IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニアの特許一覧

特表2023-539871グリア芽細胞腫を処置するための方法および組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-20
(54)【発明の名称】グリア芽細胞腫を処置するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20230912BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20230912BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230912BHJP
   C12N 15/24 20060101ALI20230912BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230912BHJP
   C07K 16/30 20060101ALI20230912BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230912BHJP
   C07K 14/54 20060101ALI20230912BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20230912BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20230912BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20230912BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230912BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20230912BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20230912BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20230912BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20230912BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230912BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20230912BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20230912BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20230912BHJP
   A61K 35/407 20150101ALI20230912BHJP
   A61K 35/51 20150101ALI20230912BHJP
   A61K 35/545 20150101ALI20230912BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20230912BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230912BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230912BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/13
C12N15/12
C12N15/24
C07K19/00
C07K16/30
C07K16/28
C07K14/54
C07K14/705
C07K14/725
C12N15/867 Z
C12N5/10
C12N5/0783
A61K47/65
A61K38/20
A61K38/22
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K35/12
A61K35/17
A61K35/28
A61K35/407
A61K35/51
A61K35/545
A61K35/76
A61P35/00
A61P37/04
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513567
(86)(22)【出願日】2021-08-25
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 US2021047604
(87)【国際公開番号】W WO2022046938
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】63/070,550
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/171,187
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/218,761
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】チェン イボンヌ ユ-シュアン
(72)【発明者】
【氏名】フー アンドリュー ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076BB11
4C076BB13
4C076CC07
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084DA12
4C084DA14
4C084DB61
4C084MA02
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB09
4C084ZB26
4C085AA13
4C085AA16
4C085BB11
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG02
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087BB44
4C087BB52
4C087BB59
4C087BB64
4C087BB65
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA02
4C087MA65
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA42
4H045DA02
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、グリア芽細胞腫(GBMまたは多形性神経膠芽腫とも呼ばれる)を処置するための新規の多重特異性CAR分子を提供する。本開示はまた、ポリペプチドをコードする核酸、核酸を含む発現ベクター、ポリペプチドを発現しかつ/または本開示の核酸もしくは発現ベクターを含む細胞および/または細胞集団、ならびにポリペプチド、核酸、または細胞を含む組成物についても説明する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID NO:4または20のアミノ酸配列を有するIL13ポリペプチドと、グリア芽細胞腫抗原結合領域と、ペプチドスペーサーと、膜貫通ドメインと、共刺激領域および1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質領域とを含む多重特異性キメラ抗原受容体を含むポリペプチドであって、グリア芽細胞腫抗原結合領域がGD2結合領域またはEGFRvIII結合領域を含む、ポリペプチド。
【請求項2】
グリア芽細胞腫抗原結合領域がGD2結合領域を含む、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項3】
GD2結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有する抗GD2 scFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:46のVHに由来するHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:47のVLに由来するLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、請求項2記載のポリペプチド。
【請求項4】
GD2結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有する抗GD2 scFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:48(HCDR1)、SEQ ID NO:49(HCDR2)、およびSEQ ID NO:50(HCDR3)を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:51(LCDR1)、SEQ ID NO:52(LCDR2)、およびSEQ ID NO:53(LCDR3)を含む、請求項2または3記載のポリペプチド。
【請求項5】
GD2結合領域が、SEQ ID NO:46に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:47に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項2~4のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項6】
GD2結合領域が、SEQ ID NO:46のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:47のアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項5記載のポリペプチド。
【請求項7】
GD2結合領域が、SEQ ID NO:26に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗GD2 scFvを含む、請求項1~6のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項8】
GD2結合領域が、SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を有する抗GD2 scFvを含む、請求項7記載のポリペプチド。
【請求項9】
グリア芽細胞腫抗原結合領域がEGFRvIII結合領域を含む、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項10】
EGFRvIII結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有する抗EGFRvIII scFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:38のVHに由来するHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:39のVLに由来するLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、請求項9記載のポリペプチド。
【請求項11】
EGFRvIII結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有する抗EGFRvIII scFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:40(HCDR1)、SEQ ID NO:41(HCDR2)、およびSEQ ID NO:42(HCDR3)を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:43(LCDR1)、SEQ ID NO:44(LCDR2)、およびSEQ ID NO:45(LCDR3)を含む、請求項9または10記載のポリペプチド。
【請求項12】
EGFRvIII結合領域が、SEQ ID NO:38に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVHおよび/またはSEQ ID NO:39に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項9~11のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項13】
EGFRvIII結合領域が、SEQ ID NO:38のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:39のアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項12記載のポリペプチド。
【請求項14】
EGFRvIII結合領域が、SEQ ID NO:27に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗EGFRvIII scFvを含む、請求項9~13のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項15】
EGFRvIII結合領域が、SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を有する抗EGFRvIII scFvを含む、請求項14記載のポリペプチド。
【請求項16】
CARが、アミノ近位端からカルボキシ近位端の順で、IL13ポリペプチドと、グリア芽細胞腫抗原結合領域と、ペプチドスペーサーと、膜貫通ドメインと、共刺激領域および1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質領域とを含む、請求項1~15のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項17】
IL13ポリペプチドとグリア芽細胞腫抗原結合領域の間にリンカーを含む、請求項1~16のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項18】
TGF-β結合領域を含む三重特異性CARを含む、請求項1~17のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項19】
CARが、アミノ近位端からカルボキシ近位端の順で、IL13ポリペプチドと、グリア芽細胞腫抗原結合領域と、TGF-β結合領域と、ペプチドスペーサーと、膜貫通ドメインと、共刺激領域および1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質領域とを含む、請求項18記載のポリペプチド。
【請求項20】
グリア芽細胞腫抗原結合領域またはIL13ポリペプチドとTGF-β結合領域との間にリンカーを含む、請求項18または19記載のポリペプチド。
【請求項21】
前記リンカーがグリシンおよびセリンアミノ酸を含む、請求項17~20のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項22】
前記リンカーが、SEQ ID NO:10もしくは28のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、またはSEQ ID NO:10もしくは28のアミノ酸配列を有するポリペプチドからなる、請求項21記載のポリペプチド。
【請求項23】
SEQ ID NO:4または20のアミノ酸配列を有するIL13ポリペプチドと、TGF-β結合領域と、ペプチドスペーサーと、膜貫通ドメインと、共刺激領域および1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質領域とを含む多重特異性キメラ抗原受容体(CAR)を含む、ポリペプチド。
【請求項24】
グリア芽細胞腫抗原結合領域と、TGF-β結合領域と、ペプチドスペーサーと、膜貫通ドメインと、共刺激領域および1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質領域とを含む多重特異性キメラ抗原受容体(CAR)を含むポリペプチドであって、グリア芽細胞腫抗原結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有する抗GD2 scFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:46のVHに由来するHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:47のVLに由来するLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、ポリペプチド。
【請求項25】
抗GD2 scFvが可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を含み、VH領域がSEQ ID NO:48(HCDR1)、SEQ ID NO:49(HCDR2)、およびSEQ ID NO:50(HCDR3)を含み、かつVL領域がSEQ ID NO:51(LCDR1)、SEQ ID NO:52(LCDR2)、およびSEQ ID NO:53 (LCDR3)を含む、請求項24記載のポリペプチド。
【請求項26】
GD2結合領域が、SEQ ID NO:46に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:47に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項24または25記載のポリペプチド。
【請求項27】
GD2結合領域が、SEQ ID NO:46のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:47のアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項26記載のポリペプチド。
【請求項28】
GD2結合領域が、SEQ ID NO:26に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗GD2 scFvを含む、請求項24~27のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項29】
GD2結合領域が、SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を有する抗GD2 scFvを含む、請求項28記載のポリペプチド。
【請求項30】
グリア芽細胞腫抗原結合領域と、TGF-β結合領域と、ペプチドスペーサーと、膜貫通ドメインと、共刺激領域および1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質領域とを含む多重特異性キメラ抗原受容体(CAR)を含むポリペプチドであって、グリア芽細胞腫抗原結合領域がEGFRvIII結合領域を含む、ポリペプチド。
【請求項31】
EGFRvIII結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有する抗EGFRvIII scFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:38のVHに由来するHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:39のVLに由来するLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、請求項30記載のポリペプチド。
【請求項32】
EGFRvIII結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有する抗EGFRvIII scFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:40(HCDR1)、SEQ ID NO:41(HCDR2)、およびSEQ ID NO:42(HCDR3)を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:43(LCDR1)、SEQ ID NO:44(LCDR2)、およびSEQ ID NO:45(LCDR3)を含む、請求項30または31記載のポリペプチド。
【請求項33】
EGFRvIII結合領域が、SEQ ID NO:38に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:39に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項30~32のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項34】
EGFRvIII結合領域が、SEQ ID NO:38のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:39のアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項33記載のポリペプチド。
【請求項35】
EGFRvIII結合領域が、SEQ ID NO:27に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗EGFRvIII scFvを含む、請求項30~34のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項36】
EGFRvIII結合領域が、SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を有する抗EGFRvIII scFvを含む、請求項35記載のポリペプチド。
【請求項37】
TGF-β結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:29のVHに由来するHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:30のVLに由来するLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、請求項18~36のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項38】
TGF-β結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:31(HCDR1)、SEQ ID NO:32(HCDR2)、およびSEQ ID NO:33(HCDR3)を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:34(LCDR1)、SEQ ID NO:35(LCDR2)、およびSEQ ID NO:36(LCDR3)を含む、請求項18~37のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項39】
scFvがVH領域とVL領域の間にリンカーを含む、請求項18~38のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項40】
前記リンカーがグリシンおよびセリンアミノ酸残基を含む、請求項39記載のポリペプチド。
【請求項41】
前記リンカーが、SEQ ID NO:10もしくは28のアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:10もしくは28のアミノ酸配列からなる、請求項40記載のポリペプチド。
【請求項42】
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:29に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/または SEQ ID NO:30に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項23~41のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項43】
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:30のアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項42記載のポリペプチド。
【請求項44】
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:11に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗TGF-β scFvを含む、請求項23~43のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項45】
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有する抗TGF-β scFvを含む、請求項44記載のポリペプチド。
【請求項46】
少なくとも1つの抗原結合領域と、第2のペプチドスペーサーと、第2の膜貫通ドメインと、第2の共刺激領域および第2の1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む第2の細胞質領域とを含む第2のキメラ抗原受容体をさらに含む、請求項1~45のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項47】
第2のCARが単一特異性CARまたは多重特異性CARである、請求項46記載のポリペプチド。
【請求項48】
第2のCARが、TGF-βに対する抗原結合領域を含む、請求項46または47記載のポリペプチド。
【請求項49】
TGF-β結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:29のVHに由来するHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:30のVLに由来するLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、請求項48記載のポリペプチド。
【請求項50】
TGF-β結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:31(HCDR1)、SEQ ID NO:32(HCDR2)、およびSEQ ID NO:33(HCDR3)を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:34(LCDR1)、SEQ ID NO:35(LCDR2)、およびSEQ ID NO:36(LCDR3)を含む、請求項48または49記載のポリペプチド。
【請求項51】
scFvがVH領域とVL領域の間にリンカーを含む、請求項49または50記載のポリペプチド。
【請求項52】
前記リンカーがグリシンおよびセリンアミノ酸残基を含む、請求項51記載のポリペプチド。
【請求項53】
前記リンカーが、SEQ ID NO:10のアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:10のアミノ酸配列からなる、請求項52記載のポリペプチド。
【請求項54】
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:29に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/または SEQ ID NO:30に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項48~53のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項55】
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を有するVH、および/または SEQ ID NO:30のアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項54記載のポリペプチド。
【請求項56】
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:11に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗TGF-β scFvを含む、請求項48~55のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項57】
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有する抗TGF-β scFvを含む、請求項56記載のポリペプチド。
【請求項58】
第1のCARおよび第2のCARが1つまたは複数のペプチド切断部位によって隔てられている、請求項46~56のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項59】
1つまたは複数の切断部位が2A切断部位を含む、請求項58記載のポリペプチド。
【請求項60】
2A切断部位が、P2A、F2A、E2A、またはT2A切断部位の1つまたは複数を含む、請求項59記載のポリペプチド。
【請求項61】
切断部位が、SEQ ID NO:24のアミノ酸配列を有するかまたはSEQ ID NO:24に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するT2A切断部位を含む、請求項60記載のポリペプチド。
【請求項62】
ペプチドスペーサーが抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間にあり、かつ/または第2のペプチドスペーサーが第2のCARの抗原結合ドメインと第2の膜貫通ドメインの間にある、請求項1~61のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項63】
ペプチドスペーサーまたは第2のペプチドスペーサーがIgG4ヒンジ領域を含む、請求項1~62のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項64】
IgG4ヒンジ領域が、SEQ ID NO:12または5に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項63記載のペプチドスペーサー。
【請求項65】
IgG4ヒンジ領域が、SEQ ID NO:12または5のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項64記載のペプチドスペーサー。
【請求項66】
ペプチドスペーサーまたは第2のペプチドスペーサーがIgG4 CH2およびCH3領域を含むか、またはIgG4 CH2およびCH3領域をさらに含む、請求項1~65のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項67】
IgG4 CH2およびCH3領域が、SEQ ID NO:37に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項66記載のポリペプチド。
【請求項68】
IgG4 CH2およびCH3領域が、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項64記載のペプチドスペーサー。
【請求項69】
膜貫通ドメインまたは第2の膜貫通ドメインが、CD28タンパク質に由来する膜貫通ドメインを含む、請求項1~68のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項70】
膜貫通ドメインまたは第2の膜貫通ドメインが、SEQ ID NO:6に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する膜貫通ドメインを含む、請求項1~69のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項71】
膜貫通ドメインまたは第2の膜貫通ドメインがSEQ ID NO:6のアミノ酸配列を有する膜貫通ドメインを含む、請求項1~70のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項72】
共刺激領域または第2の共刺激領域が、4-1BBタンパク質に由来する共刺激領域またはCD28タンパク質に由来する共刺激領域を含む、請求項1~71のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項73】
共刺激領域または第2の共刺激領域が、SEQ ID NO:7、14、または18に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する共刺激領域を含む、請求項1~72のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項74】
共刺激領域または第2の共刺激領域が、SEQ ID NO:7、14、または18のアミノ酸配列を有する共刺激領域を含む、請求項1~73のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項75】
1次細胞内シグナル伝達ドメインまたは第2の1次細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ζタンパク質に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む、請求項1~74のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項76】
1次細胞内シグナル伝達ドメインまたは第2の1次細胞内シグナル伝達ドメインが、SEQ ID NO:8または15に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む、請求項1~75のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項77】
1次細胞内シグナル伝達ドメインまたは第2の1次細胞内シグナル伝達ドメインが、SEQ ID NO:8または15のアミノ酸配列を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む、請求項1~76のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項78】
1つまたは複数の分子タグをさらに含む、請求項1~77のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項79】
1つまたは複数の分子タグがFLAGタグおよび/またはHAタグを含む、請求項78記載のポリペプチド。
【請求項80】
CARおよび/または第2のCARが膜貫通ドメインと細胞質領域の間にねじれリンカーを含む、請求項1~79のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項81】
ねじれリンカーが、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個のアミノ酸残基を含む、請求項80記載のポリペプチド。
【請求項82】
アミノ酸残基がアラニン残基を含むか、またはアラニン残基からなる、請求項81記載のポリペプチド。
【請求項83】
ねじれリンカーが2個または4個のアラニン残基からなる、請求項82記載のポリペプチド。
【請求項84】
SEQ ID NO:136~147の1つを含むか、またはSEQ ID NO:136~147の1つに対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~83のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項85】
1つまたは複数のシグナル配列をさらに含む、請求項1~84のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項86】
シグナル配列が、SEQ ID NO:2に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項85記載のポリペプチド。
【請求項87】
シグナル配列がSEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含む、請求項86記載のポリペプチド。
【請求項88】
請求項1~87のいずれか一項記載のポリペプチドをコードする、単離された核酸。
【請求項89】
発現構築物である、請求項88記載の核酸。
【請求項90】
発現構築物がウイルスベクターである、請求項89記載の核酸。
【請求項91】
ウイルスベクターがレトロウイルスベクター、レトロウイルス由来ベクターを含む、請求項90記載の核酸。
【請求項92】
ウイルスベクターがレンチウイルスベクターまたはレンチウイルス由来ベクターである、請求項91記載の核酸。
【請求項93】
請求項1~87のいずれか一項記載のポリペプチドをコードする配列を含む、レンチウイルスベクター。
【請求項94】
請求項88~93のいずれか一項記載の核酸を含む、細胞。
【請求項95】
ウイルスベクターが細胞ゲノムに組み込まれている、請求項94記載の細胞。
【請求項96】
第2のCARをコードする第2の核酸をさらに含む、請求項94または95記載の細胞。
【請求項97】
第2のCARが単一特異性CARまたは多重特異性CARである、請求項96記載の細胞。
【請求項98】
