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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-20
(54)【発明の名称】バックドリル刀具及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23B 51/00 20060101AFI20230912BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20230912BHJP
   B23B 41/00 20060101ALI20230912BHJP
   B23P 15/32 20060101ALI20230912BHJP
   B26F 1/16 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
B23B51/00 V
H05K3/00 L
B23B41/00 D
B23B51/00 J
B23B51/00 M
B23P15/32
B26F1/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537448
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(85)【翻訳文提出日】2023-02-28
(86)【国際出願番号】 CN2020124004
(87)【国際公開番号】W WO2022062041
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】202011045343.1
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523073286
【氏名又は名称】広東鼎泰高科技術股フン有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鄭キン
(72)【発明者】
【氏名】陳漢泉
【テーマコード(参考)】
3C036
3C037
3C060
【Fターム(参考)】
3C036AA01
3C037CC06
3C037FF04
3C037FF06
3C037FF08
3C060AA11
3C060BA05
3C060BB18
3C060BB19
3C060BB20
3C060BC21
3C060BE08
(57)【要約】
バックドリル刀具及びその製造方法である。該バックドリル刀具は、刀柄(1)及び刀刃(2)を備え、刀刃(2)は、順次接続される刀体(21)、ボス(22)及び刀先(23)を備え、刀体は、刀柄に接続され、刀先の最大直径及び刀体の直径はいずれもボスの直径より小さく、刀先及び刀体の外表面は導電せず、ボスの外表面は導電する。加工時に、ボスとワークの内層とは電気通路を形成し、信号伝送の役割を果たし、これにより、孔深さを精確に制御し、加工効率及び加工精度を高めることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部導電のワークの加工に用いられるバックドリル刀具であって、
刀柄(1)と、
順次接続される刀体(21)、ボス(22)、刀先(23)を備え、前記刀体(21)の一端は、前記刀柄(1)に接続され、前記刀先(23)の最大直径D1及び前記刀体(21)の直径D3はいずれも前記ボス(22)の直径D2よりも小さく、前記刀先(23)及び前記刀体(21)の外表面は導電せず、前記ボス(22)の外表面は導電する刀刃(2)とを備える、
バックドリル刀具。
【請求項2】
前記刀柄(1)及び刀刃(2)は、導電材料により作られる請求項1に記載のバックドリル刀具。
【請求項3】
前記導電材料は、ステンレス鋼、ダイス鋼、ハイス鋼又は超硬合金である請求項2に記載のバックドリル刀具。
【請求項4】
前記刀体(21)の外表面及び前記刀先(23)の外表面にはいずれも非導電膜層(4)が設けられている請求項2に記載のバックドリル刀具。
【請求項5】
前記非導電膜層(4)は、CVD又はPVD工程により製造された膜層である請求項4に記載のバックドリル刀具。
【請求項6】
前記刀先(23)は、先頸部(231)及び先端部(232)を備え、前記先頸部(231)の長さL1の取り値範囲は、0.1mm≦L1≦0.5mmである請求項1に記載のバックドリル刀具。
【請求項7】
前記ボス(22)の長さL2の取り値範囲は、0.1mm≦L2≦0.5mmである請求項1に記載のバックドリル刀具。
【請求項8】
前記ボス(22)の直径D2は、加工される必要がある孔径と同じであり、且つ0.02mm≦D2-D1≦0.2mmである請求項1に記載のバックドリル刀具。
