(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-20
(54)【発明の名称】高度に飽和したジエンエラストマーをベースとしたゴム組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 23/08 20060101AFI20230912BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20230912BHJP
C08K 5/3445 20060101ALI20230912BHJP
C08F 210/12 20060101ALI20230912BHJP
C08K 5/00 20060101ALI20230912BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
C08L23/08
C08K3/36
C08K5/3445
C08F210/12
C08K5/00
B60C1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514825
(86)(22)【出願日】2021-09-03
(85)【翻訳文提出日】2023-03-02
(86)【国際出願番号】 FR2021051516
(87)【国際公開番号】W WO2022049351
(87)【国際公開日】2022-03-10
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ピブレ ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】フェラン トマ
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
3D131AA02
3D131BA02
3D131BA03
3D131BA05
3D131BA07
3D131BA08
3D131BA18
3D131BB19
3D131BC02
3D131BC33
4J002BB021
4J002DA03
4J002DJ016
4J002EF079
4J002EK039
4J002EK049
4J002EK059
4J002EU029
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4J002EX038
4J002EX088
4J002FD016
4J002FD149
4J002FD207
4J002FD208
4J100AA02P
4J100AS02Q
4J100DA01
4J100DA09
4J100DA36
4J100DA49
4J100DA51
4J100JA29
(57)【要約】
本発明は、ゴム組成物であって、少なくとも、50phrを超えるエチレン単位及び1,3-ジエン単位を含有するコポリマーを含有し、上記コポリマーにおける上記エチレン単位が上記コポリマーのモノマー単位の50mol%超に相当する、エラストマーマトリックス、式「Q-Sp-B」に相当する1,3-双極子化合物(式中、Qは、少なくとも、及び好ましくは1つの窒素原子を含有する双極子を含有し、Spは、好ましくは2価であって、QをBに結合する原子又は原子団であり、且つBは、特定のイミダゾール環を含有する)、主にシリカを含有するフィラー、並びに少なくとも1種のラジカル重合開始剤と、(メタ)アクリレート化合物、マレイミド化合物、アリル化合物、ビニル化合物及びそれらの混合物からなる群から選択される共架橋剤とを含有する架橋系をベースとした、ゴム組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム組成物であって、少なくとも、
50phrを超えるエチレン単位及び1,3-ジエン単位を含有するコポリマーを含有し、前記コポリマーにおける前記エチレン単位が前記コポリマーのモノマー単位の50mol%超に相当する、エラストマーマトリックス、
式(I)に相当する1,3-双極子化合物、
Q-Sp-B (I)
(式中、
Qは、少なくとも、及び好ましくは1つの窒素原子を含有する双極子を含有し、
Spは、好ましくは2価であって、QをBに結合する原子又は原子団であり、
Bは、下記式(II)に相当するイミダゾール環を含有する
【化1】
(II)
(式中、
4つの符号Z、Y、R及びR’のうちの3つは、同一であるか又は異なっており、それぞれ原子又は原子団を表し、Z及びYは、それらが連結する炭素原子と共に環を形成することができ、
且つ第4の符号Z、Y、R又はR’は、Spへの直接の連結を示す))
主にシリカを含有するフィラー、並びに
少なくとも1種のラジカル重合開始剤と、(メタ)アクリレート化合物、マレイミド化合物、アリル化合物、ビニル化合物及びそれらの混合物からなる群から選択される共架橋剤とを含有する架橋系をベースとした、ゴム組成物。
【請求項2】
エチレン単位及び1,3-ジエン単位を含有する前記コポリマーが、エチレン及び1,3-ジエンからなるコポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
R’がSpへの直接の連結を示し、Z及びYがそれぞれ水素原子であり、且つRが水素原子、又は少なくとも1つのヘテロ原子を含有することができ、好ましくは1~20個の炭素原子を含有する炭素をベースとした基を表す、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
Spが、少なくとも1つのヘテロ原子を含有することのできる、20個までの炭素原子を含有する基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記1,3-双極子化合物がニトリル酸化物、ニトリルイミン及びニトロンからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
Qが式(V)に相当する単位を含有し、好ましくは式(V)に相当する単位を表す、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【化2】
(V)
(式中、
5つの符号X
1~X
5のうちの4つは、同一であるか又は異なっており、それぞれ原子又は原子団であり、優先的には脂肪族基又は芳香族基であり、且つ第5の符号は、Spへの直接の連結を示し、X
1及びX
5が水素原子ではないことが知られている)
【請求項7】
前記1,3-双極子化合物が2,4,6-トリメチル-3-((2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンゾニトリル酸化物、又は2,4,6-トリエチル-3-((2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンゾニトリル酸化物であり、好ましくは2,4,6-トリメチル-3-((2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンゾニトリル酸化物である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記1,3-双極子化合物の含有量が、前記コポリマーを構成するモノマー単位100モル当たり、0.1から3モル当量の間、優先的には0.1から2モル当量の間のイミダゾール環である、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ラジカル重合開始剤がジクミルペルオキシド、アリール又はジアリールペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジ(tert-ブチル)ペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、n-ブチル4,4’-ジ(tert-ブチルペルオキシ)バレラート、OO-(t-ブチル)O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルペルオキシベンゾアート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノアート、1,3(4)-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン及びそれらの混合物からなる群、好ましくはジクミルペルオキシド、n-ブチル4,4’-ジ(tert-ブチルペルオキシ)バレラート、OO-(t-ブチル)O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルペルオキシベンゾアート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノアート、1,3(4)-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン及びそれらの混合物からなる群から選択される有機過酸化物である、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
ラジカル重合開始剤の含有量が、0.1~3phr、好ましくは0.2~2.5phrの範囲内である、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記共架橋剤が式(VIII)のアクリレート誘導体を含有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
[X]
pA (VIII)
(式中、
[X]pは、式(IX)の基に相当し、
【化3】
(IX)
(式中、
R
1、R
2及びR
3は、独立して、水素原子、又は直線状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アルキルアリール基、アリール基及びアラルキルからなる群から選択されるC
1-C
8の炭化水素基を表し、1つ又は複数のヘテロ原子で割り込みされていてもよく、R
2及びR
3は共に非芳香族環を形成することができ、
(*)は、式(IX)の基のAへの連結点を表す)
Aは、アルカリ土類金属若しくは遷移金属からなる群に属する原子、炭素原子、又は1つ若しくは複数のヘテロ原子で割り込み及び/若しくは置換されていてもよいC
1-C
30の炭化水素基を表し、
Aは、p個の自由原子価を含み、pは、2~6の範囲内の値を有し、
2~6個のX基は、同一又は異なると理解される)
【請求項12】
前記式(VIII)のアクリレート誘導体において、
Aは、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群に属する原子、炭素原子、又はC
1-C
13の炭化水素基を表し、
Aは、p個の自由原子価を含み、pは、2~4の範囲内の値を有し、
2~4個のX基は、同一又は異なると理解される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
R
1、R
2及びR
3が、互いに独立して、水素原子、メチル基又はエチル基を表す、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
共架橋剤の含有量が1~20phr、好ましくは2~10phr、好ましくは2から5phrの間の範囲内である、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
好ましくはタイヤのトレッドに存在する、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物を含有する空気式又は非空気式タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、無機フィラー、例えばシリカにより補強された、特に車両用タイヤの製造において用いることのできるジエンゴム組成物の分野である。本発明の分野は、より具体的には、転がり抵抗/摩耗の妥協点の改善した空気式又は非空気式タイヤのトレッドに関する。
【背景技術】
【0002】
燃費及び環境保護の必要性が優先事項となったことから、例えば空気式又は非空気式タイヤ、例えばトレッドの組成物に含まれる種々の半製品の製造に用いることのできるゴム組成物形態で混合物を処理できるようにするために、良好な耐摩耗特性を有し、一方で可能な限り小さいヒステリシスを有する混合物を製造することが望まれている。
