(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(54)【発明の名称】負極材料及びその製造方法、リチウムイオン電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/62 20060101AFI20230913BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20230913BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20230913BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20230913BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01M4/13
H01M4/38 Z
H01M4/48
H01M4/36 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573360
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 CN2022094963
(87)【国際公開番号】W WO2023016047
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】202110924294.7
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520417045
【氏名又は名称】貝特瑞新材料集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BTR NEW MATERIAL GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7A, 7B, and 8, High-Tech Industrial Park, Xitian Community, Gongming Office, Guangming New District Shenzhen, Guangdong 518106 China
(71)【出願人】
【識別番号】521520935
【氏名又は名称】惠州市鼎元新能源科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【氏名又は名称】迫田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100122448
【氏名又は名称】福井 賢一
(72)【発明者】
【氏名】何 鵬
(72)【発明者】
【氏名】肖 称茂
(72)【発明者】
【氏名】郭 鍔明
(72)【発明者】
【氏名】任 建国
(72)【発明者】
【氏名】賀 雪琴
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA12
5H050BA16
5H050BA17
5H050CB03
5H050CB11
5H050DA03
5H050DA09
5H050DA10
5H050EA08
5H050EA12
5H050FA13
5H050GA02
5H050GA03
5H050GA06
5H050GA10
5H050GA27
5H050HA00
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA08
5H050HA09
5H050HA14
5H050HA17
(57)【要約】
本発明は、活物質、炭素材料及びドーパント元素を含む凝集体を含む負極材料及びその製造方法、リチウムイオン電池に係り、波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm
-1~1630cm
-1に観察され、Dバンドが1280cm
-1~1380cm
-1に観察され、Dバンドのピーク強度(I
D)とGバンドのピーク強度(I
G)との比(I
D/I
G)は、1~2.5であり、本願に開示された負極材料は、複合材料の初回効率を著しく向上させることができ、サイクル性能の安定性が大きく向上する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質、炭素材料及びドーパント元素を含む凝集体を含む負極材料であって、
前記炭素材料は、波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm
-1~1630cm
-1に観察され、Dバンドが1280cm
-1~1380cm
-1に観察され、Gバンドのピーク強度(I
G)に対するDバンドのピーク強度(I
D)の比(I
D/I
G)は、1~2.5であることを特徴とする負極材料。
【請求項2】
活物質、炭素材料、及びドーパント元素を含む凝集体を含む負極材料であって、
前記ドーパント元素は、前記炭素材料にルイス酸サイトの生成を誘導可能であり、
前記活物質の少なくとも一部が前記ルイス酸サイトを介して前記炭素材料と結合されることを特徴とする負極材料。
【請求項3】
以下の特徴(1)~(8)のうちの少なくとも1つを有する、請求項1又は2に記載の負極材料。
(1)前記ドーパント元素は、フッ素、窒素及びリンのうちの少なくとも1種を含む;
(2)前記活物質及び前記炭素材料のうちの少なくとも一方は、前記ドーパント元素を含む;
(3)前記ドーパント元素は、前記活物質の表面及び/又は内部に分布する;
(4)前記ドーパント元素は、前記炭素材料の表面及び/又は内部に分布する;
(5)前記凝集体における前記ドーパント元素の含有量は、50ppm~20000ppmである;
(6)前記炭素材料において空孔が形成されており、前記活物質の少なくとも一部が前記空孔に充填されている;
(7)前記炭素材料の孔容積は、0.35cm
3/g以上である;
(8)前記活物質は、炭素材料の間又はその表面に分布する。
【請求項4】
以下の特徴(1)~(5)のうちの少なくとも1つを有する、請求項1~3のいずれかに記載の負極材料。
(1)前記活物質は、活粒子を含む;
(2)前記活物質は、Li、Na、K、Sn、Ge、Si、Fe、Mg、Ti、Zn、Al、P、Cu及びSiO
x(ただし、0<x≦2)のうちの少なくとも1種を含む;
(3)前記活物質のメジアン径が1nm~300nmである;
(4)前記炭素材料は、結晶性炭素、非晶質炭素、人造黒鉛、天然黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、アモルファスカーボン、カーボンナノチューブ、炭素繊維及びグラフェンのうちの少なくとも1種を含む;
(5)前記炭素材料に対する前記活物質の質量比は、(90~10):(10~90)である。
【請求項5】
前記凝集体は、金属酸化物をさらに含み、
前記金属酸化物は、以下の特徴(1)~(7)のうちの少なくとも1つを有する、請求項3に記載の負極材料。
(1)前記金属酸化物の少なくとも一部が前記炭素材料における空孔に充填されている;
(2)前記金属酸化物の一般式は、M
xO
y(ただし、0.2≦y/x≦3、Mは、Sn、Ge、Si、Fe、Cu、Ti、Na、Mg、Al、Ca及びZnのうちの少なくとも1種を含む)である;
(3)前記金属酸化物は、GeO
2、SnO
2、ZnO、TiO
2、Fe
3O
4、MgO、SiO
2及びCuOのうちのいずれかを含む;
(4)前記金属酸化物に対する前記活物質の質量比は、(30~100):(0.5~10)である;
(5)前記金属酸化物は、フレーク状及び/又は短冊状を呈する;
(6)前記金属酸化物のアスペクト比は、2より大きい;
(7)前記金属酸化物同士の間の最小距離は100nm以上である。
【請求項6】
前記凝集体は、以下の特徴(1)~(7)のうちの少なくとも1つを有する導電性向上剤をさらに含む、請求項3に記載の負極材料。
(1)前記導電性向上剤の少なくとも一部が、前記炭素材料における空孔に充填されている;
(2)前記導電性向上剤は、合金材料及び導電性炭素のうちの少なくとも1種を含む;
(3)前記導電性向上剤は、合金材料及び導電性炭素のうちの少なくとも1種を含み、前記導電性炭素は、カーボンナノチューブ、炭素繊維及び黒鉛繊維のうちの少なくとも1種を含む;
(4)前記導電性向上剤の導電率は、10
0S/m~10
8S/mである;
(5)前記導電性向上剤は、フレーク状及び/又は短冊状を呈する;
(6)前記活物質に対する前記導電性向上剤の質量比は、(0.01~15):(50~100)である;
(7)前記導電性向上剤のアスペクト比は、2~5000である。
【請求項7】
前記負極材料は、前記凝集体の表面の少なくとも一部を被覆する炭素層をさらに含み、
前記炭素層は、以下の特徴(1)~(3)のうちの少なくとも1つを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の負極材料。
(1)前記炭素層の材料は、アモルファスカーボンを含む;
(2)前記炭素層の厚さは、10nm~5000nmである;
(3)前記炭素層に対する前記凝集体の質量比は、(90~10):(10~90)である。
【請求項8】
前記負極材料は、前記活物質の表面の少なくとも一部に形成した酸化層をさらに含み、
前記酸化層は、以下の特徴(1)~(2)のうちの少なくとも1つを有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の負極材料。
(1)前記酸化層の厚さは、1nm~100nmである;
(2)前記酸化層は、空孔を有する。
【請求項9】
以下の特徴(1)~(5)のうちの少なくとも1つを有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の負極材料。
(1)前記負極材料のメジアン径は0.5μm~30μmである;
(2)前記負極材料の比表面積は10m
2/g以下である;
(3)前記凝集体の空孔率は10%以下である;
(4)前記凝集体の押込み硬さは100MPa以上である;
(5)上記凝集体の密度は、(ρ1-ρ2)/ρ2≦5%を満たし、ただし、ρ1は凝集体の測定密度であり、ρ2は凝集体の平均密度(即ち、凝集体中の各成分の凝集体に対する含有量(質量%)×各成分の理論密度で得られた値の総和)である。
【請求項10】
活物質、ドーパント、第1炭素源及び溶媒を混合した後、前駆体を製造するステップと、
前記前駆体を800℃~980℃で一次熱処理し、凝集体を得るステップを含むことを特徴とする負極材料の製造方法。
【請求項11】
以下の特徴(1)~(10)のうちの少なくとも1つを有する、請求項10に記載の製造方法。
(1)前記活物質は、Li、Na、K、Sn、Ge、Si、Fe、Mg、Ti、Zn、Al、P、Cu及びSiO
x(ただし、0<x≦2)のうちの少なくとも1種を含む;
(2)前記ドーパントは、フッ素源、リン源及び窒素源のうちの少なくとも1種を含む;
(3)前記ドーパントは、フッ素源、リン源及び窒素源のうちの少なくとも1種を含み、前記フッ素源は、フッ化水素、フッ化リチウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、テトラフルオロホウ酸アンモニウム及びテトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウムのうちの少なくとも1種を含むフッ化物を含む;
(4)前記ドーパントは、フッ素源、リン源及び窒素源のうちの少なくとも1種を含み、前記リン源は、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、1-ブチル-3-メチルイミダゾールヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ホスフィン、リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、単体リン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、亜リン酸水素ナトリウムおよびリン酸のうちの少なくとも1種を含む;
(5)前記ドーパントは、フッ素源、リン源及び窒素源のうちの少なくとも1種を含み、前記窒素源は、アンモニアガス、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、尿素、チオ尿素、窒化リチウム、メラミン、ヒドラジン水和物のうちの少なくとも1種を含む;
(6)前記第1炭素源は、スクロース、グルコース、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアニリン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フルフラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル及びアスファルトのうちの少なくとも1種を含む;
(7)前記活物質と、ドーパントと、第1炭素源との質量比は、(30~120):(0.9~20):(10~50)である;
(8)前記溶媒は有機溶媒を含む;
(9)前記溶媒は、エタノール、エチレングリコール、プロパノール、ブタノール及びn-ペンタノールのうちの少なくとも1種を含む有機溶媒を含む;
(10)前記活物質、ドーパント、第1炭素源及び溶媒を混合するステップにおいて、前記活物質を溶媒に分散させてから、ドーパントと第1炭素源を加える。
【請求項12】
活物質、ドーパント、第1炭素源及び溶媒を混合するステップにおいて、さらに、以下の特徴(1)~(4)のうちの少なくとも1つを有する添加剤を加える、請求項10に記載の製造方法。
(1)前記添加剤は、界面活性剤及びカップリング剤のうちの少なくとも1種を含む;
(2)前記添加剤は、n-オクタデカン酸、ラウリン酸、ポリアクリル酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、n-イコサン酸、パルミチン酸、テトラデカン酸、ウンデカン酸、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドおよびポリビニルピロリドンのうちの少なくとも1種を含む界面活性剤を含む;
(3)前記添加剤は、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシジルエーテルのオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランのうちの少なくとも1種を含むシランカップリング剤を含む;
(4)前記活物質に対する前記添加剤の質量比は、(0.01~5):(50~100)である。
【請求項13】
活物質、ドーパント、第1炭素源及び溶媒を混合するステップにおいて、さらに金属酸化物及び導電性向上剤のうちの少なくとも1種を加え、
以下の特徴(1)~(9)のうちの少なくとも1つを有する、請求項10に記載の製造方法。
(1)前記金属酸化物の一般式はM
xO
y(ただし、0.2≦y/x≦3、MはSn、Ge、Si、Fe、Cu、Ti、Na、Mg、Al、Ca及びZnのうちの少なくとも1種を含む)である;
(2)前記金属酸化物は、フレーク状及び/又は短冊状を呈する;
(3)前記金属酸化物のアスペクト比は2より大きい;
(4)前記活物質に対する前記金属酸化物の質量比は(0.5~10):(30~100)である;
(5)前記活物質に対する前記導電性向上剤の質量比は(0.01~15):(50~100)である;
(6)前記導電性向上剤の導電率は10
0S/m~10
8S/mである;
(7)前記導電性向上剤は、フレーク状及び/又は短冊状を呈する;
(8)前記導電性向上剤のアスペクト比は2~5000である;
(9)前記導電性向上剤は、合金材料及び導電性炭素のうちの少なくとも1種を含む。
【請求項14】
前記前駆体を製造するステップは、活物質、ドーパント、第1炭素源、及び溶媒を混合した後、分散処理及び乾燥処理のうちの少なくとも1種を行うことさらに含み、
以下の特徴(1)~(3)のうちの少なくとも1種を含む、請求項10に記載の製造方法。
(1)前記分散処理は、機械的攪拌、超音波分散及び研磨分散のうちの少なくとも1種を含む;
(2)前記乾燥処理の温度は30℃~400℃である;
(3)前記乾燥処理の時間は1h~15hである。
【請求項15】
前記前駆体を一次熱処理する前に、前記凝集体の空孔率が10%以下、且つ押込み硬さが100MPa以上になるように、前記前駆体を緻密化処理することをさらに含み、
以下の特徴(1)~(5)のうちの少なくとも1つを有する、請求項10に記載の製造方法。
(1)前記緻密化処理は、融合処理、混練押出処理、圧縮成形処理、静水圧プレス処理及び浸漬処理のうちの少なくとも1種を含む;
(2)前記緻密化処理は、融合処理、混練押出処理、圧縮成形処理、静水圧プレス処理及び浸漬処理のうちの少なくとも1種を含み、前記融合処理はメカノフュージョンである;
(3)前記緻密化処理は、融合処理、混練押出処理、圧縮成形処理、静水圧プレス処理及び浸漬処理のうちの少なくとも1種を含み、前記融合処理はメカノフュージョンであり、前記メカノフュージョンに用いられる融合機の回転数は500r/min~3000r/minである;
(4)前記緻密化処理は、融合処理、混練押出処理、圧縮成形処理、静水圧プレス処理及び浸漬処理のうちの少なくとも1種を含み、前記融合処理はメカノフュージョンであり、前記メカノフュージョンに用いられる融合機のブレードギャップの幅は0.01cm~0.5cmである;
(5)前記緻密化処理は、融合処理、混練押出処理、圧縮成形処理、静水圧プレス処理及び浸漬処理のうちの少なくとも1種を含み、前記融合処理はメカノフュージョンであり、前記メカノフュージョンの時間は少なくとも0.5hである。
【請求項16】
以下の特徴(1)~(3)のうちの少なくとも1つを有する、請求項10に記載の製造方法。
(1)前記一次熱処理の時間は1h~5hである;
(2)前記一次熱処理は、第1保護性雰囲気中で行われる;
(3)前記一次熱処理は、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス及びクリプトンガスのうちの少なくとも1種を含む第1保護性雰囲気中で行われる。
【請求項17】
前記製造方法は、前記凝集体に炭素被覆処理を行うことをさらに含み、
以下の特徴(1)~(9)のうちの少なくとも一つを有する、請求項10に記載の製造方法。
(1)前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理することを含む;
(2)前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理することを含み、前記第2炭素源は、スクロース、グルコース、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアニリン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フルフラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル及びアスファルトのうちの少なくとも1種を含む;
(3)前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理することを含み、前記第2炭素源に対する前記凝集体の質量比は(20~100):(10~80)である;
