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特表2023-540032ミクロフィブリル化セルロースを含むロール紙の製造方法及びロール紙
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(54)【発明の名称】ミクロフィブリル化セルロースを含むロール紙の製造方法及びロール紙
(51)【国際特許分類】
   D21H 11/18 20060101AFI20230913BHJP
   D21H 15/02 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
D21H11/18
D21H15/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513293
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-04-18
(86)【国際出願番号】 IB2021057941
(87)【国際公開番号】W WO2022049483
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】2051028-5
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501239516
【氏名又は名称】ストラ エンソ オーワイジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヘイスカネン, イスト
(72)【発明者】
【氏名】バックフォルク, カイ
(72)【発明者】
【氏名】カウッピ, アンナ
(72)【発明者】
【氏名】コルヴェニエミ, ユハ
(72)【発明者】
【氏名】カンクネン, ユッカ
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AF09
4L055AF46
4L055AG40
4L055AG41
4L055AG45
4L055AG46
4L055AG47
4L055AG48
4L055AG50
4L055AG64
4L055AH11
4L055BE08
4L055CE78
4L055CE80
4L055CF01
4L055CF43
4L055EA04
4L055EA07
4L055EA08
4L055EA12
4L055EA32
(57)【要約】
本発明は、ミクロフィブリル化セルロースを含むロール紙を製造するための方法に関し、方法は、総乾燥重量に基づいて0.1重量%~50重量%のミクロフィブリル化セルロースを含む懸濁液を提供する工程と、ワイヤ上に当該懸濁液の繊維ウェブを形成する工程であって、当該ウェブが1~25重量%の乾燥含有量を有する、繊維ウェブを形成する工程と、少なくとも1つの脱水ユニットで繊維ウェブを脱水する工程と、ロール紙を形成するために、艶出しユニット内の脱水された繊維ウェブの少なくとも1つの面を艶出しする工程と、を含む。本発明は更に、本方法に従って製造されたMG紙に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミクロフィブリル化セルロースを含むロール紙を製造するための方法であって、
-総乾燥重量に基づいて0.1重量%~50重量%のミクロフィブリル化セルロースを含む懸濁液を提供する工程と、
-ワイヤ上に前記懸濁液の繊維ウェブを形成する工程であって、前記ウェブが1~25重量%の乾燥含有量を有する、繊維ウェブを形成する工程と、
-少なくとも1つの脱水ユニットで繊維ウェブを脱水する工程と、
-ロール紙を形成するために、艶出しユニット内の脱水された繊維ウェブの少なくとも1つの面を艶出しする工程と
を含む方法。
【請求項2】
脱水ユニットが、少なくとも150mmのニップ長を有するシュープレス、ベルトプレス又は同様の拡張ニッププレスユニットである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
艶出しユニットが、ヤンキーシリンダ、拡張ニップカレンダ又はグラシンカレンダである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
繊維ウェブが、艶出しユニットを通って導かれた後、少なくとも1つのカレンダでカレンダ加工される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
繊維ウェブが、少なくとも1つの脱水ユニットを通って導かれた後、25~45重量%の乾燥含有量を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
繊維ウェブが、艶出しユニットで処理される前に35重量%を超える乾燥含有量を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
懸濁液が、乾燥重量に基づいて0.1~10kg/トン、好ましくは0.1~5kg/トン、より好ましくは0.2~2kg/トンの量の疎水化化学物質を更に含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
