(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(54)【発明の名称】アロジェニック間葉系幹細胞によるアルツハイマー病の治療
(51)【国際特許分類】
A61K 35/28 20150101AFI20230913BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
A61K35/28
A61P25/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514422
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(85)【翻訳文提出日】2023-04-18
(86)【国際出願番号】 US2021071393
(87)【国際公開番号】W WO2022056528
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518274272
【氏名又は名称】ロングエバーオン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヘア, ジョシュア エム.
(72)【発明者】
【氏名】オリバ, アンソニー エー.
【テーマコード(参考)】
4C087
【Fターム(参考)】
4C087BB63
4C087NA14
4C087ZA16
(57)【要約】
アロジェニック間葉系幹細胞によるアルツハイマー病の治療のための組成物及び方法が本明細書に開示される。治療の方法は、アロジェニック間葉系幹細胞の組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを伴い、治療方法の有効性は、特定のバイオマーカーの測定及び認知機能の改善によって決定することができる。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のアロジェニック間葉系幹細胞(MSC)を含む組成物を対象に投与するステップを含む、それを必要とする対象においてアルツハイマー病(AD)の症状を緩和するための方法。
【請求項2】
治療有効量のアロジェニック間葉系幹細胞(MSC)を含む組成物を前記対象に投与するステップを含む、アルツハイマー病(AD)を治療するか、又はAD疾患の進行を阻害するための方法。
【請求項3】
アロジェニックMSCを含む前記組成物の投与の前後に、ADの症状に罹患している対象における1つ又は複数のバイオマーカーの濃度を測定するステップをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
アロジェニックMSCを含む前記組成物の投与の前後に、ADの症状に罹患している対象の認知機能を測定するステップをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記バイオマーカーが、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12p70、IL-17、sIL-2Rα又はそれらの組み合わせからなる群から選択されるサイトカインを含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記サイトカインの濃度が、治療有効量のアロジェニックMSCを含む前記組成物の投与後に、それを必要とする対象の血清、血漿、脳脊髄液又は血液中で増加する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記サイトカインの濃度の増加が、0.5%~10%、5%~10%、10%~50%、又は50%超である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記バイオマーカーが、タウ、ホスホ-タウ、Aβ-38、Aβ-40、Aβ-42、NFL、又はそれらの組み合わせからなる群から選択されるニューロン関連分子又はペプチドをさらに含む、請求項3~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記Aβ-38、Aβ-40、又はAβ-42の濃度が、治療有効量のアロジェニックMSCを含む前記組成物の投与後に、それを必要とする対象の血清、血漿、又は血液中で増加する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記Aβ-38、Aβ-40又はAβ-42の濃度が、0.5%~10%、5%~10%、10%~50%、又は50%を超えて増加する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記タウ、ホスホ-タウ又はNFLの濃度が、治療有効量のアロジェニックMSCを含む前記組成物の投与後に、それを必要とする対象の血清、血漿、脳脊髄液又は血液中で減少する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記タウ、ホスホ-タウ又はNFLの濃度が、0.5%~10%、5%~10%、10%~50%、又は50%を超えて減少する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記バイオマーカーが、プロBNP、TNF-α、又はそれらの組み合わせなどの炎症シグナル伝達分子をさらに含む、請求項3~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記プロBNP又はTNF-αの濃度が、治療有効量のアロジェニックMSCを含む前記組成物の投与後に、それを必要とする対象の血清、血漿、脳脊髄液又は血液中で減少する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プロBNP又はTNF-αの濃度が、0.5%~10%、5%~10%、10%~50%、又は50%を超えて減少する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記バイオマーカーが、VEGFをさらに含む、請求項3~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記VEGFの濃度が、治療有効量のアロジェニックMSCを含む前記組成物の投与後に、それを必要とする対象の血清、血漿、脳脊髄液又は血液中で増加する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記VEGFの濃度が、0.5%~10%、5%~10%、10%~50%、又は50%を超えて減少する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
