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特表2023-539688超音波構造物健全性モニタリング装置、システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(54)【発明の名称】超音波構造物健全性モニタリング装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/24 20060101AFI20230908BHJP
   G01N 29/07 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
G01N29/24
G01N29/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514703
(86)(22)【出願日】2021-08-20
(85)【翻訳文提出日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 CA2021051162
(87)【国際公開番号】W WO2022047573
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】63/074,112
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/092,621
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595006223
【氏名又は名称】ナショナル リサーチ カウンシル オブ カナダ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】クルージャー,シルヴィオ エルトン
(72)【発明者】
【氏名】ロッシェロー,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】スン,ズィガン
(72)【発明者】
【氏名】ウ,クオ-ティン
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047BA03
2G047BB01
2G047BC02
2G047BC07
2G047BC18
2G047CA01
2G047GA13
2G047GB02
2G047GB17
2G047GG30
2G047GG46
(57)【要約】
本開示は、超音波構造物健全性モニタリング装置、システム及び方法の種々の実施形態を示す。一実施形態において、構造物をモニタリングするための超音波構造物健全性モニタリング装置が示される。この装置は、構造物上に配置可能な下部電極と、下部電極上に配置された圧電媒体と、圧電媒体上に配置された上部電極と、防音層と、圧電媒体に電気的励起をもたらし、そこから構造物健全性を表す発生電気応答を収集するコネクタとを備える。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物のモニタリングのための超音波構造物健全性モニタリング装置であって、
前記構造物上に配置可能な下部電極と、
前記下部電極上に配置された圧電媒体と、
前記圧電媒体上に配置された上部電極と、
防音層と、
前記圧電媒体に電気的励起を与え、そこから構造物の健全性を表す発生電気応答を収集するコネクタと、を備えている、超音波構造物健全性モニタリング装置。
【請求項2】
前記圧電媒体は、前記電気的励起を前記構造物によってエコーとして反射される対応する超音波に変換して、前記構造物の健全性を表す前記発生電気応答を生成する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記構造物の厚さは、前記電気的励起と前記発生電気応答との間の経過時間によって表され、前記経過時間の変動が前記構造物の健全性を表す、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記圧電媒体は、前記下部電極上に堆積された圧電層を含む、請求項1~3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記圧電層は、圧電フィルムを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
カバー層をさらに備えている、請求項1~5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記カバー層上に配置された電気的に非導電性の耐高温コーティング層をさらに備えている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記電気的に非導電性の耐高温コーティング層は、ポリイミド粘着テープにより形成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記圧電媒体は、圧電セラミック粉末と結合材との混合物により形成されており、該混合物が前記下部電極に吹き付けられてなる、請求項1~8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記下部電極は、金属基板である、請求項1~9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記金属基板は、アルミニウムを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記コネクタは、ケーブルを含む、請求項1~11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記ケーブルは、前記圧電媒体と同軸上に配置されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ケーブルは、前記下部電極に接続されたシールド層と、前記上部電極に接続されたコアとを含む、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記コネクタは、誘導コイルを含む、請求項1~11のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記装置の少なくとも一部を充填する封止材をさらに含む、請求項1~15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記封止材は、接着性封止材である、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記接着性封止材は、超低水蒸気透過率接着材を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記封止材が前記圧電媒体と接触するのを防止するための保護リムをさらに含む、請求項16~18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記保護リムは、片面ポリイミド粘着テープにより形成されている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
モニタリングされる前記構造物に前記装置を脱着可能に取り付けるための磁石をさらに含む、請求項1~20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
前記磁石は、前記防音層の上に配置されている、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記磁石は、環状であり、前記圧電媒体を取り囲むように構成されている、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記防音層の上方に位置し、下方への圧縮力を加えるように構成された実質的にディスク状のゴム要素をさらに含む、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
プラスチックフィルム層をさらに含む、請求項1~24のいずれかに記載の装置。
【請求項26】
前記プラスチックフィルム層は、前記下部電極の裏面のうち前記圧電媒体に沿う領域を除いて、該裏面を部分的に覆っている、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記コネクタを保護するように、前記下部電極の少なくとも1つの縁を実質的に覆うエッジクッションをさらに含む、請求項1~26のいずれかに記載の装置。
