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特表2023-539681レンギョウ成分および任意選択のチョウセンニンジン成分ならびにその適用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(54)【発明の名称】レンギョウ成分および任意選択のチョウセンニンジン成分ならびにその適用
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/634 20060101AFI20230908BHJP
   A61K 36/258 20060101ALI20230908BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230908BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230908BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230908BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20230908BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20230908BHJP
   A61K 31/34 20060101ALI20230908BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20230908BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230908BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230908BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230908BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20230908BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230908BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230908BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20230908BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230908BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20230908BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20230908BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20230908BHJP
   C07J 17/00 20060101ALN20230908BHJP
   C07H 15/26 20060101ALN20230908BHJP
   C07D 493/04 20060101ALN20230908BHJP
【FI】
A61K36/634
A61K36/258
A61P31/12
A61P29/00
A61P37/04
A61K31/704
A61K31/7048
A61K31/34
A61K47/40
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/12
A61K9/06
A61K9/70 405
A61P31/22
A23L33/105
C07J17/00
C07H15/26
C07D493/04 101C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514428
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-04-25
(86)【国際出願番号】 CN2021115584
(87)【国際公開番号】W WO2022048529
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】202010923837.9
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010959266.4
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510013987
【氏名又は名称】大▲連▼富生天然▲薬▼物▲開▼▲発▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】王▲碩▼
(72)【発明者】
【氏名】富力
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼雪
(72)【発明者】
【氏名】柳洋
(72)【発明者】
【氏名】林▲栄▼▲金▼
(72)【発明者】
【氏名】侯集瑞
(72)【発明者】
【氏名】▲魯▼明明
(72)【発明者】
【氏名】付文斐
(72)【発明者】
【氏名】▲魯▼岐
(72)【発明者】
【氏名】周▲慶▼▲豊▼
【テーマコード(参考)】
4B018
4C057
4C071
4C076
4C086
4C088
4C091
【Fターム(参考)】
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE04
4B018LE05
4B018MD25
4B018MD26
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4B018MD64
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4C091PA07
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4C091QQ01
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】本発明は、単純なヒトサイトメガロウイルス感染症などのヒトサイトメガロウイルス感染症に関連する疾患、または心血管および脳血管疾患、腫瘍、熱傷またはエイズの予防および治療中に、または臓器移植のプロセス中に、または周産期においてヒトサイトメガロウイルスに感染した患者の予防および治療のための、ホルシチン、ホルシチン誘導体、ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物を含む、抗ウイルス効果、解熱効果、抗炎症効果および/または免疫力増強効果を実現するために安全、効率的、安定的に使用することができる、レンギョウ成分および任意選択のチョウセンニンジン成分の組成物を開示する。ここで、レンギョウおよびチョウセンニンジン成分の組成物を調製するためのプロセスはシンプルであり、工業生産に適しており、普及させるのが容易である。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗ウイルス効果、解熱効果、抗炎症効果および/または免疫力増強効果を実現するための組成物であって、レンギョウ成分および好ましくはチョウセンニンジン成分を含む、組成物。
【請求項2】
チョウセンニンジン成分が、チョウセンニンジン薬材、チョウセンニンジン抽出物、総ジンセノサイド、パナキサジオールサポニン、ジンセノサイドRg3または20(R)‐ジンセノサイドRg3を含み、レンギョウ成分が、レンギョウ葉薬材、レンギョウ葉抽出物、ホルシチンおよびフィリゲニンおよび/またはホルシチン誘導体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
抽出物がアルコール抽出物または水抽出物である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
チョウセンニンジン成分とレンギョウ成分との重量比が2~98:98~2である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の組成物が、サンシチニンジン、アロエベラ、ウラルカンゾウ、カシュウ、イチョウ、黒ゴマ抽出物、ショウガ抽出物、ブドウ種子抽出物、ザクロ種子抽出物、植物精油、アルブチン、ビタミンCおよびその誘導体またはビタミンEおよびその誘導体の成分のうちの1つまたは複数をさらに含むか、またはサンズコン抽出物、ソウジ抽出物、ハンシレン抽出物、クジン抽出物、ホコウエイ抽出物、ニンドウ抽出物、ショウキョウ抽出物、ブドウ種子抽出物、ザクロ種子抽出物、ビタミンCおよびその誘導体またはビタミンEおよびその誘導体の成分のうちの1つまたは複数も含む。
【請求項6】
チョウセンニンジン成分を含まず、レンギョウ成分がホルシチンおよびその誘導体であるか、またはホルシチンおよびフィリゲニンの組成物である、請求項1または5に記載の組成物。
【請求項7】
ホルシチン誘導体が、33‐ヒドロキシフィリゲニン‐8‐O‐β‐D‐グルクロニド、9‐ヒドロキシフィリゲニン‐8‐O‐β‐D‐グルクロニド、33,34‐メチレンジオキシフィリゲニン‐8‐O‐β‐D‐グルクロニド、(2R,3R,4R,5S)‐メチル6‐(5‐((1R,4S)‐4‐(3,4‐ジメトキシフェニル)ヘキサヒドロフロ[3,4‐c]フラン‐1‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)‐3,4,5‐トリヒドロキシテトラヒドロ‐2H‐ピラン‐2‐カルボキシレート、ナトリウム(2R,3R,4R,5S)‐6‐(5‐((1R,4S)‐4‐(3,4‐ジメトキシフェニル)ヘキサヒドロフロ[3,4‐c]フラン‐1‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)‐3,4,5‐トリヒドロキシテトラヒドロ‐2H‐ピラン‐2‐カルボキシレート、カリウム(2R,3R,4R,5S)‐6‐(5‐((1R,4S)‐4‐(3,4‐ジメトキシフェニル)ヘキサヒドロフロ[3,4‐c]フラン‐1‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)‐3,4,5‐トリヒドロキシテトラヒドロ‐2H‐ピラン‐2‐カルボキシレートまたは(2R,3R、4R,5S)‐6‐(5‐((1R,4S)‐4‐(3,4‐ジメトキシフェニル)ヘキサヒドロフロ[3,4‐c]フラン‐1‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)‐3,4,5‐トリヒドロキシテトラヒドロ‐2H‐ピラン‐2‐カルボン酸を含み、好ましくは33‐ヒドロキシフィリゲニン‐8‐O‐β‐D‐グルクロニド、9‐ヒドロキシフィリゲニン‐8‐O‐β‐D‐グルクロニド、33,34‐メチレンジオキシフィリゲニン‐8‐O‐β‐D‐グルクロニド、(2R,3R,4R,5S)‐メチル6‐(5‐((1R,4S)‐4‐(3,4‐ジメトキシフェニル)ヘキサヒドロフロ[3,4‐c]フラン‐1‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)‐3,4,5‐トリヒドロキシテトラヒドロ‐2H‐ピラン‐2‐カルボキシレート、ナトリウム(2R,3R,4R,5S)‐6‐(5‐((1R,4S)‐4‐(3,4‐ジメトキシフェニル)ヘキサヒドロフロ[3,4‐c]フラン‐1‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)‐3,4,5‐トリヒドロキシテトラヒドロ‐2H‐ピラン‐2‐カルボキシレートおよびカリウム(2R,3R,4R,5S)‐6‐(5‐((1R,4S)‐4‐(3,4‐ジメトキシフェニル)ヘキサヒドロフロ[3,4‐c]フラン‐1‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)‐3,4,5‐トリヒドロキシテトラヒドロ‐2H‐ピラン‐2‐カルボキシレートを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物が、ホルシチンとフィリゲニンとの重量比が2~99.99:0.01~98、好ましくは80~99:1~20であるホルシチンおよびフィリゲニンからなる、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物と、薬剤学、健康製品または食品の産業において許容される賦形剤とを含む、抗ウイルス効果、解熱効果、抗炎症効果および/または免疫力増強効果を実現するための製剤。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物と、薬剤学、健康製品または食品の産業において許容される担体との重量比が1:1~1:100であるか、または請求項6~8のいずれか一項に記載の組成物と、薬剤学、健康製品または食品の産業において許容される担体との重量比が0.01~50:100である、請求項9に記載の製剤。
【請求項11】
薬剤学、健康製品または食品の産業において許容される担体がシクロデキストリン、たとえばα‐、β‐もしくはγ‐シクロデキストリンまたはその誘導体である、請求項9に記載の製剤。
【請求項12】
請求項9に記載の製剤は、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒、シロップ、溶液、乳剤、注射剤、スプレー、エアロゾル、ゲル、クリーム、パップ剤、絆創膏または硬膏の好ましい剤形で存在してもよい医薬品である。
【請求項13】
製剤が、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒、シロップ、溶液、乳剤、スプレー、エアロゾル、ゲル、クリーム、パップ剤、絆創膏もしくは硬膏の形態、または食品、たとえば乳製品、菓子、飲料、ビスケット、茶葉および関連製品、ワインなどの形態で存在してもよい健康製品または食品である、請求項9に記載の製剤。
【請求項14】
チョウセンニンジン成分とレンギョウ成分とを混合するステップを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項15】
チョウセンニンジン、レンギョウおよび任意選択の漢方薬材を抽出するために溶媒加熱抽出法を使用するステップを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項16】
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物と、薬剤学、健康製品または食品の産業で許容される担体とを混合するステップを含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項17】
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物と、シクロデキストリンまたはその誘導体(たとえば、α‐、β‐もしくはγ‐シクロデキストリンまたはその誘導体)とを混合するステップを含む、請求項16に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項18】
請求項1~8に記載の組成物と、シクロデキストリンまたはその誘導体(たとえば、α‐、β‐もしくはγ‐シクロデキストリン、またはその誘導体)とを処理して複合体を形成させるために物理的または化学的方法を使用するステップを含む、請求項16に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項19】
抗ウイルス効果、解熱効果、抗炎症効果および/または免疫力増強効果を実現するための薬物、健康製品または食品の製造における、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項20】
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を必要とする個体に前記組成物の有効量を投与することを含む、抗ウイルス効果、解熱効果、抗炎症効果および/または免疫力増強効果を実現するための方法。
【請求項21】
抗サイトメガロウイルス効果のための、またはサイトメガロウイルス感染症による障害を予防または治療するための、薬物、健康製品または食品の製造における請求項6~8のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項22】
請求項6~8のいずれか一項に記載の組成物を必要とする個体に前記組成物の有効量を投与することを含む、抗サイトメガロウイルス効果を実現するための、またはサイトメガロウイルス感染症による障害を予防または治療するための方法。
【請求項23】
前記サイトメガロウイルスがヒトサイトメガロウイルスである、請求項21に記載の適用または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記状態が、単純なヒトサイトメガロウイルス感染症などの単純なヒトサイトメガロウイルス感染状態、または心血管および脳血管疾患、腫瘍、熱傷またはエイズの治療中に、または臓器移植のプロセス中に、または周産期においてヒトサイトメガロウイルスに感染した患者を含む、請求項21に記載の適用または請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬化学、健康食製品および医薬の分野に属する。具体的には、本発明は、レンギョウ抽出物(好ましくはチョウセンニンジン抽出物も含む)の組成物、その調製方法、ヒトサイトメガロウイルス感染症に関連する疾患の予防および治療のための健康製品および薬物の製造における、ホルシチン(forsythin)、ホルシチン誘導体ならびにホルシチンおよびフィリゲニン(phillygenin)の組成物の適用を含む、抗ウイルス効果、解熱効果、抗炎症効果および免疫力増強効果の実現におけるその適用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)は、その感染細胞が膨張し、大きな核内封入体を含むため、細胞封入体ウイルスとしても知られる。HCMVは、β‐ヘルペスウイルス亜科に属する。HCMVは、直径がおよそ200nmであり、最大の動物ウイルスの1つである。HCMVは、ウイルスDNAを含む直径64nmのコアを有し、直径110nmの二十面体に囲まれている。粒子全体は、ウイルス粒子によってコードされる少なくとも25~30のタンパク質または糖タンパク質からなるカプセルによって囲まれている。HCMVのゲノムは、長さおよそ235~240kbであり、分子量は150~160×103kDaである。HCMVは線状二本鎖DNAウイルスである。HCMVは、ユニーク長鎖(UL)領域およびユニーク短鎖(US)領域という2つの構成要素またはセグメントで構成される。この2つの構成要素は、方向が異なるか、または接合部で反転しているため、このDNA分子は4つの異なる異性体を有する。HCMVは広く分布しているため動物も感染している場合があり、それによって泌尿生殖器系および中枢神経系を中心とした様々な器官系の感染ならびに肝疾患の原因となることがあり、その重症度は、軽度の無症候性感染症から重度の不良や、さらには生命を脅かすものまで様々である。
【0003】
HCMV遺伝子は、感染細胞特異的ポリペプチド、すなわち前初期(IE)タンパク質、初期(E)タンパク質および後期(L)タンパク質をコードする3つの遺伝子断片を含む。この3つタンパク質は免疫原性を有し、時相依存性である。HCMV遺伝子の転写および翻訳はそれ自身および宿主細胞によって制御される。前初期遺伝子と初期遺伝子の発現はプロモーターによって制御されている。これらの2つの遺伝子の検出は、主として急性感染において見られる。後期遺伝子の転写および翻訳は、IE遺伝子、E遺伝子およびタンパク質によって制御される。後期遺伝子の検出は、HCMVが潜伏期にあり、ウイルスアセンブリが成熟していることを示し、これがHCMV感染の帰結である。HCMVゲノムには3つの形態変換領域、すなわち、mtrI、mtrII、mtrIIIが存在し、これらは細胞の形質転換を誘発することができる。mtrIは、AD169株のUゲノムの左端、HindIIIのE断片に位置する。mtrIIは、長さが588bpであり、NIH 3T3およびマウス初代胚細胞を形質転換させることができる。mtrIIはHCMV Towne株のDNAのXbal/Bam HIのEM断片上に位置している。mtrIIは長さ980bpであり、NIH 3T3およびラット2細胞を形質転換させることができる。mtrIIは、HCMV株のADl69およびTdCMV Tanaka上に対応する領域を有し、P1およびP2の2つの分離したプロモーターを含んでいる。mtrIIは、すべての形質転換細胞および得られた腫瘍細胞に存在する。mtrIIIはXbal/BamHI断片に位置し、ウイルスの転写活性化と自己制御に関与する72kDの分子量の主要な前初期タンパク質をコードしている。mtrIIIは形質転換細胞には存在しない。
【0004】
HCMV感染は、細胞レベルでは、3つのタイプに分類される。1)毒素産生性感染、2)潜伏感染、3)細胞形質転換または潜伏発癌である。in vitroの研究では、ヒト線維芽細胞にHCMVを接種した後、HCMV抗原を含む細胞株が形成され、これは、形質転換細胞の特徴を有していた。HCMV‐DNAの特異的断片を抽出し、それを用いて細胞をトランスフェクトすると、細胞の染色体DNAにDNAを組み込むことによって細胞の一部を形質転換することができた。その形質転換細胞を胸腺欠損ヌードマウスに接種して腫瘍を作成した。Liu Chaoqiらの研究では、HCMV IEを用いたトランスフェクションによって作成したHPV DNA不死化ヒト子宮頸部上皮細胞をヌードマウスに接種した。その結果、HCMVは動物の細胞の染色体に組み込まれ、HPV16と相乗的に作用して子宮頸部上皮細胞の悪性形質転換を促進し、ヌードマウスに腫瘍を形成したことから、HCMVと子宮頸癌との密接な関連が示された。Lu Deyinらが行った研究では、紫外線で不活化したHCMVを週3回8週連続でマウスの子宮頸部に接種した。その結果、HCMV群の子宮頸部前癌病変の発生率は27.8%(23/83)であり、子宮頸癌の発生率は20.5%(17/83)であった。
【0005】
CMVは、ヘルペスウイルス(HSV)の一般的な形態を有し、そのDNA構造もHSVに類似しているが、HSVのサイズよりも5%大きい。ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)は、宿主または培養細胞に対して高度に種特異的である。HCMVはヒトのみに感染し、ヒト線維芽細胞で増殖することができる。細胞培養では、HCMVはゆっくり増殖し、長い複製サイクルを必要とする。一般に、最初の分離培養時に細胞変性効果(CPE)を発現するのに30~40日かかる。病変は、丸く肥大した細胞、拡大した核、および核の「ハロー」に囲まれた大きな好酸性封入体の出現を特徴とする。CMV感染の発症と進行には、人体における細胞の免疫機能が重要な役割を果たしている。細胞性免疫不全は、重度および長期のCMV感染症につながり、キラーT細胞の生存率およびNK細胞の機能の低下など、細胞性免疫機能をさらに抑制する可能性がある。CMV一次感染後、体は特異的抗体およびキラーTリンパ球を産生し、NM細胞を活性化することができる。この抗体は、CMVのウイルス複製を防止する能力に限界があり、同じウイルス株による再感染には一定の抵抗性を示す。しかし、内因性潜伏ウイルスの再活性化または異なるCMV株によって引き起こされる外因性感染には抵抗できない。一方で、種特異的な殺傷能力を有するTリンパ球および抗体依存性細胞傷害性細胞は、最大の抗ウイルス効果を発揮することができる。
【0006】