(4)前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理することを含み、前記二次熱処理の温度は800℃~900℃である;
(5)前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理することを含み、前記二次熱処理の時間は1h~5hである;
(6)前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理することを含み、前記二次熱処理は第2保護性雰囲気中で行われる;
(7)前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して2次熱処理することを含み、前記二次熱処理は、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス及びクリプトンガスのうちの少なくとも1種を含む第2保護性雰囲気中で行われる;
(8)前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理し、前記二次熱処理の後に、さらに粉砕、篩分及び脱磁のうちの少なくとも1種を行うことを含む;
(9)前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理し、前記二次熱処理の後に、さらに粉砕、篩分及び脱磁のうちの少なくとも1種を行うことを含み、前記篩分の目数は500目以上である。
【請求項18】
請求項1~9のいずれか1項に記載の負極材料、又は請求項10~17のいずれか1項に記載の製造方法で製造した負極材料を含むことを特徴とするリチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年08月12日に中国特許庁に提出された出願番号は2021109242947であり、出願名は「負極材料とその製造方法、リチウムイオン電池」という中国特許出願の優先権を要求し、その内容全体が参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本願は、負極材料の技術分野に関し、具体的に、特に負極材料及びその製造方法、リチウムイオン電池に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、リチウムイオン電池は、エネルギー密度が大きく、出力電力が高く、サイクル寿命が長く、環境汚染が小さいなどの利点を備えているため、電気自動車やコンシューマエレクトロニクスに広く用いられている。例えば、シリコン系炭素負極材料は、すでに動力系などの分野に部分的に応用されているが、全電池応用では負極の初回効率に対する要求が比較的高い。現在、黒鉛負極の初回効率は一般的に93%以上であり、シリコン負極材料の初回効率は通常80%~85%程度であり、完成品の電池設計時に負極のグラム容量の発揮が悪い。いくつかの手段で初回効率を高める必要がある。例えば、負極プレリチウムなどの技術であるが、現在リチウムを補充する手段はプロセスが複雑で、危険性が大きく、設備に対する要求が高いため、他の方法でシリコン系材料の初回効率を高める必要があり、シリコン負極の更なる応用が制限されている。
【0004】
そのため、どのようにして初回効率を向上しながらプロセスを簡略化し、コストを下げるかは現在早急に解決すべき問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、上記の欠点を克服するために、負極材料とその製造方法、リチウムイオン電池を提供し、負極材料の初回効率の向上に有利であり、この製造方法はプロセスを簡略化し、製造コストを低減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様で、本願の実施例は、活物質、炭素材料及びドーパント元素を含む凝集体を含む負極材料を提供する。前記炭素材料は、波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm-1~1630cm-1で観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1で観察され、Dバンドのピーク強度IDとGバンドのピーク強度IGとの比ID/IGは、1~2.5である。
【0007】
第2態様で、本願の実施例は、活物質と、炭素材料と、前記炭素材料にルイス酸サイトの生成を誘導可能なドーパント元素を含む凝集体を含み、前記活物質の少なくとも一部は、前記ルイス酸サイトを介して前記炭素材料と結合される負極材料を提供する。
【0008】
一つの実行可能な実施形態では、前記ドーパント元素は、フッ素、窒素及びリンのうちの少なくとも1種を含む。
【0009】
一つの実行可能な実施形態では、前記活物質及び炭素材料のうちの少なくとも一方は、前記ドーパント元素を含む。
【0010】
一つの実行可能な実施形態では、前記ドーパント元素は、前記活物質の表面及び/又は内部に分布する。
【0011】
一つの実行可能な実施形態では、前記ドーパント元素は、前記炭素材料の表面及び/又は内部に分布する。
【0012】
一つの実行可能な実施形態では、前記凝集体における前記ドーパント元素の含有量は、50ppm~20000ppmである。
【0013】
一つの実行可能な実施形態では、前記炭素材料において空孔が形成されており、前記活物質の少なくとも一部が前記空孔に充填されている。
【0014】
一つの実行可能な実施形態では、前記炭素材料の孔容積は、0.35cm3/g以上である。
【0015】
一つの実行可能な実施形態では、前記活物質は、炭素材料の間又は表面に分布する。
【0016】
一つの実行可能な実施形態では、前記活物質は、活性粒子を含む。
【0017】
一つの実行可能な実施形態では、前記活物質は、Li、Na、K、Sn、Ge、Si、Fe、Mg、Ti、Zn、Al、P、Cu及びSiOx(ただし、0<x≦2)のうちの少なくとも1種を含む。
【0018】
一つの実行可能な実施形態では、前記活物質のメジアン径は1nm~300nmである。
【0019】
一つの実行可能な実施形態では、前記炭素材料は、結晶性炭素、非晶質炭素、人造黒鉛、天然黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、アモルファスカーボン、カーボンナノチューブ、炭素繊維及びグラフェンのうちの少なくとも1種を含む。
【0020】
一つの実行可能な実施形態では、前記炭素材料に対する前記活物質の質量比は、(90~10):(10~90)である。
【0021】
一つの実行可能な実施形態では、前記凝集体は、金属酸化物をさらに含む。
【0022】
一つの実行可能な実施形態では、前記金属酸化物の少なくとも一部は、前記炭素材料における空孔に充填されている。
【0023】
一つの実行可能な実施形態では、前記金属酸化物の一般式は、MxOy(ただし、0.2≦y/x≦3、Mは、Sn、Ge、Si、Fe、Cu、Ti、Na、Mg、Al、Ca及びZnのうちの少なくとも1種を含む)である。
【0024】
一つの実行可能な実施形態では、前記金属酸化物は、GeO2、SnO2、ZnO、TiO2、Fe3O4、MgO、SiO2及びCuOのいずれかを含む。
【0025】
一つの実行可能な実施形態では、前記活物質と前記金属酸化物との質量比は、(30~100):(0.5~10)である。
【0026】
一つの実行可能な実施形態では、前記金属酸化物は、フレーク状及び/又は短冊状を呈する。
【0027】
一つの実行可能な実施形態では、前記金属酸化物のアスペクト比は、2より大きい。
【0028】
一つの実行可能な実施形態では、前記金属酸化物と金属酸化物との間の最小距離は、100nm以上である。
【0029】
一つの実行可能な実施形態では、前記凝集体は、導電性向上剤をさらに含む。
【0030】
一つの実行可能な実施形態では、前記導電性向上剤の少なくとも一部は、前記炭素材料における空孔に充填されている。
【0031】
一つの実行可能な実施形態では、前記導電性向上剤は、合金材料及び導電性炭素のうちの少なくとも1種を含む。
【0032】
一つの実行可能な実施形態では、前記導電性向上剤は、合金材料及び導電性炭素のうちの少なくとも1種を含み、前記導電性炭素は、カーボンナノチューブ、炭素繊維及び黒鉛繊維のうちの少なくとも1種を含む。
【0033】
一つの実行可能な実施形態では、前記導電性向上剤の導電率は、100S/m~108S/mである。
【0034】
一つの実行可能な実施形態では、前記導電性向上剤は、フレーク状及び/又は短冊状を呈する。
【0035】
一つの実行可能な実施形態では、前記活物質に対する前記導電性向上剤の質量比は、(0.01~15):(50~100)である。
【0036】
一つの実行可能な実施形態では、前記導電性向上剤のアスペクト比は、2~5000である。
【0037】
一つの実行可能な実施形態では、前記負極材料は、前記凝集体の表面の少なくとも一部を被覆する炭素層をさらに含む。
【0038】
一つの実行可能な実施形態では、前記炭素層の材料は、アモルファスカーボンを含む。
【0039】
一つの実行可能な実施形態では、前記炭素層の厚さは、10nm~5000nmである。
【0040】
一つの実行可能な実施形態では、前記炭素層に対する前記凝集体の質量比は、(90~10):(10~90)である。
【0041】
一つの実行可能な実施形態では、前記負極材料は、前記活物質の表面の少なくとも一部に形成した酸化層をさらに含む。
【0042】
一つの実行可能な実施形態では、前記酸化層の厚さは、1nm~100nmである。
【0043】
一つの実行可能な実施形態では、前記酸化層は空孔を有する。
【0044】
一つの実行可能な実施形態では、前記負極材料のメジアン径は0.5μm~30μmである。
【0045】
一つの実行可能な実施形態では、前記負極材料の比表面積は10m2/g以下である。
【0046】
一つの実行可能な実施形態では、前記凝集体の空孔率は10%以下である。
【0047】
一つの実行可能な実施形態では、前記凝集体の押込み硬さは100MPa以上である。
【0048】
一つの実行可能な実施形態では、前記凝集体密度は、(ρ1-ρ2)/ρ2≦5%を満たし、ただし、ρ1は凝集体の測定密度であり、ρ2は凝集体の平均密度である。つまり、前記ρ2は、凝集体における各成分の凝集体に対する含有量(質量%)×各成分の理論密度で得られた値の総和である。
【0049】
第3態様で、本願の実施例は、
【0050】
活物質、ドーパント、第1炭素源及び溶媒を混合させた後、前駆体を製造するステップと、
前記前駆体を800℃~980℃で一次熱処理し、凝集体を得るステップを含む負極材料の製造方法を提供する。
【0051】
一つの実行可能な実施形態では、前記活物質は、Li、Na、K、Sn、Ge、Si、Fe、Mg、Ti、Zn、Al、P、Cu及びSiOx(ただし、0<x≦2)のうちの少なくとも1種を含む。
【0052】
一つの実行可能な実施形態では、前記ドーパントは、フッ素源、リン源及び窒素源のうちの少なくとも1種を含む。
【0053】
一つの実行可能な実施形態では、前記ドーパントは、フッ素源、リン源及び窒素源のうちの少なくとも1種を含み、前記フッ素源は、フッ化水素、フッ化リチウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、テトラフルオロホウ酸アンモニウム及びテトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウムのうちの少なくとも1種を含むフッ化物を含む。
【0054】
一つの実行可能な実施形態では、前記ドーパントは、フッ素源、リン源及び窒素源のうちの少なくとも1種を含み、前記リン源は、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、1-ブチル-3-メチルイミダゾールヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ホスフィン、リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、単体リン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、亜リン酸水素ナトリウムおよびリン酸のうちの少なくとも1種を含む。
【0055】
一つの実行可能な実施形態では、前記ドーパントは、フッ素源、リン源及び窒素源のうちの少なくとも1種を含み、前記窒素源は、アンモニアガス、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、尿素、チオ尿素、窒化リチウム、メラミン及びヒドラジン水和物のうちの少なくとも1種を含む。
【0056】
一つの実行可能な実施形態では、前記第1炭素源は、スクロース、グルコース、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアニリン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フルフラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル及びアスファルトのうちの少なくとも1種を含む。
【0057】
一つの実行可能な実施形態では、前記活物質、ドーパント、第1炭素源の質量比は、(30~120):(0.9~20):(10~50)である。
【0058】
一つの実行可能な実施形態では、前記溶媒は有機溶媒を含む。
【0059】
一つの実行可能な実施形態では、前記溶媒は、エタノール、エチレングリコール、プロパノール、ブタノール及びn-ペンタノールのうちの少なくとも1種を含む有機溶媒を含む。
【0060】
一つの実行可能な実施形態では、活物質、ドーパント、第1炭素源及び溶媒を混合するステップにおいて、具体的には、活物質を溶媒に分散させて、さらにドーパントと第1炭素源を加えることである。
【0061】
一つの実行可能な実施形態では、活物質、ドーパント、第1炭素源及び溶媒を混合するステップにおいて、さらに添加剤を加える。
【0062】
一つの実行可能な実施形態では、前記添加剤は、界面活性剤及びカップリング剤のうちの少なくとも1種を含む。
【0063】
一つの実行可能な実施形態では、前記添加剤は、n-オクタデカン酸、ラウリン酸、ポリアクリル酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、n-イコサン酸、パルミチン酸、テトラデカン酸、ウンデカン酸、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドおよびポリビニルピロリドンのうちの少なくとも1種を含む界面活性剤を含む。
【0064】
一つの実行可能な実施形態では、前記添加剤は、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシジルエーテルのオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランのうちの少なくとも1種を含むシランカップリング剤を含む。
【0065】
一つの実行可能な実施形態では、前記添加剤と活物質との質量比は、(0.01~5):(50~100)である。
【0066】
一つの実行可能な実施形態では、活物質、ドーパント、第1炭素源及び溶媒を混合するステップにおいて、さらに金属酸化物及び導電性向上剤のうちの少なくとも1種を加える。
【0067】
一つの実行可能な実施形態では、前記金属酸化物の化学一般式はMxOy(ただし、0.2≦y/x≦3、MはSn、Ge、Si、Fe、Cu、Ti、Na、Mg、Al、Ca及びZnのうちの少なくとも1種を含む)である。
【0068】
一つの実行可能な実施形態では、前記金属酸化物はフレーク状及び/又は短冊状を呈する。
【0069】
一つの実行可能な実施形態では、前記金属酸化物のアスペクト比は2より大きい。
【0070】
一つの実行可能な実施形態では、前記金属酸化物と活物質との質量比(0.5~10):(30~100)。
【0071】
一つの実行可能な実施形態では、前記導電性向上剤と活物質との質量比は(0.01~15):(50~100)である。
【0072】
一つの実行可能な実施形態では、前記導電性向上剤の導電率は100S/m~108S/mである。
【0073】
一つの実行可能な実施形態では、前記導電性向上剤は、フレーク状及び/又は短冊状を呈する。
【0074】
一つの実行可能な実施形態では、前記導電性向上剤のアスペクト比は2~5000である。
【0075】
一つの実行可能な実施形態では、前記導電性向上剤は、合金材料及び導電性炭素のうちの少なくとも1種を含む。
【0076】
一つの実行可能な実施形態では、前記前駆体を製造するステップは、活物質、ドーパント、第1炭素源、溶媒を混合させた後、分散処理及び乾燥処理のうちの少なくとも1種を行うことをさらに含む。
【0077】
一つの実行可能な実施形態では、前記分散処理は、機械的攪拌、超音波分散及び研磨分散のうちの少なくとも1種を含む。
【0078】
一つの実行可能な実施形態では、前記乾燥処理の温度は30℃~400℃である。
【0079】
一つの実行可能な実施形態では、前記乾燥処理の時間は1h~15hである。
【0080】
一つの実行可能な実施形態では、前記前駆体に一次熱処理を行う前に、前記凝集体の空孔率が10%以下、且つ押込み硬さが100MPa以上となるように、前記前駆体を緻密化処理することをさらに含む。
【0081】
一つの実行可能な実施形態では、前記緻密化処理は、融合処理、混練押出処理、圧縮成形処理、静水圧プレス処理及び浸漬処理のうちの少なくとも1種を含む。
【0082】
一つの実行可能な実施形態では、前記緻密化処理は、融合処理、混練押出処理、圧縮成形処理、静水圧プレス処理及び浸漬処理のうち少なくとも1種を含み、前記融合処理はメカノフュージョンである。
【0083】
一つの実行可能な実施形態では、前記緻密化処理は、融合処理、混練押出処理、圧縮成形処理、静水圧プレス処理及び浸漬処理のうち少なくとも1種を含み、前記融合処理はメカノフュージョンであり、前記メカノフュージョンに用いられる融合機の回転数は500r/min~3000r/minである。
【0084】
一つの実行可能な実施形態では、前記緻密化処理は、融合処理、混練押出処理、圧縮成形処理、静水圧プレス処理及び浸漬処理のうちの少なくとも1種を含み、前記融合処理はメカノフュージョンであり、前記メカノフュージョンに用いられる融合機のブレードギャップの幅は0.01cm~0.5cmである。
【0085】
一つの実行可能な実施形態では、前記緻密化処理は、融合処理、混練押出処理、圧縮成形処理、静水圧プレス処理及び浸漬処理のうちの少なくとも1種を含み、前記融合処理はメカノフュージョンであり、前記メカノフュージョン時間は少なくとも0.5hである。
【0086】
一つの実行可能な実施形態では、前記一次熱処理の時間は1h~5hである。
【0087】
一つの実行可能な実施形態では、前記一次熱処理は第1保護性雰囲気中で行われる。
【0088】
一つの実行可能な実施形態では、前記一次熱処理は、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス及びクリプトンガスのうちの少なくとも1種を含む第1保護性雰囲気中で行われる。
【0089】
一つの実行可能な実施形態では、前記方法は、前記凝集体に炭素被覆処理を行うことをさらに、含む。
