(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-19
(54)【発明の名称】溶媒バリア及びプライマー層を含むフィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/36 20060101AFI20230911BHJP
B32B 27/34 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
B32B27/36
B32B27/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512272
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(85)【翻訳文提出日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 IB2021057596
(87)【国際公開番号】W WO2022038537
(87)【国際公開日】2022-02-24
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ティエンイー
(72)【発明者】
【氏名】カルグトカー,ラジディープ エス.
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,ニン
(72)【発明者】
【氏名】ビルブレイ,デイヴィッド ビー.
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK41A
4F100AK48C
4F100AR00B
4F100AT00E
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100BA10E
4F100CB00D
4F100CB05D
4F100EH232
4F100EH23C
4F100EH462
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4F100EJ65B
4F100JA05C
4F100JA12C
4F100JD01C
4F100JL14E
4F100YY00C
(57)【要約】
溶媒バリア及びプライマー層を含むフィルムが記載される。特に、フィルムは、基材であって、ポリ乳酸を含む、基材と、基材上に配置されたプライマー層と、プライマー層の基材とは反対側の表面上に配置されたバリア層と、バリア層のプライマー層とは反対側の表面上に配置された接着剤層と、を含む。バリア層は、少なくとも40#Cのガラス転移温度を有する非晶質脂肪族ポリアミドを含む。そのようなフィルムは、ポリ乳酸ベースのグラフィックフィルムシステムに対して許容可能な接着性及びバリア性能を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材であって、ポリ乳酸を含む、基材と、
前記基材上に配置されたプライマー層と、
前記プライマー層の前記基材とは反対側の表面上に配置されたバリア層と、
前記バリア層の前記プライマー層とは反対側の表面上に配置された接着剤層と、
を含むフィルムであって、
前記バリア層がポリアミドを含み、
前記ポリアミドが非晶質脂肪族ポリアミドであり、
前記ポリアミドが、少なくとも40℃のガラス転移温度を有する、
フィルム。
【請求項2】
前記ポリアミドが、70℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記フィルムが、前記接着剤層の前記バリア層とは反対側の表面上に配置された剥離ライナーを含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
前記ポリアミドが、第三級アミド結合をもたらす第二級アミン単位を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記ポリアミドが、ピペラジンを含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
前記接着剤が、感圧接着剤である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
前記バリア層の前記ポリアミドが、押出可能である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
前記バリア層の前記ポリアミドが、極性溶媒に溶解する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項9】
前記極性溶媒が、1-プロパノールを含む、請求項8に記載のフィルム。
【請求項10】
