(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-19
(54)【発明の名称】陰圧療法のための肩ドレッシング
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20230911BHJP
A61F 13/02 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
A61M27/00
A61F13/02 310T
A61F13/02 310M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515091
(86)(22)【出願日】2021-08-09
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 IB2021057330
(87)【国際公開番号】W WO2022053889
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520500336
【氏名又は名称】ケーシーアイ マニュファクチャリング アンリミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】KCI Manufacturing Unlimited Company
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】レーベイン,ジョナサン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】カザラ,リチャード エム.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267JJ02
4C267JJ07
4C267JJ12
(57)【要約】
陰圧療法ドレッシングは、ドレープ層と、シールをドレープ層と皮膚との間に提供するように構成された接着性ボーダーと、ドレープ層に結合されたマニホールド層とを含む。マニホールド層は、第1の方向に延びる本体部分と、本体部分の第1の側において位置決めされた第1のウイングと、第1の側とは反対の、本体部分の第2の側において位置決めされた第2のウイングとを含む。第1の間隙が、第1のウイングの第1の先端と本体部分の第1の側との間に設けられているように、第1のウイングは、第1の側から離れるように部分的に第1の方向に延びる。第2の間隙が、第2のウイングの第2の先端と本体部分の第2の側との間に設けられているように、第2のウイングは、第2の側から離れるように部分的に第1の方向に延びる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰圧療法ドレッシングであって、
ドレープ層と、
前記ドレッシングが患者に適用されているときに、シールを前記ドレープ層と皮膚との間に提供するように構成された接着性ボーダーと、
前記ドレープ層に結合されたマニホールド層と
を備える陰圧療法ドレッシングにおいて、
前記マニホールド層が、第1の方向に延びる本体部分と、前記本体部分の第1の側において位置決めされた第1のウイングと、前記第1の側とは反対の、前記本体部分の第2の側において位置決めされた第2のウイングとを備え、
第1の間隙が、前記第1のウイングの第1の先端と前記本体部分の前記第1の側との間に設けられているように、前記第1のウイングが、前記第1の側から離れるように部分的に前記第1の方向に延び、
第2の間隙が、前記第2のウイングの第2の先端と前記本体部分の前記第2の側との間に設けられているように、前記第2のウイングが、前記第2の側から離れるように部分的に前記第1の方向に延びる、
陰圧療法ドレッシング。
【請求項2】
前記接着性ボーダーが、前記間隙にわたって延びる、請求項1に記載の陰圧療法ドレッシング。
【請求項3】
前記接着性ボーダーが、前記間隙内の前記接着性ボーダーの引き裂き又は切断を容易にするために、前記間隙内に穿孔されている、請求項2に記載の陰圧療法ドレッシング。
【請求項4】
前記本体部分が、前記第1のウイングと前記第2のウイングとの間に延びる凹状縁部を備える、請求項1に記載の陰圧療法ドレッシング。
【請求項5】
前記マニホールド層が、前記マニホールド層の適合性を容易にするために、刻み目を有する、請求項1に記載の陰圧療法ドレッシング。
【請求項6】
前記マニホールド層が、前記本体部分の長手方向軸を中心として対称である、請求項1に記載の陰圧療法ドレッシング。
【請求項7】
前記第1のウイングが、楕円形状を備える、請求項1に記載の陰圧療法ドレッシング。
【請求項8】
前記接着性ボーダーが、前記皮膚と、前記接着性ボーダーと、前記ドレープとに選択的に接着するように構成された接着剤を備える、請求項1に記載の陰圧療法ドレッシング。
【請求項9】
前記マニホールド層が、前記患者の肩領域に適用されるように構成されており、本体部分が、前記患者の前記肩領域の横側及び上側に対応し、前記第1のウイングが、前記患者の前記肩領域の前側に対応し、前記第2のウイングが、前記患者の前記肩領域の後側に対応する、請求項1に記載の陰圧療法ドレッシング。
【請求項10】
密封可能な体積を画定し、第1の方向に延びる本体部分と、前記本体部分の第1の側において位置決めされた第1のウイングとを備えるドレッシングであって、第1の間隙が、前記第1のウイングの第1の先端と前記本体部分の前記第1の側との間に設けられているように、前記第1のウイングが、前記第1の側から離れるように部分的に前記第1の方向に延びる、ドレッシングと、
前記ドレッシングと流体連通して置かれているように構成されており、陰圧を前記密封可能な体積において確立するように動作可能である陰圧源と
を備える陰圧療法システム。
【請求項11】
前記陰圧療法システムが、患者の肩を不動化するように構成された不動化装置を更に備え、前記陰圧源が、前記不動化装置に結合されている、請求項10に記載の陰圧療法システム。
【請求項12】
前記ドレッシングが、接着性ボーダーを備える、請求項10に記載の陰圧療法システム。
【請求項13】
前記接着性ボーダーが、前記間隙にわたって延びる、請求項12に記載の陰圧療法システム。
【請求項14】
前記接着性ボーダーが、前記間隙内の前記接着性ボーダーの引き裂き又は切断を容易にするために、前記間隙内に穿孔されている、請求項13に記載の陰圧療法システム。
【請求項15】
前記ドレッシングが、前記本体部分の第2の側において位置決めされた第2のウイングを更に備え、第2の間隙が、前記第2のウイングの第2の先端と前記本体部分の前記第2の側との間に設けられているように、前記第2のウイングが、前記第1の側から離れるように部分的に前記第1の方向に延びる、請求項10に記載の陰圧療法システム。
【請求項16】
前記本体部分が、前記第1のウイングと前記第2のウイングとの間に延びる凹状縁部を備える、請求項15に記載の陰圧療法システム。
【請求項17】
前記ドレッシングが、前記本体部分の長手方向軸を中心として対称である、請求項15に記載の陰圧療法システム。
【請求項18】
前記第1のウイングが、楕円形状を備える、請求項10に記載の陰圧療法システム。
【請求項19】
陰圧療法を提供する方法であって、
ドレッシングの本体部分を患者の関節領域の横側に沿って位置決めすることと、
前記ドレッシングの第1のウイングを前記患者の前記関節領域の前側に沿って位置決めするように、前記ドレッシングを屈曲させることと、
前記ドレッシングの第2のウイングを前記患者の前記関節領域の後側に沿って位置決めするように、前記ドレッシングを屈曲させることと、
前記ドレッシングを前記関節領域に適合させるように、前記本体部分と前記第1のウイングとの間の第1の間隙、及び前記第2のウイングと前記本体部分との間の第2の間隙を調整することと、
前記ドレッシングの接着性ボーダーを使用して、実質的に気密なシールを前記ドレッシングと前記関節領域との間に確立することと、
前記ドレッシングを陰圧源に結合することと、
陰圧を前記ドレッシング及び前記関節領域において確立するように、前記陰圧源を動作させることと
を含む方法。
【請求項20】
前記関節領域が、前記患者の肩、肘、臀部、膝、又は足首のうちの少なくとも1つを含み、
前記第1の間隙近接する前記接着剤層内に切断又は引き裂きを作ることと、
前記接着剤層が前記第1の間隙の調整を維持するために自己接着するように、前記接着剤層を前記切断又は引き裂きにおいて重ね合わせることと
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の間隙を調整することが、
前記第1の間隙近接する前記接着剤層内に切断又は引き裂きを作ることと、
前記接着剤層が前記第1の間隙の調整を維持するために自己接着するように、前記接着剤層を前記切断又は引き裂きにおいて重ね合わせることと
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の間隙を調整することが、前記第1のウイングの先端と前記本体部分の第1の側との間の距離を減少させることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記方法が、
不動化装置を使用して、前記関節領域を不動化することと、
前記陰圧装置を前記不動化装置に結合することと
