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特表2023-539766ねじれ防止機能を有するコネクタシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-19
(54)【発明の名称】ねじれ防止機能を有するコネクタシステム
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514800
(86)(22)【出願日】2021-09-01
(85)【翻訳文提出日】2023-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2021074138
(87)【国際公開番号】W WO2022049128
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】2020/5608
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504019733
【氏名又は名称】フェニックス コンタクト ゲーエムベーハー ウント コムパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・サーム
(72)【発明者】
【氏名】ブラツ・ボルシュニャク
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA08
5E021FA14
5E021FA16
5E021FC36
5E021FC40
5E021HC09
(57)【要約】
本発明は、コネクタ部材(2)と対応する相手側コネクタ(3)との迅速交換式接続を形成するためのコネクタシステム(1)に関するものであり、コネクタ部材は、少なくともプラグ側端部である第1の軸方向端部の周りにおいて、優先的長手方向軸の周りで略回転対称な横断面を有しており、コネクタ部材(2)は、少なくとも1つの係止捕捉部(8)を有し、相手側コネクタ(3)は、それぞれ少なくとも1つの係止突起(16)を備えた係止捕捉部に係合するための、対応する少なくとも2つの係止手段(14)を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ部材(2)と対応する相手側コネクタ(3)との迅速交換式接続を形成するためのコネクタシステム(1)であって、前記コネクタ部材(2)は、少なくともプラグ側端部である第1の軸方向端部の周りにおいて、優先的長手方向軸の周りに略回転対称に形成されており、前記コネクタ部材(2)は、少なくとも1つの係止捕捉部(8)を有しており、前記相手側コネクタは、それぞれ少なくとも1つの係止突起(16)を備えた前記係止捕捉部(8)に係合するための、対応する少なくとも2つの係止手段(14)を有しているコネクタシステムにおいて、
優先的長手方向の周りにおける前記コネクタ部材と前記相手側コネクタとの相対回転を防止するための、互いに対応する手段(9、17)が、プラグ側端面それぞれを囲んでいる前記コネクタ部材(2)及び前記相手側コネクタ(3)それぞれの少なくとも1つのハウジング部分の内側又は外側の少なくとも部分的な周囲領域に形成されていることを特徴とするコネクタシステム。
【請求項2】
相対回転を防止するための前記手段(9、17)が、波状又は歯状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタシステム。
【請求項3】
相対回転を防止するための前記手段(9、17)が、1つ又は複数の粗面化された、及び/又は、摩耗した表面要素の形で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタシステム。
【請求項4】
差し込み方向における相対回転を防止するための前記手段(9)が、前記コネクタ部材(2)の前記係止捕捉部(8)の直前の位置に配置されており、差し込み方向における前記係止手段(14)での前記相手側コネクタ(3)の相対回転を防止するための対応する手段(17)が、前記係止突起(16)の直後の位置に配置されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のコネクタシステム。
【請求項5】
前記コネクタ部材(2)での相対回転を防止するための前記手段(9)が、少なくとも1つの前記係止捕捉部(8)の領域に配置され、前記相手側コネクタ(3)での相対回転を防止するための対応する手段(17)は、少なくとも1つの前記係止突起(8)に配置されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のコネクタシステム。
【請求項6】
