(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-19
(54)【発明の名称】疾患、障害又は状態の処置のための細胞組成物及び使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/071 20100101AFI20230911BHJP
C12N 5/078 20100101ALI20230911BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230911BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20230911BHJP
C12N 5/0789 20100101ALI20230911BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230911BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230911BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230911BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230911BHJP
A61K 35/15 20150101ALI20230911BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230911BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230911BHJP
C12N 9/16 20060101ALN20230911BHJP
【FI】
C12N5/071
C12N5/078
C12N5/10
C12N5/0783
C12N5/0789
A61P37/02
A61P9/00
A61P35/00
A61P35/02
A61K35/15
A61K35/17
A61P9/10
C12N9/16 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515030
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 IL2021051064
(87)【国際公開番号】W WO2022049574
(87)【国際公開日】2022-03-10
(32)【優先日】2020-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523076575
【氏名又は名称】ワイゼットセラピューティク パフォーマンス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガイ,ヤーコフ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AC20
4B065BB04
4B065BB21
4B065BC11
4B065BD14
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB44
4C087BB64
4C087NA14
4C087ZA36
4C087ZB07
4C087ZB26
4C087ZB27
(57)【要約】
本発明は、疾患、障害又は状態の処置における使用のための細胞組成物、より詳細にはセロトニン受容体アゴニストに暴露されていて、結果として刺激されている、セロトニン受容体を発現する細胞を含む組成物;使用の方法;及びそのような組成物を調製するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患、障害又は状態の処置における使用に供するためのセロトニン(5-HT)受容体を発現する細胞を含む組成物であって、
前記細胞が、セロトニン受容体アゴニストのプロドラッグをセロトニン受容体アゴニストに変換することが可能な酵素の存在下で、(i)前記セロトニン受容体アゴニスト;又は(ii)前記プロドラッグに暴露されている、
組成物。
【請求項2】
前記細胞が、骨髄細胞、幹細胞、リンパ球、白血球、CAR-T細胞、CAR-NK細胞、及びナチュラルキラー細胞からなる群から選択される、請求項1に記載の使用に供するための組成物。
【請求項3】
前記セロトニン受容体が、5-HT
1A、5-HT
1B、5-HT
1E、5-HT
2A、5-HT
2B、5-HT
2C、5-HT
3A、5-HT
3、5-HT
4、及び5-HT
7受容体、並びにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の使用に供するための組成物。
【請求項4】
前記セロトニン受容体アゴニストが、トリプタミン、フェネチルアミン、エルゴリン、及びそれらの誘導体、類似体若しくは塩からなる群から選択され、並びに/又は前記酵素が、ホスファターゼである、請求項1~3のいずれか1項に記載の使用に供するための組成物。
【請求項5】
前記ホスファターゼが、アルカリホスファターゼ、エステラーゼ、又はヒドロラーゼである、請求項4に記載の使用に供するための組成物。
【請求項6】
前記セロトニン受容体アゴニストが、ウラピジル、5-メチル-ウラピジル、キパジン、リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)、1-(2,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)-2-アミノプロパン、アリピプラゾール、スマトリプタン、CGS 12066B、CP-94,253、フレシノキサン、ミルタザピン、m-クロロフェニルピペラジン、ノルフェンフルラミン、エルゴタミン、メチルエルゴノビン、リスリド(liseride)、フェンフルラミン、ジヒドロエルゴタミン、ペルゴリド、カベルゴリン、テルグリド、ピリベジル、ブフォテニン、2-メチル-5-HT、フェニルビグアニド、2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン、3,4-メチレンジオキシ-メタムフェタミン、フルオキセチン、5-カルボキサミドトリプタミン、5-メトキシトリプタミン、5-メトキシ-α-メチルトリプタミン、N,N-ジメチルトリプタミン、4-フルオロ-N,N-ジメチルトリプタミン、5-メトキシ-N,N-ジメチルトリプタミン、N,N-ジイソプロピルトリプタミン、4-ヒドロキシ-N,N-ジイソプロピルトリプタミン、4-ヒドロキシ-N-メチル-N-エチルトリプタミン、5-メトキシ-N-メチル-N-イソプロピルトリプタミン、5-メトキシジイソプロピルトリプタミン、α-メチルセロトニン、タンドスピロン、サイロシン、1-メチルサイロシン、N-ブチルサイロシン、8-ヒドロキシ-2-(ジ-n-プロピルアミノ)テトラリン、BW723C86、4-(4-[4-(2-ピリミジニル)ピペラジン-1-イル]ブチル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,4-ベンゾオキサゼピン-3,5-ジオン、ゲピロン、イプサピロン、タンドスピロン、2,5-ジメトキシ-4-ヨードフェネチルアミンのN-ベンジル化類似体、ブスピロン、(+)-シス-8-ヒドロキシ-1-メチル-2-(ジ-n-プロピルアミノ)テトラリン、ブレクスピプラゾール、及びそれらの組合せからなる群から選択され;前記セロトニン受容体アゴニストの前記プロドラッグが、サイロシビン、N-メチルサイロシビン、アリピラゾールラウロキシル、1-アセチル-LSD、1-プロピオニル-LSD、及び1-ブチリル-LSDからなる群から選択される、請求項4に記
