IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アキュラーゲン ホールディングス リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-選択的セルフリー核酸分析の方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(54)【発明の名称】選択的セルフリー核酸分析の方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20230913BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALI20230913BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230913BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230913BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6844 Z
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512061
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 US2021046246
(87)【国際公開番号】W WO2022040147
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】63/067,800
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
(71)【出願人】
【識別番号】519049444
【氏名又は名称】アキュラーゲン ホールディングス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェン,リ
(72)【発明者】
【氏名】ファハム,マレック
(72)【発明者】
【氏名】ウィットコップ,トビアス
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR62
4B063QS24
4C084AA17
4C084NA05
4C084ZB26
4C084ZB27
(57)【要約】
セルフリー生体試料由来の複数の核酸分子を処理するための方法であって、複数の核酸分子又はそれらの誘導体を複数の結合剤に接触させて、複数の結合剤に結合した複数の核酸分子の第1のサブセット及び複数の核酸分子の第2のサブセットを得ることと、複数の結合剤に結合した複数の核酸分子の第1のサブセットを、複数の核酸分子の第2のサブセットから分離することと、複数の核酸分子の第1のサブセット由来の核酸分子を環状化させて環状化核酸分子を得ることと、環状化核酸分子又はその誘導体を同定することとを含む、方法が本明細書に提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルフリー生体試料由来の複数の核酸分子を処理するための方法であって、(a)前記複数の核酸分子又はそれらの誘導体を複数の結合剤に接触させて、前記複数の結合剤に結合した前記複数の核酸分子の第1のサブセット及び前記複数の核酸分子の第2のサブセットを得ることと、(b)前記複数の結合剤に結合した前記複数の核酸分子の前記第1のサブセットを、前記複数の核酸分子の前記第2のサブセットから分離することと、(c)(b)に続いて、前記複数の核酸分子の前記第1のサブセット由来の核酸分子を環状化させて環状化核酸分子を得ることと、(d)前記環状化核酸分子又はその誘導体を同定することとを含む、方法。
【請求項2】
前記複数の核酸分子が、デオキシリボ核酸(DNA)分子又はリボ核酸(RNA)分子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
環状化が、前記核酸分子の5’末端と3’末端を互いに連結することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
環状化が、アダプタを前記核酸分子の3’末端、5’末端、又は5’末端及び3’末端の両方に結合させることを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記環状化核酸分子を核酸増幅に供して前記環状化核酸分子の複数の増幅産物を産生させることをさらに含み、(d)が前記複数の核酸の増幅産物を同定することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記核酸増幅が、鎖置換活性を有するポリメラーゼによって引き起こされる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記核酸増幅が、鎖置換活性を有さないポリメラーゼによって引き起こされる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記核酸増幅が、前記環状化核酸分子を、ランダムプライマーを含む増幅反応混合物に接触させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記核酸増幅が、前記環状化核酸分子を、それぞれが配列相補性により異なる標的配列に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーを含む増幅反応混合物に接触させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記結合剤が、抗体又はその断片を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記抗体又はその断片が、核酸結合タンパク質に特異的に結合する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記核酸結合タンパク質がクロマチンタンパク質である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記核酸結合タンパク質がヒストンである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記核酸結合タンパク質がメチルCpG結合タンパク質である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記核酸結合タンパク質が転写因子である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記核酸結合タンパク質がRNA結合タンパク質である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記抗体又はその断片が核酸配列に特異的に結合する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記核酸配列がメチル化されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記結合剤が、ポリペプチド又は核酸を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリペプチドがストレプトアビジンを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
複数のセルフリー核酸分子のうちの各セルフリー核酸分子のサイズを決定することをさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
(d)が、前記環状化核酸分子又はその誘導体をシークエンシングすることを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記シークエンシングが、合成によるシークエンシング、ライゲーションによるシークエンシング、ナノポアシークエンシング、ナノボールシークエンシング、イオン検出、ハイブリダイゼーションによるシークエンシング、重合コロニー(POLONY)シークエンシング、ナノグリッドローリングサークルシークエンシング(ROLONY)及びイオントレントシークエンシングのうちの1つ以上から選択される方法を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記セルフリー生体試料が、75ナノグラム未満の核酸を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記セルフリー生体試料が体液を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記体液が、尿、唾液、血液、血清、血漿、涙、痰、脳脊髄液、滑液、粘液、胆汁、精液、リンパ液、羊水、月経血又はそれらの組合せである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
(d)が、前記環状化核酸分子又はその誘導体のシークエンシングを含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
複数の参照配列に対して前記配列を処理して、前記複数の参照配列の少なくともサブセットに対応するものとして前記配列を同定し、それによって対象が疾患を有するか、又は疾患を有するリスク状態にあるということを決定することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記疾患ががんである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記がんが、結腸がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、乳がん、肝細胞がん、肝臓がん、皮膚がん、悪性黒色腫、子宮内膜がん、食道がん、胃がん、卵巣がん、膵臓がん、脳がん、白血病、リンパ腫及び骨髄腫からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
同定された前記配列を使用して、前記対象が疾患を有するか、又は疾患を有するリスク状態にあるということを示す電子報告を出力することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
同定された前記配列を使用して、疾患について前記対象に治療的介入を提供することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
同定された前記配列を使用して、前記疾患について前記対象を治療することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記対象が、化学療法又は免疫療法を施されることで治療される、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
同定された前記配列を使用して、前記対象の進行又は退縮について前記対象を監視することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
(c)にて、前記核酸分子が、前記複数の結合剤のうちの1つの結合剤に結合される、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
セルフリー生体試料由来の複数の核酸分子を処理するための方法であって、(a)前記複数の核酸分子のうちの1つの核酸分子のメチル化状態を決定することと、(b)前記複数の核酸分子のうちの前記1つの核酸分子のサイズを決定することと、(c)(i)第1のデータベースに対する前記複数の核酸分子のうちの前記1つの核酸分子についての前記メチル化状態及び(ii)第2のデータベースに対する前記複数の核酸分子のうちの前記1つの核酸分子の前記サイズを処理して、前記メチル化状態及び前記サイズと少なくとも1つの疾患との関連を同定することとを含む、方法。
【請求項38】
前記メチル化状態を決定することが、前記複数の核酸分子のうちの前記1つの核酸分子をシークエンシングすることを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記シークエンシングが、合成によるシークエンシング、ライゲーションによるシークエンシング、ナノポアシークエンシング、ナノボールシークエンシング、イオン検出、ハイブリダイゼーションによるシークエンシング、重合コロニー(POLONY)シークエンシング、ナノグリッドローリングサークルシークエンシング(ROLONY)及びイオントレントシークエンシングのうちの1つ以上から選択される方法を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記メチル化状態を決定することが、前記1つの核酸分子をメチル化核酸又はその誘導体に特異的に結合する結合剤に接触させることを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記メチル化状態を決定することが、(a)前記複数の核酸分子を複数の結合剤に接触させて、前記複数の結合剤に結合した前記複数の核酸分子の第1のサブセット及び前記複数の核酸分子の第2のサブセットを得ることと、(b)前記複数の結合剤に結合した前記複数の核酸分子の前記第1のサブセットを、前記複数の核酸分子の前記第2のサブセットから分離することと、(c)(b)に続いて、前記複数の核酸分子の前記第1のサブセット由来の核酸分子を環状化させて環状化核酸分子を得ることと、(d)前記環状化核酸分子又はその誘導体を同定することとを含む、請求項37~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記結合剤が、抗体又はその断片を含む、請求項37~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記結合剤が、ポリペプチド又は核酸を含む、請求項37~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記ポリペプチドがストレプトアビジンを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記複数の核酸分子が、デオキシリボ核酸(DNA)分子又はリボ核酸(RNA)分子を含む、請求項37~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
環状化が、前記核酸分子の5’末端と3’末端を互いに連結することを含む、請求項41又は45に記載の方法。
【請求項47】
環状化が、アダプタを前記核酸分子の3’末端、5’末端、又は5’末端及び3’末端の両方に結合させることを含む、請求項41~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記環状化核酸分子を核酸増幅に供して前記環状化核酸分子の複数の増幅産物を産生させることをさらに含み、(d)が前記複数の核酸の増幅産物を同定することを含む、請求項41~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記核酸増幅が、鎖置換活性を有するポリメラーゼによって引き起こされる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記核酸増幅が、鎖置換活性を有さないポリメラーゼによって引き起こされる、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記核酸増幅が、前記環状化核酸分子を、ランダムプライマーを含む増幅反応混合物に接触させることを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記核酸増幅が、前記環状化核酸分子を、それぞれが配列相補性により異なる標的配列に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーを含む増幅反応混合物に接触させることを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
(d)が、前記環状化核酸分子又はその誘導体をシークエンシングすることを含む、請求項41~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記シークエンシングが、合成によるシークエンシング、ライゲーションによるシークエンシング、ナノポアシークエンシング、ナノボールシークエンシング、イオン検出、ハイブリダイゼーションによるシークエンシング、重合コロニー(POLONY)シークエンシング、ナノグリッドローリングサークルシークエンシング(ROLONY)及びイオントレントシークエンシングのうちの1つ以上から選択される方法を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記セルフリー生体試料が、75ナノグラム未満の核酸を含む、請求項37~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記セルフリー生体試料が体液を含む、請求項37~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記体液が、尿、唾液、血液、血清、血漿、涙、痰、脳脊髄液、滑液、粘液、胆汁、精液、リンパ液、羊水、月経血又はそれらの組合せである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
複数の参照メチル化状態に対して前記メチル化状態を処理し、かつ複数の参照サイズに対して前記サイズを処理して前記複数の参照メチル化状態の少なくともサブセットに対応するものとしての前記メチル化状態、及び前記参照サイズの少なくともサブセットに対応するものとしての前記サイズを同定し、それによって対象が疾患を有するか、又は疾患を有するリスク状態にあるということを決定することをさらに含む、請求項37~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記疾患ががんである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記がんが、結腸がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、乳がん、肝細胞がん、肝臓がん、皮膚がん、悪性黒色腫、子宮内膜がん、食道がん、胃がん、卵巣がん、膵臓がん、脳がん、白血病、リンパ腫及び骨髄腫からなる群から選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
同定された前記メチル化状態及び前記サイズを使用して、前記対象が疾患を有するか、又は疾患を有するリスク状態にあるということを示す電子報告を出力することをさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
同定された前記メチル化状態及び前記サイズを使用して、疾患について前記対象に治療的介入を提供することをさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項63】
