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特表2023-539932イヤホンおよびイヤホンがユーザの耳の中に入れられるかどうかを認識するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-20
(54)【発明の名称】イヤホンおよびイヤホンがユーザの耳の中に入れられるかどうかを認識するための方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
H04R1/10 104E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515600
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(85)【翻訳文提出日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2021070478
(87)【国際公開番号】W WO2022053212
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】102020211299.1
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ルイ
(72)【発明者】
【氏名】グート,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】シャイアーマン,セルゲイ
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BB01
(57)【要約】
本発明は、近接センサ、加速度センサ、および信号評価機構を備えたイヤホンに関する。近接センサは、近接センサ信号を生成するために形成されている。加速度センサは、加速度センサ信号を生成するために形成されている。信号評価機構は、近接センサ信号を使用して、オブジェクトに対するイヤホンの接近の動きを認識するために形成されている。信号評価機構はさらに、この接近の動きがユーザの耳に対するイヤホンの動きであるかどうかを確定し、その際近接センサ信号の経時的推移における変動が評価および考慮される。信号評価機構は、加速度センサ信号のフィルタ処理により、ハイパスフィルタ処理された加速度信号およびローパスフィルタ処理された加速度信号を生成する。信号評価機構はさらに、ローパスフィルタ処理された加速度信号を使用して、加速度の安定化に基づき、接近の動きの終了時点を確定する。信号評価機構は、確定された接近の動きの終了時点の後の、ハイパスフィルタ処理された加速度信号の変化に基づき、この接近の動きがユーザの耳に対するイヤホンの動きであることを確認する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接センサ信号を生成するために形成されている近接センサ(2)と、
加速度センサ信号を生成するために形成されている加速度センサ(3)と、
信号評価機構(4)であって、
a.前記近接センサ信号を使用して、オブジェクトに対する前記イヤホン(1)の接近の動きを認識し、
b.前記接近の動きがユーザの耳に対する前記イヤホン(1)の動きであるかどうかを確定し、その際前記近接センサ信号の経時的推移における変動が評価および考慮され、
c.前記加速度センサ信号のフィルタ処理により、ハイパスフィルタ処理された加速度信号およびローパスフィルタ処理された加速度信号を生成し、
d.前記ローパスフィルタ処理された加速度信号を使用して、加速度の安定化に基づき、前記接近の動きの終了時点を確定し、かつ
e.前記確定された前記接近の動きの終了時点の後の、前記ハイパスフィルタ処理された加速度信号の変化に基づき、前記接近の動きがユーザの耳に対する前記イヤホン(1)の動きであることを確認するために形成されている、
信号評価機構(4)とを備えた、
イヤホン(1)。
【請求項2】
前記信号評価機構(4)が、前記近接センサ(2)の前記近接センサ信号の推移における前記変動を評価するべく、前記近接センサ信号の経時的推移の単調さを確定および考慮するために形成されている、請求項1に記載のイヤホン(1)。
【請求項3】
前記信号評価機構(4)が、前記確定された前記接近の動きの終了時点の後の、前記ハイパスフィルタ処理された加速度信号の前記変化の程度が第1の所定の閾値を上回る場合に、前記接近の動きがユーザの耳に対する前記イヤホン(1)の動きであると確認するために形成されている、請求項1または2に記載のイヤホン(1)。
【請求項4】
前記信号評価機構(4)が、前記確定された前記接近の動きの終了時点の後の、前記ハイパスフィルタ処理された加速度信号の前記変化の前記程度が第2の所定の閾値を下回る場合に、前記接近の動きがユーザの耳に対する前記イヤホン(1)の動きではないと認識するために形成されている、請求項3に記載のイヤホン(1)。
