(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(54)【発明の名称】ノードベース構造のフィクスチャレスアセンブリのための放射線対応保持機構
(51)【国際特許分類】
B29C 65/48 20060101AFI20230913BHJP
B25J 9/06 20060101ALI20230913BHJP
B29C 65/14 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
B29C65/48
B25J9/06 B
B29C65/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504404
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 US2021040332
(87)【国際公開番号】W WO2022026123
(87)【国際公開日】2022-02-03
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516093851
【氏名又は名称】ダイバージェント テクノロジーズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Divergent Technologies, Inc.
【住所又は居所原語表記】19601 Hamilton Avenue,Los Angeles,California 90502 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ツィンガー ルーカス フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ブロカス ヴィンセント アルナス
(72)【発明者】
【氏名】ガラガー ジェイソン ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】オコリ チュクウブイケム マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ミラー サムエル ノア
【テーマコード(参考)】
3C707
4F211
【Fターム(参考)】
3C707AS13
3C707AS23
3C707BS10
4F211AG05
4F211AG07
4F211AH17
4F211AR06
4F211AR07
4F211AR14
4F211TA03
4F211TC08
4F211TD20
4F211TH06
4F211TJ11
4F211TN45
(57)【要約】
フィクスチャレスアセンブリシステムにおいて少なくとも2つの構造部品を接合するための保持機構が提供される。グルーブを含む第1の構造体は、少なくとも1つの接着剤を収容するように構成されてもよく、第2の構造体は、第1及び第2の構造体を接合するために少なくとも1つの接着剤に接触するように構成されたタングを含んでもよい。第1の構造体はまた、EM放射源からグルーブの中へ電磁(EM)放射を受け取る少なくとも1つの窓を含んでもよい。少なくとも1つの接着剤は、時間を掛けて又は熱に曝露すると第1の速度で硬化するように構成され、少なくとも1つの接着剤は、EM放射線に曝露することにより第1の速度より速い第2の速度で硬化するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の構造体を第2の構造体に接合するための少なくとも1つの接着剤を収容するように構成されたグルーブと、前記グルーブ内に電磁(EM)放射を受け入れる少なくとも1つの窓とを含む第1の構造体を含み、
前記少なくとも1つの接着剤は、時間を掛けて又は熱に曝露されると第1の速度で硬化し、前記少なくとも1つの接着剤は、前記EM放射に曝露することにより前記第1の速度よりも速い第2の速度で硬化する、装置。
【請求項2】
前記EM放射は紫外線(UV)放射を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの接着剤は、前記第1の速度で硬化する第1の接着剤と、前記第2の速度で硬化する第2の接着剤とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記グルーブは、複数の区画を含み、前記第1の接着剤及び前記第2の接着剤は、前記複数の区画の別個の区画内に収容される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の接着剤は、前記第1の構造体を前記第2の構造体に接合する前に、前記グルーブ内に充填される、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の構造体は、前記少なくとも1つの接着剤に接触し、前記第2の構造体を前記第1の構造体に接合するタングを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記タングは、互いに間隔を置いた複数のセグメントを含み、それぞれが前記少なくとも1つの接着剤内に挿入される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記タングは、前記少なくとも1つの接着剤内に挿入された複数の開口部を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
第1の構造体を保持するように構成され、少なくとも1つの接着剤を収容するグルーブを含む第1のマテリアルハンドリングロボットと、
電磁(EM)放射を前記グルーブ内に放射するように構成されたEM放射源とを含み、
前記少なくとも1つの接着剤は、時間を掛けて又は熱に曝露すると第1の速度で硬化し、前記少なくとも1つの接着剤は、前記EM放射に曝露することにより、前記第1の速度よりも速い第2の速度で硬化する、アセンブリシステム。
【請求項10】
前記第1の構造体は、前記少なくとも1つの接着剤を前記第2の速度で硬化させるために前記グルーブの中へ前記EM放射を受け入れる少なくとも1つの窓を含む、請求項9に記載のアセンブリシステム。
【請求項11】
タングを含む第2の構造体を保持するように構成された第2のマテリアルハンドリングロボットをさらに含み、前記第2のマテリアルハンドリングロボットは、前記第1の構造体を前記第2の構造体と接合するために、前記タングを前記少なくとも1つの接着剤に挿入するようにさらに構成される、請求項9に記載のアセンブリシステム。
【請求項12】
前記EM放射源を含む急速硬化ロボットをさらに含む、請求項9に記載のアセンブリシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの接着剤を前記グルーブの中へ充填するように構成された接着剤吐出ロボットをさらに含む、請求項9に記載のアセンブリシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの接着剤は、前記第1の速度で硬化する第1の接着剤と、前記第2の速度で硬化する第2の接着剤とを含む、請求項13に記載のアセンブリシステム。
【請求項15】
前記グルーブは、複数の区画を含み、前記接着剤吐出ロボットは、前記複数の区画のうちの別個の区画を、前記第1の接着剤及び前記第2の接着剤で充填するように構成される、請求項14に記載のアセンブリシステム。
【請求項16】
第2の構造体のタングを前記第2の接着剤に挿入して、前記第1の構造体を前記第2の構造体に接合するように構成される第2のマテリアルハンドリングロボットをさらに含む、請求項14に記載のアセンブリシステム。
【請求項17】
少なくとも1つの接着剤を収容するグルーブを含む第1の構造体と、
前記第1の構造体に接合された第2の構造体であって、前記少なくとも1つの接着剤に接触するタングを含む第2の構造体とを含み、
前記少なくとも1つの接着剤は、時間を掛けて又は熱に曝露すると第1の速度で硬化するように構成され、前記少なくとも1つの接着剤は、電磁(EM)放射に曝露することにより前記第1の速度よりも速い第2の速度で硬化するように構成される、装置。
【請求項18】
前記第1の構造体は、前記EM放射が前記グルーブに入り、前記少なくとも1つの接着剤を前記第2の速度で硬化させることを可能にするように構成された少なくとも1つの窓を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記グルーブは複数の区画を含み、前記少なくとも1つの接着剤は、前記複数の区画の第1の区画内で前記第1の速度で硬化する第1の接着剤を含み、
前記少なくとも1つの接着剤は、前記複数の区画の第2の区画内で前記第2の速度で硬化する第2の接着剤を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記タングは、ワッフル形状、フォーク形状、櫛型形状、ループ形状、蛇型形状のいずれかを含む、請求項17に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の参照〕
本出願は、米国特許出願16/940,754(2020年7月28日、“RADIATION-ENABLED RETENTION FEATURES FOR FIXTURELESS ASSEMBLY OF NODE-BASED STRUCTURES”)に対する優先権を主張するものである。その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、構造体を組み立てるための保持機構に関し、より詳細には、構造体のフィクスチャレスアセンブリのための放射線対応保持機構に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車、トラック又は航空機などの乗り物は、多数の個々の構造部品が結合されて、本体、フレーム、内装及び外装などを形成している。これらの構造部品は、自動車、トラック及び航空機に形を与え、加速やブレーキなどの様々な動作によって生成されるか又は結果として生じる多くの異なるタイプの力に適切に応答する。これらの構造部品はまた、支持の役割も提供する。様々なサイズ及び幾何学的形状の構造部品は、例えば、パネル、押出成形物、及び/又は他の構造体間のインターフェースを提供するために、車両に統合されることがある。したがって、構造部品は車両に不可欠な部分である。
【0004】
現代の自動車工場は、構造部品のロボットアセンブリに大きく依存している。しかしながら、自動車部品のロボットアセンブリは、一般に、アセンブリプロセス中に構造部品をしっかりと保持するためのフィクスチャの使用に依存している。例えば、自動車工場では、ロボットで組み立てられる自動車の各部品は、その部品に特化した固有のフィクスチャを必要とする場合がある。ロボットで組み立てられる自動車の部品点数が多いため、同じように多くのフィクスチャが必要となり、コストの増加をもたらす。また、一般的に、フィクスチャは、設計された特定の部品にしか使用できない。
【発明の概要】
【0005】
車両の少なくとも一部をロボットで組み立てる際に、フィクスチャ(fixtures、治具)を使用せずに少なくとも2つの構造部品を接合するための装置を含むアセンブリシステムのいくつかの態様について、以下でより詳細に説明する。
【0006】
様々な側面では、装置は、第1の構造体を第2の構造体に接合するための少なくとも1つの接着剤を収容するように構成されるグルーブ(groove、溝)を含む第1の構造体と、グルーブの中へ電磁(EM)放射を受ける、少なくとも1つの窓とを含むことができる。少なくとも1つの接着剤は、時間を掛けて又は熱に曝露すると(upon exposure to one of time or heating)第1の速度で硬化し、少なくとも1つの接着剤は、EM放射線に曝露することにより第1の速度よりも速い第2の速度で硬化する。
【0007】
様々な態様では、アセンブリシステムは、第1の構造体を保持するように構成された第1のマテリアルハンドリングロボットを含むことができ、第1の構造体は、少なくとも1つの接着剤を収容するグルーブを含む。アセンブリシステムはまた、グルーブの中にEM放射線を放射するように構成される、EM放射線源を含んでもよい。少なくとも1つの接着剤は、時間を掛けて又は熱に曝露すると第1の速度で硬化し、少なくとも1つの接着剤は、EM放射線に曝露することにより第1の速度よりも速い第2の速度で硬化する。
【0008】
様々な側面では、装置は、少なくとも1つの接着剤を収容するグルーブを含む、第1の構造体と、第1の構造体に接合され少なくとも1つの接着剤に接触するタング(tongue)を含む第2の構造体とを含んでもよい。少なくとも1つの接着剤は、時間を掛けて又は熱に曝露すると第1の速度で硬化するように構成され、少なくとも1つの接着剤は、EM放射線に曝露することにより、第1の速度より速い第2の速度で硬化するように構成される。
