(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(54)【発明の名称】オストミー器具
(51)【国際特許分類】
A61F 5/445 20060101AFI20230908BHJP
【FI】
A61F5/445
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514399
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 GB2021052244
(87)【国際公開番号】W WO2022049368
(87)【国際公開日】2022-03-10
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】510174727
【氏名又は名称】ソルツ ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】アルファロ、 ヘスス
(72)【発明者】
【氏名】ハワード、 リー
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA09
4C098CC18
4C098CC20
(57)【要約】
オストミー器具は、第1の壁及び第2の壁であって、それらの周囲で又は周囲の近くで互いに接続される第1の壁及び第2の壁と、ストーマを受け入れるためのストーマ受容開口と、第1の壁と第2の壁との間に画定される収集空洞であって、ストーマ受容開口は収集空洞に流体的に接続されている、収集空洞と、器具を使用者に取り付けるため、又は器具を使用者に取り付けるためのフランジに器具を取り付けるために、第1の壁に接続される接続部材と、収集空洞から大気にガスを排出するためのガス通気口と、ガス通気口上に配置されるフィルタであって、第1の離散領域を画定するフィルタと、第3の壁であって、その周囲で又は周囲の近くで第1及び/又は第2の壁に選択的に接続される第3の壁とを含み、第2の壁は第1の表面を含み、第3の壁は第2の表面を含み、第1の表面及び第2の表面は、互いに向かい合っており、接続部において接続されており、接続部は、第2の離散領域を画定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の壁及び第2の壁であって、それらの周囲で又は周囲の近くで互いに接続される第1の壁及び第2の壁と、
ストーマを受け入れるためのストーマ受容開口と、
前記第1の壁と前記第2の壁との間に画定される収集空洞であって、前記ストーマ受容開口は前記収集空洞に流体的に接続されている、収集空洞と、
オストミー器具を使用者に取り付けるため、又は前記器具を使用者に取り付けるためのフランジに前記器具を取り付けるために、前記第1の壁に接続される接続部材と、
前記収集空洞から大気にガスを排出するためのガス通気口と、
前記ガス通気口上に配置されるフィルタであって、第1の離散領域を画定するフィルタと、
第3の壁であって、その周囲で又は周囲の近くで前記第1及び/又は第2の壁に選択的に接続される第3の壁と
を含み、
前記第2の壁は第1の表面を含み、前記第3の壁は第2の表面を含み、
前記第1の表面及び第2の表面は、互いに向かい合っており、接続部において接続されており、
前記接続部は、第2の離散領域を画定する、オストミー器具。
【請求項2】
前記第3の壁を前記第1の壁から離すことにより、空気が前記ガス通気口を通って前記収集空洞内に流れ得るように、前記第1の壁及び前記第2の壁が少なくとも部分的に分離される、請求項1に記載のオストミー器具。
【請求項3】
前記第3の壁は、前記フィルタを覆っている、請求項1又は2に記載のオストミー器具。
【請求項4】
第1の壁及び第2の壁であって、それらの周囲で又は周囲の近くで互いに接続される第1の壁及び第2の壁と、
ストーマを受け入れるためのストーマ受容開口と、
前記第1の壁と前記第2の壁との間に画定される収集空洞であって、前記ストーマ受容開口は前記収集空洞に流体的に接続されている、収集空洞と、