第2のCARが、TGF-βに対する抗原結合領域を含む、請求項96または97記載の細胞。
【請求項99】
TGF-β結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:29のVHに由来するHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:30のVLに由来するLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、請求項98記載の細胞。
【請求項100】
TGF-β結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:31(HCDR1)、SEQ ID NO:32(HCDR2)、およびSEQ ID NO:33(HCDR3)を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:34(LCDR1)、SEQ ID NO:35(LCDR2)、およびSEQ ID NO:36(LCDR3)を含む、請求項98または99記載の細胞。
【請求項101】
scFvがVH領域とVL領域の間にリンカーを含む、請求項99または100記載の細胞。
【請求項102】
前記リンカーがグリシンおよびセリンアミノ酸残基を含む、請求項101記載の細胞。
【請求項103】
前記リンカーが、SEQ ID NO:10もしくは28のアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:10もしくは28のアミノ酸配列からなる、請求項102記載の細胞。
【請求項104】
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:29に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:30に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項98~103のいずれか一項記載の細胞。
【請求項105】
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:30のアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項98~104のいずれか一項記載の細胞。
【請求項106】
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:11に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗TGF-β scFvを含む、請求項98~105のいずれか一項記載の細胞。
【請求項107】
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有する抗TGF-β scFvを含む、請求項106記載の細胞。
【請求項108】
第2のCARが、EGFRvIIIに対する抗原結合領域を含む、請求項96~107のいずれか一項記載の細胞。
【請求項109】
第2のCARが、GD2に対する抗原結合領域を含む、請求項96~108のいずれか一項記載の細胞。
【請求項110】
エクスビボである、請求項94~99のいずれか一項記載の細胞。
【請求項111】
請求項1~87のいずれか一項記載のポリペプチドを発現する、細胞。
【請求項112】
第2のCARを含む第2のポリペプチドをさらに含む、請求項111記載の細胞。
【請求項113】
第2のCARが単一特異性CARまたは多重特異性CARである、請求項112記載の細胞。
【請求項114】
第2のCARが、TGF-βに対する抗原結合領域を含む、請求項112または113記載の細胞。
【請求項115】
TGF-β結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:29のVHに由来するHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:30のVLに由来するLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、請求項114記載の細胞。
【請求項116】
TGF-β結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:31(HCDR1)、SEQ ID NO:32(HCDR2)、およびSEQ ID NO:33(HCDR3)を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:34(LCDR1)、SEQ ID NO:35(LCDR2)、およびSEQ ID NO:36(LCDR3)を含む、請求項114または115記載の細胞。
【請求項117】
scFvがVH領域とVL領域の間にリンカーを含む、請求項115または116記載の細胞。
【請求項118】
前記リンカーがグリシンおよびセリンアミノ酸残基を含む、請求項117記載の細胞。
【請求項119】
前記リンカーが、SEQ ID NO:10もしくは28のアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:10もしくは28のアミノ酸配列からなる、請求項118記載の細胞。
【請求項120】
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:29に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:30に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項114~119のいずれか一項記載の細胞。
【請求項121】
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:30のアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項114~120のいずれか一項記載の細胞。
【請求項122】
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:11に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗TGF-β scFvを含む、請求項114~121のいずれか一項記載の細胞。
【請求項123】
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有する抗TGF-β scFvを含む、請求項122記載の細胞。
【請求項124】
第2のCARが、EGFRvIIIに対する抗原結合領域を含む、請求項112~123のいずれか一項記載の細胞。
【請求項125】
第2のCARが、GD2に対する抗原結合領域を含む、請求項112~124のいずれか一項記載の細胞。
【請求項126】
T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT)、インバリアントナチュラルキラーT細胞(iNKT)、幹細胞、リンパ球前駆細胞、末梢血単核球(PBMC)、骨髄細胞、胎児肝臓細胞、胚性幹細胞、造血幹細胞もしくは前駆細胞(HSPC)、臍帯血細胞、または人工多能性幹細胞(iPS細胞)である、請求項94~125のいずれか一項記載の細胞。
【請求項127】
T細胞またはNK細胞である、請求項126記載の細胞。
【請求項128】
T細胞がナイーブメモリーT細胞を含む、請求項127記載の細胞。
【請求項129】
ナイーブメモリーT細胞がCD4+T細胞またはCD8+T細胞を含む、請求項128記載の細胞。
【請求項130】
請求項123~129のいずれか一項記載の細胞のいずれかを含む、細胞集団。
【請求項131】
前記集団が103~108個の細胞を含む、請求項130記載の細胞集団。
【請求項132】
請求項130または131記載の細胞集団を含む組成物であって、薬学的に許容される製剤である、組成物。
【請求項133】
請求項88~93のいずれか一項記載の核酸を細胞に導入する工程を含む、ポリペプチドを発現する細胞を作製する方法。
【請求項134】
前記細胞が前記ポリペプチドをコードするウイルスに感染している、請求項133記載の方法。
【請求項135】
前記ウイルスがレンチウイルスまたはレンチウイルス由来ウイルスもしくはベクターを含む、請求項134記載の方法。
【請求項136】
前記細胞が、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT)、インバリアントナチュラルキラーT細胞(iNKT)、幹細胞、リンパ球前駆細胞、末梢血単核球(PBMC)、骨髄細胞、胎児肝臓細胞、胚性幹細胞、臍帯血細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)である、請求項133~135のいずれか一項記載の方法。
【請求項137】
前記細胞がT細胞またはNK細胞である、請求項136記載の方法。
【請求項138】
T細胞がナイーブメモリーT細胞を含む、請求項137記載の方法。
【請求項139】
ナイーブメモリーT細胞がCD4+T細胞またはCD8+T細胞を含む、請求項138記載の方法。
【請求項140】
前記細胞がまだT細胞でもNK細胞でもなく、T細胞またはNK細胞への細胞の分化を促進する条件下で前記細胞を培養する工程をさらに含む、
請求項133~139のいずれか一項記載の方法。
【請求項141】
前記核酸を前記細胞に導入する前およびまたは後に、前記細胞を拡大する条件下で前記細胞を培養する工程をさらに含む、請求項133~140のいずれか一項記載の方法。
【請求項142】
前記細胞が無血清培地で培養される、請求項141記載の方法。
【請求項143】
グリア芽細胞腫を有する対象を処置する方法であって、有効量の請求項132記載の組成物を該対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項144】
さらなる療法を前記対象に投与する工程をさらに含む、請求項143記載の方法。
【請求項145】
さらなる療法が免疫療法を含む、請求項144記載の方法。
【請求項146】
前記組成物が心室内に、脳室内に、腫瘍内に、静脈内に、または腫瘍を切除した空洞の中に投与される、請求項143~145のいずれか一項記載の方法。
【請求項147】
対象において免疫応答を刺激するためのまたは癌を処置するための方法であって、有効量の請求項132記載の組成物を該対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項148】
免疫応答を刺激することが、免疫を刺激するサイトカインおよび/または分子の発現および/または分泌を増加させることを含む、請求項147記載の方法。
【請求項149】
免疫を刺激するサイトカインおよび/または分子が、TNF-α、IFN-β、IFN-γ、IL-1、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-18、および顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子の1つまたは複数である、請求項147または148記載の方法。
【請求項150】
免疫応答を刺激することが、免疫細胞の増殖を増加させることを含む、請求項147~149のいずれか一項記載の方法。
【請求項151】
免疫細胞がT細胞である、請求項150記載の方法。
【請求項152】
前記細胞が、免疫刺激を必要とする対象においてインビボにある、請求項147~151のいずれか一項記載の方法。
【請求項153】
前記対象が、内因性TGF-βを産生する対象である、請求項152記載の方法。
【請求項154】
前記癌がグリア芽細胞腫を含む、請求項147~153のいずれか一項記載の方法。
【請求項155】
前記対象がヒト対象である、請求項147~154のいずれか一項記載の方法。
【請求項156】
TGF-βを前記対象に投与する工程をさらに含む、請求項147~155のいずれか一項記載の方法。
【請求項157】
インビトロで治療用T細胞を拡大するための方法であって、請求項127~129のいずれか一項記載のインビトロT細胞を、TGF-βを含む組成物と接触させる工程を含む、方法。
【請求項158】
前記組成物が1~50ng/mLのTGF-βを含む、請求項157記載の方法。
【請求項159】
前記組成物がIL-2をさらに含む、請求項157または158記載の方法。
【請求項160】
前記組成物が20~400U/mLのIL-2および/または0.1~10ng/mlのIL-15を含む、請求項159記載の方法。
【請求項161】
前記細胞をフィーダー細胞と接触させる工程をさらに含む、請求項157~160のいずれか一項記載の方法。
【請求項162】
フィーダー細胞が放射線照射されている、請求項161記載の方法。
【請求項163】
T細胞とフィーダー細胞との接触を除外する、請求項157~162のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年8月26日に出願された米国仮出願第63/070,550号、2021年4月6日に出願された米国仮出願第63/171,187号、および2021年7月6日に出願された米国仮出願第63/218,761号の優先権の恩典を主張する。米国仮出願第63/070,550号、米国仮出願第63/171,187号、および米国仮出願第63/218,761号のそれぞれが、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
背景
本発明は、米国立衛生研究所により付与された助成金番号CA211015による政府の支援を受けてなされた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
【0003】
II.発明の分野
本発明は概して分子生物学および免疫療法の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
III.背景
多形性神経膠芽腫(GBM)は成人において最も一般的なタイプの原発性脳腫瘍であり、過去数十年にわたって生存期間の中央値は診断時から12~16ヶ月のままであった。外科手術、化学療法、および放射線などの従来療法はほぼ決まって腫瘍根絶に失敗し、その結果として数週間以内または数ヶ月以内に再発が起こる。その結果、GBMは養子T-細胞療法などの新たな治療選択肢を求める活発な研究分野であった。今までのところ、GBMに対するT-細胞療法の効力を2つの大きな課題が制限している。第1に、GBMの腫瘍微小環境は強い免疫抑制性を示し、腫瘍成長の促進と、T細胞機能の強力な抑制を同時に行う高レベルのトランスフォーミング成長因子β(TGF-β)を特徴とする。第2に、GBM腫瘍の抗原発現は高度に不均質であり、従って、1種類の抗原しか標的としないように操作されているT細胞は、概して、存在する全ての腫瘍細胞を認識および根絶することができない。従って、改善されたGBM療法が当技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
開示の概要
本開示は、グリア芽細胞腫(GBMまたは多形性神経膠芽腫とも呼ばれる)を処置するための新規の多重特異性CAR分子を提供することによって当技術分野における必要性を提供する。従って、本開示の局面は、SEQ ID NO:4または20のIL13ポリペプチドと、グリア芽細胞腫抗原結合領域と、ペプチドスペーサーと、膜貫通ドメインと、共刺激領域および1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質領域とを含む多重特異性キメラ抗原受容体を含むポリペプチドであって、グリア芽細胞腫抗原結合領域がGD2結合領域またはEGFRvIII結合領域を含む、ポリペプチドに関する。
【0006】
さらなる局面は、SEQ ID NO:4または20のIL13ポリペプチドと、TGF-β結合領域と、ペプチドスペーサーと、膜貫通ドメインと、共刺激領域および1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質領域とを含む多重特異性キメラ抗原受容体(CAR)を含む、ポリペプチドに関する。
【0007】
なおさらなる局面は、グリア芽細胞腫抗原結合領域と、TGF-β結合領域と、ペプチドスペーサーと、膜貫通ドメインと、共刺激領域および1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質領域とを含む多重特異性キメラ抗原受容体(CAR)を含むポリペプチドであって、グリア芽細胞腫抗原結合領域が、可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)領域を有する抗GD2 scFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:48(HCDR1)、SEQ ID NO:49(HCDR2);およびSEQ ID NO:50(HCDR3)を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:51(LCDR1)、SEQ ID NO:52(LCDR2);およびSEQ ID NO:53(LCDR3)を含む、ポリペプチドに関する。さらなる局面は、グリア芽細胞腫抗原結合領域と、TGF-β結合領域と、ペプチドスペーサーと、膜貫通ドメインと、共刺激領域および1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質領域とを含む多重特異性キメラ抗原受容体(CAR)を含むポリペプチドに関し、グリア芽細胞腫抗原結合領域は、可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)領域を有する抗GD2 scFvを含み、VH領域は、SEQ ID NO:46のVHに由来するHCDR1、HCDR2;およびHCDR3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:47のVLに由来するLCDR1、LCDR2;およびLCDR3を含む。
【0008】
グリア芽細胞腫抗原結合領域と、TGF-β結合領域と、ペプチドスペーサーと、膜貫通ドメインと、共刺激領域および1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質領域とを含む多重特異性キメラ抗原受容体(CAR)を含むポリペプチドも提供され、グリア芽細胞腫抗原結合領域はEGFRvIII結合領域を含む。
【0009】
本開示はまた、本開示のポリペプチドをコードする核酸、本開示の核酸を含む発現ベクター、本開示のポリペプチドを発現する、および/または本開示の核酸もしくは発現ベクターを含む細胞および/または細胞集団、ならびに本開示のポリペプチド、核酸、または細胞を含む組成物についても説明する。前記組成物は、薬学的に許容される製剤の形をとってもよい。
【0010】
本開示の局面はまた、ポリペプチドを発現する細胞を作製する方法であって、本開示の核酸を細胞に導入する工程を含む、方法にも関する。さらなる方法の局面は、対象において免疫応答を刺激するためのまたはグリア芽細胞腫を処置するための方法であって、有効量の本開示の組成物、細胞、またはポリペプチドを対象に投与する工程を含む、方法に関する。インビトロで治療用T細胞を拡大するための方法であって、本開示のインビトロT細胞を、TGF-βを含む組成物と接触させる工程を含む、方法も提供される。
【0011】
本開示の局面は、1つまたは複数のグリア芽細胞腫抗原結合領域を含むポリペプチドに関する。一部の局面では、グリア芽細胞腫抗原結合領域はGD2結合領域を含む。GD2の構造は当技術分野において公知である。GD2は、b-シリーズガングリオシドに属するジシアロガングリオシドである。GD2は、GalNAcβ1-4(NeuAcα2-8NeuAcα2-3)Galβ1-4Glcβ1-1の炭水化物配列を有する、セラミドに結合した5つの単糖を含む。GD2結合領域、例えば、抗GD2抗体結合領域は当技術分野において公知である。一部の局面では、GD2結合領域は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有する抗GD2 scFvを含み、VH領域は、SEQ ID NO:48(HCDR1)、SEQ ID NO:49(HCDR2);およびSEQ ID NO:50(HCDR3)を含み、VL領域は、SEQ ID NO:51(LCDR1)、SEQ ID NO:52(LCDR2);およびSEQ ID NO:53(LCDR3)を含む。
【0012】
一部の局面では、グリア芽細胞腫抗原結合領域はEGFRvIII抗原結合領域を含む。EGFRvIIIは、アミノ酸6~273を欠くEGFR変種である。これらの268アミノ酸が欠失すると、アミノ酸5と274との間に新たなグリシン残基を有する接合部位が作り出される。一部の局面では、EGFRvIII結合領域は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有する抗EGFRvIII scFvを含み、VH領域は、SEQ ID NO:40(HCDR1)、SEQ ID NO:41(HCDR2);およびSEQ ID NO:42(HCDR3)を含み、VL領域は、SEQ ID NO:43(LCDR1)、SEQ ID NO:44(LCDR2);およびSEQ ID NO:45(LCDR3)を含む。
【0013】
一部の局面では、前記ポリペプチドはTGF-β結合領域を含む。一部の局面では、TGF-β結合領域は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvを含み、VH領域は、SEQ ID NO:31(HCDR1)、SEQ ID NO:32(HCDR2);およびSEQ ID NO:33(HCDR3)を含み、VL領域は、SEQ ID NO:34(LCDR1)、SEQ ID NO:35(LCDR2);およびSEQ ID NO:36(LCDR3)を含む。
【0014】
一部の局面では、GD2、EGRvIII、またはTGF-β結合領域のLCDR1は、それぞれ、SEQ ID NO:51、43、または34に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、多くても60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の局面では、GD2、EGRvIII、またはTGF-β結合領域のLCDR2は、それぞれ、SEQ ID NO:52、44、または35に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、多くても60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の局面では、GD2、EGRvIII、またはTGF-β結合領域のLCDR3は、それぞれ、SEQ ID NO:53、45、または36に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、多くても60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の局面では、GD2、EGRvIII、またはTGF-β結合領域のHCDR1は、それぞれ、SEQ ID NO:48、40、または31に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、多くても60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の局面では、GD2、EGRvIII、またはTGF-β結合領域のHCDR2は、それぞれ、SEQ ID NO:49、41、または32に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、多くても60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の局面では、GD2、EGRvIII、またはTGF-β結合領域のHCDR3は、それぞれ、SEQ ID NO:50、42、または33に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、多くても60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0015】
一部の局面では、GD2結合領域は、SEQ ID NO:46に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:47に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む。一部の局面では、GD2結合領域は、SEQ ID NO:46のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:47のアミノ酸配列を有するVLを含む。一部の局面では、GD2結合領域は、SEQ ID NO:46に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/あるいはSEQ ID NO:47に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む。GD2結合領域はまた、SEQ ID NO:26に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗GD2 scFvを含むものでもよい。一部の局面では、GD2結合領域は、SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を有する抗GD2 scFvを含む。他の局面は、SEQ ID NO:26に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗GD2 scFvを含むGD2結合領域を含む。一部の局面では、GD2結合領域は、膜結合型GD2抗原に結合する結合領域を含む。一部の局面では、GD2結合領域は、可溶性GD2抗原に結合する結合領域を含む。一部の局面では、GD2結合領域は、膜結合型GD2抗原および可溶性GD2抗原に結合する結合領域を含む。
【0016】
一部の局面では、前記ポリペプチドはTGF-β結合領域を含む。一部の局面では、TGF-β結合領域は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvを含み、VH領域は、SEQ ID NO:56(HCDR1)、SEQ ID NO:57(HCDR2);およびSEQ ID NO:58(HCDR3)を含み、VL領域は、SEQ ID NO:59(LCDR1)、SEQ ID NO:60(LCDR2);およびSEQ ID NO:61(LCDR3)を含む。一部の局面では、前記ポリペプチドはTGF-β結合領域を含む。一部の局面では、TGF-β結合領域は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvを含み、VH領域は、SEQ ID NO:64(HCDR1)、SEQ ID NO:65(HCDR2);およびSEQ ID NO:66(HCDR3)を含み、VL領域は、SEQ ID NO:67(LCDR1)、SEQ ID NO:68(LCDR2);およびSEQ ID NO:69(LCDR3)を含む。
【0017】
一部の局面では、TGF-β結合領域のLCDR1は、SEQ ID NO:59または67に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、多くても60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の局面では、TGF-β結合領域のLCDR2は、SEQ ID NO:60または68に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、多くても60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の局面では、TGF-β結合領域のLCDR3は、SEQ ID NO:61または69に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、多くても60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の局面では、TGF-β結合領域のHCDR1は、SEQ ID NO:56または64に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、多くても60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の局面では、TGF-β結合領域のHCDR2は、SEQ ID NO:57または65に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、多くても60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の局面では、TGF-β結合領域のHCDR3は、SEQ ID NO:58または66に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、多くても60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の局面では、TGF-β結合領域は、SEQ ID NO:54に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:55に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む。一部の局面では、TGF-β結合領域は、SEQ ID NO:54のアミノ酸配列を有するVH、および/または SEQ ID NO:55のアミノ酸配列を有するVLを含む。
一部の局面では、TGF-β結合領域は、SEQ ID NO:54に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/あるいはSEQ ID NO:55に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む。一部の局面では、TGF-β結合領域は、SEQ ID NO:62に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:63に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む。一部の局面では、TGF-β結合領域は、SEQ ID NO:62のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:63のアミノ酸配列を有するVLを含む。一部の局面では、TGF-β結合領域は、SEQ ID NO:62に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/あるいはSEQ ID NO:63に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む。
【0018】
一部の局面では、TGF-β結合領域のLCDR1は、SEQ ID NO:34に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、多くても60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の局面では、TGF-β結合領域のLCDR2は、SEQ ID NO:35に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、多くても60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の局面では、TGF-β結合領域のLCDR3は、SEQ ID NO:36に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、多くても60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の局面では、TGF-β結合領域のHCDR1は、SEQ ID NO:31に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、多くても60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の局面では、TGF-β結合領域のHCDR2は、SEQ ID NO:32に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、多くても60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の局面では、TGF-β結合領域のHCDR3は、SEQ ID NO:33に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、多くても60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の局面では、TGF-β結合領域は、SEQ ID NO:29に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:30に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む。一部の局面では、TGF-β結合領域は、SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:30のアミノ酸配列を有するVLを含む。一部の局面では、TGF-β結合領域は、SEQ ID NO:29に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/あるいはSEQ ID NO:30に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む。
【0019】
一部の局面では、EGFRvIII結合領域は、SEQ ID NO:38に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/あるいはSEQ ID NO:39に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む。一部の局面では、EGFRvIII結合領域は、SEQ ID NO:38に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:39に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む。一部の局面では、EGFRvIII結合領域は、SEQ ID NO:38のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:39のアミノ酸配列を有するVLを含む。一部の局面では、EGFRvIII結合領域は、SEQ ID NO:38のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:39のアミノ酸配列を有するVLを含む。一部の局面では、EGFRvIII結合領域は、SEQ ID NO:27に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗EGFRvIII scFvを含む。一部の局面では、EGFRvIII結合領域は、SEQ ID NO:27に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗EGFRvIII scFvを含む。一部の局面では、EGFRvIII結合領域は、SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を有する抗EGFRvIII scFvを含む。一部の局面では、EGFRvIII結合領域は、膜結合型EGFRvIII抗原に結合する結合領域を含む。一部の局面では、EGFRvIII結合領域は、可溶性EGFRvIII抗原に結合する結合領域を含む。一部の局面では、EGFRvIII結合領域は、膜結合型EGFRvIII抗原および可溶性EGFRvIII抗原に結合する結合領域を含む。
【0020】
本開示の局面は、TGF-β結合領域を含むポリペプチドおよびCARを含む。一部の局面では、TGF-β結合領域は、SEQ ID NO:29に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:30に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む。一部の局面では、TGF-β結合領域は、SEQ ID NO:29に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/あるいはSEQ ID NO:30に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む。一部の局面では、TGF-β結合領域は、SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:30のアミノ酸配列を有するVLを含む。一部の局面では、TGF-β結合領域は、SEQ ID NO:11に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗TGF-β scFvを含む。一部の局面では、TGF-β結合領域は、SEQ ID NO:11に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗TGF-β scFvを含む。一部の局面では、TGF-β結合領域は、SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有する抗TGF-β scFvを含む。
【0021】
