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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-19
(54)【発明の名称】電池セル、電池及び電気消費装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/474 20210101AFI20230911BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20230911BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20230911BHJP
   H01M 50/477 20210101ALI20230911BHJP
【FI】
H01M50/474
H01M10/058
H01M10/052
H01M50/477
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550830
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(85)【翻訳文提出日】2022-08-23
(86)【国際出願番号】 CN2021106111
(87)【国際公開番号】W WO2023283808
(87)【国際公開日】2023-01-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】徐 ▲曉▼富
(72)【発明者】
【氏名】叶 永煌
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲倩▼
(72)【発明者】
【氏名】何 建福
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 雪▲陽▼
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ ▲ジン▼▲軒▼
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲海▼族
【テーマコード(参考)】
5H021
5H029
【Fターム(参考)】
5H021AA01
5H021CC18
5H021HH06
5H021HH10
5H029AJ05
5H029AJ12
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029BJ21
5H029DJ04
5H029HJ12
5H029HJ15
(57)【要約】
本願は電池セル、電池及び電気消費装置を開示する。電池セルは、電解液が内部に充填されたケースと、前記ケース内に配置された少なくとも1つの電極群組立体と、電解液を収容しており、前記ケース内に配置され、少なくとも前記電極群組立体の側壁に対応して設けられる少なくとも1つの密閉バッグであって、前記バッグには少なくとも1つの脆弱構造が設けられ、前記バッグ内の圧力が閾値に達する場合、前記バッグ内の前記電解液が前記脆弱構造を突き破って前記バッグから流出する密閉バッグとを含む。本願の実施例の電池セルでは、脆弱構造を備えたバッグがケース内に配置され、バッグが電極群組立体の側壁に対応して設けられることにより、電極群組立体が使用中に膨張した場合、電池のリチウム溶出や局所的な電解液の枯渇による電池性能の劣化を緩和できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解液が内部に充填されたケースと、
前記ケース内に配置された少なくとも1つの電極群組立体と、
電解液を収容しており、前記ケース内に配置され、少なくとも前記電極群組立体の側壁に対応して設けられる少なくとも1つの密閉バッグであって、前記密閉バッグには少なくとも1つの脆弱構造が設けられ、前記密閉バッグ内の圧力が閾値に達する場合、前記密閉バッグ内の前記電解液が前記脆弱構造を突き破って前記密閉バッグから流出する密閉バッグと、を含む、ことを特徴とする電池セル。
【請求項2】
前記側壁は、前記電極群組立体の2つの端部の中央領域に位置する中央側壁部分を含み、前記密閉バッグは前記中央側壁部分に対応して設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記密閉バッグは前記電極群組立体と前記ケースの側壁との間に設けられ、及び/又は、前記密閉バッグは隣接する前記電極群組立体の間に設けられる、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項4】
少なくとも1つの前記脆弱構造は前記密閉バッグの縁部の少なくとも一部に設けられる、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項5】
複数の前記脆弱構造は前記密閉バッグの縁部の少なくとも一部に間隔を空けて設けられる、ことを特徴とする請求項4に記載の電池セル。
【請求項6】
使用状態の場合の上方端部を含み、少なくとも1つの前記脆弱構造は前記密閉バッグのうち前記上方端部に近い位置に設けられる、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項7】
前記密閉バッグは、少なくとも1つの第1バッグと、少なくとも1つの第2バッグとを含み、前記第1バッグは電解液を収容しており、前記第2バッグは電解液を収容しておらず、前記第1バッグと前記第2バッグは初期状態で互いに仕切られている、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項8】
前記密閉バッグは、前記第1バッグと前記第2バッグとの間に設けられて両方を互いに仕切る第1脆弱構造を含み、前記第1バッグ内の圧力が第1閾値に達する場合、前記第1バッグ内の前記電解液が前記第1脆弱構造を突き破って、前記第2バッグに流れる、ことを特徴とする請求項7に記載の電池セル。
【請求項9】
前記第2バッグに第2脆弱構造がさらに設けられ、前記第2バッグ内の圧力が第2閾値に達する場合、前記第2バッグ内の前記電解液は前記第2脆弱構造を突き破って前記第2バッグから流出する、ことを特徴とする請求項7~8のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項10】
少なくとも1つの前記第2バッグは前記電極群組立体の2つの端部の領域に位置する、ことを特徴とする請求項7~9のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項11】
前記第2バッグは、前記電極群組立体の上方端部のタブが設けられていない領域内に設けられる、ことを特徴とする請求項7~10のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項12】
前記密閉バッグは、前記第1バッグと前記第2バッグとの間に設けられる少なくとも1つの緩衝バッグ及び第3脆弱構造をさらに含み、第1脆弱構造は前記第1バッグと前記緩衝バッグとを仕切り、前記第3脆弱構造は前記緩衝バッグと前記第2バッグとを仕切り、前記緩衝バッグ内の圧力が第3閾値に達する場合、前記緩衝バッグ内の前記電解液は前記第3脆弱構造を突き破って前記第2バッグに流れる、ことを特徴とする請求項7~11のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項13】
少なくとも1つの前記緩衝バッグは互いに間隔を空けて設けられる少なくとも1つのチャンネルであり、各前記チャンネルの一端には前記第1脆弱構造が設けられ、各前記チャンネルの他端には前記第3脆弱構造が設けられる、ことを特徴とする請求項12に記載の電池セル。
【請求項14】
前記緩衝バッグが複数の前記チャンネルを含む場合、前記チャンネルはそれぞれ体積が同じであるか又は異なる、ことを特徴とする請求項13に記載の電池セル。
【請求項15】
前記密閉バッグが複数の第1脆弱構造を含む場合、各前記第1脆弱構造の第1閾値は同じであるか又は異なり、及び/又は
前記密閉バッグが複数の第2脆弱構造を含む場合、各前記第2脆弱構造の第2閾値は同じであるか又は異なり、及び/又は
前記密閉バッグが複数の第3脆弱構造を含む場合、各前記第3脆弱構造の第3閾値は同じであるか又は異なる、ことを特徴とする請求項8~14のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項16】
第1脆弱構造は前記第1バッグに設けられる少なくとも1つの薄化エリア及び/又は少なくとも1つのサンドイッチ部を含み、及び/又は
第2脆弱構造、第3脆弱構造はそれぞれ独立して、前記第2バッグに設けられる少なくとも1つの薄化エリア及び/又は少なくとも1つのサンドイッチ部を含む、ことを特徴とする請求項8~14のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項17】
第1閾値、第2閾値、第3閾値はそれぞれ独立して、0.1MPa~2.0MPaの間である、ことを特徴とする請求項8~16のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の電池セルを含む、ことを特徴とする電池。
【請求項19】
電力を供給する請求項18に記載の電池を含む、ことを特徴とする電気消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池の分野に関し、具体的には、電池セル、電池及び電気消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネ・排出削減は自動車産業の持続可能な発展の鍵であり、電気自動車はその省エネ・環境保全の優位性から自動車産業の持続可能な発展の重要な構成部分となっている。電気自動車にとって、電池技術はその発展に関わる重要な要素である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電池では、充放電中の電極群の膨張を考慮して電極群占有率が小さく設計され、これはリチウム溶出のリスクをもたらす。また、電池の充放電サイクルの進行に伴い、電解液も絶えず消費され、さらに局所的な電解液の枯渇が発生し、電池性能の低下を招き、電池の寿命に悪影響を与え、安全上のリスクをもたらす恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の問題に鑑み、本願は、電池の使用中の電池リチウム溶出又は局所的な電解液の枯渇による電池性能の劣化を緩和できる電池セル、電池及び電気消費装置を提供する。
