(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-19
(54)【発明の名称】3次元光起電力充電システム
(51)【国際特許分類】
H02S 50/00 20140101AFI20230911BHJP
H02S 40/22 20140101ALI20230911BHJP
H02S 10/20 20140101ALI20230911BHJP
H02S 40/42 20140101ALI20230911BHJP
H02S 20/32 20140101ALI20230911BHJP
【FI】
H02S50/00
H02S40/22
H02S10/20
H02S40/42
H02S20/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513459
(86)(22)【出願日】2021-08-24
(85)【翻訳文提出日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 US2021047268
(87)【国際公開番号】W WO2022046714
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513283512
【氏名又は名称】ザ レジェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アカバーン - タフティ、モジタバ
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251JA01
5F251JA13
5F251JA14
5F251JA23
5F251JA28
5F251JA29
5F251KA02
5F251KA03
(57)【要約】
透明ハウジング内に収納された光起電力ユニット、電力管理ユニット、及び支持ベースを備えるコンパクトな3次元(3D)光起電力充電システム。光起電力ユニットは、或る相対的距離及び或る相対的配向で位置決めされる同一平面上にない光起電力表面を有する。従来の平坦なソーラー・パネルと比較して、3D光起電力充電システムは、光を垂直に収集することができ、したがって、設置フットプリント面積当たりの電力出力として規定されるソーラー・モジュール電力密度を増幅する。透明ハウジング内に収納された光起電力ユニット、電力管理ユニット、及び電磁放射の発生源を追跡する手段を有する光追尾3D光起電力充電システムも説明される。光追尾3D光起電力充電システムは、移動する光源を追跡し、取り込まれる光束の改善、したがって、電力出力の向上をもたらす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元光起電力充電システムであって、
光を電流に変換するように構成される複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層を有する光起電力ユニットであって、前記複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層の隣接層は、前記隣接層間に或る距離及び或る相対的角度を有する、光起電力ユニットと、
電力制御ユニットを有する電力管理ユニットであって、前記複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層からの電流を受け取り管理するように構成される、電力管理ユニットと、
前記光起電力ユニット及び前記電力管理ユニットを受け取る支持ベースと、
前記複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層を少なくとも部分的に絶縁する少なくとも部分的に透明なハウジングと
を備える、光起電力充電システム。
【請求項2】
前記複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層は、無機材料、有機材料、又はその組み合わせからなる群から選択された材料から作られる、請求項1に記載の光起電力充電システム。
【請求項3】
前記電力管理ユニットは、電力貯蔵ユニットをさらに備える、請求項1に記載の光起電力充電システム。
【請求項4】
前記複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層は、少なくとも部分的に透明である、請求項1に記載の光起電力充電システム。
【請求項5】
前記複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層は、封入、絶縁、誘電体、透明、反射、反射防止、伝導、分散、拡散、屈折、及びプリズム状の材料からなる群から選択された材料で少なくとも部分的に被覆される、請求項1に記載の光起電力充電システム。
【請求項6】
前記複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層のうちの少なくとも1つの層は置換可能である、請求項1に記載の光起電力充電システム。
【請求項7】
前記複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層は、成形誘電体スラブ内に少なくとも部分的に収納される、請求項1に記載の光起電力充電システム。
【請求項8】
前記複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層の隣接層間の距離は、光反射材料、誘電体材料、電気伝導体、熱伝導体、光透過材料、光吸収材料、集光器、光拡散材料、ゲル、ペースト、液体、オイル、水、樹脂、ポリマー、熱硬化性ポリマー、光硬化性ポリマー、熱クーラント、熱吸収材料、熱分散材料、エア・ポケット、発光材料、エレクトロルミネセント材料、及びフォトルミネセント材料からなる群から選択された材料で少なくとも部分的に充填される、請求項1に記載の光起電力充電システム。
【請求項9】
前記電力制御ユニットは、モノのインターネット(IoT)サブシステム、電力インバーター・サブシステム、電流スイッチ、回路遮断器、電力変換器、能動及び受動センサ、電力送信機、電気プラグ、ディスプレイ、発光ダイオード、及び電力追尾サブシステムからなる群から選択された構成要素を備える、請求項1に記載の光起電力充電システム。
【請求項10】
前記少なくとも部分的に透明なハウジングは、光反射、光分散、光吸収、光誘導、及び光拡散材料からなる群から選択された表面内に少なくとも部分的に閉囲される、請求項1に記載の光起電力充電システム。
【請求項11】
前記支持ベースは、搭載用ポール、ポスト、コンクリート基礎、ボラード、アンカー、フレーム、搭載用ブラケット、クランプ、レール、磁気プレート、ロープ、チェーン、ワイヤ、ケーブル、アーム、レグ、フック、マスト、ハンガー、ストラット、搭載用ファスナー、ウォール・マウント、及びベルトからなる群から選択される、請求項1に記載の光起電力充電システム。