オストミー器具を使用者に取り付けるため、又は前記器具を使用者に取り付けるためのフランジに前記器具を取り付けるために、前記第1の壁に接続される接続部材と、
前記収集空洞から大気にガスを排出するために前記第1の壁に設けられるガス通気口と、
前記ガス通気口上に配置されるフィルタと、
接続部において前記第2の壁に接続される第3の壁と
を含み、
前記第3の壁を前記第1の壁から離れる方向に動かすことにより、前記第1の壁及び前記第2の壁が少なくとも部分的に分離され、空気が前記ガス通気口を通って前記収集空洞内に流れることが可能になる、オストミー器具。
【請求項5】
前記フィルタは、第1の離散領域を画定し、
前記接続部は、第2の離散領域を画定する、請求項4に記載のオストミー器具。
【請求項6】
前記第3の壁は、コンフォート層であるか、又はコンフォート層を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のオストミー器具。
【請求項7】
前記第2の壁と前記第3の壁との間に複数の接続部を含む、請求項1~6のいずれか1項に記オストミー器具。
【請求項8】
前記第2の壁と前記第3の壁との間の前記接続部又は少なくとも1つの接続部は、接着接続である、請求項1~7のいずれか1項に記載のオストミー器具。
【請求項9】
前記第2の壁と前記第3の壁との間の前記接続部又は少なくとも1つの接続部は、溶接によって設けられる、請求項1~8のいずれか1項に記載のオストミー器具。
【請求項10】
前記接続部又は少なくとも1つの接続部は、前記器具の使用中の位置において、前記フィルタの垂直方向下方に配置される、請求項1~9のいずれか1項に記載のオストミー器具。
【請求項11】
前記接続部又は少なくとも1つの接続部は、完全に又は少なくとも部分的に、前記ストーマ受容開口を通って延びる略水平線の上に配置される、請求項1~10のいずれか1項に記載のオストミー器具。
【請求項12】
前記接続部又は少なくとも1つの接続部は、前記オストミー器具の略垂直軸に対して傾斜している略長尺軸を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のオストミー器具。
【請求項13】
前記接続部又は少なくとも1つの接続部は、前記フィルタ及び/又はガス通気口と交差する略長尺軸を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載のオストミー器具。
【請求項14】
前記第2の壁と前記第3の壁との間に第1及び第2の接続部を含み、前記第1及び第2の接続部は互いに鏡像である、請求項7に直接的又は間接的に従属する場合に、請求項1~13のいずれか1項に記載のオストミー器具。
【請求項15】
前記第3の壁は、前記器具の上部に配置され、かつ前記器具の前記第2の壁に接続される、請求項1~14のいずれか1項に記載のオストミー器具。
【請求項16】
前記第3の壁は、前記器具の頂部を覆い、少なくとも前記ストーマ受容開口の主水平軸を越えて下方に延びる、請求項1~15のいずれか1項に記載のオストミー器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オストミー器具に関する。
【背景技術】
【0002】
オストミー器具はよく知られている。一般的に、オストミー器具は第1の壁及び第2の壁を有しており、それらは老廃物を収集するための空洞を形成するようにそれらの周囲で接続されている。第1の壁又は第2の壁には、使用者のストーマを受け入れるためのストーマ受容開口が設けられている。ストーマ受容開口は、通常、フランジ又は接着ウェハ(一般的には親水コロイドで形成される)等の接続部材によって囲まれている。オストミー器具に共通する問題は、「パンケーキング」の問題である。これは、老廃物が空洞に入り、第1の壁及び第2の壁の両方に接着することによって発生し得る。これにより、第1の壁及び第2の壁が互いに接着し、それ以上の老廃物が容易に空洞に入ってその底に落下することを妨げる。この問題は、第1の壁と第2の壁との間の静電荷又は接着力、及び/又は空洞内の相対的な真空の存在によっても発生する可能性があり、その結果、第1の壁及び第2の壁が互いに接着し、老廃物が空洞に入るのを妨げる。最も深刻なケースでは、空洞に入ることができず、その底に落下することができない老廃物は、使用者からの接続部材の剥離を引き起こす可能性がある。これは明らかに望ましくなく、使用者の困惑の原因となる。
