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特表2023-539687リチウム塩、例えば、無水水酸化リチウムおよび無水ハロゲン化リチウムを製造するための方法
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  • 特表-リチウム塩、例えば、無水水酸化リチウムおよび無水ハロゲン化リチウムを製造するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(54)【発明の名称】リチウム塩、例えば、無水水酸化リチウムおよび無水ハロゲン化リチウムを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   C01D 15/02 20060101AFI20230908BHJP
   C01D 15/04 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
C01D15/02
C01D15/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514698
(86)(22)【出願日】2021-09-01
(85)【翻訳文提出日】2023-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2021074130
(87)【国際公開番号】W WO2022049123
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】20194139.0
(32)【優先日】2020-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522120325
【氏名又は名称】エイ・エム・ジー リシウム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】AMG Lithium GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriepark Hoechst, Geb. B852, 65926 Frankfurt am Main, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴェラ ニッケル
(72)【発明者】
【氏名】ハネス ヴィッツェ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーネ ギャビー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファニー リール
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン シェーラー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ヤンセン
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ シュピーラウ
(57)【要約】
本発明は、リチウム塩、例えば、水酸化リチウムおよびハロゲン化リチウムを製造するための方法に関する。得られたリチウム塩は、水ならびに場合により、他の不純物、例えば、炭酸リチウムおよび/または酸化リチウムを実質的に含まない。さらに、本発明は、前記方法により得ることができるリチウム塩、例えば、水酸化リチウムおよびハロゲン化リチウムならびに例えば、固体電解質、リチウム金属または炭酸リチウムの製造のためのそれらの使用を指す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を実質的に含まないリチウム塩を製造するための方法であって、
(i)反応器中の、好ましくは、固体形態にある出発材料として水酸化リチウム、水和物、溶媒和物またはこれらの混合物を提供する工程と、
(ii)工程(i)の前記出発材料を、室温または高められた温度、例えば、20~100℃、好ましくは、20~80℃、より好ましくは、60~80℃でキャリアガス流に供する工程と
を含む、方法。
【請求項2】
工程(i)における前記出発材料が、LiOH、LiOH・HOまたはこれらの混合物である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記キャリアガスが、不活性ガス、例えば、アルゴン、乾燥空気および/または窒素である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記キャリアガスを、0.1~1000m/h、好ましくは、5~500m/h、より好ましくは、10~50m/hの流量で前記反応器に導入しかつ/または0.1~1000m/h、好ましくは、5~500m/h、より好ましくは、10~50m/hの流量で前記反応器から出す、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
工程(ii)後に得られた生成物が、LiCOおよび/またはLiOを実質的に含まない、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
(iii)工程(ii)後に得られた生成物を、ハロゲン含有ガスと接触させ、それにより、ハロゲン化リチウムを形成することをさらに含み、
