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特表2023-539979動物の病原体感染に対する予防及び/又は治療におけるHPK1キナーゼ阻害剤の応用
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  • 特表-動物の病原体感染に対する予防及び/又は治療におけるHPK1キナーゼ阻害剤の応用 図1
  • 特表-動物の病原体感染に対する予防及び/又は治療におけるHPK1キナーゼ阻害剤の応用 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(54)【発明の名称】動物の病原体感染に対する予防及び/又は治療におけるHPK1キナーゼ阻害剤の応用
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20230913BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230913BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230913BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20230913BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230913BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230913BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P43/00 111
A61P31/00
A61P31/22
A61P31/12
A61P31/14
A61P31/20
A61K31/4545
A61K31/496
A61K31/497
A61K31/551
A61K31/5377
A61K31/506
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577263
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-01-13
(86)【国際出願番号】 CN2021096276
(87)【国際公開番号】W WO2021254118
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】202010546816.X
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520414804
【氏名又は名称】珠海宇繁生物科技有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】ZHUHAI YUFAN BIOTECHNOLOGIES CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Room 306, Building#18 Innovalley, No. 1889 Huangdao East Road, Hengqin New Area, Zhuhai, Guangdong 519000 China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】林 星雨
(72)【発明者】
【氏名】▲陸▼ ▲ティン▼▲ティン▼
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086BC48
4C086BC50
4C086BC54
4C086BC73
4C086BC82
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA10
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB33
(57)【要約】
本発明は、動物の病原体感染に対する予防及び/又は治療におけるHPK1キナーゼ阻害剤の応用を開示する。該HPK1キナーゼ阻害剤は、小分子HPK1キナーゼ阻害剤であり、特に、一般式Iで表される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、立体異性体、エステル、プロドラッグ、溶媒和物又は重水素化化合物である。該HPK1キナーゼ阻害剤は、動物病原体(特に、コロナウイルスのようなウイルス)感染による疾患(例えば、ネコ伝染性腹膜炎)を効果的に治療し、動物の生存状況を改善することができ、獣医用の抗ウイルス(特に、コロナウイルスのようなウイルス)薬物の分野に優れた商業的価値及び応用の将来性を有することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の病原体感染による疾患若しくは病症又は病原体感染に関連する疾患若しくは病症を予防及び/又は治療する薬物の製造におけるHPK1キナーゼ阻害剤の応用。
【請求項2】
前記HPK1キナーゼ阻害剤は、小分子阻害剤であり、
好ましくは、前記小分子HPK1キナーゼ阻害剤は、以下の一般式Iで表される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、立体異性体、エステル、プロドラッグ、溶媒和物若しくは重水素化化合物であり、
【化1】
式中、
Aは、C又はNから選択され、
Arは、芳香族5員複素環基、芳香族6員複素環基又はフェニル基から選択され、
は、-H、ハロゲン、-NO、-CN、C1-5直鎖/分岐鎖アルキル基、C3-10シクロアルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-CF、-OCF、-OCHF、-OCHF又は-OC0-10アルキル基から選択され、
及びRは、独立して、-H、ハロゲン及びC1-10直鎖/分岐鎖アルキル基から選択され、
及びRは、独立して、-H、重水素、ハロゲン、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基及び重水素化C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基から選択され、
Qは、O又はSから選択され、
x及びzは、独立して、0~6の整数から選択され、
yは、0又は1であり、
、B、B、B及びBは、独立して、CR又はNから選択され、各Rは、独立して、-H、ハロゲン、-CN、-OC0-10アルキル基、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、O又はN含有のヘテロアルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、C3-10シクロアルキル基、-C≡C-R、-Oヘテロシクロアルキル基、-Nヘテロシクロアルキル基、-COO(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-CO(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-CON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)及び-N(C0-10アルキル基)CO(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)から選択され、或いは、2つのRと、それらの間の炭素原子とは、C3-8シクロアルキル基又は-O-及び-S-含有のC3-8ヘテロシクロアルキル基、-N複素環芳香族基、-O複素環芳香族基又は-S複素環芳香族基、フェニル基を形成し、
は、H、C1-5直鎖/分岐鎖アルキル基、C3-10シクロアルキル基及び
【化2】
から選択され、R、Rは、独立して、-H、-CF、-CHFH、-CHF、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、-CH=C(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-C≡C(C0-10アルキル基)、C3-10シクロアルキル基、-CO(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-CO(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-CON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)CO(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、芳香族5員環基又は芳香族6員環基から選択され、或いは、R及びRと、R、Rの間の炭素原子とは、C3-8シクロアルキル基又は-O-及び-S-含有のC3-8ヘテロシクロアルキル基、C4-9縮合シクロアルキル基、C5-10スピロシクロアルキル基、C4-9架橋シクロアルキル基、C3-7環状ラクタム、C3-7環状ラクトン、C3-7環状ケトンを形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の応用。
【請求項3】
前記芳香族5員複素環基は、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基及びセレノチアゾリル基から選択され、及び/又は、前記芳香族6員複素環基は、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基及びピラジニル基から選択される、ことを特徴とする請求項2に記載の応用。
【請求項4】
前記Arは、
【化3】
から選択され、
10、R12及びR13は、独立して、-H、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-OC0-10アルキル基及びC3-10シクロアルキル基から選択され、
11は、-H、-Oヘテロシクロアルキル基、-Nヘテロシクロアルキル基、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、C3-10シクロアルキル基、-OC0-10アルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-SO(C0-10アルキル基)、-O(C0-10アルキル基)、-O-フェニル基、-S(C0-10アルキル基)、-N複素環芳香族基、-O複素環芳香族基又は-S複素環芳香族基から選択される、ことを特徴とする請求項2に記載の応用。
【請求項5】
前記R11は、
【化4】
-CH
【化5】
から選択される、ことを特徴とする請求項4に記載の応用。
【請求項6】
前記B、B、B、B及びBのうちの少なくとも1つは、Nであるか、又は