アロジェニックMSCを含む前記組成物の投与後に、前記対象の脳における領域のサイズの変化を決定するステップをさらに含む、請求項3~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物の投与後にサイズが変化する前記対象の脳における領域が、扁桃体、皮質核、海馬、海馬小領域、及び/又は皮質扁桃体移行部からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
アロジェニックHMCを含む前記組成物の投与後に、対象の皮質扁桃体移行部に変化が生じるかどうかを決定するステップをさらに含む、請求項3~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が、20×10
6個のMSCを含む、請求項3~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が、100×10
6個のMSCを含む、請求項3~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
アロジェニックHMCを含む前記組成物の投与の前後に、前記対象の脳脊髄液を検査するステップをさらに含む、請求項3~23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、各々の内容全体が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2020年9月8日に出願された米国特許仮出願第63/075,686号「アロジェニック間葉系幹細胞によるアルツハイマー病の治療」、2021年1月6日に出願された米国特許仮出願第63/134,535号「アロジェニック間葉系幹細胞によるアルツハイマー病の治療」及び2021年4月12日に出願された米国特許仮出願第63/173,960号「アロジェニック間葉系幹細胞によるアルツハイマー病の治療」に関連し、その利益を主張するものである。
【0002】
[分野]
本出願は、アルツハイマー病の治療を必要とする対象におけるアルツハイマー病の治療のための方法及び組成物に関する。いくつかの実施形態は、全身性炎症の増加などのアルツハイマー病の症状を緩和するために使用される、治療有効量のアロジェニック(allogeneic)間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells(MSC))を含む組成物に関する。他の実施形態は、アルツハイマー病の症状に罹患している対象が、治療有効量のMSCを含む組成物を投与される治療方法に関する。これらの治療の有効性は、MSCを含む組成物の投与後に対象における特定のバイオマーカーの濃度を測定すること、脳の活動又は形態の変化を調べること、及び治療後に認知機能が改善されたかどうかを決定することによって評価される。
【0003】
[背景]
アルツハイマー病(AD)は、複雑な病態を伴っており、β-アミロイド沈着及び神経原線維もつれに加えて多様なメカニズムを包含している[1]。炎症促進性状態がその後の認知症の一因であるという認識が高まっている[2~4]。この点で、炎症促進性サイトカインは、アミロイド沈着物及び神経原線維もつれの近くに豊富に存在し[5]、全身性炎症とβ-アミロイド蓄積との間に関連性が存在する[4]。ADはさらに、有害な転帰に寄与する神経血管系の障害によって特徴付けられる[6]。結果として生じる血液脳関門(BBB)の侵害により[7~10]、内皮を介した交換が損なわれ、AβPの非効率的なクリアランスと脳内の蓄積につながる可能性がある[11、12]。
【0004】
ADの進行が複雑な性質を持っているため、バイオマーカーを使用してADの発症と進行を予測することは依然として困難である。β-アミロイド沈着及び神経原線維もつれの濃度は、ADの発症を診断又は予測するために使用できるものの、剖検でかなりの量のアミロイド沈着及び神経原線維もつれを有しており、ADの診断に値するとされた人の中には、認知症の病歴を示したことのない個人も存在することが示されている。現在承認されているアルツハイマー病の治療法(リバスチグミン(Rivastigmine)、ドネペジル(Donepezil)、メマンチン(Memantine)、ガランタミン(Galantamine)、タクリン(Tacrine))は、主に対症療法であるわずかな利点しかない;また、承認されている治療薬で、ADを効果的に停止、逆転、予防できるものはない。当初有望視されていたリード化合物が一貫して失敗しているため、10年以上にわたってADの新薬が承認されていないという結果となっている。最近では、抗アミロイドモノクローナル抗体であるソラネズマブ(solanezumab)(Ely Lily)及びアデュカヌマブ(aducanumab)(Biogen/Eisai)が、軽度又は中等度のAD及び軽度認知障害(MCI)では無効であることが判明したことが、これらの中で失敗として挙げられる。これらの失敗に共通するテーマは、ADの単一の病理学的特徴を標的にしていることである。
【0005】
同時にADのこれらの神経病理学的特徴に対処することにより、治療的な利点が提供され、新しい治療戦略につながる可能性がある。医薬用シグナル伝達細胞(MSC、間葉系幹細胞としても知られる)は、抗炎症特性、血管機能を改善する能力、並びに内因性組織の修復及び再生の促進など、多面的な作用機序(MOA)を有する多能性細胞(インビトロ)である[13、14]。MSCは炎症及び損傷部位に移動するため、ADの神経炎症部位を標的とする可能性がある。MSCはまた、パラクリン活性及びヘテロ細胞結合を介して宿主幹細胞のニッチを調節し、内因性修復及び再生を促進することもできる[15]。最後に、MSCは免疫回避的/免疫特権的であり、アロジェニック使用が可能であり、臨床試験で許容可能な安全性プロファイルを持っている。これらの免疫特権的/免疫回避的な特性により、MSCは主要組織適合性複合体クラスII(MHC-II)分子が検出不可能なレベルであり、MHC-Iのレベルが低いため、幅広い患者集団が容易に利用できる「既製品の」治療法となる可能性を持っている。
【0006】
ADにおけるMSCの有効性を裏付ける前臨床データがいくつかある。動物モデルでは、MSCはBBBを通過し、神経新生を促進し、β-アミロイドの沈着を阻害してクリアランスを促進し、アポトーシスを低減し、海馬の神経新生を促進し、樹状突起形態を改善し、行動及び空間記憶のパフォーマンスを改善する[18~20]。これらの有益な効果は、炎症の減少、Aβ分解因子とAβクリアランスの増加、過剰リン酸化タウの減少、及び代替的に活性化されたミクログリアマーカーの上昇と関連していた。これらの利点は、少なくとも部分的には、Aβ沈着を減少させるために代替ミクログリアを脳に動員する化学誘引物質のAβ誘導性MSC放出によるものと思われる[21]。MSCは、Aβが蓄積する前の若いADモデルマウスで効果的であることが報告されており、脳へのAβ沈着の大幅な減少、及びシナプス前タンパク質の発現の大幅な増加をもたらす[22]。興味深いことに、これらの効果は少なくとも2ヶ月間持続し、MSCが前駆期ADの介入治療として潜在的に有効である可能性があることを示唆している。