前記相手側コネクタ(3)が、主にスリーブ状に形成されている前記係止手段(14)を備えた少なくとも1つの外側相手側コネクタハウジング(11)と、前記外側相手側コネクタハウジングと同心に配置された内側相手側コネクタハウジング(12)とを有しており、前記内側相手側コネクタハウジング(12)は、少なくとも部分的、かつ、最大で完全に一周して、径方向外側に向かって突出した外側の成形物(22)を有しており、前記成形物は、前記内側相手側コネクタハウジング(12)の外側面上の基準点(28)を始点として、2つの反対の回転方向において、それぞれ前記優先的長手方向軸の周りでらせん状の曲線を描き、差し込み方向における第1のストッパ(22)として形成されており、前記外側相手側コネクタハウジング(11)は、内側に径方向内側に向かって突出した成形物(23)を有しており、前記成形物は、差し込み方向に反する第2のストッパ(23)として、かつ、前記第1のストッパ(22)に対応して前記第1のストッパ(22)と協働するように構成されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のコネクタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ部材と対応する相手側コネクタとの迅速交換式接続を形成するためのコネクタシステムに関するものであり、コネクタ部材は、少なくともプラグ側端部である第1の軸方向端部の周りにおいて、優先的長手方向軸(Vorzugslaengsachse)の周りに略回転対称に形成されており、コネクタ部材は少なくとも1つの係止捕捉部(Rastfalle)を有しており、相手側コネクタは、それぞれ少なくとも1つの係止突起(Rastnase)を備えた係止捕捉部に係合するための、対応する少なくとも2つの係止手段を有している。
【背景技術】
【0002】
本発明は、コネクタ技術の分野、特に、少なくとも対応するコネクタのプラグ側端面の周囲において回転対称な横断面を有する丸型コネクタの分野であり、M12、M8、M23又は7/8“のネジを有する丸型コネクタの既知の構成が、例として挙げられるかも知れない。このような丸型コネクタ及び対応する相手側コネクタは、コネクタとそれぞれ対応する相手側コネクタとが互いに接続される際に、電流及び/又は信号の伝送を可能にするために用いられる。このために、コネクタと相手側コネクタとの両方を、それぞれ接続側で、例えば2本の通電及び/又は信号伝達ケーブルの端部に配置してよく、ケーブルは、コネクタ及び相手側コネクタを用いて、プラグ側で電流及び/又は信号を伝達するように、互いに接続可能であるか、又は、接続されている。しかしながら、代替的に、特にコネクタは、例えば接続側で回路基板、プリント基板等に接続されていてもよい。コネクタは、内側を向いた(「雌」)接点開口部としての1つ又は複数のソケット接点だけではなく、1つ又は複数の外側を向いた(「雄」)接点ピンを有することが可能であり、対応する相手側コネクタの相手側接点は、対応するような構造を有する接点ピン又はソケット接点を有する。多くの場合、丸型コネクタとそれぞれ対応する相手側コネクタとは、互いにネジで接続され、これによって、安定して堅固な接続が、例えば接続された機械による機械的負荷に耐え得る。すなわち、コネクタは、例えば機械のハウジング又は機械の装置ハウジング上/内に配置されている。しかしながら、コネクタと相手側コネクタとの間のネジ接続の形成は複雑であり、コネクタ及び相手側コネクタは、対応するように互いに調整されたネジ山を有する必要がある。
【0003】
コネクタ及び相手側コネクタのネジ接続に対する、接続の形成がより複雑ではない代替案は、迅速交換式接続であり、英語からとられた「プッシュプル」接続という名称で一般により良く知られている。この場合、例えば相手側コネクタは、主に軸方向に差し込み方向において延在する弾性ブラケット、係止アーム等、特に差し込み方向に対して径方向に突出するように形成された係止突起又は係止フックの形状の係止手段を有しており、当該係止手段は、コネクタに形成された1つ又は複数の係止捕捉部、係止窪み等に係合し、係止を行うことが可能である。この際、係止捕捉部又は係止窪みは、例えば、コネクタのコネクタハウジング部分内に、主に差し込み方向に対して径方向の凹所として形成されており、軸方向において差し込み方向に対して平行に互いに離間した側面を有しており、当該側面は、係止捕捉部又は係止窪みを軸方向において画定している。この際、特に、コネクタのプラグ側端面に近い方の第1の側面は、係止突起又は係止フックのためのストッパとして構成されている。コネクタのプラグ側端面からより離れた、第2の、離間した反対側の方の側面は、差し込み方向における係止突起又は係止フックのためのストッパとして構成されていてよいが、必ずしも必要なものではない。差し込み方向に作用し、具体的には係止突起又は係止フックに、一般的には係止手段に直接は関わらない別のストッパを設けてもよく、当該ストッパは、差し込み方向における相手側コネクタのコネクタに対する相対運動を制限する。差し込み方向において、コネクタ及び相手側コネクタの接続を形成する際の、コネクタに対する相手側コネクタの相対運動は、係止突起又は係止フックが、それぞれ対応する係止捕捉部又は係止フックに(完全に)係合しており、コネクタと相手側コネクタとを再び分離するであろう差し込み方向に反する相対運動が、対応して防止されている、又は、防止される場合に初めて制限されるべきである。コネクタと相手側コネクタとの接続の分離、又は、コネクタと相手側コネクタとの差し込み方向に反する相対運動は、係止突起又は係止フックが、径方向における対応する変位によって、対応する係止捕捉部又は係止窪みとの係合から解除される場合に初めて、破壊的な外部介入無しに再び可能となる。
【0004】