【0003】
本発明は、これらの問題に対処しようとするものである。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、提供されるオストミー器具は、第1の壁及び第2の壁であって、それらの周囲で又は周囲の近くで互いに接続される第1の壁及び第2の壁と、ストーマを受け入れるためのストーマ受容開口と、前記第1の壁と前記第2の壁との間に画定される収集空洞であって、前記ストーマ受容開口は前記収集空洞に流体的に接続されている、収集空洞と、前記器具を使用者に取り付けるため、又は前記器具を使用者に取り付けるためのフランジに前記器具を取り付けるために、前記第1の壁に接続される接続部材と、前記収集空洞から大気にガスを排出するためのガス通気口と、前記ガス通気口上に配置されるフィルタであって、第1の離散領域を画定するフィルタと、第3の壁であって、その周囲で又は周囲の近くで前記第1及び/又は第2の壁に選択的に接続される第3の壁とを含み、前記第2の壁は第1の表面を含み、前記第3の壁は第2の表面を含み、前記第1の表面及び第2の表面は、互いに向かい合っており、接続部で接続されており、前記接続部は、第2の離散領域を画定する。
【0005】
前記第3の壁を前記第1の壁から離すことにより、空気が前記ガス通気口を通って前記収集空洞内に流れ得るように、前記第1の壁及び前記第2の壁が少なくとも部分的に分離されてもよい。
【0006】
前記第3の壁は、前記フィルタを覆ってもよい。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、オストミー器具が提供され、第1の壁及び第2の壁であって、それらの周囲で又は周囲の近くで互いに接続される第1の壁及び第2の壁と、ストーマを受け入れるためのストーマ受容開口と、前記第1の壁と前記第2の壁との間に画定される収集空洞であって、前記ストーマ受容開口は前記収集空洞に流体的に接続されている、収集空洞と、前記器具を使用者に取り付けるため、又は前記器具を使用者に取り付けるためのフランジに前記器具を取り付けるために、前記第1の壁に接続される接続部材と、前記収集空洞から大気にガスを排出するために前記第1の壁に設けられるガス通気口と、前記ガス通気口上に配置されるフィルタと、接続部において前記第2の壁に接続される第3の壁とを含み、前記第3の壁を前記第1の壁から離れる方向に動かすことにより前記第1の壁及び前記第2の壁が少なくとも部分的に分離され、空気が前記ガス通気口を通って前記収集空洞内に流れることが可能になる。
【0008】
前記フィルタは、第1の離散領域を画定してもよい。
【0009】
前記接続部は、第2の離散領域を画定してもよい。
【0010】
前記第3の壁は、コンフォート層であるか又はコンフォート層を含んでもよい。
【0011】
前記オストミー器具は、前記第2の壁と前記第3の壁との間に複数の接続部を含んでもよい。
【0012】
前記第2の壁と前記第3の壁との間の接続部又は少なくとも1つの接続部は、接着接続であってもよい。
【0013】
前記第2の壁と前記第3の壁との間の前記接続部又は少なくとも1つの接続部は、溶接によって設けられてもよい。
【0014】
前記接続部又は少なくとも1つの接続部は、前記器具の使用中の位置において、前記フィルタの垂直方向下方に配置されてもよい。
【0015】
前記接続部又は少なくとも1つの接続部は、完全に又は少なくとも部分的に、前記ストーマ受容開口を通って延びる略水平線の上に配置されてもよい。
【0016】
前記接続部又は少なくとも1つの接続部は、前記オストミー器具の略垂直軸に対して傾斜している略長尺軸を有してもよい。
【0017】
前記接続部又は少なくとも1つの接続部は、前記フィルタ及び/又はガス通気口と交差する略長尺軸を有してもよい。
【0018】
前記オストミー器具は、前記第2の壁と前記第3の壁との間に第1及び第2の接続部を含んでもよい。前記第1及び第2の接続部は、互いに鏡像であってもよい。
