(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(54)【発明の名称】混合レポーターを使用した核酸の多重検出
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6844 20180101AFI20230913BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20230913BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20230913BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20230913BHJP
【FI】
C12Q1/6844 Z
C12Q1/686 Z ZNA
C12Q1/6851 Z
C12Q1/6876 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581413
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-02-28
(86)【国際出願番号】 AU2020050682
(87)【国際公開番号】W WO2020206509
(87)【国際公開日】2020-10-15
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514322216
【氏名又は名称】スピードックス・プロプライエタリー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SpeeDx Pty Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トッド,アリソン ヴェリアン
(72)【発明者】
【氏名】ハシック,ニコル ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】キム,リュン ライ
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス,アンドレア リー
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR42
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS24
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX01
(57)【要約】
本発明は、標的核酸の検出及び/又は鑑別におけるオリゴヌクレオチド及びそれらを使用するための方法を提供する。オリゴヌクレオチド及び方法は、複数の標的を同時に増幅、検出、及び/又は識別する上で特定の用途を見出す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の第1及び第2の標的の存在又は不在を決定するための方法であって、
(a)前記第1及び第2の標的を含むと推定される前記試料又はその誘導体を、
-前記第1の標的の検出のための第1のオリゴヌクレオチドであって、第1の検出可能なシグナルを生成することができる第1の検出部分を含む第1のオリゴヌクレオチド、
-前記第2の標的の検出のための無傷ステムループオリゴヌクレオチドであって、ハイブリダイズしたヌクレオチドの二本鎖ステム部分を含み、その対向鎖は、ハイブリダイズしていないヌクレオチドの破壊されていない一本鎖ループ部分によって連結され、前記ステム部分は、第2の検出可能なシグナルを生成することができる第2の検出部分を含み、
前記第1及び第2の検出部分は、単一の種類の検出器を使用して、単一の温度では鑑別できない検出可能なシグナルを生成することができる、無傷ステムループオリゴヌクレオチド、並びに
-前記第2の標的が前記試料中に存在する場合にのみ、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ハイブリダイズしていないヌクレオチドのうちの1つ以上を消化することができる第1の酵素と接触させることにより、反応用の混合物を調製することと、
(b)前記混合物を、
-前記第1の標的が、前記第1のオリゴヌクレオチドへの修飾を誘導し、それにより前記第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを生成することを可能にするのに好適であり、
-前記第2の標的が前記試料中に存在する場合にのみ、前記第1の酵素により前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ハイブリダイズしていないヌクレオチドのうちの1つ以上を消化し、それにより前記一本鎖ループ部分を破壊して分割ステムループオリゴヌクレオチドを提供するのに好適である条件下で処理することと、
(c)
-前記混合物中、又は対照混合物中の前記第1及び第2の検出部分によって提供されるバックグラウンドシグナルを測定することと、
(d)前記処理中又は処理後の1つ以上の時点で、
-前記バックグラウンドシグナルとは異なり、前記試料中の前記第1の標的の存在を示す前記修飾から生じる第1の検出可能なシグナルが、第1の温度で生成されるかどうか、
-前記バックグラウンドシグナルとは異なり、前記試料中の前記第2の標的の存在を示す第2の検出可能なシグナルが、第2の温度で生成されるかどうかを決定することと、を含み、
-前記第1の温度において、前記第2の検出可能なシグナルが前記バックグラウンドシグナルと異ならず、
前記第2の温度において、
存在する場合、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の鎖が部分的又は完全に解離され、前記第2の検出部分が前記第2の検出可能なシグナルを提供することを可能にし、
存在する場合、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の鎖は解離することができず、それにより前記第2の検出可能な部分が前記第2の検出可能なシグナルを提供することを防止する、方法。
【請求項2】
パート(d)における前記決定が、
-前記修飾から生じる前記第1の検出可能なシグナルが前記第1の温度で任意の前記バックグラウンドシグナルと異なるかどうかを決定するために所定の閾値を使用すること、及び/又は
-前記第2の検出可能なシグナルが前記第2の温度で任意の前記バックグラウンドシグナルと異なるかどうかを決定するために所定の閾値を使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対照混合物が、
-前記第1の標的、又は
-前記第2の標的、又は
-前記第1及び第2の標的
を含まないが、それ以外は前記混合物と同等である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記対照混合物が、所定量の
-前記第1の標的、又は
-前記第2の標的、又は
-前記第1及び第2の標的
を含むが、それ以外は前記混合物と同等である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
-前記第1のオリゴヌクレオチドへの前記修飾は、前記第1の検出部分が、前記第1の温度以下で前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にし、
-前記第1の検出可能なシグナルの生成は、可逆的である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
-パート(c)が、
第1の温度の1℃、2℃、3℃、4℃、又は5℃以内の第1のバックグラウンドシグナル、及び第2の温度の1℃、2℃、3℃、4℃、又は5℃以内の第2のバックグラウンドシグナルを測定することを含み、
これらは前記混合物中、又は前記対照混合物中の前記第1及び前記第2の検出部分によって提供され、
-パート(d)が、前記処理中又は処理後の1つ以上の時点で、
前記第1のバックグラウンドシグナルとは異なり、前記試料中の前記第1の標的の存在を示す、前記修飾から生じる第1の検出可能なシグナルが、前記第1の温度で生成されるかどうか、
前記第2のバックグラウンドシグナルとは異なり、前記試料中の前記第2の標的の存在を示す第2の検出可能なシグナルが、前記第2の温度で生成されるかどうかを決定することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、対向鎖上のハイブリダイズしたヌクレオチドの二本鎖ステム部分を含み、その全て又は一部が前記第1の標的に相補的であるハイブリダイズしていないヌクレオチドの破壊されていない一本鎖ループ部分によって連結されたステムループオリゴヌクレオチドであり、
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記修飾は、相補塩基対合による、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分への前記標的のハイブリダイゼーションから生じる立体構造の変化である、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
-前記立体構造の変化は、相補塩基対合による、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分への前記標的の前記ハイブリダイゼーションから生じる、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の鎖の解離である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記標的の前記第1のオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分への前記ハイブリダイゼーションから形成される二本鎖の二重構造の融解温度(Tm)未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記二本鎖の二重構造は、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記二本鎖の二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記二本鎖の二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記標的の前記第1のオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分への前記ハイブリダイゼーションから形成される二本鎖の二重構造の融解温度(Tm)未満であり、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記二本鎖の二重構造が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記二本鎖の二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分の前記Tm未満であり、
-前記第2の温度が、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記二本鎖の二重構造、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項11】
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記標的の前記第1のオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分への前記ハイブリダイゼーションから形成される二本鎖の二重構造の融解温度(Tm)未満、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記二本鎖の二重構造が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記二本鎖の二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記二本鎖の二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項12】
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記標的の前記第1のオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分への前記ハイブリダイゼーションから形成される二本鎖の二重構造の融解温度(Tm)未満、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分の
Tm超であるTmを有し、
-前記二本鎖の二重構造は、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分及び前記二本鎖の二重構造のTm未満、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第2の温度が、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、前記二本鎖の二重構造、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度超である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項13】
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmが、前記二本鎖の二重構造のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmが、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-前記第1の温度が、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び/若しくは前記二本鎖の二重構造のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-前記第2の温度が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-前記第2の温度が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、請求項7~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、
ハイブリダイズしたヌクレオチドの二本鎖ステム部分であって、その対向鎖が、ハイブリダイズしていないヌクレオチドの一本鎖ループ部分によって連結され、その全て又は一部が、前記第1の標的に相補的である、二本鎖ステム部分、及び前記対向鎖のうちの1つから3’方向に延び、前記第1の標的の一部に相補的な配列で終端する第2の一本鎖部分と、
前記第1の標的の前記一部に相補的な、前記配列の前にあるブロッカー分子とを含む、ステムループオリゴヌクレオチドであり、
-前記混合物が、ポリメラーゼを更に含み、
-前記混合物を前記処理することが、
相補塩基対合によって、前記第2の一本鎖部分を前記第1の標的にハイブリダイズすることと、
前記ポリメラーゼ及び前記第1の標的を鋳型配列として使用して前記第2の一本鎖部分を伸長して、二本鎖核酸を提供することであって、前記ブロッカー分子は、前記ポリメラーゼが前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分を鋳型として使用して前記第1の標的を伸長することを防止する、提供することと、
前記二本鎖核酸を変性させ、前記ポリメラーゼによって伸長された前記第2の一本鎖部分を、相補塩基対合によって前記第1のオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分にハイブリダイズして、シグナル伝達二重構造を生成し、それにより、前記第1の検出部
分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、前記第1のオリゴヌクレオチドへの前記修飾を提供することと、を含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項15】
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記シグナル伝達二重構造が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記シグナル伝達二重構造が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記シグナル伝達二重構造、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記シグナル伝達二重構造が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記シグナル伝達二重構造が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分及び前記シグナル伝達二重構造のTm未満、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第2の温度が、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、前記シグナル伝達二重構造、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度超である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmが、前記シグナル伝達二重構造のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmが、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-前記第1の温度が、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び/若しくは前記シグナル伝達二重構造のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-前記第2の温度が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-前記第2の温度が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
-前記第1の検出部分がフルオロフォアであり、前記修飾が、クエンチャー分子からのその距離を増加させる、請求項5~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、前記クエンチャー分子を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
-前記フルオロフォア及び前記クエンチャー分子が、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の対向鎖上に位置する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、
ハイブリダイズしたヌクレオチドの第1の二本鎖部分を含み、その第1の鎖は、前記第1の標的の一部にハイブリダイズすることができる相補配列で終端する一本鎖部分に延び、前記第1の鎖は、前記相補配列の前にブロッカー分子を含み、
-前記混合物が、ポリメラーゼを更に含み、
-前記混合物を前記処理することが、
相補塩基対合によって、前記一本鎖部分の前記相補配列を前記第1の標的の一部にハイブリダイズすることと、
前記ポリメラーゼ及び前記第1の標的を鋳型配列として使用して前記相補配列を伸長して、第2の二本鎖部分を提供することであって、前記ブロッカー分子は、前記ポリメラーゼが前記第1の二本鎖部分の前記第1の鎖を鋳型として使用して前記第1の標的を伸長することを防止する、提供することと、
前記第1及び第2の二本鎖部分を変性させることと、
前記ポリメラーゼによって前記第1の二本鎖部分の前記第1の鎖に伸長された前記相補配列を、相補塩基対合によってハイブリダイズして、シグナル伝達二重構造を生成し、それにより、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、前記第1のオリゴヌクレオチドへの前記修飾を提供することとを含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項24】
-前記第1の二本鎖部分が、前記シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記シグナル伝達二重構造が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1の二本鎖部分、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1の二本鎖部分、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
-前記第1の二本鎖部分が、前記シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記シグナル伝達二重構造が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1の二本鎖部分、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記第1の二本鎖部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記シグナル伝達二重構造、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
-前記第1の二本鎖部分が、前記シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記シグナル伝達二重構造が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1の二本鎖部分、前記無傷ス
テムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1の二本鎖部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
-前記第1の二本鎖部分が、前記シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記シグナル伝達二重構造が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記第1の二本鎖部分及び前記シグナル伝達二重構造のTm未満、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第2の温度が、前記第1の二本鎖部分、前記シグナル伝達二重構造、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度超である、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
-前記第1の二本鎖部分のTmが、前記シグナル伝達二重構造のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmが、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-前記第1の温度が、前記第1の二本鎖部分、及び/若しくは前記シグナル伝達二重構造のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-前記第2の温度が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-前記第2の温度が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、請求項23~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
-前記第1の検出部分がフルオロフォアであり、前記修飾が、クエンチャー分子からのその距離を増加させる、請求項23~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、前記クエンチャー分子を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
-前記フルオロフォア及び前記クエンチャー分子が、第1の二本鎖部分の対向鎖上に位置する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記混合物が、
前記第1の標的における第1の配列に相補的な第1のプライマーと、
前記第1の配列とは異なる、前記第1の標的における第2の配列に相補的な成分、及び前記第1の標的に相補的ではないタグ部分を含む、第2のオリゴヌクレオチドと、
エキソヌクレアーゼ活性を含む第1のポリメラーゼと、
任意選択で第2のポリメラーゼとを更に含み、
-前記混合物を前記処理することが、
前記第1のプライマー及び前記第2のオリゴヌクレオチドを前記第1の標的にハイブリダイズするのに好適な条件と、
前記第1のポリメラーゼ及び前記標的を鋳型として使用して前記第1のプライマーを伸長し、それにより前記タグ部分を切断することと、
相補塩基対合によって、前記切断されたタグ部分を前記第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることと、
前記第1又は第2のポリメラーゼ及び前記第1のオリゴヌクレオチドを鋳型として使用して前記タグ部分を伸長し、前記第1のオリゴヌクレオチドを含む二本鎖配列を生成し、それにより前記修飾を前記第1のオリゴヌクレオチドに提供し、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にすることとを含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項33】
-前記二本鎖配列が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記二本鎖配列、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記二本鎖配列、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
-前記二本鎖配列が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記二本鎖配列、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記二本鎖配列、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
-前記二本鎖配列が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記二本鎖配列、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記二本鎖配列、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチド
の前記ステム部分のTm超、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満である、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
-前記二本鎖配列が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記二本鎖配列のTm未満、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第2の温度が、前記二本鎖配列、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度超である、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmが、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-前記第1の温度が、前記二本鎖配列のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-前記第2の温度が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-前記第2の温度が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、フルオロフォア及びクエンチャー分子を含み、
-前記タグ部分を前記伸長することが、前記フルオロフォアと前記クエンチャー分子との間の距離を増加させる、請求項32~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、前記標的の第1の部分に相補的であり、
-前記混合物が、前記第1の標的の第2の部分に相補的な更なるオリゴヌクレオチドを更に含み、前記第1の標的の前記第1及び第2の部分は、互いに隣接するが重複せず、
-前記混合物を前記処理することが、
(iii)相補塩基対合によって前記第1のオリゴヌクレオチドを前記標的にハイブリダイズすることによる第1の二本鎖成分、及び
(iv)相補塩基対合によって前記更なるオリゴヌクレオチドを前記標的にハイブリダイズすることによる第2の二本鎖成分を含む二重構造構造を形成し、
それにより、前記第1及び更なるオリゴヌクレオチドを近接させ、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、前記第1のオリゴヌクレオチドへの前記修飾を提供することを含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項40】
-前記二重構造構造が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記二重構造構造、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記二重構造構造、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmが、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-前記第1の温度が、前記二重構造構造のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-前記第2の温度が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-前記第2の温度が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項42】
-前記第1の検出可能な部分がフルオロフォアであり、前記更なるオリゴヌクレオチドがクエンチャーを含み、
-前記二重構造構造を前記形成することが、更に前記フルオロフォア及びクエンチャーを近接させ、
-前記検出可能なシグナルが、前記第1の検出部分によって提供される蛍光の減少である、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記第1の検出部分が、前記第1のオリゴヌクレオチドが結合している、ナノ粒子、金属ナノ粒子、貴金属ナノ粒子、アルカリ金属ナノ粒子、金ナノ粒子、又は銀ナノ粒子であり、
-前記混合物を前記処理することが、
前記第1の標的を前記第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、それにより、前記第1の検出部分が前記試料中の前記第1の標的の存在を示す第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、前記第1のオリゴヌクレオチドへの前記修飾を誘導することを含み、
前記第1の検出可能なシグナルは、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記修飾後に前記第1の検出部分から生じる、
(i)屈折率の変化、
(ii)色の変化、及び/又は
(iii)吸収スペクトルの変化
である、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項44】
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記第1の検出部分が、前記第1のオリゴヌクレオチドが結合している電気化学的薬剤であり、
-前記混合物を前記処理することが、
前記第1の標的を前記第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、それにより、前記第1の検出部分が前記試料中の前記第1の標的の存在を示す第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、前記第1のオリゴヌクレオチドへの前記修飾を誘導又は
促進することを含み、
前記第1の検出可能なシグナルは、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記修飾後の前記第1の検出部分から生じる電気化学的シグナルの変化である、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項45】
-前記電気化学的薬剤が、ナノ粒子、メチレンブルー、トルエンブルー、オラセットブルー、ヘキスト33258、[Ru(phen)3]2+、フェロセン、及び/又はダウノマイシンのうちのいずれか1つ以上から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
-前記第1の検出部分が、前記第1のオリゴヌクレオチドが結合している、ナノ粒子、金属ナノ粒子、貴金属ナノ粒子、アルカリ金属ナノ粒子、金ナノ粒子、又は銀ナノ粒子であり、
-前記第1の検出可能なシグナルが、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記修飾後に前記第1の検出部分から生じる、
(i)屈折率の変化、
(ii)色の変化、及び/又は
(iii)吸収スペクトルの変化
である、請求項5~19、23~28、32~37、及び39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
-前記第1の検出部分が、前記第1のオリゴヌクレオチドが結合している電気化学的薬剤であり、
-前記第1の検出可能なシグナルが、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記修飾後の前記第1の検出部分から生じる電気化学的シグナルの変化である、請求項5~19、23~28、32~37、及び39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
-前記電気化学的薬剤が、ナノ粒子、メチレンブルー、トルエンブルー、オラセットブルー、ヘキスト33258、[Ru(phen)3]2+、フェロセン、及び/又はダウノマイシンのうちのいずれか1つ以上から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
-前記第2の検出部分が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドが結合している、ナノ粒子、金属ナノ粒子、貴金属ナノ粒子、アルカリ金属ナノ粒子、金ナノ粒子、又は銀ナノ粒子であり、
-前記第2の検出可能なシグナルが、解離する前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の前記鎖から生じる、
(i)屈折率の変化、
(ii)色の変化、及び/又は
(iii)吸収スペクトルの変化
である、請求項43~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
-前記第2の検出部分が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドが結合している電気化学的薬剤であり、
-前記第2の検出可能なシグナルが、解離する前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の前記鎖から生じる電気化学的シグナルの変化である、請求項43~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
-前記電気化学的薬剤が、ナノ粒子、メチレンブルー、トルエンブルー、オラセットブルー、ヘキスト33258、[Ru(phen)3]2+、フェロセン、及び/又はダウノマイシンのうちのいずれか1つ以上から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
-前記第2の検出部分がフルオロフォアであり、
-解離する分割ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の前記鎖によって提供される第2の検出可能なシグナルが、クエンチャー分子からのフルオロフォアの距離を増加させる、請求項20~22、29~31、38及び42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
-前記フルオロフォア及び前記クエンチャー分子が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の対向鎖上に位置する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
-前記第1の検出可能なシグナルの生成は、可逆的ではなく、
-前記第1のオリゴヌクレオチドへの前記修飾は、前記第1の検出部分が、前記第1の温度以下で前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にし、
-前記第1の温度以下で提供される前記第1の検出可能なシグナルは、前記第2の温度で検出可能なままである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
-パート(c)が、
(i)第1の温度の1℃、2℃、3℃、4℃、若しくは5℃以内の第1のバックグラウンドシグナル、及び第2の温度の1℃、2℃、3℃、4℃、若しくは5℃以内の第2のバックグラウンドシグナル、並びに/又は
(ii)第3の温度での第3のバックグラウンドシグナル
を測定することを含み、これらは混合物中、又は対照混合物中の第1及び第2の検出部分によって提供され、
-パート(d)が、前記処理中又は処理後の1つ以上の時点で、
(i)前記第1又は第3のバックグラウンドシグナルとは異なる、前記修飾から生じる第1の検出可能なシグナルが、前記第1の温度で生成されるかどうかを決定することであって、
前記第1の温度において、前記第2の検出可能なシグナルが前記第1又は第3のバックグラウンドシグナルと異ならず、
前記第1の検出可能なシグナルと前記第1又は第3のバックグラウンドシグナルとの間の差の検出が、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記修飾及び前記試料中の前記第1の標的の存在を示す、決定することと、
(ii)前記第2又は第3のバックグラウンドシグナルとは異なり、前記試料中の前記第2の標的の存在を示す第2の検出可能なシグナルが、前記第2の温度で生成されるかどうかを決定することとを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
-第1の標的が前記試料中に存在する場合、第2の検出可能なシグナルが前記第2の温度で生成されるかどうかを前記決定することが、前記第2の検出可能なシグナルを測定する際に存在する前記第1の検出可能なシグナルを補償することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
-前記第1のバックグラウンドシグナルとは異なる前記第1のシグナルが生成され、
-前記第2のバックグラウンドシグナルとは異なる前記第2のシグナルが生成され、
-前記第1の検出可能なシグナルが前記第1のバックグラウンドシグナルと異なるよりも大きい程度まで、前記第2の検出可能なシグナルが前記第2のバックグラウンドシグナルと異なり、
それにより前記第2の標的が前記試料中に存在することを示す、請求項55又は56に記載の方法。
【請求項58】
-前記第1の温度が、前記第2の温度、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分のTm、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム
部分のTm未満である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
-前記第1の温度が、前記第2の温度、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも高い、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
-前記第3のバックグラウンドシグナルとは異なる前記第1のシグナルが生成され、
-前記第3のバックグラウンドシグナルとは異なる前記第2のシグナルが生成され、
-前記第1のシグナルが前記第3のバックグラウンドシグナルと異なるよりも大きい程度まで、前記第2のシグナルが前記第3のバックグラウンドシグナルと異なり、
それにより前記第2の標的が前記試料中に存在することを示す、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
-前記第2の温度が、前記第1の温度よりも高く、
-前記第3の温度が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分のTmよりも低く、
-前記第3のバックグラウンドシグナルとは異なる前記第1の検出可能なシグナルが生成され、
-前記第3のバックグラウンドシグナルとは異なる前記第2の検出可能なシグナルが生成され、
-前記第1のシグナルが前記第3のバックグラウンドシグナルと異なるよりも大きい程度まで、前記第2の検出可能なシグナルが前記第3のバックグラウンドシグナルと異なり、
それにより前記第2の標的が前記試料中に存在することを示す、請求項55に記載の方法。
【請求項62】
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmが、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満である、請求項55~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmが、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-前記第1の温度が、前記第2の温度よりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-前記第1の温度が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-前記第2の温度が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-前記第2の温度が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
-前記第3のバックグラウンドシグナルを測定することを含み、前記第3の温度が前記
第2の温度未満である、請求項62又は63に記載の方法。
【請求項65】
-前記第3の温度が、前記第2の温度よりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmが、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度超、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第2の温度が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満である、請求項55~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmが、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-前記第1の温度が、前記第2の温度よりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-前記第1の温度が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-前記第1の温度が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-前記第2の温度が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-前記第2の温度が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、多成分核酸酵素(MNAザイム)の基質であり、
-前記混合物が、
前記第1の標的が前記試料中に存在する場合、前記第1のオリゴヌクレオチドを切断することができるMNAザイムを更に含み、
-前記混合物を前記処理することが、
前記MNAザイムを前記第1の標的に結合させ、前記MNAザイムの基質アームを、前記第1のオリゴヌクレオチドの切断を促進する相補塩基対合によって前記第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、それにより前記修飾を前記第1のオリゴヌクレオチドに提供し、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にすることを更に含む、請求項54~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記反応混合物を前記処理することが、
-相補塩基対合によって、前記第1の標的を前記MNAザイムのセンサーアームにハイブリダイズして、それにより前記MNAザイムの集合を促進することを更に含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
-前記第1のオリゴヌクレオチドがアプタザイムの基質であり、
-前記第1の標的が、分析物、タンパク質、化合物、又は分子であり、
-前記混合物が、前記第1の標的に結合することができるアプタマーを含むアプタザイムを更に含み、
-前記混合物を前記処理することが、
前記アプタザイムを前記第1の標的及び前記第1のオリゴヌクレオチドに結合させて、前記第1のオリゴヌクレオチドの切断を促進し、それにより前記修飾を前記第1のオリゴヌクレオチドに提供し、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを生成することを可能にすることを更に含む、請求項54~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、前記第1の標的に相補的である配列を含み、
-前記混合物が、
前記第1の標的の一部に相補的なプライマー、及び
エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを更に含み、
-前記混合物を前記処理することが、
相補塩基対合によって、前記プライマーを前記第1の標的にハイブリダイズすることと、
相補塩基対合によって、前記第1のオリゴヌクレオチドを前記第1の標的にハイブリダイズすることと、
前記ポリメラーゼ及び前記第1の標的を鋳型配列として使用して前記プライマーを伸長し、それにより前記第1のオリゴヌクレオチドを消化し、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを生成することを可能にする、前記第1のオリゴヌクレオチドへの前記修飾を提供することと、を含む、請求項54~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記混合物が、
前記第1の標的を含む二本鎖の二重構造を消化することができる制限エンドヌクレアーゼを更に含み、
-前記混合物を前記処理することが、
相補塩基対合によって、前記第1のオリゴヌクレオチドを前記第1の標的にハイブリダイズし、それにより二本鎖の二重構造を形成することと、
前記制限エンドヌクレアーゼを使用して前記二重構造を消化し、それにより前記修飾を前記第1のオリゴヌクレオチドに提供し、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にすることと、を含む、請求項54~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
-前記制限エンドヌクレアーゼが、前記二本鎖の二重構造の鎖と会合し、それを切断することができるニッキングエンドヌクレアーゼであり、前記鎖は、前記第1のオリゴヌクレオチドの全て又は一部を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
-前記混合物が、触媒活性に補因子を必要とするDNAザイム又はリボザイムを更に含み、
-前記混合物の前記処理が、
前記補因子を前記DNAザイム又はリボザイムに結合させて触媒活性化すること、
相補塩基対合によって、前記DNAザイム又はリボザイムを前記第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすること、及び
前記DNAザイム又はリボザイムを触媒活性化し、それにより前記第1のオリゴヌクレオチドを消化し、それにより前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、前記第1のオリゴヌクレオチドへの前記修飾を提供すること
のために好適な条件を使用することを含み、
前記第1の標的が前記補因子である、請求項54~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記補因子が、金属イオン、又はMg
2+、Mn
2+、Ca
2+、Pb
2+から選択される金属イオンである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
-前記第1の検出部分がフルオロフォアであり、前記第1のオリゴヌクレオチドへの前記修飾が、クエンチャー分子からの前記フルオロフォアの距離を増加させる、請求項54~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、前記クエンチャー分子を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
-前記第2の検出部分がフルオロフォアであり、
-解離する前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の前記鎖によって提供される前記第2の検出可能なシグナルが、クエンチャー分子からの前記フルオロフォアの距離を増加させる、請求項76又は77に記載の方法。
【請求項79】
-前記フルオロフォア及び前記クエンチャー分子が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の対向鎖上に位置する、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
-前記第1の検出部分が、前記第1のオリゴヌクレオチドが結合している、ナノ粒子、金属ナノ粒子、貴金属ナノ粒子、アルカリ金属ナノ粒子、金ナノ粒子、又は銀ナノ粒子であり、
-前記第1の検出可能なシグナルが、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記修飾後に前記第1の検出部分から生じる、
(i)屈折率の変化、
(ii)色の変化、及び/又は
(iii)吸収スペクトルの変化
である、請求項54~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
-前記第1の検出部分が、前記第1のオリゴヌクレオチドが結合している電気化学的薬剤であり、
-前記第1の検出可能なシグナルが、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記修飾後の前記第1の検出部分から生じる電気化学的シグナルの変化である、請求項54~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
-前記電気化学的薬剤が、ナノ粒子、メチレンブルー、トルエンブルー、オラセットブルー、ヘキスト33258、[Ru(phen)3]2+、フェロセン、及び/又はダウノマイシンのうちのいずれか1つ以上から選択される、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
-前記第2の検出部分が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドが結合している、ナノ粒子、金属ナノ粒子、貴金属ナノ粒子、アルカリ金属ナノ粒子、金ナノ粒子、又は銀ナノ粒子であり、
-前記第2の検出可能なシグナルが、解離する前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の前記鎖から生じる、
(i)屈折率の変化、
(ii)色の変化、及び/又は
(iii)吸収スペクトルの変化
である、請求項80~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
-前記第2の検出部分が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドが結合している電気化学的薬剤であり、
-前記第2の検出可能なシグナルが、解離する前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の前記鎖から生じる電気化学的シグナルの変化である、請求項80~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
-前記電気化学的薬剤が、ナノ粒子、メチレンブルー、トルエンブルー、オラセットブルー、ヘキスト33258、[Ru(phen)3]2+、フェロセン、及び/又はダウノマイシンのうちのいずれか1つ以上から選択される、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドが、前記第1の酵素による前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドの前記消化中に、前記第2の標的にハイブリダイズしていない、請求項1~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
-前記第1の酵素が第1のMNAザイムであり、
-前記混合物を前記処理することが、
前記第1のMNAザイムを前記第2の標的に結合させ、前記第1のMNAザイムの基質アームを前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ループ部分にハイブリダイズして、それにより、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドを消化し、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドを提供することを含む、請求項1~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
-前記第2の標的が核酸配列であり、
-前記混合物を前記処理することが、
-相補塩基対合によって、前記第2の標的を前記第1のMNAザイムの前記センサーアームにハイブリダイズして、それにより前記第1のMNAザイムの集合を促進することを更に含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
-前記第2の標的が、分析物、タンパク質、化合物、又は分子であり、
-前記第1の酵素が、前記第2の標的に結合することができるアプタマーを含むアプタザイムであり、
-前記アプタマーへの前記第2の標的の結合が、前記第1の酵素を触媒活性化することができる、請求項1~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
-前記第1の酵素が、アプタ-DNAザイム、アプタ-リボザイム、アプタ-MNAザイムのうちのいずれか1つである、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
-前記第2の標的が、分析物、タンパク質、化合物、又は分子であり、
-前記第1のオリゴヌクレオチドがアプタザイムの基質であり、
-前記第1の酵素が、前記第2の標的に結合することができるアプタマー部分と、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドを消化することができる核酸酵素部分とを含むアプタザイムであり、
-前記混合物を前記処理することが、
前記第2の標的を前記アプタザイムの前記アプタマー部分に結合させ、前記核酸酵素部分の触媒活性の活性化を促進し、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドを前記活性核酸酵素部分にハイブリダイズして、それにより、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドを消化することを更に含む、請求項1~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
-前記第2の標的が核酸配列であり、
-前記第1の酵素が第1の制限エンドヌクレアーゼであり、前記混合物を前記処理することが、
相補塩基対合によって前記第2の標的を前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分にハイブリダイズして、前記第1の制限エンドヌクレアーゼが前記一本鎖ループ部分の前記1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドに会合し、それを消化するための二本鎖配列を形成して、それにより、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成するのに好適な条件を使用することを含む、請求項1~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
-前記第1の制限エンドヌクレアーゼが、前記第1の制限エンドヌクレアーゼの前記二本鎖配列の鎖と会合し、それを切断することができる第1のニッキングエンドヌクレアーゼであり、前記鎖は、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分の全て又は一部を含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
-前記第1の酵素が、エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを含み、
-前記混合物を前記処理することが、
相補塩基対合によって前記第2の標的を前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分にハイブリダイズして、前記第2の標的の一部を含む第1の二本鎖配列を形成し、
第1のプライマーオリゴヌクレオチドを前記第2の標的にハイブリダイズして、前記第2の標的の前記一部を含む前記第1の二本鎖配列に対して上流に位置する第2の二本鎖配列を形成し、
エキソヌクレアーゼ活性を有する前記ポリメラーゼを使用し、前記第2の標的を鋳型配列として使用して前記プライマーを伸長させるのに好適な条件を使用することを含み、
エキソヌクレアーゼ活性を含む前記第1のポリメラーゼは、前記第1の二本鎖配列の前記一本鎖ループ部分を消化し、それにより、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成する、請求項1~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
-前記第1の酵素がエキソヌクレアーゼであり、
-前記混合物を前記処理することが、
相補塩基対合によって前記第2の標的を前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分にハイブリダイズして、前記第2の標的の一部を含む第1の二本鎖配列を形成し、
エキソヌクレアーゼ活性を含む前記第1の酵素を、前記第2の標的を含む前記二本鎖配列と会合させ、
エキソヌクレアーゼ活性を含む前記第1の酵素を触媒活性化し、前記第2の標的を含む前記第1の二本鎖配列の前記一本鎖ループ部分を消化させ、それにより、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成するのに好適な条件を使用することを含む、請求項1~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
-前記第1の酵素が、触媒活性に補因子を必要とするDNAザイム又はリボザイムであり、前記混合物を前記処理することが、
-前記補因子を前記第1の酵素に結合させて触媒活性化し、
-相補塩基対合によって、前記DNAザイム又はリボザイムを前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分にハイブリダイズし、
-前記DNAザイム又はリボザイムを触媒活性化し、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分の1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドを
消化し、それにより、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成するのに好適な条件を使用することを含み、
前記第2の標的が前記補因子である、請求項1~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記補因子が、金属イオン、又はMg
2+、Mn
2+、Ca
2+、Pb
2+から選択される金属イオンである、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
-前記第1の標的が前記第2の標的とは異なり、かつ/又は
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分内にない配列を含むか、若しくはそれからなる、請求項1~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
-前記第1の酵素が前記第2の標的を消化しない、請求項1~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
-前記酵素のいずれも、前記第1の標的及び/又は前記第2の標的を消化しない、請求項1~71、74~91、又は94~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
-前記第1の温度が、前記第2の温度と1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、又は60℃超だけ異なる、請求項1~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記決定することが、
-前記処理中の1つ以上の時点、又は
-前記処理中の1つ以上の時点及び前記処理後の1つ以上の時点での、前記第1の検出可能なシグナル及び/又は任意の前記バックグラウンドシグナルの検出を含む、請求項1~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記決定することが、
-前記処理後の1つ以上の時点での、前記第1の検出可能なシグナル及び/又は任意の前記バックグラウンドシグナルの検出を含む、請求項1~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記決定することが、
-前記処理中の1つ以上の時点、又は
-前記処理中の1つ以上の時点及び前記処理後の1つ以上の時点での、前記第2の検出可能なシグナル及び/又は任意の前記バックグラウンドシグナルの検出を含む、請求項1~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記決定することが、
-前記処理後の1つ以上の時点での、前記第2の検出可能なシグナル及び/又は任意の前記バックグラウンドシグナルの検出を含む、請求項1~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
-前記第1及び第2の標的の存在又は不在を前記決定することが、融解曲線分析を含む、請求項1~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
-前記第1及び第2の標的の存在又は不在を前記決定することが、前記第1及び第2の検出可能なシグナル並びに任意選択で前記第1及び第2のバックグラウンドシグナルを含
む融解曲線分析を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項108】
-前記第1及び第2の標的の存在又は不在を前記決定することが、前記第1及び第2の検出可能なシグナル並びに任意選択で前記第1及び第2のバックグラウンドシグナル、又は、
-前記第1及び第2の検出可能なシグナル並びに任意選択で前記第3のバックグラウンドシグナルを含む融解曲線分析を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項109】
-前記第1の標的及び/又は前記第2の標的が、核酸のアンプリコンである、請求項1~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
-前記第1の標的が核酸であり、かつ/又は前記第2の標的が核酸であり、
-前記混合物が、前記第1及び/又は第2の標的を増幅するための試薬を更に含み、
-前記混合物を前記処理することが、前記第1及び/又は第2の標的の増幅を行うのに好適な条件を更に含む、請求項1~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
-前記増幅が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、ニッキング酵素増幅反応(NEAR)、ヘリカーゼ依存的増幅(HDA)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、ローリングサークル増幅(RCA)、転写媒介増幅(TMA)、自家持続配列複製(3SR)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)若しくは分岐増幅方法(RAM)、及び/又は逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)のうちのいずれか1つ以上である、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記決定することが、
-前記増幅の前に、又は前記増幅の開始の1、2、3、4、若しくは5サイクル以内に行われる、及び/あるいは
-前記増幅の完了後に行われる、請求項110又は111に記載の方法。
【請求項113】
前記決定することが、
-前記増幅の前に、又は前記増幅の開始の1、2、3、4、若しくは5分以内に行われる、及び/あるいは
-前記増幅の完了後に行われる、請求項110~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
前記決定することが、
-前記増幅の前の第1の時点で、かつ
-前記増幅の完了後の第2の時点で行われる、請求項110~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
-前記増幅方法がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)であり、
-前記決定することが、複数のサイクルで、任意選択で各サイクルで行われる、請求項110~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
-前記増幅の前及び/若しくは前記反応物の前記処理の前に前記第1の温度で生成された陽性対照シグナルを使用して、前記増幅の間若しくはその後の時点で測定された前記第1の温度での前記第1の検出可能なシグナルを正規化すること、並びに/又は
-前記増幅の前及び/若しくは前記反応物の前記処理の前に前記第2の温度で生成された陽性対照シグナルを使用して、前記増幅の間若しくはその後の時点で測定された前記第2の温度での前記第2の検出可能なシグナルを正規化することを更に含む、請求項110又は111に記載の方法。
【請求項117】
-前記増幅の前及び/若しくは前記反応物の前記処理の前に第1の温度で前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドによって生成された検出可能なシグナルを使用して、前記第1の検出可能なシグナルを正規化すること、並びに/又は
-前記増幅の前及び/若しくは前記反応物の前記処理の前に追加の温度で前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドによって生成された検出可能なシグナルを使用して、前記第2の検出可能なシグナルを正規化することを更に含み、
前記追加の温度は、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドのTm超である、請求項110又は111に記載の方法。
【請求項118】
-既知の濃度の前記第1の標的及び/又は既知の濃度の前記修飾後の前記第1のオリゴヌクレオチドを使用して、第1の標的陽性対照シグナルを生成することを更に含む、請求項1~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
-前記第1の標的を含む別個の対照試料に対して前記方法を反復することによって、第1の標的陽性対照シグナルを生成することを更に含む、請求項1~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
-前記第1の標的を含む前記別個の対照試料が、既知の濃度の前記第1の標的を含む、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
-前記第1の標的を含む前記別個の対照試料が、前記第2の標的を更に含む、請求項119又は120に記載の方法。
【請求項122】
-既知の濃度の前記第2の標的及び/又は既知の濃度の前記修飾後の前記ステムループオリゴヌクレオチドを使用して、第2の標的陽性対照シグナルを生成することを更に含む、請求項1~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
-前記第2の標的を含む別個の対照試料に対して前記方法を反復することによって、第2の標的陽性対照シグナルを生成することを更に含む、請求項1~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
-前記第2の標的を含む前記対照試料が、既知の濃度の前記第2の標的を含む、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
-前記第2の標的を含む前記対照試料が、前記第1の標的を更に含む、請求項123又は124に記載の方法。
【請求項126】
-前記第1の標的及び前記第2の標的を含む別個の対照試料に対して前記方法を反復することによって、組み合わされた陽性対照シグナルを生成することを更に含む、請求項1~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
-前記組み合わされた対照試料が、既知の濃度の前記第1の標的及び/又は既知の濃度の前記第2の標的を含む、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
-任意の前記陽性対照シグナルを使用して、前記第1の検出可能なシグナル及び/又は前記第2の検出可能なシグナルを正規化することを更に含む、請求項116~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
(i)前記第1の標的、又は
(ii)前記第2の標的、又は
(iii)前記第1の標的若しくは前記第2の標的を含有しない別個の陰性対照試料に対して、請求項1~115のいずれか一項に記載の方法を反復することによって、陰性対照シグナルのレベルを評価することを更に含む、請求項116~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
-前記陰性対照シグナルを使用して、前記第1の検出可能なシグナル及び/又は前記第2の検出可能なシグナルを正規化することを更に含む、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
-任意の前記対照シグナルが、蛍光対照シグナルである、請求項116~130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
前記第1及び/又は第2の検出可能なシグナルを閾値と比較することを更に含み、
-前記閾値は、請求項1~115のいずれか一項に記載の方法に従って試験された一連の試料又はその誘導体に由来する検出可能なシグナルを使用して生成され、
(i)鋳型なし対照及び前記第1の標的
(ii)鋳型なし対照及び前記第2の標的
(iii)鋳型なし対照、前記第1の標的、及び前記第2の標的
のうちのいずれか1つ以上を含み、それにより、前記試料中の前記第1及び第2の標的の前記存在又は不在を決定する、請求項1~131のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
-前記一連の試料又はその誘導体が、既知の濃度の前記第1のオリゴヌクレオチド及び/又は既知の濃度の前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドを使用して試験される、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
-前記試料が、対象から得られた生物学的試料である、請求項1~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
-前記方法が、インビトロで実行される、請求項1~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
-前記方法が、エクスビボで実行される、請求項1~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
-前記第1及び第2の検出可能な部分が、可視スペクトルの同じ色領域で発光する、請求項1~136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
-第1の標的を検出するための第1のオリゴヌクレオチドであって、前記第1の標的は核酸であり、前記第1のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部に相補的である、第1のオリゴヌクレオチドと、
-第1の検出部分であって、
前記第1の検出部分が、前記第1のオリゴヌクレオチドの修飾時に、第1の検出可能なシグナルを生成することができ、
前記修飾が、相補塩基対合による前記第1の標的の前記第1のオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションによって誘導される、第1の検出部分と、
-第2の標的の検出のための無傷ステムループオリゴヌクレオチドであって、ハイブリダイズしたヌクレオチドの二本鎖ステム部分を含み、その対向鎖は、ハイブリダイズしていないヌクレオチドの破壊されていない一本鎖ループ部分によって連結され、前記二本鎖ステム部分の少なくとも1つの鎖は、第2の検出部分を含む、無傷ステムループオリゴヌクレオチドと、
-前記第2の標的が前記試料中に存在する場合にのみ、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ハイブリダイズしていないヌクレオチドのうちの1つ以上を消化し、それにより前記一本鎖ループ部分を破壊して分割ステムループオリゴヌクレオチドを提供することができる、第1の酵素と
を含む組成物であって、
-前記第2の検出部分は、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の解離時に、第2の検出可能なシグナルを生成することができ、
-前記第1及び第2の検出部分は、単一の種類の検出器を使用して、単一の温度では鑑別できない検出可能なシグナルを生成することができる、組成物。
【請求項139】
-前記第1の標的に相補的である前記第1のオリゴヌクレオチドの領域が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の各鎖に対して異なる融解温度(Tm)を有する、請求項138に記載の組成物。
【請求項140】
前記第1のオリゴヌクレオチドが、
前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の各鎖、及び
前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分とは配列が異なる、請求項138又は139に記載の組成物。
【請求項141】
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、対向鎖上のハイブリダイズしたヌクレオチドの二本鎖ステム部分を含み、その全て又は一部が前記第1の標的に相補的であるハイブリダイズしていないヌクレオチドの破壊されていない一本鎖ループ部分によって連結されたステムループオリゴヌクレオチドである、請求項138~140のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項142】
-相補塩基対合によって、前記第1の標的が前記第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされ、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分における鎖の解離を引き起こし、それにより、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、請求項141に記載の組成物。
【請求項143】
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、
ハイブリダイズしたヌクレオチドの二本鎖ステム部分であって、その対向鎖は、全て又は一部が前記第1の標的に相補的であるハイブリダイズしていないヌクレオチドの一本鎖ループ部分によって連結された、二本鎖ステム部分と、
前記対向鎖のうちの1つから3’方向に延び、前記第1の標的の一部に相補的な配列で終端する第2の一本鎖部分と、
前記第1の標的の前記一部に相補的な、前記配列の前にあるブロッカー分子とを含むステムループオリゴヌクレオチドである、請求項138~140のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項144】
-相補塩基対合によって、前記第1の標的がその前記第2の一本鎖部分にハイブリダイズされ、
前記組成物は、前記第1の標的を鋳型配列として使用して前記第2の一本鎖部分を伸長して、二本鎖核酸を提供することができるポリメラーゼを更に含み、前記ブロッカー分子は、前記ポリメラーゼが前記1つの対向鎖を鋳型として使用して前記第1の標的を伸長することを防止することができ、
前記二本鎖核酸を変性させると、前記ポリメラーゼによって伸長された前記第2の一本鎖部分は、相補塩基対合によって前記第1のオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分にハイブリダイズして、シグナル伝達二重構造を生成し、それにより、前記第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、請求項143に記載の
組成物。
【請求項145】
-前記第1の検出部分がフルオロフォアである、請求項141~144のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項146】
-前記第1のオリゴヌクレオチドがクエンチャー分子を含み、前記フルオロフォア及び前記クエンチャー分子が、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の対向鎖上に位置する、請求項145に記載の組成物。
【請求項147】
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、
ハイブリダイズしたヌクレオチドの第1の二本鎖部分を含み、その第1の鎖は、前記第1の標的の一部にハイブリダイズすることができる相補配列で終端する一本鎖部分に延び、前記第1の鎖は、前記相補配列の前にブロッカー分子を含み、
-前記組成物がポリメラーゼを更に含む、請求項138~140のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項148】
相補塩基対合によって、前記第1の標的の一部が前記一本鎖部分の前記相補配列にハイブリダイズされ、
前記組成物が、前記第1の標的を鋳型配列として使用して前記相補配列を伸長して、第2の二本鎖部分を提供することができるポリメラーゼを更に含み、前記ブロッカー分子は、前記ポリメラーゼが前記一本鎖部分を鋳型として使用して前記第1の標的を伸長することを防止し、
前記第1及び第2の二本鎖部分が変性すると、前記ポリメラーゼによって伸長された前記相補配列は、相補塩基対合によって前記第1の二本鎖部分の前記第1の鎖にハイブリダイズして、シグナル伝達二重構造を生成し、それにより、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にすることができる、請求項147に記載の組成物。
【請求項149】
-前記第1の検出部分がフルオロフォアであり、前記修飾が、クエンチャー分子からのその距離を増加させる、請求項147又は148に記載の組成物。
【請求項150】
-前記第1のオリゴヌクレオチドがクエンチャー分子を含み、前記フルオロフォア及び前記クエンチャー分子が、前記第1の二本鎖部分の対向鎖上に位置する、請求項149に記載の組成物。
【請求項151】
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、前記標的の第1の部分に相補的であり、
-前記組成物が、前記第1の標的の第2の部分に相補的な追加のオリゴヌクレオチドを更に含み、前記第1の標的の前記第1及び第2の部分は、互いに隣接するが重複せず、それぞれ、前記第1の標的にハイブリダイズして、
(iii)前記第1のオリゴヌクレオチドを前記標的にハイブリダイズすることによる、又は相補塩基対合による第1の二本鎖成分、及び
(iv)相補塩基対合によって前記追加のオリゴヌクレオチドを前記標的にハイブリダイズすることによる第2の二本鎖成分を含む二重構造構造を形成し、
それにより、前記第1及び追加のオリゴヌクレオチドを近接させ、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にし得る、請求項138~140のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項152】
-前記第1の検出可能な部分がフルオロフォアであり、前記追加のオリゴヌクレオチドがクエンチャーを含み、
-前記二重構造構造を前記形成することが、更に前記フルオロフォア及びクエンチャー
を近接させ、
-前記検出可能なシグナルが、前記第1の検出部分によって提供される蛍光の減少である、請求項151に記載の組成物。
【請求項153】
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、相補塩基対合によって前記第1の標的にハイブリダイズされ、
-前記組成物が、
相補塩基対合によって前記第1の標的の一部にハイブリダイズしたプライマー、及び
前記第1の標的を鋳型配列として使用して前記プライマーを伸長し、それにより前記第1のオリゴヌクレオチドを消化し、前記第1のオリゴヌクレオチドを修飾して前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にし得る、エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを更に含む、請求項138~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
-前記第1の標的が、相補塩基対合によって前記第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされ、それにより二本鎖の二重構造を形成し、
-前記組成物が、前記第1の標的を含む二本鎖の二重構造を消化し、それにより前記第1のオリゴヌクレオチドを修飾し、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にし得る制限エンドヌクレアーゼを更に含む、請求項138~140のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項155】
-前記制限エンドヌクレアーゼが、前記二本鎖の二重構造の鎖と会合し、それを切断することができるニッキングエンドヌクレアーゼであり、前記鎖は、前記第1のオリゴヌクレオチドを含む、請求項154に記載の組成物。
【請求項156】
-前記第1の検出部分がフルオロフォアであり、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記修飾が、クエンチャー分子からの前記フルオロフォアの距離を増加させる、請求項153~155のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項157】
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、前記クエンチャー分子を含む、請求項156に記載の組成物。
【請求項158】
-第1の検出部分を含む第1の標的の検出のための第1のオリゴヌクレオチドであって、
前記第1の検出部分が、前記第1のオリゴヌクレオチドの修飾時に、第1の検出可能なシグナルを生成することができ、
前記修飾が、前記第1の標的によって誘導される、第1のオリゴヌクレオチドと、
-第2の標的の検出のための無傷ステムループオリゴヌクレオチドであって、ハイブリダイズしたヌクレオチドの二本鎖ステム部分を含み、その対向鎖は、ハイブリダイズしていないヌクレオチドの破壊されていない一本鎖ループ部分によって連結され、前記二本鎖ステム部分の少なくとも1つの鎖は、第2の検出部分を含む、無傷ステムループオリゴヌクレオチドと、
-前記第2の標的が前記試料中に存在する場合にのみ、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ハイブリダイズしていないヌクレオチドのうちの1つ以上を消化し、それにより前記一本鎖ループ部分を破壊して分割ステムループオリゴヌクレオチドを提供することができる、第1の酵素と
を含む組成物であって、
-前記第2の検出部分は、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の解離時に、第2の検出可能なシグナルを生成することができ、
-前記第1及び第2の検出部分は、単一の種類の検出器を使用して、単一の温度では鑑別できない検出可能なシグナルを生成することができる、組成物。
【請求項159】
前記第1のオリゴヌクレオチドが、
前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の各鎖、及び
前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分とは配列が異なる、請求項158に記載の組成物。
【請求項160】
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記組成物が、
前記第1の標的における第1の配列に相補的な第1のプライマーと、
前記第1の配列とは異なる、前記第1の標的における第2の配列に相補的な成分、及び前記第1の標的に相補的ではないタグ部分を含む、第2のオリゴヌクレオチドと、
エキソヌクレアーゼ活性を含む第1のポリメラーゼと、
任意選択で第2のポリメラーゼとを更に含む、請求項158又は159に記載の組成物。
【請求項161】
-前記第1のプライマー及び前記第2のオリゴヌクレオチドが、それぞれ相補塩基対合によって前記第1の標的にハイブリダイズされ、
前記第1のポリメラーゼは、前記標的を鋳型として使用して前記第1のプライマーを伸長し、それにより前記タグ部分を切断して、前記切断されたタグ部分が相補塩基対合により前記第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることを可能にし得、
前記第1のポリメラーゼ又は前記任意選択の第2のポリメラーゼは、前記第1のオリゴヌクレオチドを鋳型として使用して前記タグ部分を伸長し、前記第1のオリゴヌクレオチドを含む二本鎖配列を生成し、それにより前記第1のオリゴヌクレオチドを修飾し、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にし得る、請求項160に記載の組成物。
【請求項162】
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、フルオロフォア及びクエンチャー分子を含む、請求項160又は161に記載の組成物。
【請求項163】
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、フルオロフォア及びクエンチャー分子を含み、
-前記タグ部分を前記伸長することが、前記フルオロフォアと前記クエンチャー分子との間の距離を増加させる、請求項162に記載の組成物。
【請求項164】
-前記第1の標的が酵素触媒活性の補因子であり、
-前記組成物が、触媒活性に前記補因子を必要とするDNAザイム又はリボザイムを更に含み、
-DNAザイム又はリボザイムは、前記第1の標的に結合し、相補塩基対合によって前記第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、それにより前記第1のオリゴヌクレオチドを消化及び修飾し、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを生成することを可能にし得る、請求項158又は159に記載の組成物。
【請求項165】
前記補因子が、金属イオン、又はMg
2+、Mn
2+、Ca
2+、Pb
2+から選択される金属イオンである、請求項164に記載の組成物。
【請求項166】
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、多成分核酸酵素(MNAザイム)の基質であり、
-前記組成物が、前記第1の標的が前記試料中に存在する場合、前記第1のオリゴヌクレオチドを切断することができるMNAザイムを更に含み、
-前記MNAザイムは、前記第1の標的に結合し、その基質アームを介した相補塩基対
合によって前記第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができ、前記ハイブリダイゼーションは、前記第1のオリゴヌクレオチドの切断を促進し、それによりそれを修飾し、前記第1の検出部分が、前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、請求項158又は159に記載の方法。
【請求項167】
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記第1の標的が、相補塩基対合によって前記MNAザイムの前記センサーアームにハイブリダイズされ、それにより前記MNAザイムの集合を促進する、請求項166に記載の組成物。
【請求項168】
-前記第1の標的が、分析物、タンパク質、化合物、又は分子であり、
-前記第1のオリゴヌクレオチドがアプタザイムの基質であり、
-前記組成物が、前記第1の標的に結合することができるアプタマー部分と、前記第1のオリゴヌクレオチドを消化し、それによりそれを修飾して前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にし得る核酸酵素部分とを含むアプタザイムを更に含む、請求項158又は159に記載の組成物。
【請求項169】
-前記第1の標的が、前記アプタザイムの前記アプタマー部分に結合し、前記第1のオリゴヌクレオチドが、相補塩基対合によって前記活性核酸酵素部分にハイブリダイズして、前記第1のオリゴヌクレオチドの消化を促進し、それによりそれを修飾して、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、請求項168に記載の組成物。