【0007】
したがって、本願は、MSCを含む組成物の使用を含むADの治療方法を提供することを目指すだけでなく、本願は、MSCの潜在的な安全性を正確に測定し、それを必要とする対象におけるAD症状の緩和におけるその効力を評価し得る方法を提供しようとするものでもある。
【0008】
[概要]
本出願の目的は、ADの症状を緩和するため、及び/又はADの進行を治療するために、それを必要とする対象に治療量のアロジェニックMSCを投与するステップを含む、ADの治療又は緩和の方法を提供することである。本出願の別の目的は、ADの進行及び治療方法の有効性を診断及び評価するための新規バイオマーカーを提供することである。これらのバイオマーカーは、扁桃体、皮質核、海馬、海馬小領域、及び/又は皮質扁桃体移行部(corticoamygdaloid transition)など、患者の脳の領域におけるサイズの変化とすることができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、ADの進行を診断及び評価するための新規バイオマーカーは、サイトカイン濃度の変化とすることができ、ここで、サイトカインは、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12p70、IL-17、sIL-2Rα又はそれらの組み合わせであってもよい。好ましい実施形態において、サイトカインの濃度は、対象へのアロジェニックMSCの投与後に、AD症状に罹患しており、それを必要とする対象の血清、血漿、脳脊髄液又は血液において増加する。サイトカイン濃度の増加は、0%~10%、0.5%~10%、1.0%~10%、3%~10%、5%~10%、7%~10%、0%超~10%以下、10%~50%、20%~50%、30%~50%、又は50%超の範囲であり得る。好ましい実施形態では、サイトカインの濃度は、それを必要とする対象にMSCを投与する前の濃度レベルとは異なる濃度レベルに達し、維持されると、0%~10%、0%~5%、又は0%~1%を超えて低下しない、安定した濃度レベルまで増加する。
【0010】
他の実施形態では、ADの進行を診断及び評価するための新規バイオマーカーは、ニューロン関連分子又はペプチドの濃度の変化であってもよく、ここで、ニューロンシグナル伝達分子又はペプチドは、タウ、ホスホ-タウ、Aβ-38、Aβ-40、Aβ-42、NFL、又はそれらの組み合わせであってもよい。好ましい実施形態では、Aβ-38、Aβ-40、又はAβ-42の濃度は、対象へのアロジェニックMSCの投与後に、AD症状に罹患しているそれを必要とする対象の血清、血漿、又は血液中で増加する。Aβ-38、Aβ-40、又はAβ-42濃度の増加は、0%~10%、0.5%~10%、1.0%~10%、3%~10%、5%~10%、7%~10%、0%超~10%以下、10%~50%、20%~50%、30%~50%、又は50%超の範囲であり得る。好ましい実施形態では、Aβ-38、Aβ-40、又はAβ-42の濃度は、それを必要とする対象にMSCを投与する前の濃度レベルとは異なる濃度レベルに達し、維持されると、0%~10%、0%~5%、又は0%~1%を超えて低下しない、安定した濃度レベルまで増加する。
【0011】
他の実施形態では、タウ、ホスホ-タウ、又はNFLの濃度は、対象へのアロジェニックMSCの投与後にAD症状に罹患しており、それを必要とする対象の血清、血漿、脳脊髄液、又は血液中で減少する。タウ、ホスホ-タウ、又はNFL濃度の減少は、0%~10%、0.5%~10%、1.0%~10%、3%~10%、5%~10%、7%~10%、0%超~10%以下、10%~50%、20%~50%、30%~50%、又は50%超の範囲であり得る。好ましい実施形態では、タウ、ホスホ-タウ、又はNFLの濃度は、それを必要とする対象にMSCを投与する前の濃度レベルとは異なる濃度レベルに達し、維持されると、0%~10%、0%~5%、又は0%~1%を超えて上昇しない、安定した濃度レベルまで減少する。
【0012】
他の実施形態では、ADの進行を診断及び評価するための新規バイオマーカーは、炎症シグナル伝達分子の濃度の変化であってもよく、炎症シグナル伝達分子は、プロBNP、TNF-α、又はそれらの組み合わせであってもよい。好ましい実施形態において、TNF-α又はプロBNPの濃度は、対象へのアロジェニックMSCの投与後に、AD症状に罹患しているそれを必要とする対象の血清、血漿、脳脊髄液又は血液中で減少する。TNF-α又はプロBNP濃度の減少は、0%~10%、0.5%~10%、1.0%~10%、3%~10%、5%~10%、7%~10%、0%超~10%以下、10%~50%、20%~50%、30%~50%、又は50%超の範囲であり得る。好ましい実施形態では、TNF-α又はプロBNPの濃度は、それを必要とする対象にMSCを投与する前の濃度レベルとは異なる濃度レベルに達し、維持されると、0%~10%、0%~5%、又は0%~1%を超えて上昇しない、安定した濃度レベルまで減少する。
【0013】
いくつかの実施形態では、ADの進行を診断及び評価するための新規バイオマーカーは、VEGFの濃度の変化及び他の血管関連バイオマーカーであってもよい。好ましい実施形態において、VEGFの濃度は、対象へのアロジェニックMSCの投与後、AD症状に罹患しているそれを必要とする対象の血清、血漿、脳脊髄液又は血液において増加する。VEGFの濃度の増加は、0%~10%、0.5%~10%、1.0%~10%、3%~10%、5%~10%、7%~10%、0%超~10%以下、10%~50%、20%~50%、30%~50%、又は50%超の範囲であり得る。好ましい実施形態では、VEGFの濃度は、それを必要とする対象にMSCを投与する前の濃度レベルとは異なる濃度レベルに達し、維持されると、0%~10%、0%~5%、又は0%~1%を超えて低下しない、安定した濃度レベルまで増加する。
【0014】
アロジェニックMSCは、アロジェニックヒト間葉系幹細胞のロンゲベロン(Longeveron)製剤であるロメセル-B(LOMECEL-B)(商標)細胞であってもよい。ロメセル-B(商標)ブランドの間葉系細胞を含む有用な幹細胞のさらなる使用及び製剤は、以下の米国特許出願公開に見出すことができ、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる:米国特許出願第20190038742号A1;米国特許出願第20190290698号A1;及び米国特許出願第20200129558号A1。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】軽度のADと診断された対象の治療におけるロメセル-Bの有効性を決定するために行われた第1相二重盲式無作為化プラセボ対照臨床試験を説明する図である。
