(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-20
(54)【発明の名称】走行ローラとハンドル本体との間のギャップ寸法を最小限に抑えたロールグラインダを製造する方法
(51)【国際特許分類】
B24D 7/16 20060101AFI20230912BHJP
B24D 18/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
B24D7/16
B24D18/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515584
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2021074647
(87)【国際公開番号】W WO2022053479
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】102020123499.6
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522359121
【氏名又は名称】ホール 1993 ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ホール ティモ
(72)【発明者】
【氏名】ホール オットマー
【テーマコード(参考)】
3C063
【Fターム(参考)】
3C063AA02
3C063AB05
3C063BG07
3C063BH11
3C063BH35
3C063BH36
3C063EE04
3C063FF23
(57)【要約】
本発明は、2つの走行ローラ(2)と、前記走行ローラ(2)の間に配置され前記走行ローラ(2)に対して回転可能に配置されるハンドル本体(3)と、少なくとも1つの研削又は研磨面(1a、1b)と、を備えるロールグラインダ(1)を製造する方法に関する。本発明の目的は、均一なギャップ寸法(S)が小さく、安価な方法で高品質のロールグラインダを製造することである。これは、ステップA:前記ハンドル本体(3)を製造し、ステップB:前記ハンドル本体(3)の実際の寸法(L)を決定するために、前記ハンドル本体(3)を測定し、ステップD:異なる寸法の少なくとも2種類のスペーサ要素(4)を提供し、前記スペーサ要素(4)のそれぞれによって、前記ロールグラインダ(1)が組み立てられた状態で前記走行ローラ(2)の1つと前記ハンドル本体(3)との間の距離(S)を、少なくとも1つの他の種類と比較して、異なるように決定することができ、ステップD:前記ステップBで決定された前記寸法(L)に応じて、前記ステップCで提供された前記スペーサ要素(4)の種類のうち1つを選択し、ステップE:前記ステップDで選択された種類の少なくとも1つの前記スペーサ要素(4)を使用してロールグラインダ(1)を形成するために、前記ステップBで測定された前記ハンドル本体(3)を前記走行ローラ(2)に接続することを含む本発明の方法によって達成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのローラ(2)と、前記ローラ(2)の間に配置され前記ローラ(2)に対して回転可能に配置されるハンドル本体(3)と、少なくとも1つの研削又は研磨面(1a、1b)と、を備えるロールグラインダ(1)を製造する方法であって、
a.ステップA:前記ハンドル本体(3)を製造し、
b.ステップB:前記ハンドル本体(3)の実際の寸法(L)を決定するために、前記ハンドル本体(3)を測定し、
c.ステップC:異なる寸法の少なくとも2種類のスペーサ要素(4)を提供し、前記スペーサ要素(4)のそれぞれが、前記ロールグラインダ(1)が組み立てられた状態における前記ローラ(2)の1つと前記ハンドル本体(3)との間の距離(S)を、少なくとも1つの他の種類と比較して、異なるように決定することを可能にし、
d.ステップD:前記ステップBで決定された前記寸法(L)に応じて、前記ステップCで提供された前記スペーサ要素(4)の種類のうち1つを選択し、
