(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(54)【発明の名称】分析物の光学的測定のための試験ストリップ固定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/78 20060101AFI20230913BHJP
G01N 33/52 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
G01N21/78 A
G01N33/52 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509552
(86)(22)【出願日】2021-08-09
(85)【翻訳文提出日】2023-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2021072114
(87)【国際公開番号】W WO2022033999
(87)【国際公開日】2022-02-17
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100197169
【氏名又は名称】柴田 潤二
(72)【発明者】
【氏名】マックス ベルク
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク ハイラー
(72)【発明者】
【氏名】ベルント リムブルク
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン メルヒンガー
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045FA19
2G045FB17
2G045FB18
2G045JA07
(57)【要約】
本発明は、試験ストリップ固定装置であって、
カメラを有するモバイル装置を使用することによって体液中の分析物の濃度を決定するための方法において使用されるように構成されており、前記方法が、光学試験ストリップの少なくとも一部および前記試験ストリップ固定装置の少なくとも一部を含む少なくとも1つの画像をカメラによって撮像することを含み、前記光学試験ストリップが、前記光学試験ストリップの試薬試験領域上に塗布された前記体液のサンプルを有し、前記画像が、前記体液のサンプルが塗布された前記試薬試験領域の少なくとも一部を含み、前記画像が、前記試験ストリップ固定装置の上面の少なくとも一部を含み、
a)本質的に平面的な形状と、
b)切り欠き部と、
c)切り欠き部の周囲および非灰色色基準フィールドの少なくとも一部の周囲に局所的に配置された灰色基準フィールドを含み、かつ位置検出コード要素を備える、既知の基準色値を有する複数の色基準フィールドを含む上面と、
d)試薬試験領域が切り欠き部と位置合わせされることができるように、前記試験ストリップ固定装置に対する光学試験ストリップの着脱可能な接続のための固定要素を備える下面と、
を備える、試験ストリップ固定装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験ストリップ固定装置であって、
カメラを有するモバイル装置を使用することによって体液中の分析物の濃度を決定するための方法において使用されるように構成されており、前記方法が、光学試験ストリップの少なくとも一部および前記試験ストリップ固定装置の少なくとも一部を含む少なくとも1つの画像をカメラによって撮像することを含み、前記光学試験ストリップが、前記光学試験ストリップの試薬試験領域上に塗布された前記体液のサンプルを有し、前記画像が、前記体液の前記サンプルが塗布された前記試薬試験領域の少なくとも一部を含み、前記画像が、前記試験ストリップ固定装置の上面の少なくとも一部を含み、
a)本質的に平面的な形状と、
b)切り欠き部と、
c)前記切り欠き部の周囲および非灰色色基準フィールドの少なくとも一部の周囲に局所的に、特に対称的に配置された灰色基準フィールドを含み、かつ位置検出コード要素を備える、既知の基準色値を有する複数の色基準フィールドを含む上面と、
d)前記試薬試験領域が前記切り欠き部と位置合わせされることができるように、前記試験ストリップ固定装置に対する前記光学試験ストリップの着脱可能な接続のための固定要素を備える下面と、
を備える、試験ストリップ固定装置。
【請求項2】
前記試験ストリップ固定装置が4つの外縁を備え、そのうちの2つが第1の対の外縁を形成し、そのうちの2つが第2の対の外縁を形成し、具体的には、前記対のうちの少なくとも1つの前記外縁が、互いに略平行に配置され、前記第1の対の前記外縁が、前記第2の対の前記外縁よりも長くすることができ、特に、前記試験ストリップ固定装置が略矩形または台形の形状を有する、請求項1に記載の試験ストリップ固定装置。
【請求項3】
前記試験ストリップ固定装置が、前記上面、前記下面、および前記固定要素を含む10mm以下の高さを有し、および/または、前記下面が、少なくとも部分的に、外縁のうちの少なくとも1つから前記試験ストリップ固定装置の中央領域に向かって傾斜しており、特に、前記試験ストリップ固定装置の中央領域が、前記試験ストリップ固定装置の最大高さを提供し、前記中央領域が平面を有することができる、請求項1または2に記載の試験ストリップ固定装置。
【請求項4】
前記下面、特に前記試験ストリップ固定装置の中央領域の平面が、前記上面に対する平行な向きから5°から25°の角度だけずれている、請求項1から3のいずれか一項に記載の試験ストリップ固定装置。
【請求項5】
前記切り欠き部が、前記試験ストリップ固定装置の外縁から離れて位置する、および/または、前記切り欠き部が、第1および第2の対の外縁に対して前記試験ストリップ固定装置の中央領域に位置する、および/または、前記切り欠き部が、前記試験ストリップ固定装置の前記第1および第2の対の外縁によって画定される幾何学的中心から離れて位置する、請求項1から4のいずれか一項に記載の試験ストリップ固定装置。
【請求項6】
前記位置検出コード要素の少なくとも一部が、前記試験ストリップ固定装置の外縁に本質的に位置する、および/または、前記位置検出コード要素の少なくとも一部が、前記上面上の前記色基準フィールドを画定するように、具体的には前記灰色基準フィールドを含むように位置する、請求項1から5のいずれか一項に記載の試験ストリップ固定装置。
【請求項7】
前記位置検出コード要素が、バーコードおよび正方形のマーカ、特にArUcoマーカを含む、および/または、前記位置検出コード要素が、前記試験ストリップ固定装置に固有の情報を含み、前記情報が、前記色基準フィールドに関する少なくともロット固有の情報および/または較正情報を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の試験ストリップ固定装置。
【請求項8】
前記灰色基準フィールドが、少なくとも2つ、具体的には少なくとも3つの異なる灰色シェードを含み、具体的には、前記少なくとも2つまたは前記少なくとも3つの異なる灰色シェードを含む前記灰色基準フィールドが、前記切り欠き部の周りおよび/または前記非灰色色基準フィールドの少なくともいくつかの周りに局所的に配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載の試験ストリップ固定装置。
【請求項9】
前記固定要素が、1つ以上の案内要素を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の試験ストリップ固定装置。
【請求項10】
前記固定要素を含む前記上面および前記下面が、一体の射出成形部品として形成され、前記色基準フィールドおよび前記位置検出コード要素が、印刷プロセスによって前記上面に塗布されるか、または前記色基準フィールドおよび前記位置検出コード要素が、前記上面に塗布されるラベル上に印刷される、請求項1から9のいずれか一項に記載の試験ストリップ固定装置。
【請求項11】
前記試験ストリップ固定装置に着脱可能に接続されるように適合された光学試験ストリップをさらに備え、前記光学試験ストリップが、キャリアと、体液の前記サンプルを塗布するための試薬試験領域とを備え、前記試薬試験領域が、前記キャリア上に配置され、前記キャリアが、前記試薬試験領域の位置に透明ゾーンまたは切り欠きゾーンを有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の試験ストリップ固定装置。
【請求項12】
前記試験ストリップ固定装置の前記切り欠き部が、前記試薬試験領域以上のサイズを有し、具体的には、前記切り欠き部が、前記光学試験ストリップが前記試験ストリップ固定装置の前記固定要素に接続されている場合に、前記光学試験ストリップの前記キャリアの少なくとも一部、特に前記試薬試験領域に隣接する前記キャリアの一部の観察を可能にするサイズを有する、請求項11に記載の試験ストリップ固定装置。
【請求項13】
前記固定要素が、第1または第2の対の外縁のうちの少なくとも一方に対して略垂直に配置されており、具体的には、前記光学試験ストリップが前記固定要素に接続されている場合に、前記光学試験ストリップが、前記外縁のうちの1つを超えて少なくとも5mm延在する、請求項11または12に記載の試験ストリップ固定装置。
【請求項14】
カメラ、光学試験ストリップ、および請求項1から13のいずれか一項に記載の試験ストリップ固定装置を有するモバイル装置を使用することによって体液中の分析物の濃度を決定するための方法であって、
(i)前記光学試験ストリップを提供することであって、前記光学試験ストリップが、キャリアと、前記キャリア上に配置された試薬試験領域とを備え、前記キャリアが、前記試薬試験領域の位置に透明ゾーンまたは切り欠きゾーンを備える、前記光学試験ストリップを提供することと、
(ii)具体的には、前記試薬試験領域のサンプル塗布部位が前記試験ストリップ固定装置の下面から離れて面するように、前記光学試験ストリップを前記試験ストリップ固定装置に着脱可能に接続することと、
(iii)前記体液のサンプルを前記試薬試験領域に塗布することであって、それにより、前記試薬試験領域に色が形成され、その色が、上面から前記試験ストリップ固定装置の切り欠き部を通して、および前記光学試験ストリップの前記キャリアの前記透明ゾーンを通して、または前記切り欠きゾーンを通して観察されることができる、前記体液のサンプルを塗布することと、
(iv)前記光学試験ストリップの少なくとも一部および前記試験ストリップ固定装置の前記上面の少なくとも一部を含む少なくとも1つの画像を前記カメラによって撮像することであって、前記画像が、前記体液の前記サンプルが塗布された前記試薬試験領域の少なくとも一部を含み、前記画像が、前記灰色基準フィールドの少なくとも一部を含む前記色基準フィールドの少なくとも一部をさらに含む、少なくとも1つの画像を撮像することと、