前記極性溶媒が、1-ブタノールを含む、請求項8に記載のフィルム。
【請求項11】
前記基材の前記プライマー層とは反対側の表面上にインク受容層を更に含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項12】
基材を用意することであって、前記基材がポリ乳酸を含む、ことと、
前記基材上にプライマー層をコーティングすることと、
前記プライマー層上にバリア層をコーティングすることであって、前記バリア層が、少なくとも40℃のガラス転移温度を有する非晶質脂肪族ポリアミドを含む、ことと
を含む、方法。
【請求項13】
前記非晶質脂肪族ポリアミドが、70℃以下のガラス転移温度を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
剥離ライナーによって担持された接着剤層を前記バリア層に塗布することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記プライマー層及び前記バリア層のうちの1つ以上に熱を加えることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記バリア層をコーティングすることが、溶媒コーティングプロセスである、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記バリア層をコーティングすることが、押出プロセスである、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記バリア層の押出が、少なくとも1つの他の層の押出と同時に実施される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ある特定のフィルムは、表面に接着されると、グラフィック及び他の視覚情報を表示するために使用される。これらのフィルムは、そのようなフィルムのインク受容表面上にインクを印刷することによって部分的に作製され得る。インクが一般的に溶媒系である場合、これらの溶媒のいくつかは、フィルムの厚さを通って接着剤層に透過し、望ましくない粘着性及び不十分な剥離性を生じさせ得る。ある特定の感圧接着剤は、フィルム基材への接着が不十分で、接着剤及び基材の各々への適切な接着性を有する中間層を伴わないフィルムを層剥離しやすくしている場合がある。
【発明の概要】
【0002】
一態様では、本明細書はフィルムに関する。フィルムは、ポリ乳酸を含む、基材と、基材上に配置されたプライマー層と、プライマー層の基材とは反対側の表面上に配置されたバリア層と、バリア層のプライマー層とは反対側の表面上に配置された接着剤層と、を含む。バリア層はポリアミドを含み、ポリアミドは非晶質脂肪族ポリアミドであり、ポリアミドは、少なくとも40℃のガラス転移温度を有する。
【0003】
別の態様では、本明細書は方法に関する。方法は、ポリ乳酸を含む基材を用意することと、基材上にプライマー層をコーティングすることと、プライマー層上にバリア層をコーティングすることとを含む。バリア層は、少なくとも40℃のガラス転移温度を有する非晶質脂肪族ポリアミドを含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】溶媒バリア及びプライマー層を含むフィルムの側面概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
ビークル(vehicles)、壁、及び看板に情報を表示する際に使用するための大判グラフィックを含むグラフィックフィルムは、典型的には、基材上の容易な一時的、半永久的、又は永久的(剥離可能であるか否かにかかわらず)位置決めのための接着フィルムとして提供される。そのようなフィルムは、非着色(透明)であってもよく、白色であってもよく、又は任意の他の好適な色であってもよい。多くの場合、フィルムは、画像又は他の情報がフィルム上に転写され得るように、印刷可能であるように設計され得る(すなわち、本質的にインク受容性であり得るか、又はインク受容コーティングを含み得る)。例えば、ブランド所有者は、トラック又はバンに接着されるように、フィルム上の広告、ロゴ、又は他の情報を提供したい場合がある。
【0006】
インクは通常、印刷によって塗布される。大判印刷は、溶媒系インクを利用して広く利用可能である。水性のラテックスインクは存在しているが、一般的には使用されていない。インクは、典型的には、そのようなフィルムの上面にのみ塗布され、最も一般的なインク系で使用される溶媒は、層を通って透過し、最終的に接着剤層に移動する。接着剤層への溶媒移動は、接着剤層のその他の点では注意深く調整された特性を変更する可能性があり、貼り付け及び剥離性を困難にするおそれがある。いくつかの用途では、他の方法(すなわち、接着剤からインク受容基材へ)の汚染物質移動も問題となり得る。