HCMV感染症は集団において非常に一般的であり、様々な疾患を引き起こす可能性がある。成人では、免疫不全または免疫低下患者は、主にHCMV感染の影響を受ける。特に、臓器移植または骨髄移植後に免疫抑制剤を投与されている患者や、放射線療法および化学療法を受けた後の悪性腫瘍患者はHCMVに非常に感染しやすい。エイズ患者におけるHCMV感染症の発生率も非常に高い。HCMV感染症は、有病率が高くおよび結果が重大であるために、世界中でHCMV感染症に大きな関心が寄せられており、これは、HCMV感染症の疫学、診断法、治療および予防だけでなくウイルス学の関連する基礎研究を探求するうえで非常に重要である。化学療法または放射線療法を受けた後では、腫瘍患者の免疫機能は正常者よりも非常に低く、潜伏ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)が再活性化され、重大な感染症を引き起こしやすくなっている。これは、腫瘍患者の生存率および生活の質に影響を及ぼす感染症の重要な要因である。
【0007】
CMV感染症は、サイトメガロウイルス(CMV)によって引き起こされる先天性または後天性の感染症である。CMVは、ヘルペスウイルス科の亜群に属する二本鎖DNAウイルスである。その形態は他のヘルペスウイルスのものと類似しており、宿主細胞または培養組織細胞に対して明らかな種特異性を示す。ヒトCMVは、ヒト胎児線維芽細胞でのみ単離・培養が可能である。
【0008】
HCMV感染症はヒト集団に広く蔓延している。中国の成人における感染率は95%を超え、成人が感染することによって、主として免疫不全または免疫抑制を有する患者に影響が及ぶ。特に、臓器移植または骨髄移植後に免疫抑制剤を投与されている患者や、放射線療法および化学療法を受けた後の悪性腫瘍患者はHCMVに非常に感染しやすい。感染患者の大部分は臨床症状を示さないが、複数の臓器および器官系へのウイルス侵入は、特定の条件下で重度の疾患を引き起こす場合がある。HCMVは、肺、肝臓、腎臓、唾液腺、乳腺および他の腺、多核白血球、リンパ球に侵入し、唾液、母乳、血液、尿、精液および子宮分泌物から長期的または断続的に排出されることがある。通常、口腔、生殖管、胎盤、輸血または臓器移植などの複数の経路でウイルスが感染する。
【0009】
1. 先天性感染:HCMV感染症を有する妊婦では、ウイルスが胎盤を通して胎児に侵入し、先天性感染症を引き起こすことがあり、まれに早産、流産、死産または出生後死亡を引き起こすことがある。新生児は、黄疸、肝脾腫、血小板減少性紫斑症または溶血性貧血を発症することがある。生き残った新生児の大部分は、恒久的な知的障害、神経筋ジスキネジア、難聴および脈絡網膜炎の後遺症を示す。
2. 周産期感染:産褥婦の尿路および子宮頸部からHCMVが排出されると、分娩時に産道を通して乳児が感染することがある。大部分の乳児は臨床症状をほとんど伴わない不顕性感染を引き起こすが、軽度の気道閉塞または肝損傷を引き起こす乳児もいる。
3. 小児および成人における感染:ウイルスは、母乳吸引、キス、性的接触および輸血の経路で感染することがあり、感染による症状は、通常、無症候性である。場合によっては、ヘテロフィル抗体陰性の伝染性単核症を引き起こすこともある。妊娠、免疫抑制療法、臓器移植および腫瘍を含む要因によって、単球およびリンパ球における潜伏ウイルスが活性化され、単核球症、肝炎、間質性肺炎、網膜炎、脳炎などを引き起こすことがある。
4. 細胞形質転換および発癌性:UVで不活化したHCMVは、げっ歯動物の胎児線維芽細胞を形質転換させることができる。子宮頸癌、結腸癌、前立腺癌およびカポジ肉腫などの一部の腫瘍ではHCMV DNAの検出率が高く、健常者と比較してHCMV抗体の力価も高いことが判明した。また、これらの腫瘍から作成された細胞株においてもウイルス粒子が検出され、HCMVは、他のヘルペスウイルスと同様に、発癌性を有していることが示唆された。化学療法または放射線療法を受けた後では、腫瘍患者の免疫機能は正常者よりも非常に低く、潜伏ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)が再活性化され、重大な感染症を引き起こしやすくなっている。これは、腫瘍患者の生存率および生活の質に影響を及ぼす感染症の、重要な要因である。
【0010】
HCMV感染症患者の大部分は、潜伏感染状態にある。そのため、HCMVが体内で複製されたとしても、ほとんどの場合、無症候性感染を引き起こすだけである。現在のところ、有効かつ安全な抗HCMV薬はない。そのため、HCMV感染症の治療は、まだ対症療法に限られている。ガンシクロビルは、骨髄抑制などの毒性副作用があるため、対症療法にのみ慎重に使用することができる。ガンシクロビルDHPGは、HCMV感染症の拡散を防止することができる。高力価の抗HCMV免疫グロブリンと併用すれば、骨髄移植を受けている患者において、HCMV肺炎の合併症による死亡率を低下させることができる。ガンシクロビルDHPGに耐性のあるHCMV感染患者には、ホスカルネットナトリウムを使用することができる。この薬物は、HCMV感染症の拡散を持続的に抑制することができるが、ガンシクロビルと比較して効果は低い。他の国々で開発された抗HCMV生ワクチンは、抗体の産生を誘導することができるが、ワクチンの発癌性を否定できるかどうかは不明である。
【0011】
レンギョウは、臨床の場でよく使用される伝統的な漢方薬で、幅広い用途を有し、消費量も膨大である。レンギョウには、清熱、解毒、消腫、散結、およびフリーラジカル消去の作用がある。臨床の場では、しばしば他の漢方薬と一緒に処方され、様々なウイルス感染症関連疾患の治療に用いられる。本発明者らは、苦心の末、ホルシチンとフィリゲニンの活性単量体化合物を調製・抽出し、化学合成によってホルシチン誘導体を合成・調製した。本発明者らが行った一連の薬理活性研究に基づいて、ホルシチン、ホルシチン誘導体ならびにホルシチンおよびフィリゲニンの組成物は、ヒトサイトメガロウイルス感染症の治療に有効であることが判明し、それによって、この種の疾患の予防および治療のための新しいアプローチが提供された。
【0012】
【化1】
【0013】
【化2】
【0014】
チョウセンニンジン(Panax ginseng)は、ウコギ科(Araliaceae)トチバニンジン属(Panax)に属する。チョウセンニンジンは、中国、韓国、日本において2000年超にわたり広く使用されてきた。チョウセンニンジンは、主に疾患を予防し、平均余命を伸ばすために適応される。神農本草経の記録によれば、チョウセンニンジンは、五臓を養い、神経を落ち着かせ、精神を安定させ、恐怖による動悸を抑え、邪気を払い、視力と知性を向上させ、体重のコントロールに役立ち、寿命を伸ばすことを含む治療効果を有する。現代医学の研究では、チョウセンニンジンの主な機能および効果には、中枢神経系の調節、抗癌および抗腫瘍効果の発揮、免疫機能の調節、抗糖尿病効果の発揮、肝機能の強化、心血管疾患および脳血管疾患の改善、抗動脈硬化作用の発揮、血圧調節、更年期障害の改善、抗骨粗鬆症効果の発揮、ならびに抗疲労、抗酸化およびアンチエイジング効果の発揮などが含まれることが明らかになっている。
【0015】
チョウセンニンジンの主要有効成分として、ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5は良好な安全性プロファイルを有し、臨床適用のための抗腫瘍経口製剤として開発されてきた。その注射剤形についても詳細な研究が行われている。
【0016】
既存の研究の大部分は、チョウセンニンジン薬材、総ジンセノサイド、レンギョウ薬材またはフィリゲニンの個々の薬理効果を研究しており、チョウセンニンジンとレンギョウとの組み合わせを用いて抗ウイルス効果、解熱効果、抗炎症効果および免疫力増強の薬理効果を研究した研究はない。本発明者らは、多くの現代の科学的研究に基づき、最先端の分離精製技術を適用してチョウセンニンジンおよびレンギョウの薬材から有効成分を抽出した。さらに、本発明者らは、抗ウイルス効果、解熱効果、抗炎症効果、および免疫力増強効果の実現におけるチョウセンニンジンおよびレンギョウおよび対応する医薬品の抽出物の適用に関する研究を行い、それらを、広い市場見通しを有する医薬品および健康食製品の製造に適用した。
【0017】
さらに、多くの現代の科学的研究に基づいて、本発明者らは、レンギョウおよびその葉から有効成分であるホルシチンとホルシチンおよびフィリゲニンの組成物とを抽出し、さらなる研究によって、ホルシチン誘導体を合成・調製した。これらの製品は、ヒトサイトメガロウイルス感染症の感受性集団と患者にとって効率のよい、低毒性の健康製品および薬剤を提供することができる。
【発明の概要】
【0018】
本発明は、レンギョウ抽出物(好ましくはチョウセンニンジン抽出物も含む)の新規組成物、その調製方法、および抗ウイルス効果、解熱効果、抗炎症効果および免疫力増強効果の提供のためのその適用を提供することを目的とし、ヒトサイトメガロウイルス感染症に関連する疾患の予防および治療のための、特に、ホルシチン、ホルシチン誘導体、およびホルシチンおよびフィリゲニンの組成物(ホルシチン/フィリゲニニン)の新規適用を含む。
【0019】
本発明の第1の態様は、抗ウイルス効果、解熱効果、抗炎症効果および/または免疫力増強効果を実現するための、レンギョウ成分を含む組成物を提供する。
【0020】
本発明の第1の態様では、レンギョウ成分は、好ましくはホルシチン、ホルシチン誘導体ならびにホルシチンおよびフィリゲニンの組成物からなる。ここで、前記ホルシチン、ホルシチン誘導体ならびにホルシチンおよびフィリゲニンの組成物の含有量は、1%以上、好ましくは30%以上、さらに好ましくは60%以上、よりさらに好ましくは80%以上、よりさらに好ましくは98%以上である。
【0021】
前記ホルシチン誘導体は、好ましくはフィリゲニンのグルクロン酸誘導体である。特に、前記ホルシチン誘導体は、限定されるものではないが、33‐ヒドロキシフィリゲニン‐8‐O‐β‐D‐グルクロニド、9‐ヒドロキシフィリゲニン‐8‐O‐β‐D‐グルクロニド、33,34‐メチレンジオキシフィリゲニン‐8‐O‐β‐D‐グルクロニド、(2R,3R,4R,5S)‐メチル6‐(5‐((1R,4S)‐4‐(3,4‐ジメトキシフェニル)ヘキサヒドロフロ[3,4‐c]フラン‐1‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)‐3,4,5‐トリヒドロキシテトラヒドロ‐2H‐ピラン‐2‐カルボキシレート、ナトリウム(2R,3R,4R,5S)‐6‐(5‐((1R,4S)‐4‐(3,4‐ジメトキシフェニル)ヘキサヒドロフロ[3,4‐c]フラン‐1‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)‐3,4,5‐トリヒドロキシテトラヒドロ‐2H‐ピラン‐2‐カルボキシレート、カリウム(2R,3R,4R,5S)‐6‐(5‐((1R,4S)‐4‐(3,4‐ジメトキシフェニル)ヘキサヒドロフロ[3,4‐c]フラン‐1‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)‐3,4,5‐トリヒドロキシテトラヒドロ‐2H‐ピラン‐2‐カルボキシレートまたは(2R,3R、4R,5S)‐6‐(5‐((1R,4S)‐4‐(3,4‐ジメトキシフェニル)ヘキサヒドロフロ[3,4‐c]フラン‐1‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)‐3,4,5‐トリヒドロキシテトラヒドロ‐2H‐ピラン‐2‐カルボン酸を含み、好ましくは33‐ヒドロキシフィリゲニン‐8‐O‐β‐D‐グルクロニド、9‐ヒドロキシフィリゲニン‐8‐O‐β‐D‐グルクロニド、33,34‐メチレンジオキシフィリゲニン‐8‐O‐β‐D‐グルクロニド、(2R,3R,4R,5S)‐メチル6‐(5‐((1R,4S)‐4‐(3,4‐ジメトキシフェニル)ヘキサヒドロフロ[3,4‐c]フラン‐1‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)‐3,4,5‐トリヒドロキシテトラヒドロ‐2H‐ピラン‐2‐カルボキシレート、ナトリウム(2R,3R,4R,5S)‐6‐(5‐((1R,4S)‐4‐(3,4‐ジメトキシフェニル)ヘキサヒドロフロ[3,4‐c]フラン‐1‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)‐3,4,5‐トリヒドロキシテトラヒドロ‐2H‐ピラン‐2‐カルボキシレートおよびカリウム(2R,3R,4R,5S)‐6‐(5‐((1R,4S)‐4‐(3,4‐ジメトキシフェニル)ヘキサヒドロフロ[3,4‐c]フラン‐1‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)‐3,4,5‐トリヒドロキシテトラヒドロ‐2H‐ピラン‐2‐カルボキシレートを含む。
【0022】
特に、ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物は、ホルシチンおよびフィリゲニニンからなる。好ましくは、ここで、ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物であるホルシチンとフィリゲニンとの重量比は、2~99.99:0.01~98、好ましくは80~99:1~20、さらに好ましくは90~98:2~10、たとえば98:2または90:10である。
【0023】
本発明の第1の態様の前記組成物では、チョウセンニンジン成分を含むことも好ましい。すなわち、本発明の第1の態様の組成物は、好ましくはチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物である。ここで、チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物におけるチョウセンニンジン成分とレンギョウ成分との重量比は、2~98:2~98、好ましくは80:20または20:80、さらに好ましくは90:6または6:90、よりさらに好ましくは98:2または2:98である。
【0024】
特に、チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物におけるチョウセンニンジン成分におけるジンセノサイドRg3の含有量は、0.03%以上、好ましくは10%以上、さらに好ましくは50%以上、よりさらに好ましくは80%以上、よりさらに好ましくは90%以上、よりさらに好ましくは99%以上である。レンギョウ成分におけるホルシチンの含有量は、0.15%以上、好ましくは15%以上、さらに好ましくは60%以上、よりさらに好ましくは80%以上、よりさらに好ましくは90%以上、よりさらに好ましくは99%以上である。
【0025】
本発明の第1の態様の組成物は、抗ウイルス効果、解熱効果、抗炎症効果および/または免疫力増強効果を実現するための、チョウセンニンジンおよびホルシチンを含む組成物を提供する。より好ましくは、ここで、ジンセノサイドは、総ジンセノサイド、パナキサジオールサポニン、ジンセノサイドRg3または20(R)‐ジンセノサイドRg3である。
【0026】
さらに好ましくは、この組成物は、さらにフィリゲニンを含む。
好ましくは、本発明の第1の態様の組成物は、チョウセンニンジン抽出物およびレンギョウ抽出物からなる。好ましくは、ここで、抽出物はアルコール抽出物または水抽出物であり、たとえば、本発明の第1の態様の組成物はチョウセンニンジンのアルコール抽出物およびレンギョウのアルコール抽出物からなってもよい。また、本発明の第1の態様の組成物は、チョウセンニンジンの水抽出物およびレンギョウの水抽出物からなってもよい。アルコールとしては、メタノールまたはエタノール、またはその水溶液、好ましくはエタノールまたはその水溶液を挙げることができる。アルコールの水溶液では、アルコールの濃度は、50%~100%(V/V)、好ましくは60%~95%(V/V)、たとえば70~90%(V/V)であってもよい。ここで、抽出に使用するチョウセンニンジンとレンギョウとの重量比は、好ましくは2~50:50~98である。本発明の特定の実施形態では、抽出ステップは、チョウセンニンジンおよび/またはレンギョウをアルコールまたは水に浸漬し、次いで濾液を加熱保持し、任意選択で、濾過した残渣をアルコールまたは水で加熱するステップを複数回(たとえば2~5回)実施または繰り返し、濾液を保持し、次いで濾液を乾燥させることを含んでもよい。
【0027】
本発明の第1の態様の組成物では、サンシチニンジン、アロエベラ、カンゾウ、カシュウ、イチョウ、黒ゴマ抽出物、ショウキョウ抽出物、ブドウ種子抽出物、ザクロ種子抽出物、植物精油、アルブチン、ビタミンCおよびその誘導体またはビタミンEおよびその誘導体を含む1つまたは複数の成分をさらに含むことが好ましい。
【0028】
本発明の第2の態様は、抗ウイルス効果、解熱効果、抗炎症効果および/または免疫力増強効果を実現するための、本発明の第1の態様の組成物と、薬剤学、健康製品または食品の産業において許容される担体とを含む製剤を提供する。好ましくは、本発明は、抗ウイルス効果、解熱効果、抗炎症効果および/または免疫力増強効果を実現するための、チョウセンニンジン成分およびレンギョウ成分を含む薬剤または健康製品を提供する。ここで、チョウセンニンジン成分とレンギョウ成分との重量比は、2~98:2~98、好ましくは80:20または20:80、さらに好ましくは90:6または6:90、よりさらに好ましくは98:2または2:98である。特に、前記薬剤または健康製品は、チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物の成分と薬学的に許容される担体とからなる。
【0029】
ここで、チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物における、チョウセンニンジン成分に対するレンギョウ成分の総重量と、薬学的に許容される担体の重量との比率は、1:1~1:100、好ましくは1:10、さらに好ましくは1:5、よりさらに好ましくは1:2、よりさらに好ましくは1:1である。
【0030】
特に、チョウセンニンジンとレンギョウとの前記組成物の重量と、前記薬剤または健康製品の総重量との比率は、0.01~50:100、好ましくは0.1~50:100、さらに好ましくは1~50:100である。
【0031】
特に、前記チョウセンニンジン成分およびレンギョウ成分は、薬学的に許容される担体および/または食品添加物とともに添加することもできる。
【0032】
前記薬物は、ホルシチン、ホルシチン誘導体ならびにホルシチンおよびフィリゲニンの組成物と、薬学的に許容される担体とを含んでもよく、好ましくはホルシチン、ホルシチン誘導体ならびにホルシチンおよびフィリゲニンの組成物と、薬学的に許容される担体とからなる。さらに、前記健康製品は、ホルシチン、ホルシチン誘導体ならびにホルシチンおよびフィリゲニンの組成物と、健康製品または食品の産業で許容される担体または食品添加物とを含んでもよく、好ましくは、ホルシチン、ホルシチン誘導体ならびにホルシチンおよびフィリゲニンの組成物と、健康製品または食品の産業で許容される担体または食品添加物とで構成されてもよい。
好ましくは、ホルシチン、ホルシチン誘導体ならびにホルシチンおよびフィリゲニンの組成物と、健康製品または薬物の総重量との重量比は、0.01~50:100である。
【0033】
薬学的に許容される担体は、この目的に適しており、医薬剤の不活性成分として医療専門家に一般に認められている。薬学的に許容される担体をまとめたものは、American Pharmaceutical Association(Washington)およびThe Pharmaceutical Press(London)が出版した、『Handbook of Pharmaceutical Excipients,2nd edition』(A.WadeおよびP.J.Weller編)(1994年)で見ることができる。食品添加物は、食品の外観、風味、または保存性を改善するために意識的に少量添加される、栄養価のない物質である。適切な食品添加物は、中国の食品安全国家基準および食品添加物使用基準で見つけることができる。食品添加物は、食品の外観、風味、または保存性を改善するために意識的に少量添加される、栄養価のない物質である。適切な食品添加物は、中国の食品安全国家基準および食品添加物使用基準で見つけることができる。
【0034】
特に、前記担体は、デンプンおよび水などの賦形剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、微結晶セルロースなどの崩壊剤、ラクトースなどの充填剤、α化デンプンおよびデキストリンなどの結合剤、甘味料、抗酸化剤、防腐剤、香味料、着色料および香料を含む。
【0035】
特に、前記薬物は、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒、シロップ、溶液、乳剤、注射剤、スプレー、エアロゾル、ゲル、クリーム、パップ剤、絆創膏または硬膏の剤形で存在してもよい。
【0036】
特に、前記健康食製品は、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒、シロップ、溶液、乳剤、スプレー、エアロゾル、ゲル、クリーム、パップ剤、絆創膏または硬膏の形態で存在してもよく、乳製品、菓子、飲料、ビスケット、茶葉および関連製品、ワインなどの食品の形態で存在してもよい。
【0037】
特に、チョウセンニンジン成分およびレンギョウ成分に基づいて、前記薬剤または健康製品は、サンシチニンジン、アロエベラ、カンゾウ、カシュウ、イチョウ、黒ゴマ抽出物、ショウキョウ抽出物、ブドウ種子抽出物、ザクロ種子抽出物、植物精油、アルブチン、ビタミンCおよびその誘導体またはビタミンEおよびその誘導体を含む1つまたは複数の成分をさらに含んでもよい。
【0038】
また、特に、ホルシチン、ホルシチン誘導体ならびにホルシチンおよびフィリゲニンの組成物に基づいて、前記薬物または健康製品は、ゴシュユ抽出物、ショウキョウ、ショウズク、ソウズク、リョウキョウ、チクジョ、ロコン、ハンゲ、チョウジ、センプクカ、ビワヨウ、シテイ、トウズ、タイシャセキ、カッコウ、ジンコウ、シソ、ビタミンCおよびその誘導体またはビタミンEおよびその誘導体を含んでもよい。
【0039】
ここで、チョウセンニンジンとレンギョウとの前記組成物において、チョウセンニンジンおよびレンギョウの成分は、漢方薬材、または溶媒加熱抽出法によって調製されたチョウセンニンジン‐レンギョウ抽出物の組成物、またはシクロデキストリンもしくはその誘導体と組み合わされたチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物を含むチョウセンニンジン‐レンギョウ‐シクロデキストリン組成物の組成物、またはジンセノサイド‐ホルシチンとシクロデキストリンもしくはその誘導体と組み合わされたジンセノサイド‐ホルシチンとを含むジンセノサイド‐ホルシチンシクロデキストリン組成物の形態で存在する。
【0040】
特に、前記チョウセンニンジン‐レンギョウ抽出物組成物には、チョウセンニンジン‐レンギョウアルコール抽出物およびチョウセンニンジン‐レンギョウ水抽出物が選択される。前記ジンセノサイドは、総ジンセノサイド、パナキサジオールサポニンおよび20(R)‐パナックスジンセノサイドRg3からなり、前記ホルシチンはホルシチンおよびフィリゲニンを含む。
【0041】
特に、前記チョウセンニンジン‐レンギョウ‐シクロデキストリン組成物は、チョウセンニンジン‐レンギョウ抽出物の組成物と、α‐、β‐もしくはγ‐シクロデキストリンまたはその誘導体とを混合することによって調製される混合物、またはチョウセンニンジン‐レンギョウ抽出物の組成物と、α‐、β‐もしくはγ‐シクロデキストリンまたはその誘導体との物理的または化学的処理によって調製される複合体との選択を特徴とする。
【0042】
特に、前記ジンセノサイド‐ホルシチンシクロデキストリン組成物は、ジンセノサイド、ホルシチンおよびシクロデキストリンと、α‐、β‐もしくはγ‐シクロデキストリンまたはその誘導体とを混合することによって調製される混合物または、ジンセノサイド、ホルシチン、およびα‐、β‐もしくはγ‐シクロデキストリンまたはその誘導体の物理的または化学的処理によって調製される複合体との選択を特徴とする。
【0043】