【請求項170】
-前記第1の検出部分がフルオロフォアであり、前記第1のオリゴヌクレオチドを前記修飾することが、クエンチャー分子からの前記フルオロフォアの距離を増加させる、請求項166~169のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項171】
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、前記クエンチャー分子を含む、請求項170に記載の組成物。
【請求項172】
-前記第1の検出部分が、前記第1のオリゴヌクレオチドが結合している、ナノ粒子、金属ナノ粒子、貴金属ナノ粒子、アルカリ金属ナノ粒子、金ナノ粒子、又は銀ナノ粒子であり、
-前記第1の検出可能なシグナルが、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記修飾後に前記第1の検出部分から生じる、
(i)屈折率の変化、
(ii)色の変化、及び/又は
(iii)吸収スペクトルの変化
である、請求項138~144、147、148、151、153~155、158~161、及び164~169のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項173】
-前記第1の検出部分が、前記第1のオリゴヌクレオチドが結合している電気化学的薬剤であり、
-前記第1の検出可能なシグナルが、電気化学的シグナルの変化である、請求項172に記載の組成物。
【請求項174】
-前記電気化学的薬剤が、ナノ粒子、メチレンブルー、トルエンブルー、オラセットブルー、ヘキスト33258、[Ru(phen)3]2+、フェロセン、及び/又はダウノマイシンのうちのいずれか1つ以上から選択される、請求項173に記載の組成物。
【請求項175】
-前記第2の検出部分が、前記第2のオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の少なくとも1つの鎖が結合している、ナノ粒子、金属ナノ粒子、貴金属ナノ粒子、アルカリ金属ナノ粒子、金ナノ粒子、又は銀ナノ粒子であり、
-前記第2の検出可能なシグナルが、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の前記解離時に生じる、
(i)屈折率の変化、
(ii)色の変化、及び/又は
(iii)吸収スペクトルの変化
である、請求項172~174のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項176】
-前記第2の検出部分が、前記第2のオリゴヌクレオチドが結合している電気化学的薬剤であり、
-前記第2の検出可能なシグナルが、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の前記解離時に生じる電気化学的シグナルの変化である、請求項172~174のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項177】
-前記電気化学的薬剤が、ナノ粒子、メチレンブルー、トルエンブルー、オラセットブルー、ヘキスト33258、[Ru(phen)3]2+、フェロセン、及び/又はダウノマイシンのうちのいずれか1つ以上から選択される、請求項176に記載の組成物。
【請求項178】
-前記第2の検出部分がフルオロフォアであり、
-前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の解離時に前記第2の検出部分により提供される前記第2の検出可能なシグナルは、クエンチャー分子からの前記フルオロフォアの距離を増加させる、請求項145、146、149、150、152、156、157、162、163、170、及び171のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項179】
-前記フルオロフォア及び前記クエンチャー分子が、前記ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の対向鎖上に位置する、請求項178に記載の組成物。
【請求項180】
-前記第1の酵素が第1のMNAザイムであり、
-前記第1のMNAザイムが前記第2の標的に結合し、
-前記第1のMNAザイムの前記基質アームが、相補塩基対合により前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記単一ループ部分にハイブリダイズし、それにより、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドの消化を促進し、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドを提供する、請求項138~179のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項181】
-前記第2の標的又はが核酸配列であり、
-前記第2の標的が、相補塩基対合によって前記第1のMNAザイムの前記センサーアームにハイブリダイズされ、それにより前記第1のMNAザイムの集合を促進する、請求項180に記載の組成物。
【請求項182】
-前記第2の標的が、分析物、タンパク質、化合物、又は分子であり、
-前記第1の酵素が、前記第2の標的に結合することができるアプタマーを含むアプタザイムであり、
-前記アプタマーが前記第2の標的に結合しており、それにより前記第1の酵素を触媒活性化する、請求項138~179のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項183】
-前記第1の酵素が、アプタ-DNAザイム、アプタ-リボザイム、アプタ-MNAザ
イムのうちのいずれか1つである、請求項182に記載の組成物。
【請求項184】
-前記第2の標的が、分析物、タンパク質、化合物、又は分子であり、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分が、アプタザイムの基質であり、
-前記組成物が、前記第2の標的に結合することができるアプタマー部分と、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドを消化し、それにより、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成し得る核酸酵素部分とを含むアプタザイムを更に含む、請求項138~179のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項185】
-前記第2の標的が、前記アプタザイムの前記アプタマー部分に結合し、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分が、相補塩基対合により前記活性核酸酵素部分にハイブリダイズされ、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドの消化を促進し、それにより、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成する、請求項184に記載の組成物。
【請求項186】
-前記第2の標的が核酸配列であり、
-前記第1の酵素が第1の制限エンドヌクレアーゼであり、
-前記第2の標的が、相補塩基対合によって前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分にハイブリダイズされ、前記第1の制限エンドヌクレアーゼが前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドに会合し、それを消化するための二本鎖配列を形成して、それにより、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成する、請求項138~179のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項187】
-前記第1の制限エンドヌクレアーゼが、前記第1の制限エンドヌクレアーゼの前記二本鎖配列の鎖と会合し、それを切断することができる第1のニッキングエンドヌクレアーゼであり、前記鎖は、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドを含む、請求項186に記載の組成物。
【請求項188】
-前記第1の酵素が、エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを含み、
-前記第2の標的が、相補塩基対合によって前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分にハイブリダイズされ、前記第2の標的の一部を含む第1の二本鎖配列を形成し、
-前記組成物が、相補塩基対合によって前記第2の標的にハイブリダイズされて、前記第2の標的の前記一部を含む前記第1の二本鎖配列に対して上流に位置する第2の二本鎖配列を形成する第1のプライマーオリゴヌクレオチドを更に含み、
-前記プライマーが、エキソヌクレアーゼ活性を有する前記ポリメラーゼ、及び第2の標的を鋳型配列として使用して伸長されて、前記第1の二本鎖配列の前記一本鎖ループ部分を消化し、それにより、分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成し得る、請求項138~179のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項189】
-前記第1の酵素がエキソヌクレアーゼであり、
-前記第2の標的が、相補塩基対合によって前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分にハイブリダイズされ、前記第2の標的の一部を含む第1の二本鎖配列を形成し、それにエキソヌクレアーゼ活性を含む前記第1の酵素が会合し、それにより、前記第2の標的を含む前記第1の二本鎖配列の前記一本鎖ループ部分を消化して、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成し得る、請求項138~179のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項190】
-前記第1の酵素が、触媒活性に補因子を必要とするDNAザイム又はリボザイムであり、
-前記第2の標的が前記補因子であり、前記DNAザイム又はリボザイムに結合しており、
-前記DNAザイム又はリボザイムは、相補塩基対合により前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分にハイブリダイズされ、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分の前記1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドを消化させ、それにより、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成させる、請求項138~179のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項191】
前記補因子が、金属イオン、又はMg
2+、Mn
2+、Ca
2+、Pb
2+から選択される金属イオンである、請求項190に記載の組成物。
【請求項192】
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、Molecular Beacon(登録商標)、Scorpions(登録商標)プライマー、TaqMan(登録商標)プライマー、又はMNAザイム基質のうちのいずれか1つ以上から選択される、請求項138~150、153、156~158、166又は167のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項193】
-前記第1の標的及び/又は前記第2の標的が、核酸のアンプリコンである、請求項138~192のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、分子生物学の分野に関する。より具体的には、本発明は、標的核酸の検出及び/又は鑑別におけるオリゴヌクレオチド及びそれらを使用するための方法を提供する。オリゴヌクレオチド及び方法は、複数の標的を同時に増幅、検出、識別及び/又は定量する上で特定の用途を見出す。
【背景技術】
【0002】
遺伝子分析は、疾患リスクの評価、疾患の診断、患者の予後又は治療への応答の予測、及び患者の進行の監視のために、診療所において日常的になりつつある。そのような遺伝子検査の導入は、遺伝的変異を識別するための簡便で安価かつ迅速なアッセイの開発に依存する。
【0003】
インビトロ核酸増幅の方法は、遺伝学及び疾患診断において広く適用されている。そのような方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、鎖置換増幅(SDA)、ニッキング酵素増幅反応(NEAR)、ヘリカーゼ依存的増幅(HDA)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、ローリングサークル増幅(RCA)、転写媒介増幅(TMA)、自家持続配列複製(3SR)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)又は分岐増幅方法(RAM)を含む。これらの標的増幅戦略の各々は、オリゴヌクレオチドプライマーの使用を必要とする。増幅のプロセスは、5’末端にオリゴヌクレオチドプライマーを組み込み、プライマー間に位置する配列の新たに合成されたコピーを含有する、アンプリコンの指数関数的増幅をもたらす。
【0004】
アンプリコンの蓄積をリアルタイムで、又は増幅の終了時に監視するために一般的に使用される方法には、ユニバーサル基質プローブを有するMNAザイムを使用する検出、標的特異的分子ビーコン、スロッピービーコン、エクリプスプローブ、TaqManプローブ若しくは加水分解プローブ、Scorpionユニプローブ若しくはバイプローブ、キャッチャー/ピッチャープローブ、デュアルハイブリダイゼーションプローブ、及び/又はSybGreen等の挿入色素の使用が含まれる。異なる配列を有するアンプリコンは、融解温度又はTmとして知られている異なる温度で変性するため、これらのプロトコルのいくつかの最中又は終了時に高分解能融解曲線分析を実行して、追加の情報を得ることができる。そのようなプロトコルは、a)挿入色素の存在下での二本鎖アンプリコンの2本の鎖の分離、又はb)アンプリコンの1本の鎖並びにフルオロフォア及びクエンチャーで標識された相補的な標的特異的プローブの分離、又はc)非標的関連二重構造、例えば標的の存在下でのみ生成されるキャッチャー二重構造の分離のいずれかから生じる融解曲線を測定する。融解曲線分析は、加熱中の2本のDNA鎖の解離速度に関する情報を提供する。融解温度(Tm)は、DNAの50%が解離する温度である。Tmは、対合したヌクレオチドの長さ、配列組成、及びG-C含有量に依存する。融解曲線分析からの標的DNAに関する情報の解明は従来、典型的には広い温度範囲にわたって小さな間隔で取得される一連の蛍光測定を伴う。融解温度は、塩基配列のみに依存するわけではない。融解温度は、オリゴヌクレオチドの濃度、緩衝液中のカチオン(一価(Na+)及び二価(Mg2+)塩の両方)、並びに/又は尿素若しくはホルムアミド等の不安定化剤の存在若しくは不在を含む多くの要因によって影響を受ける可能性がある。
【0005】
一般に、個別の波長を監視することができる利用可能な蛍光チャネルの数は、蛍光リーダーで単一の反応で検出及び特異的に特定することができる標的の数を制限する。近年、「オリゴヌクレオチド切断及び伸長のタグ付け」(TOCE)として知られているプロト
コルがこの能力を拡張し、単一波長での複数の標的の分析を可能にしている。TOCE技術は、ピッチャー及びキャッチャーオリゴヌクレオチドを使用する。ピッチャーは、標的に相補的である標的化部分、及び相補的ではなく5’端に位置するタグ付け部分の、2つの領域を有する。捕捉オリゴヌクレオチドは、二重標識されており、その3’末端にピッチャーのタグ付け部分に相補的である領域を有する。増幅中、ピッチャーは、アンプリコンに結合し、プライマーの伸長時に、ポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性が、ピッチャーからタグ付け部分を切断することができる。その後、放出されたタグ付け部分は、キャッチャーオリゴヌクレオチドに結合し、相補鎖を合成するためのプライマーとして機能する。その後、二本鎖キャッチャー分子の融解温度(キャッチャー-Tm)は、元の鋳型の代替マーカーとして作用する。異なる配列及び長さを有する複数のキャッチャーを組み込むことが可能であり、それらは全て異なる温度で融解するため、依然として単一波長で測定しながら、一連の標的を示す一連のキャッチャー-Tm値を得ることが可能である。このアプローチの制限には、固有の複雑さが含まれるが、これは、放出される断片が、人工標的に対する第2の伸長を開始及び完了することを必要とし、複数の標的の増幅後分析が、各特定の標的に関連したシグナルの割合を鑑別又は定量するための複雑なアルゴリズムを必要とするためである。
【0006】
ヘアピンプローブ又はステムループプローブもまた、核酸の検出及び/又は標的増幅の監視に有用なツールであることが証明されている。フルオロフォア及びクエンチャー色素対で二重標識されているヘアピンプローブの1つの種類は、当該技術分野では一般に分子ビーコンとして知られている。一般に、これらの分子は、1)オリゴヌクレオチドの相補的な5’及び3’端のハイブリダイゼーションによって形成されるステム構造、2)検出される標的又は標的アンプリコンに相補的なループ領域、並びに3)分子ビーコンの末端に結合したフルオロフォアクエンチャー色素対の、3つの特徴を有する。PCR中、ループ領域は、相補性のためにアンプリコンに結合し、これが、ステムの開放、及び故にフルオロフォアクエンチャー色素対の分離を引き起こす。分子ビーコンの本質的な特徴は、これらの分子のループ領域が増幅中に無傷のままであり、標的又は標的アンプリコンの存在下で分解又は切断されないことである。開放分子ビーコンの末端に結合した色素対の分離は、標的の存在を示す蛍光の変化を引き起こす。本方法は、単一のPCR検査における複数の標的の多重分析のために一般的に使用される。一般に、多重分析では、各分子ビーコンは、異なる標的特異的ループ領域及び固有のフルオロフォアを有するため、各アンプリコン種への各異なる分子ビーコンのハイブリダイゼーションを、別個のチャネルで、すなわち、別個の波長で監視することができる。
【0007】
分子ビーコンの概念は、スロッピービーコンとして知られている戦略で拡張されている。このプロトコルでは、単一のビーコンのループ領域は、十分に長いため、不一致の塩基を許容し、それ故に1つ以上のヌクレオチドが異なるいくつかの密接に関連する標的に結合することができる。増幅後、融解曲線分析を実行し、標的種とスロッピービーコンのループ領域とのハイブリダイゼーションにより形成された二重構造が分離(融解)する温度に基づいて、異なる標的種を鑑別することができる。このようにして、複数の密接に関連する種を、単一波長で検出し、単一のスロッピービーコンで特定の標的の融解プロファイルを特徴付けることによって同時に識別することができる。標準的な分子ビーコン及びスロッピービーコンは、増幅中の分解又は切断が意図されないという点で、TaqMan及び加水分解プローブとは異なる。スロッピービーコン及びTOCE等のDNAハイブリダイゼーションベースの技術の欠点は、プローブと非標的核酸配列との間の非特異的ハイブリダイゼーションのために、偽陽性の結果を生成し得ることである。
【0008】
多くの核酸検出アッセイは、融解曲線分析を利用して、所与の試料中の特定の標的配列の存在を特定するか、又は増幅配列に関する情報を明らかにする。融解曲線分析プロトコルは、徐々に増加する温度範囲にわたって様々な温度で蛍光を測定することを伴う。その
後、この曲線の勾配の変化を温度の関数としてプロットして、融解曲線を得る。このプロセスは、しばしば緩徐であり、典型的には完了に30~60分かかる。更に、融解曲線分析は、結果の解釈のために熟練した担当者による解釈及び/又は専用ソフトウェアの使用を必要とする可能性がある。したがって、融解曲線分析のより高速及び/又はより簡便な代替手段に対する高い需要が存在する。
【0009】
融解曲線は、典型的には、PCR後に分析され、したがって、試料中の標的の存在又は不在の定性的決定のみを可能にする。多くの場合、試料中に存在するゲノム材料の量の定量的又は半定量的な決定が必要である。したがって、試料に関する定量的情報も提供する、融解曲線分析の高速の代替手段に対する高い需要が存在する。
【0010】
PCRによって、又は代替的な標的増幅プロトコルによって生成された複数の固有のアンプリコンの同時検出、鑑別、及び/又は定量化のための改善された組成物及び方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、現在の多重検出アッセイに存在する1つ以上の欠陥に対処する。
【0012】
増幅プロトコル中に多重化する能力を拡張する方法及び組成物が、本明細書で提供される。これらの方法は、当技術分野で周知の基質及びプローブを含む「スタンダードレポーター」を、本明細書でLOCS(ステムに接続されたループ)と称される構造と組み合わせる。標準的なレポーターとしては、直鎖MNAザイム基質、TaqManプローブ又は加水分解プローブ、分子ビーコン、スロッピービーコン、エクリプスプローブ、Scorpionユニプローブ又はバイプローブ、キャプチャー/ピッチャーオリゴヌクレオチド、及びデュアルハイブリダイゼーションプローブを含むがこれらに限定されないプローブ及び基質が挙げられる。標準レポーターシステムと、1つ以上のLOCS(全ての種は、例えば、単一の検出部分(例えば、同じフルオロフォア及びクエンチャー対)で標識され得る)との組み合わせにより、単一の反応において複数の標的を個々に識別することができる。このアプローチは、「標準レポーター」及び1つ以上のLOCSから生成されたシグナルを、1つ以上の温度で測定することを伴う。LOCSからのシグナルの生成は、
-シグナルが測定される温度、
-LOCSのループ部分が標的の存在に応答して切断又は分解されているかどうか、
-その「無傷」、又はその切断若しくは分解された「分割」立体構造における、特定のLOCSのステム部分の融解温度のうちのいずれか1つ以上を含むいくつかの要因に依存し得る。
【0013】
分割LOCSのステム領域の融解温度は、無傷LOCSのループの標的依存的な切断又は分解を媒介した特定の標的の代替マーカーとして作用する。ステム-ループ構造を組み込む他の方法は、a)色素対間の距離を増加させる標的アンプリコン(例えば分子ビーコン及びスロッピービーコン)へのループ領域のハイブリダイゼーション後、又はb)色素(例えば切断可能な分子ビーコン)の物理的分離を可能にする標的媒介性切断による蛍光シグナルの変化を利用している。切断可能な分子ビーコンは、典型的には、単一波長で所与の標的に対して正又は負のシグナルを生成するために使用されている。多重標的検出は、一般に、異なる波長で放出されるシグナルを介して異なる標的を検出することを必要とする。したがって、類似又は同一の検出部分で標識され、異なる標的を検出するように設計された異なる切断可能な分子ビーコンに変異ステムを組み込むことは、標的間で異なる検出可能なシグナルを用いる必要なく、ステム融解温度の差に基づいて個々の標的を示す検出可能なシグナルを識別する能力を提供する。
【0014】
本発明は、少なくとも部分的には、各ステムが異なる温度で融解し、かつシグナルを生
成するようにステムの長さ及び/又は配列組成を変化させることによって、ステム-ループ構造のステム部分の融解温度を操作することを通して生じる、既存の多重検出アッセイに対する改善を提供する。
【0015】
本発明は、単一の反応において、単一のLOCSレポーター又は複数のLOCSレポーターとともに標準レポーターを使用することを含み得る。標準及びLOCSの両方のレポーターは、実質的に同じ様式で検出することができる同じ又は類似の検出部分(例えば、可視スペクトルの同じ領域で発光するフルオロフォア、比色検出又はSPR検出のための同じサイズ及び/又は種類のナノ粒子、化学発光検出のための反応性部分(例えば、アルカリホスファターゼ又はペルオキシダーゼ酵素)、電気化学検出のための電気活性種(例えば、フェロセン、メチレンブルー又はペルオキシダーゼ酵素)で標識することができる。複数のLOCSが存在し、例えば同じ検出部分で標識される場合、これらは、(a)複数の標的の直接的若しくは間接的な同時検出をそれぞれ可能にする異なるループ配列、及び/又はb)個別の温度で融解し、調査される複数の標的において存在する特定の標的の特定に使用することができる異なるステム配列を含有し得る。本発明の方法は、例えば、別個のキャッチャー分子が必要とされず、故に反応混合物中の構成成分の数を低減し、費用を低減するという点で、例えば、TOCEプロトコル等の当該技術分野で既知の方法に対する1つ以上の利点を提供するLOCSを使用する。更に、本発明の方法は、放出された断片が合成標的に対する第2の伸長を開始及び完了することを必要とするTOCE法よりも本質的に複雑でない。
【0016】
いくつかの実施形態では、LOCSプローブは、(標的配列とは独立して)ユニバーサルであることができ、かつ/又は一連の検出技術と組み合わせることができ、故に分子診断の分野で広い適用性を送達する。追加的に、他の従来の増幅及び検出技術で使用される融解温度は、典型的には、ハイブリダイゼーション及び標的核酸によるプローブの融解に基づいている。これは、プローブと非標的核酸配列との間の非特異的ハイブリダイゼーションのために偽陽性が増加するという欠点に悩まされる。ユニバーサル基質を含有するそれらのLOCSレポータープローブは、標的配列と結合しないため、本発明の方法は、この制限を克服する。最後に、分子内結合が分子間結合よりも強いことは、当該技術分野で周知であり、故にこれらの切断されていない(無傷)LOCSが非特異的標的とハイブリダイズし、偽陽性シグナルを生成する確率は、はるかに低い。
【0017】
分子内結合が分子間結合よりも強い結果として、二重標識LOCSは、無傷の場合は1つの温度で融解し、LOCSを2つの断片に分割するループ領域の標的依存切断又は分解の後はより低い温度で融解する。本発明では、核酸のこの特性を利用して、機器が1つの蛍光チャネル等の単一の種類の検出器、又は比色、表面プラズモン共鳴(SPR)、化学発光若しくは電気化学検出の特定のモードを使用して複数の標的を鑑別する能力を拡張する。
【0018】
本発明のLOCSレポーターによって生成される温度依存蛍光シグナルは、明確に定義されており、標的DNAとは独立している。したがって、完全な温度勾配ではなく、選択された温度で生成される蛍光シグナルの測定から標的DNAに関する情報を解明することが可能であり、熱サイクリングデバイス(例えば、PCRデバイス)での実行時間を低減する上で利点を提供する。非限定的な例として、Bio-Rad CFX96PCRシステムで、0.5℃の増分での20℃~90℃の温度及び5秒間の保持時間の設定で従来の融解分析を行うには、141回の蛍光測定サイクル、及び約50分間の実行時間を必要とする。LOCSプローブを使用すると、標的DNAに関する情報を、同じデバイスから2~6回の蛍光測定で得ることができ、約2~5分間の実行時間を必要とする。いかなる特定の制限もなければ、実行時間の低減は、例えば、診断を含む多くの用途において有利である可能性がある。
【0019】
本発明では、LOCSプローブを標準レポーター又はプローブ又は基質を組み合わせて、複数の標的を同時に検出、鑑別、及び/又は定量化する。様々な標的を示す個々のシグナルは、同じ手段によって、例えば、単一の蛍光チャネルで発光するシグナルを介して、又は比色、表面プラズモン共鳴(SPR)、化学発光、若しくは電気化学的検出の特定のモードによって検出可能であり得る。従来のqPCRでは、標的DNAの定量化は、各増幅サイクルで単一温度で蛍光を測定することによって得た増幅曲線からのサイクル定量化(Cq)値を使用して決定され得る。Cq値は、標的DNAの濃度の負の対数値に比例するため、実験的に決定されたCq値から濃度を決定することが可能である。しかしながら、どのプローブがシグナルに寄与しているかを特定することは困難であるため、単一のチャネルに2つ以上の標的特異的プローブが存在する場合、各標的を正確に定量化することは困難である。この問題に対処するために、LOCSレポーターを使用して、増幅中に2つ以上の温度で蛍光を測定することによって得られる増幅曲線を生成することにより、単一のチャネルにおける2つ以上の標的の正確かつ特異的な定量化を可能にすることができる。これが可能なのは、LOCSレポーターが、異なる温度で有意に異なる量の蛍光を生成し得るためである。更に、LOCSレポーターを使用して、リアルタイムの第1の温度(標的1)及び増幅の前後の第2の温度(標的2)で蛍光を得ることによって、単一のチャネルにおける第1の標的の正確かつ特異的な定量化及び第2の標的の同時定性的検出を可能にすることができる。後者のシナリオの利点は、増幅プロトコルの全体的な実行時間に影響を与えず、分析のための専用ソフトウェアを必要としない可能性があることである。このアプローチは、標的のうちの1つのみに定量化又はCq決定が必要とされるシナリオで有用であり得る。
【0020】
分析が、PCR内の限定された数の時点、例えば、増幅開始時又はその近く、及び終点での増幅後の蛍光取得のみを必要とするいくつかの実施形態では、LOCS構造の使用は、各サイクルでの取得の必要性を排除する。したがって、これらの実施形態は、結果が得られるまでの時間を低減することができる非常に迅速なサイクリングプロトコルに非常に適している。
【0021】
上記のように、融解曲線分析プロトコルは、徐々に増加する温度範囲(例えば、30℃~90℃)にわたって様々な温度で蛍光を測定することを伴う。その後、この曲線の勾配の変化を温度の関数としてプロットして、融解曲線を得ることができる。このプロセスは、しばしば緩徐であり、例えば、完了に30~60分かかる可能性がある。融解曲線分析の速度を増加させるには、高度に専門化された機器へのアクセスが必要であり、標準的なPCRデバイスを使用して達成することはできない。したがって、標準的な機器を使用して、単一の蛍光チャネルにおける複数の標的の同時検出を提供することができる融解曲線分析のより高速な代替手段に対する高い需要が存在する。本発明のLOCS構造の融解温度(Tm)は、所与の実験条件に対して事前に決定され、一定である(すなわち、標的配列又は濃度によって影響されない)ため、温度勾配全体を通した傾斜を必要としない。各LOCS構造は、その特定のTmでの単一の蛍光測定のみを必要とし、完全な温度勾配を実行する必要性がないため、より高速な結果が得られるまでの時間を促進するため、上記の制限を克服する。
【0022】
更に、融解曲線分析は、典型的には結果の解釈のために熟練した担当者による解釈又は専用ソフトウェアの使用を必要とする。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態では、PCRの完了後の個別温度の蛍光測定の使用は、融解曲線の主観的な解釈の必要性を排除し、標的の存在又は不在の客観的な決定を促進することができる。
【0024】
本発明の他の実施形態では、分析は、PCR内の限定された数の時点、例えば、PCR前及びPCR後の蛍光取得のみを必要としてもよく、これは、各サイクルでの取得の必要性を排除する。したがって、これらの実施形態は、結果が得られるまでの時間を低減することができる非常に迅速なサイクリングプロトコルに非常に適している。
【0025】
完全に一致したプローブと不一致のプローブとの区別を促進するための2つの温度取得を含む、PCR中の複数の温度での蛍光取得を伴ういくつかの方法が、説明されている。追加的に、2つの標的が存在し、単一のチャネルから検出される場合、いくつかのプロトコルは、各PCRサイクル後に複数の取得温度を使用して、各標的の濃度を定量化する。2つの標的を同時に定量化する他の方法は、各PCRサイクルの終了時に完全な融解曲線を実行することによって達成される。
【0026】
本発明は、LOCSを他の種類のレポーター分子と組み合わせる利点を利用する。LOCS構造は、リアルタイム及び終点PCRの分析の既存の方法のほとんど及び潜在的には全てと互換性があり得る。単一の反応で複数の標的を識別するためにLOCSプローブのみを使用する分析を行うことが可能であるが、単一の反応で複数の種類のプローブを使用することが有利であり得る。例として、単一のLOCSプローブは、以下の技術のうちのいずれかと組み合わせて使用することができる:直鎖MNAザイム基質、直鎖TaqManプローブ、制限酵素で切断可能なプローブ、エクリプスプローブ、切断不可能な分子ビーコンプローブ、切断不可能なスロッピービーコン、Scorpionユニプローブ、Scorpionバイプローブ、二重ハイブリダイゼーションプローブ対、又はキャッチャー及びピッチャー技術を利用するプローブ(例えば、TOCEプローブ)。
【0027】
本発明の様々な実施形態では、単一のLOCSプローブ及び直鎖MNAザイム基質、直鎖TaqManプローブ、又は切断不可能な分子ビーコンプローブは、同じ又は類似の検出部分で標識され得る。非限定的な例として、これには、蛍光検出のための同じフルオロフォア、比色検出若しくはSPR検出のための同じサイズ及び/若しくは種類のナノ粒子(例えば、金若しくは銀)、化学発光検出のための反応性部分(例えば、アルカリホスファターゼ若しくはペルオキシダーゼ酵素)、又は電気化学的検出のための電気活性種(例えば、フェロセン、メチレンブルー若しくはペルオキシダーゼ酵素)が含まれ得る。
【0028】
ある特定の実施形態では、第1の標的特異的MNAザイムによって切断され得る直鎖MNAザイム基質は、第2の標的特異的MNAザイムによって切断され得る単一のLOCSプローブと組み合わせることができる。1つの直鎖MNAザイム基質及び1つのLOCSプローブが、2つの標的を、又は例えば可視スペクトルの1つの波長で検出するために使用される実施形態は、直鎖プローブの製造が、LOCSプローブの製造よりも単純であり、かつ低コストであるため、2つのLOCSプローブを使用する実施形態よりも有利であり得る。これは、直鎖基質が、LOCSプローブステム領域に必要な追加の配列を必要とせず、したがって、より短いためである。同様に、直鎖TaqManプローブの製造は、LOCSプローブよりも安価であり得る。
【0029】
他の種類の標準レポーターと組み合わせた単一の、又は複数のLOCSのいずれかの使用に関する追加の利点は、直鎖プローブのバックグラウンド蛍光の固有の差に関する。ここで、時間的/空間的パラメータは、フルオロフォアとクエンチャーとの間のより大きな距離をもたらし、したがって、フルオロフォア及びクエンチャーがステム部分によって近接して保持されるLOCSプローブと比較して、より高いバックグラウンド蛍光をもたらす。更に、異なる種類のプローブが、異なる機構を使用してシグナルを生成し、異なる温度で異なる蛍光及びクエンチ特性を示す。以下に例示される様々な実施形態では、蛍光及びクエンチ能力のこの差は、調査者が特定の温度で検出シグナルの大きさを操作して、単一波長で複数の標的を検出、識別及び/又は定量化することができる追加のツールを提供
する。
【0030】
いくつかの実施形態では、本発明は、LOCSプローブ及びキャッチャー-ピッチャープローブが、異なる温度で対向する蛍光/クエンチ特性を有するという事実を利用する。例えば、標的の存在又は不在にかかわらず、キャッチャー-ピッチャープローブは、二重構造の変性及びキャッチャー鎖の立体構造の変化により、高温(すなわち、キャッチャー-ピッチャー二重構造のTm超)でクエンチされたままである。逆に、ハイブリダイズされたステムは、フルオロフォア及びクエンチャーを近接して保持するため、標的の存在又は不在にかかわらず、LOCSプローブは、低温(すなわち、分割LOCSステムのTm未満)でクエンチされたままである。更に、標的の存在下では、キャッチャー-ピッチャープローブは、低温(すなわち、キャッチャー-ピッチャー二重構造のTm未満)での蛍光の増加を生成するが、LOCSプローブは、高温(すなわち、分割LOCSステムのTm超)での蛍光の増加を生成する。高温及び低温でのこれらの対向する蛍光/クエンチ特性は、2つの標的の特異的な検出を可能にし、キャッチャー-ピッチャープローブを使用して第1の低温で1つの標的を検出することができ、LOCSプローブを使用して第2のより高い温度で別の標的を検出することができる。
【0031】
本発明の様々な実施形態では、1つの直鎖基質又はプローブ、例えば、直鎖MNAザイム基質又はTaqManプローブをLOCSプローブと組み合わせる利点が利用される。例えば、1つの低いTmステム及び1つの高いTmステムを有する一対のLOCSプローブを使用することと比較して、利点は、切断された直鎖MNAザイム基質、及び分解されたTaqManプローブの両方が、広範囲の温度にわたって同様の蛍光シグナルを生成することである。同様に、未切断直鎖MNAザイム基質、及び無傷TaqManプローブは、広範囲の温度にわたって同様の蛍光シグナルを生成する。したがって、両方のプローブの種類について、シグナル対雑音比は、広範囲の検出温度にわたって一定である。比較すると、分割低Tm LOCSプローブから生じる観察されたシグナル対ノイズ比は、無傷のLOCSステムの変性によって生成されるより大きなバックグラウンド蛍光に起因して、より高い検出温度で減少し得る。これは、より制限された検出温度範囲を有する低Tm LOCSと比較して、直鎖MNAザイム基質、又はTaqManプローブの切断を、より広い検出温度範囲にわたって検出することができることを意味する。これは、熱循環におけるより高い柔軟性を可能にし、より迅速かつ簡略化されたマルチプレックスアッセイの開発に有用であり得る。更なる利点は、TaqManプローブ等の他の技術を使用して、1つ以上のLOCSプローブを既存の市販キットと組み合わせ、したがってそれらの多重化能力を拡大する能力に由来する。
【0032】
他の実施形態では、本発明は、LOCSプローブとScorpionユニプローブ又はバイプローブも異なる温度で異なる挙動を示し、2つの異なる検出温度で2つの標的の特異的検出を可能にするという事実によってもたらされる利点を利用する。例えば、高検出温度では、ステムが開いていて蛍光性であり、ループが特定の標的(標的1)のアンプリコンに結合することができない場合、Scorpionユニプローブは、いずれかの標的の存在又は不在にかかわらず、常に蛍光性であり得る(PCR前及びPCR後)。同様に、高い検出温度では、相補的なクエンチャー配列がプローブに結合することができず、プローブが特定の標的(標的1)のアンプリコンに結合することができない可能性があるため、Scorpionバイプローブは、いずれかの標的の存在又は不在にかかわらず、常に蛍光性であり得る(PCR前及びPCR後)。両方の場合(ユニプローブ又はバイプローブ)において、同じ高温では、LOCSプローブは、ステムの切断及び解離により、特定の標的(標的2)の存在下でのみ蛍光を生成する。逆に、低い検出温度では、両方の無傷LOCS及び分割LOCSのステムのTmがこの温度より高いため、LOCSプローブは、いずれかの標的の存在又は不在にかかわらず、常にクエンチされる(PCR前及びPCR後)が、一方、この同じ温度において、Scorpionユニプローブ又はバイプローブは、それぞれ、ループ又はプローブ領域の標的1アンプリコンへのハイブリダイゼーションにより、特定の標的の存在下でのみ蛍光を生成する。これらの高温及び低温での対向する蛍光/クエンチ特性は、2つの標的の特異的な検出を可能にし、標的1は、Scorpionユニプローブ又はScorpionバイプローブのいずれかを使用して第1の低温で検出することができ、標的2は、LOCSプローブを使用して第2のより高い温度で検出することができる。
【0033】
様々な種類の標準レポーター基質及びプローブは、広範囲の温度にわたって、又は限られた範囲にわたってのみ蛍光を発する。例えば、直鎖MNAザイム基質、エクリプスプローブ、TaqManプローブ、加水分解プローブ、及びその他を含むがこれらに限定されない、直鎖レポーター基質又はプローブは、一般に、広範囲の温度にわたって蛍光シグナルを生成する。そのようなプローブは、標的が存在する場合、一般的に、PCR前にクエンチされ、PCR後に蛍光を発し、この蛍光は、広範囲の温度で測定され得る。対照的に、LOCSプローブ、分子ビーコン、Scorpionユニプローブ又はバイプローブ、並びにピッチャー及びキャッチャー蛍光システム(例えば、TOCEプローブ)は、それらが定義された温度範囲内で蛍光であるか、又はクエンチされるように操作され得る。
【0034】
分子ビーコンは、分子ビーコンループが標的に結合し、蛍光を発する温度を下回る温度でハイブリダイズした茎ステムでクエンチされる。対照的に、無傷LOCSプローブのステムは、分割LOCSが融解する温度よりも高い温度でハイブリダイズされる。更に、多くのレポーターシステムは、標的の存在下での蛍光の増加を測定するが、デュアルハイブリダイゼーションプローブ等の他の技術は、標的が存在するときの蛍光の減少をもたらす。本発明は、特定のプローブの組み合わせを用いて特定の温度で検出可能なシグナルを増加又は減少させることが、改善された多重化シナリオを可能にするように、プローブを組み合わせ、パラメータを設定するための新しい方法を提供する。したがって、異なる種類の標準レポーター基質及びプローブの異なる挙動の利用は、同じ又は類似の検出部分で標識され、単一の反応内に存在するLOCSプローブと組み合わせた場合、複数の温度で、例えば蛍光又はクエンチ等のシグナルの存在又は不在の操作を可能にし、これは次いで、標的の分析のための多数の利点を提供する。
【0035】
本発明は、少なくとも部分的には、以下の実施形態1~194に関連する。
【0036】
実施形態1.試料中の第1及び第2の標的の存在又は不在を決定するための方法であって、
(a)第1及び第2の標的を含むと推定される試料又はその誘導体を、
-第1の標的の検出のための第1のオリゴヌクレオチドであって、第1の検出可能なシグナルを生成することができる第1の検出部分を含む第1のオリゴヌクレオチド、
-第2の標的の検出のための無傷ステムループオリゴヌクレオチドであって、ハイブリダイズしたヌクレオチドの二本鎖ステム部分を含み、その対向鎖は、ハイブリダイズしていないヌクレオチドの破壊されていない一本鎖ループ部分によって連結され、ステム部分は、第2の検出可能なシグナルを生成することができる第2の検出部分を含み、
第1及び第2の検出部分は、単一の種類の検出器を使用して、単一の温度では鑑別できない検出可能なシグナルを生成することができる、無傷ステムループオリゴヌクレオチド、並びに
-第2の標的が試料中に存在する場合にのみ、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのハイブリダイズしていないヌクレオチドのうちの1つ以上を消化することができる第1の酵素と接触させることにより、反応用の混合物を調製することと、
(b)混合物を、
-第1の標的が、第1のオリゴヌクレオチドへの修飾を誘導し、それにより第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを生成することを可能にするのに好適であり、
-第2の標的が試料中に存在する場合にのみ、第1の酵素により無傷ステムループオリゴヌクレオチドのハイブリダイズしていないヌクレオチドのうちの1つ以上を消化し、それにより一本鎖ループ部分を破壊して分割ステムループオリゴヌクレオチドを提供するのに好適である条件下で処理することと、
(c)
-混合物中、又は対照混合物中の第1及び第2の検出部分によって提供されるバックグラウンドシグナルを測定することと、
(d)当該処理中又は処理後の1つ以上の時点で、
-バックグラウンドシグナルとは異なり、試料中の第1の標的の存在を示す当該修飾から生じる第1の検出可能なシグナルが、第1の温度で生成されるかどうか、
-バックグラウンドシグナルとは異なり、試料中の第2の標的の存在を示す第2の検出可能なシグナルが、第2の温度で生成されるかどうかを決定することと、を含み、
-第1の温度において、第2の検出可能なシグナルがバックグラウンドシグナルと異ならず、
第2の温度において、
存在する場合、分割ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の鎖が部分的又は完全に解離され、第2の検出部分が第2の検出可能なシグナルを提供することを可能にし、
存在する場合、無傷ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の鎖は解離することができず、それにより第2の検出可能な部分が第2の検出可能なシグナルを提供することを防止する、方法。
【0037】
実施形態2.パート(d)における当該決定が、
-当該修飾から生じる第1の検出可能なシグナルが第1の温度で任意の当該バックグラウンドシグナルと異なるかどうかを決定するために所定の閾値を使用すること、及び/又は
-第2の検出可能なシグナルが第2の温度で任意の当該バックグラウンドシグナルと異なるかどうかを決定するために所定の閾値を使用することを含む、実施形態1に記載の方法。
【0038】
実施形態3.対照混合物が、
-第1の標的、又は
-第2の標的、又は
-第1及び第2の標的
を含まないが、それ以外は混合物と同等である、実施形態1又は2に記載の方法。
【0039】
実施形態4.対照混合物が、所定量の
-第1の標的、又は
-第2の標的、又は
-第1及び第2の標的
を含むが、それ以外は混合物と同等である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0040】
実施形態5.
-第1のオリゴヌクレオチドへの修飾は、第1の検出部分が、第1の温度以下で第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にし、
-第1の検出可能なシグナルの生成は、可逆的である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0041】
実施形態6.
-パート(c)が、
第1の温度の1℃、2℃、3℃、4℃、又は5℃以内の第1のバックグラウンドシグナル、及び第2の温度の1℃、2℃、3℃、4℃、又は5℃以内の第2のバックグラウンドシグナルを測定することを含み、
これらは混合物中、又は対照混合物中の第1及び第2の検出部分によって提供され、
-パート(d)が、当該処理中又は処理後の1つ以上の時点で、
第1のバックグラウンドシグナルとは異なり、試料中の第1の標的の存在を示す、当該修飾から生じる第1の検出可能なシグナルが、第1の温度で生成されるかどうか、
第2のバックグラウンドシグナルとは異なり、試料中の第2の標的の存在を示す第2の検出可能なシグナルが、第2の温度で生成されるかどうかを決定することを含む、実施形態5に記載の方法。
【0042】
実施形態7.
-第1の標的が核酸配列であり、
-第1のオリゴヌクレオチドが、対向鎖上のハイブリダイズしたヌクレオチドの二本鎖ステム部分を含み、その全て又は一部が第1の標的に相補的であるハイブリダイズしていないヌクレオチドの破壊されていない一本鎖ループ部分によって連結されたステムループオリゴヌクレオチドであり、
-第1のオリゴヌクレオチドの修飾は、相補塩基対合による、第1のオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分への標的のハイブリダイゼーションから生じる立体構造の変化である、実施形態5又は6に記載の方法。
【0043】
実施形態8.
-立体構造の変化は、相補塩基対合による、第1のオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分への標的の当該ハイブリダイゼーションから生じる、第1のオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の鎖の解離である、実施形態7に記載の方法。
【0044】
実施形態9.
-第1のオリゴヌクレオチドのステム部分が、標的の第1のオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分への当該ハイブリダイゼーションから形成される二本鎖の二重構造の融解温度(Tm)未満、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-当該二本鎖の二重構造は、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-第1の温度が、当該二本鎖の二重構造、第1のオリゴヌクレオチドのステム部分、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第2の温度が、当該二本鎖の二重構造、第1のオリゴヌクレオチドのステム部分、及び無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であり、
-第1の温度が、第2の温度未満である、実施形態7又は実施形態8に記載の方法。
【0045】
実施形態10.
-第1のオリゴヌクレオチドのステム部分が、標的の第1のオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分への当該ハイブリダイゼーションから形成される二本鎖の二重構造の融解温度(Tm)未満であり、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であるTmを有し、
-当該二本鎖の二重構造が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm
超であるTmを有し、
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-第1の温度が、当該二本鎖の二重構造、第1のオリゴヌクレオチドのステム部分、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第2の温度が、第1のオリゴヌクレオチドのステム部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ当該二本鎖の二重構造、及び無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第1の温度が、第2の温度未満である、実施形態7又は実施形態8に記載の方法。
【0046】
実施形態11.
-第1のオリゴヌクレオチドのステム部分が、標的の第1のオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分への当該ハイブリダイゼーションから形成される二本鎖の二重構造の融解温度(Tm)未満、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であるTmを有し、
-当該二本鎖の二重構造が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であるTmを有し、
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-第1の温度が、当該二本鎖の二重構造、第1のオリゴヌクレオチドのステム部分、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第2の温度が、当該二本鎖の二重構造、第1のオリゴヌクレオチドのステム部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第1の温度が、第2の温度未満である、実施形態7又は実施形態8に記載の方法。
【0047】
実施形態12.
-第1のオリゴヌクレオチドのステム部分が、標的の第1のオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分への当該ハイブリダイゼーションから形成される二本鎖の二重構造の融解温度(Tm)未満、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-当該二本鎖の二重構造は、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-第1の温度が、第1のオリゴヌクレオチドのステム部分及び当該二本鎖の二重構造のTm未満、かつ無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であり、
-第2の温度が、第1のオリゴヌクレオチドのステム部分、当該二本鎖の二重構造、及び無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であり、
-第1の温度が、第2の温度超である、実施形態7又は実施形態8に記載の方法。
【0048】
実施形態13.
-第1のオリゴヌクレオチドのステム部分のTmが、当該二本鎖の二重構造のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmが、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若
しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-第1の温度が、第1のオリゴヌクレオチドのステム部分、及び/若しくは当該二本鎖の二重構造のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-第2の温度が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-第2の温度が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、実施形態7~12のいずれか1つに記載の方法。
【0049】
実施形態14.
-第1の標的が核酸配列であり、
-第1のオリゴヌクレオチドが、
ハイブリダイズしたヌクレオチドの二本鎖ステム部分であって、その対向鎖が、ハイブリダイズしていないヌクレオチドの一本鎖ループ部分によって連結され、その全て又は一部が、第1の標的に相補的である、二本鎖ステム部分、及び当該対向鎖のうちの1つから3’方向に延び、第1の標的の一部に相補的な配列で終端する第2の一本鎖部分と、
第1の標的の一部に相補的な、当該配列の前にあるブロッカー分子とを含む、ステムループオリゴヌクレオチドであり、
-混合物が、ポリメラーゼを更に含み、
-当該混合物を処理することが、
相補塩基対合によって、第2の一本鎖部分を第1の標的にハイブリダイズすることと、
ポリメラーゼ及び第1の標的を鋳型配列として使用して第2の一本鎖部分を伸長して、二本鎖核酸を提供することであって、当該ブロッカー分子は、ポリメラーゼが第1のオリゴヌクレオチドのステム部分を鋳型として使用して第1の標的を伸長することを防止する、提供することと、
二本鎖核酸を変性させ、ポリメラーゼによって伸長された第2の一本鎖部分を、相補塩基対合によって第1のオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分にハイブリダイズして、シグナル伝達二重構造を生成し、それにより、第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、第1のオリゴヌクレオチドへの当該修飾を提供することと、を含む、実施形態5又は実施形態6に記載の方法。
【0050】
実施形態15.
-第1のオリゴヌクレオチドのステム部分が、シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-シグナル伝達二重構造が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-第1の温度が、シグナル伝達二重構造、第1のオリゴヌクレオチドのステム部分、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第2の温度が、シグナル伝達二重構造、第1のオリゴヌクレオチドのステム部分、及び無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であり、
-第1の温度が、第2の温度未満である、実施形態14に記載の方法。
【0051】
実施形態16.
-第1のオリゴヌクレオチドのステム部分が、シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であるTmを有し、
-シグナル伝達二重構造が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-第1の温度が、シグナル伝達二重構造、第1のオリゴヌクレオチドのステム部分、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第2の温度が、第1のオリゴヌクレオチドのステム部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつシグナル伝達二重構造、及び無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第1の温度が、第2の温度未満である、実施形態14に記載の方法。
【0052】
実施形態17.
-第1のオリゴヌクレオチドのステム部分が、シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であるTmを有し、
-シグナル伝達二重構造が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であるTmを有し、
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-第1の温度が、シグナル伝達二重構造、第1のオリゴヌクレオチドのステム部分、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第2の温度が、シグナル伝達二重構造、第1のオリゴヌクレオチドのステム部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第1の温度が、第2の温度未満である、実施形態14に記載の方法。
【0053】
実施形態18.
-第1のオリゴヌクレオチドのステム部分が、シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-シグナル伝達二重構造が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-第1の温度が、第1のオリゴヌクレオチドのステム部分及びシグナル伝達二重構造のTm未満、かつ無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であり、
-第2の温度が、第1のオリゴヌクレオチドのステム部分、シグナル伝達二重構造、及び無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であり、
第1の温度が、第2の温度超である、実施形態14に記載の方法。
【0054】
実施形態19.
-第1のオリゴヌクレオチドのステム部分のTmが、シグナル伝達二重構造のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmが、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-第1の温度が、第1のオリゴヌクレオチドのステム部分、及び/若しくはシグナル伝達二重構造のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-第2の温度が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-第2の温度が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、実施形態14~18のいずれか1つに記載の方法。
【0055】
実施形態20.
-第1の検出部分がフルオロフォアであり、修飾が、クエンチャー分子からのその距離を増加させる、実施形態5~19のいずれか1つに記載の方法。
【0056】
実施形態21.
-第1のオリゴヌクレオチドが、クエンチャー分子を含む、実施形態20に記載の方法。
【0057】
実施形態22.
-フルオロフォア及びクエンチャー分子が、第1のオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の対向鎖上に位置する、実施形態21に記載の方法。
【0058】
実施形態23.
-第1の標的が核酸配列であり、
-第1のオリゴヌクレオチドが、
ハイブリダイズしたヌクレオチドの第1の二本鎖部分を含み、その第1の鎖は、第1の標的の一部にハイブリダイズすることができる相補配列で終端する一本鎖部分に延び、第1の鎖は、当該相補配列の前にブロッカー分子を含み、
-混合物が、ポリメラーゼを更に含み、
-当該混合物を処理することが、
相補塩基対合によって、一本鎖部分の当該相補配列を第1の標的の一部にハイブリダイズすることと、
ポリメラーゼ及び第1の標的を鋳型配列として使用して相補配列を伸長して、第2の二本鎖部分を提供することであって、当該ブロッカー分子は、ポリメラーゼが当該第1の二本鎖部分の第1の鎖を鋳型として使用して第1の標的を伸長することを防止する、提供することと、
第1及び第2の二本鎖部分を変性させることと、
ポリメラーゼによって第1の二本鎖部分の第1の鎖に伸長された相補配列を、相補塩基対合によってハイブリダイズして、シグナル伝達二重構造を生成し、それにより、第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、第1のオリゴヌクレオチドへの当該修飾を提供することとを含む、実施形態5又は実施形態6に記載の方法。
【0059】
実施形態24.
-第1の二本鎖部分が、シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-シグナル伝達二重構造が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-第1の温度が、シグナル伝達二重構造、第1の二本鎖部分、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第2の温度が、シグナル伝達二重構造、第1の二本鎖部分、及び無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であり、
-第1の温度が、第2の温度未満である、実施形態23に記載の方法。
【0060】
実施形態25.
-第1の二本鎖部分が、シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であるTmを有し、
-シグナル伝達二重構造が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-第1の温度が、シグナル伝達二重構造、第1の二本鎖部分、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第2の温度が、第1の二本鎖部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつシグナル伝達二重構造、及び無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第1の温度が、第2の温度未満である、実施形態23に記載の方法。
【0061】
実施形態26.
-第1の二本鎖部分が、シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であるTmを有し、
-シグナル伝達二重構造が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であるTmを有し、
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-第1の温度が、シグナル伝達二重構造、第1の二本鎖部分、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第2の温度が、シグナル伝達二重構造、第1の二本鎖部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第1の温度が、第2の温度未満である、実施形態23に記載の方法。
【0062】
実施形態27.
-第1の二本鎖部分が、シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-シグナル伝達二重構造が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ記分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-第1の温度が、第1の二本鎖部分及びシグナル伝達二重構造のTm未満、かつ無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であり、
-第2の温度が、第1の二本鎖部分、シグナル伝達二重構造、及び無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であり、
-第1の温度が、第2の温度超である、実施形態23に記載の方法。
【0063】
実施形態28.
-第1の二本鎖部分のTmが、シグナル伝達二重構造のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmが、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-第1の温度が、第1の二本鎖部分、及び/若しくはシグナル伝達二重構造のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-第2の温度が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-第2の温度が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、実施形態23~27のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
実施形態29.
-第1の検出部分がフルオロフォアであり、修飾が、クエンチャー分子からのその距離を増加させる、実施形態23~28のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
実施形態30.
-第1のオリゴヌクレオチドが、クエンチャー分子を含む、実施形態29に記載の方法。
【0066】
実施形態31.
-フルオロフォア及びクエンチャー分子が、第1の二本鎖部分の対向鎖上に位置する、実施形態30に記載の方法。
【0067】
実施形態32.
-第1の標的が核酸配列であり、
-混合物が、
第1の標的における第1の配列に相補的な第1のプライマーと、
第1の配列とは異なる、第1の標的における第2の配列に相補的な成分、及び第1の標的に相補的ではないタグ部分を含む、第2のオリゴヌクレオチドと、
エキソヌクレアーゼ活性を含む第1のポリメラーゼと、
任意選択で第2のポリメラーゼとを更に含み、
-当該混合物を処理することが、
第1のプライマー及び第2のオリゴヌクレオチドを第1の標的にハイブリダイズするのに好適な条件と、
第1のポリメラーゼ及び標的を鋳型として使用して第1のプライマーを伸長し、それによりタグ部分を切断することと、
相補塩基対合によって、切断されたタグ部分を第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることと、
第1又は第2のポリメラーゼ及び第1のオリゴヌクレオチドを鋳型として使用して
タグ部分を伸長し、第1のオリゴヌクレオチドを含む二本鎖配列を生成し、それにより当該修飾を第1のオリゴヌクレオチドに提供し、第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にすることとを含む、実施形態5又は実施形態6に記載の方法。
【0068】
実施形態33.
-二本鎖配列が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-第1の温度が、二本鎖配列、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第2の温度が、二本鎖配列、及び無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であり、
-第1の温度が、第2の温度未満である、実施形態32に記載の方法。
【0069】
実施形態34.
-二本鎖配列が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-第1の温度が、二本鎖配列、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第2の温度が、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ二本鎖配列、及び無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第1の温度が、第2の温度未満である、実施形態32に記載の方法。
【0070】
実施形態35.
-二本鎖配列が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であるTmを有し、
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-第1の温度が、二本鎖配列、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第2の温度が、二本鎖配列、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第1の温度が、第2の温度未満である、実施形態32に記載の方法。
【0071】
実施形態36.
-二本鎖配列が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-第1の温度が、二本鎖配列のTm未満、かつ無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であり、
-第2の温度が、二本鎖配列、及び無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であり、
-第1の温度が、第2の温度超である、実施形態32に記載の方法。
【0072】
実施形態37.
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmが、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-第1の温度が、二本鎖配列のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-第2の温度が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-第2の温度が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、実施形態32~36のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
実施形態38.
-第1のオリゴヌクレオチドが、フルオロフォア及びクエンチャー分子を含み、
-当該タグ部分を伸長することが、フルオロフォアとクエンチャー分子との間の距離を増加させる、実施形態32~37のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
実施形態39.
-第1の標的が核酸配列であり、
-第1のオリゴヌクレオチドが、標的の第1の部分に相補的であり、
-混合物が、第1の標的の第2の部分に相補的な更なるオリゴヌクレオチドを更に含み、第1の標的の第1及び第2の部分は、互いに隣接するが重複せず、
-当該混合物を処理することが、
(i)相補塩基対合によって第1のオリゴヌクレオチドを標的にハイブリダイズすることによる第1の二本鎖成分、及び
(ii)相補塩基対合によって更なるオリゴヌクレオチドを標的にハイブリダイズすることによる第2の二本鎖成分を含む二重構造構造を形成し、
それにより、第1及び更なるオリゴヌクレオチドを近接させ、第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、第1のオリゴヌクレオチドへの当該修飾を提供することを含む、実施形態5又は実施形態6に記載の方法。
【0075】
実施形態40.
-二重構造構造が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であるTmを有し、
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であるTmを有し、
-第1の温度が、二重構造構造、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第2の温度が、二重構造構造、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第1の温度が、第2の温度未満である、実施形態39に記載の方法。
【0076】
実施形態41.
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmが、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-第1の温度が、二重構造構造のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-第2の温度が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-第2の温度が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃
~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、実施形態40の実施形態39に記載の方法。
【0077】
実施形態42.
-第1の検出可能な部分がフルオロフォアであり、更なるオリゴヌクレオチドがクエンチャーを含み、
-当該二重構造構造を形成することが、更にフルオロフォア及びクエンチャーを近接させ、
-当該検出可能なシグナルが、第1の検出部分によって提供される蛍光の減少である、実施形態39~41のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
実施形態43.
-第1の標的が核酸配列であり、
-第1の検出部分が、第1のオリゴヌクレオチドが結合している、ナノ粒子、金属ナノ粒子、貴金属ナノ粒子、アルカリ金属ナノ粒子、金ナノ粒子、又は銀ナノ粒子であり、
-当該混合物を処理することが、
第1の標的を第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、それにより、第1の検出部分が試料中の第1の標的の存在を示す第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、第1のオリゴヌクレオチドへの修飾を誘導することを含み、
第1の検出可能なシグナルは、第1のオリゴヌクレオチドの当該修飾後に第1の検出部分から生じる、
(i)屈折率の変化、
(ii)色の変化、及び/又は
(iii)吸収スペクトルの変化
である、実施形態5又は実施形態6に記載の方法。
【0079】
実施形態44.
-第1の標的が核酸配列であり、
-第1の検出部分が、第1のオリゴヌクレオチドが結合している電気化学的薬剤であり、
-当該混合物を処理することが、
第1の標的を第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、それにより、第1の検出部分が試料中の第1の標的の存在を示す第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、第1のオリゴヌクレオチドへの修飾を誘導又は促進することを含み、
第1の検出可能なシグナルは、第1のオリゴヌクレオチドの当該修飾後の第1の検出部分から生じる電気化学的シグナルの変化である、実施形態5又は実施形態6に記載の方法。
【0080】
実施形態45.
-電気化学的薬剤が、ナノ粒子、メチレンブルー、トルエンブルー、オラセットブルー、ヘキスト33258、[Ru(phen)3]2+、フェロセン、及び/又はダウノマイシンのうちのいずれか1つ以上から選択される、実施形態44に記載の方法。
【0081】
実施形態46.
-第1の検出部分が、第1のオリゴヌクレオチドが結合している、ナノ粒子、金属ナノ粒子、貴金属ナノ粒子、アルカリ金属ナノ粒子、金ナノ粒子、又は銀ナノ粒子であり、
-第1の検出可能なシグナルが、第1のオリゴヌクレオチドの当該修飾後に第1の検出部分から生じる、
(i)屈折率の変化、
(ii)色の変化、及び/又は
(iii)吸収スペクトルの変化
である、実施形態5~19、23~28、32~37、及び39~41のいずれか1つに記載の方法。
【0082】
実施形態47.
-第1の検出部分が、第1のオリゴヌクレオチドが結合している電気化学的薬剤であり、
-第1の検出可能なシグナルが、第1のオリゴヌクレオチドの当該修飾後の第1の検出部分から生じる電気化学的シグナルの変化である、実施形態5~19、23~28、32~37、及び39~41のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
実施形態48.
-電気化学的薬剤が、ナノ粒子、メチレンブルー、トルエンブルー、オラセットブルー、ヘキスト33258、[Ru(phen)3]2+、フェロセン、及び/又はダウノマイシンのうちのいずれか1つ以上から選択される、実施形態47に記載の方法。
【0084】
実施形態49.
-第2の検出部分が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドが結合している、ナノ粒子、金属ナノ粒子、貴金属ナノ粒子、アルカリ金属ナノ粒子、金ナノ粒子、又は銀ナノ粒子であり、
-第2の検出可能なシグナルが、解離する分割ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の当該鎖から生じる、
(i)屈折率の変化、
(ii)色の変化、及び/又は
(iii)吸収スペクトルの変化
である、実施形態43~48のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
実施形態50.
-第2の検出部分が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドが結合している電気化学的薬剤であり、
-第2の検出可能なシグナルが、解離する分割ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の当該鎖から生じる電気化学的シグナルの変化である、実施形態43~48のいずれか1ついずれか1つに記載の方法。
【0086】
実施形態51.
-電気化学的薬剤が、ナノ粒子、メチレンブルー、トルエンブルー、オラセットブルー、ヘキスト33258、[Ru(phen)3]2+、フェロセン、及び/又はダウノマイシンのうちのいずれか1つ以上から選択される、実施形態50に記載の方法。
【0087】
実施形態52.
-第2の検出部分がフルオロフォアであり、
-解離する分割ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の当該鎖によって提供される第2の検出可能なシグナルが、クエンチャー分子からのフルオロフォアの距離を増加させる、実施形態20~22、29~31、38及び42のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
実施形態53.
-フルオロフォア及びクエンチャー分子が、分割ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の対向鎖上に位置する、実施形態52に記載の方法。
【0089】
実施形態54.
-第1の検出可能なシグナルの生成は、可逆的ではなく、
-第1のオリゴヌクレオチドへの修飾は、第1の検出部分が、第1の温度以下で第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にし、
-第1の温度以下で提供される第1の検出可能なシグナルは、第2の温度で検出可能なままである、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
実施形態55.
-パート(c)が、
(i)第1の温度の1℃、2℃、3℃、4℃、若しくは5℃以内の第1のバックグラウンドシグナル、及び第2の温度の1℃、2℃、3℃、4℃、若しくは5℃以内の第2のバックグラウンドシグナル、かつ/又は
(ii)第3の温度での第3のバックグラウンドシグナル
を測定することを含み、これらは混合物中、又は対照混合物中の第1及び第2の検出部分によって提供され、
-パート(d)が、当該処理中又は処理後の1つ以上の時点で、
(i)第1又は第3のバックグラウンドシグナルとは異なる、当該修飾から生じる第1の検出可能なシグナルが、第1の温度で生成されるかどうかを決定することであって、
第1の温度において、第2の検出可能なシグナルが第1又は第3のバックグラウンドシグナルと異ならず、
第1の検出可能なシグナルと第1又は第3のバックグラウンドシグナルとの間の差の検出が、第1のオリゴヌクレオチドの当該修飾及び試料中の第1の標的の存在を示す、決定することと、
(ii)第2又は第3のバックグラウンドシグナルとは異なり、試料中の第2の標的の存在を示す第2の検出可能なシグナルが、第2の温度で生成されるかどうかを決定することとを含む、実施形態54に記載の方法。
【0091】
実施形態56.
-第1の標的が試料中に存在する場合、当該第2の検出可能なシグナルが第2の温度で生成されるかどうかを決定することが、第2の検出可能なシグナルを測定する際に存在する第1の検出可能なシグナルを補償することを含む、実施形態55に記載の方法。
【0092】
実施形態57.
-第1のバックグラウンドシグナルとは異なる第1のシグナルが生成され、
-第2のバックグラウンドシグナルとは異なる第2のシグナルが生成され、
-第1の検出可能なシグナルが第1のバックグラウンドシグナルと異なるよりも大きい程度まで、第2の検出可能なシグナルが第2のバックグラウンドシグナルと異なり、
それにより第2の標的が試料中に存在することを示す、実施形態55又は実施形態56に記載の方法。
【0093】
実施形態58.
-第1の温度が、第2の温度、無傷ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分のTm、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満である、実施形態57に記載の方法。
【0094】
実施形態59.
-第1の温度が、第2の温度、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm、及び分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも高い、実施形態57に記載の方法。
【0095】
実施形態60.
-第3のバックグラウンドシグナルとは異なる第1のシグナルが生成され、
-第3のバックグラウンドシグナルとは異なる第2のシグナルが生成され、
-第1のシグナルが第3のバックグラウンドシグナルと異なるよりも大きい程度まで、第2のシグナルが第3のバックグラウンドシグナルと異なり、
それにより第2の標的が試料中に存在することを示す、実施形態55に記載の方法。
【0096】
実施形態61.
-第2の温度が、第1の温度よりも高く、
-第3の温度が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分のTmよりも低く、
-第3のバックグラウンドシグナルとは異なる第1の検出可能なシグナルが生成され、
-第3のバックグラウンドシグナルとは異なる第2の検出可能なシグナルが生成され、
-第1のシグナルが第3のバックグラウンドシグナルと異なるよりも大きい程度まで、第2の検出可能なシグナルが第3のバックグラウンドシグナルと異なり、
それにより第2の標的が試料中に存在することを示す、実施形態55に記載の方法。
【0097】
実施形態62.
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmが、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であり、
-第1の温度が、第2の温度未満、かつ分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満であり、
-第2の温度が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満である、実施形態55~61のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
実施形態63.
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmが、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-第1の温度が、第2の温度よりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-第1の温度が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、かつ/又は
-第2の温度が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-第2の温度が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、実施形態62に記載の方法。
【0099】
実施形態64.
-当該第3のバックグラウンドシグナルを測定することを含み、第3の温度が第2の温度未満である、実施形態62又は実施形態63に記載の方法。
【0100】
実施形態65.
-第3の温度が、第2の温度よりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、又は10℃超だけ低い、実施形態64に記載の方法。
【0101】
実施形態66.
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmが、分割ステムループオリ
ゴヌクレオチドのステム部分のTm超であり、
-第1の温度が、第2の温度超、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超であり、
-第2の温度が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm超、かつ無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTm未満である、実施形態55~61のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
実施形態67.
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmが、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-第1の温度が、第2の温度よりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-第1の温度が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-第1の温度が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-第2の温度が、分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ高い、かつ/又は
-第2の温度が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分のTmよりも1℃~10℃、1℃~5℃、5℃~10℃、若しくは10℃超だけ低い、実施形態66に記載の方法。
【0103】
実施形態68.
-第1のオリゴヌクレオチドが、多成分核酸酵素(MNAザイム)の基質であり、
-混合物が、
第1の標的が試料中に存在する場合、第1のオリゴヌクレオチドを切断することができるMNAザイムを更に含み、
-当該混合物を処理することが、
MNAザイムを第1の標的に結合させ、MNAザイムの基質アームを、第1のオリゴヌクレオチドの切断を促進する相補塩基対合によって第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、それにより当該修飾を第1のオリゴヌクレオチドに提供し、第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にすることを更に含む、実施形態54~67のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
実施形態69.
-第1の標的が核酸配列であり、
-当該反応混合物を処理することが、
相補塩基対合によって、第1の標的をMNAザイムのセンサーアームにハイブリダイズして、それによりMNAザイムの集合を促進することを更に含む、実施形態68に記載の方法。
【0105】
実施形態70.
-第1のオリゴヌクレオチドがアプタザイムの基質であり、
-第1の標的が、分析物、タンパク質、化合物、又は分子であり、
-混合物が、第1の標的に結合することができるアプタマーを含むアプタザイムを更に含み、
-当該混合物を処理することが、
アプタザイムを第1の標的及び第1のオリゴヌクレオチドに結合させて、第1のオリゴヌクレオチドの切断を促進し、それにより当該修飾を第1のオリゴヌクレオチドに提
供し、第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを生成することを可能にすることを更に含む、実施形態54~67のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
実施形態71.
-第1の標的が核酸配列であり、
-第1のオリゴヌクレオチドが、第1の標的に相補的である配列を含み、
-混合物が、
第1の標的の一部に相補的なプライマー、及び
エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを更に含み、
-当該混合物を処理することが、
相補塩基対合によって、プライマーを第1の標的にハイブリダイズすることと、
相補塩基対合によって、第1のオリゴヌクレオチドを第1の標的にハイブリダイズすることと、
ポリメラーゼ及び第1の標的を鋳型配列として使用してプライマーを伸長し、それにより第1のオリゴヌクレオチドを消化し、第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを生成することを可能にする、第1のオリゴヌクレオチドへの当該修飾を提供することと、を含む、実施形態54~67のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
実施形態72.
-第1の標的が核酸配列であり、
-混合物が、
第1の標的を含む二本鎖の二重構造を消化することができる制限エンドヌクレアーゼを更に含み、
-当該混合物を処理することが、
相補塩基対合によって、第1のオリゴヌクレオチドを第1の標的にハイブリダイズし、それにより二本鎖の二重構造を形成することと、
制限エンドヌクレアーゼを使用して二重構造を消化し、それにより当該修飾を第1のオリゴヌクレオチドに提供し、第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にすることと、を含む、実施形態54~67のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
実施形態73.
-制限エンドヌクレアーゼが、当該二本鎖の二重構造の鎖と会合し、それを切断することができるニッキングエンドヌクレアーゼであり、当該鎖は、第1のオリゴヌクレオチドの全て又は一部を含む、実施形態72に記載の方法。
【0109】
実施形態74.
-混合物が、触媒活性に補因子を必要とするDNAザイム又はリボザイムを更に含み、
-当該混合物の処理が、
補因子をDNAザイム又はリボザイムに結合させて触媒活性化すること、
相補塩基対合によって、DNAザイム又はリボザイムを第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすること、及び
DNAザイム又はリボザイムを触媒活性化し、それにより第1のオリゴヌクレオチドを消化し、それにより第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、第1のオリゴヌクレオチドへの当該修飾を提供すること
のために好適な条件を使用することを含み、
第1の標的が補因子である、実施形態54~67のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
実施形態75.補因子が、金属イオン、又はMg2+、Mn2+、Ca2+、Pb2+から選択される金属イオンである、実施形態74に記載の方法。
【0111】
実施形態76.