【0007】
ポリ乳酸又はポリラクチドから形成されたフィルムは、PLAフィルム基材に良好に接着する好適なプライマーが好適なバリア層に十分に接着せず、意図しないかつ望ましくない層間剥離をもたらすことから、いくつかの場合において課題を呈し得る。
【0008】
本明細書に記載される構造体及び関連する方法は、バリア層において、ポリアミド、具体的には少なくとも40℃のガラス転移温度を有する非晶質脂肪族ポリアミドを利用する。これらのバリア層は、好適な溶媒透過抵抗を提供することができ、フィルムの他の層に許容可能に接着することもできることから、様々な用途及び環境において有用となり得る。
【0009】
図1は、溶媒バリア及びプライマー層を含むフィルム100の側面概略図である。フィルムは、基材110と、プライマー層120と、バリア層130と、接着剤140と、ライナー150と、を含む。
【0010】
基材110は、任意の好適な形状又はサイズを有し得る任意の好適な基材であり得る。例えば、基材110は、キャスト、カレンダー加工、若しくは押出成形したフィルム基材から、又は上記フィルム基材として、形成され得る。いくつかの実施形態では、基材110は、ポリ乳酸であってもよく、又はポリ乳酸を含んでもよい。PLA基材は、少なくとも部分的に、再生可能資源又はバイオベース資源(トウモロコシ、サトウキビ、又はビーツなどの他の点で一般的に栽培される作物を含む)から形成され得る。基材110は、そのような基材を長期使用又は屋外使用に好適なものにするために、PLAに加えて、添加剤、可塑剤、他のポリマー、又は安定剤を包含又は含有してもよい。好適なPLAベースのフィルムは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,577,494号(Zhouら)に記載されている。基材110は、任意の好適な厚さであってもよく、実際には、それが製造される方法に依存し得る。例えば、基材は、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、125μm、150μm、175μm、若しくは200μm、又は前に列挙された値のうちのいずれか2つの間の範囲の厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、基材110は、顔料又は他の着色剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、基材110は、例えば、カーボンブラック又は二酸化チタン(白色)を含んでもよいが、いかなる顔料系又はブレンドが所望の用途のために選択されてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、基材110は、インク受容層を含んでもよく、又は基材110の表面は、それがインク受容性となるように処理若しくは構成されてもよい。そのようなインク受容層は、フィルム100が印刷可能又はデジタル印刷可能なグラフィックフィルムとして使用される場合に有用となり得る。
【0012】
プライマー層120は、任意の好適な厚さでコーティングされた任意の好適なプライマーであり得る。プライマー層120は、基材110中のPLAに対する接着能力で選択され得る。好適なプライマーとしては、3M VHB TAPE UNIVERSAL PRIMER UV(3M Company,St.Paul,Minn.から入手することができる)が挙げられる。プライマー層120は、溶媒コーティング又は押出成形されてもよい。いくつかの実施形態では、プライマー層の厚さは、10μm未満であってもよく、8μm未満であってもよく、6μm未満であってもよく、4μm未満であってもよく、3μm未満であってもよく、2μm未満であってもよく、1μm未満であってもよく、又は更には0.5μm未満であってもよい。いくつかの実施形態では、プライマー層の薄さは、所望の接着性能を提供するために必要な最小厚さによってのみ、厚さが制限される。いくつかの実施形態では、プライマー層が押出成形される場合、ダイを通してウェブの完全性を維持する必要性により、より高い実用的な厚さが存在し得る。
【0013】
バリア層130は、接着剤及びプライマー層との適合性で選択され得る。いくつかの実施形態では、バリア層130は、溶媒コーティング又は押出成形されてもよい。いくつかの実施形態では、バリア層の厚さは、10μm未満であってもよく、8μm未満であってもよく、6μm未満であってもよく、4μm未満であってもよく、3μm未満であってもよく、2μm未満であってもよく、1μm未満であってもよく、又は更には0.5μm未満であってもよい。いくつかの実施形態では、バリア層の薄さは、所望のバリア性能を提供するために必要な最小厚さによってのみ、厚さが制限される。いくつかの実施形態では、バリア層が押出成形される場合、ダイを通してウェブの完全性を維持する必要性により、より高い実用的な厚さが存在し得る。
