(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-20
(54)【発明の名称】光学ガラスおよび光学素子
(51)【国際特許分類】
C03C 3/068 20060101AFI20230912BHJP
C03C 3/155 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
C03C3/068
C03C3/155
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515188
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 CN2021107560
(87)【国際公開番号】W WO2022048335
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】202010928384.9
(32)【優先日】2020-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512264046
【氏名又は名称】成都光明光▲電▼股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU GUANG MING GUANG DIAN GLASS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.359,Sec.3,Chenglong Avenue,Long quan yi District,Chengdu,Sichuan China
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】匡 波
【テーマコード(参考)】
4G062
【Fターム(参考)】
4G062AA04
4G062BB01
4G062BB07
4G062CC04
4G062DA01
4G062DA02
4G062DA03
4G062DB01
4G062DB02
4G062DB03
4G062DC03
4G062DC04
4G062DD01
4G062DE03
4G062DE04
4G062DF01
4G062EA01
4G062EA02
4G062EA03
4G062EA10
4G062EB01
4G062EB02
4G062EB03
4G062EC01
4G062EC02
4G062EC03
4G062ED01
4G062ED02
4G062ED03
4G062EE01
4G062EE02
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4G062EF01
4G062EF02
4G062EF03
4G062EG01
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4G062FA01
4G062FB02
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4G062FC03
4G062FC04
4G062FD01
4G062FE01
4G062FE02
4G062FF01
4G062FG01
4G062FG02
4G062FG03
4G062FH01
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4G062FJ01
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4G062FJ03
4G062FK04
4G062FK05
4G062FL01
4G062GA01
4G062GA10
4G062GB01
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4G062GE01
4G062HH01
4G062HH03
4G062HH05
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4G062HH09
4G062HH11
4G062HH13
4G062HH15
4G062HH17
4G062JJ01
4G062JJ03
4G062JJ05
4G062JJ07
4G062JJ10
4G062KK01
4G062KK04
4G062KK05
4G062KK07
4G062MM02
4G062NN02
4G062NN03
4G062NN05
4G062NN30
4G062NN34
(57)【要約】
本発明は、重量%で以下の成分を含む光学ガラスを提供する:B2O3:8~20%、La2O3:21~40%、Gd2O3:6~20%、ZrO2:1~10%、ZnO:7~20%、WO3:8~20%、TiO2:0超10%以下、(WO3+ZnO)/(La2O3+TiO2+ZrO2)は0.3~1.5である。合理的な成分設計により、本発明で得られた光学ガラスは低い転移温度と熱膨張係数を有し、精密プレスに適すものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で以下の成分を含む、光学ガラス:
B
2O
3:8~20%、La
2O
3:21~40%、Gd
2O
3:6~20%、ZrO
2:1~10%、ZnO:7~20%、WO
3:8~20%、TiO
2:0超10%以下、
(WO
3+ZnO)/(La
2O
3+TiO
2+ZrO
2)は0.3~1.5である。
【請求項2】
重量%でさらに以下を含む、請求項1に記載の光学ガラス:
SiO
2:0~9%、及び/又はY
2O
3:0~10%、及び/又はYb
2O
3:0~10%、及び/又はNb
2O
5:0~8%、及び/又はRn
2O:0~10%、及び/又はRO:0~10%、及び/又はAl
2O
3:0~5%、及び/又はTa
2O
5:0~5%、及び/又は澄清剤:0~1%であり、
前記Rn
2OはLi
2O、Na
2O、K
2Oの一種または複数種であり、ROはMgO、CaO、SrO、BaOの一種または複数種であり、澄清剤はSb
2O
3、SnO
2、SnO、CeO
2の一種または複数種である。
【請求項3】
必要な成分としてB
2O
3と、La
2O
3と、Gd
2O
3と、ZrO
2と、ZnOと、WO
3とTiO
2とを含む、光学ガラス:
重量%で(WO
3+ZnO)/(La
2O
3+TiO
2+ZrO
2)は0.3~1.5、前記光学ガラスの屈折率n
dは1.85~1.91、アッべ数ν
dは32~38.5、熱膨脹係数α
100/300℃は100×10
-7/K以下である。
【請求項4】
重量%で以下の成分を含む、請求項3に記載の光学ガラス:
B
2O
3:8~20%、及び/又はLa
2O
3:21~40%、及び/又はGd
2O
3:6~20%、及び/又はZrO
2:1~10%、及び/又はZnO:7~20%、及び/又はWO
3:8~20%、及び/又はTiO
2:0超10%以下、及び/又はSiO
2:0~9%、及び/又はY
2O
3:0~10%、及び/又はYb
2O
3:0~10%、及び/又はNb
2O
5:0~8%、及び/又はRn
2O:0~10%、及び/又はRO:0~10%、及び/又はAl
2O
3:0~5%、及び/又はTa
2O
5:0~5%、及び/又は澄清剤:0~1%、
前記Rn
2OはLi
2O、Na
2O、K
2Oの一種または複数種であり、ROはMgO、CaO、SrO、BaOの一種または複数種であり、澄清剤はSb
2O
3、SnO
2、SnO、CeO
2の一種または複数種である。
【請求項5】
重量%で以下の成分からなる、光学ガラス:
B
2O
3:8~20%、La
2O
3:21~40%、Gd
2O
3:6~20%、ZrO
2:1~10%、ZnO:7~20%、WO
3:8~20%、TiO
2:0超10%以下、SiO
2:0~9%、Y
2O
3:0~10%、Yb
2O
3:0~10%、Nb
2O
5:0~8%、Rn
2O:0~10%、RO:0~10%、Al
2O
3:0~5%、Ta
2O
5:0~5%、澄清剤:0~1%であり、
(WO
3+ZnO)/(La
2O
3+TiO
2+ZrO
2)は0.3~1.5、前記Rn
2OはLi
2O、Na
2O、K
2Oの一種または複数種であり、前記ROはMgO、CaO、SrO、BaOの一種または複数種であり、前記澄清剤はSb
2O
3、SnO
2、SnO、CeO
2の一種または複数種である。
【請求項6】
重量%で以下の成分を含み、以下の9つの状況の1つ以上を満たす、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
1)Nb
2O
5/Y
2O
3は0.1~2.5;
2)Y
2O
3/WO
3は0.05~1.0;
3)Y
2O
3/TiO
2は0.2~3.5;