ここで、前記複合体における伝統的な漢方薬成分と、シクロデキストリンまたはその誘導体との重量比は1:1~100である。
【0044】
特に、前記シクロデキストリンはα‐、β‐またはγ‐シクロデキストリンである。前記シクロデキストリン誘導体は‐ヒドロキシエチル‐β‐シクロデキストリン、2,6‐ジメチル‐β‐シクロデキストリン、2,3,6‐トリメチル‐β‐シクロデキストリン、2,6‐ジエチル‐β‐シクロデキストリン、2,3,6‐トリエチル‐β‐シクロデキストリン、マルトシル‐β‐シクロデキストリンまたはスルホブチルエーテル‐β‐シクロデキストリン、p‐トルエンスルホニルクロリド(p‐TsCl)置換β‐シクロデキストリン、6位置換β‐CD‐p‐トルエンスルホネート(β‐シクロデキストリン‐6‐OTs)、2‐オキソヒドロキシプロピル‐β‐シクロデキストリン、2位モノ置換‐p‐トルエンスルホネート(2‐β‐シクロデキストリン‐2‐OTs)、β‐シクロデキストリン‐p‐トルエンスルホネート(トシル‐β‐CD)、PCL‐(Tos)7‐β‐CD、およびβ‐シクロデキストリンの星型高分子である。
【0045】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様の組成物を調製するための方法であって、ジンセノサイド、ホルシチンおよび任意選択でフィリゲニンを混合するステップを含む方法、または、溶媒での加熱による、チョウセンニンジン、レンギョウおよび任意選択で漢方薬材を抽出するステップを含む方法を提供する。前者は、実質的に純粋な化合物の混合方法にすることができる。
【0046】
本発明の特定の実施形態では、前記チョウセンニンジン‐レンギョウアルコール抽出物は、以下のステップに従って調製される。
1) チョウセンニンジンおよびレンギョウの薬材を抽出溶媒と混合し、浸漬プロセスを行う。
2) 浸漬したチョウセンニンジン、レンギョウおよび抽出溶媒の混合物を加熱・抽出し、濾過して抽出液を回収する。
3) 抽出液を回収・混合し、それを濃縮してエキスを調製し、それを乾燥させる。
特に、ステップ1)に記載の浸漬処理プロセスの時間は30~60分間、好ましくは30分間である。
特に、薬材のチョウセンニンジンと抽出溶媒との重量比は1:8~12、好ましくは1:10である。
特に、抽出溶媒は容量パーセント濃度50%以上のエタノール溶液であり、好ましくは50%~75%のエタノール溶液である。
ここで、ステップ2)に記載の加熱抽出回数は2~3回、好ましくは3回である。
特に、各加熱・抽出プロセスにおいて、前記チョウセンニンジンおよびレンギョウ薬材と抽出溶媒との重量比は1:8~12、好ましくは1:8であり、各加熱抽出時の温度は60~80℃、好ましくは70℃であり、加熱抽出時間は0.5~2時間、好ましくは1時間である。
ステップ3)では、前記濃縮プロセスにおいて、温度は65~85℃、好ましくは80℃であり、濃縮抽出物の相対密度は1.05~1.15、好ましくは1.1であり、乾燥処理プロセスにおける温度は70~90℃、好ましくは85℃である。
【0047】
ここで、前記チョウセンニンジン‐レンギョウ水抽出物は以下のステップに従って調製される。
1) チョウセンニンジンおよびレンギョウの薬材と水とを混合し、浸漬プロセスを行う。
2) 浸漬したチョウセンニンジン、レンギョウおよび抽出溶媒の混合物を煎じて抽出を行い、濾過して抽出液を回収する。
3) 抽出液を回収・混合し、それを濃縮してエキスを調製し、それを乾燥させる。
特に、ステップ1)に記載の浸漬処理プロセスの時間は30~60分間、好ましくは30分間である。
特に、薬材のチョウセンニンジンと抽出溶媒との重量比は1:8~12、好ましくは1:10である。
ここで、ステップ2)における前記煎じ抽出回数は2~3回、好ましくは3回である。
特に、各煎じ抽出プロセスにおいて、前記チョウセンニンジン薬材と抽出溶媒との重量比は1:8~12、好ましくは1:8であり、各煎じ抽出時の温度は90~100℃、好ましくは90~95℃であり、加熱抽出時間は0.5~2時間、好ましくは1時間である。
ステップ3)では、前記濃縮プロセスにおいて、温度は70~95℃、好ましくは80℃であり、濃縮抽出物の相対密度は1.05~1.15、好ましくは1.1であり、乾燥処理プロセスにおける温度は70~95℃、好ましくは85℃である。
【0048】
ここで、前記総ジンセノサイドは以下のステップに従って調製される。
1) チョウセンニンジン薬材と水とを混合し、材料を浸漬する。
2) 浸漬したチョウセンニンジンと抽出溶媒との混合物を加熱・抽出し、濾過して抽出液を回収する。
3) マクロポーラス樹脂カラムを使用して、回収したチョウセンニンジン抽出物を分離し、溶離液を回収・混合して、樹脂カラムからチョウセンニンジン溶離液を得る。
4) 樹脂カラムからのチョウセンニンジン溶離液の溶離液を濃縮・乾燥させてチョウセンニンジン根の総ジンセノサイドを得る。
【0049】
特に、ステップ1)に記載の浸漬処理プロセスの時間は30~60分間、好ましくは30分間である。
特に、薬材のチョウセンニンジンと抽出溶媒との重量比は1:8~12、好ましくは1:10である。
特に、抽出溶媒は容量パーセント濃度50%以上のエタノール溶液、好ましくは50%~75%のエタノール溶液である。
ここで、ステップ2)に記載の加熱抽出回数は2~3回、好ましくは3回である。
特に、各加熱抽出プロセスにおいて、前記チョウセンニンジン薬材と抽出溶媒との重量比は1:8~12、好ましくは1:8であり、各加熱抽出時の温度は60~80℃、好ましくは70℃であり、加熱抽出時間は0.5~2時間、好ましくは1時間である。
【0050】
特に、本方法は、ステップ2)において回収したチョウセンニンジン抽出物を濃縮してチョウセンニンジン濃縮液を調製し、次いでマクロポーラス樹脂カラムを用いて前記分離処理を実施することも含む。
特に、濃縮処理後に得られる濃縮チョウセンニンジン溶液は、生薬のチョウセンニンジン1~3.5g/mL(すなわち生薬1~3.5g/mlに相当)、好ましくは生薬2.5g/mLを含む。
【0051】
ここで、ステップ3)におけるマクロポーラス樹脂カラムを用いる前記クロマトグラフ処理は以下の逐次ステップを含む。3A)チョウセンニンジン抽出物溶液をマクロポーラス樹脂カラムに注入し、次いで溶離液として水を用いて溶離する。3B)溶離液として30%~50%の体積百分率濃度のエタノール溶液を用いてエタノール溶離液を溶離・回収して、樹脂カラムからチョウセンニンジン溶離液を得る。
特に、マクロポーラス樹脂カラムを用いるクロマトグラフィーにおいて、チョウセンニンジン抽出物溶液におけるチョウセンニンジンの重量とマクロポーラス樹脂の容量との比率は、1:0.8~2.5、好ましくは1:1である。
特に、マクロポーラス樹脂カラムを用いる分離処理において、マクロポーラス樹脂カラムのカラム直径と樹脂カラムの高さとの比率は、1:5~10、好ましくは1:5~7、さらに好ましくは1:5.5~5.9である。
ここで、ステップ3)において、前記マクロポーラス吸着樹脂として、X‐5、AB‐8、NK‐2、NKA‐2、NK‐9、D3520、D101およびWLDのうちの1つ、好ましくはD101が選択される。
特に、ステップ3A)において使用される水の量と、マクロポーラス樹脂カラムのカラム容積との比率は、2~4:1、好ましくは4:1であり、ステップ3B)における30%~50%の体積百分率濃度のエタノール溶液の量と、マクロポーラス樹脂カラムの容量との比率は、2~8:1、好ましくは4~8:1、さらに好ましくは8:1である。
特に、ステップ3B)において使用される溶離エタノール溶液の体積百分率濃度は50%である。
【0052】
ステップ4)では、濃縮プロセスにおいて、温度は65~90℃、好ましくは80℃であり、乾燥処理プロセスにおける温度は75~95℃、好ましくは85℃である。
特に、前記総ジンセノサイドの含有量は20%~50%である(試験は国家規格:GB/T19506‐2009の付属書Bに規定された方法に従って行われる)。
【0053】
ここで、前記パナキサジオールは以下のステップに従って調製される。
1) チョウセンニンジン薬材と水とを混合し、材料を浸漬する。
2) 浸漬したチョウセンニンジンと抽出溶媒との混合物を加熱・抽出し、濾過して抽出液を回収する。
3) マクロポーラス樹脂カラムを使用して、回収したチョウセンニンジン抽出物の第1クロマトグラフィー分離処理を行う。溶離液を回収・混合して、樹脂カラムから第1チョウセンニンジン溶離液を得る。
4) マクロポーラス樹脂カラムを使用して、樹脂カラムからの第1チョウセンニンジン溶離液の第2クロマトグラフィー分離処理を行う。溶離液を回収・混合して、樹脂カラムから第2チョウセンニンジン溶離液を得る。
5) 樹脂カラムからのチョウセンニンジンの溶離液の第2溶離液を濃縮・乾燥させてパナキサジオールを得る。
特に、ステップ1)に記載の浸漬処理プロセスの時間は30~60分間、好ましくは30分間である。
特に、薬材のチョウセンニンジンと抽出溶媒との重量比は1:8~12、好ましくは1:10である。
特に、抽出溶媒は、容量パーセント濃度50%以上のエタノール溶液であり、好ましくは50%~75%のエタノール溶液である。
【0054】
ここで、ステップ2)に記載の加熱抽出回数は2~3回、好ましくは3回である。
特に、各加熱抽出プロセスにおいて、前記チョウセンニンジン薬材と抽出溶媒との重量比は1:8~12、好ましくは1:8であり、各加熱抽出時の温度は60~80℃、好ましくは70℃であり、加熱抽出時間は0.5~2時間、好ましくは1時間である。
【0055】
特に、本方法は、ステップ2)、すなわちステップ2)で回収したチョウセンニンジン抽出物を濃縮してチョウセンニンジン濃縮液を調製し、次いで第1マクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィー分離処理を行うことも含む。
特に、濃縮処理後に得られる濃縮チョウセンニンジン溶液は、生薬のチョウセンニンジン1~3.5g/mL(すなわち生薬1~3.5g/mlに相当)、好ましくは生薬2.5g/mLを含む。
【0056】
ここで、ステップ3)におけるマクロポーラス樹脂カラムを用いる前記第1クロマトグラフ処理は以下の逐次ステップを含む。3A)チョウセンニンジン抽出物溶液をマクロポーラス樹脂カラムに注入し、次いで溶離液として水を用いて溶離する。3B)溶離液として30%~50%の体積百分率濃度のエタノール溶液を用いてエタノール溶離液を溶離・回収して、マクロポーラス樹脂カラムから第1チョウセンニンジン溶離液を得る。
【0057】
特に、マクロポーラス樹脂カラムを用いるクロマトグラフィーにおいて、チョウセンニンジン抽出物溶液におけるチョウセンニンジンの重量とマクロポーラス樹脂との比率は、1:0.8~2.5、好ましくは1:1である。
特に、マクロポーラス樹脂カラムを用いる分離処理において、マクロポーラス樹脂カラムのカラム直径と樹脂カラムの高さとの比率は、1:5~10、好ましくは1:5~7、さらに好ましくは1:5.5~5.9である。
【0058】
ここで、ステップ3)における前記マクロポーラス吸着樹脂において、X‐5、AB‐8、NK‐2、NKA‐2、NK‐9、D3520、D101およびWLDのうちの1つ、好ましくはD101が選択される。
特に、ステップ3A)において使用される水の量と、マクロポーラス樹脂カラムのカラム容積との比率は、2~4:1、好ましくは4:1であり、ステップ3B)における30%~50%の体積百分率濃度のエタノール溶液の量と、マクロポーラス樹脂カラムの容量との比率は、2~8:1、好ましくは4~8:1、さらに好ましくは8:1である。
【0059】
特に、ステップ3B)において使用される溶離エタノール溶液の体積百分率濃度は50%である。
特に、本方法は、ステップ3)、すなわち、マクロポーラス樹脂カラムからの第1チョウセンニンジン溶離液を濃縮して、樹脂カラムにより第1チョウセンニンジン濃縮液を調製し、次いでマクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィーを用いて前記第2分離処理を行うことも含む。
特に、濃縮処理後に得られる濃縮チョウセンニンジン溶液は、生薬のチョウセンニンジン3.5~6g/mL(すなわち生薬3.5~6g/mlに相当)、好ましくは生薬5.0g/mLを含む。
【0060】
特に、ステップ4)におけるマクロポーラス樹脂カラムを用いる前記第2クロマトグラフィーは、以下のステップを含む。4A)樹脂カラムからのチョウセンニンジンの第1溶離液をマクロポーラス樹脂カラムに注入し、次いで溶離液として体積百分率濃度50%~60%のエタノール溶液を用いて溶出する。4B)溶離液として体積百分率濃度70%~80%のエタノール溶液を用いて溶出し、エタノール溶離液を回収して、樹脂カラムからのチョウセンニンジンの第2溶離液を得る。
特に、ステップ4)におけるマクロポーラス樹脂カラムを用いる第2クロマトグラフィーにおいて、樹脂カラムからのチョウセンニンジンの第1溶離液におけるチョウセンニンジンの重量と、マクロポーラス樹脂の容量との比率は、1:0.8~2.5、好ましくは1:1である。
【0061】
特に、マクロポーラス樹脂カラムを用いる分離処理において、マクロポーラス樹脂カラムのカラム直径と樹脂カラムの高さとの比率は、1:5~10、好ましくは1:5~7、さらに好ましくは1:5.5~5.9である。
ここで、ステップ4)において、前記マクロポーラス吸着樹脂用に、HPD‐200、D203、XAD‐4およびHPD‐100のうちの1つ、好ましくはHPD‐100が選択される。
【0062】
特に、体積百分率濃度50%~60%のエタノール溶液の量と、ステップ4A)において用いられるマクロポーラス樹脂カラムのカラム容積との比率は、2~4:1、好ましくは4:1であり、質量パーセント濃度70%~80%のエタノール溶液の量と、ステップ3B)におけるマクロポーラス樹脂カラムの容量との比率は、2~8:1、好ましくは4~8:1、さらに好ましくは8:1である。
ステップ5)で、前記濃度プロセスにおいて、温度は65~95℃、好ましくは80℃であり、乾燥処理プロセスにおいて、温度は70~95℃、好ましくは85℃である。
【0063】
特に、前記パナキサジオールの含有量は30%~70%である(試験は国家規格:GB/T19506‐2009の付属書Bに規定された方法に従って行われる)。
ここで、前記20(R)‐ジンセノサイドRg3の含有量は1%~98%、好ましくは30%~80%、さらに好ましくは60%である。
【0064】
特に、前記20(R)‐ジンセノサイドRg3の含有量は、1%以上、好ましくは30%以上、さらに好ましくは60%以上、よりさらに好ましくは80%以上、よりさらに好ましくは98%以上であり、よりさらに好ましくは98%以上である。
ここで、20(R)‐ジンセノサイドRg3誘導体の含有量は1%~98%、好ましくは30%~80%、さらに好ましくは60%である。
【0065】
特に、前記20(R)‐ジンセノサイドRg3の含有量は、1%以上、好ましくは30%以上、さらに好ましくは60%以上、よりさらに好ましくは80%以上、よりさらに好ましくは98%以上である。
ここで、前記ホルシチンは、以下の方法に従って調製される。
【0066】
1) レンギョウ葉またはレンギョウを溶媒で、各回2~4時間、2~3回加熱して還流させる。
2) 抽出物を濃縮し、静置して沈殿させ、フィリゲニンおよびホルシチンの粗混合物を得る。
【0067】
3) フィリゲニンおよびホルシチンの粗混合物を溶媒で溶解し、静置して結晶化させ、フィリゲニンおよびホルシチンの混合物を得る。
4) フィリゲニンおよびホルシチンの混合物を溶媒で再結晶化させ、ホルシチン抽出物を得る。
【0068】
特に、ステップ1)、3)および4)における前記溶媒は、メタノール、エタノール、アセトン、水性メタノールまたは水性エタノールである。
特に、前記水性メタノールは、質量パーセント濃度70%~95%を有し、前記水性エタノールは、質量パーセント濃度70%~95%を有する。
ここで、ステップ2)における静置温度は室温、好ましくは10~35℃、さらに好ましくは20~25℃であり、静置時間は1~48時間であり、ステップ2)における濃縮抽出物溶液と元の抽出物溶液との体積比は0.1~0.5:1である。
【0069】
特に、ステップ4)における再結晶処理の前記温度は室温、好ましくは10~35℃、さらに好ましくは20~25℃である。
【0070】
本発明の第4の態様は、本発明の第1の態様の組成物と、薬剤学、健康製品または食品の産業において許容される担体とを混合するステップを含む、本発明の第3の態様の製剤を調製するための方法を提供する。
好ましくは、本発明の第4の態様の方法は、本発明の第1の態様の組成物と、シクロデキストリンまたはその誘導体(たとえば、α‐、β‐もしくはγ‐シクロデキストリンまたはその誘導体)とを混合するステップを含む。本発明の第4の態様の方法が、本発明の第1の態様の組成物と、シクロデキストリンまたはその誘導体(たとえば、α‐、β‐もしくはγ‐シクロデキストリンまたはその誘導体)とを物理的または化学的に処理して複合体を形成させるステップを含むことも好ましい。
【0071】
本発明の第5の態様は、抗ウイルス効果、解熱効果、抗炎症効果および/または免疫力増強効果を実現するための薬剤または健康食製品の調製における本発明の第1の態様の組成物の適用を提供する。したがって、本発明は、本発明の第1の態様の組成物を必要とする個体にその有効量を投与することを含む、抗ウイルス効果、解熱効果、抗炎症効果および/または免疫力増強効果を実現するための方法を提供する。好ましくは、個体は哺乳動物、好ましくはヒトであってもよい。
【0072】
好ましくは、本発明の第5の態様は、抗サイトメガロウイルス治療効果を有する健康製品または薬剤の調製における、ホルシチン、ホルシチン誘導体ならびにホルシチンおよびフィリゲニンの組成物の適用を提供する。それに応じて、本発明の第5の態様は、サイトメガロウイルス感染症による障害の予防および治療のための健康製品または薬剤の調製における、ホルシチン、ホルシチン誘導体ならびにホルシチンおよびフィリゲニンの組成物の適用も提供する。前記健康製品または薬剤は、抗サイトメガロウイルス効果のために、またはヒトサイトメガロウイルス感染症関連障害または疾患の予防および治療のために、有効成分としてホルシチン、ホルシチン誘導体ならびにホルシチンおよびフィリゲニンの組成物を含む。
【0073】
ここで、サイトメガロウイルスはヒトサイトメガロウイルスであり、したがって前記状態はヒトサイトメガロウイルス感染症による障害である。前記状態は、単純なヒトサイトメガロウイルス感染症などの単純なヒトサイトメガロウイルス感染状態を含み、また心血管および脳血管疾患、腫瘍、熱傷またはエイズの治療中に、臓器移植のプロセス中に、または周産期においてヒトサイトメガロウイルスに感染した患者を含む。
ここで、ホルシチンおよびフィリゲニンの前記組成物はホルシチンモノマーとフィリゲニンモノマーとで構成されるか、またはフィリゲニン抽出物およびホルシチン抽出物の組成物は溶媒加熱抽出法によって調製されるか、またはフィリゲニン‐ホルシチンシクロデキストリン組成物は、フィリゲニンおよびホルシチンとシクロデキストリンまたはその誘導体とで調製される。
【0074】
特に、前記フィリゲニン‐ホルシチンシクロデキストリン組成物は、フィリゲニン、ホルシチン、およびα‐、β‐もしくはγ‐シクロデキストリンまたはその誘導体を混合することによって調製される混合物、またはフィリゲニン、ホルシチン、およびα‐、β‐もしくはγ‐シクロデキストリンまたはその誘導体の物理的または化学的処理によって調製される複合体を選択することによる混合物である。
特に、フィリゲニン‐ホルシチンシクロデキストリン組成物におけるフィリゲニンおよびホルシチンの重量と、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の重量との比率は、1:1~50である。
【0075】
特に、前記シクロデキストリンはα‐、β‐またはγ‐シクロデキストリンであり、前記シクロデキストリン誘導体は、ヒドロキシエチル‐シクロデキストリン、2,6‐ジメチル‐シクロデキストリン、2,3,6‐トリメチル‐シクロデキストリン、2,6‐ジエチル‐シクロデキストリン、2,3,6‐トリエチル‐シクロデキストリン、マルトシル‐シクロデキストリンまたはスルホブチルエーテル‐β‐シクロデキストリン、p‐トルエンスルホニルクロリド(p‐TsCl)置換β‐シクロデキストリン、6位置換β‐CD‐p‐トルエンスルホネート(β‐シクロデキストリン‐6‐OTs)、2‐オキソヒドロキシプロピル‐β‐シクロデキストリン、2位モノ置換‐p‐トルエンスルホネート(2‐β‐シクロデキストリン‐2‐OTs)、β‐シクロデキストリン‐p‐トルエンスルホネート(トシル‐β‐CD)およびPCL‐(Tos)7‐β‐CD(β‐シクロデキストリンの星型高分子)である。
【0076】
特に記載のない限り、用語「有効量」は、本明細書で用いる場合、治療的または予防的に有効な効果をもたらすために必要な薬剤の量を意味する。「有効量」は、投与経路および製剤の性質などの一般的な条件、レシピエントの体重および年齢、ならびに治療される疾患の性質および重症度などの要因を考慮して、医療従事者が、調整、変更し、最終決定することができる。
【0077】
従来技術と比較して、本発明は以下の明らかな利点を有する。
1. 本発明のチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物の製剤は、科学的かつ独特であり、確かな治療効果、高い安全性プロファイル、制御可能な品質、即効作用を有し、毒性および副作用がほとんどなく、長期使用に適している。したがって、医薬用途の点で強く期待される。一連の実験的研究によって、本製剤は、抗ウイルス効果、解熱効果、抗炎症効果および/または免疫力増強効果を実現することができ、その効果および機能は、単独で使用した場合のチョウセンニンジンまたはレンギョウの効果よりも著しく優れていることが明らかとなった。特定の割合でのチョウセンニンジンとレンギョウとの併用は相乗効果を有する。
【0078】
2. 本発明に関して行った一連の実験的研究により、ホルシチン、ホルシチン誘導体ならびにホルシチンおよびフィリゲニンの組成物は、強力な薬理効果、即効作用を有し、毒性および副作用がほとんどなく、ならびに優れた安全性プロファイルを有し、ヒトサイトメガロウイルス感染症に関連する疾患の予防、緩和および治療に顕著な効果を有することが示され、長期投与に適しており、したがって強く期待される。
3. 本発明の製品は、原料の豊富な供給源、低い価格、穏やかなプロセス条件、安全な臨床使用、およびシンプルな調製方法、という利点を有する。本発明の製品は、様々な剤形に調製することができ、用量が少なく、使用に便利である。特に、本発明の製品は、原料が安全で、日常的な消費および長期摂取が可能であり、乳製品、キャンディ、飲料、ビスケット、茶および関連製品、ワインおよび他の食品形態に製造することができるので、応用範囲が広く、普及させることが容易である。
【0079】
4. 本発明のレンギョウ組成物の組成物は、モノマー成分を用いて定量的に製剤化するか、または抽出によって調製して、チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物に調製するか、またはチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物とα‐、β‐もしくはγ‐シクロデキストリンまたはその誘導体とを組み合わせて組成物に製剤化することができる。さらに、チョウセンニンジン薬剤およびレンギョウ薬剤の組成物は、ホコウエイ抽出物、バンランコン根抽出物、ニンドウ花抽出物、チモ抽出物、ゲンジン抽出物、ウツボグサ抽出物、ロコン抽出物、タンチクヨウ抽出物、クチナシ抽出物、バイモ抽出物、クテイチャ抽出物およびジュウヤク抽出物の成分の1つまたは複数と組み合わせて混合物を調製して、抗ウイルス効果、解熱効果、抗炎症効果および/または免疫力増強効果を実現してもよい。
【0080】