【0090】
一つの実行可能な実施形態では、前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体と第2炭素源とを混合して二次熱処理することを含む。
【0091】
一つの実行可能な実施形態では、前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源に混合して二次熱処理することを含み、前記第2炭素源は、スクロース、グルコース、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアニリン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フルフラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル及びアスファルトのうちの少なくとも1種を含む。
【0092】
一つの実行可能な実施形態では、前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理することを含み、前記第2炭素源に対する前記凝集体の質量比は(20~100):(10~80)である。
【0093】
一つの実行可能な実施形態では、前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理することを含み、前記二次熱処理の温度は800℃~900℃である。
【0094】
一つの実行可能な実施形態では、前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理することを含み、前記二次熱処理の時間は1h~5hである。
【0095】
一つの実行可能な実施形態では、前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理することを含み、前記二次熱処理は第2保護性雰囲気中で行われる。
【0096】
一つの実行可能な実施形態では、前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理することを含み、前記二次熱処理は窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス及びクリプトンガスのうちの少なくとも1種を含む第2保護性雰囲気中で行われる。
【0097】
一つの実行可能な実施形態では、前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合させて二次熱処理を行い、前記二次熱処理の後、さらに粉砕、篩分及び脱磁のうちの少なくとも1種を行うことを含む。
【0098】
一つの実行可能な実施形態では、前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合させて二次熱処理を行い、前記二次熱処理の後、さらに粉砕、篩分及び脱磁のうちの少なくとも1種を行うことを含み、前記篩分の目数は500目以上である。
【0099】
第4態様で、本願の実施例は、第1又は第2態様に記載の負極材料又は第3態様に記載の製造方法で製造した負極材料を含むリチウムイオン電池を提供する。
【発明の効果】
【0100】
本願の技術案は、少なくとも、ドーパント元素の添加により炭素材料と活物質との結合が促進され、また炭素材料の黒鉛化度が向上し、導電性が向上するという有益な効果を有する。ドーパント元素は、炭素材料において、高い活性及び選択性を有する活性サイトを誘導生成し、これらの活性サイトは、一方では、より活物質の表面と結合しやすく、より安定した接続を形成する他方では、活性が増加するため、エネルギー障壁が低下し、炭素原子の再配列抵抗が低下し、高温熱処理過程において規則的な配列をより形成しやすく、局所的な狭域規則度が増加し、黒鉛化度を部分的に向上させる。
【0101】
本願が提供した製造方法は操作が簡単で、拡大化生産に適用することができ、得られた負極材料を製造することはリチウム電池の充放電サイクルの安定性を効果的に高め、負極材料の膨張率を効果的に下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【
図1】一実施形態に関わる負極材料の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0103】
本願の技術的事項をよりよく理解するために、本願の実施例について図面を参照して以下に詳しく説明する。
説明された実施例は本願の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わずに得た他のすべての実施例は、本願の保護の範囲に属する。
本願の実施例で使用される用語は、特定の実施例を説明する目的のためだけに使用され、本願を制限することは意図されていない。本願の実施例及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形の「1つ」、「前記」、「この」も、文脈が明確に他の意味を示さない限り、多数の形を含むことを意図している。
本文で使用される「及び/又は」という用語は、関連するオブジェクトを記述する関連関係にすぎず、A及び/又Bのように3つの関係が存在できることを示し、Aが単独で存在し、AとBが同時に存在し、Bが単独で存在するという3つの状況を示すことができることが理解されるべきである。また、本文中の文字「/」は、一般的にコンテキストオブジェクトが「又は」の関係であることを示している。
【0104】
一実施形態の負極材料は、凝集体を含み、凝集体は活物質、炭素材料及びドーピング元素を含み、炭素材料は波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm-1~1630cm-1で観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1で観察され、Dバンドのピーク強度(ID)とGバンドのピーク強度(IG)との比(ID/IG)は、1~2.5である。
【0105】
本実施形態のドーピング元素は炭素材料に高い活性及び選択性を有する活性サイトを誘導して生成し、これらの活性サイトは一方で活物質の表面とより結合しやすく、より強固な接続を形成する。他方では、活性が増加するため、エネルギー障壁が低下し、炭素原子の再配列抵抗が低下し、高温熱処理過程において規則的な配列をより形成しやすく、局所的な狭域規則度の増加に現れ、黒鉛化度が部分的に向上し、それにより炭素材料の導電性を向上させる。
【0106】
具体的には、ID/IGは1、1.2、1.5、1.7、1.8、2、2.1、2.2又は2.5であってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。好ましくは、ID/IGは1.7~2.3であり、黒鉛化度がこの範囲内にある炭素材料は高い電子導電性を有する。
【0107】
一実施形態の負極材料であって、凝集体を含み、凝集体は活物質、炭素材料及びドーピング元素を含み、ドーピング元素は炭素材料にルイス酸サイトの生成を誘導することができ、活物質の少なくとも一部がルイス酸の活性サイトを介して前記炭素材料と結合される。
【0108】
ドーピング元素の添加は炭素材料の活物質との結合を促進することができ、また炭素材料の黒鉛化度を向上させることができ、それにより導電性を向上させる。該ドーピング元素と炭素原子の電気陰性度の差異が極めて大きく、ドーピング元素の導入により炭素原子の電荷分布が不均一であり、ルイス酸サイトを生成し、炭素材料において高い活性と選択性を持つ活性サイトが誘導され、これらの活性サイトは一方ではより活物質の表面と結合しやすく、より強固な接続を形成する。該原理に基づいて、ドーピング元素が炭素材料又は活物質の表面に近いほど、炭素材料のルイス酸サイトの生成を誘導しやすい。
【0109】
説明すべきものとして、ドーピング元素は原子形態で凝集体に存在し、透過型電子顕微鏡及び高角度リング型暗視野走査型透過型電子顕微鏡を用いて原子形式のドーピング元素を観察することができる。
【0110】
いくつかの実施形態において、ドーピング元素は、フッ素、窒素及びリンのうちの少なくとも1種を含む。理解できるように、ドーピング元素はフッ素、窒素又はリンであってもよいし、フッ素、窒素の組み合わせ又はフッ素、リンの組み合わせ又は窒素、リンの組み合わせであってもよいし、フッ素、窒素及びリンを同時に含有してもよい。
【0111】
いくつかの実施形態において、ドーピング元素の凝集体での含有量は50ppm~20000ppmである。ドーピング元素の含有量は具体的に50ppm、100ppm、500ppm、1000ppm、2000ppm、4000ppm、5000ppm、10000ppm、20000ppmなどであってもよい。当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。この範囲内で、炭素材料の黒鉛化度を効果的に向上させることができ、活物質の界面の安定性を向上させ、さらに材料のサイクル安定性を向上させることに役立つ。負極材料の初回効率、膨張率、サイクル寿命はいずれも改善される。ドーピング元素含有量は、イオンクロマトグラフィー、成分分析法又はエネルギースペクトル分析法(EDX分析法)等の試験方法により得ることができる。
【0112】
いくつかの実施形態において、活物質及び炭素材料のうちの少なくとも1種はドーピング元素を含む。
【0113】
いくつかの実施形態において、ドーピング元素は活物質の表面及び/又は内部に分布する。ドーピング元素が分布活物質の内部に位置する時、ドーピング元素の一部が材料の結晶構造中の原子を置換し、かつ隣接する原子と価結合を形成し、一部のドーピング元素は結晶構造中の格子欠陥に分布する。例えばSi材料のように、ケイ素の結晶構造中のケイ素原子にフッ素元素が置換、隣接するケイ素原子とフッ素-ケイ素結合を形成してもよいし、シリコン系材料の結晶構造の格子欠陥中に分布してもよい。
【0114】
別の実施形態において、ドーピング元素は炭素材料の表面及び/又は内部に分布する。ドーピング元素が炭素材料の内部に分布する場合、ドーピング元素の一部が炭素材料の結晶構造中の原子を置換し、かつ隣接する炭素原子と価結合を形成し、一部のドーピング元素は炭素結晶構造中の格子欠陥に分布する。
【0115】
当然のことながら、いくつかの実施形態において、ドーピング元素は活物質の表面及び/又は内部に分布し、さらに炭素材料の表面及び/又は内部に分布する。
【0116】
説明すべきものとして、ドーピング元素のドーピング含有量が極めて低く、長距離秩序構造を構成することができず、材料自体の結晶構造に大きな変化を生じさせることがなく、それにより材料の構造安定性をよりよく保持することができる。
【0117】
いくつかの実施形態において、凝集体において、活物質は炭素材料同士の間又はそれらの表面に分布し、好ましくは、活物質は炭素材料中に均一に分散される。
【0118】
いくつかの実施形態において、炭素材料において空孔が形成され、空孔に活物質の少なくも一部が充填される。このような充填の方式は炭素材料において形成された空孔を効果的に利用することができ、それにより空孔に分散された活物質は充放電に体積変化が発生する時に一定の変形空間を有し、体積変化による応力の破壊を低減する。
【0119】
いくつかの実施形態において、炭素材料の孔容積は0.35cm3/g以上である。ここで炭素材料の孔容積は炭素材料と炭素材料との間に形成された空孔構造の孔容積及び多孔質炭素材料(炭素材料自体の多孔質構造)の孔容積を含む。0.35cm3/g以上の孔容積を備え、一方で内部に存在する空孔は活物質をよく収容することができ、活物質の膨張のためにスペースを確保する、他方適切な孔容積は後続の炭素被覆過程において、表面被覆炭素の浸透に多くのチャネルを提供し、炭素の被覆に役立つ。炭素材料の孔容積は、ガス吸着BET法により測定した。
【0120】
いくつかの実施形態において、活物質は活性粒子を含む。
【0121】
いくつかの実施形態において、活物質はリチウムと反応し、リチウムを放出することができる物質を指す。具体的には、活物質は、Li、Na、K、Sn、Ge、Si、Fe、SiOx(ただし、0<x≦2)、Mg、Ti、Zn、Al、P及びCuのうち少なくとも一つを含む;活物質は金属単体でもよい。一部の実施形態では、活物質は、具体的には、Si粒子、Sn粒子、Ge粒子、Al粒子であるもよく、他の実施形態では、ケイ素-リチウム合金、ケイ素-マグネシウム合金などであってもよく、もちろん、単体粒子と合金とを含む場合もある。
【0122】
いくつかの実施形態において、活物質のメジアン径は1nm~300nmである。具体的には1nm、5nm、10nm、50nm、75nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm等であってもよく、具体的には限定されない。
【0123】
いくつかの実施形態において、炭素材料は結晶性炭素、非晶質炭素、人造黒鉛、天然黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、非定型カーボン、カーボンナノチューブ、炭素繊維及びグラフェンのうちの少なくとも1種を含む。
【0124】
いくつかの実施形態において、活物質と炭素材料の質量比は(90~10):(10~90)である。具体的には90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80、10:90等であってもよく、具体的には制限しない。
【0125】
いくつかの実施形態において、凝集体の空孔率が10%以下であり、凝集体の押込み硬さが100MPa以上である。
【0126】
この時、凝集体の空孔率が低く、即ちその緻密度が高く、一方で複合材料のエネルギー密度を向上させることに役立ち、他方で高緻密度の材料は表層が破壊されても、電解液が凝集体の内部に浸透しにくく、内部の活物質粒子を保護することに役立ち、電解液と活物質との接触確率を減少させ、それにより安定な固体電解質膜を形成することに有利である;かつ高緻密化された凝集体は高い押込み硬さを有し、膨張による応力効果を相殺でき、負極材料の構造安定性を向上させることができ、負極材料の体積膨張を効果的に抑制し、膨張率を低下させ、電池サイクル性能を向上させることができる。
【0127】
水銀ポロシメーターを用いて水銀圧入法により空孔率を測定した。空孔率は少なくとも三回測定し、少なくとも三回の算術平均を測定結果として採用する。
【0128】
押込み硬さはナノインデンター試験により、荷重0.6N、圧痕深さ0.5μmの方法を採用して測定する。
【0129】
いくつかの実施形態において、凝集体の空孔率が10%以下であり、凝集体の空孔率は具体的には10%、9%、9.5%、8%、8.5%、7.5%、7%、6.5%、6%又は5%などであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。理解できるように、凝集体の空孔率が低く、即ちその緻密度が非常に高く、安定した固体電解質膜を形成することに役立ち、電解液と活物質との接触を減少させる。好ましくは、凝集体の空孔率が5%以下であり、より好ましくは、凝集体の空孔率が3%以下である。
【0130】
凝集体の押込み硬さが100MPa以上であり、凝集体の押込み硬さは具体的には100MPa、150MPa、250MPa、150MPa、500MPa、750MPa、900MPa、1150MPa、1200MPa又は1250MPaなどであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。それは強い剛性を有するため、粒子構造の安定性が高く、一定の体積膨張応力を抵抗することができ、それにより膨張を低減し、電池のサイクル安定性を向上させる。好ましくは、凝集体の押込み硬さが200MPa以上であり、より好ましくは、凝集体の押込み硬さが400MPa以上である。
【0131】
いくつかの実施形態において、凝集体密度は以下の関係を満たす:凝集体の測定密度と凝集体の平均密度との差は5%以下である。凝集体粒子の密度と平均密度が近いほど、位相差が小さく、粒子内部の孔が少ないほど、緻密であり、安定した固体電解質膜を形成することに役立ち、電解液と活物質との接触を減少させる。
【0132】
具体的には、凝集体密度の計算は以下のとおりである:(ρ1-ρ2)/ρ2≦5%、ここでρ1は凝集体の測定密度であり、ρ2は凝集体の平均密度である。
【0133】
ここで、ρ2は凝集体における各成分の凝集体に対する含有量(質量%)×各成分の理論密度で得られた値の総和である。
【0134】
具体的な例において、凝集体が活物質及び炭素材料を含む場合、ρ2=活物質の凝集体に対する含有量(質量%)×活物質の理論密度+炭素材料の凝集体に対する含有量(質量%)×炭素材料の理論密度である。
【0135】
いくつかの実施形態において、凝集体はさらに金属酸化物を含み、金属酸化物と活物質を複合し、活物質の膨張を低減し、ロングサイクル性能を向上させることができ、かつ凝集体がより高い押込み硬さを有する。なお、この時の凝集体の平均密度ρ2=活物質の凝集体に対する含有量(質量%)×活物質の理論密度+金属酸化物の凝集体に対する含有量(質量%)×金属酸化物の理論密度+炭素材料の凝集体に対する含有量(質量%)×炭素材料の理論密度である。
【0136】
この時、凝集体がさらに金属酸化物を含む場合、フッ素元素は金属酸化物の内部又は表面に分布する。F元素が分布金属酸化物の内部に位置する場合、部分のF元素は金属酸化物結晶構造中の原子を置換し、かつ隣接する原子と価結合を形成し、一部のドーピング元素は金属酸化物結晶構造中の格子欠陥に分布する。具体的には金属酸化物がSnO2であれば、SnO2における結晶構造中のSn原子を置換し、かつ隣接する原子と価を形成し、結晶構造の格子欠陥に分布することもできる。
【0137】
いくつかの実施形態において、少なくとも一部の金属酸化物は炭素材料における空孔に充填される。
【0138】
いくつかの実施形態において、金属酸化物の一般式はMxOy(ただし、0.2≦y/x≦3、MはSn、Ge、Si、Fe、Cu、Ti、Na、Mg、Al、Ca及びZnのうちの少なくとも1種を含む)である。具体的には、金属酸化物はGeO2、SnO2、ZnO、TiO2、Fe3O4、MgO、SiO2及びCuOのうちのいずれか1種であってもよい。
【0139】
いくつかの実施形態において、活物質と金属酸化物の質量比は(30~100):(0.5~10)である。具体的には30:0.5、40:1、50:2、60:2、70:3、80:6、90:7.5、100:10又は100:2などであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。
【0140】
いくつかの実施形態において、金属酸化物はフレーク状及び/又は短冊状を呈する。
【0141】
いくつかの実施形態において、金属酸化物のアスペクト比は2より大きい。なお、金属酸化物が短冊状である場合、アスペクト比は具体的には粒子の長さと粒子の粒径との比であり、ここでの粒径は短冊状金属酸化物の長さ方向に垂直な断面周縁上の二点の間の最大直線距離を指す;金属酸化物がフレーク状である場合、アスペクト比は具体的にはフレーク状金属酸化物の長さと幅との比を指す。具体的には、金属酸化物のアスペクト比は2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、12、15、17、18、22等であってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。複数回の試験により、金属酸化物のアスペクト比が2より大きい場合、金属酸化物と活物質との物理的結合力を向上させることができ、それにより活物質の体積膨張変化を緩衝し、サイクル性能を向上させる。