【0005】
第1態様では、本願は電池セルを提供し、電解液が内部に充填されたケースと、前記ケース内に配置された少なくとも1つの電極群組立体と、電解液を収容しており、前記ケース内に配置され、少なくとも前記電極群組立体の側壁に対応して設けられる少なくとも1つの密閉バッグであって、前記バッグには少なくとも1つの脆弱構造が設けられ、前記バッグ内の圧力が閾値に達する場合、前記バッグ内の前記電解液が前記脆弱構造を突き破って前記バッグから流出する少なくとも1つの密閉バッグとを含む。
【0006】
本願の実施例の技術的解決手段では、電池セルのケース内にバッグが配置され、バッグは少なくとも電極群組立体の側壁に対応して設けられる。このような構成によれば、電池の使用初期に、バッグが電池ケース内の空きスペースを占めることで、電極群占有率の低い電池の電極群のしわの問題が回避され、電極でのリチウム溶出の問題が回避され、電池の充放電サイクルの進行に伴い電極群が膨張した場合、バッグは電極群の側壁により押されて変形し、電池ケース内の空き領域を満たし、電極群の膨張圧力を緩和し、電極群の膨張力の更なる増加に伴い、バッグは電極群組立体の側壁によりさらに押されて、バッグ内の圧力が閾値に達すると、バッグ内の電解液はバッグに設けられる脆弱構造を突き破ってバッグから流出し、このように、ケース内への電解液の補充が自動的に行われる。
【0007】
いくつかの実施例では、前記側壁は、前記電極群組立体の2つの端部の中央領域に位置する中央側壁部分を含み、前記バッグは前記中央側壁部分に対応して設けられる。バッグが電極群組立体の中央側壁部分に対応するように構成することによって、電極群組立体の中央部の膨張圧力を緩和し、電池の使用中の電極群の膨張力による電池ケースの変形をより効果的に緩和する。
【0008】
いくつかの実施例では、前記バッグは前記電極群組立体と前記ケースの側壁との間に設けられ、及び/又は、前記バッグは隣接する前記電極群組立体の間に設けられる。本願の実施例の電池セルでは、バッグをケース内に配置する方法がさまざまであり、バッグの一方の側が電極群組立体の側壁に密着できればよい。
【0009】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの前記脆弱構造は前記バッグの縁部の少なくとも一部に設けられる。このような構成によれば、バッグ内の電解液がバッグの縁部から流出することが可能になり、このように、電極群組立体の側壁の隙間からケース内へ消費された分の電解液が補充されやすい。
【0010】
いくつかの実施例では、複数の前記脆弱構造は前記バッグの縁部の少なくとも一部に間隔を空けて設けられる。バッグの縁部の少なくとも一部に複数の脆弱構造が間隔を空けて配置されることにより、電解液は複数の脆弱構造を介してバッグから分散して流出し、分散して徐々に排出するような効果が得られる。
【0011】
いくつかの実施例では、前記電池セルは使用状態の場合の上方端部を含み、少なくとも1つの前記脆弱構造は前記バッグのうち前記上方端部に近い位置に設けられる。電池の使用後期において、重力の作用により、そのトップで電解液の不足や枯渇がより発生しやすい。このような構成によれば、電池セルのトップから電解液が容易に補充され、局所的な電解液の枯渇が回避される。
【0012】
いくつかの実施例では、前記バッグは、少なくとも1つの第1バッグと、少なくとも1つの第2バッグとを含み、前記第1バッグは電解液を収容しており、前記第2バッグは電解液を収容しておらず、前記第1バッグと前記第2バッグは初期状態で互いに仕切られている。このような構成によれば、第2バッグは緩衝スペースとして機能し、電極群組立体の膨張圧力に対するバッグの調整スペースを大きくする。
【0013】
いくつかの実施例では、前記バッグは、前記第1バッグと前記第2バッグとの間に設けられて両方を互いに仕切る第1脆弱構造を含み、前記第1バッグ内の圧力が第1閾値に達する場合、前記第1バッグ内の前記電解液が前記第1脆弱構造を突き破って、前記第2バッグに流れる。第1バッグと第2バッグとの間に挿入された第1脆弱構造が設けられることによって、電解液が第1脆弱構造を突き破ると第2バッグに流れ、このように、膨張圧力を段階的に調整する能力が付与される。
【0014】
いくつかの実施例では、前記第2バッグに第2脆弱構造がさらに設けられ、前記第2バッグ内の圧力が前記第2閾値に達する場合、前記第2バッグ内の前記電解液は前記第2脆弱構造を突き破って前記第2バッグから流出する。第2バッグに第2脆弱構造がさらに設けられることによって、第1バッグが押されたときに、その内部の電解液は最初に第2バッグに入り、さらに押されると電解液は第2脆弱構造を突き破って第2バッグから流出し、ケース内へ自動的に補充される。
【0015】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの前記第2バッグは前記電極群組立体の2つの端部の領域に位置する。このようにして、電極群組立体の端部のカバープレートと電極群組立体との間の高さ方向のスペースが活用され、電池のエネルギー密度がまずます要求される場合、このような構成は有利である。
【0016】
いくつかの実施例では、前記第2バッグは、前記電極群組立体の前記上方端部のタブが設けられていない領域内に設けられる。電極群組立体の端部にタブが通常設けられるが、タブはカバープレートと電極群組立体との高さ方向のスペース全体を占めるわけではなく、第2バッグが電極群組立体の上方端部のタブが設けられていない領域に位置することによって、このスペースがさらに利用される。
【0017】
いくつかの実施例では、前記バッグは、前記第1バッグと前記第2バッグとの間に設けられる少なくとも1つの緩衝バッグ及び第3脆弱構造をさらに含み、前記第1脆弱構造は前記第1バッグと前記緩衝バッグとを仕切り、前記第3脆弱構造は前記緩衝バッグと前記第2バッグとを仕切り、前記緩衝バッグ内の圧力が第3閾値に達する場合、前記緩衝バッグ内の前記電解液は前記第3脆弱構造を突き破って前記第2バッグに流れる。第1バッグと第2バッグとの間に緩衝バッグが設けられ、第1脆弱構造と第3脆弱構造によってこれらのバッグが仕切られることにより、膨張圧力を段階的に調整する能力がバッグに付与される。
【0018】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの前記緩衝バッグは互いに間隔を空けて設けられる少なくとも1つのチャンネルであり、各前記チャンネルの一端には前記第1脆弱構造が設けられ、各前記チャンネルの他端には前記第3脆弱構造が設けられる。緩衝バッグが間隔を空けた少なくとも1つのチャンネルとして構成されることによって、脆弱構造が電解液によって突き破られるときに、界面の接触位置が大きく変わって電池性能を劣化させることが回避され得る。
【0019】
いくつかの実施例では、前記緩衝バッグが複数の前記チャンネルを含む場合、前記チャンネルはそれぞれ体積が同じであるか又は異なる。ケース内の各電極群組立体の位置、受力や環境温度の要因が電極群組立体の使用や膨張圧力に影響を与え、このため、チャンネルのそれぞれの体積が同じであるか又は異なるようにすると、各チャンネルによる緩衝スペースが同じであるか又は異なり、これにより、バッグに対して膨張圧力への微細な調整の能力が付与される。
【0020】
いくつかの実施例では、前記バッグが複数の前記第1脆弱構造を含む場合、各前記第1脆弱構造の前記第1閾値は同じであるか又は異なり、いくつかの実施例では、前記バッグが複数の前記第2脆弱構造を含む場合、各前記第2脆弱構造の前記第2閾値は同じであるか又は異なり、いくつかの実施例では、前記バッグが複数の前記第3脆弱構造を含む場合、各前記第3脆弱構造の前記第3閾値は同じであるか又は異なる。
【0021】
複数の第1閾値、複数の第2閾値及び複数の第3閾値がそれぞれ同じ値である場合、バッグは、押された場合、各脆弱構造の位置で均一な緩衝スペースを同時に発生させ、電解液をケース内の各脆弱構造の位置に均一に排出し、これは、緩衝スペースの迅速な発生、電解液の迅速な補充に有利である。
【0022】
複数の第1閾値、第2閾値又は第3閾値がそれぞれ異なる値である場合、又は脆弱構造の一部の閾値が同じであるが、他の脆弱構造の閾値が異なる場合、バッグは、押された場合、押圧の度合いに応じて緩衝スペースを次第に発生させ、電解液をケース内に次第に排出し、これにより、変動が多すぎることによる電池性能の劣化が回避され、さまざまな位置や温度では電極群組立体の性能が一致する傾向が確保される。
【0023】
いくつかの実施例では、前記第1脆弱構造は前記第1バッグに設けられる少なくとも1つの薄化エリア及び/又は少なくとも1つのサンドイッチ部を含み、いくつかの実施例では、前記第2脆弱構造は前記第2バッグに設けられる少なくとも1つの薄化エリア及び/又は少なくとも1つのサンドイッチ部を含み、いくつかの実施例では、前記第3脆弱構造は前記第2バッグに設けられる少なくとも1つの薄化エリア及び/又は少なくとも1つのサンドイッチ部を含む。各脆弱構造は形態がさまざまであり、バッグの薄化エリアに位置してもよく、このような形態では作製プロセスが簡単であり、また、バッグの異なる材料製のサンドイッチ層に位置してもよく、受力に対する脆弱構造が形成さればよい。
【0024】
いくつかの実施例では、前記第1閾値、前記第2閾値、前記第3閾値はそれぞれ独立して0.1MPa~2.0MPaの間である。脆弱構造の圧力閾値がこの範囲であることによって、バッグ内の圧力がこの閾値に達する場合、電解液は脆弱構造を突き破って緩衝スペースに入ったりバッグから流出したりして、電極群組立体の膨張圧力を緩和し、これにより、電極群組立体の過度な膨張による電池性能への悪影響が回避される。
【0025】
第2態様では、本願は、上記の実施例における電池セルを含む電池を提供する。
【0026】
第3態様では、本願は、電力を供給する上記の実施例における電池を含む電気消費装置を提供する。
【0027】