【0019】
前記第3の壁は、前記器具の上部に配置されてもよい。前記第3の壁は、前記器具の前記第2の壁に接続されてもよい。
【0020】
前記第3の壁は、前記器具の頂部に配置されてもよい。前記第3の壁は、少なくとも前記ストーマ受容開口の主水平軸を越えて下方に延びてもよい。
【0021】
本発明の第2の態様の1つ以上又は全ての特徴が、本発明の第1の態様に組み込まれてもよい。
【0022】
本発明の第1の態様の1つ以上又は全ての特徴が、本発明の第2の態様に組み込まれてもよい。
【0023】
以下、単なる例示として添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明によるオストミー器具の第1の実施形態の正面図である。
【
図2】
図1のオストミー器具のさらなる正面図である。
【
図4】
図1のオストミー器具の断面図であり、P線で示されるオストミー器具の断面を示している。
【
図5】
図1のオストミー器具のさらなる断面図であり、P線で示されるオストミー器具の断面を示している。
【
図6】
図1のオストミー器具のさらなる断面図であり、P線で示されるオストミー器具の断面を示しており、
図1の破線で示された断面は実線で示されている。
【
図7】
図1のオストミー器具の上面図であり、第1、第2及び第3の壁が部分的に開いた位置で互いに隣接している。
【
図8】本発明によるオストミー器具の第2の実施形態の正面図である。
【
図9】本発明によるオストミー器具の第3の実施形態の正面図である。
【
図10】
図9のオストミー器具の断面図であり、P線で示されるオストミー器具によって示されるオストミー器具の断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1から7を参照すると、これらは、一般に、本発明によるオストミー器具10の第1の実施形態を示している。オストミー器具10は、頂部又は上端11、底部又は下端13を有する。オストミー器具10は、当技術分野で知られている任意の適切な手段によって、それぞれの周囲又はその近くで互いに接続されている、第1の壁12及び第2の壁14(好ましくは、プラスチックフィルム材料から作られ、多層であってもよい)を有する。例えば、それらは互いに接着又は熱溶接されてもよい。
【0026】
第1の壁12は、ストーマ受容開口16を含み、器具10を使用者に取り付けるための接続部材又はフランジ20を支持する。図示の実施形態では、接続部材20は、器具10をストーマの周囲の使用者の皮膚に固定するための親水コロイドウエハである。代替的に、接続部材20は、器具10を使用者に取り付けるためのフランジに取り付けるためのものであってもよい(例えば、当技術分野で知られているツーピース器具)。
【0027】
図4を参照すると、第1及び第2の壁12,14は、それらの間に、ストーマ受容開口16に流体的に接続された老廃物収集空洞18を画定する。本実施形態では、第1及び第2の壁12,14は、それぞれ外向きの第1の表面32,34を含む。第1及び第2の壁12,14は、それぞれ内向きの第2の表面52,54も含む。これらは必須ではないが、第1及び第2の壁12,14、特に外向きの表面32,34は、コンフォート層17によって覆われている。例えば、第1の壁12又は第2の壁14のみがコンフォート層を設けられてもよく、又は第1の壁12及び第2の壁14はいずれもコンフォート層を設けられなくてもよい。コンフォート層17は、第1及び/又は第2の壁12,14に積層されてもよい。
【0028】
器具10は、当該技術で周知のように、第2の壁14の適切なガス通気口8の上に配置されたフィルタ9を含む。特に、フィルタ9は、第2の壁44の外向きの第1の表面34に配置される(ただし、他の実施形態では、フィルタ9は、第2の壁14の内向きの第2の表面34に配置されてもよい)。他の実施形態では、フィルタ9は、第1の壁12の適切なガス通気口上に(第1の壁12の第1又は第2の表面32、52のいずれかに)配置されてもよい。さらに想定される実施形態では、第1及び/又は第2の壁12、14に複数のガス通気口8が設けられてもよい。フィルタ9は、第1及び/又は第2の壁12、14のそれぞれのガス通気口8の上に(第1及び/又は第2のそれぞれの表面32,34,52,54上に)配置されてもよい。フィルタ9、又は複数のフィルタが存在するこれらの実施形態における各フィルタは、第1の離散領域Fを画定する。