e.ステップE:前記ステップDで選択された種類の少なくとも1つの前記スペーサ要素(4)を使用して、前記ステップBで測定された前記ハンドル本体(3)を前記ローラ(2)に接続して、ロールグラインダ(1)を形成する
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップAにおいて、前記ハンドル本体(3)は、プラスチック及び/又は金属及び/又は木材、好ましくは、オーク材、クルミ材、ブナ材、又はトウヒ材で、好ましくは、一体で作られていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップAにおける木材の含水率は、最大15%、好ましくは最大10%、好ましくは最大7%であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップAの前記ハンドル本体(3)は、円筒、好ましくは中空円筒として製造されることを特徴とする請求項1~3のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップBでは、前記寸法として、2つの平行な辺の間の距離(L)が決定され、好ましくは、前記ハンドル本体(3)の端面間の距離(L)及び/又は2つの軸受支持セクション(3d)間の距離(L1)及び/又は端面(3a)の1つと対応する軸受支持セクション(3d)との間の距離(L2)が決定されることを特徴とする請求項1~4のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップEでは、プラスチック及び/又は金属、好ましくは耐腐食性金属、好ましくはアルミニウム又はステンレス鋼でできた前記ローラ(2)が使用されることを特徴とする請求項1~5のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップEにおいて、前記ローラ(2)のそれぞれは、前記ステップDで選択された前記スペーサ要素(4)を介してアクスル(5)に接続され、前記ハンドル本体(3)上又は前記ハンドル本体(3)内に回転可能に取り付けられ、好ましくは、非積極的及び/又は非回転可能及び/又は非解放可能に取り付けられ、好ましくはプレス接合によって取り付けられることを特徴とする請求項1~6のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記アクスル(5)として、中央セクション(5a)と、端部において段付きになっている2つの支持セクション(5b)と、を有する段付きアクスル(5)を使用し、
前記軸受セクション(5b)のそれぞれにおいて、ローリング軸受(6)、前記スペーサ要素(4)の1つ、及び前記ローラ(2)の1つが配置され、好ましくは、前記ローリング軸受(6)が前記中央セクション(5a)上で軸方向に支持され、及び/又は、前記スペーサ要素(4)のそれぞれが前記ローリング軸受(6)と前記ローラ(2)との間に軸方向に固定されることを特徴とする請求項1~7のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ローリング軸受(6)のそれぞれは、前記ハンドル本体(3)の外輪によって、又は前記外輪に配置された軸受スリーブによって支持されるように、前記ハンドル本体(3)に取り付けられることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ローラ(2)の少なくとも1つは、端面側の研削又は研磨面(1a、1b)を有することを特徴とする請求項1~9のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの研削又は研磨ディスク(7)が前記ロールグラインダ(1)に取り付けられ、前記研削又は研磨ディスク(7)は、研削又は研磨面(1a、1b)を有することを特徴とする請求項1~10のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記研削又は研磨ディスク(7)は、好ましくは、前記研削又は研磨ディスク(7)に形成されたねじ付きスタッド(7b)を対応する相手方ねじにねじ込むことによって、前記ローラ(2)又は前記アクスル(5)に取り外し可能に取り付けられることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ローラ(2)のそれぞれは、前記ローラ(2)の走行面を形成する縁部で回転するラバーリング(8)を有することを特徴とする請求項1~12のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ロールグラインダ(1)は、最大14個から製造され、好ましくは、最大12個のコンポーネントから製造され、好ましくは、最大10個のコンポーネントから製造され、