前記B、B、B、B及びBは、いずれもCRであり、前記一般式Iにおいて、
【化6】
は、
【化7】
であり、式中、R61、R62、R63、R64及びR65は、独立して、-H、ハロゲン、-CN、-OC0-10アルキル基、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、O又はN含有のヘテロアルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、C3-10シクロアルキル基、-C≡C-R、-Oヘテロシクロアルキル基及び-Nヘテロシクロアルキル基から選択され、或いは、R61及びR62、R62及びR63、R63及びR64、R64及びR65と、それらの間の炭素原子とは、C3-8シクロアルキル基又は-O-及び-S-含有のC3-8ヘテロシクロアルキル基、-N複素環芳香族基、-O複素環芳香族基又は-S複素環芳香族基、フェニル基を形成する、ことを特徴とする請求項2に記載の応用。
【請求項7】
前記R63は、-H、ハロゲン、-OC0-10アルキル基、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)又はC3-10シクロアルキル基から選択され、
好ましくは、前記R63は、-H、ハロゲン、-OC0-10アルキル基及びC1-10直鎖/分岐鎖アルキル基から選択され、
より好ましくは、前記R63は、-H、-F又は-OCHから選択される、ことを特徴とする請求項6に記載の応用。
【請求項8】
前記R62は、-H、ハロゲン、-OC0-10アルキル基、-CN、C3-10シクロアルキル基及び-C≡C-Rから選択され、
好ましくは、前記R62は、-H、-F、-Cl、-OCH、-CN、
【化8】
及び-C≡C-Rから選択され、
より好ましくは、前記R62は、C≡C-Rである、ことを特徴とする請求項6に記載の応用。
【請求項9】
前記R61、R64及びR65は、独立して、-H、ハロゲン、-CN、-OC0-10アルキル基、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、C3-10シクロアルキル基、-C≡C-R、-Oヘテロシクロアルキル基又は-Nヘテロシクロアルキル基及びO又はN含有のC1-5直鎖/分岐鎖アルキル基から選択され、或いは、R64及びR65と、R64及びR65に結合された炭素原子とは、C3-8シクロアルキル基又は-O-及び-S-含有のC3-8ヘテロシクロアルキル基を形成し、
好ましくは、前記R61、R64及びR65は、独立して、-H、ハロゲン、C1-3直鎖/分岐鎖アルキル基、-OC0-3アルキル基、N含有のC1-3直鎖/分岐鎖アルキル基から選択され、或いは、R64及びR65と、R64及びR65に結合された炭素原子とは、C3-8シクロアルキル基又は-O-含有のC3-8ヘテロシクロアルキル基を形成し、
より好ましくは、前記R61、R64及びR65は、独立して、-H、-F、-Cl、-CH、-CHNH、-CN及び-OCHから選択され、或いは、R64及びR65と、R64及びR65に結合された炭素原子とは、-O-含有の5員シクロアルキル基を形成する、ことを特徴とする請求項6に記載の応用。
【請求項10】
前記R及びRは、独立して、-H、-CF、-CHF、-CHF、-CH、-CHCH、-CH=CH
【化9】
から選択され、或いは、R及びRと、R、Rの間の炭素原子とは、
【化10】
を形成する、ことを特徴とする請求項8に記載の応用。
【請求項11】
前記化合物は、
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
という構造から選択される、ことを特徴とする請求項2に記載の応用。
【請求項12】
前記病原体は、ウイルスであり、
好ましくは、前記ウイルスは、ヘルペスウイルス科、イリドウイルス科、バキュロウイルス科、ラブドウイルス科、レオウイルス科、ビルナウイルス科、ポックスウイルス科、アスファウイルス科、アデノウイルス科、パルボウイルス科、サーコウイルス科、レトロウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミスウイルス科、コロナウイルス科、アルテリウイルス科、ピコルナウイルス科、カリシウイルス科、フラビウイルス科、プリオン、フィロウイルス科、ポリオーマウイルス科及びパピローマウイルス科、ニマウイルス科、レトロウイルス科、ヘパドナウイルス科、パポーバウイルス科、ボルナウイルス科、ブンヤウイルス科、アレナウイルス科、ロニウイルス科、ヘペウイルス科、アストロウイルス科、トガウイルス科、ジシストロウイルス科及びノダウイルス科から選択され、
好ましくは、前記ウイルスは、コロナウイルスである、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の応用。
【請求項13】
前記ウイルスは、鶏伝染性気管支炎ウイルス、ブタ伝染性胃腸炎ウイルス、ブタ流行性下痢ウイルス、ブタ赤血球凝集性脳脊髄炎ウイルス、マウス肝炎ウイルス、七面鳥コロナウイルス、ウシコロナウイルス、イヌコロナウイルス、ネコ伝染性腹膜炎ウイルス、ラットコロナウイルス、ラット唾液腺涙腺炎ウイルス、ミンク流行性下痢コロナウイルス、羊痘ウイルス、山羊痘ウイルス、ランピースキン病ウイルス、鶏痘ウイルス、ネコ類ポックスウイルス、オルフウイルス、兎粘液腫ウイルス、アフリカブタ熱ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、ブタサイトメガロウイルス、鶏伝染性喉頭気管炎ウイルス、アヒルウイルス性腸炎ウイルス、ネコウイルス性鼻気管炎ウイルス、イヌヘルペスウイルス、ウシ伝染性鼻気管炎ウイルス、ウマ伝染性鼻腔肺炎ウイルス、マレック病ウイルス、悪性カタル性熱ウイルス、ブタアデノウイルス、イヌウイルス性肝炎ウイルス、ネコアデノウイルス、ブタパルボウイルス、ネコ汎白血球減少症ウイルス、ガズリングペストウイルス、イヌパルボウイルス、ノバリケンパルボウイルス、ブタサーコウイルス、鶏伝染性貧血ウイルス、トリ白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ウシ白血病ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス、メディビスナ病ウイルス、山羊ウイルス性関節炎-脳炎ウイルス、ウマ伝染性貧血ウイルス、ウシ免疫不全ウイルス、ネコ合胞体形成ウイルス、トリウイルス性関節炎ウイルス、ブルータングウイルス、イバラキ病ウイルス、チュウザン病ウイルス、アフリカウマ病ウイルス、ロタウイルス、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス、イヌウイルス性パピローマウイルス、ネコウイルス性パピローマウイルス、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、ブタブルーアイ病ウイルス、イヌパラインフルエンザウイルス、禽類パラミソウィルス、鶏ニューカッスル病ウイルス、イヌジステンパーウイルス、小反芻獣疫ウイルス、牛疫ウイルス、トリニューモウイルス、アブラウイルス、ネコパラミクソウイルス、狂犬病ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ウシ流行熱/三日熱/一過性熱ウイルス、ボルナウィルス、インフルエンザウイルス、リフトバレー熱ウイルス、アカバネ病ウイルス、ハンタウィルス、ネコ腸コロナウイルス、ブタ赤血球凝集性脳脊髄炎ウイルス、ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス、ウマウイルス性動脈炎ウイルス、口蹄疫ウイルス、ブタ水疱病ウイルス、ブタ腸ウイルス、アヒルウイルス性肝炎ウイルス、トリ脳脊髄炎ウイルス、脳心筋炎ウイルス、ブタヘルペスウイルス、ネコカリシウイルス、ウサギウイルス性出血性疾患ウイルス、イヌE型ウイルス性肝炎ウイルス、ゲタウイルス、日本脳炎B型/日本脳炎ウイルス、ニ媒介性脳炎ウイルス、アヒルテンブスウイルス、ブタ熱ウイルス、ウシウイルス性下痢-粘膜病ウイルス及びボーダー病ウイルスから選択され、
好ましくは、前記ウイルスは、コロナウイルスであり、鶏伝染性気管支炎ウイルス、ブタ伝染性胃腸炎ウイルス、ブタ流行性下痢ウイルス、ブタ赤血球凝集性脳脊髄炎ウイルス、マウス肝炎ウイルス、七面鳥コロナウイルス、ウシコロナウイルス、イヌコロナウイルス、ネコ伝染性腹膜炎ウイルス、ラットコロナウイルス、ラット唾液腺涙腺炎ウイルス及びミンク流行性下痢コロナウイルスから選択され、
より好ましくは、前記ウイルスは、ネコ伝染性腹膜炎ウイルスである、ことを特徴とする請求項12に記載の応用。
【請求項14】
前記動物は、飼育動物であり、
好ましくは、前記動物は、商業用動物、ペット又は実験用動物である、ことを特徴とする請求項12に記載の応用。
【請求項15】
前記疾患又は病症は、鶏伝染性気管支炎、ブタ伝染性胃腸炎、ブタ流行性下痢、イヌコロナウイルス病、ブタ赤血球凝集性脳脊髄炎、マウス肝炎ウイルスによる肝炎、脳炎及び腸炎、七面鳥コロナ病、新生仔ウシ下痢、ウシ血痢、ネコ伝染性腹膜炎、ラット唾液腺涙腺炎、ミンク流行性下痢、羊痘、山羊痘、ランピースキン病、鶏痘、ネコ類ポックス、伝染性膿痂疹、兎粘液腫、アフリカブタ熱、仮性狂犬病、ブタサイトメガロウイルス感染、鶏伝染性喉頭気管炎、アヒルウイルス性腸炎、ネコウイルス性鼻気管炎、イヌヘルペスウイルス感染、ウシ伝染性鼻気管炎、ウマ伝染性鼻腔肺炎、マレック病、悪性カタル性熱、ブタアデノウイルス感染、イヌウイルス性肝炎、ネコアデノウイルス病、ブタパルボウイルス病、ネコ汎白血球減少症(ネコジステンバー、ネコ伝染性腸炎)、ガズリングペスト、イヌパルボウイルス病、ノバリケンパルボウイルス病、ブタサーコウイルス病、鶏伝染性貧血、トリ白血病、ネコ白血病、ウシ白血病、ネコ免疫不全、メディビスナ病、山羊ウイルス性関節炎-脳炎、ウマ伝染性貧血、ウシ免疫不全ウイルス感染、ネコ合胞体形成ウイルス(泡沫状ウイルス)感染、トリウイルス性関節炎、ブルータング、イバラキ病、チュウザン病、アフリカウマ病、ロタウイルス病、伝染性ファブリキウス嚢病、イヌウイルス性パピローマ、ネコウイルス性パピローマ、ニパ病、ヘンドラ病、ブタブルーアイ病、イヌパラインフルエンザウイルス感染、禽類パラミソウィルス感染、鶏ニューカッスル病、イヌジステンパー、小反芻獣疫、牛疫、トリニューモウイルス感染、アブラウイルス感染、ネコパラミクソウイルス病、狂犬病、水疱性口内炎、ウシ流行熱/三日熱/一過性熱、ボルナ、インフルエンザ、リフトバレー熱、アカバネ病、ハンタウィルス病、ネコ腸コロナウイルス感染、ブタ赤血球凝集性脳脊髄炎、ブタ生殖器呼吸器症候群、ウマウイルス性動脈炎、口蹄疫、ブタ水疱病、ブタ腸ウイルス感染、アヒルウイルス性肝炎、トリ脳脊髄炎、脳心筋炎、ブタヘルペス、ネコカリシウイルス病、ウサギウイルス性出血性疾患、イヌE型ウイルス性肝炎、ゲタウイルス病、日本脳炎B型/日本脳炎、ニ媒介性脳炎、アヒルテンブスウイルス感染、ブタ熱、ウシウイルス性下痢-粘膜病及びボーダー病を含み、