【0009】
他の態様は、以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになるであろうが、いくつかの実施形態のみを例示として示し、説明する。当業者によって理解されるように、本明細書の概念は、全て本開示から逸脱することなく、他の実施形態及び異なる実施形態が可能であり、いくつかの詳細は、様々な他の点において変更が可能である。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示的なものであり、限定的なものではないと見なされるべきである。
【0010】
ここで、その様々な態様が、添付の図面において、限定ではなく例として、詳細な説明において提示されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】車両の少なくとも一部を組み立てるように構成された複数のロボットを含む例示的な組み立てシステムの斜視図を示す。
【
図2A】急速硬化接着剤を収容するためのグルーブを含む第1の構造体の例を示す。
【
図2B】急速硬化接着剤を収容するためのグルーブを含む第1の構造体の例を示す。
【
図3A】急速硬化接着剤に接触するためのタングを含む第2の構造体の一例を示す。
【
図3B】急速硬化接着剤に接触するためのタングを含む第2の構造体の一例を示す。
【
図6】構造用接着剤及び急速硬化接着剤を別々に収容するための区画を有するグルーブを含む第1の構造体の別の例を示す。
【
図7】単一の構造用急速硬化接着剤を収容するグルーブを含む第1の構造体の別の例を示す。
【
図8A】車両の少なくとも一部の組立のための様々な例示的な動作を実行するように構成された複数のロボットを含む例示的な組み立てシステムの斜視図を示す。
【
図8B】車両の少なくとも一部の組立のための様々な例示的な動作を実行するように構成された複数のロボットを含む例示的な組み立てシステムの斜視図を示す。
【
図8C】車両の少なくとも一部の組立のための様々な例示的な動作を実行するように構成された複数のロボットを含む例示的な組み立てシステムの斜視図を示す。
【
図8D】車両の少なくとも一部の組立のための様々な例示的な動作を実行するように構成された複数のロボットを含む例示的な組み立てシステムの斜視図を示す。
【
図8E】車両の少なくとも一部の組立のための様々な例示的な動作を実行するように構成された複数のロボットを含む例示的な組み立てシステムの斜視図を示す。
【
図8F】車両の少なくとも一部の組立のための様々な例示的な動作を実行するように構成された複数のロボットを含む例示的な組み立てシステムの斜視図を示す。
【
図8G】車両の少なくとも一部の組立のための様々な例示的な動作を実行するように構成された複数のロボットを含む例示的な組み立てシステムの斜視図を示す。
【
図8H】車両の少なくとも一部の組立のための様々な例示的な動作を実行するように構成された複数のロボットを含む例示的な組み立てシステムの斜視図を示す。
【
図9】少なくとも1つのロボットに、車両の少なくとも1つの部品の組み立てに関連する様々な動作を指示するための命令の1つ又は複数のセットを実行するように構成された例示的なコントローラ処理システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図面に関連して以下に示す詳細な説明は、本明細書で開示する概念の様々な例示的な実施形態の説明を提供することを意図しており、本開示を実施することができる唯一の実施形態を表すことを意図していない。本開示で使用される「例示的」という用語は、「例、事例、又は説明として役立つ」ことを意味し、必ずしも本開示で提示される他の実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。詳細な説明は、概念の範囲を当業者に完全に伝える完全な開示を提供する目的で具体的な詳細を含む。しかしながら、本開示は、これらの具体的な詳細なしに実施され得る。いくつかの事例では、よく知られている構造及び構成要素は、本開示全体にわたって提示される様々な概念を不明瞭にすることを回避するために、ブロック図の形態で示され、又は完全に省略され得る。
【0013】
シャーシ設計に依存する多数のフィクスチャを必要とせずに輸送構造(例えば、自動車シャーシ)をロボットで組み立てるためのより経済的なアプローチを提供するために、構造部品のためのフィクスチャレス(fixtureless)の設計に依存しないアセンブリが使用され得る。例えば、ロボットは、例えば、ロボットアームのエンドエフェクタを使用して、構造体を直接保持し、組み立てプロセス中に、その構造体を別のロボットによって保持される別の構造体と位置合わせして接合するように構成されてもよい。構造体は、例えば、ノード、チューブ、押出し成形品、パネル、ピース、パーツ、コンポーネント、アセンブリ又はサブアセンブリ(例えば、少なくとも2つの事前に接合された構造体を含む)などであってもよい。例えば、構造体又は部品は、車両シャーシ、パネル、ベースピース、本体、フレーム、及び/又は別の車両構成要素などの車両に関連する少なくとも一部又はセクションであり得る。ノードは、他の構造体(例えば、チューブ、パネル等)に接続するために使用される1つ以上のインターフェースを含み得る構造体である。構造体は、付加製造(additive manufacturing、AM)(例えば、3D印刷)を使用して生産されてもよい。
【0014】
図1は、フィクスチャレスアセンブリシステム100の一例の斜視図を示す。フィクスチャレスアセンブリシステム100は、車両のフィクスチャレスアセンブリに関連する様々な作業において採用されてもよく、例えば、ノードベースの車両のロボットアセンブリなどである。フィクスチャレスアセンブリシステム100は、いかなるフィクスチャも有さない車両のアセンブリの少なくとも一部に関連する1つ又は複数の要素を含むことができる。例えば、フィクスチャレスアセンブリシステム100の1つ以上の要素は、ノードベースの車両のロボットアセンブリ中に、いかなるフィクスチャも使用せずに第1の構造体が1つ以上の他の構造体と接合される1つ以上の動作のために構成されてもよい。
【0015】
アセンブリセル105は、フィクスチャレスアセンブリシステム100の場所に構成されてもよい。アセンブリセル105は、垂直アセンブリセルであってもよい。アセンブリセル105内で、フィクスチャレスアセンブリシステム100は、ロボット107、109、111、113、115、117のセットを含むことができる。ロボット107は、キーストーンロボットと呼ばれることがある。フィクスチャレスアセンブリシステム100は、ロボットがアクセスするための部品及び構造体を保持することができる部品テーブル121を含むことができる。例えば、第1の構造体123及び第2の構造体125は、ロボットによってピックアップされ、ともに組み立てられるように、部品テーブル121のうちの1つの上に配置されてもよい。様々な実施形態では、構造体のうちの1つ以上は、複合ノード等の付加製造された構造体であってもよい。
【0016】
フィクスチャレスアセンブリシステム100はまた、アセンブリセル105のロボットの様々なコントローラにコマンドを発行するためのコンピューティングシステム129を含むことができる。この例では、コンピューティングシステム129は、無線通信を介してロボットに通信可能に接続される。フィクスチャレスアセンブリシステム100は、ロボットのロボットアーム及び/又はロボットによって保持される構造体の位置を正確に測定することができる計測システム131を含むこともできる。
【0017】
従来のロボットアセンブリ工場とは対照的に、フィクスチャレスアセンブリシステム100においては、構造体は、フィクスチャなしで組み立てることができる。例えば、構造体は、上述のフィクスチャなどの任意のフィクスチャ内で接続される必要はない。代わりに、アセンブリセル105内のロボットの少なくとも1つが、フィクスチャから予想される機能を提供することができる。例えば、ロボットは、アセンブリセル105内で組み立てられる構造体に(例えば、ロボットアームのエンドエフェクタを使用して)直接接触するように構成されてもよく、その結果、これらの構造体は、いかなるフィクスチャも伴わずに係合及び保持されてもよい。さらに、ロボットの少なくとも1つは、ポジショナ及び/又はフィクスチャテーブルから予想される機能を提供することができる。例えば、キーストーンロボット107は、フィクスチャレスアセンブリシステム100内のポジショナ及び/又はフィクスチャテーブルに取って代わることができる。
【0018】
キーストーンロボット107は、基部及びロボットアームを含んでもよい。ロボットアームは、キーストーンロボット107と通信可能に接続されたプロセッサにロードされたコンピュータ実行可能命令によって指示され得る移動のために構成されてもよい。キーストーンロボット107は、基部を通してアセンブリセル105の表面(例えば、アセンブリセルの床)に接触することができる。
【0019】
キーストーンロボット107は、第1の構造体(例えば、車両の一部)に係合し保持するように構成されるエンドエフェクタを含んでもよく、及び/又はエンドエフェクタと接続されてもよい。エンドエフェクタは、少なくとも1つの構造体とインターフェース接続するように構成された構成要素であってもよい。エンドエフェクタの例としては、ジョー(jaws)、グリッパ、ピン、又はロボットによる構造体のフィクスチャレス係合及び保持を容易にすることができる他の同様の構成要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の構造体は、車両シャーシ、本体、フレーム、パネル、ベースピースなどのセクションであってもよい。例えば、第1の構造体は床パネルを含んでもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、キーストーンロボット107は、他の構造体のセットが第1の構造体に(直接的又は間接的に)接続される間、エンドエフェクタを介して第1の構造体との接続を保持することができる。キーストーンロボット107は、フィクスチャレスで第1の構造体に係合して保持するように構成することができ、例えば、上述のフィクスチャのいずれもフィクスチャレスアセンブリシステム100に存在しなくてもよい。いくつかの実施形態では、ロボットのうちの少なくとも1つによって保持される構造体(例えば、第1の構造体)は、付加製造されるか、又はいかなるフィクスチャを使用することなく、ロボットのうちの少なくとも1つによるそれらの構造体の係合及び保持を容易にする1つ以上の特徴で共印刷(co-printed)されてもよい。
【0021】
第1の構造体を保持する際に、キーストーンロボット107は、第1の構造体を位置決めする(例えば、動かす)ことができる。すなわち、第1の構造体の位置は、キーストーンロボットによって保持されるとき、キーストーンロボット107によって制御され得る。キーストーンロボット107は、例えば、キーストーンロボットのロボットアームのエンドエフェクタを使用して、第1の構造体を保持又は把持することによって、第1の構造体を保持してもよい。例えば、キーストーンロボット107は、グリッパフィンガ、ジョー等を第1の構造体の1つ以上の表面に接触させ、キーストーンロボットが第1の構造体の位置を制御するように充分な圧力をそれに加えることによって、第1の構造体を保持してもよい。すなわち、第1の構造体は、キーストーンロボット107によって保持されるときに空間内で自由に移動することが防止されてもよく、第1の構造体の移動は、キーストーンロボットによって制約され得る。上述のように、第1の構造体は、キーストーンロボット107による第1の構造体のフィクスチャレス係合及び保持を容易にする1つ又は複数の特徴を含むことができる。
【0022】