GD2結合領域は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有する抗GD2 scFvであって、VH領域が、SEQ ID NO:46のVHに由来するHCDR1、HCDR2;およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:47のVLに由来するLCDR1、LCDR2;およびLCDR3を含む、抗GD2 scFvを含んでもよい。EGFRvIII結合領域は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有する抗EGFRvIII scFvであって、VH領域が、SEQ ID NO:38のVHに由来するHCDR1、HCDR2;およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:39のVLに由来するLCDR1、LCDR2;およびLCDR3を含む、抗EGFRvIII scFvを含んでもよい。TGF-β結合領域は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvであって、VH領域が、SEQ ID NO:29のVHに由来するHCDR1、HCDR2;およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:30のVLに由来するLCDR1、LCDR2;およびLCDR3を含む、scFvを含んでもよい。TGF-β結合領域は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvであって、VH領域が、SEQ ID NO:54のVHに由来するHCDR1、HCDR2;およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:55のVLに由来するLCDR1、LCDR2;およびLCDR3を含む、scFvを含んでもよい。TGF-β結合領域は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvであって、VH領域が、SEQ ID NO:62のVHに由来するHCDR1、HCDR2;およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:63のVLに由来するLCDR1、LCDR2;およびLCDR3を含む、scFvを含んでもよい。一部の局面では、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3はKabat法によって決定される。一部の局面では、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3はIMGT法によって決定される。一部の局面では、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3はChothia法によって決定される。一部の局面では、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3はパラトーム法によって決定される。
【0022】
「単鎖Fv」または「scFv」抗体断片は、抗体のVHドメインおよびVLドメインの少なくとも一部、例えば、それぞれのCDRを含み、これらのドメインは1本のポリペプチド鎖に存在する。scFvは、一部の局面では、重鎖可変領域のCDR1、CDR2、および/またはCDR3と、軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、および/またはCDR3を含むことが意図される。CDR1、CDR2、またはCDR3は、それぞれ、CDR1、CDR2、またはCDR3として本明細書において提供されるSEQ ID NOに示された配列を含んでもよく、その配列からなってもよいことがさらに意図される。CDRはまた、特定のCDR配列の片側または両側に隣接する1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、もしくはそれより多くの連続したアミノ酸残基(またはその中で導き出せる任意の範囲)も含んでよい。従って、特定のCDR配列、例えば、SEQ ID NO:31~36、40~45、48~53、56~61、および64~69に示されたCDR配列のN末端またはC末端に1つまたは複数のさらなるアミノ酸があってもよい。
【0023】
本開示の局面はまた、IL13ポリペプチドとグリア芽細胞腫抗原結合領域を含む多重特異性ポリペプチドにも関する。一部の局面では、前記ポリペプチドはキメラ抗原受容体(CAR)を含み、CARは、アミノ近位端からカルボキシ近位端の順で、IL13ポリペプチドと、グリア芽細胞腫抗原結合領域と、ペプチドスペーサーと、膜貫通ドメインと、共刺激領域および1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質領域とを含む。
【0024】
IL13ポリペプチドはグリア芽細胞腫抗原結合領域に対してアミノ近位側にあってもよいことが意図される。他の局面では、IL13ポリペプチドはグリア芽細胞腫抗原結合領域に対してカルボキシ近位側にあってもよい。TGF-β結合領域はグリア芽細胞腫抗原結合領域に対してアミノ近位側にあってもよく、TGF-β結合領域はグリア芽細胞腫抗原結合領域に対してカルボキシ近位側にあってもよい。IL13ポリペプチドはTGF-β結合領域に対してアミノ近位側にあってもよく、またはIL13ポリペプチドはTGF-β結合領域に対してカルボキシ近位側にあってもよい。TGF-β結合領域はIL13ポリペプチドに隣接してもよいことが意図される。このことは、隣接する任意の2つの結合領域がリンカー領域によって隔てられていてもよいが、介在性の結合領域が無いことを意味する。IL13ポリペプチドはグリア芽細胞腫抗原結合領域に隣接してもよく、グリア芽細胞腫抗原結合領域はTGF-β結合領域に隣接してもよい。
【0025】
前記ポリペプチドは、領域を隔てる1つまたは複数のリンカーを含んでもよく、領域を隔てる1つまたは複数のリンカーをさらに含んでもよい。例えば、前記ポリペプチドは、2つの結合領域の間にリンカー、例えば、IL13ポリペプチドとグリア芽細胞腫抗原結合領域との間にリンカーを含んでもよい。前記ポリペプチドは、TGF-β結合領域とグリア芽細胞腫抗原結合領域の間に、および/またはIL13ポリペプチドとTGF-β結合領域との間にリンカーを含んでもよい。ある特定の局面では、前記ポリペプチドは、TGF-β結合領域を含む三重特異性CARを含む。三重特異性CARは、TGF-β結合領域と、IL13ポリペプチドと、グリア芽細胞腫抗原結合領域を含んでもよい。
【0026】
一部の局面では、IL13Rα結合領域はIL13Rα2結合領域である。一部の局面では、IL13ポリペプチドは、SEQ ID NO:4のアミノ酸3~114からなるIL13ポリペプチドを除外する。一部の局面では、IL13ポリペプチドは、SEQ ID NO:4のアミノ酸11~122からなるIL13ポリペプチドを除外する。一部の局面では、IL13ポリペプチドは、SEQ ID NO:4または20のC末端112アミノ酸と、N末端に少なくとも1つのさらなるアミノ酸を含む。一部の局面では、IL13ポリペプチドは、SEQ ID NO:4または20のC末端112アミノ酸と、N末端に少なくとも、多くても、または正確に1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個のさらなるアミノ酸を含む。さらに、または代わりに、一部の局面では、IL13ポリペプチドは、SEQ ID NO:4または20のC末端112アミノ酸と、C末端に少なくとも、多くても、または正確に1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個のさらなるアミノ酸を含む。
【0027】
さらなる局面では、CAR分子は、宿主細胞においてCAR分子を選別および/または特定するのに使用することができるタグも含む。一部の局面では、タグは治療コントロールとさらに定義される。一部の局面では、タグまたは治療コントロールは完全長ポリペプチドより短く、例えば、タグから1つまたは複数の機能的ドメインを除去するために切断されている。ある特定の局面では、切断型タンパク質はEGFR(EGFRt)であり、CARの発現を検出するのに使用することができる。別の局面では、切断型タンパク質は切断型低親和性神経成長因子受容体または(dNGFR)である。他の局面では、タグは比色タグまたは蛍光タグである。一部の局面では、タグは切断部位によってCARから分離されてもよい。
【0028】
一部の局面では、VHはVLのアミノ近位側にある。一部の局面では、VHはVLのカルボキシ近位側にある。第1の領域が第2の領域のカルボキシ末端に取り付けられている時に、第1の領域は第2の領域のカルボキシ近位側にある。第1の領域と第2の領域の間に、さらなる介在性アミノ酸残基があってもよい。従って、介在性アミノ酸残基がないと明確に指定されていない限り、これらの領域はすぐ隣にある必要はない。「アミノ近位」という用語は、第1の領域が第2の領域のアミノ末端に取り付けられている時に、第1の領域が第2の領域のアミノ近位側にある点で同様に定義される。同様に、特に定めのない限り、第1の領域と第2の領域の間に、さらなる介在性アミノ酸残基があってもよい。
【0029】
特定の局面では、CARは、アミノ近位端からカルボキシ近位端の順で、IL13ポリペプチドと、グリア芽細胞腫抗原結合領域と、TGF-β結合領域と、ペプチドスペーサーと、膜貫通ドメインと、共刺激領域および1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質領域とを含む。
【0030】
前記ポリペプチドの2つの領域間にあるリンカー、例えば、2つの結合領域間にある、または同じ結合領域のVHとVLの間にあるリンカーは、グリシンおよびセリンアミノ酸を含むリンカーでもよい。一部の局面では、リンカーは、SEQ ID NO:10もしくは28のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、またはSEQ ID NO:10もしくは28のアミノ酸配列を有するポリペプチドからなる。一部の局面では、リンカーは長さが4~40アミノ酸である。一部の局面では、リンカーは、長さが4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、もしくは50個(またはその中で導き出せる任意の範囲)のアミノ酸残基であるか、少なくとも4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、もしくは50個(またはその中で導き出せる任意の範囲)のアミノ酸残基であるか、多くても4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、もしくは50個(またはその中で導き出せる任意の範囲)のアミノ酸残基であるか、約4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、もしくは50個(またはその中で導き出せる任意の範囲)のアミノ酸残基である。一部の局面では、リンカーは少なくとも4個のグリシンおよび/またはセリン残基を含む。一部の局面では、リンカーは、少なくとも4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、もしくは50個(またはその中で導き出せる任意の範囲)のグリシンおよび/またはセリン残基を含む。一部の局面では、リンカーは(GGGGS)nを含み、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10(またはその中で導き出せる任意の範囲)である。一部の局面では、リンカーはアミノ酸配列:(EAAAK)nを含むか、またはアミノ酸配列:(EAAAK)nからなり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10(またはその中で導き出せる任意の範囲)である。
【0031】
前記ポリペプチドは、少なくとも1つの抗原結合領域と、第2のペプチドスペーサーと、第2の膜貫通ドメインと、第2の共刺激領域および第2の1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む第2の細胞質領域とを含む第2のキメラ抗原受容体(CAR)をさらに含んでもよい。第2のCARは、単一特異性CARまたは多重特異性CAR、例えば、二重特異性CARまたは三重特異性CARでもよい。ある特定の局面では、第2のCARは、TGF-βに対する抗原結合領域を含む。第1のCARおよび第2のCARは1つまたは複数のペプチド切断部位によって隔てられてもよい。ペプチド切断部位は、当技術分野において公知のペプチド切断部位、例えば、フューリン切断部位または2A切断部位でもよい。2A切断部位は、P2A、F2A、E2A、またはT2A切断部位の1つまたは複数を含んでもよい。一部の局面では、ペプチド切断部位はT2A切断部位を含む。T2A切断部位はSEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含んでもよい。切断部位が、SEQ ID NO:24に対して少なくとも80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有する局面も意図される。
【0032】
本開示のCARは膜貫通ドメインと細胞質領域との間にねじれリンカー(torsional linker)を含んでもよく、膜貫通ドメインと細胞質領域との間にねじれリンカーをさらに含んでもよい。一部の局面では、ねじれリンカーは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、もしくは10個のアミノ酸残基(またはその中で導き出せる任意の範囲)を含むか、あるいはそれからなる。一部の局面では、アミノ酸残基はアラニン残基を含むか、またはアラニン残基からなる。一部の局面では、ねじれリンカーは、少なくとも、多くても、または正確に1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、もしくは10個(またはその中で導き出せる任意の範囲)のアラニン残基を含む。一部の局面では、ねじれリンカーは、少なくとも、多くても、または正確に1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、もしくは10個(またはその中で導き出せる任意の範囲)の連続したアラニン残基を含む。一部の局面では、ねじれリンカーは2個または4個のアラニン残基からなる。一部の局面では、ねじれリンカーは、少なくとも、多くても、または正確に1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、もしくは10個(またはその中で導き出せる任意の範囲)の連続したアラニン残基を含む。一部の局面では、ねじれリンカーは2個のアラニン残基からなる。
【0033】
本開示のCARは、抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間にペプチドスペーサーを含んでもよい。同様に、本開示の第2のCARは、第2のCARの抗原結合ドメインと第2の膜貫通ドメインとの間にペプチドスペーサーを含んでもよい。ペプチドスペーサーまたは第2のペプチドスペーサーはIgG4ヒンジ領域を含んでもよい。一部の局面では、IgG4ヒンジ領域は、SEQ ID NO:12に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。一部の局面では、IgG4ヒンジ領域は、SEQ ID NO:12に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。一部の局面では、IgG4ヒンジ領域は、SEQ ID NO:12のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。一部の局面では、IgG4ヒンジ領域は、SEQ ID NO:5に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。一部の局面では、IgG4ヒンジ領域は、SEQ ID NO:5に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。一部の局面では、IgG4ヒンジ領域は、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。一部の局面では、ペプチドスペーサーまたは第2のペプチドスペーサーはIgG4 CH2およびCH3領域を含むか、またはIgG4 CH2およびCH3領域をさらに含む。一部の局面では、ペプチドスペーサーまたは第2のペプチドスペーサーはIgG4 CH2およびCH3領域を含むか、またはIgG4 CH2およびCH3領域をさらに含む。一部の局面では、IgG4 CH2およびCH3領域は、SEQ ID NO:37に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。一部の局面では、IgG4 CH2およびCH3領域は、SEQ ID NO:37に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。一部の局面では、IgG4 CH2およびCH3領域は、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。一部の局面では、CH2領域はL235Eおよび/またはN297Q置換を含む。ペプチドスペーサーは長さが8~1000アミノ酸でもよい。一部の局面では、ペプチドスペーサーは長さが8~500アミノ酸である。一部の局面では、ペプチドスペーサーは長さが100~300アミノ酸である。一部の局面では、ペプチドスペーサーは100未満のアミノ酸を有する。一部の局面では、ペプチドスペーサーは、少なくとも、多くても、または正確に8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、もしくは500アミノ酸(またはその中で導き出せる任意の範囲)である。
【0034】
膜貫通ドメインまたは第2の膜貫通ドメインは、CD28タンパク質に由来する膜貫通ドメインを含んでもよい。一部の局面では、膜貫通ドメインまたは第2の膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:6に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する膜貫通ドメインを含む。一部の局面では、膜貫通ドメインまたは第2の膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:6に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する膜貫通ドメインを含む。一部の局面では、膜貫通ドメインまたは第2の膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を有する膜貫通ドメインを含む。一部の局面では、膜貫通ドメインは、T細胞受容体、CD28、CD3ε(イプシロン)、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD123、CD134、CD137、またはCD154膜貫通ドメインのα鎖またはβ鎖である。
【0035】
本明細書に記載のペプチドおよびCARにある共刺激領域または第2の共刺激領域は、4-1BBタンパク質に由来する共刺激領域またはCD28タンパク質に由来する共刺激領域を含んでもよい。一部の局面では、共刺激領域または第2の共刺激領域は、SEQ ID NO:7、14、または18に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する共刺激領域を含む。一部の局面では、共刺激領域または第2の共刺激領域は、SEQ ID NO:7、14、または18に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する共刺激領域を含む。一部の局面では、共刺激領域または第2の共刺激領域は、SEQ ID NO:7、14、または18のアミノ酸配列を有する共刺激領域を含む。一部の局面では、細胞質領域は2つの共刺激ドメインを含む。一部の局面では、1つまたは複数の共刺激ドメインは、4-1BB(CD137)、CD28、IL-15Rα、OX40、CD2、CD27、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、および/またはICOS(CD278)の1つまたは複数に由来する共刺激ドメインを含む。一部の局面では、1つまたは複数の共刺激ドメインは、CD28に由来する共刺激ドメインまたはCD28に由来する共刺激ドメインを含む。
【0036】
本明細書に記載のポリペプチドおよびCARの1次細胞内シグナル伝達ドメインまたは第2の1次細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζタンパク質に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含んでもよい。一部の局面では、1次細胞内シグナル伝達ドメインまたは第2の1次細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:8または15に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の局面では、1次細胞内シグナル伝達ドメインまたは第2の1次細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:8または15に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の局面では、1次細胞内シグナル伝達ドメインまたは第2の1次細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:8または15のアミノ酸配列を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0037】
前記ポリペプチドは、SEQ ID NO:136~147の1つのアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:136~147の1つに対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。前記ポリペプチドは、SEQ ID NO:136~147の1つに対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。前記ポリペプチドは、SEQ ID NO:1、9、13、16、17、19、21~23、および25の1つのアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1、9、13、16、17、19、21~23、および25の1つに対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。前記ポリペプチドは、SEQ ID NO:1、9、13、16、17、19、21~23、および25の1つに対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。
【0038】
本開示のポリペプチドは1つまたは複数の分子タグを含んでもよく、1つまたは複数の分子タグをさらに含んでもよい。一部の局面では、1つまたは複数の分子タグはFLAGタグおよび/またはHAタグを含む。本開示のポリペプチドは1つまたは複数のシグナル配列を含んでもよく、1つまたは複数のシグナル配列をさらに含んでもよい。一部の局面では、シグナル配列は、SEQ ID NO:2に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の局面では、シグナル配列は、SEQ ID NO:2に対して60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するか、あるいは少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の局面では、シグナル配列はSEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含む。前記ポリペプチドはまた本開示のCARにおいてFLAGタグを除外してもよい。
【0039】
本開示の局面はまた、前記ポリペプチドをコードする核酸、および前記核酸を含む発現ベクターについても説明する。発現構築物は、ウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクターまたはレトロウイルス由来ベクターでもよい。一部の局面では、ウイルスベクターはレンチウイルスベクターまたはレンチウイルス由来ベクターである。局面は、本開示のポリペプチドをコードする配列を含むレンチウイルスベクターに関する。局面はまた、本開示の核酸を含むウイルス粒子にも関する。一部の局面では、発現ベクター、例えば、ウイルスベクターは細胞ゲノムに組み込まれている。前記細胞はエクスビボでもよい。前記細胞はインビボであることも意図される。本開示の局面はまた、本開示のポリペプチドを発現する、および/または本開示の核酸を含む細胞にも関する。本開示の細胞は、第2のCARをコードする核酸を含んでもよく、第2のCARをコードする核酸をさらに含んでもよい。本開示の細胞は、第2のCARを含むポリペプチドを含んでもよく、第2のCARをコードする核酸をさらに含んでもよく、第2のCARを含むポリペプチドを発現してもよい。
【0040】
本開示の細胞は、IL13Rα結合領域およびTGF-β結合領域を含む二重特異性CARを有する発現された第1のポリペプチドと、GD2結合領域を含むCARを有する第2のポリペプチドをコードするか、またはそれを含む核酸を含んでもよい。本開示の細胞は、IL13Rα結合領域およびTGF-β結合領域を含む二重特異性CARを有する発現された第1のポリペプチドと、EGFRvIII結合領域を含むCARを有する第2のポリペプチドをコードするか、またはそれを含む核酸を含んでもよい。本開示の細胞は、IL13Rα結合領域およびGD2結合領域を含む二重特異性CARを有する発現された第1のポリペプチドと、TGF-β結合領域を含むCARを有する第2のポリペプチドをコードするか、またはそれを含む核酸を含んでもよい。本開示の細胞は、IL13Rα結合領域およびEGFRvIII結合領域を含む二重特異性CARを有する発現された第1のポリペプチドと、TGF-β結合領域を含むCARを有する第2のポリペプチドをコードするか、またはそれを含む核酸を含んでもよい。本開示の細胞は、TGF-β結合領域およびEGFRvIII結合領域を含む二重特異性CARを有する発現された第1のポリペプチドと、IL13Rα結合領域を含むCARを有する第2のポリペプチドをコードするか、またはそれを含む核酸を含んでもよい。本開示の細胞は、TGF-β結合領域およびGD2結合領域を含む二重特異性CARを有する発現された第1のポリペプチドと、IL13Rα結合領域を含むCARを有する第2のポリペプチドをコードするか、またはそれを含む核酸を含んでもよい。本開示の細胞は、TGF-β結合領域およびGD2結合領域を含む二重特異性CARを有する発現された第1のポリペプチドと、IL13Rα結合領域およびEGFRvIII結合領域を含む二重特異性CARを有する第2のポリペプチドをコードするか、またはそれを含む核酸を含んでもよい。本開示の細胞は、TGF-β結合領域およびEGFRvIII結合領域を含む二重特異性CARを有する発現された第1のポリペプチドと、IL13Rα結合領域およびGD2結合領域を含む二重特異性CARを有する第2のポリペプチドをコードするか、またはそれを含む核酸を含んでもよい。本開示の細胞は、IL13Rα結合領域およびTGFβ結合領域を含む二重特異性CARを有する発現された第1のポリペプチドと、EGFRvIII結合領域およびGD2結合領域を含む二重特異性CARを有する第2のポリペプチドをコードするか、またはそれを含む核酸を含んでもよい。
【0041】
局面では、本明細書において開示されるポリペプチド、およびその一部をコードする配列を含む核酸が提供される。核酸はRNAまたはDNAを含んでもよい。ある特定の局面では、核酸は発現構築物である。一部の局面では、発現構築物はベクターである。ある特定の局面では、ベクターはウイルスベクターである。特定の局面では、ウイルスベクターはレトロウイルスベクターであるか、またはレトロウイルスに由来する。一部の局面では、レトロウイルスベクターはレンチウイルスベクターを含むか、またはレンチウイルスに由来する。ある特定の局面では、ウイルスベクターは組込み核酸だと認められる。さらに、核酸は、ゲノムの特定の遺伝子座、例えば、TRAC遺伝子にCARコード配列を組み込むために、CARをコードする核酸(例えば、ガイドRNA)が用いられるような遺伝子編集に関与する分子でもよい。これはCRISPR/Cas9などの遺伝子編集系を伴ってもよい。核酸、ポリヌクレオチド、もしくはポリヌクレオチド領域(またはポリペプチドもしくはポリペプチド領域)が、別の配列に対してある特定のパーセント(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%--またはその中で導き出せる任意の範囲)の「配列同一性」または「相同性」を有するとは、アラインメントした時に、2つの配列を比較した際に、そのパーセントの塩基(またはアミノ酸)が同じであることを意味する。このアラインメントと、パーセント相同性または配列同一性は、当技術分野において公知のソフトウェアプログラム、例えば、Ausubel et al. eds.(2007) Current Protocols in Molecular Biologyに記載のソフトウェアプログラムを用いて決定することができる。核酸は、本明細書において提供されるどの核酸SEQ ID NOに対しても、このような配列同一性または相同性を有し得ることが意図される。
【0042】
他の局面では、本明細書において議論される任意のポリペプチドの全てまたは一部をコードする核酸を含む細胞または細胞集団がある。ある特定の局面では、細胞または細胞集団は、そのゲノム内に、本明細書に記載の任意のポリペプチドをコードする配列を含有する。これには、細胞ゲノムに組み込まれているレンチウイルスまたはレトロウイルスが含まれるが、これに限定されない。一部の局面では、細胞または細胞集団は、SEQ ID NO:1~147のいずれかのアミノ酸配列を有するCAR、および/またはSEQ ID NO:1~159のいずれかのアミノ酸配列を含むCARを含むが、これに限定されない、本明細書において議論される任意のCARの全てまたは一部を発現する。ポリペプチドをコードする核酸を導入した細胞の子孫(F1、F2、およびそれ以降)が、本明細書において開示される細胞または細胞集団に含まれる。一部の局面では、細胞または細胞集団は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT)、インバリアントナチュラルキラーT細胞(iNKT)、幹細胞、リンパ球前駆細胞、末梢血単核球(PBMC)、造血幹細胞または前駆細胞(HSPC)、造血幹細胞(HSC)、CD34+細胞、末梢血幹細胞(PBSC)、骨髄細胞、胎児肝臓細胞、胚性幹細胞、臍帯血細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)である。特定の局面は、T細胞またはNK細胞である細胞に関する。一部の局面では、T細胞はナイーブメモリーT細胞を含む。一部の局面では、ナイーブメモリーT細胞はCD4+T細胞またはCD8+T細胞を含む。一部の局面では、前記細胞は、CD4+T細胞とCD8+T細胞を両方とも含む細胞集団である。一部の局面では、前記細胞は、CD4+T細胞とCD8+T細胞を含むナイーブメモリーT細胞を含む細胞集団である。一部の局面では、T細胞は、CD14枯渇、CD25枯渇、および/またはCD62L濃縮PBMCの集団に由来するT細胞を含む。
【0043】
一部の局面では、本開示は、本明細書に記載の1つまたは複数のポリペプチドを含む細胞に関する。一部の局面では、前記細胞は免疫細胞である。一部の局面では、前記細胞は前駆細胞または幹細胞である。一部の局面では、前駆細胞または幹細胞はインビトロで免疫細胞に分化される。一部の局面では、前記細胞はT細胞である。一部の局面では、前記細胞はCD4+T細胞またはCD8+T細胞である。一部の局面では、前記細胞はナチュラルキラー細胞である。一部の局面では、前記細胞はエクスビボである。免疫細胞という用語は、感染症と異物の両方に対する身体防御に関与する免疫系細胞を含む。免疫細胞には、例えば、好中球、好酸球、好塩基球、ナチュラルキラー細胞、リンパ球、例えば、B細胞およびT細胞、ならびに単球が含まれ得る。T細胞には、例えば、CD4+、CD8+、Tヘルパー細胞、細胞傷害性T細胞、γδT細胞、調節性T細胞、サプレッサーT細胞、およびナチュラルキラーT細胞が含まれ得る。特定の局面では、T細胞は調節性T細胞である。
【0044】
一部の局面では、細胞集団は103~108個の細胞を含む。一部の局面では、集団は、約102個、103個、104個、105個、106個、107個、108個、109個、1010個、1011個、1012個の細胞(もしくはその中で導き出せる任意の範囲)であるか、少なくとも約102個、103個、104個、105個、106個、107個、108個、109個、1010個、1011個、1012個の細胞(もしくはその中で導き出せる任意の範囲)であるか、または多くても約102個、103個、104個、105個、106個、107個、108個、109個、1010個、1011個、1012個の細胞(もしくはその中で導き出せる任意の範囲)である。ある特定の局面では、細胞は、細胞が与えられる患者に対して自己由来である。他の局面では、細胞は自己由来でなく、同種異系でもよい。
【0045】
本開示の一部の局面では、方法の局面は、細胞を、本開示のポリペプチドをコードするウイルスに細胞を感染させることに関する。さらなる局面は、本開示のポリペプチドおよび/または核酸を含むウイルスに関する。一部の局面では、ウイルスはレンチウイルスまたはレンチウイルス由来ウイルスもしくはベクターを含む。一部の局面では、前記細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT)、インバリアントナチュラルキラーT細胞(iNKT)、幹細胞、リンパ球前駆細胞、末梢血単核球(PBMC)、骨髄細胞、胎児肝臓細胞、胚性幹細胞、臍帯血細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)である。一部の局面では、前記細胞はT細胞またはNK細胞である。一部の局面では、T細胞はナイーブメモリーT細胞を含む。一部の局面では、ナイーブメモリーT細胞はCD4+T細胞またはCD8+T細胞を含む。一部の局面では、前記細胞はまだT細胞でもNK細胞でもなく、前記方法は、T細胞またはNK細胞への細胞の分化を促進する条件下で細胞を培養する工程をさらに含む。一部の局面では、前記方法は、前記核酸を細胞に導入する前およびまたは後に、細胞を拡大する条件下で細胞を培養する工程をさらに含む。一部の局面では、細胞は無血清培地で培養される。
【0046】
さらなる方法は、本開示のポリペプチドを発現する細胞集団を含む、有効量の組成物をグリア芽細胞腫患者に投与する工程を含む、グリア芽細胞腫患者の処置に関する。一部の局面では、患者は再燃性または再発性の癌を有する。さらなる局面は、さらなる療法を患者に投与する工程を含む。患者は、本明細書に記載のように、グリア芽細胞腫、および/またはGD+もしくはEGFRvIII+細胞を有するグリア芽細胞腫と診断された患者でもよい。患者は、本明細書に記載のように、グリア芽細胞腫、および/またはGD+もしくはEGFRvIII+細胞を有するグリア芽細胞腫を有すると確かめられた患者でもよい。一部の局面では、対象は、グリア芽細胞腫および/またはGD2+もしくはEGFRvIII+グリア芽細胞腫を有するリスクのある対象である。一部の局面では、対象は癌に対して以前に処置されたことがある。一部の局面では、患者は以前の処置に対して耐性があると確かめられたことがある。以前の処置は、本明細書に記載の癌治療剤、例えば、さらなる療法として説明された癌治療剤でもよい。さらなる局面は、患者に化学療法および/または放射線を投与する工程を含む。一部の局面では、さらなる療法は免疫療法を含む。一部の局面では、さらなる療法は、本明細書に記載のさらなる療法を含む。一部の局面では、免疫療法は免疫チェックポイント阻害剤療法を含む。一部の局面では、免疫療法は、本明細書に記載の免疫療法を含む。一部の局面では、免疫チェックポイント阻害剤療法はPD-1阻害剤および/またはCTLA-4阻害剤を含む。一部の局面では、免疫チェックポイント阻害剤療法は、本明細書に記載の1つまたは複数の免疫チェックポイントタンパク質の1つまたは複数の阻害剤を含む。
【0047】
一部の局面では、癌はGD2+癌を含み、GD2+癌は、GD2+細胞を含むか、または腫瘍細胞集団中に少なくとも0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、または90%のGD2+癌細胞を含むものである。
【0048】
一部の局面では、癌はEGFRvIII+癌を含み、EGFRvIII+癌は、EGFRvIII+細胞を含むか、または腫瘍細胞集団中に少なくとも0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、または90%のEGFRvIII+癌細胞を含むものである。
【0049】
