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特表2023-539790光学スキャナのためのデュアルシャフト・アキシャルフラックスモータ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-20
(54)【発明の名称】光学スキャナのためのデュアルシャフト・アキシャルフラックスモータ
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20230912BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20230912BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20230912BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20230912BHJP
   H02K 7/08 20060101ALI20230912BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/931
G02B26/08 E
H02K7/14 Z
H02K7/08 Z
G02B26/10 104Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577757
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 US2021060660
(87)【国際公開番号】W WO2022177622
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/151,034
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/528,126
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522138308
【氏名又は名称】イノビュージョン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ハオセン
(72)【発明者】
【氏名】リ, イミン
【テーマコード(参考)】
2H045
2H141
5H607
5J084
【Fターム(参考)】
2H045AB03
2H045AB33
2H045AB43
2H045AB53
2H045BA12
2H141MA12
2H141MB24
2H141MC01
2H141MD12
2H141MD16
2H141MD20
2H141ME04
2H141ME06
2H141ME09
2H141ME24
2H141ME25
2H141MF02
2H141MF05
2H141MF08
2H141MF17
2H141MF28
2H141MG06
2H141MZ12
5H607BB07
5H607BB13
5H607CC01
5H607DD03
5H607DD19
5H607FF01
5H607GG01
5H607GG08
5H607HH01
5J084AA05
5J084AC02
5J084BA04
5J084BA07
5J084BA36
5J084BA40
5J084BA50
5J084BB28
5J084CA65
5J084DA02
(57)【要約】
自動車において使用される光検出及び測距(ライダー)システムの電動光学スキャナの一実施形態が提供される。スキャナは、基板および反射面を含む反射片を含む。スキャナは、基板の第1の端部および第2の端部にそれぞれ取り付けられた第1のシャフトおよび第2のシャフトをさらに含む。第1の端部および第2の端部は基板の長手方向に沿った基板の反対側の端部である。スキャナは、第1のシャフトおよび第2のシャフトにそれぞれ結合された第1のベアリングおよび第2のベアリングをさらに含む。第1のベアリングと第2のベアリングとは実質的に同心である。第2のシャフトの動きによって反射面は1つ以上の光ビームを視野に光学的に送信する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車において使用される光検出及び測距(ライダー)システムの電動光学スキャナであって、
基板および反射面を含む反射片と、
前記基板の第1の端部および第2の端部にそれぞれ取り付けられた第1のシャフトおよび第2のシャフトであって、前記第1の端部および前記第2の端部は前記基板の長手方向に沿った前記基板の反対側の端部である、前記第1のシャフトおよび前記第2のシャフトと、
前記第1のシャフトおよび前記第2のシャフトにそれぞれ結合された第1のベアリングおよび第2のベアリングであって、前記第1のベアリングと前記第2のベアリングとは実質的に同心であり、前記第2のシャフトの動きによって前記反射面は1つ以上の光ビームを視野に光学的に送信する、前記第1のベアリングおよび前記第2のベアリングと、
を含む、電動光学スキャナ。
【請求項2】
前記反射面は、前記基板の前面側に機械的または接着的に取り付けられたミラーである
請求項1に記載の電動光学スキャナ。
【請求項3】
前記基板および前記反射面は、前記反射片と一体の部分である
請求項1または2に記載の電動光学スキャナ。
【請求項4】
シャフト取付具をさらに含む
請求項1乃至3の何れか1項に記載の電動光学スキャナ。
【請求項5】
前記基板の裏面は、前記シャフト取付具に取り付けられている
請求項4に記載の電動光学スキャナ。
【請求項6】
前記シャフト取付具は、前記基板の支持を強化する複数の突起を含む
請求項4または5に記載の電動光学スキャナ。
【請求項7】
前記シャフト取付具は、前記第1のシャフトおよび前記第2のシャフトが挿入される2つの取付穴を含む
請求項4乃至6の何れか1項に記載の電動光学スキャナ。
【請求項8】
角度位置エンコーダをさらに含み、
前記第1のベアリングは、前記第1のシャフトの第1の部分に結合され、
前記位置エンコーダは、前記第1のシャフトの第2の部分に結合され、該第2の部分は前記第1の部分とは異なり、
前記位置エンコーダは、前記第1のベアリングよりも前記反射片から離れた位置にある
請求項1乃至7の何れか1項に記載の電動光学スキャナ。
【請求項9】
前記角度位置エンコーダは、前記第1のシャフトの角度位置または動作を電気信号に変換するロータリエンコーダである
請求項8に記載の電動光学スキャナ。
【請求項10】
エミッタ電流を制御し強度誤差を低減し背景ノイズに対する耐性を高めるように構成されたエンコーダエミッタ駆動回路をさらに含む
請求項8または9に記載の電動光学スキャナ。
【請求項11】
ダークノイズを含む背景ノイズに対するノイズ耐性をさらに向上させるように構成されたエンコーダレシーバ調整回路をさらに含む
請求項8乃至10の何れか1項に記載の電動光学スキャナ。
【請求項12】
前記第1のベアリングおよび前記第2のベアリングはそれぞれ第1のベアリング固定具および第2のベアリング固定具に取り付けられるかまたはその一部であり、
前記第1のベアリング固定具および前記第2のベアリング固定具の各々は、少なくとも前記第1のベアリングおよび前記第2のベアリングの同心度を調整するように構成された別個のアライメント機構を含む
請求項1乃至11の何れか1項に記載の電動光学スキャナ。
【請求項13】
前記アライメント機構は、1つ以上のダウエルピン穴を含む
請求項12に記載の電動光学スキャナ。
【請求項14】
前記第2のシャフトに結合されたアキシャルフラックスモータをさらに含む
請求項1乃至13の何れか1項に記載の電動光学スキャナ。
【請求項15】
前記アキシャルフラックスモータは、前記第2のシャフトの第1の部分に結合され、
前記第2のベアリングは、前記第2のシャフトの第2の部分に結合され、該第2の部分は前記第1の部分とは異なり、
前記第2のベアリングは、前記アキシャルフラックスモータよりも前記反射面から離れた位置にある
請求項14に記載の電動光学スキャナ。
【請求項16】
前記アキシャルフラックスモータは、
1つ以上のステータと、
前記第2のシャフトに結合されたロータと、
第1の巻線および第2の巻線であって、前記ロータは前記第1の巻線と前記第2の巻線との間に配置される、前記第1の巻線および前記第2の巻線と、
を含む
請求項14または15に記載の電動光学スキャナ。
【請求項17】
前記ロータは、前記第2のシャフトに結合された2つの軸着磁半円筒磁石を含む
請求項16に記載の電動光学スキャナ。
【請求項18】
前記第1の巻線および前記第2の巻線は、前記1つ以上のステータに取り付けられたフラットコイルを含む
請求項16または17に記載の電動光学スキャナ。
【請求項19】
前記第1の巻線および前記第2の巻線は、1つ以上の鋼板に取り付けられている
請求項18に記載の電動光学スキャナ。
【請求項20】
前記ロータは、該ロータの1つ以上の側面に取り付けられた複数の磁石を含む
請求項16に記載の電動光学スキャナ。
【請求項21】
前記反射片が回転または振動して前記1つ以上の光ビームを前記視野に送信するように、前記アキシャルフラックスモータを制御して前記第2のシャフトを回転または振動させるように構成されたモータ制御回路をさらに含む
請求項14乃至20の何れか1項に記載の電動光学スキャナ。
【請求項22】
自動車において使用される光検出及び測距(ライダー)システムであって、該システムは請求項1乃至21の何れか1項に記載の電動光学スキャナを含む、システム。
【請求項23】
光検出及び測距(ライダー)システムを含む自動車であって、前記ライダーシステムは請求項1乃至21の何れか1項に記載の電動光学スキャナを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年2月18日に出願された「DUAL SHAFT AXIAL FLUX GALVO MOTOR FOR OPTICAL SCANNING SYSTEMS」と題する米国仮特許出願シリアル番号63/151,034、および2021年11月16日に出願された「DUAL SHAFT AXIAL FLUX GALVO MOTOR FOR OPTICAL SCANNING SYSTEMS」と題する米国非仮特許出願シリアル番号17/528,126への優先権を主張する。上記出願の内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に光学スキャニングに関し、より詳細には、自動車に使用される光検出および測距(ライダー)システムの電動(モータ駆動の)光学スキャナに関するものである。
【背景技術】
【0003】
光検出及び測距(ライダー)システムは、光パルスを使用して外部環境の画像または点群データ(ポイントクラウド)を生成する。典型的なライダーシステムには、光源、光送信器、パルスステリングシステム、光検出器が含まれる。光源は複数の光パルスを生成し、複数の光パルスは、ライダーシステムから送信される際に、パルスステアリングシステムによって特定の方向に向けられる。送信された光パルスが物体によって散乱されると、散乱光の一部が戻り光パルスとしてライダーシステムに戻ってくる。光検出器は、この戻り光を検出し、これを更なる処理のため電気信号に変換する。光パルスが送信されてから検出されるまでの時間と光速とから、ライダーシステムは送信された光パルスの経路に沿って物体までの距離を決定することができる。パルスステアリングシステムは、ライダーシステムが周囲の環境を走査(スキャン)して画像または点群を生成できるように、光パルスを異なる経路に沿って導くことができる。ライダーシステムは、飛行時間やスキャン以外の手法を使用して周辺環境を測定することも可能である。
【発明の概要】
【0004】
自動車において使用される光検出及び測距(ライダー)システムの電動光学スキャナの一実施形態が提供される。スキャナは、基板および反射面を含む反射片を含む。スキャナは、基板の第1の端部および第2の端部にそれぞれ取り付けられた第1のシャフトおよび第2のシャフトをさらに含む。第1の端部および第2の端部は基板の長手方向に沿った基板の反対側の端部である。スキャナは、第1のシャフトおよび第2のシャフトにそれぞれ結合された第1のベアリングおよび第2のベアリングをさらに含む。第1のベアリングと第2のベアリングとは実質的に同心である。第2のシャフトの動きによって反射面は1つ以上の光ビームを視野に光学的に送信する。
【0005】
自動車において使用される光検出及び測距(ライダー)システムの一実施形態が提供される。システムは、基板および反射面を含む反射片を含む電動光学スキャナを含む。スキャナは、基板の第1の端部および第2の端部にそれぞれ取り付けられた第1のシャフトおよび第2のシャフトをさらに含む。第1の端部および第2の端部は基板の長手方向に沿った基板の反対側の端部である。スキャナは、第1のシャフトおよび第2のシャフトにそれぞれ結合された第1のベアリングおよび第2のベアリングをさらに含む。第1のベアリングと第2のベアリングとは実質的に同心である。第2のシャフトの動きによって反射面は1つ以上の光ビームを視野に光学的に送信する。
【0006】
電動光学スキャナを含む自動車の一実施形態が提供される。電動光学スキャナは、基板および反射面を含む反射片を含む。スキャナは、基板の第1の端部および第2の端部にそれぞれ取り付けられた第1のシャフトおよび第2のシャフトをさらに含む。第1の端部および第2の端部は基板の長手方向に沿った基板の反対側の端部である。スキャナは、第1のシャフトおよび第2のシャフトにそれぞれ結合された第1のベアリングおよび第2のベアリングをさらに含む。第1のベアリングと第2のベアリングとは実質的に同心である。第2のシャフトの動きによって反射面は1つ以上の光ビームを視野に光学的に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本願は、添付の図面と組み合わせて以下に説明する図を参照することによって最もよく理解することができ、図において、同様の部品は同様の数字で参照され得る。
【0008】
図1】自動車に配置され又は含まれる1つ又は複数の例示的なライダーシステムを示す図である。
【0009】
図2】ライダーシステムと、車両知覚及び計画システムを含む複数の他のシステムと、の間の相互作用を示すブロック図である。
【0010】
図3】例示的なライダーシステムを示すブロック図である。
【0011】
図4】例示的なファイバベースのレーザ源を示す例示的ブロック図である。
【0012】
図5A】視野内に配置された物体までの距離を測定するためにパルス信号を使用する例示的なライダーシステムを示す図である。
図5B】視野内に配置された物体までの距離を測定するためにパルス信号を使用する例示的なライダーシステムを示す図である。
図5C】視野内に配置された物体までの距離を測定するためにパルス信号を使用する例示的なライダーシステムを示す図である。
【0013】
図6】様々な実施形態における、システム、装置及び方法を実施するために使用される例示的な装置を示すブロック図である。
【0014】
図7】従来のガルバノメータ装置を示す図である。
【0015】
図8A】いくつかの実施形態による例示的な電動光学スキャナの透視図である。
図8B】いくつかの実施形態による例示的な電動光学スキャナの透視図である。
【0016】
図9A図8A図8Bの例示的な電動光学スキャナの断面透視図である。
【0017】
図9B図8A図8Bの例示的な電動光学スキャナの断面図である。
【0018】
図10A図8A図8Bの電動光学スキャナの例示的なロータアセンブリを示す透視図である。
図10B図8A図8Bの電動光学スキャナの例示的なロータアセンブリを示す透視図である。
【0019】
図10C図8A図8Bの電動光学スキャナの例示的なロータアセンブリを示す分解斜視図である。
【0020】
図11】デュアルシャフト電動光学スキャナの例示的なシャフト取付具を示す透視図である。