同定された前記メチル化状態及び前記サイズを使用して、前記疾患について前記対象を治療することをさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項64】
前記対象が、化学療法又は免疫療法を施されることで治療される、請求項62又は63に記載の方法。
【請求項65】
同定された前記メチル化状態及び前記サイズを使用して、前記対象の進行又は退縮について前記対象を監視することをさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項66】
対象のセルフリー生体試料由来の複数の核酸分子を処理するための方法であって、(a)前記複数の核酸分子又はそれらの誘導体を複数の結合剤に接触させて、前記複数の結合剤に結合した前記複数の核酸分子の第1のサブセット及び前記複数の核酸分子の第2のサブセットを得ることと、(b)前記複数の結合剤に結合した前記複数の核酸分子の前記第1のサブセットを、前記複数の核酸分子の前記第2のサブセットから分離することと、(c)(b)に続いて、前記複数の核酸分子の前記第1のサブセット由来の核酸分子を環状化させて環状化核酸分子の第1のサブセットを得ることと、(d)(b)に続いて、前記複数の核酸分子の前記第2のサブセット由来の核酸分子を環状化させて環状化核酸分子の第2のサブセットを得ることと、(e)環状化核酸分子又はその誘導体の前記第1のサブセットをシークエンシングして第1のサイズを得、かつ環状化核酸分子又はその誘導体の前記第2のサブセットをシークエンシングして第2のサイズを得ることと、(f)前記第1のサイズと前記第2のサイズを比較し、前記対象の疾患レベルを決定することとを含む、方法。
【請求項67】
対象のセルフリー生体試料由来の複数の核酸分子を処理するための方法であって、(a)前記複数の核酸分子又はそれらの誘導体を複数の結合剤に接触させて、前記複数の結合剤に結合した前記複数の核酸分子の第1のサブセット及び前記複数の核酸分子の第2のサブセットを得ることと、(b)前記複数の結合剤に結合した前記複数の核酸分子の前記第1のサブセットを、前記複数の核酸分子の前記第2のサブセットから分離することと、(c)(b)に続いて、前記複数の核酸分子の前記第1のサブセット由来の核酸分子を環状化させて環状化核酸分子の第1のサブセットを得ることと、(d)(b)に続いて、前記複数の核酸分子の前記第2のサブセット由来の核酸分子を環状化させて環状化核酸分子の第2のサブセットを得ることと、(e)環状化核酸分子又はその誘導体の前記第1のサブセットをシークエンシングして第1の末端配列を得、かつ環状化核酸分子又はその誘導体の前記第2のサブセットをシークエンシングして第2の末端配列を得ることと、(f)前記第1の末端配列と前記第2の末端配列を比較し、前記対象の疾患レベルを決定することと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2020年8月19日に出願された米国仮出願第63/067,800号の恩典を主張し、ここに本明細書の一部を構成するものとしてその内容全体を援用する。
【背景技術】
【0002】
核酸変異としては多くの場合、転写因子を含むがこれに限定されない核酸結合タンパク質などのタンパク質結合における差異及びメチル化などの核酸修飾が挙げられる。この変異は、疾患又は疾患発症リスクに関連することがある。したがって、特定のタンパク質に結合される核酸又は特定の変化を有する核酸の分析は、疾患の診断及び治療に有用であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、セルフリー生体試料由来の複数の核酸分子を処理する方法が本明細書に提供される。いくつかの場合では、本明細書の方法は、(a)複数の核酸分子又はそれらの誘導体を複数の結合剤に接触させて、複数の結合剤に結合した複数の核酸分子の第1のサブセット及び複数の核酸分子の第2のサブセットを得ることと、(b)複数の結合剤に結合した複数の核酸分子の第1のサブセットを、複数の核酸分子の第2のサブセットから分離することと、(c)(b)に続いて、複数の核酸分子の第1のサブセット由来の核酸分子を環状化させて環状化核酸分子を得ることと、(d)環状化核酸分子又はその誘導体を同定することとを含む。いくつかの場合では、複数の核酸分子はデオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid、DNA)分子又はリボ核酸(ribonucleic acid、RNA)分子を含む。いくつかの場合では、環状化は、核酸分子の5’末端と3’末端を互いに連結することを含む。いくつかの場合では、環状化は、アダプタを核酸分子の3’末端、5’末端、又は5’末端及び3’末端の両方に結合させることを含む。いくつかの場合では、方法は、環状化核酸分子を核酸増幅に供して環状化核酸分子の複数の増幅産物を産生させることをさらに含み、(d)は複数の核酸の増幅産物を同定することを含む。いくつかの場合では、核酸増幅は、鎖置換活性を有するポリメラーゼによって引き起こされる。いくつかの場合では、核酸増幅は、鎖置換活性を有さないポリメラーゼによって引き起こされる。いくつかの場合では、核酸増幅は、環状化核酸分子を、ランダムプライマーを含む増幅反応混合物に接触させることを含む。いくつかの場合では、核酸増幅は、環状化核酸分子を、それぞれが配列相補性により異なる標的配列に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーを含む増幅反応混合物に接触させることを含む。いくつかの場合では、結合剤は、抗体又はその断片を含む。いくつかの場合では、抗体又はその断片は、核酸結合タンパク質に特異的に結合する。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はクロマチンタンパク質である。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はヒストンである。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はメチルCpG結合タンパク質である。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質は転写因子である。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はRNA結合タンパク質である。いくつかの場合では、抗体又はその断片は、核酸配列に特異的に結合する。いくつかの場合では、核酸配列はメチル化されている。いくつかの場合では、結合剤は、ポリペプチド又は核酸を含む。いくつかの場合では、ポリペプチドはストレプトアビジンを含む。いくつかの場合では、方法は複数のセルフリー核酸分子のうちの各セルフリー核酸分子のサイズを決定することをさらに含む。いくつかの場合では、(d)は環状化核酸分子又はその誘導体をシークエンシングすることを含む。いくつかの場合では、シークエンシングは、合成によるシークエンシング、ライゲーションによるシークエンシング、ナノポアシークエンシング、ナノボールシークエンシング、イオン検出、ハイブリダイゼーションによるシークエンシング、重合コロニー(POLONY)シークエンシング、ナノグリッドローリングサークルシークエンシング(ROLONY)及びイオントレントシークエンシングのうちの1つ以上から選択される方法を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は、75ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は体液を含む。いくつかの場合では、体液は、尿、唾液、血液、血清、血漿、涙、痰、脳脊髄液、滑液、粘液、胆汁、精液、リンパ液、羊水、月経血又はそれらの組合せである。いくつかの場合では、(d)は環状化核酸分子又はその誘導体をシークエンシングすることを含む。いくつかの場合では、方法は複数の参照配列に対して配列を処理して、複数の参照配列の少なくともサブセットに対応するものとして配列を同定し、それによって対象が疾患を有するか、又は疾患を有するリスク状態にあるということを決定することをさらに含む。いくつかの場合では、疾患はがんである。いくつかの場合では、がんは、結腸がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、乳がん、肝細胞がん、肝臓がん、皮膚がん、悪性黒色腫、子宮内膜がん、食道がん、胃がん、卵巣がん、膵臓がん、脳がん、白血病、リンパ腫及び骨髄腫からなる群から選択される。いくつかの場合では、方法は、同定された配列を使用して、対象が疾患を有するか、又は疾患を有するリスク状態にあるということを示す電子報告を出力することをさらに含む。いくつかの場合では、方法は、同定された配列を使用して、疾患について対象に治療的介入を提供することをさらに含む。いくつかの場合では、方法は、同定された配列を使用して、疾患について対象を治療することをさらに含む。いくつかの場合では、対象は、化学療法又は免疫療法を施されることで治療される。いくつかの場合では、方法は、同定された配列を使用して、対象の進行又は退縮について対象を監視することをさらに含む。いくつかの場合では、(c)核酸分子は、複数の結合剤のうちの1つの結合剤に結合される。
【0004】
別の態様では、セルフリー生体試料由来の複数の核酸分子を処理するために提供された方法が存在し、この方法は、(a)複数の核酸分子のうちの1つの核酸分子のメチル化状態を決定することと、(b)複数の核酸分子のうちの1つの核酸分子のサイズを決定することと、(c)(i)第1のデータベースに対する複数の核酸分子のうちの1つの核酸分子についてのメチル化状態及び(ii)第2のデータベースに対する複数の核酸分子のうちの1つの核酸分子のサイズ、を処理して、メチル化状態及びサイズと少なくとも疾患との関連を同定することとを含む。いくつかの場合では、メチル化状態を決定することは、複数の核酸分子のうちの1つの核酸分子をシークエンシングすることを含む。いくつかの場合では、シークエンシングは、合成によるシークエンシング、ライゲーションによるシークエンシング、ナノポアシークエンシング、ナノボールシークエンシング、イオン検出、ハイブリダイゼーションによるシークエンシング、重合コロニー(POLONY)シークエンシング、ナノグリッドローリングサークルシークエンシング(ROLONY)及びイオントレントシークエンシングのうちの1つ以上から選択される方法を含む。いくつかの場合では、メチル化状態を決定することは、核酸分子をメチル化核酸又はその誘導体に特異的に結合する結合剤に接触させることを含む。いくつかの場合では、メチル化状態を決定することは、(a)複数の核酸分子を複数の結合剤に接触させて、複数の結合剤に結合した複数の核酸分子の第1のサブセット及び複数の核酸分子の第2のサブセットを得ることと、(b)複数の結合剤に結合した複数の核酸分子の第1のサブセットを、複数の核酸分子の第2のサブセットから分離することと、(c)(b)に続いて、複数の核酸分子の第1のサブセット由来の核酸分子を環状化させて環状化核酸分子を得ることと、(d)環状化核酸分子又はその誘導体を同定することとを含む。いくつかの場合では、結合剤は、抗体又はその断片を含む。いくつかの場合では、結合剤は、ポリペプチド又は核酸を含む。いくつかの場合では、ポリペプチドはストレプトアビジンを含む。いくつかの場合では、複数の核酸分子はデオキシリボ核酸(DNA)分子又はリボ核酸(RNA)分子を含む。いくつかの場合では、環状化は、核酸分子の5’末端と3’末端を互いに連結することを含む。いくつかの場合では、環状化は、アダプタを核酸分子の3’末端、5’末端、又は5’末端及び3’末端の両方に結合させることを含む。いくつかの場合では、方法は、環状化核酸分子を核酸増幅に供して環状化核酸分子の複数の増幅産物を産生させることをさらに含み、(d)は複数の核酸の増幅産物を同定することを含む。いくつかの場合では、核酸増幅は、鎖置換活性を有するポリメラーゼによって引き起こされる。いくつかの場合では、核酸増幅は、鎖置換活性を有さないポリメラーゼによって引き起こされる。いくつかの場合では、核酸増幅は、環状化核酸分子を、ランダムプライマーを含む増幅反応混合物に接触させることを含む。いくつかの場合では、核酸増幅は、環状化核酸分子を、それぞれが配列相補性により異なる標的配列に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーを含む増幅反応混合物に接触させることを含む。いくつかの場合では、(d)は環状化核酸分子又はその誘導体をシークエンシングすることを含む。いくつかの場合では、シークエンシングは、合成によるシークエンシング、ライゲーションによるシークエンシング、ナノポアシークエンシング、ナノボールシークエンシング、イオン検出、ハイブリダイゼーションによるシークエンシング、重合コロニー(POLONY)シークエンシング、ナノグリッドローリングサークルシークエンシング(ROLONY)及びイオントレントシークエンシングのうちの1つ以上から選択される方法を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は、75ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は体液を含む。いくつかの場合では、体液は、尿、唾液、血液、血清、血漿、涙、痰、脳脊髄液、滑液、粘液、胆汁、精液、リンパ液、羊水、月経血又はそれらの組合せである。いくつかの場合では、方法は、メチル化状態及び複数の参照メチル化状態に対して処理し、かつ複数の参照サイズに対してサイズを処理して複数の参照メチル化状態の少なくともサブセットに対応するものとしてのメチル化状態及び参照サイズの少なくともサブセットに対応するものとしてのサイズを同定し、それによって対象が疾患を有するか、又は疾患を有するリスク状態にあるということを決定することをさらに含む。いくつかの場合では、疾患はがんである。いくつかの場合では、がんは、結腸がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、乳がん、肝細胞がん、肝臓がん、皮膚がん、悪性黒色腫、子宮内膜がん、食道がん、胃がん、卵巣がん、膵臓がん、脳がん、白血病、リンパ腫及び骨髄腫からなる群から選択される。いくつかの場合では、方法は、同定されたメチル化状態及びサイズを使用して、対象が疾患を有するか、又は疾患を有するリスク状態にあるということを示す電子報告を出力することをさらに含む。いくつかの場合では、方法は、同定されたメチル化状態及びサイズを使用して、疾患について対象に治療的介入を提供することをさらに含む。いくつかの場合では、方法は、同定されたメチル化状態及びサイズを使用して、疾患について対象を治療することをさらに含む。いくつかの場合では、対象は、化学療法又は免疫療法を施されることで治療される。いくつかの場合では、方法は、同定されたメチル化状態及びサイズを使用して、対象の進行又は退縮について対象を監視することをさらに含む。
【0005】
別の態様では、対象のセルフリー生体試料由来の複数の核酸分子を処理するために提供される方法が存在し、方法は、(a)複数の核酸分子又はそれらの誘導体を複数の結合剤に接触させて、複数の結合剤に結合した複数の核酸分子の第1のサブセット及び複数の核酸分子の第2のサブセットを得ることと、(b)複数の結合剤に結合した複数の核酸分子の第1のサブセットを、複数の核酸分子の第2のサブセットから分離することと、(c)(b)に続いて、複数の核酸分子の第1のサブセット由来の核酸分子を環状化させて環状化核酸分子の第1のサブセットを得ることと、(d)(b)に続いて、複数の核酸分子の第2のサブセット由来の核酸分子を環状化させて環状化核酸分子の第2のサブセットを得ることと、(e)環状化核酸分子又はその誘導体の第1のサブセットをシークエンシングして環状化核酸分子の第1のサイズを得、かつ環状化核酸分子又はその誘導体の第2のサブセットをシークエンシングして環状化核酸分子の第2のサイズを得ることと、(f)第1のサイズと第2のサイズを比較し、対象の疾患レベルを決定することとを含む。
【0006】
別の態様では、対象のセルフリー生体試料由来の複数の核酸分子を処理するために提供される方法が存在し、方法は、(a)複数の核酸分子又はそれらの誘導体を複数の結合剤に接触させて、複数の結合剤に結合した複数の核酸分子の第1のサブセット及び複数の核酸分子の第2のサブセットを得ることと、(b)複数の結合剤に結合した複数の核酸分子の第1のサブセットを、複数の核酸分子の第2のサブセットから分離することと、(c)(b)に続いて、複数の核酸分子の第1のサブセット由来の核酸分子を環状化させて環状化核酸分子の第1のサブセットを得ることと、(d)(b)に続いて、複数の核酸分子の第2のサブセット由来の核酸分子を環状化させて環状化核酸分子の第2のサブセットを得ることと、(e)環状化核酸分子又はその誘導体の第1のサブセットをシークエンシングして環状化核酸分子の第1の末端配列を得、かつ環状化核酸分子又はその誘導体の第2のサブセットをシークエンシングして環状化核酸分子の第2の末端配列を得ることと、(f)第1の末端配列と第2の末端配列を比較し、対象の疾患レベルを決定することとを含む。
【0007】
援用記載
本明細書で言及されている全ての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれ個別の刊行物、特許又は特許出願が本明細書の一部として援用されると具体的かつ個別に示されていると仮定した上で、同程度で本明細書の一部として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の新規特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴及び利点の良好な理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載している以下の詳細な説明、並びに添付の図面(加えて本明細書では「図(Figure)」及び「図(FIG)」)を参照することによって得られるであろう。
【0009】
図1】本開示の方法を実装するようにプログラムされ得る、それ以外の場合には本開示の方法を実装するように構成され得るコンピュータシステムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書には本発明の種々の実施形態が示され、説明されているが、かかる実施形態は例としてのみ提供されることは当業者には明らかとなるであろう。当業者にとっては、多数の変形、変更及び置換が本明細書から逸脱することがない限りで行われる。本明細書に説明されている本発明の実施形態に対する種々の代替形態が利用され得ることを理解されたい。
【0011】
本明細書で使用される場合、用語「約(about)」又は「およそ(approximately)」は、当業者によって決定される特定の値にとって許容される誤差範囲内を意味しており、どのように値が測定又は決定されるか、すなわち測定システムの制限に部分的に依存していてもよい。例えば当該技術分野での関連によれば、「約」は、1つ又は2つ以上の標準偏差内を意味し得る。別の例としては、「約」は、所与の値の最大20%、最大10%、最大5%又は最大1%の範囲を意味し得る。生物学的システム又は生物学的プロセスに関しては、「約」といった用語は、値の5倍以内又は値の2倍以内といった指標内であることを意味し得る。特定の値が本願及び特許請求の範囲に記載される場合、特段明記しない限り、「約」といった用語は特定の値について許容される誤差範囲内であることを意味している。
