を備えていることを特徴とする請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記供給装置が、固形物を貯蔵するための装置を備えていることを特徴とする請求項8~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記供給装置が、前記処理ステップからの生成物から固定物を得るための装置を備えていることを特徴とする請求項8~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記供給装置が、処理するための装置を備えていることを特徴とする請求項8~12のいずれか一項に記載の装置。
【国際調査報告】