転がり抵抗を低減するためには、無機フィラー、例えばシリカで補強されたジエンゴム組成物を用いることが知られている。無機フィラーで補強されたジエンゴム組成物は、通常、カップリング剤としてのシラン、例えばポリスルフィド、又は保護されたチオール基を有するシランであるブロックメルカプトシランを含有する。上記シランにより、上記ジエンエラストマーと上記無機フィラーの間の相互作用を生み出し、上記ゴム組成物における上記無機フィラーの分散を促進することができる。
【0003】
更に、ゴム組成物においてフィラーにより与えられる最適な補強特性、及びそれによる高い耐摩耗性を得るためには、このフィラーが、可能な限り微粉化し、且つ可能な限り均一に分布して最終形態のエラストマーマトリックスに存在することが通常望ましいことが知られている。しかしながら、このような状態は、このフィラーが、一方ではエラストマーとの混合の間にマトリックスに取り込まれて塊にならず、一方ではこのマトリックスに均一に分散する、非常に良好な能力を有する場合にのみ達成することができる。よく知られているように、カーボンブラックはこのような能力を有している。一方で、このことは無機フィラー、特にシリカには通常当てはまらない。これは、相互親和性の理由のため、これらの無機フィラー粒子がエラストマーマトリックスにおいて凝集する傾向にあるためである。これらの相互作用は、上記フィラーの分散性、及びそれによる補強特性を、混合作業の間に生じうる全ての(無機フィラー/エラストマー)結合が実際に得られた場合に達成することが理論的に可能なレベルよりもかなり低いレベルに制限するという、良くない結果を有する。これらの相互作用は更に、上記ゴム組成物の未硬化状態の稠度を上昇させ、それによりそれらの加工可能性をカーボンブラックが存在するよりも困難にする傾向にある。
従って、フィラーとしてのシリカで充填された、優れた転がり抵抗と良好な耐摩耗性の両方を有する組成物を開発することは困難なままである。
【0004】
タイヤトレッドにおいて、無機フィラー、特に高度な分散型の特定のシリカで補強された新規なゴム組成物を使用することにより、この性能の妥協点を改善することが可能であった。このシリカは、補強の観点から従来のタイヤグレードのカーボンブラックに匹敵することができ、一方でこれらの組成物に、これらの組成物を含有するタイヤのより低い転がり抵抗と同じ意味である、より小さいヒステリシスを提供する。このような高度に分散性のシリカ(「高度に分散性」又は「高度に分散性のシリカ」を「HD」又は「HDS」と示す)で充填されたトレッドは、使用者に提供されるエネルギー節約(「グリーンタイヤコンセプト」)に関連して「グリーンタイヤ」と呼ばれることもある転がり抵抗の低いタイヤにおいて用いることができ、広く記載されてきた。特にEP501227、EP692492、EP692493、EP735088、EP767206、EP786493、EP881252、WO99/02590、WO99/02601、WO99/02602、WO99/06480、WO00/05300、WO000/05301の特許出願が参照されるであろう。これらの先行文献は、BET比表面積が100から250m2/gの間のHDシリカの使用を教示している。実際に、「グリーンタイヤ」の分野でリストアップされた高い比表面積を有する1種のHDシリカは、特に、Solvayから販売されているZeosil 1165 MPシリカ(BET表面積が約160m2/gに相当)である。このZeosil 1165 MPシリカを使用することにより、タイヤ性能の観点、特に十分な耐摩耗性及び転がり抵抗の観点で良好な妥協点を得ることができる。
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、耐摩耗性と転がり抵抗の間の性能の妥協点を更に改善する必要性が依然として存在する。
その研究を続けることで、出願人は、シリカで充填された組成物において、高度に飽和したジエンエラストマーと特定の1,3-双極子化合物と特定のラジカル架橋系を組み合わせて用いることで、上述した性能の妥協点を更に改善することが可能となることを思いがけなく見出した。
【0006】
従って、本発明の1つの対象は、ゴム組成物であって、少なくとも、
50phrを超えるエチレン単位及び1,3-ジエン単位を含有するコポリマーを含有し、上記コポリマーにおける上記エチレン単位が上記コポリマーのモノマー単位の50mol%超に相当する、エラストマーマトリックス、
式(I)に相当する1,3-双極子化合物、
Q-Sp-B (I)
(式中、
Qは、少なくとも、及び好ましくは1つの窒素原子を含有する双極子を含有し、
Spは、好ましくは2価であって、QをBに結合する原子又は原子団であり、
Bは、下記式(II)に相当するイミダゾール環を含有する
【0007】
【化1】
(II)
(式中、
4つの符号Z、Y、R及びR’のうちの3つは、同一であるか又は異なっており、それぞれ原子又は原子団を表し、Z及びYは、それらが連結する炭素原子と共に環を形成することができ、
且つ第4の符号Z、Y、R又はR’は、Spへの直接の連結を示す))
主にシリカを含有するフィラー、並びに
少なくとも1種のラジカル重合開始剤と、(メタ)アクリレート化合物、マレイミド化合物、アリル化合物、ビニル化合物及びそれらの混合物からなる群から選択される共架橋剤とを含有する架橋系をベースとした、ゴム組成物である。
本発明の別の対象は、本発明による組成物を含有するゴム物品、特に空気式又は非空気式タイヤのトレッドである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
I-定義
語句「ベースとした組成物」は、混合物、及び/又は用いられる種々の成分のそのままでの反応生成物を含有する組成物を意味するものとして理解されるべきであり、これらの成分のいくつかは、上記組成物の製造の種々の段階の間に、少なくとも部分的には互いに反応することができ、及び/又は反応することを意図されており、従って、上記組成物は、完全な若しくは部分的な架橋状態又は非架橋状態となることが可能となる。
本発明の目的において、語句「エラストマー100質量部(parts by weight)当たりの質量部(part by weight)」(又はphr)は、エラストマー100質量部(parts by mass)当たりの質量部(part by mass)を意味するものとして理解されるべきである。
本明細書においては、別に明らかに示されない限り、示された全てのパーセンテージ(%)は質量パーセンテージ(%)である。
更に、語句「aからbの間」で示される値のあらゆる区間は、aを超えてb未満に広がる値の範囲を表し(即ち、a及びbの境界は除外される)、一方で語句「a~b」で示される値のあらゆる区間は、aからbに広がる値の範囲を意味する(即ち、a及びbの厳密な境界を含む)。本明細書において、値の区間が語句「a~b」で示される場合、語句「aからbの間」で表される区間もまた優先的に示される。
【0009】
「主な」化合物について言及する場合、これは、本発明の目的において、この化合物が上記組成物における同じ種類の化合物のなかでも主なものであること、即ち同じ種類の化合物のなかでも最大の質量に相当するものであることを意味するものと理解される。従って、例えば、主なエラストマーは、上記組成物のエラストマーの全質量に対して最大の質量に相当するエラストマーである。同様に、「主な」フィラーは、上記組成物のフィラーのなかでも最大の質量に相当するフィラーである。例として、1種のみのエラストマーを含有する系においては、本発明の目的において後者が主なものであり、2種のエラストマーを含有する系においては、主なエラストマーはエラストマーの質量の半分超に相当する。一方で、「少ない」化合物は、同じ種類の化合物のなかでも最大の質量部分に相当しない化合物である。好ましくは、用語「主な」は、50%を超えて、好ましくは60%、70%、80%、90%を超えて存在することを意味するものと理解され、より優先的には、「主な」化合物は100%に相当する。
【0010】
本出願において、語句「コポリマーのモノマー単位の全て」又は「コポリマーのモノマー単位の全量」とは、重合によるエラストマー鎖へのモノマーの挿入に由来する上記コポリマーの全ての構成繰り返し単位を意味する。別に示されない限り、エチレン単位及び1,3-ジエン単位を含有するコポリマーにおけるモノマー単位又は繰り返し単位の含有量は、上記コポリマーのモノマー単位の全てに基づいて計算されたモルパーセンテージで与えられる。
本説明で記載される炭素含有化合物は、化石起源であってもバイオベース起源であってもよい。後者の場合、それらは部分的にバイオマス由来であっても完全にバイオマス由来であってもよく、バイオマス由来の再生可能な出発物質から得られてもよい。これはポリマー、可塑剤、フィラー等に特に関係する。
本明細書で記載されるガラス転移温度「Tg」の全ての値は、規格ASTM D3418(1999)に従ってDSC(示差走査熱量測定)により公知の方法で測定される。
【0011】
II-発明の説明
II-1 エラストマーマトリックス
本発明によるタイヤの組成物は、50phrを超えるエチレン単位及び1,3-ジエン単位を含有するコポリマーを含有し、上記コポリマーにおける上記エチレン単位が上記コポリマーのモノマー単位の50mol%超に相当する、エラストマーマトリックスを含有するという必須の特徴を有する。
本明細書において、「コポリマーにおけるエチレン単位がコポリマーのモノマー単位の50mol%超に相当する、エチレン単位及び1,3-ジエン単位を含有するコポリマー」は、表現の簡素化の目的で「コポリマー」又は「エチレン単位及び1,3-ジエン単位を含有するコポリマー」で示すことができる。
用語「エラストマーマトリックス」とは、上記組成物の全てのエラストマーを意味することが意図される。
【0012】
用語「エチレン単位及び1,3-ジエン単位を含有するコポリマー」は、その構造内に少なくともエチレン単位及び1,3-ジエン単位を含有するあらゆるコポリマーを意味することが意図される。従って、上記コポリマーは、エチレン単位及び1,3-ジエン単位以外のモノマー単位を含有することができる。例えば、上記コポリマーはまた、α-オレフィン単位、特に3~18個の炭素原子、有利なことには3~6個の炭素原子を有するα-オレフィン単位を含有することができる。例えば、上記α-オレフィン単位は、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン又はそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0013】
公知の方法では、語句「エチレン単位」とは、エラストマー鎖へのエチレンの挿入に由来する-(CH2-CH2)-単位を言う。
公知の方法では、語句「1,3-ジエン単位」とは、イソプレンの場合には1,4付加、1,2付加又は3,4付加による1,3-ジエンの挿入に由来する単位を言う。上記1,3-ジエン単位は、例えば、1,3-ジエン、又は1,3-ジエンの混合物によるものであり、上記1,3-ジエンは4~12個の炭素原子を有し、例えば非常に具体的には1,3-ブタジエン及びイソプレンである。好ましくは、上記1,3-ジエンは1,3-ブタジエンである。
有利なことには、上記コポリマーにおける上記エチレン単位は、上記コポリマーのモノマー単位の50mol%から95mol%の間、好ましくは55mol%から90mol%の間に相当する。
有利なことには、エチレン単位及び1,3-ジエン単位を含有するコポリマーは、エチレン及び1,3-ジエンからなるコポリマーであり、即ち上記コポリマーは、エチレン及び1,3-ジエン以外のいずれの単位も含有しない。
【0014】
上記コポリマーがエチレン及び1,3-ジエンからなるコポリマーである場合、そのコポリマーは、有利なことには、式(III)及び/又は(IV)の単位を含有する。上記コポリマーにおいてモノマー単位として式(III)の飽和6員環単位である1,2-シクロヘキサンジイルが存在することは、その成長の間のポリマー鎖へのエチレン及び1,3-ブタジエンの一連の非常に特有の挿入に由来しうる。
【0015】
【化2】
-CH
2-CH(CH=CH
2)- (IV)
例えば、エチレン及び1,3-ジエンからなるコポリマーは、式(III)の単位を欠いていてよい。この場合、式(IV)の単位を含有することが好ましい。
エチレン及び1,3-ジエンからなるコポリマーが、式(III)の単位又は式(IV)の単位、或いは式(III)の単位及び式(IV)の単位を含有する場合、上記コポリマーにおける式(III)の単位及び式(IV)の単位のモルパーセンテージは、それぞれo及びpであり、好ましくは以下の式(式1)を満たし、より好ましくは式(式2)を満たし、o及びpは上記コポリマーの全てのモノマー単位に基づいて計算される。
