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特表2023-539904弁装置を備えるガス状の媒体を貯蔵するタンク装置
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  • 特表-弁装置を備えるガス状の媒体を貯蔵するタンク装置 図1
  • 特表-弁装置を備えるガス状の媒体を貯蔵するタンク装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-20
(54)【発明の名称】弁装置を備えるガス状の媒体を貯蔵するタンク装置
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/04 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
F17C13/04 301Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514846
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(85)【翻訳文提出日】2023-03-02
(86)【国際出願番号】 EP2021072516
(87)【国際公開番号】W WO2022063485
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】102020211862.0
(32)【優先日】2020-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】シャイッヒ,ウド
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BD03
3E172DA90
3E172JA02
3E172KA02
(57)【要約】
ガス状の媒体、特に水素を貯蔵するタンク装置(1)は、弁装置(100)とタンク容器(200)とを備え、弁装置(100)は、弁ハウジング(102)を有し、弁ハウジング(102)は、弁ハウジング(102)内で可動のパイロット制御弁要素(24)を有している。パイロット制御弁要素は、第1のシール座(18)と協働し、パイロット制御弁(240)を形成し、弁装置は、パイロット制御弁要素を移動させる磁石コイル(32)を有している。さらに弁ハウジング内に主弁要素(12)が配置されている。さらにパイロット制御弁要素(24)の一方の端部(42)に永久磁石(17)が配置されており、永久磁石(17)は、永久磁石(17)のプラス極要素(170)が弁装置(100)のハウジングカバー(28)に向かって配置され、かつ永久磁石(17)のマイナス極要素(171)がタンク容器(200)に向かって配置されているように、弁装置(100)内に配置されており、永久磁石(17)は、磁石コイル(32)の通電時、磁石コイル(32)により発生される継続磁界(52)のプラス極領域(51)内に配置されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス状の媒体、特に水素を貯蔵するタンク装置(1)であって、弁装置(100)とタンク容器(200)とを備え、前記弁装置(100)は、弁ハウジング(102)を有し、前記弁ハウジング(102)内に、前記タンク装置(100)の長手方向軸線(101)に沿って可動のパイロット制御弁要素(24)が配置されており、前記パイロット制御弁要素(24)は、貫通開口(20)の開放および閉鎖のために第1のシール座(18)と協働し、パイロット制御弁(240)を形成し、前記弁装置(2)は、磁石コイル(32)を有し、前記磁石コイル(32)により、前記パイロット制御弁要素(24)は、前記タンク装置(1)の前記長手方向軸線(101)に沿って可動であり、前記弁ハウジング(102)内に、主弁要素(12)が配置されており、前記主弁要素(12)は、貫通開口(8)の開放および閉鎖のために第2のシール座(6)と協働し、主弁(120)を形成し、前記第2のシール座(6)は、円錐形の段部(36)として前記弁ハウジング(102)に形成されている、
タンク装置(1)において、
前記パイロット制御弁要素(24)の一方の端部(42)に永久磁石(17)が配置されており、前記永久磁石(17)は、前記永久磁石(17)のプラス極要素(170)が前記弁装置(100)のハウジングカバー(28)に向かって配置され、かつ前記永久磁石(17)のマイナス極要素(171)が前記タンク容器(200)に向かって配置されているように、前記弁装置(100)内に配置されており、前記永久磁石(17)は、磁石コイル(32)の通電時、前記磁石コイル(32)により発生される継続磁界(52)のプラス極領域(51)内に配置されている、