(v)前記灰色基準フィールドを含む前記色基準フィールドの少なくとも一部を考慮して、前記体液の前記サンプルの塗布時に前記試薬試験領域に形成された前記色から前記分析物の前記濃度を決定することと、
を含む、方法。
【請求項15】
ステップ(v)において前記分析物の前記濃度を決定することが、ステップ(iv)において撮像された前記少なくとも1つの画像における局所強度変動を考慮することをさらに含み、前記局所強度変動が、前記色基準フィールドのうちの1つ以上の位置において発生することができ、前記灰色基準フィールドが、前記局所強度変動を考慮するために使用される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灰色基準フィールドを含む既知の基準色値の色基準フィールドと、位置検出コード要素とを上面に有する試験ストリップ固定装置であって、光学試験ストリップを試験ストリップ固定装置に着脱可能に接続するように適合されている、試験ストリップ固定装置に関する。試験ストリップ固定装置は、カメラを有するモバイル装置を使用することによって体液中の分析物の濃度を決定する方法において使用されるように構成される。さらに、本発明は、試験ストリップ固定装置と、そのような方法において試験ストリップ固定装置とともに使用される光学試験ストリップとを備えるキットに関する。試験ストリップ固定装置および方法は、例えば、血液または間質液中のグルコースを検出するためなど、体液中の1つ以上の分析物を定性的または定量的に検出するために、医療診断に特に使用されることができる。
【背景技術】
【0002】
医療診断の分野では、多くの場合、血液、間質液、尿、唾液、または他の種類の体液などの体液のサンプルから1つ以上の分析物を検出する必要がある。検出される分析物の例は、グルコース、トリグリセリド、ラクテート、コレステロール、またはそのような体液に通常存在する他の種類の分析物である。分析物の濃度および/または存在に応じて、必要に応じて適切な処理が選択されることができる。
【0003】
一般に、当業者に知られている装置および方法は、1つ以上の試験化学物質を含む試験要素を利用し、これは、検出される分析物の存在下で、光学的に検出可能な検出反応などの1つ以上の検出可能な検出反応を実行することができる。試験要素に含まれる試験化学物質に関しては、例えば、J.Hoenes et al.:The Technology Behind Glucose Meters:Test Strips,Diabetes Technology&Therapeutics,Volume 10,Supplement 1,2008,S-10からS-26の参照がなされることができる。
【0004】
分析測定、特に発色反応に基づく分析測定では、1つの技術的課題は、検出反応に起因する色の変化の評価にある。ハンドヘルド血糖計などの専用の分析装置を使用することに加えて、スマートフォンおよびポータブルコンピュータまたは他のモバイル装置などの一般的に入手可能な電子装置の使用は、近年ますます普及している。
【0005】
実験室測定および専用の分析測定装置を使用して実行される測定とは対照的に、スマートフォンなどのモバイルコンピューティング装置を使用する場合、例えば、照明条件および位置決め態様、特に光学試験ストリップに対するおよび/または色基準チャートなどの任意の補助手段に対するモバイル装置の位置決めなどの様々な追加の影響を考慮する必要がある。このような付加的な影響を適切に考慮することが困難な場合がある。それにもかかわらず、これらの場合における分析物検出の結果の信頼性を保証または改善するために、所望の分析物検出または測定に影響を及ぼすと予想されることができる任意のそのような態様に適切に対処することが有益である。
【0006】
特に、カメラを有するモバイル装置を使用することによって体液中の分析物の濃度を決定する方法において、色基準チャートなどの補助手段が光学試験ストリップとともに使用される場合、カメラは、光学試験ストリップおよび色基準チャートの双方と位置合わせされるか、またはそれに対して配置される必要がある。この努力を容易にするために、基準色は、試験化学物質も収容する支持体上で直接使用されることがある。しかしながら、色基準チャートが光学試験ストリップとは別に使用される場合、一方では光学試験ストリップの、他方では色基準チャートの位置決めは、測定方法の要件に適合する必要があり、これは、通常、カメラに対するならびに互いに対する試験ストリップおよび基準チャートの位置決めを含む。後者の態様、すなわち試験ストリップと基準チャートとの互いに対する位置決めは、測定方法が、光学試験ストリップ上の試薬試験フィールドなどから試験化学物質から色情報を読み取ることを含むだけでなく、追加の色情報、較正情報、またはロット固有の情報などの光学試験ストリップから他の情報を読み取ることも含む場合には、いっそう関連性がある。そのような追加情報は、例えば、光学試験ストリップのキャリアまたは支持体上に提供されてもよい。
【0007】
したがって、光学試験ストリップのカメラベースの評価は、通常、試験ストリップおよびその試薬試験フィールドをそれぞれ検出することを必要とし、色基準フィールドを有する色基準チャートが使用される場合、前記チャートおよびその上の色基準フィールド位置も検出される必要がある。この目的のために、モバイル装置を使用することによって実行される分析物測定の方法においてそのような画像を処理することができるようにするために、モバイル装置のカメラなどのカメラによって撮像された画像の高品質を保証することがさらに重要である。しかしながら、これに関して、必要な計算能力を考慮する必要がある。高品質の画像は、以下の態様のうちの1つ以上を含む:
-画像は鮮明でなければならない(例えば、色基準チャートおよび光学試験ストリップは焦点面内にある)。
-露光は適切である。
-良好な画素解像度(少なくともフルHD、すなわち1920×1080画素の解像度;場合によっては、HD、すなわち1280×720画素の解像度で十分であり得る)。
-良好なダイナミックレンジ、例えば実際の8ビット解像度が利用可能であるべきである。
-圧縮が使用されないか、または有意でない圧縮のみが使用されるべきである(例えば、色、空間)。
-色基準チャートの場合、モバイル装置のカメラによって撮像された画像内で、試験ストリップの試験フィールドとチャート上の関連する色基準フィールド(着色または灰色フィールドなど)との間の相対位置を知るまたは決定することは必須である。
-色基準チャートでは、各色基準フィールドについて、特定の統計値(例えば平均色値のような)および/またはヒストグラムが導出されて、関数チェックを適切に機能させ、および/または分析物を正確に計算することを可能にするようにする必要があり得る。
-色基準チャートの場合、分析物濃度の精度を計算または保証するために、試験および/または色基準フィールド間の相互関係が導出されることができる。
【0008】
着色された基準チャートの使用を含む現在のシステムは、多くの場合、ユーザが、原則として基準チャート上のどこにでも、基準チャート上に試験ストリップを配置することを可能にする。したがって、そのようなシナリオでは、試験ストリップを安全に検出する必要があり、必要に応じて、試験ストリップを色基準チャートとより良好に位置合わせするようにユーザに通知する必要があり得る。
【0009】
ハイエンドのスマートフォンの場合、全ての必要な要素(試験ストリップ、試薬試験フィールド、色基準フィールドなど)、ならびに記録されたフレームごとの画質のチェックは、通常、毎秒何回も可能であり、例えば、毎秒約20フレームを提供する。しかしながら、広く使用されているローエンドからミッドレンジのスマートフォンの場合、毎秒数フレームのみ、または単一フレームのみがこのように処理されることができる。したがって、モバイル装置によって実行される画素ベースの計算(例えば、試験ストリップおよび/または試薬試験フィールドを見つけること)を可能な限り減らすことが重要である。
【0010】
欧州特許出願公開第3018470号明細書は、生体測定情報を測定する端末の方法であって、サンプルが収集される試薬パッドを含むバイオセンサの画像を受信することと、受信画像における試薬パッドの反応領域の輝度情報を、受信画像における基準輝度情報と比較して、試薬パッドとサンプルとの試薬反応の値を決定することと、を含む、方法を記載している。バイオセンサは、試薬パッドに加えて、基準輝度情報および識別情報も含んでもよい。
【0011】
欧州特許出願公開第3143378号明細書は、着色された試験試薬を有するディップスティック、および複数の着色された基準要素を有する較正アレイの画像を撮像することと、撮像された画像に基づいて、ディップスティックおよび較正アレイに関連する局所照明パラメータを導出することと、照明パラメータが所定の照明境界条件のセット内にあるかどうかを決定することと、導出された照明パラメータと1つ以上の必要な調整との間の事前定義されたマッピングに基づいて、1つ以上の画像強調動作を撮像された画像に適用して、強調画像を生成することと、強調された画像内の着色された基準要素に基づいて、着色された試験試薬を解釈することと、を含む方法に関する。
【0012】
国際公開第2019113812号パンフレットは、色認識に基づいて検出される溶液の濃度を定量的に検出するための方法であって、とりわけ、以下の主要なステップ、すなわち、ステップS4、画像認識技術によって色反応領域および各色ブロックに対応する情報を特定することと、拡散反射光情報を特定の色空間内の色座標に変換することと、ステップS5、光学原理によって、色反応領域、カラーブロック拡散反射情報、周囲光、および他の外部要因に対して同等の計算を実行して、同等の周囲光を取得することと、ステップS7、色反応領域標準色を計算することと、ステップS8、色反応領域標準色と被検出溶液の濃度との対応関係を用いて被検出溶液の濃度を計算することと、を含む方法を記載している。色反応領域を配置するためにカードスロットが使用されることができ、カードスロットは、観察範囲の中央に配置され、カラーブロックは、カードスロットの両側にマトリクス状に分布し、カラーブロックおよびカードスロットは、観察範囲の中央に対称的に分布する。
【0013】
米国特許出願公開第20180146175号明細書は、未知の色サンプルの真の色を決定するためのシステムであって、切り欠きと、切り欠きの周りの複数の同心リングとを含むテンプレートであって、同心リングのそれぞれが、極座標の角度の関数として変調されたオフセット灰色スケールを有し、複数の同心リングの灰色スケール間には三角関係がある、テンプレートと、未知の色サンプルにわたるテンプレートの画像において、未知の色サンプルの画像の決定された平均赤色値と一致する強度を有する同心円のうちの1つの第1の半径方向断面を決定し、同心円のうちの1つの強度プロファイルおよび第1の半径方向断面の極角に基づいて未知の色サンプルの真の平均赤色値を決定するように構成されたRGBカラーモジュールと、第1の半径方向断面の極角を決定するように構成された角度モジュールと、を備えるシステムに関する。
