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特表2023-540087不活性化テロメラーゼ、それを有するアデノウイルス及び人工mRNA、並びにそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(54)【発明の名称】不活性化テロメラーゼ、それを有するアデノウイルス及び人工mRNA、並びにそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 9/12 20060101AFI20230913BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20230913BHJP
   C12N 15/861 20060101ALI20230913BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230913BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 38/43 20060101ALI20230913BHJP
   C12N 15/54 20060101ALN20230913BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20230913BHJP
【FI】
C12N9/12
C12N7/01
C12N15/861 Z
A61P9/00
A61P9/04
A61K38/43
C12N15/54
C12N5/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514063
(86)(22)【出願日】2021-09-22
(85)【翻訳文提出日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 CN2021119552
(87)【国際公開番号】W WO2022063108
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】202010999930.8
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523069485
【氏名又は名称】浙江愈方生物科技有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523069496
【氏名又は名称】南京愈方生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張家浩
(72)【発明者】
【氏名】曾雪
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA27
4B065CA44
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA07
4C084CA53
4C084DC01
4C084NA14
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA381
4C084ZA382
(57)【要約】
本発明は、不活性化テロメラーゼを提供し、当該不活性化テロメラーゼは二重突然変異テロメラーゼであり、二重突然変異点がそれぞれY707F及びD868Aである。本発明は、二重突然変異点を有するアデノウイルス-不活性化テロメラーゼ及び人工mRNA-不活性化テロメラーゼ、ならびにそれらの非分裂性細胞のテロメア短縮に関連する疾患の治療への使用をさらに提供する。本発明では、非分裂性細胞内のテロメラーゼTERTの活性を抑制して不活性化テロメラーゼCI-TERTになると同時に、テロメラーゼが細胞核から離脱するのを制限することができる。この組み合わせにより、テロメラーゼが細胞核内に保持され、テロメアを末端が短縮されないように保護するとともに、テロメラーゼによるテロメア延長に起因する細胞の癌化を防止することができ、癌化のリスクを低下させながら、テロメラーゼをテロメア末端を保護するように細胞核内に保持し、テロメア短縮による疾患の悪化を抑制することができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重突然変異点がそれぞれY707F及びD868Aである二重突然変異テロメラーゼであることを特徴とする不活性化テロメラーゼ。
【請求項2】
二重突然変異テロメラーゼを含有し、前記二重突然変異テロメラーゼの二重突然変異点がそれぞれY707F及びD868Aであることを特徴とするアデノウイルス-不活性化テロメラーゼ。
【請求項3】
二重突然変異テロメラーゼを含有し、前記二重突然変異テロメラーゼの二重突然変異点がそれぞれY707F及びD868Aであることを特徴とする人工mRNA-不活性化テロメラーゼ。
【請求項4】
請求項2に記載のアデノウイルス-不活性化テロメラーゼ又は請求項3に記載の人工mRNA-不活性化テロメラーゼの、非分裂性細胞のテロメア短縮に関連する疾患の治療への使用。
【請求項5】