【0012】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」といった用語は、一般には、デオキシリボヌクレオチド(DNA)若しくはリボヌクレオチド(RNA)のいずれか、又はそれらの類似体といった任意の長さのヌクレオチドの多量体形態を指す。ポリヌクレオチドは核酸分子であってもよい。ポリヌクレオチド(又はオリゴヌクレオチド)は、ヌクレオチド又は核酸配列を有してもよい。ポリヌクレオチドは任意の三次元構造を有してもよく、任意の機能を遂行してもよい。以下はポリヌクレオチドの非限定的な例である:セルフリー核酸、セルフリーDNA(cfDNA)、セルフリーRNA(cfRNA)、血中腫瘍DNA(ctDNA)、血中腫瘍RNA(ctRNA)、遺伝子又は遺伝子フラグメントのコード領域又は非コード領域、連鎖解析により定義された遺伝子座(loci)(遺伝子座(locus))、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、短干渉RNA(siRNA)、小ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ及びプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体などの1つ以上の修飾ヌクレオチドを含んでもよい。存在する場合には、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの構築前後に付与されてもよい。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成成分により中断されてもよい。ポリヌクレオチドは、標識成分との結合などにより重合後にさらに修飾されてもよい。
【0013】
本明細書で使用される「対象」といった用語は、一般には、哺乳動物(例えば、ヒト)などの脊椎動物を指す。哺乳動物としては、マウス、サル、ヒト、家畜、競技動物及びペット(例えば、イヌ又はネコ)が挙げられるが、これらに限定されない。インビボで取得される、又はインビトロで培養される生物学的実体の組織、細胞及び子孫もまた包含される。対象は患者であってもよい。対象は疾患に対して症候性であってもよい(例えば、がん)。代替的には、対象は疾患に対して無症候性であってもよい。
【0014】
本明細書で使用される「生体試料」といった用語は、一般には、哺乳動物(例えば、ヒト)などの対象由来の、又は対象から入手した試料を指す。生体試料としては、毛髪、指の爪、皮膚、汗、涙、眼内液、鼻腔ぬぐい液又は鼻咽頭洗浄液、痰、咽頭ぬぐい液、唾液、粘液、血液、血清、血漿、胎盤液、羊水、臍帯血、強調液(emphatic fluids)、体腔液、耳垢、油、腺分泌物、胆汁、リンパ液、膿、細菌叢、胎便、母乳、骨髄、骨、CNS組織、脳脊髄液、脂肪組織、滑液、便、胃液、尿、精液、膣分泌物、胃、小腸、大腸、直腸、膵臓、肝臓、腎臓、膀胱、肺並びに対象由来の、又は対象から入手した他の組織及び体液が挙げられてもよいが、これらに限定されない。生体試料は、セルフリー(又は無細胞)生体試料であってもよい。
【0015】
本明細書で使用される「セルフリー生体試料」といった用語は、一般には、対象由来の、又は対象から入手した、細胞を含まない試料を指す。セルフリー生体試料としては、セルフリーDNA、セルフリーRNA又はセルフリーポリペプチド(例えば、タンパク質)など1つ以上のセルフリー分子が挙げられてもよい。セルフリー生体試料としては、血液、血清、血漿、鼻腔ぬぐい液若しくは鼻咽頭洗浄液、唾液、尿、胃液、涙、便、粘液、汗、耳垢、油、腺分泌物、胆汁、リンパ液、脳脊髄液、組織、精液、膣液、間質液(腫瘍組織由来の間質液を含む)、眼内液、髄液、咽頭ぬぐい液、呼気、毛髪、指の爪、皮膚、生検、胎盤液、羊水、臍帯血、強調液、体腔液、痰、膿、細菌叢、胎便、母乳及び/又は排泄物が挙げられてもよいが、これらに限定されない。
【0016】
本明細書で使用される場合、「結合剤」といった用語は、一般には、核酸に結合する物質を指す。結合剤としては、抗体若しくはその断片、ポリペプチド、ストレプトアビジン、核酸、DNAプローブ又はRNAプローブのうちの1つ以上が挙げられてもよいが、これらに限定されない。
【0017】
本明細書で使用される「初期がん」及び「非転移性がん」は、一般には、対象内でそれまでに転移していない可能性があるがん(すなわち、がんは初期位置に留まらず、他の位置に伝播する)を指す。初期がんは対象内で転移する可能性がある。代替的には、初期がんは対象内で転移しない可能性がある。正確な進行度診断はがんの種類によって変わり得る。
【0018】
本明細書で使用される「腫瘍量」及び「腫瘍負荷」といった用語は、一般には、対象体内の腫瘍のサイズ又はがんの量を指す。
【0019】
「少なくとも」、「より大きい」又は「以上」といった用語が2つ以上の一連の数値内の第1の数値の前に記載される場合、「少なくとも」、「より大きい」又は「以上」といった用語は、一連の数値内の数値のそれぞれに常に適用される。例えば、1、2又は3以上は、1以上、2以上又は3以上に等しい。
【0020】
「以下(no more than)」、「未満」又は「以下(less than or equal to)」といった用語が2つ以上の一連の数値内の第1の数値の前に記載される場合、「以下」、「未満」又は「以下」といった用語は、一連の数値内の数値のそれぞれに常に適用される。例えば、3、2又は1以下は、3以下、2以下又は1以下に等しい。
【0021】
セルフリー生体試料中の核酸の少なくともサブセットの選択を含む、セルフリー生体試料より核酸を分析するための方法、システム及び組成物が本明細書に提供される。かかる方法は、抗体又はその断片などの結合剤を使用し、配列分析又はサイズ分析などのさらなる分析のために結合された核酸を単離して、メチル化核酸などの核酸又は核酸結合タンパク質(例えば、転写因子)などタンパク質に結合した核酸の免疫沈降を含み得る。
【0022】
選択的核酸分析のための方法
選択的核酸分析のための方法が本明細書に提供される。いくつかの場合では、セルフリー生体試料に由来の複数の核酸分子を処理するための方法は、複数の核酸分子を、抗体又はそれらの断片などの複数の結合剤に接触させることを含む。これによって、複数の抗体又はそれらの断片に結合された複数の核酸分子の第1のサブセット及び複数の核酸分子の第2のサブセットがもたらされる。次に、複数の抗体又はそれらの断片に結合された複数の核酸分子の第1のサブセットは、複数の核酸分子の第2のサブセットから分離され得る。次に、複数の核酸分子の第1のサブセット由来の核酸分子は環状化され、環状化核酸分子を得ることができる。続いて、方法は環状化核酸分子又はその誘導体を同定することを含む。
【0023】
本明細書に提供される選択的核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、複数の核酸分子はデオキシリボ核酸(DNA)分子を含む。いくつかの場合では、複数の核酸分子はリボ核酸(RNA)分子を含む。いくつかの場合では、複数の核酸分子は、RNA分子及びDNA分子の混合物を含む。
【0024】
本明細書に提供される選択的核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、環状化は、核酸分子の5’末端と3’末端を互いに連結することを含む。いくつかの場合では、環状化は、アダプタを核酸分子の3’末端、5’末端、又は5’末端及び3’末端の両方に結合させることを含む。
【0025】
本明細書に提供される選択的核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、方法は、環状化核酸分子を核酸増幅に供して環状化核酸分子の複数の増幅産物を産生させることをさらに含み、同定ステップは複数の核酸の増幅産物を同定することを含む。いくつかの場合では、核酸増幅は、鎖置換活性を有するポリメラーゼによって引き起こされる。いくつかの場合では、核酸増幅は、鎖置換活性を有さないポリメラーゼによって引き起こされる。いくつかの場合では、核酸増幅は、環状化核酸分子を、ランダムプライマーを含む増幅反応混合物に接触させることを含む。いくつかの場合では、核酸増幅は、環状化核酸分子を、それぞれが配列相補性により異なる標的配列に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーを含む増幅反応混合物に接触させることを含む。いくつかの場合では、核酸増幅は、環状化核酸分子を、1つ以上のランダムプライマーを含む増幅混合物に接触させることを含む。
【0026】
本明細書に提供される選択的核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、抗体又はその断片などの結合剤は、核酸に特異的に結合する。いくつかの場合では、抗体又はその断片は、核酸結合タンパク質に特異的に結合する。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はクロマチンタンパク質である。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はヒストンである。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はメチルCpG結合タンパク質である。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質は転写因子である。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はポリメラーゼである。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はヌクレアーゼである。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はジンクフィンガーモチーフ、ヘリックス・ターン・ヘリックス・モチーフ又はロイシンジッパーモチーフを含む。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はRNA結合タンパク質である。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はスプライシングタンパク質又はRNA輸送タンパク質である。いくつかの場合では、抗体又はその断片は、核酸配列に特異的に結合する。いくつかの場合では、抗体又はその断片は、メチル化核酸配列に特異的に結合する。いくつかの場合では、抗体又はその断片は、リン酸化核酸配列に特異的に結合する。いくつかの場合では、抗体又はその断片は、アセチル化核酸配列に特異的に結合する。いくつかの場合では、核酸分子は、複数の抗体又はそれらの断片のうちの抗体又はその断片に結合される。
【0027】
本明細書に提供される選択的核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、方法は複数のセルフリー核酸分子のうちの各セルフリー核酸分子のサイズを決定することをさらに含む。いくつかの場合では、各セルフリー核酸分子のサイズを決定することは、シークエンシング、電気泳動又はそれらの組合せを含む。
【0028】
本明細書に提供される選択的核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、環状化核酸を同定することは、環状化核酸分子又はその誘導体をシークエンシングすることを含む。いくつかの場合では、シークエンシングは、合成によるシークエンシング、ライゲーションによるシークエンシング、ナノポアシークエンシング、ナノボールシークエンシング、イオン検出、ハイブリダイゼーションによるシークエンシング、重合コロニー(POLONY)シークエンシング、ナノグリッドローリングサークルシークエンシング(ROLONY)及びイオントレントシークエンシングのうちの1つ以上から選択される方法を含む。
【0029】
本明細書に提供される選択的核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、セルフリー生体試料は100ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は90ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は80ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は、75ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は70ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は60ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は50ナノグラム未満の核酸を含む。
【0030】
本明細書に提供される選択的核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、セルフリー生体試料は体液を含む。いくつかの場合では、体液は、尿、唾液、血液、血清、血漿、涙、痰、脳脊髄液、滑液、粘液、胆汁、精液、リンパ液、羊水、月経血又はそれらの組合せである。
【0031】
対象が疾患を有するか、又は疾患を有するリスク状態にあるかどうかを決定するための方法
本明細書の選択的核酸分析を含む、対象が疾患を有するか、又は疾患を有するリスク状態にあるかどうかを決定する方法が本明細書に提供される。いくつかの場合では、いくつかのかかる方法は、複数の核酸分子を抗体又はそれらの断片などの複数の結合剤に接触させて、複数の抗体又はそれらの断片に結合した複数の核酸分子の第1のサブセット及び複数の核酸分子の第2のサブセットを得ることを含む。次に、いくつかの場合では、方法は、複数の核酸分子の第2のサブセットから複数の抗体又はそれらの断片に結合された複数の核酸分子の第1のサブセットを分離することを含む。次に、方法は、複数の核酸分子の第1のサブセット由来の核酸分子を環状化し、環状化核酸分子を得ることを含む。次に、方法は、環状化核酸分子又はその誘導体の配列を同定することと、複数の参照配列に対して配列を処理して、複数の参照配列の少なくともサブセットに対応するものとして配列を同定し、それによって対象が疾患を有するか、又は疾患を有するリスク状態にあるということを決定することとを含む。いくつかの場合では、複数の核酸分子はデオキシリボ核酸(DNA)分子又はリボ核酸(RNA)分子を含む。いくつかの場合では、核酸分子は、複数の抗体又はそれらの断片のうちの抗体又はその断片に結合される。
【0032】
本明細書に提供される選択的核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、環状化は、核酸分子の5’末端と3’末端を互いに連結することを含む。いくつかの場合では、環状化は、アダプタを核酸分子の3’末端、5’末端、又は5’末端及び3’末端の両方に結合させることを含む。
【0033】
本明細書に提供される診断のための方法の態様では、いくつかの場合では、方法は、環状化核酸分子を核酸増幅に供して環状化核酸分子の複数の増幅産物を産生させることをさらに含み、同定ステップは複数の核酸の増幅産物を同定することを含む。いくつかの場合では、核酸増幅は、鎖置換活性を有するポリメラーゼによって引き起こされる。いくつかの場合では、核酸増幅は、鎖置換活性を有さないポリメラーゼによって引き起こされる。いくつかの場合では、核酸増幅は、環状化核酸分子を、ランダムプライマーを含む増幅反応混合物に接触させることを含む。いくつかの場合では、核酸増幅は、環状化核酸分子を、それぞれが配列相補性により異なる標的配列に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーを含む増幅反応混合物に接触させることを含む。いくつかの場合では、核酸増幅は、環状化核酸分子を、1つ以上のランダムプライマーを含む増幅混合物に接触させることを含む。
【0034】
本明細書に提供される診断のための方法の態様では、いくつかの場合では、抗体又はその断片などの結合剤は、核酸に特異的に結合する。いくつかの場合では、抗体又はその断片は、核酸結合タンパク質に特異的に結合する。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はクロマチンタンパク質である。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はヒストンである。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はメチルCpG結合タンパク質である。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質は転写因子である。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はポリメラーゼである。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はヌクレアーゼである。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はジンクフィンガーモチーフ、ヘリックス・ターン・ヘリックス・モチーフ又はロイシンジッパーモチーフを含む。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はRNA結合タンパク質である。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はスプライシングタンパク質又はRNA輸送タンパク質である。いくつかの場合では、抗体又はその断片は、核酸配列に特異的に結合する。いくつかの場合では、抗体又はその断片は、メチル化核酸配列に特異的に結合する。いくつかの場合では、抗体又はその断片は、リン酸化核酸配列に特異的に結合する。いくつかの場合では、抗体又はその断片は、アセチル化核酸配列に特異的に結合する。いくつかの場合では、核酸分子は、複数の抗体又はそれらの断片のうちの抗体又はその断片に結合される。
【0035】
本明細書に提供される診断のための方法の態様では、いくつかの場合では、方法は複数のセルフリー核酸分子のうちの各セルフリー核酸分子のサイズを決定することをさらに含む。いくつかの場合では、各セルフリー核酸分子のサイズを決定することは、シークエンシング、電気泳動又はそれらの組合せを含む。
【0036】
本明細書に提供される診断のための方法の態様では、いくつかの場合では、環状化核酸を同定することは、環状化核酸分子又はその誘導体をシークエンシングすることを含む。いくつかの場合では、シークエンシングは、合成によるシークエンシング、ライゲーションによるシークエンシング、ナノポアシークエンシング、ナノボールシークエンシング、イオン検出、ハイブリダイゼーションによるシークエンシング、重合コロニー(POLONY)シークエンシング、ナノグリッドローリングサークルシークエンシング(ROLONY)及びイオントレントシークエンシングのうちの1つ以上から選択される方法を含む。