5. 本発明には、ヒトサイトメガロウイルス感染症関連状態を予防、緩和および治療するための薬剤を調製するために、ホルシチンおよびホルシチン誘導体の単一成分の有効成分と、ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物、またはホルシチンおよびホルシチン誘導体の組成物と、ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物ならびに他の有効成分(たとえばゴシュユ抽出物、ショウキョウ、ショウズク、ソウズク、リョウキョウ、チクジョ、ロコン、ハンゲ、チョウジ、センプクカ、ビワヨウ、シテイ、トウズ、タイシャセキ、カッコウ、ジンコウ、シソ、ビタミンCおよびその誘導体またはビタミンEおよびその誘導体)と、を使用することができる。本製品は、ヒトサイトメガロウイルス感染症を予防および治療するために通常の製剤を使用する。
【発明を実施するための形態】
【0081】
本発明に記載されている製剤の有益な効果について、具体的な実施形態を用いて以下にさらに説明する。これらの実施例は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の製剤アイデアおよび使用範囲から逸脱することなく本発明の技術提案の詳細および形態を変更または置換できることは、当業者に認められるであろう。ただし、これらの変更および置換のすべては、本発明の保護の範囲に含まれる。
【0082】
本発明における前記ホルシチン誘導体33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド、9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニドおよび33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニドは、特許出願(出願番号:201510319303.4、優先権番号:201510164294.6)に記載されているホルシチン誘導体と同じものである。(2R,3R,4R,5S)‐メチル6‐(5‐((1R,4S)‐4‐(3,4‐ジメトキシフェニル)ヘキサヒドロフロ[3,4‐c]フラン‐1‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)‐3,4,5‐トリヒドロキシテトラヒドロ‐2H‐ピラン‐2‐カルボキシレート、ナトリウム(2R,3R,4R,5S)‐6‐(5‐((1R,4S)‐4‐(3,4‐ジメトキシフェニル)ヘキサヒドロフロ[3,4‐c]フラン‐1‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)‐3,4,5‐トリヒドロキシテトラヒドロ‐2H‐ピラン‐2‐カルボキシレートおよびカリウム(2R,3R,4R,5S)‐6‐(5‐((1R,4S)‐4‐(3,4‐ジメトキシフェニル)ヘキサヒドロフロ[3,4‐c]フラン‐1‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)‐3,4,5‐トリヒドロキシテトラヒドロ‐2H‐ピラン‐2‐カルボキシレートおよびフォルシチオングルクロン酸は、特許出願(出願番号:201510320579.4、優先権番号:201410825547.5)に記載されているものと同じものである。
【0083】
実施例1:ホルシチン錠剤
1. 以下の比率で原料を調合する。
・ホルシチン(純度:86%) 500g
・デンプン 1000g
・タルク 15g
・ステアリン酸マグネシウム 15g
2. 上記の比率でホルシチンとデンプンとを混ぜ、よく混合し、この混合物を顆粒に調製し、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、よく混合し、次いで混合物を圧縮して10,000錠の錠剤にする。
【0084】
実施例2:ホルシチンカプセル
1. 以下の比率で原料を調合する。
・ホルシチン(純度:60%) 200g
・デンプン 1000g
2. ホルシチンとデンプンとを混ぜ、よく混合し、それを10,000個のカプセルに分注する。
【0085】
実施例3:ホルシチンカプセル
1. 以下の比率で原料を調合する。
・ホルシチン(純度:98%) 500g
・デンプン 1000g
2. ホルシチンとデンプンとを混ぜ、よく混合し、それを10,000個のカプセルに分注する。
【0086】
実施例4:ホルシチン錠剤
1. 以下の比率で原料を調合する。
・ホルシチン(純度:63%) 50g
・ゴシュユ抽出物 200g
・ビタミンC 400g
・デンプン 1000g
・タルク 16.5g
・ステアリン酸マグネシウム 16.5g
2. ホルシチン、ゴシュユ抽出物、ビタミンC、デンプンを混ぜ、よく混合し、この混合物を顆粒に調製し、次いでタルクおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、よく混合し、次いで混合物を圧縮して10,000錠の錠剤にする。
【0087】
実施例5:ホルシチンカプセル
1. 以下の比率で原料を調合する。
・ホルシチン(純度:98%) 300g
・リョウキョウ抽出物 300g
・ビタミンC 600g
・デンプン 1000g

2. ホルシチン、リョウキョウ抽出物、ビタミンC、デンプンを混ぜ、よく混合し、それを10,000個のカプセルに分注する。
【0088】
実施例6:ホルシチン顆粒
1. 以下の比率で原料を調合する。
・ホルシチン(純度:92%) 500g
・シャニン抽出物 30g
・ビタミンC 600g
・ショ糖粉末 5000g

2. ホルシチン、シャニン抽出物、ビタミンC、ショ糖粉末を混ぜ、よく混合し、それを顆粒に調製し、それを10,000個の袋に分注する。
【0089】
実施例7:ホルシチン内服液
1. 以下の比率で原料を調合する。
・ホルシチン(純度:98%) 4g
・チクジョ抽出物 3g
・ロコン抽出物 3g
・グルコースシロップ 5g
・脱イオン水 適量
ホルシチン、チクジョ抽出物およびロコン抽出物を取り、エタノールで溶解し、グルコースシロップを添加し、次いで脱イオン水を添加して100mlにし、よく混合して製品を得る。
【0090】
実施例8:33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド錠剤
1. 以下の比率で原料を調合する。
・33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド(純度66%) 500g
・デンプン 1000g
・タルク 15g
・ステアリン酸マグネシウム 15g
2. 33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニドとデンプンとをよく混合し、顆粒化し、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、圧縮して10000錠の錠剤を製造する。
【0091】
実施例9:33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニドカプセル
1. 以下の比率で原料を調合する。
・33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド(純度60%) 200g
・デンプン 1000g
2. 33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニドとデンプンとをよく混合し、それをカプセルに充填して10000個のカプセルを製造する。
【0092】
実施例10:33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニドカプセル
1. 以下の比率で原料を調合する。
・33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド(純度98%) 500g
・デンプン 1000g
2. 33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニドとデンプンとをよく混合し、それをカプセルに充填して10000個のカプセルを製造する。
【0093】
実施例11:33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド錠剤
1. 以下の比率で原料を調合する。
・33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド(純度63%) 50g
・ゴシュユ抽出物 20g
・ビタミンC 400g
・デンプン 1000g
・タルク 14.7g
・ステアリン酸マグネシウム 14.7g
2. 33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド、ゴシュユ抽出物、ビタミンC、デンプンをよく混合し、顆粒化し、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、よく混合し圧縮して10000錠の錠剤を製造する。
【0094】
実施例12:33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニドカプセル
1. 以下の比率で原料を調合する。
・33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド(純度98%) 300g
・ハンゲ抽出物 30g
・ビタミンC 600g
・デンプン 1000g
2. 33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド、ハンゲ抽出物、ビタミンC、デンプンをよく混合し、それをカプセルに充填して10000個のカプセルを製造する。
【0095】
実施例13:33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド顆粒
1. 以下の比率で原料を調合する。
・33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド(純度98%) 500g
・ショウウズク抽出物 30g
・ビタミンC 600g
・ショ糖粉末 5000g
2. 33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド、ショウズク抽出物、ビタミンC、ショ糖粉末をよく混合し、顆粒化し、それを10000個の袋に分注する。
【0096】
実施例14:33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド内服液
1. 以下の比率で原料を調合する。
・33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド(純度98%) 4g
・ゴシュユ抽出物 3g
・ショウウズク抽出物 5g
・グルコースシロップ 5g
・脱イオン水 適量
2. 33‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド、ショウズク抽出物およびゴシュユ抽出物をエタノールに溶解し、グルコースシロップを添加し、最後に脱イオン水を添加して100mLにする。
【0097】
実施例15:9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド錠剤
1. 以下の比率で原料を調合する。
・9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド(純度66%) 500g
・デンプン 1000g
・タルク 15g
・ステアリン酸マグネシウム 15g
2. 9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニドとデンプンとをよく混合し、顆粒化し、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、圧縮して10000錠の錠剤を製造する。
【0098】
実施例16:9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニドカプセル
1. 以下の比率で原料を調合する。
・9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド(純度97%) 200g
・デンプン 1000g
2. 9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニドとデンプンをよく混合し、それをカプセルに充填して10000個のカプセルを製造する。
【0099】
実施例17:9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニドカプセル
1. 以下の比率で原料を調合する。
・9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド(純度98%) 500g
・デンプン 1000g
2. 9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニドとデンプンをよく混合し、それをカプセルに充填して10000個のカプセルを製造する。
【0100】
実施例18:9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド錠剤
1. 以下の比率で原料を調合する。
・9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド(純度63%) 50g
・ゴシュユ抽出物 20g
・ビタミンC 400g
・デンプン 1000g
・タルク 14.7g
・ステアリン酸マグネシウム 14.7g
2. 9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド、ゴシュユ抽出物、ビタミンC、デンプンを混合し、顆粒化し、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、よく混合し、圧縮して10000錠の錠剤を製造する。
【0101】
実施例19:9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニドカプセル
1. 以下の比率で原料を調合する。
・9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド(純度98%) 300g
・ハンゲ抽出物 30g
・ビタミンC 600g
・デンプン 1000g
2. 9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド、ハンゲ抽出物、ビタミンC、デンプンをよく混合し、それをカプセルに充填して10000個のカプセルを製造する。
【0102】
実施例20:9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド顆粒
1. 以下の比率で原料を調合する。
・9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド(純度92%) 500g
・ショウウズク抽出物 30g
・ビタミンC 600g
・ショ糖粉末 5000g
2. 9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド、ショウズク抽出物、ビタミンC、ショ糖粉末をよく混合し、顆粒化し、それを10000個の袋に分注する。
【0103】
実施例21:9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド内服液
1. 以下の比率で原料を調合する。
・9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド(純度98%) 4g
・センプクカ抽出物 3g
・ショウウズク抽出物 3g
・グルコースシロップ 5g
・脱イオン水 適量
2. 9‐ヒドロキシフィリゲニングルクロニド、ショウズク抽出物およびセンプクカ抽出物をエタノールに溶解し、グルコースシロップを添加し、最後に脱イオン水を添加して100mLにする。
【0104】
実施例22:33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニド錠剤
1. 以下の比率で原料を調合する。
・33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニド(純度66%) 500g
・デンプン 1000g
・タルク 15g
・ステアリン酸マグネシウム 15g
2. 33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニドとデンプンとをよく混合し、顆粒化し、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、よく混合し、圧縮して10000錠の錠剤を製造する。
【0105】
実施例23:33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニドカプセル
1. 以下の比率で原料を調合する。
・33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニド(純度97%) 200g
・デンプン 1000g
2. 33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニドとデンプンとをよく混合し、それをカプセルに充填して10000個のカプセルを製造する。
【0106】
実施例24:33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニドカプセル
1. 以下の比率で原料を調合する。
・33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニド(純度98%) 500g
・デンプン 1000g
2. 33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニドとデンプンとをよく混合し、それをカプセルに充填して10000個のカプセルを製造する。
【0107】
実施例25:33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニド錠剤
1. 以下の比率で原料を調合する。
・33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニド(純度63%) 50g
・センプクカ抽出物 20g
・ビタミンC 400g
・デンプン 1000g
・タルク 14.7g
・ステアリン酸マグネシウム 14.7g
2. 33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニド、センプクカ抽出物、ビタミンC、デンプンをよく混合し、顆粒化し、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、よく混合し、圧縮して10000錠の錠剤を製造する。
【0108】
実施例26:33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニドカプセル
1. 以下の比率で原料を調合する。
・33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニド(純度98%) 300g
・ハンゲ抽出物 30g
・ビタミンC 600g
・デンプン 1000g
2. 33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニド、ハンゲ抽出物、ビタミンC、デンプンをよく混合し、それをカプセルに充填して10000個のカプセルを製造する。
【0109】
実施例27:33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニド顆粒
1. 以下の比率で原料を調合する。
・33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニド(純度92%) 500g
・ショウズク抽出物 30g
・ビタミンC 600g
・ショ糖粉末 5000g
2. 33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニド、ショウズク抽出物、ビタミンC、ショ糖粉末をよく混合し、顆粒化し、それを10000個の袋に分注する。
【0110】
実施例28:33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニド顆粒
1. 以下の比率で原料を調合する。
・33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニド(純度98%) 300g
・ショウズク抽出物 30g
・ビタミンC 600g
・ショ糖粉末 5000g
10000個の袋を製造する。
2. 33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニド、ショウズク抽出物、ビタミンC、ショ糖粉末をよく混合し、顆粒化し、それを10000個の袋に分注する。
【0111】
実施例29:33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニド内服液
1. 以下の比率で原料を調合する。
・33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニド(純度98%) 4g
・センプクカ抽出物 3g
・ショウウズク抽出物 3g
・グルコースシロップ 5g
・脱イオン水 適量
2. 33,34‐メチレンジオキシフィリゲニングルクロニド、ショウズク抽出物およびセンプクカ抽出物をエタノールに溶解し、グルコースシロップを添加し、最後に脱イオン水を添加して100mLにする。
【0112】
実施例30:ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物の錠剤の調製
1. 以下の比率でホルシチン/フィリゲニン組成物の錠剤を調製する。
・ホルシチン/フィリゲニン組成物(重量比98:2) 500g
・デンプン 480g
・タルク 10g
・ステアリン酸マグネシウム 10g
2. ホルシチン490g、フィリゲニン10gをデンプンとよく混合し、顆粒化し、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、圧縮して10000錠の錠剤を製造する。
【0113】
実施例31:ホルシチン/フィリゲニン組成物の顆粒の調製
1. 以下の比率でホルシチン/フィリゲニン組成物の顆粒を調製する。
・ホルシチン/フィリゲニン組成物(重量比98:2) 100g
・微結晶セルロース 10000g
2. ホルシチン98g、フィリゲニン2gを微結晶セルロースとよく混合し、顆粒化し、それを10000個の袋に分注する。
【0114】
実施例32:ホルシチン/フィリゲニン組成物のカプセルの調製
1. 以下の比率でホルシチン/フィリゲニン組成物のカプセルを調製する。
・ホルシチン/フィリゲニン組成物(重量比98:2) 250g
・デンプン 2500g
2. ホルシチン245g、フィリゲニン5gをデンプンとよく混合し、それをカプセルに充填して10000個のカプセルを製造する。
【0115】
実施例33~36:ホルシチン/フィリゲニン組成物のカプセルの調製
実施例33~36では、ホルシチン/フィリゲニン組成物を以下の表の重量比でデンプンと混合し、次いでカプセルに充填してそれぞれ10000個のカプセルを製造する。
【0116】
【表1】
【0117】
実施例37~40:ホルシチン/フィリゲニン組成物の顆粒の調製
実施例37~40では、ホルシチン/フィリゲニン組成物と微結晶セルロースとを以下の表の重量比に基づいて混合し、顆粒化し、10000個の袋に充填する。
【0118】
【表2】
【0119】
実施例41:ホルシチン/フィリゲニン組成物の錠剤の調製
1. 以下の比率でホルシチン/フィリゲニン組成物の錠剤を調製する。
・ホルシチン/フィリゲニン組成物(重量比98:2) 500g
・デンプン 380g
・カッコウ抽出物 100g
・タルク 10g
・ステアリン酸マグネシウム 10g
