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特表2023-540028表面改質遷移金属酸化物ナノ粒子、その製造方法、並びにそれを含む硬化性組成物及び物品
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  • 特表-表面改質遷移金属酸化物ナノ粒子、その製造方法、並びにそれを含む硬化性組成物及び物品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(54)【発明の名称】表面改質遷移金属酸化物ナノ粒子、その製造方法、並びにそれを含む硬化性組成物及び物品
(51)【国際特許分類】
   C01G 23/047 20060101AFI20230913BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20230913BHJP
   C01G 25/02 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
C01G23/047
C08F2/44 Z
C01G25/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513282
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(85)【翻訳文提出日】2023-02-24
(86)【国際出願番号】 IB2021057273
(87)【国際公開番号】W WO2022043805
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】63/070,957
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】アームストロング,ポール ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ハント,ブライアン ヴィー.
【テーマコード(参考)】
4G047
4G048
4J011
【Fターム(参考)】
4G047CA02
4G047CB08
4G047CC03
4G047CD04
4G048AA02
4G048AB04
4G048AC08
4G048AD04
4G048AD10
4G048AE05
4G048AE08
4J011PA07
4J011PA28
4J011PA36
4J011QA03
4J011QA12
4J011QA45
4J011QA46
4J011SA84
4J011UA01
(57)【要約】
表面官能化遷移金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、3.5以下のpHを有する水性液体媒体に分散された遷移金属酸化物ナノ粒子を含むゾルを提供することと、ゾルを、少なくとも1つのカルボン酸及び少なくとも1つの有機アミン、並びに水不混和性有機溶媒を含む抽出剤組成物と合わせることと、水相から有機相の少なくとも一部を分離し、次いで水不混和性有機溶媒を少なくとも部分的に除去することとを含む。カルボン酸は、6~30個の原子を有する。有機アミンは、式RNH(式中、Rは6~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、Rは、H、又は1~4個の炭素原子を有するアルキル基である)によって表される。少なくとも1つの有機アミンは、pHを少なくとも5に上昇させるのに十分な量で存在し、それにより、別個の分離可能な水相と有機相とを形成する。表面改質ナノ粒子組成物、硬化性組成物、及びそれを含む物品も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面官能化遷移金属酸化物ナノ粒子の製造方法であって、
3.5以下のpHを有する水性液体媒体に分散され、且つ少なくとも1つの鉱酸で安定化された、遷移金属酸化物ナノ粒子を含むゾルを提供することと、
前記ゾルを、少なくとも1つのカルボン酸及び少なくとも1つの有機アミン、並びに水不混和性有機溶媒を含む抽出剤組成物と合わせることであって、
前記少なくとも1つのカルボン酸の各々は、独立して、式R-COH(式中、Rは、6~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である)によって表され、
前記少なくとも1つの有機アミンの各々は、式RNH(式中、Rは、6~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、Rは、H、又は1~4個の炭素原子を有するアルキル基である)によって表され、前記少なくとも1つの有機アミンは、少なくとも、前記ゾル中に存在する酸を中和するのに十分な量で存在し、それにより、別個の分離可能な水相と有機相とを形成する、ことと、
