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特表2023-539793ガス流からの粒子の遠心分離のための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-20
(54)【発明の名称】ガス流からの粒子の遠心分離のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 45/14 20060101AFI20230912BHJP
   G01N 33/497 20060101ALI20230912BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20230912BHJP
   B04B 5/12 20060101ALI20230912BHJP
   B04B 15/00 20060101ALI20230912BHJP
   B01F 23/213 20220101ALI20230912BHJP
   B01F 25/45 20220101ALI20230912BHJP
   B01F 25/70 20220101ALI20230912BHJP
   B01F 25/72 20220101ALI20230912BHJP
【FI】
B01D45/14
G01N33/497 Z
A61L9/16 Z
B04B5/12
B04B15/00
B01F23/213
B01F25/45
B01F25/70
B01F25/72
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502818
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(85)【翻訳文提出日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 SE2021050777
(87)【国際公開番号】W WO2022039644
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】2050969-1
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521325558
【氏名又は名称】グリマルディ ディベロップメント アーベー
【氏名又は名称原語表記】Grimaldi Development AB
【住所又は居所原語表記】Box 1134, 131 26 Nacka Strand, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】110003487
【氏名又は名称】弁理士法人東海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イング,クラース
(72)【発明者】
【氏名】フランツェン,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ハーグマーク,カール ペトラス
【テーマコード(参考)】
2G045
4C180
4D031
4D057
4G035
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045BB10
2G045CB30
2G045FA05
4C180AA07
4C180DD20
4D031AC06
4D031BA01
4D057AA00
4D057AB00
4D057AC01
4D057AC06
4D057AD01
4D057AE18
4D057BA00
4D057BA41
4G035AB04
4G035AC26
4G035AC37
4G035AE13
(57)【要約】
粒子の遠心分離の方法であって、粒子を含むガス流(80)を提供し、ガス流の粒子(82)を荷電することを含み、極性液体液滴(86)のエアロゾルを生成し、極性液体液滴(86)によって荷電粒子(84)を引き付けるためにエアロゾルをガス流に導入し、引き付けけられた粒子(84)を含む液体液滴(88)を、遠心分離によってガス流から分離する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子の遠心分離の方法であって、
前記粒子を含むガス流を提供し、
前記ガス流の前記粒子(82)を荷電することを含み、
極性液体液滴(86)のエアロゾルを生成し、
前記極性液体液滴(86)によって荷電粒子(84)を引き付けるために前記エアロゾルを前記ガス流に導入し、
引き付けられた前記粒子(84)を含む液体液滴(88)を、前記遠心分離によって前記ガス流から分離することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ガス流と接触する極性液体(30)の振動によって前記エアロゾルを生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
極性液体の加圧霧化によって前記エアロゾルを生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
導入された前記エアロゾルを含む前記ガス流の断面を変化させることをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法を実行するための装置であって、
直列流体相互接続で、
静電荷電装置(10)と、
混合ベゼル(20)と、
前記混合ベゼル(20)内のエアロゾル発生装置(32;36)と、
遠心分離機(50)と、を含む、装置。
【請求項6】
