IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

特表2023-539911弁装置を備えるガス状媒体を貯蔵するタンク装置
<>
  • 特表-弁装置を備えるガス状媒体を貯蔵するタンク装置 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-20
(54)【発明の名称】弁装置を備えるガス状媒体を貯蔵するタンク装置
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/04 20060101AFI20230912BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
F17C13/04 301Z
F16K31/06 385Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514929
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(85)【翻訳文提出日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 EP2021073000
(87)【国際公開番号】W WO2022063493
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】102020211865.5
(32)【優先日】2020-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】シャイッヒ,ウド
【テーマコード(参考)】
3E172
3H106
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB03
3E172BD03
3E172CA12
3E172DA51
3E172EA02
3E172EA12
3E172EA22
3E172EB02
3E172JA05
3H106DA07
3H106DA26
3H106DA35
3H106DB12
3H106DC02
3H106DC17
3H106DD02
3H106EE34
3H106KK12
(57)【要約】
弁装置(100)とタンク容器(200)とを備えるガス状媒体、特に水素を貯蔵するタンク装置(1)であって、弁装置が弁ハウジング(102)有し、その中でパイロット弁要素(24)が可動であり、パイロット弁要素が第1のシール座(18)と協働し、それによりパイロット弁(240)を形成し、電磁コイル(32)によってパイロット弁要素を動かすことができる。さらに、弁ハウジング内に主弁要素(12)が配置され、主弁要素が第2のシール座(6)と協働し、それにより主弁(120)を形成し、第2のシール座は、弁ハウジングに円錐形段部(36)として形成されている。さらに、パイロット弁要素が、タンク装置(1)の長手軸(48)に対して垂直の横孔(241)を有し、パイロット弁要素(24)のこの横孔が、タンク装置の長手軸に対して垂直に配置された主弁要素の横孔(121)に通じ、パイロット弁要素の横孔に、および主弁要素の横孔に、少なくとも部分的に連行要素(66)が配置されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁装置(100)とタンク容器(200)とを備えるガス状媒体、特に水素を貯蔵するタンク装置(1)であって、前記弁装置(100)が弁ハウジング(102)を有し、前記弁ハウジング(102)内に、前記タンク装置(100)の長手軸(48)に沿って可動のパイロット弁要素(24)が配置され、前記パイロット弁要素(24)が、貫通開口(20)を開閉するために第1のシール座(18)と協働し、それによりパイロット弁(240)を形成し、前記弁装置(2)が電磁コイル(32)を備え、前記電磁コイル(32)によって前記パイロット弁要素(24)を前記長手軸(48)に沿って動かすことができ、前記弁ハウジング(102)内に主弁要素(12)が配置され、前記主弁要素(12)が、貫通開口(8)を開閉するために第2のシール座(6)と協働し、それにより主弁(120)を形成し、前記第2のシール座(6)が前記弁ハウジング(102)に円錐形段部(36)として形成されている、タンク装置において、前記パイロット弁要素(24)が、前記タンク装置(1)の前記長手軸(48)に対して垂直の横孔(241)を有し、前記パイロット弁要素(24)の前記横孔(241)が、前記タンク装置(1)の前記長手軸(48)に対して垂直に配置された前記主弁要素(12)の横孔(121)に通じ、前記パイロット弁要素(24)の前記横孔(241)に、および前記主弁要素の前記横孔(121)に、少なくとも部分的に(120)連行要素(66)が配置されていることを特徴とする、タンク装置。
【請求項2】
前記連行要素(66)がピン形状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のタンク装置(1)。