【0037】
本明細書に提供される診断のための方法の態様では、いくつかの場合では、セルフリー生体試料は100ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は90ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は80ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は、75ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は70ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は60ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は50ナノグラム未満の核酸を含む。
【0038】
本明細書に提供される診断のための方法の態様では、いくつかの場合では、セルフリー生体試料は体液を含む。いくつかの場合では、体液は、尿、唾液、血液、血清、血漿、涙、痰、脳脊髄液、滑液、粘液、胆汁、精液、リンパ液、羊水、月経血又はそれらの組合せである。
【0039】
本明細書に提供される診断のための方法の態様では、いくつかの場合では、疾患はがんである。いくつかの場合では、がんは、結腸がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、乳がん、肝細胞がん、肝臓がん、皮膚がん、悪性黒色腫、子宮内膜がん、食道がん、胃がん、卵巣がん、膵臓がん、脳がん、白血病、リンパ腫及び骨髄腫からなる群から選択される。
【0040】
本明細書に提供される診断のための方法の態様では、いくつかの場合では、方法は、同定された配列を使用して、対象が疾患を有するか、又は疾患を有するリスク状態にあるということを示す電子報告を出力することをさらに含む。いくつかの場合では、方法は、同定された配列を使用して、疾患について対象に治療的介入を提供することをさらに含む。いくつかの場合では、方法は、同定された配列を使用して、疾患について対象を治療することをさらに含む。
【0041】
本明細書に提供される診断のための方法の態様では、いくつかの場合では、対象は、化学療法又は免疫療法を施されることで治療される。
【0042】
本明細書に提供される診断のための方法の態様では、いくつかの場合では、方法は、同定された配列を使用して、対象の進行又は退縮について対象を監視することをさらに含む。
【0043】
本明細書の選択的核酸分析を含む、対象が疾患を有するか、又は疾患を有するリスク状態にあるかどうかを決定する方法が本明細書でさらに提供される。いくつかの場合では、方法は、複数の核酸分子のうちの1つの核酸分子のメチル化状態を決定することと、複数の核酸分子のうちの1つの核酸分子のサイズを決定することとを含む。続いて、方法は、第1のデータベースに対する複数の核酸分子のうちの1つの核酸分子のメチル化状態を処理することと、第2のデータベースに対する複数の核酸分子のうちの1つの核酸分子のサイズを処理することとを含む。次に、方法は、メチル化状態及びサイズと少なくとも疾患との関連を同定し、それによって対象が疾患を有するか、又は疾患を有するリスク状態にあるということを決定することとを含む。
【0044】
本明細書に提供される診断のための方法の態様では、いくつかの場合では、疾患はがんである。いくつかの場合では、がんは、結腸がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、乳がん、肝細胞がん、肝臓がん、皮膚がん、悪性黒色腫、子宮内膜がん、食道がん、胃がん、卵巣がん、膵臓がん、脳がん、白血病、リンパ腫及び骨髄腫からなる群から選択される。
【0045】
本明細書に提供される診断のための方法の態様では、いくつかの場合では、方法は、同定されたメチル化状態及びサイズを使用して、対象が疾患を有するか、又は疾患を有するリスク状態にあるということを示す電子報告を出力することを含む。いくつかの場合では、方法は、同定されたメチル化状態及びサイズを使用して、疾患について対象に治療的介入を提供することをさらに含む。いくつかの場合では、方法は、同定されたメチル化状態及びサイズを使用して、疾患について対象を治療することをさらに含む。いくつかの場合では、対象は、化学療法又は免疫療法を施されることで治療される。いくつかの場合では、方法は、同定されたメチル化状態及びサイズを使用して、対象の進行又は退縮について対象を監視することをさらに含む。
【0046】
メチル化及びサイズの核酸分析のための方法
メチル化状態及びサイズを使用した核酸分析のための方法が本明細書に提供される。いくつかの場合では、方法は、複数の核酸分子のうちの1つの核酸分子のメチル化状態を決定することと、複数の核酸分子のうちの1つの核酸分子のサイズを決定することとを含む。次に、方法は、第1のデータベースに対する複数の核酸分子のうちの1つの核酸分子のメチル化状態を処理することと、第2のデータベースに対する複数の核酸分子のうちの1つの核酸分子のサイズを処理することとを含む。次いで、方法は、核酸分子のメチル化状態及び核酸分子のサイズと、少なくとも疾患との関連を同定することを含む。
【0047】
本明細書の核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、メチル化状態を決定することは、複数の核酸分子のうちの1つの核酸分子をシークエンシングすることを含む。いくつかの場合では、シークエンシングは、合成によるシークエンシング、ライゲーションによるシークエンシング、ナノポアシークエンシング、ナノボールシークエンシング、イオン検出、ハイブリダイゼーションによるシークエンシング、重合コロニー(POLONY)シークエンシング、ナノグリッドローリングサークルシークエンシング(ROLONY)及びイオントレントシークエンシングのうちの1つ以上から選択される方法を含む。いくつかの場合では、メチル化状態を決定することは、バイサルファイトシークエンシングを含む。
【0048】
本明細書の核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、メチル化状態を決定することは、核酸分子をメチル化核酸に特異的に結合する抗体又はその断片に接触させることを含む。いくつかの場合では、抗体又はその断片は、メチル化核酸結合タンパク質又はそれらの断片に特異的に結合する。
【0049】
本明細書の核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、メチル化状態を決定することは、複数の核酸分子を複数の抗体又はそれらの断片に接触させて、複数の抗体又はそれらの断片に結合した複数の核酸分子の第1のサブセット及び複数の核酸分子の第2のサブセットを得ることを含む。次に、方法は、複数の核酸分子の第2のサブセットから複数の抗体又はそれらの断片に結合された複数の核酸分子の第1のサブセットを分離することを含む。続いて、方法は、複数の核酸分子の第1のサブセット由来の核酸分子を環状化して環状化核酸分子を得ることと、環状化核酸分子又はその誘導体を同定することとを含む。
【0050】
本明細書の核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、複数の核酸分子はデオキシリボ核酸(DNA)分子を含む。いくつかの場合では、複数の核酸分子はリボ核酸(RNA)分子を含む。いくつかの場合では、複数の核酸分子は、RNA分子及びDNA分子の混合物を含む。
【0051】
本明細書の核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、環状化は、核酸分子の5’末端と3’末端を互いに連結することを含む。いくつかの場合では、環状化は、アダプタを核酸分子の3’末端、5’末端、又は5’末端及び3’末端の両方に結合させることを含む。
【0052】
本明細書の核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、方法は、環状化核酸分子を核酸増幅に供して環状化核酸分子の複数の増幅産物を産生させることをさらに含み、同定ステップは複数の核酸の増幅産物を同定することを含む。いくつかの場合では、核酸増幅は、鎖置換活性を有するポリメラーゼによって引き起こされる。いくつかの場合では、核酸増幅は、鎖置換活性を有さないポリメラーゼによって引き起こされる。いくつかの場合では、核酸増幅は、環状化核酸分子を、ランダムプライマーを含む増幅反応混合物に接触させることを含む。いくつかの場合では、核酸増幅は、環状化核酸分子を、それぞれが配列相補性により異なる標的配列に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーを含む増幅反応混合物に接触させることを含む。いくつかの場合では、核酸増幅は、環状化核酸分子を、1つ以上のランダムプライマーを含む増幅混合物に接触させることを含む。
【0053】
本明細書の核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、抗体又はその断片は、核酸に特異的に結合する。いくつかの場合では、抗体又はその断片は、核酸結合タンパク質に特異的に結合する。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はクロマチンタンパク質である。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はヒストンである。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はメチルCpG結合タンパク質である。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質は転写因子である。いくつかの場合では、核酸結合タンパク質はRNA結合タンパク質である。いくつかの場合では、抗体又はその断片は、核酸配列に特異的に結合する。いくつかの場合では、抗体又はその断片は、メチル化核酸配列に特異的に結合する。いくつかの場合では、核酸分子は、複数の抗体又はそれらの断片のうちの抗体又はその断片に結合される。
【0054】
本明細書の核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、方法は複数のセルフリー核酸分子のうちの各セルフリー核酸分子のサイズを決定することをさらに含む。
【0055】
本明細書の核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、環状化核酸を同定することは、環状化核酸分子又はその誘導体をシークエンシングすることを含む。いくつかの場合では、シークエンシングは、合成によるシークエンシング、ライゲーションによるシークエンシング、ナノポアシークエンシング、ナノボールシークエンシング、イオン検出、ハイブリダイゼーションによるシークエンシング、重合コロニー(POLONY)シークエンシング、ナノグリッドローリングサークルシークエンシング(ROLONY)及びイオントレントシークエンシングのうちの1つ以上から選択される方法を含む。
【0056】
本明細書の核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、セルフリー生体試料は100ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は90ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は80ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は、75ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は70ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は60ナノグラム未満の核酸を含む。いくつかの場合では、セルフリー生体試料は50ナノグラム未満の核酸を含む。
【0057】
本明細書の核酸分析のための方法の態様では、いくつかの場合では、セルフリー生体試料は体液を含む。いくつかの場合では、体液は、尿、唾液、血液、血清、血漿、涙、痰、脳脊髄液、滑液、粘液、胆汁、精液、リンパ液、羊水、月経血又はそれらの組合せである。
【0058】
システム及びコンピュータ支援方法
本明細書に提供される選択的核酸分析方法のためのシステムが本明細書で提供される。いくつかの場合では、本明細書のシステムは、セルフリー生体試料由来の複数の核酸分子を処理するためのユーザリクエストを受信するように構成されたコンピュータと、複数の核酸分子を抗体又はそれらの断片などの複数の結合剤に接触させて、複数の抗体又はそれらの断片に結合した複数の核酸分子の第1のサブセット及び複数の核酸分子の第2のサブセットを得るための処理ユニットとを含む。いくつかの場合では、システムは、複数の核酸分子の第2のサブセットから複数の抗体又はそれらの断片に結合された複数の核酸分子の第1のサブセットを分離するための単離ユニットをさらに備える。いくつかの場合では、システムは、複数の核酸分子の第1のサブセット由来の核酸分子を環状化し、環状化核酸分子を得るための環状化ユニットをさらに備える。いくつかの場合では、システムは、環状化核酸分子又はその誘導体を同定するための同定ユニットをさらに備える。いくつかの場合では、システムは、環状化核酸分子又はその誘導体の同一性を含有する報告をレシピエントに送信する報告書作成プログラムをさらに含む。
【0059】
システムで使用するためのコンピュータは、1つ以上のプロセッサを備え得る。コントローラプロセッサは、1つ以上の、演算ユニット及び/若しくはコンピュータシステムの他のユニットと関連づけられてもよく、又は必要に応じてファームウェアに埋め込まれてもよい。ソフトウェアで実装される場合には、ルーチンはRAM、ROM、フラッシュメモリ、磁気ディスク、レーザディスクなどのいずれかのコンピュータ可読メモリ又は他の好適な記憶媒体に記憶されてもよい。同様に、このソフトウェアは、例えば電話線、インターネット、無線接続などの通信チャネルによるものを含むいずれかの公知の送達方法を介して、又はコンピュータ可読ディスク、フラッシュドライブなどの伝送可能な媒体を介してコンピューティングデバイスに送達されてもよい。種々のステップは、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はハードウェア、ファームウェア及び/若しくはソフトウェアの任意の組合せで続いて実装され得る種々のブロック、オペレーション、ツール、モジュール及び技術として実装されてもよい。ハードウェアで実装される場合には、いくつかの、又は全てのブロック、オペレーション、技術などは、例えばカスタム集積回路(integrated circuit、IC)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(field programmable logic array、FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(programmable logic array、PLA)などに実装されてもよい。クライアントサーバ、関係データベース体系はシステムの実施形態に使用され得る。クライアントサーバ体系は、ネットワーク上の各コンピュータ又はプロセスがクライアント又はサーバのいずれかであるネットワーク体系である。サーバコンピュータは、典型的には、ディスクドライブ(ファイルサーバ)、プリンタ(プリントサーバ)又はネットワークトラフィック(ネットワークサーバ)の管理専用の強力なコンピュータである。クライアントコンピュータとしては、ユーザがアプリケーションを実行するPC(パーソナルコンピュータ)又はワークステーション、及び本明細書に開示されるような例示的な出力装置が挙げられる。クライアントコンピュータは、ファイル、デバイス、さらには処理能力などのリソースについてはサーバコンピュータに依存している。いくつかの実施形態では、サーバコンピュータは全てのデータベース機能を扱う。クライアントコンピュータは、全てのフロントエンドのデータ管理を扱い、かつユーザから入力されたデータの受信も可能であるソフトウェアを有し得る。
【0060】
システムは、試料で検出反応を行うためにユーザリクエストを受信するように構成され得る。ユーザリクエストは直接であっても間接であってもよい。直接リクエストの例としては、キーボード、マウス又はタッチスクリーンなどの入力装置によって送信されるものが挙げられる。間接リクエストの例としては、インターネット(有線又は無線のいずれか)によるものなど通信媒体を介した送信が挙げられる。
【0061】
システムは、ユーザリクエストに応答して試料又はその一部で核酸増幅反応を行う増幅システムをさらに含み得る。ポリヌクレオチド(例えば、DNA及び/又はRNA)を増幅する種々の方法が利用可能である。増幅は線形的増幅や指数関数的増幅であってもよく、又は多段階での増幅プロセスの線形段階と指数関数段階の両方を含んでもよい。増幅方法は、熱変性ステップなどの温度変化を含んでもよく、又は熱変性を必要としない等温プロセスであってもよい。好適な増幅プロセスの非限定的な例は、例えば本開示の種々の態様のいずれかに関して本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、増幅はローリングサークル増幅(rolling circle amplification、RCA)を含む。ポリヌクレオチドを増幅させるための種々のシステムが利用可能であるが、これは行われる増幅反応の種類に基づいて変更してもよい。例えば、温度変化のサイクルを含む増幅方法のため、増幅システムはサーモサイクラーを含んでもよい。増幅システムは、Applied Biosystems、Roche及びStratageneが製造したシステムなどのリアルタイム増幅検出機器を含むことができる。いくつかの実施形態では、増幅反応は、(i)個々のポリヌクレオチドを環状化させてそのそれぞれが5’末端と3’末端との間に結合部を有する複数の環状ポリヌクレオチドを形成するステップと、(ii)環状ポリヌクレオチドを増幅するステップを含む。試料、ポリヌクレオチド、プライマー、ポリメラーゼ及び他の試薬は、例えば種々の態様のうちいずれかに関して本明細書に記載のもののうちいずれかであり得る。環状化プロセス(例えば、アダプタオリゴヌクレオチドの使用及び不使用)、試薬(例えば、アダプタの種類、リガーゼの使用)、反応条件(例えば、自己結合に遊離)、任意のさらなる処理(例えば、反応後の精製)及びそれによって形成された結合部の非限定的な例は、本開示の種々の態様のうちいずれかに関して、本明細書に提供される。システムは、任意のかかる方法を実行するために選択及び/又は設計され得る。
【0062】