工程(iii)を、好ましくは、室温または高められた温度、例えば、20~300℃、好ましくは、80~200℃、より好ましくは、80~150℃で行う、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記ハロゲン含有ガスが、HCl、HBr、HF、HIおよびこれらの混合物、好ましくは、HCl、HBrおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記ハロゲン含有ガスを、40~5000g/h、好ましくは、50~4500g/h、より好ましくは、100~3000g/hの流量で反応器に導入する、請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
工程(iii)が、前記ハロゲン含有ガスを含むガス流を、好ましくは、ガス流の総体積に基づいて、0.001~100体積%、より好ましくは、1.0~10体積%の体積濃度で適用することを含む、請求項6から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
工程(iii)が、キャリアガスを含むガス流を適用することを含む、請求項6から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記キャリアガスを、0.1~1000m/h、好ましくは、5~500m/h、より好ましくは、10~50m/hの流量で前記反応器に導入しかつ/または0.1~1000m/h、好ましくは、5~500m/h、より好ましくは、10~50m/hの流量で前記反応器から出す、請求項6から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記キャリアガスおよび/または前記出発材料および/または前記ハロゲン含有ガスが、例えば、流動床反応器中で流体として作用する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
水、LiCOおよび/またはLiOを実質的に含まず、好ましくは、水、LiCOおよびLiOを含まない、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法により得ることができるリチウム塩生成物。
【請求項14】
水、LiOHおよび/またはLiOを実質的に含まず、好ましくは、水、LiOHおよびLiOを含まない、請求項6記載の方法により得ることができるリチウム塩生成物。
【請求項15】
固体電解質、リチウム金属、炭酸リチウムまたはハロゲン化リチウム、特に、水を実質的に含まないハロゲン化リチウムの製造のための、請求項13または14記載の生成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム塩、例えば、水酸化リチウムおよびハロゲン化リチウムを製造するための方法に関する。得られたリチウム塩は、水ならびに場合により、他の不純物、例えば、炭酸リチウムおよび/または酸化リチウムを実質的に含まない。さらに、本発明は、前記方法により得ることができるリチウム塩、例えば、水酸化リチウムおよびハロゲン化リチウムならびに例えば、固体電解質、リチウム金属または炭酸リチウムの製造のためのそれらの使用を指す。
【0002】
リチウム塩、例えば、水酸化リチウムおよび塩化リチウムは、電気化学的エネルギー貯蔵システム、例えば、リチウムイオン電池の分野において、原料として使用されている。
【0003】
水酸化リチウムおよび塩化リチウムの塩は、物理的にかつ化学的に水を吸収する、すなわち、結晶水または残留水分の形態であることが知られている。しかしながら、リチウム含有エネルギー貯蔵システムの出発材料、中間体または最終生成物中の微量の水ですら、例えば、投入、プロセス安全性、生成物再現性、収率、エネルギー密度等の観点から問題を引き起こすおそれがある。
【0004】
例えば、正確な結晶水含量は、合成のために採取されるサンプルの所望の化学量論的重量に対して重要である。しかしながら、経年変化、貯蔵および輸送のために、水酸化リチウムおよびハロゲン化リチウムの含水量は、かなり変動する場合がある。さらに、水酸化リチウム同士は、結晶水および/または物理的に結合した水分の存在のために、凝集する傾向があり、取り扱いおよび投入が非常に困難になる。
【0005】
さらに、水酸化リチウムは、過剰な乾燥条件下で酸化リチウムに変換するかまたはか焼する傾向があり、それにより、水酸化リチウム出発材料を汚染する。
【0006】
また、水酸化リチウムおよびその水和物は、室温で空気中の二酸化炭素と容易に反応し、炭酸リチウムを形成することも知られている。一方で、水酸化リチウム出発材料中の炭酸リチウム不純物の存在は、エネルギー貯蔵装置中の二酸化炭素のガス放出がその完全な損傷をもたらすおそれがあるため、回避されなければならない。
【0007】
これらの問題のため、エネルギー貯蔵システムのための原料として、水および炭酸塩を含まない水酸化リチウムおよびハロゲン化リチウム、例えば、塩化リチウムが緊急に必要とされている。しかしながら、無水水酸化リチウムおよび無水ハロゲン化リチウムを製造するための現在の工業的方法は、非常に時間を要し、コストを要し、エネルギーを消費する。
【0008】
特開2006-265023号公報には、水酸化リチウム一水和物粒子をロータリーキルン内で150~600℃の温度で、最大2時間無水化することにより、無水水酸化リチウムを得るための方法が記載されている。生成物の汚染を防止するために、ロータリーキルンは、高腐食性水酸化リチウムの曝露に対して耐性である選択された材料、例えば、セラミックスで構成される必要がある。しかしながら、反応器の設定および構造に対するこれらの特定の要件により、製造プロセスおよび反応器の保守に高いコストが発生する。
【0009】