【0021】
図12A】いくつかの実施形態による例示的な電動光学スキャナを示す透視図である。
【0022】
図12B】いくつかの実施形態による例示的な電動光学スキャナを示す側面図である。
【0023】
図13】アキシャルフラックスモータと比較した例示的なラジアルフラックスモータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明をより完全に理解するために、以下の説明では、具体的な構成、パラメータ、例など、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、このような説明は、本発明の範囲を制限するものではなく、例示的な実施形態のより良い説明を提供することを意図していることを認識されたい。
【0025】
本明細書および特許請求の範囲を通じて、以下の用語は、文脈上明らかに異なることが指示されない限り、本明細書において明示的に関連付けられた意味を有する。
【0026】
本明細書で使用される「一実施形態では」という語句は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではないが、同じであってもよい。したがって、以下に説明するように、本発明の様々な実施形態は、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、容易に組み合わされ得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「または」は包括的な「または」演算子であり、文脈から明らかにそうでないと判断される場合を除き、用語「および/または」と同等である。
【0028】
「に基づく」という用語は排他的なものではなく、文脈上明らかにそうでない場合を除き、記載されていない追加的な要素に基づくことを許容するものである。
【0029】
本明細書で使用されるように、そして文脈が他に指示しない限り、用語「に結合された」は、直接結合(互いに結合される2つの要素が互いに接触する)及び間接結合(少なくとも1つの追加の要素が2つの要素の間に配置される)の両方を含むことを意図している。したがって、「に結合された(coupled to)」と「と結合された(coupled with)」という用語は、同義的に使用される。2つ以上のコンポーネントまたはデバイスがデータを交換することができるネットワーク環境の文脈内で、用語「に結合された」と「と結合された」はまた、おそらく1つ以上の仲介デバイスを介して、「と通信可能に結合された」ことを意味するために使用される。
【0030】
以下の説明では、様々な要素を説明するために「第1」、「第2」などの用語を使用するが、これらの要素は用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素を別の要素から区別するためにのみ使用される。例えば、第1のベアリングは第2のベアリングと称することができ、同様に、第2のベアリングは第1のベアリングと称することができるが、これは、様々に説明した実施例の範囲から逸脱することはない。第1のベアリング及び第2のベアリングは、両方ともベアリングであることができ、場合によっては、別個の異なるベアリングであることができる。
【0031】
また、本明細書中、「a」、「an」、「the」の意味は、複数の参照を含み、「in」の意味は、「in」及び「on」を含む。
【0032】
本明細書に提示された様々な実施形態のいくつかは、発明的要素の単一の組み合わせを構成するが、発明的主題は、開示された要素のすべての可能な組み合わせを含むと見なされることを理解されたい。このように、ある実施形態が要素A、B、及びCを含み、別の実施形態が要素B及びDを含む場合、本発明主題は、本明細書で明示的に議論されていないとしても、A、B、C、又はDの他の残りの組み合わせも含むと考えられる。さらに、接続用語「含む(comprising)」は、部品または部材として有すること、またはそれらの部品または部材であることを意味する。本明細書で使用される場合、接続用語「含む」は、包括的または開放的であり、追加の、再現されていない要素または方法ステップを除外することはない。
【0033】
以下の開示を通じて、サーバ、サービス、インタフェース、エンジン、モジュール、クライアント、ピア、ポータル、プラットフォーム、またはコンピューティングデバイスから形成される他のシステムに関して、多数の言及がなされる場合がある。このような用語の使用は、コンピュータ可読の有形の非一時的媒体(例えば、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、RAM、フラッシュ、ROMなど)上に格納されたソフトウェア命令を実行するように構成された少なくとも一つのプロセッサ(例えば、ASIC、FPGA、DSP、x86、ARM、GPU、マルチコアプロセッサなど)を有する1または複数のコンピューティング装置を表すものと考えられることは、理解されるべきである。例えば、サーバは、説明された役割、責任、または機能を果たすための方法で、ウェブサーバ、データベースサーバ、または他のタイプのコンピュータサーバとして動作する1つまたは複数のコンピュータを含むことができる。開示されたコンピュータベースのアルゴリズム、プロセス、方法、または他のタイプの命令セットは、プロセッサに開示されたステップを実行させる命令を格納する非一時的な有形のコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品として具現化され得ることをさらに理解されたい。様々なサーバ、システム、データベース、またはインタフェースは、標準化されたプロトコルまたはアルゴリズム、場合によってはHTTP、HTTPS、AES、公開-秘密鍵交換、ウェブサービスAPI、既知の金融取引プロトコル、または他の電子情報交換方法に基づいて、データを交換することが可能である。データ交換は、パケット交換ネットワーク、回線交換ネットワーク、インターネット、LAN、WAN、VPN、または他のタイプのネットワーク上で行うことができる。
【0034】
本明細書およびそれに続く請求項全体で使用されるように、システム、エンジン、サーバ、デバイス、モジュール、または他のコンピューティング要素が、メモリ内のデータに対して機能を実行または実行するように構成されていると説明される場合、「構成される」または「プログラムされる」の意味は、コンピューティング要素のメモリに格納された一連のソフトウェア命令によって、メモリに格納されたターゲットデータまたはデータ物体に対して一連の機能を実行するようコンピューティング要素の1つまたは複数のプロセッサまたはコアがプログラムされると定義される。
【0035】
コンピュータに向けられた任意の言語は、サーバ、インタフェース、システム、データベース、エージェント、ピア、エンジン、コントローラ、モジュール、または個別にまたは集合的に動作する他のタイプのコンピューティングデバイスを含む、コンピューティングデバイスまたはネットワークプラットフォームの任意の適切な組み合わせを含むように読まれるべきであることに留意されたい。コンピューティングデバイスは、有形の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体(例えば、ハードドライブ、FPGA、PLA、ソリッドステートドライブ、RAM、フラッシュ、ROMなど)上に記憶されたソフトウェア命令を実行するように構成されたプロセッサを備えることを理解されたい。ソフトウェア命令は、開示された装置に関して後述する役割、責任、または他の機能性を提供するようにコンピューティング装置を構成またはプログラムする。さらに、開示された技術は、コンピュータベースのアルゴリズム、プロセス、方法、または他の命令の実装に関連する開示されたステップをプロセッサに実行させるソフトウェア命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品として具現化され得る。いくつかの実施形態では、様々なサーバ、システム、データベース、またはインタフェースは、標準化されたプロトコルまたはアルゴリズム、場合によってはHTTP、HTTPS、AES、公開-秘密鍵交換、ウェブサービスAPI、既知の金融取引プロトコル、または他の電子情報交換方法に基づくものを使用してデータを交換する。デバイス間のデータ交換は、パケット交換ネットワーク、インターネット、LAN、WAN、VPN、または他のタイプのパケット交換ネットワーク、回線交換ネットワーク、セル交換ネットワーク、または他のタイプのネットワークを介して行うことができる。
【0036】
ガルバノメータは、ライダーシステムにおいて、レーザービームをFOVにスキャンするために一般的に使用される。従来のガルバノメータ装置は、ミラー、ラジアルフラックスモータ、ベアリング、角度エンコーダなどのコンポーネントを含んでいる。モータ、ベアリング、角度エンコーダは、通常、ミラーの同じ側に配置されている。その結果、従来のガルバノメータ装置は長さが大きくなってしまう。また、従来のガルバノメータ装置は、ミラーが一端に設置され、それを保持するシャフトが1本であることから、シングルエンドのガルバノメータ装置とも呼ばれる。このような構成の従来のガルバノメータ装置は、衝撃や振動の大きい環境(例えば、車両内)で使用される場合、うまく動作しない可能性がある。さらに、従来のガルバノメータ装置の大きな長さは、車両内の限られたスペースにフィットする(例えば、バンパーの角、バックミラーなどにフィットする)のにしばしば要求されるコンパクトなライダーシステムに装置を統合する際に困難を生じさせる可能性がある。さらに、従来のガルバノメータ装置は、特定の部品(例えば、モータの巻線)を手作業で製造する必要がある場合があるため、大量に製造することが困難である。
【0037】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の様々な実施形態において、電動光学スキャナが提供される。このスキャナは、レーザビームの走査(スキャン)を行うことができ、従来のガルバノメータ装置を置き換えるために使用することができる。電動光学スキャナの様々な実施形態は、反射片が反射片の反対側の端部で2つのシャフトに結合されるデュアルシャフト構造を採用する。2つのシャフトには、2つの別々のベアリングが使用される。シングルエンドのガルバノメータ装置とは異なり、デュアルシャフト光学スキャナは、反射片の各側面に取り付けられた1つのシャフトを有する。反射片は両端のシャフトで支持されているため、デュアルシャフト構造は光学スキャナの機械的堅牢性と信頼性を高め、反射片の曲げや歪みを低減し、衝撃や振動の大きい環境下で動作しても全体のスキャン性能を向上させることができる。デュアルシャフト構造は、2つのシャフトを収容する2つのベアリングの距離をさらに長くし、光学スキャナを製造するための機械加工工程に関連する同心円誤差を低減することができる。
【0038】
また、本発明の実施形態は、従来のラジアルフラックスモータに代えて、アキシャルフラックスモータを用いた光学スキャナの構成を提供する。その結果、モータの長さを半分以下にすることができ、それによって光学スキャナ全体がよりコンパクトになり、ひいてはライダーシステムを車両内のコンパクトなスペースに収めることがより容易になる。本発明の実施形態はまた、モータが大量生産で製造及び組み立てられるように、改良された巻線及び付属部品を提供し、製造効率を効果的に高め、製造コストを低減させることができる。
【0039】
本発明の様々な実施形態において、角度位置エンコーダは、光学スキャナの、アキシャルフラックスモータが配置されている端部とは反対側の端部に配置される。その結果、反射片(例えば、ミラー)の両側のスキャナ部分の長さは、よりバランスよく又は対称的になる。これにより、光学スキャナの長さ方向の幾何学的中心を反射片に近づけることができ、光学系の操作性、安定性、総合性能を向上させることができる。また、位置エンコーダとアキシャルフラックスモータを光学スキャナの反対側の端部に配置することにより、従来のガルバノメータ装置の構成と比較して、モータが遠くに配置されるため、位置エンコーダはモータから発生するノイズに対する耐性を向上させることができる。その結果、位置エンコーダの精度が向上し、ひいては光学スキャナ全体の性能が向上する。以下、本発明の様々な実施形態について、より詳細に説明する。
【0040】
図1は、自動車100に配置された又は含まれる1つ又は複数の例示的なライダーシステム110を示す。自動車100は、任意の自動化レベルを有する車両とすることができる。例えば、自動車100は、部分的自動化車両、高度自動化車両、完全自動化車両、又はドライバーレス車両とすることができる。部分的自動化車両は、人間のドライバーの介入なしに、いくつかの運転機能を実行することができる。例えば、部分的自動化車両は、死角監視、車線維持及び/又は車線変更操作、自動緊急ブレーキ、スマートクルージング及び/又は交通追従、又はそのようなものを実行することが可能である。部分的自動化車両の特定の操作は、特定の用途又は運転シナリオに限定されてもよい(例えば、高速道路の運転のみに限定されるなど)。高度自動運転車両は、一般に、部分的な自動運転車両のすべての動作を実行することができるが、より少ない制限である。また、高度自動運転車両は、車両操作における自身の限界を検知し、必要に応じてドライバーに車両の制御を引き継ぐよう依頼することも可能である。完全自動運転車は、ドライバーの介入なしにすべての車両操作を行うことができるが、自らの限界を検知し、必要に応じてドライバーに運転を交代してもらうことも可能である。ドライバーレス車両は、ドライバーの介入なしに単独で運転することができる。
【0041】
典型的な構成では、自動車100は、1つ又は複数のライダーシステム110及び120A~Hを含む。ライダーシステム110及び/又は120A~Hは、走査型ライダーシステム及び/又は非走査型ライダーシステム(例えば、フラッシュライダー)であり得る。走査型ライダーシステムは、1つ又は複数の光ビームを1つ又は複数の方向(例えば、水平方向及び垂直方向)に走査して、視野(FOV)内の物体を検出する。非走査型ライダーシステムは、走査せずにレーザ光を送信してFOVを照らす。例えば、フラッシュライダーは、非走査型ライダーシステムの一種である。フラッシュライダーは、単一の光パルスを使用して、同時にFOVを照らすようにレーザ光を送信することができます。ライダーシステムは、少なくとも部分的に自動化されている車両の必須のセンサであることが多い。一実施形態では、図1に示すように、自動車100は、車両ルーフ(例えば、車両の最も高い位置)に配置された単一のライダーシステム110(例えば、ライダーシステム120A~H無し)を含んでもよい。車両ルーフにライダーシステム110を配置することにより、車両100の周囲の360度の走査が容易になる。
【0042】