【0029】
さらなる第3の壁30が、少なくとも部分的に第2の壁14を覆う。また、第3の壁30は、前記フィルタ又は各フィルタ9も覆い得るが、必ずしもそうである必要はない。第3の壁30は、選択的に第1及び/又は第2の壁12、14に接続される。特に、第3の壁30は、その下端38を除き、その周辺部において又はその近くで第1及び/又は第2の壁12、14に接続されてもよい。本実施形態では、第3の壁30は、オストミー器具10の上部11に配置され、オストミー器具10の第2の壁14に接続される。第3の壁30は、器具10の頂部を覆い、少なくともストーマ受容開口16の主水平軸を越えて下方に延びる。第3の壁30は、プラスチックフィルム材料から作られてもよく、これは多層であってもよい。代替的に、第3の壁30は、他の材料から作られてもよい。例えば、本実施形態では、第3の壁30は、第2の壁14を覆うコンフォート層17の一部によって形成される。また、本実施形態の第3の壁30は、コンフォート層17が少なくとも部分的に覆うプラスチックフィルム材料を含む。特に、第3の壁30の外向きの第1の表面36は、積層プロセスによってコンフォート層17の一部に取り付けられる。
【0030】
上述のように、第3の壁30は、外向きの第1の表面36を有する。外向きの第1の表面36は、使用者及び第1の壁12及び第2の壁14から離れた方向を向いている。また、第3の壁30は、使用者及び第1の壁12及び第2の壁14の方向を向いた内向きの第2の表面56を含む。特に、第3の壁30の第2の表面56及び第2の壁14の第1の表面34は互いに面しており、接続部60で接続されている。接続部60は、第2の離散領域Wを画定する。接続部60については、以下で詳述する。
【0031】
第3の壁30は、オストミー器具10の第3の領域Tを覆ってもよい。第1の領域F及び第2の領域Wは、第3の領域T内に位置してもよい。他の実施形態では、第2の領域Wのみが第3の領域T内に位置してもよい。
【0032】
第3の壁30は、第1の壁12から離れる方向に移動可能である。第3の壁30は、第2の壁14から離れる方向にも移動可能である。第3の壁30は、使用者から概ね離れる方向にも移動可能である。第3の壁30が第1の壁12から離れる動きは、
図5に示すように、第1の壁12及び第2の壁14を少なくとも部分的に分離する。特に、第3の壁30の動きは、接続部60が第1の壁12から離れる動きを引き起こす。これにより、今度は第2の壁14が第1の壁12から離れる動きを引き起こす。このようにして第3の壁30を動かすことで、空気がガス通気口8を通って収集空洞18に流れることが許容される。
【0033】
このような構造には利点がある。上記のように第3の壁を移動させることで、第1の壁及び第2の壁を接着する老廃物による接着力を克服することで、パンケーキングの問題を解決することが可能になる。このような第3の壁の移動は、第1の壁12及び第2の壁14の間の真空/静的力によって発生するパンケーキングングの克服にも役立つ。第3の壁30を移動することによって、第2の壁14は、第1の壁12及び第2の壁14の間の静的力に打ち勝つように、第1の壁12から離れる。つまり、第1の壁12から離れるように第3の壁を移動すると、老廃物収集空洞18の体積が増加し、より大きな真空、又は老廃物収集空洞18、使用者及び大気間の圧力差をもたらす。圧力差を解決するために、空気がガス通気口8からオストミー器具10に入り、それによって第1の壁12及び第2の壁14を離隔構成に維持するのを支援するか、又は老廃物がストーマ受容開口16から入り、老廃物収集空洞18に入る。その後、この老廃物は第1の壁12及び第2の壁14を離隔構成に維持する。したがって、本発明は、使用者が簡単にパンケーキングの問題を排除し、オストミー器具を交換する必要なしにオストミー器具を使用し続けることを可能にする。
