(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(54)【発明の名称】光学スタック
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20230913BHJP
G02F 1/1335 20060101ALN20230913BHJP
G02F 1/13363 20060101ALN20230913BHJP
【FI】
G02B5/30
G02F1/1335 510
G02F1/13363
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513280
(86)(22)【出願日】2021-07-29
(85)【翻訳文提出日】2023-02-24
(86)【国際出願番号】 IB2021056936
(87)【国際公開番号】W WO2022043791
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ハーグ,アダム ディー.
(72)【発明者】
【氏名】パク,サン-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】デンカー,マーティン イー.
【テーマコード(参考)】
2H149
2H291
【Fターム(参考)】
2H149AA02
2H149AB01
2H149BA02
2H149BA04
2H149BA22
2H149DA05
2H149EA02
2H149EA10
2H149FD10
2H291FA22X
2H291FA25X
2H291FA27X
2H291FA28X
2H291FA30X
2H291FD09
2H291FD12
2H291PA42
(57)【要約】
光学スタックが、反射偏光子、吸収偏光子、及び半波リターダを含む。半波リターダは、反射偏光子と吸収偏光子との間に配置される。実質的に垂直な入射光及び第1の偏光状態に対して、反射偏光子は、カットオフ波長よりも小さい少なくとも第1の波長に対して入射光の少なくとも約60%を反射し、カットオフ波長よりも大きい少なくとも第2の波長に対して入射光の少なくとも約50%を透過させる。実質的に垂直な入射光に対して、半波リターダは、第1の波長における約250ナノメートル(nm)よりも小さい第1の位相差と、第2の波長における第2の位相差とを有する。第1の波長に対応する第1の半波位相差からの第1の位相差のずれが、第2の波長に対応する第2の半波位相差からの第2の位相差のずれよりも小さい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する透過軸及び反射軸を有する反射偏光子と、
吸収偏光子と、
前記反射偏光子と前記吸収偏光子との間に配置された半波リターダと、を備え、実質的に垂直な入射光に対して、
第1の偏光状態に対して、前記反射偏光子が、カットオフ波長を有する透過帯域を含み、前記反射偏光子が、前記カットオフ波長よりも小さい少なくとも第1の波長に対して前記入射光の少なくとも約60%を反射し、前記カットオフ波長よりも大きい少なくとも第2の波長に対して前記入射光の少なくとも約50%を透過させ、
直交する第2の偏光状態に対して、前記反射偏光子が、前記少なくとも第1の波長及び第2の波長のそれぞれに対して前記入射光の少なくとも70%を透過させ、
前記半波リターダが、前記第1の波長における約250ナノメートル(nm)よりも小さい第1の位相差と、前記第2の波長における第2の位相差とを有し、前記第1の波長に対応する第1の半波位相差からの前記第1の位相差のずれが、前記第2の波長に対応する第2の半波位相差からの前記第2の位相差のずれよりも小さく、
前記第1の偏光状態に対して、前記吸収偏光子が、前記第1の波長における第1の透過率を有し、前記第2の波長におけるより大きい第2の透過率を有するようになっている、光学スタック。
【請求項2】
前記半波リターダとは反対側で前記反射偏光子の下に配置された表示パネルを更に備え、前記表示パネルが、最小波長と最大波長との間に青色半値全幅(FWHM)が規定された青色発光スペクトルを含む表示光を放出するように構成され、前記最小波長が、前記反射偏光子の前記透過帯域の前記カットオフ波長よりも小さい、請求項1に記載の光学スタック。
【請求項3】
前記反射偏光子の前記透過帯域の前記カットオフ波長が、前記青色FWHMの前記最大波長よりも小さい、請求項2に記載の光学スタック。
【請求項4】
前記反射偏光子の前記透過帯域の前記カットオフ波長が、前記青色FWHMの前記最大波長よりも大きい、請求項2に記載の光学スタック。
【請求項5】
前記反射偏光子の前記透過帯域の前記カットオフ波長が、約550nmよりも小さく、約450nmよりも大きい、請求項1に記載の光学スタック。
【請求項6】
前記反射偏光子が、合計で少なくとも40個に達する交互する複数の第1のポリマー層及び第2のポリマー層を含み、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層がそれぞれ、約350nmよりも小さい平均厚さを有する、請求項1に記載の光学スタック。
【請求項7】
前記第2の位相差が、約200nmよりも大きく、前記吸収偏光子の前記第1の透過率が、少なくとも約60%である、請求項1に記載の光学スタック。
【請求項8】
最小波長と最大波長との間に青色半値全幅(FWHM)が規定された青色発光スペクトルを含む表示光を放出するように構成された表示パネルと、
前記表示パネルから前記表示光を受けて、前記表示光の一部分を反射された偏光として反射するように構成された反射偏光子であって、互いに直交する透過軸及び反射軸を有する反射偏光子と、
吸収偏光子と、
前記反射偏光子と前記吸収偏光子との間に配置された半波リターダと、を備え、実質的に垂直な入射光に対して、