好ましくは、前記疾患は、ネコ伝染性腹膜炎である、ことを特徴とする請求項12に記載の応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学医薬の技術分野に関し、具体的には、動物の病原体(特に、コロナウイルスのようなウイルス)感染に対する予防及び/又は治療におけるHPK1キナーゼ阻害剤の応用に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルス性疾患は、獣医の臨床において動物に最も深刻な危害を及ぼす疾患の1つであり、特に、いくつかの高病原性疾患の流行は、飼い主に巨大な経済的及び精神的損失をもたらす現象が生じることが多い。動物のウイルス病は、一般的に伝染が速く、発病率及び致死率が高く、動物の健康及び生命に深刻な危害を及ぼす。また、いくつかのウイルスは、動物から人間に伝染することができ、人間の生命安全を脅かす。
【0003】
動物のウイルス性疾患は、例えば、ヘルペスウイルス科、ラブドウイルス科、レオウイルス科、ポックスウイルス科、アスファウイルス科、アデノウイルス科、パルボウイルス科、サーコウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミスウイルス科、コロナウイルス科などの広範な種類のウイルスから起因することができる。コロナウイルスは、自然界に広く存在している大型ウイルスファミリーであり、電子顕微鏡下で観察するとその形態が王冠に似るため名付けられ、主に呼吸器疾患を引き起こし、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、ミンク、ラクダなどの様々な哺乳動物及び複数種の鳥類などに感染することができる。例えば、ブタデルタコロナウイルス(Porcine deltacoronavirus、PDCoV)は、新規なブタ腸コロナウイルスであり、5~15日齢の哺乳仔ブタの下痢及び嘔吐、急速脱水、全身障害による死亡を引き起こすことができ、発病率及び死亡率が50%~100%になり、鶏伝染性気管支炎は、伝染性気管支炎ウイルスによる鶏の急性高度接触性呼吸道伝染症であり、その臨床特徴は、呼吸困難、ラッセル音、咳、口呼吸、くしゃみであり、病原が腎症の変異株ではないか又は併発病がないと、死亡率は、一般的に低く、産卵鶏が感染すると、一般的に、産卵量が低下し、卵の品質が低下し、ウシコロナウイルス(BCV)は、ウシの病原性ウイルスであり、現在、新生仔ウシ下痢の重要な病原体となり、さらにウシの気道感染及び成体ウシの冬の血痢を引き起こすことができると一般的に考えられ、ミンク、キツネ、タヌキ流行性下痢(コロナウイルス性腸炎)は、ミンクパルボウイルス腸炎以外のコロナウイルスによるミンク流行性下痢であり、イヌ、キツネ、タヌキ、ミンクが病気になった後、出血性胃腸炎の症状が現れ、群体性の流行性下痢が生じやすく、伝播速度が速く、死亡率が30%以上になり、本年の産仔獣は、種獣よりも発病率が高い。
【0004】
医療技術の発展に伴って、多くのウイルス性疾患に関連するワクチンが開発されるが、ウイルスが変異する可能性があり、新たに出現したウイルスに対するワクチンの効用を評価する必要があり、また、コストが大きく、ウイルス性疾患の発病率及び死亡率が依然として高いため、獣医の分野では、抗ウイルス感染効果が高い薬物に対して需要が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、動物の病原体感染による疾患若しくは病症又は病原体感染に関連する疾患若しくは病症を予防及び/又は治療する薬物の製造におけるHPK1キナーゼ阻害剤の応用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態において、上記HPK1キナーゼ阻害剤は、小分子阻害剤である。
【0007】
具体的には、上記小分子HPK1キナーゼ阻害剤は、以下の一般式Iで表される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、立体異性体、エステル、プロドラッグ、溶媒和物若しくは重水素化化合物であり、
【化1】
式中、
Aは、C又はNから選択され、
Arは、芳香族5員複素環基、芳香族6員複素環基又はフェニル基から選択され、該芳香族5員複素環基は、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基又はセレノチアゾリル基から選択されてもよく、芳香族6員複素環基は、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基又はピラジニル基から選択されてもよく、任意に、上記芳香族5員複素環基、芳香族6員複素環基又はフェニル基上のHは、-SO、-SON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)SO(C0-10アルキル基)、-CON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)CO(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)COO(C0-10アルキル基)、-OCON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、ハロゲン、-CN、-OCHF、-OCHF、-OCF、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-OC0-10アルキル基、C3-10シクロアルキル基、-Oヘテロシクロアルキル基、-Nヘテロシクロアルキル基、-N複素環芳香族基、-O複素環芳香族基又は-S複素環芳香族基で置換されてもよく、アルキル基部分は、-SO、-SON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)SO(C0-10アルキル基)、-CON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)CO(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)COO(C0-10アルキル基)、-OCON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、ハロゲン、-CN、-OCHF、-OCHF、-OCF、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-OC0-10アルキル基、-N複素環芳香族基、-O複素環芳香族基又は-S複素環芳香族基のうちの1つ以上で任意に置換されてもよく、
は、-H、ハロゲン、-NO、-CN、C1-5直鎖/分岐鎖アルキル基、C3-10シクロアルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-CF、-OCF、-OCHF、-OCHF又は-OC0-10アルキル基から選択され、
及びRは、独立して、-H、ハロゲン及びC1-10直鎖/分岐鎖アルキル基から選択され、
及びRは、独立して、-H、重水素、ハロゲン、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基及び重水素化C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基から選択され、
Qは、O又はSから選択され、
x及びzは、独立して、0~6の整数(具体的には、0、1、2、3、4、5、6)から選択され、
yは、0又は1であり、
、B、B、B及びBは、独立して、CR又はNから選択され、各Rは、独立して、-H、ハロゲン、-CN、-OC0-10アルキル基、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、O又はN含有のヘテロアルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、C3-10シクロアルキル基、-C≡C-R、-Oヘテロシクロアルキル基、-Nヘテロシクロアルキル基、-COO(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-CO(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-CON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)及び-N(C0-10アルキル基)CO(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)から選択され、或いは、2つのRとそれらの間の炭素原子とは、C3-8シクロアルキル基又は-O-及び-S-含有のC3-8ヘテロシクロアルキル基、-N複素環芳香族基、-O複素環芳香族基又は-S複素環芳香族基、フェニル基を形成し、C原子上のHは、-SO、-SON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)SO(C0-10アルキル基)、-CON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)CO(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)COO(C0-10アルキル基)、-OCON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、ハロゲン、-CN、-OCHF、-OCHF、-OCF、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-OC0-10アルキル基、C3-10シクロアルキル基、-Oヘテロシクロアルキル基、-Nヘテロシクロアルキル基、-N複素環芳香族基、-O複素環芳香族基又は-S複素環芳香族基で置換されてもよく、
は、H、C1-5直鎖/分岐鎖アルキル基、C3-10シクロアルキル基及び
【化2】