国際公開第2018/086862号には、二酸化炭素が少ない高温ガス流を適用することにより、150~500℃の温度で無水水酸化リチウムを製造するための方法が記載されている。反応器内での滞留時間がより短いため、腐食の問題が低減される。しかしながら、過度の加熱により、水酸化リチウムの過乾燥がもたらされ、酸化リチウム不純物が生じるおそれがある。
【0010】
上記を考慮して、公知のプロセスの欠点を克服し、不利な副生成物を含まない改善された生成物の提供が可能となる、水を(実質的に)含まないリチウム塩、例えば、無水水酸化リチウムおよび無水ハロゲン化リチウムを製造するための新規な方法が緊急に必要とされている。
【0011】
したがって、本発明の目的は、水および場合により、他の不純物、例えば、酸化リチウムおよび/または炭酸リチウムを実質的に含まないリチウム塩、例えば、水酸化リチウムおよびハロゲン化リチウムを製造するための、迅速、容易かつ費用効果の高い方法を提供することである。
【0012】
驚くべきことに、出発材料を、室温(20℃)または僅かに高められた温度、例えば、20~150℃、好ましくは、20~80℃でキャリアガス流に供することにより、不利な副生成物の形成を防止しながら、実質的に乾燥した水酸化リチウムを提供することが可能となることが見出された。さらに、腐食および浸出のリスクを最小限に抑える迅速な反応プロセスが達成される。
【0013】
第1の態様では、本発明は、水および場合により、他の不純物を実質的に含まないリチウム塩、例えば、水酸化リチウムを製造するための方法であって、
(i)反応器中の、好ましくは、固体形態にある出発材料として水酸化リチウム、水和物、溶媒和物またはこれらの混合物を提供する工程と、
(ii)工程(i)の出発材料を、室温または高められた温度でキャリアガス流に供する工程と
を含む、方法に関する。
【0014】
工程(i)で提供される出発材料は、水酸化リチウム、水和物、溶媒和物またはこれらの混合物である。出発材料中に存在する水の量は、水酸化リチウムの吸湿性のために変動する場合がある。水酸化リチウムは、規定量の結晶水、例えば、水酸化リチウム一水和物および部分水和水酸化リチウムを含む場合があり、または例えば、水酸化リチウム溶媒和物中に規定されていない量の物理的に結合した水を含む場合がある。好ましくは、工程(i)で提供される出発材料は、LiOH、LiOH・HOまたはこれらの混合物である。ただし、存在する水の量は、本発明に係る方法の結果に対して重要ではない。
【0015】
好ましい実施形態では、出発材料は、固体形態で存在する。特に、出発材料は、例えば、最大2000μm、好ましくは、10~1000μmの平均粒径を有する粒状形態で存在する場合がある。別の実施形態では、出発材料は、例えば、最大10mm、例えば、約1000~10000μmの平均直径を有する凝集体の形態で存在する場合がある。
【0016】
反応器は、例えば、電気加熱ジャケット、熱交換器、ヒータープレートおよび/または加熱コイルが適用された加熱可能な反応器であることができる。好ましくは、反応器は、その内面全体にわたって制御可能な温度を提供し、このため、水の凝縮または溶融もしくは部分的に溶融した反応生成物、副生成物および/または出発材料の凝集を防止する。
【0017】
好ましい実施形態では、反応器は、好ましくは、ガス流入管およびガス流出管を有する封止可能な反応器である。これにより、反応条件を、正確に調整し、制御することができ、このため、意図しない副生成物、例えば、二酸化炭素の存在下で形成される炭酸リチウムの形成を回避することができる。
【0018】
工程(ii)において、工程(i)の出発材料を、室温または高められた温度、すなわち室温(20℃)以上の温度でキャリアガス流に供する。好ましい実施形態では、工程(ii)を、20~150℃、好ましくは、60~130℃、より好ましくは、80~100℃の温度で行う。特に好ましい実施形態では、工程(ii)を、100℃未満の温度、例えば、20~100℃、好ましくは、20~80℃、より好ましくは、60~80℃の温度で行う。
【0019】
キャリアガスは、不活性ガス、例えば、アルゴン、乾燥空気および/または窒素であることができる。好ましくは、キャリアガスは、水を実質的に含まない、すなわち、10体積%未満、好ましくは、0.01~5体積%、より好ましくは、2体積%未満の相対湿度を有する。
【0020】
キャリアガスを、ガス流入管を介して反応器に導入することができ、ガス流出管を介して反応器から出すことができる。制御された方法でキャリアガスを適用することにより、すなわち、例えば、ガス流入管およびガス流出管を使用して、反応器に導入されかつ/または反応器から除去されるガスの流量を制御することにより、ガス流が、反応器の内部に形成される。
【0021】
一実施形態では、キャリアガスを、0.1~1000m/h、好ましくは、5~500m/h、より好ましくは、10~50m/hの流量で、特に、ガス流入管を介して反応器に導入する。キャリアガスを、0.1~1000m/h、好ましくは、5~500m/h、より好ましくは、10~50m/hの流量で、特に、ガス流出管を介して反応器から出すことができる。
【0022】
反応器に導入され、反応器を出るガスの流量は、例えば、出発材料の量、出発材料の種類および反応温度により決まる。さらに、ガスの流量は、工程(ii)における出発材料の完全な乾燥のために、例えば、反応容器を通過するキャリアガス流による前記水の除去が必須であるため、工程(ii)における副生成物として形成される水の量によっても決まる場合がある。
【0023】