【0014】
分析測定を実行する目的でモバイルコンピューティング装置を使用することに伴う利点にもかかわらず、残りの技術的課題の1つは、周囲の照明条件および光学試験ストリップまたは色基準チャートの相対的な向きの影響など、所望の分析物検出または測定に影響を及ぼすと予想されることができる任意の態様を考慮して、そのようなモバイルコンピューティング装置および光学試験ストリップのような試験要素を含む分析物測定の試験結果の信頼性を保証または強化することである。
解決すべき課題
【0015】
したがって、上述した課題に少なくとも部分的に対処する装置および方法を提供することが望ましい。具体的には、体液中の分析物の濃度の信頼性の高いモバイルベースの決定を可能にし、周囲の照明条件およびモバイルコンピューティング装置と光学試験ストリップとの相対位置などの外的要因からの分析物検出または測定への影響を最小限に抑える装置および方法を提供することが望ましい。特に、提供される装置および方法は、光学試験ストリップとは別に提供される基準色の適切な使用を含むように適合されるべきである。さらに、例えば色基準チャート上の色基準フィールドなどの全ての必要な要素は、低計算コストでデジタル画像内で識別されるべきである。
【発明の概要】
【0016】
この課題は、カメラを有するモバイル装置を使用することによって体液中の分析物の濃度を決定する方法において使用されるように構成された試験ストリップ固定装置によって、さらに、試験ストリップ固定装置および光学試験ストリップを含むキットによって、カメラを有するモバイル装置、光学試験ストリップ、および試験ストリップ固定装置を使用することによって体液中の分析物の濃度を決定するための方法によって、対処され、いずれの場合も独立請求項の特徴を有する。単独の方式または任意の恣意的な組み合わせで実現されることができる有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0017】
以下において使用される場合、用語「有する」、「備える」もしくは「含む」またはこれらの任意の文法的変化形は、包括的に用いられる。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、この文脈で説明されているエンティティにさらなる特徴が存在しない状況と、1つ以上の追加の特徴が存在する状況との双方を指す場合がある。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」および「AはBを含む」という表現は、双方とも、B以外に、他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが単独で、かつ排他的にBからなる状況)、および、B以外に、要素C、要素CおよびD、さらにはさらなる要素など、1つ以上のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指す場合がある。
【0018】
さらに、特徴または要素が1回または複数回存在することができることを示す「少なくとも1つ」、「1つ以上」という用語または同様の表現は、通常、それぞれの特徴または要素を導入するときに一度だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を指すとき、それぞれの特徴または要素が1回または1回を超えて存在することができるという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」または「1つ以上」という表現は繰り返されない。
【0019】
さらに、以下において使用される場合、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「具体的に」、「より具体的に」または同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴と併せて使用される。したがって、これらの用語により導入される特徴は、任意の特徴であり、特許請求の範囲を、いかなる方法によっても制約することを意図されていない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実行されてもよい。同様に、「本発明の実施形態では」または同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に関する制限がなく、本発明の範囲に関する制限がなく、およびそのような方法で導入された特徴を、本発明の他の任意または非任意の特徴と組み合わせる可能性に関する制限がない任意の特徴であることを意図する。
【0020】
本発明の第1の態様では、試験ストリップ固定装置が開示される。前記試験ストリップ固定装置の構造要素は、本明細書において以下にさらに詳細に説明される。
【0021】
本発明にかかる試験ストリップ固定装置は、カメラを有するモバイル装置を使用することによって体液中の分析物の濃度を決定する方法において使用されるように構成され、さらに光学試験ストリップが使用されることに留意されたい。したがって、その一部が本明細書の上記の背景技術の文脈において論じられている分析物のそのような光学的検出または測定の要件は、試験ストリップ固定装置の構造要素の少なくとも一部の設計および配置を少なくともある程度決定する。したがって、カメラを有するモバイル装置を使用することによって体液中の分析物の濃度を決定する方法であって、さらに光学試験ストリップが使用される方法は、本発明の別の態様を表すことから、試験ストリップ固定装置自体の詳細を説明する前に、前記方法のいくつかの一般的な態様を最初に説明することが適切である。それにより、光学試験ストリップに関連して、試験ストリップ固定装置が分析物の濃度を決定するための方法においてどのように使用されることができるかをよりよく理解することができる。
【0022】
本明細書において言及される体液中の分析物の濃度を決定するための方法は、カメラおよびプロセッサを有するモバイル装置を使用することを含む。さらにまた、キャリアと、前記キャリア上に配置された試薬試験領域とを含む光学試験ストリップが使用され、前記キャリアは、前記試薬試験領域の位置に透明ゾーンまたは切り欠きゾーンを含む。光学試験ストリップは、試験ストリップ固定装置に着脱可能に接続される。体液のサンプルが試薬試験領域に塗布され、それによって、上面から試験ストリップ固定装置の切り欠き部を通して、および光学試験ストリップのキャリアの透明ゾーンまたは切り欠きゾーンを通して観察されることができる色が形成される。本方法は、光学試験ストリップの少なくとも一部および試験ストリップ固定装置の上面の少なくとも一部を含む少なくとも1つの画像をカメラによって撮像することを含む。画像は、体液のサンプルが塗布された試薬試験領域の少なくとも一部をさらに含み、色基準フィールドの少なくとも一部をさらに含む。本方法は、色基準フィールドを考慮して、試薬試験領域内に形成された色から分析物の濃度をプロセッサによって決定することをさらに含む。
【0023】
本明細書で使用される「分析測定」とも呼ばれる「体液中の分析物の濃度を決定すること」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、任意のサンプルまたは体液のアリコート中の少なくとも1つの分析物の定量的および/または定性的な決定を指すことができる。例えば、体液は、血液、間質液、尿、唾液または他の種類の体液のうちの1つ以上、特に血液を含むことができる。濃度の決定の結果は、例として、分析物の濃度および/または決定された分析物の有無とすることができる。具体的には、例として、分析測定は、血糖測定とすることができ、したがって、分析測定の結果は、例えば、血糖濃度とすることができる。特に、分析測定結果値は、分析測定によって決定されることができる。
【0024】
したがって、本明細書で使用される「分析測定結果値」とも呼ばれることが多い「分析物濃度値」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、サンプル中の分析物濃度の数値表示を指すことができる。
【0025】
範囲を狭めることなく、本発明は、血糖測定に関して具体的に説明されることができる。しかしながら、本発明はまた、試験要素を使用する他のタイプの分析測定にも使用されることができることに留意されたい。例として、少なくとも1つの分析物は、1つ以上の特定の化学化合物および/または他のパラメータとすることができ、またはそれらを含むことができる。例として、血糖などの代謝に関与する1つ以上の分析物が決定されることができる。追加的または代替的に、例えばpH値など、他のタイプの分析物またはパラメータが決定されることができる。
【0026】
上記概説した方法は、少なくとも1つのカメラを有する少なくとも1つのモバイル装置を使用することを含む。本明細書で使用される「モバイル装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、携帯型電子装置、より具体的には、携帯電話またはスマートフォンなどの携帯型通信装置を指すことができる。追加的にまたは代替的に、携帯型装置はまた、少なくとも1つのカメラおよび少なくとも1つのプロセッサを有するタブレットコンピュータまたは別のタイプの携帯型コンピュータを指すことができる。さらにまた、追加的または代替的に、モバイル装置はまた、外部ウェブカメラなどの内部または外部カメラを装備したラップトップコンピュータまたはPCなどのコンピュータを指すこともできる。
【0027】
本明細書で使用される「カメラ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、空間的に分解された1次元、2次元、または3次元の光学データまたは情報を記録または撮像するように構成された少なくとも1つの撮像素子を有する装置を指すことができる。例として、カメラは、画像を記録するように構成された少なくとも1つのCCDチップおよび/または少なくとも1つのCMOSチップなどの少なくとも1つのカメラチップを含むことができる。本明細書で使用される場合、限定されないが、「画像」という用語は、具体的には、カメラチップの画素などの撮像素子からの複数の電子読み取りなど、カメラを使用することによって記録されたデータに関連することができる。
【0028】