システムは、増幅システムで増幅されたポリヌクレオチドについての配列読み取りデータを生成し、配列読み取りデータと参照配列との間の配列差を同定し、かつ異なる結合部を有する少なくとも2つの環状ポリヌクレオチドで発生する配列差を配列変異体として呼ぶシークエンシングシステムをさらに含む。シークエンシングシステム及び増幅システムは同一であってもよく、又は重複する装置を備えてもよい。例えば、増幅システムとシークエンシングシステムの両方は同一のサーモサイクラーを利用してもよい。システムで使用するための種々のシークエンシングプラットフォームが利用可能であり、選択されたシークエンシング法に基づいて選択されてもよい。シークエンシング法の例は本明細書に記載されている。増幅及びシークエンシングは、リキッドハンドラーの使用を含んでもよい。これらのプロセスの自動化を実行するため、いくつかの市販のリキッドハンドリングシステムが使用され得る(例えば、例としてPerkin-Elmer、Beckman Coulter、Caliper Life Sciences、Tecan、Eppendorf、Apricot Design、Velocity 11製のリキッドハンドラーを参照されたい)。種々の自動化シークエンシング機器が市販されているが、Life Technologies(SOLiDプラットフォーム及びpHベースでの検出)、Roche(454プラットフォーム)、Illumina(例えば、Genome Analyzerデバイスなどのフローセルベースシステム)で製造されたシーケンサが含まれる。2台、3台、4台、5台以上の自動化装置(例えば、1台以上のリキッドハンドラー及びシークエンシング装置)間での移送は手動であっても自動化されていてもよい。
【0063】
システムは、レシピエントに報告書を送信する報告書作成プログラムをさらに含むことができ、報告書は配列変異体の検出についての結果を含有している。報告書は、プロセス進行時に定期的にアップデートを行いながら、処理中又はデータ分析中などにリアルタイムで生成されてもよい。加えて、又は代替的には、分析結果として報告書を生成してもよい。報告書は、システムが環状核酸を同定するステップを終了した時などに自動的に生成されてもよい。いくつかの実施形態では、報告書はユーザからの命令に応答して生成される。核酸を同定した結果に加え、報告書は同定された核酸に基づいた分析も含有してもよい。例えば、1つ以上の配列変異体が特定の混入物又は表現型に関連している場合、報告書は、混入物又は表現型がどのレベルで存在するかの可能性など、こうした関連を懸念する情報を含んでもよく、必要に応じてこの情報に基づいた示唆(例えば、さらなる試験、監視又は是正措置)を含んでもよい。報告書は種々の形式のうちいずれかを採用することができる。本開示に関連するデータは、受信機による受信及び/又はレビューのため、かかるネットワーク又は接続(又は紙に印刷したものなどの物理的な報告書の郵送を含むがこれに限定されない情報の送達のための任意の他の好適なアプローチ)上で送信され得ることが想定される。受信機は、個別のもの、又は電子システム(例えば、1つ以上のコンピュータ及び/又は1つ以上のサーバ)であり得るがこれらに限定されない。
【0064】
コンピュータ実行可能コードを含む機械可読媒体は、有形物記憶媒体、搬送波媒体又は物理伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態を採用してもよい。不揮発性記憶媒体としては、例えば任意のコンピュータの記憶装置のうちいずれかなどの光学ディスク若しくは磁気ディスク、又はデータベースを実装するために使用されるものなどが挙げられる。揮発性記憶媒体としては、かかるコンピュータプラットフォームのメインメモリなどの動的メモリが挙げられる。有形物伝送媒体としては同軸ケーブルが挙げられ、例えばコンピュータシステム内のバスを含むワイヤを含む銅線及び光ファイバーである。搬送波伝送媒体は、電気信号若しくは電磁気信号の形態、又は無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成されたものといった音波若しくは光波の形態を採用してもよい。したがってコンピュータ可読媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVD又はDVD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙カード、穴のパターンを有する任意の他の物理的記憶媒体、RAM、ROM、PROM及びEPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップ若しくはカートリッジ、搬送波伝送データ若しくは命令、こうした伝送波を伝送するケーブル若しくはリンク、又はコンピュータがプログラミングコード及び/若しくはデータを読み取り得る任意の他の媒体が挙げられる。これらのコンピュータ可読媒体の形態の多くは、実行のために1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスをプロセッサに伝えることに関与してもよい。
【0065】
主題のコンピュータ実行可能コードは、サーバ、PC又はスマートフォン若しくはタブレットなどのモバイル機器を含むプロセッサを備える任意の好適な装置上で実行され得る。任意のコントローラ又はコンピュータは、必要に応じて陰極線管(「CRT」)ディスプレイ、フラットパネルディスプレイ(例えば、アクティブマトリックス型液晶ディスプレイ、液晶ディスプレイなど)又はその他のものであり得るモニタを含む。コンピュータ回路は多くの場合、マイクロプロセッサ、メモリ、インタフェース回路及びその他のものなど多くの集積回路チップを含むボックス内に配置される。ボックスはまた、必要に応じてハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、書き込み可能なCD-ROMなどの高容量リムーバブルドライブ及び他の共通する周辺要素を含む。キーボード、マウス又はタッチ反応性スクリーンなどの入力装置は、必要に応じてユーザからの入力を提供する。コンピュータは、例えばGUIといった一連のパラメータフィールドへのユーザ入力の形態で、又は例えば種々の異なる特定のオペレーションのために予めプログラムされたものといった、予めプログラムされた命令の形態でのいずれかで、ユーザ命令を受信するための適切なソフトウェアを含み得る。
【0066】
ライブラリの調製及び増幅の方法
本明細書の方法は、ある特定の場合には、対象からの試料中に存在するポリヌクレオチドの増幅を含む。本明細書で使用される増幅の方法は、多くの場合ローリングサークル増幅を含む。代替的には、又は組み合わせて、本明細書で使用される増幅の方法はPCRを含む。いくつかの場合では、本明細書の増幅方法は線形増幅を含む。多くの場合、増幅は1つの遺伝子又は遺伝子セットを標的とせず、核酸試料全体が増幅される。いくつかの場合では、方法は、(a)複数の個々のポリヌクレオチドを環状化させて、そのそれぞれが5’末端と3’末端との間に結合部を有する複数の環状ポリヌクレオチドを形成することと、(b)(a)の環状ポリヌクレオチドを増幅して増幅されたポリヌクレオチドを産生することとを含む。さらなる場合では、増幅の方法は、(c)増幅されたポリヌクレオチドを断片化し、それぞれが5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の断片化された点を含む、断片化ポリヌクレオチドを産生することを含む。いくつかの場合では、方法は標的配列の濃縮を含まない。
【0067】
一般には、ポリヌクレオチドの末端を互いに結合して環状ポリヌクレオチドを形成すること(直接か、1つ以上の中間アダプタオリゴヌクレオチドを用いてかのいずれか)で、結合配列を有する結合部が産生される。ポリヌクレオチドの5’末端及び3’末端がアダプタポリヌクレオチドを介して結合される場合には、「結合部」は、ポリヌクレオチドとアダプタとの間の結合部(例えば、5’末端結合部又は3’末端結合部のうちの一方)、又はアダプタオリゴヌクレオチドにより形成され、かつこれを含むようなポリヌクレオチドの5’末端と3’末端との間の結合部を指す。ポリヌクレオチドの5’末端及び3’末端が介在アダプタなしで結合される場合(例えば、一本鎖DNAの5’末端及び3’末端)、「結合部」は、これらの2つの末端が結合される点を指す。結合部は、結合部を含むヌクレオチドの配列(「結合配列」とも称される)によって同定されてもよい。
【0068】
本明細書の試料は、天然の分解プロセス(細胞溶解、細胞死など、並びにDNA及びRNAなどのポリヌクレオチドが、細胞からさらに分解される可能性があるその周囲の環境(例えばセルフリーDNA及びセルフリーRNAなどの例えばセルフリーポリヌクレオチド)へと放出される他のプロセス)、試料処理(固定、染色及び/又は保存手順など)の副産物である断片化、並びに特定の標的配列に制限されることなくDNAを切断する方法による断片化(例えば、超音波処理などの機械的断片化、DNase Iやフラグメンターゼなどの非配列特異的ヌクレアーゼ処理)によって形成された末端の混合物を有するポリヌクレオチドを含む。試料が末端の混合物を有するポリヌクレオチドを含む場合、2つのポリヌクレオチドが同一の5’末端又は3’末端を有している可能性は低く、2つのポリヌクレオチドが同一の5’末端と3’末端の両方を独立して有している可能性はさらに低い。したがって、いくつかの実施形態では、結合部は、2つのポリヌクレオチドが同一の標的配列を有する一部分を含む場合であっても、異なるポリヌクレオチドを区別するために使用されてもよい。ポリヌクレオチド末端が介在アダプタなしで結合される場合には、結合配列は参照配列とアラインメントすることで同定されてもよい。例えば、2つの構成要素配列の順序が参照配列に対して逆転しているように見える場合、逆転が発生しているように見える点は、その点に結合部が存在することを示し得る。ポリヌクレオチド末端が1つ以上のアダプタ配列を介して結合される場合、結合部は既知のアダプタ配列に近接していることで、又は配列読み取りデータが環状化ポリヌクレオチドの5’末端と3’末端の両方から配列を得るのに十分な長さである場合に上記のようにアラインメントされることで同定されてもよい。いくつかの実施形態では、特定の結合部の形成は十分稀な事象であるが、これは試料の環状化ポリヌクレオチドでは独特である。
【0069】
いくつかの実施形態では、個々のポリヌクレオチドを環状化することは、複数のポリヌクレオチドをライゲーション反応に供することによって引き起こされる。ライゲーション反応はリガーゼ酵素を含んでもよい。いくつかの場合では、リガーゼ酵素は一本鎖DNAリガーゼ又はRNAリガーゼである。いくつかの場合では、リガーゼ酵素は二本鎖DNAリガーゼである。いくつかの実施形態では、リガーゼ酵素は(b)の増幅前に分解される。(b)で増幅前のリガーゼを分解することによって、増幅可能なポリヌクレオチドの回収率を増大させることができる。いくつかの実施形態では、複数の環状化ポリヌクレオチドは(b)の前に精製又は単離されない。いくつかの実施形態では、環状化されていない線状のポリヌクレオチドは増幅前に分解される。いくつかの場合では、複数のポリヌクレオチドは変性されて環状化前に一本鎖ポリヌクレオチドを生成し、いくつかの場合では、複数のポリヌクレオチドは環状化前に変性されない。
【0070】
いくつかの場合では、(a)で環状化することは、複数のポリヌクレオチドのうちのポリヌクレオチドの5’末端、3’末端又はその両方にアダプタポリヌクレオチドを結合するステップを含む。前述したように、ポリヌクレオチドの5’末端及び/又は3’末端がアダプタポリヌクレオチドを介して結合される場合には、「結合部」は、ポリヌクレオチドとアダプタとの間の結合部(例えば、5’末端結合部又は3’末端結合部のうちの一方)、又はアダプタオリゴヌクレオチドにより形成され、かつこれを含むようなポリヌクレオチドの5’末端と3’末端との間の結合部を指す。
【0071】
環状化ポリヌクレオチドは、いくつかの場合では例えばリガーゼ酵素の分解後に増幅され、増幅されたポリヌクレオチドを得る。環状ポリヌクレオチドの増幅は、ポリメラーゼによって行うことができる。いくつかの場合では、ポリメラーゼは鎖置換活性を有するポリメラーゼである。いくつかの場合では、ポリメラーゼはPhi29 DNAポリメラーゼである。代替的には、ポリメラーゼは鎖置換活性を有さないポリメラーゼである。いくつかの場合では、ポリメラーゼはT4 DNAポリメラーゼ又はT7 DNAポリメラーゼである。交互に、又は組み合わせて、ポリメラーゼはTaqポリメラーゼ又はTaqポリメラーゼファミリーのポリメラーゼである。いくつかの場合では、ポリメラーゼは逆転写酵素である。いくつかの場合では、増幅はローリングサークル増幅(RCA)を含む。RCAから生じる増幅されたポリヌクレオチドは、線状鎖状体又は鋳型ポリヌクレオチドからの標的配列(例えば、サブユニット配列)の2つ以上のコピーを含むポリヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、増幅することは、環状ポリヌクレオチドを、ランダムプライマーを含む増幅反応混合物に供することを含む。いくつかの場合では、増幅することは、環状ポリヌクレオチドを、それぞれが配列相補性により異なる標的配列に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーを含む増幅反応混合物に供することを含む。いくつかの場合では、増幅することは、環状ポリヌクレオチドを、逆プライマーを含む増幅反応混合物に供することを含む。
【0072】
増幅されたポリヌクレオチドは断片化され、いくつかの場合では断片化されていないポリヌクレオチドと比べて長さが短い、断片化ポリヌクレオチドを産生する。同一の線状鎖状体を起源に持つ2つ以上の断片化ポリヌクレオチドは、同一の結合配列を有することがあるが、異なる5’末端及び/又は3’末端を有し得る(例えば、断片化された末端)。
【0073】
試料からのセルフリーポリヌクレオチドは、DNA、RNA、リボソームRNA(rRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、マイクロRNA(miRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、短干渉RNA(siRNA)、これらのうちのいずれかの断片又はこれらのうちいずれか2つの組合せを含むがこれらに限定されない、種々のポリヌクレオチドのうちいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、試料はDNAを含む。いくつかの実施形態では、試料はセルフリーゲノムDNAを含む。いくつかの実施形態では、試料は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写及びそれらの組合せを含むがこれらに限定されない、プライマーの任意の好適な組合せとDNAポリメラーゼを使用するプライマー伸長反応などによる増幅で産生されたDNAを含む。プライマー伸長反応の鋳型がRNAである場合、逆転写の産物は相補的DNA(cDNA)と称される。プライマー伸長反応で有用なプライマーは、1つ以上の標的に特異的な配列、ランダム配列、部分的にランダムな配列及びそれらの組合せを含むことができる。一般には、試料ポリヌクレオチドは試料中に存在するいずれかのポリヌクレオチドを含むが、これは標的ポリヌクレオチドを含んでも含まなくてもよい。ポリヌクレオチドは一本鎖、二本鎖又はこれらの組合せであってもよい。いくつかの実施形態では、本開示の方法に供されたポリヌクレオチドは一本鎖ポリヌクレオチドであるが、これは二本鎖ポリヌクレオチドの存在下であってもなくてもよい。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは一本鎖DNAである。一本鎖DNA(ssDNA)は、一本鎖形態で単離されるssDNA又は二本鎖形態で単離され、その後本開示の方法の1つ以上のステップの目的のために一本鎖にされるDNAであってもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、抽出ステップなしで、かつ/又は精製ステップなしでその後のステップ(例えば、環状化及び増幅)に供される。例えば、液体試料は抽出ステップなしで細胞を取り除くために処理されて精製体液試料及び細胞試料を産生し、続いて精製された液体試料からDNAを単離してもよい。ポリヌクレオチドの単離のための種々の手順が利用可能であるが、これは例えば沈殿又は基質への非特異的結合、続いて基質を洗浄して結合ポリヌクレオチドを放出することなどによる。ポリヌクレオチドが細胞抽出ステップなしに試料から単離される場合、ポリヌクレオチドはその大部分が、セルフリーDNA及びセルフリーRNAなどの細胞外又は「セルフリー」ポリヌクレオチドであり、死細胞又は損傷した細胞に相当する。かかる細胞の同一性は、腫瘍細胞(例えば、がん検出における)、胎児細胞(例えば、出生前診断における)、移植組織からの細胞(移植不全の早期検出における)又は微生物群集のメンバーなど、由来する細胞又は細胞集団を特徴付けるために使用されてもよい。
【0075】
試料が、例えば試料中の細胞からポリヌクレオチドを抽出するために処理される場合、種々の抽出方法が利用可能である。例えば、核酸は、フェノール、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール又はトリゾール及びTri試薬を含む類似の製剤を使用した有機抽出で精製され得る。抽出技術の他の非限定的な例としては、(1)例えばApplied Biosystems(Foster City,Calif.)から入手可能であるModel 341 DNA Extractorといった自動核酸抽出器の使用の有無にかかわらず、例えばフェノール/クロロホルム有機試薬(Ausubel et al.,1993、本明細書の一部を構成するものとしてその内容全体を援用)を使用した、有機抽出、続いてエタノール沈殿、(2)固定相吸着方法(米国特許第5,234,809号;Walsh et al.,1991、それらそれぞれは本明細書の一部を構成するものとしてそれらの内容全体を援用)並びに(3)典型的には「塩析」方法と称される、塩誘導核酸沈殿方法(Miller et al.,(1988)、本明細書の一部を構成するものとしてその内容全体を援用)が挙げられる。核酸単離及び/又は精製の別の例としては、核酸が特異的に、又は非特異的に結合することができる磁性粒子の使用、続いて磁石を使用してのビーズの単離及びビーズの洗浄とビーズからの核酸の溶出が挙げられる(例えば、本明細書の一部を構成するものとしてその内容全体が援用される米国特許第5,705,628号を参照)。いくつかの実施形態では、試料から不必要なタンパク質を除去させるため、例えばプロテイナーゼK又は他の同様のプロテアーゼによる消化といった酵素消化ステップの後に上記単離方法が行われてもよい。例えば、本明細書の一部を構成するものとしてその内容全体が援用される米国特許第7,001,724号を参照されたい。所望の場合、RNase阻害剤が溶解バッファに加えられてもよい。ある特定の細胞又は試料型については、プロトコールにタンパク質変性ステップ/消化ステップを加えることが望ましい場合がある。精製方法は、DNA、RNA又はその両方を単離することに関してもよい。DNAとRNAとの両方が抽出手順中、又は抽出手順後にともに単離される場合、さらなるステップを利用して一方又はその両方をそれ以外から別々に精製されてもよい。抽出核酸の細画分はまた、例えばサイズ、配列又は他の物理的若しくは化学的特性による精製で産生され得る。最初の核酸単離ステップに加え、例えば過剰な、又は不必要な試薬、反応物又は産物を取り除くために、開示された方法のいずれかのステップ後に核酸の精製が行われ得る。例えば、吸光度(例えば、260nm、280nmでの吸光度及びこれらの比)並びに標識の検出(例えば、サイバーグリーン、サイバーブルー、DAPI、ヨウ化プロピジウム、ヘキスト染色、サイバーゴールド、臭化エチジウムなどの蛍光色素及び挿入剤)などによる、試料中の核酸の量及び/又は純度を決定するための種々の方法が利用可能である。