0<o+p≦25 (式1)
0<o+p<20 (式2)
【0016】
本発明によれば、上記コポリマー、好ましくはエチレン及び1,3-ジエン(好ましくは1,3-ブタジエン)からなるコポリマーは、ランダムコポリマーである。
有利なことには、上記コポリマー、好ましくはエチレン及び1,3-ジエン(好ましくは1,3-ブタジエン)からなるコポリマーの数平均質量(Mn)は、100000~300000g/mol、好ましくは150000~250000g/molの範囲内である。
上記コポリマーのMnは、以下に記載されるようなサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により公知の方法で決定される。
【0017】
SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)技術により、溶液中の高分子を、それらの大きさに従って多孔質ゲルで充填されたカラムを通して分離することが可能となる。上記高分子はそれらの流体力学的容積に従って分離され、最も嵩高いものが最初に溶出される。SECは絶対的な方法ではないが、ポリマーのモル質量分布図を与える。種々の数平均モル質量(Mn)及び重量平均モル質量(Mw)を市販の標準から決定することができ、多分散指数(PI=Mw/Mn)を「Moore」キャリブレーションにより計算することができる。ポリマー試料は、分析前にいずれの具体的な処理も受けない。後者は、約1g.l-1の濃度で溶出溶媒に単に溶解される。上記溶液は、次いで、注入前に多孔率が0.45μmのフィルターによりろ過される。用いた装置は、Waters Acquity又はWaters Allianceのクロマトグラフラインである。上記溶出溶媒は、250ppmのBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)酸化防止剤を含むテトラヒドロフランであり、流量は1ml.min-1、カラム温度は35℃、分析時間は40分である。用いたカラムは、InfinityLab PolyPoreとの商品名を有する3つのAgilentカラムの一式である。注入した試料の溶液の容積は100μlである。検出器はAcquity又はWaters 2410の示差屈折計であり、クロマトグラフデータを処理するためのソフトウエアはWaters Empowerシステムである。計算した平均モル質量は、ポリスチレン標準により作製されたキャリブレーション曲線と比較される。
【0018】
上記コポリマーは、特に上記コポリマーの目的とするミクロ構造に基づいて、当業者に知られた種々の合成法に従って得ることができる。
通常、上記コポリマーは、特にメタロセン錯体を含有する触媒系の存在下、少なくとも1,3-ジエン、好ましくは1,3-ブタジエン、及びエチレンの共重合により公知の合成法に従って調製することができる。このメタロセン錯体をベースとした触媒系について言えば、触媒系は出願人の名前で文献EP1092731、WO2004035639、WO2007054223及びWO2007054224に記載されている。上記コポリマーはまた、それがランダムである場合も含めて、予め形成された種類の触媒系、例えば文献WO2017093654、WO2018020122及びWO2018020123に記載されたものを用いたプロセスにより調製することができる。
上記コポリマーは、それらのミクロ構造及び/又はそれらのマクロ構造を理由に互いに異なっている、エチレン単位及びジエン単位を含有するコポリマーの混合物からなっていてもよい。
有利なことには、上記組成物におけるエチレン単位及び1,3-ジエン単位を含有するコポリマーの含有量は、60~100phr、好ましくは80~100phrの範囲内である。
上記エラストマーマトリックスは、有利なことには、エラストマーとしてエチレン単位及び1,3-ジエン単位を含有するコポリマーのみを含有することができる。
【0019】
別の方法では、上記エラストマーマトリックスはまた、エチレン単位及び1,3-ジエン単位を含有するコポリマー以外のジエンエラストマーを含有することができる(本明細書中、「他のエラストマー」ともいう)。上記他のエラストマーは、存在する場合は少なく、即ち上記エラストマーマトリックスの50質量%未満、40質量%未満、30質量%未満、20質量%未満、又は10質量%未満にさえ相当する。例えば、上記組成物における上記他のエラストマーの含有量は、0~40phr、好ましくは0~20phrの範囲内でありうる。
本発明によるタイヤのエラストマーマトリックスの他のエラストマーは、優先的には、高度に不飽和なジエンエラストマー、例えばポリブタジエン(「BR」と略される)、合成ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー及びこれらのエラストマーの混合物の群から選択される。「高度に不飽和なジエンエラストマー」は、通常、50%(mol%)を超えるジエン起源(共役ジエン)単位の含有量を有する共役ジエンモノマーに少なくとも一部は由来するジエンエラストマーを意味するものと理解される。
【0020】
II-2 1,3-双極子化合物
本発明に従うゴム組成物は、1,3-双極子化合物を含有する。用語「1,3-双極子化合物」は、IUPACにより定められた定義に従って理解される。
上記1,3-双極子化合物は、式(I)に相当する。
Q-Sp-B (I)
(式中、
Qは、少なくとも、及び好ましくは1つの窒素原子を含有する双極子を含有し、
Spは、好ましくは2価であって、QをBに結合する原子又は原子団であり、
Bは、式(II)に相当するイミダゾール環を含有する
【0021】
【化3】
(II)
(式中、
4つの符号Z、Y、R及びR’のうちの3つは、同一であるか又は異なっており、それぞれ原子又は原子団を表し、Z及びYは、それらが連結する炭素原子と共に環を形成することができ(当然、ZもYも第4の符号を示さない場合)、
且つ第4の符号のみ、Spへの直接の連結を示す))
【0022】
本発明の第1の別の形態によれば、RはSpへの直接の連結を示し、この場合はRが第4の符号である。
この別の形態によれば、R’は、水素原子、又は少なくとも1つのヘテロ原子を含有することのできる炭素をベースとした基でありうる。
この別の形態の優先的な実施形態によれば、R’は、1~20個の炭素原子を含有する炭素をベースとした基、好ましくは脂肪族基、より優先的には、好ましくは1~12個の炭素原子を含有するアルキル基を表す。
【0023】
本発明の第2の別の形態によれば、R’はSpへの直接の連結を示し、この場合はR’が第4の符号である。
第1又は第2の別の形態によれば、Z及びYはそれぞれ水素原子でありうる。
第1の別の形態又は第2の別の形態によれば、Z及びYは、それらが連結する炭素原子と共に環を形成することができる。Z、Y、並びにZ及びYが連結する原子により形成される環は、置換されていても置換されていなくてもよく、少なくとも1つのヘテロ原子を含有することができる。Z及びYは、それらが連結する2つの炭素原子と共に芳香環を形成することができる。この場合、上記イミダゾール環は、置換又は非置換のベンズイミダゾールでありうる。
【0024】
本発明の第3の別の形態によれば、当然Y及びZが、それらが連結する炭素原子と共に環を形成しない場合であるが、Y又はZはSpへの直接の連結を示し、この場合はY又はZが第4の符号である。
本発明の第2又は第3の別の形態によれば、Rは、有利なことには、水素原子、又は少なくとも1つのヘテロ原子を含有することのできる炭素をベースとした基を表す。この場合、Rは、1~20個の炭素原子の基、好ましくは脂肪族基、より優先的には、好ましくは1~12個の炭素原子を含有するアルキル基、より優先的には更にメチルでありうる。
【0025】
有利なことには、Spは2価である。
Spは、20個までの炭素原子を含有する基であることができ、この基は少なくとも1つのヘテロ原子を含有することができる。Spは脂肪族基であっても芳香族基であってもよい。
Spが脂肪族基である場合、Spは、優先的には1~20個の炭素原子を含有し、より優先的には1~12個の炭素原子、より優先的には更に1~6個の炭素原子、非常に特には1~3個の炭素原子を含有する。Spが芳香族基である場合、Spは、優先的には6~20個の炭素原子を含有し、より優先的には6~12個の炭素原子を含有する。
有利なことには、Spは、1~20個の炭素原子、優先的には1~12個の炭素原子、より優先的には1~6個の炭素原子、より優先的には更に1~3個の炭素原子を含有するアルキレン基から選択される2価の基である。より好ましくは更に、SpOは、1~3個の炭素原子を含有する2価の基、好ましくはメチレン基である。
好ましくは6~20個の炭素原子、より優先的には6~12個の炭素原子を含有するアリーレン基もまた、2価の基Spとして適切でありうる。
ニトリル酸化物、ニトリルイミン及びニトロンからなる群から選択される化合物が、1,3-双極子化合物として非常に特に適切であり、この場合、Qは-C≡N→O単位、-C≡N→N-単位又は-C=N(→O)-単位を含有する。
Qが-C≡N→O単位を含有する場合、Qは、好ましくは式(V)に相当する単位を含有し、より優先的には式(V)に相当する単位を表す。
【0026】
【化4】
(V)
(式中、5つの符号X
1~X
5のうちの4つは、同一であるか又は異なっており、それぞれ原子又は原子団であり、且つ第5の符号は、Spへの直接の連結を示し、X
1及びX
5が共にH以外であることが知られている)5つの符号X
1~X
5のうちの4つは、脂肪族基であっても芳香族基であってもよい。上記脂肪族基は、1~20個の炭素原子、優先的には1~12個の炭素原子、より優先的には1~6個の炭素原子、より優先的には更に1~3個の炭素原子を含有することができる。上記芳香族基は、6~20個の炭素原子、優先的には6~12個の炭素原子を含有することができる。
【0027】
X1、X3及びX5は、優先的にはそれぞれ1~6個の炭素原子のアルキル基であり、より優先的には1~3個の炭素原子のアルキル基であり、より優先的には更にメチル基又はエチル基である。
有利なことには、X1、X3及びX5が同一である。更に、X1、X3及びX5は、優先的にはそれぞれ1~6個の炭素原子のアルキル基であり、より優先的には1~3個の炭素原子のアルキル基であり、より優先的には更にメチル基又はエチル基である。
特に有利なことには、上記1,3-双極子化合物は、式(Va)に相当する、化合物2,4,6-トリメチル-3-((2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンゾニトリル酸化物、又は式(Vb)に相当する、化合物2,4,6-トリエチル-3-((2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンゾニトリル酸化物である。
【0028】
【化5】
Qが-C=N(→O)-単位を含有する場合、Qは、式(VI)又は(VII)に相当する単位を含有することができる。
【0029】
【化6】
(式中、
Y
1は、脂肪族基、優先的には、好ましくは1~12個の炭素原子を含有するアルキル基であるか、又は6~20個の炭素原子を含有する芳香族基、優先的には、アルキルアリール基、より優先的には、フェニル基又はトリル基であり、且つ
Y
2は、Spへの直接の連結を含み、脂肪族基、優先的には、好ましくは1~12個の炭素原子を含有するアルキレン基であるか、又は優先的には6~20個の炭素原子を含有し、そのベンゼン環上にSpへの直接の連結を含む芳香族基である)
【0030】
この場合、Y2のベンゼン環のSpへの直接の連結とは、SpはY2のベンゼン環の置換基であると述べているのに等しい。
Qが-C=N(→O)-単位を含有する場合、上記1,3-双極子化合物は、式(VIa)、(VIb)、(VIIa)又は(VIIb)の化合物でありうる。
【0031】
【0032】
式(I)に相当する1,3-双極子化合物は、以下のIV-2段落に記載された合成プロセスに従って容易に合成することができる。