【0142】
いくつかの実施形態において、金属酸化物と金属酸化物との間の最小距離は100nm以上である。最小距離制御は金属酸化物同士の間に活物質を充填することができ、金属の酸化物を構造の支持体として材料の安定性を高めることができ、それにより活物質の体積膨張変化を緩衝し、サイクル性能を向上させる。具体的には100nm、150nm、200nm、250nm、300nm又は400nm等であってもよく、本実施形態の金属酸化物と金属酸化物との間の最小距離は任意の二つの金属酸化物粒子の最短直線距離を指す。好ましくは、金属酸化物の間隔は200nm以上である。距離の測定方法は、任意の金属酸化物でスライス試料調製を行い、任意の粒子を選択し、測定粒子のうち、任意の2つの金属酸化物の間の最小距離を50回以上測定し、平均値をとる。
【0143】
いくつかの実施形態において、集積体はさらに導電性向上剤を含み、該導電性向上剤は一方でより多くのキャリアの輸送チャネルを提供することができ、さらにキャリアの材料内部での輸送を強化する。他方では、同時に優れた機械的特性を備え、構造の支持体として材料の安定性を高めることができる。
【0144】
この時、凝集体がさらに導電性向上剤を含む場合、フッ素元素はさらに導電性向上剤材料の内部又は表面に分布する。F元素が導電性向上剤材料の内部に位置する場合、部分のF元素は導電性向上剤材料の結晶構造中の原子を置換し、かつ隣接する原子と価結合を形成し、一部のドーピング元素は導電性向上剤材料の結晶構造中の格子欠陥に分布する。
【0145】
凝集体が活物質、導電性向上剤及び炭素材料を含む場合、ρ2=活物質の凝集体に対する含有量(質量%)×活物質の理論密度+導電性向上剤の凝集体に対する含有量(質量%)×導電性向上剤の理論密度+炭素材料の凝集体に対する含有量(質量%)×炭素材料の理論密度である。
【0146】
凝集体が活物質、金属酸化物、導電性向上剤及び炭素材料を含む場合、ρ2=活物質の凝集体に対する含有量(質量%)×活物質の理論密度+金属酸化物の凝集体に対する含有量(質量%)×金属酸化物の理論密度+導電性向上剤の凝集体に対する含有量(質量%)×導電性向上剤の理論密度+炭素材料の凝集体に対する含有量(質量%)×炭素材料の理論密度である。
【0147】
いくつかの実施形態において、少なくとも一部の導電性向上剤は炭素材料における空孔に充填される。
【0148】
いくつかの実施形態において、導電性向上剤は合金材料及び導電性炭素のうちの少なくとも1種を含む。ここで、合金材料は亜鉛合金、アルミニウム合金、銅合金、シリコン合金、ニッケル合金及びチタン合金のうちの少なくとも1種を含むことができ、導電性炭素はカーボンナノチューブ、炭素繊維、黒鉛繊維のうちの少なくとも1種を含むことができる。
【0149】
いくつかの実施形態において、導電性向上剤の導電率は100S/m~108S/mである。具体的には、導電性向上剤の導電率は1S/m、10S/m、100S/m、103S/m、104S/m、105S/m又は108S/m等であってもよい。粉末抵抗率測定器を用いて負極材料の導電率を測定した。
【0150】
いくつかの実施形態において、導電性向上剤はフレーク状及び/又は短冊状を呈する。
【0151】
いくつかの実施形態において、導電性向上剤と活物質の質量比は(0.01~15):(50~100)である。具体的には0.01:50、15:50、0.05:55、0.1:60、1:50、5:60、7.5:75、10:80又は15:100などであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。
【0152】
いくつかの実施形態において、導電性向上剤のアスペクト比は2~5000である。説明すべきものとして、導電性向上剤が短冊状である場合、アスペクト比は具体的には粒子の長さと粒子の粒径との比であり、ここでの粒径は短冊状導電性向上剤の長さ方向に垂直な断面周縁上の二点の間の最大直線距離を指す。導電性向上剤がフレーク状である場合、アスペクト比は具体的にはフレーク状導電性向上剤の長さと幅との比を指す。具体的には、導電性向上剤のアスペクト比は2、30、46、150、360、670、800、900、1500、2000、3000、4000、5000などであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。複数回の試験によれば、アスペクト比が該範囲内の導電性向上剤は、優れた機械的特性を有し、構造の支持体として材料の安定性を高めることができ、それにより活物質の体積膨張変化を緩衝し、サイクル性能を向上させる。
【0153】
いくつかの実施形態において、負極材料はさらに凝集体の少なくとも一部の表面に被覆された炭素層を含む。好ましくは、炭素層は凝集体の表面に分布する。炭素層は活物質が電解液と接触することを減少させ、不動態化膜の生成を減少させ、電池の可逆容量を向上させることができる。
【0154】
いくつかの実施形態において、炭素層の材料は、アモルファスカーボンを含む。
【0155】
いくつかの実施形態において、炭素層の厚さは10nm~5000nmであり、具体的には、炭素層の厚さは10nm、50nm、100nm、400nm、500nm、750nm、1000nm、1500nm、2000nm、2500nm、3000nm、4000nm、5000nmなどであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。炭素層が厚すぎると、材料の大倍率充放電に不利であり、負極材料の総合性能を低下させる。炭素層が薄すぎると、負極材料の導電性を増加させることに不利でありかつ材料に対する体積膨張抑制性能が低く、ロングサイクル性能価格差をもたらす。
【0156】
いくつかの実施形態において、負極材料のメジアン径は0.5μm~30μmであり、具体的には0.5μm、1.5μm、3μm、10μm、16μm、26μm等であってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。理解されるように、負極材料のメジアン径が上記範囲内に制御され、負極材料のサイクル性能の向上に役立つ。好ましくは、負極材料のメジアン径は1.5μm~15μmである。
【0157】
いくつかの実施形態において、負極材料の比表面積は10m2/g以下であり、具体的には10m2/g、7m2/g、6m2/g、4m2/g、2m2/g、1m2/g等であってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。理解されるように、負極材料の比表面積は上記範囲内に制御され、体積膨張を抑制することに役立ち、負極材料のサイクル性能の向上に役立ち、好ましくは、負極材料の比表面積は5m2/g以下である。マイク比表面積アナライザを用いて負極材料の比表面積を測定した。
【0158】
いくつかの実施形態において、凝集体と炭素層の質量比は(90~10):(10~90)であり、具体的には90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80、10:90などであってもよく、具体的には制限しない。
【0159】
いくつかの実施形態において、負極材料はさらに活物質の表面の少なくとも一部に形成された酸化層を含む。活物質がシリコン粒子である場合、酸化層は酸化シリコンである。
【0160】
いくつかの実施形態において、酸化層の厚さは1nm~100nmであり、酸化層の厚さは1nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm等であってもよく、もちろん上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。
【0161】
いくつかの実施形態において、酸化層は空孔を有し、それにより活物質の膨張に空間を提供し、活物質の体積膨張効果を低下させる。
【0162】
説明すべきものとして、上記各実施形態の負極材料は相互に矛盾しない状況で、任意に組み合わせることができ、例えば凝集体の押込み硬さ、空孔率と密度を組み合わせて限定するなどである。
【0163】
図1に示すように、別の実施形態の負極材料の製造方法は、
活物質、ドーパント、第一炭素源及び溶媒を混合した後に前駆体を製造するステップS100、
前駆体に800℃~980℃で一次熱処理を行い、凝集体を得るステップS200、及び
凝集体に炭素被覆処理を行い、負極材料を得るステップS300を含む。
【0164】
本実施形態の製造方法で製造された負極材料は凝集体と凝集体の表面に被覆された炭素層を含み、凝集体は活物質、炭素材料及びドーピング元素を含み、炭素材料は波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm-1~1630cm-1に観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1に観察され、Dバンドのピーク強度(ID)とGバンドのピーク強度(IG)との比(ID/IG)は、1~2.5である。
【0165】
活物質、炭素源にドーパントを加えることにより、ドーパントの添加は炭素材料の活物質との結合を促進することができ、また炭素材料の黒鉛化度を向上させることができ、それにより導電性を向上させる。ドーピング元素は炭素材料において、高い活性及び選択性を有する活性サイトを誘導生成し、これらの活性サイトは、一方では、より活物質の表面と結合しやすく、より安定した接続を形成する他方では、活性が増加するため、エネルギー障壁が低下し、炭素原子の再配列抵抗が低下し、高温熱処理過程において規則的な配列をより形成しやすく、局所的な狭域規則度が増加し、黒鉛化度を部分的に向上させる。かつドーパントの添加は、活物質の界面の安定性を向上させ、さらに材料のサイクル安定性を向上させることに有利であり、負極材料の初回効率、膨張率、サイクル寿命はいずれも改善される。
【0166】
以下に実施例を参照して本出願の製造方法を具体的に説明する。
【0167】
<ステップS100>
当該ステップにおいて、活物質、ドーパント、第一炭素源及び溶媒を混合した後に前駆体を製造する。
【0168】
いくつかの実施形態において、活物質のメジアン径は1nm~300nmである。具体的には1nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、120nm、150nm、200nm、250nm、300nmなどであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。活物質のメジアン径が上記範囲内に制御され、負極材料のサイクル性能の向上に役立つ。
【0169】
いくつかの実施形態において、活物質は、Li、Na、k、Sn、Ge、Si、SiOx(ただし、0<x≦2)、Fe、Mg、Ti、Zn、Al、pまたはCuのうち少なくとも1種を含む;活物質は金属単体でもよい。一部の実施形態では、活物質は、具体的には、Si粒子、Sn粒子、Ge粒子、Al粒子であるもよく、他の実施形態では、ケイ素-リチウム合金、ケイ素-マグネシウム合金などであってもよく、もちろん、単体粒子と合金とを含む場合もある。
【0170】
いくつかの実施形態において、活物質がSiOx(ただし、0<x≦2)である場合、ドーパントがフッ化物の場合、フッ化物の添加は、SiOxの不均化転移を効果的に促進し、SiとSiO2を形成し、より均一なSiO2被覆層を形成し、シリコンの界面の安定と改善に有利であり、材料のサイクル安定性を高める。また、フッ化物はシリコン表層の酸化層をエッチングし、空孔を得て、シリコンの膨張に空間を提供して、シリコンの体積膨張効果を低減する。
【0171】
いくつかの実施形態において、ドーパントはフッ素源、リン源及び窒素源のうちの少なくとも1種を含む。該種のドーパントを用いて、ドープされた原子と炭素原子の電気陰性度の差異が極めて大きく、ドーピング原子の導入により炭素原子の電荷分布が不均一であり、ルイス酸サイトを生成し、これらの活性サイトは一方ではより活物質の表面と結合しやすく、より安定した接続を形成する。他方では、活性が増加するため、エネルギー障壁が低下し、炭素原子の再配列抵抗が低下し、高温熱処理過程において規則的な配列をより形成しやすく、局所的な狭域規則度の増加に現れ、黒鉛化度が部分的に向上する。またドーピング元素の添加は、活物質の界面の安定性を向上させ、さらに材料のサイクル安定性を向上させることに有利であり、負極材料の初回効率、膨張率、サイクル寿命はいずれも改善される。
【0172】
いくつかの実施形態において、フッ素源はフッ化物を含み、フッ化物はフッ化水素、フッ化リチウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、テトラフルオロホウ酸アンモニウム及びテトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウムのうちの少なくとも1種を含む。
【0173】
いくつかの実施形態において、リン源は、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、1-ブチル-3-メチルイミダゾールヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ホスフィン、リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、単体リン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、亜リン酸水素ナトリウム及びリン酸のうちの少なくとも1種を含む。
【0174】
いくつかの実施形態において、窒素源はアンモニアガス、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、尿素、チオ尿素、窒化リチウム、メラミン及びヒドラジン水和物のうちの少なくとも1種を含む。
【0175】
いくつかの実施形態において、第一炭素源はスクロース、グルコース、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアニリン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フルフラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル及びアスファルトのうちの少なくとも1種を含む。
【0176】
いくつかの実施形態において、活物質、ドーパント及び第一炭素源の質量比は(30~120):(0.9~20):(10~50)である。具体的には、活物質、ドーパント及び第一炭素源の質量比は30:0.9:10、40:5:15、70:10:20、60:12:30、80:20:50、100:10:10、110:5:20、120:3:15などであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。
【0177】
いくつかの実施形態において、溶媒は有機溶媒を含む。具体的には、有機溶剤はメタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、グリセリン、n-ブタノール、イソブタノール及びペンタノールのうちの少なくとも1種を含む。各成分を有機溶剤に加えて湿式ボールミルを行い、成分の混合均一性を向上させることができ、かつ迅速乾燥に役立つ。
【0178】
いくつかの実施形態において、活物質、ドーパント、第一炭素源、溶媒を混合するステップは具体的に以下のとおりである:活物質を有機溶媒に分散させてさらにドーパント及び第一炭素源を加える。
【0179】
いくつかの実施形態において、前駆体を製造するステップはさらに活物質、ドーパント、第一炭素源、溶媒を混合した後に分散処理、乾燥処理のうちの少なくとも1種を行うことを含む。
【0180】
好ましくは、活物質、ドーパント、第一炭素源及び溶媒を混合した後に順に分散処理、乾燥処理を行う。
【0181】
いくつかの実施形態において、分散処理は機械撹拌、超音波分散及び研磨分散のうちの少なくとも1種を含む。粒子が凝集することを回避し、かつ活物質を小さいナノ粒子に分散させることができる。
【0182】
いくつかの実施形態において、乾燥処理の温度は30℃~400℃であり、乾燥処理の時間は1h~15hである。具体的には30℃、40℃、50℃、80℃、100℃、120℃、150℃、180℃、200℃、250℃、280℃、300℃又は400℃等であってもよく、乾燥処理の時間は1h~15hであり、具体的には1h、3h、5h、7h、10h、12h又は15h等であってもよく、乾燥処理方式は例えば炉内乾燥、凍結乾燥、撹拌・蒸し乾燥、噴霧乾燥等であってもよく、本実施例における乾燥処理は前駆体溶液中の溶媒をできるだけ除去することができる。
【0183】
いくつかの実施形態において、活物質、ドーパント、第一炭素源及び溶媒を混合するステップに添加剤をさらに加えた。該実施形態における添加剤は、活物質と炭素材料との接続安定性を効果的に向上させることができ、それにより堅固な体系を形成する。
【0184】
いくつかの実施形態において、添加剤は界面活性剤及びカップリング剤のうちの少なくとも1種を含む。試験により、この種類の添加剤を採用して活物質と炭素材料の接続安定性を効果的に向上させることができ、強固な体系を形成し、空孔率を低下させる。それにより負極材料の膨張率を低下させ、サイクル安定性が高くなる。
【0185】
具体的には、界面活性剤はn-オクタデカン酸、ラウリン酸、ポリアクリル酸(PAA)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)、n-イコサン酸、パルミチン酸、テトラデカン酸、ウンデカン酸、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド及びポリビニルピロリドン(PVP)のうちの少なくとも1種を含むがそれらに限定されない。
【0186】
カップリング剤はシランカップリング剤を含み、具体的には、シランカップリング剤はγ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びγ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランのうちの少なくとも1種を含むがこれらに限定されない。
【0187】
いくつかの実施形態において、活物質と添加剤の質量比は(50~100):(0.01~5)である。
【0188】
いくつかの実施形態において、活物質、ドーパント、第一炭素源及び溶媒を混合するステップにさらに金属酸化物及び導電性向上剤のうちの少なくとも1種を加えた。
【0189】
いくつかの実施形態において、金属酸化物の一般式はMxOy(ただし、0.2≦y/x≦3、MはSn、Ge、Si、Fe、Cu、Ti、Na、Mg、Al、Ca及びZnのうちの少なくとも1種を含む)である。
【0190】
いくつかの実施形態において、金属酸化物はフレーク状及び/又は短冊状を呈する。
【0191】