カメラは、少なくとも1つのカメラチップまたは撮像チップに加えて、1つ以上の光学素子、例えば、1つ以上のレンズなどのさらなる素子を含むことができる。例として、カメラは、カメラに対して固定的に調整される少なくとも1つのレンズを有する固定焦点カメラとすることができる。しかしながら、代替的に、カメラはまた、自動または手動で調整されることができる1つ以上の可変レンズを含むことができる。本発明は、特に、ノートブックコンピュータ、タブレット、または具体的にはスマートフォンなどの携帯電話などのモバイルアプリケーションで通常使用されるカメラに適用可能でなければならない。したがって、具体的には、カメラは、少なくとも1つのカメラに加えて、1つ以上のデータプロセッサなどの1つ以上のデータ処理装置を含むモバイル装置の一部とすることができる。しかしながら、他のカメラも使用可能である。
【0029】
試験ストリップ固定装置は、特に本明細書に記載の方法において、光学試験ストリップに関連して使用されるように構成される。したがって、本明細書では「試験領域」とも呼ばれる少なくとも1つの試薬試験領域を有する少なくとも1つの光学試験ストリップが使用される。本明細書で使用される「光学試験ストリップ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、色変化検出反応を実行するように構成された任意の要素または装置を指すことができる。光学試験ストリップはまた、試験ストリップまたは試験要素とも呼ばれることができ、3つの用語は、全て同じ要素を指すことができる。光学試験ストリップは、特に、少なくとも1つの分析物を検出するための少なくとも1つの試験化学物質を含む試薬試験領域を有することができる。例として、光学試験ストリップは、少なくとも1つの試薬試験領域が適用されるかまたはその中に組み込まれた少なくとも1つのキャリアなどの少なくとも1つの基材を備えてもよい。特に、光学試験ストリップは、白色フィールドおよび/または黒色フィールドなどの1つ以上の基準領域をさらに含むことができる。追加的または代替的に、基材またはキャリア自体は、そのような基準領域であってもよく、またはそれを含んでもよい。例として、少なくとも1つのキャリアは、ストリップ状とすることができ、それにより、試験要素を試験ストリップにする。これらの試験ストリップは、一般に広く使用されており、入手可能である。1つの試験ストリップは、単一の試験フィールド、またはその中に含まれる同一または異なる試験薬剤を有する複数の試験フィールドを担持することができる。
【0030】
さらに本明細書で使用される場合、「試薬試験領域」(本明細書では「試験フィールド」とも呼ばれる)という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、試験化学物質が含まれる試験フィールドの少なくとも1つの層を有する材料の1つ以上の層を有する円形、多角形または矩形の形状のフィールドなどの凝集した量の試験化学物質を指すことができる。光学試験ストリップに含まれる試験化学物質に関しては、例として、J.Hoenes et al.:The Technology Behind Glucose Meters:Test Strips,Diabetes Technology&Therapeutics,Volume 10,Supplement 1,2008,S-10からS-26の参照がなされる。他のタイプの試験化学物質が可能であり、本発明を実施するために使用されることができる。
【0031】
上記概説したように、本方法は、カメラを使用することによって、体液のサンプルが塗布された試薬試験領域の少なくとも一部の少なくとも1つの画像を撮像することを含む。本明細書で使用される「少なくとも1つの画像を撮像すること」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、イメージング、画像記録、画像取得、画像撮像のうちの1つ以上を指すことができる。「少なくとも1つの画像を撮像する」という用語は、単一の画像および/または一連の画像などの複数の画像を撮像することを含むことができる。例えば、画像を撮像することは、ビデオまたは動画などの一連の画像を連続的に記録することを含むことができる。少なくとも1つの画像を撮像することは、ユーザアクションによって開始されることができるか、または例えば、カメラの視野内および/または視野の所定のセクタ内の少なくとも1つのオブジェクトの存在が自動的に検出されると、自動的に開始されることができる。これらの自動画像取得技術は、例えば、自動バーコード読み取りアプリなどの自動バーコードリーダの分野で知られている。画像の撮像は、例として、カメラによって画像のストリームまたは「ライブストリーム」を取得することによって行うことができ、画像のうちの1つ以上は、自動的に、またはボタンを押すなどのユーザ相互作用によって、少なくとも1つの第1の画像または少なくとも1つの第2の画像としてそれぞれ記憶されて使用される。画像取得は、モバイル装置のプロセッサによってサポートされてもよく、画像の記憶は、モバイル装置のデータ記憶装置内で行われてもよい。
【0032】
少なくとも1つの画像を撮像することは、体液のサンプルを試験ストリップに適用して少なくとも1つの画像を撮像することと、さらに任意に、例えば、サンプルを試験ストリップに適用して画像を撮像する前に、体液のサンプルを試験ストリップに適用せずに少なくとも1つの画像を撮像することとを含むことができる。後者の画像は、具体的には比較目的で使用されることができ、「空白画像」または「乾燥画像」と呼ばれることもできる。サンプルの適用は、一般に、例として、直接的または間接的に、例えば少なくとも1つの毛細管素子を介して行われることができる。サンプル適用後に撮像された少なくとも1つの画像は、画像が実際に撮像されたときにサンプルが乾燥している可能性がある場合であっても、典型的には「湿潤画像」と呼ばれることもある。湿潤画像は、典型的には、検出反応が起こることを可能にするために、少なくとも所定の待機時間、例えば5秒以上の待機時間を待機した後に撮像されてもよい。したがって、例として、本方法は、少なくとも1つの任意の乾燥画像と少なくとも1つの湿潤画像とを撮像することの間に、少なくとも所定の最小量の時間待機することを含むことができる。この所定の最小時間量は、具体的には、検出反応が試験ストリップ内で起こるのに十分とすることができる。例として、待機時間の最小量は、少なくとも5秒とすることができる。
【0033】
本方法は、試験フィールドの発色から分析物濃度、特に分析物濃度値を決定することを含む。したがって、本方法は、光学試験ストリップの少なくとも1つの光学特性の変化を含む分析測定とすることができ、この変化を、カメラを使用することによって視覚的に測定または決定することができる。具体的には、分析測定は、決定される少なくとも1つの分析物の存在下での発色反応とすることができ、または発色反応を含むことができる。本明細書で使用される「発色反応」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、反応に関与する少なくとも1つの要素の色、具体的には反射率が反応の進行とともに変化する化学的、生物学的または身体的反応を指すことができる。発色は、モバイル装置のプロセッサなどによってモバイル装置によって検出されることができ、少なくとも1つの画像から、体液中の分析物の存在および濃度に起因する試験フィールドの発色を定量化または特徴付ける少なくとも1つのパラメータを導出することなどによって定量的に評価することができる。この目的のために、1つ以上の特定の色座標が使用されることができる。したがって、モバイル装置、具体的にはモバイル装置のプロセッサは、検出反応に起因して生じる1つ以上の色座標の変化を決定することによって色の変化を決定するように構成されることができる。
【0034】
少なくとも1つの分析物濃度、特に分析物濃度値は、試験フィールドの発色から決定される。この目的のために、少なくとも1つの画像が使用される。分析物濃度値は、例として、血糖濃度などのサンプル中の少なくとも1つの分析物の濃度を示すなど、分析測定の結果の数値指標とすることができる。
【0035】
本方法は、モバイル装置のディスプレイなどに分析物濃度値を表示するステップをさらに含むことができる。追加的または代替的に、本方法は、少なくとも1つの分析物濃度値をモバイル装置の少なくとも1つのデータ記憶装置に記憶することを含むことができる。再び追加的および代替的に、本方法は、少なくとも1つのインターフェースを介して、および/または少なくとも1つのデータ伝送ネットワークを介して、例えばさらなる評価のために、別のコンピュータなどに少なくとも1つの分析物濃度値を送信することをさらに含んでもよい。
【0036】
ここで、カメラを有するモバイル装置を使用することによって体液中の分析物の濃度を決定する方法において使用されるように構成された本発明の試験ストリップ固定装置に着目して、試験ストリップ固定装置の構造要素をより詳細に説明する。
【0037】
したがって、第1の態様では、本発明は、特に試験ストリップ固定装置であって、
カメラを有するモバイル装置を使用することによって体液中の分析物の濃度を決定するための方法において使用されるように構成されており、方法が、光学試験ストリップの少なくとも一部および試験ストリップ固定装置の少なくとも一部を含む少なくとも1つの画像をカメラによって撮像することを含み、光学試験ストリップが、光学試験ストリップの試薬試験領域上に塗布された体液のサンプルを有し、画像が、体液のサンプルが塗布された試薬試験領域の少なくとも一部を含み、画像が、試験ストリップ固定装置の上面の少なくとも一部を含み、
a)本質的に平面的な形状と、
b)切り欠き部と、
c)切り欠き部の周囲および非灰色色基準フィールドの少なくとも一部の周囲に局所的に、特に本質的に対称的に配置された灰色基準フィールドを含み、かつ位置検出コード要素を備える、既知の基準色値を有する複数の色基準フィールドを含む上面と、
d)試薬試験領域が切り欠き部と位置合わせされることができるように、試験ストリップ固定装置に対する光学試験ストリップの着脱可能な接続のための固定要素を備える下面と、
を備える、試験ストリップ固定装置に関する。
【0038】