【
図2】第1相臨床試験で使用された実験群及び、対象がどのように各々の実験群に分けられたかを示す図である。
【
図3A】
図3Aは、6ヶ月間にわたる、3つの実験群(20×10
6個のロメセル-B、100×10
6個のロメセル-B及びプラセボ)のMMSEスコアを示す図である。
【
図3B】
図3Bは、6ヶ月間にわたる、3つの実験群(20×10
6個のロメセル-B、100×10
6個のロメセル-B及びプラセボ)のADAS-cogスコアの変化を示す図である。
【
図3C】
図3Cは、6ヶ月間にわたる、3つの実験群(20×10
6個のロメセル-B、100×10
6個のロメセル-B及びプラセボ)のTMT-Aスコアの変化を示す図である。
【
図3D】
図3Dは、6ヶ月間にわたる、3つの実験グループ(20×10
6個のロメセル-B、100×10
6個のロメセル-B及びプラセボ)のTMT-Bスコアの変化を示す図である。
【
図3E】
図3Eは、6ヶ月間にわたる、3つの実験群(20×10
6個のロメセル-B、100×10
6個のロメセル-B及びプラセボ)のGDSポイントの変化を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、6ヶ月間にわたる、3つの実験群(20×10
6個のロメセル-B、100×10
6個のロメセル-B及びプラセボ)のQOL-ADポイントの対象バージョンの変化を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、6ヶ月間にわたる、3つの実験群(20×10
6個のロメセル-B、100×10
6個のロメセル-B及びプラセボ)のQOL-ADポイントの介護者バージョンの変化を示す図である。
【
図4C】
図4Cは、6ヶ月間にわたる、3つの実験群(20×10
6個のロメセル-B、100×10
6個のロメセル-B及びプラセボ)のADCS-ADLポイントの変化を示す図である。
【
図4D】
図4Dは、6ヶ月間にわたる、3つの実験群(20×10
6個のロメセル-B、100×10
6個のロメセル-B及びプラセボ)のADRQLポイントの変化を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、6ヶ月間にわたる、3つの実験群(20×10
6個のロメセル-B、100×10
6個のロメセル-B及びプラセボ)の血清中の相対的VEGF濃度変化を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、6ヶ月間にわたる、3つの実験群(20×10
6個のロメセル-B、100×10
6個のロメセル-B及びプラセボ)の血清中の相対的IL-4濃度変化を示す図である。
【
図5C】
図5Cは、6ヶ月間にわたる、3つの実験群(20×10
6個のロメセル-B、100×10
6個のロメセル-B及びプラセボ)の血清中の相対的IL-6濃度変化を示す図である。
【
図5D】
図5Dは、6ヶ月間にわたる、3つの実験群(20×10
6個のロメセル-B、100×10
6個のロメセル-B及びプラセボ)の血清中の相対的sIL-2Rα濃度変化を示す図である。
【
図5E】
図5Eは、6ヶ月間にわたる、3つの実験群(20×10
6個のロメセル-B、100×10
6個のロメセル-B及びプラセボ)の血清中の相対的IL-10濃度変化を示す図である。
【
図5F】
図5Fは、6ヶ月間にわたる、3つの実験群(20×10
6個のロメセル-B、100×10
6個のロメセル-B及びプラセボ)の血清中の相対的IL-12濃度変化を示す図である。
【
図6A】
図6Aは、6ヶ月間にわたる、3つの実験群(20×10
6個のロメセル-B、100×10
6個のロメセル-B及びプラセボ)の左海馬領域における脳容積変化を示す図である。
【
図6B】
図6Bは、6ヶ月間にわたる、3つの実験群(20×10
6個のロメセル-B、100×10
6個のロメセル-B及びプラセボ)の右海馬領域における脳容積変化を示す図である。
【0016】
[詳細な説明]
FDAが承認したADに対する疾患修飾介入は1つしかないが(アデュカヌマブ(Aducanumab))、これには議論の余地があり、AD患者の亜集団における認知症の進行を遅らせる可能性がある。他のFDA承認のAD治療は、対症療法のみであり、疾患の進行を変化させるものではない。ADの発生と発症はまだ完全には理解されておらず、この不確実性がこの分野での多くの論争の原因となっている。実際、アルツハイマー病の発症と治療の分野の大多数の研究者は、AβPの蓄積が疾患の進行に関与していることを認めているが、AβPの蓄積がアルツハイマー病の原因なのか、それとも単に老化の結果として、他の細胞経路が調節不全になった結果によるものなのかはまだわかっていない。
【0017】
ADに罹患している患者は、不規則な免疫反応を誘発することが知られてきている。実際に、炎症促進性サイトカインが豊富にアミロイド沈着及び神経原線維もつれの近くに存在することが示されているため、全身性炎症とβ-アミロイド蓄積との間の関連が示唆されている。この証拠に照らしても、当業者は、ヒトにおける炎症促進性サイトカインの阻害とAβPの蓄積の減少との間に直接的な相関関係がないため、ADの発症における免疫系の役割について懐疑的であることがたびたびであった。
【0018】
したがって、我々は驚くべきことに、アロジェニックMSCを含む組成物の使用が、ADの症状と戦うことができることを発見した。アロジェニック幹細胞を含む組成物でAD症状に罹患している対象を治療すると、対象の脳の形態が改善され、抗炎症及び血管修復に関連するバイオマーカーの発現が促進されることが発見された。我々はまた、アロジェニックMSCが、ADの症状に罹患している対象の神経炎症及び血管機能の改善を促進できることを発見した。上記の発見は、ADの病因を取り巻くあいまいさ、並びにMSCがβアミロイドを直接標的とできないこと、及び人体内での滞留時間が短いことから、ADの治療においてMSCを使用しても奏功しないと予想されていたために、当業者がMSCの使用を一般的に留保していたため、驚くべきものである。また、その大きなサイズのため、血液脳関門を通過して炎症及び損傷部位に到達することができないと当業者は考えていたため、AD治療の効果が低いことが予想されていた。
【0019】