【請求項3】
前記パイロット弁要素(24)の一端(42)に永久磁石(17)が配置され、前記永久磁石(17)は、前記永久磁石(17)のプラス極要素(170)が前記弁装置(100)のハウジング蓋(28)の方向に、かつ前記永久磁石(17)のマイナス極要素(171)が前記タンク容器(200)の方向に配置されるように前記弁装置(100)に配置され、前記永久磁石(17)は、電磁コイル(32)に通電すると、前記電磁コイル(32)によって生成される永久磁場(52)のプラス極領域(51)に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載のタンク装置(1)。
【請求項4】
前記弁装置(2)は、電磁コイル(32)に通電すると、前記タンク容器(200)の方向に開放可能であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項5】
前記弁ハウジング(102)と、前記主弁要素(12)の一体成形部(37)であって前記貫通開口(8)を開閉するために前記第2のシール座(6)と協働する一体成形部(37)との間に絞り通路(38)が形成され、前記絞り通路(38)は、前記第2のシール座(6)の方向とは逆の方向に円錐形の拡大を有し、それによって絞り作用が形成されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項6】
前記貫通開口(8)は、前記弁ハウジング(102)内で前記絞り通路(38)の高さに形成され、かつ前記絞り通路(38)内に通じることを特徴とする、請求項5に記載のタンク装置(1)。
【請求項7】
前記弁ハウジング(102)内に室(35)が形成され、前記室(35)は、前記貫通開口(8)によって前記絞り通路(38)と接続されることを特徴とする、請求項5または6に記載のタンク装置(1)。
【請求項8】
前記弁装置(100)は、前記タンク装置(1)の首領域(203)に配置され、前記首領域(203)内でタンク底部(140)に押し付けられることを特徴とする、請求項7に記載のタンク装置(1)。
【請求項9】
前記タンク底部(140)に、タンク容器内部空間(201)と前記室(35)を流体的に互いに接続する取出し開口(14)が形成されることを特徴とする、請求項8に記載のタンク装置(1)。
【請求項10】
前記パイロット弁要素(24)が段部(43)を有し、前記段部(43)にばね(16)が支持され、前記パイロット弁要素(24)に前記パイロット弁要素(24)の前記一端(42)の方向に力を加えることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項11】
前記主弁要素(12)に、ばね(22)によって前記タンク容器内部空間(201)の方向に力が加えられ、それによって前記主弁要素(12)に、前記第1のシール座(18)の方向に、および前記第2のシール座(6)の方向とは逆の方向に力が加えられることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項12】
前記弁ハウジング(102)内に内部空間(45)が形成され、前記内部空間(45)は、前記主弁要素(12)によって第1の部分内部空間(450)と第2の部分内部空間(451)とに分割されることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項13】
前記第1の部分内部空間(450)は、前記弁ハウジング(102)内に形成された制御通路(2)によって供給管(40)と接続され、前記供給管(40)は、エネルギー消費機器システムの供給領域と接続可能であることを特徴とする、請求項12に記載のタンク装置(1)。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の燃料電池の動作のための水素を貯蔵するタンク装置(1)を備える燃料電池システム。
【請求項15】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の燃料電池の動作のための水素を貯蔵するタンク装置(1)を備える燃料電池で動作される車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁装置を備える、例えば燃料電池駆動装置を備える車両または駆動装置として水素燃焼装置を備える車両において使用するための、特に水素を貯蔵するタンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、制御弁を有し、配管系を介して出口配管と接続されている少なくとも1つの貯蔵ユニットを備えるタンク装置を記載する。この場合、少なくとも1つの貯蔵ユニットの少なくとも1つの制御弁が主弁として形成され、少なくとも1つの貯蔵ユニットの少なくとも1つの制御弁が副弁として形成され、主弁と副弁は相違に形成されている。
【0003】