から選択され、R及びRは、独立して、-H、-CF、-CHFH、-CHF、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、-CH=C(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-C≡C(C0-10アルキル基)、C3-10シクロアルキル基、-CO(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-CO(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-CON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)CO(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、芳香族5員環基又は芳香族6員環基から選択され、或いは、R及びRと、R、Rの間の炭素原子とは、C3-8シクロアルキル基又は-O-及び-S-含有のC3-8ヘテロシクロアルキル基、C4-9縮合シクロアルキル基、C5-10スピロシクロアルキル基、C4-9架橋シクロアルキル基、C3-7環状ラクタム、C3-7環状ラクトン、C3-7環状ケトンを形成し、C原子上のHは、-SO、-SON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)SO(C0-10アルキル基)、-CON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)CO(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)COO(C0-10アルキル基)、-OCON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、ハロゲン、-CN、-OCHF、-OCHF、-OCF、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-OC0-10アルキル基、C3-10シクロアルキル基、-Oヘテロシクロアルキル基、-Nヘテロシクロアルキル基、-N複素環芳香族基、-O複素環芳香族基又は-S複素環芳香族基で置換されてもよく、上記アルキル基部分は、-SO、-SON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)SO(C0-10アルキル基)、-CON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)CO(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)COO(C0-10アルキル基)、-OCON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、ハロゲン、-CN、-OCHF、-OCHF、-OCF、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-OC0-10アルキル基、-N複素環芳香族基、-O複素環芳香族基又は-S複素環芳香族基のうちの1つ以上で任意に置換されてもよい。
【0008】
本発明の一実施形態において、上記Qは、Oである。
【0009】
本発明の一実施形態において、上記yは、1である。
【0010】
本発明の一実施形態において、上記xは、0である。
【0011】
本発明の一実施形態において、上記zは、1である。
【0012】
本発明の一実施形態において、上記化合物は、
【化3】
という構造を有する。
【0013】
本発明の一実施形態において、上記Aは、Cである。
【0014】
本発明の一実施形態において、上記化合物は、
【化4】
という構造を有する。
【0015】
具体的には、上記R及びRは、独立して、-H及びC1-10直鎖/分岐鎖アルキル基から選択され、より具体的には、上記R及びRは、独立して、-H及びC1-3直鎖/分岐鎖アルキル基から選択される。
【0016】
本発明の一実施形態において、上記Rは、H又は-CHである。
【0017】
本発明の一実施形態において、上記Rは、H又は-CHである。
【0018】
具体的には、上記芳香族5員複素環基、芳香族6員複素環基又はフェニル基上の少なくとも1つのHは、-SO、-SONH、-NHSO、-CONH(C0-10アルキル基)、ハロゲン、-CN、-OCF、-Oヘテロシクロアルキル基、-Nヘテロシクロアルキル基、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、C3-10シクロアルキル基、-OC0-10アルキル基及び-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)から選択される基で置換され、より具体的には、上記芳香族5員複素環基、芳香族6員複素環基又はフェニル基上の少なくとも1つのHは、-Oヘテロシクロアルキル基又は-Nヘテロシクロアルキル基で置換される。
【0019】
具体的には、上記Arは、チアゾリル基、セレノチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基及びピリジル基から選択される。
【0020】
本発明の一実施形態において、上記Arは、
【化5】
から選択される。
【0021】
10、R12及びR13は、独立して、-H、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-OC0-10アルキル基及びC3-10シクロアルキル基から選択され、
11は、-H、-Oヘテロシクロアルキル基、-Nヘテロシクロアルキル基、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、C3-10シクロアルキル基、-OC0-10アルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-SO(C0-10アルキル基)、-O(C0-10アルキル基)、-O-フェニル基、-S(C0-10アルキル基)、-N複素環芳香族基、-O複素環芳香族基又は-S複素環芳香族基から選択され、C原子又はヘテロ原子上のHは、C1-3直鎖アルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)及び-CFで置換されてもよい。
【0022】
具体的には、上記R10、R12及びR13は、独立して、-H、C1-5直鎖/分岐鎖アルキル基及び-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)から選択されてもよく、より具体的には、R10、R12及びR13は、独立して、-H、-CH、-CHCH及び-NHから選択されてもよい。
【0023】
具体的には、上記R11は、-Oヘテロシクロアルキル基又は-Nヘテロシクロアルキル基、-SO(C0-3アルキル基)、-O-フェニル基、-S(C0-4アルキル基)、C3-6シクロアルキル基又はC3-5直鎖/分岐鎖アルキル基から選択されてもよく、C原子又はヘテロ原子上のHは、-CH、-NH及び-CFで置換されてもよく、より具体的には、上記R11は、
【化6】
-CH及び
【化7】
から選択されてもよい。
【0024】
10、R12及びR13がR11と隣接する場合、R10、R12又はR13、及びR11と、それらの間の炭素原子とは、C3-8シクロアルキル基又は-O-及び-S-含有のC3-8ヘテロシクロアルキル基、-N複素環芳香族基、-O複素環芳香族基又は-S複素環芳香族基、フェニル基を形成してもよい。
【0025】
本発明の一実施形態において、上記化合物は、
【化8】
という構造を有する。
【0026】
具体的には、上記Rは、-H、ハロゲン、-NO、-CN、C1-5直鎖/分岐鎖アルキル基、C3-10シクロアルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-CF、-OCF、-OCHF、-OCHF又は-OC0-10アルキル基から選択されてもよく、より具体的には、上記Rは、-NO、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-OC0-10アルキル基又は-OCFから選択されてもよく、本発明の一実施例において、上記Rは、-NH又は-NOである。
【0027】
本発明の別の実施形態において、上記B、B、B、B及びBの少なくとも1つは、Nである。
【0028】
本発明の一実施形態において、上記Bは、CRであり、B、B、B及びBのうちの少なくとも1つは、Nである。
【0029】
本発明の一実施形態において、上記Bは、CRであり、Bは、Nである。
【0030】
本発明の一実施形態において、上記Bは、CRであり、Bは、Nである。
【0031】
本発明の一実施形態において、上記Bは、CRであり、Bは、Nである。
【0032】
本発明の一実施形態において、上記Bは、CRであり、Bは、Nである。
【0033】
本発明の一実施形態において、上記Bは、CRであり、B及びBは、Nであり、或いはB及びBはNである。
【0034】
本発明の一実施形態において、上記B、B、B、B及びBは、いずれもCRであり、このとき、
【化9】
は、
【化10】
であってもよく、R61、R62、R63、R64及びR65は、それぞれ本発明の上記Rの定義を有し、具体的には、R61、R62、R63、R64及びR65は、独立して、-H、ハロゲン、-CN、-OC0-10アルキル基、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、O又はN含有のヘテロアルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、C3-10シクロアルキル基、-C≡C-R、-Oヘテロシクロアルキル基、-Nヘテロシクロアルキル基から選択されてもよく、或いは、R61及びR62、R62及び63、R63及びR64、R64及びR65と、それらの間の炭素原子とは、C3-8シクロアルキル基又は-O-及び-S-含有のC3-8ヘテロシクロアルキル基、-N複素環芳香族基、-O複素環芳香族基又は-S複素環芳香族基、フェニル基を形成し、C原子上のHは、-SO、-SON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)SO(C0-10アルキル基)、-CON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)CO(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)COO(C0-10アルキル基)、-OCON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、ハロゲン、-CN、-OCHF、-OCHF、-OCF、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-OC0-10アルキル基、C3-10シクロアルキル基、-Oヘテロシクロアルキル基、-Nヘテロシクロアルキル基、-N複素環芳香族基、-O複素環芳香族基又は-S複素環芳香族基で置換されてもよく、Rは、本発明の上記定義を有する。
【0035】
具体的には、上記R63は、-H、ハロゲン、-OC0-10アルキル基、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)又はC3-10シクロアルキル基から選択されてもよく、より具体的には、R63は、-H、ハロゲン、-OC0-10アルキル基及びC1-10直鎖/分岐鎖アルキル基から選択されてもよく、さらに具体的には、R63は、-H、-F又は-OCHから選択されてもよい。
