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特表2023-540061単一の永久磁石と1つまたはそれより多くのボイスコイルとによって駆動されるフラットスピーカー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(54)【発明の名称】単一の永久磁石と1つまたはそれより多くのボイスコイルとによって駆動されるフラットスピーカー
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/04 20060101AFI20230913BHJP
   H04R 7/04 20060101ALI20230913BHJP
   H04R 7/18 20060101ALI20230913BHJP
   H04R 9/02 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
H04R9/04 104A
H04R7/04
H04R7/18
H04R9/02 102A
H04R9/02 102D
H04R9/02 101Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513793
(86)(22)【出願日】2021-08-11
(85)【翻訳文提出日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 US2021045623
(87)【国際公開番号】W WO2022046419
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】63/070,748
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/143,088
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523066576
【氏名又は名称】レゾナド, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チョ, リーグ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】アダムス, ダレル ザイラー
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ヨンイル
【テーマコード(参考)】
5D012
5D016
【Fターム(参考)】
5D012BA06
5D012BA08
5D012BB01
5D012BB03
5D012BB04
5D012BB08
5D012DA02
5D012GA01
5D016AA04
5D016AA13
(57)【要約】
単一の永久磁石と、単一の永久磁石の反対側のヨークと、単一の永久磁石とヨークとの間に位置している1つまたはそれより多くのボイスコイルプレートとを含むフラットスピーカーの実施形態が、開示される。1つまたはそれより多くのボイスコイルプレートは、各々、ボビンと、ボビンの片側または両側に配列されているコイルとを備える。ボイスコイルプレートは、コイルにおける電気信号と、棒磁石のN極とS極との間の磁場とによって生成される力に応答して、振動板を振動させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカーであって、前記スピーカーは、
N極およびS極を備える棒磁石と、
前記棒磁石から所定の距離に位置している、前記棒磁石と平行であるヨークと、
前記棒磁石と前記ヨークとの間に位置しているボイスコイルプレートであって、前記ボイスコイルプレートは、電気信号を受信するためのコイルを備える、ボイスコイルプレートと、
前記スピーカーの第1の側にある、前記第1のボイスコイルプレートの第1の端部に取り付けられている振動板と
を備え、前記ボイスコイルプレートは、前記コイルにおける前記電気信号と、前記棒磁石の前記N極と前記S極との間の磁場とによって生成される力に応答して前記振動板を振動させる、スピーカー。
【請求項2】
前記ボイスコイルプレートは、ボビンをさらに備える、請求項1に記載のスピーカー。
【請求項3】
前記コイルは、前記ボビンの片側のみに巻き付けられている、請求項2に記載のスピーカー。
【請求項4】
前記コイルは、前記ボビンの両側に巻き付けられている、請求項2に記載のスピーカー。
【請求項5】
前記スピーカーの第2の側にある、前記ボイスコイルプレートの第2の端部に取り付けられているスパイダーをさらに備える、請求項1に記載のスピーカー。
【請求項6】