他の構造体(サブアセンブリ、構造体のサブ構造などを含む)が第1の構造体に接続されると、キーストーンロボット107は、エンドエフェクタを介して第1の構造体との係合を保持することができる。第1の構造体とそれに接続される1つ以上の構造体との集合体は、構造体そのものと称されることもあるが、アセンブリ又はサブアセンブリと称されることもある。キーストーンロボット107は、キーストーンロボットが第1の構造体に係合すると、アセンブリとの係合を保持することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、アセンブリセル105のロボット109及び111は、キーストーンロボット107と同様であってもよく、したがって、キーストーンロボットによって保持されると、第1の構造体と接続され得る構造体と係合するように構成されるそれぞれのエンドエフェクタを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ロボット109、111は、アセンブリロボット及び/又はマテリアルハンドリングロボット(materials handling robots)と称されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、アセンブリセル105のロボット113を使用して、第1の構造体と第2の構造体との間の構造的接続に影響を及ぼすことができる。例えば、ロボット113は、構造用接着剤ロボットと呼ぶことができる。構造用接着剤ロボット113は、キーストーンロボット107と同様であってもよいが、構造用接着剤ロボットは、構造体が他の構造体と接合するために他の構造体に対して接合近接に位置付けられる前又は後に、キーストーンロボットによってフィクスチャレスに保持される構造体及びアセンブリロボット109、111によってフィクスチャレスに保持される構造体の少なくとも1つの表面に構造用接着剤を塗布するように構成されたツールをロボットアームの遠位端に含んでもよい。接合近接範囲(joining proximity)は、第1の構造体が第2の構造体に接合されることを可能にする位置であり得る。例えば、様々な実施形態では、第1及び第2の構造体は、構造体が接合近接範囲内にある間に接着剤の塗布及びその後の接着剤の硬化を通して接合されてもよい。
【0025】
様々な実施形態では、構造体を迅速に接合し、構造体を保持するために、急速硬化接着剤が付加的に塗布されてもよく、その結果、構造用接着剤は、構造体を保持するために両方のロボットを必要とせずに硬化することができる。この点に関して、フィクスチャレスアセンブリシステム100のロボット115は、急速硬化接着剤を塗布し、接着剤を迅速に硬化させるために使用され得る。この例示的な実施形態では、急速硬化UV接着剤が使用されてもよく、ロボット115はUVロボットと呼ばれてもよい。UVロボット115は、キーストーンロボット107と同様であり得るが、ただし、UVロボットは、ロボットアームの遠位端に、急速硬化UV接着剤を塗布し、例えば第1の構造体が第2の構造体に対して接合近接範囲内に位置決めされるときに接着剤を硬化させるように構成されたツールを含み得る。すなわち、UVロボット115は、構造体が、キーストーンロボット107及び/又はアセンブリロボット109、111のロボットアームのうちの少なくとも1つの方向を通じて得られる接合近接範囲内にあるときに、接着剤が第1の構造体及び/又は第2の構造体に塗布された後に接着剤を硬化させることができる。
【0026】
様々な実施形態では、ロボットは、複数の異なる役割のために使用されてもよい。例えば、ロボット117は、アセンブリロボット109、111のような組立ロボットの役割と、UVロボット115のようなUVロボットの役割とを実行することができる。この点に関して、ロボット117は、「アセンブリ/UVロボット」と呼ぶことができる。アセンブリ/UVロボット117は、アセンブリ/UVロボットのロボットアームの遠位端がエンドエフェクタ(例えば、ツールフランジ(tool flange)によって接続される)を含む場合、アセンブリロボット109、111の各々と同様の機能を提供することができる。しかしながら、アセンブリ/UVロボット117は、アセンブリ/UVロボットのロボットアームの遠位端が、UV接着剤を塗布し、UV接着剤を硬化させるためにUV光を放射するように構成されたツールを含む場合、UVロボット115と同様の機能を提供することができる。
【0027】
UVロボット115及びアセンブリ/UVロボット117によって塗布される急速硬化接着剤は、構造用接着剤が硬化して第1の構造体及び第2の構造体を恒久的に接合することができるまで、接着剤が第1の構造体及び第2の構造体の相対位置を接合近接範囲内に保持することができるという点で、部分的な接着剤接合を提供することができる。
【0028】
アセンブリセル105における車両の少なくとも一部のアセンブリであって、第2の構造体は、様々なフィクスチャレスロボット107、109、111、113、115、117を方向付けることによって、第1の構造体に直接接合され得る。追加の構造体は、第1の構造体に間接的に接合されてもよい。例えば、第1の構造体は、キーストーンロボット107、構造接着ロボット113、少なくとも1つのアセンブリロボット109、111、及び/又はUVロボット115の移動(複数可)によって第2の構造体に直接接合されてもよい。その後、追加の構造体が第2の構造体に直接接合されるので、第2の構造体と接合された第1の構造体を追加の構造体に間接的に接合することができる。したがって、キーストーンロボット107によって保持され続け得る第1の構造体は、追加の構造体がそれに直接的又は間接的に接合されるので、アセンブリプロセス全体にわたって進化し得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、アセンブリロボット109、111は、例えば、部分的な急速硬化接着結合によって、2つ以上の構造体をフィクスチャレスに接合してから、それら2つ以上の構造体をキーストーンロボット107によって保持される第1の構造体にフィクスチャレスに接合してもよい。構造体アセンブリと接合される前に互いに接合される2つ以上の構造体はまた、構造体であってもよく、さらに、サブアセンブリと称されてもよい。したがって、構造体が、キーストーンロボット107、構造用接着剤ロボット113、少なくとも1つのアセンブリロボット109、111、及びUVロボット115の移動を通して第1の構造体に接続される構造体サブアセンブリの一部を形成する場合、構造体サブアセンブリが第1の構造体を含む構造体アセンブリに接合されると、構造体サブアセンブリの構造体は、第1の構造体に間接的に接続され得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、構造用接着剤は、第1及び第2の構造体が接合近接範囲内にもたらされる前に、例えば、構造体のうちの1つのグルーブ内に堆積されて塗布されてもよい。例えば、構造用接着剤ロボット113は、構造用接着剤のためのディスペンサを含んでもよく、構造体が接合近接範囲内に運ばれる前に構造用接着剤を塗布してもよい。いくつかの実施形態では、構造用接着剤は、構造体アセンブリが完全に構築された後に(すなわち、車両の部品の各構造が第1の構造体に接合された後に)塗布されてもよい。例えば、構造用接着剤は、第1の構造体と第2の構造体との間の1つ以上の接合部又は他の接続部に塗布されてもよい。いくつかの実施形態では、構造用接着剤は、フィクスチャレスアセンブリシステム100とは別個に塗布されてもよい。
【0031】
組み立てが完了した後、すなわち、構造接着剤が塗布された状態で、部分的な接着結合で保持された全ての構造体が組み立てられた後、構造用接着剤は硬化されてもよい。構造用接着剤を硬化させた上で、車両の一部が完成してもよく、したがって、車両での使用に好適であり得る。例えば、完成した構造体アセンブリは、消費者用及び/又は商業用車両のために定義される任意の適用可能な産業規格及び/又は安全基準を満たし得る。
【0032】
様々な実施形態によると、ロボット107、109、111、113、115、117のうちの1つ以上は、それぞれのロボットのそれぞれの基部を通して、アセンブリセル105の表面に固定されてもよい。例えば、ロボットのうちの1つ以上は、アセンブリセルの床にボルト留めされる基部を有してもよい。様々な他の実施形態では、ロボットのうちの1つ以上は、アセンブリセル105内でロボットを移動させるように構成される構成要素を含んでもよく、又はそれと接続されてもよい。例えば、アセンブリセル105内のキャリア119は、アセンブリ/UVロボット117に接続され得る。
【0033】
ロボット107、109、111、113、115、117の各々は、ロボットのすべて又はいくつかにわたって共通の特徴を含み得る。例えば、ロボットの全ては、基部を含んでもよく、その各々は、アセンブリセル105に接触する(例えば、アセンブリセルの床に載るか、又は固定される)表面(例えば、底面)を有する。各基部は、別の表面(例えば、上面及び/又はアセンブリセル105に接触する表面とは反対側の基部に配置された表面)を有してもよく、それぞれの他の表面において、基部は、ロボットのうちのそれぞれのロボットアームの近位端と接続してもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、基部は、少なくとも1つの回転及び/又は並進機構(translation mechanism)を介して、ロボットアームの近位端に接続されてもよい。少なくとも1つの回転及び/又は並進機構は、ロボットアームのエンドエフェクタ又は他のツールの移動において少なくとも1つの自由度を提供することができる。それに対応して、少なくとも1つの回転及び/又は並進機構は、ロボットアームのエンドエフェクタ又は他のツールによって係合及び保持される構造体の移動において少なくとも1つの自由度を提供してもよい。
【0035】
ロボット107、109、111、113、115、117の各ロボットアームは、ロボットアームの近位端の反対側に配置された遠位端を含むことができる。各ロボットの各ロボットアームは、エンドエフェクタ及び/又は接着剤塗布ツール、硬化ツールなどのツールを含むことができる。エンドエフェクタ又はツールは、ロボットアームの遠位端にあってもよい。いくつかの実施形態では、ロボットアームの遠位端は、少なくとも1つの回転及び/又は並進機構を介して、エンドエフェクタ又はツール(又はツールフランジ)に接続されてもよく、これは、ツールの動き及び/又はロボットアームのツールによって係合及び保持される構造体の動きに少なくとも1つの自由度を提供することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、ロボットアームの遠位端は、ツールフランジと、ツールフランジに含まれるツールとを含んでもよく、例えば、ツールは、ツールフランジを用いてロボットアームの遠位端に接続されてもよい。ツールフランジは、複数のツールを含むように構成されてもよい。このようにして、例えば、アセンブリ/UVロボット117は、アセンブリ/UVロボット117のロボットアームの遠位端がエンドエフェクタ(例えば、ツールフランジによって接続される)を含む場合、アセンブリロボット109、111のそれぞれと同様の機能を提供することができる。加えて、アセンブリ/UVロボット117は、アセンブリ/UVロボット117のロボットアームの遠位端がUV接着剤を塗布し、UV光を放射して接着剤を硬化させるように構成されたツールを含む場合、UVロボット115と同様の機能を提供することができる。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、ツールフランジ及び/又はツールは、ツールによって係合及び保持される構造体の回転及び/又は並進のための1つ以上の追加の自由度(additional degrees)を提供してもよい。そのような追加の自由度は、基部をロボットアームの近位端に接続する、及び/又はロボットアームの遠位端をツール(又はツールフランジ)に接続する、1つ以上の機構を介して提供される1つ以上の自由度を補完してもよい。例示的に、ロボット107、109、111、113、115、117のうちの少なくとも1つのロボットアームは、関節接合部(joint)、ボール接合部、及び/又は他の同様の接合部など、遠位端及び/又は近位端で回転及び/又は並進するように構成された少なくとも1つの接合部を含むことができる。
【0038】
ロボット107、109、111、113、115、117のそれぞれの接続部(例えば、ロボットの1つの様々な構成要素を接続する1つ又は複数の回転及び/又は並進機構)、それぞれのツールフランジ、及び/又はそれぞれのツールの1つ以上は、ロボットによって係合及び保持される構造体のための6自由度(6DoF)の少なくとも一部(及び潜在的に全て)を提供してもよい。6DoFは、空間における並進のための前方/後方(例えば、サージ(surge))、上方/下方(例えば、ヒーブ(heave))、左/右(例えば、スウェイ)を含むことができ、空間における回転のためのヨー、ピッチ、及びロールをさらに含むことができる。構造体の様々な部分へのアクセスは、構造体の移動において6DoFを提供できず、それに取り付けられた構造体の重要な部分へのアクセスもブロックするフィクスチャを使用した構造体の保持とは対照的に、6DoFのうちの1つ又は複数を介して達成可能であってよい。
【0039】
ロボット107、109、111、113、115、117のそれぞれは、