前記水相から前記有機相の少なくとも一部を分離し、次いで、前記分離された有機相から前記水不混和性有機溶媒を少なくとも部分的に除去して、前記表面官能化遷移金属酸化物ナノ粒子のうちの少なくとも一部を得ることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記遷移金属酸化物ナノ粒子が、酸化チタン、酸化ジルコニウム、又は酸化セリウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記遷移金属酸化物ナノ粒子が酸化チタンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
が8~18個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表す、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
が10~12個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表す、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
が6~18個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表す、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
が7~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表す、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
がHである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの有機アミンが、ベンジルアミン、n-オクチルアミン、又は2-エチルヘキシルアミンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの有機アミンがベンジルアミンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記遷移金属酸化物ナノ粒子が100ナノメートル以下の平均粒径を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記遷移金属酸化物ナノ粒子が40ナノメートル以下の平均粒径を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
表面官能化遷移金属酸化物ナノ粒子を含む表面改質ナノ粒子組成物であって、前記表面官能化遷移金属酸化物ナノ粒子の各々は、その上に表面層を有するそれぞれの遷移金属酸化物コアを含み、前記表面層は、式R-CO (式中、Rは、6~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である)によって表される結合した有機カルボキシレート、及び式RNH (式中、Rは、6~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表し、Rは、H、又は1~4個の炭素原子を有するアルキル基を表す)によって表される少なくとも1つの有機アンモニウムカチオンを含む、表面改質ナノ粒子組成物。
【請求項14】
前記それぞれの遷移金属酸化物コアの各々が、酸化チタン、酸化ジルコニウム、又は酸化セリウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の表面改質ナノ粒子組成物。
【請求項15】
前記それぞれの遷移金属酸化物コアの各々が、酸化チタン、酸化ジルコニウム、又は酸化セリウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の表面改質ナノ粒子組成物。
【請求項16】
が6~18個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表す、請求項13~15のいずれか一項に記載の表面改質ナノ粒子組成物。
【請求項17】
が10~12個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表す、請求項13~15のいずれか一項に記載の表面改質ナノ粒子組成物。
【請求項18】
が6~18個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表す、請求項13~17のいずれか一項に記載の表面改質ナノ粒子組成物。
【請求項19】
が7~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表す、請求項13~17のいずれか一項に記載の表面改質ナノ粒子組成物。
【請求項20】
がHである、請求項13~19のいずれか一項に記載の表面改質ナノ粒子組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1つの有機アンモニウムカチオンが、ベンジルアンモニウム、n-オクチルアンモニウム、又は2-エチルヘキシルアンモニウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項13~20のいずれか一項に記載の表面改質ナノ粒子組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1つの有機アンモニウムカチオンがベンジルアンモニウムを含む、請求項13~20のいずれか一項に記載の表面改質ナノ粒子組成物。