前記スピーカーの第2の側にある、前記ボイスコイルプレートの第2の端部に取り付けられている第2の振動板をさらに備える、請求項1に記載のスピーカー。
【請求項7】
前記コイルの半分は、前記スピーカーの動作中、常に前記磁場の外側にある、請求項1に記載のスピーカー。
【請求項8】
前記棒磁石の前記N極に隣接する第1のプレートと、前記棒磁石の前記S極に隣接する第2のプレートとをさらに備える、請求項1に記載のスピーカー。
【請求項9】
フレームをさらに備える、請求項1に記載のスピーカー。
【請求項10】
前記振動板は、サラウンド材料によって前記フレームに接続されている、請求項9に記載のスピーカー。
【請求項11】
前記ボイスコイルプレートは、磁性流体によって取り囲まれている、請求項1に記載のスピーカー。
【請求項12】
スピーカーであって、前記スピーカーは、
N極およびS極を備える棒磁石と、
棒磁石の上方に位置付けられている上部プレートと、
棒磁石の下方に位置付けられている底部プレートと、
前記棒磁石の第1の側にある第1のヨークであって、第1の空隙が、前記第1のヨークと前記棒磁石との間に作り出される、第1のヨークと、
前記棒磁石の第2の側にある第2のヨークであって、前記第2の側は、前記第1の側の反対側にあり、第2の空隙が、前記第2のヨークと前記棒磁石との間に作り出される、第2のヨークと、
前記棒磁石と前記棒磁石の第1の側の前記ヨークとの間の前記空隙に位置している第1のボイスコイルプレートであって、前記ボイスコイルプレートは、電気信号を受信するための第1のコイルを備える、第1のボイスコイルプレートと、
前記棒磁石と前記棒磁石の第2の側の前記ヨークとの間の空隙に位置している第2のボイスコイルプレートであって、前記第2の側は、前記第1の側の反対側にあり、前記第2のボイスコイルプレートは、前記第1のコイルに印加される前記電気信号に対して180度ずれた位相で印加される前記電気信号を受信するための第2のコイルを備える、第2のボイスコイルプレートと、
前記スピーカーの第1の側にある、前記第1のボイスコイルプレートの第1の端部および前記第2のボイスコイルプレートの第1の端部に取り付けられている振動板と
を備え、前記第1のボイスコイルプレートおよび前記第2のボイスコイルプレートは、前記第1のコイルにおける前記第1の電気信号と、前記磁石によって生成される磁場とによって生成される、前記上部および底部プレートならびに第1のヨークによって方向付けられる第1の力と、前記第1のボイスコイルに印加される前記電気信号に対して180度ずれた位相で前記第2のコイルに印加される前記電気信号と、前記磁石によって生成される磁場とによって生成される、前記上部および底部プレートならびに第2のヨークによって方向付けられる第2の力とに応答して前記振動板を振動させる、スピーカー。
【請求項13】
前記第1のボイスコイルプレートは、第1のボビンをさらに備え、前記第2のボイスコイルプレートは、第2のボビンをさらに備える、請求項12に記載のスピーカー。
【請求項14】
前記第1のコイルは、前記第1のボビンの片側に巻き付けられ、前記第2のコイルは、前記第2のボビンの片側に巻き付けられている、請求項13に記載のスピーカー。
【請求項15】
前記第1のコイルは、前記第1のボビンの両側に巻き付けられ、前記第2コイルは、前記第2のボビンの両側に巻き付けられている、請求項13に記載のスピーカー。
【請求項16】
前記スピーカーの第2の側にある、前記第1のボイスコイルプレートの第2の端部および前記第2のボイスコイルプレートの第2の端部に取り付けられているスパイダーをさらに備える、請求項12に記載のスピーカー。
【請求項17】
前記スピーカーの第2の側にある、前記第1のボイスコイルプレートの第2の端部および前記第2のボイスコイルプレートの第2の端部に取り付けられている第2の振動板をさらに備える、請求項12に記載のスピーカー。
【請求項18】
前記コイルの前記同一の半分は、前記スピーカーの動作中、常に前記棒磁石の前記磁場の外側にある、請求項12に記載のスピーカー。
【請求項19】
前記棒磁石の前記N極に隣接する第1のプレートと、前記棒磁石の前記S極に隣接する第2のプレートとをさらに備える、請求項12に記載のスピーカー。
【請求項20】
フレームをさらに備える、請求項12に記載のスピーカー。
【請求項21】
前記振動板は、サラウンド材料によって前記フレームに接続されている、請求項20に記載のスピーカー。
【請求項22】