【請求項5】
前記信号評価機構(4)が、前記近接センサ信号に基づき、前記イヤホン(1)が再びユーザの耳から遠ざけられるかどうかを確定するために形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のイヤホン(1)。
【請求項6】
前記信号評価機構(4)が、前記加速度センサ信号に基づき、動きのないことを認識し、かつ前記認識の際前記イヤホン(1)を耳外動作モードに移すために形成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のイヤホン(1)。
【請求項7】
前記信号評価機構(4)が、前記加速度センサ信号に基づき、頭の動きによっては生成不可能な前記イヤホン(1)の動きをその強さに基づいて認識し、かつ前記認識の際前記イヤホン(1)を耳外動作モードに移すために形成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のイヤホン(1)。
【請求項8】
前記加速度センサ(3)が3軸加速度センサ(3)である、請求項1~7のいずれか一項に記載のイヤホン(1)。
【請求項9】
前記信号評価機構(4)が、前記3つの軸に沿った加速度の最大および最小を算出し、かつ前記接近の動きがユーザの耳に対する前記イヤホン(1)の動きであることの前記確認の際に考慮するために形成されている、請求項8に記載のイヤホン(1)。
【請求項10】
イヤホン(1)がユーザの耳の中に入れられるかどうかを認識するための方法であって、下記のステップ、
前記イヤホン(1)の近接センサ(2)の近接センサ信号を使用して、オブジェクトに対する前記イヤホン(1)の接近の動きを認識するステップと、
前記接近の動きがユーザの耳に対する前記イヤホン(1)の動きであるかどうかを確定し、その際前記近接センサ信号の経時的推移における変動が評価および考慮されるステップと、
ハイパスフィルタ処理された加速度信号およびローパスフィルタ処理された加速度信号を生成するため、前記イヤホン(1)の加速度センサ(3)の加速度センサ信号をフィルタ処理するステップと、
前記ローパスフィルタ処理された加速度信号を使用して、加速度の安定化に基づき、前記接近の動きの終了時点を確定するステップと、
前記確定された前記接近の動きの終了時点の後の、前記ハイパスフィルタ処理された加速度信号の変化に基づき、前記接近の動きがユーザの耳に対する前記イヤホン(1)の動きであることを確認するステップと、
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヤホンおよびイヤホンがユーザの耳の中に入れられるかどうかを認識するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザエクスペリエンスを改善するため、ヒアラブル、つまり追加的な機能性を備えたイヤホンに、ますます多くのセンサが取り付けられている。重要な機能性は、イヤホンが装着されるか否かの認識である。これは、例えばエネルギーを節約するためイヤホンの特定のコンポーネントをスイッチオンもしくはオフするために、またはより良い音楽体験を提供するためモノ/ステレオ適合を行うために有利である。
【0003】
国際公開第2019/039894号、米国特許出願公開第2017/244821号明細書、米国特許出願公開第2016/198251号明細書、米国特許出願公開第2015/382098号明細書、米国特許出願公開第2015/281826号明細書、米国特許第10306350号明細書、および中国特許出願公開第110012376号明細書から知られているように、イヤホンがユーザの耳の中にあるかどうかの認識は、近接センサのデータに基づいて実施され得る。
【0004】
この場合、近接センサは、間隔測定または光強度測定により、ユーザの耳に対するイヤホンの接近を確定し得る。近接センサに基づく認識は、多くの真陽性結果、多くの真陰性結果、および少しの偽陰性結果を可能にする。ただし近接センサは、多くの偽陽性結果も生成し、つまり耳中状態に関する高いエラー率を有する。すなわち、例えば低い光強度または短い間隔を根拠として、イヤホンが耳の中にあることが推論され得る。これは、イヤホンがズボンのポケット、手提げ袋、または手の中にもあり得るので問題がある。
【0005】
したがって米国特許出願公開第2016/205475号明細書、米国特許出願公開第2016/050474号明細書、米国特許出願公開第2015/281421号明細書、米国特許出願公開第2015/078573号明細書、米国特許出願公開第2011/286615号明細書、中国実用新案第208971758号明細書、および中国特許出願公開第108810788号明細書から知られているように、その他のセンサ、とりわけバイオセンサ、触覚センサ、または追加的な近接センサも参照され得る。しかしながら、これらのようなセンサのエネルギー消費は相対的に高い。これによりイヤホンの動作時間が減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2019/039894号