前記非分裂性細胞は、心筋細胞、骨格筋細胞及び神経細胞を含むことを特徴とする請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記非分裂性細胞のテロメア短縮に関連する疾患は、心筋細胞のテロメア短縮に関連する疾患を含むことが好ましいことを特徴とする請求項4に記載の使用。
【請求項7】
前記心筋細胞のテロメア短縮に関連する疾患は、拡張型心筋症DCM、肥大型心筋症HCM、ラミノパシーおよび希少性テロメア短縮型心疾患を含むことを特徴とする請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記希少性テロメア短縮型心疾患は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーDMDを含むことを特徴とする請求項7に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子工学及び細胞学技術分野に関する。具体的に、不活性化テロメラーゼ及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
テロメア(Telomere)は、ヒト真核細胞染色体の末端にある多重反復非転写DNA(Deoxyribonucleic Acidデオキシリボ核酸)とタンパク質との複合体である。研究により、テロメアが老化(ageing)、細胞分裂の制御、及び疾患と一定の関連性を有することが明らかにされている。テロメラーゼ(Telomerase)は、細胞内でテロメアを延長させる役割を果たす酵素であり、基本的な核タンパク質逆転写酵素であり、テロメアDNAを真核細胞染色体の末端に加え、DNA複製により損耗されたテロメアを補充し、テロメアを修復して延長させることができ、テロメアが細胞分裂により損耗されることがないようにすることができる。
【0003】
ここ数十年以来、遺伝子治療は、科学者の夢から現実へ徐々に変わってきている。遺伝子治療用のベクターは、これまでに遺伝子治療全体のキーポイントである。現在、AAV(Adenovirus Associated Virus,アデノウイルス)は、トランスフェクションによりヒト染色体に組み込むことができるので、遺伝子治療用のベクターとして広く研究されている。しかし、アデノウイルスAAVは、人体内で細胞に対する特異的識別が低く、かつ、当該ウィルスは、免疫ストームを誘発するリスクがある。研究により、テロメア短縮は、様々な疾患及び老化に緊密に関連し、テロメアの延長は、疾患を緩和でき、又は一定の治療効果があることが明らかにされている。現在、実験室では、試験体内にアデノウイルス-テロメラーゼAAV-TERTを直接に注入し、活性を有するテロメラーゼを過剰発現させることによりテロメアを延長させる目的を達成する。しかし、このような非特異的設計において、突然変異を持つ細胞は活性を有するテロメラーゼによって癌細胞に変わる可能性を途絶することができない。従って、如何に適切な遺伝子及びそのベクターにより、癌化のリスクを低下させながら、テロメラーゼをテロメア末端を保護するように細胞核内に保持し、テロメア短縮による疾患の悪化を抑制するかは、当業者が研究すべき方向である。
【発明の概要】
【0004】
従来技術における欠陥及び不足を克服するために、本発明は、不活性化テロメラーゼ、それを有するアデノウイルス-不活性化テロメラーゼ、及び人工mRNA-不活性化テロメラーゼ、並びにそれらの使用を提供することを目的とする。
【0005】
上記の目的を実現するために、本発明の第1の態様によれば、二重突然変異点がそれぞれY707F及びD868Aである二重突然変異テロメラーゼである、不活性化テロメラーゼを提供する。
【0006】
本発明の第2の態様によれば、二重突然変異テロメラーゼを含有し、前記二重突然変異テロメラーゼの二重突然変異点がそれぞれY707F及びD868Aである、アデノウイルス-不活性化テロメラーゼを提供する。
【0007】
本発明の第3の態様によれば、二重突然変異テロメラーゼを含有し、前記二重突然変異テロメラーゼの二重突然変異点がそれぞれY707F及びD868Aである、人工mRNA-不活性化テロメラーゼを提供する。
【0008】
本発明の第4の態様によれば、上記アデノウイルス-不活性化テロメラーゼ又は上記人工mRNA-不活性化テロメラーゼの、非分裂性細胞のテロメア短縮に関連する疾患の治療への使用を提供する。
【0009】
さらに、非分裂性細胞は、心筋細胞、骨格筋細胞及び神経細胞を含む。
【0010】
さらに、非分裂性細胞のテロメア短縮に関連する疾患は、心筋細胞のテロメア短縮に関連する疾患を含むことが好ましい。
【0011】
さらに、心筋細胞のテロメア短縮に関連する疾患は、拡張型心筋症DCM、肥大型心筋症HCM、ラミノパシーおよび希少性テロメア短縮型心疾患を含む。
【0012】
またさらに、希少性テロメア短縮型心疾患は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーDMDを含む。
【0013】