疎水化化学物質がAKD、ASA又はロジンサイズである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
繊維ウェブが、ミクロフィブリル化セルロースを含む2つ以上の層を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
製造されたロール紙が、コーティング組成物で少なくとも片面がコーティングされる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
コーティング組成物が、セルロース、デンプン、ナノセルロース、セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、デンプン誘導体、ポリビニルアルコール若しくはポリビニルアルコール誘導体又はそれらの組合わせ等の水溶性ポリマーを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ロール紙が0.1~50重量%のミクロフィブリル化セルロースを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の製造されたロール紙。
【請求項13】
ロール紙が25~160gsmの坪量を有する、請求項12に記載のロール紙。
【請求項14】
ロール紙が、ASTM D-3985に従って200cc/m/24h未満の酸素透過率(OTR)値(23℃、50%RH)を有する、請求項12又は13に記載のロール紙。
【請求項15】
ロール紙が、規格ISO 5636/6に従って測定して、少なくとも25000s/100ml、より好ましくは少なくとも40000s/100mlのガーレー・ヒル(Gurley Hill)値を有する、請求項12から14のいずれか一項に記載のロール紙。
【請求項16】
ロール紙が、ISO 8791-4による5μm未満、好ましくは2μm未満の表面粗さPPS値を有する少なくとも1つの艶出し面を有する、請求項12から15のいずれか一項に記載のロール紙。
【請求項17】
ロール紙が、60gsmの紙でTAPPI UM-403に従って測定して、1500J/mを超えるスコットボンド値を有する、請求項12から15のいずれか一項に記載のロール紙。
【請求項18】
ロール紙が、規格ISO 16532-2に従って測定して、少なくとも6のKIT値を有する、請求項12から16のいずれか一項に記載のロール紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミクロフィブリル化セルロースを含むロール紙の製造方法、及び方法に従って製造されたミクロフィブリル化セルロースを含むロール紙に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール(MG)紙は、ラベル紙、特別な印刷用途、並びに様々な食品及び衛生包装用途で使用される紙である。通常、紙の一方の表面は光沢があり、すなわち、紙の表面の光沢が増加するように処理される。紙の少なくとも1つの表面の艶出しは、あまり大きな嵩を失うことなく紙に改善された光沢及び増加した表面密度を提供するために行われる。艶出し面は、バリア特性、特に油脂及び油に対する改善されたバリアを改善し、同様にまた、表面改善された印刷特性を与える。
【0003】
良好なバリア特性を有することに加えて、MG紙が最終包装用途における高い需要に対処するために、MG紙が良好な機械的強度も有することが重要である。
【0004】
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)は、紙又は板紙製品を製造するときに強度添加剤又はバリア添加剤として使用されることが知られている。しかしながら、MFCは非常に高い水結合容量を有し、したがって、ミクロフィブリル化セルロースを含むスラリーの水含有量を減少させることは非常に困難であり、大量のMFCを含む製品の脱水需要は非常に高い。したがって、製品の機械的特性又はバリア特性を低下させることなく、大量のMFCを含む製品を脱水することは困難である。
【0005】
ロール紙の製造中、紙の走行性が改善されることが重要である。バリア又は強度添加剤を紙に添加することにより、乾燥中のウェブの浮き又は気泡のリスクがある。
【0006】
したがって、良好な強度及びバリア特性を有する改良されたMG紙を効率的に製造する新しい方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、紙の強度及びバリア特性に悪影響を及ぼすことなく効率的な方法でミクロフィブリル化セルロースを含むロール紙を製造する方法であって、先行技術の方法の欠点の少なくともいくつかを更に排除又は緩和する方法を提供することである。
【0008】
本発明は、添付の独立請求項によって定義される。実施形態は、添付の従属請求項及び以下の説明に記載されている。
【0009】