前記第1のボイスコイルプレートおよび前記第2のコイルプレートは、磁性流体によって取り囲まれている、請求項12に記載のスピーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、2020年8月26日に出願された「Single Magnet Speaker」と題する米国仮特許出願第63/070,748号、および、2021年1月6日に出願された「Flat Speaker Driven By A Single Permanent Magnet And One Or More Voice Coils」と題する米国特許出願第17/143,088号の優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
単一の永久磁石と、単一の永久磁石の反対側のヨークと、単一の永久磁石とヨークとの間に位置している1つまたはそれより多くのボイスコイルプレートとを含むフラットスピーカーの実施形態が、開示される。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
一般的に使用される従来技術の円錐型スピーカー100の概略図が、図1に示されている。円錐型スピーカー100は、通常、円筒形状を有し、円筒状の永久磁石110を使用する。円錐型スピーカー100は、ボイスコイル111、振動板112、バスケット/フレーム113、および弱音器114も備える。とりわけ、振動板112は、円錐形であるため、有意な高さを有し、これは、スピーカー構造全体がとり得る薄さに関して限界を設定する。加えて、T形ヨーク115も、有意な高さを有し、スピーカー構造全体がとり得る薄さに関して限界を設定する。
【0004】
さらに、円筒形磁石110の使用は、フレームが閉円錐形状構造を採択することを強制し、これは、実践的考慮に関して、同一のボイスコイルによって駆動される複数の振動板を有することから限定される。従来技術は、同軸スピーカーも含み、複数の円錐形のスピーカーが、ウーファー内に埋め込まれているツイータ等の共通の構造内に含まれるが、それらの事例では、各スピーカーは、同一のボイスコイルおよび磁気構造ではなく、別個のボイスコイルおよび磁気構造によって駆動される。したがって、従来技術では、存在する多重周波数範囲のスピーカーのみが、(2つの振動板が、各々、別個のボイスコイルおよび磁石によって駆動される状態で)1つの構造の中に組み込まれた2つの別個のスピーカーを含み、これは、より複雑な構造と、設計における付加的なサイズおよび重量とを結果としてもたらす。
【0005】
さらに、3次元サラウンドサウンドシステム、または業界が要求する他の種類の異なる音の再現に関する最近の開発をサポートするために、スピーカーは、低い歪みを伴う広範囲な音声信号を再現することができなければならない。各振動板の物理的サイズは、振動板が効果的に生み出し得る周波数範囲の音を本質的に限定する。比較的小さな振動板は、音の波長が振動板自体より大きいため、低周波数の音を効率的に再現することができない。他方、より大きな従来技術の円錐形振動板は、多くの場合、振動板の分解およびモーダル挙動の発生を伴うことなく、高周波数の音を再現するために十分に硬くなく、有意な歪みを結果としてもたらすため、主に低周波数の音を再現するように設計された比較的大きな振動板は、高周波数の音の再現には好適ではないことがある。従来技術は、空間的制約および幅広い周波数範囲の音に対する要件の両方に対処する効率的なスピーカー構造が欠如している。1つの従来技術の解決策は、相互からある距離離れている、異なる周波数範囲のセットの複数のスピーカーを使用することであるが、この方法は、結果として不必要に大空間を占有する。したがって、幅広い周波数の音を効果的に再現し得るが従来技術のスピーカーより少ない空間を占有する改良されたスピーカーに対する必要性が、存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
単一の永久磁石と、単一の永久磁石の反対側のヨークと、単一の永久磁石とヨークとの間に位置している1つまたはそれより多くのボイスコイルプレートとを含むフラットスピーカーの実施形態が、開示される。1つまたはそれより多くのボイスコイルプレートは、各々、ボビンと、ボビンの片側または両側に配列されているコイルとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の例示的実施形態は、付随の図面を参照して説明される。
【0008】
図1図1は、円錐形構造を伴う従前のスピーカーを描写している。
【0009】
図2A図2Aは、スピーカーの実施形態の側面図を描写している。
【0010】
図2B図2Bは、図2Aのスピーカーの種々の構成要素の上面図を描写している。
【0011】