さらに、反応器を出るガス流中の水の量は、工程(ii)における(本質的に)完全な乾燥の時点を決定するための反応制御として作用する場合がある。これにより、工程(ii)の持続時間を、反応条件に個々に適合させることができる。好ましくは、工程(ii)の持続時間は、個々の反応条件に応じて、最長1時間、例えば、10秒~15分である。
【0024】
一実施形態では、キャリアガスは、例えば、流動床反応器中で流体として作用する。流体ベースのプロセスにより、キャリアガスに対する出発材料の表面積の最適な比が提供され、その結果、水の除去が加速され、短い反応時間、例えば、15分未満、好ましくは、5分未満かつ/または比較的低い反応温度、例えば、20~150℃、好ましくは、20~80℃であっても、高い有効性を達成することができる。このような中程度の反応条件は、意図しない副生成物、例えば、水酸化リチウム出発材料が過乾燥された時に、例えば、高い反応温度および/または長い反応時間の適用中に形成される酸化リチウムの形成を回避するのに特に有利である。
【0025】
別の実施形態では、出発材料は、例えば、流動床反応器中で流体として作用することができる。特に、キャリアガスおよび出発材料は両方とも、流体として作用する。これにより、反応器内での水酸化リチウム出発材料の滞留時間を、出発材料とキャリアガスとの最適な接触が達成されながら、最小限に抑えることができ、その結果、反応が加速され、反応器の腐食が最小限に抑えられる。
【0026】
工程(ii)を、不活性ガス雰囲気、例えば、アルゴン、乾燥空気および/または窒素ガス雰囲気下で行うことができる。不活性ガスは、好ましくは、水を実質的に含まない、すなわち、10体積%未満、好ましくは、0.01~5体積%、より好ましくは、2体積%未満の相対湿度を有する。好ましい実施形態では、不活性ガスは、キャリアガスと本質的に同じである。
【0027】
工程(ii)の間に適切な反応雰囲気を提供するために、反応容器を密閉し、このため、周囲から隔離することができ、一方、ガス流入管およびガス流出管により、キャリアガスおよび場合により、不活性ガスの容器への制御された導入および同容器からの制御された除去ならびにキャリアガス、水および場合により、不活性ガスの容器からの除去が可能となる。適切な反応容器は、例えば、当技術分野において公知の加熱可能な流動床反応器である。
【0028】
工程(ii)後に得られた生成物は、水を実質的に含まない、すなわち、全生成物重量、例えば、無水水酸化リチウムに基づいて、例えば、1.0重量%未満、好ましくは、0.5重量%以下、より好ましくは、0.001~0.5重量%の含水量を有する。
【0029】
好ましくは、工程(ii)の後に得られた生成物は、酸化リチウム(LiO)および/または炭酸リチウム(LiCO)を実質的に含まない。酸化リチウムを実質的に含まないとは、LiO含量が全生成物重量に基づいて、1.0重量%未満、好ましくは、0.5重量%以下、好ましくは、0.001~0.5重量%、特に0.001~0.25重量%であることを意味する。炭酸リチウムを実質的に含まないとは、LiCO含量が全生成物重量に基づいて、1.0重量%未満、好ましくは、0.5重量%以下、好ましくは、0.001~0.5重量%、特に、0.001~0.25重量%であることを意味する。水、酸化リチウムおよび/もしくは炭酸リチウムが存在しないことまたはこれらが存在する量を、当技術分野において公知の従来の手段、例えば、重量分析、粉末X線回折(XRD)またはカールフィッシャー滴定により検出することができる。特に、工程(ii)の後に得られた生成物は、酸化リチウムおよび炭酸リチウムを実質的に含まない。
【0030】
本発明に係る方法は、工程(ii)の後に得られた生成物、すなわち、無水水酸化リチウムを、ハロゲン含有ガスと接触させ、それにより、ハロゲン化リチウムを形成する工程(iii)をさらに含むことができる。
【0031】
好ましくは、工程(iii)を、室温または高められた温度、すなわち、室温(20℃)以上、例えば、20~300℃、好ましくは、80~200℃、より好ましくは、80~150℃で行う。
【0032】
ハロゲン含有ガスを、HCl、HBr、HF、HIおよびこれらの混合物、好ましくは、HCl、HBrおよびこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0033】
適用されるハロゲン含有ガスの量は、例えば、ハロゲン含有ガスの種類、反応器中に提供される無水水酸化リチウムの量および反応温度に応じて変動する場合がある。一実施形態では、ハロゲン含有ガスを、40~5000g/h、好ましくは、50~4500g/h、より好ましくは、100~3000g/hの流量で反応器中に導入する。
【0034】
ハロゲン含有ガスが、HFである場合、HFを、例えば、50~5000g/h、好ましくは、50~2000g/h、より好ましくは、50~1000g/hの流量で、反応器に導入することができる。
【0035】
ハロゲン含有ガスが、HClである場合、HClを、例えば、50~5000g/h、好ましくは、50~3000g/h、より好ましくは、50~1500g/hの流量で、反応器に導入することができる。
【0036】
ハロゲン含有ガスが、HBrである場合、HBrを、例えば、50~5000g/h、好ましくは、200~3000g/h、より好ましくは、250~3000g/hの流量で、反応器に導入することができる。
【0037】
ハロゲン含有ガスが、HIである場合、HIを、例えば、50~5000g/h、好ましくは、200~5000g/h、より好ましくは、400~4500g/hの流量で、反応器に導入することができる。
【0038】