一部の局面では、癌はグリア芽細胞腫を含む。本開示のCARポリペプチドは、本明細書に記載のアミノ酸配列の全てまたは一部に対して少なくとも、多くても、または正確に50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその中で導き出せる任意の範囲)同一のアミノ酸配列を含むか、あるいはそれからなる、領域、ドメイン、リンカー、スペーサー、またはその他の部分を有してもよい。ある特定の局面では、CARポリペプチドは、SEQ ID NO:1~147のいずれか一つに対して50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%同一(もしくはその中で導き出せる任意の範囲)であるか、少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%同一(もしくはその中で導き出せる任意の範囲)であるか、多くても50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%同一(もしくはその中で導き出せる任意の範囲)であるか、または正確に50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%同一(もしくはその中で導き出せる任意の範囲)であるアミノ酸配列を含むか、あるいはそれからなる。
【0050】
本開示の局面では、前記方法は免疫を刺激する工程を含んでもよく、免疫応答を刺激する工程は、免疫を刺激するサイトカインおよび/または分子の発現および/または分泌を増加させることを含む。一部の局面では、免疫を刺激するサイトカインおよび/または分子は、TNF-α、IFN-β、IFN-γ、IL-1、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-18、および顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子の1つまたは複数である。一部の局面では、免疫応答の刺激は免疫細胞の増殖を増加させることを含む。免疫細胞はT細胞でもよい。一部の局面では、前記細胞はエクスビボである。前記細胞はまた、インビボで、免疫刺激を必要とする対象の中にあってもよい。対象は、内因性TGF-βおよび/または過剰量の内因性TGF-βを産生する対象でもよい。本明細書に記載の発現または増殖の増加は、ベースライン発現レベル、例えば、対照(非疾患、非TGF-β、または非抗原結合ポリペプチド対照)と比べて、少なくとも、多くても、または正確に1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、50倍、100倍、200倍、300倍、500倍、または1000倍の増加でもよい。一部の局面では、前記方法は、適応症がある人を処置するための方法であり、適応症は病原性レベルのTGF-β発現を特徴とする。
【0051】
対象は、哺乳動物、例えば、ヒト、ラット、マウス、または非ヒト霊長類でもよい。特定の局面では、対象はヒトである。対象はまたヤギ、ブタ、ウマ、ネコ、またはイヌでもよい。本開示の組成物、ポリペプチド、細胞、および核酸の投与経路は、本明細書に記載の投与経路でもよい。一部の局面では、前記組成物は、心室内に、脳室内に、腫瘍内に、静脈内に、または腫瘍を切除した空洞の中に投与される。一部の局面では、前記組成物は、心室内投与用、脳室内投与用、腫瘍内投与用、もしくは静脈内投与用に、または腫瘍を切除した空洞の中への投与のために処方される。
【0052】
一部の局面では、前記方法は、TGF-βを対象に投与する工程をさらに含む。本開示の組成物において、前記組成物は1~50ng/mLのTGF-βを含んでもよい。一部の局面では、前記組成物は、少なくとも、多くても、または約0.5ng/mL、1ng/mL、1.5ng/mL、2ng/mL、2.5ng/mL、3ng/mL、3.5ng/mL、4ng/mL、4.5ng/mL、5ng/mL、5.5ng/mL、6ng/mL、6.5ng/mL、7ng/mL、7.5ng/mL、8ng/mL、8.5ng/mL、9ng/mL、10ng/mL、11ng/mL、12ng/mL、13ng/mL、14ng/mL、15ng/mL、16ng/mL、17ng/mL、18ng/mL、19ng/mL、20ng/mL、21ng/mL、22ng/mL、23ng/mL、24ng/mL、25ng/mL、30ng/mL、35ng/mL、40ng/mL、45ng/mL、50ng/mL、55ng/mL、60ng/mL、65ng/mL、70ng/mL、75ng/mL、80ng/mL、85ng/mL、90ng/mL、95ng/mL、もしくは100ng/mLのTGF-β(またはその中で導き出せる任意の範囲)を含む。
【0053】
一部の局面では、前記組成物はIL-2をさらに含む。一部の局面では、前記組成物は20~400U/mLのIL-2を含む。一部の局面では、前記組成物は、少なくとも、多くても、または約5U/mL、10U/mL、15U/mL、20U/mL、25U/mL、30U/mL、35U/mL、40U/mL、45U/mL、50U/mL、55U/mL、60U/mL、65U/mL、70U/mL、75U/mL、80U/mL、85U/mL、90U/mL、95U/mL、100U/mL、105U/mL、110U/mL、115U/mL、120U/mL、125U/mL、130U/mL、135U/mL、140U/mL、145U/mL、150U/mL、155U/mL、160U/mL、165U/mL、170U/mL、175U/mL、180U/mL、185U/mL、190U/mL、195U/mL、200U/mL、205U/mL、210U/mL、215U/mL、220U/mL、225U/mL、230U/mL、235U/mL、240U/mL、245U/mL、250U/mL、255U/mL、260U/mL、265U/mL、270U/mL、275U/mL、280U/mL、285U/mL、290U/mL、295U/mL、300U/mL、305U/mL、310U/mL、315U/mL、320U/mL、325U/mL、330U/mL、335U/mL、340U/mL、345U/mL、350U/mL、355U/mL、360U/mL、365U/mL、370U/mL、375U/mL、380U/mL、385U/mL、390U/mL、395U/mL、400U/mL、405U/mL、410U/mL、415U/mL、420U/mL、425U/mL、430U/mL、435U/mL、440U/mL、445U/mL、450U/mL、455U/mL、460U/mL、465U/mL、470U/mL、475U/mL、480U/mL、485U/mL、490U/mL、495U/mL、500U/mL、505U/mL、510U/mL、515U/mL、520U/mL、525U/mL、530U/mL、535U/mL、540U/mL、545U/mL、550U/mL、555U/mL、560U/mL、565U/mL、570U/mL、575U/mL、580U/mL、585U/mL、590U/mL、595U/mL、600U/mLのIL-2(またはその中で導き出せる任意の範囲)を含む。一部の局面では、前記組成物はIL-15をさらに含む。一部の局面では、前記組成物は0.1~10ng/mLのIL-15を含む。一部の局面では、前記組成物は、少なくとも、多くても、または約0.05ng/ml、0.06ng/ml、0.07ng/ml、0.08ng/ml、0.09ng/ml、0.10ng/ml、0.15ng/ml、0.20ng/ml、0.25ng/ml、0.30ng/ml、0.35ng/ml、0.40ng/ml、0.45ng/ml、0.50ng/ml、0.55ng/ml、0.60ng/ml、0.65ng/ml、0.70ng/ml、0.75ng/ml、0.80ng/ml、0.85ng/ml、0.90ng/ml、0.95ng/ml、1.00ng/ml、1.05ng/ml、1.10ng/ml、1.15ng/ml、1.20ng/ml、1.25ng/ml、1.30ng/ml、1.35ng/ml、1.40ng/ml、1.45ng/ml、1.50ng/ml、1.55ng/ml、1.60ng/ml、1.65ng/ml、1.70ng/ml、1.75ng/ml、1.80ng/ml、1.85ng/ml、1.90ng/ml、1.95ng/ml、2.00ng/ml、2.05ng/ml、2.10ng/ml、2.15ng/ml、2.20ng/ml、2.25ng/ml、2.30ng/ml、2.35ng/ml、2.40ng/ml、2.45ng/ml、2.50ng/ml、2.55ng/ml、2.60ng/ml、2.65ng/ml、2.70ng/ml、2.75ng/ml、2.80ng/ml、2.85ng/ml、2.90ng/ml、2.95ng/ml、3.00ng/ml、3.05ng/ml、3.10ng/ml、3.15ng/ml、3.20ng/ml、3.25ng/ml、3.30ng/ml、3.35ng/ml、3.40ng/ml、3.45ng/ml、3.50ng/ml、3.55ng/ml、3.60ng/ml、3.65ng/ml、3.70ng/ml、3.75ng/ml、3.80ng/ml、3.85ng/ml、3.90ng/ml、3.95ng/ml、4.00ng/ml、4.05ng/ml、4.10ng/ml、4.15ng/ml、4.20ng/ml、4.25ng/ml、4.30ng/ml、4.35ng/ml、4.40ng/ml、4.45ng/ml、4.50ng/ml、4.55ng/ml、4.60ng/ml、4.65ng/ml、4.70ng/ml、4.75ng/ml、4.80ng/ml、4.85ng/ml、490ng/ml、495ng/ml、5.00ng/ml、5.05ng/ml、5.10ng/ml、5.15ng/ml、5.20ng/ml、5.25ng/ml、5.30ng/ml、5.35ng/ml、5.40ng/ml、5.45ng/ml、5.50ng/ml、5.55ng/ml、5.60ng/ml、5.65ng/ml、5.70ng/ml、5.75ng/ml、580ng/ml、5.85ng/ml、5.90ng/ml、5.95ng/ml、6.00ng/ml、6.5ng/ml、7ng/ml、7.5ng/ml、8ng/ml、8.5ng/ml、9ng/ml、9.5ng/ml、10ng/ml、11ng/ml、12ng/ml、13ng/ml、14ng/ml、15ng/ml、16ng/ml、17ng/ml、18ng/ml、19ng/ml、20ng/ml、30ng/ml、40ng/ml、もしくは50ng/mlのIL-15(またはその中で導き出せる任意の範囲)を含む。一部の局面では、前記組成物はIL-7、IL-12、および/もしくはIL-21を含むか、またはIL-7、IL-12、および/もしくはIL-21をさらに含む。一部の局面では、前記組成物は、少なくとも、多くても、または約0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.00、1.05、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.45、1.50、1.55、1.60、1.65、1.70、1.75、1.80、1.85、1.90、1.95、2.00、2.05、2.10、2.15、2.20、2.25、2.30、2.35、2.40、2.45、2.50、2.55、2.60、2.65、2.70、2.75、2.80、2.85、2.90、2.95、3.00、3.05、3.10、3.15、3.20、3.25、3.30、3.35、3.40、3.45、3.50、3.55、3.60、3.65、3.70、3.75、3.80、3.85、3.90、3.95、4.00、4.05、4.10、4.15、4.20、4.25、4.30、4.35、4.40、4.45、4.50、4.55、4.60、4.65、4.70、4.75、4.80、4.85、490、495、5.00、5.05、5.10、5.15、5.20、5.25、5.30、5.35、5.40、5.45、5.50、5.55、5.60、5.65、5.70、5.75、580、5.85、5.90、5.95、6.00、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595、600pg/mL、ng/mL、μg/mL、またはmg/mlのIL-7、IL-12、および/もしくはIL-21(またはその中で導き出せる任意の範囲)を含む。
【0054】
一部の局面では、前記方法は、前記細胞をフィーダー細胞と接触させる工程をさらに含む。一部の局面では、フィーダー細胞は放射線照射されている。フィーダー細胞または支持細胞は、例えば、線維芽細胞、マウス胚線維芽細胞、JK1細胞、SNL76/7細胞、ヒト胎児皮膚細胞、ヒト線維芽細胞、およびヒト包皮線維芽細胞を含んでもよい。
【0055】
一部の局面では、前記方法は、T細胞をフィーダー細胞と接触させる工程を除外する。場合によっては、除外されるフィーダー細胞は、T細胞として、異なる動物種に由来する。
【0056】
ある特定の局面では、本開示全体を通して説明されるポリペプチドは単離される。このことは、本開示全体を通して説明されるポリペプチドが細胞環境に見出されないことを意味する。場合によっては、本開示全体を通して説明されるポリペプチドは精製される。このことは、本開示全体を通して説明されるポリペプチドが、異なるアミノ酸配列および/または化学式を有するポリペプチドから完全に分離されないにしても、ほとんど分離されていることを意味する。
【0057】
本開示は、一部の局面では、癌を有する対象を処置するための方法であって、対象に、キメラポリペプチドまたはキメラポリペプチドをコードする核酸を含む有効量の細胞集団または薬学的組成物を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0058】
「処置」または「処置する工程」とは、(i)疾患を抑制する工程、すなわち、誘導事象後であるが、疾患の臨床的出現もしくは再出現の前に保護組成物を投与することで疾患の臨床症状が発症しないようにする工程;(ii)疾患を阻害する工程、すなわち、疾患の最初の出現後に保護組成物を投与することで臨床症状の発症を停止する工程;および/または(iii)疾患を軽減する工程、すなわち、疾患の最初の出現後に保護組成物を投与することで臨床症状の後退を引き起こす工程を含む、哺乳動物における疾患の任意の処置を指すことがある。一部の局面では、処置は疾患の予防を除外することがある。
【0059】
1つまたは複数の配列または組成物の使用は、本明細書に記載の任意の方法に基づいて使用することができる。他の局面および態様が本願全体を通して議論される。本開示の一局面について議論される任意の態様または局面は本開示の他の局面にも適用され、逆もまた同じである。例えば、本明細書に記載の方法における、あらゆる工程が他のあらゆる工程に適用することができる。さらに、本明細書に記載のどの方法も、どの工程の除外も、どの工程の組み合わせの除外も有する可能性がある。実施例セクションにおける態様は、本明細書に記載の技術の全ての局面に適用可能な態様だと理解される。
【0060】
本明細書に記載の任意の方法、組成物、細胞、ポリペプチド、または核酸の態様または局面が同義で、かつ互いに組み合わされて用いられる場合があることが明確に意図される。さらに、本開示の態様および局面は、本明細書に記載の態様または局面を明確に除外する場合があることが意図される。
【0061】
値の範囲が定められている場合、その範囲の上限と下限との間の、間のそれぞれの値、特に文脈によってはっきりと規定されていない限り下限の単位の1/10まで、および述べられた範囲内の他の任意の述べられた値または間の値が本発明に含まれることが理解される。これらの狭い範囲の上限および下限は独立してこの狭い範囲に含まれてもよく、また、述べられた範囲において具体的に除外される任意の限界に応じて本発明に含まれる。述べられた範囲が限界の一方または両方を含む場合、含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0062】
本願全体を通して「約」という用語は、ある値が、その値を求めるために使用されている装置または方法の誤差の標準偏差を含むことを示すために、細胞生物学および分子生物学の分野における平易な、かつ通常の意味に従って用いられる。
【0063】
「1つの(a)」および「1つの(an)」という単語の使用は、「含む(comprising)」という用語と共に用いられた場合、「1つ」を意味することがあるが、「1つまたは複数の(one or more)」、「少なくとも1つの(at least one)」、および「1つまたは複数の(one or more than one)」という意味とも一致する。
【0064】
本明細書で使用する「または」および「および/または」という用語は、複数の成分を組み合わせて、または互いに除いて説明するために用いられる。例えば、「x、y、および/またはz」は「x」を単独で指してもよく、「y」を単独で指してもよく、「z」を単独で指してもよく、「x、y、およびz」を指してもよく、「(xおよびy)またはz」を指してもよく、「xまたは(yおよびz)」を指してもよく、「xまたはyまたはz」を指してもよい。具体的にいうと、x、y、またはzは態様または局面から具体的に除外される場合があることが意図される。
【0065】
「含む(comprising)」(ならびに「含む(comprise)」および「含む(comprises)」などの、含む(comprising)の任意の形)、「有する(having)」(ならびに「有する(have)」および「有する(has)」などの、有する(having)の任意の形)、「含む(including)」(ならびに「含む(includes)」および「含む(include)」などの、含む(including)の任意の形)、「特徴とする(characterized by)」(ならびに「として特徴付けられる(characterized as)」などの、含む(including)の任意の形)、または「含有する(containing)」(ならびに「含有する(contains)」および「含有する(contain)」などの、含有する(containing)の任意の形)という単語は包括的またはオープンエンドであり、さらなる、列挙されなかった要素または方法の工程を除外しない。
【0066】
前記組成物および前記組成物を使用するための方法は、本明細書全体を通して開示される任意の成分もしくは工程を「含む(comprise)」、本明細書全体を通して開示される任意の成分もしくは工程「から本質的になる(consist essentially of)」、または本明細書全体を通して開示される任意の成分もしくは工程「からなる(consist of)」場合がある。「からなる」という句は、指定されていない、あらゆる要素、工程、成分を除外する。「から本質的になる」という句は、説明された対象の範囲を、指定された材料または工程、および説明された対象の基本的な、かつ新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない材料または工程に限定する。「含む(comprising)」という用語の文脈で説明される態様および局面は、「からなる」または「から本質的になる」という用語の文脈でも実施され得ることが意図される。
【0067】
本発明の一つの態様または局面について議論された、あらゆる限定が、本発明の他のあらゆる態様または局面にも当てはまる場合があることが特に意図される。さらに、本発明の任意の組成物が本発明の任意の方法において使用することができ、本発明の任意の方法が、本発明の任意の組成物を産生または利用するのに使用することができる。実施例に示された態様の局面はまた、異なる実施例の他の箇所で議論された態様、または本願の他の箇所、例えば、発明の概要、詳細な説明、特許請求の範囲、および図面の説明文の説明で議論された態様の文脈において実行され得る態様でもある。
【0068】
本発明の他の目的、特徴、および利点は以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、詳細な説明および特定の実施例は本発明の特定の態様を示しているが、この詳細な説明から本発明の精神および範囲の中で様々な修正および変更が当業者に明らかになるので例示にすぎないと理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
以下の図面は本明細書の一部をなし、本発明のある特定の局面をさらに証明するために含まれる。本発明は、本明細書において示される特定の態様の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面の1つまたは複数を参照することによってさらに深く理解され得る。
【0070】
図1】FLAG(CAR)表面発現(抗原刺激なし)。トリプリケートの平均を示した。エラーバーは±1標準偏差を示す。2つのバー1組はそれぞれが、左から右にかけて、SPおよび完全IL13R構築物のデータを表す。
図2A】(2A)21時間の刺激後のCD69活性化マーカー発現。(2B)21時間の刺激後のCD25活性化マーカー発現。(2C)21時間の刺激後のFLAG(CAR)表面発現。(2D)21時間の刺激後のFLAG(CAR)表面発現。PBT106 NSは、IL-13Rα2を発現する腫瘍株である。トリプリケートの平均を示した。エラーバーは±1標準偏差を示す。3つのバー1組はそれぞれが、左から右にかけて、(1)培地のみ;(2)5ng/mL TGF-β;および(3)100%IL13Rα2+PBT 106 NSのデータを表す。
図2B図2Aの説明を参照のこと。
図2C図2Aの説明を参照のこと。
図2D図2Aの説明を参照のこと。
図3A】(3A~3B)92時間のコインキュベーション後の生存可能な腫瘍数。(3C~3D)92時間のコインキュベーション後の生存可能なT細胞数。(3E~3F)92時間のコインキュベーション後のT細胞間でのCTV希釈度。T細胞が分裂するたびに希釈されるCellTrace Violet(CTV)色素で、T細胞を染色した。従って、CTV MFIが少ないほど、T細胞が分裂した回数は多くなる。トリプリケートの平均を示した。エラーバーは±1標準偏差を示す。16のバー1組はそれぞれが、左から右にかけて、(1)SP-IL13Rα2.BBz;(2)完全-IL13Rα2.BBz;(3)SP-IL13Rα2/TGF-β.BBz;(4)完全-IL13Rα2/TGF-β.BBz;(5)SP-IL13Rα2.BBz KR;(6)完全-IL13Rα2.BBz KR;(7)SP-IL13Rα2/TGF-β.BBz KR;(8)SP-IL13Rα2.28z;(9)完全-IL13Rα2.28z;(10)SP-IL13Rα2/TGF-β.28z;(11)完全-IL13Rα2/TGF-β.28z;(12)SP-IL13Rα2/TGF-β.BBz+GD2.AA.28z;(13)完全-IL13Rα2/TGF-β.BBz+GD2.AA.28z;(14)SP-IL13Rα2.BBz+TGF-β DNR;(15)完全-IL13Rα2.BBz+TGF-β DNR;および(16)scFvレスCARのデータを表す。
図3B】3Aの説明を参照のこと。
図3C】3Aの説明を参照のこと。
図3D】3Aの説明を参照のこと。
図3E】3Aの説明を参照のこと。
図3F】3Aの説明を参照のこと。
図4】ホタルルシフェラーゼを安定発現する2.5x10^5個のPBT106多形性神経膠芽腫(GBM)ニューロスフェア細胞を、NOD/scid/γ-/-(NSG)マウスに頭蓋内移植した。腫瘍を注射して7日後に、担癌マウスを0.5x10^6個のCAR+細胞で処置した。腫瘍進行をバイオルミネセンスイメージングによってモニタリングした。1本のトレースが1匹のマウスを示しており、「x」は、人道的エンドポイントに到達したマウスを屠殺した時間を表している。生存率をカプラン・マイヤー曲線で示した。
【発明を実施するための形態】
【0071】
詳細な説明
I.定義
本開示のペプチドは、キメラ抗原受容体、すなわちCARを含むペプチドに関する。CARは、操作された受容体であり、任意の特異性を免疫エフェクター細胞に移植することができる。場合によっては、これらの受容体はモノクローナル抗体の特異性をT細胞に移植するのに用いられる。これらの受容体は、異なる供給源に由来する部分で構成されるのでキメラと呼ばれる。
【0072】
「タンパク質」、「ポリペプチド」、および「ペプチド」という用語は遺伝子産物について言及している時には本明細書中に同義で用いられる。
【0073】
「相同性」または「同一性」とは、2つのペプチド間の、または2つの核酸分子間の配列類似性を指す。同一性は、比較目的でアラインメントされ得る各配列にある位置を比較することによって確かめることができる。同じ塩基または同じアミノ酸が比較配列中の位置を占めるのであれば、これらの分子はその位置において配列同一性を共有する。配列間の同一性の程度は、配列が共有する、一致する位置または相同な位置の関数である。「無関係」配列または「非相同」配列は、本開示の配列の1つと60%未満の同一性、50%未満の同一性、40%未満の同一性、30%未満の同一性、または25%未満の同一性を共有する。
【0074】
本明細書で使用する「アミノ近位端」、「N末端」、「アミノ末端」などという用語はポリペプチドの領域の順序を指すために用いられる。さらに、何かが、ある領域のN末端側またはアミノ近位端側にある時、必ずポリペプチド全体の末端(または終端)にあるとは限らず、単に、その領域またはドメインのN末端にある。同様に、本明細書で使用する「カルボキシ近位端」、「C末端」、「カルボキシ末端」などという用語はポリペプチドの領域の順序を指すために用いられ、何かが、ある領域のC末端側またはカルボキシ近位端側にある時、必ずポリペプチド全体の末端(または終端)にあるとは限らず、単に、その領域またはドメインのC末端にある。
【0075】
「ポリヌクレオチド」、「核酸」、および「オリゴヌクレオチド」という用語は同義で用いられ、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドまたはその類似体のいずれかである任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドはどんな三次元構造を有してもよく、公知または未知のどんな機能を果たしてもよい。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例:遺伝子または遺伝子断片(例えば、プローブ、プライマー、EST、またはSAGEタグ)、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、dsRNA、siRNA、miRNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、およびプライマーである。ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えば、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体を含んでもよい。存在するのであれば、ポリヌクレオチドが組み立てられる前または組み立てられた後にヌクレオチド構造に対する修飾を付与することができる。ヌクレオチド配列は非ヌクレオチド成分によって中断されてもよい。ポリヌクレオチドは、重合後に、例えば、標識成分との結合体化によってさらに修飾されてもよい。この用語は二本鎖分子および一本鎖分子の両方も指す。他で特定しない限り、または必要とされない限り、ポリヌクレオチドである本発明の任意の態様および局面は、二本鎖形態と、二本鎖形態を構成することが公知であるか、または予測される相補的な2本の一本鎖形態の両方を包含する。
【0076】
特定のタンパク質を「コードする」、「遺伝子」、「ポリヌクレオチド」、「コード領域」、「配列」、「セグメント」、「断片」、または「導入遺伝子」は、適切な制御配列の制御下に配置された時に、インビトロまたはインビボで転写され、任意で、遺伝子産物、例えば、ポリペプチドに転写される核酸分子である。コード領域はcDNA、ゲノムDNA、またはRNAの形で存在してもよい。DNAの形で存在する時には、核酸分子は一本鎖(すなわち、センス鎖)または二本鎖でもよい。コード領域の境界は、5'(アミノ)末端にある開始コドンと、3'(カルボキシ)末端にある翻訳停止コドンによって決定される。遺伝子には、原核mRNAまたは真核mRNAに由来するcDNA、原核DNAまたは真核DNAに由来するゲノムDNA配列、および合成DNA配列が含まれ得るが、これに限定されない。転写終結配列は、通常、遺伝子配列の3'側に位置する。
【0077】
「抗体」という用語は、ヒト、マウス、ヒト化、キメラ、または別の種に由来してもよい、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量体、多重特異性抗体、および抗体断片を含む。「モノクローナル抗体」は、特定の抗原性部位に対して作られた実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体である。
【0078】
「抗体またはその機能的断片」とは、特定の抗原またはエピトープに特異的に結合するか、または免疫学的に反応し、ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体を両方とも含む免疫グロブリン分子を意味する。抗体という用語は、遺伝子操作された、または別の方法で改変された形態の免疫グロブリン、例えば、イントラボディ、ペプチボディ、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、ならびにヘテロコンジュゲート抗体(例えば、二重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ、およびテトラボディ)を含む。機能的抗体断片という用語は、例えば、Fab'、F(ab')2、Fab、Fv、rlgG、およびscFv断片を含む、抗体の抗原結合断片を含む。scFvという用語は、従来の2鎖抗体の重鎖の可変ドメインと軽鎖の可変ドメインが1本の鎖を形成するようにつながれている単鎖Fv抗体を指す。
【0079】
本明細書で使用する「結合親和性」という用語は2種類の薬剤の可逆的結合の平衡定数を指し、解離定数(Kd)で表される。結合親和性は、無関係のアミノ酸配列に対する抗体の結合親和性よりも少なくとも1倍大きくてもよく、少なくとも2倍大きくてもよく、少なくとも3倍大きくてもよく、少なくとも4倍大きくてもよく、少なくとも5倍大きくてもよく、少なくとも6倍大きくてもよく、少なくとも7倍大きくてもよく、少なくとも8倍大きくてもよく、少なくとも9倍大きくてもよく、少なくとも10倍大きくてもよく、少なくとも20倍大きくてもよく、少なくとも30倍大きくてもよく、少なくとも40倍大きくてもよく、少なくとも50倍大きくてもよく、少なくとも60倍大きくてもよく、少なくとも70倍大きくてもよく、少なくとも80倍大きくてもよく、少なくとも90倍大きくてもよく、少なくとも100倍大きくてもよく、または少なくとも1000倍大きくてもよく、それより大きくてもよい(またはその中で導き出せる任意の範囲でもよい)。本明細書で使用する「アビディティ」という用語は、2つ以上の薬剤からなる複合体が希釈された後の解離のしにくさを指す。「免疫反応性の」および「優先的に結合する」という用語は、抗体および/または抗原結合断片について本明細書中に同義で用いられる。
【0080】
「結合」という用語は、例えば、塩橋および水橋などの相互作用を含む、共有結合、静電結合、疎水結合、ならびにイオン結合および/または水素結合相互作用による2つの分子間の直接的な会合を指す。
【0081】
「個体」、「対象」、および「患者」は同義で用いられ、ヒトを指してもよく、非ヒトを指してもよい。
【0082】
「より少ない」、「低減した」、「低減」、「減少する」、または「阻害する」という用語は全て、一般的に、統計的に有意な量分だけ減少することを意味するために本明細書において用いられる。しかながら、誤解を避けるために、「より少ない」、「低減した」、「低減」、「減少する」、または「阻害する」とは、基準レベルと比較した時に少なくとも10%減少すること、例えば、基準レベルと比較した時に、少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%減少すること、あるいは100%まで、および100%を含めて減少すること(すなわち、参照試料と比較した時に、存在しないレベル)、あるいは10~100%の間で減少することを意味する。
【0083】
本明細書で使用する「増加した」、「増加する」、「増強する」、または「活性化する」という用語は全て、一般的に、統計的に有意な量分だけ増加することを意味するために本明細書において用いられる。どんな誤解も避けるために、「増加した」、「増加する」、「増強する」、または「活性化する」という用語は、基準レベルと比較した時に少なくとも10%増加すること、例えば、基準レベルと比較した時に少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%増加すること、あるいは100%まで、および100%を含めて増加すること、または10~100%の間で増加すること、あるいは基準レベルと比較した時に、少なくとも約2倍、または少なくとも約3倍、または少なくとも約4倍、または少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍増加すること、または2倍~10倍の間もしくはそれより多く増加することを意味する。
【0084】
II.ポリペプチド
A.シグナルペプチド
本開示のポリペプチドはシグナルペプチドを含んでもよい。「シグナルペプチド」とは、細胞内でのタンパク質の輸送および局在化を、例えば、ある特定の細胞小器官(例えば、小胞体)および/または細胞表面に方向付けるペプチド配列を指す。一部の局面では、シグナルペプチドは新生タンパク質を小胞体に方向付ける。これは、受容体がグリコシル化され、細胞膜内に固定されるのであれば必要不可欠である。一般的に、天然で最もアミノ末端側の成分に取り付けられているシグナルペプチドが用いられる(例えば、軽鎖-リンカー-重鎖の方向のあるscFvでは、軽鎖の天然シグナルが用いられる)。
【0085】
一部の局面では、シグナルペプチドは小胞体(ER)を通過した後に切断される、すなわち、切断可能なシグナルペプチドである。一部の局面では、切断を容易にするためにシグナルペプチドのカルボキシ末端に制限部位がある。
【0086】
B.抗原結合ドメイン
本開示のポリペプチドは1つまたは複数の抗原結合ドメインを含んでもよい。「抗原結合ドメイン」は、適切な条件下で抗原に結合することができるポリペプチド領域について説明する。一部の局面では、抗原結合ドメインは、1つまたは複数の抗体(例えば、CD20抗体)に基づいた単鎖可変断片(scFv)である。一部の局面では、抗原結合ドメインは可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を含み、VH領域およびVL領域は同じポリペプチド上にある。一部の局面では、抗原結合ドメインはVH領域とVL領域の間にリンカーを含む。リンカーを用いると、抗原結合ドメインは、抗原結合に望ましい構造を形成できるようになる場合がある。
【0087】
本開示のポリペプチドの抗原結合ドメインの可変領域は、抗体の1つまたは複数の結合特性(例えば、親和性)を改善するように、VHおよび/またはVL CDR1、CDR2、および/またはCDR3領域の中にあるアミノ酸残基を変異させることによって改変することができる。「CDR」という用語は、B細胞が生じる免疫グロブリン(抗体)とT細胞が生じるT細胞受容体にある可変鎖の一部に基づいた相補性決定領域を指し、これらの分子は特異的抗原に結合する。免疫グロブリンおよびT細胞受容体に関連する、ほとんどの配列バリエーションはCDRに見出されるので、これらの領域は超可変領域と呼ばれるときもある。変異は部位特異的変異誘発またはPCRを介した変異誘発によって導入されてもよく、抗体結合に及ぼす効果または関心対象の他の機能特性は適切なインビトロアッセイまたはインビボアッセイで評価することができる。好ましくは、保存的改変が導入され、典型的には、CDR領域内にある1個以下、2個以下、3個以下、4個以下、または5個以下の残基が変えられる。変異はアミノ酸の置換、付加、または欠失でもよい。
【0088】
免疫原性を減少するように、例えば、1つまたは複数のフレームワーク残基を、対応する生殖系列配列に「復帰突然変異」させることによって抗体にフレームワーク改変を加えることができる。
【0089】
抗原結合ドメインは、抗原結合ドメインを、同じ抗原(多価)または異なる抗原(多重特異性)のいずれかに結合するVH領域およびVL領域ペアと共に多量体化することによって多重特異性になってもよく、多価になってもよいことも意図される。
【0090】
抗原結合領域、例えば、可変領域(重鎖可変領域および/もしくは軽鎖可変領域)の結合親和性またはCDRの結合親和性は、少なくとも10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、10-12M、または10-13Mでもよい。一部の局面では、抗原結合領域、例えば、可変領域(重鎖可変領域および/もしくは軽鎖可変領域)のKDまたはCDRのKDは、少なくとも10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、10-12M、もしくは10-13M(またはその中で導き出せる任意の範囲)でもよい。
【0091】
結合親和性、KA、またはKDは、当技術分野において公知の方法によって、例えば、表面プラズモン共鳴(SRP)ベースのバイオセンサーによって、結合平衡除外法(KinExA)によって、偏光変調斜入射反射率差(polarization-modulated oblique-incidence reflectivity difference)(OI-RD)をベースとするマイクロアレイ検出用の光学スキャナーによって、またはELISAによって決定することができる。
【0092】
一部の局面では、ヒト化結合領域を含むポリペプチドは、宿主細胞において、非ヒト化結合領域、例えば、マウスに由来する結合領域を含むポリペプチドと比較して等しいか、優れているか、または少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、101%、102%、103%、104%、104%、106%、106%、108%、109%、110%、115%、または120%の結合親和性および/または発現レベルを有する。
【0093】