上記の説明は本願の技術的解決手段の概要に過ぎず、本願の技術手段をより明確に理解し、明細書の内容に従って実施することを可能とし、本願の上記及び他の目的、特徴や利点をより明瞭で理解しやすくするために、以下、本願の特定の実施形態を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下の好適な実施形態の詳細を閲覧することにより、各種の他の利点や有益な効果は当業者にとって明らかになる。図面は好適な実施形態を示す目的に過ぎず、本願を限定するものとして理解すべきではない。また、全ての図面において、同一の図面の符号は同一の要素を表す。
【0029】
図1】本願のいくつかの実施例の車両の構造概略図である。
図2】本願のいくつかの実施例の電池の分解構造概略図である。
図3】本願のいくつかの実施例の電池セルの分解構造概略図である。
図4】本願のいくつかの実施例の電池セルのY方向に沿った断面構造概略図である。
図5】本願のいくつかの実施例の電池セルのX方向に沿った断面構造概略図である。
図6】本願のいくつかの実施例の電池セルのX方向に沿った断面構造概略図であり、バッグが押されたときの状態を示す。
図7】本願のいくつかの実施例の電池セルのX方向に沿った断面構造概略図であり、バッグが押されて、電解液が脆弱構造を突き破ってバッグから流出したときの状態を示す。
図8】本願のいくつかの実施例の電池セルのバッグの構造概略図である。
図9】本願のいくつかの実施例の電池セルのバッグの構造概略図である。
図10】本願のいくつかの実施例の電池セルのX方向に沿った断面構造概略図である。
図11】本願のいくつかの実施例の電池セルのX方向に沿った断面構造概略図である。
図12】本願のいくつかの実施例の電池セルのバッグの構造概略図である。
図13】本願のいくつかの実施例の電池セルのバッグの構造概略図である。
図14】本願のいくつかの実施例の電池セルのバッグの構造概略図である。
図15】本願のいくつかの実施例のサンドイッチ層材料の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本願の技術的解決手段の実施例を詳細に説明する。以下の実施例は本願の技術的解決手段をより明確に説明するものであり、このため、一例にすぎず、本願の特許範囲を限定するものではない。
【0031】
別に定義していない限り、本明細書に使用されている全ての技術的用語及び科学的用語は当業者が通常理解するものと同義であり、本明細書に使用されている用語は具体的な実施例を説明するために過ぎず、本願を制限することを意図しておらず、本願の明細書、特許請求の範囲及び上記の図面の説明に記載の用語「含む」、「有する」及びこれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図している。
【0032】
本願の実施例の説明において、技術的用語「第1」、「第2」などは異なる対象を区別するために過ぎず、相対重要性を指示又は示唆するか、又は係る技術的特徴の数、特定の順序又は主従関係を暗黙的に示すものとして理解すべきではない。本願の実施例の説明において、特に断らない限り、「複数」は2つ以上を意味する。
【0033】
本明細書に記載の「実施例」とは、実施例を参照して説明される特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書を通じて使用されるこの用語は同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と排他的に独立した又はオプションとなった実施例でもない。当業者であれは、本明細書で説明される実施例が他の実施例と組み合わせられ得ることを明示的又は暗黙的に理解できる。
【0034】
本願の実施例の説明において、用語「及び/又は」は関連対象の相関関係を示すものに過ぎず、3種の関係が存在することを表し、例えば、A及び/又はBの場合、Aが単独で存在する、AとBの両方が存在する、Bが単独で存在するという3つのケースを示す。また、本明細書において符号「/」は、一般に前後にある関連対象が「又は」の関係であることを意味する。
【0035】
本願の実施例の説明において、用語「複数」とは2つ以上(2つを含む)を意味し、同様に、「複数組」とは2組以上(2組を含む)を意味し、「複数枚」とは2枚以上(2枚を含む)を意味する。
【0036】
本願の実施例の説明において、技術的用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などに示される方位又は位置関係は図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、本願の実施例を説明しやすくするとともに説明を簡素化させるために過ぎず、係る装置又は構成要素が必ずしも特定の方位を有したり、特定の方位で構造、操作されたりすることを指示又は示唆するものではなく、このため、本願の実施例の制限として理解すべきではない。
【0037】
本願の実施例の説明において、明確な規定や限定がない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などの技術的用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続されてもよく、一体に接続されてもよい。機械的に接続されてもよく、電気的に接続されてもよい。直接連結されてもよく、中間媒体を介して間接的に連結されてもよく、2つの構成要素の内部が連通してもよく、又は2つの構成要素が相互作用関係を有するようにしてもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記の用語の本願の実施例での具体的な意味を理解することができる。
【0038】
現在、市場情勢の発展から見ると、動力電池の応用はますます広くなっている。動力電池は水力、火力、風力や太陽光発電所などのエネルギー貯蔵・電源システムだけでなく、電動自転車、電動バイク、電動自動車などの電動乗り物、軍事装備や航空・宇宙などの多くの分野で広く利用されている。動力電池の応用分野の拡大に伴い、その市場の需要量も絶えず増加している。
【0039】
本発明者らは、電池の充放電サイクル中に正極活物質及び負極活物質にしてイオンの挿入又は離脱が行われるのに伴い、電極群系の副反応による堆積厚さ及び黒鉛シートの剥離などにより電極群で膨張が発生し、即ち、正極板及び負極板は外へ膨張することを発見した。極板膨張は電池の性能や使用寿命に悪影響を及ぼし、例えば、極板は力が加えられて押されると空隙率が低下し、電解液の極板への含浸に悪影響を及ぼし、イオン輸送経路の変化をもたらし、リチウム溶出の問題を引き起こし、極板は、長期間にわたって大きな押圧力を受けた場合、破断して電池内部の短絡を起こすなどのリスクもある。さらに、電池の充放電サイクルにおいて電解液が絶えずに消費され、電極群が一定時間使用されると、局所的な電解液の枯渇もあり、電極群の膨張は局所的な電解液の不足を深刻化する。
【0040】
電極群の膨張力を緩和するために、出願者は、検討をした結果、設計に際して電極群が膨張するためのスペースを予め残してもよいことを見出した。具体的には、電極群の電池ケース内での電極群占有率、即ち、ケースキャビティの厚さに占める電池の電極群の厚さの百分率を低下させる。例えば、電極群占有率の低い電池では、電極群の厚さ方向のケースに対する電極群占有率は通常88.5%以下であり、十分な電極群占有率は通常97%以下である。しかしながら、電極群占有率の低い電池では、初期の状態においては、ケース内の空隙が大きいので、電極群にはしわが発生しやすい。例えば、陽極の極板にしわが発生すると、リチウムイオンの陽極界面での経路が変わり、リチウム溶出のリスクが生じ、電池の性能や寿命が影響を受ける。
【0041】
以上を考慮して、電極群の使用中の電極群の膨張力を考慮して電極群占有率を低くすることにより電極群性能が劣化するという問題及び電解液が不足するという問題を解決するために、発明者は、鋭意検討をした結果、電池セルを設計し、電池セルのケース内に少なくとも1つの密閉バッグが配置され、バッグが少なくとも電極群組立体の側壁に対応するように構成され、バッグ内に電解液が収容されており、バッグに脆弱構造が設けられることによって、バッグ内の圧力が閾値に達する場合、電解液は脆弱構造を突き破ってバッグから流出することができる。
【0042】
このような電池セルでは、バッグが電極群組立体の側壁に対応して設けられることによって、電池セルの使用初期では、バッグはケース内の電極群組立体の厚さ方向における空きスペースを占め、電池セルの等効電極群占有率を向上させることに相当し、これにより、電極群占有率の低い電池では電極群組立体の極板にしわが発生するという問題が効果的に回避される。
【0043】
電池セルの使用中の充放電サイクルの進行に伴い、電極群組立体で膨張が発生した場合、電極群組立体の側壁に対応して設けられるバッグは押されて変形する。電池セルの異なる位置での電極群組立体の受ける力の違いや環境温度の違いなどの因素の影響により、電極群組立体における膨張力の大きさも異なり、バッグが各電極群組立体の実際の膨張圧力に応じて押されて変形することで、電極群組立体に対する膨張圧力が適応的に調整される。
【0044】
電池のエネルギー密度に対する要件がますます高まる中、本願の電池セルは、電極群組立体の膨張力のための緩衝スペースとしてケースの内部スペースを活用することができる。例えば、通常、電極群組立体の中央位置では両端よりも膨張が深刻であり、膨張力も大きい。この場合、バッグは押されて変形し、電極群組立体の側壁の中間位置に対応する部分が薄くなり、電解液は両端にある緩衝スペースに押され、このようにして、電極群組立体の中央部の膨張力が緩和され、電池性能のさらなる劣化及びリチウム溶出のリスクが回避される。
【0045】
電極群組立体のさらなる使用や膨張力のさらなる増大に伴い、バッグはさらに押されて、バッグ内の圧力が閾値に達するまで押された場合、電解液はバッグの脆弱構造を突き破ってバッグから流出し、ケース内に入って電池セルのケース内へ消費された分の電解液が補充され、これにより、電解液の自動補充効果が得られる。なお、バッグ内の電解液はケース内の初期の電解液と同じであってもよく、異なってもよい。例えば、バッグ内の電解液は、使用される電極群組立体に対応する特殊の電解液であってもよいし、他の機能性電解液であってもよい。