本発明は、ミクロフィブリル化セルロースを含むロール紙を製造するための方法に関し、方法は、総乾燥重量に基づいて0.1重量%~50重量%のミクロフィブリル化セルロースを含む懸濁液を提供する工程と、ワイヤ上に当該懸濁液の繊維ウェブを形成する工程であって、当該ウェブが1~25重量%の乾燥含有量を有する、繊維ウェブを形成する工程と、少なくとも1つの脱水ユニットで繊維ウェブを脱水する工程と、ロール紙を形成するために、艶出しユニット内の脱水された繊維ウェブの少なくとも1つの面を艶出しする工程と、を含む。
【0010】
ミクロフィブリル化セルロースを使用することにより、良好な強度及びバリア特性を有するロール紙を製造することが可能であることが見出された。MG紙は非常に高密度の紙であるため、驚くべきことに、非常に大量のMFCを懸濁液に添加しても、高い製造速度で良好な強度及びバリア特性を有するMG紙を製造することができることが可能であり、すなわち、脱水ユニットと艶出しユニットとの組合わせは、効率的な方法で繊維ウェブを依然として脱水及び乾燥することを可能にした。
【0011】
脱水ユニットは、好ましくは、少なくとも150mmのニップ長を有するシュープレス、ベルトプレス又は同様の拡張ニッププレス装置である。シュープレス、ベルトプレス又は同様の拡張ニッププレス装置及び艶出しユニットの使用は、繊維ウェブのバリア特性を破壊することなくウェブの脱水を改善することを可能にすることが見出された。
【0012】
艶出しユニットは、ヤンキーシリンダ、グラシンカレンダ又は延長ニップカレンダ、例えばシューカレンダ又はベルトカレンダであってもよい。艶出しユニットは、好ましくはヤンキーシリンダである。艶出しユニット及び脱水ユニットとしてヤンキーシリンダを使用することにより、効率的な方法で、繊維ウェブの少なくとも1つの表面を乾燥させ、艶出し面を提供することが可能になることが見出された。
【0013】
繊維ウェブは、艶出しユニットを通って導かれた後、カレンダでカレンダ加工されてもよい。任意の既知のカレンダを使用することができる。ロール紙の片面又は両面をカレンダ加工することが可能である。
【0014】
繊維ウェブは、好ましくは、少なくとも1つの脱水ユニットを通って導かれた後、25~45重量%の乾燥含有量を有する。繊維ウェブは、好ましくは、艶出しユニットで処理される前に35重量%を超える、好ましくは45重量%を超える乾燥含有量を有し、艶出しユニットで処理される前の繊維ウェブの乾燥含有量は、好ましくは85重量%未満、より好ましくは35~85重量%、又は更により好ましくは45~85重量%である。脱水ユニット及び艶出しユニットで処理される前の繊維ウェブの上述の固形分を使用することにより、ロール紙は、強度が改善され、良好なバリア特性を有し、効率的な方法で製造される。
【0015】
懸濁液はまた、乾燥重量に基づいて0.1~10kg/トン、好ましくは0.1~5kg/トン、より好ましくは0.2~2kg/トンの量のAKD、ASA又はロジンサイズ等の疎水化化学物質を含み得る。内部サイジング剤として懸濁液に疎水化化学物質を添加することにより、ロール紙のバリア特性が改善される。また、MFCと疎水化化学物質との組合わせは、ウェブの艶出しユニットへの接着性を改善し、プロセスの走行性を改善することも見出された。
【0016】
繊維ウェブは、ミクロフィブリル化セルロースを含む2つ以上の層を含み得る。このようにして、ミクロフィブリル化セルロースを含む2つ以上の層を含む多重紙が形成される。ミクロフィブリル化セルロースを含む2つ以上の層を含む繊維ウェブは、ミクロフィブリル化セルロースを含む少なくとも2つの懸濁液をワイヤに供することによって形成され得る。少なくとも2つの懸濁液は、多層ヘッドボックス内で、又は2つの異なるヘッドボックスの使用によってワイヤに追加され得る。懸濁液のうちの少なくとも1つがミクロフィブリル化セルロースを含む少なくとも2つの懸濁液は、ワイヤ上に適用された、すなわち当該ワイヤと直接接触している第1の懸濁液と、適用された第1の懸濁液上に他の懸濁液とが適用されるように、当該ワイヤに適用される。このようにして、多重繊維ウェブが形成される。ワイヤ上に形成された後に2つ以上の繊維ウェブを一緒に取り付けて、多重紙製品を形成すること、すなわち、第1の繊維ウェブが第1のヘッドボックスからの第1のワイヤ上に形成され、第2の繊維ウェブが第2のヘッドボックスからのワイヤ支持体上に形成されることも可能であり得る。その後、第1及び第2の繊維ウェブは互いに付着して、多重繊維ウェブを形成する。したがって、2つ、3つ又はそれを超えるヘッドボックス及びワイヤを使用することによって多重繊維ウェブを製造し、次いで、製造された繊維ウェブを互いに取り付け、2つ以上の繊維ウェブを含む多重繊維ウェブを脱水ユニット及び艶出しユニットを通って導いて、ロール紙を製造することも可能である。MG紙のミッドプライを形成する懸濁液のみがMFCを含む、3層ロール紙を製造することが好ましい可能性がある。このようにして、ミッドプライ内のMFCの量を増加させることができ、これにより、グレーズユニットの表面への剥離又は十分な接着がないという欠点なしに紙の強度及びバリア特性が改善される。
【0017】