4)5×Nb
2O
5/(WO
3+Gd
2O
3)は0.05~1.5;
5)ZnO/La
2O
3は0.2~0.8;
6)Gd
2O
3/(La
2O
3+Y
2O
3)は0.2~0.8;
7)(WO
3+ZnO)/(La
2O
3+TiO
2+ZrO
2)は0.5~1.0;
8)5×Li
2O/(TiO
2+SiO
2)は0.05~5.0;
9)Nb
2O
5/WO
3は0.03~0.7。
【請求項7】
重量%で以下の成分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
B
2O
3:10~18%、及び/又はLa
2O
3:25~38%、及び/又はGd
2O
3:8~18%、及び/又はZrO
2:1~8%、及び/又はZnO:8~18%、及び/又はWO
3:10~18%、及び/又はTiO
2:0.5~7%、及び/又はSiO
2:0.5~9%、及び/又はY
2O
3:0超6%以下、及び/又はYb
2O
3:0~5%、及び/又はNb
2O
5:0.5~6%、及び/又はRn
2O:0~5%、及び/又はRO:0~5%、及び/又はAl
2O
3:0~2%、及び/又はTa
2O
5:0~2%、及び/又は澄清剤:0~0.5%、
前記Rn
2OはLi
2O、Na
2O、K
2Oの一種または複数種であり、前記ROはMgO、CaO、SrO、BaOの一種または複数種であり、前記澄清剤はSb
2O
3、SnO
2、SnO、CeO
2の一種または複数種である。
【請求項8】
重量%で以下の成分を含み、以下の9つの状況の1つ以上を満たす、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
1)Nb
2O
5/Y
2O
3は0.25~1.5;
2)Y
2O
3/WO
3は0.1~0.6;
3)Y
2O
3/TiO
2は0.5~2.0;
4)5×Nb
2O
5/(WO
3+Gd
2O
3)は0.1~1.0;
5)ZnO/La
2O
3は0.3~0.7;
6)Gd
2O
3/(La
2O
3+Y
2O
3)は0.25~0.65;
7)(WO
3+ZnO)/(La
2O
3+TiO
2+ZrO
2)は0.6~0.9;
8)5×Li
2O/(TiO
2+SiO
2)は0.1~2.0;
9)Nb
2O
5/WO
3は0.05~0.5。
【請求項9】
重量%で以下の成分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
B
2O
3:11~17%、及び/又はLa
2O
3:28~35%、及び/又はGd
2O
3:9.5~16%、好ましくはGd
2O
3:11~16%、及び/又はZrO
2:2~6%、及び/又はZnO:10~16%、好ましくはZnO:11~16%、及び/又はWO
3:12~17%、及び/又はTiO
2:1~5%、及び/又はSiO
2:1~8%、好ましくはSiO
2:2~6%、及び/又はY
2O
3:1~5%、及び/又はYb
2O
3:0~2%、及び/又はNb
2O
5:1~5%、及び/又はRn
2O:0.5~3%、及び/又はRO:0~2%、及び/又はAl
2O
3:0~1%、及び/又はTa
2O
5:0~1%、及び/又は澄清剤:0~0.1%であり、
前記Rn
2OはLi
2O、Na
2O、K
2Oの一種または複数種であり、前記ROはMgO、CaO、SrO、BaOの一種または複数種であり、前記澄清剤はSb
2O
3、SnO
2、SnO、CeO
2の一種または複数種である。
【請求項10】
重量%で以下の成分を含み、以下の9つの状況の1つ以上を満たす、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
1)Nb
2O
5/Y
2O
3は0.3~0.8;
2)Y
2O
3/WO
3は0.1~0.4;
3)Y
2O
3/TiO
2は0.8~1.3;
4)5×Nb
2O
5/(WO
3+Gd
2O
3)は0.15~0.5;
5)ZnO/La
2O
3は0.35~0.65;
6)Gd
2O
3/(La
2O
3+Y
2O
3)は0.35~0.55;
7)(WO
3+ZnO)/(La
2O
3+TiO
2+ZrO
2)は0.7~0.85;
8)5×Li
2O/(TiO
2+SiO
2)は0.2~1.0;
9)Nb
2O
5/WO
3は0.06~0.4。
【請求項11】
重量%で以下の成分を含み、以下の5つの状況の1つ以上を満たす、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
1)Nb
2O
5/Y
2O
3は0.4~0.7;
2)5×Nb
2O
5/(WO
3+Gd
2O
3)は0.2~0.4;
3)ZnO/La
2O
3は0.4~0.55;
4)5×Li
2O/(TiO
2+SiO
2)は0.3~0.8;
5)Nb
2O
5/WO
3は0.08~0.3。
【請求項12】
重量%で以下の成分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
Li
2O:0~6%、好ましくはLi
2O:0超4%以下、より好ましくはLi
2O:0.1~3%、さらに好ましくはLi
2O:0.5~2%、及び/又はNa
2O:0~5%、好ましくはNa
2O:0~3%、より好ましくはNa
2O:0~2%、及び/又はK
2O:0~5%、好ましくはK
2O:0~3%、より好ましくはK
2O:0~2%である。
【請求項13】
請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
その成分にはTa
2O
5を含まない、及び/又はGeO
2を含まない、及び/又はFを含まない、及び/又はAl
2O
3を含まない、及び/又はROを含まない、及び/又はP
2O
5を含まない、及び/又はBi
2O
3を含まないことである。
【請求項14】
請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
前記光学ガラスの屈折率n
dは1.85~1.91、好ましくは1.86~1.90、より好ましくは1.88~1.90、アッべ数ν
dは32~38.5、好ましくは33~37.5、より好ましくは34~37である。
【請求項15】
請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
前記光学ガラスの耐酸安定性D
Aは3類以上、好ましくは2類以上、より好ましくは1類、及び/又は耐水安定性D
Wは2類以上、好ましくは1類、及び/又は密度ρは5.50g/cm
3以下、好ましくは5.40g/cm
3以下、より好ましくは5.30 g/cm
3以下、さらに好ましくは5.20 g/cm
3以下、及び/又はλ
70が410nm以下、好ましくはλ
70が405nm以下、より好ましくはλ
70が400nm以下、さらに好ましくはλ
70が395nm以下、及び/又はλ
5が375nm以下、好ましくはλ
5が370nm以下、より好ましくはλ
5が365nm以下、さらに好ましくはλ
5が360nm以下である。
【請求項16】
請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
前記光学ガラスの熱膨脹係数α
100/300℃は100×10
-7/K以下、好ましくは95×10
-7/K以下、より好ましくは90×10
-7/K以下、及び/又は転移温度T
gは620℃以下、好ましくは610℃以下、より好ましくは600℃以下、及び/又は失透上限温度は1250℃以下、好ましくは1200℃以下、より好ましくは1180℃以下、さらに好ましくは1160℃以下である。
【請求項17】
請求項1~16のいずれ一項に記載の光学ガラスで製造される、ガラスプリフォーム。
【請求項18】
請求項1~16のいずれ一項に記載の光学ガラス、又は請求項17に記載のガラスプリフォームで製造される、光学素子。
【請求項19】
請求項1~16のいずれ一項に記載の光学ガラス、及び/又は請求項18に記載の光学素子を含む、光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ガラスに関し、特に熱膨張係数が低く、精密プレスに適した屈折率の高い光学ガラス、及びそれから作製されたガラスプリフォームと光学素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学ガラスは、光学機器や機械系におけるレンズ、プリズム、ミラー、窓などの製造に用いるガラス材料である。現在、光学ガラスを光学素子として製造する主な方法は、精密プレス成形(直接プレス法と二次プレス法を含む)であり、精密プレス技術を用いて製造されたレンズは、研削と研磨を行う必要がないため、原材料の消費を減少させ、人的および物的コストを低減し、環境汚染を軽減することができる。したがって、この技術を利用して低コストで大量に光学素子を生産することができる。精密プレスとは、一定の温度、圧力で所定の製品形状を有する高精密金型でガラスプリフォームをプレス成形し、完成品の形状と光学機能を有するガラス製品を得ることである。精密プレス技術により、球面レンズ、非球面レンズ、プリズム、回折格子など、さまざまな光学ガラス製品を製造することができる。