-第1の検出部分がフルオロフォアであり、第1のオリゴヌクレオチドへの修飾が、クエンチャー分子からのフルオロフォアの距離を増加させる、実施形態54~75のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
実施形態77.
-第1のオリゴヌクレオチドが、クエンチャー分子を含む、実施形態76に記載の方法。
【0113】
実施形態78.
-第2の検出部分がフルオロフォアであり、
-解離する分割ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の当該鎖によって提供される第2の検出可能なシグナルが、クエンチャー分子からのフルオロフォアの距離を増加させる、実施形態76又は実施形態77に記載の方法。
【0114】
実施形態79.
-フルオロフォア及びクエンチャー分子が、分割ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の対向鎖上に位置する、実施形態78に記載の方法。
【0115】
実施形態80.
-第1の検出部分が、第1のオリゴヌクレオチドが結合している、ナノ粒子、金属ナノ粒子、貴金属ナノ粒子、アルカリ金属ナノ粒子、金ナノ粒子、又は銀ナノ粒子であり、
-第1の検出可能なシグナルが、第1のオリゴヌクレオチドの当該修飾後に第1の検出部分から生じる、
(i)屈折率の変化、
(ii)色の変化、及び/又は
(iii)吸収スペクトルの変化
である、実施形態54又は実施形態79に記載の方法。
【0116】
実施形態81.
-第1の検出部分が、第1のオリゴヌクレオチドが結合している電気化学的薬剤であり、
-第1の検出可能なシグナルが、第1のオリゴヌクレオチドの当該修飾後の第1の検出部分から生じる電気化学的シグナルの変化である、実施形態54~79のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
実施形態82.
-電気化学的薬剤が、ナノ粒子、メチレンブルー、トルエンブルー、オラセットブルー、ヘキスト33258、[Ru(phen)3]2+、フェロセン、及び/又はダウノマイシンのうちのいずれか1つ以上から選択される、実施形態81に記載の方法。
【0118】
実施形態83.
-第2の検出部分が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドが結合している、ナノ粒子、金属ナノ粒子、貴金属ナノ粒子、アルカリ金属ナノ粒子、金ナノ粒子、又は銀ナノ粒子であり、
-第2の検出可能なシグナルが、解離する分割ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の当該鎖から生じる、
(i)屈折率の変化、
(ii)色の変化、及び/又は
(iii)吸収スペクトルの変化
である、実施形態80~82のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
実施形態84.
-第2の検出部分が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドが結合している電気化学的薬剤であり、
-第2の検出可能なシグナルが、解離する分割ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の当該鎖から生じる電気化学的シグナルの変化である、実施形態80~82のいずれか1ついずれか1つに記載の方法。
【0120】
実施形態85.
-電気化学的薬剤が、ナノ粒子、メチレンブルー、トルエンブルー、オラセットブルー、ヘキスト33258、[Ru(phen)3]2+、フェロセン、及び/又はダウノマイシンのうちのいずれか1つ以上から選択される、実施形態84に記載の方法。
【0121】
実施形態86.無傷ステムループオリゴヌクレオチドが、第1の酵素による無傷ステムループオリゴヌクレオチドの1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドの当該消化中に、第2の標的にハイブリダイズしていない、実施形態1~85のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
実施形態87.
-第1の酵素が第1のMNAザイムであり、
-当該混合物を処理することが、
第1のMNAザイムを第2の標的に結合させ、当該第1のMNAザイムの基質アームを無傷ステムループオリゴヌクレオチドのループ部分にハイブリダイズして、それにより、無傷ステムループオリゴヌクレオチドの1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドを消化し、分割ステムループオリゴヌクレオチドを提供することを含む、実施形態1~86のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
実施形態88.
-第2の標的が核酸配列であり、
-当該混合物を処理することが、
相補塩基対合によって、第2の標的を第1のMNAザイムのセンサーアームにハイブリダイズして、それにより第1のMNAザイムの集合を促進することを更に含む、実施形態87に記載の方法。
【0124】
実施形態89.
-第2の標的が、分析物、タンパク質、化合物、又は分子であり、
-第1の酵素が、第2の標的に結合することができるアプタマーを含むアプタザイムであり、
-アプタマーへの第2の標的の結合が、第1の酵素を触媒活性化することができる、実施形態1~86のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
実施形態90.
-第1の酵素が、アプタ-DNAザイム、アプタ-リボザイム、アプタ-MNAザイムのうちのいずれか1つである、実施形態89に記載の方法。
【0126】
実施形態91.
-第2の標的が、分析物、タンパク質、化合物、又は分子であり、
-第1のオリゴヌクレオチドがアプタザイムの基質であり、
-第1の酵素が、第2の標的に結合することができるアプタマー部分と、無傷ステムル
ープオリゴヌクレオチドの1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドを消化することができる核酸酵素部分とを含むアプタザイムであり、
-当該混合物を処理することが、
第2の標的をアプタザイムのアプタマー部分に結合させ、核酸酵素部分の触媒活性の活性化を促進し、無傷ステムループオリゴヌクレオチドを活性核酸酵素部分にハイブリダイズして、それにより、無傷ステムループオリゴヌクレオチドの1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドを消化することを更に含む、実施形態1~86のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
実施形態92.
-第2の標的が核酸配列であり、
-第1の酵素が第1の制限エンドヌクレアーゼであり、当該混合物を処理することが、
相補塩基対合によって第2の標的を無傷ステムループオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分にハイブリダイズして、第1の制限エンドヌクレアーゼが一本鎖ループ部分の1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドに会合し、それを消化するための二本鎖配列を形成して、それにより、分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成するのに好適な条件を使用することを含む、実施形態1~85のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
実施形態93.
-第1の制限エンドヌクレアーゼが、第1の制限エンドヌクレアーゼの当該二本鎖配列の鎖と会合し、それを切断することができる第1のニッキングエンドヌクレアーゼであり、当該鎖は、無傷ステムループオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分の全て又は一部を含む、実施形態92に記載の方法。
【0129】
実施形態94.
-第1の酵素が、エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを含み、
-当該混合物を処理することが、
相補塩基対合によって第2の標的を無傷ステムループオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分にハイブリダイズして、第2の標的の一部を含む第1の二本鎖配列を形成し、
第1のプライマーオリゴヌクレオチドを第2の標的にハイブリダイズして、第2の標的の一部を含む第1の二本鎖配列に対して上流に位置する第2の二本鎖配列を形成し、
エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを使用し、第2の標的を鋳型配列として使用してプライマーを伸長させるのに好適な条件を使用することを含み、
エキソヌクレアーゼ活性を含む第1のポリメラーゼは、第1の二本鎖配列の一本鎖ループ部分を消化し、それにより、分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成する、実施形態1~85のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
実施形態95.
-第1の酵素がエキソヌクレアーゼであり、
-当該混合物を処理することが、
相補塩基対合によって第2の標的を無傷ステムループオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分にハイブリダイズして、第2の標的の一部を含む第1の二本鎖配列を形成し、
エキソヌクレアーゼ活性を含む第1の酵素を、第2の標的を含む二本鎖配列と会合させ、
エキソヌクレアーゼ活性を含む第1の酵素を触媒活性化し、第2の標的を含む第1の二本鎖配列の一本鎖ループ部分を消化させ、それにより、分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成するのに好適な条件を使用することを含む、実施形態1~85のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
実施形態96.
-第1の酵素が、触媒活性に補因子を必要とするDNAザイム又はリボザイムであり、当該混合物を処理することが、
-補因子を第1の酵素に結合させて触媒活性化し、
-相補塩基対合によって、DNAザイム又はリボザイムを無傷ステムループオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分にハイブリダイズし、
-DNAザイム又はリボザイムを触媒活性化し、無傷ステムループオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分の1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドを消化し、それにより、分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成するのに好適な条件を使用することを含み、
第2の標的が補因子である、実施形態1~85のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
実施形態97.補因子が、金属イオン、又はMg2+、Mn2+、Ca2+、Pb2+から選択される金属イオンである、実施形態96に記載の方法。
【0133】
実施形態98.
-第1の標的が第2の標的とは異なり、かつ/又は
-第1のオリゴヌクレオチドが、無傷ステムループオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分内にない配列を含むか、若しくはそれからなる、実施形態1~97のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
実施形態99.
-第1の酵素が第2の標的を消化しない、実施形態1~98のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
実施形態100.
-当該酵素のいずれも、第1の標的及び/又は第2の標的を消化しない、実施形態1~71、74~91、又は94~99のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
実施形態101.
-第1の温度が、第2の温度と1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、又は60℃超だけ異なる、実施形態1~100のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
実施形態102.当該決定することが、
-当該処理中の1つ以上の時点、又は
-当該処理中の1つ以上の時点及び当該処理後の1つ以上の時点での、第1の検出可能なシグナル及び/又は任意の当該バックグラウンドシグナルの検出を含む、実施形態1~101のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
実施形態103.当該決定することが、
-当該処理後の1つ以上の時点での、第1の検出可能なシグナル及び/又は任意の当該バックグラウンドシグナルの検出を含む、実施形態1~101のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
実施形態104.当該決定することが、
-当該処理中の1つ以上の時点、又は
-当該処理中の1つ以上の時点及び当該処理後の1つ以上の時点での、第2の検出可能なシグナル及び/又は任意の当該バックグラウンドシグナルの検出を含む、実施形態1~101のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
実施形態105.当該決定することが、
-当該処理後の1つ以上の時点での、第2の検出可能なシグナル及び/又は任意の当該バックグラウンドシグナルの検出を含む、実施形態1~101のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
実施形態106.
-当該第1及び第2の標的の存在又は不在を決定することが、融解曲線分析を含む、実施形態1~105のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
実施形態107.
-当該第1及び第2の標的の存在又は不在を決定することが、第1及び第2の検出可能なシグナル並びに任意選択で第1及び第2のバックグラウンドシグナルを含む融解曲線分析を含む、実施形態6に記載の方法。
【0143】
実施形態108.
-当該第1及び第2の標的の存在又は不在を決定することが、第1及び第2の検出可能なシグナル並びに任意選択で第1及び第2のバックグラウンドシグナル、又は、
-第1及び第2の検出可能なシグナル並びに任意選択で第3のバックグラウンドシグナルを含む融解曲線分析を含む、実施形態55に記載の方法。
【0144】
実施形態109.
-第1の標的及び/又は第2の標的が、核酸のアンプリコンである、実施形態1~108のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
実施形態110.
-第1の標的が核酸であり、かつ/又は第2の標的が核酸であり、
-混合物が、当該第1及び/又は第2の標的を増幅するための試薬を更に含み、
-当該混合物を処理することが、第1及び/又は第2の標的の増幅を行うのに好適な条件を更に含む、実施形態1~109のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
実施形態111.
-増幅が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、ニッキング酵素増幅反応(NEAR)、ヘリカーゼ依存的増幅(HDA)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、ローリングサークル増幅(RCA)、転写媒介増幅(TMA)、自家持続配列複製(3SR)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)若しくは分岐増幅方法(RAM)、及び/又は逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)のうちのいずれか1つ以上である、実施形態110に記載の方法。
【0147】
実施形態112.当該決定することが、
-当該増幅の前に、又は当該増幅の開始の1、2、3、4、若しくは5サイクル以内に生じる、かつ/又は
-当該増幅の完了後に行われる、実施形態110又は実施形態111に記載の方法。
【0148】
実施形態113.当該決定することが、
-当該増幅の前に、又は当該増幅の開始から1、2、3、4、若しくは5分以内に生じる、かつ/又は
-当該増幅の完了後に行われる、実施形態110~112のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
実施形態114.当該決定することが、
-当該増幅の前の第1の時点で、かつ
-当該増幅の完了後の第2の時点で行われる、実施形態110~113のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
実施形態115.
-増幅方法がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)であり、
-当該決定することが、複数のサイクルで、任意選択で各サイクルで行われる、実施形態110~114のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
実施形態116.
-当該増幅の前及び/若しくは反応物の当該処理の前に第1の温度で生成された陽性対照シグナルを使用して、当該増幅の間若しくはその後の時点で測定された第1の温度での第1の検出可能なシグナルを正規化すること、並びに/又は
-当該増幅の前及び/若しくは反応物の当該処理の前に第2の温度で生成された陽性対照シグナルを使用して、当該増幅の間若しくはその後の時点で測定された第2の温度での第2の検出可能なシグナルを正規化することを更に含む、実施形態110又は実施形態111に記載の方法。
【0152】
実施形態117.
-当該増幅の前及び/若しくは反応物の当該処理の前に第1の温度で無傷ステムループオリゴヌクレオチドによって生成された検出可能なシグナルを使用して、第1の検出可能なシグナルを正規化すること、並びに/又は
-当該増幅の前及び/若しくは反応物の当該処理の前に追加の温度で無傷ステムループオリゴヌクレオチドによって生成された検出可能なシグナルを使用して、第2の検出可能なシグナルを正規化することを更に含み、
追加の温度は、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのTm超である、実施形態110又は実施形態111に記載の方法。
【0153】
実施形態118.
-既知の濃度の第1の標的及び/又は既知の濃度の当該修飾後の第1のオリゴヌクレオチドを使用して、第1の標的陽性対照シグナルを生成することを更に含む、実施形態1~117のいずれか1つに記載の方法。
【0154】
実施形態119.
-当該第1の標的を含む別個の対照試料に対して方法を反復することによって、第1の標的陽性対照シグナルを生成することを更に含む、実施形態1~118のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
実施形態120.
-第1の標的を含む別個の対照試料が、既知の濃度の第1の標的を含む、実施形態119に記載の方法。
【0156】
実施形態121.
-第1の標的を含む別個の対照試料が、第2の標的を更に含む、実施形態119又は実施形態120に記載の方法。
【0157】
実施形態122.
-既知の濃度の第2の標的及び/又は既知の濃度の当該修飾後のステムループオリゴヌ
クレオチドを使用して、第2の標的陽性対照シグナルを生成することを更に含む、実施形態1~121のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
実施形態123.
-第2の標的を含む別個の対照試料に対して当該方法を反復することによって、第2の標的陽性対照シグナルを生成することを更に含む、実施形態1~122のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
実施形態124.
-第2の標的を含む対照試料が、既知の濃度の第2の標的を含む、実施形態123に記載の方法。
【0160】
実施形態125.
-第2の標的を含む当該対照試料が、当該第1の標的を更に含む、実施形態123又は実施形態124に記載の方法。
【0161】
実施形態126.
-第1の標的及び第2の標的を含む別個の対照試料に対して当該方法を反復することによって、組み合わされた陽性対照シグナルを生成することを更に含む、実施形態1~125のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
実施形態127.
-組み合わされた対照試料が、既知の濃度の第1の標的及び/又は既知の濃度の第2の標的を含む、実施形態126に記載の方法。
【0163】
実施形態128.
-任意の当該陽性対照シグナルを使用して、第1の検出可能なシグナル及び/又は第2の検出可能なシグナルを正規化することを更に含む、実施形態116~127のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
実施形態129.
(i)当該第1の標的、又は
(ii)当該第2の標的、又は
(iii)当該第1の標的若しくは当該第2の標的を含有しない別個の陰性対照試料に対して、実施形態1~115のいずれか1つに記載の方法を反復することによって、陰性対照シグナルのレベルを評価することを更に含む、実施形態116~128のいずれか1つに記載の方法。
【0165】
実施形態130.
-当該陰性対照シグナルを使用して、第1の検出可能なシグナル及び/又は第2の検出可能なシグナルを正規化することを更に含む、実施形態129に記載の方法。
【0166】
実施形態131.
-任意の当該対照シグナルが、蛍光対照シグナルである、実施形態116~130のいずれか1つに記載の方法。
【0167】
実施形態132.第1及び/又は第2の検出可能なシグナルを閾値と比較することを更に含み、
-閾値は、実施形態1~115のいずれか1つに記載の方法に従って試験された一連の試料又はその誘導体に由来する検出可能なシグナルを使用して生成され、
(i)鋳型なし対照及び第1の標的
(ii)鋳型なし対照及び第2の標的
(iii)鋳型なし対照、第1の標的、及び第2の標的
のうちのいずれか1つ以上を含み、それにより、試料中の第1及び第2の標的の当該存在又は不在を決定する、実施形態1~131のいずれか1つに記載の方法。
【0168】
実施形態133.
-一連の試料又はその誘導体が、既知の濃度の第1のオリゴヌクレオチド及び/又は既知の濃度の無傷ステムループオリゴヌクレオチドを使用して試験される、実施形態132に記載の方法。
【0169】
実施形態134.
-試料が、対象から得られた生物学的試料である、実施形態1~133のいずれか1つに記載の方法。
【0170】
実施形態135.
-方法が、インビトロで実行される、実施形態1~133のいずれか1つに記載の方法。
【0171】
実施形態136.
-方法が、エクスビボで実行される、実施形態1~133のいずれか1つに記載の方法。
【0172】
実施形態137.
-第1及び第2の検出可能な部分が、可視スペクトルの同じ色領域で発光する、実施形態1~136のいずれか1つに記載の方法。
【0173】
実施形態138.
-第1の標的を検出するための第1のオリゴヌクレオチドであって、第1の標的は核酸であり、第1のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部に相補的である、第1のオリゴヌクレオチドと、
-第1の検出部分であって、
第1の検出部分が、第1のオリゴヌクレオチドの修飾時に、第1の検出可能なシグナルを生成することができ、
修飾が、相補塩基対合による第1の標的の第1のオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションによって誘導される、第1の検出部分と、
-第2の標的の検出のための無傷ステムループオリゴヌクレオチドであって、ハイブリダイズしたヌクレオチドの二本鎖ステム部分を含み、その対向鎖は、ハイブリダイズしていないヌクレオチドの破壊されていない一本鎖ループ部分によって連結され、二本鎖ステム部分の少なくとも1つの鎖は、第2の検出部分を含む、無傷ステムループオリゴヌクレオチドと、
-第2の標的が試料中に存在する場合にのみ、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのハイブリダイズしていないヌクレオチドのうちの1つ以上を消化し、それにより一本鎖ループ部分を破壊して分割ステムループオリゴヌクレオチドを提供することができる、第1の酵素と
を含む組成物であって、
-第2の検出部分は、分割ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の解離時に、第2の検出可能なシグナルを生成することができ、
-第1及び第2の検出部分は、単一の種類の検出器を使用して、単一の温度では鑑別できない検出可能なシグナルを生成することができる、組成物。
【0174】
実施形態139.
-第1の標的に相補的である第1のオリゴヌクレオチドの領域が、無傷ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の各鎖に対して異なる融解温度(Tm)を有する、実施形態138に記載の組成物。
【0175】
実施形態140.第1のオリゴヌクレオチドが、
無傷ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の各鎖、及び
無傷ステムループオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分とは配列が異なる、実施形態138又は実施形態139に記載の組成物。
【0176】
実施形態141.
-第1のオリゴヌクレオチドが、対向鎖上のハイブリダイズしたヌクレオチドの二本鎖ステム部分を含み、その全て又は一部が第1の標的に相補的であるハイブリダイズしていないヌクレオチドの破壊されていない一本鎖ループ部分によって連結されたステムループオリゴヌクレオチドである、実施形態138~140のいずれか1つに記載の組成物。
【0177】
実施形態142.
-相補塩基対合によって、第1の標的が第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされ、第1のオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分における鎖の解離を引き起こし、それにより、第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、実施形態141に記載の組成物。
【0178】
実施形態143.
-第1のオリゴヌクレオチドが、
ハイブリダイズしたヌクレオチドの二本鎖ステム部分であって、その対向鎖は、全て又は一部が第1の標的に相補的であるハイブリダイズしていないヌクレオチドの一本鎖ループ部分によって連結された、二本鎖ステム部分と、
当該対向鎖のうちの1つから3’方向に延び、第1の標的の一部に相補的な配列で終端する第2の一本鎖部分と、
第1の標的の一部に相補的な、当該配列の前にあるブロッカー分子とを含むステムループオリゴヌクレオチドである、実施形態138~140のいずれか1つに記載の組成物。
【0179】
実施形態144.
-相補塩基対合によって、第1の標的がその第2の一本鎖部分にハイブリダイズされ、
組成物は、第1の標的を鋳型配列として使用して第2の一本鎖部分を伸長して、二本鎖核酸を提供することができるポリメラーゼを更に含み、当該ブロッカー分子は、ポリメラーゼが当該1つの対向鎖を鋳型として使用して第1の標的を伸長することを防止することができ、
二本鎖核酸を変性させると、ポリメラーゼによって伸長された第2の一本鎖部分は、相補塩基対合によって第1のオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分にハイブリダイズして、シグナル伝達二重構造を生成し、それにより、第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、実施形態143に記載の組成物。
【0180】
実施形態145.
-第1の検出部分がフルオロフォアである、実施形態141~144のいずれか1つに記載の組成物。
【0181】
実施形態146.
-第1のオリゴヌクレオチドがクエンチャー分子を含み、フルオロフォア及びクエンチャー分子が、第1のオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の対向鎖上に位置する、実施形態145に記載の組成物。
【0182】
実施形態147.
-第1のオリゴヌクレオチドが、
ハイブリダイズしたヌクレオチドの第1の二本鎖部分を含み、その第1の鎖は、第1の標的の一部にハイブリダイズすることができる相補配列で終端する一本鎖部分に延び、第1の鎖は、当該相補配列の前にブロッカー分子を含み、
-組成物がポリメラーゼを更に含む、実施形態138~140のいずれか1つに記載の組成物。
【0183】
実施形態148.
相補塩基対合によって、第1の標的の一部が一本鎖部分の当該相補配列にハイブリダイズされ、
組成物が、第1の標的を鋳型配列として使用して相補配列を伸長して、第2の二本鎖部分を提供することができるポリメラーゼを更に含み、当該ブロッカー分子は、ポリメラーゼが一本鎖部分を鋳型として使用して第1の標的を伸長することを防止し、
第1及び第2の二本鎖部分が変性すると、ポリメラーゼによって伸長された相補配列は、相補塩基対合によって第1の二本鎖部分の第1の鎖にハイブリダイズして、シグナル伝達二重構造を生成し、それにより、第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にすることができる、実施形態147に記載の組成物。
【0184】
実施形態149.
-第1の検出部分がフルオロフォアであり、修飾が、クエンチャー分子からのその距離を増加させる、実施形態147又は実施形態148に記載の組成物。
【0185】
実施形態150.
-第1のオリゴヌクレオチドがクエンチャー分子を含み、フルオロフォア及びクエンチャー分子が、第1の二本鎖部分の対向鎖上に位置する、実施形態149に記載の組成物。
【0186】
実施形態151.
-第1のオリゴヌクレオチドが、標的の第1の部分に相補的であり、
-組成物が、第1の標的の第2の部分に相補的な追加のオリゴヌクレオチドを更に含み、第1の標的の第1及び第2の部分は、互いに隣接するが重複せず、それぞれ、第1の標的にハイブリダイズして、
(i)第1のオリゴヌクレオチドを標的にハイブリダイズすることによる、又は相補塩基対合による第1の二本鎖成分、及び
(ii)相補塩基対合によって追加のオリゴヌクレオチドを標的にハイブリダイズすることによる第2の二本鎖成分を含む二重構造構造を形成し、
それにより、第1及び追加のオリゴヌクレオチドを近接させ、第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にし得る、実施形態138~140のいずれか1つに記載の組成物。
【0187】
実施形態152.
-第1の検出可能な部分がフルオロフォアであり、追加のオリゴヌクレオチドがクエンチャーを含み、
-当該二重構造構造を形成することが、更にフルオロフォア及びクエンチャーを近接させ、
-当該検出可能なシグナルが、第1の検出部分によって提供される蛍光の減少である、
実施形態151に記載の組成物。
【0188】
実施形態153.
-第1のオリゴヌクレオチドが、相補塩基対合によって第1の標的にハイブリダイズされ、
-組成物が、
相補塩基対合によって第1の標的の一部にハイブリダイズしたプライマー、及び
第1の標的を鋳型配列として使用してプライマーを伸長し、それにより第1のオリゴヌクレオチドを消化し、第1のオリゴヌクレオチドを修飾して第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にし得る、エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを更に含む、実施形態138~140のいずれか1つに記載の方法。
【0189】
実施形態154.
-第1の標的が、相補塩基対合によって第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされ、それにより二本鎖の二重構造を形成し、
-組成物が、第1の標的を含む二本鎖の二重構造を消化し、それにより第1のオリゴヌクレオチドを修飾し、第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にし得る制限エンドヌクレアーゼを更に含む、実施形態138~140のいずれか1つに記載の組成物。
【0190】
実施形態155.
-制限エンドヌクレアーゼが、当該二本鎖の二重構造の鎖と会合し、それを切断することができるニッキングエンドヌクレアーゼであり、当該鎖は、第1のオリゴヌクレオチドを含む、実施形態154に記載の組成物。
【0191】
実施形態156.
-第1の検出部分がフルオロフォアであり、第1のオリゴヌクレオチドの当該修飾が、クエンチャー分子からのフルオロフォアの距離を増加させる、実施形態153~155のいずれか1つに記載の組成物。
【0192】
実施形態157.
-第1のオリゴヌクレオチドが、クエンチャー分子を含む、実施形態156に記載の組成物。
【0193】
実施形態158.
-第1の検出部分を含む第1の標的の検出のための第1のオリゴヌクレオチドであって、
第1の検出部分が、第1のオリゴヌクレオチドの修飾時に、第1の検出可能なシグナルを生成することができ、
修飾が、第1の標的によって誘導される、第1のオリゴヌクレオチドと、
-第2の標的の検出のための無傷ステムループオリゴヌクレオチドであって、ハイブリダイズしたヌクレオチドの二本鎖ステム部分を含み、その対向鎖は、ハイブリダイズしていないヌクレオチドの破壊されていない一本鎖ループ部分によって連結され、二本鎖ステム部分の少なくとも1つの鎖は、第2の検出部分を含む、無傷ステムループオリゴヌクレオチドと、
-第2の標的が試料中に存在する場合にのみ、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのハイブリダイズしていないヌクレオチドのうちの1つ以上を消化し、それにより一本鎖ループ部分を破壊して分割ステムループオリゴヌクレオチドを提供することができる、第1の酵素と
を含む組成物であって、
-第2の検出部分は、分割ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の解離時に、第2の検出可能なシグナルを生成することができ、
-第1及び第2の検出部分は、単一の種類の検出器を使用して、単一の温度では鑑別できない検出可能なシグナルを生成することができる、組成物。
【0194】
実施形態159.第1のオリゴヌクレオチドが、
無傷ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の各鎖、及び
無傷ステムループオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分とは配列が異なる、実施形態158に記載の組成物。
【0195】
実施形態160.
-第1の標的が核酸配列であり、
-組成物が、
第1の標的における第1の配列に相補的な第1のプライマーと、
第1の配列とは異なる、第1の標的における第2の配列に相補的な成分、及び第1の標的に相補的ではないタグ部分を含む、第2のオリゴヌクレオチドと、
エキソヌクレアーゼ活性を含む第1のポリメラーゼと、
任意選択で第2のポリメラーゼとを更に含む、実施形態158又は実施形態159に記載の組成物。
【0196】
実施形態161.
-第1のプライマー及び第2のオリゴヌクレオチドが、それぞれ相補塩基対合によって第1の標的にハイブリダイズされ、
第1のポリメラーゼは、標的を鋳型として使用して第1のプライマーを伸長し、それによりタグ部分を切断して、切断されたタグ部分が相補塩基対合により第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることを可能にし得、
第1のポリメラーゼ又は任意選択の第2のポリメラーゼは、第1のオリゴヌクレオチドを鋳型として使用してタグ部分を伸長し、第1のオリゴヌクレオチドを含む二本鎖配列を生成し、それにより第1のオリゴヌクレオチドを修飾し、第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にし得る、実施形態160に記載の組成物。
【0197】
実施形態162.
-第1のオリゴヌクレオチドが、フルオロフォア及びクエンチャー分子を含む、実施形態160又は実施形態161に記載の組成物。
【0198】
実施形態163.
-第1のオリゴヌクレオチドが、フルオロフォア及びクエンチャー分子を含み、
-当該タグ部分を伸長することが、フルオロフォアとクエンチャー分子との間の距離を増加させる、実施形態162に記載の組成物。
【0199】
実施形態164.
-第1の標的が酵素触媒活性の補因子であり、
-組成物が、触媒活性に補因子を必要とするDNAザイム又はリボザイムを更に含み、
-DNAザイム又はリボザイムは、第1の標的に結合し、相補塩基対合によって第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、それにより第1のオリゴヌクレオチドを消化及び修飾し、第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを生成することを可能にし得る、実施形態158又は実施形態159に記載の組成物。
【0200】
実施形態165.補因子が、金属イオン、又はMg2+、Mn2+、Ca2+、Pb2+から選択される金属イオンである、実施形態164に記載の組成物。
【0201】
実施形態166.
-第1のオリゴヌクレオチドが、多成分核酸酵素(MNAザイム)の基質であり、
-組成物が、第1の標的が試料中に存在する場合、第1のオリゴヌクレオチドを切断することができるMNAザイムを更に含み、
-MNAザイムは、第1の標的に結合し、その基質アームを介した相補塩基対合によって第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができ、当該ハイブリダイゼーションは、第1のオリゴヌクレオチドの切断を促進し、それによりそれを修飾し、第1の検出部分が、第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、実施形態158又は実施形態159に記載の方法。
【0202】
実施形態167.
-第1の標的が核酸配列であり、
-第1の標的が、相補塩基対合によってMNAザイムのセンサーアームにハイブリダイズされ、それによりMNAザイムの集合を促進する、実施形態166に記載の組成物。
【0203】
実施形態168.
-第1の標的が、分析物、タンパク質、化合物、又は分子であり、
-第1のオリゴヌクレオチドがアプタザイムの基質であり、
-組成物が、第1の標的に結合することができるアプタマー部分と、第1のオリゴヌクレオチドを消化し、それによりそれを修飾して第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にし得る核酸酵素部分とを含むアプタザイムを更に含む、実施形態158又は実施形態159に記載の組成物。
【0204】
実施形態169.
-第1の標的が、アプタザイムのアプタマー部分に結合し、第1のオリゴヌクレオチドが、相補塩基対合によって活性核酸酵素部分にハイブリダイズして、第1のオリゴヌクレオチドの消化を促進し、それによりそれを修飾して、第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、実施形態168に記載の組成物。
【0205】
実施形態170.
-第1の検出部分がフルオロフォアであり、当該第1のオリゴヌクレオチドを修飾することが、クエンチャー分子からのフルオロフォアの距離を増加させる、実施形態166~169のいずれか1つに記載の組成物。
【0206】
実施形態171.
-第1のオリゴヌクレオチドが、クエンチャー分子を含む、実施形態170に記載の組成物。
【0207】
実施形態172.
-第1の検出部分が、第1のオリゴヌクレオチドが結合している、ナノ粒子、金属ナノ粒子、貴金属ナノ粒子、アルカリ金属ナノ粒子、金ナノ粒子、又は銀ナノ粒子であり、
-第1の検出可能なシグナルが、第1のオリゴヌクレオチドの当該修飾後に第1の検出部分から生じる、
(i)屈折率の変化、
(ii)色の変化、及び/又は
(iii)吸収スペクトルの変化
である、実施形態138~144、147、148、151、153~155、158~161、及び164~169のいずれか1つに記載の組成物。
【0208】
実施形態173.
-第1の検出部分が、第1のオリゴヌクレオチドが結合している電気化学的薬剤であり、
-第1の検出可能なシグナルが、電気化学的シグナルの変化である、実施形態172に記載の組成物。
【0209】
実施形態174.
-電気化学的薬剤が、ナノ粒子、メチレンブルー、トルエンブルー、オラセットブルー、ヘキスト33258、[Ru(phen)3]2+、フェロセン、及び/又はダウノマイシンのうちのいずれか1つ以上から選択される、実施形態173に記載の組成物。
【0210】
実施形態175.
-第2の検出部分が、第2のオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の少なくとも1つの鎖が結合している、ナノ粒子、金属ナノ粒子、貴金属ナノ粒子、アルカリ金属ナノ粒子、金ナノ粒子、又は銀ナノ粒子であり、
-第2の検出可能なシグナルが、分割ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の当該解離時に生じる、
(i)屈折率の変化、
(ii)色の変化、及び/又は
(iii)吸収スペクトルの変化
である、実施形態172~174のいずれか1つに記載の組成物。
【0211】
実施形態176.
-第2の検出部分が、第2のオリゴヌクレオチドが結合している電気化学的薬剤であり、
-第2の検出可能なシグナルが、分割ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の当該解離時に生じる電気化学的シグナルの変化である、実施形態172~174のいずれか1つに記載の組成物。
【0212】
実施形態177.
-電気化学的薬剤が、ナノ粒子、メチレンブルー、トルエンブルー、オラセットブルー、ヘキスト33258、[Ru(phen)3]2+、フェロセン、及び/又はダウノマイシンのうちのいずれか1つ以上から選択される、実施形態176に記載の組成物。
【0213】
実施形態178.
-第2の検出部分がフルオロフォアであり、
-分割ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の解離時に当該第2の検出部分により提供される第2の検出可能なシグナルは、クエンチャー分子からのフルオロフォアの距離を増加させる、実施形態145、146、149、150、152、156、157、162、163、170、及び171のいずれか1つに記載の組成物。
【0214】
実施形態179.
-フルオロフォア及びクエンチャー分子が、ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の対向鎖上に位置する、実施形態178に記載の組成物。
【0215】
実施形態180.
-第1の酵素が第1のMNAザイムであり、
-第1のMNAザイムが第2の標的に結合し、
-当該第1のMNAザイムの基質アームが、相補塩基対合により無傷ステムループオリゴヌクレオチドの単一ループ部分にハイブリダイズし、それにより、無傷ステムループオ
リゴヌクレオチドの1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドの消化を促進し、分割ステムループオリゴヌクレオチドを提供する、実施形態138~179のいずれか1つに記載の組成物。
【0216】
実施形態181.
-第2の標的又はが核酸配列であり、
-第2の標的が、相補塩基対合によって第1のMNAザイムのセンサーアームにハイブリダイズされ、それにより第1のMNAザイムの集合を促進する、実施形態180に記載の組成物。
【0217】
実施形態182.
-第2の標的が、分析物、タンパク質、化合物、又は分子であり、
-第1の酵素が、第2の標的に結合することができるアプタマーを含むアプタザイムであり、
-アプタマーが第2の標的に結合しており、それにより第1の酵素を触媒活性化する、実施形態138~179のいずれか1ついずれか1つに記載の組成物。
【0218】
実施形態183.
-第1の酵素が、アプタ-DNAザイム、アプタ-リボザイム、アプタ-MNAザイムのうちのいずれか1つである、実施形態182に記載の組成物。
【0219】
実施形態184.
-第2の標的が、分析物、タンパク質、化合物、又は分子であり、
-無傷ステムループオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分が、アプタザイムの基質であり、
-組成物が、第2の標的に結合することができるアプタマー部分と、無傷ステムループオリゴヌクレオチドの1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドを消化し、それにより、分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成し得る核酸酵素部分とを含むアプタザイムを更に含む、実施形態138~179のいずれか1つに記載の組成物。
【0220】
実施形態185.
-第2の標的が、アプタザイムのアプタマー部分に結合し、無傷ステムループオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分が、相補塩基対合により活性核酸酵素部分にハイブリダイズされ、無傷ステムループオリゴヌクレオチドの1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドの消化を促進し、それにより、分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成する、実施形態184に記載の組成物。
【0221】
実施形態186.
-第2の標的が核酸配列であり、
-第1の酵素が第1の制限エンドヌクレアーゼであり、
-第2の標的が、相補塩基対合によって無傷ステムループオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分にハイブリダイズされ、第1の制限エンドヌクレアーゼが無傷ステムループオリゴヌクレオチドの1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドに会合し、それを消化するための二本鎖配列を形成して、それにより、分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成する、実施形態138~179のいずれか1つに記載の組成物。
【0222】
実施形態187.
-第1の制限エンドヌクレアーゼが、第1の制限エンドヌクレアーゼの当該二本鎖配列の鎖と会合し、それを切断することができる第1のニッキングエンドヌクレアーゼであり、当該鎖は、無傷ステムループオリゴヌクレオチドを含む、実施形態186に記載の組成物。
【0223】
実施形態188.
-第1の酵素が、エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを含み、
-第2の標的が、相補塩基対合によって無傷ステムループオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分にハイブリダイズされ、第2の標的の一部を含む第1の二本鎖配列を形成し、
-組成物が、相補塩基対合によって第2の標的にハイブリダイズされて、第2の標的の一部を含む第1の二本鎖配列に対して上流に位置する第2の二本鎖配列を形成する第1のプライマーオリゴヌクレオチドを更に含み、
-プライマーが、エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ、及び第2の標的を鋳型配列として使用して伸長されて、第1の二本鎖配列の一本鎖ループ部分を消化し、それにより、分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成し得る、実施形態138~179のいずれか1つに記載の組成物。
【0224】
実施形態189.
-第1の酵素がエキソヌクレアーゼであり、
-第2の標的が、相補塩基対合によって無傷ステムループオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分にハイブリダイズされ、第2の標的の一部を含む第1の二本鎖配列を形成し、それにエキソヌクレアーゼ活性を含む第1の酵素が会合し、それにより、第2の標的を含む第1の二本鎖配列の一本鎖ループ部分を消化して、分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成し得る、実施形態138~179のいずれか1つに記載の組成物。
【0225】
実施形態190.
-第1の酵素が、触媒活性に補因子を必要とするDNAザイム又はリボザイムであり、
-第2の標的が補因子であり、DNAザイム又はリボザイムに結合しており、
-DNAザイム又はリボザイムは、相補塩基対合により無傷ステムループオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分にハイブリダイズされ、無傷ステムループオリゴヌクレオチドの一本鎖ループ部分の1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドを消化させ、それにより、分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成させる、実施形態138~179のいずれか1つに記載の組成物。
【0226】
実施形態191.補因子が、金属イオン、又はMg2+、Mn2+、Ca2+、Pb2+から選択される金属イオンである、実施形態190に記載の組成物。
【0227】
実施形態192.
-第1のオリゴヌクレオチドが、Molecular Beacon(登録商標)、Scorpions(登録商標)プライマー、TaqMan(登録商標)プライマー、又はMNAザイム基質のうちのいずれか1つ以上から選択される、実施形態138~150、153、156~158、166又は167のいずれか1つに記載の組成物。
【0228】
実施形態193.
-第1の標的及び/又は第2の標的が、核酸のアンプリコンである、実施形態138~192のいずれか1つに記載の組成物。
【0229】
実施形態194.試料中の第1及び第2の標的の存在又は不在を決定するための方法であって、
(a)第1及び第2の標的又はそれらのアンプリコンを含むと推定される試料又はその誘導体を、
-第1の標的又はそのアンプリコンの検出のための第1のオリゴヌクレオチドであって、第1の検出可能なシグナルを生成することができる第1の検出部分を含む第1のオリゴヌクレオチド、
-第2の標的又はそのアンプリコンの検出のための無傷ステムループオリゴヌクレオチドであって、ハイブリダイズしたヌクレオチドの二本鎖ステム部分を含み、その対向鎖は、ハイブリダイズしていないヌクレオチドの破壊されていない一本鎖ループ部分によって連結され、ステム部分は、第2の検出可能なシグナルを生成することができる第2の検出部分を含み、
第1及び第2の検出可能なシグナルは、単一の種類の検出器を使用して、単一の温度では鑑別できない、無傷ステムループオリゴヌクレオチド、並びに
-第2の標的又はそのアンプリコンが試料中に存在する場合にのみ、無傷ステムループオリゴヌクレオチドのハイブリダイズしていないヌクレオチドのうちの1つ以上を消化することができる第1の酵素と接触させることにより、反応用の混合物を調製することと、
(b)混合物を、
-第1の標的又はそのアンプリコンが、第1のオリゴヌクレオチドへの修飾を誘導し、それにより第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にするのに好適であり、
-第2の標的又はそのアンプリコンが試料中に存在する場合にのみ、第1の酵素により無傷ステムループオリゴヌクレオチドのハイブリダイズしていないヌクレオチドのうちの1つ以上を消化し、それにより一本鎖ループ部分を破壊して分割ステムループオリゴヌクレオチドを提供するのに好適である条件下で処理することと、
(c)
-第1の温度の5℃以内の第1のバックグラウンドシグナル、及び第2の温度の5℃以内の第2のバックグラウンドシグナル、又は
-第3の温度での第3のバックグラウンドシグナル
を測定することとを含み、これらは混合物中、又は対照混合物中の第1及び第2の検出部分によって提供され、
(d)当該処理中又は処理後の1つ以上の時点で、
-第1又は第3のバックグラウンドシグナルとは異なる第1の検出可能なシグナルが、第1の温度で生成されるかどうかを決定することであって、
第1の温度で生成された第2の検出可能なシグナルが、第1又は第3のバックグラウンドシグナルとは異なっておらず、
第1の検出可能なシグナルと第1又は第3のバックグラウンドシグナルとの間の差の検出が、第1のオリゴヌクレオチドの当該修飾及び試料中の第1の標的又はそのアンプリコンの存在を示す、決定することと、
-第2又は第3のバックグラウンドシグナルとは異なる第2の検出可能なシグナルが、第2の温度で生成されるかどうかを決定することであって、第2の温度で、
分割ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の鎖が解離して、第2の検出部分が試料中の第2の標的又はそのアンプリコンの存在を示す第2の検出可能なシグナルを提供することを可能にし、
無傷ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の鎖は解離することができず、それにより、第2の検出可能な部分の抑制及び試料中の第2の標的の不在を示す第2の検出可能なシグナルの不在を確実にする、決定することとを含む方法。
【0230】
これより、本発明の好ましい実施形態を、例としてのみ、以下に明記される添付の図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0231】
【
図1】無傷及び分割立体構造における例示的なLOCSレポーター及びその融解温度(Tm)を示す。例示されるLOCSレポーターは、核酸の検出のために当該技術分野で周知の様々な標準レポータープローブ及び基質と組み合わせて使用され得る。例示的な無傷LOCSレポーター(
図1A、LHS、上及び下)は、切断又は分解され得るループ領域、ステム領域及び検出部分、例えばフルオロフォア(F)クエンチャー(Q)色素対を有する。標的の存在下でのループ領域の切断又は分解は、分割LOCSレポーター構造を生成し得る(
図1B、RHS、上及び下)。無傷LOCSのステム領域の融解温度(Tm A)は、分割LOCSにおけるステム領域のTm(Tm B)よりも高い。したがって、無傷LOCSのステムは、Tm A以上の温度で融解及び分離する。対照的に、分割LOCSの2つの断片を保持するステムは、Tm B以上の温度で融解及び分離し、増加した蛍光をもたらす。
【
図2】ユニバーサルであり、任意の標的の検出に使用することができるLOCSオリゴヌクレオチドを使用して標的を検出するための例示的な戦略を示す。このスキームでは、LOCSオリゴヌクレオチドは、ステム領域、フルオロフォアクエンチャー色素対、及びループ領域を含有する。ループ領域は、当該技術分野でPlexZymeとしても知られているMNAザイム等の触媒核酸のユニバーサルな基質を含む。MNAザイムは、構成成分パートザイムの標的センサーアームが標的上で隣接して整列するときに形成される。LOCSオリゴヌクレオチドのループ領域は、集合したMNAザイムの基質結合アームに結合し、LOCSループ内の基質は、MNAザイムによって切断され、分割LOCS構造を生成する。無傷LOCS及び分割LOCSは両方とも、反応環境の温度がそれらのステムの融解温度、すなわちそれぞれTm A及びTm Bを上回るか又は下回るかに応じて、クエンチされるか又は蛍光を生成する。Tm BとTm Aとの間の温度での蛍光の存在は、切断を促進する標的の存在を示す。標的を直接的に検出しても、標的増幅プロトコルによって生成される標的アンプリコンを検出してもよい。
【
図3】本発明の好ましい実施形態のための例示的な戦略を示し、直鎖MNAザイム基質は、そのループ内にMNAザイム基質を含む単一のLOCSプローブと組み合わせて使用される。直鎖MNAザイム基質及び単一LOCSプローブは両方とも、同じ検出部分、例えば、特定のフルオロフォア(F)/クエンチャー(Q)色素対で標識される。直鎖基質は、第1の標的1の存在下で集合する第1のMNAザイムによって切断可能な第1の基質配列を含む(
図3A)。標的1の存在下では、直鎖基質は切断され、全ての温度で検出され得る蛍光の増加をもたらす。LOCSプローブは、そのループ内に、第2の標的2の存在下で集合する第2のMNAザイムによって切断可能な第2の基質配列を含む(
図3B)。標的2の存在下では、LOCS基質は切断され、無傷LOCSの融解温度(Tm A)よりも低いTm Bで融解する分割LOCSを生成する。Tm B未満の温度では、分割LOCSのステム部分は、ハイブリダイズ(閉鎖)されたままであり、したがって、クエンチされたままである。Tm Bを超える温度では、分割LOCSのステム部分が解離(分離)し、蛍光が増加する。両方の標的が存在し、かつ蛍光がTm B未満の温度で測定される場合、蛍光の増加は標的1のみに関連付けられ、蛍光がTm Bを超えるがTm A未満の温度で測定される場合、蛍光の増加は標的1及び/又は標的2に関連付けられ得る。
【
図4】標的に特異的なLOCSオリゴヌクレオチドを使用した標的の検出のための例示的な戦略を示し、これは、標準TaqMan、分子ビーコン、Scorpionユニプローブ、Scorpionバイプローブ又は直鎖MNAザイム基質プローブ等の他の種類のレポータープローブ又は基質と組み合わせて使用され得る。無傷LOCSオリゴヌクレオチドは、ステム領域、フルオロフォアクエンチャー色素対、及び標的アンプリコンに相補的な領域を含むループ領域を含有し得る。
図4Aに示されるスキームでは、LOCSオリゴヌクレオチドのループ領域は、標的アンプリコンに相補的であり、増幅中に標的アンプリコンに結合する。プライマーの伸長中、ポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性は、ループ領域を分解するが、ステム領域は無傷のまま残す。ステム領域は、互いに相補的であるが、それらの標的には相補的ではない。分解は分割LOCSを生成し、ステムはハイブリダイゼーションされたままであり、ステムのTm未満の温度でクエンチされる。ステムのTm超まで温度を上げると、鎖が分離し、蛍光が放出され得る。
図4Bに示されるスキームでは、LOCSオリゴヌクレオチドのループ領域は、標的アンプリコンに相補的な領域を含み、制限酵素、例えば、ニッキング酵素の認識部位を更に含有する。LOCSオリゴヌクレオチドのループ領域は、標的に結合し、ニッキング酵素は、ループ領域を切断し、標的分子を無傷のまま残す。これはLOCSを分割し、蛍光シグナルはステムの融解温度を超える温度で放出される。低温では、分割LOCS構造のステム領域はアニールし、蛍光をクエンチすることができる。この戦略を使用して、標的配列を直接的に検出しても、標的増幅法と組み合わせた場合に標的アンプリコンを検出してもよい。
【
図5】切断不可能な分子ビーコンが、MNAザイムによって切断可能なLOCSプローブと組み合わされ得る実施形態を示す。分子ビーコン及びLOCSプローブは両方とも、同じフルオロフォアで標識され得る。分子ビーコンは、Tm Aを有するステム領域と、Tm Bを有する第1の標的1と特異的にハイブリダイズすることができるループ領域とを有し得、Tm Bは、Tm Aより高い。これは、Tm Cを有するステム領域と、第2の標的2の存在下でMNAザイムによって切断され得るループ領域とを有し得る無傷LOCSプローブと組み合わせることができ、したがってTm Dを有する分割LOCSを生成し得、Tm Dは、Tm C未満である。標的1及び/又は標的2の存在は、リアルタイムで2つの温度で蛍光を測定するか、又は増幅の開始時若しくはその近く、及び増幅の後に取得される個別の測定値を使用することによって識別され得る。
【
図6】様々な濃度の第2の標的2(NGopa)の存在下又は不在下での第1の温度での第1の標的1(CTcry)の定量分析のための例示的なPCR増幅曲線を示す。プロトコルは、(標的1に対する)1つの直鎖MNAザイム基質を(標的2に対する)1つのLOCSレポーターと組み合わせた。結果は、単独で(
図6A)、又はNGopa(標的2)の20,000(
図6B)又は32(
図6C)コピーのバックグラウンドにおいて、20,000(黒の点)、4,000(黒の破線)、800(黒の四角)、160(灰色の実線)又は32(灰色の点)コピーのCTcry鋳型を含有する反応について、52℃の取得温度でCTcry(標的1)を定量的に検出するためのHEXチャネルで得られた。CTcryを欠くが、20,000(黒の線)又は32コピー(灰色の線)のNGopa鋳型のいずれかを含有する反応についても、52℃で蛍光データを収集した(
図6D)。標的なし対照(ヌクレアーゼ不含H
2O)を
図6A~6C(黒の実線)に示す。増幅曲線は、3回反復反応からの蛍光レベルの平均である。
【
図7】HEXチャネルにおける終点分析法1を使用した、2つの温度(D
1及びD
2)での標的1(CTcry)及び/又は標的2(NGopa)の同時定性的検出を示す。提示された結果は、3回反復反応の平均であり、誤差バーは、これらの反復の間の標準偏差を表す。具体的には、データは、ヒトゲノムDNAのバックグラウンドに存在したCTcry(CTコピー数20K、4、800、160、32若しくは0)及び/又はNGopa(NGコピー数20K、32若しくは0)標的それぞれの検出及び識別を可能にする、1つの直鎖基質及び1つのLOCSプローブの蛍光シグナルの変化を示す。更に、ゲノムDNA中のヒトTFRC遺伝子の存在を、キャリブレータとして使用するためにテキサスレッドチャネルで測定した。
図7Aは、シグナルの変化(ΔS、ここでΔS=S
D-post-PCR-S
D-pre-PCR)を示す。温度1におけるΔS(ΔS
D1、52℃)は白黒パターンとして示され、温度2におけるΔS(ΔS
D2、70℃)は灰色で示される。結果は、CTcryが試料内に存在する場合、温度1でのシグナル(ΔS
D1、黒色バー)が閾値1(X
1)を超えるが、NGopaのみが存在する場合には、この閾値を超えないことを示している。したがって、温度1の閾値1より大きいΔS
D1は、第1の標的(CTcry)の存在を示す。
図7Aの結果はまた、温度2におけるシグナルの変化(ΔS
D2、灰色バー)が温度1における変化より大きく(ΔS
D2>ΔS
D1)、かつ閾値X
1より大きい(ΔS
D2>X
1)場合、NGopaが試料中に存在することを示している。
図7B及び7Cの結果は、ΔSD
1及びΔSD
2を較正するためのキャリブレータシグナルの使用を示している。
図7Bは、テキサスレッドチャネルで測定されたTFRCキャリブレータシグナルの変化(ΔC)を示し、閾値Cを超える値は、ΔCの正のシグナルを示し、閾値Cを下回る値は、ΔC(NTC)の負のシグナルを示す。キャリブレータ鋳型(TFRC)は、標的なし対照(NF H
2O)を除く全ての試料のバックグラウンドにおけるヒトゲノムDNAに存在した。
図7Cは、ΔCに対して較正された各温度でのシグナルの変化(ΔS/ΔC)を示す。温度1でのシグナルの変化(ΔS
D1/ΔC、52℃)は白黒パターンとして示され、温度2でのシグナルの変化(ΔS
D2/ΔC、70℃)は灰色で示され、
図7BのΔCで陽性の反応については結果が得られたが、ΔCで陰性の反応については結果が得られなかった(該当なし(N/A)として示されている)。更に、
図7Cのデータは、パターンが一貫しているため、シグナルの較正が終点分析法1を使用して得られた結果(
図7A)を改変しないことを示している。
【
図8】分析方法2を使用した、2つの温度での第1の標的(CTcry)及び/又は第2の標的(NGopa)の同時定性的検出を示す。CTcry(CTコピー数20K、4、800、160、32若しくは0)及び/又はNGopa(NGコピー数20K、32若しくは0)標的は、ヒトゲノムDNAのバックグラウンドに存在した。データは、分析方法2を使用した、温度2(D
2、70℃)及び温度1(D
1、52℃)でのHEXチャネルで得られた蛍光シグナルの変化の差(ΔS
D2マイナスΔS
D1=ΔΔS
D2ΔS
D1)を示している。結果は、ΔΔS
D2ΔS
D1が、NGopaが試料中に存在する場合閾値2(X
2)を超えるが、CTcryのみが存在する場合、及び/又は試料にNGopaが存在しない(NTC)場合には、この閾値を超えないことを示している。したがって、閾値2を超える蛍光シグナルの変化の差(ΔΔS
D2ΔS
D1>X
2)は、NGopaの存在を示す。
【
図9】終点分析法3を使用した、第1の標的(CTcry)及び/又は第2の標的(NGopa)の存在下での、2つの異なる温度(52℃及び70℃)でのHEXチャネルにおけるPCR中に得られた蛍光シグナルの変化(ΔS)を示す。CTcry(CTコピー数20K、4、800、160、32若しくは0)及び/又はNGopa(NGコピー数20K、32若しくは0)標的は、ヒトゲノムDNAのバックグラウンドに存在した。
図9Aは、温度2でのΔS(ΔS
D2)を示す。ΔS
D2が閾値X
1より大きい場合、これは、CTcry及び/又はNGopaが試料中に存在することを示す。ΔSD
2が閾値X
1より低い場合、これは、CTcryもNGopaも反応中に存在しないことを示す。
図9Bは、どの標的が反応中に存在するかを示すために使用される比率ΔS
D1:ΔS
D2を示す。この比率が閾値R
1より高い場合、これは、CTcryは存在するがNGopaは存在しないことを示す。比率が閾値R