【0034】
本実施形態では、第1の接続部60及び第2の接続部62が第2の壁14及び第3の壁30の間に設けられている。しかしながら、他の実施形態では、単一の接続部60のみが設けられてもよい。さらに想定される実施形態では、複数の接続部60が第2の壁14及び第3の壁30の間に設けられてもよい。接続部60,62は略同じ形状である。他の実施形態では、接続部60は異なる形状であってもよい。
【0035】
本実施形態では、第1の接続部60及び第2の接続部62は略円形である。しかしながら、第1の接続部60及び第2の接続部62は、本発明の範囲を逸脱せずに他の形状であってもよい。例えば、接続部60は、本発明の範囲を逸脱せずに、楕円形、楕円/レーストラック形、三角形又はその他の多角形であってもよい。
【0036】
前記接続部又は各接続部60,62は、第2の壁14及び第3の壁30の間で接着接続によって提供されてもよい。さらに、前記接続部又は各接続部60,62は、第2の壁14及び第3の壁30の間で溶接によって提供されてもよい。
【0037】
接続部又は少なくとも1つの接続部60,62は、オストミー器具10の使用中の位置で、フィルタ9の垂直方向下方に配置される。垂直とは、器具10の頂部11と底部13との間に概ね延びる正中線M上のフィルタ9の下の位置にあって、これは、ストーマ受容開口16を通る水平線H及びストーマが使用中に延びるストーマ受容開口16の主軸に対して概ね垂直な位置を意味する。つまり、接続部60,62は必ずしもフィルタ9の真下ではなく、フィルタ9よりもオストミー器具10の底部13に垂直に近い位置にあることを意味する。いくつかの実施形態では、前記接続部又は各接続部60はフィルタ9の真下に設けられてもよい。接続部又は少なくとも1つの接続部60、62は、ストーマ受容開口16の上に垂直に配置されてもよい。特に、接続部又は少なくとも1つの接続部60、62は、完全に又は少なくとも部分的に、ストーマ受容開口16を通って延びる略水平線Hの上に配置される。複数の実施形態では、接続部60、62は、ストーマ受容開口16が拡大され得る最大サイズの周辺部に配置されてもよい。
【0038】
第1の接続部60及び第2の接続部62は、フィルタ9のいずれかの側にあり、互いに略反対側にある。特に、第1及び第2の接続部60,62は互いに鏡像である。
【0039】
本実施形態では、第1及び第2の接続部60,62は、第1の壁12、第2の壁14及び第3の壁30の間の周辺接続から分離されている。しかしながら、他の実施形態では、(複数の)接続部60,62は、オストミー器具の周辺に接続されてもよい。特に、(複数の)接続部60,62が溶接として提供される実施形態では、接続部60,62は、第1の壁12、第2の壁14及び第3の壁30の間の周辺溶接の一部として形成されてもよい。
【0040】
(複数の)接続部60,62は、オストミー器具10の周辺部から内側に延びてもよい。このような構造は、第1の壁12から第3の壁30を引き離す最も効果的な場所に使用者の指を導くのに有利であり得る。
【0041】
(複数の)接続部60,62は、上述の正中線Mに対して傾斜していてもよい。繰り返しになるが、この構造は、第1の壁12から第3の壁30を引き離す最も効果的な場所に使用者の指を導くのに有利であり得る。
【0042】
(複数の)接続部60,62は、第2の壁及び第3の壁30と連携して、ユーザの指を受け取るポケットを画定してもよい。また、ポケットは、少なくとも部分的にフィルタ9によって画定されてもよい。特に、ポケットは、第2の壁14及び第3の壁30、第1の接続部60及び第2の接続部62、及びフィルタ9の間に画定されてもよい。
【0043】
使用時には、ユーザは、第3の壁30の下端38を第2の壁14から離し、指をポケット内に延ばすことによってポケットを使用してもよい。本実施形態では、これは第1の接続部60と第2の接続部62との間になる。その後、ユーザは指を第1の壁12から離し、それによって、上記のように第3の壁30を第1の壁12から離す方向に動かし得る。
【0044】