第1の偏光状態に対して、前記反射偏光子が、前記表示パネルの前記青色発光スペクトルの前記最小波長よりも大きいカットオフ波長を有する透過帯域を含み、前記反射偏光子が、前記カットオフ波長よりも小さい少なくとも第1の波長に対して前記入射光の少なくとも約60%を反射し、前記カットオフ波長よりも大きい少なくとも第2の波長に対して前記入射光の少なくとも約50%を透過させ、
直交する第2の偏光状態に対して、前記反射偏光子が、前記少なくとも第1の波長及び第2の波長のそれぞれに対して前記入射光の少なくとも70%を透過させ、
前記半波リターダが、前記第1の波長における約250nmよりも小さい第1の位相差と、前記第2の波長における第2の位相差とを有し、前記第1の波長に対応する第1の半波位相差からの前記第1の位相差のずれが、前記第2の波長に対応する第2の半波位相差からの前記第2の位相差のずれよりも小さく、
前記第1の偏光状態に対して、前記吸収偏光子が、前記第1の波長における第1の透過率を有し、前記第2の波長におけるより大きい第2の透過率を有するようになっている、光学スタック。
【請求項9】
前記最小波長が、約430nmよりも大きく、前記最大波長が、約480nmよりも小さく、前記反射偏光子の前記透過帯域の前記カットオフ波長が、前記青色FWHMの前記最大波長よりも小さい、請求項8に記載の光学スタック。
【請求項10】
前記反射偏光子の前記透過帯域の前記カットオフ波長が、前記青色FWHMの前記最大波長よりも大きい、請求項8に記載の光学スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して光学スタックに関し、特にバックライト用の光学スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
バックライトでは、光を再利用し、ディスプレイの最終的な効率及び輝度を高めるために、反射偏光子が一般に使用される。更に、液晶モジュールによる適切な変調のために光を偏光させるために、液晶モジュールと共に吸収偏光子などが使用される。いくつかの製造プロセスでは、ロール形態の反射偏光子が、横方向(すなわち、ロールの幅方向)に反射軸(すなわち、ブロック軸又は遅相軸)を有することがある。ロール形態の吸収偏光子が、ロールの長さ方向に沿う吸収軸を有することがある。場合によっては、光学スタック内で反射偏光子の反射軸と吸収偏光子の吸収軸とを位置合わせすることが望ましいことがある。従来の製造プロセスでは、偏光子のロールの一方又は両方が切断及び回転され、製造時間及びプロセス費用を追加する。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様では、本開示は、光学スタックを提供する。光学スタックは、反射偏光子、吸収偏光子、及び半波リターダを含む。反射偏光子は、互いに直交する透過軸及び反射軸を有する。半波リターダは、反射偏光子と吸収偏光子との間に配置される。実質的に垂直な入射光及び第1の偏光状態に対して、反射偏光子は、カットオフ波長を有する透過帯域を含む。反射偏光子は、カットオフ波長よりも小さい少なくとも第1の波長に対して入射光の少なくとも約60%を反射し、カットオフ波長よりも大きい少なくとも第2の波長に対して入射光の少なくとも約50%を透過させる。実質的に垂直な入射光及び直交する第2の偏光状態に対して、反射偏光子は、少なくとも第1の波長及び第2の波長の各々に対して入射光の少なくとも70%を透過させる。実質的に垂直な入射光に対して、半波リターダは、第1の波長における約250ナノメートル(nm)よりも小さい第1の位相差と、第2の波長における第2の位相差とを有する。第1の波長に対応する第1の半波位相差からの第1の位相差のずれが、第2の波長に対応する第2の半波位相差からの第2の位相差のずれよりも小さい。実質的に垂直な入射光及び第1の偏光状態に対して、吸収偏光子は、第1の波長における第1の透過率を有し、第2の波長におけるより大きい第2の透過率を有する。
【0004】
第2の態様では、本開示は、別の光学スタックを提供する。光学スタックは、表示パネル、反射偏光子、吸収偏光子、及び半波リターダを含む。表示パネルは、最小波長と最大波長との間に青色半値全幅(FWHM)が規定された青色発光スペクトルを含む表示光を放出するように構成される。反射偏光子は、表示パネルから表示光を受けて、表示光の一部分を反射された偏光として反射するように構成される。反射偏光子は、互いに直交する透過軸及び反射軸を有する。半波リターダは、反射偏光子と吸収偏光子との間に配置される。実質的に垂直な入射光及び第1の偏光状態に対して、反射偏光子は、表示パネルの青色発光スペクトルの最小波長よりも大きいカットオフ波長を有する透過帯域を含む。反射偏光子は、カットオフ波長よりも小さい少なくとも第1の波長に対して入射光の少なくとも約60%を反射し、カットオフ波長よりも大きい少なくとも第2の波長に対して入射光の少なくとも約50%を透過させる。実質的に垂直な入射光及び直交する第2の偏光状態に対して、反射偏光子は、少なくとも第1の波長及び第2の波長の各々に対して入射光の少なくとも70%を透過させる。実質的に垂直な入射光に対して、半波リターダは、第1の波長における約250nmよりも小さい第1の位相差と、第2の波長における第2の位相差とを有する。第1の波長に対応する第1の半波位相差からの第1の位相差のずれが、第2の波長に対応する第2の半波位相差からの第2の位相差のずれよりも小さい。実質的に垂直な入射光及び第1の偏光状態に対して、吸収偏光子は、第1の波長における第1の透過率を有し、第2の波長におけるより大きい第2の透過率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