【0046】
本願の実施例で開示された電池セルは、車両、船又は航空機などの電気消費装置に適用できるが、これらに限定されない。本願で開示された電池セル、電池などからなるこの電気消費装置の電源システムが使用されてもよく、このようにして、電極群の膨張力を自動的に調整し、電極群の劣化を緩和し、消費された分の電解液を補充し、電池の性能の安定性を向上させて電池の寿命を延ばすのに有利である。
【0047】
本願の実施例は、電池を電源として使用する電力消費装置を提供し、電力消費装置は、携帯電話、タブレット、ノート型コンピュータ、電動玩具、電動工具、バッテリカー、電気自動車、汽船、宇宙機などであってもよいが、これらに限定されない。ここで、電気玩具は、ゲーム機、電気自動車玩具、電気汽船玩具や電気飛行機玩具などのような、固定式又は移動式の電気玩具を含むことができ、宇宙船は、航空機、ロケット、スペースシャトルや宇宙船などを含んでもよい。
【0048】
以下の実施例では、説明の便宜上本願の一実施例の電気消費装置が車両1000である場合を例として説明する。
【0049】
図1を参照すると、図1は本願のいくつかの実施例で提供される車両1000の構造概略図である。車両1000は燃料自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車などであってもよい。車両1000の内部に電池100が設けられ、電池100は車両1000の底部、車頭や車尾に設けられてもよい。電池100は車両1000に電力を供給することに用いられ、例えば、電池100は車両1000の操作電源として機能し得る。車両1000はコントローラ200とモータ300をさらに含んでもよく、コントローラ200は電池100を制御してモータ300に給電させることに用いられ、例えば、車両1000の起動、ナビゲーションや走行時の作動用電気を供給することに用いられる。
【0050】
本願のいくつかの実施例では、電池100は車両1000の操作電源だけではなく、車両1000の駆動電源として、燃料又はガスを代替又は部分的に代替して、車両1000に駆動動力を供給してもよい。
【0051】
図2を参照すると、図2は本願のいくつかの実施例で提供される電池100の分解図である。電池100は、筐体10と、電池セル20とを含み、電池セル20は筐体10内に収納される。ここで、筐体10は電池セル20に収納スペースを提供することに用いられ、筐体10はさまざまな構造とされてもよい。いくつかの実施例では、筐体10は第1部分11と第2部分12とを含んでもよく、第1部分11と第2部分12は互いに結合され、第1部分11と第2部分12は共同で電池セル20を収納することに用いられる収納スペースを画定する。第2部分12は一端が開口した中空構造であってもよく、第1部分11は板状構造であってもよく、第1部分11は第2部分12の開口側に結合され、これにより、第1部分11と第2部分12は共同で収納スペースを画定し、また、第1部分11と第2部分12は両方ともに一側が開口した中空構造であってもよく、第1部分11の開口側は第2部分12の開口側に結合される。もちろん、第1部分11及び第2部分12からなる筐体10の形状はさまざまであり、例えば、円筒体、直方体などである。
【0052】
電池100では、電池セル20は複数であってもよく、複数の電池セル20は互いに直列接続、並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続とは、複数の電池セル20のうち直列接続されたものも並列接続されたものもあることを意味する。複数の電池セル20は互いに直接直列接続、並列接続又は直並列接続されてから、複数の電池セル20からなるものは全体として筐体10内に収納されてもよいが、もちろん、電池100は、複数の電池セル20が、直列接続、並列接続又は直並列接続されて電池モジュールの形態となり、次に、複数の電池モジュールが直列接続、並列接続又は直並列接続されて一体となり、筐体10内に収納されてもよい。電池100は他の構造を含んでもよく、例えば、該電池100は、複数の電池セル20を電気的に接続するためのバスバー部材をさらに含んでもよい。
【0053】
ここでは、各電池セル20はリチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池であってもよいが、これらに限定されない。電池セル20は円筒状、扁平状、直方体状又は他の形状などとしてもよい。
【0054】
図3を参照すると、図3は本願のいくつかの実施例で提供される電池セル20の分解構造概略図である。電池セル20とは、電池を構成する最小単位である。図3のように、電池セル20はカバープレート21、ケース22、電極群組立体23、バッグ24及び他の機能性部材を含む。
【0055】
カバープレート21とは、ケース22の開口に結合されて、電池セル20の内部環境を外部環境から隔離させる部材である。限定されるものではないが、カバープレート21の形状はケース22に対応するようにケース22の形状に合わせたものとしてもよい。任意選択的に、カバープレート21は一定の硬度や強度を有する材質(例えばアルミ合金)で製造されてもよく、このように、カバープレート21は押されたり衝撃を受けたりした場合に変形しにくく、電池セル20により高い構造強度を持たせ、安全性をある程度向上させる。カバープレート21には電極端子21aなどの機能性部材が設けられてもよい。電極端子21aは、電極群組立体23に電気的に接続されて、電池セル20の電力を出力又は入力することに用いられる。いくつかの実施例では、カバープレート21には、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達する場合に内部圧力を放出するための圧力解放機構がさらに設けられてもよい。カバープレート21の材質は、例えば、銅、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、アルミ合金、プラスチックなどのさまざまなものとしてもよく、本願の実施例では、これについて特に制限しない。いくつかの実施例では、カバープレート21の内側に絶縁部材がさらに設けられてもよく、絶縁部材は、ケース22内の電気接続部材とカバープレート21とを仕切ることで、短絡のリスクを低減させ得る。例示的には、絶縁部材はプラスチックやゴムなどであってもよい。
【0056】
ケース22は、カバープレート21と連携して電池セル20の内部環境を作る組立体であり、ここで、作られた内部環境は、電極群組立体23、電解液及び他の部材を収納することに用いられてもよい。ケース22とカバープレート21は独立した部材としてもよく、ケース22に開口が設けられ、開口にカバープレート21を結合させることにより電池セル20の内部環境が作られる。限定されるものではないが、カバープレート21とケース22は一体化されてもよく、具体的には、カバープレート21及びケース22は、他の部材をケースに入れる前に、同一の接続面を構成し、ケース22の内部を密閉させる際には、カバープレート21はケース22に結合される。ケース22の形状や寸法はさまざまであり、例えば直方体形、円筒体形、六角柱形などがある。具体的には、ケース22の形状は電極群組立体23の具体的な形状及び寸法によるものであってもよい。ケース22の材質は多種であり、例えば、銅、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、アルミ合金、プラスチックなどであり、本願の実施例では、これについて特に制限しない。
【0057】
電極群組立体23は、電池セル100において電気化学的反応が起こる部材である。ケース22内には1つ又は複数の電極群組立体23が含まれていてもよい。電極群組立体23は主に、正極板と負極板を捲回又は積層したものであり、通常、正極板と負極板との間にセパレータが介在している。正極板及び負極板においては、活物質を有する部分は電極群組立体の本体部となり、活物質を有さない部分はそれぞれタブ23aとなる。正極タブ及び負極タブは両方ともに本体部の一端に位置する、又はそれぞれ本体部の両端に位置してもよい。電池の充放電中に、正極活物質及び負極活物質は電解液と反応し、タブ23aは電極端子に接続されて電流回路を構成する。
【0058】
バッグ24は電解液を内部に収容した密閉バッグであり、押されると変形可能である。電池内部での使用環境に対応し、密封を容易にするために、バッグ24は耐食性及び粘着性を有する非導電性封止材料で製造すべきである。例えば、外部保護層と内部密封層を含む機能複合フィルム又は封止材料を用いてもよい。ここで、外部保護層は耐食性の絶縁材料であり、電池内の電解質の環境に適しており、使用状態の電池の温度や圧力などの環境に適している。例えば外部保護層はアルミニウム、テフロン(登録商標)、アクリル、ポリプロピレンなどであってもよい。内部密封層は例えばヒートシールプロセスにより封止されやすい熱可塑性ポリエステルフィルム又はコーティング、例えばポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタンなどであってもよい。いくつかの実施例では、密閉バッグ24はアルミプラスチックフィルムをヒートシールすることにより製造され得る。
【0059】
バッグ24に脆弱構造が設けられ、脆弱構造はバッグ24の他の位置よりも低強度であり、これにより、バッグ24内の圧力が閾値に達する場合、電解液は脆弱構造を突き破って脆弱構造での破裂口を通じてバッグ24から流出する。
【0060】
図3とともに図4図7を参照すると、図4は、本願のいくつかの実施例に係る電池セルのY方向に沿った断面構造概略図であり、図5図7は本願のいくつかの実施例に係る電池セルのX方向に沿った断面構造概略図であり、これらのうち、図6及び図7はそれぞれバッグが押された状態及び電解液が脆弱構造を突き破ってバッグから流出したときの状態を示す。
【0061】
図示した通り、図においては、Y方向は電極群組立体23の高さ方向である。タブ23aは電極群組立体23の高さ方向の端部に位置し、カバープレート21の電極端子21aに電気的に接続される。ケース22内には電解液が充填されており、少なくとも1つの電極群組立体23はケース22内に配置され、密閉バッグ24はケース22内に配置され、バッグ24は電解液を内部に収容しており、少なくとも電極群組立体23の側壁に対応して設けられ、バッグ24には少なくとも1つの脆弱構造25が設けられる。バッグ24内の圧力が閾値に達する場合、バッグ内の電解液は脆弱構造25を突き破ってバッグ24から流出する。