本実施形態では、各接続部60,62の第2の離散領域Wは、フィルタ9の第1の離散領域Fより小さい。特に、接続部60,62によって画定される複合領域W+Wは、フィルタ9によって画定される領域Fより小さい。しかしながら、他の実施形態では、又は各接続部60,62によって画定される領域Wは、フィルタ9によって画定される領域Fと同じであってもよく、又は、別々に又は組み合わせて、フィルタ9によって画定される領域Fより大きくてもよい。
【0045】
器具10の下端13には、(
図1から
図3の破線で示され、及び
図6に示すように)排出口壁を含む排出口22が設けられてもよい。排出口22は、当技術分野で周知のように、第1の壁12及び第2の壁14の一部によって形成されてもよい。言い換えれば、排出口22は、老廃物収集空洞18を画定する第1の壁12及び第2の壁14の一方又は両方の連続部分であってもよい。他の実施形態では、排出口22は、第1の壁12及び第2の壁14とは別の壁から形成されてもよい。このような排出口22は、老廃物収集空洞18を画定する第1及び/又は第2の壁のいずれかに接続されてもよい。
【0046】
排出口22は、ストーマ受容開口16から離れるように下方に延び、開口部24で終端してもよい。開口部24は、収集空洞18に集められた老廃物を器具10から排出することを許容し得る。開口部24は、第1の閉状態と第2の開状態との間で移動可能であり得る。開口部24が第2の開状態にある場合、老廃物は、老廃物収集空洞18から排出口22を通って開口部24から出て、オストミー器具10から出ることを許容され得る。
【0047】
使用者が排出口の開口部を第1の状態から第2の状態に移動するのを補助するために、オストミー器具10は、使用者把持可能部材、又はタブ40を含んでもよく、これは排出口の開口部24又はその近くに配置され、取り付け部44によって排出口壁22に取り付けられる。取り付け部44は、排出口壁22に接着又は溶接されてもよい。
【0048】
また、使用者把持可能部材40は、接続部46によって取り付け部44に接続された把持可能部42を含んでもよい。使用者は、把持可能部42を掴んで、排出口22及び使用者から離れる方向に把持可能部42を動かすことによって、使用者把持可能部材40を操作してもよい。
【0049】
図示のように、開口部24の開放、閉鎖及び密閉を補助するために、第1の長尺補強部材26及び第2の長尺補強部材26bが設けられてもよい。しかしながら、他の実施形態では、単一の補強部材26aのみが設けられてもよい。補強部材26aは、開口部24又はその近くに配置されてもよい。
【0050】
第1の補強部材26aは、使用者に面し、かつ排出口の開口部24又はその近くに配置される第1の壁12の外面に接続され、例えば、接着又は溶接されてもよい。別の実施形態では、第1の補強部材26aは排出口22の一部を形成する。第1の補強部材26aは、
図3に示すように、老廃物が器具10から出る方向に対して略垂直に延びるように、排出口22を横断して横方向に延びてもよい。
【0051】
第2の補強部材26bは、第1の補強部材26aよりもさらに排出口22の開口部24から離れて、第1の補強部材26aに隣接して上方に配置され、第1の壁12の外面(第1の補強部材26aと同じ壁)に接続され、例えば、接着又は溶接されてもよい。第2の補強部材26bも、
図2に示すように、老廃物が器具10から出る方向に対して略垂直に延びるように、排出口22を横断して横方向に延びてもよい。補強部材26a,26bは、実質的に同じであってもよい。
【0052】
前記排出口は、存在する場合、拡張位置と収納位置との間で折り畳み可能又は丸め可能であってもよい。オストミー器具10は、排出口を収納位置に固定するためのセキュリティフラップ27(コンフォート層17の下に配置され得る)を含んでもよい。収納位置では、取り付け部44及び把持可能部42は、略同一平面にあってもよい。
【0053】
排出口22は、当技術分野で一般的に知られているように、補強部材26a,26bの周りに巻き付けることによって収納又は格納されてもよい。補強部材26a,26bは、排出口22を折り曲げるための折れ線L1,L2を画定してもよい。
【0054】