【0076】
いくつかの場合では、本明細書の方法はポリヌクレオチドからのDNAライブラリの調製を含む。例えば、本明細書の方法は一本鎖DNAライブラリの調製を含む。一本鎖DNAライブラリを調製する任意の好適な方法が、本明細書の方法で使用されてもよい。例えば、一本鎖DNAライブラリを調製する方法は、DNA試料を変性させて複数のssDNAを生成することと、アダプタをssDNA分子の3’末端に連結させること又は非鋳型合成によりssDNA分子の3’末端を伸長させることと、アダプタ又は3’伸長配列に相補的なプライマーを使用し、第2の鎖を合成することと、二本鎖アダプタを伸長産物に連結させることと、第1のアダプタ及び第2のアダプタを標的とするプライマーを使用し、第2の鎖を増幅させること(例えば、PCRを使用)と、シーケンサ上でライブラリを配列決定することとを含む。例えば、一本鎖ライブラリ調製のさらなる方法は、DNA試料を変性させて複数のssDNAを生成することと、アダプタをssDNA分子の3’末端に連結させることと、アダプタに相補的なプライマーを使用し、第2の鎖を合成することと、二本鎖アダプタを伸長産物に連結させることと、第1のアダプタ及び第2のアダプタを標的とするプライマーを使用し、第2の鎖を増幅(例えば、PCRを使用)させることと、必要に応じて捕捉プローブを用いたハイブリダイゼーションを使用して対象領域を濃縮することと、捕捉産物を増幅(例えば、PCRを使用)することと、シーケンサ上でライブラリを配列決定することとを含む。
【0077】
一本鎖ライブラリ調製のさらなる例としては、熱感受性ホスファターゼでDNAを処理し、DNA鎖の5’末端及び3’末端から残留リン酸基を除去するステップ、DNA鎖からのシトシン脱アミノ化に由来するデオキシウラシルの除去、約10ヌクレオチド及び長い3’ビオチン標識スペーサアームを有する5’リン酸化アダプタオリゴヌクレオチドのDNA鎖の3’末端へのライゲーション、ストレプトアビジンビーズ上へのアダプタ連結分子の固定化、Bstポリメラーゼを使用し、アダプタに相補的な5’テールプライマーを使用した鋳型鎖の複製、過剰なプライマーを洗い流すこと、T4 DNAポリメラーゼを使用した3’オーバーハングの除去、平滑末端ライゲーションを使用して第2のアダプタを新しく合成した鎖に結合すること、過剰なアダプタを洗い流すこと、熱変性によりライブラリ分子を放出すること、テールプライマーを使用した増幅によりバーコードを含む全長アダプタ配列を加えること、及び本明細書の一部を構成するものとしてその内容全体が援用されるGansauge et al.2013.Nature Protocols.8(4)737-748に記載されるようにライブラリをシークエンシングすることを含む方法が挙げられる。
【0078】
さらなる実施形態では、本明細書の方法は二本鎖DNAライブラリの調製を含む。二本鎖DNAライブラリを調製する任意の好適な方法が、本明細書の方法で使用されてもよい。例えば、二本鎖DNAライブラリを調製する方法は、シークエンシングアダプタを複数のDNA断片の5’末端及び3’末端に連結することと、シーケンサ上でライブラリをシークエンシングすることとを含む。二本鎖DNAライブラリ調製のさらなる方法は、アダプタをDNA断片の5’末端及び3’末端に連結することと、連結アダプタに相補的なプライマーを使用してPCRにより全長アダプタ配列を連結断片に結合することと、シーケンサ上でライブラリをシークエンシングすることとを含む。さらなる方法は、アダプタをDNA断片の5’末端及び3’末端に連結することと、連結アダプタに相補的なPCRにより連結産物を増幅することと、必要に応じて捕捉プローブを用いたハイブリダイゼーションにより対象領域を濃縮することと、捕捉産物をPCR増幅することと、シーケンサ上でライブラリをシークエンシングすることとを含む。二本鎖ライブラリ調製のさらなる方法は、アダプタをDNA断片の5’末端及び3’末端に連結することと、連結アダプタに相補的なプライマーを使用するPCRにより連結産物を増幅することと、二本鎖PCR産物を環状化すること又は一本鎖PCR産物を変性及び環状化することと、必要に応じて特異的遺伝子を標的とするプライマーを使用するPCRにより対象領域を濃縮することと、シーケンサ上でライブラリをシークエンシングすることとを含む。
【0079】
二本鎖ライブラリ調製のさらなる例としては、各鋳型分子への固有識別子(UID)の割当を含む、Kinde et al.に記載のセーフシークエンシングシステム(本明細書の一部を構成するものとしてその内容全体が援用されるKinde et al.2011.Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,108(23)9530-9535)、UIDファミリーを生成するためのそれぞれ独特にタグ付けされた鋳型分子の増幅及び増幅産物の冗長シークエンシングが挙げられる。さらなる例は、独特のバーコードを用いて単一分子をタグ付けし、環状化し、逆PCRによる複製のために対立遺伝子を標的とし、続いて調製したライブラリをシークエンシングし、存在する対立遺伝子を計数する、Lv et al.に記載の循環単一分子増幅及び差異シークエンシング技術(cSMART)(本明細書の一部を構成するものとしてその内容全体が援用されるLv et al.2015.Clin.Chem.,61(1)172-181)を含む。
【0080】
さらなるライブラリ調製方法では、ある特定の特徴を有するcfDNA断片は抗体を使用して選択される。いくつかの場合では、メチル化又は過剰メチル化されたcfDNA断片は抗体を使用して選択される。続いて、選択されたcfDNA断片は、環状化、一本鎖DNAライブラリ及び二本鎖DNAライブラリを含む本明細書に記載の任意のライブラリ調製方法で使用される。かかる単離されたcfDNA断片をシークエンシングすることで、メチル化又は過剰メチル化などの修飾を含むcfDNAに存在する特徴に関する情報がもたらされる。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、試料からの複数のポリヌクレオチド中のポリヌクレオチドが環状化される。環状化は、ポリヌクレオチドの5’末端を同一のポリヌクレオチドの3’末端に、試料中の別のポリヌクレオチドの3’末端に、又は異なる供給源からのポリヌクレオチド(例えば、オリゴヌクレオチドアダプタなどの人工ポリヌクレオチド)の3’末端に結合することを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドの5’末端は同一のポリヌクレオチドの3’末端に結合される(「自己結合」とも称される)。いくつかの実施形態では、環状化反応の条件は、特定の平均長の環状化ポリヌクレオチドの集団を産生するように、特定の長さの範囲内のポリヌクレオチドの自己結合を促進するために選択される。例えば、環状化反応条件は、約5000、約2500、約1000、約750、約500、約400、約300、約200、約150、約100、約50以下のヌクレオチド長より短いポリヌクレオチドの自己結合を促進するために選択されてもよい。いくつかの実施形態では、50~5000ヌクレオチド、100~2500ヌクレオチド又は150~500ヌクレオチドの長さを有する断片が好ましく、環状化ポリヌクレオチドの平均長がそれぞれの範囲内に存在することになる。いくつかの実施形態では、環状化断片の80%以上が例えば50~200ヌクレオチド長など、50~500ヌクレオチド長である。最適化され得る反応条件としては、結合反応に割り当てられた時間の長さ、種々の試薬の濃度及び結合されるポリヌクレオチドの濃度が挙げられる。いくつかの実施形態では、環状化反応は、環状化前に試料中に存在する断片長さの分布を保持する。例えば、環状化前の試料中の断片長さ及び環状化ポリヌクレオチドの平均値、中央値、最頻値及び標準偏差のうちの1つ以上は、互いに75%、80%、85%、90%、95%以上の範囲内である。
【0082】
いくつかの場合では、自己結合環状化産物を優先的に形成するよりも、1つ以上のアダプタオリゴヌクレオチドが使用され、その結果、試料中の5’末端及び3’末端は1つ以上の介在アダプタオリゴヌクレオチドによって結合されて環状ポリヌクレオチドを形成する。例えば、ポリヌクレオチドの5’末端はアダプタの3’末端に結合されることができ、同一のアダプタの5’末端は同一のポリヌクレオチドの3’末端に結合されることができる。アダプタオリゴヌクレオチドは、少なくともその一部分が既知であり、試料のポリヌクレオチドに結合されることができる配列を含む任意のオリゴヌクレオチドを含む。アダプタオリゴヌクレオチドは、DNA、RNA、ヌクレオチド類似体、非標準ヌクレオチド、標識ヌクレオチド、修飾ヌクレオチド又はそれらの組合せを含むことができる。アダプタオリゴヌクレオチドは、一本鎖、二本鎖又は部分的に二本鎖であり得る。一般には、部分的二本鎖アダプタは、1つ以上の一本鎖領域及び1つ以上の二本鎖領域を含む。二本鎖アダプタは、互いにハイブリダイズされる2つの別々のオリゴヌクレオチド(「オリゴヌクレオチド二本鎖」とも称される)を含むことができ、ハイブリダイゼーションは1つ以上の平滑末端、1つ以上の3’オーバーハング、1つ以上の5’オーバーハング、不適正に組み合わせられた、及び/若しくは不対ヌクレオチドから生じる1つ以上のバルジ、又はこれらの任意の組合せを残すことがある。アダプタの2つのハイブリダイズされた領域が、ハイブリダイズされていない領域によって互いに分離されている場合、「バブル」構造が生じる。異なる種類のアダプタは、異なる配列のアダプタなどを組み合わせて使用されることができる。異なるアダプタは、連続する反応で、又は同時に試料のポリヌクレオチドに結合され得る。いくつかの実施形態では、同一のアダプタが標的ポリヌクレオチドの両端に付加される。例えば、第1のアダプタ及び第2のアダプタは同一の反応に付加され得る。アダプタは、同一の試料ポリヌクレオチドと組み合わせる前に操作され得る。例えば、末端のリン酸は付加又は除去され得る。
【0083】
アダプタオリゴヌクレオチドが使用される場合、アダプタオリゴヌクレオチドは、1つ以上の増幅プライマーのアニーリング配列又はそれらの補体、1つ以上のシークエンシングプライマーのアニーリング配列又はそれらの補体、1つ以上のバーコード配列、複数の異なるアダプタ又は異なるアダプタのサブセットの中で共有される1つ以上の共通配列、1つ以上の制限酵素認識部位、1つ以上の標的ポリヌクレオチドオーバーハングに相補的な1つ以上のオーバーハング、1つ以上のプローブ結合部位(例えば、Illumina,Inc.によって開発されたフローセルなど、大量並行シークエンシングのためのフローセルなどのシークエンシングプラットフォームへの結合のため)、1つ以上のランダム配列又はほぼランダムな配列(例えば、1つ以上の位置で一連の2つ以上の異なるヌクレオチドからランダムに選択された1つ以上のヌクレオチドであり、1つ以上の位置で選択された異なるヌクレオチドのそれぞれが、ランダム配列を含むアダプタのプールで表される)並びにそれらの組合せを含むが、これらに限定されない種々の配列要素のうちの1つ以上を含有することができる。いくつかの場合では、アダプタは、例えば、アダプタに相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドでコーティングされており、ハイブリダイゼーションによって正確なアダプタを用いて閉じたサークルを「捕捉」することができるビーズ(取扱いを容易にするための特に磁性ビーズ)を使用し、アダプタ及び任意の連結されていない構成要素を含有しないそれらのサークルを洗い流し、続いて捕捉されたサークルをビーズから放出することで、アダプタを含有するそれらのサークルを精製するために使用されてもよい。加えて、いくつかの場合では、ハイブリダイズされた捕捉プローブの複合体及び標的サークルを直接使用し、直接ローリングサークル増幅(RCA)などにより鎖状体を産生させることができる。いくつかの実施形態では、サークル内のアダプタもまた、シークエンシングプライマーとして使用され得る。2つ以上の配列要素は互いに隣接していない(例えば、1つ以上のヌクレオチドにより分離される)、互いに隣接している、部分的に重複している、又は完全に重複している可能性がある。例えば、増幅プライマーのアニーリング配列は、シークエンシングプライマーのアニーリング配列としても機能し得る。配列要素は、3’末端又は3’末端近くに、5’末端又は5’末端近くに、又はアダプタオリゴヌクレオチドの内部に配置され得る。配列要素は、約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約15、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3以下のヌクレオチド長以下の任意の好適な長さのものであり得る。アダプタオリゴヌクレオチドは、それらが含まれる1つ以上の配列要素を収容するのに少なくとも十分である、任意の好適な長さを有し得る。いくつかの実施形態では、アダプタは約200、約100、約90、約80、約75、約70、約65、約60、約55、約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約15、約10以下のヌクレオチド長以下である。いくつかの実施形態では、アダプタオリゴヌクレオチドは、例えば約15~35ヌクレオチド長など、約12~40ヌクレオチド長の範囲である。
【0084】
いくつかの実施形態では、1つの試料からの断片化ポリヌクレオチドに結合されたアダプタオリゴヌクレオチドは、全てのアダプタオリゴヌクレオチドに共通する1つ以上の配列及び特定の試料のポリヌクレオチドに結合されたアダプタに固有のバーコードを含み、1つの試料又はアダプタ結合反応を起源に持つポリヌクレオチドと、別の試料又はアダプタ結合反応を起源に持つポリヌクレオチドとを区別するためにバーコード配列が使用され得る。いくつかの実施形態では、アダプタオリゴヌクレオチドは1つ以上の標的ポリヌクレオチドオーバーハングに相補的である5’オーバーハング、3’オーバーハング又はそれら両方を含む。相補的なオーバーハングは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15以上のヌクレオチド長を含むがこれらに限定されない、1つ以上のヌクレオチド長であり得る。相補的なオーバーハングは、固定配列を含んでもよい。アダプタオリゴヌクレオチドの相補的なオーバーハングは、1つ以上のヌクレオチドは1つ以上の位置で一連の2つ以上の異なるヌクレオチドからランダムに選択され、その結果、1つ以上の位置で選択された異なるヌクレオチドのそれぞれが、ランダム配列を含む相補的オーバーハングを有するアダプタのプールで表されるように、1つ以上のヌクレオチドのランダム配列を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アダプタオーバーハングは、制限エンドヌクレアーゼ消化により産生された標的ポリヌクレオチドオーバーハングに相補的である。いくつかの実施形態では、アダプタオーバーハングはアデニン又はチミンからなる。
【0085】
ポリヌクレオチドを環状化するための種々の方法が利用可能である。いくつかの実施形態では、環状化はリガーゼ(例えば、RNAリガーゼ又はDNAリガーゼ)の使用などの酵素反応を含む。Circligase(商標)(Epicentre;Madison,WI)、RNAリガーゼ、T4 RNAリガーゼ1(DNAとRNAの両方で作用するssRNAリガーゼ)を含むがこれらに限定されない、種々のリガーゼが利用可能である。加えて、dsDNA鋳型が存在しない場合にはT4 DNAリガーゼはssDNAにも連結することができるが、これは一般には緩慢な反応である。リガーゼの他の非限定的な例としては、Taq DNAリガーゼ、サームス・フィリフォルミスDNAリガーゼ、大腸菌DNAリガーゼ、TthDNAリガーゼ、サームス・スコトダクタスDNAリガーゼ(I及びII)、熱安定性リガーゼ、Ampligase熱安定性DNAリガーゼ、VanC型リガーゼ、9°N DNAリガーゼ、Tsp DNAリガーゼ及びバイオスペクティングにより発見された新規リガーゼを含むNAD依存リガーゼ;T4 RNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ、T3 DNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼ、Pfu DNAリガーゼ、DNAリガーゼ1、DNAリガーゼIII、DNAリガーゼIV及びバイオスペクティングにより発見された新規リガーゼを含むATP依存リガーゼ;並びに野生型、変異アイソフォーム及び遺伝子操作されたそれらの変異体が挙げられる。自己結合が望ましい場合、ポリヌクレオチド及び酵素の濃度は、分子間構造以外に分子内サークルの形成を促進するために調節され得る。反応温度及び反応時間も同様に調節することができる。いくつかの実施形態では、分子内サークルを促進するために60℃が使用される。いくつかの実施形態では、反応時間は12~16時間である。反応条件は、選択された酵素の製造業者によって指定されたものであってもよい。いくつかの実施形態では、環状化反応後に連結されていないいずれかの核酸を消化するためにエキソヌクレアーゼステップを含むことができる。すなわち、閉じたサークルは遊離5’末端又は3’末端を含有せず、したがって5’エキソヌクレアーゼ又は3’エキソヌクレアーゼの導入は閉じたサークルを消化しないが、連結されていない構成要素を消化する。これは、多重系にて特定の使用を見出すことができる。
【0086】