上記ゴム組成物に導入される1,3-双極子化合物の量は、イミダゾール環のモル当量として表される。例えば、上記1,3-双極子化合物が上記に規定された式(II)の1つのイミダゾール環のみを含有する場合、イミダゾール環の1モルが、1,3-双極子化合物の1モルに相当する。上記1,3-双極子化合物が上記に規定された式(II)の2つのイミダゾール環を含有する場合、イミダゾール環の2モルが、1,3-双極子化合物の1モルに相当する。後者の場合、イミダゾール環の1モル当量と一致する上記1,3-双極子化合物の使用は、1,3-双極子化合物の半モルに相当する。
【0033】
本発明によれば、上記組成物における1,3-双極子化合物の量は、上記コポリマーを構成するモノマー単位100モル当たり、0から50モル当量の間、好ましくは0.01から15モル当量の間でありうる。例えば、4から15モル当量の間、例えば5から15モル当量の間でありうる。しかしながら、優先的には、上記組成物における1,3-双極子化合物の量は、優先的には、上記コポリマーを構成するモノマー単位100モル当たり、0から3モル当量の間、より優先的には0から2モル当量の間、より優先的には更に0から1モル当量の間、実に更により優先的には更に0から0.7モル当量の間のイミダゾール環である。これらの優先的な範囲は、硬化状態での硬さと、その適用、特にタイヤにおける適用に従ったゴム組成物のヒステリシスの間の妥協点を、より細かく最適化することを可能にする。より好ましくは更に、上記組成物における1,3-双極子化合物の量は、上記コポリマーを構成するモノマー単位100モル当たり、優先的には0.1から3モル当量の間、より優先的には0.1から2モル当量の間、より優先的には更に0.1から1モル当量の間、実に更により優先的には更に0.1から0.7モル当量の間のイミダゾール環である。
【0034】
II-3 フィラー
本発明による組成物はまた、主にシリカを含有するフィラーをベースとするという必須の特徴を有する。
本発明による組成物で用いられるシリカは、当業者に知られたあらゆるシリカ、特にBET比表面積とCTAB比表面積の両方が450m2/g未満、好ましくは30~400m2/g、特に60~300m2/gであるあらゆる沈降シリカ又はヒュームドシリカでありうる。上記シリカは、有利なことには、125~200m2/gの範囲内のBET比表面積、及び/又は140~170m2/gの範囲内のCTAB比表面積を有する。
【0035】
上記シリカのBET比表面積は、"The Journal of the American Chemical Society" (Vol. 60, page 309, February 1938)に記載されたブルナウアー-エメット-テラー法を用いたガス吸着によって決定され、より具体的には2010年6月の規格NF ISO 5794-1、付録Eから適合された方法[多点(5点)容積法-ガス:窒素-真空下でのガス抜き:160℃で1時間-相対圧力p/p0範囲:0.05~0.17]に従って決定される。
上記シリカのCTAB比表面積の値は、2010年6月の規格NF ISO 5794-1、付録Gに従って決定された。上記プロセスは、上記フィラーの「外側」表面へのCTAB(N-ヘキサデシル-N,N,N-トリメチルアンモニウムブロマイド)の吸着に基づく。
【0036】
あらゆる種類の沈降シリカ、特に高分散性沈降シリカ(「高分散性」又は「高分散性シリカ」を「HDS」という)を用いることができる。これらの沈降シリカは、高分散性であってもなくてもよく、当業者によく知られている。例えば、WO03/016215及びWO03/016387の出願に記載されたシリカを挙げることができる。特に、市販のHDSシリカのなかでは、EvonikのUltrasil(登録商標)5000GRシリカ及びUltrasil(登録商標)7000GRシリカ、又はSolvayのZeosil(登録商標)1085GRシリカ、Zeosil(登録商標)1115 MPシリカ、Zeosil(登録商標)1165MPシリカ、Zeosil(登録商標)Premium 200MPシリカ及びZeosil(登録商標)HRS 1200 MPシリカを用いることができる。非HDSシリカのなかでは、以下の市販のシリカ、EvonikのUltrasil(登録商標)VN2GRシリカ及びUltrasil(登録商標)VN3GRシリカ、SolvayのZeosil(登録商標)175GRシリカ、又はPPGのHi-Sil EZ120G(-D)シリカ、Hi-Sil EZ160G(-D)シリカ、Hi-Sil EZ200G(-D)シリカ、Hi-Sil 243LDシリカ、Hi-Sil 210シリカ及びHi-Sil HDP 320Gシリカを用いることができる。
有利なことには、上記フィラーは70質量%を超える、好ましくは80質量%を超えるシリカを含有する。
【0037】
好ましくは、シリカの含有量は5~60phr、好ましくは10~55phr、より好ましくは15~50phrの範囲内である。
上記シリカを上記コポリマーに結合させるために、上記シリカ(その粒子の表面)と上記コポリマーの間の化学的性質及び/又は物理的性質の十分な結合を提供することを意図された少なくとも2官能のカップリング剤(又は結合剤)を、公知の方法で用いることができる(本明細書中、以下、単に「カップリング剤」という)。特に、少なくとも2官能のオルガノシラン又はポリオルガノシロキサンが用いられる。用語「2官能」は、上記無機フィラーと相互作用することのできる第1官能基、及び上記コポリマーと相互作用することのできる第2官能基を有する化合物を意味するものと理解される。例えば、そのような2官能化合物は、ケイ素原子を含有する第1官能基、及び硫黄原子を含有する第2官能基を含有することができ、上記第1官能基は無機フィラーの水酸基と相互作用することができ、上記第2官能基は上記コポリマーと相互作用することができる。
当業者は、以下の文献、WO02/083782、WO02/30939、WO02/31041、WO2007/061550、WO2006/125532、WO2006/125533、WO2006/125534、US6849754、WO99/09036、WO2006/023815、WO2007/098080、WO2010/072685及びWO2008/055986にカップリング剤の例を見出すことができる。
【0038】
カップリング剤の使用は必須ではないが、好ましい。カップリング剤が用いられる場合、本発明による組成物におけるカップリング剤の含有量は、有利なことには、シリカの質量に対して0.5質量%から15質量%の間である。カップリング剤の量は、本発明の組成物で用いられる補強用の無機フィラーの含有量に従って当業者により容易に調整することができる。
有利なことには、上記カップリング剤は、オルガノシランポリスルフィド、ポリオルガノシロキサン、メルカプトシラン、アクリロシラン及びメタクリロシランからなる群から選択されるオルガノシランである。
本発明による組成物はシリカ以外のフィラーを含有することができるが、これは必須ではない。これらは特に有機フィラー、例えばカーボンブラックでありうる。
本発明に照らして用いることのできるブラックは、空気式若しくは非空気式タイヤ、又はそれらのトレッドに従来用いられているあらゆるブラック(「タイヤグレード」のブラック)でありうる。後者のなかでも、更に特に、100、200及び300シリーズの補強用のカーボンブラック、又は500、600若しくは700シリーズのブラック(ASTMグレード)、例えばN115、N134、N234、N326、N330、N339、N347、N375、N550、N683及びN772のブラックが挙げられるであろう。これらのカーボンブラックは、市販されているような単離された状態で、又はあらゆる他の形態で、例えばいくつかの用いられるゴム添加剤の支持体として用いることができる。上記カーボンブラックは、例えば、マスターバッチの形態で上記コポリマー、特にイソプレンコポリマーに既に組み込まれていてもよい(例えば、WO97/36724及びWO99/16600の出願を参照)。いくつかのカーボンブラックの混合物もまた、所定量で用いることができる。
【0039】
有利なことには、上記カーボンブラックは、20phr以下、より優先的には10phr以下の含有量で用いられる(例えば、上記カーボンブラック含有量は、0.5~20phr、特に1~10phrの範囲内でありうる)。示された区間内で、上記カーボンブラックの着色特性(黒色着色剤)及びUV安定化特性が有効であり、更に、補強用の無機フィラーにより提供される典型的な性能品質に悪影響を与えることがない。
好ましくは、上記フィラーは、80質量%から99質量%の間のシリカ及び1質量%から20質量%の間のカーボンブラックを含有する。
II-4 架橋系
本発明による組成物はまた、少なくとも1種のラジカル重合開始剤と、(メタ)アクリレート化合物、マレイミド化合物、アリル化合物、ビニル化合物及びそれらの混合物からなる群から選択される共架橋剤とを含有する架橋系を含有する。
【0040】
ラジカル重合開始剤
ラジカル重合開始剤は、本発明による組成物の重合に必要なフリーラジカルの供給源である。これらの化合物は当業者によく知られており、特に例えば文献WO2002/22688及びFR2899808、並びに文献Denisov et al. (Handbook of Free Radical Initiators, John Wiley & Sons, 2003)に記載されている。
好ましくは、本発明によれば、上記少なくとも1種のラジカル重合開始剤は、過酸化物、アゾ化合物、レドックス(酸化-還元)系及びそれらの混合物からなる群、好ましくは過酸化物、アゾ化合物及びそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、上記少なくとも1種のラジカル重合開始剤は、過酸化物、又はいくつかの過酸化物の混合物である。上記少なくとも1種のラジカル重合開始剤は、当業者に知られたあらゆる過酸化物でありうる。当業者によく知られた過酸化物のなかでも、本発明に照らせば、有機過酸化物を用いることが好ましい。
【0041】
用語「有機過酸化物」は、-O-O-基(共有単結合で連結した2つの酸素原子)を含有する、有機化合物、即ち炭素を含有する化合物を意味するものと理解される。架橋プロセスの間、上記有機過酸化物はその不安定なO-O結合で分解し、フリーラジカルを与える。これらのフリーラジカルは、架橋結合の生成を可能にする。
上記有機過酸化物は、好ましくは、ジアルキルペルオキシド、モノペルオキシカーボネート、ジアシルペルオキシド、ペルオキシケタール及びペルオキシエステルを含有する群又はこれらからなる群から選択される。
好ましくは、上記ジアルキルペルオキシドは、ジクミルペルオキシド、ジ(t-ブチル)ペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサ-3-イン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)ヘキサ-3-イン、α,α’-ジ[(t-ブチルペルオキシ)イソプロピル]ベンゼン、α,α’-ジ[(t-アミルペルオキシ)イソプロピル]ベンゼン、ジ(t-アミル)ペルオキシド、1,3,5-トリ[(t-ブチルペルオキシ)イソプロピル]ベンゼン、1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブタノール及び1,3-ジメチル-3-(t-アミルペルオキシ)ブタノールを含有する群又はこれらからなる群から選択される。
【0042】
いくつかのモノペルオキシカーボネート、例えばOO-tert-ブチルO-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート、OO-tert-ブチルO-イソプロピルモノペルオキシカーボネート及びOO-tert-アミルO-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネートもまた用いることができる。
上記ジアシルペルオキシのなかでも、好ましい過酸化物はベンゾイルペルオキシドである。