補強部材26a,26bは、開口部24を閉状態で密閉するために、特に、2回又は3回巻き付けられてもよい。排出口22を固定するために、フラップ27及び排出口22のそれぞれの表面に、フックアンドループ(Velcro)又は接着剤等の適切な締結手段が設けられてもよい。
【0055】
次に、本発明の第2の実施形態について記載する。本発明の第1の実施形態と共通する特徴は、100を加えて同じ参照番号で提供する。第1の実施形態と第2の実施形態との相違点のみを記載する。
【0056】
図8は、本発明の第2の実施形態を示している。本発明のこの実施形態では、第2の壁14と第3の壁30との間の接続部160,162が楕円形の接着部として設けられている。これは、各接続部160,162が略平行な第1及び第2の辺170,172を有し、それらが第3及び第4の略湾曲した辺174,176によって接続されていることを意味する。第3の辺174及び第4の辺176は、特に、半円形である。
【0057】
第1の辺170及び第2の辺172は、オストミー器具の正中線M及び/又は略垂直軸に対して傾斜している。特に、(複数の)接続部160,162のそれぞれは、略長尺軸Aを有しており、これに対して第1の辺170及び第2の辺172が平行であってもよく、これはオストミー器具110の略垂直軸に対して傾斜している。略長尺軸A及び/又は第1の辺170及び第2の辺172は、略45度の角度で正中線Mに対して傾斜していてもよい。しかしながら、本発明の範囲を逸脱せずに他の角度が使用されてもよい。前記接続部又は各接続部160,162の長尺軸Aは、ガス通気口8及びフィルタ9と交差する。他の実施形態では、接続部160,162の長尺軸Aは、ガス通気口8及び/又はフィルタ9の下で互いに交差する。さらに想定される実施形態では、接続部160,162の長尺軸Aは、ガス通気口8及び/又はフィルタ9の上で互いに交差してもよい。第1の実施形態と同様に、第1の接続部160及び第2の接続部162は、第2の壁114及び第3の壁130の間にあり、互いに鏡像である。
【0058】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本発明の第1の実施形態と共通する特徴は、200を加えて同じ参照番号で提供する。第1の実施形態と第2の実施形態との相違点のみを記載する。
【0059】
図9及び
図10は、本発明の第3の実施形態を示す。第3の実施形態では、収集空洞218から大気にガスを排出するために、ガス通気口208が第1の壁212に設けられている。フィルタ209は、第1の壁212の外向き表面252においてガス通気口208の上に配置されている。他の実施形態では、フィルタ209は、第1の壁212の内向き表面232においてガス通気口208の上に配置されてもよい。
【0060】
オストミー器具210の操作は、オストミー器具10及び110と同様であるため、ここでは再び説明しない。
【0061】
代表的な特徴が、以下の節に記載されているが、これらは独立しているか、又は任意の組み合わせで、明細書の本文及び/又は図面に開示された1つ以上の特徴と組み合わせることができる。
【0062】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、「含む」及び「備える」及びそれらの変形の用語は、指定される特徴、ステップ又は整数が含まれることを意味する。用語は、他の特徴、ステップ又は構成要素の存在を除外するように解釈されるべきではない。
【0063】
上述の説明、又は以下の特許請求の範囲、又は添付の図面に開示され、それらの特定の形態で、又は開示される機能を実行するための手段として、又は開示される結果を達成するための方法若しくはプロセスとして表される特徴は、適宜、別々に、又はそのような特徴の任意の組み合わせで、その多様な形態で本発明を実現するために利用し得る。
【0064】
本発明の特定の例示的な実施形態を説明したが、添付の特許請求の範囲はこれらの実施形態のみに限定されることを意図していない。請求項は、文字通り、意図的に、及び/又は均等物を包含するように解釈されるべきである。
【国際調査報告】