【請求項12】
3次元光起電力充電システムであって、
光を電流に変換するように構成される光起電力層によって少なくとも部分的に覆われた鋸歯状表面を有する少なくとも1つの基板を有する光起電力ユニットであって、前記鋸歯状表面基板及び前記光起電力層は、収束表面法線を有する、光起電力ユニットと、
電力制御ユニットを有する電力管理ユニットであって、前記光起電力層からの電流を受け取り管理するように構成される、電力管理ユニットと、
前記光起電力ユニット及び前記電力管理ユニットを受け取る支持ベースと、
前記光起電力層を少なくとも部分的に絶縁する少なくとも部分的に透明なハウジングと
を備える、光起電力充電システム。
【請求項13】
前記電力管理ユニットは、電力貯蔵ユニットをさらに備える、請求項12に記載の光起電力充電システム。
【請求項14】
前記鋸歯状表面は、外部刺激に応答して形状を変更するように構成される、請求項12に記載の光起電力充電システム。
【請求項15】
前記少なくとも部分的に透明なハウジングは、成形誘電体スラブである、請求項12に記載の光起電力充電システム。
【請求項16】
光追尾3D光起電力充電システムであって、
少なくとも部分的に透明なハウジングと、
光を電流に変換するように構成される複数の同一平面上にない光起電力表面を有する光起電力ユニットであって、前記複数の同一平面上にない光起電力表面は、前記少なくとも部分的に透明なハウジング内で少なくとも部分的に絶縁される、光起電力ユニットと、
電力制御ユニットを有する電力管理ユニットであって、前記複数の同一平面上にない光起電力表面からの電流を受け取り管理するように構成される、電力管理ユニットと、
アンカー・ベースとを備え、前記アンカー・ベースは、物体に固定され、前記光起電力ユニットに対して或る配向で位置決めされ、前記アンカー・ベース及び前記光起電力ユニットの少なくとも一方が他方に対して可動であるように構成されて、前記光起電力ユニット及び前記アンカーユニットの相対的配向の変化をもたらし、光束の変化による電流の変化を引き起こし、それにより、電流の変化を引き起こし、電流の変化は前記電力制御ユニットによって監視される、光追尾3D光起電力充電システム。
【請求項17】
前記光起電力ユニットの配向の変化は、前記電力制御ユニットによって中継される、請求項16に記載の光追尾3D光起電力充電システム。
【請求項18】
前記光起電力ユニットは、複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層を備え、配向の前記変化は、前記複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層の2つの隣接層間の相対的距離及び相対的角度の少なくとも一方の変化を含む、請求項16に記載の光追尾3D光起電力充電システム。
【請求項19】
前記電力管理ユニットは、電力貯蔵ユニットをさらに備える、請求項16に記載の光追尾3D光起電力充電システム。
【請求項20】
前記光起電力ユニットは、光を電流に変換するように構成される光起電力層によって少なくとも部分的に覆われた鋸歯状表面を有する少なくとも1つの基板を備え、前記鋸歯状表面及び前記光起電力層は、相対的角度で配向した収束表面法線を有する、請求項16に記載の光追尾3D光起電力充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年8月23日に出願された米国特許出願第17/408,925号に対する優先権を主張し、また同様に、2020年8月24日に出願された米国仮出願第63/069,261号の利益を主張する。上記出願の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、光起電力モジュールに関し、より詳細には、電気デバイスに電力供給するための光起電力モジュールの電力密度を改善するデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
この節は、必ずしも従来技術でない本開示に関連する背景情報を提供する。この節は、開示の全体的な要約を提供し、その全範囲又はその特徴の全ての包括的な開示ではない。
【0004】
ソーラー電力は、かつてないほどに米国において手頃で、アクセス可能であり、広く行き渡っている。米国エネルギー効率及び再生可能エネルギー局(United States Office of Energy Efficiency and Renewable Energy)は、2008年以来、米国での設置が、今日、35倍に成長し、62.5ギガワット(GW)と推定されると報告した。これは、1200万戸の平均的なアメリアの家庭に相当するものに電力供給するのに十分な容量である。2014年の初め以来、ソーラー光起電力(PV:solar photovoltaic)パネルの平均コストは、ほぼ50%下がった。ソーラー電気は、今や、経済的に競争力があり、カリフォルニア州、ハワイ州、及びミネソタ州を含む幾つかの州の従来のエネルギー源に関して、2020年初めに石炭電気を克服する。さらに、ソーラー産業は、国及び世界全体を通して、特に、開発途上地域において、実証済みの経済成長のための培養環境である。
【0005】
ソーラー・エネルギー配備の増大は、米国にとって多大な利益を提供する。米国全体を通したソーラーの豊富さ及び可能性は、驚異的である:国の総土地面積のたった0.6%上でのPVパネルは、米国エネルギー省(Department of Energy)が宣言したように、米国全体に電力供給するのに十分な電気を供給することができるであろう。
【0006】
この目覚ましい進歩にもかかわらず、ソーラーが、従来のエネルギー源と同程度の手頃な価格になり、国全体を通してその最大限の可能性を発揮する前に、重要な仕事が残っている。ソーラー・ハードウェア・コストは、劇的に低下したが、市場障壁及びグリッド統合課題は、より大規模な配備を妨害し続ける。米国国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory)は、非ハードウェア・ソーラー「ソフト・コスト(soft cost)」-許可、融資、そして土地及び顧客獲得等-が、ソーラーの総コストの益々大きな割合となっており、今や、住宅システムのコストの最大74%を構成すると結論付けた。ベースロード(baseload)電力についてソーラーに依存するため、効率を増大させ、コストを低減し、ユーティリティを使用可能にするために、技術的進歩及び革新的解決策が依然として必要とされる。
【0007】