前記コンポーネントは、2つの前記ローラ(2)、オプションとして2つの軸受スリーブを備えた前記ハンドルローラ(3)、前記2つのスペーサ要素(4)、アクスル(5)、2つのローリング軸受(6)、2つのラバーリング(8)、及び少なくとも1つの研削ディスク(7)、及び/又は少なくとも1つの研磨ディスク(7)を備えることを特徴とする請求項1~13のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~14のうちいずれか1項に記載の方法を数回行うことによって、一連の前記ロールグラインダ(1)を製造する方法であって、
前記ステップAで、少なくとも2つの前記ハンドルローラ(3)が製造され、前記ステップEで、前記ステップBで決定された寸法(L)に基づいて選択された種類の、少なくとも1つの前記スペーサ要素(4)を使用し、前記ハンドルローラ(3)のそれぞれが2つの前記ローラ(2)に接続されて、前記ロールグラインダ(1)が形成され、
これによって、前記ローラ(2)と前記ハンドル本体(3)との間のギャップ寸法(S)を、すべての前記ロールグラインダ(1)において同一の公差範囲内に維持し、
前記ハンドル本体(3)と前記ローラ(2)のそれぞれとの間の前記ギャップ(S)は、好ましくは、0.5mm未満、好ましくは0.2mm未満、特に好ましくは0.1mm未満であることを特徴とする記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの走行ローラ/ローラと、ローラ間に配置され、ローラに対して回転可能なハンドル本体と、少なくとも1つの研削/シャープニング又は研磨面とを有するロールグラインダ/ローリングシャープナを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなロールグラインダ/ローリングシャープナは、切削工具を研削/シャープニング及び/又は研磨するために使用され、とりわけ、欧州特許出願公開第3278926号明細書又は独国実用新案第202020001180号明細書から知られている。ロールグラインダのシャープニング面又は研磨面は、切削工具の刃先と接触させられて、研削/シャープニングされ、平らなベース上で転がり運動により刃先に沿って動かされる。
【0003】
独国実用新案第202020001180号明細書から知られているロールグラインダでは、ローラは、ハンドル本体に対して互いに独立して回転することができる。これにより、ロールグラインダの方向安定性が妨げられ、ローラがハンドル本体に対して傾きやすくなる。従って、ハンドル本体に対するローラの回転を確実にするために、ローラとハンドル本体との間に十分なクリアランスがなければならない。ナイフの刃先の精密な研削/シャープニングには、ロールグラインダの方向安定性が有利である。欧州特許出願公開第3278926号明細書は、ローラがアクスルを介して接続され、従って、ハンドル本体に対して一緒にしか回転できないことを開示している。これにより、一方では、機械加工される切削工具の刃先に沿って直線状にロールグラインダを容易に案内することができ、他方では、ハンドル本体に対するローラの傾きを大幅に減らすことができるように、ローラはハンドル本体に対して安定している。
【0004】
従って、ロールグラインダ/ロールシャープナでは、一方では、ローラがハンドル本体に対して適切に回転する必要があり、他方では、特にロールグラインダの清掃時に、汚れや湿気が隙間に入るのを防ぐため、ローラとハンドル本体の間の距離が可能な限り小さく均一である必要がある。
【0005】
本発明は、小さく均一なギャップ寸法を有する高品質のロールグラインダ/ローリングシャープナを経済的に製造できる、ロールグラインダ/ローリングシャープナを製造する方法を提供するという目的に基づく。