製造されたロール紙は、好ましくは、少なくとも片面がコーティング組成物でコーティングされる。コーティング組成物は、好ましくは、セルロース、デンプン、ナノセルロース、セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、デンプン誘導体、ポリビニルアルコール若しくはポリビニルアルコール誘導体又はそれらの組合わせ等の水溶性ポリマーを含む。当該懸濁液は、架橋剤、ナノ充填剤又は軟化剤等の性能又は機能性化学物質を更に含み得る。コーティングは、MG紙の艶出し面に塗布されることが好ましい。コーティング組成物は、紙のバリア特性を更に改善する。驚くべきことに、MFCを紙に添加すると、紙のコーティング特性が改善され、すなわち、紙の表面上のコーティングの被覆率が大幅に改善されることが見出された。1つの理論は、艶出し面の密度が増加することであり、これはコーティングが紙の表面に「留まる」ことを意味し、コーティング量を減少させることが可能であり、依然として表面に均一なコーティングを達成することが可能である。コーティングは、0.1~5gsm、好ましくは0.2~4gsm、更により好ましくは0.3~3gsmの量で塗布されることが好ましい。
【0018】
本発明は更に、0.1~50重量%のミクロフィブリル化セルロースを含む上記の方法に従って製造されたロール紙に関する。ロール紙は、好ましくは、ASTM D-3985による200cc/m/24h未満の酸素透過率(OTR)値(23℃、50%RH)、25~160gsmの坪量、規格ISO 5636/6によって測定されるように、少なくとも25000s/100mlのガーレー・ヒル(Gurley Hill)値、より好ましくは少なくとも40000s/100ml、ISO 8791-4による5μm未満、好ましくは2μm未満の表面粗さPPS値を有する少なくとも1つの艶出し面(最終的なコーティングの添加前)、少なくとも6、より好ましくは8を超えるKIT値、及び60gsmの紙でTAPPI UM-403に従って測定して、1500J/mを超える、より好ましくは1600J/mを超える、最も好ましくは1800J/mを超える値のスコットボンドを有する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明により、改善された強度、依然として高い製造速度で良好なバリア特性を有するMFCを含むロール紙を製造することが可能であることが見出された。脱水プロセスは、多くの場合、大量のMFCを含む紙製品の製造にとって最も困難なプロセス工程であるため、脱水プロセスを改善することによって製品ライン全体の生産速度も改善することができる。驚くべきことに、好ましくはシュープレス等の拡張ニッププレス装置を使用し、続いて艶出しユニット、好ましくはヤンキーシリンダを使用することによる脱水ユニットの組合わせが、良好かつ効率的な方法でミクロフィブリル化セルロースを含むロール紙を製造することを可能にすることが見出された。
【0020】
懸濁液は、総乾燥重量に基づいて0.1重量%~50重量%のミクロフィブリル化セルロース、好ましくは総乾燥重量に基づいて2~40重量%、又は更により好ましくは5~30重量%のMFCを含む。MFCに加えて、懸濁液はセルロース繊維、好ましくはクラフトパルプ繊維等の化学パルプ系繊維も含む。懸濁液はまた、機械パルプ繊維又はケモサーモメカニカルパルプ(chemothermomechanical pulp:CTMP)繊維を含んでもよい。懸濁液は、好ましくは、総乾燥重量に基づいて50~99.9重量%、好ましくは60~98重量%、又は更により好ましくは70~95重量%のセルロース系繊維を含む。繊維は、広葉樹繊維であっても針葉樹繊維であってもよい。懸濁液中のセルロース系繊維、すなわち「通常の」繊維及びMFCの両方は、漂白されて白紙製品を生成してもよく、又は未漂白で褐色紙製品を製造してもよい。
【0021】
懸濁液のミクロフィブリル化セルロースは、規格ISO 5267-1によって決定される場合、好ましくは80を超える、好ましくは90を超える、更により好ましくは95を超える、好ましくは90~100の間、又は更により好ましくは95~100の間のSchopper-Riegler(SR)値を有する。その結果、懸濁液は、好ましくは、通常は脱水が非常に困難なファイングレードのMFC品質を含む。
【0022】
懸濁液はまた、乾燥重量に基づいて0.1~10kg/トン、好ましくは0.1~5kg/トン、より好ましくは0.2~2kg/トンの量のAKD、ASA又はロジンサイズ等の疎水化化学物質を含み得る。内部サイジング剤として懸濁液に疎水化化学物質を添加することにより、ロール紙のバリア特性が改善される。MFCと疎水化化学物質との組合わせは、ウェブの艶出しユニットへの接着性を改善し、次いでプロセスの走行性を改善することも見出された。
【0023】
懸濁液はまた、天然デンプン又はデンプン誘導体等の添加剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体、充填剤、保持及び/又は排水化学物質、凝集添加剤、解凝集添加剤、乾燥強度添加剤、軟化剤、架橋助剤、染料及び着色剤、湿潤強度樹脂、固定剤、消泡助剤、微生物及び粘液制御助剤、又はそれらの混合物を含み得る。
【0024】