少なくともプラグ側端部の周囲において回転対称な横断面を有する丸型コネクタの場合、少なくともプラグ側端部の周囲で同様に対応して回転対称に構成された対応する相手側コネクタとの迅速交換式接続が形成される際に、それぞれのプラグ側端面の優先的長手方向軸の周りでの、コネクタ及び相手側コネクタの互いに対する回転に関して、ある程度の遊びがあるという問題が存在しており、外部トルク及び/又はねじりモーメントによる回転は、少なくともコネクタ部材、相手側コネクタ並びに/又はコネクタ及び相手側コネクタから全体として形成されるコネクタシステムに作用する。このようなトルク及び/又はねじりモーメントは、例えば、端部にコネクタ及び/又は相手側コネクタが配置されているケーブルによって、コネクタ、相手側コネクタ及び/又は全体としてのコネクタシステムに伝達され得る。コネクタ及び相手側コネクタのプラグ側端面の優先的長手方向軸は、コネクタと相手側コネクタとの接続が形成される際に一致し、同時に、差し込み方向に対して平行である。この遊びは、特に製作公差に起因するものであり、従って、完全に回避できるものではない。
【0005】
優先的長手方向軸の周りの1つの回転方向における遊びを減少させるための、先行技術から知られている典型的な解決は、コネクタ及び対応する相手側コネクタのそれぞれのプラグ側端面の回転対称性からの局所的な逸脱を含んでいる。これに対して、回転対称性からの広範囲にわたる逸脱は、回転対称性の完全な崩壊を意味し、すなわち、実際にはもはや丸型コネクタは存在しないということになるであろう。この際、回転対称性からの局所的な逸脱は、例えば、セグメント化によって得ることが可能であり、セグメント化は、優先的長手方向軸の周りにおけるそれぞれのプラグ側端面の相対的(角度)位置に関して、コネクタと相手側コネクタとの接続を形成する際のコネクタ及び対応する相手側コネクタの1つ又は複数の可能な方向付けを設定し、対応して、他の全ての可能性を除外する。セグメント化は、コーディングによって補足可能であり、コーディングは、基本的に、単体で設けることもできる。コーディングは、コネクタ/相手側コネクタの内側ハウジング部分、特に、コネクタ/相手側コネクタのそれぞれの接点が受容され固定されている絶縁体又は接点担体に適用されることが多い。この際基本的に、それぞれの優先的長手方向軸に関するコネクタ内及び対応する相手側コネクタ内での接点の配置は一般的に、接続を形成する際にコネクタ及び相手側コネクタの可能な相対的(角度)位置を既に大幅に制限していることに留意する必要がある。セグメント化及び/又はコーディングは、可能性をさらに制限する。特にそれぞれの優先的長手方向軸に関する接点の配置に関して、完全に回転対称のプラグイン接続であって、基本的にコネクタと相手側コネクタとの互いに可能な各相対的(角度)位置を可能にするプラグイン接続は、例えば同軸プラグイン接続であろう。しかしながら、このようなプラグイン接続は、例外であり、規則ではない。
【0006】
コネクタと相手側コネクタとのプラグイン接続を形成する際に、セグメント化及び/又はコーディングによって、コネクタと相手側コネクタとの相対的(角度)位置を制限することは、全ての適用事例において望ましい、又は、好都合であるわけではない。しかしながら、コネクタ、相手側コネクタ及び/又はコネクタシステム全体又はプラグイン接続に作用し、主にコネクタ/相手側コネクタの絶縁体に伝達されるトルク及び/又はねじりモーメントによって生じる、コネクタと相手側コネクタとの互いに対する相対回転に対して、優先的長手方向軸の周囲での回転方向において、プラグイン接続を確保するための位置合わせ用突出部(Orientierungsnase)を、対応するコネクタ/相手側コネクタに設けることはできない。これによって、コネクタと相手側コネクタとの互いの相対回転に対する保護、並びに、プラグイン接続に作用するトルク及び/又はねじりモーメントに対する保護は、プラグイン接続を形成する際の内側ハウジング部分、コネクタ及び対応する相手側コネクタ、特にそれぞれの絶縁体の相互作用によってのみ保証される。これは、特に、コーディングを設ける場合に該当する。例えば、コネクタ及び対応する相手側コネクタの絶縁体上に構成されたコーディングが機能を停止した場合、コネクタ及び相手側コネクタは、優先的長手方向軸を中心とする1つの回転方向において互いに回転し、コネクタ/相手側コネクタの各接点に負荷が加えられ、損傷する可能性がある。これによって、プラグイン接続は全体として損なわれ、限られた範囲でのみ目的を果たすことができるか、又は、全く果たすことができなくなる。このような場合、コーディングは、コネクタと相手側コネクタとの互いの相対回転に対するプラグイン接続の十分な保護とはならず、従って、十分なトルクに対する保護及び/又はねじれに対する保護ともならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、先行技術の上述の欠点に基づき、本発明の課題は、コネクタ部材及び対応する相手側コネクタの互いに対する相対回転に対する保護が改善され、かつ、コネクタ部材及び相手側コネクタのプラグイン接続、又は、コネクタ部材と相手側コネクタとから形成されるコネクタシステム全体に作用するねじり力に対する保護が改善され、コネクタ部材と相手側コネクタとの互いに対する可能な(角度)位置が不必要に制限されないコネクタシステムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、本課題は、請求項1に記載のコネクタシステムによって解決される。さらなる有利な態様は、従属請求項から引き出される。