を更に含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている2020年9月8日に出願された米国仮出願第63/075,466号の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して、創傷療法システムに関し、特に、陰圧創傷閉鎖療法を1つ以上の肩切開の部位に提供するように構成された創傷療法システムに関する。
【0003】
陰圧創傷閉鎖療法(Negative Pressure Wound Therapy、NPWT)は、創傷治癒を促進するために、陰圧を創傷治療領域に適用することを含むあるタイプの創傷療法である。NPWTは、肩関節鏡視下手術によって引き起こされた、肩領域内の創傷を治療するために使用され得る。NPWT療法における最近の発展は、創傷及び周辺の領域を治療するために創傷の上に位置決めされ得る接着性創傷ドレッシングの使用を含む。しかしながら、存在する接着性NPWTドレッシングは、主に、線形創傷を治療するために設計された線形ドレッシングである。ほとんどの事例において、いくつかの肩手術は、非線形構成において配置された3つの切開を含む。例えば、いくつかの手術法において、第1の切開は、患者の肩の前部において作られ、第2の切開は、患者の肩の後部において作られ、第3の切開は、患者の肩近接する患者の腕の頂部において作られる。従来のNPWTドレッシングは、線形切開を治療するように構成されており、肩関節鏡視下手術において使用される特定の切開パターンを治療するために修正するのに時間がかかり得る。人体の他の領域(及び人体上の切開又は他の創傷)はまた、従来のNPWTドレッシングで覆うことが困難であり得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一実装態様陰圧療法ドレッシング。陰圧療法ドレッシングは、ドレープ層と、ドレッシングが患者に適用されているときに、シールをドレープ層と皮膚との間に提供するように構成された接着性ボーダーと、ドレープ層に結合されたマニホールド層とを含む。マニホールド層は、第1の方向に延びる本体部分と、本体部分の第1の側において位置決めされた第1のウイングと、第1の側とは反対の、本体部分の第2の側において位置決めされた第2のウイングとを含む。第1の間隙が、第1のウイングの第1の先端と本体部分の第1の側との間に設けられているように、第1のウイングは、第1の側から離れるように部分的に第1の方向に延びる。第2の間隙が、第2のウイングの第2の先端と本体部分の第2の側との間に設けられているように、第2のウイングは、第2の側から離れるように部分的に第1の方向に延びる。
【0005】
いくつかの実施形態において、接着性ボーダーは、間隙にわたって延びる。接着性ボーダーは、間隙内の接着性ボーダーの引き裂き又は切断を容易にするために、間隙内に穿孔されてもよい。接着性ボーダーは、皮膚と、接着性ボーダーと、ドレープとに選択的に接着するように構成された接着剤を含んでもよい。
【0006】
いくつかの実施形態において、マニホールド層は、マニホールド層の適合性を容易にするために、刻み目を有する。マニホールド層は、本体部分の長手方向軸を中心として対称であってもよい。
【0007】
いくつかの実施形態において、本体部分は、第1のウイングと第2のウイングとの間に延びる凹状縁部を含む。第1のウイングは、楕円形状を含んでもよい。マニホールド層は、患者の肩領域に適用されるように構成されてもよく、本体部分は、患者の肩領域の横側及び上側に対応し、第1のウイングは、患者の肩領域の前側に対応し、第2のウイングは、患者の肩領域の後側に対応する。
【0008】
本開示の別の実装態様は、陰圧療法システムである。陰圧療法システムは、ドレッシングを含み、ドレッシングは、密封可能な体積を画定し、第1の方向に延びる本体部分と、本体部分の第1の側において位置決めされた第1のウイングとを備える。第1の間隙が、第1のウイングの第1の先端と本体部分の第1の側との間に設けられているように、第1のウイングは、第1の側から離れるように部分的に第1の方向に延びる。陰圧療法システムは、陰圧源を含み、陰圧源は、ドレッシングと流体連通して置かれているように構成されており、陰圧を密封可能な体積において確立するように動作可能である。
【0009】
陰圧療法システムはまた、患者の肩を不動化するように構成された不動化装置を含んでもよい。陰圧源は、不動化装置に結合され得る。
【0010】
いくつかの実施形態において、ドレッシングは、接着性ボーダーを含む。接着性ボーダーは、間隙にわたって延びてもよい。接着性ボーダーは、間隙内の接着性ボーダーの引き裂き又は切断を容易にするために、間隙内に穿孔されてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、ドレッシングはまた、本体部分の第2の側において位置決めされた第2のウイングを含む。第2の間隙が、第2のウイングの第2の先端と本体部分の第2の側との間に設けられているように、第2のウイングは、第1の側から離れるように部分的に第1の方向に延びる。本体部分は、第1のウイングと第2のウイングとの間に延びる凹状縁部を含んでもよい。ドレッシングは、本体部分の長手方向軸を中心として対称であってもよい。第1のウイングは、楕円形状を有してもよい。
【0012】
本開示の一実装態様は、陰圧療法を提供する方法である。方法は、ドレッシングの本体部分を患者の肩領域の横側に沿って位置決めすることと、ドレッシングの第1のウイングを患者の肩領域の前側に沿って位置決めするように、ドレッシングを屈曲させることと、ドレッシングの第2のウイングを患者の肩領域の後側に沿って位置決めするように、ドレッシングを屈曲させることと、ドレッシングを肩領域に適合させるように、本体部分と第1のウイングとの間の第1の間隙、及び第2のウイングと本体部分との間の第2の間隙を調整することと、ドレッシングの接着性ボーダーを使用して、実質的に気密なシールをドレッシングと肩領域との間に確立することと、ドレッシングを陰圧源に結合することと、陰圧をドレッシング及び肩領域において確立するように、陰圧源を動作させることとを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1の間隙を調整することは、第1の間隙近接する接着剤層内に切断又は引き裂きを作ることと、接着剤層が第1の間隙の調整を維持するために自己接着するように、接着剤層を切断又は引き裂きにおいて重ね合わせることとを含む。第1の間隙を調整することは、第1のウイングの先端と本体部分の第1の側との間の距離を減少させることを含んでもよい。
【0014】
いくつかの実施形態において、方法はまた、不動化装置を使用して、肩領域を不動化することと、陰圧装置を不動化装置に結合することとを含む。
【0015】
概要は、例示のみであり、なんら限定することは意図されていないことが、当業者には理解されよう。特許請求の範囲によってのみ定義されている、本明細書に記載の装置及び/又はプロセスの他の態様、発明の特徴、及び利点は、本明細書に記載されており添付の図面と併せて理解される詳細な説明において明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】肩手術を受けている典型的な患者の肩領域の斜視図である。
【
図2】例示的な実施形態による創傷ドレッシングの正面図である。
【
図3】例示的な実施形態による
図2の創傷ドレッシングの斜視図である。
【
図4】例示的な実施形態による
図2の創傷ドレッシングの分解図である。
【
図5】例示的な実施形態による
図2の創傷ドレッシングのマニホールド層の斜視図である。
【
図6】別の例示的な実施形態による
図2の創傷ドレッシングのマニホールド層の分解図である。
【
図7】典型的な患者の肩に接着する
図2の創傷ドレッシングの斜視図である。
【
図8】例示的な実施形態による肩ドレッシングの斜視図である。
【
図9】例示的な実施形態による
図8の肩ドレッシングの一実施形態の上面図である。
【
図10】例示的な実施形態による
図8の肩ドレッシングの別の実施形態の上面図である。
【
図11】例示的な実施形態による
図8の肩ドレッシングの更に別の実施形態の上面図である。
【
図12】例示的な実施形態による、第1の適用場所及び向きにおいて患者に適用された
図8の肩ドレッシングの図である。
【
図13】例示的な実施形態による、第2の適用場所及び向きにおいて患者に適用された
図8の肩ドレッシングの図である。
【
図14】例示的な実施形態による、第3の適用場所及び向きにおいて患者に適用された
図8の肩ドレッシングの図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
概要
図を概して参照すると、様々な実施形態によれば、湾曲した身体部分の創傷を治療するための創傷療法システムが示されている。より具体的には、創傷療法システムは、肩領域内の創傷を治療するためのものである。創傷療法システムは、創傷ドレッシングと、陰圧創傷閉鎖療法(NPWT)システムとを含む。語句「陰圧」は、周囲圧力又は大気圧未満の圧力を意味する。創傷治療領域に適用される減圧の量及び性質は、用途に従って変更され得るが、減圧は、典型的には、-5mmHg~-500mmHgの間であり、より典型的には、-100mmHg~-300mmHgの間である。