ことを特徴とするガス状の媒体、特に水素を貯蔵するタンク装置(1)。
【請求項2】
前記弁装置(2)は、磁石コイル(32)の通電時、前記タンク容器(200)に向かって開放可能であることを特徴とする請求項1のタンク装置(1)。
【請求項3】
前記弁ハウジング(102)と、前記主弁要素(12)の、前記貫通開口(8)の開放および閉鎖のために前記第2のシール座(6)と協働する一体成形部(37)との間に、絞り通路(38)が形成されており、前記絞り通路(38)は、前記第2のシール座(6)とは反対方向に向かって円錐形の拡張を示し、これにより絞り作用が形成されていることを特徴とする請求項1または2のタンク装置(1)。
【請求項4】
前記貫通開口(8)は、前記弁ハウジング(102)内において前記絞り通路(38)の高さに形成されており、前記絞り通路(38)内に開口していることを特徴とする請求項3のタンク装置(1)。
【請求項5】
前記弁ハウジング(102)内にチャンバ(35)が形成されており、前記チャンバ(35)は、前記貫通開口(8)により前記絞り通路(38)に接続されていることを特徴とする請求項3または4のタンク装置(1)。
【請求項6】
前記弁装置(100)は、前記タンク装置(1)のネック領域(203)内に配置されており、前記ネック領域(203)内のタンクベース(140)に押し当てられていることを特徴とする請求項5のタンク装置(1)。
【請求項7】
前記タンクベース(140)内に取り出し開口(14)が形成されており、前記取り出し開口(14)は、タンク容器内室(201)と前記チャンバ(35)とを互いに流体接続することを特徴とする請求項6のタンク装置(1)。
【請求項8】
前記パイロット制御弁要素(24)は、段部(43)を有し、前記段部(43)に、ばね(16)が支持されており、前記パイロット制御弁要素(24)に対して、前記パイロット制御弁要素(24)の前記一方の端部(42)に向かう力を加えていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項のタンク装置(1)。
【請求項9】
前記第1のシール座(18)は、前記主弁要素(12)に形成されていることを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項のタンク装置(1)。
【請求項10】
前記主弁要素(12)に対して、ばね(22)により、前記タンク容器内室(201)に向かう力が加えられており、これにより前記主弁要素(12)に対して、前記第1のシール座(18)に向かい、かつ前記第2のシール座(6)とは反対方向に向かう力が加えられていることを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項のタンク装置(1)。
【請求項11】
前記弁ハウジング(102)内に内室(45)が形成されており、前記内室(45)は、前記主弁要素(12)により第1の部分内室(450)と第2の部分内室(451)とに区画されていることを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項のタンク装置(1)。
【請求項12】
前記第1の部分内室(450)は、前記弁ハウジング(102)内に形成されるリリーフ通路(2)によりフィード管路(40)に接続されており、前記フィード管路(40)は、消費システムのフィード領域に接続可能であることを特徴とする請求項11のタンク装置(1)。
【請求項13】
前記第1の部分内室(450)と前記第2の部分内室(451)とは、前記第1のシール座(18)および/または前記第2のシール座(6)により流体接続可能であることを特徴とする請求項1から12までのいずれか1項のタンク装置(1)。
【請求項14】
燃料電池の運転用の水素を貯蔵する請求項1から13までのいずれか1項のタンク装置(1)を備える燃料電池システム。
【請求項15】
燃料電池の運転用の水素を貯蔵する請求項1から13までのいずれか1項のタンク装置(1)を備える燃料電池駆動の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁装置を備えるタンク装置、特に、水素を貯蔵する、例えば、燃料電池式の駆動部を備える車両または駆動部として水素エンジンを備える車両において使用する、弁装置を備えるタンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タンク装置であって、少なくとも2つのアキュムレータユニットを備え、アキュムレータユニットは、それぞれ1つの制御弁を有し、かつ管路システムを介して出口管路に接続されている、タンク装置が記載されている。この場合、少なくとも1つのアキュムレータユニットの少なくとも1つの制御弁は、主弁として形成されており、少なくとも1つのアキュムレータユニットの少なくとも1つの制御弁は、副弁として形成されており、主弁と副弁とは、それぞれ異なって形成されている。