【0009】
従って、本発明に係るコネクタシステムでは、優先的長手方向の周りにおけるコネクタ部材と相手側コネクタとの相対回転を防止するための、互いに対応する手段が、プラグ側端面それぞれの周囲におけるコネクタ部材及び相手側コネクタの少なくとも1つのハウジング部分それぞれの内側又は外側の少なくとも部分的な周方向領域に形成されている。
【0010】
本発明の核となる思想は、コネクタ部材及び相手側コネクタの隣接するハウジング部分の間に接続を形成する際に、コネクタ部材と相手側コネクタとが互いに相対回転する場合に、優先的長手方向軸の周りでの1つの回転方向における摩擦が増大すること、及び/又は、コネクタ部材及び相手側コネクタの隣接するハウジング部分に対応する手段が設けられることにあり、コネクタ部材及び相手側コネクタの一方に設けられた少なくとも1つの手段が、それぞれ他方の手段と係合するか、又は、コネクタ部材及び相手側コネクタにそれぞれ設けられた互いに対応する手段が互いに係合することによって、優先的長手方向軸の周りでの回転方向におけるコネクタ部材及び相手側コネクタの互いに対する回転に対する抵抗が、効果的に増加する。コネクタ部材の相対回転を防止するための手段は、各プラグ側ハウジング部分の内側又は外側のシェルの周り、すなわち内周又は外周でそれぞれ一周して延在することができる。相対回転を防止するための手段は、コネクタ部材及び相手側コネクタの各プラグ側ハウジング部分の内周または外周に沿ってセグメント化されること、すなわち、内周又は外周に沿って間隔を置いた部分手段に分割されることも可能である。これらの部分手段は、同一又は異なる構成を有していてよい。この際、好ましくは、部分手段は、コネクタ部材及び相手側プラグの互いに対する相対回転を防止するための手段の作用が、コネクタ部材及び相手側コネクタのあらゆる任意の可能な(角度)位置において、コネクタ部材及び相手側コネクタによって形成されるプラグイン接続に作用するトルク及び/又はねじりモーメントに対して均一に広がるように構成されている。相対回転を防止するための手段の個々の部分手段は、コネクタ部材及び相手側コネクタの優先的長手方向軸に沿って軸方向においても、又は、相対回転を防止するためのそれぞれ別の部分手段に対する差し込み方向と平行にオフセットされていてよい。
【0011】
本発明に係るコネクタシステムの好ましい態様変型例では、相対回転を防止するための手段が、波状又は歯状に形成されており、すなわち、例えば、コネクタ部材又は相手側コネクタのハウジング部分の表面の波状又は歯状の(局所的)表面改質として形成されている。この際、波形の頂部又は歯形の先端、並びに、波形/歯形の側面及び隣接する頂部又は先端間の谷は、コネクタ部材及び相手側コネクタの優先的長手方向軸に対して平行に延在しており、従って、コネクタ部材及び相手側コネクタのプラグイン接続を形成する際、同様に差し込み方向に対して平行である。この際、歯形は、歯車における噛み合わせと同様に理解されるべきものであり、本発明に係るコネクタシステムのコネクタ部材のプラグ側ハウジング部分は、例えば周方向の少なくとも一部に周方向の外歯を有し、相手側コネクタのプラグ側ハウジング部分は、周方向の少なくとも一部に対応する周方向の内歯を有するか、又は、その逆である。この際、歯形から波形への移行は流動的であり、差異は主にそれぞれの輪郭の細部にあり、波形は通常、より角ばった形状であると考えられる歯形よりも丸い輪郭を有する。
【0012】
本発明に係るコネクタシステムの好ましい態様変型例によると、相対回転を防止するための手段は、1つ又は複数の粗面化された、及び/又は、摩耗した表面要素の形で構成されている。このような表面要素は、例えば、少なくとも部分的に内側において周方向に、本発明に係るコネクタのコネクタ部材の、径方向においてプラグ側のハウジング部分に設けられるか、又は、対応する表面要素が、少なくとも部分的に外側において周方向に、相手側コネクタのプラグ側ハウジング部分に設けられているか、又は、その逆である。コネクタ部材又は相手側コネクタの少なくともいずれかにおける相対回転を防止するための手段が、複数の別個の表面要素から成る場合、これらの表面要素は、同一又は異なる構成を有していてよい。これは、各表面要素の大きさ、形状及び表面粗さのそれぞれの詳細に該当する。この際、表面粗さ又は表面のざらつきとして理解されるのは、例えば溝、筋、スケール又はこぶの形での技術的表面の形状の差異である。好ましくは、表面要素は、コネクタ部材及び相手側コネクタの互いに対する相対回転を防止するための手段の作用が、コネクタ部材及び相手側コネクタのあらゆる任意の可能な(角度)位置において、コネクタ部材、相手側コネクタ及び/又はコネクタシステム全体に、又は、コネクタ部材及び相手側コネクタによって形成されるプラグイン接続に作用するトルク及び/又はねじりモーメントに対して均一に広がるように構成されている。この際、相対回転を防止するための手段の個々の表面要素は、コネクタ部材及び相手側コネクタの優先的長手方向軸に沿って軸方向においても、又は、それぞれ別の表面要素に対する差し込み方向と平行にオフセットされていてよい。