以下の図と共に以下の「発明を実施するための形態」を検討することで、本明細書に開示する例示的実施形態は、より完全に理解することができる。図は、必ずしも原寸に比例して描かれているとは限らない。図面で使用されている同様の番号は同様の構成要素を示す。しかし、所与の図内で構成要素を示すための番号の使用は、同じ番号で示されている別の図内の構成要素を限定することを意図していないことが理解されよう。
【
図1】本開示の一実施形態による光学スタックの展開された上面斜視模式図である。
【
図2】
図1の光学スタックの展開された正面模式図である。
【
図3】本開示の一実施形態による光学スタックの半波リターダの模式図である。
【
図4】本開示の一実施形態による反射偏光子の詳細な模式図である。
【
図5】本開示の一実施形態による透過帯域を有する反射偏光子について波長に対する透過率を示すグラフである。
【
図6】本開示の別の実施形態による他の透過帯域を有する反射偏光子について波長に対する透過率を示すグラフである。
【
図7】本開示の一実施形態による光学スタックの半波リターダの模式図である。
【
図8】本開示の一実施形態による半波リターダについて波長に対する位相差を示すグラフである。
【
図9】本開示の一実施形態による半波リターダについて波長に対する位相差のずれを示すグラフである。
【
図10】本開示の一実施形態による光学スタックの吸収偏光子の模式図である。
【
図11】本開示の一実施形態による吸収偏光子について波長に対する透過率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の説明では、説明の一部を形成する添付図面を参照し、それらの図面には様々な実施形態が実例として示されている。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想定され、実施され得ることを理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されないものとする。
【0007】
本開示は、光学スタックに関する。光学スタックは、コンピュータモニタ、テレビ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ウェアラブルデバイス、及び他の携帯デバイスなど、ディスプレイを組み込んだ電子デバイスのバックライトに使用され得る。典型的な光学スタックが、反射偏光子及び吸収偏光子を含む。
【0008】
従来の製造プロセス及び従来の材料選択では、反射偏光子が、反射軸(反射偏光子によって優先的に反射される偏光状態に平行な軸)が反射偏光子の幅方向に沿うように延伸される。更に、従来の吸収偏光子が通常、機械方向に位置合わせされ、その結果、吸収軸が、吸収偏光子の長さに実質的に沿う。よって、従来の製造プロセスでは、互いに直交するように向けられた透過軸を有する反射偏光子及び吸収偏光子のロールがもたらされる。したがって、その透過軸が位置合わせされた吸収偏光子及び反射偏光子を有するシートを提供するために、コストのかかる変換ステップが必要となることがある。一般に、シート-ロール積層プロセスでは、反射偏光子は、透過軸を位置合わせするために、切断され、90度回転される。このプロセスは、時間がかかり、高価であり、時として、変換ステップは、欠陥が導入される機会を増加させることもあり、光学スタックの歩留まり又は使用可能な部分を少なくすることがある。したがって、追加の製造時間及びプロセス費用を節約するために、光学スタック内で反射偏光子の反射軸と吸収偏光子の吸収軸とを位置合わせすることが望ましいことがある。
【0009】
いくつかの設計では、半波リターダが、反射偏光子と吸収偏光子との間に配置される。半波リターダは、反射偏光子の透過軸に対して実質的に45度に向けられた遅相軸を有し得る。半波リターダは、反射偏光子の反射軸と吸収偏光子の吸収軸とを位置合わせするように、反射偏光子と吸収偏光子との間で直線偏光を90度回転させ得る。しかし、半波リターダの組み込みにより、色ずれ、又は光学スタック内の様々な視野角における他のアーチファクトを最小限にするために、全ての可視波長に対して直線偏光を一様に回転させるという困難が課されることがある。色ずれは、従来の半波リターダにおける光の非線形波長依存性の変調に起因し得る。これらの場合のいくつかでは、色ずれを低減するために、アクロマティック半波リターダを作製するために特殊な材料が使用される。しかし、アクロマティック半波リターダでさえ、直線偏光の変換においていくらかの色収差を示すことがある。更に、アクロマティック半波リターダを利用することで、光学スタックの全体コストが著しく増加することもある。
【0010】
本開示は、反射偏光子、吸収偏光子、及び半波リターダを含む、光学スタックに関する。本開示の反射偏光子は、互いに直交する透過軸及び反射軸を有する。半波リターダは、反射偏光子と吸収偏光子との間に配置される。実質的に垂直な入射光及び第1の偏光状態に対して、本開示の反射偏光子は、カットオフ波長を有する透過帯域を含む。第1の偏光状態に対して、反射偏光子は、カットオフ波長よりも小さい少なくとも第1の波長に対して入射光の少なくとも約60%を反射し、カットオフ波長よりも大きい少なくとも第2の波長に対して入射光の少なくとも約50%を透過させる。実質的に垂直な入射光及び直交する第2の偏光状態に対して、反射偏光子は、少なくとも第1の波長及び第2の波長の各々に対して入射光の少なくとも70%を透過させる。
【0011】
更に、本開示の半波リターダは、実質的に垂直な入射光に対して、半波リターダが第1の波長における約250ナノメートル(nm)よりも小さい第1の位相差と、第2の波長における第2の位相差とを有するように設計される。第1の波長に対応する第1の半波位相差からの第1の位相差のずれが、第2の波長に対応する第2の半波位相差からの第2の位相差のずれよりも小さい。
【0012】