図1に示すコントローラ137、139、141、143、145、147のそれぞれの1つのようなコントローラと通信可能に接続され得る。コントローラ137、139、141、143、145、147の各々は、例えば、メモリと、メモリに通信可能に接続されたプロセッサとを含み得る(例えば、
図9に関して以下で説明するように)。いくつかの他の実施形態によれば、コントローラ137、139、141、143、145、147のうちの1つ又は複数は、単一のコントローラによって制御されるロボットのうちの1つ又は複数に通信可能に接続される単一のコントローラとして実装され得る。
【0040】
フィクスチャレスアセンブリを実行するためのコンピュータ可読命令は、コントローラ137、139、141、143、145、147のメモリに格納することができ、コントローラのプロセッサは、命令を実行して、ロボット107、109、111、113、115、117に上述のような様々なフィクスチャレス動作を実行させることができる。
【0041】
コントローラ137、139、141、143、145、147は、例えば、有線(例えば、バス又は他のインターコネクト)及び/又は無線(例えば、無線ローカルエリアネットワーク、無線イントラネット)接続を介して、関連付けられたロボット107,109,111,113,115,又は117の1つ以上の構成要素に通信可能に接続されてもよい。コントローラの各々は、例えば、様々なフィクスチャレス動作を実行するために、コマンド、要求などを関連するロボットの1つ又は複数の構成要素に発行することができる。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、コントローラ137、139、141、143、145、147は、コマンドなどを関連するロボット107,109,111,113,115,又は117のロボットアームに発行することができ、例えば、アセンブリセル105のグローバルセル基準フレームに対する絶対座標のセットに基づいてロボットアームを方向付けることができる。様々な実施形態では、コントローラ137、139、141、143、145、147は、ロボットアームの遠位端に接続されたツールにコマンドなどを発行することができる。例えば、コントローラは、接着剤アプリケータによって第1の構造体又は第2の構造体の表面上に制御された量の接着剤を堆積させること、硬化ツールによって制御された持続時間の間、構造体間に堆積された接着剤をUV光に曝露させること等を含む、ツールの動作を制御してもよい。様々な実施形態では、コントローラ137、139、141、143、145、147は、ロボットアームの遠位端にあるエンドエフェクタにコマンドなどを発行することができる。例えば、コントローラは、構造体に係合すること、構造体を保持すること、及び/又は構造体を操作することを含むエンドエフェクタの動作を制御することができる。
【0043】
様々な他の態様によれば、同様にプロセッサ及びメモリを有するコンピューティングシステム129などのコンピューティングシステムは、コントローラ137、139、141、143、145、147のうちの1つ又は複数と通信可能に接続され得る。様々な実施形態では、コンピューティングシステムは、ローカルエリアネットワーク、イントラネット、広域ネットワーク等の有線及び/又は無線接続を介して、コントローラと通信可能に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、コンピューティングシステムは、コントローラ137、139、141、143、145、147のうちの1つ以上において実装されてもよい。いくつかの他の実施形態では、コンピューティングシステムは、アセンブリセル105の外側に配置されてもよい。そのようなコンピューティングシステムの一例は、
図9に関して以下で説明される。
【0044】
コンピューティングシステムのプロセッサは、メモリからロードされた命令を実行することができ、命令の実行は、コンピューティングシステムに、コマンド等を含むメッセージを、コントローラのうちの1つにネットワーク接続又は他の通信リンクを介して送信することなどによって、コントローラ137、139、141、143、145、147にコマンド等を発行させることができる。
【0045】
いくつかの実施形態によると、コマンドのうちの1つ以上は、座標のセットを示してもよく、コマンドを受信するコントローラのうちの1つと関連付けられたロボット107、109、111、113、115、117のうちの1つによって行われるアクションを示してもよい。コマンドによって示され得る動作の例は、ロボットアームの移動の指示、ツールの操作、エンドエフェクタによる構造体の係合、構造体の回転及び/又は並進などを含む。例えば、コンピューティングシステムによって発行されるコマンドは、ロボットアームの遠位端がコマンドによって示される座標のセットに基づいて配置され得るように、アセンブリロボット109のコントローラ139にアセンブリロボット109のロボットアームを方向付けさせてもよい。
【0046】
メモリからロードされ、コンピューティングシステムのプロセッサによって実行され、コントローラにロボットの動作を制御させる命令は、コンピュータ支援設計(CAD)データに基づいてもよい。例えば、アセンブリセル105のCADモデル(例えば、物理的ロボットのCADモデルを含む)が構築され、コンピューティングシステムによって発行されるコマンドを生成するために使用されてもよい。
【0047】
したがって、フィクスチャレスのアセンブリプロセスの一例では、複数のロボット(例えば、ロボット107、109、111、113、115、及び/又は117)が、(例えば、コンピューティングシステム129及び/又は1つ以上のコントローラ137、139、141、143、145、147によって)制御され、アセンブリセル(例えば、アセンブリセル105などの垂直アセンブリセル)内で2つの構造体を共に接合する。アセンブリ作業は、車両の少なくとも一部品(例えば、車両シャーシ、本体、パネルなど)のフィクスチャレスアセンブリのために複数の構造体が接合され得るように繰り返し実行され得る。第1のマテリアルハンドリングロボット(例えば、ロボット109)は、同様に第2のマテリアルハンドリングロボット(例えば、ロボット111)によって保持される第2の構造体(例えば、第2の構造体125)と接合される、第1の構造体(例えば、第1の構造体123)を(例えば、エンドエフェクタを使用して)保持してもよい。構造用接着剤吐出(dispensing)ロボット(例えば、ロボット113)は、第1のロボットによって保持された第1の構造体の表面に構造用接着剤を塗布することができる。第1のマテリアルハンドリングロボットは、次いで、第2のマテリアルハンドリングロボットによって保持される第2の構造体に対して接合近接位置に第1の構造体を位置決めすることができる。メトロロジシステム(metrology system例えば、計測システム131)は、ロボットのロボットアーム及び/又はロボットによって保持される構造体を、接合近接位置における最適な位置へと正確に測定し、補正し、かつ移動させるために移動-測定-補正(MMC)手順を実施することができる(例えば、レーザ走査及び/又は追跡を使用する)。
【0048】
次いで、位置決めされた構造体(例えば、構造体123、125)は、構造用接着剤を使用してともに接合され、(例えば、時間をかけて又は熱を使用して)硬化されてもよい。しかしながら、構造用接着剤の硬化速度は比較的長くてもよいため、急速硬化接着剤ロボット(例えば、ロボット115又はロボット117)は、第1及び第2の構造体が接合近接範囲内にあるときに、第1及び/又は第2の構造体に急速硬化接着剤を追加で塗布し、次いで、急速硬化接着剤ロボットは、電磁(EM)放射(例えば、紫外線(UV)放射)を急速硬化接着剤上に放射するエンドエフェクタに切り替わる。例えば、急速硬化接着剤ロボットは、UV接着剤が両方の構造体に接触するように、第1及び/又は第2の構造体の表面にわたってUV接着剤ストリップを塗布してもよく、次いで、ロボットは、UV接着剤ストリップ上にUV放射線を放射してもよい。EM放射線に曝露することにより、急速硬化接着剤は、構造用接着剤の硬化速度よりも速い硬化速度で硬化し、したがって、第1及び第2の構造体をフィクスチャレスでそれらの相対位置に保持することができるので、ロボットは、構造用接着剤の硬化を待つことなく、他の作業(例えば、他の部品の保持及び接合)に迅速に対処することができる。いったん構造用接着剤が硬化すると、第1及び第2の構造体は、構造的完全性を伴って結合される。
【0049】
しかしながら、接合近接内の第1及び第2の構造体は様々な位置に配向され得るため、表面(複数可)に接触するUV接着剤ストリップは、時折、移動する(例えば、滴り落ちる)ことがある。例えば、ある構造体は、別の構造体に対して逆さまに配置されることがあり、そのためUV接着剤は、重力によって垂れてしまうことがある。その結果、UV接着剤が硬化されるとき、第1及び第2の構造体は、許容可能な公差(tolerance)を提供しない位置に不注意に保持され得、アセンブリの構造的完全性に影響を及ぼす。
【0050】
接合近接位置でのUV接着剤の塗布が困難であることも、構造体の不適切な保持の原因となり得る。例えば、第1及び第2の構造体を接合近接内に保持するマテリアルハンドリングロボットは、アセンブリセル内に密に詰め込まれ得る。その結果、急速硬化接着剤ロボットは、マテリアルハンドリングロボットの周囲を操縦し、この密に詰められた領域(tightly packed area)内の接合近接内の構造体にUV接着剤を塗布することが困難となる場合がある。さらに、計測システムはまた、レーザ追跡を使用して、この密に詰められた領域内のこれらの構造体に対してMMCを実行し得るため、急速硬化接着剤ロボットは、UV接着剤を塗布しようとするときに、レーザ及びMMCプロセスを潜在的に妨害する可能性がある。その結果、アセンブリ全体が影響を受ける可能性がある。例えば、アセンブリが、異なる部品を積層して形成される場合、ある構造体の位置ずれが、その構造体が支持する他の部品の位置ずれに影響を与える可能性がある。加えて、構造体及びサブアセンブリは、組み立てプロセス中に頻繁に移動するため、不適切な保持は、構造体又はサブアセンブリをゆがませるか、又はアセンブリから落下させる場合がある。
【0051】
フィクスチャレス組み立てプロセス中の構造体の不適切な保持の可能性を低減するために、本開示は、第1及び第2の構造体(例えば、第1の構造体123及び第2の構造体125)における保持機構(retention features)を提供し、この保持特徴部は、構造体が接合近接内に配置される前に急速硬化接着剤が塗布されることを可能にする。
図2A及び
図2Bは、グルーブ(例えば、凹部など)の形態の保持機構を含む第1の構造体200の一例を図示し、
図3A及び
図3Bは、タング(例えば、突起等)の形態の保持機構を含む第2の構造体300の一例を図示する。さらに、
図4A及び
図4Bは、前述の保持機構を使用して、第2の構造体406(例えば、第2の構造体300)に接合された第1の構造体402(例えば、第1の構造体200)を含む、サブアセンブリ400の一例を図示する。
【0052】
前述の図を参照すると、サブアセンブリ300の第1の構造体123、200、402は、接着剤吐出ロボット(例えば、ロボット113,115,又は117)が急速硬化接着剤404を注入し得るグルーブ202を含む。第1の構造体はまた、急速硬化接着剤ロボットがグルーブ内に収容された急速硬化接着剤を硬化させるためにEM放射を放出することができるグルーブの反対側の窓204(例えば、半透明又は透明スクリーン)を含むことができる。サブアセンブリ400の第2の構造体125、300、406は、マテリアルハンドリングロボット(例えば、ロボット109又は111)が第1の構造体のグルーブ内の急速硬化接着剤内に配置することができるタング302を含むことができる。タングは、互いに離間した複数のセグメント304(例えば、
図5の櫛型形状506)、又はタングがグルーブに挿入されたときに急速硬化接着剤に接触する複数の開口部(例えば、
図5のワッフル形状502)を含むことができる。本明細書では「第1の」構造体はグルーブを有するものとして参照され、「第2の」構造体はタングを有するものとして参照されるが、本開示はそのように限定されない。例えば、第2の構造体125、300、346は、急速硬化接着剤を収容するグルーブを含んでもよく、第1の構造体123、200、402は、急速硬化接着剤に挿入されたタングを含んでもよい。
【0053】
タング302は、様々なタイプから選択することができる。