一部の局面では、ヒトフレームワークのフレームワーク領域、例えば、FR1、FR2、FR3、および/またはFR4は、それぞれが、または一括して、マウスフレームワークに対して少なくとも、多くても、または正確に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、もしくは200(またはその中で導き出せる任意の範囲)のアミノ酸置換、連続したアミノ酸付加、または連続したアミノ酸の欠失を有してもよい。
【0094】
一部の局面では、マウスフレームワークのフレームワーク領域、例えば、FR1、FR2、FR3、および/またはFR4は、それぞれが、または一括して、ヒトフレームワークに対して少なくとも、多くても、または正確に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、もしくは200(またはその中で導き出せる任意の範囲)のアミノ酸置換、連続したアミノ酸付加、または連続したアミノ酸欠失を有してもよい。
【0095】
置換は、重鎖可変領域または軽鎖可変領域のFR1、FR2、FR3、またはFR4の位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100にあってもよい。
【0096】
C.ペプチドスペーサー
ペプチドスペーサー、例えば、細胞外スペーサーは抗原結合ドメインを膜貫通ドメインに連結し得る。一部の局面では、ペプチドスペーサーは、抗原結合を容易にするために抗原結合ドメインが様々な方向に向くのを可能にするのに十分な可動性がある。一局面では、前記スペーサーは、IgGに由来するヒンジ領域を含む。一部の局面では、前記スペーサーは免疫グロブリンのCH2CH3領域とCD3の一部を含むか、またはこれらをさらに含む。一部の局面では、CH2CH3領域はL235E/N297QまたはL235D/N297Q改変を有してもよく、CH2CH3領域に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%のアミノ酸配列同一性を有してもよい。一部の局面では、前記スペーサーはIgG4に由来する。細胞外スペーサーはヒンジ領域を含んでもよい。
【0097】
本明細書で使用する「ヒンジ」という用語は、隣接ポリペプチド領域に対して構造可動性と間隔を設ける可動性ポリペプチドコネクタ領域(本明細書において「ヒンジ領域」とも呼ばれる)を指し、天然ポリペプチドからなってもよく、合成ポリペプチドからなってもよい。免疫グロブリン(例えば、IgGl)に由来する「ヒンジ」は、一般的に、ヒトIgGlのGlu216からPro230までの区間と定義される(Burton(1985) Molec. Immunol., 22: 161-206)。重鎖間ジスルフィド(S-S)結合を形成する最初と最後のシステイン残基を同じ位置に配置することによって、他のIgGアイソタイプのヒンジ領域がIgGl配列とアラインメントすることができる。ヒンジ領域は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,677,425号に記載のような変化したヒンジ領域を含むが、これに限定されない、天然で生じるヒンジ領域でもよく、非天然で生じるヒンジ領域でもよい。ヒンジ領域は、CH1ドメインのクラスまたはサブクラスとは異なるクラスまたはサブクラスの抗体に由来する完全ヒンジ領域を含んでもよい。「ヒンジ」という用語はまた、隣接領域に対して可動性と間隔を設ける際に同様の機能を提供する、CD8および他の受容体に由来する領域も含んでよい。
【0098】
細胞外スペーサーは少なくとも、多くても、または正確に4、5、6、7、8、9、10、12、15、16、17、18、19、20、20、25、30、35、40、45、50、75、100、110、119、120、130、140、150、160、170、180、190、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、260、270、280、290、300、325、350、もしくは400アミノ酸(またはその中で導き出せる任意の範囲)の長さを有してもよい。一部の局面では、細胞外スペーサーは、免疫グロブリン(例えば、IgG)に由来するヒンジ領域からなるか、またはそれを含む。免疫グロブリンヒンジ領域アミノ酸配列は当技術分野において公知である。例えば、Tan et al.(1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 162;およびHuck et al.(1986) Nucl. Acids Resを参照されたい。
【0099】
細胞外スペーサーの長さは、CARのシグナル伝達活性、および/または抗原によって刺激されたCARシグナル伝達に応答したCAR-T細胞の拡大特性に影響を及ぼす可能性がある。一部の局面では、短いスペーサー、例えば、50、45、40、30、35、30、25、20、15、14、13、12、11、または10より少ないアミノ酸が用いられる。一部の局面では、長いスペーサー、例えば、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、260、270、280、または290アミノ酸のスペーサーが、インビボまたはインビトロで拡大を増やすという利点をもつことがある。
【0100】
非限定的な例として、免疫グロブリンヒンジ領域は以下のアミノ酸配列の1つを含んでもよい。
【0101】
表:例示的なヒンジ領域
【0102】
細胞外スペーサーはヒトIgGl、IgG2、IgG3、またはIgG4、ヒンジ領域のアミノ酸配列を含んでもよい。細胞外スペーサーはまた、野生型(天然)ヒンジ領域と比較して1つまたは複数のアミノ酸置換および/または挿入および/または欠失も含んでよい。例えば、ヒトIgGlヒンジのHis229はTyrで置換することができ、その結果、ヒンジ領域は、配列
を含む。
【0103】
細胞外スペーサーは、ヒトCD8に由来するアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、ヒンジ領域は、アミノ酸配列:
、またはその変種を含んでもよい。
【0104】
細胞外スペーサーはCH2領域を含んでもよく、CH2領域をさらに含んでもよい。例示的なCH2領域は、
である。細胞外スペーサーはCH3領域を含んでもよく、CH3領域をさらに含んでもよい。例示的なCH3領域は、
である。
【0105】
細胞外スペーサーが複数の部分を含む時に、様々な部分の間のどこにでも0~50個のアミノ酸があってもよい。例えば、ヒンジとCH2領域もしくはCH3領域との間に、またはCH2領域とCH3領域が両方とも存在する時にはCH2領域とCH3領域の間に、少なくとも、多くても、または正確に0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、もしくは50アミノ酸(またはその中で導き出せる任意の範囲)があってもよい。一部の局面では、細胞外スペーサーは、ヒンジ、CH2領域、および/またはCH3領域から本質的になり、このことは、ヒンジ、CH2領域、および/またはCH3領域が、存在する唯一の特定可能な領域であり、他の全てのドメインまたは領域が除外されるが、特定可能な領域の部分でない、さらなるアミノ酸が存在してもよいことを意味する。
【0106】
D.膜貫通ドメイン
本開示のポリペプチドは膜貫通ドメインを含んでもよい。一部の局面では、膜貫通ドメインは、膜にまたがる疎水性αヘリックスである。異なる膜貫通ドメインが異なる受容体安定性をもたらすことがある。
【0107】
一部の局面では、膜貫通ドメインは細胞外スペーサーと細胞質領域との間に挿入される。一部の局面では、膜貫通ドメインは細胞外スペーサーと1つまたは複数の共刺激領域との間に挿入される。一部の局面では、リンカーは膜貫通ドメインと1つまたは複数の共刺激領域との間にある。
【0108】
ポリペプチドを真核(例えば、哺乳動物)細胞の細胞膜に挿入する、どの膜貫通ドメインも使用に適している場合がある。一部の局面では、膜貫通ドメインはCD28、CD8、CD4、CD3ζ、CD134、またはCD7に由来する。
【0109】
本開示の任意の局面において有用な例示的な膜貫通ドメインには、以下の表にある膜貫通ドメインが含まれる。
【0110】
表:例示的な膜貫通ドメイン配列
【0111】
E.細胞質領域
抗原認識後、本開示の受容体はクラスター化し、細胞質領域を介して細胞にシグナルが伝達され得る。一部の局面では、本明細書に記載の共刺激ドメインは細胞質領域の一部である。一部の局面では、細胞質領域は細胞内シグナル伝達ドメインを含む。細胞内シグナル伝達ドメインは1次シグナル伝達ドメインと1つまたは複数の共刺激ドメインを含んでもよい。
【0112】
本開示のポリペプチドにおける使用に適した細胞質領域および/または共刺激領域には、抗原と抗原結合ドメインとの結合を介した活性化に応答して、別個の、かつ検出可能なシグナルを生じる(例えば、細胞による1つまたは複数のサイトカインの産生を増加させる;標的遺伝子の転写を変える;タンパク質の活性を変える;細胞の挙動、例えば、細胞死;細胞増殖;細胞分化;細胞生存;細胞シグナル伝達応答の調整などを変える)任意の望ましいシグナル伝達ドメインが含まれる。一部の局面では、細胞質領域は、本明細書に記載のような少なくとも1個の(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個など)ITAMモチーフを含む。一部の局面では、細胞質領域はDAP10/CD28型シグナル伝達鎖を含む。
【0113】
本開示のポリペプチドにおける使用に適した細胞質領域には、免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含有する細胞内シグナル伝達ポリペプチドが含まれる。ITAMモチーフはYX1X2(L/I)であり、式中、X1およびX2は独立して任意のアミノ酸である。場合によっては、細胞質領域は1個、2個、3個、4個、または5個のITAMモチーフを含む。場合によっては、エンドドメインにおいてITAMモチーフは2回繰り返され、ITAMモチーフの第1の例および第2の例が6~8個のアミノ酸によって互いに隔てられている。例えば、(YX1X2(L/I))(X3)n(YX1X2(L/I))。式中、nは6~8の整数であり、6~8個のX3のそれぞれが任意のアミノ酸でよい。
【0114】
適切な細胞質領域は、ITAMモチーフを含有するポリペプチドに由来するITAMモチーフ含有部分でもよい。例えば、適切な細胞質領域は、任意のITAMモチーフ含有タンパク質に由来するITAMモチーフ含有ドメインでもよい。従って、適切なエンドドメインは、起源となったタンパク質全体の配列全体を含有する必要はない。適切なITAMモチーフ含有ポリペプチドの例には、DAP12、DAP10、FCER1G(Fcε受容体Iγ鎖);CD3D(CD3δ);CD3E(CD3ε);CD3G(CD3γ);CD3ζ;およびCD79A(抗原受容体複合体関連タンパク質α鎖)が含まれるが、これに限定されない。
【0115】
例示的な細胞質領域は当技術分野において公知である。以下に示した細胞質領域はまた、本開示のCARに組み込まれ得る領域の例も示す。
【0116】
一部の局面では、適切な細胞質領域は完全長DAP12アミノ酸配列のITAMモチーフ含有部分を含んでもよい。一部の局面では、細胞質領域は、FCER1G(FCRG;Fcε受容体Iγ鎖;Fc受容体γ鎖;fc-εRl-γ;fcRγ;fceRIγ;高親和性免疫グロブリンε受容体サブユニットγ;免疫グロブリンE受容体、高親和性、γ鎖などとしても公知)に由来する。一部の局面では、適切な細胞質領域は完全長FCER1Gアミノ酸配列のITAMモチーフ含有部分を含んでもよい。
【0117】
一部の局面では、細胞質領域は、T細胞表面糖タンパク質CD3δ鎖(CD3D;CD3-DELTA;T3D;CD3抗原、δサブユニット;CD3デルタ;CD3δ;CD3d抗原、δポリペプチド(TiT3複合体);OKT3、δ鎖;T細胞受容体T3δ鎖;T細胞表面糖タンパク質CD3δ鎖などとしても公知)に由来する。一部の局面では、適切な細胞質領域は完全長CD3δアミノ酸配列のITAMモチーフ含有部分を含んでもよい。一部の局面では、細胞質領域は、T細胞表面糖タンパク質CD3ε鎖(CD3e、CD3ε;T細胞表面抗原T3/Leu-4ε鎖、T細胞表面糖タンパク質CD3ε鎖、AI504783、CD3、CD3-ε、T3eなどとしても公知)に由来する。一部の局面では、適切な細胞質領域は完全長CD3εアミノ酸配列のITAMモチーフ含有部分を含んでもよい。一部の局面では、細胞質領域は、T細胞表面糖タンパク質CD3γ鎖(CD3G、CD3γ、T細胞受容体T3γ鎖、CD3-GAMMA、T3G、γポリペプチド(TiT3複合体)などとしても公知)に由来する。一部の局面では、適切な細胞質領域は完全長CD3γアミノ酸配列のITAMモチーフ含有部分を含んでもよい。一部の局面では、細胞質領域は、T細胞表面糖タンパク質CD3ζ鎖(CD3Z、CD3ζ、T細胞受容体T3ζ鎖、CD247、CD3-ZETA、CD3H、CD3Q、T3Z、TCRZなどとしても公知)に由来する。一部の局面では、適切な細胞質領域は完全長CD3ζアミノ酸配列のITAMモチーフ含有部分を含んでもよい。
【0118】
一部の局面では、細胞質領域は、CD79A(B-細胞抗原受容体複合体関連タンパク質α鎖;CD79a抗原(免疫グロブリン関連α);MB-1膜糖タンパク質;ig-α;膜結合型免疫グロブリン関連タンパク質;表面IgM関連タンパク質などとしても公知)に由来する。一部の局面では、適切な細胞質領域は完全長CD79Aアミノ酸配列のITAMモチーフ含有部分を含んでもよい。
【0119】
特定の例示的な細胞質領域は当技術分野において公知であり、以下の表にさらに示される。
【0120】
表:細胞質領域
【0121】
F.共刺激領域
適切な共刺激領域、例えば、細胞質領域に含まれる共刺激領域の非限定的な例には、4-lBB(CD137)、CD28、ICOS、OX-40、BTLA、CD27、CD30、GITR、およびHVEMに由来するポリペプチドが含まれるが、これに限定されない。
【0122】
共刺激領域は、少なくとも、多くても、または正確に20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、もしくは300アミノ酸、またはその中で導き出せる任意の範囲の長さを有してもよい。一部の局面では、共刺激領域は膜貫通タンパク質4-1BB(TNFRSF9;CD137;CDwl37;ILAなどとしても公知)の細胞内部分に由来する。一部の局面では、共刺激領域は膜貫通タンパク質CD28(Tp44としても公知)の細胞内部分に由来する。一部の局面では、共刺激領域は膜貫通タンパク質ICOS(AILIM、CD278、およびCVID1としても公知)の細胞内部分に由来する。一部の局面では、共刺激領域は膜貫通タンパク質OX-40(TNFRSF4、RP5-902P8.3、ACT35、CD134、OX40、TXGP1Lとしても公知)の細胞内部分に由来する。一部の局面では、共刺激領域は膜貫通タンパク質BTLA(BTLA1およびCD272としても公知)の細胞内部分に由来する。一部の局面では、共刺激領域は膜貫通タンパク質CD27(S152、T14、TNFRSF7、およびTp55としても公知)の細胞内部分に由来する。一部の局面では、共刺激領域は膜貫通タンパク質CD30(TNFRSF8、D1S166E、およびKi-1としても公知)の細胞内部分に由来する。一部の局面では、共刺激領域は膜貫通タンパク質GITR(TNFRSF18、RP5-902P8.2、AITR、CD357、およびGITR-Dとしても公知)の細胞内部分に由来する。一部の局面では、共刺激領域は膜貫通タンパク質HVEM(TNFRSF14、RP3-395M20.6、ATAR、CD270、HVEA、HVEM、LIGHTR、およびTR2としても公知)の細胞内部分に由来する。
【0123】
特定の例示的な共刺激ドメインは以下のアミノ酸配列によって表される。
【0124】
表:共刺激ドメイン
【0125】
G.検出用ペプチド
一部の局面では、本明細書に記載のポリペプチドは検出用ペプチドをさらに含んでもよい。適切な検出用ペプチドには、血球凝集素(HA;例えば、YPYDVPDYA(SEQ ID NO:122);FLAG(例えば、DYKDDDDK(SEQ ID NO:3));c-myc(例えば、EQKLISEEDL(SEQ ID NO:123)))などが含まれる。他の適切な検出用ペプチドは当技術分野において公知である。
【0126】
H.ペプチドリンカー
一部の局面では、本開示のポリペプチドはペプチドリンカー(リンカーと呼ばれるときもある)を含む。ペプチドリンカーは、本明細書に記載の任意のペプチドドメイン/領域を隔てるのに使用されることがある。一例として、リンカーはシグナルペプチドと抗原結合ドメインとの間にあってもよく、抗原結合ドメインのVHとVLとの間にあってもよく、抗原結合ドメインとペプチドスペーサーとの間にあってもよく、ペプチドスペーサーと膜貫通ドメインとの間にあってもよく、共刺激領域に隣接してもよく、共刺激領域のN領域上もしくはC領域上にあってもよく、および/または膜貫通ドメインとエンドドメインとの間にあってもよい。ペプチドリンカーは様々な任意のアミノ酸配列を有してもよい。ドメインおよび領域は、普通、可動性のあるペプチドリンカーによってつなぐことができるが、他の化学結合は除外されない。リンカーは長さが約6~約40アミノ酸のペプチドでもよく、長さが約6~約25アミノ酸のペプチドでもよい。これらのリンカーは、タンパク質を結合するために、リンカーをコードする合成オリゴヌクレオチドを使用することによって生成することができる。
【0127】
ある程度の可動性があるペプチドリンカーを使用することができる。適切なペプチドリンカーが、概して可動性のペプチドをもたらす配列を有することを念頭において、ペプチドリンカーは実質的に任意のアミノ酸配列を有してもよい。グリシンおよびアラニンなどの小さなアミノ酸の使用は、可動性ペプチドを作製する際に有用である。このような配列の作製は当業者にとって日常的なものである。
【0128】
適切なリンカーは容易に選択することができ、任意の適切な長さ、例えば、4アミノ酸~10アミノ酸、5アミノ酸~9アミノ酸、6アミノ酸~8アミノ酸、または7アミノ酸~8アミノ酸を含む、1アミノ酸(例えば、Gly)~20アミノ酸、2アミノ酸~15アミノ酸、3アミノ酸~12アミノ酸のリンカーでよく、1、2、3、4、5、6、または7アミノ酸でもよい。
【0129】
適切なリンカーは容易に選択することができ、任意の適切な異なる長さ、例えば、4アミノ酸~10アミノ酸、5アミノ酸~9アミノ酸、6アミノ酸~8アミノ酸、または7アミノ酸~8アミノ酸を含む、1アミノ酸(例えば、Gly)~20アミノ酸、2アミノ酸~15アミノ酸、3アミノ酸~12アミノ酸のリンカーでよく、1、2、3、4、5、6、または7アミノ酸でもよい。
【0130】
例となる可動性リンカーは、グリシンポリマー(G)n、グリシン-セリンポリマー(例えば、(GS)n、(GSGGS)n、(G4S)n、および(GGGS)nを含み、式中、nは少なくとも1つの整数である)を含む。一部の局面では、nは、少なくとも、多くても、または正確に1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10(またはその中で導き出せる任意の範囲)である。グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、および当技術分野において公知の他の可動性リンカー。グリシンおよびグリシン-セリンポリマーを使用することができる。GlyとSerは両方とも比較的、構造不定であり、従って、成分間の中立テザーとして役立つ場合がある。グリシンポリマーを使用することができる。グリシンは、アラニンよりもさらに有意にπ-ψ空間に接近し、もっと長い側鎖を有する残基よりもはるかに制限されていない。例示的なスペーサーは、GGSG(SEQ ID NO:125)、GGSGG(SEQ ID NO:126)、GSGSG(SEQ ID NO:127)、GSGGG(SEQ ID NO:128)、GGGSG(SEQ ID NO:129)、GSSSG(SEQ ID NO:124)、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:28 などを含むが、これに限定されないアミノ酸配列を含んでもよい。一部の局面では、リンカーは、反復、例えば、SEQ ID NO:124~129、10、および28の1つまたは複数の連続反復、例えば、少なくとも、多くても、または正確に2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、もしくは10回、またはその中で導き出せる任意の範囲で繰り返される、SEQ ID NO:124~129、10、および28の1つに対応するアミノ酸配列を含むリンカーを含む。
【0131】
さらなる局面では、リンカーは(EAAAK)n(SEQ ID NO:130)を含み、式中、nは、少なくとも1つの整数である。一部の局面では、nは、少なくとも、多くても、または正確に1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10(またはその中で導き出せる任意の範囲)である。
【0132】
I.治療コントロール
本明細書に記載の方法および組成物の一部の局面では、CAR分子は治療コントロールと共に同時発現される。
【0133】
治療コントロールは細胞増殖を調節するか、細胞選択を容易にするか(例えば、本発明のキメラ抗原受容体を発現する細胞を選択する)、またはその組み合わせを行う。一局面では、細胞増殖の調節は、細胞増殖を促進するように細胞増殖をアップレギュレートすることを含む。別の局面では、細胞増殖の調節は、細胞増殖を低減または阻害するように細胞増殖をダウンレギュレートすることを含む。一部の局面では、治療コントロールとして役立つ薬剤は、治療利益をもたらし得るキメラ抗原受容体を発現する細胞の濃縮を促進し得る。一部の局面では、治療コントロールとして役立つ薬剤は、治療コントロールの機能を調節するように、さらなる組成物と生化学的に相互作用し得る。例えば、EGFRt(治療コントロール)は、選択、追跡、細胞除去、またはその組み合わせにおいてEGFRtの機能を調節するようにセツキシマブと生化学的に相互作用し得る。
【0134】
例示的な治療コントロールには、切断型上皮増殖因子受容体(EGFRt)、キメラサイトカイン受容体(CCR)、および/またはジヒドロ葉酸受容体(DHFR)(例えば、変異DHFR)が含まれる。CARと治療コントロールをコードするポリヌクレオチドはIRES配列を介して連結されてもよく、切断可能なリンカーをコードするポリヌクレオチド配列を介して連結されてもよい。本発明のCARは、細胞において発現され、その結果、少なくとも1つの抗原特異的標的領域と相互作用する少なくとも1つの分子、例えば、抗原の存在に応答して増殖し得るように構築される。さらなる局面では、治療コントロールは、細胞内シグナル伝達ドメインを欠く細胞表面タンパク質を含む。細胞内シグナル伝達を欠く、または細胞内シグナル伝達を欠くように(例えば、切断によって)改変されている任意の細胞表面タンパク質が使用され得ることが意図される。治療コントロールのさらなる例には、切断型LNGFR、切断型CD19などが含まれ、切断型タンパク質は細胞内シグナル伝達ドメインを欠く。
【0135】
本明細書で使用する「同時発現する」とは、2種類以上の遺伝子が同時に発現することを指す。遺伝子は、例えば、1種類のタンパク質をコードする核酸でもよく、1本のポリペプチド鎖としてキメラタンパク質をコードする核酸でもよい。例えば、本開示のCARは治療コントロール(例えば、切断型上皮細胞増殖因子(EGFRt))と共に同時発現されてもよく、CARは第1のポリヌクレオチド鎖によってコードされ、治療コントロールは第2のポリヌクレオチド鎖によってコードされる。一局面では、第1のポリヌクレオチド鎖と第2のポリヌクレオチド鎖は、切断可能なリンカーをコードする核酸配列によって連結される。CARと治療コントロール系をコードするポリヌクレオチドはIRES配列によって連結されてもよい。代わりに、CARおよび治療コントロールは、リンカーを介して連結されず、その代わりに、例えば、2つの異なるベクターによってコードされる2つの異なるポリヌクレオチドによってコードされる。さらに、本開示のCARは、治療コントロールおよびCCR、治療コントロールおよびDHFR(例えば、変異DHFR)、または治療コントロールおよびCCRおよびDHFR(例えば、変異DHFR)と同時発現されてもよい。CAR、治療コントロール、およびCCRは、それぞれ、第1のポリヌクレオチド配列、第2のポリヌクレオチド配列、および第3のポリヌクレオチド配列によって同時発現およびコードされてもよく、第1のポリヌクレオチド配列、第2のポリヌクレオチド配列、および第3のポリヌクレオチド配列はIRES配列または切断可能なリンカーをコードする配列(例えば、T2A)を介して連結される。代わりに、これらの配列はリンカーを介して連結されず、その代わりに、例えば、別々のベクターを介してコードされる。CAR、治療コントロール、およびDHFR(例えば、変異DHFR)は、それぞれ、第1のポリヌクレオチド配列、第2のポリヌクレオチド配列、および第4のポリヌクレオチド配列によって同時発現およびコードされてもよく、第1のポリヌクレオチド配列、第2のポリヌクレオチド配列、および第4のポリヌクレオチド配列はIRES配列または切断可能なリンカーをコードする配列を介して連結される。代わりに、これらの配列はリンカーを介して連結されず、その代わりに、例えば、別々のベクターを介してコードされる。CAR、治療コントロール、CCR、およびDHFR(例えば、変異DHFR)は、それぞれ、第1のポリヌクレオチド配列、第2のポリヌクレオチド配列、第3のポリヌクレオチド配列、および第4のポリヌクレオチド配列によって同時発現およびコードされてもよく、第1のポリヌクレオチド配列、第2のポリヌクレオチド配列、第3のポリヌクレオチド配列、および第4のポリヌクレオチド配列はIRES配列または切断可能なリンカーをコードする配列を介して連結される。代わりに、これらの配列はリンカーを介して連結されず、その代わりに、例えば、別々のベクターを介してコードされる。上記の配列が別々のベクターによってコードされるのであれば、これらのベクターは同時にトランスフェクトされてもよく、連続してトランスフェクトされてもよい。
【0136】
本開示の組成物のための治療コントロール、CAR分子、および使用方法のさらなる局面は、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる米国特許第9447194号で見られる。
【0137】
J.さらなる改変およびポリペプチド強化
さらに、本開示のポリペプチドは化学修飾されてもよい。ポリペプチドのグリコシル化は、例えば、抗原に対する前記ポリペプチドの親和性を高めるように、ポリペプチド配列の内部にある1つまたは複数のグリコシル化部位を改変することによって変えることができる(米国特許第5,714,350号および同第6,350,861号)。
【0138】
本開示のポリペプチドの領域または断片は、SEQ ID NO:1~147のいずれかについて1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、もしくはそれより多くのアミノ酸置換、連続したアミノ酸付加、もしくは連続したアミノ酸欠失を有するか、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、もしくはそれより多くのアミノ酸置換、連続したアミノ酸付加、もしくは連続したアミノ酸欠失を有するか、または多くても1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、もしくはそれより多くのアミノ酸置換、連続したアミノ酸付加、もしくは連続したアミノ酸欠失を有するアミノ酸配列を有してもよいことが意図される。代わりに、本開示のポリペプチドの領域または断片は、SEQ ID NO:1~147のいずれかに対して50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%(もしくはその中で導き出せる任意の範囲)同一であるか、または少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%(もしくはその中で導き出せる任意の範囲)同一であるか、または多くても50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%(もしくはその中で導き出せる任意の範囲)同一であるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるアミノ酸配列を有してもよい。さらに、一部の局面では、領域または断片は、SEQ ID NO:1~147のいずれかの位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500から開始する、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、またはそれより多くの連続したアミノ酸のアミノ酸領域を含む(位置1はSEQ ID NOのN末端側にある)。
本開示のポリペプチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50、またはそれより多くの変種アミノ酸を含んでもよく、SEQ ID NO:1~147のいずれかの少なくとも、もしくは多くても3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、300、400、500、550、600、もしくはそれより多くの連続したアミノ酸、またはその中で導き出せる任意の範囲と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%類似してもよく、同一であってもよく、相同であってもよい。
【0139】
本開示のポリペプチドは、少なくとも、多くても、または正確に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、もしくは615個の置換(またはその中で導き出せる任意の範囲)を含んでもよい。
【0140】
置換は、SEQ ID NO:1~147のいずれかのアミノ酸位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、もしくは650(またはその中で導き出せる任意の範囲)にあってもよく、任意のアミノ酸との置換でもよく、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリンとの置換でもよい。
【0141】
本明細書に記載のポリペプチドは、少なくとも、多くても、または正確に5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、300、400、500、550、1000個、もしくはそれより多いアミノ酸(またはその中で導き出せる任意の範囲)の、ある決まった長さのポリペプチドでもよい。
【0142】
置換型の変異体は、典型的には、タンパク質内部の1つまたは複数の部位における、あるアミノ酸から別のアミノ酸の交換を含み、他の機能もしくは特性の消失を伴って、または他の機能もしくは特性の消失を伴わずに前記ポリペプチドの1つまたは複数の特性を調節するように設計され得る。置換は保存的置換でもよい。すなわち、あるアミノ酸が、類似する形状および電荷のアミノ酸と交換される。保存的置換は当技術分野において周知であり、例えば、アラニンからセリン;アルギニンからリジン;アスパラギンからグルタミンまたはヒスチジン;アスパラギン酸からグルタミン酸;システインからセリン;グルタミンからアスパラギン;グルタミン酸からアスパラギン酸;グリシンからプロリン;ヒスチジンからアスパラギンまたはグルタミン;イソロイシンからロイシンまたはバリン;ロイシンからバリンまたはイソロイシン;リジンからアルギニン;メチオニンからロイシンまたはイソロイシン;フェニルアラニンからチロシン、ロイシン、またはメチオニン;セリンからスレオニン;スレオニンからセリン;トリプトファンからチロシン;チロシンからトリプトファンまたはフェニルアラニン;およびバリンからイソロイシンまたはロイシンへの変化を含む。代わりに、置換は、前記ポリペプチドの機能または活性が影響を受けるような非保存的置換であってもよい。非保存的変化は、典型的には、残基を、化学的に似ていない残基で置換する、例えば、極性アミノ酸または荷電アミノ酸を非極性アミノ酸または無電荷アミノ酸で置換することを伴い、逆もまた同じである。
【0143】
タンパク質は組換えでもよく、インビトロで合成されてもよい。代わりに、非組換えタンパク質または組換えタンパク質が細菌から単離されてもよい。このような変種を含有する細菌が組成物および方法において実行されてもよいことも意図される。結果として、タンパク質は単離される必要はない。
【0144】
「機能的に等価なコドン」という用語は、同じアミノ酸をコードするコドン、例えば、アルギニンまたはセリンに対する6つのコドンを指すために本明細書において用いられ、生物学的に等価なアミノ酸をコードするコドンも指す。
【0145】
アミノ酸および核酸配列は、さらなる残基、例えば、それぞれ、さらなるN末端アミノ酸もしくはC末端アミノ酸、または5'配列もしくは3'配列を含んでもよいが、タンパク質発現に関して言えば生物学的タンパク質活性の維持を含めて、上記で示した基準を配列が満たす限り、依然として本質的には、本明細書において開示される配列の1つに示された通りものであることも理解される。末端配列の付加は、例えば、コード領域の5'部分または3'部分のいずれかに隣接する様々な非コード配列を含み得る核酸配列に特に適用される。
【0146】
以下は、等価な分子、さらには改善された第二世代分子を作り出すためのタンパク質のアミノ酸の変更に基づく議論である。例えば、相互作用的結合能力がはっきり認められるほど失われることなく、タンパク質構造にある、ある特定のアミノ酸が他のアミノ酸で置換され得る。例えば、酵素触媒ドメインまたは相互作用成分などの構造は、このような機能を維持するように置換されたアミノ酸を有し得る。タンパク質の生物学的機能活性を規定するのはタンパク質の相互作用の能力と性質であるので、タンパク質配列中で、およびその基礎をなすDNAコード配列中で、ある特定のアミノ酸置換が行われ、それにもかかわらず、同様の性質を有するタンパク質を産生することができる。従って、生物学的有用性または活性がはっきり認められるほど失われることなく、遺伝子のDNA配列中に様々な変更が行われ得ることが本発明者らにより意図される。
【0147】
他の局面では、1つまたは複数の置換の導入によるポリペプチド機能の変更が意図される。例えば、相互作用成分の相互作用的結合能力を改変する意図を持って、タンパク質構造にある、ある特定のアミノ酸が他のアミノ酸で置換され得る。例えば、タンパク質相互作用ドメイン、核酸相互作用ドメイン、および触媒部位などの構造は、このような機能を変えるように置換されたアミノ酸を有し得る。タンパク質の生物学的機能活性を規定するのはタンパク質の相互作用の能力と性質であるので、タンパク質配列中で、およびその基礎をなすDNAコード配列中で、ある特定のアミノ酸置換が行われ、それにもかかわらず、異なる性質を有するタンパク質を産生することができる。従って、生物学的有用性または活性がはっきり認められるほど変化して、遺伝子のDNA配列中に様々な変更が行われ得ることが本発明者らにより意図される。
【0148】
このような変化を加える際には、アミノ酸のヒドロパシー指数が考慮される場合がある。相互作用的な生物機能をタンパク質に付与する際のヒドロパシーアミノ酸指数の重要性が当技術分野において一般に理解されている(Kyte and Doolittle, 1982)。アミノ酸の相対的なヒドロパシー特徴は、結果として生じるタンパク質の二次構造に寄与し、その結果として、これが、タンパク質と、他の分子、例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原などとの相互作用を規定すると受け入れられている。
【0149】
親水性に基づいて、類似するアミノ酸に効果的に置換できることも当技術分野において理解される。参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,554,101号には、隣接するアミノ酸の親水性によって支配されるタンパク質の最大局所平均親水性(greatest local average hydrophilicity)はタンパク質の生物学的特性と相関関係にあることが述べられている。アミノ酸は、類似した親水性の値を有する別のアミノ酸に置換することができ、それでもなお生物学的に等価な、かつ免疫学的に等価なタンパク質を生じることができると理解される。
【0150】
上記で概説したように、アミノ酸置換は、一般的に、アミノ酸側鎖置換基、例えば、その疎水性、親水性、電荷、サイズなどの相対的類似性に基づいている。様々な前述の特徴を考慮した例示的な置換は周知であり、アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシンおよびイソロイシンを含む。
【0151】
特定の局面では、本明細書に記載のタンパク質の全てまたは一部が従来技法に従って溶液中で、または固体支持体上で合成することもできる。様々な自動合成機が市販されており、公知のプロトコールに従って使用することができる。例えば、それぞれが参照により本明細書に組み入れられる、Stewart and Young, (1984); Tam et al., (1983); Merrifield, (1986);およびBarany and Merrifield (1979)を参照されたい。代わりに、ペプチドまたはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が発現ベクターに挿入され、形質転換またはトランスフェクションによって適切な宿主細胞に導入され、発現に適した条件下で培養される組換えDNA技術が使用されることがある。
【0152】