上記ペルオキシケタールのなかでも、好ましい過酸化物は、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル4,4-ジ(t-ブチルペルオキシ)バレラート、エチル3,3-di(t-ブチルペルオキシ)ブチラート、2,2-ジ(t-アミルペルオキシ)プロパン、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル1,4,7-トリペルオキシノナン(又はメチルエチルケトンペルオキシド環状三量体)、3,3,5,7,7-ペンタメチル1,2,4-トリオキセパン、n-ブチル4,4-ビス(t-アミルペルオキシ)バレラート、エチル3,3-ジ(t-アミルペルオキシ)ブチラート、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-アミルペルオキシ)シクロヘキサン及びそれらの混合物を含有する群又はこれらからなる群から選択される。好ましくは、上記ペルオキシエステルは、tert-ブチルペルオキシベンゾアート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノアート及びtert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノアートからなる群から選択される。
【0043】
要約すると、上記有機過酸化物は、特に好ましくは、ジクミルペルオキシド、アリール又はジアリールペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジ(tert-ブチル)ペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、n-ブチル4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシ)バレラート、OO-(t-ブチル)O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルペルオキシベンゾアート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノアート、1,3(4)-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン及びそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、上記有機過酸化物は、ジクミルペルオキシド、n-ブチル4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシ)バレラート、OO-(t-ブチル)O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルペルオキシベンゾアート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノアート、1,3(4)-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0044】
本発明に照らして用いることのできる市販の過酸化物の例として、Hercules Powder Co.のDicup、Noury van der LandeのPerkadox Y12、Montecatini Edison S.p.A.のPeroximon F40、Noury van der LandeのTrigonox、R.T.Vanderbilt Co.のVarox又はWallace&Tiernan Inc.のLuperkoを挙げることができる。
用語「アゾ化合物」は、その分子構造が少なくとも1つの-N=N-結合(共有二重結合で結合した2つの窒素原子)を含有する化合物を意味するものと理解される。
好ましくは、上記アゾ化合物は、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-ブタンニトリル)、4,4’-アゾビス(4-ペンタン酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2-(t-ブチルアゾ)-2-シアノプロパン、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(1,1)-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチルアミジン)ジクロリド、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジクロリド、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチルアミド)、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド)、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(イソブチルアミド)二水和物及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0045】
本発明に照らして用いることのできる市販のアゾ化合物の例として、Sigma-Aldrichの2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)を挙げることができる。
用語「レドックス系」は、ラジカルを発生する酸化還元反応を引き起こす化合物の組み合わせを意味するものと理解される。
それらは例えば、過酸化物と3級アミンの組み合わせ(例えば、ベンゾイルペルオキシドとジメチルアニリンのペア)、ヒドロペルオキシドと遷移金属の組み合わせ(例えば、クメンヒドロペルオキシドとナフテン酸コバルトの混合物)でありうる。
有利なことには、本発明による組成物におけるラジカル開始剤、好ましくは有機過酸化物の含有量は、0.1~10phr、好ましくは0.1~3phr、より好ましくは0.2~2.5phrの範囲内である。
【0046】
上記組成物におけるラジカル重合開始剤の含有量は、好ましくは、共架橋剤の質量に対して1質量%~10質量%、好ましくは1.25質量%から8質量%の間、好ましくは2質量%から5質量%の間、好ましくは3質量%から4質量%の間の範囲内である。
共架橋剤
本発明によれば、上記共架橋剤は、(メタ)アクリレート化合物、マレイミド化合物、アリル化合物、ビニル化合物及びそれらの混合物からなる群から選択される。
好ましくは、上記共架橋剤は、金属塩形態、又はエステル形態、又はポリマー形態の(メタ)アクリレート化合物を含有する。
【0047】
より好ましくは、上記共架橋剤は、式(VIII)のアクリレート誘導体を含有する。
[X]pA (VIII)
(式中、
[X]pは、式(IX)の基に相当し、
【0048】
【化8】
(IX)
(式中、
R
1、R
2及びR
3は、独立して、水素原子、又は直線状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アルキルアリール基、アリール基及びアラルキルからなる群から選択されるC
1-C
8の炭化水素基を表し、1つ又は複数のヘテロ原子で割り込みされていてもよく、R
2及びR
3は共に非芳香族環を形成することができ、
(*)は、式(IX)の基のAへの連結点を表す)
Aは、アルカリ土類金属若しくは遷移金属からなる群に属する原子、炭素原子、又は1つ若しくは複数のヘテロ原子で割り込み及び/若しくは置換されていてもよいC
1-C
30の炭化水素基を表し、
Aは、p個の自由原子価を含み、pは、2~6の範囲内の値を有し、
2~6個のX基は、同一又は異なると理解される)
【0049】
本発明によれば、XとAの間の結合はイオン結合であってもよく、共有結合であってもよい。当業者は、Aがアルカリ土類金属又は遷移金属からなる群に属する原子、特にZn又はMgを表す場合、XとAの間の結合がイオン結合であることを明確に理解する。更に、Aが炭素原子、又はC1-C30の炭化水素基を表す場合、当業者は、XとAの間の結合が共有結合であることを明確に理解する。
環状のアルキル基は、1つ又は複数の環を含有するアルキル基を意味するものと理解される。
1つ又は複数のヘテロ原子で割り込みされた炭化水素基又は炭化水素鎖は、1つ又は複数のヘテロ原子を含有する基又は鎖を意味するものと理解され、それぞれのヘテロ原子は、その基又はその鎖の2つの炭素原子間、その基又はその鎖の炭素原子とその基又はその鎖の別のヘテロ原子の間、又はその基又はその鎖の2つの他のヘテロ原子間にある。
【0050】
1つ又は複数のヘテロ原子で置換された炭化水素基又は炭化水素鎖は、1つ又は複数のヘテロ原子を含有する基又は鎖を意味するものと理解され、それぞれのヘテロ原子は、上記炭化水素基又は炭化水素鎖に割り込むことなく、共有結合によって上記炭化水素基又は炭化水素鎖に結合している。
Aのヘテロ原子は、酸素、硫黄、窒素、ケイ素及びリン原子並びにそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。好ましくは、Aのヘテロ原子は、酸素及び硫黄原子からなる群から選択される。より好ましくは、Aのヘテロ原子は酸素原子である。
【0051】
言い換えれば、Aは、有利なことには、酸素、硫黄、窒素、ケイ素又はリン原子及びそれらの組み合わせから選択される、好ましくは酸素及び硫黄原子からなる群から選択される、1つ又は複数のヘテロ原子で割り込み及び/又は置換された直線状、分岐状又は環状のC4-C30の炭化水素基を表す。より好ましくは、Aは、有利なことには、1つ又は複数の酸素及び/又は硫黄原子で割り込み及び/又は置換された、好ましくは1つ又は複数の酸素原子で割り込み及び/又は置換された、直線状、分岐状又は環状の、好ましくは直線状又は分岐状のC4-C30の炭化水素基を表す。
好ましくは、Aは、1つ又は複数の酸素及び/又は硫黄原子で割り込みされた、好ましくは1つ又は複数の酸素原子で割り込みされた、直線状、分岐状又は環状の、好ましくは直線状又は分岐状のC4-C30の炭化水素基を表す。より好ましくは、Aは、1つ又は複数の酸素原子で割り込みされた直線状又は分岐状のC4-C30の炭化水素基を表す。
【0052】
AがC4-C30の炭化水素基を表す場合、それは例えばC5-C20、好ましくはC6-C16の炭化水素基でありうる。
Aが環状炭化水素基を含有する場合、それは非芳香族又は芳香族の環状炭化水素基でありうる。
上記R1基、R2基、R3基及びA基のヘテロ原子は、互いに独立して、酸素、硫黄、窒素、リン又はケイ素原子、好ましくは酸素又は窒素原子でありうる。
上記A基の性質に関わらず、R1、R2及びR3は、互いに独立して、水素原子、メチル基又はエチル基を表すことができ、好ましくは、R1、R2及びR3は、互いに独立して、水素原子又はメチル基を表す。
有利なことには、R1がメチル基を表し、R2及びR3がそれぞれ水素原子を表すことができる。別の方法では、R1、R2及びR3がそれぞれ水素原子を表すことができる。
原子価数pは、上記A基の性質に依存する。本発明によれば、pは2、3、4、5又は6でありうる。好ましくは、pは2、3又は4であり、好ましくは2又は3であり、好ましくは2である。
【0053】
有利なことには、R1基、R2基及びR3基に関わらず、
Aは、アルカリ土類金属若しくは遷移金属からなる群に属する原子、炭素原子、又はC1-C13、好ましくはC1-C8の炭化水素基を表し、
Aは、p個の自由原子価を含み、pは、2~4の範囲内の値を有し、
式(VIII)のアクリレート誘導体の2~4個のX基は、同一又は異なる、好ましくは同一と理解される。
本発明によれば、Aがアルカリ土類金属又は遷移金属からなる群に属する原子を表す場合、それは例えばZn及びMgからなる群から選択される原子でありうる。
AがC1-C13、好ましくはC1-C8の炭化水素基を表す場合、それは例えばC1-C7、好ましくはC1-C6の炭化水素基でありうる。
好ましくは、Aは、以下の基からなる群から選択されるC1-C13の炭化水素基を表す。
【0054】
【化9】
(式中、mは、1~13の範囲内の整数であり、(*)は、Aの式(IX)の基への連結点を表す)
【0055】
有利なことには、上記C1-C13の炭化水素基は*-(CH2)m-*基であり、式中、mは1~13、好ましくは1~8、好ましくは1~6の範囲内の整数であり、(*)はAの式(IX)の基への連結点を表す。
従って、本発明によれば、上記式(VIII)のアクリレート誘導体は、ジメタクリル酸亜鉛(ZDMA)、ジメタクリル酸マグネシウム(MgDMA)、ジアクリル酸亜鉛(ZDA)、ジアクリル酸マグネシウム(MgDA)、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン(TMPTMA)、トリアクリル酸トリメチロールプロパン(TMPTA)、ジアクリル酸1,6-ヘキサンジオール(HDDA)及びそれらの混合物から選択することができる。