2. ホルシチン490g、ホルシチン10gをカッコウ抽出物粉末とよく混合し、次いでデンプンとよく混合し、顆粒化し、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、よく混合し、圧縮して10000錠の錠剤を製造する。
【0120】
実施例42:ホルシチン/フィリゲニン組成物の顆粒の調製
1. 以下の比率でホルシチン/フィリゲニン組成物の顆粒を調製する。
・ホルシチン/フィリゲニン組成物(重量比98:2) 250g
・ジンコウ抽出物 250g
・カッコウ抽出物 250g
・微結晶セルロース 24500g
2. ホルシチン245g、フィリゲニン5gをジンコウ抽出物およびカッコウ抽出物粉末と混合し、次いで微結晶セルロースとよく混合し、顆粒化し、それを10000個の袋に分注する。
【0121】
実施例43:ホルシチン/フィリゲニン組成物のカプセルの調製
1. 以下の比率でホルシチン/フィリゲニン組成物のカプセルを調製する。
・ホルシチン/フィリゲニン組成物(重量比98:2) 250g
・シソ抽出物 250g
・ビワヨウ抽出物 250g
・チョウジ抽出物 250g
・デンプン 1000g
2. ホルシチン245g、フィリゲニン5g、シソ抽出物、ビワヨウ抽出物、チョウジ抽出物粉末をよく混合し、次いでデンプンとよく混合し、それをカプセルに充填して10000個のカプセルを製造する。
【0122】
実施例44:ホルシチン/フィリゲニン組成物の錠剤の調製
1. 以下の比率でホルシチン/フィリゲニン組成物の錠剤を調製する。
・ホルシチン/フィリゲニン組成物(重量比80:20) 500g
・デンプン 480g
・ビワヨウ抽出物 500g
・タルク 10g
・ステアリン酸マグネシウム 10g
2. ホルシチン490g、フィリゲニン10gをビワヨウ抽出物粉末とよく混合し、次いでデンプンとよく混合し、顆粒化し、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、よく混合し、圧縮して10000錠の錠剤を製造する。
【0123】
実施例45:ホルシチン/フィリゲニン組成物の顆粒の調製
1. 以下の比率でホルシチン/フィリゲニン組成物の顆粒を調製する。
・ホルシチン/フィリゲニン組成物(重量比90:10) 1000g
・センプクカ抽出物 500g
・ハンゲ抽出物 500g
・微結晶セルロース 10000g
2. ホルシチン900g、フィリゲニン100gを上記の抽出物(センプクカ、ハンゲ)と混合し、次いで微結晶セルロースとよく混合し、顆粒化し、それを10000個の袋に分注する。
【0124】
実施例46:ホルシチン/フィリゲニン組成物のカプセルの調製
1. 以下の比率でホルシチン/フィリゲニン組成物のカプセルを調製する。
・ホルシチン/フィリゲニン組成物(重量比94:6) 2000g
・センプクカ抽出物 250g
・ソウズク抽出物 500g
・ビワヨウ抽出物 250g
・デンプン 1000g
2. ホルシチン1880g、フィリゲニン120gと上記の抽出物(センプクカ、ソウズク、ビワヨウ)とをよく混合し、次いでデンプンとよく混合し、それをカプセルに充填して10000個のカプセルを製造する。
【0125】
実施例47:ホルシチン/フィリゲニン組成物のソフトカプセルの調製
1. 以下の比率でホルシチン/フィリゲニン組成物のソフトカプセルを調製する。
・ホルシチン/フィリゲニン組成物(重量比94:6) 2000g
・β―シクロデキストリン 1500g
・PEG‐400 2000g
・PEG‐4000 26g
・プロピレングリコール 260g
2. PEG‐400 2000g、PEG‐4000 26g、プロピレングリコール260gを65℃に加熱して溶融し、よく混合し、これを水溶性マトリックスとして用いる。組成物と混ぜてよく混合する。ゼラチン5000gと水4500gを取り、70℃に加熱し、グリセリン1750gとメチルパラベン15gを取り、撹拌し、1時間排気し、上記のゼラチンと混合し、70℃に維持し、終夜放置する。自動ソフトカプセル充填機で調製して10000個のソフトカプセルを得る。
【0126】
実施例48:ホルシチン、ホルシチン誘導体、ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物のヒトサイトメガロウイルスに対するin vitroでの実験研究
【0127】
1. 実験材料
1.1 薬物および試薬
ホルシチン(バッチ番号:20130303)(白色粉末)は、大連富生天然薬物開発有限公司(Dalian Fusheng Natural Drugs Development Co., Ltd.)で製造された。純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により99.5%と決定された。また、中国医薬生物学的製剤分析用ホルシチン標準物質で校正し、含有量は99.5%であることが確認された。
33‐ヒドロキシホルシチングルクロニド(ホルシチン誘導体A、バッチ番号:20130301)(白色粉末)は、大連富生天然薬物開発有限公司で製造された。高速液体クロマトグラフィーの2つの検出器(紫外検出器および蒸発光散乱検出器)による面積正規化法によって、純度は98.5%と決定された。
9‐ヒドロキシホルシチングルクロニド(ホルシチン誘導体B、バッチ番号:20130302)(白色粉末)は、大連富生天然薬物開発有限公司で製造された。高速液体クロマトグラフィーの2つの検出器(紫外検出器および蒸発光散乱検出器)による面積正規化法によって、純度は99.2%と決定された。
33,34‐メチレンジオキシホルシチングルクロニド(ホルシチン誘導体C、バッチ番号:20130301)(白色粉末)は、大連富生天然薬物開発有限公司で製造された。高速液体クロマトグラフィーの2つの検出器(紫外検出器および蒸発光散乱検出器)による面積正規化法によって、純度は98.7%と決定された。
ホルシチン/フィリゲニン組成物A(バッチ番号:20130305)(白色粉末)は、大連富生天然薬物開発有限公司で製造された。高速液体クロマトグラフィーによる含有量試験では、ホルシチンとフィリゲニンとの比率は98:2であり、ホルシチンとフィリゲニンの含有量の合計は98.4%であった。
ホルシチン/フィリゲニン組成物B(バッチ番号:20130306)(白色粉末)は、大連富生天然薬物開発有限公司で製造された。高速液体クロマトグラフィーによる含有量試験では、ホルシチンとフィリゲニンとの比率は90:10であり、ホルシチンとフィリゲニンの含有量の合計は98.1%であった。
ガンシクロビル(GCV)注射用粉末(商品名:Li ke wei、湖北科益薬業有限公司、バッチ番号:091102)
【0128】
1.2 ウイルスおよび細胞
ヒト 胚性肺 線維芽細胞株(上海優選生物科技有限公司(Sino Best Biological Technology Co., Ltd.)から購入した)。この細胞は、常法によって、培養および継代培養を行った。
HCMV AD169株は、American Type Culture Collection(ATCC)から購入した。
【0129】
2. 方法
2.1 ウイルス毒性アッセイ
細胞およびウイルスの培養、継代培養および増殖は常法に従って行った。HCMV AD169株のTCD50は10‐4.6であった。
2.2. 薬物毒性試験
MTT法および細胞変性効果法を用いて、各薬物およびGCVの最大非毒性濃度(TD0)をそれぞれ決定した。これら2つの方法による結果は一致していた。結果を表1に示す。
2.3. HCMVに対する阻害効果
96ウェルプレートに細胞を接種し、単層に増殖させ、TCD50の100倍のウイルスチャレンジ接種を行った。TD0を起点にして、各薬物を10倍勾配で段階的に希釈して、5つの濃度を調製し、各濃度について4ウェルをセットした。さらに、正常細胞対照4ウェルおよびウイルス対照4ウェルをセットした。10日間の培養後、薬物の最小有効濃度(MEC)を調べ、治療係数(TD0/MEC)を算出した。具体的なデータを以下の表に示す。
【0130】
【表3】
【0131】
3 考察
抗ウイルス薬ガンシクロビルを対照として、細胞変性効果法およびMTT法を用いてin vitroでヒトサイトメガロウイルス(HCMV)に対するホルシチン、ホルシチン誘導体、ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物の阻害効果を調べた。その結果、ホルシチン、ホルシチン誘導体、ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物は、in vitroでヒトサイトメガロウイルスを強く阻害し、対照薬よりも、毒性がより低く、治療係数がより高いことが示された。ホルシチン、ホルシチン誘導体、ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物は、サイトメガロウイルスの抑制のための臨床適用が期待されることが示唆された。
【0132】
実施例49~52:チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物(生薬原末)の調製
チョウセンニンジンとレンギョウの2つの生薬末を取り、表2の重量比に基づいてこの2つを混合し、チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物を調製することができる。チョウセンニンジンとレンギョウは中国薬局方の規格に準拠した生薬である。
【0133】
【表4】
【0134】
実施例53:チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物のアルコール抽出物の調製
1. 第1抽出処理
粉状のチョウセンニンジン(300g)およびレンギョウ(300g)をそれぞれ伝統的な漢方薬の多機能性抽出タンクに入れ、体積百分率濃度70%のエタノール溶液(3000g)と混合して30分間浸漬し、多機能性抽出タンクの電源を入れて加熱し、チョウセンニンジンおよびレンギョウのそれぞれに対して第1加熱抽出処理を行い、70℃の温度に1時間保って定温抽出を行い、次いで濾過して第1抽出物および第1残渣を得る。抽出溶媒(エタノール溶液)に対するチョウセンニンジンとレンギョウのそれぞれの重量比は1:10である。
本発明では、抽出溶媒に対するチョウセンニンジンとレンギョウのそれぞれの重量比が1:10であることに加えて、1:8~12などの他の比率も本発明に適用可能である。浸漬時間30分に加えて、30分以上の他の浸漬時間も本発明に適用可能であり、好ましくは30~60分が適用可能である。体積百分率濃度70%のエタノール溶液に加えて、体積百分率濃度50%以上の他のエタノール溶液も本発明に適用可能であり、好ましくは濃度50~75%エタノール溶液および無水エタノールが適用可能である。60~80℃の抽出温度、0.5~2時間の加熱抽出時間が本発明に適用可能である。
【0135】
2. 第2抽出処理
第1残渣に体積百分率濃度70%のエタノール溶液を加え、加熱し、チョウセンニンジンとレンギョウにそれぞれ第2加熱抽出処理を行い、70℃の温度に1時間保って定温抽出を行い、次いで濾過して第2抽出物および第2残渣を得る。抽出溶媒に対するチョウセンニンジンとレンギョウのそれぞれの重量比は1:10である。
3. 第3抽出処理
第2残渣に体積百分率濃度70%のエタノール溶液を加え、加熱し、チョウセンニンジンおよびレンギョウに、それぞれ第3加熱抽出処理を行い、70℃の温度に1時間保って定温抽出を行い、次いで濾過して第3抽出物を得る。抽出溶媒に対するチョウセンニンジンとレンギョウのそれぞれの重量比は1:10である。
【0136】
本発明の実施例では、チョウセンニンジンおよびレンギョウのアルコール抽出物の第2および第3抽出プロセスに使用する抽出溶媒のための体積百分率濃度70%のエタノール溶液に加えて、体積百分率濃度50%以上の他のエタノール溶液、好ましくは濃度50~75%のエタノール溶液および無水アルコールが本発明に適用可能である。60~80℃の抽出温度が本発明に適用可能である。0.5~2時間の加熱抽出時間が本発明に適用可能である。
本発明の実施例では、チョウセンニンジンおよびレンギョウのアルコール抽出物の調製プロセスにおいて、3回の加熱抽出があり、2~3回の抽出が本発明に適用可能である。
【0137】
4. 濃縮・乾燥処理
2:98の重量比に基づく3回の濾過によって得られた第1、第2および第3抽出物を混合し、次いでそれをロータリーエバポレーターに入れて80℃の温度で蒸発濃縮して1.1の相対密度の抽出物を得、次いでそれをオーブンに入れて85℃で恒量に乾燥させてチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物のアルコール抽出物を得る。
チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物のアルコール抽出物は、淡黄褐色の粉末であり、特有の香りを有し、エタノールに可溶である。
本発明におけるチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物のアルコール抽出物の濃縮プロセスでは、65~85℃の濃縮温度および1.05~1.15の濃縮抽出物の相対密度が本発明に適用可能である。乾燥プロセスにおいて、70~90℃の温度が本発明に適用可能である。本発明の方法によって調製されるチョウセンニンジンのアルコール抽出物中の含有量は2~5%である。
【0138】
実施例54 チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の水抽出物の調製
1. 浸漬処理
粉状のチョウセンニンジン(300g)、レンギョウ(300g)および抽出溶媒である水道水(3000g)をそれぞれ伝統的な漢方薬の多機能性抽出タンクに入れ、よく混合し、30分間浸漬する。抽出溶媒の水に対するチョウセンニンジンとレンギョウのそれぞれの重量比は1:10である。
本発明におけるチョウセンニンジンおよびレンギョウの水抽出物の調製プロセスにおいて、30分以上の浸漬時間が本発明に適用可能であり、好ましくは30~60分間が適用可能である。チョウセンニンジンと抽出溶媒水との1:10の重量比に加えて、1:8~12などの他の比率が本発明に適用可能である。
【0139】
2. 第1抽出処理
30分間浸漬後、多機能性抽出タンクの電源を入れて加熱し、煎じ、チョウセンニンジンおよびレンギョウの第1抽出を行い、95℃の温度に1時間保って定温抽出を行い、次いで濾過して第1抽出物および第1残渣を得る。
3. 第2抽出処理
第1残渣に水道水を加えて加熱し、煎じ、チョウセンニンジンおよびレンギョウの第2抽出を行い、90℃の温度に1時間保って定温抽出を行い、次いで濾過して第2抽出物および第2残渣を得る。チョウセンニンジンと抽出溶媒との重量比は1:10である。
【0140】
4. 第3抽出処理
第2残渣に水道水を加えて加熱し、煎じ、チョウセンニンジンおよびレンギョウの第3抽出を行い、90℃の温度に1時間保って定温抽出を行い、次いで濾過して第3抽出物を得る。チョウセンニンジンおよびレンギョウと抽出溶媒との重量比は1:10である。
本発明の実施例では、チョウセンニンジンと抽出溶媒水の1:10の重量比に加えて、チョウセンニンジンおよびレンギョウの水抽出物の第1、第2および第3抽出プロセスにおいて、1:8~12などの他の比率が本発明に適用可能である。90~100℃、好ましくは90~95℃の抽出温度が本発明に適用可能である。0.5~2時間、好ましくは1時間の加熱抽出時間が本発明に適用可能である。
本発明の実施例では、チョウセンニンジンおよびレンギョウの水抽出物の調製プロセスにおいて、3回の加熱抽出があり、2~3回の抽出が本発明に適用可能である。
【0141】
5. 濃縮・乾燥処理
2:98の重量比に基づく3回の濾過によって得られる第1、第2および第3抽出物を混合し、次いでそれをロータリーエバポレーターに入れて80℃の温度で蒸発濃縮して1.1の相対密度の抽出物を得、次いでそれをオーブンに入れて85℃で恒量に乾燥させてチョウセンニンジンの水抽出物を得る。
チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物の水抽出物は淡黄褐色粉末であり、特有の香りを有し、水溶性が高い。
【0142】
本発明におけるチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物の水抽出物の濃縮プロセスでは、70~95℃の濃縮温度、1.05~1.15の濃縮抽出物の相対密度が本発明に適用可能であり、70~95℃の乾燥温度が本発明に適用可能である。
【0143】
実施例55:総ジンセノサイドの調製
1. 第1抽出処理:実施例5と同様である。
2. 第2抽出処理:実施例5と同様である。
3. 第3抽出処理:実施例5と同様である。
4. 濃縮処理
3回の濾過によって得られた第1、第2および第3抽出物を合わせ、それを80℃のロータリーエバポレーターに入れて濃縮し、生薬2.5g/mlのチョウセンニンジン溶液に相当するチョウセンニンジン濃縮液(120mL)を得る。
本発明の濃縮処理のプロセスにおけるチョウセンニンジン濃縮液の濃度については、生薬2.5gに相当する濃縮液1ミリリットルあたりの濃度に加えて、生薬1~3.5gに相当する濃縮液1ミリリットルあたりの濃度(すなわち生薬1~3.5g/ml)が本発明に適用可能である。
【0144】
5. マクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィー
チョウセンニンジン濃縮液をマクロポーラス樹脂カラムに充填し、マクロポーラス樹脂カラム分離処理を行う。ここで、マクロポーラス吸着樹脂としてD101マクロポーラス吸着樹脂を選択し、樹脂カラム中の樹脂量(300mL)とチョウセンニンジンの重量(乾燥重量)との比率は1:1である(すなわち、チョウセンニンジンの乾燥重量が1kgの場合、マクロポーラス樹脂の量は1Lであり、生薬の乾燥重量が1gの場合、マクロポーラス樹脂の量は1mLである)。濃縮上清が樹脂カラムに完全に流入した後、カラム容積の4倍の水で洗浄し、溶出液を捨てる。次いでカラム容積の8倍の50%(体積百分率)エタノール溶液で溶出して、溶出液を回収し、チョウセンニンジンのマクロポーラス樹脂溶出液を得る。
【0145】
本発明におけるチョウセンニンジン濃縮液のマクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィーのプロセスでは、チョウセンニンジン抽出物におけるチョウセンニンジンの重量とマクロポーラス樹脂の量との比率1:0.8~2.5が本発明に適用可能である。D101に加えて、他のマクロポーラス吸着樹脂X‐5、AB‐8、NK‐2、NKA‐2、NK‐9、D3520、D101、およびWLDが本発明に適用可能である。水溶離プロセスでは、水の量とマクロポーラス樹脂カラムのカラム容積との比率2~4:1が本発明に適用可能である。溶出液がエタノール溶液の場合、50%に加えて、30%~50%の体積百分率濃度のエタノール溶液が適用可能である。エタノール溶液の量とマクロポーラス樹脂カラムのカラム容積との比率2~4:1が本発明に適用可能である。
【0146】
6. 濃縮・乾燥処理
80℃減圧下でチョウセンニンジンマクロポーラス樹脂溶出液をロータリーエバポレーターで濃縮し、溶媒を回収し、80℃の乾燥オーブン中で濃縮残渣を乾燥させて総ジンセノサイド2.6gを得る。
総ジンセノサイドは、特有の香りを有する淡黄褐色粉末である。総ジンセノサイド含有量を、GB/T19506‐2009の付属書Bで規定された方法を用いて測定したところ、総ジンセノサイド含有量は32%であった。
【0147】
本発明におけるニンジンのマクロポーラス樹脂溶出液の濃縮プロセスでは、65~90℃の濃縮温度が本発明に適用可能である。75~95℃の乾燥温度が本発明に適用可能である。本発明の方法によって調製される総ジンセノサイドの含有量は20~50%である。
【0148】
実施例56:パナキサジオールサポニンの調製
1. 第1抽出処理:実施例53と同様である。
2. 第2抽出処理:実施例53と同様である。
3. 第3抽出処理:実施例53と同様である。
4. 濃縮処理:実施例53と同様である。
5. 第1マクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィー
実施例53と同様に、第1チョウセンニンジンマクロポーラス樹脂溶出液を得る。
【0149】
6. 第2マクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィー
第1チョウセンニンジンマクロポーラス樹脂溶出液をロータリーエバポレーターにかけ、80℃で濃縮して第1チョウセンニンジンマクロポーラス樹脂濃縮液(60ml)を得る。これは、生薬5.0g/mlのチョウセンニンジン溶液に相当する。
第1チョウセンニンジンマクロポーラス樹脂濃縮液をマクロポーラス樹脂カラムに充填し、マクロポーラス樹脂カラム分離処理を行う。ここで、マクロポーラス吸着樹脂としてHPD‐100マクロポーラス吸着樹脂を選択し、樹脂カラム中の樹脂量(300mL)とチョウセンニンジンの重量(乾燥重量)との比率は1:1である(すなわち、チョウセンニンジンの乾燥重量が1kgの場合、マクロポーラス樹脂の量は1Lであり、生薬の乾燥重量が1gの場合、マクロポーラス樹脂の量は1mLである)。濃縮上清が樹脂カラムに完全に流入した後、カラム容積の4倍の体積百分率濃度60%のエタノール溶液で洗浄し、溶出液を捨てる。次いでカラム容積の8倍の80%(体積百分率)エタノール溶液で溶出して、溶出液を回収し、チョウセンニンジンのマクロポーラス樹脂第2溶出液を得る。
【0150】
本発明の濃縮処理のプロセスにおけるチョウセンニンジン濃縮液の濃度については、生薬5.0gに相当する濃縮液1ミリリットルあたりの濃度に加えて、生薬3.5~6gに相当する濃縮液1ミリリットルあたりの濃度(すなわち生薬3.5~6g/ml)が本発明に適用可能である。
本発明における第1チョウセンニンジンマクロポーラス樹脂濃縮液のマクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィープロセスでは、第1チョウセンニンジンマクロポーラス樹脂濃縮液におけるチョウセンニンジンの重量とマクロポーラス樹脂量との比率1:0.8~2.5が本発明に適用可能である。HPD‐100に加えて、HPD‐200、D203およびXAD‐4などの他のマクロポーラス吸着樹脂も本発明に適用可能である。60%エタノール溶液による溶離プロセスでは、60%エタノール溶液の量とマクロポーラス樹脂カラムのカラム容積との比率2~4:1が本発明に適用可能である。80%エタノール溶液による溶離プロセスでは、80%エタノール溶液の量とマクロポーラス樹脂カラムのカラム容積との比率2~4:1が本発明に適用可能である。
【0151】
7. 濃縮・乾燥処理
80℃減圧下で第2チョウセンニンジンマクロポーラス樹脂溶出液をロータリーエバポレーターで濃縮し、溶媒を回収し、85℃の乾燥オーブン中で濃縮残渣を乾燥させて総パナキサジオールサポニン0.7gを得る。
パナキサジオールサポニンは、特有の香りを有する淡黄色粉末である。パナキサジオールサポニンは水溶性が高い。調製したパナキサジオールサポニンの含有量は、中国薬局方(2010年版)第1巻付属書VIに記載の高速液体クロマトグラフィーを用いて測定したところ、パナキサジオールサポニンの含有量は59%であった。
チョウセンニンジンマクロポーラス樹脂溶出液の濃縮プロセスでは、65~95℃の濃縮温度が本発明に適用可能であり、70~95℃の乾燥温度が本発明に適用可能である。本発明の方法によって調製されるパナキサジオールサポニンの含有量は30~70%である。
【0152】
実施例57:ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物の調製
乾燥レンギョウ葉1kgに95%(m/m)エタノール10kgを加え、加熱還流抽出を2回(各回2時間)行い、濾過し、濾液を減圧下で元の容量の1/2に濃縮し、25℃で1時間置き、沈殿させる。メタノールに溶解し、再結晶させ、沈殿させる。上記の方法を繰り返してメタノールで再結晶させて、ホルシチン/フィリゲニン組成物の非晶質粉末を得る。HPLCで測定して、ホルシチンとフィリゲニンの含有量は、それぞれ98%と2%であった。