【請求項23】
前記遷移金属酸化物ナノ粒子が100ナノメートル以下の平均粒径を有する、請求項13~22のいずれか一項に記載の表面改質ナノ粒子組成物。
【請求項24】
前記遷移金属酸化物ナノ粒子が40ナノメートル以下の平均粒径を有する、請求項13~22のいずれか一項に記載の表面改質ナノ粒子組成物。
【請求項25】
請求項13~24のいずれか一項に記載の表面改質ナノ粒子組成物、少なくとも1つの硬化性モノマー、及び硬化剤を含む、硬化性組成物。
【請求項26】
前記少なくとも1つの硬化性モノマーが、少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマーを含み、前記硬化剤が、フリーラジカル開始剤を含む、請求項25に記載の硬化性組成物。
【請求項27】
前記フリーラジカル開始剤が、フリーラジカル光開始剤を含む、請求項26に記載の硬化性組成物。
【請求項28】
基材を備えた物品であって、前記基材は、その上に配置された、少なくとも部分的に硬化した請求項25~27のいずれか一項に記載の硬化性組成物の層を有する、物品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
金属酸化物ナノ粒子、特にチタニア又はジルコニアナノ粒子は、コーティング及び複合材の屈折率(refractive index、RI)を上昇させるために使用される。典型的には、ナノ粒子は水中で合成され、無機酸又は塩基によって安定化される。例えば、酸性ナノ粒子ゾルは、硝酸、塩酸、又は酢酸を含有し得る。塩基性ゾルは、水酸化アンモニウム又は水酸化テトラメチルアンモニウムを含有し得る。コーティングにおいて金属酸化物ナノ粒子を使用するために、粒子は、典型的には、アクリレート又はポリマーなどの望ましい樹脂とのそれらの適合性を改善させるために表面改質されなければならない。
【0002】
米国特許第8,829,079号(Shultzら)は、カルボン酸-酸安定化ジルコニアナノ粒子ゾルの調製方法を開示している。粒子を表面改質するために、カルボン酸並びに水混和性溶媒が添加される。次いで、水+過剰のカルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸)が除去される。表面改質ナノ粒子をアクリルモノマーと組み合わせて、100%固体のナノコンポジット前駆体を得ることができる。
【0003】
いくつかの用途では、ジルコニアよりも高い屈折率(RI)を有するナノ粒子を利用することが望ましい。例えば、アナターゼ型チタニアは、2.49のRI(η)を有し、これは、ジルコニア(RI=2.13、η)よりも高い屈折率を有する複合体を可能にする。
【0004】
市販のチタニアナノ粒子は、強酸によって安定化されることが多い。例えば、硝酸で安定化されたチタニアナノ粒子は、Nyacol Nanotechnologies(Ashland,Massachusetts)から入手可能であり、塩酸で安定化されたチタニアナノ粒子は、昭和電工(東京、日本)から入手可能である。
【発明の概要】
【0005】
カルボン酸安定化ジルコニア粒子のために利用される上述の表面官能化方法は、弱酸性カルボン酸が粒子表面上の強鉱酸を置換することができないので、前述のチタニア粒子では機能しない。強酸で安定化されたチタニアナノ粒子については、新しい表面官能化方法が必要である。
【0006】
本開示は、抽出法による表面官能化を使用することによってこの課題を解決する。酸安定化水性ナノ粒子は、有機溶媒(水と不混和性)、カルボン酸、及び過剰のアルキルアミンで処理される。アルキルアミンは強鉱酸を中和し、アルカンカルボン酸を脱プロトン化する。次いで、得られたアルカンカルボキシレートは、ナノ粒子表面に結合し、これは、粒子を疎水性にし、ナノ粒子が容易に単離され得るように有機相へのそれらの移動をもたらす。塩副生成物は水相中に残り、容易に除去される。溶媒分散粒子は、モノマー又はポリマーとの改善された相溶性を有し、したがって、高屈折率コーティング及び複合体を製造するために使用することができる。
【0007】
したがって、一態様では、本開示は、表面官能化ナノ粒子の製造方法であって、
3.5以下のpHを有する水性液体媒体に分散され、且つ少なくとも1つの鉱酸で安定化された、遷移金属酸化物ナノ粒子を含むゾルを提供することと、
ゾルを、少なくとも1つのカルボン酸及び少なくとも1つの有機アミン、並びに水不混和性有機溶媒を含む抽出剤組成物と合わせることであって、
少なくとも1つのカルボン酸の各々は、独立して、式R-COH(式中、Rは、6~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である)によって表され、
少なくとも1つの有機アミンの各々は、式RNH(式中、Rは、6~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、Rは、H、又は1~4個の炭素原子を有するアルキル基である)によって表され、少なくとも1つの有機アミンは、少なくとも、ゾル中に存在する酸を中和するのに十分な量で存在し、それにより、別個の分離可能な水相と有機相とを形成する、ことと、