【請求項28】
前記エッジクッションは、片面ホットメルトラミネートフィルムにより形成されている、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
2つ以上の感知素子を含み、
前記コネクタは、前記2つ以上の感知素子のそれぞれに前記電気的励起を共通にもたらすように直列に接続されている、請求項1~28のいずれかに記載の装置。
【請求項30】
2つ以上の感知素子を含み、
前記感知素子のそれぞれは、前記コネクタのそれぞれを介して動作可能に接続されている、請求項1~28のいずれかに記載の装置。
【請求項31】
前記コネクタのそれぞれの一方は、前記電気的励起をもたらすように動作し、前記コネクタのそれぞれの他方は、前記発生電気応答を収集するように動作する、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記下部電極、前記圧電媒体、前記上部電極、又は前記防音層の少なくとも1つを共有する2つ以上の感知素子を含む、請求項1~31のいずれかに記載の装置。
【請求項33】
前記構造物の外面に取り付け可能である、請求項1~32のいずれかに記載の装置。
【請求項34】
前記構造物はライナーを含み、
前記ライナーの厚さをモニタリングするために、前記装置は前記構造物と前記ライナーとの間に埋め込み可能である、請求項1~32のいずれかに記載の装置。
【請求項35】
前記コネクタは、前記電気的励起を発生させ、前記発生電気的応答を受信するように動作可能なパルサー/レシーバーに動作可能に接続されている、請求項1~34のいずれかに記載の装置。
【請求項36】
前記防音層は、前記上部電極の上に配置されている、請求項1~35のいずれかに記載の装置。
【請求項37】
構造物健全性を表す前記発生電気応答は、構造的摩耗、腐食、孔食、氷結又は亀裂のうち少なくとも1つを表す、請求項1~36のいずれかに記載の装置。
【請求項38】
前記カバー層は、金属層を含む、請求項6~8のいずれかに記載の装置。
【請求項39】
構造物をモニタリングするための超音波構造物健全性モニタリングシステムであって、
請求項1~38のいずれかに記載の超音波構造物健全性モニタリング装置と、
前記電気的励起を生成し、前記発生電気応答を受信するように動作可能なパルサー/レシーバーと、
前記電気的励起と前記発生電気応答との間の経過時間の関数として前記構造物の健全性の表示を出力するように動作可能なデジタルプロセッサとを含む、超音波構造物健全性モニタリングシステム。
【請求項40】
前記超音波構造物健全性モニタリング装置は、同一の電気的励起を介して同時に励起されるように共通の前記コネクタを介して直列に接続された複数の感知素子を含み、
前記デジタルプロセッサは、前記同一の電気的励起と第1の前記発生電気応答との間の最短経過時間の関数として最大摩耗の表示を出力するように動作可能である、請求項39に記載の超音波構造物健全性モニタリングシステム。
【請求項41】
構造物をモニタリングするための超音波構造物健全性モニタリング方法であって、
請求項1~38のいずれかに記載の超音波構造物健全性モニタリング装置を前記構造物に貼付することと、
前記電気的励起を介して前記超音波構造物健全性モニタリング装置を励起し、そこからの前記発生電気応答を収集することと、
デジタルプロセッサを用いて前記電気的励起と前記発生電気応答との間の経過時間をモニタリングして前記経過時間の関数としての構造物健全性の表示を出力することとを含む、超音波構造物健全性モニタリング方法。
【請求項42】
前記超音波構造物健全性モニタリング装置は、同一の電気的励起を介して同時に励起されるように共通の前記コネクタを介して直列に接続された複数の感知素子を含み、
前記デジタルプロセッサは、最短の前記経過時間をモニタリングして、前記最短の経過時間の関数として最大摩耗の表示を出力するように動作可能である、請求項41に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波構造物健全性モニタリングに関し、特に、超音波構造物健全性モニタリング装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの産業資産又は重要な構造物は、基本的な機能を損なう及び/又は故障の原因となり得る、腐食、浸食、疲労、亀裂、クリープ等による劣化を受ける。
【0003】
これらの産業資産の超音波モニタリングは、致命的な故障を防ぎ、メンテナンス及び生産を最適化する効率的な方法になり得る。利用可能な超音波トランスデューサのほとんどは、モニタリング用途に大規模に用いるには、大き過ぎ、非常に高価である。薄型の超音波トランスデューサが開発されているが、その多くは過酷な環境下で使用するための完全密閉や電気的シールドが施されていない。また、いくつかのアプリケーションでは、構造物内に埋め込むことができるように、非常に小さな設置面積及び/又は低重量のトランスデューサを必要とする。従って、それらは改良の必要性がある。
【0004】
この背景技術情報は、関連する可能性があると出願人が考える情報を明らかにするために提供される。先行情報のいずれかが先行技術を構成すること、又は関連技術における一般的な共通知識の一部を形成することを、必ずしも認めることを意図しておらず、また、解釈すべきでない。
【発明の概要】
【0005】
以下は、本開示のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、本明細書に記載された一般的な発明概念の簡略化された要約を提示する。この要約は、本開示の広範な概要ではない。それは、本開示の実施形態の主要又は重要な要素を制限すること、又は以下の説明及び特許請求の範囲によって明示的又は暗黙的に説明される範囲を越えてそれらの範囲を画定することを意図していない。
【0006】
既知の解決策の欠点のいくつかを克服するか、又は少なくともその有用な代替物を提供する、超音波構造物健全性モニタリング装置、システム及び方法に対する必要性が存在する。本開示のいくつかの態様は、そのような装置、システム及び方法の例を提供する。
【0007】
一態様によると、構造物をモニタリングするための超音波構造物健全性モニタリング装置が提供され、この装置は、構造物上に配置された下部電極と、前記下部電極上に配置された圧電媒体と、前記圧電媒体上に配置された上部電極と、防音層と、前記圧電媒体に電気的励起を与え、そこから構造物の健全性を表す発生電気応答を収集するコネクタとを含む。
【0008】
一実施形態において、圧電媒体は、前記電気的励起を、構造物によってエコーとして反射される対応する超音波に変換し、前記構造物の健全性を表す前記発生電気応答を生成する。
【0009】
一実施形態において、構造物の厚さは、前記電気的励起と前記発生電気応答との間の経過時間によって表され、前記経過時間の変動が前記構造物の健全性を表す。
【0010】
一実施形態において、前記圧電媒体は、前記下部電極上に堆積された圧電層を含む。
【0011】
一実施形態において、前記圧電層は、圧電フィルムを含む。
【0012】
一実施形態において、前記装置は、カバー層をさらに備えている。
【0013】
一実施形態において、前記装置は、前記カバー層上に配置された電気的に非導電性の耐高温コーティング層をさらに備えている。
【0014】
一実施形態において、電気的に非導電性の耐高温コーティング層は、ポリイミド粘着テープからなる。
【0015】
一実施形態において、圧電媒体は、圧電セラミック粉末と結合材との混合物からなり、前記下部電極に吹き付けられる。
【0016】
一実施形態において、下部電極は金属基板である。
【0017】
一実施形態において、金属基板はアルミニウムを含む。
【0018】
一実施形態において、コネクタはケーブルを含む。
【0019】
一実施形態において、ケーブルは、前記圧電媒体と同軸上に配置される。
【0020】
一実施形態において、ケーブルは、前記下部電極に接続されたシールド層と、前記上部電極に接続されたコアとを含む。
【0021】
一実施形態において、コネクタは誘導コイルを含む。
【0022】
一実施形態において、装置は、該装置の少なくとも一部を充填する封止材をさらに含む。
【0023】
一実施形態において、封止材は接着性封止材である。
【0024】
一実施形態において、接着性封止材は、超低水蒸気透過率接着材を含む。
【0025】
一実施形態において、装置は、封止材が前記圧電媒体と接触するのを防止するために保護リムをさらに含む。
【0026】
一実施形態において、保護リムは、片面ポリイミド粘着テープからなる。