【請求項9】
前記刀先(23)の最大直径D1は、前記刀体(21)の直径に等しい請求項1に記載のバックドリル刀具。
【請求項10】
導電原料である棒材に対して前処理を行って半製品棒材を得て、前記半製品棒材が、刀柄(1)及び刀刃(2)を備え、前記刀刃(2)が、順次接続される刀体(21)、ボス(22)及び刀先(23)を備え、前記刀先(23)の直径D1及び前記刀体(21)の直径D3がいずれも前記ボス(22)の直径D2よりも小さいステップS1と、
前記刀体(21)、前記ボス(22)及び前記刀先(23)に対して螺旋溝を開けるステップS2と、
前記刀先(23)の先端部(232)に対して尖鋭化処理を行うステップS3と、
前記刀刃(2)に非導電膜層(4)をコーティングし、前記刀柄(1)と前記刀体(21)との接続部位の外表面に、非導電膜層(4)をコーティングするか否かを実際の生産状況に応じて選択するステップS4と、
前記ボス(22)外表面における非導電膜層(4)を磨き落とすステップS5と、を含む、
バックドリル刀具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日が2020年9月28日で出願番号が202011045343.1である中国特許出願の優先権を主張し、該出願の全ての内容は引用により本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、回路基板加工の技術分野に関し、例えばバックドリル刀具及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多層プリント回路基板(Printed-Circuit-Board、PCBと略称する)におけるめっきスルーホール(Plated-through-hole、PTHと略称する)は、内層の電源層と接地層との相互連通の機能を果たし、システムが高速シグナル伝送に入るときに、PTHは、信号完全性のボトルネック及び障害となり、伝送線において1本の余計な「尾」(Stubs)のように、窪み型フィルタとして機能し、信号伝送線路において、2箇所にこのようなStubsが現れると、1つの振動段が形成され、フィルタリングであれ振動であれ、高速シグナル伝送に損傷を与えることになり、信号を歪ませる。バックドリルは、2回のドリリングの方式により、電気めっき済みのPTH内の、信号伝送に不利な孔銅(Stubs)部分を除去し、バックドリル後に残ったStubsの長さが短いほど、信号伝送の完全性にとって有利である。現在の電子製品は、既に高速信号伝送の時代に入っており、対応して、PTH内に残ったStubsの長さもますます短くなるように要求されている。
【0004】
現在、PCBバックドリルの方法は、主に以下を含む。方法1は、図1に示すように、ドリル機の、ブラインドビアをドリリングする機能を利用し、バックドリル時に、外層を信号フィードバック層とし、ドリルピンが基板面に接触すると、信号をサーバにフィードバックし、予め設定された深さドリルダウンする。バックドリルのドリルピンの直径は、一般的に1回目にドリリングされたものよりも0.2mm~0.25mm大きく、基板材は、アルカリエッチングのプロセスを辿り、バックドリルのステップがパターン電気めっきの後、アルカリエッチングの前に行われることで、ドリリングにより発生する銅糸を回避することができ、ドリルダウンの深さを予め設定するときに、エッチング時にも一部の孔銅が除去されることも考慮する必要がある。方法1の欠点は、該バックドリル方法により加工される孔のバックドリル深さはすべて一致するものであるが、基板材の厚さが不均一で、一般的に基板材の四周が薄く、中央が厚く、それではバックドリル後に残った孔銅の長さの均一性が悪くなり、バックドリル能力の向上が制限され、基板材が厚いほど、厚さの均一性が悪くなり、残った孔銅の長さが大きくなることにある。方法2は、図2に示すように、ドリル機の、ブラインドビアをドリリングする機能を利用し、信号フィードバック層を内層(例えば参考層)に設け、1つの工具孔により、信号フィードバック層を基板面に接続し、予め設定されたドリル深さが、1層の誘電体層の厚さしかなく、バックドリルの精度が大幅に高められる。一般的な場合、バックドリルの参考層は、接地層である。方法2の欠点は、内層を信号フィードバック層としてバックドリルし、孔銅の長さを制御する能力において優れており、板厚の均一性がバックドリルの影響要素になることはないが、生産プロセスにおける他のステップの能力への要求が高く、プロセス制御の難度が大きく、同時にバックドリルの孔径が1回目にドリリングされたものよりも0.3mm以上大きくなることにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、バックドリル加工時における孔深さの精確な制御を可能にし、革新的な刀具構造設計により、孔深さの精度のワークの厚さ及びプロセス制御への依存性から脱却し、加工効率及び加工精度を大幅に高めるバックドリル刀具を提供する。