図2C図2Cは、図2Aのスピーカーの種々の構成要素の上面図を描写している。
【0012】
図3A図3Aは、ボイスコイルプレートを描写している。
【0013】
図3B図3Bは、信号源によって駆動される図3Aのボイスコイルプレートを描写している。
【0014】
図3C図3Cは、図3Aと比較して電流方向が反転している状態の図3Aのボイスコイルプレートを描写している。
【0015】
図3D図3Dは、図3Aと比較して電流方向が反転している状態で信号源によって駆動される図3Aのボイスコイルプレートを描写している。
【0016】
図4A図4Aは、スピーカーの別の実施形態の側面図を描写している。
【0017】
図4B図4Bは、図4Aのスピーカーの種々の構成要素の上面図を描写している。
【0018】
図4C図4Cは、図4Aのスピーカーの種々の構成要素の上面図を描写している。
【0019】
図5A図5Aは、スピーカーの別の実施形態の側面図を描写している。
【0020】
図5B図5Bは、図5Aのスピーカーの種々の構成要素の上面図を描写している。
【0021】
図5C図5Cは、図5Aのスピーカーの種々の構成要素の上面図を描写している。
【0022】
図6A図6Aは、スピーカーの別の実施形態の側面図を描写している。
【0023】
図6B図6Bは、図6Aのスピーカーの種々の構成要素の上面図を描写している。
【0024】
図7A図7Aは、スピーカーの別の実施形態の側面図を描写している。
【0025】
図7B図7Bは、図7Aのスピーカーの種々の構成要素の上面図を描写している。
【0026】
図8A図8Aは、別のスピーカーの実施形態の側面図を描写している。
【0027】
図8B図8Bは、図8Aのスピーカーの種々の構成要素の上面図を描写している。
【0028】
図9図9は、スピーカーの別の実施形態を描写している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
上記に説明された本発明の特徴および利点は、付随の図面と併せて、以下の説明から明白となるであろう。説明に従って、適切な技術的な専門知識を伴う人物は、関連する業界において、本発明に例示されている技術的着想を実行することができるであろう。本発明は種々の異なる用途を有し得、異なる形態および形状をとり得るため、具体的な実施例のみが、図を通して図示され、その詳細な説明が、本文中に見出される。しかしながら、これは、決して、本発明を開示される特定の形態に制限するものではなく、その派生物、均等物、および代替物は、本発明の範囲内に全て含まれる包括的なものとして理解されなければならない。本明細書に使用される用語は、単に、特定の実施例を説明するために使用され、本発明を限定することを意図されない。
【0030】
図2Aは、単一の振動板と、単一の棒磁石とを利用したスピーカー設計の側面図を描写している。スピーカー200は、棒磁石210と、上側プレート220と、下側プレート230と、ヨーク240と、振動板250と、ボイスコイルプレート260とを備える。ボイスコイルプレート260は、ボビン261と、ボイスコイル262とを備える。スピーカー200は、スピーカーフレーム270をさらに備える。棒磁石210は、N極性およびS極性を有する。一端上には、ボイスコイルプレート260が、振動板250およびサラウンド材料290を通してスピーカーフレーム270に固着され、他端上には、ボイスコイルプレート260が、スパイダー280を通して、または第2の振動板(図示せず)を通してスピーカーフレーム270に固着されている。サラウンド材料290は、ゴム等の可撓性材料を含む。スピーカーは、下記により詳細に説明される信号源205によって駆動される。プレート230内の点線は、プレート230は単一片であるが、この特定の断面においては2つの部片であるように見えることを示している。例えば、プレート230は、細長いドーナツの形状にあり得る。
【0031】
随意に、ボイスコイルプレート260を取り囲む間隙は、磁性流体295を充填される。一実施形態では、磁性流体295は、液体キャリア中に懸濁される鉄粒子を含む。磁性流体295は、ボイスコイルプレート260を間隙の中心に置くことに役立ち、ヨーク240、プレート220もしくは230、または棒磁石210と接触して擦れ合う(過剰なノイズおよび歪みを引き起こし得る)ことのないように、液体緩衝材としての役割を果たすことができる。磁性流体295は、流体の粘度に応じてドライバの機械的減衰を微調整することに役立つこともでき、ドライバの熱伝導率を増加させ、それによって、電力定格を増加させ、音に対して起こり得る熱圧縮を減少させることができる。
【0032】