【0013】
表面改質及び/又は表面要素は、鋳造プロセスにおいてコネクタ部材又は相手側コネクタ部材のそれぞれの構成要素又はハウジング部分と一体的に製造され得るか、又は、例えばルレットを用いた旋盤加工及び付加的な方法によって製造され得る。
【0014】
本発明に係るコネクタシステムの好ましい態様は、コネクタ部材の係止捕捉部の直前の位置における差し込み方向の相対回転を防止するための手段と、係止突起の直後の位置における差し込み方向に反する係止手段の相手側コネクタでの相対回転を防止するための対応する手段とのアセンブリを含んでいる。このような態様は、いわば、迅速交換式接続を形成するためのコネクタ部材及び相手側コネクタのそれぞれの係止手段と、コネクタ部材及び相手側コネクタの互いの相対回転を防止するための各手段とを組み合わせたものである。相対回転を防止するための手段が波形又は歯形を有するように形成されている場合、このように形成された相対回転を防止するための手段も同様に、一種の係止手段とみなすことができるが、迅速交換式接続を形成するための係止手段とは異なり、コネクタ部材及び相手側コネクタの優先的長手方向軸に平行な軸方向においてではなく、従って特に差し込み方向に反してではなく、優先的長手方向軸の周り、又は、差し込み方向の周りでの回転方向に反して有効である。
【0015】
本発明に係るプラグイン接続システムの特に好ましい態様変型例によれば、コネクタ部材の相対回転を防止するための手段は、少なくとも1つの係止捕捉部の領域に配置され、相手側コネクタの相対回転を防止するための対応する手段は、少なくとも1つの係止突起に配置されている。
【0016】
本発明に係るコネクタシステムの特に好ましい態様によると、相手側コネクタ部材は、主にスリーブ状に形成されている係止手段を備えた少なくとも1つの外側相手側コネクタハウジングと、外側相手側コネクタハウジングと同心に配置された内側相手側コネクタハウジングとを含んでおり、内側相手側コネクタハウジングは、少なくとも部分的、かつ、最大で完全に一周して、径方向外側に向かって突出した外側の成形物を有しており、当該成形物は、内側相手側コネクタハウジングの外側面上の基準点を始点として、2つの反対方向の回転方向において、それぞれ優先的長手方向軸の周りでらせん状の曲線を描き、差し込み方向における第1のストッパとして形成されており、外側相手側コネクタハウジングは、内側において径方向内側に向かって突出した成形物を有しており、当該成形物は、差し込み方向に反する第2のストッパとして、かつ、第1のストッパに対応して第1のストッパと協働するように構成されている。両方の成形物又はストッパの相互作用によって、コネクタ部材と相手側コネクタとのプラグイン接続は、トルク及び/又はねじりモーメントに対してさらに強化される。コネクタ部材が優先的長手方向軸の周りで相手側コネクタに対して回転すること、又は、その逆は、必然的に、接続状態において両方の成形物の優先的長手方向軸の周りでの互いに対する対応する回転を結果としてもたらし、成形物、従って両方のストッパのらせん状の輪郭によって、係止手段を有する外側相手側コネクタハウジングは、コネクタ部材の方向に動かされ、従ってコネクタ部材と相手側コネクタ部材との間の形状接続が強化される。この際、迅速交換式接続が、係止捕捉部を含むコネクタ部材の外側コネクタ部材ハウジングと、係止手段を含む外側相手側コネクタハウジングとの間にまさに形成され、少なくとも外側相手側コネクタハウジングは、内側相手側コネクタハウジングに対して、優先的長手方向軸の周りで回転可能に支持されていることに留意すべきである。この結果、接続状態において、コネクタ部材と相手側コネクタとから成るコネクタシステムの付加的な引き締め、並びに、コネクタ部材、相手側コネクタ及び/又はコネクタシステム全体、又は、コネクタ部材と相手側コネクタとから成るプラグイン接続に作用するトルク及び/又はねじりモーメントに対する増大した抵抗力がもたらされる。
【0017】
上述した特徴及び特徴の組み合わせ、並びに、図の説明で後述する、及び/又は、図に単独で示した特徴及び特徴の組み合わせは、それぞれ記載された組み合わせにおいてだけではなく、他の組み合わせにおいて、又は、単独で使用され得る。本発明を実施するために、請求項1の全ての特徴が実現される必要はない。請求項1の個々の特徴は、他の開示された特徴又は特徴の組み合わせによって置き換えることもできる。
【0018】
本発明のさらなる利点、特徴及び詳細は、請求項、以下の好ましい実施形態の説明、及び、図面から明らかであり、図面では、同一又は機能的に同一の要素に、同一の参照符号が用いられている。示されているのは以下の図である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るプラグイン接続システムの第1の態様変型例のコネクタ部材及び相手側コネクタを、分離された状態で示した三次元等角図である。
図2図1に係る第1の態様変型例におけるプラグイン接続システムを、コネクタ部材と相手側コネクタとが接続された状態で示した縦断面図である。