図5は、異なるタングタイプ500の例を示す。例えば、タングは、ワッフル形状502、フォーク形状504、櫛型形状506、ループ形状508、又は蛇型形状510を含んでもよい。タングは、代替的に他の形状をとってもよい。タングの形状は、第1の構造体と第2の構造体との間の接着結合の強度を最大化するように、及び/又は印刷性(printability)を最適化するように(例えば、付加製造において)選択され得る。例えば、タングがグルーブに接着されるとき、櫛型形状506を有するタングは、他の前述のタングタイプを有するタングよりも約100N大きい最大引張力を必要とし得る(例えば、複数のセグメント304の間の接着剤に接触する追加の表面積に起因する)。したがって、強度を最大にするために、櫛型形状のタングがタング302に選択され得る。あるいは、ワッフル形状は、他の前述のタングタイプより容易に印刷できるため(例えば、ワッフル形状における複数の開口部のために)、ワッフル形状502を伴うタングは、同様の(しかし、わずかに少ない)強度を伴って選択されてもよい。したがって、ワッフル形状のタングが、代替として、印刷性を最適化するようにタング302のために選択されてもよい。接着強度と印刷性とのバランスを取るために、他のタングタイプが選択されてもよい。
【0054】
一例では、構造用接着剤は、急速硬化接着剤とは別個であってもよい。すなわち、構造用接着剤は、時間を掛けて又は熱に曝露すると第1の硬化速度で硬化する第1の接着剤であってもよく、急速硬化接着剤は、EM放射線(例えば、UV放射線)に曝露することにより第1の硬化速度よりも速い第2の硬化速度で硬化する第2の接着剤であってもよい。
図6は、別々の区画に構造用接着剤604及び急速硬化接着剤606を収容するグルーブ602(例えば、グルーブ202)を含む第1の構造体600(例えば、第1の構造体123、200、402)の例を示す。例えば、グルーブは、構造用接着剤を収容する1つ以上の第1の区画608と、急速硬化接着剤を収容する1つ以上の第2の区画610とを含んでもよい。1つ以上の窓612(例えば、窓204)は、急速硬化接着剤が硬化のためにEM放射線(例えば、UV放射線)に曝露されることを可能にするように、第2の区画に対向して配置されてもよい。区画608、610はまた、構造用接着剤と急速硬化接着剤とが混ざり合うのを防止する働きをする。その結果、1つ以上の窓を通してEM放射線に曝露される急速硬化接着剤は、より速い第2の硬化速度で硬化されてもよく、一方、構造用接着剤は、より遅い第1の硬化速度で硬化される。
【0055】
別の例では、構造用接着剤及び急速硬化接着剤は、単一の接着剤であってもよい。すなわち、構造用接着剤及び急速硬化接着剤は、時間を掛けて又は熱に曝露すると第1の硬化速度で硬化し、EM放射線(例えば、UV放射線)に曝露することにより第1の硬化速度よりも速い第2の硬化速度で硬化する1つの接着剤へと組み合わされてもよい。
図7は、単一の構造用急速硬化接着剤704を収容するグルーブ702(例えば、グルーブ202)を含む第1の構造体700(例えば、第1の構造体123、200、402)の例を示す。
図6の例とは異なり、この図示の例では、構造用急速硬化接着剤は、グルーブ内の単一の区画706内に収容することができる。1つ以上の窓708(例えば、窓204)は、構造用急速硬化接着剤の1つ以上の部分がEM放射線(例えば、UV放射線)に曝露されるように、1つ以上の場所に配置されてもよい。その結果、EM放射に曝露された構造用急速硬化接着剤の1つ以上の部分は、より速い第2の硬化速度で硬化されてもよく、EM放射に曝露されない接着剤の残りの部分は、より遅い第1の硬化速度で硬化されることができる。
【0056】
第1の構造体123、200、402、600、700及び第2の構造体125、300、406に関連するフィクスチャレスアセンブリシステム800(例えば、フィクスチャレスアセンブリシステム100)の例示的な動作について、
図8A~
図8Hを参照して説明する。本明細書で説明するように、例示的な動作は、ロボット107、109、111、113、115、117と通信可能に結合されたコントローラ137、139、141、143、145、147のうちの少なくとも1つによって引き起こされ得る。いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム129は、例示的な動作を引き起こすために、コントローラ137、139、141、143、145、147にコマンドを発行することができる。コンピューティングシステム129及び/又はコントローラ137、139、141、143、145、147は、例示的な動作を実行する物理的ロボットをモデル化し得るCADデータ、及び/又は計測システム131によって提供され得る位置データに基づいて、例示的な動作を引き起こし得る。
【0057】
フィクスチャレスアセンブリシステム800の例示的な動作の場合、ロボット107、109、111、113、115、117は、例えば、以下に記載される例示的な動作に適した距離で、互いに比較的近接して位置決めされてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のロボット107、109、111、113、115、117は、以下で説明される例示的動作の前に、1つ以上の例示的動作に好適な場所で、フィクスチャレスアセンブリシステム800内に位置決めされてもよい。そのような位置では、これらの1つ以上のロボットのそれぞれの基部は、フィクスチャレスアセンブリシステム800の例示的な動作の間中、静止していてもよい。しかしながら、ロボット107、109、111、113、115、117のロボットアームの移動は、それぞれの基部の周りで回転する、ヒンジで回転するなどによって、フィクスチャレスアセンブリシステム800の様々な段階で協調して制御されてもよい。
【0058】
いくつかの他の実施形態では、異なるロボット107、109、111、113、115、117は、フィクスチャレスアセンブリの異なる段階で、互いから異なる距離で動的に(再)位置決めされてもよい。キャリア119は、例えば、フィクスチャレスアセンブリに関連する1つ以上の命令セットの1つ以上のプロセッサによる実行に従って、1つ以上のロボット107、109、111、113、115、117をそれぞれの位置に移動させるように構成されてもよい。静的であろうと動的であろうと、ロボット107、109、111、113、115、117の各々が位置決めされるそれぞれの位置は、フィクスチャレスアセンブリシステム800に関連する1つ又は複数の座標セット(例えば、1つ又は複数の絶対座標セット)に基づき得る。
【0059】
最初に
図8Aを参照すると、アセンブリロボット802(例えば、ロボット109、111)は、第1の構造体804(例えば、第1の構造体123、200、402、600、700)に係合することができる。第1の構造体は、第1の構造体を1つ以上の他の構造体と接合することを可能にする1つ以上の特徴を含んでもよい。例示的に、第1の構造体は、第1の表面上にグルーブ806(例えば、グルーブ202、602、702)を含んでもよく、第2の表面上にタング(例えば、タング302)を含んでもよい。グルーブ806は、1つ以上の第1の区画807(例えば、第1の区画608)と、1つ以上の第2の区画809(例えば、第2の区画610)と、第2の区画に対向して配置される1つ以上の窓811(例えば、窓204、612)とを含んでもよい。あるいは、グルーブ806は、単一区画(例えば、区画706)を含んでもよく、窓811(例えば、窓708)は、単一区画に対向して配置されてもよい。第1の構造体804の第1の表面及び第2の表面は、ほぼ反対側の表面(例えば、第1の表面は、第1の構造体の左側又は上側にあってもよく、第2の表面は、第1の構造体の右側又は下側にあってもよく、又はその逆であってもよい)であり得る。
【0060】
アセンブリロボット802は、部品テーブル808(例えば、部品テーブル121)に比較的近接して配置されてもよい。そのような配置では、アセンブリロボット802のロボットアームは、アセンブリロボット802のロボットアームが部品テーブル808上に配置された部品の少なくとも一部に到達できる近傍内にあることがある。
図8Aの例示的実施形態では、アセンブリロボット802は、部品テーブル808の片側に配置されてもよく、第1の構造体804のタングは、アセンブリロボット802のそのような配置において、第1の構造体804のグルーブ806よりもアセンブリロボット802に比較的近い位置にあることがある。
【0061】
アセンブリロボット802は、エンドエフェクタ810に接続されてもよい。例示的に、アセンブリロボット802のロボットアームの遠位端は、エンドエフェクタ810に接続されてもよく、エンドエフェクタは、ロボットアームの遠位端上に構築されてもよく(ロボットアームの近位端は、アセンブリロボット802に接続される)、又はロボットアームに取り付けられてもよい(かつ、固定又は取り外し可能であってもよい)。アセンブリロボット802のエンドエフェクタ810は、1つ以上の構造体に係合(例えば、ピックアップ)し、保持するように構成されてもよい。例えば、アセンブリロボット802のエンドエフェクタ810は、例えば異なる構造体の1つ以上の特徴を介して、異なる構造体と係合するように構成されてもよい。このようなエンドエフェクタのいくつかの例は、ジョー又はグリッパを含んでもよい。
【0062】
アセンブリロボット802は、例えば、第1の構造体804のグルーブ806側近くで、第1の構造体804と係合することができる。具体的には、アセンブリロボット802のロボットアームは、アセンブリロボット802のエンドエフェクタ810が第1の構造体804に係合することができる位置まで移動することができる。この位置において、アセンブリロボット802のエンドエフェクタ810は、例えば、第1の構造体804のタングと同じ側面及び/又は表面において、第1の構造体804と係合する。いったん係合されると、アセンブリロボット802は、例えば、エンドエフェクタ810を用いて、第1の構造体804を保持してもよい。第1の構造体804がアセンブリロボット802によって保持されるとき、アセンブリロボット802は、以下でさらに説明するように、第1の構造体804を、フィクスチャレスアセンブリの1つ又は複数の例示的な動作が実行され得る1つ又は複数の位置に移動させることができる。
【0063】
次に
図8Bを参照すると、アセンブリロボット802は、構造用接着剤ロボット812に面するように回転することができる。アセンブリロボット802のロボットアームの遠位端は、構造用接着剤ロボット812に向かって位置決めされてもよく、同様に、構造用接着剤ロボット812のロボットアームの遠位端は、アセンブリロボット802に向かって位置決めされてもよい。
【0064】
図8Bに示すこの例示的な位置において、アセンブリロボット802は、第1の構造体804を、第1の構造体804がアセンブリロボット802と構造用接着剤ロボット812とのほぼ間にある位置に移動させることができる。さらに、アセンブリロボット802は、アセンブリロボット802のロボットアーム及び/又はアセンブリロボット802のエンドエフェクタ810を、第1の構造体804がほぼ上向きに配向されるように動かすことなどによって、第1の構造体804のグルーブ806がほぼ上向きに向くように第1の構造体804を配向することができる。
【0065】
構造用接着剤ロボット812は、構造用接着剤アプリケータ814又は他の類似ツールに接続されてもよい。例示的に、構造用接着剤ロボット812のロボットアームの遠位端は、(ロボットアームの近位端が構造用接着剤ロボット812に接続される)ロボットアームの遠位端上に構築され得る構造用接着剤アプリケータ814に接続され得るか、又はロボットアームに取り付けられ得る(かつ固定又は取り外し可能であり得る)。構造用接着剤ロボット812の構造用接着剤アプリケータ814は、構造表面上に接着剤を堆積させるように構成されてもよい。
【0066】
第1の構造体804が(例えば、2つのロボット802、812の間に)適切に位置決めされると、構造用接着剤ロボット812は、第1の構造体804に接着剤を塗布することができる。具体的には、構造用接着剤ロボット812は、構造用接着剤816を第1の構造体804のグルーブ806内に堆積させることができる。そうするために、構造用接着剤ロボット812は、そのロボットアームを、構造用接着剤アプリケータ814が第1の構造体804のグルーブ806の上にあり、意図しない表面又は表面の部分への接着剤の堆積を回避しながら、制御された量の接着剤を画定された領域内に堆積させることができるように充分に近接するような位置に移動させることができる。例えば、グルーブ806は、第1の区画807を含み、構造用接着剤816が堆積される画定された領域は、第1の区画807を含んでもよいが、第2の区画809は含まない。そのような上記位置では、構造用接着剤アプリケータ814の接着剤塗布先端は、グルーブ806のほぼ真上にあってもよく、グルーブ806の中へ(例えば、第1の区画(複数可)807の中へ)下向きに向けられてもよい。