【0003】
精密プレス成形を行う際には、高精密な金型表面をガラス製品に転写するために、高温(通常、ガラス転移温度20~60℃以上)でガラスプリフォームをプレス成形する必要がある。この場合、成形金型は高温と圧力の衝撃を受けて保護ガスがあっても、金型の表面が酸化されたり、浸食されやすい。金型の寿命を延ばし、高温環境による金型への損傷を抑制するため、プレス温度を低下させる必要がある。したがって、プレス成形に用いられるガラス材料の転移温度(Tg)はできるだけ低くする必要がある。
【0004】
科学技術の進歩に伴い、光電情報製品の更新が続き、光学ガラスに対する需要量もますます大きくなり、光学ガラスの性能要求もより厳しくなった。例えば、光学ガラスの熱膨張係数が大きすぎる場合、熱加工工程で破裂が発生しやすく、ガラス素子の良品率を低下させると同時に、光学ガラスの熱衝撃性も悪くなる。
同じ曲率半径の場合、屈折率が高いガラスほど得られる結像視野が大きくなり、光学デバイスの小型化が進むにつれて、高屈折率ガラスの需要がますます高まる傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、熱膨張係数が低く、精密プレスに適した高屈折率光学ガラスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は次のとおりである。
(1)重量%で以下の成分を含む、光学ガラス: B2O3:8~20%、La2O3:21~40%、Gd2O3:6~20%、ZrO2:1~10%、ZnO:7~20%、WO3:8~20%、TiO2:0超10%以下、(WO3+ZnO)/(La2O3+TiO2+ZrO2)は0.3~1.5である。
(2)重量%で以下の成分をさらに含む、(1)に記載の光学ガラス: SiO2:0~9%、及び/又はY2O3:0~10%、及び/又はYb2O3:0~10%、及び/又はNb2O5:0~8%、及び/又はRn2O:0~10%、及び/又はRO:0~10%、及び/又はAl2O3:0~5%、及び/又はTa2O5:0~5%、及び/又は澄清剤:0~1%であり、前記Rn2OはLi2O、Na2O、K2Oの一種または複数種であり、ROはMgO、CaO、SrO、BaOの一種または複数種であり、澄清剤はSb2O3、SnO2、SnO、CeO2の一種または複数種である。
(3)必要な成分としてB2O3と、La2O3と、Gd2O3と、ZrO2と、ZnOと、WO3とTiO2とを含み、その成分が重量%で表す、光学ガラス: (WO3+ZnO)/(La2O3+TiO2+ZrO2)は0.3~1.5、前記光学ガラスの屈折率ndは1.85~1.91、アッべ数νdは32~38.5、熱膨脹係数α100/300℃は100×10-7/K以下である。
(4)重量%で以下の成分を含む、(3)に記載の光学ガラス: B2O3:8~20%、及び/又はLa2O3:21~40%、及び/又はGd2O3:6~20%、及び/又はZrO2:1~10%、及び/又はZnO:7~20%、及び/又はWO3:8~20%、及び/又はTiO2:0超10%以下、及び/又はSiO2:0~9%、及び/又はY2O3:0~10%、及び/又はYb2O3:0~10%、及び/又はNb2O5:0~8%、及び/又はRn2O:0~10%、及び/又はRO:0~10%、及び/又はAl2O3:0~5%、及び/又はTa2O5:0~5%、及び/又は澄清剤:0~1%であり、前記Rn2OはLi2O、Na2O、K2Oの一種または複数種であり、ROはMgO、CaO、SrO、BaOの一種または複数種であり、澄清剤はSb2O3、SnO2、SnO、CeO2の一種または複数種である。
(5)重量%で以下の成分からなる、光学ガラス: B2O3:8~20%、La2O3:21~40%、Gd2O3:6~20%、ZrO2:1~10%、ZnO:7~20%、WO3:8~20%、TiO2:0超10%以下、SiO2:0~9%、Y2O3:0~10%、Yb2O3:0~10%、Nb2O5:0~8%、Rn2O:0~10%、RO:0~10%、Al2O3:0~5%、Ta2O5:0~5%、澄清剤:0~1%であり、(WO3+ZnO)/(La2O3+TiO2+ZrO2)は0.3~1.5であり、前記Rn2OはLi2O、Na2O、K2Oの一種または複数種であり、ROはMgO、CaO、SrO、BaOの一種または複数種であり、澄清剤はSb2O3、SnO2、SnO、CeO2の一種または複数種である。
(6)重量%で以下の成分を含み、以下の9つの状況の1つ以上を満たす、(1)~(5)の一つに記載の光学ガラス:
1)Nb2O5/Y2O3は0.1~2.5;
2)Y2O3/WO3は0.05~1.0;
3)Y2O3/TiO2は0.2~3.5;
4)5×Nb2O5/(WO3+Gd2O3)は0.05~1.5;
5)ZnO/La2O3は0.2~0.8;
6)Gd2O3/(La2O3+Y2O3)は0.2~0.8;
7)(WO3+ZnO)/(La2O3+TiO2+ZrO2)は0.5~1.0;
8)5×Li2O/(TiO2+SiO2)は0.05~5.0;
9)Nb2O5/WO3は0.03~0.7。
(7)重量%で以下の成分を含む、(1)~(5)の一つに記載の光学ガラス: B2O3:10~18%、及び/又はLa2O3:25~38%、及び/又はGd2O3:8~18%、及び/又はZrO2:1~8%、及び/又はZnO:8~18%、及び/又はWO3:10~18%、及び/又はTiO2:0.5~7%、及び/又はSiO2:0.5~9%、及び/又はY2O3:0超6%以下、及び/又はYb2O3:0~5%、及び/又はNb2O5:0.5~6%、及び/又はRn2O:0~5%、及び/又はRO:0~5%、及び/又はAl2O3:0~2%、及び/又はTa2O5:0~2%、及び/又は澄清剤:0~0.5%であり、前記Rn2OはLi2O、Na2O、K2Oの一種または複数種であり、ROはMgO、CaO、SrO、BaOの一種または複数種であり、澄清剤はSb2O3、SnO2、SnO、CeO2の一種または複数種である。
(8)重量%で以下の成分を含み、以下の9つの状況の1つ以上を満たす、(1)~(5)の一つに記載の光学ガラス:
1)Nb2O5/Y2O3は0.25~1.5;
2)Y2O3/WO3は0.1~0.6;
3)Y2O3/TiO2は0.5~2.0;
4)5×Nb2O5/(WO3+Gd2O3)は0.1~1.0;
5)ZnO/La2O3は0.3~0.7;
6)Gd2O3/(La2O3+Y2O3)は0.25~0.65;
7)(WO3+ZnO)/(La2O3+TiO2+ZrO2)は0.6~0.9;
8)5×Li2O/(TiO2+SiO2)は0.1~2.0;
9)Nb2O5/WO3は0.05~0.5。
(9)重量%で以下の成分を含む、(1)~(5)の一つに記載の光学ガラス: B2O3:11~17%、及び/又はLa2O3:28~35%、及び/又はGd2O3:9.5~16%、好ましくはGd2O3:11~16%、及び/又はZrO2:2~6%、及び/又はZnO:10~16%、好ましくはZnO:11~16%、及び/又はWO3:12~17%、及び/又はTiO2:1~5%、及び/又はSiO2:1~8%、好ましくはSiO2:2~6%、及び/又はY2O3:1~5%、及び/又はYb2O3:0~2%、及び/又はNb2O5:1~5%、及び/又はRn2O:0.5~3%、及び/又はRO:0~2%、及び/又はAl2O3:0~1%、及び/又はTa2O5:0~1%、及び/又は澄清剤:0~0.1%であり、前記Rn2OはLi2O、Na2O、K2Oの一種または複数種であり、ROはMgO、CaO、SrO、BaOの一種または複数種であり、澄清剤はSb2O3、SnO2、SnO、CeO2の一種または複数種である。
(10)重量%で以下の成分を含み、以下の9つの状況の1つ以上を満たす、(1)~(5)の一つに記載の光学ガラス:
1)Nb2O5/Y2O3は0.3~0.8;
2)Y2O3/WO3は0.1~0.4;
3)Y2O3/TiO2は0.8~1.3;
4)5×Nb2O5/(WO3+Gd2O3)は0.15~0.5;
5)ZnO/La2O3は0.35~0.65;
6)Gd2O3/(La2O3+Y2O3)は0.35~0.55;
7)(WO3+ZnO)/(La2O3+TiO2+ZrO2)は0.7~0.85;
8)5×Li2O/(TiO2+SiO2)は0.2~1.0;
9)Nb2O5/WO3は0.06~0.4。