本発明の試験ストリップ固定装置は、試験ストリップ固定装置への光学試験ストリップの着脱可能な接続、色基準フィールドが試験ストリップ固定装置の上面に配置される、既知の基準色値を有する複数の色基準フィールド、光学試験ストリップが試験ストリップ固定装置に接続されている場合には、光学試験ストリップの試薬試験領域と位置合わせされることができる切り欠き部を提供する。それにより、(i)試験ストリップ固定装置に対する光学試験ストリップの、(ii)色基準フィールドに対する光学試験ストリップの、および(iii)切り欠き部に対する光学試験ストリップの試薬試験領域の正確な位置決めが、再現性のある効率的な方法で達成されることができる。これらの位置決めの態様は、全て、体液中の分析物の濃度を決定するための方法をより信頼性の高いものにすることに寄与し、方法は、光学試験ストリップおよび試験ストリップ固定装置に加えて、カメラを有するモバイル装置を使用する。そのような測定方法では、例えば達成される測定結果の精度に関して、方法の最適な性能のために、カメラに対するならびに互いに対する試験ストリップおよび色基準フィールドの双方の位置決めが保証される必要がある。後者の態様、すなわち試験ストリップと色基準フィールドとの互いに対する位置決めは、測定方法が、光学試験ストリップの試薬試験フィールドなどの試験化学物質から色情報を読み取ることを含むだけでなく、追加の色情報、較正情報、またはロット固有の情報などの他の情報を光学試験ストリップから読み取ることも含む場合に特に関連する。そのような追加情報は、例えば、光学試験ストリップのキャリアまたは支持体上に提供される。
【0039】
さらにまた、本発明の試験ストリップ固定装置は、光学試験ストリップおよび試験ストリップ上に設けられた試薬試験フィールドの上面上の要素(例えば、色基準フィールド)に対する位置を規定および固定することによって、特に任意の画素ベースの画像処理能力に必要な画像処理能力の低減を可能にする。特に、(デジタル)画像内の試験ストリップ固定装置の上面の迅速かつ容易な検出のために、ArUcoコードのような位置検出コード要素を使用することと組み合わせて、全ての必要な要素は、比較的低い計算コストで、すなわちリソース効率の良い方法で識別されることができる。
【0040】
試験ストリップ固定装置は、例えば平坦な直方体のような本質的に平面的な形状を有する。その上面は、切り欠き部、複数の色基準フィールド、および位置検出コード要素を収容するために十分に大きな表面積を提供する任意の幾何学的形態または形状で提供されてもよい。したがって、試験ストリップ固定装置またはその上面の任意の矩形、台形、楕円形または円形の形状が適切であり得る。典型的には、試験ストリップ固定装置は、4つの外縁を備え、そのうちの2つは、第1の一対の外縁を形成し、そのうちの2つは、第2の一対の外縁を形成する。対の少なくとも一方、具体的には対の双方の外縁は、互いに本質的に平行に配置されてもよい。さらにまた、第1の対の外縁は、第2の対の外縁よりも長くてもよい。特に、試験ストリップ固定装置は、本質的に矩形または台形の形状、より具体的には本質的に矩形の形状を有する。他の形状も適宜使用されることができる。
【0041】
一般に、試験ストリップ固定装置は、上面、下面、および固定要素を含む10mm以下、具体的には5mm以下の高さを有する。有利には、特に第1および第2の対の外縁に対する試験ストリップ固定装置の中央領域は、試験ストリップ固定装置の最大高さを提供することができる。追加的または代替的に、下面は、少なくとも部分的に、外縁のうちの少なくとも1つ、具体的には外縁のうちの少なくとも2つ、より具体的には外縁の全てから、特に第1および第2の対の外縁に対して、試験ストリップ固定装置の中央領域に向かって傾斜していてもよい。有利には、試験ストリップ固定装置の中央領域は、平坦な表面、具体的には上面に本質的に平行な平坦な表面を有する。この点において、「本質的に平行」という用語は、平行な配向、および/または>0°から10°、特に>0°から5°の平行な配向からの逸脱を指すことができる。例として、試験ストリップ固定装置の中央領域は、試験ストリップ固定装置の最大高さを提供することができ、中央領域は、平面、具体的には上面に本質的に平行な平面を有する。最大高さを提供するおよび/または平坦な表面を有する試験ストリップ固定装置の中央領域は、装置がテーブル上などの任意の平坦な表面上に安定して配置されることができ、そこからより容易にピックアップされることができるため、試験ストリップ固定装置のユーザの取り扱いを大幅に容易にする。これは、試験ストリップ固定装置の取り扱いが、試験ストリップ、例えば血糖値試験ストリップを用いて分析物試験を実施する目的でそのような平坦な表面から装置をピックアップすることを必要とする場合に特に有用である。
【0042】
あるいは、下面、特に試験ストリップ固定装置の中央領域の平面は、上面が下面に対して(したがって、試験ストリップ固定装置が支持面上に配置されるとき、テーブルの表面などの水平支持面に対して)例えば5°から25°または5°から15°の角度だけ傾斜するように、上面に対して平行な向きからずれてもよい。そのような構成では、試験ストリップ固定装置の外縁のうちの第1の外縁に隣接する領域は、試験ストリップ固定装置の最大高さを提供することができる。さらに、外縁のうちの第1の外縁の反対側に位置する試験ストリップ固定装置の外縁のうちの1つに隣接する領域は、試験ストリップ固定装置の最小高さを提供することができる。有利には、そのような構成では、特に周囲光からの、および/またはLEDなどのモバイル装置の光源からの光沢の任意の影響は、モバイル装置のカメラに対する上面の角度のために最小化されるか、または回避されてもよく、この角度は、この場合、少なくともある程度事前に決定される。
【0043】
切り欠き部は、通常、試験ストリップ固定装置の外縁から離れて配置される。したがって、切り欠き部は、特に第1および第2の対の外縁に対して、試験ストリップ固定装置の中央領域に配置されてもよい。追加的または代替的に、切り欠き部は、試験ストリップ固定装置の幾何学的中心から離れて、具体的には、第1および第2の対の外縁によって画定される幾何学的中心から離れて配置されてもよい。それにより、装置に挿入されたときに試験ストリップが装置を越えて、またはその外縁を越えて延在することができ、試験ストリップをより容易に把持することができるため、試験ストリップ固定装置のユーザの取り扱いが改善されることができる。さらに、光沢のような照明効果からのいかなる影響も、この段落に記載されるように、試験ストリップ固定装置内に切り欠き部を適切に配置することによって最小化または回避されることができる。
【0044】
典型的には、位置検出コード要素の少なくとも一部または全部は、本質的に試験ストリップ固定装置の外縁に配置される。追加的または代替的に、位置検出コード要素の少なくとも一部または全部は、上面上の色基準フィールドを画定するように、具体的には灰色基準フィールドを含むように配置される。
【0045】
適切な位置検出コード要素は、任意のバーコードおよび正方形マーカを含む。追加的または代替的に、位置検出コード要素は、試験ストリップ固定装置に固有の情報を含んでもよく、情報は、典型的には、色基準フィールドに関する少なくともロット固有の情報および/または較正情報を含む。特に適切な位置検出コード要素は、ArUcoマーカを含む。
【0046】
さらにまた、試験ストリップ固定装置の上面は、それぞれが少なくとも1つの高コントラストの縁部、具体的には少なくとも1つの鋭い高コントラストの縁部を示す1つ以上、例えば2、4または6つのチェックフィールドを含むことができる。特に、チェックフィールドのそれぞれは、2つ以上の別個の領域を含むか、またはそれからなってもよく、領域の少なくとも1つは白色であり、領域の少なくとも別の1つは黒色である。具体的には、チェックフィールドは、少なくとも1つの白色領域と、例えば矩形の少なくとも1つの黒色領域とから構成されてもよく、黒色領域および白色領域は、互いに直接隣接して配置される。それにより、試験フィールドの白黒領域は、それらの間の移行部、すなわち黒色領域から白色領域への移行部において、縁部、具体的には鋭い縁部を形成する。例えば、それぞれが1つの白色領域および1つの黒色領域を有する4つのチェックフィールドが設けられることができ、白色領域および黒色領域は、各チェックフィールド内で互いに直接隣接して配置される。試験フィールドは、上面に対称的またはランダムに分布してもよく、例えば、試験フィールドの全てまたは一部は、試験ストリップ固定装置の外縁の近くに位置してもよい。有利には、測定が行われる任意の所与の状況(すなわち、特定の局所照明条件を有する特定の位置においてモバイル装置のカメラによって画像が撮像されるとき)において、チェックフィールドは、黒色から白色までの検出の全範囲の決定を容易にする。さらに、黒色から白色への明確に定義された鋭い移行縁部を提供することによって、それらはまた、撮像された画像の鮮明さの信頼性が高く効率的な評価を可能にする。
【0047】
実施形態では、灰色基準フィールドは、少なくとも2つ、または少なくとも3つの異なる灰色シェード、例えば3、4、5またはそれ以上の異なる灰色シェード、より具体的には3つの異なる灰色シェードを含む。異なる灰色シェードは、一般に、純粋な白色フィールドおよび純粋な黒色フィールドを除外する。しかしながら、試験ストリップ固定装置の上面は、本明細書において上述したような1つ以上のチェックフィールドに任意に加えて、1つ以上の白色および/または黒色基準フィールドをさらに備えてもよい。具体的には、少なくとも2つまたは少なくとも3つの異なる灰色シェードを含む灰色基準フィールドは、非灰色色基準フィールドの切り欠き部の周りおよび/または少なくとも一部もしくは全部の周りに、局所的に、特に本質的に対称的に配置される。より具体的には、少なくとも2つまたは少なくとも3つの異なる灰色シェードを含む灰色基準フィールドは、切り欠き部の周りおよび非灰色色基準フィールドのそれぞれの周りに、局所的に、特に本質的に対称的に配置される。この点に関して「局所的に配置される」という用語は、灰色基準フィールドが、それぞれ切り欠き部および/または非灰色色基準フィールドに近接して配置されていることを指す。有利には、灰色基準フィールドは、少なくとも2つ、または少なくとも3つの異なる灰色シェードが切り欠き部の周りおよび/または非灰色色基準フィールドの周りに少なくとも2回、または少なくとも3回、または少なくとも4回配置されるように、切り欠き部の周りおよび/または非灰色色基準フィールドの周りに局所的に配置される。換言すれば、後者の配置では、非灰色色基準フィールドの切り欠き部および/または少なくとも一部もしくは全部は、灰色基準フィールドの2つ、3つ、4つまたはそれ以上の冗長セットによって囲まれ、セットのそれぞれは、少なくとも2つ、または少なくとも3つの異なる灰色シェードを含む。特に、灰色基準フィールドの冗長セットのうちの少なくとも2つ、より具体的には3つまたは4つは、切り欠き部の周りおよび/または非灰色色基準フィールドの周りに配置されてもよい。
【0048】