そのようなタンク装置の安全装置は規格統一されている。その場合、各タンク装置は、このような遮断弁を有していなければならない。それにより、例えば燃料電池駆動装置を備える車両の事故発生によりタンク装置の損傷が引き起こされた場合、またはタンク装置の配管が破断した場合に遮断弁がタンク容器を閉鎖することができ、それによってガスはタンク装置から流出できない。
【0004】
遮断弁には高い安全要求が課せられ、システム圧力が例えば800bar以上と高いことにより、そのような遮断弁は構造的に非常に難題であり、大きな構造空間を有する。このこともまたタンク装置全体の総重量を増加させ、そのことが、例えば燃料電池駆動装置を備える車両の事故発生時に高い加速力を生じさせ、場合によって弁装置またはタンク装置を変形させる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102018201055号明細書
【発明の概要】
【0006】
これに対して、本発明による請求項1の識別的な特徴を有するタンク装置は、開放力が小さくコンパクトに設計された安全弁を有するタンク装置が、構造的に簡単な、かつコスト節約的な仕方で提供されるという利点を有する。
【0007】
そのために、ガス状媒体、特に水素を貯蔵するタンク装置は、弁装置とタンク容器とを備有する。弁装置は弁ハウジングを有し、この弁ハウジング内に、タンク装置の長手軸に沿って可動のパイロット弁要素が配置される。パイロット弁要素は、貫通開口を開閉するために第1のシール座と協働し、それによりパイロット弁を形成する。さらに、弁装置は電磁コイルを備え、この電磁コイルによってパイロット弁要素をタンク装置の長手軸に沿って動かすことができる。弁ハウジング内には主弁要素が配置され、この主弁要素は、貫通開口を開閉するために第2のシール座と協働し、それにより主弁を形成し、その場合、第2のシール座は弁ハウジングに円錐形段部として形成されている。さらに、パイロット弁要素が、タンク装置の長手軸に対して垂直の横孔を有する。パイロット弁要素のこの横孔は、タンク装置の長手軸に対して垂直に配置された主弁要素の横孔に通じている。パイロット弁要素の横孔に、および主弁要素の横孔にはさらに、少なくとも部分的に連行要素(Mitnehmerelement)が配置されている。
【0008】
したがって、弁装置を開くために必要な磁力を最小限に抑えることによって、コスト節約と同時に弁装置の効率と機能性を簡単に最適化することができる。さらに、弁装置の材料選択、断面寸法設定、および表面構造の形態を最適化することにより磁束を最適に設計することによって磁気回路が改善され、それによりコンパクトで安価な弁装置が達成される。
【0009】
第1の有利な発展形態では、連行要素がピン形状に形成されている。連行要素の幾何学的形態が必要とされる機能に相応に適合され、それにより弁装置全体の最適な機能性が達成される。
【0010】
有利な発展形態では、パイロット弁要素の一端に永久磁石が配置され、この永久磁石は、永久磁石のプラス極要素が弁装置のハウジング蓋の方向に、かつ永久磁石のマイナス極要素がタンク容器の方向に配置されるように弁装置に配置される。さらに、永久磁石は、電磁コイルに通電されると、電磁コイルによって生成される永久磁場のプラス極領域に配置される。
【0011】
したがって、磁束を最適に形成することを簡単に達成できる。さらに、2段階の開放過程は、弁装置を開くためにわずかな磁力のみを必要とする。それにより電力消費量とエネルギー消費量が少なく、それに伴いエネルギー収支がプラスとなる。
【0012】
本発明の別の実施形態では、弁装置は、電磁コイルに通電されると、タンク容器の方向に開放可能であることが有利にも企図される。それにより、構造的に簡単で安価なタンク装置が達成される。さらに、この実施形態は、複雑なシールコンセプト(Dichtkonzepte)を適用しなくても、電気で動かされる部品および磁石を媒体にさらされる領域から取り出すことを可能にする。
【0013】
本発明の別の実施形態では、弁ハウジングと、主弁要素の一体成形部(Anformung)であって貫通開口を開閉するために第2のシール座と協働する一体成形部との間に絞り通路が形成され、この絞り通路は、第2のシール座の方向とは逆の方向に円錐形の拡大を有し、それによって絞り作用が形成されることが有利にも企図される。
【0014】
本発明の有利な発展形態では、貫通開口は、弁ハウジング内で絞り通路の高さに形成され、かつ絞り通路内に通じることが企図される。有利にも弁ハウジング内に室が形成され、この室は、貫通開口によって絞り通路と接続される。それにより、構造的に簡単な仕方で弁装置の開放過程が容易ならしめられる。
【0015】
本発明の有利な発展形態では、弁装置がタンク装置の首領域に配置され、首領域内でタンク底部に押し付けられることが企図される。首領域内の弁装置の構造的設計により、圧力作用面をより小さくすることが達成され、その結果として軸方向の圧力がより小さくなる。圧力が高い場合、圧力作用面がより小さいことにより、部品にかかる負荷に関して大幅に軽減され、そのことがタンク装置全体および弁装置のより少ない変形、より少ない摩耗およびシール性に対するより少ない影響、ならびに長寿命に反映される。