(11)重量%で以下の成分を含み、以下の5つの状況の1つ以上を満たす、(1)~(5)の一つに記載の光学ガラス:
1)Nb2O5/Y2O3は0.4~0.7;
2)5×Nb2O5/(WO3+Gd2O3)は0.2~0.4;
3)ZnO/La2O3は0.4~0.55;
4)5×Li2O/(TiO2+SiO2)は0.3~0.8;
5)Nb2O5/WO3は0.08~0.3。
(12)重量%で以下の成分を含む、(1)~(5)の一つに記載の光学ガラス: Li2O:0~6%、好ましくはLi2O:0超4%以下、より好ましくはLi2O:0.1~3%、さらに好ましくはLi2O:0.5~2%、及び/又はNa2O:0~5%、好ましくはNa2O:0~3%、より好ましくはNa2O:0~2%、及び/又はK2O:0~5%、好ましくはK2O:0~3%、より好ましくはK2O:0~2%である。
(13)(1)~(5)の一つに記載の光学ガラス、その成分として、Ta2O5を含まない、及び/又はGeO2を含まない、及び/又はFを含まない、及び/又はAl2O3を含まない、及び/又はROを含まない、及び/又はP2O5を含まない、及び/又はBi2O3を含まない。
(14)(1)~(5)の一つに記載の光学ガラス、前記光学ガラスの屈折率ndは1.85~1.91、好ましくは1.86~1.90、より好ましくは1.88~1.90、アッべ数νdは32~38.5、好ましくは33~37.5、より好ましくは34~37である。
(15)(1)~(5)の一つに記載の光学ガラス、前記光学ガラスの耐酸安定性DAは3類以上、好ましくは2類以上、より好ましくは1類、及び/又は耐水安定性DWは2類以上、好ましくは1類、及び/又は密度ρは5.50g/cm3以下、好ましくは5.40g/cm3以下、より好ましくは5.30 g/cm3以下、さらに好ましくは5.20 g/cm3以下、及び/又はλ70は410nm以下、好ましくはλ70は405nm以下、より好ましくはλ70は400nm以下、さらに好ましくはλ70は395nm以下、及び/又はλ5は375nm以下、好ましくはλ5は370nm以下、より好ましくはλ5は365nm以下さらに好ましくはλ5は360nm以下である。
(16)(1)~(5)の一つに記載の光学ガラス、前記光学ガラスの熱膨脹係数α100/300℃は100×10-7/K以下、好ましくは95×10-7/K以下、より好ましくは90×10-7/K以下、及び/又は転移温度Tgは620℃以下、好ましくは610℃以下、より好ましくは600℃以下、及び/又は失透上限温度は1250℃以下、好ましくは1200℃以下、より好ましくは1180℃以下、さらに好ましくは1160℃以下である。
(17)(1)~(16)のいずれか一つに記載の光学ガラスで製造される、ガラスプリフォーム。
(18)(1)~(16)の一つに記載の光学ガラス又は(17)に記載のガラスプリフォームで製造される、光学素子。
(19)(1)~(16)の一つに記載の光学ガラスを含み、及び/又は(18)に記載の光学素子を含む、光学機器。
【発明の効果】
【0007】
本発明の有益な効果は、以下の通りである。合理的な成分設計により、本発明により得られる光学ガラスは、比較的低い転移温度と熱膨脹係数を有し、精密なプレス成形に適する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明にかかる光学ガラスの実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で適宜変形して実施することが可能である。さらに、適宜省略はあるものの、記載を繰り返すことによって本発明の主旨が限定されるものではなく、以下では、本発明の光学ガラスを単にガラスと称することもある。
【0009】
[光学ガラス]
以下に、本発明の光学ガラスの成分の範囲について説明する。本説明書において、各成分の含有量および合計含有量は、特に指定のない限り、重量パーセント(wt%)で表すものとする。すなわち、各成分の含有量、合計含有量は、酸化組成物に換算するガラス物質の総重量に対する重量パーセントで表すことである。ここでいう「酸化物組成物に換算した」とは、本発明の光学ガラスの組成物の原料として用いた酸化物、錯塩、水酸化物等が溶融時に分解して酸化物に変換された場合の酸化物物質の総重量を100%とした場合のことである。
具体的には、本明細書に記載されている数値範囲には、上限値および下限値が含まれ、「以上」および「以下」には端点値、ならびに範囲に含まれるすべての整数および分数が含まれ、範囲が限定されている場合に記載されている具体的な値に限定されるものではない。本明細書で「及び/又は」と呼ばれるものは包括的であり、例えば「A及び/又はB」は、Aのみ、Bのみ、またはAとBの両方を意味する。
【0010】
<必須成分とオプション成分>
B2O3は本発明においてはネットワーク形成成分であり、ガラスの熱安定性を改善し、ガラスの溶融性を向上させ、さらにガラス原料の溶融残留のないガラスを得ることができる。本発明においては、上記の効果を得るために8%以上のB2O3を添加しており、好ましくはB2O3の含有量が10%以上、より好ましくはB2O3の含有量が11%以上である。しかし、B2O3の含有量が多すぎると、ガラスの屈折率が低下し、化学的安定性が悪くなるため、本発明においては、B2O3の含有量の上限は20%、好ましくは18%、より好ましくは17%である。
【0011】
SiO2はガラスの化学的安定性を改善し、溶融ガラスの成形に適した粘度を維持し、耐火物への浸食を低減する役割を果たすが、その含有量が高すぎると、ガラスの溶融が困難になると同時に、ガラス転移温度の低下に不利である。したがって、本発明においては、SiO2の含有量は9%以下、好ましくは0.5~9%、より好ましくは1~8%、さらに好ましくは2~6%である。
【0012】
La2O3は屈折率が高く、光の分散が低い成分であり、ガラスに添加してガラスの屈折率を高め、光の分散を調整し、ガラスの高温粘度を低下させることができる、本発明においては、La2O3の含有量は21%以上、好ましくはLa2O3の含有量が25%以上、より好ましくはLa2O3の含有量が28%以上である。一方、La2O3の含有量を40%以下に限定することにより、ガラスの安定性を高めてガラスの失透を低減し、屈折率温度係数とアッベ数の上昇が設計要求を上回ることを抑制することができる。したがって、La2O3の含有量は40%以下、好ましくは38%以下、より好ましくは35%以下である。
【0013】
本発明においては、6%以上のGd2O3を添加することにより、光学ガラスの化学的安定性を改善し、ガラスの熱膨張係数及び屈折率を調整する。したがって、Gd2O3の含有量は、好ましくは8%以上、より好ましくはGd2O3の含有量が9.5%以上、さらに好ましくはGd2O3の含有量が11%以上である。しかし、Gd2O3含有量が20%を超えると、ガラスの耐失透性が悪くなり、ガラスの転移温度が上昇する。したがって、本発明においては、Gd2O3の含有量は20%以下、好ましくは18%以下、より好ましくは16%以下である。
【0014】
本発明においては、好ましくはさらに10%以下のY2O3を含み、Y2O3とLa2O3を同時に添加することにより、高い屈折率と低い分散を維持しながら、ガラスの溶融性と耐失透性を改善する。ただし、Y2O3の含有量が10%を超えると、ガラスの安定性と耐失透性が低下し、転移温度が上昇する。したがって、Y2O3の含有量は0~10%、好ましくは0超6%以下である。いくつか実施形態において、Y2O3を1%以上添加することにより、ガラスの失透上限温度及び密度を低減することもできる。したがって、本発明においては、Y2O3の含有量は、より好ましくは1~5%である。
【0015】
いくつか実施形態において、Gd2O3/(La2O3+Y2O3)が0.2未満の場合、ガラスの安定性が低下し、屈折率温度係数が上昇し、ガラスは使用中に温度変化の影響を受けて大きくなる、Gd2O3/(La2O3+Y2O3)が0.8を超えると、ガラスの摩耗度が悪くなり、密度が増加する。したがって、好ましくはGd2O3/(La2O3+Y2O3)が0.2~0.8、より好ましくはGd2O3/(La2O3+Y2O3)が0.25~0.65、さらに好ましくはGd2O3/(La2O3+Y2O3)が0.35~0.55である。
【0016】
Yb2O3もガラスに高屈折率と低分散性能を付与する成分であり、本発明においてはオプション成分であり、その含有量が10%を超えると、ガラスの耐失透性及び化学安定性が低下する。したがって、Yb2O3の含有量は0~10%、好ましくは0~5%、より好ましくは0~2%に限定され、さらに好ましくはYb2O3を含まないことである。
【0017】