水相から有機相の少なくとも一部を分離し、次いで、水不混和性有機溶媒を少なくとも部分的に除去して、表面官能化遷移金属酸化物ナノ粒子のうちの少なくとも一部を得ることと
を含む、方法である。
【0008】
別の態様において、本開示は、表面官能化遷移金属酸化物ナノ粒子を含む表面改質ナノ粒子組成物であって、表面官能化遷移金属酸化物ナノ粒子の各々は、その上に表面層を有するそれぞれの遷移金属酸化物コアを含み、表面層は、式R-CO (式中、Rは、6~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である)によって表される結合した有機カルボキシレート、及び式RNH (式中、Rは、6~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表し、Rは、H、又は1~4個の炭素原子を有するアルキル基を表す)によって表される少なくとも1つの有機アンモニウムカチオンを含む、表面改質ナノ粒子組成物を提供する。
【0009】
更に別の態様において、本開示は、本開示による表面改質ナノ粒子組成物、少なくとも1つの硬化性モノマー、及び硬化剤を含む、硬化性組成物を提供する。硬化性組成物は、基材上にナノコンポジット層を製造するために使用することができる。
【0010】
したがって、更に別の態様において、本開示は、基材を備えた物品であって、基材は、その上に配置された、少なくとも部分的に硬化した本開示による硬化性組成物の層を有する、物品を提供する。
【0011】
本明細書で使用するとき、
「水性」という用語は、少なくとも20重量パーセントの水、場合によっては、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、又は更には少なくとも99重量パーセントの水を含有することを意味する。
【0012】
ヒドロカルビルという用語は、炭素及び水素からなる一価の有機基を指す。
【0013】
「不混和性」という用語は、混合して均質な混合物を形成することができないことを意味する。
【0014】
「鉱酸」という用語は、無機酸を指す。
【0015】
「ナノ粒子」という用語は、100ナノメートル以下の体積平均直径を有する粒子を指す。
【0016】
「ゾル」という用語は、安定なコロイド状分散体を指す。
【0017】
「強酸」という用語は、25℃及び1気圧(101kPa)の圧力で水中で完全に解離する酸を指す。無機強酸としては、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、塩酸、過塩素酸、塩素酸、硫酸(I)、及び硝酸が挙げられる。
【0018】
「遷移金属」という用語は、元素のIUPAC周期表の第3~12族の金属を指し、ランタニド及びアクチニドを含む。
【0019】
本開示の特徴及び利点は、詳細な説明及び添付の特許請求の範囲を考慮することで、更に理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示による例示的な物品100の概略側面図である。
【0021】
当業者は多くの他の修正形態及び実施形態を考案することができ、それらは本開示の原理の範囲及び趣旨に含まれることを理解されたい。図は、縮尺通りに描かれていないことがある。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示による方法は、好ましくは強酸(例えば、硝酸、硫酸、又は塩酸)で安定化された、3.5以下のpHを有する任意の遷移金属酸化物ゾルを使用する実践に適している。好ましい遷移金属酸化物は、元素周期表(IUPAC)の第3族及び第4族並びにランタニド(例えば、Y、Ti、Zr、Ce)のものである。これらのうち、ジルコニアゾル及びチタニアゾルが最も好ましい。
【0023】
≦3.5のpHを有する市販の酸性遷移金属酸化物ゾルの例としては、Nyacol Nanotechnologies(Ashland、Massachusetts)によって市販されているゾル、例えばセリアゾル(NYACOL CEO2(NO3)(pH=1.5、平均粒径=10~20nm、硝酸塩安定化))、ジルコニアゾル(NYACOL ZR 10/15(平均粒径=5~15nm、pH=2.0~3.0、硝酸塩安定化)(NYACOL ZR 100/20(100nm、pH3.0、硝酸塩安定化))、及びチタニアゾル(例えば、NYACOL TISOL A(10~25nm平均粒径、硝酸安定化、pH1.3~1.8)、並びに堺化学工業(大阪、日本)からのゾル(例えば、CSB Anatase 100%(水性ゾル(硝酸酸性度pH<1)、XRDによる粒径7nm))が挙げられる。
【0024】
遷移金属酸化物ナノ粒子は、≦100ナノメートル(nm)、≦75nm、≦50nm、≦40nm、≦30nm、≦25nm、又は更には≦20nmの体積平均直径を有し得る。体積平均ナノ粒子直径は、例えば、ASTM E2490-09(2015)「Standard Guide for Measurement of Particle Size Distribution of Nanomaterials in Suspension by Photon Correlation Spectroscopy(PCS)」などの公知の技術を用いて決定することができる。