一局面は、タンパク質を産生および/または提示するための、微生物を含む細胞への遺伝子導入の使用を含む。関心対象のタンパク質の遺伝子が適切な宿主細胞に導入され、その後に、適切な条件下で細胞培養が行われてもよい。実質的に任意のポリペプチドをコードする核酸を使用することができる。組換え発現ベクター、およびその中に含まれるエレメントの作製が本明細書において議論される。または、産生しようとするタンパク質は、タンパク質産生に用いられる細胞によって通常、合成される内因性タンパク質でもよい。
【0153】
III.細胞
ある特定の局面は、本開示のポリペプチドまたは核酸を含む細胞に関する。一部の局面では、前記細胞は免疫細胞またはT細胞である。「T細胞」は、T-ヘルパー細胞、インバリアントナチュラルキラーT(iNKT)細胞、細胞傷害性T細胞、調節性T-細胞(Treg)γ-δT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、および好中球を含む全てのタイプのCD3発現免疫細胞を含む。T細胞はCD4+T細胞またはCD8+T細胞を指すことがある。
【0154】
適切な哺乳動物細胞には初代細胞および不死化細胞株が含まれる。適切な哺乳動物細胞株には、ヒト細胞株、非ヒト霊長類細胞株、げっ歯類(例えば、マウス、ラット)細胞株などが含まれる。適切な哺乳動物細胞株には、HeLa細胞(例えば、American Type Culture Collection(ATCC)番号CCL-2)、CHO細胞(例えば、ATCC番号CRL9618、CCL61、CRL9096)、ヒト胚由来腎臓(HEK)293細胞(例えば、ATCC番号CRL-1573)、Vero細胞、NIH3T3細胞(例えば、ATCC番号CRL-1658)、Huh-7細胞、BHK細胞(例えば、ATCC番号CCL10)、PC12細胞(ATCC番号CRL1721)、COS細胞、COS-7細胞(ATCC番号CRL1651)、RATI細胞、マウスL細胞(ATCC番号CCLI.3)、HLHepG2細胞、Hut-78、Jurkat、HL-60、NK細胞株(例えば、NKL、NK92、およびYTS)などが含まれるが、これに限定されない。
【0155】
場合によっては、前記細胞は不死化細胞株ではなく、代わりに、個体から得られた細胞(例えば、初代細胞)である。例えば、場合によっては、前記細胞は、個体から得られた免疫細胞である。一例として、前記細胞は、個体から得られたTリンパ球である。別の例として、前記細胞は、個体から得られた細胞傷害性細胞である。別の例として、前記細胞は、個体から得られた幹細胞(例えば、末梢血幹細胞)または前駆細胞である。
【0156】
IV.ゲノムDNAを改変するための方法
ある特定の局面では、さらなる変異、挿入、もしくは欠失を含めるために、または本開示のある特定の分子構築物がゲノムDNAから発現されるように構築物を組込むためにゲノムDNAが改変される。一部の局面では、本開示のポリペプチドをコードする核酸は細胞のゲノムDNAに組込まれる。一部の局面では、ウイルス形質導入、例えば、レンチウイルスによる遺伝子導入、またはレトロウイルス形質導入を介して核酸が細胞内に組込まれる。一部の局面では、ゲノムDNAは、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、またはアデノ随伴ウイルスベクターを介して本開示のポリペプチド(例えば、CAR)をコードする核酸を宿主細胞のゲノムに組み込むことで改変される。
【0157】
一部の局面では、組込みは標的組込みである。一部の局面では、標的組込みは、DNA消化剤/ポリヌクレオチド改変酵素、例えば、部位特異的リコンビナーゼおよび/またはターゲティングエンドヌクレアーゼを用いることによって成し遂げられる。「DNA消化剤」という用語は、核酸のヌクレオチドサブユニット間の結合(すなわち、ホスホジエステル結合)を切断することができる薬剤を指す。1つの特異的標的はTRAC(T細胞受容体α定常)遺伝子座である。例えば、最初に、TRAC(T細胞受容体α定常)遺伝子座を標的とするシングルガイドRNA(sgRNA)と複合体を形成したCas9タンパク質からなるリボ核タンパク質(RNP)複合体と共に細胞が電気穿孔処理される。電気穿孔して15分後に、CARをコードするHDRテンプレートを運ぶAAV6によって細胞が処理される。別の例では、二本鎖DNAまたは一本鎖DNAがHDRテンプレートを含み、RNP複合体と一緒に電気穿孔を介して細胞に導入される。
【0158】
従って、一局面では、本開示は標的組込みを含む。これを成し遂げる1つの手法は、少なくとも1つのポリヌクレオチド改変酵素、例えば、部位特異的リコンビナーゼおよび/またはターゲティングエンドヌクレアーゼに対する少なくとも1つの認識配列を含む外因性核酸配列(すなわち、ランディングパッド)を用いる手法である。部位特異的リコンビナーゼは当技術分野において周知であり、一般的に、インベルターゼ、リゾルバーゼ、またはインテグラーゼと呼ばれることがある。部位特異的リコンビナーゼの非限定的な例には、λインテグラーゼ、Creリコンビナーゼ、FLPリコンビナーゼ、γ-δリゾルバーゼ、Tn3リゾルバーゼ、ΦC31インテグラーゼ、Bxb1-インテグラーゼ、およびR4インテグラーゼが含まれ得る。部位特異的リコンビナーゼは、全てが当技術分野において周知である特定の認識配列(もしくは認識部位)またはその変種を認識する。例えば、CreリコンビナーゼはLoxP部位を認識し、FLPリコンビナーゼはFRT部位を認識する。
【0159】
意図されるターゲティングエンドヌクレアーゼには、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、メガヌクレアーゼ、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、CRISPR/Cas様エンドヌクレアーゼ、I-Tevlヌクレアーゼもしくは関連する単量体ハイブリッド、または人工標的DNA二本鎖切断誘導剤が含まれる。例示的なターゲティングエンドヌクレアーゼが下記でさらに説明される。例えば、典型的に、ジンクフィンガーヌクレアーゼはDNA結合ドメイン(すなわち、ジンクフィンガー)と切断ドメイン(すなわち、ヌクレアーゼ)を含み、これらは両方とも下記で説明される。ポリヌクレオチド改変酵素の定義には、当業者に公知の他の任意の有用な融合タンパク質も含まれ、例えば、DNA結合ドメインおよびヌクレアーゼを含んでもよい。
【0160】
ランディングパッド配列とは、特定のポリヌクレオチド改変酵素、例えば、部位特異的リコンビナーゼおよび/またはターゲティングエンドヌクレアーゼによって選択的に結合および改変される少なくとも1つの認識配列を含むヌクレオチド配列である。一般的に、ランディングパッド配列中の認識配列は、改変しようとする細胞のゲノムに内因的に存在しない。例えば、改変しようとする細胞がCHO細胞である場合、ランディングパッド配列中の認識配列は内因性CHOゲノムに存在しない。標的組込みの割合は、標的細胞のゲノム内に内因的に存在しない、高効率ヌクレオチド改変酵素に対する認識配列を選択することによって改善される場合がある。内因的に存在しない認識配列を選択すると、潜在的なオフターゲット組込みも低下する。他の局面では、改変しようとする細胞に固有にある認識配列を使用することが望ましい場合がある。例えば、ランディングパッド配列中に複数の認識配列が用いられる場合、1つまたは複数の認識配列が外因性でもよく、1つまたは複数の認識配列が固有のものでもよい。
【0161】
当業者は、部位特異的リコンビナーゼおよび/またはターゲティングエンドヌクレアーゼによって結合および切断される配列を容易に決定することができる。
【0162】
使用することができるターゲティングエンドヌクレアーゼの別の例は、エンドヌクレアーゼが真核細胞の核に進入するのを可能にする少なくとも1つの核局在化シグナルを含むRNAガイドエンドヌクレアーゼである。RNAガイドエンドヌクレアーゼはまた、少なくとも1つのヌクレアーゼドメインと、ガイドRNAと相互作用する少なくとも1つのドメインも含む。RNAガイドエンドヌクレアーゼが特定の染色体配列を切断するように、RNAガイドエンドヌクレアーゼはガイドRNAによって特定の染色体配列に向けられる。ガイドRNAは標的切断のための特異性をもたらすので、RNAガイドエンドヌクレアーゼのエンドヌクレアーゼは普遍的なものであり、異なる標的染色体配列を切断するために異なるガイドRNAと一緒に使用することができる。例示的なRNAガイドエンドヌクレアーゼタンパク質が下記でさらに詳細に議論される。例えば、RNAガイドエンドヌクレアーゼは、CRISPR/Casタンパク質またはCRISPR/Cas様融合タンパク質、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(clustered regularly interspersed short palindromic repeats)(CRISPR)/CRISPR関連(Cas)系に由来するRNAガイドエンドヌクレアーゼでもよい。
【0163】
ターゲティングエンドヌクレアーゼはまたメガヌクレアーゼでもよい。メガヌクレアーゼは、大きな認識部位を特徴とするエンドデオキシリボヌクレアーゼである。すなわち、認識部位は一般的に約12塩基対~約40塩基対に及ぶ。この要件の結果として、一般的に、認識部位はどのゲノムにでも1回しか生じない。メガヌクレアーゼの中には「LAGLIDADG」と名付けられたホーミングエンドヌクレアーゼのファミリーがゲノムおよびゲノム工学を研究するための価値あるツールとなっている。メガヌクレアーゼは、当業者に周知の技法を用いて認識配列を改変することによって特定の染色体配列に標的化され得る。例えば、Epinat et al., 2003, Nuc. Acid Res., 31(11):2952-62およびStoddard, 2005, Quarterly Review of Biophysics, pp. 1-47を参照されたい。
【0164】
使用することができるターゲティングエンドヌクレアーゼのさらに別の例は転写アクチベーター様エフェクター(TALE)ヌクレアーゼである。TALEは、新たなDNA標的に結合するように容易に操作され得る、植物病原体であるキサントモナス属(Xanthomonas)に由来する転写因子である。TALEまたはその切断型バージョンは、TALEヌクレアーゼまたはTALENと呼ばれるターゲティングエンドヌクレアーゼを作り出すようにFokIなどのエンドヌクレアーゼの触媒ドメインに連結され得る。例えば、Sanjana et al., 2012, Nature Protocols 7(1):171-192; Bogdanove A J, Voytas D F., 2011, Science, 333(6051):1843-6; Bradley P, Bogdanove A J, Stoddard B L., 2013, Curr Opin Struct Biol., 23(1):93-9を参照されたい。
【0165】
V.方法
本開示の局面は、グリア芽細胞腫などの癌を処置するための方法に関する。さらなる局面では、本明細書に記載の治療用受容体(例えば、CAR)は免疫応答を刺激するのに使用されることがある。免疫応答刺激はインビトロで行われてもよく、インビボで行われてもよく、エクスビボで行われてもよい。一部の局面では、本明細書に記載の治療用受容体は再発を予防するためのものである。前記方法は、一般的に、本開示のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、発現ベクター、もしくはDNA、RNA(例えば、インビトロ転写されたRNA)、もしくはアデノ随伴ウイルス(AAV)を用いて哺乳動物細胞を遺伝子組換えすること、または前記ポリペプチドを前記細胞に直接移入することを伴う。前記細胞は免疫細胞(例えば、Tリンパ球またはNK細胞)、幹細胞、前駆細胞などでもよい。一部の局面では、前記細胞は、本明細書に記載の細胞である。
【0166】
一部の局面では、遺伝子組換えはエクスビボで行われる。例えば、Tリンパ球、幹細胞、またはNK細胞(または本明細書に記載の細胞)が個体から得られる。個体から得られた細胞は、本開示のポリペプチドを発現するように遺伝子組換えされる。場合によっては、遺伝子組換えされた細胞はエクスビボで活性化される。他の場合では、遺伝子組換えされた細胞は、個体(例えば、前記細胞が得られた個体)に導入され、遺伝子組換えされた細胞はインビボで活性化される。
【0167】
VI.さらなる療法
A.免疫療法
一部の局面では、前記方法は癌免疫療法の投与を含む。癌免疫療法(IOと略して免疫腫瘍学と呼ばれるときもある)は、癌を処置するための免疫系の使用である。免疫療法は能動的免疫療法、受動的免疫療法、またはハイブリッド(能動的および受動的)免疫療法として分類することができる。これらのアプローチでは、癌細胞は、その表面に、腫瘍関連抗原(TAA)として公知の、免疫系が検出できる分子を有することが多いという事実を利用する。腫瘍関連抗原(TAA)はタンパク質または他の高分子(例えば、炭水化物)であることが多い。能動的免疫療法は、TAAを標的とすることで腫瘍細胞を攻撃するように免疫系を指示する。受動的免疫療法は既存の抗腫瘍応答を強化し、モノクローナル抗体、リンパ球、およびサイトカインの使用を含む。本開示の方法において有用な免疫療法は下記で説明される。
【0168】
1.チェックポイント阻害剤および併用処置
本開示の局面は、下記でさらに説明される免疫チェックポイント阻害剤(チェックポイント阻害剤療法とも呼ばれる)の投与を含んでもよい。チェックポイント阻害剤療法は、1種類の細胞チェックポイントタンパク質しか標的としない単独療法でもよく、少なくとも2種類の細胞チェックポイントタンパク質を標的とする併用療法でもよい。例えば、チェックポイント阻害剤単独療法は、PD-1、PD-L1、またはPD-L2阻害剤の1つを含んでもよく、CTLA-4、B7-1、またはB7-2阻害剤の1つを含んでもよい。チェックポイント阻害剤併用療法は、PD-1、PD-L1、またはPD-L2阻害剤の1つを含んでもよく、組み合わせて、CTLA-4、B7-1、またはB7-2阻害剤の1つをさらに含んでもよい。併用療法における阻害剤の組み合わせは同じ組成物中にある必要はなく、同時に投与されてもよく、実質的に同時に投与されてもよく、両阻害剤の定期的な投与を含む投与計画で投与されてもよく、この場合、期間は本明細書に記載の期間でよい。
【0169】
a.PD-1、PD-L1、およびPD-L2阻害剤
PD-1は、T細胞が感染または腫瘍に立ち向かう腫瘍微小環境内で作用することができる。活性化T細胞はPD-1をアップレギュレートし、末梢組織においてPD-1を発現し続ける。IFN-γなどのサイトカインは上皮細胞上および腫瘍細胞上でのPD-L1発現を誘導する。PD-L2はマクロファージ上および樹状細胞上で発現している。PD-1の主な役割は末梢においてエフェクターT細胞の活性を制限し、免疫応答中に組織に対する過度の損傷を阻止することである。本開示の阻害剤はPD-1および/またはPD-L1活性の1つまたは複数の機能をブロックし得る。
【0170】
「PD-1」の別名はCD279およびSLEB2を含む。「PD-L1」の別名はB7-H1、B7-4、CD274、およびB7-Hを含む。「PD-L2」の別名はB7-DC、Btdc、およびCD273を含む。一部の局面では、PD-1、PD-L1、およびPD-L2はヒトPD-1、PD-L1、およびPD-L2である。
【0171】
一部の局面では、PD-1阻害剤は、PD-1とそのリガンド結合パートナーとの結合を阻害する分子である。特定の局面では、PD-1リガンド結合パートナーはPD-L1および/またはPD-L2である。別の局面では、PD-L1阻害剤は、PD-L1とその結合パートナーとの結合を阻害する分子である。特定の局面では、PD-L1結合パートナーはPD-1および/またはB7-1である。別の局面では、PD-L2阻害剤は、PD-L2とその結合パートナーとの結合を阻害する分子である。特定の局面では、PD-L2結合パートナーはPD-1である。前記阻害剤は、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドでもよい。例示的な抗体は、全てが参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第8,735,553号、同第8,354,509号、および同第8,008,449号に記載されている。本明細書において提供される方法および組成物において使用するための他のPD-1阻害剤は当技術分野において公知であり、例えば、全てが参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願番号US2014/0294898、US2014/022021、およびUS2011/0008369に記載されている。
【0172】
一部の局面では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)である。一部の局面では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、およびピディリズマブからなる群より選択される。一部の局面では、PD-1阻害剤は、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)と融合した、PD-L1またはPD-L2の細胞外またはPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。一部の局面では、PD-L1阻害剤はAMP-224を含む。MDX-1106-04、MDX-1106、ONO-4538、BMS-936558、およびOPDIVO(登録商標)としても公知のニボルマブは、WO2006/121168に記載の抗PD-1抗体である。MK-3475、Merck3475、ランブロリズマブ、KEYTRUDA(登録商標)、およびSCH-900475としても公知のペンブロリズマブは、WO2009/114335に記載の抗PD-1抗体である。CT-011、hBAT、またはhBAT-1としても公知のピディリズマブは、WO2009/101611に記載の抗PD-1抗体である。B7-DCIgとしても公知のAMP-224は、WO2010/027827およびWO2011/066342に記載のPD-L2-Fc融合可溶性受容体である。さらなるPD-1阻害剤には、AMP-514としても公知のMEDI0680、およびREGN2810が含まれる。
【0173】
一部の局面では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤、例えば、MEDI4736としても公知のデュルバルマブ、MPDL3280Aとしても公知のアテゾリズマブ、MSB00010118Cとしても公知のアベルマブ、MDX-1105、BMS-936559、またはその組み合わせである。ある特定の局面では、免疫チェックポイント阻害剤は、rHIgM12B7などのPD-L2阻害剤である。
【0174】
一部の局面では、前記阻害剤は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、またはピディリズマブの重鎖および軽鎖CDRまたはVRを含む。従って、一局面では、前記阻害剤は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、またはピディリズマブのVH領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメインと、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、またはピディリズマブのVL領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメインを含む。別の局面では、前記抗体は、上記の抗体と同じ、PD-1、PD-L1、もしくはPD-L2上にあるエピトープと結合において競合する、および/または上記の抗体と同じ、PD-1、PD-L1、もしくはPD-L2上にあるエピトープに結合する。別の局面では、前記抗体は、上記の抗体と少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、もしくは99%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の可変領域アミノ酸配列同一性を有する。
【0175】
b.CTLA-4、B7-1、およびB7-2阻害剤
本明細書において提供される方法において標的化することができる別の免疫チェックポイントは、CD152としても公知の細胞傷害性T-リンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)である。ヒトCTLA-4の完全cDNA配列はGenBankアクセッション番号L15006を有する。CTLA-4はT細胞表面に見出され、抗原提示細胞表面にあるB7-1(CD80)またはB7-2(CD86)に結合した時に「オフ」スイッチとして働く。CTLA-4は、ヘルパーT細胞表面に発現し、阻害シグナルをT細胞に伝達する免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。CTLA-4はT細胞共刺激タンパク質であるCD28と似ており、両分子とも、抗原提示細胞上にあるB7-1およびB7-2に結合する。CTLA-4は阻害シグナルをT細胞に伝達するのに対して、CD28は刺激シグナルを伝達する。細胞内CTLA-4は調節性T細胞でも見出されており、その機能にとって重要な場合がある。T細胞受容体およびCD28を介してT細胞が活性化されると、B7分子に対する抑制性受容体であるCTLA-4の発現が増加する。本開示の阻害剤は、CTLA-4、B7-1、および/またはB7-2活性の1つまたは複数の機能をブロックし得る。一部の局面では、前記阻害剤はCTLA-4とB7-1の相互作用をブロックする。一部の局面では、前記阻害剤はCTLA-4とB7-2の相互作用をブロックする。
【0176】
一部の局面では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、もしくはキメラ抗体)、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドである。
【0177】
本方法における使用に適した抗ヒトCTLA-4抗体(またはそれに由来するVHおよび/もしくはVLドメイン)は、当技術分野において周知の方法を用いて作製することができる。代わりに、当技術分野において認められている抗CTLA-4抗体を使用することができる。例えば、本明細書において開示される方法において、US8,119,129、WO01/14424、WO98/42752;WO00/37504(CP675,206、トレメリムマブとしても公知;以前はチシリムマブ)、米国特許第6,207,156号;Hurwitz et al., 1998に開示される抗CTLA-4抗体を使用することができる。上記の刊行物のそれぞれの開示は参照により本明細書に組み入れられる。CTLA-4との結合において、当技術分野において認められている、これらの抗体のいずれかと競合する抗体も使用することができる。例えば、ヒト化CTLA-4抗体は、国際特許出願番号WO2001/014424、WO2000/037504、および米国特許第8,017,114号に記載されており、全てが参照により本明細書に組み入れられる。
【0178】
本開示の方法および組成物におけるチェックポイント阻害剤として有用な、さらなる抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(10D1、MDX-010、MDX-101、およびYervoy(登録商標)としても公知)またはその抗原結合断片および変種(例えば、WO01/14424を参照されたい)である。
【0179】
一部の局面では、前記阻害剤はトレメリムマブまたはイピリムマブの重鎖および軽鎖CDRまたはVRを含む。従って、一局面では、前記阻害剤は、トレメリムマブまたはイピリムマブのVH領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメインと、トレメリムマブまたはイピリムマブのVL領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメインを含む。別の局面では、前記抗体は、上記の抗体と結合において競合する、および/または上記の抗体と同じ、PD-1、B7-1、もしくはB7-2上のエピトープに結合する。別の局面では、前記抗体は、上記の抗体と少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、もしくは99%(またはその中で導き出せる任意の範囲)の可変領域アミノ酸配列同一性を有する。
【0180】
2.共刺激分子の阻害
一部の局面では、免疫療法は共刺激分子の阻害剤を含む。一部の局面では、前記阻害剤は、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、CD28、ICOS、OX40(TNFRSF4)、4-1BB(CD137;TNFRSF9)、CD40L(CD40LG)、GITR(TNFRSF18)の阻害剤、およびその組み合わせを含む。阻害剤には、阻害性の抗体、ポリペプチド、化合物、および核酸が含まれる。
【0181】
3.樹状細胞療法
樹状細胞療法は、樹状細胞が腫瘍抗原をリンパ球に提示し、それによってリンパ球を活性化して、その抗原を提示する他の細胞を死滅するように初回免疫することで抗腫瘍応答を誘発する。樹状細胞は哺乳動物免疫系における抗原提示細胞(APC)である。癌処置において、樹状細胞は癌抗原標的化を助ける。樹状細胞に基づく細胞癌療法の一例はシプロイセル-Tである。
【0182】
腫瘍抗原を提示するように樹状細胞を誘導する方法の1つは、自家腫瘍溶解産物または短いペプチド(癌細胞上にあるタンパク質抗原に対応するタンパク質の小さな部分)を用いたワクチン接種による方法である。これらのペプチドは、免疫および抗腫瘍応答を増加させるためにアジュバント(高免疫原性物質)と組み合わせて与えられることが多い。他のアジュバントには、樹状細胞を誘引および/または活性化するタンパク質または他の化学物質、例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)が含まれる。
【0183】
樹状細胞はまた、GM-CSFを発現する腫瘍細胞を作製することによってインビボで活性化することもできる。これは、GM-CSFを産生するように腫瘍細胞を遺伝子操作することで成し遂げられてもよく、GM-CSFを発現する腫瘍退縮ウイルスに腫瘍細胞を感染させることで成し遂げられてもよい。
【0184】
別の戦略は、患者の血液から樹状細胞を取り出し、体外で活性化する戦略である。樹状細胞は腫瘍抗原の存在下で活性化される。腫瘍抗原は1種類の腫瘍特異的ペプチド/タンパク質でもよく、腫瘍細胞溶解産物(分解された腫瘍細胞の溶液)でもよい。これらの細胞(と任意のアジュバント)が注入され、免疫応答を誘発する。
【0185】
樹状細胞療法は、樹状細胞表面にある受容体に結合する抗体の使用を含む。抗原を抗体に付加することができ、抗原は、樹状細胞が成熟するように誘導し、腫瘍に対する免疫を提供することができる。
【0186】
4.サイトカイン療法
サイトカインは、腫瘍内に存在する多くのタイプの細胞によって産生されるタンパク質である。サイトカインは免疫応答を調整することができる。腫瘍は、成長し、免疫応答を低減できるようにするためにサイトカインを利用することが多い。これらの免疫調整効果があるために、免疫応答を誘発する薬物としてサイトカインを使用することが可能になる。2種類の一般的に用いられるサイトカインがインターフェロンとインターロイキンである。
【0187】
インターフェロンは免疫系によって産生される。通常、インターフェロンは抗ウイルス応答に関与するが、癌に対する用途もある。インターフェロンは3つのグループ:I型(IFNαおよびIFNβ)、II型(IFNγ)、ならびにIII型(IFNλ)に分類される。
【0188】
インターロイキンは一連の免疫系作用を有する。IL-2は例示的なインターロイキンサイトカイン療法である。
【0189】
5.養子T細胞療法
養子T細胞療法はT細胞注入(養子細胞移入)による受動免疫の一種である。T細胞は血液および組織の中に見出され、通常、外来病原体を発見した時に活性化する。詳細に述べると、細胞表面抗原上に外来タンパク質の一部を示す細胞にT細胞の表面受容体が遭遇した時に、T細胞は活性化する。これらは感染細胞でもよく、抗原提示細胞(APC)でもよい。これらは正常組織および腫瘍組織に見出され、腫瘍組織では腫瘍浸潤リンパ球(TIL)として公知である。T細胞は、腫瘍抗原を提示する樹状細胞などのAPCの存在によって活性化される。これらの細胞は腫瘍を攻撃するが、腫瘍内の環境は高度に免疫抑制性であり、そのため、免疫を介した腫瘍死が阻止される。
【0190】
腫瘍標的T細胞を産生および入手する複数の手法が開発されている。腫瘍抗原に特異的なT細胞を腫瘍試料(TIL)から取り出することができる、または血液から濾過することができる。その後、エクスビボで活性化および培養を行うことができ、その成果を再注入する。腫瘍標的T細胞は遺伝子療法を介して作製することができる。腫瘍標的T細胞は腫瘍抗原にT細胞を曝露することで拡大することができる。
【0191】
一部の局面では、養子細胞療法において用いられる治療用細胞はキメラ抗原受容体(CAR)を発現する。CARは、一般的に、細胞外抗原結合ドメイン(scFvでもよい)、細胞外スペーサー、膜貫通ドメイン、共刺激シグナル伝達領域(この数は特定のCAR設計に応じて変化する)、およびCD3ζシグナル伝達ドメイン/エンドドメインで構成される融合タンパク質である。
【0192】
一部の局面では、養子細胞療法において用いられる治療用細胞は、腫瘍抗原を標的とする異種TCR分子である、操作されたT細胞受容体(TCR)を発現する。T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞を含む免疫細胞は、ウイルス形質導入、DNAヌクレオフェクション、およびRNAヌクレオフェクションを含む当技術分野において公知の様々な方法によってCARまたはTCRを発現するように操作することができる。CARまたはTCRと抗原標的が結合することで、CARまたはTCRを発現するヒトT細胞を活性化することができ、その結果、抗原を有する細胞の死滅または他の何らかの免疫学的応答が起こる可能性がある。
【0193】
一部の局面では、前記細胞は癌特異的CARまたはTCRを含む。CARまたはTCRポリペプチドの文脈において「癌特異的」という用語は、癌特異的分子、例えば、癌特異的抗原に対する抗原結合特異性を有するポリペプチドを指す。一部の局面では、癌特異的CARおよび別のCARは別々のポリペプチド上にある。
【0194】
B.腫瘍退縮ウイルス
一部の局面では、さらなる療法は腫瘍退縮ウイルスを含む。腫瘍退縮ウイルスは、癌細胞に優先的に感染し、癌細胞を死滅させるウイルスである。感染癌細胞が腫瘍退縮によって破壊されると、新たな感染性ウイルス粒子またはビリオンを放出して、残存している腫瘍を破壊するのを助ける。腫瘍退縮ウイルスは腫瘍細胞を直接破壊するだけでなく、長期間の免疫療法にわたって宿主抗腫瘍免疫応答を刺激するとも考えられている。
【0195】
C.多糖類
一部の局面では、さらなる療法は多糖類を含む。キノコに見出される、ある特定の化合物、主として多糖類は免疫系をアップレギュレートすることができ、抗癌特性を有することがある。例えば、レンチナンなどのβ-グルカンは、実験室での研究ではマクロファージ、NK細胞、T細胞、および免疫系サイトカインを刺激することが示されており、臨床試験では免疫アジュバントとして調べられている。
【0196】
D.新生抗原
一部の局面では、さらなる療法は新生抗原変異の標的化を含む。多くの腫瘍は変異を発現する。これらの変異は、潜在的に、T細胞免疫療法において使用するための新たな標的可能な抗原(新生抗原)を作り出す。RNA配列決定データを用いて特定された時に癌病変部におけるCD8+T細胞の存在は、遺伝子変異量が多い腫瘍の方が大きい。ナチュラルキラー細胞およびT細胞の細胞溶解活性に関連する転写物のレベルは多くのヒト腫瘍における突然変異荷重と正の相関がある。
【0197】
E.化学療法
一部の局面では、さらなる療法は化学療法を含む。適切なクラスの化学療法剤には、(a)アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロランブシル)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン、チオテパ)、アルキルスルホン酸塩(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン、シクロゾチシン、ストレプトゾシン)およびトリアジン(例えば、ジカルバジン)、(b)代謝拮抗物質、例えば、葉酸類似体(例えば、メトトレキセート)、ピリミジン類似体(例えば、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、アザウリジン)およびプリン類似体および関連材料(例えば、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、ペントスタチン)、(c)天然産物、例えば、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド、テニポシド)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、およびミトキサントロン)、酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ)、ならびに生物学的応答調節物質(例えば、インターフェロン-α)、ならびに(d)種々の薬剤、例えば、白金配位錯体(例えば、シスプラチン、カルボプラチン)、置換尿素(例えば、ヒドロキシウレア)、メチルヒジアジン誘導体(例えば、プロカルバジン)、ならびに副腎皮質抑制薬(例えば、タキソールおよびミトタン)が含まれる。一部の局面では、シスプラチンは特に適切な化学療法剤である。
【0198】
シスプラチンは、例えば、転移性の精巣癌または卵巣癌、進行性膀胱癌、頭部癌または頸部癌、子宮頚癌、肺癌、または他の腫瘍などの癌を処置するのに広く用いられてきた。シスプラチンは経口吸収されず、従って、例えば、静脈内注射、皮下注射、腫瘍内注射、または腹腔内注射などの他の経路を介して送達しなければならない。シスプラチンは単独で用いられてもよく、他の薬剤と組み合わせて用いられてもよく、合計3回の経過で3週間ごとに5日間にわたって約15mg/m2~約20mg/m2を含む臨床用途で用いられる有効用量が、ある特定の局面において意図される。一部の局面では、治療用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに機能的に連結されたEgr-1プロモーターを含む構築物と共に細胞および/または対象に送達されるシスプラチンの量は、シスプラチン単独使用時に送達される量より少ない。
【0199】
他の適切な化学療法剤には、微小管阻害剤、例えば、パクリタキセル(「タキソール」)およびドキソルビシン塩酸塩(「ドキソルビシン」)が含まれる。化学療法および/またはTNF-αに対する耐性の克服において、アデノウイルスベクターを介して送達されるEgr-1プロモーター/TNFα構築物とドキソルビシンの組み合わせが有効なことが確かめられた。このことから、この構築物とドキソルビシンを用いた併用処置はドキソルビシンとTNF-αの両方に対する耐性を克服することが示唆される。
【0200】
ドキソルビシンは吸収されにくく、好ましくは静脈内投与される。ある特定の局面では、成人に適した静脈内用量には、約21日間隔で約60mg/m2~約75mg/m2、または約3週間~約4週間の間隔で繰り返される、続けて2日間もしくは3日間の約25mg/m2~約30mg/m2、または週1回の約20mg/m2が含まれる。高齢患者において、以前の化学療法によって引き起こされる以前の骨髄抑制、もしくは新生物性骨髄浸潤がある時には、または薬物が他の骨髄造血抑制薬物と組み合わされている時には最小用量を使用しなければならない。
【0201】
ナイトロジェンマスタードは、本開示の方法において有用な別の適切な化学療法剤である。ナイトロジェンマスタードには、メクロレタミン(HN2)、シクロホスファミドおよび/またはイホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン)、ならびにクロランブシルが含まれ得るが、これに限定されない。シクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標)はMead Johnsonから入手可能であり、NEOSTAR(登録商標)はAdriaから入手可能である)は別の適切な化学療法剤である。成人に適した経口用量には、例えば、約1mg/kg/日~約5mg/kg/日が含まれ、静脈内用量には、例えば、最初に約40mg/kgから、約2日~約5日の期間にわたって分割量で約50mg/kgまで、または約7日~約10日ごとに約10mg/kg~約15mg/kg、または週2回で約3mg/kg~約5mg/kg、または約1.5mg/kg/日~約3mg/kg/日が含まれる。胃腸への悪影響があるために静脈内経路が好ましい。薬物はまた時として筋肉内投与されるか、浸潤によって投与されるか、または体腔に投与される。
【0202】
さらなる適切な化学療法剤には、ピリミジン類似体、例えば、シタラビン(シトシンアラビノシド)、5-フルオロウラシル(フルオウラシル; 5-FU)およびフロクスウリジン(フルオロド-オキシウリジン; FudR)が含まれる。5-FUは約7.5~約1000mg/m2のどの投与量でも対象に投与することができる。さらに、5-FU投与計画は様々な期間にわたるものでもよく、例えば、6週間まででもよく、本開示が属する当業者によって決定されるような期間でもよい。
【0203】
進行性および転移性の膵臓癌の処置には別の適切な化学療法剤であるゲムシタビン二リン酸(GEMZAR(登録商標)、Eli Lilly & Co.,「ゲムシタビン」)が推奨され、従って、本開示では、これらの癌に対しても有用である。
【0204】