反射偏光子の透過帯域のカットオフ波長よりも小さい波長における半波リターダのそのような最適化により、色ずれなどの光学アーチファクトが低減され得る。具体的に、本開示の反射偏光子と半波リターダとの組み合わせは、色ずれの低減に際して改善された性能を示し得る。更に、そのような方法で最適化された半波リターダが、従来のアクロマティック半波リターダと比較して、製造がより容易かつ安価であり得る。
【0013】
ここで
図1及び
図2を参照すると、本開示の実施形態による光学スタック100が示されている。光学スタック100は、反射偏光子102、半波リターダ104、吸収偏光子106、及び表示パネル108を含む。いくつかの実施形態では、反射偏光子102、半波リターダ104、吸収偏光子106、及び表示パネル108は、互いに実質的に同一の広がり、又は同一の面内寸法(すなわち、長さ及び幅)を有する。
【0014】
光学スタック100は、互いに直交するx軸、y軸、及びz軸を規定する。x軸及びy軸は、光学スタック100の面内軸である一方、z軸は、光学スタック100の厚さに沿って配置された横断軸である。言い換えれば、x軸及びy軸は、光学スタック100の平面に沿って配置される一方、z軸は、光学スタック100の平面に垂直である。反射偏光子102、半波リターダ104、吸収偏光子106、及び表示パネル108は、光学スタック100のz軸に沿って互いに隣接して配置される。
【0015】
いくつかの実施形態では、光学スタック100の反射偏光子102、半波リターダ104、及び吸収偏光子106は、互いに光学的に接触していてもよい。いくつかの実施形態では、光学スタック100の反射偏光子102、半波リターダ104、及び吸収偏光子106は、感圧接着剤、光学的に透明な接着剤、紫外線(UV)硬化性接着剤、若しくはポリビニルアルコール系接着剤、積層、又は任意の他の取り付け機構のうちの1つ以上によって取り付けられる。
【0016】
反射偏光子102は、互いに直交する透過軸122及び反射軸124を有する。反射偏光子102は、1つ以上のノッチ又はバンドを有するノッチ付き反射偏光子であってもよい。反射偏光子102は、ワイヤグリッド偏光子又は多層複屈折反射偏光子を含む、任意の好適な反射偏光子であってもよい。図示の実施形態では、反射偏光子102は、反射偏光子102のx軸に概ね沿った透過軸122と、y軸に概ね沿った反射軸124とを有し得る。反射偏光子102は、第1の主面112と、第1の主面112とは反対側の第2の主面114とを更に有する。いくつかの実施形態では、反射偏光子102の第1及び第2の主面112、114はそれぞれ、実質的に平面状であってもよく、x-y平面に沿って配置されてもよい。
【0017】
半波リターダ104は、反射偏光子102と吸収偏光子106との間に配置される。半波リターダ104は、第1の主面116と、第1の主面116とは反対側の第2の主面118とを有する。いくつかの実施形態では、半波リターダ104の第1及び第2の主面116、118はそれぞれ、実質的に平面状であってもよく、x-y平面に沿って配置されてもよい。
図2に示す実施形態では、吸収偏光子106は、半波リターダ104の第1の主面116に隣接して配置される。更に、半波リターダ104の第2の主面118は、反射偏光子102の第1の主面112に隣接して配置される。一般に、半波リターダ104は、複屈折材料の層を含む。いくつかの実施形態では、半波リターダ104は、半波シクロオレフィンポリマー(COP)リターダを含む。いくつかの実施形態では、半波リターダ104は、複屈折材料の2つの層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、半波リターダ104は、2つの材料、すなわち、正の複屈折材料及び負の複屈折材料のブレンドであってもよい。いくつかの実施形態では、半波リターダ104は、2つの層であって、一方の層が、直線偏光を実質的に15度だけ回転させ得、別の層が、直線偏光を実質的に75度だけ回転させ得る、2つの層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、半波リターダ104は、非アクロマティック半波リターダであり、すなわち、半波リターダ104の位相差が、可視波長範囲の少なくとも一部分にわたって理想的な半波位相差から実質的にずれる。一般に、理想的な半波リターダの位相差からのアクロマティック半波リターダの位相差のずれが、理想的な半波リターダの位相差からの非アクロマティックリターダの位相差のずれよりも小さい。更に、非アクロマティック半波リターダの位相差は、一般に、より低い波長での位相差と比較して、より高い波長で同じか又は小さい。一方、アクロマティック半波リターダの位相差は、一般に、より高い波長で増加する。
【0018】
半波リターダ104は、反射偏光子102の透過軸122に対して実質的に45度に向けられた遅相軸126を有する。本出願の目的では、実質的に45度と実質的に135度の向きが、透過軸122の双方向性をふまえて、実質的に等しいとみなされ得る。実質的に45度とは、正確に45度に限定されないことも理解され得、代わりに、軸の位置合わせは、45度の10度以内、5度以内、又は1度以内であり得る。位置合わせは、場合によっては、製造性(例えば、誤差許容範囲)と光学性能との間でトレードオフになることがあり、適切なバランスが、用途属性に応じて決定される。
【0019】
表示パネル108は、半波リターダ104とは反対側で反射偏光子102の下に配置される。
図2に示す実施形態では、表示パネル108は、反射偏光子102の第2の主面114に隣接して配置される。いくつかの実施形態では、表示パネル108は、有機発光ダイオード(OLED)表示パネルを含む。いくつかの実施形態では、反射偏光子102と表示パネル108との間に1/4波リターダ(不図示)が配置されてもよい。1/4波リターダは、表示パネル108からの周囲反射を低減するために、円偏光を生成するために使用され得る。いくつかの他の実施形態では、表示パネル108は、液晶表示(LCD)パネルを含む。
【0020】