2より低い場合、これは、NGopaは存在するがCTcryは存在しないことを示す。この比率が閾値R
1とR
2との間にある場合、これは、CTcry及びNGopaの両方が存在することを示す。反応中にCTcryもNGopaも存在しない場合(
図9A)、比率の計算の必要性はなくなり、
図9Bに示されるようにN/Aとして示される。
【
図10】種々の標的に対する、HEX(A~D)及びFAM(E~H)チャネルにおいて52℃で取得されたPCR増幅曲線を示す。破線で示されるPCR曲線は、反応当たり単一の遺伝子標的の存在を表し、一方実線で示されるPCR曲線は、反応当たり20,000コピー(黒の線)及び32コピー(灰色の線)の標的での両方の遺伝子標的の存在を表す。HEXチャネルでは、結果は、CTcryのみ(A)、CTcry及びNGopa(B)、NGopaのみ(C)、並びに10,000コピーのTFRC(ゲノムDNA内因性対照)、TVbtub及びMgPaを含む残りの全ての標的外対照(D)について示されている。FAMチャネルでは、結果は、TVbtubのみ(E)、TVbtub及びMgPa(F)、MgPaのみ(G)、並びに10,000コピーのTFRC(ゲノムDNA内因性対照)又は20,000コピー及び32コピーのCTcry及びNGopaを含む残りの全ての標的外対照(H)について示されている。全ての図において、黒の破線は、鋳型なし対照(NF H
2O)を表す。増幅曲線は、3回反復反応からの蛍光レベルの平均である。
【
図11】終点分析法1を使用して(A)HEXにおけるCTcry及びNGopa、並びに(B)FAMにおけるTVbtub及びMgPaを検出するためのシグナルの変化(ΔS、ここでΔS=S
D-post-PCR-S
D-pre-PCR)を示す。結果は、ΔS
D1(52℃)については白黒パターンで表され、ΔS
D2(70℃)については灰色で表されている。各試料の値は、3回の反復の平均であり、誤差バーは、これらの反復の間の標準偏差を表す。
【
図12】終点分析法2を使用した、HEXチャネル(A)でのNGopa及びFAMチャネル(B)でのMgPaの定性的な終点検出を示す(ΔS
D2-ΔS
D1=ΔΔS
D2ΔS
D1)。各試料の値は、3回の反復の平均であり、誤差バーは、これらの反復の間の標準偏差を表す。
【
図13】終点分析法3を使用して、2つの異なる温度でHEX(
図13A及び13B)並びにFAM(
図13C及び13D)チャネルで得られた蛍光シグナルの変化を示す。(
図13A)HEXチャネルでのΔS
D2を使用した、CTcry(CT、20,000(20K)若しくは32コピー)及び/又はNGopa(NG、20,000(20K)若しくは32コピー)の検出、(
図13B)比率ΔS
D1:ΔS
D2を使用したHEXでのCTcry及びNGopaの鑑別。ΔS
D1:ΔS
D2>閾値R
1の場合、CTcry単独の検出が決定される。ΔS
D1:ΔS
D2<閾値R
2の場合、NGopa単独の検出が決定される。ΔS
D1:ΔS
D2>閾値R
2及び<閾値R
1の場合、両方の標的を含有する共感染の検出が決定される。(
図13C)FAMチャネルでのΔS
D2を使用したTVbtub及び/又はMgPaの検出、(
図13D)比率ΔS
D1:ΔS
D2を使用したFAMでのTVbtub及びMgPaの鑑別。ΔS
D1:ΔS
D2>閾値R
1の場合、TVbtub単独の検出が決定される。ΔS
D1:ΔS
D2<閾値R
2の場合、MgPa単独の検出が決定される。ΔS
D1:ΔS
D2>閾値R
2及び<閾値R
1の場合、両方の標的を含有する共感染の検出が決定される。各試料の値は、3回の反復の平均であり、誤差バーは、これらの反復の間の標準偏差を表す。
【
図14】終点分析法2を使用した、Cy5.5.チャネルにおける温度1(D
1)でのTFRC(
図14A)及び温度2(D
2)でのTPApolA(
図14B)の検出を示す。TFRC(
図14A)の検出は、温度1におけるPCR前蛍光を、温度1におけるPCR後蛍光から減算することによって達成される(S
D1)。TPApolA(
図14B)の検出は、温度2におけるPCR前蛍光を、温度2におけるPCR後蛍光から減算し(ΔS
D2)、続いてΔS
D1を減算することによって達成される(ΔΔS
D2ΔS
D1)。各試料の値は、NF H
2O、10,000cps TPApolA、40cps TPApolA、10,000cps TPApolA及び10,000cps TFRC、40cps TPApolA及び10,000cps TFRCの2回の反復の平均値である。10,000cps TFRCの値は、TFRCが内因性対照として使用され、TPApolAのみの試料を除いて、各反応ウェルで10,000cpsでゲノムDNAに存在するため、48回の反復の平均値である。誤差バーは、各試料の各反復間の標準偏差を表す。
【
図15】(
図15A)10,000コピーのTFRC(黒の実線)の存在下での基質4の切断によって生成される融解特性。(
図15B)10,000コピーのTPApolA(黒の実線)及び40コピーのTPApolA(灰色の実線)の存在下でのLOCS-3の切断によって生成された融解特性。(C)10,000コピーのTPApolAプラス10,000コピーのTFRC(黒の実線)、及び40コピーのTPApolAプラス10,000コピーのTFRC(灰色の実線)の存在下での基質4及びLOCS-3の切断によって生成される融解特性。両方の標的の不在(NF H
2O)から生じる融解特性は、破線を用いて(
図15A~C)で表される。結果は、温度による蛍光の変化率(-d(RFU)/dT)を表す。
【
図16】39℃(A)及び72℃(B)での、20,000コピーのCTcry(黒の実線)、20,000コピーのNGopa(黒の破線)、20,000コピーの両方の標的(灰色の実線)を含有する、又はいずれの標的も含有しない(NTC、灰色の破線)反応から得られたPCR増幅プロットを示す。閾値である閾値X及びYは、それぞれ39℃及び72℃で得られた増幅プロットについて示される。E
X1、E
X2、E
Y1、及びE
Y2と指定された終点蛍光値が示される。
【
図17】示されるような様々なコピー数での標的Y/NGopaのバックグラウンドにおける、標的X/CTcryのコピー、すなわち0コピー(黒の実線)、32コピー(灰色の線)又は20,000コピーのCTcry(黒の点線)を含有する反応から得られたPCR増幅プロットを示す。プロットA、D、及びGは、NGopaを20,000コピー(A)、32コピー(D)で含有する、又はコピーなし(G)の反応についての39℃での蛍光を示す。プロットB、E及びHは、NGopaを20,000コピー(B)、32コピー(E)で含有する、又はコピーなし(H)の反応についての74℃での蛍光を示す。プロットC、F及びIは、NGopaを20,000コピー(C)、32コピー(F)で含有する、又はコピーなし(I)の反応についての、FAFで正規化した後の74℃での蛍光を示す。
【
図18】FAMチャネルにおける(D
1)52℃でのヒトGAPDHの定量的検出のためのPCR増幅曲線。(
図18A)曲線は、10,000コピー(灰色の実線)及び100コピー(黒の破線)のGAPDH標的単独から生成されたシグナルを表す。(
図18B)10,000コピー(灰色の実線)及び100コピー(黒の破線)のMgPa標的単独から生成された結果である。(
図18C)曲線は、10,000コピー(灰色の実線)及び100コピー(黒の破線)のGAPDH及びMgPaそれぞれを含有する標的混合物から生成されたシグナルを表す。鋳型なし対照(NF H
2O)は、(
図18A~C)において、黒の実線として表される。増幅曲線は、3回反復反応からの蛍光レベルの平均である。
【
図19】FAMチャネルにおける2つの温度での、1つのTaqManプローブ及び1つのLOCSプローブを使用したそれぞれGAPDH及びMgPaの定性的検出を示す。結果は、終点分析法1~3を使用して得られた。各試料の値は、3回の反復の平均であり、誤差バーは、これらの反復の間の標準偏差を表す。(
図19A)終点分析法1で得られた結果は、PCR後の蛍光測定とPCR前の蛍光測定との間のシグナルの変化(ΔS)を示す。結果は、ΔS
D1(52℃)については白黒パターンで表され、ΔS
D2(70℃)については灰色で表されている。(
図19B)終点分析法2から得られた結果を用いたMgPa単独の検出(ΔΔS
D2ΔS
D1)。(
図19C及び19D)終点分析法3から得られた結果(ΔS
D1:ΔS
D2)。(
図19C)FAMチャネルでのΔS
D2を使用したGAPDH(ヒト10,000若しくは100コピー)及び/又はMgPa(MG10,000若しくは100コピー)の検出、(
図19D)ΔS
D1:ΔS
D2の比率を使用したFAMでのGAPDH及びMgPaの鑑別。ΔS
D1:ΔS
D2>閾値R
1の場合、GAPDH単独の検出が決定される。ΔS
D1:ΔS
D2<閾値R
2の場合、MgPa単独の検出が決定される。ΔS
D1:ΔS
D2>閾値R
2及び<閾値R
1の場合、両方の標的を含有する共感染の検出が決定される。結果は比率単位で測定されている。
【
図20】52℃(
図20A)及び74℃(
図20B)での、25,600コピーのTVbtub(黒の点線)、25,600コピーのMgPa(黒の破線)のいずれか、25,600コピーの両方の標的の両方を含有する混合物(灰色の実線)を含有する、又は標的なし(NF H
2O、黒の実線)の反応からFAMチャネルにおいて得られたPCR増幅曲線を示す。52℃での蛍光の増加(D
1)は、分子ビーコンによって検出されるTVbtubの存在を示し、74℃での蛍光の増加(D
2)は、LOCSプローブによって検出されるMgPaの存在を示す。D
1及びD
2で決定されたCq値を使用して、特別な分析方法を必要とせずにそれぞれ試料中のTVbtub及びMgPaの量を定量化した。曲線は、3回反復反応からの平均蛍光レベルを表す。
【
図21】TVbtubの定量化に使用された52℃(D
1)で得られた標準曲線(
図20A)、及びMgPaの定量化に使用された74℃(D
2)で得られた標準曲線(
図20B)を示す。25600、6400、1600、400、及び100コピーの合成TVbtub及びMgPa G-Block鋳型の3回反復を使用して、標準曲線を生成した。
【
図22】デュアルハイブリダイゼーションプローブが、MNAザイムによって切断可能であり得るLOCSプローブと組み合わせられ得る実施形態を示す。デュアルハイブリダイゼーションプローブ及びLOCSプローブは両方とも、同じフルオロフォアで標識され得る。2つのデュアルハイブリダイゼーションプローブは、それぞれ、Tm A及びTm Bで標的1に結合可能であり得る。これらは、Tm Cを有するステム領域と、第2の標的2の存在下でMNAザイムによって切断され得るループ領域とを有し得る無傷LOCSプローブとを組み合わせることができ、したがってTm Dを有する分割LOCSを生成し得、Tm Dは、Tm Cよりも小さい。標的1及び/又は標的2の存在は、リアルタイムで2つの温度で蛍光を測定するか、又は増幅の開始時若しくはその近く、及び増幅の後に取得される個別の測定値を使用することによって決定され得る。
【
図23】52℃(ΔS
D1、
図23A)及び74℃(ΔS
D2、
図23B)でのPCR中の蛍光の変化を測定することによる、1つの切断不可能な分子ビーコン及び1つのLOCSプローブを使用したFAMチャネルにおける2つの標的(TVbtub及びMgPa)の同時終点検出を示す。プロットされた値は、グラフに指定されているように、様々な量のTVbtub及び/又はMgPaを含有する3回反復反応の平均である。
図23Aにおいて、指定された閾値を超えるΔS
D1は、反応におけるTVbtubの存在を示し、又はそれ未満の場合は不在を示す。
図23Bにおいて、指定された閾値を超えるΔS
D2は、反応におけるMgPaの存在を示し、又はそれ未満の場合は不在を示す。Y軸は、52℃(ΔS
D1、
図23A)又は74℃(ΔS
D2、
図23B)での蛍光の決定された増加である。
【
図24】52℃(ΔS
D1/C、
図24 A)及び74℃(ΔS
D2/C、
図24B)でのPCR中の較正された蛍光シグナルの変化を測定することによる、1つの切断不可能な分子ビーコン及び1つのLOCSプローブを使用したFAMチャネルにおける2つの標的(TVbtub及びMgPa)の同時終点検出を示す。プロットされた値は、グラフに指定されているように、様々な量のTVbtub及び/又はMgPa鋳型を含有する反復の平均であり、誤差バーは、これらの反復の間の標準偏差を表す。
図24Aにおいて、閾値1を超えるΔS
D1/Cは、反応におけるTVbtubの存在を示し、又はそれ未満の場合は不在を示す。
図24Bにおいて、閾値2を超えるΔS
D2/Cは、反応におけるMgPaの存在を示し、又はそれ未満の場合は不在を示す。
【
図25】試験された3つのBio-Rad CFX96機器(黒色ストライプの機器1、灰色の機器2、及び白色の機器3)にわたる、52℃(ΔS
D1、
図25A)及び70℃(ΔS
D2、
図25B)でのPCR中の蛍光シグナル、並びに52℃(ΔS
D1/C、
図25C)及び70℃(ΔS
D2/C、
図25D)での較正されたシグナルの変化を測定することによる、1つの直鎖MNAザイム基質及び1つのLOCSプローブを使用したHEXチャネルにおける2つの標的(CTcry及びNGopa)の同時終点検出を示す。プロットされた値は、グラフに指定されているように、様々な量のCTcry及び/又はNGopa鋳型を含有する3回反復の平均であり、誤差バーは、これらの反復の間の標準偏差を表す。閾値C
1を超える
図25Aのシグナル又は
図25Cの較正されたシグナルは、反応におけるCTcryの存在を示し、又はそれ未満の場合は不在を示す。
図25Dの較正されたシグナルは、閾値C
2未満の場合はCTcry及びNGopaの不在を示し、閾値C
3を超える場合はCTcry及びNGopaの両方の存在を示し、閾値C
2とC
3の間の場合はCTcry及びNGopaのうちの1つのみの存在を示す。
図25Bは、閾値C
3の値が
図25Dに示されるものと異なり、較正なしでは機器間で変動することを示している(閾値C
2は
図25Bには示されていない)。
【
図26】終点分析法2を使用することによる、1つの直鎖MNAザイム基質及び1つのLOCSプローブを使用した、HEXチャネルにおける標的1(CTcry)及び/又は標的2(NGopa)の同時終点検出を示す。実験試料からD
1(52℃)及びD
2(70℃)で取得したPCR後シグナルを測定し、40℃(
図26A~B)、52℃(
図26C~D)及び62℃(
図26E~F)での同じ反応ウェルからのPCR前蛍光測定値(S
D3)としてバックグラウンドシグナルを決定することにより、NS
D1(LHS)及びΔNS
D2NS
D1(RHS)を示すグラフを、それぞれCTcry検出及びNGopa検出について決定した。
図26A、26C及び26Eにおいて、NS
D1が閾値X
1を超える場合、これは反応におけるCTcryの存在を示し、又はそれ未満の場合は不在を示す。
図26B、26D及び26Fにおいて、ΔNS
D2NS
D1が閾値X
2を超える場合、これは反応におけるNGopaの存在を示し、又はそれ未満の場合は不在を示す。
【
図27】終点分析法2を使用することによる、1つの直鎖MNAザイム基質及び1つのLOCSプローブを使用した、HEXチャネルにおける2つの標的(CTcry及びNGopa)の同時終点検出を示す。D
1(52℃)及びD
2(70℃)で取得したPCR後シグナルを測定し、PCRの前(
図27A~B)のD
1/D
3B並びにPCRの前(
図27C~D)及びPCRの後(
図27E~F)のD
1及びD
2で測定された鋳型なし対照シグナルの平均値として、バックグラウンドシグナルをPCR前蛍光測定値(S
D3)として決定することにより、NS
D1(LHS)及びΔNS
D2NS
D1(RHS)を、それぞれCTcry検出及びNGopa検出について決定した。
図27A、27C及び27Eにおいて、NS
D1が閾値X
1を超える場合、これは反応におけるCTcryの存在を示し、又はそれ未満の場合は不在を示す。
図26B、26D及び26Fにおいて、ΔNS
D2NS
D1が閾値X
2を超える場合、これは反応におけるNGopaの存在を示し、又はそれ未満の場合は不在を示す。
【0232】
定義
この出願で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」には、別段文脈が明確に指示しない限り、複数の参照対象が含まれる。例えば、「ポリヌクレオチド」という語句はまた、複数のポリヌクレオチドも含む。
【0233】
本明細書で使用される場合、「comprising(含む)」という用語は、「including(含む)」を意味する。「comprise(含む)」及び「comprises(含む)」等の「comprising(含む)」という単語の変化形は、それに応じて様々な意味を有する。したがって、例えば、ヌクレオチドの配列を「含む」ポリヌクレオチドは、そのヌクレオチドの配列のみからなっても、1つ以上の追加のヌクレオチドを含んでもよい。
【0234】
本明細書で使用される場合、「複数」という用語は、2つ以上を意味する。特定の具体的な態様又は実施形態では、複数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、又はそれ以上、及びその中で誘導可能な任意の整数、及びその中で導出可能な任意の範囲を意味し得る。
【0235】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ウシ、ウマ、ヒツジ、霊長類、鳥類、及びげっ歯類種を含む、経済的、社会的、又は研究的に重要な任意の動物を含む。したがって、「対象」は、例えば、ヒト又は非ヒト哺乳動物等の哺乳動物であり得る。細菌、ウイルス、真菌/酵母、原生生物、及び線虫を含むがこれらに限定されない、微生物対象もまた包含される。本発明による「対象」には、プリオン等の感染性病原体も含まれる。
【0236】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」及び「核酸」という用語は、互換的に使用することができ、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド塩基、又はそれらの類似体、誘導体、変異体、断片、又は組み合わせの一本鎖又は二本鎖ポリマーを指し、DNA、メチル化DNA、アルキル化DNA、RNA、メチル化RNA、マイクロRNA、siRNA、shRNA、mRNA、tRNA、snoRNA、stRNA、smRNA、プレ及びプリマイクロRNA、他の非コードRNA、リボソームRNA、それらの誘導体、それらのアンプリコン、又はそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。非限定的な例として、核酸の供給源は、合成、哺乳動物、ヒト、動物、植物、真菌、細菌、ウイルス、古細菌、又はそれらの任意の組み合わせを含む群から選択さ
れ得る。
【0237】
本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」という用語は、DNAのセグメント若しくはDNA含有核酸分子、又はRNA若しくはRNA含有分子、又はそれらの組み合わせを指す。オリゴヌクレオチドの例には、核酸標的、基質、例えば、MNAザイムによって修飾され得るもの、PCR等の方法によるインビトロ標的増幅に使用されるもの等のプライマー、MNAザイムの構成成分、並びに、TaqMan又は加水分解プローブ、分子ビーコン、スロッピービーコン、エクリプスプローブ、Scorpionユニプローブ、Scorpionバイプローブプライマー/プローブ、キャプチャー/ピッチャー及びデュアルハイブリダイゼーションプローブを含むがこれらに限定されない、レポータープローブの様々な他の種類が含まれる。「オリゴヌクレオチド」という用語は、別段示されない限り、任意の特定の配列及びそれに相補的な配列への言及を含む。オリゴヌクレオチドは、4-アセチルシチジン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウリジン、2’-O-メチルシチジン、5-カルボキシメチルアミノメチルチオウリジン、ジヒドロウリジン、2’-O-メチルシュードウリジン、ベータD-ガラクトシルケオシン、2’-O-メチルグアノシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデノシン、1-メチルアデノシン、1-メチルシュードウリジン、1-メチルグアノシン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアノシン、2-メチルアデノシン、2-メチルグアノシン、3-メチルシチジン、5-メチルシチジン、N6-メチルアデノシン、7-メチルグアノシン、5-メチルアミノメチルウリジン、5-メトキシアミノメチル-2-チオウリジン、ベータD-マンノシルメチルウリジン、5-メトキシカルボニルメチルウリジン、5-メトキシウリジン、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデノシン、N-((9-ベータ-リボフラノシル-2-メチルチオプリン-6-イル)カルバモイル)スレオニン、N-((9-ベータ-リボフラノシルプリン-6-イル)N-メチル-カルバモイル)スレオニン、ウリジン-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウリジン-5-オキシ酢酸(v)、ウィブトキソシン、シュードウリジン、クエオシン、2-チオシチジン、5-メチル-2-チオウリジン、2-チオウリジン、4-チオウリジン、5-メチルウリジン、N-((9-ベータ-D-リボフラノシルプリン-6-イル)カルバモイル)スレオニン、2’-O-メチル-5-メチルウリジン、2’-O-メチルウリジン、ウィブトシン、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン、ベータD-アラビノシルウリジン、ベータD-アラビノシルチミジンを含む群を含むがこれらに限定されない、少なくとも1つの付加又は置換を含み得る。
【0238】
「ポリヌクレオチド」及び「核酸」「オリゴヌクレオチド」という用語は、別段示されない限り、任意の特定の配列及びそれに相補的な配列への言及を含む。
【0239】
本明細書で使用される場合、「相補的」、「相補性」、「一致する」、及び「一致した」という用語は、ヌクレオチド(例えば、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、又はそれらの組み合わせ)が、ワトソン-クリック塩基対合、ゆらぎ塩基対合及びフーグスティーン塩基対合(LNA、PNA若しくはBNA)を含む非標準的塩基対合、又は非天然塩基対合(UBP)を介して互いにハイブリダイズする能力を指す。結合は、アデニン(A)塩基とウラシル(U)塩基との間、アデニン(A)塩基とチミン(T)塩基との間、シトシン(C)塩基とグアニン(G)塩基との間のワトソン-クリック塩基対合を介して形成され得る。ゆらぎ塩基対は、ポリヌクレオチド二重構造(例えば、グアニン-ウラシル、イノシン-ウラシル、イノシン-アデニン、及びイノシン-シトシン)の2つのヌクレオチド間の非標準的塩基対合である。フーグスティーン塩基対は、ワトソン-クリック塩基対と同様に、アデニン(A)塩基とチミン(T)塩基との間、及びシトシン(C)塩基とグアニン(G)塩基との間で生じるが、ワトソン-クリック塩基対合と比較して、ピリミジンとの関係でプリンの立体構造が異なる対合である。非天然塩基対は、実験室で合成された製造サブユニットであり、自然界では生じない。「相補的」と称されるヌクレオチド又は互いの「相補体」であるヌクレオチドは、それらのそれぞれの塩基間のワトソン-クリック塩基対合又は非標準的塩基対合(ゆらぎ塩基対合、フーグスティーン塩基対合)又は非天然塩基対合(UBP)のいずれかによって一緒にハイブリダイズする能力を有するヌクレオチドである。本明細書において、ヌクレオチドの別の配列に「相補的」であるヌクレオチドの配列は、第1の配列が、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100個、又はそれ以上の領域にわたって、第2の配列の相補体と100%同一であることを意味し得る。本明細書において、ヌクレオチドの別の配列に「実質的に相補的」であるヌクレオチドの配列への言及は、第1の配列が、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100個、又はそれ以上のヌクレオチドの領域にわたって、第2の配列の相補体と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一であることを意味し得る。
【0240】
本明細書で使用される場合、「非相補的」、「相補的ではない」、「不一致」、及び「不一致の」という用語は、それらのそれぞれの塩基間のワトソン-クリック塩基対合又はゆらぎ塩基対合のいずれかによって一緒にハイブリダイズする能力を欠如するヌクレオチド(例えば、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、及びそれらの組み合わせ)を指す。本明細書において、ヌクレオチドの別の配列に「非相補的」であるヌクレオチドの配列は、第1の配列が、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100個、又はそれ以上のヌクレオチドの領域にわたって、第2の配列の相補体と0%同一であることを意味し得る。
【0241】
本明細書において、ヌクレオチドの別の配列に「実質的に非相補的」であるヌクレオチド配列への言及は、第1の配列が、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100個、又はそれ以上のヌクレオチドの領域にわたって、第2の配列の相補体と少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、又は40%未満同一であることを意味し得る。
【0242】
本明細書で使用される場合、「標的」という用語は、本発明の方法を使用して検出することができる、試料中に存在する任意の分子又は分析物を指す。「標的」という用語は、核酸標的、並びに例えば、タンパク質、ペプチド、分析物、リガンド、及びイオン(例えば、金属イオン)等の非核酸標的を含むことが理解される。
【0243】
本明細書で使用される場合、「酵素」は、化学反応(例えば、ポリヌクレオチドの増幅、ポリヌクレオチドの切断等)を触媒することができる任意の分子を指す。本発明での使用に好適な酵素の非限定的な例には、核酸酵素及びタンパク質酵素が含まれる。好適な核酸酵素の非限定的な例には、リボザイム、MNAザイム、DNAザイム及びアプタザイムが含まれる。好適なタンパク質酵素の非限定的な例には、エキソヌクレアーゼ及びエンドヌクレアーゼが含まれる。酵素は一般に、本明細書に記載の方法のうちの1つ以上の実行を助ける触媒活性を提供する。非限定的な例として、エキソヌクレアーゼ活性は、例えば、ポリメラーゼの固有の触媒活性であり得る。非限定的な例として、エンドヌクレアーゼ活性は、例えば、ニッキングエンドヌクレアーゼ、リボエンドヌクレアーゼ、又は二重構造特異性ヌクレアーゼ(DSN)を含む制限酵素の固有の触媒活性であり得る。
【0244】
本明細書で使用される場合、「アンプリコン」は、PCR、RT-PCR、SDA、NEAR、HDA、RPA、LAMP、RCA、TMA、LCR、RAM、3SR、NASBA、及びそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、天然又は人工の核酸増幅又は複製事象の生成物である核酸(例えば、DNA若しくはRNA、又はそれらの組み合わせ)を指す。
【0245】
本明細書で使用される場合、「ステムループオリゴヌクレオチド」という用語は、一本鎖ループ構成成分に接合した二本鎖ステム構成成分を含むか、又はそれからなる、DNA若しくはDNA含有分子、又はRNA若しくはRNA含有分子、又はそれらの組み合わせ(すなわち、DNA-RNAハイブリッド分子若しくは複合体)を意味することが理解される。二本鎖ステム構成成分は、相補塩基対合によって相補的逆方向鎖にハイブリダイズした順方向鎖を含み、順方向鎖の3’ヌクレオチドは、一本鎖ループ構成成分の5’ヌクレオチドに接合し、逆方向鎖の5’ヌクレオチドは、一本鎖ループ構成成分の3’ヌクレオチドに接合する。二本鎖ステム構成成分は、一方の鎖(例えば、順方向鎖)上に1つ以上のフルオロフォアを含むがこれに限定されない検出部分、及び対向鎖(例えば、逆方向鎖)上に1つ以上のクエンチャーを更に含み得る。他の非限定的な例としては、比色検出のための両方の鎖上の金又は銀ナノ粒子、SPR検出のための一方の鎖の金表面(例えば、順方向鎖)への、及び対向鎖(例えば、逆方向鎖)上の金ナノ粒子の固定化、並びに電気化学的検出のための一方の鎖の電極表面(例えば、順方向鎖)への、及び対向鎖(例えば、逆方向鎖)上のメチレンブルー分子の固定化が挙げられる。
【0246】
本明細書で使用される場合、「ステムループオリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書では「LOCSオリゴヌクレオチド」、「LOCS構造」、「LOCSレポーター」、「無傷LOCS」、「閉鎖LOCS」、及び「LOCSプローブ」とも称される、「LOCS」を含むことが理解される。LOCSの一本鎖ループ構成成分は、例えば、MNAザイム、DNAザイム、リボザイム、アプタ-MNAザイム、又はアプタザイム等の触媒核酸の基質として機能することができる領域を含み得る。追加的又は代替的に、一本鎖ループ構成成分は、標的核酸(例えば、検出、定量化等のための標的)、及び/又はそれに由来するアンプリコンに相補的であり、更にエキソヌクレアーゼ酵素の基質として機能することができる領域を含み得る。非限定的な例として、エキソヌクレアーゼは、ポリメラーゼ酵素の固有の活性であり得る。追加的又は代替的に、一本鎖ループ構成成分領域は、(i)検出される標的に相補的であり得る領域、(ii)二本鎖制限酵素認識部位の一本鎖を含み得る領域、及び(iii)制限酵素、例えばニッキングエンドヌクレアーゼの基質として機能することができる領域を含み得る。本明細書で使用される場合、「分割ステムループオリゴヌクレオチド」、「分割LOCS」、「分割LOCSオリゴヌクレオチド」、「分割LOCS構造」、「分割LOCSレポーター」、「分割LOCSプローブ」、「切断されたLOCS」、及び「分解されたLOCS」という用語は、本明細書では互換的に使用され、ループ内の隣接するヌクレオチド間の少なくとも1つの結合が除去され、それにより、ループ領域内に不連続セクションを提供するように、一本鎖ループ構成成分が(例えば、本明細書に記載の酵素によって)切断、消化及び/又は分解された「LOCS」への言及であることが理解される。分割LOCSでは、二本鎖ステム部分の順方向鎖及び逆方向鎖は、温度依存的に互いにハイブリダイズして、ステムを形成する能力を保持し得る。
【0247】
LOCSは、切断可能なループ領域を含み、分割LOCSを生成する酵素によるループ領域の標的依存的切断を可能にするように設計される。これは一方で、無傷又は分割LOCSのステム部分の会合(ハイブリダイゼーション)又は解離後に、特定の温度で生成された検出可能なシグナルからの標的の検出を促進し得る。対照的に、本明細書で使用される場合、分子ビーコンは、本明細書に記載の方法の間に切断可能ではないループ領域を含
むように設計されたステムループオリゴヌクレオチドを指す。分子ビーコンは、プローブのループ部分を検出する標的と会合(ハイブリダイズ)又は解離(分離)した後、特定の温度で検出可能なシグナルを生成することにより、標的検出を媒介し得る。したがって、本発明の文脈におけるこれらの2つの種類のステムループ構造の間の主な違いは、LOCSが、無傷又は分割LOCSのステム領域のハイブリダイゼーション又は解離に起因するシグナルの変化を測定することによって監視されるのに対し、分子ビーコンは、ループ領域及び標的のハイブリダイゼーション又は解離に起因するシグナルの変化を測定することによって監視されることである。
【0248】
本明細書で使用される場合、「ユニバーサルステム」という用語は、任意のLOCS構造に組み込まれ得る二本鎖配列を指す。同じ「ユニバーサルステム」を、触媒核酸基質又は対象となる標的に相補的な配列のいずれかを含むループを含有するLOCSにおいて使用することができる。単一のユニバーサルステムは、特定のLOCSの分割を促進することができる任意の標的の代替マーカーとして使用することができる。一連のユニバーサルステムは、任意の標的の組を分析するように設計した一連のLOCSに組み込むことができる。
【0249】
本明細書で使用される場合、「ユニバーサルLOCS」という用語は、「ユニバーサルステム」と、MNAザイム標的センシングアームの配列にかかわらず、相補的な基質結合アームを有する任意のMNAザイムによって切断され得るユニバーサル触媒核酸基質を含む「ユニバーサルループ」とを含有する、LOCS構造を指す。単一のユニバーサルLOCSは、特定のLOCSの分割を促進することができる任意の標的の代替マーカーとして使用することができる。一連のユニバーサルLOCSは、任意の標的の組を分析するように設計した任意の多重アッセイに組み込むことができる。
【0250】
本明細書で使用される場合、「核酸酵素」、「触媒核酸」、「触媒活性を有する核酸」、及び「触媒核酸酵素」という用語は、本明細書で互換的に使用され、少なくとも1つの基質を認識し、その少なくとも1つの基質の修飾(切断等)を触媒し得る、DNA若しくはDNA含有分子若しくは複合体、又はRNA若しくはRNA含有分子若しくは複合体、又はそれらの組み合わせ(すなわち、DNA-RNAハイブリッド分子若しくは複合体)を意味するものとする。触媒核酸のヌクレオチド残基は、塩基A、C、G、T、及びU、並びにそれらの誘導体及び類似体を含み得る。上記の用語は、少なくとも1つの基質を認識し、その少なくとも1つの基質の修飾(切断等)を触媒し得るDNA-RNAハイブリッド分子である、単一のDNA若しくはDNA含有分子(当該技術分野では「DNA酵素」、「デオキシリボザイム」、若しくは「DNAザイム」としても知られている)、又はRNA若しくはRNA含有分子(当該技術分野では「リボザイム」としても知られている)、又はそれらの組み合わせを含み得る単分子核酸酵素を含む。上記の用語は、少なくとも1つの基質を認識し、その少なくとも1つの基質の修飾(切断等)を触媒し得るDNA-RNAハイブリッド複合体である、DNA若しくはDNA含有複合体、又はRNA若しくはRNA含有複合体、又はそれらの組み合わせを含む核酸酵素を含む。「核酸酵素」、「触媒核酸」、「触媒活性を有する核酸」、及び「触媒核酸酵素」という用語は、それらの意味の中に、MNAザイムを含む。
【0251】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「MNAザイム」及び「多成分核酸酵素」という用語は、同じ意味を有し、MNAザイム集合促進剤(例えば、標的)の存在下でのみ基質を触媒的に修飾することができる活性核酸酵素を形成する、2つ以上のオリゴヌクレオチド配列(例えば、パートザイム)を指す。「MNAザイム」はまた、当該技術分野では「PlexZyme」としても知られている。MNAザイムは、基質の切断を含む一連の反応、及び基質(複数可)の他の酵素修飾を触媒することができる。エンドヌクレアーゼ又は切断活性を有するMNAザイムはまた、「MNAザイム切断剤」としても
知られている。構成成分パートザイムであるパートザイムA及びBは各々、塩基対合を介して集合促進剤(例えば、標的DNA又はRNA配列)に結合する。MNAザイムは、パートザイムA及びBのセンサーアームが集合促進剤で互いに隣接してハイブリダイズする場合にのみ形成される。MNAザイムの基質アームは、基質に係合し、その修飾(例えば、切断)は、パートザイムA及びBの部分触媒ドメインの相互作用によって形成されるMNAザイムの触媒コアによって触媒される。MNAザイムは、DNA/RNAキメラレポーター基質を切断することができる。フルオロフォア及びクエンチャー色素対間の基質のMNAザイム切断は、蛍光シグナルを生成し得る。「多成分核酸酵素」及び「MNAザイム」という用語は、2つの分子で構成される二分構造、又は3つの核酸分子で構成される三分構造、又は例えば4つ以上の核酸分子によって形成されるもの等の他の多分構造を含む。
【0252】
本明細書で使用される場合、「MNAザイム」及び「多成分核酸酵素」という用語は、PCT特許公開番号第WO/2007/041774号、同第WO/2008/040095号、同第WO2008/122084号、及び関連する米国特許公開番号第2007-0231810号、同第2010-0136536号、及び同第2011-0143338号(これらの文書の各々の内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれる)のいずれか1つ以上に開示されるものを含む、全ての既知のMNAザイム及び修飾MNAザイムを包含することが理解される。「MNAザイム」及び「多成分核酸酵素」という用語によって包含されるMNAザイム及び修飾MNAザイムの非限定的な例には、(本明細書に例証される)切断触媒活性を有するMNAザイム、1つ以上の集合阻害剤を含む解体又は部分的に集合したMNAザイム、1つ以上のアプタマーを含むMNAザイム(「アプタ-MNAザイム」)、1つ以上の短縮型センサーアーム及び任意選択で1つ以上の安定化オリゴヌクレオチドを含むMNAザイム、1つ以上の活性阻害剤を含むMNAザイム、多成分核酸不活性プロ酵素(MNAi)が含まれ、これらの各々は、WO/2007/041774、WO/2008/040095、US2007-0231810、US2010-0136536、及び/又はUS2011-0143338のうちの1つ以上において詳細に説明されている。
【0253】
本明細書で使用される場合、「パートザイム」、「構成成分パートザイム」、及び「パートザイム構成成分」という用語は、DNA含有又はRNA含有又はDNA-RNA含有オリゴヌクレオチドを指し、これらのうちの2つ以上は、本明細書で定義されるMNAザイム集合促進剤の存在下でのみ、一緒に「MNAザイム」を形成することができる。特定の好ましい実施形態では、1つ以上、及び好ましくは少なくとも2つの構成成分パートザイムは、3つの領域又はドメイン、つまり修飾を触媒する触媒コアの一部を形成する「触媒」ドメイン、集合促進剤と会合する、かつ/又はそれに結合することができる「センサーアーム」ドメイン、及び基質と会合する、かつ/又はそれに結合することができる「基質アーム」ドメインを含み得る。「センサーアーム」、「標的センサーアーム」、又は「標的センシングアーム」、又は「標的アーム」という用語は、集合促進剤、例えば、標的に結合するパートザイムのドメインを説明するために互換的に使用され得る。パートザイムは、本明細書で「アプタ-パートザイム」と称されるアプタマーを含むがこれらに限定されない、少なくとも1つの追加の構成成分を含み得る。パートザイムは、短縮型センサーアームを有するパートザイム構成成分、及び集合促進剤又は基質のいずれかと相互作用することによってMNAザイム構造を安定化する安定化アーム構成成分を含むがこれらに限定されない、複数の構成成分を含み得る。
【0254】
本明細書で使用される場合、「集合促進剤分子」、「集合促進剤」、「MNAザイム集合促進剤分子」、及び「MNAザイム集合促進剤」という用語は、MNAザイムのセンサーアームとの相互作用によって触媒活性MNAザイムを形成するための構成成分パートザイムの自己集合を促進することができる実体を指す。本明細書で使用される場合、集合促進剤は、切断又は他の酵素活性を有するMNAザイムの集合を促進し得る。好ましい実施形態では、集合促進剤は、MNAザイムの自己集合に必要とされる。集合促進剤は、1つの分子で構成されていても、1つ以上のオリゴヌクレオチド「パートザイム」のセンサーアームと対合するか、又はそれに結合する2つ以上の「集合促進剤構成成分」で構成されていてもよい。集合促進剤は、MNAザイムのセンサーアームと配列相補性を共有しない1つ以上のヌクレオチド構成成分を含み得る。集合促進剤は、標的であってもよい。標的は、DNA、メチル化DNA、アルキル化DNA、RNA、メチル化RNA、マイクロRNA、siRNA、shRNA、tRNA、mRNA、snoRNA、stRNA、smRNA、プレ及びプリマイクロRNA、他の非コードRNA、リボソームRNA、それらの誘導体、アンプリコン、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される核酸であり得る。核酸は、増幅され得る。増幅は、PCR、RT-PCR、SDA、NEAR、HDA、RPA、LAMP、RCA、TMA、RAM、LCR、3SR、又はNASBAのうちの1つ以上を含み得る。
【0255】
MNAザイムは、直鎖基質及び/又はステムループLOCSレポータープローブ構造のループ領域内に存在する基質を切断することができる。直鎖基質の切断は、標的の検出を可能にするフルオロフォア及びクエンチャーを分離し得る。MNAザイムによるLOCSのループ領域の切断は、2つの断片で構成される分割LOCS構造を生成し得、この断片は、ハイブリダイズされたままであり、ステムの融解温度未満の温度で会合し得、分割LOCSのステムの融解温度を超える温度で分離及び解離し得る。
【0256】
「検出可能な効果」及び「検出可能なシグナル」という用語は、本明細書で互換的に使用され、同じ意味を有することが理解される。この用語は、典型的にはオリゴヌクレオチドを修飾してその立体構造、構造、配向、他のエンティティに対する位置等を変更した後に、本発明のオリゴヌクレオチド(例えば、プローブ、レポーター、又は基質)に結合するか、又は別様に会合する検出部分から生成されるシグナル又は効果を指す。修飾は、例えば、オリゴヌクレオチドが検出するように設計されている標的の存在によって誘導され得る。そのような修飾の非限定的な例(例えば、標的の存在によって誘導されるもの)としては、分子ビーコンのステムループ部分の開放、Scorpionユニプローブ及びバイプローブの二本鎖部分の開放、デュアルハイブリダイゼーションプローブの標的配列への結合、キャッチャー二重構造の生成、並びに直鎖MNAザイム基質又はTaqManプローブの切断/消化等が挙げられる。検出可能な効果は、蛍光分光、表面プラズモン共鳴(SPR)、質量分光、NMR、電子スピン共鳴、偏光蛍光分光、円二色性分光法、免疫測定、クロマトグラフィー、放射測定、測光、シンチグラフィー、電子的方法、電気化学的方法、UV、可視光若しくは赤外線分光、酵素的方法、又はそれらの任意の組み合わせを含む、様々な方法によって検出することができる。検出可能なシグナル/効果は、検出又は定量化することができ、その大きさは、試料中に存在する標的分子の量等の入力の存在及び/又は量を示し得る。更に、検出部分によって提供される検出可能なシグナル/効果の大きさは、反応温度を含むがこれらに限定されない、検出可能な部分を含むオリゴヌクレオチドが利用される反応の条件を変更することによって調節することができる。したがって、標的依存的シグナル、及び/又は標的非依存的バックグラウンドシグナルを生成するために、オリゴヌクレオチドに結合するか、又は別様にオリゴヌクレオチドと会合する検出可能な部分の能力を調節することができる。
【0257】
本明細書で使用される場合、「バックグラウンドシグナル」及び「ベースラインシグナル」という用語は、互換的に使用され、同じ意味を有することが理解される。この用語は、本発明のオリゴヌクレオチドに結合するか、又は別様にオリゴヌクレオチドと会合する検出可能な部分によって生成されるシグナルを指し、オリゴヌクレオチドが特定の測定条件下で測定又は検出するように設計されている特定の標的の存在又は不在とは無関係である。
【0258】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド基質」、「オリゴヌクレオチド基質」及び「基質」という用語は、触媒核酸酵素を含む酵素によって認識、作用、又は修飾され得る、デオキシリボヌクレオチド若しくはリボヌクレオチド塩基、又はそれらの類似体、誘導体、変異体、断片、若しくは組み合わせの任意の一本鎖又は二本鎖ポリマーを含む。「ポリヌクレオチド基質」又は「オリゴヌクレオチド基質」又は「基質」は、切断を含むがこれに限定されない、様々な酵素活性によって修飾され得る。「ポリヌクレオチド基質」又は「オリゴヌクレオチド基質」又は「基質」の切断又は分解は、酵素の触媒活性を監視するための「検出可能な効果」を提供し得る。「ポリヌクレオチド基質」又は「基質」は、MNAザイム、アプタMNAザイム、DNAザイム、アプタザイム、リボザイム等の触媒核酸酵素、及び/又はエキソヌクレアーゼ若しくはエンドヌクレアーゼ等のタンパク質酵素を含むがこれらに限定されない、1つ以上の酵素による切断又は分解が可能であり得る。
【0259】
本明細書で使用される場合、「レポーター基質」は、触媒反応に関連して、基質の切断若しくは分解又は切断された生成物の出現のいずれかの測定を促進するように特に適合された基質である。レポーター基質は、溶液中に遊離していても、例えば、表面又は別の分子に結合(又は「繋留」)していてもよい。レポーター基質は、例えば、(クエンチャー等の1つ以上の追加の構成成分を有するか、若しくは有しない)フルオロフォア、放射性標識、ビオチン(例えば、ビオチン化)、又は化学発光標識を含む多種多様な手段のいずれかによって標識することができる。
【0260】
本明細書で使用される場合、「直鎖MNAザイム基質」は、複数のMNAザイムによって認識され、触媒的に作用される基質、例えば、レポーター基質である。「直鎖MNAザイム基質」は、その5’又は3’末端に、ハイブリダイズしてステムを形成することができる配列を含有しない。代替的に、MNAザイム基質は、LOCSプローブのループ領域内に存在し得る。
【0261】
本明細書で使用される場合、「ユニバーサル基質」は、各々が異なる集合促進剤を認識することができる複数のMNAザイムによって認識され、触媒的に作用される基質、例えば、レポーター基質である。そのような基質の使用は、それらの全てがユニバーサル基質を認識する、構造的に関連するMNAザイムを使用して、様々な集合促進剤を検出、特定、又は定量化するための別個のアッセイの開発を促進する。これらのユニバーサル基質は各々、1つ以上の標識で独立して標識することができる。好ましい実施形態では、独立して検出可能な標識を使用して、1つ以上のユニバーサル基質を標識して、MNAザイムを使用して様々な集合促進剤を独立して又は同時に検出するための便利なシステムの作製を可能にする。いくつかの実施形態では、基質は、補因子、例えば、鉛又は水銀等の金属イオン補因子の存在下で触媒活性であるDNAザイムによる触媒修飾が可能である。いくつかの実施形態では、基質は、アプタザイムのアプタマー部分に結合可能な分析物、タンパク質、化合物、又は分子の存在下で触媒活性になり、それによって核酸酵素部分の触媒能力を活性化し得るアプタザイムによる触媒修飾に適してもよい。
【0262】
本明細書で使用される場合、「プローブ」及び「レポーター」という用語は、標的分子(例えば、核酸又は分析物)の検出に使用されるオリゴヌクレオチドを指す。当技術分野において周知である標準プローブ又はレポーターの非限定的な例としては、直鎖MNAザイム基質、TaqManプローブ又は加水分解プローブ、分子ビーコン、スロッピービーコン、エクリプスプローブ、Scorpionユニプローブ、Scorpionバイプローブプライマー/プローブ、キャプチャー/ピッチャーオリゴヌクレオチド、及びデュアルハイブリダイゼーションプローブが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の実施形態は、標準プローブ及びLOCSプローブを組み合わせる。いくつかのLOCSプローブは、ユニバーサルであってもよいループ領域内の核酸酵素基質を含み、これは、MNAザイム、DNAザイム及びアプタザイム等の核酸酵素による触媒切断が可能である。他のLOCSプローブは、エンドヌクレアーゼ及びエキソヌクレアーゼを含むタンパク質酵素による触媒切断が可能なループ領域内に標的特異的配列を含む。
【0263】
「生成物」という用語は、基質の酵素修飾の結果として生成される新たな分子(複数可)を指す。本明細書で使用される場合、「切断生成物」という用語は、酵素による切断又はエンドヌクレアーゼ活性の結果として生成される新たな分子を指す。いくつかの実施形態では、無傷LOCS構造の酵素切断又は分解の生成物は、集合的に分割LOCSと称される2つのオリゴヌクレオチド断片を含み、2つのオリゴヌクレオチド断片は、反応の温度に依存してハイブリダイゼーション又は解離/分離のいずれかが可能であり得る。
【0264】
本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドの文脈における「融解温度」及び「Tm」という用語の使用は、別段具体的に示されない限り、ウォレス規則を使用して計算した融解温度(Tm)への言及であることが理解され、それにより、Tm=2℃(A+T)+4℃(G+C)である(Wallace et al.,(1979)Nucleic Acids Res.6,3543を参照されたい)。配列組成が融解温度に与える効果は、以下の式、Tm(℃)=ΔH°/(ΔS°+R ln[oligo])-273.15によって支配される最近傍法を使用して理解することができる。ステムの長さ及び配列組成に加えて、融解温度に影響を与えることが知られている他の因子には、イオン強度及びオリゴヌクレオチド濃度が含まれる。より高いオリゴヌクレオチド及び/又はイオン濃度は、融解温度の増加につながる二重構造形成の可能性を増加させる。対照的に、より低いオリゴヌクレオチド及び/又はイオン濃度は、融解温度の低下につながるステムの解離を支持する。
【0265】
本明細書で使用される場合、「クエンチャー」という用語は、フルオロフォアへの近接時に、フルオロフォアによって生成される放出エネルギーを吸収し、このエネルギーを熱として放散するか、又はフルオロフォアの放出波長よりも長い波長の光を放出する、任意の分子を含む。クエンチャーの非限定的な例には、ダブシル、TAMRA、グラフェン、FRETフルオロフォア、ZENクエンチャー、ATTOクエンチャー、Black Holeクエンチャー(BHQ)、及びBlack Berryクエンチャー(BBQ)が含まれる。
【0266】
本明細書で使用される場合、核酸の文脈で使用される場合の「塩基」という用語は、「ヌクレオチド」という用語と同じ意味を有することが理解される。
【0267】
本明細書で使用される場合、「ブロッカー」又は「ブロッカー分子」という用語は、ポリメラーゼが相補鎖の合成のための鋳型としてオリゴヌクレオチドの一部を使用することを防止するために、オリゴヌクレオチドに組み込まれ得る任意の分子又は官能基を指す。非限定的な例として、ヘキサチレングリコールブロッカーを、例えば、Scorpionプローブに組み込んで、その5’プローブ配列をその3’プライミング配列に結合させることができ、ブロッカーは、ポリメラーゼがプローブ配列を鋳型として使用することを防止するように機能する。
【0268】
本明細書で使用される場合、「正規化する」、「正規化すること」、及び「正規化される」という用語は、測定されたシグナル(例えば、検出部分によって生成される検出可能なシグナル)の、既知で反復可能な値に対する、又は対照値に対するスケールへの変換を指す。
【0269】
本明細書で使用される場合、「キット」という用語は、材料を送達するための任意の送
達システムを指す。そのような送達システムには、反応試薬(例えば、適切な容器内のラベル、参照試料、支持材料等)及び/又は支持材料(例えば、緩衝液、アッセイを実行するための説明書等)のある場所から別の場所への保管、輸送、又は送達を可能にするシステムが含まれる。例えば、キットは、関連する反応試薬及び/又は支持材料を含有する箱等の1つ以上の同封物を含み得る。「キット」という用語には、断片化されたキット及び組み合わされたキットの両方が含まれる。
【0270】
本明細書で使用される場合、「断片化されたキット」という用語は、それぞれがキット全体の構成成分の下位部分を含有する、2つ以上の別個の容器を含む送達システムを指す。容器は、意図されるレシピエントに一緒に又は別個に送達され得る。各々がキット全体の構成成分の下位部分を含有する、2つ以上の別個の容器を含む任意の送達システムは、「断片化されたキット」という用語の意味に含まれる。
【0271】
本明細書で使用される場合、「組み合わされたキット」は、単一の容器(例えば、所望の構成成分の各々を収容する単一の箱)内に反応アッセイの構成成分の全てを含有する送達システムを指す。
【0272】
本明細書において、列挙された数値に関する「約」という用語の使用は、列挙された数値及び列挙された値の±10パーセント以内の数値を含むことが理解される。
【0273】
本明細書において、一連の数値への言及時の「間」という用語の使用は、その範囲の各終点の数値を包含することが理解される。例えば、10残基長~20残基長のポリペプチドは、10残基長のポリペプチド及び20残基長のポリペプチドを含む。
【0274】
本明細書における先行技術の文書、又はそれらの文書から派生した、若しくはそれらの文書に基づく本明細書の記載のいかなる記載も、これらの文書又は派生した記載が関連する当該技術の一般的な知識の一部であることを認めるものではない。
【0275】
別段記載されない限り、説明の目的で、本明細書に参照される全ての文書の全体が、これにより、参照により本明細書に組み込まれる。
【0276】
略語
以下の略語が、本明細書及び本明細書全体を通して使用される。
LOCS:ステムに接続されたループ
MNAザイム:多成分核酸酵素、
パートザイム:オリゴヌクレオチドを含有する部分酵素、
PCR:ポリメラーゼ連鎖反応、
gDNA:ゲノムDNA
NTC:鋳型なし対照
qPCR:リアルタイム定量化PCR
Ct:閾値サイクル
Cq:定量化サイクル
R2:相関係数
nM:ナノモル
mM:ミリモル
μL:マイクロリットル
μM:マイクロモル
dNTP:デオキシリボヌクレオチド三リン酸
NF-H2O:無ヌクレアーゼ水、
LNA:ロックされた核酸、
F:フルオロフォア、
Q:クエンチャー、
N=A、C、T、G、又はそれらの任意の類似体、
N’=Nに相補的であるか、又はNと塩基対合することができる任意のヌクレオチド。
(N)x:任意の数のN、
(N’)x:任意の数のN’、
W:A又はT、
R:A、G、又はAA、
rN:任意のリボヌクレオチド塩基、
(rN)x:任意の数のrN、
rR:A又はG、
rY:C又はU、
M:A又はC、
H:A、C、又はT、
D:G、A、又はT、
JOE又は6-JOE:6-カルボキシ-4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセイン、
FAM又は6-FAM:6-カルボキシフルオレセイン、
BHQ1:Black Holeクエンチャー1
BHQ2:Black Holeクエンチャー2
RT-PCR:逆転写ポリメラーゼ連鎖反応
SDA:鎖置換増幅
NEAR:ニッキング酵素増幅反応
HDA:ヘリカーゼ依存的増幅
RPA:リコンビナーゼポリメラーゼ増幅
LAMP:ループ媒介等温増幅
RCA:ローリングサークル増幅
TMA:転写媒介増幅
3SR:自家持続配列複製
NASBA:核酸配列ベースの増幅
LCR:リガーゼ連鎖反応
RAM:分岐増幅方法
IB:Iowa Black(登録商標)FQ
IBR:Iowa Black(登録商標)RQ
shRNA:低分子ヘアピン型RNA
siRNA:低分子干渉RNA
mRNA:メッセンジャーRNA
tRNA:転移RNA
snoRNA:核小体低分子RNA
stRNA:小分子一過性RNA
smRNA:小分子調節性調節RNA
プレマイクロRNA:前駆体マイクロRNA
プリマイクロRNA:一次マイクロRNA
LHS:左側
RHS:右側
DSO:二本鎖オリゴヌクレオチド
Tm:融解温度
RFU:相対蛍光単位
CT:Chlamydia trachomatis
NG:Neisseria gonorrhoeae
SPR:表面プラズモン共鳴
GNP:金ナノ粒子
【発明を実施するための形態】
【0277】
以下の詳細な説明は、当業者による本発明の実施を可能にするのに十分詳細に本発明の例示的な実施形態を伝える。記載される様々な実施形態の特徴又は制限は、本発明の他の実施形態又は本発明全体を必ずしも制限するものではない。したがって、以下の詳細な説明は、特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲を制限するものではない。
【0278】
本発明は、標的(例えば、核酸、タンパク質、分析物、化合物、分子等)の改善された多重化検出のための方法及び組成物に関する。本方法及び組成物は各々、様々な他の薬剤と組み合わせて使用することができる他のオリゴヌクレオチドレポーター、プローブ又は基質との、LOCSオリゴヌクレオチドの組み合わせを用いる。
【0279】
-レポーター、プローブ及び基質
本発明によれば、標的分子の多重検出は、多重検出アッセイにおけるプローブとしての使用に好適な別のオリゴヌクレオチドと組み合わせてLOCSを使用して促進される。
【0280】
核酸標的の検出のための多くのオリゴヌクレオチドが説明されており、当該技術分野で周知である。LOCSと組み合わせて使用することができる好適なオリゴヌクレオチドとしては、MNAザイム基質、TaqMan若しくは加水分解プローブ、分子ビーコン、スロッピービーコン、エクリプスプローブ、Scorpionユニプローブ、Scorpionバイプローブ、デュアルハイブリダイゼーションプローブ、及びキャプチャー/ピッチャープローブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0281】
いくつかの実施形態では、これらのオリゴヌクレオチドは、標的又は標的アンプリコンに直接結合してそれらの検出を促進するが、MNAザイム基質及びキャプチャー/ピッチャーオリゴヌクレオチドは、それらが普遍的であり、任意の標的の検出に好適であり得るため、例外を提供する。
【0282】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、酵素媒介性の切断又は分解、例えば、MNAザイム基質及びTaqMan又は加水分解プローブに起因する標的の存在下で蛍光を生成する。
【0283】
他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的又は標的アンプリコン(例えば、分子ビーコン、スロッピービーコン、エクリプスプローブ、Scorpionユニプローブ、Scorpionバイプローブ、及びデュアルハイブリダイゼーションプローブ)への結合によって誘導される立体構造変化の結果として、異なるレベルの蛍光シグナルを提供する。
【0284】
TOCEシステムでは、キャッチャーは、標的の存在下でのみ活性化及び放出されるピッチャーの結合及び伸長によって誘導される立体構造の変化の結果として蛍光を変化させる。
【0285】
これらの種類のレポーターオリゴヌクレオチドのいずれか又は全ては、単一波長で測定される蛍光の変化を含むがこれらに限定されない、単一の検出部分に関連する変化の測定によって、複数の標的の検出を媒介するためにLOCSプローブと併用するのに好適である。
【0286】
LOCSと組み合わせるためのオリゴヌクレオチドは、標準プロトコルに従って合成さ
れ得る。例えば、それらは、保護基の除去、ホスホラミダイトの結合、キャッピング及び酸化を伴う順次合成サイクルにおいて、ヌクレオシド及び非ヌクレオシドホスホラミダイトを使用して、固相又は溶液相のいずれかで、及び任意選択で自動合成器デバイス内で、ホスホラミダイト化学によって合成され得る。代替的に、それらは商業的な供給源から購入されてもよい。MNAザイム基質、TaqMan又は加水分解プローブ、分子ビーコン、スロッピービーコン、エクリプスプローブ、Scorpionユニプローブ、Scorpionバイプローブ、デュアルハイブリダイゼーションプローブ、及びキャプチャー/ピッチャープローブを購入できる、又はそれ以外の方法で入手できる商業的供給源の非限定的な例としては、以下が挙げられる。MNAザイム基質は、SpeeDx(plexpcr.com)から購入することができ、TaqMan及び加水分解プローブは、Thermo Fisher Scientific(www.thermofisher.com)、Sigma Aldrich(www.sigmaaldrich.com)、Promega(www.promega.com)、Generi Biotech(www.generi-biotech.com)から購入することができ、分子ビーコン及びスロッピービーコンは、Integrated DNA Technologies(www.idtdna.com)、Eurofins(www.eurofinsgenomics.com)、Sigma Aldrich(www.sigmaaldrich.com)及びTriLink BioTechnologies(www.trilinkbiotech.com)から購入することができ、エクリプスプローブは、Integrated DNA Technologies(www.idtdna.com)から購入することができ、Scorpionユニプローブは、Sigma Aldrich(www.sigmaaldrich.com)及びBio-Synthesis(https://www.biosyn.com)から購入することができ、Scorpionバイプローブは、Bio-Synthesis(https://www.biosyn.com)から購入することができ、デュアルハイブリダイゼーションプローブは、Bio-Synthesis(https://www.biosyn.com)、Sigma Aldrich(www.sigmaaldrich.com)及びEurofins(www.eurofinsgenomics.com)から購入することができ、キャッチャーピッチャーアッセイは、Seegene(www.seegene.com)から購入することができる。
【0287】
-LOCSオリゴヌクレオチド
本発明における使用のための例示的なLOCSオリゴヌクレオチドを、
図1に示す。示された例示的な無傷LOCSオリゴヌクレオチド(
図1A、LHS)は、ループ領域、ステム領域、及びフルオロフォア(F)/クエンチャー(Q)色素対を有する。フルオロフォア/クエンチャー対で例示されているが、当業者は、任意の他の好適な検出部分が、同じ目的で使用され得ることを認識するであろう。ループ領域は、標的又は標的アンプリコンの存在下での酵素切断又は分解に適した基質領域を含有する。無傷LOCS内のループの切断又は分解は、分割LOCS二重構造を生成する(
図1B、RHS)。
【0288】
いくつかの実施形態では、無傷LOCSオリゴヌクレオチドの融解温度(「Tm」)は、分割LOCS構造のTmよりも高い。
【0289】
分子内結合は分子間結合よりも強いため、無傷のLOCS構造のステム領域は一般に、分割、切断、又は分解されたLOCSオリゴヌクレオチド構造のステムよりも高温で融解する。例えば、無傷LOCS Aのステムは、分割LOCSステムが融解する温度であるTm Bよりも高いTm Aで融解する(
図1B)。分割LOCSの融解を可能にするが無傷のLOCSの融解を可能にしない温度での蛍光の存在は、標的又は標的アンプリコンの存在を示す。
図2に示される例示的なLOCSにおいて、LOCSオリゴヌクレオチドのループ領域の配列は、例えば、MNAザイム又は他の触媒核酸の基質であり得る。
【0290】
本発明における使用に好適な例示的なLOCSは、触媒核酸の基質を含むループ領域を含有し得、これは
図2に示されている。これらの実施形態では、LOCSオリゴヌクレオチドは、任意の標的の検出に使用することができるユニバーサル基質を含む。LOCSオリゴヌクレオチドは、ステム領域、フルオロフォアクエンチャー/色素対(本明細書に記載の代替の検出部分が使用され得る)、及びMNAザイム等の触媒核酸のユニバーサル基質を含む介在ループ領域を含有する。MNAザイムは、標的を直接的に検出しても、標的増幅中に生成されたアンプリコンの検出に使用してもよい。MNAザイムは、パートザイムの標的センサーアームが各々、相補塩基対合により標的又は標的アンプリコンにハイブリダイズし、MNAザイムの活性触媒コアを形成するときに形成される。LOCSオリゴヌクレオチドのループ領域は、相補塩基対合によりMNAザイムの基質結合アームにハイブリダイズし、ループ内の基質は、MNAザイムによって切断される。これは、無傷LOCSのTm Aよりも低いTm Bのステムを有する分割LOCS構造を生成する。Tm
Bを超えるがTm A未満である温度での蛍光シグナルの測定は、反応における標的の存在を示す。当業者は、標的がリアルタイムで又は反応の終了時に検出され得ることを認識するであろう。
【0291】
図3に示される例示的な実施形態を参照すると、標準的な直鎖MNAザイム基質が示され、そのループ内にMNAザイム基質を含む単一のLOCSプローブと組み合わせて使用される。直鎖MNAザイム基質及び単一のLOCSプローブは両方とも、同じ(又は類似の)検出部分、例えば、特定のフルオロフォア(F)/クエンチャー(Q)色素対で標識されてもよい。本明細書に記載の代替の検出部分が使用されてもよい。直鎖基質は、第1の標的の存在下で集合する第1のMNAザイムによって切断可能な第1の基質配列を含む(
図3A)。第1の標的の存在下では、直鎖基質は第1のMNAザイムにより切断され、広範囲の温度にわたり検出され得る蛍光の増加をもたらす。LOCSは、そのループ内に、第2の標的の存在下で集合する第2のMNAザイムによって切断可能な第2の基質配列を含む(
図3B)。第2の標的の存在下では、LOCSは切断され、無傷LOCSの融解温度(Tm A)よりも低いTm Bで融解する分割LOCSを生成する。Tm B未満の温度では、分割LOCSのステム部分はハイブリダイズされたままであり、したがって、フルオロフォアは、クエンチャー分子に近接しているためにクエンチされる。Tm Bを超える温度では、分割LOCSのステム部分が解離し、クエンチャー分子からフルオロフォアを分離して、蛍光の増加をもたらす。両方の標的が存在し、かつ蛍光がTm B未満の第1の温度で測定される場合、蛍光の増加は、第1の標的1のみと関連付けられる。Tm Bを超えるがTmA未満である第2の温度で蛍光が測定される場合、蛍光の増加は、第1の標的及び/又は第2の標的と関連付けられる。標的1及び標的2の両方が存在する場合、第2の温度での増幅中の蛍光の観察される変化は第1の温度での変化よりも大きく、したがって、標的1、若しくは標的2、若しくは標的1及び2が反応中に存在するか、又はいずれの標的も反応中に存在しないかどうかの決定が可能となる。
【0292】
本発明の他の実施形態では、標準レポータープローブとの組み合わせに有用な代替のLOCS構造を使用することができる。