【0027】
一実施形態において、装置は、モニタリングすべき構造物に装置を脱着可能に取り付けるための磁石をさらに含む。
【0028】
一実施形態において、磁石は前記防音層の上に配置される。
【0029】
一実施形態において、磁石は環状であり、前記圧電媒体を取り囲むように構成されている。
【0030】
一実施形態において、装置は、前記防音層の上方に位置し、下方への圧縮力を加えるように構成された実質的にディスク状のゴム要素をさらに含む。
【0031】
一実施形態において、装置は、プラスチックフィルム層をさらに含む。
【0032】
一実施形態において、プラスチックフィルム層は、前記下部電極の裏面のうち前記圧電媒体に沿う領域を除いて、部分的に覆っている。
【0033】
一実施形態において、装置は、前記コネクタを保護するように、前記下部電極の少なくとも1つの縁を実質的に覆うエッジクッションをさらに含む。
【0034】
一実施形態において、エッジクッションは、片面ホットメルトラミネートフィルムからなる。
【0035】
一実施形態において、装置は2つ以上の感知素子を含み、前記コネクタは前記2つ以上の感知素子のそれぞれに前記電気的励起を共通にもたらすように直列に接続される。
【0036】
一実施形態において、装置は2つ以上の感知素子を含み、それぞれの感知素子は、それぞれの前記コネクタを介して動作可能に接続される。
【0037】
一実施形態において、前記それぞれのコネクタの一方は、前記電気的励起をもたらすように動作し、前記それぞれのコネクタの他方は、前記発生電気応答を収集するように動作する。
【0038】
一実施形態において、装置は、前記下部電極、前記圧電媒体、前記上部電極、又は前記防音層の少なくとも1つを共有する2つ以上の感知素子を含む。
【0039】
一実施形態において、装置は、構造物の外面に取り付け可能である。
【0040】
一実施形態において、構造物はライナーを含み、ライナーの厚さをモニタリングするために、装置は構造物とライナーとの間に埋め込み可能である。
【0041】
一実施形態において、コネクタは、前記電気的励起を発生させ、発生した電気的応答を受信するように動作可能なパルサー/レシーバーに動作可能に接続される。
【0042】
一実施形態において、防音層は、前記上部電極の上に配置される。
【0043】
一実施形態において、構造的健全性を表す発生電気応答は、構造的摩耗、腐食、孔食、氷結又は亀裂のうち少なくとも1つを表す。
【0044】
一実施形態において、カバー層は金属層を含む。
【0045】
他の態様によると、構造物をモニタリングするための超音波構造物健全性モニタリングシステムが提供され、該システムは、上記の通り定義された超音波構造物健全性モニタリング装置と、前記電気的励起を生成し、前記発生電気応答を受信するように動作可能なパルサー/レシーバーと、前記電気的励起と前記発生電気応答との間の経過時間の関数として前記構造物の健全性の表示を出力するように動作可能なデジタルプロセッサとを含む。
【0046】
一実施形態において、超音波構造物健全性モニタリング装置は、同一の電気的励起を介して同時に励起されるように共通の前記コネクタを介して直列に接続された複数の感知素子を含み、デジタルプロセッサは、前記同一の電気的励起と第1の発生電気応答との間の最短経過時間の関数として最大摩耗の表示を出力するように動作可能である。
【0047】
他の態様によると、構造物をモニタリングするための超音波構造物健全性モニタリング方法が提供され、該方法は、上記で定義された超音波構造物健全性モニタリング装置を構造物に貼付することと、前記電気的励起を介して前記超音波構造物健全性モニタリング装置を励起し、そこからの発生電気応答を収集することと、デジタルプロセッサを用いて前記電気的励起と前記発生電気応答との間の経過時間をモニタリングして前記経過時間の関数としての構造物健全性の表示を出力することとを含む。
【0048】
一実施形態において、超音波構造物健全性モニタリング装置は、同一の電気的励起を介して同時に励起されるように共通の前記コネクタを介して直列に接続された複数の感知素子を含み、デジタルプロセッサは、最短の前記経過時間をモニタリングして、前記最短の経過時間の関数として最大摩耗の表示を出力するように動作可能である。
【0049】
他の態様、特徴及び/又は利点は、添付の図面を参照して例示としてのみ与えられるその特定の実施形態の以下の非限定的な説明を読むことで、より明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本開示のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して例示としてのみ提供される。
図1A-B】図1A及び1Bは、超音波トランスデューサが構造物健全性(例えば摩耗又は厚さ)モニタリングにどのように使用され得るかを示す概略図である。
図2A-B】図2A及び2Bは、それぞれ、一実施形態に係る単一素子超音波トランスデューサを含む構造物健全性モニタリング装置の断面図及び分解斜視図である。
図3A-B】図3A及び3Bは、2つの異なる実施形態に係るモニターする部分に付着力を与えるために磁石が追加された単一素子超音波トランスデューサの分解斜視図である。
図4A-D】図4A~4Dは、異なる実施形態に係る直線状に延びる超音波トランスデューサの異なる実施形態の概略側面図である。
図5図5は、一実施形態に係る各感知素子がそれ自体に対応する同軸ケーブル接続に個別に接続される多素子超音波トランスデューサを含む構造物健全性モニタリング装置の分解斜視図である。
図6図6は、一実施形態に係る矩形状の多素子超音波トランスデューサの分解斜視図である。
図7図7は、一実施形態に係る種々の感知素子が同一の同軸ケーブルに接続された多素子超音波トランスデューサを含む構造物健全性モニタリング装置の分解斜視図である。
図8A-B】図8A及び8Bは、一実施形態に係る単一の同軸ケーブルを用いる多素子超音波トランスデューサが、モニタリングされる構造又は物体の最も高いレベルの摩耗又は最も小さい厚さを検出するために用いられ得る方法を示す概略図である。
図9図9は、一実施形態に係る複数の直線状に延びる超音波トランスデューサが、実質的に2次元の領域をカバーするように相互接続され得る方法を示す概略図である。
図10A-B】図10A及び10Bは、一実施形態に係るライナーと中間層との間、又はライナーと構造支持層との間に埋め込んでライナーの劣化をモニタリングするための単一素子超音波トランスデューサの概略側面図及び概略上面図である。
図11図11は、一実施形態に係る図10A及び10Bの単一素子超音波トランスデューサの変形例を示す概略側面図である。
図12図12は、一実施形態に係る図10A及び10Bの単一素子超音波トランスデューサの更なる他の変形例を示す概略側面図である。
図13A-B】図13A及び13Bは、それぞれ、一実施形態に係る図10A及び10Bの単一素子超音波トランスデューサの他の変形例を示す概略側面図及び底面図である。
図14A-B】図14A及び14Bは、それぞれ、一実施形態に係る図10A及び10Bの高温耐性及び高耐食性の単一素子超音波トランスデューサの変形例を示す概略側面図である。
図15A-C】図15A~15Cは、一実施形態に係る同軸ケーブルの代わりに誘導コイルを用いた図10A及び10Bの単一素子超音波トランスデューサの変形例を示す上面図、側面図及び底面図である。
図16A-B】図16A及び16Bは、それぞれ、各実施形態に係る2つの同軸ケーブル又は2つの誘導コイルを用いた二素子超音波トランスデューサの概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
いくつかの図における要素は、単純化及び明確化のために図示されており、必ずしも縮尺通りに描かれてはいない。例えば、図中のいくつかの要素の寸法は、現在開示されている種々の実施形態の理解を容易にするために、他の要素に対して強調される場合がある。また、商業的に実現可能な実施形態において有用又は必要な、一般的であるがよく理解されている要素は、本開示のこれらの種々の実施形態の視界をあまり妨げないようにするために、描かれていない場合がある。
【0052】
本明細書の種々の実施形態及び態様は、後述する詳細を参照して説明される。以下の説明及び図面は、仕様を例示するものであり、仕様を限定するものとして解釈されるものではない。本明細書の種々の実施態様を十分に理解するために、多数の特定の詳細が説明される。しかしながら、特定の例は、本明細書の実施態様の簡潔な議論を提供するために、周知の又は従来の詳細が説明されない。