【0062】
「電極群組立体23の側壁」とは、電極群組立体23の高さ方向(図3におけるY方向)に平行な方向の外壁を指す。電極群組立体23の膨張力は通常高さ方向に垂直な方向に沿うものであり、このため、電極群組立体23の膨張方向は主として、側壁本体(即ち厚さ方向、図3におけるZ方向)及び隅部(即ち幅方向の両端、図3におけるX方向の両端)である。「バッグ24は少なくとも電極群組立体23の側壁に対応して設けられる」とは、バッグ24がケース22内に配置され、バッグ24の少なくとも一部が電極群組立体23の側壁に突き当たることを意味する。
【0063】
ケース22内においてバッグ24が少なくとも電極群組立体23の側壁に対応するように設けられることによって、電池セル100の使用初期では、バッグ24は電極群組立体23の側壁とケース22の側壁との間の空きスペースを占め、電極群組立体23を支持する役割を果たし、これにより、電極群組立体23にはしわが発生するという問題が効果的に回避される。特に電極群占有率の低い電池に有利である。
【0064】
図6を参照すると、電極群組立体23の使用時間が長くなるのに伴い、側壁で膨張が生じた場合、電極群組立体23の側壁に対応して設けられるバッグ24に押圧力が加えられ、図6においては、矢印方向は電極群組立体23の膨張によるバッグ24への押圧力の方向である。バッグ24は、押されると変形し、電極群組立体23の側壁に対応する部位が薄くなり、バッグ24内の電解液は押圧力の小さい領域、例えば、図においてバッグ24の電極群組立体23の高さ方向の端部領域に集まり、この領域は電極群組立体23の膨張力を緩衝するスペースとして機能する。また、バッグ24の内部圧力が増大し、電極群組立体23の側壁の膨張力に抵抗したり緩和させたりする。このようにして、電極群組立体23の膨張力がさらに上昇して、極板が押されてリチウムが溶出するというリスクは低減される。
【0065】
図7を参照すると、電極群組立体23の使用時間がさらに長くなるのに伴い、膨張力はさらに向上し、バッグ24に対する押圧の度合いもさらに向上する。バッグ24の内部圧力が閾値に上昇した場合、図7の上方の曲がり矢印に示すように、脆弱構造25は突き破られて、バッグ24内の電解液は脆弱構造25箇所の破裂口を介してバッグ24から流出する。本願の実施例の電池セル100では、バッグ24に少なくとも1つの脆弱構造25が設けられることによって、電極群組立体23の膨張力が一定になったときに、バッグ24内の電解液はケース22内に消費された分の電解液を自動的に補充する。
【0066】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、さらに図5図7を参照すると、電極群組立体23の側壁は、電極群組立体23の2つの端部の中央領域に位置する中央側壁部分を含み、かつ少なくともバッグ24の一部は電極群組立体23の中央側壁部分に対応して設けられる。電極群組立体23の中央側壁部分は、電極群の使用中に膨張が最も深刻であり、膨張力が最も高い部分である場合が多く、少なくともバッグ24の一部がこの中央側壁部分に対応して設けられることにより、当該部分の電極群組立体23の膨張力が緩和され、電極群組立体23の中央領域の極板が大きく押されて、リチウム溶出を引き起こすという問題、及び電池性能の劣化が回避され得る。
【0067】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、バッグ24は電極群組立体23とケース22の側壁との間に設けられ、又はバッグ24は隣接する電極群組立体23の間に設けられる。バッグ24の少なくとも一面が電極群組立体23の側壁に密着し、電極群組立体23が使用中に膨張した場合、バッグ24を押すことが可能であれば、本願の目的が達成される。
【0068】
例えば、バッグ24の少なくとも一部は電極群組立体23の側壁とケース22の側壁との間に設けられてもよく、ケース22内に2つ以上の電極群組立体23が設けられた実施例では、バッグ24の少なくとも一部は隣接する電極群組立体23の側壁の間に設けられ、又は電極群組立体23の側壁とケース22の側壁との間に設けられてもよく、電極群組立体23が円筒形である実施例では、バッグ24の少なくとも一部は円筒形電極群組立体23の側壁を環状として取り囲み、電極群組立体23の側壁とケース22の側壁との間に設けられてもよい。また、バッグ24は1つ又は複数であってもよく、ケース22内に複数のバッグ24が配置された実施例では、少なくとも1つのバッグ24は電極群組立体23の側壁とケース22の側壁との間に設けられ、又は少なくとも1つのバッグ24は隣接する電極群組立体23の側壁の間に設けられてもよい。任意選択的に、バッグ24のケースへの配置形態は、具体的には、電極群組立体23の側壁及び/又はケース11の側壁間に介在されてもよい。
【0069】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、図8を参照すると、図8は本願のいくつかの実施例に係る電池セル100のバッグ24の構造概略図である。図示した通り、少なくとも1つの脆弱構造25はバッグ24の縁部の少なくとも一部に設けられる。
【0070】
バッグ24の縁部とは、バッグ24のうち電極群組立体23の側壁又はケース22の側壁に密着していない部分を指す。例えば電極群組立体23が方形であり、かつバッグ24が隣接する電極群組立体23の側壁間に設けられる実施例では、バッグ24の縁部は、バッグ24の電極群組立体23の高さ方向(例えば図3におけるY方向)の両端、又はバッグ24の電極群組立体23の幅方向(例えば図3におけるX方向)の両側を含んでもよい。したがって、バッグ24の縁部は隣接する電極群組立体23の隙間、又は電極群組立体23とケース22との間の隙間に位置し、かつ電極群組立体23又はケース22の側壁に密着していない。脆弱構造25がバッグ24の縁部の少なくとも一部に設けられることによって、バッグ24が押され、かつその内部の圧力が閾値に達する場合、電解液はバッグ24の縁部にある脆弱構造25を突き破って、電極群組立体23の側壁又はケース22の側壁により遮断されずにバッグ24の縁部から容易に流出することができ、このように、電極群組立体24の側壁の隙間からケース22内へ消費された分の電解液が補充されやすくなる。
【0071】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、電池セル100は使用状態での上方端部を含み、少なくとも1つの脆弱構造25はバッグ24のうち上方端部に近い位置にある。重力の作用により、使用状態では、電池セル100の上方端部で電解液の不足、さらに局所的な枯渇がより発生しやすい。脆弱構造25がバッグ24のうち上方端部に近い位置に設けられることにより、バッグ24内の電解液が脆弱構造25を突き破って、電池セル100の上方端部からバッグ24外へ流出し、ケース22内へ電解液を補充することが容易になり、電解液の局所的な枯渇のリスクが回避される。電池セル100の使用状態での配置方向にもよるが、電池セル100の使用状態での上方端部はカバープレート21側に接近してもよく、カバープレート21側とは反対側に接近してもよく、電極群組立体23の厚さ方向の上方端部などとしてもよい。
【0072】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、図9を参照すると、図9は本願のいくつかの実施例に係る電池セル100のバッグの構造概略図である。図示した通り、バッグ24は、少なくとも1つの第1バッグ241と、少なくとも1つの第2バッグ242とを含んでもよく、第1バッグ241は電解液を収容しており、第2バッグ242は電解液を収容しておらず、第1バッグ241と第2バッグ242は初期状態では互いに仕切られている。
【0073】
第1バッグ241内に電解液が収容されているので、第1バッグ241から仕切られている第2バッグ242内には電解液が収容されていない。このような構成によれば、初期状態では、第2バッグ242はほとんどケース22内のスペースを占めておらず、第1バッグ241が電極群組立体23の側壁で押されると、第1バッグ241内の電解液は第2バッグ242に入り、よって、第2バッグ242は緩衝スペースとして機能する。第2バッグ242のケース22内での配置位置によって、バッグ24内の電解液が押されたときに当該箇所に合流するように導流され、電池セル100のケース22の内部スペースの利用率が向上する。例えば、第2バッグ242の位置は必要に応じてケース22内のいずれの空きスペースとしてもよく、かつ実際の状況に応じて特定の形状としてもよい。ここでは、電池のエネルギー密度への要件がますます高まる中、特に有利である。
【0074】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、また図9を参照すると、図9は本願のいくつかの実施例に係る電池セル100のバッグ24の構造概略図である。図示した通り、バッグ24は、第1バッグ241と第2バッグ242との間に設けられ、両方を仕切るための第1脆弱構造251を含んでもよく、第1バッグ241内の圧力が第1閾値に達する場合、第1バッグ241内の電解液は第1脆弱構造251を突き破って、第2バッグ242に流れ、これにより、電極群組立体23の膨張力に対する一段緩衝が行われる。第1バッグ241と第2バッグ242との間に介在している第1脆弱構造251が設けられることにより、電解液は第1脆弱構造251を突き破った後第2バッグ242に流れ、これにより、電極群組立体23の膨張力に対する二段緩衝が行われる。このようにして、膨張圧力を段階的に調整する能力が電池セル100に付与される。
【0075】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、さらに図9を参照すると、第2バッグ242には第2脆弱構造252が設けられてもよく、第2バッグ242内の圧力が第2閾値に達する場合、第2バッグ242内の電解液は第2脆弱構造252を突き破って第2バッグ242から流出する。第2バッグ242に第2脆弱構造252が設けられることによって、電解液は第2バッグ242の第2脆弱構造252から流出しケース22内に消費された分の電解液を補充しやすい。