載の使用に供するための組成物。
【請求項7】
前記細胞が、サイロシビンをサイロシンに加水分解することが可能なアルカリホスファターゼの存在下で、ペルゴリド;8-ヒドロキシ-2-(ジ-n-プロピルアミノ)テトラリン;又はサイロシビンに暴露されている、請求項6に記載の使用に供するための組成物。
【請求項8】
前記細胞が、約1μM~約1mMの濃度の前記セロトニン受容体アゴニスト又はそのプロドラッグに暴露されている、請求項1に記載の使用に供するための組成物。
【請求項9】
前記疾患、障害又は状態が、免疫関連疾患、障害若しくは状態;心臓関連の疾患、障害若しくは状態;過剰増殖性障害;又は癌である、請求項1~8のいずれか1項に記載の使用に供するための組成物。
【請求項10】
前記過剰増殖性障害又は癌が、肺、甲状腺、頭若しくは頸部、鼻咽頭、喉、鼻若しくは洞、脳、脊髄、胸部、副腎、脳下垂体、甲状腺、リンパ、胃腸、口、食道、胃、十二指腸、回腸、空腸、小腸、結腸、直腸、尿生殖管、子宮、卵巣、子宮頸、子宮内膜、膀胱、精巣、前立腺、腎臓、膵臓、肝臓、骨、骨髄、リンパ、血液、皮膚、又は筋肉に存在する、請求項9に記載の使用に供するための組成物。
【請求項11】
前記癌が、黒色腫、腎細胞癌、結腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、脳癌、膵臓の腺癌、及び頭頸部腫瘍などの原発性固形癌、若しくはその転移;又は白血病及びリンパ腫などの血液悪性腫瘍である、請求項9に記載の使用に供するための組成物。
【請求項12】
必要とする対象における疾患、障害又は状態の処置の方法であって、
(i)セロトニン(5-HT)受容体アゴニストのプロドラッグを前記セロトニン受容体アゴニストに変換することが可能な酵素の存在下で、セロトニン受容体を発現する細胞を前記セロトニン受容体アゴニスト又は前記プロドラッグを含む組成物に接触させ、それにより前記細胞を刺激するステップ;及び
(ii)ステップ(i)で得られた前記刺激された細胞の治療有効量を前記対象に投与し、それにより前記疾患、障害又は状態を処置するステップを含む、
方法。
【請求項13】
ステップ(ii)に先立って、前記組成物から過剰な前記セロトニン受容体アゴニスト及び/又はそのプロドラッグを除去するステップ;及び任意選択的にこうして得られた前記組成物を希釈するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物から過剰な前記セロトニン受容体アゴニスト及び/又はそのプロドラッグを除去することが、ステップ(i)で得られた前記刺激された細胞を洗浄することにより実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記細胞が、前記対象から得られた自家細胞である、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞が、ドナーから得られた同種細胞である、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記細胞が、骨髄細胞、幹細胞、リンパ球、白血球、CAR-T細胞、CAR-NK細胞、及びナチュラルキラー細胞からなる群から選択される、請求項12~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記セロトニン受容体が、5-HT
1A、5-HT
1B、5-HT
1E、5-HT
2A、5-HT
2B、5-HT
2C、5-HT
3A、5-HT
3、5-HT
4、及び5-HT
7受容体、並びにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項12~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記セロトニン受容体アゴニストが、トリプタミン、フェネチルアミン、エルゴリン、及びそれらの誘導体、類似体若しくは塩からなる群から選択され、並びに/又は前記酵素が、ホスファターゼである、請求項12~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記ホスファターゼが、アルカリホスファターゼ、エステラーゼ、又はヒドロラーゼである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記セロトニン受容体アゴニストが、ウラピジル、5-メチル-ウラピジル、キパジン、リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)、1-(2,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)-2-アミノプロパン、アリピプラゾール、スマトリプタン、CGS 12066B、CP-94,253、フレシノキサン、ミルタザピン、m-クロロフェニルピペラジン、ノルフェンフルラミン、エルゴタミン、メチルエルゴノビン、リスリド(liseride)、フェンフルラミン、ジヒドロエルゴタミン、ペルゴリド、カベルゴリン、テルグリド、ピリベジル、ブフォテニン、2-メチル-5-HT、フェニルビグアニド、2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン、3,4-メチレンジオキシ-メタムフェタミン、フルオキセチン、5-カルボキサミドトリプタミン、5-メトキシトリプタミン、5-メトキシ-α-メチルトリプタミン、N,N-ジメチルトリプタミン、4-フルオロ-N,N-ジメチルトリプタミン、5-メトキシ-N,N-ジメチルトリプタミン、N,N-ジイソプロピルトリプタミン、4-ヒドロキシ-N,N-ジイソプロピルトリプタミン、4-ヒドロキシ-N-メチル-N-エチルトリプタミン、5-メトキシ-N-メチル-N-イソプロピルトリプタミン、5-メトキシジイソプロピルトリプタミン、α-メチルセロトニン、タンドスピロン、サイロシン、1-メチルサイロシン、N-ブチルサイロシン、8-ヒドロキシ-2-(ジ-n-プロピルアミノ)テトラリン、BW723C86、4-(4-[4-(2-ピリミジニル)ピペラジン-1-イル]ブチル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,4-ベンゾオキサゼピン-3,5-ジオン、ゲピロン、イプサピロン、タンドスピロン、2,5-ジメトキシ-4-ヨードフェネチルアミンのN-ベンジル化類似体、ブスピロン、(+)-シス-8-ヒドロキシ-1-メチル-2-(ジ-n-プロピルアミノ)テトラリン、ブレクスピプラゾール、及びそれらの組合せからなる群から選択され、前記セロトニン受容体アゴニストの前記プロドラッグが、サイロシビン、N-メチルサイロシビン、アリピラゾールラウロキシル、1-アセチル-LSD、1-プロピオニル-LSD、及び1-ブチリル-LSDからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記細胞が、ステップ(i)において、サイロシビンをサイロシンに加水分解することが可能なアルカリホスファターゼの存在下で、ペルゴリド;8-ヒドロキシ-2-(ジ-n-プロピルアミノ)テトラリン;又はサイロシビンで処置される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ステップ(i)が、前記細胞を、約1μM~約1mMの濃度の前記セロトニン受容体アゴニスト又はそのプロドラッグに暴露することにより実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項24】