PVは、土地利用の影響が本質的にない状態でルーフトップに設置され得る。しかしながら、米国では、小さい建物の上の総ルーフトップ面積のわずか26%がPV配備に好適に向いているにすぎず、その一部には、増大する荷重のための本質的な構造的完全性がない。より高い電力密度のソーラー・モジュールは、ルーフトップ荷重の低減を可能にするであろう。配備可能な高電力密度ソーラー・モジュールは、住宅ルーフトップから外れて、裏庭に、歩道に沿って等に設置されて、価値ある不動産を損なうことなくルーフトップ設置コストを完全に回避することができる。本教示は、満たされていないこれらのニーズに対処するために、コンパクトで且つ高電力密度のソーラー・モジュール設計を提供する。
【0008】
「Electromagnetic Energy Converter」とう名称で、参照により本明細書に組み込まれる、本発明の譲受人に譲渡された国際出願第PCT/US2018/049880号に記載される3次元(3D:Three-dimensional)ソーラー・モジュールは、ソーラー・モジュールの電力密度を改善し、したがって、ソーラー電気のソフト・コストを低減することを目指す。
【0009】
従来の平坦ソーラー・パネルと違って、3Dソーラー・モジュールは、特に、不動態化エミッタ及び背面接触セルの場合に、種々の方向からの光、特に、周囲の及び/又は隣接する光起電力セルから反射される光子を収集し変換することができる。より重要なことには、3Dソーラー・モジュールは、光を垂直に収集することができ、したがって、電力出力を維持しながら、設置フットプリントを下げる。したがって、3Dソーラー・モジュールは、従来の平坦ソーラー・パネルと比べて、1平方メートル当たりのワット数の単位で設置フットプリント当たりの電力出力として規定される高い電力密度を有する。
【0010】
さらなる応用分野は、本明細書で提供される説明から明らかになる。この要約の説明及び特定の実例は、単に例証のために意図され、本開示の範囲を制限することを意図されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書で説明する図面は、考えられる全ての実装態様ではなく、選択された実施例の単に例証のためのものであり、本開示の範囲を制限することを意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】透明ハウジング内に収納された複数の光起電力層を有する光起電力ユニット、制御ユニットを有する電力管理ユニット、及び支持ベースを備える3D光起電力充電システムの概略図である。光が電気に変換されたことから発生した電流は、電気導管内に収容されたケーブルを介して電力管理ユニットに送出される。電力制御ユニットは、物理的及び/又は仮想的電気接続部を介して、他の電気デバイス、消費物、又は発電機と結合される。
【
図2】透明ハウジング内に収納された複数の光起電力層及び反射層を有する光起電力ユニット、電力貯蔵ユニット及び制御ユニットを有する電力管理ユニット、及び支持ベースを備える3D光起電力充電システムの概略図である。
【
図3】透明ハウジング内に収納された均一な光起電力層で覆われた鋸歯状表面を有する基板、電力貯蔵ユニット及び制御ユニットを有する電力管理ユニット、及び支持ベースを備える3D光起電力充電システムの概略図である。
【
図4】透明ハウジング内に収納された複数の光起電力層を有する光起電力ユニット、電力貯蔵ユニット及び制御ユニットを有する電力管理ユニット、及び支持ベースを備える3D光起電力充電システムの概略図である。透明ハウジングは、熱吸収層及び循環冷却システムをさらに備える。
【
図5】透明ハウジング内に収納された複数の光起電力層を有する光起電力ユニット、電力貯蔵ユニット及び制御ユニットを有する電力管理ユニット、支持ベース、及びアンカー・ベースを備える光追尾3D光起電力充電システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
対応する参照数字は、図面の幾つかの図を通して対応する部品を示す。
【0015】
例示的な実施例は、ここで、添付図面を参照してより完全に説明される。
【0016】
例示的な実施例は、本開示が、徹底的であることになり、その範囲を当業者に完全に伝えることになるように提供される。多数の特定の詳細が、本開示の実施例の徹底的な理解を提供するために、特定の構成要素、デバイス、及び方法の実例として述べられる。特定の詳細が使用される必要がないこと、例示的な実施例が多くの異なる形態で具現化され得ること、及び、いずれも、本開示の範囲に限定すると解釈されるべきでないことが、当業者に明らかになる。幾つかの例示的な実施例において、よく知られているプロセス、よく知られているデバイス構造、及びよく知られている技術は詳細に説明されない。
【0017】
本明細書で使用される用語は、単に特定の例示的な実施例を説明するためのものであり、限定的であることを意図されない。本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、「the」は、別段に文脈が明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される場合がある。用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含んでいる(including)」、及び「有している(having)」は、包含的であり、したがって、述べた特徴、整数、ステップ、操作、元素、及び/又は構成要素の存在を明示するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、元素、構成要素、及び/又はその群の存在又は追加を排除しない。本明細書で説明する方法ステップ、プロセス、及び操作は、実施の順序として特に特定されない限り、論じられるか又は示される特定の順序でのそれらの実施を必ず必要とするものとして解釈されない。追加の又は代替のステップが使用されることも理解される。
【0018】
要素又は層は、別の要素又は層「の上に(on)」存在する、「に係合される(engaged to)」、「に接続される(connected to)」、又は「に結合される(coupled to)」として参照されるとき、他の要素又は層の、直接、上にある、に係合される、に接続される、又は、に結合され得る、又は、介在する要素又は層が存在することができる。対照的に、要素が、別の要素又は層「の直接上に(directly on)」存在する、「に直接係合される(directly engaged to)」、「に直接接続される(directly connected to)」、又は「に直接結合される(directly coupled to)」として参照されるとき、介在する要素又は層は存在しないとすることができる。要素間の関係を説明するために使用される他の語は、同様な方法で解釈されるべきである(例えば、「の間に(between)」対「直接間に(directly between)」、「隣接する(adjacent)」対「直接隣接する(directly adjacent)」等)。本明細書で使用するとき、用語「及び/又は(and/or)」は、挙げた関連項目の1つ又は複数の任意の又は全ての組み合わせを含む。