市販されている例は、ジアクリレート誘導体、例えばジアクリル酸亜鉛(ZDA)であるCray ValleyのDymalink 633、ジメタクリル酸亜鉛(ZDMA)であるCray ValleyのDymalink 634、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン(TMPTMA)であるSartomerのSR351、又はSigma-Aldrichのジアクリル酸1,6-ヘキサンジオール(HDDA)である。
【0056】
有利なことには、本発明による組成物における共架橋剤の含有量、及び好ましくは共架橋剤の全含有量は、1~20phr、好ましくは2~10phr、好ましくは2から5phrの間の範囲内である。
有利なことには、上記組成物におけるラジカル重合開始剤の量は、上記組成物における共架橋剤の質量に対して1質量%~10質量%、好ましくは1.25質量%から8質量%の間、好ましくは2質量%から5質量%の間、好ましくは3質量%から4質量%の間の範囲内である。
また有利なことには、上記共架橋剤の含有量に対するシリカの含有量の比は、2~9、好ましくは3~7の範囲内である。
硫黄
更に、本発明による組成物は、有利なことには、加硫剤としての硫黄を含有しないか、又はそれを0.5phr未満、好ましくは0.3phr未満、好ましくは0.2phr未満、好ましくは0.1phr未満含有する。上記硫黄は、分子状硫黄であってもよく、硫黄供与剤、例えばアルキルフェノールジスルフィド(APDS)に由来してもよい。
【0057】
II-5 可能な添加剤
上記ゴム組成物は、タイヤ用エラストマー組成物に習慣的に用いられるあらゆる又はいくつかの通常の添加剤、例えば可塑剤(例えば可塑化油及び/又は可塑化樹脂)、顔料、保護剤、例えば抗オゾンワックス、化学的オゾン劣化防止剤、酸化防止剤、抗疲労剤、強化樹脂(例えばWO02/10269の出願に記載)をまた含有してもよい。
【0058】
II-6 ゴム組成物の調製
本発明に従う組成物は、当業者によく知られた2つの連続した調製段階を用いて適切なミキサーにおいて製造することができる。
熱機械的に作業又は混錬する第1段階(「非生産的」段階)は、単一の熱機械的工程で行うことができ、その間、全ての必要な成分、特にエラストマーマトリックス、フィラー及び任意の他の種々の添加剤を、ラジカル重合開始剤を除いて適切なミキサー、例えば標準の内部ミキサー(例えば「バンバリー」型のもの)に投入する。任意のフィラーは、熱機械的に混錬しながら1つ又は複数の部分に分けてエラストマーに取り込むことができる。フィラーが、例えばWO97/36724及びWO99/16600の出願に記載されているようにマスターバッチの形態のエラストマーに既に全部又は一部が取り込まれている場合、それは直接混錬されるマスターバッチであり、適切であれば、マスターバッチの形態にはない上記組成物に存在する他のエラストマー又はフィラー、及びまたラジカル重合開始剤を除いた任意の他の種々の添加剤が取り込まれる。上記非生産的段階は、通常2から10分の間の時間、110℃から200℃の間、好ましくは130℃から185℃の間の最大温度までの高温で行うことができる。
【0059】
機械的に作業する第2段階(「生産的」段階)は、第1の非生産的段階で得られた混合物のより低い温度、典型的には120℃未満、例えば40℃から100℃の間への冷却後に外部ミキサー、例えばオープンミルで行う。上記ラジカル重合開始剤を次いで取り込み、合わせた混合物を次いで数分、例えば5から15分の間混合する。
このような段階は、例えば、EP-A-0501227、EP-A-0735088、EP-A-0810258、WO00/05300又はWO00/05301の出願に記載されている。
【0060】
それにより得られた最終組成物は次いでカレンダー仕上げされ、特に実験室での特性評価のためには例えばシート又はスラブの形態となり、或いは例えばタイヤトレッドとして用いることのできるゴム半製品(又はプロファイル要素)の形態で押出しされる(又は別のゴム組成物と共押出しされる)。これらの製品は続いて、当業者に知られた技術に従ってタイヤの製造に用いることができる。
上記組成物の架橋は、例えば130℃から200℃の温度で、加圧下、当業者に知られた方法で行うことができる。
【0061】
架橋系を更に含有する本発明に従うゴム組成物を調製する方法もまた、本明細書に記載されており、この方法は以下の工程、
第1の「非生産的」工程の間に、130℃から200℃の間の最大温度に達するまで熱機械的に混錬しながら、上記コポリマー、上記1,3-双極子化合物及び上記フィラーを添加する工程、
合わせた混合物を100℃未満の温度まで冷却する工程、
続いて上記ラジカル重合開始剤を取り込む工程、
合わせた混合物を120℃未満の最大温度まで混錬する工程を含む。
添加する1,3-双極子化合物の量は、上記コポリマーを構成するモノマー単位100モル当たり、優先的には0から3モル当量の間、より優先的には0から2モル当量の間、より優先的には更に0から1モル当量の間、実に更により好ましくは更に0から0.7モル当量の間のイミダゾール環である。これらの好ましい範囲のそれぞれについて、下限は、好ましくは少なくとも0.1モル当量の1,3-双極子化合物である。
【0062】
有利なことには、上記1,3-双極子化合物は、上記ゴム組成物の他の成分の投入前、特に上記フィラーの添加前に上記コポリマーと混合される。密に混合された、特に熱機械的に混錬された上記コポリマーと上記1,3-双極子化合物の間の接触時間は、混合、特に熱機械的な混錬の条件に応じて、とりわけ温度に応じて、調整される。温度が高くなるほど、この接触時間は短くなる。典型的には、接触時間は100℃~130℃の温度について1~5分である。
好ましくは、少なくとも1種の酸化防止剤が、従来なされているように、それがミキサーに投入される前に、特に上記コポリマーの合成の終了時に、上記コポリマーに好ましくは添加される。
上記ゴム組成物の全ての成分の取り込み後、それにより得られた最終組成物は次いでカレンダー仕上げされ、特に実験室での特性評価のためには例えばシート又はスラブの形態となり、或いは例えば、タイヤの製造のためのゴム成分として用いられるゴムプロファイル要素を形成するために押出される。
【0063】
II-7 ゴム物品
本発明の別の対象は、少なくとも1つの本発明による組成物を含有するゴム物品である。
本発明に照らして改善した性能の妥協点を考えると、上記ゴム物品は、有利なことには、空気式タイヤ、非空気式タイヤ、キャタピラー軌道及びコンベヤーベルトからなる群から選択される。好ましくは、上記ゴム物品は空気式又は非空気式タイヤである。
より具体的には、本発明の別の対象は、少なくとも1つの本発明による組成物を含有するトレッドを備えた空気式又は非空気式タイヤである。
本発明の別の対象は、少なくとも1つの本発明による組成物を含有する少なくとも1つのゴム成分を含有するゴム製キャタピラー軌道であって、上記少なくとも1つのゴム成分が好ましくはエンドレスゴムベルト、又は複数のゴムパッドである、ゴム製キャタピラー軌道であり、また本発明による組成物を含有するゴム製コンベヤーベルトでもある。
本発明は、未硬化状態(即ち、硬化前)及び硬化状態(即ち、架橋又は加硫後)の両方の上述したゴム物品に関する。
【0064】
III-好ましい実施形態
上記に照らして、本発明の好ましい実施形態を以下に記載する。
1.ゴム組成物であって、少なくとも、
50phrを超えるエチレン単位及び1,3-ジエン単位を含有するコポリマーを含有し、上記コポリマーにおける上記エチレン単位が上記コポリマーのモノマー単位の50mol%超に相当する、エラストマーマトリックス、
式(I)に相当する1,3-双極子化合物、
Q-Sp-B (I)
(式中、
Qは、少なくとも、及び好ましくは1つの窒素原子を含有する双極子を含有し、
Spは、好ましくは2価であって、QをBに結合する原子又は原子団であり、
Bは、下記式(II)に相当するイミダゾール環を含有する
【0065】
【化10】
(II)
(式中、
4つの符号Z、Y、R及びR’のうちの3つは、同一であるか又は異なっており、それぞれ原子又は原子団を表し、Z及びYは、それらが連結する炭素原子と共に環を形成することができ、
且つ第4の符号Z、Y、R又はR’は、Spへの直接の連結を示す))
主にシリカを含有するフィラー、並びに
少なくとも1種のラジカル重合開始剤と、(メタ)アクリレート化合物、マレイミド化合物、アリル化合物、ビニル化合物及びそれらの混合物からなる群から選択される共架橋剤とを含有する架橋系をベースとした、ゴム組成物。
【0066】
2.上記コポリマーにおける上記エチレン単位が、上記コポリマーのモノマー単位の50mol%から95mol%の間、好ましくは55mol%から90mol%の間に相当する、実施形態1に記載の組成物。
3.エチレン単位及び1,3-ジエン単位を含有するコポリマーが、エチレン及び1,3-ジエンからなるコポリマーである、実施形態1~2のいずれか1つに記載の組成物。
4.上記1,3-ジエンが1,3-ブタジエンである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の組成物。
5.上記コポリマーが式(III)の単位又は式(IV)の単位、或いは式(III)の単位及び式(IV)の単位を含有する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の組成物。
【化11】
-CH
2-CH(CH=CH
2)- (IV)
【0067】
6.上記コポリマーにおける式(III)の単位及び式(IV)の単位のモルパーセンテージが、それぞれo及びpであり、以下の式(式1)を満たし、優先的には式(式2)を満たし、o及びpが上記コポリマーの全てのモノマー単位に基づいて計算される、実施形態1~5のいずれか1つに記載の組成物。
0<o+p≦25 (式1)
0<o+p<20 (式2)
7.エチレン単位及び1,3-ジエン単位を含有するコポリマーがランダムコポリマーである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の組成物。
8.エチレン単位及び1,3-ジエン単位を含有するコポリマーの含有量が60~100phr、好ましくは80~100phrの範囲内である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の組成物。
9.R’がSpへの直接の連結を示す、実施形態1~8のいずれか1つに記載の組成物。
【0068】
10.Z及びYがそれぞれ水素原子である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の組成物。
11.Z及びYが、それらが連結する炭素原子と共に環、好ましくは芳香環を形成する、実施形態1~9のいずれか1つに記載の組成物。
12.Rが水素原子、又は少なくとも1つのヘテロ原子を含有することができ、好ましくは1~20個の炭素原子を含有する炭素をベースとした基を表す、実施形態1~11のいずれか1つに記載の組成物。
13.Rが脂肪族基、優先的には、好ましくは1~12個の炭素原子を含有するアルキル基である、実施形態1~12のいずれか1つに記載の組成物。
14.Rがメチルである、実施形態1~13のいずれか1つに記載の組成物。
15.Spが、少なくとも1つのヘテロ原子を含有することのできる、20個までの炭素原子を含有する基である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の組成物。
【0069】
16.Spが、優先的には1~20個の炭素原子、より優先的には1~12個の炭素原子、より優先的には更に1~6個の炭素原子を含有する脂肪族基、又は優先的には6~20個の炭素原子、より優先的には6~12個の炭素原子を含有する芳香族基である、実施形態1~15のいずれか1つに記載の組成物。
17.Spが、1~20個の炭素原子、優先的には1~12個の炭素原子、より優先的には1~6個の炭素原子、より優先的には更に1~3個の炭素原子を含有するアルキレン基、又は優先的には6~20個の炭素原子、より優先的には6~12個の炭素原子を含有するアリーレン基である、実施形態1~16のいずれか1つに記載の組成物。
18.上記1,3-双極子化合物がニトリル酸化物、ニトリルイミン及びニトロンからなる群から選択される、実施形態1~17のいずれか1つに記載の組成物。
19.Qが-C=N→O単位を含有する、実施形態1~18のいずれか1つに記載の組成物。
20.Qが式(V)に相当する単位を含有し、好ましくは式(V)に相当する単位を表す、実施形態1~19のいずれか1つに記載の組成物。
【0070】
【化12】