【0016】
本発明の別の実施形態では、タンク底部に、タンク容器内部空間と室を流体的に互いに接続する取出し開口が形成されることが有利にも企図される。それにより弁装置の内部を構造的に簡単な仕方でタンク装置のタンク内部空間と接続することができる。
【0017】
本発明の有利な発展形態では、パイロット弁要素が段部を有し、この段部にばねが支持され、パイロット弁要素に、パイロット弁要素の一端の方向に力を加えることが企図される。
【0018】
本発明の有利な発展形態では主弁要素に、ばねによってタンク容器内部空間の方向に力が加えられ、それによって主弁要素に、第1のシール座の方向に、および第2のシール座の方向とは逆の方向に力が加えられることが企図される。
【0019】
本発明の別の実施形態では、弁ハウジング内に内部空間が形成され、内部空間は、主弁要素によって第1の部分内部空間と第2の部分内部空間とに分割されることが企図される。
【0020】
本発明の有利な発展形態では、第1の部分内部空間は、弁ハウジング内に形成された制御通路によって供給管と接続され、この供給管は、エネルギー消費機器システムの供給領域と接続可能であることが企図される。
【0021】
それによって、弁装置の構造的設計にもとづいて開放過程が空気圧によって支援されるので、わずかな磁力を必要とする弁装置の開放過程を容易ならしめることができる。
【0022】
上記のタンク装置は、燃料電池システムにおいて、殊に燃料電池の動作のための水素を貯蔵するのに適している。
【0023】
燃料電池の動作のための水素を貯蔵する上記のタンク装置は、さらに、燃料電池で動作する車両に有利に適している。
【0024】
水素を貯蔵する上記の装置は、さらに、水素で動作する車両、すなわち駆動装置として水素燃焼装置を備える車両に有利に適している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】弁装置を備える本発明によるタンク装置の一実施例の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ガス状媒体、特に水素を貯蔵するための本発明によるタンク装置の実施例が図面に示される。
【0027】
図1は、長手軸48を有する本発明によるタンク装置1の一実施例を縦断面図および簡略化した図で示し、タンク装置1は、長手軸48を中心に回転対称に形成されている。
【0028】
タンク装置1は、タンク容器200と弁装置100とを有し、弁装置100は、部分的にタンク容器200内に収容されている。タンク容器200は、タンク容器内部空間201が形成されたタンク容器ハウジング202を有する。
【0029】
さらに、タンク容器200は、弁装置100が部分的に収容された首領域203を有する。その際、弁装置100は、タンク底部140に支持され、タンク底部は、首領域203とタンク容器内部空間201との間に配置され、それによりタンク容器内部空間201が首領域203から区切られている。
【0030】
弁装置100は、電磁コイル32が内部に配置された弁ハウジング102を有し、電磁コイルに電気的接続部30を介して電流を供給可能である。その場合、磁化可能なハウジング蓋28に電気的接続部30の挿通部が形成されている。
【0031】
パイロット弁要素24の一端42に、プラス極要素170およびマイナス極要素171を有する永久磁石17が配置されている。その場合、永久磁石17のプラス極要素170は弁装置100のハウジング蓋28の方向を指し、永久磁石17のマイナス極要素171は、タンク容器200の方向に配置されている。さらに、永久磁石17は、電磁コイル32に通電されると、電磁コイル32によって生成された永久磁場52のプラス極領域51に配置されるように弁装置100に配置されている。
【0032】
さらに、磁力場、したがってパイロット弁要素24の運動方向を、電磁コイル32の通電時にタンク容器内部空間201の方向に導くために、ハウジング蓋28は、ここでは非磁性材料から製造されている。
【0033】
さらに、弁ハウジング102内に、パイロット弁要素24と主弁要素12が配置される内部空間45が形成されている。
【0034】
パイロット弁要素24は、長手軸48に対して同軸に配置され、階段状の空所と丸くされた段部43とを有し、この段部は、向かい側に位置する端が段430として形成されている。この段430にばね16が支持され、このばねはタンク底部140にも支持され、パイロット弁要素24に電磁コイル32の方向に、図1では上に向かって力を加える。
【0035】
パイロット弁要素24に対して平行に主弁要素12が配置され、主弁要素は、一体成形部37とともに実質的にL字形に形成されている。これに加えて、主弁要素12が貫通開口20を有し、この貫通開口によって第1の部分内部空間450と第2の部分内部空間451とを流体的に接続可能である。内部空間45は、主弁要素12によって第1の部分内部空間450と第2の部分内部空間451とに分けられる。