前記疾患、障害又は状態が、免疫関連疾患、障害若しくは状態;心臓関連の疾患、障害若しくは状態;過剰増殖性障害;又は癌である、請求項12~23のいずれか1項に記載
の方法。
【請求項25】
前記免疫関連疾患、障害又は状態が、関節リウマチ、骨粗しょう症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、マラリア、及びトリパノソーマ症である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記心臓関連疾患、障害又は状態が、冠動脈心疾患、慢性心不全、心筋梗塞又は脳卒中である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記過剰増殖性障害又は癌が、肺、甲状腺、頭若しくは頸部、鼻咽頭、喉、鼻若しくは洞、脳、脊髄、胸部、副腎、脳下垂体、甲状腺、リンパ、胃腸、口、食道、胃、十二指腸、回腸、空腸、小腸、結腸、直腸、尿生殖管、子宮、卵巣、子宮頸、子宮内膜、膀胱、精巣、前立腺、腎臓、膵臓、肝臓、骨、骨髄、リンパ、血液、皮膚、又は筋肉に存在する、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記癌が、黒色腫、腎細胞癌、結腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、脳癌、膵臓の腺癌、及び頭頸部腫瘍などの原発性固形癌、若しくはその転移;又は白血病及びリンパ腫などの血液悪性腫瘍である、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
セロトニン受容体を発現する細胞を刺激するための方法であって、
セロトニン受容体アゴニストのプロドラッグを前記セロトニン受容体アゴニストに変換することが可能な酵素の存在下で、前記細胞を(i)前記セロトニン受容体アゴニスト;又は(ii)前記プロドラッグと接触させることを含む、
方法。
【請求項30】
得られた前記刺激されたセロトニン受容体を発現する細胞が、治療製品として用いられる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
セロトニン受容体を発現する細胞を刺激するための、セロトニン受容体アゴニストのプロドラッグを前記セロトニン受容体アゴニストに変換することが可能な酵素の存在下にある(i)前記セロトニン受容体アゴニスト;又は(ii)前記プロドラッグを含む組成物の使用。
【請求項32】
セロトニン受容体を発現する細胞を刺激するための、セロトニン受容体アゴニストのプロドラッグを前記セロトニン受容体アゴニストに変換することが可能な酵素の存在下にある(i)前記セロトニン受容体アゴニスト;又は(ii)前記プロドラッグを含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疾患、障害又は状態の処置における使用のための細胞組成物、より詳細にはセロトニン(5-HT)受容体アゴニストに暴露されていて、結果として刺激されている、セロトニン受容体を発現する細胞を含む組成物、及び使用の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Szabo(2015)は、非特許文献1において、セロトニン及びシグマ-1受容体などの幻覚剤の薬理作用に関与する複数の神経伝達物質受容体が、数多くの免疫工程においても重大な役割も担うことを特筆した。この分野は、自己免疫及び慢性炎症状態、感染、並びに癌をはじめとする様々な疾患の治療において期待できる処置モダリディーを提示している。「しかし、入手できるレビュー文献が不足することで、この話題は不明瞭であいまいになり、大部分が幻覚剤を、濫用性のある不法薬物で生理学的に関連しない分子として、又は未来の薬物療法の見込みのある薬物として提案している」。非特許文献2は、セロトニン又は選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)であるセルトラリンの投与が卵巣癌のマウスモデルの疾患進行までの時間を実質的に減少させ、結果的に腫瘍重量を増加させることを見出した。より近年になり、非特許文献3は、癌に対するセロトニン受容体薬の潜在的有用性を議論したが、彼らは、抗癌活性の可能性に言及していない。
【0003】
免疫系の細胞が、セロトニン(別名、5-ヒドロキシトリプタミン、5-HT)及びセロトニン受容体アゴニストと称される化合物に結合する受容体を有することは確立されている。それに続くセロトニン受容体効果は、それぞれ5-HT1A、5-HT1B、5-HT3、5-HT3A、5-HT7、及び5-HT2Aをはじめとする特異的な5-HT受容体サブセットに関係づけられてきた。構造的差異を有するものの、これらの受容体の全てが、5-HTに結合する。そのため、セロトニン受容体アゴニストと称される化合物は、5-HT受容体のサブセットに様々な親和性で結合する。これらの化合物の幾つかの親和性は、非常に大きく変動するため、幾つかの5-HTサブセットへの結合は、取るに足らない、又は存在しないと見なされている。免疫系の細胞に関して、表1は、5-HT受容体サブセットの会合に関する現行の知識を要約している。5-HT受容体に関係する生物学的影響は、それらが発現される細胞の型及び他の細胞との相互作用に依存する。これらの影響としては、T細胞増殖、IL-2及びIFN-γなどの炎症促進性サイトカインの分泌、並びにERK-1-2/NF-κB経路の活性化が挙げられる
【0004】
【0005】
活性酸素種(ROS)により負わされた酸化ストレスは、新生物細胞から防護するNK細胞及び他の関連するリンパ球の機能を阻害することにより腫瘍の近隣の免疫抑制に寄与すると推測されている(非特許文献6)。早期のインビトロ試験で、5-HTがNK細胞と単球との相互作用を調節することによりヒトNK細胞を活性化し得ることが明らかとなったが(非特許文献7及び非特許文献8;非特許文献9)、これらの活性化特性の機構の詳細は知られていない。後続の試験の結果から、5-HTが、単球由来の阻害性シグナル及びROSにより運搬されたアポトーシス誘導シグナルからNK細胞を防護することが示されている。5-HTの存在下では、NK細胞は、抑制性の単球の存在にもかかわらず、依然として生存し、機能的に活性であり、IL-2により活性化され得る。
【0006】
5-HTの利用可能性は、その合成、代謝、ニューロンからの分泌、及びニューロンへの取込みにより調節される。インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)は、5-HT前駆体であるトリプトファン(Trp)をキヌレニン(Kyn)に変換し、それにより5-HTを生成するのに利用可能なTrpの量を制限する酵素である(
図1)。IDOはまた、5-HTを代謝し得るが、モノアミンオキシダーゼ(MAO)が、5-HTの主な代謝産物である5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)を生成する(非特許文献10)。いずれの場合でも、高レベルのIDO活性が、免疫活性に有意に影響を及ぼす利用可能な5-HTを損失する可能性がある。