【発明の概要】
【0006】
この問題を解決するために、本発明は、請求項1に記載の方法を提供する。本発明による方法は、2つのローラと、前記ローラの間に配置され前記ローラに対して回転可能に配置されるハンドル本体と、少なくとも1つの研削又は研磨面と、を備えるロールグラインダを製造する目的に役立ち、
a.ステップA:前記ハンドル本体を製造し、
b.ステップB:前記ハンドル本体の実際の寸法を決定するために、前記ハンドル本体を測定し、
c.ステップC:異なる寸法の少なくとも2種類のスペーサ要素を提供し、前記スペーサ要素(4)のそれぞれが、前記ロールグラインダ(1)が組み立てられた状態における前記ローラ(2)の1つと前記ハンドル本体(3)との間の距離(S)を、少なくとも1つの他の種類と比較して、異なるように決定することを可能にし、
d.ステップD:前記ステップBで決定された前記寸法に応じて、前記ステップCで提供された前記スペーサ要素の種類のうち1つを選択し、
e.ステップE:前記ステップBで測定された前記ハンドル本体を前記ローラに接続して、前記ステップDで選択された種類の少なくとも1つの前記スペーサ要素を使用してロールグラインダを形成することを含む。
【0007】
提供された複数の種類のスペーサ要素から適切なスペーサ要素を選択することによって、ハンドル本体の製造における避けられない製造公差を特に容易に補償することができる。スペーサ要素は、一般に、ロールグラインダの最も安価な構成要素であり、さまざまな寸法で特に経済的に製造することができる。従って、設計仕様からのハンドル本体の既存の寸法偏差にもかかわらず、ハンドル本体を再加工することなく、最小且つ均一な距離、特にギャップ寸法を確保することができる。好ましくは、少なくとも5つの異なるスペーサ要素が提供され、それらの寸法は、補償される寸法において、互いに0.1mm又は0.05mm異なる。
【0008】
前記ハンドル本体は、プラスチック及び/又は金属及び/又は木材、好ましくは、オーク材、クルミ材、ブナ材、又はトウヒ材で、好ましくは、一体で作られていれば有用であるかもしれない。木製のハンドル本体は、魅力的な手触りである。ハンドル本体は、未処理又は塗装面がある場合がある。
【0009】
前記記ステップAにおける木材の含水率が、最大15%、好ましくは最大10%、好ましくは最大7%であることは役に立つということが証明されるかもしれない。ベース本体の構成材料として木材を使用することは、製造公差を維持することに関して、ロールグラインダの製造に課題を提示する。木製の本体の形状は水分含有量の関数として変化する可能性があるため、ハンドル本体の製造に使用される木材の残留水分はできるだけ少ない方が有利である。
【0010】
しかしながら、前記ステップAにおいて、前記ハンドル本体は、円筒、好ましくは中空円筒として製造されるのであれば有用にもなるかもしれない。この構成は、中空円筒形のハンドル本体の中央穴に取り付けることができる、ローラを接続するアクスルを使用する場合に特に有用であることが証明されている。
【0011】
しかしながら、前記ステップBでは、前記ハンドル本体の前記寸法として、2つの平行な辺の間の距離が決定され、好ましくは、端面間の距離及び/又は2つの軸受支持セクション間の距離及び/又はハンドル本体の端面の1つと対応する軸受支持セクションとの間の距離が決定されるのであれば有利にもなりうる。好ましくはローラの共通の回転軸に沿って測定されるハンドル本体の軸方向の長さは、各ローラとハンドル本体との間のギャップ寸法を決定する上で重要な要素となりうる。ローラの軸方向の間隔が固定されている場合、ハンドル本体とのギャップは、ハンドル本体の軸方向の長さが増加すると減少し、ハンドル本体の軸方向の長さが減少すると増加する。ここで、ローラ間に軸方向に配置されるスペーサ要素は、避けられない製造公差を含め、ハンドル本体の実際の長さの関数として、ローラとハンドル本体との間に均一なギャップを確保することを意図している。ハンドル本体のそれぞれの端部において、ローラの1つに対してギャップがあるため、同じタイプの2つのスペーサ要素を使用することが好ましい。
【0012】