【0018】
図1は、肩関節鏡視下手術を受けている患者の例示的な肩10を示す。肩関節鏡視下手術は、典型的には、患者の肩の上部の前部における第1の切開14と、患者の肩の上部の後部における第2の切開18と、患者の腕の上部における第3の切開22とを含む。創傷治療領域は、第1の切開14と、第1の切開14の周辺の健康な組織と、第2の切開18と、第2の切開18の周辺の健康な組織と、第3の切開22と、第2の切開18の周辺の健康な組織とを含む。本明細書に記載の創傷ドレッシングは、創傷治療領域を実質的に覆いNPWTを創傷治療領域に適用するように構成されている。肩関節鏡視下手術中に、数リットルの流体が肩領域内に圧送される。NPWTを創傷治療領域全体に適用することは、切開の周辺の健康な組織を上昇させることによって患者治癒を容易にすることができ、これは、患者の身体のリンパ系による流体の吸収を容易にする。いくつかの実施形態において、NPWTシステムは、身体が吸収することができない過剰な流体を除去することができる。例えば、流体(創傷滲出液、手術中に注入された流体など)は、陰圧導管又は専用の排出管路を介して創傷治療領域から排出され得る。流体は、NPWTシステムの除去流体リザーバ(removed fluid reservoir)によって収集され得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、創傷ドレッシングは、実質的にT字形状を有し、第1のローブと、第2のローブと、第3のローブとを含む。第1のローブ及び第2のローブは、概して位置合わせされており、第3のローブは、第1のローブ及び第2のローブに概して垂直である。第1のローブ及び第2のローブは、実質的に半楕円形であり、第3のローブは、実質的に円形である。第1のローブ及び第2のローブは、第1のローブ、第2のローブ、及び第3のローブよりも狭い接続部分によって、第3のローブに接続されている。創傷ドレッシングは、患者の肩に巻き付くような形状を有する。第1のローブは、患者の肩の前部における、第1の切開14と、第1の切開14の周辺の健康な組織との上に位置するように構成されている。第2のローブは、患者の肩の後部における、第2の切開18と、第2の切開18の周辺の健康な組織との上に位置するように構成されている。第3のローブは、患者の腕の上部における、第3の切開22と、第3の切開22の周辺の健康な組織との上に位置するように構成されている。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシングは、第3のローブと概して位置合わせされた凹状輪郭を含む。凹状輪郭は、創傷ドレッシングが患者の僧帽筋の上に位置することを防止するように構成されている。創傷ドレッシングの形状は、創傷ドレッシングを左肩上又は右肩上のいずれかに置くことを可能にするように、概して対称である。
【0020】
いくつかの実施形態において、創傷ドレッシングは、肩創傷治療領域に適合するように構成された実質的に3D形状を有する。このような実施形態において、創傷ドレッシングは、第1の部分と、第1の部分に対して角度が付けられた第2の部分とを含む肘形状のチャネルを形成する。いくつかの実施形態において、第2の部分は、第1の部分に対して実質的に鈍角にある。第1の部分は、患者の肩の前部における第1の切開及び周辺の健康な組織と、患者の肩の頂部と、患者の肩の後部における第2の切開及び周辺の健康な組織との上に位置するように構成されている。いくつかの実施形態において、第1のローブ及び第2のローブは、第1の部分から延びる。いくつかの実施形態において、第1のローブ及び第2のローブは、第1の部分に対して概して垂直である。第1のローブは、第1の切開と、第1の切開の周辺の健康な組織との上に位置するように構成されている。第2のローブは、第2の切開と、第1の切開の周辺の健康な組織との上に位置するように構成されている。
【0021】
創傷ドレッシングは、吊り包帯又はベルトなどの不動化装置と併せて使用され得、不動化装置は、患者の肩関節を不動化するために、患者の腕を患者の胴体に対して不動化するように構成されている。陰圧源又はポンプ、及び除去流体容器は、不動化装置に一体化されている。創傷ドレッシングは、創傷ドレッシングと、陰圧源結合されている陰圧導管との間の流体連通を容易にする陰圧界面を含む。NPWTシステム近接する陰圧導管の一部分は、不動化装置内に位置決めされている。不動化装置とのNPWTシステムの一体化は、患者がNPWTを受けている間に患者が陰圧源を好都合に運ぶことを可能にする。
【0022】
いくつかの実施形態において、創傷ドレッシングは、過剰な流体を創傷治療領域から排出するように構成されている。このような実施形態において、除去流体容器は、創傷治療領域から除去された流体(例えば、創傷滲出液、手術中に注入された流体など)を貯蔵するように構成され得る。いくつかの実施形態において、除去流体容器は、陰圧源の上流に位置決めされており、このため、流体は、陰圧導管を介して創傷ドレッシングから排出され得、除去流体容器内に蓄積され得る。他の実施形態において、除去流体容器は、陰圧導管とは別個である流体除去管路を介して、創傷治療領域に流体結合され得る。NPWTは、漿液腫、恐怖、感染、又は他の有害な合併症が創傷に発症する機会を低減するのに役立つことができる。
【0023】
創傷療法システムの更なる特徴及び利点について、以下に詳細に説明する。
【0024】
創傷ドレッシング
ここで
図2~
図4を参照すると、例示的な実施形態によれば、創傷ドレッシング100が示されている。
図2は、創傷ドレッシング100の正面図である。
図3は、創傷ドレッシング100の斜視図である。
図4は、創傷ドレッシング100のいくつかの層120~148を示す分解図である。
【0025】
様々な実施形態において、創傷ドレッシング100は、創傷への局所適用のための実質的に平坦なシートとして形成され得る。創傷ドレッシング100は、概して平面であるが、患者の肩における創傷治療領域の三次元形状に適合するように、患者の肩に巻き付くことができる。創傷ドレッシング100は、実質的にT字形状を有し、第1のローブ104と、第2のローブ108と、第3のローブ112とを含む。第1のローブ104及び第2のローブ108は、実質的に半楕円形であり、軸Aに沿って位置合わせされている。第3のローブ112は、実質的に円形であり、第3のローブ112よりも狭い接続部分116によって、第1のローブ104及び第2のローブ108に接続されている。第3のローブ112は、第1のローブ104及び第2のローブ108に実質的に垂直である。第1のローブ104は、患者の肩の前部における切開と、該切開の周辺の健康な組織との上に位置するように構成されている。第2のローブ108は、患者の肩10の後部における切開と、該切開の周辺の健康な組織との上に位置するように構成されている。第3のローブ112は、患者の腕の上部における切開と、該切開の周辺の健康な組織との上に位置するように構成されている。創傷ドレッシング100は、軸Bを中心として実質的に対称であり、このため、創傷ドレッシング100は、修正を必要とせずに、患者の右肩上に又は患者の左肩上に展開され得る。
【0026】
創傷ドレッシング100は、ドレープ層120と、マニホールド層124と、創傷界面層128と、半剛性支持層132と、第1の接着剤層136と、第2の接着剤層140とを含む複数の層を含むように図示されている。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング100は、使用前にマニホールド層124と創傷界面層128と第2の接着剤層140とを覆うために、取り外し可能なカバーシート148を含む。
【0027】
ドレープ層
ドレープ層120は、第1の表面152と、第1の表面152とは反対の、創傷に面する第2の表面156とを含むように図示されている。創傷ドレッシング100が創傷に適用されているときに、第1の表面152は、創傷から離れるように向き、第2の表面156は、創傷に向かって向く。ドレープ層120は、マニホールド層124及び創傷界面層128を支持し、微生物が創傷ドレッシング100を通過するのを妨げるバリアを提供する。ドレープ層120は、密封空間を創傷又は切開の上に提供するように構成されている。いくつかの実施形態において、ドレープ層120は、エラストマー材料であり、又は流体シールを提供する任意の材料であってもよい。「流体シール」は、特定の減圧サブシステムが関与する場合に、圧力を所望の部位において保持するのに適切なシールを意味する。用語「エラストマー」は、エラストマーの特性を有することを意味し、概して、ゴム状弾性を有するポリマー材料を指す。エラストマーの例として、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリスルフィドゴム、ポリウレタン、EVAフィルム、コポリエステル、及びシリコーンが挙げられ得るが、これらに限定されない。非限定的な例として、ドレープ層120は、シリコーンを含む材料、3M Tegaderm(登録商標)ドレープ材料、Averyから入手可能なものなどのアクリルドレープ材料、又は切開ドレープ材料から形成されてもよい。
【0028】