吸収偏光子106は、反射偏光子102とは反対側で半波リターダ104上に配置され得る。
図2に示す実施形態では、吸収偏光子106の底面120が、半波リターダ104の第1の主面116に配置される。吸収偏光子106は、反射偏光子102の透過軸122に対して実質的に90度、かつ半波リターダ104の遅相軸126に対して実質的に45度(又は135度)に向けられた透過軸128を有する。図示の実施形態では、吸収偏光子106の透過軸128は、y軸に概ね沿って配置される。吸収偏光子106は、ポリマー材料などの任意の好適な材料を含み得る。いくつかの実施形態では、吸収偏光子106は、ポリビニルアルコールを含んでもよい。いくつかの実施形態では、吸収偏光子106は、偏光用又は二色性染料を含む、偏光要素を含んでもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、光学スタック100は、拡散層、転向層、又は基材層など、追加の又は中間のフィルム、層、若しくは構成要素を含んでもよい。光学スタック100は、全体として、所望の用途属性に基づく任意の好適な厚さであり得る。
【0022】
表示パネル108は、表示光10を放出するように構成される。反射偏光子102は、表示パネル108から表示光10を受け、表示光の一部分を反射された偏光12として反射するように構成される。表示光10は一般に、偏光されていない。しかし、場合によっては、表示光10は、少なくとも部分的に偏光された光であってもよい。説明のために、表示光10は、未知又は任意の偏光状態若しくは偏光状態の分布を有する光として扱われ得る。反射された偏光12は一般に、反射偏光子102の反射軸124(すなわち、y軸)に沿って偏光される。したがって、反射された偏光12は、y軸に沿って第1の偏光状態を有し得る。反射偏光子102は、反射偏光子102の透過軸122(すなわち、x軸)に平行な直交する第2の偏光状態を有する第1の透過光14を透過させる。
【0023】
半波リターダ104は、反射偏光子102から第1の透過光14を受ける。半波リターダ104は、偏光された第1の透過光14の偏光の少なくとも一部分を、直交偏光された第2の透過光16に回転又は変調させるように構成される。したがって、第2の透過光16は、第1の偏光状態を有し得る。吸収偏光子106は、半波リターダ104から第2の透過光16を受け、第2の透過光16の少なくとも一部分を第1の偏光状態を有する出力光18として放出する。
【0024】
図3及び
図4は、反射偏光子102を示す。反射偏光子102は、ポリマー反射偏光子、ワイヤグリッド反射偏光子、及び拡散反射偏光子のうちの1つ以上を含んでもよい。
図4に示すように、反射偏光子102は、交互する複数の第1のポリマー層302及び第2のポリマー層304を含む。いくつかの実施形態では、交互する複数の第1及び第2のポリマー層302、304は、合計で少なくとも40層に達する。いくつかの他の実施形態では、交互する複数の第1及び第2のポリマー層302、304は、合計で少なくとも50層、少なくとも75層、少なくとも90層、少なくとも95層、又は少なくとも100層に達する。第1及び第2のポリマー層302、304は各々、z軸に沿った平均厚さ「T」を規定する。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリマー層302、304は各々、約350nmよりも小さい平均厚さ「T」を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリマー層302、304は各々、約400nmよりも小さい厚さ「T」を有してもよい。いくつかの他の実施形態では、第1及び第2のポリマー層302、304の各々の平均厚さ「T」は、約500nmよりも小さく、約600nmよりも小さく、又は約700nmよりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、反射偏光子102は、交互する複数の第1及び第2のポリマー層302、304の各主面に配置された保護層306を更に含んでもよい。
【0025】
図5及び
図6は、それぞれ例示的なグラフ400、500を示す。グラフ400、500は、反射偏光子102の異なる透過帯域について波長に対する透過百分率を示す。波長は、可視波長範囲にわたってナノメートル(nm)で表される。
図5及び
図6では、透過率が、左側の縦軸に透過百分率で表されている。
図5では、反射率が、右側の縦軸に反射百分率で表されている。反射百分率は、透過百分率と相補的であり、すなわち、反射百分率=(100-透過百分率)である。
【0026】
図1、
図5及び
図6を参照すると、表示パネル108は、最小波長406と最大波長407との間に青色半値全幅(FWHM)410が規定された青色発光スペクトル402を含む表示光10を放出するように構成される。グラフ400、500では、表示パネル108の青色発光スペクトル402を示すために、任意の好適なエネルギー単位が使用され得る。いくつかの実施形態では、最小波長406は、約430nmよりも大きく、最大波長407は、約480nmよりも小さい。いくつかの他の実施形態では、最小波長406は、約400nmよりも大きくてもよく、最大波長407は、約500nmよりも小さくてもよい。
【0027】
図3、
図4、及び
図5を参照すると、実質的に垂直な入射光202及び第1の偏光状態に対して、反射偏光子102は、カットオフ波長408を有する透過帯域404を含む。具体的に、実質的に垂直な入射光202及び第1の偏光状態に対して、反射偏光子102は、カットオフ波長408を有する透過帯域404を含む透過スペクトル403を含む。最小波長406は、反射偏光子102の透過帯域404のカットオフ波長408よりも小さい。言い換えれば、反射偏光子102は、表示パネル108の青色発光スペクトル402の最小波長406よりも大きいカットオフ波長408を有する透過帯域404を含む。