【0003】
このようなタンク装置用の安全装置は、規格化されている。その際、このようなタンク装置はすべて遮断弁を備えていなければならない。それゆえ遮断弁は、例えば燃料電池式の駆動部を備える車両の事故により引き起こされるタンク装置の損傷時、またはタンク装置の管路の破損時、タンク容器を閉鎖するので、ガスは、タンク装置から流出し得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102018201055号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
遮断弁に対する高い安全要求に基づいて、かつ例えば800bar以上の高いシステム圧に基づいて、このような遮断弁は、構造的に極めて要求度が高く、かつ大きな取り付けスペースを占めている。このことは、他方、タンク装置全体の総重量を高めてしまい、このことは、例えば燃料電池式の駆動部を備える車両の事故の際、生じる高い加速力と、弁装置またはタンク装置の起こり得る変形とにつながることがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の特徴部に記載の特徴を備える本発明に係るタンク装置は、これに対して、構造的に簡単かつ省コストに、コンパクトに設計された開放力の低い安全弁を備えるタンク装置が提供されるという利点を有している。
【0007】
このために、ガス状の媒体、特に水素を貯蔵するタンク装置は、弁装置とタンク容器とを備えている。弁装置は、弁ハウジングを有し、弁ハウジング内には、タンク装置の長手方向軸線に沿って可動のパイロット制御弁要素が配置されている。パイロット制御弁要素は、貫通開口の開放および閉鎖のために第1のシール座と協働し、パイロット制御弁を形成している。さらに弁装置は、磁石コイルを有し、磁石コイルにより、パイロット制御弁要素は、タンク装置の長手方向軸線に沿って可動である。弁ハウジング内には、主弁要素が配置されており、主弁要素は、貫通開口の開放および閉鎖のために第2のシール座と協働し、主弁を形成し、第2のシール座は、円錐形の段部として弁ハウジングに形成されている。さらにパイロット制御弁要素の一方の端部に永久磁石が配置されており、永久磁石は、永久磁石のプラス極要素が弁装置のハウジングカバーに向かって配置され、かつ永久磁石のマイナス極要素がタンク容器に向かって配置されているように、弁装置内に配置されている。さらに永久磁石は、磁石コイルの通電時、磁石コイルにより発生される継続磁界のプラス極領域内に配置されている。
【0008】
したがって簡単に、磁束を最適に形成することが達成され得る。二段階の開放プロセスは、さらに弁装置の開放のために低い磁気の力しか必要としない。したがって低い所要電流および所要エネルギ、ひいてはポジティブなエネルギ収支が達成される。
【0009】
本発明の第1の有利な発展形において、弁装置は、磁石コイルの通電時、タンク容器に向かって開放可能である。したがって構造的に簡単かつ低コストのタンク装置が達成される。
【0010】
本発明の別の構成において、有利には、弁ハウジングと、主弁要素の、貫通開口の開放および閉鎖のために第2のシール座と協働する一体成形部との間に、絞り通路が形成されており、絞り通路は、第2のシール座とは反対方向に向かって円錐形の拡張を示し、これにより絞り作用が形成されている。
【0011】
本発明の有利な発展形において、貫通開口は、弁ハウジング内において絞り通路の高さに形成されており、絞り通路内に開口している。有利には、弁ハウジング内にチャンバが形成されており、チャンバは、貫通開口により絞り通路に接続されている。したがって構造的に簡単に弁装置の開放プロセスが促進される。
【0012】
本発明の有利な発展形において、有利には、弁装置は、タンク装置のネック領域内に配置されており、ネック領域内のタンクベースに押し当てられている。ネック領域内の弁装置の構造的な設計に基づいて、より少ない圧力作用面が達成され、このことは、より小さな軸方向の押圧力を結果として伴う。高圧時、より少ない圧力作用面は、構成部材負荷に関して高い負荷軽減を示し、このことは、タンク装置全体および弁装置のより少ない変形、少ない摩耗や、シール性に対する影響、そして高められた寿命に反映される。
【0013】
本発明の別の構成において、有利には、タンクベース内に取り出し開口が形成されており、取り出し開口は、タンク容器内室とチャンバとを互いに流体接続する。構造的に簡単に、それゆえ弁装置の内部は、タンク装置のタンク内室に接続され得る。
【0014】
本発明の有利な発展形において、パイロット制御弁要素は、段部を有し、段部に、ばねが支持されており、パイロット制御弁要素に対して、パイロット制御弁要素の一方の端部に向かう力が加えられている。