前記ステップEでは、プラスチック及び/又は金属、好ましくは耐腐食性金属、好ましくはアルミニウム又はステンレス鋼でできた前記ローラを使用することは役に立つということが証明されるかもしれない。金属製のローラは摩耗が少なく、高精度又は低い製造公差で製造できる。
【0013】
前記ステップEにおいて、前記ローラのそれぞれは、前記ステップDで選択された前記スペーサ要素を介してアクスルに接続され、前記ハンドル本体上又は前記ハンドル本体内に回転可能に取り付けられ、好ましくは、非積極的及び/又は非回転可能及び/又は非解放可能に取り付けられ、好ましくは圧入・プレス接合(プレス)によって取り付けられるのであれば有用であるかもしれない。このように、ローラはハンドル本体に対して共に動くだけでよく、それによってロールグラインダの方向安定性を実現し、ハンドル本体に対するローラの傾斜を更に妨げる。接合後に接合部で締まりばめが生成されるように、圧入/接合によってローラとアクスルを接続する。このようにして、縦方向及び横方向の力が圧入の態様で伝達されうる。
【0014】
前記アクスルとして、中央セクションと、端部において段付きになっている2つの支持セクションと、を有する段付きアクスルを使用し、前記軸受セクションのそれぞれにおいて、ローリング軸受、前記スペーサ要素の1つ、及び前記ローラの1つが前記軸受セクションのそれぞれに配置され、好ましくは、前記ローリング軸受(その内輪)が前記中央セクション上で軸方向に支持され、及び/又は、前記スペーサ要素のそれぞれが前記ローリング軸受(内輪)と前記ローラとの間に軸方向に固定されるのであれば実用的かもしれない。アクスルは、例えば、プラスチック及び/又は金属、好ましくは耐腐食性金属、好ましくはアルミニウム又はステンレス鋼で作られる。このようなアクスル設計により、ローラ間の距離を最適に調整することができる。
【0015】
前記ローリング軸受のそれぞれは、前記ハンドル本体の外輪によって、又は前記外輪に配置された軸受スリーブによって支持されるように、前記ハンドル本体に取り付けられるのであれば有用であるかもしれない。このような構成により、アクスル及びアクスルに配置されたローラの位置をハンドル本体に対して最適に設定することができる。軸受支持セクションは、ハンドル本体上に、又は、例えばハンドル本体の中央穴に挿入され得る軸受スリーブ上に形成され得る。例えば、ローリング軸受の外輪は、ハンドル本体に摩擦的に係合及び/又は積極的な係合によって固定される。
【0016】
前記ローラの少なくとも1つが端面側の研削/シャープニング又は研磨面を有することは役に立つということが証明されるかもしれない。この単純な実施形態では、研削又は研磨面はローラと一体であり、ロールグラインダを最小数の部品から製造することができる。
【0017】
しかしながら、ロールグラインダに取り付けられた少なくとも1つの研削又は研磨ディスクを備え、前記研削又は研磨ディスクが研削又は研磨面を有することは便利でもあるかもしれない。このより複雑な実施形態では、各ローラが異なる研削又は研磨ディスクを備えることができるように、研削又は研磨面はローラから分離されている。
【0018】
研削又は研磨ディスクは、好ましくは、前記研削又は研磨ディスクに形成されたねじ付きスタッドを対応する相手方ねじにねじ込むことによって、前記ローラ又は前記アクスルに取り外し可能に取り付けられるのであれば便利でもあるかもしれない。このようにして、研削又は研磨ディスクを異なる研削又は研磨ディスクと交換して、異なる研削又は研磨効果を達成するか、又は適切な摩耗後に同一の研削又は研磨ディスクと交換することができる。
【0019】
前記ローラのそれぞれは、前記ローラの走行面を形成する縁部で回転するラバーリングを有するのであれば便利であるかもしれない。このラバーリングは、特に硬い表面でのロールグラインダの走行特性を向上させる。
【0020】
ロールグラインダは最大14個から製造され、好ましくは、最大12個のコンポーネントから製造され、好ましくは、最大10個のコンポーネントから製造され、前記コンポーネントは、2つの前記ローラ、オプションとして2つの軸受スリーブを備えた前記ハンドルローラ、前記2つのスペーサ要素、アクスル、2つのローリング軸受、2つのラバーリング、及び少なくとも1つの研削ディスク、及び/又は少なくとも1つの研磨ディスクを備えるのであれば有利であるかもしれない。ローリング軸受は、ここでは1つのコンポーネントとしてカウントされる。コンポーネントの数が少ないため、製造コストと保管コストが削減される。