いくつかの他の実施形態では、自動車100は、システム110及び/又は120A~Hのうちの2つ以上を含む、複数のライダーシステムを含むことができる。図1に示すように、一実施形態では、複数のライダーシステム110及び/又は120A~Hは、車両の異なる位置で車両100に取り付けられる。例えば、ライダーシステム120Aは、前右角で車両100に取り付けられ、ライダーシステム120Bは、前中央で車両100に取り付けられ、ライダーシステム120Cは、前右角で車両100に取り付けられ、ライダーシステム120Dは、右側リアビューミラーで車両100に取り付けられ、ライダーシステム120Eは、左側リアビューミラーで車両100に取り付けられ、ライダーシステム120Fは、後部中央で車両100に取り付けられ、ライダーシステム120Gは、後部右角で車両100に取り付けられ、及び/又はライダーシステム120Hは、後部左角で車両100に取り付けられる。いくつかの実施形態において、ライダーシステム110及び120A~Hは、それら自身のそれぞれのレーザ源、制御電子機器、送信機、受信機、及び/又はステアリング機構を有する独立したライダーシステムである。他の実施形態では、ライダーシステム110及び120A~Hのいくつかは、1つ又は複数の構成要素を共有し、それによって分散型センサシステムを形成することができる。一例では、光ファイバは、集中型レーザ源から全てのライダーシステムにレーザ光を送達するために使用される。1つ以上のライダーシステムは、任意の所望の方法で車両に分散して取り付けられることができ、図1はいくつかの実施形態を示すに過ぎないことが理解される。別の例として、ライダーシステム120D及び120Eは、バックミラーの代わりに車両100のBピラーに取り付けられ得る。別の例として、ライダーシステム120Bは、フロントバンパーの代わりに車両100のフロントガラスに取り付けられ得る。
【0043】
図2は、ライダーシステム(複数可)210と、車両知覚及び計画システム220を含む複数の他のシステムと、の間の相互作用を示すブロック図200である。ライダーシステム(複数可)210は、車両に搭載することができる。システム(複数可)210は、物体の距離、角度、及び速度を測定するために周囲環境にレーザ光を走査するセンサ(複数可)を含む。ライダーシステム(複数可)210に戻った散乱光に基づいて、認識された外部環境を表すセンサデータ(例えば、画像データ又は3D点群データ)を生成することができる。ライダーシステム(複数可)210は、短距離ライダーセンサ、中距離ライダーセンサ、及び長距離ライダーセンサのうちの1つ又は複数を含むことができる。短距離ライダーセンサは、ライダーセンサから約20~40メートルまでの距離に位置する物体を測定する。短距離ライダーセンサは、例えば、近くの移動物体(例えば、スクールゾーンで道路を横断する歩行者)の監視、駐車支援用途などに使用することができる。中距離ライダーセンサは、ライダーセンサから約100~150メートルまでの距離にある物体を測定する。中距離ライダーセンサは、例えば、道路交差点の監視、高速道路への合流・退出の支援などに使用することができる。長距離ライダーセンサは、約150~300mまでの物体を計測するセンサである。長距離ライダーセンサは、通常、車両が高速で走行中(例えば、高速道路上)、車両の制御システムがライダーセンサによって検出された状況に対応するのに数秒(例えば、6~8秒)あるような場合に使用される。図2に示すように、一実施形態において、ライダーセンサデータは、さらなる処理及び車両動作の制御のために、通信経路213を介して車両知覚及び計画システム220に提供される。通信経路213は、データを転送することができる任意の有線または無線通信リンクであり得る。
【0044】
図2をさらに参照すると、いくつかの実施形態では、他の車両搭載センサ230は、ライダーシステム(複数可)210とは別に又は一緒に、追加のセンサデータを提供するために使用される。他の車両搭載センサ230は、例えば、1つ又は複数のカメラ(複数可)232、1つ又は複数のレーダー(複数可)234、1つ又は複数の超音波センサ(複数可)236、及び他のセンサ(複数可)238を含むことができる。カメラ(単数又は複数)232は、車両の外部環境の画像及び/又はビデオを撮影することができる。カメラ(複数可)232は、例えば、各フレーム内に数百万の画素を有する高精細(HD)ビデオを撮影することができる。カメラは、モノクロまたはカラーの画像およびビデオを生成する。色情報は、ある状況(例えば、交通信号機のある交差点)を解釈する上で重要である場合がある。色情報は、ライダー又はレーダーセンサなどの他のセンサから利用できない場合がある。カメラ(複数可)232は、狭焦点カメラ、広焦点カメラ、側方カメラ、赤外線カメラ、魚眼カメラなどのうちの1つ以上を含むことができる。カメラ(複数可)232によって生成された画像及び/又はビデオデータは、さらなる処理及び車両動作の制御のために、通信経路233を介して車両知覚及び計画システム220に提供され得る。通信経路233は、データを転送することができる任意の有線または無線通信リンクであり得る。
【0045】
他の車両搭載センサ(複数可)230は、レーダーセンサ(複数可)234を含むこともできる。レーダーセンサ(複数可)234は、電波を使用して、物体の範囲、角度、および速度を決定する。レーダーセンサ(複数可)234は、電波またはマイクロ波スペクトルの電磁波を生成する。電磁波は物体に反射し、反射波の一部はレーダーセンサに戻り、それによって物体の位置と速度に関する情報を提供する。レーダーセンサ(複数可)234は、短距離レーダー(複数可)、中距離レーダー(複数可)、および長距離レーダー(複数可)のうちの1つまたは複数を含むことができる。短距離レーダーは、レーダーから約0.1~30メートルに位置する物体を測定する。短距離レーダーは、他の車両、建物、壁、歩行者、自転車など、自車両の近くにある物体を検出するのに有効である。短距離レーダーは、死角の検出、車線変更支援、追突警告、駐車支援、緊急ブレーキなどに使用することができる。中距離レーダーは、レーダーから約30~80mの距離にある物体を測定し、長距離レーダーは、約80~200mに位置する物体を測定する。中距離レーダーおよび/または長距離レーダーは、例えば、交通追従、アダプティブクルーズコントロール、および/または高速道路自動ブレーキに有用である場合がある。レーダーセンサ(1つまたは複数)234によって生成されたセンサデータはまた、さらなる処理および車両動作の制御のために通信経路233を介して車両知覚および計画システム220に提供され得る。
【0046】
他の車両搭載センサ(複数可)230は、超音波センサ(複数可)236を含むこともできる。超音波センサ(複数可)236は、音響波またはパルスを使用して、車両の外部に位置する物体を測定する。超音波センサ(複数可)236によって生成された音響波は送信される。送信された波の少なくとも一部は、物体で反射され、超音波センサ236に戻る。戻り信号に基づいて、対象物の距離を計算することができる。超音波センサ(複数可)236は、例えば、死角の確認、駐車場の特定、交通への車線変更支援の提供、などに有用であり得る。超音波センサ(複数可)236によって生成されたセンサデータは、さらなる処理および車両動作の制御のために、通信経路233を介して車両知覚および計画システム220に提供することも可能である。いくつかの実施形態では、1つ以上の他のセンサ(複数可)238が車両に取り付けられてもよく、また、センサデータを生成してもよい。他のセンサ(複数可)238は、例えば、全地球測位システム(GPS)、慣性測定ユニット(IMU)などであり得る。他のセンサ(複数可)238によって生成されたセンサデータは、さらなる処理および車両動作の制御のために、通信経路233を介して車両知覚および計画システム220に提供されることも可能である。通信経路233は、様々なセンサ(複数可)230と車両知覚および計画システム220との間でデータを転送するために、1つまたは複数の通信リンクを含むことができることが理解される。
【0047】
いくつかの実施形態では、図2に示すように、他の車両搭載センサ(複数可)230からのセンサデータは、車両搭載ライダーシステム(複数可)210に提供され得る。ライダーシステム(複数可)210は、他の車両搭載センサ(複数可)230からのセンサデータを処理することができる。例えば、カメラ(複数可)232、レーダーセンサ(複数可)234、超音波センサ(複数可)236、及び/又は他のセンサ(複数可)238からのセンサデータは、センサデータライダーシステム(複数可)210と相関又は融合してよく、それによって車両知覚及び計画システム220によって行われるセンサ融合プロセスが少なくとも部分的にオフロードされる。様々なセンサからのセンサデータを伝送及び処理するために、他の構成も実施され得ることが理解される(例えば、データは、処理のためにクラウドサービスに伝送され得、その後、処理結果は、車両知覚及び計画システム220に伝送され得る)。
【0048】
図2をさらに参照すると、いくつかの実施形態では、他の車両(複数可)250に搭載されたセンサは、ライダーシステム(複数可)210と別々に又は一緒に追加のセンサデータを提供するために使用される。例えば、2つ以上の近くの車両は、それぞれのライダーセンサ(複数可)、カメラ(複数可)、レーダーセンサ(複数可)、超音波センサ(複数可)などを有することができ、互いに通信し、センサデータを共有することができる。車両間の通信は、V2V(車車間)通信とも呼ばれる。例えば、図2に示すように、他の車両(複数可)250によって生成されたセンサデータは、それぞれ通信経路253及び/又は通信経路251を介して、車両知覚及び計画システム220及び/又は車両搭載ライダーシステム(複数可)210に通信することが可能である。通信経路253及び251は、データを転送することができる任意の有線又は無線通信リンクとすることができる。
【0049】
センサデータを共有することで、車両外部の環境をよりよく認識することができる。例えば、車両Aは、車両Bの後方にいて車両Aに接近している歩行者を感知していない場合がある。車両Bは、この歩行者に関するセンサデータを車両Aと共有し、車両Aが歩行者との衝突を回避するための反応時間を確保することができるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、センサ(複数可)230によって生成されたデータと同様に、他の車両(複数可)250によって生成されたセンサデータは、ライダーシステム(複数可)210によって生成されたセンサデータと相関又は融合され、それによって車両知覚及び計画システム220によって行われるセンサ融合プロセスが少なくとも部分的にオフロードされる場合がある。
【0050】
いくつかの実施形態において、インテリジェントインフラシステム(複数可)240は、ライダーシステム(複数可)210と別々に又は一緒にセンサデータを提供するために使用される。特定のインフラストラクチャは、情報を伝達するために車両と通信するように構成されてもよく、その逆もまた可能である。車両とインフラストラクチャとの間の通信は、一般に、V2I(車両からインフラ)通信と呼ばれ得る。例えば、インテリジェントインフラシステム(複数可)240は、「5秒後に黄色に変わる」などのメッセージで接近する車両にその状態を伝えることができるインテリジェント交通信号機を含むことができる。インテリジェントインフラシステム240は、交通監視情報を車両に伝えることができるように交差点付近に取り付けられた独自のライダーシステムも含むことができる。例えば、交差点で左折する車両は、自身のセンサのいくつかが反対方向のトラフィックによってブロックされる可能性があるため、十分な感知能力を有しない場合がある。このような状況において、インテリジェントインフラシステム(複数可)240のセンサは、左折車両に有用な、そして時には不可欠なデータを提供することができる。このようなデータは、例えば、交通状況、車両が旋回する方向の物体、交通信号の状態及び予測等を含むことができる。インテリジェントインフラシステム(複数可)240によって生成されたこれらのセンサデータは、通信経路243及び/又は241を介して、車両知覚及び計画システム220及び/又は車両搭載ライダーシステム(複数可)210にそれぞれ提供され得る。通信経路243及び/又は241は、データを転送することができる任意の有線又は無線通信リンクを含むことができる。例えば、インテリジェントインフラシステム(複数可)240からのセンサデータは、ライダーシステム(複数可)210に送信され、ライダーシステム(複数可)210によって生成されたセンサデータと相関又は融合され、それによって車両知覚及び計画システム220によって行われるセンサ融合プロセスが少なくとも部分的にオフロードされ得る。上述したV2V及びV2I通信は、車両からX(V2X)通信の例であり、ここで「X」は、車両とデータを共有できる他の任意のデバイス、システム、センサ、インフラ、又は同様のものを表す。
【0051】
図2をさらに参照すると、様々な通信経路を介して、車両知覚及び計画システム220は、ライダーシステム(複数可)210、他の車両搭載センサ(複数可)230、他の車両(複数可)250、及び/又はインテリジェントインフラシステム(複数可)240の1つ以上からセンサデータを受信する。いくつかの実施形態において、異なるタイプのセンサデータは、センサ融合サブシステム222によって相関され、及び/又は統合される。例えば、センサ融合サブシステム222は、車両の異なる位置に配置された複数のカメラによって撮影された複数の画像又はビデオを使用して、360度モデルを生成することができる。センサ融合サブシステム222は、異なる種類のセンサからセンサデータを取得し、環境をより正確に知覚するために、結合されたデータを使用する。例えば、車両搭載カメラ232は、太陽又は光源(例えば、夜間の他の車両のヘッドライト)に直接面しているため、鮮明な画像を捕捉できない場合がある。ライダーシステム210は、それほど影響を受けないかもしれず、したがって、センサ融合サブシステム222は、カメラ232及びライダーシステム210の両方によって提供されるセンサデータを結合し、ライダーシステム210によって提供されるセンサデータを使用してカメラ232によって捕捉される不明瞭な画像を補償することができる。別の例として、雨または霧の天候では、レーダーセンサ234は、カメラ232またはライダーシステム210よりもよく機能する場合がある。したがって、センサ融合サブシステム222は、カメラ232またはライダーシステム210によって提供されるセンサデータを補償するために、レーダーセンサ234によって提供されるセンサデータを使用することができる。
【0052】
他の例では、他の車両搭載センサ(複数可)230によって生成されたセンサデータは、低い解像度(例えば、レーダーセンサデータ)を有する場合があり、したがって、通常はより高い解像度を有するライダーシステム(複数可)210によって相関および確認され得る。例えば、下水カバー(マンホールカバーとも呼ばれる)は、車両が接近している方に向かう物体としてレーダーセンサ234によって検出される場合がある。レーダーセンサ234の低解像度の性質により、車両知覚および計画システム220は、その物体が車両に衝突し得るかどうかを判断できない場合がある。したがって、ライダーシステム(複数可)210によって生成された高解像度センサデータは、物体が下水カバーであり、車両に害を与えないことを相関的に確認するために使用され得る。
【0053】
車両知覚および計画システム220は、物体分類器223をさらに備える。センサ融合サブシステム222によって提供される生のセンサデータ及び/又は相関/融合データを使用して、物体分類器223は、物体を検出及び分類し、物体の位置を推定することができる。いくつかの実施形態では、物体分類器233は、機械学習ベースの技法を使用して、物体を検出及び分類することができる。機械学習ベースの技法の例は、領域ベースの畳み込みニューラルネットワーク(R-CNN)、高速R-CNN、Faster R-CNN、勾配方向ヒストグラム(HOG)、領域ベースの完全畳み込みネットワーク(R-FCN)、シングルショット検出器(SSD)、空間ピラミッドプーリング(SPP-net)、及び/又はYou Only Look Once(Yolo)などのアルゴリズムを利用することを含む。
【0054】