一般に、非灰色色基準フィールドは、特に複数の色基準フィールドが本質的に上面全体にわたって分布されることができるように、試験ストリップ固定装置の上面にわたって等しく分布されてもよい。非灰色色基準フィールドは、上面にわたって対称的またはランダムに分布されてもよい。同じ色を有する非灰色色基準フィールドが使用される場合、例えば、同じ色を有する2つの非灰色色基準フィールドの対が上面に存在する場合、そのような各対の非灰色色基準フィールドは、上面にわたって非対称に分布されることができることが有利である。そのような非対称分布では、任意の特定の照明条件に対して、所与の一対の非灰色色基準フィールドのうちの少なくとも1つの非灰色色基準フィールドを分析測定の目的で考慮することができる一方で、一対の非灰色色基準フィールドのうちの他方は、例えば試験ストリップ固定装置の上面上のその特定の位置における局所照明条件が不十分であるために、使用されない可能性が高まる。
【0049】
試験ストリップ固定装置の固定要素は、一般に、光学試験ストリップを試験ストリップ固定装置に挿入する間に光学試験ストリップを案内するための1つ以上の案内要素を備える。適切な案内要素は、案内スロット、案内ノッチ、案内溝、案内チャネル、案内トラック、係合フック、ラグ、ループ、窪み、窪み、窪み、凹部、空洞、深み、トラフ、突起、開口、およびオリフィスを含むリストから選択されることができる。具体的には、固定要素は、案内要素のうちの少なくとも2つまたは少なくとも3つを備える。より具体的には、固定要素は、案内チャネル、オリフィス、および係合フックのうちの少なくとも2つを備える。
【0050】
いくつかの実施形態では、試験ストリップ固定装置の上面は、保護フレームを含むことができる。具体的には、そのような保護フレームは、最大0.5mmまたは最大1mmの高さを含むことができ、上面の少なくとも一部を囲むことができ、または試験ストリップ固定装置の上面全体を囲むことができる。有利には、保護フレームは、試験ストリップ固定装置の取り扱い中に起こり得るいかなる有害な衝撃からも、少なくともある程度上面および上面上の要素を遮蔽する。
【0051】
特に固定要素および/または保護フレームを含む試験ストリップ固定装置の上面および下面は、一体の射出成形部品として形成されてもよい。色基準フィールドおよび/または位置検出コード要素は、印刷プロセスによって上面に適用されることができる。追加的または代替的に、色基準フィールドおよび/または位置検出コード要素は、上面に貼付されたラベル上に印刷されてもよい。ラベルの後者の場合、本明細書において上述されるような保護フレームの提供が特に有益であり得る。
【0052】
本発明のさらなる態様では、本発明の試験ストリップ固定装置と光学試験ストリップとを備えるキットが提供される。したがって、試験ストリップ固定装置は、試験ストリップ固定装置に着脱可能に接続されるように適合された光学試験ストリップをさらに備える。典型的には、光学試験ストリップは、キャリアおよび体液のサンプルを塗布するための試薬試験領域を備える。試薬試験領域は、キャリア上に配置されることができる。有利には、キャリアは、試薬試験領域の位置に透明ゾーンまたは切り欠きゾーンを有し、それにより、試験ストリップが試験ストリップ固定装置に接続されると、試験フィールドは、切り欠き部を通して見たときに観察されることができる。
【0053】
試験ストリップ固定装置の切り欠き部は、典型的には、試薬試験領域以上のサイズを有する。具体的には、切り欠き部は、光学試験ストリップの試薬試験領域よりも大きいサイズを有する。より具体的には、切り欠き部は、光学試験ストリップが試験ストリップ固定装置の固定要素に接続される場合、光学試験ストリップのキャリアの少なくとも一部、特に試薬試験領域に隣接するキャリアの一部の観察を可能にするサイズを有する。有利には、観察される光学試験ストリップのキャリアの部分は、白色基準フィールドおよび/または黒色基準フィールドを含んでもよい。白色基準フィールドは、キャリア自体の白色によって提供されてもよい。
【0054】
固定要素は、試験ストリップ固定装置の外縁の少なくとも1つに対して、特に第1または第2の対の外縁の外縁の少なくとも1つに対して本質的に垂直に配置されてもよい。より具体的には、光学試験ストリップが固定要素に接続されている場合、光学試験ストリップは、外縁の一方を超えて少なくとも5mm、例えば少なくとも8mm、特に少なくとも10mm延在する。
【0055】
さらなる態様では、本明細書において一般に上述したように、本発明は、本明細書において上述したカメラ、光学試験ストリップ、および試験ストリップ固定装置を有するモバイル装置を使用することによって体液中の分析物の濃度を決定する方法であって、
(i)光学試験ストリップを提供することであって、光学試験ストリップが、キャリアと、キャリア上に配置された試薬試験領域とを備え、キャリアが、試薬試験領域の位置に透明ゾーンまたは切り欠きゾーンを備える、光学試験ストリップを提供することと、
(ii)具体的には、試薬試験領域のサンプル塗布部位が試験ストリップ固定装置の下面から離れて面するように、光学試験ストリップを試験ストリップ固定装置に着脱可能に接続することと、
(iii)体液のサンプルを特に試験ストリップ固定装置の下面の側から試薬試験領域に塗布することであって、それにより、試薬試験領域に色が形成され、その色が、上面から試験ストリップ固定装置の切り欠き部を通して、および光学試験ストリップのキャリアの透明ゾーンを通して、または切り欠きゾーンを通して観察されることができる、体液のサンプルを塗布することと、
(iv)光学試験ストリップの少なくとも一部および試験ストリップ固定装置の上面の少なくとも一部を含む少なくとも1つの画像をカメラによって撮像することであって、画像が、体液のサンプルが塗布された試薬試験領域の少なくとも一部を含み、画像が、灰色基準フィールドの少なくとも一部を含む色基準フィールドの少なくとも一部をさらに含む、少なくとも1つの画像を撮像することと、
(v)灰色基準フィールドを含む色基準フィールドの少なくとも一部を考慮して、体液のサンプルの塗布時に試薬試験領域に形成された色から分析物の濃度を決定することと、
を含む、方法に関する。
【0056】
実施形態では、ステップ(iv)において撮像された少なくとも1つの画像は、色基準フィールドの全てを含むことができ、具体的には灰色基準フィールドの全てを含むことができる。
【0057】
有利には、ステップ(v)における分析物の濃度を決定することは、ステップ(iv)において撮像された少なくとも1つの画像における局所強度変動を考慮することをさらに含む。そのような局所強度変動は、例えば、不均一な照明条件に起因して、色基準フィールドのうちの1つ以上の位置で生じることがある。灰色基準フィールドは、色基準フィールドのうちの1つ以上の位置における局所強度変動を説明するために使用されることができる。この目的のために、本明細書において上述したように、灰色基準フィールドが切り欠き部の周りおよび/または非灰色色基準フィールドの周りに局所的に配置され、少なくとも2つ、または少なくとも3つの異なる灰色シェードが切り欠き部の周りおよび/または非灰色色基準フィールドの周りに少なくとも2回、または少なくとも3回、または少なくとも4回配置される場合に特に有用である。
【0058】
一般に、本発明にかかる体液中の分析物の濃度を決定する方法は、カメラおよびプロセッサを有するモバイル装置を使用することを含む。本方法は、例として、所与の順序で実行されることができる上記のステップを含む。しかしながら、少なくともステップのいくつかに関して、異なる順序も可能であり得ることに留意されたい。さらに、1つ以上の方法ステップを1回または繰り返し実行することも可能である。さらに、2つ以上の方法ステップを同時にまたは適時に重複して実行することが可能である。本方法は、記載されていないさらなる方法ステップを含むことができる。
【0059】
本発明の別の態様では、本明細書において上述したようにプログラムがモバイル装置によって実行されると、モバイル装置に、本明細書において上述した方法の少なくともステップiv)およびv)を実行させる命令を備える、コンピュータプログラムが提供される。
【0060】
本発明の別の態様では、本明細書において上述したモバイル装置によって実行されると、モバイル装置に、本明細書において上述した方法の少なくともステップiv)およびv)を実行させる命令を備える、コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0061】
さらなる任意の特徴および実施形態は、好ましくは従属請求項と併せて、実施形態の後続の説明においてより詳細に開示される。ここで、それぞれの任意の特徴は、当業者が理解するように、独立した方式で、ならびに任意の実行可能な組み合わせで実現されてもよい。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって限定されない。実施形態は、図に概略的に示されている。ここで、これらの図の同一の参照符号は、同一または機能的に匹敵する要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図では以下のとおりである:
【
図1】試験ストリップ固定装置の例示的な実施形態の下面の概略図を示している。
【
図2】
図1の試験ストリップ固定装置の実施形態の概略側面図を示している。
【
図3】試験ストリップ固定装置の例示的な実施形態の上面の概略図を示している。
【
図4】モバイル装置、ならびに試験ストリップ固定装置および光学試験ストリップを備えるキットの実施形態の概略図を斜視図で示している。
【
図5】体液中の少なくとも1つの分析物の濃度を決定する方法の実施形態のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0063】
それぞれ
図1および
図2には、試験ストリップ固定装置の例示的な実施形態が示されている。
図1は、この実施形態の試験ストリップ固定装置の下面(104)を示し、
図2は、その側面図を提供する。全体として、試験ストリップ固定装置は、試験ストリップ固定装置の高さがその下面(104)およびその上面(110)の長さおよび幅よりもはるかに小さいように、本質的に平面的な形状を含む。特に、試験ストリップ固定装置は、その外縁(108)およびその角(124)によって制限された矩形の形状を有し、外縁(108)のうちの2つが第1の対の外縁を形成し、外縁(108)のうちの他の2つが第2の対の外縁を形成し、対のそれぞれの外縁(108)が互いに平行に配置される。
【0064】
一般に、試験ストリップ固定装置は、上面(110)、下面(104)、および固定要素を含む、10mm以下の高さを有することができる。図示の実施形態では、試験ストリップ固定装置の下面の中央領域(160)は、試験ストリップ固定装置の最大高さを提供する。さらに、下面(104)は、少なくとも部分的に、外縁(108)のうちの少なくとも1つ、例えば外縁(108)のうちの2つ、3つまたは4つから、試験ストリップ固定装置の下面の中央領域(160)に向かって傾斜してもよい。この実施形態では、下面(104)は、少なくとも部分的に、下面(104)の傾斜部分(104a)を示す線によって