ワイヤは、好ましくは、紙又は板紙抄紙機のワイヤであり、ロール紙の脱水及び製造は、好ましくは抄紙機で行われる。抄紙機(又は製紙機械)は、パルプ及び紙産業で使用され、高速で大量に紙を作り出す産業機械である。現代の製紙機械は、典型的には、パルプ懸濁液に保持された繊維を濾別し、連続的に移動する繊維の湿潤ウェブを生成することによって連続ウェブを作成するために、移動する織られたメッシュ、「ワイヤ」を使用する長網機械の原理に基づいている。この湿潤ウェブを機械内で乾燥させて、強力な紙ウェブを製造する。
【0025】
当該懸濁液の繊維ウェブは、ワイヤ上に形成され、当該ウェブは、1~25重量%の乾燥含有量を有する。その後、繊維ウェブは、任意の既知の方法によってワイヤ上で更に脱水又は排水される。更なる脱水は、典型的には、ウェブをプレスして可能な限り多くの水を絞り出すことを含む。更なる脱水は、例えば、形成された多層ウェブを抄紙機のプレスセクションに通すことを含んでもよく、ウェブは、可能な限り多くの水を絞り出すために高圧下で負荷された大きなロール間を通過する。除去された水は、典型的には、布又はフェルトによって受け取られる。その後、繊維ウェブは、少なくとも1つの脱水ユニットを通って導かれる。繊維ウェブは、好ましくは、少なくとも1つの脱水ユニットを通って導かれた後、25~45重量%の乾燥含有量を有する。脱水ユニットで脱水される繊維ウェブは、その後、艶出しユニットを通って導かれる。繊維ウェブは、艶出しユニットで処理される前に、35重量%を超える、好ましくは45重量%を超える乾燥含有量を有することが好ましい。艶出しユニットで処理される前の繊維ウェブの乾燥含有量は、好ましくは85重量%未満、より好ましくは35~85重量%、又は更により好ましくは45~85重量%である。脱水ユニット及び艶出しユニットで処理される前の繊維ウェブの上述の固形分を使用することにより、ロール紙は、強度が改善され、良好なバリア特性を有し、効率的な方法で製造される。
【0026】
脱水ユニットは、好ましくは、少なくとも150mmのニップ長を有するシュープレス、ベルトプレス又は同様の拡張ニッププレス装置である。シュープレス、ベルトプレス又は同様の拡張されたニッププレス装置の使用は、ウェブの濡れた気泡のリスクを増加させることなく、繊維ウェブのバリア特性を破壊することなく、ウェブの脱水を改善することを可能にすることが見出された。
【0027】
拡張ニッププレス装置は、好ましくは、少なくとも150mm、好ましくは少なくとも200mm、好ましくは150~350mm、更により好ましくは200~300mmのニップ長を有する。
【0028】
拡張されたニッププレス装置における線形負荷は、好ましくは250~1500kN/mであり、すなわち、これは、装置、例えばシュープレスにおいて使用される最大線形負荷である。使用される線荷重は、繊維ウェブの処理中に変更されることが好ましい。拡張されたニッププレス装置内の線形荷重を徐々に又は段階的に増加させることによって、ウェブの脱水が改善され、すなわち、バリア特性を破壊することなく、より高い乾燥含有量を有するウェブを製造することができる。ニップでの処理中のパルスで線荷重を増加させることも可能であり、すなわち、線荷重は、シュープレス内の繊維ウェブの処理中の少なくとも1つのパルスで少なくとも1回増加される。これは、拡張されたニッププレス装置における処理中に繰り返すことができる。2つ以上の拡張ニッププレス装置、例えばシュープレスが使用される場合、両方の装置において同じ線形負荷プロファイルを使用することが可能である。しかしながら、脱水されたウェブのバリア特性を低下させることなく脱水が改善されるように、異なる線形負荷プロファイルを使用して線形負荷プロファイルを設計することがしばしば好ましい。
【0029】
シュープレスとは、シュープレスニップを備える拡張ニッププレス装置を意味する。公知のシュープレスを用いることができる。シュープレス用ニップは、シュー及びロールを用いて形成することもできるし、大径のソフトロール及びロールを用いて形成することもできる。ロールは、好ましくは合成ベルトを有するが、金属ベルトを有することもできる。大径ソフトロールは、1.5~2メートルの直径を有することができる。
【0030】
繊維ウェブに対するシューの位置は、シュープレスの傾斜角を変更することによって変更することができる。少なくとも1つのシュープレスの傾斜角は、好ましくは7~24度である。傾斜角は、ピーク線形負荷に影響を及ぼし、線形負荷を調整してウェブの脱水効率を改善する方法である。
【0031】
ニップ時間は、好ましくは少なくとも30msである。ニップ長及び製造速度に応じて、繊維材料がシュープレス内で圧力を受ける時間は変化する。
【0032】
ベルトプレスとは、ベルトを備える拡張ニッププレス装置を意味する。任意の既知のベルトプレスを使用することができる。
【0033】