ZnOは本発明系ガラスにおいて、ガラスの屈折率と分散を調整し、転移温度を下げ、ガラスの耐失透性を改善し、ガラスの安定性を高めることができ、同時にZnOはガラスの高温粘度を下げ、ガラスを比較的低い温度で溶解できるようにし、ガラスの透過率を高めることができる。本発明においては、上記効果を得るために7%以上のZnOを添加しており、好ましくはZnOの含有量が8%以上、より好ましくはZnOの含有量が10%以上、さらに好ましくはZnOの含有量が11%以上である。一方、ZnOの含有量は20%を超えると、ガラスの耐摩耗性が悪くなり、成形が困難になり、ガラスの耐失透性が悪くなる。したがって、ZnOの含有量は、20%以下、好ましくは18%以下、より好ましくは16%以下に限定される。
【0018】
本発明のいくつか実施形態において、ZnOの含有量とLa2O3の含有量との比率ZnO/La2O3を0.2以上にすることにより、ガラスの化学的安定性と屈折率温度係数を改善することができるが、ZnO/La2O3が0.8を超えると、ガラスの耐失透性が低下する。したがって、ZnO/La2O3の含有量は、好ましくは0.2~0.8、より好ましくはZnO/La2O3が0.3~0.7、さらに好ましくはZnO/La2O3が0.35~0.65、よりさらに好ましくはZnO/La2O3が0.4~0.55である。
【0019】
WO3はガラスの屈折率と機械的強度を高め、ガラスの転移温度を下げることができる。本発明においては、上記の効果を得るために8%以上のWO3を添加しており、好ましくはWO3の含有量下限値が10%、より好ましくはWO3の含有量下限値が12%である。WO3の含有量が20%を超えると、ガラスの熱安定性が低下し、耐失透性が低下する。したがって、WO3の含有量上限値は20%、好ましくは18%、より好ましくは17%である。
【0020】
本発明のいくつか実施形態において、Y2O3/WO3が0.05未満の場合、ガラスの密度が上昇し、ガラスの軽量化に不利であり、Y2O3/WO3が1.0を超える場合、ガラスの熱安定性が低下する。したがって、好ましくはY2O3/WO3が0.05~1.0、より好ましくはY2O3/WO3が0.1~0.6、さらに好ましくはY2O3/WO3が0.1~0.4である。
【0021】
Nb2O5は屈折率が高く、光の分散が高い成分であり、ガラスの屈折率と耐失透性を高め、ガラスの熱膨張係数を下げることができる。Nb2O5の含有量が高すぎると、ガラスの熱安定性と化学安定性が低下し、光透過率が低下する。したがって、本発明においては、Nb2O5の含有量は0~8%、好ましくは0.5~6%、より好ましくは1~5%である。
【0022】
発明者らは大量の実験研究を通じて以下のことを発見した:本発明のいくつか実施形態において、Nb2O5、WO3及びGd2O3はガラス中で複雑な相乗作用を発生し、特に5×Nb2O5/(WO3+Gd2O3)を0.05~1.5範囲内に制御することにより、ガラスは良好な熱プレス安定性を得ると同時に、適宜の摩耗度を有する。好ましくは5×Nb2O5/(WO3+Gd2O3)が0.1~1.0である。さらに5×Nb2O5/(WO3+Gd2O3)を0.15~0.5範囲内に制御することにより、ガラスの熱膨脹係数をさらに最適化することができる。したがって、より好ましくは5×Nb2O5/(WO3+Gd2O3)が0.15~0.5、さらに好ましくは5×Nb2O5/(WO3+Gd2O3)が0.2~0.4である。
【0023】
本発明のいくつか実施形態において、Nb2O5/Y2O3を0.1以上にすることにより、ガラスの耐失透性の向上に役立つが、Nb2O5/Y2O3が2.5を超えると、ガラスの着色傾向が増加し、光透過率が低下する。したがって、好ましくはNb2O5/Y2O3が0.1~2.5、より好ましくはNb2O5/Y2O3が0.25~1.5、さらに好ましくはNb2O5/Y2O3が0.3~0.8、よりさらに好ましくはNb2O5/Y2O3が0.4~0.7である。
【0024】
本発明のいくつか実施形態において、Nb2O5/WO3を0.03~0.7範囲内に制御することにより、ガラスの熱安定性を向上させ、ガラスの化学安定性を最適化するのに役立つ。好ましくはNb2O5/WO3が0.05~0.5、より好ましくはNb2O5/WO3が0.06~0.4、さらに好ましくはNb2O5/WO3が0.08~0.3である。
【0025】
TiO2はガラスの屈折率と分散を高めることができ、適量に添加することにより、ガラスをより安定させ、ガラスの粘度を下げることができる。しかし、TiO2含有量が10%を超えると、ガラスの耐失透性傾向が増加し、ガラスの転移温度が上昇し、ガラスのプレス成形時に着色しやすくなる。したがって、本発明においては、TiO2の含有量は0超10%以下、好ましくはTiO2の含有量が0.5~7%、より好ましくは1~5%である。
【0026】
本発明のいくつか実施形態において、Y2O3の含有量とTiO2の含有量との比率Y2O3/TiO2を0.2以上に制御することにより、ガラスの耐候性を改善することができるが、Y2O3/TiO2が3.5を超えると、ガラスの気泡度が悪くなり、硬度が低下する。したがって、好ましくはY2O3/TiO2が0.2~3.5、より好ましくはY2O3/TiO2が0.5~2.0、さらに好ましくはY2O3/TiO2が0.8~1.3である。
【0027】
ZrO2は屈折率が高く、光の分散が低い成分であり、ガラスに添加することでガラスの屈折率を高め、分散を調整し、ガラスの耐失透性を向上させることができる、本発明においては、ZrO2を1%以上添加することにより上記効果を得、好ましくはZrO2の含有量が2%以上である。ZrO2の含有量が10%を超えると、ガラスの溶融が難しくなり、溶融温度が上昇し、さらに、ガラス内部に介在物が発生し、透過率が低下する場合がある。したがって、ZrO2の含有量は10%以下、好ましくは8%以下、より好ましくは6%以下である。
【0028】
本発明のいくつか実施形態において、WO3とZnOの合計含有量WO3+ZnOとLa2O3、TiO2、ZrO2の合計含有量La2O3+TiO2+ZrO2との比率(WO3+ZnO)/(La2O3+TiO2+ZrO2)を0.3~1.5の範囲内に制御することにより、ガラスはより低い転移温度を持つと同時に、より低い熱膨張係数を得ることができる。したがって、本発明においては、好ましくは(WO3+ZnO)/(La2O3+TiO2+ZrO2)が0.3~1.5、より好ましくは(WO3+ZnO)/(La2O3+TiO2+ZrO2)が0.5~1.0である。さらに、(WO3+ZnO)/(La2O3+TiO2+ZrO2)を0.6~0.9の範囲内に制御することにより、ガラスの気泡度と摩耗度を最適化することができる。したがって、さらに好ましくは、(WO3+ZnO)/(La2O3+TiO2+ZrO2)が0.6~0.9、よりさらに好ましくは(WO3+ZnO)/(La2O3+TiO2+ZrO2)が0.7~0.85である。
【0029】
Rn2Oはアルカリ金属酸化物であり、Rn2OはLi2O、Na2O、K2Oの一種または複数種であり、ガラスの溶融性を改善し、ガラスの転移温度を下げることができるが、Rn2Oの含有量が10%を超えると、ガラスの耐失透性が悪くなり、屈折率が大幅に低下する。したがって、本発明においては、Rn2Oの含有量が0~10%、好ましくは0~5%、より好ましくは0.5~3%である。
【0030】
Li2Oはガラスの転移温度を下げることができるが、その含有量が高いとガラスの耐酸安定性と熱膨張係数に不利である。したがって、本発明においては、Li2Oの含有量は6%以下、好ましくは0超4%以下、より好ましくは0.1~3%、さらに好ましくは0.5~2%である。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態において、5×Li2O/(TiO2+SiO2)の値を0.05~5.0の範囲内に制御することにより、ガラスの粘度を最適化し、ストライプや気泡度を改善することができる。したがって、好ましくは5×Li2O/(TiO2+SiO2)が0.1~2.0である。さらに、5×Li2O/(TiO2+SiO2)の値を0.2~1.0の範囲内に制御することにより、ガラスのプレス加工性を明らかに向上させ、プレス加工中のガラスの曇り発生確率を低下することができる。したがって、より好ましくは5×Li2O/(TiO2+SiO2)が0.2~1.0、さらに好ましくは5×Li2O/(TiO2+SiO2)が0.3~0.8である。
【0032】
Na2Oはガラスの溶融性を改善し、ガラスの溶融効果を高め、ガラスの転移温度を下げることができるが、Na2Oの含有量が5%を超えると、ガラスの化学安定性と耐候性が低下する。したがって、Na2Oの含有量は0~5%、好ましくはNa2O含有量が0~3%、より好ましくはNa2Oの含有量が0~2%である。
【0033】