【0053】
本明細書に開示されたシステムの実施例を提供するために、種々の装置及びプロセスが以下に説明される。以下に説明される実施例は、任意の請求される実施態様を制限するものではなく、任意の請求される実施態様は、以下に説明されるものとは異なるプロセス又は装置をカバーし得る。請求される実施態様は、以下に記載される任意の1つの装置若しくはプロセスの全ての特徴を有する装置若しくはプロセス、又は以下に記載される装置若しくはプロセスの複数若しくは全てに共通する特徴に限定されない。以下に説明される装置又はプロセスは、請求される主題の実施態様ではない可能性もある。
【0054】
さらに、本明細書に記載された実施態様を十分に理解するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本明細書に記載された実施態様は、これらの具体的な詳細がなくても実施され得ることが関連する技術分野の当業者によって理解されるであろう。他の例において、周知の方法、手順及び構成要素は、本明細書に記載された実施態様を不明瞭にしないように、詳細には記載されていない。
【0055】
本明細書において、要素は、1つ以上の機能を実行するように「構成されている」、又はそのような機能のために「構成されている」と記載され得る。一般に、機能を実行するように構成されている、又は機能を実行するように構成されている、又は機能を実行するために構成されている要素は、その機能を実行することが可能であるか、その機能を実行するのに適しているか、その機能を実行するように適合されているか、その機能を実行するように動作可能であるか、又はその機能を実行することができる別の方法である。
【0056】
本明細書の目的上、「X、Y、及びZの少なくとも1つ」並びに「X、Y、及びZの1つ以上」の語は、Xのみ、Yのみ、Zのみ、又は2つ以上の項目X、Y、及びZの任意の組み合わせ(例えば、XYZ、XY、YZ、ZZ等)として解釈され得ることが理解される。同様の論理は、「少なくとも1つの・・・」及び「1つ以上の・・・」の語の出現においても、2つ以上の項目に対して適用され得る。
【0057】
別途定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、この発明が属する技術分野における当業者が一般に理解するのと同一の意味を有する。
【0058】
本明細書及び特許請求の範囲を通じて、以下の用語は、文脈が明確に指示しない限り、本明細書で明示的に関連付けられた意味を採る。本明細書で用いられる「実施形態のうちの1つにおいて」又は「種々の実施形態のうちの少なくとも1つにおいて」という語は、同じ実施形態を指す場合もあるが、必ずしもそうではない。さらに、本明細書で用いられる「他の実施形態において」又は「いくつかの実施形態において」の語は、そうであってもよいが、必ずしも異なる実施形態を意味するものではない。従って、以下に説明するように、本明細書に開示された革新の範囲又は精神から逸脱することなく、種々の実施形態が容易に組み合わせられ得る。
【0059】
さらに、本明細書で用いられる「又は」の用語は、包括的な「or」演算子であり、文脈が明確に指示しない限り、「及び/又は」の用語と同等である。「基づく」の用語は、排他的ではなく、文脈が明確に指示しない限り、説明されていない追加の要因に基づくことを許容する。さらに、本明細書の全体を通じて、「a」、「an」、及び「the」の意味は、複数の参照の意味を含む。「in」の意味は「in」及び「on」を含む。
【0060】
本明細書及び特許請求の範囲で用いられる場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈から明らかにそうでないと判断されない限り、複数の参照を含む。
【0061】
本明細書で用いられる「含む」の語は、示されたリストが非網羅的であり、他の追加の適切な項目、例えば適切な1つ以上の更なる特徴、構成要素及び/又は要素を含んでいても、含んでいなくてもよいことを意味することが理解されるであろう。
【0062】
現在の技術は、上述の問題により、市場への応用が限定的な超音波トランスデューサの設計に依存している。従って、構造物健全性モニタリング又は予知保全アプリケーションのための超音波トランスデューサの広範な使用は、いくつかの実施形態において、低コスト、低フットプリント、及び過酷な環境対応のトランスデューサを必要とし得る。
【0063】
本開示は、異なる実施形態に従って、潜在的に非常に低コストである、薄く、シールされ、シールドされた可撓性超音波トランスデューサを含む構造物健全性(例えば摩耗又は厚さ)モニタリング装置の例を提供する。これらの超音波トランスデューサは、単一素子又は多素子の構成で用いられることができ、限られたスペース、操作中における困難なアクセス、及び/又は過酷な環境の領域を含む、モニタリングすべき物体若しくは構造(すなわちライナー、壁、ビーム等)、又はその一部に容易に接着又は他の方法で取り付けることができる。また、これらの新たな超音波トランスデューサの設計は、トランスデューサの重量が重要な考慮事項である航空宇宙用途において大きな関心事となり得る。さらに、以下に論じる実施形態は、構造物又は物体上の氷の存在を検出するために、さらに用いられ得る。
【0064】
図1A及び1Bは、超音波トランスデューサが構造物健全性モニタリング、特に摩耗又は厚さのモニタリング用途にどのように用いられ得るかを概略的に示す。これは、一般に、モニタリングすべき物体又は構造物102の表面に超音波トランスデューサ100を取り付けることを含み、前記超音波トランスデューサ100は、パルサー/レシーバー装置104から発信される入力電気信号を、構造物102を通って伝播する診断用超音波106に変換するように動作可能な圧電媒体(例えば構成要素、層又はフィルム)をそこに含む。特に、診断用超音波106は、構造物102の厚さhを通って伝搬することができる。それは、例えば対向する摩耗面又は表面108で反射され、摩耗面108から反射されるエコー110を生成できる。図1Bに示されるように、エコー110は、圧電要素100を介して、前記パルサー/レシーバー装置104(又はそれに接続された取得装置若しくはデジタルコンピュータ)に送り返される電気エコー信号112を生成する。入力電気信号の放出とエコー信号112の戻りとの間の経過時間として定義される飛行時間τは、構造物102の内部の音速Cの既知の値を用いて、超音波トランスデューサ100の下に位置する材料の厚さ(ここでは例えば厚さh)を計算するために用いられ得る。従って、例示的なアプリケーションでは、厚さの変化は、トランスデューサ100を介して能動的にモニタリングされ得る摩耗面又は表面106の摩耗又は劣化を示すものである。他の構造物健全性アプリケーションは、同様の方法で、腐食、孔食検出、氷結検出、又は疲労亀裂検出を標的とし得る。例えば、本明細書に記載されるようなシステム及び装置は、亀裂のような不連続性の出現及び成長をモニタリングするように動作され得る。実際、そのような実施形態では、これらの不連続性によって生成される余分な音響エコーの振幅及び到着時間、並びに複数の要素からのエコー特性の組み合わせによって、構造物内の不連続性の寸法決定及び位置決定を行うことが可能となり得る。従って、ほとんどの例は、構造的摩耗アプリケーションのコンテキスト内で以下に提供されるが、他の構造物健全性アプリケーションも考慮され得る。
【0065】
図2A及び2Bを参照し、一例示的実施形態に係る全体として符号200を用いて参照される単一素子超音波トランスデューサを含む構造物健全性モニタリング装置(摩耗モニタリング装置とも呼ばれる)を、以下に説明する。図2A及び2Bは、一実施形態に係る例示的な単一素子超音波トランスデューサ200の断面図及び分解斜視図をそれぞれ示す。
【0066】
図2A及び2Bに示されるように、単一素子超音波トランスデューサ200は、通常、導電性基板204の上に重ねられ(使用中、構造物102の表面と物理的に接触することを意味する)、下部電極として機能する圧電フィルム202を含む単一感知素子を含む。圧電フィルム202は、例えば圧電セラミック材料等の実質的に圧電性の材料から形成され得る。特に、圧電フィルム202は、圧電セラミック粉末と結合材とを混合したものを、導電性基板204(下部電極として機能する)上に吹き付けたものから形成され得る。圧電フィルム202の上には、上部電極として機能するように、実質的に導電性の材料からなる導電層206が積層される。導電層206の上には、単一素子超音波トランスデューサ200を埋め込んだ場合に音響エネルギーが漏れないように、実質的に音響的に絶縁又は吸収する材料からなる防音層208が重ねられている。トランスデューサ200は、さらに、パルサー/レシーバーユニット(図示せず)から発信される電気的励起を圧電フィルム202にもたらし、同様に発生した電気的戻りエコー信号を収集し、送り返すために同軸ケーブル210を用いる。同軸ケーブル210は、シールド層又はワイヤ212、コアワイヤ214及び誘電体部分216を含むものが示されており、シールド層212は下部基板204(下部電極)に接続され、コアワイヤ214は導電層206(上部電極)に接続され、それによって電気回路を形成する。