上記技術的解決手段により、本発明は、突然変異点がそれぞれY707F及びD868Aである二重突然変異不活性化テロメラーゼ(CI-TERT,Catalytically Inactive TERT)を提供し、ここで、突然変異点Y707Fの変異により、テロメラーゼが細胞核内に保持され、その離脱が制限されてテロメラーゼを長期的にテロメア末端に噛み合わせて保護構造を形成する。突然変異点D868Aの変異により、テロメラーゼを失活させ、テロメラーゼが失活することにより、テロメア延長の制御不能と癌の誘発の可能性を防止させることができる。二重突然変異不活性化テロメラーゼの機能を実現するために、発明人は、アデノウイルスと人工mRNAとを二重突然変異不活性化テロメラーゼのベクターとして使用可能であり、アデノウイルス-不活性化テロメラーゼ及び/又は人工mRNA-不活性化テロメラーゼを受容体に注射することにより、受容体内で二重突然変異不活性化テロメラーゼを発生させることができることを見出し、即ち、本発明の技術的解決手段では、受容体細胞内で二重突然変異不活性化テロメラーゼを発生させ、さらに、不活性化テロメラーゼCI-TERTを過剰発現させることにより、二重突然変異不活性化テロメラーゼが二重突然変異点の共同作用により相応する機能を発揮することができ、細胞癌化のリスクを低下させるのみならず、テロメラーゼをテロメア末端を保護するように細胞核内に保持し、テロメア短縮による疾患の悪化を抑制することができる。
【0014】
本発明は、従来技術に対して以下の有益な効果を有する。
1.テロメア短縮を防止し、テロメア短縮、特に非分裂性細胞のテロメア短縮に関連する様々な疾患及び老化を予防及び治療する。
2.テロメア短縮、特に非分裂性細胞のテロメア短縮に関連する様々な疾患及び老化細胞のテロメアを延長させることができ、緩和された疾患に対して一定の治療効果を有する。
3.テロメア短縮による細胞死を抑制することができる。
4.テロメア末端を保護し、テロメアの過度な成長による細胞癌化のリスクを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の一部を構成する図面は、本発明をさらに理解するために提供され、本発明の例示的な実施例及びその説明は、本発明を解釈するために用いられるものであり、本発明を不適切に限定するものではない。図面において、
図1図1は、本発明の作業原理のフロチャートを示す。
図2図2は、健康な心筋細胞(心筋サルコメア染色cTnT)において、QFISHによりテロメアを局在して(テロメア反復配列染色TelC)その長さを測定する概略図を示す。
図3図3は、疾患の心筋細胞(心筋サルコメア染色cTnT)において、QFISHによりテロメアを局在して(テロメア反復配列染色TelC)その長さを測定する概略図を示す。
図4図4は、疾患の心筋細胞(心筋サルコメア染色cTnT)において、テロメア末端(テロメア反復配列染色TelC)及び核酸損傷(核酸損傷シグナル染色53BP1)の共局在免疫蛍光染色を示す。
図5図5は、疾患の心筋細胞において、テロメア末端(テロメア反復配列染色TelC)及びテロメラーゼ(テロメラーゼTERT)の共局在免疫蛍光染色を示す。
図6図6は、テロメラーゼ活性検出(TRAP Assay)の図を示す。
図7図7は、核酸タンパク質の共局在(ChIP-qPCR)試験の検出図を示す。
図8図8は、ヒト由来心筋細胞において、人工mRNA-テロメラーゼ(mRNA-TERT)と人工mRNA-不活性化テロメラーゼ(mRNA-CI-TERT)のテロメア長を比較する概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、具体的な実施形態及び実施例によって図面を参照しながら本発明をさらに詳しく説明する。なお、矛盾しない限り、本発明における実施形態及び実施形態における要件は互いに組み合わせてもよい。以下、図面を参照しながら実施形態と組み合わせて本発明を詳しく説明する。
【0017】
本発明の1つの代表的な実施形態によれば、二重突然変異点がそれぞれY707F及びD868Aである二重突然変異テロメラーゼである、不活性化テロメラーゼを提供する。図1は、本発明の作業原理のフロチャートを示す。
【0018】
上記技術的解決手段により、突然変異点Y707Fの変異により、テロメラーゼが細胞核内に保持され、テロメラーゼの離脱が制限され、テロメラーゼを長期的にテロメア末端に噛み合わせて保護構造を形成する。突然変異点D868Aの変異により、テロメラーゼを失活させ、テロメラーゼが失活することにより、テロメア延長の制御不能と癌の誘発の可能性を防止させる。本発明が提供する突然変異点がY707F及びD868Aである二重突然変異不活性化テロメラーゼCI-TERTは、テロメラーゼTERTの活性を抑制してそれを不活性化テロメラーゼCI-TERTにしながら、テロメラーゼが細胞核から離脱することを抑制することができる。二重突然変異点Y707F及びD868Aの共同作用により、テロメラーゼをテロメア末端を保持するように細胞核内に保持し、テロメラーゼを長期的にテロメア末端に噛み合わせて保護構造を形成するとともに、テロメラーゼの離脱によるテロメア延長の制御不能及びそれによる細胞癌化を防止することができるので、本発明が提供する二重突然変異不活性化テロメラーゼCI-TERTは、癌化のリスクを低下させながら、テロメラーゼをテロメア末端を保護するように細胞核内に保持し、テロメア短縮による疾患の悪化を抑制することができる。