【0021】
本発明の更なる態様は、上記請求項のうちいずれか1項に記載の方法の複数の実施例を使って、一連のロールグラインダを製造する方法であって、前記ステップAで、少なくとも2つの前記ハンドルローラが製造され、前記ステップEで、前記ハンドルローラのそれぞれが2つの前記ローラに接続されて、前記ロールグラインダが形成され、それぞれの場合において、前記ステップBで決定された寸法に基づいて選択された種類の、少なくとも1つの前記スペーサ要素を使用し、これによって、前記ローラと前記ハンドル本体との間のギャップ寸法を、すべての前記ロールグラインダにおいて同一の公差範囲内に維持し、前記ハンドル本体と前記ローラのそれぞれとの間の前記ギャップは、好ましくは、0.5mm未満、好ましくは0.2mm未満、特に好ましくは0.1mm未満である方法に関する。特に、不可避な製造公差のためにハンドル本体の寸法が異なる、一連のロールグラインダを製造する場合、組み立てられた状態でローラ間の距離を設定するために異なるスペーサ要素を使用することが特に有利であることが判明した。
【0022】
本発明の更に有利な実施形態は、明細書、特許請求の範囲、及び図面に開示された特徴の組み合わせから得られる。
【0023】
用語と定義
本発明の意味におけるロールグラインダ/ローリングシャープナは、例えば、欧州特許出願公開第3278926号明細書によるロールグラインダ/ローリングシャープナであると理解される。ロールグラインダ/ローリングシャープナは、その研削/シャープニング又は研磨面を切削工具の刃先に接触させて研削/シャープニングするものであり、接触を維持しながら、平らなベース上で刃先に沿ってローリング方式で移動する。刃先と研削/シャープニング又は研磨面の接触及び相対移動により、切削工具の刃先から材料が除去される。その結果、刃先は研削/シャープニング又は研磨される。切削工具は、研削/シャープニング又は研磨の間、シャープニングジグによって所定の位置に固定され、ロールグラインダ/ロールシャープナに対して所定の研削/シャープニング角度に配置されうる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明による方法を使用して製造されうる、第1の実施形態に係るロールグラインダ/ロールシャープナの分解斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明による方法を使用して製造されうる、第2の実施形態に係るロールグラインダ/ロールシャープナの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施形態に係るロールグラインダ/ロールシャープナの組立状態を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るロールグラインダ/ロールシャープナの組立状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0026】
第1の実施形態(
図1及び3)
以下に
図1及び
図3を参照して説明する本発明の第1の実施形態では、ロールグラインダ/ロールシャープナ1は合計10個又は12個の構成要素から構成され、2つのローラ2、ハンドル本体3(オプションとして、図示しない2つの軸受スリーブを備える)、2つのスペーサ要素4、アクスル5、2つのローリング軸受6(それぞれ1つの構成要素として数える)、及びローラ2の走行面を形成するためにローラ2のエッジに配置された2つのラバーリング8を備える。
【0027】