図1および
図2に示されるように、外縁(108)の4つ全てから試験ストリップ固定装置の中央領域(116)に向かって傾斜している。特に、中央領域(160)は、試験ストリップ固定装置の上面(110)に本質的に平行な平面を有する。当業者であれば容易に理解するように、下面(104)の傾斜部分(104a)は、連続的に傾斜した領域の形態で、すなわち
図1および
図2にそれぞれ示すような小型ステップ(104a)なしで設計されることができる。
【0065】
再び
図1および
図2をそれぞれ参照すると、試験ストリップ固定装置の外縁(108)から離れて位置する切り欠き部(116)が設けられている。さらにまた、切り欠き部(116)は、第1および第2の対の外縁(108)に対して試験ストリップ固定装置の中央領域、特に少なくとも部分的に中央領域(160)と重なる中央領域に位置する。さらに、この実施形態では、切り欠き部(116)は、試験ストリップ固定装置の第1および第2の対の外縁によって画定される幾何学的中心から離れて配置される。換言すれば、2つの直線が試験ストリップ固定装置の下面(104)の2つの角(124)のそれぞれから引かれ、角(124)のそれぞれ2つが互いに対角線上に対向している場合、これらの2つの直線の交点は、前述の幾何学的中心を表す。切り欠き部(116)は、幾何学中心から離れて位置する。
【0066】
図1および
図2にそれぞれ示す実施形態では、切り欠き部(116)は、円形形状を有する。さらに、切り欠き部(116)は、面取り部(116a)を備える。それにより、試験ストリップ固定装置の上面(110)に位置する切り欠き部(116)の領域は、下面に向かってある程度拡大される。このように形成された空洞は、空洞の中心に切り欠き部(116)を有し、試験ストリップ固定装置とともに使用される光学試験ストリップの試薬試験フィールドへの体液のサンプルの正確な塗布を容易にする。
【0067】
下面(104)は、試験ストリップ固定装置に対して光学試験ストリップ(
図1および
図2には示されていない)を着脱可能に接続するための固定要素を備える。この実施形態では、固定要素は、一対の外縁のうちの一方の外縁に対して垂直に配置される。この構成では、光学試験ストリップは、
図1の矢印Aによって示される方向に光学試験ストリップを挿入することによって試験ストリップ固定装置に接続される。
【0068】
固定要素は、1つ以上の案内要素(170、172、174)を備えることができる。図示の実施形態では、固定要素は、具体的には案内チャネル(170)、オリフィス(172)、および係合フック(174)を含む少なくとも3つの案内要素を備える。案内要素(170、172、174)は、ともに、試験ストリップ固定装置に対する光学試験ストリップ(118)の適切な位置決めを確実にする。特に、案内チャネル(170)は、本質的にU字形であり、試験ストリップ固定装置に接続されたときに光学試験ストリップ(118)を収容するように機能し、試験ストリップを案内チャネル(170)に挿入する間に光学試験ストリップ(118)を案内するように構成される。光学試験ストリップ(118)が、試験ストリップを案内チャネル(170)に挿入する間に押し通されるオリフィス(172)は、特に、試験ストリップ固定装置が上下逆さまにされるか、そうでなければ回転される場合に、試験ストリップを定位置に保持するように構成される。さらに、係合フック(174)は、試験ストリップを定位置にロックすることができるように、光学試験ストリップ(118)の対応する孔が係合フック(174)と位置合わせされるとすぐに、光学試験ストリップ(118)を試験ストリップ固定装置にしっかりと固定するように構成される。
【0069】
試験ストリップ固定装置とともに使用される光学試験ストリップ(118)は、試験ストリップ固定装置に着脱可能に接続されるように適合される。そのような光学試験ストリップ(118)は、通常、キャリアと、体液のサンプルを塗布するための試薬試験領域(120)とを含む。試薬試験領域(120)は、キャリア上に配置されてもよい。具体的には、キャリアは、試薬試験領域(120)の位置に透明ゾーンまたは切り欠きゾーンを有してもよい。
【0070】
本明細書において上述したようなものなどの光学試験ストリップ(118)が試験ストリップ固定装置に接続される場合、光学試験ストリップ(118)は、通常、外縁(108)のうちの1つを超えて、例えば
図1に示す外縁(108)のうちの下側の1つを超えて少なくとも5mm延在する。それにより、試験ストリップ固定装置および光学試験ストリップの堅牢で便利なユーザ操作が達成されることができる。
【0071】
さらに、光学試験ストリップ(118)が試験ストリップ固定装置に接続される場合、光学試験ストリップ(118)の試薬試験領域(120)は、試験ストリップ固定装置の切り欠き部(116)と位置合わせされることができる。一般に、試験ストリップ固定装置の切り欠き部(116)は、試験ストリップ固定装置とともに使用される光学試験ストリップ(118)の試薬試験領域(120)以上のサイズを有する。具体的には、切り欠き部(116)は、光学試験ストリップ(118)が試験ストリップ固定装置の固定要素(170、172、174)に接続される場合、光学試験ストリップ(118)のキャリアの少なくとも一部、例えば試薬試験領域(120)に隣接するキャリアの一部の観察を可能にするサイズを有する。
【0072】
図3を参照すると、試験ストリップ固定装置は、既知の基準色値を有する複数の色基準フィールド(112、114、148、150、152、154)を備える上面(110)を備える。色基準フィールドは、局所的に、かつこの実施形態では対称的に、切り欠き部(116)の周りおよび非灰色基準フィールド(112、148、152、154)の周りに配置された灰色基準フィールド(114、150)を含む。
【0073】
一般に、色基準フィールド(112、114、148、150、152、154)は、特に複数の色基準フィールド(112、114、148、150、152、154)が上面(110)全体に分布されることができるように、上面(110)上に等しく分布されることができる。例として、色基準フィールド(112、114、148、150、152、154)は、矩形行列パターンなどの行列パターンで配置されてもよい。しかしながら、色基準フィールド(112、114、148、150、152、154)はまた、互いに別個になど、他の方法で配置されてもよい。図示の実施形態では、上面(110)は、非灰色基準フィールド(114、150)を囲む複数の灰色基準フィールド(112、148、152、154)を含む。非灰色色基準フィールド(112、148、152、154)と灰色色基準フィールド(114、150)とは互いに重なっていなくてもよい。
【0074】
図3では、灰色基準フィールド(114、150)は、3つ以上の異なる灰色シェードを含む。具体的には、異なる灰色シェードを含む灰色基準フィールド(114、150)は、切り欠き部の周りに局所的に配置される。さらに、異なる灰色シェードを含む灰色基準フィールド(114、150)は、非灰色色基準フィールド(112、148、152、154)の少なくともいくつかの周りに局所的に配置される。
【0075】
さらにまた、上面(110)は、位置検出コード要素(122)を備える。この実施形態では、位置検出コード要素(122)は、本質的に試験ストリップ固定装置の外縁(108)に配置される。さらに、図示の実施形態の代替として、位置検出コード要素(122)は、上面(110)上の、特に灰色基準フィールド(112、114、148、150、152、154)を含む色基準フィールド(114、150)を区切るように上面(110)上に配置されてもよい。
【0076】
位置検出コード要素(122)は、例として、ArUcoコード、バーコード、QRコード(登録商標)、ラベル、またはそれらの組み合わせなどの位置マーカのうちの少なくとも1つであってもよく、またはそれを含んでもよい。具体的には、位置検出コード要素(122)は、色基準フィールド(112、114、148、150、152、154)を含む矩形マトリクスの角などに、1つ以上のArUcoコードを含むことができる。したがって、一般に、位置検出コード要素(122)は、上面(110)の少なくとも1つの角(124)に配置されてもよい。例えば、少なくとも1つの位置検出コード要素(122)は、上面(110)の角(124)のそれぞれに、具体的には、位置検出コード要素(122)が複数の色基準フィールド(112、114、148、150、152、154)とともに見えるように配置されてもよい。
【0077】
ここで使用される位置検出コード要素(122)は、正方形のマーカ、特にArUcoマーカを含む。さらにまた、位置検出コード要素(122)は、試験ストリップ固定装置に固有の情報を含むことができ、情報は、例えば色基準フィールド(112、114、148、150、152、154)に関するロット固有の情報および/または較正情報を含む。さらに、位置検出コード要素(122)は、試験ストリップ固定装置の上面(110)の向きに関する情報を含むことができる。
【0078】
固定要素を含む上面(110)および下面(104)は、一体の射出成形部品として効率的に形成されることができる。色基準フィールド(112、114、148、150、152、154)および位置検出コード要素(122)は、印刷プロセスによって上面(110)に適用されてもよい。あるいは、色基準フィールド(112、114、148、150、152、154)および位置検出コード要素(122)は、例えば接着剤、接着テープなどを使用することによって、上面に貼付されたラベル上に印刷されてもよい。例示的な実施形態では、灰色色基準フィールド(112、114、148、150、152、154)を含む色基準フィールド(114、150)は、上面(110)の予め印刷された灰色着色背景上に印刷されてもよい。したがって、色基準フィールド(112、114、148、150、152、154)は、上面(110)の灰色着色背景と重なってもよい。
【0079】
図3および
図4では、それぞれ、上面(110)は、矩形の切り欠き部(116)を含む。したがって、
図3および
図4に関する場合のように、光学試験ストリップ(118)が試験ストリップ固定装置に接続されている場合、光学試験ストリップ(118)またはその少なくとも一部は、切り欠き部(116)を通して見ることができる。具体的には、光学試験ストリップ(118)の試薬試験領域(120)は、切り欠き部(116)を通して見ることができる。
【0080】