【0036】
主弁要素12は、ばね22によって付勢され、ばねにより、丸くされた段部43に押し付けられ、その場合、ばね22は弁ハウジング102に支持されている。それにより主弁要素12に第1のシール座18が形成され、第1のシール座は、第1の部分内部空間450と第2の部分内部空間451との間の接続部を開閉、したがって貫通開口20を開閉するために主弁要素12と協働し、それによりパイロット弁240を形成する。
【0037】
パイロット弁要素24によって、ばね22の力に抗する力が主弁要素12に加えられ、それにより主弁要素の一体成形部37が、弁ハウジング102に円錐形に形成された第2のシール座6に押し付けられる。その場合、閉じる力は、タンク容器内部空間201内の圧力とばね16の力によって支援される。オフに切り替えられ、通電されない状態で、閉じる力は主弁要素12を確実に閉鎖せしめる。それによって、主弁要素12は、弁ハウジング102に形成された貫通開口8を開閉するために第2のシール座6と協働し、それにより主弁120を形成する。
【0038】
弁ハウジング102と主弁要素12の一体成形部37との間に絞り通路38が形成され、この絞り通路は、第2のシール座6の方向とは逆の方向に円錐形の拡大を有し、それによって絞り作用が形成される。
【0039】
貫通開口8は、絞り通路38の高さに形成され、絞り通路38内に通じている。さらに、貫通開口8は、弁ハウジング102内に形成された室35内に通じ、この室は、タンク底部140に形成された取出し開口14を介してタンク容器内部空間201と接続されている。
【0040】
第1の部分内部空間450は、弁ハウジング102に形成された制御通路2を介して供給管40と接続され、この供給管は、エネルギー消費機器システムの供給領域と接続可能である。制御通路2にはシステム圧力pが形成される。
【0041】
さらに、パイロット弁要素24は、タンク装置1の長手軸48に対して垂直の横孔241を有する。主弁要素12は、長手軸48に対して垂直に配置された横孔121も有し、この横孔は、パイロット弁要素24の横孔241に通じている。パイロット弁要素24の横孔241および主弁要素120の横孔121には、ピン形状に形成された連行要素66が配置されている。これに加えて、連行要素66は、第1の部分内部空間450内に突出する。
【0042】
連行要素66の幾何学的に別の実施形態は、ピン形状に形成する他に、例えば断面を楕円形、円筒形、または多角形に形成することなども同様に可能である。
【0043】
タンク装置1の動作原理は、次の通りである。電磁コイル32に通電されない状態では、第1のシール座18と第2のシール座6が閉じ、それによりガス状媒体、ここでは水素は、タンク容器内部空間202から弁装置100を介して供給管40に、例えばエネルギー消費機器システムの供給領域の方向に流れることができない。
【0044】
電気的接続部30を介して電磁コイル32に通電されると、プラス極領域51とマイナス極領域50を有する永久磁場52が形成される。その場合、永久磁石17は、電磁コイル32によって生成された永久磁場52のプラス極領域51に位置する。永久磁場52において永久磁石17の磁力が反発し合うことにより、パイロット弁要素24が、ハウジング蓋28から離れる方向に移動し、それによりばね16が圧縮される。パイロット弁要素24が長手方向に移動することにより、このパイロット弁要素が第1のシール座6から持ち上がり、それにより第2の部分内部空間451から第1の部分内部空間450および貫通開口20までの開口断面を解放する。
【0045】
取出し開口14、室35、貫通開口8、および絞り通路38を介して、第2の部分内部空間451がタンク容器内部空間201と流体的に接続され、それにより第2の部分内部空間に水素が充填される。水素が制御通路2の方向、したがって供給管40内に流出することによって、媒体の減少に応じて、圧力システムによって主弁要素12の周りに補償する圧力レベルが形成される。
【0046】
絞り通路38を構造的にスロットルとして形成することによって、開放過程中、絞り通路38を介して流入する(nachstroemen)よりも多くの媒体、ここでは水素が貫通開口20を介して流出することができる。このようにして、主弁要素12に追加的な開く力が作用する。これに加えて、第2の部分内部空間451内の圧力が下げられる。
【0047】
第1のシール座18の短い開放時間の後、パイロット弁要素24は圧力補償され、そのことが主弁要素12の圧力補償性をもたらす。
【0048】
ばね22の力は、主弁要素12を開放力で押し、それにより主弁要素12が第2のシール座6から持ち上がり、貫通開口8と第1の部分内部空間450との間の開口断面を解放することから、このばねの力は第2のシール座6の解放を支援する。それにより水素は、タンク容器内部空間201から貫通開口8を介して直接第1の部分内部空間450内に、制御通路2の方向に、したがって供給管40内に流れる。