車両知覚および計画システム220は、道路検出サブシステム224をさらに備える。道路検出サブシステム224は、道路を位置確認し、道路上の物体及び/又は標示を識別する。例えば、レーダーセンサ(複数可)234、カメラ(複数可)232、及び/又はライダーシステム(複数可)210によって提供される生の又は融合したセンサデータに基づいて、道路検出サブシステム224は、機械学習技術(例えば、車線を識別するためのパターン認識アルゴリズム)に基づいて道路の3Dモデルを構築することが可能である。道路の3Dモデルを使用して、道路検出サブシステム224は、物体(例えば、道路上の障害物又は破片)及び/又は道路上の標示(例えば、車線線、旋回マーク、横断歩道マーク等)を特定することができる。
【0055】
車両知覚および計画システム220は、位置確認及び車両姿勢サブシステム225をさらに備える。生の又は融合されたセンサデータに基づき、位置確認及び車両姿勢サブシステム225は、車両の位置及び車両の姿勢を決定することができる。例えば、ライダーシステム(複数可)210、カメラ(複数可)232、及び/又はGPSデータからのセンサデータを使用して、位置確認及び車両姿勢サブシステム225は、道路上の車両の正確な位置及び車両の6自由度(例えば、車両が前進又は後退、上又は下、及び左又は右へ動いているか)を決定することができる。いくつかの実施形態では、高精細(HD)マップが車両位置特定に使用される。HDマップは、車両の位置をピンポイントで特定する、非常に詳細な3次元のコンピュータ化されたマップを提供することができる。例えば、HDマップを使用して、位置確認及び車両姿勢サブシステム225は、車両の現在の位置(例えば、車両が現在道路のどの車線にいるか、縁石又は歩道にどれだけ近いか)を正確に決定し、車両の将来の位置を予測することができる。
【0056】
車両知覚および計画システム220は、障害物予測器226をさらに備える。物体分類器223によって識別される物体は、静止しているもの(例えば、電柱、道路標識)または動いているもの(例えば、移動する歩行者、自転車、別の車)であることができる。動いている物体の場合、その移動経路または将来の位置を予測することは、衝突を回避するために重要であり得る。障害物予測器226は、障害物の軌跡を予測し、及び/又は衝突の可能性について運転者又は車両計画サブシステム228に警告を発することができる。例えば、障害物の軌道が車両の現在の移動経路と交差する可能性が高い場合、障害物予測器226は、そのような警告を発生させることができる。障害物予測器226は、そのような予測を行うために様々な技法を使用することができる。そのような技術は、例えば、一定の速度または加速度モデル、一定の旋回速度および速度/加速度モデル、カルマンフィルタおよび拡張カルマンフィルタに基づくモデル、再帰ニューラルネットワーク(RNN)に基づくモデル、長短期記憶(LSTM)ニューラルネットワークに基づくモデル、エンコーダ-デコーダRNNモデル、またはそのようなものを含む。
【0057】
図2をさらに参照すると、いくつかの実施形態では、車両知覚および計画システム220は、車両計画サブシステム228をさらに備える。車両計画サブシステム228は、経路プランナ、運転行動プランナ、及び動作プランナを含むことができる。経路プランナは、車両の現在位置データ、目標位置データ、交通情報等に基づいて、車両のルートを計画することができる。運転行動プランナは、障害物予測器226から提供される障害物予測結果を用いて、他の物体がどのように動く可能性があるかに基づいて、タイミングや計画された動きを調整する。動作プランナは、車両が従うべき具体的な動作を決定する。そして、計画結果は、車両インタフェース270を介して車両制御システム280に伝達される。通信は、データを転送することができる任意の有線または無線通信リンクを含み得る通信経路223および271を介して実行することができる。
【0058】
車両制御システム280は、車両のステアリング機構、スロットル、ブレーキなどを制御して、計画された経路および移動に従って車両を動作させる。車両知覚および計画システム220は、ユーザ(例えば、運転手)が車両制御システム280にアクセスして、例えば、必要なときに車両の制御をオーバーライドまたは引き継ぐことを提供する、ユーザインタフェース260をさらに含んでもよい。ユーザインタフェース260は、例えば、車両知覚及び計画システム220と通信して、生の又は融合されたセンサデータ、識別された物体、車両の位置/姿勢などを取得し表示することができる。これらの表示されたデータは、ユーザが車両をより良く操作するのに役立つことができる。ユーザインタフェース260は、データを転送できる任意の有線または無線通信リンクを含み得る通信経路221および261をそれぞれ介して、車両知覚および計画システム220および/または車両制御システム280と通信することができる。図2の様々なシステム、センサ、及びインタフェースは、任意の所望の方法で構成することができ、図2に示された構成に限定されないことが理解される。
【0059】
図3は、例示的なライダーシステム300を例示するブロック図である。図1及び図2に示されるライダーシステム110、120A~H及び210はライダーシステム300を使用して実施され得る。一実施形態では、ライダーシステム300は、レーザ源310、送信機320、光受信機及び光検出器330、ステアリングシステム340、及び制御回路350を備える。これらの構成要素は、通信経路312、314、322、332、343、352、及び362を用いて結合される。これらの通信経路は、様々なライダーシステム構成要素間の通信リンク(有線または無線、双方向または単方向)を含むが、それ自体が物理的構成要素である必要はない。通信経路は、1つ以上の電気配線、バス、又は光ファイバによって実施することができるが、通信経路は、物理的な通信媒体が存在しないように、無線チャネル又は自由空間光路とすることもできる。例えば、ライダーシステム300の一実施形態では、レーザ源310と送信機320との間の通信経路314は、1つ又は複数の光ファイバを使用して実装され得る。通信経路332及び352は、自由空間光学部品及び/又は光ファイバで実装された光路を表してもよい。そして、通信経路312、322、342、及び362は、電気信号を伝送する1つ又は複数の電気配線を用いて実装されてもよい。また、通信経路は、上記の種類の通信媒体の複数を含むことができる(例えば、光ファイバと光コンポーネント経路、または1つ以上の光ファイバと1つ以上の電気ワイヤを含むことができる)。
【0060】
ライダーシステム300は、電力バス、電源、LEDインジケータ、スイッチなど、図3に描かれていない他の構成要素も含むことができる。さらに、光パルスが送信されてから戻り光パルスが検出されるまでの時間を正確に測定できるように基準信号を提供するための光源310と光受信器及び光検出器330との間の直接接続など、構成要素間の他の通信接続が存在してもよい。
【0061】
レーザ源310は、視野(FOV)内の物体を照明するためのレーザ光を出力する。レーザ源310は、例えば、半導体ベースのレーザ(例えば、ダイオードレーザ)及び/又はファイバベースのレーザであり得る。半導体ベースのレーザは、例えば、端面発光レーザ(EEL)、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)等とすることができる。ファイバベースレーザは、アクティブ利得媒体が、エルビウム、イッテルビウム、ネオジム、ジスプロシウム、プラセオジム、ツリウム及び/又はホルミウムなどの希土類元素でドープされた光ファイバである、レーザである。いくつかの実施形態では、ファイバレーザは、利得媒体が2層のクラッドによって囲まれたファイバのコアを形成するダブルクラッドファイバをベースとしている。ダブルクラッドファイバは、コアを高出力ビームで励起することを可能にし、それによってレーザ源が高出力ファイバレーザ源であることを可能にする。
【0062】
いくつかの実施形態において、レーザ源310は、マスタ発振器(シードレーザとも呼ばれる)及びパワー増幅器(MOPA)を含む。パワー増幅器は、シードレーザの出力パワーを増幅する。パワー増幅器は、ファイバアンプ、バルクアンプ、又は半導体光学増幅器であり得る。シードレーザは、固体バルクレーザ又は調整可能外部キャビティダイオードレーザであり得る。いくつかの実施形態では、レーザ源310は、光学的に励起されたマイクロチップレーザであり得る。マイクロチップレーザは、レーザ結晶がレーザ共振器の端部ミラーに直接接触する、アライメントフリーのモノリシック固体レーザである。マイクロチップレーザは、通常、レーザダイオードで励起され(直接またはファイバを使用)、所望の出力を得る。マイクロチップレーザには、ネオジム添加イットリウムアルミニウムガーネット(YAl12)レーザ結晶(すなわちNd:YAG)や、ネオジム添加バナジン酸(すなわちND:YVO)レーザ結晶に基づき得る。
【0063】
図4は、シードレーザと、所望の出力パワーをポンピングするための1つ以上のポンプ(例えば、レーザダイオード)とを有する例示的なファイバベースのレーザ源400を示すブロック図である。ファイバベースのレーザ源400は、図3に描かれたレーザ源310の一例である。いくつかの実施形態では、ファイバベースのレーザ源400は、1つ以上の波長(例えば、1550nm)の初期光パルスを生成するためのシードレーザ402を備え、これは、光ファイバ403を介して波長分割多重(WDM)404に供給される。ファイバベースのレーザ源400は、光ファイバ405を介してWDM404にレーザパワー(例えば、980nmのような異なる波長の)を供給するためのポンプ406をさらに含む。WDM404の出力は、次に、光ファイバ407を介して1つ以上の前置増幅器(複数可)408に提供され得る。前置増幅器(複数可)408は、光ファイバ409を介してコンバイナ410に出力する。コンバイナ410は、光ファイバ411を介してポンプ412から提供されるレーザパワーを受け取り、光ファイバ410を介して出力光パルスを生成するブースター増幅器414にパルスを供給する。出力された光パルスは、その後、送信機320及び/又はステアリング機構340(図3に示す)に送信することができる。図4は、ファイバベースのレーザ源400の1つの例示的な構成を示すことが理解される。レーザ源400は、図4に示される1つ以上の構成要素の異なる組み合わせ及び/又は図4に示されない他の構成要素(例えば、電源、レンズ、フィルタ、スプリッタ、コンバイナなどの他の構成要素)を用いて多くの他の構成を有することができる。
【0064】
いくつかの変形例では、ファイバベースのレーザ源400は、ファイバベースのレーザ源400で使用されるファイバのファイバ利得プロファイルに基づいて異なる振幅のパルスを生成するように(例えば、制御回路350によって)制御され得る。通信経路312は、ファイバベースのレーザ源400の構成要素が制御回路350によって制御され得るか、さもなければ制御回路350と通信するように、ファイバベースのレーザ源400を制御回路350(図3に示す)に結合させる。代替的に、ファイバベースのレーザ源400は、それ自身のコントローラを含んでもよい。制御回路350がファイバベースのレーザ源400の構成要素と直接通信する代わりに、ファイバベースのレーザ源400の専用コントローラは、制御回路350と通信し、ファイバベースの光源400の構成要素を制御及び/又は通信する。ファイバベースの光源400は、1つ以上のパワーコネクタ、電源、及び/又は電力線など、図示しない他の構成要素も含むことができる。
【0065】
レーザ源310の典型的な動作波長は、例えば、約850nm、約905nm、約940nm、約1064nm、約1310nm、及び約1550nmを含む。最大の使用可能なレーザパワーの上限は、米国FDA(米国食品医薬品局)の規制によって設定されている。波長1550nmの光学出力限界は、前述の他の波長の光学出力限界よりはるかに高い。また、1550nmはファイバ内での光損失が少ない。このような特性から、1550nmの波長は長距離ライダーの用途に適している。レーザ源310から出力される光パワーの量は、そのピークパワー、平均パワー、およびパルスエネルギーによって特徴付けることができる。ピークパワーは、パルスエネルギーとパルスの幅(例えば、半値全幅、FWHM)との比である。したがって、パルス幅が小さいほど、一定量のパルスエネルギーに対してより大きなピークパワーを提供することができる。パルス幅は、ナノ秒またはピコ秒の範囲にすることができる。平均パワーは、パルスのエネルギーとパルス繰り返しレート(PRR)の積である。以下により詳細に説明するように、PRRはパルスレーザ光の周波数を表す。PRRは、典型的には、ライダーシステムが測定することができる最大範囲に対応する。レーザ源310はまた、所望の最大検出距離を満たすために、中または低PRRでパルスを生成するように構成され得る。ウォールプラグ効率(WPE)は、総消費電力を評価するための別の要素であり、レーザ効率を評価する際の重要な指標となり得る。例えば、図1に示すように、複数のライダーシステムが車両に取り付けられることがあり、この車両は、電気駆動の車両であるか、さもなければ燃料またはバッテリーの電力供給に制限がある車両である可能性がある。したがって、高いWPE及びレーザパワーを使用するインテリジェントな方法は、レーザ源310を選択及び構成する際、及び/又は車両搭載ライダー用途用のレーザ送達システムを設計するのに重要なことが多い。
【0066】
上記の説明は、レーザ源310の非限定的な例を提供することが理解される。レーザ源310は、様々な波長で1つ以上の光信号を生成するように構成された多くの他のタイプの光源(レーザダイオード、短キャビティファイバレーザ、固体レーザ、及び/又は調整可能な外部キャビティダイオードレーザなど)を含むように構成することが可能である。いくつかの例では、光源310は、増幅器(例えば、前置増幅器及び/又はブースター増幅器)を備え、これは、ドープ光ファイバ増幅器、固体バルク増幅器、及び/又は半導体光学増幅器であり得る。増幅器は、光信号を受信し増幅するように構成される。
【0067】
図3に戻って参照すると、ライダーシステム300は、送信機320をさらに備える。レーザ光(例えば、レーザビームの形態で)はレーザ源310から提供され送信機320に提供される。レーザ源310によって提供されるレーザ光は、所定の又は制御された波長、繰り返しレート、及び/又はパワーレベルを有する増幅レーザ光であり得る。送信機320は、レーザ源310からレーザ光を受信し、低発散でステアリング機構340にレーザ光を送信する。いくつかの実施形態では、送信機320は、例えば、レーザビームを直接又はステアリング機構340を介して視野(FOV)に伝送するための光学コンポーネント(例えば、レンズ、ファイバ、ミラーなど)を含むことができる。図3は、送信機320及びステアリング機構340を別個のブロックとして図示しているが、これらは、いくつかの実施形態において1つのシステムとして組み合わせられるか又は統合されてもよい。ステアリング機構340は、以下でより詳細に説明される。
【0068】
レーザ源310によって提供されるレーザビームは、送信機320に移動する際に発散する可能性がある。したがって、送信機320は、発散するレーザビームを集め、発散が低減された又は最小の平行光ビームを生成するように構成されたコリメートレンズ含むことが多い。平行光ビームは、その後、ミラーやレンズなどの様々な光学系を介してさらに方向付けられることができる。コリメートレンズは、例えば、平凸レンズであってもよい。コリメートレンズは、ビーム径、発散角、開口数、焦点距離など、任意の所望の特性を有するように構成することができる。ビーム伝搬比またはビーム品質係数(Mファクタとも呼ばれる)は、レーザビームの品質を測定するために使用される。多くのライダーアプリケーションでは、送信レーザビームを生成する際に、良好なレーザビーム品質を制御することが重要である。Mファクタは、理想的なガウシアンビームからのビームのばらつきの度合いを表している。従って、Mファクタは、コリメートされたレーザビームをどれだけ小さなスポットに集光できるか、あるいは、発散したレーザビームをどれだけコリメートできるかを反映する。Mファクタが小さいほど、レーザビームの焦点はよりタイトになり、より強いビームスポットを得ることができる。したがって、レーザ源310及び/又は送信機320は、例えば、スキャン解像度要件に従って所望のMファクタを得るように構成され得る。