【0067】
適切に位置付けられると、構造用接着剤ロボット812は、構造用接着剤アプリケータ814に、制御された量の接着剤をグルーブ806の中に堆積させ得る。制御された量の接着剤は、グルーブ806を少なくとも部分的に充填してもよい。いくつかの実施形態では、制御された量の接着剤は、グルーブ806の第1の区画807を完全に又はほぼ完全に充填してもよい。しかしながら、接着剤の量は、接着剤がグルーブ806の外側で、グルーブ806を境界付ける第1の構造体804の第1の表面上に溢れないように制御されてもよい。例えば、グルーブ806内に堆積される接着剤の量は、第1の構造体804が他の構造体と接合されるときに、別の構造体の突起がグルーブ806内に挿入されるときに、接着剤が第1の構造体804の任意の表面上に漏出しないように制御されてもよい。
【0068】
ここで
図8Cを参照すると、急速硬化接着剤ロボット818(例えば、ロボット115)は、急速硬化接着剤アプリケータ820又は他の類似ツールに接続されてもよい。例示的に、急速硬化接着剤ロボット818のロボットアームの遠位端は、ロボットアームの遠位端上に構築され得る(ロボットアームの近位端が急速硬化接着剤ロボット818に接続される)、又はロボットアームに取り付けられ得る(かつ固定又は取り外し可能であり得る)、急速硬化接着剤アプリケータ820に接続され得る。急速硬化接着剤ロボット818の急速硬化接着剤アプリケータ820は、急速硬化接着剤822を構造表面上に堆積させるように構成されてもよい。
【0069】
急速硬化接着剤ロボット818は、構造用接着剤ロボット812とは別個であってもよい。例えば、構造用接着剤ロボット812がグルーブ806内に構造用接着剤816を堆積させた後、アセンブリロボット802は、急速硬化接着剤ロボット818に面するように回転することができる。アセンブリロボット802のロボットアームの遠位端は、急速硬化接着剤ロボット818に向かって位置決めされてもよく、同様に、急速硬化接着剤ロボット818のロボットアームの遠位端は、アセンブリロボット802に向かって位置決めされてもよい。あるいは、構造用接着剤ロボット812は、急速硬化接着剤ロボット818と同じであってもよい。例えば、構造用接着剤アプリケータ814が構造用接着剤ロボット812のロボットアームから取り外し可能である場合、構造用接着剤ロボットは、構造用接着剤アプリケータ814を急速硬化接着剤アプリケータ820で(例えば、一方のアプリケータ又はエンドエフェクタを他方のアプリケータ又はエンドエフェクタと交換することによって、)切り替えることができ、それによって急速硬化接着剤ロボット818になる。構造用接着剤ロボット812及び/又は急速硬化接着剤ロボット818は、代替的に、構造用接着剤アプリケータ814及び急速硬化接着剤アプリケータ820等の異なる種類の接着剤を別々に堆積させるように構成される複数のアプリケータ(内蔵又は取り外し可能)を含んでもよい。あるいは、異なるタイプの接着剤が組み合わされる場合(例えば、構造用急速硬化接着剤704)、構造用接着剤ロボット812及び/又は急速硬化接着剤ロボット818は、組み合わされた接着剤を堆積させるように構成された単一のアプリケータ(内蔵又は取り外し可能)を含むことができる。
【0070】
第1の構造体804が(例えば、2つのロボット802、818の間に)適切に位置決めされると、急速硬化接着剤ロボット818は、急速硬化接着剤822を第1の構造体804に塗布することができる。具体的には、急速硬化接着剤ロボット818は、急速硬化接着剤822を第1の構造体804のグルーブ806内に堆積させることができる。そうするために、急速硬化接着剤ロボット818は、そのロボットアームを、急速硬化型接着剤アプリケータ820が第1の構造体804のグルーブ806の上にあり、意図しない表面又は表面の部分への接着剤の堆積を回避しながら、制御された量の接着剤を画定された領域内に堆積させることができるように充分に近接するような位置に移動させることができる。例えば、グルーブ806は、第1の区画807及び第2の区画809を含み、急速硬化接着剤822が堆積される画定された領域は、第2の区画809を含み得るが、第1の区画807は含まない。あるいは、グルーブ806が、組み合わせられた接着剤(例えば、構造用接着剤及び急速硬化接着剤704)を受容するための単一区画を含む場合、組み合わせられた接着剤が堆積される画定された領域は、単一区画を(全体として)含んでもよい。いずれの場合も、そのような上方位置において、急速硬化接着剤アプリケータ820の接着剤塗布先端は、グルーブ806のほぼ真上にあってもよく、グルーブ806の中へ(例えば、第2の区画809又はグルーブの単一区画の中へ)下向きに向けられてもよい。
【0071】
急速硬化接着剤ロボット818は、適切に位置決めされると、急速硬化型接着剤アプリケータ820に、制御された量の接着剤をグルーブ806内に堆積させることができる。制御された量の接着剤は、グルーブ806を少なくとも部分的に充填してもよい。いくつかの実施形態では、制御された量の接着剤は、グルーブ806の第2の区画809を完全に又はほぼ完全に充填してもよい。しかしながら、接着剤の量は、接着剤がグルーブ806の外側で、グルーブ806を境界付ける第1の構造体804の第1の表面上に溢れないように制御されてもよい。例えば、グルーブ806内に堆積される接着剤の量は、第1の構造体804が他の構造体と接合される、別の構造体の突起がグルーブ806内に挿入される際に、接着剤が第1の構造体804の任意の表面上に漏出しないように制御されてもよい。
【0072】
図8Dを参照すると、アセンブリロボット824(例えば、ロボット109、111又はキーストーンロボット107)は、第2の構造体826(例えば、第2の構造体125、300、406)に係合することができる。第1の構造体804と同様に、第2の構造体826は、第2の構造体826を1つ以上の他の構造体と接合することを可能にする1つ以上の特徴を含んでもよい。図示される実施形態では、第2の構造体826は、第1の表面上にグルーブを含んでもよく、第2の表面上にタング828(例えば、タング302)を含んでもよい。第2の構造体826の第1の表面及び第2の表面はそれぞれ、互いにほぼ垂直なそれぞれの平面上にあってもよく、したがって、タング828は、グルーブから約90度の角度をなしていてもよい。
【0073】
第2の構造体826は、部品テーブル808上に配置されてもよく、アセンブリロボット824は、部品テーブル808に比較的近接して配置されてもよい。そのような位置において、アセンブリロボット824のロボットアームは、アセンブリロボット824のロボットアームが部品テーブル808上に位置する部品の少なくとも一部分に到達することができる近傍内にある場合がある。
図8Dの例示的実施形態では、アセンブリロボット824は、部品テーブル808の片側に位置してもよく、第2の構造体826のタング828は、アセンブリロボット824が位置する片側とは相対的に反対側の部品テーブル808の側に向かって位置してもよい。この位置において、第2の構造体826のグルーブは、アセンブリロボット824から約90度の角度で配向されてもよい。
【0074】
アセンブリロボット824は、エンドエフェクタ830に接続されてもよい。例示的に、アセンブリロボット824のロボットアームの遠位端は、エンドエフェクタ830に接続されてもよく、エンドエフェクタは、ロボットアームの遠位端上に構築されてもよく(ロボットアームの近位端がアセンブリロボット824に接続されている)、又はロボットアームに取り付けられてもよい(かつ固定又は取り外し可能であってもよい)。アセンブリロボット824のエンドエフェクタ830は、1つ以上の構造体を係合(例えば、ピックアップ)及び保持するように構成されてもよい。例えば、アセンブリロボット824のエンドエフェクタ830は、異なる構造体の1つ以上の特徴を介して等、異なる構造体と固定的に係合するように構成されてもよい。このようなエンドエフェクタのいくつかの例は、ジョー又はグリッパを含んでもよい。
【0075】
アセンブリロボット824は、第2の構造体の第3の表面において、例えば、第2の構造体826のグルーブ側及びタング側からそれぞれ約90度及び180度の角度で、第2の構造体826と係合してもよい。具体的には、アセンブリロボット824のロボットアームは、アセンブリロボット824が第2の構造体826に係合することができる位置に移動されてもよく、次いで、アセンブリロボット824は、エンドエフェクタ830を使用して、第3の表面で第2の構造体826と係合し、第2の構造体826を保持してもよい。
【0076】
図8Eに関して、アセンブリロボット824は、アセンブリロボット802に面するように旋回することができ、アセンブリロボット802は、アセンブリロボット824に面するように旋回することができる。アセンブリロボット824のロボットアームの遠位端は、アセンブリロボット802に向かって位置決めされてもよく、同様に、アセンブリロボット802のロボットアームの遠位端は、アセンブリロボット824に向かって位置決めされてもよい。
【0077】
図8Eに示すこの例示的な位置において、アセンブリロボット824は、第2の構造体826がアセンブリロボット824とアセンブリロボット802とのほぼ間にある位置まで第2の構造体826を、移動させることができる。さらに、アセンブリロボット824は、例えば、アセンブリロボット824のロボットアーム及び/又はアセンブリロボット824のエンドエフェクタ830を、第2の構造体826がほぼ下向きに配向されるように移動させることによって、第2の構造体826のタング828がほぼ下向きに向くように、第2の構造体826を配向してもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、アセンブリロボット824は、CADモデリングに基づき得る1つ以上のベクトルに従って第2の構造体826を移動させてもよい。1つ又は複数のベクトルの各々は、第2の構造体826がアセンブリロボット824によって移動させられるべき大きさ(例えば、距離)及び方向を示し得る。各ベクトルは、第2の構造体826を接合近接範囲内に持っていくように意図されてもよいが、いくつかのベクトルは、第1及び第2の構造体804、826を接合するためのベクトルが適用されることができる位置に第2の構造体826を持っていくように意図される中間ベクトルであってもよい。
【0079】
アセンブリロボット802は、アセンブリロボット824よりもアセンブリロボット802に相対的に近い位置に第1の構造体804を配置することができる。いくつかの実施形態では、アセンブリロボット802は、第1の構造体804を、第2の構造体826の少なくとも一部の上に少なくとも部分的にあるように位置付けてもよい。例えば、アセンブリロボット802は、第1の構造体804をほぼ頭上に位置するように保持してもよい。
【0080】
ここで
図8Fを参照すると、アセンブリロボット802及びアセンブリロボット824は、それぞれ、第1の構造体804及び第2の構造体826を互いに近い位置に移動させることができる。第1の構造体804は、例えば、第1の構造体804及び第2の構造体826が仰角平面(又は垂直空間)内で少なくとも部分的に重複するように、第2の構造体826の下にあるように位置付けられ得る。アセンブリロボット802は、第1の構造体804のグルーブ806がほぼ上を向くように第1の構造体804を配向することができ、制御された量の構造用接着剤816及び急速硬化接着剤822(又は組み合わされた接着剤)がその中に予め堆積されている。例えば、アセンブリロボット802は、アセンブリロボット802のロボットアーム及び/又はアセンブリロボット802のエンドエフェクタ810を、第1の構造体804のグルーブ806がほぼ上向きに配向されるように動かすことができる。したがって、第1の構造体804のグルーブ806は、第2の構造体826のタング828に面することができる。アセンブリロボット824による第2の構造体826の移動と同様に、アセンブリロボット802は、CADモデリングに基づき得る1つ以上のベクトルに従って第1の構造体804を移動させることができる。アセンブリロボット824は、第2の構造体826のタング828がほぼ下向きに配向された状態で、第2の構造体826を前述の位置に保持してもよいが、第2の構造体826は、ここでは、アセンブリロボット802による第1の構造体804の移動に起因して、第1の構造体804の上に位置決めされることがある。
【0081】