【0036】
具体的には、上記R62は、-H、ハロゲン、-OC0-10アルキル基、-CN、C3-10シクロアルキル基及び-C≡C-Rから選択されてもよく、より具体的には、R62は、-H、-F、-Cl、-OCH、-CN、
【化11】
及び-C≡C-Rから選択されてもよく、本発明の一実施例において、R62は、C≡C-Rである。
【0037】
具体的には、上記R61、R64及びR65は、独立して、-H、ハロゲン、-CN、-OC0-10アルキル基、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、C3-10シクロアルキル基、-C≡C-R、-Oヘテロシクロアルキル基又は-Nヘテロシクロアルキル基及びO又はN含有のC1-5直鎖/分岐鎖アルキル基から選択され、或いは、R64及びR65と、R64及びR65に結合された炭素原子とは、C3-8シクロアルキル基又は-O-及び-S-含有のC3-8ヘテロシクロアルキル基を形成し、C原子上のHは、-Fで置換されてもよく、より具体的には、上記R61、R64及びR65は、独立して、-H、ハロゲン、C1-3直鎖/分岐鎖アルキル基、-OC0-3アルキル基、N含有のC1-3直鎖/分岐鎖アルキル基から選択され、或いは、R64及びR65と、R64及びR65に結合された炭素原子とは、C3-8シクロアルキル基又は-O-含有のC3-8ヘテロシクロアルキル基を形成し、C原子上のHは、-Fで置換されてもよく、さらに具体的には、上記R61、R64及びR65は、独立して、-H、-F、-Cl、-CH、-CHNH、-CN及び-OCHから選択され、或いは、R64及びR65と、R64及びR65に結合された炭素原子とは、-O-含有の5員シクロアルキル基を形成する。本発明の一実施例において、上記R61、R64及びR65は、いずれもHである。
【0038】
具体的には、上記Rは、H、C1-5直鎖/分岐鎖アルキル基、C3-10シクロアルキル基及び
【化12】
から選択される。
【0039】
本発明の一実施形態において、上記R62は、
【化13】
である。
【0040】
具体的には、上記R及びRは、独立して、-H、-CF、-CHFH、-CHF、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、-CH=C(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-C≡C(C0-10アルキル基)、C3-10シクロアルキル基、芳香族5員環基又は芳香族6員環基から選択され、或いは、R及びRと、R、Rの間の炭素原子とは、C3-8シクロアルキル基又は-O及び-S含有のC3-8ヘテロシクロアルキル基、C4-9縮合シクロアルキル基、C5-10スピロシクロアルキル基、C4-9架橋シクロアルキル基、C3-7環状ラクタム、C3-7環状ラクトン、C3-7環状ケトンを形成し、C原子上のHは、-SO、-SON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)SO(C0-10アルキル基)、-CON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)CO(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)COO(C0-10アルキル基)、-OCON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、ハロゲン、-CN、-OCHF、-OCHF、-OCF、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-OC0-10アルキル基、C3-10シクロアルキル基、-Oヘテロシクロアルキル基、-Nヘテロシクロアルキル基、-N複素環芳香族基、-O複素環芳香族基又は-S複素環芳香族基で置換されてもよく、上記アルキル基部分は、-SO、-SON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)SO(C0-10アルキル基)、-CON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)CO(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)COO(C0-10アルキル基)、-OCON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、ハロゲン、-CN、-OCHF、-OCHF、-OCF、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-OC0-10アルキル基、-N複素環芳香族基、-O複素環芳香族基又は-S複素環芳香族基のうちの1つ以上で任意に置換されてもよい。
【0041】
より具体的には、上記R、Rは、独立して、-H、-CF、-CHFH、-CHF、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、-CH=C(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、C3-10シクロアルキル基又は芳香族6員環基から選択され、或いは、R及びRと、R、Rの間の炭素原子とは、C3-8シクロアルキル基、C4-7縮合シクロアルキル基、C5-9スピロシクロアルキル基、C4-9架橋シクロアルキル基、C3-7環状ラクタム、C3-7環状ラクトン、C3-7環状ケトンを形成し、C原子上のHは、-SO、-SON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)SO(C0-10アルキル基)、-CON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)CO(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)COO(C0-10アルキル基)、-OCON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、ハロゲン、-CN、-OCHF、-OCHF、-OCF、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-OC0-10アルキル基、C3-10シクロアルキル基、-Oヘテロシクロアルキル基、-Nヘテロシクロアルキル基、-N複素環芳香族基、-O複素環芳香族基又は-S複素環芳香族基で置換されてもよく、上記アルキル基部分は、-SO、-SON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)SO(C0-10アルキル基)、-CON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)CO(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)COO(C0-10アルキル基)、-OCON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、ハロゲン、-CN、-OCHF、-OCHF、-OCF、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-OC0-10アルキル基、-N複素環芳香族基、-O複素環芳香族基又は-S複素環芳香族基のうちの1つ以上で任意に置換されてもよい。
【0042】
さらに具体的には、上記R及びRは、独立して、-H、-CF、-CHFH、-CHF、C1-5直鎖/分岐鎖アルキル基、-CH=CH(C0-10アルキル基)、C3-10シクロアルキル基又は芳香族6員環基から選択され、或いは、R及びRと、R、Rの間の炭素原子とは、C3-6シクロアルキル基、C4-6縮合シクロアルキル基、C5-8スピロシクロアルキル基、C4-8架橋シクロアルキル基、C3-7環状ラクタム、C3-7環状ラクトン、C3-7環状ケトンを形成し、C原子上のHは、-SO、-SON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)SO(C0-10アルキル基)、-CON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)CO(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)COO(C0-10アルキル基)、-OCON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、ハロゲン、-CN、-OCHF、-OCHF、-OCF、C1-10直鎖/分岐鎖アルキル基、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-OC0-10アルキル基、C3-10シクロアルキル基、-Oヘテロシクロアルキル基、-Nヘテロシクロアルキル基、-N複素環芳香族基、-O複素環芳香族基又は-S複素環芳香族基で置換されてもよく、上記アルキル基部分は、-SO、-SON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)SO(C0-10アルキル基)、-CON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)CO(C0-10アルキル基)、-N(C0-10アルキル基)COO(C0-10アルキル基)、-OCON(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、ハロゲン、-CN、-OCHF、-OCHF、-OCF、-N(C0-10アルキル基)(C0-10アルキル基)、-OC0-10アルキル基、-N複素環芳香族基、-O複素環芳香族基又は-S複素環芳香族基のうちの1つ以上で任意に置換されてもよい。
【0043】
本発明の一実施形態において、上記R及びRは、独立して、-H、-CF、-CHF、-CHF、-CH、-CHCH、-CH=CH
【化14】
から選択され、或いは、R及びRと、R、Rの間の炭素原子とは、
【化15】
を形成する。
【0044】
本発明の一実施形態において、上記化合物は、
【化16】
という構造を有する。
【0045】
具体的には、本発明の上記化合物は、
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
という構造を有してもよい。
【0046】
本発明の一実施例において、上記化合物は、
【化32】
という構造を有する。
【0047】
本発明の上記薬学的に許容可能な塩は、酸付加塩と塩基付加塩とを含む。
【0048】