ドレープ層120は、液体に実質的に不透過性であってもよく、水蒸気に実質的に透過性であってもよい。換言すれば、ドレープ層120は、水蒸気に透過性であってもよいが、液体水又は創傷滲出液に透過性でなくてもよい。これは、湿潤創傷環境を促進しつつ、創傷ドレッシング100の総流体処理能力(Total Fluid Handling Capacity、TFHC)を増加させる。いくつかの実施形態において、ドレープ層120はまた、細菌及び他の微生物に不透過性である。いくつかの実施形態において、ドレープ層120は、水分をマニホールド層124からウィッキングし、水分を第1の表面152にわたって分配するように構成されている。
【0029】
図4に示すように、ドレープ層120は、マニホールド層124と、創傷界面層128と、第1の接着剤層136とを受容するためのキャビティ122を画定する。マニホールド層124、創傷界面層128、及び第1の接着剤層136は、同様の周囲又はプロファイルを有することができる。いくつかの実施形態において、ドレープ層120の周囲は、周縁部160を提供するように、マニホールド層124の周囲を越えて延びる(例えば、マニホールド層124の周囲に外接する)。第1の接着剤層136は、第1の表面164と、創傷に面する第2の表面168とを含む。第1の表面164及び第2の表面168の両方は、アクリル接着剤、シリコーン接着剤、及び/又は他の接着剤などの接着剤でコーティングされている。第1の接着剤層136の第1の表面164は、創傷界面層128の第2の表面172に固定されている。第1の接着剤層136の第2の表面168は、第2の接着剤層140に固定されている。第2の接着剤層140は、第1の表面176と、創傷に面する第2の表面180とを含む。第1の接着剤層136の第2の表面168は、第2の接着剤層140の第1の表面176に固定されている。第2の接着剤層140の第2の表面180は、アクリル接着剤、シリコーン接着剤、及び/又は他の接着剤でコーティングされている。第2の接着剤層140の第2の表面180に適用された接着剤は、創傷ドレッシング100が患者の組織の表面に接着することと、創傷ドレッシング100が着用時間にわたって適所にとどまることとを確実にするように意図されている。第2の接着剤層140は、周縁部160の周囲又はプロファイルと同様である周囲又はプロファイルを有する。図示の実施形態において、第2の接着剤層140の第1の表面176は、周縁部160に溶接されている。別の実施形態において、第2の接着剤層の第1の表面176は、アクリル接着剤、シリコーン接着剤、又は別のタイプの接着剤などの接着剤を使用して、周縁部160に固定されている。周縁部160及び/又は第2の接着剤層140は、創傷ドレッシング100がいわゆるアイランドドレッシングであるように、マニホールド層124の全ての側の周りに延びることができる。他の実施形態において、周縁部160及び/又は第2の接着剤層140は、取り除かれ得、創傷ドレッシング100は、他の技法を使用して、患者の組織に接着することができる。いくつかの実施形態において、第1の接着剤層136及び第2の接着剤層140は、ベース層を共同で形成することができ、ベース層は、両方の側上に接着剤を含み、接着剤は、(i)ドレープ層120をマニホールド層124、任意選択の創傷界面層128に固定するように構成されており、(ii)創傷ドレッシング100を患者の組織に固定するように構成されている。いくつかの実施形態において、ベース層は、ドレープ層120と一体的に形成され得る。いくつかの実施形態において、ベース層は、第1の表面と、創傷に面する第2の表面とを有するポリウレタンフィルムの層であり得る。第1の表面及び第2の表面の両方は、(アクリル又はシリコーン接着剤などの)接着剤でコーティングされ得る。いくつかの実施形態において、ベース層の創傷に面する表面は、親水コロイド接着剤を含むことができる。
【0030】
いくつかの実施形態において、減圧界面192は、ドレープ層120と一体化され得る。減圧界面192は、陰圧導管272を介して陰圧システムと流体連通することができる。減圧界面192は、陰圧源268によって生成された陰圧が創傷ドレッシング100(例えば、ドレープ層120を介する)に適用され得るように、減圧界面192と陰圧源268との間に結合された陰圧導管272を介する陰圧源268(
図7)と創傷ドレッシング100(例えば、ドレープ層120を介する)との間の流体連通を可能にするように構成されている。いくつかの実施形態において、減圧界面192は、ドレープ層120と一体化され得る(例えば、ドレープ層120と一体的に形成され得る)。他の実施形態において、減圧界面192は、ドレープ層120とは別個であることができ、ユーザによってドレープ層120に結合されるように構成され得る。図示の実施形態において、減圧界面192は、第3のノード112の上に位置決めされている。他の実施形態において、減圧界面192は、ドレープ層120上の他の場所に位置決めされ得る。
【0031】
図4を引き続き参照すると、半剛性支持層132は、ドレープ層120の第1の表面152の上に位置決めされている。半剛性支持層132は、周縁部160及び第2の接着剤層140から離間するが、周縁部160及び第2の接着剤層140近接する。半剛性支持層132は、半剛性材料から作製されており、創傷ドレッシング100が患者の表面に固定される前に、創傷ドレッシング100が剛性を維持するのに役立つ。半剛性支持層132は、創傷ドレッシング100が患者の組織に固定された後に、ドレープ層120から取り外されることが意図されている。
【0032】
いくつかの実施形態において、ドレープ層120の第2の表面156は、マニホールド層124と接触する。ドレープ層120の第2の表面156は、マニホールド層124に接着してもよく、又は接着剤を使用せずにマニホールド層124に単に接触してもよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、ドレープ層120の第2の表面156に適用された接着剤は、水蒸気透過性であり、及び/又は水蒸気が接着剤を通過することを可能にするようにパターン化されている。接着剤は、アイランドタイプの創傷ドレッシングのために従来使用されるタイプの連続水蒸気透過性感圧接着剤層(例えば、ポリウレタンベースの感圧接着剤)を含んでもよい。
【0034】
マニホールド層
図5を参照すると、マニホールド層124は、第1の表面196と、第1の表面196とは反対の、創傷に面する第2の表面200とを含むように示されている。創傷ドレッシング100が創傷に適用されているときに、第1の表面196は、創傷から離れるように向き、第2の表面200は、創傷に向かって向く。いくつかの実施形態において、マニホールド層124の第1の表面196は、ドレープ層120の第2の表面156に接触する。いくつかの実施形態において、マニホールド層124の第2の表面200は、創傷界面層128に接触する。マニホールド層124は、陰圧を創傷及び/若しくは切開における患者の組織に伝達するように、並びに/又は陰圧を創傷及び/若しくは切開近接する患者の組織に伝達するように構成されている。マニホールド層124は、流体(例えば、滲出液)を創傷からウィッキングするように構成されており、陰圧創傷閉鎖療法治療中に陰圧を創傷ドレッシング100全体に分配するためのインモールドマニホールド層構造を含む。
【0035】
マニホールド層124は、多孔質透過性発泡体様材料から作製され得、特に、減圧下で間に創傷流体の良好な透過性を可能にする網状連続気泡ポリウレタン又はポリエーテル発泡体から作製され得る。使用されている1つのこのような発泡材料は、テキサス州サンアントニオのKinetic Concepts,Inc.(KCI)から入手可能であるV.A.C.(登録商標)Granufoam(商標)材料である。マニホールド層124が、減圧を分配するように動作可能であり、分配された圧縮力を創傷治療領域に沿って提供するように動作可能である限り、任意の材料又は材料の組み合わせが、マニホールド層124のために使用されてもよい。
【0036】
約400~600マイクロメートルの範囲であるGranufoam(商標)材料の網状細孔が好ましいが、他の材料が使用されてもよい。マニホールド層材料、例えばGranufoam(商標)材料の密度は、典型的には、約1.3lb/ft3~1.6lb/ft3(20.8kg/m3~25.6kg/m3)の範囲である。Granufoam(商標)材料よりも高い密度(Granufoam(商標)材料よりも小さい細孔径)を有する材料が、いくつかの状況において望ましいことがある。例えば、1.6lb/ft3(25.6kg/m3)超の密度を有するGranufoam(商標)材料又は同様の材料が使用されてもよい。別の例として、2.0lb/ft3(32kg/m3)超若しくは5.0lb/ft3(80.1kg/m3)超の密度又は更に高い密度を有するGranufoam(商標)材料又は同様の材料が使用されてもよい。材料が高い密度であるほど、所与の減圧のために生成され得る圧縮力はより高い。組織部位における組織未満の密度を有する発泡体が、マニホールド層材料として使用されている場合に、上昇力が生じ得る。例示的な一実施形態において、創傷ドレッシング100の一部分、例えば、創傷ドレッシング100の縁部は、圧縮力を及ぼすことができ、別の部分、例えば、中央部は、上昇力を提供することができる。
【0037】