【0076】
もちろん、別の実施例では、第2バッグ242に電解液が流出する第2脆弱構造252が設けられず、第1バッグ241のみに電解液がバッグ24から流出する別の脆弱構造が設けられるようにしてもよく、これによって、バッグ24に対する押圧が強くなるのに伴い、第1バッグ241の内部の電解液は第2バッグ242に流れてから、第1バッグ241に設けられる脆弱構造からケース22内に流れる。若しくは、別の実施例では、第2バッグ242に第2脆弱構造252が設けられるとともに、第1バッグ241に電解液がバッグ24から流出する別の脆弱構造が設けられてもよく、これによって、電解液は第2脆弱構造252及び第1バッグ241の別の脆弱構造の両方を介してバッグ24から流出することができ、バッグ24からケース22への電解液補充速度が速まる。
【0077】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、図10を参照すると、本願のいくつかの実施例に係る電池セル100のY方向に沿った断面構造概略図である。図示した通り、少なくとも1つの第1バッグ241は電極群組立体23の間に設けられ、少なくとも1つの第2バッグ242は電極群組立体23の2つの端部の領域に設けられる。電極群組立体23の端部領域では、通常空きスペースがある。例えばカバープレート21と電極群組立体23との間の高さ方向のスペースがあり、タブ23aの占めたスペース以外、タブ23aの占めていない空きスペースがあり、また、電極群組立体23の底部とケース22の底部との間にも空きスペースが存在するが、これらのスペースは多くの場合利用されていない。本願では、第2バッグ242が電極群組立体23の端部領域に配置されることにより、電極群組立体23の端部の高さ方向の空きスペースは、電極群組立体23の膨張力を緩衝するスペースとして効果的に利用される。第2バッグ242は電極群組立体23の一端又は両端に配置されてもよく、タブ23aの位置する一端でも、タブ23aが設けられていない他端でもよい。図10に示すように、前記第2バッグ242は、電極群組立体のタブ23a側では、それぞれ両側の電極群組立体のタブ23aへ延伸し、タブ23a、ケース22と電極群組立体23との間のスペースを充填し、前記バッグ242は、電極群組立体23のタブが設けられていない側で、それぞれ電極群組立体23の両側へ延伸し、電極群23の他端とケース22との間のスペースを充填する。
【0078】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、また図11を参照すると、本願のいくつかの実施例に係る電池セル100のY方向に沿った断面構造概略図である。図示した通り、前記電極群組立体23の側壁とケース22の側壁との間、及び電極群組立体23間には第1バッグ241が設けられ、少なくとも1つの第2バッグ242は電極群組立体23の上方端部のうちタブ23aが設けられていない領域内に位置してもよい。第2バッグ242が電極群組立体23の上方端部に配置された、特にタブ23aの位置する一端に配置された場合、電池セル100のケース22内のスペースを十分に利用することから、第2バッグ242の形状は、タブ23aの形状に応じてタブ23aの占めたスペース以外のスペースを充填するように設計されてもよく、これは、特に電池のエネルギー密度の向上に有利である。図11に示すように、電極群組立体23の端部とケース22の側壁の隅部には第2バッグ242が設けられ、前記第2バッグ242の形状は電極群組立体23の端部とケースとの間のスペースに適しているものとされ、前記第2バッグ242は、電極群組立体のタブ23a側で、タブ23aへ延伸し、タブ23aとケース22の側壁との間のスペースを充填し、前記バッグ242は、電極群組立体23のうちタブが設けられていない側で、電極群23の他端とケース22との間のスペースを充填する。また、電極群組立体23の間に設けられた第2バッグ242の形状は電極群組立体23の端部間のスペースに適しているものとされ、前記第2バッグ242は、電極群組立体のタブ23a側で、それぞれ両側の電極群組立体のタブ23aへ延伸し、タブ23a、ケース22と電極群組立体23との間のスペースを充填し、前記バッグ242は、電極群組立体23のうちタブが設けられていない側で、それぞれ電極群組立体23の両側へ延伸し、電極群23の他端とケース22との間のスペースを充填する。
【0079】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、図12を参照すると、図12は本願のいくつかの実施例に係る電池セル100のバッグ24の構造概略図である。図示した通り、バッグ24は、第1バッグ241と第2バッグ242との間に設けられる少なくとも1つの緩衝バッグ243及び第3脆弱構造253をさらに含んでもよい。ここで、第1脆弱構造251は第1バッグ241と緩衝バッグ243とを仕切り、第3脆弱構造253は緩衝バッグ243と第2バッグ242とを仕切り、緩衝バッグ243内の圧力が第3閾値に達する場合、緩衝バッグ243内の電解液は第3脆弱構造253を突き破って第2バッグ242に流れる。緩衝バッグ243は第1バッグ241と第2バッグ242とを接続するものとして機能し、第2バッグ242が電極群組立体23の端部領域内にある場合、緩衝バッグ243が設けられることは特に有利である。さらに、第1脆弱構造251及び第3脆弱構造253で第1バッグ241、第2バッグ242、緩衝バッグ243を仕切ることで、膨張を段階的に緩衝する能力が電極群組立体23に付与される。
【0080】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、図13を参照すると、図13は本願のいくつかの実施例に係る電池セル100のバッグ24の構造概略図である。図示した通り、少なくとも1つの緩衝バッグ243は互いに間隔を空けて設けられる少なくとも1つのチャンネル243aであり、各チャンネル243aの一端には第1脆弱構造251が設けられ、各チャンネル243aの他端には第3脆弱構造253が設けられる。緩衝バッグ243が間隔を空けた少なくとも1つのチャンネル243aとされることにより、電池セル100は電極群組立体23の使用の程度や膨張力の変化に応じて、異なる数のチャンネル243aを突き破ることができ、このように、緩衝スペースの発生や内部の電解液の排出が適応的に調整され得る。これによって、さまざまな位置や作動状況では電極群組立体23の性能が一致する傾向が確保される。
【0081】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、緩衝バッグ243が複数のチャンネル243aを含む場合、チャンネル243aはそれぞれ体積が同じであるか又は異なる。ケース22内の電極群組立体23の位置、受力や環境温度の因素の影響により、電極群組立体23の使用の程度や膨張圧力も異なる。これに応じて、チャンネル243aのそれぞれの体積は同じであるか又は異なるように構成され、これにより、各チャンネル243aによる緩衝スペースは同じであるか又は異なり、バッグ24は各位置での電極群組立体23の使用の程度や膨張圧力に応じて、膨張圧力を正確に調整することができる。
【0082】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、図14を参照すると、図14は本願のいくつかの実施例に係る電池セル100のバッグ24の構造概略図である。図14に示すバッグ24では、前記第1バッグ241の両側のそれぞれに第2バッグ242が設けられ、前記第1バッグ241と第2バッグ242との間に第1脆弱構造251が設けられ、第1バッグ241内の圧力が第1閾値に達する場合、第1バッグ241内の電解液は第1バッグ241の両側の第1脆弱構造251を突き破って、それぞれ両側から第2バッグ242に流れ、これにより、電極群組立体23の膨張力に対する一段緩衝が行われる。前記第1バッグ241の両側のそれぞれに第2バッグ242が設けられることによって、前記第1バッグ241の内部圧力が高すぎるときに、圧力が迅速に解放され、電極群組立体23の膨張力に対する緩衝が効率的に行われる。さらに、また図14を参照すると、各前記第2バッグ242には第2脆弱構造252が設けられ、第2バッグ242内の圧力が第2閾値に達する場合、第2バッグ242内の電解液は第2脆弱構造252を突き破って第2バッグ242から流出する。第2バッグ242に第2脆弱構造252が設けられることによって、電解液は第2バッグ242の第2脆弱構造252から流出しケース22内に消費された分の電解液を補充しやすい。
【0083】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、さらに図14を参照すると、前記第1バッグ241と各前記第2バッグ242との間にそれぞれ緩衝バッグ243及び第3脆弱構造253が設けられ、図示した通り、第1脆弱構造251は第1バッグ241と緩衝バッグ243とを仕切り、第3脆弱構造253は緩衝バッグ243と第2バッグ242とを仕切り、緩衝バッグ243内の圧力が第3閾値に達する場合、緩衝バッグ243内の電解液は第3脆弱構造253を突き破って第2バッグ242に流れる。さらに、また図14を参照すると、少なくとも1つの緩衝バッグ243は互いに間隔を空けて設けられる少なくとも1つのチャンネル243aであり、各チャンネル243aの一端には第1脆弱構造251が設けられ、各チャンネル243aの他端には第3脆弱構造253が設けられる。前記緩衝バッグ243の内部の構成は同じであるか又は異なり、一端の緩衝バッグ243の内部にはチャンネルが設けられ、他端の緩衝バッグ243の内部にはチャンネルが設けられなくてもよく、ここでは限定しない。本願の実施例は、前記第1バッグ241の両端のそれぞれに緩衝バッグ243が設けられることにより、電極群の両端ともに空きスペースが存在する場合に適用でき、両端の緩衝バッグ243は前記各第2バッグ242を電極群の両端に設けることに有利である。