患者に送達される化学療法剤の量は変更可能な場合がある。適切な一局面では、化学療法が構築物と共に投与される時には、化学療法剤は宿主において癌の停止または後退を引き起こすのに有効な量で投与することができる。他の局面では、化学療法剤は、化学療法剤の化学療法有効用量の1/10,000と1/2との間のどこかの量で投与することができる。例えば、化学療法剤は、化学療法剤の化学療法有効用量の約1/20、約1/500、さらには約1/5000の量で投与することができる。本開示の化学療法剤は、構築物と組み合わせた望ましい治療活性について、ならびに有効な投与量を決定するためにインビボで試験することができる。例えば、このような化合物は、ヒトでの試験前に、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギなどを含むが、これに限定されない適切な動物モデル系において試験することができる。実施例に記載のように、適切な組み合わせおよび投与量を決定するためにインビトロ試験も用いられる場合がある。
【0205】
F.放射線療法
一部の局面では、さらなる療法または前治療は電離放射線などの放射線を含む。本明細書で使用する「電離放射線」とは、電離(電子の獲得もしくは喪失)を生じるのに十分なエネルギーを有するか、または核の相互作用を介して電離(電子の獲得もしくは喪失)を生じるのに十分なエネルギーを生じることができる、粒子または光子を含む放射線を意味する。例示的な、かつ好ましい電離放射線はx線である。x線を標的組織または細胞に送達するための手段は当技術分野において周知である。
【0206】
一部の局面では、電離放射線の量は20Gy超であり、1回の投与で投与される。一部の局面では、電離放射線の量は18Gyであり、3回の投与で投与される。一部の局面では、電離放射線の量は、少なくとも、多くても、または正確に2Gy、4Gy、6Gy、8Gy、10Gy、15Gy、16Gy、17Gy、18Gy、19Gy、20Gy、21Gy、22Gy、23Gy、24Gy、25Gy、26Gy、27Gy、18Gy、19Gy、30Gy、31Gy、32Gy、33Gy、34Gy、35Gy、36Gy、37Gy、38Gy、39Gy、40Gy、41Gy、42Gy、43Gy、44Gy、45Gy、46Gy、47Gy、48Gy、49Gy、もしくは40Gy(またはその中で導き出せる任意の範囲)である。一部の局面では、電離放射線は少なくとも、多くても、または正確に1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、もしくは10回(またはその中で導き出せる任意の範囲)の線量で投与される。複数回の線量が投与される時、線量は約1時間、4時間、8時間、12時間、もしくは24時間、または1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、もしくは8日、または1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、12週間、14週間、もしくは16週間、またはその中で導き出せる任意の範囲の間隔を開けてもよい。
【0207】
一部の局面では、IRの量はIRの全線量で示されてもよく、次いで、全線量が分割線量で投与される。例えば、一部の局面では、全線量は50Gyであり、それぞれが5Gyの10の分割線量で投与される。一部の局面では、全線量は50~90Gyであり、それぞれが2~3Gyの20~60の分割線量で投与される。一部の局面では、IRの全線量は、少なくとも、多くても、または約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、125、130、135、140、もしくは150(またはその中で導き出せる任意の範囲)である。一部の局面では、全線量は、少なくとも、多くても、または正確に1Gy、2Gy、3Gy、4Gy、5Gy、6Gy、7Gy、8Gy、9Gy、10Gy、12Gy、14Gy、15Gy、20Gy、25Gy、30Gy、35Gy、40Gy、45Gy、もしくは50Gy(またはその中で導き出せる任意の範囲)の分割線量で投与される。一部の局面では、少なくとも、多くても、または正確に2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100の分割線量(またはその中で導き出せる任意の範囲)が投与される。一部の局面では、1日に、少なくとも、多くても、または正確に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12(またはその中で導き出せる任意の範囲)の分割線量が投与される。一部の局面では、1週間に、少なくとも、多くても、または正確に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30(またはその中で導き出せる任意の範囲)の分割線量が投与される。
【0208】
G.外科手術
癌にかかった人の約60%が、予防手術、診断または進行度診断のための手術、根治的手術、および姑息的手術を含む何らかの種類の外科手術を受ける。根治的手術は、癌組織の全てまたは一部が物理的に除去、切除、および/または破壊される切除を含み、本局面の処置、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法、および/または代替療法などの他の療法と共に用いられる場合がある。腫瘍切除とは腫瘍の少なくとも一部の物理的除去を指す。腫瘍切除に加えて、外科手術による処置は、レーザー手術、凍結手術、電気手術、および顕微鏡的に管理される手術(モース術)を含む。
【0209】
癌の細胞、組織、または腫瘍の一部または全てを切除すると体内に空洞が形成されることがある。処置は、その領域にさらなる抗癌療法を灌流、直接注射、または局所塗布することによって行われてもよい。このような処置は、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、もしくは7日ごとに、または1週間、2週間、3週間、4週間、および5週間ごとに、または1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、または12ヶ月ごとに繰り返されてもよい。これらの処置もまた様々な投与量の処置であり得る。
【0210】
H.他の薬剤
処置の治療効力を改善するために、本局面のある特定の局面と組み合わせて他の薬剤が用いられ得ることが意図される。これらのさらなる薬剤には、細胞表面受容体およびギャップ結合のアップレギュレーションに影響を及ぼす薬剤、細胞分裂停止剤および分化薬剤、細胞接着阻害剤、アポトーシス誘導物質に対する過剰増殖性細胞の感受性を高める薬剤、または他の生物学的薬剤が含まれる。ギャップ結合数を増やすことで細胞間シグナル伝達を増加させると、付近の過剰増殖性細胞集団に対する抗過剰増殖作用が増加するだろう。他の局面では、処置の抗過剰増殖効力を改善するために、本局面のある特定の局面と組み合わせて細胞分裂停止剤または分化薬剤を使用することができる。細胞接着阻害剤は本局面の効力を改善することが意図される。細胞接着阻害剤の例は局所接着キナーゼ(FAK)阻害剤およびロバスタチンである。処置効力を改善するために、アポトーシスに対する過剰増殖性細胞の感受性を高める他の薬剤、例えば、抗体c225を、本発明のある特定の局面と併用できることがさらに意図される。
【0211】
癌処置は、本明細書に記載の任意の癌処置を除外することがあると意図される。さらに、本開示の局面は、本明細書に記載の療法のために以前に処置されたことがある患者、本明細書に記載の療法のために現在処置されている患者、または本明細書に記載の療法のために処置されたことがない患者を含む。一部の局面では、患者は、本明細書に記載の療法に対して耐性があると確かめられたことがある患者である。一部の局面では、患者は、本明細書に記載の療法に対して感受性があると確かめられたことがある患者である。
【0212】
VII.薬学的組成物
本開示は、疾患の処置および免疫応答の調整を必要とする対象において疾患を処置するための、および免疫応答を調整するための方法を含む。本開示は、免疫応答を誘導または調整するのに使用することができる薬学的組成物の形態をとり得る細胞を含む。
【0213】
本開示に従う組成物の投与は、典型的には、任意の一般的な経路を介する投与である。これには、非経口投与、正位投与、皮内投与、皮下投与、経口投与、経皮投与、腫瘍内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、腹腔内投与、眼窩内投与、移植による投与、吸入による投与、心室内投与、脳室内投与、鼻腔内投与、静脈内注射、または腫瘍を切除した空洞への投与が含まれるが、これに限定されない。
【0214】
典型的に、本開示の組成物および療法は投与製剤と適合するやり方で、および治療に有効な、かつ免疫を調整するような量で投与される。投与される量は、処置しようとする対象に左右される。投与するのに必要な活性成分の正確な量は医師の判断に左右される。
【0215】
適用のやり方は大きく変更されてもよい。細胞成分を含む薬学的組成物を投与するためのどの従来法も適用することができる。薬学的組成物の投与量は投与経路に左右され、対象の大きさおよび健康状態に応じて変化する。
【0216】
多くの場合、多くても約3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、もしくはそれ以上、または少なくとも約3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、もしくはそれ以上の複数の投与を有することが望ましい。投与は2日~12週間間隔でもよく、通常、1週間~2週間間隔である。投与の経過の後に、アロ反応性免疫応答およびT細胞活性のアッセイが行われてもよい。
【0217】
「薬学的に許容される」または「薬理学的に許容される」という句は、動物またはヒトに投与された時に、有害反応、アレルギー反応、または他の有害な反応を生じない分子的実体および組成物を指す。本明細書で使用する「薬学的に許容される担体」は、任意の、および全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。薬学的活性物質のために、このような媒体および薬剤を使用することは当技術分野において周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性成分と適合しない場合を除いて、免疫原性組成物および治療用組成物におけるその使用が意図される。本開示の薬学的組成物は、薬学的に許容される組成物である。
【0218】
本開示の組成物は非経口投与用に処方することができる、例えば、静脈内経路、筋肉内経路、皮下経路を介した注射用に、または腹腔内経路を介した注射用でも処方することができる。典型的に、このような組成物は液体溶液または懸濁液のいずれかで注射液として調製することができる。調製物は乳化することもできる。
【0219】
注射使用に適した薬学的形態には、滅菌した水溶液または分散液;ゴマ油、ピーナッツ油、またはプロピレングリコール水溶液を含む製剤が含まれる。薬学的形態はまた製造および保管の条件下で安定でなければならず、細菌および菌類などの微生物の汚染作用から守らなくてはならない。
【0220】
滅菌注射液は、必要な量の活性成分(すなわち、本開示の細胞)を、必要に応じて上記の様々な他の成分と共に適当な溶媒中に取り込み、その後に濾過滅菌することによって調製される。一般的に、分散液は、様々な滅菌活性成分を、基本分散媒と、上記で列挙されたものに由来する必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに取り込むことによって調製される。
【0221】
組成物の有効量は所期の目的に基づいて決定される。「単位用量」または「投与量」という用語は、対象における使用に適した物理的に別個の単位を指し、それぞれの単位は、投与、すなわち、適切な経路およびレジメンに関連して本明細書において議論された望ましい応答を生じるように計算された所定量の組成物を含有する。投与される量は処置の回数および単位用量に従い、望ましい結果および/または保護に左右される。組成物の正確な量は医師の判断にも左右され、一人一人に特有のものである。用量に影響を及ぼす要因には、対象の身体状態および臨床状態、投与経路、処置の所期の目的(症状の緩和対治癒)、ならびに特定の組成物の効能、安定性、および毒性が含まれる。処方されたら、溶液は、投与製剤に適合するやり方で、かつ治療的または予防的に有効な量で投与される。製剤は、上記の注射液タイプなどの様々な剤形で容易に投与される。
【0222】
本開示の組成物および関連方法、特に、本開示の組成物の投与はまた、さらなる療法、例えば、本明細書に記載のさらなる治療剤の投与と組み合わせて、または当技術分野において公知の他の従来の治療剤と組み合わせて用いられる場合がある。
【0223】
本明細書において開示される治療用組成物および処置は数分~数週間の差で別の処置または薬剤の前に、同時に、および/または後に行われてもよい。薬剤が別々に細胞、組織、または生物に適用される局面では、一般的に、治療剤が、細胞、組織、または生物に対して有利に組み合わされた効果を発揮できるように、各送達の時間の間に重要な期間が切れないことが確保されるだろう。例えば、このような場合、細胞、組織、または生物を、2種類、3種類、4種類、またはそれより多くの薬剤または処置と実質的に同時に(すなわち、約1分未満で)接触させる場合があることが意図される。他の局面では、1種類または複数種の治療剤または処置が、別の治療剤もしくは処置を投与する前および/または別の治療剤もしくは処置を投与した後、1分以内、5分以内、10分以内、20分以内、30分以内、45分以内、60分以内、2時間以内、3時間以内、4時間以内、5時間以内、6時間以内、7時間以内、8時間以内、9時間以内、10時間以内、11時間以内、12時間以内、13時間以内、14時間以内、15時間以内、16時間以内、17時間以内、18時間以内、19時間以内、20時間以内、21時間以内、22時間以内、22時間以内、23時間以内、24時間以内、25時間以内、26時間以内、27時間以内、28時間以内、29時間以内、30時間以内、31時間以内、32時間以内、33時間以内、34時間以内、35時間以内、36時間以内、37時間以内、38時間以内、39時間以内、40時間以内、41時間以内、42時間以内、43時間以内、44時間以内、45時間以内、46時間以内、47時間以内、48時間以内、1日以内、2日以内、3日以内、4日以内、5日以内、6日以内、7日以内、8日以内、9日以内、10日以内、11日以内、12日以内、13日以内、14日以内、15日以内、16日以内、17日以内、18日以内、19日以内、20日以内、21日以内、1週間以内、2週間以内、3週間以内、4週間以内、5週間以内、6週間以内、7週間以内、もしくは8週間以内、またはそれより長い期間で、およびその中で導き出せる任意の範囲内で投与または提供されてもよい。
【0224】
処置は様々な「単位用量」を含んでもよい。単位用量は、所定量の治療用組成物を含有する量と定義される。投与される量ならびに特定の経路および処方は、臨床分野において、これらを決定する技術の範囲内である。単位用量は1回の注射で投与される必要はなく、所定の期間にわたる連続注入からなってもよい。一部の局面では、単位用量は1回の投与可能な用量を含む。
【0225】
投与される量は処置の回数および単位用量の両方に従い、望ましい処置効果に左右される。有効な用量とは、特定の効果を実現するのに必要な量を指すと理解される。ある特定の局面における実施では、10mg/kg~200mg/kgの範囲にある用量が、これらの薬剤の保護能力に影響を及ぼすことができると意図される。従って、用量は、約0.1μg/kg、0.5μg/kg、1μg/kg、5μg/kg、10μg/kg、15μg/kg、20μg/kg、25μg/kg、30μg/kg、35μg/kg、40μg/kg、45μg/kg、50μg/kg、55μg/kg、60μg/kg、65μg/kg、70μg/kg、75μg/kg、80μg/kg、85μg/kg、90μg/kg、100μg/kg、105μg/kg、110μg/kg、115μg/kg、120μg/kg、125μg/kg、130μg/kg、135μg/kg、140μg/kg、145μg/kg、150μg/kg、155μg/kg、160μg/kg、165μg/kg、170μg/kg、175μg/kg、180μg/kg、185μg/kg、190μg/kg、195μg/kg、および200μg/kg、300μg/kg、400μg/kg、500μg/kg、1000μg/kg、約0.1mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、100mg/kg、105mg/kg、110mg/kg、115mg/kg、120mg/kg、125mg/kg、130mg/kg、135mg/kg、140mg/kg、145mg/kg、150mg/kg、155mg/kg、160mg/kg、165mg/kg、170mg/kg、175mg/kg、180mg/kg、185mg/kg、190mg/kg、195mg/kg、および200mg/kg、300mg/kg、400mg/kg、500mg/kg、1000mg/kg、約0.1μg/日、0.5μg/日、1μg/日、5μg/日、10μg/日、15μg/日、20μg/日、25μg/日、30μg/日、35μg/日、40μg/日、45μg/日、50μg/日、55μg/日、60μg/日、65μg/日、70μg/日、75μg/日、80μg/日、85μg/日、90μg/日、100μg/日、105μg/日、110μg/日、115μg/日、120μg/日、125μg/日、130μg/日、135μg/日、140μg/日、145μg/日、150μg/日、155μg/日、160μg/日、165μg/日、170μg/日、175μg/日、180μg/日、185μg/日、190μg/日、195μg/日、および200μg/日、300μg/日、400μg/日、500μg/日、1000μg/日、もしくは約0.1mg/日、0.5mg/日、1mg/日、5mg/日、10mg/日、15mg/日、20mg/日、25mg/日、30mg/日、35mg/日、40mg/日、45mg/日、50mg/日、55mg/日、60mg/日、65mg/日、70mg/日、75mg/日、80mg/日、85mg/日、90mg/日、100mg/日、105mg/日、110mg/日、115mg/日、120mg/日、125mg/日、130mg/日、135mg/日、140mg/日、145mg/日、150mg/日、155mg/日、160mg/日、165mg/日、170mg/日、175mg/日、180mg/日、185mg/日、190mg/日、195mg/日、および200mg/日、300mg/日、400mg/日、500mg/日、1000mg/日の範囲、またはその中で導き出せる任意の範囲の用量を含むことが意図される。さらに、このような用量は、1日の間に、および/または何日も、何週間も、もしくは何ヶ月もわたって複数回投与することができる。
【0226】
一部の局面では、ヒトに投与される、免疫チェックポイント阻害剤、例えば、抗体および/または微生物モジュレーターの治療的に有効な、または治療的に十分な量は、1回の投与でも複数回の投与でも約0.01~約50mg/kg患者体重の範囲である。一部の局面では、使用される療法は、例えば、1日に約0.01~約45mg/kg、約0.01~約40mg/kg、約0.01~約35mg/kg、約0.01~約30mg/kg、約0.01~約25mg/kg、約0.01~約20mg/kg、約0.01~約15mg/kg、約0.01~約10mg/kg、約0.01~約5mg/kg、または約0.01~約1mg/kgが投与される。一局面では、本明細書に記載の療法は、21日サイクルの1日目に、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、または約1400mgの用量で対象に投与される。前記用量は単一用量として投与されてもよく、注入などの複数用量(例えば、2または3つの用量)として投与されてもよい。この療法の進行は従来技法によって簡単にモニタリングされる。
【0227】
ある特定の局面では、薬学的組成物の有効用量は、約1μM~150μMの血中濃度をもたらすことができる用量である。別の局面では、有効な用量は、約4μM~100μM.;もしくは約1μM~100μM;もしくは約1μM~50μM;もしくは約1μM~40μM;もしくは約1μM~30μM;もしくは約1μM~20μM;もしくは約1μM~10μM;もしくは約10μM~150μM;もしくは約10μM~100μM;もしくは約10μM~50μM;もしくは約25μM~150μM;もしくは約25μM~100μM;もしくは約25μM~50μM;もしくは約50μM~150μM;もしくは約50μM~100μM(またはその中で導き出せる任意の範囲)の血中濃度をもたらす。他の局面では、前記用量は、対象に投与されている治療剤に起因する、以下の薬剤血中濃度:約1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、16μM、17μM、18μM、19μM、20μM、21μM、22μM、23μM、24μM、25μM、26μM、27μM、28μM、29μM、30μM、31μM、32μM、33μM、34μM、35μM、36μM、37μM、38μM、39μM、40μM、41μM、42μM、43μM、44μM、45μM、46μM、47μM、48μM、49μM、50μM、51μM、52μM、53μM、54μM、55μM、56μM、57μM、58μM、59μM、60μM、61μM、62μM、63μM、64μM、65μM、66μM、67μM、68μM、69μM、70μM、71μM、72μM、73μM、74μM、75μM、76μM、77μM、78μM、79μM、80μM、81μM、82μM、83μM、84μM、85μM、86μM、87μM、88μM、89μM、90μM、91μM、92μM、93μM、94μM、95μM、96μM、97μM、98μM、99μM、もしくは100μM、またはその中で導き出せる任意の範囲、少なくとも約1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、16μM、17μM、18μM、19μM、20μM、21μM、22μM、23μM、24μM、25μM、26μM、27μM、28μM、29μM、30μM、31μM、32μM、33μM、34μM、35μM、36μM、37μM、38μM、39μM、40μM、41μM、42μM、43μM、44μM、45μM、46μM、47μM、48μM、49μM、50μM、51μM、52μM、53μM、54μM、55μM、56μM、57μM、58μM、59μM、60μM、61μM、62μM、63μM、64μM、65μM、66μM、67μM、68μM、69μM、70μM、71μM、72μM、73μM、74μM、75μM、76μM、77μM、78μM、79μM、80μM、81μM、82μM、83μM、84μM、85μM、86μM、87μM、88μM、89μM、90μM、91μM、92μM、93μM、94μM、95μM、96μM、97μM、98μM、99μM、もしくは100μM、またはその中で導き出せる任意の範囲、あるいは多くても約1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、16μM、17μM、18μM、19μM、20μM、21μM、22μM、23μM、24μM、25μM、26μM、27μM、28μM、29μM、30μM、31μM、32μM、33μM、34μM、35μM、36μM、37μM、38μM、39μM、40μM、41μM、42μM、43μM、44μM、45μM、46μM、47μM、48μM、49μM、50μM、51μM、52μM、53μM、54μM、55μM、56μM、57μM、58μM、59μM、60μM、61μM、62μM、63μM、64μM、65μM、66μM、67μM、68μM、69μM、70μM、71μM、72μM、73μM、74μM、75μM、76μM、77μM、78μM、79μM、80μM、81μM、82μM、83μM、84μM、85μM、86μM、87μM、88μM、89μM、90μM、91μM、92μM、93μM、94μM、95μM、96μM、97μM、98μM、99μM、もしくは100μM、またはその中で導き出せる任意の範囲をもたらすことができる。ある特定の局面では、対象に投与される治療剤は体内で代謝されて、代謝された治療剤になり、この場合、血中濃度は、その薬剤の量を指すことがある。または、治療剤が対象によって代謝されない程度まで、本明細書において議論される血中濃度は、未代謝の治療剤を指すことがある。
【0228】
治療用組成物の正確な量は医師の判断にも左右され、一人一人に特有のものである。用量に影響を及ぼす要因には、患者の身体状態および臨床状態、投与経路、処置の所期の目的(症状の緩和対治癒)、ならびに特定の治療用物質または対象が受けている可能性がある他の療法の効能、安定性、および毒性が含まれる。
【0229】
μg/kg体重またはmg/kg体重の投与単位が、μg/mlまたはmM(血中濃度)、例えば、4μM~100μMの比較可能な濃度単位で換算および表現することができると当業者により理解され、気付かされる。取り込みは種依存性および臓器/組織依存性であることも理解される。適用可能な換算係数ならびに取り込みと濃度の測定に関して立てられる生理学的な仮説は周知であり、当業者が、ある濃度測定値を別の濃度測定値に換算し、本明細書に記載の用量、効力、および結果に関する妥当な比較および結論を下すことを可能にするだろう。
【0230】
VIII.治療方法
本開示の組成物はインビボ投与に用いられてもよく、インビトロ投与に用いられてもよく、エクスビボ投与に用いられてもよい。前記組成物の投与経路は、例えば、皮内投与、皮下投与、静脈内投与、局所投与、局部投与、および腹腔内投与でもよい。
【0231】
一部の局面では、開示される方法は、癌を処置するための方法に関する。癌は固形腫瘍、転移癌、または非転移癌でもよい。ある特定の局面では、癌はグリア芽細胞腫であり、再発性の、転移性の、再燃性の、またはステージI、II、III、もしくはIVの癌でもよい。
【0232】
IX.配列
本開示の方法および組成物において有用な例となるキメラポリペプチドおよびCAR分子のアミノ酸配列を以下の表1に示した。
【実施例
【0233】
X.実施例
以下の実施例は、本開示の好ましい局面および態様を証明するために含まれる。以下の実施例に開示される技法は、本開示の実施において良好に機能すると本発明者によって発見された技法であり、従って、本開示を実施するための、好ましい態様を構成するとみなすことができると当業者に理解されるはずである。しかしながら、本開示を考慮すれば、開示された特定の態様に多くの変更を加えることができ、なおさらに、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、同様のまたは類似の結果が得られることが当業者に理解されるはずである。本実施例は、決して、限定するものであると解釈してはならない。引用された全ての参考文献(本願全体を通して引用される文献、発行された特許、公開された特許出願、およびGenBankアクセッション番号を含む)の内容が参照により本明細書に明確に組み入れられる。参照により本明細書に組み入れられる文書の中にある用語の定義が、本明細書において用いられる用語の定義と矛盾する場合、本明細書において用いられる用語が適用される。
【0234】
実施例1:多重特異性キメラ抗原受容体を用いた多形性神経膠芽腫の処置
多形性神経膠芽腫(GBM)は成人において最も一般的なタイプの原発性脳腫瘍であり、過去数十年にわたって生存期間の中央値は診断時から12~16ヶ月のままであった。外科手術、化学療法、および放射線などの従来療法はほぼ決まって腫瘍根絶に失敗し、その結果として数週間以内または数ヶ月以内に再発が起こる。その結果、GBMは、養子T細胞療法などの新たな治療選択肢を求める活発な研究分野であった。今までのところ、GBMに対するT細胞療法の効力を2つの大きな課題が制限してきた。第1に、GBMの腫瘍微小環境は強い免疫抑制性を示し、腫瘍成長の促進とT細胞機能の強力な抑制を同時に行う高レベルのトランスフォーミング成長因子β(TGF-β)を特徴とする。第2に、GBM腫瘍の抗原発現は高度に不均質であり、従って、1種類の抗原しか標的としないように操作されているT細胞は、概して、存在する全ての腫瘍細胞を認識および根絶することができない。
【0235】
本発明者らは、GBM関連表面抗原の標的化と、免疫抑制性サイトカインから、操作されたT細胞に対する強力な刺激剤へのTGF-βの変換を同時に行うことができる二重特異性キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞を用いることによってGBMに対する養子T細胞療法の2つの大きな課題を克服しようと計画している。重要なことに、TGF-βCARは(TGF-βリガンドへの結合において内因性TGF-β受容体と競合することで)内因性TGF-βシグナル伝達を阻害し、可溶性TGF-βと固定化TGF-βの両方の存在下でT細胞活性化を誘発することができる。この考えは、CAR-T細胞のTGF-β変換機能が腫瘍微小環境を改変し、従って、操作されたT細胞と内因性免疫細胞の両方の抗腫瘍機能を促すことができる可能性があるという考えである。
【0236】
本発明者らは、TGF-β+IL-13Rα2と、脳腫瘍細胞表面に見出される抗原に同時に応答する一連の二重特異性CARを構築した。具体的に述べると、本発明者らは、以下の二重特異性CARを構築した。
【0237】
構築物は全て、タンパク質のN末端からC末端にかけて、以下の成分:ネズミκ鎖シグナル配列、それぞれが(Gly4Ser1)x4によって隔てられている結合ドメイン、IgG4ヒンジ、CD28膜貫通ドメイン、およびCD3ζ細胞質ドメインを含有する。一部のCARは、膜貫通ドメインとCD3ζドメインとの間にCD28細胞質ドメインを含有する。他のCARは、CD28細胞質ドメインの代わりに4-1BB細胞質ドメインを含有する。
【0238】
上記の構築物7、14、および15は、シングルインプットIL-13Rα2 CARと、細胞質ドメインが無いTGF-β受容体鎖2であるドミナントネガティブTGF-β受容体(DNR)を同時発現する。これらの構築物は、IL-13Rα2/TGF-β二重特異性CARと比較するために対照として構築した。
【0239】
IL-13ムテインのN末端にSPジペプチドまたはLTCLGGFASP(「完全」)ポリペプチドのいずれかを有する1パネルのシングルインプットIL-13Rα2または二重特異性IL-13Rα2/TGF-βCARを用いてT細胞を形質導入した。抗体染色による表面検出を可能にするために、それぞれのCARをN末端FLAGタグと融合させた。培養して7日目に、FLAG-タグ化CARが表面発現しているかどうか、形質導入されたT細胞を染色した。N末端SP対完全N末端を有するIL-13ムテインについてCAR発現の相対強度は構築物依存的であった。トリプリケートの平均を示した。エラーバーは±1標準偏差を示す(図1)。
【0240】
抗原に応答してCARがシグナル伝達するかどうか評価するために、CAR-T細胞を、培地単独で、または5ng/mL組換えヒトTGF-β1もしくはIL-13Rα2+PBT106ニューロスフェアの存在下で21時間培養した。その後に、CD69(図2A)、CD25(図2B)、およびFLAG(図2C,D)が表面発現しているかどうかT細胞を染色した。シングルインプットIL-13Rα2と二重特異性IL-13Rα2/TGF-β CAR-T細胞は両方とも抗原発現PBT106腫瘍細胞によって強力に活性化されたのに対して、CD69およびCD25のアップレギュレーションならびに表面FLAG発現のダウンレギュレーションにより証明されるようにTGF-βでは二重特異性IL-13Rα2/TGF-βCARしか活性化されない(図2A~D)。さらに、N末端SPを有するCARは、完全IL-13ムテインN末端を有するCARと比較して大きなCD25アップレギュレーションを付与した。このことから、IL-13ムテインの短いSP N末端は完全N末端と比較して優れた機能性を付与することが示唆される。トリプリケートの平均を示した。エラーバーは±1標準偏差を示す。
【0241】
インビトロで抗腫瘍機能を評価するために、CAR-T細胞をCellTraceViolet(CTV)色素で標識し、示されたE:T比でIL13Rα2+PBT106ニューロスフェアと4日間同時培養した。生存可能な腫瘍細胞数(図3A,B)、生存可能なT細胞数(図3C)、生存可能なCAR+T細胞数(図3D)、全T細胞間でのCTV希釈度(図3E)、およびCAR+T細胞間でのCTV希釈度(図3F)を定量するためにフローサイトメトリーを行った。図3B図3Aと同じデータを示すが、はっきりと視覚化するためにscFvレスCAR条件が取り除かれている。IL-13ムテインのN末端SPを有するCARは、完全IL-13ムテインN末端を有するCARと比較して強力な腫瘍細胞死滅と、(CTV希釈度によって評価される)大きなT細胞増殖を付与した。トリプリケートの平均を示した。エラーバーは±1標準偏差を示す(図3)。
【0242】
本明細書において開示および主張される方法は全て、本開示を考慮すれば過度の実験なく作製および実施することができる。好ましい態様の点から本開示の組成物および方法が説明されたが、本開示の概念、精神、および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法ならびに方法の工程または工程の順序に変更を加えることができることは当業者に明らかである。より具体的には、本明細書に記載の薬剤の代わりに、化学的および生理学的に関連している、ある特定の薬剤を使用することができ、同時に、同じ結果または類似する結果が得られることは明らかである。当業者に明らかな、このような全ての類似の代用および修正は、添付の特許請求の範囲により定義される本開示の精神、範囲、および概念の範囲内と考えられる。
【0243】
本願において列挙された参考文献は、例示的な手順の詳細または本明細書に記載のものを補足する他の詳細を示す程度まで、参照により本明細書に特に組み入れられる。
【0244】
参考文献
以下の参考文献、および本明細書全体を通して言及される刊行物は、例示的な手順の詳細または本明細書に記載のものを補足する他の詳細を示す程度まで、参照により本明細書に特に組み入れられる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-09-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
[本発明1001]
SEQ ID NO:4または20のアミノ酸配列を有するIL13ポリペプチドと、グリア芽細胞腫抗原結合領域と、ペプチドスペーサーと、膜貫通ドメインと、共刺激領域および1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質領域とを含む多重特異性キメラ抗原受容体を含むポリペプチドであって、グリア芽細胞腫抗原結合領域がGD2結合領域またはEGFRvIII結合領域を含む、ポリペプチド。
[本発明1002]
グリア芽細胞腫抗原結合領域がGD2結合領域を含む、本発明1001のポリペプチド。
[本発明1003]
GD2結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有する抗GD2 scFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:46のVHに由来するHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:47のVLに由来するLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、本発明1002のポリペプチド。
[本発明1004]
GD2結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有する抗GD2 scFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:48(HCDR1)、SEQ ID NO:49(HCDR2)、およびSEQ ID NO:50(HCDR3)を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:51(LCDR1)、SEQ ID NO:52(LCDR2)、およびSEQ ID NO:53(LCDR3)を含む、本発明1002または1003のポリペプチド。
[本発明1005]
GD2結合領域が、SEQ ID NO:46に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:47に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む、本発明1002~1004のいずれかのポリペプチド。
[本発明1006]
GD2結合領域が、SEQ ID NO:46のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:47のアミノ酸配列を有するVLを含む、本発明1005のポリペプチド。
[本発明1007]
GD2結合領域が、SEQ ID NO:26に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗GD2 scFvを含む、本発明1001~1006のいずれかのポリペプチド。
[本発明1008]
GD2結合領域が、SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を有する抗GD2 scFvを含む、本発明1007のポリペプチド。
[本発明1009]
グリア芽細胞腫抗原結合領域がEGFRvIII結合領域を含む、本発明1001のポリペプチド。
[本発明1010]
EGFRvIII結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有する抗EGFRvIII scFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:38のVHに由来するHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:39のVLに由来するLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、本発明1009のポリペプチド。