図4A及び
図4Bに例示されるように、LOCSオリゴヌクレオチドのループ領域は、検出される標的に完全に又は部分的に相補的であり、かつ二本鎖の場合、エキソヌクレアーゼによる、例えば、ポリメラーゼに固有のエキソヌクレアーゼ活性による分解のための基質(
図3A)として機能することができる、標的特異的配列を含み得る。
図3Bに示される更に別の実施形態では、ループ内の標的特異的配列は、二本鎖制限酵素認識部位の一本鎖を更に含み得る。標的配列へのループ配列のハイブリダイゼーションは、機能的で切断可能な制限部位をもたらし得る。好ましい実施形態では、制限酵素は、標的を無傷のまま残しながら、LOCSオリゴヌクレオチドのループ鎖を切断することができるニッキング酵素である。
【0293】
本発明の様々な実施形態では、周知のレポータープローブ又は基質の異なる組み合わせを、単一の反応でLOCSプローブと組み合わせることができる。非限定的な例として、2つの標的の検出のための反応は、直鎖MNAザイム基質、TaqMan又は加水分解プローブ、分子ビーコン、スロッピービーコン、エクリプスプローブ、Scorpionユニプローブ、Scorpionバイプローブ、キャプチャー/ピッチャーオリゴヌクレオチド、及びデュアルハイブリダイゼーションプローブを含むがこれらに限定されない群1から選択される第1のプローブ、並びにユニバーサルMNAザイム基質を含むLOCSプローブ、エキソヌクレアーゼのための標的特異的基質を含むLOCSプローブ、及びニッキング酵素等のエンドヌクレアーゼのための標的特異的基質を含むLOCSプローブを含むがこれらに限定されない群2から選択される第2のプローブの任意の組み合わせを含み得る。
【0294】
群1のプローブと群2のプローブとの任意の組み合わせを使用して、本発明の方法による単一の反応における複数の標的を測定することができる。
図3に示される実施形態は、第1のMNAザイムによって切断可能な直鎖MNAザイム基質と、第2のMNAザイムによって切断可能なLOCSプローブとの例示的な組み合わせを示す。本発明の他の非限定的な実施形態を
図5に示すが、非切断可能な分子ビーコンは、MNAザイムによって切断可能なLOCSプローブと組み合わされてもよい。分子ビーコン及びLOCSプローブは両方とも、同じ(又は類似の)検出部分、例えば、同じフルオロフォア又は類似の波長で発光するフルオロフォアで標識され得る。分子ビーコンは、Tm Aを有するステム領域と、Tm Bを有する第1の標的1と特異的にハイブリダイズすることができるループ領域とを有し得、Tm BはTm Aより高い。これは、Tm Cを有するステム領域と、第2の標的2の存在下でMNAザイムによって切断され得るループ領域とを有し得る無傷LOCSプローブと組み合わせることができ、したがって、Tm Dを有する分割LOCSを生成し、Tm DはTm C未満である。標的1及び/又は標的2の存在は、リアルタイムで2つの温度で蛍光を測定するか、又は増幅の開始時若しくはその近く、及び増幅の後に取得される個別の測定値を使用することによって区別することができる。
【0295】
-リバーシブルプローブを含むLOCSの組み合わせ
いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法は、温度によって可逆的に調節され得る標的依存的な検出可能なシグナルを生成することができるLOCS及びオリゴヌクレオチドプローブの組み合わせを含む。更に、LOCS及びオリゴヌクレオチドプローブは、温度による標的非依存的シグナル生成の調節に適し得るため、バックグラウンドノイズ又はベースラインレベルの操作を可能にする。
【0296】
例えば、オリゴヌクレオチドプローブは、検出可能なシグナルの放出が抑制される標的の不在下での第1の立体構造又は配置、及び標的の存在を示す検出可能なシグナルの放出を促進する標的の存在下での第2の立体構造又は配置を採用してもよい。このカテゴリのオリゴヌクレオチドプローブの非限定的な例には、分子ビーコン、スロッピービーコン、Scorpionユニプローブ、Scorpionバイプローブ、及びキャプチャー/ピッチャーオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0297】
代替的に、デュアルハイブリダイゼーションプローブの場合、LOCSに加えて2つの追加のオリゴヌクレオチドが、標的の存在下で検出可能なシグナルが抑制され、標的が存在しない場合に検出可能なシグナルが生成される配置を採用してもよい。
【0298】
上記の実施形態では、無傷LOCSは、標的依存的切断イベントを受けて分割LOCSを提供する。分割LOCSの二本鎖ステム部分は、第1のオリゴヌクレオチド及び関連する検出可能なシグナルの立体構造又は配置の標的依存的変化が生成される温度とは異なる温度で解離するように設計することができる。
【0299】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、分子ビーコンである。以下のシナリオは、本発明の実施形態による多重検出アッセイの非限定的な例を提供する。これらのシナリオでは、分子ビーコンは、それぞれ標的1及び標的2の検出のためのLOCSと組み合わせて使用することができる。分子ビーコンは、その二本鎖ステム部分の融解温度であるTm Aと、その一本鎖ループ二重構造と標的1との間に形成される二重構造の融解温度であるTm Bとを有してもよい。LOCSは、無傷時のその二本鎖ステム部分の融解温度であるTm Cと、分割時のその二本鎖ステム部分の融解温度であるTm Dとを有してもよい。分子ビーコンの二本鎖ステム部分の対向鎖は、LOCSのものと同様に、フルオロフォア及びクエンチャーで標識されてもよい。分子ビーコンのフルオロフォアは同じであってもよく、又はLOCSのフルオロフォアと同じ可視スペクトルの領域で発光してもよい。代替の実施形態では、例えば、比色検出又はSPR検出のための同じ又は類似のサイズ及び/又は種類のナノ粒子、化学発光検出のための反応性部分(例えば、アルカリホスファターゼ又はペルオキシダーゼ酵素)、電気化学検出のための電気活性種(例えば、フェロセン、メチレンブルー又はペルオキシダーゼ酵素)を含む、異なる検出部分が利用され得る。当業者は、これらの場合における分子ビーコンが、スロッピービーコン、Scorpionユニプローブ、又はScorpionバイプローブで置換され得ることを容易に理解するであろう。
【0300】
反応が測定される温度と、レポータープローブの様々な領域の融解温度との間に、様々な関係が存在し得る。4つのシナリオを、1つの分子ビーコン及び1つのLOCSプローブを含む反応の文脈内で以下に詳細に説明し、そのようなシナリオのための非限定的な例示的な温度を以下の表1に概説する。
【0301】
【0302】
シナリオ1
第1の非限定的な例では、Tm Aは、Tm Dより高くてもよく、Tm Bは、Tm
Dより高くてもよい。標的1及び/又は標的2の存在は、増幅の開始時又はその近く、及び増幅後に取得された2つの温度での蛍光を測定することによって識別することができる。標的1及び/又は標的2の存在下で、Tm A、Tm B及びTm D未満であり得る第1の温度1での蛍光の測定は、標的1のみの存在を示すシグナルを生成し得る。この温度では、分子ビーコンは標的1(存在する場合)にハイブリダイゼーションされ、蛍光を発するが、標的1の不在下では、そのステムは内部ハイブリダイゼーションされたままであり、したがってクエンチされる。温度1では、無傷及び/又は分割LOCS種の両方が、この温度でのそれぞれのステムのハイブリダイゼーションに起因してクエンチされる。更に、標的1及び/又は標的2の存在下で、温度1及びTm Dの両方より高いが、Tm B及びTm Cの両方より低い第2の温度2での蛍光の測定は、標的1及び/又は標的2の存在を示し得る。この第2の温度では、分子ビーコンは標的1(存在する場合)にハイブリダイゼーションされ、蛍光を発するが、標的1の不在下では、そのステムは内部ハイブリダイゼーションされたままであり、したがってクエンチされる。更に、この第2の温度では、標的2が存在しない場合、LOCSプローブは無傷でクエンチされたままであるが、標的2に特異的なMNAザイム(存在する場合)によって分割され、そのステムが解離して蛍光を生成する。このシナリオでは、増幅中に温度1での蛍光が増加する場合、これは標的1が存在することを示す。更に、増幅の過程で温度2で観察された蛍光の増加が温度1で観察されたものよりも大きい場合、これは標的2が存在することを示す。
【0303】
シナリオ2
第2の非限定的な例では、Tm Aは、Tm Dに類似してもよく、Tm Bは、Tm
Cに類似してもよく、Tm Bは、Tm Dより高くてもよい。標的1及び/又は標的2の存在は、2つの温度での蛍光をリアルタイムで測定すること、又は増幅の開始時若しくはその近く、及び増幅後に取得された単一の測定値を使用することによって識別することができる。標的1及び/又は標的2の存在下で、Tm A未満、及びTm B未満、及びTm D未満であり得る第1の温度1での蛍光の測定は、標的1のみの存在を示すシグナルを生成し得る。この温度では、分子ビーコンは標的1(存在する場合)にハイブリダイゼーションされ、蛍光を発するが、そのステムは、標的1の不在下で内部ハイブリダイゼーションされたままであり、クエンチされる。この第1の温度1では、無傷及び/又は分割LOCS種の両方が、この温度でのステム領域のハイブリダイゼーションに起因してクエンチされる。更に、標的1及び/又は標的2の存在下で、温度1及びTm A及びTm Dのいずれよりも高いが、Tm B及びTm Cの両方より低い第2の温度2での蛍光の測定は、標的2の存在を示し得る。この第2の温度では、分子ビーコンは標的1(存在する場合)にハイブリダイゼーションされ、蛍光を発するか、又はこの温度でのそのステムの解離及び開放に起因して標的非依存的に蛍光を発する。そのため、分子ビーコンは、いずれかの標的の存在又は不在にかかわらず蛍光を発し、この温度でのバックグラウンド蛍光レベルを与え、増幅中に変化しない場合がある。更に、この第2の温度では、標的2が存在しない場合、LOCSプローブは無傷でクエンチされたままであるが、標的2に特異的なMNAザイム(存在する場合)によって分割され、そのステムが解離し、したがって蛍光を生成する。このシナリオでは、増幅中に温度1での蛍光が増加する場合、これは、標的1が存在し、分子ビーコンによって検出されることを示し、増幅中の温度2での蛍光の増加は、標的2が存在し、LOCSプローブによって検出されることを示す。定性的データは、PCRの開始時/その近く、及び終了時に離散的な温度測定値を使用して取得することができ、かつ/又は定量的データは、PCR中に各温度で生成された2つの増幅曲線から直接読み取ることができる。代替的に、Tm A及びTm Dが類似していない場合には、Tm A及びTm Dの両方が温度1より高く、温度2より低い場合、2つの温度での蛍光レベルと、標的の存在又は不在との間の同じ関係が保持される。
【0304】
上記のアプローチは、例えば、TOCE等の単一波長で複数の標的を区別するために、複数の温度での測定を利用する当該技術分野で知られている他の方法よりも大きな利点を提供し得る。TOCEは、第1の温度で第1の標的からの蛍光を測定し、第2の温度で2つの標的(第1の標的+第2の標的)からの蛍光を測定する。このデータは、複雑な分析において第2の標的を定量化するために、第2の温度での第1の標的に関連する蛍光の量を数学的に減算するように分析され、これには更に、温度自体に関連する蛍光の固有の差を考慮するための調整が必要である。本明細書に記載の本発明の実施形態は、第1の温度で生成された第1の増幅曲線からの第1の標的の直接的な定量化、及び第2の温度で生成された第2の増幅曲線からの第2の標的の直接的な定量化を可能にするため、複雑なPCR後分析の必要性をなくす方法で、分子ビーコン及びLOCSプローブを利用する。これらの実施形態は、各標的を個々に測定し、更に、各標的は、データ取得のために選択された2つの温度のうちの1つでバックグラウンドより上で検出可能なシグナルのみを生成するため、同じ分子の蛍光出力の差を考慮するための調整の必要はない。
【0305】
シナリオ3
第3の非限定的な例では、Tm Aは、Tm Dより低くてもよく、Tm Bは、Tm
Dに類似してもよく、Tm Cは、Tm Bより高くてもよい。標的1及び/又は標的2の存在は、2つの温度での蛍光をリアルタイムで測定すること、又は増幅の開始時若しくはその近く、及び増幅後に取得された単一の測定値を使用することによって識別することができる。標的1及び/又は標的2の存在下で、Tm A未満、及びTm B未満、及びTm D未満であり得る第1の温度1での蛍光の測定は、標的1のみの存在を示すシグナルを生成し得る。この温度では、分子ビーコンは標的1(存在する場合)にハイブリダイゼーションされ、蛍光を発するが、そのステムは、標的1の不在下で内部ハイブリダイゼーションされたままであり、クエンチされる。この温度1では、無傷及び/又は分割LOCS種の両方が、この温度でのそれらのステムのハイブリダイゼーションに起因してクエンチされる。更に、標的1及び/又は標的2の存在下で、温度1及びTm D及びTm
A及びTm Bのいずれよりも高いが、Tm Cより低い第2の温度2での蛍光の測定は、標的2の存在を示し得る。この第2の温度では、分子ビーコンは標的1にハイブリダイゼーションすることができず、常に開放された解離したステムを有し、したがって、いずれかの標的の存在又は不在にかかわらず蛍光を発し、この温度でのバックグラウンド蛍光レベルを与え、増幅中に変化しない場合がある。更に、この第2の温度では、標的2が存在しない場合、LOCSプローブは無傷でクエンチされたままであるが、標的2に特異的なMNAザイム(存在する場合)によって分割され、そのステムが解離し、したがって蛍光を生成する。このシナリオでは、増幅中に温度1での蛍光が増加する場合、これは、標的1が存在し、分子ビーコンによって検出されることを示し、温度2での蛍光の増加は、標的2が存在し、LOCSプローブによって検出されることを示す。定性的データは、PCRの開始時/その近く、及び終了時に離散的な温度測定値を使用して取得することができ、かつ/又は定量的データは、PCR中に各温度で生成された2つの増幅曲線から直接読み取ることができる。代替的に、Tm A及びTm Dが類似する、又はTm AがTm Dより高い場合には、Tm A及びTm Dの両方が温度1より高く、温度2より低い場合、2つの温度での蛍光レベルと、標的の存在又は不在との間の同じ関係が保持される。
【0306】
シナリオ4
第4の非限定的な例では、Tm A及びTm Bの両方が、Tm C及びTm Dより高くてもよい。標的1及び/又は標的2の存在は、増幅の開始時又はその近く、及び増幅後に取得された2つの温度での蛍光を測定することによって識別することができる。標的1及び/又は標的2の存在下で、Tm A及びTm B未満であるがTm C及びTm D超であり得る第1の温度1での蛍光の測定は、標的1の存在を示すシグナルを生成し得る。この温度では、分子ビーコンは標的1(存在する場合)にハイブリダイゼーションさ
れ、蛍光を発するが、そのステムは、標的1の不在下で内部ハイブリダイゼーションされたままであり、それはクエンチされる。この温度では、LOCSは、標的2の存在又は不在にかかわらず蛍光を発するため、増幅中に変化しないバックグラウンドにのみ寄与する。標的2の不在下では、無傷LOCSのステムは解離して蛍光を発し、同様に、標的2の存在下では、分割LOCSのステムは解離して蛍光を発する。更に、温度1未満であり、Tm C及びTm A及びTm B未満であるが、Tm Dより高い温度2での増幅過程中の蛍光の増加は、標的1及び/又は標的2の存在を示し得る。この第2の温度では、分子ビーコンは標的1(存在する場合)にハイブリダイゼーションされ、したがって蛍光を発するか、又は標的1の不在下でハイブリダイゼーションされたステムでクエンチされたままである。更に、この第2の温度では、標的2が存在しない場合、無傷LOCSプローブステムはハイブリダイゼーション及びクエンチされたままであるか、又は標的2が存在する場合、LOCSは標的2に特異的なMNAザイムによって分割され、分割LOCSのステムは解離して蛍光を発する。このシナリオでは、増幅中に温度2での蛍光が増加する場合、これは、標的1及び/又は標的2が存在することを示す。更に、温度2で増幅の過程で観察された蛍光の増加が温度1で観察されたものよりも大きい場合、これは標的2が存在することを示す。
【0307】
-キャッチャー-ピッチャープローブを含むLOCSの組み合わせ
いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法は、LOCS及びTOCEアッセイのキャッチャー構成成分として機能する第1のオリゴヌクレオチドの組み合わせを含み得る。この組み合わせは、例えば、PCR中にリアルタイムで2つの温度で蛍光読み取りを取得することによって、単一の蛍光チャネル内の2つの標的の同時検出及び定量化を可能にし得る。代替的に、リアルタイムモニタリングが存在しない場合、アプローチは、例えば、増幅の開始時の又はその近く、及び増幅後の離散的な時点で収集された蛍光データに適用することができる。
【0308】
一実施形態では、キャッチャーを含む第1のオリゴヌクレオチドは、LOCSプローブと組み合わせることができ、これらの両方は、同じ蛍光チャネルでの同時検出のために、同じフルオロフォア及びクエンチャー部分で標識され得る。反応はまた、キャッチャーに相補的な5’タグ領域、及び第1の標的1に相補的な3’センサー領域を含む一本鎖オリゴヌクレオチドを含むピッチャーを含んでもよい。キャッチャーは、5’末端にクエンチャーで標識された一本鎖オリゴヌクレオチド、及びクエンチャーの下流にあるフルオロフォア、及びピッチャーのタグ部分に相補的である3’領域を含んでもよい。キャッチャーが一本鎖立体構造にある場合、フルオロフォアはクエンチャーと近接し、シグナルはクエンチされる。
【0309】
PCR等の増幅反応の非限定的な例を挙げると、ピッチャーのプライマー及び3’センサー領域は、標的1にハイブリダイズし得る。標的1又はそのアンプリコンを鋳型として使用したプライマー伸長中、ピッチャーは、DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性によって分解され、タグ部分の放出をもたらし得る。次いで、放出されたタグは、キャッチャーの相補的な3’部分にハイブリダイズし得、DNAポリメラーゼによって伸長され得、したがって、フルオロフォア及びクエンチャーが分離され、標的1の存在を示す増加した蛍光をもたらす、Tm Aとの二本鎖キャッチャー二重構造を生成し得る。更に、反応は、第2の標的2の存在下でMNAザイムによって切断され得る、Tm Cを有するステム領域及びループ領域を有する無傷LOCSプローブを含有して、Tm Aより低いTm Dを有する分割LOCSを生成することができる。反応が測定される温度と、キャッチャー二重構造及びLOCSレポーターの融解温度との間に、様々な関係が存在し得る。3つのシナリオを、1つのキャッチャープローブ及び1つのLOCSプローブを含む反応の文脈内で以下に詳細に説明し、そのようなシナリオのための非限定的な例示的な温度を以下の表2に概説する。
【0310】
【0311】
第1の非限定的なシナリオでは(表2を参照されたい)、シグナルが、標的1の存在下で、Tm A、Tm C、及びTm Dより低い第1の検出温度で測定される場合、キャッチャー二重構造が形成されて蛍光を発し得るが、標的1の不在下では、一本鎖キャッチャーは、クエンチされたままである。この温度では、無傷及び分割LOCSのステムの両方がハイブリダイズされ、したがって、標的2の存在又は不在にかかわらずクエンチされる。したがって、増幅中の蛍光の増加は、標的1を示す。更に、Tm Dより高いが、Tm A及びTm Cより低い第2の検出温度での蛍光測定は、標的1及び/又は標的2の存在を示し得る。この第2の温度では、キャッチャーは、標的の不在下では一本鎖のままであり、クエンチされ、標的の存在下では二重構造を形成し、蛍光を発する。更に、この第2の温度では、標的2が存在しない場合、LOCSプローブは無傷でクエンチされたままであるが、標的2の存在下では切断され、そのステムが解離して蛍光を生成する。このシナリオでは、増幅中に温度1での蛍光が増加する場合、これは標的1が存在することを示す。更に、増幅の過程で温度2で観察された蛍光の増加が温度1で観察されたものよりも大きい場合、これは標的2が存在することを示す。第1の温度ではなく第2の温度での蛍光の増加は、標的2のみが存在することを示す。
【0312】
第2の非限定的なシナリオ(表2を参照されたい)では、第1の検出温度での第1の標的の特異的検出は、上記のシナリオ1に従って達成され得る。更に、Tm A及びTm Dより高いがTm Cより低い第2の検出温度では、キャッチャー二重構造が形成され得る温度よりも高いため、キャッチャー二重構造は、標的1及び/又は標的2の存在又は不在にかかわらず解離され(すなわち、一本鎖)、クエンチされる。標的2の不在下では、全てのLOCSは無傷でクエンチされるが、標的2が存在する場合、分割LOCSが生成され、それらのステムは解離し、蛍光の増加が観察され得る。したがって、第1の温度でのPCR中の蛍光の増加は、標的2の存在又は不在にかかわらず、標的1の存在を示し、逆に、第2の温度でのPCR中の蛍光の増加は、標的1の存在又は不在にかかわらず、標的2の存在を示す。したがって、LOCS及びキャッチャー-ピッチャープローブの組み合わせは、第1の温度でのバックグラウンドを超える蛍光の増加によって監視されるように、キャッチャー-ピッチャープローブを使用してのみ標的1の検出を可能にすることができ、また第2の温度でのバックグラウンドを超える蛍光の増加によって監視されるように、LOCSプローブを使用してのみ標的2の検出を可能にし得る。
【0313】
第3の非限定的なシナリオでは(表2を参照されたい)、シグナルが、標的1のみの存在下で、Tm Aより低いがTm C及びTm Dより高い第1の検出温度で測定される場合、キャッチャー二重構造が形成されて蛍光を発し得るが、標的1の不在下では、一本鎖キャッチャーは、クエンチされたままである。この温度では、無傷及び分割LOCSのステムの両方が解離され、標的2の存在又は不在にかかわらず、高レベルのバックグラウンド蛍光を生成する。したがって、増幅中のバックグラウンド蛍光を上回る蛍光の増加は、標的1のみを示す。更に、Tm A及びTm Cより低いが、Tm Dより高い第2の検出温度での蛍光測定は、標的2のみの存在を示し得る。この第2の温度では、キャッチャーは、標的の不在下では一本鎖のままであり、クエンチされ、標的の存在下では二重構造を形成し、蛍光を発する。更に、この第2の温度では、標的2が存在しない場合、LOCSプローブは無傷でクエンチされたままであるが、標的2の存在下では切断され、そのステムが解離して蛍光を生成する。このシナリオでは、増幅中に温度1での蛍光が増加する場合、これは標的1のみの存在を示し、増幅中に温度2での蛍光が増加する場合、これは標的2のみの存在を示す。
【0314】
別の非限定的な形式、例えば、SPRによる検出では、キャッチャーは金ナノ粒子(GNP)に結合され、溶液中で遊離し得るが、一方、ピッチャーは、金表面に結合され得る。標的1の存在下、及びTm A未満の温度で、キャッチャー二重構造が形成し、GNP
を、SPRシグナルの測定可能なシフトを生成する金表面に近接させることができる。しかしながら、標的1の不在下では、キャッチャーは、一本鎖であり、かつ溶液中で遊離しており(すなわち、金表面に近接していない)、したがって、ベースラインSPRシグナルを上回るSPRシグナルの任意の測定可能なシフトを生成しない。したがって、この温度でのSPRシグナルの任意の測定可能なシフトは、試料中の標的1の存在を示す。更に、LOCSは、一端でGNPに結合され、他端で金表面に結合されてもよい。標的2の不在下では、GNPは常に結合しているが、一方標的2の存在下では、分割LOCSが生成され、したがってこの場合、GNPは、検出温度が分割LOCSの温度未満である場合にのみ金表面に近接する。前述のように、上記のシナリオ2に類似するシナリオでは、第1の検出温度がTm B、Tm C、及びTm D未満である場合、シグナルの変化は、キャッチャー上のGNPが金表面に近接するため、標的1の存在を示す。第2の検出温度がTm C未満であるが、Tm A及びTm Dを上回る場合、分割LOCS上のGNPが金表面から離れるため、シグナルの変化は、標的2の存在を示す。
【0315】
更に別の形式、例えば比色検出では、キャッチャー及びLOCSプローブの両方が、両端でGNPで標識されてもよい。次いで、Tm A、Tm C及びTm D未満の第1の温度で、標的1の存在は、標的2の存在又は不在にかかわらず、紫色(凝集したGNP)から赤色(分散したGNP)への測定可能な色変化をもたらす。次いで、Tm A及びTm Dを上回るがTm C未満である第2の温度で、標的2の存在は、標的1の存在又は不在にかかわらず、紫色(凝集したGNP)から赤色(分散したGNP)への測定可能な色変化をもたらす。
【0316】
更に別の形式では、キャッチャーは、メチレンブルー又はフェロセン等の電気活性部分で標識され得、ピッチャーは電極表面に結合され得る。第1の温度(Tm A未満)では、キャッチャー二重構造は、電極表面(標的1が存在する場合)上に形成され、電気活性部分を電極表面に近接させ、電気化学的シグナルの測定可能なシフト(すなわち、酸化又は還元電流)を生成する。しかしながら、標的1の不在下では、キャッチャーは、溶液中で遊離し、電極表面に近接しておらず、したがって、ベースラインシグナルを上回る電気化学的シグナルのいかなる測定可能なシフト(すなわち、酸化又は還元電流)も生成しない。したがって、この温度での電気化学的シグナルの任意の測定可能なシフトは、試料中の標的1の存在を示す。
【0317】
-デュアルハイブリダイゼーションプローブと組み合わされたLOCS
いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法は、LOCSと2つの標的特異的構成成分を含むオリゴヌクレオチドプローブとの組み合わせを含む。
【0318】
デュアルハイブリダイゼーションプローブは、Tm Aを有する第1のオリゴヌクレオチド、及びTm Bを有する第2のオリゴヌクレオチドを含有し得、Tm A及びTm Bは等しくてもよく、又はTm A及びTm Bは異なってもよい。第1のオリゴヌクレオチドは、その3’末端でフルオロフォアで標識されてもよく、第2のオリゴヌクレオチドは、その5’末端でクエンチャーで標識されてもよい。(代替的に、一方のオリゴヌクレオチドがその3’末端でクエンチャーで標識され、他方がその5’末端でフルオロフォアで標識されてもよい。)2つのオリゴヌクレオチドプローブは、標的1上で隣接又は実質的に隣接して(例えば、2、3、4、又は5ヌクレオチドギャップ未満で)ハイブリダイズし、Tm A及びTm Bのいずれか低い方に等しいTmを有する二重構造構造を形成する。このシナリオでは、データ取得のための好適な第1の温度は、Tm A及びTm
B未満、かつTm C及びTm D未満、すなわち、それぞれ、無傷LOCS及び分割LOCSのステムのTmであり得る。この第1の温度では、第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、増幅前の溶液及び蛍光中、又は標的1の不在下では遊離しているが、存在する場合、標的1へのハイブリダイゼーションは、フルオロフォア及びクエンチャーを近接さ
せてクエンチを引き起こす。更に、第1の温度では、無傷及び分割LOCSのステムの両方がクエンチされる。したがって、第1の温度で観察される蛍光の減少は、標的2の存在又は不在にかかわらず、標的1の存在を示す。
【0319】
LOCSプローブは、第2の標的2の存在下でMNAザイムによって切断されてもよく、データ取得は、Tm A及び/又はTm B超、Tm D超であるがTm C未満の第2の温度で行われてもよい。このシナリオでは、無傷LOCSは、増幅前及び標的の不在下でクエンチされたままであるが、標的2の存在下では、分割LOCSステムは解離し、蛍光の増加をもたらす。この温度では、第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、この温度で標的1にハイブリダイゼーションすることができないため、標的1の存在又は不在にかかわらず、蛍光を発する。この蛍光は、この温度でのバックグラウンドシグナルに寄与する。したがって、増幅後のバックグラウンドを上回る蛍光の増加は、標的1の存在又は不在にかかわらず、標的2の存在を示す。
【0320】
したがって、この組み合わせは、第1の温度での蛍光の減少として決定されるデュアルハイブリダイゼーションプローブを使用した標的1の検出と、第2の温度での蛍光の増加によって決定されるLOCSプローブを使用した標的2のみの検出とを可能にする。
【0321】
別の形式、例えば、SPRによる検出では、第1のオリゴヌクレオチドは金ナノ粒子(GNP)に結合され得、第2のオリゴヌクレオチドは金表面に結合され得る。第1の温度では、2つのオリゴヌクレオチドプローブは、(存在する場合)標的1上で隣接してハイブリダイズし、二重構造構造を形成し、GNPを金表面に近接させることができ、これは、SPRシグナルの測定可能なシフトを生成し得る。しかしながら、標的1の不在下では、第1のオリゴヌクレオチドは、溶液中に遊離してもよく、金表面に近接していなくてもよく、したがって、ベースラインSPRシグナルを上回るSPRのシグナルのいかなる測定可能なシフトも生成しない。したがって、この温度でのSPRシグナルの任意の測定可能なシフトは、試料中の標的1の存在を示し得る。
【0322】
更に別の形式、例えば比色検出では、第1及び第2のオリゴヌクレオチドの両方が、金ナノ粒子で標識されてもよい。第1の温度では、第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、溶液中で遊離し、標的1の不在下で赤色を呈してもよい。しかしながら、標的1の存在下では、2つのオリゴヌクレオチドプローブは、標的上で隣接してハイブリダイズし、二重構造構造を形成し、GNPを互いに近接させ、赤色から紫色への測定可能な色変化を生成し得る。したがって、赤色から紫色への測定可能な色の変化は、試料中の標的1の存在を示し得る。
【0323】
更に別の形式では、第1のオリゴヌクレオチドは、メチレンブルー又はフェロセン等の電気活性部分で標識され得、第2のオリゴヌクレオチドは電極表面に結合され得る。第1の温度では、2つのオリゴヌクレオチドプローブは、(存在する場合)標的1上で隣接してハイブリダイズし、電極表面上で二重構造構造を形成し、電気活性部分を電極表面に近接させ、電気化学的シグナルの測定可能なシフト(すなわち、酸化又は還元電流)を生成し得る。しかしながら、標的1の不在下では、第1のオリゴヌクレオチドは、溶液中で遊離し得、電極表面に近接しておらず、したがって、ベースラインシグナルを上回る電気化学的シグナルのいかなる測定可能なシフト(すなわち、酸化又は還元電流)も生成しない。したがって、この温度での電気化学的シグナルの任意の測定可能なシフトは、試料中の標的1の存在を示し得る。
【0324】
-消化可能なプローブを含むLOCSの組み合わせ
いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法は、温度によって可逆的に調節され得ない標的依存的な検出可能なシグナルを生成するLOCS及びオリゴヌクレオチドプロ
ーブの組み合わせを含む。しかしながら、LOCSは、標的非依存的方法での温度によるシグナル生成の変調に適したままであり、したがって、バックグラウンドノイズ又はベースラインレベルの操作を可能にする。
【0325】
例えば、第1の標的1の第1のオリゴヌクレオチドプローブは、検出可能なシグナルを提供する標的依存的修飾を受けてもよく、これは、検出温度を変更する際に抑制することができない。標的依存的修飾は、第1のオリゴヌクレオチドの切断又は消化であってもよく、それによって、標的の存在を示す検出可能なシグナルをトリガする。このカテゴリのオリゴヌクレオチドプローブの非限定的な例には、TaqManプローブ、MNAザイム基質、及び標的依存的方法で制限酵素によって切断可能なプローブが含まれる。修飾後、これらのプローブによって生成されたシグナルは、広範囲の温度で測定することができる。
【0326】
これらの実施形態では、第2の標的2を検出するように設計された無傷LOCSは、この標的の存在下でのみ分割LOCSを生成するための切断を受けることができる。標的2の測定には、無傷のLOCSのステムのTm未満であるが、分割LOCSのステムのTm超の温度での検出が必要である。対照的に、第1の標的が検出される温度は、無傷及び分割LOCSの両方のステムのTm未満であるか、又は無傷及び分割LOCSの両方のステムのTm超であるかのいずれかであり得る。第1の検出温度がステムのTm未満である場合、無傷及び/又は分割ステムの両方が会合及びクエンチしたままであるため、バックグラウンドシグナルは抑制され、一方、第1の検出温度がステムのTm超である場合、無傷及び/又は分割ステムの両方の解離により、バックグラウンドシグナルはより高くなる。したがって、第1の温度でのシグナルの検出は、標的2の存在又は不在にかかわらず、標的1に対して特異的であり得る。第2の温度でのシグナルの検出は、標的1及び/又は標的2の存在を示すが、第2の温度で観察されるシグナルの増加が、第1の温度で観察されるものよりも大きい場合、これは、標的2が存在することを示す。シグナルの変化が第2の温度でのみ観察され、第1の温度では観察されない場合、これは、第2の標的のみの存在を示す。
【0327】
以下のシナリオは、本発明の実施形態による多重検出アッセイの非限定的な例を提供し、以下の表3に要約される。これらのシナリオでは、LOCSは、無傷時のその二本鎖ステム部分の融解温度であるTm Aと、分割時のその二本鎖ステム部分の融解温度であるTm Bとを有してもよい。オリゴヌクレオチドプローブ(例えば、MNAザイム基質)は、LOCSの二本鎖ステム部分の対向鎖と同様に、フルオロフォア及びクエンチャーで標識されてもよい。オリゴヌクレオチドプローブのフルオロフォアは同じであってもよく、又はLOCSのフルオロフォアと同じ可視スペクトルの領域で発光してもよい。代替の実施形態では、例えば、比色検出若しくはSPR検出のための同じ若しくは類似のサイズ及び/若しくは種類のナノ粒子、化学発光検出のための反応性部分(例えば、アルカリホスファターゼ若しくはペルオキシダーゼ酵素)、又は電気化学検出のための電気活性種(例えば、フェロセン、メチレンブルー若しくはペルオキシダーゼ酵素)を含む、異なる検出部分が利用され得る。当業者は、オリゴヌクレオチドプローブが、例えば、MNAザイム基質、TaqManプローブ、加水分解プローブ、又は標的依存的に制限酵素によって切断可能なプローブ(REプローブ)であり得ることを容易に理解するであろう。
【0328】
第1の標的の存在又は不在によるシグナルの変化は、第1の温度でのPCRへの増幅の開始時又はその近く(PCR前)で取得されたバックグラウンド蛍光に対して正規化された、その同じ第1の温度での増幅後(PCR後)の蛍光を測定することにより得ることができ、一方、第2の標的の存在又は不在によるシグナルの変化は、第2の温度でPCR前に測定されたバックグラウンド蛍光に対して正規化された、その第2の温度でのPCR後の全蛍光を取得することによって得ることができる。代替的に、第1及び第2の標的のそ
れぞれの存在又は不在によるシグナルの変化は、第1及び第2の温度での増幅後の全蛍光を測定することによって得ることができ、これらは両方とも、同じ反応のPCR前に、又は同等であるが標的を欠くことが知られている対照反応での任意の時点に取得された第3の温度でのバックグラウンド蛍光に対して正規化され得る。バックグラウンドの測定は、第1の温度が第2の温度未満であり、かつ第3の温度が無傷ステムのTm未満である場合、第3の温度で行われ得る。
【0329】
全てのシナリオにおいて、第1の標的を示すシグナルの存在又は不在は、例えば、MNAザイム基質、TaqManプローブ又はREプローブであり得る第1のプローブを使用して、第1の温度で測定される。増幅の前に、このプローブはクエンチされるが、標的1が存在する場合、プローブは増幅中に切断され、第1及び第2の温度の両方で検出可能な蛍光の増加をもたらす。第2の標的の存在又は不在は、LOCSプローブを使用して第2の温度で決定され、第2の温度は、常に分割LOCSのTm(Tm B)超であるが、無傷LOCSのTm(Tm A)未満である。
【0330】
【0331】
シナリオ1.
第1の非限定的な例では、表3に記載されるように、第1の温度は、第2の温度より低く、かつTm A及びTm Bより低い。第1の温度での蛍光の増加は、標的1の存在を示し、バックグラウンドシグナルは、クエンチされたLOCSの存在を反映しており、無傷及び/又は分割ステムの両方が会合したままである。第1の温度及び第2の温度におけるバックグラウンドは、それぞれ、各温度においてPCRの前に測定されてもよい。代替的に、バックグラウンド測定は第3の温度で測定されてもよく、第3の温度は、第1及び第2の温度の両方を下回る。
【0332】
シナリオ2
第2の非限定的な例では、表3に記載されるように、第1の温度は、第2の温度より高く、かつTm A及びTm Bより高い。第1の温度での蛍光の増加は、標的1の存在を示し、バックグラウンドシグナルは、解離されたステムを有する無傷及び/又は分割LOCSからの蛍光を反映している。第1の温度及び第2の温度におけるバックグラウンドは、それぞれ、各温度においてPCRの前に測定されてもよい。
【0333】
シナリオ3
第3の非限定的な例では、表3に記載されるように、第1の温度は、第2の温度より低く、かつTm A及びTm Bより低い。第1の温度での蛍光の増加は、標的1の存在を示し、バックグラウンドシグナルは、クエンチされたLOCSの存在を反映しており、無傷及び/又は分割ステムの両方が会合したままである。第1の温度及び第2の温度におけるバックグラウンドは、それぞれ、各温度においてPCRの前に測定されてもよい。代替的に、バックグラウンド測定は、第3の温度で測定されてもよく、第3の温度は、第2の温度未満であるが、第1の温度を超える。
【0334】
他の形式、例えば、SPRによる検出では、第1のオリゴヌクレオチド及びLOCSプローブは、一端で金ナノ粒子(GNP)に結合され得、他端で金表面に結合され得る。標的の不在下では、第1のオリゴヌクレオチドは無傷のままであり得、GNPは金表面に近接しており、ベースラインレベルのSPRシグナルを生成する。標的1の存在下では、第1のオリゴヌクレオチドを切断することができ、GNPを金表面から分離し、SPRシグナルの測定可能なシフトを生成し、試料中の第1の標的の存在を示す。これは、無傷又は分割LOCSのいずれかに結合又は会合したGNPが表面上に残留し得るように、Tm A及びTm B未満の第1の温度で測定され得る。分割LOCSのTmを超える第2の温度でのSPRシグナルの変化の測定は、第1及び/又は第2の標的の存在を示し得る。更に、第1の温度でシグナルの変化が観察され、第2の温度でより大きな変化が観察された場合、これは標的2の存在を示す。代替的に、第2の温度でシグナルが検出されたが、第1の温度では検出されなかった場合、これもまた第2の標的のみを示す。
【0335】
別の形式、例えば比色検出では、第1のオリゴヌクレオチドプローブ及びLOCSは、両端で金ナノ粒子で標識されてもよい。Tm A及びTm B未満の第1の温度では、第1のオリゴヌクレオチドは標的1の不在下で無傷のままであり得、GNPは互いに近接した凝集状態にあり得、紫色を呈し得る。しかしながら、第1のオリゴヌクレオチドは、標的1の存在下で切断され得、GNPを分離し、紫から赤への測定可能な色の変化を示し得る。したがって、紫色から赤色への測定可能な色の変化は、試料中の標的1の存在を示し得る。第1の温度を超え、Tm Bを超えるがTm A未満である第2の温度では、第2の標的の存在下でのみ、LOCSが分割され得、GNPは分散状態であり、色は紫色から赤色に変化する。両方の標的が存在する場合、色のシフトはより激しくなり得る。
【0336】
更に別の形式では、第1のオリゴヌクレオチドは、一端でメチレンブルー又はフェロセン等の電気活性部分で標識され、他端で電極表面に結合されてもよい。第1の温度及び標
的1の不在下では、第1のオリゴヌクレオチドは無傷のままであり得、電気活性種は電極表面に近接しており、ベースラインレベルの電気化学的シグナル(すなわち、酸化又は還元電流)を生成する。しかしながら、標的1の存在下では、第1のオリゴヌクレオチドは切断され得、電気活性部分は溶液に放出され得、ベースラインシグナルのものを上回る電気化学的シグナル(すなわち、酸化又は還元電流)の測定可能なシフトを生成する。したがって、この温度での電気化学的シグナルの任意の測定可能なシフトは、試料中の標的1の存在を示し得る。
【0337】
-更なる例示的実施形態
特定の実施形態では、本発明のLOCSオリゴヌクレオチドを含むレポーターオリゴヌクレオチドを使用して、標的を直接的に検出することができる。他の例示的な実施形態では、レポータープローブ又は基質を使用して、PCR、RT-PCR、SDA、NEAR、HDA、RPA、LAMP、RCA、TMA、3SR、LCR、RAM又はNASBAを含むがこれらに限定されない、標的増幅技術によって生成される標的アンプリコンを検出することができる。LOCSの分割をもたらす切断又は分解は、標的増幅中にリアルタイムで生じても、増幅に続いて、反応の終点で実行されてもよい。ループ領域は、MNAザイム、DNAザイム、リボザイムを含むがこれらに限定されない、触媒核酸の酵素活性によって、又はエキソヌクレアーゼ若しくはエンドヌクレアーゼを含むタンパク質酵素の酵素活性によって媒介される標的依存切断又は分解によって分割することができる。非限定的な例として、エキソヌクレアーゼ活性は、例えば、ポリメラーゼの固有の触媒活性であり得る。非限定的な例として、エンドヌクレアーゼ活性は、例えば、ニッキングエンドヌクレアーゼ、リボエンドヌクレアーゼ、又は二重構造特異性ヌクレアーゼ(DSN)を含む制限酵素の固有の触媒活性であり得る。
【0338】
本発明の反応は、単一のLOCSオリゴヌクレオチドを他の種類のレポータープローブと組み合わせて使用して、複数の標的を同時に検出するように設計される。当業者には明らかなように、標準レポータープローブは、更に追加のLOCSと組み合わされてもよく、例えば、各LOCSは、そのループ内の異なるユニバーサル基質、及び異なるMNAザイムによる基質/ループの切断後に異なる温度で融解することができる異なるステム領域を含み得る。
【0339】
反応混合物は、異なるフルオロフォア及びクエンチャー対で標識されたLOCSと組み合わされた追加のレポータープローブ又は基質を更に含み得る。限定されない例として、レポーターオリゴヌクレオチド1及び無傷LOCSオリゴヌクレオチド2は、フルオロフォアAで標識することができ、レポーターオリゴヌクレオチド3及び無傷LOCSオリゴヌクレオチド4は、フルオロフォアBで標識することができる。レポーターオリゴヌクレオチド1及び3が直鎖MNAザイム基質である一実施形態において、MNAザイム1は、標的1の存在下で形成され、レポーターオリゴヌクレオチド1を切断して全ての温度で蛍光を生成することができ、MNAザイム2は、標的2の存在下で形成され、LOCSオリゴヌクレオチド2内の基質2を切断して、温度Xで融解するステム2を含有する切断された分割LOCS構造2をもたらすことができる。MNAザイム3は、標的3の存在下で形成され、レポーターオリゴヌクレオチド3を切断して、全ての温度で蛍光を生成することができる。MNAザイム4は、標的4の存在下で形成され、LOCSオリゴヌクレオチド4内の基質4を切断して、温度Yで融解するステム4を含有する分割LOCS構造4をもたらすことができる。
【0340】
蛍光がX及びYの両方を下回る温度で分析される場合、フルオロフォアAの波長での励起は標的1を示し、フルオロフォアBの波長での励起は標的3の存在を示す。蛍光が、X及びYの両方を上回るが、無傷LOCSのオリゴヌクレオチド2及び4の両方の融解温度未満の温度で分析される場合、フルオロフォアAの波長での励起は、標的1及び/又は標
的2を示し、フルオロフォアBの波長での励起は、標的3及び/又は標的4の存在を示す。
【0341】
反応の融解プロファイルをフルオロフォアAの励起波長で分析すると、第1の温度Xでのピークの存在、及び温度Xを超える第2の温度2でのピークの不在は、LOCSレポーター2が標的2の存在下でMNAザイムによって分割/切断されていることを示す。代替的に、温度Xでのピークの不在及び温度2でのピークの存在は、LOCSレポーター2が無傷のままであり、試料中の標的2の不在のためにMNAザイムによって切断されていないことを示す。反応の融解プロファイルをフルオロフォアBの励起波長で分析すると、第3の温度Yでのピークの存在、及び温度Yを超える第4の温度4でのピークの不在は、標的4の存在下でのMNAザイムによるLOCSレポーター4の切断を示し、一方温度Yでのピークの不在及び温度4でのピークの存在は、LOCSレポーター4が無傷のままであり、試料中の標的4の不在のためにMNAザイムによって切断されていないことを示す。したがって、機器の2つのチャネルで読み取られた2つの波長での分析は、残りの2つの標的の存在が、リアルタイム検出等の他の検出手段を使用して決定されることを条件に、標的を検出及び鑑別するための確認ツールとして使用することができる。当業者は、戦略を拡張して、1つの特定の波長で3つ以上の標的の切断を監視することができ、更に分析されるフルオロフォアの数を、個々の波長の識別に利用可能な機器の最大容量によって決定される数まで増加させることができることを認識する。
【0342】
更なる例示的な実施形態では、直鎖MNAザイム基質及びLOCSオリゴヌクレオチドが組み合わされてもよく、両方とも同じフルオロフォア/クエンチャー色素対を含有し、基質領域は、DNAザイム又はリボザイム、例えば、特定の金属イオンの存在下でのみ触媒活性であり得るDNAザイム又はリボザイムに特異的である。特定のDNAザイム及びリボザイムは、触媒活性を可能にするのに金属カチオン補因子を必要とすることが当該技術分野で知られている。例えば、いくつかのDNAザイム及びリボザイムは、例えば、鉛又は水銀の存在下でのみ触媒活性であり得る。そのような金属は、例えば、環境試料中に存在し得る。反応は、例えば水銀に依存するDNAザイムの1つの直鎖MNAザイム基質を含んでもよく、試料中の水銀の存在は、直鎖MNAザイム基質の切断及び蛍光シグナルの生成をもたらし得る。また、同反応は、例えば鉛に依存するDNAザイムの基質を含むループを含有するLOCSレポーターを含んでもよく、試料中の鉛の存在は、分割LOCSのTmより高い温度でのLOCSの切断及び蛍光シグナルの生成をもたらし得る。分割LOCSのTm未満である第1の温度での蛍光の増加は、水銀の存在を示す。分割LOCSのTmを超え、無傷LOCSのTm未満である第2の温度での蛍光の増加は、水銀及び/又は鉛の存在を示す。第1の温度で水銀が検出された場合、第2の温度での蛍光の更なる増加は、鉛の存在を示す。これは、切断された分割LOCS構造のステムが再アニールされるように反応を冷却し、次いで融解曲線分析を実行して、分割LOCS構造の存在を示すピークの存在又は不在を決定することによって確認され得る。当業者は、特定の金属補因子の存在下で切断可能な複数のプローブが、単一の反応において組み合わされ得、リアルタイムで又は反応の終了時に検出され得ることを容易に認識するであろう。
【0343】
他の周知のプローブの種類と組み合わせてLOCSオリゴヌクレオチドを使用して検出することができる標的核酸(すなわち、ポリヌクレオチド)の非限定的な例には、DNA、メチル化DNA、アルキル化DNA、相補的DNA(cDNA)、RNA、メチル化RNA、マイクロRNA、siRNA、shRNA、mRNA、tRNA、snoRNA、stRNA、smRNA、プレ及びプリマイクロRNA、他の非コードRNA、リボソームRNA、それらの誘導体、それらのアンプリコン、又はそれらの任意の組み合わせ(デオキシリボヌクレオチド塩基とリボヌクレオチド塩基との混合ポリマーを含む)が含まれる。
【0344】
検出可能なシグナルの生成
本発明の方法及び組成物は、検出可能なシグナルを提供するために検出部分を利用する。部位が生成することができる検出可能なシグナルの性質は、検出部分の種類及び/又はそれが会合するオリゴヌクレオチドの立体構造に依存する。
【0345】
任意の好適な検出可能な部分を、それが会合するオリゴヌクレオチドの修飾時に検出可能なシグナルを提供することができるように利用することができる。好適な検出可能な部分の非限定的な例には、蛍光シグナル生成のためのフルオロフォア、比色又はSPRシグナル生成のためのナノ粒子、化学発光シグナル生成のための反応性部分(例えば、アルカリホスファターゼ又はペルオキシダーゼ酵素)、電気化学的シグナル生成のための電気活性種、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。非限定的な例として、好適な電気活性種としては、メチレンブルー、トルエンブルー、オラセットブルー、フェロセン、ヘキスト33258、[Ru(phen)3]2+又はダウノマイシンが挙げられ、最も一般的な電極材料としては、金、ガラス状炭素、鉛筆の黒鉛又は炭素のイオン液体が挙げられ、蛍光、化学発光、比色、表面プラズモン共鳴(SPR)及び電気化学的シグナルの検出及び測定のための方法は、当業者に周知である。
【0346】
非限定的な例として、LOCSを含む本発明のオリゴヌクレオチドは、1つ以上のフルオロフォアが結合してもよい。フルオロフォアによって本来生成される検出可能なシグナルは、1つ以上のクエンチャー分子への近接性のためにクエンチされ得る。例えば、限定するものではないが、フルオロフォアは、分子ビーコン又はLOCSの二本鎖ステム部分(例えば5’又は3’末端)の一本鎖に結合することができ、クエンチャーは、二本鎖ステム部分(例えば5’又は3’末端)の対向鎖に結合することができる。代替的に、フルオロフォアによって本来生成される検出可能なシグナルがクエンチされ得るように、クエンチャーは、オリゴヌクレオチドが結合する別の実体(例えば、表面又は別のオリゴヌクレオチド)に結合することができる。標的の存在下で、オリゴヌクレオチドは、クエンチャー分子からフルオロフォアを遠ざけ、したがって検出可能なシグナルを生成する修飾を受けてもよい。
【0347】
追加的又は代替的に、オリゴヌクレオチド(LOCSを含む)は、比色検出のためにGNPに結合され得る。金ナノ粒子が互いに近接して凝集する場合、それらは紫色(すなわち、より長い波長での吸光度)を示し、金ナノ粒子が分離される場合、それらは赤色(すなわち、より短い波長での吸光度)を示し、紫色から赤色への(例えば、LOCS、直鎖MNAザイム基質、キャッチャー-ピッチャープローブ、TaqManプローブ、及び制限酵素プローブ)、又は代替的に、赤色から紫色への(例えば、二重ハイブリダイゼーションプローブ)測定可能な色の変化は、試料中の特定の標的の存在を示す。
【0348】
追加的又は代替的に、オリゴヌクレオチド(LOCSを含む)及び/又はオリゴヌクレオチド構成成分は、試料中の標的のSPR検出のために、GNP及び/又は金表面に結合されてもよい。GNPが近接するように移動する場合、又は代替的に、それらが金表面から離れるように移動する場合、それらは、測定可能なSPRシグナルの変化を生成することができ、いくつかのアプローチ(例えば、LOCS、直鎖MNAザイム基質、TaqManプローブ、及び制限酵素プローブ)を使用したSPRシグナルの減少は、試料中の特定の標的の存在を示し得、又は代替的に、他のアプローチ(例えば、キャッチャー-ピッチャープローブ、及びデュアルハイブリダイゼーションプローブ)を使用したSPRシグナルの増加は、試料中の特定の標的の存在を示し得る。
【0349】
追加的、又は代替的に、オリゴヌクレオチドレポーター及びプローブ(LOCSを含む)及び/又はオリゴヌクレオチド構成成分は、電気化学的検出のために電気活性種及び/又は電極表面に結合され得る。電気活性種に結合したオリゴヌクレオチドが電極表面に近接するように移動する場合、又は代替的に電極表面から離れるように移動する場合、それらは酸化又は還元電流の測定可能な変化を生成し得る。いくつかの実施形態(例えば、LOCS、直鎖MNAザイム基質、TaqManプローブ、及び制限酵素プローブ)では、電極表面から離れるように移動する電気活性種から生じる得られた測定可能なシグナルは、試料中の特定の標的の存在を示す。代替的に、他の実施形態(例えば、キャッチャー-ピッチャープローブ、及びデュアルハイブリダイゼーションプローブ)では、電極表面に近接するように移動する電気活性種から生じる得られた測定可能なシグナルは、試料中の特定の標的の存在を示す。
【0350】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法は、同じ検出部分、又はLOCSの検出可能な部分によって生成されたシグナルと同時に検出され得る検出可能なシグナルを生成する類似の検出部分に結合された別のオリゴヌクレオチドプローブと組み合わせて、特定の検出部分に結合されたLOCSを利用する(例えば、1つの蛍光チャネル等の単一の種類の検出器、又は比色、表面プラズモン共鳴(SPR)、化学発光、若しくは電気化学的検出の特定のモードを使用して)。
【0351】
蛍光シグナルの分析
限定されることなく、単なる例として、本発明に従って使用される検出可能な部分は、修飾後にこれらの検出可能な部分により生成される蛍光シグナルを含み、それらが結合、分割LOCS構造の解離を含む、カップリング又は別様に会合するオリゴヌクレオチドプローブの切断又は消化は、本発明の方法に従って、標的分子を検出、鑑別、及び/又は定量化するための任意の好適な方法で分析することができる。
【0352】
標準的な融解曲線分析を使用することができるが、様々なアッセイ形式の分析に容易に採用され得る様々な他のアプローチが、本明細書に開示及び例証されている(実施例を参照されたい)。関連する
【0353】
非限定的な例として、単一の温度又は複数の温度での蛍光シグナルの測定は、LOCSオリゴヌクレオチドのループ領域の切断又は分解の検出に好適な反応における様々な時点で得ることができる。非限定的な例として、これらの時点は、(i)反応の開始時若しくはその近くの時点、及び/又は(i)反応過程における単一の時点若しくは複数の時点、及び/又は(iii)反応の終結の時点若しくは終点を含み得る。
【0354】
いくつかの実施形態では、蛍光シグナルの測定は、PCR増幅等の増幅反応中の各サイクルでの2つ以上の温度で得ることができる。分析は、第1及び/若しくは第2の温度で、並びに/又は更なる温度で得られた蛍光のレベルを比較することによって実行することができる。
【0355】
いくつかの実施形態では、蛍光シグナルの測定は、同じ波長で2つの標的を測定するように調整された反応における2つの温度で得ることができる。
【0356】
いくつかの実施形態では、第1の標的は、第1のオリゴヌクレオチドレポータープローブ又は基質を使用して検出することができ、蛍光シグナルは、複数の時点で、又は複数のサイクル、例えば、PCR中の各サイクルで測定することができる。同じ反応において、PCR前及びPCR後の蛍光レベルを比較することによって、LOCSプローブを使用して第2の標的を検出してもよい。そのような実施形態では、定量的データは、第1の標的について決定されてもよく、一方で定性的データは、第2の標的について生成されてもよい。非限定的な例として、第1のオリゴヌクレオチドプローブは、第1の標的の存在下で第1のMNAザイムによって切断され、リアルタイムで監視されるMNAザイム基質であってもよいが、LOCSプローブは、第2の存在下で第2のMNAザイムによって切断され、終点検出分析を使用して監視されてもよい。リアルタイム定量分析及び終点定性分析を組み合わせる例としては、1つの直鎖MNAザイム基質及び1つのLOCSプローブを利用する実施例1、並びに1つのTaqManプローブ及び1つのLOCSプローブを利用する実施例6が挙げられる。
【0357】
いくつかの実施形態では、第1の温度での蛍光の増加は、第1の標的の存在を示し、第2の温度での蛍光の増加は、第1の標的及び/又は第2の標的の存在を示す。他の実施形態では、第1の温度での蛍光の増加は、第1の標的の存在を示し、第2の温度での蛍光の増加は、第2の標的の存在を示す。更に他の実施形態では、第1の温度での蛍光の減少は、第1の標的の存在を示し、第2の温度での蛍光の増加は、第2の標的の存在を示す。他の実施形態では、蛍光シグナルの測定は、PCR中の各サイクルでの2つ以上の温度で得ることができ、増幅曲線を、各温度で得られた各一連の測定についてプロットすることができる。閾値蛍光値は、特定の各温度について各増幅プロットに割り当てることができ、Cq値は、増幅プロットが閾値を超えるサイクル数として測定することができる。第1のプローブが標的1の検出のための標準直鎖MNAザイム基質であり、第2のプローブが標的2の検出のためのLOCSレポーターであり、蛍光シグナルの測定が、PCR中の各サイクルで2つの温度で得られる実施形態では、分割LOCS Tm未満であるより低い温度での直鎖MNAザイム基質からの蛍光シグナルを使用して測定されたCqが、第1の標的の開始濃度の直接的な定量化を可能にすることができ、分割LOCSのTmを超えるが無傷LOCSのTm未満であるより高い温度での直鎖MNAザイム基質及びLOCSレポーターの両方からの全蛍光シグナルを使用して測定されたCqが、実施例4に例示されるように分析され、したがって第2の標的の開始濃度の定量化を可能にすることができる。
【0358】
他の実施形態では、蛍光シグナルの測定は、PCR中の各サイクルでの2つ以上の温度で得ることができ、増幅曲線を、各温度で得られた各一連の測定についてプロットすることができる。閾値蛍光値は、特定の各温度について各増幅プロットに割り当てることができ、Cq値は、増幅プロットが閾値を超えるサイクル数として測定することができる。標準分子ビーコン又はキャッチャー/ピッチャープローブ又はScorpionユニプローブ又はScorpionバイプローブである第1の標的の検出のための第1のプローブが、LOCSレポーターであってもよい第2の標的の検出のための第2のプローブと組み合わされ、蛍光シグナルの測定が、PCR中の各サイクルで2つの温度で得られる実施形態では、分割LOCSのTm未満であるより低い温度での第1のプローブからの蛍光シグナルを使用して測定されたCqが、第1の標的の開始濃度の直接的な定量化を可能にすることができ、分割LOCSのTmを超えるが無傷LOCSのTm未満であるより高い温度でのLOCSレポーターからの蛍光シグナルを使用して測定されたCqが、第2の標的の開始濃度の直接的な定量化を可能にすることができる。第1の標準プローブと第2のLOCSプローブとの特定の組み合わせは、実施例5及び7の分子ビーコン、実施例9のScorpionプローブ、及び実施例11のキャッチャーピッチャーオリゴヌクレオチドについて上で概説したように、第1のプローブの特定の領域のTm、及びデータが取得される2つの温度に対する追加の要件を有し得る。
【0359】
非限定的な例として、ベースライン蛍光シグナルは、反応の開始時又はその近くの時点で、例えばPCR前に、選択された温度、例えば第1及び第2の温度で蛍光を測定することによって得ることができる。PCRの前に、第1の温度で、標準レポータープローブ、例えば直鎖MNAザイム基質、TaqManプローブ又は分子ビーコン、及び無傷LOCSがクエンチされ、この温度が無傷LOCS(及び存在する場合は分子ビーコン)のステムのTm未満の温度であれば、有意な蛍光シグナルは生成されない。分析は、反応の開始時(例えばPCR前)の時点で第1及び第2の温度で得られた蛍光のレベルと、反応中及び/又は反応後の時点(例えば、PCR中又はPCR後)で第1及び第2の温度で得られた蛍光のレベルとを比較することによって、実行することができる。
【0360】
実施例1で実証されるように、第1の温度及びPCR後の時点で測定された直鎖MNAザイムの切断は、第1の温度及びPCR前の時点で測定された無傷の直鎖MNAザイム基質のシグナルと比較して、有意な蛍光シグナルを生成する。この相対シグナル(ΔSD1)は、試料中の第1の標的の存在を示す第1の所定の閾値を超える。この第1の温度では、無傷LOCS及び/又は切断された分割LOCSは、両方のLOCS構造のステムのTmのために、PCR前に得られたシグナルと比較して有意な蛍光シグナルの生成に寄与しない。第1の温度よりも高い第2の温度及びPCR後の時点では、LOCSの切断は、第2の温度でPCR前の時点で得られたシグナルと比較して、有意な蛍光シグナルを生成する。この相対的なシグナル(ΔSD2)は、直鎖MNAザイム基質が切断されるか否かにかかわらず、実施例1(終点分析法1)で実証されるように、第2の所定の閾値を超え、第1の温度(ΔSD1)での相対的なシグナルよりも大きく、したがって分割LOCSの検出、ひいては第2の標的の存在を示す。この第2の温度及びPCR後の時点では、無傷LOCSは、同じ第2の温度でのPCR前の時点と比較して、有意な蛍光シグナルの生成に寄与せず、事前に決定された閾値を超えない。代替的に、第2の温度でPCR前後に得られた相対的なシグナルと、第1の温度でPCR前後に得られた相対的なシグナルとの間の差(ΔSD2-ΔSD1)を、事前に決定された閾値と比較して、切断された分割LOCSの存在を決定することができる。実施例1(終点分析法2)で実証されるように、差が所定の閾値より大きい場合(ΔSD2-ΔSD1>閾値)、試料中の第2の標的の存在を示す切断された分割LOCSの存在が決定され得る。差分値が所定の閾値より低い場合(ΔSD2-ΔSD1<閾値)、試料中の第2の標的の不在が決定され得る。更に、第2の温度でPCR前後に得られた相対的なシグナルと、第1の温度でPCR前後に得られた相対的なシグナルとの間の差(ΔSD2-ΔSD1)が所定の閾値を超える場合、温度1対温度2での蛍光変化の固有比(ΔSD1:ΔSD2)、又は逆比(ΔSD2:ΔSD1)を使用して、標的1、標的2、又は標的1及び2の両方が試料内に存在するかどうかを決定することができる。実施例1(終点分析法3)で実証されるように、ΔSD1:ΔSD2が閾値R1より大きい場合、これは標的1のみが存在することを示し、ΔSD1:ΔSD2が閾値R2より小さい場合、これは標的2のみが存在することを示し、ΔSD1:ΔSD2が閾値R1より小さいが、閾値R2より大きい場合、これは標的1及び標的2の両方が存在することを示す。
【0361】
他の標準レポーター/プローブと組み合わされた場合のLOCSオリゴヌクレオチドの例示的な用途
-標的増幅中又は増幅後の標的の検出
本発明のLOCSオリゴヌクレオチドを使用して、増幅された標的核酸配列の存在を決定することができる。LOCSレポーターが適用され得る増幅技術に関して、具体的な制限は存在しない。標的アンプリコンの存在が、LOCSレポーターの切断又は分解を促して、分割LOCS構造を生成することができることを条件として、様々な反応によって生成されるアンプリコンは、LOCSレポーターによって検出することができる。LOCS構造内に含有されるループ領域の切断又は分解に有用な方法の非限定的な例には、MNAザイム、DNAザイム、リボザイム、制限酵素、エンドヌクレアーゼによる切断、又はポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性を含むがこれらに限定されない、エキソヌクレアーゼによる分解が含まれる。
【0362】
一般に、核酸増幅技術は、酵素(例えば、ポリメラーゼ)を利用して、1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーが特異的に結合する標的核酸のコピーを生成する。LOCSオリゴヌクレオチドを使用することができる増幅技術の非限定的な例には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、鎖置換増幅(SDA)、ヘリカーゼ依存的増幅(HDA)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、ローリングサークル増幅(RCA)、転写媒介増幅(T
MA)、自家持続配列複製(3SR)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)又は分岐増幅方法(RAM)のうちの1つ以上が含まれる。
【0363】
当業者は、上記のLOCSオリゴヌクレオチドの用途が、非限定的な例示の目的でのみ提供されることを容易に理解するであろう。開示されるLOCSオリゴヌクレオチドは、任意のプライマーベースの核酸増幅技術で使用することができ、本発明は、具体的に記載されるそれらの実施形態にそれほど限定されない。
【0364】
-LOCSレポーターを使用して生成されるアンプリコンの検出
上記に考察したように、本発明のLOCSレポーターは、任意のポリヌクレオチド増幅技術で利用することができ、その非限定的な例には、PCR、RT-PCR、SDA、HDA、RPA、LAMP、RCA、TMA、RAM、LCR、3SR、又はNASBAが含まれる。
【0365】
これらの技術によって生成されるアンプリコンは、当該技術分野で既知の任意の好適な方法を使用して切断又は分解され得るLOCSレポーターを利用して検出され得る。非限定的な例には、触媒核酸、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼ等の使用が含まれる。
【0366】
MNAザイムを利用して、PCR、RT-PCR、SDA、HDA、RPA、TMA、LAMP、RCA、LCR、RAM、3SR、及びNASBA等の方法を通して生成されるアンプリコンを検出することによって分割LOCSレポーターを生成することができる。MNAザイムは、1つ以上のパートザイムを含み得る。MNAザイムは、集合し、かつ例えば、集合促進剤(プライマーを使用してポリヌクレオチド配列から生成されるアンプリコン等の検出される標的であり得る)の存在下でのみ触媒活性である、多成分核酸酵素である。MNAザイムは、1つ以上の集合促進剤の存在下で自己集合し、かつ基質を触媒的に修飾する活性MNAザイムを形成する、複数の部分酵素又はパートザイムで構成される。基質及び集合促進剤(標的)は、別個の核酸分子である。パートザイムは、(i)集合促進剤(標的核酸等)に結合するセンサーアーム、(ii)基質に結合する基質アーム、及び(iii)集合時に組み合わされて、完全な触媒コアを提供する部分触媒コア配列を含む、複数のドメインを有する。MNAザイムは、例えば、異なる標的核酸配列を含む広範囲の集合促進剤を認識するように設計することができる。集合促進剤の存在に応じて、MNAザイムは、それらの基質を修飾する。この基質修飾は、シグナル生成に関連付けることができ、故にMNAザイムは、酵素的に増幅された出力シグナルを生成することができる。集合促進剤は、生物学的試料又は環境試料中に存在する標的核酸(例えば、プライマーを使用してポリヌクレオチド標的から生成されるアンプリコン)であり得る。そのような場合、MNAザイム活性による基質の修飾の検出は、標的の存在を示す。核酸基質を切断することができるいくつかのMNAザイムが、当該技術分野で知られている。MNAザイム及びそれらの修飾形態は、当該技術分野で知られており、PCT特許公開番号第WO/2007/041774号、同第WO/2008/040095号、同第WO2008/122084号、及び関連する米国特許公開番号第2007-0231810号、同第2010-0136536号、及び同第2011-0143338号(これらの文書の各々の内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0367】