【0025】
有用なカルボン酸は、式R-COH(式中、Rは、6~30個の炭素原子、より好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは9~16個の炭素原子、より好ましくは10~12個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である)を有する。カルボン酸は、直鎖、分岐又は環状、芳香族又は脂肪族、及び飽和又は不飽和であってもよい。特定の例としては、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、2-エチルヘキサン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ヘキサデカン酸、シトロネル酸、ステアリン酸、テトラコサン酸、及びn-トリアコンタン酸が挙げられる。
【0026】
有用な有機アミンは、式RNH(式中、Rは、1~30個の炭素原子、好ましくは6~18個の炭素原子、より好ましくは6~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表す)を有する。Rの例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、フェネチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル、n-テトラコシル、及びn-トリアコンチルが挙げられる。Rは、H、又は1~4個の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)を表す。いくつかの実施形態において、有機アミンは、式RCHNH(式中、Rは、1~29個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表す)によって表される。芳香族アミンは、脂肪族アミンよりも屈折率が比較的高いので、場合によっては特に望ましいことがある。
【0027】
有機アミンは、pHを少なくとも5に上昇させるのに十分な量で添加され、それによって、別個の分離可能な(例えば、安定なエマルションではない)水相と有機相とを形成させる。
【0028】
有機アミンの使用はこの方法にとって重要である。多くの塩基、特に無機塩基は、カルボン酸と相互作用して、有機相と水相との間のエマルションを安定化させ得る界面活性剤を生成する。しかしながら、有機アミンはカルボン酸と相互作用して、効率的な乳化剤ではない疎水性塩対を生成する。
【0029】
例示的な溶媒としては、以下が挙げられる:ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、及びこれらの組み合わせなどの炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、及びこれらの組み合わせなどのクロロカーボン;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、及びこれらの組み合わせなどのエステル;メチルイソブチルケトン、及びこれらの組み合わせなどのケトン;メチルt-ブチルエーテル、ジエチルエーテル、及びこれらの組み合わせなどのエーテル;並びにこれらの組み合わせ。
【0030】
本開示による方法の実践において、単純な混合手順が、遷移金属酸化物ゾル、カルボン酸、及び有機アミンを合わせるのに有効である。場合によっては、高せん断混合条件が好ましい。混合後、水相と有機相とが分離する間、混合物を放置する。次いで、有機相は、従来の液体抽出技術を用いて水相から容易に分離することができ、有機溶媒は、加熱及び/又は減圧蒸発によって除去することができる。
【0031】
一般に、上記のプロセスは、有機アミンの会合したプロトン化形態の残留量を有する遷移金属酸化物ナノ粒子をもたらす。典型的には、これらの有機アンモニウムカチオンは、最終使用用途において有害ではなく、遷移金属酸化物ナノ粒子と組み合わせたままにすることができ、これを更に精製することなく使用することができるが、場合によっては、更なる精製が望ましい場合がある。精製方法としては、例えば、遠心分離及び接線流濾過が挙げられ得る。
【0032】
遷移金属酸化物ナノ粒子は、少なくとも1つの硬化性モノマー、任意選択の硬化剤、及び任意選択の溶媒を含む硬化性組成物中に含まれ得る。例示的なモノマーとしては、エポキシド、(メタ)アクリルモノマー及びオリゴマー、自己架橋ラテックス、シアネート、並びにウレタン(1剤型及び2剤型の両方)が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリルモノマー及びオリゴマーが特に有用である。本明細書で使用するとき、用語「(メタ)アクリル」は、アクリル及び/又はメタクリルを指す。触媒及び/又は開始剤の選択は、当業者の能力の範囲内である。
【0033】
例示的な(メタ)アクリルモノマー及びオリゴマーは、少なくとも1つの(メタ)アクリル基を含む少なくとも1つのモノマーを含む。多くの好ましい実施形態では、少なくとも1つのモノマーは、少なくとも1つの(メタ)アクリル基を含む少なくとも2つ又は少なくとも3つのモノマーを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのモノマーは、二官能性、三官能性、四官能性及び/又は五官能性のモノマー又はオリゴマーの、脂肪族、脂環式及び/又は芳香族(メタ)アクリレートを含む。