一般には、ポリヌクレオチドの末端を互いに結合して環状ポリヌクレオチドを形成すること(直接か、1つ以上の中間アダプタオリゴヌクレオチドを用いてかのいずれか)で、結合配列を有する結合部が産生される。ポリヌクレオチドの5’末端及び3’末端がアダプタポリヌクレオチドを介して結合される場合には、「結合部」は、ポリヌクレオチドとアダプタとの間の結合部(例えば、5’末端結合部又は3’末端結合部のうちの一方)、又はアダプタオリゴヌクレオチドにより形成され、かつこれを含むようなポリヌクレオチドの5’末端と3’末端との間の結合部を指す。ポリヌクレオチドの5’末端及び3’末端が介在アダプタなしで結合される場合(例えば、一本鎖DNAの5’末端及び3’末端)、「結合部」は、これらの2つの末端が結合される点を指す。結合部は、結合部を含むヌクレオチドの配列(「結合配列」とも称される)によって同定されてもよい。いくつかの実施形態では、試料は、天然の分解プロセス(細胞溶解、細胞死など、並びにDNAが、細胞からさらに分解される可能性があるその周囲の環境(セルフリーDNA及びセルフリーRNAなどのセルフリーポリヌクレオチド中など)へと放出される他のプロセス)、試料処理(固定、染色及び/又は保存手順など)の副産物である断片化、並びに特定の標的配列に制限されることなくDNAを切断する方法による断片化(例えば、超音波処理などの機械的断片化、DNase Iやフラグメンターゼなどの非配列特異的ヌクレアーゼ処理)によって形成された末端の混合物を有するポリヌクレオチドを含む。試料が末端の混合物を有するポリヌクレオチドを含む場合、2つのポリヌクレオチドが同一の5’末端又は3’末端を有しているという可能性は低く、2つのポリヌクレオチドが同一の5’末端と3’末端の両方を独立して有している可能性は非常に低い。したがって、いくつかの実施形態では、結合部は、2つのポリヌクレオチドが同一の標的配列を有する一部分を含む場合であっても、異なるポリヌクレオチドを区別するために使用されてもよい。ポリヌクレオチド末端が介在アダプタなしで結合される場合には、結合配列は参照配列とアラインメントすることで同定されてもよい。例えば、2つの構成要素配列の順序が参照配列に対して逆転しているように見える場合、逆転が発生しているように見える点は、その点に結合部が存在することを示し得る。ポリヌクレオチド末端が1つ以上のアダプタ配列を介して結合される場合、結合部は既知のアダプタ配列に近接していることで、又は配列読み取りデータが環状化ポリヌクレオチドの5’末端と3’末端の両方から配列を得るのに十分な長さである場合に上記のようにアラインメントされることで同定されてもよい。いくつかの実施形態では、特定の結合部の形成は十分稀な事象であるが、これは試料の環状化ポリヌクレオチドでは独特である。
【0087】
シークエンシング法
いくつかの実施形態によれば、線状及び/又は環状化ポリヌクレオチド(又はそれらの増幅産物であって、これらは必要に応じて濃縮されてもよい)は、シークエンシング反応に供されて配列読み取りデータを生成する。かかる方法で生成された配列読み取りデータは、本明細書に開示の他の方法に従って使用されてもよい。種々のシークエンシング方法論、特にハイスループットシークエンシング方法論が利用可能である。例としては、限定するわけではないが、Illuminaにより製造されたシークエンシングシステム(HiSeq(登録商標)及びMiSeq(登録商標)などのシークエンシングシステム)、Life Technologies(イオントレント(登録商標)、SOLiD(登録商標)など)、Rocheの454 Life Sciences systems、Pacific Biosciences systems、Oxford Nanopore Technologies、ナノボールシークエンシング、ハイブリダイゼーションによるシークエンシング、重合コロニー(POLONY)シークエンシング、ナノグリッドローリングサークルシークエンシング(ROLONY)などが挙げられる。いくつかの実施形態では、シークエンシングは、約50、約75、約100、約125、約150、約175、約200、約250、約300以上の、又は約50超、約75超、約100超、約125超、約150超、約175超、約200超、約250超、約300以上のヌクレオチド長の読み取りデータを生成するためのHiSeq(登録商標)及びMiSeq(登録商標)システムの使用を含む。いくつかの実施形態では、シークエンシングは合成プロセスによるシークエンシングを含み、この場合、成長中のプライマー伸長産物に付加されるときに個々のヌクレオチドは繰り返して同定される。パイロシークエンシングは、シークエンシング反応の副産物、すなわちピロリン酸が存在するかについて、生じた合成混合物をアッセイすることでヌクレオチドの導入を同定する合成プロセスによる配列の一例である。特に、プライマー/鋳型/ポリメラーゼ複合体は、単一型ヌクレオチドと接触する。このヌクレオチドが導入される場合、重合反応は三リン酸鎖のαリン酸とβリン酸との間のヌクレオシド三リン酸を切断し、ピロリン酸を放出する。次に、AMPを用いてピロリン酸をATPに変換する化学発光酵素レポータシステムを使用して放出されたピロリン酸の存在を同定し、続いて測定可能な光標識を産生するルシフェラーゼ酵素を使用してATPを測定する。光が検出される場合には塩基が導入され、光が検出されない場合には塩基が導入されない。適切な洗浄ステップの後、種々の塩基は複合体と周期的に接触し、鋳型配列に続く塩基を結果的に同定する。例えば、米国特許第6,210,891号を参照されたい。
【0088】
関連するシークエンシングプロセスでは、プライマー/鋳型/ポリメラーゼ複合体は基質上に固定され、複合体は標識ヌクレオチドと接触する。複合体の固定化はプライマー配列、鋳型配列及び/又はポリメラーゼ酵素によるものであってもよく、かつ共有結合又は非共有結合によるものであってもよい。例えば、複合体の固定化は、ポリメラーゼ又はプライマーと基質表面との間の結合を介したものであり得る。代替的な構成では、ヌクレオチドは除去可能なターミネータ基を有して、及びこれを有さずにもたらされる。導入時、標識は複合体に連結されており、これによって検出可能である。ターミネータを有するヌクレオチドの場合では、個々に同定可能な標識を有する4つ全ての異なるヌクレオチドは複合体と接触する。標識ヌクレオチドの導入は、ターミネータの存在によって伸長を停止し、標識を複合体に付加し、これによって導入されたヌクレオチドの同定が可能となる。続いて標識及びターミネータは導入されたヌクレオチドから除去され、適切な洗浄ステップの後にプロセスが繰り返される。非転写終結されたヌクレオチドの場合では、標識ヌクレオチドの単一型を複合体に付加し、パイロシークエンシングと同様にこれが導入されているか否かを決定する。ヌクレオチド上の標識基の除去及び適切な洗浄ステップ後に、種々の異なるヌクレオチドは同一プロセスでの反応混合物によって循環する。例えば、あらゆる目的のために本明細書の一部を構成するものとしてその内容全体が援用される米国特許第6,833,246号を参照されたい。例えば、Illumina Genome Analyzer Systemは、DNA分子は、アンカープローブ結合部位(別の場合には、フローセル結合部位とも称される)を介してシークエンシングプラットフォーム(フローセル)に結合され、ガラススライド上でインサイチュにて増幅されるという国際公開第98/44151号に記載の技術に基づいている。DNA分子が増幅される固体表面は、典型的には複数の第1の結合オリゴヌクレオチド及び第2の結合オリゴヌクレオチドを含み、第1の結合オリゴヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドの末端の一方の近くの、又はこの末端の配列に相補的であり、第2の結合オリゴヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドのもう一方の末端の、又はこの末端の配列に相補的である。この配置により、米国特許出願公開第20140121116号に記載されるものなどのブリッジ増幅が可能となる。続いてDNA分子をシークエンシングプライマーにアニーリングし、可逆的ターミネータアプローチを使用して塩基ごとに並行して配列決定する。ブリッジを固定する結合オリゴヌクレオチドのうちの1つの切断部位で二本鎖ブリッジポリヌクレオチドのうち1つの鎖を切断した後にシークエンシングプライマーのハイブリダイゼーションが行われてもよく、これにより、一方の一本鎖は、変性により除去され得る固体基質に結合されていない状態となり、もう一方は結合され、かつシークエンシングプライマーへのハイブリダイゼーションに利用可能な状態となる。典型的には、Illumina Genome Analyzer Systemは8個のチャネルを有するフローセルを利用し、18~36塩基長の配列読み取りデータを生成し、実行ごとに1.3Gbp超の高品質データを生成する(www.illumina.comを参照されたい)。
【0089】
合成プロセスによるなお一層さらなる配列では、異なるように標識されたヌクレオチドの導入は、鋳型依存合成が実行されるときにリアルタイムで観察される。個々の固定化プライマー/鋳型/ポリメラーゼ複合体は、蛍光標識ヌクレオチドが導入されるときに観察されてもよく、これによって付加されたときに付加された塩基それぞれをリアルタイムで同定することが可能となる。このプロセスでは、標識基は、導入中に切断されるヌクレオチドの一部分に結合されてもよい。例えば、標識基を導入中に除去されたリン酸鎖の一部分、すなわちヌクレオシドポリリン酸上のβ、γ又は他の末端リン酸基に結合することで、標識は新生鎖へと導入されず、代わりに天然DNAが産生される。個々の分子の観察は、非常に小さな量の照度の範囲内での複合体の光閉じ込めを含んでもよい。複合体の光閉じ込めにより、非常に短時間の間にランダムに拡散しているヌクレオチドが存在する可能性があるものの、導入されているときに導入されたヌクレオチドがより長い間観察量の範囲内に保持され得る監視領域を作成することができる。こうすることで、付加されている塩基に特徴的であるシグナルプロファイルもまた特徴とする、導入事象に関連する特徴的なシグナルを生じさせることができる。蛍光共鳴エネルギー移動(fluorescent resonant energy transfer、FRET)色素対などの標識構成要素との相互作用にポリメラーゼ又は複合体の他の部分及び導入ヌクレオチドを提供してもよく、この結果、導入事象によって標識成分は相互作用的な近接状態に置かれ、再び生じる特徴的なシグナルが導入されている塩基に特徴的となる(例えば、それぞれが本明細書の一部を構成するものとしてその内容全体に援用される、米国特許第6,917,726号、同7,033,764号、同7,052,847号、同7,056,676号、同7,170,050号、同7,361,466号及び同7,416,844号並びに米国特許出願公開第20070134128号を参照されたい)。
【0090】
いくつかの実施形態では、試料中の核酸はライゲーションによって配列決定され得る。この方法は、例えば、Polony法で、及びSOLiD技術(Applied Biosystems、現在Invitrogen)で使用されるように、標的配列を同定するためにDNAリガーゼ酵素を典型的には使用する。一般には、考えられる全ての固定長のオリゴヌクレオチドのプールが提供され、これらは配列決定された位置に従って標識されている。オリゴヌクレオチドはアニーリングされ、かつ連結されており、配列に一致させるためのDNAリガーゼによる好ましいライゲーションによってその位置で相補的な配列に対応するシグナルが生じる。
【0091】
本開示のシークエンシング法により、例えば対象の疾患の同定(例えば、がん)又は対象が疾患を有する(若しくは発症する)リスク状態にあるかどうかの決定など、種々の用途にとって有用な情報を提供することができる。シークエンシングによって多形領域の配列が提供されてもよい。シークエンシングによって、DNA(例えば、cfDNA)などのポリヌクレオチドの長さが提供されてもよい。さらには、シークエンシングによって、cfDNAなどのDNAの切断点又は末端の配列が提供されてもよい。シークエンシングによって、タンパク質結合部位の境界又はDNase高感受性部位の境界の配列が提供されてもよい。
【0092】
試料
本明細書に記載の種々の方法のいくつかの実施形態では、試料は対象からのものである。対象は、ウシ、ブタ、マウス、ラット、ニワトリ、ネコ、イヌなどを含むがこれらに限定されないいずれかの動物であってもよいが、通常はヒトなどの哺乳動物である。試料ポリヌクレオチドは、多くの場合、例えば核酸を含有する血液試料又は液体試料(例えば、唾液)を含む、組織試料、体液試料又は器官試料などの対象からのセルフリー試料から単離される。いくつかの場合では、試料は細胞を取り除くために処理され、又は細胞抽出ステップなしで単離される(例えば、セルフリーDNAなどのセルフリーポリヌクレオチドを単離するため)。試料供給源の他の例としては、血液、尿、糞便、鼻腔、肺、腸、他の体液若しくは排泄物、これらに由来する物質又はそれらの組合せからのものが挙げられる。いくつかの実施形態では、試料は血液試料又はその一部(例えば、血漿又は血清)である。血清及び血漿は、かかる組織のうち高い悪性細胞死率に関連した腫瘍DNAについては相対的に濃縮されていることから、特に重要なものであり得る。いくつかの実施形態では、単一個体からの試料は、2回繰り返される、3回繰り返される、4回以上繰り返される分析など、本開示の方法に独立して供される複数の別個の試料(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個以上の別個の試料)に分割される。試料が対象からのものである場合、分析下の試料からのコンセンサス配列又は同一の対象の別の試料若しくは組織からのポリヌクレオチドの配列参照配列もまた、対象に由来するものであってもよい。例えば、血液試料はcfDNA変異について分析されてもよいが、参照配列を決定するために別の試料(例えば、頬側試料又は皮膚試料)からの細胞DNAが分析される。
【0093】
ポリヌクレオチドは、任意の好適な方法に従って試料から抽出されてもよい。ポリヌクレオチドの抽出、試料の種類に依存し得る選択、単離される核酸の種類について、種々のキットが利用可能である。本明細書に開示される種々の態様のうちいずれかに関して記載されたものなど、抽出方法の例が本明細書に提供される。一例では、試料はEDTAチューブ(例えば、BDバキュテイナ)中に採取された試料など、血液試料であってもよい。血漿は、遠心分離(例えば、4℃、1900×gにて10分間)による末梢血細胞から分離され得る。6mLの血液試料でこのような方法で実施された血漿分離によって、通常、2.5~3mLの血漿を得られる。製造業者のプロトコールに従ってQIAmp Circulating Nucleic Acid Kit(Qiagene)を使用することで、血漿試料から循環セルフリーDNAを抽出することができる。続いてDNAは、(例えば、High Sensitivity DNA kit(Agilent)を備えたAgilent 2100 Bioanalyzer上で)定量化されてもよい。一例として、健常なヒトからのかかる血漿試料からの血中DNAの収量は血漿1mLあたり1ng~10ngの範囲であり、疾患(例えば、がん)を有する患者の試料ではこれよりも大幅に高い。
【0094】
いくつかの実施形態では、複数のポリヌクレオチドは、セルフリーDNA(cfDNA)、セルフリーRNA(cfRNA)、血中腫瘍DNA(ctDNA)又は血中腫瘍RNA(ctRNA)などのセルフリーポリヌクレオチドを含む。セルフリーDNAは、健常な個体と疾患を有する個体の両方で循環する。セルフリーRNAは、健常な個体と疾患を有する個体の両方で循環する。腫瘍由来のcfDNA(ctDNA)は、任意の特定のがんの種類に限定されないが、これは様々な悪性腫瘍についての共通する所見であるように考えられる。いくつかの測定によれば、血漿の遊離血中DNA濃度はコントロール対象では約14~18ng/mLであり、腫瘍を有する患者では約180~318ng/mLである。アポトーシス細胞死及び壊死性細胞死は、体液中のセルフリー血中DNAに寄与する。例えば、大幅に増大した血中DNAレベルは、前立腺がん患者並びに前立腺肥大症及び前立腺炎などの他の前立腺疾患患者の血漿で観察されている。加えて、血中腫瘍DNAは原発腫瘍が生じる器官を起源に持つ液体中に存在する。したがって、乳がん検出は乳管洗浄液を使用して達成され、結腸直腸がん検出は便を使用して達成され、肺がん検出は痰を使用して達成され、前立腺がん検出は尿又は精液を使用して達成される。セルフリーDNAは、種々の供給源から得ることができる。共通する供給源の1つは対象の血液試料である。ただし、cfDNA又は他の断片化DNAは、種々の他の供給源に由来してもよい。例えば、尿及び便試料は、ctDNAを含むcfDNAの供給源であり得る。セルフリーRNAは、種々の供給源から得ることができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、抽出ステップなしで、かつ/又は精製ステップなしでその後のステップ(例えば、環状化及び増幅)に供される。例えば、液体試料は抽出ステップなしで細胞を取り除くために処理されて精製体液試料及び細胞試料を産生し、続いて精製された液体試料からDNAを単離してもよい。ポリヌクレオチドの単離のための種々の手順が利用可能であるが、これは例えば沈殿又は基質への非特異的結合、続いて基質を洗浄して結合ポリヌクレオチドを放出することなどによる。ポリヌクレオチドが細胞抽出ステップなしに試料から単離される場合、ポリヌクレオチドはその大部分が細胞外又は「セルフリー」ポリヌクレオチドである。例えば、セルフリーポリヌクレオチドはセルフリーDNA(「循環」DNAとも呼ばれる)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、血中DNAは、体液又は排泄物(例えば、血液試料)からなど、腫瘍細胞からの血中腫瘍DNA(ctDNA)である。セルフリーポリヌクレオチドはセルフリーRNA(「循環」RNAとも呼ばれる)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、血中RNAは、腫瘍細胞からの血中腫瘍RNA(ctRNA)である。腫瘍はアポトーシス又は壊死を示すことがあり、この結果、異なる形態で、及び異なるレベルで、種々の機構を通じ、腫瘍の核酸が対象の血流を含む体内へと放出される。典型的には、ctDNAのサイズは、一般には70~200ヌクレオチド長といった高濃度のより小さな断片から、最大で数千キロベースの低濃度の大きな断片の範囲であり得る。
【0096】
がん
本明細書の方法はがんの検出又はがんリスクの検出を提供する。がんの進行度診断は、それぞれのがんの種類がそれ自体の分類系を有する場合にはがんの種類に依存する。がんの進行度診断又は分類系の例は、以下により詳細に記載される。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3-1】
【0100】
【表3-2】
【0101】
【表4】
【0102】
【表5】
【0103】
【表6】
【0104】
【表7】
【0105】
【表8】
【0106】
【表9】
【0107】
【表10】
【0108】
【表11】
【0109】
【表12】
【0110】
【表13】
【0111】
【表14】
【0112】
【表15】
【0113】
【表16】
【0114】
【表17】
【0115】
【表18-1】
【0116】
【表18-2】
【0117】
【表19】
【0118】
【表20】
【0119】
【表21-1】
【0120】
【表21-2】
【0121】
【表22】
【0122】
【表23-1】
【0123】
【表23-2】
【0124】
【表24】
【0125】
【表25-1】
【0126】
【表25-2】
【0127】
【表25-3】
【0128】
【表26】
【0129】
【表27】
【0130】