少なくとも2つの延長されたニッププレス装置、好ましくは少なくとも2つのシュープレスを使用すること、及び2つの延長されたニッププレス装置が互いの後に配置されていることが好ましい場合がある。次いで、繊維ウェブは、最初に第1のシュープレスを通って導かれ、次に第2のシュープレスを通って導かれる。このようにして、繊維ウェブの脱水を更に改善することが可能であり、依然として良好なバリア特性を有する紙を製造することができることが見出された。第1のシュープレスで使用されるニップ圧力は、第2のシュープレスで使用されるニップ圧力よりも低いことが好ましい。少なくとも2つのシュープレスは、好ましくは、当該繊維ウェブの異なる側に配置される。このようにして、繊維ウェブを通して両方向からウェブを脱水することが可能である。複数のシュープレスが使用される場合、全ニップ長、すなわち各シュープレスのニップ長の合計は、350mm超、好ましくは400mm超、更により好ましくは450mm超であることが好ましい。少なくとも2つのシュープレスの幾何学的設計は異なることが好ましく、例えば、1つのシュープレスは凹状設計を有することができ、1つのシュープレスは凸状設計を有することができる。
【0034】
艶出しユニットは、ヤンキーシリンダ、グラシンカレンダ又は延長ニップカレンダ、例えばシューカレンダ又はベルトカレンダであってもよい。艶出しユニットは、好ましくはヤンキーシリンダである。艶出しユニットとしてヤンキーシリンダを使用すると、乾燥すること、及び繊維ウェブの少なくとも1つの表面に艶出し面を設けることの両方が可能になることが見出された。ヤンキーシリンダは、通常、非常に多孔性の材料であるティッシュペーパーを乾燥させるために使用される。ヤンキーシリンダの使用及び乾燥が紙にどのように影響するかは、Walkerによって、論文“High temperature Yankee Hoods Save Energy and Improve Quality,P&P,July 2007に十分に記載されている。製品を乾燥させるためにヤンキーシリンダを使用する場合、生成物中の液体は、生成物を通ってヤンキーシリンダに向かって、すなわち乾燥中に形成される熱及び蒸気に向かって流れる。本発明者らの場合の生成物の液体はミクロフィブリルも含み、これにより、紙の平滑化され艶出し面上でミクロフィブリルの濃度の増加が達成される。
【0035】
艶出しユニットの温度は、好ましくは100℃超、好ましくは110~190℃である。繊維ウェブの第1の面は、艶出しユニットと直接接触しており、例えばヤンキーシリンダの表面と直接接触している。
【0036】
繊維ウェブの艶出しユニット、例えばヤンキーシリンダへの接着を制御するために、接着制御添加剤を艶出しユニットの表面に添加することが好ましい場合がある。これは、繊維ウェブ中のミクロフィブリル化セルロースが繊維ウェブを過度に緊張させる傾向があり、これが艶出しユニットの表面からのウェブの浮き又は気泡を引き起こすため、ミクロフィブリル化セルロースが使用される場合により重要であることが示されている。接着制御添加剤は、ウェブを艶出しユニットの表面に十分に接着させる。適切な接着制御添加剤は、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリアミドアミン誘導体、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド及び/又はポリアクリルアミド誘導体等の水溶性又は部分的に水溶性のポリマーであってもよい。使用されるPVOHの加水分解度は、好ましくは99%未満、更により好ましくは98%未満である。また、変性ポリマー、例えば変性PVOH、好ましくはエチレン、カルボキシル化PVOH、カチオン化PVOH又はシリコン化PVOHを使用することも可能である。接着制御添加剤はまた、ナノクレイ及び/又はナノセルロース等のナノ粒子を含んでもよい。接着制御添加剤はまた、総乾燥重量に基づいて0.5~20重量%のナノ粒子を含み得る。艶出しユニットの表面への接着制御添加剤の量は、好ましくは0.1~10gsmである。接着制御添加剤は、好ましくは噴霧によって艶出しユニットの表面に添加される。接着制御添加剤は、溶液又は発泡体として艶出しユニットの表面に添加されることが好ましい。
【0037】
繊維ウェブは、艶出しユニットを通って導かれた後、少なくとも1つのカレンダでカレンダ加工されてもよい。機械カレンダ、マルチニップカレンダ、ソフトニップカレンダ、ベルトカレンダ等の任意の既知のカレンダを使用することができる。シューカレンダ又は任意の他の拡張ニップカレンダを使用することが好ましい場合がある。ロール紙の片面又は両面をカレンダ加工することが可能である。カレンダでの処理は、好ましくはインラインで行われる。
【0038】
繊維ウェブは、カレンダ加工された後にデカーリングユニットで処理されてもよい。このようにして、用紙のカール傾向を更に低減することができる。
【0039】