【0069】
送信機320によって提供される光ビームは、ステアリング機構340によってFOVに走査される。ステアリング機構340は、ライダーシステム300が3D点群を生成することによって環境をマッピングすることを容易にするために、光ビームを多次元(例えば、水平及び垂直次元の両方)で走査する。ステアリング機構340は、以下でより詳細に説明される。FOVに走査されたレーザ光は、FOV内の物体によって散乱又は反射され得る。散乱又は反射された光の少なくとも一部は、ライダーシステム300に戻る。図3は、戻り光を受信するように構成された光受信器及び光検出器330をさらに示す。光受信機及び光検出器330は、FOVから戻り光を収集するように構成された光受信機を含む。光受信器は、FOVからの戻り光を受信、方向転換、集束、増幅、及び/又はフィルタリングするための光学系(例えば、レンズ、ファイバ、ミラー等)を含むことができる。例えば、光受信器は、収集された戻り光を光検出器上に収集及び/又は集束するための受信レンズ又は集束レンズ(例えば、平凸レンズ)を含むことが多い。
【0070】
光検出器は、受光素子によって集光された戻り光を検出し、戻り光の入射強度に比例した電流信号および/または電圧信号を生成する。このような電流信号及び/又は電圧信号に基づいて、FOV内の対象物の深度情報を導出することができる。そのような深度情報を導出するための1つの例示的な方法は、以下でより詳細に説明される直接TOF(飛行時間)に基づくものである。光検出器は、その検出感度、量子効率、検出器帯域幅、線形性、信号対雑音比(SNR)、過負荷耐性、干渉耐性等によって特徴付けられる場合がある。アプリケーションに基づいて、光検出器は、任意の所望の特性を有するように構成またはカスタマイズすることができる。例えば、光受信器及び光検出器330は、光検出器が良好な線形性を有しながら大きなダイナミックレンジを有するように構成され得る。光検出器の線形性は、入力光信号パワーと検出器の出力との間の線形関係を維持する検出器の能力を示す。良好な線形性を有する検出器は、大きな動的入力光信号範囲にわたって線形関係を維持することができる。
【0071】
光検出器は、その構造や材料に工夫を凝らすことで、所望の特性を得ることができる。光検出器には、様々な検出器構造を使用することができる。例えば、光検出器構造は、p型半導体領域とn型半導体領域との間にドープされていない固有半導体領域(すなわち、「i」領域)を有するPINベースの構造であり得る。他の光検出器構造は、APD(アバランシェフォトダイオード)ベースの構造、PMT(光電子増倍管)ベースの構造、SiPM(シリコン光電子増倍管)ベースの構造、SPAD(単一光子アバランシェダイオード)ベースの構造、および/または量子ワイヤで構成される。光検出器に使用される材料系としては、Si、InGaAs、及び/又はSi/Geベースの材料を使用することができる。多くの他の検出器構造及び/又は材料系が、光受信器及び光検出器330において使用され得ることが理解される。
【0072】
光検出器(例えば、APDベースの検出器)は、出力信号を生成する際に入力信号が増幅されるように、内部利得を有することがある。しかし、検出器の内部利得により、ノイズも増幅される場合がある。一般的なノイズには、信号ショットノイズ、暗電流ショットノイズ、熱ノイズ、及び増幅器ノイズ(TIA)が含まれる。したがって、光受信器及び光検出器330は、低雑音増幅器(LNA)である前置増幅器を含み得る。いくつかの実施形態では、前置増幅器はまた、電流信号を電圧信号に変換するTIA-トランスインピーダンス増幅器を含んでもよい。線形検出器システムの場合、入力等価雑音または雑音等価電力(NEP)は、光検出器が弱い信号に対してどの程度敏感であるかを測定する。したがって、これらはシステム全体の性能を示す指標として用いることができる。例えば、光検出器のNEPは、検出可能な最も弱い信号のパワーを特定し、したがってそれは、ライダーシステムの最大範囲を特定する。ライダーシステム300の要件を満たすために、様々な光検出器の最適化技術が使用され得ることが理解される。そのような最適化技術は、異なる検出器構造、材料を選択すること、及び/又は信号処理技術(例えば、フィルタリング、ノイズ低減など)を実装することを含み得る。例えば、戻り信号の直接検出(例えば、TOFを使用することによって)に加えて、又はその代わりに、コヒーレント検出を光検出器に使用することもできる。コヒーレント検出では、受信光を局部発振器で干渉させることにより、受信光の振幅および位相情報を検出することができる。コヒーレント検出は、検出感度や耐ノイズ性を向上させることができる。
【0073】
図3は、ライダーシステム300がステアリング機構340を含むことをさらに示している。上述したように、ステアリング機構340は、送信機320からの光ビームを誘導してFOVを多次元で走査する。ステアリング機構は、ラスター機構又は走査機構と呼ばれ得る。光ビームを複数の次元(例えば、水平次元及び垂直次元の両方)に走査することは、ライダーシステムが、画像又は3D点群を生成することによって環境をマッピングすることを容易にする。ステアリング機構は、メカニカルスキャンと固体スキャンに基づくことができる。メカニカルスキャンは、回転ミラーを使用してレーザビームを誘導し、ライダー送信機と受信機(総称してトランシーバ)を物理的に回転させてレーザビームを走査させる。固体スキャンは、トランシーバなどの巨視的コンポーネントを機械的に動かすことなく、レーザビームをFOV内のさまざまな位置に照射する。固体スキャン機構には、MEMSミラーに基づくステアリング、光学フェーズドアレイに基づくステアリング、及びフラッシュライダーに基づくステアリングが含まれる。いくつかの実施形態では、固体スキャン機構は巨視的コンポーネントを物理的に動かさないので、固体スキャン機構によって実行されるステアリングは、効率的ステアリングと呼ばれ得る。固体スキャンを用いるライダーシステムは、非メカニカルスキャンまたは単に非スキャンライダーシステムとも呼ばれ得る(フラッシュライダーシステムは、例示的な非走査ライダーシステムである)。
【0074】
ステアリング機構340は、画像又は3D点群を生成するためにFOVを走査するために、トランシーバ(例えば、送信機320及び光受信機及び光検出器330)と共に使用することができる。一例として、ステアリング機構340を実装するために、二次元メカニカルスキャナを、1つ又は複数の単一点トランシーバと共に使用することができる。単一点トランシーバは、単一の光ビーム又は少数の光ビーム(例えば、2~8本のビーム)をステアリング機構に送信する。二次元メカニカルステアリング機構は、例えば、ポリゴンミラー(複数可)、振動ミラー(複数可)、回転プリズム(複数可)、回転傾斜ミラー面(複数可)、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ステアリング機構340は、固体ステアリング機構(複数可)などの非メカニカルステアリング機構(複数可)を含むことができる。例えば、ステアリング機構340は、屈折効果と組み合わせたレーザ光の波長を調整すること、及び/又は再構成可能なグレーティング/位相アレイに基づくことが可能である。いくつかの実施形態では、ステアリング機構340は、二次元走査を実現するために単一の走査デバイスを使用することができ、又は二次元走査を実現するために組み合わされた2つのデバイスを使用することができる。
【0075】
別の例として、ステアリング機構340を実装するために、一次元メカニカルスキャナを、アレイまたは多数の単一点トランシーバと共に使用することができる。具体的には、トランシーバアレイは、360度の水平視野を達成するために回転プラットフォームに搭載することができる。また、静止トランシーバーアレイを一次元メカニカルスキャナと組み合わせることも可能である。一次元メカニカルスキャナは、ポリゴンミラー、振動ミラー、回転プリズム、回転チルトミラーなどから構成され、前方視の水平視野を得ることができる。メカニカルスキャナを使用したステアリング機構は、自動車用として大量生産する際に、堅牢性と信頼性を提供することができる。
【0076】
別の例として、ステアリング機構340を実装するために、2次元トランシーバを使用して、スキャン画像または3D点群を直接生成することができる。いくつかの実施形態では、スキャン画像又はスキャンされる視野の解像度を向上させるために、スティッチング又はマイクロシフト法が使用され得る。例えば、2次元トランシーバを使用して、1つの方向(例えば、水平方向)で生成された信号及び他の方向(例えば、垂直方向)で生成された信号を統合、インターリーブ、及び/又はマッチングして、スキャンされたFOVを表すより高い又はフル解像度の画像又は3D点群を生成してもよい。
【0077】
ステアリング機構340のいくつかの実装は、戻り光信号を光受信器及び光検出器330に向けるために受信経路に沿って(例えば、回転、振動、又は指示することによって)戻り光信号を操縦する1つ以上の光リダイレクション要素(例えば、ミラー又はレンズ)から構成される。送信経路及び受信経路に沿って光信号を方向付ける光リダイレクション要素は、同じコンポーネント(例えば、共有)、別々のコンポーネント(例えば、専用)、及び/又は共有と別々のコンポーネントの組み合わせであってよい。つまり、場合によっては、送信経路と受信経路は部分的に重なる(場合によっては、実質的に重なる)ことがあるが、異なるものである。
【0078】
図3をさらに参照すると、ライダーシステム300は、制御回路350をさらに備える。制御回路350は、ライダーシステム300の様々な部分を制御するように、及び/又は信号処理を実行するように構成及び/又はプログラムすることができる。典型的なシステムでは、制御回路350は、例えば、所望のレーザパルスタイミング及びパワーを得るためにレーザ源310を制御すること、FOVを走査して画素登録/整合を維持するためにステアリング機構340を制御すること(例えば、速度、方向、及び/又は他のパラメータを制御すること)、最適状態となるように光受信器及び光検出器330を制御すること(例えば、感度、ノイズ低減、フィルタリング、及び/又は他のパラメータを制御すること)、並びに機能安全性について全体のシステムヘルス/状態を監視すること、などの1又は複数の制御機能を実行するように構成され得る及び/又はプログラムされ得る。
【0079】
制御回路350はまた、光受信機および光検出器330によって生成された生データに対して信号処理を行い、距離および反射率情報を導出し、データのパッケージングおよび車両知覚および計画システム220(図2に示す)への通信を行うように構成および/またはプログラムされることが可能である。例えば、制御回路350は、光パルスを送信してから対応する戻り光パルスを受信するまでの時間を決定し、送信された光パルスに対して戻り光パルスを受信しない場合を決定し、送信/戻り光パルスに対する送信方向(例えば、水平及び/又は垂直情報)を決定し、特定の方向における推定範囲を決定し、及び/又はライダーシステム300に関連する他のあらゆるタイプのデータを決定する。
【0080】
ライダーシステム300は、暑い又は寒い天候、激しい振動を引き起こす可能性のある荒れた道路状況、高湿又は低湿、埃っぽい地域などを含む多くの異なる環境で動作し得る車両に配置され得る。したがって、いくつかの実施形態では、ライダーシステム300の光学及び/又は電子コンポーネント(例えば、送信機320、光受信機及び光検出器330、並びにステアリング機構340における光学部品)は、長期的な機械的及び光学的安定性を維持するように配置又は構成される。例えば、ライダーシステム300内の構成要素は、車両が遭遇し得る全ての条件下で動作できるように固定され、密閉されてもよい。一例として、送信機320、光受信機及び光検出器330、並びにステアリング機構340(及び湿気の影響を受けやすい他の構成要素)の光学構成要素に、防湿コーティング及び/又は密閉が施されてもよい。別の例として、ハウジング(複数可)、エンクロージャ(複数可)、及び/又はウィンドウは、硬度、侵入保護(IP)評価、自己洗浄能力、化学物質に対する耐性及び衝撃に対する耐性等の所望の特性を提供するためにライダーシステム300において使用することができる。さらに、ライダーシステム300を組み立てるための効率的かつ経済的な方法論は、コストを低く抑えながらライダー動作要件を満たすために使用され得る。
【0081】
当業者であれば、図3及び上記の説明は例示のためだけのものであり、ライダーシステムは他の機能ユニット、ブロック、又はセグメントを含むことができ、これらの上記機能ユニット、ブロック、又はセグメントの変形又は組み合わせを含むことができることが理解される。例えば、ライダーシステム300は、電力バス、電源、LEDインジケータ、スイッチなど、図3に描かれていない他の構成要素も含むことができる。さらに、光源310が光パルスを送信してから光検出器330が戻り光パルスを検出するまでの時間を光検出器330が正確に測定できるように、光源310と光受信器と光検出器330との間の直接接続など、コンポーネント間の他の接続も存在し得る。
【0082】
図3に示すこれらの構成要素は、通信経路312、314、322、332、342、352、及び362を用いて互いに結合される。これらの通信経路は、様々なライダーシステム構成要素間の通信(双方向又は単方向)を表すが、それ自体が物理的構成要素である必要はない。通信経路は、1つ以上の電気配線、バス、又は光ファイバによって実施することができるが、通信経路は、物理的な通信媒体が存在しないように、無線チャネル又は開放型光路とすることもできる。例えば、1つの例示的なライダーシステムにおいて、通信経路314は1つ以上の光ファイバであり、通信経路352は光路を表し、通信経路312、322、342、及び362は全て電気信号を伝達する1つ以上の電気線である。通信経路は、上記の種類の通信媒体を複数含むこともできる(例えば、光ファイバと光路を含むこともできるし、1つ以上の光ファイバと1つ以上の電気線を含むこともできる)。
【0083】
上述したように、いくつかのライダーシステムは、光信号(例えば、光パルス)の飛行時間(TOF)を使用して、光路内の物体までの距離を決定する。例えば、図5Aを参照すると、例示的なライダーシステム500は、レーザ源(例えば、ファイバレーザ)、ステアリングシステム(例えば、1つ又は複数の移動ミラーのシステム)、及び光検出器(例えば、1つ又は複数の光学系を有する光子検出器)を含む。ライダーシステム500は、例えば、上述したライダーシステム300を用いて実装することができる。ライダーシステム500は、ライダーシステム500のステアリングシステムによって決定されるように、光路504に沿って光パルス502を送信する。描かれた例では、レーザ源によって生成される光パルス502は、レーザ光の短パルスである。さらに、ライダーシステム500の信号ステアリングシステムは、パルス-信号ステアリングシステムである。しかしながら、ライダーシステムは、パルス状ではない光信号を生成、送信、及び検出することによって動作し、飛行時間以外の技術を使用して周辺環境内の物体への範囲を導出することができることを理解されたい。例えば、一部のライダーシステムは、周波数変調連続波(すなわち、「FMCW」)を使用する。パルス信号を使用する飛行時間ベースのシステムに関して本明細書に記載された技術のいずれもが、これらの技術の一方または両方を使用しないライダーシステムにも適用可能であることをさらに理解されたい。
【0084】