【0019】
用語、第1、第2、第3等は、種々の要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションを説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションは、これらの用語によって制限されるべきでない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、又はセクションを別の領域、層、又はセクションから区別するためにだけ使用され得る。「第1(first)」、「第2(second)」等の用語、及び、本明細書で使用されるときの他の数値用語は、文脈が明確に示さない限り、シーケンス又は順序を示唆しない。そのため、以下で論じる第1の要素、構成要素、領域、層、又はセクションは、例示的な実施例の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、又はセクションと呼ばれ得る。
【0020】
「内部の(inner)」、「外部の(outer)」、「下に(beneath)」、「下方に(below)」、「下の(lower)」、「上方に(above)」、「上の(upper)」、及び同様なもの等の空間的に相対的な用語は、図に示すように、1つの要素又は特徴の別の要素(複数可)又は特徴(複数可)に対する関係を説明するため説明の容易さのために本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示す配向に加えて、使用又は操作時のデバイスの異なる配向を包含することを意図され得る。例えば、図のデバイスがひっくり返る場合、他の要素又は特徴より「下に(below)」又は「下に(beneath)」として説明される要素は、他の要素又は特徴より「上に(above)」に配向することになる。そのため、例示的な用語「下に(below)」は、上の配向及び下の配向を共に包含することができる。デバイスは、その他の方法で配向する(90度回転する、又は、他の配向である)ことができ、本明細書で使用される空間的に相対的な用語は、相応して解釈され得る。
【0021】
本教示の原理によれば、そして、
図1~3を参照すると、有利な構成及び使用方法を有する3次元(3D)光起電力充電システム100が提供される。幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム100は、複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層112を有する光起電力ユニット110を備えることができる。幾つかの実施例において、光起電力層は、単結晶又は多結晶ソーラー・セル等の光起電力セルである。
【0022】
幾つかの実施例において、3次元光起電力充電システム100は、光を電流に変換するように構成される複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層112、複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層112の隣接層間の或る距離150及び或る相対的角度152を備える、光起電力ユニット110と、電力制御ユニット122を備える電力管理ユニット120であって、複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層112からの電流を受け取り管理するように構成される、電力管理ユニット120と、光起電力ユニット110及び電力管理ユニット120を受け取る支持ベース130と、複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層112を少なくとも部分的に絶縁する少なくとも部分的に透明なハウジング114とを備える。
【0023】
幾つかの実施例において、複数の光起電力層112は、1ナノメートルより長い距離150に分離される。距離150は、隣接光起電力層112間の分離を指す。隣接光起電力層112間の距離は、単位長さ当たりの最適電力出力のために調整され得る。隣接光起電力層112は、0~360度に及ぶ相対角度152で傾斜することもできる。相対角度152は、天頂からの隣接光起電力層112の角度の差を指す。例えば、互いの頂部で或る距離150に積層された2つの平行な天頂を向くソーラー・セル間の相対角度152は0度である。同様に、対向する方向に向く2つの垂直に積層されたソーラー・セル(1つのセルは天頂に向く又はPV側が上、そして、他のセルは、天頂から外方に向く又はPV側が下)間の相対角度152は180度である。後者の実施例において、隣接光起電力層112は、互いに向き合う、顔を合わせる(face-to-face)、又は、互いから外方に向くように位置決めされる、すなわち、背中を合わせる(back-to-back)。2面ソーラー・セルの場合、セルは、それぞれが2つの面の一方を特定する2つの相補的角度で特徴付けられ得る。
【0024】
幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム100は、電力制御ユニット122を有する電力管理ユニット120をさらに備えることができる。電力制御ユニット122は、3D光起電力充電システム100の要素及び操作を管理し制御するように構成される。幾つかの実施例において、電力制御ユニット122は、最大電力点追尾(MPPT:maximum power point tracking)コントローラーを備える。幾つかの実施例において、電力制御ユニット122は、パルス幅変調(PWM:pulse width modulation)コントローラーを備える。
【0025】
幾つかの実施例において、電力管理ユニット120は、生成された電力を受け取り貯蔵するための電力貯蔵ユニット124をさらに備える。幾つかの実施例において、電力制御ユニット122は、複数の光起電力ユニット110を接続するのに役立つ。幾つかの実施例において、電力制御ユニット122は、物理的又は仮想的電気接続部141を介して結合された、複数の3D光起電力充電システム100及び/又は他の電気消費物を管理するのに役立つ。幾つかの実施例において、電力制御ユニット122は、1つ又は複数の光起電力ユニット110をパワー・グリッドに接続する。幾つかの実施例において、電力制御ユニット122は、電池管理システム(BMS:battery management system)を備える。
【0026】
幾つかの実施例において、支持ベース130は、光起電力ユニット110及び/又は電力管理ユニット120を受け取る及び/又は含む。幾つかの実施例において、複数の光起電力層112は、透明ハウジング114内で絶縁され、複数の光起電力層は、光を電流に変換し、それにより、電流は、電力管理ユニット120によって受け取られ管理される。
【0027】