【0067】
いくつかの実施形態において、防音層208は、コアワイヤ214の上部電極(導電層206)への電気的接続をより強固にするように、少なくとも一部を実質的に導電性でもある材料で形成され得る。このような実施形態において、防音層208と導電性カバー層218との間の電気的接触を避けるために、実質的に電気的絶縁性又は誘電性の材料からなる防音層208(又はその上に重ねられた他の区別される層、図示せず)の上部を有することが望ましい場合がある。同様に、カバー層218と他の構成要素との間の空間は、さらに封止材220で満たされてもよく、これは、導電性カバー層218を上部電極(導電層206)から分離するように機能し得る。また、封止材220は、いくつかの実施形態において、全ての構成要素を共に維持する粘着又は接着材料として機能し得る。シールド目的の場合、導電性カバー層218が電気的接地(導電性基板204又は同軸ケーブル210のシールド層若しくはワイヤ212)と電気的に接触していることが重要である。
【0068】
いくつかの実施形態において、同軸ケーブル210のシールド層又はワイヤ212は、好ましくは導電性接着材を用いて、はんだ付け/溶接によって、又は本技術分野において任意の他の既知の方法を介して、導電性基板204及び/又は導電性カバー層218の上部に接続されていてもよい。さらに、いくつかの実施形態において、同軸ケーブル210のコアワイヤ214は、実質的に導電性の接着材料を用いて上部電極(導電層206)に取り付けられ得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、上述の単一素子超音波トランスデューサ200の構成要素の一部又は全部は、構造物102の湾曲した部分又は表面に容易に適応するようにトランスデューサ200にある程度の柔軟性を与えるように、少なくとも部分的に実質的に柔軟な材料で形成され得る。
【0070】
図3A及び3Bの分解斜視図に示される他の実施形態では、磁石302、306を任意に追加し、この部分又は構造物102が少なくとも部分的に強磁性材料で構成されている場合に、単一素子超音波トランスデューサをモニタリング対象の部分又は構造物102に着脱可能に取り付けるための手段を提供してもよい。これは、単一素子超音波トランスデューサ200を部分又は構造物102に永久的に取り付けるために用いられる接着材の硬化中に、単一素子超音波トランスデューサ200を所定の位置に維持するための設置時に有用であり、又は単一素子超音波トランスデューサ200を再使用可能にする非永久的なカップリングと共に使用することもできる。
【0071】
従って、図3Aに示される例示的実施形態は、図2A及び2Bの実施形態200と実質的に同様であるが、単一素子超音波トランスデューサ300の活性領域に直接圧縮力を与えるように、圧電フィルム202及び両電極(導電性基板204及び導電層206)の上に位置する磁石302をさらに含む、単一素子超音波トランスデューサの他の実施形態を示している。この特定の実施形態において、磁石302は、防音層208の直上に位置し、封止材220の直下に位置する。
【0072】
同様に、図3Bの例示的実施形態304において、各部分又は要素は、実質的にディスク状の対称性を有し、環状又はリング状の磁石306が、圧電フィルム202の周りに設置されるように用いられ、その結果、磁石306は、モニタリングされるべき構造物102に物理的に近づき、従って有利に、より強い保持力をもたらす。この例示的な実施形態は、磁石306の内部に設置又は配置され、下方への圧縮力を生成するように構成された実質的にディスク状のゴム様要素308をさらに含み得る。この実施形態は、より明瞭にするためだけに図3Bでは省略された、以前の実施形態に示された封止材220を含み得る。
【0073】
図4~6を参照し、異なる実施形態に係る一般に多素子トランスデューサと呼ばれる複数の感知素子を含む超音波トランスデューサについて論じる。以下でさらに論じられるように、本明細書で論じられる多素子超音波トランスデューサは、一般に、それぞれが独自の圧電フィルム202を含むが、共に接続されて単一のトランスデューサ装置又はアセンブリを提供する2つ以上の感知素子を含む。さらに、多素子トランスデューサにおけるこれらの2つ以上の感知素子は、後述するように、異なる方法で共に接続され得る。最後に、図5及び6の例示的実施形態は、4つの異なる感知素子を含む多素子トランスデューサを例示しているが、これは単に例示であり、任意の数の感知素子が制限なく、後述するように接続又は接合され得る。さらに、上記で提供されるように、構造物健全性又は摩耗のモニタリングへの適用がここで例示されているが、本開示は、腐食、亀裂腐食、疲労、クリープ、孔食又は氷結のモニタリング等の他の超音波用途に適用される。部分又は表面の機能を損ない得る及び/又は故障の原因となり得る構造的摩耗又は変化をモニタリングする際の種々の用途は、当業者に知られるであろう。
【0074】
いくつかの実施形態において、構造物健全性モニタリング装置は、構造物又は物体のより大きな領域をカバーするように、直線的な様式等で、空間的に拡張され得る。いくつかの例は、図4A~4Dに概略的に示される。例えば、図4Aは、一方向に実質的な空間的広がりを有する異なる要素(導電性基板204(下部電極)、圧電フィルム202、及び導電層206(上部電極))を有する単一素子トランスデューサを含む構造物健全性モニタリング装置を示し、それにより矩形のバンド又はストリップの形状を有する。図4Bは、下部電極層204及び圧電フィルム202の単一のストリップ又はバンドが、以前と同様に用いられるが、その長さに沿って複数の局所的な上部電極(導電層206)が堆積される他の例を示す。この実施形態において、多重化された局所的な上部電極(導電層206)は、図示するように棒状である。これらの上部電極(導電層206)は、電気的に相互に接続され得る。図4Cは、図4Bのものと同様の実施形態を示すが、複数の上部電極(導電層206)がディスク状である場合である。図4Dは、図2A~3Bのものと同様の個々の単一素子超音波トランスデューサが個々に接続された実施形態を示す。当業者は、異なる実施形態が各圧電フィルム202の相対的な位置又はサイズ、及びそれによって覆われる構造物又は物体の領域又は部分に応じて、異なる空間的解決を有し得ることを理解するであろう。
【0075】
同様に、図5~7は、多素子超音波トランスデューサを含む構造物健全性モニタリング装置の追加の例示的実施形態を示す。例えば、図5は、通常、符号500を用いて参照される、多素子超音波トランスデューサの例示的実施形態を示し、それぞれの感知素子は、それ自体の圧電フィルム202、上部電極206及び防音層208を含み、単一素子トランスデューサの文脈で上述したように構成されるが、(以前のように下部電極として機能するために下部で)同一の連続するバンド又はストリップの導電基板204を共有し、(上部に)同一のカバー導電層218を共有する。封止材220の単一のバンド又は層は、上述したように2つの共有層204、218の間の任意の空間を埋めるように適用され得る。図示されるように、通常、各個々の感知素子はディスク状である。この実施形態において、各感知素子は、それ自体の対応する同軸ケーブル210に個別に接続されていることが示されている。そのような例示的実施形態は、各感知素子について別個のエコー信号の取得を可能にすることにより、様々な場所での独立した超音波構造物健全性モニタリングを可能にする。
【0076】
注目すべきことに、感知素子の数、それらの形状及び/又はそれらの相対的位置幾何学形状は、図5に示される線形アレイ構成以外の構成を含むように大きく変化され得る。例えば各感知素子の形状は、正方形、長方形、ディスク又はリング構成、及び他の任意の形状を含み得る。さらに、各素子の形状又は構成及びそれらの間の距離も、必要に応じて、各特定用途又は監視すべき構造物若しくは物体に合わせて調整され得る。図6は、通常、符号600を用いて参照される、図5の実施形態と同様であるが、矩形形状の感知素子を含む多素子超音波トランスデューサの例示的な実施形態を示す。