【0049】
主弁要素12は、空圧比(pneumatische Druckverhaeltnisse)に加えて、機械的連行要素66を用いて力結合的に、パイロット弁要素24を介して時間をずらして第2のシール座6から引っ張られる。
【0050】
次に、第1のシール座18と第2のシール座6が解放され、2つの開口断面を介して水素がタンク容器内部空間201から弁装置1を介して供給管40内に、例えばエネルギー消費機器システムの供給領域の方向に流れる。
【0051】
第1のシール座18における開口断面が第2のシール座6の開口断面よりも小さい場合、パイロット弁要素24の第1のシール座18における開放過程のためにわずかな磁力のみが必要とされる。
【0052】
電磁コイル32の通電が中断された場合、永久磁場52、したがって永久磁石17と電磁コイル32の永久磁場52との反発し合う磁力が解除され、パイロット弁要素24および主弁要素12への閉じる力がばね16を介して導入される。タンク容器内部空間201内の、例えば15~1000barなどの圧力pに応じて、閉じる力がタンク装置1の首領域203の圧力と一緒に、パイロット弁要素24および第1のシール座18を介して第2のシール座6を有する主弁要素12に向けて導入される。
【0053】
次に、第1のシール座18のみならず第2のシール座6も再び遮断され、それにより水素は、タンク容器内部空間201から弁装置100を介して、例えばエネルギー消費機器システムの供給領域の方向にもはや流れることができなくなる。この自動閉鎖の原理は、電力供給が遮断される非常時にも機能する。しかしこの場合に注意しなければならないのは、所望の力の流れに逆らうばね22の力をあまり大きく選択しすぎてはならず、相応に調整しなければならないということである。それにより非常時に、水素がタンク装置1から漏出できないことが確保される。
【0054】
燃料補給する場合、制御通路2に、接続されたタンクユニット、例えばタンクスタンドを介して圧力が供給される。その場合、制御通路2内の圧力は、残りの弁装置100内よりも大きい。圧力レベルが異なることによって、第2のシール座6での圧力比率が残りの弁装置100内よりも大きく、それにより主弁要素12は、パイロット弁要素24をばね16の力に抗して、タンク容器内部空間201の方向に押す。次に、タンク装置1は、解放された第2のシール座6と貫通開口8とを介して補給過程が完了するまで充填され得る。補給過程が終了すると、それ以上は充填されず、それによって主弁要素12の周りの圧力が補償される。ばね16の力は、p>pから生じる差圧と一緒に再び第1のシール座18および第2のシール座6を閉鎖せしめる。
【0055】
ガス状媒体を貯蔵するためのタンク装置1は、燃料電池で動作される車両の他に、例えば駆動装置として水素燃焼装置を備える車両において水素を貯蔵するためにも使用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 タンク装置
2 制御通路
6 第2のシール座
8 貫通開口
12 主弁要素
14 取出し開口
16 ばね
17 永久磁石
18 第1のシール座
20 貫通開口
22 ばね
24 パイロット弁要素
28 ハウジング蓋
30 接続部
32 電磁コイル
35 室
36 円錐形段部
37 一体成形部
38 絞り通路
40 供給管
42 端
43 段部
45 内部空間
48 長手軸
51 プラス極領域
52 永久磁場
66 連行要素
100 弁装置
102 弁ハウジング
104 タンク底部
120 主弁
121 横孔
140 タンク底部
170 プラス極要素
171 マイナス極要素
200 タンク容器
201 タンク容器内部空間
202 タンク容器ハウジング
203 首領域
240 パイロット弁
241 横孔
403 段
450 第1の部分内部空間
451 第2の部分内部空間
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁装置(100)とタンク容器(200)とを備えるガス状媒体を貯蔵するタンク装置(1)であって、前記弁装置(100)が弁ハウジング(102)を有し、前記弁ハウジング(102)内に、前記タンク装置()の長手軸(48)に沿って可動のパイロット弁要素(24)が配置され、前記パイロット弁要素(24)が、貫通開口(20)を開閉するために第1のシール座(18)と協働し、それによりパイロット弁(240)を形成し、前記弁装置(100)が電磁コイル(32)を備え、前記電磁コイル(32)によって前記パイロット弁要素(24)を前記長手軸(48)に沿って動かすことができ、前記弁ハウジング(102)内に主弁要素(12)が配置され、前記主弁要素(12)が、貫通開口(8)を開閉するために第2のシール座(6)と協働し、それにより主弁(120)を形成し、前記第2のシール座(6)が前記弁ハウジング(102)に円錐形段部(36)として形成されている、タンク装置において、前記パイロット弁要素(24)が、前記タンク装置(1)の前記長手軸(48)に対して垂直の横孔(241)を有し、前記パイロット弁要素(24)の前記横孔(241)が、前記タンク装置(1)の前記長手軸(48)に対して垂直に配置された前記主弁要素(12)の横孔(121)に通じ、前記パイロット弁要素(24)の前記横孔(241)に、および前記主弁要素の前記横孔(121)に、少なくとも部分的に連行要素(66)が配置されていることを特徴とする、タンク装置。