【0153】
実施例58:ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物の調製
乾燥レンギョウ1kgにメタノール10kgを加え、加熱還流抽出を3回(各回4時間)行い、濾過し、濾液を減圧下で元の容量の1/10に濃縮し、20℃で48時間置き、沈殿させる。エタノールに溶解し、再結晶させ、沈殿させる。上記の方法を繰り返してエタノールで再結晶させて、ホルシチン/フィリゲニン組成物の非晶質粉末を得る。ホルシチンとフィリゲニンの含有量は、それぞれ95%と4%であった。
【0154】
実施例59:ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物の調製
乾燥レンギョウ葉1kgに70%(m/m)メタノール10kgを加え、加熱還流抽出を3回(各回3時間)行い、濾過し、濾液を減圧下で元の容量の1/3に濃縮し、室温で2時間置き、沈殿させる。90%メタノールに溶解し、再結晶させ、沈殿させる。上記の方法を繰り返してメタノールで再結晶させて、ホルシチン/フィリゲニン組成物の非晶質粉末を得る。ホルシチンとフィリゲニンの含有量は、それぞれ88%と2%であった。
【0155】
実施例60:ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物の調製
乾燥レンギョウ1kgに無水エタノール10kgを加え、加熱還流抽出を2回(各回4時間)行い、濾過し、濾液を減圧下で元の容量の1/4に濃縮し、室温で24時間置き、沈殿させる。アセトンに溶解し、再結晶させ、沈殿させる。上記の方法を繰り返してアセトンで再結晶させて、ホルシチン/フィリゲニン組成物の非晶質粉末を得る。ホルシチンとフィリゲニンの含有量は、それぞれ90%と6%であった。
【0156】
実施例61 ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物の調製
乾燥レンギョウ葉1kgにアセトン10kgを加え、加熱還流抽出を3回(各回3時間)行い、濾過し、濾液を減圧下で元の容量の1/5に濃縮し、室温で10時間置き、沈殿させる。70%エタノールに溶解し、再結晶させ、沈殿させる。上記の方法を繰り返して70%エタノールで再結晶させて、ホルシチン/フィリゲニン組成物の非晶質粉末を得る。ホルシチンとフィリゲニンの含有量は、それぞれ80%と5%であった。
【0157】
実施例62~66:総ジンセノサイド‐ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物の調製
実施例55で調製した総ジンセノサイドと、実施例57~61で調製したホルシチンおよびフィリゲニンの組成物とを、それぞれ重量比2:98で混合して、総ジンセノサイドおよびホルシチンの組成物を得る。
【0158】
実施例67~71:パナキサジオールサポニン‐ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物の調製
実施例56で調製したパナキサジオールサポニンと実施例57~61で調製したホルシチンおよびフィリゲニンの組成物とを、それぞれ重量比2:98で混合して、総ジンセノサイドおよびホルシチンの組成物を得る。
【0159】
実施例72:総ジンセノサイド‐ホルシチン組成物の調製
実施例55で調製した総ジンセノサイドとホルシチンとを重量比2:98で混合して、総ジンセノサイド‐ホルシチン組成物を得る。
【0160】
実施例73:パナキサジオールサポニン‐ホルシチン組成物の調製
実施例55で調製したパナキサジオールサポニンとホルシチンとを重量比2:98で混合して、パナキサジオールサポニン‐ホルシチン組成物を得る。
【0161】
実施例74:20(R)‐ジンセノサイドRg3‐ホルシチン組成物の調製
20(R)‐ジンセノサイドRg3とホルシチンとを重量比2:98で混合して、20(R)‐ジンセノサイドRg3およびホルシチンの組成物を得る。
【0162】
実施例75~88:チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物およびシクロデキストリンの組成物の調製
実施例53、54、62~74で調製したチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物を取り、表2に記載の比率で以下の方法に従って組成物を調製する。1)シクロデキストリン溶液に直接加える。または2)シクロデキストリン溶液に直接加えて1~24時間よく撹拌する。3)シクロデキストリン溶液に直接加えて10~120分間加熱する。4)シクロデキストリン溶液に直接加えて10~120分間超音波処理する。5)シクロデキストリン粉末とともに10~120分間、直接粉砕する。6)チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物と前記シクロデキストリン粉末とを十分に混合し、ふるいにかける。7)シクロデキストリン誘導体溶液に直接加える。または8)シクロデキストリン誘導体溶液に直接加えて1~24時間よく撹拌する。9)シクロデキストリン誘導体溶液に直接加えて10~120分間加熱する。10)シクロデキストリン誘導体溶液に直接加えて10~120分間超音波処理する。11)シクロデキストリン誘導体粉末とともに10~120分間、直接粉砕する。12)シクロデキストリン誘導体粉末とともによく混合し、ふるいにかける。
【0163】
【表5】
【0164】
実施例75~88の賦形剤については、β‐シクロデキストリンを選択して例示しているが、他のシクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体も本発明に適用可能である。実施例には、1)β‐ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、2)ヒドロキシエチル‐β‐シクロデキストリン、3)2,6‐ジメチル‐β‐シクロデキストリン、4)2,3,6‐トリメチル‐β‐シクロデキストリン、5)2,6‐ジエチル‐β‐シクロデキストリン、6)2,3,6‐トリエチル‐β‐シクロデキストリン、7)マルトシル‐β‐シクロデキストリン、8)スルホブチルエーテル‐β‐シクロデキストリン、9)p‐トルエンスルホニルクロリド(p‐TsCl)置換β‐シクロデキストリン、10)6位置換β‐CD‐p‐トルエンスルホネート(β‐シクロデキストリン‐6‐OTs)、11)2‐オキソヒドロキシプロピル‐β‐シクロデキストリン、12)2位モノ置換‐p‐トルエンスルホネート(2‐β‐シクロデキストリン‐2‐OTs)、13)β‐シクロデキストリン‐p‐トルエンスルホネート(トシル‐β‐CD)および14)PCL‐(Tos)7‐β‐CD(β‐シクロデキストリンの星型高分子)が含まれる。
【0165】
実施例89:チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の錠剤の調製
以下の比率でチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物の錠剤を調製する。
・チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物(重量比2:98)
500g
・デンプン 480g
・タルク 1%(10g)
・ステアリン酸マグネシウム 1%(10g)
上記の比率に従って実施例53、54、62~74で調製したチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物とデンプンとをよく混合し、顆粒化し、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、よく混合し、圧縮して10000錠の錠剤を製造する。
【0166】
実施例90 チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の顆粒の調製
以下の比率でチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物の顆粒を調製する。
・チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物(重量比2:98)
100g
・微結晶セルロース 10000g
上記の比率に従って実施例53、54、62~74で調製したチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物と微結晶セルロースとをよく混合し、顆粒化し、それを10000個の袋に分注する。
【0167】
実施例91:チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物のカプセルの調製
以下の比率でチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物のカプセルを調製する。
・チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物(重量比2:98)
100g
・デンプン 2500g
上記の比率に従って実施例53、54、62~74で調製したチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物とデンプンとを混合し、それをカプセルに充填して10000個のカプセルを製造する。
【0168】
実施例92~95:チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物のカプセルの調製
表3の重量比に基づいて、チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物の成分とデンプンとをよく混合し、それをカプセルに充填して10000個のカプセルを製造する。
【0169】
【表6】
【0170】
表中の原料は、実施例53、54、62~74のチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物であってもよく、チョウセンニンジン成分、レンギョウ成分およびシクロデキストリンの複合体であってもよい。
【0171】
実施例96~99:チョウセンニンジン‐レンギョウ顆粒の調製
表4における重量比に基づいて、チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物の成分と微結晶セルロースとをよく混合し、顆粒化し、それを10000個の袋に分注する。
【0172】
【表7】
【0173】
表中の原料は、実施例53、54、62~74におけるチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物と、チョウセンニンジン成分、レンギョウ成分およびシクロデキストリンの複合体に置き換えてもよい。
【0174】
実施例100:チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の錠剤の調製
以下の比率でチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物の錠剤を調製する。
・チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物(重量比2:98)
500g
・デンプン 380g
・カンゾウ抽出物 100g
・タルク 1%(10g)
・ステアリン酸マグネシウム 1%(10g)
上記の比率に従ってチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物と上記抽出物粉末とをよく混合し、次いでデンプンとよく混合し、顆粒化し、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを添加してよく混合し、圧縮して10000錠の錠剤を製造する。本実施例におけるチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物は、実施例53、54、62~74におけるチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物と、チョウセンニンジン成分、レンギョウ成分およびシクロデキストリンの複合体に置き換えてもよい。
【0175】
実施例101:チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の顆粒の調製
以下の比率でチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物の顆粒を調製する。
・チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物(重量比2:98)
250g
・カンゾウ抽出物 250g
・微結晶セルロース 24500g
上記の比率に従ってチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物と上記抽出物粉末とをよく混合し、次いで微結晶セルロースとよく混合し、顆粒化し、それを10000個の袋に分注する。本実施例におけるチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物は、実施例5、6、14~40におけるチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物と、チョウセンニンジン成分、レンギョウ成分およびシクロデキストリンの複合体に置き換えてもよい。
【0176】
実施例102:チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物のカプセルの調製
以下の比率でチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物のカプセルを調製する。
・チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物(重量比2:98)
250g
・カンゾウ抽出物 250g
・バイモ抽出物 250g
・クウテイチャ抽出物 250g
・デンプン 1000g
上記の比率に従ってチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物と上記抽出物粉末とをよく混合し、次いでデンプンとよく混合し、顆粒化し、それをカプセルに充填して10000個のカプセルを製造する。本実施例におけるチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物は、実施例53、54、62~74におけるチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物と、チョウセンニンジン成分、レンギョウ成分およびシクロデキストリンの複合体に置き換えてもよい。
【0177】
実施例103:チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の錠剤の調製
以下の比率でチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物の錠剤を調製する。
・チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物(重量比2:98)
500g
・デンプン 480g
・チモ抽出物 500g
・タルク 1%(10g)
・ステアリン酸マグネシウム 1%(10g)
上記の比率に従ってチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物と上記抽出物粉末とをよく混合し、次いでデンプンとよく混合し、顆粒化し、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを添加してよく混合し、圧縮して10000錠の錠剤を製造する。本実施例におけるチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物は、実施例53、54、62~74で調製したチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物と置き換えてもよい。
【0178】
実施例104:チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の顆粒の調製
以下の比率でチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物の顆粒を調製する。
・チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物(重量比10:90
1000g
・ゲンジン抽出物 500g
・タンチクヨウ抽出物 500g
・微結晶セルロース 10000g
上記の比率に従ってチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物と上記抽出物粉末とをよく混合し、次いで微結晶セルロースとよく混合し、顆粒化し、それを10000個の袋に分注する。本実施例におけるチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物は、実施例53、54、62~74で調製したチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物に置き換えてもよい。
【0179】
実施例105:チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物のカプセルの調製
以下の比率でチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物のカプセルを調製する。
・チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物(重量比6:94
2000g
・ウツボグサ抽出物 250g
・ジュウヤク抽出物 500g
・ロコン抽出物 250g
・デンプン 1000g
上記の比率に従ってチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物と上記抽出物粉末とをよく混合し、次いでデンプンとよく混合し、顆粒化し、それをカプセルに充填して10000個のカプセルを製造する。本実施例におけるチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物は、実施例53、54、62~74で調製したチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物に置き換えてもよい。
【0180】
実施例106:チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の抗ウイルス試験
1 in vitro抗ウイルス試験
1.1 試験材料
(1)薬物
ホルシチン(含有量>98%)(白色粉末)は、大連富生天然薬物開発有限公司で製造された。その純度は、UV検出器および蒸発光散乱検出器を備えたHPLCにより面積正規化法を用いて99.5%と決定された。ホルシチンの含有量は、中国医薬生物学的製剤分析用ホルシチン標準物質で校正し、99.5%であることが確認された。
【0181】
20(R)‐ジンセノサイドRg3(含有量>98%)(白色粉末)は、大連富生天然薬物開発有限公司で製造された。その純度は、UV検出器および蒸発光散乱検出器を備えたHPLCにより面積正規化法を用いて99.0%と決定された。ホルシチンの含有量は、中国医薬生物学的製剤分析用ジンセノサイドRg3標準物質で校正し、99.1%であることが確認された。
チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物:大連富生天然薬物開発有限公司は、中国医薬生物学的製剤分析用標準物質で校正し、ジンセノサイドRg3およびホルシチンの含有量を測定した。
【0182】
チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物のアルコール抽出物(A;実施例53)のジンセノサイドRg3とホルシチンの含有量はそれぞれ0.15%と18.6%であった。
チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の水抽出物(B;実施例54)のジンセノサイドRg3とホルシチンの含有量は、それぞれ0.17%と17.7%であった。
【0183】
総ジンセノサイド‐ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物(C;実施例62)のジンセノサイドRg3とホルシチンの含有量は、それぞれ0.04%と95.6%であった。
パナキサジオールサポニン‐ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物(D;実施例67)のジンセノサイドRg3とホルシチンの含有量は、それぞれ0.12%と96.6%であった。
【0184】
20(R)‐ジンセノサイドRg3‐ホルシチン組成物(E;実施例74)のジンセノサイドRg3とホルシチンの含有量は、それぞれ2.0%と96.6%であった。
リバビリン注射剤(無色透明な液体;Henan Runhong Pharmaceutical Co., Ltd.製;バッチ番号:1206261;CFDA承認番号:H19993553;100mg/ml)は、本研究の陽性対照薬として使用した。
【0185】
オセルタミビルリン酸塩(中国食品医薬品検定研究院(National Institutes for Food and Drug Control);バッチ番号:101096~200901;100mg/シリンジ)は、本研究の陽性対照薬として使用した。
上記の薬物は、対応する試薬に溶解し、濾過し、滅菌し、分注し、後で使用するために4℃で保存した。これらは、本研究で試験する薬物である。
【0186】
(2)細胞株:ベロ(アフリカミドリザル腎細胞)は吉林大学の基礎医学院(Basic Medical College of Jilin University)で保存されていたもの。
【0187】
(3)ウイルス株:1)インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルスおよび呼吸器合胞体ウイルス(RSV)株は、中国予防医学科学院のウイルス研究所(Institute of Virology,Chinese Academy of Preventive Medicine)から購入した。2)コクサッキーウイルスB3(CVB3)株は、米国からのものであり、我々の教育および研究オフィスに保存されている。3)コクサッキーウイルスA16(CoxA16)およびエンテロウイルス71(EV71)は、国立仙台病院(Sendai National Hospital)から寄贈されたものであり、我々の教育および研究オフィスに保存されている。4)アデノウイルス(AdV)は、ノーマン・ベチューン健康科学センター第一病院小児科(Department of Pediatrics, the First Hospital of Norman Bethune Health Science Center)からのもの。5)単純ヘルペスウイルス1型(HSV‐1)は、中国薬品生物製品検定所(National Institute for the Control of Pharmaceutical and Biological Products)(保健省)から購入した。
【0188】
(4)主要機器および試薬
バイオセーフティーキャビネット:BHC‐1300 II A/B3(AIRTECH社);CO2インキュベーター:MCO‐18AIC(SANYO社);倒立顕微鏡:CKX41(OLYMPUS社);電子分析天秤:AR1140/C(DHAUS社);培地:DMEM(HyClone社);ウシ胎児血清(HyClone社);トリプシン(Gibco社);MTT(Sigma社);DMSO:Tianjin Beilian Fine Chemicals Development Co., Ltd.