【0019】
本発明の1つの代表的な実施形態によれば、二重突然変異テロメラーゼを含有し、二重突然変異点がそれぞれY707F及びD868Aである、アデノウイルス-不活性化テロメラーゼAAV-CI-TERTを提供する。本実施形態のアデノウイルス-不活性化テロメラーゼAAV-CI-TERTは、
細菌を用いて、上述した突然変異点がそれぞれY707F及びD868Aである二重突然変異不活性化テロメラーゼCI-TERTプラスミドを培養する工程S1と、
前記二重突然変異不活性化テロメラーゼCI-TERTプラスミドをリポフェクタミンlipofectaminによりアデノウイルス-293T又はAAV-293T細胞に形質転換して培養する工程S2と、
7日間培養した後、二重突然変異不活性化テロメラーゼCI-TERTプラスミドを有するアデノウイルス又はAAVウィルスを遠心により抽出した工程S3と、
により作製される。
【0020】
これにより、突然変異点がそれぞれY707F及びD868Aである二重突然変異アデノウイルス-不活性化テロメラーゼCI-TERT又はAAVウィルス不活性化テロメラーゼCI-TERTを得た。
【0021】
抽出された二重突然変異不活性化テロメラーゼCI-TERTプラスミドを有するアデノウイルス、又は二重突然変異不活性化テロメラーゼCI-TERTプラスミドを有するAAVアデノ随伴ウィルスを培地(細胞培養)に加えて24~48時間培養した後、培養液を交換するか又は受容体に注射し、受容体自体がアデノウイルス-不活性化テロメラーゼ又はAAV-CI-TERTを生成したか否かを観察する。
【0022】
上記の各工程において、二重突然変異不活性化テロメラーゼCI-TERTプラスミドの形質転換に成功したことは、遺伝子検出により証明することができる。受容体に注射又は注入した後、動物受容体又は生体サンプルにおいて免疫蛍光染色を行うことで予期効果が達成されたことを証明することもできる。
【0023】
具体的に、上記免疫蛍光染色は、以下の工程を含む。
1.サンプル染色
サンプルの周囲においてカットオフペンでサンプルの周囲を書き、10マイクログラム/ミリリットル(μg/mL)のテロメアペプチド核酸PNA抗体を加えてTelCテロメア反復配列染色を行い、スライドを染色ボックス内に入れて光照射を防止する。サンプルにカバーガラスを被せて84℃のオーブン内に7分間放置した。カバーガラスを取り外してPNA洗浄液で2回洗浄し(15分間/回)、洗浄後、さらにPBSTで2回洗浄した(5分間/回)。洗浄後、さらに、室温で10%子牛血清にリン酸緩衝化生理食塩水を加えて調製されたブロッキング液で1時間洗浄した後、室温で、1000倍に希釈した心筋サルコメア(cTnT)一次抗体で2時間染色した。再度、ブロッキング液でサンプルを3回洗浄し(5分間/回)、その後、1:1000で希釈した抗マウス488alexa488二次抗体で1時間染色した。ペプチド核酸PNA洗浄液及びPBSTでそれぞれ2回洗浄し(15分間/回)、無分子純水に総濃度1マイクログラム/ミリリットルμg/mLの細胞核染色剤DAPIを加えて5分間染色した。リン酸緩衝化生理食塩水で3回洗浄し(5分間/回)、サンプルに封入剤を加えて封入した後に、顕微鏡に載せて撮影するまで4℃で保存した。
【0024】
2.テロメア長の測定
アメリカホプキンズ大学のAlan Meeker教授の実験室により開発されたImageJプラグイン、Telometer(テロメア末端長測定ソフト)を用い、染色サンプルの写真における細胞核を選択し、TelCによって細胞核中のDAPIの蛍光強度と比較してテロメア長を測定した。
【0025】
上記技術的解決手段により、不活性化テロメラーゼCI-TERTプラスミドを有するアデノウイルス、又は不活性化テロメラーゼCI-TERTプラスミドを有するAAVアデノ随伴ウィルスを受容体に注射し、受容体内で二重突然変異不活性化テロメラーゼCI-TERTを生成させ、二重突然変異点が共同作用して機能し、ここで、突然変異点Y707Fにより、テロメラーゼが細胞核内に保持され、テロメラーゼの離脱が制限され、テロメラーゼを長期的にテロメア末端に噛み合わせて保護構造を形成する。突然変異点D868Aの変異により、テロメラーゼを失活させ、テロメラーゼが失活することにより、テロメア延長の制御不能と悪性腫瘍の発生を防止する。本発明の技術的解決手段では、アデノウイルスをベクターとして、二重突然変異不活性化テロメラーゼを受容体に注射することに成功し、受容体内で二重突然変異不活性化テロメラーゼCI-TERTを生成させ、癌化のリスクを低下させながら、テロメラーゼをテロメア末端を保護するように細胞核内に保持し、テロメア短縮による疾患の悪化を抑制する。
【0026】