【0007】
IDOは、免疫応答、特にTリンパ球の免疫応答を媒介することが見出された(非特許文献11)。「IDOは、半同種(semi-allogeneic)胎児組織及び移植臓器に対する母性寛容に寄与し、局所組織炎症及び自己免疫性を阻害して、癌及び慢性感染への免疫性を抑制する。これらの多様な免疫環境に共通するテーマは、IDOが直ぐ傍の微小環境及び局所組織環境における局所代謝変化を介して免疫調節に寄与し、これらの局所変化が、究極的に全身免疫寛容の発達に影響を及ぼし得る。」非特許文献12は、腫瘍細胞でのIDO発現がモデル系でのCD19+ IDO発現腫瘍成長進行のインビボCAR-T細胞制御も劇的に低減し得ることを実証した。それらのデータはまた、Kyn及びヒドロキシアントラニル酸がCAR-T活性抑制において役割を有し得ることを示している。
【0008】
Kynそのものは、免疫抑制性であることが見出された。同じくKyn代謝産物は、ア
ポトーシス、Treg及びTh17細胞の増殖、並びにTh1/Th2応答の偏位を引き起こし得る。加えて、IDO活性は、Trp異化を指揮してKynを形成することにより、代わりの代謝経路を介して5-HTを生成するのに利用可能なTrpの量を低減する。非特許文献13は、腫瘍免疫に及ぼすIDOの影響を要約し、免疫抑制性IDOを発現する宿主DCが腫瘍の流入領域リンパ節において見出されると述べており、IDOはまた、腫瘍細胞そのものにより発現され得る(非特許文献14)。「ほとんどの腫瘍が、IDOを発現し(非特許文献15)、IDOは、トリプトファン欠乏に感受性があるナチュラルキラー(NK)/T細胞を飢餓状態にすることにより腫瘍誘導免疫抑制に寄与し得る(非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18;非特許文献19)。」非特許文献2は、5-HT又は5-HT再取り込み阻害剤(SSRI)セルトラリンのどちらかを腫瘍担持マウスに投与することによる5-HTの増加が腫瘍重量の増加につながることを見出した。
【0009】
特許文献1及び特許文献2で、IDO及び/又はトリプトファン-2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO)阻害剤が、単独の活性成分として、又はCAR-T細胞と共に投与された場合に、癌、感染性疾患、CNS障害、敗血症による低血圧、及び他の疾患をはじめとする疾患を処置するのに有用であることが示唆された。
【0010】
表2のものと同様のセロトニン受容体アゴニストは、自己免疫及び慢性炎症状態、感染、並びに癌をはじめとする状態及び疾患のための潜在的治療用途を有する。例えば、LSD及びサイロシビンは、その抗うつ作用が知られており、癌患者のうつ病に役立ち得る。しかしそれらの幻覚作用は、最もよく知られ、その結果、1960年に第一種規制物質として分類された。それゆえ、癌患者をこれらのセロトニンアゴニストで処置することは現在、実現可能な選択肢ではない。これらの薬物が治療用途に組み込まれ得る方法を決定することが、アンメットニーズと見なされた疾患、又は改善された治療を要求する疾患の患者に有益となろう。
【0011】
【0012】
【0013】
エクスビボ操作に続いて、骨髄細胞、幹細胞、そしてより近年ではキメラ抗原受容体T(CAR-T)リンパ球細胞が、悪性腫瘍細胞成長を処置するために患者に投与されてきた。これらの治療は、見込みがあるが、制約を有する。1つの制約は、IDO陽性腫瘍を処置するための有効性である。非特許文献12は、CD19-CAR-TがIDO陰性腫瘍成長を阻害するが、IDO陽性腫瘍には影響を有さないことを観察した。彼らはまた、
トリプトファン代謝産物がCAR-T細胞のインターロイキン(IL)-2、IL-7、及びIL-15依存性の伸長(expansion)を阻害し;CD19認識に応答したインビトロでのそれらの増殖、細胞毒性、及びサイトカイン分泌を減少させ;それらのアポトーシスを増加させることを観察した。彼らの結論は、「腫瘍のIDOは、CD19-CAR-Tを阻害するため、この酵素に拮抗することが、CD19-CAR-T療法に利益をもたらし得る」であった。
【0014】
特許文献3に開示された通り、多くの疾患を幹細胞で効果的に処置するための有意な潜在性が、広く認識されている。幹細胞は、ほとんどの臓器及び組織で同定されており、成体動物及び成人において見出され得る。コミットされた成体幹細胞(体性幹細胞とも称される)は、かなり以前に骨髄において同定された。造血幹細胞(HSC)は、幹細胞の最も特徴のはっきりした型である。骨髄、末梢血、臍帯血、胎児の肝臓及び卵黄嚢で発生するこれらの細胞は、血液細胞を生成して、複数の造血系列を生じる。幹細胞は、局所組織修復及び再生のために細胞療法の形態で適用される。これらの処置は、膀胱、腸、腎臓、気管、目、心臓弁、及び骨などの事実上全ての組織及び臓器の障害を処置することを目的とする。幾つかの適用において、コア細胞集団(core cell population)(CCP)由来前駆細胞(CD34陽性及びCD45陰性の両方となる少なくとも1%)が、例えば癌治療、組織再生、組織工学、及び/又は組織置換のために、治療細胞製品として用いられる。幾つかの適用のために、所望の前駆細胞が、サイトカイン、ホルモン及び神経伝達物質などの増殖・分化増強剤と共に培養されたCCPから調製される。
【0015】
STEMCELL Technologiesは、とりわけ免疫細胞、上皮細胞、造血細胞、腎細胞、肝細胞及び神経細胞を成長及び伸長させるための培地及び培地サプリメントを商品化する会社の一例である。T細胞伸長に利用可能な培地としては、ImmunoCult(登録商標)-XF T Cell Expansion Medium(ヒトT細胞の伸長のための無血清及びゼノフリー培地)が挙げられる。
【0016】
特許文献4に開示された通り、単一の哺乳動物幹細胞の培養に関連する前述の問題を解決するアプローチは、数々の低分子阻害物質を含む複合培地配合物を含んでいた。そのような培地配合物は、製造コスト及びその非効率性のために不適合である。したがって、インビトロ培養での哺乳動物幹細胞の生存及び/又は増殖を増進するための培養培地及び方法が、依然として必要とされている。CAR-T用培地に関係する当該企業及び他社の特許は、セロトニン受容体アゴニストに関係しない。
【0017】
特許文献5では、CAR-TのようなT細胞調製物をセロトニン阻害剤含有培地で処置して、サイトカイン放出症候群を低減することが事実上、推奨されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第9,931,347号明細書
【特許文献2】米国特許第10,336,731号明細書
【特許文献3】米国特許第10,358,629号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2020/0017825号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2018/0228866号明細書
【非特許文献】
【0019】
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【非特許文献51】Mellor et al., Front Immunol., 2017, 8, 1360