【0015】
本発明の別の構成において、有利には、第1のシール座は、主弁要素に形成されている。
【0016】
本発明の有利な発展形において、主弁要素に対して、ばねにより、タンク容器内室に向かう力が加えられており、これにより主弁要素に対して、第1のシール座に向かい、かつ第2のシール座とは反対方向に向かう力が加えられている。
【0017】
本発明の別の構成において、有利には、弁ハウジング内に内室が形成されており、内室は、主弁要素により第1の部分内室と第2の部分内室とに区画されている。
【0018】
本発明の有利な発展形において、第1の部分内室は、弁ハウジング内に形成されるリリーフ通路によりフィード管路に接続されており、フィード管路は、消費システムのフィード領域に接続可能である。
【0019】
これにより弁装置の開放プロセスは、促進されることができ、必要とする磁気の力は、僅かである。それというのも、開放プロセスは、弁装置の構造的な設計に基づいて空気圧の力により補助されるからである。
【0020】
本発明の別の構成において、有利には、第1の部分内室と第2の部分内室とは、第1のシール座および/または第2のシール座により流体接続可能である。
【0021】
説明したタンク装置は、好ましくは、燃料電池システムにおいて、燃料電池の運転用の水素を貯蔵するために好適である。
【0022】
燃料電池の運転用の水素を貯蔵する説明したタンク装置は、さらに有利には、燃料電池駆動の車両において好適である。
【0023】
水素を貯蔵する説明した装置は、さらに有利には、水素駆動の車両、すなわち、駆動部として水素エンジンを備える車両において好適である。
【0024】
図面には、ガス状の媒体、特に水素を貯蔵する本発明に係るタンク装置の実施例を示してある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】弁装置を備える本発明に係るタンク装置の一実施例の縦断面図である。
図2図1に示した本発明に係るタンク装置の磁石コイルの領域を拡大して示す抜粋図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、長手方向軸線48を有する本発明に係るタンク装置1の一実施例を縦断面図で、かつ簡略化した図で示しており、タンク装置1は、長手方向軸線48を中心に回転対称に形成されている。
【0027】
タンク装置1は、タンク容器200と弁装置100とを備え、弁装置100は、部分的にタンク容器200内に収容されている。タンク容器200は、タンク容器ハウジング202を有し、タンク容器ハウジング202内には、タンク容器内室201が形成されている。
【0028】
さらにタンク容器200は、ネック領域203を有し、弁装置100は、ネック領域203内に部分的に収容されている。この場合、弁装置100は、タンクベース140に支持されており、タンクベース140は、ネック領域203とタンク容器内室201との間に配置されており、タンク容器内室201は、ネック領域203から仕切られている。
【0029】
弁装置100は、弁ハウジング102を有し、弁ハウジング102内には、磁石コイル32が配置されており、磁石コイル32には、電気的な接続部30により電流が供給可能である。この場合、電気的な接続部30のフィードスルーは、磁化可能なハウジングカバー28内に形成されている。
【0030】
パイロット制御弁要素24の一方の端部42に永久磁石17が配置されており、永久磁石17は、プラス極要素170とマイナス極要素171とを有している。永久磁石17のプラス極要素170は、この場合、弁装置100のハウジングカバー28に向かって、かつ永久磁石17のマイナス極要素171は、タンク容器200に向かって配置されている。さらに永久磁石17は、永久磁石17が、磁石コイル32の通電時、磁石コイル32により発生される継続磁界52のプラス極領域51内に配置されているように、弁装置100内に配置されている。
【0031】
さらにハウジングカバー28は、ここでは非磁性材料から製造されており、これにより、磁石コイル32の通電時、磁力の場、ひいてはパイロット制御弁要素24の運動方向をタンク容器内室201へと向かわせることができる。
【0032】
さらに弁ハウジング102内には、内室45が形成されており、内室45内には、パイロット制御弁要素24と主弁要素12とが配置されている。
【0033】
パイロット制御弁要素24は、長手方向軸線48に対して同軸に配置されており、段状の空所と、丸み付けられた段部43とを有し、丸み付けられた段部43は、反対側に位置する端部において段430として形成されている。この段430には、ばね16が支持されており、ばね16は、同じくタンクベース140に支持されており、パイロット制御弁要素24に対して、磁石コイル32に向かう、図1で見て上向きの力を加えている。