ハロゲン含有ガスを、ガス流入管を介して反応器に導入することができ、ガス流出管を介して反応器から出すことができる。制御された方法でハロゲン含有ガスを適用することにより、すなわち、例えば、ガス流入管およびガス流出管を使用して、反応器に導入されるガスおよび/または反応器から除去されるガスの流量を制御することにより、ガス流が、反応器の内部に形成される。
【0039】
一実施形態では、工程(iii)は、ハロゲン含有ガスを含むガス流を、好ましくは、ガス流の総体積に基づいて、0.001~100体積%、より好ましくは、1.0~10体積%の体積濃度で適用することを含む。
【0040】
別の実施形態では、工程(iii)は、キャリアガスを含むガス流を適用することを含む。キャリアガスは、不活性ガス、例えば、アルゴン、乾燥空気および/または窒素であることができ、好ましくは、工程(ii)で適用されるキャリアガスと同じである。好ましくは、工程(iii)で適用されるキャリアガスは、水を実質的に含まない、すなわち、10体積%未満、好ましくは、0.01~5体積%、より好ましくは、2体積%未満の相対湿度を有する。
【0041】
キャリアガスを、ガス流入管を介して反応器に導入することができ、ガス流出管を介して反応器から出すことができる。一実施形態では、キャリアガスを、0.1~1000m/h、好ましくは、5~500m/h、より好ましくは、10~50m/hの流量で、特に、ガス流入管を介して反応器に導入する。キャリアガスを、0.1~1000m/h、好ましくは、5~500m/h、より好ましくは、10~50m/hの流量で、特に、ガス流出管を介して反応器から出すことができる。
【0042】
ハロゲン含有ガスおよびキャリアガスを、工程(iii)において、順次または同時に提供することができる。好ましい実施形態では、ハロゲン含有ガスおよびキャリアガスを、同時に提供し、ここで、それらを、工程(iii)の前に、接触させ、好ましくは、当技術分野において公知の従来の技術を介して混合することができる。
【0043】
好ましい実施形態では、工程(iii)は、キャリアガスおよびハロゲン含有ガスを含むガス流を適用することを含み、ここで、キャリアガスおよびハロゲン含有ガスは、上記定義されたとおりである。特に好ましくは、工程(iii)が、ガス流の総体積に基づいて、0.001~30体積%、好ましくは、1.0~10体積%の濃度でハロゲン含有ガスを含む、キャリアガスとハロゲン含有ガスとを含むガス流を適用することを含む。
【0044】
反応器に導入し、反応器を出るハロゲン含有ガスおよび/またはキャリアガスの流量は、例えば、工程(ii)で得られた無水水酸化リチウムの量、ハロゲン含有ガスの種類および反応温度により決まる。さらに、ガスの流量は、工程(iii)において水酸化リチウムを完全に変換するために、例えば、反応容器を通過するガス流による前記水の除去が必須であるため、工程(iii)において副生成物として形成される水の量によっても決まる場合がある。
【0045】
さらに、水副生成物の量は、工程(iii)における(本質的に)完全な変換の時点を決定するための反応制御として作用する場合がある。これにより、工程(iii)の持続時間を、反応条件に個々に適合させることができる。好ましくは、工程(iii)の持続時間は、個々の反応条件に応じて、最長2時間、例えば、5~90分、好ましくは、30~90分である。
【0046】
一実施形態では、キャリアガス(場合により、ハロゲン含有ガスと共に)は、例えば、流動床反応器中で流体として作用する。このため、キャリアガスへの無水リチウム水酸化物の最適な接触が達成され、その結果、水の除去が加速され、短い反応時間、例えば、30分未満、好ましくは5~30分かつ/または比較的低い反応温度、例えば、80~150℃、特に、100℃未満であっても、高い収率を得ることができる。
【0047】
一実施形態では、工程(ii)の後に得られた生成物は、例えば、流動床反応器中で流体として作用することができる。特に、キャリアガスおよび工程(ii)の後に得られた生成物は両方とも、流体として作用する。これにより、反応器内での無水水酸化リチウムの滞留時間を、無水水酸化リチウムとキャリアガスおよび/またはハロゲン含有ガスとの最適な接触が達成されながら、最小限に抑えることができ、その結果、反応が加速され、反応器の腐食が最小限に抑えられる。
【0048】
工程(iii)を、不活性ガス雰囲気、例えば、アルゴン、乾燥空気および/または窒素ガス雰囲気下で行うことができる。不活性ガスは、好ましくは、水を実質的に含まない、すなわち、10体積%未満、好ましくは、0.01~5体積%、より好ましくは、2体積%未満の相対湿度を有する。好ましい実施形態では、不活性ガスは、工程(iii)で適用されたキャリアガスと本質的に同じである。
【0049】
工程(iii)の間に適切な反応雰囲気を提供するために、反応容器を密閉し、このため、周囲から隔離することができ、一方、ガス流入管およびガス流出管により、キャリアガス、不活性ガス、ハロゲン含有ガスおよび/または水蒸気の容器への制御された導入および同容器からの制御された除去それぞれが可能となる。適切な反応容器は、例えば、当技術分野において公知の加熱可能な流動床反応器である。
【0050】
別の態様では、本発明は、
(i)反応器中の、好ましくは、固体形態にある出発材料として水酸化リチウム、水和物、溶媒和物またはこれらの混合物を提供する工程と、
(ii)工程(i)の出発材料を、室温または高められた温度でキャリアガス流に供する工程と、
(iii)工程(ii)の後に得られた生成物を、ハロゲン含有ガスと接触させ、それにより、ハロゲン化リチウムを形成する工程とを含み、ここで、工程(i)~(iii)は、本明細書に記載されたとおりである、
ハロゲン化リチウムを製造する方法に関する。
【0051】