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【非特許文献54】Chu Y, Hochberg J, Yahr A, Ayello J, van de Ven C, Barth M, Czuczman M, Cairo MS. Targeting CD20+ aggressive B-cell non-Hodgkin lymphoma by anti-CD20 CAR mRNA-modified expanded natural killer cells in vitro and in NSG mice. Cancer Immunol Res. 2015 3, 333-44
【発明の概要】
【0020】
一態様において、本発明は、疾患、障害又は状態の処置における使用のための、骨髄細胞、幹細胞、リンパ球、白血球、CAR-T細胞、CAR-NK細胞、及びナチュラルキラー細胞などのセロトニン(5-HT)受容体発現細胞を含む組成物に関し、前記細胞は、セロトニン受容体アゴニストのプロドラッグをセロトニン受容体アゴニストに変換することが可能な酵素の存在下で、(i)前記セロトニン受容体アゴニスト、又は(ii)前記プロドラッグに暴露されている。この組成物により処置可能な疾患、障害又は状態の例としては、免疫関連疾患、障害又は状態;心臓関連疾患、障害又は状態;過剰増殖性障害;及び癌が挙げられる。
【0021】
別の態様において、本発明は、必要とする対象における、疾患、障害又は状態、例えば、免疫関連疾患、障害若しくは状態;心臓関連の疾患、障害若しくは状態;過剰増殖性障害;又は癌の処置の方法に関し、前記方法は、
(i)例えば、セロトニン受容体を発現する細胞をセロトニン受容体アゴニスト又は前記セロトニン受容体アゴニストのプロドラッグに暴露又は接触させることにより、前記プロドラッグを前記セロトニン受容体アゴニストに変換することが可能な酵素の存在下で、前記細胞を含む組成物を前記セロトニン受容体アゴニスト又は前記プロドラッグで処置し、それにより前記細胞を刺激するステップ;及び
(ii)ステップ(i)で得られた該刺激された細胞の治療有効量を前記対象に投与し、それにより前記疾患、障害又は状態を処置するステップを含む。
【0022】
本明細書に開示された方法はさらに、ステップ(ii)に先立って、例えばステップ(i)で得られた該刺激された細胞を洗浄することにより、及び任意選択的にこうして得られた該組成物を希釈することにより、前記組成物から前記セロトニン受容体アゴニスト又はそのプロドラッグの過剰な、即ち未結合の分子を除去するステップを含んでいてもよい。
【0023】
さらなる態様において、本発明は、セロトニン受容体を発現する細胞を刺激するための方法を提供し、前記方法は、セロトニン受容体アゴニストのプロドラッグをセロトニン受容体アゴニストに変換することが可能な酵素の存在下で、前記細胞を(i)前記セロトニン受容体アゴニスト;又は(ii)前記プロドラッグに接触させることを含む。この方法によりインビトロで得られた該刺激された細胞はその後、治療製品として用いられて、即ち、必要とする対象に投与されて、それにより疾患、障害又は状態、例えば、免疫関連疾
患、障害若しくは状態;心臓関連疾患、障害若しくは状態;過剰増殖性障害;又は癌を処置してもよい。
【0024】
したがって、さらなる態様において、本発明は、セロトニン受容体を発現する細胞を刺激するための、セロトニン受容体アゴニストのプロドラッグをセロトニン受容体アゴニストに変換することが可能な酵素の存在下にある(i)前記セロトニン受容体アゴニスト;又は(ii)前記プロドラッグを含む組成物、及びそのような組成物の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】トリプトファンの代謝経路を表す(非特許文献51から採用)。
【
図2】未刺激のCAR-T細胞(0)による、又は5×10
-5、1×10
-4、若しくは2×10
-4M 8-OH-DPATでの刺激後のCAR-T細胞による、ルシフェラーゼ放出に関係するRaji細胞の殺傷を示す。処置群間の統計学的有意性は、以下の通りアスタリスクにより示される:
*p<0.05、
**p<0.01、
****p<0.0001。
【
図3】未刺激のCAR-T細胞(0)による、又は5×10
-5、1×10
-4、若しくは2×10
-4M メシル酸ペルゴリドでの刺激後のCAR-T細胞による、ルシフェラーゼ放出に関係するRaji細胞の殺傷を示す。処置群間の統計学的有意性は、以下の通りアスタリスクにより示される:
*p<0.05、
**p<0.01、
****p<0.0001。
【発明を実施するための形態】
【0026】
一態様において、本発明は、疾患、障害又は状態、即ち、医学的状態の処置における使用のための5-HT受容体を発現する細胞を含む組成物に関し、前記細胞は、セロトニン受容体アゴニストのプロドラッグをセロトニン受容体アゴニストに変換することが可能な酵素の存在下で、(i)前記セロトニン受容体アゴニスト;又は(ii)前記プロドラッグに暴露されている。
【0027】
本明細書で用いられる用語「受容体アゴニスト」は、指定された受容体と結合又は会合し、結果として前記受容体を活性化させて生物学的応答を生じることが可能な分子をいう。
【0028】
本明細書で用いられる用語「セロトニン(5-HT)受容体アゴニスト」は、5-HTに結合する受容体の1つ又は複数と結合又は会合し、結果として前記受容体を活性化させて生物学的応答を生じることが可能な任意の分子又は前記分子の塩をいう。
【0029】
本発明によれば、5-HT受容体を発現する細胞は、表2に列挙された受容体、即ち、5-HT1A、5-HT1B、5-HT1E、5-HT2A、5-HT2B、5-HT2C、5-HT3A、5-HT3、5-HT4、又は5-HT7受容体、及びこれらの受容体の任意の組合せのうちの任意の1つを発現し得る。5-HT受容体を発現する細胞の例としては、骨髄細胞、幹細胞、リンパ球、白血球、CAR-T細胞、CAR-NK細胞、及びナチュラルキラー細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
特定の実施形態において、本明細書に開示された組成物は、トリプタミン(必須アミノ酸トリプトファンのインドールアミン代謝産物)、フェネチルアミン若しくはエルゴリン、又はそれらの誘導体、類似体若しくは塩などのセロトニン受容体アゴニストに暴露された5-HT受容体を発現する細胞を含む。
【0031】
セロトニン受容体アゴニストに関して、より具体的にはトリプタミン、フェネチルアミン、又はエルゴリンに関して本明細書で用いられる用語「誘導体」及び「類似体」は、対
応する、即ち、非誘導体化セロトニン受容体アゴニストと同一又は類似の生物活性を有する、即ち、対応するアゴニストと同一又は類似のどちらかである特異性及び選択性によって5-HT受容体と結合又は会合し、結果的に前記受容体を発現する細胞を刺激することが可能である、前記セロトニン受容体アゴニストの任意の化学的誘導体をいう。
【0032】
セロトニン受容体アゴニストに関して、より具体的にはトリプタミン、フェネチルアミン若しくはエルゴリン、又はその誘導体若しくは類似体に関して本明細書で用いられる用語「塩」は、非限定的に、前記セロトニン受容体アゴニストの塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、メシル酸塩、エシル酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、及び安息香酸塩をはじめとする前記セロトニン受容体アゴニストの任意の可能な塩をいう。