幾つかの実施例において、支持ベース130は、搭載用ポール、ポスト、コンクリート基礎、ボラード、アンカー、フレーム、搭載用ブラケット、クランプ、レール、磁気プレート、ロープ、チェーン、ワイヤ、ケーブル、アーム、レグ、フック、マスト、ハンガー、ストラット、搭載用ファスナー、ウォール・マウント、及びベルトからなる群から選択される。
【0028】
幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム100は、天頂から30度の角度、すなわち、0度の相対的角度152で3.048センチメートル(0.1ft)の隣接セルの距離150において互いの頂部に垂直に積層され、反射背面を有する透明ポリカーボネート・チューブ・ハウジング114内に収納された、10個の光起電力層112、この場合、商用多結晶ソーラー・セルを有する光起電力ユニット110を備える。幾つかの実施例において、それぞれの個々のソーラー・セルの背面は、反射層118、この場合、反射テープで覆われて、光吸収を低減し、光反射を高める。幾つかの実施例において、ソーラー・セルは直列に接続される。光起電力ユニット110は、複数の光起電力層112を備える。光起電力ユニット110は、開放窓129を有する7.62センチメートル(3インチ)径のポリ塩化ビニル(PVC:polyvinyl chloride)パイプ支持ベース130の内部に位置決めされた透明ハウジング114内に収納され得る。光起電力ユニット110は、開放窓129を通して光を受ける。光起電力ユニット110の投影エリア137は1000mm2である。
【0029】
光起電力ユニット110を含むPVC支持ベース130の開放窓129は、ミシガン州アナーバーの南を指す固定面方向143において、夏(2020年6月)の太陽に対して露出されて位置決めされた。3D光起電力充電システムの出力は、種々の負荷抵抗で測定された。参照光起電力層112、この場合、南「に向く(facing)」水平線から45度の角度で固定された1つの多結晶ソーラー・セルの出力も測定された。3D光起電力充電システム100の出力は、1つの固定参照光起電力層112から測定された30W/m2の出力と比較して、1平方メートル当たり330ワット(大地における平均太陽光強度1000W/m2)に達することが見出された。
【0030】
或る距離150において互いの頂部に積層された複数の光起電力層112の設置は、個々の光起電力層112の投影エリアに等しい投影エリア137をもたらす。これは、この場合わずか30.5センチメートル(1フット)高さの3D光起電力充電システム100が、固定参照光起電力層112の電力密度の10倍を発生することを示した。換言すれば、この実施例は、30.5センチメートル(1フット)高さ当たり330W/m2を発生した。比較のために、典型的な街灯柱は高さ183~427センチメートル(6~14フィート)であり、光を垂直に収集し変換することによって、ソーラー・モジュールの電力密度を大幅に改善することができ、小さいフットプリントを用いて電力出力の向上をもたらす。
【0031】
幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム100は、オフ・ザ・パワー・グリッド(off-the-power grid)照明、充電、通信、化学反応器、及び、モノのインターネット(IoT:internet of things)システムに電力を提供する。
【0032】
最近、ソーラー産業は、周囲環境からの反射光を利用するために、2面平坦ソーラー・パネルを採用している。結果として、2面ソーラー・パネルの出力は、周囲環境の特性に強く依存するままである。この依存性は、コンクリート又は塗装済みフローリング等の2面ソーラー設置において反射表面を必要とすることになり、設置コストをさらに押し上げる。これらの同様の環境特徴は、幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム100の電力出力を改善するために使用されることもできるが、それらは不必要である。
【0033】
用語「離散的且つ同一平面上にない光起電力層112(discrete and non-coplanar photovoltaic layers 112)」は、平坦ソーラー・パネル、2面ソーラー・パネル、可撓性ソーラー・パネル、及びタンデムソーラー・セル等の平面構成の光起電力層112を含まない。2面ソーラー・パネルは、平面幾何形状で設置された2面のあるソーラー・セルからなる。可撓性ソーラー・パネルは、平面且つ可撓性表面上に印刷されそれによって支持されたソーラー・セルからなる。タンデムソーラー・セルは、種々の光周波数を選択的に変換するために垂直に積層された複数の光起電力層からなる。この用途のために、タンデムソーラー・セルは、1つの「光起電力層112(photovoltaic layer 112)」として考えられる。
【0034】
用語「離散的且つ同一平面上にない光起電力層」は、光起電力材料によって噴霧及び/又は印刷された表面を指さない。光起電力フィルムによって印刷された表面は、1つの離散的光起電力層112として考えられる。
【0035】
用語「透明な(transparent)」は、その光透過比がゼロより大きい材料を指す。この文脈における透明度は、かなりの散乱がある状態で又はない状態で、少なくとも部分的に又は全体として電磁スペクトルの電磁エネルギーが材料内を伝搬することを可能にする物理的特性として規定される。幾つかの実施例において、透明ハウジング114は、光起電力層112を絶縁する透明カバーである。幾つかの実施例において、光起電力層112は、灯柱を彫って作られた開放窓137を有する灯柱の内部に位置決めされる。幾つかの実施例において、透明ハウジング114は、光起電力層112を絶縁するノングレア・アクリル・カバーリング等の透明アクセス・ゲートである。透明ハウジング114は、光エントリーを提供し、また同様に幾つかの実施例において、湿気、露、ひょう、ほこり、風、又はさらに器物損壊を含む環境損傷に対する光起電力層112の曝露を阻止する。
【0036】
幾つかの実施例において、透明ハウジング114は、構造的強度改善のために光起電力層112を少なくとも部分的に収納する透明成形スラブである。幾つかの実施例において、透明ハウジング114は、絶縁のためにバキューム操作される。幾つかの実施例において、透明ハウジング114は、絶縁のために、不活性ガス等の誘電体材料を充填されて、光起電力層112の腐食率、熱伝導率、及び/又は電気伝導率を低減する。
【0037】
幾つかの実施例において、複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層112は、成形誘電体スラブ内に少なくとも部分的に収納される。幾つかの実施例において、複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層の隣接層間の距離は、光反射材料、誘電体材料、電気伝導体、熱伝導体、光透過材料、光吸収材料、集光器、光拡散材料、ゲル、ペースト、液体、オイル、水、樹脂、ポリマー、熱硬化性ポリマー、光硬化性ポリマー、熱クーラント、熱吸収材料、熱分散材料、エア・ポケット、発光材料、エレクトロルミネセント材料、及びフォトルミネセント材料からなる群から選択された材料で少なくとも部分的に充填される。