ハロゲン化リチウムは、種々の分野において、例えば、リチウム金属および固体電解質の製造に使用することができる。ハロゲン化リチウムは、通常、水溶液から沈殿させ、ハロゲン化リチウム水和物相を得ることにより得られる。ハロゲン化リチウム水和物相を、その後に乾燥させなければならない。これは、一般的には、毒性物質、例えば、塩化チオニルを使用して行われる。これにより、有害な副生成物、例えば、SOの形成がもたらされる。さらに、出発材料、例えば、水酸化リチウムおよび塩化リチウム溶液は、非常に腐食性であり、したがって、使用される反応器材料に高い要求が課される。
【0052】
対照的に、本発明に係るハロゲン化リチウムを製造する方法では、毒性反応物質、例えば、塩化チオニルを使用する必要がない。加えて、酸化リチウムおよびハロゲン化リチウムの腐食性の高い水相を回避することにより、反応器材料の選択がより制限されず、このため、より費用効果の高い反応手法が提供される。さらに、流体ベースのプロセスとして行う場合、反応器中の水酸化リチウムおよびハロゲン化リチウムの滞留時間を、ハロゲン含有反応ガスおよびキャリアガスに対する抽出物表面積の最適な比が達成されながら、最小限に抑えられ、その結果、反応が加速され、反応器の腐食が回避される。
【0053】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載された方法により得ることができるリチウム塩生成物に関する。
【0054】
特に、本発明は、本明細書に記載された方法により得ることができる、水を実質的に含まない水酸化リチウムに関する。好ましい実施形態では、水酸化リチウムは、水および酸化リチウムを含まない。特に、水酸化リチウムは、水(すなわち、無水)、酸化リチウムおよび炭酸リチウムを含まない。
【0055】
本発明の意味における「~を含まない」とは、各化合物の含量が全生成物重量に基づいて、1.0重量%未満、好ましくは、0.5重量%以下、好ましくは、0.001~0.5重量%、特に、0.001~0.25重量%であることを意味する。水、酸化リチウムおよび/もしくは炭酸リチウムが存在しないことまたはこれらが存在する量を、当技術分野において公知の従来の手段、例えば、重量分析、粉末X線回折(XRD)またはカールフィッシャー滴定により検出することができる。
【0056】
特に、高温処理を含む、当技術分野において公知の方法により得ることができる無水水酸化リチウムとは対照的に、本発明に係る方法により得ることができる水酸化リチウムは、改善された生成物均質性および純度を有し、未反応の出発材料および副生成物、例えば、炭酸リチウムおよび酸化リチウムを含まない。これにより、更なる処理のための改善された特性およびエネルギー貯蔵装置における用途を有する水酸化リチウムが得られる。
【0057】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載された方法により得ることができる、ハロゲン化リチウム、例えば、塩化リチウムに関する。好ましくは、ハロゲン化リチウムは、水、水酸化リチウムおよび酸化リチウムを含まない。特に、本明細書に記載された方法により得ることができるハロゲン化リチウムは、水(すなわち、無水)、水酸化リチウム、酸化リチウムおよび炭酸リチウムを含まない。
【0058】
さらに別の態様では、本発明は、固体電解質の製造のための、本発明に係る無水水酸化リチウムの使用を指す。更なる態様では、本発明は、リチウム金属の製造のための、本発明に係る無水リチウム水酸化物の使用を指す。更なる態様では、本発明は、ハロゲン化リチウム、特に、水を実質的に含まないハロゲン化リチウムの製造のための、本発明に係る無水水酸化リチウムの使用を指す。更なる態様では、本発明は、炭酸リチウムの製造のための、本発明に係る無水水酸化リチウムの使用を指す。
【0059】
さらに別の態様では、本発明は、固体電解質の製造のための、本発明に係るハロゲン化リチウム、特に、塩化リチウムの使用を指す。更なる態様では、本発明は、リチウム金属の製造のための、本発明に係るハロゲン化リチウム、特に、塩化リチウムの使用を指す。更なる態様では、本発明は、炭酸リチウムの製造のための、本発明に係るハロゲン化リチウム、特に、塩化リチウムの使用を指す。
【0060】
本発明を、以下の図面および実施例により、より詳細にさらに例証するものとするが、これらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】CuKα放射を使用して2θが10~90°の範囲で測定され、相対強度Irelとして表示された、実施例3(下側のパターン)および比較例2(上側のパターン)に従って得られたLiOHの粉末X線回析パターンを示す図である。
図2】532nmのレーザー波長を使用して50~1866cm-1で測定され、相対強度Irelとして表示された、実施例4(下側のスペクトル)ならびに比較例3(上側のスペクトル)および比較例4(中央のスペクトル)に従って得られたLiClのラマンスペクトルを示す図である。
【0062】
方法
粉末X線回折分析を、Bruker D2位相器回折計において、CuKα放射を使用して2θが10~90°の範囲、0.040°の段差幅で行い、相対強度Irelとして表示した。半定量分析を、LiOH(2θ=32.5°)とLiO(2θ=33.7°)との最高反射の強度を比較することにより行った。
【0063】
ラマン分光分析を、Thermo Fischer Scientific DXR3 SmartRaman分光計において、532nmのレーザー波長、1sの露光時間、50~1866cm-1での32回の露光走査で行った。
【0064】