【0033】
セロトニン受容体アゴニストの具体的例としては、ウラピジル、5-メチル-ウラピジル、キパジン、リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)、1-(2,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)-2-アミノプロパン(DOM)、CGS 12066B、CP-94,253、フレシノキサン、ミルタザピン、m-クロロフェニルピペラジン、ノルフェンフルラミン、エルゴタミン、メチルエルゴノビン、リスリド(liseride)、フェンフルラミン、ジヒドロエルゴタミン、ペルゴリド、カベルゴリン、テルグリド、ピリベジル、ブフォテニン、2-メチル-5-HT、フェニルビグアニド、2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン、3,4-メチレンジオキシ-メタムフェタミン、フルオキセチン、5-カルボキサミドトリプタミン(5-CT)、5-メトキシトリプタミン、5-メトキシ-α-メチルトリプタミン(5-MeO-AMT)、N,N-ジメチルトリプタミン(DMT)、4-フルオロ-N,N-ジメチルトリプタミン、5-メトキシ-N,N-ジメチルトリプタミン(5-MeO-DMT)、N,N-ジイソプロピルトリプタミン(DiPT)、4-ヒドロキシ-N,N-ジイソプロピルトリプタミン(4-OH-DiPT)、4-ヒドロキシ-N-メチル-N-エチルトリプタミン(4-OH-MET)、5-メトキシ-N-メチル-N-イソプロピルトリプタミン(5-MeO-MiPT)、5-メトキシジイソプロピルトリプタミン(5-MeO-DiPT)、α-メチルセロトニン、タンドスピロン、サイロシン(4-ヒドロキシ-N,N-ジメチルトリプタミン)、1-メチルサイロシン、N-ブチルサイロシン、8-ヒドロキシ-2-(ジ-n-プロピルアミノ)テトラリン(8-OH-DPAT)、BW723C86、4-(4-[4-(2-ピリミジニル)ピペラジン-1-イル]ブチル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,4-ベンゾオキサゼピン-3,5-ジオン、ゲピロン、イプサピロン、タンドスピロン、2,5-ジメトキシ-4-ヨードフェネチルアミンのN-ベンジル化類似体、ブスピロン、(+)-シス-8-ヒドロキシ-1-メチル-2-(ジ-n-プロピルアミノ)テトラリン及びブレクスピプラゾール、並びにそれらの任意の組合せが挙げられる。本明細書の表2に示された通り、これらのセロトニン受容体アゴニストの幾つかは、1つより多くの5-HT受容体と結合又は会合することが可能である。
【0034】
セロトニン受容体アゴニストの類似体の例としては、相対的に水溶性のアリピプラゾール一水和物、並びに親物質と類似の、又は親物質に比べて増強された5-HT2受容体特異性を有する1-(2-アミノメチル)-3-メチル-8,9-ジヒドロピラノ[3,2-e]インドール(CP-132,484)及び1-(2-アミノエチル)-8,9-ジヒドロピラノ-[3,2-e]インドールなどのセロトニンのジヒドロピラノ-[3,2-e]インドール誘導体が挙げられるが、これらに限定されない(非特許文献52)。
【0035】
他の実施形態において、本明細書に開示された組成物は、先に記載されたセロトニン受容体アゴニストのプロドラッグを前記セロトニン受容体アゴニストに変換することが可能な酵素、例えば、アルカリホスファターゼ、エステラーゼ、又はヒドロラーゼなどのホス
ファターゼの存在下で、前記プロドラッグに暴露された5-HT受容体を発現する細胞を含む。
【0036】
セロトニン受容体アゴニストに関して本明細書で用いられる用語「プロドラッグ」は、酵素的分解、例えばリン酸基の加水分解の際に生物活性形態に変換される、対応するセロトニン受容体アゴニストに比較してセロトニン作動性活性が欠如する、又は減弱されたセロトニン作動性活性を有する、のどちらかである前記セロトニン受容体アゴニストの化学的誘導体、例えばそのリン酸化形態をいう。
【0037】
セロトニン受容体アゴニストのプロドラッグの具体的例としては、サイロシン及び1-メチルサイロシンのリン酸化形態であり、例えばリン酸基を除去することが可能なアルカリホスファターゼ(ALP、ALKP)により、加水分解されて、それぞれサイロシン及び1-メチルサイロシンを生成するサイロシビン及びN-メチルサイロシビン;N-ヒドロキシメチルアリピプラゾールのラウリン酸エステルであり、エステラーゼにより切断されて活性N-ヒドロキシメチルアリピラゾールを生成するアリピラゾールラウロキシル(非特許文献23);並びにヒドロラーゼにより加水分解されて活性LSDを生成する、1-アセチル-LSD(ALD-52)、1-プロピオニル-LSD(1P-LSD)及び1-ブチリル-LSD(1P-LSD)などのLSDのアシル化形態(非特許文献53)が挙げられる。
【0038】
特定の個々の実施形態において、本発明の組成物に含まれる細胞は、セロトニン受容体アゴニストのペルゴリド若しくは8-OH-DPAT、又はその塩に暴露されている。他の個々の実施形態において、本発明の組成物に含まれる細胞は、それぞれサイロシビン及びN-メチルサイロシビンをそれぞれサイロシン及び1-メチルサイロシンに加水分解することが可能なアルカリホスファターゼの存在下で、セロトニン受容体アゴニストサイロシン若しくは1-メチルサイロシンなどのその誘導体;又はサイロシビン若しくはN-メチルサイロシビンなどの前記アゴニストのプロドラッグに暴露されている。具体的実施形態において、該組成物に含まれる細胞は、アルカリホスファターゼの存在下でサイロシビンに暴露されている。示された通り、サイロシビンは、複数の5-HT受容体に結合するが、それは、5-HT2A受容体に対して最大の親和性を有し(Ki=6nM)、5-HT1A受容体に対してより小さな程度に結合する(Ki=190nM)(非特許文献43)。
【0039】
特定の実施形態において、本発明の組成物に含まれる細胞は、約1μM~約1mM、例えば、約10μM~約800μM、約20μM~約600μM、約40μM~約600μM、約50μM~約500μM、又は約100μM~約250μMの濃度のアゴニスト/プロドラッグで、それぞれが先の実施形態の任意の1つに定義された通りのセロトニン受容体アゴニスト又はそのプロドラッグに暴露されている。
【0040】
特定の実施形態において、先の実施形態の任意の1つによる本明細書に開示された組成物により処置された疾患、障害若しくは状態は、免疫関連疾患、障害若しくは状態;心臓関連疾患、障害若しくは状態;過剰増殖性障害;又は癌である。
【0041】
本明細書で用いられる用語「免疫関連疾患、障害又は状態」は、免疫系細胞の有意な機能不全が測定可能であり、病的状態に関連し得る疾患、障害又は状態をいう。免疫関連疾患、障害又は状態の例としては、関節リウマチ、骨粗しょう症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、マラリア、及びトリパノソーマ症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書で用いられる用語「心臓関連疾患、障害又は状態」は、通常、動脈内部の脂肪
沈着物の蓄積(アテローム性硬化症)及び血栓のリスク上昇に関連する、心臓又は血管に影響を及ぼす状態をいう。心臓関連疾患、障害又は状態の例としては、例えば冠動脈心疾患、慢性心不全、心筋梗塞及び脳卒中が挙げられる。