前記エアロゾル発生装置は、前記混合ベゼル(20)内に占有された液体容積(70)から液滴のエアロゾルを発生させるための振動発生装置(32)を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成スプレーノズル(36)を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記混合ベゼル(20)のパーティション(42)に狭窄開口部(44)を含む、請求項5~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記混合ベゼル(20)のパーティション(42)に複数の狭窄開口部(44)を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
空気流から分離された液体液滴および粒子を捕捉および凝集するための、前記遠心分離機(50)内の複数の離間した表面(74)を含む、請求項5~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記混合ベゼル(20)は、前記エアロゾル発生装置(32;36)を収容するプレミックスチャンバー(38)を含む、請求項8~10のいずれか1項に記載の装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子の遠心分離の方法であって、粒子を含むガス流を提供し、ガス流内で粒子を荷電することを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスなど、典型的には約15~150nmの範囲の小さな粒子は小さすぎて、従来の遠心分離によって分離されない。従来技術の装置は、EP 1 907 124 B2に開示されている。この従来技術の装置では、遠心分離機のローター内の反対に荷電された表面要素に粒子が引き寄せられ得るように、ガス流は小さな粒子を荷電するための荷電ユニットを通過するように導かれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の目的は、遠心分離によってウイルスおよび他の小さな粒子を効果的に分離することができる別の方法および装置を提供することである。
【0004】
本発明の態様では、方法は、極性液体液滴のエアロゾルを生成し、極性液体液滴によって荷電粒子を引き付けるためにエアロゾルをガス流に導入し、引き付けけられた粒子を含む液体液滴を、遠心分離によってガス流から分離することをさらに含む。
【0005】
水滴の高密度ミストなどの極性液滴のエアロゾルを生成してガス流に導入することにより、小さな荷電粒子が混合され、実質的により大きく、より大量の極性液滴に容易に引き寄せられる。よって、より大きな液滴は、遠心分離ステップ、つまり、複雑な内部回転静電荷電部品を必要としない遠心分離機を使用することによって、ガスから容易に分離され得る。
【0006】
エアロゾルは、ガス流と接触する極性液体の振動によって生成され得る。
【0007】
エアロゾルはまた、極性液体の加圧霧化によって生成され得る。
【0008】
ガス流およびエアロゾルは、ガス流およびエアロゾルをジョイント流に統合するだけで十分に混合され得るが、混合は、導入されたエアロゾルを含むガス流の断面を変えることで、より完全に達成され得る。
【0009】
これにより、ジョイント流が圧縮および拡張され、場合によっては乱流も発生し、混合作用が増加する。これにより、ガス流も一時的に減速し、粒子がエアロゾル内の極性液滴に引き付けられて捕捉されるのに十分な時間が与えられる。
【0010】
本発明による装置は、直列流体相互接続で、静電荷電デバイス、混合ベゼル、混合ベゼル内のエアロゾル発生装置、および遠心分離機を含む。
【0011】
本発明の他の特徴および利点は、特許請求の範囲および以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による装置の概略斜視図である。
【0013】
図2】本発明による装置内の粒子荷電デバイスの、主に断面の概略側面図である。
【0014】
図3図2の線3-3に沿った断面図である。
【0015】
図4】本発明による装置内の混合ベゼルの、主に断面の概略側面図である。
【0016】
図5】本発明によるエアロゾル発生装置の代替実施形態を示す、一部が断面である破断概略側面図である。
【0017】
図6】本発明による遠心分離機を示す、一部が断面である概略側面図である。
【0018】
図7】本発明の原理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示される例示的な装置は概して、以下の主要構成要素のセットアップを含む:静電荷電デバイス10、混合ベゼル20および遠心分離機50、これらは導管24および22によって直列に相互接続されている。数字80は、装置内で処理されるガス/空気流のコースを示す。分離されるウイルスなど、典型的には15~150nmの範囲の小さな粒子82を含むガス流80は、荷電デバイス10の入口12で装置に導入される。装置内で最終的に分離された粒子は、遠心分離機50の液体出口56から装置を離れ、一方で、粒子を含まないガス流は、遠心分離機50のガス出口58から装置を離れる。示される実施形態では、ガス流80は、遠心分離機50によって生成される吸引力によって生成される。
【0020】
図1にも示されるように、モーター66は、トランスミッション68を介して遠心分離機50のローターシャフト64を回転させるために設けられる。
【0021】
静電荷電デバイス10は、粒子が混合ベゼル20に運ばれる前に、ガスの流れの中の粒子を荷電させるために配置されたコロナ放電ユニットの形態のイオン化ユニットである。
【0022】
図2および図3から明らかなように、荷電デバイス10は、その中でガス流を運ぶための流れの中に挿入された多数の平行な開放端チューブ14を含む。各チューブ14は、チューブ14を通って延びる中央コロナワイヤー16を有する。図示される構成では、各コロナワイヤー16はそれぞれのチューブ14を通って延び、例えば+10kVの負または正の電位に接続され、一方で、チューブ14の壁は導電性材料であり、アースに接続される。コロナワイヤー16により、ガスの流れの中の粒子82は、それらがチューブ14から出る際に、例えば、正の電圧で荷電されて、図面において+記号で示す荷電粒子84となり、さらにガス流80により混合ベゼル20に搬送される。