【0006】
本願は、上記バックドリル刀具を製造することに用いられ、バックドリル刀具のバックドリル加工時における孔深さの精確な制御を可能にし、孔深さの精度のワークの厚さ及びプロセス制御への依存性から脱却し、加工効率及び加工精度を大幅に高めるバックドリル刀具の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面において、一実施例は、内部導電のワークの加工に用いられ、刀柄と、順次接続される刀体、ボス及び刀先を備え、前記刀体は、前記刀柄に接続され、前記刀先の最大直径D1及び前記刀体の直径D3はいずれも前記ボスの直径D2よりも小さく、前記刀先及び前記刀体の外表面は導電せず、前記ボスの外表面は導電する刀刃と、を備えるバックドリル刀具を提供する。
【0008】
前記したバックドリル刀具の好ましい態様として、前記刀柄及び刀刃は、導電材料により作られる。
【0009】
前記したバックドリル刀具の好ましい態様として、前記刀体の外表面、前記刀先の外表面にはいずれも非導電膜層が設けられており、前記刀柄と前記刀体との接続部位の外表面には、非導電膜層をコーティングするか否かを実際の生産状況に応じて選択する。
【0010】
前記したバックドリル刀具の好ましい態様として、前記導電材料は、ステンレス鋼、ダイス鋼、ハイス鋼、超硬合金などであってもよい。
【0011】
前記したバックドリル刀具の好ましい態様として、前記非導電膜層は、CVD又はPVD工程により製造された膜層であってもよい。
【0012】
前記したバックドリル刀具の好ましい態様として、前記刀先は、先頸部及び先端部を備え、前記先頸部の長さL1の取り値範囲は、0.1mm≦L1≦0.5mmである。
【0013】
前記したバックドリル刀具の好ましい態様として、前記ボスの長さL2の取り値範囲は、0.1mm≦L2≦0.5mmである。
【0014】
前記したバックドリル刀具の好ましい態様として、前記ボスの直径D2は、加工される必要がある孔径と同じであり、且つ0.02mm≦D2-D1≦0.2mmである。
【0015】
前記したバックドリル刀具の好ましい態様として、前記刀先の最大直径D1は、前記刀体の直径に等しい。
【0016】
他の側面において、一実施例は、
導電原料である棒材に対して前処理を行って半製品棒材を得て、前記半製品棒材が、刀柄及び刀刃を備え、前記刀刃が、順次接続される刀体、ボス及び刀先を備え、前記刀先の直径D1及び前記刀体の直径D3がいずれも前記ボスの直径D2よりも小さいステップS1と、
前記刀体、ボス及び刀先に対して螺旋溝を開けるステップS2と、
前記刀先の先端部に対して尖鋭化処理を行うステップS3と、
前記刀刃に非導電膜層をコーティングし、前記刀柄と前記刀体との接続部位の外表面に、非導電膜層をコーティングするか否かを実際の生産状況に応じて選択するステップS4と、
前記ボスにおける非導電膜層を磨き落とすステップS5と、を含むバックドリル刀具の製造方法を提供する。
【0017】
前記したバックドリル刀具の製造方法の好ましい態様として、ステップS1において、導電原料である棒材に対して円筒段差加工を行うことにより前記半製品棒材を得る。
【発明の効果】
【0018】
本願に係るバックドリル刀具は、刀柄、刀刃、過渡台及び非導電膜層を備え、刀刃は、順次接続される刀体、ボス及び刀先を備え、過渡台の一端は、刀柄に接続され、他端は、刀体に接続され、刀先の最大直径及び刀体の直径はいずれもボスの直径よりも小さく、刀先及び刀体の外表面は導電せず、ボスの外表面は導電する。加工時に、ボスとワークの内層とは電気通路を形成し、信号伝送の役割を果たし、これにより、孔深さを精確に制御することができる。革新的な刀具構造設計により、孔深さの精度のワークの厚さ及びプロセス制御への依存性から脱却し、加工効率及び加工精度を大幅に高める。
【0019】
本願に係るバックドリル刀具の製造方法は、上記バックドリル刀具の加工に用いられ、バックドリル刀具のバックドリル加工時における孔深さの精確な制御を可能にし、孔深さの精度のワークの厚さ及びプロセス制御への依存性から脱却し、加工効率及び加工精度を大幅に高める。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、関連技術に係るバックドリル方法1の模式図である。