図5に示す実施形態では、最大波長407も、反射偏光子102の透過帯域404のカットオフ波長408よりも小さい。言い換えれば、反射偏光子102の透過帯域404のカットオフ波長408は、表示パネル108の青色FWHM410の最大波長407よりも大きい。
【0028】
カットオフ波長408は、透過率がピーク又は最大透過率の半分(50%)となる波長に対応し得る。反射偏光子102の透過帯域404のカットオフ波長408は、約500nmよりも大きい。いくつかの他の実施形態では、反射偏光子102の透過帯域404のカットオフ波長408は、約525nmよりも大きい。いくつかの他の実施形態では、反射偏光子102の透過帯域404のカットオフ波長408は、約550nmよりも小さい。
【0029】
第1の偏光状態に対して、反射偏光子102は、カットオフ波長408よりも小さい少なくとも第1の波長W1に対して入射光202の少なくとも約60%を反射し、カットオフ波長408よりも大きい少なくとも第2の波長W2に対して入射光202の少なくとも約50%を透過させる。いくつかの他の実施形態では、第1の偏光状態に対して、反射偏光子102は、カットオフ波長408よりも小さい少なくとも第1の波長W1に対して、入射光202の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%を反射する。いくつかの実施形態では、第1の偏光状態に対して、反射偏光子102は、カットオフ波長408よりも大きい少なくとも第2の波長W2に対して、入射光202の少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%を透過させる。第1の波長W1は、青色波長範囲内にある。したがって、第1の偏光状態に対して、反射偏光子102は、青色波長範囲内の波長の少なくとも一部分を反射する。いくつかの実施形態では、第1の波長W1は、約400nm~約500nmの範囲内にある。図示の実施形態では、第1の波長W1は、最小波長406よりも小さい。いくつかの他の実施形態では、第1の波長W1は、最小波長406と最大波長407との間であってもよい。第2の波長W2は、赤色波長範囲内にあってもよい。いくつかの実施形態では、第2の波長範囲W2は、約600nm~約700nmの範囲内にある。いくつかの実施形態では、第1の偏光状態に対して、反射偏光子102は、青色波長範囲内の1つ以上の波長に対して入射光202の少なくとも約60%を反射してもよく、緑色波長範囲及び赤色波長範囲などの後続の波長範囲内の各波長に対して入射光202の少なくとも約50%を透過させてもよい。
【0030】
実質的に垂直な入射光202及び第2の偏光状態に対して、反射偏光子102は、少なくとも第1及び第2の波長W1、W2の各々に対して入射光202の少なくとも70%を透過させる。いくつかの実施形態では、第2の偏光状態に対して、反射偏光子102は、少なくとも第1及び第2の波長W1、W2の各々に対して、入射光202の少なくとも約80%、少なくとも約85%、又は少なくとも約90%を透過させる。
図5に示すように、実質的に垂直な入射光202及び第2の偏光状態に対して、反射偏光子102は、透過スペクトル420を含む。いくつかの実施形態では、第2の偏光状態に対して、反射偏光子102は、約400nm~約700nmの可視波長範囲内の各波長に対して入射光202の少なくとも約70%を透過させてもよい。いくつかの他の実施形態では、第2の偏光状態に対して、反射偏光子102は、可視光波長範囲内の各波長に対して、入射光202の少なくとも80%、少なくとも85%、又は少なくとも90%を透過させてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1の偏光状態はS偏光状態であり、第2の偏光状態はP偏光状態である。いくつかの他の実施形態では、第1の偏光状態はP偏光状態であり、第2の偏光状態はS偏光状態である。第1の偏光状態は、x軸に概ね沿う一方、第2の偏光状態は、y軸に概ね沿う。
【0032】
図3、
図4及び
図6を参照すると、実質的に垂直な入射光202及び第1の偏光状態に対して、反射偏光子102は、透過帯域502、506、510のいずれか1つを含む。透過帯域502、506、510は、実質的に垂直な入射光202及び第1の偏光状態に対して、透過スペクトル522、524、526にそれぞれ対応する。実質的に垂直な入射光202及び第2の偏光状態に対する透過スペクトル420(
図5に示す)は、第1の偏光状態に対する透過スペクトル522、524、526の各々に対応し得る。
【0033】
透過帯域502は、カットオフ波長504を有する。透過帯域506は、カットオフ波長508を有する。透過帯域510は、カットオフ波長512を有する。最小波長406は、それぞれの透過帯域502、506、510のカットオフ波長504、508、512の各々よりも小さい。言い換えれば、それぞれの透過帯域502、506、510のカットオフ波長504、508、512は、表示パネル108の青色FWHM410の最小波長406よりも大きい。