本発明の1つの代表的な実施形態によれば、二重突然変異テロメラーゼを含有し、前記二重突然変異テロメラーゼの二重突然変異点がそれぞれY707F及びD868Aである人工mRNA-不活性化テロメラーゼを提供する。人工mRNA-サイレンシングテロメラーゼDNA核酸配列の作製は以下の通りである。
人工mRNAは、mmRNAとも称され、人工mRNAは、人工メッセンジャーRNAであり、本実施形態で使用される人工mRNA-不活性化テロメラーゼ又はmmRNA-CI-TERTは、Y707F突然変異(細胞核内に保留)及びD868A突然変異(活性がない)の二重変異人工mRNA-不活性化テロメラーゼ又はmmRNA-CI-TERTである。突然変異点がそれぞれY707F及びD868Aである二重突然変異人工mRNA-不活性化テロメラーゼ又はmmRNA-CI-TERTを受容体に注射し、受容体自体が人工mRNA-不活性化テロメラーゼ又はmmRNA-CI-TERTを生成したか否かを観察する。
【0027】
上記の各工程において、遺伝子検出により二重突然変異不活性化テロメラーゼCI-TERTプラスミドの形質転換に成功したことを証明することができる。受容体に注射又は注入した後、動物受容体又は生体サンプルにおいて免疫蛍光染色を行うことで予期効果が達成されたことを証明することもできる。
【0028】
具体的に、上記免疫蛍光染色は、以下の工程を含む。
1.サンプル染色:サンプルの周囲においてカットオフペンでサンプルの周囲を書き、10マイクログラム/ミリリットル(μg/mL)テロメアペプチド核酸PNA抗体を加えてTelCテロメア反復配列染色を行い、スライドを染色ボックス内に入れて光照射を防止する。サンプルをカバーガラスでカバーして84℃オーブン内に7分間放置した。カバーガラスを取り外してPNA洗浄液で2回洗浄し(15分間/回)、洗浄後、さらにPBSTで2回洗浄した(5分間/回)。洗浄後、さらに、室温で10%子牛血清にリン酸緩衝化生理食塩水を加えて調製されたブロッキング液で1時間洗浄した後、室温で1000倍希釈した心筋サルコメア(cTnT)一次抗体を2時間染色した。再度、ブロッキング液でサンプルを3回洗浄し(5分間/回)、その後、1:1000に希釈した抗マウス488alexa488二次抗体を1時間染色した。ペプチド核酸PNA洗浄液及びPBSTでそれぞれ2回洗浄し(15分間/回)、無分子純水に総濃度1マイクログラム/ミリリットルμg/mLの細胞核染色剤DAPIを加えて5分間染色した。リン酸緩衝化生理食塩水で3回洗浄し(5分間/回)、サンプルに封入剤を加えて封入した後に、撮影するまで4℃で保存した。
2.テロメア長の測定:アメリカホプキンズ大学Alan Meeker教授の実験室により開発されたImageJプラグイン、Telometer(テロメア末端の長さ測定ソフト)を用い、染色サンプルの写真における細胞核に対して、TelCによって細胞核中のDAPIの蛍光強度を比較することでテロメア長を測定した。
【0029】
上記技術的解決手段により、突然変異点がそれぞれY707F及びD868Aである二重突然変異不活性化テロメラーゼCI-TERTプラスミドを有する人工mRNA及び/又はmmRNAを受容体に注射し、受容体内で二重突然変異不活性化テロメラーゼCI-TERTを生成させ、二重突然変異点が共同作用して機能し、ここで、突然変異点Y707Fにより、テロメラーゼが細胞核内に保持され、テロメラーゼの離脱が制限され、テロメアが短縮しないようにする。突然変異点D868Aの変異により、テロメラーゼを失活させ、テロメラーゼが失活することにより、テロメア延長の制御不能と癌の誘発の可能性を防止する。本発明の技術的解決手段では、人工mRNA又はmmRNAをベクターとして、二重突然変異不活性化テロメラーゼを受容体に注射することに成功し、受容体内で二重突然変異不活性化テロメラーゼCI-TERTを生成させ、癌化のリスクを低下させながら、テロメラーゼをテロメア末端を保護するように細胞核内に保持し、テロメア短縮による疾患の悪化を抑制する。
【0030】
本発明の1つの代表的な実施形態によれば、上記実施形態におけるアデノウイルス-不活性化テロメラーゼ又は上記実施形態における人工mRNA-不活性化テロメラーゼの、非分裂性細胞のテロメア短縮に関連する疾患の治療への使用を提供する。
【0031】
注意すべきことに、非分裂性細胞のテロメア短縮は、老化、細胞分裂の制御、及び他の疾患を引き起こすことができる。本発明の技術的解決手段によれば、アデノウイルス-不活性化テロメラーゼAAV-CI-TERT又は人工mRNA-不活性化テロメラーゼmmRNA-CI-TERTにより、受容体内で二重突然変異不活性化テロメラーゼを生成させ、突然変異点Y707Fにより、テロメラーゼ受容体が細胞核内に保持され、テロメラーゼの離脱が制限され、テロメラーゼを長期的にテロメア末端に噛み合わせて保護構造を形成する。突然変異点D868Aの変異により、テロメラーゼを失活させ、テロメラーゼが失活することにより、テロメア延長の制御不能と癌の誘発の可能性を防止する。従って、本発明の技術的解決手段では、受容体内で二重突然変異不活性化テロメラーゼCI-TERTを発生させることに成功し、テロメラーゼの発現及び受容体細胞の種類を効果的に制御し、癌化のリスクを低下させながら、活性を有するテロメラーゼを過剰発現させることによって、テロメラーゼをテロメア末端を保護するように細胞核内に保持して、テロメア短縮を防止し、非分裂性細胞のテロメア短縮による細胞死及び疾患の悪化を防止することにより、テロメア短縮に関連する様々な疾患及び老化を予防及び治療し、テロメア短縮に関連する様々な疾患及び老化細胞のテロメアを延長させることができ、緩和された疾患に対して治療効果を達成する。