繊維ウェブは、好ましくは、ミクロフィブリル化セルロースを含む2つ以上の層を含む。このようにして、ミクロフィブリル化セルロースを含む2つ以上の層を含む多重紙が形成される。ミクロフィブリル化セルロースを含む2つ以上の層を含む繊維ウェブは、ミクロフィブリル化セルロースを含む少なくとも2つの懸濁液をワイヤに供することによって形成され得る。少なくとも2つの懸濁液は、多層ヘッドボックス内で、又は2つの異なるヘッドボックスの使用によってワイヤに追加され得る。他の塗布方法、例えば、flexJetヘッドボックス等のスプレー又はカーテンを使用して、多層繊維ウェブを作製することも可能であり得る。ミクロフィブリル化セルロースを含む少なくとも2つの懸濁液は、ワイヤ上に適用された、すなわち当該ワイヤと直接接触している第1の懸濁液と、適用された第1の懸濁液上に他の懸濁液とが適用されるように、当該ワイヤに適用される。このようにして、多重繊維ウェブが形成される。ワイヤ上に形成された後に2つ以上の繊維ウェブを一緒に取り付けて、多重紙製品を形成すること、すなわち、第1の繊維ウェブが第1のヘッドボックスからの第1のワイヤ上に形成され、第2の繊維ウェブが第2のヘッドボックスからのワイヤ支持体上に形成されることも可能であり得る。その後、第1及び第2の繊維ウェブは互いに付着して、多重繊維ウェブを形成する。ミクロフィブリル化セルロースを含む少なくとも2つの懸濁液は、ミクロフィブリル化セルロースの同じタイプ、量、稠度等を含み得るか、又は少なくとも2つの懸濁液の異なるタイプ、量、稠度等が使用され得る。多層繊維ウェブは、2、3、4、5又はそれを超える層を含んでもよい。したがって、2つ、3つ又はそれを超えるヘッドボックス及びワイヤを使用することによって多重繊維ウェブを製造し、次いで、製造された繊維ウェブを互いに取り付け、2つ以上の繊維ウェブを含む多重繊維ウェブを脱水ユニット及び艶出しユニットを通って導いて、ロール紙を製造することも可能である。
【0040】
製造されたロール紙は、好ましくは、少なくとも片面がコーティング組成物でコーティングされる。コーティング組成物は、好ましくは、デンプン、カルボキシメチルセルロース及び/又はミクロフィブリル化セルロースを含む。コーティングは、MG紙の艶出し面に塗布されることが好ましい。コーティング組成物は、紙のバリア特性を更に改善する。驚くべきことに、MFCを紙に添加すると、紙のコーティング特性が改善され、すなわち、紙の表面上のコーティングの被覆率が大幅に改善されることが見出された。1つの理論は、艶出し面の密度が増加することであり、これはコーティングが紙の表面に「留まる」ことを意味し、コーティング量を減少させることが可能であり、それでも表面に完全なコーティング被覆を達成することが可能である。コーティングは、0.1~5gsm、好ましくは0.2~4gsm、更により好ましくは0.3~3gsmの量で塗布されることが好ましい。任意の既知のコーティング技術を使用して、コーティング組成物を紙の表面に塗布することができる。
【0041】
本発明は更に、本明細書に記載の方法に従って製造されたMG紙に関する。MG紙は、0.1~50重量%、好ましくは2~40重量%、又は更により好ましくは5~30重量%のミクロフィブリル化セルロースを含む。
【0042】
ロール紙は、好ましくは、ASTM D-3985による200cc/m/24h未満、好ましくは150cc/m/24h未満、更により好ましくは100cc/m/24h未満の酸素透過率(OTR)値(23℃、50%RH)を有する。
【0043】
MG紙は、好ましくは25~160gsm、好ましくは30~140gsm、又は更により好ましくは40~130gsmの坪量を有する。
【0044】
MG紙は、規格ISO 5636/6に従って測定して、好ましくは少なくとも25000s/100ml、好ましくは少なくとも40000s/100ml、より好ましくは少なくとも60000s/100mlのガーレー・ヒル(Gurley Hill)値を有する。
【0045】
MG紙は、好ましくは、ISO 8791-4による5μm未満、好ましくは2μm未満(最終的なコーティングの添加前)の表面粗さPPS値を有する少なくとも1つの艶出し面を有する。
【0046】
MG紙は、好ましくは、60gsm紙でTAPPI UM-403に従って測定して、1500J/mを超える、より好ましくは1600J/mを超える、最も好ましくは1800J/mを超えるスコットボンド値を有する。その結果、製造されたMG紙は非常に高い強度を有する。
【0047】
MG紙は、典型的には、グリース及び油に対する良好な耐性を示す。紙の耐グリース性は、規格ISO 16532-2に従ってKIT試験によって評価される。試験は、ヒマシ油、トルエン及びヘプタンの一連の混合物を使用する。溶媒に対する油の比が低下するにつれて、粘度及び表面張力も低下し、連続する混合物がより耐えにくくなる。性能は、15秒後にシートを暗くしない最も高い番号の溶液によって評価される。故障を引き起こすことなく紙の表面に残る最も高い番号の解(最も攻撃的)は、「キット定格」として報告される(最大12)。いくつかの実施形態では、MG紙のKIT値は、規格ISO 16532-2に従って測定して、少なくとも6、好ましくは少なくとも8、更により好ましくは少なくとも10である。
【0048】
MG紙は、反発性が高いことが好ましい。いくつかの実施形態では、多層MG紙は、PTS-RH021/97試験方法に従ってカテゴリーII材料として試験した場合、30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満の不合格を示す。
【0049】