図5A(光パルスを使用する飛行時間型ライダーシステム)に戻ると、光パルス502が物体506に到達すると、光パルス502は散乱又は反射して戻り光パルス508を生成する。戻り光パルス508は、光路510に沿ってシステム500に戻ることができる。送信光パルス502がライダーシステム500を出てから、戻り光パルス508がライダーシステム500に戻ってくるまでの時間は、(例えば、ライダーシステム内の制御回路350などのプロセッサ又は他の電子機器によって)測定することができる。光速の知識と組み合わせたこの飛行時間は、ライダーシステム500から光パルス502が散乱又は反射した物体506の部分までの範囲/距離を決定するために使用され得る。
【0085】
図5Bに描かれているように、多くの光パルスを向けることによって、ライダーシステム500は外部環境を走査する(例えば、光路504、524、528、532に沿ってそれぞれ光パルス502、522、526、530を向けることによって)。図5Cに描かれているように、ライダーシステム500は、戻り光パルス508、542、548(それぞれ、送信された光パルス502、522、530に対応する)を受信する。戻り光パルス508、542、548は、物体506及び514の一方によって送信された光パルスを散乱又は反射させることによって生成される。戻り光パルス508、542、及び548は、それぞれ光路510、544、及び546に沿ってライダーシステム500に戻ることができる。送信された光パルスの方向(ライダーシステム500によって決定される)、並びにライダーシステム500から光パルスを散乱又は反射する物体の部分(例えば、物体506及び514の部分)までの計算範囲に基づいて、検出可能範囲内の外部環境(例えば、経路504と532との間の視野、包括的に)を正確にマッピング又はプロット(例えば、3D点群又は画像の生成によって)することが可能である。
【0086】
対応する光パルスが特定の送信された光パルスに対して受信されない場合、ライダーシステム500の検出可能範囲内に物体が存在しない(例えば、物体がライダーシステム500の最大走査距離を超えている)と判断され得る。例えば、図5Bにおいて、光パルス526は、所定の検出範囲内でその伝送経路528に沿って散乱事象を生じないことがあるので、(図5Cに図示されるように)対応する戻り光パルスを有しないことがある。ライダーシステム500、又はライダーシステム500と通信する外部システム(例えば、クラウドシステム又はサービス)は、戻り光パルスの欠如を、ライダーシステム500の検出範囲内の光路528に沿って配置されている物体がないものとして解釈することができる。
【0087】
図5Bにおいて、送信された光パルス502、522、526、及び530は、任意の順序で、直列に、並列に、又は互いに対する他のタイミングに基づいて送信されることができる。さらに、図5Bは、送信された光パルスを1つの次元又は1つの平面(例えば、紙の平面)に向けられるものとして描いているが、ライダーシステム500は、他の次元(複数可)又は平面(複数可)に沿って送信光パルスを向けることも可能である。例えば、ライダーシステム500は、図5Bに示される次元又は平面に垂直な次元又は平面で、送信された光パルスを向けることもでき、それによって、光パルスの2次元送信を形成することができる。この光パルスの2次元送信は、点ごと、線ごと、一度に、または他の何らかの方法で行うことができる。光パルスの1次元的な送信(例えば、水平方向の1ライン)から点群または画像を生成すると、2次元データ(例えば、(1)水平送信方向のデータ、(2)物体までの範囲)を生成することができる。同様に、2次元の光パルス送信による点群または画像は、3次元データ(例えば、(1)水平送信方向のデータ、(2)垂直送信方向のデータ、および(3)物体までの範囲)を生成することができる。一般に、光パルスのn次元伝送を行うライダーシステムは、(n+1)次元のデータを生成する。これは、ライダーシステムが、対象物の深さ、または対象物までの距離/間隔を測定できるため、さらなる次元のデータを提供することになるためである。したがって、ライダーシステムによる2次元スキャンは、ライダーシステムの外部環境をマッピングするための3次元点群データを生成することができる。
【0088】
点群の密度とは、ライダーシステムによって実行された領域あたりの測定値(データポイント)の数を指す。点群の密度は、ライダーのスキャン解像度に関連します。一般的に、少なくとも関心領域(ROI)については、より高い解像度が望まれる。ライダーシステムによって生成された点群または画像における点の密度は、複数のパルスを視野で割った数に等しい。いくつかの実施形態では、視野は固定され得る。したがって、1組の送受信光学系(又はトランシーバ光学系)によって生成される点の密度を高めるために、ライダーシステムは、より頻繁にパルスを生成する必要がある場合がある。つまり、より高いパルス繰り返しレート(PRR)を持つ光源が必要となる。一方、より頻繁にパルスを生成し送信することで、ライダーシステムが検出できる最遠距離が制限される場合がある。例えば、次のパルスを送信した後に遠方の物体からの戻り信号を受信した場合、戻り信号が送信順と異なる順番で検出され、戻り信号と送信信号を正しく関連付けることができず、曖昧さが生じる可能性がある。説明のために、500kHzから1MHzの間の繰り返しレートでレーザパルスを送信できる例示的なライダーシステムを考えてみる。パルスがライダーシステムに戻るまでの時間と、従来のライダー設計における連続したパルスからの戻りパルスの混在を避けることに基づいて、ライダーシステムが検出できる最も遠い距離は、500kHzと1MHzについてそれぞれ300メートルと150メートルであり得る。繰り返しレート500kHzのライダーシステムの点密度は、1MHzのそれの半分である。したがって、この例は、システムが順番に到着しない戻り信号を正しく相関させることができない場合、繰り返しレートを500kHzから1MHzに上げる(したがって、システムの点の密度を向上させる)ことにより、システムの検出範囲が縮小され得ることを示している。PRRの向上と検出範囲の制限のトレードオフを緩和するために、さまざまな技術が使用されている。例えば、異なる範囲の物体を検出するために、複数の波長を使用することができる。また、送信光信号と戻り信号の相関をとるために、光学的および/または信号処理技術が使用される。
【0089】
本明細書に記載される様々なシステム、装置、及び方法は、デジタル回路を使用して、又は周知のコンピュータプロセッサ、メモリユニット、記憶装置、コンピュータソフトウェア、及び他の構成要素を使用する1つ以上のコンピュータを使用して実装され得る。典型的には、コンピュータは、命令を実行するためのプロセッサと、命令及びデータを記憶するための1つ又は複数のメモリとを含む。コンピュータはまた、1つ以上の磁気ディスク、内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスク、光磁気ディスク、光ディスク等の1つ以上の大容量記憶装置を含むか、又はそれに結合されてもよい。
【0090】
本明細書で説明する様々なシステム、装置、及び方法は、クライアント-サーバ関係で動作するコンピュータを使用して実装することができる。典型的には、このようなシステムにおいて、クライアントコンピュータは、サーバコンピュータから遠隔に位置し、ネットワークを介して相互作用する。クライアント-サーバ関係は、それぞれのクライアントコンピュータ及びサーバコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムによって定義及び制御されてもよい。クライアントコンピュータの例としては、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、ポータブルコンピュータ、セルラースマートフォン、タブレット、または他のタイプのコンピューティングデバイスを挙げることができる。
【0091】
本明細書に記載される様々なシステム、装置、及び方法は、プログラマブルプロセッサによる実行のために、情報キャリア、例えば、非一時的のマシン可読記憶装置において当接的に具現化されるコンピュータプログラム製品を用いて実装されてもよく、本明細書に記載される方法プロセス及びステップは、このようなプロセッサによって実行可能な1以上のコンピュータプログラムを使って実装されてもよい。コンピュータプログラムは、ある動作を行うため、またはある結果をもたらすために、コンピュータにおいて直接的または間接的に使用することができるコンピュータプログラム命令の集合である。コンピュータプログラムは、コンパイル言語やインタプリタ言語など、任意の形式のプログラミング言語で記述することができ、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、あるいはコンピュータ環境での使用に適した他のユニットとして、任意の形式で配備することができる。
【0092】
本明細書に記載されるシステム、装置、および方法を実装するために使用され得る例示的な装置の高レベルブロック図が、図6に示されている。装置600は、永続的記憶装置620および主記憶装置630に動作可能に結合されたプロセッサ610を備える。プロセッサ610は、そのような動作を定義するコンピュータプログラム命令を実行することによって、装置600の全体的な動作を制御する。コンピュータプログラム命令は、永続的記憶装置620、または他のコンピュータ可読媒体に格納され、コンピュータプログラム命令の実行が望まれるときに主記憶装置630にロードされてもよい。例えば、プロセッサ610は、制御回路350(図3に示す)、車両知覚及び計画システム220(図2に示す)、及び車両制御システム280(図2に示す)など、本明細書に記載の1つ以上のコンポーネント及びシステムを実装するために使用されてもよい。本開示に記載される様々な方法は、主記憶装置630及び/又は永続的記憶装置620に格納され、コンピュータプログラム命令を実行するプロセッサ610によって制御されるコンピュータプログラム命令によって定義することができる。例えば、コンピュータプログラム命令は、当業者によってプログラムされたコンピュータ実行可能コードとして実装され、本開示で説明される様々な方法によって定義されるアルゴリズムを実行することができる。したがって、コンピュータプログラム命令を実行することによって、プロセッサ610は、本開示に記載される様々な方法によって定義されるアルゴリズムを実行する。装置600は、ネットワークを介して他の装置と通信するための1つまたは複数のネットワークインタフェース680も含む。装置600は、装置600とのユーザの対話を可能にする1つ以上の入力/出力デバイス690(例えば、ディスプレイ、キーボード、マウス、スピーカー、ボタンなど)も含むことができる。
【0093】
プロセッサ610は、汎用及び特殊目的のマイクロプロセッサの両方を含んでもよく、装置600の唯一のプロセッサ又は複数のプロセッサのうちの1つであってもよい。プロセッサ610は、1つ以上の中央処理装置(CPU)、及び1つ以上のグラフィックス処理装置(GPU)を含んでよく、これらは、例えば、本明細書に記載される様々な画像処理アプリケーションのための処理を加速するために1つ以上のCPUとは別に動作し及び/又は1つ以上のCPUとマルチタスクしてもよい。プロセッサ610、永続的記憶装置620、及び/又は主記憶装置630は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)及び/又は1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む、それによって補完される、又は組み込まれる可能性がある。
【0094】
永続的記憶装置620および主記憶装置630はそれぞれ、有形の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含む。永続的記憶装置620、および主記憶装置630はそれぞれ、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダブルデータレート同期動的ランダムアクセスメモリ(DDRRAM)、または他のランダムアクセス固体メモリデバイスなどの高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、内蔵ハードディスクおよびリムーバルディスクなどの1または複数の磁気ディスクストレージ装置などの非揮発性メモリも含んでいてもよい。光磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリ装置、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)などの半導体メモリ装置、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル汎用ディスク読み取り専用メモリ(DVD-ROM)ディスク、または他の非揮発性の固体記憶装置などを含む。
【0095】
入力/出力デバイス690は、プリンタ、スキャナ、ディスプレイスクリーンなどの周辺機器を含んでもよい。例えば、入力/出力デバイス690は、情報をユーザに表示するための陰極線管(CRT)、プラズマまたは液晶ディスプレイ(LCD)モニタなどのディスプレイデバイス、キーボード、およびユーザが装置600に入力を提供できるマウスまたはトラックボールなどのポインティングデバイスを含んでもよい。
【0096】
本明細書で議論されるシステム及び装置の機能のいずれか又は全ては、プロセッサ610によって実行されてもよく、及び/又は、ライダーシステム300などの装置又はシステムに組み込まれてもよい。さらに、ライダーシステム300及び/又は装置600は、プロセッサ610又は本明細書で議論される他のシステム若しくは装置によって実行される1つ以上のニューラルネットワーク又は他のディープラーニング技法を利用してもよい。
【0097】
当業者であれば、実際のコンピュータまたはコンピュータシステムの実装は、他の構造を有し、同様に他の構成要素を含む可能性があり、図6は、説明のためにそのようなコンピュータの構成要素のいくつかを高レベルで表現したものであることを認識するであろう。
【0098】
図7は、従来のガルバノメータ装置700を示す図である。ガルバノメータ装置は、レーザビームを操縦するためにミラーを回転させることができ、例えば、レーザスキャン、印刷、医療機器、レーザ切断、および光学投影において使用される。装置700は、ミラー702、ラジアルフラックスモータ704、ベアリング706、およびエンコーダ708を含む。従来は、図7に示すように、ラジアルフラックスモータ704、ベアリング706、及びエンコーダ708は、全てミラー702の同じ側に取り付けられている。言い換えれば、ミラー702は、ガルバノメータ装置700の一端に取り付けられている。従って、従来のガルバノメータ装置700は、シングルエンド装置である。典型的には、装置700は、通常、安定した土台に取り付けられるか、または機械的もしくは熱的な妨害がないまたは最小である静かな動作環境において使用される。今日、ガルバノメータ装置は、ライダーシステムの一部として車両に使用されることが増えている。しかし、車両の動作環境は、従来のガルバノメータ装置が使用される環境とはかなり異なっている。車両は、高速走行時やオフロード走行時に大きな衝撃や振動を発生させることがある。また、広い温度・湿度範囲や、埃・霧・雨・雪などの環境下で動作させる必要がある場合もある。つまり、車両の動作環境は、時々刻々と大きく変化する可能性がある。したがって、図7に示す装置700のような従来のガルバノメータ装置は、車両に取り付けられたときにうまく動作しないか、または全く動作しない可能性がある。
【0099】