いくつかの実施形態において、金属酸化物のアスペクト比は2より大きい。
【0192】
いくつかの実施形態において、導電性向上剤と活物質の質量比は(0.01~15):(50~100)である。
【0193】
いくつかの実施形態において、導電性向上剤の導電率は100S/m~108S/mである。
【0194】
いくつかの実施形態において、導電性向上剤はフレーク状及び/又は短冊状を呈する。
【0195】
いくつかの実施形態において、導電性向上剤のアスペクト比は2~5000である。
【0196】
いくつかの実施形態において、導電性向上剤は合金材料及び導電性炭素のうちの少なくとも1種を含む。
【0197】
いくつかの実施形態において、前駆体に一次熱処理を行う前に、凝集体の空孔率が10%以下、且つ押込み硬さが100MPa以上となるように、前駆体を緻密化処理することを含む。
【0198】
いくつかの実施形態において、緻密化処理は融合処理、混練押出処理、圧縮成形処理、静水圧プレス処理及び浸漬処理のうちの少なくとも1種を含む。
【0199】
いくつかの実施形態において、融合処理はメカノフュージョンである。前駆体に融合処理を行い、負極材料の押込み硬さを向上させ、さらに一次熱処理を行い、粒子構造の安定性を強化し、同時に活物質と第一炭素源との間の接続安定性を向上させ、空孔率を低下させることができる。当然のことながら、他の実施形態において、他の方法で緻密化処理を行うことができ、例えば圧縮成形、静水圧プレス、浸漬等のプロセスであり、凝集体の空孔率が10%以下でありかつ押込み硬さが100MPa以上であればよい。
【0200】
いくつかの実施形態において、メカノフュージョンに用いられる融合機の回転数は500r/min~3000r/minである。
【0201】
いくつかの実施形態において、メカノフュージョンに用いられる融合機のブレードギャップの幅は0.01cm~0.5cmである。
【0202】
いくつかの実施形態において、メカノフュージョン時間は少なくとも0.5hである。
【0203】
<ステップS200>
当該ステップにおいて、前駆体を800℃~980℃で一次熱処理し、凝集体を得る。
【0204】
いくつかの実施形態において、一次熱処理の方式は例えば真空焼結、ホットプレス焼結又は常圧焼結であってもよい。一次熱処理の温度は、800℃~980℃であり、具体的には800℃、810℃、820℃、830℃、840℃、850℃、860℃、870℃、880℃、890℃、900℃、910℃、920℃、930℃、940℃、950℃、960℃、970℃、980℃等であってもよく、もちろん上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。
【0205】
いくつかの実施形態において、一次熱処理の時間は1h~5hであり、具体的には1h、2h、3h、4h、5h等であってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。
【0206】
いくつかの実施形態において、一次熱処理は第一保護性雰囲気で行われる。具体的には、第一保護雰囲気のガスは窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス及びクリプトンガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0207】
いくつかの実施形態において、一次熱処理の後、さらに粉砕操作を行い、粉砕方式は機械式粉砕機、気流粉砕機及び低温粉砕機のうちのいずれか1種である。
【0208】
<ステップS300>
当該ステップにおいて、凝集体に炭素被覆処理を行い、負極材料を得る。
【0209】
なお、本実施形態の負極材料は炭素被覆を行わなくてもよく、この場合、ステップS300は省略することができる。
【0210】
いくつかの実施形態において、炭素被覆処理の具体的なステップは以下のとおりである。凝集体と第二炭素源を混合して、二次熱処理する。
【0211】
いくつかの実施形態において、第二炭素源はスクロース、グルコース、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアニリン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フルフラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル及びアスファルトのうちの少なくとも1種を含む。
【0212】
いくつかの実施形態において、凝集体と第二炭素源の質量比は(20~100):(10~80)である。凝集体と第二炭素源の質量比は20:10、30:15、50:60、80:30、90:20、100:10などであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。
【0213】
いくつかの実施形態において、二次熱処理の方式は例えば真空焼結、ホットプレス焼結又は常圧焼結であってもよい。二次熱処理の温度は、800℃~900℃であり、具体的には800℃、810℃、820℃、830℃、840℃、850℃、860℃、870℃、880℃、890℃、900℃等であってもよく、もちろん上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。
【0214】
いくつかの実施形態において、二次熱処理の時間は1h~5hであり、具体的には1h、2h、3h、4h、5h等であってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。
【0215】
いくつかの実施形態において、二次熱処理は第二保護性雰囲気で行われる。第二保護性雰囲気のガスは窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス及びクリプトンガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0216】
いくつかの実施形態において、二次熱処理の後、さらに粉砕、篩分け及び脱磁のうちの少なくとも1種を行う。好ましくは、二次熱処理の後、さらに粉砕、篩分け及び脱磁を順次行う。
【0217】
いくつかの実施形態において、粉砕方式は機械式粉砕機、気流粉砕機、低温粉砕機のうちのいずれか1種である。
【0218】
いくつかの実施形態において、篩分けの方式は固定篩、ドラム篩、共振篩、ローラ篩、振動篩、チェーン篩のうちのいずれか1種であり、篩分けのメッシュ数は500以上メッシュであり、具体的には、篩分けのメッシュ数は500メッシュ、600メッシュ、700メッシュ、800メッシュ等であってもよく、負極材料の粒径は上記範囲内に制御され、負極材料の循環性能の向上に役立つ。
【0219】
いくつかの実施形態において、磁気除去の装置は永久磁石筒型磁選機、電磁鉄除去機、脈動高勾配磁選機のうちのいずれか1種であり、脱磁は最終的に負極材料の磁性物質含有量を制御するために、磁性物質のリチウムイオン電池への放電効果及び電池の使用過程での安全性を回避する。
【0220】
本出願はさらにリチウムイオン電池を提供し、リチウムイオン電池は上記負極材料、又は上記製造方法で製造された負極材料を含む。
【0221】
本開示における前記メジアン径は平均粒径を指し、その物理的意味は粒子の累積粒度分布パーセントが50%に達する時に対応する粒径であり、マルバーン粒度計により測定される。マルバーン粒度計は粒子の光に対する散乱現象を利用して、散乱光エネルギーの分布から被測定粒子の粒径分布を総合的に換算した。
【実施例】
【0222】
以下に複数の実施例を分けて本出願の実施例をさらに説明する。ただし、本願実施例は以下の具体的な実施例に限定されない。主請求項を変えない範囲で、適宜変更して実行うることができる。
【0223】
実施例1
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
1)メジアン径50nmのケイ素粒子をエタノール溶液(体積分率濃度40%)に分散させ、そして、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、フェノール樹脂を加えて均一に混合させ、そのうち、ケイ素粒子、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライドの質量比は、50:4.3:24.5であり、そして、乾燥処理を行い、乾燥温度を150℃、時間を5hとして前駆体を得た;
2)前駆体を熱処理炉に入れ、アルゴンガスを流し、900℃まで昇温し、3時間反応させ、凝集体を得た;
3)凝集体とアスファルトを質量比40:30で混合させ、攪拌し、均一に分散させ乾燥処理を行い、乾燥温度は150℃、時間は5hであり、高温箱型炉に乾燥物を入れ、窒素ガスを通気して、890℃で3時間熱処理した後、粉砕し、500メッシュの篩いに通して負極材料を得た。
【0224】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末と、炭素材料、炭素材料及びケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は600ppmである。炭素材料が波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm-1~1630cm-1に観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1に観察され、Dバンドのピーク強度(ID)とGバンドのピーク強度(IG)との比(ID/IG)は、2.01である。
水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は10.6%であり、ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定し、得られた凝集体の押込み硬さは平均45MPaであった。凝集体の測定密度とケイ素粉末及び炭素材料の平均密度の差は2.1%である。
【0225】
実施例2
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
1)メジアン径70nmのケイ素粒子をエタノール溶液(体積分率濃度40)に分散させ、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、スクロースを加えて均一に混合させ、そのうち、ケイ素粒子とテトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウムとグルコースの質量比は39:1.3:38.4であり、そして、乾燥処理を行い、乾燥温度を200℃、時間を3.5hとして前駆体を得た;
2)前駆体を熱処理炉に入れ、アルゴンガスを流し、920℃まで昇温し、4時間反応させ、凝集体を得た;
3)そして、凝集体を粉砕した後、凝集体とフェノール樹脂とを質量比30:40となるように配合し、攪拌し、均一に分散させ乾燥処理を行い、次いで、高温箱型炉に乾燥物を入れ、窒素ガスを通気して、890℃で3時間熱処理した後、粉砕し、500メッシュの篩いに通して負極材料を得た。
【0226】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末と、炭素材料、炭素材料及びケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は12.1μm、比表面積は3.2m2/g、炭素層の平均厚さは739nmであり、、凝集体におけるフッ素元素含有量は920ppmである。炭素材料が波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm-1~1630cm-1に観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1に観察され、Dバンドのピーク強度(ID)とGバンドのピーク強度(IG)との比(ID/IG)は、1.99である。
【0227】
実施例3
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
1)メジアン径30nmのケイ素粒子をエチレングリコールに分散させ、超音波処理10minで、そして、1.5wt%のH2O2添加剤を加え、超音波処理20min、乾燥後にLiF、フルクトースと混合させて前駆体を得た。そのうち、ケイ素粒子、LiF、フルクトースの質量比は30:3:35である;
2)前駆体を熱処理炉に入れ、アルゴンガスを流し、800℃まで昇温し、5時間反応させ、凝集体を得た;
3)そして、凝集体とアスファルトを質量比40:35で配合し、攪拌し、均一に分散させ100℃で5時間乾燥処理した後、高温箱型炉に乾燥物を入れ、窒素ガスを通気して、900℃で2時間熱処理した後、粉砕し、500メッシュの篩いに通して負極材を得た。
【0228】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末と、炭素材料、炭素材料及びケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は12.1μm、比表面積は5.2m2/g、炭素層の平均厚さは5.7nm、凝集体におけるフッ素元素含有量は1030ppmである。炭素材料が波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、バンドが1530cm-1~1630cm-1に観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1に観察され、Dバンドのピーク強度(ID)とGバンドのピーク強度(IG)との比(ID/IG)は、1.94である。
【0229】
実施例4
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
1)メジアン径80nmのケイ素粒子をプロパノールに分散させ、超音波処理10minで、そして、MgF2、グルコースを加え均一に混合させ、ケイ素粒子、MgF2、アスファルトの質量比は45:1.3:33.5で、250℃で2時間乾燥した後前駆体を得た;
2)前駆体を熱処理炉に入れ、アルゴンガスを流し、900℃まで昇温し、3時間反応させ、凝集体を得た。
3)そして、凝集体とアスファルトを質量比40:37で配合し、攪拌し、均一に分散させ250℃で2時間乾燥させた後、高温箱型炉に乾燥物を入れ、窒素ガスを通気して、800℃で3時間熱処理した後、粉砕し、500メッシュの篩いに通して負極材を得た。
【0230】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末と、炭素材料、炭素材料及びケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は9.1μm、比表面積は、4.2m2/g、炭素層の平均厚さは5.7nm、凝集体におけるフッ素元素含有量は590ppmであり、炭素材料が波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、バンドが1530cm-1~1630cm-1に観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1に観察され、Dバンドのピーク強度(ID)とGバンドのピーク強度(IG)との比(ID/IG)は、2.05である。
【0231】
実施例5
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
1)メジアン径20nmのケイ素粒子をブタノールに分散させ、フッ化テトラブチルアンモニウム、ポリ塩化ビニルを加えて均一に混合させ、ケイ素粒子とフッ化テトラブチルアンモニウムとポリ塩化ビニルの質量比は30:0.9:33.5であり、300℃で1時間乾燥後に前駆体を得た;
2)前駆体を熱処理炉に入れ、アルゴンガスを流し、880℃まで昇温し、3時間反応させ、凝集体を得た;
3)そして、凝集体、フェノール樹脂を質量比55:65となるように配合し、攪拌し、均一に分散させ乾燥処理を行い、次いで、高温箱型炉に乾燥物を入れ、窒素ガスを通気して800℃で3時間熱処理した後、粉砕し、500メッシュの篩いに通して前記の負極材料を得た。
【0232】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末と、炭素材料と、炭素材料とケイ素粉末にドープされたフッ素元素とを含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は15.1μmであり、比表面積は2.2m2/g、炭素層の平均厚さは667nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は15060ppmである。炭素材料が波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm-1~1630cm-1に観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1に観察され、Dバンドのピーク強度(IG)とGバンドのピーク強度(ID)との比(ID/IG)は、1.85である。
【0233】
実施例6
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
1)メジアン径120nmのケイ素粒子をn-ペンタノールに分散させ、テトラフルオロホウ酸アンモニウム、グルコースを加えて均一に混合させ、ケイ素粒子とテトラフルオロホウ酸アンモニウムとグルコースの質量比は30:2.0:48.5であり、300℃で1時間乾燥後に前駆体を得た;
2)前駆体を熱処理炉に入れ、アルゴンガスを流し、980℃まで昇温し、3時間反応させ、凝集体を得た。
3)そして、凝集体、フェノール樹脂を質量比44:50となるように配合し、攪拌し、均一に分散させ乾燥処理を行い、次いで、高温箱型炉に乾燥物を入れ、窒素ガスを通気して900℃で3時間熱処理した後、粉砕し、500メッシュの篩いに通して負極材料を得た。
【0234】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末と、炭素材料、炭素材料及びケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は10.1μm、比表面積は2.0m2/g、炭素層の平均厚さは967nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は9620ppmである。炭素材料が波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm-1~1630cm-1に観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1に観察され、Dバンドのピーク強度(ID)とGバンドのピーク強度(IG)との比(ID/IG)は、1.9である。
【0235】
実施例7
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
1)メジアン径50nmのケイ素粒子をエタノール溶液(体積分率濃度40%)に分散させ、そして、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、フェノール樹脂を加えて均一に混合させ、そのうち、ケイ素粒子、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライドの質量比は、50:4.3:24.5であり、そして、乾燥処理を行い、乾燥温度を150℃、時間を5hとして前駆体を得た;