【0077】
いくつかの実施形態において、多素子トランスデューサの各感知素子は、同一の同軸ケーブルに接続され得る。例を図示した図7は、図5に示した例と同様の実施形態を示すが、各感知素子が単一の同軸ケーブル210を介して直列に接続されている。従って、この具体例では、より局所的な情報を犠牲にして、広い領域をカバーするために単一のチャネルが用いられ得る。この実施形態は、通常、例えば構造物102の最小の厚さ部分又は領域(例えばhmin)を特定するように動作可能であり得る。
【0078】
実際、単一の同軸ケーブル(図7)を用いる上記の例において、全ての入力電気信号及び戻りエコー信号は、同一のケーブル又はチャネルを通過しなければならない。従って、図8A及び8Bに示されるように、このような設計は、モニタリングされる構造物又は物体102から最初の厚さパラメータ(例えば図8Aのhmin)を迅速に決定するために用いられ得る。一例が図8Aに概略的に示されており、多素子超音波トランスデューサ700が、多素子超音波トランスデューサ700の方向に沿って反対側の表面104に異なるレベルの摩耗を有するライナー(構造物又は物体102)に取り付けられていることが示されている。この場合、各感知素子が同一の入力信号を受信するので、表面104の高さが変化するため、全て異なるタイミングで戻りエコー信号を送信することになる。従って、最初に受信されるエコー信号は、構造物又は物体102が最小の厚さ(hmin)を表す場所に位置する感知素子からとなる。空間的な情報は抽出されないかもしれないが、構造物又は物体104の摩耗又は劣化の最大レベルの一般的視標を提供し得る。
【0079】
図8Bは、厚さ16cmの白鉄ライナー102に取り付けられた単一素子(上部)及び15個の感知素子を含む多素子(下部)の超音波トランスデューサを用いて所得した測定エコー信号等を示す。両信号において、これらのトランスデューサが取り付けられたライナー102の最も薄い領域又は部分を示す、特徴的なエコー信号802が明らかである。
【0080】
上述と同一の原理に基づく多くの他の構成は、限定されること無く容易に想定され得る。例えば、いくつかの実施形態において、1つ以上の感知素子を超音波励起に接続すること、及び/又は感知のために1つ以上の感知素子を用いることが有利であり得る。
【0081】
さらに、図4A~7の例は、一方向にのみ直線的に延びる多素子トランスデューサに向けられているが、いくつかの実施形態において、実質的な2次元(2D)部分又は領域をカバーするように、図9に概略的に図示されているように、そのような直線的な多素子トランスデューサの2つ以上が並んで配置され得る。当業者は、図9に例示された接続トポロジーは例示に過ぎず、異なる電気的接続構成を用いて1つ以上の多素子超音波トランスデューサを2次元配置で相互接続することができ得ることを理解するであろう。
【0082】
図10A~16Bを参照して、異なる実施形態に係るライナーと中間層との間、又はライナーと構造支持層との間に埋め込まれる構造物健全性モニタリング装置の他の例を説明する。これらの例示的な実施形態は、例えば、ライニングされた構造物で用いられ得る。これらは、研磨性及び/又は腐食性の材料の取り扱い及び/又は処理を含む産業において広く用いられている。従って、ライニング構造は、構造的支持を提供するための機械的に強い外側層と、ライニング構造を流れる又はライニング構造の内部に含まれる材料による摩耗及び/又は腐食から外側構造的支持を保護するための内側ライニングとから構成され得る。鉱業や石油及びガス産業において、ライニングの摩耗の検査は、通常、ライニングに直接アクセスできるように、計画的な生産停止中に実施される。生産を中断することなく摩耗量をモニターすることが望ましい場合もあり、これは、信頼性を確保しながらライニングの耐用年数を最大限に延ばすだけでなく、ライニングの交換を適時に行うために交換用ライナーを注文できるように、設備のメンテナンスを予定することができるためです。従来の超音波による非破壊検査(NDT)技術は、例えばある種の炭素鋼パイプや高圧容器等の単層構造物を、生産又はサービスを中断することなく、構造物の外側から検査することに大きな成功を収めてきた。しかしながら、これらのNDT技術は、診断用超音波が複数の壁を通過して摩耗したライニング表面まで伝播してレシーバーに戻ることができない、又は摩耗表面から反射するエコー信号が非常に弱いため、層間の界面から反射する非常に強いエコー信号によって完全にマスクされる可能性があり、ライニング構造のライニング摩耗検査に適しない場合がある。このアプローチは、外側の構造支持層とライニングとの間に中間層がある場合に特に問題となる。
【0083】
いくつかの実施形態において、以下に説明する構造物健全性モニタリング装置は、その製造中にライニングされた構造物に統合され得る。対象となるライニングされた構造物は、3層ライニング構造、例えばライニングパイプ、コンベア中継点ライナー及びゴム若しくはポリエチレンでライニングされた多くのタイプの2層構造、又は各層が全ての隣接する層とコンフォーマルに結合する任意のライニング構造等を含むが、これらに限定されない。
【0084】
いくつかの実施形態において、超音波トランスデューサは、上述のように、診断用音響波の直接励起及び検出のために同軸ケーブルに結線される、又は診断用超音波の誘導励起及び検出のために誘導コイルに結線され得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、超音波トランスデューサは、送信機及び受信機の両方の役割を果たす単一の検出素子を有してもよく、この場合、超音波トランスデューサには1つの同軸ケーブル又は1つの誘導コイルのみが配線される。
【0086】
いくつかの実施形態において、トランスデューサは、2つの素子を有してもよく、そのうちの一方は送信機、他方は受信機として機能し、それぞれが別々の同軸ケーブル又は別々の誘導コイルに接続される。
【0087】
いくつかの実施形態において、単一素子トランスデューサは、ライナーに衝突する物体や摩擦する物体によって発生する音響波を検出し、音響波を電気信号に変換し、ライナーの摩耗を判定するための電子収集及び情報処理システムによってピックアップするために受動的に用いられ得る。
【0088】
図10A及び10Bを参照し、別の例示的な実施形態に係る、通常符号1000を用いて参照される、ライナー摩耗検出のために構造物に埋め込まれる単一素子トランスデューサを含む構造物健全性モニタリング装置について、次に説明する。
【0089】
図10A及び10Bは、それぞれ、例示的な単一素子トランスデューサ1000の側面図及び上面図を概略的に示す。この例では、トランスデューサ1000は、再び、金属箔又は同様のもので構成され得る下部電極部分(導電性基板204)、その上に圧電フィルム又は層202が堆積され、その上に上部電極部分(導電層206)も堆積され、その上に防音層208が見られるものである。
【0090】
いくつかの実施形態において、圧電フィルム又は層202は、圧電セラミック粉末と結合材との混合物から形成され、導電性基板204(下部電極部分を形成)上に噴霧され得る。
【0091】
いくつかの実施形態において、防音層208は、電気的絶縁性であってもよい。防音層208に用いられる材料の異なる例は、紙、マイカ、テフロン(登録商標)又は音響的及び/若しくは電気的絶縁に適した他の材料を含み得る。
【0092】
上述の実施形態とは対照的に、図10A及び10Bの例示的な実施形態は、例えば延性金属箔で形成されてもよい導電性防水カバー層218、その上に積層されたプラスチック保護フィルム1002の両方を含む。プラスチック保護フィルム1002及び導電性防水カバー層218は、例えば超低水蒸気透過率(WVTFR)接着材で形成された1つ以上の接着材層220で、図10Aに示されるように、単一素子トランスデューサ1000に接着され得る。
【0093】
いくつかの実施形態において、導電性基板204(カバー)は、圧電層202に十分な湿度保護を提供するために、例えばアルミニウム箔で形成されてもよく、一方、プラスチック保護フィルム1002は、機械的誤操作からの保護のために用いられる。
【0094】