[本発明1011]
EGFRvIII結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有する抗EGFRvIII scFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:40(HCDR1)、SEQ ID NO:41(HCDR2)、およびSEQ ID NO:42(HCDR3)を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:43(LCDR1)、SEQ ID NO:44(LCDR2)、およびSEQ ID NO:45(LCDR3)を含む、本発明1009または1010のポリペプチド。
[本発明1012]
EGFRvIII結合領域が、SEQ ID NO:38に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVHおよび/またはSEQ ID NO:39に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む、本発明1009~1011のいずれかのポリペプチド。
[本発明1013]
EGFRvIII結合領域が、SEQ ID NO:38のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:39のアミノ酸配列を有するVLを含む、本発明1012のポリペプチド。
[本発明1014]
EGFRvIII結合領域が、SEQ ID NO:27に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗EGFRvIII scFvを含む、本発明1009~1013のいずれかのポリペプチド。
[本発明1015]
EGFRvIII結合領域が、SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を有する抗EGFRvIII scFvを含む、本発明1014のポリペプチド。
[本発明1016]
CARが、アミノ近位端からカルボキシ近位端の順で、IL13ポリペプチドと、グリア芽細胞腫抗原結合領域と、ペプチドスペーサーと、膜貫通ドメインと、共刺激領域および1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質領域とを含む、本発明1001~1015のいずれかのポリペプチド。
[本発明1017]
IL13ポリペプチドとグリア芽細胞腫抗原結合領域の間にリンカーを含む、本発明1001~1016のいずれかのポリペプチド。
[本発明1018]
TGF-β結合領域を含む三重特異性CARを含む、本発明1001~1017のいずれかのポリペプチド。
[本発明1019]
CARが、アミノ近位端からカルボキシ近位端の順で、IL13ポリペプチドと、グリア芽細胞腫抗原結合領域と、TGF-β結合領域と、ペプチドスペーサーと、膜貫通ドメインと、共刺激領域および1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質領域とを含む、本発明1018のポリペプチド。
[本発明1020]
グリア芽細胞腫抗原結合領域またはIL13ポリペプチドとTGF-β結合領域との間にリンカーを含む、本発明1018または1019のポリペプチド。
[本発明1021]
前記リンカーがグリシンおよびセリンアミノ酸を含む、本発明1017~1020のいずれかのポリペプチド。
[本発明1022]
前記リンカーが、SEQ ID NO:10もしくは28のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、またはSEQ ID NO:10もしくは28のアミノ酸配列を有するポリペプチドからなる、本発明1021のポリペプチド。
[本発明1023]
SEQ ID NO:4または20のアミノ酸配列を有するIL13ポリペプチドと、TGF-β結合領域と、ペプチドスペーサーと、膜貫通ドメインと、共刺激領域および1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質領域とを含む多重特異性キメラ抗原受容体(CAR)を含む、ポリペプチド。
[本発明1024]
グリア芽細胞腫抗原結合領域と、TGF-β結合領域と、ペプチドスペーサーと、膜貫通ドメインと、共刺激領域および1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質領域とを含む多重特異性キメラ抗原受容体(CAR)を含むポリペプチドであって、グリア芽細胞腫抗原結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有する抗GD2 scFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:46のVHに由来するHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:47のVLに由来するLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、ポリペプチド。
[本発明1025]
抗GD2 scFvが可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を含み、VH領域がSEQ ID NO:48(HCDR1)、SEQ ID NO:49(HCDR2)、およびSEQ ID NO:50(HCDR3)を含み、かつVL領域がSEQ ID NO:51(LCDR1)、SEQ ID NO:52(LCDR2)、およびSEQ ID NO:53 (LCDR3)を含む、本発明1024のポリペプチド。
[本発明1026]
GD2結合領域が、SEQ ID NO:46に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:47に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む、本発明1024または1025のポリペプチド。
[本発明1027]
GD2結合領域が、SEQ ID NO:46のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:47のアミノ酸配列を有するVLを含む、本発明1026のポリペプチド。
[本発明1028]
GD2結合領域が、SEQ ID NO:26に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗GD2 scFvを含む、本発明1024~1027のいずれかのポリペプチド。
[本発明1029]
GD2結合領域が、SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を有する抗GD2 scFvを含む、本発明1028のポリペプチド。
[本発明1030]
グリア芽細胞腫抗原結合領域と、TGF-β結合領域と、ペプチドスペーサーと、膜貫通ドメインと、共刺激領域および1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質領域とを含む多重特異性キメラ抗原受容体(CAR)を含むポリペプチドであって、グリア芽細胞腫抗原結合領域がEGFRvIII結合領域を含む、ポリペプチド。
[本発明1031]
EGFRvIII結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有する抗EGFRvIII scFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:38のVHに由来するHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:39のVLに由来するLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、本発明1030のポリペプチド。
[本発明1032]
EGFRvIII結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有する抗EGFRvIII scFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:40(HCDR1)、SEQ ID NO:41(HCDR2)、およびSEQ ID NO:42(HCDR3)を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:43(LCDR1)、SEQ ID NO:44(LCDR2)、およびSEQ ID NO:45(LCDR3)を含む、本発明1030または1031のポリペプチド。
[本発明1033]
EGFRvIII結合領域が、SEQ ID NO:38に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:39に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む、本発明1030~1032のいずれかのポリペプチド。
[本発明1034]
EGFRvIII結合領域が、SEQ ID NO:38のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:39のアミノ酸配列を有するVLを含む、本発明1033のポリペプチド。
[本発明1035]
EGFRvIII結合領域が、SEQ ID NO:27に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗EGFRvIII scFvを含む、本発明1030~1034のいずれかのポリペプチド。
[本発明1036]
EGFRvIII結合領域が、SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を有する抗EGFRvIII scFvを含む、本発明1035のポリペプチド。
[本発明1037]
TGF-β結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:29のVHに由来するHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:30のVLに由来するLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、本発明1018~1036のいずれかのポリペプチド。
[本発明1038]
TGF-β結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:31(HCDR1)、SEQ ID NO:32(HCDR2)、およびSEQ ID NO:33(HCDR3)を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:34(LCDR1)、SEQ ID NO:35(LCDR2)、およびSEQ ID NO:36(LCDR3)を含む、本発明1018~1037のいずれかのポリペプチド。
[本発明1039]
scFvがVH領域とVL領域の間にリンカーを含む、本発明1018~1038のいずれかのポリペプチド。
[本発明1040]
前記リンカーがグリシンおよびセリンアミノ酸残基を含む、本発明1039のポリペプチド。
[本発明1041]
前記リンカーが、SEQ ID NO:10もしくは28のアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:10もしくは28のアミノ酸配列からなる、本発明1040のポリペプチド。
[本発明1042]
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:29に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/または SEQ ID NO:30に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む、本発明1023~1041のいずれかのポリペプチド。
[本発明1043]
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:30のアミノ酸配列を有するVLを含む、本発明1042のポリペプチド。
[本発明1044]
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:11に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗TGF-β scFvを含む、本発明1023~1043のいずれかのポリペプチド。
[本発明1045]
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有する抗TGF-β scFvを含む、本発明1044のポリペプチド。
[本発明1046]
少なくとも1つの抗原結合領域と、第2のペプチドスペーサーと、第2の膜貫通ドメインと、第2の共刺激領域および第2の1次細胞内シグナル伝達ドメインを含む第2の細胞質領域とを含む第2のキメラ抗原受容体をさらに含む、本発明1001~1045のいずれかのポリペプチド。
[本発明1047]
第2のCARが単一特異性CARまたは多重特異性CARである、本発明1046のポリペプチド。
[本発明1048]
第2のCARが、TGF-βに対する抗原結合領域を含む、本発明1046または1047のポリペプチド。
[本発明1049]
TGF-β結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:29のVHに由来するHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:30のVLに由来するLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、本発明1048のポリペプチド。
[本発明1050]
TGF-β結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:31(HCDR1)、SEQ ID NO:32(HCDR2)、およびSEQ ID NO:33(HCDR3)を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:34(LCDR1)、SEQ ID NO:35(LCDR2)、およびSEQ ID NO:36(LCDR3)を含む、本発明1048または1049のポリペプチド。
[本発明1051]
scFvがVH領域とVL領域の間にリンカーを含む、本発明1049または1050のポリペプチド。
[本発明1052]
前記リンカーがグリシンおよびセリンアミノ酸残基を含む、本発明1051のポリペプチド。
[本発明1053]
前記リンカーが、SEQ ID NO:10のアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:10のアミノ酸配列からなる、本発明1052のポリペプチド。
[本発明1054]
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:29に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/または SEQ ID NO:30に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む、本発明1048~1053のいずれかのポリペプチド。
[本発明1055]
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を有するVH、および/または SEQ ID NO:30のアミノ酸配列を有するVLを含む、本発明1054のポリペプチド。
[本発明1056]
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:11に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗TGF-β scFvを含む、本発明1048~1055のいずれかのポリペプチド。
[本発明1057]
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有する抗TGF-β scFvを含む、本発明1056のポリペプチド。
[本発明1058]
第1のCARおよび第2のCARが1つまたは複数のペプチド切断部位によって隔てられている、本発明1046~1056のいずれかのポリペプチド。
[本発明1059]
1つまたは複数の切断部位が2A切断部位を含む、本発明1058のポリペプチド。
[本発明1060]
2A切断部位が、P2A、F2A、E2A、またはT2A切断部位の1つまたは複数を含む、本発明1059のポリペプチド。
[本発明1061]
切断部位が、SEQ ID NO:24のアミノ酸配列を有するかまたはSEQ ID NO:24に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するT2A切断部位を含む、本発明1060のポリペプチド。
[本発明1062]
ペプチドスペーサーが抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間にあり、かつ/または第2のペプチドスペーサーが第2のCARの抗原結合ドメインと第2の膜貫通ドメインの間にある、本発明1001~1061のいずれかのポリペプチド。
[本発明1063]
ペプチドスペーサーまたは第2のペプチドスペーサーがIgG4ヒンジ領域を含む、本発明1001~1062のいずれかのポリペプチド。
[本発明1064]
IgG4ヒンジ領域が、SEQ ID NO:12または5に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、本発明1063のペプチドスペーサー。
[本発明1065]
IgG4ヒンジ領域が、SEQ ID NO:12または5のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、本発明1064のペプチドスペーサー。
[本発明1066]
ペプチドスペーサーまたは第2のペプチドスペーサーがIgG4 CH2およびCH3領域を含むか、またはIgG4 CH2およびCH3領域をさらに含む、本発明1001~1065のいずれかのポリペプチド。
[本発明1067]
IgG4 CH2およびCH3領域が、SEQ ID NO:37に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、本発明1066のポリペプチド。
[本発明1068]
IgG4 CH2およびCH3領域が、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、本発明1064のペプチドスペーサー。
[本発明1069]
膜貫通ドメインまたは第2の膜貫通ドメインが、CD28タンパク質に由来する膜貫通ドメインを含む、本発明1001~1068のいずれかのポリペプチド。
[本発明1070]
膜貫通ドメインまたは第2の膜貫通ドメインが、SEQ ID NO:6に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する膜貫通ドメインを含む、本発明1001~1069のいずれかのポリペプチド。
[本発明1071]
膜貫通ドメインまたは第2の膜貫通ドメインがSEQ ID NO:6のアミノ酸配列を有する膜貫通ドメインを含む、本発明1001~1070のいずれかのポリペプチド。
[本発明1072]
共刺激領域または第2の共刺激領域が、4-1BBタンパク質に由来する共刺激領域またはCD28タンパク質に由来する共刺激領域を含む、本発明1001~1071のいずれかのポリペプチド。
[本発明1073]
共刺激領域または第2の共刺激領域が、SEQ ID NO:7、14、または18に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する共刺激領域を含む、本発明1001~1072のいずれかのポリペプチド。
[本発明1074]
共刺激領域または第2の共刺激領域が、SEQ ID NO:7、14、または18のアミノ酸配列を有する共刺激領域を含む、本発明1001~1073のいずれかのポリペプチド。
[本発明1075]
1次細胞内シグナル伝達ドメインまたは第2の1次細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ζタンパク質に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む、本発明1001~1074のいずれかのポリペプチド。
[本発明1076]
1次細胞内シグナル伝達ドメインまたは第2の1次細胞内シグナル伝達ドメインが、SEQ ID NO:8または15に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む、本発明1001~1075のいずれかのポリペプチド。
[本発明1077]
1次細胞内シグナル伝達ドメインまたは第2の1次細胞内シグナル伝達ドメインが、SEQ ID NO:8または15のアミノ酸配列を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む、本発明1001~1076のいずれかのポリペプチド。
[本発明1078]
1つまたは複数の分子タグをさらに含む、本発明1001~1077のいずれかのポリペプチド。
[本発明1079]
1つまたは複数の分子タグがFLAGタグおよび/またはHAタグを含む、本発明1078のポリペプチド。
[本発明1080]
CARおよび/または第2のCARが膜貫通ドメインと細胞質領域の間にねじれリンカーを含む、本発明1001~1079のいずれかのポリペプチド。
[本発明1081]
ねじれリンカーが、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個のアミノ酸残基を含む、本発明1080のポリペプチド。
[本発明1082]
アミノ酸残基がアラニン残基を含むか、またはアラニン残基からなる、本発明1081のポリペプチド。
[本発明1083]
ねじれリンカーが2個または4個のアラニン残基からなる、本発明1082のポリペプチド。
[本発明1084]
SEQ ID NO:136~147の1つを含むか、またはSEQ ID NO:136~147の1つに対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、本発明1001~1083のいずれかのポリペプチド。
[本発明1085]
1つまたは複数のシグナル配列をさらに含む、本発明1001~1084のいずれかのポリペプチド。
[本発明1086]
シグナル配列が、SEQ ID NO:2に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、本発明1085のポリペプチド。
[本発明1087]
シグナル配列がSEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含む、本発明1086のポリペプチド。
[本発明1088]
本発明1001~1087のいずれかのポリペプチドをコードする、単離された核酸。
[本発明1089]
発現構築物である、本発明1088の核酸。
[本発明1090]
発現構築物がウイルスベクターである、本発明1089の核酸。
[本発明1091]
ウイルスベクターがレトロウイルスベクター、レトロウイルス由来ベクターを含む、本発明1090の核酸。
[本発明1092]
ウイルスベクターがレンチウイルスベクターまたはレンチウイルス由来ベクターである、本発明1091の核酸。
[本発明1093]
本発明1001~1087のいずれかのポリペプチドをコードする配列を含む、レンチウイルスベクター。
[本発明1094]
本発明1088~1093のいずれかの核酸を含む、細胞。
[本発明1095]
ウイルスベクターが細胞ゲノムに組み込まれている、本発明1094の細胞。
[本発明1096]
第2のCARをコードする第2の核酸をさらに含む、本発明1094または1095の細胞。
[本発明1097]
第2のCARが単一特異性CARまたは多重特異性CARである、本発明1096の細胞。
[本発明1098]
第2のCARが、TGF-βに対する抗原結合領域を含む、本発明1096または1097の細胞。
[本発明1099]
TGF-β結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:29のVHに由来するHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:30のVLに由来するLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、本発明1098の細胞。
[本発明1100]
TGF-β結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:31(HCDR1)、SEQ ID NO:32(HCDR2)、およびSEQ ID NO:33(HCDR3)を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:34(LCDR1)、SEQ ID NO:35(LCDR2)、およびSEQ ID NO:36(LCDR3)を含む、本発明1098または1099の細胞。
[本発明1101]
scFvがVH領域とVL領域の間にリンカーを含む、本発明1099または1100の細胞。
[本発明1102]
前記リンカーがグリシンおよびセリンアミノ酸残基を含む、本発明1101の細胞。
[本発明1103]
前記リンカーが、SEQ ID NO:10もしくは28のアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:10もしくは28のアミノ酸配列からなる、本発明1102の細胞。
[本発明1104]
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:29に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:30に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む、本発明1098~1103のいずれかの細胞。
[本発明1105]
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:30のアミノ酸配列を有するVLを含む、本発明1098~1104のいずれかの細胞。
[本発明1106]
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:11に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗TGF-β scFvを含む、本発明1098~1105のいずれかの細胞。
[本発明1107]
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有する抗TGF-β scFvを含む、本発明1106の細胞。
[本発明1108]
第2のCARが、EGFRvIIIに対する抗原結合領域を含む、本発明1096~1107のいずれかの細胞。
[本発明1109]
第2のCARが、GD2に対する抗原結合領域を含む、本発明1096~1108のいずれかの細胞。
[本発明1110]
エクスビボである、本発明1094~1099のいずれかの細胞。
[本発明1111]
本発明1001~1087のいずれかのポリペプチドを発現する、細胞。
[本発明1112]
第2のCARを含む第2のポリペプチドをさらに含む、本発明1111の細胞。
[本発明1113]
第2のCARが単一特異性CARまたは多重特異性CARである、本発明1112の細胞。
[本発明1114]
第2のCARが、TGF-βに対する抗原結合領域を含む、本発明1112または1113の細胞。
[本発明1115]
TGF-β結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:29のVHに由来するHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:30のVLに由来するLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、本発明1114の細胞。
[本発明1116]
TGF-β結合領域が、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するscFvを含み、VH領域が、SEQ ID NO:31(HCDR1)、SEQ ID NO:32(HCDR2)、およびSEQ ID NO:33(HCDR3)を含み、かつVL領域が、SEQ ID NO:34(LCDR1)、SEQ ID NO:35(LCDR2)、およびSEQ ID NO:36(LCDR3)を含む、本発明1114または1115の細胞。
[本発明1117]
scFvがVH領域とVL領域の間にリンカーを含む、本発明1115または1116の細胞。
[本発明1118]
前記リンカーがグリシンおよびセリンアミノ酸残基を含む、本発明1117の細胞。
[本発明1119]
前記リンカーが、SEQ ID NO:10もしくは28のアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:10もしくは28のアミノ酸配列からなる、本発明1118の細胞。
[本発明1120]
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:29に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:30に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するVLを含む、本発明1114~1119のいずれかの細胞。
[本発明1121]
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を有するVH、および/またはSEQ ID NO:30のアミノ酸配列を有するVLを含む、本発明1114~1120のいずれかの細胞。
[本発明1122]
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:11に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する抗TGF-β scFvを含む、本発明1114~1121のいずれかの細胞。
[本発明1123]
TGF-β結合領域が、SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有する抗TGF-β scFvを含む、本発明1122の細胞。
[本発明1124]
第2のCARが、EGFRvIIIに対する抗原結合領域を含む、本発明1112~1123のいずれかの細胞。
[本発明1125]
第2のCARが、GD2に対する抗原結合領域を含む、本発明1112~1124のいずれかの細胞。
[本発明1126]
T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT)、インバリアントナチュラルキラーT細胞(iNKT)、幹細胞、リンパ球前駆細胞、末梢血単核球(PBMC)、骨髄細胞、胎児肝臓細胞、胚性幹細胞、造血幹細胞もしくは前駆細胞(HSPC)、臍帯血細胞、または人工多能性幹細胞(iPS細胞)である、本発明1094~1125のいずれかの細胞。
[本発明1127]
T細胞またはNK細胞である、本発明1126の細胞。
[本発明1128]
T細胞がナイーブメモリーT細胞を含む、本発明1127の細胞。
[本発明1129]
ナイーブメモリーT細胞がCD4+T細胞またはCD8+T細胞を含む、本発明1128の細胞。
[本発明1130]
本発明1123~1129のいずれかの細胞のいずれかを含む、細胞集団。
[本発明1131]
前記集団が10 3 ~10 8 個の細胞を含む、本発明1130の細胞集団。
[本発明1132]
本発明1130または1131の細胞集団を含む組成物であって、薬学的に許容される製剤である、組成物。
[本発明1133]
本発明1088~1093のいずれかの核酸を細胞に導入する工程を含む、ポリペプチドを発現する細胞を作製する方法。
[本発明1134]
前記細胞が前記ポリペプチドをコードするウイルスに感染している、本発明1133の方法。
[本発明1135]
前記ウイルスがレンチウイルスまたはレンチウイルス由来ウイルスもしくはベクターを含む、本発明1134の方法。
[本発明1136]
前記細胞が、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT)、インバリアントナチュラルキラーT細胞(iNKT)、幹細胞、リンパ球前駆細胞、末梢血単核球(PBMC)、骨髄細胞、胎児肝臓細胞、胚性幹細胞、臍帯血細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)である、本発明1133~1135のいずれかの方法。
[本発明1137]
前記細胞がT細胞またはNK細胞である、本発明1136の方法。
[本発明1138]
T細胞がナイーブメモリーT細胞を含む、本発明1137の方法。
[本発明1139]
ナイーブメモリーT細胞がCD4+T細胞またはCD8+T細胞を含む、本発明1138の方法。
[本発明1140]
前記細胞がまだT細胞でもNK細胞でもなく、T細胞またはNK細胞への細胞の分化を促進する条件下で前記細胞を培養する工程をさらに含む、
本発明1133~1139のいずれかの方法。
[本発明1141]
前記核酸を前記細胞に導入する前およびまたは後に、前記細胞を拡大する条件下で前記細胞を培養する工程をさらに含む、本発明1133~1140のいずれかの方法。
[本発明1142]
前記細胞が無血清培地で培養される、本発明1141の方法。
[本発明1143]
グリア芽細胞腫を有する対象を処置する方法であって、有効量の本発明1132の組成物を該対象に投与する工程を含む、方法。
[本発明1144]
さらなる療法を前記対象に投与する工程をさらに含む、本発明1143の方法。
[本発明1145]
さらなる療法が免疫療法を含む、本発明1144の方法。
[本発明1146]
前記組成物が心室内に、脳室内に、腫瘍内に、静脈内に、または腫瘍を切除した空洞の中に投与される、本発明1143~1145のいずれかの方法。
[本発明1147]
対象において免疫応答を刺激するためのまたは癌を処置するための方法であって、有効量の本発明1132の組成物を該対象に投与する工程を含む、方法。
[本発明1148]
免疫応答を刺激することが、免疫を刺激するサイトカインおよび/または分子の発現および/または分泌を増加させることを含む、本発明1147の方法。
[本発明1149]
免疫を刺激するサイトカインおよび/または分子が、TNF-α、IFN-β、IFN-γ、IL-1、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-18、および顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子の1つまたは複数である、本発明1147または1148の方法。
[本発明1150]
免疫応答を刺激することが、免疫細胞の増殖を増加させることを含む、本発明1147~1149のいずれかの方法。
[本発明1151]
免疫細胞がT細胞である、本発明1150の方法。
[本発明1152]
前記細胞が、免疫刺激を必要とする対象においてインビボにある、本発明1147~1151のいずれかの方法。
[本発明1153]
前記対象が、内因性TGF-βを産生する対象である、本発明1152の方法。
[本発明1154]
前記癌がグリア芽細胞腫を含む、本発明1147~1153のいずれかの方法。
[本発明1155]
前記対象がヒト対象である、本発明1147~1154のいずれかの方法。
[本発明1156]
TGF-βを前記対象に投与する工程をさらに含む、本発明1147~1155のいずれかの方法。
[本発明1157]
インビトロで治療用T細胞を拡大するための方法であって、本発明1127~1129のいずれかのインビトロT細胞を、TGF-βを含む組成物と接触させる工程を含む、方法。
[本発明1158]
前記組成物が1~50ng/mLのTGF-βを含む、本発明1157の方法。
[本発明1159]
前記組成物がIL-2をさらに含む、本発明1157または1158の方法。
[本発明1160]
前記組成物が20~400U/mLのIL-2および/または0.1~10ng/mlのIL-15を含む、本発明1159の方法。
[本発明1161]
前記細胞をフィーダー細胞と接触させる工程をさらに含む、本発明1157~1160のいずれかの方法。
[本発明1162]
フィーダー細胞が放射線照射されている、本発明1161の方法。
[本発明1163]
T細胞とフィーダー細胞との接触を除外する、本発明1157~1162のいずれかの方法。
本発明の他の目的、特徴、および利点は以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、詳細な説明および特定の実施例は本発明の特定の態様を示しているが、この詳細な説明から本発明の精神および範囲の中で様々な修正および変更が当業者に明らかになるので例示にすぎないと理解されるはずである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0232
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0232】
IX.配列
本開示の方法および組成物において有用な例となるキメラポリペプチドおよびCAR分子のアミノ酸配列を以下の表1に示した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2023539871000001.app
【国際調査報告】