上側プレート220は、棒磁石210の上側部分に取り付けられ、下側プレート230は、棒磁石210の下側部分に取り付けられている。上側プレート220および下側プレート230は、ヨークとして動作し、ヨーク240とともに、ボイスコイルプレート260が常駐する磁石間のエリアにおいて磁場を含み、方向付ける。上側プレート220および下側プレート230は、随意に、磁気間隙内で誘起される磁束密度を増加させるために、棒磁石210を越えて磁気間隙内へと延在してもよい。
【0033】
振動板250は、上側プレート220の上方に位置付けられているが、代わりに下側プレート230の下方に設置されることもできる。振動板250は、振動板250のサイズに応じて、対応する周波数範囲の音を生み出すように構成されなければならない。この実施形態では、振動板250は、実質的にフラットである。しかしながら、振動板250は、代わりに、任意の用途に関連する音響設計のために設計されたフレームの上部表面に対して凸面もしくは凹面であり得、または任意の形状であり得る。
【0034】
図2Bは、下側プレート230、ボビン261、およびボイスコイル262の断面上面図を描写している。
【0035】
図2Cは、振動板250、ボイスコイル262、下側プレート230、上側プレート220、フレーム270、ヨーク240、およびボビン261の断面上面図を描写している。
【0036】
図3A図3B図3C、および図3Dは、スピーカー200および以下で検討される他のスピーカーの動作方法を実証する。スピーカー200を参照すると、ボイスコイルプレート260は、棒磁石210とヨーク240との間の間隙内に、実質的に剛性の平面形態において位置付けられなければならない。コイル262は、ボビン261の片側または両側に設置されることができる。振動板250は、棒磁石210によって誘起される磁場、およびボイスコイル262内に流れる電流によって、具体的な周波数範囲において振動させられる。
【0037】
図3Aでは、コイル262における暗い円は、「ページから外へと」流れる電流を図示しており、Xを伴う円は、「ページの中へと」流れる電流を図示している。
【0038】
図3Bでは、動作中、コイル262は、導体311および311’を経由して信号源205から電気音声信号を受信する。磁場は、棒磁石210によって、一般的にはN極(N)からS極(S)への方向に誘起される。(「正の半サイクル」と定義される)信号サイクルの前半の間、図3Aに示されているように、電流が、コイル262を通して流れる。電流の流れのこの方向は、図3Bにおいて、異なる視点から示されている。ボイスコイルプレート260が図2の文脈において配設されたとき、ローレンツ力が、棒磁石210によって生成される磁場と相互作用するコイル262によって生成され、これは、ボイスコイルプレート260を上向きに押動し、信号源からの電気信号の大きさに応じて、振動板250を上向きに押動する。
【0039】
図3Cを参照すると、(「負の半サイクル」と定義される)信号サイクルの後半の間、電流は、反対方向に流れる。図3Dを参照すると、コイル262内の電流の方向が反転させられているため、棒磁石210によって生成される磁場との相互作用からのローレンツ力は、ボイスコイルプレート260を下向きに押動し、これは、信号源からの電気信号の大きさに応じて、振動板250を下向きに引動する。
【0040】
図4A図4B、および図4Cは、スピーカー400を描写している。スピーカー400は、ボイスコイル462が片側のみではなくボビン261の両側に巻き付けられていることを除いて、図2A図2B、および図2Cのスピーカー200と同じである。スピーカー400は、信号源205によって駆動される。図3A~3Dを参照してスピーカー200に関して先に説明された同一の様式において、ローレンツ力が、スピーカー400内に生成される。
【0041】
図5A図5B、および図5Cは、スピーカー500を描写している。スピーカー500は、スパイダー280が振動板555と置き換えられていることを除いて、図2A図2B、および図2Cのスピーカー200と同一である。スピーカー500は、信号源205によって駆動される。図3A~3Dを参照してスピーカー200に関して先に説明された同一の様式において、ローレンツ力が、スピーカー500内に生成される。当業者は、同一の修正がスピーカー400に対して行われ得る(すなわち、スパイダー280が、振動板555と置き換えられることができる)ことを理解するであろう。
【0042】