マニホールド層材料は、後で発泡体の元の厚さの約3分の1(1/3)の厚さにフェルト化される網状発泡体であってもよい。多くの可能なマニホールド層材料の中でも、以下のもの、Granufoam(商標)材料又はFoamex(登録商標)技術発泡体(www.foamex.com)が使用されてもよい。いくつかの事例において、マイクロボンディングプロセスにおいてイオン性銀を発泡体に追加する、又は抗菌剤などの他の物質をマニホールド層材料に追加することが望ましいことがある。マニホールド層材料は、減圧の適用中に望まれる圧縮力の正確な向きに依存して、等方性又は異方性であってもよい。マニホールド層材料はまた、生体吸収性材料であってもよい。
【0038】
図2~
図5に示すように、マニホールド層124は、軸Bを中心として概して対称である。マニホールド層124は、実質的にT字形状を有し、第1のローブ204と、第2のローブ208と、第3のローブ212とを含む。マニホールド層124は、約7.44インチ~11.16インチの範囲の長さLを有することができる。いくつかの実施形態において、長さLは、約9.3インチである。マニホールド層124は、約7.76インチ~約11.64インチの範囲の幅Wを有することができる。いくつかの実施形態において、幅Wは、約9.7インチである。マニホールド層124は、約0.64インチ~0.96インチの範囲の厚さTを有することができる。いくつかの実施形態において、厚さTは、約0.8インチである。
【0039】
第1のローブ204及び第2のローブ208は、実質的に楕円形である。第1のローブ204及び第2のローブ208はそれぞれ、約1.04インチ~1.56インチの範囲の曲率半径rc1を有することができる。いくつかの実施形態において、第1のローブ204及び第2のローブ208はそれぞれ、約1.3インチの曲率半径を有することができる。第1のローブ204及び第2のローブは、軸Aに沿って実質的に位置合わせされている。凹部216は、第1のローブ204と第2のローブ208との間にある、創傷ドレッシング100の周囲の一部分に沿って延びる。凹部216は、軸Bに沿って第3のローブ212と実質的に位置合わせされている。凹部216は、創傷ドレッシング100が患者の肩に固定されているときに、創傷ドレッシングが患者の僧帽筋の上に位置する及び/又は患者の首に接触することを防止するように、位置決めされている。凹部216は、約4インチ~約6インチの範囲の曲率半径rc2を有することができる。いくつかの実施形態において、曲率半径rc2は、約5インチであり得る。
【0040】
第3のローブ212は、第1のローブ204及び第2のローブ208に実質的に垂直である。第3のローブ212は、実質的に円形である。第3のローブは、約1.6インチ~約2.4インチの範囲の曲率半径rc3を有することができる。いくつかの実施形態において、曲率半径rc3は、約2.0インチであり得る。第3のローブ212は、接続部分220によって第1のローブ204及び第2のローブ208に接続されている。接続部分220は、第3のローブ212の直径Dよりも小さい幅WCPを有する。接続部分の幅WCPは、約1.2インチ~約1.8インチの範囲であり得る。いくつかの実施形態において、幅WCPは、約1.5インチであり得る。
【0041】
図5に最も良好に示すように、スコアリングパターン226は、マニホールド層124の第1の表面196内に形成されている。スコアリングパターン226は、例えば、マニホールド層124内に形成された(例えば、レーザースコアリング又は他の好適なプロセスによって形成された)「スリット」又は刻み目(例えば、「マンゴーカット」)の配置として図示されている。特に、スコアリングパターン226は、マニホールド層124の第1の表面196内に切り込まれている。
図5の実施形態において、スコアリングパターン226は、第1の表面196と第2の表面200との間に延びるが、第2の表面200に完全に延びない。スコアリングパターン226は、約0.2インチ~0.5インチの範囲であり得る深さD
Sを有することができる。いくつかの実施形態において、深さD
Sは、約0.28インチである。図示の実施形態によれば、スコアリングパターン226は、概して正方形パターンである。しかしながら、他の実施形態において、スコアリングパターン226は、異なる幾何学的パターンであり得る。創傷ドレッシング100が、創傷治療領域の概して平坦な(例えば、二次元の)部分、例えば、肩の前部又は患者の肩の後部上に使用されているときに、スコアリングパターン226の刻み目228は、概して垂直であり、スコアリングパターン226の隣接する刻み目228に密に近接する。いくつかの事例において、創傷ドレッシング100が、肩の前部と肩の頂部との間、肩の後部と肩の頂部との間、及び肩と腕の頂部との間に延びる、表面の移行部分などの湾曲した(例えば、三次元の)表面に固定されているときに、スコアリングパターン226の刻み目228は、マニホールド層124の屈曲を容易にするために、離れるように広がり、このため、マニホールド層124は、創傷治療領域の形状に密に適合する。スコアリングパターン226は、マニホールド層124が創傷治療領域における実質的に平坦な表面及び湾曲した表面の両方に適合することを可能にする。
【0042】
図6は、別の実施形態によるマニホールド層232を示す。マニホールド層232は、マニホールド層124と概して同様である。マニホールド層232は、マニホールド層124に関する上記のように、創傷ドレッシング100内に組み込まれ得る。同様の番号は、同じ番号によって示されており、マニホールド層232の部分は、プライム「’」を使用して示されている。
【0043】
図2~
図5に示すように、マニホールド層232は、軸Bを中心として概して対称である。マニホールド層232は、実質的にT字形状を有し、第1のローブ236と、第2のローブ240と、第3のローブ244とを含む。マニホールド層232は、約7.44インチ~11.16インチの範囲の長さL’を有することができる。いくつかの実施形態において、長さL’は、約9.3インチである。マニホールド層232は、約7.76インチ~約11.64インチの範囲の幅W’を有することができる。いくつかの実施形態において、幅W’は、約9.7インチである。マニホールド層232は、約0.64インチ~0.96インチの範囲の厚さT’を有することができる。いくつかの実施形態において、厚さT’は、約0.8インチである。
【0044】
マニホールド層232は、
図5に関する上記の第1のローブ236と、第2のローブ240と、第3のローブ244とを含む。第1のローブ236及び第2のローブ240は、実質的に楕円形である。第1のローブ236及び第2のローブは、軸A’に沿って実質的に位置合わせされている。凸部248は、第1のローブ236と第2のローブ240との間にある、創傷ドレッシング100の周囲の一部分に沿って延びる。凸部248は、軸B’に沿って第3のローブ244と実質的に位置合わせされている。凸部248は、約4インチ~約6インチの範囲の曲率半径rc
4を有することができる。いくつかの実施形態において、曲率半径rc
4は、約5インチであり得る。
【0045】
創傷界面層
創傷界面層128は、第1の表面222と、第1の表面222とは反対の、創傷に面する第2の表面224とを含むように図示されている。創傷ドレッシング100が創傷に適用されているときに、第1の表面222は、創傷から離れるように向き、第2の表面224は、創傷に向かって向く。いくつかの実施形態において、創傷界面層128の第1の表面222は、マニホールド層124の第2の表面224に接触する。いくつかの実施形態において、創傷界面層128の第2の表面224は、患者の組織に接触する。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング100は、創傷界面層128を含まなくてもよい。
【0046】
創傷界面層128は、ウィッキング材料から作製されており、ウィッキング材料は、流体透過性であり、患者の組織を刺激しないことが意図されている。図示の実施形態において、創傷界面層は、Milliken Fabricなどのポリエステルピケ編織物である。他の実施形態において、他の透過性非刺激性布地が使用され得る。創傷界面層128はまた、抗菌材料で処理され得る。図示の実施形態において、創傷界面層128は、銀イオンを抗菌材料として含む。他の実施形態において、他の抗菌材料が使用されてもよい。
【0047】
一体化された不動化装置及びNPWTシステム
ここで
図7を参照すると、創傷ドレッシング100は、不動化装置252と併せて使用される。不動化装置252は、患者の肩の動きを制限するために患者の腕を患者の肩に対して不動化するように構成されている。
図7に示す実施形態において、不動化装置252は、吊り包帯である。吊り包帯は、腕受容部分256と、ショルダストラップ260とを含む。腕受容部分256は、損傷した肩に対応する腕の少なくとも前腕及び肘を受容するように構成されている。ショルダストラップ260は、腕受容部分256に結合されており、患者の損傷した肩に対応する腕を支持するために、患者の損傷していない肩の上に位置決めされているように構成されている。いくつかの実施形態において、吊り包帯は、吊り包帯の腕受容部分256を患者の胴体に対して不動化するように構成されたベルト(図示せず)を含む。他の実施形態において、不動化装置252は、