炭酸塩含量を、1Nおよび0.01Nの塩酸それぞれを利用する電位差酸/塩基滴定により分析した。測定を、Metrohm Titrando 905システムで行った。
【0065】
含水量を、Metrohm 874 Oven Sample Processorを使用したオーブン法(T=150℃;ガス流量=60ml/分)を利用して、カールフィッシャークーロメトリーにより測定した。
【0066】
実施例1
42重量%の全含水量を有する、100.0gのLiOH・HOを、窒素ガス流に供しながら、流動床反応器において、80℃で60分間加熱して、無水水酸化リチウム塩を得た。
【0067】
出発材料および得られた生成物の含水量を、XRDおよびカールフィッシャー滴定により測定した。
【0068】
酸化リチウムは、XRDにより、生成物中に検出されなかった。
【0069】
炭酸リチウムは、XRDおよび電位差滴定により、生成物中に検出されなかった。
【0070】
実施例2
実施例1に記載されたように得られた58gの無水水酸化リチウムを、ガス流の総体積に対して、3体積%のHClおよび97体積%の窒素を含むガス流に供しながら、流動床反応器において、200℃で120分間加熱して、無水塩化リチウム塩を得た。ガス流を、1m/hの流量で反応器に導入した。
【0071】
得られた生成物の含水量を、XRDおよびカールフィッシャー滴定により測定した。
【0072】
酸化リチウムは、XRDにより、生成物中に検出されなかった。
【0073】
炭酸リチウムは、XRDおよび電位差滴定により、生成物中に検出されなかった。
【0074】
水酸化リチウムは、XRDにより、生成物中に検出されなかった。
【0075】
実施例3
43.5重量%の全含水量を有する、100.0gのLiOH・HOを、21m/hの流量での窒素ガス流に供しながら、流動床反応器において、80℃で60分間加熱して、無水水酸化リチウム塩を得た。
【0076】
出発材料および得られた生成物の含水量を、カールフィッシャー滴定により測定した(表1を参照のこと)。
【0077】
炭酸リチウム含量が、電位差滴定により、生成物中で検出された(表1を参照のこと)。
【0078】
比較例1および比較例2を、以下に記載されたように行った。
【0079】
【表1】
【0080】
酸化リチウムは、XRDにより、実施例3に係る生成物中に検出されなかった(図1、下側のパターンを参照のこと)。
【0081】
比較例2において、2.1重量%の酸化リチウム含量が、XRDにより検出された(図1、上側のパターンを参照のこと)。
【0082】
実施例4
実施例3に記載されたように得られた58gの無水水酸化リチウムを、ガス流の総体積に対して、3体積%のHClおよび97体積%の窒素を含むガス流に供しながら、流動床反応器において、200℃で120分間加熱して、無水塩化リチウム塩を得た。ガス流を、1m/hの流量で反応器に導入した。
【0083】
得られた生成物の含水量を、カールフィッシャー滴定により測定した(表2を参照のこと)。
【0084】
比較例3および比較例4を、以下に記載されたように行った。
【0085】
【表2】
【0086】
水酸化リチウムは、318cm-1でのラマン分光法により、生成物中に検出されなかった(図2、下側のスペクトルを参照のこと)。
【0087】
比較例3において、水酸化リチウムが、318cm-1でのラマン分光法により検出された(図2、上側のスペクトルを参照のこと)。
【0088】
酸化リチウムは、528cm-1でのラマン分光法により、生成物中に検出されなかった(図2、下側のスペクトルを参照のこと)。
【0089】
比較例4において、酸化リチウムが、ラマン分光法により検出された(図2、中央のスペクトルを参照のこと)。
【0090】
比較例
比較例1および比較例2を、以下の表3にまとめられているように、実験パラメータを変更しながら、実施例3と同様に行った。
【0091】
比較例3および比較例4を、以下の表3にまとめられているように、実験パラメータを変更しながら、実施例4と同様に行った。
【0092】
【表3】
【0093】
本発明は、以下の条項を網羅する。
【0094】
1. 水を実質的に含まないリチウム塩を製造するための方法であって、
(i)反応器中の、好ましくは、固体形態にある出発材料として水酸化リチウム、水和物、溶媒和物またはこれらの混合物を提供する工程と、
(ii)工程(i)の出発材料を、室温または高められた温度でキャリアガス流に供する工程と
を含む、方法。
【0095】
2. 工程(i)における出発材料が、LiOH、LiOH・HOまたはこれらの混合物である、条項1記載の方法。
【0096】
3. 工程(i)における反応器が、加熱可能な反応器である、条項1または2記載の方法。
【0097】
4. 工程(i)における反応器が、好ましくは、ガス流入管およびガス流出管を有する、封止可能な反応器である、条項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【0098】
5. 工程(ii)を、20~150℃、好ましくは、60~130℃、より好ましくは、80~100℃の温度で行う、条項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【0099】
6. キャリアガスが、不活性ガス、例えば、アルゴン、乾燥空気および/または窒素である、条項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【0100】
7. キャリアガスが、例えば、流動床反応器中で流体として作用する、条項6記載の方法。
【0101】