【請求項2】
前記連行要素(66)がピン形状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のタンク装置(1)。
【請求項3】
前記パイロット弁要素(24)の一端(42)に永久磁石(17)が配置され、前記永久磁石(17)は、前記永久磁石(17)のプラス極要素(170)が前記弁装置(100)のハウジング蓋(28)の方向に、かつ前記永久磁石(17)のマイナス極要素(171)が前記タンク容器(200)の方向に配置されるように前記弁装置(100)に配置され、前記永久磁石(17)は、電磁コイル(32)に通電すると、前記電磁コイル(32)によって生成される永久磁場(52)のプラス極領域(51)に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載のタンク装置(1)。
【請求項4】
前記弁装置(100)は、電磁コイル(32)に通電すると、前記タンク容器(200)の方向に開放可能であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項5】
前記弁ハウジング(102)と、前記主弁要素(12)の一体成形部(37)であって前記貫通開口(8)を開閉するために前記第2のシール座(6)と協働する一体成形部(37)との間に絞り通路(38)が形成され、前記絞り通路(38)は、前記第2のシール座(6)の方向とは逆の方向に円錐形の拡大を有し、それによって絞り作用が形成されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項6】
前記貫通開口(8)は、前記弁ハウジング(102)内で前記絞り通路(38)の高さに形成され、かつ前記絞り通路(38)内に通じることを特徴とする、請求項5に記載のタンク装置(1)。
【請求項7】
前記弁ハウジング(102)内に室(35)が形成され、前記室(35)は、前記貫通開口(8)によって前記絞り通路(38)と接続されることを特徴とする、請求項5または6に記載のタンク装置(1)。
【請求項8】
前記弁装置(100)は、前記タンク装置(1)の首領域(203)に配置され、前記首領域(203)内でタンク底部(140)に押し付けられることを特徴とする、請求項7に記載のタンク装置(1)。
【請求項9】
前記タンク底部(140)に、タンク容器内部空間(201)と前記室(35)を流体的に互いに接続する取出し開口(14)が形成されることを特徴とする、請求項8に記載のタンク装置(1)。
【請求項10】
前記パイロット弁要素(24)が段部(43)を有し、前記段部(43)にばね(16)が支持され、前記パイロット弁要素(24)に前記パイロット弁要素(24)の前記一端(42)の方向に力を加えることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項11】
前記主弁要素(12)に、ばね(22)によって前記タンク容器内部空間(201)の方向に力が加えられ、それによって前記主弁要素(12)に、前記第1のシール座(18)の方向に、および前記第2のシール座(6)の方向とは逆の方向に力が加えられることを特徴とする、請求項に記載のタンク装置(1)。
【請求項12】
前記弁ハウジング(102)内に内部空間(45)が形成され、前記内部空間(45)は、前記主弁要素(12)によって第1の部分内部空間(450)と第2の部分内部空間(451)とに分割されることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項13】
前記第1の部分内部空間(450)は、前記弁ハウジング(102)内に形成された制御通路(2)によって供給管(40)と接続され、前記供給管(40)は、エネルギー消費機器システムの供給領域と接続可能であることを特徴とする、請求項12に記載のタンク装置(1)。
【請求項14】
前記ガス状媒体が水素を含むことを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の燃料電池の動作のための水素を貯蔵するタンク装置(1)を備える燃料電池システム。
【請求項16】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の燃料電池の動作のための水素を貯蔵するタンク装置(1)を備える燃料電池で動作される車両。
【国際調査報告】