具体的には、上記酸付加塩は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸及びホスホン酸などの無機酸からの塩と、脂肪族モノカルボン酸及びジカルボン酸、フェニル基で置換されたアルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族スルホン酸及び芳香族スルホン酸などの有機酸からの塩とを含むが、これらに限定されない。したがって、これらの塩は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ素酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、エタン二酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩及びメタンスルホン酸塩を含むが、これらに限定されず、アルギニン塩、グルコン酸塩、ガラクツロン酸塩などの、アミノ酸の塩をさらに含む。上記酸付加塩は、一般的な方法に応じて、遊離塩基と十分な量の所望の酸とを接触させて塩を形成するように製造することができる。塩と塩基とを接触させて遊離塩基を再生成し、そして一般的な方法で該遊離塩基を分離することができる。
【0049】
具体的には、上記塩基付加塩は、金属又はアミン又は有機アミンとともに、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のような水酸化物を形成する。カチオンとして用いられる金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム及びカルシウムなどを含むが、これらに限定されない。適切なアミンは、N、N′-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン(エタン-1,2-ジアミン)、N-メチルグルカミン及びプロカインを含むが、これらに限定されない。塩基付加塩は、一般的な方法に応じて、遊離酸と十分な量の所望の塩基とを接触させて塩を形成するように製造することができる。塩と酸とを接触させて遊離酸を再生成し、そして一般的な方法で該遊離酸を分離することができる。
【0050】
具体的には、本発明の上記立体異性体は、エナンチオマー、ジアステレオマー及び幾何異性体の形態を含む。本発明のいくつかの化合物は、シクロアルキル基を含有し、1つ以上の炭素原子上で置換されてもよく、この場合、シス、トランス及びその混合物を含むその全ての幾何学的形態は、いずれも本発明の範囲内にある。
【0051】
具体的には、本発明の上記溶媒和物は、本発明の化合物と1種以上の溶媒分子との物理的結合を指す。該物理的結合は、水素結合を含む、様々な程度のイオン結合及び共有結合を含む。1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の格子にドープされる場合などのいくつかの場合に、溶媒和物は、分離されてもよい。「溶媒和物」は、溶液相と、分離可能な溶媒和物とを含む。代表的な溶媒和物は、エタノレート、メタノレートなどを含む。「水和物」は、1つ以上の溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0052】
具体的には、本発明の上記プロドラッグは、アセタール、エステル及び双性イオン形態を含む、患者に投与するときに過剰な毒性、刺激性及びアレルギー反応などがないだけでなく、その応用目的に対して有効である式Iで表される化合物の形態を指す。プロドラッグは、体内で変換(例えば、血液で加水分解)して前の式で表される母体化合物を得る。
【0053】
具体的には、本発明の上記病原体は、微生物、寄生虫(原虫、蠕虫など)又は別の担体であってもよく、具体的には、上記微生物は、ウイルス、クラミジア、リケッチア、マイコプラズマ、細菌、螺旋体、真菌などから選択される1種以上であってもよい。
【0054】
本発明の一実施形態において、本発明の上記病原体は、ウイルスである。
【0055】
具体的には、上記ウイルスは、ヘルペスウイルス科(例えば、仮性狂犬病ウイルス、ウシ伝染性鼻気管炎ウイルス、マレック病ウイルス、トリ伝染性喉頭気管炎ウイルス、アヒルウイルス性腸炎ウイルス)、イリドウイルス科(例えば、リンパ嚢胞ウイルス)、バキュロウイルス科(例えば、バキュロウイルス・ペナエイウイルス)、ラブドウイルス科(例えば、狂犬病ウイルス、コイ春ウイルス血症ウイルス)、レオウイルス科(例えば、トリオルトレオウイルス、ブルータングウイルス、細胞質多角体病ウイルス)、ビルナウイルス科(例えば、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス)、ポックスウイルス科(例えば、羊痘ウイルス、山羊痘ウイルス、粘液腫ウイルス)、アスファウイルス科(例えば、アフリカブタ熱ウイルス)、アデノウイルス科(例えば、イヌ伝染性肝炎ウイルス、産卵低下症候群ウイルス)、パルボウイルス科(例えば、ブタパルボウイルス、イヌパルボウイルス、ガチョウパルボウイルス、ネコ汎白血球減少症ウイルス、ミンク腸炎ウイルス、ミンクアリューシャンウイルス)、サーコウイルス科(例えば、ブタサーコウイルス)、レトロウイルス科(例えば、トリ白血病ウイルス、ヤギ関節炎/脳脊髄炎ウイルス、ウマ伝染性貧血ウイルス)、オルトミクソウイルス科(例えば、インフルエンザウイルス)、パラミスウイルス科(例えば、鶏ニューカッスル病ウイルス、イヌジステンパーウイルス、牛疫ウイルス)、コロナウイルス科、アルテリウイルス科(例えば、ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス)、ピコルナウイルス科(例えば、口蹄疫ウイルス、ブタ水疱病ウイルス、アヒル肝炎ウイルス)、カリシウイルス科(例えば、ウサギ出血性疾患ウイルス)、フラビウイルス科(例えば、ブタ熱ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、日本脳炎ウイルス)、プリオン、フィロウイルス科(例えば、マールブルグウイルス、エボラウイルス)、ポリオーマウイルス科、パピローマウイルス科、ニマウイルス科、レトロウイルス科、ヘパドナウイルス科、パポーバウイルス科、ボルナウイルス科、ブンヤウイルス科、アレナウイルス科、ロニウイルス科、ヘペウイルス科、アストロウイルス科、トガウイルス科、ジシストロウイルス科及びノダウイルス科などであってもよい。
【0056】
具体的には、上記ウイルスは、例えば、鶏伝染性気管支炎ウイルス(IBV)、ブタ伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)、ブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)、ブタ赤血球凝集性脳脊髄炎ウイルス(HEV)、マウス肝炎ウイルス(MHV)、七面鳥コロナウイルス(TCDV)、ウシコロナウイルス(BCV)、イヌコロナウイルス(CCV)、ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)、ラットコロナウイルス(RCV)、ラット唾液腺涙腺炎ウイルス(SDAV)、ミンク流行性下痢コロナウイルス、羊痘ウイルス、山羊痘ウイルス、ランピースキン病ウイルス、鶏痘ウイルス、ネコ類ポックスウイルス、オルフウイルス、兎粘液腫ウイルス、アフリカブタ熱ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、ブタサイトメガロウイルス、鶏伝染性喉頭気管炎ウイルス、アヒルウイルス性腸炎ウイルス、ネコウイルス性鼻気管炎ウイルス、イヌヘルペスウイルス、ウシ伝染性鼻気管炎ウイルス、ウマ伝染性鼻腔肺炎ウイルス、マレック病ウイルス、悪性カタル性熱ウイルス、ブタアデノウイルス、イヌウイルス性肝炎ウイルス、ネコアデノウイルス、ブタパルボウイルス、ネコ汎白血球減少症(ネコジステンバー、ネコ伝染性腸炎)ウイルス、ガズリングペストウイルス、イヌパルボウイルス、ノバリケンパルボウイルス、ブタサーコウイルス、鶏伝染性貧血ウイルス、トリ白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ウシ白血病ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス、メディビスナ病ウイルス、山羊ウイルス性関節炎-脳炎ウイルス、ウマ伝染性貧血ウイルス、ウシ免疫不全ウイルス、ネコ合胞体形成ウイルス(泡沫状ウイルス)、トリウイルス性関節炎ウイルス、ブルータングウイルス、イバラキ病ウイルス、チュウザン病ウイルス、アフリカウマ病ウイルス、ロタウイルス、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス、イヌウイルス性パピローマウイルス、ネコウイルス性パピローマウイルス、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、ブタブルーアイ病ウイルス、イヌパラインフルエンザウイルス、禽類パラミソウィルス、鶏ニューカッスル病ウイルス、イヌジステンパーウイルス、小反芻獣疫ウイルス、牛疫ウイルス、トリニューモウイルス、アブラウイルス(モルビリウイルス)、ネコパラミクソウイルス、狂犬病ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ウシ流行熱/三日熱/一過性熱ウイルス、ボルナウィルス、インフルエンザウイルス、リフトバレー熱ウイルス、アカバネ病ウイルス、ハンタウィルス、ネコ腸コロナウイルス、ブタ赤血球凝集性脳脊髄炎ウイルス、ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス、ウマウイルス性動脈炎ウイルス、口蹄疫ウイルス、ブタ水疱病ウイルス、ブタ腸ウイルス、アヒルウイルス性肝炎ウイルス、トリ脳脊髄炎ウイルス、脳心筋炎ウイルス、ブタヘルペスウイルス、ネコカリシウイルス、ウサギウイルス性出血性疾患ウイルス、イヌE型ウイルス性肝炎ウイルス、ゲタウイルス、日本脳炎B型/日本脳炎ウイルス、ニ媒介性脳炎ウイルス、アヒルテンブスウイルス、ブタ熱ウイルス、ウシウイルス性下痢-粘膜病ウイルス及びボーダー病ウイルスなどであってもよい。
【0057】
本発明の一実施形態において、上記ウイルスは、コロナウイルスであり、具体的には、鶏伝染性気管支炎ウイルス(IBV)、ブタ伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)、ブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)、ブタ赤血球凝集性脳脊髄炎ウイルス(HEV)、マウス肝炎ウイルス(MHV)、七面鳥コロナウイルス(TCDV)、ウシコロナウイルス(BCV)、イヌコロナウイルス(CCV)、ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)、ラットコロナウイルス(RCV)、ラット唾液腺涙腺炎ウイルス(SDAV)、ミンク流行性下痢コロナウイルスなどである。