8. キャリアガスを、ガス流入管を介して反応器に導入し、ガス流出管を介して反応器から出す、条項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【0102】
9. キャリアガスを、0.1~1000m/h、好ましくは、5~500m/h、より好ましくは、10~50m/hの流量で反応器に導入する、条項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【0103】
10. キャリアガスを、0.1~1000m/h、好ましくは、5~500m/h、より好ましくは、10~50m/hの流量で反応器から出す、条項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【0104】
11. 工程(ii)を、好ましくは、キャリアガスと同じである不活性ガス雰囲気、例えば、アルゴン、乾燥空気および/または窒素ガス雰囲気下で行う、条項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【0105】
12. 出発材料が、例えば、流動床反応器中で流体として作用する、条項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【0106】
13. 工程(ii)後に得られた生成物が、全生成物重量に基づいて、1.0重量%未満、好ましくは、0.5重量%以下、好ましくは、0.001~0.5重量%の含水量を有する、条項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【0107】
14. 工程(ii)後に得られた生成物が、LiCOおよび/またはLiOを実質的に含まない、条項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【0108】
15. (iii)工程(ii)後に得られた生成物を、ハロゲン含有ガスと接触させ、それにより、ハロゲン化リチウムを形成することをさらに含む、条項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【0109】
16. ハロゲン含有ガスが、HCl、HBr、HF、HIおよびこれらの混合物、好ましくは、HCl、HBrおよびこれらの混合物からなる群から選択される、条項15記載の方法。
【0110】
17. 工程(iii)を、室温または高められた温度、例えば、20~300℃、好ましくは、80~200℃、より好ましくは、80~150℃で行う、条項15または16記載の方法。
【0111】
18. ハロゲン含有ガスを、40~5000g/h、好ましくは、50~4500g/h、より好ましくは、100~3000g/hの流量で反応器に導入する、条項15から17までのいずれか1項記載の方法。
【0112】
19. 工程(iii)が、ハロゲン含有ガスを含むガス流を、好ましくは、ガス流の総体積に基づいて、0.001~100体積%、より好ましくは、1.0~10体積%の体積濃度で適用することを含む、条項15から18までのいずれか1項記載の方法。
【0113】
20. 工程(iii)が、好ましくは、工程(ii)のキャリアガスと同じキャリアガスを含むガス流を適用することを含む、条項15から19までのいずれか1項記載の方法。
【0114】
21. キャリアガスが、例えば、流動床反応器中で流体として作用する、条項20記載の方法。
【0115】
22. ハロゲン含有ガスおよび/またはキャリアガスを、ガス流入管を介して反応器に導入し、ガス流出管を介して反応器から出す、条項15から21までのいずれか1項記載の方法。
【0116】
23. キャリアガスを、0.1~1000m/h、好ましくは、5~500m/h、より好ましくは、10~50m/hの流量で反応器に導入する、条項20から22までのいずれか1項記載の方法。
【0117】
24. キャリアガスを、0.1~1000m/h、好ましくは、5~500m/h、より好ましくは、10~50m/hの流量で反応器から出す、条項20から23までのいずれか1項記載の方法。
【0118】
25. 工程(ii)後に得られた生成物が、例えば、流動床反応器中で流体として作用する、条項15から24までのいずれか1項記載の方法。
【0119】
26. 工程(iii)を、好ましくは、キャリアガスと同じである不活性ガス雰囲気、例えば、アルゴン、乾燥空気および/または窒素ガス雰囲気下で行う、条項15から25までのいずれか1項記載の方法。
【0120】
27. 条項1から14までのいずれか1項記載の工程(i)および(ii)と、条項15から26までのいずれか1項記載の工程(iii)とを含む、ハロゲン化リチウムを製造する方法。
【0121】
28. 条項1から14までのいずれか1項記載の方法により得ることができる、リチウム塩生成物。
【0122】
29. 条項15から27までのいずれか1項記載の方法により得ることができる、リチウム塩生成物。
【0123】
30. 水、LiCOおよび/またはLiOを実質的に含まず、好ましくは、水、LiCOおよびLiOを含まない、条項28記載の生成物。
【0124】
31. 水、LiOHおよび/またはLiOを実質的に含まず、好ましくは、水、LiOHおよびLiOを含まない、条項29記載の生成物。
【0125】
32. 固体電解質、リチウム金属、炭酸リチウムまたはハロゲン化リチウム、特に、水を実質的に含まないハロゲン化リチウムの製造のための、条項28から31までのいずれか1項記載の生成物の使用。
【0126】
33. 工程(ii)を、20~100℃、好ましくは、20~80℃、より好ましくは、60~80℃の温度で行う、条項1から27まで記載の方法。
図1
図2
【国際調査報告】