【0084】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、バッグ24が複数の第1脆弱構造251を含む場合、各第1脆弱構造251の第1閾値は同じであってもよい。電極群組立体23が使用に伴い膨張すると、ケース22内の圧力は増加してバッグ24に対して押圧力を加え、バッグ24内の圧力もその分増加する。バッグ24内の圧力が第1閾値に達する場合、第1脆弱構造251はバッグ24内の電解液で突き破られて、電解液は第1脆弱構造251の破裂部位を介してバッグ24から流出する。電解液が排出されるのに伴い、ケース22内の圧力とバランスを取るまでバッグ24内の圧力は小さくなる。複数の第1脆弱構造251のそれぞれの第1閾値を同じものとすれば、バッグ24内の圧力が第1閾値に達する場合、各第1脆弱構造251が同時に破裂し、電解液が同時に流出し、これにより、電極群組立体23の膨張圧力が効率的に緩和され、ケース22内へ電解液が効率的に補充される。
【0085】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、バッグ24が複数の第1脆弱構造251を含む場合、各第1脆弱構造251の第1閾値は異なってもよい。各第1脆弱構造251の第1閾値が異なるものとされ、各第1脆弱構造251が電極群組立体23の膨張及びケース22内の圧力の増大に伴い、段階的で徐々に突き破られ、これにより、電極群組立体23の膨張圧力が段階的に緩和され、電解液が徐々に排出され、かつ各第1脆弱構造251の具体的な位置や各第1閾値の値を設定することで、膨張圧力に対する緩和能力及び電解液補充に対する微調整が図られる。
【0086】
第1脆弱構造251の第1閾値は0.1MPa~2.0MPaの間の範囲であってもよく、この圧力範囲は、使用状態の電池セル100のケース22内の圧力範囲に対応する。
【0087】
同様に、本願のいくつかの実施例によれば、バッグ24が第1バッグ241と第2バッグ242とを含み、かつ第2バッグ242に複数の第2脆弱構造252が設けられる場合、各第2脆弱構造252の第2閾値は同じであるか又は異なる。第2脆弱構造252は第2バッグ242に設けられ、第2バッグ242は初期状態で内部に電解液が収容されていない。電極群組立体23が使用に伴い膨張すると、ケース22内の圧力は増加して第1バッグ241に押圧力を加え、バッグ241内の圧力が第1閾値に増加した場合、第1脆弱構造251は第1バッグ241内の電解液で突き破られて、電解液は第1脆弱構造251の破裂部位を介して第1バッグ241から第2バッグ242に流れ、第1バッグ24内の圧力が解放され、その分小さくなる。電極群組立体23がさらに膨張するのに伴い、第1バッグ241及び第2バッグ242はさらに押され、第2バッグ242内の圧力は第2閾値に達し、第2バッグ242に入った電解液は第2脆弱構造252を突き破って、第2脆弱構造242の破裂部位を介して2バッグから流出する。複数の第2脆弱構造252の第2閾値を同じ値とすることにより、電極群組立体23の膨張圧力を緩和するバッグ24の能力が高まり、ケース22内へ電解液が効率的に補充される。複数の第2脆弱構造252の第2閾値を異なるものとすることにより、各第2脆弱構造252の具体的な位置や各第2閾値の値を設定することで、バッグ24の膨張圧力に対する緩衝能力及び電解液補充が微調整され得る。
【0088】
同様に、第2脆弱構造252の第2閾値も0.1MPa~2.0MPaの間の範囲であってもよく、この圧力範囲は、使用状態の電池セル100のケース22内の圧力範囲に対応する。
【0089】
同様に、本願のいくつかの実施例によれば、バッグ24が複数の第3脆弱構造253を含む場合、各第3脆弱構造253の第3閾値は同じであるか又は異なる。第3脆弱構造253は第2バッグ242に設けられ、かつ第2バッグ242と緩衝バッグ243との間に介在しており、第2バッグ242及び緩衝バッグ243は初期状態で内部に電解液が収容されていない。電極群組立体23が使用に伴い膨張すると、ケース22内の圧力は増加して第1バッグ241に押圧力を加え、バッグ241内の圧力が第1閾値に増加した場合、第1脆弱構造251は第1バッグ241内の電解液で突き破られて、電解液は第1脆弱構造251の破裂部位を介して第1バッグ241から緩衝バッグ243に流れ、第1バッグ24内の圧力は解放され、その分小さくなる。電極群組立体23がさらに膨張するのに伴い、第1バッグ241及び緩衝バッグ243はさらに押され、緩衝バッグ243内の圧力は第3閾値に達し、緩衝バッグ243に入った電解液は第3脆弱構造253を突き破って、第3脆弱構造243の破裂部位を介して緩衝バッグから流出し、第2バッグ242に入る。複数の第3脆弱構造253の第3閾値を同じものとすることにより、電極群組立体23の膨張圧力を緩和するバッグ24の能力が高まり、第2バッグ242への電解液が効率的に補充される。複数の第3脆弱構造253の第3閾値を異なるものとすることにより、各第2閾値を設定することで、バッグ24の膨張圧力に対する緩衝能力が微調整され得る。
【0090】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、各脆弱構造25はバッグ24に形成された薄化エリアを含んでもよい。例えば、バッグ24がアルミプラスチックフィルムで形成されている実施例では、特定の位置でアルミプラスチックフィルムを、例えば打ち抜き、エッチング、ヒートシールなどにより薄化することにより、脆弱構造25が得られてもよく、脆弱構造25はバッグ24の他の位置よりも圧力負荷能力が低く、これによって、バッグ24内の圧力が増大した場合、薄化エリアからなる脆弱構造25はバッグ24内の電解液でより突き破られやすく、電解液は薄化エリアの破裂部位を介してバッグ24から流出しやすくなる。
【0091】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、各脆弱構造25は、ヒートシールプロセスやパラメータの調整によりヒートシール強度(利用可能なパラメータ:封止温度:25~300℃、熱風圧力:10~500kgf、時間0.001~60s)を小さくすることにより製造されてもよく、バッグ24には追加のサンドイッチ部が設けられてもよい。サンドイッチ部は、サンドイッチ層材料をバッグ24の特定の位置に設けることにより形成されてもよい。サンドイッチ層材料はナイロン層と流延ポリプロピレン(CPP:Cast Polypropylene)層とを備えた複合サンドイッチ層であってもよく、図15に示すように、前記サンドイッチ層材料は、ナイロン層a、粘着層b、アルミニウム箔層c、保護層d、接着層e、及びCPP層fを含む。これらのうち、前記ナイロン層aは外保護層であり、主としてアルミニウム箔層cへのスクラッチを防止して、保護の役割を果たし、一般にはポリヒダントインであり、前記粘着層bはナイロン層aとアルミニウム箔層cとを接続することに用いられ、一般には接着系高分子層、例えば、ポリオレフィン系樹脂などであり、前記アルミニウム箔層cは、主に密封の役割を果たす支持層であり、前記保護層dは機能性無機塩コーティングであり、耐電解液腐食及び耐高温腐食の役割を果たし、前記接着層eは接着の役割を果たし、オレフィン系接着剤を用いてもよく、前記CPP層は主にヒートシールの役割を果たし、一般にはポリプロピレンを材料とする。
【0092】
上記のナイロン層とCPP層との複合サンドイッチ層をサンドイッチ部の複合材料とすることにより、サンドイッチ部はバッグ24の他の位置よりも圧力負荷能力が低く、バッグ24内の圧力が増大したときに、CPP層を加熱して接着した脆弱構造25はバッグ24内の電解液でより突き破られやすく、これにより、電解液は2枚のアルミプラスチックフィルムのCPP層の破裂部位を介してバッグ24から流出する。
【0093】
したがって、バッグ24が第1バッグ241を含み、かつ第1バッグ241に第1脆弱構造251が設けられる場合、第1脆弱構造251は少なくとも1つの薄化エリア、又は少なくとも1つのサンドイッチ部、又は少なくとも1つの薄化エリアと少なくとも1つのサンドイッチ部との両方を含んでもよい。このような場合、第2バッグ242に第2脆弱構造252が設けられる場合、第2脆弱構造252は少なくとも1つの薄化エリア、又は少なくとも1つのサンドイッチ部、又は少なくとも1つの薄化エリアと少なくとも1つのサンドイッチ部との両方を含んでもよい。このような場合、バッグ24が緩衝バッグ243を含み、かつ第2バッグ242に第3脆弱構造253が設けられる場合、第3脆弱構造253も少なくとも1つの薄化エリア、又は少なくとも1つのサンドイッチ部、又は少なくとも1つの薄化エリアと少なくとも1つのサンドイッチ部との両方を含んでもよい。
【0094】
なお、以上の各実施例は本願の技術的解決手段を説明するために過ぎず、限定するものではなく、本願は前述各実施例を参照して詳細に説明されたが、当業者にとって明らかなように、前述各実施例に記載の技術的解決手段を修正したり、その技術的特徴の一部又は全部について同等置換を行ったりすることができ、これらの修正又は置換により、対応する技術的解決手段の本質が本願の各実施例の技術的解決手段の範囲を逸脱することはなく、これらは全て本願の請求項及び明細書の範囲に含まれるものとする。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例で得られた各技術的特徴は任意に組み合わせることができる。本願は本明細書で開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の全ての技術的解決手段を含む。
【0095】
発明を実施するための形態における図面の符号は以下のとおりである。
【符号の説明】
【0096】
車両 1000
電池 100
コントローラ 200
モータ 300
筐体 10
第1部分 11
第2部分 12
電池セル 20
カバープレート 21
電極端子 21a
ケース 22
電極群組立体 23
タブ 23a
バッグ 24
脆弱構造 25
第1バッグ 241
第2バッグ 242
緩衝バッグ 243
チャンネル 243a
第1脆弱構造 251
第2脆弱構造 252
第3脆弱構造 253
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2022-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解液が内部に充填されたケースと、