【0034】
パイロット制御弁要素24に対して平行に、主弁要素12が配置されており、主弁要素12は、略L字形に一体成形部37を有して形成されている。付加的に主弁要素12は、貫通開口20を有し、貫通開口20を通して、第1の部分内室450と第2の部分内室451とが流体接続可能である。内室45は、主弁要素12により第1の部分内室450と第2の部分内室451とに分けられている。
【0035】
主弁要素12は、ばね22により付勢されており、ばね22によって、丸み付けられた段部43に押し付けられる。ばね22は、弁ハウジング102に支持されている。主弁要素12には、これにより第1のシール座18が形成されており、第1のシール座18は、主弁要素12とともに、第1の部分内室450と第2の部分内室451との間の接続の開放および閉鎖のために、ひいては貫通開口20の開放および閉鎖のために協働し、パイロット制御弁240を形成している。
【0036】
パイロット制御弁要素24により、主弁要素12に対して、ばね22の力とは反対方向の力が加えられ、主弁要素12は、主弁要素12の一体成形部37でもって、弁ハウジング102に円錐形に形成される第2のシール座6に押し付けられる。閉鎖する力は、この場合、タンク容器内室201内の圧力と、ばね16の力とにより補助される。閉鎖する力は、オフにされ通電されていない状態で、主弁要素12の確実な閉鎖を提供する。これにより主弁要素12は、弁ハウジング102内に形成される貫通開口8の開放および閉鎖のために第2のシール座18と協働し、主弁120を形成している。
【0037】
弁ハウジング102と、主弁要素12の一体成形部37との間には、絞り通路38が形成されており、絞り通路38は、第2のシール座6とは反対方向に向かって円錐形の拡張を示し、これにより絞り作用が形成されている。
【0038】
貫通開口8は、絞り通路38の高さに形成されており、絞り通路38内に開口している。さらに貫通開口8は、弁ハウジング102内に形成されるチャンバ35内に開口しており、チャンバ35は、タンクベース140内に形成される取り出し開口14を介してタンク容器内室201に接続されている。
【0039】
第1の部分内室450は、弁ハウジング102内に形成されるリリーフ通路2によりフィード管路40に接続されており、フィード管路40は、消費システムのフィード領域に接続可能である。リリーフ通路2内には、システム圧pが形成される。
【0040】
タンク装置1の機能形式は、以下の通りである:磁石コイル32の非通電の状態で、第1のシール座18と第2のシール座6とは、閉鎖されており、その結果、ガス状の媒体、ここでは水素は、タンク容器内室202から弁装置100を介してフィード管路40内に、例えば消費システムのフィード領域に向かって流動し得ない。
【0041】
電気的な接続部30を介した磁石コイル32の通電時、継続磁界52が形成され、継続磁界52は、プラス極領域51とマイナス極領域50とを有している。永久磁石17は、この場合、磁石コイル32により発生される継続磁界52のプラス極領域51内に位置している。継続磁界52内における永久磁石17の互いに反発する磁力に基づき、パイロット制御弁要素24は、ハウジングカバー28から離れる方向に移動し、ばね16を圧縮する。パイロット制御弁要素24の長手方向運動により、パイロット制御弁要素24は、第1のシール座18から離座し、第2の部分内室451から第1の部分内室450への開放横断面と、貫通開口20とを解放する。
【0042】
取り出し開口14と、チャンバ35と、貫通開口8と、絞り通路38とを介して、第2の部分内室451は、タンク容器内室201に流体接続されており、その結果、第2の部分内室451には、水素が充填されている。リリーフ通路2へと向かう、ひいてはフィード管路40内への水素の流出によって、媒体減少に応じてこの圧力システムにより、均衡のとれた圧力レベルが主弁要素12の周りに形成される。
【0043】
絞りとしての絞り通路38の構造的な構成により、この開放プロセス中、絞り通路38を介して後から流れ込むよりも多くの媒体、ここでは水素が、貫通開口20を介して流れ出すことが可能である。こうして、付加的な開放する力が、主弁要素12に対して作用する。加えて、第2の部分内室451内の圧力は、降下される。
【0044】
第1のシール座18の短い開放時間後、パイロット制御弁要素24は、圧力補償されており、このことは、主弁要素12の圧力均衡に至る。
【0045】
ばね22が、主弁要素12を開放力で押しているため、ばね22の力は、第2のシール座6の解放を補助し、その結果、主弁要素12は、第2のシール座6から離座し、貫通開口8と第1の部分内室450との間の開放横断面を解放する。
【0046】
水素は、タンク容器内室201から貫通開口8を介して直接第1の部分内室450内にリリーフ通路2に向かって、ひいてはフィード管路40内へ流動する。