(V)
(式中、
5つの符号X
1~X
5のうちの4つは、同一であるか又は異なっており、それぞれ原子又は原子団であり、優先的には脂肪族基又は芳香族基であり、且つ第5の符号は、Spへの直接の連結を示し、X
1及びX
5が水素原子ではないことが知られている)
21.X
1、X
3及びX
5が同一である、実施形態20に記載の組成物。
22.X
1、X
3及びX
5がそれぞれ1~6個の炭素原子、優先的には1~3個の炭素原子のアルキル基である、実施形態20又は21に記載の組成物。
23.X
1、X
3及びX
5がそれぞれメチル又はエチルであり、好ましくはメチルである、実施形態20~22のいずれか1つに記載の組成物。
【0071】
24.上記1,3-双極子化合物が2,4,6-トリメチル-3-((2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンゾニトリル酸化物、又は2,4,6-トリエチル-3-((2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンゾニトリル酸化物であり、好ましくは2,4,6-トリメチル-3-((2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンゾニトリル酸化物である、実施形態1~23のいずれか1つに記載の組成物。
25.1,3-双極子化合物の含有量が、上記コポリマーを構成するモノマー単位100モル当たり、0から50モル当量の間、好ましくは0.01から15モル当量の間、例えば、4から15モル当量の間である、実施形態1~24のいずれか1つに記載の組成物。
26.1,3-双極子化合物の含有量が、上記ジエンエラストマーを構成するモノマー単位100モル当たり、0.1から3モル当量の間、優先的には0.1から2モル当量の間、更により優先的には0.1から1モル当量の間、実に更により優先的には0.1から0.7モル当量の間のイミダゾール環である、実施形態1~24のいずれか1つに記載の組成物。
【0072】
27.上記フィラーが70質量%を超える、好ましくは80質量%を超えるシリカを含有する、実施形態1~26のいずれか1つに記載の組成物。
28.上記フィラーが80質量%から99質量%の間のシリカ及び1質量%から20質量%の間のカーボンブラックを含有する、実施形態1~27のいずれか1つに記載の組成物。
29.シリカの含有量が5~60phr、好ましくは10~55phr、より好ましくは15~50phrの範囲内である、実施形態1~28のいずれか1つに記載の組成物。
30.上記シリカの上記コポリマーへのカップリング剤を更に含有し、上記カップリング剤が、好ましくは、オルガノシランポリスルフィド、ポリオルガノシロキサン、メルカプトシラン、アクリロシラン及びメタクリロシランからなる群から選択されるオルガノシランである、実施形態1~29のいずれか1つに記載の組成物。
【0073】
31.上記ラジカル重合開始剤が過酸化物、アゾ化合物、レドックス(酸化/還元)系及びそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態1~30のいずれか1つに記載の組成物。
32.上記ラジカル重合開始剤がジクミルペルオキシド、アリール又はジアリールペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジ(tert-ブチル)ペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、n-ブチル4,4’-ジ(tert-ブチルペルオキシ)バレラート、OO-(t-ブチル)O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルペルオキシベンゾアート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノアート、1,3(4)-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン及びそれらの混合物からなる群、好ましくはジクミルペルオキシド、n-ブチル4,4’-ジ(tert-ブチルペルオキシ)バレラート、OO-(t-ブチル)O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルペルオキシベンゾアート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノアート、1,3(4)-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン及びそれらの混合物からなる群から選択される有機過酸化物である、実施形態1~31のいずれか1つに記載の組成物。
【0074】
33.ラジカル重合開始剤の含有量が、0.1~3phr、好ましくは0.2~2.5phrの範囲内である、実施形態1~32のいずれか1つに記載の組成物。
34.ラジカル重合開始剤の含有量が、共架橋剤の質量に対して1質量%~10質量%、好ましくは1.25質量%から8質量%の間、好ましくは2質量%から5質量%の間、好ましくは3質量%から4質量%の間の範囲内である、実施形態1~33のいずれか1つに記載の組成物。
【0075】
35.上記共架橋剤が式(VIII)のアクリレート誘導体を含有する、実施形態1~34のいずれか1つに記載の組成物。
[X]pA (VIII)
(式中、
[X]pは、式(IX)の基に相当し、
【0076】
【化13】
(IX)
(式中、
R
1、R
2及びR
3は、独立して、水素原子、又は直線状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アルキルアリール基、アリール基及びアラルキルからなる群から選択されるC
1-C
8の炭化水素基を表し、1つ又は複数のヘテロ原子で割り込みされていてもよく、R
2及びR
3は共に非芳香族環を形成することができ、
(*)は、式(IX)の基のAへの連結点を表す)
Aは、アルカリ土類金属若しくは遷移金属からなる群に属する原子、炭素原子、又は1つ若しくは複数のヘテロ原子で割り込み及び/若しくは置換されていてもよいC
1-C
30の炭化水素基を表し、
Aは、p個の自由原子価を含み、pは、2~6の範囲内の値を有し、
2~6個のX基は、同一又は異なると理解される)
【0077】
36.上記式(VIII)のアクリレート誘導体において、
Aは、アルカリ土類金属若しくは遷移金属からなる群に属する原子、炭素原子、又はC1-C13の炭化水素基を表し、
Aは、p個の自由原子価を含み、pは、2~4の範囲内の値を有し、
2~4個のX基は、同一又は異なると理解される、実施形態35に記載の組成物。
37.R1、R2及びR3が、互いに独立して、水素原子、メチル基又はエチル基を表す、実施形態35又は36に記載の組成物。
38.R1がメチル基を表し、R2及びR3がそれぞれ水素原子を表す、実施形態35~37のいずれか1つに記載の組成物。
【0078】
39.R1、R2及びR3がそれぞれ水素原子を表す、実施形態35~37のいずれか1つに記載の組成物。
40.pが2又は3であり、好ましくは2である、実施形態35~39のいずれか1つに記載の組成物。
41.AがZn及びMgからなる群から選択される原子を表す、実施形態35~39のいずれか1つに記載の組成物。
42.Aが以下の基からなる群から選択されるC1-C13の炭化水素基を表す、実施形態35~39のいずれか1つに記載の組成物。
【0079】
【化14】
(式中、mは、1~13の範囲内の整数であり、(*)は、Aの式(IX)の基への連結点を表す)
43.共架橋剤の含有量が1~20phr、好ましくは2~10phr、好ましくは2から5phrの間の範囲内である、実施形態1~42のいずれか1つに記載の組成物。
【0080】
44.共架橋剤の含有量に対するシリカの含有量の比が2~9、好ましくは3~7の範囲内である、実施形態1~43のいずれか1つに記載の組成物。
45.上記組成物が、加硫剤としての分子状硫黄若しくは硫黄供与剤を含有しないか、又はそれらを0.5phr未満、好ましくは0.3phr未満、より好ましくは0.1phr未満含有する、実施形態1~44のいずれか1つに記載の組成物。
46.実施形態1~45のいずれか1つに規定された組成物を含有するゴム物品。
47.上記物品が空気式タイヤ、非空気式タイヤ、ゴム製キャタピラー軌道及びコンベヤーベルトからなる群から選択される、実施形態46に記載のゴム物品。
48.実施形態1~45のいずれか1つに規定された組成物を含有する空気式又は非空気式タイヤ。
49.実施形態1~45のいずれか1つに規定された組成物がトレッドに存在する、実施形態48に記載の空気式又は非空気式タイヤ。
【実施例】
【0081】
IV- 実施例
IV-1 使用した測定及び試験
モル質量の決定:コポリマーのサイズ排除クロマトグラフィー分析
a)テトラヒドロフラン(THF)に大気温度で溶解するコポリマーについては、モル質量をTHF中でのサイズ排除クロマトグラフィーにより決定した。試料を、一連のPolymer Laboratoriesのカラムにおいて1ml.min-1の流量でWaters 717インジェクター及びWaters 515 HPLCポンプを用いて注入した。この一連のカラムは、45℃にサーモスタットで保持されたチャンバーに置かれており、以下から構成される。
1つのPL Gel 5μmプレカラム、
2つのPL Gel 5μm Mixed C カラム、
1つのPL Gel 5μm-500Åカラム。
【0082】
検出はWaters 410屈折計を用いて行った。モル質量を、Polymer Laboratoriesにより保証されたポリスチレン標準を用いたユニバーサルキャリブレーション、及び粘度計に結合した屈折計による二重検出によって決定した。
絶対的な方法ではなく、SECはポリマーのモル質量分布を理解することを可能にする。ポリスチレン系の標準市販製品に基づき、種々の数平均質量(Mn)及び重量平均質量(Mw)を決定することができ、多分散指数を計算することができる(PI=Mw/Mn)。
b)大気温度でテトラヒドロフランに不溶性のコポリマーについては、モル質量を1,2,4-トリクロロベンゼン中で決定した。それらをまず高温条件下(150℃で4時間)で溶解し、次いで、3つのStyragelカラム(2つのHT6Eカラム及び1つのHT2カラム)を備えたWaters Alliance GPCV 2000クロマトグラフに1ml.min-1の流量で150℃にて注入した。検出はWaters屈折計を用いて行った。モル質量を、Polymer Laboratoriesにより保証されたポリスチレン標準を用いた相対キャリブレーションによって決定した。
【0083】
モル分率の決定
エチレン単位、共役ジエン単位及びあらゆるtrans-1,2-シクロヘキサン単位のモル分率を決定するために本出願において具体的に用いた1H NMR及び13C NMR技術の詳細な説明として、"Investigation of ethylene/butadiene copolymers microstructure by 1H and 13C NMR", Llauro M.F., Monnet C., Barbotin F., Monteil V., Spitz R., Boisson C., Macromolecules 2001, 34, 6304-6311の論文を参照した。
NMR分析
合成した分子の構造分析及びまたモル純度の決定をNMR分析により行った。5mm BBFO Z-grad「広帯域」プローブを備えたBruker Avance 3400 MHz分光計でスペクトルを得た。定量的1H NMR実験は、簡易な30°パルスシーケンス及び64取得のそれぞれの間の3秒の繰り返し時間を用いる。試料は重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解する。この溶媒はまたロックシグナルとして用いられる。0ppmのTMS参照に対して2.44ppmの重水素化DMSOのプロトンのシグナルへのキャリブレーションを行う。2D 1H/13C HSQC及び1H/13C HMBC実験と組み合わせた1H NMRスペクトルは、分子の構造決定を可能にする(アサインメント表を参照)。定量的1D 1H NMRスペクトルからモル定量化を行う。
【0084】
ムーニーML 1+4