図6に示す実施形態では、最大波長407は、それぞれの透過帯域506、510のカットオフ波長508、512の各々よりも小さい。言い換えれば、透過帯域506、510のカットオフ波長508、512は、表示パネル108の青色FWHM410の最大波長407よりも大きい。しかし、透過帯域502のカットオフ波長504は、表示パネル108の青色FWHM410の最大波長407よりも小さい。したがって、透過帯域502のカットオフ波長504は、最小波長406よりも大きく、最大波長407よりも小さい。いくつかの実施形態では、反射偏光子102の透過帯域502のカットオフ波長504は、約450nmである。いくつかの実施形態では、反射偏光子102の透過帯域502のカットオフ波長504は、約425nmよりも大きく、約475nmよりも小さい。いくつかの他の実施形態では、反射偏光子102の透過帯域502のカットオフ波長504は、約470nmよりも大きい。いくつかの実施形態では、反射偏光子102の透過帯域506のカットオフ波長508は、約525nmである。いくつかの実施形態では、反射偏光子102の透過帯域506のカットオフ波長508は、約500nmよりも大きく、約550nmよりも小さい。いくつかの実施形態では、反射偏光子102の透過帯域510のカットオフ波長512は、約475nmである。いくつかの他の実施形態では、反射偏光子102の透過帯域510のカットオフ波長512は、約450nmよりも大きく、約500nmよりも小さい。
【0034】
第1の偏光状態に対して、反射偏光子102は、カットオフ波長504、508、512の各々よりも小さい少なくとも第1の波長W1に対して入射光202の少なくとも約60%を反射し、カットオフ波長504、508、512の各々よりも大きい少なくとも第2の波長W2に対して入射光202の少なくとも約50%を透過させる。いくつかの他の実施形態では、第1の偏光状態に対して、反射偏光子102は、カットオフ波長504、508、512の各々よりも小さい少なくとも第1の波長W1に対して、入射光202の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%を反射する。いくつかの実施形態では、第1の偏光状態に対して、反射偏光子102は、カットオフ波長504、508、512の各々よりも大きい少なくとも第2の波長W2に対して、入射光202の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%を透過させる。第1の波長W1は、青色波長範囲内にある。したがって、第1の偏光状態に対して、反射偏光子102は、青色波長範囲内の波長の一部分を反射する。
【0035】
実質的に垂直な入射光202及び第2の偏光状態に対して、反射偏光子102は、少なくとも第1及び第2の波長W1、W2の各々に対して入射光202の少なくとも70%を透過させる。いくつかの他の実施形態では、第2の偏光状態に対して、反射偏光子102は、少なくとも第1及び第2の波長W1、W2の各々に対して、入射光202の少なくとも約80%、少なくとも約85%、又は少なくとも約90%を透過させる。
【0036】
図7は、半波リターダ104を示す。
図8は、本開示の一実施形態による半波リターダ104について波長に対する位相差を示すグラフ600である。グラフ600は、様々な波長における半波リターダ104の位相差を示す位相差曲線602を含む。
【0037】
図7及び
図8を参照すると、実質的に垂直な入射光204に対して、半波リターダ104は、第1の波長W1における約250nmよりも小さい第1の位相差R1と、第2の波長W2における第2の位相差R2とを有する。いくつかの実施形態では、第2の位相差R2は、約200nmよりも大きい。いくつかの実施形態では、第2の位相差R2は、第1の位相差R1よりも小さい。言い換えれば、第2の位相差R2は、約250nmよりも小さい。
【0038】
更に、
図8に示すように、半波リターダ104は、対応する青色波長Wbにおける最小の青色位相差Rbと、対応する緑色波長Wgにおける最小の緑色位相差Rgと、対応する赤色波長Wrにおける最小の赤色位相差Rrとを有する。最小の青色、緑色及び赤色位相差Rb、Rg、Rrは、互いの範囲の20%以内である。いくつかの他の実施形態では、最小の青色、緑色及び赤色位相差Rb、Rg、Rrは、互いの範囲の15%以内である。
図8に示すように、最小の青色、緑色、及び赤色位相差Rb、Rg、Rrは、250nmよりも小さい。いくつかの実施形態では、第2の位相差R2は、最小の青色及び緑色位相差Rb、Rgよりも小さい。いくつかの実施形態では、第2の位相差R2は、最小の赤色位相差Rrよりも大きい。いくつかの実施形態では、第1の位相差R1は、最小の青色、緑色、及び赤色位相差Rb、Rg、Rrよりも大きい。半波リターダ104の位相差が入射光204の波長によって大きく変化しないことが、グラフ600から明らかであり得る。したがって、半波リターダ104は、非アクロマティック半波リターダである。
【0039】
図8を参照すると、半波曲線604は、理想的な半波リターダについて波長による位相差の変動を示す。言い換えれば、半波曲線604上の各点における位相差が、対応する波長の半分である(すなわち、位相差=波長/2)。半波曲線604は、1点Cのみにおいて半波リターダ104の位相差曲線602と交差する。したがって、半波リターダ104は、点Cに対応する1つの波長Wcのみにおいて理想的な半波位相差を有する。波長Wcは、約450nmであり得る。それ以外の場合、位相差曲線602は、他の全ての波長において半波曲線604からずれる。更に、位相差曲線602は一般に、波長の増加と共に減少する一方、半波曲線604は、波長の増加と共に増加する。半波曲線604は、第1の波長W1における第1の半波位相差H1を有する(すなわち、H1=W1/2)。更に、半波曲線604は、第2の波長W2における第2の半波位相差H2を有する(すなわち、H2=W2/2)。
【0040】
図9は、半波リターダ104について波長に対する位相差のずれを示すグラフ700である。グラフ700は、様々な波長における半波リターダ104の位相差のずれを示す位相差ずれ曲線702を含む。
【0041】
図8及び