【0034】
(メタ)アクリル基含有モノマーは、例えば、Sartomer Co.(Exton,Pennsylvania)及び他の販売業者から広く市販されている。好適なモノマーとしては、モノ-、ジ-又はポリ-(メタ)アクリレート、例えば、(メタ)アクリル酸、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、アルコキシル化テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビス[1-(2-アクリルオキシ)]-p-エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1-(3-アクリルオキシ-2-ヒドロキシ)]-p-プロポキシ-フェニル-ジメチルメタン、ビス(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、塩素化ポリエステル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、エトキシル化又はプロポキシル化グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ官能性カプロラクトンエステル(メタ)アクリレート、ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエトキシレート(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ポリ(エチレングコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリウレタンンジ(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートオリゴマー、ソルビトールヘキサアクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリート、テトラヒドラフルフリル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、1,1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,2,4-ブタントリオールトリ(メタ)アクリレート、ヘキサン-2,4,6-トリオールトリ(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0035】
(メタ)アクリルモノマーは、組成物の総重量に基づいて、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも50、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも95、又は更には少なくとも98重量パーセントの量で組成物中に存在し得るが、これは必要条件ではない。
【0036】
例示的なフリーラジカル開始剤としては、典型的には約10重量パーセント未満、より典型的には5重量パーセント未満の量の、過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル)及びアゾ化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル)並びに光開始剤(例えば、I型及び/又はII型光開始剤)などの熱開始剤が挙げられるが、これは必要条件ではない。
【0037】
例示的な光開始剤としては、α-開裂光開始剤、例えばベンゾイン及びその誘導体、例えばα-メチルベンゾイン;α-フェニルベンゾイン;α-アリルベンゾイン;α-ベンジルベンゾイン;ベンゾインエーテル、例えばベンジルジメチルケタル(Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,New York)からIRGACURE 651として入手可能)、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル;アセトフェノン及びその誘導体、例えば2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、及び1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが挙げられる。1つの有用な光開始剤、すなわち二官能性α-ヒドロキシケトンは、IGM Resins(Waalwijk,The Netherlands)からESACURE ONEとして入手可能である。他の例示的な光開始剤としては、アントラキノン(例えば、アントラキノン、2-エチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、1,4-ジメチルアントラキノン、1-メトキシアントラキノン)並びにベンゾフェノン及びその誘導体(例えば、フェノキシベンゾフェノン、フェニルベンゾフェノン)が挙げられる。