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/244821号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2016/198251号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2015/382098号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2015/281826号明細書
【特許文献6】米国特許第10306350号明細書
【特許文献7】中国特許出願公開第110012376号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2016/205475号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2016/050474号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2015/281421号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2015/078573号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2011/286615号明細書
【特許文献13】中国実用新案第208971758号明細書
【特許文献14】中国特許出願公開第108810788号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、独立形式請求項の特徴を有するイヤホンおよびイヤホンがユーザの耳の中に入れられるかどうかを認識するための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
好ましい実施形態はそれぞれの引用形式請求項の対象である。
本発明はそれゆえ、第1の態様に基づき、近接センサ、加速度センサ、および信号評価機構を備えたイヤホンに関する。近接センサは、近接センサ信号を生成するために形成されている。加速度センサは、加速度センサ信号を生成するために形成されている。信号評価機構は、近接センサ信号を使用して、オブジェクトに対するイヤホンの接近の動きを認識するために形成されている。信号評価機構はさらに、この接近の動きがユーザの耳に対するイヤホンの動きであるかどうかを確定し、その際近接センサ信号の経時的推移における変動が評価および考慮される。信号評価機構は、加速度センサ信号のフィルタ処理により、ハイパスフィルタ処理された加速度信号およびローパスフィルタ処理された加速度信号を生成する。信号評価機構はさらに、ローパスフィルタ処理された加速度信号を使用して、加速度の安定化に基づき、接近の動きの終了時点を確定する。信号評価機構は、確定された接近の動きの終了時点の後の、ハイパスフィルタ処理された加速度信号の変化に基づき、この接近の動きがユーザの耳に対するイヤホンの動きであることを確認する。
【0009】
本発明はそれゆえ、第2の態様に基づき、イヤホンがユーザの耳の中に入れられるかどうかを認識するための方法に関する。イヤホンの近接センサの近接センサ信号を使用して、オブジェクトに対するイヤホンの接近の動きが認識される。この接近の動きがユーザの耳に対するイヤホンの動きであるかどうかが確定され、その際近接センサ信号の経時的推移における変動が評価および考慮される。ハイパスフィルタ処理された加速度信号およびローパスフィルタ処理された加速度信号を生成するため、イヤホンの加速度センサの加速度センサ信号がフィルタ処理される。ローパスフィルタ処理された加速度信号を使用して、加速度の安定化に基づき、接近の動きの終了時点が確定される。確定された接近の動きの終了時点の後の、ハイパスフィルタ処理された加速度信号の変化に基づき、この接近の動きがユーザの耳に対するイヤホンの動きであることが確認される。
【発明の効果】
【0010】
イヤホンがユーザの耳の中に入れられるかどうかの認識は、近接センサを使用しても加速度センサを使用しても行われる。これらのセンサの組合せにより、とりわけ偽陽性結果が減少し得る。すなわち、例えばユーザがイヤホンをポケットに突っ込む事象がより良好に認識および除外され得る。この場合、このような事象が誤って、ユーザの耳の中にイヤホンを入れると認識されなくなる。これは、最初に近接センサに基づき、ユーザの耳に対するイヤホンの接近の可能性が認識されることによって達成される。加速度センサのセンサデータに基づき、この仮説が確認または放棄される。これにより、高い割合の真陽性結果、高い割合の真陰性結果、および低い割合の偽陰性結果が維持される一方で、それに加えて偽陽性結果の割合も著しく減少し得る。