いくつかの実施形態において、プラスチック保護フィルム1002は、ホットメルト接着材で予めコーティングされていてもよい。さらに、いくつかの実施形態において、パウチラミネータが、ホットメルトでコーティングされたプラスチック保護フィルム1002の適用のために用いられてもよい。この場合、超低WVTR接着材が塗布された直後に、単一素子トランスデューサ1000をパウチラミネータに通すことが望ましい場合もある。これにより、超低WVTR接着材が、パウチラミネータによって提供される熱及び圧力の影響下でセットされる前に、均一に拡がる時間が得られる。
【0095】
さらに、単一素子トランスデューサ1000は、保護リム1006をさらに含んでもよく、これは、片面粘着テープ、例えば片面粘着ポリイミドテープの切り口から形成され得る。テープ1006は、粘着面の一部が防音層208の上面に付着し、その一部が導電性基板204に付着するように、防音層208の端部に貼付され得る。保護リム1006は、接着材層220が圧電体層202と接触することを防止し得る。
【0096】
さらに、いくつかの実施形態において、及び図10Aに示されるように、単一素子トランスデューサ1000は、エッジクッション1008をさらに含み得る。エッジクッション1008は、導電性基板204の縁に適用される片面粘着テープ、例えば片面ホットメルトラミネートフィルムのストリップであってもよく、これにより、信号線が基板の縁によって切断されることを防止し得る。
【0097】
図11は、他の実施形態の側面図であり、導電性カバー層218が導電性基板204(下部電極)に接続され、電磁干渉及び湿度の両方に対する良好なトランスデューサ保護を提供する。
【0098】
同様に、図12は、湿度及び電磁干渉がトランスデューサの性能にほとんど関係しない用途のための、単一素子トランスデューサ1000のさらに別の実施形態の側面図を示す。従って、図12の実施形態は、導電性カバー層218を有さず、プラスチック保護フィルム1002のみを有する。
【0099】
いくつかの実施形態において、機械的誤操作に対するトランスデューサの保護を強化するために、図13A及び13B(それぞれ側面図及び底面図)に示されるように、単一素子トランスデューサ1000による音響波の送受信を妨げないために、アクティブ感知素子に対向する領域1300を開いたまま、導電性基板204(下部電極)の裏面をプラスチック保護フィルム1002で部分的に保護できる。
【0100】
いくつかの実施形態において、超音波トランスデューサをゴム層と鋼構造との間に埋め込む用途では、通常、トランスデューサを埋め込んだ後、ゴムを高温(例えば150℃から180℃の間)で加硫する必要がある。従って、トランスデューサは加硫温度に耐える必要がある。図14Aに概略的に示される例示的なセンサ構造は、接着材層1004に高温耐性接着材を用いることによって、湿度から十分に保護しながら高温に耐えるように設計されている。さらに、この例示的な実施形態において、保護リム1006及びエッジクッション1008は、高温耐性プラスチック、例えばポリイミドから形成され得る。
【0101】
同様に、いくつかの実施形態において、湿度の高い環境における2つの異種金属間の界面での腐食を防止するために、金属カバー層218は、図14Bに示すように、電気的に非導電性の高温耐性コーティング1402で追加的に保護されてもよい。電気的非導電性高温耐性コーティング1402は、いくつかの実施形態において、高温粘着テープ、例えばポリイミド粘着テープで置換され得る。
【0102】
いくつかの実施形態において、図14A及び14Bの単一素子トランスデューサは、パウチラミネータによって提供される熱及び圧力の影響下でセットされる前に接着材が均一に広がるように、パウチラミネータに通され得る。
【0103】
いくつかの実施形態において、例えば図10Aに示される同軸ケーブル210は、図10A~14Bに示されるトランスデューサ保護方法又は設計を用いながら、単一素子トランスデューサの誘導励起及び誘導信号検出のために誘導コイル1502に置換され得る。特に、誘導コイル1502を用いるこの実施形態は、それぞれ上面図、側面図及び底面図を示す図15A~15Cに概略的に示されている。
【0104】
いくつかの実施形態において、上記のトランスデューサ保護方法又は設計は、図16A及び16Bに概略的に図示したような二素子トランスデューサにも同様に適用され得る。この図示された例において、二素子トランスデューサは、同じ圧電セラミック層202上の2つの上部電極層(導電層206)を含み、各電極は異なるケーブル210(図16A)又は誘導コイル1502(図16B)に配線される。単一素子トランスデューサは、送信機及び受信機の両方として同じ感知素子を用い得るが、二素子トランスデューサは1つの感知素子を送信機としてのみ用い、他の1つを受信機としてのみ用い得る。注目すべきことに、図16Bの例示的な実施形態において、2つの誘導コイル1502は、異なる寸法であってもよく、異なるターン数を有してもよく、より一般的には異なるように配置又は構成されてもよい。例えば、それらは、より大きなコイルの中により小さなコイルがある状態で、同心円状に配置されてもよい。
【0105】
本開示は、例示の目的で種々の実施形態を説明するが、このような説明は、このような実施形態に限定されることを意図しない。反対に、本明細書で説明及び示される出願人の教示は、その一般的な範囲が添付の特許請求の範囲で定義される実施形態から逸脱することなく、種々の代替案、改変、及び均等物を包含する。プロセス自体に必要又は内在する範囲を除き、本開示に記載される方法又はプロセスのステップ又は段階に対する特定の順序は、糸又は暗示されない。多くの場合、プロセスステップの順序は、記載された方法の目的、効果又は趣旨を変更することなく変わり得る。
【0106】
本明細書に示され、詳細に説明されるような情報は、本開示の上述の目的、本開示の現在の好ましい実施形態を達成することが完全に可能であり、従って、本開示によって広く企図されている主題の代表である。本開示の範囲は、当業者に明らかになり得る他の実施形態を完全に包含し、従って、添付の特許請求の範囲以外の何物によっても限定されず、単数形で行われる要素への言及は、明示的にそう述べられない限り、「1つのみ」を意味することを意図するものではなく「1つ又は複数」を意味する。当業者によってみなされる上述の好ましい実施形態及び追加の実施形態の要素に対する全ての構造的及び機能的均等物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることが意図される。さらに、本開示によって解決されようとする各課題及び全ての課題に対処するシステム又は方法に対する要件は、そのようなものが特許請求の範囲に包含されるために、存在しない。さらに、本開示のいかなる要素、構成要素又は方法ステップも、その要素、構成要素又は方法ステップが特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公衆に捧げることを意図していない。しかしながら、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲に記載されているように、当業者に明らかなように、形態、材料、ワークピース、及び製作材料の詳細における種々の変更及び修正がなされ得ることも、本開示によって包含されるものである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
【手続補正書】
【提出日】2023-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物のモニタリングのための超音波構造物健全性モニタリング装置であって、
前記構造物上に配置可能な下部電極と、
前記下部電極上に配置された圧電媒体と、
前記圧電媒体上に配置された上部電極と、
防音層と、
前記圧電媒体に電気的励起を与え、そこから構造物の健全性を表す発生電気応答を収集するコネクタと、を備えている、超音波構造物健全性モニタリング装置。
【請求項2】
前記圧電媒体は、前記電気的励起を前記構造物によってエコーとして反射される対応する超音波に変換して、前記構造物の健全性を表す前記発生電気応答を生成する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記構造物の厚さは、前記電気的励起と前記発生電気応答との間の経過時間によって表され、前記経過時間の変動が前記構造物の健全性を表す、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記圧電媒体は、前記下部電極上に堆積された圧電層を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記圧電層は、圧電フィルムを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