【0058】
本発明の一つの実施例において、上記ウイルスは、ネコ伝染性腹膜炎ウイルスである。
【0059】
本発明において、他に言及しない限り、本明細書に記載された「動物」は、非ヒト動物であり、特に、脊椎動物であり、具体的には、哺乳動物(例えば、ブタ、ウシ、羊、ウマ、ロバ、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、キツネ、タヌキ、ミンク、ラクダ)、魚類、鳥類(例えば、鶏、アヒル、ガチョウ、ハト、ウズラ、オウムなど)、両生類動物及び爬虫類動物である。特に、本発明の上記動物は、飼育動物であり、すなわち商業用動物、ペット、実験用動物などの、人間により飼育し馴化され、かつ繁殖が人為的に制御され、食用、労働、毛皮、ペット、実験などの機能に用いられる動物である。
【0060】
本発明の一実施形態において、上記応用において、動物は、家畜(例えば、ブタ、ウシ、羊、ウマ、ロバ、キツネ、タヌキ、ミンク、ラクダなど)、家禽(鶏、アヒル、ガチョウ、ハト、ウズラなど)のような商業用動物である。
【0061】
本発明の一実施形態において、上記応用において、動物は、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス(例えば、モルモット、ハムスター、スナネズミ、チンチラ、リスザルなど)、魚、ハト、オウムなどのペットである。
【0062】
本発明の一実施形態において、上記応用において、動物は、サル、イヌ、ウサギ、ネコ、マウスなどの実験用動物である。
【0063】
具体的には、上記疾患又は病症は、鶏伝染性気管支炎、ブタ伝染性胃腸炎、ブタ流行性下痢、イヌコロナウイルス病、ブタ赤血球凝集性脳脊髄炎、マウス肝炎ウイルスによる肝炎、脳炎及び腸炎、七面鳥コロナ病、新生仔ウシ下痢、ウシ血痢、ネコ伝染性腹膜炎、ラット唾液腺涙腺炎、ミンク流行性下痢、羊痘、山羊痘、ランピースキン病、鶏痘、ネコ類ポックス、伝染性膿痂疹、兎粘液腫、アフリカブタ熱、仮性狂犬病、ブタサイトメガロウイルス感染、鶏伝染性喉頭気管炎、アヒルウイルス性腸炎、ネコウイルス性鼻気管炎、イヌヘルペスウイルス感染、ウシ伝染性鼻気管炎、ウマ伝染性鼻腔肺炎、マレック病、悪性カタル性熱、ブタアデノウイルス感染、イヌウイルス性肝炎、ネコアデノウイルス病、ブタパルボウイルス病、ネコ汎白血球減少症(ネコジステンバー、ネコ伝染性腸炎)、ガズリングペスト、イヌパルボウイルス病、ノバリケンパルボウイルス病、ブタサーコウイルス病、鶏伝染性貧血、トリ白血病、ネコ白血病、ウシ白血病、ネコ免疫不全、メディビスナ病、山羊ウイルス性関節炎-脳炎、ウマ伝染性貧血、ウシ免疫不全ウイルス感染、ネコ合胞体形成ウイルス(泡沫状ウイルス)感染、トリウイルス性関節炎、ブルータング、イバラキ病、チュウザン病、アフリカウマ病、ロタウイルス病、伝染性ファブリキウス嚢病、イヌウイルス性パピローマ、ネコウイルス性パピローマ、ニパ病、ヘンドラ病、ブタブルーアイ病、イヌパラインフルエンザウイルス感染、禽類パラミソウィルス感染、鶏ニューカッスル病、イヌジステンパー、小反芻獣疫、牛疫、トリニューモウイルス感染、アブラウイルス(モルビリウイルス)感染、ネコパラミクソウイルス病、狂犬病、水疱性口内炎、ウシ流行熱/三日熱/一過性熱、ボルナ、インフルエンザ、リフトバレー熱、アカバネ病、ハンタウィルス病、ネコ腸コロナウイルス感染、ブタ赤血球凝集性脳脊髄炎、ブタ生殖器呼吸器症候群、ウマウイルス性動脈炎、口蹄疫、ブタ水疱病、ブタ腸ウイルス感染、アヒルウイルス性肝炎、トリ脳脊髄炎、脳心筋炎、ブタヘルペス、ネコカリシウイルス病、ウサギウイルス性出血性疾患、イヌE型ウイルス性肝炎、ゲタウイルス病、日本脳炎B型/日本脳炎、ニ媒介性脳炎、アヒルテンブスウイルス感染、ブタ熱、ウシウイルス性下痢-粘膜病及びボーダー病などを含んでもよい。
【0064】
本発明の一実施形態において、上記疾患又は病症は、鶏伝染性気管支炎、ブタ伝染性胃腸炎、ブタ流行性下痢、イヌコロナウイルス病、ブタ赤血球凝集性脳脊髄炎、マウス肝炎ウイルスによる肝炎、脳炎及び腸炎、七面鳥コロナ病、新生仔ウシ下痢、ウシ血痢、ネコ伝染性腹膜炎、ラット唾液腺涙腺炎及びミンク流行性下痢から選択される。
【0065】
本発明の一実施例において、上記疾患は、ネコ伝染性腹膜炎である。
【0066】
具体的には、上記薬物において、上記HPK1キナーゼ阻害剤は、唯一の活性成分としてもよく、同一の適応症又は異なる適応症に用いられる1種以上の別の活性成分と併用されてもよく、上記HPK1キナーゼ阻害剤は、該別の活性成分とともに同時、単独又は順次投与(simultaneous、separate or sequential administration)のために製造することができる。
【0067】
具体的には、上記薬物は、任意の剤形又は投与形態を用いることができ、当業者は、場合に応じ選択することができ、例えば、その投与形態は、経口、舌下、吸入、皮下、筋肉内、静脈内、腹膜内、器官内、鼻内、直腸内、経皮、経眼又は経直腸などであってもよいが、これらに限定されず、その剤形は、錠剤、丸剤、粉剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、シロップ剤、溶液剤、乳剤、懸濁剤、制御放出製剤、エアロゾル、膜剤、注射剤、点滴静脈内注射剤、経皮吸収製剤、軟膏剤、洗剤、貼付製剤、坐剤、経鼻製剤、肺用製剤、点眼剤などであってもよいが、これらに限定されない。
【0068】
本発明の一実施形態において、上記薬物は、注射剤である。
【0069】
本発明は、動物用抗病原体感染製品の製造における上記HPK1キナーゼ阻害剤の応用をさらに提供する。
【0070】
具体的には、上記応用において、HPK1キナーゼ阻害剤、病原体及び動物は、本発明の上記対応定義を有する。
【0071】
具体的には、上記製品は、治療目的に用いられてもよく、非治療目的に用いられてもよい。
【0072】
本発明の一実施形態において、上記製品は、薬物組成物である。
【0073】
具体的には、上記薬物組成物において、上記HPK1キナーゼ阻害剤は、唯一の活性成分としてもよく、同一の適応症又は異なる適応症に用いられる1種以上の別の活性成分と併用されてもよく、上記HPK1キナーゼ阻害剤は、該別の活性成分とともに同時、単独又は順次投与(simultaneous、separate or sequential administration)のために製造することができる。
【0074】
具体的には、上記薬物組成物は、薬学的に許容可能な補助材料、特に獣医分野で許容可能な補助材料をさらに含む。
【0075】
具体的には、上記薬物組成物は、任意の剤形又は投与形態を用いることができ、当業者は、場合に応じ選択することができ、例えば、その投与形態は、経口、舌下、吸入、皮下、筋肉内、静脈内、腹膜内、器官内、鼻内、直腸内、経皮、経眼又は経直腸などであってもよいが、これらに限定されず、その剤形は、錠剤、丸剤、粉剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、シロップ剤、溶液剤、乳剤、懸濁剤、制御放出製剤、エアロゾル、膜剤、注射剤、点滴静脈内注射剤、経皮吸収製剤、軟膏剤、洗剤、貼付製剤、坐剤、経鼻製剤、肺用製剤、点眼剤などであってもよいが、これらに限定されない。
【0076】
本発明の一実施形態において、上記薬物組成物は、注射剤である。
【0077】
上記薬物組成物の様々な形態は、獣医用薬物の分野での一般的な製造方法に応じて製造することができる。
【0078】
本発明の一実施形態において、上記製品は、機能性食品組成物である。
【0079】
具体的には、上記機能性食品組成物において、式Iで表される化合物は、唯一の活性成分としてもよく、1種以上の別の活性成分と併用されてもよい。
【0080】
具体的には、上記機能性食品組成物は、動物食品補助材料をさらに含んでもよい。
【0081】
具体的には、上記機能性食品組成物の形態は、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、キャンディ(例えば、錠菓、グミキャンディ、ガムキャンディなど)、固体飲料(例えば、粉剤、顆粒剤など)、液体飲料などの任意の形態を用いることができる。
【0082】
上記機能性食品組成物の様々な形態は、獣医用機能性食品の分野での一般的な製造方法に応じて製造することができる。
【0083】
本発明の一実施形態において、上記製品は、動物の食物(例えば、家畜飼料、ペット飼料、ペットおやつなど)の製造加工、使用過程において少量で微量添加することができる添加剤である。
【0084】
本発明は、被験者に有効量の本発明の上記HPK1キナーゼ阻害剤を投与するステップを含む、動物の病原体感染による疾患若しくは病症又は病原体感染に関連する疾患若しくは病症を予防及び/又は治療する方法をさらに提供する。
【0085】
具体的には、上記方法において、HPK1キナーゼ阻害剤、病原体、動物、疾患又は病症は、本発明の上記対応定義を有する。
【0086】
本発明の発明者らは、実験により以下のことを見出した。HPK1キナーゼ阻害剤(特に、本発明の式Iで表される化合物、例えば、4-(3-{2-アミノ-5-[2-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-チアゾリル-5-イル]-ピリジン-3-イルオキシメチル}-フェニル)-2-メチルブタ-3-イン-2-アルコール)は、動物病原体(特に、コロナウイルスのようなウイルス)感染による疾患(例えば、ネコ伝染性腹膜炎)を効果的に治療し、動物の生存状況を改善し、獣医用抗病原体(特に、コロナウイルスのようなウイルス)薬物の分野で優れた商業的価値及び応用の将来性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1】本発明の実施例1における患猫の胸部X線図である。
図2】本発明の実施例2の臨床生存曲線図であり、投与日を1日目とする。
【発明を実施するための形態】
【0088】
別の定義がない限り、本発明に使用される全ての科学的及び技術用語は、当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。
【0089】
本発明において、用語「アルキル基」は、直鎖又は分岐鎖の、不飽和結合を含まない炭化水素鎖ラジカルを指し、また、該炭化水素鎖ラジカルは、単結合で分子の別の部分に結合される。アルキル基は、置換されてもよく、例えば、アルキル基がシクロアルキル基で置換される場合、それは、対応してシクロプロピルメチル基のような「シクロアルキルアルキル基」であり、アルキル基がハロゲンで置換される場合、それは、対応して「ハロアルキル基」であり、アルキル基がアリールで置換される場合、それは、対応して、ベンジル基、ベンズヒドリル基又はフェネチル基のような「アラルキル基」であり、アルキル基が複素環基で置換される場合、それは、対応して「ヘテロシクリルアルキル基」である。本発明において、上記C0-10アルキル基は、0~10個(具体的には、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個)の炭素原子を含有するアルキル基を指し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基などであり、Cアルキル基は、Hを指す。