【0032】
好ましくは、非分裂性細胞は、心筋細胞、骨格筋細胞及び神経細胞を含む。非分裂性細胞は、心筋細胞、骨格筋細胞及び神経細胞等を含むが、これらに限られない。心筋細胞、骨格筋細胞及び神経細胞等はいずれも、テロメア短縮又は段階的な短縮を発生することにより異常及び疾患が発生し、二重突然変異テロメラーゼは、非分裂性細胞内においてテロメラーゼの発現及び受容体細胞の種類を効果的に制御し、相応する機能を達成することができる。
【0033】
好ましくは、非分裂性細胞のテロメア短縮に関連する疾患は、心筋細胞のテロメア短縮に関連する疾患を含むことが好ましい。
【0034】
好ましくは、心筋細胞のテロメア短縮に関連する疾患は、拡張型心筋症DCM、肥大型心筋症HCM、ラミノパシーおよび希少性テロメア短縮型心疾患を含む。
【0035】
より好ましくは、希少性テロメア短縮型心疾患は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーDMDを含む。
【0036】
研究により、心筋細胞のテロメア短縮は、希少性心疾患、例えばデュシェンヌ型筋ジストロフィーDMD疾患及び死亡を引き起こす原因であることが明らかにされている。心筋細胞のテロメア短縮に関連する疾患は、ラミノパシー(Laminopathy)、Titin疾患(Titinopathy)における大部分の拡張型心筋症DCM(Dilated Cardiomyopathy)及び肥厚性心筋症HCM(Hypertrophic Cardiomyopathy)をさらに含む。発明人は、心筋細胞のテロメア短縮に関連する疾患が段階的なテロメア短縮として表れることを見出した。テロメア短縮による疾患は遺伝的心筋症に限定されず、研究により、テロメア短縮が一連の疾患に関連することが明らかにされている。本発明の技術的解決手段により、アデノウイルス又は人工mRNAをベクターとして、突然変異点がそれぞれY707F及びD868Aである二重突然変異不活性化テロメラーゼを受容体の心筋細胞内に注射し、受容体の心筋細胞内でY707F及びD868Aを有する二重突然変異不活性化テロメラーゼを生成させることに成功した。突然変異点Y707Fの変異により、テロメラーゼが細胞核内に保持され、テロメラーゼの離脱が制限されることにより、テロメアが短縮しないようにすることができる。突然変異点D868Aの変異により、テロメラーゼを失活させ、テロメラーゼが失活することにより、テロメア成長の制御不能を防止することができる。心筋細胞異常のうち、段階的なテロメア短縮の異常に対して、本発明の二重突然変異不活性化テロメラーゼは、段階的なテロメラーゼ短縮による病状の持続的悪化を改善できると同時に、十分に早い段階で介入や治療を行うことにより、テロメア短縮の発生を防止することもできる。発明人は、大量の試験を行ったところ、さらに、心不全によるテロメア短縮が核酸損傷を引き起こし、ミトコンドリアの機能及び数を低減させてさらに心筋収縮機能に影響を与えることを見出した。不活性化テロメラーゼCI-TERTによりテロメア末端を保護することで、疾患の悪化を抑制し、核酸の損傷、ミトコンドリアの機能及び数の低減、および心筋機能の低下を防止することができる。
【0037】
以下、実施例を参照しながら本発明の有益な効果をさらに説明する。
【0038】
実施例:
本発明の1つの代表的な実施例によれば、アデノウイルス-不活性化テロメラーゼAAV-CI-TERTを使用して心疾患を治療する。
【0039】
心筋症患者の心臓切片におけるテロメア末端の長さを免疫蛍光染色により局在測定したところ、心筋症患者に異常なテロメア短縮現象が発生したことが発見され、この現象は、徐々に細胞死を発生させて病状悪化を招いて心不全を引き起こす。注意すべきことに、患者の他の生体サンプルでは、テロメア短縮が検出されなかった。試験により、ヒト由来幹細胞から分化された心筋細胞において同様にこの現象を観察することができ、ヒト由来幹細胞から分化された心筋細胞核におけるテロメア長を免疫蛍光染色により局在測定することができ、図2図3に示すように、ヒト由来幹細胞から分化された心筋細胞を心疾患における異常なテロメア短縮の試験モデルとすることができることが証明されている。ヒト由来幹細胞のレベルでは、健康な細胞と疾患の細胞は、テロメア長に差がない。健康なヒト由来幹細胞から分化された心筋細胞と比べて、疾患のヒト由来幹細胞から分化された心筋細胞は、テロメア短縮が見られた。これは、異常なテロメア短縮は心筋細胞が非分裂状態で引き起こされ、正常な状況で、テロメア短縮は、細胞分裂時に引き起こされ、かつテロメアが短すぎる細胞が分裂時に除去されることを意味する。発明人は、繰り返して試験を行ったところ、当該異常なテロメア短縮は疾患の進行過程における活性酸素(ROS)がテロメラーゼのミトコンドリア保護機能をアクティベートしてテロメラーゼが細胞核内から離脱してテロメア末端が保護を失ったことにより引き起こされることを見出した。発明人は、さらに、この異常なテロメア短縮が急性短縮ではなく、段階的で漸進的な短縮であることを見出した。これは、疾患の早期段階において介入又は治療を行うことでテロメア短縮を効果的に抑制又は阻止できることを意味する。