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)は、特許出願の文脈において、1000nm未満の少なくとも一次元を有するナノスケールのセルロース粒子繊維又はフィブリルを意味するものとする。MFCは、部分的又は全体的にフィブリル化セルロース又はリグノセルロース繊維を含む。遊離したフィブリルは1000nm未満の直径を有するが、実際のフィブリルの直径又は粒径分布及び/又はアスペクト比(長さ/幅)は供給源及び製造方法に依存する。最小のフィブリルは、基本フィブリルと呼ばれ、約2~4nmの直径を有する(例えば、Chinga-Carrasco,G.,Cellulose fibres,nanofibrils and microfibrils,:The morphological sequence of MFC components from a plant physiology and fibre technology point of view,Nanoscale research letters 2011,6:417を参照されたい)が、ミクロフィブリルとしても定義される基本フィブリルの凝集形態(Fengel,D.,Ultrastructural behavior of cell wall polysaccharides,Tappi J.,March 1970,Vol 53,No.3)は、例えば、拡張精製プロセス又は圧力降下分解プロセスを使用することによってMFCを製造するときに得られる主生成物であることが一般的である。供給源及び製造プロセスに応じて、フィブリルの長さは、約1マイクロメートル~10マイクロメートル超まで変化し得る。粗MFCグレードは、フィブリル化繊維、すなわち仮道管から突出したフィブリル(セルロース繊維)のかなりの画分を含み、一定量のフィブリルが仮道管から遊離している(セルロース繊維)。
【0050】
MFCには、セルロースミクロフィブリル、フィブリル化セルロース、ナノセルロース、ナノフィブリル化セルロース、フィブリル凝集体、ナノスケールセルロースフィブリル、セルロースナノファイバー、セルロースナノフィブリル、セルロースマイクロファイバー、セルロースフィブリル、ミクロフィブリルセルロース、ミクロフィブリル凝集体及びセルロースミクロフィブリル凝集体等の異なる頭字語がある。MFCはまた、水に分散したときに低固形分(1~5重量%)でゲル状材料を形成する大きな表面積又はその能力等の様々な物理的又は物理化学的特性を特徴とすることができる。セルロース繊維は、好ましくは、形成されたMFCの最終比表面積が、BET法を用いて凍結乾燥材料について決定された場合、約1~約200m2/g、又はより好ましくは50~200m2/gであるような程度までフィブリル化される。
【0051】
MFCを作製するための様々な方法、例えば、シングルパス又はマルチパス精製、予備加水分解、その後の精製又は高剪断崩壊又はフィブリルの遊離等が存在する。MFC製造をエネルギー効率的及び持続可能性の両方にするためには、通常、1つ又は複数の前処理工程が必要である。したがって、供給されるパルプのセルロース繊維は、例えば繊維を加水分解若しくは膨潤させるため、又はヘミセルロース若しくはリグニンの量を減少させるために、酵素的又は化学的に前処理され得る。セルロース繊維は、フィブリル化の前に化学的に修飾されてもよく、セルロース分子は、元のセルロースに見られる以外の(又はそれ以上の)官能基を含む。そのような基としては、とりわけ、カルボキシメチル(CMC)、アルデヒド及び/又はカルボキシル基(N-オキシル媒介酸化によって得られるセルロース、例えば「TEMPO」)、又は第四級アンモニウム(カチオン性セルロース)が挙げられる。上記の方法の1つで修飾又は酸化された後、繊維をMFC又はナノフィブリルサイズ又はNFCに分解することがより容易である。
【0052】
ナノフィブリルセルロースは、いくつかのヘミセルロースを含み得、量は植物源に依存する。前処理された繊維、例えば加水分解された、予め膨潤された、又は酸化されたセルロース原料の機械的崩壊は、リファイナ、グラインダ、ホモジナイザ、コロイダ、摩擦グラインダ、超音波ソニケータ、マイクロフルイダイザ、マクロフルイダイザ又はフルイダイザ型ホモジナイザ等のフルイダイザ等の適切な装置を用いて行われる。MFC製造方法に応じて、製品はまた、微粉、又はナノ結晶セルロース、又は例えば木材繊維又は製紙プロセスに存在する他の化学物質を含有し得る。生成物はまた、効率的にフィブリル化されていない様々な量のミクロンサイズの繊維粒子を含有し得る。
【0053】
MFCは、広葉樹繊維又は針葉樹繊維の両方からの木材セルロース繊維から製造される。それはまた、微生物源、農業繊維、例えば麦わらパルプ、竹、バガス、又は他の非木材繊維源から作製することもできる。これは、好ましくは、未使用繊維からのパルプ、例えば機械パルプ、化学パルプ及び/又は熱機械パルプを含むパルプから製造される。それはまた、破れた紙又は再生紙から作製することもできる。
【0054】
本発明の上記の詳細な説明を考慮すると、他の修正及び変形が当業者には明らかになるであろう。しかしながら、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、そのような他の修正及び変形が影響を受ける可能性があることは明らかである。
【国際調査報告】