図3図1及び図2に示した本発明に係るコネクタシステムの第1の態様変型例を、図2の線B-Bに沿って切断した横断面図である。
図4】本発明に係るコネクタシステムの第2の態様変型例の主要要素を示した三次元等角図である。
図5】接続された状態における、図4の本発明に係るコネクタシステムの第2の態様変型例を示す縦断面図である。
図6】本発明に係るプラグイン接続システムの第3の態様変型例のコネクタ部材及び相手側コネクタを、分離された状態で示した三次元等角図である。
図7図6の本発明に係るコネクタシステムの第3の態様変型例の、コネクタ部材(左)と、コネクタ部材のプラグ側端部の詳細(右)とを示した三次元等角図である。
図8】本発明に係るコネクタシステムの第4の態様変型例を、コネクタ部材と相手側コネクタとが接続された状態で示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1図8は、本発明に係るコネクタシステム1の4つの異なる変型例を示している。コネクタシステム1は、それぞれコネクタ部材2と相手側コネクタ3とから構成されている。この際、コネクタ部材及び相手側コネクタは、(回転対称軸としての)優先的長手方向軸の周りに略回転対称となるように形成されており、従って丸型コネクタである。基本的に、丸型コネクタの特性は、まず、本発明に係る任意のコネクタシステム1のコネクタ部材2及び相手側コネクタ3のプラグ側端面のある程度の周囲のみに関連しており、各プラグ側端面は、コネクタ部材2及び相手側コネクタ3のプラグイン接続を形成する際、それぞれの相手側部材、すなわち相手側コネクタ3又はコネクタ部材2に対向する端面である。各プラグ側端部の周囲以外では、コネクタ部材2も相手側コネクタ3も、異なる構成を有していてよい。つまり、図1図8に示す態様変型例は、コネクタ部材2も相手側コネクタ3も、上述したように、(それぞれの)優先的長手方向軸の周りに略回転対称に構成されているという特別な場合を示している。一般に、こうである必要はない。ここで使用されている術語によると、コネクタ部材2は常に、迅速交換式接続(「プッシュプル」接続)を形成するために必要な係止捕捉部8を含み、相手側コネクタ3は、これに対応して常に、係止窪み8と係合するための係止突起16を含んでいる。代替的に、コネクタ部材2が係止突起16を含み、相手側コネクタ3が係止捕捉部8を含むことも可能であることは明らかである。同様に、一般性を制限することなく、伸張方向は、コネクタ部材2が静止状態にあり、相手側コネクタ3と迅速交換式接続を形成する際、相手側コネクタ3が、コネクタ部材2及び相手側コネクタ3の一致する優先的長手方向軸に対して平行な方向、差し込み方向において、相手側コネクタ3の係止手段14がコネクタ部材2の係止捕捉部8内に係止されるまで、コネクタ部材2に向かって動かされる方向であると、ここで定義される。
【0021】
図1は、本発明に係るコネクタシステム1の第1の態様変型例の三次元等角図であり、コネクタ部材2と相手側コネクタ3とは互いに分離されており、さらに、コネクタ部材2においても相手側コネクタ3においても、視線が少なくとも部分的にそれぞれプラグ側端面に向けられるように、互いに対して傾斜している。コネクタ部材2は、主にスリーブ状の(外側の)コネクタ部材ハウジング4を有しており、当該ハウジング内には、5つのソケット接点19を支持する略シリンダ形の接点担体5が内側のコネクタ部材ハウジングとして、内部においてコネクタ部材ハウジング4と同心に配置されている。しかしながら、図1ではソケット接点19は視認不可能であり、接点担体5の端面側開口部6のみが視認可能であり、当該開口部6は、ソケット接点19の接触のために、相手側コネクタ3のプラグ接点18の接点担体5への挿入を可能にする。相手側コネクタ3の5つのプラグ接点18も、図1には示されていないか、又は、視認不可能である。原則として、相手側コネクタ3は、プラグ接点18のための接点担体12を一体的に備えるか、又は、それ自体が接点担体12であり、コネクタ部材2の接点担体5とコネクタ部材ハウジング4との間の中空シリンダシェル状の中間空間内に挿入するように構成されたケーブルの端部である。コネクタ部材ハウジング4の周方向内側領域には、対応する(図示されていない)相手側コネクタとのネジ接続を任意で形成するための雌ネジ10が形成されている。図2の断面図から明らかであるように、コネクタ部材ハウジング4と接点担体5との間の中空シリンダシェル状の中間空間のいくらか奥に、周方向のシール20が配置されている。
【0022】
凹所13の端面側開口部とは軸方向にいくらか間隔を置いて、(外側の)相手側コネクタハウジング11が、相手側コネクタ3の接点担体/ケーブル端部12に載置されている。本発明に係るコネクタシステム1の第1の実施例では、相手側コネクタハウジング11は、係止手段スリーブ11であり、同一の構成を有し、周方向において等距離に配置された係止手段14の輪を有している。この際、係止手段14は、係止アーム15によって形成され、当該係止アームは、係止手段スリーブ11の内側スリーブ部分を始点として、主に相手側コネクタ3の優先的長手方向軸に対して平行に突出しており、特に径方向において柔軟(曲げることが可能)であり、各自由端に径方向外側に向かって突出する係止突起16を有しており、図1では基本的に係止突起16のみが視認され、言及したさらなる詳細については、図2の縦断面図が参照される。係止突起16の直前の差し込み方向において、係止アーム15はそれぞれ、径方向外側に向かって突出し、相手側コネクタ3の優先的長手方向に対して平行に延在する突起17を有しており、当該突起は、コネクタ部材2と相手側コネクタ3とのプラグイン接続を形成する際、差し込み方向で係止突起16のための係止捕捉部8の直前において、コネクタ部材ハウジング4内の内側に周方向に設けられている波状の表面構造9と係合する。突起17は、コネクタ部材2と相手側コネクタ3との互いに対する相対回転を防止するための、相手側コネクタ3に属する手段である。