【0040】
表1は、患者の心筋サンプルのテロメア長の測定であった。
【0041】
【表1】
【0042】
表1により、心筋症患者において非分裂性細胞(心筋細胞)に異常なテロメア短縮現象が存在することが証明された。
【0043】
表2は、患者の平滑筋切片のテロメア長の測定であり、心筋症患者の異常なテロメア短縮が心筋細胞のみに存在することが証明された。
【0044】
【表2】
【0045】
表3は、ヒト由来幹細胞及びヒト由来幹細胞から分化された心筋細胞のテロメア長の測定である。異常なテロメア短縮は、非分裂性の疾患の心筋細胞において発生することが証明された。
【0046】
【表3】
【0047】
表4は、テロメア長の追跡試験である。この異常なテロメア短縮は急性短縮ではなく、段階的で漸進的な短縮であることが証明された。
【0048】
【表4】
【0049】
健康なヒト由来幹細胞から分化された心筋細胞と、疾患患者のヒト由来幹細胞から分化された心筋細胞とをさらに比較したところ、疾患の細胞は、核内のテロメア末端でより高い核酸損傷シグナル53BP1を示し、図4に示すように、ミトコンドリア数が明らかに低減し、かつ、細胞の収縮機能が低下し、すなわち、収縮力が低下したことがわかった。
【0050】
表5は、心筋細胞の核酸損傷シグナルの測定であり、疾患の心筋細胞において核酸損傷シグナルがより多いことが証明された。
【0051】
【表5】
【0052】
表6は、心筋細胞のミトコンドリア数の測定であり、疾患の細胞においてミトコンドリア数が明らかに低下することが証明された。
【0053】
【表6】
【0054】
表7は、心筋細胞の収縮力の測定であり、疾患の細胞の機能が影響されて低下することが証明された。単位がnano-newtonであり、nNと略称する。
【0055】
【表7】
【0056】
テロメア短縮を抑制してテロメア末端の過度な延長を避けるために、本発明の実施例は、2つの突然変異点を有するヒトテロメラーゼ配列を作製し、それを不活性化テロメラーゼ又はCI-TERTと称した。不活性化テロメラーゼ又はCI-TERTの2つの突然変異点のうちの1つは、テロメラーゼを細胞核内に保持する突然変異点Y707Fであり、もう1つは、テロメラーゼを失活させる突然変異点D868Aであった。アデノウイルス(AAV)又は人工mRNA(mmRNA)によって不活性化テロメラーゼを受容体に注射し、つまり、アデノウイルス-不活性化テロメラーゼ又は人工mRNA-不活性化テロメラーゼを受容体に注射した。図5に示すように、受容体では、この不活性化テロメラーゼを効果的に発現でき、かつ、核内のテロメア末端に特異的であった。注意すべきことに、当該受容体は、ヒト由来幹細胞から分化された心筋細胞モデル及びマウスモデルであってもよいし、他の任意の分裂性細胞であってもよい。図6及び図7に示すように、テロメラーゼ活性試験(TRAP Assay)(図6)及びクロマチン免疫共沈降(ChIP)qPCR(ChIP-qPCR)(図7)により、本発明の技術的解決手段における二重突然変異不活性化テロメラーゼは、活性がなく、かつ、脱保護されたテロメア末端上に正確に特異的であることが証明された。
【0057】
表8は、qPCRにより測定したCI-TERT発現量であり、受容体ではCI-TERTを過剰発現できることが証明された。
【0058】
【表8】
【0059】
図8に示すように、本発明の実施例においてアデノウイルス-不活性化テロメラーゼ又は人工-mRNAテロメラーゼはテロメア末端が短縮されないように効果的に保護でき、かつ、異常なテロメア短縮による一連の細胞反応、例えば核酸損傷、ミトコンドリア数低減、収縮力低下等を抑制できることが証明された。
【0060】
表9は、不活性化テロメラーゼCI-TERTを注射したテロメア末端の長さの測定であり、不活性化テロメラーゼCI-TERTは、テロメア末端を効果的に保護し、且つテロメア末端を延長させないことが証明された。
【0061】
【表9】
【0062】
表10は、不活性化テロメラーゼCI-TERTを過剰発現させた場合の核酸損傷シグナルの測定であり、不活性化テロメラーゼCI-TERTを過剰発現させることで細胞において核酸損傷シグナルを低下させることができることが証明された。
【0063】
【表10】
【0064】
表11は、不活性化テロメラーゼCI-TERTを過剰発現させる場合のミトコンドリア数の測定であり、不活性化テロメラーゼCI-TERTを過剰発現させることでミトコンドリア死亡を効果的に低減できることが証明された。
【0065】
【表11】
【0066】
表12は、不活性化テロメラーゼCI-TERTを過剰発現させた後の心筋細胞の収縮力の測定であり、不活性化テロメラーゼCI-TERTを過剰発現させることで心筋細胞の機能を効果的に保護できることが証明された。