K2Oはガラスの熱安定性と溶融性を改善することができるが、その含有量が5%を超えると、ガラスの耐失透性が低下し、ガラスの化学安定性が悪化する。したがって、本発明においては、K2Oの含有量が5%以下、好ましくはK2Oの含有量が0~3%、より好ましくは0~2%である。
【0034】
ROはアルカリ土類金属酸化物であり、ROはMgO、CaO、SrO、BaOの一種または複数種である。ROをガラスに加えることでガラスの溶融性を改善し、ガラスの転移温度を下げることができるが、ROの含有量が10%を超えると、ガラスの耐失透性が低下する。したがって、本発明においては、ROの含有量は0~10%、好ましくは0~5%、より好ましくは0~2%、さらに好ましくはROを含まないことである。
【0035】
Al2O3はガラスの化学的安定性を改善することができるが、その含有量が5%を超えると、ガラスの溶融性と透過率が悪くなる。したがって、本発明においては、Al2O3の含有量が0~5%、好ましくは0~2%、より好ましくは0~1%、さらに好ましくはAl2O3を含まないことである。
【0036】
Ta2O5は屈折率を高め、ガラスの耐失透性を向上させることができるが、その含有量が高すぎると、ガラスの化学安定性が低下し、光学定数を所望の範囲に制御することが困難である。一方、Ta2O5は他の成分に比べて非常に高価であり、実用的かつコスト的な観点から、使用量をできるだけ減らすべきである。したがって、本発明においては、Ta2O5の含有量は0~5%、好ましくは0~2%、より好ましくは0~1%に限定され、さらに好ましくはTa2O5を含まないことである。
【0037】
本発明においては、澄清剤としてSb2O3、SnO、SnO2、CeO2成分の一種または複数種を0~1%添加することにより、ガラスの澄清効果を高めることができ、澄清剤の含有量は、好ましくは0~0.5%、より好ましくは0~0.1%である。Sb2O3の含有量が1%を超えると、ガラスの澄清効果が低下する傾向があると同時に、その強い酸化作用により、ガラスの溶融に用いる白金又は白金合金容器の腐食及び成形金型の劣化が加速される。したがって、本発明においては、好ましくはSb2O3の添加量が0~1%、より好ましくは0~0.5%、さらに好ましくは0~0.1%である。澄清剤としてSnOとSnO2を添加してもよいが、その含有量が1%を超えると、ガラスの着色傾向が高くなり、ガラスを加熱、軟化してプレス成形などの再成形を行うとき、Snが核生成の起点となり、失透する傾向がある。したがって、本発明においては、好ましくはSnO2の含有量が0~1%、より好ましくは0~0.5、さらに好ましくは0~0.1%、よりさらに好ましくは含まないことである。好ましくはSnOの含有量が0~1%、より好ましくは0~0.5%、さらに好ましくは0~0.1%、よりさらに好ましくは含まないことである。CeO2の作用及び添加量の割合はSnO2と一致し、好ましくはその含有量が0~1%、より好ましくは0~0.5%、さらに好ましくは0~0.1%、よりさらに好ましくは含まないことである。
【0038】
本発明のガラスには適量のF(フッ素)を添加することができるが、いくつかの実施形態においては、Fを添加すると、ガラスの安定性が悪くなり、耐失透性が低下するとともに、その揮発性によってガラスの光学定数の不安定性とストライプの悪化を引き起こすので、Fを含まないことが好ましい。
【0039】
本発明のガラスには適量のGeO2を添加することができるが、いくつかの実施形態においては、GeO2を添加すると、ガラスの透過率が低下する。また、GeO2は高価な原料であり、ガラスの経済性も低下するので、GeO2を含まないことが好ましい。
【0040】
本発明のガラスには適量のP2O5を添加することができるが、いくつかの実施形態においては、ガラスにP2O5を添加すると、所望の高屈折率を得ることが難しくなり、ガラスの耐失透性が低下するため、P2O5を含まないことが好ましい。
【0041】
本発明のガラスには適量のBi2O3を添加することができるが、いくつかの実施形態においては、Bi2O3を添加すると、ガラスの光透過率が低下し、摩耗度と化学安定性が悪くなり、密度が顕著に増大するため、Bi2O3を含まないことが好ましい。
【0042】
<含まれるべきでない成分>
本発明のガラスにおいては、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の遷移金属の酸化物は、単独又は複合的に少量に含まれる場合でも、ガラスが着色され、可視光領域における特定の波長が吸収され、本発明の可視光透過効果を弱めるので、特に可視光領域の波長透過率を要求する光学ガラスは、実際には含まないことが好ましい。
【0043】
Th、Cd、Tl、Os、Be及びSeの酸化物は、近年、有害な化学物質として使用を制御する傾向にあり、ガラスの製造工程だけでなく、加工工程及び完成品の処置に至るまで、環境保護への取り組みが必要である。そのため、環境への影響を重視する場合は、不可避な混入以外は、それらを含まないことが好ましい。これにより、光学ガラスは実際に環境を汚染する物質を含まなくなる。したがって、本発明の光学ガラスは、特殊な環境措置を講じなくても、製造、加工及び廃棄が可能である。
【0044】
環境に配慮するため、本発明の光学ガラスは、As2O3及びPbOを含まないことが好ましい。As2O3は気泡を除去し、ガラスの着色を防止する効果があるが、As2O3を添加すると、ガラスの溶融炉、特に白金溶融炉への白金浸食を増大させ、より多くの白金イオンがガラスに入り、白金溶融炉の耐用年数に悪影響を与える。
【0045】
本明細書に記載されている「加えない」、「含まない」、「0%」という用語は、この成分を本発明のガラスの原料として意図的に添加しなかったことを意味する。しかし、ガラスを製造するための原料及び/又は設備として、意図的に添加されていない不純物や成分が、最終的なガラス中に少量または微量に存在することがあり、それらも本発明の特許の対象となる。
【0046】
以下では、本発明の光学ガラスの特性について説明する。
<屈折率とアッべ数>
光学ガラスの屈折率(nd)とアッべ数(νd)は、GB/T 7962.1-2010 に規定された方法に従って試験されている。
いくつかの実施形態において、本発明の光学ガラスの屈折率(nd)の下限値は1.85、好ましくは下限値は1.86、より好ましくは下限値は1.88であり、屈折率(nd)の上限値は1.91、好ましくは上限値は1.90である。
いくつかの実施形態において、本発明の光学ガラスのアッべ数(νd)の下限値は32、好ましくは下限値は33、より好ましくは下限値は34であり、アッべ数(νd)の上限値は38.5、好ましくは上限値は37.5、より好ましくは上限値は37である。
【0047】
<密度>
光学ガラスの密度(ρ)はGB/T7962.20-2010に規定された方法に従って試験されている。
いくつかの実施形態において、本発明の光学ガラスの密度(ρ)は5.50g/cm3以下、好ましくは5.40g/cm3以下、より好ましくは5.30g/cm3以下、さらに好ましくは5.20g/cm3以下である。
【0048】
<熱膨脹係数>
光学ガラスの熱膨脹係数(α100/300℃)はGB/T7962.16-2010に規定されている方法に従って100~300℃のデータを測定する。
いくつかの実施形態において、本発明の光学ガラスの熱膨脹係数(α100/300℃)は100×10-7/K以下、好ましくは95×10-7/K以下、より好ましくは90×10-7/K以下である。
【0049】
<転移温度>
光学ガラスの転移温度(Tg)はGB/T7962.16-2010に規定されている方法に従って試験されている。
いくつかの実施形態において、本発明の光学ガラスの転移温度(Tg)は620℃以下、好ましくは610℃以下、より好ましくは600℃以下である。
【0050】
<着色度>
本発明のガラスの短波透過スペクトル特性は着色度(λ70およびλ5)で表す。λ70とは、ガラス透過率が70%に達したときに対応する波長を指す。λ70の測定は、互いに平行で光学研磨を行った2つの相対平面を有する厚さ10±0.1 mmのガラスを用い、280 nmから700 nmまでの波長領域における分光透過率を測定し、透過率が70%になった場合の波長を示す。分光透過率又は透過率とは、ガラスの前記表面に垂直に強度Iinの光を入射し、ガラスを透過して強度Ioutの光を1つの平面から出射する場合にIout/Iinで表される量であり、ガラスの前記表面における表面反射損失の透過率も含まれる。ガラスの屈折率が高いほど、表面反射損失が大きくなる。したがって、高屈折率ガラスにおいては、λ70の値が小さいほど、ガラス自体の着色が極めて少なく、光透過率が高いことを意味する。
【0051】