【0014】
バリア層130は、いくつかの実施形態では、少なくとも1種のポリアミドであってもよく、又は少なくとも1種のポリアミドを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ポリアミドは非晶質脂肪族ポリアミドであり得る。いくつかの実施形態では、ポリアミドは、少なくとも40℃のガラス転移温度を有し得る。いくつかの実施形態では、ポリアミドは、40℃~70℃のガラス転移温度を有する。いくつかの実施形態では、ポリアミドは、第三級アミド結合の形成をもたらす第二級アミン単位を含む。ポリアミドは、多くの場合、少なくとも1つの二酸と少なくとも1つのジアミンとから合成される。いくつかの実施形態では、2,2,4(2,4,4)-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン又は2,2,4(2,4,4)-トリメチル-1,6-ヘキサン二酸のうちの少なくとも一方を含むポリアミドが使用され得る。いくつかの実施形態では、ポリアミドは、ピペラジン又はビピペラジン繰り返し単位を含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、バリア層は、極性溶媒に溶解可能なポリアミドを含んでもよい。いくつかの実施形態では、バリア層は、1-プロパノール又は1-ブタノールを含む極性溶媒に溶解可能なポリアミドを含んでもよい。
【0016】
プライマー層又はバリア層の塗布は、それらの層の一方又は両方に熱を加えることを含み得る。熱は、層内で、溶媒を追い出すこと又はポリマーを架橋することができる。いくつかの実施形態では、層の1つ以上が、紫外線硬化性であってもよい。
【0017】
接着剤層140は、感圧接着剤を含む様々な接着剤から作製することができるか、又は上記接着剤を含んでもよい。好適な接着剤は、当業者によって選択されてもよく、多くの場合、接着剤が接着される基材の種類に基づいて選択される。感圧接着剤のクラスとしては、アクリル、粘着付与ゴム、粘着付与合成ゴム、エチレン酢酸ビニル、及びシリコーンなどが挙げられる。好適なアクリル接着剤は、例えば、米国特許第3,239,478号、同第3,935,338号、同第4,952,650号、同第4,181,752号、及び同第5,169,727号に開示されている。
【0018】
この特定の用途に有用であり得る特定のクラスの感圧接着剤は、少なくとも1つのアルキルアクリレートと少なくとも1つの強化コモノマーとの反応生成物である。好適なアルキルアクリレートは、約-10℃未満のホモポリマーガラス転移温度を有するものであり、例えば、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、及びオクタデシルアクリレートなどが挙げられる。好適な強化モノマーは、約-10℃を超えるホモポリマーガラス転移温度を有するものであり、例えば、アクリル酸、メチリデンコハク酸、イソボルニルアクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニルカプロラクタム、及びN-ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0019】
接着剤層130の厚さは、例えば、接着剤の組成、接着剤が微細構造化表面を含むか否か、基材の種類、及びフィルムの厚さを含むいくつかの要因に基づいて、特定の用途のために選択され得る。当業者は、本明細書の開示に基づいて、特定の用途の要因に対処するように厚さを調整することができる。接着剤層130は、ライナー上にコーティングされ、残りのフィルム100に塗布され得るか、又は残りのフィルム100に直接コーティングされ得るか、又は残りのフィルム100と共押出され得る。
【0020】
ライナー150は、構造体において任意であり、典型的には、接着剤層からの容易な剥離をもたらすためのコーティングを有する紙又はポリマーライナーである。場合によっては、ライナー150は、非常に均一な、滑らかな、又は光沢のある表面を有し得る。他の例では、ライナーは、エンボス加工又は印刷などの方法によって作製された表面テクスチャーを有し得る。いくつかの実施形態では、ライナーは、チャネル、隆起、又は溝などの構造化パターンを含む。そのような構造化パターンは、接着剤層上に逆構造を付与することができる。このパターンは、接着剤を表面に塗布し、例えば、最初の設置時に容易な空気放出を実現するのに役立ち得る。
【0021】