【0038】
幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム100は、透明ハウジング114内に収納された複数の同一平面上にない光起電力層112を有する光起電力ユニット110及び反射表面132を備える。光起電力ユニットは、ファスナーによって、支持ベース130、例えば街灯柱に設置される。幾つかの実施例において、ファスナーは、灯柱の外部表面に沿って光起電力ユニット110を取り付ける調整可能ベルトとすることができる。幾つかの実施例において、電力管理ユニット120は、照明用の電力を提供するために灯柱の内部に収容される。幾つかの実施例において、支持ベース130は、限定はしないが、電話充電器、電動スクータ、電動バイク充電器ステーション、及びスマート・トラフィック・モニタ等の電気デバイスである。幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム100は、センサのアセンブリ等の室外構成可能又はモザイク・ハードウェアに統合され、それに電力を提供する。
【0039】
幾つかの実施例において、支持ベース130は、3D光起電力充電システム100が載る床及び/又はグラウンドである。幾つかの実施例において、透明ハウジング114は同様に、電力管理システム120を収容し、したがって、支持ベース130として役立つ。幾つかの実施例において、支持ベース130は、パワー・グリッド接続を容易にすることができる電柱である。
【0040】
幾つかの実施例において、光起電力ユニット110によって発生される電気は、電気導管116内に収容されたワイヤを介して電力管理ユニット120に送出される。電気導管116は、支持ベース130として使用されることもできる。幾つかの実施例において、電気導管116は、反射材料で被覆される。
【0041】
幾つかの実施例において、光起電力ユニット110の個々の光起電力層112は交換可能である。幾つかの実施例において、光起電力層112は、検査又は交換のために、透明な、硬化済み樹脂成型スラブ、誘電体ゲル、又はクーラント流体から引き出される。
【0042】
幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム100は、ソーラー・マットを作成するために、3Dソーラー・ブロックと個々に呼ばれる、連結型透明ハウジング114内に収納された複数の光起電力ユニット110を備える。幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム100は、複数の光起電力層112を備え、それぞれの光起電力層112は透明ハウジング内に個々に収納される。複数の個々に収納済みの光起電力層112は、光起電力ユニット110内に結合される。幾つかの実施例において、光起電力ユニット110は、個々に収納済みの反射層118からさらに構成される。幾つかの実施例において、3Dソーラー・ブロックは、透明ハウジング内に収納された少なくとも一対の光起電力層112及び反射層118を備える。3Dソーラー・マットは、水平に又は垂直に設置される。幾つかの場合、ウォール・マウント等の支持ベース130が使用される。幾つかの実施例において、個々の3Dソーラー・ブロックは交換可能である。幾つかの実施例において、複数の光起電力層112、光起電力ユニット110は、3Dソーラー・パネルを作成するために透明ハウジング114内に収納される。
【0043】
幾つかの実施例において、反射層118は、光起電力層112間で分配される。幾つかの実施例において、光起電力層112及び反射層118は、或る角度で配向する。光起電力層112と反射層118との間の角度は、最適電力出力のために調整され得る。
【0044】
幾つかの実施例において、反射表面132は、光子を少なくとも1つの対応する光起電力層112に向けるために位置決めされる。幾つかの実施例において、反射表面132は、光束がそれ以内で光起電力ユニット110に入ることができる角度を制限するために使用される。幾つかの他の実施例において、反射表面132は、光取り込みを改善するために透明ハウジング114の一部を閉囲する。幾つかの実施例において、反射表面132は、静止し且つ固定され、一方、幾つかの実施例において、反射表面132は、光源の位置に応じて、回転する。幾つかの実施例において、反射表面132は、対称軸に沿って、手動で、又は、支持ベース130内に収容されたサーボモーターによって回転される。
【0045】
図4を参照すると、幾つかの実施例において、透明ハウジング114は成形スラブである。幾つかの実施例において、成形スラブは、少なくとも部分的に硬化済みのポリマー(複数可)の1つ又は組み合わせである。幾つかの実施例において、透明ハウジング114は、熱エネルギーを電気に変換する、及び/又は、熱エネルギーを循環熱吸収材料内に貯蔵することを意図される熱吸収体層127を包囲する。幾つかの実施例において、熱吸収体層127は、特定の波長範囲内の光を選択的に反射する。
【0046】
幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム100は、中央3D充電システム100上に搭載された1つ又は複数の3D充電システム100を備える。
【0047】
幾つかの実施例において、透明ハウジング114は、循環熱吸収材料によって光起電力層112の使用温度を下げるために冷却システム128も包囲する。幾つかの実施例において、成形スラブは、電気、熱、及び/又は湿気絶縁体である。
【0048】
幾つかの実施例において、3D光起電力システム100は、圧壊可能、折り畳み可能、入れ子式、及び/又は拡張可能透明ハウジング114内に収容された光起電力ユニット110を備える。幾つかの実施例において、支持ベース130は、光起電力ユニット110が収容されるヘリウム・ガス・バルーンである。幾つかの実施例において、透明ハウジング114は、光収集の改善及び/又は光制御の向上のためにドーム形又はプリズム状幾何形状等のパターンを有する。
【0049】
幾つかの実施例において、3次元光起電力充電システム100は、光を電流に変換するように構成される光起電力層112によって少なくとも部分的に覆われた鋸歯状表面を有する少なくとも1つの基板126を備える光起電力ユニット110であって、鋸歯状表面基板126及び光起電力層112は、収束表面法線119を有する、光起電力ユニットと、電力制御ユニット122を備える電力管理ユニット120であって、光起電力層112からの電流を受け取り管理するように構成される、電力管理ユニット120と、光起電力ユニット110及び電力管理ユニット120を受け取る支持ベース130と、光起電力層112を少なくとも部分的に絶縁する少なくとも部分的に透明なハウジング114とを備える。