いくつかの実施形態において、本発明の光学ガラスのλ70は410nm以下、好ましくはλ70が405nm以下、より好ましくはλ70が400nm以下、さらに好ましくはλ70が395nm以下である。
いくつかの実施形態において、本発明の光学ガラスのλ5は375nm以下、好ましくはλ5が370nm以下、より好ましくはλ5が365nm以下、さらに好ましくはλ5が360nm以下である。
【0052】
<耐酸安定性>
光学ガラスの耐酸安定性(DA)(粉末法)はGB/T 17129に規定された方法で試験されている。
いくつかの実施形態において、本発明の光学ガラスの耐酸安定性(DA)は3類以上、好ましくは2類以上、より好ましくは1類である。
【0053】
<耐水安定性>
光学ガラスの耐水安定性(DW)(粉末法)はGB/T 17129に規定された方法で試験されている。
いくつかの実施形態において、本発明の光学ガラスの耐水安定性(DW)は2類以上、好ましくは1類である。
【0054】
<失透上限温度>
温度勾配炉法を用いてガラスの失透性を測定する。180×10×10 mmのガラス試料を作成し、側面を研磨し、温度勾配(10℃/cm)炉内で1300℃に昇温して4時間保温した後、取り出して室温まで自然冷却し、顕微鏡下でガラスの失透状況を観察し、結晶が発生する時の最高温度がガラスの失透上限温度となる。
いくつかの実施形態において、本発明の光学ガラスの失透上限温度は1250℃以下、好ましくは1200℃以下、より好ましくは1180℃以下、さらに好ましくは1160℃以下である。
【0055】
[光学ガラスの製造方法]
本発明の光学ガラスの製造方法は次のとおりである:本発明のガラスは、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、酸化物を含むが、これらに限定されない従来の原料、従来の工程で製造され、常法により配合した後、調製された炉材を1200~1400℃の溶解炉(白金るつぼ、酸化アルミニウムるつぼなど)に投入して溶融する。その後、清澄化、撹拌、均一化して、気泡や未溶解物のない均質な溶融ガラスを得るとともに、この溶融ガラスを金型に入れて鋳造し、焼きなましする。当業者であれば、実際の必要に応じて、原料、製法およびプロセスパラメータを適宜選択することができる。
【0056】
[ガラスプリフォーム及び光学素子]
研磨加工や熱プレス成形、精密プレス成形などのプレス成形手段を用いて、作製された光学ガラスからガラスプリフォームを作製することができる。すなわち、研削や研磨などの機械加工により光学ガラスから光学プリフォームを作製するか、光学ガラスからプレス成形用のブランクを作製し、このブランクを熱プレス成形した後、研磨して光学プリフォームを作製し、又は研磨して作製したブランクを精密プレス成形して光学プリフォームを作製することができる。
なお、光学プリフォームの製造手段は上記手段に限定されない。上記のように、本発明の光学ガラスは、各種光学素子及び光学設計に有用である。特に本発明の光学ガラスからブランクを形成し、このブランクを用いて熱プレス成形、精密プレス成形等を行い、レンズ、プリズム等の光学素子を作製することが好ましい。
【0057】
本発明の光学プリフォーム及び光学素子は、いずれも上記本発明の光学ガラスから形成されている。本発明の光学プリフォームは光学ガラスが備えている優れた特性を有し、本発明の光学素子は光学ガラスが備えている優れた特性を有し、光学的価値の高いさまざまなレンズ、プリズム等の光学素子を提供することができる。
【0058】
レンズの例としては、レンズ表面が球面または非球面の凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどのさまざまなレンズが挙げられる。
【0059】
[光学機器]
本発明の光学ガラスにより形成される光学素子は、写真装置、撮像装置、表示装置及び監視装置等の光学機器を作製することができる。
【実施例】
【0060】
<光学ガラス実施例>
本発明の技術的解決策をさらに明確に説明するために、以下の非限定的な実施例を提供する。
本実施例は、上記した光学ガラスの製造方法を用いて、表1~表2に示す組成を有する光学ガラスを得るものである。また、各ガラスの特性を本発明に記載の試験方法により測定し、その結果を表1~表2に表した。
【表1】
【0061】
【0062】
<ガラスプリフォーム実施例>
光学ガラスの実施例1~20で得られたガラスを、研磨加工や熱プレス成形、精密プレス成形などのプレス成形手段を用いて、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどのさまざまなレンズ、プリズムなどのプリフォームを作製する。
【0063】
<光学素子実施例>
上記光学プリフォームの実施例で得られたプリフォームを焼き戻しし、屈折率などの光学特性が所望の値に達するように、ガラス内部のひずみを低減しながら屈折率を微調整する。
次に、各プリフォームを研削し、研磨し、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどのさまざまなレンズ、プリズムを作製する。得られた光学素子の表面には反射防止膜を塗布することもできる。
【0064】
<光学機器実施例>
上記光学素子の実施例で製造された光学素子は、光学設計により、1つまたは複数の光学素子を用いて光学部品または光学コンポーネントを形成することにより、撮像装置、センサ、顕微鏡、医薬技術、デジタル投影、通信、光学通信技術/情報伝送、自動車分野における光学/照明、フォトリソグラフィ技術、エキシマレーザ、ウエハ、コンピュータチップ及びこのような回路及びチップを含む集積回路及び電子デバイス、又は車載分野の撮像設備と装置に用いることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で以下の成分を含む、光学ガラス: B
2O
3:8~20%、La
2O
3:21~40%、Gd
2O
3:6~20%、ZrO
2:1~10%、ZnO:7~20%、WO
3:8~20%、TiO
2:0超10%以下、(WO
3+ZnO)/(La
2O
3+TiO
2+ZrO
2)は0.3~1.5である。
【請求項2】
重量%でさらに以下を含む、請求項1に記載の光学ガラス: SiO
2:0~9%、及び/又はY
2O
3:0~10%、及び/又はYb
2O
3:0~10%、及び/又はNb
2O
5:0~8%、及び/又はRn
2O:0~10%、及び/又はRO:0~10%、及び/又はAl
2O
3:0~5%、及び/又はTa
2O
5:0~5%、及び/又は澄清剤:0~1%であり、前記Rn
2OはLi
2O、Na
2O、K
2Oの一種または複数種であり、ROはMgO、CaO、SrO、BaOの一種または複数種であり、澄清剤はSb
2O
3、SnO
2、SnO、CeO
2の一種または複数種である。
【請求項3】
必要な成分としてB
2O
3と、La
2O
3と、Gd
2O
3と、ZrO
2と、ZnOと、WO
3とTiO
2とを含む、光学ガラス:
重量%で(WO
3+ZnO)/(La
2O
3+TiO
2+ZrO
2)は0.3~1.5、前記光学ガラスの屈折率n
dは1.85~1.91、アッべ数ν
dは32~38.5、熱膨脹係数α
100/300℃は100×10
-7/K以下である。
【請求項4】
重量%で以下の成分を含む、請求項3に記載の光学ガラス: B
2O
3:8~20%、及び/又はLa
2O
3:21~40%、及び/又はGd
2O
3:6~20%、及び/又はZrO
2:1~10%、及び/又はZnO:7~20%、及び/又はWO
3:8~20%、及び/又はTiO
2:0超10%以下、及び/又はSiO
2:0~9%、及び/又はY
2O
3:0~10%、及び/又はYb
2O
3:0~10%、及び/又はNb
2O
5:0~8%、及び/又はRn
2O:0~10%、及び/又はRO:0~10%、及び/又はAl
2O
3:0~5%、及び/又はTa
2O
5:0~5%、及び/又は澄清剤:0~1%、
前記Rn
2OはLi
2O、Na
2O、K
2Oの一種または複数種であり、ROはMgO、CaO、SrO、BaOの一種または複数種であり、澄清剤はSb
2O
3、SnO
2、SnO、CeO
2の一種または複数種である。
【請求項5】
重量%で以下の成分からなる、光学ガラス: B
2O
3:8~20%、La
2O
3:21~40%、Gd
2O
3:6~20%、ZrO
2:1~10%、ZnO:7~20%、WO
3:8~20%、TiO
2:0超10%以下、SiO
2:0~9%、Y
2O
3:0~10%、Yb
2O
3:0~10%、Nb
2O
5:0~8%、Rn
2O:0~10%、RO:0~10%、Al
2O
3:0~5%、Ta
2O
5:0~5%、澄清剤:0~1%であり、(WO
3+ZnO)/(La
2O
3+TiO
2+ZrO