【0038】
硬化は、例えば、加熱(例えば、オーブン中で、又は赤外線への曝露によって)及び/又は化学線(例えば、紫外線及び/又は電磁可視光線)への曝露によって達成/加速され得る。化学線源(例えば、キセノンフラッシュランプ、中圧水銀アークランプ)及び曝露条件の選択は、当業者の能力の範囲内である。
【0039】
図1を参照すると、例示的な物品100は基材110を備える。層120は、基材110上に配置される。層120は、少なくとも部分的に硬化した本開示による硬化性組成物を含む。例示的な基材としては、光学フィルム(例えば、プライバシーフィルム、輝度向上フィルム、ミラーフィルム、光抽出フィルム)及びディスプレイ要素(OLEDディスプレイ)が挙げられ得る。
【0040】
物品は、本開示による硬化性組成物を基材上にコーティングし(例えば、ロールコーティング、ナイフコーティング、噴霧、又は浸漬コーティングによって)、それを(例えば、熱及び/又は化学線で)硬化させることによって調製することができる。
【0041】
本開示の目的及び利点は以下の非限定的な実施例によって更に例証されるが、これらの実施例に引用される具体的な材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本開示を過度に制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例
【0042】
別段の記載がない限り、実施例及び本明細書のその他の箇所における全ての部、百分率、比などは、重量基準である。実施例で用いられる材料を以下の表1に報告する。
【0043】
【表1】
【0044】
他の溶媒及び化学物質は、Alfa Aesar(Tewksbury,Massachusetts)から入手し、受け取ったまま使用した。
【0045】
試験方法1:コーティングしたフィルムの透過率及びヘイズの測定
全透過率及びヘイズ測定を、BYK Haze-Gard Plus,Model No.4725(BYK-Gardner USA(Columbia,Maryland))、0°/拡散ジオメトリ及びCIE標準光源Cを有する積分球機器を用いて行った。透過率及びヘイズの測定のために、試料をヘイズポートに直接配置した。報告した値は、3回の測定の平均である。
【0046】
試験方法2:フィルムコーティングの屈折率の測定
3つの波長におけるコーティングしたフィルムの屈折率を、Metricon Prism Coupler(Metricon Corp.(Pennington,NJ)を用いて測定した。
【0047】
実施例1:NTB-01 TiOナノ粒子のトルエンでの抽出
バイアルに、4.0gのNTB-01ナノ粒子ゾル、2.0gの水、5.0gのトルエン、900mgのシトロネル酸溶液、及び1.35gのベンジルアミン溶液を投入した。バイアルに蓋をし、ボルテックスミキサーで混合した。層を分離させ、次いで、下方の透明な水層をピペットで除去した。BYK9010(20mg)を添加し、混合物を20分間放置した。無水硫酸ナトリウム(0.5g)を添加した後、再びボルテックスミキサーで混合した。混合物を1ミクロンのガラス繊維シリンジチップフィルターを通して濾過した。白色分散体(6.86g)が得られた。この分散体の少量のアリコートを蒸発乾固させ、質量の変化を用いて固形分パーセントを8.79重量%と推定したが、これは603mgの粒子の収量を意味する。
【0048】
実施例2:TISOL-Aのトルエンでの抽出
分液漏斗に、150.0gのTISOL-Aナノ粒子ゾル、150gの水、250gのトルエン、4.75gのシトロネル酸、及び10.7gのベンジルアミンを投入した。混合物をオーバーヘッドスターラーで5分間急速に撹拌すると、白色エマルションが形成された。30分間放置した後、エマルションは2つの別個の層に分離した。水層を廃棄し、有機層を5.0gの無水硫酸ナトリウムで処理し、次いで1ミクロンのガラス繊維シリンジチップフィルターを通して濾過した。濁った乳白色の分散体(232g)が得られた。この分散体の少量のアリコートを蒸発乾固させ、質量の変化を用いて固形分パーセントを12.6重量%と推定したが、これは29.1gの粒子の収量を意味する。
【0049】
実施例3:TISOL-Aのヘプタンでの抽出
バイアルに、2.0gのTISOL Aナノ粒子ゾル、3.0gの水、5.0gのヘプタン、550mgのラウリン酸溶液、及び120mgのベンジルアミンを投入した。バイアルに蓋をし、ボルテックスミキサーで混合した。層を分離させ、次いで、下方の透明な水層をピペットで除去した。BYK9010(10mg)を添加し、混合物を20分間放置した。無水硫酸ナトリウム(0.5g)を添加した後、再びボルテックスミキサーで混合した。混合物を1ミクロンのガラス繊維シリンジチップフィルターを通して濾過した。濁った乳白色の分散体(5.6g)が得られた。この分散体の少量のアリコートを蒸発乾固させ、質量の変化を用いて固形分パーセントを7.10重量%と推定したが、これは400mgの粒子の収量を意味する。
【0050】
実施例4:ZR100/20のトルエンでの抽出