具体的には、装置700を例にすると、ミラー702は装置の一端に取り付けられているため、装置が高振動環境で動作している場合、ミラー702は半径方向に沿って曲げまたは揺れを有する可能性がある。ミラー702の曲げまたは揺れは、レーザビームのスキャン偏差を発生させ、その結果、画像又は点群に誤差を発生させる。さらに、ラジアルフラックスモータ704の寸法は、通常、その長手方向(図7に示すように垂直方向)に大きくなっている。ベアリング706およびエンコーダ708は、同様に長手方向に沿ってラジアルフラックスモータ704に取り付けられる。したがって、装置700はかなり長くなり、車両内の狭いスペースに装置700を収めることが困難となる場合がある。さらに、従来のガルバノメータ装置700におけるラジアルフラックスモータ704の巻線は、通常、手動で作られ、ラジアルフラックスモータ704のケースに挿入される。この手作業は、通常、自動車製造に要求される大量生産で従来のガルバノメータ装置を製造することを妨げる。さらに、従来のガルバノメータ装置700におけるエンコーダ708とラジアルフラックスモータ704は、互いに接近して配置されている。その結果、ラジアルフラックスモータ704から発生するノイズは、エンコーダ708の性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0100】
本発明の実施形態は、図8A図8B図9A図9B図10A図10C、及び図11を使って説明される。図8A図8Bは、例示的な電動光学スキャナ800の透視図である。図9Bは、図8A図8Bの例示的な電動光学スキャナ800の断面図である。図10A図10Bは、図8A図8Bの電動光学スキャナ800の例示的なロータアセンブリ1000を示す透視図である。図10Cは、図8A図8の電動光学スキャナ800の例示的なロータアセンブリ1000を示す分解斜視図である。図11は、デュアルシャフト電動光学スキャナの例示的なシャフト取付具1106を示する透視図である。図8A図8B図9A図9B図10A図10C、及び図11を以下にまとめて説明する。異なる図8A図8B図9A図9B図10A図10C、及び図11の同一要素には同一番号を付している。電動光学スキャナ800は、例えば、図3に示すライダーシステム300のステアリング機構340の一部とすることができる。
【0101】
図8A図8B図9A図9B、及び図10A図10Cを参照すると、電動光学スキャナ800は、反射片802を含む。図10Aおよび図10Bに示されるように、反射片802は、基板1004及び反射面1002を含むことができる。反射面1002は、基板1004の前面側に機械的又は接着的に取り付けられることができる。例えば、反射面1002は、別個の基板1004に取り付けられるミラーであってもよい。基板1004は、多種多様な環境条件下で反射面1002を支持するのに十分な硬度又は強度を有する任意の材料で作ることができる。基板1004は、例えば、金属、合金、ゴム、プラスチック等から作ることができる。いくつかの実施形態では、基板1004及び反射面1002は、反射片802の一体の部分であり得る。反射片802は、図10A図10Bに示すように面取りされた角部を有することができる。反射片802はまた、任意の他のタイプの形状及び角(例えば、面取りされた角を有しない矩形形状、円形形状、正方形形状、丸みを帯びた角など)を有していてもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、反射面1002及び基板1004は、異なる材料で作ることができる。例えば、反射面1002は、反射コーティングを有するガラスで作られたミラーとすることができる。基板1004は、金属(例えば、アルミニウム)、炭化ケイ素、又は反射面1002に所望の支持を提供することができる他の任意の材料で作ることができる。反射面1002及び基板1004はまた、別々に又は一緒に、CNC(コンピュータ数値制御)フライス加工又は成形することができる。例えば、ミラー及びその基板は、一緒に成形又は機械製造することができる。機械を使用して、ミラーが最初に粗く処理され、次いで光学的に反射する表面を提供するために細かい研磨ステップが行われるように、いくつかの処理ステップを実行することができる。
【0103】
反射片802は、軸808(例えば、図9A図9Bに示す反射片802の長手方向の中心線に沿った軸)を中心に回転又は振動するように制御して、レーザビームのスキャンを容易にすることができる。いくつかの実施形態では、図9A図9B、及び図10Cに示すように、反射片802は、第1のシャフト804及び第2のシャフト806に取り付けられる。第1のシャフト804及び第2のシャフト806は、反射片802が回転又は振動する軸808を規定するような方法で取り付けられることができる。例えば、第1のシャフト804及び第2のシャフト806は、反射片802の長手方向の中心軸808と一致するように、反射片802のそれぞれの縁の中心位置に取り付けられ得る。図10Bに示すように、第1のシャフト804及び第2のシャフト806は、基板1004の第1の端部及び第2の端部にそれぞれ取り付けられる。基板1004の第1の端部及び第2の端部は、基板1004の長手方向に沿って基板1004の反対側の端部である。この構成により、反射片802は、第1のシャフト804と第2のシャフト806との間に配置され、デュアルシャフト構造を形成することになる。すなわち、反射片802は、従来のシングルエンドのガルバノメータ装置のように一端に配置されるのとは対照的に、電動光学スキャナ800(図8A図8Bに示す)の中間に配置される。デュアルシャフト構造は、電動光学スキャナ800の機械的な堅牢性及び操作性を向上させる。
【0104】
いくつかの実施形態では、第1のシャフト804及び第2のシャフト806は、図10Bに示されるシャフト取付具1006を介して基板1004に取り付けられる。シャフト取付具1006は、基板1004に機械的に(例えば、締付具、クランプなどを用いて)又は接着剤で取り付けることができる。シャフト取付具1006はまた、基板1004の一体化した部分とすることができる。例えば、シャフト取付具1006および基板1004は、成形技術を使用することによって一体として一緒に製造することができる。図10A及び図10Bに示すように、基板1004の裏側はシャフト取付具1006に取り付けられ、一方、基板1004の表側は反射面1002に取り付けられる。
【0105】
いくつかの実施形態では、図10Cに示すように、シャフト取付具1006は、2つの取付穴1012及び1014を含む。第1のシャフト804及び第2のシャフト806は、それぞれ取付穴1012及び1014に挿入し、シャフト取付具1006で固定することにより、シャフト取付具1006に取り付けられる。同様に、図11に示すシャフト取付具1106も、2つの取付穴1112、1114を含む。第1のシャフト804および第2のシャフト806は、それぞれ取付穴1112および1114に挿入し、シャフト取付具1106で固定することにより、シャフト取付具1106に取り付けることができる。第1のシャフト804及び第2のシャフト806をシャフト取付具1006又は1106に取り付けることにより、第2のシャフト806の回転又は振動(詳細は後述するがモータ812による)により反射片802が回転又は振動し、反射片802を用いてレーザ光をスキャンできる。また、反射片802の回転又は振動により第1のシャフト804が回転又は振動し、さらに、反射片802が反射することにより、レーザ光を反射することができる。以上のように、デュアルシャフト構造により、反射片802の支持を強化し、堅牢性、操作性、信頼性を向上させることができる。
【0106】
図10A及び図10Bは、反射片802の機械的支持を提供するための棒状支持部材1006Aを有するものとして、シャフト取付具1006を示す。図11は、シャフト取付具1106の別の実施形態を示す。シャフト取付具1106は、反射片1102の基板1104の裏側に取り付けられ、又は装着される。反射片802と同様に、反射片1102も、反射面(図示せず)及び基板1104を含む。基板1104は、シャフト取付具1106に機械的または接着剤で取り付けられている。シャフト取付具1006とは異なり、シャフト取付具1106は、基板1104の支持を強化するための支持部材1106A及び複数の突起1108A~Fを含む。突起1108A~Fは、シャフト取付具1106に機械的に取り付けられるか、または一体として支持部材1106Aと共に製造され得る。突起1108A~Fは、反射片802の曲げ、湾曲、または任意のタイプの歪みを低減するように、反射片802に追加の支持を提供し得る。突起1108A~Fは単なる例であることが理解される。反射片の支持を強化するために、シャフト取付具の任意の他の構造または形状も同様に使用することができる。
【0107】
デュアルシャフト構造、シャフト取付具、及び/又は複数の突起は、電動光学スキャナにおける反射片に対する支持を強化又は向上させるための例示的な構造要素である。反射片(例えば、802)は、車両が動作し得る多種多様な環境(例えば、高温又は低温、湿潤又は乾燥、埃っぽい又は霧など)で使用され得るので、反射片に対する支持を強化することは有益である。デュアルシャフト構造、シャフト取付具、及び/又は複数の突起によって提供される強化された支持は、反射片802の任意の曲げ又は歪みも低減又は排除する。次いで、反射片802によるレーザビームのスキャンにおける偏差又は誤差を低減又は排除し、改善されたスキャン結果(例えば、より正確、予測可能、及び/又は高品質の画像又は点群)を生成する。
【0108】
図9A図9B及び図10A図10Cは、それぞれ第1のシャフト804及び第2のシャフト806に結合された第1のベアリング902及び第2のベアリング904を更に示す。第1のシャフト804及び第2のシャフト904は、それぞれ第1のベアリング902及び第2のベアリング904に対して回転又は振動することができる。第2のシャフト806の動きは、反射片802を回転又は振動させ、それによって1つ又は複数の光ビームを視野に光学的にスキャンさせる。いくつかの実施形態では、第1のベアリング902及び第2のベアリング904は、第1のシャフト804及び第2のシャフト806の回転軸が互いに整列し、反射片802の回転軸808と整列するように実質的に同心である。例えば、第1のベアリング902及び第2のベアリング904は、それらの回転軸が1ミリラジアン(mrad)以上ずれていない場合には、実質的に同心であると言える。第1のシャフト804、第2のシャフト806、及び反射片802のアライメントにより、レーザ光のスキャンの誤差を低減し、スキャン範囲の精度を向上させることができる。例えば、2つのシャフトが反射片802の回転軸808と整合していない場合、反射片802が方向付けられる方向のスキャン範囲(例えば、垂直スキャン範囲)は、一方にシフトして対称ではない場合がある(例えば、ライダーシステムの他のコンポーネントと共に反射片802が車両に取り付けられる場合、道路又は空に向かってよりシフトする場合がある)。
【0109】
いくつかの実施形態では、第1のベアリング902及び第2のベアリング904を実質的に同心であるように位置合わせするために、いくつかの位置合わせ機構が使用され得る。図9A~9Bに示されるように、第1のベアリング902及び第2のベアリング904は、それぞれ第1のベアリング固定具912及び第2のベアリング固定具914に、又はその一部に取り付けられることが可能である。第1のベアリング固定具912及び第2のベアリング固定具914は、第1のベアリング902及び第2のベアリング904を収容するための取り付け空間を有するように製造され得る。第1のベアリング固定具912および第2のベアリング固定具914は、それぞれ第1のベアリング902および第2のベアリング904と一体として一緒に製造することもできる。第1のベアリング固定具912及び第2のベアリング固定具914は、電動光学スキャナ800のベース920に取り付けられる。いくつかの実施形態では、第1のベアリング固定具912及び第2のベアリング固定具914の各々は、第1のベアリング902及び第2のベアリング904の少なくとも同心円を揃えるための別個のアライメント機構を構成している。図9A及び図9Bに示すように、1つのそのようなアライメント機構は、第1のベアリング固定具912及び第2のベアリング固定具914にそれぞれ含まれる2つのダウエルピン穴932及び934を含む。ダウエルピン穴932及び934は、特定の公差に機械加工された固体、無頭、円筒形の金属棒であるダウエルピンを収容するためのものである。ダウエルピンは、正確なアライメントを容易にするように、非常に小さな許容公差を有することができる。ダウエルピン穴932及び934を使用して、ベアリング固定具912及び914間の正確なアラインメントを達成することができる(例えば、ベース920上のそれらのX-Y位置が正確に整列される)。これは、ベアリング固定具912/914の位置がベース920上で正確に整列されるため、全ての寸法における第1のベアリング902及び第2のベアリング904の正確なアライメントをもたらすことができる。第1のベアリング902及び第2のベアリング904の正確なアライメントは、第1のシャフト804及び第2のシャフト806も位置合わせされるように、それらの同心円のアライメントを含むことができる。
【0110】
図8A図8B及び図9A図9Bに戻り参照すると、電動光学スキャナ800は、位置エンコーダ822を含む。従来のガルバノメータ装置とは異なり、位置エンコーダ822は、モータ812の反対側の端部に配置される。すなわち、位置エンコーダ822及びモータ812は、反射片802の両側部に配置される。図8A図8B及び図9A図9Bに示すように、一実施形態では、位置エンコーダ822は、第1のシャフト804に結合され、第1のベアリング固定具912に隣接して配置される。したがって、位置エンコーダ822および第1のベアリング902は、第1のシャフト804の異なる部分であるが、両方とも第1のシャフト804に結合される。第1のシャフト804に結合することによって、位置エンコーダ822は、第1のシャフト804が回転するときに回転し、第1のシャフト804の回転に対応する出力を提供する。位置エンコーダ822の出力は、電圧パルスまたは絶対角位置であってよい。例えば、位置エンコーダ822は、第1のシャフト804の角度位置または動作を電気信号に変換するロータリエンコーダであり得る。第1のシャフト804は反射片802に結合されているので、位置エンコーダ822の出力は、したがって、反射片802の位置を表す。反射片802の位置は、例えば、電動光学スキャナ800のスキャン位置/角度(例えば、垂直スキャン位置/角度)に対応する。したがって、位置エンコーダ822は、反射片802の位置、回転速度、位相、方向などを決定するために使用することができる信号を提供する。
【0111】