図6Aは、単一の振動板と、単一の棒磁石と、2つのボイスコイルプレートとを利用したスピーカー設計の側面図を描写している。スピーカー600は、棒磁石610と、上側プレート620と、下側プレート630と、ヨーク640と、振動板650と、ボイスコイルプレート661および662とを備える。ボイスコイルプレート661は、ボビン663と、ボイスコイル665とを備える。ボイスコイルプレート662は、ボビン664と、ボイスコイル666とを備える。スピーカー600は、スピーカーフレーム670をさらに備える。棒磁石610は、N極性およびS極性を有する。一端上には、ボイスコイルプレート661および662が、各々、振動板650およびサラウンド材料690を通してスピーカーフレーム670に固着され、他端上には、ボイスコイルプレート661および662が、各々、スパイダー680を通して、または第2の振動板(図示せず)を通してスピーカーフレーム670に固着されている。
【0043】
上側プレート620は、棒磁石610の上側部分に取り付けられ、下側プレート630は、棒磁石610の下側部分に取り付けられている。上側プレート620および下側プレート630は、ボイスコイルプレート661および662が常駐する磁石とヨークとの間のエリアにおいて磁場を含み、方向付けるために、ヨーク640と連携して動作する。上側プレート620および下側プレート630は、随意に、磁気間隙内で誘起される磁束密度を増加させるために、棒磁石610を越えて磁気間隙内へと延在してもよい。ボイスコイル665およびボイスコイル666は、各々、コイル665の上部の電流がコイル666の上部の反対方向に流れ、ボイスコイル665の底部の電流がコイル666の底部の電流と反対方向に流れるように、単一の信号源205によって、電気的にずれた位相で駆動される。これは、各コイルプレートが振動板650を連携して駆動し得るように、同一の方向へのボイスコイルプレート661および662の機械的動きを提供する。
【0044】
振動板650は、上側プレート620の上方、または下側プレート630の下方のいずれかに位置付けられる。この場合、振動板650は、振動板650のサイズに応じて、対応する周波数範囲の音を生み出すように構成されなければならない。この実施形態では、振動板650は、実質的にフラットである。しかしながら、振動板650は、代わりに、任意の用途に関連する音響設計のために設計されたフレームの上部表面に対して凸面もしくは凹面であり得、または任意の形状であり得る。
【0045】
随意に、ボイスコイルプレート661および662を取り囲む間隙は、磁性流体295を充填される。
【0046】
図6Bは、下側プレート630、ボビン663および664、ならびにボイスコイル665および666の断面上面図を描写している。
【0047】
図7Aおよび図7Bは、スピーカー700を描写している。スピーカー700は、ボイスコイル765が片側のみではなくボビン663の両側に巻き付けられ、ボイスコイル766が片側のみではなくボビン664の両側に巻き付けられていることを除いて、図6Aおよび図6Bのスピーカー600と同じである。ボイスコイル765およびボイスコイル766は、各々、コイル765の上部の電流がコイル766の上部の反対方向に流れ、ボイスコイル765の底部の電流がコイル766の底部の電流と反対方向に流れるように、単一の信号源205によって、電気的にずれた位相で駆動される。これは、各コイルプレートが振動板を連携して駆動し得るように、同一の方向へのボイスコイル765および766の機械的動きを提供する。随意に、ボイスコイルプレート765および766を取り囲む間隙は、磁性流体295を充填される。
【0048】
図8Aおよび図8Bは、スピーカー800を描写している。スピーカー800は、スパイダー680が振動板855およびサラウンド895と置き換えられていることを除いて、図6Aおよび図6Bのスピーカー600と同じである。図3A~3Dを参照してスピーカー600に関して先に説明された同一の様式において、ローレンツ力が、スピーカー800内に生成される。ここでは、ボイスコイル765および766は各ボビンの片側にのみ見えているが、当業者は、それらが代わりに各ボビンの両側に巻き付けられ得ることを理解するであろう。
【0049】
図9は、単一の振動板と、単一の棒磁石とを利用したスピーカー設計の側面図を描写している。スピーカー900は、棒磁石910と、上側プレート990と、下側プレート930と、ヨーク940と、振動板950と、ボイスコイルプレート960とを備える。ボイスコイルプレート960は、ボビン961と、ボイスコイル962とを備える。スピーカー900は、スピーカーフレーム970をさらに備える。棒磁石910は、N極性およびS極性を有する。一方の端部上には、ボイスコイルプレート960が、振動板950を通してスピーカーフレーム970に固着されている。