【0043】
本明細書で用いられる用語「過剰増殖性障害」は、非疾患又は非障害状態より高い速度で細胞が増殖する任意の疾患又は障害をいう。非癌性の過剰増殖性疾患又は障害としては、例えば乾癬、又は皮膚若しくは前立腺の良性肥厚化が挙げられる。本明細書で用いられる用語「癌」は、典型的には無秩序な細胞成長を特徴とする生理学的状態をいう。
【0044】
本発明によれば、本明細書に開示された組成物で処置される過剰増殖性障害又は癌は、体内の任意の場所、例えば、肺、甲状腺、頭若しくは頸部、鼻咽頭、喉、鼻若しくは洞、脳、脊髄、胸部、副腎、脳下垂体、甲状腺、リンパ、胃腸、口、食道、胃、十二指腸、回腸、空腸、小腸、結腸、直腸、尿生殖管、子宮、卵巣、子宮頸、子宮内膜、膀胱、精巣、前立腺、腎臓、膵臓、肝臓、骨、骨髄、リンパ、血液、皮膚、又は筋肉に存在してもよい。
【0045】
特定の実施形態において、本明細書に開示された組成物で処置される疾患、障害又は状態は、癌である。前記組成物により処置され得る癌の例としては、黒色腫、腎細胞癌、結腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、脳癌、膵臓の腺癌、及び頭頸部腫瘍などの原発性固形癌、若しくはその転移;又は血液悪性腫瘍、即ち白血病及びリンパ腫などの血液若しくは骨髄の癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
別の態様において、本発明は、必要とする対象における疾患、障害又は状態の処置のための方法に関し、前記方法は、(i)先の実施形態の任意の1つに定義されたセロトニン受容体アゴニストのプロドラッグを先の実施形態の任意の1つに定義された前記セロトニン受容体アゴニストに変換することが可能な酵素の存在下で、例えば、5-HT1A、5-HT1B、5-HT1E、5-HT2A、5-HT2B、5-HT2C、5-HT3A、5-HT3、5-HT4若しくは5-HT7受容体、又はその組合せを発現する、先に定義された5-HT受容体を発現する細胞、例えば、骨髄細胞、幹細胞、リンパ球、白血球、CAR-T細胞、CAR-NK細胞、及びナチュラルキラー細胞を含む組成物を、前記セロトニン受容体アゴニスト又は前記プロドラッグで処置し、それにより前記細胞を刺激するステップ;及び(ii)得られた該刺激された細胞の治療有効量を前記対象に投与し、それにより前記疾患、障害又は状態を処置するステップと、を含む。
【0047】
特定の実施形態において、本発明の方法はさらに、ステップ(ii)に先立って、例えばステップ(i)で得られた該刺激された細胞を洗浄すること、及び任意選択的にこうして得られた該組成物を希釈することにより、前記組成物から前記セロトニン受容体アゴニスト及び/又はそのプロドラッグの過剰な、即ち未結合の分子を除去するステップを含む。
【0048】
特定の実施形態において、ステップ(i)で処置された5-HT受容体を発現する細胞は、得られた該刺激された細胞がステップ(ii)で投与される対象から得られた自家細胞である。
【0049】
他の実施形態において、ステップ(i)で処置された5-HT受容体を発現する細胞は、ドナーから得られた、即ち、得られた該刺激された細胞がステップ(ii)で投与されるドナー以外の同じ種の個体に由来する同種細胞である。
【0050】
特有の実施形態において、該細胞は、ステップ(i)において、アルカリホスファターゼなどのホスファターゼの存在下、サイロシン若しくは1-メチルサイロシンなどのその
誘導体で、又はそれぞれサイロシビン若しくはN-メチルサイロシビンなどの前述のもののプロドラッグで処置される。具体的実施形態において、該細胞は、サイロシビンをサイロシンに加水分解することが可能なアルカリホスファターゼの存在下で、サイロシビンに暴露される。
【0051】
特定の実施形態において、本明細書に開示された方法のステップ(i)は、前記細胞を、本明細書に定義されたセロトニン受容体アゴニストに、例えば、ペルゴリド、8-OH-DPAT、サイロシン、1-メチルサイロシン、若しくはその塩に;又は本明細書に定義された前述のものプロドラッグに、約1μM~約1mM、例えば約10μM~約800μM、約20μM~約600μM、約40μM~約600μM、約50μM~約500μM、又は約100μM~約250μMの濃度のアゴニスト/プロドラッグ濃度で暴露することにより実行される。
【0052】
本明細書で用いられる用語「対象」は、任意の哺乳動物、例えばヒト、非ヒト霊長類、ウマ、フェレット、イヌ、ネコ、ウシ、及びヤギをいう。好ましい実施形態において、用語「対象」は、ヒト、即ち個人を表す。
【0053】
本明細書で用いられる用語「処置」は、先に定義された組成物、即ち5-HT受容体を発現する細胞、例えば、骨髄細胞、幹細胞、リンパ球、白血球、CAR-T細胞、CAR-NK細胞、及びナチュラルキラー細胞を含む組成物の治療的量の投与をいい、該細胞は、先に定義されたセロトニン受容体アゴニストに暴露され、こうして高度に刺激されて、異常な細胞又は外来細胞のサイトカイン生成及び細胞溶解活性などの効果的応答を可能にし、それにより前記医学的状態に関連する望ましくない症状を好転させる;前記医学的状態の進行を緩徐にする;症状の悪化を緩徐にする;寛解期間の開始を増進する;前記医学的状態の進行性慢性段階に引き起こされる可逆的損傷を緩徐にする;前記進行段階の開始を遅延させる;重症度を低下させる、又は前記医学的状態を治癒する;生存率及び/又はより急速な回復を改善する。
【0054】
本発明の方法により処置される医学的状態が、癌である場合、本明細書で用いられる用語「処置」は、サイトカイン生成及び分泌の修飾、並びに細胞溶解活性などの活性を含む抗癌活性の促進をいう。
【0055】
本明細書で用いられる用語「治療有効量」は、探求されている生物学的又は医学的応答を促進する前記刺激された細胞の量を意味する。その量は、先に記載された対象の健康を改善するのに効果的でなければならない。有効量は、典型的には適宜設計された臨床試験(用量反応試験)で決定され、当業者は、そのような治験を適正に実行して有効量を決定する方法を知っているであろう。
【0056】
特定の実施形態において、先の実施形態の任意の1つによる本発明の方法により処置される疾患、障害、又は状態は、それぞれが先に定義された、免疫関連疾患、障害若しくは状態;心臓関連疾患、障害若しくは状態;過剰増殖性障害;又は癌である。
【0057】
さらなる態様において、本発明は、セロトニン受容体を発現する細胞を刺激するための方法を提供し、該方法は、セロトニン受容体アゴニストのプロドラッグを前記セロトニン受容体アゴニストに変換することが可能な酵素の存在下で、前記細胞を(i)前記セロトニン受容体アゴニスト;又は(ii)前記プロドラッグと接触させることを含む。この方法によりインビトロで得られた該刺激された細胞は、その後、治療製品として、又は治療製品を作製するために、例えば必要とする対象に投与することにより、用いられ、それにより疾患、障害又は状態、例えば免疫関連疾患、障害若しくは状態;心臓関連疾患、障害若しくは状態;過剰増殖性障害;又は癌を処置してもよい。
【0058】
したがって、さらなる態様において、本発明は、セロトニン受容体を発現する細胞を刺激し、その後、治療製品として、又は治療製品を作製するために用いられ得る、セロトニン受容体アゴニストのプロドラッグを前記セロトニン受容体アゴニストに変換することが可能な酵素の存在下にある(i)前記セロトニン受容体アゴニスト;又は(ii)前記プロドラッグを含む組成物、及びそのような組成物の使用に関する。