前記ケース内に配置された少なくとも1つの電極群組立体と、
電解液を収容しており、前記ケース内に配置され、少なくとも前記電極群組立体の側壁に対応して設けられる少なくとも1つの密閉バッグであって、前記密閉バッグには少なくとも1つの脆弱構造が設けられ、前記密閉バッグ内の圧力が閾値に達する場合、前記密閉バッグ内の前記電解液が前記脆弱構造を突き破って前記密閉バッグから流出する密閉バッグと、を含む電池セル。
【請求項2】
前記側壁は、前記電極群組立体の2つの端部の中央領域に位置する中央側壁部分を含み、前記密閉バッグは前記中央側壁部分に対応して設けられる請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記密閉バッグは前記電極群組立体と前記ケースの側壁との間に設けられ、及び/又は、前記密閉バッグは隣接する前記電極群組立体の間に設けられる請求項1又は2に記載の電池セル。
【請求項4】
少なくとも1つの前記脆弱構造は前記密閉バッグの縁部の少なくとも一部に設けられる請求項1~3のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項5】
複数の前記脆弱構造は前記密閉バッグの縁部の少なくとも一部に間隔を空けて設けられる請求項4に記載の電池セル。
【請求項6】
使用状態の場合の上方端部を含み、少なくとも1つの前記脆弱構造は前記密閉バッグのうち前記上方端部に近い位置に設けられる請求項1~5のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項7】
前記密閉バッグは、少なくとも1つの第1バッグと、少なくとも1つの第2バッグとを含み、前記第1バッグは電解液を収容しており、前記第2バッグは電解液を収容しておらず、前記第1バッグと前記第2バッグは初期状態で互いに仕切られている請求項1~6のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項8】
前記密閉バッグは、前記第1バッグと前記第2バッグとの間に設けられて両方を互いに仕切る第1脆弱構造を含み、前記第1バッグ内の圧力が第1閾値に達する場合、前記第1バッグ内の前記電解液が前記第1脆弱構造を突き破って、前記第2バッグに流れる請求項7に記載の電池セル。
【請求項9】
前記第2バッグに第2脆弱構造がさらに設けられ、前記第2バッグ内の圧力が第2閾値に達する場合、前記第2バッグ内の前記電解液は前記第2脆弱構造を突き破って前記第2バッグから流出する請求項7~8のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項10】
少なくとも1つの前記第2バッグは前記電極群組立体の2つの端部の領域に位置する請求項7~9のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項11】
前記第2バッグは、前記電極群組立体の上方端部のタブが設けられていない領域内に設けられる請求項7~10のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項12】
前記密閉バッグは、前記第1バッグと前記第2バッグとの間に設けられる少なくとも1つの緩衝バッグ及び第3脆弱構造をさらに含み、第1脆弱構造は前記第1バッグと前記緩衝バッグとを仕切り、前記第3脆弱構造は前記緩衝バッグと前記第2バッグとを仕切り、前記緩衝バッグ内の圧力が第3閾値に達する場合、前記緩衝バッグ内の前記電解液は前記第3脆弱構造を突き破って前記第2バッグに流れる請求項7~11のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項13】
少なくとも1つの前記緩衝バッグは互いに間隔を空けて設けられる少なくとも1つのチャンネルであり、各前記チャンネルの一端には前記第1脆弱構造が設けられ、各前記チャンネルの他端には前記第3脆弱構造が設けられ
特に、前記緩衝バッグが複数の前記チャンネルを含む場合、前記チャンネルはそれぞれ体積が同じであるか又は異なる、請求項12に記載の電池セル。
【請求項14】
前記密閉バッグが複数の第1脆弱構造を含む場合、各前記第1脆弱構造の第1閾値は同じであるか又は異なり、及び/又は
前記密閉バッグが複数の第2脆弱構造を含む場合、各前記第2脆弱構造の第2閾値は同じであるか又は異なり、及び/又は
前記密閉バッグが複数の第3脆弱構造を含む場合、各前記第3脆弱構造の第3閾値は同じであるか又は異なる請求項8~13のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項15】
第1脆弱構造は前記第1バッグに設けられる少なくとも1つの薄化エリア及び/又は少なくとも1つのサンドイッチ部を含み、及び/又は
第2脆弱構造、第3脆弱構造はそれぞれ独立して、前記第2バッグに設けられる少なくとも1つの薄化エリア及び/又は少なくとも1つのサンドイッチ部を含み、
特に、第1閾値、第2閾値、第3閾値はそれぞれ独立して、0.1MPa~2.0MPaの間である、請求項8~13のいずれか1項に記載の電池セル。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、図10を参照すると、本願のいくつかの実施例に係る電池セル100の方向に沿った断面構造概略図である。図示した通り、少なくとも1つの第1バッグ241は電極群組立体23の間に設けられ、少なくとも1つの第2バッグ242は電極群組立体23の2つの端部の領域に設けられる。電極群組立体23の端部領域では、通常空きスペースがある。例えばカバープレート21と電極群組立体23との間の高さ方向のスペースがあり、タブ23aの占めたスペース以外、タブ23aの占めていない空きスペースがあり、また、電極群組立体23の底部とケース22の底部との間にも空きスペースが存在するが、これらのスペースは多くの場合利用されていない。本願では、第2バッグ242が電極群組立体23の端部領域に配置されることにより、電極群組立体23の端部の高さ方向の空きスペースは、電極群組立体23の膨張力を緩衝するスペースとして効果的に利用される。第2バッグ242は電極群組立体23の一端又は両端に配置されてもよく、タブ23aの位置する一端でも、タブ23aが設けられていない他端でもよい。図10に示すように、前記第2バッグ242は、電極群組立体のタブ23a側では、それぞれ両側の電極群組立体のタブ23aへ延伸し、タブ23a、ケース22と電極群組立体23との間のスペースを充填し、前記バッグ242は、電極群組立体23のタブが設けられていない側で、それぞれ電極群組立体23の両側へ延伸し、電極群23の他端とケース22との間のスペースを充填する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
本願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、また図11を参照すると、本願のいくつかの実施例に係る電池セル100の方向に沿った断面構造概略図である。図示した通り、前記電極群組立体23の側壁とケース22の側壁との間、及び電極群組立体23間には第1バッグ241が設けられ、少なくとも1つの第2バッグ242は電極群組立体23の上方端部のうちタブ23aが設けられていない領域内に位置してもよい。第2バッグ242が電極群組立体23の上方端部に配置された、特にタブ23aの位置する一端に配置された場合、電池セル100のケース22内のスペースを十分に利用することから、第2バッグ242の形状は、タブ23aの形状に応じてタブ23aの占めたスペース以外のスペースを充填するように設計されてもよく、これは、特に電池のエネルギー密度の向上に有利である。図11に示すように、電極群組立体23の端部とケース22の側壁の隅部には第2バッグ242が設けられ、前記第2バッグ242の形状は電極群組立体23の端部とケースとの間のスペースに適しているものとされ、前記第2バッグ242は、電極群組立体のタブ23a側で、タブ23aへ延伸し、タブ23aとケース22の側壁との間のスペースを充填し、前記バッグ242は、電極群組立体23のうちタブが設けられていない側で、電極群23の他端とケース22との間のスペースを充填する。また、電極群組立体23の間に設けられた第2バッグ242の形状は電極群組立体23の端部間のスペースに適しているものとされ、前記第2バッグ242は、電極群組立体のタブ23a側で、それぞれ両側の電極群組立体のタブ23aへ延伸し、タブ23a、ケース22と電極群組立体23との間のスペースを充填し、前記バッグ242は、電極群組立体23のうちタブが設けられていない側で、それぞれ電極群組立体23の両側へ延伸し、電極群23の他端とケース22との間のスペースを充填する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
同様に、本願のいくつかの実施例によれば、バッグ24が複数の第3脆弱構造253を含む場合、各第3脆弱構造253の第3閾値は同じであるか又は異なる。第3脆弱構造253は第2バッグ242に設けられ、かつ第2バッグ242と緩衝バッグ243との間に介在しており、第2バッグ242及び緩衝バッグ243は初期状態で内部に電解液が収容されていない。電極群組立体23が使用に伴い膨張すると、ケース22内の圧力は増加して第1バッグ241に押圧力を加え、バッグ241内の圧力が第1閾値に増加した場合、第1脆弱構造251は第1バッグ241内の電解液で突き破られて、電解液は第1脆弱構造251の破裂部位を介して第1バッグ241から緩衝バッグ243に流れ、第1バッグ24内の圧力は解放され、その分小さくなる。電極群組立体23がさらに膨張するのに伴い、第1バッグ241及び緩衝バッグ243はさらに押され、緩衝バッグ243内の圧力は第3閾値に達し、緩衝バッグ243に入った電解液は第3脆弱構造253を突き破って、第3脆弱構造243の破裂部位を介して緩衝バッグから流出し、第2バッグ242に入る。複数の第3脆弱構造253の第3閾値を同じものとすることにより、電極群組立体23の膨張圧力を緩和するバッグ24の能力が高まり、第2バッグ242への電解液が効率的に補充される。複数の第3脆弱構造253の第3閾値を異なるものとすることにより、各第閾値を設定することで、バッグ24の膨張圧力に対する緩衝能力が微調整され得る。
【国際調査報告】