図12に以下に示すようなベルトであり得る。
【0048】
NPWTシステム262は、除去流体容器264と、陰圧導管272を介して創傷ドレッシング100と流体連通する陰圧源又はポンプ268とを更に含む。いくつかの実施形態において、ポンプ268は、電動ポンプ268であり得る。このような実施形態において、NPWTシステム262は、電力をポンプ268に供給するように構成された電池を更に含む。他の実施形態において、ポンプ268は、非電動ポンプである。このような実施形態において、ポンプ268は、患者によって手動で作動することができる。除去流体容器264は、切開14、18、22(
図1)から除去された流体を貯蔵するように構成され得る。除去された流体は、例えば、創傷滲出液(例えば、体液)、空気、手術中に創傷治療領域内に注入された流体、又は創傷治療中に切開240から除去され得る任意の他のタイプの流体を含むことができる。
【0049】
NPWTシステム262は、陰圧導管272によって創傷ドレッシング100に結合されている。陰圧導管272は、創傷ドレッシング100の減圧界面192に結合された第1の端部276と、NPWTシステム262に結合された第2の端部280とを有する。図示の実施形態において、陰圧導管272は、マルチルーメン導管である。陰圧導管272は、第1のルーメン284と、第2のルーメン288とを含む。第1のルーメン284は、陰圧を創傷ドレッシング100に適用するように構成されており、滲出液を除去流体容器264内に引き込むように構成されている。第2のルーメン288は、創傷ドレッシング100の圧力を感知するように構成されている。マルチルーメン導管を含む1つのこのようなNPWTシステム262は、テキサス州サンアントニオのKinetic Concepts,Inc.(KCI)から入手可能であるSensaT.R.A.C.(商標)システムである。
【0050】
図7に戻ると、NPWTシステム262は、不動化装置252と一体化されている。
図7に示すように、NPWTシステム262は、不動化装置252の腕受容部分256内に固定されている。例えば、NPWTシステム262は、Velcroなどの取り外し可能な接着剤を使用して不動化装置252の腕受容部分256内に固定された、腕受容部分256内に縫い付けられた、腕受容部分256のポケット内に位置決めされ得る。
図7に示すように、NPWTシステム262近接する陰圧導管272の一部分は、腕受容部分256と一体化されている。例えば、陰圧導管272は、Velcroなどの取り外し可能な接着剤を使用して不動化装置252の腕受容部分256内に固定された、腕受容部分256の通路内に位置決めされ得る。不動化装置252内へのNPWTシステム262の一体化は、患者がNPWTを受けている間に患者がNPWTシステム262を好都合に運ぶことを可能にする。
【0051】
ドレッシングの展開
図7は、患者の胴体の典型的な図において展開された創傷ドレッシング100を示す。創傷がある肩近接する患者の腕は、肩関節を不動化するために、不動化装置252によって患者の胴体に対して不動化されている。創傷ドレッシング100が、
図7に示されているが、マニホールド層232は、同様に展開され得る
図1を簡単に参照すると、創傷治療領域は、患者の肩の前部における第1の切開14及び周辺の健康な組織と、患者の肩の後部における第2の切開18及び周辺の健康な組織と、患者の腕の頂部における第3の切開22及び周辺の健康な組織とを含む。
図7に示すように、創傷ドレッシング100は、患者の腋窩の上ない。
図1及び
図7の比較から明らかなように、創傷ドレッシング100は、創傷治療領域全体を含む表面を覆うようなサイズを有する。創傷領域全体を覆うことの更なる利点は、創傷ドレッシング100が、創傷治癒を容易にするために、及びリンパ系による、手術中に注入された流体の吸収を容易にするために、陰圧及び上昇力を創傷治療領域の上に生成するように、NPWTを創傷治療領域全体に提供することができることである。いくつかの実施形態において、創傷ドレッシング100は、局所的に適用された医薬化合物と共に使用され得る。例えば、創傷ドレッシング100は、第1の切開14、第2の切開18、及び第3の切開22近接する適用されたシリコーンゲルと併せて使用され得る。シリコーンゲルは、切開14、18、22における又は切開14、18、22の近くの瘢痕を低減することができる。
【0052】
図7に示すように、減圧界面192は、第3のローブ212の上に位置決めされている。他の実施形態において、減圧界面192は、創傷ドレッシング100のドレープ層120上の他の場所に位置決めされ得る。陰圧導管272は、減圧界面192から延び、患者の腕に沿って不動化装置252内に延びる。二点鎖線を使用して図示するように、陰圧導管272は、不動化装置252と一体化されたNPWTシステム262に結合されている。創傷ドレッシング100の対称な形状に起因して、創傷ドレッシングは、左肩及び右肩の両方における創傷を治療するために使用され得る。
【0053】
患者の肩における創傷治療領域を治療するために創傷ドレッシング100を展開するために、医療従事者は、カバーシート148を創傷ドレッシング100から取り外す。次いで、医療従事者は、第1のローブ104が、患者の肩の前部における切開及び周辺の健康な組織の上に位置するように、並びに第2のローブ108が、患者の肩の後部における切開及び健康な組織の上に位置するように、創傷ドレッシング100の向きを患者の肩に対して合わせる。次いで、医療従事者は、第3のローブ112が、創傷がある肩近接する患者の腕上部における切開及び周辺の健康な組織の上に位置するように、創傷ドレッシング100の向きを合わせる。次いで、医療従事者は、第2の接着剤層140を患者の組織に固定するために、圧力をドレープ層120の周縁部160の周囲の周りに適用する。次いで、医療従事者は、不動化装置252を使用して、患者の腕を患者の胴体に対して不動化する。次いで、医療従事者は、陰圧導管272を不動化装置252内に挿入し、陰圧導管272をNPWTシステム262に結合する。次いで、医療従事者は、陰圧を創傷治療領域に適用するために、NPWTシステム262を作動させる。
【0054】
関節ドレッシング
図8~
図14を概して参照すると、様々な例示的な実施形態によれば、陰圧療法と共に使用するための別のドレッシングが示されている。特に、ドレッシング800の斜視図が、
図8に示されており、ドレッシング800の様々な実施形態の上面図が、
図9~
図11に示されている。
図12~
図14は、患者へのドレッシング800の例示的な適用を示す。これらの図について、以下に詳細に説明する。ドレッシング800は、陰圧療法システム内に含まれ得、例えば、キット内に含まれ得、キットはまた、陰圧源(例えば、ポンプ)、配管若しくは他の流体導管、及び/又は肩不動化装置(例えば、吊り包帯)を含む。
【0055】
ドレッシング800は、臨床医によって所望されるような複数の向きで患者の肩領域において置かれるように構成されており、患者の肩の広い範囲を覆うように構成されているとして、図示のために示されている。ドレッシング800は、陰圧が患者の肩において確立及び維持されることを可能にするために、陰圧源と共に使用されるように構成されている。ドレッシング800は、肩における創傷(例えば、外科的切開)の治癒を促進するために、及び/又は患者の肩における腫脹を低減するのに役立つために使用され得る。ドレッシング800はまた、様々な他の解剖学的領域、例えば、首及び上背領域、又は肩、肘、臀部、膝、若しくは足首関節等の関節領域、又は好適な幾何学形状を有する他の領域に適用され得、これらの様々な他の解剖学的領域において位置決めされ得る。
【0056】
ドレッシング800は、例えば、
図4及び
図6に示すように、並びに
図4及び
図6を参照する上記のように、他のドレッシング実施形態に関する上記の複数の層及び材料から作製され得る。例えば、ドレッシング800のマニホールド層は、ドレープ層と患者界面層との間に位置決めされ得、詳細な上記のように、ドレッシング800の屈曲及び適合を容易にするために、刻み目を有してもよい。ドレッシング800は、以下に強調して説明する更なる特徴を有して、上記の実施形態と同様に構成されている。
【0057】
ドレッシング800は、本体部分802と、本体部分802から第1の横方向に延びる第1のウイング804と、本体部分802から第1の横方向とは反対の第2の横方向に延びる第2のウイング806とを含む。本体部分802、第1のウイング804、及び第2のウイング806は、ドレープ層、マニホールド層、及び創傷界面層から作製されてもよく、ドレープ層、マニホールド層、及び創傷界面層を画定してもよい。換言すれば、ドレープ層、マニホールド層、及び創傷接触層は全て、本体部分802、第1のウイング804、及び第2のウイング806になるような形状を有し、ドレッシング800を形成するように積層されている。この説明における「第1の」及び「第2の」という用語は、ドレッシング800の異なる部分間を区別するための表示として使用され、階層を意味することは意図されていない。
【0058】