【0023】
図2に示された切断線B‐Bに沿った図3の横断面図、特に図3の右側部分の詳細図では、表面構造9の波状の輪郭が明らかである。この際、波状の表面構造9の頂上及び谷は、コネクタ部材2の優先的長手方向軸に対して平行に延在しており、コネクタ部材2及び相手側コネクタ3の互いに対する相対回転を防止するための、コネクタ部材3に属する手段である。波状の表面構造9と突起17とは、互いに対応している。係止アーム15の外側面上の突起17は、係止突起として形成されており、係止凹所としての波状の表面構造9の谷に係合する。しかしながら、コネクタ部材2と相手側コネクタ3との迅速交換式接続を形成するための組み合わされた係止手段8、14とは異なり、突起17は、優先的長手方向軸に平行な軸方向、特に差し込み方向に反しては作用せず、優先的長手方向軸の周りの回転方向において、コネクタ部材2と相手側コネクタ3との間に形成されたプラグイン接続に作用するトルク及び/又はねじりモーメントに反して作用し、優先的長手方向軸の周りでのコネクタ部材2及び相手側コネクタ3の相対回転を防止する。
【0024】
図4及び図5は、図1図3に示した態様変型例に基づく、本発明に係るコネクタシステム1の第2の態様変型例を示している。図4の三次元等角図では、コネクタ部材2と相手側コネクタ3とは、互いに分離して示されており、さらに、相手側コネクタ3の外側相手側コネクタハウジング/係止手段スリーブ11、及び、接点担体/内側相手側コネクタハウジング12も、同じく互いに分離して示されている。図5の断面図では、係止手段スリーブ11が接点担体12上に配置され、さらに、コネクタ部材2と相手側コネクタ3との間に迅速交換式接続が形成されている。第1の態様変型例との本質的な違いは、相手側コネクタ3の接点担体12の外側シェルに設けられた、径方向外側に向かって突出した成形物22にある。成形物22は、接点担体12の外側表面上の基準点28を始点として、2つの反対方向のらせん状曲線に沿って、接点担体12の周囲を全体として一周して延在している。接点担体上の成形物22は、図5の断面図においてのみ視認可能である、係止手段スリーブ11上の対応する内側の、径方向内側に向かって突出する成形物23のための、差し込み方向に対するストッパである。両方の成形物22及び23の相互作用によって、コネクタ部材2及び相手側コネクタ3のプラグイン接続は、さらに、コネクタ部材2、相手側コネクタ3及び/又はコネクタシステム1全体又はコネクタ部材2及び相手側コネクタ3のプラグイン接続に作用するトルク及び/又はねじりモーメントに対して強化される。優先的長手方向軸の周りでのコネクタ部材2の相手側コネクタ3に対する回転又はその逆は、必然的に、2つの成形物22及び23の互いに対する対応する回転を結果としてもたらし、成形物22及び23のらせん状の輪郭によって、相手側コネクタ3の係止手段スリーブ11及び接点担体12は、優先的長手方向軸と平行な軸方向において、互いに対して反対方向に動かされる。係止アーム15の自由端における係止手段14は、最終的に接点担体12上の周方向において斜めの形状を有するストッパ30に衝突し、これによって、一方での成形物22及び23と、他方での係止手段14の係止アーム15及びストッパ30との間に、形状接続が形成される。従って、係止手段14は、周囲に係止突起16もそれぞれ配置されている自由端において、さらに安定化されている。ストッパ30の傾斜と、相手側ストッパ31としての係止アーム15の自由端の対応する構成とに基づいて、係止アーム15は、径方向においてわずかに外側に動かされ、これによって、コネクタ部材2のコネクタ部材ハウジング4の内側に周方向に設けられた波状の表面構造9との係止アーム15の突起17の係合がさらに改善される。全体として、これは、接続状態におけるコネクタ部材2及び相手側コネクタ3からなるコネクタシステム1のさらなる引き締めと、これによって、コネクタ部材2、相手側コネクタ3及び/又はコネクタシステム1全体又はコネクタ部材2及び相手側コネクタ3のプラグイン接続に作用するトルク及び/又はねじりモーメントに対する抵抗力の増大とをもたらす。相手側コネクタ部材3に接続されたケーブル、又は、相手側コネクタ部材3自体が引っ張られて回転する場合、この際に相手側コネクタ部材3に作用する力は、斜面/ストッパ30を通じてさらに、係止手段14の係止アーム15に誘導される。径方向外側に向かって作用する力の成分は、各係止突起16も配置されている係止アーム15の自由端の領域において、係止アーム15を外側に向かって伸ばし、係止突起16を、配設された係止捕捉部8内により強く押し込む。同時に、係止アーム15上の外側の、径方向外側を向いた突起17は、コネクタ部材2の波状の表面構造9に対してより強く押し付けられ、突起17及び表面構造9の相互係合が改善される。これによって、コネクタ部材2と相手側コネクタ部材3とから成るコネクタシステム1のプラグイン接続は、ねじり負荷に対してさらに良好に保護される。図4及び図5に示す本発明に係るコネクタシステム1の態様変型例に対応する、らせん状の輪郭を有する、接点担体12及び相手側コネクタ部材3の係止手段スリーブ11上の付加的な成形物22、23は、軸方向においてコネクタシステム1又はコネクタ部材2及び相手側コネクタ部材3のプラグイン接続に力が作用しない場合でも、コネクタ部材2及び相手側コネクタ部材3から形成されるプラグイン接続を直接、ねじり負荷に対して保護する。