図2図2は、関連技術に係るバックドリル方法2の模式図である。
図3図3は、本願の実施例に係るバックドリル刀具の構造模式図である。
図4図4は、本願の実施例に係るバックドリル刀具の製造方法の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、当業者に本願の技術態様をよりよく理解させるために、図面を参照しながら具体的な実施形態により本願の技術態様をさらに説明する。
【0022】
本願の説明において、別途明確に規定及び限定されない限り、用語「繋がる」、「接続」、「固定」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよいし、取外可能な接続であってもよいし、又は一体になってもよく、機械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよく、直接繋がってもよいし、中間媒体を介して間接的に繋がってもよく、2つの素子の内部の連通又は2つの素子の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、上記用語の本願における具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0023】
本願において、別途明確に規定及び限定されない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあることは、第1の特徴と第2の特徴が直接接触することを含んでもよいし、第1の特徴と第2の特徴が直接接触せずそれらの間の他の特徴を介して接触することを含んでもよい。さらに、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上及び斜め上にあることを含み、又は単に第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも高いことを示す。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真下及び斜め下にあることを含み、又は単に第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも小さいことを示す。
【0024】
本実施例の説明において、用語「上」、「下」、「左」、「右」などの方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、説明を容易にし、操作を簡略化するためのものに過ぎず、かかる装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位から構成されて操作されなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本願を制限するものとは理解できない。また、用語「第1」、「第2」は、説明で区別するためのものに過ぎず、特別な意味を持たない。
【0025】
図3に示すように、本実施例は、刀柄1、刀刃2、過渡台3及び非導電膜層4を備えるバックドリル刀具を提供し、刀柄1は、動力設備に接続することに用いられ、刀刃2は、内部導電のワークに対してバックドリル加工を行うことに用いられ、過渡台3は、刀柄1と刀刃2とを接続することに用いられる。
【0026】
内部導電のワークは、回路基板であってもよく、バックドリル刀具は、バックドリル時における孔深さの精確な制御を可能にし、孔深さの精度の回路基板の厚さ及びプロセス制御への依存性から脱却し、加工効率及び加工精度を高めるために、回路基板に対してバックドリル加工を行うときに用いられる。
【0027】
好ましくは、前記刀刃2は、順次接続される刀体21、ボス22及び刀先23を備え、前記過渡台3の一端は、刀体21に接続され、他端は、刀柄1に接続され、前記刀先23の直径D1及び前記刀体21の直径D3はいずれも前記ボス22の直径D2よりも小さく、前記刀先23及び前記刀体21の外表面は導電せず、前記ボス22の外表面は導電する。顧客のより高いニーズを満たすために、上記刀刃2を適用することで、本実施例に係るバックドリル刀具は、加工能力が強く、且つStubsの長さを精確に制御可能である。
【0028】
要するに、ボス22の導電性を利用することで、バックドリル刀具におけるボス22と回路基板の内層の銅層とが接触した後に、通路を形成し、信号伝送の役割を果たす。関連技術におけるドリル刃と比べ、ドリル深さを精確に制御することが実現可能であり、加工効率が高い。
【0029】