いくつかの実施形態では、位置エンコーダ822は、第1のベアリング902からよりも反射片802からさらに離れた位置にある。言い換えれば、位置エンコーダ822は、電動光学スキャナ800の一端に位置する。上述したように、モータ812は、反射片802の他方の側に位置している。この構成は、図7に示した従来のガルバノメータ装置とは異なるものである。その結果、電動光学スキャナ800は、従来のガルバノメータ装置よりもバランスが取れており、より堅牢性、信頼性、操作性が向上し、反射片802の曲がりや歪みが低減する。さらに、図8A図8Bに示すように、位置エンコーダ822がモータ812とは反対側に位置しているため、位置エンコーダ822は、モータ812によって発生するノイズの影響を受けにくい。いくつかの実施形態では、動作時に、モータ812は、大きな電流を発生させ、位置エンコーダ822に影響を与えるノイズを増加させる可能性がある。位置エンコーダ822をモータ812から遠く離れた他方の側に配置することにより、位置エンコーダ822の信号品質及び完全性(例えば、信号対雑音比の改善)並びに電力ノイズに対する耐性を向上させることができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、位置エンコーダ822は、光学エミッタ(発光部)及び光学レシーバ(受光部)(図示せず)を含む。光学エミッタは、例えば、レーザダイオード又は発光ダイオード(LED)ベースのエミッタであり得る。光学エミッタは、約940nmの波長を有する光を供給してもよい。940nmの波長の近傍は、大気吸収のためにこの波長の近傍には自然光が非常に少ないので、しばしば望ましい波長である。光学レシーバは、フォトダイオードアレイやフォトトランジスタアレイを用いることができる。光学エミッタは光学光を発生させ、光学レシーバアレイは光電流を発生させる。第1のシャフト804が回転するとき、光学レシーバの出力に影響を与えるために光学光の一部を遮断または反射することができる。したがって、第1のシャフト804(したがって反射片802)の位置は、光学レシーバによって生成された光電流を測定することによって感知され得る。光学狭帯域フィルタを光学レシーバに適用して、エミッタ波長バンドの外側の周囲光を除外することができる。
【0113】
光学エミッタパワーは温度(及び/又は他の環境要因)に影響されるので、いくつかの実施形態では、位置エンコーダ822は、エミッタ電流を制御し、強度誤差を減らし、背景ノイズへの耐性を高めるように構成されたエンコーダエミッタ駆動回路(図示せず)を含む。エミッタ駆動電流は、広い温度範囲でレシーバ出力を安定させるために、エミッタ駆動回路によって、動的に制御することができる。エミッタ駆動電流(例えば、LEDベースエミッタ電流)は、デジタルアナログ変換器(DAC)または任意の適切なアナログ回路によって駆動することができる。エミッタ電流は、背景ノイズに対する信号の耐性を高めるために構成され(例えば、チョッピングされ)得る。例えば、周囲の明および暗電流を一定として扱いながら、エミッタ光を十分に速い所定速度でオン/オフするように制御することができる。エミッタの点灯時と消灯時の両方で光学レシーバ出力をサンプリングし、エミッタ点灯時のレシーバ出力から消灯時のレシーバ出力を差し引くことで、背景ノイズ(環境光や暗電流など)の影響を除去することができる。これにより、信号対雑音比が向上し、信号耐性が向上するため、位置エンコーダの性能が向上する。エンコーダエミッタ駆動回路は、例えば、図3に示す制御回路350を用いて実現することができる。
【0114】
位置エンコーダ822は、ダークノイズを含む背景ノイズに対するノイズ耐性をさらに向上させるように構成されたエンコーダレシーバ調整回路(図示せず)を含むこともできる。エンコーダエミッタ駆動回路及び/又はエンコーダレシーバ調整回路は、電動光学スキャナ800に含まれてもよく、又はライダーシステムの他の部分(例えば、システム300の制御回路350内)に別個に配置されてもよい。エンコーダレシーバ調整回路は、例えば、アナログ又はデジタルフィルタを含むことができる。一例として、ローパスフィルタは、外部ノイズに対する耐性を向上させるために実装され得る。別の例として、ハイパスフィルタを実装して、LED光のチョッピング周波数を分離し、周囲光の耐性を向上させることができる。
【0115】
図8A図8B図9A図9B、及び図12A図12Bを参照すると、電動光学スキャナ800は、アキシャルフラックスモータ812を更に含むことができる。アキシャルフラックスモータは、アキシャルフラックス電気モータ、アキシャルギャップモータ、又はパンケーキモータとも呼ばれ、ロータとステータとの間のギャップ(したがって、それらの間の磁気フラックスの方向)が回転軸と平行に整列されている電気モータの一種である。図9A図9B図10A図10C、および図12Aに示すように、例えば、アキシャルフラックスモータ812は、ロータ942とステータ944Aおよび944Bとを含む。ステータ944Aおよび944Bは、ロータ942の両側部に配置される。いくつかの実施形態では、ロータ942は、第2のシャフト806に結合された2つの軸着磁半円筒磁石942Aおよび942B(図10Cに示す)を含む。ステータ944Aおよび944Bは、導電性の巻線またはコイルを含む。モータ812に電気が供給されると、巻線またはコイルが電磁力を発生し、磁石942Aおよび942Bを移動させる。そして、磁石942Aおよび942Bはロータ942の一部であるため、ロータ942も動く。ロータ942は第2のシャフト806に結合されているため、ロータ942の回転または振動により第2のシャフト806も回転または振動する。これにより、反射片802が回転または振動し、光ビームをFOVにスキャンする。
【0116】
いくつかの実施形態では、ステータ944A及び944Bの巻線は、鋼板のような1つ以上の金属板に取り付けられる。鋼板は、モータ動作を改善するために、磁界強度を高め、浮遊磁界を遮蔽することができる。巻線は、例えば、ステータに取り付けられたフラットコイルであってもよい。いくつかの実施形態では、モータ812側において、第2のシャフト806の端部にシャフト停止機構903(図9A図9B、及び図10Aに示す)が設置される。シャフト停止機構903は、反射片802の回転範囲を制限するために用いることができる。特定のライダー用途では、例えば、電動光学スキャナ800は、所定の範囲(例えば、約70度の垂直範囲)だけをスキャンするように構成される。したがって、反射片802は、指定された範囲よりも多く回転する必要はなく、時には望ましくないとされる。指定されたスキャン範囲を満足するように、第2のシャフト806がある範囲を超えてさらに回転又は振動することを停止するシャフト停止機構を用いることができる。
【0117】
図8A図8B図9A図9B図10A図10C、及び図12A図12Bは、アキシャルフラックスモータ構成の一実施形態を示す図である。他の多くの構成も使用可能であることが理解される。例えば、ロータ942は、図10Cに示すように、2つの軸着磁半円筒磁石942A及び942Bを使用しなくてもよい。その代わりに、ロータ942は、金属板又はディスクの1つ以上の側面の上に取り付けられた複数の小片の磁石を有する金属板又はディスクを含んでもよい。別の例として、ロータの2つの側面に配置された2つのステータを使用する代わりに、アキシャルフラックスモータは、中央ステータと、中央ステータの2つの側面に配置された2つのロータとを有し得る。中央ステータは、中央ステータの軸方向に沿って取り付けられた巻線を有し得る。そして、2つのロータは、それらの間の磁気フラックスの方向が回転軸に平行になるように、ロータの側面に取り付けられた複数の磁石を有し得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、モータ812は、反射片802が回転又は振動して1つ又は複数の光ビームを視野にスキャンするように第2のシャフト806を回転又は振動させるように軸方向フラックスモータ812を制御するように構成されたモータ制御回路(図示せず)も含む。モータ制御回路は、モータ812と共に、又は図3に示されるライダーシステム300の制御回路350のような他の場所に配置され得る。モータ制御回路は、例えば、モータ812の回転速度、角度、位相、範囲などを制御するようにプログラムされまたは構成され得る。
【0119】
上述したように、アキシャルフラックスモータ(例えば、モータ812)は、ラジアルフラックスモータよりも、少なくとも軸方向においてコンパクトである。図13は、アキシャルフラックスモータとラジアルフラックスモータとの比較を示す図である。図13に示すように、ラジアルフラックスモータの場合、磁石および巻線の構成は、磁気フラックスが径(ラジアル)方向に平行(すなわち、軸方向またはモータの回転軸に垂直)になるようなものである。これに対し、アキシャルフラックスモータは、磁気フラックスが軸(アキシャル)方向と平行になるように(すなわち、回転軸と平行になるように)磁石および巻線が構成されている。そのため、アキシャルフラックスモータの長さは、ラジアルフラックスモータの長さに比べて大幅に小さくすることができる。そのため、アキシャルフラックスモータは、よりコンパクトなサイズにすることができる。このため、アキシャルフラックスモータは、車両の特定の小さなスペース(例えば、車両の角、サイドミラー、または他の小さな区画)に取り付けられることが多い小型ライダーシステムに、より容易に適合させることができる。さらに、アキシャルフラックスモータでは、その巻線と付属部品もラジアルフラックスモータより改善されている。例えば、従来のラジアルフラックスモータは、コイルのはみ出しがあり、性能に悪影響を与える可能性がある。アキシャルフラックスモータは、巻線が集中しているため、そのような問題はない。また、ラジアルフラックスモータ(最初の歯からステータへ動き、次の歯へ戻る)に比べて磁気フラックス経路が短いため、アキシャルフラックスモータは本質的に効率が良い。また、ラジアルフラックスモータに比べ、巻線と外装の金属ケーシングを直接接触させることができるため、冷却性能も優れている。したがって、アキシャルフラックスモータを電動光学スキャナ(例えば、改良型ガルバノメータ装置)に使用することは、いくつかの点で有益である。
【0120】
様々な例示的な実施形態が本明細書に記載されている。これらの例は、非限定的な意味で参照される。これらは、開示された技術のより広範に適用可能な態様を説明するために提供されるものである。様々な実施形態の真の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされ、等価物が置換され得る。さらに、特定の状況、材料、物質組成、プロセス、プロセス行為(複数可)またはステップ(複数可)を様々な実施形態の目的(複数可)、精神または範囲に適合させるために多くの変更がなされ得る。さらに、当業者には理解されるように、本明細書で説明及び図示される個々の変形例の各々は、様々な実施形態の範囲又は精神から逸脱することなく他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離又はそれと組み合わせることができる個別の構成要素及び特徴を有している。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-09-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車において使用される光検出及び測距(ライダー)システムの電動光学スキャナであって、
基板および反射面を含む反射片と、
前記基板の第1の端部および第2の端部にそれぞれ取り付けられた第1のシャフトおよび第2のシャフトであって、前記第1の端部および前記第2の端部は前記基板の長手方向に沿った前記基板の反対側の端部である、前記第1のシャフトおよび前記第2のシャフトと、
前記第1のシャフトおよび前記第2のシャフトにそれぞれ結合された第1のベアリングおよび第2のベアリングであって、前記第1のベアリングと前記第2のベアリングとは実質的に同心であり、前記第2のシャフトの動きによって前記反射面は1つ以上の光ビームを視野に光学的に送信する、前記第1のベアリングおよび前記第2のベアリングと、
前記第2のシャフトに結合されたアキシャルフラックスモータと、
を含む、電動光学スキャナ。
【請求項2】
前記反射面は、前記基板の前面側に機械的または接着的に取り付けられたミラーである
請求項1に記載の電動光学スキャナ。
【請求項3】
前記基板および前記反射面は、前記反射片と一体の部分である
請求項1または2に記載の電動光学スキャナ。
【請求項4】
シャフト取付具をさらに含む
請求項1乃至3の何れか1項に記載の電動光学スキャナ。
【請求項5】
前記基板の裏面は、前記シャフト取付具に取り付けられている
請求項4に記載の電動光学スキャナ。
【請求項6】
前記シャフト取付具は、前記基板の支持を強化する複数の突起を含む
請求項4または5に記載の電動光学スキャナ。
【請求項7】
前記シャフト取付具は、前記第1のシャフトおよび前記第2のシャフトが挿入される2つの取付穴を含む
請求項4乃至6の何れか1項に記載の電動光学スキャナ。
【請求項8】
角度位置エンコーダをさらに含み、
前記第1のベアリングは、前記第1のシャフトの第1の部分に結合され、
前記角度位置エンコーダは、前記第1のシャフトの第2の部分に結合され、該第2の部分は前記第1の部分とは異なり、
前記角度位置エンコーダは、前記第1のベアリングよりも前記反射片から離れた位置にある
請求項1乃至7の何れか1項に記載の電動光学スキャナ。
【請求項9】
前記角度位置エンコーダは、前記第1のシャフトの角度位置または動作を電気信号に変換するロータリエンコーダである
請求項8に記載の電動光学スキャナ。
【請求項10】
エミッタ電流を制御し強度誤差を低減し背景ノイズに対する耐性を高めるように構成されたエンコーダエミッタ駆動回路をさらに含む
請求項8または9に記載の電動光学スキャナ。
【請求項11】
ダークノイズを含む背景ノイズに対するノイズ耐性をさらに向上させるように構成されたエンコーダレシーバ調整回路をさらに含む
請求項8乃至10の何れか1項に記載の電動光学スキャナ。
【請求項12】
前記第1のベアリングおよび前記第2のベアリングはそれぞれ第1のベアリング固定具および第2のベアリング固定具に取り付けられるかまたはその一部であり、
前記第1のベアリング固定具および前記第2のベアリング固定具の各々は、少なくとも前記第1のベアリングおよび前記第2のベアリングの同心度を調整するように構成された別個のアライメント機構を含む
請求項1乃至11の何れか1項に記載の電動光学スキャナ。
【請求項13】
前記アライメント機構は、1つ以上のダウエルピン穴を含む
請求項12に記載の電動光学スキャナ。
【請求項14】
前記アキシャルフラックスモータは、前記第2のシャフトの第1の部分に結合され、
前記第2のベアリングは、前記第2のシャフトの第2の部分に結合され、該第2の部分は前記第1の部分とは異なり、
前記第2のベアリングは、前記アキシャルフラックスモータよりも前記反射面から離れた位置にある
請求項に記載の電動光学スキャナ。
【請求項15】
前記アキシャルフラックスモータは、
1つ以上のステータと、
前記第2のシャフトに結合されたロータと、
第1の巻線および第2の巻線であって、前記ロータは前記第1の巻線と前記第2の巻線との間に配置される、前記第1の巻線および前記第2の巻線と、
を含む
請求項1乃至14の何れか1項に記載の電動光学スキャナ。
【請求項16】
前記ロータは、前記第2のシャフトに結合された2つの軸着磁半円筒磁石を含む
請求項15に記載の電動光学スキャナ。
【請求項17】
前記第1の巻線および前記第2の巻線は、前記1つ以上のステータに取り付けられたフラットコイルを含む
請求項15または16に記載の電動光学スキャナ。
【請求項18】
前記第1の巻線および前記第2の巻線は、1つ以上の鋼板に取り付けられている
請求項17に記載の電動光学スキャナ。
【請求項19】
前記ロータは、該ロータの1つ以上の側面に取り付けられた複数の磁石を含む
請求項15に記載の電動光学スキャナ。
【請求項20】
前記反射片が回転または振動して前記1つ以上の光ビームを前記視野に送信するように、前記アキシャルフラックスモータを制御して前記第2のシャフトを回転または振動させるように構成されたモータ制御回路をさらに含む
請求項1乃至19の何れか1項に記載の電動光学スキャナ。
【請求項21】
自動車において使用される光検出及び測距(ライダー)システムであって、該ライダーシステムは請求項1乃至20の何れか1項に記載の電動光学スキャナを含む、ライダーシステム。
【請求項22】
光検出及び測距(ライダー)システムを含む自動車であって、前記ライダーシステムは請求項1乃至20の何れか1項に記載の電動光学スキャナを含む、自動車。
【国際調査報告】