第1及び第2の構造体804、826を接合近接範囲内に持っていくために、第1及び/又は第2の構造体の一方又は両方は、それぞれ、アセンブリロボット802、824の一方又は両方によって移動されてもよい。例えば、アセンブリロボット802は、第1の構造体804が係合されるそのロボットアームの遠位端を、第2の構造体826に向かってほぼ上方向に移動させることができる。さらに又は代替的に、アセンブリロボット824は、第2の構造体826が係合される、そのロボットアームの遠位端を、第1の構造体804に向かって略下方向に移動させことができる。
【0082】
様々な実施形態において、フィクスチャレスアセンブリシステム800内のロボットによって係合される構造体を接合することは、MMC手順を使用して達成されてもよい。MMC手順は、フィクスチャレスアセンブリセル105に関連する位置データを決定(例えば、検出、計算、測定、捕捉など)するように構成され得る計測システム831(例えば、計測システム131)を使用してもよい。
図8Fの文脈において、計測システム831は、第1の構造体804及び/又は第2の構造体826のうちの少なくとも1つに関連する位置データを決定することができる。例えば、計測システム831は、第1の構造体804に関連付けられた座標のセットを決定し得る。座標のセットは、フィクスチャレスアセンブリセル105内の第1の構造体804の物理的位置、及び/又は接合近接又は第2の構造体826に対する物理的位置を示してもよい。計測システム831は、位置データをコンピューティングシステム129に提供してもよい。コンピューティングシステム129は、位置データを受信してもよく、位置データに基づいて、第1の構造体804が接合近接範囲内に運ばれ第2の構造体826と接合され得るように、適用される修正動作のセットを決定し得る。例えば、コンピューティングシステム129は、第1の構造体804に関連付けられた座標セットと接合近接度との間の差を決定してもよい。コンピューティングシステム129は、コントローラにコマンドセットを発行することなどによって、アセンブリロボット802と通信可能に接続されたコントローラに修正動作のセットを提供することができる。コントローラは、コマンドセットによって示される修正動作のセットに従ってアセンブリロボット802のロボットアームを制御することによってコマンドセットを適用してもよい。
【0083】
構造体が接合近接範囲内にあるとき、1つの構造体の少なくとも一部は、方位角(又は水平)平面及び/又は仰角平面のうちの少なくとも1つにおいて、別の構造体の少なくとも一部と重なり合う。そのような重なり合いに従い、1つの構造体の1つ以上の特徴は、例えば、1つの構造体の突起が別の構造体の凹部に挿入される場合などに、相互に係止又は嵌合することによって、別の構造体の1つ以上の相補的特徴と接続してもよい。フィクスチャレスアセンブリシステム100の図示された例示的な動作では、第2の構造体826のタング828は、第1の構造体804及び第2の構造体826が接合近接範囲内にあるときに第1の構造体804のグルーブ806内に位置決めされ、それによってタングアンドグルーブ接合部(tongue-and-groove joint、実はぎ継手)を形成することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、第2の構造体826のタング828は、接合近接位置で第1の構造体804に接触しなくてもよい。言い換えれば、ロボットは、構造体が互いに接触することを防止しながら、構造体を接合近接範囲内に持っていくように制御することができる。例えば、第2の構造体826のタング828は、第1の構造体804のグルーブ806内にあってもよいが、タングが側面及び底部に接触することなくグルーブに挿入されるため、タングとグルーブの側面との間の横方向接合間隙、及びタングとグルーブの底部との間の縦方向の接合間隙が生じ得る。むしろ、第2の構造体826のタング828は、第1の構造体804及び第2の構造体826が接合近接位置にあるとき、単に第1の構造体804のグルーブ806内に堆積された接着剤(複数可)に接触するだけでよい。例えば、
図8Fに示されるように、タング828は、グルーブ806の第2の区画809内の急速硬化接着剤822に接触する複数のセグメント832(例えば、複数のセグメント304)を含んでもよく、タングの残りの部分は、グルーブ806の第1の区画807内の構造用接着剤816に接触してもよい。しかしながら、いくつかのさらなる実施形態では、第1の構造体804のグルーブ806を取り囲む表面は、第2の構造体826のタング828を取り囲む表面と接触してもよい。
【0085】
ここで
図8Gを参照すると、アセンブリロボット802、824は、第2の構造体826及び第1の構造体804が接合近接位置で接合されるように、それらのそれぞれの位置に留まることができる。そのような位置決めが維持された状態で、EM放射源834は、接合されたときに第1の構造体804と第2の構造体826とを接合するように構成されてもよい。例えば、EM放射源834は、UV光又は他のEM放射836を適用して急速硬化接着剤822を硬化させ、それによって第1の構造体804及び第2の構造体826を結合するように構成することができる。EM放射源834によって作り出される結合は一時的であり得るが、構造用接着剤816は硬化時に永久的な結合を提供してもよい。一例では、EM放射源834は、UVロボット838(例えば、ロボット115は、急速硬化接着剤ロボット818と同じであってもよく、又は異なるロボットであってもよい)に接続されてもよい。例えば、
図8Gに図示されるように、EM放射線源834は、エンドエフェクタ(例えば、UV光アプリケータ又は他の硬化装置)としてUVロボット838のロボットアームの遠位端に固定又は取り外し可能に取り付けられてもよい。以下の説明では、EM放射源834がUVロボット838に接続されるこの例を参照するが、EM放射源834はそのように限定されない。例えば、EM放射源834は、ロボットに取り付けられなくてもよいが、代わりに、アセンブリセル105内の任意の場所(例えば、壁、天井など)に個別に配置又は取り付けられてもよい。そのような場合、アセンブリロボット802,824は、第1及び第2の構造体804、826をEM放射線源834の近接内に持ってきて、接合された構造体を結合させることができる。
【0086】
UVロボット838は、アセンブリロボット824及びアセンブリロボット802に比較的近接して配置されてもよい。UVロボット838のロボットアームの遠位端は、第1の構造体804及び第2の構造体826に向かって、具体的には、第1の構造体804及び第2の構造体826が接合される点に向かって(例えば、タングアンドグルーブ接合部に向かって)位置付けられてもよい。そのような位置では、UVロボット838のロボットアームの遠位端は、アセンブリロボット824とアセンブリロボット802との間にある可能性がある。
【0087】
UVロボット838のロボットアームの遠位端は、UVロボット838に接続されたEM放射源834が、第1の構造体804及び第2の構造体826が接合される点に近接するように位置決めされてもよい。例えば、UVロボット838のロボットアームは、EM放射源が、タングアンドグルーブ接合部でEM放射836を受け取るのに適したタングアンドグルーブ接合部(第1の構造体804と第2の構造体826とを接合近接位置で接合することによって形成される)からある距離に位置決めされるように配置されてもよい。この適切な距離において、UVロボット838は、第1の構造体804と第2の構造体826とを接合することによって形成されるタングアンドグルーブ接合部に向かってEM放射836を放射することができる。
【0088】
UVロボット838は、急速硬化接着剤を硬化させるのに適した急速硬化接着剤822からの距離にEM放射源834を配置することができる。EM放射源834がこの距離にある状態で、UVロボット838(例えば、コンピューティングシステム129又はUVロボット838のコントローラ)は、EM放射源834に急速硬化接着剤又は他の一時的接着剤を硬化させることができる。例えば、UVロボット838は、UV接着剤を硬化させるのに充分な時間、EM放射源834にUV光又は他のEM放射を放射させることができる。しかしながら、UVロボット838は、例えば、構造用接着剤がUV光への曝露を通して硬化可能ではない場合があるため、構造用接着剤を硬化させない場合がある。したがって、
図8Gに図示されるような一例では、UVロボット838は、第1の構造体804及び第2の構造体826が接合されている間に、窓811を通してグルーブ806の中へEM放射線836を放射し、第2の区画809内の急速硬化接着剤822を硬化させてもよい。あるいは、グルーブ806が単一区画を含み、組み合わせられた構造用急速硬化接着剤を収容する、別の一例では、UVロボット838は、窓811を通してグルーブ806の中へEM放射線836を放射し、単一区画内の窓を通して組み合わせられた接着剤の曝露部分を硬化させてもよい。同様に、EM放射線源834は、UVロボットに取り付けられておらず、代わりに、アセンブリセル105内の他の場所に位置し、コンピューティングシステム129は、第1及び第2の構造体がEM放射線源の近位にあるときに、EM放射線源834に、前述のように急速硬化接着剤を硬化させてもよい。
【0089】
急速硬化接着剤が硬化されると、UVロボット838は、そのロボットアームを第1の構造体804及び第2の構造体826から離れるように移動させることができる。第1の構造体804及び第2の構造体826は、硬化した急速硬化接着剤によって少なくとも一時的に結合されてもよい。しかしながら、構造用接着剤(
図8Bにおいて上述したように、構造用接着剤ロボット812によって塗布される)は、依然として、この段階で未硬化であってもよい。
【0090】
最後に、
図8Hは、アセンブリロボット824がその位置に留まることができ、第2の構造体826を保持し続けることができることを示す。この段階で、第2の構造体826は、例えば、第1の構造体のグルーブ806内の硬化した急速硬化接着剤を介して、第1の構造体804に少なくとも一時的に結合されてもよい。
【0091】
アセンブリロボット802は、第1の構造体804から分離することができる。例えば、アセンブリロボット802は、エンドエフェクタ810のジョーを開放すること、エンドエフェクタ810を第1の構造体804の1つ以上の機構から外すこと、及び/又は他の方法でエンドエフェクタ810に第1の構造体804を解放させること等によって、そのエンドエフェクタを第1の構造体804から係脱させてもよい。
【0092】
第1の構造体804から分離されると、アセンブリロボット802は、そのロボットアームを第1の構造体804から離して移動させることができる。例えば、アセンブリロボット802は、そのロボットアームをアセンブリロボット824から離れるように後退させてもよい。そうすることで、アセンブリロボット824は、動き回るためにより大きな面積を提供され得る。
【0093】
アセンブリロボット802が第1の構造体804から分離されると、アセンブリロボット824は、例えば、第1の構造体804と少なくとも一時的に結合される第2の構造体826の保持を通して、第1の構造体804を保持してもよい。硬化した急速硬化接着剤は、アセンブリロボット824が第1の構造体804を直接保持しない場合(例えば、アセンブリロボット824のエンドエフェクタ830が第2の構造体826に係合しているとき)であっても、第2の構造体826と接合された第1の構造体804のこの保持を支持するのに充分な結合を提供することができる。(一時的にでも)結合される場合に、第1の構造体804及び第2の構造体826は、構造体であってもよく、及び/又はサブアセンブリ840と称されてもよい。次いで、アセンブリロボット824は、サブアセンブリ840を保持するか、又はサブアセンブリをキーストーンロボット107等の別のロボットに移動させてもよい。あるいは、アセンブリロボット824は、キーストーンロボット107であってもよい。
【0094】
ロボットは、フレーム、シャーシ、本体、パネルなどのような車両の少なくとも一部である1つ又は複数のサブアセンブリをフィクスチャレスで組み立てるために、
図8A~
図8Hで上述したものと同様のフィクスチャレスアセンブリシステム100、800の例示的な動作を通じて反復することができる。例示的な動作中、キーストーンロボット107は、アセンブリロボット802、824(及び/又は他のアセンブリロボット)として他の構造体を継続して保持し、構造用接着剤ロボット812は、他の構造のそれぞれに構造用接着剤816を塗布し、急速硬化接着剤ロボット818は、他の構造のそれぞれに急速硬化接着剤822を塗布し、アセンブリロボット802、824(及び/又は他のアセンブリロボット)は、キーストーンロボット107によって保持されたサブアセンブリを用いて、他の構造のそれぞれを結合し、UVロボット838は、急速硬化接着剤を塗布及び硬化させて、サブアセンブリと接合された他の構造体のそれぞれを少なくとも一時的に接合し、次いで、アセンブリロボット(複数可)は、急速硬化接着剤又は他の一時接着剤が硬化した後、他の構造体のそれぞれを解放する。複数のサブアセンブリを接合し、一時的に接合してアセンブリを形成することができ、次いで、これをオーブンに移すか、又はそうでなければ、一定期間にわたって一定の温度にとどめておき、構造用接着剤816を硬化させ、構造体を恒久的に接着するようにしてもよい。