-機器間変動又はウェル間変動のための内部キャリブレータとしてのLOCSレポーターの使用
実施例12で実証されるキャリブレータ法は、それが反応に追加される追加的な試薬の使用を必要とせず、他のウェルから得られたデータの使用を必要としないことを含む、いくつかの利点を有する。この方法は、存在し得るウェル間変動を較正及び補正するように機能する。更に、較正は、同じチャネルで取得されたデータを使用して処理され、したが
って、機器間に存在し得るいかなるチャネル間変動の影響も受けない。多重反応のために複数のチャネルが利用される場合、各チャネルは、各チャネルのLOCS較正シグナルに対して独立して較正され得る。これは、チャネル間の予測シグナル強度の比が機器間で有意に異なり、チャネル間変動を引き起こす場合、較正が悪影響を受けるため、内部対照又は内因性対照からのもの等、異なるチャネル内のシグナルに対してシグナルが較正されるシナリオに有利である。
【0368】
-診断用途
LOCSオリゴヌクレオチドと組み合わせて標準レポータープローブを使用する方法は、本明細書に記載の方法に従って、診断及び/又は予後の目的で使用することができる。診断及び/又は予後の方法は、エクスビボ又はインビトロで実行することができる。しかしながら、本発明の方法は、必ずしも診断及び/又は予後の目的で使用される必要はなく、それ故に診断又は予後ではない用途もまた、企図される。
【0369】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して、対象における感染を診断することができる。例えば、これらの方法を使用して、対象における細菌、ウイルス、真菌/酵母、原生生物、及び/又は線虫による感染を診断することができる。一実施形態では、ウイルスは、エンテロウイルスであり得る。対象は、ウシ、ウマ、ヒツジ、霊長類、鳥類、又はげっ歯類種であり得る。例えば、対象は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、又はウシ等の哺乳動物であり得る。対象は、感染から生じる疾患に苦しんでいる可能性がある。例えば、対象は、エンテロウイルス感染から生じる髄膜炎を患っている可能性がある。したがって、特定の実施形態では、本発明の方法を使用して、髄膜炎を診断することができる。
【0370】
本発明の方法は、試料に対して実行することができる。試料は、任意の供給源に由来し得る。例えば、試料は、環境源、産業源から、又は化学合成によって得ることができる。
【0371】
本明細書で企図される場合、「試料」は、例えば、精製、希釈、又は任意の他の構成成分の添加によって、元の状態から修飾された試料を含むことが理解される。
【0372】
診断及び/又は予後の方法を含むがこれらに限定されない、本発明の方法は、生物学的試料に対して実行することができる。生物学的試料は、対象から採取することができる。保管された生物学的試料もまた、使用することができる。好適な生物学的試料の非限定的な例には、全血又はその構成成分(例えば、血液細胞、血漿、血清)、尿、便、唾液、リンパ液、胆汁液、痰、涙、脳脊髄液、気管支肺胞上皮洗浄液、滑液、精液、腹水腫瘍液、母乳、及び膿が含まれる。
【0373】
キット
本発明は、本発明の方法を実行するための1つ以上の薬剤を含むキットを提供する。典型的には、本発明の方法を実行するためのキットは、本方法の実行に必要な全ての試薬を含有する。
【0374】
いくつかの実施形態では、キットは、適切な集合促進剤(例えば、本明細書に記載のアンプリコン)の存在下でMNAザイムを形成することができるオリゴヌクレオチド構成成分を含み得る。例えば、キットは、第1及び第2のパートザイムを含む少なくとも第1及び第2のオリゴヌクレオチド構成成分、並びに基質を含む第2の容器を含むことができ、MNAザイムへの、第1及び第2のパートザイム並びに基質の自己集合は、試験試料中に存在する集合促進剤(例えば、アンプリコン)の会合を必要とする。したがって、そのような実施形態では、第1及び第2のパートザイム、並びにループ領域内の基質を含むLOCSオリゴヌクレオチドを、試験試料に適用して、1つ以上の標的アンプリコンの存在を
決定することができる。一般に、キットは、本明細書で提供される少なくとも1つのLOCSオリゴヌクレオチドを含む。
【0375】
典型的には、本発明のキットはまた、PCR又は他の核酸増幅技術等の本発明の方法の実行に必要とされる他の試薬、洗浄試薬、酵素、及び/又は他の試薬を含む。
【0376】
キットは、本明細書で定義される、断片化されたキット又は組み合わされたキットであり得る。
【0377】
断片化されたキットは、別個の容器内に収容された試薬を含み、小さなガラス容器、プラスチック容器、又はプラスチック若しくは紙のストリップを含んでもよい。そのような容器は、試料及び試薬の相互汚染を回避しながら、ある区画から別の区画への試薬の効率的な移動、並びに定量的な様式でのある区画から別の区画への各容器の薬剤又は溶液の添加を可能にし得る。
【0378】
そのようなキットはまた、試験試料を受容する容器、アッセイで使用される試薬を含有する容器、洗浄試薬を含有する容器、及び検出試薬を含有する容器も含み得る。
組み合わされたキットは、反応アッセイの構成成分の全てを単一の容器(例えば、所望の構成成分の各々を収容する単一の箱)内に含む。
【0379】
本発明のキットはまた、キット構成成分を使用して、適切な方法を行うための説明書も含み得る。本発明のキット及び方法は、例えば、リアルタイムPCR機器を含むがこれに限定されない、自動化分析装置及びシステムと組み合わせて使用することができる。
【0380】
異なる標的の増幅、検出、特定、又は定量化に対する用途には、本発明の単一のキットが適用可能である場合も、又は代替的に例えば、各標的に特異的な試薬を含有する異なるキットが必要とされる場合もある。本発明の方法及びキットは、任意の実体を検出、特定、又は定量化することが望ましい任意の状況で用途を見出す。
【0381】
特定の実施形態に開示されるように、広範に説明される本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本発明に対して多数の変形及び/又は修正を行うことができることが、当業者によって理解される。したがって、本実施形態は、全ての観点において例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【実施例】
【0382】
これより、本発明を、以下の特定の実施例を参照することによって更に詳細に説明するが、これらの実施例は、決して本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0383】
実施例1第2の標的の定性的終点検出と組み合わせた1つの標的の同時リアルタイム定量化、又は1チャネル当たり2つの標的の同時定性的終点分析のいずれかを可能にする形式での、1つの直鎖MNAザイム基質及び1つのLOCSプローブを使用した単一波長での複数の標的の分析方法。
以下の実施例は、1つの直鎖基質及び1つのLOCSレポーターが、融解曲線分析を必要としない単一の蛍光チャネルにおける2つの標的(CTcry及びNGopa)の検出及び鑑別のために、並びに1つの標的(CTcry)の定量化のために組み合わせて使用されるアプローチを実証する。アッセイは、直鎖MNAザイム基質を使用してCTcryが検出及び定量化され得、またNGopaが、そのループ内に異なるMNAザイム基質を含むLOCSレポーターを使用して終点で検出及び鑑別され得るように設計されている。
【0384】
PCRの間、MNAザイム1は、CTcryの存在下で直鎖基質1を切断して、フルオロフォア及びクエンチャーを分離し、広範囲の温度にわたって検出され得るシグナルの増加をもたらすことができる。この実施例では、CTcryのリアルタイム検出及び定量化は、温度1(D1)(52℃)でのPCR中の各サイクルでの蛍光を取得することによって達成される。無傷及び分割構成の両方のLOCS-1のステムは、温度1(52℃)より高い融解温度(Tm)を有し、したがって、LOCS-1は、試料中のNGopaの存在又は不在にかかわらず、温度1でのシグナルに寄与しない。
【0385】
NGopaの存在下で、MNAザイム2は、PCR中にLOCS-1を切断することができる。NGopaの終点検出は、増幅(ΔSD2)の前後に、より高い温度2(70℃)で蛍光シグナルを比較することによって達成することができる。無傷LOCS-1ステムのTmが温度2より高く(Tm>70℃)、分割LOCS-1ステムのTmが温度2より低い(Tm<70℃)ため、この温度での切断直鎖基質1(存在する場合)に関連するものを上回るPCR中の蛍光の増加は、解離したステムを伴う分割LOCS-1に関連し、NGopaの存在を示す。
【0386】
この実施例では、標的1(CTcry)のリアルタイム定量化が、標的2(NGopa)の終点検出と組み合わせて実証される。また、この実施例では、標的1(CTcry)及び標的2(NGopa)の両方の終点検出が、これらのデータの複数の代替分析方法とともに実証される。
【0387】
以下の終点分析法(1~3)は、離散的な時点、すなわち、増幅反応の開始時又はその近く(PCR前蛍光)及び増幅後(終点又はPCR後蛍光)でのみ、蛍光の測定を必要とする。読み取りは、これらの時点で複数の温度(D1及びD2)で行われ、分析は、標的1、若しくは標的2、若しくは標的1及び2の存在、又は標的1及び標的2の両方の不在を明らかにすることを可能にする。
【0388】
終点分析法1
温度1(D1)では、基質1の標的媒介性切断は、PCR中の蛍光シグナルの有意な増加(ΔSD1)をもたらし、これは、D1におけるPCR後蛍光(SD1-post-PCR)と、D1におけるPCR前蛍光(SD1-pre-PCR)との間の差として測定され、これは、SD1-post-PCR-SD1-pre-PCR=ΔSD1>X1となるように第1の閾値(X1)を超える。対照的に、この温度では、LOCS-1の切断が生じた場合、これは蛍光シグナルの有意な増加をもたらさず、したがって閾値(X1)を超えない。これは、分割ステムのTmがD1より高く、構造がクエンチされたままであるために生じる。したがって、温度1での蛍光のPCR前及びPCR後測定の比較は、切断された基質1、ひいては標的1の特異的な検出を可能にする。
【0389】
温度1(D1)より高い温度2(D2)では、LOCS-1の標的媒介性切断は、増幅中に蛍光シグナルの有意な増加をもたらす。分割LOCS-1の存在下では、D2におけるシグナルの増加(ΔSD2)は、閾値X1より大きい。更に、基質1が切断されているか否かにかかわらず、D2におけるシグナルの増加(ΔSD2)は、D1におけるシグナルの増加(ΔSD1)より大きい。したがって、D2におけるPCR後の蛍光(SD2-post-PCR)とD2におけるPCR前の蛍光(SD2-pre-PCR)との間の差として測定される、D2における蛍光の増加(ΔSD2)の大きさ(SD2-post-PCR-SD2-pre-PCR=ΔSD2のように)が、D1における蛍光(ΔSD1)及び閾値X1の両方を超える場合(ΔSD2>ΔSD1及びΔSD2>閾値X1のように)、これは、分割LOCS-1の検出、ひいては標的2の存在を示す。
【0390】
終点分析法2
温度1(D1)では、基質1の切断は、PCR中にΔSD1>X1のような第1の閾値(X1)を超える蛍光シグナル(ΔSD1)の有意な増加をもたらすが、LOCS-1の切断は、D1での蛍光シグナルの有意な増加をもたらさず、無傷又は分割のいずれかの場合、D1を超えるステムの高いTmのために閾値(X1)を超えない。したがって、D1でのPCR前及びPCR後蛍光測定の比較(ΔSD1)は、切断された基質1、ひいては標的1の特異的な検出を可能にする。
【0391】
温度1(D1)より高い温度2(D2)では、PCR全体にわたるLOCS-1の切断は、温度1で観察される変化(ΔSD1)より大きい蛍光シグナルの変化(ΔSD2)をもたらし、ΔSD2とΔSD1との間の差(ΔSD2-ΔSD1)は、第2の閾値(X2)を超え、ΔSD2-ΔSD1=ΔΔSD2ΔSD1>X2となる。対照的に、基質1の切断のみで同様のΔSD2及びΔSD1値が生成され、これらの2つの値の間の差(ΔΔSD2ΔSD1)は有意ではなく、第2の閾値(X2)を超えない。したがって、この様式での温度2での蛍光の分析は、標的2の存在を示す切断された分割LOCS-1の特異的な検出を可能にする。
【0392】
終点分析法3
標的1及び/又は標的2のいずれかが試料中に存在する場合、温度2での増幅中のシグナルの増加(ΔSD2)は有意であり、閾値X1を超える。したがって、ΔSD2>X1である場合、これは、CTcry及び/又はNGopaのいずれかが試料中に存在することを示す。更に、ΔSD2<X1である場合、これは、CTcryもNGopaも試料中に存在しないことを示す。
【0393】
更に、ΔSD2>X1である場合、温度1対温度2での蛍光変化の固有比(ΔSD1:ΔSD2)、又は逆比(ΔSD2:ΔSD1)を使用して、標的1、標的2、又は標的1及び2の両方が試料内に存在するかどうかを決定することができる。
【0394】
ΔSD1:ΔSD2が閾値R1より大きい場合、これは標的1のみが存在することを示し、ΔSD1:ΔSD2が閾値R2より小さい場合、これは標的2のみが存在することを示し、ΔSD1:ΔSD2が閾値R1より小さいが、閾値R2より大きい場合、これは標的1及び標的2の両方が存在することを示す。
【0395】
終点分析法1、2及び3
更に、上記終点分析法1~3において、温度1及び2でのシグナルの変化(ΔSD1及びΔSD2)を、キャリブレータからのシグナル(C)、又はキャリブレータからのPCR後のシグナルとPCR前のシグナルとの差(ΔC)に対してキャリブレーションすることもできる。非限定的な例として、キャリブレータは、内因性対照、内部対照、又は指定されたキャリブレータオリゴを含むことができ、これは、同じ又は異なるチャネルにおいて所定の温度(複数可)で測定され得る。温度1及び2におけるシグナルの変化(ΔSD1及びΔSD2)は、キャリブレータからのシグナルの変化に対する比として(例えば、ΔSD2/ΔC、ΔSD1/ΔC)、又は代替的に逆比(例えば、ΔC/ΔSD2、ΔC/ΔSD1)で表現され得、ΔCは、ΔCが閾値Cより大きい(ΔC>閾値C)ように正のシグナルとして決定される。
【0396】
【0397】
オリゴヌクレオチド
この実験に特異的なオリゴヌクレオチドには、順方向プライマー1(配列番号1)、逆方向プライマー1(配列番号2、パートザイムA1(配列番号3)、パートザイムB1(配列番号4)、順方向プライマー2(配列番号5)、逆方向プライマー2(配列番号6)、パートザイムA2(配列番号7)、パートザイムB2(配列番号8)、順方向プライマー3(配列番号9)、逆方向プライマー3(配列番号10)、パートザイムA3(配列番号11)、パートザイムB3(配列番号12)、直鎖MNAザイム基質1(配列番号13)、LOCS-1(配列番号14)及び直鎖MNAザイム基質2(配列番号15)が含まれる。配列は、配列表に列挙する。
【0398】
標的1(CTcry)の増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、基質1、パートザイムA1、パートザイムB1(MNAザイム1)、順方向プライマー1、及び逆方向プライマー1である。標的2(NGopa)の増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、LOCS-1、パートザイムA2、パートザイムB2(MNAザイム2)、順方向プライマー2、及び逆方向プライマー2である。キャリブレータ遺伝子(TFRC)の増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、基質2、パートザイムA3、パートザイムB3(MNAザイム3)、順方向プライマー3、及び逆方向プライマー3である。
【0399】
反応条件
BioRad(登録商標)CFX96熱サイクラーを使用して、20μLの合計反応体積でリアルタイム増幅及び検出を実行した。サイクリングパラメータ及び蛍光データ取得(
DA)点は、95℃で2分間、52℃で15秒間(DA)、70℃で15秒間(DA)の1サイクル、95℃で5秒間及び61℃で30秒間の10サイクル(1サイクル当たり0.5℃の減衰)、95℃で5秒間及び52℃で40秒間の40サイクル(各サイクルでのDA)、並びに70℃で15秒間(DA)の1サイクルであった。全ての反応は、3回反復で実行し、40nMの各順方向プライマー、200nMの各逆方向プライマー、200nMの各パートザイムA、200nMの各パートザイムB、200nMの各基質、200nMのLOCS-1、及び1×SensiFAST緩衝液(Bioline)を含有した。反応は、標的を含有しない(NF H2O)か、又はCTcry(20,000、4,000、800、160、若しくは32コピー)、若しくはNGopa遺伝子(20,000若しくは32コピー)、若しくはNGopa遺伝子(20,000及び32コピー)のバックグラウンドでの様々な濃度のCTcry遺伝子(20,000、4,000、800、160、若しくは32コピー)の合成Gブロックを含有した。標的なし対照(NF
H2O)を除く全ての反応は、34.5ng(10,000コピー)のヒトゲノムDNAのバックグラウンドを更に含有した。最後に、追加の対照は、いかなるCTcry又はNGopa Gブロックも含まないゲノムDNAのみを含有した。
【0400】
結果
この実施例では、3つのMNAザイム(MNAザイム1~3)を単一のPCRで使用して、2つの蛍光チャネル(HEX及びテキサスレッド)のみを使用して、3つの標的核酸(それぞれCTcry、NGopa、及びヒトTFRC)を同時に検出及び鑑別した。CTcry及び/又はNGopaの存在又は不在は、HEXチャネルで検出及び鑑別され、TFRC遺伝子の存在は、テキサスレッドチャネルで検出された。CTcry及びTFRC遺伝子の存在は、それぞれHEX及びテキサスレッドチャネルの52℃(D1)での蛍光シグナルの増加によってリアルタイムで検出され、また52℃での終点で検出された。NGopaの存在は、LOCS-1の切断を監視するHEXチャネルで70℃(D2)での個別の測定値を使用して検出された。
【0401】
図6に示される結果は、単独で(
図6A)、又は20,000(
図6B)又は32(
図6C)コピーのNGopa鋳型のバックグラウンドにおいて、20,000(黒の点)、4,000(黒の破線)、800(黒の四角)、160(灰色の実線)又は32(灰色の点)コピーのCTcry鋳型を含有する反応からの、52℃の取得温度でHEXチャネルで得られたPCR増幅曲線を示す。CTcryを欠くが、20,000(黒の線)又は32コピー(灰色の線)のNGopa鋳型のいずれかを含有する反応についても、52℃で蛍光データを収集した(
図6D)。標的なし対照(NF H
2O)を
図6A~6C(黒の実線)に示す。増幅曲線は、3回反復反応からの蛍光レベルの平均である。上記反応の各々についてのCTcryの計算コピー数を表5に示すが、該当なし(N/A)は、これらの反応におけるCTcryの不在と一致して52℃で決定されるCq値が存在しない場合を指す。Cq値は、BioRadソフトウェア(ベースライン減算曲線フィット)の回帰モードを使用して決定された。
【0402】
表5の結果は、CTcry標準曲線が0.99を超えるR2値を有し、PCR効率が高かった(100~106%)ことを示している。反応中の20,000又は32コピーのNGopaの存在は、CTcryの計算遺伝子コピー数を有意に変化させず(対応のあるスチューデントt検定、それぞれp値0.144及び0.315)、したがって、52℃でのリアルタイム検出を、試料中のCTcryの直接的な定量分析に使用することができることを実証した。
【0403】
【0404】
図7の結果は、終点分析法1を使用して2つの異なる温度でHEXチャネルで測定したPCR中の蛍光シグナルの変化を示す。
図7Aにおいて、温度1におけるシグナルの変化(ΔS
D1、52℃)は白黒パターンで示され、温度2における変化シグナル(ΔS
D2、70℃)は灰色で示されている。結果は、NGopaの存在又は不在に関わらず、CTcryが試料内に存在する場合、温度1におけるシグナルの変化(ΔS
D1、白黒パターンのバー)が閾値1(X
1)を超えるが、NGopaのみの存在下、及び/又はCTcryが試料に存在しない場合には、この閾値を超えないことを示している。したがって、温度1での閾値1を超える終点のシグナル変化は、CTcryの存在を示す。
図7Aの結果はまた、温度2におけるシグナルの変化(ΔS
D2、灰色バー)が温度1におけるシグナルの変化より大きく(ΔS
D2>ΔS
D1)、かつ閾値X
1より大きい(ΔS
D2>X
1)場合、NGopaが試料中に存在することを示している。
【0405】
代替的に、温度1及び2でのシグナルの変化は、キャリブレータシグナルの変化(ΔC)に対して較正され得る。
図7Bは、テキサスレッドチャネルで測定されたTFRCキャリブレータシグナルの変化(ΔC)を示し、閾値Cを超える値は、ΔCの正のシグナルを示し、閾値Cを下回る値は、ΔCの負のシグナルを示す。
図7Cでは、ΔCに対して較正された温度1でのシグナルの変化(ΔS
D1/ΔC、52℃)は白黒パターンで示され、ΔCに対して較正された温度2での変化シグナル(ΔS
D2/ΔC、70℃)は、
図7BのΔCに対して陽性とみなされる反応について灰色で示され、該当なし(N/A)は、
図7BのΔCに対して陰性とみなされる反応を指す。
図7Cの結果は、標的1及び2の検出に関する同じ結論を明らかにする
図7Aと同じ様式で分析され得る。
【0406】
図8の結果は、終点分析法2を使用して、温度2(ΔS
D2)及び温度1(ΔS
D1)でHEXチャネルで得られた蛍光シグナルの変化の差(ΔΔS
D2ΔS
D1)を示す。結果は、ΔΔS
D2ΔS
D1が、NGopaが試料中に存在する場合閾値2(X
2)を超えるが、CTcryのみが試料中に存在する場合、及び/又は試料中にNGopaが存在しない(NTC及びゲノムDNAのみ)場合には、この閾値を超えないことを示している。したがって、閾値2を超える終点蛍光シグナルの差(ΔΔS
D2ΔS
D1>X
2)は、N
Gopaの存在を示す。
【0407】
図9の結果は、終点分析法3を使用して2つの異なる温度でHEXチャネルで得られた蛍光シグナルの変化を示す。
図9Aにおいて、ΔS
D2が閾値X
1より大きい場合、これは、CTcry及び/又はNGopaが試料中に存在することを示す。ΔS
D2が閾値X
1より低い場合、これは、CTcryもNGopaも反応中に存在しない(NTC及びゲノムDNAのみ)ことを示す。
図9Bは、どの標的が反応中に存在するかを示すために比率ΔS
D1:ΔS
D2が使用され得ることを示している。この比率が閾値R
1より高い場合、これは、CTcryは存在するがNGopaは存在しないことを示す。比が閾値R
2よりも低い場合、これは、NGopaが存在するが、CTcryが存在しないことを示す。この比率が閾値R
1とR
2との間にある場合、これは、CTcry及びNGopaの両方が存在することを示す。反応中にCTcryもNGopaも存在しない場合(
図9A)、比率の計算の必要性はなくなり、
図9Bに示されるようにN/Aとして示される。
【0408】
全体として、この実施例は、リアルタイムかつ離散的な時点(PCR前及びPCR後)で蛍光を監視することによって、2つの異なる温度で単一の蛍光チャネルにおいて2つの標的を検出することができることを実証している。この方法では、直鎖MNAザイム基質を用いて一方の標的を定量化し、LOCSプローブを用いて他方の標的を検出することができる。単純な方法は、PCR後の融解曲線分析を必要としない。この実施例はまた、複数の温度でのPCR前及びPCR後の蛍光値の比較によって、単一波長で複数の標的について定性的データを得ることができることを実証している。更に、このデータの解析にはいくつかの解析方法を適用することができる。
【0409】
実施例2:2つの直鎖MNAザイム基質及び2つのLOCSレポーターを使用して、2つの標的の同時リアルタイム定量化及び2つの蛍光チャネルのそれぞれにわたる2つの標的の定性的検出のための方法。
以下の実施例は、4つの標的の同時検出及び鑑別のための2つの蛍光チャネル、HEX及びFAMの使用を実証し、Cq決定は、単一の反応でこれらの標的のうちの2つについて行うことができる。HEXチャネルでは、1つの標的(CTcry)のリアルタイム検出及びCq決定、並びに第2の標的(NGopa)の終点検出が、それぞれ1つの直鎖MNAザイム基質及び1つのLOCSレポーターを使用して達成された。同様に、FAMチャネルでは、第3の標的(TVK)のリアルタイム検出及びCq決定、並びに第4の標的(MgPa)の終点検出が、それぞれ第2の直鎖MNAザイム基質及び第2のLOCSレポーターを使用して達成された。最後に、第5の標的、テキサスレッドチャネルで読み取った第3の直鎖MNAザイム基質を使用して、ヒトTFRC遺伝子をバックグラウンドヒトゲノムDNAで検出した。
【0410】
それぞれのMNAザイムによる直鎖基質の標的媒介性切断は、フルオロフォア及びクエンチャーの分離を引き起こし、広範囲の温度にわたるシグナルの増加を生じさせる。この実施例では、直鎖基質からのシグナルは、温度1でのPCR中の各サイクルでの蛍光(D1=52℃)を取得することによってリアルタイムで、又は標的が存在する場合のPCR中に生じる蛍光の増加を測定することによって終点で蛍光を取得することにより検出することができる。この温度では、NGopa及びMgPaの分割及び無傷LOCSレポーターは両方とも、それらのステム領域のTmが温度1よりも高いため、検出可能なシグナルを生成しない。したがって、PCR中に各波長で温度1で得られたCq値は、(他の標的の存在又は不在にかかわらず)標的Ctcry、TVK、及びTFRCの開始量を反映し、したがって定量化に使用することができる。
【0411】
それぞれのMNAザイムによるLOCSレポーターの標的媒介性切断は、特定範囲の温度にわたるシグナルの増加を生じさせる。この実施例では、この蛍光シグナルは、温度2
(D2=70℃)で測定され、これは分割LOCSレポーターの両方のTmよりも高いが、無傷LOCSレポーターの両方のTmよりも低く(無傷LOCSレポーターのTm>温度2>分割LOCSレポーターのTm)、したがって無傷LOCSレポーターは、温度2で有意なシグナルに寄与しない。したがって、温度2でのシグナルの増加は、分割LOCSレポーターの存在を反映し、これはHEXチャネル及びFAMチャネルにおける特定の標的NGopa及びMgPaの存在をそれぞれ裏付けている。
【0412】
この実施例は、リアルタイムモニタリング及び3つの標的のCq決定を伴う単一の反応における混合された定量的及び定性的データの同時生成を、PCR前及びPCR後の蛍光読み取り値の比較によって解明される他の2つの標的の単純検出と組み合わせて実証している。更に、この実施例は、終点分析法1~3と結合した2つの蛍光チャネルにおける4つの標的の定性的検出を実証している(実施例1に概説されているとおり)。
【0413】
オリゴヌクレオチド
この実験に特異的なオリゴヌクレオチドには、順方向プライマー1(配列番号1)、逆方向プライマー1(配列番号2)、パートザイムA1(配列番号3)、パートザイムB1(配列番号4)、順方向プライマー2(配列番号5)、逆方向プライマー2(配列番号6)、パートザイムA2(配列番号7)、パートザイムB2(配列番号8)、順方向プライマー3(配列番号9)、逆方向プライマー3(配列番号10)、パートザイムA3(配列番号11)、パートザイムB3(配列番号12)、直鎖MNAザイム基質1(配列番号13)、LOCS-1(配列番号14)、直鎖MNAザイム基質2(配列番号15)、順方向プライマー4(配列番号16)、逆方向プライマー4(配列番号17)、パートザイムA4(配列番号18)、パートザイムB4(配列番号19)、順方向プライマー5(配列番号20)、逆方向プライマー5(配列番号21)、パートザイムA5(配列番号22)、パートザイムB5(配列番号23)、直鎖MNAザイム基質3(配列番号24)、LOCS-2(配列番号25)が含まれる。配列は、配列表に列挙する。
CTcryの増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、基質1、パートザイムA1、パートザイムB1(MNAザイム1)、順方向プライマー1、及び逆方向プライマー1である。NGopaの増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、LOCS-1、パートザイムA2、パートザイムB2(MNAザイム2)、順方向プライマー2、及び逆方向プライマー2である。TFRCの増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、基質2、パートザイムA3、パートザイムB3(MNAザイム3)、順方向プライマー3、及び逆方向プライマー3である。TVKの増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、基質3、パートザイムA4、パートザイムB4(MNAザイム4)、順方向プライマー4、及び逆方向プライマー4である。MgPaの増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、LOCS-2、パートザイムA5、パートザイムB5(MNAザイム5)、順方向プライマー5、及び逆方向プライマー5である。
【0414】
反応条件
BioRad(登録商標)CFX96熱サイクラーを使用して、20μLの合計反応体積でリアルタイム増幅及び検出を実行した。サイクリングパラメータ及び蛍光データ取得(DA)点は、95℃で2分間、52℃で15秒間(DA)、70℃で15秒間(DA)の1サイクル、95℃で5秒間及び61℃で30秒間の10サイクル(1サイクル当たり0.5℃の減衰)、95℃で5秒間及び52℃で40秒間の40サイクル(各サイクルでのDA)、並びに70℃で15秒間(DA)であった。全ての反応は、2回反復で実行し、40nMの各順方向プライマー、200nMの各逆方向プライマー、200nMの各パートザイムA、200nMの各パートザイムB、200nMの各基質、200nMのLOCS-1、300nMのLOCS-2及び1×SensiFAST緩衝液(Bioline)を含有した。反応は、標的を含有しない(NF H2O)か、CTcryの合成Gブロック(20,000若しくは32コピー)、NGopa遺伝子(20,000若しくは
32コピー)、CTcry及びNGopaの両方(それぞれ20,000若しくは32コピー)、TVK(20,000若しくは32コピー)、MgPa遺伝子(20,000若しくは32コピー)、又はTVK及びMgPaの両方(それぞれ20,000若しくは32コピー)のいずれかを含有した。標的なし対照(NF H2O)を除く全ての反応は、10,000コピーのヒトゲノムDNAのバックグラウンドを含有した。追加の対照は、ゲノムDNAのみを含有した。
【0415】
結果
この実施例では、5つのMNAザイム(MNAザイム1~5)を単一のPCR反応で使用して、3つの蛍光チャネル(HEX、テキサスレッド及びFAM)のみを使用して、5つの標的核酸(それぞれCTcry、NGopa、TFRC、TVK及びMgPa)を同時に検出及び鑑別した。CTcry及び/又はNGopaの存在又は不在は、HEXチャネルで検出及び鑑別され、ゲノムDNA中のTFRC遺伝子の存在は、テキサスレッドチャネルで検出され、TVK及び/又はMgPaの存在又は不在は、FAMチャネルで検出及び鑑別された。CTcry、TFRC、及びTVK遺伝子の存在は、それぞれHEX、テキサスレッド及びFAMチャネルの52℃での蛍光シグナルの増加によってリアルタイムで検出され、また52℃での終点でも検出された。NGopa及びMgPaの存在は、それぞれLOCS-1及びLOCS-2の切断を監視するそれぞれHEXチャネル及びFAMチャネルで70℃の終点で検出された。
【0416】
図10に示される結果は、HEX(
図10A~D)及びFAM(
図10E~H)チャネルで52℃の取得温度で得られたPCR増幅曲線を示す。作成された増幅曲線は、HEXチャネル(
図10A)で得られた20,000コピー及び32コピーのCTcry鋳型のみ、又はFAMチャネルで得られたTVKのみ(
図10E)を表す。HEXチャネルで得られたそれぞれ20,000コピー及び32コピーのCTcry鋳型及びNGopa鋳型の両方を含有する鋳型混合物(
図10B)、又はFAMチャネルで得られたそれぞれ20,000コピー及び32コピーのTVK鋳型及びMgPa鋳型の両方を含有する鋳型混合物(
図10F)についても、増幅曲線を作成した。20,000コピー及び32コピーのNGopaのみを含有する試料については、HEXチャネルで増幅は見られず(
図10C)、TVK、MgPa及びTFRC(内因性対照)を含む残りの標的の任意の濃度については、いかなる増幅も記録されなかった(
図10D)。同様に、FAMチャネルでは、20,000コピー及び32コピーのMgPa鋳型を含有する試料については増幅は記録されず(
図10G)、CTcry、NGopa及びTFRCを含む残りの標的の任意の濃度についても増幅は記録されなかった(
図10H)。全ての標的なし対照(NF H
2O)反応についてシグナルの増加はなく、結果は黒の点線として示されている(
図10A~H)。増幅曲線は、3回反復反応の平均であり、Microsoft Excel(バージョン14)を使用してプロットされた。Cq値は、100RFU(ベースライン減算曲線フィット)に設定した単一閾値法を使用して決定された。
【0417】
上記反応の各々についてのCq値を表6に示すが、該当なし(N/A)は、これらの反応におけるCTcry及びTVKの不在と一致して52℃で決定されるCq値が存在しない場合を指す。結果は、CTcry及びTVKのCq値が、それぞれ、FAMチャネル内のNGopa鋳型又はHEXチャネル内のMgPa鋳型の存在によって影響されないことを示す。また、標的なし反応の各々は、検出可能な増幅曲線又はCq値を生成しなかった。したがって、HEXチャネル及びFAMチャネルから得られたCq値は、それぞれ、試料中のCTcry及びTVKの直接的な定量分析に使用され得る。
【0418】
【0419】
図11の結果は、終点分析法1を使用して2つの異なる温度でHEX(
図11A)及びFAMチャネル(
図11B)で得られた増幅中の蛍光シグナルの変化(PCR後からPCR前を引いたもの)を示す。温度1におけるシグナルの変化(ΔS
D1、52℃)は白黒パターンとして示され、温度2におけるシグナルの変化(ΔS
D2、70℃)は灰色で示されている。
図11Aは、ΔS
D1が、CTcryが試料中に存在する場合閾値X
1を超えるが、試料中にCTcryが存在しない場合には、この閾値を超えないことを示している。したがって、ΔS
D1>X
1は、CTcryの存在を示す。
図11Aの結果はまた、温度2におけるシグナルの変化(ΔS
D2)が温度1における変化より大きく(ΔS
D2>ΔS
D1)、かつ閾値X
1より大きい(ΔS
D2>X
1)場合、NGopaが試料中に存在することを示している。ΔS
D2が閾値X
1を超えるが、ΔS
D1が超えない場合、これはNGopaのみの存在を示す。同様に、
図11Bは、温度1でのシグナルの変化(ΔS
D1)が、TVKが試料中に存在する場合は閾値X
1を超えるが、TVKが試料に存在しない場合にはこの閾値を超えないことを示している。したがって、ΔS
D1>X
1は、TVKの存在を示す。
図11Bの結果はまた、温度2におけるシグナルの変化(ΔS
D2)が温度1におけるシグナルの変化より著しく大きく(ΔS
D2>ΔS
D1)、かつ閾値X
1より大きい(ΔS
D2>X1)場合、MgPaが試料中に存在することを示している。S
D2が閾値X
1を超えるが、S
D1が超えない場合、これはMgPaのみの存在を示す。
【0420】
図12の結果は、終点分析法2を使用して、温度2及び温度1でHEX(
図12A)及びFAM(
図12B)チャネルで得られた終点蛍光シグナルの増加の差(ΔΔS
D2ΔS
D1)を示す。
図12Aの結果は、ΔΔS
D2ΔS
D1が、NGopaが試料中に存在する場合閾値X
2を超えるが、試料にNGopaが存在しない場合には、この閾値を超えないことを示している。同様に、
図12Bの結果は、ΔΔS
D2ΔS
D1が、MgPaが試料中に存在する場合閾値X
2を超えるが、試料にMgPaが存在しない場合には、この閾値を超えないことを示している。したがって、HEX及びFAMチャネルにおいてΔΔS
D2ΔS
D1>X
2である場合、これはそれぞれNGopa及びMgPaの存在を示す。
【0421】
図13の結果は、終点分析法3を使用して2つの異なる温度でHEX(
図13A、B)及びFAM(
図13C、D)チャネルで得られた蛍光シグナルの変化を示す。
図13Aにおいて、HEXチャネルにおけるΔS
D2が閾値X
1より大きい場合、これは、CTcry及び/又はNGopaが試料中に存在することを示す。HEXチャネルにおけるΔS
D2が閾値X
1より低い場合、これは、CTcryもNGopaも反応中に存在しないことを示す。
図13Bは、HEXチャネルにおけるΔS
D2:ΔS
D1の比率を示し、これは、どの標的が反応に存在するかを示す。この比率が閾値R1より高い場合、これは、CTcryは存在するがNGopaは存在しないことを示す。比率が閾値R2より低い場合、これは、NGopaは存在するがCTcryは存在しないことを示す。この比率が閾値R1とR2との間にある場合、これは、CTcry及びNGopaの両方が存在することを示す。
図13Aは、反応中にCTcryもNGopaも存在しない場合を示し、したがって
図13Bの比率計算の必要性はなくなり、N/Aとして示される。
図13Cでは、FAMチャネルのΔS
D2は閾値X
1より大きく、TVK及び/又はMgPaが試料中に存在することを示している。FAMチャネルにおけるΔS
D2が閾値X
1より低い場合、これは、TVKもMgPaも反応中に存在しないことを示す。
図13Dは、FAMチャネルにおけるΔS
D2:ΔS
D1の比率を示し、これは、どの標的が反応に存在するかを示す。この比率が閾値R1より高い場合、これは、TVKは存在するがMgPaは存在しないことを示す。比率が閾値R2より低い場合、これは、MgPaは存在するがTVKは存在しないことを示す。この比率が閾値R1とR2との間にある場合、これは、MgPa及びTVKの両方が存在することを示す。
図13Cは、TVKもMgPaも反応に存在しない場合を示し、したがって
図13Dの比率計算の必要性はなくなり、N/Aとして示される。
【0422】
実施例3-1つの直鎖MNAザイム基質及び1つのLOCSレポーターを使用した単一チャネルにおける2つの標的の終点検出及び鑑別、並びに融解曲線分析を使用した追加の確認。
以下の実施例は、1つの直鎖MNAザイム基質及び1つのLOCSレポーターが、終点分析及び融解曲線分析を使用した単一の蛍光チャネルにおける2つの標的(TPApolA及びTFRC)の検出及び鑑別のために組み合わせて使用されるアプローチを実証する。アッセイは、直鎖MNAザイム基質を使用してTFRCが終点で検出及び鑑別され得、LOCSレポーターを使用してTPApolAが終点で検出及び鑑別され得るように設計されている。連動した融解曲線分析を使用して、TPApolAの確認的検出を達成することもできる。
【0423】
この実施例では、TFRCは、1反応当たり10,000コピーの単一濃度で、内因性対照として含まれる。TPApolAを、1反応当たり10,000コピー、及び1反応当たり40コピーの2つの異なる濃度で試験した。TPApolA及びTFRCの両方の同時検出を、1反応当たり10,000コピーのTFRC及び10,000コピーのTPApolA、並びに1反応当たり10,000コピーのTFRC及び40コピーのTPApolAの濃度で試験した。このアッセイは、CTcry、LGV、NGopa、NGporA、MgPa、TVbtub、HSV-1、及びHSV-2を含む8つの他の標的の増幅及び検出のためのプライマー、パートザイム及びLOCSも含有する、10標的多重化である。
【0424】
PCRの間、MNAザイム6は、TFRCの存在下で直鎖基質4を切断して、フルオロフォア及びクエンチャーを分離し、広範囲の温度にわたって検出され得るシグナルの増加をもたらすことができる。この実施例では、TFRCの終点検出は、温度1(48℃)でのPCRサイクルの前後に蛍光を取得することによって達成される。
【0425】
PCRの間、MNAザイム7は、TPApolAの存在下でLOCS-3を切断することができる。アッセイは、無傷及び分割構成の両方のLOCS-3のステムが、温度1(
48℃)より高い融解温度(Tm)を有し、したがって、試料中のTPApolAの存在又は不在にかかわらず、温度1でのシグナルに寄与しないように設計される。更に、アッセイは、無傷LOCS-3が温度2より大きいTm(Tm>68℃)を有し、分割構成が温度2以下のTm(Tm≦68℃)を有するように設計される。したがって、TPApolAの終点検出及び鑑別は、温度2(68℃)でのPCRサイクルの前後に蛍光を取得することによって達成される。
【0426】
この実施例では、TFRC及びTPApolAの検出及び鑑別は、それぞれ、温度1(48℃)及び温度2(68℃)でのPCRサイクルの前後の蛍光測定を行うことによって達成される。PCRサイクル前に取得した蛍光値を、各温度でのPCRサイクル後に取得した蛍光値から差し引いて、MNAザイム6又はMNAザイム7の標的開始切断とは無関係のバックグラウンド蛍光を除去する。次いで、以下のように更なる分析を行う。
【0427】
分析方法2(実施例1)において前述したように、温度1(D1)では、基質4の切断は、PCR中にΔSD1>X1であるように第1の閾値(X1)を超える蛍光シグナル(ΔSD1)の有意な増加をもたらすが、LOCS-3の切断は、D1での蛍光シグナルの有意な増加をもたらさず、無傷又は分割のいずれかの場合、D1を超えるステムの高いTmのために閾値(X1)を超えない。したがって、D1でのPCR前及びPCR後蛍光測定の比較(ΔSD1)は、切断された基質4、ひいてはTFRC標的の特異的な検出を可能にする。
【0428】
温度1(D1)より高い温度2(D2)では、PCR全体にわたるLOCS-3の切断は、温度1で観察される変化(ΔSD1)より大きい蛍光シグナルの変化(ΔSD2)をもたらし、ΔSD2とΔSD1との間の差(ΔSD2-ΔSD1)は、第2の閾値(X2)を超え、ΔSD2-ΔSD1=ΔΔSD2ΔSD1>X2となる。対照的に、基質4の切断のみで同様のΔSD2及びΔSD1値が生成され、これらの2つの値の間の差(ΔΔSD2ΔSD1)は有意ではなく、第2の閾値(X2)を超えない。したがって、この様式でのD2での蛍光の分析は、TPApolAの存在を示す切断された分割LOCS-3の特異的な検出を可能にする。
【0429】
融解曲線分析を使用して、TPApolAの検出及び鑑別を達成することもできる。固有の融解曲線特性は、TPApolAが試料中に存在する場合に作成され、TPApolAが試料中に存在しない反応とは異なる。これにより、TPApolAが試料中に存在するかどうかを視覚的に確認することができる。
【0430】
オリゴヌクレオチド
この実験に特異的なオリゴヌクレオチドには、順方向プライマー3(配列番号9)、逆方向プライマー3(配列番号10)、パートザイムA6(配列番号26)、パートザイムB6(配列番号27)、基質4(配列番号28)、順方向プライマー6(配列番号29)、逆方向プライマー6(配列番号30)、パートザイムA7(配列番号31)、パートザイムB7(配列番号32)、LOCS-3(配列番号33)、順方向プライマー1(配列番号1)、順方向プライマー2(配列番号2)、パートザイムA1(配列番号3)、パートザイムB1(配列番号4)、LOCS-4(配列番号34)、順方向プライマー2(配列番号5)、順方向プライマー3(配列番号6)、パートザイムA8(配列番号35)、パートザイムB8(配列番号36)、LOCS-5(配列番号37)、順方向プライマー7(配列番号38)、逆方向プライマー7(配列番号39)、パートザイムA9(配列番号40)、パートザイムB9(配列番号41)、LOCS-6(配列番号42)、順方向プライマー8(配列番号43)、逆方向プライマー8(配列番号44)、パートザイムA10(配列番号45)、パートザイムB10(配列番号46)、LOCS-7(配列番号47)、順方向プライマー9(配列番号48)、逆方向プライマー9(配列番号49)、
パートザイムA11(配列番号50)、パートザイムB11(配列番号51)、LOCS-8(配列番号52)、順方向プライマー10(配列番号53)、逆方向プライマー10(配列番号54)、パートザイムA12(配列番号55)、パートザイムB12(配列番号56)、LOCS-9(配列番号57)、順方向プライマー11(配列番号58)、逆方向プライマー11(配列番号59)、パートザイムA13(配列番号60)、パートザイムB13(配列番号61)、LOCS-10(配列番号62)、順方向プライマー12(配列番号63)、逆方向プライマー12(配列番号56)、パートザイムA14(配列番号65)、パートザイムB14(配列番号66)、LOCS-11(配列番号67)が含まれる。配列は、配列表に列挙する。
【0431】
TFRCの増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、基質4、パートザイムA6、パートザイムB6(MNAザイム6)、順方向プライマー3、及び逆方向プライマー3である。TPApolAの増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、LOCS-3、パートザイムA7、パートザイムB7(MNAザイム7)、順方向プライマー6、及び逆方向プライマー6である。CTcryの増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、LOCS-4、順方向プライマー1、逆方向プライマー1、パートザイムA1及びパートザイムB1(MNAザイム1)である。LGVの増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、LOCS-6、順方向プライマー7、逆方向プライマー7、パートザイムA9及びパートザイムB9(MNAザイム9)である。NGopaの増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、LOCS-5、順方向プライマー2、逆方向プライマー2、パートザイムA8及びパートザイムB8(MNAザイム8)である。NGporAの増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、LOCS-7、順方向プライマー8、逆方向プライマー8、パートザイムA10及びパートザイムB10(MNAザイム10)である。MgPaの増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、LOCS-10、順方向プライマー11、逆方向プライマー11、パートザイムA13及びパートザイムB13(MNAザイム13)である。TVbtubの増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、LOCS-11、順方向プライマー12、逆方向プライマー12、パートザイムA14及びパートザイムB14(MNAザイム14)である。HSV-1の増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、LOCS-8、順方向プライマー9、逆方向プライマー9、パートザイムA11及びパートザイムB11(MNAザイム11)である。HSV-2の増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、LOCS-9、順方向プライマー10、逆方向プライマー10、パートザイムA12及びパートザイムB12(MNAザイム12)である。
【0432】
反応条件
BioRad(登録商標)CFX96熱サイクラーを使用して、20μLの合計反応体積でリアルタイム増幅及び検出を実行した。サイクリングパラメータ、及び蛍光データ取得(DA)点は、42℃で20秒間(DA)、48℃で20秒間(DA)、65℃で20秒間(DA)、68℃で20秒間(DA)、及び95℃で2分間の各Iサイクル、95℃で5秒間及び61℃で30秒間の10サイクル(1サイクル当たり0.5℃の減衰)、95℃で5秒間、52℃で40秒間及び65℃で5秒間の40サイクル(各サイクルでDA)、並びに30℃で20秒間(DA)、42℃で20秒間(DA)、48℃で20秒間(DA)、65℃で20秒間(DA)、68℃で20秒間(DA)の各1サイクルであった。融解曲線パラメータは、20℃から95℃まで0.5℃の増分で、5秒間保持した(DAは保留)。全ての反応は、2回反復で実行し、40nMの各順方向プライマー、200nMの各逆方向プライマー、200nMの各パートザイムA、200nMの各パートザイムB、200nMの基質4、各々300nMのLOCS-3、LOCS-4、LOCS-7、LOCS-8、各々200nMのLOCS-5、LOCS-6、LOCS-9、240nMのLOCS-10、120nMのLOCS-11、8mMのMgCl2(Bioline)、0.2mMのdNTP(Bioline)、2単位のMyTaqポリメラーゼ
(Bioline)、及び1×NH4緩衝液(Bioline)を含有した。反応は、TPApolA、NGopa及び/若しくはporA、gpd及び/若しくはgpd3、TV-Btub及び/若しくはMgPa、CTcry及び/若しくはLGV遺伝子に相同な合成Gブロック鋳型(10,000コピー若しくは40コピー)を含有するか、又は標的なし(NF H2O)のいずれかであった。TPApolAのみの反応を除く全ての反応は、内因性対照として機能するTFRC遺伝子標的を有する10,000コピーのヒトゲノムDNAのバックグラウンドを含有した。TFRC遺伝子の検出は、Cy5.5チャネルの蛍光の増加による内部対照として全ての反応(TPApolAのみの反応を除く)で監視した。
【0433】
結果
この実施例では、2つのMNAザイム(MNAザイム6及び7)を単一のPCR反応で使用して、1つの蛍光チャネル(Cy5.5)を使用して2つの標的核酸(それぞれTFRC及びTPApolA)を同時に検出及び鑑別した。TPApolA及び/又はTFRCの存在又は不在を検出し、終点分析を使用してCy5.5チャネルで鑑別した。TPApolAは、LOCS-3の切断及び融解によって引き起こされる蛍光の増加により68℃(D2)で検出され、TFRCは、基質4の切断により48℃(D1)で検出された。試料中のTPApolAの存在は、切断及び分割されたLOCS-3により生成された蛍光を表す68℃(D2)での融解ピークの存在によって、融解曲線分析において確認された。試料中のTPApolAの不在は、未切断のLOCS-3により生成された蛍光を表す85℃での融解ピークの存在によって、融解曲線において確認された。
【0434】
この実施例では、融解曲線分析を使用して、8つの追加の標的(チャネル当たり2つの標的)の増幅、検出、及び鑑別に成功した(データは示さず)。TFRC及びTPApolAはCy5.5チャネルで検出及び鑑別され、CTcry及びLGVはCy5チャネルで検出及び鑑別され、NGopa及びNGporAはFAMチャネルで検出及び鑑別され、MgPa及びTVbtubはテキサスレッドチャネルで検出及び鑑別され、HSV-1及びHSV-2はJOEチャネルで検出及び鑑別された(データは示さず)。
【0435】
図14の結果は、終点分析を使用して温度1(D
1)及び温度2(D
2)でCy5.5チャネルで得られた終点蛍光シグナルの差(それぞれΔS
D1及びΔΔS
D2ΔS
D1)を示す。結果は、Microsoft Excel(バージョン14)を使用してプロットした2回反復反応の平均である。結果は、ΔS
D1が、TFRCが試料中に存在する場合閾値1(X
1)を超えるが、TPApolAのみが存在する場合、並びに/又はTFRC(及びTPApolA)が存在しない場合には、この閾値を超えないことを示している(
図14A)。同様に、ΔΔS
D2ΔS
D1は、TPApolAが試料中に存在する場合閾値2(X
2)を超えるが、TFRCのみが試料中に存在する場合、並びに/又はTPApolA(及びTFRC)が存在しない場合には、この閾値を超えない(
図14B)。したがって、閾値1より大きい終点蛍光シグナル(ΔS
D1>X
1)はTFRCの存在を示し、閾値2より大きいΔS
D2とΔS
D1との間の終点蛍光シグナルの差(ΔΔS
D2ΔS
D1>X
2)は、反応中にTPApolAが単独で存在するか、又はTFRCとともに存在するかにかかわらず、TPApolAの存在を示す。
【0436】
この実施例では、PCR増幅及び終点分析に続いて、PCR後の融解サイクルを行い、それにより、TPApolAの存在又は不在を、それぞれ68℃(分割LOCS)又は85℃(無傷LOCS)のいずれかにおけるLOCSの融解ピークに基づいて確認した。
図15に示される結果は、10,000コピーのTFRCを含有する反応(
図15A)、10,000コピー及び40コピーのTPApolAを含有する反応(
図15B)、並びに、10,000コピーのTPApolAと10,000コピーのTFRC、及び40コピーのTPApolAと10,000コピーのTFRCを含有する共感染(
図15C)から
増幅後に得られたそれぞれの融解曲線特性を示す。結果は、TPApolAを含有する全ての試料について、及び標的(NF H
2O)を含有しなかった反応の2回反復反応の平均であり、TFRCのみ結果は、10,000コピーのTFRCを内因性対照として使用した48回の反復の平均である。曲線は、Microsoft Excel(バージョン14)を使用してプロットした。結果は、TFRC遺伝子標的の存在下で、又は標的なしで基質4により生成された融解特性(Tm 85℃でのピーク)が、TPApolAの存在下で、又はTFRC及びTPApolAの両方の存在下でLOCS-3によって生成される融解特性(Tm 68℃でのピーク)とは異なることを実証している。結果を表7に要約する。
【0437】
【0438】
この実施例では、融解曲線は、20℃~90℃の広い温度範囲にわたって実行され、0.5℃毎に測定が行われたが、これはLOCSレポーターを使用する場合には必要ではない。未切断及び切断された分割LOCSのTmは、異なる標的濃度では変化しないため、より狭い温度範囲を用いて確認用融解曲線を作成することができる。切断された分割LOCS-3及び未切断の無傷LOCS-3のTmは、それぞれ68℃及び85℃であるため、融解曲線分析を約50℃~90℃で実行して両方のピークを捕捉し、結果を得るまでの時間を低減することができる。同様に、融解曲線分析を単純化し、理論的に融解曲線を生成するのに必要な時間を半分にするために、データ収集点を例えば0.5℃毎ではなく1℃毎の取得に限定することができる。これは、融解曲線分析が、終点分析を補助するための確認ツールとして使用されている場合に有利である。
【0439】
この実施例は、任意選択の融解曲線分析とともに終点分析を用いて、2つの標的を2つの異なる温度で単一の蛍光チャネルで検出することができることを実証し、1つの標的は直鎖MNAザイム基質を用いて検出され、他方の標的はLOCSレポーターを用いて検出される。全ての標的シナリオは、終点分析を使用して検出することができ、TPApolAの存在又は不在は、融解ピーク特性によって更に確認することができた。この実施例は、単一の蛍光チャネルで複数の標的を検出するための2つの方法を提供し、終点蛍光測定法は、結果確認のために独立して、又は融解曲線分析と併せて使用することができる。
【0440】
実施例4:1つの直鎖MNAザイム基質及び1つのLOCSレポーターを使用して単一の蛍光チャネルでの2つの標的を同時に検出及び定量化するための方法
以下の実施例は、1つの直鎖MNAザイム基質及び1つのLOCSレポーターの組み合わせが、PCR中にリアルタイムで2つの温度で蛍光読み取りを収集することによって、単一の蛍光チャネルにおける2つの標的の同時検出及び定量化を可能にするアプローチを実証する。更に、この実施例は、試料中に存在する場合、いずれかの、及び/又は両方の標的の量を定量化するための方法を説明する。
【0441】
この実施例では、1つの直鎖MNAザイム基質及び1つのLOCSレポーターを使用して、各PCRサイクル中に2つの異なる温度(D1及びD2)でリアルタイムで蛍光を測定することによって、2つの標的(評定X及び標的Y)をJOEチャネルで同時に検出、鑑別、及び定量化した。アッセイは、標的Xを、直鎖基質X(標的Xの存在下でのみMNAザイムXによって切断可能)を使用して監視し、標的Yを、LOCS-Y(標的Yの存在下でのみMNAザイムYによって切断可能)を使用して監視するように設計されている。更に、アッセイは、分割LOCS-Yが、より低い検出温度(D1)より高いTmを有するように設計されている。
【0442】
切断された直鎖基質Xが蛍光を発するように、より低い検出温度(D1)を選択したが、一方、切断されていない直鎖基質X、分割LOCS-Y及び無傷LOCS-Yは全てクエンチされたままである。分割LOCS-Yのステムが融解(解離)し、増加した蛍光をもたらす一方、無傷LOCS-Yのステムが会合及びクエンチしたままであるように、より高い温度(D2)を選択する。
【0443】
D1及びD2温度で取得した蛍光測定を使用して、2つのPCR増幅曲線をプロットすることができる。標的X及び/又はYの存在を決定するための閾値を、D1プロット(閾値X)及びD2プロット(閾値Y)の両方について設定する。閾値(閾値X及び閾値Y)、並びに反応が定常に達することが知られている様々な終点は、先行実験に基づいて事前に決定することができ、この先行実験では、標的Xのみを含有する反応が、D1で終点X1(EX1)で、又はD2で終点X2(EX2)で定常に達し、標的Yのみを含有する反応が、D2で終点Y1(EY1)で定常に達し、標的X及び標的Yの両方を含有する反応が、D2で終点Y2(EY2)で定常に達する。任意選択で、終点EX1、EX2、EY1及びEY2は、実験試料と並行して実行した陽性対照から誘導してもよい。
【0444】
D1増幅プロットに関して、PCRが、閾値Xを超え、閾値Xを超過する終点EX1で定常に達する増幅曲線を生成する場合、この結果は、標的Xに関連する切断された直鎖基質Xの存在を示す。標的Yもまた存在する場合、切断されたLOCS-Yは、D1で蛍光を生成しないため、増幅曲線は、影響されないはずである。したがって、閾値Xを超える増幅曲線から得られたCq値は、試料中の標的Xの定量化を可能にする。
【0445】
D2増幅プロットに関して、PCRが、閾値Yを超え、EY1又はEY2のいずれかで定常に達する増幅曲線を生成する場合、これは、標的Yの存在を示す。閾値Yは、値EX2を超えるように設定されているため、標的Xのみを含有する反応からの増幅曲線は、この閾値を超えない。標的X及びYの両方が存在する場合、直鎖基質X及びLOCS-Yの切断は、閾値Yを超え、終点EY1よりも大きい終点EY2で定常に達する増幅曲線を生成し、これは、標的Yのみの存在下で切断されたLOCS-Yに関連する。EX2<閾値Y<EY1<EY2かつEX2≠閾値Y≠EY1≠EY2であるため、増幅曲線が定常に達する終点は、標的X、Y、又はその両方の存在を示し得る。しかしながら、閾値Yを超えるD2増幅曲線から得られたCq値は、標的X及びYの両方の量によって影響されるため、更なるデータ操作なしでは、結果は標的Yについては半定量的である。標的Xもまた存在する試料中に存在する標的Yの量を計算するための分析方法を、以下に説明する。
【0446】
標的Yの定量化方法
D1(39℃)及びD2(72℃)で切断された直鎖MNAザイム基質Xのみからから生じる2つの増幅曲線は、同じ効率及びCqを有するが、それぞれ異なる終点EX1及びEX2で定常に達する。したがって、72℃(SXD2)での切断された基質Xから生じる蛍光シグナル(SX)は、蛍光調整係数(FAF)を適用することによって、39℃(SXD1)での切断された基質Xから生じるシグナルを使用して外挿することができる。FAFは、終点EX1及びEX2の比率である(FAF=EX2/EX1)。72℃での
増幅曲線における合計蛍光シグナル(SXYD2)は、存在する場合切断された直鎖基質X(SXD2)、及び存在する場合分割されたLOCS-Y(SYD2)の両方から生じるシグナルを含む。このことから、LOCS-Yのみから生じる72℃でのシグナル(SYD2)は、以下のように外挿することができる。
SXYD2=SXD2+SYD2=(SXD1*FAF)+SYD2
SYD2=SXYD2-(SXD1*FAF)
【0447】
したがって、各サイクルでの計算されたSYD2値から構築された増幅曲線から得られたCq値は、標的Yに関する定量的データを提供し得る。試料が標的X、Y、若しくはX及びYの両方を含有するか、又は標的を含有しないかにかかわらず、この式を適用して、試料中の標的Yの量を正確に決定することができる。
【0448】
オリゴヌクレオチド
この実験に特異的なオリゴヌクレオチドには、直鎖MNAザイム基質1(配列番号13)、LOCS-1(配列番号14)、パートザイムA1(配列番号3)、パートザイムB1(配列番号4)、パートザイムA2(配列番号7)、パートザイムB2(配列番号8)、順方向プライマー1(配列番号1)、逆方向プライマー1(配列番号2)、順方向プライマー2(配列番号5)及び逆方向プライマー2(配列番号6)が含まれる。配列は、配列表に列挙する。標的X(CTcry)の増幅及び定量化に特異的なオリゴヌクレオチドは、基質1、パートザイムA1及びB1(MNAザイム1、MNAザイムX)、順方向プライマー1及び逆方向プライマー1である。標的Y(NGopa)の増幅及び定量化に特異的なオリゴヌクレオチドは、LOCS-1、パートザイムA2及びB2(MNAザイム2、MNAザイムY)、順方向プライマー2及び逆方向プライマー2である。
【0449】
反応条件
BioRad(登録商標)CFX96熱サイクラーを使用して、20μLの合計反応体積で標的配列のリアルタイム検出を実行した。サイクリングパラメータは、95℃で2分間、続いて95℃で5秒間及び61℃で30秒間の10タッチダウンサイクル(1サイクル当たり0.5℃の減衰)、並びに95℃で5秒間、52℃で40秒間、39℃で5秒間及び72℃で5秒間の40サイクル(データは39℃及び72℃のステップの両方で収集)であった。全ての反応は、2回反復で実行し、40nMの各順方向プライマー、200nMの各逆方向プライマー、200nMの各パートザイム、100nMの直鎖MNAザイム基質1、200nMのLOCS-1及び1×PlexMastermix(Bioline)を含有した。反応は、標的を含有しない(NF H2O)か、又は合成GブロックCTcry(20,000、4,000、800、160、若しくは32コピー)、NGopa遺伝子の合成Gブロック(20,000、4,000、800、160、若しくは32コピー)、NGopa遺伝子の合成Gブロック(20,000、4,000、800、160、若しくは32コピー)のバックグラウンドでのCTcry遺伝子の様々な濃度の合成Gブロック(20,000、4,000、800、160、若しくは32コピー)、若しくはCTcry遺伝子の合成Gブロック(20,000、4,000、800、160、若しくは32コピー)のバックグラウンドでのNGopa遺伝子の様々な濃度の合成Gブロック(20,000、4,000、800、160、若しくは32コピー)のいずれかを含有した。
【0450】
結果
PCR中、2つのMNAザイム(MNAザイム1及びMNAザイム12)を使用して、それぞれ直鎖MNAザイム基質1及びLOCS1の切断を介して標的核酸の増幅をリアルタイムで監視する。MNAザイム1は、Chlamydia trachomatisの検出のためにCTcry(標的X)に相同な配列を検出し、基質1を切断するように設計した。MNAザイム2は、Neisseria gonorrhoeaeの検出のために
NGopa(標的Y)に相同な配列を検出し、LOCS-1を切断及び分割するように設計した。
【0451】
図16に示される結果は、それぞれ39℃(D
1)(
図16A)及び72℃(D
2)(
図16B)で測定した、20,000コピーのCTcry若しくはNGopa、又は20,000コピーの両方の遺伝子標的のいずれかを含有する反応からJOEチャネルで得られた比較増幅曲線を示す。増幅曲線は、2回反復反応の平均であり、Microsoft Excel(バージョン14)を使用してプロットされた。Cq値は、それぞれD
1(39℃)及びD
2(68℃)に対して400RFU及び500RFU(ベースライン減算曲線フィット)に設定した単一閾値法を使用して決定された。39℃では、20,000コピーのCTcry鋳型(黒実線)を含有する試料は、閾値X(黒の水平線)を超え、終点E
X1(E
X1と表される黒の水平線)に達する蛍光レベルを有する増幅曲線を示す。39℃では、20,000コピーのCTcry鋳型及びNGopa鋳型の両方を含有する試料(灰色の実線)もまた、閾値Xを超え、E
X1に達する蛍光レベルを有する増幅曲線を示す。39℃では、NGopa鋳型のみを含有する試料(黒の破線)又はCTcry鋳型を含有しない試料(NTC、灰色の破線)は、閾値Xを超えず、E
X1に達しない。したがって、E
X1で39℃で定常に達する増幅曲線は、試料中のCTcryの存在を確認する。このグラフは、20,000コピーのCTcryのみ(黒実線)並びに20,000コピーのCTcry及びNGopaの両方(灰色実線)を含有する試料が、同等のCq値を有することを示す。NGopaのみを含有する反応(黒の破線)、又は標的なしの反応(灰色の破線)は、PCR中に蛍光の増加を示さなかった。
【0452】
39℃でのCq値は、NGopaの存在によって影響されないため、それを、試料中のCTcryの量の定量化に使用することができる。0、32、160、800、4,000、及び20,000コピーのCTcry遺伝子標的、並びに0、32、160、800、4,000、及び20,000コピーのNGopa遺伝子標的の全ての組み合わせの試料中のCTcryの定量化の結果を、表8に要約するが、N/Aは、39℃で決定されるCq値が存在せず、したがって試料中にCTcryは存在しないことを指す。
【0453】
【0454】