【0067】
【表12】
【0068】
上記実施例の試験により、本発明が提供する技術的解決手段におけるアデノウイルス-不活性化テロメラーゼは、テロメア末端を保護することで異常なテロメア短縮及び短縮による核酸損傷を効果的に避け、ミトコンドリア機能を保護することで細胞の機能を保護し、細胞死及び疾患の悪化による心不全を避けることができることを明らかにした。
【0069】
心筋症の場合、非分裂性細胞、例えば心筋細胞におけるテロメア末端には異常な段階的な短縮が現れる。段階的なテロメア短縮は、試験において臨床上で観察した病状の悪化過程に対応するのみならず、十分に早い段階で介入や治療により病状の悪化を阻止でき、すなわち、テロメアの持続的な短縮を阻止できることを示している。試験により、ヒト由来幹細胞から分化された心筋細胞において、異常なテロメア短縮の現象をシミュレーションすることができ、また、不活性化テロメラーゼCI-TERT(Catalytically Inactive TERT,不活性化テロメラーゼ)によりこの現象の一連の指標を効果的に緩和できることが証明されている。発明人は、大量な試験により、心不全によるテロメア短縮は核酸損傷を発生させ、ミトコンドリア機能及び数の低減を引き起こして心筋収縮機能に影響を与えることを見出した。不活性化テロメラーゼCI-TERTによりテロメア末端を保護することで、疾患の悪化を抑制し、核酸損傷、ミトコンドリア機能及び数の低減、及び心筋機能の低下を防止することができる。
【0070】
本発明の上記実施例では、上記アデノウイルス-不活性化テロメラーゼの、非分裂性細胞のテロメア短縮に関連する疾患の治療への使用を提供する。アデノウイルス-不活性化テロメラーゼを注射する治療手段は、有効なベクターでテロメラーゼの発現、すなわち受容体細胞の種類を制御し、心筋細胞という非分裂性細胞系において、テロメア末端の脱保護及び短縮による疾患又は症状を防止することができる。心筋細胞のテロメア短縮に関連する疾患は、拡張型心筋症DCM、肥大型心筋症HCM、ラミノパシーおよび希少性テロメア短縮型心疾患(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーDMD)を含むが、これらに限られない。本実施例で選択する疾患サンプルは、様々な心筋細胞のテロメア短縮に関連する疾患、例えば、拡張型心筋症DCM、肥大型心筋症HCM、ラミノパシーおよび希少性テロメア短縮型心疾患(例えばデュシェンヌ型筋ジストロフィーDMD)等を含むが、これらに限られない。
【0071】
もちろん、アデノウイルス-不活性化テロメラーゼの代わりに人工mRNA-不活性化テロメラーゼmmRNA-CI-TERTを注射することで同様の試験効果が得られる。人工mRNA及びアデノウイルスは、本発明の二重突然変異不活性化テロメラーゼのベクターとして、受容体に注射された後、いずれも受容体内で二重突然変異不活性化テロメラーゼを発生させることにより、テロメアを細胞核内に保持してテロメア末端が離脱しないよう保護し、テロメア短縮による疾患及び細胞死を治療及び防止することができる。
【0072】
以上より、本発明の技術的解決手段では、二重突然変異のアデノウイルス-不活性化テロメラーゼ及び人工mRNA-不活性化テロメラーゼにより、癌化のリスクを低下させながら、テロメラーゼをテロメア末端を保護するように細胞核内に保持し、テロメア短縮による疾患の悪化を抑制する。従来技術に対して、テロメア短縮を防止し、テロメア短縮に関連する様々な疾患及び老化を予防及び治療し、テロメア短縮による細胞死を抑制し、テロメア短縮に関連する様々な疾患及び老化細胞のテロメアを延長させることができ、緩和された疾患に対して一定の治療効果を有する。
【0073】
もちろん、本発明は、さらに他の実施形態を有してもよく、本発明の趣旨及び本質から逸脱しない限り、当業者は、本発明に基づいて様々な相応する変更及び変形を行うことができ、しかし、これらの相応する変更及び変形はいずれも本発明の請求の範囲の保護範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-03-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
表1により、心筋症を有する患者において非分裂性細胞(心筋細胞)における異常なテロメア短縮が実証された。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
【表1】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
【表3】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
【表4】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
【表10】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
【表11】
【国際調査報告】