各ローラ2は、ステンレス鋼製の円筒ディスクとして略構成され、円筒側方領域2aに円周環状溝を含み、ラバーリング8が確実に保持される。ローラ2の厚さ又は軸方向の長さは、例えば、2mmから10mmの範囲、特に約8mmであり、外径(ラバーリング8を除く)は、例えば、40mmから60mmの範囲、特に約54mmである。ラバーリング8は、好ましくは楕円形の断面を有し、その主軸は、好ましくはローラ2の側方領域2aと平行に配置される。各ローラ2の意図された端面には、一体的に形成された研削/シャープニング又は研磨面1a、1bがある。環状溝が設けられた円周側2aからローラ2の端面への移行部は、丸められるか又は面取りされ、丸み付けの曲率半径は、0.5mmから2mmの範囲であり、特に約1mmである。ローラ2の、ハンドル本体3に面するように意図された側は、中央開口部2bを有し、これによってローラ2は後述するアクスル5に嵌合する。
【0028】
ハンドル本体3は、中央軸X3に沿って延在し、円筒形のシェル表面3a、2つの平行な端面3b、及び円筒形の中央穴3cを有する木製の中空円筒である。1つの変形例では、ハンドル本体3の中央穴3c(
図3参照)は、異なる直径を有する2つのセクション、すなわち、より小さい直径を有する中央セクション及びより大きい直径を有する端部側端部セクションを備える。中央セクションの端面には、ローリング軸受6を軸方向に支持するために、2つの平行で外向きの軸受支持セクション3dが形成されている。これらの軸受支持セクション3dは、ハンドル本体3に対するローラ2の位置を決定する。別の変形例では、ハンドル本体3は、均一な直径の中央穴3aを備える。この場合、後述するローリング軸受6を固定するために、ハンドル本体3の各端面3aから中央穴3aに軸受スリーブ(図示せず)を挿入し、この軸受スリーブは、ハンドル本体3の端面3a上のフランジによって支持され、ベース上に軸受支持セクション3dを形成する。軸受スリーブのベースには、アクスル5を挿入するための開口部が設けられている。特に高品質の構成の場合、ハンドル本体3はオーク材、クルミ材、ブナ材、又はトウヒ材から一体的に製造される。ハンドル本体3の外径は、好ましくはローラ2の外径(ラバーリング8を除く)に対応し、意図した組み立て状態(
図3を参照)において、ハンドル本体3のシェル表面3aとローラ2の側方領域2aとが互いに面一になるようにする。ハンドル本体3の製造時、木材の含水率はできるだけ低くし、10%を超えないようにする必要がある。ハンドル本体3の外径は、例えば、50~60mmの範囲であり、この場合、約54mmである。ハンドル本体3の軸方向の長さは、例えば、55mmから75mmの範囲であり、この場合、約64mmである。
【0029】
アクスル5は、中央セクション5aと、端部の段付き軸受セクション5bと、を有する段付きアクスル5として構成されている。
【0030】
ローリング軸受6は、例えば市販の玉軸受である。ローリング軸受6の内輪の内径は、アクスル5の軸受セクション5bの外径と一致しており、この上に配置することができる。これにより、内輪はアクスル5の中央セクション5aに軸方向に支持される。ローリング軸受6の外径と軸方向の長さは、ハンドル本体3の寸法に適合している。従って、ローリング軸受6は、ハンドル本体3の中央穴又は軸受スリーブに正確に挿入でき、外輪で軸方向に支持できる。
【0031】
スペーサ要素4は、例えば、ローリング軸受6の内輪及びローラ2上に支持されるために、アクスル5の軸受セクション5b上にスライドできる環状ワッシャ又は円筒形スリーブである。ハンドル本体3の実際の寸法L、L1、L2、従って、各ローラ2とハンドル本体3の間のギャップ寸法によって、アクスル5に取り付けられるローラ2間の距離を正確に設定するために、異なる軸方向長さを有する異なる種類のスペーサ要素4が提供される。
【0032】
組み立てられた状態では、アクスル5及びスペーサ要素4、ローリング軸受6、並びにそれに接続されたローラ2は、共通の中央又は回転軸X5を有する。
【0033】
本発明による方法によれば、ハンドル本体3は、ステップAにおいて、例えば、中空円筒の形態の木材から一体的に製造される。
【0034】
製造後、ステップBでハンドル本体3を測定する。このプロセスでは、ハンドル本体3の実際の寸法、この場合、特にハンドル本体3の長さLが決定される。製造公差、特に天然の原材料木材の性質により、特に水分量が変化した際に若干形状が変化する場合があり、経験によれば、設計仕様からの逸脱が発生することが示されている。
【0035】