【0090】
用語「シクロアルキル基」は、脂環式炭化水素を指し、例えば、1~4個の単環及び/又は縮合環を含有し、3~18個、好ましくは3~10個の炭素原子を含有し、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基又はアダマンチル基などであり、本発明において、上記C3-10シクロアルキル基は、3~10個(具体的には、3、4、5、6、7、8、9、10個)の炭素原子を含有するシクロアルキル基を指し、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシルなどである。
【0091】
用語「芳香族基」は、単環又は多環ラジカルを指し、単環アリール基及び/又は縮合環アリール基を含む多環ラジカルを含み、例えば、1~3個の単環又は縮合環と6~18個(具体的には、6、8、10、12、14、16、18個)の炭素環原子とを含有し、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、インデニル基などである。
【0092】
用語「複素環基」は、1~3個の単環及び/又は縮合環と3~18個(具体的には、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18個)の環原子とを含有する複素芳香族基及び複素脂環基を含む。好ましい複素芳香族基及び複素脂環基は、5~10個の環原子を含有する。本発明の化合物における適切なヘテロアリール基は、1、2又は3種のヘテロ原子を含み、ヘテロ原子は、N、O又はS原子から選択されてもよい。
【0093】
本発明において、上記基は、1つ以上の使用可能な位置に1つ以上の適切な基で置換されてもよく、該適切な置換基は、例えば、OR’、=O、SR’、SOR’、SOR’、OSOR’、OSOR’、NO、NHR’、N(R’)、=N-R’、N(R’)COR’、N(COR’)、N(R’)SOR’、N(R’)C(=NR’)N(R’)R’、N、CN、ハロゲン、COR’、COOR’、OCOR’、OCOOR’、OCONHR’、OCON(R’)、CONHR’、CON(R’)、CON(R’)OR’、CON(R’)SOR’、PO(OR’)、PO(OR’)R’、PO(OR’)(N(R’)R’)、C-C12アルキル基、C-C10シクロアルキル基、C-C12アルケニル基、C-C12アルキニル基、アリール基及び複素環基であるが、これらに限定されない。各R’基は、それぞれ独立して、水素、OH、NO、NH、SH、CN、ハロゲン、COH、COアルキル基、COOH、C-C12アルキル基、C-C10シクロアルキル基、C-C12アルケニル基、C-C12アルキニル基、アリール基及び複素環基から選択され、これらの基自体は、置換され、置換基は、前述のリストから選択されてもよい。
【0094】
用語「ハロゲン」、「ハロゲン化」又は「ハロゲン基」は、臭素化、塩素化、ヨウ素化化又はフッ素化を指す。
【0095】
用語「治療」は、疾患又は病症が出現した後、該疾患又は病症を根絶し、除去し、逆転させ、緩和し、変更するか又は制御することを含む。
【0096】
用語「予防」は、疾患又は病症が出現する前に、治療することにより、該疾患又は病症の出現又は発展を回避し、最小化するか又は困難にする能力を指す。
【0097】
用語「病原体」は、ヒト又は動植物の疾患感染を引き起こすことができる微生物(ウイルス、クラミジア、リケッチア、マイコプラズマ、細菌、螺旋体、真菌などを含む)、寄生虫(原虫、蠕虫など)又は別の担体を指す。細菌は、例えば、グラム陽性球菌、エンテロバクター、ビブリオ菌、パスツレラ菌、グラム陰性好気性桿菌、グラム陰性微好気性菌及び嫌気性菌、グラム陽性バチルス、グラム陽性胞子形成桿菌、マイコバクテリアなどであってもよく、真菌は、例えば、カンジダ菌、クリプトコックス、アスペルギルスなどであってもよい。本発明において、病原体は、一般的に、動物の疾患感染を引き起こすことができる微生物、寄生虫又は別の媒介を指す。本発明の一実施形態において、病原体は、ウイルスである。
【0098】
用語「ウイルス感染」は、ウイルスが様々な経路を介して生体に侵入し、かつ感受性の宿主細胞において増殖する過程を指す。生体がウイルスに感染した後、異なる臨床型を示すことができる。症状の有無に応じて、顕在性感染及び不顕性感染に分類することができる。生体に侵入したウイルス数が少なく、毒性が弱いか又は生体の抵抗力が強いため、ウイルスが宿主細胞内で増殖するが、生体に明らかな臨床症状が現れない現象は、不顕性感染と呼ばれる。不顕性感染の場合、臨床症状が現れないが、ウイルスが依然として生体内で増殖し、かつ外界に伝播し、重要な感染源となるため、不顕性感染の宿主に対して、ウイルス感染に抵抗する必要がある。生体に侵入したウイルス数が多く、毒性が強いか又は生体の抵抗力が弱いため、ウイルスが宿主細胞内で大量に増殖し、明らかな臨床症状が現れる現象は、顕在性感染と呼ばれる。
【0099】
本発明において、他に言及しない限り、本明細書に記載された「動物」は、非ヒト動物であり、特に、脊椎動物であり、具体的には、哺乳動物(例えば、ブタ、ウシ、羊、ウマ、ロバ、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、キツネ、タヌキ、ミンク、ラクダ)、魚類、鳥類(例えば、鶏、アヒル、ガチョウ、ハト、ウズラ、オウムなど)、両生類動物及び爬虫類動物である。特に、本発明の上記動物は、飼育動物であり、すなわち商業用動物、ペット、実験用動物などの、人間により飼育し馴化され、かつ繁殖が人為的に制御され、食用、労働、毛皮、ペット、実験などの機能に用いられる動物である。「商業用動物」は、肉用、乳用、毛皮、労働用又は別の商業用目的のために飼育された動物を指し、例えば、家畜、家禽などであり、「家畜」は、人間の飼育により繁殖させて利用され、農業生産に有利な家畜類を指し、「家禽」は、主にそれらの肉、卵及び羽毛を取り、また別の作用のために、人工で飼育された鳥類動物を指し、「ペット」は、商業的目的ではなく、精神的目的(例えば、愛玩、パートナーの目的)のために飼育された動物を指し、「実験用動物」は、科学的応用の目的のために飼育された動物を指す。
【0100】
以下、本発明の実施例を参照しながら、本発明の技術手段を明確かつ完全的に説明する。明らかに、説明される実施例は、本発明の実施例の一部に過ぎず、全てではない。本開示の実施例に基づき、当業者が創造性のある作業をせずに為しえる全ての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属するものである。
【実施例1】
【0101】
1、実験方法
8月齢のイギリス短毛ネコ(楽楽)、雌性、未去勢、体重2.5kg。2020年1月に、該ネコは、体温の上昇、意気消沈、食欲減退、腹囲増大などの症状が出現した。1週間後に入院し、1月18日にネコ伝染性腹膜炎(FIP)陽性と診断され、GS-441524で3日治療した後、フロセミド、速諾、プレドニゾロン、イトラコナゾール(経口、q 24h、10mg/kg)を1ヶ月使用し続け、腹水が消失した後に休薬した。4月初に病状反復、食量減退、倦怠が出現し、X光で胸水を検出し、PCRでネココロナウイルス陽性(CT値25.11)と検出した。4月8日に登録し、第1-14日(D1~14):本発明の薬物を2.0mg/kg、SC q 24hで投与した。同時に適切な支援治療を行い、補助治療薬物として莫瑞加(肝臓保護剤)、豊茲頼(リジン)、康健靈(ラクトフェリン類)を使用した。
【0102】
2、薬物の製造及び使用
本発明の上記薬物活性化合物は、純粋な粉末に、0.9%の生理食塩水(50mlの無エンドトキシン水、0.45gのNaCl)を添加して均一に混合し、濾過膜で溶液が透明になるまで濾過した構造を有する。プラスチックパッケージバイアル瓶で希釈した薬物を貯蔵し、4℃の冷蔵庫に保存し、注射する前に室温まで調整し、使い捨て注射器で使用する。注射範囲は、肩甲骨後部の2cmから腰椎中部まで背部を跨ぎ、隣接する胸部と脇腹との距離の半分となる。
【化33】
【0103】
3、実験結果
毎日午前に薬物を注射した後、午後15:00に体温を一回測定し、食欲、精神状態及び呼吸状態を評価し、排尿及び排便状況を記録し、結果を表1に示す。
【表1】
登録したD0、D7、D14時の操作は以下のとおりである。
1mlの血清サンプルを凍結保存し、多因子検出に用い、結果を表2に示す。
【表2】
【0104】
3)胸部X線
図1に示す。
【0105】
4)結果分析
以上の結果から分かるように、該症例は、湿性FIP(胸部)が検出され、臨床症状として胸水、倦怠、食欲減退が出現し、典型的なネコ伝染性腹膜炎症状を呈した。
【0106】
登録時に症例に発熱症状がないため、投薬期間に解熱効果が見られず、体温は、38℃~38.5℃の正常範囲に維持された。2週間の治療が完了した後にネコの臨床反応は、明らかであり、毎日に食欲、精神状態及び体重が増加した。治療後の約7日に、胸水が完全に消えた。治療期間及び治療後に体重は、9%増加した。
【実施例2】
【0107】
臨床診断により登録した、FIPに罹患しているネコは、合計15匹であり、胸/腹水が出現し、PCR検出のCT値が陽性であり、神経症状がなく、ここで8匹が対照群であり、7匹が実験群であった。
【0108】
各群に対して、まずGS-441524を3日使用し、そして、対照群に対してD1~D14時に必要な支援治療を行い、A群を3日観察した後、D1~D14時に必要な支援治療を行い、かつ本発明の薬物を2.0mg/kg、SC q 24hで投与した。
【0109】
死亡又は神経症状が出現すると、臨床的死亡と判定し、14日後にその臨床生存曲線を計算し、結果を図2に示す。Log Rank(Mantel-Cox)及びBreslow(Generalized Wilcoxon)方法を用いて有効性検証を行い、2種の方法の検証結果は、いずれも顕著な差異(P<0.05)を有する。
【0110】
以上の記載は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の構想及び原則内に行われた全ての修正、等価置換などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【0111】
本発明の上述した実施例及び方法は、当業者の能力、経験及び好みに基づいて異なってもよい。
【0112】
本発明において、一定の順序のみで方法のステップをリストすることは、方法のステップの順序を任意に限定するものではない。
図1
図2
【国際調査報告】