【0050】
上側プレート990は、棒磁石910の上側部分に取り付けられ、下側プレート930は、棒磁石910の下側部分に取り付けられている。上側プレート990および下側プレート930は、ボイスコイルプレート960が常駐する磁石とヨークとの間のエリアにおいて磁場を含み、方向付けるために、ヨーク940と連携して動作する。上側プレート990および下側プレート930は、随意に、磁気間隙内で誘起される磁束密度を増加させるために、棒磁石910を越えて磁気間隙内へと延在してもよい。
【0051】
振動板950は、上側プレート990の上方、または下側プレート930の下方のいずれかに位置付けられる。この場合、振動板950は、振動板950のサイズに応じて、対応する周波数範囲の音を生み出すように構成されなければならない。この実施形態では、振動板950は、実質的にフラットである。しかしながら、振動板950は、代わりに、任意の用途に関連する音響設計のために設計されたフレームの上部表面に対して凸面もしくは凹面であり得、または任意の形状であり得る。振動板950は、サラウンド材料980を通してフレーム970に接続される。随意に、ボイスコイルプレート962を取り囲む間隙は、磁性流体295を充填される。
【0052】
スピーカー900は、ボイスコイルプレート960が棒磁石910によって生成される磁気エリアの上方にさらに位置し、それによって、ボイスコイル962の上半分が棒磁石910、ヨーク940、ならびにプレート990および930によって形成される磁気エリアと全く磁気的に相互作用しないことを除いて、設計においてスピーカー200と類似していることが、理解され得る。すなわち、ボイスコイルプレート960の全ての動きは、ボイスコイル962の下側部分に対して作用する磁力によって生じる。
【0053】
スピーカーの全ての実施形態において、各ボイスコイルは、限定ではないが、銅線、プリント回路基板、可撓性プリント回路基板、または他の導電性金属もしくは合金のいかなるバリアントも含む任意の導電性材料から成り得る。
【0054】
スピーカーの全ての実施形態において、1つまたはそれより多くの信号源からの電気音声信号は、運動エネルギーに変換され、それによって、1つまたはそれより多くの振動板を動かし、音を再現する。
【0055】
先に検討された実施例によると、スピーカー100等の従来的なスピーカーとは異なり、円形スピーカーではなく長方形フラットスピーカーを実現することと、ボイスコイルプレートおよび複数の振動板を保持している部分を簡略化することと、振動板のサイズを変えることによって多重周波数範囲の音を同時に再生することと、一般に幅広い音を再生することとが、可能である。加えて、実施形態は、単一の棒磁石のみを利用し、棒磁石は、比較的高価な構成要素であるため、これは、実施形態の製造コストを実質的に低減させる。
【0056】
実施形態は、スピーカーが超軽量および超薄型であることを可能にし、これは、薄型および軽量物体に使用されるスピーカーに対する要望に完全に合致している。フラットボイスコイルを伴うこの棒磁石型スピーカーに関して、1つより多くの棒磁石ではなく1つのみの棒磁石を使用することによって、実施形態は、従来的なスピーカーと比較して、製造費用を有意に削減している。
【0057】
前述は、単に、開示の原理を例示している。説明される実施形態に対する種々の修正例および変更例は、本明細書の教示の観点から当業者にとって明白であろう。したがって、当業者が、本明細書に明示的に示されていない、または説明されていないが、本開示の原理を具体化し、それによって、本開示の精神および範囲内であり得る多数のシステム、配列、および手順を考案することが可能であることが、理解されるであろう。種々の異なる例示的実施形態は、当業者によって理解されるはずであるように、相互とともに、ならびに相互と交換可能に使用されることができる。加えて、明細書、図面、および特許請求の範囲を含む本開示において使用されるある用語は、ある事例では、限定ではないが、例えば、データおよび情報を含めて、同義的に使用されることができる。これらの単語、および/または相互に同義であり得る他の単語は、本明細書において同義的に使用され得るが、そのような単語が同義的に使用されないように意図され得る事例も存在し得ることを理解されたい。さらに、参照によって上記に本明細書に明示的に援用されていない限りにおいて、従来技術の知識は、その全体が本明細書に明示的に援用される。参照される全ての刊行物は、参照によってその全体が本明細書に援用される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
【国際調査報告】