【0059】
他に示されない限り、本明細書で用いられる5-HT受容体を発現する細胞を処置するために用いられるセロトニン受容体アゴニスト又はそのプロドラッグの全ての数値表現、例えば濃度が、全例で用語「約」により修飾されると理解されなければならない。したがって、反することが示されない限り、本明細書で表された数値パラメータは、本発明により得られた所望の特性に応じて、±10%まで変動し得る近似値である。
【0060】
ここに、本発明が以下の非限定的実施例により例示される。
【実施例】
【0061】
実施例1.セロトニン作動性アゴニスト培地の調製及びCAR-T細胞の処置
メシル酸ペルゴリド及び8-OH-DPAT(Sigma)が、それぞれジメチルスルホキシド(DMSO)に2×10-2Mになるように溶解された。溶液は次に、10% ウシ胎仔血清、100U/mL ペニシリンGナトリウム(Rafa、エルサレム)及び1000U/mL ストレプトマイシン(Rafa、エルサレム)を補充されたCAR-T基本培地(ProMab(カリフォルニア州リッチモンド))で、系列的手法で示された最終濃度に希釈された。ProMab(カリフォルニア州リッチモンド)から購入されたCD19 scFv-4-1BB-CD3ζ CAR-T細胞(CAT.PM-CAR1002-1M)が、希釈されたメシル酸ペルゴリド又は8-OH-DPATと共に37℃及び5% CO2で1時間インキュベートされた。細胞が遠心分離によりペレット化され、標準の細胞生育培地で洗浄してメシル酸ペルゴリド及び8-OH-DPATを除去した後、標的ルシフェラーゼRaji細胞と共培養した。
【0062】
実施例2.ルシフェラーゼを発現するRaji細胞のCAR-T細胞殺傷の評価
ルシフェラーゼを安定発現するルシフェラーゼRaji細胞(Raji/NF-kB Reporter(Luc)安定細胞株、Cat.CL-1280)が、FenicsBio(Halethorpe、MD)から購入され、10% ウシ胎仔血清、100U/mL ペニシリンGナトリウム(Rafa、エルサレム)及び1000U/mL ストレプトマイシン(Rafa、エルサレム)を補充されたRPMI培地(Gibco(登録商標) Cat.21875-034)中、37℃及び5% CO2で生育された。
【0063】
標的Raji-luc細胞2.5×103個が、96ウェルプレートの各ウェルで、1% Triton(登録商標)-X100(Sigma)、又は0.5:1、1:1若しくは3:1のエフェクター:標的細胞比のエフェクターCAR-T細胞のどちらかを含有する培地中、37℃及び5% CO2で4時間培養された。四重測定のウェルが、各型の試料のために調製された。インキュベート期間に続いて、細胞が再構成試薬(Bright-Glo Luciferase Assay System,E2620)50μLと共に2分間インキュベートされ、蛍光強度を検出した(FLUOstar OMEGA)。1% Triton(登録商標)-X100対照の蛍光強度が、100%参照として設定された。
【0064】
実施例3.Raji細胞のインビトロ殺傷はCAR-T細胞の前処置の間のセロトニン作動性アゴニスト濃度に依存する
Raji細胞2500個を1% Triton(登録商標)-X100に暴露すること
で、およそ1000蛍光単位の放出をもたらした。
図2及び
図3に示された通り、エフェクター:ターゲット(E:T)細胞比0.5:1、1:1、又は3:1でのRaji細胞とCAR-T細胞の共培養は、細胞比の増加に伴い、ルシフェラーゼ活性放出の36%から71%への上昇を誘導した。
図2に示された通り、8-OH-DPATの各濃度の存在下でのCAR-T細胞のプレインキュベーションは、Raji細胞の殺傷増加をもたらした。殺傷は、2~3倍増進され、E:T比が0.5:1の場合に観察された殺傷レベルは、未刺激のCAR-T細胞でのE:T比が1:1であった場合に観察された殺傷レベルと等しいか、又はそれを超えていた。8-OH-DPATで刺激されたCAR-T細胞でE:T比が1:1であった場合に観察された殺傷のレベルは、未刺激のCAR-T細胞でのE:T比が3:1であった場合に観察された殺傷レベルとほぼ等しかった。CAR-T細胞の8-OH-DPAT刺激後、E:T比が3:1であった場合に実現された殺傷レベルは、ほぼ100%であった。
【0065】
図3に示される通り、各濃度のメシル酸ペルゴリドの存在下でのCAR-T細胞のプレインキュベーションは、Raji細胞の殺傷増進をもたらした。殺傷が2~3倍増進され、それによりE:T比が0.5:1であった場合に観察された殺傷レベルは、未刺激CAR-T細胞でのE:T比が1:1の場合に観察されたレベルと等しいか、又はそれを超えていた。メシル酸ペルゴリドで刺激されたCAR-T細胞でE:T比が1:1の場合に観察された殺傷レベルは、未刺激のCAR-T細胞でのE:T比が3:1であった場合に観察された殺傷レベルとほぼ等しかった。CAR-T細胞のメシル酸ペルゴリド刺激後、E:T比が3:1であった場合に実現された殺傷レベルは、ほぼ100%であった。それゆえ、セロトニン作動性アゴニストでのCAR-T細胞の前処置は、癌を処置するためのCAR-T細胞の有効性を増強するための手段となる。
【0066】
実施例4.セロトニン作動性アゴニストで前処置されたCAR-T細胞によるRaji細胞のインビボ殺傷
6~8週齢NOD/SCID/γ鎖-/-(NSG)マウス(The Jackson
LaboratoryからのStock #5557)50匹が7日間馴化され、病原体フリーの条件下で飼育される。試験プロトコルは、Israeli National
Animal Care and Use Committeeにより認可されている。
【0067】
実施例5.ヒトバーキットリンパ腫の異種移植片モデル
ホタルルシフェラー発現の哺乳動物発現構築物安定クローン(Raji/NF-kB レポータ(Luc)安定細胞株 Cat.CL-1280)は、FenicsBio(メリーランド州、ハレソープ)から購入された。これらの細胞(1×106細胞/0.2mL)が、NSGマウス(NOD.Cg-PRkdcscidIl2rgtmWjl/SzJ;6週齢;The Jackson Laboratory)に皮下注射される。腫瘍生着及び進行は、キャリパを用いて評価される。平均腫瘍サイズが、実験動物の約50%で50mm3に達したら、以下の表3による処置が開始されることになる。腫瘍生着が検証された後、調製されたばかりのCAR-T細胞2×106個又は緩衝液が、各マウスに1回、静脈内注射される。対照群は、同量のPBSのみを受ける。
【0068】
腫瘍サイズが2000mm3に達した動物は、試験から除外され、試験で生存したマウスと同様の手法で屠殺される。4週までのモニタリングの後、動物全てが、CO2での全身麻酔の下で心臓からの瀉血により屠殺される。腫瘍が摘出され、計量されて、組織学的に検査される。
【0069】
異種移植マウスにおける腫瘍進行が、腫瘍体積の測定により、そしてインビボでのバイオルミネッセンスイメージングにより、週1回モニタリングされる(非特許文献54)。
腫瘍進行及びマウス生存は、死亡まで、腫瘍サイズが2cm3に達した、若しくはそれを超えた場合には殺処分後に、又は4週間の試験期間終了時に、モニタリングされる。
【0070】
【0071】
参考資料
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【国際調査報告】