ADの治療にMSCを使用するもう1つの利点は、単一の経路を標的にすることや、AβPの蓄積などのバイオマーカーを標的にすることを含まないことである。代わりに、AD治療にMSCを使用することにより、一度に複数の経路を標的とすることができるため、ADの進行を停止又は大幅に遅らせることができる。
【0020】
上記の驚くべき発見に続いて、本出願の一態様は、ADの症状に罹患している対象にアロジェニックMSCを含む組成物を投与するステップを含む、ADを治療する方法又はADの症状を緩和する方法に関する。
【0021】
いくつかの実施形態では、ADの治療又はADの症状の緩和の方法は、アロジェニックMSCを含む組成物の投与前及び/又は投与後に、ADの症状に罹患している対象におけるバイオマーカーの濃度を測定するステップをさらに含む。
【0022】
他の実施形態では、ADの治療又はADの症状の緩和の方法は、アロジェニックMSCを含む組成物の投与前及び/又は投与後に、AD認知機能の症状に罹患している対象を測定するステップをさらに含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、治療方法で使用されるMSCは、ロメセル-B(Lomecel-B)(商標)MSCである。
【0024】
他の実施形態では、バイオマーカーは、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12p70、IL-17、sIL-2Rα又はそれらの組み合わせなどのサイトカインである。
【0025】
好ましい実施形態において、サイトカインの濃度は、対象へのアロジェニックMSCの投与後に、AD症状に罹患しているそれを必要とする対象の血清、血漿、脳脊髄液又は血液において増加する。サイトカインの濃度の増加は、0%~10%、0.5%~10%、1.0%~10%、3%~10%、5%~10%、7%~10%、0%超~10%以下、10%~50%、20%~50%、30%~50%、又は50%超の範囲であり得る。好ましい実施形態では、サイトカインの濃度は、それを必要とする対象にMSCを投与する前の濃度レベルとは異なる濃度レベルに達し、維持されると、0%~10%、0%~5%、又は0%~1%を超えて低下しない、安定した濃度レベルまで増加する。
【0026】
他の実施形態では、バイオマーカーは、タウ、ホスホ-タウ、Aβ-38、Aβ-40、Aβ-42、NFL又はそれらの組み合わせなどのニューロン関連分子又はペプチドである。
【0027】
好ましい実施形態では、Aβ-38、Aβ-40、又はAβ-42の濃度は、対象へのアロジェニックMSCの投与後に、AD症状に罹患しているそれを必要とする対象の血清、血漿、又は血液中で増加する。Aβ-38、Aβ-40、又はAβ-42の濃度の増加は、0%~10%、0.5%~10%、1.0%~10%、3%~10%、5%~10%、7%~10%、0%超~10%以下、10%~50%、20%~50%、30%~50%、又は50%超の範囲であり得る。他の実施形態では、Aβ-38、Aβ-40、又はAβ-42の濃度は、それを必要とする対象にMSCを投与する前の濃度レベルとは異なる濃度レベルに達し、維持されると、0%~10%、0%~5%、又は0%~1%を超えて低下しない、安定した濃度レベルまで増加する。
【0028】
他の実施形態では、タウ、ホスホ-タウ、又はNFLの濃度は、対象へのアロジェニックMSCの投与後に、AD症状に罹患しているそれを必要とする対象の血清、血漿、脳脊髄液、又は血液中で減少する。タウ、ホスホ-タウ、又はNFL濃度の減少は、0%~10%、0.5%~10%、1.0%~10%、3%~10%、5%~10%、7%~10%、0%超~10%以下、10%~50%、20%~50%、30%~50%、又は50%超の範囲であり得る。他の実施形態では、タウ、ホスホ-タウ、又はNFLの濃度は、それを必要とする対象にMSCを投与する前の濃度レベルとは異なる濃度レベルに達し、維持されると、0%~10%、0%~5%、又は0%~1%を超えて増加しない、安定した濃度レベルまで減少する。
【0029】
他の実施形態では、バイオマーカーは、プロBNP、TNF-α、又はそれらの組み合わせなどの炎症シグナル伝達分子である。
【0030】
好ましい実施形態において、TNF-α又はプロBNPの濃度は、対象へのアロジェニックMSCの投与後に、AD症状に罹患しているそれを必要とする対象の血清、血漿、脳脊髄液又は血液中で減少する。TNF-α又はプロBNPの濃度の減少は、0%~10%、0.5%~10%、1.0%~10%、3%~10%、5%~10%、7%~10%、0%超~10%以下、10%~50%、20%~50%、30%~50%、又は50%超の範囲であり得る。他の実施形態では、TNF-α又はプロBNPの濃度は、それを必要とする対象にMSCを投与する前の濃度レベルとは異なる濃度レベルに達し、維持されると、0%~10%、0%~5%、又は0%~1%を超えて増加しない、安定した濃度レベルまで減少する。
【0031】
いくつかの実施形態では、バイオマーカーはVEGF又は他の血管関連バイオマーカーである。
【0032】
好ましい実施形態において、VEGFの濃度は、対象へのアロジェニックMSCの投与後に、AD症状に罹患しているそれを必要とする対象の血清、血漿、脳脊髄液又は血液中で増加する。VEGF濃度の増加は、0%~10%、0.5%~10%、1.0%~10%、3%~10%、5%~10%、7%~10%、0%超~10%以下、10%~50%、20%~50%、30%~50%、又は50%超の範囲であり得る。好ましい実施形態では、VEGFの濃度は、それを必要とする対象にMSCを投与する前の濃度レベルとは異なる濃度レベルに達し、維持されると、0%~10%、0%~5%、又は0%~1%を超えて低下しない、安定した濃度レベルまで増加する。
【0033】
他の実施形態において、ADの治療又はADの症状の緩和の方法は、アロジェニックMSCを含む組成物の投与後に、対象の脳の領域のサイズの変化を決定するステップをさらに含む。サイズが変化する対象の脳の領域は、扁桃体、皮質核、海馬、又はその他の構造体であってもよい。
【0034】
他の実施形態において、ADの治療又はADの症状の緩和の方法は、アロジェニックMSCを含む組成物の投与の前後に、対象の脳脊髄液を検査するステップをさらに含む。
【0035】
他の実施形態において、ADの治療又はADの症状の緩和の方法は、アロジェニックMSCを含む組成物の投与の前後に、対象の血清を検査するステップをさらに含む。
【0036】
他の実施形態において、ADの治療又はADの症状の緩和の方法は、アロジェニックMSCを含む組成物の投与の前後に、対象の血漿を検査するステップをさらに含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、ADの治療又はADの症状の緩和の方法は、アロジェニックHMCを含む組成物の投与後に、対象の皮質扁桃体移行部の変化が生じたかどうかを決定するステップをさらに含む。