【0095】
図9に関して、ブロック図は、処理システム900の実施形態を示す。処理システム900は、少なくとも1つのロボットに関連付けられた少なくとも1つのコントローラを備えることができる。例えば、
図1を参照すると、処理システム900は、ロボット107、109、111、113、115、117のうちの少なくとも1つに関連付けられたコントローラ137、139、141、143、145、147のうちの少なくとも1つの実施形態であってよい。
【0096】
処理システム900は、様々なタイプの機械可読媒体及びインターフェースを含んでもよい。図示のように、システム900は、少なくとも1つのインターコネクト920(例えば、少なくとも1つのバス)と、永久記憶デバイス922と、ランダムアクセスメモリ(RAM)924と、少なくとも1つのコントローラインターフェース(複数可)926と、読み取り専用メモリ(ROM)928と、少なくとも1つのプロセッサ930と、ネットワークコンポーネント932とを含む。
【0097】
インターコネクト920は、システム900のハウジング内の内部コンポーネント及び/又は内部デバイスなど、システム900と並置されるコンポーネント及び/又はデバイスを通信可能に接続することができる。例えば、インターコネクト920は、プロセッサ(複数可)930を永久記憶デバイス922、RAM924、及び/又はROM928と通信可能に接続することができる。プロセッサ(複数可)930は、永久記憶デバイス922、RAM924、及び/又はROM928のうちの少なくとも1つからコンピュータ実行可能命令にアクセスし、それをロードするように構成されてもよい。
【0098】
永久記憶装置922は、システム900の電力状態(例えば、オン又はオフ)とは無関係に、命令及びデータを記憶する不揮発性メモリであってもよい。例えば、永久記憶デバイス922は、ハードディスク、フラッシュドライブ、又は他の読取り/書込みメモリデバイスであり得る。
【0099】
ROM928は、システム900の基本的な機能性、及びその中の構成要素を可能にする静的命令を格納してもよい。例えば、ROM928は、プロセッサ(複数可)930が、例えば、上記のロボットのうちの1つ以上に関して説明されるように、車両の少なくとも一部分のロボットと関連付けられるプロセスのセットを実行するための命令を記憶してもよい。ROM928の例は、消去可能プログラマブルROM(EPROM)もしくは電気的EPROM(EEPROM)、コンパクトディスクROM(CD-ROM)もしくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気ストレージデバイス、ならびに/又は命令及び/もしくはデータ構造としてプログラムコードを記憶し得る別のコンピュータアクセス可能でコンピュータ読み取り可能な媒体を含んでもよい。
【0100】
RAM924は、揮発性読取り/書込みメモリを含んでもよい。RAM924は、プロセッサ(複数可)930によるランタイム動作(複数可)に関連するコンピュータ実行可能命令を格納してもよい。さらに、RAM924は、例えば、上記で
図1及び
図8A~
図8Hのうちの1つ又は複数に関して説明したように、車両の少なくとも一部のアセンブリ中にキャプチャされたリアルタイムデータを記憶することができる。
【0101】
プロセッサ(複数可)930は、1つ又は複数の汎用及び/又は専用プロセッサで実装されてもよい。汎用及び/又は専用プロセッサの例は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSPプロセッサ、及び/又は永久記憶デバイス922、RAM924、及び/又はROM928のうちの少なくとも1つからロードされた命令を実行するように構成された任意の他の適切な回路を含んでもよい。あるいは、又は追加として、プロセッサ(複数可)930は、少なくとも1つのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、少なくとも1つのプログラマブル論理デバイス(PLD)、少なくとも1つのコントローラ、少なくとも1つのステートマシン、論理ゲートのセット、少なくとも1つの個別ハードウェアコンポーネント、又は任意の他の好適な回路及び/もしくはそれらの組合せなどの専用ハードウェアとして実装されてもよい。
【0102】
インターコネクト920はさらに、システム900を1つ又は複数のコントローラインターフェース(複数可)926と通信可能に接続することができる。コントローラインターフェース(複数可)926は、例えば、車両の少なくとも一部のアセンブリ中に、システム900を1つ又は複数のロボットに関連する様々な回路と通信可能に接続することができる。プロセッサ(複数可)930によって実行される命令は、コントローラインターフェース(複数可)926を介して命令をロボットと通信させてもよく、それは、車両の少なくとも一部の組み立てに関連してロボットの移動及び/又は他の動作を引き起こしてもよい。例えば、プロセッサ(複数可)930によって実行される命令は、車両の少なくとも一部分のアセンブリに関連してロボットの移動及び/又は他の動作を指示するために、コントローラインターフェース(複数可)926を介してロボットの回路及び/又は他の機械に信号を送信させることができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、システム900は、ネットワーク構成要素932を含んでもよい。ネットワーク構成要素932は、例えば、車両の少なくとも一部分の組み立てに関連する命令を送信及び/又は受信するために、ネットワークを介して通信するように構成されてもよい。ネットワークコンポーネント932を介してネットワーク上で通信される命令は、車両の少なくとも部分のアセンブリに関連する命令を含んでもよく、車両の少なくとも一部のアセンブリ前、アセンブリ中、及び/又はアセンブリ後に通信されてもよい。ネットワークコンポーネント932が通信し得るネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、又は別の有線もしくはワイヤレスネットワークを含んでもよい。
【0104】
本明細書で説明する様々な態様は、コンピュータプログラミング製品のソフトウェアプロセスとして少なくとも部分的に実装されてもよい。そのようなプロセスは、機械可読記憶媒体上に記録された命令のセットとして指定されてもよい。命令のセットがプロセッサ(複数可)930によって実行される際、命令のセットは、プロセッサ(複数可)に、命令のセットにおいて示され記録された動作を実行させることができる。
【0105】
したがって、
図1~
図9を参照して上述したようなフィクスチャレスアセンブリ作業の例では、第1のマテリアルハンドリングロボット(例えば、ロボット109、アセンブリロボット802)は、グルーブ(例えば、グルーブ202、602、702、806)を含む構造(例えば、第1の構造体200、402、600、700、804)のうちの1つを保持する。次いで、1つ以上の接着剤吐出ロボット(例えば、ロボット113、構造用接着剤ロボット812、及び/又は急速硬化接着剤ロボット818)が、構造用接着剤604、816をグルーブ内に(例えば、区画608、807内に)充填し、急速硬化接着剤404、606、822をグルーブ内に(例えば、区画610、809内に)充填して、急速硬化接着剤が窓204、612、708、811の反対側に挿入されるようにする。あるいは、単一の構造用急速硬化接着剤704が、グルーブ(例えば、区画706内)に挿入されてもよい。次に、第2のマテリアルハンドリングロボット(例えば、ロボット111、アセンブリロボット824)は、タング302、828を含む構造体の他方(例えば、第2の構造体300、406、826)を保持し、第1及び第2のマテリアルハンドリングロボットは、MMCに基づいて第1及び第2の構造体を接合近接に配置する。構造体の最適な位置がMMCで識別されると、第2の材料ハンドリングロボットは、第2の構造体のタングをグルーブ内の急速硬化接着剤に挿入する。タングが挿入されると、急速硬化ロボット(例えば、ロボット115、UVロボット838)は、窓を通してグルーブの中へ進入するEM放射線836(例えば、UV放射線)を放射し、急速硬化接着剤(又は構造体及び急速硬化接着剤の露出部分)を硬化させて2つの構造体を迅速に保持することができるようにする。その後、ロボットは、接合された構造体を放し、構造用接着剤(又は構造用急速硬化接着剤の非露出部分)を硬化させながら、他の接合作業を行うことができる。
【0106】
その結果、本開示は、フィクスチャレスアセンブリプロセス中に構造体が適切に保持される可能性を向上させる。例えば、構造体の保持機構は、急速硬化接着剤ロボットが、後で接合作業を行うのではなく、構造用接着剤を塗布するときに急速硬化型接着剤を塗布することを可能にする。このようにして、急速硬化接着剤ロボットは、マテリアルハンドリングロボット間の密に詰まった領域内で接着剤を塗布することに関連する前述の困難(例えば、MMC中の急速硬化接着剤ロボットによるレーザ追跡の妨害)を回避することができる。代わりに、急速硬化接着剤ロボットは、構造体が配置された後に、EM放射を適用して接着剤を(例えば、グルーブの窓を通して)迅速に硬化させ、アセンブリの効率を改善することができる。加えて、接合位置の柔軟性が向上し(例えば、上下逆の向きを含む)、それにより、より最適化された位置決めが可能になる。
【0107】
さらに、構造体の保持機構は、グルーブ内の急速硬化接着剤がタングを包囲することを可能にし、これは、グルーブの表面をタングの表面に接着することによって生じる単一の剪断保持力よりも強い二重剪断保持力を提供する。グルーブ及び窓はまた、タングが挿入される、及び/又は構造体が操作されるときに、オーバーフロー又は流出(spill out)を最小限にするように、接着剤が収容されることを可能にしてもよい。その結果、接着剤が滴り落ちたり、構造体がずれたりする可能性が減少し、それによって、例えば積層部品における部品のたわみ及び落下が最小限に抑えられる。さらに、タングは、オーバーフローを最小限に抑え、接着剤と接触する表面積を最大化して(例えば、タングの複数のセグメント又は開口部を通る)、接着強度を最大化し、及び/又は付加製造されたときの印刷性を最適化するように、最適化されてもよい。したがって、構造用接着剤が硬化されている間、許容可能な許容差(acceptable tolerance)で構造体を保持することができ、それによって、保持不良を軽減し、構造的完全性を改善することができる。急速硬化接着剤のための保持機構はまた、異なる構造において反復可能に設計されてもよく、したがって、アセンブリを完成させるためのサイクル時間を減少させることができる。したがって、アセンブリプロセスのサイクル時間、構造用接着剤の格納、部品の印刷性、構造質量、及び接着強度を最適化することができる。さらに、構造体の視覚的魅力は、適用後の急速硬化接着剤の可視性を最小限に抑えることによって(例えば、見苦しい接着剤の線又は小塊を除去することによって)改善され得る。
【0108】
前述の説明は、当業者が本明細書で説明する様々な態様を実施することを可能にするために提供されるものである。本開示全体にわたって提示されるこれらの例示的な実施形態に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであろう。したがって、特許請求の範囲は、本開示全体にわたって提示される例示的な実施形態に限定されることを意図するものではなく、特許請求の範囲の文言と一致する全範囲について与えられるべきである。当業者に知られている、又は後に知られることになる、本開示全体にわたって説明した例示的な実施形態の要素のすべての構造的及び機能的均等物は、特許請求の範囲によって包含されるものとする。さらに、本明細書で開示されるものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公に供されるものではない。請求項のいかなる要素も、その要素が”means for”という語句を用いて明示的に記載されているか、又は方法請求項の場合には”step for”という語句を用いて記載されていない限り、35U.S.C.セクション112(f)の規定、又は適用可能な管轄における類似法則の下で解釈されるべきではない。
【国際調査報告】