用いた用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用したものであり、そのような用語及び表現を使用する際、図示及び記載する特徴のいかなる均等物もその一部分も除外する意図はなく、本発明の実施形態の範囲内で様々な修正形態が可能であることが理解される。したがって、特定の実施形態及び任意選択の特徴によって、本発明を具体的に開示したが、本明細書に開示する概念の修正形態及び変形形態を、当業者であれば用いることができ、そのような修正形態及び変形形態は、本発明の実施形態の範囲内であると見なされることが理解されるべきである。
【実施例】
【0022】
ポリアミドバリア層及びプライマー層を含むポリラクチド(PLA)ベースのグラフィックフィルム構造体を製造した。フィルムを、インク溶媒バリア特性及び接着性について試験した。
【0023】
これらの実施例は、単に説明する目的のためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書の実施例及び他の箇所における全ての部、百分率、比などは、別途指示がない限り、重量に基づくものである。以下の略語が本明細書で使用される:”=インチ、cm=センチメートル、mmol=ミリモル、℃=摂氏、min=分、s=秒、h又はhr=時間、g=グラム、ml=ミリリットル、%=パーセント、RPM=毎分回転数、mmHg=水銀柱ミリメートル。
【0024】
材料:
【0025】
【0026】
試験方法:
接着性
ポリアミドコーティングされたプライマー処理済PLAフィルム試料をこの分析のために選択した。試料は、ポリアミドの選択及びコーティングの厚さによって参照した。0.5”(1.3cm)の細長い試験試料を長さ3”(2.6cm)に切断し、コーティング表面の反対側を最初にSCOTCH3750テープ(3M Company,St.Paul,MN)の層によって支持した。次いで、3M CONTROLTAC Graphic Film IJ180(3M Company,St.Paul,MN)の層を、3M Hand Applicator PA-1(3M Company,St.Paul,MN)を用いて2パスでポリアミドコーティング側に塗布した。次いで、試験試料を25℃で30分間コンディショニングし、塗布したIJ180フィルムを、最終的に、コーティングされたPLA基材から剥離した。ポリアミドコーティングがプライマー処理済PLA側に留まり、試験テープ上の接着剤が露出して粘着性のままである場合、その試料は接着試験に合格する。ポリアミドコーティングが接着剤側に移り、非粘着性になった場合、その試料は接着試験に不合格となる。
【0027】
MEK透過率の重量測定カップ試験
試験は、アメリカ自動車技術会(Society of Automotive Engineers(SAE))のJ2665「Test Procedure to Measure the Fuel Permeability of Materials by the Cup Weight Loss Method」に由来した。試験は、カップを溶媒で満たし、次いでバリアコーティングされたフィルムを使用してカップを密閉することによって行われる。カップをオーブンに入れて、カップの重量を経時的に計った。カップから失われた溶媒の量が、バリア性能の尺度である。カップをMEK又はEtOAc(インクシミュレーション)で満たした後、ポリアミドコーティング側を上に向けて、コーティングされたフィルムサンプルをカップ上に置いた。PTFEガスケットを用いてフィルムを密閉した。微細ワイヤメッシュスクリーン、続いて粗大穿孔アルミニウムプレートを用いてフィルムを覆った。最後に、リングをアルミニウムプレート上に置き、しっかりとねじ留めした。フィルムの膨張を制限することによって、コーティング厚さは未延伸かつ一定に保たれた。カップを40℃のオーブンに入れ、時間=0において、及びその後は経時的に秤量した。データを、時間の関数としての重量損失%としてプロットした。MEK損失率(溶媒損失%/時間)が低いことは、ポリアミドコーティングのバリア性能が良好であることを示した。
【0028】
実施例:
ポリアミド(C6DA-co-C9DAm)(PE1)の調製
アジピン酸(69.48g、468.7mmol)、2,2,4-(2,4,4)-トリメチル-1.6-ヘキサメチレンジアミン(73.18g、462.3mmol)、及びリン酸(85%、2滴)を、オーバーヘッドスターラー、挿入熱電対及び凝縮器を備えた250mLの三つ口丸底フラスコに入れた。試薬を、N2ブランケット下に終夜置いた。翌日、反応温度を最初に100℃に設定した。試薬が溶融し始めたとき、撹拌機の手動回転を加えた。次いで、N2雰囲気下で、反応温度を100℃から200℃まで1時間かけてゆっくりと上昇するように設定した。オーバーヘッド撹拌速度も0RPMから60RPMまでゆっくりと上昇させた。反応のこの段階の間、凝縮した留出物を反応容器に還流させ、溶融温度を100℃から190℃まで上昇させ、留出物温度は104℃に達した。反応設定温度を、更に240℃まで徐々に上昇させた。次いで、留出物(15.15g)を1時間にわたって回収した。ポリマー溶融温度は240℃に達し、留出物温度は70℃まで低下した。ポリマー溶融物を、最後に200mmHgの真空度で1時間処理し、反応生成物(PE1)を空気中でテフロンシート上に排出した。