【0011】
本発明によれば、接近の動きの「終了時点」は、近接センサ信号に基づいてイヤホンが耳の中にあることが認識され、かつ/または加速度信号のローパスフィルタ処理された寄与が安定し始める時点に相当し得る。
【0012】
加速度センサの使用は、触覚センサ、バイオセンサ、またはその類似物のようなその他のセンサに対して明らかに低いエネルギー消費を有する。それによりイヤホンの動作時間が明らかに増大する。
【0013】
さらに、加速度センサのデータに基づき、ユーザのその時々の動きまたは行動も監視され得る。これにより例えば、その時々の動きまたは行動が、高いまたは低い確率で、ユーザの頭の動きによって引き起こされているかどうかが決定され得る。
【0014】
さらに、昨今のイヤホンが、例えば行動認識、歩数計機能、ポーズ監視、またはそれに類することを提供するため(3軸の)加速度センサを既に備えているのが典型的であることが有利である。これにより、イヤホンがユーザの耳へと持っていかれるかどうかという動きに関する機能性を提供するために、追加的な機能は必要ない。さらにこれにより、イヤホン内の追加的な構造空間も必要とされない。
【0015】
イヤホンの一実施形態によれば、信号評価機構は、近接センサの近接センサ信号の推移における変動を評価するべく、近接センサ信号の経時的推移の単調さを確定および考慮するために形成されている。ユーザの耳に対するイヤホンの動きの場合、近接センサ信号は、典型的には単調で平滑な推移を有する。ユーザのポケット内へのイヤホンの動きの場合は、ポケット内でのイヤホンの動きに基づき、近接センサ信号における変動がより大きくなる。例えば、近接センサ信号の経時的推移の単調さの程度、例えば確率が算出され得る。この程度が所定の閾値を上回り、よって近接センサ信号の推移が十分に単調である場合、これにより、ユーザの耳に対するイヤホンの動きが確定され得る。
【0016】
イヤホンの一実施形態によれば、信号評価機構は、確定された接近の動きの終了時点の後の、ハイパスフィルタ処理された加速度信号の変化の程度が第1の所定の閾値を上回る場合に、接近の動きがユーザの耳に対するイヤホンの動きであると確認するために形成されている。ハイパスフィルタ処理された加速度信号は、ユーザの耳の中にイヤホンを入れた後、最終的な位置になるまでイヤホンがユーザの耳の中でまだ少し動くことによって生み出されるイヤホンの小さな加速度に相当する。原因は、例えばイヤホンの柔軟な材料であり、柔軟な材料は、ユーザの耳の中にイヤホンを入れた後もまだイヤホンの位置を少し変化させる。揺れが弱まり、または耳の中のイヤホンの位置もしくは姿勢がまだ少し変化する。したがってこのような安定化段階が、加速度信号に基づいて認識され得る。
【0017】
イヤホンの一実施形態によれば、信号評価機構は、確定された接近の動きの終了時点の後の、ハイパスフィルタ処理された加速度信号の変化の程度が第2の所定の閾値を下回る場合に、接近の動きがユーザの耳に対するイヤホンの動きではないと認識するために形成されている。これにより、例えばイヤホンがユーザのポケットに突っ込まれ、その際上述の順応プロセスが起こらない事象が除外され得る。
【0018】
イヤホンの一実施形態によれば、信号評価機構は、近接センサ信号に基づき、イヤホンが再びユーザの耳から遠ざけられるかどうかを確定するために形成されている。例えば間隔を確定することができ、かつ確定された間隔が所定の閾値を上回る場合、イヤホンがユーザの耳から遠ざけられることが認識される。
【0019】
イヤホンの一実施形態によれば、信号評価機構は、加速度センサ信号に基づき、動きのないことを認識し、かつこの認識の際イヤホンを耳外動作モード(英語:Out-of-Ear)に移すために形成されている。イヤホンが例えば硬い土台の上に置かれたことでイヤホンが動いていない状況では、これにより、イヤホンが自動的に耳外動作モードに移される。決定のために、加速度の導関数のより高い次数がゼロであるかどうかが認識され得る。
【0020】
イヤホンの一実施形態によれば、信号評価機構は、加速度センサ信号に基づき、頭の動きによっては生成不可能なイヤホンの動きをその強さに基づいて認識し、かつこの認識の際イヤホンを耳外動作モードに移すために形成されている。
【0021】
イヤホンの一実施形態によれば、イヤホンがユーザの耳の中にあることが認識されるとただちに、およびユーザの動きが認識されるとただちに(例えば走っているまたは周期的な動き)、イヤホンが引き続きユーザの耳の中にあるかどうかの決定が、専ら近接センサ信号に基づいて行われ得る。