混合ベゼル20は、図4により詳細に示される。混合ベゼル20の底では、振動発生装置32が、水または任意の適切な極性液体溶液であり得る液体容積30に浸漬される。公知の例えば圧電タイプであり得る振動発生装置32は、液体容積の表面の下の適切な距離に配置された振動要素34を有し、液体容積30の表面の上のプレミックスチャンバー38内のガス/空気中に極性液体液滴86の密なまたは濃いエアロゾルまたはミストを発生させる。液体の表面張力および粘度を変化させることで、適切なエアロゾル液滴サイズ分布が達成され得る。液滴は、遠心分離機で分離されうるように、約1~10μmの範囲で十分に大きくなければならない。このような液滴はまだ非常に小さいと考えられるので、液滴の数は非常に多くなり、その結果、液滴間の距離が比較的小さくなり、これにより、荷電粒子が液体/水滴に引き寄せられて捕捉されることが容易になる。
【0023】
荷電粒子84を有するガス流80がプレミックスチャンバーに入り、その中のエアロゾルと混合すると、荷電粒子84はエアロゾル中の極性液滴86に引き寄せられ捕捉され始める。
【0024】
混合作用を強化するために、図示の実施形態では、混合ベゼル20は、プレミックスチャンバー38に続いて、チャンバー40を規定するパーティション42の中央狭窄開口部44によって相互接続された、多数、例えば3つの、直列に積層されたポストミックスチャンバー40を有する。開口部44は、気体、液滴および粒子の結合した流れを局所的に加速および遅延(または圧縮および膨張)させ、場合によっては流れに乱れを導入し、それによって混合作用を促進するのに役立つ。ポストミックスチャンバー40の連なりにおいて、まだ捕捉されていない荷電粒子84も、最終的にエアロゾル中の密に分布した極性液滴86によって捕捉されるのに十分な時間を持つことになる。捕捉された粒子を有する液滴を、以下、「粒子液滴」88と呼ぶ。
【0025】
図5に示されているように、1つ以上の適切に構成されたスプレーまたは霧化ノズル36を用いてエアロゾルを生成することも可能であり、これは、加圧された極性液体または加圧ガス/空気と共にそのような液体を使用することができる。この場合、液滴サイズは、ノズル設計および流体圧力によってよく知られた方法で変化させることも可能である。
【0026】
ガス流80中の粒子液滴88および残りの極性液滴86は、混合ベゼル20を出て、導管22(図1)を介して遠心分離機50に導入される。
【0027】
図4に示される例示的かつ図式的に示された遠心分離機50は、ケーシングまたはハウジング52内に回転可能に仕組まれたローター60を有する。ガス流80は、ケーシング52の分離機50の中央上部入口54の中へ入り、ローター60のフラストコニカル(frusto-conical)ベース62の上面まで同軸に延びる。
【0028】
複数のフラストコニカル開放端表面要素70が、ベース62上に積層される。図6の拡大領域に示されるように、表面要素70は、例えば表面要素70に形成された放射状フランジの形状の適切なスペーサー72によって、相互に小さな距離dで積層された状態に保たれる。
【0029】
遠心分離機50が作動しているとき、流れの中の液滴86、88は、表面要素70の回転するスタックの開放中心に吸い込まれ、表面要素70の傾斜内面74に対する遠心力によって投げられる。分離機運転が継続される間、液滴86、88は、後にハウジング52の内壁に面する表面要素70の間の隙間から放射状に遠心力で投げ出されるのに十分な量になるまで、表面要素70の内側面74に蓄積、付着および/または凝集する。
【0030】
流れ中の粒子を含まないより軽いガス/空気は、回転する表面要素70のスタックのファン作用によって、分離機ハウジング52のガス出口58を通って過圧で強制的に押し出される。ハウジング52の内壁に蓄積する液滴/凝集体は、重力によって内壁に流れ落ち、ハウジング52内の液体出口56を通って分離機50を出ることができる。
【0031】
図7に示す図は、本発明による装置におけるガス、エアロゾルおよび粒子の流れを自明な方法で示すものである。小さな粒子を含む空気は、使用領域90から装置内に取り込まれる。使用領域は、一般に、手術室、隔離室などの病院内または感染クリニック内の領域であってよく、また、感染が起こり得る他の建物内であってもよい。粒子から解放された空気は、使用領域に戻されてもよい。図7に示されるように、装置は、内蔵ユニット100として設計され得る。その場合、除去された粒子を含む廃液は混合ベゼル20に戻され得る。ウイルスが分離された場合、極性液体中のウイルス殺傷剤によって、または分離された極性液体をウイルス粒子が耐えられない温度に加熱することによって、ウイルスを死滅させ得る。
【0032】
前述の詳細な説明は、主に理解を明確にするために行われたものであり、そこから不必要な制限を受けることはないと理解される。改変は、本開示を読めば当業者には明らとなり得、添付の請求項の範囲から逸脱することなく行われ得る。
参照番号一覧
10 荷電デバイス
12 入口
14 チューブ
16 中央コロナワイヤー
20 混合ベゼル
22 導管
24 導管
30 極性液体量
32 振動発生装置
34 振動要素
36 スプレーノズル
38 プレミックスチャンバー
40 ポストミックスチャンバー
42 パーティション
44 開口部
50 遠心分離機
52 ケーシング
54 中央上部入口
56 液体出口
58 ガス出口
60 ローター
62 ローターのベース
64 ローターシャフト
66 モーター
68 トランスミッション
70 表面要素
72 スペーサー
74 傾斜内面
80 ガス流
82 粒子
84 荷電粒子
86 極性液体液滴
88 粒子液滴
90 使用領域
100 内蔵ユニットとしての装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】