【0047】
第1のシール座18および第2のシール座6は、解放されており、両開放横断面を介して水素は、タンク容器内室201から弁装置1を介してフィード管路40内に、例えば消費システムのフィード領域に向かって流動する。
【0048】
第1のシール座18における開放横断面が、第2のシール座6における開放横断面より小さいとき、僅かな磁気の力だけが、第1のシール座18におけるパイロット制御弁要素24の開放プロセスのために必要とされる。
【0049】
磁石コイル32の通電が中断されると、継続磁界52、ひいては、永久磁石17と、磁石コイル32の継続磁界52との反発する磁力は、消散し、パイロット制御弁要素24および主弁要素12に対する閉鎖する力が、ばね16を介して導入される。タンク容器内室201内の、例えば15~1000barのかかっている圧力pに応じて、閉鎖する力は、タンク装置1のネック領域203内の圧力とともに、パイロット制御弁要素24と第1のシール座18とを介して、第2のシール座6を有する主弁要素12に導入される。
【0050】
第1のシール座18も、第2のシール座6も、今や再び遮断されており、その結果、水素は、もはやタンク容器内室201から弁装置100を介して例えば消費システムのフィード領域に向かって流動し得ない。自動で閉鎖するこの原理は、非常時に、電流供給が断たれても、機能する。この場合、しかし、所望される力のフローとは反対方向に作用するばね22の力が、過度に高く選択されてはならず、相応に調整されていなければならない点に留意することが重要である。したがって非常時に、水素がタンク装置1から漏れ得ないことが保証される。
【0051】
タンク充填の際は、リリーフ通路2に、接続されるタンクユニット、例えばタンクステーションを介して圧力が供給される。その際、リリーフ通路2内におけるかかっている圧力は、残りの弁装置100内におけるより大きい。異なる圧力レベルにより、第2のシール座6における圧力比は、残りの弁装置100内におけるより大きく、その結果、主弁要素12は、パイロット制御弁要素24をばね16の力とは反対方向にタンク容器内室201に向かって押圧する。タンク装置1は、今や解放された第2のシール座6を介して、そして貫通開口8を介して、タンクプロセスが完了するまで、充填され得る。タンクプロセスが終了すると、さらなる充填は行われず、その結果、主弁要素12の周りの圧力は、均衡する。ばね16の力は、p>pから生じる差圧とともに、再び第1のシール座18および第2のシール座6の閉鎖を提供する。
【0052】
ガス状の媒体を貯蔵するタンク装置1は、燃料電池駆動の車両の他、例えば駆動部として水素エンジンを備える車両内での水素貯蔵にも使用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 タンク装置
2 リリーフ通路
6 第2のシール座
8 貫通開口
12 主弁要素
14 取り出し開口
16 ばね
17 永久磁石
18 第1のシール座
20 貫通開口
22 ばね
24 パイロット制御弁要素
28 ハウジングカバー
30 電気的な接続部
32 磁石コイル
35 チャンバ
36 段部
37 一体成形部
38 絞り通路
40 フィード管路
42 端部
43 段部
45 内室
48 長手方向軸線
50 マイナス極領域
51 プラス極領域
52 継続磁界
100 弁装置
102 弁ハウジング
120 主弁
140 タンクベース
170 プラス極要素
171 マイナス極要素
200 タンク容器
201 タンク容器内室
202 タンク容器ハウジング
203 ネック領域
240 パイロット制御弁
430 段
450 第1の部分内室
451 第2の部分内室
システム圧
圧力
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-03-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス状の媒体を貯蔵するタンク装置(1)であって、弁装置(100)とタンク容器(200)とを備え、前記弁装置(100)は、弁ハウジング(102)を有し、前記弁ハウジング(102)内に、前記タンク装置()の長手方向軸線(48)に沿って可動のパイロット制御弁要素(24)が配置されており、前記パイロット制御弁要素(24)は、貫通開口(20)の開放および閉鎖のために第1のシール座(18)と協働し、パイロット制御弁(240)を形成し、前記弁装置(100)は、磁石コイル(32)を有し、前記磁石コイル(32)により、前記パイロット制御弁要素(24)は、前記タンク装置(1)の前記長手方向軸線(48)に沿って可動であり、前記弁ハウジング(102)内に、主弁要素(12)が配置されており、前記主弁要素(12)は、貫通開口(8)の開放および閉鎖のために第2のシール座(6)と協働し、主弁(120)を形成し、前記第2のシール座(6)は、円錐形の段部(36)として前記弁ハウジング(102)に形成されている、