2)前駆体を融合機に入れ、融合機の回転数は500r/min、メカノフュージョンに用いられる融合機のブレードギャップの幅は0.05cm、メカノフュージョン時間は0.5時間であり、この融合した材料を熱処理炉に入れ、アルゴンガスを流して、900℃の条件下で、一次熱処理を行い、3時間保温し、凝集体を得た;
3)凝集体とアスファルトを質量比40:30で混合させ、攪拌し、均一に分散させ乾燥処理を行い、乾燥温度は150℃、時間は5hであり、高温箱型炉に乾燥物を入れ、窒素ガスを通気して、890℃で3時間熱処理した後、粉砕し、500メッシュの篩いに通して負極材料を得た。
【0236】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末と、炭素材料、炭素材料及びケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は600ppmである。炭素材料が波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm-1~1630cm-1に観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1に観察され、Dバンドのピーク強度(ID)とGバンドのピーク強度(IG)との比(ID/IG)は、2.49である。水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は4.4%であり、ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定し、得られた凝集体の押込み硬さは平均223MPaであった。凝集体の測定密度とケイ素粉末及び炭素材料の平均密度の差は2.1%である。
【0237】
実施例8
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
1)メジアン径20nmのGe粒子をブタノールに分散させ、フッ化テトラブチルアンモニウム、ポリ塩化ビニルを加えて均一に混合させ、Ge粒子、フッ化テトラブチルアンモニウムとポリ塩化ビニルの質量比は100:20:50であり、300℃で1時間乾燥後に前駆体を得た;
2)前駆体を融合機に入れ、融合機の回転数は1500r/min、メカノフュージョンに用いられる融合機のブレードギャップの幅は0.3cm、メカノフュージョン時間は1hであり、この融合した材料を熱処理炉に入れ、その後窒素ガスを通気してて、900℃の条件下で、一次熱処理を行い、3時間保温し、凝集体を得た;
3)凝集体とアスファルトを質量比50:10で混合させ、攪拌し、均一に分散させ乾燥処理を行い、乾燥温度は150℃、時間は5hであり、高温箱型炉に乾燥物を入れ、窒素ガスを通気して、890℃で3時間熱処理した後、粉砕し、500メッシュの篩いに通して負極材料を得た。
【0238】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末と、炭素材料、炭素材料及びケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は12m、比表面積は5.9m2/g、炭素層の平均厚さは102nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は8040ppmである。水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は4.3%であり、ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定し、得られた凝集体の押込み硬さは平均198MPaであった。凝集体の測定密度とケイ素粉末及び炭素材料の平均密度の差は1.8%である。
【0239】
実施例9
本実施例と実施例1の違いは、ステップ1)の違いであり、ステップ1)は添加剤を加えることである。
ステップ1)は具体的に、メジアン径50nmのケイ素粒子をエタノール溶液(体積分率濃度40%)に分散させ、そして、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、フェノール樹脂、ラウリン酸を加えて均一に混合させ、そのうち、ケイ素粒子、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、フェノール樹脂、ラウリン酸の質量比は50:4.3:24.5:3.3であり、そして、乾燥処理を行い、乾燥温度を150℃、時間を5hとして前駆体を得た。
【0240】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末と、炭素材料、炭素材料及びケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は602ppmであり、水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は11.5%であり、ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定したところ、得られた凝集体の押込み硬さは平均69MPaであった。凝集体の測定密度とケイ素粉末及び炭素材料の平均密度の差は2.6%である。
【0241】
実施例10
本実施例と実施例7の違いは、ステップ1)の違いであり、ステップ1)は添加剤を加えることである。
ステップ1)は具体的に、メジアン径50nmのケイ素粒子をエタノール溶液(体積分率濃度40%)に分散させ、そして、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、フェノール樹脂、γ-アミノプロピルトリエトキシシランを加えて均一に混合させ、そのうち、ケイ素粒子、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、フェノール樹脂、γ-アミノプロピルトリエトキシシランの質量比は50:4.3:24であり、そして、乾燥処理を行い、乾燥温度を150℃、時間を5hとして前駆体を得た。
【0242】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末と、炭素材料、炭素材料及びケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は605ppmである。水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は3.6%であり、ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定し、得られた凝集体の押込み硬さは平均365MPaであった。凝集体の測定密度とケイ素粉末及び炭素材料の平均密度の差は2.2%である。
【0243】
実施例11
本実施例と実施例1の違いは、ステップ1)の違い、ステップ1)は金属酸化物を加えることである。
ステップ1)は具体的に、メジアン径50nmのケイ素粒子をエタノール溶液(体積分率濃度40%)に分散させ、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、フェノール樹脂、アスペクト比12のGeO2粒子を均一に混合させ、そのうち、ケイ素粒子、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、フェノール樹脂、GeO2粒子の質量比は、50:4.3:24.5:1.9であり、そして、乾燥処理を行い、乾燥温度を150℃、時間を5hとして前駆体を得た。
【0244】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末、GeO2粒子、炭素材料及び炭素材料、GeO2粒子、ケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は601ppmである。水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は10.2%であり、ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定し、得られた凝集体の押込み硬さは平均78MPaであった。凝集体の測定密度とケイ素粉末及び炭素材料の平均密度の差は2.3%であり、金属酸化物同士の間の最小距離は26nmであった。
【0245】
実施例12
本実施例と実施例7の違いは、ステップ1)の違いであり、ステップ1)は金属酸化物を加えることである。
ステップ1)具体的には、1)メジアン径50nmのケイ素粒子をエタノール溶液(体積分率濃度40))に分散させ、そして、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、フェノール樹脂、アスペクト比8のZnO粒子を均一に混合させ、ケイ素粒子、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、フェノール樹脂、ZnO粒子の質量比は、50:4.3:24.5:3.6であり、そして、乾燥処理を行い、乾燥温度を150℃、時間を5hとして前駆体を得た。
【0246】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末、炭素材料、ZnO粒子及び炭素材料、ケイ素粉末、ZnO粒子にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は608ppmである。水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は5.0%であり、ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定し、得られた凝集体の押込み硬さは平均284MPaであった。凝集体の測定密度とケイ素粉末及び炭素材料の平均密度の差は1.9%である。金属酸化物同士の間の最小距離は106nmである。
【0247】
実施例13
本実施例と実施例1の違いは、ステップ1)の違いであり、ステップ1)は導電性向上剤を加えることである。
ステップ1)は具体的に、メジアン径50nmのケイ素粒子をエタノール溶液(体積分率濃度40%)に分散させ、そして、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、フェノール樹脂、直径20nm、アスペクト比500のカーボンナノチューブ(CNT)を加えて均一に混合させ、そのうち、ケイ素粒子、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、フェノール樹脂、CNTの質量比は50:4.3:24.5:0.5であり、そして、乾燥処理を行い、乾燥温度を150℃、時間を5hとして前駆体を得た。
【0248】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末、CNT、炭素材料及び炭素材料、CNT、ケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は600ppmである。水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は10.7%であり、ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定し、得られた凝集体の押込み硬さは平均62MPaであった。凝集体の測定密度とケイ素粉末及び炭素材料の平均密度の差は3.6%である。
【0249】
実施例14
本実施例と実施例7の違いは、ステップ1)の違いであり、ステップ1)は導電性向上剤を加えることである。
ステップ1)は、具体的には、1)メジアン径50nmのケイ素粒子をエタノール溶液(体積分率濃度40)に分散させ、そして、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、フェノール樹脂、アスペクト比18のFeSi2を加えて均一に混合させ、そのうち、ケイ素粒子、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、フェノール樹脂、FeSi2の質量比は50:4.3:24.5:2.1であり、そして、乾燥処理を行い、乾燥温度を150℃、時間を5hとして前駆体を得た。
【0250】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末、FeSi2、炭素材料及び炭素材料、FeSi2、ケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は610ppmである。水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は4.5%である。ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定し、得られた凝集体の押込み硬さは平均205MPaであった。凝集体の測定密度とケイ素粉末及び炭素材料の平均密度の差は1.2%である。
【0251】
実施例15
本実施例と実施例1の違いは、ステップ1)の違いであり、ステップ1)は導電性向上剤、金属酸化物を加えることである。
ステップ1)は具体的には、メジアン径50nmのケイ素粒子をエタノール溶液(体積分率濃度40%)に分散させ、そして、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、フェノール樹脂、アスペクト比22のSiO粒子、直径20nmのCNTを加えて均一に混合させ、そのうち、ケイ素粒子、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、フェノール樹脂、SiO粒子、CNTの質量比は、50:4.3:24.5:2.9:0.3であり、そして、乾燥処理を行い、乾燥温度を150℃、時間を5hとして前駆体を得た。
【0252】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末、SiO粒子、CNT、炭素材料及び炭素材料、SiO粒子、CNT、ケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は590ppmである。水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は12.9%である。ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定したところ、得られた凝集体の押込み硬さは平均99MPaであった。凝集体の測定密度とケイ素粉末及び炭素材料の平均密度の差は2.1%である。
【0253】
実施例16
本実施例と実施例7の違いは、ステップ1)の違いであり、ステップ1)は金属酸化物、導電性向上剤を加えることである。
ステップ1)は、具体的には、1)メジアン径50nmのケイ素粒子をエタノール溶液(体積分率濃度40)に分散させ、そして、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、フェノール樹脂、アスペクト比17のTiO2粒子、アスペクト比50のニッケルケイ素合金を加えて均一に混合させ、そのうち、ケイ素粒子、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、フェノール樹脂、TiO2粒子、ニッケルケイ素合金の質量比は50:4.3:24.5:3.9:1.1であり、そして、乾燥処理を行い、乾燥温度を150℃、時間を5hとして前駆体を得た。
【0254】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末、TiO2粒子、ニッケルケイ素合金、炭素材料及び炭素材料、TiO2粒子、ニッケルケイ素合金及びケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmである。凝集体のフッ素含有量は598ppm;水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は10.9%;ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定し、得られた凝集体の押込み硬さは平均229MPaであった。凝集体の測定密度とケイ素粉末及び炭素材料の平均密度の差は1.9%である。
【0255】
実施例17
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
1)メジアン径50nmのAl粒子をエチレングリコールに分散させ、超音波で10min、その後H2O2添加剤を1.5wt%添加して均一に混合させ、超音波で20min、乾燥後に、フッ化アルミニウム、フルクトースと混合させて前駆体を得た;その中で、フルクトースに対するLiFの質量比は120:10:50;
2)前駆体を熱処理炉に入れ、アルゴンガスを流し、950℃まで昇温し、1.5時間反応させ、凝集体を得た;
3)その後、凝集体とアスファルトを質量比100:15で配合し、攪拌し、均一に分散させ100℃で5時間乾燥処理した後、乾燥物を高温のオーブンに入れ、窒素ガスを通気して、900℃で2時間熱処理した後、粉砕し、500メッシュの篩を通して負極材を得た。
【0256】
本実施例で得られた負極材料は、Al粉末、炭素材料及び炭素材料、Al粉末、ケイ素粉末中にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は11m、比表面積は3.9m2/g、炭素層の平均厚さは98nmである;凝集体のフッ素含有量は2190ppmである。
【0257】
実施例18
本実施例と実施例1の区別は、炭素被覆を行わず、即ちステップ3)を含まないことである。
【0258】
本実施例で製造された負極材料は凝集体を含み、凝集体はケイ素粉末、炭素材料及び炭素材料とケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含み、負極材料のメジアン径は13μmであり、比表面積は26.2m2/gである;凝集体のフッ素元素含有量は890ppmである。
【0259】
実施例19
実施例5と基本的に同じ方法でナノシリコンベース複合負極材料を製造し、相違点は凝集体におけるフッ素含有量が20000ppmであり、ステップ2)における熱処理温度が980℃である。本実施例において炭素材料は波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm-1~1630cm-1に観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1に観察され、Dバンドのピーク強度(ID)とGバンドのピーク強度(IG)との比(ID/IG)は、1.5である。
【0260】
実施例20
実施例5と基本的に同じ方法でナノシリコンベース複合負極材料を製造し、相違点は凝集体におけるフッ素含有量が21890ppmであり、そして、熱処理する。
【0261】