【0029】
ポリアミド(C6DA-co-C9DAm/C6DAm/Pip 100-co-60/20/20)(PE2)の調製
PE2は、PE1と同様の条件下で合成した。ただし、PE2では、アジピン酸(74.69g、511.1mmol)、ヘキサメチレンジアミン(11.68g、100.7mmol)、2,2,4-(2,4,4)-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジアミン(47.99g、303.2mmol)、ピペラジン(8.70g、101.0mmol)、及びリン酸(85%、2滴)を反応容器に入れた。反応生成物を、最後に200mmHgの真空度で260℃において処理した後、排出した。
【0030】
表2は、上に開示したプロセスを使用して調製された一連の個別仕様のポリアミドの組成を比較している。全ての組成物について、0.988のアミン/酸モル比を目標とした。
【0031】
【0032】
ポリアミドの熱分析
表3は、PE1、PE1及び2種類の市販のポリアミドについて、ガラス転移温度及び溶融温度(検出可能な場合)を比較している。熱転移は、TA Q2000示差走査熱量計(TA Instruments New Castle,DE)を使用して測定した。最初に、試料を周囲温度から180℃まで10℃/分の加熱速度で加熱し、次いで-60℃まで20℃/分の冷却速度で冷却し、最後に、280℃まで10℃/分の加熱速度で加熱した。溶融転移を示さないサンプルについては、ガラス転移温度を2回目の加熱から報告した。溶融転移を示すサンプルについては、ガラス転移温度、結晶化温度(観察された場合)及び溶融温度を1回目の加熱から報告した。
【0033】
【0034】
プライマー処理済PLAフィルム(PE3)の調製
UPUVプライマー溶液をRDS06マイヤーロッド(R.D.Specialties,Webster,NY)を用いてPLAフィルム上にコーティングした。その後、コーティングを70℃の対流式オーブンで10分間乾燥した。
【0035】
ポリアミドコーティング溶液(PE4~8)の調製
ポリアミドコーティング溶液PE4は、70℃の水浴中で、PE1を1-プロパノール/水(75/25)中に15%の固形分で6時間溶解することによって調製した。ポリアミドコーティング溶液PE5~7は、70℃の水浴中で、PE2を1-プロパノール/水(75/25)中に、それぞれ5%、10%及び15%の固形分で6時間溶解することによって調製した。PE8は、代わりに1-プロパノール/水(90/10)中で調製した。PE4~8の詳細な組成を以下に示す。
【0036】
【0037】
比較用のポリアミド(C6DA-co-C9DAm)コーティングされたプライマー処理済PLAフィルム(CE1)の調製
プライマー処理済PLAフィルム(PE3)をコーティング基材として選択した。ポリアミド(C6DA-co-C9DAm)コーティング溶液PE4を、RDS05マイヤーロッドを用いてPE3上にコーティングした。その後、コーティングを70℃の対流式オーブンで10分間乾燥し、135℃の対流式オーブン内で30秒間アニールした。
【0038】
比較用のポリアミド(ULTRAMID 1C/PLATAMID HX2592 70/30)コーティングされたプライマー処理済PLAフィルム(CE2)の調製
プライマー処理済PLAフィルム(PE3)をコーティング基材として選択した。ポリアミド(ULTRAMID 1C/PLATAMID HX2592 70/30)コーティング溶液PE8を、RDS05マイヤーロッドを用いてPE3上にコーティングした。その後、コーティングを70℃の対流式オーブンで10分間乾燥し、135℃の対流式オーブン内で30秒間アニールした。
【0039】
実施例のポリアミド(C6DA-co-C9DAm/C6DAm/Pip 100-co-60/20/20)コーティングされたプライマー処理済PLAフィルム(E1~3)の調製
E1~3は、ポリアミドコーティング溶液PE5をE1に使用し、PE6をE2に使用し、PE7をE3に使用したことを除いて、CE1と同様に調製した。コーティングは、この場合もRDS05マイヤーロッドを用いて調製し、70℃の対流式オーブンで10分間乾燥し、135℃の対流式オーブン内で30秒間アニールした。
【0040】
結果:
【0041】
【0042】
【国際調査報告】