【0050】
幾つかの実施例において、光起電力層112によって少なくとも部分的に覆われた鋸歯状表面を有する基板126は、光を収集し変換するために使用される。幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム100は、光起電力層112によって少なくとも部分的に覆われた鋸歯状表面を有する基板126を有する光起電力ユニット110と、電力制御ユニット122を有する電力管理ユニット120と、光起電力ユニット110及び電力管理ユニット120を受け取るための支持ベース130とを備える。
【0051】
鋸歯状表面基板126、したがって、光起電力層112カバーリングは、カバーリング表面法線119を有することができる。表面法線は、0度と180度との間に及ぶ、相対的角度、すなわち、相対的表面法線角度139に配向した。表面法線119は、表面Sの任意の所与の点Pの単位ベクトルとして規定され、その単位ベクトルは、Pにおける接平面に垂直である。平面多角形の全ての表面法線は、平行、すなわち、表面法線相対的角度0度である。対照的に、固体球の表面法線は、全ての方向に離れて指す。球の対向端上の2つのスポットを特徴付ける2つの表面法線は、相対的角度180度、すなわち、逆平行を有する。表面法線の配向は、表面が「向く(face)」方向を示す。幾つかの実施例において、光起電力層112は透明ハウジング114内で絶縁され、光起電力層112は光を電流に変換し、それにより、電流は、電力管理ユニット120によって受け取られ管理される。
【0052】
幾つかの実施例において、同一の表面法線を有する光起電力層112の部分は電気接続される。幾つかの実施例において、光起電力層112は、印刷された導電性表面、すなわち、配線のネットワーク上に印刷される。幾つかの実施例において、印刷された配線は、同一の表面法線を有する光起電力層112の部分を接続し、それらを、異なる表面法線を有する他の部分から分離するように設計される。幾つかの実施例において、電力管理ユニット120の電力制御ユニット122は、光起電力層の異なる部分を、独立「ゾーン(zone)」として離散的に分割し管理する。
【0053】
本明細書の用語「鋸歯状表面(serrated surface)」は、表面に切り込まれた及び/又はその上に作成された複数の(2つ以上の)刻み目を指す。「光起電力層112によって少なくとも部分的に覆われた鋸歯状表面を有する基板126(substrate 126 with a serrated surface covered at least partially by a photovoltaic layer 112)」は、ソーラー集光器パネルを含まず、光起電力層112は、集光された光が変換される、鋸歯状で凹状の刻み目の内部に位置決めされる。本教示において、光起電力層112を記述する表面法線119は、収束性及び/又は発散性である。ソーラー集光器パネル内の光起電力表面法線119は、全て平行、同一平面上、又はゼロ度の相対的表面法線角度139であり、全て、1つ又は複数の集光器レンズに向かって半径方向に配向する。
【0054】
用語「光起電力層112によって少なくとも部分的に覆われた鋸歯状表面を有する基板126」は、折り紙ソーラー構造等の、外部刺激によって構造及び幾何形状を変化させる平滑且つ均一表面を指すことができる。
【0055】
幾つかの実施例において、「鋸歯状表面を有する基板126(substrate 126 with a serrated surface)」は、薄フィルム光起電力層112を支持する。薄フィルム光起電力層112は、均一に噴霧された有機光起電力材料とすることができる。幾つかの実施例において、薄フィルム光起電力層112は、透明導電性酸化物等の後及び/又は前導体層(複数可)、ZnTe等のバック・コンタクト、及びCdTe等の吸収層を含む副層のホストを備える。幾つかの実施例において、薄フィルム光起電力層は、反射防止材料で被覆される。幾つかの実施例において、透明ハウジングは、反射防止材料で被覆される。幾つかの実施例において、光起電力層は、封入層によって絶縁される。
【0056】
幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム100は、固定「面(face)」方向143を持って静止している。「面」は、光がそこを通してシステムに入る開放窓129又はアパーチャを指す。幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム100は、北半球において永久的に南を「向く(face)」ように位置決めされ、その逆も同様である。
【0057】
図5を参照すると、幾つかの実施例において、光追尾3D光起電力充電システム200は、少なくとも部分的に透明なハウジング114と、光を電流に変換するように構成される複数の同一平面上にない光起電力表面113を有する光起電力ユニット110であって、複数の同一平面上にない光起電力表面113は、少なくとも部分的に透明なハウジング114内で少なくとも部分的に絶縁される、光起電力ユニット110と、電力制御ユニット122を備える電力管理ユニット120であって、複数の同一平面上にない光起電力表面113からの電流を受け取り管理するように構成される、電力管理ユニット120と、光束の変化を引き起こし、それにより、電流の変化を引き起こす手段であって、電流の変化は電力制御ユニット122によって監視される、手段とを備える。
【0058】
用語「光束」は、入射電磁放射の量を指す。幾つかの実施例において、複数の同一平面上にない光起電力表面113は、或る割合の入射光束(電磁エネルギー)を電気(電気エネルギー)に変換する。変換されるエネルギーの割合を決定する幾つかの物理的パラメータは、放射周波数、強度、及び入射角度を含む。
【0059】
幾つかの実施例において、少なくとも或る割合の複数の同一平面上にない光起電力表面113は、配向が変化し、光束の変化を引き起こす。幾つかの実施例において、配向の変化は、複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層112の2つの隣接層間の相対的距離115及び相対的角度144の少なくとも一方の変化を含む。幾つかの実施例において、光束の変化は、開放窓137の変化によって引き起こされる。幾つかの実施例において、光起電力ユニット112は、光を電流に変換するように構成される光起電力層112によって少なくとも部分的に覆われた鋸歯状表面を有する少なくとも1つの基板126を備え、鋸歯状表面及び光起電力層は、相対的角度で配向した収束表面法線119を有する。
【0060】
幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム200は、光源を追尾することができ、或る相対的距離115及び或る相対的表面配向117で位置決めされた複数の同一平面上にない光起電力表面113を有する光起電力ユニット110を備える。光起電力表面113は、透明ハウジング114内で絶縁される。幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム200は、電力制御ユニット122を有する電力管理ユニット120をさらに備えることができる。幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム200は、電力貯蔵ユニット124を有する電力管理ユニット120をさらに備えることができる。幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム200は、光起電力ユニット110との相対的配向で位置決めされたアンカー・ベース140、すなわち、光起電力ユニットとアンカー・ベースの相対的配向144を備えることができ、光起電力表面113は、光を電流に変換し、電流は、電力管理ユニット120によって受け取られ管理され、光起電力ユニット110とアンカー・ベース140の相対的配向、すなわち、光起電力ユニットとアンカー・ベースの相対的配向144の変化は、光束の変化による電流の変化を引き起こす。電流の変化は、電力制御ユニット122によって監視され、アンカー・ベース140は、物体にしっかり固定される。
【0061】
幾つかの実施例において、光起電力ユニット110とアンカー・ベース140の相対的配向144は、アンカー・ベース140上の参照点と光起電力ユニット110「面」方向143との間の角度と考えられる。
【0062】
1つの実験において、
図1の3D光起電力充電システムの出力は、固定南面方向143において7月の日の午前9時に測定された。同じ実施例は、その後、その軸に沿って手動で回転され、出力が再び測定された。南に固定された位置から太陽の経路に直接沿う位置に向くような実施例の単一軸回転が、その時刻においてその出力を2倍にすることをもたらしたと判定された。改善は、空の太陽の位置、すなわち、時刻の関数であることが見出された。
【0063】
幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム200は、空の太陽に向くために、円筒の軸に沿って回転する円筒形構造である。幾つかの実施例において、光起電力ユニット110を少なくとも部分的に閉囲するアンカー・ベース140に接続された反射表面132が存在する。反射表面132は、光起電力ユニット110に対して相対的配向で配向する。反射表面132の或る相対的配向の変化は、光束を変化させ、光起電力ユニット110によって発生される電力の変化を引き起こす。
【0064】
「光追尾3D光起電力充電システム200(photo-tracking,3D photovoltaic charging system 200)」における用語「光起電力表面(photovoltaic surfaces)」は、多面で同一平面上にない光起電力表面を指す。その用語は、3次元積層光起電技術の一般的な概念を指し、3次元積層光起電技術は、
a)1ナノメートルより長い距離及び0度~360度に及ぶ相対的角度を有する複数の離散的且つ同一平面上にない光起電力層112、及び、
b)光起電力層112によって少なくとも部分的に覆われた鋸歯状表面を有する基板126
を含む。
【0065】
幾つかの実施例において、光追尾3D光起電力充電システム200の電力制御ユニット122は、光起電力ユニットとアンカー・ベースの相対的配向144における第1の最大電力点を監視し計算する。電力制御ユニット122は、その後、光起電力ユニットとアンカー・ベースの第1の相対的配向144における変化142を中継し、第2の最大電力点を計算する。電力制御ユニット122は、このプロセスを継続して、光起電力ユニットとアンカー・ベースの最適な相対的配向144を決定する。
【0066】
幾つかの実施例において、光追尾のために、電力制御ユニット122は、光起電力ユニットとアンカー・ベースの第1の相対的配向144の変化142を中継する。幾つかの実施例において、変化はモーターによって実施される。幾つかの実施例において、モーターは、支持シャフト、ベルト、チェーン、ストリング、レール、ヒンジ、又はピストンによって光起電力ユニット110に接続される。幾つかの実施例において、光起電力ユニットとアンカー・ベースの相対的配向144は、油圧ピストン、ばね、又はロッドによって搭載点で変更される。
【0067】
幾つかの実施例において、電力管理ユニット120は電力制御ユニット122を備える。幾つかの実施例において、電力制御ユニット122は、モノのインターネット(IoT)サブシステム、電力インバーター・サブシステム、電流スイッチ、回路遮断器、抵抗器、ケーブル、電力変換器、能動及び受動センサ、電力送信機、電気プラグ、ディスプレイ、発光ダイオード、及び電力追尾サブシステムのリストから選択された構成要素を備える。幾つかの実施例において、電力制御ユニット122は、モーター等の能動追尾サブシステムを含む。他の実施例において、電力制御ユニット122は、油圧アクチュエータとして働くために、パラフィン・ワックス等の受動追尾サブシステムに依存する。
【0068】
他の実施例において、電力管理ユニット120は電力貯蔵ユニット124をさらに備える。幾つかの実施例において、電力貯蔵ユニット124は、電気、電気機械、電気化学、電気生物学、及び電熱電力ストレージのリストから選択される。
【0069】
幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム200は、光起電力ユニットとアンカー・ベースの第1の相対的配向144の変化142等の1つ又は複数の自由度で、1つのアンカー・ベース140に搭載された複数の3D光起電力充電システム100を備える。アンカー・ベース140は、電力出力の改善のために1つ又は複数の3D光起電力充電システム100を移動させる。幾つかの実施例において、3D光起電力充電システム200は、中央3D光起電力充電システム100上に搭載された複数の3D光起電力充電システム100を備える。
【0070】
実施例の上記説明は、例証及び説明のために提供された。網羅的であること又は本開示を限定することは意図されない。特定の実施例の個々の要素及び特徴は、一般に、その特定の実施例に限定されるのではなく、適用可能である場合、特に示されないか又は説明されない場合でも、交換可能であり、選択された実施例で使用され得る。同じことは、多くの方法によって変更されることもできる。そのような変形は、本開示からの逸脱と見なされず、全てのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【国際調査報告】