本実施例で製造された負極材料は凝集体及び凝集体の表面に被覆された炭素層を含み、凝集体はケイ素粉末、炭素材料及びフッ素元素を含み、ケイ素粉末、炭素材料の質量比は63.0:37.0であり、負極材料のメジアン径は13.8μmであり、比表面積は6.6m2/gであり、炭素層の平均厚さは565nmである;凝集体のフッ素元素の含有量は21890ppmである。本実施例において炭素材料が波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm-1~1630cm-1に観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1に観察され、Dバンドのピーク強度(ID)とGバンドのピーク強度(IG)との比(ID/IG)は、1.8である。
【0262】
実施例21
実施例5と基本的に同じ方法でナノシリコンベース複合負極材料を製造し、相違点は凝集体におけるフッ素含有量が50ppmであり、ステップ2)における熱処理温度が980℃である。本実施例において炭素材料は波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm-1~1630cm-1に観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1に観察され、Dバンドのピーク強度(ID)とGバンドのピーク強度(IG)との比(ID/IG)は、2.1である。
【0263】
実施例22
実施例5と基本的に同じ方法でナノシリコンベース複合負極材料を製造し、相違点は凝集体におけるフッ素含有量が39ppmであり、そして、熱処理する。
【0264】
本実施例で製造された負極材料は凝集体及び凝集体の表面に被覆された炭素層を含み、凝集体はケイ素粉末、炭素材料及びフッ素元素を含み、ケイ素粉末、炭素材料の質量比は62.5:37.5であり、負極材料のメジアン径は12.8μmであり、比表面積は5.9m2/gであり、炭素層の平均厚さは549nmである;凝集体のフッ素元素の含有量は39ppmである。本実施例において炭素材料が波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm-1~1630cm-1に観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1に観察され、Dバンドのピーク強度(ID)とGバンドのピーク強度(IG)との比(ID/IG)は、2.31である。
【0265】
実施例23
実施例1と基本的に同じ方法でナノシリコンベース複合負極材料を製造し、相違点は採用されたドーパントがトリフェニルホスフィンであり、ドーピング元素の含有量が実施例1と同じである。本実施例において炭素材料は波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm-1~1630cm-1に観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1に観察され、Dバンドのピーク強度(ID)とGバンドのピーク強度(IG)との比(ID/IG)は、2.1である。
【0266】
実施例24
実施例1と基本的に同じ方法でナノシリコンベース複合負極材料を製造し、相違点は採用されたドーパントがテトラフェニルホスホニウムブロマイドであり、ドーピング元素の含有量が実施例1と同じである。本実施例のID/IGは2.05であった。
【0267】
実施例25
実施例1と基本的に同じ方法でナノシリコンベース複合負極材料を製造し、相違点は採用されたドーパントが窒化リチウムであり、ドーピング元素の含有量が実施例1と同じである。本実施例において炭素材料が波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm-1~1630cm-1に観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1に観察され、Dバンドのピーク強度(ID)とGバンドのピーク強度(IG)との比(ID/IG)は、1.9である。
【0268】
実施例26
実施例1と基本的に同じ方法でナノシリコンベース複合負極材料を製造し、相違点は採用されたドーパントはチオ尿素ドーピング元素の含有量が実施例1と同じである。本実施例において炭素材料が波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm-1~1630cm-1に観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1に観察され、Dバンドのピーク強度(ID)とGバンドのピーク強度(IG)との比(ID/IG)は、1.85である。
【0269】
比較例1
実施例1と基本的に同じ方法でナノシリコンベース複合負極材料を製造し、相違点はフッ化物を加えずに直接混合し、その後に熱処理することである。
【0270】
本実施例で製造された負極材料は凝集体及び凝集体の表面に被覆された炭素層を含み、凝集体はケイ素粉末、炭素材料を含み、ケイ素粉末、炭素材料の質量比は63.3:36.7であり、負極材料のメジアン径は13.5μmであり、比表面積は6.3m2/gであり、炭素層の平均厚さは561nmである;凝集体のフッ素元素の含有量は0ppmである。該比較例における炭素材料が波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm-1~1630cm-1に観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1に観察され、Dバンドのピーク強度(ID)とGバンドのピーク強度(IG)との比(ID/IG)は、2.5である。
【0271】
<性能試験>
以下の方法で電気化学的サイクル性能を測定した。実施例1~26及び比較例1で製造された負極材料、導電剤及び接着剤を94:1:5の質量比で溶剤に溶解して混合し、固体含有量を50%に制御し、銅箔集電体に塗布し、真空乾燥させ、負極極片を製造した。次に従来の成熟プロセスで製造された三元正極極片、1mol/LのLiPF6/エチルセルロース+炭酸ジメチル+エチルメチルカーボネート(v/v=1:1:1)電解液、Celgard 2400ダイヤフラム、ハウジングを通常の製造プロセスで18650円筒単電池に組み立てた。円柱電池の充放電試験は武漢金諾電子株式会社LAND電池試験システムで、常温条件で、0.2C定電流充放電であり、充放電電圧は2.75~4.2Vに制限され、初回可逆容量、初回充電容量及び初回放電容量を得た。初回クーロン効率=初回放電容量/初回充電容量である。
50サイクルを繰り返し、マイクロメータを利用してリチウムイオン電池を測定した時に極片の厚さがH1であり、50サイクル後の膨張率=(H1-H0)/H0×100%である。
100サイクルを繰り返し、放電容量を記録し、リチウムイオン電池の残容量とする。
容量維持率=残容量/初期容量×100%
性能試験の結果の対比は以下の表1で示される。
【0272】
【0273】
表1に示すように、実施例1~26で製造された負極材料は、凝集体にドーピング元素を加えることにより、黒鉛化程度がより高い炭素材料を得ることができ、それにより負極材料の導電性を向上させ、それによりシリコンの膨張に空間を提供し、シリコンの体積膨張効果を低下させる。
実施例19は、フッ素含有組成成分を20000ppm以上加え、初回効率、膨張率、サイクル寿命は本願実施例に劣り、性能が劣化する。
実施例22は、フッ素含有組成成分を50ppm未満加え、その炭素材料の黒鉛化効果が低く、製造された負極活物質で製造された電極板の初回効率、膨張率、サイクル寿命が本願の実施例のようではなく、性能が劣化する。
比較例1においてフッ化物を加えずに製造された負極材料は、負極材料の初回クーロン効率及びサイクル容量維持率が低下する。
【0274】
出願人の主張は以下のとおりである:本願は上記実施例により本願の詳細なプロセス装置及びプロセスフローを説明するが、本出願は上記詳細なプロセス装置及びプロセスフローに限定されず、即ち、本願が上記の詳細なプロセス設備とプロセスフローに依存しなければ実施できないことを意味するものではない。当業者であれば、本願の任意の改善に対して、本願の製品の各原料の等価置換及び補助成分の添加、具体的な方式の選択等は、いずれも本願の保護範囲及び開示範囲内に含まれることを理解すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質、炭素材料及びドーパント元素を含む凝集体を含む負極材料であって、
前記炭素材料は、波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm
-1~1630cm
-1に観察され、Dバンドが1280cm
-1~1380cm
-1に観察され、Gバンドのピーク強度(I
G)に対するDバンドのピーク強度(I
D)の比(I
D/I
G)は、1~2.5であることを特徴とする負極材料。
【請求項2】
活物質、炭素材料、及びドーパント元素を含む凝集体を含む負極材料であって、
前記ドーパント元素は、前記炭素材料にルイス酸サイトの生成を誘導可能であり、
前記活物質の少なくとも一部が前記ルイス酸サイトを介して前記炭素材料と結合されることを特徴とする負極材料。
【請求項3】
以下の特徴(1)~(8)のうちの少なくとも1つを有する、請求項1又は2に記載の負極材料。
(1)前記ドーパント元素は、フッ素、窒素及びリンのうちの少なくとも1種を含む;
(2)前記活物質及び前記炭素材料のうちの少なくとも一方は、前記ドーパント元素を含む;
(3)前記ドーパント元素は、前記活物質の表面及び/又は内部に分布する;
(4)前記ドーパント元素は、前記炭素材料の表面及び/又は内部に分布する;
(5)前記凝集体における前記ドーパント元素の含有量は、50ppm~20000ppmである;
(6)前記炭素材料において空孔が形成されており、前記活物質の少なくとも一部が前記空孔に充填されている;
(7)前記炭素材料の孔容積は、0.35cm
3/g以上である;
(8)前記活物質は、炭素材料の間又はその表面に分布する。
【請求項4】
以下の特徴(1)~(5)のうちの少なくとも1つを有する、請求項1
又は2に記載の負極材料。
(1)前記活物質は、活粒子を含む;
(2)前記活物質は、Li、Na、K、Sn、Ge、Si、Fe、Mg、Ti、Zn、Al、P、Cu及びSiO
x(ただし、0<x≦2)のうちの少なくとも1種を含む;
(3)前記活物質のメジアン径が1nm~300nmである;
(4)前記炭素材料は、結晶性炭素、非晶質炭素、人造黒鉛、天然黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、アモルファスカーボン、カーボンナノチューブ、炭素繊維及びグラフェンのうちの少なくとも1種を含む;
(5)前記炭素材料に対する前記活物質の質量比は、(90~10):(10~90)である。
【請求項5】
前記凝集体は、金属酸化物をさらに含み、
前記金属酸化物は、以下の特徴(1)~(7)のうちの少なくとも1つを有する、請求項
1又は2に記載の負極材料。
(1)前記金属酸化物の少なくとも一部が前記炭素材料における空孔に充填されている;
(2)前記金属酸化物の一般式は、M
xO
y(ただし、0.2≦y/x≦3、Mは、Sn、Ge、Si、Fe、Cu、Ti、Na、Mg、Al、Ca及びZnのうちの少なくとも1種を含む)である;
(3)前記金属酸化物は、GeO
2、SnO
2、ZnO、TiO
2、Fe
3O
4、MgO、SiO
2及びCuOのうちのいずれかを含む;
(4)前記金属酸化物に対する前記活物質の質量比は、(30~100):(0.5~10)である;
(5)前記金属酸化物は、フレーク状及び/又は短冊状を呈する;
(6)前記金属酸化物のアスペクト比は、2より大きい;
(7)前記金属酸化物同士の間の最小距離は100nm以上である。
【請求項6】
前記凝集体は、以下の特徴(1)~(7)のうちの少なくとも1つを有する導電性向上剤をさらに含む、請求項
1又は2に記載の負極材料。
(1)前記導電性向上剤の少なくとも一部が、前記炭素材料における空孔に充填されている;
(2)前記導電性向上剤は、合金材料及び導電性炭素のうちの少なくとも1種を含む;
(3)前記導電性向上剤は、合金材料及び導電性炭素のうちの少なくとも1種を含み、前記導電性炭素は、カーボンナノチューブ、炭素繊維及び黒鉛繊維のうちの少なくとも1種を含む;
(4)前記導電性向上剤の導電率は、10
0S/m~10
8S/mである;
(5)前記導電性向上剤は、フレーク状及び/又は短冊状を呈する;
(6)前記活物質に対する前記導電性向上剤の質量比は、(0.01~15):(50~100)である;
(7)前記導電性向上剤のアスペクト比は、2~5000である。
【請求項7】
前記負極材料は、前記凝集体の表面の少なくとも一部を被覆する炭素層をさらに含み、
前記炭素層は、以下の特徴(1)~(3)のうちの少なくとも1つを有する、請求項1
又は2に記載の負極材料。
(1)前記炭素層の材料は、アモルファスカーボンを含む;
(2)前記炭素層の厚さは、10nm~5000nmである;
(3)前記炭素層に対する前記凝集体の質量比は、(90~10):(10~90)である。
【請求項8】
前記負極材料は、前記活物質の表面の少なくとも一部に形成した酸化層をさらに含み、
前記酸化層は、以下の特徴(1)~(2)のうちの少なくとも1つを有する、請求項1
又は2に記載の負極材料。
(1)前記酸化層の厚さは、1nm~100nmである;
(2)前記酸化層は、空孔を有する。
【請求項9】
以下の特徴(1)~(5)のうちの少なくとも1つを有する、請求項1
又は2に記載の負極材料。
(1)前記負極材料のメジアン径は0.5μm~30μmである;
(2)前記負極材料の比表面積は10m
2/g以下である;
(3)前記凝集体の空孔率は10%以下である;
(4)前記凝集体の押込み硬さは100MPa以上である;
(5)上記凝集体の密度は、(ρ
2-ρ
1)/ρ2≦5%を満たし、ただし、ρ1は凝集体の測定密度であり、ρ2は凝集体の
理論密度(即ち、凝集体中の各成分の凝集体に対する含有量(質量%)×各成分の理論密度で得られた値の総和)である。
【請求項10】
活物質、ドーパント、第1炭素源及び溶媒を混合した後、前駆体を製造するステップと、
前記前駆体を800℃~980℃で一次熱処理し、凝集体を得るステップを含むことを特徴とする負極材料の製造方法。
【請求項11】
以下の特徴(1)~(10)のうちの少なくとも1つを有する、請求項10に記載の製造方法。
(1)前記活物質は、Li、Na、K、Sn、Ge、Si、Fe、Mg、Ti、Zn、Al、P、Cu及びSiO
x(ただし、0<x≦2)のうちの少なくとも1種を含む;
(2)前記ドーパントは、フッ素源、リン源及び窒素源のうちの少なくとも1種を含む;
(3)前記ドーパントは、フッ素源、リン源及び窒素源のうちの少なくとも1種を含み、前記フッ素源は、フッ化水素、フッ化リチウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、トリエチルメトキシメチルアンモニウムフルオライド、テトラフルオロホウ酸アンモニウム及びテトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウムのうちの少なくとも1種を含むフッ化物を含む;
(4)前記ドーパントは、フッ素源、リン源及び窒素源のうちの少なくとも1種を含み、前記リン源は、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、1-ブチル-3-メチルイミダゾールヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ホスフィン、リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、単体リン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、亜リン酸水素ナトリウムおよびリン酸のうちの少なくとも1種を含む;
(5)前記ドーパントは、フッ素源、リン源及び窒素源のうちの少なくとも1種を含み、前記窒素源は、アンモニアガス、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、尿素、チオ尿素、窒化リチウム、メラミン、ヒドラジン水和物のうちの少なくとも1種を含む;
(6)前記第1炭素源は、スクロース、グルコース、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアニリン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フルフラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル及びアスファルトのうちの少なくとも1種を含む;
(7)前記活物質と、ドーパントと、第1炭素源との質量比は、(30~120):(0.9~20):(10~50)である;
(8)前記溶媒は有機溶媒を含む;
(9)前記溶媒は、エタノール、エチレングリコール、プロパノール、ブタノール及びn-ペンタノールのうちの少なくとも1種を含む有機溶媒を含む;
(10)前記活物質、ドーパント、第1炭素源及び溶媒を混合するステップにおいて、前記活物質を溶媒に分散させてから、ドーパントと第1炭素源を加える。
【請求項12】
活物質、ドーパント、第1炭素源及び溶媒を混合するステップにおいて、さらに、以下の特徴(1)~(4)のうちの少なくとも1つを有する添加剤を加える、請求項10に記載の製造方法。
(1)前記添加剤は、界面活性剤及びカップリング剤のうちの少なくとも1種を含む;
(2)前記添加剤は、n-オクタデカン酸、ラウリン酸、ポリアクリル酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、n-イコサン酸、パルミチン酸、テトラデカン酸、ウンデカン酸、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドおよびポリビニルピロリドンのうちの少なくとも1種を含む界面活性剤を含む;
(3)前記添加剤は、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシジルエーテルのオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランのうちの少なくとも1種を含むシランカップリング剤を含む;
(4)前記活物質に対する前記添加剤の質量比は、(0.01~5):(50~100)である。
【請求項13】
活物質、ドーパント、第1炭素源及び溶媒を混合するステップにおいて、さらに金属酸化物及び導電性向上剤のうちの少なくとも1種を加え、
以下の特徴(1)~(9)のうちの少なくとも1つを有する、請求項10に記載の製造方法。
(1)前記金属酸化物の一般式はM
xO
y(ただし、0.2≦y/x≦3、MはSn、Ge、Si、Fe、Cu、Ti、Na、Mg、Al、Ca及びZnのうちの少なくとも1種を含む)である;
(2)前記金属酸化物は、フレーク状及び/又は短冊状を呈する;
(3)前記金属酸化物のアスペクト比は2より大きい;
(4)前記活物質に対する前記金属酸化物の質量比は(0.5~10):(30~100)である;
(5)前記活物質に対する前記導電性向上剤の質量比は(0.01~15):(50~100)である;
(6)前記導電性向上剤の導電率は10