本体部分802は、長手方向に延び、第1のウイング804及び第2のウイング806は、本体部分802の1つの端部から離間する領域において本体部分802から延びる。第1のウイング804は、楕円形状を有し、間隙810が、本体部分802の第1の側808と第1のウイング804の第1の先端812との間に設けられているように、第1のウイング804は、本体部分802の第1の側808から離れるように、かつ本体部分802の長手方向に沿って延びる。本体部分802は、長手方向に沿って第1の先端812を越えて(第1の先端812よりも更に遠くに)延びる。間隙810は、15~45度の間の範囲、例えば、約30度の、本体部分802の第1の側808と第1のウイング804との間の角度によって画定され得る。
【0059】
第2のウイング806は、楕円形状を有し、間隙816が、本体部分802の第2の側814と第2のウイング806の第2の先端818との間に設けられているように、第2のウイング806は、本体部分の第2の側814から離れるように、かつ本体部分802の長手方向に沿って延びる。間隙816は、15~45度の間の範囲、例えば、約30度の、第2の側814と第2のウイング806との間の角度によって、画定され得る。
【0060】
図示の実施形態において、ドレッシング800は、本体部分802の長手方向軸を中心として対称であり、第2のウイング806は、実質的に同じ形状及びサイズを有する(例えば、一実施形態による「戦斧」の形状の)第1のウイング804の鏡像としての形状を実質的に有する。他の実施形態において、第1のウイング804及び第2のウイング806は、互いに異なる寸法又は形状を有してもよい。
【0061】
図示のように、本体部分802は、本体部分802の端部に沿って第1のウイング804と第2のウイング806との間に延びる凹状縁部820を含む。凹状縁部820は、例えば、患者の僧帽筋又は首のための空間を提供することによって、患者の肩領域へのドレッシング800の適合を容易にするように構成されている。したがって、凹状縁部820は、ドレッシング800が、周辺の組織の表面に垂直に突出する僧帽筋又は他の解剖学的特徴の上に延びるのではなく、僧帽筋又は他の解剖学的特徴の周りに延びることによって、患者に適合するのに役立つことができる。
【0062】
ドレッシング800は、接着性ボーダー822を含むように図示されている。接着性ボーダー822は、ドレッシング800の周囲の周りに延び、ドレッシング800を患者の皮膚に接着するように構成されている。接着性ボーダー822は、実質的に気密なシールをドレッシング800と患者の皮膚との間に提供することができる。様々な用途において、接着性ボーダー822はまた、接着性ボーダー822自体に又はドレッシング800の他の部分に接着するように構成されてもよい。これによって、接着性ボーダー822は、ドレッシング800を患者上の適所に(例えば、患者の肩において)固定する際の使用のために、及び密封体積をドレッシング800と患者の皮膚との間に提供するために構成されている。
【0063】
図8の斜視図から、取り外し可能な裏材824は、ドレッシング800の患者に面する側に結合されているように示されている。取り外し可能な裏材824は、ドレッシング800の出荷、保管、及び取り扱い中にドレッシング800の患者に面する側を保護し、適用時に接着性ボーダー822の接着剤及びドレッシング800の患者界面層を露出するために取り外され得る。ドレッシングが患者への適用の用意ができたときに、取り外し可能な裏材824がドレッシング800から容易に取り外されることを可能にするために、
図8に示すように、取り外し可能な裏材824には、フラップ(折り目、タブなど)が設けられ得る。
【0064】
図8はまた、ドレッシング800の本体部分802において位置決めされた接続ポート826を示す。様々な実施形態において、接続ポート826は、ドレッシング800上の他の場所に位置決めされ得る。接続ポート826は、ドレッシング800のマニホールド層を、陰圧源に延びる配管(導管など)に接続するように構成されており、これにより、マニホールド層は、陰圧源と空気連通し、陰圧源は、(例えば、空気を接続ポート826及び配管を介してマニホールド層外へ圧送することによって)陰圧をマニホールド層において確立するように動作することができる。
【0065】
ここで
図9を参照すると、例示的な実施形態によれば、ドレッシング800の第1の変形形態が上面図で示されている。
図9の例において、接着性ボーダー822は、第1のウイング804の第1の先端812と本体部分802の第1の側808との間の間隙810に完全にわたって延び、第2のウイング806の第2の先端818と本体部分802の第2の側814との間の間隙816に完全にわたって延びる。したがって、ドレッシング800を画定する層は、上記のウイング形状を有して図示されているが、
図9の例において、接着性ボーダーは、第1のウイング804と本体部分802との間の間隙810と、第2のウイング806と本体部分802との間の間隙816とを閉じる。接着性ボーダーは、患者へのドレッシング800のシールを容易にするために、間隙810、816にわたって患者の皮膚に結合され得る。他の場合に、医療提供者は、カスタマイズ可能な様式での患者へのドレッシング800の適合を容易にするために間隙810、816のうちの一方又は両方内の接着性ボーダー822を切断するために、はさみ又は他の道具を使用してもよい。
【0066】
ここで
図10を参照すると、例示的な実施形態によれば、ドレッシング800の第2の変形形態が上面図で示されている。
図10の例において、接着性ボーダー822は、間隙810、816内に穿孔されている。
図10は、第1の穿孔1000を示し、第1の穿孔1000は、本体部分802の第1の側808と第1のウイング804の第1の先端812との間の間隙810の中心線に沿って延びる(例えば、第1の側808及び第1の先端812から等しくオフセットされている)。第1の穿孔1000は、第1のウイング804と本体部分802との間の合流点から半径方向に延びる。
図10はまた、第2の穿孔1002を示し、第2の穿孔1002は、本体部分802の第2の側814と第2のウイング806の第2の先端818との間の間隙816の中心線に沿って延びる。第2の穿孔1002は、第2のウイング806と本体部分802との間の合流点から半径方向に延びる。第1の穿孔1000は、接着性ボーダー822が、制御された様式で第1の間隙810内で引き裂かれることを可能にし、第2の穿孔1002が、制御された様式で第2の間隙816内で引き裂かれることを可能にする。
【0067】
介護者によって選択的に引き裂かれたときに、第1の穿孔1000及び第2の穿孔1002は、第1の間隙810のサイズ及び第2の間隙816のサイズが、所望の幾何学形状でのドレッシング800の適用を容易にするために調整されることを可能にする。例えば、接着性ボーダー822を第1の穿孔1000に沿って引き裂くことによって、第1のウイングは、(空間を第1の穿孔1000において作ることによって)本体部分802の第1の側808から更に離れるように引っ張られてもよく、又は(第1の穿孔1000のいずれかの側からの接着剤層の部分を重ね合わせることによって)本体部分802の第1の側808により近づくように引っ張られてもよい。第2の穿孔1002は、第2の間隙816のサイズを調整するための同様のオプションを可能にする。したがって、第1の穿孔1000及び第2の穿孔1002は、異なる解剖学的領域へのドレッシング800の適用、又は異なるサイズの患者のためのドレッシング800の適用を容易にする。
【0068】
ここで
図11を参照すると、例示的な実施形態によれば、ドレッシング800の第3の変形形態が上面図で示されている。
図11の例において、接着性ボーダー822は、第1の間隙810における第1のノッチ1100と、第2の間隙816における第2のノッチ1102とを有するように形成されている。第1のノッチ1100及び第2のノッチ1102は、接着性ボーダー822が、ドレッシング800のウイング形状に実質的に一致する形状を有するようになされている。接着性ボーダー822が、第1の間隙810の一部分のみにわたって連続的に延びるように、第1のノッチ1100は、第1の間隙810内に部分的に延びる。接着性ボーダーが、第2の間隙818の一部分のみにわたって連続的に延びるように、第2のノッチ1102は、第2の間隙816内に部分的に延びる。いくつかの場合に(例えば、一部の患者について、いくつかの用途について)、第1のノッチ1100及び第2のノッチ1102は、(例えば、ノッチを拡張することによって、ノッチを低減するように材料を重ね合わせることによって)第1の間隙810及び第2の間隙816のサイズにおける十分な程度の調整可能性を可能にする。他の場合に、接着性ボーダー822は、更なる調整可能性を可能にするために、第1のノッチ1100と本体部分802の第1のウイング804との間で、及び/又は第1のノッチ1100と本体部分802の第1の側808との間で切断され得る又は引き裂かれ得る。同様に、接着性ボーダー822は、更なる調整可能性を可能にするために、第2のノッチ1102とドレッシング800の第2のウイング806との間で、及び/又は第2のノッチ1102とドレッシング800の第2の側814との間で切断され得る又は引き裂かれ得る。したがって、第1のノッチ1100及び第2のノッチ1102は、異なる解剖学的領域へのドレッシング800の適用、又は異なるサイズの患者のためのドレッシング800の適用を容易にする。