図16Bは、閾値Y(黒の水平線)を超え、第1の終点Y(E
Y1)(E
Y1と表される黒の水平線)で定常に達する蛍光レベルを有する、20,000コピーのNGopa鋳型(黒の点線)を含有する試料の72℃での増幅曲線を示す。72℃では、20,000
コピーのCTcry及びNGopaの両方を含有する試料(灰色の実線)は、閾値Yを超え、第2の終点Y(E
Y2)(E
Y2と表される黒の水平線)で定常に達する蛍光レベルを有する増幅曲線を示す。72℃では、NGopa鋳型(黒の実線)を含有しないがCTcryを含有する試料は閾値Yを超えず、E
Y1及びE
Y2に達しないが、その代わり終点E
X2(終点E
X2と表される黒の水平線)で定常に達する。72℃では、NGopa鋳型もCTcry鋳型も含有しない試料(NTC、灰色の破線)は、いかなる増幅曲線も示さず、したがって閾値Yを超えず、E
Y1及びE
Y2に達しない。したがって、E
X2で72℃で定常に達する増幅曲線は、試料中の標的CTcryの存在は確認するが、NGopaの存在は確認せず、E
Y1で定常に達する増幅曲線は、試料中のNGopaの存在は確認するが、CTcryの存在は確認せず、E
Y2で定常に達する増幅曲線は、試料中のCTcry及びNGopaの両方の存在を確認する。
【0455】
72℃では、20,000コピーのCTcry及びNGopaの両方を含有する試料のCq値(灰色の実線)は、20,000コピーのNGopa鋳型のみを含有する試料のCq値(黒の破線)と同じではない。したがって、正規化せずに72℃でのCq値を使用して、CTcryも存在する場合に、試料中のNGopaの濃度を正確に決定することはできない。
【0456】
図17に示される結果は、それぞれ39℃(
図17A,17D及び17G)並びに72℃(
図17B、17E及び17H)で測定した、0、32、及び20,000コピーのCTcry遺伝子標的、並びに0、32、及び20,000コピーのNGopa遺伝子標的の全ての可能な組み合わせを含有する反応からJOEチャネルで得られた比較増幅曲線を示す。結果は、2回反復反応の平均としてプロットされており、Microsoft Excel(バージョン14)を使用してプロットした。Cq値は、それぞれD
1(39℃)及びD
2(72℃)に対して400RFU及び500RFU(ベースライン減算曲線フィット)に設定した単一閾値法を使用して決定された。20,000コピーのCTcryを含有する試料を、黒の破線で示し、32コピーのCTcryを含有する試料を、灰色の実線で示し、0コピーのCTcryを含有する試料を、黒の実線で示す。
【0457】
図17A、17D及び17Gは、NGopa(黒の実線)を20,000コピー(
図17A)、32コピー(
図17D)で含有する、又はコピーなし(
図17G)の反応についての39℃(D
1)での蛍光を示す。結果は、NGopaの存在下での39℃でのシグナルの増加はなく(
図17A及び17D)、シグナルは、NGopa又はCTryを含有しない反応(NTC、
図17G)と同等であることを示し、したがって、39℃(D
1)でのリアルタイム検出を、試料中のCTcryの存在を決定するために使用することができることを示している。
【0458】
図17B、17E及び17Hは、NGopa(黒の実線)を20,000コピー(
図17B)、32コピー(
図17E)で含有する、又はコピーなし(
図17H)の反応についての74℃(D
2)での蛍光を示す。結果は、正規化されていないNGopa増幅曲線(
図17B及び17E)が、20,00コピー(黒の線)又は32コピー(灰色の線)のCTcryが試料内に存在するときにシフトされることを示している。
【0459】
図17C、17F及び17Iは、NGopa(黒の実線)を20,000コピー(
図17C)、32コピー(
図17F)で含有する、又はコピーなし(
図17I)の反応についてのFAFでの正規化後の74℃(D
2)での蛍光を示す。結果は、72℃(D
2)での正規化された増幅曲線が、同様のCq値を示し、ここで試料中のCTcryの量に関係なく、同じ数のNGopa鋳型が存在する(
図17C及び17F)。
図17Iは、72℃での外挿された増幅曲線が、試料がいかなるNGopa鋳型も含有しない場合に、いかなる有意な増幅も示さないことを示す。上述のFAF正規化方法の効果は、表9(S
YD
2 Cq値、S
YD
2=S
XYD
2- SxD
2FAF)及び表10(S
YD
2=S
XYD
2-SxD
2FAF正規化後のNGopaの定量化)において更に実証され、これらは、S
YD
2=S
XYD
2-SxD
2FAFによる減算によって正規化した後の、0、32、160、800、4,000、及び20,000コピーのCTcry遺伝子標的、並びに0、32、160、800、4,000、及び20,000コピーのNGopa遺伝子標的の全ての組み合わせの試料の72℃(D
2)での増幅の分析である。該当なし(N/A)は、72℃で決定されるCq値が存在しないため、試料中にNGopaが存在しない場合である。
【0460】
【0461】
【0462】
予言的な実施例5:分子ビーコン及びLOCSの組み合わせを使用した、単一波長での複数の標的の検出及び識別。
切断不可能な分子ビーコンを、MNAザイムによって切断可能なLOCSプローブと組み合わせて、単一波長で複数の標的を検出及び識別することができる。
図5に示されるように、分子ビーコン及びLOCSプローブは両方とも、同じ検出部分、例えば同じフルオロフォアで標識され得る。分子ビーコンは、Tm Aを有するステム領域と、Tm Bを有する第1の標的1と特異的にハイブリダイズすることができるループ領域とを有し得、Tm BはTm Aより高い(Tm B>Tm A)。これは、Tm Cを有するステム領域と、第2の標的2の存在下でMNAザイムによって切断され得るループ領域とを有し得る無傷LOCSプローブと組み合わせることができ、したがって、Tm Dを有する分割LOCSを生成し得、Tm Dは、Tm C未満である(Tm D<Tm C)。標的1及び/又は標的2の存在は、2つの温度(D
1及びD
2)での蛍光をリアルタイムで測
定するか、又は増幅の開始時若しくはその近く、及び増幅後に取得された単一の測定値を使用して識別することができる。蛍光出力の終点、又はリアルタイム測定の選択肢、及び結果の解釈のための戦略は、互いに、並びにD
1及びD
2に関して、Tm A、Tm B、Tm C、Tm Dの相対温度に依存する。
【0463】
以下のシナリオは、表1に要約される。表1は、分子ビーコン及びLOCSの例示的なTm、並びにシナリオ1~4の取得温度、及び予想される結果を提供する。
【0464】
シナリオ1
第1のプロトコルでは、Tm Aは65℃であり得、Tm Bは70℃であり得、Tm
Cは65℃であり得、Tm Dは55℃であり得る(Tm A>Tm DかつTm B>Tm C、>Tm B>Tm D)。PCR増幅は、存在する場合、標的1及び/又は標的2を増幅するために実行することができ、蛍光測定は、増幅の開始時又はその近く、及び再び増幅後に2つの温度で行うことができる。標的1及び/又は標的2の存在下で、Tm A、Tm B及びTm D未満である第1の温度(D1 50℃)(D1<Tm A、D1<Tm B、D1<Tm D)での蛍光の増加は、標的1のみの存在を示す。この温度では、分子ビーコンは、標的1へのハイブリダイゼーションに応答して蛍光を発するか、又はその不在下でクエンチされ、内部ハイブリダイズされたステムを維持する。同じ温度D1では、反応における標的1又は標的2のいずれかの存在又は不在にかかわらず、無傷及び/又は分割LOCS種の両方が、この温度でのそれぞれのステムのハイブリダイゼーションに起因してクエンチされる。更に、第1の温度D1及びTm Dの両方より高いが、Tm B及びTm Cの両方より低い第2の温度(D2 60℃)(D2>D1、D2>Tm D、D2<Tm B、D2<Tm C)での蛍光の増加は、標的1及び/又は標的2の存在を示す。この第2の温度では、分子ビーコンは、標的1へのハイブリダイゼーションに応答して蛍光を発するか、又は標的1の不在下でクエンチされ、内部ハイブリダイズされたステムを維持する。分子ビーコンは、標的2の存在又は不在によって影響を受けることはない。更に、D2では、標的2が存在しない場合、LOCSプローブは無傷のままであり、クエンチされる。標的2が存在する場合、標的2に特異的なMNAザイムによる切断が、この温度で解離するステム領域を有する分割LOCSを生成するため、蛍光が増加する。したがって、温度1で観察される蛍光の増加より大きい、PCR中の温度2での蛍光の増加は、標的2の存在を示す(ΔF D2>ΔF D1)。
【0465】
シナリオ2
第2のプロトコルでは、Tm Aは60℃であり得、Tm Bは70℃であり得、Tm
Cは70℃であり得、Tm Dは60℃であり得る(Tm A≒Tm D、Tm B≒Tm C、及びTm B>Tm D)。PCR増幅は、存在する場合、標的1及び/又は標的2を同時に増幅するために実行することができ、蛍光測定は、リアルタイムで、又は増幅の開始時/その近く、及び再び増幅後に2つの温度で行うことができる。標的1及び/又は標的2の存在下で、Tm A、Tm B及びTm D未満である第1の温度(D1
50℃)(D1<Tm A、D1<Tm B、D1>Tm D)での蛍光の増加は、標的1のみの存在を示す。この温度では、分子ビーコンは、標的1へのハイブリダイゼーションに応答して蛍光を発するか、又はその不在下でクエンチされ、内部ハイブリダイズされたステムを維持する。同じ温度D1では、反応における標的1又は標的2のいずれかの存在又は不在にかかわらず、無傷及び/又は分割LOCS種の両方が、この温度でのそれぞれのステムのハイブリダイゼーションに起因してクエンチされる。更に、第1の温度D1及びTm A及びTm Dのいずれよりも高いが、Tm B及びTm Cより低い第2の温度(D2 65℃)(D2>D1、D2>Tm A、D2>Tm B、D2>Tm C、D2<Tm D)での蛍光の増加は、標的1及び/又は標的2の存在を示す。この第2の温度では、分子ビーコンは、反応における標的2の存在又は不在にかかわらず、標的1へのハイブリダイゼーションに応答して蛍光を発するか、この温度でのそのステムの解
離に起因して蛍光を発する。したがって、分子ビーコンの蛍光は、この温度で、増幅の前、増幅の間、及び増幅の後に、バックグラウンド蛍光レベルを提供する。更に、D2では、標的2が存在しない場合、LOCSプローブは無傷のままであり、クエンチされる。標的2が存在する場合、標的2に特異的なMNAザイムによる切断が、この温度で解離したステム領域を有する分割LOCSを生成するため、PCR中バックグラウンドレベルを超えて蛍光が増加する。したがって、PCR中の温度2での蛍光の増加は、標的2の存在を示す。全体的に、PCR中のD1における蛍光の増加は、分子ビーコンによって検出される標的1の存在を示し、PCR中のD2における蛍光の増加は、LOCSプローブによって検出される標的2の存在を示す。
【0466】
シナリオ3
第3のプロトコルでは、Tm Aは60℃であり得、Tm Bは70℃であり得、Tm
Cは80℃であり得、Tm Dは70℃であり得る(Tm A<Tm D、Tm A<Tm C及びTm B≒Tm D)。PCR増幅は、存在する場合、標的1及び/又は標的2を増幅するために実行することができ、蛍光測定は、リアルタイムで、又は増幅の開始時/その近く、及び再び増幅後に2つの温度で行うことができる。標的1及び/又は標的2の存在下で、Tm A及びTm B及びTm C及びTm D未満である第1の温度(D1 50℃)(D1<Tm A、D1<Tm B、D1<Tm C、D1<Tm D)での蛍光の増加は、標的1のみの存在を示す。この温度では、分子ビーコンは、標的1へのハイブリダイゼーションに応答して蛍光を発するか、又はその不在下でクエンチされ、内部ハイブリダイズされたステムを維持する。同じ温度D1では、反応における標的1又は標的2のいずれかの存在又は不在にかかわらず、無傷及び/又は分割LOCS種の両方が、この温度でのそれぞれのステムのハイブリダイゼーションに起因してクエンチされる。更に、第1の温度D1及びTm A及びTm B及びTm Dのいずれよりも高いが、Tm Cより低い第2の温度(D2 75℃)(D2>D1、D2>Tm A、D2>Tm B、D2>Tm D、D2<Tm C)での蛍光の増加は、標的2の存在を示す。この第2の温度では、分子ビーコンは、標的1にハイブリダイズできないが、反応における標的1又は標的2の存在又は不在にかかわらず、この温度でのそのステムの解離に起因して蛍光を発する。したがって、分子ビーコンの蛍光は、この温度で、増幅の前、増幅の間、及び増幅の後に、バックグラウンド蛍光レベルを提供する。更に、D2では、標的2が存在しない場合、LOCSプローブは無傷のままであり、クエンチされる。標的2が存在する場合、標的2に特異的なMNAザイムによる切断が、この温度で解離したステム領域を有する分割LOCSを生成するため、PCR中バックグラウンドレベルを超えて蛍光が増加する。したがって、PCR中の温度2での蛍光の増加は、標的2の存在を示す。全体的に、PCR中のD1における蛍光の増加は、分子ビーコンによって検出される標的1の存在を示し、PCR中のD2における蛍光の増加は、LOCSプローブによって検出される標的2の存在を示す。
【0467】
シナリオ2と同様に、この実施形態は、複数の温度での測定を利用する当該技術分野で知られている他の方法よりも大きな利点を提供する。この特定の実施形態は、複雑なPCR後分析の必要性をなくす方法で、分子ビーコン及びLOCSプローブを組み合わせる。この形式は、第1の温度で生成された第1の増幅曲線からの第1の標的の直接的な定量化、及び第2の温度で生成された第2の増幅曲線からの第2の標的の直接的な定量化を可能にする。
【0468】
シナリオ4
第4のプロトコルでは、Tm Aは75℃であり得、Tm Bは80℃であり得、Tm
Cは65℃であり得、Tm Dは55℃であり得る(Tm A>Tm C、Tm A>Tm D及びTm B>Tm C)。PCR増幅は、存在する場合、標的1及び/又は標的2を増幅するために実行することができ、蛍光測定は、増幅の開始時/その近く、及び
再び増幅後に2つの温度で行うことができる。標的1及び/又は標的2の存在下で、Tm
A及びTm B未満であるがTm C及びTm Dより高い第1の温度(D1 70℃)(D1<Tm A、D1 <Tm B、D1>Tm C、D1>Tm D)での蛍光の増加は、標的1の存在を示す。この温度では、分子ビーコンは、標的1のハイブリダイゼーションに応答して蛍光を発するか、又は標的1の不在下でクエンチされ、内部ハイブリダイズされたステムを維持する。同じ温度D1では、無傷及び/又は分割LOCSの両方が、この温度でのそれぞれのステム領域の解離に起因して蛍光を発する。更に、Tm Dより高いが第1の温度、Tm A、Tm B及びTm Cより低い第2の温度(D2 60℃(D2<D1、D2<Tm A、D2<Tm B、D2<Tm C、D2>Tm D)での蛍光の増加は、標的1及び/又は標的2の存在を示す。この第2の温度では、無傷LOCS種が、この温度でのそれらのステムのハイブリダイゼーションに起因してクエンチされる。標的2が存在する場合、標的2に特異的なMNAザイムによる切断が、この温度で解離したステム領域を有する分割LOCSを生成するため、PCR中蛍光が増加する。分子ビーコンは、標的1の存在下での標的1のハイブリダイゼーションに応答してこの温度で蛍光を発するか、又は標的1の不在下でクエンチされ、内部ハイブリダイズされたステムを維持する。分子ビーコンは、標的2の存在又は不在によって影響を受けることはない。したがって、温度1での観察される蛍光の増加より大きい、PCR中の温度2での観察される蛍光の増加(ΔSD2 > ΔSD1)は、標的2の存在を示す。
【0469】
実施例6:1つの標的の同時リアルタイム定量化及び第2の標的の定性的終点検出、又は1チャネル当たり2つの標的の同時定性的終点分析のいずれかを可能にする形式での、1つのTaqManプローブ及び1つのLOCSプローブを使用した単一波長での複数の標的の分析方法。
以下の実施例は、1つのTaqManプローブ及び1つのLOCSレポーターが、2つの遺伝子標的(GAPDH及びMgPa)の検出及び鑑別及び融解曲線分析を必要としない単一の蛍光チャネルにおける1つの標的(GAPDH)のCq決定のために一緒に使用されるアプローチを実証する。アッセイは、TaqManプローブを使用してGAPDH遺伝子がリアルタイムで検出され得、LOCSレポーターを使用してMgPa遺伝子が終点で検出及び鑑別され得るように設計されている。
【0470】
PCRの間、TaqManプローブは、GAPDHの存在下で切断され、フルオロフォア及びクエンチャーを分離して、広範囲の温度にわたって検出され得るシグナルの増加をもたらすことができる。この実施例では、GAPDHのリアルタイム検出及びCq決定は、温度1(52℃)でのPCR中の各サイクルでの蛍光を取得することによって達成される。無傷及び分割構成の両方のLOCSプローブのステムは、温度1(52℃)より高い融解温度(Tm)を有し、したがって、LOCSレポーターは、試料中のMgPaの存在又は不在にかかわらず、温度1でのシグナルに寄与しない。
【0471】
MgPaの存在下で、MNAザイム5は、PCR中にLOCSプローブを切断することができる。MgPaの定性的検出は、増幅の前後の両方で、より高い温度2(70℃)で蛍光を測定することによって達成される。無傷LOCSステムのTmが温度2より高く(Tm>70℃)、分割LOCSのステムのTmが温度2より低い(Tm<70℃)ため、蛍光の増加は、分割及び解離LOCSに関連し、MgPaの存在を示す。この蛍光の増加は、この温度での分解されたTaqManプローブによって引き起こされる任意のバックグラウンド蛍光を上回っているはずであり、MgPa標的の存在を示すとみなされる。
【0472】
この実施例は、単一の蛍光チャネル(FAM)における第2の標的の定性的な別個の温度検出を伴う、第1の標的の混合定量的リアルタイム測定を実証する。更に、この実施例は、実施例1で説明したように、終点分析法1~3を使用した離散蛍光測定値の測定によって、同じ2つの標的の定性分析を実証する。
【0473】
オリゴヌクレオチド
この実験に特異的なオリゴヌクレオチドには、順方向プライマー5(配列番号20)、逆方向プライマー5(配列番号21)、パートザイムA5(配列番号22)、パートザイムB5(配列番号23)、LOCS-2(配列番号25)が含まれ、これらはMgPaの増幅及び検出に特異的である。GAPDHの増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、独自のTaqMan(商標)遺伝子発現アッセイ(FAM)ヒトGAPDH(Applied Biosystems)に含まれる。
【0474】
反応条件
BioRad(登録商標)CFX96熱サイクラーを使用して、20μLの合計反応体積でリアルタイム増幅及び検出を実行した。サイクリングパラメータ及び蛍光データ取得(DA)点は、95℃で2分間、52℃で15秒間(DA)、70℃で15秒間(DA)の1サイクル、95℃で5秒間及び61℃で30秒間(1サイクル当たり0.5℃の減衰)の10サイクル、95℃で5秒間及び52℃で40秒間(52℃での各サイクルでのDA)の40サイクル、並びに70℃で15秒間(DA)の1サイクルであった。全ての反応は、3回反復で実行し、40nMの順方向プライマー5、200nMの逆方向プライマー5、200nMのパートザイムA5、200nMのパートザイムB5、300nMのLOCS-2、1×TaqMan(商標)遺伝子発現アッセイ(FAM)、ヒトGAPDH(Applied Biosystems)、及び1×SensiFast緩衝液(Bioline)を含有した。反応は、標的を含有しない(NF H2O)か、又はヒトゲノムDNA(10,000若しくは100コピー)若しくはMgPa遺伝子の領域を含有する合成Gブロック(10,000若しくは100コピー)若しくはヒトゲノムDNA及び合成MgPa Gブロック(それぞれ10,000若しくは100コピー)の両方を含有した。
【0475】
結果
この実施例では、MNAザイム5によって切断可能な1つのTaqManプローブ及び1つのLOCSプローブを単一のPCR反応で組み合わせて、単一の蛍光チャネル(FAM)のみを使用して2つの標的GAPDH及びMgPaをそれぞれ同時に検出及び鑑別した。GAPDH遺伝子の存在は、FAMチャネルにおける52℃での蛍光シグナルの増加によってリアルタイムで検出され、PCRサイクルの前後の52℃での離散的な時点での蛍光の分析によっても検出された。MgPaの存在は、同じチャネルでのPCRサイクルの前後の70℃での離散的な時点での蛍光の分析を通じてLOCS-2の切断を監視することによって検出された。
【0476】
図18Aに示される結果は、10,000(灰色の線)及び100(破線)コピーのヒトGAPDH鋳型のみ(
図18A)、10,000(灰色の線)及び100(破線)コピーのMgPaのみ(
図18B)、並びに10,000(灰色の線)及び100(破線)コピーのヒトGAPDH及びMgPa鋳型のそれぞれ(
図18C)を含有する反応混合物から、52℃の取得温度でFAMチャネルで得られたPCR増幅曲線を示す。標的なし対照(NF H
2O)を、
図18A~C(黒の実線)に示す。
【0477】
上記の反応から得られるCq値を表11に示すが、該当なし(N/A)は、ヒトGAPDHの不在と一致して52℃で決定されるCq値が存在しない場合を指す。Cq値は、200RFUの単一の閾値を使用して決定された。結果は、ヒトGAPDHのCq値が、MgPaの存在又は不在にかかわらず同等であることを示している。したがって、FAMチャネルで得られたCq値は、試料中のヒトGAPDHの直接的な定量分析に使用され得る。
【0478】
【0479】
図19の結果は、FAMチャネルにおけるGAPDH及びMgPa遺伝子の定性的検出の結果を示す。終点分析法1の結果は、2つの異なる温度で得られた蛍光シグナルの変化を示す
図19Aに示されている。ΔS
D1(52℃で測定)は、白黒パターンで示され、ΔS
D2(70℃で測定)は、灰色で示されている。結果は、ΔS
D1が、GAPDHが反応中に存在する場合閾値X
1を超えるが、GAPDHが存在しない場合には閾値を超えないことを示している。したがって、閾値X
1より大きいΔS
D1は、GAPDHの存在を示す。結果はまた、MgPaが存在する場合、ΔS
D2が閾値X
1を超え、反応においてΔS
D1より大きいことを示している(ΔS
D2>ΔS
D1)。
【0480】
図19Bの結果は、MgPaのみの検出に終点分析法2を使用して、温度2及び温度1でFAMチャネルで得られた蛍光シグナルの差(ΔΔS
D2ΔS
D1)を示す。結果は、ΔΔS
D2ΔS
D1が、MgPaが反応中に存在する場合閾値X
2を超えるが、試料にMgPaが存在しない場合には、この閾値を超えないことを示している。したがって、閾値X
2より大きいΔΔS
D2ΔS
D1は、MgPaの存在を示す。
【0481】
図19C及び19Dの結果は、終点分析法3を使用して2つの異なる温度でFAMチャネルで得られた蛍光シグナルの変化を示す。
図19Cにおいて、ΔS
D2が閾値X
1より大きい場合、これは、GAPDH及び/又はMgPaが反応中に存在することを示す。ΔS
D2が閾値X
1より低い場合、これは、GAPDHもMgPaも反応中に存在しないことを示す。
図19Dは、どの標的が反応中に存在するかを示すために比率ΔS
D1:ΔS
D2が使用され得ることを示している。この比率が閾値R
1より高い場合、これは、GAPDHは存在するがMgPaは存在しないことを示す。比率が閾値R
2より低い場合、これは、MgPaは存在するがGAPDHは存在しないことを示す。この比率が閾値R
1とR
2との間にある場合、これは、GAPDH及びMgPaの両方が存在することを示す。反応中にGAPDHもMgPaも存在しない場合(
図19Cから決定される)、比率の計算の必要性はなくなり、
図19Dに示されるようにN/Aとして示される。
【0482】
全体として、この実施例は、2つの標的を2つの異なる温度で単一の蛍光チャネルで検出することができることを実証し、それぞれ1つのTaqManプローブ及び1つのLOCSプローブを使用して、1つの標的は定量化され得、他方の標的は終点で検出され得る。この単純な方法は、融解曲線分析を必要としない。この実施例はまた、複数の別個の温度でのPCR前及びPCR後の蛍光値の比較によって、単一波長で複数の標的について定性的データを得ることができること、並びにいくつかの代替方法をこのデータの分析に適用することができることを実証している。この実施例は、更なる利点、すなわち、TaqManプローブ等の他の技術を使用して、1つ以上のLOCSプローブを既存の市販キットと組み合わせ、したがって、それらの多重化能力を拡大する能力を実証している。
【0483】
実施例7:分子ビーコン及びLOCSの組み合わせを使用した、単一波長での2つの標的のリアルタイム検出及び定量化。
以下の実施例は、1つの切断不可能な分子ビーコン及び1つのLOCSレポーターの組み合わせが、PCR中にリアルタイムで2つの温度で蛍光読み取りを収集することによって、単一の蛍光チャネルにおける2つの標的の同時検出及び定量化を可能にするアプローチを実証する。この戦略は、実施例4で実証されたように、特別な事後増幅分析法の必要性を排除する。
図5に示されるように、分子ビーコン及びLOCSプローブは両方とも、同じ蛍光チャネルでの同時検出のために、同じフルオロフォア及びクエンチャー部分で標識される。分子ビーコンは、Tm Aを有するステム領域と、Tm Bを有する標的1(TVbtub)と特異的にハイブリダイズすることができるループ領域とを含み、Tm BはTm Aより高い(Tm B>Tm A)。この実施例では、無傷LOCSプローブは、Tm C(82℃)を有するステム領域と、第2の標的2(MgPa)の存在下でMNAザイムによって切断されるとTm D(62℃)を有する分割LOCSを生成するループ領域とを有し、Tm DはTm Cより低い(Tm D<Tm C)。標的1(TVbtub)及び/又は標的2(MgPa)の存在は、2つの温度(D
1及びD
2、52℃及び74℃)での蛍光を各PCRサイクル後にリアルタイムで測定するか、又は増幅の開始時若しくはその近く、及び増幅後に取得された単一の測定値を使用して識別することができる。以下の実施例では、Tm Aは約60℃であり、Tm Bは約68℃であり、Tm Cは約82℃であり、Tm Dは約62℃であり、これはD
1<Tm A<Tm B<D
2及びD
1<Tm D<D
2<Tm Cである実施例5に記載のシナリオ3と一致する。
【0484】
オリゴヌクレオチド
この実験に特異的なオリゴヌクレオチドには、以下が含まれる。標的1(TVbtub)の増幅及び定量化のための順方向プライマー12(配列番号63)、逆方向プライマー12(配列番号64)、及び分子ビーコン1(配列番号68)。標的2(MgPa)の増幅及び定量化のための順方向プライマー5(配列番号20)及び逆方向プライマー5(配列番号21)、パートザイムA5(配列番号22)、パートザイムB5(配列番号23)、並びにLOCS-2(配列番号25)。配列は、配列表に列挙する。
【0485】
反応条件
BioRad(登録商標)CFX96熱サイクラーを使用して、20μLの合計反応体積で標的配列のリアルタイム検出を実行した。サイクリングパラメータは、95℃で2分間、52℃で15秒間、74℃で15秒間(データは52℃及び74℃のステップで収集)、続いて95℃で5秒間及び61℃で30秒間の10タッチダウンサイクル(1サイクル当たり0.5℃の減衰)、並びに95℃で5秒間、52℃で40秒間、及び74℃で5秒間の40サイクル(データは52℃及び74℃のステップの両方で収集)であった。各反応は、20nMの順方向プライマー12、40nMの順方向プライマー5、200nMの各逆方向プライマー、200nMの各パートザイム、200nMの分子ビーコン1、200nMのLOCS-1レポーター、及び1×PlexMastermix(Bioline)を含有した。
【0486】
反応は、標的を含有しない(NF H2O)か、又はTVbtub遺伝子の領域を含有する合成Gブロック(25600、6400、1600、400、若しくは100コピー)、MgPa遺伝子の領域を含有する合成Gブロック(25600、6400、1600、400、若しくは100コピー)、合成MgPa Gブロック(25600コピー)のバックグラウンドでの様々な濃度の合成TVbtub Gブロック(25600、6400、1600、400、若しくは100コピー)、若しくは合成MgPa Gブロック(
25600コピー)のバックグラウンドでの様々な濃度の合成TVbtub Gブロック(25600、6400、1600、400、若しくは100コピー)のいずれかを含有した。4つの反応は、200コピーのMgPaを有する12800コピーのTVbtub、12800コピーのMgPaを有する200コピーのTVbtub、800コピーのMgPaを有する3200コピーのTVbtub、及び3200コピーのMgPaを有する800コピーのTVbtubの異なる濃度で両方の標的を含有した。
【0487】
結果
PCR増幅中、蛍光を2つの温度でリアルタイムで測定し、標的1(TVbtub)及び/又は標的2(MgPa)の存在を検出及び定量化した。分子ビーコンは、Trichomonas vaginalis(TV)の検出のためにTVbtubに相同な配列を検出するように設計した。MNAザイムは、Mycoplasma genitaliumの検出のために、MgPaに相同な配列の存在下でLOCS-2を切断するように設計された。PCR中の特定のシグナルの存在又は不在は、表12に要約され、全体的なスキームは、実施例5のシナリオ3(表1)に記載されるものに類似する。
【0488】
【0489】
図20に示される結果は、25600コピーのTVbtub(黒の点線)若しくはMgPa(黒の破線)のいずれか、25600コピーの両方の遺伝子標的の混合物(灰色の実線)を含有する、又は遺伝子標的なし(NF H
2O、黒の実線)の反応からFAMチャネルで測定された52℃(D
1、
図20A)及び74℃(D
2、
図20B)での蛍光の比較増幅曲線を示す。結果を、3回反復反応の平均としてプロットする。
【0490】
図20Aは、52℃(D
1)で、TVbtub(黒の点線)の存在下での蛍光の増加、又は反応におけるTVbtub及びMgPaの両方(灰色の実線)の増加を示すが、MgPaのみを含有する反応(黒の破線)を含む、TVbtubの不在下での蛍光の増加はな
い。この温度では、分子ビーコンは、存在する場合にはTVbtub遺伝子標的へのハイブリダイゼーションに応答して蛍光を発するか、又はその標的の不在下でクエンチされ、内部ハイブリダイズされたステムを維持する。同じ温度D
1では、反応におけるTVbtub又はMgPaのいずれかの存在又は不在にかかわらず、無傷及び/又は分割LOCS種の両方が、この温度でのそれぞれのステムのハイブリダイゼーションに起因してクエンチされる。蛍光が指数関数的に増加し始めるサイクル数は、TVbtubのみ、及びTVbtub+MgPaを含有する反応において同等であり、MgPaの存在が、D
1でのTVbtubの定量化に影響しないことを示す。したがって、52℃(D
1)での蛍光の増加は、TVbtubの存在を示し、D
1で得られたCq値は、反応におけるMgPaの存在又は不在にかかわらず、TVbtubの直接的な定量化に使用することができる。
【0491】
図20Bは、74℃(D
2)で、MgPa(黒の破線)の存在下での蛍光の増加、又は反応におけるTVbtub及びMgPaの両方(灰色の実線)の増加を示すが、TVbtubのみを含有する反応(黒の点線)を含む、MgPaの不在下での蛍光の増加はない。D
2では、分子ビーコンは、存在する場合であってもTVbtubにハイブリダイズできず、反応におけるいずれかの標的の存在又は不在にかかわらず、この温度でのそのステムの解離に起因して常に蛍光を発する。したがって、分子ビーコンの蛍光は、この温度で、増幅の前、増幅の間、及び増幅の後に、バックグラウンド蛍光レベルを提供する。更に、D
2では、MgPaが存在しない場合、LOCSプローブは無傷のままであり、クエンチされる。MgPaが反応中に存在する場合、MgPaに特異的なMNAザイムによる切断が、この温度で解離したステム領域を有する分割LOCSを生成するため、PCR中バックグラウンドレベルを超えて蛍光が増加する。したがって、PCR中のD
2での蛍光の増加は、MgPaの存在を示す。蛍光が指数関数的に増加し始めるサイクル数は、MgPaのみの存在下、並びにMgPa及びTVbtubの両方を含有する共感染の存在下において同等であり、TVbtubの存在が、D
2でのMgPaの定量化に影響しないことを示す。したがって、72℃(D
2)での蛍光の増加は、MgPaの存在を示し、D
2で得られたCq値は、反応におけるTVbtubの存在にかかわらず、MgPaの直接的な定量化に使用することができる。
【0492】
25600、6400、1600、400及び100コピーのTVbtubを含有する標準反応を使用して、MgPaの存在下又は不在下でTVbtubを含有する試料中の52℃(D
1)でのTVbtubの開始濃度を定量するために使用される標準曲線(
図21A)を構築した。表13は、25600コピーのMgPaの存在が、52℃で検出されたTVbtubの定量化に有意に影響を及ぼさなかったことを示す(対応のあるスチューデントt検定、p値=0.418)。同様に、25600、6400、1600、400及び100コピーのMgPaを含有する標準を使用して、TVbtubの存在下又は不在下でMgPaを含有する試料中の74℃(D
2)でのMgPaの開始濃度を定量するために使用される標準曲線(
図21B)を構築した。表13は、25600コピーのTVbtubの存在が、74℃で検出されたMgPaの定量化に有意に影響を及ぼさなかったことを示す(対応のあるスチューデントt検定、p値=0.150)。無作為な濃度のTVbtub及びMgPa遺伝子標的を含有する試料も定量化し、得られた推定コピー数は、試料に添加された既知のTVbtubの濃度と同等であった(表14)。これは、TVbtubが、MgPaの存在にかかわらず、D
1(52℃)で正確に定量することができ、同様に、MgPaが、TVbtubの存在にかかわらず、D
2(74℃)で正確に定量することができることを示している。
【0493】
【0494】
【0495】
この方法は、単一波長で複数の標的を区別するために、複数の温度での測定を利用し、続いて蛍光調整因子(FAF)(例えばTOCE)を使用して分析する、当該技術分野で知られている他の方法よりも大きな利点を提供する。この実施例における実施形態は、同じ分子の蛍光出力の温度関連の差を考慮するための調整を必要としない。第1の温度で1つの標的を検出し、第2の温度で2つの標的を検出する他の方法とは異なり、LOCS及び分子ビーコンを組み合わせたここで示される実施例は、1つの温度での1つの標的の検出及び定量化、並びに第1の標的の干渉のない第2の温度での第2の標的の検出及び定量化(並びにその逆)を可能にする。同様に、リアルタイム監視の不在下では、離散的な時点で測定された蛍光の観察される増加(PCR後-PCR前)は、第1の温度で標的1のみの存在を示し、第2の温度で標的2のみの存在を示す。
【0496】
予言的な実施例8:デュアルハイブリダイゼーションプローブ及びLOCSの組み合わせを使用した、単一波長での2つの標的のリアルタイム検出及び定量化。
以下の実施例は、1対のデュアルハイブリダイゼーションプローブ及び1つのLOCSレポーターの組み合わせが、PCR中にリアルタイムで2つの温度で蛍光読み取りを取得することによって、単一の蛍光チャネルにおける2つの標的の同時検出及び定量化を可能にし得るアプローチを示す。代替的に、リアルタイムモニタリングが存在しない場合、アプローチは、例えば、増幅の開始時の又はその近く、及び増幅後の離散的な時点で収集された蛍光データに適用することができる。この戦略は、実施例4で概説されたように、特別な事後増幅分析法の必要性を排除する。
【0497】
図22に示されるように、デュアルハイブリダイゼーションプローブ及びLOCSプローブは両方とも、同じ蛍光チャネル内での同時検出のために、同じフルオロフォア及びクエンチャー部分で標識され得る。デュアルハイブリダイゼーションプローブは、Tm Aを有する第1のプローブ、及びTm Bを有する第2のプローブを含有し得、Tm A及びTm Bは等しくてもよく、又はTm A及びTm Bは異なり得る。一方のプローブがその3’末端でフルオロフォアで標識されてもよく、他方のプローブがその5’末端でクエンチャーで標識されてもよい。(代替的に、一方のプローブがその3’末端でクエンチャーで標識されてもよく、他方のプローブがその5’末端でフルオロフォアで標識されてもよい)。デュアルハイブリダイゼーションプローブは、例えば60℃のTm A、及び例えば60℃のTm Bで標的1上で隣接してハイブリダイゼーションするように設計され得る。このシナリオでは、デュアルハイブリダイゼーションプローブは、増幅の前は蛍光性であるが、標的1が存在し、検出温度がTm A及びTm B未満である場合、増幅の後にクエンチされる。したがって、第1の温度(D
1)、例えば50℃で観察される蛍光の減少は、標的1の存在を示す。
【0498】
更に、反応は、例えば80℃のTm Cを有するステム領域、及び第2の標的2の存在下でMNAザイムによって切断されると例えば60℃のTm Dを有する分割LOCSを生成し得るループ領域を有する無傷LOCSプローブを含有し得る(Tm D<Tm C)。このシナリオでは、無傷LOCSは、増幅の前にクエンチされるが、標的2が存在し、検出温度がTm Dを超えるがTm C未満であり、かつTm A及びTm Bを超える場合にのみ、増幅後に蛍光が増加する。したがって、第2の温度(D2)、例えば70℃での観察される蛍光の増加は、標的2の存在を示す。
【0499】
したがって、この組み合わせは、第1の温度(D1)での蛍光の減少として決定されるデュアルハイブリダイゼーションプローブを使用した標的1のみの検出と、第2の温度(D2)での蛍光の増加によって決定されるLOCSプローブを使用した標的2のみの検出とを可能にする。
【0500】
【0501】
予言的な実施例9:Scorpionプローブ及びLOCSプローブの組み合わせを使用した、単一波長での2つの標的のリアルタイム検出及び定量化。
以下の実施例は、1つのScorpionプローブ及び1つのLOCSレポーターの組み合わせが、PCR中にリアルタイムで2つの温度で蛍光読み取りを取得することによって、単一の蛍光チャネルにおける2つの標的の同時検出及び定量化を可能にし得るアプローチを示す。代替的に、リアルタイムモニタリングが存在しない場合、アプローチは、例えば、増幅の開始時の又はその近く、及び増幅後の離散的な時点で収集された蛍光データに適用することができる。この戦略は、実施例4で説明されたように、特別な事後増幅分析法の必要性を排除する。
【0502】
この実施形態では、Scorpionプローブ及びLOCSプローブは両方とも、同じ蛍光チャネルでの同時検出のために、同じフルオロフォア及びクエンチャー部分で標識され得る。この戦略には2種類のScorpionプローブ、すなわちScorpionユニプローブとScorpionバイプローブが使用され得る。Scorpionユニプローブは、ブロッカーを介してPCRプライマーの5’末端に直接結合した5’末端レポーター及び内部クエンチャーを有するステムループ構造で保持された一本鎖二重標識蛍光プローブ配列から構成され得る。PCRの間、プライマー部分は、標的1にハイブリダイズして伸長するように設計され得、ステムループのステム領域は、例えば55℃のTm Aを有し得、ステムループのループ領域は、例えば60℃のTm Bを有する標的1アンプリコンに結合し得る。PCRの間、ヘアピン-ループが展開され得、ユニプローブのループ領域が、新たに合成された標的1配列に分子内でハイブリダイズし得、したがってフルオロフォア及びクエンチャーを分離し得る。したがって、PCRの間、第1の温度(D1
)、例えば50℃での蛍光の観察される増加は、標的1の存在を示すであろう。
【0503】
更に、反応は、例えば80℃のTm Cを有するステム領域、及び第2の標的2の存在下でMNAザイムによって切断されると例えば60℃のTm Dを有する分割LOCSを生成し得るループ領域を有する無傷LOCSプローブを含有し得る(Tm D<Tm C)。このシナリオでは、無傷LOCSは、増幅の前にクエンチされるが、標的2が存在し、検出温度がTm Dを超えるがTm C未満であり、かつTm A及びTm Bを超える場合にのみ、増幅後に蛍光が増加する。したがって、第2の温度(D2)、例えば65℃での観察される蛍光の増加は、標的2の存在を示す。
【0504】
したがって、この組み合わせは、第1の温度(D1)での蛍光の増加により監視されるScorpionユニプローブを使用した標的1のみの検出と、第2の温度(D2)での蛍光の増加によって監視されるLOCSプローブを使用した標的2のみの検出とを可能にする。
【0505】
【0506】
同様に、ScorpionバイプローブをLOCSプローブと組み合わせることができる。Scorpionバイプローブは、ブロッカーを介してPCRプライマーの5’末端に直接結合した一本鎖蛍光プローブ配列から構成され得る。更に、プローブに相補的であり、クエンチャーで標識される配列は、Tm Aでプライマー/プローブ分子に結合して
、PCRの前に又は標的の不在下でクエンチされる二重構造を形成し得る。PCRの間、プライマー部分は、標的1にハイブリダイズして伸長するように設計され得、プローブ領域及び相補的クエンチャー配列は、例えば55℃のTm Aを有し得、プローブ領域は、例えば60℃のTm Bを有する標的1アンプリコンに結合し得る。PCRの間、相補的クエンチャー配列が解離し得、バイプローブのプローブが、新たに合成された標的1配列に分子内ハイブリダイズし得、したがって相補的クエンチャー配列の結合をブロックし、したがって蛍光を生成し得る。したがって、PCRの間、第1の温度(D1)、例えば50℃での蛍光の観察される増加は、標的1の存在を示すであろう。
【0507】
更に、反応は、例えば80℃のTm Cを有するステム領域、及び第2の標的2の存在下でMNAザイムによって切断されると例えば60℃のTm Dを有する分割LOCSを生成し得るループ領域を有する無傷LOCSプローブを含有し得る(Tm D<Tm C)。このシナリオでは、無傷LOCSは、増幅の前にクエンチされるが、標的2が存在し、検出温度がTm Dを超えるがTm C未満であり、かつTm A及びTm Bを超える場合にのみ、増幅後に蛍光が増加する。したがって、第2の温度(D2)、例えば65℃での観察される蛍光の増加は、標的2の存在を示す。
【0508】
したがって、この組み合わせは、第1の温度(D1)での蛍光の増加により監視されるScorpionバイプローブを使用した標的1のみの検出と、第2の温度(D2)での蛍光の増加によって監視されるLOCSプローブを使用した標的2のみの検出とを可能にする。
【0509】
【0510】
実施例10:内部蛍光較正あり及びなしで、分子ビーコン及び1つのLOCSレポーターのうちの1つを使用して、単一波長で複数の標的を分析するための方法。
以下の実施例は、2つの温度で増幅前及び増幅後の蛍光読み取り値を取得することによって、1つの切断不可能な分子ビーコン及び1つのLOCSレポーターを使用して、単一波長で複数の標的を分析するための方法を実証する。この戦略は、実施例1で実証された特別な終点分析法の必要性を排除する。更に、この戦略は、リアルタイム検出に必要な全てのサイクルのデータ取得の必要性をなくし、したがって、結果が得られるまでの全体的な時間を低減するのに役立つ。
図5に示されるように、分子ビーコン及びLOCSプローブは両方とも、同じ蛍光チャネルでの同時検出のために、同じフルオロフォア及びクエンチャー部分で標識される。分子ビーコンは、Tm Aを有するステム領域と、Tm Bを有する標的1(TVbtub)と特異的にハイブリダイズすることができるループ領域とを含み、Tm BはTm Aより高い(Tm B>Tm A)。この実施例では、無傷LOCSプローブは、Tm C(82℃)を有するステム領域と、標的2(MgPa)の存在下でMNAザイムによって切断されるとTm D(62℃)を有する分割LOCSを生成するループ領域とを有し、Tm DはTm Cより低い(Tm D<Tm C)。標的1(TVbtub)及び/又は標的2(MgPa)の存在は、増幅の開始時若しくはその近く、及び増幅後に取得された単一の測定値を使用して、2つの温度(D
1及びD
2、52℃及び74℃)での蛍光の増加を測定することによって鑑別することができる。以下の実施例では、Tm Aは約60℃であり、Tm Bは約68℃であり、Tm Cは約82℃であり、Tm Dは約62℃であり、これはD
1<Tm A<Tm B<D
2及びD
1<Tm D<D
2<Tm Cである実施例5に記載のシナリオ3と一致する。
【0511】
オリゴヌクレオチド
この実験に特異的なオリゴヌクレオチドには、以下が含まれる。標的1(TVbtub)の増幅及び定量化のための順方向プライマー12(配列番号63)、逆方向プライマー12(配列番号64)及び分子ビーコン1(配列番号68)、標的2(MgPa)の増幅及び定量化のための順方向プライマー5(配列番号20)、逆方向プライマー5(配列番号21)、パートザイムA5(配列番号22)、パートザイムB5(配列番号23)、基質3(配列番号24)、LOCS-2(配列番号25)。配列は、配列表に列挙する。
【0512】
反応条件
BioRad(登録商標)CFX96熱サイクラーを使用して、20μLの合計反応体積で標的配列のリアルタイム検出を実行した。サイクリングパラメータ及び蛍光データ取得(DA)点は、95℃で2分間、52℃で15秒間(DA)及び74℃で15秒間(DA)の1サイクル、95℃で1秒間及び60℃で20秒間の50サイクル、並びに52℃で5分間(DA)及び74℃で15秒間(DA)の1サイクルであった。全ての反応は、6回の反復を使用した10コピーの鋳型を含有する反応を除いて、3回反復で行われた。各反応は、40nMの各順方向プライマー、200nMの各逆方向プライマー、200nMの各パートザイム、200nMの分子ビーコン1、300nMのLOCS-2レポーター、及び1×PlexMastermix(Bioline)を含有した。第1のプレート上の反応は、標的を含有しない(NF H2O)か、又はTVbtubの合成Gブロック(10000若しくは200コピー)、MgPa遺伝子の合成Gブロック(10000若しくは200コピー)、若しくはMgPa遺伝子の合成Gブロック(10000若しくは200コピー)のバックグラウンドでの様々な組み合わせのTVbtub遺伝子の合成Gブロック(10000若しくは200コピー)のいずれかを含有した。第2のプレート上の反応は、標的を含有しない(NF H2O)か、又はTVbtubの合成Gブロック(200、100、50、25若しくは10コピー)、MgPa遺伝子の合成Gブロック(200、100、50、25若しくは10コピー)、若しくはTVbtub及びMgPa遺伝子の合成Gブロックの両方(それぞれ200、100、50、25若しくは10コピー)のいずれかを含有した。
【0513】
結果
蛍光の増加は、2つの温度(D1及びD2、52℃及び74℃)でのPCR前及びPCR後の測定値(ΔS)の間の差を計算して、標的1(TVbtub)及び標的2(MgPa)のそれぞれの存在を決定することによって決定した。分子ビーコンは、Trichomonas vaginalis(TV)の検出のためにTVbtubに相同な配列を検出するように設計した。MNAザイムは、Mycoplasma genitaliumの検出のために、MgPaの存在下でLOCS-1を切断するように設計された。PCR中の特定のシグナルの存在又は不在は、実施例5のシナリオ3に記載されるものに類似する。
【0514】
図23は、第1の96ウェルプレートを使用して測定した3回反復反応の平均として、それぞれ52℃((ΔS
D1、
図23A)及び74℃(ΔS
D2、
図23B)での蛍光の増加を測定することによる、TVbtub及びMgPaの終点検出の要約を示す。ΔS
D1が
図23Aにおいて指定された閾値(閾値1)を上回る場合、これは反応におけるTVbtubの存在を示す。反応中のMgPaの存在又は不在にかかわらず、10,000又は200コピーのいずれかのTVbtubを含有する全ての反応が、TVbtubについて正しく陽性であると決定された。TVbtubが存在しない全ての反応において、ΔS
D1は指定された閾値未満に留まり、鋳型なし対照(NTC)と同様である。同様に、ΔS
D2が
図23Bの特定の閾値(閾値2)を超える場合、これは反応におけるMgPaの存在を示す。反応中のTVbtubの存在又は不在にかかわらず、10,000又は200コピーのいずれかのMgPaを含有する全ての反応が、MgPaについて正しく陽性であると決定された。MgPaが存在しない全ての反応において、ΔS
D2は指定された閾値未満に留まり、鋳型なし対照(NTC)と同様である。
【0515】
図24は、第2の96ウェルプレート上で測定されたTVbtub及びMgPaの終点検出の要約を示す。結果は、反復の平均であり、52℃(ΔS
D1/C、
図24A)及び74℃(ΔS
D2/C、
図24B)での較正されたシグナルの増加を示す。較正係数は、閉じた、及び開いた立体構造でのビーコンのステムの解離から生じる蛍光を示す、52℃と74℃との間のPCR前蛍光の差(C=S
D2-Pre-PCR-S
D1-Pre-PCR)として決定された。D
2で分子ビーコンから生じるこのシグナルは、全ての反応において同じ量で存在し、いずれの標的の存在にも影響されない。したがって、ウェル間のD
1及びD
2でのシグナルのPCR前の分散(C)は、使用されるチャネルにおける真のウェル間分散を反映する。測定されたシグナルΔS
D1及びΔS
D2を、それぞれ較正係数(C)で除すことにより較正した(ΔS
D1/C及びΔS
D2/C)。
図24Aは、TVbtubが存在する全ての反応において、較正されたシグナルΔS
D1/Cが指定された閾値(閾値1)を超えていること、又はTVbtubが存在しない場合はそれ未満であることを示している。TVbtubが存在しない全ての反応において、ΔS
D1/Cは指定された閾値未満に留まり、鋳型なし対照(NTC)と同様である。
図24Bは、MgPaが存在する全ての反応において、較正されたシグナルΔS
D2/Cが指定された閾値(閾値2)を超えていること、又はMgPaが存在しない場合はそれ未満であることを示している。MgPaが存在しない全ての反応において、ΔS
D2/Cは指定された閾値未満に留まり、鋳型なし対照(NTC)と同様である。
図24は、1反応当たり10コピーで検出可能であったことから、両方の標的に対するアッセイの高い感度を実証している。
【0516】
この実施例は、ΔSD1(標的1のみを示す)及びΔSD2(標的2のみを示す)を決定することによる、単一の蛍光チャネルにおける2つの標的の迅速な定性的終点検出のための1つの分子ビーコン及び1つのLOCSレポーターの使用を実証している。このアプ
ローチは、特別な終点分析法の必要性をなくす。この実施例では、式ΔSD1/C及びΔSD2/Cを使用して、追加のキャリブレータ試薬を必要とせずに、シグナルΔSD1及びΔSD2を同じチャネルで較正することができることも実証された。このアプローチは、実行間及び機器間の分散をより一貫した蛍光出力のために正規化することができるという点で有利である。更に、この実施例では、リアルタイム取得が必要ではなく、これは実行時間を低減し、この実施例では合計54分測定された。
【0517】
予言的な実施例11:キャッチャー及びピッチャー並びにLOCSプローブの組み合わせを使用した、単一波長での2つの標的のリアルタイム検出及び定量化。
以下の実施例は、1つのキャッチャー及びピッチャー対及び1つのLOCSレポーターの組み合わせが、PCR中にリアルタイムで2つの温度で蛍光読み取りを取得することによって、単一の蛍光チャネルにおける2つの標的の同時検出及び定量化を可能にし得るアプローチを示す。代替的に、リアルタイムモニタリングが存在しない場合、アプローチは、例えば、増幅の開始時の又はその近く、及び増幅後の離散的な時点で収集された蛍光データに適用することができる。この戦略は、実施例4で実証されたもの等の特別な増幅後分析法の必要性を排除する。
【0518】
この実施形態では、キャッチャー及びLOCSプローブは両方とも、同じ蛍光チャネルでの同時検出のために、同じフルオロフォア及びクエンチャー部分で標識され得る。ピッチャーは、キャッチャーに相補的な5’タグ付け領域、及び第1の標的1に相補的な3’センサー領域を含む一本鎖オリゴヌクレオチドからなってもよい。キャッチャーは、5’末端にクエンチャーで標識された一本鎖オリゴヌクレオチド、及びクエンチャーの下流にあるフルオロフォアからなってもよく、またピッチャーに相補的である3’タグ付け領域を含んでもよい。キャッチャーが一本鎖立体構造状態にある場合、フルオロフォアはクエンチャーに近接しており、クエンチされたままである。PCR中、プライマー及びピッチャーの3’センサー領域は、標的にハイブリダイズし得る。プライマー伸長中、ピッチャーは、DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性によって分解され得、ピッチャーのタグ付け部分を放出し得る。次いで、放出されたタグ付け部分は、キャッチャーの相補的な3’タグ付け部分にハイブリダイズし得る。PCR中のDNAポリメラーゼによるタグ付け部分の伸長は、フルオロフォア及びクエンチャーが分離された二本鎖キャッチャー二重構造を生成し得る。フルオロフォア及びクエンチャーの分離は、標的1の存在を示し得る蛍光の増加をもたらし得る。二本鎖キャッチャー二重構造のTm(Tm A、60℃)未満、例えば50℃の第1の検出温度(D1)では、キャッチャー二重構造立体構造時にフルオロフォア及びクエンチャーが分離されるため、蛍光の増加が観察され得る。二本鎖キャッチャー二重構造のTm(Tm A、60℃)を超える、例えば70℃の第2の検出温度(D2)では、キャッチャー及びピッチャーは、両方が一本鎖立体構造にあるように解離し得る。これは、フルオロフォア及びクエンチャーがもはや分離されないため、蛍光の減少をもたらし得る。したがって、D1でのPCR中の蛍光の増加は、二本鎖キャッチャー二重構造の存在、したがって標的1の存在を示すために使用され得る。標的1の不在下では、キャッチャーは一本鎖のままでクエンチされてもよく、したがってD1での蛍光の増加に寄与しない。キャッチャーは、二本鎖キャッチャー二重構造のTm(Tm A、60℃)を超える温度で常に一本鎖のままであり、クエンチされるため、D2での蛍光は、標的1の存在又は不在によって影響を受けることはない。
【0519】
更に、反応は、例えば80℃のTm Bを有するステム領域、及び第2の標的2の存在下でMNAザイムによって切断されると例えば60℃のTm Cを有する分割LOCSを生成し得るループ領域を有し得る無傷LOCSプローブを含有し得る(Tm C<Tm B)。このシナリオでは、無傷LOCSは、増幅の前にクエンチされるが、標的2が存在し、検出温度がTm C及びTm Aを超えるがTm B未満である場合、増幅後に蛍光が増加する。したがって、第2の温度(D2)、例えば70℃での観察される蛍光の増加
は、標的2の存在を示す。無傷LOCS及び分割LOCSは両方とも、第1の検出温度(D1)では、Tmがより高い(D1<Tm B及びD1<Tm C)ためクエンチされたままであり、標的2の存在は、第1の温度でのシグナルの変化に寄与しない。
【0520】
したがって、LOCS及びキャッチャー-ピッチャープローブの組み合わせは、第1の温度での蛍光の増加によって監視されるように、キャッチャー-ピッチャープローブを使用してのみ標的1の検出を可能にすることができ、また第2の温度での蛍光の増加によって監視されるように、LOCSプローブを使用してのみ標的2の検出を可能にし得る。
【0521】
【0522】
実施例12:機器間変動を最小限に抑えるために、同じLOCSプローブをキャリブレータとして使用して、1つの直鎖MNAザイム基質及び1つのLOCSプローブを使用して、単一波長で複数の標的の終点分析を行う方法。
以下の実施例は、1つの直鎖MNAザイム基質及び1つのLOCSレポーターが、融解曲線分析を必要としない単一の蛍光チャネルにおける2つの遺伝子標的(CTcry及びNGopa)の検出及び鑑別のために使用されるアプローチを実証する。ここで、較正係数は、2つの異なる温度でのLOCSレポーターからの増幅前シグナルから決定され、データを正規化して実行間及び機器間の変動を最小限に抑えるために使用される。
【0523】
PCRの間、直鎖MNAザイム基質は、CTcryの存在下で切断され、フルオロフォア及びクエンチャーを分離して、広範囲の温度にわたって検出され得るシグナルの増加をもたらすことができる。この実施例では、CTcryのリアルタイム検出及びCq決定は、温度1(52℃、D1)でのPCR中の各サイクルでの蛍光を取得することによって達成される。CTcryの定性的検出もまた、増幅の前後の両方でD1で蛍光を測定することによって達成される。無傷及び分割構成の両方のLOCSプローブは、D1(52℃)より高い融解温度(Tm)を有し、したがって、LOCSレポーターは、試料中のNGopaの存在又は不在にかかわらず、D1でのシグナルに寄与しない。
【0524】
NGopaの存在下で、MNAザイム2は、PCR中にLOCSプローブを切断することができる。NGopaの定性的検出は、増幅の前後の両方で、より高い温度2(70℃、D2)で蛍光を測定することによって達成される。無傷LOCSステムのTmがD2より高く(Tm>70℃)、分割LOCSのステムのTmがD2より低い(Tm<70℃)ため、蛍光の増加は、分割及び解離LOCSに関連し、NGopaの存在を示す。この蛍光の増加は、この温度での直鎖MNAザイム基質の切断によって引き起こされる任意のバックグラウンド蛍光を上回っているはずであり、NGopa標的の存在を示すとみなされる。
【0525】
この実施例では、蛍光シグナル(ΔS)を、2つの異なる温度での増幅前の蛍光シグナル(SD1-pre-PCR及びSD3-pre-PCR)に対して較正し、これは、無傷LOCSの2つの異なる立体構造状態(すなわち、D1における無傷のハイブリダイズされたLOCS及びD3における無傷の解離されたLOCS)から生じるシグナルの差を説明する。この実施例では、無傷LOCSの解離は、無傷LOCSのTm(Tm<85℃)よりも高い温度3(D3、85℃)で生じる。較正係数(C)は、無傷LOCSのステムが解離されて蛍光を発するD3における増幅前シグナル(SD3-pre-PCR)と、無傷LOCSのステムがハイブリダイズされてクエンチされるD1におけるシグナル(SD1-pre-PCR)との差として計算される(C=SD3-pre-PCR-SD1-pre-PCR)。較正係数(C)は、任意の標的の存在によって影響されないはずの各反応の負のシグナルと正のシグナルとの間の相対関係(すなわち、ダイナミックレンジ)を表す。較正係数(C)で観察される任意の変動は、次いで、各特定のチャネルにおける任意のウェル間の変動を反映し得る。したがって、この較正係数(C)を使用して、実行間及び機器間の変動を最小限に抑えることができる。この実施例では、各反応から得られる蛍光シグナルが、各温度でのΔS(ΔSD1及びΔSD2)を、較正係数で除すことによって較正される(ΔSD1/C及びΔSD2/C)。
【0526】
この実施例は、実行間及び機器間の変動を最小限に抑えるためのキャリブレータとして機能するLOCSの追加機能を実証する。本実施例は、LOCSレポーターから生じるPCR前の測定値をキャリブレータとして使用する一方で、PCRの前後に取られた離散的な温度での蛍光の測定、及び1つの標的のCq決定による、単一のチャネルにおける2つの標的の同時定性分析を実証する。
【0527】
オリゴヌクレオチド
この実験に特異的なオリゴヌクレオチドには、順方向プライマー1(配列番号1)、逆方向プライマー1(配列番号2)、パートザイムA1(配列番号3)、パートザイムB1(配列番号4)、順方向プライマー2(配列番号5)、逆方向プライマー2(配列番号6)、パートザイムA2(配列番号7)、パートザイムB2(配列番号8)、基質1(配列番号13)、及びLOCS-1(配列番号14)が含まれる。配列は、配列表に列挙する。
【0528】
標的1(CTcry)の増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、基質1、パートザイムA1、パートザイムB1(MNAザイム1)、順方向プライマー1、及び逆方向プライマー1である。標的2(NGopa)の増幅及び検出に特異的なオリゴヌクレオチドは、LOCS-1、パートザイムA2、パートザイムB2(MNAザイム2)、順方向プライマー2、及び逆方向プライマー2である。
【0529】
反応条件
3つのプレートにおいて3つの異なるBioRad(登録商標)CFX96熱サイクラーデバイス(機器1~3)を使用して、20μLの合計反応体積でリアルタイムPCR増幅及び検出を実行した。サイクリングパラメータ及び蛍光データ取得(DA)点は、95℃で2分間、52℃で15秒間(DA)、70℃で15秒間(DA)、85℃で15秒間(DA)の1サイクル、95℃で5秒間及び61℃で30秒間の10サイクル(1サイクル当たり0.5℃の減衰)、95℃で5秒間及び52℃で40秒間の40サイクル(各サイクルでのDA)、並びに70℃で15秒間(DA)の1サイクルであった。各プレートにおける全ての反応は、3回反復で実行し、40nMの各順方向プライマー、200nMの各逆方向プライマー、200nMの各パートザイムA、200nMの各パートザイムB、200nMの各基質、200nMのLOCS-1、及び1×SensiFAST緩衝液(Bioline)を含有した。反応は、標的を含有しない(NF H2O)か、又はCTcryの合成Gブロック(10,000若しくは40コピー)、若しくはNGopa(10,000若しくは40コピー)、若しくはCTcry及びNGopa遺伝子の両方(それぞれ10,000若しくは40コピー)のいずれかを含有した。標的なし対照(NF H2O)を除く全ての反応は、34.5ng(10,000遺伝子コピー)のヒトゲノムDNAのバックグラウンドを更に含有した。
【0530】
結果
この実施例では、MNAザイム1によって切断可能な1つの直鎖MNAザイム基質、及びMNAザイム2によって切断可能な1つのLOCSプローブを単一のPCR反応で組み合わせて、単一の蛍光チャネル(HEX)のみを使用して2つの標的CTcry及びNGopaをそれぞれ同時に検出及び鑑別した。CTcry遺伝子の存在は、HEXチャネルでのPCRサイクルの前後の52℃での離散的な時点での蛍光の分析を通じて直鎖基質1の切断を監視することによって検出された(ΔSD1)。また、52℃でのリアルタイムデータ取得から得られたCq値は、反応におけるCTcry量を示す(データは示さず)。NGopaの存在は、同じチャネルでのPCRサイクルの前後の70℃での離散的な時点での蛍光の分析を通じてLOCS-1の切断を監視することによって検出された(ΔSD2)。52℃(D1)及び85℃(D3)でのPCR前の蛍光シグナル間の差として、較正係数(C)を決定した。
【0531】
3つのBio-Rad CFX96機器にわたって、様々な量のCTcry及びNGopa鋳型を含有する3回反復反応からの平均ΔSD1及びΔSD2を、それぞれ表19及び表20に示す。更に、これらの値を、表21(ΔSD1/C)及び表22(ΔSD2/C)に示されるように、較正係数を使用して正規化した。結果は、3回反復反応の平均である。表19及び表20は、高い変動係数(CV)値(CV≧23.05%)で明らかなように、試験した3つの機器にわたる同じ鋳型を含有する反応のΔSD1及びΔSD2値の大きな変動を示している。これらの実行間及び/又は機器間の変動により、3つの機器のそれぞれについて標的の存在又は不在を決定するための単一の閾値を配置することが困難となる。しかしながら、較正係数を使用して正規化した後は、表21及び表22に示されるCV値(CV≦4.13%)の低下によって明らかなように、3つの異なる機器から得られた結果の変動ははるかに少ない。この結果は、Cを使用した正規化が、実行間又は機器間の変動を低減するための効果的な方法であることを示している。
【0532】
【0533】
【0534】
【0535】
【0536】
Cを使用した正規化は、全ての機器で使用される固定された閾値で、試料中のCTcry、NGopa、又はCTcry及びNGopaの両方の存在又は不在を正確に決定するための代替方法を可能にする。
図25は、試験した3つのBio-Rad CFX96機器(3回反復の平均、機器1は黒のストライプ、機器2は灰色、及び機器は白色)にわたるΔS
D1(
図21A)、ΔS
D2(
図25B)、ΔS
D1/C(
図25C)、及びΔS
D2/C(
図25D)を示す。
図25Cは、0.4(閾値C1)を超えるΔS
D1/Cを示し、3つの機器全てにおける反応中のCTcryの存在を示す。
図25Dは、0.4(閾値C2)~0.9(閾値C3)のΔS
D2/C値が、3つの機器全てにおいて反応に存在するCTcry又はNGopaのうちの1つのみの存在を示す。ΔS
D2/Cが0.9(閾値C3)を超える場合、これは、CTcry及びNGopaの両方が3つの機器の全てにおいて反応に存在することを示す。ΔS
D2/Cが0.4未満である場合、3つの機器の全てにおいて反応にCTcry又はNGopaのいずれも存在しないことを示す。これらの結果を、表21及び表22に要約する。次いで、ΔS
D1/C及びΔS
D2/Cからの組み合わされた情報を使用して、反応におけるCTcry及び/又はNGopaの存在を正しく決定することができる。正規化されていないΔS
D1値について、
図25Aは
、表19に要約されるように、機器間の変動にもかかわらず、CTcryの存在の決定に同じ閾値C1(2000RFU)を使用することが可能であることを示している。しかしながら、ΔS
D2で実行間又は機器間の変動が観察されたため、
図25Bは、異なる機器に異なる閾値C3が必要であり、固定した閾値を使用して更なる分析を行うことはできないことを示している。したがって、Cを使用した正規化によって、機器間又は実行間の変動にかかわらず、標的の存在又は不在の正確な決定のための固定された閾値の使用が可能となる。
【0537】
この実施例は、実行間及び機器間の変動を最小限に抑えるためのキャリブレータとしての役割を果たすLOCSの追加機能を実証し、これにより、固定された閾値及び1つの標的のCq決定を使用して、PCRの前後に取られた離散的な蛍光の測定によって、単一のチャネルにおける2つの標的の存在又は不在を正確に決定することができる代替の分析方法が可能となる。
【0538】