図9を参照すると、位相差ずれ曲線702は、半波曲線604からの半波リターダ104の位相差曲線602のずれを示す。第1の波長W1に対応する第1の半波位相差H1からの第1の位相差R1のずれD1が、第2の波長W2に対応する第2の半波位相差H2からの第2の位相差R2のずれD2よりも小さい。第1の波長W1に対応する第1の半波位相差H1は、第1の波長W1における半波リターダ104の理想的な位相差とみなしてもよい。同様に、第2の波長W2に対応する第2の半波位相差H2は、第2の波長W2における半波リターダ104の理想的な位相差とみなしてもよい。約400nm~約500nmの波長範囲に対する半波曲線604からの半波リターダ104の位相差のずれが、(例えば、赤色波長範囲内の)500nmよりも大きい波長に対するずれよりも小さいことが、グラフ700から明らかであり得る。約400nm~約500nmの波長範囲は、青色波長範囲に対応し得る。したがって、半波リターダ104は、青色波長範囲に対して最適化され得る。言い換えれば、半波リターダ104は、他の波長と比較して、約400nm~約500nmの波長範囲内で理想的な半波リターダにより近く挙動し得る。
【0042】
図3、
図5及び
図6に関して上述したように、実質的に垂直な入射光202及び第1の偏光状態に対して、反射偏光子102は、それぞれの透過帯域404、502、506、510のカットオフ波長408、504、508、512の各々よりも小さい少なくとも第1の波長W1に対して入射光202の少なくとも約60%を反射し、それぞれの透過帯域404、502、506、510のカットオフ波長408、504、508、512の各々よりも大きい少なくとも第2の波長W2に対して入射光202の少なくとも約50%を透過させる。実質的に垂直な入射光204に対して、半波リターダ104は、第1の波長W1における約250nmよりも小さい第1の位相差R1と、第2の波長W2における第2の位相差R2とを有する。第2の位相差R2は、第1の位相差R1よりも小さい。更に、第1の波長W1に対応する第1の半波位相差H1からの第1の位相差R1のずれD1は、第2の波長W2に対応する第2の半波位相差H2からの第2の位相差R2のずれD2よりも小さい。
【0043】
それぞれの透過帯域404、502、506、510のカットオフ波長408、504、508、512よりも小さい波長における半波リターダ104のそのような最適化により、
図1及び
図2の光学スタック100の動作中の色ずれが低減され得る。具体的に、それぞれの透過帯域404、502、506、510のカットオフ波長408、504、508、512を青色波長範囲内又はその付近に有する反射偏光子102によって青色波長範囲内で最適化された半波リターダ104を使用することで、色ずれが低減され得る。したがって、反射偏光子102と半波リターダ104との組み合わせは、色ずれの低減に際して改善された性能を示し得る。更に、そのような方法で最適化された半波リターダが、複数の層を有する従来のアクロマティック半波リターダと比較して、製造がより容易かつ安価であり得る。反射偏光子102の可能な透過帯域404、502、506、510のうちのいずれか1つが、半波リターダ104の位相差特性、表示パネル108の発光特性などの所望の用途属性に基づいて、選択され得ることに留意されたい。
【0044】
図10は、吸収偏光子106を示す。
図11は、吸収偏光子106について波長に対する透過百分率を示すグラフ800である。グラフ800は、様々な波長における吸収偏光子106の透過百分率を示す透過曲線802を含む。
図10及び
図11を参照すると、実質的に垂直な入射光206及び第1の偏光状態に対して、吸収偏光子106は、第1の波長W1における第1の透過率T1を有し、第2の波長W2におけるより大きい第2の透過率T2を有する。いくつかの実施形態では、第1の偏光状態に対して、吸収偏光子106の第1の透過率T1は、少なくとも約60%である。いくつかの実施形態では、第1の偏光状態に対して、吸収偏光子106の第1の透過率T1は、少なくとも約70%であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の偏光状態に対して、吸収偏光子106の第2の透過率T2は、少なくとも約65%である。いくつかの他の実施形態では、第1の偏光状態に対して、吸収偏光子106の第2の透過率T2は、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、又は少なくとも約90%であってもよい。いくつかの実施形態では、実質的に垂直な入射光206及び第2の偏光状態に対して、吸収偏光子106は、可視光波長範囲内の入射光206の少なくとも70%を吸収してもよい。
【0045】
したがって、吸収偏光子106は、他の波長と比較して青色波長範囲内の光をより少なく透過させ得る。吸収偏光子106が、
図1及び
図2の光学スタック100において反射偏光子102及び半波リターダ104と組み合わされると、色ずれが更に低減され得る。
【0046】
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される特徴サイズ、量及び物理的特性を表す全ての数は、用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、特に反対の指示がない限り、上記明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本明細書で開示される教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変動し得る近似値である。
【0047】
具体的な実施形態を本明細書において例示し記述したが、様々な代替及び/又は同等の実施により、図示及び記載した具体的な実施形態を、本開示の範囲を逸脱することなく置き換え可能であることが、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書において説明した具体的な実施形態のあらゆる適合例又は変形例を包含することを意図する。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されるものとする。
【国際調査報告】