【0038】
他の実施形態では、組成物は、20×106個のMSC、100×106個のMSC、又は20×106個と100×106個との間のMSCのいずれかを含有し得る。
【0039】
[実施例]
実施例1:AD症状の治療におけるMSCの有効性を評価する二重盲検第I相臨床試験
試験デザイン:
第1相試験は、二重盲検、無作為化、及びプラセボ対照試験であり(
図1)、ClinicalTrials.govに登録され(NCT02600130)、調査新薬申請(IND)に基づいて、単一の治験審査委員会、独立したデータ及び安全性監視委員会(DSMB)、独立した臨床モニター、並びに食品医薬品局(FDA)によって監視された。全ての対象及び介護者は、試験に参加することに同意した。対象のスクリーニングは、軽度のADの可能性に関する臨床アセスメント、交絡因子を除外するためのMRI、及び軽度のAD診断を確定するためのアミロイドトレーサーPETスキャンからなる3段階のプロセスで構成されていた。登録された対象は、低用量のロメセル-B [2.0×10
7細胞(「20M」)]、高用量のロメセル-B [(1.0×10
8細胞(「100M)]、又はプラセボの単回注入を受けることに無作為に割り付けられた。登録が完了した時点で、適格性を満たした全てのスクリーニングに参加した対象を登録した結果、33名の対象が登録された(予想された30に対して)。注入日は0日目と定義された。フォローアップ調査は、注入後2、4、13、26、39、52週目に行われた。
【0040】
ロメセル-Bとプラセボ:
ロメセル-Bは、連邦規則1271条のコードに準拠した健康な若年成人ドナーから採取したアロジェニックMSCを、現行の適正製造基準(cGMP)及びFDAが承認したINDの化学、製造及び管理(CMC)セクションの下で、培養増殖した製剤である。プラセボは、ロメセル-B MSCを再懸濁したビヒクル(1%ヒト血清アルブミンを含むプラズマライト-A(PlasmaLyte-A))から構成されていた。ロメセル-B及びプラセボは、同一の外観のラベルが貼られた同一の外観の注入バッグで調製され、外来患者のセッティングで末梢静脈内注入によって送達された。
【0041】
臨床アセスメント:
臨床アセスメントは、ベースライン、及び2、13、26、39、及び52週目に行われたが、MMSE[24]は、ベースライン来院時の代わりにスクリーニング来院時(登録基準)に行われた。使用された臨床アセスメントは、11部構成のアルツハイマー病評価スケール-認知サブスケール(ADAS-Cog)、トレイルメイキングテスト・パートA及びB(TMT-A及びTMT-B)、神経精神医学的インベントリー(NPI)、高齢者うつ評価(GDS)のショートバージョン、ADCS-ADL、アルツハイマー病関連クオリティ・オブ・ライフ(ADRQL)、アメリカ医師会により開発された介護者の自己評価質問票、QOL-ADの患者版及び介護者版であった。
【0042】
バイオマーカー:
アッセイは、血管内皮成長因子(VEGF)、Dダイマー、N末端ProB型ナトリウム利尿ペプチド、トランスフォーミング成長因子-β1、C反応性タンパク質、インターロイキン(IL-)5、IL-17、及び可溶性IL-2Rα(sIL-2Rα)について、中央研究所(Cenetron Diagnostics:オースティン、テキサス州)によって行われた。高感度電気化学発光イムノアッセイは、IL-1β、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12p70、IL-13、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、TNF-α刺激遺伝子6、インターフェロンガンマ、アミロイドベータ(Aβ)ペプチド1~38(Aβ38)、Aβ40、Aβ42、総タウ、ホスホ-タウT181、及びニューロフィラメント軽鎖(NfL)について、MESO QuickPlex SQ 120システム(Meso Scale Diagnostics、LLC:ロックビル、メリーランド州)を使用して、Longeveronにより行われた。この安全性試験ではCSFの採取は任意とされ、サンプルが限られていたため、正式な統計分析はできなかった。
【0043】
脳MRIは、スクリーニング時、13、26、39、及び52週目に、安全性を評価するために行われ(ARIAを含む)、構造的な脳の変化を評価するために、さらに使用された。
【0044】
スクリーニングPETにはフロルベタベン(18F)が使用された(Life Molecular Imaging:ボストン、マサチューセッツ州)。スクリーニング前にアミロイドトレーサーPETスキャンが陽性であった患者は、このスキャンを必要とせずに、登録が許可された(登録基準を満たしている場合)。
【0045】
統計分析:
サンプルサイズは、5%以上の割合で発生する有害事象(AE)を79%の確率で検出できるように選択された。分析は、独立した第三者の統計グループによって行われた。両側検定を使用して0.05有意水準で統計検定を行い、必要に応じて95%信頼区間を計算した。複数分析の調整は行わなかった。
【0046】
主要評価項目は、注入後最初の30日以内の重篤な有害事象(SAE)(治療下で発現した重篤な有害事象、又はTE-SAEとして定義される)の発生についてのベイジアン動機付き安全停止規則の発動であった。境界は10.0%の推定TE-SAEレートに基づいて計算され、TE-SAEレートが40%を超えると停止規則が発動される。停止規則は、タイプIエラーの可能性が19%で、91%のパワーであった。
【0047】
追加の安全性評価には以下が含まれ、AE及びSAEは研究全体で評価された。臨床研究室検査(血液学、血液化学、凝固、及び尿検査)は、スクリーニング、ベースライン、及び注入の来院時、並びに4、13、26、39、及び52週目に行われた。身体検査及び神経学的検査も行われた。心電図(ECG)は、スクリーニングと注入の来院時、及び4週目と52週目に行われた。
【0048】
全体的なフォローアップのコンプライアンスは、注入後13週目までは100%、26週目までは85%であった[低用量のロメセル-B投与群については15人中13人(87%)、高用量のロメセル-B群については10人中8人(80%)、プラセボについては8人中7人(88%)]。その後、フォローアップのコンプライアンスが低下し、低用量のロメセル-B投与群では5人の患者(33%)、高用量のロメセル-Bでは6人の患者(60%)、プラセボでは2人の患者(13%)が52週間のフォローアップ来院の前に中止した(52週間で61%の全体的なコンプライアンス)。13人の中止のうち6人(46%)は、COVID-19パンデミックの期間であった。そのため、有効性は26週までしか提供されない。
【0049】
研究母集団:
4つの臨床施設で50人の対象をスクリーニングし、2016年11月3日から2019年9月19日の間に33人(66%)を登録して、無作為化した(
図2)。スクリーニング失敗の2つの主な理由は、アミロイドトレーサーPETスキャンの陰性(スクリーニング失敗の52%)又は同時発生的なMRI所見(スクリーニング失敗の29%)であった。登録された対象は、20Mのロメセル-B(N=15)、100Mのロメセル-B(N=10)、又はプラセボ(N=8)の単回静脈内注入を受けた。
【0050】
ベースラインの集団統計を表1に示す。平均年齢は71.2±8.4歳であり、48.5%が女性であった。少なくとも19人の対象(57.6%)が少なくとも1つのApoE4対立遺伝子を保有していた(2人の対象は遺伝子検査を辞退した)。
【0051】
【0052】
主要評価項目-安全性:
主要評価項目は、TE-SAE停止規則の発動であった。停止規則は発動されたことはなく、主要安全評価項目を満たしている。TE-SAEは1件のみ発生し、100Mのロメセル-B投与群で、注入後27日目に背中の痛みのために24時間の入院となったが(表2)、これは試験薬とは無関係と判断された。ロメセル-B投与群における注入後30日以内のAE(治療下で発現したAE、すなわちTE-AE)の発生率は、プラセボ投与群と差がなかった(組み合わせたロメセル-B投与群における対象の16.0%に対して、プラセボ投与群における対象の25.0%、p<0.1606)。
【0053】
【0054】
試験薬に関連すると判断されたAE又はSAEはなかった。試験でのSAEの発生率は、プラセボ投与群に対する各々のロメセル-B治療投与群において、低かった(組み合わせたロメセル-B投与群における対象の16.0%に対して、プラセボ投与群における対象の37.5%)。しかしながら、これらのSAEのうち3例が注入前に発生した(全てプラセボ投与群において)。試験中の死亡は1例で、100Mのロメセル-B投与群で注入後144日目に発生した。AEの発生率は、プラセボに対するロメセル-B投与群において、低かった(組み合わせたロメセル-B投与群における対象の60.0%に対して、プラセボ投与群における対象の87.0%)。1名のみの対象が重度のAE(背中の痛み)を経験し、これは高用量ロメセル-B投与群であった。
【0055】
注入は、中断されることはなく、時期尚早に中止されることもなく、関連するAE又はSAEもなかった。MRIによる評価では、ARIAの報告事象はなかった。血液学、凝固、血液化学、バイタルサイン、尿検査、及びECGデータは、独立したファーマコビジランスモニター及びDSMBによって評価され、懸念の傾向や原因は観察されなかった。
【0056】
神経認知及び神経精神医学的アセスメント:
神経認知的及び神経精神医学的アセスメントは、事前に指定された副次評価項目として評価された。20Mのロメセル-B投与群では、MMSEの低下はプラセボに対して有意に遅かった(
図3A)。プラセボ投与群のスコアは、13週目に2.99±1.12ポイント低下した(p=0.0337;両側95% CI -5.84~-0.31)。対照的に、20Mのロメセル-B投与群はベースラインから有意な変化を示さず、13週でプラセボとの差は、2.69±1.39ポイント有意に高かった(良好であった)(p=0.0182;両側95% CI 0.51~4.97)。100Mのロメセル-B投与群では、ベースラインから有意差に達していないMMSEの減少傾向が示されたが、プラセボと比較して統計的な差はなかった。
【0057】
ADAS-cog-11では、プラセボ投与群は悪化(増加)する傾向を示した(
図3B)。ロメセル-B投与群はより安定しているように見えたものの、これらはプラセボからは有意ではなかった。
【0058】
TMT-Aのどの投与群でもベースラインからの有意な変化はなく、ロメセル-B投与群とプラセボとの間に差はなかった(
図3C)。TMT-Bについては、プラセボ投与群は悪化傾向(より長い完了時間)を示した一方で、両方のロメセル-B投与群については改善傾向を示したが、統計的な有意差には達していなかった(
図3D)。
【0059】
GDSにおいては、いずれの投与群においても、又はプラセボに対するロメセル-B投与群においても、ベースラインからの有意な差は生じなかった(
図3E)。
【0060】
クオリティ・オブ・ライフ及び日常生活動作のアセスメント:
QOL-ADの患者バージョンにおいては、20Mのロメセル-B投与群は、26週目にプラセボに対して3.85±1.943ポイントの有意な改善を示した(p=0.0444;両側95% CI 0.13~9.12)(
図4A)。100MのロメセルB及びプラセボ投与群の間に有意差はなく、ベースラインからこれらの投与群に有意な変化はなかった。QOL-ADの介護者バージョンは、全ての投与群において改善傾向を示しており、プラセボ投与群は2週目にベースラインからの有意な変化を示した(3.9±4.61ポイント;p=0.0491;95% CI 0.02~7.73)(
図4B)。プラセボでの変化と比較して、ロメセル-B投与群ではベースラインからの有意な変化はなかった。
【0061】
ADCS-ADLにおいては、プラセボ投与群は、26週目に9.27±2.782ポイント有意に低下(悪化)した(p=0.0211;両側95% CI -17.83~-2.10)(
図4C)。この変化は、20Mのロメセル-B投与群と比較して、26週で6.95±3.46ポイント有意であった(p=0.0118;95% CI 1.99~13.94)。同様に、この差は、プラセボの変化に対して、組み合わせたロメセル-B投与群においても、26週目で6.96±3.125ポイント有意であった(p=0.0080;両側95% CI 2.26~13.67)。いずれのロメセル-B投与群も、ベースラインからの低下を示さなかった。
【0062】
ADRQLでは、100Mのロメセル-B投与群において、2週目でベースラインから有意に改善(増加)した(4.33±5.88ポイント;p=0.0449;95% CI 0.12~8.54)。プラセボ投与群はまた、13週目(2.21±8.44ポイント;p=0.0308;95% CI 0.53~8.04)及び26週目(4.28±4.49ポイント;p=0.0225;95% CI 0.97~8.83)で有意な増加を示した(
図4D)。20Mのロメセル-B投与群は、ベースラインから有意な変化を示さず、プラセボに対してロメセルB投与群のいずれも有意な変化はなかった。
【0063】
血清ベースのバイオマーカー:
治療後の血管関連バイオマーカーは、プラセボに対するロメセル-B投与群において、有意に高かった。VEGFについては、プラセボ投与群は、20Mのロメセル-B(p<0.0128)及び100Mのロメセル-B(p<0.0012)投与群の両方に対して、26週まで有意な減少を示した(