バイアルに、4.0gのZR100/20ナノ粒子ゾル、4.0gの水、8.0gのトルエン、700mgのシトロネル酸溶液、及び320mgのベンジルアミンを投入した。バイアルに蓋をし、ボルテックスミキサーで混合した。層を分離させ、次いで、下方の透明な水層をピペットで除去した。無水硫酸ナトリウム(0.5g)を添加した後、ボルテックスミキサーで混合した。混合物を1ミクロンのガラス繊維シリンジチップフィルターを通して濾過した。白色分散体(8.26g)が得られた。この分散体の少量のアリコートを蒸発乾固させ、質量の変化を用いて固形分パーセントを6.17重量%と推定したが、これは510mgの粒子の収量を意味する。
【0051】
実施例5:トルエンに分散したTiO粒子を使用するコーティング
バイアルに、実施例1のナノ粒子分散体3.0gを投入し、トルエンに溶解した10重量%アクリレートの溶液465mgを添加した。この溶液のアクリレート部分は、M1192:TCDDMDAの9:1混合物からなっていた。トルエン中のTPOの10重量%溶液(71mg)を添加した。この溶液を、BYKから入手した#12巻線ロッドを用いて、2ミル(0.05mm)厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にコーティングした。溶媒を蒸発させた後、Heraeus(Hanau,Germany)から入手したベンチトップコンベヤシステムを用いて、コーティングを高強度紫外線ランプで硬化させた。システムを窒素ガスでパージし、コンベヤベルトを30フィート/分で走行させながら、100%出力でDバルブを用いてコーティングを硬化させた。コーティングをシステムに3回通した。
【0052】
実施例6:トルエンに分散したTiO粒子を使用するコーティング
バイアルに、3.02gの実施例2のナノ粒子分散体、トルエン中の10重量%BYK9010の溶液76mg、及びトルエンに溶解した10重量%アクリレートの溶液683mgを投入した。この溶液のアクリレート部分は、M1192:TCDDMDAの質量比9:1の混合物からなっていた。トルエン中のTPOの10重量%溶液(91mg)を添加した。この溶液を、BYKから入手した#12巻線ロッドを用いて、2ミル(0.05mm)厚のポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate,PET)フィルム上にコーティングした。溶媒を蒸発させた後、実施例5に記載した方法を用いて高強度UVランプでコーティングを硬化させた。
【0053】
実施例7:ヘプタンに分散したTiO粒子を使用するコーティング
バイアルに、3.0gの実施例3のナノ粒子分散体、及びヘプタンに溶解した10重量%アクリレートの溶液408mgを投入した。この溶液のアクリレート部分は、IBA:HDDAの質量比9:1の混合物からなっていた。トルエン中のTPOの10重量%溶液(69mg)を添加した。この溶液を、BYKから入手した#12巻線ロッドを用いて、2ミル(0.05mm)厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にコーティングした。溶媒を蒸発させた後、実施例5に記載した方法を用いて高強度UVランプでコーティングを硬化させた。
【0054】
実施例8:トルエンに分散したZrO粒子を使用するコーティング
バイアルに、2.0gの実施例4のナノ粒子分散体、トルエン中の10重量%BYK9010の溶液25mg、及びトルエンに溶解した10重量%アクリレートの溶液222mgを投入した。この溶液のアクリレート部分は、M1192:TCDDMDAの質量比9:1の混合物からなっていた。トルエン中のTPOの10重量%溶液(30mg)を添加した。この溶液を、BYKから入手した#12巻線ロッドを用いて、2ミル(0.05mm)厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にコーティングした。溶媒を蒸発させた後、実施例5に記載した方法を用いて高強度UVランプでコーティングを硬化させた。
【0055】
比較例1:ナノ粒子を含まないUV硬化コーティング
バイアルに、トルエン中の10%アクリレートの溶液2.0gを投入した。この溶液のアクリレート部分は、M1192:TCDDMDAの質量比9:1の混合物からなっていた。トルエン中のTPOの10重量%溶液(40mg)を添加した。BYKから入手した#12巻線ロッドを用いて、溶液を2ミル(0.05mm)厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にコーティングした。溶媒を蒸発させた後、実施例5に記載した方法を用いて高強度UVランプでコーティングを硬化させた。
【0056】
以下の表2は、実施例5~8及び比較例1で製造したコーティングの光学特性を報告する。
【0057】
【表2】
【0058】
以下の表3は、実施例5~8並びに比較例1及び2で製造したコーティングのRIを報告する。
【0059】
【表3】
【0060】
前述の記載は、当業者が、特許請求の範囲に記載の開示を実践することを可能にするためのものであり、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本開示の範囲は特許請求の範囲及びその全ての等価物によって定義される。
図1
【国際調査報告】