以下の原理に従い、規格ASTM D-1646に従ってムーニー可塑性測定を行う。通常の未硬化ポリマーを、所定の温度、通常100℃に加熱した円筒状チャンバーに形作る。1分間の予熱後、L型ローターが2回転/分で試験試料内にて回転し、この動作を保持するための作業トルクを4分間の回転後に測定する。ムーニー可塑性(ML 1+4)は「ムーニー単位」(MU、1MU=0.83ニュートンメートル)で表される。
動的特性(硬化後):引張試験
これらの引張試験は、弾性応力及び破断点特性を決定することを可能にする。別に示されなければ、それらは1988年9月のフランス規格NF T 46-002に従って行われる。引張記録を処理することはまた、伸びに応じた弾性率曲線をプロットすることを可能にする。本明細書で用いられる弾性率は、最初の伸びにおいて測定される名目上の(又は見かけの)割線弾性率であり、試験試料の初期横断面を標準化することにより計算される。名目上の割線弾性率(又は見かけ上の応力、MPa)は、最初の伸びにおいて100%伸び及び300%伸びで測定され、それぞれMSA100及びMSA300で示される。補強指数は、MSA300弾性率のMSA100弾性率に対する比であり、コントロール組成物T1に対してベース100で表される。100より大きい値は、コントロール組成物と比較した検討中の組成物の補強の改善を表す。
【0085】
破断点伸び(EB%)及び破断応力(BS)の試験は、H2ダンベル試験試料についての2005年12月の規格NF ISO 37に基づき、引張速度500mm/分で測定される。破断点伸びは、伸びのパーセンテージとして表される。破断応力は、MPaで表される。これらの値は、コントロール組成物T1に対してベース100で表される。100より大きい値は、コントロール組成物と比較した検討中の組成物の機械的特性の改善を表す。
全てのこれらの引張測定は、フランス規格NF T 40-101(1979年12月)に従い、温度(23±2℃)及び湿度測定(50±5%相対湿度)の標準条件下で行われる。
【0086】
動的特性G*及びtan(δ)maxは、規格ASTM D 5992-96に従って粘度分析計(Metravib VA4000)で測定された。規格ASTM D 1349-99に従った、規定の温度条件下、例えば60℃での周波数10Hzでの単純な交互の正弦波せん断応力に供された、架橋組成物の試料(厚み4mm及び横断面400mm2の円筒状試験試料)の反応が記録された。ひずみ振幅掃引(strain amplitude sweep)を、0.15~50%(アウトワードサイクル(outward cycle))、次いで50~0.15%(リターンサイクル(return cycle))で行った。使用した結果は、非線形性(NL又はΔG*)及び損失係数tan(δ)である。観察したtan(δ)の最大値はtan(δ)maxで示され、リターンサイクルについて示される。非線形性(NL又はΔG*)は0.15%から50%の間の負荷のせん断弾性率の差異であり、MPaで表される。非線形性及びtan(δ)maxは、コントロール組成物T1に対してベース100で表される。100より小さい値は、コントロール組成物と比較した検討中の組成物のヒステリシス及びそれによる転がり抵抗の改善を表す。
IV-2 1,3-双極子化合物2,4,6-トリメチル-3-((2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンゾニトリル酸化物の合成
この化合物は、以下の反応スキームに従って調製することができる。
【0087】
【0088】
IV.2-1 2-(クロロメチル)-1,3,5-トリメチルベンゼンの合成
この化合物は、Zenkevich, I. G.; Makarov, A. A.; Russian Journal of General Chemistry; vol. 77; no. 4 (2007), pp. 611 - 619 (Zhurnal Obshchei Khimii, Vol. 77, No. 4 (2007), pp. 653 - 662)の論文に記載された手順に従って得ることができる。
【0089】
【化16】
酢酸(240ml)中のメシチレン(100.0g、0.832mol)、パラホルムアルデヒド(26.2g、0.874mol)及び塩酸(240ml、37%、2.906mol)の混合物を撹拌し、37℃まで非常にゆっくりと(1.5時間)加熱する。大気温度まで戻した後、混合物を水(1.0l)とCH
2Cl
2(200ml)で希釈し、生成物をCH
2Cl
2(50mlで4回)で抽出する。有機相を合わせ、次いで水(100mlで5回)で洗浄し、11~12mbarまでエバポレーションする(浴の温度=42℃)。無色油(133.52g、収率95%)を得る。+4℃で15~18時間後、油は結晶化した。結晶をろ取し、-18℃に冷却した石油エーテル(40ml)で洗浄し、次いで大気圧下、大気温度で3~5時間乾燥させる。融点39℃の白色固体(95.9g、収率68%)を得る。モル純度は96%を上回る(1H NMR)。
【0090】
【0091】
IV.2-2 3-(クロロメチル)-2,4,6-トリメチルベンズアルデヒドの合成
この化合物は、Yakubov, A. P.; Tsyganov, D. V.; Belen'kii, L. I.; and Krayushkin, M. M., Bulletin of the Academy of Sciences of the USSR, Division of Chemical Science (English Translation); Vol. 40; No. 7.2 (1991), pp. 1427 - 1432 (Izvestiya Akademii Nauk SSSR, Seriya Khimicheskaya; No. 7 (1991), pp. 1609 - 1615)の論文に記載された手順に従って得ることができる。
【0092】
【0093】
ジクロロメタン(200ml)中の2-(クロロメチル)-1,3,5-トリメチルベンゼン(20.0g、0.118mol)及びジクロロメチルメチルエーテル(27.26g、0.237mol)の溶液を、アルゴン下で10~12分かけてジクロロメタン(200ml)中のTiCl4(90.0g、0.474mol)の溶液に17℃で添加する。17~20℃で15~20分間撹拌後、水(1000ml)及び氷(500g)を反応媒体に添加する。10~15分間撹拌後、有機相を分離する。水相はCH2Cl2(75mlで3回)で抽出する。合わせた有機相を水(100mlで4回)で洗浄し、減圧下でエバポレーションして固体を得る(浴の温度=28℃)。目的生成物(22.74g)を収率97%で得る。その融点は58℃である。1H NMRにより見積もったモル純度は95mol%である。
【0094】
【化19】
IV.2-3 2,4,6-トリメチル-3-((2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンズアルデヒドの合成
【0095】
【化20】
DMF(10ml)中の3-(クロロメチル)-2,4,6-トリメチルベンズアルデヒド(10.0g、0.051mol)及びイミダゾール(10.44g、0.127mol)の混合物を80℃で1時間撹拌する。
【0096】
40~50℃に戻した後、混合物を水(200ml)で希釈し、10分間撹拌する。得られた沈殿物をろ取し、フィルター上で水(25mlで4回)で洗浄し、次いで大気温度で乾燥させる。融点161℃の白色固体(7.92g、収率64%)を得る。モル純度は91%である(1H NMR)。
【0097】
【化21】
IV.2-4 2,4,6-トリメチル-3-((2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンズアルデヒドオキシムの合成
【0098】
【0099】
EtOH(10ml)中のヒドロキシルアミン水溶液(809g、0.134mol、水中50%、Aldrich)を、EtOH(110ml)中の2,4,6-トリメチル-3-((2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンズアルデヒド(20.3g、0.084mol)の溶液に40℃で添加する。反応媒体を50~55℃の温度で2.5時間撹拌する。23℃に戻した後、得られた沈殿物をろ取し、フィルター上でEtOH/H2O(10ml/15ml)混合物で2回洗浄し、大気圧下、大気温度で15~20時間乾燥させる。融点247℃の白色固体(19.57g、収率91%)を得る。モル純度は87%を上回る(1H NMR)。
【0100】
【0101】
IV.2-5 2,4,6-トリメチル-3-((2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンゾニトリル酸化物の合成
【0102】
【0103】
NaOCl(4%の活性塩素、Aldrich、49ml)水溶液を、5分間かけて6℃でCH2Cl2(280ml)中の2,4,6-トリメチル-3-((2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンズアルデヒドオキシム(8.80g、0.034mol)の混合物に滴下する。反応媒体の温度を6℃から8℃の間に保持する。反応媒体を続いて8℃~21℃で2時間撹拌する。有機相を分離する。有機相を水(50mlで3回)で洗浄する。減圧下での濃縮後(浴の温度=22~23℃、220mbar)、石油エーテル(10ml)を添加し、溶媒を8~10mlまでエバポレーションし、溶液を-18℃で10~15時間保持して沈殿物を得る。沈殿物をろ取し、フィルター上でCH2Cl2/石油エーテル(2ml/6ml)混合物で、次いで石油エーテル(10mlで2回)で洗浄し、最終的に大気圧下、大気温度で10~15時間乾燥させる。融点139℃の白色固体(5.31g、収率61%)を得る。
モル純度は95mol%を上回る(1H NMR)。
【0104】
【0105】
IV-3 組成物の調製
以下の例では、上記の項目II-6に記載されたようなゴム組成物を製造した。特に、これらの組成物は以下の方法で製造する。エラストマー、適切な場合には約2分間110℃でエラストマーとのみ混錬した1,3-双極子化合物、次いでシリカ、カップリング剤、共架橋剤及びまた種々の他の成分を、過酸化物を除いてその初期容器温度が約110℃の内部ミキサーに投入する(最終充填度:約70容積%)。熱機械的作業(非生産的段階)を次いで1工程で行い、これは160℃の最大「低下」温度に達するまで約5~6分続く。それにより得られた混合物を回収して冷却し、次いで過酸化物を23℃でミキサー(ホモフィニッシャー)に取り込み、全てを適切な時間(例えば5から12分の間)混合する(生産的段階)。
【0106】
それにより得られた組成物を続いてカレンダー仕上げし、それらの物理的又は機械的特性の測定のためにはゴムのスラブ(2~3mmの範囲内の厚さ)又は薄いシートの形態のいずれかとし、或いは所望の寸法、例えばタイヤ用半製品としての、特にトレッドとしての所望の寸法へと切断及び/又は集合させた後に直接用いることのできる、プロファイル要素の形態とする。
架橋を150℃で行う。適用した架橋時間t’c(90)は、組成物の最大トルクの90%に達する組成物のトルクに必要な時間である。組成物のトルクを、規格DIN 53529-第3部(1983年6月)に従い、振動円板レオメーターを用いて150℃で測定する。t’c(90)を、それぞれの組成物について規格NF T 43-015に従って決定する。組成物によって約20~40分変化する。
【0107】
IV-4 ゴム組成物の試験
以下に示す例の目的は、本発明に従う組成物(C1)と3つのコントロール競争物(T1~T3)の補強、破断応力及び転がり抵抗の間の性能の妥協点を比較することである。
試験した(phrでの)組成及び得られた結果を表1に示す。
コントロール組成物は、それらが本発明に従う1,3-双極子化合物及び/又は共架橋剤を含有しない点で本発明に従う組成物C1とは異なる。
【0108】
【0109】
上記の表1に示す結果は、過酸化物により架橋された高度に飽和したジエンエラストマーをベースとした組成物において、本発明に従う1,3-双極子化合物と共架橋剤の特定の組み合わせが組成物の補強及び転がり抵抗を大きく改善することができ、一方でコントロール組成物T1に比べて改善した破断応力を示すことを示す。
本発明に従う組成物は、空気式又は非空気式タイヤの分野において、特に補強、破断応力及び転がり抵抗の点での性能間の良好な妥協点が望まれるトレッドにおいて、数多くの用途に有用である。
【国際調査報告】