【0189】
1.2 試験方法
(1)細胞の調製
ベロ細胞を、コンフルエントになるまで1~2日間二次培養した。明確な境界が現れ、強い立体感と屈折率が観察された時点で、トリプシンで消化した。細胞表面にピンポイント状の穴が現れたとき、消化液を完全に吸引した。次いで数ミリリットルの培地で細胞を分け、計数し,次いで培地(10%ウシ胎児血清を含むDMEM)で約5×107/Lに希釈し、96ウェル培養プレートに接種して、単層を形成させた。
(2)薬物の毒性の測定
細胞毒性試験:表1‐1に示す濃度に薬物を希釈して細胞毒性を測定した。
【0190】
【表8】
【0191】
細胞維持培地(2%ウシ胎児血清を含むDMEM)で様々な濃度に希釈した上記の薬物を、濃度ごとに0.2mL/ウェルでベロ細胞の単層の9連ウェルに滴下した。さらに、正常対照9ウェル(薬物添加なしのブランク対照群)およびブランク対照9ウェル(培地)を作成する。次いで、細胞を37℃の5%CO2インキュベーター内で培養した。倒立顕微鏡でCPEの観察を行い、毎日記録した。72時間後、MTT溶液20μL(5mg/mL)を各ウェルに添加し、インキュベーションを4時間継続した。各ウェルの培地を吸引して廃棄し、各ウェルに100μLのDMSOを添加した。プレートを5分間振盪し、492nmでOD値を測定し、細胞生存率を算出した。SPSS 18.0統計ソフトウェアで細胞生存率についてプロビット回帰分析を行い、ベロ細胞に対する薬物の最大非毒性濃度(TC0)および50%細胞毒性濃度(TC50)を算出した。
【0192】
(3)様々なウイルスのTCID50の測定
ウイルスを10-1、10-2、10-3、10-4、10-5および10-6のそれぞれの希釈度に10倍単位で希釈し、ベロ細胞の単層に各希釈度について10ウェルずつ100μL/ウェルで96ウェル培養プレートに順に接種した。さらに、正常細胞対照群を作成した。プレートを37℃、5%CO2で2時間インキュベートし、ウイルス浮遊液を廃棄した。次いで、各ウェルに細胞維持培地100μLを添加し、プレートを37℃、5%CO2でインキュベートした。細胞変性効果の観察は、3日目から顕微鏡で行い、その結果を7~8日目に解釈し、記録した。細胞ウェルの50%に陽性の細胞変性効果を示させる最大希釈度をエンドポイントとし、Spearman‐karber法によりウイルス力価を算出した。
【0193】
【数1】
【0194】
(TCID50:50%組織細胞感染価;XM:ウイルス濃度の最大希釈度の対数;d:希釈係数(倍)の対数;Σpi:各希釈度における細胞障害率の合計)。
【0195】
(4)ウイルス細胞変性効果に対する薬物の効果
細胞の単層で覆われた培養プレートを取り、培地を吸引して廃棄した。100TCID50に相当するウイルスチャレンジ量を細胞に接種し、37℃で2時間、5%CO2のインキュベーター内で細胞接着を行わせた。特定の濃度(最大非毒性濃度)の薬液を添加し、200μL/ウェルで、各濃度について10連ウェルでインキュベーションを行った。陽性薬物対照群としてリバビリン注射剤およびオセルタミビルリン酸塩を設定した。一方、ブランク対照群(ウイルス無添加、薬物無添加)およびウイルス対照群(ウイルス添加、薬物無添加)を設定した。ウイルスCPEに対する薬物の効果について観察を行った。72時間後、MTT比色法によって波長492nmでのOD値を測定し、抗ウイルス有効率(ER%)を算出した。SPSS 18.0統計ソフトウェアで、ANOVAにより薬物間の抗ウイルス有効率に関する有意差を分析した。
ER%=(薬物治療群の平均OD値-ウイルス対照群の平均OD値)/(細胞対照群の平均OD値-ウイルス対照群の平均OD値)×100%
【0196】
1.3 試験結果
(1)様々なウイルスのTCID50
【0197】
【数2】
【0198】
(2)薬物の毒性の測定
1)薬物の細胞毒性の測定
各薬物の、ベロ細胞に対する最大非毒性濃度(TC0)、50%細胞毒性濃度(TC50)および、抗ウイルス試験に使用した濃度を表1‐2に示す。
【0199】
【表9】
【0200】
2)ウイルス細胞変性効果に対する薬物防御の結果
ウイルスに対する薬物の有効率および、ANOVA法による一元配置分散分析の結果を表1‐3および表1‐4に示す。
【0201】
【表10】
【0202】
【表11】
【0203】
注:ウイルス対照群との比較では*P<0.05、**P<0.01;チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物群とホルシチンとの比較では#P<0.05、##P<0.01;チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物群とジンセノサイドRg3との比較では▲P<0.05、▲▲P<0.01;チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物群とリバビリンとの比較では△P<0.05、△△P<0.01、△△△P<0.001;チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物群とオセルタミビルリン酸塩との比較では●P<0.05、●●P<0.01、●●●P<0.001。
【0204】
表1‐3および表1‐4は、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物群が、8種類のウイルスを有意に抑制したことを示している(P<0.01またはP<0.001)。インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルスI型(HSV‐I)、エンテロウイルス71およびアデノウイルス(ADV)の有効率は100%に達し、その治療効果は、ホルシチンおよびジンセノサイドRg3よりも有意に優れており、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物群が相乗効果を有することが示された。また、インフルエンザ、コクサッキーウイルスA16(CoxA16)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、単純ヘルペスウイルスI型(HSV‐I)、アデノウイルス(ADV)、エンテロウイルス71(EV71)およびコクサッキーウイルスB3(CVB3)に対するチョウセンニンジン‐レンギョウ組成物群の阻害効果は、陽性薬物のリバビリンよりも有意に優れていた(P<0.01またはP<0.001)。インフルエンザ、コクサッキーウイルスA16(CoxA16)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、単純ヘルペスウイルスI型(HSV‐I)、アデノウイルス(ADV)、エンテロウイルス71およびコクサッキーウイルスB3(CVB3)に対する阻害効果は、オセルタミビルリン酸塩よりも有意に優れていた(P<0.05またはP<0.01、P<0.001)。
【0205】
2. in vivo抗ウイルス試験
2.1 実験材料
(1)実験動物
昆明マウスは、吉林大学のノーマン・ベチューン健康科学センターの実験動物センター(Laboratory Animal Center, Norman Bethune Health Science Center)から提供された(YDZ No.10‐5219)。
(2)試験装置・試薬
【0206】
【表12】
【0207】
2.2 実験方法
(1)マウスにおけるインフルエンザウイルスおよびパラインフルエンザウイルスの半数致死量の測定
インフルエンザウイルスおよびパラインフルエンザウイルス(細胞溶解物)を、10-1、10-2、10-3、10-4および10-5の濃度に10倍で段階希釈した。昆明マウス120匹をインフルエンザウイルス群(n=60)とパラインフルエンザウイルス群(n=60)とに分け、これらをいずれも無作為に6群に分けた。マウスをエーテルで軽く麻酔し、様々な希釈度のウイルス溶液を用いて0.03mL/動物で経鼻感染させた。一方、ウイルス浮遊液を生理食塩水に置き換えたブランク対照を設定した。感染後14日まで、死亡率および生存率を毎日観察した。感染24時間以内の死亡は非特異的死亡であり、計数しなかった。ウイルス溶液のLD50はKarber法で算出した。計算式:
【0208】
【数3】
【0209】
[式中、LD50は半数致死量であり、XMは最高希釈度のウイルス濃度の対数であり、dは希釈係数(倍)の対数であり、Σpiは各希釈度における細胞障害率の合計である]。
【0210】
(2)インフルエンザウイルスおよびパラインフルエンザウイルス感染によって誘発された肺炎に対するチョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の効果に関する研究
【0211】
1)試験動物および群分け
2つの試験用に544週齢の昆明マウスを選択した。
第1に、270匹のマウスを、各群10匹の27群に無作為に分け、インフルエンザおよびパラインフルエンザウイルス感染マウスに対するチョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の肺指標および肺指標阻害率を測定するために用いた。各試験用に90匹のマウスを選択し、試験を3回繰り返した。別の270匹のマウスを、各群10匹の27群に無作為に分け、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物群の肺浮遊液におけるウイルスの赤血球凝集価を測定するために用いた。各試験用に90匹のマウスを選択し、試験を3回繰り返した。
【0212】
2)感染方法
200~300mLビーカーに脱脂綿の塊を入れ、次いで(脱脂綿を濡らすために)適量のエーテルを注ぎ、脱脂綿を入れたビーカーを逆さにし、マウスをビーカーに入れて麻酔した。マウスが極度に興奮し、その後明らかに虚弱になったとみられたとき、マウスを仰臥位にし、15LD50のインフルエンザウイルスおよびパラインフルエンザウイルスを0.03ml/鼻腔で経鼻感染させた。ブランク対照群では、ウイルス浮遊液を生理食塩水に置き換えた。
【0213】
3)投与方法および用量
感染前日に、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物群、ジンセノサイドRg3群、ホルシチン群、リバビリンおよびオセルタミビルリン酸塩対照群をそれぞれ強制経口投与した。チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物群は、高用量群、中用量群、低用量群に分け、それぞれ用量は13.0mg/kg、6.5mg/kg、3.25mg/kgであった。ホルシチン群は用量13mg/kg、ジンセノサイドRg3群は用量13mg/kg、リバビリン陽性薬物群は用量58.5mg/kg、およびオセルタミビルリン酸塩は19.5mg/kgであり、1日1回、5日間投与した。ブランク対照とウイルス対照群には、同量の生理食塩水を強制経口投与した。
【0214】
4)観察指標
1)肺指標の測定
薬物投与後5日目に、マウスを8時間絶食させ、計量し、眼球摘出と失血とによって殺した。開胸し、全肺を摘出し、生理食塩水で2度洗浄し、表面を濾紙で乾かし、肺の重量を電子天秤で測定した。肺指標および肺指標阻害率は次式に従って算出した。
肺指標=(マウス肺重量/マウス体重)×100%
肺指標阻害率=(感染症モデル群の平均肺指標-試験群の平均肺指標)/感染症モデル群の平均肺指標×100%
2)肺浮遊液におけるウイルスの赤血球凝集価の測定
投与後5日目に各群のマウスの肺を摘出し、ホモジナイザーを用いて粉砕して低温でホモジネートにした。このホモジネートを生理食塩水で10%肺組織浮遊液に希釈し、次いでそれを遠心分離し、上清を採取して、倍単位で希釈した。希釈した上清を0.2ml/ウェルで滴定プレートに滴下し、各ウェルに1%ニワトリ赤血液細胞浮遊液0.2mlを添加し、混合物をよく混合し、室温で30分間静置した。赤血球凝集価を観察し記録した。エンドポイントは赤血球の凝集(++)であり、力価は浮遊液の希釈係数で表した。
【0215】
2.3 試験結果および分析
(1)マウスにおけるインフルエンザウイルスおよびパラインフルエンザウイルスの半数致死量の測定結果
試験群の昆明マウスは、それぞれ、様々な濃度のインフルエンザウイルスおよびパラインフルエンザウイルス30μLで経鼻感染させた。感染3日目に最初の3群(ウイルス濃度10-1、10-2、10-3)が様々な程度の症状(立毛、震え、食餌量の減少など)を示した。5日目に、マウスは歩行中にふらつく様子が見られた。感染後6日目に、最高ウイルス濃度群でマウスに死亡が認められ、7日目には、他の群でも死亡が相次いで認められた。14日間の観察の終了時に、各群の死亡マウス数を数えた。その結果を以下の表1‐4および表1‐5に示す。LD50は、インフルエンザウイルスについては10-2.9の希釈度、パラインフルエンザウイルスについては10-2.5の希釈度と計算された。
【0216】
【表13】
【0217】
ウイルスのLD50はKarber法によって算出した。インフルエンザウイルスのLogLD50は、次のとおりである。
【0218】
【数4】
【0219】
【表14】
【0220】
ウイルスのLD50はKarber法によって算出した。パラインフルエンザウイルスのLogLD50は、次のとおりである。
【0221】
【数5】
【0222】
(2)インフルエンザウイルスおよびパラインフルエンザウイルス感染によって誘発された肺炎に対するチョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の効果に関する結果
1)肺指標の測定
インフルエンザウイルスおよびパラインフルエンザウイルス感染マウスの平均肺指標は、感染症モデル群と比較して、ブランク対照群、ホルシチン群(13.0mg/kg/日)、ジンセノサイドRg3群(16.0mg/kg/日)、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物群(低用量群3.25mg/kg/日、中用量群6.5mg/kg/日、高用量群13.0mg/kg/日)、リバビリン群およびオセルタミビルリン酸塩群の肺指標が有意に減少したことを示した(P<0.05またはP<0.01)。チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物群は、3.25~13.0mg/kg/日の濃度範囲で有意な防御効果を示し、ホルシチン群およびジンセノサイドRg3群と比較して、肺指標が有意に低下し、肺組織病変指標に関する阻害率も有意に優れていた(P<0.01またはP<0.05)。結果については、表1‐6および表1‐7を参照のこと。
【0223】
【表15】
【0224】
各試験群とウイルス対照群との比較では*P<0.05、**P<0.01;チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物とホルシチンとの比較では#P<0.05、##P<0.01;チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物とジンセノサイドRg3との比較では▲P<0.05、▲▲P<0.01。
【0225】
【表16】
【0226】
各試験群とウイルス対照群との比較では*P<0.05、**P<0.01;チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物とホルシチンとの比較では#P<0.05、##P<0.01;チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物とジンセノサイドRg3との比較では▲P<0.05。
【0227】
2)肺浮遊液中のウイルスの赤血球凝集価の測定
マウスにおけるインフルエンザウイルスおよびパラインフルエンザウイルスの感染後に、感染症モデル群の肺組織のウイルスの赤血球凝集価(InX)は、それぞれ32.40および33.11であった。様々な濃度でのチョウセンニンジン‐レンギョウ組成物群では、肺組織のウイルス赤血球凝集価は投与5日後に低下し、その差は感染症モデル群と比較して有意であった(P<0.01)。様々な用量のチョウセンニンジン‐レンギョウ組成物群でのインフルエンザウイルスおよびパラインフルエンザウイルスの赤血球凝集価は、ホルシチン群およびジンセノサイドRg3群よりも有意に低く(P<0.05~P<0.001)、組成物が相乗効果を有することが示された。ウイルス増殖に対するチョウセンニンジン‐レンギョウ組成物群の阻害率はホルシチン群およびジンセノサイドRg3群よりも有意に高かった(P<0.05~P<0.001)。インフルエンザウイルス感染マウスの肺浮遊液の赤血球凝集価に対するチョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の高用量群、中用量群および低用量群の阻害率は、ホルシチン群およびジンセノサイドRg3群よりも有意に高かった(P<0.01~P<0.001)。上記の試験結果を表1‐8および表1‐9に示す。
【0228】
【表17】
【0229】
【表18】
【0230】
表1‐8および表1‐9において、各試験群とウイルス対照群との比較では*P<0.05、**P<0.01;チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物とホルシチンとの比較では#P<0.05、##P<0.01、###P<0.001;チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物群とジンセノサイドRg3との比較では▲P<0.05、▲▲P<0.01、▲▲▲P<0.001。
【0231】
実施例107 チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物の解熱および抗炎症試験
【0232】
1.1 試験材料
(1)試験動物
Wistarラット、体重120~250g、雌雄、証明書番号:YDZ 13‐1225;日本大耳白ウサギ、雄、体重1.5~2.0kg、証明書番号:YDZ 10‐5115、すべて長春ハイテク医学動物実験研究センター(Changchun High-tech Medicine Animal Experimental Research Centre)から提供された。動物飼料は吉林大学の実験動物部(Laboratory Animal Department)より提供された。
(2)試験薬物
ホルシチン(含有量>98%)(白色粉末)は、大連富生天然薬物開発有限公司で製造された。その純度は、UV検出器および蒸発光散乱検出器を備えたHPLCにより面積正規化法を用いて99.5%と決定された。ホルシチンの含有量は、中国医薬生物学的製剤分析用ホルシチン標準物質で校正し、99.5%であることが確認された。
20(R)‐ジンセノサイドRg3(含有量>98%)(白色粉末)は大連富生天然薬物開発有限公司で製造された。その純度は、UV検出器および蒸発光散乱検出器を備えたHPLCにより面積正規化法を用いて99.0%と決定された。ホルシチンの含有量は、中国医薬生物学的製剤分析用ジンセノサイドRg3標準物質で校正し、99.1%であることが確認された。
チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物:大連富生天然薬物開発有限公司は、中国医薬生物学的製剤分析用標準物質で校正し、ジンセノサイドRg3およびホルシチンの含有量を測定した。
チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物のアルコール抽出物(A;実施例53)のジンセノサイドRg3とホルシチンの含有量はそれぞれ0.15%と18.6%であった。
チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の水抽出物(B;実施例54)のジンセノサイドRg3とホルシチンの含有量は、それぞれ0.17%と17.7%であった。
総ジンセノサイド‐ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物(C;実施例62)のジンセノサイドRg3とホルシチンの含有量は、それぞれ0.04%と95.6%であった。
パナキサジオールサポニン‐ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物(D;実施例67)のジンセノサイドRg3とホルシチンの含有量は、それぞれ0.12%と96.6%であった。
20(R)‐ジンセノサイドRg3‐ホルシチン組成物(E;実施例74)のジンセノサイドRg3とホルシチンの含有量は、それぞれ2.0%と96.6%であった。
【0233】
1.2 主要機器・試薬
YLS‐7Aラット足趾腫脹測定器:山東省医学科学院の装置ステーション(Equipment Station of Shandong Academy of Medical Sciences);722可視分光光度計:Shanghai Spectrum Instruments Co., Ltd.製;携帯型デジタル温度計:モデルWSC‐411P、上海浦東第三工場(Shanghai Pudong No.3 Factory);ピロカルピン:天津市人民製薬廠(Tianjin People’S Pharmaceutical Factory)、バッチ番号:20130112;ヒスタミン:上海生物化学研究所(Shanghai Institute of Biochemistry)、バッチ番号:20130115;5‐ヒドロキシトリプタミン:上海生物化学研究所、バッチ番号:20130623;エバンスブルー:上海化学試薬購買供給所(Shanghai Chemical Reagent Purchasing and Supply Station)、バッチ番号:20130217;クロルフェニラミン錠剤:長春経済開発区薬業有限公司(Changchun Economic Development Zone Pharmaceutical Co., Ltd.)、バッチ番号:20130801;カラギーナン:吉林医薬学院(Jilin Institute of Medicine)、バッチ番号:20130502;パラセタモール錠剤:遼源百康薬業有限公司(Liaoyuan Baikang Pharmaceutical Co., Ltd.)、バッチ番号:20130512;アスピリン錠剤:白城万達薬業有限公司(Baicheng Wanda Pharmaceutical Co., Ltd.)、バッチ番号:20130305;ビール酵母:北京奥博星生物技術責任有限公司(Beijing Aoboxing Biotech Co., Ltd.)、バッチ番号:2013020;腸チフス・パラチフス混合ワクチン:長春生物製品研究所(Changchun Institute of Biological Products)、バッチ番号:20130216。