0S/m~10
8S/mである;
(7)前記導電性向上剤は、フレーク状及び/又は短冊状を呈する;
(8)前記導電性向上剤のアスペクト比は2~5000である;
(9)前記導電性向上剤は、合金材料及び導電性炭素のうちの少なくとも1種を含む。
【請求項14】
前記前駆体を製造するステップは、活物質、ドーパント、第1炭素源、及び溶媒を混合した後、分散処理及び乾燥処理のうちの少なくとも1種を行うことさらに含み、
以下の特徴(1)~(3)のうちの少なくとも1種を含む、請求項10に記載の製造方法。
(1)前記分散処理は、機械的攪拌、超音波分散及び研磨分散のうちの少なくとも1種を含む;
(2)前記乾燥処理の温度は30℃~400℃である;
(3)前記乾燥処理の時間は1h~15hである。
【請求項15】
前記前駆体を一次熱処理する前に、前記凝集体の空孔率が10%以下、且つ押込み硬さが100MPa以上になるように、前記前駆体を緻密化処理することをさらに含み、
以下の特徴(1)~(5)のうちの少なくとも1つを有する、請求項10に記載の製造方法。
(1)前記緻密化処理は、融合処理、混練押出処理、圧縮成形処理、静水圧プレス処理及び浸漬処理のうちの少なくとも1種を含む;
(2)前記緻密化処理は、融合処理、混練押出処理、圧縮成形処理、静水圧プレス処理及び浸漬処理のうちの少なくとも1種を含み、前記融合処理はメカノフュージョンである;
(3)前記緻密化処理は、融合処理、混練押出処理、圧縮成形処理、静水圧プレス処理及び浸漬処理のうちの少なくとも1種を含み、前記融合処理はメカノフュージョンであり、前記メカノフュージョンに用いられる融合機の回転数は500r/min~3000r/minである;
(4)前記緻密化処理は、融合処理、混練押出処理、圧縮成形処理、静水圧プレス処理及び浸漬処理のうちの少なくとも1種を含み、前記融合処理はメカノフュージョンであり、前記メカノフュージョンに用いられる融合機のブレードギャップの幅は0.01cm~0.5cmである;
(5)前記緻密化処理は、融合処理、混練押出処理、圧縮成形処理、静水圧プレス処理及び浸漬処理のうちの少なくとも1種を含み、前記融合処理はメカノフュージョンであり、前記メカノフュージョンの時間は少なくとも0.5hである。
【請求項16】
以下の特徴(1)~(3)のうちの少なくとも1つを有する、請求項10に記載の製造方法。
(1)前記一次熱処理の時間は1h~5hである;
(2)前記一次熱処理は、第1保護性雰囲気中で行われる;
(3)前記一次熱処理は、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス及びクリプトンガスのうちの少なくとも1種を含む第1保護性雰囲気中で行われる。
【請求項17】
前記製造方法は、前記凝集体に炭素被覆処理を行うことをさらに含み、
以下の特徴(1)~(9)のうちの少なくとも一つを有する、請求項10に記載の製造方法。
(1)前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理することを含む;
(2)前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理することを含み、前記第2炭素源は、スクロース、グルコース、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアニリン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フルフラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル及びアスファルトのうちの少なくとも1種を含む;
(3)前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理することを含み、前記第2炭素源に対する前記凝集体の質量比は(20~100):(10~80)である;
(4)前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理することを含み、前記二次熱処理の温度は800℃~900℃である;
(5)前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理することを含み、前記二次熱処理の時間は1h~5hである;
(6)前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理することを含み、前記二次熱処理は第2保護性雰囲気中で行われる;
(7)前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して2次熱処理することを含み、前記二次熱処理は、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス及びクリプトンガスのうちの少なくとも1種を含む第2保護性雰囲気中で行われる;
(8)前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理し、前記二次熱処理の後に、さらに粉砕、篩分及び脱磁のうちの少なくとも1種を行うことを含む;
(9)前記炭素被覆処理のステップは、前記凝集体を第2炭素源と混合して二次熱処理し、前記二次熱処理の後に、さらに粉砕、篩分及び脱磁のうちの少なくとも1種を行うことを含み、前記篩分の目数は500目以上である。
【請求項18】
請求項1
又は2に記載の負極材料、又は請求項10~17のいずれか1項に記載の製造方法で製造した負極材料を含むことを特徴とするリチウムイオン電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
一つの実行可能な実施形態では、前記凝集体密度は、(ρ2-ρ1)/ρ2≦5%を満たし、ただし、ρ1は凝集体の測定密度であり、ρ2は凝集体の理論密度である。つまり、前記ρ2は、凝集体における各成分の凝集体に対する含有量(質量%)×各成分の理論密度で得られた値の総和である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0131
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0131】
いくつかの実施形態において、凝集体密度は以下の関係を満たす:凝集体の測定密度と凝集体の理論密度との差は5%以下である。凝集体粒子の密度と理論密度が近いほど、位相差が小さく、粒子内部の孔が少ないほど、緻密であり、安定した固体電解質膜を形成することに役立ち、電解液と活物質との接触を減少させる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0132
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0132】
具体的には、凝集体密度の計算は以下のとおりである:(ρ2-ρ1)/ρ2≦5%、ここでρ1は凝集体の測定密度であり、ρ2は凝集体の理論密度である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0135
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0135】
いくつかの実施形態において、凝集体はさらに金属酸化物を含み、金属酸化物と活物質を複合し、活物質の膨張を低減し、ロングサイクル性能を向上させることができ、かつ凝集体がより高い押込み硬さを有する。なお、この時の凝集体の理論密度ρ2=活物質の凝集体に対する含有量(質量%)×活物質の理論密度+金属酸化物の凝集体に対する含有量(質量%)×金属酸化物の理論密度+炭素材料の凝集体に対する含有量(質量%)×炭素材料の理論密度である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0224
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0224】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末と、炭素材料、炭素材料及びケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は600ppmである。炭素材料が波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm-1~1630cm-1に観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1に観察され、Dバンドのピーク強度(ID)とGバンドのピーク強度(IG)との比(ID/IG)は、2.01である。
水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は10.6%であり、ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定し、得られた凝集体の押込み硬さは平均45MPaであった。凝集体の測定密度と理論密度の差は2.1%である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0236
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0236】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末と、炭素材料、炭素材料及びケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は600ppmである。炭素材料が波長532nmの測定光源を用いてラマン分光法により得られたラマンスペクトルにおいて、Gバンドが1530cm-1~1630cm-1に観察され、Dバンドが1280cm-1~1380cm-1に観察され、Dバンドのピーク強度(ID)とGバンドのピーク強度(IG)との比(ID/IG)は、2.49である。水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は4.4%であり、ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定し、得られた凝集体の押込み硬さは平均223MPaであった。凝集体の測定密度と理論密度の差は2.1%である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0238
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0238】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末と、炭素材料、炭素材料及びケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は12m、比表面積は5.9m2/g、炭素層の平均厚さは102nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は8040ppmである。水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は4.3%であり、ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定し、得られた凝集体の押込み硬さは平均198MPaであった。凝集体の測定密度と理論密度の差は1.8%である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0240
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0240】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末と、炭素材料、炭素材料及びケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は602ppmであり、水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は11.5%であり、ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定したところ、得られた凝集体の押込み硬さは平均69MPaであった。凝集体の測定密度と理論密度の差は2.6%である。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0242
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0242】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末と、炭素材料、炭素材料及びケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は605ppmである。水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は3.6%であり、ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定し、得られた凝集体の押込み硬さは平均365MPaであった。凝集体の測定密度と理論密度の差は2.2%である。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0244
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0244】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末、GeO2粒子、炭素材料及び炭素材料、GeO2粒子、ケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は601ppmである。水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は10.2%であり、ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定し、得られた凝集体の押込み硬さは平均78MPaであった。凝集体の測定密度と理論密度の差は2.3%であり、金属酸化物同士の間の最小距離は26nmであった。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0246
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0246】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末、炭素材料、ZnO粒子及び炭素材料、ケイ素粉末、ZnO粒子にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は608ppmである。水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は5.0%であり、ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定し、得られた凝集体の押込み硬さは平均284MPaであった。凝集体の測定密度と理論密度の差は1.9%である。金属酸化物同士の間の最小距離は106nmである。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0248
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0248】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末、CNT、炭素材料及び炭素材料、CNT、ケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は600ppmである。水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は10.7%であり、ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定し、得られた凝集体の押込み硬さは平均62MPaであった。凝集体の測定密度と理論密度の差は3.6%である。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0250
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0250】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末、FeSi2、炭素材料及び炭素材料、FeSi2、ケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は610ppmである。水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は4.5%である。ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定し、得られた凝集体の押込み硬さは平均205MPaであった。凝集体の測定密度と理論密度の差は1.2%である。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0252
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0252】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末、SiO粒子、CNT、炭素材料及び炭素材料、SiO粒子、CNT、ケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmであり、凝集体におけるフッ素含有量は590ppmである。水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は12.9%である。ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定したところ、得られた凝集体の押込み硬さは平均99MPaであった。凝集体の測定密度と理論密度の差は2.1%である。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0254
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0254】
本実施例で得られた負極材料は、ケイ素粉末、TiO2粒子、ニッケルケイ素合金、炭素材料及び炭素材料、TiO2粒子、ニッケルケイ素合金及びケイ素粉末にドープされたフッ素元素を含む凝集体と、凝集体の表面に被覆された炭素層とを含み、負極材料のメジアン径は13m、比表面積は6.2m2/g、炭素層の平均厚さは559nmである。凝集体のフッ素含有量は598ppm;水銀圧入法で凝集体粒子を測定したところ、凝集体の空孔率は10.9%;ナノインデンテーション装置を用いて凝集体粒子を測定し、得られた凝集体の押込み硬さは平均229MPaであった。凝集体の測定密度と理論密度の差は1.9%である。
【国際調査報告】