2)は0.3~1.5、前記Rn
2OはLi
2O、Na
2O、K
2Oの一種または複数種であり、前記ROはMgO、CaO、SrO、BaOの一種または複数種であり、前記澄清剤はSb
2O
3、SnO
2、SnO、CeO
2の一種または複数種である。
【請求項6】
重量%で以下の成分を含み、以下の9つの状況の1つ以上を満たす、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
1) Nb
2O
5/Y
2O
3は0.1~2.5;
2) Y
2O
3/WO
3は0.05~1.0;
3) Y
2O
3/TiO
2は0.2~3.5;
4) 5×Nb
2O
5/(WO
3+Gd
2O
3)は0.05~1.5;
5) ZnO/La
2O
3は0.2~0.8;
6) Gd
2O
3/(La
2O
3+Y
2O
3)は0.2~0.8;
7) (WO
3+ZnO)/(La
2O
3+TiO
2+ZrO
2)は0.5~1.0;
8) 5×Li
2O/(TiO
2+SiO
2)は0.05~5.0;
9) Nb
2O
5/WO
3は0.03~0.7。
【請求項7】
重量%で以下の成分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:B
2O
3:10~18%、及び/又はLa
2O
3:25~38%、及び/又はGd
2O
3:8~18%、及び/又はZrO
2:1~8%、及び/又はZnO:8~18%、及び/又はWO
3:10~18%、及び/又はTiO
2:0.5~7%、及び/又はSiO
2:0.5~9%、及び/又はY
2O
3:0超6%以下、及び/又はYb
2O
3:0~5%、及び/又はNb
2O
5:0.5~6%、及び/又はRn
2O:0~5%、及び/又はRO:0~5%、及び/又はAl
2O
3:0~2%、及び/又はTa
2O
5:0~2%、及び/又は澄清剤:0~0.5%、
前記Rn
2OはLi
2O、Na
2O、K
2Oの一種または複数種であり、前記ROはMgO、CaO、SrO、BaOの一種または複数種であり、前記澄清剤はSb
2O
3、SnO
2、SnO、CeO
2の一種または複数種である。
【請求項8】
重量%で以下の成分を含み、以下の9つの状況の1つ以上を満たす、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
1) Nb
2O
5/Y
2O
3は0.25~1.5;
2) Y
2O
3/WO
3は0.1~0.6;
3) Y
2O
3/TiO
2は0.5~2.0;
4) 5×Nb
2O
5/(WO
3+Gd
2O
3)は0.1~1.0;
5) ZnO/La
2O
3は0.3~0.7;
6) Gd
2O
3/(La
2O
3+Y
2O
3)は0.25~0.65;
7) (WO
3+ZnO)/(La
2O
3+TiO
2+ZrO
2)は0.6~0.9;
8) 5×Li
2O/(TiO
2+SiO
2)は0.1~2.0;
9) Nb
2O
5/WO
3は0.05~0.5。
【請求項9】
重量%で以下の成分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス: B
2O
3:11~17%、及び/又はLa
2O
3:28~35%、及び/又はGd
2O
3:9.5~16%
、及び/又はZrO
2:2~6%、及び/又はZnO:10~16%
、及び/又はWO
3:12~17%、及び/又はTiO
2:1~5%、及び/又はSiO
2:1~8%
、及び/又はY
2O
3:1~5%、及び/又はYb
2O
3:0~2%、及び/又はNb
2O
5:1~5%、及び/又はRn
2O:0.5~3%、及び/又はRO:0~2%、及び/又はAl
2O
3:0~1%、及び/又はTa
2O
5:0~1%、及び/又は澄清剤:0~0.1%であり、
前記Rn
2OはLi
2O、Na
2O、K
2Oの一種または複数種であり、前記ROはMgO、CaO、SrO、BaOの一種または複数種であり、前記澄清剤はSb
2O
3、SnO
2、SnO、CeO
2の一種または複数種である。
【請求項10】
重量%で以下の成分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
Gd
2
O
3
:11~16%、及び/又はZnO:11~16%、及び/又はSiO
2
:2~6%である。
【請求項11】
重量%で以下の成分を含み、以下の9つの状況の1つ以上を満たす、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
1) Nb
2O
5/Y
2O
3は0.3~0.8;
2) Y
2O
3/WO
3は0.1~0.4;
3) Y
2O
3/TiO
2は0.8~1.3;
4) 5×Nb
2O
5/(WO
3+Gd
2O
3)は0.15~0.5;
5) ZnO/La
2O
3は0.35~0.65;
6) Gd
2O
3/(La
2O
3+Y
2O
3)は0.35~0.55;
7) (WO
3+ZnO)/(La
2O
3+TiO
2+ZrO
2)は0.7~0.85;
8) 5×Li
2O/(TiO
2+SiO
2)は0.2~1.0;
9) Nb
2O
5/WO
3は0.06~0.4。
【請求項12】
重量%で以下の成分を含み、以下の5つの状況の1つ以上を満たす、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
1) Nb
2O
5/Y
2O
3は0.4~0.7;
2) 5×Nb
2O
5/(WO
3+Gd
2O
3)は0.2~0.4;
3) ZnO/La
2O
3は0.4~0.55;
4) 5×Li
2O/(TiO
2+SiO
2)は0.3~0.8;
5) Nb
2O
5/WO
3は0.08~0.3。
【請求項13】
重量%で以下の成分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
Li
2O:0~6
%、及び/又はNa
2O:0~5%
、及び/又はK
2O:0~5
%である。
【請求項14】
重量%で以下の成分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
Li
2
O:0.1~3%、及び/又はNa
2
O:0~2%、及び/又はK
2
O:0~2%である。
【請求項15】
請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
その成分にはTa
2O
5を含まない、及び/又はGeO
2を含まない、及び/又はFを含まない、及び/又はAl
2O
3を含まない、及び/又はROを含まない、及び/又はP
2O
5を含まない、及び/又はBi
2O
3を含まないことである。
【請求項16】
請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
前記光学ガラスの屈折率n
dは1.85~1.9
1、アッべ数ν
dは32~38.
5である。
【請求項17】
請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
前記光学ガラスの屈折率n
d
は1.86~1.90、アッべ数ν
d
は34~37である。
【請求項18】
請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
前記光学ガラスの耐酸安定性D
A
は2類以
上、及び/又は耐水安定性D
Wは2類以
上、及び/又は密度ρは5.50g/cm
3以
下、及び/又はλ
70が410nm以
下、及び/又はλ
5が375nm以
下、及び/又は熱膨脹係数α
100/300℃は100×10
-7/K以
下、及び/又は転移温度T
gは620℃以
下、及び/又は失透上限温度は1250℃以
下である。
【請求項19】
請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス:
前記光学ガラスの耐酸安定性D
A
は1類、及び/又は耐水安定性D
W
は1類、及び/又は密度ρは5.20g/cm
3
以下、及び/又はλ
70
が400nm以下、及び/又はλ
5
が365nm以下、及び/又は熱膨脹係数α
100/300℃
は90×10
-7
/K以下、及び/又は転移温度T
g
は600℃以下、及び/又は失透上限温度は1160℃以下である。
【請求項20】
請求項1~1
9のいずれ一項に記載の光学ガラスで製造される、ガラスプリフォーム。
【請求項21】
請求項1~1
9のいずれ一項に記載の光学ガラス、又は請求項
20に記載のガラスプリフォームで製造される、光学素子。
【請求項22】
請求項1~1
9のいずれ一項に記載の光学ガラス、及び/又は請求項
21に記載の光学素子を含む、光学機器。
【国際調査報告】