図4では、モバイル装置、および試験ストリップ固定装置とそれとともに使用される光学試験ストリップとを備えるキットの例示的な実施形態の斜視図である。キットは、少なくとも1つの試験ストリップ固定装置と、少なくとも1つの光学試験ストリップ(118)とを備える。さらに、キットは、少なくとも1つのモバイル装置(128)を備えることができる。モバイル装置(128)は、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータなどのうちの少なくとも1つであってもよく、またはそれを含んでもよい。さらに、モバイル装置(128)は、少なくとも1つのカメラ(130)を有する。モバイル装置(128)のカメラ(130)は、画像(本明細書では「撮像画像」とも呼ばれる)、具体的にはカラー画像を記録するように構成されることができる。したがって、カメラ(130)は、カラーカメラであってもよく、R、G、B色用の少なくとも1つのカラーセンサなど、少なくとも3つのカラーセンサを備えてもよい。
【0081】
さらに、モバイル装置(128)は、一般に、少なくとも1つのプロセッサ(132)を備える。プロセッサ(132)は、具体的にはソフトウェアプログラミングによって、本発明にかかる体液中の分析物の濃度を決定するための方法の方法ステップのうちの1つ以上を実行するように構成されることができる。方法の例示的な実施形態を
図5に示し、以下にさらに詳細に説明する。
【0082】
プロセッサ(132)は、具体的には、試験ストリップ固定装置の上面(110)の少なくとも一方の画像の撮像をサポートするように構成されることができる。具体的には、プロセッサ(132)は、モバイル装置(128)のユーザに画像を撮像するように促すことができる。追加的または代替的に、プロセッサ(132)は、特に上面(110)が視野内にある場合に、上面(110)の画像を自動的に撮像するように構成されてもよい。
【0083】
上面(110)は、具体的には、上記でさらに詳細に説明したように、
図3に関連して開示された実施形態のいずれか1つにしたがって具体化されることができる。上面(110)は、既知の基準色値を有する複数の色基準フィールド(112、114、148、150、152、154)を備える。さらに、試験ストリップ固定装置は、少なくとも1つの切り欠き部(116)を備える。したがって、光学試験ストリップ(118)は、切り欠き部(116)を通して、特に光学試験ストリップ(118)が試験ストリップ固定装置に接続されている場合に、上面(110)および光学試験ストリップ(118)の双方が、モバイル装置(128)のカメラ(130)によって撮像された少なくとも1つの画像上で視認可能であり得るように視認可能であり得る。具体的には、光学試験ストリップ(118)の少なくとも1つの試薬試験領域(120)は、切り欠き部(116)を通して、より具体的には上面(110)の方向から見た場合に視認可能であり得る。そのような構成では、体液のサンプルは、下面の方向から光学試験ストリップ(118)の試薬試験領域(120)に塗布される。次いで、試薬試験領域(120)に形成された色は、切り欠き部(116)を通して見える。追加的または代替的に、体液のサンプルは、試験ストリップ固定装置に接続される前に光学試験ストリップに塗布されてもよい。さらにまた、追加的または代替的に、体液のサンプルを受け取るため、および/または体液のサンプルを試薬試験領域(120)に移送するための毛細管を有する光学試験ストリップが、試験ストリップ固定装置とともに使用されることができる。
【0084】
上面(110)は、少なくとも1つの位置検出コード要素(122)をさらに有する。位置検出コード要素(122)は、位置検出コード要素(122)がモバイル装置(128)のカメラ(130)によって検出可能であり得るように、上面(110)に配置される。少なくとも1つの位置検出コード要素(122)は、モバイル装置のカメラに対する試験ストリップ固定装置およびその上面(110)の向きを識別するために使用されることができる。具体的には、モバイル装置(128)のプロセッサ(132)は、カメラ(130)によって撮像された画像上の位置検出コード要素(122)を検出し、上面(110)の向きに関する情報をさらに取得するように構成されることができる。
【0085】
図5には、体液中の少なくとも1つの分析物の濃度を決定するための方法の例示的な実施形態のフローチャートが示されている。本方法は、少なくとも1つのカメラ(130)を有する少なくとも1つのモバイル装置(128)を使用することを含む。本方法は、少なくとも1つの光学試験ストリップ(118)および本明細書で上述した試験ストリップ固定装置を使用することをさらに含む。
【0086】
本方法は、具体的には所与の順序で実行されることができる以下のステップを含む。さらに、異なる順序も可能とすることができる。2つ以上の方法ステップを完全にまたは部分的に同時に実行することができてもよい。さらに、1つ、2つ以上、または全ての方法ステップを1回または繰り返し実行することができてもよい。本方法は、記載されていない追加の方法ステップを含むことができる。
【0087】
本方法は、
(i)(参照符号210によって示される)光学試験ストリップ(118)を提供することであって、光学試験ストリップ(118)が、キャリアと、キャリア上に配置された試薬試験領域(120)とを含み、キャリアが、試薬試験領域(120)の位置に切り欠きゾーン(あるいは、透明ゾーン)を含む、提供することと、
(ii)(参照符号220によって示される)具体的には、試薬試験領域(118)のサンプル塗布部位が試験ストリップ固定装置の下面(104)から離れて面するように、光学試験ストリップ(118)を試験ストリップ固定装置に着脱可能に接続することと、
(iii)(参照符号230によって示される)体液のサンプルを試薬試験領域(120)に塗布することであって、それにより、試薬試験領域(120)に色が形成され、その色が、上面(110)の方向から、試験ストリップ固定装置の切り欠き部(116)を通して、および光学試験ストリップ(118)のキャリアの切り欠きゾーン(あるいは、透明ゾーン)を通して観察されることができる、塗布することと、
(iv)(参照符号240によって示される)光学試験ストリップ(118)の少なくとも一部および試験ストリップ固定装置の上面(110)の少なくとも一部を含む少なくとも1つの画像をカメラ(130)によって撮像することであって、画像が、体液のサンプルが塗布された試薬試験領域(120)の少なくとも一部を含み、画像が、灰色基準フィールドの少なくとも一部を含む色基準フィールドの少なくとも一部をさらに含む、少なくとも1つの画像を撮像することと、
(v)(参照符号250によって示される)灰色基準フィールドを含む色基準フィールドの少なくとも一部を考慮して、体液のサンプルの塗布時に試薬試験領域(120)に形成された色から分析物の濃度を決定することと、
を含む。
【0088】
ステップ(iv)では、試薬試験領域(120)の画像の撮像は、例えば、ユーザに画像を撮像するように促すことによって、および/または画像を自動的に撮像することによって、プロセッサ(132)によって実行されてもよい。
【0089】
さらに、本方法は、体液のサンプルが塗布された試薬試験領域(120)の色値を検出することと、試薬試験領域(120)の発色反応に基づいて分析物濃度を決定することと、を含む分析測定を含むことができる。この目的のために、本方法は、画像から、色基準フィールド(112、114、148、150、152、154)の少なくともいくつかについて測定された基準色値を決定することと、測定された基準色値の少なくともいくつかと対応する既知の基準色値との間の関係を決定することと、をさらに含むことができる。それにより、決定された関係は、特に色変換行列を使用することによって、発色反応の測定された色値を補正するために使用されることができる。分析物濃度は、補正された色値を使用することによって決定されることができる。
【0090】
体液中の分析物の濃度を決定する方法、具体的には本方法のステップ(iv)および(v)は、少なくとも部分的にコンピュータ実装されてもよい。モバイル装置(128)は、具体的には、モバイル装置(128)によって実行されると、モバイル装置(128)のプロセッサ(132)に、本方法のステップ(iv)および(v)を実行させるコンピュータプログラムを実行するように構成されることができる。プロセッサ(132)は、具体的には、例えば、ユーザに少なくとも1つの画像を撮像するように促すことによって、および/または少なくとも1つの画像を自動的に撮像することによって、試薬試験領域(120)の少なくとも1つの画像を撮像するように構成されることができる。
【0091】
さらに、プロセッサ(132)は、具体的にはソフトウェアプログラミングによって、試薬試験領域(120)の発色反応に基づいて分析物濃度を決定するように構成されてもよい。プロセッサ(132)は、撮像された画像を評価し、発色反応中に行われる1つ以上の色座標の変化、またはそれらの任意の線形もしくは非線形の組み合わせを導出し、少なくとも1つの色座標の変化を分析物濃度値に変換することによって分析物濃度を決定するように構成されることができる。具体的には、プロセッサ(132)は、撮像画像から真の色値を導出するために、測定された基準色値の少なくとも一部と対応する既知の基準色値との間の関係を使用するように構成されてもよい。したがって、プロセッサ(132)は、測定された色値を、本明細書で上述した関係から決定された色変換行列を使用して真の色値に変換することによって、撮像画像の測定された色値を補正することができる。
【0092】
具体的には、ステップ(v)において分析物の濃度を決定することが、ステップ(iv)において撮像された少なくとも1つの画像における局所強度変動を考慮することをさらに含むことができ、局所強度変動が、色基準フィールドのうちの1つ以上の位置において発生することができ、灰色基準フィールドが、局所強度変動を考慮するために使用される。
【符号の説明】
【0093】
104 下面
104a 下面の傾斜部分
108 外縁
110 上面
112 色基準フィールド
114 灰色基準フィールド
116 切り欠き部
116a 切り欠き部の面取り部
118 光学試験ストリップ
120 試薬試験領域
122 位置検出コード要素
124 角
126 キット
128 モバイル装置
130 カメラ
132 プロセッサ
148 色基準フィールド(黒色)
150 灰色基準フィールド
152 色基準フィールド(白色)
154 色基準フィールド
160 下面の中央領域
170 案内チャネル
172 オリフィス
174 係合フック
210 光学試験ストリップを提供する
220 光学試験ストリップを試験ストリップ固定装置に着脱可能に接続する
230 体液のサンプルを試薬試験領域に塗布する
240 光学試験ストリップの一部および試験ストリップ固定装置の上面の一部を含む画像をカメラによって撮像する
250 分析物濃度を決定する
【国際調査報告】