この実施例で実証されるキャリブレータ法は、それが反応に追加される追加的な試薬の使用を必要とせず、他のウェルから得られたデータの使用を必要としないことを含む、いくつかの利点を有する。この方法は、存在し得るウェル間変動を較正及び補正するように機能する。更に、較正は、同じチャネルで取得されたデータを使用して処理され、したがって、機器間に存在し得るいかなるチャネル間変動の影響も受けない。多重反応のために複数のチャネルが利用される場合、各チャネルは、各チャネルのLOCS較正シグナルに対して独立して較正され得る。これは、チャネル間の予測シグナル強度の比が機器間で有意に異なり、チャネル間変動を引き起こす場合、較正が悪影響を受けるため、内部対照又は内因性対照からのもの等、異なるチャネル内のシグナルに対してシグナルが較正されるシナリオに有利である。
【0539】
予言的な実施例13:1つの直鎖MNAザイム基質及び1つのLOCSプローブを使用した2つの標的の同時比色検出のための方法。
以下の実施例は、1つの温度(D1)で検出された1つの直鎖MNAザイム基質、及び第2の温度(D2)で検出された1つのLOCSレポーターを使用して達成され得る、単一の反応における2つの標的の同時比色検出及び鑑別のための金ナノ粒子の使用を実証する。
【0540】
直鎖MNAザイム基質及びLOCSレポーターは両方とも、両端を金ナノ粒子(GNP)で標識することができるが、GNPは、基質及びLOCSレポーターが無傷のままで切断されていない場合凝集状態にある。凝集状態では、GNPは、個々の局在化プラズモンのカップリングに起因して、より長い波長で吸光度を示し、紫色として視覚化される。この紫色は、肉眼でも、UV/VIS吸光度領域での分光法でも観察することができる。特定の標的1の存在下でのそれらのそれぞれのMNAザイムによる直鎖基質の切断は、GNPの分離を引き起こし、これが広範囲の温度にわたって観察され得る紫色から赤色への色の変化を生じさせる。この実施例では、直鎖MNAザイム基質からの色の変化は、温度1(D1=52℃)における増幅の前後での吸光度のUV/VIS分光シフトを測定することによって検出することができ(ΔSD1)、より短い波長での吸光度は、標的1の存在を示す。温度1(D1)では、第2の標的(標的2)の分割及び無傷LOCSレポーターは両方とも、そのステム領域のTmが温度1(D1)より高いため、任意の色の変化又は吸光度の検出可能な分光シフトを生成しない。したがって、PCR後の温度1(D1)で得られた任意の色の変化又は吸光度の分光シフトは、標的2の存在又は不在にかかわらず、反応における標的1の存在を反映する。
【0541】
それぞれのMNAザイムによるLOCSレポーターの標的媒介性切断もまた、色の変化(紫色から赤色)及び/又は吸光度の分光学的シフトを生成するが、これは、LOCSス
テム領域のTmより高い特定の温度範囲内でのみ生じる。この実施例では、分割LOCSレポーターのTmより高いが、無傷LOCSレポーターのTmより低い増幅の前後の温度2(D2=70℃)で(無傷LOCSレポーターのTm>温度2>分割LOCSレポーターのTm)、色の変化及び/又は吸光度の分光シフトを測定することができる(ΔSD2)。したがって、無傷LOCSレポーターは、温度2(D2)で吸光度のいかなる色の変化及び/又は分光シフトも生じず、したがって、この温度での切断された直鎖基質1(存在する場合)に関連するいずれかを上回るPCR中の吸光度の増加したシフトは、分割LOCS-1と関連し、標的2の存在を示す。
【0542】
予言的な実施例14:1つの直鎖MNAザイム基質及び1つのLOCSプローブを使用した2つの標的の同時表面プラズモン共鳴(SPR)検出のための方法。
以下の実施例は、1つの温度(D1)で検出された1つの直鎖MNAザイム基質、及び第2の温度(D2)で検出された1つのLOCSレポーターを使用して達成され得る、単一の反応における2つの標的の同時表面プラズモン共鳴(SPR)検出及び鑑別のための金ナノ粒子の使用を実証する。
【0543】
直鎖MNAザイム基質及びLOCSレポーターは両方とも、一端を金表面に結合させ、他端を金ナノ粒子(GNP)で標識することができる。直鎖MNAザイム基質及びLOCSが切断されず、無傷である場合、GNPは金表面に近接したままであり、測定可能なベースラインSPRシグナルを示す。特異的な標的1の存在下での直鎖基質のそれぞれのMNAザイムによる切断は、SPRシグナルの測定可能なシフトを生じさせる金表面からのGNPの分離を引き起こす。この実施例では、直鎖MNAザイム基質からのSPRシグナルのシフトは、増幅の前後で第1の温度1(D1=52℃)で検出することができ(ΔSD1)、測定可能なSPRシグナルのシフトは、標的1の存在を示す。温度1(D1)では、第2の標的(標的2)の分割及び無傷LOCSレポーターは両方とも、そのステム領域のTmが温度1(D1)より高く、GNPが金表面にハイブリダイズしたままであるため、SPRシグナルの任意の測定可能なシフトを生成しない。したがって、PCR後の温度1(D1)で得られた任意の測定可能なSPRシフトは、標的2の存在又は不在にかかわらず、反応における標的1の存在を反映する。
【0544】
例えばMNAザイムによるLOCSレポーターの標的媒介性切断もまた、SPRシグナルの測定可能なシフトを生成し得るが、これは、LOCSステム領域のTmより高い特定の温度範囲内でのみ生じる。この実施例では、分割LOCSレポーターのTmより高いが、無傷LOCSレポーターのTmより低い増幅の前後の温度2(例えばD2=70℃)で(無傷LOCSレポーターのTm>温度2>分割LOCSレポーターのTm)、SPRシグナルの更なる測定可能なシフトを測定することができる(ΔSD2)。したがって、無傷LOCSレポーターは、温度2(D2)でSPRシグナルのいかなる測定可能なシフトも生じず、したがって、この温度での切断された直鎖基質1(存在する場合)に関連するいずれかを上回るPCR中のSPRシグナルの増加した測定可能なシフトは、分割LOCS-1と関連し、標的2の存在を示す。
【0545】
予言的な実施例15:1つの直鎖MNAザイム基質及び1つのLOCSプローブを使用した2つの標的の同時電気化学的検出のための方法。
以下の実施例は、1つの温度(D1)で検出された1つの直鎖MNAザイム基質、及び第2の温度(D2)で検出された1つのLOCSレポーターを使用して達成され得る、単一の反応における2つの標的の同時電気化学的検出及び鑑別のための、メチレンブルー等の酸化還元活性種の使用を実証する。
【0546】
直鎖MNAザイム基質及びLOCSレポーターは両方とも、一端を電極表面上に、例えば金電極にAu-S結合により固定し、他端を電気化学的活性分子であるメチレンブルー
で標識することができる。直鎖MNAザイム基質及びLOCSが切断されず、無傷である場合、メチレンブルー分子は電極表面に近接して制限され、電気化学的リーダーによって検出され得る大きな電流を生成する。
【0547】
特異的な標的1の存在下での直鎖基質のそれぞれのMNAザイムによる切断は、電流の有意な減少を生じさせる電極表面からのメチレンブルー分子の分離を引き起こす。この実施例では、切断された直鎖MNAザイム基質からの電流の減少は、増幅の前後で第1の温度1(D1=52℃)で検出することができ(ΔSD1)、この電流の減少を使用して標的1の存在を示すことができる。温度1(D1)では、第2の標的(標的2)の分割及び無傷LOCSレポーターは両方とも、そのステム領域のTmが温度1(D1)より高く、メチレンブルー分子が電極表面にハイブリダイズし近接したままであるため、電流の任意の測定可能な減少を生成しない。したがって、PCR後の温度1(D1)で得られた任意の測定可能な電流の減少は、標的2の存在又は不在にかかわらず、反応における標的1の存在を反映する。
【0548】
そのそれぞれのMNAザイムによるLOCSレポーターの標的媒介性切断もまた、電流の測定可能な減少を生成し得るが、これは、LOCSステム領域のTmより高い特定の温度範囲内でのみ生じる。この実施例では、分割LOCSレポーターのTmより高いが、無傷LOCSレポーターのTmより低い増幅の前後の温度2(D2=70℃)で(無傷LOCSレポーターのTm>温度2>分割LOCSレポーターのTm)、電流の更なる測定可能な減少を測定することができる(ΔSD2)。したがって、無傷LOCSレポーターは、温度2(D2)で電流のいかなる測定可能な減少も生じず、したがってこの温度での切断された直鎖基質1(存在する場合)に関連するいずれかを上回るPCR中の電流の更なる減少は、分割LOCS-1と関連し、標的2の存在を示す。
【0549】
実施例16:1つの分子ビーコン及び1つのLOCSレポーター、並びに5’から3’のエキソヌクレアーゼ活性を欠く鎖置換ポリメラーゼを使用して、単一波長で複数の標的を同時に検出及び定量化するための方法。
以下の実施例は、1つの切断不可能な分子ビーコン及び1つのLOCSレポーターを使用してPCR中にリアルタイムで2つの温度で蛍光読み取りを取得することによって、単一の蛍光チャネルにおいて2つの標的を同時検出及び定量化するための方法を実証する。この実験は、標的の存在下での分子ビーコンの分解を排除するための、5’エキソヌクレアーゼ活性を欠く鎖置換ポリメラーゼの使用を実証する。この戦略は、実施例4で実証された特別な分析法の使用を必要としない。
図5に示されるように、分子ビーコン及びLOCSプローブは両方とも、同じ蛍光チャネルでの同時検出のために、同じフルオロフォア及びクエンチャー部分で標識される。分子ビーコンは、Tm Aを有するステム領域と、Tm Bを有する標的1(TVbtub)と特異的にハイブリダイズすることができるループ領域とを含み、Tm BはTm Aより高い(Tm B>Tm A)。この実施例では、無傷LOCSプローブは、Tm C(82℃)を有するステム領域と、標的2(MgPa)の存在下でMNAザイムによって切断されるとTm D(62℃)を有する分割LOCSを生成するループ領域とを有し、Tm DはTm Cより低い(Tm D<Tm C)。標的1(TVbtub)及び/又は標的2(MgPa)の存在は、2つの温度(D
1及びD
2、50℃及び72℃)での蛍光を各PCRサイクル後にリアルタイムのいずれかで測定することにより識別することができる。以下の実施例では、Tm Aは約60℃であり、Tm Bは約68℃であり、Tm Cは約82℃であり、Tm Dは約62℃であり、これはD
1<Tm A<Tm B<D
2及びD
1<Tm D<D
2<Tm Cである実施例5に記載のシナリオ3と一致する。
【0550】
オリゴヌクレオチド
この実験に特異的なオリゴヌクレオチドには、以下が含まれる。標的1(TVbtub
)の増幅及び定量化のための順方向プライマー12(配列番号63)、逆方向プライマー12(配列番号64)及び分子ビーコン1(配列番号68)、標的2(MgPa)の増幅及び定量化のための順方向プライマー5(配列番号20)、逆方向プライマー5(配列番号21)、パートザイムA5(配列番号22)、パートザイムB5(配列番号23)、LOCS-2(配列番号25)。配列は、配列表に列挙する。
【0551】
反応条件
BioRad(登録商標)CFX96熱サイクラーを使用して、20μLの合計反応体積で標的配列のリアルタイム検出を実行した。サイクリングパラメータ及び蛍光データ取得(DA)点は、92℃で2分間、50℃で15秒間(DA)及び72℃で15秒間(DA)の1サイクル、92℃で5秒間、50℃で40秒間(DA)及び72℃で5秒間(DA)の50サイクルであった。全ての反応は、3回反復で行われた。各反応は、40nMの各順方向プライマー、200nMの各逆方向プライマー、200nMの各パートザイム、200nMの分子ビーコン1、200nMのLOCS-2レポーター、2単位のSDポリメラーゼHotstart(Bioron)、800μMのdNTP Mix(Bioline)、8mMのMgCl2(Bioron)及び1×NH4緩衝液(Bioline)を含有した。第1のプレート上の反応は、標的を含有しない(NF H2O)か、様々な濃度の、0若しくは25600コピーのMgPa遺伝子のバックグラウンドでのTVbtubの合成Gブロック(25600、6400、1600、400若しくは100コピー)、又は0若しくは25600コピーのTVbtub遺伝子のバックグラウンドでのMgPa遺伝子の合成Gブロック(25600、6400、1600、400若しくは100コピー)のいずれかを含有した。
【0552】
結果
PCR増幅中、蛍光を2つの温度でリアルタイムで測定し、標的1(TVbtub)及び/又は標的2(MgPa)の存在を検出及び定量化した。分子ビーコンは、Trichomonas vaginalis(TV)の検出のためにTVbtubに相同な配列を検出するように設計した。MNAザイムは、Mycoplasma genitaliumの検出のために、MgPaの存在下でLOCS-2を切断するように設計された。蛍光が動的閾値(最大蛍光の20%に設定)を超えるサイクル数(Cq)を、TVbtub及びMgPaを検出及び定量化するためのそれぞれ50℃及び72℃でのリアルタイム蛍光取得から決定した。PCR中の特定のシグナルの存在又は不在は、実施例5のシナリオ3に記載されるものに類似する。
【0553】
25600、6400、1600、400及び100コピーのTVbtubを含有する標準反応を使用して、MgPaの存在下又は不在下でTVbtubを含有する試料中の50℃(D1)でのTVbtubの開始濃度を定量するために標準曲線(R2=0.989、E=139.14%)を構築した。表23は、50℃で取得されたリアルタイムデータから得られた標準曲線から決定されたTVbtubのコピー数を要約している。TVbtubの計算コピー数は、0.297のp値が統計的に有意でないことを裏付けているため(スチューデントの対応のあるt検定)、反応における25,600コピーのMgPaの存在によって影響を受けない。同様に、25600、6400、1600、400及び100コピーのMgPaを含有する標準を使用して、TVbtubの存在下又は不在下でMgPaを含有する試料中の72℃(D2)でのMgPaの開始濃度を定量するために標準曲線(R2=0.990、E=116.49%)を構築した。表24は、72℃で取得されたリアルタイムデータから得られた標準曲線から決定されたMgPaのコピー数を要約している。MgPaの計算コピー数は、0.319のp値が統計的に有意でないことを裏付けているため(スチューデントの対応のあるt検定)、反応における25,600コピーのTVbtubの存在によって影響を受けない。
【0554】
【0555】
【0556】
実施例17:バックグラウンドシグナルが実験反応又は標的を欠く同等の対照反応のいずれかで測定される、増幅の前又は後に取得された1つ以上の測定値を使用してバックグラウンドシグナルを決定するための方法。
以下の実施例は、単一波長における複数の標的の定性分析を可能にする様々な戦略を実証する。本実施例に示される分析法は、実施例1に示される終点分析法2に類似しているが、本実施例は、同じ反応ウェルにおいて、D1及びD2における増幅前の読み取り値のみを使用するのではなく、異なる方法によってバックグラウンドシグナルが決定され得ることを実証する。
【0557】
アッセイは、直鎖MNAザイム基質を使用して標的1(CTcry)が検出及び鑑別され得、また標的2(NGopa)が、そのループ内に異なるMNAザイム基質を含むLOCSレポーターを使用して検出及び鑑別され得るように設計されている。PCRの間、MNAザイム1は、CTcryの存在下で直鎖基質1を切断して、フルオロフォア及びクエンチャーを分離し、広範囲の温度にわたって検出され得るシグナルの増加をもたらすことができる。この実施例では、CTcryの終点検出は、実施例1のΔSD1と同様の機能を果たす正規化された蛍光シグナル(NSD1)を決定することによって達成することができ、温度1(D1、52℃)でのPCR後のシグナルと、以下の表25に要約されるい
くつかの異なるアプローチを使用して決定されたバックグラウンドシグナルとの間の差として決定される。無傷及び分割構成の両方のLOCS-1のステムは、D1を超えるTmを有し、したがって、NSD1は、LOCS-1の切断の影響を受けない、ひいては試料中のNGopaの存在又は不在の影響を受けないままである。したがって、NSD1が閾値(X1)より大きい場合、これは、切断された直鎖MNAザイム基質1、ひいては標的1、CTcryの存在を示す。
【0558】
NGopaの存在下で、MNAザイム2は、PCR中にLOCS-1を切断することができる。温度2(D2、70℃)における正規化された蛍光シグナル(NSD2)は、温度2におけるPCR後シグナルと、同じく表25に従って測定されるバックグラウンドシグナルとの間の差として計算され得る。NSD2は、実施例1のΔSD2と同様の機能を有する。PCR中のLOCS-1の切断は、温度2での正規化された蛍光シグナル(NSD2)の増加に寄与するが、NSD1に影響を及ぼさないため、NSD2とNSD1との間の差(NSD2-NSD1)が第2の閾値(X2)を超える、したがってNSD2-NSD1=ΔNSD2NSD1>X2である場合、これは分割LOCS-1の存在を示す。対照的に、基質1のみの切断は、NSD2及びNSD1値の両方の増加に寄与し、これら2つの値の間の差(ΔNSD2NSD1)は、第2の閾値(X2)未満である。したがって、NSD2とNSD1との間の差(ΔNSD2NSD1=NSD2-NSD1)が第2の閾値(X2)より大きい場合、これは、分割LOCS-1、ひいては標的2、NGopaの特異的な検出を示す。
【0559】
【0560】
以下の実施例は、同じウェル内の第3の温度(D3)でのPCRの前に測定されたバッ
クグラウンドシグナル(SD3)を使用して、NSD1及びNSD2を計算することができることを実証する。3つの異なるPCR前温度、すなわち、D3A=40℃、D3B/D1=52℃、及びD3C=60℃を試験した(表25)。この戦略は、複数のPCR前データ取得ポイントの必要性をなくし(すなわち、D1及びD2で2回ではなく、D3で1回)、実験の時間及び複雑性を低減する。更に、以下の実施例は、バックグラウンドシグナルを、鋳型を欠く別個の陰性対照反応で測定することができることを実証する。ある場合においては、D3B=52℃=D1で取られた単一のPCR前バックグラウンド測定値を使用して、NSD1及びNSD2の両方を計算し、他の場合においては、別個の陰性対照反応からのPCRの前又は後のいずれかで、D1(52℃)及びD2(70℃)で2つのバックグラウンド読み取り値を取った。
【0561】
オリゴヌクレオチド
この実験に特異的なオリゴヌクレオチドには、以下が含まれる。標的1(CTcry)の増幅及び検出のための順方向プライマー1(配列番号1)、逆方向プライマー1(配列番号2)、パートザイムA1(配列番号3)、パートザイムB1(配列番号4)、及び直鎖MNAザイム基質1(配列番号13)、標的2(NGopa)の増幅及び検出のための順方向プライマー2(配列番号5)、逆方向プライマー2(配列番号6)、パートザイムA5(配列番号7)、パートザイムB5(配列番号8)、及びLOCS-1(配列番号14)。配列は、配列表に列挙する。
【0562】
反応条件
BioRad(登録商標)CFX96熱サイクラーを使用して、20μLの合計反応体積で標的配列のリアルタイム検出を実行した。サイクリングパラメータ及び蛍光データ取得(DA)点は、95℃で2分間、40℃で15秒間(DA)、52℃で15秒間(DA)、62℃で15秒間(DA)、及び70℃で15秒間(DA)の1サイクル、95℃で5秒間及び61℃で30秒間の10サイクル(1サイクル当たり0.5℃の減衰)、95℃で5秒間及び52℃で40秒間の40サイクル、並びに52℃で15秒間(DA)及び70℃で15秒間(DA)の1サイクルであった。全ての反応は3回反復で行われ、各反応は、40nMの各順方向プライマー、200nMの各逆方向プライマー、200nMの各パートザイム、200nMの直鎖MNAザイム基質1、200nMのLOCS-1レポーター、及び1×PlexMastermix(Bioline)を含有した。反応は、標的を含有しない(NF H2O)か、又はCTcry(10,000若しくは40コピー)、若しくはNGopa遺伝子(10,000若しくは40コピー)、若しくはNGopa遺伝子(10,000及び40コピー)のバックグラウンドでの様々な濃度のCTcry遺伝子(10,000若しくは40コピー)の合成Gブロックを含有した。陰性(標的なし)対照(NF H2O)を除く全ての反応は、34.5ng(10,000コピー)のヒトゲノムDNAのバックグラウンドを更に含有した。
【0563】
結果
図26の結果は、40℃(
図26A~B)、52℃(
図26C~D)、及び62℃(
図26E~F)での同じ反応ウェル内からのPCR前の蛍光測定(S
D3)を使用して決定されたバックグラウンドシグナルを使用した、CTcry及びNGopaそれぞれの検出のためのNS
D1(LHS)及びΔNS
D2NS
D1(RHS)の計算値を示す。
図27の結果は、別個の陰性対照反応から決定されたバックグラウンドシグナル値を使用した、CTcry及びNGopaそれぞれの検出のためのNS
D1(LHS)及びΔNS
D2NS
D1(RHS)の計算値を示す。バックグラウンドシグナルは、PCR前(
図27A~B)にD
3B/D
1で、並びにPCR前(
図27C~D)及びPCR後(
図27E~F)にD
1及びD
2で測定された鋳型なし対照シグナルの平均値として決定した。
【0564】
図26A、
図26C、
図26E、
図27A、
図27C及び
図27Eの結果は、全てのシ
ナリオにおいて、NGopaの存在又は不在にかかわらず、CTcryが試料内に存在する場合、温度1における正規化されたシグナル(NS
D1)が閾値1(X
1)を超えるが、NGopaのみの存在下、及び/又はCTcryが試料に存在しない場合には、この閾値を超えないことを示している。したがって、温度1での閾値1を超える正規化された終点のシグナルは、CTcryの存在を示す。
図26B、
図26D、
図26F、
図27B、
図27D、及び
図27Fの結果は、6つ全てのシナリオにおいて、ΔNS
D2NS
D1が、NGopaが試料中に存在する場合閾値2(X
2)を超えるが、CTcryのみが試料中に存在する場合、及び/又は試料中にNGopaが存在しない(NTC)場合には、この閾値を超えないことを示している。したがって、閾値2を超える正規化された終点蛍光シグナル、NS
D2及びNS
D1の差(ΔNS
D2NS
D1>X
2)は、NGopaの存在を示す。
【0565】
この実施例は、第3の温度で測定される、及び/又は別個の陰性対照反応のデータからバックグラウンドシグナルを決定する柔軟性を有する、単一の蛍光チャネルにおける2つの標的の終点検出及び鑑別のための1つの直鎖MNAザイム基質及び1つのLOCSレポーターの使用を実証する。
【0566】
【表26-1】
【表26-2】
【表26-3】
【表26-4】
【0567】
表26のオリゴ配列の説明
オリゴヌクレオチド配列は、5’~3’に列挙される。大文字の塩基はDNAを表し、小文字の塩基はRNAを表す。/56-FAM/はFAMフルオロフォアの位置を示し、/56-JOEN/はJOEフルオロフォアの位置を示し、/5RHO101N/はATTO Rho101フルオロフォアの位置を示し、/5Atto680N/はATTO 680フルオロフォアの位置を示し、/5Cy5/はcy5.5フルオロフォアの位置を示す。/3IABkFQ/は、420~620nmの範囲内の蛍光を吸収することができるIowa Black FQクエンチャーの位置を表し、/3IAbRQSp/は、500~700nmの範囲内の蛍光を吸収するために使用されるIowa Black RQクエンチャーの位置を表す。/3Phos/は、3’リン酸基を示す。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の第1及び第2の標的の存在又は不在を決定するための方法であって、
(a)前記第1及び第2の標的を含むと推定される前記試料又はその誘導体を、
-前記第1の標的の検出のための第1のオリゴヌクレオチドであって、第1の検出可能なシグナルを生成することができる第1の検出部分を含む第1のオリゴヌクレオチド、
-前記第2の標的の検出のための無傷ステムループオリゴヌクレオチドであって、ハイブリダイズしたヌクレオチドの二本鎖ステム部分を含み、その対向鎖は、ハイブリダイズしていないヌクレオチドの破壊されていない一本鎖ループ部分によって連結され、前記ステム部分は、第2の検出可能なシグナルを生成することができる第2の検出部分を含み、
前記第1及び第2の検出部分は、単一の種類の検出器を使用して、単一の温度では鑑別できない検出可能なシグナルを生成することができる、無傷ステムループオリゴヌクレオチド、並びに
-前記第2の標的が前記試料中に存在する場合にのみ、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ハイブリダイズしていないヌクレオチドのうちの1つ以上を消化することができる第1の酵素と接触させることにより、反応用の混合物を調製することと、
(b)前記混合物を、
-前記第1の標的が、前記第1のオリゴヌクレオチドへの修飾を誘導し、それにより前記第1の検出部分が第1の検出可能なシグナルを生成することを可能にするのに好適であり、
-前記第2の標的が前記試料中に存在する場合にのみ、前記第1の酵素により前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ハイブリダイズしていないヌクレオチドのうちの1つ以上を消化し、それにより前記一本鎖ループ部分を破壊して分割ステムループオリゴヌクレオチドを提供するのに好適である条件下で処理することと、
(c)
-前記混合物中、又は対照混合物中の前記第1及び第2の検出部分によって提供されるバックグラウンドシグナルを測定することと、
(d)前記処理中又は処理後の1つ以上の時点で、
-前記バックグラウンドシグナルとは異なり、前記試料中の前記第1の標的の存在を示す前記修飾から生じる第1の検出可能なシグナルが、第1の温度で生成されるかどうか、
-前記バックグラウンドシグナルとは異なり、前記試料中の前記第2の標的の存在を示
す第2の検出可能なシグナルが、第2の温度で生成されるかどうかを決定することと、を含み、
-前記第1の温度において、前記第2の検出可能なシグナルが前記バックグラウンドシグナルと異ならず、
前記第2の温度において、
存在する場合、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の鎖が部分的又は完全に解離され、前記第2の検出部分が前記第2の検出可能なシグナルを提供することを可能にし、
存在する場合、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の鎖は解離することができず、それにより前記第2の検出可能な部分が前記第2の検出可能なシグナルを提供することを防止する、方法。
【請求項2】
パート(d)における前記決定が、
-前記修飾から生じる前記第1の検出可能なシグナルが前記第1の温度で任意の前記バックグラウンドシグナルと異なるかどうかを決定するために所定の閾値を使用すること、及び/又は
-前記第2の検出可能なシグナルが前記第2の温度で任意の前記バックグラウンドシグナルと異なるかどうかを決定するために所定の閾値を使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
-前記第1のオリゴヌクレオチドへの前記修飾は、前記第1の検出部分が、前記第1の温度以下で前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にし、
-前記第1の検出可能なシグナルの生成は、可逆的であ
り、
任意選択的に:
-パート(c)が、
第1の温度の5℃以内の第1のバックグラウンドシグナル、及び第2の温度の5℃以内の第2のバックグラウンドシグナルを測定することを含み、
これらは前記混合物中、又は前記対照混合物中の前記第1及び前記第2の検出部分によって提供され、
-パート(d)が、前記処理中又は処理後の1つ以上の時点で、
前記第1のバックグラウンドシグナルとは異なり、前記試料中の前記第1の標的の存在を示す、前記修飾から生じる第1の検出可能なシグナルが、前記第1の温度で生成されるかどうか、
前記第2のバックグラウンドシグナルとは異なり、前記試料中の前記第2の標的の存在を示す第2の検出可能なシグナルが、前記第2の温度で生成されるかどうかを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、対向鎖上のハイブリダイズしたヌクレオチドの二本鎖ステム部分を含み、その全て又は一部が前記第1の標的に相補的であるハイブリダイズしていないヌクレオチドの破壊されていない一本鎖ループ部分によって連結されたステムループオリゴヌクレオチドであり、
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記修飾は、相補塩基対合による、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分への前記標的のハイブリダイゼーションから生じる立体構造の変化であ
り、
-前記立体構造の変化は、相補塩基対合による、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分への前記標的の前記ハイブリダイゼーションから生じる、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の鎖の解離であり、
任意選択的に:
(a)
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記標的の前記第1のオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分への前記ハイブリダイゼーションから形成される二本鎖の二重構造の融解温度(Tm)未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記二本鎖の二重構造は、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記二本鎖の二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記二本鎖の二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満であるか、
(b)
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記標的の前記第1のオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分への前記ハイブリダイゼーションから形成される二本鎖の二重構造の融解温度(Tm)未満であり、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記二本鎖の二重構造が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記二本鎖の二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドのステム部分の前記Tm未満であり、
-前記第2の温度が、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記二本鎖の二重構造、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満であるか、
(c)
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記標的の前記第1のオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分への前記ハイブリダイゼーションから形成される二本鎖の二重構造の融解温度(Tm)未満、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記二本鎖の二重構造が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記二本鎖の二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記二本鎖の二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満であるか、又は
(d)
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記標的の前記第1のオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分への前記ハイブリダイゼーションから形成される二本鎖の二重構造の融解温度(Tm)未満、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記二本鎖の二重構造は、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分及び前記二本鎖の二重構造のTm未満、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第2の温度が、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、前記二本鎖の二重構造、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度超である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、
ハイブリダイズしたヌクレオチドの二本鎖ステム部分であって、その対向鎖が、ハイブリダイズしていないヌクレオチドの一本鎖ループ部分によって連結され、その全て又は一部が、前記第1の標的に相補的である、二本鎖ステム部分、及び前記対向鎖のうちの1つから3’方向に延び、前記第1の標的の一部に相補的な配列で終端する第2の一本鎖部分と、
前記第1の標的の前記一部に相補的な、前記配列の前にあるブロッカー分子とを含む、ステムループオリゴヌクレオチドであり、
-前記混合物が、ポリメラーゼを更に含み、
-前記混合物を前記処理することが、
相補塩基対合によって、前記第2の一本鎖部分を前記第1の標的にハイブリダイズすることと、
前記ポリメラーゼ及び前記第1の標的を鋳型配列として使用して前記第2の一本鎖部分を伸長して、二本鎖核酸を提供することであって、前記ブロッカー分子は、前記ポリメラーゼが前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分を鋳型として使用して前記第1の標的を伸長することを防止する、提供することと、
前記二本鎖核酸を変性させ、前記ポリメラーゼによって伸長された前記第2の一本鎖部分を、相補塩基対合によって前記第1のオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分にハイブリダイズして、シグナル伝達二重構造を生成し、それにより、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、前記第1のオリゴヌクレオチドへの前記修飾を提供することと、を含
み、
任意選択的に:
(a)
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記シグナル伝達二重構造が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満であるか、
(b)
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記シグナル伝達二重構造が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記シグナル伝達二重構造、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満であるか、
(c)
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記シグナル伝達二重構造が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満であるか、又は
(d)
-前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記シグナル伝達二重構造が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分及び前記シグナ
ル伝達二重構造のTm未満、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第2の温度が、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、前記シグナル伝達二重構造、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度超である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
-前記第1の検出部分がフルオロフォアであり、前記修飾が、クエンチャー分子からのその距離を増加さ
せ、
任意選択的に:
-前記第2の検出部分がフルオロフォアであり、
-解離する分割ステムループオリゴヌクレオチドの二本鎖ステム部分の前記鎖によって提供される第2の検出可能なシグナルが、クエンチャー分子からのフルオロフォアの距離を増加させる、請求項
1~
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、
ハイブリダイズしたヌクレオチドの第1の二本鎖部分を含み、その第1の鎖は、前記第1の標的の一部にハイブリダイズすることができる相補配列で終端する一本鎖部分に延び、前記第1の鎖は、前記相補配列の前にブロッカー分子を含み、
-前記混合物が、ポリメラーゼを更に含み、
-前記混合物を前記処理することが、
相補塩基対合によって、前記一本鎖部分の前記相補配列を前記第1の標的の一部にハイブリダイズすることと、
前記ポリメラーゼ及び前記第1の標的を鋳型配列として使用して前記相補配列を伸長して、第2の二本鎖部分を提供することであって、前記ブロッカー分子は、前記ポリメラーゼが前記第1の二本鎖部分の前記第1の鎖を鋳型として使用して前記第1の標的を伸長することを防止する、提供することと、
前記第1及び第2の二本鎖部分を変性させることと、
前記ポリメラーゼによって前記第1の二本鎖部分の前記第1の鎖に伸長された前記相補配列を、相補塩基対合によってハイブリダイズして、シグナル伝達二重構造を生成し、それにより、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、前記第1のオリゴヌクレオチドへの前記修飾を提供することとを含
み、
任意選択的に:
(a)
-前記第1の二本鎖部分が、前記シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記シグナル伝達二重構造が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1の二本鎖部分、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1の二本鎖部分、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満であるか、
(b)
-前記第1の二本鎖部分が、前記シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記シグナル伝達二重構造が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1の二本鎖部分、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記第1の二本鎖部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記シグナル伝達二重構造、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満であるか、
(c)
-前記第1の二本鎖部分が、前記シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記シグナル伝達二重構造が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1の二本鎖部分、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記シグナル伝達二重構造、前記第1の二本鎖部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満であるか、又は
(d)
-前記第1の二本鎖部分が、前記シグナル伝達二重構造の融解温度(Tm)未満、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記シグナル伝達二重構造が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記第1の二本鎖部分及び前記シグナル伝達二重構造のTm未満、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第2の温度が、前記第1の二本鎖部分、前記シグナル伝達二重構造、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度超である、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記混合物が、
前記第1の標的における第1の配列に相補的な第1のプライマーと、
前記第1の配列とは異なる、前記第1の標的における第2の配列に相補的な成分、及び前記第1の標的に相補的ではないタグ部分を含む、第2のオリゴヌクレオチドと、
エキソヌクレアーゼ活性を含む第1のポリメラーゼと、
任意選択で第2のポリメラーゼとを更に含み、
-前記混合物を前記処理することが、
前記第1のプライマー及び前記第2のオリゴヌクレオチドを前記第1の標的にハイブリダイズするのに好適な条件と、
前記第1のポリメラーゼ及び前記標的を鋳型として使用して前記第1のプライマーを伸長し、それにより前記タグ部分を切断することと、
相補塩基対合によって、前記切断されたタグ部分を前記第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることと、
前記第1又は第2のポリメラーゼ及び前記第1のオリゴヌクレオチドを鋳型として使用して前記タグ部分を伸長し、前記第1のオリゴヌクレオチドを含む二本鎖配列を生成し、それにより前記修飾を前記第1のオリゴヌクレオチドに提供し、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にすることとを含
み、
任意選択的に:
(a)
-前記二本鎖配列が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記二本鎖配列、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記二本鎖配列、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満であるか、
(b)
-前記二本鎖配列が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記二本鎖配列、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記二本鎖配列、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満であるか、
(c)
-前記二本鎖配列が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記二本鎖配列、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記二本鎖配列、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満であるか、又は
(d)
-前記二本鎖配列が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記二本鎖配列のTm未満、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第2の温度が、前記二本鎖配列、及び前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度超である、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、前記標的の第1の部分に相補的であり、
-前記混合物が、前記第1の標的の第2の部分に相補的な更なるオリゴヌクレオチドを更に含み、前記第1の標的の前記第1及び第2の部分は、互いに隣接するが重複せず、
-前記混合物を前記処理することが、
(
i)相補塩基対合によって前記第1のオリゴヌクレオチドを前記標的にハイブリダイズすることによる第1の二本鎖成分、及び
(
ii)相補塩基対合によって前記更なるオリゴヌクレオチドを前記標的にハイブリダイズすることによる第2の二本鎖成分
を含む二重構
造を形成し、
それにより、前記第1及び更なるオリゴヌクレオチドを近接させ、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、前記第1のオリゴヌクレオチドへの前記修飾を提供することを含
み、
任意選択的に:
-前記二重構造が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であるTmを有し、
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であるTmを有し、
-前記第1の温度が、前記二重構造、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記二重構造、及び前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満であり、
任意選択的に:
-前記第1の検出可能な部分がフルオロフォアであり、前記更なるオリゴヌクレオチドがクエンチャーを含み、
-前記二重構造を前記形成することが、更に前記フルオロフォア及びクエンチャーを近接させ、
-前記検出可能なシグナルが、前記第1の検出部分によって提供される蛍光の減少である、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
(a)
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記第1の検出部分が、前記第1のオリゴヌクレオチドが結合している、ナノ粒子、金属ナノ粒子、貴金属ナノ粒子、アルカリ金属ナノ粒子、金ナノ粒子、又は銀ナノ粒子であり、
-前記混合物を前記処理することが、
前記第1の標的を前記第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、それにより、前記第1の検出部分が前記試料中の前記第1の標的の存在を示す第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、前記第1のオリゴヌクレオチドへの前記修飾を誘導することを含み、
前記第1の検出可能なシグナルは、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記修飾後に前記第1の検出部分から生じる、
(i)屈折率の変化、
(ii)色の変化、及び/又は
(iii)吸収スペクトルの変化
である
か、又は
(b)
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記第1の検出部分が、前記第1のオリゴヌクレオチドが結合している電気化学的薬剤であり、
-前記混合物を前記処理することが、
前記第1の標的を前記第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、それにより、前記第1の検出部分が前記試料中の前記第1の標的の存在を示す第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、前記第1のオリゴヌクレオチドへの前記修飾を誘導又は促進することを含み、
前記第1の検出可能なシグナルは、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記修飾後の前記第1の検出部分から生じる電気化学的シグナルの変化である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
-前記第1の検出可能なシグナルの生成は、可逆的ではなく、
-前記第1のオリゴヌクレオチドへの前記修飾は、前記第1の検出部分が、前記第1の温度以下で前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にし、
-前記第1の温度以下で提供される前記第1の検出可能なシグナルは、前記第2の温度で検出可能なままであ
り、
任意選択的に:
-パート(c)が、
(i)第1の温度の1℃、2℃、3℃、4℃、若しくは5℃以内の第1のバックグラウンドシグナル、及び第2の温度の1℃、2℃、3℃、4℃、若しくは5℃以内の第2のバックグラウンドシグナル、並びに/又は
(ii)第3の温度での第3のバックグラウンドシグナル
を測定することを含み、これらは混合物中、又は対照混合物中の第1及び第2の検出部分によって提供され、
-パート(d)が、前記処理中又は処理後の1つ以上の時点で、
(i)前記第1又は第3のバックグラウンドシグナルとは異なる、前記修飾から生じる第1の検出可能なシグナルが、前記第1の温度で生成されるかどうかを決定することであって、
前記第1の温度において、前記第2の検出可能なシグナルが前記第1又は第3のバックグラウンドシグナルと異ならず、
前記第1の検出可能なシグナルと前記第1又は第3のバックグラウンドシグナルとの間の差の検出が、前記第1のオリゴヌクレオチドの前記修飾及び前記試料中の前記第1の標的の存在を示す、決定することと、
(ii)前記第2又は第3のバックグラウンドシグナルとは異なり、前記試料中の前
記第2の標的の存在を示す第2の検出可能なシグナルが、前記第2の温度で生成されるかどうかを決定することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
(a)
-前記第1のバックグラウンドシグナルとは異なる前記第1のシグナルが生成され、
-前記第2のバックグラウンドシグナルとは異なる前記第2のシグナルが生成され、
-前記第1の検出可能なシグナルが前記第1のバックグラウンドシグナルと異なるよりも大きい程度まで、前記第2の検出可能なシグナルが前記第2のバックグラウンドシグナルと異なり、
それにより前記第2の標的が前記試料中に存在することを示す
か、
(b)
-前記第3のバックグラウンドシグナルとは異なる前記第1のシグナルが生成され、
-前記第3のバックグラウンドシグナルとは異なる前記第2のシグナルが生成され、
-前記第1のシグナルが前記第3のバックグラウンドシグナルと異なるよりも大きい程度まで、前記第2のシグナルが前記第3のバックグラウンドシグナルと異なり、
それにより前記第2の標的が前記試料中に存在することを示すか、又は
(c)
-前記第2の温度が、前記第1の温度よりも高く、
-前記第3の温度が、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分のTmよりも低く、
-前記第3のバックグラウンドシグナルとは異なる前記第1の検出可能なシグナルが生成され、
-前記第3のバックグラウンドシグナルとは異なる前記第2の検出可能なシグナルが生成され、
-前記第1のシグナルが前記第3のバックグラウンドシグナルと異なるよりも大きい程度まで、前記第2の検出可能なシグナルが前記第3のバックグラウンドシグナルと異なり、
それにより前記第2の標的が前記試料中に存在することを示す、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(a)
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmが、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度未満、かつ前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満であり、
-前記第2の温度が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満である
か、又は
(b)
-前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTmが、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第1の温度が、前記第2の温度超、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超であり、
-前記第2の温度が、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm超、かつ前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ステム部分のTm未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
(a)
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、多成分核酸酵素(MNAザイム)の基質であり、
-前記混合物が、
前記第1の標的が前記試料中に存在する場合、前記第1のオリゴヌクレオチドを切断することができるMNAザイムを更に含み、
-前記混合物を前記処理することが、
前記MNAザイムを前記第1の標的に結合させ、前記MNAザイムの基質アームを、前記第1のオリゴヌクレオチドの切断を促進する相補塩基対合によって前記第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、それにより前記修飾を前記第1のオリゴヌクレオチドに提供し、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にすることを更に含む
か、
(b)
-前記第1のオリゴヌクレオチドがアプタザイムの基質であり、
-前記第1の標的が、分析物、タンパク質、化合物、又は分子であり、
-前記混合物が、前記第1の標的に結合することができるアプタマーを含むアプタザイムを更に含み、
-前記混合物を前記処理することが、
前記アプタザイムを前記第1の標的及び前記第1のオリゴヌクレオチドに結合させて、前記第1のオリゴヌクレオチドの切断を促進し、それにより前記修飾を前記第1のオリゴヌクレオチドに提供し、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを生成することを可能にすることを更に含むか、
(c)
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記第1のオリゴヌクレオチドが、前記第1の標的に相補的である配列を含み、
-前記混合物が、
前記第1の標的の一部に相補的なプライマー、及び
エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを更に含み、
-前記混合物を前記処理することが、
相補塩基対合によって、前記プライマーを前記第1の標的にハイブリダイズすることと、
相補塩基対合によって、前記第1のオリゴヌクレオチドを前記第1の標的にハイブリダイズすることと、
前記ポリメラーゼ及び前記第1の標的を鋳型配列として使用して前記プライマーを伸長し、それにより前記第1のオリゴヌクレオチドを消化し、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを生成することを可能にする、前記第1のオリゴヌクレオチドへの前記修飾を提供することと、を含むか、
(d)
-前記第1の標的が核酸配列であり、
-前記混合物が、
前記第1の標的を含む二本鎖の二重構造を消化することができる制限エンドヌクレアーゼを更に含み、
-前記混合物を前記処理することが、
相補塩基対合によって、前記第1のオリゴヌクレオチドを前記第1の標的にハイブリダイズし、それにより二本鎖の二重構造を形成することと、
前記制限エンドヌクレアーゼを使用して前記二重構造を消化し、それにより前記修飾を前記第1のオリゴヌクレオチドに提供し、前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にすることと、を含むか、又は
(e)
-前記混合物が、触媒活性に補因子を必要とするDNAザイム又はリボザイムを更に含み、
-前記混合物の前記処理が、
前記補因子を前記DNAザイム又はリボザイムに結合させて触媒活性化すること、
相補塩基対合によって、前記DNAザイム又はリボザイムを前記第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすること、及び
前記DNAザイム又はリボザイムを触媒活性化し、それにより前記第1のオリゴヌクレオチドを消化し、それにより前記第1の検出部分が前記第1の検出可能なシグナルを提供することを可能にする、前記第1のオリゴヌクレオチドへの前記修飾を提供すること
のために好適な条件を使用することを含み、
前記第1の標的が前記補因子である、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
-前記第1の酵素が第1のMNAザイムであり、
-前記混合物を前記処理することが、
前記第1のMNAザイムを前記第2の標的に結合させ、前記第1のMNAザイムの基質アームを前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ループ部分にハイブリダイズして、それにより、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドを消化し、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドを提供することを含
み、
-前記第2の標的が核酸配列であり、
-前記混合物を前記処理することが、
-相補塩基対合によって、前記第2の標的を前記第1のMNAザイムの前記センサーアームにハイブリダイズして、それにより前記第1のMNAザイムの集合を促進することを更に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
(a)
-前記第2の標的が核酸配列であり、
-前記第1の酵素が第1の制限エンドヌクレアーゼであり、前記混合物を前記処理することが、
相補塩基対合によって前記第2の標的を前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分にハイブリダイズして、前記第1の制限エンドヌクレアーゼが前記一本鎖ループ部分の前記1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドに会合し、それを消化するための二本鎖配列を形成して、それにより、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成するのに好適な条件を使用することを含む
か、
(b)
-前記第1の酵素が、エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを含み、
-前記混合物を前記処理することが、
相補塩基対合によって前記第2の標的を前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分にハイブリダイズして、前記第2の標的の一部を含む第1の二本鎖配列を形成し、
第1のプライマーオリゴヌクレオチドを前記第2の標的にハイブリダイズして、前記第2の標的の前記一部を含む前記第1の二本鎖配列に対して上流に位置する第2の二本鎖配列を形成し、
エキソヌクレアーゼ活性を有する前記ポリメラーゼを使用し、前記第2の標的を鋳型配列として使用して前記プライマーを伸長させるのに好適な条件を使用することを含み、
エキソヌクレアーゼ活性を含む前記第1のポリメラーゼは、前記第1の二本鎖配列の前記一本鎖ループ部分を消化し、それにより、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成するか、
(c)
-前記第1の酵素がエキソヌクレアーゼであり、
-前記混合物を前記処理することが、
相補塩基対合によって前記第2の標的を前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分にハイブリダイズして、前記第2の標的の一部を含む第1の二本
鎖配列を形成し、
エキソヌクレアーゼ活性を含む前記第1の酵素を、前記第2の標的を含む前記二本鎖配列と会合させ、
エキソヌクレアーゼ活性を含む前記第1の酵素を触媒活性化し、前記第2の標的を含む前記第1の二本鎖配列の前記一本鎖ループ部分を消化させ、それにより、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成するのに好適な条件を使用することを含むか、又は
(d)
-前記第1の酵素が、触媒活性に補因子を必要とするDNAザイム又はリボザイムであり、前記混合物を前記処理することが、
-前記補因子を前記第1の酵素に結合させて触媒活性化し、
-相補塩基対合によって、前記DNAザイム又はリボザイムを前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分にハイブリダイズし、
-前記DNAザイム又はリボザイムを触媒活性化し、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記一本鎖ループ部分の1つ以上のハイブリダイズしていないヌクレオチドを消化し、それにより、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドを形成するのに好適な条件を使用することを含み、
前記第2の標的が前記補因子である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
-前記第1及び第2の標的の存在又は不在を前記決定することが、融解曲線分析を含む、請求項1~
14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
-既知の濃度の前記第1の標的及
び既知の濃度の前記修飾後の前記第1のオリゴヌクレオチドを使用して、第1の標的陽性対照シグナルを生成すること
、
-前記第1の標的を含む別個の対照試料に対して前記方法を反復することによって、第1の標的陽性対照シグナルを生成すること、
-既知の濃度の前記第2の標的及び既知の濃度の前記修飾後の前記ステムループオリゴヌクレオチドを使用して、第2の標的陽性対照シグナルを生成すること、
-前記第2の標的を含む別個の対照試料に対して前記方法を反復することによって、第2の標的陽性対照シグナルを生成すること、及び/又は
-前記第1の標的及び前記第2の標的を含む別個の対照試料に対して前記方法を反復することによって、組み合わされた陽性対照シグナルを生成すること
を更に含み、
任意選択的に:
-前記組み合わされた対照試料が、既知の濃度の前記第1の標的及び/又は既知の濃度の前記第2の標的を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
(a)
(i)前記第1の標的、又は
(ii)前記第2の標的、又は
(iii)前記第1の標的若しくは前記第2の標的を含有しない別個の陰性対照試料に対して、請求項1~
17のいずれか一項に記載の方法を反復することによって、陰性対照シグナルのレベルを評価すること
、
-前記陰性対照シグナルを使用して、前記第1の検出可能なシグナル及び/又は前記第2の検出可能なシグナルを正規化すること、及び/又は
(b)
前記第1及び/又は第2の検出可能なシグナルを閾値と比較することを更に含み、
-前記閾値は、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法に従って試験された一連の試料又はその誘導体に由来する検出可能なシグナルを使用して生成され、
(i)鋳型なし対照及び前記第1の標的
(ii)鋳型なし対照及び前記第2の標的
(iii)鋳型なし対照、前記第1の標的、及び前記第2の標的
のうちのいずれか1つ以上を含み、それにより、前記試料中の前記第1及び第2の標的の前記存在又は不在を決定し、
任意選択的に:
-前記一連の試料又はその誘導体が、既知の濃度の前記第1のオリゴヌクレオチド及び/又は既知の濃度の前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドを使用して試験される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
-前記第1及び第2の検出可能な部分が、可視スペクトルの同じ色領域で発光する、請求項1~
14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
-第1の標的を検出するための第1のオリゴヌクレオチドであって、前記第1の標的は核酸であり、前記第1のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部に相補的である、第1のオリゴヌクレオチドと、
-第1の検出部分であって、
前記第1の検出部分が、前記第1のオリゴヌクレオチドの修飾時に、第1の検出可能なシグナルを生成することができ、
前記修飾が、相補塩基対合による前記第1の標的の前記第1のオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションによって誘導される、第1の検出部分と、
-第2の標的の検出のための無傷ステムループオリゴヌクレオチドであって、ハイブリダイズしたヌクレオチドの二本鎖ステム部分を含み、その対向鎖は、ハイブリダイズしていないヌクレオチドの破壊されていない一本鎖ループ部分によって連結され、前記二本鎖ステム部分の少なくとも1つの鎖は、第2の検出部分を含む、無傷ステムループオリゴヌクレオチドと、
-前記第2の標的が前記試料中に存在する場合にのみ、前記無傷ステムループオリゴヌクレオチドの前記ハイブリダイズしていないヌクレオチドのうちの1つ以上を消化し、それにより前記一本鎖ループ部分を破壊して分割ステムループオリゴヌクレオチドを提供することができる、第1の酵素と
を含む組成物であって、
-前記第2の検出部分は、前記分割ステムループオリゴヌクレオチドの前記二本鎖ステム部分の解離時に、第2の検出可能なシグナルを生成することができ、
-前記第1及び第2の検出部分は、単一の種類の検出器を使用して、単一の温度では鑑別できない検出可能なシグナルを生成することができる、組成物。
【国際調査報告】