【0022】
イヤホンの一実施形態によれば、加速度センサは3軸加速度センサである。
イヤホンの一実施形態によれば、信号評価機構は、3つの軸に沿った加速度の最大および最小を算出し、かつ接近の動きがユーザの耳に対するイヤホンの動きであることの確認の際に考慮するために形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に基づくイヤホンの概略的なブロック図である。
図2図2aはユーザの耳に対するイヤホンの動きの場合の近接センサの近接センサ信号の推移を示すグラフである。図2bはユーザのポケット内へのイヤホンの動きの場合の近接センサの近接センサ信号の推移を示すグラフである。
図3図3aはユーザの耳に対するイヤホンの動きの場合の近接センサの近接センサ信号の推移を示すグラフである。図3bはユーザの耳に対するイヤホンの動きの場合の加速度信号のローパスフィルタ処理された寄与の推移を示すグラフである。図3cはユーザの耳に対するイヤホンの動きの場合の近接センサの加速度信号のハイパスフィルタ処理された寄与の推移を示すグラフである。図3dはユーザの耳に対するイヤホンの動きの場合の3軸加速度センサの加速度信号の最小値および最大値の推移を示すグラフである。図3eはユーザの耳に対するイヤホンの動きの場合の加速度信号のローパスフィルタ処理された寄与の最小値および最大値の推移を示すグラフである。図3fはユーザの耳に対するイヤホンの動きの場合の加速度信号のハイパスフィルタ処理された寄与の最小値および最大値の推移を示すグラフである。
図4図4aはユーザのポケット内へのイヤホンの動きの場合の近接センサのセンサ信号の推移を示すグラフである。図4bはユーザのポケット内へのイヤホンの動きの場合の加速度信号のローパスフィルタ処理された寄与の推移を示すグラフである。図4cはユーザのポケット内へのイヤホンの動きの場合の近接センサの加速度信号のハイパスフィルタ処理された寄与の推移を示すグラフである。図4dはユーザのポケット内へのイヤホンの動きの場合の3軸加速度センサの加速度信号の最小値および最大値の推移を示すグラフである。図4eはユーザのポケット内へのイヤホンの動きの場合の加速度信号のローパスフィルタ処理された寄与の最小値および最大値の推移を示すグラフである。図4fはユーザのポケット内へのイヤホンの動きの場合の加速度信号のハイパスフィルタ処理された寄与の最小値および最大値の推移を示すグラフである。
図5】本発明の一実施形態に基づく、イヤホンがユーザの耳の中に入れられるかどうかを認識するための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
プロセスステップのナンバリングは、見やすさのために役立つものであり、一般的には特定の時間的順序を含意するものではない。とりわけ、複数のプロセスステップが同時に実施されてもよい。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に基づくイヤホン1の概略的なブロック図を示す。イヤホン1は近接センサ2を含み、近接センサ2は、例えば速度測定または明るさ測定に基づいて、オブジェクトからイヤホン1の間隔に相当するかまたはオブジェクトからイヤホン1の間隔と少なくとも相関関係にある近接センサ信号を生成する。
【0026】
イヤホン1はさらに加速度センサ3を含み、これはとりわけ3軸加速度センサであり得る。加速度センサ3は、例えば3つの軸の各々に沿ったイヤホン1の加速度を含み得る加速度センサ信号を生成する。
【0027】
最後にイヤホン1は、近接センサ2および加速度センサ3と接続されている信号評価機構4を含む。信号評価機構4は、計算機構、例えばマイクロプロセッサ、集積回路、またはその類似物を含む。信号評価機構4は、近接センサ信号を使用して、イヤホン1の間隔が実質的にゼロに減少する場合に、オブジェクトに対するイヤホンの接近の動きを認識する。
【0028】
信号評価機構4はさらに、この接近の動きがユーザの耳に対するイヤホン1の動きであるかどうかを確定し、その際近接センサ信号の経時的推移における変動が評価および考慮される。このために、例えば近接センサ信号の経時的推移における単調さが確定され得る。十分な単調さが示されている場合、信号評価機構4は、ユーザの耳に対するイヤホンの動きが存在しているという仮説を立てる。この仮説は、加速度センサ3の加速度信号に基づいて確認または放棄される。
【0029】
信号評価機構4は、加速度センサ信号のフィルタ処理により、ハイパスフィルタ処理された加速度信号およびローパスフィルタ処理された加速度信号を生成する。ローパスフィルタ処理された加速度信号は、イヤホン1の直線加速度に相当する。
【0030】