本明細書で提供される方法により、ある特定の態様では、早期検出がん又は非転移性がんの検出が可能となる。子宮内膜がん本明細書に開示される方法に関連して検出することができるがんの例としては、限定するものではないが、棘細胞腫、腺房細胞癌、聴神経腫、末端黒子型黒色腫、先端汗腺腫、急性好酸球性白血病、急性リンパ性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性単球性白血病、成熟を伴う急性骨髄芽球性白血病、急性骨髄性樹状細胞白血病、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、アダマンチノーマ、腺がん、腺様嚢胞がん、腺腫、腺様歯原性腫瘍、副腎皮質がん、成人性T細胞白血病、アグレッシブNK細胞白血病、AIDS関連がん、AIDS関連白血病、胞巣状軟部肉腫、エナメル上皮線維腫、肛門がん、未分化大細胞型リンパ腫、組織非形成性甲状腺がん、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、血管筋脂肪腫、血管肉腫、虫垂がん、星状細胞腫、非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍、基底細胞がん、基底細胞様がん、B細胞白血病、B細胞リンパ腫、ベリーニ管がん、胆道がん、膀胱がん、芽細胞腫、骨がん、骨腫瘍、脳幹グリオーマ、脳腫瘍、乳がん、ブレンナー腫瘍、気管支腫瘍、細気管支肺胞上皮がん、ブラウン腫瘍、バーキットリンパ腫、原発不明がん、カルチノイド腫瘍、細胞腫、上皮内がん、陰茎がん、原発不明細胞腫、がん肉腫、キャッスルマン病、中枢神経系胎児性腫瘍、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫、子宮頸がん、胆管細胞がん、軟骨腫、軟骨肉腫、脊索腫、絨毛がん、脈絡叢乳頭腫、慢性リンパ性白血病、慢性単球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、慢性好中球性白血病、透明細胞腫瘍、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、デゴス病、隆起性皮膚線維肉腫、類皮嚢胞、線維形成性小円形細胞腫瘍、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、胚芽異形成性神経上皮腫瘍、胚性癌腫、卵黄嚢腫瘍、子宮内膜がん、子宮内膜子宮がん、類子宮内膜腫瘍、腸症関連T細胞リンパ腫、上衣芽腫、上衣腫、類上皮肉腫、赤白血病、食道がん、感覚神経芽腫、ユーイングファミリー腫瘍、ユーイングファミリー肉腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、乳房外パジェット病、卵管がん、封入胎児、線維腫、線維肉腫、濾胞性リンパ腫、濾胞性甲状腺がん、胆嚢がん、胆嚢がん、神経節膠腫、神経節腫、胃がん、胃リンパ腫、胃腸がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、消化管間質腫瘍、胚細胞性腫瘍、胚細胞腫、妊娠性絨毛がん、妊娠性絨毛性腫瘍、骨巨細胞腫、多形神経膠芽腫、神経膠腫、大脳神経膠腫症、グロムス腫瘍、グルカゴン産生腫瘍、性腺芽腫、顆粒膜細胞腫、ヘアリーセル白血病、ヘアリーセル白血病、頭頸部がん、頭頸部がん、心臓がん、血管芽腫、血管外皮腫、血管肉腫、血液系腫瘍、肝細胞がん、肝脾T細胞リンパ腫、遺伝性乳がん卵巣がん症候群、ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、視床下部神経膠腫、炎症性乳がん、眼球内黒色腫、膵島細胞がん、膵島腫瘍、若年性骨髄単球性白血病、カポジ肉腫、カポジ肉腫、腎がん、クラッキン腫瘍、クルーケンベルグ腫瘍、咽頭がん、咽頭がん、悪性黒子由来黒色腫、白血病、白血病、口唇がん及び口腔がん、脂肪肉腫、肺がん、黄体腫、リンパ管腫、リンパ管肉腫、リンパ上皮腫、リンパ性白血病、リンパ腫、マクログロブリン血症、悪性線維性組織球腫、骨原発悪性線維性組織球腫、悪性神経膠腫、悪性中皮腫、悪性末梢神経鞘腫、悪性ラブドイド腫瘍、悪性トリトン腫瘍、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、マスト細胞白血病、縦隔胚細胞腫、縦隔腫瘍、甲状腺髄様がん、髄芽腫、髄芽腫、髄上皮腫、黒色腫、黒色腫、髄膜腫、メルケル細胞がん、中皮腫、中皮腫、原発不明の転移性頸部扁平上皮がん、転移性尿路上皮がん、ミュラー管混合腫瘍、単球性白血病、口腔がん、粘液性腫瘍、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫、多発性骨髄腫、菌状息肉症、菌状息肉症、骨髄異形成疾患、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、骨髄肉腫、骨髄増殖性疾患、粘液腫、鼻腔がん、上咽頭がん、上咽頭がん(Nasopharyngeal carcinoma)、新生物、神経鞘腫、神経芽細胞腫、神経芽細胞腫、神経線維腫、神経腫、結節性メラノーマ、非ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、非黒色腫皮膚がん、非小細胞肺がん、眼腫瘍学、乏突起星細胞腫、乏突起神経膠腫、オンコサイトーマ、視神経鞘髄膜腫、口腔がん、口腔がん、中咽頭がん、骨肉腫、骨肉腫、卵巣がん、卵巣がん、卵巣上皮がん、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、乳房パジェット病、パンコースト腫瘍、膵臓がん、膵臓がん、乳頭様甲状腺がん、乳頭腫、傍神経節腫、副鼻腔悪性腫瘍、副甲状腺がん、陰茎がん、血管周囲類上皮細胞腫瘍、咽頭がん、褐色細胞腫、中間型松果体実質性腫瘍、松果体芽細胞腫、下垂体細胞腫、下垂体腺腫、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍、胸膜肺芽腫、多胎芽腫、Tリンパ芽球性リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性体液性リンパ腫、原発性肝細胞がん、原発性肝臓がん、原発性腹膜がん、原発性神経外胚葉性腫瘍、前立腺がん、腹膜偽粘液腫、直腸がん、腎細胞がん、15番染色体上のNUT遺伝子に関係する気道がん、網膜芽細胞腫、横紋筋腫、横紋筋肉腫、リヒタートランスフォーメーション、仙尾部奇形腫、唾液腺がん、肉腫、神経鞘腫症、脂腺がん、二次腫瘍、セミノーマ、漿液性腫瘍、セルトリ・ライディッヒ細胞腫、性索間質性腫瘍、セザリー症候群、印環細胞がん、皮膚がん、小青色円形細胞腫瘍、小細胞がん、小細胞肺がん、小細胞性リンパ腫、小腸がん、軟部肉腫、ソマトスタチン産生腫瘍、煤イボ、脊髄腫瘍、脊椎腫瘍、脾臓周辺帯リンパ腫、扁平上皮がん、胃がん、表在拡大型黒色腫、原発性神経外胚葉腫瘍、表層上皮性間質性腫瘍、滑膜肉腫、T細胞性急性リンパ性白血病、大顆粒リンパ球白血病、T細胞白血病、T細胞リンパ腫、T細胞性前リンパ球性白血病、奇形腫、終末期リンパ腺がん、精巣がん、莢膜細胞腫、咽頭がん、胸腺がん、胸腺腫、甲状腺がん、腎盂尿管移行上皮がん、移行上皮がん、尿膜管がん、尿道がん、泌尿生殖器腫瘍、子宮肉腫、ブドウ膜黒色腫、膣がん、ヴェルナー・モリソン症候群、いぼ状がん、視神経膠腫、外陰がん、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、ワルチン腫瘍、ウィルムス腫瘍並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0131】
コンピュータシステム
本開示は、本開示の方法を実装するようにプログラムされたコンピュータシステムを提供する。図1は、本開示の方法を実装するようにプログラムされる、それ以外の場合には本開示の方法を実装するように構成されたコンピュータシステム201を示す。コンピュータシステム201は、例えば、対象が疾患(例えば、がん)を有するか、又は疾患を有するリスク状態にあることを決定するための方法など、本開示の方法の種々の態様を調節することができる。
【0132】
コンピュータシステム201は、並列処理のためのシングルコア若しくはマルチコアプロセッサ、又は複数のプロセッサであり得る中央演算装置(central processing unit、CPU、本明細書では「プロセッサ」及び「コンピュータプロセッサ」とも)205を含む。コンピュータシステム201はまた、メモリ又はメモリ位置210(例えば、ランダム・アクセス・メモリ、リードオンリーメモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶装置215(例えば、ハードディスク)、1つ以上の他のシステムと通信するための通信インタフェース220(例えば、ネットワークアダプタ)並びにキャッシュ、他のメモリ、データストレージ及び/又は電子ディスプレイアダプタなどの周辺装置225を含む。メモリ210、記憶装置215、インタフェース220及び周辺装置225は、マザーボードなどの通信バス(実線)によりCPU205と通信する。記憶装置215は、データを記憶するためのデータ記憶装置(又はデータリポジトリ)であり得る。コンピュータシステム201は、通信インタフェース220の支援のもとでコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)230に動作可能に連結され得る。ネットワーク230はインターネット、インターネット及び/若しくはエクストラネット、又はインターネットと通信するイントラネット及び/若しくはエクストラネットであり売る。いくつかの場合では、ネットワーク230は遠隔通信及び/又はデータネットワークである。ネットワーク230は、クラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能にし得る1つ以上のコンピュータサーバを含むことができる。いくつかの場合では、ネットワーク230はコンピュータシステム201の支援のもとで、コンピュータシステム201に連結された装置をクライアント又はサーバとして機能させることができるピアツーピアネットワークを実装することができる。
【0133】
CPU205は、プログラム又はソフトウェアで実装され得る一連の機械可読命令を実行することができる。命令はメモリ210などのメモリ位置に記憶されてもよい。命令はCPU205を対象にすることができるが、これは本開示の方法を実装するように後でプログラムされ、それ以外の場合にはCPU205が本開示の方法を実装するように構成することができる。CPU205により実行される動作の例としては、フェッチ、デコード、実行及びライトバックが挙げられ得る。
【0134】
CPU205は、集積回路などの回路の一部であり得る。システム201の1つ以上の他の構成要素を回路に含むことができる。いくつかの場合では、回路は特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0135】
記憶装置215は、ドライバ、ライブラリ及び保存済みプログラムなどのファイルを記憶することができる。記憶装置215は、例えばユーザの嗜好やユーザプログラムといったユーザデータを記憶することができる。いくつかの場合では、コンピュータシステム201は、イントラネット又はインターネットによりコンピュータシステム201と通信するリモートサーバ上に配置されるなど、コンピュータシステム201の外部にある1つ以上のさらなるデータ記憶装置を含むことができる。
【0136】
コンピュータシステム201は、ネットワーク230により1つ以上のリモートコンピュータシステムと通信することができる。例えば、コンピュータシステム201は、ユーザ(例えば、医療提供者又は患者)のリモートコンピュータシステムと通信することができる。リモートコンピュータシステムの例としては、パーソナルコンピュータ(例えば、ポータブルPC)、スレートPC若しくはタブレットPCのリモートコンピュータシステム(例えば、Apple(登録商標)のiPad,Samsung(登録商標)のGalaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)のiPhone、Android対応デバイス、Blackberry(登録商標))又は携帯情報端末が挙げられる。ユーザはネットワーク230を介してコンピュータシステム201にアクセスすることができる。
【0137】
本明細書に記載の方法は、例えばメモリ210又は電子記憶装置215上などのコンピュータシステム201の電子記憶位置上に記憶された機械(例えば、コンピュータプロセッサ)実行可能コードによって実装することができる。機械実行可能コード又は機械可読コードは、ソフトウェア形態で提供されることができる。使用中、コードはプロセッサ205によって実行されることができる。いくつかの場合では、コードは、記憶装置215から取得することができ、プロセッサ205による準備が整っているアクセスのためにメモリ210上に保存され得る。いくつかの状況では、電子記憶装置215を排除することができ、機械実行可能命令はメモリ210上に記憶される。
【0138】
コードを実行するように適合されたプロセッサを有する機械を用いて使用するために、コードを事前コンパイル及び構成することができる、又は実行時間中にコンパイルすることができる。コードは、事前コンパイル方式で、又はコンパイル方式の通りにコードを実行するために選択することができるプログラミング言語で提供され得る。
【0139】
コンピュータシステム201などの本明細書に提供されるシステム及び方法の態様は、プログラミングで実装され得る。技術の種々の態様は、典型的には、機械可読媒体のタイプで実行又は実装される機械(又はプロセッサ)実行可能コード及び/又は関連データの形態である「製品」又は「製造品」と考えることができる。機械実行可能コードは、メモリ(例えば、リードオンリーメモリ、ランダム・アクセス・メモリ、フラッシュメモリ)又はハードディスクなどの電子記憶装置に記憶されることができる。「記憶」型媒体は、種々の半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブなど、コンピュータ、プロセッサなどの、若しくはそれらの関連モジュールの有形メモリのうちのいずれか又はそれら全てを含むことができるが、これはソフトウェアプログラミングのためにいつでも非一時的な記憶を提供することができる。ソフトウェアの全て又はその一部は、続けてインターネット又は種々の他の遠隔通信ネットワークによって通信されてもよい。かかる通信は例えば、管理サーバ又はホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラットフォームになど、例えばあるコンピュータ又はプロセッサから別のものへのソフトウェアのローディングが可能である。したがって、ソフトウェア要素が有し得る別の種類の媒体は、有線及び光ケーブルネットワークによる、及び種々のエアーリンクにわたるローカルデバイス間の物理的インタフェースを介して使用される光波、電波及び電磁波を含む。有線接続又は無線接続、光リンクなど、かかる波を運ぶ物理的要素は、ソフトウェアを有する媒体であると考えられる。本明細書で使用される場合、非一時的な有形「記憶」媒体に限定されない限り、コンピュータ又は機械「可読媒体」といった用語は、実行のための命令をプロセッサに提供することに関係する任意の媒体を指す。
【0140】
したがって、コンピュータ実行可能コードなどの機械可読媒体は、有形物記憶媒体、搬送波媒体又は物理伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態を採用してもよい。不揮発性記憶媒体としては、例えば任意のコンピュータの記憶装置のうちいずれかなどの光学ディスク若しくは磁気ディスク、又は図面に示されるデータベースなどを実装するために使用されるものなどが挙げられる。揮発性記憶媒体としては、かかるコンピュータプラットフォームのメインメモリなどの動的メモリが挙げられる。有形物伝送媒体としては同軸ケーブルが挙げられ、例えばコンピュータシステム内のバスを含むワイヤを含む銅線及び光ファイバーである。搬送波伝送媒体は、電気信号若しくは電磁気信号の形態、又は無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成されたものといった音波若しくは光波の形態を採用してもよい。したがってコンピュータ可読媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVD又はDVD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙カード、穴のパターンを有する任意の他の物理的記憶媒体、RAM、ROM、PROM及びEPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップ若しくはカートリッジ、搬送波伝送データ若しくは命令、こうした伝送波を伝送するケーブル若しくはリンク、又はコンピュータがプログラミングコード及び/若しくはデータを読み取り得る任意の他の媒体が挙げられる。これらのコンピュータ可読媒体の形態の多くは、実行のために1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスをプロセッサに伝えることに関与してもよい。
【0141】
コンピュータシステム201は、例えば本開示の方法の結果を提供するためのユーザインタフェース(UI)240を含む電子ディスプレイ235を含むか、これと通信することができる。UIの例には、限定するものではないが、グラフィカルユーザインタフェース(graphical user interface、GUI)及びウェブベースのユーザインタフェースが含まれる。
【0142】
本開示の方法及びシステムは、1つ以上のアルゴリズムによって実装され得る。アルゴリズムは、中央演算装置205による実行時にソフトウェアによって実装され得る。アルゴリズムは例えばサポートベクターマシン又はニューラルネットワークなどの学習アルゴリズム(又は訓練された機械学習アルゴリズム)であり得る。
【実施例
【0143】
以下の実施例は、本発明の種々の実施形態を例示する目的で与えられており、いかなる様式であっても本発明を限定しようとするものではない。本実施例は、本明細書に記載の方法とともに好ましい実施形態の現時点での代表例であり、例示的なものであり、かつ本発明の範囲を限定しようとするものではない。特許請求の範囲によって定義される本発明の精神の範囲内に包含されるこの中の変更及び他の使用は当業者には想起されるものであろう。
【0144】
実施例1:選択的シークエンシングのための方法
対象から生体試料を得て、試料からセルフリー核酸を単離する。メチル化核酸に特異的に結合する抗体を使用し、メチル化配列を有する核酸とメチル化配列を有さない核酸とを分離する。抗体に結合された核酸を抗体から精製し、続いて環状化及び配列決定し、それによってメチル化配列を有する対象のセルフリー核酸の配列を得る。
【0145】
本明細書には本発明の好ましい実施形態が示され、説明されているが、かかる実施形態は例としてのみ提供されることは当業者には明らかとなるであろう。当業者にとっては、多数の変形、変更及び置換が本明細書から逸脱することがない限り、ここで行われる。本明細書に説明されている実施形態に対する種々の代替形態が利用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は発明の範囲を定義するものであり、これらの特許請求の範囲内の方法及び構造並びにこれらの同等物を、この範囲によって包含することを意図している。
図1
【国際調査報告】