タンク装置(1)において、
前記パイロット制御弁要素(24)の一方の端部(42)に永久磁石(17)が配置されており、前記永久磁石(17)は、前記永久磁石(17)のプラス極要素(170)が前記弁装置(100)のハウジングカバー(28)に向かって配置され、かつ前記永久磁石(17)のマイナス極要素(171)が前記タンク容器(200)に向かって配置されているように、前記弁装置(100)内に配置されており、前記永久磁石(17)は、磁石コイル(32)の通電時、前記磁石コイル(32)により発生される継続磁界(52)のプラス極領域(51)内に配置されている、
ことを特徴とするガス状の媒体を貯蔵するタンク装置(1)。
【請求項2】
前記弁装置(100)は、磁石コイル(32)の通電時、前記タンク容器(200)に向かって開放可能であることを特徴とする請求項1のタンク装置(1)。
【請求項3】
前記弁ハウジング(102)と、前記主弁要素(12)の、前記貫通開口(8)の開放および閉鎖のために前記第2のシール座(6)と協働する一体成形部(37)との間に、絞り通路(38)が形成されており、前記絞り通路(38)は、前記第2のシール座(6)とは反対方向に向かって円錐形の拡張を示し、これにより絞り作用が形成されていることを特徴とする請求項1または2のタンク装置(1)。
【請求項4】
前記貫通開口(8)は、前記弁ハウジング(102)内において前記絞り通路(38)の高さに形成されており、前記絞り通路(38)内に開口していることを特徴とする請求項3のタンク装置(1)。
【請求項5】
前記弁ハウジング(102)内にチャンバ(35)が形成されており、前記チャンバ(35)は、前記貫通開口(8)により前記絞り通路(38)に接続されていることを特徴とする請求項3または4のタンク装置(1)。
【請求項6】
前記弁装置(100)は、前記タンク装置(1)のネック領域(203)内に配置されており、前記ネック領域(203)内のタンクベース(140)に押し当てられていることを特徴とする請求項5のタンク装置(1)。
【請求項7】
前記タンクベース(140)内に取り出し開口(14)が形成されており、前記取り出し開口(14)は、タンク容器内室(201)と前記チャンバ(35)とを互いに流体接続することを特徴とする請求項6のタンク装置(1)。
【請求項8】
前記パイロット制御弁要素(24)は、段部(43)を有し、前記段部(43)に、ばね(16)が支持されており、前記パイロット制御弁要素(24)に対して、前記パイロット制御弁要素(24)の前記一方の端部(42)に向かう力を加えていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項のタンク装置(1)。
【請求項9】
前記第1のシール座(18)は、前記主弁要素(12)に形成されていることを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項のタンク装置(1)。
【請求項10】
前記主弁要素(12)に対して、ばね(22)により、前記タンク容器内室(201)に向かう力が加えられており、これにより前記主弁要素(12)に対して、前記第1のシール座(18)に向かい、かつ前記第2のシール座(6)とは反対方向に向かう力が加えられていることを特徴とする請求項のタンク装置(1)。
【請求項11】
前記弁ハウジング(102)内に内室(45)が形成されており、前記内室(45)は、前記主弁要素(12)により第1の部分内室(450)と第2の部分内室(451)とに区画されていることを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項のタンク装置(1)。
【請求項12】
前記第1の部分内室(450)は、前記弁ハウジング(102)内に形成されるリリーフ通路(2)によりフィード管路(40)に接続されており、前記フィード管路(40)は、消費システムのフィード領域に接続可能であることを特徴とする請求項11のタンク装置(1)。
【請求項13】
前記第1の部分内室(450)と前記第2の部分内室(451)とは、前記第1のシール座(18)および/または前記第2のシール座(6)により流体接続可能であることを特徴とする請求項11または12のタンク装置(1)。
【請求項14】
前記ガス状の媒体が水素を含むことを特徴とする請求項1から13までのいずれか1項のタンク装置(1)。
【請求項15】
燃料電池の運転用の水素を貯蔵する請求項1から14までのいずれか1項のタンク装置(1)を備える燃料電池システム。
【請求項16】
燃料電池の運転用の水素を貯蔵する請求項1から14までのいずれか1項のタンク装置(1)を備える燃料電池駆動の車両。
【国際調査報告】