【0234】
1.3 統計処理
統計分析には、順位和検定、X2検定およびt検定を使用した。
【0235】
2.1 ラット足蹠の汗の分泌に対するチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物の効果に関する研究(染色法)
(1)材料および方法
ラットの足底の皮膚には汗腺が存在するため、ヨウ素‐デンプン混合物と汗との紫色反応によって汗の分泌の変化を観察することができる。
雌雄半々、体重120~150gのWistarラット500匹をこの試験に使用した。これらのラットを体重および性別に基づいて無作為に50群、すなわち対照群(0.5%カルボキシメチルセルロース)、ホルシチン群、ジンセノサイドRg3群、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の低、中、高用量群(それぞれ2.5、5および10mg/kg)および陽性薬物ピロカルピン(35mg/kg)群に分け、全5種類の試験時間(1、5、10、15および20分間)について、各群にラット10匹を用い、各試験に10群を用いた。ラットを手製のラット固定用バッグに入れ、両方の後肢を露出させた。右足蹠の汚れを、無水エタノールを浸した綿棒で軽くこすった。ピロカルピン溶液の皮下注射による投与を除き、他の群は強制経口投与した。投与1時間後(ピロカルピン群では投与30分後)、各群のラットの右足蹠から分泌された汗を試験前およびもがき反応中に乾燥綿棒で軽く清拭した。右足蹠にWotan‐Takagakiの試薬A液(ヨウ素2gを無水エタノール100mLに溶解する)を塗布し、次いで、試薬Aが完全に吸収された後、Wotan‐Takagakiの試薬B液(可溶性デンプン50gとトウゴマ油100mLとをよく混合する)を塗布した。B液塗布後1分、5分、10分、15分、20分に、それぞれ、拡大鏡で暗紫色の斑点(すなわち汗斑)の色および数を慎重に観察した。試験の最後に、順位和検定を用いて群間の差異を分析した。
【0236】
(2)結果
対照群と比較して、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の中および高用量群(5および10mg/kg)は、溶液Bの塗布後10分、15分および20分においてラット足蹠の汗の分泌を有意に促進することができ(p<0.05)、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の2.5mg/kg群は、B液塗布後15分および20分においてラット足蹠の汗の分泌を有意に促進することができた(p<0.05)。発汗効果は陽性薬物ピロカルピンと同等であり、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物は、ラット足蹠の汗の分泌を徐々に促進することができた。チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の高用量群は、B液塗布後10分、15分および20分のラット足蹠の汗の分泌の促進においてホルシチンおよびジンセノサイドRg3よりも有意に優れていた(p<0.05)。チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の中用量群は、B液塗布後10分および15分のラット足蹠の汗の分泌の促進においてホルシチンおよびジンセノサイドRg3よりも有意に優れていた(p<0.05)。チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の低用量群は、B液塗布後15分のラット足蹠の汗の分泌の促進においてホルシチンおよびジンセノサイドRg3よりも有意に優れていた(p<0.05)。上記の試験結果から、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物群の効果は、ラット足蹠の汗の分泌の促進においてホルシチンおよびジンセノサイドRg3よりも有意に優れていることが示された。詳細については、2‐1、2‐2、2‐3、2‐4、および2‐5を参照のこと。
【0237】
【表19】
【0238】
【表20】
【0239】
【表21】
【0240】
【表22】
【0241】
【表23】
【0242】
汗斑グレードの評価基準:「-」:ラットの足底肉球の表面に汗斑がない;「+」:ラットの足底肉球の表面に汗斑が時々見られ、汗斑の面積は足裏表面の10%未満であった;「++」:汗斑がラットの足底肉球の表面に散在し、汗斑の面積は足裏表面の約11~40%である;「+++」:汗斑がラットの足底肉球の表面の複数の領域に分布し、汗斑の面積は足裏表面の約41~70%である;「++++」:汗斑がラットの足底肉球の表面に均等に分布し、汗斑の面積は足裏表面のおよそ71%を超える。
【0243】
各試験群とウイルス対照群との比較では*P<0.05;チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物とホルシチンとの比較では#P<0.05;チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物とジンセノサイドRg3との比較では▲P<0.05。
【0244】
2.2 ラット足蹠の汗の分泌に対するチョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物の効果(組織形態学的観察法)
(1)材料および方法
ラットの汗腺の活性化後、汗の分泌の増加に加え、それに応じて汗腺の上皮細胞の形態が変化する。光学顕微鏡下では、汗腺の上皮細胞内で空胞の増加および拡大が観察される。電子顕微鏡下では、空胞の拡大は、汗腺の上皮細胞におけるミトコンドリアの腫脹および破裂、融合小胞の拡大、分泌小胞の拡大によるものと考えられる。ラットの足底汗腺の上皮細胞の組織形態学的観察によって、汗腺の分泌活動を理解することができる。
雌雄半々、体重120~160gのWistarラット300匹をこの試験に使用した。これらのラットを体重および性別に基づいて無作為に30群、すなわち、対照群(0.5%カルボキシメチルセルロース)、ジンセノサイドRg3、ホルシチン、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の低、中、高用量群(それぞれ2.5、5および10mg/kg)および陽性薬物ピロカルピン(35mg/kg)群に分け、各群にラット10匹を用い、各群に3回試験を行った。ピロカルピン溶液の皮下注射による投与を除き、他の群は強制経口投与した。対照群への0.5%カルボキシメチルセルロース投与から1時間後、陽性薬物群へのピロカルピン投与から30分後、ホルシチン、ジンセノサイドRg3、およびチョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の投与1時間後、直ちに右後肢を足関節の高さで切断した。次いで右足底肉球を摘出し、10%ホルムアルデヒド溶液に入れ、固定し、脱水し、包埋し、切片化し、HE染色した。各群におけるラットの足底汗腺の上皮細胞の変化、主に空胞の発生率について光学顕微鏡で観察を行った。統計処理はX2検定で行い、群間の差を比較した。上記の試験を3回繰り返した。
空胞化率=空胞性汗腺の数/観察された汗腺数×100%
【0245】
(2)結果
対照群と比較して、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の2.5mg/kg、5mg/kg、10mg/kg群はラット足蹠の汗の分泌を非常に有意に促進した(p<0.001)。低用量群、中用量群、および高用量群(2.5、5および10mg/kg)は、ホルシチンおよびジンセノサイドRg3よりも有意に優れた効果を示し(p<0.001またはp<0.01)、チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物が相乗効果を有することが示された。試験結果を表2‐6に示す。
【0246】
【表24】
【0247】
対照群との比較では**p<0.01、***p<0.001;チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物とホルシチンとの比較では##P<0.01、###P<0.001;チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物群とジンセノサイドRg3との比較では▲▲P<0.01、▲▲▲P<0.001。
【0248】
2.3 ラットにおける、ビール酵母によって誘発された発熱に対するチョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の効果
(1)材料および方法
雄Wisterラット:体重180~200g。試験前にWSC‐411P携帯型デジタル温度計で(一定の間隔をおいて)正常直腸温を2回測定し、この2回の測定の平均値をラットの正常体温とした。次いで、体温が36.5~38℃のラット300匹を無作為に30群、すなわちモデル群(0.5%カルボキシメチルセルロース)、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の低、中、および高用量群(2.5、5、10mg/kg)、ホルシチン群(13mg/kg)、ジンセノサイドRg3群(13mg/kg)および陽性薬物パラセタモール群(100mg/kg)に分け、各群にラット10匹を用い、各群の試験を3連で行った。各群のラットの背部に新鮮なビール酵母の10%懸濁液を10mL/kgで皮下注射して発熱を誘発した。新鮮なビール酵母の10%懸濁液投与の6.0時間後にジンセノサイドRg3およびホルシチンおよびパラセタモールの組成物を強制経口投与し、モデル群には、等容量の0.5%カルボキシメチルセルロースを強制経口投与した。投与から1、2、3、4時間後に直腸温を測定した。体温の変化を観察し、解熱率についてt検定によって群間の差を比較した。上記の試験を3回繰り返した。
【0249】
解熱率=(投与後一定時間での体温-発熱誘発6時間後の体温)/(発熱誘発6時間後の体温)×100%
【0250】
(2)結果
各群のラットへの新鮮なビール酵母の10%懸濁液の皮下注射の6時間後、発熱誘発前の体温との有意差がある(p<0.001)約1.5℃の体温上昇があり、ビール酵母によって誘発されたラット発熱モデルの確立に成功したことが示された。ビール酵母懸濁液によって誘発されたラット発熱に対して、モデル群と比較して、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の中および高用量群では薬物投与後1、2、3、4時間で、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の低用量群では薬物投与後2、3、4時間で、有意な体温低下効果が示された(p<0.05~p<0.001)。一方、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の様々な用量は、体温の低下においてホルシチン群およびジンセノサイドRg3群よりも有意に優れており(p<0.001またはp<0.01)、有意な相乗効果を有することが示された。上記の試験結果を表2‐7に示す。
【0251】
2.4 ラットにおける、カラギーナン誘発足蹠腫脹に対するチョウセンニンジン
‐レンギョウ組成物の効果
(1)材料および方法
体重120~150gの雄Wisterラット220匹を、22群、すなわち対照群(0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム)、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の低、中および高用量群(2.5、5、10mg/kg)、ホルシチン群、20(R)‐ジンセノサイドRg3群および陽性薬物アスピリン群(200mg/kg)に無作為に分け、各群にラット10匹を用いた。各群に舌下静脈注射で投与した。試験前に、右後肢の正常体積を毛細血管拡大法で測定した。誤差を避けるために、投与前後で測定位置を固定し、1人で行った。2回の測定の平均を、投与前のラットの右後肢の正常体積とした。投与直後、1%カラギーナン0.1mlをラットの右後肢足蹠に皮下注射し、炎症を誘発した。炎症誘発から15、30、60、120、180、240、300、360分後に、右後肢足底体積を測定した。炎症誘発前後の足底体積の差分率(腫脹率)によって群間t検定を行い、群間の差を比較した。
【0252】
腫脹率(%)=(炎症誘発後の右後肢足底体積-投与前の右後肢足底体積)÷
(投与前の右足底体積)×100
【0253】
結果
カラギーナンによって誘発されたラット足蹠腫脹は、ブランク対照群と比較して、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の高用量群(10mg/kg)では投与後15分~360分以内に、中用量群(5mg/kg)および低用量群(2.5mg/kg)では投与後30分間~360分間以内に有意に抑制され(p<0.05またはp<0.01)、その効果は、ホルシチン10mg/kg群および20(R)‐ジンセノサイドRg3 10mg/kg群よりも有意に優れていた(p<0.05またはp<0.01)。組成物の前記用量群の効果は、投与後60分および240分で、20(R)‐ジンセノサイドRg3群よりも非常に有意に優れていた(p<0.01)。上記の試験結果は、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物中のホルシチンと20(R)‐ジンセノサイドRg3とを組み合わせたときの有意な相乗効果を示した。詳細については、表2‐8を参照のこと。
【0254】
【表25-1】
【0255】
【表25-2】
【0256】
モデル対照群との比較では*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001;
正常(発熱誘発前)との比較では###p<0.001。チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物とホルシチンとの解熱率の比較では△p<0.05;△△p<0.01;△△△p<0.001;チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物とジンセノサイドRg3との解熱率の比較では▲p<0.05;▲▲p<0.01;▲▲▲p<0.001。
【0257】
【表26-1】
【0258】
【表26-2】
【0259】
【表26-3】
【0260】
対照群との比較では*p<0.05、**p<0.01;チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物とホルシチンとの解熱率の比較では△p<0.05;△△p<0.01;チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物とジンセノサイドRg3との解熱率の比較では▲p<0.05、▲▲p<0.01。
【0261】
実施例108 マウスにおける、免疫機能増強に対するチョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の効果の調査
【0262】
1. 実験材料
1.1 薬物および試薬
ホルシチン(含有量>98%)(白色粉末)は、大連富生天然薬物開発有限公司で製造された。その純度は、UV検出器および蒸発光散乱検出器を備えたHPLCにより面積正規化法を用いて99.5%と決定された。ホルシチンの含有量は、中国医薬生物学的製剤分析用ホルシチン標準物質で校正し、99.5%であることが確認された。
20(R)‐ジンセノサイドRg3(含有量>98%)(白色粉末)は大連富生天然薬物開発有限公司で製造された。その純度は、UV検出器および蒸発光散乱検出器を備えたHPLCにより面積正規化法を用いて99.0%と決定された。ホルシチンの含有量は、中国医薬生物学的製剤分析用ジンセノサイドRg3標準物質で校正し、99.1%であることが確認された。
チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物:大連富生天然薬物開発有限公司は、中国医薬生物学的製剤分析用標準物質で校正し、ジンセノサイドRg3およびホルシチンの含有量を測定した。
チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物のアルコール抽出物(A;実施例53)のジンセノサイドRg3とホルシチンの含有量はそれぞれ0.15%と18.6%であった。
チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の水抽出物(B;実施例54)のジンセノサイドRg3とホルシチンの含有量は、それぞれ0.17%と17.7%であった。
総ジンセノサイド‐ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物(C;実施例62)のジンセノサイドRg3とホルシチンの含有量は、それぞれ0.04%と95.6%であった。
パナキサジオールサポニン‐ホルシチンおよびフィリゲニンの組成物(D;実施例67)のジンセノサイドRg3とホルシチンの含有量は、それぞれ0.12%と96.6%であった。
20(R)‐ジンセノサイドRg3‐ホルシチン組成物(E;実施例74)のジンセノサイドRg3とホルシチンの含有量は、それぞれ2.0%と96.6%であった。
陽性対照薬:ピドチモド内服液(江蘇呉中医薬集団有限公司蘇州薬業工場(Suzhou Pharmaceutical Factory of Jiangsu Wuzhong Pharmaceutical Group Corporation)、濃度:10ml/400mg、バッチ番号:2014091211)
【0263】
1.2 実験動物
昆明マウス(6~8週齢、体重18~22g)は、大連医科大学実験動物センター(Experimental Animal Center of Dalian Medical University)から品質証明書番号:SCXK(13)2013‐0003で購入した。
【0264】
2. 実験方法
2.1 群分けおよび投与
健康な雄マウス152匹を、4日間馴化させた後、陰性対照群、陽性対照群、ホルシチン群、20(R)‐ジンセノサイドRg3群、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の高、中および低用量群の19群に無作為に分けた。陽性対照群にはピドチモド(50mg/kg)、ホルシチン(144mg/kg)、および20(R)‐ジンセノサイドRg3(144mg/kg)を投与し、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物群には低用量(36mg/kg)、中用量(72mg/kg)および高用量(144mg/kg)を投与した。薬物は、1日1回30日間、強制経口投与し、陰性対照群には同量の水を投与した。
【0265】
2.2 実験および結果
2.2.1 ConA誘発マウス脾臓リンパ球幼若化反応試験
最終投与から1時間後に、各群の動物の脾臓を無菌的に摘出して脾細胞浮遊液を調製した。脾細胞浮遊液を3×106細胞/mLの濃度に希釈した後、脾細胞浮遊液を2つのアリコートに分けた。それぞれのアリコートを24ウェル培養プレート2枚に1mL/ウェルの容量で移し、次いで75μLのConA溶液(a)を1つのウェルに添加し、もう1つのウェルは対照(b)として用いた。それらのウェルを37℃で72時間培養した。次いで、培養終了4時間前にチアゾリルブルー(MTT)を添加した。インキュベーション後、酸性イソプロパノールを加え、それをよく混合した後、各溶液の吸光度(ABS)を570nmで測定した。式:増殖率=ABSa-ABSbを用いて増殖率を計算した。試験試料の各投与群を陰性対照群と比較した。実験結果を表1に示す。
2.2.2 NK細胞生存率の測定
最終投与から1時間後に、各群の動物の脾臓を無菌的に摘出し、脾細胞浮遊液を調製した。注射用滅菌水で赤血球を溶解した後、細胞浮遊液を1%氷酢酸で希釈した。次いで、脾細胞浮遊液の濃度を2×107細胞/mLに調整し、脾細胞浮遊液を培養のために96ウェルプレートに添加した。各動物について、ウェルを、反応ウェル(脾細胞浮遊液およびYAC‐1細胞浮遊液(各100μL)、エフェクターと標的との比率50:1)、自然放出ウェル(YAC‐1細胞浮遊液および培地(各100μL))、および最大放出ウェル(YAC‐1細胞浮遊液および1%NP40(各100μL))に分けた。上記の各項目について、3連のチューブを用意した。37℃、5%CO2インキュベーター内で96ウェルプレートを4時間インキュベートした。LDHマトリックス溶液および1moL/L HClを添加した後、各パラレルウェルの溶液を合わせ、490nmで吸光度(ABS)を測定した。NK細胞生存率を計算した:NK細胞生存率(%)=〔ABS(反応ウェル)-ABS(自然放出ウェル)〕/〔ABS(最大放出ウェル)-ABS(自然放出ウェル)〕。実験結果を表1に示す。
【0266】
【表27】
【0267】
3. 試験結果
Tリンパ球のConAによる刺激後、芽細胞は増殖反応を示す。生存細胞、特に増殖細胞中のミトコンドリアヒドロラーゼはMTTを分解して青紫色の結晶にする。吸光度値の上昇(ある場合)は、細胞増殖能が亢進していることを示す。表1に示すように、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の高用量群、中用量群および低用量群の吸光度差は、陰性対照群の吸光度差よりも大きく、脾細胞の増殖を促進する効果をこの試料が有することが示された。
【0268】
NK細胞によって細胞が死んだ後、生存細胞の細胞質のLDHは細胞外に放出され、乳酸リチウムを脱水素し、NADをNADHに還元し、NADHは水素運搬体メト硫酸フェナジン(PMS)によってヨードニトロテトラゾリウムクロリド(INT)にさらに還元される。H+を受け取った後、INTは紫色のホルマザン化合物に還元され、マイクロプレートリーダーを用いて吸光度値が測定される。表1に示すように、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の高用量群、中用量群および低用量群のNK細胞生存率は陰性対照群のNK細胞生存率よりも有意に高く、本試料が、NK細胞生存率を向上させることができることが示された。
【0269】
上記の試験結果は、チョウセンニンジン‐レンギョウ組成物の様々な用量が、脾臓細胞の増殖を促進し、NK細胞の活性を向上させることができることを示した。さらに、チョウセンニンジンおよびレンギョウの組成物は相乗効果を有し、脾臓細胞の増殖を有意に促進し、NK細胞の活性を向上させ、免疫機能を改善することができた。
【国際調査報告】