好ましくは、前記刀刃2は、導電材料により作られ、前記刀先23及び前記刀体21の外表面にはいずれも非導電膜層4がコーティングされている。前記ボス22の外表面は導電し、バックドリル刀具が目標深さまでドリリングすると、ボス22は回路基板の内部の銅層に通電し、信号のタイムリーなフィードバックが実現され、孔深さの精度が保証される。前記刀柄1と前記刀体21との接続部位の外表面に、非導電膜層4をコーティングするか否かを実際の生産状況に応じて選択可能である。好ましくは、バックドリル刀具が非導電材料を採用して作られた場合、ボス22の外表面に導電膜層をコーティングすることができ、この場合も上記効果が達成可能である。
【0030】
好ましくは、前記バックドリル刀具は、原材料として超硬合金(タングステン鋼)を採用し、材質自体は導電性を有し、刀刃2の外表面に非導電層を塗布して、ボス22部分に導電の役割を果たさせる。例示的には、バックドリル刀具はさらに、ステンレス鋼、ダイス鋼又はハイス鋼などを採用してもよい。
【0031】
好ましくは、前記非導電膜層4は、ダイヤモンドライクカーボンめっき膜コーティング層(Dlamond-like-carbon、DLCと略称する)である。DLC膜は、高硬度及び高弾性率、低摩擦係数、耐摩耗並びに良好な真空トライボロジー特性を有する。
【0032】
加工を容易にするとともに、ピン折れを防止することを考慮し、前記刀先23は、先頸部231及び先端部232を備え、前記先頸部231の長さL1の取り値範囲は、0.1mm≦L1≦0.5mmである。
【0033】
ボス22の長さL2が回路基板の内層の銅の厚さよりも大きくなる必要があることを考慮するとともに、加工しやすくするために、前記ボス22の長さL2の取り値範囲は、0.1mm≦L2≦0.5mmである。
【0034】
好ましくは、前記刀先23の剛性及び非導電性を保証するために、前記ボス22の直径D2は、加工される必要がある孔径と同じであり、且つ0.02mm≦D2-D1≦0.2mmである。
【0035】
本実施例において、刀刃2の構造強度を高め、ピン折れを回避するために、前記刀先23の直径D1は、前記刀体21の直径に等しい。
【0036】
例示的には、刀柄1と刀体21とは、過渡台3により接続する。好ましくは、過渡台3は、台形円錐台形状であり、接続部位の応力集中が減少し、刀柄1と刀体21との接続強度が高められる。
【0037】
上記バックドリル刀具を製造するために、図3を参照しながら図4に示すように、本実施例は、
導電原料である棒材に対して前処理を行って半製品棒材を得て、前記半製品棒材が、刀柄1、刀刃2及び過渡台3を備え、前記刀刃2が、順次接続される刀体21、ボス22及び刀先23を備え、前記刀先23の直径D1及び前記刀体21の直径D3がいずれもボス22の直径D2よりも小さいステップS1と、
刀体21、ボス22及び刀先23に対して螺旋溝を開けるステップS2と、
前記刀先23の先端部232に対して尖鋭化処理を行うステップS3と、
前記刀刃2に非導電膜層4をコーティングし、前記刀柄1と前記刀体21との接続部位の外表面に、非導電膜層4をコーティングするか否かを実際の生産状況に応じて選択するステップS4と、
前記ボス22における非導電膜層4を磨き落とすステップS5と、を含むバックドリル刀具の製造方法をさらに提供する。
【0038】
例示的には、ステップS1において、導電原料である棒材に対して円筒段差加工を行うことにより前記半製品棒材を得る。他の実施例において、他の方式により原料である棒材を前記半製品棒材に加工してもよい。
【0039】
好ましくは、ステップS1において、円筒段差加工の前には、原料である棒材の外周に対して粗仕上げ研磨を行うことがさらに含まれる。
【0040】
ステップS4において、「前記刀柄1と前記刀体21との接続部位の外表面に、非導電膜層4をコーティングするか否かを実際の生産状況に応じて選択する」とは、ドリリングする深さが刀刃2の長さよりも大きい場合、刀柄1と回路基板との電気的連通がシステムの制御に影響することを回避するために、このとき、刀刃2と刀柄1との接続部位(本実施例において、過渡台3箇所及び一部の刀柄1である)に非導電膜層4をコーティングする必要があり、ドリリングする深さが刀刃2の長さよりも遥かに小さい場合、刀柄1と刀刃2との接続部位に非導電膜層4をコーティングする必要がないことを指す。
【符号の説明】
【0041】
1・・・刀柄、
2・・・刀刃
21・・・刀体
22・・・ボス
23・・・刀先
231・・・先頸部
232・・・先端部
3・・・過渡台
4・・・非導電膜層
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】