ハンドル本体3の不経済な再加工を回避するために、様々な種類のスペーサ要素4がステップCで提供され、これらは軸方向の寸法が異なるため、ハンドル本体3の測定された長さLに応じて使用することにより、各ローラ2とハンドル本体3の間の意図したギャップ寸法Sを定義することができる。ここでは、各ローラ2とハンドル本体3との間のギャップSをできるだけ小さく且つ均一にすることを意図している。例えば、この目的のために、軸方向長さL4が例えば約0.05mmだけ異なる5つの異なる種類のスペーサ要素4が提供される。
【0036】
ローラの距離L2は、アクスル5の中央セクション5aの長さL5、両方のスペーサ要素4の長さL4、及び両方のローリング軸受6の長さL6の合計によって得られる。この距離は、ハンドル本体3の長さLと2つのギャップ寸法Sの合計に対応する必要がある。これにより、次の式1が得られる。
【0037】
式1:L+2xS=L5+2xL4+2xL6
式1は、式2に従ってスペーサ要素4の長さL4について解くことができる。
式2:L4=(L+2xS-L5-2xL6)/2
【0038】
決定されたハンドル本体3の寸法L(ステップC)及び所望のギャップ寸法S、並びに、中央セクション5aの長さL5及びローリング軸受6の長さL6に応じて、提供された種類のスペーサ要素4からスペーサ要素4の種類を選択した後、ロールグラインダ1は、続いて上記の構成要素から組み立てられる。このプロセスでは、ハンドル本体3の中央穴3cを貫通するアクスル5の各軸受セクション5bに、ローリング軸受6、スペーサ4、及びローラ2を嵌め込み、これにより、ローリング軸受6の内輪がアクスル5の中央セクション5aに支持され、ローリング軸受6の内輪とローラ2の内側との間にスペーサ4が固定される。次に、ローラ2は、圧入によってアクスル5にしっかりと取り外し不能に接続され、これにより、接続点で締りばめが生成される。ローリング軸受6の外輪は、圧入によって、また必要に応じて積極的な嵌合によって、ハンドル本体3に固定される。
【0039】
第2の実施形態(
図2及び4)
図2及び4を参照して以下に説明する本発明の第2の実施形態では、ロールグラインダ1は、以下に述べる相違点を除いて、第1の実施形態のロールグラインダ1と実質的に同じ構成要素及び特徴を備える。
【0040】
第1の実施形態では、ローラ2が端面にあるように、研削及び研磨面1a、1bは端面にローラ2と一体的に形成され、従ってロールグラインダ1の一体部分であるが、本発明の第2の実施形態によるロールグラインダ1は端面上に研削及び研磨面1a、1bが形成された別個の研削/シャープニング及び研磨ディスク7を備える。研削及び研磨ディスク7は、一体的に形成されたねじ付きスタッド7bを対応する相手方ねじにねじ込むことによって、ローラ2又はアクスル5に取り外し可能に接続することができる。第1の実施形態とは異なり、ローラ2は、外向きの端面で面取りされても丸められてもいないため、研削及び研磨ディスク7の側方領域7aは、それぞれの隣接するローラ2の側方領域2aと面一の態様で融合する。代わりに、研削及び研磨ディスク7は、側方領域7aとそれぞれの研削又は研磨面1a、1bとの間の移行部で面取り又は丸められている。研削又は研磨ディスク7の端面における曲率半径は、例えば、0.5mmから2mmの範囲内であり、好ましくは約1mmである。
【符号の説明】
【0041】
1 ロールグラインダ/ロールシャープナ
1a 研削/シャープニング面
1b 研磨面
2 ローラ/走行ローラ
2a 側方領域/シェル又は円周側
2b 開口
3 ハンドル本体
3a 側方領域/シェル
3b 端面
3c 穴
3d 軸受支持セクション
4 スペーサ
5 アクスル
5a 中央セクション
5b 軸受セクション
6 軸受
7 研削及び研磨ディスク
7a 側方領域/シェル
7b ねじ付きスタッド
8 ラバーリング
A ローラ間距離
L ハンドル本体の長さ
L1 軸受支持セクションの距離
L2 軸受支持セクションから端面への距離
L4 スペーサの長さ
L5 アクスルの中央セクションの長さ
L6 ロール軸受の長さ
S ハンドル本体の端面とローラのギャップ
U ベース
X1 ロールグラインダの回転/中心軸
X3 ハンドル本体の回転/中心軸
X5 アクスル、軸受、場合によっては、研削/研磨ディスクの回転/中心軸
【国際調査報告】