カバー層をさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記カバー層上に配置された電気的に非導電性の耐高温コーティング層をさらに備えている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記電気的に非導電性の耐高温コーティング層は、ポリイミド粘着テープにより形成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記圧電媒体は、圧電セラミック粉末と結合材との混合物により形成されており、該混合物が前記下部電極に吹き付けられてなる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記下部電極は、金属基板である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記金属基板は、アルミニウムを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記コネクタは、ケーブルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記ケーブルは、前記圧電媒体と同軸上に配置されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ケーブルは、前記下部電極に接続されたシールド層と、前記上部電極に接続されたコアとを含む、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記コネクタは、誘導コイルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記装置の少なくとも一部を充填する封止材をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記封止材は、接着性封止材である、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記接着性封止材は、超低水蒸気透過率接着材を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記封止材が前記圧電媒体と接触するのを防止するための保護リムをさらに含む、請求項16~18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記保護リムは、片面ポリイミド粘着テープにより形成されている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
モニタリングされる前記構造物に前記装置を脱着可能に取り付けるための磁石をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記磁石は、前記防音層の上に配置されている、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記磁石は、環状であり、前記圧電媒体を取り囲むように構成されている、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記防音層の上方に位置し、下方への圧縮力を加えるように構成された実質的にディスク状のゴム要素をさらに含む、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
プラスチックフィルム層をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記プラスチックフィルム層は、前記下部電極の裏面のうち前記圧電媒体に沿う領域を除いて、該裏面を部分的に覆っている、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記コネクタを保護するように、前記下部電極の少なくとも1つの縁を実質的に覆うエッジクッションをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記エッジクッションは、片面ホットメルトラミネートフィルムにより形成されている、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
2つ以上の感知素子を含み、
前記コネクタは、前記2つ以上の感知素子のそれぞれに前記電気的励起を共通にもたらすように直列に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項30】
2つ以上の感知素子を含み、
前記感知素子のそれぞれは、前記コネクタのそれぞれを介して動作可能に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項31】
前記コネクタのそれぞれの一方は、前記電気的励起をもたらすように動作し、前記コネクタのそれぞれの他方は、前記発生電気応答を収集するように動作する、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記下部電極、前記圧電媒体、前記上部電極、又は前記防音層の少なくとも1つを共有する2つ以上の感知素子を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項33】
前記構造物の外面に取り付け可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項34】
前記構造物はライナーを含み、
前記ライナーの厚さをモニタリングするために、前記装置は前記構造物と前記ライナーとの間に埋め込み可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項35】
前記コネクタは、前記電気的励起を発生させ、前記発生電気的応答を受信するように動作可能なパルサー/レシーバーに動作可能に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項36】
前記防音層は、前記上部電極の上に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項37】
構造物健全性を表す前記発生電気応答は、構造的摩耗、腐食、孔食、氷結又は亀裂のうち少なくとも1つを表す、請求項1に記載の装置。
【請求項38】
前記カバー層は、金属層を含む、請求項6~8のいずれかに記載の装置。
【請求項39】
構造物をモニタリングするための超音波構造物健全性モニタリングシステムであって、
請求項1~13、15~18又は20~37のいずれかに記載の超音波構造物健全性モニタリング装置と、
前記電気的励起を生成し、前記発生電気応答を受信するように動作可能なパルサー/レシーバーと、
前記電気的励起と前記発生電気応答との間の経過時間の関数として前記構造物の健全性の表示を出力するように動作可能なデジタルプロセッサとを含む、超音波構造物健全性モニタリングシステム。
【請求項40】
前記超音波構造物健全性モニタリング装置は、同一の電気的励起を介して同時に励起されるように共通の前記コネクタを介して直列に接続された複数の感知素子を含み、
前記デジタルプロセッサは、前記同一の電気的励起と第1の前記発生電気応答との間の最短経過時間の関数として最大摩耗の表示を出力するように動作可能である、請求項39に記載の超音波構造物健全性モニタリングシステム。
【請求項41】
構造物をモニタリングするための超音波構造物健全性モニタリング方法であって、
請求項1~13、15~18又は20~37のいずれかに記載の超音波構造物健全性モニタリング装置を前記構造物に貼付することと、
前記電気的励起を介して前記超音波構造物健全性モニタリング装置を励起し、そこからの前記発生電気応答を収集することと、
デジタルプロセッサを用いて前記電気的励起と前記発生電気応答との間の経過時間をモニタリングして前記経過時間の関数としての構造物健全性の表示を出力することとを含む、超音波構造物健全性モニタリング方法。
【請求項42】
前記超音波構造物健全性モニタリング装置は、同一の電気的励起を介して同時に励起されるように共通の前記コネクタを介して直列に接続された複数の感知素子を含み、
前記デジタルプロセッサは、最短の前記経過時間をモニタリングして、前記最短の経過時間の関数として最大摩耗の表示を出力するように動作可能である、請求項41に記載の方法。
【国際調査報告】