【0025】
図6は、本発明に係るコネクタシステム1の第3の態様変型例を示しており、コネクタ部材2と相手側コネクタ3とは互いに分離されており、さらに、コネクタ部材2においても相手側コネクタ3においても、視線が少なくとも部分的に各プラグ側端面に向けられているように、互いに対して傾斜している。図6では、左側に、コネクタシステム1の相手側コネクタ部材3のみが示され、右側に、相手側コネクタ3の係止突起16の内の2つに焦点を当てた部分拡大図が示されている。この態様変型例では、係止捕捉部8は、コネクタ部材ハウジング4のシェルに外周溝(凹所、窪み)として形成されている。最初の2つの態様変型例におけるように、コネクタ部材ハウジング4のシェルの内面には、対応する相手側コネクタ(図示せず)とのネジ接続を任意で形成するために、雌ネジ10が形成されている。係止捕捉部8は外側を取り巻いているので、相手側コネクタ3の係止突起16は、径方向内側に向かって、中空シリンダシェル状でプラグ側端部に向かって開かれた、外側の相手側コネクタハウジング/係止手段スリーブ11と相手側コネクタ3の接点担体12との間の内側空間内に延在している。接点担体12には、5つのプラグ接点が受容されており、当該プラグ接点は、接点担体12のプラグ側端部の端面側凹所13内に、自由端で突出している。係止突起16は、同一の構成を有しており、周方向において環状に、互いに等距離に配置されている。特に図7の右側の詳細図から明らかであるように、各係止突起16の先端には、径方向内側に向かって、(横方向に)細い突起17が形成されており、当該突起はさらに、相手側コネクタ3の優先的長手方向軸と平行に軸方向にわずかに長く延在している。突起17は、コネクタ部材2及び相手側コネクタ3の互いに対する相対回転を防止するための相手側コネクタ3の手段である。当該突起は、コネクタ部材2及び相手側コネクタ3の互いに対する相対回転を防止するためのコネクタ部材2の手段として、係止捕捉部8内に形成された表面構造9に対応している。コネクタ部材2と相手側コネクタ3との迅速交換式接続を形成する際、係止突起16の突起17は、係止突起16が係止捕捉部8に係合するとき、表面構造9の突起17に対応する長手方向溝にも係合する。係止捕捉部8の表面構造における長手方向溝への突起17の係合によって、相手側コネクタ3は、いわば、優先的長手方向軸に平行な軸方向における従来の係止に加えて、特に、係止突起16の係止捕捉部8への係合による、差し込み方向に反する作用で、優先的長手方向軸の周りの回転方向に反する作用でも係止する。
【0026】
図8は、本発明に係るコネクタシステム1の第4の態様変型例を示す、簡略化された概略的縦断面図である。この際、相手側コネクタ3の外側相手側コネクタハウジング/係止手段スリーブ11は、係止手段スリーブ11の外周の周りを取り巻くバネ要素25のための差し込み方向に反する第1のストッパとして、径方向において、内側に周方向に配置された成形物27を有しており、内側相手側コネクタハウジング/接点担体12は、差し込み方向におけるバネ要素25のための第2のストッパとして、外側に周方向に設けられた径方向の段差26を有している。コネクタ部材2と相手側コネクタ3との間に迅速交換式接続を形成する際、バネ要素25によって、相手側コネクタ3の係止手段14の係止突起16とコネクタ部材2の係止捕捉部8との間の係止点29における張力又は力が増大し、これによって、コネクタ部材2と相手側コネクタ3との迅速交換式接続の、トルク及び/又はねじりモーメントに対する抵抗力が増大する。
【符号の説明】
【0027】
1 コネクタシステム
2 コネクタ部材
3 相手側コネクタ
4 外側コネクタ部材ハウジング
5 内側コネクタ部材ハウジング/接点担体
6 接点開口部
7 凹所
8 係止捕捉部
9 表面構造
10 雌ネジ
11 外側相手側コネクタハウジング/係止手段スリーブ
12 ケーブル/内側相手側コネクタ部材ハウジング/接点担体
13 (接点担体12のプラグ側端部の端面側の)凹所
14 係止手段
15 係止アーム
16 係止突起
17 突起
18 プラグ接点
19 ソケット接点
20 シール
21 位置合わせ用突出部
22 外側輪郭
23 内側輪郭
24 二次的ハウジング部分
25 バネ要素
26 差し込み方向における第1のストッパ
27 差し込み方向に反する第2のストッパ
28 基準点
29 係止点
30 ストッパ
31 相手側ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】