【0069】
ここで
図12を参照すると、例示的な実施形態によれば、第1の適用場所及び向きにおいて患者に適用された
図8のドレッシング800の図が示されている。
図12は、どのようにドレッシング800が患者の肩に適用され得るかのマルチアングル図を提供するために、第1の斜視
図1200、第2の斜視
図1202、及び第3の斜視
図1204を示す。第1の斜視
図1200及び第2の斜視
図1202は、患者の右肩に適用されたドレッシング800を示し、第3の斜視
図1204は、患者の左肩に適用されたドレッシング800を示す。
【0070】
図12に示すようにドレッシング800を適用するために、取り外し可能な裏材824は最初に、ドレッシング800から取り外され得る。ドレッシング800は、包装及び分配されているときに、実質的に平坦(例えば、平面)であってもよい。適用中に、ドレッシング800は、
図12に示す適用に達するために、患者の肩に適合するように屈曲する。ドレッシング800の本体部分802は、肩領域の横側(例えば、患者の外側、三角筋の上)に適合し、肩の上から肩領域の上(頂部)側に延びるように屈曲する。
図12に示すように、凹状縁部820が、肩部の上側において患者の首に最も近くに位置決めされているように、並びに第1のウイング804及び第2のウイング806がまた、肩部の上側における本体部分802から延びて位置決めされているように、本体部分802は向く。
【0071】
図12の第1の斜視
図1200及び第2の斜視
図1202に示すように、ドレッシング800が患者の右肩に適用されているときに、第1のウイング804は、患者の右肩の後側に(すなわち、患者の背部に向かって)適合するように、本体部分802に対して屈曲し(例えば、折り曲げられており)、第2のウイング806は、患者の右肩の前側に(すなわち、患者の前部に向かって)適合するように屈曲する。
図12の第3の斜視
図1204に示すように、ドレッシング800が患者の左肩に適用されているときに、第1のウイング804は、患者の左肩の前側に適合するように、相対的な本体部分802屈曲し、第2のウイング806は、患者の左肩の後側に適合するように屈曲する。
図12に示すように、第1の間隙810及び第2の間隙816は、患者の腋窩(例えば、患者の腕が患者の胴体から分離する点、線、又は領域)とほぼ位置合わせされ得る。
【0072】
接着性ボーダー822は、ドレッシング800を患者に結合するために、及び患者とドレッシング800との間に実質的に気密なシールを提供するために、患者の皮膚に接触する。いくつかの場合に、ドレッシング800を適用することは、第1のウイング804を本体部分802の第1の側808に向かって屈曲させること、又は第1のウイング804を本体部分802の第1の側808から離れるように屈曲させることと、第1の間隙810を第1の間隙810の調整された形態で保持するために、接着性ボーダー822を使用することとによって、第1の間隙810のサイズを調整することを含んでもよい。例えば、接着性ボーダー822の第1のセクションは、第1の間隙810を低減されたサイズで保持するために、第1の間隙810において接着性ボーダー822の第2のセクションと重ね合わされてもよい。次いで、接着性ボーダー822はまた、依然として患者の皮膚に結合され得る。他の場合に、第1の間隙810は、第1のウイング804を本体部分802の第1の側808から離れるように引っ張ることと、間隙810が、広げられた間隔を間隙810において維持するように広げられつつ、接着性ボーダー822を患者に結合することとによって、広げられ得る。第2の間隙816は、同様に処理され得る。
【0073】
図12のようにドレッシング800を適用することはまた、ドレッシング800の接続ポート826を陰圧源に結合することを含むことができる。次いで、陰圧源は、陰圧療法をドレッシング800によって覆われた肩領域において提供するために、ドレッシング800を陰圧に引き込むように動作することができる。いくつかの場合に、肩不動化装置(例えば、吊り包帯)がまた、ドレッシング800が適用された肩を不動化するために使用され得る。いくつかの実施形態において、陰圧源は、肩不動化装置に結合されている。
【0074】
図12に示すように、ドレッシング800は、患者の肩領域を実質的に完全に連続的に覆うように適用され得る。したがって、ドレッシング800は、肩領域における創傷又は切開に加えて、相当な量の無傷の皮膚を覆ってもよい。いくつかの場合に、ドレッシング800は、患者の皮膚において創傷又は切開がないシナリオにおいてすらある。肩領域を覆うことによって、及びドレッシング800のウイング形状に部分的に起因して、ドレッシング800は、創傷治癒のためになることに加えて、肩領域における腫脹低減を引き起こすことができる陰圧に、肩領域の広い範囲が暴露されることを可能にする。したがって、ドレッシング800は、例えば、外科手術の前に腫脹を低減するのに役立つために、並びに外科的切開の治癒、及び下にある組織の回復の促進を手術後に容易にするために、損傷(例えば、捻挫、脱臼、軟組織裂傷、骨折(bone break)、及び挫傷(fracture))を治療するのに好適であり得る。ドレッシング800はまた、患者の肩領域において存在し得る火傷、傷部外傷、潰瘍などを治療するために使用され得る。これによって、ドレッシング800は、肩領域を実質的に完全に連続的に覆うことによって、様々な治療効果を提供することができる。
【0075】
ここで
図13を参照すると、例示的な実施形態によれば、第2の適用場所及び向きにおいて患者に適用された
図8のドレッシング800の図が示されている。
図13は、
図1のドレッシング800に対して上下逆様に適用されたドレッシング800を示す。
図13は、肩領域の上側から肩領域の横側に沿って下方に延びる本体部分802を示す。第1のウイング804及び第2のウイング806は、
図13に示す向きで、ドレッシング800の底部において位置決めされており、これにより、第1のウイング804及び第2のウイング806は、患者の三角筋及び/又は二頭筋の周りに位置決めされている。したがって、
図13では、ドレッシング800は、主に、患者の上腕を覆い、例えば、肩関節形成手順中に切開が作られ得る腕の外側面上の創傷を治療するのに好適であり得る。これによって、
図13は、介護者によって有利であると考えられ得るような様々な向き及び位置において適用されるドレッシング800の可撓性の例を提供する。
【0076】
ここで
図14を参照すると、例示的な実施形態によれば、第3の適用場所及び向きにおいて患者に適用された
図8のドレッシング800の図が示されている。
図15に示すように、ドレッシング800は、
図13と同様の向きで適用されているが、ドレッシングは、患者の腕に沿って下方にシフトされている。特に、
図14に示すように、ドレッシング800の第2のウイング806は、患者の胸部に(例えば、患者の胸筋の上に)接着する。第1のウイング804が患者の胸部の上に位置決めされつつ、ドレッシングの本体部分802が患者の腕に沿って延びることを可能にするように、間隙816は、患者の腋窩において位置決めされている。第1のウイング804は、患者の腕の外側面及び/又は後面にシールされてもよい。したがって、ドレッシング800は、肩領域の上面が露出しつつ、患者の上腕の広範囲を含む肩領域の前側及び横側を覆うとして図示されている。このような適用は、患者の肩への創傷又は損傷の場所に依存して有利であり得る。これによって、
図14は、介護者によって有利であると考えられ得るような様々な向き及び位置において適用されるドレッシング800の能力の他の例を提供する。
【0077】
図13及び
図14は、依然として患者の肩における又は近接する代替適用を示すが、ドレッシング800が他の解剖学的領域に適用される他の用途も可能である。例えば、ドレッシング800は、有利には、患者の背部上、例えば、(例えば、患者の首への適合を容易にする凹状縁部820で)上胸部領域において、又は(例えば、本体部分802が患者の脊椎に沿って延びつつ、患者の下背又は骨盤の上を覆うことを改善するウイング804、806で)腰部若しくは仙骨領域において、位置決めされるような形状を有する。更なる例として、ドレッシング800は、患者の臀部又は肘に適用され得る。
【0078】
例示的な実施形態の構成
様々な例示的な実施形態に示すシステム及び方法の構築及び配置は、例示のみである。いくつかの実施形態のみが、本開示において詳細に記載されているが、多くの修正形態が可能である(例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状及び割合、パラメータの値、装着配置、材料の使用、色、向きなどにおける変形形態)。例えば、要素の位置は、反対にされ得る又は別法で変更され得、別個の要素又は位置の性質又は数は、変えられ得る又は変更され得る。したがって、全てのこのような修正形態は、本開示の範囲内に含まれていることが意図されている。任意のプロセス又は方法ステップの順序又はシーケンスは、代替実施形態に従って変更され得る又は並び変えられ得る。他の置換、修正、変更及び省略が、本開示の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態の設計、動作条件及び配置においてなされ得る。
【国際調査報告】