図5A)。同様に、IL-4は、20M(p<0.0054)及び100Mのロメセル-B投与群(p<0.0180)の両方に対して、プラセボ投与群において有意に減少した(
図5B)。IL-6もまた、100Mのロメセル-Bに対するプラセボ投与群において、有意に減少した(p<0.0014)(
図5C)。プラセボに対する100Mのロメセル-B投与群において、D-ダイマーの有意な増加が見られたが(
図5D)、プラセボに対する20Mのロメセル-B投与群では有意性は見られなかった。
【0064】
治療後の抗炎症性バイオマーカーは、プラセボに対するロメセル-B投与群において、有意に高かった。sIL-2Rαは、プラセボに対する100Mのロメセル-B投与群において、有意に増加した(p<0.0049)(
図5E)。20Mのロメセル-B投与群は、プラセボに対してIL-10(p<0.0349)(
図5F)並びにIL-12(p<0.0015)(
図9E)を有意に増加させた。
【0065】
Aβ38、Aβ40、及びAβ42の血清レベルは、プラセボに対するロメセル-B投与群において、より高い傾向にあった(表3)。
【0066】
【0067】
海馬容積測定:
脳容積測定は、プラセボにおける変化に対する100Mのロメセル-B投与群において、13週目に左海馬容積の有意な増加を明らかにした(p=0.0311)(
図6A)。26週目までに、この増加は低くなり、プラセボに対して統計的に有意ではなくなった。20Mのロメセル-B投与群は、プラセボに対して有意な差を示さなかった。対照的に、プラセボに対するロメセル-Bのいずれについても、右海馬に有意な変化は見られなかった(
図6B)。この分析では、頭蓋のサイズの差異を補正するために、海馬のサイズを海馬溝の容積に正規化した。
【0068】
結果:
本プラセボ対照試験の主要な新たな知見は、軽度のAD患者におけるロメセル-Bの静脈内注入が安全で忍容性が高く、治療を受けた患者の神経認知及びクオリティ・オブ・ライフを改善する可能性があり、血清バイオマーカーに生物学的にもっともらしい変化を生じさせるということである。さらに、本試験では、細胞の投与量と効果の持続時間に関する重要な洞察が明らかになり、低用量が高用量よりも効果的である可能性が示唆された。本試験の結果を総合すると、臨床的有効性のエンドポイントを検出するために強化される、将来の大規模な臨床試験への道を開くものである。
【0069】
本試験は、前臨床的結果によって裏付けられており、AD病因の神経炎症及び血管障害仮説に対処するという、確固たる病態生理学的治療理論に基づくものである。MSCの抗炎症効果と血管効果が十分に特徴付けられていることを考慮して、我々は、軽度のADにおいて評価するためのプラセボ対照試験を設計した。
【0070】
事前に指定された指標から得られたいくつかの証拠から、神経認知及び神経心理学、QOL及びADL、バイオマーカーといった研究された全ての有効性ドメインにおける改善を通じて、ロメセル-Bは、ADの疾患修飾介入であることが推奨される。臨床効果ドメインでは、20Mのロメセル-B投与群は、MMSE、患者のQOL-AD、及びADRQLにおいて、プラセボに対して有意な利益を示したが、この結果は副次的な結果であり、慎重に扱わなければならない。さらに重要なことには、ロメセル-B投与群のいずれも、全ての臨床アセスメントにおいてもベースラインからの有意な悪化を示さなかったが、これはプラセボの場合とは異なっており、ロメセル-Bの安全性をさらに支持するものである。
【0071】
バイオマーカーに関しては、我々は、血管関連(VEGF、IL-4、IL-6)及び抗炎症性(IL-4、IL-10、IL-12、及びsIL-2Rα)の2つのカテゴリーにおいて、循環バイオマーカーの有意な変化を検出した。これらの変化は主に用量依存的であって、そこではプラセボは低下し、100Mの用量は最大の有意な増加を示し、20Mの用量は100との中間であるか、又は同様であった。
【0072】
血管関連バイオマーカーの変化は、神経血管の改善と一致している。重要な変化を示したVEGFは、神経保護効果及び神経回復効果を持ち、本研究でも観察された海馬容積の増加と積極的に関連している。IL-4は、血管機能、細胞増殖及びアポトーシスを調節し、ミクログリアを含むさまざまな細胞型の炎症促進性プロファイルを減少させ、アストロサイトからのBDNF産生を誘導できる多面的なサイトカインである。また、IL-4は、M1ミクログリアの活性化によるIL-1βのAβ誘導アップレギュレーションを抑制することにより、Aβ阻害による長期増強(LTP)を改善することもできる。IL-4はまた、ミクログリアにおけるAβ分解酵素CD10の発現を増加させることにより、オリゴマーAβペプチドのクリアランスももたらす。さらに、IL-4はM2ミクログリア表現型を活性化することができ、それが神経新生及びオリゴデンドロジェネシスを促進し、軽度認知障害患者の左海馬台容積と正の相関がある。APP23 ADマウスモデルにIL-4をインビボ注射すると、Aβレベルが低下し、記憶障害が有意に改善された。また、IL-6は、運動条件下などで有益な効果を発揮し、血管新生促進-骨形成活性を持ち、VEGFシグナル伝達を介してグルコース毒性から保護することができる多面的なサイトカインでもある。
【0073】
ロメセル-B投与群における抗炎症性バイオマーカーの増加は、全身性炎症及び神経炎症の減少と一致している。認知症の発現には神経炎症が必要であると思われるため、抗炎症性サイトカインプロファイルの増加は、臨床アセスメントの改善と一致している。IL-10は、十分に実証された抗炎症特性を有する。IL-12は、状況に依存した抗炎症及び炎症促進性活性を有しており、抗炎症の役割の一部としてIL-10の発現を誘導する。ADの状況において、IL-12は、AD患者のCSFにおいて正常な対象と比較して著しく低くなっており、本研究ではロメセル-B治療後にIL-10及びIL-12の両方が増加した。sIL-2Rα及びIL-4の抗炎症の役割の最高点において、これらの結果は、ロメセル-B治療に応答した抗炎症の相乗効果を示唆している。
【0074】
Aβペプチドの循環レベルは、プラセボに対するロメセル-B投与群において、高レベルの傾向を示した。血漿Aβ42は前臨床/前駆AD段階で中等度の減少であり、ADにおいて、Aβ40及びAβ42はさらに大きな有意な減少を示す。ロメセル-B投与群で見られるAβの傾向は、患者で見られる認知状態の改善と一致している。
【0075】
最後に、ADでは成人の神経新生が大幅に低下する。海馬容積の増加は、これらの患者の神経新生の増加、及び他の有効性ドメインの改善と一致していると思われる。
【0076】
参考文献
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【国際調査報告】