信号評価機構4はさらに、ローパスフィルタ処理された加速度信号を使用して、加速度の安定化に基づき、接近の動きの終了時点を確定する。例えば、ローパスフィルタ処理された加速度信号の揺らぎが所定の閾値を下回る場合に、終了時点が認識される。ローパスフィルタ処理された加速度信号は、実質的に重力加速度の成分しか有しなくなる。
【0031】
信号評価機構4は、確定された接近の動きの終了時点の後の、ハイパスフィルタ処理された加速度信号の変化の程度が第1の所定の閾値を上回る場合に、接近の動きがユーザの耳に対するイヤホン1の動きであると確認する。これに対し、ハイパスフィルタ処理された加速度信号の変化の程度が第2の所定の閾値を下回る場合には、信号評価機構4は、接近の動きがユーザの耳に対するイヤホン1の動きであるという仮説を放棄し、この第2の所定の閾値は、第1の所定の閾値より小さいかまたは第1の所定の閾値と同じである。
【0032】
図2aは、ユーザの耳に対するイヤホン1の動きの場合の近接センサ2の近接センサ信号Aの推移を示す。第1の期間B1では、イヤホン1がユーザの耳の外にあり、かつ動いていない。第2の期間B2では、イヤホン1がユーザの耳へと持っていかれ、その際近接センサ信号の経時的推移が単調に変化し、つまり連続的に上昇する。第3の期間B3では、イヤホンはユーザの耳の中にある。
【0033】
図2bは、ユーザのポケット内へのイヤホン1の動きの場合の近接センサ2の近接センサ信号Aの推移を示す。この場合、第2の期間B2では明らかにより大きな変動が発生しており、つまり近接センサ信号Aの経時的推移が、図2aでのように単調ではない。
【0034】
図3aは、ユーザの耳に対するイヤホン1の動きの場合の近接センサ2の近接センサ信号Aの推移を示す。この推移は、図2aに示した推移に実質的に相当する。
図3bは、ユーザの耳に対するイヤホン1の動きの場合のローパスフィルタ処理された加速度信号の寄与、つまりすべての3つの軸の寄与を組み合わせたローパスフィルタ処理された加速度の大きさAccMagLPの推移を示す。接近の動きの終了時点t_fは、ローパスフィルタ処理された加速度信号が安定する時点、つまり変動が所定の閾値より小さい時点に相当する。
【0035】
図3cは、ユーザの耳に対するイヤホンの動きの場合の近接センサの加速度信号のハイパスフィルタ処理された寄与、つまりすべての3つの軸の寄与を組み合わせたハイパスフィルタ処理された加速度の大きさAccMagHPの推移を示す。第3の期間B3内で、ハイパスフィルタ処理された加速度信号における変動が認識可能に発生し、この変動は、ユーザの耳の中でのイヤホンの順応の動きに由来する。
【0036】
図3dは、ユーザの耳に対するイヤホン1の動きの場合の3軸加速度センサ3の各軸に関する測定信号に対する加速度信号の最小値および最大値AccMinMaxの推移を示す。第3の期間B3内で、加速度信号の最小値および最大値が達成される時点が認識され得る。
【0037】
図3eは、ユーザの耳に対するイヤホン1の動きの場合のローパスフィルタ処理された加速度信号、つまりすべての3つの軸の寄与を組み合わせたローパスフィルタ処理された加速度の大きさの最小値および最大値AccMinMaxLPの推移を示す。
【0038】
図3fは、ユーザの耳に対するイヤホン1の動きの場合のハイパスフィルタ処理された加速度信号、つまりすべての3つの軸の寄与を組み合わせたハイパスフィルタ処理された加速度の大きさの最小値および最大値AccMinMaxHPの推移を示す。加速度信号のローパスフィルタ処理された寄与が安定し、つまり最小値および最大値における変化が発生しない場合に、加速度信号のハイパスフィルタ処理された寄与は依然として強く変化し、したがって最小値および最大値の大きな変化が結果として生じる。
【0039】
図4aは、図2bで示した推移に実質的に相当するユーザのポケット内へのイヤホンの動きの場合の近接センサのセンサ信号の推移を示す。
図4bは、ユーザのポケット内へのイヤホンの動きの場合のローパスフィルタ処理された加速度信号、つまりすべての3つの軸の寄与を組み合わせたローパスフィルタ処理された加速度の大きさの推移を示している。
【0040】
図4cは、ユーザのポケット内へのイヤホンの動きの場合の近接センサのハイパスフィルタ処理された加速度信号、つまりすべての3つの軸の寄与を組み合わせたハイパスフィルタ処理された加速度の大きさの推移を示す。図3cとは異なり、ここでは、ハイパスフィルタ処理された加速度信号の推移における変動は、実質的に第1および第2の期間B1、B2内でのみ生じる。変動は終了時点t_fの前に生じる。
【0041】
図4dは、ユーザのポケット内へのイヤホン1の動きの場合の3軸加速度センサの加速度信号の最小値および最大値の推移を示す。図3dとは異なり、終了時点t_fの後の最小値および最大値はほとんど変化しない。
【0042】
図4eは、ユーザのポケット内へのイヤホン1の動きの場合のローパスフィルタ処理された加速度信号、つまりすべての3つの軸の寄与を組み合わせたローパスフィルタ処理された加速度の大きさの最小値および最大値の推移を示す。図3eとは異なり、第1および第2の期間B1、B2内での絶対値が、第3の期間B3内より大きい。
【0043】
図4fは、ユーザのポケット内へのイヤホンの動きの場合のハイパスフィルタ処理された加速度信号、つまりすべての3つの軸の寄与を組み合わせたハイパスフィルタ処理された加速度の大きさの最小値および最大値の推移を示す。ハイパスフィルタ処理された加速度信号の最小値および最大値は、終了時点t_fの後、つまり加速度信号のローパスフィルタ処理された寄与が安定した後にはもう変化しない。
【0044】
図3a~図3fまたは図4a~図4fに示されたすべての信号推移は、例えばユーザの耳に対する動きである確率の算出により、数学的に評価され得る。
加速度値のローパスフィルタ処理された寄与は、直線加速度に相当する。加速度値のハイパスフィルタ処理された寄与は、イヤホンの回転および位置変化に相当する。ローパスフィルタ処理された加速度値の最小値および最大値は、直線加速度がいつ発生するかまたは終わるか、および変化がどのくらいの大きさかを提示する。ハイパスフィルタ処理された加速度値の最小値および最大値ならびに3つの軸の最小値および最大値は、回転または位置変化に基づく加速度がいつ発生するかまたは終わるか、および変化がどのくらいの大きさかを提示する。
【0045】
直線加速度は、移動に基づく加速度に相当し、かつ主にローパスフィルタ処理された加速度の大きさによって反映される。直線加速度は、重力寄与を差し引いたローパスフィルタ処理された加速度の大きさに相当する。直線加速度の値がゼロに近い場合に、終了時点が認識される。終了時点の後には、ユーザの耳に対する動きの場合もユーザのポケット内への動きの場合も、直線加速度は発生しない。直線加速度がゼロでも、加速度自体はまだ変化し得る。この場合には、
【0046】
【数1】
【0047】
が重力寄与と同じであり、これに関し、
【0048】
【数2】
【0049】
はx方向、y方向、およびz方向の寄与である。この関係式は、イヤホンが回転し、したがってaccx,y,zが変化するにもかかわらず直線加速度が発生しない場合にも有効である。このような動きは、加速度の大きさのハイパスフィルタ処理された寄与において認識可能である。
【0050】
ローパスフィルタ処理された大きさが、ほぼ重力寄与に相当し、直線加速度がほとんど発生しなくなった後に、つまり終了時点の後に、加速度の大きさのハイパスフィルタ処理された寄与または加速度の最大値および最小値が変化するかどうかが認識される。これがそうであれば耳に対する動きであり、そうでなければ例えばポケット内への動きである。
【0051】
図5は、イヤホン1がユーザの耳の中に入れられるかどうかを認識するための方法のフロー図を示す。この方法のために上述のイヤホン1が使用され得る。
第1のプロセスステップS1では、加速度センサ3が加速度センサ信号を生成する。
【0052】
プロセスステップS2では、3つの軸の各々のための3軸加速度センサ3を使用する場合に、加速度センサ信号に基づいて加速度の大きさが確定される。
プロセスステップS3では、ハイパスフィルタ処理された加速度信号を生成するため、加速度センサ信号がハイパスフィルタでフィルタ処理される。
【0053】
プロセスステップS4では、ローパスフィルタ処理された加速度信号を生成するため、加速度センサ信号がローパスフィルタでフィルタ処理される。
プロセスステップS5では、近接センサ2により、近接センサ信号が生成される。
【0054】
プロセスステップS6では、近接センサ信号、ハイパスフィルタ処理された加速度信号、およびローパスフィルタ処理された加速度信号を使用して、加速度データの分析が実施される。
【0055】
プロセスステップS7では、さらにユーザの動きの監視が、ハイパスフィルタ処理された加速度信号およびローパスフィルタ処理された加速度信号に基づいて実施される。
プロセスステップS8では、近接センサ信号のデータ分析が実施される。
【0056】
プロセスステップS9では、イヤホンがユーザの耳の中に入れられるかどうかが確定される。これに関し、近接センサ信号の経時的推移に基づいて接近の動きが認識され、かつそれがユーザの耳に対するイヤホンの動きであるかどうかが決定される。この仮説が、ローパスフィルタ処理された加速度信号およびハイパスフィルタ処理された加速度信号を使用して確認または放棄される。これについては、とりわけ接近の動きの終了時点において確定される。
【0057】
プロセスステップS10では、この判定に基づき、イヤホンの動作モード、つまり耳外動作モードまたは耳中動作モードが選択される。
図1
図2a
図2b
図3a-3f】
図4a-4f】
図5
【国際調査報告】